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トップページ > 政策・施策 > 国民の基本的な権利の実現 > 人権擁護局フロントページ > 人権に関する資料など > 平成22年度 人権教育及び人権啓発施策 > 第1章 平成22年度に講じた人権教育・啓発に関する施策

第1章 平成22年度に講じた人権教育・啓発に関する施策

第1節 人権一般の普遍的な視点からの取組

1 人権教育

人権教育とは,「人権尊重の精神の涵(かん)養を目的とする教育活動」(「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」(平成12年法律第147号,以下「人権教育・啓発推進法」という。)第2条・参考資料1)であり,生涯学習の視点に立って,幼児期からの発達段階を踏まえ,地域の実情等に応じて,学校教育と社会教育とが相互に連携を図りつつ,実施している。

(1)学校教育

文部科学省では,平成20年及び平成21年に改訂した新学習指導要領において,「豊かな心」の育成や「確かな学力」などからなる「生きる力」を,一層育むこととしている。

「豊かな心」の育成に関しては,道徳の時間で,善悪の判断などの内容を充実するとともに,体験活動等を生かすなどの充実を図っている。また,豊かな人間性や社会性を育む観点から,「豊かな体験活動推進事業」や,学校教育における人権教育を推進するための「人権教育総合推進地域事業」,「人権教育研究指定校事業」,「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」等を実施した。

一方,子どもたちの人権尊重という観点からは,子どもたちが安心して学べる環境作りが重要であり,いじめ,暴力行為,不登校など,児童生徒の問題行動等は,引き続き教育上の大きな課題である。

そこで,児童生徒が適切な教育相談を受けることができるよう,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用などによる相談体制の整備を支援している。また,問題行動を起こす児童生徒に対しては,十分な教育的配慮の下,出席停止や懲戒も含めた適切な措置を講じることにより,毅然とした対応の充実を図るよう指導を行っているほか,未然防止,早期発見・早期対応,関係機関との連携等の体制を整備して,個々の児童生徒を支援するためのモデル的な取組を推進している。

(2)社会教育

社会教育においては,生涯にわたる学習活動を通じて,人権尊重の精神を基本に置いた様々な事業が展開している。

また,公民館等の社会教育施設を中心に学級・講座の開設や世代の異なる人たちや障害のある人,外国人等との交流活動など,人権に関する多様な学習機会を提供している。

さらに,社会教育において中核的な役割を担う社会教育主事の養成講習や,現職の社会教育主事等を対象にした様々な研修により,指導者の育成及び資質の向上を図っている。

2 人権啓発

人権啓発とは,「国民の間に人権尊重の理念を普及させ,及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)」を意味し,「国民が,その発達段階に応じ,人権尊重の理念に対する理解を深め,これを体得することができるよう」にすることを旨としている(人権教育・啓発推進法第2条,3条)。

人権啓発は,広く国民の間に,人権尊重思想の普及高揚を図ることを目的に行われる研修,情報提供,広報活動等で人権教育を除くものであるが,その目的とするところは,国民の一人一人が人権を尊重することの重要性を正しく認識し,これを前提として他人の人権にも十分に配慮した行動をとることができるようにすることにある。すなわち,「人権とは何か」,「人権の尊重とはどういうことか」,「人権を侵害された場合に,これを排除し,救済するための制度がどのようになっているか」などについて国民が正しい認識を持ち,それらの認識が日常生活の中で,その態度面,行動面等において確実に根付くことによって,人権侵害の生じない社会の実現を図ることが人権啓発の目的である。

(1)人権啓発の実施主体

人権啓発を担当する国の機関として,法務省の人権擁護機関(注)がある。また,法務省以外の関係各府省庁においても,その所掌事務との関連で,人権に関わる各種の啓発活動を行っているほか,地方公共団体や公益法人,民間団体,企業等においても,人権に関わる様々な活動を展開している。

(注)「法務省の人権擁護機関」

法務省人権擁護局及びその下部機関である法務局・地方法務局の人権擁護部門のほか,「人権擁護委員法」(昭和24年法律第139号)に基づき,法務大臣が委嘱する人権擁護委員及びその組織体を含む全体を法務省の人権擁護機関という。

(2)法務省の人権擁護機関が行う啓発活動

ア 平成22年度啓発活動重点目標

その時々の社会情勢や人権侵犯事件の動向を勘案して,年度を通じて特に重点的に啓発するテーマを定め,共通の目標の下に組織を挙げて啓発活動を展開している。

平成22年度は,啓発活動重点目標を「みんなで築こう 人権の世紀 ~考えよう相手の気持ち 育てよう 思いやりの心~」と定め,21世紀が「人権の世紀」であることを改めて思い起こし,国民一人一人が人権を尊重することの重要性を正しく認識し,全ての人々が相互に共存し得る平和で豊かな社会の実現に向けた啓発活動を展開した。

平成22年度においては,関係機関の協力の下,啓発活動重点目標を始め,次のとおりの項目を強調事項として掲げ,全国各地において,講演会,シンポジウム,座談会等の開催,人権相談所の開設などを行ったほか,テレビ・ラジオなどのマスメディアを活用した集中的な啓発活動を行った。

<1> 女性の人権を守ろう

<2> 子どもの人権を守ろう

<3> 高齢者を大切にする心を育てよう

<4> 障害のある人の完全参加と平等を実現しよう

<5> 部落差別をなくそう

<6> アイヌの人々に対する理解を深めよう

<7> 外国人の人権を尊重しよう

<8> HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見をなくそう

<9> 刑を終えて出所した人に対する偏見をなくそう

<10> 犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう

<11> インターネットを悪用した人権侵害は止めよう

<12> ホームレスに対する偏見をなくそう

<13> 性的指向を理由とする差別をなくそう

<14> 性同一性障害を理由とする差別をなくそう

<15> 北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう

<16> 人身取引をなくそう

イ 第62回人権週間

毎年12月4日から12月10日(世界人権宣言が採択された世界人権デー)までの1週間を「人権週間」と定め,関係諸機関及び諸団体の協力の下に,広く国民に人権尊重思想の高揚を呼びかける大規模な啓発活動を展開している。

ウ 人権擁護委員の日

「人権擁護委員法」(昭和24年法律第139号)が施行された6月1日を「人権擁護委員の日」と定め,広く国民に人権擁護委員制度の周知を図るとともに,人権尊重思想の普及高揚に努めている。

平成22年度においても,全国各地で,街頭での啓発活動を行ったり,人権擁護委員等が各地域のテレビ番組に出演し,人権擁護委員の活動について紹介するなど,マスメディアを活用して人権擁護委員制度の広報に努めた。

また,6月1日を中心に全国2,751か所において,全国一斉に「人権擁護委員の日」特設の人権相談所(注)を開設した。

(注)「特設の人権相談所」とは,法務局長又は地方法務局長と人権擁護委員協議会長が,開設する日時及び場所を協議の上定める相談所をいい,土,日,祝日に法務局・地方法務局及びその支局で開設されるものや,デパート,公民館,福祉施設等で開設されるものが一般的である(常設の人権相談所については,24頁参照)。

エ 全国中学生人権作文コンテスト

次代を担う中学生が,人権問題についての作文を書くことによって,豊かな人権感覚を身に付けることを目的とする「全国中学生人権作文コンテスト」を実施している。

平成22年度は,30回を記念し,平成22年12月18日,高円宮妃殿下御臨席の下,東京都港区(ニッショーホール)において,上位入賞者に対する中央大会表彰式を開催し,受彰者による作文の朗読を行った。これらの作品については,「第30回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集」として冊子に編集し,中学校,市区町村,図書館等に配布した。また,法務局・地方法務局においても,人権週間を中心として地方大会表彰式を開催した。

平成22年度は,6,311校から,日常の家庭生活,学校生活等の中で得た体験を基に,基本的人権を守ることの重要性についての考えをまとめた88万7,012編という過去最高となる多数の作文の応募があり,中央大会では,次の各大臣賞のほか89編を表彰した。

内閣総理大臣賞   佐賀市立東与賀中学校3年江川麻理香さん
「身近で無意識な人権侵害」
法務大臣賞   兵庫県篠山市立西紀中学校3年辻本桃佳さん
「少しずつ…一歩ずつ…」
文部科学大臣奨励賞   福島市立渡利中学校1年ローリンズリコさん
「差別のない世界へ」

多くの中学生が,人権について理解を深め,豊かな人権感覚を身に付けるよい機会となっている。

なお,平成22年度は,海外の香港日本人学校中学部からも作品が寄せられるなど,本活動が国際的にも拡がりをみせている。

オ 人権の花運動

人権の花運動は,児童が協力して花の種子,球根等を育てることによって,生命の尊さを実感する中で,豊かな心を育み,優しさと思いやりの心を体得することを目的とし,全国の人権擁護委員が中心となって,主に小学生を対象とした啓発活動として実施している。

この活動では,育てた花を父母や老人ホームに届けたり,写生会,鑑賞会を開催するなどの一連の機会を捉えて広く人権尊重思想の普及高揚を図っていくなど,展開に拡がりをみせている。

平成22年度は,小学校3,105校のほか,469の中学校・幼稚園・保育所等において広範囲に行われた。

カ 人権啓発フェスティバル

人権啓発フェスティバルは,シンポジウム,啓発資料展,啓発映画上映,コンサートなど,各種の人権啓発活動を同じ時間,空間を活用して一体的,総合的に行うことによって,より多くの人々が参加することのできる総合的な啓発事業として実施している。

平成22年度は,フェスティバルの統一テーマを啓発活動重点目標と同じ「みんなで築こう 人権の世紀 ~考えよう 相手の気持ち 育てよう 思いやりの心~」と定め,盛岡市(9月25日及び26日,いわて県民情報交流センター(アイーナ)及び盛岡駅西口周辺。これに先立ち同月20日,同センターにてプレフェスティバルを開催)と,大阪市(11月6日及び7日,ATC(アジア太平洋トレードセンター)・ATCホール及びその周辺施設)で開催し,両会場合わせて8万2,430人の参加者があった。

キ 人権擁護功労賞

人権擁護委員の活動等を通じて関わりのある企業や特定非営利活動法人等の団体及び個人の中から,人権擁護上,顕著な功績があったと認められた者に対し,法務大臣と全国人権擁護委員連合会長が表彰を行っている。

平成22年度の受賞者は次のとおりである。

法務大臣表彰   乾新町乾劇団
滝川市婦人会
全国人権擁護委員連合会長表彰   上信電鉄株式会社,群馬サファリ・ワールド株式会社(以上2社共同受賞)
法務大臣感謝状   株式会社中日新聞社
全国人権擁護委員連合会長感謝状   株式会社エフエムもえる

(3)公益法人,地方公共団体へ委託して行う啓発活動

ア 財団法人人権教育啓発推進センター(以下「人権教育啓発推進センター」という。)が行う啓発活動(人権啓発活動中央委託事業)
(ア) 人権教育啓発推進センター

人権教育啓発推進センターは,ナショナルセンターとしての役割を果たすべく人権に関する総合的な教育・啓発及び広報を行うとともに,人権教育・啓発についての調査,研究等を行っている。

(イ) 平成22年度に人権教育啓発推進センターへ委託した啓発活動

<1> 人権啓発教材(虐待をテーマとした人権啓発教材「虐待防止シリーズ」(児童虐待,高齢者虐待,ドメスティック・バイオレンス),小学生を対象としたじんけん紙芝居「白い魚とサメの子」)の作成

<2> 人権啓発ビデオ(セクシュアル・ハラスメント,パワー・ハラスメント,えせ同和行為をテーマとした「セクハラ パワハラ えせ同和行為 あなたの職場は大丈夫?」)の制作

<3> 人権啓発フェスティバルにおけるシンポジウム等の開催

テーマ「超高齢社会と人権」及び「真の多文化共生をめざして」

<4> 地方公共団体等の人権啓発行政に携わる職員を対象にして,その指導者として必要な知識を習得させることを目的とした人権啓発指導者養成研修会の実施(3回)

<5> データベースの運営及び活用

<6> 人権ライブラリー(ホームページhttp://www.jinken.or.jp/jinken-library/)の運営等

イ 地方公共団体が行う啓発活動(人権啓発活動地方委託事業)
(ア) 人権啓発活動地方委託事業

都道府県及び政令指定都市等を委託先とし,全ての人権課題を対象とした幅広い啓発活動の実施を委託する事業である。

(イ) 平成22年度に行った委託事業

講演会,研修会,資料作成,スポットCM,インターネットバナー広告,新聞広告,地域総合情報誌広告掲載,地域人権啓発活動活性化事業の実施等(詳細はホームページhttp://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken122.html)

(ウ) 地域人権啓発活動活性化事業

法務省の人権擁護機関,都道府県,市区町村,公益法人等,人権啓発活動を実施する主体間の横断的なネットワークである「人権啓発活動ネットワーク協議会」との連携の下に実施される人権啓発活動地方委託事業を特に「地域人権啓発活動活性化事業」と称している。同事業として,住民に親しみやすく,かつ,参加しやすい要素を取り入れつつ,「Jリーグ等スポーツ組織と連携した啓発活動」,ラッピングバスの運行等の地域に密着した多種多様な人権啓発活動を実施した。

(4)小規模事業者の産業に関わりの深い業種等に対する啓発活動

経済産業省では,産業界・経済界向けに,平成22年度は,企業の社会的責任の観点から,企業活動における様々な人権問題等に関する講演会やシンポジウムを全国で開催し,経済界の役職員等の人権意識の涵(かん)養を図った(開催回数:61回,総参加人数:8,826人)。

また,併せて,企業の社会的責任に係る啓発活動の参考となるべきパンフレット及び情報モラル啓発ビデオを経済団体や企業等に配布した。

(5)国際協力

外務省では,平成22年8月,東京都において,人権・人道分野の国際法に関する一般的な知識の普及,理解の促進等,人権意識の向上を図る目的で,「環境の保護に関わる人権侵害事件」をテーマにした国際法模擬裁判「2010年アジア・カップ」を開催し,シンガポールチームが優勝した。

