お答えします 「アジ研(UNAFEI)の活動とその意義について」

お答えします


Q:「アジ研」について教えてください。

:アジ研は,正式には,「国連アジア極東犯罪防止研修所」といい,海外では,「UNAFEI(ユナフェイ)」として知られています。

アジ研は,国連と日本政府との協定に基づいて,昭和37年に設立された国連の地域研修所で,東京都府中市に置かれています。現在の活動の中心は,各国の検察官,裁判官,矯正職員,保護観察官などの刑事司法実務家を対象とする国際研修及びセミナーを実施することであり,国連の政策と取組に沿いつつ,アジア・太平洋地域を始めとする国・地域の刑事司法の健全な発展と相互協力の強化に努めています。


Q:アジ研ではどのような研修を行っていますか?

:アジ研では,多数の国を対象としたいわゆるマルチの取組として,国際研修を年4回実施しているほか,東南アジア諸国のためのグッドガバナンス・セミナーを年1回開催しています。これらのプログラムは,毎回特定のテーマを設定して実施しており,比較法的観点から,相互理解の促進と経験の共有が図られるよう工夫されています。また,ケニアや中央アジアなど特定の国・地域を対象とする国別・地域別研修も実施しています。


Q:アジ研の研修はどのように役立っていますか?

:アジ研は,本年創立50周年を迎えますが,この間の研修参加者は,日本を含む130の国・地域から4,600人以上(平成24年1月1日現在)に及んでいます。これらの中には,帰国後,法務大臣や検事総長などの要職に就いた人も少なくありません。半世紀にわたる活動の積み重ねを通じて培われたアジ研の人的ネットワークは,刑事司法分野における国際協力関係の構築に大いに役立っています。


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記者が行く!
法務省が関連する主な犯罪被害者等の支援について

このコーナーでは,毎回,法務省の気になる部署や施策などについて,私が法務省内で取材した内容を皆様にご紹介しています。皆様に少しでも法務省について知っていただけるよう,本年も頑張って取材していきますので,よろしくお願いします。

さて,今回は,犯罪被害者等の支援に関する制度や取組にスポットを当ててみたいと思います。


犯罪被害に遭われた方やその家族の方々の苦しみや悲しみは計り知れないものです。犯罪被害者等への支援は政府全体の取組でもあるため,関係する省庁や地方自治体は,それぞれの役割に応じた犯罪被害者等の支援を行っています。また,民間団体においても,犯罪被害者等の様々なニーズに対し,きめ細やかで迅速な対応を行うための様々な活動を行っています。

それでは,法務省が関連している犯罪被害者等の支援に関する制度や取組については,どのようなものがあるのでしょうか?今回,関係する部署を回り取材してきましたので,そのいくつかをご紹介します。


■検察庁における被害者支援員への相談

検察庁では,被害者の方が検察庁へ気軽に被害相談や事件に関する問い合わせを行えるように専用電話として「被害者ホットライン」を設けており,刑事手続における支援を行う「被害者支援員」が,被害者の方の様々な相談に応じています。

では,この被害者支援員の方は,具体的にどういった内容の相談や支援を行っているのでしょう?

  • 〇証拠品を返してほしい場合や,事件記録を見たい場合などの手続の説明
  • 〇法廷への案内・付添い
  • 〇犯罪被害者等のニーズに応じた関係機関や犯罪被害者支援団体の紹介

などを行っています。

なお,被害者支援員の活動については,本号の「現場から」というコーナーで,東京地方検察庁の被害者等相談室を紹介しておりますので,そちらもご覧ください。


■日本司法支援センター(法テラス)の相談窓口

※法テラスは,国が設立した公的な法人であり,法務省が所管しています。


法テラスでは,これからどうしたらいいのかわからない,どこに相談したらいいのかわからないという方に,それぞれの犯罪被害の状況に応じて最も適切な支援が受けられるように,情報提供を行ったり,犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士を紹介したり,経済的に余裕のない方に弁護士費用等の援助制度をご案内するなど,犯罪被害に遭われた方やご家族の方などを多角的にサポートしています。


法テラスの犯罪被害者支援について詳しくお知りになりたい方は,「法テラスホームページ」をご覧ください。


犯罪被害者支援ダイヤル 0570−079714(なくことないよ)

PHS・IP電話からは03−6745−5601におかけください。


■被害に遭われた刑事事件の裁判が始まったら・・・(法廷で意見を言いたい,裁判に参加したい,など)

