サイバー関係の法整備の概要
 
1 刑法の一部改正

(1) いわゆるコンピュータウィルスの作成・供用等の罪の新設
 正当な理由がないのに,人の電子計算機における実行の用に供する目的で,人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録を作成,提供,供用,取得,保管する行為を処罰する。
⇒作成・提供・供用:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
取得・保管:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
(2) わいせつ物頒布等の罪の処罰対象の拡充
 わいせつな電磁的記録の電気通信の送信による頒布行為を処罰する。
※ 不特定又は多数の者に対し,わいせつな画像データを電子メールで送信する行為などを処罰するもの。
(3) 電子計算機損壊等業務妨害未遂の処罰

 
 
2 刑事訴訟法の一部改正

(1) 接続サーバ保管の自己作成データ等の差押えの導入
 差し押さえるべき物が電子計算機であるときは,当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって,当該電子計算機で作成・変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更・消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから,その電磁的記録を当該電子計算機等に複写して,差し押さえることができることとする(裁判官の令状が必要。)。
※ 差押対象物たるコンピュータで作成したメールを保管しているメールサーバや,当該コンピュータで作成した文書ファイルを保管しているストレージサービスのサーバなどからデータを複写して差し押さえるもの。
(2) 記録命令付差押えの新設
 電磁的記録の保管者等に命じて,必要な電磁的記録を他の記録媒体に記録させて,差し押さえることを可能とする(裁判官の令状が必要。)。
※ プロバイダ等をしてサーバコンピュータ等から必要なデータをCD−R等に記録等させて,これを差し押さえるもの。
(3) 電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法の整備
 電磁的記録に係る記録媒体の差押えに代えて,電磁的記録を他の記録媒体に複写等して,差し押さえることを可能とする。
※ コンピュータ等の差押えに代えて,必要なデータをCD−R等に複写等した上で,これを差し押さえるもの。
(4) 電磁的記録に係る記録媒体の差押えを受ける者等への協力要請の規定の整備

(5) 通信履歴の電磁的記録の保全要請の規定の整備
 検察官・検察事務官・司法警察員は,差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは,通信事業者等に対し,その業務上記録している通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し,30日を超えない期間(特に必要があり,延長する場合には,通じて60日を超えない期間)を定めて,これを消去しないよう,書面で求めることができることとする。
※ プロバイダ等が業務上保管している通信履歴(通信の送信先,送信元,通信日時など。通信内容は含まない。)のデータについて,暫定的に残しておくよう求めるもの(当該データを入手するためには,別途,裁判官の令状が必要。)。
(6) 電磁的記録の没収に関する規定の整備

 
 
3 組織的犯罪処罰法の一部改正

○ 没収保全請求等に関する検察官の処分として,記録命令付差押え及び保全要請を行うことを可能とする(その具体的内容については,刑事訴訟法の規定による場合と同様)。
○ これまで他の法律に多数設けられてきた経過規定等の整理を含め,別表の改正を行う。
 
 
4 第三者所有物没収手続応急措置法の一部改正

○ 第三者に帰属する電磁的記録の没収について,第三者所有物没収手続応急措置法を適用することとする。
 
 
5 国際捜査共助法の一部改正

○ 共助に必要な証拠の収集に関し,記録命令付差押え及び保全要請を行うことを可能とする(その具体的内容については,刑事訴訟法の規定による場合と同様)。
 
 
6 不正アクセス禁止法の一部改正

○ 不正アクセス行為の罪について,条約による国外犯の規定を整備する。