| 新しい破産法の概要 |
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| 1 | 目的 |
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| 2 | 新しい破産法の要点 |
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| 破産手続全体の見直し |
| ○ | 手続の迅速化及び合理化 |
| ア | 管轄裁判所の拡大 |
| ・ | 親子会社,会社と代表者等の事件の一体的処理を可能とするため管轄裁判所を拡大する。 |
| ・ | 大規模事件のうち,債権者数が1000人以上のものには,専門的な処理体制の整った東京地方裁判所又は大阪地方裁判所に全国的な競合管轄を認め,債権者数500人以上のものには,高等裁判所所在地の地方裁判所に競合管轄を認める。 |
| イ | 破産債権の調査・確定手続の簡素・合理化 |
| ・ | 破産債権の調査について,従来の期日方式・口頭方式に加えて期間方式・書面方式をも導入し,事案に応じた適切な処理を可能とする。 |
| ・ | 破産債権の確定について,決定による確定手続(破産債権査定決定の制度)を導入する。 |
| ウ | 債権者集会の任意化と書面等投票制度の導入 |
| ・ | 債権者集会の開催を任意化し,事案に応じた適切な処理を可能とする。 |
| ・ | 議決権行使の機会を実質的に保障するため,書面等による議決権の行使を認める制度を設ける。 |
| エ | 労働債権に対する許可弁済の制度の創設 |
| ・ | 労働者の生活の維持を図るため,配当手続に先立って,裁判所の許可によって労働債権に弁済をすることができる制度を設ける。 |
| オ | 破産管財人の任意売却に伴う担保権消滅の制度の創設 |
| ・ | 破産管財人の換価権限を強化するため,破産管財人が担保権付物件を任意売却する際に,担保権を消滅させることができる制度を設ける。 |
| ○ | 手続の公正さの確保 |
| ア | 包括的禁止命令・保全管理命令等の導入などの保全処分の拡充 |
| ・ | 債権者間の平等を図るため,債務者の財産に対する強制執行等を一律に禁止する包括的禁止命令や保全管理人による債務者の財産の管理を命ずる保全管理命令の制度を設ける。 |
| イ | 事件関係書類の閲覧・謄写手続の整備 |
| ・ | 手続の透明性確保のため,事件関係書類の閲覧・謄写手続を整備する。 |
| ウ | 債権者委員会の制度の創設 |
| ・ | 破産債権者の意思を破産手続に反映させる途を拡大するため,債権者委員会の制度を設ける。 |
| エ | 破産者の重要財産開示義務を創設 |
| ・ | 破産者の説明義務を強化するため,破産者に対し,その有する不動産,現金,有価証券等の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならない義務を課す。 |
| オ | 破産会社の役員責任査定決定の制度を導入 |
| ・ | 破産会社の役員に対する責任の追求を容易にするため,決定による損害賠償請求権の査定の制度(役員責任査定決定の制度)を導入する。 |
| 個人の破産・免責手続の見直し |
| ア | 自由財産(破産者が自ら管理処分し得る財産)の範囲の拡張 |
| ・ | 破産者の経済生活の再生に資するよう,自由財産となる金銭の範囲を標準的な世帯の必要生計費の3か月分に拡張するとともに,裁判による自由財産の範囲の拡張を可能とする。 |
| イ | 破産手続と免責手続との一体化 |
| ・ | 破産手続開始の申立てがあれば,原則として免責許可の申立てもあったものとみなして,破産手続と免責手続とを一体化する。 |
| ウ | 免責手続中の強制執行等の禁止 |
| ・ | 免責手続終了までの間の破産者の生活の維持を図るため,免責手続中の破産者の財産に対する強制執行等を禁止する。 |
| エ | 非免責債権の拡張 |
| ・ | 特に要保護性の高い生命侵害等による不法行為債権,養育費債権を非免責債権に加える。 |
| オ | 裁判所等の免責に関する調査に対する破産者の協力義務の創設 |
| ・ | 裁判所等の免責に関する調査を実効性あるものにするため,破産者にこれに対する協力義務を課す。 |
| 倒産実体法の見直し |
| ア | 労働債権の一部の財団債権化 |
