法制審議会非訟事件手続法・家事審判法部会           第33回会議 議事録 第1 日 時  平成23年1月28日(金)  自 午後3時03分                        至 午後4時38分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  非訟事件手続法・家事審判法の改正について 第4 議 事 (次のとおり)                議     事 ○伊藤部会長 予定の時刻でございますので,法制審議会非訟事件手続法・家事審判法部会,本日は第33回会議を開かせていただきます。   御多忙のところ,御出席いただきましてありがとうございます。   まず,配布資料につきまして事務当局から説明をお願いいたします。 ○脇村関係官 本日使用いたします資料は,事前に送付しております部会資料39非訟事件手続及び家事事件手続に関する要綱案でございます。内容等につきましては,後ほど,御説明させていただきます。 ○伊藤部会長 それでは,早速ですけれども,審議に入りたいと存じます。   本日は,今,説明ございました部会資料39に基づきまして,主として,なお検討するものとされていた点,それから表現上の変更を加えた点,これを中心にして事務当局から説明をしてもらい,それらを中心にして質疑応答をお願いしたいと存じます。   そこで,事務当局から部会資料39の第1部,非訟事件手続法の見直しの第1総則,1,通則及び2,非訟事件の手続の総則について説明をお願いします。 ○脇村関係官 それでは,御説明いたします。   まず第1総則の1,通則部分でございますが,この点は特に変更はございません。   2の非訟事件の手続の総則,(2)裁判所職員の除斥及び忌避のエの裁判所書記官の除斥及び忌避の①では,前回御説明したとおり,ウの規律のうち裁判所書記官について規律を置くべきものを検討し,明確にしております。   (2)裁判所職員の除斥及び忌避のオの専門委員が除斥及び忌避は,従前,専門委員の箇所に一括して記載していた専門委員の除斥及び忌避を移記し,裁判職員の除斥及び忌避としてまとめたものでございます。なお,専門委員の除斥又は忌避の裁判に関与することは想定されないことを前提に,この点に関するウ③の規律は準用しておりませんでしたが,にもかかわらず従前,部会資料では③の規律を前提とする,いわゆる簡易却下に関する規律であるウ⑤及び⑥の規律を誤って準用するものとしておりましたので,この点を修正しております。   6ページ,(4)参加のア,当事者参加ですが,従前の資料では参加の申出が不適法であるとき,又はその申出に理由がないときは却下しなければならないものとする旨を明示しておりましたが,当然のことであると考え,記載しないことといたしました。この点は,利害関係参加の申出及び受継の申立てについても同様であります。   次に,イの利害関係参加ですが,これまで裁判を受ける者でないもの以外の者については裁判の結果について,当事者に準ずる利害関係を有する者及び補助参加が認められる者よりも狭いものと考えることを前提に,どのように表現するのかを検討してきましたが,従前の御議論を踏まえまして,②のとおり,裁判の結果により直接の影響を受けるものといたしました。   また⑤では,当事者の地位に基づいてできる手続行為を当事者がすることができる手続行為と表現することといたしました。   (6)手続費用,(ア)手続費用の負担,8ページでございますが,部会資料38において御審議いただいたとおり,例えば,会社の解散命令の事件における手続に参加していない会社のように,手続に参加していない裁判を受ける者であって,その裁判によって直接に利益を受けるものとは評価し難い者にも手続費用を負担させることができる規律とする必要があることから,②の2と3とを書き分ける変更をしております。   (ウ)手続費用の負担及び手続費用額の確定手続等の①では,(ア)の②で手続費用の負担を命ずることができる対象者を限定したことに伴い,民事訴訟法第69条及び第70条-法定代理人等が故意又は重大な過失によって無益な費用を生じさせた場合の費用償還の規律ですが-についても,これと同様の規律を置くこととしております。   イの手続上の救助では,従前の②に記載しておりました手続上の救助は審級ごとにする旨の規律を,民事訴訟法第82条第2項と同様の規律を置くものとするとの形式に変更しております。   9ページですが,(7)の非訟事件の審理等,イ,調書の作成等につきましては,従前②として事実の調査についてはその要旨を記録上明らかにする旨の規律を記載しておりましたが,他の法令等との関係から,最終的にこの旨の規律は最高裁判所の規則事項とするものと整理しましたため,今回の要綱案には記載しておりません。   ウの記録の変更等では,従前①の括弧内で規律していたビデオ等の規律を民事訴訟と同様に閲覧,謄写の規律とは項を分けて②において規律しております。   10ページですが,エの非訟事件の手続における専門委員では,和解を試みるに当たっても専門委員を活用することができるということを明確にするため,①に「和解を試みるに当たり」との文言を追加しました。   12ページですけれども,コの裁判所書記官の処分に対する異議,そこの②については,部会資料33-1では,申立てを却下する裁判に限定しておりましたが,申立てを認める裁判に対して利害関係参加人等が即時抗告をすることも考えられますことから,却下の裁判に限定せずに,即時抗告を認める規律に変更しております。   以上です。 ○伊藤部会長 それでは,位置の整理ですとか,そういったこともございますし,あるいは従来のここでの議論を踏まえて,その内容をここに盛り込んだということもございますけれども,ただいまの脇村関係官からの説明に則しまして,順次御審議を頂ければと思います。   第1の総則の1の通則のところは特段の説明はございませんでしたが,よろしゅうございますか。   次の2の非訟事件の手続の総則のそれぞれのところですけれども,管轄はいいとして除斥及び忌避の関係で4ページの辺り,裁判所書記官の除斥及び忌避,それから専門委員の除斥及び忌避に関して説明がございましたが,この辺りは何か御意見等ございますか。   特段ございませんようでしたら,(3)の当事者能力及び手続行為能力に関しては特段の追加的説明はありませんでした。   (4)の参加に関しては,ここで言うと,アの当事者参加の②の辺りですか,それから利害関係参加のイの②の辺りで直接の影響を受けるものという形で,従来のここでの審議の結果を取りまとめたという説明がございましたが,この辺りいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。