第1章 平成20年度に講じた人権教育・啓発に関する施策
第1節 人権一般の普遍的な視点からの取組
1 人権教育
人権教育とは,「人権尊重の精神の涵(かん)養を目的とする教育活動」であり,生涯学習の視点に立って,幼児期からの発達段階を踏まえ,地域の実情等に応じて,学校教育と社会教育とが相互に連携を図りつつ,実施している。
(1)学校教育
文部科学省では,現行学習指導要領を実施していく上で,「豊かな心」の育成や「確かな学力」の向上を大きな柱として施策を推進してきている。
「豊かな心」の育成に関しては,道徳について,善悪の判断などの内容を充実するとともに,体験活動等を生かすなどの充実を図っており,また,子どもたちが身に付ける道徳の内容を分かりやすく表した「心のノート」をすべての小・中学生に配布した。
また,豊かな人間性や社会性をはぐくむ観点から,「豊かな体験活動推進事業」や,学校教育における人権教育を推進するための「人権教育総合推進地域事業」,「人権教育研究指定校事業」,「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」等を実施した。
一方,子どもたちの人権尊重という観点からは,子どもたちが安心して学べる環境づくりが重要であり,いじめ,暴力行為,不登校など,児童生徒の問題行動等は,引き続き教育上の大きな課題である。
文部科学省では,児童生徒が適切な教育相談を受けることができるよう,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用などによる相談体制の整備を支援した。また,問題行動を起こす児童生徒に対しては,十分な教育的配慮の下,出席停止や懲戒も含めた適切な措置を講じることにより,毅然とした対応の充実を図るよう指導を行ったほか,未然防止,早期発見・早期対応,関係機関との連携などの体制を整備して,個々の児童生徒を支援するためのモデル的な取組を推進した。
2 人権啓発
人権啓発とは,「国民の間に人権尊重の理念を普及させ,及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)」を意味し,「国民が,その発達段階に応じ,人権尊重の理念に対する理解を深め,これを体得することができるよう」にすることを旨としている。
(1)人権啓発の実施主体
人権擁護事務として人権啓発を担当する国の機関としては,法務省の人権擁護機関があり,また,法務省以外の関係各府省庁においても,その所掌事務との関連で,人権にかかわる各種の啓発活動を行っているほか,地方公共団体や公益法人,民間団体,企業等においても,人権にかかわる様々な活動が展開されている。
(2)法務省の人権擁護機関が行う啓発活動
ア 平成20年度啓発活動重点目標
その時々の社会情勢や人権侵犯事件の動向を勘案して,年度を通じて特に重点的に啓発するテーマを定め,共通の目標の下に組織を挙げて啓発活動を展開している。
平成20年度の啓発活動重点目標は,「《世界人権宣言60周年》 育てよう一人一人の人権意識―思いやりの心・かけがえのない命を大切に―」と定め,国民一人一人が主体的に豊かな人権意識を育て,生命の尊さ・大切さや,他人との共生・共感の大切さを心から実感できるような啓発活動を展開した。
イ 第60回人権週間
毎年12月4日から12月10日までを「人権週間」と定め,関係諸機関及び諸団体の協力の下に,広く国民に人権尊重思想の高揚を呼びかける大規模な啓発活動を展開している。
平成20年度の第60回人権週間においては,関係機関の協力の下,啓発活動重点目標をはじめ,「女性の人権を守ろう」,「子どもの人権を守ろう」,「高齢者を大切にする心を育てよう」,「HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見をなくそう」などの強調事項を掲げ,全国各地において,講演会,シンポジウム,座談会等の開催,人権相談所の開設などを行ったほか,テレビ・ラジオなどのマスメディアを活用した集中的な啓発活動を行った。
また,平成20年12月に「世界人権宣言」が採択60周年を迎えたことから,12月6日に外務省等と共催で「世界人権宣言60周年・人権擁護委員制度60周年記念の集い」を東京都千代田区の丸ビルホールで開催したほか,全国各地でも同週間を中心に「世界人権宣言」の意義や重要性をあらためて周知し,人権意識を普及高揚させるための啓発活動を実施した。
ウ 人権擁護委員の日
法務省及び全国人権擁護委員連合会は,昭和57年度から,人権擁護委員法が施行された6月1日を「人権擁護委員の日」と定め,この「人権擁護委員の日」を中心として,広く国民に人権擁護委員制度の周知に努めるとともに,人権尊重思想の普及高揚を呼びかけている。
人権擁護委員制度が発足して60周年という節目の年である平成20年度においても,全国各地で,街頭での啓発活動を行ったり,人権擁護委員等が,各地域のテレビ番組に出演し,人権擁護委員の活動について紹介するなど,マスメディアを活用した人権擁護委員制度についての広報に努めた。
また,6月1日を中心に全国2,654か所において,全国一斉「人権擁護委員の日」特設人権相談所を開設した。
エ 全国中学生人権作文コンテスト
次代を担う中学生が,人権問題についての作文を書くことによって,豊かな人権感覚を身に付けることを目的とする「全国中学生人権作文コンテスト」を実施しており,平成20年度で28回目を迎えた。
平成20年度は,6,593校から,日常の家庭生活,学校生活等の中で得た体験を基に,基本的人権を守ることの重要性についての考えをまとめた86万6,269編という多数の作文の応募があった。多くの中学生が,人権について理解を深め,豊かな人権感覚を身に付けるよい機会となっている。
オ 人権の花運動
人権の花運動は,配布された花の種子,球根等を,児童が協力して育てることによって,生命の尊さを実感する中で,豊かな心をはぐくみ,やさしさと思いやりの心を体得することを目的とした活動であり,全国の人権擁護委員が中心となって主に小学生を対象とした啓発活動として実施している。
平成20年度は,小学校2,775校のほか,386の中学校・幼稚園・保育所等広範囲に行われた。
カ 人権啓発フェスティバル
人権啓発フェスティバルは,シンポジウム,啓発資料展,啓発映画上映,コンサートなどの各種の人権啓発活動を同じ時間,空間を活用して一体的,総合的に行うことにより,より多くの人々が参加できる総合的な啓発事業として実施している。
平成20年度は,フェスティバルの統一テーマを「《世界人権宣言60周年》育てよう一人一人の人権意識―思いやりの心・かけがえのない命を大切に―」と定め,東京都新宿区(8月23日及び24日,東京都庁)と,京都市(11月8日及び9日,みやこめっせ)で開催し,両会場合わせて8万9,580人もの多数の参加者があった。
キ 人権擁護功労賞
人権擁護委員の活動等を通じてかかわりのある企業やNPO法人等の団体及び個人の中から,人権擁護上,顕著な功績があったと認められた者に対し, 法務大臣・全国人権擁護委員連合会長が表彰を行っている。
平成20年度は,平成20年12月6日に開催された「世界人権宣言60周年・人権擁護委員制度60周年記念の集い」において,法務大臣表彰1個人及び全国人権擁護委員連合会長表彰3団体に対して表彰が行われたほか,1個人及び2団体に対して法務大臣感謝状が各地で伝達された。
(3)公益法人,地方公共団体へ委託して行う啓発活動
ア (財)人権教育啓発推進センターが行う啓発活動(人権啓発活動中央委託事業)
(ア) (財)人権教育啓発推進センター
(財)人権教育啓発推進センター(以下「人権センター」という。)は,人権に関する総合的な教育・啓発及び広報を行うとともに,人権教育・啓発についての調査,研究等を行っている。
(イ) 平成20年度に人権センターへ委託した啓発活動
- 人権啓発教材の作成,人権啓発ビデオの制作
- 人権啓発フェスティバルにおけるシンポジウム等の開催
- 人権啓発指導者養成研修会の実施
- インターネットバナー広告による広報
- 新聞による広報
- データベース運営・活用
- 人権ライブラリー(ホームページhttp://www.jinken.or.jp/library/)の運営等
イ 地方公共団体が行う啓発活動(人権啓発活動地方委託事業)
(ア) 人権啓発活動地方委託事業
都道府県及び政令指定都市等を委託先とし,すべての人権課題を対象とした幅広い啓発活動の実施を委託する事業である。
(イ) 平成20年度に行った委託事業
講演会・研修会,資料作成,放送番組,新聞広告,地域人権啓発活動活性化事業の実施等(詳細はホームページhttp:/www.moj.go.jp/JINKEN/jinken122.html)
(ウ) 地域人権啓発活動活性化事業
法務省の人権擁護機関,都道府県,市区町村,公益法人等,人権啓発活動を実施する主体間の横断的なネットワークである「人権啓発活動ネットワーク協議会」との連携の下に実施される人権啓発活動地方委託事業を特に「地域人権啓発活動活性化事業」と称し,住民に親しみやすくかつ参加しやすい要素を取り入れつつ,地域に密着した多種多様な人権啓発活動を実施することとしている。
第2節 人権課題に対する取組
1 女性
(1)男女共同参画の視点に立った様々な社会制度の見直し,広報・啓発活動の推進
ア 内閣府では,男女共同参画に関する施策についての苦情の処理や人権が侵害された場合における被害者の救済に関する取組を推進するため,監視・影響調査専門調査会において,国及び都道府県,政令指定都市における苦情処理状況の調査・検討を行った。また,苦情解決に当たっての視点・方法論,苦情事例等を紹介する「苦情処理ガイドブック」を改訂し,関係機関等に配布し,行政相談委員及び人権擁護委員並びに都道府県担当者等を対象とする研修を実施した。
そのほか,我が国の男女共同参画に関する取組を広く知らせるため,男女共同参画の総合情報誌「共同参画」の発行,ホームページ及び情報メール等,充実した情報を迅速に提供する体制の整備など,多様な媒体を通じた広報・啓発活動を推進している。
さらに,多くの女性が様々な分野でチャレンジできるよう内閣府ホームページ「チャレンジ・サイト」において,起業,キャリアアップなど様々な分野で活躍している女性の事例を紹介するとともに,女性の進出割合の低い理工系分野への女子高校生等の進路選択を支援するため,「チャレンジ・キャンペーンサイト」において,女性研究者及び大学・団体等からのメッセージや,関連行事等の情報を提供した。
