法制審議会 第148回会議 議事録 第1 日 時  平成18年2月8日(水)  自 午後1時34分                       至 午後3時46分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題   1 信託法の見直しに関する諮問第70号について   2 罰金刑の新設等のための刑事法の整備に関する諮問第75号について   3 電子債権制度の整備に関する諮問第76号について 第4 議 事  (次のとおり) 議        事  (開会宣言の後,法務大臣あいさつを法務大臣政務官が代読した。)   法制審議会第148回会議の開催に当たり,一言ごあいさつ申し上げます。   委員及び幹事の皆様方におかれましては,公私ともに御多用中のところ御出席をいただき,誠にありがとうございます。皆様方の御労苦に対し,厚く御礼を申し上げます。   さて,本日御審議をお願いする議題第1及び第2は,既に諮問がされている事項についてでございます。   まず,議題第1は,信託法の見直しに関する諮問第70号です。   この諮問事項につきましては,信託法部会におきまして調査審議が続けられてきたところでありますが,この度,諮問のうち,私益信託に関する事項についての調査審議が終了し,その結果,社会・経済情勢の変化に的確に対応する観点から,受託者の負う忠実義務等の内容を適切な要件の下で緩和することなどを内容とする「信託法改正要綱案」が決定され,本日報告されるものと承知しております。速やかに御答申をいただきたいと存じます。   第2は,罰金刑の新設等のための刑事法の整備に関する諮問第75号です。   この諮問事項につきましては,刑事法(財産刑関係)部会において議論がなされ,本日その結果が報告されるものと承知しております。   公務執行妨害,窃盗等の犯罪に関する最近の情勢等にかんがみ,これらの犯罪に適正に対処するため,早急に,罰金刑を新設するなどの整備を行う必要があると思われますので,速やかに御答申をいただきたいと存じます。   次に,議題第3は,新たに諮問するものですが,電子債権制度の整備に関する諮問第76号です。   近時,売掛債権等の金銭債権を活用した資金調達手法が注目されており,金銭債権について,その取引の安全を確保することが要請されております。また,経済社会のIT化が進展する中で,金銭債権の電子的な手段による譲渡について,利便性とともに法的安定性を確保することも要請されております。   そこで,これらの要請にこたえるという観点から,権利の発生,移転を,電子的な帳簿への登録によって行うという電子債権に関する制度について御検討をお願いするものです。   それでは,これらの議題につきまして,どうぞよろしく御審議をお願いいたします。  (法務大臣政務官の退席後,委員の異動につき紹介し,引き続き,本日の議題について次のように審議が進められた。) ● 先ほどの法務大臣あいさつにもございましたように,本日は,  1 信託法の見直しに関する諮問第70号について  2 罰金刑の新設等のための刑事法の整備に関する諮問第75号について  3 電子債権制度の整備に関する諮問第76号について   以上の審議事項につきまして御審議いただきたいと存じます。   委員,幹事の皆様には十分に御審議いただくことは当然ではございますが,議事の進行にも御協力いただきまして各審議事項の決定を行いたいと存じておりますので,よろしくお願いいたします。   また,すべての議題が終わりました後,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法案について御報告がございます。   本日の第1の議題であります信託法の見直しに関する諮問第70号につきまして,御審議をお願いいたしたいと存じます。   まず,信託法部会における審議の経過及び結果につきまして,○○部会長から御報告をお願いいたします。 ● 信託法部会の部会長の○○でございます。よろしくお願いいたします。   諮問第70号につき,本年の1月20日に開催されました信託法部会第30回会議におきまして「信託法改正要綱案」を決定いたしましたので,その審議の経過及び要綱案の内容につきまして御報告いたしたいと存じます。   まず,要綱案の決定に至る審議の経過につきまして,御報告申し上げたいと思います。   諮問第70号は平成16年9月8日に発せられたものでございまして,「現代社会に広く定着しつつある信託について,社会・経済情勢の変化に的確に対応する観点から,受託者の負う忠実義務等の内容を適切な要件の下で緩和し,受益者が多数に上る信託に対応した意思決定のルール等を定め,受益権の有価証券化を認めるなど,信託法の現代化を図る必要があると思われるので,その要綱を示されたい。」という内容でございました。   信託法は大正11年に制定された法律でありまして,制定から80年以上,実質的な改正がされずに今日に至っておりますが,その間に信託を利用した金融商品が幅広く定着するようになっていることや,資産の流動化目的の信託など信託法の制定当時には想定されていなかった形態での信託の活用も図られるようになっていることを踏まえ,今日の取引の状況に対応できるように,その現代化を図るべきであるとの指摘がされてきたところでございます。   そこで,平成16年9月にこの諮問がされ,これを受けまして,当審議会に信託法部会が設置されたものでございます。   信託法部会では,平成16年10月から諮問についての調査審議を続け,昨年7月には,それまでの審議の中間的な成果として「信託法改正要綱試案」を取りまとめ,これを公表するとともに,約1か月にわたるパブリック・コメントの手続を行いました。   その後,パブリック・コメント手続により試案に対して寄せられた多数の意見を踏まえまして,部会においてさらに審議を進めた結果,本年1月20日開催の第30回会議におきまして,諮問された事項のうち公益信託に関する部分を除く私益信託に関する見直しの内容を「信託法改正要綱案」として取りまとめるに至りました。   以上が,要綱案の決定に至る審議の経過でございます。   続きまして,要綱案の具体的な内容について御説明する前に,その要点につきまして,簡単に御報告申し上げます。   要綱案は,現行信託法の全体にわたって見直しを行っておりますが,見直しの要点を大きく分類すれば,次の3点に分けることができます。   まず第1に,当事者の私的自治を尊重する観点から,過度に規制的なルールの見直しを図っております。   現行信託法の制定当時,信託はいまだ社会に定着しておらず,他方において,悪質な信託会社の取締りの要請が強かったため,現行法には,受託者の財産管理のルールを中心として,当事者の意思によって排除することができない,いわゆる強行規定が多数置かれております。   しかしながら,その後80年余り経過をし,信託制度は社会的に見ても相当程度認知されるに至っており,経済取引に,さらには福祉事業,公益事業といった分野においても,信託をさまざまに活用していこうという試みが広く行われるようになっております。   そこで,現行法のもとでは強行的に禁止されている利益相反行為を,信託行為の定めや受益者の承認に基づくことによって行うことができるものとするなど,過度に規制的なルールを緩和しております。   第2に,受益者の権利行使について,合理的なルールの整備を図っております。   先ほど申し上げましたように,要綱案においては当事者の私的自治にゆだねる範囲を拡大しておりますが,他方で,信託という財産管理のための法制の信頼性を損なわないものにするという観点から,受託者の財産管理をチェックする受益者の権利行使をより実効的なものにするという必要がございます。   そこで,受益者が受託者を監督するために必要な情報を適切に入手することができるように,受託者が受益者に対して積極的に情報を提供すべき義務を課し,帳簿等の作成,保管に関する規定を整備するなどの見直しを行っております。   第3に,多様な信託の利用形態に対応するための制度の整備を図っております。   先ほど申し上げましたように,現行信託法が制定されたのは大正時代でありまして,その当時と現在とでは信託に対するニーズには格段の違いがございます。その使われ方もはるかに多様なものになっております。   そこで,例えば,一般的に受益権の有価証券化を可能とし,さらには,振替決済制度の対象とすることにより,信託の商事的な利用のニーズにこたえる。他方で,高齢者の受益者にかわって受託者を監督する信託監督人の制度を新設するなど,信託の民事的な利用のニーズについてもこたえることにしております。   以上が要綱案の3つの要点ですが,次に,その具体的な内容につきまして,要綱案の順番に従って御説明することにいたします。信託法の改正要綱案というのがございますので,それに従って御説明を申し上げます。   まず,1ページから3ページまでは,「総則関係」の事項でございます。   その「第1,信託の意義等について」におきましては,信託の意義及び方法を明確化しております。   信託の方法としましては,契約を締結する方法と遺言をする方法に加えまして,一定の目的の達成のために,自己の有する財産の管理などの必要な行為をみずからすべき旨の意思表示を公正証書などの書面をもって行う方法,すなわち自己信託あるいは信託宣言と呼ばれているものですが,これを認めることにしております。   また,現行法では,信託契約は要物契約と解されておりますが,第1の中の2の(1)におきまして,信託契約が諾成契約であることを明確にしております。これにより,信託財産の引渡し等がある前であっても受託者の義務が生じ得ることとなり,受益者の保護に資するものと考えております。   次に,「第2,脱法信託及び訴訟信託について」でございます。   これは,法令により財産権を享有できない者は,受益者としても同様の利益を享受できないとする脱法信託の禁止,及び訴訟信託の禁止について,現行法の規定にもあるわけですが,この現行法の趣旨を維持するものでございます。   また,次のページになりますが,「第3,詐害信託取消しについて」でございます。   これは,委託者が債権者を害することを知って信託をした場合には,受託者の主観にかかわらず,民法の詐害行為取消権を行使できることとしております。他方で,現行法とは異なりまして,受益者の保護を図る観点から,善意の受益者がいる場合には取消しができないこととしております。   次に,「第4,受託者不適格者」でございます。   ここでは,現行法と同様に,未成年者,成年被後見人及び被保佐人を受託者の不適格者としておりますが,民法の委任とのバランスから,破産者を受託者不適格者からは除くことにしております。   