御了解いただいたものとして,それでは(5)の手続代理人及び補佐人,それから(6)の手続費用,手続費用に関しましては,(ア)の②のⅱ,ⅲの辺りについて,これも従来の議論を踏まえてということですが,説明がございました。その他,若干のことがございますが,(5),(6)辺りについてはいかがでしょう。   よろしいでしょうか。そうしますと(7)の非訟事件の審理等で,調書の作成についての若干の説明と,それから記録の閲覧に関して,これはどちらかというと整理的なものかと思いますが,②の関係についての説明がございました。それから,10ページのエの専門委員の関係で,和解を試みるに当たりということで,専門委員の役割についての考え方を明らかにしているということでしょうか。その辺りかと思いますが,(7)の非訟事件の審理等に関してはいかがでしょう。   特別御異論等がなければ,御了解いただいたものといたしますが,あとはこの部分で何かほかに御意見があれば承りますが,よろしければ先に進みたいと思います。   それでは,次に3,第一審裁判所における非訟事件の手続についての説明をお願いします。 ○川尻関係官 3,第一審裁判所における非訟事件の手続,(1)非訟事件の申立て,ア,申立ての方式等の③,13ページになりますけれども,これは,従前は「裁判を求める事項が数個ある場合において」としていましたが,「二以上の事項について裁判を求める場合において」と表現を整理いたしました。   (2)非訟事件の手続の期日,イ,受命裁判官による手続の①,14ページになりますが,このうち(3)ア③の規律とありますのは,(3)ウ③の規律の誤りですので,訂正させていただきます。   次に,15ページの(3)事実の調査及び証拠調べ,オ,証拠調べですが,当事者が文書又は検証の目的を滅失等させた場合について,従前,「当事者が他の当事者の使用を妨げる目的で」と規律しておりましたが,非訟事件の手続においては,他の当事者がいない場合も想定されますことから,その実質を規律することとして,「書証として使用することを妨げる目的で」,「検証を妨げる目的で」としました。また,従前から民事訴訟法第231条が規定する準文書も対象とする規律としておりましたが,その引用の仕方に不足があったため,これを修正しております。   17ページの(4)裁判のウ,終局決定の告知及び効力の発生等の②に,裁判を受ける者が二人以上ある場合の効力発生時期について,最初の一人に告知することによって効力を生じる旨の規律を追加し,効力発生時期を明確にしております。また,終局決定の確定時期を明確にする趣旨で,④及び⑤の規律を追加しております。   18ページのキ,終局決定の取消し又は変更の②では,期間制限の起算点を基準の明確性及び再審の期間制限との平仄から,終局決定が確定した日に変更しております。   19ページのケ,終局決定以外の裁判の③では,従前は,「ただし,中間決定及び非訟事件の申立書を却下する命令はこの限りでないものとする」としていましたが,判事補は単独で受訴裁判所を構成することができない以上,中間決定や申立書却下命令をすることができないことは明らかであると考えられますので,ただし書を削除しております。   19ページの(5)裁判によらない非訟事件の終了,イ,非訟事件の申立ての取下げ擬制において,従前の御議論を踏まえて申立ての取下げ擬制に関する規律を置くものとしております。   以上です。 ○伊藤部会長 まず13ページ(1)非訟事件の申立ての関係で,ただいまの説明は,アの③の辺りについて,やや文言の整理的なことになるかと思いますが,説明がございましたが,(1)の非訟事件の申立てに関してはいかがでしょうか。よろしいですか。   次に,(2)の非訟事件の手続の期日の関係で誤りを直したというような説明の部分はお聴きになったとおりですが,何かそれ以外にございますか。   そうしましたら,次の(3)事実の調査及び証拠調べの関係で,これもどちらかというと文言の整備的なことなのかもしれませんが,多少,しかし実質にも関係するところで,15ページの一番下の辺りですね。オの証拠調べの③のⅱの辺りのところで書証として使用することを妨げるとか,あるいはその次のページの検証を妨げる目的でうんぬんという形に整備をしたという,そういったことなどについての補足的説明がございましたが,この辺りはいかがでしょうか。 ○三木委員 言葉だけの問題ですが,実務では書証というのはしばしば証拠方法の意味で使われますけれども,法律上は証拠調べの方法として使われていると思いますので,「書証として」というのは法文の文言としてはいかがかと思いまして,「書証において」とかいうような表現が望ましいかと思います。 ○伊藤部会長 この点はどうぞ,川尻関係官。 ○川尻関係官 確かに,書証という意味内容には二義ございまして,民事訴訟法上は,今,三木委員がおっしゃられたとおり,証拠調べの手続という意味で用いられておりますので,ここの文言につきましては修正を加えることを検討したいと存じます。 ○伊藤部会長 どうもありがとうございました。それは適宜の形で修正を検討してもらうことにいたしましょう。 ○金子幹事 そうしますと,「書証を妨げる目的で」ということでもよろしいことになるのでしょうか。「検証を妨げる目的で」というところとパラレルで。 ○三木委員 私は結構かと思いますけれども。 ○金子幹事 その辺の文言をお任せいただいて検討させていただければと思います。 ○伊藤部会長 ここは実質というよりはむしろ書証という法概念との関係で,最も適切な表現が何かということかと思いますので,御指摘を踏まえて事務当局で検討してもらうことにいたしましょう。ほかにいかがでしょうか。(3)の辺りはよろしいですか。   よろしければ(4)裁判で,17ページのウの②,それから④,⑤の辺りについての説明がございました。④,⑤は終局決定の確定時期に関するものですけれども,それから18ページのキの終局決定の取消し又は変更の②,終局決定が確定した日からということにしている点,あるいは19ページの③の,説明は先ほど川尻関係官からあったとおりですけれども,従来あったただし書を削除したということの理由などですが,この(4)の裁判の関係では,何か御発言ございますか。 ○山本幹事 今,御説明があった17のウの④のところなのですが,この即時抗告の意義なのですけれども,私の理解では,再抗告は即時抗告として位置付けられていると思うのですが,特別抗告と許可抗告は即時抗告という位置付けではないと理解しています。   そうすると,特別抗告と許可抗告は確定遮断効を持たないという規律だと思うのですが,特別抗告は結構かと思うのですが,許可抗告は普通,確定遮断効を持つと理解されているような気がするのですが,あるいは私の誤解かもしれませんけれども,それはいかがでしょうか。 ○松田関係官 許可抗告についても非常の不服申立て手段かと考えておりまして,確定遮断効はないのかと考えておりました。 ○山本幹事 私の理解が間違っているかもしれませんけれども。 ○金子幹事 今の点でお聴きしたかったのですが,そうしますと,抗告許可の申立てに対して許可された段階で,翻って確定しなかったことになるという構成になるのでしょうか。許可がなければそのまま確定したということでもよろしいはずだと思うのですが,許可の申立てがあり,許可がされると確定しなかったことになるという理解が正しいのかどうかお聴きしたいのですが。 ○山本幹事 正確には分かりませんけれども,許可申立てによって確定遮断効が発生して,許可されなければそこで確定するのではないかと理解していたのですけれども。 ○伊藤部会長 現在の制度の正確な理解ということでもあるのですけれども,竹下関係官もし何かございましたら。 ○竹下関係官 私も今,一般に学説でどう解釈されているかというのを調べたわけではないのですけれども,立法当時の考え方としては山本幹事が言われるように,許可抗告というのは,普通は抗告が認められていないのだけれども,特別に,普通の抗告を認めるという,そういう考え方だったと思います。だから,特別抗告のように確定遮断効のない非常の不服申立てという理解ではなかったように思います。ただ現在,通説や,教科書でどう書いてあるかというようなことはちょっと記憶がありません。 ○増田幹事 必ずしも確信はないのですが,8年の民訴法改正でこの制度が新設されたときに,特別抗告と同様の性格を持つものとして確定遮断効は持たないということになったと記憶しています。いずれにしても,きちんと決まっていないと,例えば借地借家法51条の期間や裁判で定められた履行期などに影響します。これらの期間に許可抗告期間の5日間が算入されるのか,算入されないかは重大な問題ですので,一義的に決まっていないといけないものだと思います。 ○伊藤部会長 これはここで決めるというよりは,一般的な理解を確認した上で,必要があれば適切に対処するということにさせていただければと思います。ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか,裁判の関係で。   よろしければ,(5)裁判によらない非訟事件の終了で,イの申立ての取下げの擬制に関して,このような従来の議論を踏まえて考え方を明らかにしたということですが,(5)の関係はいかがでしょう。   特段ございませんようでしたら,次に進みたいと思います。   そこで,事務当局から4の不服申立て及び5の再審についての説明をお願いします。 ○松田関係官 では説明させていただきます。   4,不服申立ての(1)終局決定に対する不服申立てのア,即時抗告,(イ)即時抗告期間の②及び③は,20ページになりますが,即時抗告期間の起算点について定めるものですが,職権で開始した事件において即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合の規律を③の括弧書きにおいて追加しております。   (エ)抗告状の写しの送付等は,「即時抗告があったことの通知」から,「抗告状の写しの送付等」に見出しを変更した上で,①のただし書の例外要件について従前の審議を踏まえて,「理由がないことが明らかなとき」に一本化するなど,表現振りを整理しております。   (ク)即時抗告及び抗告審に関するその他の手続の①-21ページになりますが-では,部会資料37で御審議いただいた結果を踏まえまして,抗告審の決定の取消し又は変更については,第一審裁判所の終局決定の取消し又は変更の規律-3(4)キの規律になりますが-を準用した上で,後段で,即時抗告をすることができる決定というのを,第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものとするものとする修正をしております。   次に,21ページの末尾になりますが,再抗告の①では,そもそも通常の即時抗告の対象とならない裁判について再抗告を認める必要はないと考えられますことから,その旨を括弧書きで追加しております。   イ,特別抗告の(イ)特別抗告及び抗告審に関するその他の手続の①,23ページになりますが,この①では,アの規律と同様の規律を置くものとしつつ,その対象から除外するものとしまして,(イ)につきましては①の即時抗告期間のみを除外することと変更し,また(ウ)につきましては,④及び⑤の規律が即時抗告に関する規律でありましたため,これも新たに除外することとする修正を加えております。   次に,ウ,許可抗告の(イ)許可抗告及び抗告審に関するその他の手続の①についても同様の修正をしております。   また,②につきましては,許可抗告に関する手続については,民事訴訟法上も民事訴訟法第314条の規定を準用していないことから,同条に関する規律を削除しております。   次に5,再審の(1),再審の①,24ページになりますが,こちらは終局決定に対する再審と,終局決定以外の裁判に対する再審と併せて規律することとしまして,それに伴い表現振りを修正しております。   第2の民事非訟事件,25ページ以下につきましては特に変更はございません。   以上です。 ○伊藤部会長 そういたしましたら,まず4の不服申立ての(1)終局決定に対する不服申立ての関係で,20ページの(イ)の③辺りでしょうか。それから(エ)の関係で,理由がないことが明らかにという辺りでしょうか。その他(ク),(ケ),即時抗告に関してはそのようなところの説明がございましたが,いかがでしょう。特別抗告,許可抗告までも含めてただいま説明があった点,その他何か御指摘があれば承りたいと思います。   よろしければ,5の再審で,(1)の再審に関して①で,これはどちらかというと表現の整理的なものかと思いますけれども,変更があったという辺りの説明がございましたが,5の再審に関してはいかがでしょう。   よろしいでしょうか。第2の民事非訟事件については特段の変更点等はないということですが,御発言がなければ御了解いただいたものとさせていただきます。   今までのところは全体的によろしいですか。   それでは,次に事務当局から第2部,家事審判法の見直しの第1,総則,1,通則から6,手続費用までの説明をお願いいたします。 ○脇村関係官 それでは,御説明させていただきます。   第2部,家事審判法の見直し,第1,総則の2,管轄,(6)移送の②,29ページでは,移送の要件について前回の御意見を踏まえて,管轄権を有する他の家庭裁判所とその他の家庭裁判所移送の要件に差を設けました。   