イ 男女共同参画推進本部では,毎年6月23日から29日までの1週間を「男女共同参画週間」とし,平成20年度は,「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」の開催や,「男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰」及び「女性のチャレンジ賞」等の表彰を実施したほか,ポスター等の配布,政府広報を活用した広報・啓発活動を行った。
ウ 厚生労働省では,6月の「男女雇用機会均等月間」等の機会をとらえ,女性労働者の能力発揮を促進するための企業の積極的な取組(ポジティブ・アクション)の推進を図るため,啓発活動を実施した。
また,「女性と仕事の未来館」において,女性の能力発揮のためのセミナーや相談,働く女性に関する情報の提供(ホームページhttp://www.miraikan.go.jp)等各種支援事業を実施した。
(2)法令・条約等の周知
ア 内閣府では,国内における男女共同参画社会の実現に向けた取組を行うに当たって,報告会,刊行物やホームページ(http://www.gender.go.jp/)等を通じ,男女共同参画に関連の深い各種の条約や,国際会議における議論等,女性の地位向上のための国際的規範や基準,取組の指針等の広報に努めた。
平成20年度は,平成20年2月から3月に開催された「第52回国連婦人の地位委員会」に係る会議の概要等について,ホームページ掲載等により周知を図った。
イ 外務省では,女子差別撤廃条約関連文書や女性の地位向上に関する会議等の関連文書を,外務省のホームページ(http:/www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken.html)に掲載し,広くその内容の周知に努めた。
(3)女性に対する偏見・差別意識解消を目指した啓発活動
法務省の人権擁護機関では,女性の人権擁護を訴えるため,「女性の人権を守ろう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,女性の人権問題をテーマとした講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を行った。
また,平成20年4月9日ほか計8回,CS放送スカイパーフェクトTV!で,男女共同参画について子どもの視点から描いた「翔太のあした」を放送した。
(4)男女平等教育の推進,女性の生涯学習機会の充実
文部科学省では,男女共同参画社会の形成のため,学校教育において,児童生徒の発達段階に応じて,社会科,家庭科,道徳,特別活動等を通じて,男女の平等や男女相互の理解と協力の重要性について指導を行った。
また,社会教育において,男女共同参画社会に向けた教育・学習支援に関する特別調査研究の実施,出産・育児後の女性を対象とした再就職等に必要な知識・技能習得の機会提供を行った。
そのほか,「人権教育推進のための調査研究事業」により女性の人権をテーマとする講演会や女性に関する学級・講座等を開設する地方公共団体を積極的に支援しており,平成20年度においては,19都府県と9団体でこの調査事業を実施し,27カ所でこの事業を活用して女性の人権に関する事業が実施された。
独立行政法人国立女性教育会館は,国内外の女性関連施設等と連携し,女性教育指導者等に対する研修,専門的な調査研究及び女性と家族に関する情報収集・提供の充実を図り,女性教育に関する我が国唯一のナショナルセンターとして,また世界とりわけアジア地域における女性教育の人材育成の拠点としての役割を果たしている。
(5)雇用における男女の均等な機会と待遇の確保等のための啓発等
労働者が性別により差別されることなく,かつ,母性を尊重されつつ,その能力を十分発揮することができる雇用環境の整備のため,雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「男女雇用機会均等法」という。)等の改正が行われ,平成19年4月から施行されている。厚生労働省では,男女雇用機会均等法の履行確保を図るため,企業の雇用管理の実態を把握するとともに,指導を積極的に実施した。
また,男女均等取扱い等に関する労働者と事業主との間の紛争について,都道府県労働局長の助言,指導,勧告及び機会均等調停会議の調停により,解決の援助を行ったほか,実質的な男女均等を確保するために,男女労働者間で格差が大きい企業に対して,女性の職域の拡大,管理職への登用等に向け,積極的取組を行うよう促した。
さらに,同業他社と比較したその企業の女性の活躍状況や取組内容についての診断を受けられるベンチマーク事業を実施した。
加えて,男女雇用機会均等法では,職場におけるセクシュアル・ハラスメント対策について,事業主に対して雇用管理上の措置義務を課していることから,実効あるセクシュアル・ハラスメント対策を講じるよう徹底を図るとともに,必要な措置を講じていない企業に対しては指導を行った。
(6)農山漁村の女性の地位向上・方針決定への参画促進のための啓発等
農林水産省では,地域段階での方針決定の場への女性の参画を促進するため,農協の役員や農業委員等の具体的な女性の参画目標の設定を推進するとともに,目標の達成に向けた啓発活動等を実施した。また,農山漁村における女性の役割を適正に評価し,女性の能力の一層の活用を促進するため,3月10日を「農山漁村女性の日」とし,全国記念行事等を実施し,男女共同参画に関する気運の醸成に努めた。
(7)女性の人権問題に関する適切な対応及び啓発の推進
男女共同参画推進本部では,毎年11月12日〜同月25日(女性に対する暴力撤廃国際日)までの2週間を「女性に対する暴力をなくす運動」期間として展開し,同期間中,関係団体との連携・協力の下,社会の意識啓発など,女性に対する暴力に関する取組を一層強化している。
また,配偶者暴力防止法等に基づき,関係府省,地方公共団体等は,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策を積極的に推進している。
ア 内閣府では,全国の配偶者暴力相談支援センター等の相談員や相談員を管理する立場にある職員を対象に,相談業務の質の向上を図ることを目的とした「配偶者からの暴力被害者支援セミナー」を開催した。
また,全国の配偶者暴力相談支援センター等に,配偶者からの暴力に関する専門的な知識や経験を有する者を派遣して助言や指導を行い,相談業務の充実を支援した。
その他,配偶者からの暴力(DV)についてどこへ相談したらよいか分からないという被害者のため,自動音声で最寄りの配偶者暴力相談支援センターなどの相談窓口を案内する「DV相談ナビ」(ナビダイヤル0570-0-55210(全国共通))を開設し,相談窓口の周知を図っている。
イ 法務省の人権擁護機関では,専用相談電話「女性の人権ホットライン」(ナビダイヤル0570-070-810(全国共通))を全国の法務局・地方法務局に設置して相談体制の一層の強化を図った。
平成20年度においては,「女性に対する暴力をなくす運動」期間中の11月17日から23日までの7日間を,全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間とし,平日の相談時間を拡大するとともに,土曜日・日曜日も開設し,様々な人権問題に悩む女性からの相談に応じた。
また,配偶者暴力相談支援センターなど関係機関との連携を一層強化し,被害の救済及び予防に努めている。
2 子ども
(1)子どもが人権享有主体として最大限尊重されるような社会の実現を目指した啓発活動
法務省の人権擁護機関では,21世紀の社会を担う子どもたちの人権を守るため,各種人権啓発活動を展開している。
子どもの人権専門委員が中心となって,学校における総合的な学習の時間等を利用し,子どもたちが「いじめ」について考える機会をつくる啓発活動として「人権教室」や「人権の花運動」を実施した。
また,CS放送スカイパーフェクトTV!で,子どもたちに身近な問題である「いじめ」について考えてもらうことにより,自分の人権の大切さに気付き,さらに自分と同じように他の人の人権も大切なことに気付いてもらうアニメーション「プレゼント」,児童の権利に関する条約についての理解を深めつつ,命の大切さや思いやりの心の大切さを気付かせ,人権尊重意識を育ててもらうドラマ「私たちの人権宣言」を放送した(平成20年6月5日ほか計12回)。
(2)学校教育及び社会教育における人権教育の推進
文部科学省では,学校,家庭,地域社会が一体となって教育上の総合的な取組を推進する「人権教育総合推進地域事業」,学校における人権教育について実践的な研究を委嘱する「人権教育研究指定校事業」,人権教育に関する事業等の実践・成果を踏まえ,学校における人権教育に関する指導方法の在り方等について調査研究を行う「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」等を実施し,人権教育の推進に努めている。
「人権教育に関する指導方法等に関する調査研究」においては,平成15年度以降,学校における人権教育の指導方法等の在り方について調査研究会議を設置して検討を行い,平成16年6月には「第1次とりまとめ」,平成18年1月には「第2次とりまとめ」の公表を行っている。さらに,同会議では,その後も全国の学校の指導者等が第2次とりまとめで示した理論への理解を深め,実践につなげていけるよう一層の検討を進め,平成20年3月には「第3次とりまとめ」をまとめた。文部科学省においてはこの「第3次とりまとめ」を全国の国公私立学校や教育委員会等に配布するなど調査研究の普及に努めている。
平成20年度においては,社会教育における人権教育を一層推進するため,人権に関する学習機会の充実方策等についての実践的な調査研究を行うとともに,その成果の普及を図る「人権教育推進のための調査研究事業」を19都府県と9団体で実施し,40カ所でこの事業を活用して子どもの人権に関する事業が実施された。
(3)道徳教育の推進
文部科学省では,道徳教育の一層の充実を図るため,子どもたちが身に付ける道徳の内容を分かりやすく表し,道徳的価値について,自ら考えるきっかけとし,理解を深めていくことができる教材として「心のノート」を作成し,すべての小・中学生に配布した。
また,幼児期における教育は,人格形成の基礎を培う重要な役割を果たすことから,幼稚園が,道徳性の芽生えを養うことの充実を図っていくための実践的な研究を進めている。
