日本司法支援センター評価委員会            第30回会議 議事録 第1 日 時  平成24年8月6日(月)   自 午後 2時01分                        至 午後 5時50分 第2 場 所  最高検察庁大会議室(中央合同庁舎6号館A棟20階) 第3 議 事  (1) 日本司法支援センターの業務実績評価について  (2) 法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について 議        事 伊藤委員長 それでは,定刻でございますので,ただいまから日本司法支援センター評価委員会第30回会議を開催いたしたいと思います。   御多忙の中,また,天候の不良の中,お越しいただきまして,ありがとうございました。   本日は,井野委員,小林委員を除いた全委員が御出席ということでございまして,総合法律支援法の施行令に規定する定足数を満たしておりますことを確認させていただきます。   そこで,本日の会議の開催趣旨について確認させていただきたいと存じます。お手元の議事次第にありますとおり,主な議題は2つでございます。1つ目は支援センターの業務実績の評価についてでございます。2つ目は支援センターの財務諸表の承認に関する当評価委員会の意見についてでございます。   それでは,事務局から詳しい説明をお願いいたします。 松井参事官 まず,第1の議題についてですが,前回の評価委員会の席上で支援センターから説明がありました業務実績につきまして,本日討論していただきまして,評価をしていただくものでございます。   次に,第2の議題についてでございますが,総合法律支援法第44条第3項に「法務大臣は,財務諸表を承認しようとするときは,あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならない」という規定がございまして,その関係でこの評価委員会にこの財務諸表を承認してよいかどうかについての意見を賜るものでございます。   以上でございます。 伊藤委員長 どうもありがとうございました。   ただいま事務局から説明があった順で本日の議事を進めたいと存じますけれども,よろしゅうございますか。 (各委員了承) 伊藤委員長 それでは,そのとおりに議事を進めさせていただきます。   次に,配布資料につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 松井参事官 配布資料について御説明いたします。お手元に<第30回会議配布資料目録>というものがございますが,資料1は,事務局作成による項目別評価表の取りまとめ案でございます。   資料2は,総合評価表で,項目別ではなくて全体とか大項目についての評価表の案でございます。それから,資料3は,総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」,それから,「平成23年度業務実績評価の具体的取組について」において指摘された各事項に関する当評価委員会の評価案でございます。   これまでは,この「評価の視点」等で指摘された事項につきましては,会議の席上での質疑応答や御討論をもってこれについても評価をしているという立て付けで行ってまいったところですが,一昨年度の二次評価におきまして,政独委から,「評価委員会の見解は評価結果という形で明記すべきである」という指摘を受けまして,昨年度から各項目ごとに当評価委員会の評価を明記することとしたものでございます。   この3点はいずれも事務局案でございまして,本日議論に使用していただくためのたたき台という位置付けになっております。   次に,「机上配布資料」という資料の御説明をいたします。資料A-1につきましては,業務実績評価に係る基本方針でございます。それから,資料A-2は,各小項目,各項目についての各委員の項目別評価の分布をまとめたものでございます。例えば,項目1につきましては,A評価の委員が1人,B+評価の委員が1人という形でまとめて,分布状況についての参考資料をお作りしたものでございます。それから,A-3は,項目ごとに各委員の評価理由をまとめたものでございます。これは特段どの委員がという形ではまとめていませんが,Aの理由を付した委員についてはこういう御意見である,B+の意見を付した委員についてはこういう御意見であるという形でまとめたものでございます。   資料Bは,各委員からの御質問とこれに対する回答をまとめたものでございます。資料Cは,過去の業務実績評価における項目別評価の結果をまとめまして,今回の項目と対照させているものでございます。第1期中期計画と第2期中期計画ではそもそもの項目立て自体が異なっているところがございまして,完全な対照ができているわけではございませんけれども,内容的に類似した項目を対照させるなどの工夫をしております。これはあくまで参考資料として御覧いただければということで御用意させていただいた次第でございます。資料DとEにつきましては,前回の会議においても御提出させていただきましたけれども,業務実績報告書や財務諸表でございます。   それから,資料番号は振ってございませんが,バラでクリアファイルに入っているものでございますけれども,項目別評価の議論の際の便宜ということで,各委員の御意見が分かれた項目と多くの委員の御意見が合致した項目を区別した進行予定をお配りするとともに,「項目別評価の分布表」をお配りしてございます。加えて,今回の委員会に先立ちまして御説明をさせていただいたところでございますが,その際に用いた項目別評価表及び総合評価表について,各委員の御意見を賜りまして若干修文したところがございますので,その点が分かる見え消しの資料もお配りしてございます。適宜御参照いただければと思います。   資料につきましては,以上のとおりでございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   次に,項目別評価及び評価の理由についての議事を進めたいと思います。なお,本日は支援センターの方に別室で待機をお願いしておりますので,ここでの審議の中で質問等が出ましたときには,いつでも支援センターの方にこちらに来ていただくことが可能な態勢をとっておりますので,その点御了解ください。   そこで,全体的な審議の進め方についてお諮りしたいと思います。ただいま資料の説明がございましたが,皆様方の机上に「業務実績評価(項目別評価)進行予定」という一枚の紙がございまして,御覧になるとお分かりいただけますように,大項目1から5までのそれぞれにつきまして,「議論を要する項目」と「異論の少ない項目」という区別がされております。もちろん,これはあくまで便宜的な区別にすぎませんけれども,7名以上の多数の方の御意見が一致しているものについては,「異論の少ない項目」という整理をしております。   そこで,この場での議事の進め方でございますけれども,「議論を要する項目」,別な言い方をいたしますと,皆様方委員の間で御意見が分かれているという項目でございますが,これについて,まず個別的に審議をお願いしたいと存じます。その後,「異論の少ない項目」について一括して審議をお願いして,特段の御異論がなければ,多数の意見に従った評価にさせていただく形で議事を進めさせていただければと存じます。もちろん,あくまでこの区別は便宜的なものでございますので,「異論の少ない項目」につきましても,この場で委員の中から御意見がございましたら,それについて審議をお願いすることは当然でございますけれども,基本的な進め方といたしましては,ただいまのようなことでよろしゅうございましょうか。           (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。それでは,そのように進めさせていただきます。   そこで,内容に入りたいと思いますが,まず大項目1,総合法律支援の充実のための措置に関する各項目でございます。資料1の項目別評価表案の項目番号で申しますと,項目1から項目19までについての意見の取りまとめをさせていただきたいと思います。   