法制審議会非訟事件手続法・家事審判法部会           第31回会議 議事録 第1 日 時  平成22年12月24日(金)  自 午後1時30分                         至 午後4時18分 第2 場 所  東京地方検察庁刑事部会議室 第3 議 題  非訟事件手続法・家事審判法の改正について 第4 議 事 (次のとおり)                議     事 ○伊藤部会長 予定の時刻が参りましたので,法制審議会非訟事件手続法・家事審判法部会の第31回会議を開会いたします。   御多忙のところ御出席ありがとうございます。   それでは,配布資料につきまして,事務当局から説明をお願いします。 ○脇村関係官 それでは,御説明いたします。   本日利用いたします資料は,事前に送付しております部会資料34-1,34-2に加えまして,今日席上で配布しております部会資料35,家事審判手続に関する要綱案(案)の補足説明(1)の補足でございます。   いずれにつきましても,内容につきましては後ほど御説明させていただきます。 ○伊藤部会長 早速ですけれども,本日の審議に入りたいと存じます。   まず,事務当局から,部会資料34の第1,総則,1,通則から5,手続代理人及び補佐人までの説明をお願いします。 ○脇村関係官 それでは,御説明いたします。   第1,総則の(前注)ですが,従前,家事審判法に定める事項を取り扱う裁判官を「家事審判官」と呼称していましたが,家事審判官と呼称することに法的意味があるわけではなく,また「家事審判官」と呼称しているにもかかわらず家事調停も担当しており不自然であること等を踏まえまして,今般の改正では裁判官を家事審判官と呼称せず,単に「裁判官」と呼称することとしたいと考えております。   続きまして,1,通則のうち(1)裁判所及び当事者の責務並びに(2)最高裁判所規則については,中間試案第1の2と同じであります。   (1)の裁判所及び当事者の責務につきましては,前回,民事訴訟と同様とすることについて御指摘いただいたところでございますが,家事事件の手続であっても裁判所は手続を公正かつ迅速に行い,当事者は,信義に従い誠実に手続を追行する必要があり,その意味では民事訴訟と同様であると思われますので,表現を維持しております。   2,管轄の(1)管轄が住所地により定まる場合の管轄裁判所ですが,管轄が人の住所地により定まる場合のみを規律し,中間試案で掲げていた法人その他の社団又は財団の住所により管轄裁判所が定まる場合の規律を置かないこととしました。これは今回の見直しで,法人その他の社団又は財団の住所地に管轄裁判所が定まる場合がないと考えることから,規律を置く必要がないからでございます。   続きまして,(2)優先管轄から(5)管轄の標準時は中間試案と同じであります。   (6)移送については,中間試案第1の4(5)と次の二点を除き同じであります。   まずは,②にある管轄権を有する家庭裁判所による移送について,中間試案では「手続に著しい遅滞を避けるため必要があるときその他事件を処理するために相当と認めるとき」としていましたが,管轄家庭裁判所から管轄家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送する際にもこのような緩やかな要件とすることは相当でないこと等を踏まえ,①の規律と同様に「事件を処理するために特に必要があると認めるとき」と変更いたしました。   また,④において,移送の裁判に対する即時抗告に執行停止効があることを明示いたしました。   続きまして,3,裁判所職員の除斥及び忌避の(1)裁判官の除斥,(2)裁判官の忌避については中間試案と同じでございます。   (3)除斥又は忌避の裁判及び手続の停止ですが,⑤について,簡易却下事由がある場合にはこれまで「却下しなければならない」としていたのを「却下する場合には」として,必ず却下しなければならないものではなく,原則どおり合議体で判断する余地を認める表現に変更しました。そのほか,簡易却下の主体については⑤及び⑥で表現しています。   続きまして(4)家事調停官への準用,(5)参与員への準用は中間試案と同じであります。   (6)家事調停委員及び家庭裁判所調査官への準用については,中間試案第1の5(9)及び第11の甲案を採用いたしました。家庭裁判所調査官についてはこれまでいろいろと御議論いただいたところですが,やはり忌避に関する規律まで準用いたしますと,濫用的な申立てにより不当に遅延するおそれがあるなど実務に悪影響を生じるおそれがあることから,甲案を採用することといたしております。   (7)裁判所書記官への準用については,中間試案と同じでございます。   次に,4,当事者能力及び手続行為能力,(1)当事者能力及び手続行為能力については,中間試案と実質において同じですが,中間試案では当事者能力,手続行為能力,法定代理及び手続行為をするのに必要な授権について「民法その他の法令に従う」としていたのを,①において民事訴訟法第28条,第29条及び第31条と同様の規律を置くこととした上で,②及び③において被保佐人等の特則を置くこととしました。これは原則として,非訟事件の手続における当事者能力,手続行為能力,法定代理及び手続行為をするのに必要な授権は,民事訴訟における当事者能力,訴訟能力,法定代理及び訴訟行為をするのに必要な授権の規律に従うものであり,例えば民事訴訟において訴訟能力が認められる者は家事事件の手続において手続行為能力が認められ,また,民事訴訟において訴訟行為をするのに授権が必要な者は家事事件の手続においても手続行為をするのに授権が必要なことを表現しようとしているからでございます。   なお,③については,中間試案で特別授権事項としていた調停の合意と同様のものである調停条項案の書面による受諾及び調停に代わる審判についての共同申立てを特別授権事項に追加しています。   (2)未成年者及び成年被後見人の法定代理人についてですが,中間試案と実質的に同じでございます。ただし,調停を成立させる合意と同様のものである調停条項案の書面による受諾等も代理することができないこととしています。   また,成年後見人は人事訴訟において原告又は被告になることができることから,人事訴訟における家事調停の申立てについては,成年後見人等が代理してすることができることを表現するため,ただし書について,「家事審判及び家事調停(人事訴訟に係る家事調停を除く。)」としてみたのですが,表現振りについては更に検討したいと思っております。   続きまして,(3)特別代理人は中間試案第1の6(4)と同じでございます。   (4)法定代理権の消滅の通知は,中間試案第1の6(5)甲案と同じでございます。   (5)手続行為能力を欠く場合の措置等と法人の代表等への準用は,中間試案と同じでございます。   5,手続代理人及び補佐人の(1)手続代理人の資格は,中間試案第1の9(1)と同じでございます。   (2)裁判長による手続代理人の選任等は,中間試案第1の6(6)と同じですが,位置については,中間試案では当事者等のところに記載していましたが,手続代理人の選任に関する規律なので,現在の場所に変更しています。   (3)手続代理人の代理権の範囲等は,原則として中間試案と同じですが,調停条項案の書面による受諾及び調停に代わる審判についての共同申立てについて,法定代理人の場合と同様に特別授権事項にしています。   (4)手続代理人の代理権の消滅の通知は,中間試案第1の9(7)甲案と同じでございます。   続きまして(5)手続代理人に関する民事訴訟法の準用は,中間試案第1の9(3)から(6)までと同じでございます。   (6)補佐人も中間試案第1の9(8)と同じでございます。 ○伊藤部会長 それでは,順次審議をお願いしたいと思います。まず,第1,総則,1,通則,(1),(2)。(1)に関してはただいま脇村関係官から若干の説明がございましたが,この辺りはいかがでしょうか。よろしいですか。   そうしましたら,次の2の管轄で(1)に関しては,法人その他の社団又は財団との関係で若干の説明がございました。   それから(6)の移送の関係では,②の特に必要があると認めるときという要件を設けたことの趣旨や,それから④の執行停止の効力に関する説明がございましたが,移送を含む管轄の関係で何か御指摘等ございますか。 ○山本幹事 2ページの(6)の②の部分ですけれども,今回のように基本的には移送される側の,移送を受ける側の裁判所を基準として考えて,②の要件と①のただし書の要件をそろえるということ自体には賛成です。   ただ,②の場合で管轄権のない裁判所に対して移送をする場合はこの要件でよろしいのではないかと思うのですが,管轄権がある裁判所に対して移送する,つまり管轄権がある裁判所同士の間で移送をする場合も現在の②の中には表現には含まれているように思われます。   同じ事件で管轄裁判所が複数あるケースというのは後の各論でも出てくるように幾つかの場合があり得るのだろうと思うのですが,管轄権がある裁判所同士の移送の場合はむしろこの要件ではやや厳し過ぎるのではないかと思っておりまして,原案というか,前の中間試案のような遅滞を避ける等の理由での移送というのも認められてしかるべきではないかという気がいたしております。 ○伊藤部会長 ただいまの山本幹事からの発言に関しまして,他の委員,幹事の方で御意見ございますか。 ○高田(裕)委員 確認ですが,2の(2)に優先管轄がございますので,優先管轄を前提とすると他の裁判所の管轄はなくなるというのがこの案の前提という理解でよろしいのでしょうか。その上で,今御指摘の点を振り分けるということを考える余地があるという趣旨でよろしゅうございますでしょうか。 ○脇村関係官 もともと前提は,優先管轄の規定で管轄がなくなるという前提で考えていたのですが,それを前提としつつも,山本幹事がおっしゃっているように,もともとはあったということを基準にして振り分けるということも十分あるのではないかと思います。 ○高田(裕)委員 結論としては結構ですが非訟のときには優先管轄の方にただし書がついていたわけでして,そうした組立て方との選択ということもお考えいただければと思います。 ○伊藤部会長 御指摘,御意見ごもっともだと思いますので,それについてどういう形での規律があり得るか,事務当局において検討してもらうことにいたしましょう。   他に管轄の関係で御発言はございますか。 ○増田幹事 ⑥の移送について,これは規則事項だと思いますが,当事者の意見を聴くことを要件としていただきたいと思います。 ○伊藤部会長 今の点に関して何かほかの方で御発言ございますか。   そういたしましたら,この点,そういう御意見があったということで規則の検討に関してはそのような御意見の存在も考慮していただければと思います。   ほかにいかがでしょうか。   よろしければ,3の裁判所職員の除斥及び忌避ですけれども,特に先ほど説明がございましたのは,5ページの(6)の関係で従前の甲案でしたか,忌避はこちらに準用しないということについての補足的説明がございましたが,その辺りでも結構ですし,あるいは3の他の点でも結構ですが,何か御発言ございますか。   そうしましたら,この点御了解いただいたものといたします。   次の4,当事者能力及び手続行為能力の関係ですが,この点も先ほど脇村関係官から若干補足的な説明がございましたが,この部分に関しては何か発言ありますでしょうか。   もし特段の御意見がございませんようでしたら御了解いただいたものとして,次の5,手続代理人及び補佐人に関してですが,ここはいかがでしょうか。 ○脇村関係官 先ほど34-2もそうなのですけれども,34-2の4ページの(4)で手続代理人の代理権の消滅の通知というところで,中間試案の甲案と同じとしてそのように説明させていただいたのですけれども,乙案の間違いでした。部会で御了承いただいた手続代理については,いずれについても裁判所か他方の当事者に通知するという案で,内容については従前のとおりでございますが,説明として甲と乙をひっくり返して説明してしまいましたので,訂正させていただきたいと思います。申し訳ございません。 ○伊藤部会長 分かりました。そのように訂正があったことにいたします。   ということで,この辺りに関してはいかがでしょうか。   よろしければ,次の6,手続費用から第2,家事審判に関する手続(総則),1,家事審判の手続,(1)通則まで説明をお願いします。 ○松田関係官 では,まず6,手続費用について説明いたします。   (1)手続費用の負担のア,手続費用の負担については,①及び③は中間試案と同じです。   ②は,①の規律により各自負担の原則どおりに手続費用を負担させることがかえって公平に反するような場合には,その手続費用を負担すべきとされている者以外の当事者,利害関係参加人又はこれらの者以外の裁判を受ける者となるべき者若しくはこれに準ずる者であって,その裁判により直接に利益を受ける者に負担させることができるものとしております。   