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平成29年版人権教育・啓発白書

はじめに

 我が国においては,基本的人権の尊重を基本理念の一つとする「日本国憲法」(以下「憲法」という。)の下で,国政の全般にわたり,人権に関する諸制度の整備や諸施策の推進が図られてきた。それは,憲法のみならず,戦後,国際連合(以下「国連」という。)において作成され,現在,我が国が締結している人権諸条約等の国際準則にものっとって行われている。また,我が国では,長年にわたり,国,地方公共団体と人権擁護委員を始めとする民間のボランティアとが一体となって,地域に密着した地道な人権擁護活動を積み重ねてきた。その成果もあって,人権尊重の理念が広く国民に浸透し,基本的には人権を尊重する社会が築かれているということができる。
 一方で,人権課題の生起がやむことはなく,近年の急速な情報通信技術の進展や外国人の入国者数の増加等による情報化や国際化に加えて,晩婚化や平均寿命の伸長その他の原因による少子化や高齢化等により,我が国社会が急激な変化にさらされる中,インターネット上の人権侵害,外国人の人権問題,子どもの人権問題,障害のある人や高齢者の人権問題等が関心を集めることとなっている。このような情勢の中,近年特に社会の関心を集めていたヘイトスピーチの問題を背景として「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(平成28年法律第68号。以下「ヘイトスピーチ解消法」という。)が,また我が国固有の重大な人権問題である同和問題(部落差別)を背景として「部落差別の解消の推進に関する法律」(平成28年法律第109号。以下「部落差別解消推進法」という。)が,それぞれ平成28年中に成立し施行されている。
 法務省の人権擁護機関は,「人権侵犯事件調査処理規程」(平成16年法務省訓令第2号)に基づき,人権侵害を受けた者からの申告等を端緒に人権侵害による被害の救済に努めているところである。平成28年に法務省の人権擁護機関が新規に救済手続を開始した人権侵犯事件数は19,443件であり,対前年比で1,556件(7.4%)減少したものの,インターネット上の人権侵害情報に係る事件数が過去最高となるなど,新たな人権問題の傾向がうかがえる。
 特に,子どもの人権に関しては,文部科学省が行った平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(確定値)によれば,小・中・高等学校における,暴力行為の発生件数は5万6,806件と依然として憂慮すべき状況が見られ,また,いじめの認知件数は22万5,132件であり,いじめによる重大な被害が生じた事案も引き続き発生しているなど,教育上の大きな課題となっている。さらに,全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数も,平成27年度には10万3,286件となっており,増加の一途をたどっている。
 このような状況の下,政府では,府省庁間の連携を図りながら,国民に対する人権教育・啓発活動を更に推進している。
 学校教育においては,学校の教育活動全体を通じた人権教育の一層の充実等,人権尊重の意識を高める取組を行うとともに,社会教育においては,国や大学が実施する社会教育主事等を対象とした講習や研修を通じて,多様な人権課題に対応できる指導者の育成及び資質の向上を図っている。
 また,国民が人権について正しい認識を持ち,それらの認識が,日常生活の中での態度面,行動面等に確実に根付くことにより,人権侵害のない社会が実現されるよう,法務省の人権擁護機関が,関係府省庁や地方公共団体等と連携しつつ,様々な啓発活動等に取り組んでいる。
 一方,「平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」(平成27年法律第33号)第13条に基づき平成27年11月27日に閣議決定された「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」4⑷(2)「ユニバーサルデザイン・心のバリアフリー」において,高齢化が進展する中で,障害のある人及び高齢者にとどまらず,全ての人々の社会参加を促進し,活躍の機会を増やすため,パラリンピック競技大会の開催を通じて,誰もが安全で快適に移動できるユニバーサルデザインの考えに基づいた街づくりを推進するとともに,障害の有無等にかかわらず,誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「心のバリアフリー」を推進することにより,共生社会の実現につなげるものとされている。
 この方針を踏まえ,東京大会を契機として,全国において,「心のバリアフリー」やユニバーサルデザインの街づくりを推進し,大会以降のレガシーとして残していくため,平成28年2月に東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部の下に,ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議を設置し,様々な障害者団体等の参画を得て,共生社会の実現に向けた施策の総合的な検討を行った。そして,平成29年2月,障害者団体の出席を得て,ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議を開催し,「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を決定したところであり,今後,これらの施策を確実に実施していくこととしている。
 さらに,平成28年4月1日からは,全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)が施行されている。
 これらを契機として,障害のある人の人権,高齢者の人権を始めとする各種人権課題に,なお一層積極的に取り組んでいく必要がある。
 本書は,平成28年度において各府省庁が取り組んだ人権教育・啓発の施策を「人権教育及び人権啓発施策」として取りまとめ,国会に報告するものである。
 

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