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「再犯防止キャラバン in 宮城」を行いました!

上川法務大臣を隊長とする再犯防止キャラバン隊が,平成27年8月9日(日)及び10日(月),宮城県において第2回再犯防止キャラバンを行いました。

○再犯防止キャラバンの目的や第1回(福岡)については,法務省ホームページ(再犯防止キャラバン)をご覧ください。

宮城県においても,県や市町村(行政)だけでなく,地域・住民・ボランティア等が協力して東日本大震災からの復興が進められる中,安全で安心な地域づくりに向けて,犯罪や非行をした人の立ち直り支援などにも力を入れて取り組まれています。

このような取組をされている方々から直接お話を伺うとともに,宮城県内の復興状況や現状について視察させていただきました。

<キャラバン日程>

平成27年8月9日(日)

  • ○仙台市青葉区折立地区視察
  • ○更生保護施設(宮城東華会)視察
  • ○更生保護サポートセンター(若林地区)視察
  • ○更生保護関係団体の長との意見交換
  • ○NPO法人宮城県就労支援事業者機構及び協力雇用主との意見交換

平成27年8月10日(月)

  • ○仙台法務局石巻支局,日和山公園視察
  • ○更生保護拠点石巻視察
  • ○石巻市長との意見交換
  • ○仙台市長との意見交換
  • ○宮城刑務所視察

8月9日(日) キャラバン隊の動き

1 青葉区折立地区視察

住宅再建が進められている場所を訪れ,登記所備付地図を基に建物が建てられ,復興している状況等を視察させていただきました。

公共嘱託登記土地家屋調査士協会副理事長からの説明。土地所有者や仙台市からの要望等で,登記所備付地図作成作業を実施することとなりました。

公共嘱託登記土地家屋調査士協会副理事長からの説明

大臣へ説明。作業を進めるときに難しかったことは,それまで境界の目印となっていたものが,震災によって消えてしまったため,土地の境界が分からなくなってしまったことです。住宅を再建し,「まち」を復興させるためにも,もう一度同じ目印を作るところから作業を進める必要がありました。

大臣への説明場面

境界標の説明。土地の表示登記に関する経験と測量技術を有する土地家屋調査士に作業を委託して,最終的に,登記官が境界を確認しました。目印となるのが,この「境界標(目に見えない境界点を現地で示すしるし)」になります。

2 更生保護施設(宮城東華会)視察

更生保護施設では,生活する場所に困っている人に,寝泊まりする場所や食事を提供するだけでなく,生活に関するアドバイスや仕事を見つける手伝いをしています。

更生保護施設内を視察する様子。毎月1回,更生保護女性会員の方々が,この厨房で料理をつくり,おふくろの味の夕食会を開催しています。

更生保護施設内

施設長からの説明。更生保護施設で生活する人に対しては,“対話”と“協調”で接するように心がけています。立ち直りには,仕事に就いて働き続けることが大事ですので,仕事の様子についてよく話を聞くようにしています。

施設長からの説明

3 更生保護サポートセンター(若林地区)視察

更生保護サポートセンターとは,保護司会などの更生保護関係団体が,地域の関係機関・団体や地域住民とのつながりを強め,保護司による処遇活動を支援したり, 支援ネットワークを構築したりするなど,更生保護活動を一層充実強化することを目的とした場所です。

更生保護サポートセンター内の様子

更生保護サポートセンター内

保護司会長からの説明。被災した地域の方々のために保護司もボランティア活動を行うなどしてきたことで,これまで以上に地域の連帯感が深まりました。今後は,平成27年7月に開所したこのサポートセンターを拠点として,関係機関・団体と連携し,保護司による処遇活動の一層の充実・強化を目指します。

保護司会長からの説明

4 更生保護関係団体の長との意見交換

更生保護関係団体の長である

  • ○三田村会長(宮城県保護司会連合会)
  • ○鈴木理事長(更生保護法人宮城東華会)
  • ○藤﨑理事長(更生保護法人宮城県更生保護協会)
  • ○三浦会長(宮城県更生保護女性連盟)
  • ○木村会長(宮城県BBS連盟)