また,現行法では受託者が信託の利益の全部を享受することは全面的に禁止されておりますが,一たん受託者が全部の利益を取得した後に受益権を譲渡することを可能にしたいという実務的なニーズなどもあることを考慮いたしまして,「第5,受託者による受益権の全部の継続保有等の禁止について」のとおり,一定の限度でこれを許容することにしております。   さらに,第6では,営業として行う信託の引受けを商行為とする現行法を維持し,第7では,信託制度への信頼が欠けていた現行法制定当時とは状況が異なることから,非営業信託に関する裁判所の監督に関する規定を削除することにしております。   次に,4ページから7ページまで,ここでは「信託財産関係」の事項について扱っているわけでございます。   まず,「第8,信託の公示について」では,信託の公示につきまして,基本的には現行法の規定を維持しておりますが,有価証券に関する信託の公示について,証券面に信託財産であること等の記載を要する現行法の取扱いは,信託財産である大量の有価証券が頻繁に売買される場合には現実的ではないために,これを要しないものとしております。   また,第9では,現行法と同様に,広い意味での代位物が信託財産となることとし,第10では,各信託財産及び固有財産に属する財産は,それぞれ別の所有者に属するものとみなしまして,民法の付合,混和または加工に関する規定を適用することとしております。   次に,「第11,信託財産と固有財産等との識別不能について」でございます。   ここでは,信託財産を保全するため,信託財産と固有財産とが識別不能となった場合には,固有財産と信託財産とが共有の状態になるというふうにみなしまして,新しいルールを設けることにしております。   第12は,信託財産は受託者の相続財産に属しないとする現行法の第15条を削除するというものでございます。   要綱案では,これは後の方,23ページにございます第42の1にありますとおり,受託者が死亡したときは,新受託者が就任しない限りは信託財産は法人とみなすということにしております。信託財産が受託者の相続財産に属しないことは,これによって明らかになるわけでございます。   また,次の「第13,信託財産に対する強制執行等について」でございますが,ここでは,現行法と同様に,受託者の固有財産に属する債務に係る債権者は,原則として,信託財産についてみずからの権利を主張できないとしております。その上で,信託財産に対する強制執行等が可能な権利を個別的に列挙することによって,信託財産に対して権利を主張できない範囲を明確化しております。   次の「第14,受託者の倒産の場合における信託と倒産手続との関係について」でございますが,ここでは,受託者につき破産手続や再生手続が開始された場合に,信託財産あるいは信託債権や受益債権がどのように扱われるかを整理しており,信託財産が受託者の倒産リスクから隔離されることを明文で認めることとしております。   さらに,「第15,相殺に関する規定の取扱いについて」でございますが,ここでは,現行法の趣旨を敷衍して,第三者から受託者に対する相殺の場合についての規律を新たに設けることにしております。   このほか,信託財産関係では,いずれも現行法の趣旨を維持するものですが,第16では,信託財産にかかる混同についての民法の例外を定めるとともに,第17で,受託者は委託者の占有の瑕疵を承継するということにしております。   次に,8ページから24ページまで大分長いわけですが,ここで,「受託者関係」について扱っております。この点について御説明を申し上げます。   まず,受託者の義務に関する項目がいろいろ続きますけれども,第18及び第19では,現行法と同様に,信託事務の遂行義務と善管注意義務というものを定めております。   また,これと併せて,第20では忠実義務に関する一般規定を設けるとともに,利益相反行為及び競合行為に関する詳細なルールを設けることとしております。   これは,受託者が委託者の財産を自己の財産とした上で,これを受益者のために管理,処分するという信託の構造にかんがみますと,受託者は受益者のために忠実に行為をしなければならないとする忠実義務は,極めて重要な義務であると考えられることによるものであります。   なお,現行法のもとでは,例えば受託者が信託財産であるビルにテナントとして入居することなどは利益相反行為として許されないとされておりましたが,この第20の2の(2)によりまして,信託行為の定め,受益者の承認等があれば,このような行為も許されるようにしております。   忠実義務違反の効果につきましては,これは第20の4の(1)と(2)でございますが,ここで,受益者は行為の類型に応じて無効または取消しの主張ができることとしており,さらに(3)で,受託者に忠実義務違反行為によって得た利益がある場合には,その額と同額の損失を信託財産に生じさせたものと推定することといたしまして,信託財産の保護,さらには受益者の保護を厚くすることとしております。   第21では,1つの信託の中に受益者が複数存在する場合には,受託者は各受益者を公平に扱わなければならないという公平義務を新たに課すこととしております。   分別管理義務については,第22にありますように,基本的には現行法と同様に,受託者は信託財産を受託者の固有財産または他の信託の信託財産と分別して管理すべきこととしております。もっとも,同種の動産を効率的に管理,処分するために必要がある場合などには,信託行為の定めに基づきまして,これらの動産等を混合して保管することも許容しております。   第23では,信託事務処理の第三者への委託を現行法よりも広く認めております。   これは,現代社会におきましては,さまざまな個別の業務を外部の専門業者に委託することによって,適切な信託事務処理が可能になる場合が多いことを考慮したためでございます。   第24では,受益者による受託者の監督を充実させる観点から,受託者が作成すべき帳簿等の内容及びその保存期間を明確化した上で,受託者に対して,新たに積極的な情報提供義務を課し,さらに帳簿等についての受益者からの閲覧,謄写請求の制度を整備することにしております。   第25では,受益者が複数ある場合には,受益者は原則として受託者から他の受益者の氏名等の情報開示を受けることができるとするとともに,他の受益者のプライバシーを保護するために一定の開示拒否事由を定めることにしております。   第26から29までですが,ここでは,受託者がその義務に反した結果,信託財産に損失が生じた場合の受託者の責任等につきまして,所要の措置を講ずることとするものであります。   また,受託者の違法行為を事前に防止するために,第30では,受益者に対して新たに受託者の違法行為の差止請求権というものを与えまして,第31では,信託事務及び信託財産の状況を調査させるための検査役の選任を裁判所に請求する権利を認めております。   第32及び第33では,受託者の権限の範囲を明確にするとともに,受託者が権限に違反して信託財産を処分した場合などには,相手方が悪意重過失であれば,受益者が取消権を行使することができるということとしております。   第34及び第35では,受託者が信託事務の処理に要した費用や信託報酬を信託財産から取得することを認めるとともに,その場合の手続等についての見直しをしております。   第36は,受託者が複数の場合に関するもので,現行法と異なりまして,各受託者の全員一致を要するものといたしませんで,多数決で事務処理を決することとし,円滑,迅速な事務処理を可能にするとともに,その能力等に応じて異なる信託事務を分担すること,すなわち職務を分掌することなどを可能にして,多様な信託形態に対応することができるように図っております。   第37から第39までは,受託者の任務の終了に関する事項でございます。   受託者の解任に関しましては,裁判所への申立てを要する現行法と異なり,委託者及び受益者はいつでも受託者を解任することができることといたしまして,その監督権能を強化しております。   そして,第40から43までが,前受託者の任務が終了してから新たな受託者が登場するまで,すなわち受託者の交代の局面における法律関係に関する事項でございます。   前受託者等に,受益者に対して任務が終了したことを通知すべき義務を負わせること,委託者及び受益者の合意により新受託者を選任することができるものとすること,受託者が欠けた場合に選任される信託財産管理者に関する規律を整備することなどにより,信託財産が受託者の交代の際に散逸する事態を防止しております。   次に,大きな項目といたしまして,25ページから31ページまでの「受益者・受益権関係」について御説明を申し上げます。   まず,受益者関係ですが,第44では,受益者は受益権を当然に取得すること,第45では,受益者として指定された第三者は,信託の利益を享受しない旨の意思表示をすることができ,この場合には,当初から受益者として指定されていなかったものとみなされることとしております。   また,第46では,ある者が受益者を指定しまたは変更する権利を有する場合における,その権利の行使方法等を定めるとともに,第47では,遺言による財産承継に代えて,信託による自己の死亡後の財産承継を行おうとする場合には,委託者は原則として受益者を変更する権利を有するものとし,遺言の場合と実質的に同様な取扱いとなるようにしております。   第48でございますが,ここでは,いわゆる後継ぎ遺贈型の受益者連続の信託に関する規定を設けることとしております。   後継ぎ遺贈型の受益者連続の信託とは,ある受益者の死亡のときに別の受益者が新たに受益権を取得し,その受益者が死亡のときにさらに別の受益者が新たに受益権を取得すると,これが複数回繰り返されることがあるわけでございますが,こういうものを後継ぎ遺贈型の受益者連続の信託を呼んでおります。   これは,法定相続とは異なる財産承継を可能にする手段としてのニーズがあると,こういう信託については法定相続とは異なる財産承継を可能にするわけですが,そういうニーズがあるという指摘がされております。   そこで,このような信託は,信託がなされたときから30年を経過したときに現存した受益者が死亡し,またはその取得した受益権が消滅するまでの間は有効であることを明確にしております。   こういった後継ぎ遺贈型の受益者連続の信託について,あまり長い期間これを認めるのは適当ではないのではないか,先ほど申しましたように,連続して次の受益者,次の受益者,またさらに次の受益者というふうに,幾らでも理論的には先の先の受益者まで決めることができるわけですが,しかし,それをあまり長い期間にわたって認めるのは問題があるのではないかということで,先ほど申し上げましたように,信託設定時から30年を経過したときに現存する受益者,これをいわば最後の受益者といたしまして,この受益者が死亡するまで,あるいはその人の受益権が消滅するまではこの信託が有効であるという扱いをしたらどうかという内容でございます。   