(4)地域や学校における奉仕活動・体験活動の推進
子どもの社会性や豊かな人間性をはぐくむ観点から,机上の知育だけではなく,具体的な体験や事物とのかかわりを通じた,様々な体験活動を積極的に推進することは極めて重要なことである。文部科学省では,平成14年度から,全国の学校における体験活動の展開を図る「豊かな体験活動推進事業」を実施している。
また,平成19年度からは,地域のボランティア活動や家族参加の体験活動,地域の様々な課題等を解決する学習や活動などの取組を通じて,住民同士のきずなづくりを推進する「学びあい,支えあい」地域活性化推進事業を実施している。
(5)いじめ・暴力行為・不登校等に対する取組の推進
いじめ,暴力行為,不登校など,問題を抱える児童生徒が適切な相談等を受けることができるよう,児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有するスクールカウンセラーを配置するとともに,社会福祉等の専門的な知識や技術を有するスクールソーシャルワーカーを配置するなど,教育相談体制の整備を支援している。また,児童生徒にかかわる問題が多様化・深刻化している現状にかんがみ,多様な分野の専門家を委員として,平成19年度及び平成20年度において,「教育相談等に関する調査研究協力者会議」を開催し,学校等における教育相談体制の充実を図るための方策等について検討を行っている。
さらに,いじめ,暴力行為,不登校等の生徒指導上の課題について,「いじめ対策緊急支援総合事業」及び「問題を抱える子ども等の自立支援事業」等を実施し,外部の専門家等からなる「学校問題解決支援チーム」や関係機関等と連携した「サポートチーム」,学校外の公的機関である「教育支援センター(適応指導教室)」などを有効活用し,児童生徒の問題行動等の未然防止,早期発見・早期対応につながる効果的な取組や関係機関等と連携したモデル的な取組を推進している。
なお,いじめについては,児童生徒が自らその命を絶つという痛ましい事件が相次いで発生したことをきっかけに大きな社会問題となっており,文部科学省では,いじめは決して許されないが,どの子どもにもどの学校でも起こり得るものであること,いじめが生じた際には問題を隠さず,学校・教育委員会と家庭・地域が連携して対処していくべきこと,問題行動に対しては,懲戒・出席停止を含め,毅然とした対応をとること等について引き続き指導を行い,学校等における対応の徹底を図っている。また,特に「ネット上のいじめ」の防止等に向けて「子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議」において検討を行い,平成20年6月には,その検討結果を取りまとめ(「『ネット上のいじめ』から子どもたちを守るために−見直そう!ケータイ・ネットの利用のあり方を−」),提言を行った。この提言を受け,平成20年11月には,「『ネット上のいじめ』に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け)」を作成した。
厚生労働省では,ひきこもり等の児童について,教育分野との連携を図りつつ児童相談所や児童養護施設等の機能を十分活用するとともに,家庭環境・養護問題の調整,解決機能の強化も行った。
(6)家庭教育に対する支援の充実
文部科学省では,家庭教育のヒント集である「家庭教育手帳」を作成し,全国の教育委員会等に提供して,家庭教育に関する学習機会などでの活用を図るとともに,「家庭教育支援チーム」により,情報や学習機会の提供,相談体制の充実を始めとするきめ細かな家庭教育支援を行い,地域全体で家庭教育を支えていく基盤形成の促進を図るため「地域における家庭教育支援基盤形成事業」を実施した。また,子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成し,生活リズムを向上させる「早寝早起き朝ごはん」国民運動の全国各地域における一層の取組が図られるよう,普及啓発や先進的な実践活動等の効果について調査研究を行った。
(7)児童虐待等子どもの健全育成上重大な問題に対する取組
児童虐待への対応については,平成12年11月,「児童虐待の防止等に関する法律」(以下,「児童虐待防止法」という。)が施行されたが,その後,平成16年には,児童虐待防止法及び児童福祉法の改正が行われ,制度的な対応について充実が図られてきたところである。しかしながら,子どもの生命が奪われるなど重大な児童虐待事件が後を絶たず,依然として,社会全体で早急に取り組むべき重要な課題となっている。平成19年には,再度の法改正が行われ,平成20年4月に施行された。また,平成20年11月,新たな子育て支援サービスの創設,虐待を受けた子ども等に対する家庭的環境における養育の充実等の措置を講ずる「児童福祉法等の一部を改正する法律」が成立した。
ア 厚生労働省では,平成16年から11月を「児童虐待防止推進月間」と位置付け,児童虐待問題に対する社会的関心の喚起を図るため,その期間中,関係府省庁や地方公共団体,関係団体等と連携した集中的な広報・啓発活動を実施している。平成20年度においては,月間標語の公募・決定,全国フォーラムの開催(11月2日〜3日・滋賀県大津市),広報啓発ポスター・チラシの作成,配布及び政府公報を活用した各種媒体(テレビ,新聞,雑誌等)による広報啓発などを実施した。また,児童虐待防止の啓発を図ること目的に,民間団体(特定非営利活動法人児童虐待防止全国ネットワーク)が中心となって実施している「オレンジリボンキャンペーン」について後援を行っている。
イ 文部科学省では,都道府県等を通じて,学校教育関係者や社会教育関係者に対して,児童虐待の防止に向けた取組の推進に関する通知を発出するとともに,各種会議等を通じて早期発見努力義務及び通告義務等について周知の徹底を図っている。
また,国内・諸外国の先進的取組等を新たに収集・分析することなどにより,各学校・教育委員会における児童虐待防止に向けた取組の充実を図る「学校等における児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究」を平成17年度及び平成18年度に実施するとともに,児童が適切な相談を受けることができるよう,スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等の活用など教育相談体制の整備を支援している。
ウ 児童虐待による死亡事例等の検証は,事件の再発防止と対策を講ずる上での課題を抽出するために重要な意義を持つことから,社会保障審議会児童部会の下に設置されている「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」において,平成16年から実施されており,これまで4次にわたる報告が取りまとめられている。平成20年6月,同検証委員会において,第1次から第4次までの報告の総括報告書が取りまとめられた。
このほか,「日本虐待・思春期問題情報研修センター」では,児童相談所等関係機関の職員を対象とした研修,専門情報の収集・提供などを行っている。
エ 外務省では,内閣府をはじめとする関係省庁と協力して,平成6年に締結した「児童の権利に関する条約」と併せ同条約の選択議定書の実施に努めており,条文を外務省ホームページ(http:/www.mofa.go.jp./mofaj/gaiko/jinken.html)に掲載しているほか,条文の英文と和文仮訳を並記したリーフレットを作成して,周知に努めている。
(8)「人権を大切にする心を育てる」保育の推進
厚生労働省では,保育所において,保育所保育指針に基づき,乳幼児の最善の利益を考慮するよう啓発を行うとともに,「人権を大切にする心を育てる」保育の推進を図り,児童の心身の発達,家庭や地域の実情等に応じた適切な保育の実施を推進している。
(9)子どもの人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
法務省の人権擁護機関では,フリーダイヤルの専用相談電話「子どもの人権110番」(0120-007-110(全国共通))を設置し,子どもが相談しやすい体制をとっている。とりわけ,平成20年9月8日から14日までの7日間を全国一斉「子どもの人権110番」強化週間とし,平日の相談時間を拡大するとともに,土曜日・日曜日も開設し,子どもや保護者等から多くの相談に応じた。また,法務省のホームページ上の「インターネット人権相談受付窓口(SOS-eメール)」を開設したり,「子どもの人権SOSミニレター」(便せん兼封筒)を全国の小・中学生に配布するなど,子どもたちがより相談しやすい体制を整備している。これらの相談については,子どもの人権にかかわる問題を専門に扱う「子どもの人権専門委員」を始めとする人権擁護委員が中心となり応じている。
また,子どもの人権が侵害されている疑いのある事案を認知した場合には,人権侵犯事件として積極的に調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行い,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。
なお,児童虐待については,国民すべてに児童虐待についての通告義務が存在することなどの周知を含む人権啓発活動の充実に努めるとともに,具体的な児童虐待事案を認知した場合においては,児童相談所等へ通告するとともに,人権擁護機関の立場からも,虐待を受けた児童の救済を図っている。
3 高齢者
(1)高齢者についての理解を深め,高齢者が生き生きと暮らせる社会の実現を目指した啓発活動
法務省の人権擁護機関では,平成8年度から「高齢者を大切にする心を育てよう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を行っている。
(2)高齢者福祉に関する普及・啓発
厚生労働省では,平成20年9月15日から21日までの7日間を「老人の日・老人週間」と定め「国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに,老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促す」という趣旨にふさわしい行事が実施されるよう,関係団体等に対する支援,協力,奨励等を都道府県にお願いするとともに,「みんなで築こう活力ある長寿社会」を標語とする「平成20年『老人の日・老人週間』キャンペーン要綱」を内閣府のほか,全国社会福祉協議会など9団体とともに定め,その取組を支援した。