被害者の方の中には,被害についての今のお気持ちや事件についての意見を法廷で述べたいという方もおられると思います。そのような場合,被害者の意見陳述制度といって,法廷で意見を述べることができる制度があります

また,一定の事件に関して,裁判所から許可された場合,実際に刑事裁判手続に参加して,裁判に出席したり,被告人等に対して質問,意見を述べることができます。これを被害者参加制度といいます。この制度が始まったのは平成20年12月からと,まだ始まって間もない制度ですが,利用者数は年々増加しています。最近の統計ですと,平成21年では560人でしたが,平成22年では839人と約1.5倍になっており,徐々に制度が認知されていっているものと思われます。これによって裁判の参加を許可された場合,実際の裁判の参加等を弁護士に委託することもできるのですが,一方で,経済的な面で弁護士の援助を受けることがなかなか難しい方もいらっしゃると思います。そのような方のために,国が弁護士報酬及び費用を負担する制度もあり(被害者参加人のための国選弁護制度),法テラスを通じてその制度をご利用いただけます。

なお,被害者の意見陳述制度及び被害者参加制度による刑事裁判への参加については,事件を担当する検察官に申し出ることになります。


■被害者や親族の方々に,裁判の状況や受刑中の加害者の様子をお知らせする制度があります。(被害者等通知制度)

被害者や親族の方々は,事件の処分結果や裁判が行われる日,加害者が刑務所の中でどのようなことをしているか,いつ頃出所するのか,といった情報について関心を持っていらっしゃるかと思います。被害者等の方々で特にご希望がある場合,状況に応じて検察庁等からそのような情報を提供することもできます。


◆被害者に通知することができる事項(主なもの)

  • ・事件の処分結果
  • ・裁判が行われる日
  • ・裁判の結果
  • ・加害者の刑務所における処遇状況
  • ・刑務所からの出所予定時期
  • ・仮釈放・少年院からの仮退院の審理を開始した日
  • ・退院の審理を開始した日

など。


■被害者や親族の方々が,仮釈放・少年院からの仮退院に関するご意見や被害に関する心情を述べる制度があります。(意見等聴取制度)

地方更生保護委員会において,加害者の仮釈放や少年院からの仮退院を許すか否かの判断を行っていますが,その判断に当たっては,被害者や親族の方々からいただいたご意見,被害に関する心情などを考慮するほか,許す場合には,特別遵守事項を設定する際の参考としています。この制度を利用できる期間は,加害者の仮釈放・仮退院の審理を行っている間となっていて,この審理の開始については,上記の被害者等通知制度を利用することにより知ることができます。平成22年中に,意見などをお聴きした件数は287件となっています。


■被害者や親族の方々が,被害に関する心情などを保護観察中の加害者に伝達する制度があります。(心情等伝達制度)

加害者が保護観察所の保護観察を受けている間,被害者や親族の方々の被害に関する心情,その置かれている状況,保護観察中の加害者の生活や行動に関する意見をお聴きし,加害者に伝えることができます。これにより,加害者に被害の実情を直視させ,反省や悔悟の情を深めさせるよう指導していきます。保護観察の開始については,上記の被害者等通知制度を利用することにより知ることができます。平成22年中に,心情などを伝えた件数は97件となっています。


■被害者や親族の方々が,悩み等を相談できる制度があります。(相談・支援)

保護観察所において,被害者や親族の方の被害の回復等や刑事に関する手続への適切な関与のために,支援を行っています。悩み,不安等をお聴きした上で,関係機関等を紹介し,その円滑な利用を支援したり,お問い合わせに応じ,他の様々な制度や手続等について,ご説明し,情報を提供したりします。平成22年中に,相談・支援を行った件数は1,125件となっています。


今回取材した内容以外にも様々な支援制度はありますので,詳しくお知りになりたい方は,法務省ホームページ「犯罪被害者の方々へ」をご覧ください。

このような被害に遭われた方に関する支援があるということを,一人でも多くの方に知っていただきたいと思いますし,被害に遭われて悩み苦しんでいるときも,勇気を出して検察庁の被害者支援員や事件を担当している検察官等に相談していただきたいと思います。


今回掲載した支援や制度の具体的な手続に関しましては,法務省ホームページ「犯罪被害者の方々へ」に詳しく掲載されております。


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