先ほど事務局から紹介がございました机上配布資料A-2の「議論を要する項目」について御覧いただきますと,項目5の効率的で効果的な運営につきましては,そこに評価の分析がございますけれども,A評価の委員が6名,B+評価の委員が4名ということで,意見が相当程度分かれております。この点について,それぞれの御意見を踏まえてこの場で御議論をお願いしたいと存じます。   どなたからでもよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。A評価の委員の方,あるいはB+評価の御意見の方,いずれのお立場が先でも結構でございますので,あらかじめ寄せていただきました御意見も踏まえて御発言いただければと存じます。   知久委員,お願いします。 知久委員 前回お休みして申し訳ございませんでした。私はB+評価にさせていただいたのですけれども,理由は,Aの評価理由の中の「今後,各職員が運営理念の精神を具体的な行動に移すための仕組み作りに取り組むことに期待する。」というのを加えてB+にしましたので,この文言が入っていればAでもいいかなと考えているところでございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ほかに,B+という評価をいただいた委員の中で御発言はございますか。どうぞ坂本委員。 坂本委員 私もB+にさせていただきました。その理由は,コスト意識を持って仕事をするというのは基本的なことであって,今のような国の財政が厳しい状況の中でこれでよいということはない,一層の努力をする必要があると考えます。Aにするのは時期尚早なのかなと感じました。 伊藤委員長 分かりました。   村瀬委員,お願いします。 村瀬委員 私もB+なんですけれども,理念として周知徹底の面,これは十分評価できるんですけれども,先ほど話がありました最後の「今後」以下の一文にありますように,「具体的な行動に移すための仕組み作り」,この点がなされたかどうかという点で,実績評価の欄にあります「事業改善の推奨等」の内容はある意味では従前の取組の延長のような感もありましたので,もう少しあってもいいかなというような感じでB+にいたしました。特にこだわっておりませんが。 伊藤委員長 分かりました。   Aの評価の委員の方も御自由に発言をお願いします。嶋津委員,どうぞ。 嶋津委員 この項目に限らないんですけれども,私もそうなんですが,行政評価をするという面からすると,どちらかと言うと,過去,法テラスの行政評価というのは全般を通じて評価をまじめにやっているなという感じだと思うんですね。私は,ほかの仕事で某国立大学法人の行政評価もやっているんですけれども,国立大学の行政評価というのは自己採点が非常に甘いんですね。学校の先生というのは生徒には随分点数は厳しいのに,自分に対しては甘いなという感じがしています。ほとんどA項目なんですよね。それもおかしいと私は発言しているんですけれども,一般論としてそういう感じがしています。   私は,ここをAという評価をして,ほかのところはどちらかというと厳しめな評価をしているんですけれども,一般的な取組として,法テラスの取組については,端的に言うと,例えばコールセンターに対する取組を,従来は民間委託でやっていたのを,自前でインハウスでやるというやり方にしたというのは,効率性に着目してそういうことを見直してやったということで,こういうことの一つの側面を見ても,効率化に対しては,世の中の評価は民間委託するといいと見られがちなんですけれども,それを効率面に着目してインハウスのやり方で非常に上手にやっておられて,今回の震災対策のQ&Aなども非常に機動的に作っていただいたというような点で,随分努力してやっておられるのではないかという印象を持っておりますことを,私の意見として申し上げたいと思います。 伊藤委員長 ありがとうございました。   遠藤委員もこの点について御指摘をいただいているようですが,いかがでしょうか。 遠藤委員 私はA評価にしているんですけれども,この効率化の問題は,次の大項目の業務運営の効率的な措置の個別の評価に入るわけです。それを見ますと,平成22年度に比べるとその点については意識をもっておやりになっているということです。確か前年度はB+だったと思うんですけれども,本年度はAでもよろしいのではないかと。昨年も確かAでもいいんじゃないかという話があったんですけれども,初年度だから,今後に期待しようじゃないかということでB+になったと記憶しております。それからしますと,経営理念を持ちながら各項目について非常に意欲的におやりになっているということから,私はAと評価いたしました。 伊藤委員長 分かりました。   いかがでしょうか。知久委員,村瀬委員,坂本委員から御指摘がございまして,厳しく見ればなお改善を要する点があるというのは当然のことでございますけれども,他方,総合的な視点から見てA評価に値するのではないかという御意見があり,もしそうであるとすれば,先ほどもB+の評価をされた委員から,どうしてもそうでなければという趣旨でもないという御発言もございましたので,この点,B+という評価をされた委員の御了解が得られるのであれば,相対的には多数なものですから,A評価とさせていただいてはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。 (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。それでは,項目5の評価につきましては,Aということでこの委員会の意見を取りまとめたいと存じます。   次に,やはり「議論を要する項目」で意見が分かれているところでございますが,項目7でございます。全国的に均質な担い手の確保(扶助)の項目に進みたいと思います。これにつきましては,委員の間で,A評価が5名の方,B+の評価が5名の方と,まさに半々に御意見が分かれております。いずれのお立場でも結構ですから,御意見についてさらにこの場で御説明いただければと存じます。   私から指名をするのも大変恐縮なんですけれども,B+の評価をされていらっしゃる方は遠藤委員,嶋津委員,私だったように記憶いたしますが,何かその点についての御発言ございますでしょうか。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 議事進行上私が申し上げますが,法テラスを作った最大のポイントですので,その点については従来からいろいろな関係者が努力をしておられるわけですけれども,そのことについての努力の程度を評価するのか,あるいは,将来に対する更なる努力を求めるという点を強調するのかということだと思うんですね。そういうことから言って,走り出して相当努力をされている,それから,それぞれの地域における関係者の方も努力をしていただいているという点は,我々も現地調査に行ったりしてよく理解できるんですけれども,なおかつ,法テラスに対する国民の期待ということから言って,更に今後に向けて努力をしていただきたいという気持ちを込めて,B+にすることが適当なのではないかなというのが私の考え方でございます。 村瀬委員 よろしいでしょうか。私も,契約弁護士等の確保に努力されているというのはよく分かるんですけれども,それではこれで十分かと言われますと,ちょっとそこは言えないだろうと,同じ趣旨だと思いますけれども。というのが第一点。   それから,気になりましたのは,昨年度の契約弁護士等の増加数よりも減っておりますので,増加数自体が十分に評価できるだけの増加になっているのかなというのが気になったところで,そういう意味でもAはちょっと甘いかなというのが私の意見でございます。 伊藤委員長 分かりました。   遠藤委員はいかがでしょうか。 遠藤委員 私の考え方は,そもそも契約弁護士の確保と,質を伴って確保するということが,法テラスにおいてAがあるのかなという感じがあるわけです。というのは,人員の確保というのはいろいろな評価がありまして,人数だけ確保して本当に質が確保できるのか。したがって,質と量を確保するということは非常に難しいわけです。その中で,確かに非常に努力はされていますけれども,A評価をすることになれば,法テラスに対する国民の意識も含めて皆様満足されているという状態だろうと思うんです。そういう評価をするというのは現段階では無理ではないかと,無理というか困難があるのではないかと思います。   