4の当事者能力及び手続行為能力の(2)未成年者及び成年被後見人の法定代理人,33ページでは,ただし書で人事訴訟法に規定する人事に関する訴えを提起することができる事項についての表現を変更しております。趣旨は,人事訴訟法に規定する人事に関する訴えを提起することができる事項についての家事調停の申立てについては,人事訴訟法の訴えを提起することができる成年後見人等もできるようにすることにあります。ただし,離婚及び離縁については,成年後見人等が代理して調停合意をすることは相当ではなく,そうだとすれば,そもそも家事調停の申立てを認めることも相当でないことから,除外しております。   5,手続代理人及び補佐人の(4)手続代理人の代理権の消滅の通知,35ページですが,従前は,別表第1に掲げる事項についての審判事件においては,本人又は代理人が裁判所に,別表第2に掲げる事項についての審判事件及び家事調停事件においては,本人又は代理人から他方の当事者に通知しなければその効力を生じないものとするとしておりましたが,その書き方ですと,例えば別表第1及び第2に掲げる事項以外のもの,具体的には履行命令事件などについては規律が存在しないということになりますので,現在のような書き方に変更し,別表第2に掲げる事項以外の事項についての審判事件は,従前議論していた別表第1に掲げる事項についての審判事件と同様の記述をすることとしております。   6の手続費用の(1)手続費用の負担,ア,②,36ページ及び(2)手続上の救助の②,37ページでは,非訟の場合と同様の修正をしております。   以上です。 ○伊藤部会長 それでは,まず28ページの第1,総則,1の通則の関係で,移送に関して管轄のある家庭裁判所とそうでない家庭裁判所に関する考え方を従来の議論を踏まえて明らかにしたという辺りでしょうか。通則,それから管轄の辺り,あるいは除斥,忌避の関係で何か御発言ございますか。   よろしければ,次の32ページの4の当事者能力及び手続行為能力の関係で,33ページの(2)のところで,これはどちらかという表現になるのかもしれませんが,若干の説明がございましたが,4の当事者能力及び手続行為能力の関係は何か御発言ございますでしょうか。   もしよろしければ,34ページになりますが,5の手続代理人及び補佐人の関係で,35ページの(4)の手続代理人の代理権の消滅の通知の①で,これもどちらかというと整理的なことになるのかもしれませんが,先ほど若干の説明がございましたが,この辺りはいかがでしょう。   もし特段御異論がなければ,御了解いただいたものとして,6の手続費用の点は特にございませんが,よろしいでしょうか。   よろしければ,7の家事事件の審理等から第2,家事審判に関する手続,1,通則までの説明をお願いします。 ○川尻関係官 では,40ページまで飛ぶこととなりまして,第2,家事審判に関する手続,1,総則,(1)家事審判の手続,ア,通則,(エ)利害関係参加の⑤の関係ですが,従前は「その者の福祉」,「子の福祉」との表現を利用していましたが,民法上は,例えば民法第766条に見られるように同様の趣旨を「子の利益」と表現していることから,民法を実現する手続である家事審判,家事調停の手続でも同様の表現を用いることが相当であると考え,「その者の利益」と表現しております。同様に,以下では,これまで「子の福祉」としていたものは,「子の利益」と表現しております。   ア,通則,(ク)調書の作成等,41ページになります。これは非訟事件手続法と同様に従前の②の規律,事実の調査についてはその要旨を記録上明らかにしておくという規律ですが,これは記載しておりません。   (ケ)記録の閲覧等も非訟事件手続法と同様に,従前①の括弧内で規律していたビデオテープ等について,項を分けて②において規律しております。   ウ,家事審判の手続の期日,(ア)事件の関係人の呼出し,44ページになります。この44ページの部分では,従前,第5,罰則にあった不出頭の場合の過料の制裁に関する規律を分かりやすさの観点から罰則の対象となる行為とセットで記載することとしたため,③として移記しております。   47ページの(ケ)証拠調べにおいては,基本的には非訟事件手続法と同様の変更を加えております。   オ,家事審判の手続における子の意思の把握等では,ここで問題としているのは未成年者である子であることと未成年被後見人の意思等も含むことを明示しました。   48ページのキ,審判等の(イ)審判の告知及び効力の発生の②では,非訟と同様に審判を受ける者が二人以上ある場合の告知による効力発生についての規律を括弧書きで追加しております。   また,50ページ,確定時期を明確にする趣旨で④及び⑤の規律を追加しております。   (キ)審判の取消し又は変更の②では,非訟での検討と同様に期間制限の起算点を審判が確定した日に変更しております。   次に54ページになります。   (2)不服申立てのア,審判に対する不服申立ての(ア)即時抗告のd,①は,非訟の場合と同様に,従前の審議を踏まえて抗告状の写しの送付の例外について,抗告に理由がないことが明らかなときとしております。   55ページのh,原審の管轄違いの場合の取扱いの①のただし書は,部会資料37において審議していただいた結果を踏まえ,管轄違いの場合において原審判を取り消さないことを相当とする特別な事情を例示しております。   56ページのi,即時抗告及び抗告審に関するその他の手続の①の後段については,非訟の場合と同様に表現を修正しております。   56ページから57ページにかけまして,(イ)特別抗告及び(ウ)許可抗告のaの①では,いずれも特別抗告又は許可抗告の対象となる裁判について,部会資料34-1では,高等裁判所の審判に代わる裁判としており,抗告棄却の裁判が含まれない記載となっておりましたため,高等裁判所の決定とした上で,家事審判事件についての終局的な裁判であることを表すために,家事審判事件についてのものに限るとの括弧書きを付記する修正をしております。   59ページの(4)審判前の保全処分のアの審判前の保全処分の①では,これまでの議論を踏まえて,家事審判又は家事調停の申立てがあった場合においてとの要件を明記するほか,審判前の保全処分の管轄裁判所を,当該申立てに係る家事審判事件又は家事調停事件が係属する家庭裁判所と定める修正をしております。   60ページのイ,審判前の保全処分の申立て等では,審判前の保全処分が暫定的な処分であることから,民事保全法第18条などの規律に倣い,申立ての取下げの特則として,審判前の保全処分があった後でも申立てを取り下げることができる旨の規律を④として新たに置いております。   