第2節 人権課題に対する取組

1 女性

男女平等の理念は,日本国憲法に明記されており,法制上も「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する法律」(昭和47年法律第113号。以下「男女雇用機会均等法」という。)等において,男女平等の原則が確立されている。しかし,現実には今なお,「男は仕事,女は家庭」といった男女の役割を固定的に捉える意識が社会に根強く残っており,家庭や職場において様々な男女差別が生じている。

また,性犯罪などの女性に対する暴力,夫・パートナーからの暴力や職場等におけるセクシュアル・ハラスメントなどの問題も近年多く発生している。

日本が締約国となっている「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(昭和60年条約第7号。以下「女子差別撤廃条約」という。)は,男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として,女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念とし,締約国に対し,政治的及び公的活動,並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適切な措置をとることを求めている。

国内においては,平成11年6月に,「男女共同参画社会基本法」(平成11年法律第78号)が施行され,同法に基づき平成12年12月に男女共同参画基本計画が策定され,平成17年12月の基本計画(第2次)を経て,平成22年12月に第3次基本計画が策定された。女性に対する暴力等への取組については,平成13年10月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(平成13年法律第31号。以下「配偶者暴力防止法」という。)が施行されている。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)男女共同参画の視点に立った様々な社会制度の見直し,広報・啓発活動の推進

ア 内閣府では,男女共同参画に関する施策についての苦情の処理や人権が侵害された場合における被害者の救済に関する取組を推進するため,男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会において,国及び都道府県,政令指定都市における苦情処理状況の調査・検討を行った。また,苦情解決に当たっての視点・方法論,苦情への対応事例等を紹介する「苦情処理ガイドブック」を改訂し,関係機関等に配布し,行政相談委員及び人権擁護委員並びに都道府県,政令指定都市担当者を対象とする苦情処理研修を実施した。

そのほか,我が国の男女共同参画に関する取組を広く知らせるため,男女共同参画の総合情報誌「共同参画」の発行,ホームページ及び情報メール等,充実した情報を迅速に提供する体制の整備を図るなど,多様な媒体を通じた広報・啓発活動を推進している。

イ 男女共同参画推進本部決定により,毎年6月23日から29日までの1週間を「男女共同参画週間」としている。平成22年度は,「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」の開催や,「男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰」及び「女性のチャレンジ賞」等の表彰を実施したほか,ポスター等の配布,政府広報を活用した広報・啓発活動を行った。

ウ 厚生労働省では,6月の「男女雇用機会均等月間」等の機会を捉え,男女労働者間に事実上生じている格差の解消に向けた企業の自主的かつ積極的な取組(ポジティブ・アクション)の推進を図るため,啓発活動を実施した。

また,「女性と仕事の未来館」(東京都港区。平成23年3月31日閉館)において,女性の能力発揮のためのセミナーや相談,働く女性に関する情報の提供等各種支援事業を実施した。

(2)法令・条約等の周知

ア 内閣府では,国内における男女共同参画社会の実現に向けた取組を行うに当たって,報告会,刊行物やホームページ(http://www.gender.go.jp/)等を通じ,男女共同参画に関連の深い各種の条約や,国際会議における議論等,女性の地位向上のための国際的規範や基準,取組の指針等の広報に努めた。

平成22年度は,一般の方を対象にした国連の女子差別撤廃委員会委員による講演会を開催し,女子差別撤廃条約等について周知を図った。また,平成23年2月~3月に開催された「第55回国連婦人の地位委員会」に係る会議の概要等について,ホームページ掲載等により周知を図った。

イ 外務省では,女子差別撤廃条約関連文書や女性の地位向上に関する会議等の関連文書を,外務省のホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken.html)に掲載し,広くその内容の周知に努めた。

(3)女性に対する偏見・差別意識解消を目指した啓発活動

法務省の人権擁護機関では,「女性の人権を守ろう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,女性の人権問題をテーマとした講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,「気付くことから始めよう 女性の人権」等の啓発教材等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

また,腹話術師のいっこく堂氏を起用したスポット映像「気づいてください いっこくも早く 女性篇」を法務局の窓口等で放映した。

(4)男女平等を推進する教育・学習,女性の生涯学習機会の充実

文部科学省では,男女共同参画社会の形成のため,学校教育において,児童生徒の発達段階に応じて,社会科,家庭科,道徳,特別活動等,学校教育全体を通じて,男女の平等や男女相互の理解と協力の重要性などについて指導を行った。

また,女性が主体的に働き方・生き方を選択できるよう,結婚,妊娠,出産といったライフイベントを視野に入れ,長期的な視点で自らの人生設計を行うことを支援するため,女性のライフプランニング支援総合推進事業を実施した。

そのほか,地域が抱える課題解決に役立つ「仕組みづくり」を推進することを目的とした「社会教育による地域の教育力強化プロジェクト」の中で,実践プログラムの作成や学習会等を実施している。

なお,人権教育をテーマとして10団体がこの調査事業を実施しており,このうち3団体がこの事業を活用して男女共同参画に関する学習会の開催など女性の人権に関する事業を実施した。

独立行政法人国立女性教育会館は,国内外の女性関連施設等と連携し,女性教育指導者等に対する研修,専門的な調査研究及び女性と家族に関する情報収集・提供の充実を図り,女性教育に関する我が国唯一のナショナルセンターとして,国内はもとより,国外,取り分けアジア地域における女性教育の人材育成の拠点としての役割を果たしている。

(5)雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保等のための啓発等

厚生労働省では,労働者が性別により差別されることなく,かつ,働く女性が母性を尊重されつつ,その能力を十分発揮することができる雇用環境を整備するため,「男女雇用機会均等法」の周知徹底に努めるとともに,企業に対する指導を積極的に実施することにより,同法の履行確保を図った。

また,男女均等取扱い等に関する労働者と事業主との間の紛争については,都道府県労働局長による紛争解決の援助及び機会均等調停会議による調停を積極的に運用し,円滑かつ迅速にその解決を図った。さらに,実質的な男女均等を確保するために,男女労働者間で格差が大きい企業に対して,女性の職域の拡大,管理職への登用等に向け,ポジティブ・アクションに取り組むよう促した。

加えて,職場におけるセクシュアル・ハラスメントは,労働者の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに,労働者の能力の有効な発揮を妨げるものであるため,事業主に対してセクシュアル・ハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置をとるよう指導を行った。

(6)農山漁村の女性の地位向上のための啓発等

女性は,農業就業人口の約半数を占めるなど,農林水産業の担い手として重要な役割を果たしてきたにもかかわらず,農林漁業経営や地域社会の方針決定の場における女性の参画は十分進んでいない状況である。農林水産省としては,このような状況を改善し,女性の社会活動を一層促進するとともに,女性の役割を適正に評価し,女性の能力が十分発揮されるよう,意識啓発に努めてきた。

その一つとして,農林水産省では,農山漁村にややもすれば残存している固定的役割分担意識の是正など,あらゆる場における意識と行動の変革を進めるために,3月10日を「農山漁村女性の日」とし,全国記念行事等を実施し,男女共同参画に関する気運の醸成に努めた。

平成22年度は,全国記念行事として,平成23年3月10日に東京都千代田区のよみうりホールにおいて全国から約700人の参加者を得て,「第24回農山漁村女性の日記念の集い」を開催した。

(7)女性の人権問題に関する適切な対応及び啓発の推進

男女共同参画推進本部決定により,毎年11月12日から11月25日(女性に対する暴力撤廃国際日)までの2週間を「女性に対する暴力をなくす運動」期間とし,同期間中,関係団体との連携・協力の下,社会の意識啓発等,女性に対する暴力に関する取組を一層強化している。

また,「配偶者暴力防止法」等に基づき,関係府省庁,地方公共団体等は,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策を積極的に推進している。

ア 内閣府では,全国の配偶者暴力相談支援センター等の相談員や相談員を管理する立場にある職員を対象に,相談業務の質の向上を図ることを目的とした「配偶者からの暴力被害者支援セミナー」を開催した。

また,全国の配偶者暴力相談支援センター等に,配偶者からの暴力に関する専門的な知識や経験を有する者を派遣して助言や指導を行い,相談業務の充実を支援した。

さらに,配偶者からの暴力防止と被害者支援に関わる官民担当者が一堂に会する「配偶者からの暴力防止と被害者支援に関する全国会議(DV全国会議)」を開催し,必要な情報の共有,官民連携の更なる強化等を図った。

そのほか,配偶者からの暴力について相談できる窓口を知らない被害者を相談機関につなぐため,自動音声で最寄りの配偶者暴力相談支援センター等の相談窓口を案内する「DV相談ナビ」(ナビダイヤル0570-0-55210(全国共通))を実施している。

平成22年度は,「女性に対する暴力をなくす運動」において,啓発用ポスター及びリーフレットの作成や,運動期間の最終日である「女性に対する暴力撤廃国際日」の11月25日に,暴力根絶運動のシンボルであるパープルリボンにちなんで,東京タワー等をパープルにライトアップするなど,広く国民に対して暴力根絶を呼びかけた。

また,女性に対する暴力の加害者及び被害者となることを防止する観点から,若年層を対象とした予防啓発教材等を作成し,全国の関係機関及び教育機関に配布した。また,同教材等を用いた効果的な指導を行うため,指導者研修を開催した。

さらに,平成23年2月8日から3月27日までの約2か月間,配偶者からの暴力や性暴力の被害者を対象とした原則24時間対応の電話相談事業(「パープルダイヤル—性暴力・DV相談電話—」)を緊急かつ集中的に実施し,被害者等からの相談を受け付けた。

イ 法務省の人権擁護機関では,専用相談電話「女性の人権ホットライン」(ナビダイヤル0570-070-810(全国共通))を全国の法務局・地方法務局に設置して相談体制の一層の強化を図っている。

平成22年度においては,「女性に対する暴力をなくす運動」期間中の11月15日(月)から21日(日)までの一週間を,全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間とし,平日の相談受付時間を延長するとともに,土曜日・日曜日も開設し,様々な人権問題に悩む女性からの電話相談に応じた。

また,配偶者暴力相談支援センターなど関係機関との連携を一層強化し,被害の救済及び予防に努めている。

このほか,人権啓発教材「虐待防止シリーズ ドメスティック・バイオレンス」を作成し,配布した。

2 子ども

日本が締約国となっている「児童の権利に関する条約」(平成6年条約第2号)では,締約国は,適当かつ積極的な方法で同条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも広く知らせることを約束する旨を規定している。

文部科学省が各都道府県教育委員会などを通じて行った「平成21年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果では,暴力行為の発生件数は60,195件,いじめの認知件数は72,778件,不登校児童生徒数は174,160人,高等学校中途退学者数は56,947人となっており,いじめの社会問題化や,小・中学校における暴力行為の発生件数の増加など,児童生徒の問題行動等は教育上の大きな課題となっている。

また,法務省の人権擁護機関が調査・処理を行う人権侵犯事件においても,平成22年には,学校におけるいじめ事案が2,714件(対前年比51.9%増)や,児童に対する暴行,虐待事案が771件(同6.3%増)と増加しており,こうした人権侵害による被害の予防・救済のための取組等が課題となっている。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)子どもが人権享有主体として最大限尊重されるような社会の実現を目指した啓発活動

法務省の人権擁護機関では,21世紀の社会を担う子どもたちの人権を守るため,「子どもの人権を守ろう」を年間強調事項として掲げて,積極的に様々な取組を実施している。人権擁護委員が中心となって,学校における総合的な学習の時間等を利用し,子どもたちが「いじめ」について考える機会をつくる「人権教室」,「人権の花運動」を実施するほか,「Jリーグ等スポーツ組織と連携した啓発活動」を実施するなど,1年を通して各種人権啓発活動を実施している。

また,人権啓発教材「虐待防止シリーズ 児童虐待」を作成し,配布した。

さらに,腹話術師のいっこく堂氏による「いじめ防止」,「児童虐待防止」等のスポット映像を法務局の窓口等で放映するなどしたほか,同氏を講師として招き,人権擁護委員とともに,東京都内の小学校において「夏休み人権教室 いっこく堂のじんけん課外授業」を実施した。

(2)学校教育及び社会教育における人権教育の推進

ア 文部科学省では,学校,家庭,地域社会が一体となって教育上の総合的な取組を推進する「人権教育総合推進地域事業」,学校における人権教育について実践的な研究を委嘱する「人権教育研究指定校事業」,人権教育に関する事業等の実践・成果を踏まえ,学校における人権教育に関する指導方法の在り方等について調査研究を行う「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」等を実施し,人権教育の推進に努めている。

「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」においては,平成15年度以降,学校における人権教育の指導方法等の在り方について調査研究会議を開催して検討を行い,平成16年6月には「第1次とりまとめ」,平成18年1月には「第2次とりまとめ」,平成20年3月には「第3次とりまとめ」をまとめ,公表した。文部科学省においてはこの「第3次とりまとめ」を全国の国公私立学校や教育委員会等に配布するなど調査研究の成果普及に努めている。

平成20年度及び平成21年度においては,三次にわたる「とりまとめ」が,教育委員会・学校の人権教育の充実に向けた取組においてどのように活用されているかを検証することを目的とした調査を実施し,その分析を行った。

その調査結果からは,これまでの三次にわたる「とりまとめ」において示された人権教育の改善・充実についての基本的な考え方が,概ね定着が図られていることが分かった。しかし,例えば,人権教育に関する教職員向けの研修プログラムの策定に関しては,都道府県教育委員会において約6割に留まっていること,人権感覚を育むために不可欠であるとされている「協力的,参加的,体験的な学習」に取り組んでいない学校が約2割を超えていることなど,人権教育の充実を進めるに当たって,改善を図るべき課題が存在することも明らかとなった。

平成22年度においては,「人権教育担当指導主事連絡協議会」を開催し,人権教育の推進に関する情報交換や協議を行った。

さらに,地域が抱える課題解決に役立つ「仕組みづくり」を推進することを目的とした,「社会教育による地域の教育力強化プロジェクト」を実施しており,6団体がこの事業を活用し,指導者養成講座の開催など子どもの人権に関する事業を実施した。

イ 厚生労働省では,毎年5月5日から11日までの一週間を「児童福祉週間」と定め,「子どもや家庭,子どもの健やかな成長について国民全体で考える」ことを目的に,国,地方公共団体,関係団体,企業,地域社会等が連携して,全国で様々な行事,取り組みを行っている。