ただ,昨年度は確かBだったと思うんですけれども,それからしますと,いろいろな取組をされていますし,Bではなくて,努力を買うということであれは,B+ということで私は評価をさせていただきました。 伊藤委員長 そうですね。事柄の性質上,Aと判断することは,確かに難しい性質の問題かもしれませんね。しかし,Aの評価を示された委員も5名いらっしゃいますので。   恐縮ですが,知久委員,いかがでしょうか。 知久委員 今,遠藤委員のお話を聞いて,それも一理あるなと思いながらも,昨年の東日本大震災の対応というのは,私は司法書士ですし,髙部委員も弁護士をやっていらっしゃるので分かると思いますが,かなりの者が動いて,積極的にあっと言う間に多くの弁護士,司法書士が法テラスと契約をして,これに対して対応しましたが,このとき法テラスもかなり積極的に契約してくださいと動かれていましたし,特例法の成立に当たりましても御尽力いただいて,当初からこれが可動したかというとあまりにも短期間での施行でしたので別ですけれども,これを成立させて弁護士,司法書士が契約に至ったことにより,非常に早いときから十分な実績を積んでいくことができたということは評価できるのではないかと思いまして。最初B+かなと思ったんですが,ここを加味するとAでもいいのではないのかなと思います。   先ほどのようにAはあり得ないと言ってしまうと判断が難しいところはありますが,例年に比べて契約弁護士,契約司法書士の数もかなり増えているのも事実ですし,更に加えて,去年の震災という特別なところに対しても,通常の業務以外に十分に対応されて,そこである程度の実績というか,きちんとできたということを評価して,今回はAにしたいと思って,私はA評価にしました。 伊藤委員長 これで十分という意味ではないけれども,しかし……。そうですよね。特に震災の対応等に関する努力と言いますか,実績を見れば,それはAとしての評価に値するのではないかということですね。   他のAの評価の委員の方もどうぞ御自由に御発言ください。どうぞ,市川委員。 市川委員 私は弁護士なので司法書士の方はよく分からないところがあるんですけれども,弁護士のことについて申し上げますと,弁護士になるのは今1,700~1,800人ぐらいだと思います。毎年そのぐらいなるんですけれども,一方で退会する人間もおりますし,登録する弁護士が全員扶助あるいは国選を希望するわけではなくて,多くの弁護士は登録を希望いたしますけれども,ならない弁護士も結構いるという中で,この1,500という数字は相当高率の数字ではないかと私は思います。これだけの人間を確保するというのは相当に努力した結果,数字だけからそのようにうかがえるのではないかと私は評価したということです。   それからもう一つは,常勤弁護士の配置の問題でも,日弁連との関係などもあるのかもしれませんけれども,配置が必ずしも機動的にスムーズにいかない面もある。これは法テラスに原因があるというよりも,他の機関に原因があったりして,必ずしもスムーズにいかない中でもこれだけ新規の開設なり増員などをやったということも含めて,それなりの努力……。私,去年は委員ではございませんでしたので,去年あるいはその前の議論の経過は存じ上げないんですけれども,今年見た限りの印象でありますけれども,そのような印象で私はAとさせていただいたと。   もう一つ付け加えておきますと,全体評価を,ほかの委員の評価を見て私の評価を見てみると,私の評価は少し甘いのかもしれません。その点少し割り引いて聞いていただいても結構かと思いますけれども,そんな印象を持ちましたので,申し上げます。 伊藤委員長 分かりました。   いかがでしょうか,髙部委員。 髙部委員 私は知久委員と全く同じような気持ちでAを付けさせていただきました。震災が起こった直後,もちろん私はそういうことをしたわけではないんですけれども,知り合いの弁護士に話を聞くと,これから東北へ行くんだと言う方が結構いらして。要するに,東京の各弁護士会に所属する弁護士が,いち早く震災の被害を受けた各地に飛んで,できる限りの対応をしていたという状況がありました。それは法テラスがきちっとした対応をして,連絡・協調した結果できたんだろうと思っておりますので,その点を評価しますと,確かに御指摘のような問題があって,この問題はいつまでも取り組んでいただかないといけない問題ではあるものの,今年に限ってはよくやったよねという評価もできるのかなと思います。 伊藤委員長 なるほど,分かりました。   いかがいたしましょうか。私自身はB+という評価をしたんですけれども,今,それぞれのお立場の御意見を伺うたびにごもっともという感じがして。とは言え,ここで委員会としての結論を取りまとめたいと思いまして。皆様の御意見を伺っていますと,実質においてそれほど大きな差があるわけではないように思います。ただ,事の性質と震災への対応などについて,それをプラス要素としてどの程度評価の基礎とするかというあたりで,若干のお気持ちの違いがあるという程度の話かと思います。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 今の髙部委員の意見に私も基本的には同感です。特に震災対応については,NHKなどでも報道してもらいましたけれども,被災地に出張所あるいは相談センターを作っていただいて,そこに飛び込んで法テラスの人たちが随分努力したのを見せていただきましたし,私,NHKの番組を見て感動しました。そういうことはものすごく評価をさせていただいていますが,もう一面,私,法テラスの方に申し上げたんですけれども,そこに課題が残ったことも事実なのではないかと。   万遍なく被災地に対して法テラスのサービスの供給ができたのかというと,一部の地域,特に全般的に南の地域,もっと端的に言いますと,福島県の浜通り地域に対するサービスの供給が十分にできているのかと言いますと,法テラスが認めているとおりに現在努力中でございまして,そこのところについて課題を残しているという問題点があると思うんですね。私は今年の評価ではその点に目をつぶるべきではないのではないかと。非常に努力をしたという側面の評価と,まだ現地で手を差し延べることを求めている人たちがおられる,そのことを今後対応していただきたいという気持ちを込めて,私,項目別評価の項目1のところで一人だけB+をつけたのも実はそういう気持ちで。   課題はあるんだということも強調しておくべきではないかと。それは法テラスの方もこれから引き続き努力しますということに対応していただいて,後ほど議論する今後の課題というところにもメンションをしていただいているわけでして,そこのところは今年の評価としては忘れてはならない点ではないかということも含めて,私もB+がいいのではないかなと思っていることを,髙部委員に対する反論みたいになって申し訳ないんですけれども,申し上げさせていただきました。気持ちは同じでございます。 遠藤委員 よろしいですか。東北の問題につきましては,この項目だけではなくて,ほかの項目にもたくさん出てきているわけです。ですから,全体評価としては大項目の1番で評価する。私はA評価をさせていただいたわけです。あと,個々の課題についてどういうふうに対応されたのかということの評価ということで対応させていただいて,ここの場合にはB+だろうと。ですから,全体で評価するのと個々の項目について評価するというのは,私はちょっと視点を変えて見させていただいたんですけれども,そういう考え方でございます。 髙部委員 よろしいでしょうか。今の両委員のお話を聞いて御趣旨がよく分かりました。なぜB+になっているかということについて。自分も,今申し上げたとおり,震災に対する思いがちょっと強すぎたかなという気持ちもございますので,その点については別のところで評価していただけるということであれば,B+という評価になることについて私は異議はございません。 伊藤委員長 分かりました。   一つの評価にまとめるというのはなかなか難しいかと思いますが,遠藤委員からも御発言ございましたように,活動そのものに対して,特に震災対応を中心として高い評価が与えられるという点はB+という御意見の委員の方々も同じかと思います。ただ,嶋津委員から御発言ございましたように,まだ課題はあるという認識を示すという意味でのB+だということであれば,委員の皆様方の御意見をそのあたりに集約させていただいてもよろしいかという気がいたしますが,どうでしょうか。