| ・ | 破産手続開始前3か月間の給料債権,退職前3か月間の給料の総額に相当する額の退職手当の請求権を財団債権とする。 |
| イ | 租税債権の一部の破産債権化 |
| ・ | 破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税債権については,破産手続開始当時,納期限が到来していないもの及び納期限から1年を経過していないものを除き,優先的破産債権とする。 |
| ウ | 賃貸人が破産した場合の賃借人の保護の強化 |
| ・ | 賃借人が対抗要件を備えている場合には,破産管財人は賃貸借契約を解除できないものとして,賃借人の保護を図る。 |
| エ | 適正価格売却の否認リスクの軽減など否認制度の整備 |
| ・ | 適正価格による不動産等の処分に関する否認の要件を限定・明確化するなど,否認リスクを軽減する。 |
| 3 | 新しい破産手続の流れ |
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| 4 | 新しい破産法Q&A |
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| Q1 | 破産手続とは,どのような手続ですか。 |
| 破産手続は,支払不能又は債務超過の状態にある債務者等の財産を破産管財人が換価して,総債権者に対し公平な弁済をする裁判上の手続です。 なお,破産手続に付随して債務者の負債を免除するための免責手続が設けられています。 |
| Q2 | なぜ,破産法を見直すのですか。 |
| 破産法は,大正11年に制定され,昭和27年に免責制度を導入する等の一部改正がされましたが,その後は,本格的な見直しがされていません。そのため,手続全体が厳格にすぎて迅速性に欠け,利害関係人の権利関係の調整に関する規律も現代の経済社会に適合しないとの批判がされています。また,破産した個人の債務者について経済生活の再生の機会を確保するための方策をより一層講ずる必要があると指摘されています。そこで,破産法を全面的に見直すことにしたのです。 |
| Q3 | 破産法の見直しにはどのようなメリットがあるのですか。 |
| バブル経済崩壊後,社会経済構造の変化等に伴い,破産事件の件数は増加し,特に,個人破産事件の急増は社会問題化しています。今回の破産法の見直しにより,(1)迅速かつ公正に財産の清算がされるようになり,(2)個人が破産した場合の再起が容易になり,(3)企業が破産した場合の労働者の有する債権の保護も図られる等,国民生活におけるセーフティーネットの拡充が図られることになります。 |
| Q4 | 自由財産の範囲については,どのような見直しがされていますか。 |
| 破産した場合であっても破産者の手元に残される財産を自由財産といいます。従来の破産法においては,自由財産となる金銭の額については「標準的な世帯の2か月間の必要生計費を勘案して政令で定める額」(66万円)とされていました(平成16年4月1日から)。新しい破産法では,破産者の生活の維持を図るため,標準的な世帯の必要生計費の3か月分に相当する額(99万円)の金銭を自由財産とし,破産者の経済的生活の再生の機会を更に確保することとしています。また,破産者の生活の状況や破産者が収入を得る見込みの有無等の個別の事情に応じて,裁判所が,自由財産の範囲を拡張することができる制度を創設し,破産者の生活の維持を図るとともに,その再起に資するようにしています。 |
| Q5 | 自由財産の範囲の拡張の裁判によって,どのような財産が自由財産となるのですか。 |
| 自由財産の範囲の拡張が認められる場合としては,まず,必要生計費の不足を補うため,自由財産となる金銭の額が引き上げられることが考えられます。また,そもそも破産者の手元に自由財産の対象となる現金がない場合には,本来,自由財産の対象とされていない預金債権等を自由財産とすることも考えられます。さらに,破産者の生活状況や職種を考慮して,必要と認められる場合には,自動車等を自由財産とすることも可能です。 ただし,どのような財産が自由財産となるかについては,裁判所の判断によることになります。 |
| Q6 | 破産手続と免責手続が一体化されたと聞きましたが,どのような点で一体化されたのですか。 |
