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トップページ > 政策・施策 > 国民の基本的な権利の実現 > 人権擁護(人権相談,調査救済,人権啓発等) > 第1章 平成18年度に講じた人権教育・啓発に関する施策  第2節 人権課題に対する取組

第1章 平成18年度に講じた人権教育・啓発に関する施策  第2節 人権課題に対する取組

 女性

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
  
 「男女共同参画基本計画(第2次)」(平成17年12月閣議決定)においては,政策・方針決定過程への女性の参画の拡大は重点分野の一つとして挙げられ,「2020年までに,指導的地位に女性が占める割合が,少なくとも30%程度になるよう期待する」との目標及びその定期的なフォローアップを行う旨が明記されている。このため,男女共同参画会議は,平成19年2月,男女共同参画基本計画(第2次)における「指導的地位」の定義を定め,指標を提示してフォローアップを毎年行うことを期待するとの意見を決定した。
 国の審議会等委員への女性の参画の促進については,平成18年4月に男女共同参画推進本部が決定した目標の達成を目指している。平成18年9月30日現在の調査では,国の審議会等における女性委員の割合は31.3%,女性の専門委員等の割合は13.1%となっている。
 女性国家公務員の採用・登用等の促進については,男女共同参画基本計画(第2次)及び人事院が策定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づき,各府省庁が「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定し,取組を進めている。

  ○  男女共同参画の視点に立った様々な社会制度の見直し,広報・啓発活動の推進,法令・条約等の周知

   ・  内閣府では,男女共同参画に関する施策についての苦情の処理や人権が侵害された場合における被害者の救済に関する取組を推進するため,監視・影響調査専門調査会において,国及び都道府県,政令指定都市における苦情処理状況の調査・検討を行った。また,苦情解決に当たっての視点・方法論,苦情事例等を紹介する「苦情処理ガイドブック」を改訂し,関係機関等に配布し,行政相談委員及び人権擁護委員並びに都道府県担当者等を対象とする研修を実施した。
 そのほか,我が国の男女共同参画に関する取組を広く知らせるため,男女共同参画の総合情報誌「共同参画21」,「男女共同参画推進本部ニュース」の発行,ホームページ及び情報メール等,充実した情報を迅速に提供する体制の整備など,多様な媒体を通じた広報・啓発活動を推進している。
 また,男女共同参画に関連の深い各種の条約や,国際会議における議論等,女性の地位向上のための国際的規範や基準,取組の指針を積極的に国内に取り入れるとともに,報告会,刊行物やホームページ等を通じ,情報の広報に努めている。平成19年2月から3月に開催された「第51回国連婦人の地位委員会」に係る会議の概要等について,ホームページ掲載等により周知を図っている。
 さらに,多くの女性が夢と希望を持って様々な分野でチャレンジできるよう内閣府ホームページ「チャレンジ・サイト」において,起業,キャリアアップなど様々な分野で活躍している女性の事例を紹介するとともに,平成17年度から,女性の進出割合の低い理工系分野への女子高校生等の進路選択を支援するため,「チャレンジ・キャンペーンサイト」を開設している。

   ・  男女共同参画推進本部では,毎年6月23日から29日までの1週間を「男女共同参画週間」とし,平成18年度は,「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」の開催や,「男女共同参画社会づくり功労者表彰」及び「女性のチャレンジ賞」等の表彰を実施したほか,ポスター等の配布,政府広報を活用した広報・啓発活動を行った。

   ・  厚生労働省では,「男女雇用機会均等月間」等の機会をとらえ,女性労働者の能力発揮を促進するための企業の積極的な取組(ポジティブ・アクション)の推進を図るため,啓発活動を実施した。
 また,「女性と仕事の未来館」において,女性の能力発揮のためのセミナーや相談,働く女性のネットワークづくりのための交流等各種支援事業を実施した。

  ○  男女平等教育の推進,女性の生涯学習機会の充実
  
 文部科学省では,男女共同参画社会の形成のため,学校教育において,児童生徒の発達段階に応じて,社会科,家庭科,道徳,特別活動等を通じて,男女の平等や男女相互の理解と協力の重要性について指導を行っている。
 また,社会教育において,女性が教育・学習,地域活動など社会で能力を発揮し,多様なキャリアを形成するための支援策について実践的な調査研究を行うとともに,女性が男性と共に地域社会の方針決定過程の場へ参画するための資質能力の向上を図ることを支援するモデル事業を実施した。

  ○  雇用における男女の均等な機会と待遇の確保等のための啓発等
  
 労働者が性別により差別されることなく,かつ,母性を尊重しつつ,その能力を十分発揮することができる雇用環境の整備のため,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律等の一部を改正する法律が平成18年6月に公布された。平成19年4月からの施行に向け厚生労働省では,改正法の趣旨及び内容について,労使をはじめ社会一般の理解が深まるよう,周知・啓発に取り組んでいる。
 また,男女均等取扱いに関する女性労働者と事業主との間の紛争について,都道府県労働局長の助言,指導,勧告及び機会均等調停会議の調停により,解決の援助を行ったほか,実質的な男女均等を確保するために,男女労働者間に格差が大きい企業に対して,女性の職域の拡大,管理職への登用等に向け,積極的取組を行うよう促した。
 さらに,同業他社と比較したその企業の女性の活躍状況や取組内容についての診断を受けられるベンチマーク事業を実施した。
 加えて,男女雇用機会均等法では,職場におけるセクシュアル・ハラスメント防止について,事業主に対して雇用管理上の配慮義務を課していることから,実効あるセクシュアル・ハラスメント防止対策を講じるよう徹底を図るとともに,必要な措置を講じていない企業に対しては指導を行った。

  ○  農山漁村の女性の地位向上・方針決定への参画促進のための啓発等
  
 農林水産省では,3月10日を「農山漁村女性の日」とし,全国記念行事等を開催した。

  ○  女性に対する暴力等への適切な取組,女性の人権問題に関する適切な対応及び啓発の推進

   ・  検察当局その他の関係機関では,刑法,ストーカー規制法等の処罰規定の的確な運用に努めている。

   ・  警察では,女性警察職員が相談や被害の届出を受理する相談窓口として,女性相談交番や鉄道警察隊における女性被害相談所の整備を図ったほか,女性に対する暴力事案に従事する女性警察官等の配置の拡大を図った。
 また,地方検察庁,弁護士会,医師会,臨床心理士会,知事部局や市の担当部,県や市の相談機関等による「被害者支援連絡協議会」を全都道府県に設置し,この協議会の下,各機関・団体等の緊密な連携と協力により,被害者のニーズに対応した支援活動を推進した。
 そのほか,警察では,各都道府県警察本部に「性犯罪捜査指導官」及び「性犯罪捜査指導係」を設置し,性犯罪捜査員等として女性警察職員の指定を進めている。また,「性犯罪110番」等の相談専用電話や相談室の設置,証拠採取に必要な用具や性犯罪被害者の衣類を預かる際の着替え等をまとめた「性犯罪捜査証拠採取セット」の整備等の施策を推進している。