ちょっと強引でしょうか。 市川委員 どうぞ,それで異議ないと思いますので。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。Aと比較してやや不満足というニュアンスがどれだけあるかと言われると,私自身は心もとないところがあるんですが,ただいま申しましたような意味で、高い評価を与えつつも,しかしなお取り組んでほしい課題が残されているという意味でのB+という点で御了解いただければありがたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 どうもありがとうございました。   次に項目9になります。これは常勤弁護士の確保(採用)に関する項目でございますが,ここについて見ますと,お手元の資料にありますように,A評価の方が5名,B+の方が3名,Bの方が2名ということで,ここも意見の分布がはっきりと分かれております。そこで,それぞれのお立場を踏まえてこの場での議論をお願いできればと存じます。 村瀬委員 よろしいでしょうか。私はかなり厳しくBにしてございますけれども,その理由というのが昨年よりは採用数が減っているということで,かつ,退職者が増加しておりますので,純増部分が大幅に減っているんですね。昨年の増加分が17人だったのが,3人の純増分になっておりますので,そこが。本来は想定される退職者の数も考慮に入れて採用活動が行われるべきではないかといった意見も昨年ございました。そういう意味で,昨年よりも厳しいかなというような印象を持ったわけですけれども,反面,純増分があるということは間違いないことでありまして,減少しているわけではありませんので,そういう意味では厳しすぎたかなという気はいたしますので,B+で結構だと思います。 伊藤委員長 確かに採用者数の39人という点だけから見ますと,実績が上がっているように見えますが,今,村瀬委員の御指摘のとおりで,純増分を考慮するとまだまだ努力すべきことがあるのではないかというような印象を持たれたのは当然かと思いますが,A又はB+の御意見をお持ちの委員の方々から御発言いただければと存じます。   どうぞ,髙部委員。 髙部委員 私も村瀬委員と同じようにB評価にさせていただきました。実はこの採用の問題というのは非常に難しくて,基本的には法テラスが魅力のある職場にならないと人が集まってこないという問題はどうしてもございまして。その中で,法テラスは法テラスとして一生懸命頑張って,ロースクールに行ってはそういう形の求人を行ったりということで,一生懸命努力されていることについては重々承知しているのではありますが,実際の問題として十分な,いわゆるスタ弁と言いますか,常勤弁護士を確保できているかというと,そうとは言い難いのではないかという問題を私は認識しております。   今,何人採っているからとか,今,純増数がどうかということよりも,もう少し全体としてスタッフ弁護士の数を増やしていくための対応というのはまだまだ努力をしないといけない状況,まだまだその過程にある状況であるという認識を私自身は持っておりますので。すみません,A評価はないよね,BかB+だよねと私は思っております。 伊藤委員長 それに対してAという評価の委員も複数おいでになりますので。   どうぞ,市川委員。 市川委員 私,そのA評価の者ですから,ちょっと御説明申し上げますと,39人の方に転職させたということですよね。弁護士というのは何年かどこかの事務所に所属して,それが終わると独立というのが普通のパターンでして,事務所から事務所へと渡り歩くケースもございますけれども,法テラスに来るように仕向けると言いましょうか,そういう意思を持たせるというのは,この世界に身を置いている者の一人として,説得はかなり大変,宮勤めに転職するみたいなニュアンスがあるものでございますから,そこを切り換えさせたのは大変だったのではないかと。しかも,39人というのは私は必ずしも少ない数字とは思いませんで,平たくと言いましょうか,感覚的に言いますと,よくまあ39人もというような感じもございまして,Aという評価を付けたわけであります。   法テラス自体,これからの課題としてもっと魅力を増して,法テラスに行ってみようかとなることは今後もやっていかなければいけない必要な努力だとは思いますけれども,このテーマに関して,中堅どころを何人確保したのかというテーマとの関係で言いますと,それなりの努力はしたと評価してもよろしいのかなということで,Aと付けた次第でございます。 伊藤委員長 採用者数,今,市川委員からお話がありましたように,39人という数自体が相当の数であると。にもかかわらず,純増が3人にとどまったというのは,退職者が36人いらしたということですが,この36人の退職者はどういう理由かとか,そういうことは事務局は把握しておられますか。 松井参事官 法テラスから説明させることは可能だと思います。 伊藤委員長 皆様その点に御関心があれば。いかがでしょうか。 坂本委員 すみません,市川委員がおっしゃった39人が法曹経験者と私は認識していないんです。39人のうち8人が法曹経験者であって,あと31人は法科大学院の修了生なのかなと思ったんですけれども。 伊藤委員長 ああ,そうですか。 遠藤委員 8人は法曹経験者なんですね。 坂本委員 はい。31人は新人なのかなと思います。 遠藤委員 そうですか。39人の内容も聞いてみればいいと思います。 伊藤委員長 では,その点も併せて法テラスの方に説明してもらいましょう。 遠藤委員 私もAにしましたので。36人の退職者があって,なお純増ができたということは,かなり努力をしたのではないかと。だから,量的確保についてこの評価委員会で要請してきている中で,マイナスにならなかったというのは大変な努力ではないかなと思って。私は最初はB+かなと思ったんですけれども,そこのところを評価しましてAにしたんです。 坂本委員 この評価をするに当たりまして,絶対的に必要な常勤弁護士や司法書士の数が分からなかったものですから,39人増えました,36人減りましたというだけでどうやって評価していくのかなと。日本全国あまねく法テラスにどのくらいの数の弁護士や司法書士が必要であって,この数値を今クリアしましたという数字があれば,評価のしようがあるんですけれども,3人増えましたということがどのくらいの評価に値するのかというのが分からなかったんですね。 伊藤委員長 いわば到達目標みたいなものがあって,その中でここまで来ましたということであれば,この数だけではちょっとその点が難しいということですね。 坂本委員 その点をお伺いできたらと思っています。 伊藤委員長 分かりました。じき来られると思いますので,その点を伺ってからもう一度ここでの意見の集約をいたしましょう。 松井参事官 法テラスには,36人お辞めになられた方が,辞めた理由とその後どういう進路をとられているかという点と,こちらの資料を見る限り39人中8人となっていますけれども,法曹経験者からの転職が実際のところは何人だったかと。それから,法テラスとしてはスタッフ弁護士については何人必要と考えていて,現在その関係ではどういう状況にあるかという三点でよろしゅうございますでしょうか。 伊藤委員長 おっしゃるとおりだと思います。 松井参事官 分かりました。   すみません,法テラスで,法テラスの本部に確認する必要があるということで,若干お時間をいただきたいということでございます。委員の皆様で御討論をお進めいただいて,準備ができ次第対応をさせていただければと思います。 伊藤委員長 分かりました。   それでは,ただいまの点は,法テラスからの説明がないと,ここでの意見を取りまとめることは難しいかと思いますので,後ほど法テラスの方が説明をしてくださることを前提として,この項目についての評価の取りまとめは保留して,先に他の項目を審議したいと思います。   次の項目で意見が分かれておりますのは項目11ですね。これもちょっと関連する項目ではありますね。意欲的な常勤弁護士の確保(待遇)について,A評価の方が2名,B+評価の方が6名,B評価の方が2名ということで,先ほどの項目9についての審議と相当関連する点がございますけれども,この点も御意見の交換をした上で,また必要があれば法テラスの人に説明をお願いするということにして,とりあえずここでの議論をしたいと思います。   