62ページのク,審判前の保全処分の取消しの①では,家事調停の申立てがあった場合の規律を手当する修正をしております。コ,調書の作成では,審判前の保全処分の手続における調書の作成に関する①の規律が家事審判の総則の調書の作成に関する規律である1(1)ア(ク)の特則であることを明確にするため,②において家事審判の総則の調書の作成に関する規律を適用しないこととしております。   以上です。 ○伊藤部会長 そういたしましたら,項目名を,かえって分かりにくくなるかと思いますので,ページ数で恐縮ですが,言及させていただきまして,38ページの第2,家事審判に関する手続の1,総則の(1)のアの通則の関係でいきますと,40ページの辺りですか,子の福祉という表現をその者の利益という形に表現を改めたという辺りのことについての説明がございましたが,この辺りはいかがでしょうか。実質を変えるものではないと私は理解しておりますけれども,「福祉」と「利益」という用語の使い分けに関して何かございますでしょうか。   もし特段御意見がなければ御了解いただいたものといたします。   そのほか41ページの調書の作成,記録の閲覧等に関しての説明がございましたが,何かその辺りはよろしいですか。   44ページのウの(ア)の③は,位置を変更したということですので,特段のことがなければ。48ページのオの家事審判の手続における子の意思の把握等の関係で,未成年者である子(未成年被後見人を含む。)というような形に改めておりますけれども,この辺りのところはいかがでしょう。   特別ございませんか。そうしましたら,50ページになりますか。キの審判等の(イ)の審判の告知及び効力の発生というところの②で,これは先ほどの非訟の話と同様のことですね。   それから51ページの(キ)の②で,審判が確定した日から5年を経過したときと,これも同様のことかと思います。   そうしましたら,あとは54ページの抗告状の写しの送付,これも同様のことですね。   それから55ページのhの①の関係で,こういった事情を例示したというような説明がございましたが,その辺りまで何か御発言ございますか。   特別ございませんようでしたら,あと56ページ,(イ)特別抗告,それから57ページの(ウ)の許可抗告の関係で,これは文言の整理的なことかと思いますが,若干の説明がございましたが,その辺りはよろしいでしょうか。   そうしましたら,59ページの審判前の保全処分に関して家事審判又は家事調停の申立てがあった場合ということを明らかにしたということと,それから管轄のことですね。そして60ページの④のところで取下げに関して,保全処分があった後でも取り下げることができるということを明らかにしたという辺りでしょうか。   今,申し上げましたような点について,あるいはそれ以外の点でも結構ですが,何か御発言ございますか。   それ以外に,先ほど説明があった部分全体のうちのいずれでも結構ですが,何か御意見等あればお願いいたします。   よろしければ,次に,2の家事審判事件(1)成年後見に関する審判事件から(8)親権に関する審判事件までの説明をお願いします。 ○脇村関係官 それでは御説明いたします。   63ページになります家事審判事件(1)成年後見に関する審判事件,イ,手続行為能力では,保全処分における手続行為能力についても,本案に倣うということを明記することにしております。この点については,以下の保全処分でも同様でございます。   66ページのクの成年後見の事務に関する監督では,従前は家庭裁判所は成年後見人等に指示することができることを,ケの管理者の職責等には登記嘱託の際の添付書についてそれぞれ記載をしていましたが,その効果等から見て,これらの事項はいずれも規則事項と考え,要綱案に記載しませんでした。   コの後見開始の審判事件を本案とする保全処分では,本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には,当該高等裁判所が保全処分をすることを明確にしております。また,①については,従前は成年被後見人となるべき者の財産を管理若しくはその者の看護に関する事項を指示することはできるとしておりましたが,民法第858条が,成年後見人の生活,療養看護及び財産の管理に関する事務を行うとしていること等を踏まえまして,指示の内容等の表現を改めております。   飛びまして,80ページの(6)婚姻等に関する審判事件のカ,共有財産の分割では,従前の①において財産の管理者の変更の申立てとともに共有財産の分割に関する処分の申立てがあった場合に,管理者の変更の審判をするときは,併せて共有財産の分割に関する処分の審判をすることができるとしていましたが,このことは民法第758条第2項及び第3項の規定から明らかであり,あえて規律を置く必要に乏しいと考えることから削除することとし,共有財産の分割方法の一つとして,いわゆる代償分割によることができるということのみを,遺産分割における代償分割の規律と同様の内容で規律することとしております。   81ページにまいりまして,クの婚姻に関する審判事件を本案とする保全処分の①では,調停の申立てがあった場合にも,申立てにより保全処分を命ずることができる旨の記載を追加しているところでございます。   (7)の親子に関する審判事件のカ,特別養子縁組の成立の審判事件,(イ)特別養子縁組の離縁の審判事件の④,85ページでございますが,そこの(イ)の特別養子縁組の離縁の審判事件の④では,特別養子縁組の離縁の申立てを却下する審判をする場合には,ⅴにおいて,養子の実父母に事実を聴かなければならないとしておりますが,従前の記載では,養子の実父母が申立人であり,申立書等で自らの主張を述べる機会があった場合にも,改めて事実を聴かなければならないように読めるものとなっていましたので,他の場合と同様,ここではⅴに掲げるものにあっては申立人を除くとしております。   87ページにまいりまして,(8)親権に関する審判事件でございますが,前提といたしまして別表第1を御覧いただくと分かるのですけれども,この要綱案では,別表第1に懲戒場の許可を掲げず,いわゆる懲戒場の許可に関する規律について記載をしておりません。これは現行法上も懲戒場というものが存在せず,それについての許可の審判をするということはないことから,改めて要綱案に記載する必要がないのではないかと考え,このようにさせていただいております。今の点は,未成年後見に関しても同様でございます。   次に88ページにまいりまして,ウ,陳述調書の①のⅱでは,「親権を喪失し,又は管理権を喪失した者」と記載すべきところを,誤って,「若しくは停止され」というものを記載しておりましたので,「若しくは停止され」の部分を削る訂正をさせていただければと存じます。