| 従来の破産法は,破産宣告があった後,破産の申立てとは別に,免責の申立てをする必要がありましたが,新しい破産法では,債務者が破産手続開始の申立てをした場合には,原則として,当該申立てと同時に免責許可の申立てがあったものとみなすものとしています。さらに,この場合には,破産手続開始の申立ての際に提出する債権者一覧表を債権者名簿とみなすこととし,別個に債権者名簿の提出を要しないものとして,破産手続と免責手続とを申立てにおいて一体化しています。 |
| Q7 | 破産手続において,労働債権はどのように取り扱われるのですか。 |
| 給料債権,退職手当の請求権等の労働債権については,実体法上一般の先取特権が付与されており,従来の破産手続においても,このような労働債権の実体法上の優先権を尊重して,その全額が優先的破産債権とされていました。しかしながら,このような取扱いに対しては,破産手続が財団不足によって廃止された場合には,労働債権については全く配当がされない結果となる等,労働債権の保護が十分でないとの指摘がされていました。そこで,新しい破産法では,労働債権のうち,(1)未払給料債権については,破産手続開始前3か月間に生じたものを,(2)退職手当の請求権については,原則として退職前3か月間の給料の総額に相当する額を,それぞれ財団債権とすることにしています。これにより,労働債権を有する者は,財団債権とされる部分については,破産手続開始後破産管財人から配当手続によらずに弁済を受けることができることになります。 |
| Q8 | いわゆるパートタイマーやアルバイト等の正社員以外の者の給料債権等は,どのように取り扱われるのですか。また,形式上は雇用契約以外の契約関係(請負契約等)ですが,労務の提供によって生活の糧となる金銭を得ている者が有する債権はどうですか。 |
| 新しい破産法において,その一部が財団債権とされている「給料の請求権」とは,労働の対価として使用者が労働者に対して支払うすべてのものをいい,賃金,給料,手当,賞与等その名称の如何を問いません。したがって,いわゆるパートタイマーやアルバイト等の正社員以外の者はもとより,法形式上は,請負契約や委任契約等に基づくものであっても,労務の提供の対価として金銭を得ていると認められる場合には,この者の有する債権は「給料の請求権」に該当し,その一部につき財団債権として保護することができるようになります。 |
| Q9 | 破産管財人に情報提供努力義務が課せられたと聞きましたが。 |
| 会社等が破産した場合には,破産債権である給料の請求権又は退職手当の請求権については,これらを有する労働者が裁判所に債権の届出をする必要がありますが,その届出をするために必要な賃金台帳などの資料の多くは会社側に存在し,必要となる情報等が必ずしも労働者側に十分確保されていないため,債権届出に困難を伴う場合も少なくないとの指摘がされていました。そこで,新しい破産法では,会社側に存在する資料等を引き継ぐ立場にある破産管財人は,破産債権である給料の請求権又は退職手当の請求権を有する者に対し,破産手続に参加するのに必要な情報を提供するよう努めなければならないものとして,債権届出に関する情報提供努力義務を課すものとしています。 |
| Q1 | 0 破産会社の労働組合は破産手続にどのように関与することができますか。 |
| 新しい破産法においては,裁判所は,(1)破産手続開始の決定をした場合には公告すべき事項を,債権者集会を開催する場合にはその期日を,それぞれ破産者の使用人の過半数で組織する労働組合(なお,これに該当する労働組合がないときは,破産者の使用人の過半数を代表する者の手続関与が認められます。)に通知しなければならないものとし,また,(2)営業譲渡の許可をする場合には,労働組合等の意見を聴かなければならないものとしています。このほか,新しい破産法においては,新たに代理委員の制度が設けられており,これにより労働組合が代理委員として労働債権者のために破産手続に属する一切の行為をすることが可能となります。 |
| Q1 | 1 新しい破産法では,倒産犯罪についてはどのような見直しがされたのですか。 |
| 新しい破産法では,倒産犯罪について,(1)従来の犯罪類型を整理する等して,全体として整合性のとれたものとする,(2)破産者が破産手続開始時における重要財産開示義務に違反した場合を処罰する規定等を新設する,(3)破産手続開始後に,手続外で破産債権の回収を図る目的で破産者等に対して面会を強請し,又は強談威迫する行為を処罰する規定を新設する等の見直しを行っています。なお,(3)の破産者等に対する面会強請等の罪では,その適用場面を個人債務者が破産した場合に限定しています。したがって,法人である企業が破産した場合に,労働者が労働債権の確保のために行う正当な行為がこの罪の対象となることはありません。 |