   ・  内閣府では,女性に対する暴力に関する広報啓発の推進のため,「女性に対する暴力根絶のためのシンボルマーク」を活用したポスター及びパンフレットを作成・配布しているほか,新聞,インターネット等の各種媒体を利用し,幅広い人々に情報が行き渡るよう努めている。

   ・  男女共同参画推進本部は,毎年11月12日から25日までの2週間を「女性に対する暴力をなくす運動」期間と定め,社会の意識啓発等女性に対する暴力の問題に関する取組を一層強化するとともに,女性の人権尊重のための意識啓発や教育の充実を図ることとしている。内閣府では,毎年運動期間中に「女性に対する暴力に関するシンポジウム」を開催しており,平成18年度は,全国各地から約400人が参加した。

  ○  配偶者からの暴力への対策の推進

   ・  配偶者暴力防止法等に基づき,関係府省,地方公共団体等は,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策を積極的に推進している。

   ・  内閣府では,全国の配偶者暴力相談支援センター等の相談員や相談員を管理する立場にある職員を対象に,相談業務の質を向上し,相談員等のバーンアウト(燃え尽き)を防止するためのセミナーを開催した。
 また,全国の配偶者暴力相談支援センター等に,配偶者からの暴力に関する専門的な知識や経験を有する者を派遣して助言や指導を行い,相談業務の充実を支援した。

   ・  警察では,配偶者暴力防止法に基づき裁判所から保護命令を発した旨の通知を受けたときは,保護命令に係る情報を関係する警察職員に周知し,被害者に防犯上の留意事項を教示するなど,事案に応じて必要な措置を講じるとともに,保護命令違反を認めた場合には厳正に対処している。
 また,「配偶者からの暴力による被害を自ら防止するための警察本部長等による援助に関する規則」を制定し,被害者から援助の申出を受けた場合には,必要な援助を実施している。

   ・  厚生労働省では,婦人相談所等において,被害者の心のケア,関係機関との調整を行うためのネットワークの整備等を実施してきたところであるが,平成18年度から新たに母子生活支援施設に配置されている心理療法担当職員の常勤化を図ることにより,被害者の保護,自立支援等,援助体制の一層の充実を図っている。

  ○  女性の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
  
 法務省の人権擁護機関では,専用相談電話「女性の人権ホットライン」を全国の法務局・地方法務局の本局に設置して相談体制の一層の強化を図っている。

  ○  女性の人権擁護にかかわる国際協力
  
 我が国は,国連婦人開発基金(UNIFEM)に対し,平成18年度においては7,843万円を拠出したほか,国連開発計画(UNDP)の下の「パートナーシップ基金」に2億9,478万7,000円を拠出し,国際的取組に協力している。

 子ども

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  学校教育及び社会教育における人権教育の推進
  
 文部科学省では,学校,家庭,地域社会が一体となって教育上の総合的な取組を推進する「人権教育総合推進地域事業」,学校における人権教育について実践的な研究を委嘱する「人権教育研究指定校事業」,人権教育に関する事業等の実践・成果を踏まえ,学校における人権教育に関する指導方法の在り方等について調査研究を行う「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」等を実施し,人権教育の推進に努めている。
 また,学習指導要領等を踏まえた指導方法の望ましい在り方等について調査研究を行う「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」を実施しているところ,平成16年6月に「人権教育の指導方法等の在り方について(第1次とりまとめ)」を,平成18年1月に「同(第2次とりまとめ)」を作成した。
 さらに,平成16年度から,社会教育における人権教育を一層推進するため,人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行うとともに,その成果の普及を図る「人権教育推進のための調査研究事業」を実施している。

  ○  道徳教育の推進
  
 文部科学省では,道徳教育の一層の充実を図るため,子どもたちが身に付ける道徳の内容を分かりやすく表し,道徳的価値について,自ら考えるきっかけとし,理解を深めていくことができる教材として「心のノート」を作成し,すべての小・中学生に配布するとともに,各学校において,「心のノート」が積極的に活用されるよう,教師用指導の手引き等を教職員に配布している。
 また,幼児期における教育は,人間形成の基礎を培う重要な役割を果たすことから,幼稚園が,道徳性の芽生えを培うことを目標の一つとして掲げ,その充実を図っていくための実践的な研究を進めている。

  ○  いじめ・暴力行為・不登校等の問題への対応
  
 文部科学省では,いじめが原因と考えられる児童生徒の自殺の問題が深刻化している状況を踏まえ,平成18年10月19日に各都道府県・指定都市教育委員会の担当課長を集めた緊急会議を開催し,「いじめはどの子どもにもどの学校でも起こり得るものである」ことを十分認識すること,いじめが生じた際には,いじめの兆候をいち早く把握して,迅速に対応する必要があること,いじめの問題を隠さず,学校・教育委員会と家庭・地域が連携して対処していくべきこと等について指導を行うとともに,同日付けで通知を発出し,その徹底を求めた。
 また,平成18年11月には,子どもたちと大人社会一般に向けた「文部科学大臣からのお願い」を発表し,子どもたちに「1人で苦しまず,いじめられていることを話す勇気をもってほしい」,大人社会一般に対しては「毎日少しでも言葉をかけ,子どもと対話してほしい」などの呼び掛けを行った。
 さらに,平成18年10月には,省内に「子どもを守り育てる体制づくり推進本部(本部長:池坊保子副大臣)」を設置し,一連の事件から浮かび上がる課題や今後の対応方針について検討するとともに,平成18年11月以降,子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議を開催し,平成19年2月には提言を発表した。
 このほか,国立教育政策研究所と協力し,「いじめ問題に関する取組事例集」を作成した。
 児童生徒のいじめなどの問題に適切に対処するため,「心の専門家」である臨床心理士などをスクールカウンセラーとして配置するとともに,児童が悩み等を気軽に相談できる相手として,公立小学校に教職経験者や民生・児童委員など地域の人材を「子どもと親の相談員」として配置し,平成17年度からは,小学校における生徒指導体制の充実と関係機関との連携強化を図るため「生徒指導推進協力員」を配置している。
 暴力行為等の問題行動については,学校と関係機関等が連携して適切に対応するためのサポートチームの取組を進めるため,「問題行動に対する地域における行動連携推進事業」を実施し,サポートチームの取組の一層の充実を図っている。
 不登校については,公的施設と民間施設やNPO等との連携協力や,関係者による早期の適切な対応が重要であることから,教育支援センター等を中心とした地域ネットワーク整備のための実践的な研究を行う「スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)」,実績のあるNPO等に対し不登校児童生徒の実態に応じた効果的な学習カリキュラム等の開発を委託する「不登校への対応におけるNPO等の活用に関する実践研究事業」を実施している。