それでは,項目11について,Bの評価の方が複数いらっしゃいますし,Aの評価の方も複数,そして,相対的な数としてはB+評価の委員が多い結果になっておりますけれども,どのお立場からでも御意見をお願いいたします。知久委員,髙部委員はB評価ですね。 髙部委員 では,私からB評価の関係で申し上げさせていただきます。項目9と11は基本的な考え方は全く一緒でして,どうしても数が優先されるのかもしれませんが,数の問題と質の問題は避けて通れなくて,率直に言えば2,000人いる司法修習生の中には,当然のことながら,よくできる人もいれば,必ずしもそうでない人も含まれているので,その中でいい方をどういう形で採用していくかということが一つの大きなポイントなのかなと。   繰り返しになって恐縮ですけれども,一生懸命頑張っているけれども,まだ法テラスはそこまで,国民に対する認知度の問題も後で出てくると思いますけれども,法曹界における認知度も必ずしも高いとも言えない状況があると認識しております。その中で,法テラスのクオリティを上げて法曹界における認知度を上げていくということを,まだまだこれから努力をしていただかないといけないのではないかと思っているものですから,項目9と11についてBという評価をさせていただいたと。   したがいまして,後で法テラスの方に若干のお尋ねをした上でとは思っております。ただ,Bというのは普通からいくと真ん中なんですけれども,B+ができたので,低い評価のようになったんですが,決してBでなければだめだということで固執しているわけではございませんので,その点についてはお含みおきいただけたらと思います。 伊藤委員長 分かりました。   松井さん,この点も法テラスの方に関連した説明をお願いすることはあり得べしということでお伝えいただけますか。 松井参事官 はい,分かりました。 伊藤委員長 知久委員はいかがでしょうか。 知久委員 先ほどの項目9は,どちらかというと取組状況という点の評価だったものですから,私としてはAという評価にしました。採用者39人,特に法曹経験者が8人も採用されたということはすごいなと思いましたが,取組状況でAにしておきながら,項目11がBというのはどうかと思ったのですが,経験者の採用数はまだそれほど多くない中で,どれほどのものができたのかなというところを実績の御報告を見て,人材確保という面から考えてもう少し頑張っていただきたいかなという意味でB評価にさせていただきました。 伊藤委員長 どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 項目9と11はまさにオーバーラップしている話だと思うんですけれども,B+評価というのが去年から新設されたので,それがなければBという評価をせざるを得ないと思っています。これも法テラスとしての宿命と言いますか,課題と言いますか,そういうものがあるわけでして,後ほど御説明されると思うんですけれども,充足したくても充足できていない事務所が現存する。そういう状況の中で,先ほど髙部委員もおっしゃるように,優秀な人材を確保していくというのを課題とすると結構難しい問題だと思うんですね。   だから,リクルートの手段とすると,新卒の人が法テラスに入って幅広い経験をすることによって,卒業して法曹界に行ってさらに活躍していただくというようなルートが確立されることが望ましいのではないかなと。もっと言いますと,今,司法試験の修習生の数がこれだけ増えて,皆様方がそれぞれの就職自体も大変だという中で何で充足できないのだろうかと。それがいいリクルートのポジションになっていれば,どんどん人が入ってきて,2年なり,あるいは,新卒の方は3年ですか,3年ローテーションで苦労して,また飛躍をして成長していくと,そういうルートに法テラスがなってもらいたい。   そういう気持ちを持っているものですから,評価としてはBということでいいのではないかと思うんですけれども,そうは言っても努力をしていることを,B+という評価項目を作ったというのは,そういう意味で言うと,頑張っているけれどももっと頑張らなくちゃだめだよねという励ましの意味をつけてB+というぐらいの感じかなと,そういうふうに私は思っています。 伊藤委員長 確かに法曹としての実績がある弁護士の方に,法テラスで仕事をしてもらうことについての困難さは認識しながら,これだけの数の方を確保しているという点は評価できるというあたりですね。   坂本委員は,この点に関しては積極的に評価を与えておられるように聞いておりますけれども,いかがでしょうか。 坂本委員 募集については,努力をしているか,していないかというと,努力をしているんだろうなと思って,B+評価をさせていただいたんですが,今,嶋津委員のお話を伺って全く同感でして,嶋津委員に賛成いたします。 伊藤委員長 B+の評価の方が相対的には多いんですけれども,今のそれぞれの方がおっしゃった御意見,あるいは,評価と,私の理解する限りでは本質的にはそう大きな差異はないように思いますが,私があまりそういうことを決めつけてはいけないので。   遠藤委員あるいは村瀬委員,いかがでしょうか。 村瀬委員 私も努力されていることは評価できると思います。ただ,先ほどの人数の点もありますが,ここの項目はどちらかというと質を問題にしているのかなと思ったんですね。高い能力を持った中堅の弁護士の人たちにより法テラスに入っていただきたいという気持ちが非常に強いわけですので,その点でもう少し頑張ってくださいという意味でB+ということにいたしました。 伊藤委員長 分かりました。   遠藤委員はいかがでしょう。 遠藤委員 私も,採用活動も含めまして,従来にも増して各方面で十分おやりになっているということは評価したいと思います。それと法テラスの中で養成するという人数が20年で増えてきているんですね,確か。ということは,法テラス自身も,中堅の方を採用するということだけではなくて,法テラスの中で法テラスに必要な人材を育成するという形を持ってきているということについては,従来とは違った考え方ですので,これは評価できるのかなということで,私はB+ということにさせていただいたんです。 伊藤委員長 そういう法曹の一種の養成機能を果たし,ないしは果たしつつある法テラスの役割といったものも加味すると,B+の評価に値するのではないかと,こんな御意見のように承りました。   いかがいたしましょう。先ほどのように法テラスの担当者の説明を伺わないとという点は留保つきかと思いますけれども,そういう留保をつけた上でただいまの御意見を伺っていますと,B+の評価がこの場での大方の御意見かという印象もございますけれども,一応そういうことにさせていただいて,後に法テラスの担当者の説明を伺った上で,やっぱりその点は考え直すべきだという御意見がございましたら,そこは修正をするという含みを残しまして,B+ということで取りまとめさせていただけますか。 (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。それでは,この点は今申しましたようにB+ということで一応の取りまとめをさせていただければと思います。   それでは,次に,やはり御意見が分かれている項目といたしまして,項目15がございます。不祥事の防止ということで,これもAが5名,B+が3名,Bが2名ということで,三通りに御意見の内容が分かれておりますけれども,どのお立場からでも結構ですので,御意見を頂戴できればと思います。どの順番でも結構でございますが,どちらかと言うと厳しめの御意見をいただいた委員の方から補足をお願いできればと思います。   どうぞ,村瀬委員。 村瀬委員 平成20年に発覚した不正請求の問題の対応という面では,非常に大変な作業であったと思いますし,その辺で評価できるとは思います。これは私の個人的な考えかもしれませんが,国選弁護事件の報酬と言いますのは,算定基準がある意味でかなり機械的な面が,形式的な面があるような気がいたしまして,実務をやっていまして,本当に弁護活動に必要なのかという面からのチェックが必要ではないかというのが私自身の持論ではあるんです。ただ,これは弁護活動と非常に密接に絡んできますので,チェックが難しい問題があって,実際問題なかなか困難であろうと思います。   