(4)高齢者の学習機会の促進
平成13年に策定された高齢社会対策大綱においては,生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ,その成果が適切に評価される生涯学習社会の形成を目指すこととしている。
文部科学省では,「人権教育推進のための調査研究事業」により,高齢者を対象とした学級・講座等を開設する地方公共団体を支援しており,平成20年度においては,19都府県と9団体でこの事業実施し,27カ所でこの事業を活用して高齢者の人権に関する事業が実施された。
(6)ボランティア活動など,高齢者の社会参加の促進
ア 内閣府では,「心豊かな長寿社会を考える国民の集い」等を通じて,社会参加活動等の事例を広く国民に紹介する事業を実施し,また,平成20年7月には,高齢社会の構成員それぞれが果たすべき役割等の追求を目的として高齢社会研究セミナーを開催した。
イ 農林水産省では,高齢化が進行している農山漁村において,高齢者がその知識と技能を生かしつつ,農業生産や地域社会等において生きがいを持って活動できるよう環境づくりを進めるとともに,安心して住み続けられるよう支援している。
4 障害のある人
(1)共生社会を実現するための啓発・広報活動
障害の有無にかかわらず,国民誰もが相互に人格と個性を尊重し,支え合う「共生社会」の理念の普及を図るため,毎年12月3日から9日までの「障害者週間」を中心に,全国で官民にわたって多彩な行事を集中的に開催するなど,積極的な啓発・広報活動を行っている。
内閣府では,障害者週間に当たり,テレビ・ラジオ放送,新聞,ポスター等の多様な媒体による広報活動を実施したほか,障害者週間行事として,各地で週間を通して各種の行事を実施した。
12月3日に東京都港区で開催された「障害者週間の集い」において,「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の最優秀作品の内閣総理大臣表彰等を行った。また,「地域における共生社会に向けた取組と今後の課題」をテーマとしたシンポジウムのほか,障害のある人に関する様々なテーマについて関係団体等が交替で連続してセミナー等を開催した。
12月7日に障害のある人もない人も共に楽しめるユニバーサルなスポーツの紹介等を行う「ユニバーサル・スポーツフェスタ2008」を仙台市において,12月9日に福岡県及び福岡市との共催により「共に創り,共に楽しむ:障害者の文化・芸術活動」をテーマにシンポジウムを福岡市において,それぞれ開催した。このほか,障害者週間のポスター等のパネル展等を全国6箇所で実施した(詳細は,障害者白書に記載)。
(2)障害のある人に対する偏見や差別を解消し,障害のある人の自立と完全参加を目指した啓発活動
法務省の人権擁護機関では,昭和56年度から「障害のある人の完全参加と平等を実現しよう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を行っている。
厚生労働省では,身体障害者補助犬法の趣旨及び補助犬の役割等についての一層の周知を目的として,ポスター,パンフレット,ステッカー等の作成・配布や,ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/hojyoken/)の開設等の啓発活動を行っている。
(3)特別支援学校等における教育の充実及び障害のある人に対する理解を深める教育の推進
文部科学省では,学校教育において,障害のある児童生徒の自立と社会参加を目指し,特別支援教育の充実を図るとともに,障害のある人に対する理解を深める教育の充実に努めている。
また,発達障害を含め,障害のある幼児児童生徒を支援するため,全都道府県に委嘱して実施する「発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業」等の施策を通じて,特別支援教育の体制整備を推進している。
さらに,「学校教育法等の一部を改正する法律」(平成18年6月成立,平成19年4月施行)により,従来の盲・聾・養護学校の制度は,複数の障害種別を受け入れることができる特別支援学校の制度に転換され,また,小・中学校等においても特別支援教育を推進することが法律上明確に規定された。これらの制度改正と併せて,平成18,19年度に引き続き平成20年度においても,公立小・中学校におけるLD・ADHD等発達障害のある児童生徒に対する通級指導を充実するための定数改善を行ったほか,平成19年度からは,小・中学校に在籍する障害のある児童生徒に対して様々な支援を行う「特別支援教育支援員」を配置できるよう必要な支援を講じている。
これに加え,小・中・高等学校等における学校教育諸活動全体を通じて,思いやりの心や奉仕の精神を育てる指導を行うほか,特別支援学校と小・中学校等との交流及び共同学習の実施,学校教育関係者及び保護者等に対する啓発活動の実施等,障害のある人に対する理解を深める教育の充実に努めている(詳細は障害者白書に記載)。
(4)障害のある人の雇用の促進,障害のある人の職業能力の向上等
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構において,9月を障害者雇用支援月間として設定し,障害者ワークフェアの開催,ポスターや新聞等による啓発活動を行うことにより,国民とりわけ事業主に対して障害者雇用に関する理解を促した。
また,障害のある人の職業的自立の意義を喚起するとともに,事業主及び社会一般の理解と認識を深めること等を目的に,平成20年10月24日から3日間,千葉市において「第30回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)」が開催された。
(5)精神障害者に対する偏見・差別の是正のための啓発活動
厚生労働省では,平成14年12月に厚生労働大臣を本部長として「精神保健福祉対策本部」を設置し,同本部は,平成15年5月に今後厚生労働省として取り組むべき施策の方向性について,普及啓発(精神疾患及び精神障害者に対する理解の促進)等を柱とする中間報告を取りまとめた。これを受け「心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」において,施策の具体的方向性について議論が進められ,平成16年3月,国民各層が精神疾患を正しく理解し,新しい一歩を踏み出すための指針「こころのバリアフリー宣言」及び指針の内容を踏まえた社会の各主体別取組の方向性が取りまとめられた。現在,普及啓発の取組が国民的な運動となるよう広く呼びかけるとともに,精神保健福祉普及運動を中心として広く情報発信を行っている。
平成20年10月20日から26日までの間,「こころがつなぐ地域の輪−あたり前の暮らしを目指して」をメインテーマとして,地域社会における精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的として,第56回精神保健福祉普及運動が実施された。
また,期間中の10月24日に,第56回精神保健福祉全国大会を和歌山市において開催した。
(6)障害のある人の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
法務省の人権擁護機関では,常設の人権相談所において相談を受けるとともに,人権相談などで,障害のある人に対する差別,虐待等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行い,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な処置を講じている。また,知的障害者更生施設等の社会福祉施設において入所者及びその家族が気軽に相談できるよう,特設の人権相談所を開設し,相談を受けた。
(7)発達障害者への支援
ア 平成17年4月から施行されている発達障害者支援法を踏まえ,厚生労働省では,「発達障害者支援センター運営事業」,「発達障害者支援体制整備事業」,「発達障害者支援開発事業」及び「発達障害研修事業」を実施することで,地域における発達障害者に対する支援を促進している。
イ 文部科学省では,小・中学校の通常の学級に在籍するLD・ADHDの児童生徒に対する教育的支援を適切に行うため,平成18年4月からLD・ADHDの児童生徒を通級指導の対象としている(詳細は障害者白書に記載)。
また,発達障害のある幼児児童生徒への特別支援教育を推進するため,平成20年度に「発達障害教育情報センター」を(独)国立特別支援教育総合研究所に開設し,主にインターネットを通じて,発達障害についての正しい理解や各種情報提供等の充実を図っている。さらに,乳幼児期から就労に至るまで一貫した支援体制の整備を総合的に図るための事業を全都道府県に委嘱しているほか,幼児期や高等学校段階におけるモデル事業を実施している。
5 同和問題
(1)同和問題に関する差別意識の解消に向けた教育・啓発
法務省の人権擁護機関では,同和問題に関する差別意識の解消のため,昭和50年度から「部落差別をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を行っている。
(2)学校教育・社会教育を通じた同和問題の解決に向けた取組
文部科学省では,学校教育における人権教育関係事業として「人権教育総合推進地域事業」,「人権教育研究指定校事業」を実施し,同和問題に関する差別意識の解消を図っている。
また,社会教育では,平成20年度において,19都府県と9団体で「人権教育総合推進のための調査研究事業」を実施し,26か所でこの事業を活用して同和問題に関する事業が実施された。
(3)公正な採用選考システムの確立
厚生労働省の職業安定機関では,企業の採用選考に当たって,人権に配慮し,応募者の適性・能力のみによって採否を決める公正な採用選考システムの確立が図られるよう,雇用主に対して,以下の啓発に取り組んだ。
ア 日本経済団体連合会,日本民間放送連盟など経済・事業別団体104団体に対して,文書により,公正な採用選考の確保について傘下企業への指導を要請。
イ 公正な採用選考についてのガイドブック,ポスター,カレンダー等,各種啓発資料を作成し,事業所に配布。