  ○  家庭教育に対する支援の充実
  
 文部科学省では,子育てのヒント集である「家庭教育手帳」を作成・配布するとともに,行政と子育て支援団体等が連携して子育て講座の開設等を行う「家庭教育支援総合推進事業」や,携帯電話やパソコンを活用した子育て相談や情報提供などを行う「ITを活用した次世代型家庭教育支援手法開発事業」を実施した。また,新たに子どもの望ましい基本的生活習慣を育成するため,「子どもの生活リズム向上プロジェクト」として生活リズム向上に関する普及啓発活動や先進的な実践活動等の調査研究,全国フォーラムを行った。さらに,「早寝早起き朝ごはん」国民運動を展開し,地域ぐるみで生活リズムの向上を推進している。

  ○  児童虐待等子どもの健全育成上重大な問題に対する取組

   ・  検察当局その他の関係機関では,刑法の処罰規定の的確な運用に努めている。

   ・  児童虐待の問題については,発生予防に関して育児支援家庭訪問事業等の推進,早期発見・早期対応に関して児童相談所が夜間休日を問わず,いつでも相談に応じられる体制(24時間・365日体制)の整備や地域の関係機関が適切な連携の下で対応していくための市町村における要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)の設置促進,保護・自立支援に関して総合的な家族調整を担う家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)の配置など虐待を受けた子どもへの心理療法を担当する職員の質的・量的充実など様々な施策を推進してきた。

   ・  児童虐待防止法については,児童虐待の定義の見直し,児童虐待に係る通告義務の拡大等を内容とする児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(改正児童虐待防止法)が,平成16年4月に成立し,また,児童福祉法については,児童相談に関する体制の充実,要保護児童に関する司法関与の見直し等を内容とする児童福祉法の一部を改正する法律(改正児童福祉法)が,平成16年11月に成立し,制度的な充実が図られた。

   ・  児童虐待による死亡事例等の検証は,事件の再発防止と対策を構築する上での課題を抽出するために重要な意義を持つことから,平成16年10月に社会保障審議会児童部会の下に「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」を設置して,全国の事例を専門的かつ多角的な角度から分析・検証を行うこととし,その検証結果の第1次報告を平成17年4月に,第2次報告を平成18年3月に取りまとめた。

   ・  文部科学省では,都道府県等を通じて,学校教育関係者や社会教育関係者に対して,児童虐待の防止に向けた取組の推進に関する通知を発出するとともに,各種会議等を通じて早期発見努力義務及び通告義務等について周知の徹底を図っている。
 また,平成16年の児童虐待防止法の改正を受け,国内・諸外国の先進的取組等を新たに収集・分析することなどにより,各学校・教育委員会における児童虐待防止に向けた取組の充実を図る「学校等における児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究」を平成17年度から実施している。

   ・  警察では,児童相談所等の関係機関との適切な連携と役割分担の下で,少年サポートセンターを中心に,児童虐待の被害を受けた児童に対する支援体制の充実を図っており,児童に対するカウンセリング,保護者に対する助言・指導,訪問活動による家庭環境の改善等の支援を実施している。

   ・  関係機関等の幅広い協力体制を構築するため,国レベルにおいては,関係する府省庁及び関係団体等から構成する「児童虐待防止対策協議会」を設置しているほか,児童福祉法の改正により,地方公共団体に要保護児童の状況把握や情報交換のための要保護児童対策地域協議会を設置できることが法定化された。
 このほか,「子どもの虹情報研修センター」では,児童相談所等関係機関の職員を対象とした研修,専門情報の収集・提供などを行っている。

  ○  少年に対する犯罪の取締り,被害少年への適切な対応

   ・  少年の福祉を害する犯罪については,児童買春・児童ポルノ禁止法とともに刑法,児童福祉法,児童虐待防止法等を的確に運用している。

   ・  警察では,被害少年の保護については,少年補導職員等の専門的知識を有する者が配置されている少年サポートセンターが中心となって個々の被害少年の特性を踏まえたカウンセリングや保護者に対する助言・指導等のきめ細かな継続的支援を行っている。
 また,第一線における被害者支援を充実したものとするため「指定被害者支援要員制度」を各都道府県の実情に応じて運用しており,被害少年に対しても本制度による取扱いをしている。

  ○  子どもの人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
  
 法務省の人権擁護機関では,専用相談電話「子どもの人権110番」を設置し,子どもが相談しやすい体制をとっている。とりわけ,平成18年度からは,平成18年8月28日から9月3日までを全国一斉「子どもの人権110番」強化週間として相談時間を拡大するとともに,平成18年10月23日から同月29日までを「『いじめ』問題相談強化週間」とし,子どもたちや保護者等から多くの相談に応じた。また,「子どもの人権SOSミニレター」を配布し,手紙により子どもたちの発信する危険信号をいち早く受け止める事業を実施した。さらに,平成18年度補正予算事業として,インターネットによる人権相談受付システムの導入,「子どもの人権110番」のフリーダイヤル化,「子どもの人権SOSミニレター」の拡大配布など,子どもたちがより相談しやすい体制を確立した。これらの相談については,子どもの人権にかかわる問題を専門に扱う「子どもの人権専門委員」をはじめとする人権擁護委員が中心となり応じている。

  ○  学校における危機管理と安全対策
  
 文部科学省では,平成14年度から,学校安全の充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を実施している。
 また,平成17年度末に下校中の児童が殺害されるという事件が連続して発生したことを受け,「犯罪から子どもを守るための対策」(平成17年12月)を取りまとめたほか,平成18年6月には,子どもを非行や犯罪被害から守るための対策に関する関係省庁プロジェクトチームにおいて「子ども安全・安心加速化プラン」を取りまとめるなど,政府全体として子どもの安全確保に取り組んでいる。
 これらも踏まえ,各学校を巡回し警備のポイントや改善すべき点等を指導するスクールガード・リーダーの全国展開を図るとともに,子ども自身が自ら危険を予測し危険を回避する能力を身に付けることができるよう防犯教室の開催支援などを行った。

