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法制度整備支援の現場から
~ラオスで一体何をしているというのでしょうか~

皆さん,日本が20年近くにわたりラオスに対し,法制度整備支援をしていることを御存知ですか。そして,その活動内容がどのようなものであるかを。

私は,2016年4月に,法務総合研究所国際協力部に異動して,ラオスに対する法制度整備支援業務を担当するようになり,2017年7月から,JICA長期派遣専門家としてラオスで同業務を行っております。しかし,2016年以前,私は,ラオスという国は知っておりましたが,日本とラオスの法制度整備支援の歴史や内容等は全く知りませんでした。

本稿のタイトル「ラオスで一体何をしているというのでしょうか」は,村上春樹さんの本を参考にしたものですが,私が,幾度となく人に尋ね,人から尋ねられたことでもあります。

私たちのプロジェクトは,今,ラオスの大学の先生,裁判官,検察官,司法省の職員を中心としたグループと共に,①民法典の制定,②労働法などの執務参考資料の作成,③捜査段階の実務上の問題に関するQ&A集の作成,④法律家養成課程のカリキュラムやそこで使用する教材作成について,議論しています。一国の基本法である民法典の制定から,ラオス司法界を担う人材の育成まで,日本はラオスで様々な活動をしています。これらの活動はラオス国内では高く評価されていますが,残念なことに日本国内ではあまり知られていません。ラオス人も日本人も自らのことを話すことが得意ではありませんが,良い仕事をしていることを知ってもらうことは,ラオスと日本の友好関係をより深めることにもつながると考え,私たちは,今,本誌の他,「ICD NEWS」,「JICA’s World」のような法務省やJICAの広報誌及びこれらの機関のウェブサイトやイベント,SNS,国際機関との会議を利用するなどして,より多くの人に我々の活動を知ってもらえるよう努めています。

私は,今,ラオスと日本の司法分野における活動を多くの方に知っていただき,一人でも多くの方に,「ラオス」と聞けば,日本との法制度整備支援における関係をイメージしていただければよいなと思いながら,日々,ラオスで仕事をしています。

(ラオス長期派遣専門家 伊藤淳)

捜査段階Q&A集の完成を祝してグループのメンバーと記念撮影

捜査段階Q&A集の完成を祝してグループのメンバーと記念撮影した際の様子

ラオスの国立司法研修所での講義後に学生と記念撮影

ラオスの国立司法研修所での講義後に学生と記念撮影した際の様子