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平成21年中の「人権侵犯事件」の状況について(概要)(平成22年3月26日)

平成21年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)
~人権侵害に対する法務省の人権擁護機関の取組~

○新規救済手続開始件数 21,218件 (対前年比0.9%減少)
○処理件数       21,309件 (対前年比0.1%増加)
【新規救済手続開始件数からみた特徴】
(1) 児童に対する暴行・虐待に関する人権侵犯事件の増加
                 725件(対前年比15.6%増加)
(2) 社会福祉施設における人権侵犯事件の増加
                 153件(対前年比19.5%増加)
(3) インターネットを利用した人権侵犯事件の増加
                 786件(対前年比52.6%増加)
(4) 労働関係の人権侵犯事件の増加
               1,257件(対前年比11.0%増加)

 法務省の人権擁護機関(以下「人権擁護機関」という。)は,人権侵犯事件調査処理規程(平成16年法務省訓令第2号,以下「処理規程」という。)に基づき,人権侵害を受けた者からの申告等を端緒に人権侵害による被害の救済に努めている。
 平成21年(暦年)における人権侵犯事件に対する取組状況は,以下のとおりである。

1 平成21年中に取り扱った人権侵犯事件数の動向

 平成21年は,平成20年(以下「前年」という。)に比べ,新規開始件数は0.9%の減少とわずかながら減少し,処理件数は0.1%の増加とほぼ前年並みの件数となった。
(1) 開始件数(図1
 平成21年中に,新規に救済手続を開始した人権侵犯事件数は21,218件であり,対前年比で194件(0.9%)減少した。
(内訳)
◆ 公務員・教育職員等による人権侵犯事件数が3,512件(対前年比55件(1.6%)増加)
◆ 私人間の人権侵犯事件数が17,706件(対前年比249件(1.4%)減少)
(2) 処理件数(図2
平成21年中に処理した人権侵犯事件数は21,309件であり,対前年比で11件(0.1%)増加した。
(内訳)
◆ 公務員・教育職員等による人権侵犯事件数が3,547件(対前年比65件(1.9%)増加)
◆ 私人間の人権侵犯事件数が17,762件(対前年比54件(0.3%)減少)
 処理内訳別にみると,措置の内容としては,「援助」(注1)が19,833件(全処理件数の93.1%)で最も多く,次いで「要請」(注2)が183件(0.9%),「説示」(注3)が141件(0.7%),「調整」(注4)が109件(0.5%)となっている。
 また,特に重大・悪質な事案に関して,文書をもって是正を求める「勧告」をした事件が1件,関係行政機関に対して,文書をもって適切な措置の発動を求める「通告」をした事件が2件となっている。
 このほか,「措置猶予」(注5)が27件(0.1%),「侵犯事実不存在」が314件(1.5%),「侵犯事実不明確」が539件(2.5%),「啓発」(注6)を行ったものが207件(1.0%)ある。
(注1) 法律上の助言を行ったり,関係行政機関や関係ある公私の団体等を紹介すること。
(注2) 被害の救済又は予防について実効的な対応ができる者に対し必要な措置を執るよう求めること。
(注3) 相手方の反省を促し善処を求めるため事理を説き示すこと。
(注4) 被害者と相手方との話合いを仲介すること。
(注5) 事案の軽重や反省の程度,懲戒の有無等を考慮して措置を講じないこと。
(注6) 事件の関係者や地域社会において,事案に応じた啓発を行うこと。
(3) 特別事件
 平成21年中に,新規に救済手続を開始した人権侵犯事件数のうち,特別事件(処理規程第22条に規定されている重大な人権侵犯事件)の件数は1,385件で,前年に比べて70件(5.3%)増加した。