平成22年度においては,児童福祉週間の標語を全国公募し,最優秀作品として選定された「地球はね 笑顔がつまった 星なんだ」を児童福祉週間の象徴として,児童福祉の理念の普及・啓発を図った。

(3)道徳教育の推進

文部科学省では,道徳教育の一層の充実を図るため,善悪の判断などの内容を充実するとともに,学校・地域の実情などに応じた多様な道徳教育を支援するため,全国的な事例収集と情報提供,特色ある道徳教育や教材活用など,自治体による多様な事業への支援を行っている。

また,幼児期における教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を果たすことから,各幼稚園において,道徳性の芽生えを培う指導の充実が図られるよう,その実践の成果の普及に努めている。

(4)地域や学校における奉仕活動・体験活動の推進

子どもの社会性や豊かな人間性を育む観点から,机上の知育だけではなく,具体的な体験や事物との関わりを通じた,様々な体験活動を積極的に推進することは極めて重要なことである。文部科学省では,平成14年度から,全国の学校における体験活動の展開を図る「豊かな体験活動推進事業」を実施している。

(5)いじめ・暴力行為・不登校等に対する取組の推進

ア 文部科学省では,いじめ,暴力行為,不登校など,問題を抱える児童生徒が適切な相談等を受けることができるよう,児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有するスクールカウンセラーを配置するとともに,教育分野に加え,社会福祉等の専門的な知識や技術を有するスクールソーシャルワーカーを配置するなど,教育相談体制の整備を支援している。また,これらの生徒指導上の課題について,「生徒指導・進路指導総合推進事業」を実施し,外部の専門家等からなる「学校問題解決支援チーム」や関係機関等と連携した「サポートチーム」,学校外の公的機関である「教育支援センター(適応指導教室)」等を有効活用し,児童生徒の問題行動等の未然防止,早期発見・早期対応につながる効果的な取組や関係機関等と連携したモデル的な取組を推進している。

なお,いじめについては,認知件数が依然として相当数に上っているなど,憂慮すべき状況にある。文部科学省では,いじめは決して許されないが,どの子どもにもどの学校でも起こり得るものであること,いじめが生じた際には問題を隠さず,学校・教育委員会と家庭・地域が連携して対処していくべきこと,問題行動に対しては,懲戒・出席停止を含め,毅然とした対応をとること等について引き続き指導を行い,学校等における対応の徹底を図っている。平成23年1月には,「いじめの問題への取組状況に関する緊急調査」結果から,学校・教育委員会のいじめの問題への取組に関する定期的な点検の実施やいじめの実態把握のためのアンケート調査の実施等について,一層の取組が求められる状況が見られたことを踏まえ,「『いじめの問題への取組状況に関する緊急調査』結果について」(平成23年1月20日,初等中等教育局児童生徒課長通知)を発出し,それぞれの実情に応じた適切な点検項目に基づく定期的な点検や、全ての学校に対するアンケート調査の実施を求めるなど、各学校や教育委員会におけるいじめの問題への更なる取組を求めた。

また,平成22年度は,専門家や学校現場の関係者による研究会を立ち上げ,学校現場におけるより実効性ある問題状況の解消に向けた対応を促すため,児童生徒の暴力行為のある学校を落ち着いた学習環境に改善する方策や,問題状況の解消後の学校の在り方等についての検討を行っている。

平成22年3月には生徒指導に関する学校・教員向けの基本書として「生徒指導提要」を作成し,同年9月に各教育委員会及び学校に配布した。本書では,いじめ,暴力行為等個別の課題ごとの対応の基本的な考え方について解説している。

さらに,平成22年1月に,関係行政機関や民間団体が連携し,子どもたちを見守り育てる「新しい公共」の実現に向けた取組を推進することを目的として,「子どもを見守り育てるネットワーク推進会議」(平成22年度末時点で5関係省庁42民間団体が参加)を立ち上げ,「子どもを見守り育てるネットワーク推進宣言」を採択し,関係機関や民間団体が連携し,子どもを対象とした相談体制の充実や学校・地域における子どもの居場所づくり等の取組を推進している。同年7月には,「子どもを見守り育てる新しい公共の実現に向けた行動計画」を策定し,各構成員が行動計画に基づいたネットワーク活動の充実を進めている。平成23年2月には,行動計画に基づく取組の一貫として,「子どもを見守り育てる「新しい公共」研究フォーラム」を実施した。

イ 厚生労働省では,ひきこもり等の児童について,教育分野との連携を図りつつ,児童相談所や児童養護施設等の機能を十分活用するとともに,家庭環境・養護問題の調整,解決に取り組んでいる。

(6)家庭教育に対する支援の充実

文部科学省では,家庭教育に関するヒント集として,いじめや差別に関する内容等を盛り込んだ家庭教育手帳を文部科学省ホームページに掲載し,全国の教育委員会やPTA,子育て支援団体等における家庭教育に関する学習機会等での活用を促している。

また,地域住民,学校,行政,NPO,企業等との協働による,地域における家庭教育支援の活性化を図るため,地域や企業等が実践する効果的な取組事例等を活用した研究協議を行い,全国的な啓発を行った。

さらに,全ての親が安心して家庭教育を行うことができるよう,スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等の専門的人材と子育てサポーターリーダーや民生委員・児童委員等の地域人材とで家庭教育支援チームを組織し相談対応を行うことや,学校を始めとした多くの親が集まる様々な場を活用した学習機会の提供等,社会全体の協働による地域の主体的かつ持続可能な取組への支援を実施した。

(7)児童虐待等子どもの健全育成上重大な問題に対する取組

児童虐待への対応については,平成12年11月,「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)が施行されたが,その後,平成16年には,児童虐待防止法及び児童福祉法の改正が行われ,制度的な対応について充実が図られてきた。平成19年には,再度の法改正が行われ,平成20年4月に施行された。また,平成20年11月,新たな子育て支援サービスの創設,虐待を受けた子ども等に対する家庭的環境における養育の充実等の措置を講ずる「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平成20年法律第85号)が成立し,一部を除き平成21年4月から施行された。

しかしながら,子どもの生命が奪われるなど重大な児童虐待事件が跡を絶たず,依然として,社会全体で取り組むべき重要な課題となっている。

ア 厚生労働省では,平成16年から11月を「児童虐待防止推進月間」と位置付け,児童虐待問題に対する社会的関心の喚起を図るため,その期間中,関係府省庁や地方公共団体,関係団体等と連携した集中的な広報・啓発活動を実施している。

平成22年度においては,月間標語の公募・決定,全国フォーラムの開催(11月23日広島市),広報用ポスター・チラシの作成・配布及び政府公報を活用した各種媒体(テレビ,新聞,雑誌等)による広報啓発等を実施した。

また,児童虐待防止の啓発を図ることを目的に,民間団体(特定非営利活動法人児童虐待防止全国ネットワーク)が中心となって実施している「オレンジリボン・キャンペーン」について後援を行っている。

児童虐待による死亡事例等の検証は,事件の再発防止と対策を講ずる上での課題を抽出するために重要な意義を持つことから,社会保障審議会児童部会の下に設置されている「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」において,平成16年から実施されており,これまで6次にわたる報告が取りまとめられている。

このほか,「日本虐待・思春期問題情報研修センター」では,児童相談所等関係機関の職員を対象とした研修,専門情報の収集・提供等を行っている。

イ 文部科学省では,都道府県等を通じて,学校教育関係者や社会教育関係者に対して,児童虐待の防止に向けた取組の推進に関する通知を発出するとともに,各種会議等を通じて早期発見努力義務及び通告義務等について周知の徹底を図っている。

また,児童が適切な相談を受けることができるよう,スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの活用等,教育相談体制の整備を支援している。

このほか,学校等における児童虐待防止のための取組の一層の充実を図るため,平成21年5月に,教職員用研修教材「児童虐待防止と学校」(CD-ROM)を都道府県等を通じて,学校教育関係者に配布し,学校等における児童虐待の早期発見・通告,関係機関との連携,虐待を受けた子どもへの対応等について,教職員の意識啓発と対応スキルの向上を図っている。

さらに,文部科学省と厚生労働省は,学校等と児童相談所等の相互の連携を強化するため,平成22年3月,学校等から児童相談所等への児童の出欠状況等の定期的な情報提供の実施方法等に関して,「児童虐待防止法」第13条の3の規定に沿った基本的な考え方を示す「学校及び保育所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する指針」を策定し,都道府県・指定都市の教育委員会,福祉部門等宛てに通知した。

ウ 外務省では,内閣府を始めとする関係省庁と協力して,平成6年に締結した「児童の権利に関する条約」と併せ同条約の選択議定書の実施に努めており,条文を外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp./mofaj/gaiko/jinken.html)に掲載している。

(8)「人権を大切にする心を育てる」保育の推進

厚生労働省では,保育所において,保育所保育指針に基づき,児童の最善の利益を考慮するよう啓発を行うとともに,「人権を大切にする心を育てる」保育の推進を図り,児童の心身の発達,家庭や地域の実情等に応じた適切な保育の実施を推進している。

(9)子どもの人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,<1>専用相談電話「子どもの人権110番」(フリーダイヤル0120-007-110(全国共通))を設置し,子どもが相談しやすい体制をとっている。取り分け,平成22年6月28日(月)から7月4日(日)までの一週間を全国一斉「子どもの人権110番」強化週間とし,平日の相談受付時間を延長するとともに,土曜日・日曜日も人権相談所を開設し,子どもや保護者等から多くの電話相談に応じた。また,<2>法務省のホームページ上に「インターネット人権相談受付窓口(SOS-eメール)」(http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html)を開設した。さらに,<3>「子どもの人権SOSミニレター」(便せん兼封筒)を全国の小・中学校の児童・生徒に配布するなど,子どもたちがより相談しやすい体制を整備している。

そして,子どもの人権が侵害されている疑いのある事案を認知した場合には,人権侵犯事件として積極的に調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行い,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。

なお,児童虐待については,国民全てに児童虐待についての通告義務が存在することなどの周知を含む人権啓発活動の充実に努めるとともに,人権侵犯事件の関係では,「子どもの人権SOSミニレター」で寄せられた相談に対して,児童相談所等への情報提供や,被害者との面談を行ったところ,被害者が速やかに児童相談所に保護されるに至った事例があった。このように,児童虐待事案を認知した場合には,児童相談所等へ通告するとともに,人権擁護機関の立場からも,虐待を受けた児童の人権救済を図っている。

(10)教員の資質向上等

教員の資質能力については,養成・採用・研修の各段階を通じてその向上を図っており,各都道府県教育委員会等が実施している教諭等に対する採用後1年間の初任者研修や在職期間が10年に達した者に対する10年経験者研修では,人権教育に関する内容が扱われるなど,人権尊重意識を高めるための取組を行っている。

3 高齢者

我が国は,平均寿命の大幅な伸びや少子化などを背景として,人口の5人に1人が65歳以上の高齢者となっている。少子高齢化が急速に進展する中,高い就労意欲を有する高齢者が培ってきた知識と経験を活かし,社会の支え手として生き生きと活躍し続けることが重要であるが,高年齢者の再就職については,他の年齢層に比べても困難なことが多い。

また,介護者による身体的・心理的虐待や,高齢者の家族等が本人に無断でその財産を処分するなどの経済的虐待といった高齢者の人権問題が大きな社会問題となっている。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)高齢者についての理解を深め,高齢者が生き生きと暮らせる社会の実現を目指した啓発活動

法務省の人権擁護機関では,「高齢者を大切にする心を育てよう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ放送,新聞・雑誌等による広報,「虐待防止シリーズ 高齢者虐待」等の啓発教材等の作成・配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

また,盛岡市で開催された人権啓発フェスティバルにおいて,「超高齢社会と人権」と題するシンポジウムを行った。さらに,東京都港区で開催された「人権に関する国家公務員等研修会」のカリキュラムの一として,高齢者虐待をテーマとしたビデオ(題名「私たちの声が聴こえますか」)を上映し,高齢者虐待に対する認識を深めた(52頁参照)。

さらに,腹話術師のいっこく堂氏を起用したスポット映像「気づいてください いっこくも早く 高齢者篇」を法務局の窓口等で放映した。

(2)高齢者福祉に関する普及・啓発

厚生労働省では,平成22年9月15日から21日までの一週間を「老人の日・老人週間」と定め,「国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めたほか,老人に対し,自らの生活の向上に努める意欲を促す」という趣旨にふさわしい行事が実施されるよう,関係団体等に対する支援,協力,奨励等を都道府県にお願いした。また,「みんなで築こう安心と活力ある長寿社会」を標語とする「平成22年『老人の日・老人週間』キャンペーン要綱」を内閣府のほか,全国社会福祉協議会など9団体とともに定め,その取組を支援した。

(3)学校教育における高齢者・福祉に関する教育の推進

文部科学省では,学校教育において,高齢者との交流やボランティア活動等を推進し,高齢者への理解や福祉の重要性について指導している。

(4)高齢者の学習機会の促進

平成13年に策定された高齢社会対策大綱においては,生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ,その成果が適切に評価される生涯学習社会の形成を目指すこととしており,公民館を始めとする社会教育施設等では,高齢者等を対象とした学習機会の提供が行われている。

(5)世代間交流の機会の充実

内閣府では,高齢者の社会参加や世代間交流を促進するため,平成22年7月に東京都千代田区,同年10月に仙台市において「高齢社会フォーラム」を開催するなどの事業を実施した。

(6)ボランティア活動など,高齢者の社会参加の促進

ア 内閣府では,年齢に捉われず,自らの責任と能力において自由で生き生きとした生活を送る高齢者(エイジレス・ライフ実践者)や社会参加活動を積極的に行っている高齢者の団体等を毎年広く紹介しており,平成22年度においては,個人60名及び43団体を選考し,「高齢社会フォーラム」等を通じて,社会参加活動等の事例を広く国民に紹介する事業を実施した。

