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国連アジア極東犯罪防止研修所(アジ研)で初のウェビナーが開催されました!

はじめに

国連アジア極東犯罪防止研修所(以下,「アジ研」といいます。)は東京都昭島市にある国連関連機関です。国連と日本国政府との協定に基づいて,昭和37年に設立されました。名前に「国連」と含まれていますが,現在,実際には,費用や職員の両面において,全面的に日本国政府が負担し,法務省が運営しています。
 アジ研の主な業務は,世界各国の裁判官や警察官などの刑事司法実務家を招いて,これらの方々を対象とする国際研修やセミナーの実施をすることです。そのほか,犯罪の防止や犯罪者の処遇に関する研究や,国際会議への参加もしています。アジ研の教官や職員は裁判官,検察官など刑事司法分野の実務の経験を持っており,これらの研修や研究を国連の政策と取組に沿って行うことで,世界各国の刑事司法の健全な発展と相互協力の強化に努めています。
 アジ研の研修にはこれまで世界139か国から6,000人以上の方が参加しており,これらの研修参加者(以下,「アラムナイ」といいます。)の中には,高官として政府の中枢を担う方もいます。アジ研の取組は国際社会に対する日本の貢献として高く評価されています。

ウェビナーの開催(2020年9月30日)

新型コロナウイルスの感染の拡大は我々の生活に大きな影響を及ぼしています。しかし,そのような中でも,各国の刑事司法の実務家は日々,感染の危機に立ち向かいながら業務に当たっています。そこで,このような状況の下でそれぞれがどのような工夫や取組をして業務に当たっているのかを共有し,それぞれ役立ててもらおうと,アジ研にとっては初めてとなるWebを活用したイベントであるウェビナーを,JICA(独立行政法人国際協力機構)との共催により,アラムナイ等を対象として,「2019年度国際研修フォローアップと近時の刑事司法における課題(新型コロナウイルス感染拡大による影響と対策を含む)」というテーマで,9月30日に実施しました。

ウェビナー当日のアジ研(国際会議場)の様子

アジ研・瀬戸所長による挨拶

ウェビナーでは,アジ研教官から日本の取組の報告をしたほか,今回は代表してケニア,スリランカ,ブラジル,日本の各アラムナイから,アジ研の研修成果の活用状況や自国の刑事司法制度の現状について報告がありました。全世界から約110名がオンライン環境で参加し,発表者への質疑応答や意見交換などが活発に行われました。また,正式なセッションの終了後はアラムナイ同士でのオンライン・ミニ同窓会も行われ,近況報告などを行いました。
 時差の関係で深夜の時間帯になってしまうなど,参加しにくい地域にいる人がいたにもかかわらず,幅広い国々から参加していいただくことができました。そして,取組や工夫を共有できただけでなく,同窓会ではそれぞれの無事と再会を喜び合うなど,アラムナイ同士のネットワークを深められる貴重な機会となりました。今後もWebを活用したイベントの実施を企画しています。

アラムナイによる発表

ウェビナー最中の様子