第49は,現行の信託管理人制度を再整理,発展させたものでございまして,信託管理人,信託監督人,受益者代理人という3つの制度を創設することとしております。   これらは,いずれも受益者のために受益者の有する各種の監督権能を行使するものでして,信託管理人は,受益者が将来生まれる子供などでいまだ現存していないという場合に設けるものでございます。   それから,信託監督人は,これは受益者が存在するわけですが,しかし受益者が高齢者であったり,あるいは未成年者であるために受託者を適切に監督することが期待できないという場合に選任されるものでございます。   受益者代理人というのは,これは多数の受益者がいるという場合に,その多数の受益者に代わって,その利益のために受益者の権利を行使するというものでございます。   第50は,ここに掲げた受益者の権利は信託行為で制限することができない,そういう重要な権利であるとして,受益者の保護を図るものとしております。   第51では,信託の目的の変更や,あるいは受益権の譲渡の制限など重要な信託の変更がなされたことによって受益者が損害を受けるおそれがある場合などに,その受益者が,受託者に対して自己の有する受益権を公正な価格で取得するよう請求することができる,いわゆる受益権取得請求権というものを認めております。   次の第52は,受益者が複数の場合ですが,その場合の意思決定の方法について定めるものでございます。   現行法には,この受益者が複数の場合にどういうふうになるかということについての規律がございませんが,現実には,1個の信託行為によって多数の者が受益者として指定される場合というのはかなり多くございます。その場合の多数の受益者の意思決定方法について,ここでは一定のルールを設けることとしております。   次に,受益権そのものについてでございますが,まず,第53では,受益権は指名債権に準じた方法で譲渡することができるものとしております。   それから,その後続きまして第54から第56まで,ここでは,受益者が受託者に対して有する受益債権について,受託者は信託財産のみをもって履行する責任を負うことといたしまして,また受益債権は信託債権に劣後すること,それから受益債権の消滅時効等につきまして規律を設けることとしております。   次の大きな項目といたしまして,「委託者関係」でございますが,第32ページからございます。   委託者関係のところでは,まず第57で,委託者の権利義務等を定めております。   現行法は,委託者についても信託に関する各種の権能を認めておりますが,こういうことでは信託に関する法律関係をいたずらに複雑化させるということで,その結果,また委託者と受益者との間に無用の対立を生じさせるおそれがありますことから,この提案では委託者の権利義務の原則的な内容の見直しを行いまして,信託目的にかかわる意思決定や受託者の解任等に関する権能のみを委託者には認めることとしております。   第58では,遺言信託における委託者の相続人についてですが,委託者の相続人は受益者と利益が相反する関係にございます。そこで,委託者の地位を相続承継しないということにしております。   次に,33ページから39ページでございますが,「信託の変更関係」について御説明申し上げます。   ここでは,第59から第61におきまして,それぞれ信託の変更,信託の併合及び分割に関する規律を設けることとしております。   現行法では,信託財産の管理方法の変更に関する規定があるほかは,信託の変更に関する規定はなく,信託を変更するには委託者,受益者,受託者全員の合意による必要があると解されております。   しかしながら,信託がされた時点では予想できない事態が生じた場合に,信託の変更が柔軟かつ迅速に行われないときは,委託者の企図する目的を達成することができないばかりか受益者の利益にも資さないと考えられます。   そこで,第59では,一定の場合には委託者,受益者または受託者のうちの一部の者によって信託の変更ができることとし,さらには信託行為で定めた方法に従って信託の変更を行うことを許容しております。そういう意味で,少しこの変更を簡単にできるようにしております。   また,同一の受託者に属する複数の信託財産を1つの新たな信託における信託財産とすること,すなわち信託の併合や,あるいは,ある信託の信託財産の一部を,受託者を同一とする新たな信託の信託財産とすること,すなわち信託の分割でございますが,これについては社会的なニーズが存在するものの現行法にはこれらに関する規定が存在しておりません。   そこで,第60では信託の併合について,また,第61では信託の分割について,それぞれ手続を明確化しております。   次に大きな項目といたしまして,「信託の終了関係」でございますが,39ページから41ページでございます。   現行法では,信託の終了の概念が不明確でありましたが,会社の解散及び清算に倣いまして,信託の終了事由が生じた場合には,信託債権に係る債務等を清算し,帰属権利者または受益者に残余財産を交付することとしております。   まず,第62では,信託の終了事由について見直しをしております。   現行法のもとでは,裁判所による信託の解除により信託が予想外の時期に終了するリスクが存在し,信託を利用した投資商品を設計する際に問題になるとの指摘がございましたが,裁判所が信託の終了を命ずる要件を厳格なものに改めることによりまして,この問題に対処しております。   第63では,現行法の下では,信託の終了事由が発生した場合にどのように清算事務を行って帰属権利者等に財産を交付するかが明確でなかったことから,清算段階に入った後の受託者の職務,残余財産の帰属,最終計算等について規律を設けることとしております。   第64におきましては,信託財産がその債務に比して過少となったとき等における債権者間の公平弁済を確保するため,信託財産の破産に関する規律を整備することとしております。   最後に,42ページ以下の「特殊な類型の信託関係等」についてでございます。この点を御説明申し上げます。   まず,第65では,遺言信託に関して,受託者として指定されたものに対して,利害関係人が就任を承諾するかどうかについて確答すべき旨を催告することができる制度を設けております。   また,遺言によって受託者として指定された者が信託を引き受けなかった場合に加えて,そもそも受託者の指定がされていない場合についても,遺言者の最終意思を尊重するため,利害関係人は裁判所に受託者の選任を請求することができることとしております。   第66では,信託行為に定めを置くことにより,受益権を表示する有価証券を発行することを可能としております。   投資信託や貸付信託等については,特別法により受益権の有価証券化が既に認められておりますが,信託は多様な形態で利用されるものであることから,これを一般的に認めることにしたものであります。   第67では,限定責任信託という新たな類型の信託を創設することとしております。   信託事務に関する取引から生じた債務については,受託者の固有財産と信託財産とがともに責任財産となるのが信託の原則ですが,限定責任信託におきましては信託財産のみが責任財産となる点に特徴があります。   そこで,限定責任信託においては,債権者保護,責任財産充実のため,取引の相手方に対して限定責任信託であることを明示すべき義務や,帳簿等の作成義務の特例を設け,財産分配の制限や,この制限に違反した場合の責任を課し,さらに限定責任信託の登記の制度を設けることとしております。   第68は,いわゆる目的信託と言われるものですが,これは受益者の定めのない信託でございます。   この目的信託に関しましても,このような信託をあまり長期間にわたって存続することを認めるのは問題があるということから,20年以内であれば有効に成立するというふうにしてございます。   第69は,公益信託,すなわち,いわゆる目的信託のうち公益を目的とするものについてでございます。   先ほど言い忘れましたが,目的信託の場合には,これは公益を目的とするというわけではなくて,広くそれ以外の私的な目的でも構わない,しかし,受益者がいない信託であると,これが目的信託でございます。公益信託は,この目的信託の中の1類型と考えてよろしいかと思いますが,その信託の目的が公益を目的とするというものでございます。   この公益信託に関しましては,当面現行法の趣旨を維持することにした上で,類似の制度であります公益法人制度の改正動向等を踏まえ,今後,主務官庁制の廃止等について引き続き検討することとしております。   最後の第70は,関連する規定について所要の整備を行うというものでございます。   以上,要綱案の要点につきまして御説明させていただきました。   よろしく御審議をいただければと存じます。 ● どうもありがとうございました。   それでは,ただいまの○○部会長の御報告及び要綱案の全般的な点につきまして,まず,御質問がございましたら御発言をお願いしたいと思います。   御質問がございませんようですので,次に,御意見を承りたいと存じます。--御意見ございませんでしょうか。   はい,どうぞ。 ● それでは,細かな点でございますけれども,今度のこの信託法要綱案で,従来は明文の規定がなかった担保権の設定による信託というのが認められるようでございます。総則の関係の第1の1の(1)に「担保権の設定その他の財産の処分」という言葉が入っておりますので,担保権の設定による信託というものが認められるようでございます。   従来は担信法の規定があったわけでございますけれども,それは特別法で,今度は担保権の信託という形で,信託法という一般法の中にこういうものが出てくるというふうに理解しておりますが,そういうふうにいたしますと,担保権者と債権者というものが分かれてくるというふうに理解しております。   日本の民法は,担保権を持っている債権者は,担保権者であり債権者であるというふうに理解しておりますが,今度は担保権だけの信託を受けた者と,それとは違う債権者,裸の債権だけを持っている者とが分かれてくる。   そういたしますと,少し長い前置きで申しわけございませんが,民事執行手続などは,つまり,担保権の執行ということになりますと,担保権者は同時に債権者であるという前提で民事執行法ができておりますし,倒産法もそういうふうにできておりますが,今度は担保権の存在と債権者の債権の存在とが別人に属するようなことになった場合に,執行手続法上の手当てということについてもお考えはいただくのではないだろうかと。   それを,この信託法の中で考えるのかその他で考えるのかわかりませんけれども,そういうことについても,どういうお考えでいらっしゃるのかということを教えていただければというふうに思います。   大変マイナーな質問で申しわけありませんけれども,私,手続法をやっておりますから,そういう細かなことでしか気がつかないものですから,どうぞよろしくお願いいたします。 ● ありがとうございました。   よろしくお願いします。 ● 御指摘のように,担保権を設定する形で信託というのを認めますと,担保権者は,これは受託者が担保権を取得し,その担保権で担保される被担保債権者というのは別にいるということになりまして,ただ,別にいる被担保債権者というのはこの信託の受益者になるわけですが,いずれにせよ,担保権者は受託者で,被担保債権者は受託者とは別の受益者が被担保債権者になっているということで,担保権の帰属と,それから被担保債権の帰属が分離する形になるわけでございます。   それに伴ういろいろな問題点があるわけですが,今の御質問は,執行法等の関係で,この被担保債権とは分離している担保権者に,担保権の実行等についての権限が果たしてあるのかという御質問だと思います。   これにつきましては,確かに,多少,執行法上いろいろ疑義がある可能性がございますので,信託法の中で,この担保権の信託が設定された場合の受託者に担保権等を実行することができる権限があるということを規定するのが一番簡明ではないかというふうに考えております。そういう方向で検討しております。 ● よろしゅうございますか。   ほかに,御意見あるいは御質問でも結構でございますが,ございませんでしょうか。   ほかに御質問,御意見等がございませんようですので,原案につきまして採決に移りたいと存じますが,よろしゅうございますでしょうか。--特に御意見がないようでございますので,そのように取り計らわせていただきます。   それでは,諮問第70号につきましては,信託法部会から報告されましたとおり,私益信託に関する部分につきまして,信託法改正要綱案のとおり答申することに賛成の方は挙手をお願いいたします。              (賛 成 者 挙 手)   ありがとうございました。 ● 採決の結果を御報告申し上げます。   原案に賛成の委員は15名でございます。議長を除くただいまの出席委員は15名でございます。 ● 採決の結果,全員賛成でございますので,信託法部会から報告されました信託法改正要綱案は,原案のとおり採択されたものと認めます。   したがいまして,本日御審議いただき採択されました要綱につきましては,直ちに法務大臣に対して答申することといたします。   どうもありがとうございました。   なお,要綱を今後条文にいたします場合には,立法技術上の問題もございますので,その表現ぶり等につきましては,事務当局に御一任をいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。   ありがとうございました。お疲れさまでございました。 ● どうもありがとうございました。 ● 続きまして,「罰金刑の新設等のための刑事法の整備に関する諮問第75号」につきまして,御審議をお願いいたしたいと存じます。   まず,刑事法(財産刑関係)部会における審議の経過及び結果につきまして,御報告をちょうだいしたいと思います。   本来であれば,総会委員でいらっしゃいます○○部会長に御報告をお願いするところでございますが,○○部会長におかれましては体調がちょっとお悪いようでございますので,総会関係官であり,刑事法(財産刑関係)部会の臨時委員としてその審議にも関与しました○○関係官から御報告いただきたいと思いますが,よろしゅうございますでしょうか。--御異議がないようでございますので,そのように進めさせていただきます。   ○○関係官,御報告をお願いいたします。 ● それでは,私の方から代読の形で御報告申し上げます。   諮問第75号は,近年における公務執行妨害,業務上過失致死傷及び窃盗の各罪等の実情等にかんがみ,早急に,これらの罪につき罰金刑を新設するなどその法定刑を改正するとともに,財産刑に関する手続規定を整備する必要があると思われることから,要綱(骨子)についての意見を求めるというものでございましたが,本審議会は,昨年10月6日開催の第147回会議におきまして,まず部会に検討させる旨の決定をされました。   これを受けまして,刑事法(財産刑関係)部会で3回にわたって審議をいたしました結果,諮問第75号については,諮問に付された要綱(骨子)を一部修正した上,刑法等を改正することが相当である旨決定いたしました。   要綱(骨子)全体につき,全会一致で,ただいま申し上げた結論に達したものでありまして,その要綱(骨子)は,配布資料刑1としてお手元に配布してあるものでございます。   それでは,刑事法(財産刑関係)部会における議論の概要につきまして,御報告申し上げます。   まず,要綱(骨子)第一についてですが,これは刑法第95条第1項及び第2項の公務執行妨害及び職務強要の各罪並びに刑法第235条の窃盗の罪に選択刑として50万円以下の罰金刑を新設するとともに,刑法第211条第1項の業務上過失致死傷及び重過失致死傷の各罪の罰金刑の上限額を50万円から100万円に引き上げることを内容とするものです。   近年,公務執行妨害罪の検挙件数が急増し,酔余あるいは感情の行き違い等から,警察官に暴行を加えたものの,すぐに制圧されるといった比較的影響の小さい類型の事案も多く見られるほか,窃盗罪,特に,やはり検挙件数が急増している万引き事犯の中には,偶発的に行われ,被害金額が少額で,かつ,速やかに被害回復がなされるといった比較的軽い類型も見られます。   このような事案につきましては,一方で,公務の保護の重要性や窃盗罪の利欲犯的性格からして,相応の刑罰を科して同種事犯の再発を防止する必要がある反面,これらの罪の法定刑がいずれも自由刑に限られていることから,現実には,起訴すべきか否かの判断に困難を伴うものが少なくないと認められます。   また,業務上過失致死傷罪等につきましては,罰金刑の上限額が平成3年に現行の50万円に引き上げられたものの,近時の国民意識に照らしますと,罰金刑相当事案の中でも,特に死亡や重大な傷害の結果が生じた事案等においては,この上限額では事案に応じた適正な科刑が困難な場合があるのは否定できず,このことは,特に致死罪について,罰金刑相当事案のうち,法定刑の上限である50万円が科される事件の割合が増加していることからもうかがえます。   要綱(骨子)第一は,こうした実情に対処しようとするものです。   部会の議論では,まず要綱(骨子)第一全体にほぼ共通する論点としまして,今回の罰金刑の新設や引上げは,専ら,従来,窃盗罪や公務執行妨害罪等で起訴猶予処分とされていた事案を罰金刑の対象としたり,例えば,業務上過失致死傷罪等で50万円以下の罰金刑が科されていた事案について100万円の罰金刑が科され得るようにするといった重罰化につながるものなのか,逆に,従来,自由刑を求めて公判請求されていた事案が罰金刑の対象となる場合もあり得るのではないか,という意見や,これまで自由刑の定めしかなかった窃盗罪や公務執行妨害罪等に罰金刑を新設することは,国民がこれらの罪についての寛刑化と見て,その規範意識を希薄化させることにつながるのではないか,などとの意見が示されました。   これらにつきましては,今回の法定刑の見直しは,あくまで,事案に応じた適正な処理・科刑の実現を可能にするために刑の選択の幅を広げるものであって,検察官がこれまで行ってきた公判請求の判断に影響を及ぼし,その処理を変更させる意図を有するものではないし,現実にも,自由刑と罰金刑との間の刑種の選択,判断の持つ意味の大きさに照らせば,今回の見直しがこのような判断に大きな影響を与えるとも考え難いが,個別の事件においては,それぞれの事案に応じた適切な処理・科刑がなされるものと考えられる,との意見や,罰金刑の新設は,抽象的には寛刑化に見えることがあるとしても,現に自由刑しか定められていないがために起訴猶予処分にせざるを得ないような事案が相当数存するという実情があり,これに対処するための法定刑の見直しであるという趣旨を,国民に十分説明し理解を得ることによって,規範意識の希薄化といった懸念は払拭できると思われる,との意見が示されました。   次に,要綱(骨子)第一の一についてですが,要綱(骨子)原案では,公務執行妨害罪等の罰金刑の上限額が30万円とされ,その理由として,公務の保護の重要性に照らし,同罪では自由刑を基本とし,一部の比較的軽い事案のみにつき限定的に罰金刑による処理を可能とするという趣旨を明確にするためにやや低い額にとどめた旨説明されていたのに対し,部会では,そのような説明は国民には理解し難いのではないか,逆に,上限額が30万円では,これを50万円とする業務妨害罪よりも軽い罪と見られてしまうのではないか,公務にも多様なものがあるので同罪と同じ50万円でよいのではないか,などとの意見が示されました。   その後,第3回部会において,事務当局から,公務執行妨害罪等について罰金刑を新設する趣旨自体を変更するものではないという前提で,今述べたような部会での意見も踏まえ,その上限額を50万円と改める内容の修正案が提出され,また,一部委員からも,結論において同じ修正案が示されましたが,この修正案につきましては異論がございませんでした。   次に,要綱(骨子)第一の二についてですが,部会では,既に述べた重罰化につながるのかなどといった論点のほか,見直し後の業務上あるいは重過失致死傷罪の罰金刑の上限額を100万円とすることに合理性があるか,などの論点について議論が行われました。   この点につきましては,現在の50万円という上限額に対しては,たとえ罰金刑が相当な事案であったとしても,人一人の命が奪われて最大50万円の罰金刑を科されるにすぎないのか,という業務上過失致死傷事件の被害者やその遺族等からの意見があることや,近年,この種事件,とりわけ致死事件における罰金刑相当事案の4割を超える事案で上限額である50万円の罰金刑が科されていることにかんがみると,刑法上の他の罰金刑との均衡や過失犯の性格を考慮した上で,罰金刑の上限額を少なくとも100万円まで引き上げることが,制裁の在り方として国民の意識にも合致するものと考えられる,との意見が示されました。   次に,要綱(骨子)第一の三についてですが,窃盗罪以外の財産犯についても罰金刑を選択刑として新設することを検討すべきであるとの意見があり,この点を附帯決議としてはどうかとの提案も一部委員からあったほか,比較的軽微な窃盗罪について特別な構成要件を定めることは考えられないか,という意見や,財産犯全体の法定刑の在り方について見直す必要があって,例えば,常習累犯窃盗罪の中にも態様自体としては比較的軽微な事案があり,とりわけ,同罪については,半数近くの事件において酌量減軽が行われ,法定刑の下限を下回る量刑となっていることに照らし,窃盗の罪全体から見れば,常習累犯窃盗罪の法定刑の下限の引下げも行う方が整合的といえる,との意見も示されました。   