  ○  教職員の資質向上等
  
 教職員の資質能力については,養成・採用・研修の各段階を通じてその向上を図っている。全新任教員を対象として,各都道府県教育委員会等で実施している採用後1年間の初任者研修等においては,人権教育に関する研修を扱うなど,人権尊重意識を高めるための取組が行われている。
 また,各都道府県教育委員会においては教職経験に応じた研修等において,人権教育に関する研修を実施している。
 さらに,初任者研修等においては,人権尊重の理念について十分な認識を持ち,子どもへの愛情や教育への使命感,教科等の実践的な指導力を身に付けさせるために,社会体験研修等の体験研修も実施している。

 高齢者

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  高齢者福祉に関する普及・啓発
  
 「みんなで築こう活力ある長寿社会」を標語とする「平成18年『老人の日・老人週間』キャンペーン要綱」を内閣府のほか,全国社会福祉協議会など9団体と共に定め,その取組を支援した。

  ○  学校教育における高齢者・福祉に関する教育の推進
  
 文部科学省では,学校教育において,高齢者との交流やボランティア活動等を推進し,高齢者等への理解や福祉の重要性について指導している。

  ○  高齢者の学習機会の促進,世代間交流の機会の充実

   ・  高齢社会対策大綱においては,生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ,その成果が適切に評価される生涯学習社会の形成を目指すこととしている。

   ・  文部科学省では,「人権教育推進のための調査研究事業」により,高齢者を対象とした学級・講座等を開設する地方公共団体を支援しており,平成18年度は,12府県,27市区町でこの事業を活用した。

   ・  内閣府では,高齢者の社会参加や世代間交流を促進するため,愛知県において「心豊かな長寿社会を考える国民の集い」を開催するなどの事業を実施した。

  ○  ボランティア活動など,高齢者の社会参加の促進

   ・  内閣府では,「心豊かな長寿社会を考える国民の集い」等を通じて,社会参加活動等の事例を広く国民に紹介する事業を実施し,また,平成18年7月には,高齢社会の構成員それぞれが果たすべき役割等の追求を目的として高齢社会研究セミナーを開催した。

   ・  農林水産省では,高齢化が急速に進行している農山漁村において,高齢者が農業生産活動,地域社会活動等において生きがいを持って活動できるよう環境づくりを進めるとともに,安心して住み続けられるよう支援している。

  ○  高齢者の雇用・多様な就業機会確保のための啓発活動
  
 平成16年12月,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律が施行され,労働者の募集・採用に当たって,事業主が65歳未満の上限年齢を設定する場合に,その理由の明示が義務付けられた。厚生労働省では,官民の職業紹介機関の窓口の活用,地域の経済団体への働きかけ等により,その積極的な周知・広報を図り理解の徹底に努めた。

  ○  高齢者虐待等に対する取組
  
 平成17年11月に成立した,高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律が,平成18年4月1日から施行され,同法の規定に基づき,住民に最も身近な市町村や都道府県において,家庭内及び施設で虐待を受けた高齢者に対する保護,養護者に対する支援のための措置等が講じられている。

 障害のある人

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  共生社会を実現するための啓発・広報活動
  
 障害の有無にかかわらず,国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の理念の普及を図るため,毎年12月3日から12月9日までの「障害者週間」を中心に,全国で,官民にわたって多彩な行事を集中的に開催するなど,積極的な啓発・広報活動を行っている。
 内閣府では,「心の輪を広げる障害者理解促進事業」として,「心の輪を広げる体験作文」,「障害者週間のポスター」の募集・表彰事業を実施するとともに,障害者週間行事の充実を図り,東京,大阪において,共生社会の実現に向けた今後の課題と方策について考えるシンポジウムや障害のある人に関する様々なテーマについて,「障害者週間連続セミナー」が開催された。
 また,今回から,障害のある音楽活動家によるバリアフリーコンサートを実施するなど,積極的な広報・啓発活動を実施した。

  ○  盲・ろう・養護学校(注1)等における教育の充実及び障害のある人に対する理解を深める教育の推進
  
 文部科学省では,学校教育において,障害のある児童生徒の自立と社会参加を目指し,盲・聾・養護学校や特殊学級(注2)等における教育の充実を図るとともに,障害のある人に対する理解を深める教育の充実に努めている。
 障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して必要な教育的支援を行うため,文部科学省では,平成15年3月に有識者からなる会議において取りまとめられた「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」を受けて,発達障害を含め,障害のある児童生徒等に対する関係機関と連携した総合的な教育支援体制の整備を図るための「特別支援教育体制推進事業」等の施策を,厚生労働省とも連携しつつ推進している。
 さらに,平成17年12月に中央教育審議会により取りまとめられた「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」における提言等を踏まえ文部科学省において必要な制度の見直しについての検討が進められ,平成18年6月に学校教育法等の一部を改正する法律が成立した(新制度は平成19年4月から施行)。この改正法は,現在の盲・聾・養護学校の制度を,複数の障害種別を受け入れることができる特別支援学校の制度に転換することや,小・中学校等においても特別支援教育を推進することを法律上明確に規定すること等を主な内容とするものである。また,これらの制度改正と併せて,平成18年度においては,公立小・中学校の教員定数について,LD(学習障害)・ADHD(注意欠陥/多動性障害)の児童生徒への通級指導が可能となるよう定数改善を図った。
 これに加え,小・中学校等や地域における交流及び共同学習を実施しているほか,小・中学校の教職員等のための指導要領の作成・提供,並びに学校教育関係者及び保護者等に関する啓発活動を実施しているところである。
  注1:平成19年4月より特別支援学校
  注2:平成19年4月より特別支援学級

  ○  障害のある人の雇用の促進,障害のある人の職業能力の向上等
  
 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構では,9月を障害者雇用支援月間として設定し,障害者ワークフェアの開催,ポスターや新聞等による啓発活動を行うことにより,国民とりわけ事業主に対して障害者雇用に関する理解を促した。
 また,障害のある人が技能労働者として社会に参加する自信と誇りを持つことができるよう,その職業能力の向上を図るとともに,広く障害のある人の職業能力に対する社会の理解等を深め,その雇用の促進を図ることを目的に,平成18年10月27日から3日間,香川県高松市において「第29 回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)」が開催された。