この点は,89ページのカ,即時抗告の②にも同様でございます。   続きまして,今,言いました,カ,即時抗告の(注)でございますが,これまでも御紹介していましたとおり,児童の虐待防止のための親権に関わる制度の見直しがされる予定ですが,親権喪失又は管理権喪失の申立てを却下する審判に対する即時抗告等につきましては,その見直しを踏まえまして,所要の整備をする必要があることから,所要の規定を整備する旨を明記することにしております。   次が,90ページですけれども,ケの親権者の指定又は変更の審判事件を本案とする保全処分の⑥のところで,⑤の記述とすべきところを誤って④の記述と記載しておりますので,訂正させていただければと存じます。   以上です。 ○伊藤部会長 それでは,今,説明があった点を中心にして審議をお願いしたいと思いますけれども,66ページの辺りでしょうか。規則事項とするということは,それほど実質に関わるものではないかと思いますが,67ページのコの後見開始の審判事件を本案とする保全処分に関して,高等裁判所の関係のことを明らかにしたということと,それから①のところですね,民法858条との関係で,これらの指示事項に関して明らかにしたという辺りでしょうか。その辺までのところはいかがでしょうか。   よろしければ,先ほどの説明があったところからいきますと,大分飛びますけれども,80ページの辺りでしょうか。共有財産の分割の関係で,これは民法758条との関係で,不要な記述に関してはそれを削除して,いわゆる代償分割に関する部分だけをここで明らかにしたというような説明。それから81ページの調停の申立てがあった場合を含めるという辺りでしょうか。80ページ,81ページの辺りでは何か御発言はございますか。   よろしければ,84ページのカの特別養子縁組に関する審判事件の関係で,85ページの(イ)の特別養子縁組の離縁の審判事件で,③,④,特に④の関係で,括弧で③のⅴに掲げるものについては申立人を除くと。理由は先ほど脇村関係官からの説明があったとおりですが,というような点についての若干の変更があったということですが,この辺りはいかがでしょうか。   そうしましたら87ページの親権に関する審判事件のところで,まず先ほど説明があった懲戒場に係る審判に関しては説明があった理由から,ここではそういうものに関しては要綱案に記載をしていないということ。   それからあとは,88ページの一番下のカの即時抗告の下の(注)の関係で,これはこういう関連する制度の見直しを踏まえて所要の規定を整備するということにしている辺り,この辺りが実質的な意味での説明の中心だったかと思いますが,いかがでしょう。   特別の御発言がございませんようでしたら,91ページになりますけれども,(9)の未成年後見に関する審判事件から(18)遺留分に関する審判事件まで,説明をお願いします。 ○松田関係官 では説明させていただきます。   (9)未成年後見に関する審判事件につきましては特に変更点はございません。   続きまして,92ページの(10)扶養に関する審判事件のア,管轄の①ですが,従前,ただし書で記載しておりました内容を括弧書きで記載する形式的な修正をしておりまして,また,従来アの②として記載しておりました保護者選任の申立てと一の申立てによりする場合の特則につきましては,イ,申立ての特則に規律することに変更しております。   94ページのカ,扶養に関する審判事件を本案とする保全処分では,調停の申立てによる場合も加える旨の修正をしております。   続きまして97ページの(13)遺産の分割に関する審判事件のカ,債務を負担させる方法による遺産の分割でございますが,遺産の分割の一方法として代償分割によることができる旨の趣旨を明確にするために,現行規則,家事審判規則の109条の規律に倣った表現振りに変更しております。   97ページのク,遺産の分割の禁止の審判の取消し又は変更では,分割禁止の審判の取消し又は変更の審判事件を別表第2の審判事件とみなす旨の規律を追加しております。   98ページのコ,遺産の分割の審判事件を本案とする審判前の保全処分では,調停の申立ての場合も保全処分を認める旨の規律を追加しております。   続きまして,101ページまで飛びますが,(16)相続人の不存在に関する審判事件のエ,相続財産の換価を命ずる裁判につきましては,従前は規律を書き下ろしていましたが,ほぼ同じ規律である遺産の分割に関する審判事件における遺産の換価を命ずる裁判の規律を用いる形に変更しております。   次に101ページの(17)遺言に関する審判事件は,民法の規定の順番に合わせまして,遺留分に関する審判事件と遺言に関する審判事件の順番を入れ替えました。また従前,受益者との文言を用いてきましたが,民法1002条2項の表現と平仄を合わせまして,負担の利益を受けるべき者に変更しております。   102ページのオ,審判の告知では,遺言書の検認については,審判書の作成や裁判を受ける者に対する告知による効力の発生といった規律の適用が想定されていませんことから,その旨の注記を加えております。   102ページのカ,即時抗告は,ⅵの即時抗告権者について,従前遺言執行者としておりましたが,これは申立人と同義であるため,他の部分と平仄を併せて申立人に変更しました。   103ページのキ,遺言執行者の解任の審判事件を本案とする保全処分は,従前の御議論を踏まえて,②において他の遺言執行者又は職務代行者に審判を告知することによってもその効力が生ずるものとする規律を加えております。   以上です。 ○伊藤部会長 表現の修正ないし形式の整備に類することも含まれておりますけれども,94ページの扶養に関する審判事件を本案とする保全処分の関係で,調停の申立てがあった場合というのを含めていることを明らかにしていること。それから97ページの辺りになりますか,債務を負担させる方法による遺産の分割に関して,家事審判規則109条に合わせた表現にしていること辺りでしょうか。それからその下のクの遺産の分割の禁止の審判の取消し及び変更に関しても,別表第2に掲げる事項についての審判事件としての性質を持つということを明らかにしているという辺り,そのほか,98ページで,これは先ほどのものと類似のものですけれども,審判前の保全処分に関して,関連して調停の申立てがあった場合というようなことを明らかにしていることですよね。   ページで言いますと,101ページの辺りまでのところで何か御発言があれば承りたいと思いますが,いかがでしょうか。   よろしいですか。