これらに対しては,自由刑を求めて起訴すべきか否かの判断に困難を生ずるような事案が多発する財産犯の類型は,現段階では,万引きを主とする窃盗罪以外には想定し難いことなどから,将来における検討の必要性は別として,早急に見直すべきものとして窃盗罪のみを取り上げたのは理解できるとの意見や,仮に比較的軽微な窃盗罪に係る新たな構成要件を設けるとした場合には,その内容を明確に画することに困難を伴う上,他の罪との均衡等も考慮する必要がある,という意見が示されました。   また,懲役刑の定めしかない常習累犯窃盗罪の法定刑についての検討は,今回の諮問における財産刑に関する一部見直しの問題というより,広く財産犯全体の法定刑の在り方という観点からの検討課題に含まれるとの認識が示され,これらの課題については,事務当局において引き続き検討し,必要な法改正があれば速やかに提案することとされました。   なお,財産犯全体の法定刑の在り方の見直しについては,諮問第69号を審議した平成16年9月の法制審議会第143回会議で既に附帯決議とされ,その検討を継続することが確認されており,一部に提案のあった新たな附帯決議は適当ではない旨の意見も示され,この点については,部会として最終的には異論がありませんでした。   次に,要綱(骨子)第二についてですが,これは,刑事訴訟法第461条以下に規定されている略式命令について,近年,その限度額である50万円の罰金刑を科された者や,通常の公判手続による裁判で50万円を超える罰金刑を科された者の数が増加傾向にあることなどに照らし,50万円を超える罰金刑が相当で,手続として効率性や当事者の負担軽減といった略式命令制度の利点をいかすのが適当と考えられるのに,それが利用できない事案も増加する状況にあると思われることから,要綱(骨子)第一の二に掲げた業務上過失致死傷罪等の罰金刑の上限の引上げ額等も考慮の上,その限度額,すなわち略式命令において科すことができる罰金刑の最高額を現行の50万円から100万円に引き上げることを内容とするものです。   部会における議論では,略式命令により100万円を超える罰金刑を科すことができることとしてはどうか,今回の見直しによって,検察官による求刑判断に変更を来さないか,被害者側は略式命令ではなく公開の法廷での裁判を要望することもあるのではないか,等の論点について検討が行われました。   これらにつきましては,略式命令の相当程度の割合を業務上過失致死傷事件が占めているところ,今回,業務上過失致死傷罪の罰金刑の上限額を100万円に引き上げるとすると,略式命令の限度額を差し当たり同じ金額まで引き上げることが実務的に必要である一方,現時点では更にこれを超える額まで引き上げるべき要請は見当たらない,といった意見や,検察官においては,一定の罰金刑相当との判断をした事案について,略式命令の要件を満たすか否か,これを満たすとして,これを活用するか否かを考慮する,というのが判断の順序と思われ,略式命令の限度額の引上げが検察官による事案の軽重の判断に影響するとは考えられない,との意見,さらには,被害者等の感情については,略式命令制度を活用するか否かの判断においても考慮されるであろうし,略式命令で処理された事件の被害者に対しては,事案の全容がわからないなどとの不満を解消できるよう,捜査機関からの説明や情報の提供で対応する必要もあろう,といった意見が示されました。   最後に,要綱(骨子)第三についてですが,これは,罰金等財産刑に関する法改正を行うことに伴い,その刑罰としての迅速かつ確実な執行,ひいてはその実効性・感銘力を保持する観点から,刑法第18条に規定する労役場留置制度を見直そうとするものであり,第三の一において,現行では認められていない,留置1日の割合に満たない金額の納付を検察官が認めることができるものとするとともに,第三の二において,罰金等の一部が納付された場合において,その残額中,留置1日の割合に満たない端数について,現行の略式裁判実務をも参考にした上で,これを1日に換算して留置することとするものです。   部会における議論では,特に第三の二について,残額中留置1日に満たない端数を1日として留置する場合には,留置1日の割合に満たない金額を受け取った上でそれを意味がないものとして扱うことになり,不当ではないか,このような場合は既に納付を受けた端数金額を返還することは事務的に難しいのか,また,改正後の運用においてこのような事態になることを避けるために何らかの工夫が必要ではないか,といった論点について検討が行われました。   これらにつきましては,財産刑の感銘力を保持するためには確実な執行が重要であり,留置1日の割合に満たない金額を納付したことで残額中の端数の納付を免れる事態になるとすれば,そのことの方が正義の観念に反する上,留置1日に相当する金額は,最高裁判例でも裁判官が自由裁量で定めるとされるなど,一定の基準という意味にとどまるものであって,残額中の端数金額の取扱いを他の1日の換算方法と異なるものとすることも当然に許容される,との意見や,罰金等については納付と同時に国庫に納入され,端数金額を返還するとすれば,国庫から新たな支出として扱わなければならず極めて困難である,運用上は,端数金額の納付を認める際には,そもそも,全額納付の見込みがあることが前提であるが,さらに,その後の取扱いや残額を納付すべきことを十分説明するなど,可能な限りの工夫を行う必要があると思われる,などという意見が示されました。   なお,これらの議論とは直接関連しませんが,一部委員から,罰金の延納・分納を明文化することを検討すべきとの附帯決議案の提出もありました。この点については,現在でも,検察官の裁量で延納・分納が許されており,規定の新設は実益に乏しく,かえって,罰金刑の刑罰としての感銘力を阻害するものとなりかねない上,そもそも,この点は部会で全く論点として議論されておらず,附帯決議にはなじまない,との意見が示され,結局,採決の対象とはなりませんでした。   概略,以上のような審議に基づき,諮問第75号については,要綱(骨子)の原案のうち,第一の一の公務執行妨害等の罪に新設する罰金刑の上限額30万円を50万円に修正したものが一括して採決に付され,全会一致で,修正後の要綱(骨子)のように刑法等を改正することが相当である旨決定されました。   以上でございます。 ● どうもありがとうございました。   それでは,ただいまの御報告及び「要綱(骨子)」の全般的な点につきまして,まず,御質問がございましたら,御発言願います。   はい,どうぞ,○○委員。 ● 若干意見にもわたるものなんですけれども,答申案自体には異論はございませんが,これに基づいてなされる法改正後,予想される法適用の実際について,事務当局に一点お尋ねしたいことがあります。   窃盗罪の法定刑に罰金刑を加えることについては,これまで起訴猶予となることが多かった万引き事犯などについて罰金刑が適用されるということなどが予想されますけれども,業務上過失致死傷罪の罰金刑,この上限を100万円に引き上げることに伴う実務上の変化というのは,どのようなことが予想されるのでしょうか。   例えば,これまでは公判請求されていた事案の一部が略式手続によって処理されるような事態は起こりうるのでしょうか。 ● お願いいたします。 ● 業務上過失致死傷罪の罰金刑の引上げにつきましても,窃盗等の罰金刑の新設と同様に,公判請求するのか,あるいは罰金を相当として,例えば略式請求するのかという検察官の判断について,今回の法改正によって直接影響を与えようとするものとは考えておりませんので,検察の実務として,その点に変化が生ずるものではないというふうに考えております。   むしろ,先ほどの説明の中にもありましたように,これまで罰金刑相当と考えて処理をしていた事案について,法定刑が50万円が限度であるために,その4割程度が,まさに上限いっぱいの50万円という罰金が科されているという実態にかんがみますと,そういった罰金求刑の事案について,その罰金の量刑の幅が広がっていく形で処理がなされるということになるのではないかというふうに考えております。 ● よろしいでしょうか。   ほかに,御質問ございませんでしょうか。   御質問がございませんようでしたら,次に御意見を伺いたいと存じます。御意見のある方,どうぞ御発言ください。   御意見がないようでございますので,それでは原案につきまして,採決に移りたいと存じますが,よろしゅうございますでしょうか。--よろしいですか。   御異議がないようでございますので,そのように取り計らわせていただきます。   それでは,刑事法(財産刑関係)部会から報告されました「要綱(骨子)」のとおり答申することに賛成の方は挙手をお願いいたします。              (賛 成 者 挙 手)   ありがとうございました。   全員御賛成のようでございますが,念のために,反対の方,挙手をお願いいたします。              (反 対 者 挙 手) ● 採決の結果を御報告申し上げます。   原案に賛成の委員は15名でございます。反対の委員はいらっしゃいませんでした。議長を除くただいまの出席委員も15名でございます。 ● 採決の結果,全員賛成でございますので,刑事法(財産刑関係)部会から報告されました要綱(骨子)は,原案のとおり採択されたものと認めます。   したがいまして,本日御審議いただき採択されました「要綱(骨子)」につきましては,直ちに法務大臣に対して答申することといたします。   どうもありがとうございました。   なお,「要綱(骨子)」を今後条文にいたします場合には,立法技術上の問題もございますので,表現ぶり等につきましては事務当局に御一任いただければと思います。よろしくお願いいたします。   ありがとうございました。お席にお帰りください。   それでは,ここで15分ほど休憩をいたしたいと思います。どうもありがとうございました。           (休     憩) ● それでは,審議を再開いたしたいと思います。   続きまして,本日の最後の議題であります電子債権制度の整備に関する諮問第76号につきまして,御審議をお願いいたしたいと存じます。   まず初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ● 民事法制管理官をしております○○でございます。   諮問を朗読させていただきます。   諮問第76号   金銭債権について,その取引の安全を確保して流動性を高めるとともに,電子的な手段を利用した譲渡の法的安定性を確保する観点から,別紙「電子債権制度(仮称)の骨子」に記載するところを基本として整備することにつき検討の上,その要綱を示されたい。   引き続いて別紙を朗読させていただきます。   電子債権制度(仮称)の骨子   第一 電子債権の概念     「電子債権」は,①売買等によって発生する原因債権とは別個の金銭債権であり,②電子債権管理機関(仮称)において管理する電子的な帳簿である電子債権原簿(仮称)に発生登録をしなければ発生せず,移転登録をしなければ譲渡されず,抹消登録をしなければ消滅しない債権であって,③指名債権とも,手形債権とも異なる類型の新たな金銭債権とする。   