出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の一部改正に関する意見募集結果について

第1  意見募集期間
   平成16年12月3日(金)〜 平成17年1月4日(火)

第2  意見数
   2,128件

第3  意見の内訳
   本件改正は,特定の国の外国人芸能人に関する改正ではありませんが,年間約13万人の興行の在留資格による新規入国者の約6割がフィリピン人であり,そのほとんどがフィリピン政府が発行した芸能人証明書をもって入国しているという実態を反映し,提出された意見のほとんどがフィリピン人やその稼働する店舗に関する意見でした。本件改正に対する賛否の別や意見の趣旨が必ずしも明らかでないもの,1件の意見で複数の意見を述べているものなども相当数含まれていましたが,文面上賛否が明確に記載されているもの及び記載内容の趣旨から賛否の区別ができるものについては「賛成」・「反対」を振り分け,それ以外のものを「その他」に計上したところ,その内訳は次のとおりです。
   賛 成:65件
   反 対:1,924件
   その他:139件

第4  意見の概要
 1  賛成意見について
   賛成意見の約7割は「フィリピン人芸能人のほとんどはホステスであるのが実態で,芸能人としての活動を行っているとはいえない。人身取引に相当するケースも存在する。」というものでした。また,フィリピン政府の芸能人証明書についても,「不正発行や偽造が横行しており,信頼性に欠ける。」という招へい業者等からの意見もありました。
 さらに,「興行の在留資格の適正化や人身取引の防止のためには,本件改正に留まらず,より一層厳格な入国審査を行うべきである。」「悪質な招へい業者や出演店の実態調査・取締りも強化すべきである。」との意見もありました。
 2  反対意見について
   提出された意見の大多数が反対意見でしたが,その中で最も多かったのが「フィリピン人芸能人は真面目に働いている。彼(女)らの仕事を奪うべきではない。」「フィリピンパブは日本の文化である。庶民の楽しみを無くすべきではない。」といった意見で,反対意見の約半数を占めました。次いで,「自分が知っている限り(自分が経営する店)では,フィリピン人芸能人が売春を強要されているようなことはなく,人身取引とは無関係である。」といった外国人の稼働先店舗の客や経営者等からの意見や,「人身取引を行うような悪質な業者は一部であり,そのような業者を取り締まればよいのではないか。」「本件省令改正が実施されると,日本国内の招へい業者や出演店の経営に大きな影響が出て,経営者や従業員の生活が危ぶまれる。」といった意見が多く寄せられました。また,「興行の在留資格による入国を締め出すと,不法入国や短期ビザで入国して不法滞在・不法就労するケースが増加するのではないか。」「フィリピン人よりも中国人や韓国人など犯罪が多い外国人を取り締まるべきではないか。」という意見もありました。
 他方,「外国(フィリピン)政府が発行する芸能人証明書を有する外国(フィリピン)人は真の芸能人であり,風俗営業店等においてホステス等として不法就労しているようなことはない。」といった反対意見はほとんど見られず,むしろ,反対意見の中にも,一部とはいいながらも芸能人証明書の偽造や不正発行が行われている事実を述べているものもあるほか,接客行為や「同伴」「指名」等の誘客手段が行われている事実を認めるものが多数含まれていました。

第5  意見に対する考え方
   提出された意見は,今後の検討の参考にさせていただくこととしますが,主な意見に対する当省の考え方は,次のとおりです。
  (1)  反対意見で最も多かった,「フィリピン人芸能人は真面目に働いている」「フィリピンパブは日本の文化である」という意見については,興行の在留資格を有する外国人が接客行為を行っても違法ではないという誤解に基づいているものと思われますが,今回の改正の大きな理由は,まさにその働いている実態,フィリピンパブにおける興行の在留資格を有するフィリピン人の活動実態にあり,過去に入国管理局が行った実態調査や,今回の意見募集で提出された意見の内容からすると,興行の在留資格を有するフィリピン人が風俗営業店等でホステス等として不法就労している例が極めて多いということが否定できない事実として認められるものと考えられます。
  (2)  「フィリピン人芸能人は売春を強要されてなどおらず,人身取引とは無関係である」という意見については,もとより興行の在留資格を有するフィリピン人すべてが人身取引と関係があると考えるものではありませんが,必ずしも明示的・直接的に強要されていなくても,間接的・心理的に売春をせざるを得ない状況に追い込まれているような場合や詐欺・欺罔・権力濫用などの手段が用いられている場合は,人身取引に該当する可能性があるものと考えられます。また,人身取引は売春に限られるものではなく,性交類似行為や異性の性的好奇心に応じてその者に接触し又は自らの身体に接触させる行為,性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ自らの姿態を見せる行為などを直接・間接に強要されている場合も,人身取引としての性的搾取に該当する可能性があるものと考えられます。
  (3)  賛成意見・反対意見ともに見られた,「悪質な業者の排除・取締りを行うべきである」「他の不法滞在者・不法就労者の取締りを行うべきである」との意見については,興行の在留資格の適正化と人身取引の防止の観点から,今後,他の上陸許可基準の見直しをさらに検討するとともに,警察等関係機関とも連携し,不法滞在者・不法就労者の取締りを推進していきたいと考えます。
  (4)  なお,提出された反対意見には,本件改正により興行の在留資格を有するフィリピン人の入国者数が約10分の1に減少するとの新聞報道等を受けたものが多数含まれていましたが,このような数字を当省から示したことはありません。したがって,これを前提とする意見について当省の考え方を述べるのは適当でないと考えますが,本件改正が行われた場合でも,我が国で行おうとする興行に係る活動について2年以上の外国における経験を有する者又は外国の教育機関において興行に係る活動について2年以上の教育を受けた者は,他の要件に適合すれば興行の在留資格により我が国に入国することは可能であり,当該要件を満たした真に能力を有する外国人芸能人の入国を制限するものではありません。また,本件改正による影響を考慮して実施を延期あるいは猶予すべきであるとの意見もありましたが,上記@のとおり,特に興行の在留資格を有するフィリピン人の在留実態には大きな問題があるといわざるを得ず,その根本的な原因は,芸能人として必要な能力を有していない者が入国していることにあると考えられ,このような状況を放置することは適当でないと考えられます。

 
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