イ 農林水産省では,知識・技術が豊富な高齢者が健康で生き生きと活躍できる環境作りに向け,農村高齢者の健康支援活動の推進,医療関係者等との連携による地元農産物等を食材とした食事メニューや加工品の開発・普及,農村地域の高齢農業者のための生活支援等の助け合い活動を支援した。

(7)高齢者の雇用・多様な就業機会確保のための啓発活動

厚生労働省では,求人の募集・採用では,年齢ではなく求職者一人一人の経験や適性,能力等を判断するべきであるとの趣旨から,現在雇用対策法により,ハローワークを始め,求人広告,民間の職業紹介会社,インターネット等全ての求人募集において,厚生労働省令が定める例外事由に該当する場合を除いては,求人の年齢制限を原則禁止し,年齢に関わりなく応募の機会が開かれるよう努めている。

さらに,60歳以上の高齢者については,厚生労働省令が定める例外事由として,60歳以上の高齢者に限定して募集採用する場合には,年齢制限をすることを許容し,高齢者の雇用を促進することとしている

(8)高齢者の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,常設の人権相談所(注)において相談に応じている。人権相談等で高齢者に対する虐待等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行うとともに,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。

また,高齢者施設等の社会福祉施設において,入所者及びその家族が気軽に相談できるよう,特設の人権相談所を開設し,相談を受けた。さらに,平成22年9月6日(月)から12日(日)までの一週間を全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間とし,平日の相談受付時間を延長するとともに,土曜日・日曜日も開設し,高齢者等から多くの電話相談に応じた。

さらに,平成22年度においては,人権啓発教材「虐待防止シリーズ 高齢者虐待」を作成し,配布した。

(注)「常設の人権相談所」とは,法務局若しくは地方法務局又はその支局内に設置した相談所をいう。(特設の人権相談所については,5頁参照)

4 障害のある人

我が国では,「障害のある人も地域の中で普通の暮らしができる社会に」という「ノーマライゼーション」を基本理念の一つとする障害者施策を進めてきた。平成14年12月には「障害者基本計画」が閣議決定され,これに基づき,同年,更には平成19年に「重点施策実施5か年計画」が策定されている。

障害者の雇用については,平成22年6月1日現在における民間企業の実雇用率が1.68%(前年は1.63%)と5年連続で過去最高を更新するなど一層の進展がみられる。企業規模別にみると,1,000人以上規模の大企業における障害者雇用の進展は特に目覚ましく,その実雇用率は1.90%と,法定雇用率(1.8%)を上回っている。これは,近年,企業におけるCSR(企業の社会的責任)の浸透などにより,障害者雇用に対する事業主側の意識が変化してきたものと考えられる。

しかしながら,依然として民間企業全体の実雇用率は法定雇用率を下回っており,法定雇用率を達成している企業の割合も47%と半数に満たない状況にあることから,引き続き,事業主に対する雇用率達成指導などを実施していくこととしている。

また,車椅子での乗車やアパートへの入居を拒否される事案が発生するなど,障害のある人に対する国民の理解や配慮はいまだ十分とはいえず,その結果として障害のある人の自立と社会参加が阻まれており,共生社会は十分に実現されているとはいえない。

内閣府が実施した障害のある人を対象とした調査(平成21年度実施)では,障害のある人の約7割が障害を理由とする差別や偏見を受けたことがあると答えており,障害者の人権については,積極的な啓発・広報活動が依然として必要となっている。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)共生社会を実現するための啓発・広報等

障害の有無にかかわらず,国民誰もが相互に人格と個性を尊重し,支え合う「共生社会」の理念の普及を図るため,毎年12月3日から9日までの「障害者週間」を中心に,全国で官民にわたって多彩な行事を集中的に開催するなど,積極的な啓発・広報活動を行っている。

内閣府では,障害者週間に当たり,ラジオ放送,新聞,ポスター等の多様な媒体による広報活動を実施したほか,障害者週間行事として,週間を通して各種の行事を実施した。

平成22年12月3日に東京都港区で開催された「障害者週間の集い」において,「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の最優秀作品の内閣総理大臣表彰等を行った。また,「障害のある人とともに ~今後のあり方~」をテーマとしたシンポジウムのほか,障害のある人に関する様々なテーマについて関係団体等がセミナー等を開催した。このほか,「障害者週間のポスター」の優秀作品の原画展を東京都千代田区で開催した(詳細は,「障害者白書」に記載)。

なお,平成21年12月に内閣に設置された「障がい者制度改革推進本部」の下で,平成22年1月から障害当事者を構成員の中心とする「障がい者制度改革推進会議」を開催し,障害者の権利に関する条約(仮訳)(以下,「障害者権利条約」という。)の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者制度改革のための検討を行っている。当該会議の運営に当たっては,聴覚障害等出席者のために手話通訳者や要約筆記者を会場に配置するとともに,内閣府ホームページからのインターネットを介した動画配信においても手話通訳や要約筆記を付すなど,障害者に対しても正確かつ迅速な情報の発信がなされるよう配慮しており,同会議での議論を踏まえ障害者制度改革についての国民への周知を図るため,「地域フォーラム」を全国19箇所で開催した。

(2)障害のある人に対する偏見や差別を解消し,障害のある人の自立と完全参加を目指した啓発活動

ア 法務省の人権擁護機関では,「障害のある人の完全参加と平等を実現しよう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会や座談会の開催,新聞・雑誌等による広報,啓発教材等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

また,平成22年度に作成した冊子「人権の擁護」,「全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集」に音声コードを導入し,視覚障害のある人にも聴いてもらえるよう工夫を施した。

さらに,腹話術師のいっこく堂氏を起用したスポット映像「気づいてください いっこくも早く 障害のある人篇」を法務局の窓口等で放映した。

イ 厚生労働省では,「身体障害者補助犬法」(平成14年法律第49号)の趣旨及び補助犬の役割等についての一層の周知を目的として,ポスター,パンフレット,ステッカー等の作成・配布や,ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/hojyoken/)の開設,政府広報等の啓発活動を行っている。

(3)特別支援学校等における教育の充実及び障害のある人に対する理解を深める教育の推進

文部科学省では,学校教育において,障害のある幼児児童生徒の自立と社会参加を目指し,特別支援教育の充実を図るとともに,障害のある人に対する理解を深める教育の充実に努めている。

近年では,特別支援学校に在籍する児童生徒の障害の重度・重複化が見られること,小・中学校においても発達障害のある児童生徒への適切な指導及び必要な支援が求められることなどから,障害のある児童生徒の教育を取り巻く最近の動向を踏まえ,「学校教育法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第80号。平成19年4月施行)により,従来の盲・聾・養護学校の制度は,複数の障害種別を受け入れることができる特別支援学校の制度に転換され,また,小・中学校等においても特別支援教育を推進することが法律上明確に規定された。

さらに,障害者権利条約の批准に係る対応として,平成22年6月に閣議決定された「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」において,「障害者権利条約のインクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえ,体制面,財政面も含めた教育制度の在り方について,平成22年度内に(中略)制度改革の基本的方向性についての結論を得るべく検討を行う」との方向性が示された。これを踏まえ,「中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会」において専門的な調査審議が行われ,同年12月には,特別支援教育の在り方について,方向性や就学相談・就学先決定の在り方に関する論点整理が取りまとめられた。

特別支援教育の体制整備については,幼稚園から高等学校までにおいて,全体として体制整備が進んでいる。しかし,小・中学校に比べ,幼稚園・高等学校は体制整備に遅れが見られ,国公私立で比較すると,全体的に私立学校の体制整備に遅れが見られる。

文部科学省では,発達障害を含め,障害のある幼児児童生徒を支援するため,都道府県等に委託して実施する「特別支援教育総合推進事業」等の施策を通じて,特別支援教育の体制整備を推進している。

さらに,平成22年度においても,公立小・中学校における学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)等発達障害のある児童生徒に対する通級指導を充実するため,1,418人の大幅な定数改善を行ったほか,公立の幼稚園から中学校までに在籍する障害のある児童生徒に対して様々な支援を行う「特別支援教育支援員」を配置できるよう必要な支援を講じている。

これに加え,小・中・高等学校等における学校教育諸活動全体を通じて,思いやりの心や奉仕の精神を育てる指導を行うほか,障害のある子どもと障害のない子どもとの交流及び共同学習の実施,学校教育関係者及び保護者等に対する啓発活動の実施等,障害のある人に対する理解を深める教育の充実に努めている(詳細は「障害者白書」に記載)。

また,社会教育では,平成22年度に地域が抱える課題解決に役立つ「仕組みづくり」を推進することを目的とした「社会教育による地域の教育力強化プロジェクト」を実施し,障害者の人権に関する事業を実施した。

(4)障害のある人の雇用の促進,障害のある人の職業能力の向上等

毎年9月を「障害者雇用支援月間」として設定し,障害者雇用優良事業所等に対する厚生労働大臣表彰などの啓発活動を通して,広く国民に対し障害者雇用への機運を醸成し,障害者雇用の促進を図った。

また,独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構においても,月間に合わせ,障害者雇用事業所などによる展示や障害者就労支援機器の紹介などを行う障害者ワークフェアの開催などを行い,障害者雇用への理解を促し,障害者雇用の促進を図った。

さらに,障害のある人の職業的自立の意義を喚起するとともに,事業主及び社会一般の理解と認識を深めること等を目的に,平成22年10月15日から3日間,横浜市において「第32回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)」を開催した。

(5)精神障害者に対する偏見・差別の是正のための啓発活動

厚生労働省においては,平成16年9月,概ね10年間の精神保健医療福祉改革の具体的方向性を明らかにする「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を取りまとめ,精神疾患に関する国民各層の意識の変革を進めている。具体的には,国民各層が精神疾患を正しく理解し,新しい一歩を踏み出すための指針である「こころのバリアフリー宣言」や,地域住民等に対して精神保健福祉に関する知識の普及等を行う精神保健福祉普及運動等を活用して,精神疾患についての正しい理解が広まるよう,情報発信を行っている。

平成22年10月25日から31日までの間,「変わらない心の原点を求めて~沖縄から発信するユイマール精神~」をメインテーマとして,第58回精神保健福祉普及運動を実施した。

また,期間中の10月29日に,第58回精神保健福祉全国大会を沖縄県浦添市において開催した。

(6)障害のある人の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,常設の人権相談所(24頁参照)において,相談に応じている。人権相談等で,障害のある人に対する差別,虐待等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行うとともに,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。

また,知的障害者更生施設等の社会福祉施設において,入所者及びその家族が気軽に相談できるよう,特設の人権相談所を開設し,相談を受けた。さらに,平成22年9月6日(月)から12日(日)までの一週間を全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間とし,平日の相談受付時間を延長するとともに,土曜日・日曜日も開設し,障害者らからの多くの電話相談に応じた。

(7)発達障害者への支援

ア 厚生労働省では,平成17年4月から施行している「発達障害者支援法」(平成16年法律第167号)を踏まえ,発達障害のある方や家族に,ライフステージを通じた一貫した支援体制の強化を図るため,都道府県,指定都市において,ペアレントメンターの養成やアセスメントツールの導入を促進する研修会の実施等を行う「発達障害者支援体制整備事業」を始め,「発達障害者支援センター運営事業」,「発達障害者支援開発事業」,「発達障害研修事業」及び「発達障害者支援者実地研修事業」を実施することで,地域における発達障害者に対する支援を促進している。

また,「発達障害者情報センター」を平成20年3月に厚生労働省内に設置し(同年10月に国立障害者リハビリテーションセンターに移管),発達障害者やその家族,一般国民に対し,インターネットを通じて,発達障害に係る生活支援や社会参加,普及啓発等のための情報提供を行っている。

イ 文部科学省では,小・中学校の通常の学級に在籍する学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)の児童生徒に対する教育的支援を適切に行うため,平成18年4月からLD・ADHDの児童生徒を通級指導の対象としている。

また,発達障害のある幼児児童生徒への特別支援教育を推進するため,乳幼児期から成人期に至るまでの一貫した支援体制の整備を図るための事業や高等学校等における支援事業のほか,発達障害等の障害特性に応じた教材等に関する調査研究を実施している。

さらに,「発達障害教育情報センター」を(独)国立特別支援教育総合研究所に設置し,発達障害に関する正しい理解や支援等に関する様々な教育情報や教員研修用の講座等をインターネットを通じて提供しており,厚生労働省とも連携しながら,必要なコンテンツの充実を図っている(詳細は「障害者白書」に記載)。

5 同和問題

同和問題は,日本社会の歴史的過程で形作られた身分差別により,日本国民の一部の人々が,長い間,経済的,社会的,文化的に低い状態におかれることを強いられ,日常生活の上で差別を受けるなど,我が国固有の人権問題である。

この問題の解決を図るため,国は,地方公共団体とともに,昭和44年から33年間,特別措置法に基づき,地域改善対策を行ってきた。その結果,同和地区の劣悪な環境に対する物的な基盤整備は着実に成果を上げ,一般地区との格差は大きく改善された。

しかしながら,結婚における差別,差別発言,差別落書き等の事案は依然として存在している。また,いわゆる「えせ同和行為」等の事案も依然として起こっており,同和問題の解決を阻む大きな要因になっている。現在,同和問題については,各般の一般対策によって的確に対応していくものとされている。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)同和問題に関する差別意識の解消に向けた教育・啓発

法務省の人権擁護機関では,同和問題に関する差別意識の解消のため,「部落差別をなくそう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会や座談会の開催,啓発教材等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

平成22年度は,東京都港区で開催された「人権に関する国家公務員等研修会」において,同和問題をテーマとする講演を行った(52頁参照)。

(2)学校教育・社会教育を通じた同和問題の解決に向けた取組

文部科学省では,学校教育における人権教育関係事業として「人権教育総合推進地域事業」,「人権教育研究指定校事業」を実施し,同和問題に関する差別意識の解消を図っている。

また,社会教育では,平成22年度において,「社会教育による地域の教育力強化プロジェクト」を実施し,2団体でこの事業を活用して学習や交流の場を提供するなど同和問題に関する事業を実施した。

(3)公正な採用選考システムの確立

厚生労働省では,企業の採用選考に当たって,人権に配慮し,応募者の適性・能力のみによって採否を決める公正な採用選考システムの確立が図られるよう,雇用主に対して,以下の啓発に取り組んだ。