第二 電子債権の発生    一 当事者の申請により電子債権原簿に発生登録がされることによって,初めて電子債権が発生するものとする。    二 必要的な登録事項を設ける他,任意的な登録事項として,原因関係に関する事項等多様な事項の登録を認める。    三 他人名義を冒用して登録がされた場合や,無権限者によって登録内容が変造された場合等における関係者の責任関係を明らかにする。   第三 電子債権の譲渡    一 当事者の申請により電子債権原簿に移転登録がされることによって,初めて電子債権が移転するものとする。    二 移転登録による電子債権の譲渡には善意取得や人的抗弁の切断等の効力を認めて,電子債権の流通の保護を図る。   第四 電子債権の消滅    一 支払等がされたことに加えて,電子債権原簿に抹消登録がされることによって,初めて電子債権が消滅するものとする。    二 電子債権の支払に当たり,電子債権原簿に抹消登録がされるような措置を講ずる。    三 債務者が,電子債権原簿に債権者として登録されている者に支払を行った場合には,一定の要件で免責されることとする。   以上でございます。 ● ありがとうございました。   続きまして,諮問に至る経緯及びその趣旨等につきまして,事務当局から御説明をお願いいたします。 ● それでは,現在のところ仮称ということで電子債権制度と一応呼ばせていただいておりますが,この制度の整備に関する諮問第76号につきまして,提案に至る経緯,諮問の趣旨等を御説明申し上げます。   近時,企業の資金調達の手法といたしまして,売掛債権等の金銭債権を利用することが非常に注目されておりますが,この金銭債権を利用した資金調達を図るためには,金銭債権の譲渡についての取引の安全が確保される,こういうことが必要でございます。   現在,金銭債権を利用して資金調達を行う場合には,指名債権の譲渡または手形の譲渡,こういうことによることが多いわけでございますが,指名債権の譲渡については,これは観念的な権利であるという性格上,債権の存在の確認や先行する債権譲渡の確認のために手間とコストを要するわけで,また,債権の二重譲渡がされるリスク,あるいは譲渡人に対する人的抗弁が譲渡人に対して主張されるリスク,これらのリスクがあるという問題が指摘されているところでございます。   他方,手形の譲渡につきましても,紙媒体を利用するという制度の性格上,その運搬や保管のためのコストを要し,紛失や盗難のリスクがあるという問題が指摘されているところでございます。   経済社会のIT化が進展する中で,電子的な手段を用いた商取引や金融取引,これが発達してきており,これに対応して,電子的な手段による金銭債権の譲渡について法的安定性を確保する必要性が高まっております。このような電子的な手段を用いた債権譲渡の推進につきましては,平成17年2月に政府のIT戦略本部が決定した「IT政策パッケージ2005」でも,これが課題として取り上げられているところでございます。   このような情勢にかんがみますと,これから御説明申し上げますような骨格を有する電子債権に関する制度を整備する必要があると考えられますので,諮問記載の事項について,法制審議会の御意見を伺う必要があると考えたわけでございます。   そこで,次に,諮問についての議論のたたき台とでも言うべき電子債権の制度の骨子について御説明を申し上げます。   初めに,第1の電子債権というものがどういうものであるかという,その概念でございますけれども,この電子債権は,第1に,売買等によって発生する原因債権とは切り離された別個の債権という位置づけでありまして,第2に,電子債権管理機関,これは現在のところまだもちろん仮称でございますけれども,これにおいて管理する電子的な帳簿である電子債権原簿に発生登録をしなければ発生しない,移転登録をしなければ譲渡ができない,抹消登録をしなければ消滅しないという債権でございまして,三番目に,指名債権とも手形債権とも異なる類型の金銭債権ということになっております。   電子債権は,このような登録という特別の方式を備えた金銭債権について,債権の流通保護の観点から通常の指名債権譲渡とは異なる効力を認めようという発想に立つものでございます。   次に,第2の1でございますが,電子債権は,当事者からの申請に基づいて電子債権原簿に権利の内容が発生登録されることによって初めて発生することとし,発生登録がされることを電子債権の発生要件とするものでございます。   第2の2でございますが,電子債権が発生するためには必ず登録しなければならない必要的な登録事項以外にも,電子債権に対する多様なニーズに対応することができるようにするため,任意的な登録事項として多様な事項を登録することを認めようとするものでございます。   第2の3についてですが,電子債権は,できる限り冒用や変造が生じないようにすべきであることは言うまでもありませんが,他方で,これらが生ずることを完全に排除することは困難であることから,冒用や変造が生じた場合の関係者の責任関係を明らかにする必要があるとするものでございます。   続いて第3の1でございますが,電子債権の譲渡は,当事者の申請に基づいて移転登録をすることがその効力要件となるとするものでございます。   第3の2でございます。電子債権が移転登録によって譲渡された場合に,善意取得,つまり善意者の保護で,権利をその善意者が取得する,あるいは人的抗弁が切断される,前の人に対するいろいろな抗弁事由があっても,それはその後の人には対抗することができないようにする,こういう人的抗弁の切断,このようなことを認めて電子債権の流通の保護を図ろうとするものでございます。   次,第4の1でございますが,電子債権が消滅するためには,支払い等の債権の実質的な消滅原因が発生した,これは当然必要になるわけでございますけれども,そのことに加えて,電子債権原簿に抹消登録をすることが必要であるとするものでございます。   第4の2でございますけれども,支払いがされたにもかかわらず,電子債権原簿に抹消登録がされないという事態が生ずることを避けるために,支払いがされるに当たって電子債権の抹消登録がされるような措置を講ずる必要があるとするものでございます。   最後に,第4の3でございますけれども,移転登録がされることが電子債権の譲渡の効力要件であるということからすれば,電子債権原簿に債権者として登録されている者は,債権者である蓋然性が高いということになるわけでございます。そこで,債務者がこのような登録されている者に対して支払いを行った場合には,一定の要件で免責されるということを考えているところでございます。   諮問に際して,私どもが前提とさせていただきたいのは,以上のとおりの骨子でございまして,この点についても,あるいはこの余の点についても,十分御議論の上に,この電子債権制度について御意見を賜りますようお願いを申し上げます。 ● ありがとうございました。   それでは,ただいま説明のありました諮問第76号につきまして,御質問がございましたら御発言をお願いしたいと思います。--ございませんでしょうか。   では,御質問がないようでございますので,では,諮問第76号の審議の進め方について御意見を伺いたいと思いますが,御意見ございますでしょうか。   はい,○○委員,どうぞ。 ● 今,諮問第76号の御説明を伺っておりますと,この電子債権というのは,金銭債権の譲渡に関する法的安定性といいますか,それを高めるために,原因債権とも異なる,手形債権とも異なる電子債権というものをこしらえようということのようでございまして,どうも非常に専門的あるいは技術的で,今伺っただけでもなかなか理解できない,非常に難しい制度のようでございますので,ぜひ,専門の部会のようなものをこしらえていただき,そこで御審議した上で,この総会にまた御報告いただいて,さらにそこで審議をするというような方向で御審議をいただいたらいかがかというふうに存じます。   以上でございます。 ● どうもありがとうございました。   ただいま,○○委員から,部会設置等につきまして御提案がございましたけれども,これにつきまして,何か御意見ございませんでしょうか。--特に御意見がございませんようですので,諮問第76号につきましては,新たに部会を設けて調査審議することに決定いたします。   次に,新たに設置する部会に属すべき総会委員,臨時委員及び幹事に関しましては,会長に御一任願いたいと存じますが,よろしゅうございますでしょうか。--それでは,この点は会長に御一任願うということにいたします。   次に,部会の名称でございますが,諮問事項との関連から,諮問第76号につきましては電子債権法部会と呼ぶことにしたいと存じますが,いかがでございましょうか。何か御意見ございませんか。--特に御異議がないようでございますので,そのように取り計らわせていただきます。   総会委員として,諮問事項の中身について,ほかに何か御意見がございましたら御発言をお願いしたいのでございますが,ございませんでしょうか。   それでは,諮問第76号につきましては,部会で御審議いただき,それに基づいて総会においてさらに御審議を願うことにいたしたいと存じます。   それでは,冒頭で御説明いたしましたとおり,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法案について,御報告をいただきたいと思います。   それでは,○○関係官から御報告をお願いいたします。 ● ○○でございます。どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法案について,御報告させていただきます。   委員の皆さんのお手元には4種類の資料を配布させていただいておりますが,まずは,色刷りの資料をごらんいただきたいと思います。   御案内のとおり,監獄法は約100年前に施行されまして,以来実質的な改正がなされなかったために,被収容者の権利義務関係が明確でないなど,極めて不十分なものとなっておりました。   そのため,昭和55年11月に法制審議会から監獄法改正の骨子となる要綱の答申をいただいたところであり,法務省では,これまで,三度,この要綱に基づいて立案した刑事施設法案を国会に提出いたしました。   しかし,警察留置場を監獄に代用することができるとする,いわゆる代用監獄制度に関する意見の対立等を背景としまして,いずれも廃案となってまいりました。   こうした状況の中,近時治安情勢の悪化を受けまして,改善更生に向けた受刑者の処遇の充実を図ることが喫緊の課題となっていることなどから,法務省では,昨年2月に法制審議会に御報告させていただいたとおり,まずは受刑者の処遇を中心とした監獄法の改正を行うことといたしまして,昨年5月,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律が成立することとなりました。   