  ○  精神障害者に対する偏見・差別の是正のための啓発活動
  
 平成18年10月23日から同月29日までの間,「活かそう!人の『福祉力ちから』地域の『福祉力ちから』~誰もが ありのままに・その人らしく地域で暮らすために~」をメインテーマに,地域社会における精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的として,第54回精神保健福祉普及運動が実施された。
 厚生労働省では,期間中の10月24日に,第54回精神保健福祉全国大会を開催した。
 また,厚生労働省では,平成14年に厚生労働大臣を本部長として「精神保健福祉対策本部」を設置し,同本部は,平成15年5月に今後厚生労働省として取り組むべき施策の方向性について,普及啓発(精神疾患及び精神障害者に対する理解の促進)等を柱とする中間報告を取りまとめた。これを受け「心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」において,施策の具体的方向性について議論が進められ,平成16年3月,国民各層が精神疾患を正しく理解し,新しい一歩を踏み出すための指針「こころのバリアフリー宣言」及び指針の内容を踏まえた社会の各主体別取組の方向性が取りまとめられた。現在,普及啓発の取組が国民的な運動となるよう広く呼びかけるとともに,精神保健福祉普及運動を中心として広く情報発信を行っている。

  ○  障害のある人の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
  
 法務省の人権擁護機関では,常設の人権相談所において相談を受けるとともに,人権相談などで,障害のある人に対する差別,虐待等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行い,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な処置を講じている。
 なお,平成18年度においては,私立中学校を経営する学校法人が,身体障害を有する者に対し,若干の介助をすれば通学が可能であるにもかかわらず,入学許可の数日後に,日常生活に与える影響及び障害の医学的評価・程度等を何ら把握・検討することなく,就学不可能と速断し,当該障害者に対し入学を辞退するよう働きかけるなど入学を拒否する不当な差別的取扱いをしたとして,宮崎地方法務局長が当該学校法人に対し,勧告を行ったものがある。

  ○  発達障害者への支援
  
 平成17年4月から発達障害者支援法が施行されたことに伴い,厚生労働省では「発達障害者支援センター運営事業」及び「発達障害者支援体制整備事業」を実施し,地域住民や関係機関等の理解を促進している。
 文部科学省では,平成15年度から,発達障害のある児童生徒等に対する教育的対応について,関係機関と連携した総合的な支援体制の整備を図るための事業を全都道府県に委嘱して実施している。また,平成17年度は,発達障害者支援法の施行も踏まえ,乳幼児期から就労に至るまでの一貫した支援体制の整備をより一層充実させるため,同事業の対象を幼稚園及び高等学校にも拡大して推進している。
 さらに,平成17年12月の中央教育審議会の答申を踏まえ,小・中学校の通常の学級に在籍するLD・ADHDの児童生徒に対する教育的支援を適切に行うため,学校教育法施行規則の一部改正を行い,平成18年4月から新たにLD・ADHDの児童生徒を通級による指導の対象とした。

 同和問題

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  学校教育・社会教育を通じた同和問題の解決に向けた取組
  
 文部科学省では,「人権教育総合推進地域事業」,「人権教育研究指定校事業」を実施している。
 そのほか,社会教育では,「人権教育推進のための調査研究事業」を実施した。

  ○  公正な採用選考システムの確立
  
 厚生労働省の職業安定機関では,企業の採用選考に当たって,人権に配慮し,応募者の適性・能力のみによって採否を決める公正な採用選考システムの確立が図られるよう,雇用主に対して啓発に取り組んだ。

  ○  小規模事業者の産業にかかわりの深い業種等に対する啓発事業
  
 経済産業省では,産業界・経済界向けに,企業の社会的責任の観点から企業活動における様々な人権問題等に関する講演会やシンポジウムを全国で開催し,経済界の役職員等の人権意識の涵養を図った。

  ○  隣保館における活動の推進
  
 隣保館においては,生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を実施しており,厚生労働省ではこうした事業に対し支援を行った。

  ○  えせ同和行為の排除に向けた取組
  
 全省庁の参加する「えせ同和行為対策中央連絡協議会」を設置し,政府一体となってえせ同和行為の排除の取組を行っている。
 また,地方においても全国50の法務局・地方法務局を事務局として組織されている「えせ同和行為対策関係機関連絡会」に,国の機関,地方自治体等が参加し,随時,情報交換のための会議を開くなど,様々な取組を展開してきている。

  ○  同和問題をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
  
 法務省の人権擁護機関では,同和問題をめぐる人権侵害事案に対し,人権相談及び人権侵犯事件の調査・処理を通じ,その被害救済を図っており,特に,結婚差別,差別発言などの差別事件を人権擁護上看過できない事象としてとらえ,行為者等に対して人権尊重の意識を啓発することによって,自発的・自主的に人権侵害の事態を改善させ,あるいは,将来再びそのような事態が発生しないよう注意を喚起している。

 アイヌの人々

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  アイヌ文化の振興,アイヌの伝統及び文化に関する普及啓発
  
 アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律に基づき,(財)アイヌ文化振興・研究推進機構が行う事業に対して助成等を行った。

  ○  各高等教育機関等におけるアイヌ語等に関する取組への配慮
  
 北海道の大学を中心に,アイヌに関する授業科目が開設されるなど,アイヌに関する教育・研究が行われている。

  ○  生活館における活動の推進
  
 生活館においては,地域住民に対し,生活上の各種相談をはじめ,アイヌの人々に対する理解を深めるための広報・啓発活動等を総合的に実施しており,厚生労働省では,こうした事業に対し支援を行った。

 外国人

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  外国人に対する偏見・差別を解消し,国際化時代にふさわしい人権意識の育成を目指した啓発活動
  
 法務省の人権擁護機関では,「外国人の人権を尊重しよう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

  ○  学校教育における国際理解教育等の推進
  
 文部科学省では,平成18年度から,「国際教育推進プラン」を実施し,学校が大学や特定非営利活動法人等と協力して地域の特色をいかした先進的な取組について実践研究を行っている。
 また,国際理解教育を推進するために,外国人児童生徒に対しては,日本語指導等に対応するための教職員の加配を行うとともに,日本語の初期指導から教科学習につながる段階の「学校教育におけるJSLカリキュラム(第二言語としての日本語指導法)」について,小学校編は平成15年7月に,中学校編は平成19年3月に取りまとめた。
 さらに,英語教育においては,平成15年3月に策定した「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」に基づき,英語の授業の改善や英語教員の指導力向上などの関連施策を展開している。また,英語以外の外国語教育についても,平成14年度から,高等学校における外国語教育の多様化・弾力化を図る趣旨から「高等学校における外国語教育多様化推進地域事業」を実施しているところである。

