| 犯してしまった罪をつぐない,社会の一員として立ち直ろうとするには,本人の強い意志や行政機関の働き掛けのみならず,地域社会の理解と協力が不可欠です。我が国では,保護司,更生保護施設を始めとする更生保護ボランティアと呼ばれる人たちの他,更生保護への理解と協力の下,関係機関・団体との幅広い連携によって更生保護は推進されています。更生保護の内容には,主なものとして次のようなものがあります。 |
| 1 | 保護観察 |
| 2 | 補導援護等及び更生緊急保護 |
| 3 | 仮釈放・少年院からの仮退院等 |
| 4 | 生活環境の調整 |
| 5 | 恩赦 |
| 6 | 犯罪予防活動 |
| 7 | 医療観察制度 |
| ●保護観察 |
| (1)保護観察の目的・種類 |
保護観察は、犯罪をした人又は非行のある少年が、実社会の中でその健全な一員として更生するように、国の責任において指導監督及び補導援護を行うもので、次の5種の人がその対象となります。
| (2)保護観察の流れ |
| (3)保護観察の方法 |
保護観察は、保護観察官及び保護司が協働して、指導監督及び補導援護を行います。
| 保護観察の新しい風〜社会参加活動〜 日に焼けた腕に支えられながら,目の不自由な小学生は頭上の枝にそっと手を伸ばし,ビロードのような梅を,手触りを確かめるようにして大切にもぎとりました。あどけない彼女の笑顔につられるように,日に焼けた彼の顔にも笑顔が広がっています。彼は保護観察処分を受けた少年で,保護観察所が実施している盲学校の生徒との梅の摘果作業に参加しているところなのです。 保護観察の現場では,少年たちに対して多様に働き掛けるため「社会参加活動」が行われています。社会参加活動とは,「保護観察を受けている人の社会参加を促す効果を持つ活動」を広く指すもので,具体的には,公園の清掃,老人ホームでの介護活動,知的障害者施設での交流活動などがあります。このような活動を通じて,参加者が様々な人々と触れ合い,自身が社会的に有意義な存在であることを実感していくことを目的としています。 ここで,社会参加活動に参加した人の感想文(原文のまま)を紹介しましょう。 <公園清掃作業に参加して> 公園を掃除していると,地域のひとが話しかけたりしてくれ,話がはずんだ。早く時間がたって,いきなり雨が降って中止になったけど,機会があればまたお手伝いしたいです。 <特別養護老人ホームでの奉仕活動に参加して> 自分のおばあちゃんの手などをさわったりしたことがないので,きちょうな体験をしたと思います。そうじとかしていると,みんな礼を言って来てくれ,すごく気持ちよくそうじができた。それと,ここではたらいている人と,おばあちゃんたちは,友だちみたいにせっしていて,すごくいいことだと思いました。 犯罪や非行をした人たちが改善更生していく過程で,「社会的有用感」は大変重要なものです。彼らの立ち直りを目指して,保護観察の中ではこのような活動も行われています。 |
| ●補導援護等及び更生緊急保護 |
| 保護観察に付されている人や刑事上の手続等による身体の拘束を解かれた人で援助や保護が必要な場合には、次のような措置を受けることができます。 |
| ●仮釈放・少年院からの仮退院等 |
| 矯正施設に収容されている人を収容期間満了前に仮に釈放して更生の機会を与え、円滑な社会復帰を図ることを目的とした制度として、刑事施設等からの仮釈放、少年院からの仮退院等があります。なお、仮釈放などの期間中は保護観察に付されます。 |
| ●生活環境の調整 |
| 生活環境の調整は、刑事施設や少年院などの矯正施設にいる人の釈放後の帰住環境を調査・調整し、仮釈放等の審理の資料等にするとともに円滑な社会復帰を目指すものです。 |
| ●恩赦(個別恩赦) 恩赦は,裁判手続によらずに刑事裁判の内容を変更し,その効力を変更若しくは消滅させるもので,政令で恩赦の対象となる罪や刑の種類等を定めて,その要件に該当する人に対して一律に行われる政令恩赦と,特定の人について個別に審査して行われる個別恩赦があります。 個別恩赦には,次の4つの種類があります。
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| 個別恩赦の手続は,検察官,刑事施設及び保護観察所の長が職権又は本人からの出願に基づき,中央更生保護審査会に上申をし,審査会が審査の結果,恩赦を実施すべきであると認める場合には,法務大臣に対しその旨の申出を行い,その申出がなされた者について,内閣が閣議により決定し,天皇が認証します。 |
| ●犯罪予防活動 犯罪や非行の予防のために,世論の啓発や犯罪発生の原因となる社会環境の浄化に努める活動を犯罪予防活動といいます。更生保護における犯罪予防活動の特色は,犯罪の発生を未然に防ぐために,社会的連帯感や社会的規範への共感を強化・助長するように地域社会に働き掛ける点にあります。さらに,犯罪をした人や非行のある少年の社会復帰に対する地域社会の人々の理解と関心を深め,地域社会が彼らを地域の一員として受け入れ,その更生を援助することによって,彼らが再び犯罪や非行をすることを予防することを目指しています。例えば,街頭広報活動,講演会,映画会,スポーツ大会などを実施して,犯罪や非行がない社会づくりを呼び掛けるとともに,犯罪をした人や非行のある少年の立ち直りに手を貸すように促していきます。 法務省が主唱する“社会を明るくする運動”もこうした犯罪予防活動の一つです。 |
| ●医療観察制度 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った精神障害者の社会復帰の促進を目的とする新しい制度です。入・通院や退院などを適切に決定するための手続,手厚い医療の提供,地域において継続的な医療や援助を確保するための仕組みなどが設けられています。保護観察所は,従来の更生保護の仕事と併せ,本制度に基づく地域社会における処遇等において一定の役割を担うこととされています。 |
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