他方,未決拘禁者及び死刑確定者の処遇につきましては,同法の対象とされておりませんで,監獄法の題名を改めただけの,「刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律」という,不十分な内容の片仮名法律によって規律される状態のままでございます。   その上,例えば,受刑者につきましては不服申立制度が整備されることとなったのに対しまして,未決拘禁者等につきましては請願の一種である情願しか認められないなど,受刑者と未決拘禁者等との間には法律上の格差が生じることともなっております。   さらに,留置施設につきましては,法令上の設置根拠が存在せず,また,これに留置される者については,その処遇に関する規定が存しないか,あるいは,刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律の適用関係があいまいであるという問題点を包蔵しているところでございます。   そのため,法務省では,代用監獄の在り方を含めまして,未決拘禁者等の処遇に関する法整備に向けまして,警察庁とともに日本弁護士連合会との協議などを進めた上,法務事務次官及び警察庁長官から,代用刑事施設,いわゆる代用監獄の在り方を含む未決拘禁者の処遇の在り方につきまして,未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議に検討を依頼いたしました。   そして,去る2月2日には,この有識者会議から,今回の未決拘禁者の処遇等に関する法整備に当たっては,代用刑事施設制度を存続させることを前提としつつ,そこにおいて起こり得る様々な問題を回避し,国際的に要求される水準を実質的に満たした被疑者の処遇をより確実に行われるような具体的な仕組みを考えるべきであるなどとする提言をいただいたところでございます。   このような状況を踏まえまして,法務省としましては,現在開会中の国会に,未決拘禁者等の処遇に関し,1つは権利義務の明確化,2つ目には外部交通の保障・拡充,3番目には生活水準の保障,4番目には不服申立制度の整備などを内容とする法整備を行うとともに,留置施設の設置根拠を設け,代用刑事施設への代替収容に関する規定を整備するために,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の改正法案を提出したいと考えております。   その内容は,もとより昭和55年の法制審議会の答申に基づいたものとすることとなりますが,昨年5月成立いたしました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律なども踏まえまして,幾つかの点で法制審議会の答申の趣旨を更に進めるなどとした内容のものとしたいと考えております。   法制審議会の答申には含まれていないなど,答申とは異なる部分について,お手元に配布させていただいております「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律」と題する資料にまとめておりますので,これに沿いまして,その要点を説明させていただきます。   さらに,この資料とは別に,事項ごとに法制審議会の答申との対比資料も用意させていただいておりますので,御参照いただければと思います。   まず,第1の未決拘禁者の概念についてであります。   法制審議会の答申は,受刑者の処遇,被勾留者の処遇,死刑確定者の処遇に分けて,これらの者の処遇に関する事項を答申しているものでありますが,被逮捕者,鑑定留置者などの処遇に関する事項は含まれておりませんでした。   今回の法改正におきましては,被勾留者のほか,被逮捕者,鑑定留置者などを含むものとして未決拘禁者の概念を立てまして,その処遇に関する規定という形で法整備をしたいと考えております。   次に,第2の未決拘禁者及び死刑確定者の処遇のうち,外部交通以外の処遇について,説明申し上げます。   第2には,10の私有の図書~これについては後にまた御説明させていただきますが~これを除いて,給養,運動,規律秩序,拘束具及び保護室,懲罰,領置,不服申立てについて記載しておりますけれども,これらの事項につきましては,事柄の性質上,基本的には受刑者,未決拘禁者,死刑確定者といった被収容者の地位の違いによって異なるものではありません。   そのために,これらの事項については,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律におきまして,法制審議会の答申を変更した内容で規定を設けたところでありますが,今回の改正法におきましても,未決拘禁者,死刑確定者について,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律と基本的に同じ内容の規定を設けたいと考えております。   その内容につきましては,時間の関係もありますし,また,昨年,法制審議会で御報告させていただいたところでもありますので,詳細の説明は割愛させていただきたいと思いますけれども,9の不服申立てを例に挙げて,若干の御説明をさせていただきます。   監獄法では,監獄内の行政的救済制度として,先ほど申し上げましたように情願が定められておりますが,情願は請願の一種とされておりまして,これを受ける法務大臣,巡閲官には,情願の処理やその結果について告知の義務もないと解されております。   これに対し,法制審議会の答申では,行政的救済制度の充実を図るため,より整備された法務大臣に対する不服申立制度を創設することなどが答申されております。   昨年成立しました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律におきましては,受刑者について,基本的にはこの答申に沿って不服申立制度が整備されたところでありますが,答申を変更するものとしては,刑事施設の長の処分などについては,まず矯正管区の長に審査の申請を行えるものとし,矯正管区の長の裁決になお不服があるときに,法務大臣に再審査の申請を行える制度とするとともに,迅速な処理を確保するために,矯正管区の長においても法務大臣においても,できる限り90日以内に処理をするように努めなければならないものとされました。   また,職員の暴行,違法・不当な戒具の使用などについては,法制審議会の答申にはなかった事実の申告の制度が設けられまして,受刑者は,矯正管区の長,法務大臣にその事実の申告をできるものとし,矯正管区の長及び法務大臣は,その事実を確認した場合において,必要があると認めるときは,再発防止のため,必要な措置を講じなければならないものとされました。   未決拘禁者,死刑確定者につきましても,受刑者と同様に,不服申立制度を整備したいと考えております。   説明が前後して恐縮でございますが,2の運動についても若干触れさせていただきますと,法制審議会の答申におきましては,被収容者に適切な運動を行う機会を与えることが求められておりますが,運動時間については法務省令にゆだねることとされておりました。   これに対し,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律では,基本的に,土日を除き毎日運動の機会を与えなければならないと規定されましたので,未決拘禁者,死刑確定者についても同様の規定にしたいと考えております。それとともに,公判期日への出頭などの事情によりまして運動の機会を与えることが刑事施設の管理運営上困難である日もありますので,そのような場合の例外を規定したいとも考えております。   第3の未決拘禁者の外部交通について,説明させていただきます。   まず,1(1)の未決拘禁者の弁護人等との面会の制限についてでありますが,法制審議会の答申では,刑事施設の長は,必要があるときは面会の相手方の人数,面会の場所,日及び時限,面会の方法について,防御権の行使に支障を来さないようにやむを得ない限度にとどめなければならないとしつつ,法務省令で定めるところにより,その制限を加えることができるとされておりました。   今回の改正法では,防御権行使への配慮の観点から,答申の趣旨を更に進めまして,平日の執務時間内に面会することができないとしたり,面会の相手方となる弁護人等の数を2人に絞ったりするような制限は法律上することができないものにしたいと考えております。   2の(1)の面会の立会いにつきましては,法制審議会の答申では,弁護人等以外の者との面会の内容の把握などの方法としては立会いのみが想定されていたところでありますが,受刑者と同様に録音,録画の方法も規定したいと考えております。   さらに,2(2)でありますが,法制審議会の答申では,弁護人等以外の者との面会については必ず職員が立ち会うこととされておりましたが,未決拘禁者が刑事施設を相手とする訴訟の弁護士との打ち合わせなどを行う場合には,これに職員が立ち会ったりすることはアンフェアでもありますので,受刑者についてと同様に,罪証隠滅の結果などを生ずるおそれがあると認められるべき特別の事情がない限り,立会いなどをすることができないものとしたいと考えております。   3の信書の検査についても,同様の趣旨であります。   以上のほか,未決拘禁者の外部交通に関する変更点については,いずれも刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律で受刑者について定められたところを踏まえたものでございます。   第4の死刑確定者の外部交通について,御説明申し上げます。   まず,1の面会の相手方及び信書の発受の相手方の,それぞれ(1)の部分でございますが,これは,死刑確定者に,いわば権利として外部交通を認める相手方の範囲であります。   法制審議会の答申では,面会についても信書の発受についても,①の親族と②の重大な利害に係る用務の処理のために必要な者に限られておりましたが,死刑確定者が置かれている特殊な状況を考慮いたしまして,③の死刑確定者の心情の安定に資する者を加えることとしたいと考えております。   なお,面会及び信書の発受の,それぞれ(2)の部分についてでございますが,法制審議会の答申では,(1)の者以外の者については,刑事施設の規律秩序及び死刑確定者の心情の安定を害するおそれがないときに,刑事施設の長の裁量で外部交通を許すことができるとされておりました。この要件等については,どのように具体化するか,更に検討しているところでございます。   2の面会の立会い,3の信書の検査については,先ほど未決拘禁者について御説明申し上げたと同様の趣旨であります。   