そうしましたら,101ページの(17)遺言に関する審判事件で,102ページのオの審判の告知に関してⅱの負担の利益を受けるべきものという表現,それから(注)のところで検認という行為の性質に関する説明,それからカの即時抗告に関して,これはどちらかというと文言を修正したということになりますが,103ページのキの②の関係ですね。保全処分の関係で遺言執行者の職務の執行を停止する審判の効力に関して,被告知者に関する規律をこのような形で明らかにしたという辺り,先ほど説明ございましたが,101ページの遺言に関する審判事件の辺りで何か御発言ございますか。   もしよろしければ,第3,家事調停に関する手続の説明をお願いいたします。 ○川尻関係官 103ページになります。第3,家事調停に関する手続,1,総則,(1)通則のアですが,第3の規律の定めるところによって合意に相当する審判,調停に代わる審判をすることがあることから,その旨を明記しております。   106ページのケ,手続行為能力の①ですが,ⅴについて記載を変更しております。従前はⅴについて,誰に手続行為能力の特則を置くのかが明確ではなかったので,人事訴訟法第13条第1項の適用を受け,人事訴訟で単独で有効な訴訟行為をすることができる者が,家事調停でも単独で有効な手続行為をすることができることを明確にしようとする趣旨です。   ②は,従前は総則に記載していたものです。ⅰ,ⅲ及びⅳに掲げておりますいわゆる身分行為に関するものについては,法定代理人が最終的な合意をすることは相当ではないので,その点を明確にしております。また,離婚,離縁についても同様の理由から,法定代理人が最終的な合意をすることは相当ではないので,その点を明確にしております。   109ページの(3)家事調停の手続,ウ,調停委員会等の権限では,①,ⅵにおいて,過料及び勾引に関する裁判所の権限は調停委員会が行うものとするのは相当ではないと考えられますことから,除外することとし,家庭裁判所がすることとしました。また,②について,調書の作成に関する裁判長の権限は,調停委員会を組織する裁判官が行うものとするのが相当でありますことから,これを加えております。なお,この要綱案には記載がございませんが,34ページの第1,総則,5,手続代理人及び補佐人,(2)裁判長による手続代理人の選任等における裁判長の権限も,調停委員会を組織する裁判官が行うものとするのが相当と考えられますことから,これを②の規律に追加したいと存じます。   111ページの(3)家事調停の手続,ケ,調停前の処分では,従前,法律上の制裁の告知に関する規律を記載しておりましたが,規則事項と考えて,要綱案には記載しておりません。なお,調停前の措置という表現を用いていましたが,分かりやすさの観点から調停前の処分という現行家事審判規則第133条が処分としているのに倣い,このような文言を選択することとしております。   (4)調停の成立,イ,調停調書の更正決定,112ページになります。これは②において更正決定の裁判書の作成に関する規律を加えました。   113ページの(5)調停の成立によらない事件の終了,イ,調停の不成立の場合の事件の終了では,③の規律の前提となる当事者に対する通知について,②において規律を置くこととしました。   116ページ,2,合意に相当する審判の(4)異議の申立てに対する裁判の④では,後段に当事者に対する通知の規律を加えております。   (7)申立人の死亡により事件が終了した場合の特則では,人事訴訟法第41条第1項の規定により訴えを提起することができるか否かに関わらないものとする内容に修正しております。   117ページの3,調停に代わる審判の(2)調停に代わる審判の特則では,前回の部会でも御説明させていただいたとおり,②の調停に代わる審判の告知を,公示送達の方法によってはできないこと,及び③の告知することができないときは,調停に代わる審判を取り消さなければならない旨の規律を追加しております。   (3)異議の申立て及びこれに対する裁判等の⑤の後段に,当事者に対する通知の規律を追加しております。   また,⑧及び⑨は,いわゆる裁定和解と同様の規律について具体的に記載するものです。   118ページの第4,履行の確保では,部会資料34-1では,家事審判で命ぜられた義務の履行については家事審判のところで規律し,家事調停又は調停に代わる審判で定められた義務の履行については家事調停のところで規律していたものを,一括して第4として規律するものです。   2,義務の履行命令では,①において履行命令が審判としての性質を有するものであることを示すため,義務の履行を命ずる審判と表現することとしています。   第6,その他では,親権制度の見直しを踏まえて,所要の規定の整備をするものとすること,民法以外の法律により特に家庭裁判所の権限に属するものとされた事項についての所要の整備をするものとすることとしております。   以上です。 ○伊藤部会長 それでは,これも表現や形式の修正や整備に関することはもちろん結構ですけれども,実質に関わることで今,説明がございました点を中心に審議をお願いしたいと存じますが,まず106ページのケの手続行為能力に関して,①のⅴの辺りの人訴法の13条1項との関係での説明と,それから②の親権を行う者又は後見人の辺りでの説明がございましたが,この関係で何か御発言がございますか。   よろしいでしょうか。そういたしましたら,次の関係では,109ページの(3)家事調停の手続のウの調停委員会等の権限の関係で,裁判所の権限あるいは調停委員会を組織する裁判官の権限に関しての修正の点がございますが,この辺りはいかがでしょう。   よろしければ御了解いただいたものとして,あとは112ページの(4)調停の成立のイ,調停調書の更正決定の②で,裁判書の作成をしなければいけないものとする辺りですか。それから(5)の調停の成立によらない事件の終了との関係で,113ページのイの②で,当事者に対する通知が③の前提として,そのことを明らかにしたという辺りですが,その辺りのところまではよろしいですか。   そうしましたら,114ページの合意に相当する審判の関係で,これも116ページのところですね。当事者に対する通知のことが,116ページの上の④のところにございます。通知に関しての説明と,それから(7)の申立人の死亡により事件が終了した場合の特則の関係で,従来から御議論いただいた人訴法41条の1項の関係の修正を施しているというようなことですが,合意に相当する審判の関係では何か御発言ございますか。   よろしければ116ページの3,調停に代わる審判のところですが,117ページの(2)の調停に代わる審判の特則で,公示送達の方法によってその告知ができないこと,それから③のところで,告知ができないときは取り消さなければならないというようなこと,それからその下の(3)の⑤での通知,それから⑧,⑨の裁定和解の辺りの補足的説明がございましたが,いかがでしょうか。   