と,各団体における取組の実情,課題,国への要望等について意見交換をさせていただきました。

宮城県更生保護協会理事長からの発言。まだまだ仮設住宅に住む人も多く,更生保護協会の運営は厳しいところですが,保護司会や更生保護女性会等への支援に努めています。

宮城県更生保護協会理事長からの発言

上川大臣からの発言。更生保護の原点は,民間ボランティアの方々による粘り強いきめ細やかな活動にあります。震災からの復興が進められる中で,途切れることなくそのような活動を続けられていることが,地域の方々から深い信頼を得ることにつながっていると思います。民間の活動支援や地域との信頼関係作りを,法務省としてもしっかり支援していきます。

最後に,上川大臣から三田村会長らに内閣総理大臣メッセージが交付されました。

上川大臣から三田村会長らに内閣総理大臣メッセージが交付される様子。左から,鈴木理事長,藤﨑理事長,三田村会長,上川大臣,三浦会長,木村会長。

このメッセージは,本年2月の“社会を明るくする運動”中央推進委員会会議で,内閣総理大臣から国民や関係団体に対して発せられたもので,本運動への協力をお願いする内容になっています。

メッセージをご覧になる場合は
法務省ホームページのPDF
ご参照下さい。

5 NPO法人宮城県就労支援事業者機構及び協力雇用主との意見交換

刑務所出所者等の就労支援に御協力いただいている

  • ○千葉事務局長(宮城県就労支援事業者機構)
  • ○山田会長(協力雇用主)
  • ○猪又社長(協力雇用主)

と意見交換をさせていただきました。

上川大臣からの冒頭挨拶。震災からの復興が進められる中で,犯罪や非行をした人の立ち直り支援等についても御協力をいただいており,大変有り難く感じております。

上川大臣からの冒頭挨拶

協力雇用主からの発言。ハローワークと協力して,新規の協力雇用主の確保・開拓に力を入れていますが,まだまだ出所者を雇用することに対する企業側の不安は大きく,公的機関による物心両面からのサポートが重要です。

就労支援事業者機構からの発言

内閣総理大臣メッセージの交付の様子。今回,直接お話を伺うことができ,刑務所出所者等が継続して就労することがいかに難しいか改めて感じました。刑務所出所者等が,協力雇用主のもとで就労し,立ち直りへの支援を受けられれば,社会の中での次のステップに移る大きな力になるので,引き続きよろしくお願いします。

内閣総理大臣メッセージの交付

意見交換会集合写真

左から,千葉事務局長,猪又社長,上川大臣,山田会長,吉田保護観察所長

8月10日(月) キャラバン隊の動き

6 仙台法務局石巻支局・日和山公園視察

土地区画整理事業など,被災者の生活再建に関連した復興事業の進捗状況と今後の予定について説明を受け,また,日和山公園から石巻市内の復興状況を視察させていただきました。

仙台法務局石巻支局の様子。庁舎の前に見えている地域が防災集団移転促進事業の移転先を含む土地区画整理事業の実施地域です。正面に見える「ため池」は,水はけのよくないこの地域の水害を少なくする役割があります。

仙台法務局石巻支局

回収した登記簿の状態。津波により水没した登記簿の中には,洗浄・乾燥等の作業により修復できたものもありますが,こちらは,バクテリアによって用紙がぼろぼろになり,修復できない状態のものです。

回収した登記簿

日和山公園の様子。公園の眼下に広がる地区のうち,海に近く標高の低い所は、緑地や公園となる予定で、比較的標高の高い所は、土地区画整理事業が実施され、被災者の居住地域となる予定です。

日和山公園

日和山公園の様子

日和山公園

7 更生保護拠点石巻視察

東日本大震災において,石巻地区は特に甚大な被害を受け,同地区に居住する保護司の多くが被災しました。 その結果,震災時に同地区に居住していた保護司の多くが,仮設住宅での生活や県外への避難を余儀なくされ,保護司活動が困難な状態が続いており,退任を希望される保護司も少なくありません。