今後,端的に言いまして,必要もないのに形の上でいろいろ申立てをして,報酬のためにやったというようなことが起こり得るかもしれないという問題がありますので,その辺のチェック機能を,弁護士会との間で何らかの方法で対応策を検討するのが望ましいのではないかなと私個人的には思っております。そういう意味では,もう少しいろいろ検討,工夫をされたらどうかなと,非常に難しい注文ではありますけれども,期待を込めて評価したというところですが,冒頭に申し上げましたように,過去に起きた不正請求に対する対応は非常に膨大な作業で,努力をされてこられましたので,そういった面は十分評価すべきではないかと思いますので,B+でもよろしいかなと思っております。 伊藤委員長 嶋津委員はいかがでしょうか。 嶋津委員 私,法曹実務等に疎いものですから,あれなんですけれども,今の村瀬委員のお話なども含めて,医療費の点数と似ているのかなという感じがするんですね。今,医療費は保険の点数が出来高払いという形で算定されていることが,医療保険の運営上いろいろな問題をひき起こしているという側面がありますね。だから,なるべく包括算定みたいな形を導入すべきだと,その方が医療の質が上がるのではないかという指摘がされているわけです。   説明をお聞きしましても,ああいう個別の面会回数1回につき云々というようなことが本当に必要なんだろうか,もう少し包括算定的なことを導入すると,今言った不祥事なりも防げるのではないかという感じも素人なりにするんですね。そういうことも含めて法テラスなり法務省の方がもう少し検討をすべきではないかという感じがしていまして,そういうことも含めてBという評価。法テラスには厳しいかもしれませんけれども,制度の問題ですから,法テラスだけの責任ではないのかもしれません。あるいは,弁護士だけに責任が帰せられるのかという感じもいたしますけれども,そういうことも含めて制度の中身も含めて,今後検討すべき課題があるのではないかという気がしております。 伊藤委員長 確かに接見の回数を水増しするとかいう形での不正請求に関して厳しく対応してしかるべき措置をとることは,これは当然と言えば当然のことで,その点についての法テラスの取組について評価されているという点は,Bの評価をされた委員の方も前提になっているかと思います。他方,村瀬委員からも御発言ございましたように,報酬基準についての検討ということになりますと,刑事弁護の在り方にもかかわってくるような大問題で,なかなか難しいところかと思いますが。   このあたり,市川委員あるいは髙部委員,何か御発言ございましたら,お願いいたします。 市川委員 私としては,法テラスに関しましては,不祥事の防止という観点からきちっとやったかどうかということ,あるいは,不祥事の後始末をちゃんとやったかどうかということについての本問はその評価の問題だと理解しておりまして,その点ではAと言っていいのではないのかと思っております。   今出たのは報酬基準そのものは相当な基準なのかという御指摘かと思うんですけれども,いろいろなお立場はあろうとは思いますけれども,法テラスと,あるいは法務省も入っていたかもしれませんが,立法の段階から日弁連とどういう報酬基準にするかということで長い年月をかけて議論されて,これが最善・最高のものであるとは言い切れないとは思いますけれども,とりあえずと申しましょうか,このことでいきましょうということで,関係機関との合意を得てなされているという経過がございまして。   伊藤委員長がおっしゃったように,これを議論すると,刑事弁護の在り方,例えば無駄と見える精神鑑定をしているような弁護というのはどうなのかみたいなところにまで話が行ってしまいまして,これはこれで人生観の絡むような大問題にまで発展するわけで,そういう議論はまたどこかでしなければいけないのかなという気はいたしますけれども,ここではどうなんでしょうか。不祥事に関しての防止なり後始末としては,ちゃんとやったかどうかという観点から評価をするということで割り切ると申しましょうか,そういうふうにして考察したらどうだろうかと。その点から言うと,私はAでいいのではないかと思っております。 伊藤委員長 髙部委員,どうぞ。 髙部委員 私も市川委員と同意見であります。基本的に対応というか,弁護士と司法書士,特に刑事弁護の場合については弁護士が対象であると思われるところ,弁護士については,率直に言って,倫理規程に認められるとおり,このような不祥事を起こすこと自体があってはならないことであって,法テラスの基本的なスタンスというのは,どちらかと言えばそういう倫理性の高い仕事をしている弁護士に対して,弁護業務の独立性を害さないような形でいかに職務の適正を図るかという,ある意味非常に難しい立場での不正の防止を行わないといけない立場にあるのかなと。   弁護活動を行うに当たって,法テラスからあれこれ口出しをされることについては,多くの弁護士が必ずしもいい感じは持たないんだろうと。要するに,いい仕事をしてもらうのが大事なので。そういう意味で言えば,今回の不正防止という問題に関して,不祥事の関係については,事が起こってからではありますが,できる範囲内のことを,しかし徹底的にきちっとおやりになったという意味で,法テラスとしては,きちっとした対応をされたと私は評価しておりますので,A評価とさせていただきました。 伊藤委員長 どうぞ,村瀬委員。 村瀬委員 ちょっと誤解があるといけないと思いますので,補足させていただきたいと思います。報酬基準自体の当否はここで議論する問題ではないと思いますし,私も全然異論がないわけです。気を付けなければいけないのは,報酬基準に基づいた運用の仕方の中で不正が出てくるといけないと,そういう問題だと思います。そこでシステムとして,本来これは弁護士会あるいは弁護士サイドの問題だと思いますけれども,その弁護士会と協力してそういうチェック的なものができれば,より不正が出るおそれというのは少なくなるのではないかなと,そういう発想でして,現実的にそれが可能かどうかは私も分かりませんけれども,そういう問題意識です。 伊藤委員長 いかがでしょうか。村瀬委員,市川委員,髙部委員,それぞれのお立場で議論をしていただきましたが。   では,坂本委員,よろしくお願いします。 坂本委員 ちょっと視点が違うんですけれども,消費生活センターの現場で働く相談員の仕事の仕方なんですが,相談者の気持ちを慮って相談をすると残業につながりますが,結果として相談者に大変喜んでもらって,知事に感謝の手紙が来るとかいうようなこともあります。評価するというのがすごく難しくて,個々人の弁護士であったり相談員の資質というんでしょうか,その人に対してどういう取り組み方をしていくかというようなものがあるので,行ってもいないのに回数を増やすとかいうのではなくて,行く機会が多くて,その人のためにやっているというものもある可能性があり,中身を調査するというのは,外的にはできないのではないかなと思います。 伊藤委員長 これも項目についての評価の視点をどこに設定するかということにもかかわっておりますので,この場での御意見が完全に一致するのはなかなか難しいところかと思います。しかし,不祥事あるいは不正請求の再発防止自体については,法テラスできちんとした対応をされているという認識は委員の間で一致しているかと思います。そうすると,中間をとるのがいいというわけではございませんけれども,Aというのも難しいし,かといってBというのもやや厳しすぎるということで,よろしければB+という評価で御了解いただくのが一番よろしいように思いますが,いかがでしょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 よろしいですか。それでは,この点につきましては,B+をこの委員会としての意見として取りまとめたいと思います。   松井さん,法テラスの御説明はどうですか。 松井参事官 説明できるということです。 伊藤委員長 そうですか。それでは,その点を。 (日本司法支援センター入室) 伊藤委員長 よろしくお願いいたします。 瀧澤副部長 まず,項目9の関係でございますけれども,退職理由の内訳というところでございますが,これは任期満了というのが退職理由として私どもで正確に把握しているところでございます。