ア 日本経済団体連合会,日本民間放送連盟など経済・事業別団体104団体に対して,文書により,公正な採用選考の確保について傘下企業への指導を要請

イ 公正な採用選考についてのガイドブック,ポスター,カレンダー等,各種啓発資料を作成し,事業所に配布

ウ 中学校,高等学校,大学等の卒業予定者に係る採用選考開始日に合わせて,新聞広報等各種広報媒体を通じた啓発活動を実施

エ 事業所における公正な採用選考システムの確立について,中心的な役割を果たす「公正採用選考人権啓発推進員」を,一定規模以上の事業所に配置するとともに,各労働局及び公共職業安定所が,同推進員に対して研修会を開催

オ 従業員の採用選考に影響力のある企業トップクラスに対する研修会を開催

(4)農漁協等関係農林漁業団体職員に対する啓発活動

農林水産省では,農林漁業や農山漁村に起因する同和問題を始めとした広範な人権問題に関する啓発活動を積極的に推進するため,都道府県を通じて農漁協等関係農林漁業団体の職員に対する研修等を実施するとともに,全国農林漁業団体が当該職員等を対象に行う同様の研修等に対する支援を実施した。

(5)隣保館における活動の推進

隣保館においては,生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を実施しており,厚生労働省ではこうした事業に対し支援を行った。

(6)えせ同和行為の排除に向けた取組

政府は,同和問題を口実にして企業や官公署などに不当な利益や義務なきことを求める「えせ同和行為」を排除するため,全省庁の参加する「えせ同和行為対策中央連絡協議会」を設置し,政府一体となってえせ同和行為の排除の取組を行っている。

ア 法務省は,えせ同和行為の実態を把握するため,昭和62年以降9回にわたりアンケート調査を実施している(直近の調査結果である平成21年1月の実施概要はhttp://www.moj.go.jp/content/000002050.pdf)。

また,企業における人権研修シリーズ「同和問題とえせ同和行為」等の啓発教材を作成し,配布した。

さらに,地方においても全国50の法務局・地方法務局を事務局として組織されている「えせ同和行為対策関係機関連絡会」に,平成23年4月現在で1,137の国の機関,地方自治体,弁護士会等が参加し,随時,情報交換のための会議を開くなど,様々な取組を展開している。

イ 都道府県警察においても関係機関と連携して,違法行為の取締り等,えせ同和行為の排除対策を推進している。

ウ 経済産業省は,産業界・経済界向けにえせ同和行為対策セミナーを開催するとともに,えせ同和行為に関するリーフレットを作成し,配布した。

(7)同和問題をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,同和問題をめぐる人権侵害事案に対し,人権相談及び人権侵犯事件の調査・処理を通じ,その被害の救済及び予防を図っている。取り分け結婚差別,差別発言等を人権擁護上看過できない事象として捉え,行為者や関係者に対して人権尊重の意識を啓発することによって,自発的・自主的に人権侵害の事態を改善,停止,回復させ,あるいは,将来再びそのような事態が発生しないよう注意を喚起している。

また,インターネット上で,特定の地域を同和地区であるとするなどの差別を助長する書き込み等を認知した場合は,その情報の削除をプロバイダ等に要請するなど適切な対応に努めている。

6 アイヌの人々

アイヌの人々は,固有の言語や伝統的な儀式・祭事,多くの口承文学(ユーカラ)など,独自の豊かな文化を持っているが,近世以降のいわゆる同化政策などにより,今日では,その文化の十分な保存・伝承が図られているとは言い難い状況にある。特に,アイヌ語を理解し,アイヌの伝統などを担う人々の高齢化が進み,これらを次の世代に継承していく上での重要な基盤が失われつつある。

また,アイヌの人々に対する理解が十分ではないため,就職や結婚などにおいて偏見や差別が依然として存在している。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)アイヌの人々に関する総合的な政策の推進

政府は,国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(平成19年9月)や衆参両院の「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」(平成20年6月)を受けて内閣官房長官が開催した「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」による報告(平成21年7月)を踏まえ,総合的かつ効果的なアイヌ政策を推進するため,内閣官房長官が座長となり,平成22年1月29日,政府,有識者及びアイヌの人々からなる「アイヌ政策推進会議」の第1回会議を開催した。

平成22年3月には,アイヌ政策推進会議の下に,アイヌの方々も参画した作業部会を設け,おおむね1年程度をかけて「民族共生の象徴となる空間」及び「北海道外アイヌの生活実態調査」について,専門的な検討を行った(推進会議等の開催経過はhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/index.html)。

(2)アイヌ文化の振興,アイヌの伝統及び文化に関する普及啓発

「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(平成9年法律第52号)に基づき,財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構が行う事業に対して助成等を行った。

(3)アイヌ文化財の保護に関する助成

文化庁は,「文化財保護法」(昭和25年法律第214号)に基づき,アイヌの有形の民俗文化財及び無形の民俗文化財について,北海道教育委員会が行う調査事業,伝承・活用等に係る経費について補助を行った。

(4)アイヌの人々に対する偏見・差別を解消し,アイヌの人々の尊厳を尊重する社会の実現を目指した啓発活動

法務省の人権擁護機関では,アイヌの人々に対する偏見や差別をなくし,アイヌの人々に対する理解と認識を深めるよう,「アイヌの人々に対する理解を深めよう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会の開催,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を行っている。また,アイヌの人々に対する国民の理解を促すよう,インターネットバナー広告を行った。

(5)学校教育におけるアイヌの人々に関する学習の推進

中学校学習指導要領において,社会科で鎖国下の対外関係に関する学習で北方との交易をしていたアイヌについても取り上げることとしているなど,アイヌの人々に関する教育を行っている。

(6)各高等教育機関等におけるアイヌ語等に関する取組への配慮

北海道の大学を中心に,アイヌに関する授業科目が開設されるなど,アイヌに関する教育・研究を行っている。

(7)生活館における活動の推進

生活館においては,地域住民に対し,生活上の各種相談を始め,アイヌの人々に対する理解を深めるための広報・啓発活動等を総合的に実施しており,厚生労働省では,こうした事業に対し支援を行っている。

(8)アイヌの人々の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等で,アイヌの人々に対する差別等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行うとともに,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。

(9)農林漁業経営の近代化を通じた生活向上・啓発活動等の推進

歴史的な特殊事情等により,アイヌ住民居住地区における農林漁業は,他の地区に比べて経営規模が零細で生産性が低く,所得及び生活水準に格差がみられる。このため,アイヌ住民の居住地区においては,農林漁業経営の近代化を通じて,アイヌ農林漁家に対する理解の増進や地域住民が一体となった生活向上・啓発活動等が行われており,農林水産省では,こうした取組に対し支援を行っている。

7 外国人

今日,我が国で生活する外国人は急激に増え,言語,宗教,習慣等の違いから,外国人を巡って様々な人権問題が発生している。例えば,家主や仲介業者の意向により,外国人にはアパートやマンションに入居させないという差別的取扱いがされたり,理容店において外国人であることを理由に理容サービスの提供を拒否されたり,あるいは,外国人について根拠のないうわさが広まるといった事案が生じている。

また,公立の小・中・高等学校等に在籍する「日本語指導が必要な外国人児童生徒数」(平成20年9月1日現在:2万8,575人)は,平成19年度の前回調査と比較して12.5%増加しており,平成3年度の調査開始以来,最も多い数となっていることから,外国人児童生徒の公立学校への受入体制の整備が求められている(参考:文部科学省「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査」)。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)外国人に対する偏見・差別を解消し,国際化時代にふさわしい人権意識の育成を目指した啓発活動

法務省の人権擁護機関では,国民の全てが国内・国外を問わず,あらゆる人権問題について理解と認識を深め,真に国際化時代にふさわしい人権意識を育むため,「外国人の人権を尊重しよう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会や座談会の開催,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

また,大阪市で開催された人権啓発フェスティバルにおいて,「真の多文化共生をめざして」と題するシンポジウムを行った。さらに,東京都港区で開催された「人権に関する国家公務員等研修会」において,多文化共生をテーマとする講演を行った(52頁参照)。

(2)学校等における国際理解教育及び外国人児童生徒教育の推進

文部科学省では,平成18年度から平成21年度までに,国際理解を深め,地球的な視野に立って主体的に行動することができる人材を育成するための「国際教育推進プラン」を実施し,先進的な取組を実践する地域を支援してきたほか,各教育委員会担当者を集めた連絡協議会等を通じて,その成果の普及に努めている。

また,近年増加傾向にある公立小・中・高等学校等における日本語指導の必要な外国人児童生徒の教育を支援するため,日本語指導等に対応するための教員の定数措置を実施するとともに,「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」において外国語が使える支援員を配置するなど,公立学校への受入体制の整備を支援する取組を実施している。

さらに,昨今の景気後退により,不就学・自宅待機となっているブラジル人等の子どもに対して,平成21年度から3年間の予定で,日本語等の指導や学習習慣の確保を図るための教室を設置し,公立学校等への円滑な転入が出来るようにする「定住外国人の子どもの就学支援事業」を国際移住機関(IOM)において実施しており,平成22年度は42教室において事業を実施した。

(3)外国人の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等で,外国人であることを理由とした差別等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められた場合は,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行うとともに,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。

なお,外国人からの人権相談については,英語や中国語等の通訳を配置した「外国人のための人権相談所」を東京,大阪,名古屋,広島,福岡,高松の各法務局と神戸,松山の各地方法務局において,それぞれ曜日を指定して開設し,相談に応じている。

8 エイズウイルス(HIV)感染者・ハンセン病患者等

エイズウィルス(HIV)やハンセン病などの感染症に対する正しい知識と理解は,いまだ十分とはいえない状況にある。これらの感染症にかかった患者・回復者などが,周囲の人々の誤った知識や偏見などにより,日常生活,職場,医療現場などで差別やプライバシー侵害などを受ける問題が起きている。

平成15年11月に起きた熊本県内のホテルのハンセン病療養所入所者に対する宿泊拒否事件は,今なお誤った認識や偏見が存在していることが明らかとなった。このような差別や偏見の解消を更に推し進めるため,「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(平成20年法律第82号)が平成20年6月に成立し,平成21年4月から施行されている。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)HIV感染者等

ア エイズ患者及びHIV感染者に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動

(ア) 法務省の人権擁護機関では,エイズ患者及びHIV感染者に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるよう,「HIV感染者等に対する偏見をなくそう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

(イ) 厚生労働省では,12月1日の「世界エイズデー」に向けてキャンペーンイベントを実施した。また,エイズに関する電話相談事業の実施等,HIV・エイズに対する正しい知識の普及啓発活動に努めている。

イ 学校教育におけるエイズ教育等の推進

文部科学省では,学校教育において,エイズ教育の推進を通じて,エイズ患者やHIV感染者に対する偏見や差別をなくすとともに,教材作成や教職員の研修を推進した。

ウ HIV感染者等の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等で,HIV感染者等に対する差別等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行うとともに,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行い,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。

(2)ハンセン病患者・元患者等

ア ハンセン病患者等に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動

(ア) 厚生労働省では,ハンセン病に対する正しい知識の普及のため,様々な普及啓発活動を行っている。平成22年9月に,ハンセン病を正しく理解するための中学生向けパンフレット及び指導者向け教本「ハンセン病の向こう側」を作成し,配布した。

また,平成23年1月15日に青森市で法務省等と連携し,ハンセン病問題に対する正しい知識の普及・啓発を目的をした「第10回ハンセン病問題に関するシンポジウム」を実施した。

さらに,平成21年度から新たに,「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」(平成13年法律第63号)の施行日である6月22日を「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」と定め,平成22年6月22日に東京都千代田区において厚生労働省の主催により法務省等の関係機関の出席を得て,追悼,慰霊及び名誉回復の行事を実施した。

(イ) 法務省の人権擁護機関では,ハンセン病患者等に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるよう,「ハンセン病患者等に対する偏見をなくそう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,各種啓発活動を実施している。

その一環として,中学生等をパネリストとした,ハンセン病に関する「夏休み親と子のシンポジウム」を,平成22年8月21日に仙台市で,同月28日に静岡市で,それぞれ厚生労働省等と連携して開催するとともに,インターネットバナー広告を実施したり,全国版の小学生新聞・中学生新聞に啓発広告を掲載した。

また,平成22年度は,東京都港区で開催された人権に関する国家公務員等研修会において,ハンセン病をテーマとするビデオ「未来への道標~ハンセン病とは~」を上映し,ハンセン病に対する認識を深めた(52頁参照)。

イ ハンセン病患者等の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等で,ハンセン病患者等に対する差別等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行うとともに,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。

ウ 国連における取組

我が国は,国連人権理事会及び国連総会に,ハンセン病に関する誤った認識や誤解に基づく偏見・差別をなくすための決議(ハンセン病差別撤廃決議)を提出するなど,国際社会に対し積極的な働きかけを行っている。

なお,我が国の提出した決議は,平成22年12月に第65回国連総会本会議において全会一致で採択された。

9 刑を終えて出所した人

刑を終えて出所した人やその家族に対する偏見や差別は根強く,就職に際しての差別や住居の確保の困難など,社会復帰を目指す人たちにとって,現実は極めて厳しい状況にある。刑を終えて出所した人等が,地域社会の一員として円滑な社会生活を営むためには,本人の強い更生意欲と併せて,家族,職場,地域社会の理解と協力が必要である。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

ア 法務省保護局では,犯罪や非行を防止し,犯罪をした人や非行のある少年の改善更生を支えるため,地域住民の理解と参加を得て,第60回“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し,立ち直りを支える地域のチカラ~を実施する中で,刑を終えて出所した人に対する偏見・差別を除去し,これらの人の社会復帰に資するための啓発活動を実施した。

同運動においては,ミニ集会・住民集会の開催のほか,講演会・弁論大会等を行い,小・中学生を対象とした作文コンテストでは204,493点の応募があった。

60回という節目を迎えた同運動は,今後とも,犯罪や非行をした人の立ち直り支援に対する国民の理解・協力を促進し,犯罪や非行のない明るい社会作りを進めるため,様々な機関・団体と広く連携しながら,地域に根ざした国民運動として一層の推進を図っていく。