ウ 中学校,高等学校,大学等の卒業予定者に係る採用選考開始日に合わせて,新聞広報等各種広報媒体を通じた啓発活動を実施。
エ 事業所における公正な採用選考システムの確率について,中心的な役割を果たす「公正採用選考人権啓発推進員」を,一定規模以上の事業所に配置するとともに,各労働局及び公共職業安定所が,同推進員に対して研修会を開催(全国で889回)。
オ 従業員の採用選考に影響力のある企業トップクラスに対する研修会を開催(全国で465回)。
(4)農漁協等関係農林漁業団体職員に対する啓発活動
農林水産省では,農林漁業や農山漁村に起因する同和問題をはじめとした広範な人権問題に関する啓発活動を積極的に推進するため,都道府県を通じて農漁協等関係農林漁業団体の職員に対する研修等を実施するとともに,全国農林漁業団体が当該職員等を対象に行う同様の研修等に対する支援を実施した。
(6)えせ同和行為の排除に向けた取組
法務省では,同和問題を口実にして企業や官公署などに不当な利益や義務なきことを求める「えせ同和行為」を排除するため,全省庁の参加する「えせ同和行為対策中央連絡協議会」を設置し,政府一体となってえせ同和行為の排除の取組を行っている。
また,えせ同和行為の実態を把握するため,昭和62年以降8回にわたりアンケート調査を実施してきたが,平成20年の1年間を調査対象期間として平成21年1月に第9回目の調査を実施した(調査結果の概要はhttp:/www.moj.go.jp/PRESS/090327-3-2.pdf)。
さらに,地方においても全国50の法務局・地方法務局を事務局として組織されている「えせ同和行為対策関係機関連絡会」に,平成21年4月現在で1,177の国の機関,地方自治体,弁護士会等が参加し,随時,情報交換のための会議を開くなど,様々な取組を展開している。
都道府県警察においても関係機関と連携して,違法行為の取締り等,えせ同和行為の排除対策を推進している。
(7)同和問題をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
法務省の人権擁護機関では,同和問題をめぐる人権侵害事案に対し,人権相談及び人権侵犯事件の調査・処理を通じ,その被害の救済及び予防を図っている。とりわけ結婚差別,差別発言などを人権擁護上看過できない事象としてとらえ,行為者や関係者に対して人権尊重の意識を啓発することによって,自発的・自主的に人権侵害の事態を改善,停止,回復させ,あるいは,将来再びそのような事態が発生しないよう注意を喚起している。
また,インターネット上において,特定の地域を同和地区であるとするなどの差別を助長する書き込み等がされた場合には,その情報の削除をプロバイダ等に要請するなど適切な対応に努めている。
6 アイヌの人々
(1)アイヌ文化の振興,アイヌの伝統及び文化に関する普及啓発
アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号)に基づき,(財)アイヌ文化振興・研究推進機構が行う事業に対して助成等を行った。
(2)アイヌ文化財の保護に関する助成
文化庁は,文化財保護法(昭和25年法律第214号)に基づき,アイヌの有形の民俗文化財及び無形の民俗文化財について,北海道教育委員会が行う調査事業,伝承・活用等に係る経費について補助を行った。
(3)アイヌの人々に対する偏見・差別を解消し,アイヌの人々の尊厳を尊重する社会の実現を目指した啓発活動
法務省の人権擁護機関では,アイヌの人々に対する偏見や差別をなくし,アイヌの人々に対する理解と認識を深めるよう,平成11年度から「アイヌの人々に対する理解を深めよう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を行っている。
平成21年3月1日には,札幌市において,アイヌ文化や伝統に対する理解を深め,アイヌの人々の人権を尊重する社会の実現を目的として,北海道や札幌市等と共催で「アイヌ文化とふれあい 人権を考える集い」を開催し,アイヌ民族舞踊の披露や人権トークショーを行ったほか,アイヌ文化資料を展示した。
(4)学校教育におけるアイヌの人々に関する学習の推進
中学校学習指導要領において,社会科で鎖国下の対外関係に関する学習で北方との交易をしていたアイヌについても取り上げることとしていることを踏まえ,アイヌの人々に関する教育が行われている。
(6)生活館における活動の推進
生活館においては,地域住民に対し,生活上の各種相談をはじめ,アイヌの人々に対する理解を深めるための広報・啓発活動等を総合的に実施しており,厚生労働省では,こうした事業に対し支援を行った。
7 外国人
(1)外国人に対する偏見・差別を解消し,国際化時代にふさわしい人権意識の育成を目指した啓発活動
法務省の人権擁護機関では,国民のすべてが国内・国外を問わず,あらゆる人権問題について理解と認識を深め,真に国際化時代にふさわしい人権意識をはぐくむため,「外国人の人権を尊重しよう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。
また,CS放送スカイパーフェクTV!で,入居拒否の例を基に近年日本に移り住むようになった外国人への偏見を描きながら,外国人の人権について考える「この街で暮らしたい−外国人の人権を考える−」を,平成20年5月14日ほか計7回放映した。
(2)学校等における国際理解教育及び外国人児童生徒教育の推進
文部科学省では,平成18年度から,「国際教育推進プラン」を実施し,学校が大学や特定非営利活動法人等と協力して地域の特色をいかしたモデルカリキュラムの開発等を行う実践研究に取り組んでいる。さらに,学校における国際理解教育を推進するため,効果的な実践事例を掲載した「国際理解教育実践事例集中学校・高等学校編」を作成した。
また,近年増加傾向にある公立小・中・高等学校における日本語指導の必要な外国人児童生徒の教育を支援するため,日本語指導等に対応するための教員の加配を行うとともに,外国人の子どもに対する就学促進や学校への受入体制の整備等を行う「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」等の取組を実施している。
さらに,景気後退によって,ブラジル人学校等に通学しているブラジル人などの子どもの就学が困難になりつつある状況を受けて,平成21年1月30日に,公立学校に転入する者に対する支援として外国語が使える支援員などの配置や,子どもたちの居場所づくりとして実施する日本語指導や学習支援などからなる「定住外国人の子どもに対する緊急支援〜定住外国人子ども緊急支援プラン〜」を公表するとともに,3月27日に,平成21年度以降に講ずる施策を中心に取りまとめた「定住外国人の子どもに対する緊急支援(第2次)〜定住外国人子ども緊急支援プラン〜」を公表した。
8 エイズウイルス(HIV)感染者・ハンセン病患者等
(1)HIV感染者等
ア エイズ患者及びHIV感染者に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動
法務省の人権擁護機関では,エイズ患者及びHIV感染者に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるよう,平成11年度から「HIV感染者等に対する偏見をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を行っている。
厚生労働省では,12月1日の「世界エイズデー」に向けてキャンペーンイベントを実施した。また,エイズに関する電話相談事業の実施等,HIV/AIDSに対する正しい知識の普及啓発活動に努めている。
イ 学校教育におけるエイズ教育等の推進
文部科学省では,学校教育において,エイズ教育の推進を通じて,エイズ患者やHIV感染者に対する偏見や差別をなくすとともに,教材作成や教職員の研修を推進した。
ウ HIV感染者等の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
法務省の人権擁護機関では,常設・特設の人権相談所において相談を受けるとともに,人権相談などで,HIV感染者等に対する差別等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行い,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な処置を講じている。
(2)ハンセン病患者・元患者等
ア ハンセン病患者等に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動
厚生労働省では,毎年6月下旬に「ハンセン病を正しく理解する週間」を,都道府県,社会福祉法人ふれあい福祉協会と実施している。平成20年度は,6月22日から28日を当該週間としてハンセン病の正しい理解を促進し,偏見・差別の解消に努めた。
また,ハンセン病に対する正しい知識の普及のため,様々な普及啓発活動を行っており,平成20年9月20日に岡山県瀬戸内市,9月21日に岡山市,平成21年2月7日に大阪市で法務省等と連携し,ハンセン病問題に対する正しい知識の普及・啓発を目的としたシンポジウムを実施した。
さらに,平成21年1月には,ハンセン病を正しく理解するための中学生向けパンフレット及び指導者向け教本「ハンセン病の向こう側」を作成した。
法務省の人権擁護機関では,中学生等をパネリストとした,ハンセン病に関する「夏休み親と子のシンポジウム」を平成20年7月27日に岡山市で,同8月4日に群馬県前橋市で,それぞれ厚生労働省等と連携して開催するとともに,全国版の小学生新聞・中学生新聞に啓発広告を掲載した。
また,法務省の人権擁護機関ではでは,ドキュメンタリービデオ「未来への道標(みちしるべ)」やアニメーションビデオ「未来への虹」をシンポジウムや研修会等で上映したほか,貸出しも行っている。
さらに,政府広報テレビ番組「峰竜太のナッ得!ニッポン」において,ハンセン病問題について解説するとともに,平成20年6月に成立した「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が平成21年4月から施行されることを周知・広報した(平成21年3月13日)。
イ ハンセン病患者等の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