では,任期満了になったらなぜ辞めるのかというところまでは把握をしきれていないというところでございます。   次に,法曹経験者が一部採用されているけれども,どのぐらいの経験者であるのかということですけれども,これはものすごく年期の入った方はおられませんが,後ほど机上配布させていただきたいと思っております。   次に,39人採用して,8人が法曹経験者ということだけれども,31人は全員司法修習を終えた者なのかという御質問をいただいておりますが,31人については全員司法修習修了者でございます。   それから,法テラスとしてスタッフ弁護士は何人必要だと考えているのかというところでございますが,263人でございます。誰かれ構わず採用するというわけにもいかず,それなりの人を採用するという形をとっておりますと,退職される方もおられますので,この数字になかなか達しないというところがございます。   次に,先ほどございましたスタッフ弁護士の退職後の進路でございますが,普通に弁護士をしているという方がほとんどでございます。正確なところまでは逐一把握していない部分もございますが,ほとんどの方はどこかの法律事務所に入ったという情報を得ておりますので,弁護士として活動しているということでございます。   もう一つ,スタッフ弁護士の魅力についてどういった形でアピールをしているのかというお尋ねをいただいております。これにつきましては,スタ弁の活動の中で,特に関係機関との連携・協力によって,必ずしも法的な問題だけではなくて,福祉関係の問題等々複合的な問題を抱えている方々に対して,その問題のほとんど全てを解決して,きちんと世の中で生きていけるような状態に戻すということができるという点でございます。開業の弁護士ではなかなかこういうことは難しいところでございますけれども,スタッフ弁護士はこういう活動をやろうと思えば大いにできるというところが,スタッフ弁護士として働く意義とか魅力につながっていると私どもは考えておりまして,この点はリクルート活動のときにも特にアピールをさせていただいている点でございます。   以上でございます。 伊藤委員長 分かりました。何点かにわたって御説明いただきましたので,いずれの点についてでも結構ですから,委員の方々から御質問をお願いいたします。 髙部委員 263人という数字の意味がよく理解できていないので教えていただきたいんです。当初は300から400人のスタッフ弁護士確保とおっしゃっていて,全国あまねくという問題と,特に裁判員裁判の導入に伴って,司法の過疎地域における弁護士の数の確保という観点から,当初は300,400人というお話があったんですが,最終的に263人という数字になっているのは,例えば,法テラスに定員という概念があるのかどうかよく分からないんですけれども,どういう形で今の263人ということでお考えになっているのか。その充足数との関係で,現状は乖離があるのかどうか。この二点について教えていただきたいと思います。 瀧澤副部長 263人という数字は,第2期中期目標のときに,第1期中期目標の時代は300人だったんですけれども,263人という形に改めさせていただいたところでございます。もともとは司法過疎地というのが全国あちこちにあって,弁護士の数も比較的に少なかったということで,300人程度必要ではないかと考えていたところでございますが,その後,弁護士の数もかなり増えて,地方において開業される弁護士の数も相当増えてまいったということで,過疎問題についてはある程度進展があって,第1期中期目標期間のころのような手当までは必要ないという面も出てきたというのが理由の一つでございます。   もう一つは,第2期中期目標のときがちょうど端境期でございまして,いよいよ裁判員裁判が始まる,被疑者国選はおよそ10倍ぐらいに事件数が拡大するという時期に第2期中期目標が検討されておりました。弁護士がある程度いても,特に被疑者が遠隔地に勾留されていると,開業弁護士になかなか受けていただけない面もございます。そういう事態に対応しなければならないという側面もございました。そういったもろもろの事情を考慮いたしまして,300人とは言わないけれども,263人程度は必要ではないかというところで定めたのが263人という数字でございます。それが今でも目標として定めているということでございます。   現状は,スタッフ弁護士は220人程度ですので,目標と40人程度の乖離がございます。私どもとしましては,項目別評価表にも一部触れさせていただいておりますけれども,私どもの基準でいくと,実質的な過疎地域というのはまだまだ残っておりますので,もし263人採れるとしたら,有能な方であって意欲もある方というのが前提でございますが,あと40人そういう方がいらっしゃるとすれば,そういった地域にも手当をしていきたいと思っているんですが,まだそこができておりません。では,現状において特に被疑者国選が回らないというような不都合があるかというと,この項目別評価表にあるとおり,迅速に選任されるような努力をしている甲斐もございまして,多くのケースでは短時間のうちに国選弁護人は選任されております。また,裁判員事件の関係でも,複数の弁護人が選任される案件で弁護士の1人になるなどの形で関与させていただいている結果,顕著な弊害は今の状態でも出ていないと認識しております。   以上でございます。 髙部委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。   では,他の委員の方,御質問ございましたら,お願いいたします。どうぞ,遠藤委員。 遠藤委員 弁護士の階層によって任期が決まっています。そうしますと,いわゆる定年ではなくて,定期的に退職される方の計算もできるわけです。平成23年度の場合,大量に出たというけれども,それはもともと計算された範囲内ですよね。その辺のところはどういうふうに計画されているんですか。 瀧澤副部長 任期満了を迎える方が何人というのは把握できております。その中で残っていただける方も一部いるのは事実でございますが,年によって残っていただける方が多かったり少なかったりというのはどうしてもございます。そこら辺がなかなか見通しを立てにくい部分があるというところは御理解を賜りたいと思います。 遠藤委員 分かりました。 伊藤委員長 どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 これから充足率を高めていくという方向性の中で,法テラスとして望ましいスタッフ弁護士像ということで,一つは新採の人たちを採用して経験を積んでもらうというのと,経験者を確保して,そんなことを言ってはあれですけれども,質を高めるということと両方あると思うんですけれども,法テラスとするとどっちに今後重点を置いていくべきなんですかね。あるいは,そのほうが望ましいと思っておられるのか。あるいは,事務所におけるスタッフ弁護士と,過疎地における法律サービスの担当者の場合とちょっとあれが違うのかもしれませんね。それはどうなんですかね,適材適所ということなのかもしれませんが。 伊藤委員長 法テラスとして既にこういう方針が確立されているとか,こういう方向で行くということが決まっているというのでなくても,問題の認識とか議論の状況といったものをお話をいただくのでもよろしいかと思いますが。 瀧澤副部長 方針というような固いものが定まっているというわけではございませんが,委員の御指摘になられた二つの点は非常に重要なところでございまして,いわば車の両輪的な感じではないかと思っております。法テラスが始まって以来,今までは,とにかく過疎地でサービス提供しなければいけないということで,最初は経験者を採ろうと思って失敗したということがございますので,ある程度の水準の能力があって意欲がある人をとにかく採用して,過疎地ないし地方事務所でも被疑者国選が心配なところなどに置くというような方針でやっていたところでございます。しかし,このところ,もう一つの面,シニアの弁護士,つまり経験を積んでほかの弁護士の指導にあたれるような方を少し増やしていかないと,数を採ったはいいんだけれども,サービスの質が今ひとつ十分でない部分もだんだん出てきているというのが明らかになってまいりました。そこで,最近は,過去の部分を反省いたしまして,委員が御指摘になられたシニア,つまり指導者的な方を採る方向でも動こうというような傾向になっております。