イ 法務省の人権擁護機関では,刑を終えて出所した人に対する偏見をなくし,理解を深めるよう,「刑を終えて出所した人に対する偏見をなくそう」を年間強調事項として掲げ,啓発冊子「人権の擁護(平成22年度版)」を作成し,配布するなど,広報等啓発活動を実施している。

また,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等で,刑を終えて出所した人に対する差別等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行うとともに,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行い,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。

10 犯罪被害者等

犯罪被害者等は,犯罪そのものやその後遺症によって精神的,経済的に苦しんでいるにもかかわらず,追い打ちを掛けるように,興味本位のうわさや心ない中傷などにより名誉が傷つけられたり,私生活の平穏が脅かされるなどの問題が指摘されている。

こうした犯罪被害者等の権利利益の保護が図られる社会を実現させるため,平成17年4月から「犯罪被害者等基本法」(平成16年法律第161号)が施行され,同年12月には,これに基づき,四つの基本方針,五つの重点課題(注)の下,258の具体的施策を盛り込んだ犯罪被害者等基本計画が策定された。同計画は,おおむね着実な進展が図られ,一定の成果を上げている。

特に,五つの重点課題のうち,「損害回復・経済的支援等への取組」,「刑事手続への関与拡充への取組」については,損害賠償命令制度や被害者参加制度が創設されるなど,大きな進展が図られた。

しかしながら,犯罪被害者団体や犯罪被害者支援団体等からは,依然として犯罪被害者等が関係する様々な問題について改善を求める要望が寄せられており,今後とも五つの重点課題それぞれについて更なる取組の強化を図る必要がある。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(注)「五つの重点課題」

<1>損害回復・経済的支援等,<2>精神的・身体的被害の回復・防止,<3>刑事手続への関与拡充,<4>支援のための体制整備,<5>国民の理解の増進と配慮・協力の確保をいう。

(1)犯罪被害者等の人権に関する啓発・広報

ア 内閣府では,毎年11月25日から12月1日までの間を「犯罪被害者週間」とし,犯罪被害者等に関する国民の理解を深めるための啓発事業を集中的に実施している。

平成22年度においては,内閣府主催の「犯罪被害者週間」国民のつどい中央大会及び地方公共団体等との共催の地方大会(開催場所:千葉県・福井県・和歌山県・兵庫県)を開催し,基調講演やパネルディスカッション等を行って犯罪被害者等に係る様々なテーマについて議論した。

また,平成22年度の標語募集においては,「被害者の 悲痛な気持ちに 時効なし」を最優秀作品とし,上記中央大会において内閣府特命担当大臣(犯罪被害者等施策担当)から表彰を行い,その標語をポスターなどに使用した。

さらに,平成22年度には,国民が犯罪被害者等に係る問題をより身近なものとして意識できるようにし,また,国,地方公共団体,犯罪被害者団体,犯罪被害者支援団体等による支援の象徴として,各種広報啓発等の場で活用すること等を目的として,犯罪被害者等支援「シンボルマーク」を募集した。応募作品合計438点の中から,最優秀作品が決定され,上記中央大会において内閣府特命担当大臣(犯罪被害者等施策担当)から表彰を行った。

その他,関係機関・団体と協力し,各種啓発事業を実施している(詳細は「犯罪被害者白書」に記載)。

イ 法務省では,犯罪被害者保護・支援のための制度を広く国民に紹介し,その周知を図るために「犯罪被害者の方々へ」と題するパンフレットを作成し,全国の検察庁及び各都道府県警察等において犯罪被害者等に配布しているほか,同パンフレットを法務省ホームページ及び検察庁ホームページに掲載し,情報提供を行っている。

また,刑事裁判・少年審判終了後の更生保護における犯罪被害者等のための制度について,リーフレットを配布するなどの広報を実施している。

さらに,法務省の人権擁護機関では,犯罪被害者やその家族の人権問題に対する配慮と保護を図るため,「犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう」を年間強調事項に掲げ,1年を通して全国各地で,講演会,座談会等の開催,新聞等による広報,啓発冊子の配布等の啓発活動を実施している。

ウ 警察庁では,パンフレット「警察による犯罪被害者支援」,「犯罪被害給付制度のご案内」等の作成及び犯罪被害者支援広報用ホームぺージ((http://www.npa.go.jp/higaisya/home.htm)の開設を行うとともに,警察庁広報重点として「被害者支援活動の周知と参加の促進及び犯罪被害給付制度の周知徹底」を設定し,都道府県警察では,犯罪被害者本人や家族による中高生を対象にした「命の大切さを学ぶ教室」や大学生を対象にした被害者支援に関する講義を行うなど,広報・啓発を実施した。

また,犯罪被害者等への支援活動を行う「特定非営利活動法人全国被害者支援ネットワーク」に加盟している民間被害者支援団体は,警察等の関係機関との連携を図りながら,被害者支援に関する広報啓発,電話・面接相談,ボランティア相談員の養成及び研修等の活動を行っている。

(2)犯罪被害者等に対し援助を行う者等に対する教育訓練

ア 検察職員

検察職員に対しては,犯罪被害者保護を目的とした諸制度について,各種研修や日常業務における上司による指導等を通じて周知し,適正に運用するよう努めている。

イ 警察職員

警察においては,被害者に接する個々の警察職員が犯罪被害者等の立場に立った適切な支援,対応を行うためには,職員への教育が極めて重要であるとの認識の下,被害者支援の意義や各種施策の概要,犯罪被害者等の立場,心情への配慮や具体的な対応の在り方等についての教育を実施している。

ウ 保護観察官

保護観察官については,犯罪被害者等に対して適切な対応を行うことができるようにする観点から,また,保護観察対象者に対して犯罪被害者等の状況や心情について十分理解させ,そのしょく罪意識の涵(かん)養を図る観点等から,保護観察官を対象にした各種研修において,犯罪被害者等が置かれている状況等や刑事政策における被害者支援の必要性等をテーマとして,犯罪被害当事者や民間ボランティア等による講義等を実施している。

エ 都道府県警察による民間の被害者支援団体のボランティア等

民間の被害者支援団体の一員として被害者支援を行うボランティア等に対して,各都道府県警察は,警察職員を講師として派遣する,被害者支援教育用DVDを活用するなどにより団体と連携し,より効果的な教育訓練を行うよう努めている。

(3)犯罪被害者等の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

法務省の人権擁護機関では,常設・特設の人権相談所において相談を受けるとともに,人権相談等で,犯罪被害者等に対する人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な措置を講じている。

11 インターネットによる人権侵害

インターネットの普及に伴い,その匿名性,情報発信の容易さから,個人の名誉やプライバシーを侵害したり,差別を助長する表現を掲載するなど,人権に関わる様々な問題が発生している。そのため,一般のインターネット利用者等に対して,個人の名誉やプライバシーに関する正しい理解を深めるための啓発活動を推進していくことが必要である。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)個人のプライバシーや名誉に関する正しい知識を深めるための啓発活動

法務省の人権擁護機関では,「インターネットを悪用した人権侵害は止めよう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会等の開催,ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布等の啓発活動を実施している。

また,子ども向けのインターネットに関する人権啓発教材「知ってる!?ケータイやインターネットも使い方ひとつで…」を配布しているほか,中学生・高校生とその保護者を対象とした人権啓発映像教材「インターネットの向こう側」を作成し,法務局及び都道府県に配布し,人権啓発活動用に供している。さらに,主要ブログサイトに人権に関する正しい理解を深めるとともに,相談先や救済手続を案内することを目的としたインターネットバナー広告を掲載した。

このほか,平成22年度には,腹話術師のいっこく堂氏を起用した人権啓発スポット映像「気づいてください いっこくも早く インターネットによる人権侵害篇」を用いて,法務局の窓口等で放映するなどしたほか,8月には全国各地の映画館においてシネアドを実施した。

(2)インターネットをめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

ア 総務省では,「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成13年法律第137号。以下「プロバイダ責任制限法」という。)の適切な運用の支援に努めてきたところ,平成18年8月に取りまとめられた「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書」を受け,同年11月に電気通信事業者団体において,インターネット上の人権侵害情報等の違法・有害情報に対して,適切な対応ができるよう「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」を策定した。

また,平成21年8月から,インターネット上の違法・有害情報へのプロバイダなど関係者による適切な対応を支援するため、プロバイダ責任制限法や各種ガイドライン等の相談を受け付ける違法・有害情報相談センターを設置している。

イ 法務省の人権擁護機関では,日本国憲法の保障する表現の自由に十分配慮しつつ,一般に許される限度を超えた他人の人権を侵害する書き込み等の悪質な事案に対して,発信者が判明する場合には,同人に対する啓発を通じて侵害状況の排除に努め,また,発信者が特定できない場合には,法務省の人権擁護機関による削除要請について明文で規定した「プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」を活用して,当該情報の削除をプロバイダ等に求めるとともに,ガイドラインの対象ではない差別助長行為についても,適宜の方法で削除を求めるなど,適切な対応に努めている。

(3)インターネットなどを介したいじめ等への対応

文部科学省においては,児童生徒の情報活用能力を育成するための情報教育を各学校段階を通して体系的な実施を図る中で,情報モラル教育を推進した。

また,保護者等に対する啓発を図るため,有害情報に係る犯罪・被害,トラブル等における対応に関する映像資料を作成し活用すること,携帯電話利用に係る親子のルールづくり等に関するリーフレットの作成・配布,インターネットの安心・安全な利用のための啓発講座の全国実施に取り組んでいる。

さらに,都道府県・市町村教育委員会や学校が実施している学校ネットパトロールについて,現状と課題を整理するとともに,効率的な実施の在り方について検討を行う調査研究を実施した。

12 北朝鮮当局によって拉致された被害者等

北朝鮮当局による日本人拉致は,我が国に対する主権侵害であるとともに重大な人権侵害である。

拉致問題に関する啓発については,「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(平成18年法律第96号。以下「北朝鮮人権法」という。)において,政府及び地方公共団体が拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものと定められている。また,拉致問題の解決には,国内世論及び国際世論の後押しが重要であるとの観点から,政府は,拉致問題に関する国内外の理解促進に努めている。

具体的施策は,拉致問題対策本部を中心として関係省庁や地方公共団体において,実施されている。

平成22年度の取組は,以下のとおりである。

(1)北朝鮮人権侵害問題啓発週間における取組

北朝鮮人権法は,12月10日から16日までを「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」と定めており,平成22年12月11日に政府主催行事として,拉致問題対策本部と法務省の共催による「拉致問題シンポジウム~すべての拉致被害者の救出に向けて~」を東京都千代田区(グランドアーク半蔵門)で開催したほか,同週間の周知を目的としたインターネットバナー広告及び交通広告の実施,ポスター及びチラシの掲出や関係省庁,地方公共団体と連携したポスターの掲出等,同週間にふさわしい活動に取り組んだ。

(2)広報媒体の活用

拉致問題対策本部は,啓発用パンフレット・ポスターの頒布,インターネットにおける配信,拉致問題パネルの貸出し,国内の学校における映画「ABDUCTION」及びアニメ「めぐみ」の上映会の開催等を行った。

(3)地方公共団体・民間団体との協力

拉致問題対策本部は,地方公共団体及び民間団体との共催等による啓発行事を地方都市(札幌市,鳥取県米子市,千葉市,熊本市,鹿児島市,横浜市)において開催した。

(4)海外に向けた情報発信

江田法務大臣,前原外務大臣,中野拉致問題担当大臣及び東内閣府副大臣は,平成23年1月下旬,訪日したマルズキ・ダルスマン国連北朝鮮人権状況特別報告者と拉致問題を含む北朝鮮人権状況について意見交換を行った。

また,平成22年11月,ニューヨークにおいて,各国の政府関係者を招待し,アニメ「めぐみ」の上映会を開催した。このほか,海外の報道関係者・専門家を本国での記事執筆を目的として日本に招聘し,拉致問題への理解を深める機会を提供した。

(5)北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めるための啓発活動

法務省の人権擁護機関では,「北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・広報紙による広報等の啓発活動を実施している。

なお,北朝鮮人権侵害問題啓発週間における啓発活動については,前掲(1)のとおり。

(6)国連における取組

我が国は,EUと共同で北朝鮮人権状況決議を国連総会及び人権理事会に提出し,同決議が採択され,拉致問題を含む北朝鮮の人権状況改善を求める国際社会としてのメッセージを発出した。

13 その他の人権課題

(1)性的指向(異性愛,同性愛,両性愛)を理由とする偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動

法務省の人権擁護機関では,「性的指向を理由とする差別をなくそう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会等の開催,雑誌等による広報,啓発冊子等の配布等の啓発活動を実施している。

また,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等で性的指向に関する嫌がらせ等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な措置を講じている。

(2)ホームレスの人権及びホームレスの自立の支援等

政府は,平成14年7月に制定された,「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(平成14年法律第105号)により,平成15年7月,ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を策定し,平成20年7月に見直しを行った。

法務省の人権擁護機関では,「ホームレスに対する偏見をなくそう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,各種啓発活動を実施している。

また,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等でホームレスに関する嫌がらせ等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な措置を講じている。

(3)性同一性障害者の人権

法務省の人権擁護機関では,「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,雑誌等による広報等の啓発活動を実施している。

また,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等で性同一性障害者に関する嫌がらせ等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な措置を講じている。

(4)人身取引(トラフィッキング)事犯への適切な対応

ア 平成21年12月に策定された「人身取引対策行動計画2009」に基づき,関係行政機関が緊密な連携を図りつつ,人身取引の防止・撲滅と被害者の適切な保護を推進している。

イ 平成22年6月,人身取引対策に関する関係省庁連絡会議において,人身取引事案の被害者認知のための着眼点や関係行政機関において講ずべき措置等を整理した「人身取引事案の取扱方法(被害者の認知に関する措置)」について申し合わせた。また,同年11月,人身取引対策に関する関係省庁連絡会議として,「女性に対する暴力をなくす運動」に合わせ,人身取引に係る政府広報を実施した。

ウ 法務省の人権擁護機関では,「人身取引をなくそう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,雑誌等による広報,啓発冊子等の配布等の啓発活動を実施している。