法務省の人権擁護機関では,常設・特設の人権相談所において相談を受けるとともに,人権相談などで,ハンセン病患者等に対する差別等人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,行為者に対し人権尊重思想の啓発を行い,その排除や再発防止のために事案に応じた適切な措置を講じている。
9 刑を終えて出所した人
法務省では,犯罪や非行を防止し,犯罪をした人や非行のある少年の改善更生を支えるため,地域住民の理解と参加を得て,第58回“社会を明るくする運動”を実施する中で,刑を終えて出所した人に対する偏見・差別を除去し,これらの人の社会復帰に資するための啓発活動を実施した。
同運動においては,ミニ集会・住民集会の開催(14,699回)のほか,講演会・弁論大会(1,391回)などを行い,小・中学生を対象とした作文コンテストでは17万5,143点,標語一般募集では4,713点の応募があった。なお,同運動に参加した人員は,全国で約278万人であった。
法務省の人権擁護機関では,刑を終えて出所した人に対する偏見をなくし,理解を深めるよう,平成11年度から「刑を終えて出所した人に対する偏見をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に年間を通じて全国各地で,講演会や座談会の開催,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を行っている。
10 犯罪被害者等
(1)犯罪被害者等の人権に関する啓発・広報
ア 内閣府では,毎年11月25日から12月1日までの間を「犯罪被害者週間」とし,犯罪被害者等に関する国民の理解を深めるために啓発事業を集中的に実施している。平成20年度の週間においては,内閣府主催の「犯罪被害者週間」国民のつどい中央大会及び地方公共団体等との共催の地方大会(北海道・滋賀県・福岡県・浜松市)を開催し,基調講演やパネルディスカッション等を行って犯罪被害者等に係る様々なテーマについて議論した。また,平成20年度の標語募集においては,長野県の高校生が応募した「乗り越える 勇気をくれる みんなの支援」を最優秀作品とし,上記中央大会において内閣府特命担当大臣(犯罪被害者等施策)から表彰を行い,その標語をポスターなどに使用した。その他,関係機関・団体と協力し,各種啓発事業を実施している(詳細は「犯罪被害者白書」に記載)。
イ 法務省では,犯罪被害者保護・支援のための制度を広く国民に紹介し,その周知を図るために「犯罪被害者の方々へ」と題するパンフレットを新たに作成し,全国の検察庁及び各都道府県警察等において犯罪被害者等に配布している。
また,刑事裁判・少年審判終了後の更生保護における犯罪被害者等のための制度について,リーフレットを配布するなどの広報を実施した。
さらに,法務省の人権擁護機関では,犯罪被害者やその家族の人権問題に対する配慮と保護を図るため,平成14年度から「犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう」を人権週間の強調事項に掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子の配布等の啓発活動を実施している。また,犯罪被害者の置かれている現状を国民に広く伝え,被害者の人権に関する問題を身近な問題として考えるために制作し,全国の法務局・地方法務局に配布した人権啓発ビデオ「犯罪被害者の人権を守るために」を,講演会及び研修会等で上映したほか,貸出しも行っている。さらに同ビデオを,CS放送スカイパーフェクTV!で平成20年4月2日ほか計13回放映した。
ウ 警察庁では,パンフレット「警察による犯罪被害者支援」,「犯罪被害給付制度のご案内」,啓発用ビデオ「再び平穏な暮らしへ〜犯罪被害給付制度の拡充〜」等を作成し,様々な機会に活用するとともに,犯罪被害者支援広報用ホームぺージ(日本語版(http:/www.npa.go.jp/higaisya/index.htm),英語版)の開設や,警察庁広報重点として「被害者支援活動の周知と参加の促進及び犯罪被害給付制度の周知徹底」を設定するなど,広報・啓発を実施した。
犯罪被害者等への支援活動を行う「特定非営利活動法人全国被害者支援ネットワーク」に加盟している民間被害者支援団体は,警察等の関係機関との連携を図りながら,被害者支援に関する広報啓発,電話・面接相談,ボランティア相談員の養成及び研修などの活動を行っている。
(2)犯罪被害者等に対し援助を行う者等に対する教育訓練
ア 検察職員
全国の検察官及び検察事務官等に対し,犯罪被害者保護を目的とした諸制度について,各種研修や日常業務における上司による指導等を通じて周知し,適正に運用するよう努めている。
イ 警察職員
警察においては,被害者に接する個々の警察職員が犯罪被害者等の立場に立った適切な支援,対応を行うためには,職員への教育が極めて重要であるとの認識の下,被害者支援の意義や各種施策の概要,犯罪被害者等の立場,心情への配慮や具体的な対応の在り方等についての教育を実施している。
ウ 保護観察官
保護観察官については,犯罪被害者等に対して適切な対応を行うことができるようにする観点から,また,保護観察対象者に対して犯罪被害者等の状況や心情について十分理解させ,そのしょく罪意識の涵(かん)養を図る観点等から,保護観察官を対象にした各種研修において,犯罪被害者等が置かれている状況等や刑事政策における被害者支援の必要性等をテーマとして,犯罪被害当事者や民間ボランティアの方々等による講義等を実施している。
エ 民間の被害者支援団体のボランティア等
民間の被害者支援団体の一員として被害者支援を行うボランティア等に対して,各都道府県警察は,警察職員を講師として派遣するなどにより団体と連携し,より効果的な教育訓練を行うよう努めている。
11 インターネットによる人権侵害
(1)個人のプライバシーや名誉に関する正しい知識を深めるための啓発活動
法務省の人権擁護機関では,平成14年度から「インターネットを悪用した人権侵害は止めよう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。
また,子ども向けのインターネットに関する人権啓発教材「知ってる!?ケータイやインターネットも使い方ひとつで…」を作成・配布した。
(2)インターネットをめぐる人権侵害事案に対する適切な対応
ア 総務省では,プロバイダ責任制限法の適切な運用に努めてきたところ,平成18年8月に取りまとめられた「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書」を受け,同年11月に電気通信事業者団体において,インターネット上で人権侵害情報等の違法・有害情報への自主的な対応を促進するために「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」が策定された。
総務省では,これらの取組について実際に削除を行うブロバイダに周知を図るため,各種ガイドライン等の普及・促進に努めている。
イ 法務省の人権擁護機関では,日本国憲法の保障する表現の自由に十分配慮すべきことは当然であるが,一般に許される限度を超えて他人の人権を侵害する悪質な事案に対しては,発信者が判明する場合は,同人に対する啓発を通じて侵害状況の排除に努め,また,発信者が特定できない場合は,法務省の人権擁護機関による削除要請について明文で規定した「プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」を活用して,当該情報の削除をプロバイダ等に求めるとともに,ガイドラインの対象ではない差別助長行為についても,適宜な方法で削除を求めるなど,適切な対応に努めている。
(3)インターネットなどを介したいじめ等への対応
文部科学省においては,児童生徒の情報活用能力を育成するための情報教育を各学校段階を通して体系的な実施を図る中で,情報モラル教育を推進するとともに,インターネットなどを使ったいじめへの対応策を検討するため,有識者会議を開催し,議論を行い,平成20年6月に,取りまとめ(「『ネット上のいじめ』から子どもたちを守るために−見直そう!ケータイ・ネットの利用のあり方を−」)を行った。この提言を受け,平成20年11月には,「『ネット上のいじめ』に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け)」を作成した。また,学校における携帯電話の取扱いに関して,小中学校では原則持込禁止とするなどの指針の例を示し,各学校や地域の実態に応じて方針を明確化し,指導を徹底するよう,平成20年7月に通知を発出して周知した。
さらに,保護者等に対する啓発を図るため,有害情報に係る犯罪・被害,トラブルの事例に関する映像資料を作成し活用すること,携帯電話利用に係る親子のルールづくり等に関するリーフレットの作成・配布に取り組んでいる。
12 北朝鮮当局によって拉致された被害者等
北朝鮮による日本人拉致は,許すことのできない国家的犯罪であり,我が国の国家主権と国民の生命及び安全に関わる重大な問題である。
拉致問題に関する広報・啓発については,政府・拉致問題対策本部において決定された「拉致問題における今後の対応方針」の重要項目の一つとして掲げられており,また,拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成18年法律第96号。以下「北朝鮮人権法」という。)には,政府及び地方公共団体が拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものと定められている。
平成20年度においては,拉致問題対策本部を中心とした関係省庁や地方公共団体において,以下のとおり具体的施策を実施した。
(1)北朝鮮人権侵害問題啓発週間における取組
北朝鮮人権法は,12月10日から16日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間と定めており,12月13日に政府主催行事として,拉致問題対策本部,法務省,外務省の共催による「拉致問題を考えるみんなの集い」を開催したほか,関係省庁,地方公共団体において,ポスターの掲出,チラシ等の配布,インターネットバナー広告,交通広告,メディアによる周知・広報等,同週間にふさわしい活動等に取り組んだ。