そこで,被災した保護司の支援を行うために,更生保護拠点石巻を平成23年12月に開設しました。 この拠点では,保護観察官が駐在し,保護司に対する相談支援等を行うことで,同地区で活動する保護司の負担軽減を図っています。 また,更生保護ボランティア同士の情報共有や関係機関等との協議などにも活用されるなど,同地区における更生保護の活動の拠点となっています。

石巻市内の保護司の状況について説明。保護司の住所を示した地図で,左が震災前,右が現在のものになります。震災の前後で比較すると,特に沿岸部に住んでいる保護司の数が減っています。

石巻市内の保護司の状況について説明

更生保護拠点の役割について保護司会長から説明。まだまだ仮設住宅等で生活せざるを得ない状況の保護司も少なくなく,また,今後5年間で定年を迎える保護司が3割弱に及ぶなど,保護司適任者の確保が急務です。この拠点は平成28年度までの設置となっていることから,平成29年度以降においても,更生保護の拠点となる場所を維持することが地域の再犯防止や保護司活動の支援のために重要です。

更生保護拠点の役割について保護司会長から説明

8 石巻市長・仙台市長との意見交換

震災からの復興が進められる中で,石巻市や仙台市においても,地域の安全・安心に向け,非行防止,犯罪や非行をした人の立ち直り支援等についても御尽力・御協力をいただいています。

このような取組を進められる上での問題点や課題等について御意見を伺った上で,今後,地方と国がどのように協力していくべきかについて意見交換をさせていただきました。

※意見交換の様子は全て報道機関に公開されるとともに,意見交換終了後,会議室内にて稲田次官による記者会見が行われました。

石巻市役所
稲田法務事務次官による再犯防止キャラバンについての説明。立ち直りを支える保護司等の民間ボランティアの方々が活動しやすい環境作りに引き続き御協力をお願いします。

稲田法務事務次官による
再犯防止キャラバンについての説明

亀山石巻市長からの御意見。民間ボランティアの方々が活動しやすい環境を作るためにも,更生保護サポートセンターの開設に前向きに協力していきます。活動拠点を確保することで,民間ボランティアの方々の士気高揚につなげたいと思います。

亀山石巻市長からの御意見

石巻市役所に内閣総理大臣メッセージの交付をする様子。

内閣総理大臣メッセージの交付

仙台市役所
稲田法務事務次官による冒頭挨拶。犯罪や非行をした人を“責任ある”社会の一員として再び受け入れることが自然にできる社会にするため,国が,地方,更には地域コミュニティ,国民の皆様と手を携えて共に歩む新たな時代の取組を進めていきたいと思っております。

稲田法務事務次官による冒頭挨拶

奥山仙台市長からの御意見。薬物対策は,特に青少年において重要な問題なので,専門機関と協力して取り組んでいきたいと思います。また,刑務所出所者等とどう関わっていくかについても助言をお願いします。

奥山仙台市長からの御意見

仙台市役所に内閣総理大臣メッセージの交付をする様子

内閣総理大臣メッセージの交付

9 宮城刑務所視察

宮城刑務所では,建設く体工事科の足場組み立て職業訓練等を視察後,東日本大震災時の宮城県内の矯正施設の対応について,各施設の長から報告を受けました。

施設内視察の様子

施設内視察

震災時の対応についての説明。地震発生当日,刑務所内の会議室や応接室を避難場所として開放しました。

震災時の対応についての説明

その後,「仕事のやりがい」,「仕事と子育ての両立」や「休暇の取得」等について,事務次官と女性職員との意見交換を行いました。

事務次官と女性職員との意見交換。厳しい勤務環境下で,職務に対し,どのようなやりがいを感じているのか,率直な意見を聞かせてください。
意見交換の様子

意見交換

宮城キャラバンは以上になります。