CONTENTS

「人事院総裁賞」に東京保護観察所社会復帰調整官室が選ばれました

「人事院総裁賞」とは,多年にわたる不断の努力や国民生活の向上への顕著な功績等により,公務の信頼を高めることに寄与したと認められる職員又は職域を顕彰するために設けられたものです。平成29年度は,個人部門で1件,職域部門で4件の合計5件が選ばれました。

今回,法務省からは,職域部門において「東京保護観察所社会復帰調整官室」が選ばれました。法務省の職員の努力が高く評価され,関係者一同,大変喜んでいるところです。

授与式は,2月7日に東京都内の明治記念館において行われました。その後,受賞者は,天皇皇后両陛下の御接見を賜るという栄誉に浴しました。

天皇皇后両陛下との御接見の様子写真

天皇皇后両陛下との御接見の様子

それでは,受賞部門を紹介します。

○ 東京保護観察所社会復帰調整官室

医療観察制度は,こころの病気(精神障害)により善悪の判断がつかない状態(心神喪失等の状態)で殺人や放火等の重大な事件を起こし,不起訴や無罪等になった人を対象とする制度です。保護観察所には,精神保健福祉の専門家である社会復帰調整官が配置されており,①対象者の住居や家族の状況,地域の医療・福祉サービス等について調べて,裁判所に報告をする「生活環境の調査」,②入院治療中の対象者が退院後スムーズに地域社会に戻れるよう準備を進める「生活環境の調整」,③対象者が地域社会で通院治療をきちんと続けることができるよう,その生活状況を見守る「精神保健観察」,④関係機関の連携をよりスムーズにするための業務等を行っています。

東京保護観察所社会復帰調整官室では,裁判所で入院決定を受けた対象者の場合,入院当初から退院に向けて地域の関係機関に協力を依頼するなど早期に調整を進めています。入院治療が進み,退院が見込まれる頃には,東京都及び市町村等と退院後のサポート方法等を話し合い,通院治療へのスムーズな移行を図っています。通院治療中は,社会復帰調整官が関係機関から対象者の生活状況等を聞いたり,直接,家庭訪問をして助言・指導をしています。また,病院の職員や地域の支援者と,情報の共有や今後の方針を考えるためにケア会議を開催しています。このように,多くの関係機関が対象者を支援することで,こころの病気の悪化を早期に察知して対処することができ,事件の再発を防止することができています。

このほか,医療観察制度について,理解と支援の輪を広げるための普及啓発活動にも取り組んでいます。

受賞について,代表者の方からコメントをいただきました。

「この度の受賞は,全国の保護観察所の社会復帰調整官室の取組が認められたものと受け止めており,大変うれしく思います。医療観察制度が円滑に運用できているのは,地域の関係機関や施設の方々が誠実に実務を担っていただいているおかげであることを肝に銘じ,今後も当庁社会復帰調整官室一同,対象者の社会復帰の促進に尽力してまいります。」

授与式の様子写真

授与式の様子