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法制度整備支援の現場から

東ティモール民主共和国(以下「東ティモール」といいます。)は,インドネシアの南東,ティモール島の東側に位置する国で,2002年に独立を回復して以降,諸外国や国際機関等の支援を受けながら国づくりを進めています。
 法務総合研究所国際協力部(ICD)では,2009年頃から,東ティモールの優先度や要望を踏まえて法律案の起草支援を行ってきました。近年は,土地関連法に関する支援を行っており,令和2年度も,東ティモールに赴いて,現地セミナーを実施したり,日本で共同法制研究を行ったりする予定でしたが,新型コロナウイルス感染症の影響により,活動方法を変更せざるを得なくなりました。
 そこで,東ティモール司法省とJICAとで協議を重ねた結果,11月と1月にオンラインセミナーを開催することとなりました。
 11月のセミナーでは,現在,東ティモールで起草が進んでいる不動産登記法案について説明を受け,その改善点などについて議論しました。また,この法律ができた後の参考となるよう,私から日本の不動産登記の事務手続について紹介しました。昨年4月にICD教官となった私には初めてのセミナーで,しかもオンラインということで緊張しながら臨みましたが,円滑にコミュニケーションができ一安心でした。
 1月のセミナーでは,11月の議論をさらに深めたほか,東ティモールで問題となっている土地の所有権や境界を巡る紛争について紹介してもらい,ICD教官からは,日本における土地の紛争解決方法について紹介しました。

オンラインセミナーの様子

オンラインセミナーの様子

どちらのセミナーにも,東ティモール司法省からは,法案の起草を担当する職員等約15名が参加し,終始和気あいあいとした雰囲気で活発な議論が行われました。
 東ティモールの方々とは,早く対面できるようになることを願うばかりですが,当面は,このようなオンラインセミナーを続けていくことになると思われ,オンラインツールを利用するなどの工夫により,東ティモールの法制度がよりよいものとなるよう,支援を続けていきたいと考えています。

法務総合研究所国際協力部教官
川野麻衣子