  ○  外国人の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
  
 法務省の人権擁護機関では,英語や中国語等の通訳を配置した「外国人のための人権相談所」を東京,大阪等の法務局に開設している。

 エイズウイルス(HIV)感染者・ハンセン病患者等

(1) HIV感染者等

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  エイズ患者及びHIV感染者に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動
  
 厚生労働省では,12月1日の「世界エイズデー」に向けてキャンペーンイベントを実施したほか,夏休みのスタートに合わせて,特に青少年を対象としたイベントを実施した。また,エイズに関する電話相談事業の実施等,HIV/AIDSに対する正しい知識の普及啓発活動に努めている。

  ○  学校教育におけるエイズ教育等の推進
  
 文部科学省では,学校教育において,エイズ患者やHIV感染者に対する偏見や差別をなくすための教材作成や教職員の研修を推進した。

(2) ハンセン病患者・元患者等

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  ハンセン病患者等に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動

   ・  厚生労働省では,毎年6月下旬に「ハンセン病を正しく理解する週間」を,都道府県,(社福)ふれあい福祉協会と実施している。平成18年度は,6月25日から7月1日を当該週間としてハンセン病の正しい理解を促進し,偏見・差別の解消に努めたところである。
 また,ハンセン病に対する正しい知識の普及のため,政府広報(テレビ)の実施など,様々な広報媒体を用いて,普及啓発活動を行った。
 さらに,平成18年6月には,全国の中学生に対し,ハンセン病を正しく理解するためのパンフレット「わたしたちにできること」を配布し,平成18年11月には福岡,平成19年1月には宮城において法務省等と連携し,ハンセン病問題に対する正しい知識の普及・啓発を目的としたシンポジウムを実施したところである。

   ・  法務省及び人権擁護委員連合会では,平成18年7月に中学生等をパネリストとした,ハンセン病に関する「夏休み親と子のシンポジウム」を青森で開催するとともに,全国版の小学生新聞・中学生新聞に啓発広告を掲載した。
 また,法務省では,テレビ特別番組「望郷の窓-やまいと差別の真実-」(ドキュメンタリードラマ)を制作し,全国36放送局で順次放送した上で,同番組をビデオ・DVD化し法務局に配布した。また,平成17年度に制作したドキュメンタリービデオ「未来への道標みちしるべ」及びアニメーションビデオ「未来への虹」をシンポジウムや研修会等で上映したほか,貸出しも行っている。

 刑を終えて出所した人

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  法務省では,第56回"社会を明るくする運動"を実施する中で,刑を終えて出所した人に対する偏見・差別を除去し,これらの人の社会復帰に資するための啓発活動を実施した。

10  犯罪被害者等

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  犯罪被害者等のための施策の総合的な取組
  
 平成17年4月,犯罪被害者等基本法が施行され,同月,基本法に基づき,内閣官房長官を会長とする犯罪被害者等施策推進会議が内閣府に設置された。また,同年12月27日,政府は,犯罪被害者等のための施策の大綱等を定めた「犯罪被害者等基本計画」を閣議決定した。
 基本計画策定後の平成18年4月,同推進会議における基本計画の効果的な推進,並びに犯罪被害者等のための施策の実施状況の検証,評価及び監視を補佐するため,推進会議の下に,基本計画推進専門委員等会議が設置された。現在,同基本計画に基づき,犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進している。

  ○  犯罪被害者等の権利保護等に関する取組

   ・  検察では,現行法によって与えられた権限を適切に行使して事案の真相を解明する中で,犯罪被害者やその親族等の苦痛,悲嘆や怒りに十分耳を傾けて適正な事件処理を行うとともに,公判においても,被害者感情を含む事案の全ぼうについて効果的な立証活動を行うことに努めてきた。
 また,全国の検察庁において,犯罪被害者等に事件の処理結果等に関する情報を提供する被害者等通知制度を実施しているほか,犯罪被害者やその親族に受刑者の出所情報を通知する制度及び犯罪被害者が同じ犯人から再び被害を受けることを防止し,その保護を図るため,受刑者の釈放予定に関する情報の通知制度をそれぞれ実施している。
 さらに,犯罪被害者の方々からの様々な相談への対応などの支援活動を行う「被害者支援員」を全国の地方検察庁に配置するとともに,検察庁へ気軽に相談や問い合わせを行えるように専用電話として「被害者ホットライン」を設けるなどしている。

   ・  警察では,犯罪被害者等と密接な関係を有しており,被害の回復軽減,再発防止等について犯罪被害者等から大きな期待を寄せられていることから,指定被害者支援要員制度やカウンセリング体制の整備,犯罪被害者等に対する情報提供等の犯罪被害者等の視点に立った各種施策を推進している。
 また,犯罪被害者等が同じ加害者から再び危害を受けることを防止するため,再被害防止要綱を制定し,法務関係機関との連携強化等の再被害防止のための施策を強化している。

  ○  犯罪被害者等の人権に関する啓発・広報

   ・  内閣府では,今回が初年度となる「犯罪被害者週間」(11月25日~12月1日)において,国民が犯罪等による被害について考える機会として,内閣府主催の「犯罪被害者週間」国民のつどい中央大会を開催するとともに,秋田県,神奈川県,大阪府の3府県で内閣府・地方公共団体共催の地方大会を開催した。国民のつどいでは,犯罪被害者等に係るテーマについて議論し,併せて,犯罪被害者週間と国民のつどいの普及・広報のためのポスターの作成や政府広報を利用した広報を行った。

   ・  法務省では,犯罪被害者保護のための制度を広く国民に紹介し,その周知を図るために「犯罪被害者の方々へ」と題するパンフレットを作成し,全国の検察庁及び各都道府県警察等において犯罪被害者等に配布している。また,刑事手続の流れや被害者等通知制度等を紹介する広報ビデオ「被害者とともに」を全国の検察庁に配布し,国民に対する説明に利用している。

   ・  警察庁では,パンフレット「警察による犯罪被害者支援」,「犯罪被害給付制度のご案内」,啓発ビデオ「あなたの勇気を支援します-犯罪被害者支援のために-」等を作成し,様々な機会に活用するとともに,犯罪被害者対策広報用ホームぺージ(日本語版,英語版)の開設や,警察庁広報重点として「被害者相談窓口の積極的な利用,地域社会における被害者支援活動への積極的参加促進と犯罪被害給付制度の周知徹底」を設定するなど,広報・啓発を実施した。

