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ラオス民法典の施行について

2020年5月27日,ラオスにおいて初の民法典が施行されました。
 このラオス民法典は,ラオス人の法律家等による民法典起草委員会のメンバーたちが,長い時間をかけて議論を重ねて法案を起草し,さらに,国民の意見を聞く手続(パブリックヒアリング)なども経て,2018年12月6日に成立したものです。民法典の成立については,2019年6月の法務省だより「あかれんが」第65号(ラオス法制度整備支援20周年及び民法典成立について)でも紹介しましたが,今回,その効力が発生したことになります。この民法典の起草に当たっては,日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)と法務省法務総合研究所国際協力部(ICD)が,大学教授などの先生方とともに支援活動を行ってきました。
 民法は,主に財産関係と家族関係について,人と人との私的な関係を規律する基本法であり,社会で暮らしていれば誰でも関わりを持つものです。物を買ったり借りたり,結婚したり相続したりなど,誰でも経験するであろう行為について,民法の規定する基本的なルールが関わっています。また,貸したお金が返ってこない,交通事故を起こして(起こされて)しまったなど,民事的なトラブルが起きた場合の解決基準となるのも民法です。ですから,民法は社会にとって非常に重要で大切なものですし,その国の社会の実情に合ったものでなくてはなりません。ラオスの民法は,そのような点を考慮して,ラオス社会の実情に合ったものとすることを意識して作り上げられたものといえます。

ラオス民法典(施行版)

ラオス民法典(施行版)

また,民法のような法律が実際に運用されるためには,民法を使って裁判などの仕事をする裁判官,検察官,弁護士など法律家の間で法律の内容や解釈が普及し,正確かつ適切に取り扱われることが必要です。そこで,現在も,日本との協力の下,ラオスで民法典の研究を行っているメンバーたちによって,ラオス国内全土の関係機関に対して民法典を普及する活動が計画されています。
 さらに,施行された民法典がきちんと社会に根付いたものになるためには,社会に住む一般の人たちが民法のことを知っていることがより大切となります。そのため,ラオスでは,一般市民へ民法典を普及させるためのミュージックビデオが作成されたり,民法関連グッズ(ポスターや団扇)が作成されたりしています。
 今後も普及活動や広報活動が着実になされ,施行された民法典がラオス社会に根付いたものとなっていくことを願ってやみません。

ラオス民法典普及広報グッズ

ラオス民法典普及広報グッズ(ポスター)

ラオス民法典普及広報グッズ

ラオス民法典普及広報グッズ(団扇)