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裁判員制度10周年記念シンポジウム「裁判員制度のこれまで,そしてこれから」を開催しました

1 はじめに ~裁判員制度は10周年を迎えました!~

裁判員制度は,国民的基盤に支えられた司法を確立することを目指して,平成21年5月21日,運用が開始されました。
 その運用開始からちょうど10年目となった令和元年5月21日,弁護士会館クレオにおいて,法曹三者の共催企画として,裁判員裁判10周年記念シンポジウム「裁判員制度のこれまで,そしてこれから」を開催しました。
 会場には,自治体や民間団体の御来賓の方々を迎え,法曹三者等,100名以上の方々に御来場いただきました。

2 主催者挨拶

まず,本シンポジウムを共催する各機関の御挨拶として,山下法務大臣,今崎最高裁判所事務総長,菊地日本弁護士連合会会長,堺次長検事から,それぞれ御挨拶がありました。

山下法務大臣は,挨拶において,令和という新たな時代において,裁判員制度を含めた我が国の刑事司法制度が,国民の皆様の御理解の下で,円滑に運用されるよう,引き続き,国民の胸に落ちる法務行政に努めてまいりたい旨述べました。

挨拶を行う山下法務大臣

挨拶を行う山下法務大臣

3 基調講演

続いて,法務省特別顧問・東京大学名誉教授である井上正仁先生による御講演が行われました。

井上先生からは,「裁判員制度と刑事司法-二人三脚10年の歩み-」として,司法制度改革推進本部事務局に設けられた「裁判員制度・刑事検討会」の座長として,制度の導入に携わっておられた際のエピソードを交えながら制度の誕生に至る経緯を御紹介いただくとともに,各種統計を踏まえ,裁判員制度を含めた刑事司法制度全体の変化について御紹介いただき,裁判員制度が更に成熟したものとなるよう,国民全体で制度を育てていくことの重要性について,お話がありました。

井上先生の基調講演の様子

井上先生の基調講演の様子

4 パネルディスカッション

最後に,東京大学大学院法学政治学研究科教授である川出敏裕先生の司会により,実務家である裁判官,検察官及び弁護士が,裁判員経験者2名の方とともに,パネルディスカッションを行いました。

まず,「裁判員制度のこれまで」として,裁判員制度の導入から現在までの間に刑事裁判がどのように変化したかについて,実務家からは,制度の導入によりいかにして一般の方に分かりやすい訴訟活動を行うかといった点を意識するようになったとの意見があったほか,分かりやすい主張・立証等に関する具体的な取組についての紹介がありました。

裁判員経験者の方からは,検察官,弁護人及び裁判官の説明が分かりやすく,納得できる評議ができたという意見がありました。

次に,「裁判員制度のこれから」として,実務家からは,国民の皆様が裁判員裁判に参加しやすくなるため,引き続きより分かりやすい審理に努めるとともに,企業や学校等に対する積極的な広報活動を行うなどし,制度についてより一層理解していただくよう努めていきたいとの意見があり,裁判員経験者の方からも,裁判員裁判に参加したことは良い経験であったため,その経験をより多くの人に伝えていきたいという意見がありました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

5 おわりに

本シンポジウムが,御来場の皆様を始め,国民の皆様にとって,裁判員制度のこれまでを振り返り,そしてこれからを考える良い機会となりましたら幸いです。 法務省としても,制度の円滑な運営がなされるよう,引き続き努力してまいりたいと考えています。