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お答えします

Q1:
法務総合研究所国際協力部は,どのような組織ですか?
A1:

法務省は,1994年からアジアの国々に対して支援してきましたが,各国から支援の要請が年々高まったことから,2001年4月に法制度整備支援に専従する部署として,法務総合研究所内に国際協力部が新設されました。

国際協力部には,法務・検察等出身の教官と国際協力専門官がいます。

Q2:
国際協力部が行う法制度整備支援とはどのようなもので,なぜ日本は法制度整備支援を行うのですか?
A2:

開発途上国等が進める法制度の整備を支援すること,つまり

  • ① 基本法令の起草支援
  • ② 制定された法令を運用する司法関係機関の制度整備支援
  • ③ 法曹実務家等の人材育成支援

が基本的な柱です。

法律が十分整備されていなかったり,公正な裁判制度が確立していない国々で個人の権利が守られ,自由な経済活動が活発になり,社会が発展して国が安定することは,その地域の繁栄につながり,さらには国際社会全体の平和と安全に重要な意味を持ちます。国際社会の平和と安全に貢献することは,国際社会の一員としての日本の責務でもあり,同時に他国からの信頼を培うものです。また,それらの国々において「法の支配」を浸透させる法制度整備支援は,安全保障の観点からも日本企業の海外進出のための経済基盤整備の観点からも,非常に重要な取組であり,我が国の経済発展にも重要な役割を果たしています。

Q3:
これまでの法制度整備支援でどのような成果がありましたか?
A3:

例えば,基本法令の起草支援を通じて,民法等の法典,各種法律の解説書等が数多く完成しました。また,法曹実務家等の人材育成支援を通じて,司法機関等の中枢部で活躍する人々をはじめとする大勢の人材が輩出されました。このほかにも,研修やセミナー等を通じて,幅広い法的知識や実務経験が相手国の司法関係者の間で共有されています。

Q4:
国際協力部が行う日本の法制度整備支援の特徴は何ですか?
A4:

支援の成果である法律や制度は,相手国に根付くことが必要です。ですから,日本の法制度を押しつけるような方法ではなく,相手国の立法・司法関係者と対話をしながら,相手国の実情に合った法律や制度を共に考える手法を採っています。

また,そのような過程を通じて,相手国が主体的に制度を構築したり,運用・改善できるような能力向上を図ることを重視しています。

さらに,相手国との相互理解を深めるため,研修やセミナーでは,相手国の母語と日本語との通訳を介して実施しています。

このように,人と人との協力によって行われている日本の法制度整備支援は,「顔の見える国際協力」の一つの例であると言えます。