   ・  被害者支援活動を一層充実させることを目的に民間被害者支援団体により構築された「特定非営利活動法人全国被害者支援ネットワーク」加盟団体は,警察等の関係機関との連携を図りながら,被害者支援に関する広報啓発,電話相談,面接相談,ボランティア相談員の養成及び研修等の活動を行っている。

11  インターネットによる人権侵害

 【 平成18年度に講じた施策】

  ○  個人のプライバシーや名誉に関する正しい知識を深めるための啓発活動
  
 法務省の人権擁護機関では,平成14年度から「インターネットを悪用した人権侵害は止めよう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

  ○  インターネットをめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

   ・  総務省では,プロバイダ責任制限法の運用に努めてきたところ,平成18年度は, 「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」において,インターネット上の他人の権利侵害を含む違法・有害情報に対する自主的対応及びこれを効果的に支援する方策等について引き続き検討を行い,平成18年8月に最終報告書を公表した。これを受け,電気通信事業者団体において,「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」を策定し,同年11月に公表した。

   ・  法務省の人権擁護機関による削除要請について明文で規定した「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」を活用して,当該情報の削除をプロバイダ等に求めるとともに,ガイドラインの対象ではない差別助長行為についても,適宜な方法で削除を求めるなど,適切な対応に努めている。
 なお,18年度は,少年の刑事事件の犯人のものとされる写真,実名等がインターネット上のウェブページに掲載された事実に対し,奈良地方法務局長がプロバイダ等に削除依頼を行った。

  ○  教育の情報化
  
 文部科学省では,初等中等教育において,学習指導要領に基づき,発達段階に応じた体系的な情報教育を行うことにより,高度情報通信ネットワーク社会に生きるために必要な資質である情報活用能力の育成を図っており,この中で情報モラルを育成することとしている。

12  北朝鮮当局によって拉致された被害者等

  ○  背景
  
 平成14年9月17日の日朝首脳会談で,北朝鮮側は,長年否定していた日本人の拉致を初めて認め,謝罪し,再発防止を約束した。
 その結果,北朝鮮当局によって拉致された被害者のうち5人については,同年10月15日に24年振りの帰国が実現した。また,平成16年5月22日には,小泉内閣総理大臣(当時)が再訪朝し,さらに,拉致被害者の家族5人の帰国も実現した。しかしながら,その他の被害者については,いまだ北朝鮮当局から納得のいく情報は提供されておらず,安否不明のままである。
 平成16年5月の日朝首脳会談において,金正日国防委員長は,安否不明の拉致被害者に関し,「白紙」に戻して直ちに本格的かつ徹底した再調査を行う旨約束があったことを受け,同年8月,9月及び11月の3回にわたって日朝実務者協議が開催された。同協議において,我が国は,北朝鮮側から一定の情報及び物証の提供を受けたものの,DNA鑑定の結果,横田めぐみさんの「遺骨」とされるものの一部から別人のDNAが検出されるなど,これらの情報及び物証は,安否不明の拉致被害者に関する北朝鮮側の主張(8名死亡,2名未入境)を客観的に裏付けるものではなく,我が国として北朝鮮側の説明は全く受け入れられるものではなかった。
 その後,平成18年2月4日から同月8日にかけて,北京で行われた日朝包括並行協議や平成19年3月7日及び8日にベトナムで行われた「日朝国交正常化のための作業部会」第1回会合において,北朝鮮側に対し,(1)拉致被害者の帰国,(2)真相究明,(3)拉致被疑者の引き渡し等を要求したが,誠意ある対応は示されず,具体的進展は得られていない。
 政府としては,早期の問題解決のため,「対話と圧力」の基本的考え方の下,引き続き粘り強い外交努力を継続しているところであり,また,拉致被害者と認定されている17名以外にも,北朝鮮による拉致の可能性が排除できない人が存在しているとの認識に基づき,「特定失踪者」問題等も含め,広く国内外で北朝鮮による日本人拉致問題について情報収集を行っている。

  ○  国内における取組
  
 日本政府としては,いまだ安否が確認されていない被害者等に関する安否情報の収集,被害者家族への関連情報の提供,家族からの相談への対応等のほか,平成15年1月1日に施行された拉致被害者等支援法及び政府の総合的支援策に基づき,帰国した拉致被害者等に拉致被害者等給付金を支給するとともに,関係地方自治体と連携・協力して社会適応等に関する指導・生活相談,地域交流事業,社会体験研修等の「帰国被害者等自立・社会適応促進事業」の実施に取り組んできた。
 また,平成18年9月の安倍新政権の発足に伴い,同月29日,拉致問題対策本部が設置されるとともに,専任の事務局も整備された。同本部は同年10月16日に第1回会合を開催し,「拉致問題における今後の対応方針」を決定した。また,同本部で設置された関係省庁対策会議の第1回会合が同年11月7日に開催され,今後の重点分野が特定されるとともに,広報分科会,法執行分科会及び情報分科会が設置された。
 拉致問題に関する広報・啓発については,同年6月23日に施行された,拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律に定められており,特に,同法は12月10日から16日を北朝鮮人権侵害問題啓発週間と定められた。平成18年度においては,同本部,法務省及び外務省が連携し,「拉致問題を考える国民の集い」を開催するとともに,関係省庁,地方公共団体においても,ポスターの掲出,チラシ等の配布,メディアによる周知・広報等,同週間にふさわしい活動等に取り組んだ。
 警察では,平成14年10月以来,10件15人を北朝鮮による日本人拉致容疑事案と判断してきたところであったが,これ以外にも拉致の可能性を排除できない事案があるとの認識の下,所要の捜査や調査を進めてきた結果,平成17年4月には昭和53年6月に兵庫県で失踪した田中実さんの事案を,平成18年11月には昭和52年に鳥取県で失踪した松本京子さんの事案をそれぞれ新たに拉致容疑事案と判断し,その旨を公表した。また,平成18年4月には,昭和55年6月に発生した原敕晁ただあきさん拉致容疑事案に関して,実行犯である辛光洙シン・グァンス及び金吉旭キム・キルウクの逮捕状の発付を得たほか,平成18年11月には,曽我さんの母娘拉致容疑事案の実行犯として,通称キム・ミョンスクを特定し,逮捕状の発付を得た。さらに,平成19年2月に蓮池さん夫妻拉致容疑事案の実行犯である通称チェ・スンチョルの共犯者として,新たに自称韓明一こと通称ハン・クムニョン及び通称キム・ナムジンを特定し,逮捕状の発付を得て,それぞれ国際手配を行った。これにより,拉致に関与したとして逮捕状の発付を得て国際手配を行っている容疑者は,平成19年3月現在,8人に上る。
 こうした警察の判断を受け,政府は平成18年11月20日に松本京子さんを拉致被害者として認定した。

