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法制度整備支援の現場から

多くの皆様のミャンマーに対するイメージは,スーチーさんと,「ビルマの竪琴」の「水島,一緒に帰ろう」ではないでしょうか。

しかし,近年,ミャンマーの地理的要因,勤勉な国民性,人口構成などを含めた,その市場としての魅力から,多くの日本企業を含む外国企業がミャンマーに進出しています。

法制度整備支援プロジェクトは,法制度の近代化を支援するとともに,裁判官や検察官の能力向上などを目的として,最高裁判所及び法務長官府を相手方として2013年に始まりました。

成長著しいミャンマーの司法インフラを自国色に染めたいという理由からかは判然としませんが,ミャンマーにおける法分野の支援は,国際的な支援機関の間での競争が激しくなっています。こうした環境の中で,裁判官や検察官に対するトレーニングは別として,法の起草等支援に関しては,これまでの法制度整備支援に比して,スピード感が求められ,また,進出企業によりダイレクトに役に立つ性質のものが求められているように感じます。

そのため,当プロジェクトでは,伝統的な手法で職員の能力向上を図る一方,日系法律事務所や研究者の御協力を得て,契約審査マニュアル作り,知財裁判制度構築など,ミャンマー政府と進出企業,両方に役に立つための活動を行っています。

また,支援が各分野にまたがるものも多いことから,ミャンマー省庁派遣のJICA専門家の情報と知見を共有等する目的で,当プロジェクトが事務局となって,大使館,JETRO,法律事務所,ミャンマー各省派遣のJICA専門家からなる会合を立ち上げました。

さらに,土地登記関係の基礎調査など,今後のミャンマーにおけるプロジェクト活動の基礎となる可能性のあるものについては,法務省及び日系法律事務所に行っていただいていますし,その他,技術協力プロジェクトそのものではない関連案件についても当プロジェクトが関与するなどしています。

このとおり,当地においてはオールジャパンで支援体制を構築しようとしており,また,支援分野も広がりを見せているところ,今後,多くの皆様の御協力をいただきたいと考えています。

(ミャンマー長期派遣専門家 野瀬 憲範)

ネピドーのプロジェクトオフィスで働く職員の写真

ネピドーのプロジェクトオフィス

ミャンマー省庁派遣のJICA専門家の皆さんとの集合写真

ミャンマー省庁派遣のJICA専門家の皆さんと