CONTENTS
《特集記事》
- 第67回“社会を明るくする運動”中央行事「立ち直りフェスティバル」
- 「再犯防止啓発月間」を実施しました!
- 東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナー(GGセミナー)について
- シンポジウム『法整備支援へのいざない』を開催しました
- 全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間を実施します!
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国連アジア極東犯罪防止研修所(アジ研)は,平成29年10月17日から同月19日の3日間にわたり,第11回GGセミナーを行います。
このセミナーは,法の支配及び健全な統治の確立に向けた人材育成,能力強化及び経験共有等を目的に,東南アジア諸国を対象として,アジ研が,平成19年に第1回セミナーをタイで開催して以来,フィリピン,日本,マレーシア,インドネシアと2年ごとに開催国を変えながら10年間実施してきました。
今年のGGセミナーは,ベトナムの最高人民検察院と共催で,ベトナム・ハノイにおいて開催予定です。
【アジ研の写真:10月に写真の新しい施設に移転します】
GGセミナーの開催も11回目を迎えたことから,この10年を振り返り将来を展望する趣旨で,今年のテーマは,「汚職防止の成功事例:東南アジアにおけるこの10年の制度的又は実務的発展」(“Best Practices in Anti-Corruption: A Decade of Institutional and Practical Development in Southeast Asia”)です。 汚職対策がなぜ世界的に重要視されているかといえば,それがたとえば賄賂を渡したり受け取ったりする個人間の問題にとどまらず,汚職がまん延すれば,民主的な政治制度の倫理的な基盤及び市場経済を弱体化させ,ひいては,その国の経済的・社会的発展を妨げるからです。
そこで,これまでアジ研は,10年間にわたり,東南アジア諸国の経済的・社会的発展を支えるべく,GGセミナーにおいて,捜査能力の強化,いわゆるマネーロンダリング対策,国際的な捜査協力,犯罪収益の没収方法,証人の保護など,汚職防止のための様々なテーマを設定しセミナーを行ってきました。
参加者は,アセアンの10か国,すなわち,ブルネイ,カンボジア,インドネシア,ラオス,マレーシア,ミャンマー,シンガポール,フィリピン,タイ,ベトナム(アルファベット順)から各2名ずつ,合計20名です。いずれも各国の汚職撲滅に関連する機関から参加者を呼び,上記テーマに沿った事例を発表します。たとえば,この10年の制度的発展に関しては,汚職事件に関する証人を保護する制度を導入して成功した事例や,これまで犯罪でなかった行為を国際的な準則に沿って犯罪化したおかげで処罰できた事例などが発表され,この10年の実務的な発展に関しては,外国公務員に対する汚職の摘発事例や外国との捜査協力によって汚職事件が摘発・処罰できた事例などが発表されると期待されます。
各国の発表とともに,国連薬物・犯罪事務所(United Nations Office on Drugs and Crime)及び東南アジアの汚職対策機関から各1名の専門家による講義も予定しています。
アセアン10か国の刑事司法関係者が集まり,アジ研の職員や海外の専門家も含めて相互に人的なネットワークを構築することもGGセミナーの目的の1つです。
【インドネシアで開催された第10回GGセミナーの様子】
経済がグローバル化し,人,物,金が国境を越えて移動し,経済の発展を支えています。それと同時に,汚職を含め様々な犯罪も国境を越えて発生しています。経済や社会の発展を阻害する汚職等の犯罪を撲滅し,人類にとってより豊かな社会にするため,アジ研は,セミナーを通じて,汚職撲滅に取り組むとともに,世界各地をつないで刑事司法関係者のネットワークを築いていきます。