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「法制度整備支援の現場から」~国際協力部教官の仕事~

私は,2014年4月から,法務総合研究所国際協力部の教官として,東南アジアを中心とする国々への法制度整備支援の仕事をしています。法制度整備支援の活動としては,文字通り,他の国の法律や制度を作るお手伝いをするということだけでなく,できた法律や制度を運用する法律専門家の育成を手助けするということにも力を入れています。

教官というと,相手国の人に知識や技術を教える仕事というイメージを持たれるかもしれません。たしかに,日本の法律や制度を紹介するため,相手の国の法律関係者を招いて研修を行うときに,教官として講義をすることも多いのですが,研修員の皆さんと議論をして,その国に合った法律や制度を一緒に考えるということも重要な仕事です。

実際,日本の制度や運用を紹介すると,相手国の皆さんからは,「なぜそのような制度になっているのか。」,「こういう問題はないのか。」などの質問や意見が次々と出されることが多く,いつも時間いっぱいまで議論をしています。また,相手国の関係者は,アメリカやヨーロッパなどの海外の法制度も良く勉強しているので,日本の制度について,あまり私自身が意識していなかった視点から質問を受けることもあり,むしろ勉強になることもあります。

そのほかにも,実は,食事のメニューをどうしようかなどといったことに気を配るのも教官の仕事なのです。ネパールの研修員と一緒にネパール料理を食べたり,インドネシアの研修員からお祈りの習慣について教えてもらったりして交流を深めることで,その国の文化や習慣を少しでも学ぼうと心がけています。その国に合う制度を考えるには,その背景となる文化や習慣を理解する必要がありますし,何よりお互いの国のことを良く知ることで,心が通い合い,より良い成果が出せるような協力関係ができるのだと思います。

これからもコミュニケーションによる交流を大切にして,この仕事に取り組みたいと思います。

カンボジア本邦研修での班別検討をする様子

カンボジア本邦研修での班別検討

ネパール本邦研修での調停演習をする様子

ネパール本邦研修での調停演習

(法務総合研究所国際協力部教官 甲斐雄次)