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国際協力人材育成研修を実施しました

法務総合研究所国際協力部では,平成28年(2016年)11月7日から同月18日までの間(移動日を含みます。),国際協力人材育成研修を実施しました。

研修目的

法務省は,国際協力の一環として,独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力し,ベトナム,ラオス,カンボジア,ミャンマー,インドネシア等の開発途上国を対象に,法律起案,法律家養成等を支援する法制度整備支援を実施しており,国際協力部は同支援業務を担当しています。国際協力部の教官・専門官は法務・検察職員で構成されていますので,同職員は将来的には同部に配属される可能性がありますが,法制度整備支援業務は法務・検察の通常業務とはかなり異なるところがあります。

そのため,国際協力部では,法務・検察職員を対象として,法制度整備支援の現場を実際に見てもらい,同支援に対する理解を深めてもらうことなどを目的として,平成21年(2009年)から年1回,「国際協力人材育成研修」を実施しており,今回が8回目となります。

参加者

今回の研修には,法務省民事局から局付検事(裁判官出身)1名及び法務事務官1名並びに検察庁から検事2名及び検察事務官1名の合計5名が参加しました。

研修内容

国内研修として2日間,大阪の国際協力部において,法制度整備支援の概要,各支援対象国の状況についての講義等を実施し,その後,国外研修として6日間,ベトナム及びラオスを訪問し,同支援の現場を実際に見聞きしました。

現在,ベトナムには検事3名(うち1名は裁判官出身)が長期派遣されており,司法省,首相府,最高人民裁判所,最高人民検察院及びベトナム弁護士連合会をベトナム側実施機関として,法令相互の不整合の抑制・是正,法務・司法関係機関の組織的な能力向上等を目的としたプロジェクトが実施されています。また,ラオスには検事1名が長期派遣されており,司法省,最高人民裁判所,最高人民検察院及びラオス国立大学をラオス側実施機関として,法令の起草・運用・執行能力の向上,法学教育及び法曹養成研修の改善等を目的としたプロジェクトが実施されています。

本研修では,現地に長期派遣されている検事らから,現地における法制度整備支援の状況や生活環境等について詳しく話を聞いたり,各実施機関を訪問して同支援の現場を実際に見聞きしたり,ベトナム・ラオス側の関係者から日本の法制度整備支援に対する率直な感想を聞いたり,研修員がラオス国立大学及び司法研修所で,日本における三権分立や職業倫理について日本語で講義を実施するなどしました。

司法省(ベトナム)での質疑応答の写真

司法省(ベトナム)での質疑応答の様子

国立司法研修所(ラオス)での講義の写真

国立司法研修所(ラオス)での講義の様子

ラオスJICAプロジェクト事務所の写真

ラオスJICAプロジェクト事務所にて

研修成果

帰国後,研修員からは,「研修を通じて,法制度整備支援への理解が深まったほか,初めて訪れた地の生活,文化や歴史等に触れ,様々なことを経験でき,ドメスティック(国内的)な環境で仕事をしてきた私にとって,今までにない視座を獲得できた。」「本研修は,それまで法制度整備支援にほとんど縁のなかった者に,多くのことを問いかけ,何らかのことを考えさせるに十分なものであった。得がたい経験の連続であり,正に忘れることのできない2週間となった。」「2か国訪問したことで,社会,文化,風習,国民性が国によって違い,またそれに伴って法制度整備支援の方法等が変わってくることが学べた。」などという感想が寄せられるなど,十分な研修成果が上げられました。

これまでに国際協力人材育成研修の研修員から国際協力部へは合計6名が配属されておりますが,近い将来,今回の研修員の中からも,法制度整備支援を担う人材が生まれることが期待されます。

全国中学生人権作文コンテスト入賞作品の発信について

法務省では,昭和56年度から,次世代を担う中学生が人権問題についての作文を書くことにより,人権尊重の重要性,必要性についての理解を深めるとともに豊かな人権感覚を身につけること,及び入賞作品を国民に広く周知広報することによって,広く一般に人権尊重思想を根付かせることを目的として「全国中学生人権作文コンテスト」を実施しています。

平成28年度に実施した第36回のコンテストには,全国7,338校の学校から,97万2,553名もの応募をいただきました。全国の中学生(約350万人)の実に4人に1人以上に参加いただき,多くの中学生の皆さんが,人権への理解を深め,豊かな人権感覚を身に着ける良い機会となっています。

平成28年度全国中学生人権作文コンテストの表彰式風景の写真

表彰式風景(平成28年度)

● 入賞作品を様々な形で発信しています

本コンテストへの応募作品は,いずれも中学生らしい感性に富み,純粋な感覚で人権問題をとらえたものばかりであり,中学生の皆さんの力強いメッセージや気付きが込められています。

法務省では,一人でも多くの皆さんが応募作品に触れていただくことで,人権問題について改めて考える機会としていただくため,入賞作品を様々な形で発信しています。

今回は,平成28年度に作成したコンテンツを御紹介します。

① 第36回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集

主な入賞作品について,「全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集」として冊子に編集して,中学校,市区町村等に配布するとともに,法務省ホームページへ掲載しています。

入賞作文は,いじめの問題や,障害のある人,高齢者に関する人権問題など多岐に渡るテーマについて,日常生活の中での体験等から中学生の皆さんが考えたことを通じて,人権尊重の重要性や必要性を伝える優れたものばかりです。

法務省ホームページには,過去数年間の入賞作文集を掲載していますので,是非ご覧下さい。

全国中学生人権作文コンテスト 

② 入賞作文(英語版)

平成26年度以降の新たな取組みとして,各年度の優秀作品を英訳して発信しており,第36回大会(平成28年度)の優秀作品3作品を,本コンテストの紹介文とともに英語に翻訳し,法務省ホームページへ掲載しました。

英訳した作文を通じて,世界の人々にその内容に触れてもらうことにより,日本から世界に,人権尊重の輪を広がることを願っています。

法務省ホームページ(英語版)

● 第37回全国中学生人権作文コンテストを実施します

平成29年度は,第37回目となる人権作文コンテストを実施します。

第37回大会も,より多くの中学生の皆さんに参加いただけるよう,大会に向けた取組を開始しています。

今回もたくさんの中学生の皆さんからの御応募をお待ちしています。

詳しくは法務省ホームページをご覧下さい