なお,部会資料の②には,「①の規律によれば当事者,利害関係参加人その他の関係人」としておりますが,家事事件におきましては,他の法令等で手続費用の負担について個別規定が置かれることは想定し難く,当事者及び利害関係参加人以外に①の原則に従い手続費用を負担すべき者はいないと考えられますので,「その他の関係人」は削除させていただきたいと存じます。   その上で②の内容についてですが,裁判の手続に関与しておらず,かつその事件に関係のない第三者に手続費用を負担させることは相当でないと考えられますことから,②の規律により手続費用を負担させることができる対象を関係人から裁判を受ける者又はこれに準ずるものであって,当該裁判により直接に利益を受ける者に限定することにしております。   ②の二号で想定しておりますのは,成年後見開始の審判における成年被後見人のようなものであり,このようなものであれば当該裁判手続がその者のために行われたと評価でき,その手続費用を負担させることとしても不合理ではないと考えられるためです。   次に,イ,手続費用の負担の裁判等及びウ,手続費用の立替えにつきましては,中間試案と同じです。   ウの(注)は,これまで検討対象とはされてこなかったものですが,現行家事審判規則第11条2項及び3項の規定は,後見登記の手数料に充てる費用を登記印紙で予納させることを認める規定であり,これらの規定と同様の規律を置くものとすることとしております。   エ,手続費用の負担及び手続費用額の確定手続等につきましては,ア②の規律により費用を負担させることができる対象を限定したことに伴い,民事訴訟法第69条及び第70条において,費用償還命令の対象とされている法定代理人や手続代理人等に対して,ア②の規律により費用を負担させることができなくなりましたため,エ②において新たにこれらの規定と同様の規律を置くものとしておりますほかは,中間試案と同じでございます。   なお,手続費用の強制執行については,民事執行法に規律を置くなど所要の手当てをすることとしております。   (2)手続上の救助につきましては,中間試案と実質的に同じです。 ○川尻関係官 7,電子情報処理組織による申立て等については,中間試案第2の2,ア(注)と同じです。   8,裁判所書記官の処分に対する異議については,中間試案では不服申立てとして位置付けておりましたが,手続進行上の規律としての位置付けに変更しております。また,異議の申立てに対する裁判の即時抗告については,異議を理由があるとする裁判に対しても,異議の申立人以外の当事者が即時抗告をすることが考えられますので,②についても中間試案の規律を維持し,即時抗告をすることができる裁判について,特に申立てを却下する裁判に限定することはしておりません。   第2,家事審判に関する手続(総則)の1,家事審判の手続の(1)通則,ア,審判事項は現行法の規律を維持するものです。なお,保全処分なども審判により行われることから,この法律において特に定める事項についても審判することを明確にしております。   イ,合意管轄は中間試案第2の2(1)甲案と同じですが,②において合意の方式等について手当てをしております。   ウ,参与員は中間試案第2の1(2)と同じです。なお,参与員が聴取した結果について書面で報告する旨の規律は置かないこととしております。   エ,手続の非公開は,中間試案第1の11(2)と同じです。   オ,期日及び期間は,中間試案第1の11(3)と同じです。ただし,③について,中間試案では期日の変更につき審問及び証拠調べの期日に限り,顕著な事由がある場合にすることができるとしておりましたが,審問及び証拠調べの期日に限らず,いったん期日を指定しておきながら何らの理由もなくこれを変更することは相当ではないことから,ここでは一般的に期日を指定した場合には顕著な事由がある場合に限り変更することができるものとしております。   カ,手続の併合等については,中間試案第11の11(5)から変更ございません。   キ,当事者参加は,中間試案第1の7(1)と同じです。   ク,利害関係参加は,次の二点を除き中間試案第1の7(2)と同じです。   一点目は,(1)③について,利害関係人につき強制参加制度を置いたことです。非訟事件においては,裁判所が裁判を受ける者となるべき者等の手続保障を与える必要があると考えた場合には,その者らに対し事件が係属していること等を知らせ参加を促せば足り,強制的に参加させるまでの必要がなく,家事事件においてもその点は基本的に同様であるとも考えられます。しかしながら,非訟事件の場合と異なり,行為能力の制限を受けた者,例えば未成年者も手続に参加することができますが,そのような者は必ずしも自らの参加の是非を判断することができるとは限らないので,裁判所がその是非を判断して強制的に手続に参加させ,手続保障の機会を与えることが必要な場合もあると考えられます。その場合には,単に強制的に参加させるだけでなく,必要に応じて弁護士を手続代理人にすることも考えられます。   そこで,非訟事件には強制参加の制度を置かないのですが,家事事件には公益的,後見的な見地から手続に関与させることがその者の利益の観点から相当と考えられる場合や事案の解決上必要と考えられる場合には,その者の自発的参加を待たずに強制的に引き込むことを認めるのが相当であると思われます。現行法第12条も利害関係人の強制参加を認めています。   (2)⑥について,未成年者につき一定の場合に参加を認めないこととしました。未成年者は手続行為能力が認められるときは,審判を受ける者あるいは重大な利害を有する者として手続に参加することが可能ですが,その者の年齢及び発達程度,その他一切の事情を考慮してその者が当該家事事件の手続に参加することがその者の福祉を害すると認めるときに参加を認めることは相当ではないと思われるからです。   なお,(3)⑧については,より正確に表現するために「当事者としてすることができる」とあったのを「当事者が当事者としてすることができる」に改めました。利害関係参加人であることだけでは即時抗告をすることができませんが,即時抗告権者に該当する場合には,できることを明示するために⑧ただし書を付け足しました。   また,従前は裁判の不服申立てのみを取り上げていましたが,裁判所書記官の処分も問題となることから,その点を追加しております。   また,②の審判を受ける者となるべき者以外の者の対象者をどう表現するかについては現在鋭意検討中であります。   ケ,手続からの排除ですが,例えばAがB及びCを相続人として遺産分割の申立てをした場合に,Bが相続人でなかったときや,自己の相続分をCに譲渡したようなときには,Bを事実上当事者として扱わないこと等により対応することが考えられ,本文のような制度を置くまでもないとも思われますが,このような者の手続上の地位を簡易迅速に明確化するためには,本文のような制度を置く実益があると思われます。   コ,法令により手続を続行すべき者による受継は,中間試案第2の1(3)と実質的に同じで,手続を続行する資格のある者がいるときには,その者が手続を受け継がなければならないことを明示しております。   サ,他の申立権者による受継は,③において受継の申立て時期,期間のみならず,裁判所が職権で受継を命ずることができる期間についても1か月以内と明示しました。そのほかは,中間試案第2の1(3)イと同じです。   シ,送達及び手続の中止は,中間試案第1の11(4)及び(6)と実質的に同じです。   ス,調書の作成等については,中間試案第2の1(4)①乙案及び②と同じです。   セ,記録の閲覧等の①及び④から⑥までは,中間試案第2の1(5)アと実質的に同じですが,中間試案では②としていた家事事件の記録中の録音テープ等に関する規律は,①の括弧書きの中で記載する方法に変更しました。また,⑤は分かりやすさの観点から表現を変更しております。   ③は,当事者からの記録の閲覧等の例外を別項において規律したものです。この点については,一定の包括的な例外の規律の必要性は認められるものの,「その他相当でないと認められるとき」という従前の文言では広範に過ぎるのではないかとの御指摘を踏まえ,家庭裁判所の考慮要素を列挙するとともに,表現を「記録の閲覧等を許可することを不適当〔不相当〕とする特別の事情があると認められるとき」と改めて,その外延を画することとしました。   ⑦から⑨までは,中間試案第1の1(5)イ甲案と同じで,当事者の記録の閲覧等に対する不服申立てについては,手続における重要性に鑑み,異なる裁判体による判断を受けることができるようにしておくことが相当ではないかと考えられますので,簡易却下に対して即時抗告を認めることとしております。   ソ,検察官に対する通知は,中間試案第1の2(6)と同じです。 ○伊藤部会長 まず,6の手続費用,(1)手続費用の負担の関係でただいま特に説明がございましたアの②の二の辺りでしょうか,その裁判により直接利益を受ける者ということと,それとの関係でエの①の内容をここに掲げてあるという辺りが中心でしょうか。   どうぞ,ただいまの点でも結構ですし,それ以外の点でも何か御指摘がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。   そうしましたら,10ページの7の電子情報処理組織による申立て等,ここは何か御発言ございますか。   よろしければ,8の裁判所書記官の処分に対する異議,②に関しては先ほど川尻関係官から若干補足的な説明がございましたが,ここはいかがでしょうか。   よろしければ,次の第2,家事審判に関する手続(総則)の1,家事審判の手続の(1)の通則ですけれども,一つはイの合意管轄に関する考え方を明らかにしたということと,それから参与員の意見についての書面性を要求しないという辺りのことがありましたが,参加のことは別に取り上げるといたしまして,アないしカ,手続の併合等までのこの辺りは何か御指摘,御意見ございますか。 ○山本幹事 確認をさせていただきたいのが一点なのですが,アの審判事項のところなのですけれども,別表第一及び別表第二というのは,その根拠となる条文として民法の規定を掲げておられるのですけれども,準拠法が外国法になるような事件の審判,このようなものについては,現在の家事審判法第9条第2項のような規定が維持されるのかどうかということとも関係するのかもしれませんけれども,そのようなものについてはどのように考えておられるのかという事務当局の御意見を伺えれば。 ○金子幹事 今御指摘のようなケースが現行法の第9条第2項で本当に受けているのかどうかということ自体にも少し疑義があるようですが,少なくとも準拠法が外国法になった場合には近いものに引き寄せて当てはめていくという現在の実務の運用を変えるつもりはございません。そのような前提で立案しているつもりでございます。 ○伊藤部会長 いかがでしょうか。 ○山本幹事 分かりました。 ○伊藤部会長 ほかに,アないしカの辺りまでは何か御発言ありますか。   よろしければキの当事者参加以降ですけれども,クの利害関係参加については先ほど強制参加を非訟の場合とは違ってそれに関する規律を設けるべき合理性があるのでここに掲げるような形になっているという説明がございました。   それから,⑥の関係で参加しようとする者が未成年者である場合に,これらのことが認められる場合には申立てを却下しなければならないというようなことでしょうか。   そうしましたら,キ,クの辺りで何か御発言があればお願いいたします。 ○三木委員 クの③で,規定の実質に異論があるわけではないのですけれども,規定振りとして要件というか,どういう場合に,例えば最も抽象的で必要と認める場合とかでもいいですけれども,何も要件がないというのがやや気になったのですけれども,それはどうお考えなのかちょっと教えていただきたい。 ○脇村関係官 御指摘のとおり何も書いていないのですけれども,趣旨としては,手続保障等を与えるためには参加させたほうがいいのではないかということを考えていたのですが。 ○伊藤部会長 ということで,御指摘は誠にごもっともだと思いますので,検討をしてもらうことにしましょう。   ほかにいかがでしょうか。 ○畑幹事 同じようなことですが,補足説明によれば,強制参加の対象となるのは行為能力の制限を受けた者が念頭にあるかのようなのですが,③の表現自体は非常に広範なものになっておりますので,ちょっとそこも何か御検討いただいたほうがいいような気がいたします。 ○脇村関係官 今,畑幹事から御指摘があったように,未成年者あるいは成年被後見人であるとか,手続行為能力はあるのですけれども,十分に判断できない人を主に想定しているのですが,今回認めるに当たっては,そこに限定する必要性もないのではないか,認める以上は行為能力の有無に関係なく認めてもいいのではないかということも考えて,限定せずにこのような形にしていました。ただ,畑幹事の御指摘を踏まえて少し検討させていただきたいと思います。 ○増田幹事 趣旨に反対するものではないですが,子どもの代理人を,この条文を通じて実現していくということになりますので,逆に余り制約的でないほうがよろしいのかなと思っております。 ○伊藤部会長 そうしましたらただいまの三木委員,畑幹事,増田幹事の御意見を踏まえて,ちょっと難しい面もありますけれども,緩やかな要件が設けることができるのかどうか,その辺りを検討してもらうことにいたしましょう。   ほかにはいかがでしょうか。 ○増田幹事 クの2の亀甲括弧のところですが,前者の表現が適当ではないかと思います。 ○伊藤部会長 審判の結果により自己の法律関係について影響を受けるもの,こちらのほうですね,分かりました。   ただいまの増田幹事の御指摘に関してほかの委員,幹事の方で何か御発言ございますか。   それでは,その点踏まえて検討してもらうことにいたしましょう。   ほかにはいかがでしょうか。   よろしければ,ケの手続からの排除に関して,こういった規律を設けることの必要性は先ほどの事務当局からの説明にあったとおりですが,いかがでしょう。 ○畑幹事 これも前から申し上げているように,実質としてはこういうことがあっていいと思うのですが,非訟と違って家事でだけこれを設けるということだとすれば,それがなぜかということをちょっと御説明いただければと思います。 ○脇村関係官 まず,非訟に置かなかった一番の理由としましては,今般,相手方がある事件についての規律に特化したものを置かないということを前提として考えた場合に,相手方があるようなケースについてを想定して手続から入るという規定を置くのがなかなか難しいということと,もう一つは,申立人が複数といいますか,申立権者が申立ての資格を失った場合については,その後申立て却下で対応できるので,それについては置く必要がないということから非訟については置かないということを考えております。   家事の場合は,申立ての適格を有しなかったケースについては,恐らく非訟と同じで置く必要はないと考えていますが,他方で乙類のうちの特に遺産分割のようなケースについて相手方として参加していたような人がここに書いていますような理由から適格を有しなくなったときにどう対応するかで,一つの考え方としては,その人に対する申立てを却下するということで対応するということも考えられるところでございますが,やはり従前から申し上げていたかもしれませんが,遺産分割のケースについて本当にその人に対する申立てということを却下することができるのかという点についてやや疑問もあるところでございますし,また,そういったケースについては今実務上脱退ということで対応されていると聴いておりますので,そういったことを踏まえますと,こういったように家事について言えばそういったケースを念頭に置くということは合理的ではないかと考えているところでございます。   もちろん将来,ほかの非訟事件において遺産分割,遺産分割に特化したわけではないですけれども,そういうことが想定できるものについては今後対応するということは考えられると思いますが,差し当たりは非訟事件については置かず,家事事件については今言った理由から置くことを考えているところでございます。 ○畑幹事 どうもなぜ違うのかというのが,やはり釈然としないところは残ることは残ります。   あと,こういうものを置くとしてもケの表現というのは,またこれはこれで非常に広範な表現になっているような感じもいたしますので,自分でいい考えがなくて恐縮ですけれども,少し御検討いただければ。 ○金子幹事 表現振りはなお検討させていただきますが,代案がなかなかなければ,あるいはこのままでということもあるかもしれません。 ○伊藤部会長 確かに一応家事に関する一般的な規律ということで掲げられていますので,先ほど事務当局から説明があったようなものを想定してという,その間に多少印象の上でのずれがあることは否定できないかなという気もしますけれども,そこは表現に関しては少し検討してもらうことにいたしましょう。何かまた委員,幹事のほうでも適切な御提案があれば承りたいと思います。ほかにはよろしいでしょうか。   コ,サの受継の関係はいかがでしょう。   よろしければシからセの記録の閲覧等,それからソの検察官に対する通知の辺りで,特に記録の閲覧等に関しては③で家庭裁判所の考慮要素を明らかにしているということと,不適当・不相当とする特別の事情があると認められるときはというような形での要件を明らかにしたと,このようなところに関する説明がございまして,それから記録の閲覧等に関する⑧の裁判に関しても即時抗告を認めるということについての補足的な説明がございましたが,記録の閲覧等を中心にしてこの辺りに関してはいかがでしょうか。 ○三木委員 記録の閲覧のセの③に関しての御質問です。   「又は」以下を付加されたその趣旨というのはこれまでの御説明で分からないでもないのですけれども,これまでの御説明ですと,記録の内容に照らしてという部分は,これまでの御説明の例に合うのだろうと思いますが,事件の性質とか審理の状況がその前に書いてある列挙事項に当たらず,更に付加的に閲覧不許可を導かなければいけない場合というのはどういう場合を想定されているのか,この前二者について御説明をお願いします。 ○川尻関係官 まず初めの事件の性質ですが,例えば個人の財産状況について具体的に明らかになった裁判資料があるとしますと,それが財産分与のような事件であれば,それは事件の手続にとって非常に重要で,当事者ともに知っておくべき事柄ですので,そのような具体的な財産状況に関する裁判資料というのは閲覧,謄写が許可されてしかるべきだと考えております。   ただ,同じような財産状況に関する具体的な資料といいましても,例えば成年後見開始の審判事件などにおいては,どのような者を後見人としてつけるかとか,何人つけるかという裁判においては必要になるのですけれども,では当事者がそれを全部見られなければ何か手続保障上重要な問題が生じるかというと,必ずしもそういうような関係にはございませんので,そのような場合には全面的に開示するということは必ずしもならないのではないかと考えております。   次の審理の状況ですが,例えば審理の進行状況によっては,当事者がもうその事実を知っていると。一見するとその事実というのは個人のプライバシーに関わる問題であって,本来であれば許可すべきではない事柄ですけれども,審理が進行していって当事者はもうそれを知っているというのであれば,殊更ここで不許可にする必要はないと考えられますので,そのようなことを踏まえて判断をするというようなことを想定しておりました。 ○三木委員 今の御説明も理解できないわけではないのですけれども,理屈だけを申しますと,最後の審理の状況のようなことはそれ以前の列挙事項にも当てはまることでここだけの話ではないような気もしますが,だからといってそれ以前の列挙事項に審理の状況を入れろというほどの意味のことを言っているわけではありませんけれども,審理の状況のところはちょっと付加された事項固有のものかどうか疑問があり,そういう意味では厳しく言えば全体の整合性の点がちょっと疑問には感じました。 ○伊藤部会長 いかがでしょうか。考慮要素ですからそれほど厳密にはという気もしますけれども,しかし立法である以上それぞれの文言それぞれが合理性がなければいけないというのは御指摘のとおりかと思いますので,一応検討されるということでいいですか。 ○金子幹事 これも一要素ですので説明し切ることがなかなか難しいのですが,審理の状況も例えば調停ができない事件であってもそれが抗告された場合は,言わば紛争性が高まっているので判断に当たっての裁判所の判断資料をきちんと見られる状況で必要な防御というのですか,反論するなりの機会というのはより与えられる方向へ働く場合もあるのではないかとかそういうことも考えていたところであります。   いずれにしても,これできちんと必要十分な条件かどうかは引き続き検討させていただきますが,審理の状況についてはちょっとその点補足させていただきました。 ○三木委員 これもやや規定が錯綜することも望ましくないので,余り強く言うつもりはございませんが,審理の状況は今のお二人の御説明を伺った限り,ほかのファクターと違ってどちらかというと開示を認めるほうに働いているような気がします。   繰り返しになりますけれども,こうしてほしいというほどの強い意見ではないですけれども,例えば列挙事項では審理の性質と記録の内容を残し,全体を受ける形で最後にただし書のような形で審理の状況によっては開示できるというのが論理的には前段も受けることになり,かつ不許可を緩めるほうに働くということで,整合はしているように思います。ただ,何度も申しますけれども,規定は複雑化しますので,御検討いただきたいという程度です。 ○伊藤部会長 分かりました。それはよろしいですね,ただいまの御指摘を踏まえて表現に関してもう少し検討してもらうことにいたしましょう。   ほかに今までのところでは何か御発言ございますか。 ○長谷部委員 今,三木委員がおっしゃったことと部会長のおまとめで結構ですけれども,この記録の閲覧の部分については非常に難しい問題がありましていろいろ議論を重ねましたが,今回,事務当局のほうで随分工夫してくださったと感じております。   御説明を伺っている限りでは,記録の内容からいって,事件との関連性がそれほどないものであって,かつそれが前段で掲げられている私生活に関する微妙なものであるときには,それを開示することによって当事者や第三者の利益が著しく害されるおそれがあるとまではいえなくても,関連性がないことを考慮して開示しない場合もあると,そう考えれば納得できるかなと思いました。三木委員のように論理的に考えることももちろん重要だとは思うのですけれども,そういう趣旨なのだということをどこか解説などで説明していただければそれでよいのかなとも思います。それから,「特別の事情があると認められるとき」という表現を加えていただいたのは非常によいと思います。記録の閲覧は当事者権の非常に重要な内容であるということがここで言明されていると感じまして,私はこれは非常によかったと思っております。 ○伊藤部会長 そういたしましたら三木委員,長谷部委員の御意見等を総合してもう少し検討してもらうことにいたしましょう。よろしいでしょうか。   よろしければ,次の(2)家事審判の申立てから(6)特則までの説明をお願いします。 ○川尻関係官 (2)家事審判の申立て,ア,申立ての方式等は,申立ての方式(①及び②)及び裁判長の申立書審査等(④から⑥まで)については,中間試案第2の2(2)ア及びウと実質的に同じです。なお,②ⅱについて,中間試案では「申立ての原因」としておりましたが,家事審判手続を利用する当事者本人に対する分かりやすさという観点から,「申立ての理由」に変更いたしました。   併合申立てについては,中間試案第2の2(2)イ甲案を採用した上で,表現についてはより適切なものに変更しております。   イ,申立ての変更は,中間試案第2の2(2)エと同じです。   (3)家事審判の手続の期日のア,本人出頭主義は,中間試案第1の11(1)と同じです。   イ,裁判長の手続指揮権は,中間試案第2の2(3)と同じです。なお,釈明に関する規律は置かないものとしております。   ウ,受命裁判官による手続は,中間試案第2の2(4)と実質的に同じです。ただし,事実の調査及び証拠調べを受命裁判官がすることができる場合を明確にしましたほか,受命裁判官の手続における権限を明確にしております。   エ,音声の送受信による通話の方法による手続は,中間試案第2の2(5)と実質的に同じです。なお,証拠調べについては,民事訴訟法の規律により認められている場合以外には,音声の送受信による通話の方法による手続を採ることができないことを明示するため,「家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)」としております。   オ,家事審判の手続の期日における措置は,中間試案第1の11(7)の(注)と同じです。   (4)事実の調査及び証拠調べのア,職権による事実の調査等は,中間試案では「職権で又は申出により」としていた文言を,他の例に倣い「申立てにより又は職権で」に変更しましたほかは,①は中間試案第1の12(1)と同じです。   ②については,中間試案第1の12(2)「当事者の役割」の部分の趣旨を生かし,実態に即した表現の規律を導入することとしております。   イ,疎明は中間試案の第1の12(3)と,ウ,家庭裁判所調査官による事実の調査は中間試案の第1の12(4)イと,エ,家庭裁判所調査官の期日への出席等は中間試案の第1の13と,オ,裁判所技官による診断等は中間試案の第1の12(4)ウ及び第1の14とそれぞれ同じです。   カ,事実の調査の嘱託等については,中間試案の④では,③の場合に裁判所及び裁判長の職務は受命裁判官が行う旨規律しておりましたが,同様の規律は①から③まで共通して必要となることから,全ての場合に適用される形に変更しましたほかは,中間試案第1の12(4)エから変更ございません。   キ,調査の嘱託等は,中間試案第1の12(4)オと同じです。   ク,事実の調査の通知ですが,中間試案第2の2(6)エ(注)では,「裁判に重大な影響を及ぼすことが明らかになった場合には」としておりましたが,当事者に対する不意打ち防止の観点からの規律であることを明らかにする表現に変更しまして,規律を置くものとしております。   