2の面会の一時停止及び打切り,及び3の信書の内容による差止め等については,法制審議会の答申では,刑事施設の規律秩序を害するおそれがある場合などのほか,死刑確定者の心情の安定を害するおそれがある場合にも,面会の一時停止や信書の発受の差止めができるものとされておりましたが,心情の安定を制約の事由として認めますと,運用によっては過度な制約につながるおそれがあるとの議論もあるところから,改正法案では,これを面会の一時停止などの事由にしないこととしたいと考えております。   なお,ここで,前に戻りまして,第2の10の私有の図書について説明させていただきますが,これも面会の一時停止などについてと同様に,心情の安定を害するおそれを図書の閲覧の禁止事由にはしないこととしたいと考えております。   以上のほか,死刑確定者の外部交通に関する変更点は,未決拘禁者についてと同様,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律で受刑者について定められたところを踏まえたものでございます。   最後に,代用刑事施設,代用監獄の制度についてでございますが,法制審議会の答申では,一定の制度的改善を加えた上で存続するものとされております。今回の法改正におきましても,答申に沿って法整備を行いたいと考えております。   なお,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律により,刑事施設には,刑事施設視察委員会が置かれることになりましたが,警察庁は,今回の法整備において,都道府県警察本部に刑事施設視察委員会と同様の委員会を置くことを規定する方向で検討していると聞き及んでおります。   以上,現在,立案作業を進めております刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法案に規定したいと考えております,未決拘禁者,死刑確定者の処遇等に関する事項でありまして,なおかつ,法制審議会の監獄法改正の骨子となる要綱には含まれていないなど,その答申と異なる部分について,その要点を御説明申し上げました。   刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律を踏まえまして,なお検討している事項もありますけれども,これらの点も含めまして,本質的には答申の趣旨に反するものではないと考えているところでありまして,御理解を賜りたいと存じます。   以上で,報告を終わります。 ● ありがとうございました。   それでは,ただいまの○○関係官の御報告の全般的な点につきまして,御質問も含めまして,御発言がございましたら承りたいと思います。よろしくお願いいたします。   はい,どうぞ,○○委員。 ● ただいまの議案は,報告事項ということでございますので,特に私が何か言うことでもないかと思いますが,こういう法律を国会に出して,100年以上前の監獄法がこれで一新されるということは,大変結構であるというふうに思っております。   それに関連してですけれども,昨年,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律が成立した後である雑誌の特集号を拝見しておりましたら,受刑者と被勾留者を分けて法律をつくるということが可能であったならば,今まで20年以上議論していたことが何であったのかということをある研究者が書いておられまして,それを,私も全くそういうふうに思っておりますが,今回の被勾留者の部分,それから被逮捕者や鑑定留置者等を含めた,あるいは死刑確定者をも含めた部分を改正することができるとすれば,昨年そういう法律ができてすぐ,この1年の間にあれだけ議論のあった代用監獄制度というものについて,これを当分,とにかく存置する形で法律を国会に通していただくと。   まさか今回4回目の廃案ということはないように期待しておりますが,そういうことができるとすれば,昭和55年ですから,25年も前に法制審議会で決定したあの答申がやっとここで実現するわけで,それは大変結構だと思いますけれども,一体,何でこれだけの時間がかかったのかと,法制審議会の在り方とか,あるいはどういうその間の社会情勢の変更があったとか,そういうことについて--意地悪な質問をしているわけでは,そういう意図は全然ございませんけれども--差し支えのない範囲で御説明をいただければ,私みたいに刑事の関係のことは全く知らない者にとっては大変わかりやすいと思いますので,可能であれば,御説明をいただければと思います。 ● ありがとうございました。 ● 昨年既決について,早急に成案を得て法案化しなくてはいけないという事情がございました。これは治安の変化であったり,受刑者に矯正処遇を受ける義務規定がなかったため,私,改善更生の対象になるのは嫌ですと言えば,何も手を加えられないと,そんな事情にございました。   そういうことで,治安回復の一環として,改善更生に力を入れなくてはいけないというような要請が社会の中に強くあったことも1つの要因だろうというふうに思っております。   一方で,未決も,急がなくていいという話ではなく,一緒に改正したかったというふうに私は認識しておりますが,これについては,昭和50年当時から,長い長い対立の歴史がございまして,昨年の段階ではまだまだ議論が必要であったと,こんなことでありました。   その後,法務省,警察庁そして日本弁護士連合会の実務者が集まりまして,精力的に協議を進めると,何とか,このアンバランスを早急に解消したいと,こういう熱意のもとで議論した結果,とりあえずは市民の皆さんの声を十分に聞いてみようということで,昨年の12月でございましたが,有識者会議をお願いいたしまして,そこでも,短期間ではございましたが,相当深く議論していただいて,御案内のとおりの提言をいただいたと,こういう経過でございました。   答えになっているかどうかわかりませんけれども,経過を客観的に申し上げると,そういうことでありましたということで,お答えにかえさせていただければ幸いでございます。 ● よろしゅうございますでしょうか。   ほかに。   どうぞ,○○委員。 ● 実は,私,1970年に弁護士登録してすぐに,代用監獄に新聞が差し入れられたのが大部分抹消されたという事件を受任して,これは結局最高裁の大法廷の判決を--我々が敗訴したんですけれども--いただいたというようなことから,代用監獄の問題には相当長い間反対する,この廃止を求める側から関係していましたので,今○○委員から御質問があったことで,若干感想を述べさせていただきたいと思うんですけれども。   そもそも,最初にその事件を受任したときに,明治41年の法律がまだ生きていて,しかもほとんど中身のない法律で何の権利も保障されていないということにびっくり仰天したということはあったんですが,しかし,我々から見ると,代用監獄制度というのは世界的にもこういうようなものが許されているものではないし,取調べ側が被勾留者を管理するというような制度では冤罪の温床になるということで,強く反対し続けざるを得なかったんですね。   その後,いろいろ管理の系統が分離されるというような改善もあって,しかし,我々としては,法改正をするならば代用監獄制度はとにかくなくするという形で改正してほしいということで,日弁連において,これを存続させることに反対を続けたという経緯があったわけです。   昭和55年の法制審の答申から,今日拝見しますと,確かに時間はたっていますけれども,さらに,ある意味で前進した形で法律案がつくられようとしているということは,私としても非常によかったのではないかというふうに思います。   ただ,未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議での意見の中にも,刑事司法制度全体が大きな変革の時代を迎えていることなどを考えると,今後刑事司法制度の在り方を検討する際には,取調べを含む捜査の在り方に加え,代用刑事施設制度の在り方についても刑事手続全体との関連の中で検討を怠ってはならないと考えるという1文がありまして,刑事裁判については裁判員制度の実施が間もなくあると,その関係で言うと,それに一番適合するような形で,刑事司法全体についていろいろ見直しをしなくてはならないというふうに我々は思っております。   捜査の関係で言うと,捜査の可視化というのが今一番話題になっていますけれども,それ以外にもいろいろあるのではないか,そういう見直し全体の中で,未決拘禁者の留置の在り方についてはどういう制度がいいのかというのを,やはり,さらに検討を続けていっていただきたいなというふうに思っております。   ちょっと,感想だけ申し上げさせていただきました。 ● ありがとうございました。   何か,今の御感想に対しまして,御意見など……。 ● いや,全くございません。 ● よろしゅうございますでしょうか。   ほかに,御意見なり,御質問でも結構でございますが,ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。   では,ほかに御意見等ございませんようですので,事務局において昭和55年の法制審議会の答申,監獄法改正の骨子となる要綱と,ただいまの御報告の内容に沿って立案作業を進めるということにつきまして,御了解をいただいたということでよろしゅうございますでしょうか。--では,そのように進めさせていただきたいと思います。   なお,今後条文にいたします場合の表現ぶり等につきましては,事務当局に御一任いただければと存じますので,よろしくお願いいたします。   ○○関係官,どうもありがとうございました。お疲れさまでございました。お席にお戻りください。 ● これで,本日の審議は終了いたしました。   ほかに,この機会に御発言いただけることがございましたら,お願いいたします。--ございませんでしょうか。本日の議題以外のことでも結構でございます。   では,本日の審議はここまでということでよろしゅうございますでしょうか。   では,最後に事務当局から今後の日程等につきまして,御案内がございます。 ● それでは,今後の日程でございますが,現在のところ,次回を平成18年9月6日の水曜日。それから次々回につきましては,平成19年2月第2週ごろ,これまだちょっと日が確定いたしませんが,2月の第2週ころということにしたいと思います。   場所はここと同じ,法務省地下1階大会議室でございます。   もう1度申し上げます。次回は平成18年9月6日水曜日。次々回は平成19年2月第2週ころを予定しております。   よろしくお願いいたします。 ● ありがとうございました。   では,本日はここまでということにさせていただきたいと存じます。よろしゅうございますでしょうか。   長時間にわたり,熱心な御議論いただきまして,ありがとうございました。   これにて閉会といたします。 -了-