2 人権侵犯事件の類型別にみた新規救済手続開始件数の動向

(1) 暴行・虐待事案(図3
 平成21年中における暴行・虐待事案は5,099件で(対前年比3.2%減少),全事件類型別の中で最も多く全事件数の24%を占め,依然として憂慮すべき状況で推移している。
 このうち,いわゆる社会的に弱い立場にあるとされる女性,児童,高齢者,障害者を被害者とする割合は85%(4,334件)と非常に高い割合を占めている。
(2) 住居・生活の安全関係事案(図3
 平成21年中における住居・生活の安全関係事案は3,985件で(対前年比3.6%減少),全事件数の18.8%を占めている。
 このうち,相隣間における騒音等の相隣関係から生じる人権侵犯事件数は1,776件で,前年に比べ6.2%増加している。
(3) 強制・強要事案(図3
 平成21年中における強制・強要事案は3,646件で(対前年比8.5%減少),全事件数の17.2%を占めている。
(4) プライバシー関係事案(図3
 平成21年中におけるプライバシー関係事案は1,869件で(対前年度14.9%増加),全事件数の8.8%を占めている。
 このうち,インターネット等によるもの(注)は,前年の460件を大きく上回る746件(62.2%増加)と引き続き大幅な増加傾向を示している。
(注) インターネット等によるものとは,インターネット等を利用して,特定個人を誹謗中傷する情報,特定個人のプライバシーを侵害する情報など違法・有害な情報を流通させるものであって,インターネットを利用した不当な差別的言動及び差別助長行為等は含まれない。
(5) 学校における「いじめ」事案(図3
 平成21年中に新規に開始した学校における「いじめ」(注)に関する人権侵犯事件数は1,787件(対前年比7.1%減少)年連続で減少したものの,依然として高い水準にある。
(注) 学校における「いじめ」に関する人権侵犯事件とは,いじめに対する学校側の不適切な対応等の事案であり,学校長等を相手方とするものであって,いじめを行った加害児童・生徒を相手方とするものではない。

3 特徴的な動向

(1) 児童に対する暴行・虐待に関する人権侵犯事件の増加(図9
 平成21年中に新規に開始した児童に対する暴行・虐待事案に関する人権侵犯事件数は725件で,前年に比べ15.6%増加している。
 この中には,同居の親族による児童虐待事案について,被害児童が児童相談所に保護されるに至るなどの「援助」を行った事案が含まれている。(別添事例3
(2) 社会福祉施設における人権侵犯事件の増加(図10
 平成21年中に新規に開始した高齢者施設,知的障害者更生施設等の社会福祉施設における人権侵犯事件数は153件で,前年に比べ19.5%増加となっている。その内訳は,障害者福祉施設職員によるものが61件(39.9%),高齢者福祉施設職員によるものが40件(26.1%),児童福祉施設職員によるものが15件(9.8%)となっており,職員以外による人権侵犯事件数は37件(24.2%)となっている。
 この中には,障害者施設における入所者に対する虐待事案について,「勧告」を行った事案及び高齢者施設における入所者に対する虐待事案について,「説示」「通告」を行った事案が含まれている。(別添事例8
(3) インターネットを利用した人権侵犯事件の増加(図11
 インターネットの普及により様々な情報に容易にアクセスできるようになった反面,インターネットを利用した人権侵犯事件は,ここ数年急激な増加傾向を示している。
 平成21年中に新規に開始したインターネットを利用した人権侵犯事件数は,前年の515件を大きく上回る786件(52.6%増加)で,大幅な増加となっており,このうち,名誉毀損事案が295件,プライバシー侵害事案が391件となっており,この両事案で全体の87.3%を占めている。また,特定の地域が同和地区であるとする書き込みがされるなどの差別助長行為事案は24件あった。なお,これらのうち,当機関がプロバイダ等に対し削除要請を行ったものは81件である(対前年比8%増加)。
 この中には,本人の意に反して実名及びメールアドレス等がインターネット上の掲示板に掲載された事案について,「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」(プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会)に基づきプロバイダ等に対し削除要請を行った事案が含まれている。(別添事例5
(4) 労働関係の人権侵犯事件の増加(図12
 現下の厳しい経済情勢の影響によって,雇用情勢等も悪化している状況にあり,労働関係の人権侵犯事件は,平成18年以降増加傾向を示している。
 平成21年中に新規に開始した労働関係の人権侵犯事件数は1,257件で,前年に比べ11.0%増加となっている。その内訳は,リストラに関するものが132件(10.5%),労働強制や中間搾取等の労働基準法違反に関するものが98件(7.8%),労働組合法第7条違反による不当労働行為に関するものが53件(4.2%),その他(注)が974件(77.5%)となっている。
(注) その他の事案には,職場において職権を利用し,部下の人格や尊厳を侵害する言動を繰り返すなどして精神的な苦痛を与え,職場環境を悪化させたり雇用不安を与えたりしたとして申告があった事案(パワーハラスメント)などがある。

4 添付資料

(1) 平成21年中に法務省の人権擁護機関が救済措置を講じた具体的事例(別添1
(2) 人権侵犯事件統計資料(平成21年1月~12月)(別添2
(3) 「女性の人権ホットライン」の利用状況について(別添3
(4) 「子どもの人権110番」の利用状況について(別添4
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