(2)様々な広報媒体の活用
啓発用小冊子・DVDの制作及び頒布,羽田・成田空港等におけるビデオスポットの放映,海上保安資料館横浜館における拉致問題パネルの展示,国内の学校における映画「ABDUCTION」の上映会の開催,アニメ「めぐみ」の制作並びに全国の教育委員会・約4万の学校・3,300の公立図書館への配布,インターネットにおける無料配信,全国のレンタルビデオ店における無料貸出し及びアニメ・フェスティバル等のイベント会場での上映,民間団体からのアイディアを活用した広報,大型広告車両による広報,並びにヤフーオフィシャルチャンネル(動画提供専門サイト)の開設などを実施した。
13 その他の人権課題
(1)性的指向(異性愛,同性愛,両性愛)を理由とする偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動
法務省の人権擁護機関では,平成14年度から「性的指向を理由とする差別をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。
また,常設・特設の人権相談所において相談を受けるとともに,人権相談などで性的指向に関する嫌がらせ等人権侵害の疑いを認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な解決を図っている。
(2)ホームレスの人権及びホームレスの自立の支援等
国は,平成14年7月に制定された,ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法により,平成15年7月,ホームレスの自立の支援等に関する基本方針を策定し,平成20年7月に見直しを行った。
法務省の人権擁護機関では,平成16年度から「ホームレスに対する偏見をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心として全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。
また,常設・特設の人権相談所において相談を受けるとともに,人権相談などでホームレスに関する嫌がらせ等人権侵害の疑いを認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な解決を図っている。
(3)性同一性障害者の人権
法務省の人権擁護機関では,平成16年度から「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。
また,常設・特設の人権相談所において相談を受けるとともに,人権相談などで性同一性障害者に関する嫌がらせ等人権侵害の疑いを認知した場合は,人権侵犯事件として調査を行い,その結果,人権侵害の事実が認められれば,関係機関と連携・協力して当該事案に即した適切な解決を図っている。
(4)人身取引(トラフィッキング)事犯への適切な対応
ア 法務省の人権擁護機関では,平成20年度から「人身取引をなくそう」を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。
イ 外務省では,犯罪組織等による被害者の我が国への送り込みを防止する観点から,在外公館等において,被害者の査証審査を厳格化するとともに,「人身取引対策に伴う査証審査厳格化措置」についての広報活動を実施した。
ウ 内閣府では,女性に対する暴力をなくしていく観点から,関係省庁,地方公共団体等と連携・協力して,国民一般に対し,人身取引に関する広報・啓発活動を実施した。
エ 警察庁では,「コンタクトポイント連絡会議」を開催し,関係国の在日大使館,国際機関,NGO等と人身取引被害者の発見,保護についての情報交換や意見交換を行うとともに,人身取引被害の警察等への連絡を呼び掛けるリーフレットを9か国語で作成し,被害者等の目の触れやすいところで配布している。
第3節 人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対する研修等
1 研修
(1)検察職員
基本的人権を尊重した検察活動を徹底するため,検察官及び検察事務官等に対し各種研修において人権教育を実施しているほか,日常業務においても,上司による指導を通じ,人権尊重に関する理解の増進に努めている。
平成20年度は,各種研修において,人権をめぐる諸問題や国際人権関係条約に関する講義を実施した。
(2)矯正施設職員
平成15年12月に行刑改革会議から示された「行刑改革会議提言〜国民に理解され,支えられる刑務所へ〜」を踏まえ,監獄法改正を始めとした一連の改革を行ってきた。現行の「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」では,刑務官に対し,被収容者の人権に関する理解を深めさせるための研修及び訓練を行うこととされており,同法の精神等に基づき研修や訓練を実施し,人権意識の向上に努めているところである。
刑務官を含め,矯正施設の職員については,被収容者の人権の尊重を図る観点から,矯正研修所及び同支所(全国8か所)において,新採用職員,幹部職員等に対し,被収容者の権利保障・国際準則等に係る研修,人権啓発,個人情報の保護等に係る研修を実施している。
平成20年度は,初任研修課程及び任用研修課程等の研修において,憲法,成人矯正法,少年院法のほか,被収容者の人権に関する条約,犯罪被害者の人権,セクシュアル・ハラスメント等について,研修を実施した。
また,専門研修課程において,少年鑑別所の専門官等52人に対し,民間プログラムによる行動科学的な視点を取り入れた研修を行うとともに,各少年鑑別所においても自庁研修として実施したほか,各矯正施設においては,事例研究・ロールプレイング等の実務に即した自庁研修を行うなど,職員の人権意識の改革に努めている。
(3)更生保護官署関係職員
更生保護官署関係職員に対しては,保護観察官を対象とした研修において,人権に関する講義を継続して実施している。平成20年度は241人に対して,人権に関する講義を実施した。
また,社会復帰調整官を対象とした研修において,医療観察対象者の人権尊重等の観点から,平成20年度に11人に対して,精神障害者の人権等に関する講義を実施した。
保護観察所が実施している保護司に対する各種研修においても,保護観察等の処遇の場面で個人情報の取扱いに配慮するよう啓発に努めている。
(5)教員・社会教育関係職員
独立行政法人教員研修センター及び各都道府県等において,人権尊重意識を高めるための研修を実施している。
また,社会教育主事講習において,人権問題を取り上げ,人権問題に関する正しい知識を持った社会教育主事の要請を図っている。
平成20年度は,全国14か所(計15講習)の国立大学等に社会教育主事講習を委嘱し,全国で703人が修了した。
また,人権に関する学習活動を推進するための指導者研修会等を実施する都道府県に対し支援を行う「人権教育推進のための調査研究事業」により,指導者の資質向上を目指した。
なお,地方公共団体の社会教育における人権教育担当者が参集し,人権教育の推進方策及び今後の課題について研究協議を行う「全国人権教育担当者研究協議会」を奈良県で開催した(平成21年2月9日〜10日)。
(7)福祉関係職員
厚生労働省では,民生委員・児童委員リーダー研修会等において,民生委員・児童委員の人権の尊重等についての理解を深めている。
また,全国主任児童委員研修会を開催し,地域住民や関係機関との連携について考えるシンポジウム等を実施した。
さらに,児童福祉関係施設において子どもの人権を尊重した処遇を充実させるため,国立武蔵野学院附属児童自立支援専門員養成所において研修を行った。
厚生労働省委託の社会福祉研修では,社会福祉研修実施機関で実施される研修において,人権教育・啓発に関するプログラムを組んで実施している。
(10)消防職員
消防庁消防大学校では,消防事務に従事する職員,消防職員・消防団員に対し,人権教育を実施している。
平成20年度における人権教育については,幹部科(268名),上級幹部科(40名)及び予防科(102名)において,人権擁護をめぐる国内外の諸問題及び男女共同参画について講義を実施した。
(11)警察職員
警察では,職務倫理に関する教育を最重点項目に掲げ,各級警察学校及び警察署等の職場において,人権の尊重を大きな柱とする「職務倫理の基本」に重点を置いた教育を行ったほか,基本的人権に配慮した適正な職務執行ができるよう,必要な知識・技能を修得させるための各種教育を行った。
警察庁においては,平成20年1月「警察捜査における取調べ適正化指針」(http:/www.npa.go.jp/keiji/keiki/torishirabe/tekiseika_shishin.pdf)を策定した。同指針に基づき,被疑者取調べ監督制度を適切に運用するほか,具体的事例に基づいた実践的な教養の実施,指導的立場にある警察官に対する教養の充実等,各種施策を迅速かつ着実に実施していくこととしている。
(12)自衛官
防衛省では,防衛大学校や防衛医科大学校等において,民主主義,基本的人権の尊重等の憲法の理念等について教育を実施した。
また,自衛隊の各種学校等では,自衛隊法に規定する「服務の本旨」にのっとり,人格の尊重等を基本とする精神教育を実施した。
(13)公務員
ア 法務省では,中央省庁等の職員を対象とする「人権に関する国家公務員等研修会」を開催している。平成20年度は,平成20年9月12日に「わたしが出会った開発途上国の女性・HIV感染者たち」(講師・有森裕子氏,参加者353人),平成21年2月18日に「男女共同参画社会の構築に向けて」(講師・山下泰子氏,参加者383人)の2回に分けて開催し,合わせて736人の受講者があった。
また,都道府県及び市区町村の人権啓発行政に携わる職員を対象にして,その指導者として必要な知識を習得させることを目的とした人権啓発指導者養成研修会を実施している。平成20年度は,平成20年9月1日から同月3日までの3日間(東京会場:参加者89人),同年10月20日から同月22日までの3日間(広島会場:参加者60人),同年11月4日から同月6日までの3日間(京都会場:参加者68人)の3回開催した。
イ 人事院では,全府省庁の職員を対象に実施している役職段階別研修等において,女性,高齢者,障害のある人等の人権課題を幅広くカリキュラムに取り入れた研修を行った。平成20年度に人事院が実施した研修のうち,人権を取り扱ったものは,50コースで,参加者数は2,111人であった