| Q1 | 2 破産手続と民事再生手続や会社更生手続との違いを教えてください。 |
| 破産手続は,経済的に破たんした企業等の財産をすべて換価し,債権者に配当等を行う清算型の手続であり,民事再生手続及び会社更生手続は,経済的苦境にある企業等について債務の減免等を行うことにより,その経済的な立ち直りを図る再建型の手続です。 |
※ 破産手続と民事再生手続及び会社更生手続との比較(概要)
| 破産手続 | 民事再生手続 | 会社更生手続 | |
|---|---|---|---|
| 法 律 |
破産法 (平成16年法律第75号) |
民事再生法 (平成11年法律第225号) |
会社更生法 (平成14年法律第154号) |
| 目 的 |
債務者の財産等の清算 | 事業又は経済生活の再生 | 事業の維持更生 |
| 概 要 |
清算型手続 裁判所の監督下、破産管財人により、債務者の総財産(個人の場合には自由財産を除く。)を換価し、配当を通して債権者に公平に分配する。 |
再建型手続 裁判所の監督下、基本的に債務者本人が事業及び経済生活を継続し、可決・認可された再生計画に従って事業又は経済生活の再建を図る。 |
再建型手続 裁判所の監督下、管財人が会社の事業の経営及び財産の管理処分にあたり、更生計画の可決・認可及びその遂行を通じて、事業の再建を図る。 |
| 対 象 |
限定なし(相続財産も対象となる。) | 限定なし(事業又は経済生活の主体となり得る者) ※特に個人を対象とする手続(小規模個人再生手続及び給与所得者等再生手続)がある。 |
株式会社のみ |
| 財 産 の 管 理 権 者 |
破産管財人 |
再生債務者 ※監督委員による監督の制度がある。 ※再生債務者の財産の管理処分が失当であるとき等事業の再生のために特に必要があるときは、管財人による管理が裁判所により命ぜられる。 |
管財人 |
| 開 始 原 因 |
(1)支払不能(=支払能力の欠如により弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済することができない状態にあること) (2)債務者が法人である場合には支払不能のほか債務超過(=その負担する債務のすべてをその有する財産のすべてをもって完済することができない状態にあること)もまた開始原因となる。 |
(1)破産の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき (2)事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき |
(1)破産の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき (2)弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるとき |
| 債 権 の 区 分 |
(1)破産債権(配当を通じてのみ権利行使可) (2)財団債権(随時弁済する。) |
(1)再生債権(再生計画によってのみ弁済等可) (2)一般優先債権(一般の先取特権その他の優先権のある債権。Ex. 労働債権、租税債権など)(随時弁済する。) (3)共益債権(随時弁済する。) (4)開始後債権 |
(1)更生債権(更生計画によってのみ弁済等可) (2)更生担保権(更生会社の財産につき存する担保権によって担保される債権。更生計画によってのみ弁済等可) (3)共益債権(随時弁済する。) (4)開始後債権 |
| 担 保 権 の 取 扱 い |
破産手続によらずに行使することができる(別除権)。破産手続において破産債権として行使できるのは、被担保債権のうち担保権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分の額に限られる。 | 再生手続によらずに行使することができる(別除権)。再生手続において行使できるのは、被担保債権のうち担保権の行使によって弁済を受けることができない債権の部分に限られる。 | 更生手続中は行使することができない。更生会社の財産につき存する担保によって担保される債権で、担保目的財産の価額に相当する部分は、更生担保権として、更生債権より優先的に扱われる。担保権の実行により、更生計画によらず満足を受けることはできない。 |