また,常設・特設の人権相談所において相談に応じている。人権相談等で,人身取引の疑いのある事実を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵犯の事実が認められれば,関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な措置を講じている。

エ 外務省では,被害者の我が国への入国を未然に防止する観点から,在外公館等における査証審査を厳格化するとともに,ホームページ上で「人身取引対策に伴う査証審査厳格化措置」についての広報活動を実施している。

オ 内閣府では,女性に対する暴力をなくしていくという観点から,関係省庁,地方公共団体等と連携・協力して,国民一般に対し,人身取引に関する広報・啓発活動を実施した。

カ 警察庁では,「コンタクトポイント連絡会議」を開催し,関係国の在日大使館,国際機関,NGO等と人身取引被害者の発見,保護についての情報交換や意見交換を行うとともに,人身取引被害の警察等への連絡を呼び掛けるリーフレットを9か国語で作成し,被害者等の目に触れやすいところで配布しているほか,警察庁の委託を受けた民間団体が市民から匿名による人身取引事犯等に関する通報を受ける「匿名通報ダイヤル」を運用している。

キ 独立行政法人国立女性教育会館では,人身取引に関する調査研究を実施するとともに,会館にて作成した啓発パネル及びリーフレットの活用を通じて,全国での教育・啓発に努めている。

第3節 人権に関わりの深い特定の職業に従事する者に対する研修等

1 研修

(1)検察職員

検察職員に対しては,経験年数に応じて実施する各種研修において,人権等に関する講義を実施しているほか,日常業務における上司による指導等を通じ,基本的人権を尊重した検察活動の徹底を図っている。

平成22年度は,新任検事を対象とした「新任検事研修」や任官後おおむね3年前後の検事を対象とした「検事一般研修」などにおいて,人権をめぐる諸問題や国際人権関係条約に関する講義を実施した。平成22年度は,合計170人が受講した。

(2)矯正施設職員

平成15年12月に行刑改革会議から示された「行刑改革会議提言~国民に理解され,支えられる刑務所へ~」を踏まえ,監獄法改正をはじめとした一連の改革を行ってきた。現行の「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」(平成17年法律第50号)では,刑務官に対し,被収容者の人権に関する理解を深めさせるための研修及び訓練を行うこととされており,矯正研修所及び同支所(全国8か所)並びに各庁において矯正職員に対する研修や訓練を実施し,人権意識の向上に努めているところである。

被収容者の人権の尊重を図る観点から,矯正研修所及び同支所における初任研修課程及び任用研修課程等において,新採用職員,幹部職員等に対し,被収容者の権利保障・国際準則等,人権啓発,個人情報の保護,犯罪被害者の人権,セクシュアル・ハラスメント等に係る講義を実施しているほか,憲法,成人矯正法,少年院法等の講義においても人権に関する視点を取り入れている。

また,平成22年度は,専門研修課程において,矯正施設で勤務し,被収容者の処遇等に従事する職員に対し,相手の立場に立ち,相手の気持ちを考えながら冷静な対応ができる能力を習得させるとの観点から,民間プログラムによる実務に即した行動科学的な視点を取り入れた研修を行った(「アンガー・マネジメント」研修:刑事施設の中間監督者及び少年院の専門官等34人,「コーチング」研修:少年院の専門官等28人,「アサーション・トレーニング」研修:少年鑑別所の専門官等26人)。さらに,参加した研修員を講師として所属する刑事施設や少年院においても自庁研修を実施した。

このほか,各矯正施設においては,事例研究・ロールプレイング等の実務に即した自庁研修を行うなど,職員の人権意識の改革に努めている。

(3)更生保護官署関係職員

更生保護官署関係職員に対しては,保護観察官を対象とした研修において,人権に関する講義を継続して実施している。平成22年度は269人に対して,人権に関する講義を実施した。

また,社会復帰調整官を対象とした研修において,医療観察対象者の人権尊重等の観点から,平成22年度に47人に対して,精神障害者の人権等に関する講義を実施した。

保護観察所が実施している保護司に対する各種研修においても,保護観察等の処遇の場面で個人情報の取扱いに配慮するよう啓発に努めている。

(4)入国管理関係職員

入国管理局関係職員を対象に,在職年数等に応じて実施している入国管理局関係職員研修において,基本的人権の尊重,人権擁護の現状及び人身取引関係の講義科目を設置しており,平成22年度は592人が参加した。

また,各地方入国管理官署の業務の中核となる職員を対象とした人権研修において,人権問題に関する知識を深め,適切な業務処理に資することを目的に,人権に関する諸条約等についての講義を実施している。

さらに,人身取引対策及びDV事案に係る事務従事者研修において,人身取引等の被害者の保護に万全を期すことを目的に,人身取引等の被害者を認知した場合の措置方法等についての講義を実施している。

人権研修並びに人身取引対策及びDV事案に係る事務従事者研修について,平成22年度は合計46人が受講した。

(5)教員・社会教育関係職員

独立行政法人教員研修センター及び各都道府県等において,人権尊重意識を高めるための研修を実施している。

また,社会教育主事講習において,人権問題を取り上げ,人権問題に関する正しい知識を持った社会教育主事の養成を図っている。

平成22年度は,全国13か所(計14講習)の国立大学等に社会教育主事講習を委嘱し,全国で749人が修了した。

(6)医療関係者

厚生労働省では,医療関係者の養成課程において,人の尊厳を幅広く理解するための授業を教育内容に含めることを求めるなど,患者の人権を十分に尊重するという意識・態度の育成を図った。

(7)福祉関係職員

主任児童委員を対象に,全国主任児童委員研修会等を開催し,地域住民や関係機関との連携について考えるシンポジウム等を実施し,人権の尊重等についての理解を深めている。

また,児童福祉関係施設における子どもの人権を尊重した処遇を充実させるため,国立武蔵野学院附属児童自立支援専門員養成所において研修を行った。平成22年度は,合計875人が受講した。

(8)海上保安官

海上保安庁では,海上保安大学校等における初任者教育及び職員に対する再研修において,人権に関する教育を行っている。平成22年度は,691人が受講した。

(9)労働行政関係職員

厚生労働省では,職員の職位に応じて行われる中央研修において,同和問題等を中心とする人権の講義を実施している。平成22年度は,1,650人が受講した。

(10)消防職員

消防庁消防大学校では,消防事務に従事する職員,消防職員・消防団員に対し,人権教育を実施している。

平成22年度における人権教育については,幹部科(265人),上級幹部科(46人)及び予防科(96人)において,人権擁護をめぐる国内外の諸問題及び男女共同参画について講義を実施した。

(11)警察職員

警察では,職務倫理に関する教育を最重点項目に掲げ,各級警察学校及び警察署等の職場において,人権の尊重を大きな柱とする「職務倫理の基本」に重点を置いた教育を行ったほか,基本的人権に配慮した適正な職務執行ができるよう,必要な知識・技能を修得させるための各種教育を行った。

また,取調べの一層の適正化を図るため,平成20年1月に策定した「警察捜査における取調べ適正化指針」(http://www.npa.go.jp/keiji/keiki/torishirabe/tekiseika_shishin.pdf)に基づき,被疑者取調べ監督制度を適切に運用している。

さらに,警察大学校,管区警察学校において,それぞれ「取調べ専科」,「取調べ技能専科」等を実施するなど,取調べに係る指導的立場にある警察官や取調べに従事する警察官に対する教育の充実を図っている。このうち,警察大学校及び管区警察学校において実施した専科について,平成22年度には,合計317人が受講した。

(12)自衛官

防衛省では,防衛大学校,防衛医科大学校,防衛研究所,統合幕僚学校,陸・海・空の各自衛隊幹部学校等の各教育課程において,自衛官になるべき者や自衛官に対して,有事における捕虜等の人権を保護するため,ジュネーヴ条約その他の国際人道法に関する教育を実施している(平成22年度の履修者約19,500人)。

このうち,防衛研究所や統合幕僚学校では,ジュネーヴ条約その他の国際人道法に精通した部外講師による講演を実施している。

また,ジュネーヴ条約その他の捕虜等の取扱いに係る国際人道法の適切な実施を確保するため,統合国際人道業務訓練を実施しており,「武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律」(平成16年法律第117号)等に基づく業務要領について演練し,捕虜等の取扱いについての知識,技能の向上を図っている。平成22年度は,約200人が参加した。

(13)公務員全般

ア 法務省では,中央省庁等の職員を対象とする「人権に関する国家公務員等研修会」を開催している。平成22年度は,東京都港区(ニッショーホール)において,次のとおり2回開催した。

<1> 平成22年9月14日開催

「同和問題の今~そして,これから」の講演(講師・稲積謙次郎氏,参加者371人)及び「私たちの声が聴こえますか」(財団法人人権教育啓発推進センター)のビデオ上映

<2> 平成23年2月16日開催

「違いを楽しみ力に変える~多文化共生“新”時代~」の講演(講師・J.A.T.D.にしゃんた氏,参加者361 人)及び「未来への道標~ハンセン病とは」(法務省人権擁護局)のビデオ上映

また,都道府県及び市区町村の人権啓発行政に携わる職員を対象にして,その指導者として必要な知識を習得させることを目的とした人権啓発指導者養成研修会を実施している(8頁参照)。平成22年度は,合計217人が受講した。

イ 人事院では,全府省庁の職員を対象に実施している役職段階別研修等において,女性,高齢者,障害のある人等の人権課題を幅広くカリキュラムに取り入れて行った。平成22年度に人事院が実施した研修のうち,人権を取り扱ったものは,47コースで,参加者数は2,289人であった。また,以上に加え,若手・中堅職員を対象とする役職段階別研修において,法務省が作成した啓発冊子「人権の擁護」を配布するとともに,その際,人権一般に対する認識を更に深めるよう指導を行った。

ウ 外務省では,新入職員等を対象とした各種研修の中で,人権問題や人権外交等に関する講義を,また,在外公館に勤務する予定の各府省庁職員を対象とした研修の中で,外交と人権に関する講義を行った。平成22年度は,249人が受講した。

エ 自治大学校では,地方公共団体の幹部となる地方公務員の政策形成能力等を総合的に養成することを目的に高度な研修を行っているが,平成22年度の人権教育については,5課程の課目の中で実施した。平成22年度は,487人が受講した。

2 国の他の機関との協力

裁判官の研修を実施している司法研修所では,裁判官に対する研修の際に人権問題に関する各種講義を設定している。平成22年度は,373人が受講した。

なお,上記研修を実施するに当たり,法務省等から講師を派遣するなどの協力を行った事例もある。

第4節 総合的かつ効果的な推進体制等

1 実施主体の強化及び周知度の向上

(1)実施主体の強化

政府は,人権擁護推進審議会の人権救済制度の在り方に関する答申及び人権擁護委員制度の改革についての答申を踏まえ,人権委員会の設置等,人権啓発の総合的かつ効果的な推進が可能となるような新たな制度の構築に向けた検討を進め,平成14年3月に「人権擁護法案」を国会に提出したが,同法案は,平成15年10月10日,第157回臨時国会において,衆議院解散に伴い廃案となった。

現在,法務省において,新たな人権救済制度の創設について検討を行っているところ,平成22年6月22日,法務省政務三役は,その創設に向けた今後の検討の方向性等について取りまとめた「新たな人権救済機関の設置について(中間報告)」を公表した。

(2)周知度の向上

法務省では,平成22年度において,法務省の人権擁護機関の周知を図るなどの目的のため,啓発冊子「人権の擁護(平成22年度版)」,人権擁護委員制度周知用冊子「人権擁護委員-その活動と役割-」を作成し,人権週間,人権擁護委員の日を中心とする講演会等に利用するほか,各種の啓発活動で活用している。

なお,「人権の擁護(平成22年度版)」の作成に当たっては,音声コードを各頁に印刷し,専用の読み上げ装置でこれを読み取ると,記載されている情報を音声で聞くことができるよう,視覚障害のある人に配慮した。

2 実施主体間の連携

(1)人権教育・啓発に関する中央省庁連絡協議会

平成12年9月25日,関係省庁事務次官等申合せにより,各府省庁等の教育・啓発活動について情報を交換し,連絡するための場として,人権教育・啓発中央省庁連絡協議会を設置した。

平成22年度は,幹事会を2回開催し,啓発活動等についての情報交換を行うとともに,人権教育・啓発推進法に基づく年次報告についての協議を行った。

(2)人権啓発活動ネットワーク協議会

法務省では,平成12年9月までに,「人権啓発活動都道府県ネットワーク協議会」を都道府県単位(北海道にあっては,法務局及び地方法務局の管轄区域単位)に設置し,さらに,平成20年3月までに市町村及び人権擁護委員協議会等を構成員とする「人権啓発活動地域ネットワーク協議会」を全国193か所に設置した。このネットワーク協議会を利用して,国,地方公共団体,人権擁護委員組織体及びその他の人権啓発の実施主体が,それぞれの役割に応じて相互に連携協力することにより,各種の人権啓発活動の効率的かつ効果的な実施に努めている。

(3)文部科学省と法務省の連携

人権教育に関する会議・研修の場において,文部科学省,法務省・法務局等が連携して行政説明・講義をするなどしている。

そのほか,法務省の主催する全国中学生人権作文コンテストの優秀作品の作品集について,教育委員会等を通じて,学校における活用を依頼した。さらに,「子どもの人権SOSミニレター」や「子どもの人権110番」等,法務省における相談事業の学校現場への周知に必要な協力を行った。

(4)要保護児童対策地域協議会

児童虐待については,福祉関係者のみならず,医療,保健,教育,警察,司法,さらにはNPOなど地域の関係機関や地域住民の幅広い協力体制の構築が不可欠であることから,市町村における「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の設置促進及び機能強化を図っている。

3 担当者の育成

(1)人権啓発指導者養成研修会

法務省では,地方公共団体等の人権啓発行政に携わる職員を対象にして,その指導者として必要な知識を習得させることを目的とした人権啓発指導者養成研修会を実施している。

平成22年度は,9月8日から10日までの3日間(東京会場:参加者71人),10月20日から22日までの3日間(仙台会場:59人),11月16日から18日まで3日間(京都会場:87人)の3回開催した。