  ○  国際場裡における取組
  
 日本政府は,国連をはじめとする多国間の国際場裡においてもこの問題を取り上げており,平成15年以降,3年連続で国連人権委員会において,我が国が共同提案国となった「北朝鮮の人権状況」決議が採択された。この決議は,平成17年以降は国連総会本会議において採択されている。一連の決議は,外国人拉致問題を含む北朝鮮の人権状況に深刻な懸念を表明するとともに,北朝鮮に対し,拉致問題の早期解決を含む人権状況の改善及び国連の北朝鮮人権状況特別報告者への協力等を要請している。また,我が国の働きかけにより,国連安全保障理事会で採択された決議第1718号は,前文において,拉致問題を念頭に,「人道上の懸念」に北朝鮮が対応することの重要性を強調している。平成18年12月の「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」中は,ムンタボーン国連北朝鮮の人権状況特別報告者が来日し,日本政府関係者や拉致被害者家族と意見交換を行ったほか,各種会議に出席し,拉致問題を含む北朝鮮の人権状況の調査を行った。さらに,G8サミット,APEC(アジア太平洋経済協力会議)等の首脳会談や外相会談の際にも関係各国に対して拉致問題の解決に向けて理解と協力を求めており,これに対し各国から理解と支持が示されるなど,拉致問題の解決に向けた国際的な連携は着実に進んでいる。

13  その他の人権課題

(1 )矯正施設における被収容者の人権

  ○  法務省では, 行刑行政を抜本的に改革する施策の一つとして,明治41年の制定以来,実質的な改正が行われていなかった監獄法を改正し,刑事施設の基本及びその管理運営に関する事項を定めるとともに,刑事施設に収容されている受刑者等の人権を尊重しつつ,改善更生及び社会復帰を図るための処遇について定めた,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案を第162回通常国会に提出し,平成17年5月,同法律は成立し,平成18年5月から施行された。
 また,残された未決拘禁者の処遇等を内容とする刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案を第164回通常国会に提出し,同年6月,同法律は成立した。同法律は,公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。
 この法律の施行をもって約100年ぶりに監獄法が全面改正されることになるが,法律の適正な運用により,被収容者の人権を尊重しつつ,刑事施設がその機能を十分果たせるよう,さらなる行刑改革を進めていく。

(2 )性的指向(異性愛,同性愛,両性愛)を理由とする偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動

  ○  法務省の人権擁護機関では,「性的指向を理由とする差別をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

(3 )ホームレスの人権及びホームレスの自立の支援等

  ○  国は,平成14年7月に制定された,ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法により,平成15年7月,ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を策定した。
 法務省の人権擁護機関では,平成16年度から「ホームレスに対する偏見をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心として全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

(4 ) 性同一性障害者の人権

  ○  性同一性障害については,我が国では,日本精神神経学会がまとめたガイドラインに基づいて,診断と治療が行われており,治療は,近年,正当な医療行為として認知されるようになっている。
 社会生活上の不利益を解消して人権を擁護する等との観点から,性同一性障害であって一定の条件を満たすものについては,性別の取扱いの変更について審判を受けることができることとする,性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が平成15年7月16日に公布され,平成16年7月16日から施行された。
 また,戸籍法施行規則の一部を改正する省令が平成16年7月16日から施行され,性別の取扱いの変更について家庭裁判所の審判があった場合には,同裁判所からの嘱託により父母との続柄欄を更正することができるようになった。
 法務省の人権擁護機関では,平成16年度から「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。

(5 )人身取引(トラフィッキング)事犯の適切な対応

   ・  政府は,平成16年4月5日,内閣に,「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を設置した。同会議は,同年12月7日,人身取引の撲滅・防止,人身取引被害者の保護等を主眼とする「人身取引対策行動計画」を取りまとめた。同計画は全閣僚を構成員とする犯罪対策閣僚会議に報告され,政府全体として着実に実施していくことが確認された。
 また,国連の国際組織犯罪防止条約補足人身取引議定書等の早期締結を目指し,平成17年6月に同議定書の締結につき国会の承認を得るとともに,近年の人身取引の実情等にもかんがみ,刑法等の一部改正する法律案を第162回通常国会に提出した。同法案は同国会で可決・成立し,平成17年7月12日から施行された。

   ・  警察では,関係機関,NGO等や被害者の国籍国の大使館等と情報交換を活発に行うなど緊密に連携しつつ,人身取引事犯の取締りと被害者の保護を強力に推進している。

   ・  法務省では,人身取引の被害者の可能性がある外国人に対して,その者の立場に十分配慮しながら速やかな手続を行い,特に被害者が女性の場合には,女性の担当官が柔和な対応で不安感を払拭するなどして事情聴取を行い,警察等の関係各機関,NGOなどとも連携して,出入国管理及び難民認定法に規定する人身取引等の定義に基づき,被害者の該当性の判断を行っている。
 また,人身取引の被害者が不法滞在者であって,退去強制手続を受ける場合には,事実上,収容を行わずに速やかに手続を進め,原則,在留特別許可し,被害者の保護を図るなど適切に対応している。

   ・  外務省では,政府協議調査団が,平成18年5月にタイ,インドネシアを,平成19年1月には,カンボジア,ラオスを訪問し,先方政府,関係機関及びNGOと効果的な協力体制につき協議を行うなど,関係諸国との緊密な連携・協力を行っている。そのほか,国際機関を通じた防止対策への資金援助を行い,人身取引根絶のための国際協力を積極的に推進している。

   ・  内閣府では,女性に対する暴力をなくしていく観点から,関係省庁,地方公共団体等と連携・協力して,国民一般に対し,人身取引に関する広報・啓発活動を実施している。

   ・  厚生労働省では,国籍,年齢を問わず,警察等関係機関との連携により,人身取引被害者の適切な保護に努め,また,被害者が児童の場合は児童相談所と連携して,適切な支援の措置を講ずることとしている。
 また,婦人相談所においては,併設する一時保護所もしくは一時保護委託先において,心身ともに傷ついている被害者に対し,医師の診察や医療機関受診における医療費の補助等による健康支援や心理療法担当職員によるカウンセリング等の心理的ケア等の支援を行っている。

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