ウ 外務省では,新入職員等を対象とした各種研修の中で,人権問題や人権外交等に関する講義を,また,在外公館に勤務する予定の各府省庁職員を対象とした研修の中で,外交と人権に関する講義を行った。
エ 自治大学校では,地方公共団体の幹部となる地方公務員の政策形成能力等を総合的に養成することを目的に高度な研修を行っているが,平成20年度の人権教育については,5課程の課目の中で実施した。
第4節 総合的かつ効果的な推進体制等
1 実施主体の強化及び周知度の向上
2 実施主体間の連携
(1)人権教育・啓発に関する中央省庁連絡協議会
平成12年9月25日,関係省庁事務次官等申合せにより,各府省庁等の教育・啓発活動について情報を交換し,連絡するための場として,人権教育・啓発中央省庁連絡協議会が設置された。
平成20年度は,幹事会を2回開催し,啓発活動等についての情報交換を行うとともに,人権教育・啓発推進法に基づく年次報告についての協議も行われた。
(2)人権啓発活動ネットワーク協議会
法務省では,平成12年9月までに,「人権啓発活動都道府県ネットワーク協議会」を都道府県単位(北海道にあっては,法務局及び地方法務局の管轄区域単位)に設置し,さらに,平成20年3月までに市町村及び人権擁護委員協議会等を構成員とする「人権啓発活動地域ネットワーク協議会」を全国193か所に設置した。このネットワークを利用して,国,地方公共団体,人権擁護委員組織体及びその他の人権啓発の実施主体が,それぞれの役割に応じて相互に連携協力することにより,各種の人権啓発活動を効率的かつ効果的に実施している。
3 担当者の育成
(1)人権啓発指導者養成研修会
法務省では,地方公共団体等の人権啓発行政に携わる職員を対象にして,その指導者として必要な知識を習得させることを目的とした人権啓発指導者養成研修会を実施している。
平成20年度は,9月1日から3日までの3日間(東京会場:参加者89人),10月20日から22日までの3日間(広島会場:60人),11月4日から6日まで3日間(京都会場:68人)の3回開催した。
4 人権センターの充実
人権センターは,民間団体としての特質をいかした人権教育・啓発活動を総合的に行うナショナルセンターとしての役割を果たすため,法務省や地方公共団体からの委託事業のほか,情報誌「アイユ」の刊行,人権啓発ポスターの作成,各種人権啓発パンフレットの制作等センター独自の事業を行っている。
また,人権センターでは,地方公共団体,各種研究団体等で制作した書籍・図画・ビデオ等を収集・購入し,同センター内に設置した「人権ライブラリー」において,これら書籍・図画・ビデオ等を広く一般の人々に提供等している。
5 マスメディアの活用等
(1)マスメディアの活用
ア テレビ,ラジオ等の活用
(ア) 全国一斉「子ども人権110番」強化週間に関する広報
- 政府広報オンライン「お役立ち記事」や地方自治体の広報誌に記事を掲載
(イ) 全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間に関する広報
政府広報オンライン「行事カレンダー」や地方自治体の広報誌に記事を掲載
(ウ) 第60回人権週間に関する広報
- 大型ビジョン放映(羽田空港フューチャービジョン)(平成20年11月27日〜12月10日)
- ラジオスポットCM(平成20年12月4日〜10日,全国FM放送協議会(FEN)38局)
- インターネットバナー広告(平成20年12月1日〜10日)
- 政府広報オンライン「お役立ち記事」に「世界人権宣言60周年と人権週間」を掲載 (平成20年12月)
(エ) 女性,子ども,外国人に関する広報
- 人権啓発ビデオ「翔太のあした」(男女共同参画社会について),アニメーション「プレゼント」(いじめ問題について),ドラマ「私たちの人権宣言」(子どもの権利条約の理解を深める),「この街で暮らしたい−外国人の人権を考える−」(外国人の人権について)をCS放送スカイパーフェクTV!放映した(平成20年4月9日など延べ27回,スカイパーフェクTV!762チャンネル「GROWTH&EDUCATION」の無料放送時間帯に放送)。
(オ) HIV感染者・ハンセン病患者等の人権に関する広報
- ハンセン病に関する「夏休み親と子のシンポジウム」等のインターネットバナー広告に掲載(平成20年7月21日〜8月4日)
- 政府広報ラジオ「中山秀征のBeautiful Japan」で「ストップエイズ」をテーマに放送(平成20年5月,11月の2回)
- 政府広報テレビ番組「峰竜太のナッ得!ニッポン」で「ハンセン病のこと知っていますか?」をテーマに放送(平成21年3月13日)
(カ) その他の広報
- 政府広報テレビ番組「『ご存じですか』〜くらしナビ最前線〜」で「インターネットを悪用した人権侵害」をテーマに放送(平成20年7月4日,日本テレビほか30局で放送)
- 政府広報オンライン「お役立ち記事」に「インターネットを悪用した人権侵害をなくすために」を掲載(平成20年8月)
イ 新聞紙,雑誌の活用
(ア) 「障害者雇用の促進」に関する広報
- 障害者雇用支援月間に関する啓発広報(平成20年9月1日)
(イ) 「公正な採用選考システムの確立」に関する公告
- 公正な採用選考に関する啓発広告を全国紙(5紙)及び地方紙(44紙)に掲載(平成20年5月8日ほか)
(ウ) 全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間に関する広報
全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間の広報記事を内閣府広報誌「共同参画」11月号に掲載
(エ) 全国中学生人権作文コンテストに関する啓発広報
全国中学生人権作文コンテストに関する啓発広報を地方紙(52紙)に掲載(平成20年10月30日〜12月16日)
(オ) 第60回人権週間に関する啓発広報
平成20年12月3日から4日に地方紙(52紙)に啓発広告を掲載した。
また,全国版の小学生新聞(同年12月4日)・中学生新聞(同年12月7日)に啓発広告を掲載した。
さらに,同年12月24日に人権週間中に開催した「世界人権宣言60周年・人権擁護委員制度60周年記念の集い」の特集記事を読売新聞に掲載した。
(カ) ハンセン病患者等の人権に関する広報
全国版の小学生新聞(平成20年9月19日,10月1日)・中学生新聞(平成20年9月14日,10月5日)にハンセン病に関する「夏休み親と子のシンポジウム」の記事等を掲載した。
(2)民間のアイディアの活用
法務省では,人権センターに対し,啓発活動の推進に効果的な人権啓発教材の作成,人権啓発ビデオの制作,人権啓発フェスティバルにおけるシンポジウム等の開催等各種の人権啓発活動事業を委託するとともに,ポスター等の作成に当たっては,民間の制作会社の意見を採り入れるなどしている。
また,地方公共団体等を対象とする人権啓発指導者養成研修や法務局・地方法務局の人権担当者に対する研修等において,民間から講師を招き,広報活動,啓発活動などの指導を委託している。
(3)国民の積極的参加意識の醸成
ア 人権啓発フェスティバルの開催
人権啓発フェスティバルは,市民参加型の方式を取り入れつつ,幅広い各種の人権啓発活動を一体的・総合的に実施することにより,地域住民の参加を促し,広く人権尊重思想の普及高揚を図ることを目的として,毎年2か所において開催している。
平成20年度は,東京都,京都府で開催し,両会場合わせて8万9,580人を超える多数の参加者があった(P6参照)。
イ 全国中学生人権作文コンテスト
法務省の人権擁護機関では,次代を担う中学生が,人権問題についての作文を書くことによって,豊かな人権感覚を身に付けることを目的に,「全国中学生作文コンテスト」を実施している。平成20年度で28回目を迎え,6,593校が参加し,86万6,269編という多数の応募があった(P5参照)。
ウ 「世界エイズデー」ポスターコンクールの実施
HIV/AIDSの正しい知識の普及啓発を目的として「世界エイズデー」ポスターコンクールを実施した。小学生の部48点,中学生の部175点,高校生の部215点,一般の部185点の応募があった。
最優秀作品(一般の部)は,世界エイズデーの普及啓発用ポスターに使用され,全国各地に掲示され,エイズについて理解を深めてもらうよい機会となっている。
6 インターネット等IT関連技術の活用
(1)法務省では,法務省のホームページ(http://www.moj.go.jp/)において,各種人権関係情報を掲載するとともに,広く国民に対して,多種多様の人権関係情報を提供した。
また,人権教育・啓発に関する情報に対して,多くの人々が容易に接し,活用することができるよう,人権啓発活動ネットワーク協議会のホームページ(http://www.moj.go.jp/jinkennet/)を開設している。
「人権教育・啓発に関する基本計画」については,法務省及び文部科学省のホームページ(http://www.mext.go.jp/)に全文を掲載し,内容の周知を図っている。
さらに,平成20年度は,ハンセン病「夏休み親と子のシンポジウム」,人権週間及び北朝鮮人権侵害問題啓発週間について,インターネットバナー広告を掲載し,周知を図った。
(2)厚生労働省では,厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)において,高齢者,障害のある人,HIV感染者,ハンセン病患者・元患者等に関する施策についての情報及び資料を掲載して,それぞれの施策の普及を図り,国民的理解を深めるよう努めている。
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構のホームページ(http://www.jeed.or.jp/)
エイズ予防情報ネットのホームページ(http://api-net.jfap.or.jp/)
ハンセン病に関する情報ページ(http:/www.mhlw.go.jp./topics/bukyoku/kenkou/hansen/index.html)
(3)外務省では,外務省のホームページ(http:/www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken.html)において,世界人権宣言,主要人権条約,人権関連文書等に関する情報を提供している。