(2)人権擁護事務担当職員,人権擁護委員に対する研修

法務省では,初等科,中等科等の一般研修はもとより,人権擁護事務に従事する際の人権擁護事務担当者研修,人権侵犯事件調査救済事務担当者研修を始め,法務局・地方法務局の人権擁護課長,支局長等を対象に専門科研修などを実施し,人権擁護行政に携わる職員の養成をしている。

人権擁護委員に対しては,新任委員に対する委嘱時研修を始め,初委嘱後6ヶ月以内の委員を対象とした第一次研修,初委嘱後2年以内の委員を対象とした第二次研修,初めて再委嘱されて1年以内の委員を対象とした第三次研修を通じて,人権擁護委員として職務遂行に必要な知識及び技能の習得を図っている。また,同和問題講習会,男女共同参画問題研修も実施している。

このほかにも,人権擁護委員の都道府県連合会や協議会等の単位で,自主的に企画された各種研修会を実施している。

(3)公正採用選考人権啓発推進員に対する研修

厚生労働省では,「公正採用選考人権啓発推進員」に対し,研修会を開催し(全国で684回),また,従業員の採用選考に影響力のある企業トップクラスに対し,「事業所における公正な採用選考システムの確立」について研修会を開催(全国で374回)した。

4 内容・手法に関する調査・研究

法務省では,これまで,広く国民を対象として,人権に対する理解を深めてもらうために各種啓発活動を行い,その事業の種類・内容に応じて,アンケート調査等により,その効果を測定・検証している。人権啓発活動の効果測定方法や検証方法については,いまだ確立した手法がなく,必ずしも体系的なものではなかったことから,人権啓発活動について,その効果を測定し,検証する方法を確立する等のため調査・研究を行った。

平成22年度は,同調査・研究等を活かし,全国8道県を選定して,人権週間における人権啓発活動地方委託事業の効果測定を行った。また,諸外国における民間を活用した人権啓発活動(各国政府等による民間組織支援制度)の実情等について調査・研究を行った。

5 財団法人人権教育啓発推進センターの充実

財団法人人権教育啓発推進センター(7頁参照)は,民間団体としての特質をいかした人権教育・啓発活動を総合的に行うナショナルセンターとしての役割を果たすため,法務省や地方公共団体からの委託事業のほか,情報誌「アイユ」の刊行,人権啓発ポスターの作成,各種人権啓発パンフレットの作成,自治体・企業等を対象とした研修の受託業務等センター独自の事業を行っている。平成22年度は,人権講座を9回開催したほかセミナーを6回開催した。

その内容は,次のとおりである。

ア 人権講座

<1> 「性同一性障害を知っていますか?」

(講師:虎井まさ衛(作家,「オフィス然nature」代表,立教大学非常勤講師,性同一性障害当事者・研究者・支援者のためのミニコミ誌「FTM日本」主宰))

<2> 「高齢者の人権を尊重した排泄ケア」

(講師:船津良夫(油にチャーム株式会社,排泄ケア研究所研究リーダー・福井大学医学部非常勤講師))

<3> 「いじめは,こころとからだへの“暴力”「優しい心が一番大切だよ」」

(講師:小森美登里(特定非営利活動法人ジェントル・ハート・プロジェクト理事))

<4> 「子どもを虐待から守るために「ぼくをたすけて」という声を見過ごさないで!」

(講師:才村純(関西学院大学人間福祉学部教授))

<5> 「アイヌ民族の心をつないで」

(講師:弓野恵子(アイヌ民族文化アドバイザー))

<6> 「スポーツと人権」

(講師:長田渚左(ノンフィクション作家))

<7> 「一人で悩まないで!高齢者虐待と成年後見制度」

(講師:高村直樹(東洋大学社会学部社会福祉学科教授))

<8> 「「手話ソング&ダンス」ワークショップ」

(講師:大橋ひろえ(女優,サインボーカル・ダンサー))

<9> 「障害者の人権-国連障害者権利条約-講演会」

(講師:長瀬修(東京大学大学院経済学研究科特任准教授))

イ セミナー

「人権教育の理論と実践方法の習得」

(講師:福田弘(聖徳大学大学院教授,筑波大学名誉教授))

※計6回開催

また,同センターでは,地方公共団体,各種研究団体等で制作した書籍・図画・ビデオ等を収集・購入し,同センター内に設置した「人権ライブラリー」において,これら書籍・図画・ビデオ等を広く一般の人々に貸し出すなどの提供を行っている。

さらに,国及び地方公共団体等から提供された人権教育・啓発に関する各種情報・資料等を収集・整理し,人権関係情報データベースに登録すると同時に,これをデータ化して蓄積し,それを利用者が検索するという形で情報提供を行っている。これらのデータベースは,誰でも自由に利用することができ,同センターのホームページ(http://www.jinken.or.jp/)を通じて必要な情報が取り出せる。

平成22年度に収集・登録されたものは,出版物2,157件,講演会2,376件,テレビ・ラジオ放送141件,その他の各種事業1,918件であった。

6 マスメディアの活用

(1)テレビ,ラジオ等の活用

ア 全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間に関する広報

政府広報ラジオ番組「中山秀征のJAPAN RHYTHM~ジャパリズム~」で放送(平成22年9月3日,4日,5日)

イ 第62回人権週間に関する啓発広報

(ア) 大型ビジョン放映(羽田空港フューチャービジョン等)(平成22年11月27日~12月10日)

(イ) ラジオスポットCM(平成22年12月4日~10日,全国FM放送協議会(JFN)38局)

(ウ) 政府広報ラジオ番組「中山秀征のJAPAN RHYTHM~ジャパリズム~」で「人権週間」をテーマに放送(平成22年12月3日,4日,5日)

ウ HIV感染者・ハンセン病患者等の人権に関する啓発広報

政府広報ラジオ「中山秀征のJAPAN RHYTHM~ジャパリズム~」でエイズに関する正しい知識の啓発を目的とした内容を放送(平成22年11月26日,27日,28日)

エ インターネットによる人権侵害に関する啓発

全国90箇所で,映画館におけるスクリーン広告(シネアド)を活用して,人権啓発スポット映像(インターネットによる人権侵害篇)を上映(平成22年8月7日から8月20日)

(2)新聞,雑誌等の活用

ア 「障害者雇用の促進」に関する広報

障害者雇用支援月間に関する啓発広報(平成22年8月)

イ 「公正な採用選考システムの確立」に関する公告

公正な採用選考に関する啓発広告を全国紙(5紙)及び地方紙(44紙)に掲載(平成22年5月6日ほか)

ウ 全国一斉「子どもの人権110番」強化週間に関する広報

全国一斉「子どもの人権110番」強化週間の記事を全国の新聞,地方自治体の広報誌,地域情報誌に掲載

エ 全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間に関する広報

全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間の記事を全国の新聞,地域情報誌,地方自治体の広報誌,音声広報CD「明日への声」に掲載

オ 全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間に関する広報

全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間の記事を全国の新聞,地方自治体の広報誌,地域情報誌に掲載

カ 全国中学生人権作文コンテストに関する啓発広報

全国中学生人権作文コンテストに関する啓発広報を地方紙(52紙)に掲載(平成22年11月1日~12月28日)

キ 第62回人権週間に関する啓発広報

平成22年12月3日から4日に地方紙(52紙)に啓発広告を掲載

全国版の小学生新聞(同年12月4日)・中学生新聞(同年12月5日)に啓発広告を掲載

人権週間特集記事及び啓発広告を読売新聞(同年12月5日)に掲載

ク HIV感染者・ハンセン病患者等の人権に関する啓発広報

全国版の小学生新聞(平成22年9月8日,同月19日)・中学生新聞(平成22年9月19日,同月26日)にハンセン病に関する「夏休み親と子のシンポジウム」の記事等を掲載

音声広報CD「明日への声」にストップエイズに関する内容を収録し,全国の点字図書館等へ配布(平成22年11月発行)

7 インターネットの活用

(1)法務省では,法務省のホームページ(http://www.moj.go.jp/)において,各種人権関係情報を掲載するとともに,広く国民に対して,多種多様の人権関係情報を提供している。

また,人権教育・啓発に関する情報に対して,多くの人々が容易に接し,活用することができるよう,人権啓発活動ネットワーク協議会のホームページ(http://www.moj.go.jp/jinkennet/)を開設している。

「人権教育・啓発に関する基本計画」については,法務省(http://www.moj.go.jp/JINKEN/JINKEN83/jinken83.html)及び文部科学省のホームページ(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/jinken/06082102/016.htm)に全文を掲載し,内容の周知を図っている。

また,ホームページ以外でも,インターネットを活用した周知・啓発を行っている。平成22年度は,以下の取組を実施した。

ア インターネットバナー広告等の実施

(ア) アイヌの人々に対する国民の理解を促すバナー及びテキスト広告(平成22年6月21日~27日)

(イ) ハンセン病に関する正しい知識と理解を促すとともに,ハンセン病「夏休み親と子のシンポジウム」を周知するバナー広告(平成22年8月7日~9月6日)

(ウ) 人権週間及び相談窓口の周知を目的としたバナー広告(平成22年12月1日~10日)

(エ) 北朝鮮人権侵害問題啓発週間の周知を目的としたバナー広告(平成22年11月29日~12月16日)

(オ) インターネット上における人権に関する正しい理解を深めるとともに,相談先や救済手続を案内することを目的としたバナー広告(平成22年10月~23年3月)

イ 人権啓発スポット映像の動画サイトにおける配信

腹話術師のいっこく堂氏を起用したスポット映像「気づいてください いっこくも早く」全6篇(女性,いじめ,児童虐待,高齢者,障害のある人,インターネットによる人権侵害)をYouTubeに掲載したほか,平成23年2月8日から21日までの間,Gyao!においてインターネットCMとして配信した。

ウ 政府広報オンライン等の活用

(ア) 全国一斉「子どもの人権110番」強化週間の周知を目的として,政府広報オンライン「広報資料室(月間・週間)」に記事を掲載するほか,インターネットテキスト広告を実施

(イ) 全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間の周知を目的として,政府広報オンライン「広報資料室(月間・週間)」に記事を掲載するほか,インターネットテキスト広告を実施

(ウ) 全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間の周知を目的として,政府広報オンライン「広報資料室(月間・週間)」に記事を掲載

(エ) インターネット上における人権に関する正しい理解を深めるとともに,相談先を案内することを目的としたインターネットテキスト広告及びモバイル広告を実施(平成22年8月16日~22日)

(2)厚生労働省では,厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)において,高齢者,障害のある人,HIV感染者,ハンセン病患者・元患者等に関する施策についての情報及び資料を掲載して,それぞれの施策の普及を図り,国民的理解を深めるよう努めている。

  • 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構のホームページ(http://www.jeed.or.jp/)
  • エイズ予防情報ネットのホームページ(http://api-net.jfap.or.jp/)
  • ハンセン病に関する情報ページ(http://www.mhlw.go.jp./topics/bukyoku/kenkou/hansen/index.html)

このほか,平成22年度は以下の取組を実施した。

ア 世界エイズデーに向けたキャンペーンイベント(平成22年11月29日)の模様をインターネットを通じて配信

イ 政府インターネットテレビ「徳光&木佐の知りたいニッポン!」(平成22年12月2日から掲載)でエイズに関する正しい知識の啓発を目的とした内容を放送

ウ 音声広報CD「明日の声」にストップエイズに関する内容を収録し,政府広報オンラインに掲載

(3)外務省では,外務省のホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken.html)において,世界人権宣言,主要人権条約,人権関連文書等に関する情報を提供している。

8 交通機関の活用

(1)北朝鮮人権侵害問題啓発週間に関する啓発広報

全国の法務局・地方法務局の本局所在地の主要駅を路線とするJR及び大都市圏の私鉄・地下鉄等の車内に啓発週間周知中吊り広告を掲出(平成22年12月1日から12月16日)

(2)地方公共団体へ委託して行う啓発活動(地域人権啓発活動活性化事業)

ラッピングバスの運行等,地域に密着した多種多様な人権啓発活動を実施

9 民間のアイディアの活用

法務省では,財団法人人権教育啓発推進センターに対し,啓発活動の推進に効果的な人権啓発教材の作成,人権啓発ビデオの制作,人権啓発フェスティバルにおけるシンポジウム等の開催等各種の人権啓発活動事業を委託するとともに,ポスター等の作成に当たっては,民間の制作会社の意見を採り入れるなどしている。

また,地方公共団体等を対象とする人権啓発指導者養成研修や法務局・地方法務局の人権担当者に対する研修等において,民間から各人権課題に関する専門家など講師に招き,啓発活動に関する助言等を行っている。

10 国民の積極的参加意識の醸成

(1)人権啓発フェスティバルの開催

人権啓発フェスティバルは,市民参加型の方式を取り入れつつ,各種の内容,態様の人権啓発活動を一体的・総合的に実施することにより,幅広い層の地域住民の参加を促し,効果的に人権尊重思想の普及高揚を図ることを目的として,毎年2か所において開催している。

平成22年度は,盛岡市,大阪市で開催し,両会場合わせて82,430人の参加者があった(6頁参照)。

しかしながら,人権啓発フェスティバルの啓発活動の在り方については,費用対効果の観点から,次年度以降の在り方を検討することとされている。

(2)全国中学生人権作文コンテスト

法務省の人権擁護機関では,次代を担う中学生が,人権問題についての作文を書くことによって,豊かな人権感覚を身に付けることを目的に,「全国中学生人権作文コンテスト」を実施している。平成22年度で30回目を迎え,6,311校が参加し,過去最高となる88万7,012編という多数の応募があった(5頁参照)。

多くの中学生が,人権について理解を深め,豊かな人権感覚を身に付けるよい機会となっている。

(3)「世界エイズデー」ポスターコンクールの実施

厚生労働省では,HIV/AIDSの正しい知識の普及啓発を目的として「世界エイズデー」ポスターコンクールを実施した。小学生の部37点,中学生の部30点,高校生の部63点,一般の部109点の応募があった。

最優秀作品は,世界エイズデーの普及啓発用ポスターに使用され,全国各地に掲示され,エイズについて理解を深めてもらうよい機会となっている。

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