よろしければ,第4,履行の確保に関しては実質的なというよりは,形式といいますか,位置などの変更ということだと思いますが,第4,履行の確保以下のところで何かお気付きの点,あるいは御指摘の点がございましたらお願いいたします。 ○増田幹事 履行の確保以下ではないのですが,現行法第7条で非訟事件手続法の準用がございますが,同様の規定は入るのでしょうか。もし入らないとすれば,一般法,特別法の関係から,解釈上,準用されるという理解でよろしいのでしょうか。 ○金子幹事 基本的には家事審判法はもちろん非訟の性質を有するとしても,今回の法案では自己完結的に書き切ってしまいたいというように思っていまして,少なくとも包括的に準用するようなことは避けて,家事審判法を見ることにより,手続が一通り全部理解できるというようなものを目指しております。もちろん,性質上,非訟ということは変わりがないわけですけれども,その明確性の観点からは,家事審判法については書き切ってしまうということを考えています。 ○増田幹事 そういう目標を持ってやってきたということは理解しておりますし,私も同じ思いなのですが,あとは解釈に委ねるという理解でよろしいのですね。 ○金子幹事 それは不足があった分は,どういう形の解釈になるかというのもあろうかと思いますが,それが直ちに非訟事件手続法に行くかどうかも含めて,それは解釈の余地は残るかとは思いますが,今,申し上げたのは7条のような一般的な規定は設けないことで対応したいと思っているということです。 ○伊藤部会長 それではほかには,本日の審議事項全体を通しまして何か御発言ございましたらお願いいたします。   よろしいでしょうか。それでは,要綱案につきまして最終的な御意見を当部会としてちょうだいできたかと思います。   そこで,要綱案の取りまとめに移りたいと思いますが,本日提案を申し上げました資料に口頭で何点か修正をお願いするということがございましたが,それを加えたものを当非訟事件手続法・家事審判法部会の要綱案として決定するということでよろしゅうございましょうか。--はい。ありがとうございます。それでは,そのように決定させていただきます。   なお,この要綱案につきましても,これまでも字句,表現の修正がいろいろされてまいりましたけれども,今後,総会での答申に至りますまでの間にも,法律案の作成の観点から形式的な表現等の修正はあり得るかと思います。このような修正につきましては,部会長としての私と事務当局に御一任いただければ幸いと存じますが,その点も御了解いただけますでしょうか。--はい。ありがとうございます。それでは,そのような取扱いにさせていただきます。   事務当局から,今後の予定についての連絡をお願いします。 ○金子幹事 それでは御連絡いたします。   法制審議会の総会につきましては,2月15日に予定されております。この総会では,伊藤部会長に当部会を代表してこの要綱案の内容について報告していただいて,御審議いただくことになっております。御審議の結果,了承いただけますと法務大臣への答申を頂くということになっております。   その後,私どものほうでは,その答申の結果を踏まえまして所要の法案を作成いたします。それで,現在開会中の177回国会に提出して,その成立に向けて努力するということになります。   よろしくお願いします。 ○伊藤部会長 それでは,最後に原局長から御挨拶をお願いしたいと存じます。 ○原委員 委員,幹事の皆様には平成21年3月に開催されました第1回会議から本日の第33回会議まで,約1年10か月にわたりまして当部会における調査,審議に御協力いただき,誠にありがとうございました。また,大変タイトなスケジュールであったと思いますけれども,要綱案を全会一致で取りまとめていただき,ありがとうございました。事務当局を代表いたしまして,委員,幹事の皆様の御尽力に対して改めて感謝を申し上げます。   法務省民事局におきましては,古くは昭和54年の民事執行法の制定以来,民事保全法,民事訴訟法,倒産関係法,人事訴訟法と,民事手続の基本法の全面的な見直し作業を続けてまいったわけでございます。当部会で扱っていただきました非訟事件手続法と家事審判法は,言わばこれらの一連の全面的に見直し作業の最後のものとして位置付けることができるのではないかと思います。そういう意味で,本日,当部会におきまして要綱案を取りまとめていただきましたことは,こういった一連の大改正作業の一応の締めくくりを付けることができたという意味におきましても,大変有り難く感謝を申し上げる次第でございます。   ただいま,担当参事官から御説明いたしましたが,2月15日に法制審の総会が予定されておりますので,総会におきまして答申が得られ次第,所要の法案を今国会に提出して,早期の法律の成立を目指したいと考えておりますが,皆様御承知のとおりの国会情勢でございますので,法律の成立までには一山も二山もあるのではないかと思います。そういう意味で,皆様方に引き続き御支援,御協力を賜る機会があろうかと思いますが,どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。   また,最後になりましたけれども,伊藤部会長におかれましては,当部会での円滑な審議及び要綱案の取りまとめに当たりまして,大変な御指導,御鞭撻を賜りました。この場をお借りしまして,厚く御礼を申し上げる次第でございます。   部会長を始め,委員,幹事の皆様方,本当にありがとうございました。 ○伊藤部会長 私からも一言御挨拶を申し上げたいと存じます。   ただいま原局長からお話があったとおりの審議の経緯でございまして,私自身,非訟事件あるいは家事審判について専門的な研究を深めておったわけでもなく,誠に心もとない司会進行ではあったかと存じますが,毎回,事務当局が周到な準備をして資料を作成し,それを踏まえて委員,幹事の皆様方に熱心な御議論を頂きまして,そして本日も御発言いただきましたが,竹下関係官からは折に触れて適切な御指導を賜りまして,本日,要綱案の取りまとめに至ることができました。   毎回感じていたことでもございますけれども,改めて皆様方に御礼を申し上げ,私からの御挨拶とさせていただきたいと存じます。   ありがとうございました。   それでは,法制審議会非訟事件手続法・家事審判法部会を閉会にさせていただきます。   約2年間にわたりまして熱心な御審議を賜り,ありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。 -了-