ケ,証拠調べに関する民事訴訟法の準用等は,中間試案第1の12(5)と実質的に同じで,中間試案においては当事者が正当な理由なく宣誓若しくは陳述を拒んだとき,又は文書提出命令等に従わないときについて所要の手当てをするものとしていたのを,②から⑦までにおいて具体化しました。   また,②及び③について,より正確な表現へと改めております。   (5)家事審判の手続における子の意思の把握等は,表現については整理をしておりますが,中間試案第1の15①及び②と実質的に同じです。なお,調停の手続については,第4の1(2)ウにてこの規律を準用しております。   (6)別表第2に掲げる事項についての家事審判の手続の特則,ア,家事審判の申立書の写しの送付等の①は,中間試案第2の2(6)アと同じです。   ②から④までは,中間試案第2の2(2)ウの(注)の規律を具体化したものになります。   イ,呼出費用の予納がない場合の申立ての却下は,従前,陳述の聴取の規律と併せて検討することとしておりました点で,次のウの陳述の聴取において,当事者からの申出があった場合にのみ審問の期日を開くことを提案しておりますため,呼出費用の予納がない場合の申立ての却下の規律につきましては,現在亀甲括弧に入れておりますが,置かないものとしてはどうかと考えております。   ウ,陳述の聴取は,中間試案第2の2(6)イの甲案に(注)の審問の申出権を認める案と同じです。家事審判の手続においては,書面照会や家庭裁判所調査官による陳述の聴取が適切な事案もありますことから,必ず審問の期日を開くことを法律上義務付けることは相当ではないと考えられますが,他方で調停をすることができる事項についての家事審判事件においては,当事者双方に攻撃防御の機会を十分に保障する必要もありますことから,当事者に審問の申出権を認め,当事者が裁判官の面前で直接陳述をすることを望む場合には,審問の期日を開くことといたしました。   エ,審問の期日は,中間試案第2の2(6)ウ及び(注)と同じです。   オ,事実の調査の通知は,告知の対象に利害関係参加人を加えたほかは中間試案第2の2(6)エと同じです。   カ,審理の終結も,中間試案第2の2(6)オから変更ございません。   キ,審判日は,中間試案第2の2(6)カを具体化したもので,従前の議論を踏まえまして,審判日を定めるものとしました。   なお,(7)ケによるイ①の準用により,審判日の決定は当事者等に告知されることとなるため,当事者等に通知する旨を重ねて規律する必要はないことから,表現を改めております。また,審判日の変更の規律についても手当てをするものとしていたのを,②において具体化いたしました。 ○伊藤部会長 順次,審議をお願いしたいと思いますが,まず(2)家事審判の申立ての関係で,これはどちらかというと用語の問題かもしれませんが,②のところで「申立ての趣旨及び原因」ではなくて「理由」としているということ,それから③に関しては従前の甲案の考え方を明らかにしているという辺りでしょうか。   それから,申立ての変更についてもこういう形での規律を設けることにしていますが,家事審判の申立てに関する各事項に関してはいかがでしょうか。 ○山本幹事 今御説明があった「申立ての趣旨及び理由」という「理由」という文言なのですが,どうも日本語的な感覚からすると「理由」といった場合には申立てを何か根拠付ける事実を含むような意味合いに思われまして,補足説明で挙がっている労働審判規則も第9条2項で申立ての理由というのは,「申立てを特定するのに必要な事実及び申立てを理由付ける具体的な事実を含むものでなければならない」という規定を設けておるというところからすると,何かそういうものも記載しなければいけないようなことになるのではなかろうかという気がします。もちろん実質的には申立書にそういうことを記載するのが望ましいということは言えるのだろうと思うのですが,②というのはその後で記載されていないと申立書の却下に結び付く効果が認められているものでありますので,そういう観点からすれば申立てを特定するような事由が記載されていれば十分のような感じがして,それを表すのにこの「理由」という文言はやや誤解を招くような感じも私はいたしております。 ○川尻関係官 確かにここで「申立ての趣旨及び理由」として言い表したかったことは,今御指摘ありましたように審判を求める事項を特定するのに必要な事実,それだけ記載されていれば足りると考えておりました。他の用例等も調べまして,分かりやすいと思ってこういう言葉にしたのですけれども,この「理由」という言葉ではそれよりもう少し広いものが含まれてしまうということであれば,変える必要もあるかと考えられますので,検討させていただければと思います。 ○伊藤部会長 よろしいでしょうか。ここで言わんとしていることは,申立て事項を特定するに必要な事実ということなのですが,今の御指摘を踏まえまして少し表現を検討させていただくことにしましょう。   ほかに,申立ての関係ではいかがでしょうか。   よろしければ,次の家事審判の手続の期日,アないしオまでございます。釈明に関しては設けない,これは従来からいろいろ議論になったところですが,御了解いただければと思います。   その点以外に(3)の家事審判の手続の期日に関する事項で何か御意見ございますか。 ○畑幹事 今の釈明のところなのですが,私個人は違う考え方を持っているということは前から申し上げているとおりですが,事柄の実質についてはこの場で何か意見が違うということでもないようですので,法制的な検討の結果,置かないということであればそれで結構です。   ただ,この場でお答えいただく必要はないのですが,置く必要がないという議論は,確か事実の調査としてできるからであるという話だったと思うのですが,そうすると事実の調査に関する規律がすべてかぶってくるということになり,それで大丈夫かという気がちょっといたします。   例えば事実の調査については,要旨を記録化するということがあり,考えようによっては民訴でいうところの釈明に関する規律より重くなりかねないような気もしておりまして,ちょっとその辺り御検討いただければと思います。 ○伊藤部会長 私の記憶だと,事実の調査ということは確かに理由の一つではあるけれども,釈明作用がそこに全て言わば吸収されてしまうということでは必ずしもなかったようですが,ちょっと事務当局からもし今の点,説明があればお願いします。 ○川尻関係官 そもそも職権探知ということなので,必要な釈明的なことというのも含めて,全て裁判所ができるのが当然の前提になっていると考えておりました。ですから,その場合に必ず要旨を,もちろん残しておくべきことは残しておく必要があるかと思うのですけれども,例えばこの点はどうなのですかとただ聴いたと,それが重要ではない単なる形式的なことであれば,必ずしも残しておくことにはならないのかなとは考えております。 ○伊藤部会長 畑幹事の従前からの御意見は十分認識しておりますし,またこの規律を置かないということの意味が誤って理解されるようなことのないように十分事務当局には今後の説明などの際に配慮してもらえればと思います。   ほかにはいかがでしょうか。   よろしければ,(4)事実の調査及び証拠調べの関係で,表現等の整理や修正は別にいたしますと,クの事実の調査の通知の関係でこのような内容の規律を置くこと,それから「手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは」という要件にしている辺りに関して先ほど説明がございましたが,事実の調査及び証拠調べに関しては何か御発言ございますか。 ○山本幹事 ものすごく細かいことで恐縮なのですが,キの調査の嘱託のところで,信託財産が対象になっているというのは前から気になっておりまして,ここに挙がっている,銀行については関係人の預金とか,使用者について収入というのは,その事件の関係人の財産状況を明らかにするような形で第三者に嘱託をかけるということかなと思うのですが,そうだとすれば信託財産というのは関係人が持っている受益権について信託会社に嘱託をかけるというのは理解できるのですが,信託財産について嘱託をかけても仕方がないような気がしておりまして,新しい信託法との関係もあるのかもしれませんけれども,もし何か分かっていればお教えいただきたいと。 ○川尻関係官 これは現行の規則の文言と,それから人訴規則にも入っておりますものですから,そのまま使っておりますけれども,もう一度ちょっと検討したいと思います。 ○伊藤部会長 どうも御指摘ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。   よろしければ,(5)家事審判の手続における子の意思把握等で,ここに掲げられているような内容で,調停に関しても同様という説明がございました。ここはいかがでしょうか。御了解いただいたものとしてよろしいですか。   そうしましたら,次の(6)です。別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続の特則で幾つかございましたが,中心的なものはウでしょうか。陳述の聴取につきまして,②で陳述の聴取の対応としての審問は当事者の申出がある場合にしなければいけないという当事者の申出権を認めるという考え方を明らかにしている。そのこととの関係で,その前のアの④の次にあります亀甲括弧についての若干の説明がございましたが,この辺りはいかがでしょうか。 ○山本幹事 ウの陳述の聴取のところです。これは希望ということなのですけれども,この申出権を認めるということで異論はないのですけれども,当事者が申出権を従前に行使できるような配慮といいますか,裁判官の面前で直接陳述することを希望する場合には審問期日を開くということですが,自分にそういう権利があるということを知らないとすると,希望しても申出をしないということもあり得るので,どういう方法が適切かということはちょっと分からないのですが,何らかのそういうような権利の担保が図れるような措置を,これは規則事項になるのだと思いますけれども,図っていただきたいという希望を申し上げておきたいと思います。 ○伊藤部会長 分かりました。それはある意味では当然のことかとは思いますけれども,ただいまの山本幹事の御発言をしかるべく受け止めていただければと思います。   ほかにはこの関係でいかがでしょうか。 ○三木委員 エのところですが,ただし書で立会権を否定する場合の規律がされております。今から申し上げることは,あるいは御異論のある方もいらっしゃるかもしれないので,その場合には他の方の御意見も伺いたいと思いますけれども,私が思いますには,立会権は手続保障の根幹ですので,単純に「支障を生ずるおそれ」というよりも「重大な支障」と限定すべきではないかと個人的には思っております。お考えを伺えればと思います。 ○伊藤部会長 分かりました。ただいまの三木委員のエの審問の期日のただし書で,他の当事者の立会いを排除するための要件として「支障を生ずるおそれ」というのではやや手続的な利益に十分配慮したことにはならないのではないか,より限定的に例えば「重大な」とかいう形での要件を絞るべきではないかという趣旨の御発言ですが,これに関しては他の委員,幹事の方で御意見はいかがでしょうか。 ○長委員 実際に審問を行うときの当事者の状況であるとか審理段階によって弾力的な運用をする必要があるものですから,実際のやり方としては慎重にやることにはなると思うのですが,文言上は,「事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるとき」という現在の文言にしておいていただきたいと思います。 ○伊藤部会長 どうぞ,御意見をお願いいたします。 ○増田幹事 三木委員の御意見に賛成です。   更に言えば,音声の送受信による通話の方法などを利用した形での立会いも考えられますので,他の方法を採っても立会いが不適当であるようなやむを得ない場合に限るべきだと考えております。 ○川尻関係官 ここの文言は,人事訴訟法の第33条の4項と同じ表現を採っております。人事訴訟法においても,「ただし,他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは」という文言を使っておりますので,恐らくそれと違える必要はないのではないかと考えております。 ○山本幹事 今,川尻関係官と全く同じことを言おうとしました。 ○伊藤部会長 いかがでしょうか。ちょっと意見が対立しているようで,人訴の関係ではこういうことになるべき必然性があるように思いますが,実質についても先ほど長委員からは,より事実の調査という裁判権の行使の特質に鑑みると弾力的な要件を慎重に運用するというのがよろしいのではないかということで,他方,三木委員,増田幹事からの御発言がございまして,やや考え方の対立があるようですけれども。 ○畑幹事 新しいことを申し上げるわけではないのですが,私も軽々に立会権が否定されるのはよろしくないとは思うのですが,文言としては今回は人訴並びに持っていくという辺りでよいのかなという印象を持っております。 ○伊藤部会長 分かりました。そういたしますと,ちょっと人訴との関係があるものですからなかなか難しいように思います。三木委員,増田幹事の御発言に関しては十分そういうことを踏まえて運用において慎重にやっていただくということで,この要件としてはこのままでということで,誠に恐縮ですが,御了解いただければ有り難いと思います。   ほかに(6)の関係ではいかがでしょうか。 ○畑幹事 ウの陳述の聴取のところで,実質はこれで結構なのですが,これは自分の審問をしてくれという申出をするということを考えているという理解でよろしいですか。 ○川尻関係官 審問の申出がありますと,審問期日において,両当事者の陳述をどちらも聴くことになります。 ○畑幹事 結構です,分かりました。 ○伊藤部会長 もしよろしければ次に進みたいと存じますが,(7)審判等から(9)取下げ擬制まで説明をお願いします。 ○松田関係官 では,まず(7)について説明いたします。   (7)審判等につきましては,中間試案では「審判」との用語を本案についての裁判であって,抗告裁判所の審判に代わる裁判も含む趣旨で用いておりましたが,ここでは家庭裁判所における家事審判事件についての終局的な裁判を意味するものとして用いることとしました。   ア,審判は中間試案と同じです。なお,中間試案では終局的な裁判として「終局審判」との用語を用いておりましたが,ここでは「審判」との用語を終局的な裁判を意味するものとして用いており,それ以外のものを「決定」又は「命令」と呼んで区別しております。   イ,審判の告知及び効力の発生は,中間試案と実質的に同じですが,申立てを却下する審判の告知及び効力の発生について,②とは別に③で規律することとしております。   ウ,審判の執行力及びエ,審判の方式及び審判書は,いずれも中間試案と同じです。   オ,更正決定は審判以外の裁判ですが,更正後の審判の内容をなすものであり,裁判書を作成して行うのが相当でありますことから,特則として②において裁判書の作成を義務付けることとしております。   カ,審判に関するその他の手続は,中間試案と同じです。   キ,審判の取消し又は変更は,中間試案の規律に加えて,②では事情変更を理由とするものを除いて期間制限を設けることとし,また③では取消し又は変更の裁判をする際の当事者及び審判を受ける者の必要的陳述聴取の規律を新たに設けております。   ク,中間決定は,審判以外の裁判ですが,法的な判断等を示すものであり,裁判書を作成してするのが相当であることから,②においてその旨の特則を置いているほかは中間試案と同じです。   ケ,審判以外の裁判は,中間試案と実質的に同じです。なお,手続の指揮に関する裁判の取消しは,不当な裁判の取消しではないため,キの審判の取消し又は変更の規律の準用とは別に規律を置いております。 ○川尻関係官 (8)取下げによる事件の終了では,これまでの御議論を踏まえまして,それぞれの規律を書き下ろしております。   ①は,別表第一に掲げる事項についての家事審判の申立ての取下げについて,審判があった後は取り下げることができないものとするものです。   ②及び③は,別表第二に掲げる事項についての家事審判の申立ての取下げについて,原則として審判が確定するまで取り下げられるものとしつつ,相手方の審判を得た利益の保護という観点から,審判があった後は相手方の同意を得なければならないものとするものです。   なお,財産の分与に関する処分の審判事件及び遺産の分割に関する審判事件は,相手方にも審判を得ることに特に強い利益があると類型的に認められる事件でありますことから,これらの事件については各則において個別に申立ての取下げ制限の規律を置いております。具体的には,部会資料34-1の50ページと67ページに記載しています。   ④及び⑤は,相手方の取下げ同意の擬制についての規律です。民事訴訟法第261条第4項及び第5項を参考にしつつ,簡易迅速を旨とする家事事件の手続の特質に照らせば,その方法を調書の謄本の送達に限定する必要はないと考えられますことから,相手方への通知をもって行うこととしております。   ⑥は,中間試案第2の2(9)イ及びウと同じです。   (9)取下げ擬制では,これまでの御議論を踏まえまして,不熱心当事者に対応するための規律を置いております。 ○伊藤部会長 まず(7)審判等の関係で,一つは審判の概念の整理,それから更正決定や中間決定に関する裁判書の作成の関係,それからここで言うとキの審判の取消し又は変更で,事情変更を除いて期間制限を置いていること,それから陳述聴取の辺りが中心でしょうか。何か御意見ございますか。 ○山本幹事 ちょっと細かいところなのですが,更正決定について今回,審判でないということで概念整理をされたこととの関係で,「確定しなければその効力は生じない」という部分が除外されることになるのだと思うのですが,そうすると即時抗告がされていてもその段階ではもう効力は生じてしまっているということになるように思うのですが,それでいいのかというのがやや疑問があります。 ○松田関係官 審判以外の裁判としますと本体の審判とは別な形で規律が適用になってしまうことになると思いますので,そこの不都合は一度検討したつもりですけれども,漏れがあるかもしれませんので,検討させていただきたいと思います。 ○伊藤部会長 御指摘ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   そういたしましたら,(8)の取下げによる事件の終了の関係で,別表第一,別表第二それぞれに掲げる事項の性質に応じまして,①と②,③という形で取下げに関する規律を分けて置いているということ,それから財産分与,遺産分割に関してはその性質に関して特別な規定を後に置いているという辺りの説明がございましたが,(8)に関しては何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。   そうしましたら,(9)の取下げ擬制については何か御意見ございますか。   では,この点も御了解いただいたものとしまして,それではここで休憩を取ることにいたします。           (休     憩) ○伊藤部会長 それでは,再開いたします。   引き続きまして,事務当局から2,不服申立て及び3,再審についての説明をお願いします。 ○松田関係官 ではまず2,不服申立てでは,1(7)で審判と審判以外の裁判と分けて規律しておりますことから,不服申立てにつきましても同様に審判と審判以外の裁判とに分けて規律しております。   また,中間試案では,抗告審における基本的な手続の通則的規律を置いておりましたが,ここではこのような方式をやめ,抗告審の基本的な手続を即時抗告の手続の規律として定め,特別抗告及び許可抗告の手続の規律については,これを準用する形式としております。   (1)審判に対する不服申立てのア,即時抗告の(ア)即時抗告をすることができる審判及び(イ)即時抗告期間は中間試案と同じです。   (ウ)即時抗告の提起の方法等は中間試案と実質的に同じですが,③の不適法で不備が補正できないことが明らかな場合の原裁判所による即時抗告の却下決定は審判に分類されるため,これに対する即時抗告の期間は2週間となりますが,民事訴訟の規律に合わせ⑤では即時抗告期間を1週間とする特則を置いております。   また,⑥において,第2の1(2)ア④から⑥までの規律を準用する旨規定しておりますが,⑥は即時抗告の規律であり,抗告審での裁判に対しては当てはまりませんので,「④から⑥まで」とあるのを「④及び⑤」と訂正させていただきたいと存じます。   (エ)抗告状の写しの送付について,①では従来の部会での議論を踏まえ,別表第一に掲げる事項についての審判事件及び別表第二に掲げる事項についての審判事件のいずれにつきましても,即時抗告があった場合には紛争性がある事件と言ってよいと考えられますので,抗告の相手方等に早い段階で防御のための準備をする機会を与える必要があることと,他方で速やかに棄却の裁判を得ることができる場合にはその利益を確保させるのが相当であることとの双方の要請を考慮し,抗告状の写しの送付の例外の規律としては「不適法であるとき」のほか,抗告状の記載等から抗告に理由がないとして速やかに棄却することができる場合には,抗告状の写しを送付することなく速やかに棄却の裁判をするのが相当との趣旨で「理由がないことが明らかなとき」としたいと考えております。   そのほか,抗告状の写しの送付の費用の予納を命じた場合に,予納がないときの抗告状却下の規律を新たに加えております。   (オ)陳述聴取については,別表第一に掲げる事項についての審判事件については,中間試案どおりの規律としており,別表第二に掲げる事項についての審判事件については,部会での議論等を踏まえまして,抗告状の写しの送付の規律と同様の規律としております。   (カ)原裁判所による更正は,中間試案第2の3(1)イ(ウ)の乙案と同じです。   また,(キ)抗告裁判所による裁判の①は,即時抗告についての抗告裁判所による裁判の方式についても規律するのが相当ではないかと考え,新たに規律を置くものです。   ②は,中間試案第2の3(1)ア(タ)に相当する抗告裁判所による裁判の規律ですが,抗告裁判所が審判に代わる裁判をするのは,即時抗告に理由があると認め,事件を家裁に差し戻さずに自判する場合ですので,この点を明確にする修正をしております。   (ク)第一審の管轄違いを理由とする移送の①は,別表第一に掲げる事件についての家事審判事件の管轄は,自庁処理が認められる緩やかなものである点で,民事訴訟法第309条が前提としております専属管轄とは異なると考えることが可能であり,家事事件の迅速処理の要請等を考慮すると,管轄違いを理由に原審判を取り消すか否かは抗告裁判所の裁量に委ねるのが相当と考えられますことから,その旨を新たに規律しております。   (ケ)家事審判の手続の規律の準用等の①の本文は,裁判書の作成の省略を認める規律の準用を除外することとしているほかは,中間試案と同じです。   亀甲括弧を付した①のただし書について御説明しますと,第2の1(7)キの取消し又は変更の規律の準用について,抗告裁判所である高等裁判所の裁判は即時抗告をすることができない裁判ですので,形式的には取消し又は変更ができる裁判に当たるものの,抗告裁判所の裁判に対して,一般的に取消し又は変更することができるものとしますと,即時抗告をすることができる裁判について,法律関係の早期安定を図るために取消し又は変更の対象から除外した趣旨が失われることから,抗告審の手続において手数料消し又は変更の規律を一般的に準用するのは相当でないと考えられますが,却下の審判を抗告裁判所が破棄して積極的な内容で自判したような場合において,その裁判が家庭裁判所の審判であれば即時抗告できないようなものであるときは取消し又は変更の対象とするのが相当であるとも考えられますので,このような場合に限り取消し又は変更の規律を準用するものとしております。もっとも,高等裁判所が自らした裁判を不当を理由に取消し又は変更することができるとすることの相当性等については疑義もありますので,この点について御審議いただければと存じます。   また,(ケ)の②では,新たに抗告状の写しの送付をしない事件について,審理終結及び審判日の規律の準用を除外することとしております。   (ケ)の③は民事訴訟法第299条第1項と同様の規律を新たに置くこととしているほかは,中間試案と同じです。   イ,特別抗告の(ア)特別抗告をすることができる裁判等については中間試案と同じですが,特別抗告の対象となる裁判を部会資料にありますように審判に代わる裁判と限定してしまいますと,抗告棄却の裁判が入らなくなってしまいますので,①の「高等裁判所の審判に代わる裁判」は「高等裁判所の裁判」と訂正させていただきたいと存じます。   (イ)原裁判の執行停止では,中間試案の(注)で所要の手当てをするものとしておりました供託及び担保の規律を新たに置いているほかは中間試案と同じです。   (ウ)即時抗告の規律の準用等は,抗告審における基本的な手続の通則的規律を即時抗告の手続の規律として定めるものとしたことに伴い,①で即時抗告の規律を原則として準用するものとしております。   なお,前回の部会での御指摘を踏まえまして,抗告期間の起算点についてのア(イ)②の規律を準用することとしております。   ②は中間試案と同じです。   ウ,許可抗告について,(ア)許可抗告をすることができる裁判等は中間試案と同じですが,先ほどと同様に審判に代わる裁判に対して許可抗告をすることができると規律しますと抗告棄却の裁判が許可抗告の対象にならなくなってしまいますので,「抗告裁判所の審判に代わる裁判に対して」を「高等裁判所の裁判に対して」と訂正させていただきたいと存じます。   また,(イ)即時抗告の規律の準用等は,①において特別抗告と同様に即時抗告の手続として定められている抗告審における基本的な手続の通則的規律を原則として準用するものとしております。   ②は中間試案と同じです。   (2)審判以外の裁判に対する不服申立てについては,ウにおいて新たに執行停止及びこれに伴う担保の規律を置くこととしているほかは中間試案と同じです。   なお,ウの③で「イ(イ)②及び③」としておりますのは,「(1)イ(イ)②及び③」と訂正させていただきたいと存じます。   3,再審の(1)再審及び(2)執行停止の裁判のいずれにつきましても,中間試案と実質的に同じです。 ○伊藤部会長 まず,2の不服申立ての(1)審判に対する不服申立てのところですが,形式の整備等については説明があったとおりです。即時抗告の(ア),(イ),(ウ),特に(ウ)の⑤に関して一般的な2週間の不変期間内というのと,それから⑤の1週間の不変期間内という辺りについての説明がございました。   それから,(エ)の即時抗告があったことの通知に関して,亀甲括弧の「理由がないことが明らかなとき」ということの趣旨についての説明がございまして,一旦その辺りで切りましょうか。即時抗告の(ア)から(エ)の辺りに関しまして,何か御意見はございますか。   よろしければ,次の(オ)の陳述の聴取の関係で②に関して若干の説明がございました。それから,(キ)の辺りですか。それから,(ク)の管轄違いについて判断の余地を認めるという趣旨のことでありました。それから,特に(ケ)家事審判の手続の規律の準用,①の亀甲括弧の趣旨,取消し・変更を一定の範囲内に限定するということと,それに関してもう少しこの点についての審議をお願いしたいということがございました。そこで,(オ)の陳述の聴取から(ケ)の家事審判の手続の規律の準用等,この辺りまでいかがでしょうか。   特に(ケ)の規律の準用等で取消し・変更の範囲の限定に関しての亀甲括弧のただし書の辺りは何か御意見ございませんか。 ○古谷幹事 取消しと変更の準用につきましての必要性はあろうかと思うのですけれども,どこがその判断をするかというところで,特に事情変更の場合に高裁が判断するのが果たして相当かというところはちょっと問題があろうかと思いますので,検討をお願いしたいと思います。 ○伊藤部会長 何か古谷幹事のほうでその点について,例えばという程度でも結構です。何か御意見ございますか。 ○古谷幹事 原理的には元の審判に代わる決定を取り消すということなので高裁がやるということになるとは思うのですけれども,事情変更の場合ですと新たな事情に基づいて,実質的には新しい事件を判断するという側面もあるというところがありまして,悩んでいるところでございます。 ○伊藤部会長 確かに高裁がやるのか,家庭裁判所がやるのか,それぞれの根拠になるようなことも考えられますのでなかなか決めにくいところがあるかと思いますが,今の点,いかがでしょうか。   三木委員あるいは高田委員,何か御意見を頂ければ有り難いと思いますが。 ○三木委員 実際にどういう形で適用されるかのイメージがなかなか沸かないというか,実例が分からないのでそこがちょっと判断に迷うところですが,ただ理屈だけを申し上げると,古谷幹事が最後におっしゃったように,恐らくは新しい事件性があるというようなことになるのだろうと思うのです。もしそうだとすれば,やはり一審から手続上保障すべきだと私は当面考えております。 ○高田(裕)委員 一つは三木委員がおっしゃられたように取消し・変更という手続の性質の問題があるような気がしまして,これもいつぞや御質問申し上げましたが,前の事件との関係,連続性をどう捉えるかという問題が残っているように思います。ここのみならずいろいろなところで関係するのかもしれませんが,それが第一点。   もう一つは,原則破棄差戻しすべき事件を自判した場合の高裁の役割をどう捉えるかという問題なのだろうと思うのです。高裁が自判する場合においてどこまで覚悟してと申しますか,どこまでを想定して自判することになるのかという問題でありまして,自判を認めた以上,どうも従来の理屈からすると高裁の取消し・変更ということは理論的には十分あり得ると思うのです。繰り返しになりますけれども,取消し・変更の手続を従前の手続と言わば一体と捉えた場合には,理論的にも一貫すると思います。   ただ,古谷幹事もおっしゃられましたように実務的にそれが耐え切れるかどうかということについては自信がございませんし,単なる理論倒れの理屈という感触もございますので,その辺り取り分け実務家の先生方に御感触をお伺いできればと思います。 ○伊藤部会長 という高田(裕)委員からの御希望もございますが,いかがでしょうか。なかなか両論あり得るところで,しかし他方,実際上取消し・変更の必要があるような事案において適切な裁判をするという見地から見たときに,自判をした高等裁判所が取消し・変更の裁判もするのかそうではないのかという辺りでもうちょっとどなたか。 ○長委員 一つ質問なのですが,高等裁判所がもし事情変更に基づく取消し・変更ができたとした場合に,それに対する不服申立て,これは事務当局としてはどんなふうにお考えになるのですか。 ○松田関係官 やはり高等裁判所の裁判である以上,一般的な即時抗告はできないのではないかと考えております。 ○長委員 私もそう思ったのですが。そうすると,事情変更に基づく取消し・変更の権限を高裁に認めるのかという問題になるのではないかと思います。もし可能であれば,高裁の決定を家裁が取消し・変更するというのは形が悪いのかもしれないのですけれども,何か仕組みを考えてもう一度家裁からスタートさせることができないのかなと思うのですが,そういうことは可能なのですか。 ○金子幹事 この問題が現実化するのは,家事でいうと例えば遺留分放棄の申立てがあり,一審では却下になったとき,却下に対しては即時抗告を認めることにしていますので,即時抗告審の高裁が今度は覆して遺留分放棄を認めたという場合です。この裁判については即時抗告ができない裁判ですので,それで取消し・変更が問題になるわけですから,その取消し・変更に対して更に不服申立てということは考えなくていいのではないかと思っています。もともとできないので,その取消し・変更に対してもできないということでよろしいのではないかと思っていたので,そうしますと今の問題は実は顕在化しないのではないかなと思っていたところです。   非訟のほうでも例えば清算人選任の場合は一審却下で二審のほうで選任したという場合には,この選任の裁判に対しては一審であったとしても即時抗告ができないので,それで取消し・変更の対象と考えるべきではないか。もともと即時抗告ができるようなものであれば,取消し・変更の対象と考えなくてもいいのですが,即時抗告がもともと一審であってもできないものですので,それを清算人が職務を全うしたときには取消し・変更するということは恐らくあり得るだろう。そのときにどこがするかということになりますと,元の裁判を出した高等裁判所がするのが本来ではないかなと思っていたところです。   先ほど事情変更の話と,それから当初から不当の場合と先ほどから出ていたような後からの事情の変更の場合には確かに別事件という発想にむしろ親しむような感じもしますが,取消し・変更のほうは当初から不当の場合と両方の場合にできることになりまして,それを事情変更の場合と当初の不当の場合とで分けるというのも細分化し過ぎるのではないかという問題もあります。取消し変更を別の審判事件として組んでいる類型がありますが,それと比べてもやはり原審判の延長線上で考えるべきではないかと思っていまして,改めて別事件ということになればそれは家裁からという話になるのですが,飽くまで取消しの対象となる事件の延長と考えれば,対象とする審判を出したところが取消し・変更するのがいいのではないかなと思っているところなのですが,いかがでしょうか。 ○伊藤部会長 どうでしょうか,今のようなことで。両論あり得るところだとは思いますが,金子幹事の説明のようなことからいくと,高等裁判所になるのかなというのが一つの筋だとは思いますが。 ○三木委員 今の御説明で大体私のほうでも問題はクリアになりましたが,そうすると当初から瑕疵があったような場合と事情の変更の場合は,規定が複雑になるとはいえ,それはやはり分けて考えるべきではないかとは思います。   おっしゃるように元の事件の延長だというのは,当初から問題があった場合には妥当する理屈ですけれども,事情の変更はもともとの事件では事実関係も含めて一切議論されていない問題になるわけで,それはやはり特に事実について争いが生じた場合に即時抗告を認めなくていいのかという問題は生じるように思います。 ○伊藤部会長 分かりました。ほかにどなたか御意見。 ○長委員 私は先ほど事情変更のことを申し上げましたけれども,当初から不当の場合については高裁でもって取消し・変更してそれで終わると,私はそれで納得いたします。   問題は,事情変更について三木委員の御提案をどうするかという問題で,意見は留保します。 ○伊藤部会長 分かりました。確かに事柄の性質を考えると,区別するというのも十分あり得る考え方に思いますし,他方なかなかそういう形でのうまく規律ができるかという問題もなおあろうかと思いますので,それではそこは事務当局にただいまの御意見を踏まえて検討してもらうことにいたしましょう。   ほかにいかがでしょうか。 ○増田幹事 (カ)の原裁判所による更正なのですが,ネーミングの問題かと思うのですけれども,ここでは再度の考案による更正ですが,別のところで計算違いだとか誤記による更正というのもありまして,二つ同じ「更正」という名前だとどうもややこしいので,何か使い分けする言葉はないものかと思うのですが。 ○伊藤部会長 今の御指摘に関してはどうですか,事務当局で何か説明がございますか。御発言の趣旨は理解できますが。 ○松田関係官 今,増田幹事がおっしゃったように,民訴の規定に倣って記載しておりますので同じ言葉になってしまっており,分かりにくさは否めませんが,ただ違う言葉を使ってしまうと今度,民訴との関係も問題になり得ると思いますので,具体的な規律の内容を見て差異を分かっていただけないかと考えているところです。 ○伊藤部会長 増田幹事の御発言の趣旨はよく理解できるのですが,また何か新しい言葉を創るとかいうことになると非常に大ごとになるものですから,御了解いただければと思いますが。 ○畑幹事 (ク)の管轄違いを理由とする移送なのですが,場合によって,事案によって取り消したり取り消さなかったりするということでよいと私は前にも発言したと思うのですが,それを表現するときに「特別の事情があると認めるとき」ということでうまく表現できているのかどうかというのがちょっと気になります。私は先ほどの記録の閲覧のところの「特別の事情」という言葉には感心したのですが,ここではどういう特別の事情かということが全く出ていないので,ただ単に「特別の事情」と裸で言うことで,これは条文ではないにせよ,うまく趣旨が表現できているのかなということがちょっと気になりますので御検討いただければと思います。 ○伊藤部会長 分かりました。それでは,御指摘に従いまして検討してもらうことにしましょう。   ほかに,この関係で御発言ございますか。   もしよろしければ,イの特別抗告,それからウの許可抗告の辺りはいかがでしょうか。若干の「審判に代わる裁判」が「裁判」ということに訂正をしたとかいう点はございますが,基本的には先ほど説明があったとおりです。 ○山本幹事 特別抗告のところの(イ)の執行停止の①のところなのですが,執行停止の要件を書かなくていいのかというのがちょっと分からなくて,再審のところでは後で出てきます30ページの上のほうの(2)の執行停止の裁判というところの①で,民訴と同じだと思うのですが,「法律上理由があるとみえ,事実上の点につき疎明があり,執行により償うことができない損害が生ずるおそれ」という要件を書いておりまして,民訴は再審と特別抗告は同じに規律していると思うのですが,そうするとこの特別抗告の中にもそのようなことがあってもよいのかなと思いました。 ○松田関係官 現在は執行停止の①のところは規律を作成する段階では,民訴の第334条の2項に倣って規律しておりまして,民訴のこの規定では余り細かな要件などを規定していませんでしたので,こちらでも再審とは違って細かい要件等は書かなかったわけですが,民訴の特別抗告について,第336条第3項に第334条第2項を準用すると書かれておりますけれども,山本幹事がおっしゃるのは,実質は特別上告のほうに倣って規律をもう少し細かくしたほうがいいのではないかということでしょうか。 ○山本幹事 おっしゃるとおりだと思うのですが,民訴のほうの特別抗告というのは付随的裁判に対する上訴ですので,これは審判に対する特別抗告,そういう意味では本案に対する上訴ですから,民訴で言えば特別上告と並びになるのではなかろうかというのが私の問題意識です。 ○伊藤部会長 分かりました。検討させていただくことにしましょう。ありがとうございました。   ほかに許可抗告も含めまして,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   3の再審についてはいかがでしょう。特別御発言がなければ,次に進みたいと思いますが。   それでは,次に4の審判前の保全処分から6の履行の確保まで説明をお願いします。 ○松田関係官 では,説明させていただきます。   4,審判前の保全処分の(1)審判前の保全処分では,部会資料34-1では中間試案第3の2(1)の甲案と同じ規律とすることとしておりますが,これに加えまして,本日席上配布させていただきました部会資料35で新たな規律を提案しておりますので,これも含めて御説明させていただきます。   まず,本案係属要件の必要性につきましては,部会資料35の補足説明の1にも記載しておりますとおり,家事審判事件の保全処分では民事保全における被保全権利に相当するものとしまして,本案審判において一定の具体的な権利,義務が形成される蓋然性が認められる必要性がありますので,本案事件の係属を要件とする現行の規律を維持するのが相当と考えられます。   もっとも,補足説明の2に記載しておりますとおり,一般的に保全処分を要するような場合には,当事者間での話合いによる解決は困難なことが多いと考えられますが,現在の実務でも例えば,子の引渡しの保全処分がされた後で本案事件が調停に付され,子の監護者の指定等については最終的には話合いで解決されるということもまれではなく,当事者によっては現在の緊急事態に対する早急な救済を得るため取り急ぎ保全処分を求めたいけれども,最終的な解決はできる限り話合いで行いたいとする場合もあり得ると考えられますので,このようなニーズに柔軟に応えるためには調停の申立てをしたときにも保全処分の申立てをすることができるものとするのが相当と考えられます。   また,このような規律とした場合には,例えば家事調停事件の係属中に急きょ保全処分を要する事態が生じたときにも家事審判事件を別途申し立てることなく,また係属中の家事調停事件を急きょ不成立にして審判移行させるまでもなく,直ちに保全処分の申立てをすることができることになり,迅速性の要請にもより一層沿うものと考えられます。   他方で,このように家事調停の申立てをしたときにも保全処分の申立てをすることができるものとした場合には,本案審判事件の係属を要件としたこととの関係が問題になりますが,家事調停事件が係属していれば,調停が不成立になれば当然に審判手続に移行し,調停申立てのときに審判の申立てがあったものとみなされ,別途審判の申立ては不要とされておりますので,このような両手続の密接な関連性や連続性を踏まえますと,両手続は別途の手続であるとはいえ,調停の申立てがあったことをもって潜在的な審判の申立てがあったものと考えることができ,その意味で調停の申立てがあれば,被保全権利及び本案認容の蓋然性を認める余地があると解することができると考えられます。   したがいまして,ここでは家事調停の申立てをしたときにする保全処分もその本案事件は,当該家事調停事件が審判移行した後の家事審判事件であることを前提にしております。このような規律の対象となるのは,調停をすることができる事項についての家事審判事件を本案とする保全処分であり,部会資料35の3に記載しております保全処分になります。   この点も含めまして審判前の保全処分の規律について改めて御審議いただければと存じます。   (2)審判前の保全処分の申立て等については,中間試案と同じです。   (3)陳述の聴取については,民事保全法第23条第4項と同趣旨の規律を置くものであり,中間試案から実質的な変更はございませんが,民事保全法第23条第4項の「口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ」との文言は,「審判を受ける者となるべき者の陳述を聴く手続を経なければ」と置きかえて規律しております。   (4)記録の閲覧等は,中間試案と同じです。   (5)審判は,確定しなければ効力を生じない旨の総則の規律の適用を除外することとするほかは,中間試案から変更はありません。   (6)即時抗告から(9)即時抗告等までについて,中間試案から変更はありません。   (10)調書の作成の特則は,中間試案では(注)においてなお検討するものとしておりました調書の作成について,迅速性の観点から,裁判長が必要がないと認めるときは省略することができる旨の特則を置くものです。   部会資料34-1で亀甲括弧に入っております(11)家事審判の手続の規律の適用除外は,保全事件の迅速性の観点からしますと,1(6)の別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続の特則は適用除外とするのが相当ですが,1(6)の規律が保全事件に適用にならないことが規律の文言から客観的に明らかであれば適用除外の規律をあえて置く必要がないとも考えられますことから,亀甲括弧を付しております。   (11)民事保全法の準用は,中間試案と同じです。   次に,5,戸籍の記載等の嘱託は,中間試案と同じです。   6,履行の確保の(1)義務の履行状況の調査及び履行の勧告については,中間試案と実質的に同じですが,義務の履行状況の調査及び履行の勧告は審判その他の裁判ではない以上,家事審判の手続の規律は当然には適用にならないと考えられますので,②から⑥までの規律を改めて置くこととしております。   なお,⑥の記録の閲覧等につきましては,義務の履行状況の調査及び履行の勧告が裁断作用を伴うものでないことからしますと特に規律を置く必要もないとの考え方もあり得ますので亀甲括弧を付しておりますが,規律を置くこととした場合にも調査及び勧告の効果が第三者に及ぶものではないことを併せて考慮しますと,記録の閲覧等の規律としては当事者に限り,裁判所が相当と認める場合に許可することができるものとするのが相当と考えられます。   (2)義務履行の命令では,中間試案と実質的に同じです。履行命令の対象となる義務の範囲を広げるか否かにつきましては,財産上の給付を命ずる義務以外の義務については,その履行命令を発するためには相当の調査等を要する場合もある一方で,過料の制裁をもって義務の履行を間接的に強制することの実効性の程度については疑問があること,義務の履行の強制としてはより強制力の強い間接強制によることが可能であること,義務の履行の確保は,家庭裁判所による調整機能が発揮されやすい履行勧告の制度の充実により図るのが相当であると考えられることなどを考慮しますと,あえて履行命令の対象とする特段のメリットはないように考えられますので,対象となる義務の範囲については現行の規律を維持することとしております。 ○伊藤部会長 それでは,まず審判前の保全処分の関係で一番大きな問題は,やはり本案係属要件,形成される権利の蓋然性の判断との関係で本案係属要件を維持しながら,他方,迅速性という視点で調停の申立てでもその要件を満たすに足りるという考え方で資料35の説明がございました。ここが中心になるかと思いますが,それでは審判前の保全処分に関していかがでしょうか。 ○杉井委員 私は,かねてから本案係属要件は必要ないという意見でございましたけれども,今回の家事調停の申立てがあったときにも保全処分ができるというのは言わば折衷案的なものかと思いますが,それにしても現状よりはかなり格段に前進するだろうと思いますので,次善の策といいますか,私としては賛成したいと思います。 ○伊藤部会長 分かりました。ありがとうございます。   他の委員,幹事の方は本案係属要件とそれから調停の申立てとの関係でのただいまの杉井委員の御発言に関連しまして何かありますでしょうか。   もしよろしければその点,従来からいろいろな角度で議論していただいたところですけれども,こういう形で両方の要請が相当程度満たされるということで御了解いただいたものと扱わせていただきます。   そのほか,保全処分の関係で若干説明がございましたが,何か御指摘等ありますか。よろしいでしょうか。   そうしましたら,次の戸籍の記載等の嘱託の関係は何かございますか。   よろしければ,5,履行の確保の関係で特に(2)の義務履行の命令の対象となる事項で財産上の給付を目的とする義務以外の義務に関しては,先ほどの間接強制だとか,履行の勧告という制度との関係でそこまで広げることが実際上も意味に乏しいということからこういう形で義務の履行の命令の対象を限定をしておりますけれども,この辺りはいかがでしょうか。   よろしいですか,御了解いただいたものと扱わせていただきます。   それでは,先に進みまして,第3,家事審判に関する手続(各則),1,成年後見に関する審判事件から4,不在者の財産の管理に関する処分の審判事件までの説明をお願いします。 ○脇村関係官 それでは,御説明させていただきます。   まず,第3,家事審判に関する手続(各則)の1の成年後見に関する審判事件の(前注)ですが,中間試案では,成年被後見人に関する特別代理人の選任を特別代理人の選任に関する審判事件に,第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分を財産の管理に関する審判事件に位置付けていましたが,両事件の管轄家庭裁判所を後見開始の審判をした家庭裁判所としたことから,今回は成年後見に関する審判事件に組み入れております。   次に,(1)の管轄ですが,ここは中間試案第4の(1)と同じであるほか,先ほど申しましたとおり成年被後見人に関する特別代理人の選任の審判事件及び第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件の管轄家庭裁判所を後見開始の審判をした家庭裁判所としました。   (2)手続行為能力は,中間試案第4の1(2),5(2)②,10(2)③と同じです。   続きまして,精神状況に関する鑑定及び医師の意見についてですが,中間試案第4の1(3)ア乙案及びイを採用しました。①については,これまで甲案を支持する意見も大変強かったですが,現在の運用を前提としつつ原則として鑑定が必要であるということを示すべきであるという意見も強かったことから,現行の規則の規律であります乙案を採用することとしました。   ②については,意見を聴く対象を医師に限定しました。   (4)の陳述及び意見の聴取は,中間試案第4の1(4)と同じであります。ただし,申立人については,申立書等の提出により陳述する機会があることから,陳述聴取の対象者から除外しています。なお,この点は以下の陳述聴取についても同様でございます。   (5)申立ての取下げの制限では,後見開始の申立てについては,中間試案第4の1(7)ア甲案,後見人の選任の申立ての取下げの制限については,中間試案第4の1(7)イ甲案を採用し,かつ取下げの制限を受ける者については,限定しないこととしました。また,民法第845条により後見人の選任を義務付けられるものによる,後見人の選任の申立てについても取下げの制限をつけることとしました。   (6)審判の告知では,後見開始の審判の通知については,中間試案第4の1(5)ア乙案と同じでございます。なお,その表現方法ですが,従前の用例,具体的には家事審判規則第26条第2項でございますが,それに倣いまして審判を知らせることを「通知」と表現することとしました。   そのほかについては,中間試案第4の1(5)イと同じです。成年後見人及び成年後見監督人の選任及び解任の審判を成年被後見人に告知する旨の規律は置かないものとしています。   (7)即時抗告,(8)の成年後見の事務に関する監督等,(9)管理人の権限等は中間試案と同じであります。   なお,(9)については,第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分に特化した表現とするため,中間試案では不在者の財産管理に関する処分等も念頭に置いた記載振りをしていましたが,②等において民法第27条第2項の管理人に関する記載を削除し,⑨において取消事由を修正しています。   続きまして,(10)の後見開始の審判事件を本案とする保全処分については,中間試案第4の1(9)アと同じでございます。ただし,①については申立人を限定せず,②については申立人を本案の申立人に限定しました。また,後見命令の審判は,成年被後見人となるべき者に「通知」することとしています。   さらに,③に関し,成年被後見人となるべき者の陳述聴取については,後見命令は仮の地位を定め,仮処分として本来であれば第2の4(3)の規律が適用されるところを,本文記載の事由があるときにはその例外を認めることとしていますが,内容については中間試案第4の1(9)ア(イ)と同じでございます。   (11)の成年後見人又は成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分は,中間試案第4の1(9)イと同じですが,②において,効力の発生の時期を他の成年後見人又は職務代行者に選任された者に対する告知日といたしました。   続きまして,2の保佐に関する審判事件,(1)管轄から(3)陳述及び意見の聴取までは,中間試案と同じでございます。   (4)審判の告知は,中間試案第4の2(5)と同じです。保佐人及び保佐監督人の選任及び解任の審判を被保佐人に告知する旨の規律は置かないものとしています。   (5)即時抗告は,中間試案第4の2(6)(注)でなお検討するものとしていました保佐人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判に対する即時抗告を認めたほかは,中間試案と同じです。   (6)の鑑定等に関する規定の準用ですが,鑑定等については,成年後見開始の審判事件及び成年後見開始の審判の取消しの審判事件と同じとしております。   申立ての取下げ及び制限については,中間試案第4の2(7)ア甲案及びイ甲案と同じで,取下げの制限を受ける者については,限定していません。   また,保佐の事務に関する監督等については,中間試案第4の2(8)と同じでございます。   (7)保佐開始の審判事件を本案とする保全処分は,中間試案第4の2(9)ア(ウ)の甲案を採用し,保全処分の効力の発生時期の特則を置かないこととしたほかは,中間試案と同じです。ただし,①については申立人を限定せず,②については申立人を本案の申立人に限定しました。   (8)の保佐人又は保佐監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分は,中間試案第4の2(9)イと同じでございます。   続きまして,補助に関する審判事件は,(1)管轄から(4)陳述及び意見の聴取は中間試案と同じでございます。   (5)審判の告知は,中間試案第4の3(5)と同じです。補助人及び補助監督人の選任及び解任の審判を被補助人に告知する旨の規律は置かないこととしました。   (6)の即時抗告は,中間試案第4の3(6)(注)でなお検討するものとしていた補助人の同意に代わる許可の申立てを却下する審判に対し即時抗告を認めたほかは,中間試案と同じでございます。   (7)の申立ての取下げの制限等に関する規定の準用は,申立ての取下げ制限については,中間試案第4の3(7)ア甲案及びイ甲案と同じで,かつ取下げの制限を受ける者については限定をしませんでした。また,補助の事務に関する監督等については,中間試案第4の3(8)と同じでございます。   (8)の補助開始の審判事件を本案とする保全処分と(9)補助人又は補助監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分は,中間試案と同じでございます。   続きまして,不在者の財産の管理に関する処分の審判事件の(1)管轄ですが,中間試案第4の5(1)①から変更しています。中間試案では「従来の住所地」としておりましたが,民法第25条は「従来の住所又は居所を去った者」を「不在者」としていること等を踏まえまして,「従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属するもの」といたしました。   続きまして,管理人の権限等は,中間試案第4の5(4)と同じでございます。なお,財産目録作成の方法等,具体的には現行家事審判規則第35条,第36条のようなものですが,こういったものについては規則で定めることを念頭に置いております。   (3)の処分取消しは,中間試案第4の5(5)と同じであります。管理人の選任・相続人捜索の公告,現行でいいますと家事審判規則第119条に相当するものは規則で定めることを念頭に置いております。 ○伊藤部会長 そうしましたら,多様な事項でありますけれども,特に中間試案から実質的な変更があったものとか,あるいは中間試案の中の甲乙両案があったもののうちのいずれかを採ることを明らかにしたようなこととか,そういった辺りを中心に審議を頂ければと思います。   まず,1の成年後見に関する審判事件の(1)の管轄,それから(2)手続行為能力の辺りは若干説明がございましたが,何か御発言ございますか。   よろしければ,(3)の精神の状況に関する鑑定及び医師の意見の聴取で,中間試案の乙案,鑑定を原則にする。これも従来種々議論いただいたところですけれども,乙案の考え方をここで明らかにして,②のほうでは医師の意見という医師に限定をしているということですが,この辺りはいかがでしょうか。   これもいろいろ議論をしていただいた結果で,従来は必ずしも一様な御意見ではなかったとは認識しておりますけれども,大方の御意見を取りまとめてこういうような形になっていると認識しておりますので,御了解いただければ有り難いと思います。   それでは,(6)の審判の告知で,成年被後見人となるべき者に通知をするということにしておりますが,この辺りもよろしいでしょうか。   ほかに,成年後見に関する内容で何か御意見があればと思いますが。   もしよろしければ,次の保佐に関する審判事件。これも若干の項目に関して先ほど脇村関係官から説明がございましたが,一括していかがでしょう。どの点でも結構です。   もし特段御意見がなければ御了解いただいたものとして,次の補助に関する審判事件,これも一括してどの点でも御意見をお願いできればと思います。   特段ございませんようでしたら,4,不在者の財産の管理に関する処分の審判事件で,管轄に関しては,先ほど住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する点についての補足的説明がございましたが,いかがでしょうか。   もしよろしければ,御了解いただいたものとして次に進みたいと存じます。そこで,5の失踪の宣告に関する審判事件から7,親子に関する審判事件までの説明をお願いします。 ○脇村関係官 御説明させていただきます。   5の失踪の宣告に関する審判事件の(1)失踪の宣告の審判事件は,①については中間試案第4の4(1)①を変更し,失踪宣告の審判事件については,従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属するものといたしました。   ②については,不在者が手続行為能力の制限を受けないこととしています。   ③及び④は,中間試案第4の4(4)と同じでございます。なお,中間試案では「公示催告手続」と呼んでいましたが,公示催告といいますと通常は有価証券等の除権決定を想起しやすく,またわざわざ公示催告と呼ぶ必然性もございませんので,そのような名称は使用しないこととしています。公告の方法については,規則で定めることを念頭に置いております。   ⑤は,中間試案第4の4(2)と同じです。失踪宣告をする審判を不在者の相続人に告知する旨の規律は置かないものとしています。   ⑥は,中間試案第4の4(3)アと同じでございます。   (2)失踪の宣告の取消しの審判事件ですが,①については中間試案第4の4(1)②と同じです。   ②については,失踪者が手続行為能力の制限を受けないということにしています。   ③については,中間試案第4の4(2)と同じでございます。失踪の宣告を取り消す審判を失踪者の相続人に告知する旨の規律は置かないとしています。   ④は,中間試案第4の4(3)イと同じでございます。   続きまして,婚姻に関する審判事件の(1)管轄では,ⅰ,ⅲ,ⅳ及びⅴの審判事件の管轄について,中間試案第4の6(1)①の乙案を採用し,申立人及び相手方の各住所地を管轄する家庭裁判所の管轄として現行の規律を変更しております。なお,(2)の事件については,中間試案と同様,調停することができない事件と整理しています。   (2)手続行為能力及び(3)陳述の聴取は,いずれも中間試案と実質的に同じでございます。   (4)申立ての取下げの制限は,財産の分与に関する処分の審判については,申立期間に民法上に制限があるほか,離婚の際の夫婦財産の清算が審理の対象となっており,相手方にも審判を得ることに特に強い利益があると類型的に認められることを踏まえまして,新たに特則として,申立ての取下げについて相手方の同意を要することとする規律を置くものでございます。   (5)の給付命令等につきましては,中間試案と実質的に同じであり,なお検討するものとしておりました子の監護について,必要な事項の例示については加えることとしております。   (6)共有財産の分割では,共有財産の分割の具体的な手続については,①において,当事者の申立てがあった場合に裁判所が必要と認めるときは管理者の変更の審判と併せて共有財産の分割の審判をすることができることとしております。   (7)即時抗告では,中間試案と基本的に同じですけれども,中間試案の(注)において検討することとしておりました子の即時抗告権については,子の福祉に反する面もあることを考慮し,これを認めないこととしております。   (8)婚姻に関する審判事件を本案とする審判前の保全処分では,本案係属を要件とし,保全処分の申立人を本案の申立人に限定することとしております。なお,調停の申立てがあった場合にも保全処分を認める規律を加えさせていただく関係で,ここでもその旨の変更を加えさせていただくこととなります。   (9)の夫婦財産契約により定められた管理者の変更等の審判事件を本案とする審判前の保全処分は,本案係属を要件とするとともに,保全処分の申立権者について,職権による保全処分がある①では,本案の申立人に限定せず,職権による保全処分のない②では本案の申立人又は他方の配偶者に限定することとしております。   次に,7の親子に関する審判事件の(1)嫡出否認の訴えの特別代理人の選任の審判事件と(2)の子の氏の変更の許可の審判事件は中間試案と同じです。   (3)の養子縁組をするについての許可の審判事件では,④において中間試案第4の7(2)エの甲案を採用し,養子をするについての許可の申立てを却下する審判に対する即時抗告は,申立人に限り認めるとしたほかは中間試案と同じでございます。   (4)の死後離縁をするについての許可の審判事件では,③において,中間試案第4の7(3)ウの甲案を採用し,更に養子の代襲者で養親の相続人となるべき者に対し,申立人について通知をすることとして,それらの者の陳述聴取や審判の告知に関する規律を置かないこととしたほかは,中間試案と同じでございます。   (5)離縁等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件は,中間試案第4の7(4)と同じです。   (6)特別養子縁組に関する審判事件,ア,特別養子縁組の成立の審判事件は,中間試案第4の7(5)ア①,イ①,ウ(ア),エ(ア),オ(ア)と同じでございます。   イの特別養子縁組の離縁の審判事件は,中間試案第4の7(5)ア②,イ②,ウ(イ),エ(イ),オ(イ)と同じです。   なお,養子に対し特別養子縁組の当事者を離縁させる審判を知らせることについては「告知」と呼ぶこととしました。   また,特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判に対する即時抗告は,申立人に限り認めることとしています。   特別養子縁組の成立の審判事件又は特別養子縁組の離縁の審判事件を本案とする保全処分は,申立人に本案の家事審判の申立てをした者に限定をしたほかは,中間試案第4の7(5)カ及びキと同じでございます。 ○伊藤部会長 そういたしましたら,順次お願いしたいと思いますが,まず5の失踪の宣告に関する審判事件の(1)及び(2)の辺りで若干の説明がございましたが,これに関しては何か御意見,御発言ございますか。   いかがでしょうか,特別,御発言がなければ次の婚姻に関する審判事件にまいりましょうか。(1)の管轄のところでは従来の議論がございましたけれども,夫又は妻の住所地という,従来でいうと乙案に整理をしているということが一つ。それから,あとは何点かございましたけれども,(7)の即時抗告に関しての子の即時抗告権を認めないということで,そういう考え方を明らかにしていると。その辺りでしょうか。そのほかの点でももちろん結構でございますので,御意見をお願いできればと存じます。   よろしいでしょうか。そうしましたら,次の親子に関する審判事件の関係で,これもいろいろな事項がございますが,特別養子縁組に関して説明がありまして,そういう点でも結構ですし,他の点でも何か御意見がございましたらお願いします。   特別,御発言がなければただいまの脇村関係官からの説明を前提にして,ここに掲げられている事項について本部会で御了解いただいたこととさせていただきます。   以上で本日の審議予定事項は終了でございます。事務当局から次回の日程についての説明をお願いします。 ○金子幹事 御説明します。次回は,平成23年1月14日金曜日でございます。午後1時30分から。場所はもう一度20階に戻りまして,法務省第1会議室ということであります。よろしくお願いします。   それから次回の予定ですが,家事事件手続に関する要項案(案)の後半を扱った上,なお積み残しの論点が幾つかございましたので,それが事務当局の準備が間に合えば,できるだけ次回のうちにさせていただければと思っております。よろしくお願いします。 ○伊藤部会長 何か特段,御質問,御意見等ございますか。   それでは,本年最後の部会になりますが,本日はこれで閉会させていただきます。常に変わらず熱心な御審議を頂きまして,ありがとうございます。どうぞ各委員におかれましては,よいお年をお迎えになりますよう。 -了-