そのために,細かいところですけれども,法テラスの内規を改正いたしまして,スタッフ弁護士としてかなり経験を積んだ方でもスタッフ弁護士として引き続き勤務していただけるような改正をしたところでございます。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 嶋津委員 今の改正というのは処遇についてですか。 瀧澤副部長 スタッフ弁護士の内部規定がございまして,従来ですと,任期は原則10年でした。10年の後2年,その後2年,さらに2年と3回だけ追加更新ができる。そこでお終いということだったんですが,それを超えても大丈夫というような形の改正をして,優秀な方であればスタッフ弁護士として引き続き勤務することが可能な制度にしたという趣旨でございます。 伊藤委員長 分かりました。   ほかに御質問ございますか。どうぞ,市川委員。 市川委員 先ほど,39人中8人が法曹経験者で,31人は法曹経験はないけれども,司法修習は終えているとおっしゃいましたよね。その方々は何をされていたのかというのはお分かりですか,研究者をやっていたとか。その31人の方のスタッフ弁護士になる前のお仕事。 瀧澤副部長 ちょっとそれは今持ち合わせておりません。すみません。 伊藤委員長 いかがでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,どうもありがとうございました。 (日本司法支援センター退室) 伊藤委員長 それでは,先ほど保留をいたしました項目9の評価でございますけれども,ただいまの法テラスの担当者からの説明を踏まえて,いかがでしょうか,相対的にはA評価の方が多いんですが。どうぞ,坂本委員。 坂本委員 常勤弁護士の配置先一覧という資料を見ますと,目標が263人で,現在,常勤弁護士は220人なんですね。ということは43人足りないということですね。 伊藤委員長 どうぞ,髙部委員。 髙部委員 確かにA評価の方が数的には一番多いんですけれども,項目9については,私はBの意見を述べておりますが,B+ということで全体評価をまとめるのでいかがかなと思うので,その旨御提案させていただきたいのですが。 伊藤委員長 ありがとうございます。   ただいまの髙部委員の御提案,全体として見るとむしろB+というあたりがこの委員会としての意見の集約点ではないかということでございますが,いかがでしょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 よろしゅうございますか。それでは,項目9につきましては,B+という評価にさせていただければと思います。   そこで,項目11,15は既に結論が出ておりますので,これで,大項目1につきましての御意見が分かれている点については一通り審議をして,委員会としての結論を出すことができたという認識でおります。    よろしいですか。   そういたしますと,次の「異論の少ない項目」でございますけれども,ただいまの既に御審議いただいた項目を除きまして,項目1から4,6,8,10,12から14,16から19,これらにつきましては,資料に記載のとおり,7名以上の委員の評価が一致しておりますので,もしよろしければその評価を委員会としての結論として取りまとめをしたいと思いますが,これらの項目につきまして御意見があれば,ここで承って審議をしたいと思いますが,いかがでしょうか。   どうぞ,知久委員。 知久委員 項目6ですけれども,評価はBで異論がないんですが,広報活動というのは非常に難しいと思うんですね,効率的な広報活動ということで。お金を掛ければかなり浸透することもあると思います。大手金融機関でメロディーが流れただけでどこの企業なのかが分かるほどで,子どもでも歌えるようになるくらいの広報効果もありますので,そういう広報もあってもいいのかもしれません。ただ,前回の会議で提案したリスティング広告でかなり上位に出ている時期がありましたので,費用がそれほど掛からなければ継続していかれると良いのかなと思います。認知度という意味では,特定の弁護士法人とか司法書士法人がかなりリスティング広告を使っていまして,法的対応について調べると上位にばあっと出てきて,法テラスが下の方にあったりしますので,法テラスも継続してリスティング広告を行っていって一番上に出てくるようになれば,ホームページを見る方は一番上から見ていきますので,こういう広報も必要かなと。一般的なテレビなどの広告に比べればかなり費用は安いと思いますので,継続してやっていただけたらいいなと思います。   それから,前回,質問ということで幾つか出させていただいた中で,インターネットもそうですけれども,逆にインターネット弱者と言いますか,使えない方もまだまだたくさんいらっしゃる中で,司法書士会などもよく利用している市の広報というのがございますよね。法テラスではどの程度利用されていますかという質問をさせていただきましたが,今日回答書をいただいた中で,西の方ではかなり利用しているようでございますが,一部地域の抜粋ということで,関東から東北にかけての御報告がありませんでした。震災の時に感じたことですが,インターネットそのものが使えない時に紙による媒体がかなり有益だったんです。   ですから,各地方事務所単位で市報を利用するのもいいんですが,法テラスのコールセンター自体を全国的にもっと市報等に掲載できないでしょうか。関係機関ということで県や市にもお願いをして,市報の必ずどこかに決まったロゴマークか何かで目立つようにされるというのはいかがでしょうか。市報等は今でも回覧板で各家庭に回しているものですし,そういう広報もあってもいいのではないかなと思います。40何パーセントからなかなか上がってこないというのは,隅々まで届いてないところがあると思うので,この辺をもっと法テラスに検討していただけないかと思って。評価とは直接関係ないかもしれませんが,今後のことも踏まえてこの中でも御意見をいただけるといいなと思って発言させていただきました。 伊藤委員長 誠にごもっともな御指摘だと思います。事務局で,法テラスからその点について何かお聞きになっていることがございましたら,紹介していただければと思います。 松井参事官 委員からの御提案と言いますか,問題意識につきましては,法テラスに伝達済みでございまして,問題意識を踏まえて検討をさせていただきたいとの回答を受けています。昨今,広報予算が非常に厳しい状況にございまして,様々な理由を説明して財務省と交渉するわけですが,現在やっているインターネット広告以上の予算が付かないという実情にございます。もちろん,情報弱者,高齢者等につきましては,インターネットを見ない方もいらっしゃいますし,実際問題として高齢者の認知率が低いというのも承知しております。   したがって,来年度予算につきましては,そのことも念頭に置いた要求等を検討しているところでもあります。あるいは,地域におきましては,地域に密着した広報手段をとっているとも聞いております。もとより公共の市報であるとか自治体の広報を利用するというのは,財政面からもすべきことでありますので,この点につきましては,法テラスにきちんと伝えたいと考えております。 伊藤委員長 では,そのようにお願いいたします。   他に,先ほど来申しました項目について,何か補足的な御意見ございましたら,お願いいたします。どうぞ,坂本委員。 坂本委員 知久委員と同じ項目6です。私も評価についてはBで,それに異論はないんですけれども,内容につきまして御意見を述べさせていただきたいと思います。   そこでちょっと考えたことなんですが,項目35ですが,法テラスでは法教育をやっており,資料を見ますと,700回以上法教育の出前教室をやっているんですね。そういったフェイス・トゥ・フェイスの講座を行い,法テラスの理解を求める人たちのために講座を積極的に行っていくことがいいのではないかと思います。相談員のような人を登録させておいて,要望があったら,5人か10人ぐらいいたらそこに話をしに行くと。   フェイス・トゥ・フェイスの周知の仕方が,地道ではあるが,パンフレットを何万部刷るとかという広報をするというよりも,効果があるのではないか。そして,本当に困った人に行き渡っていくのではないかと思いました。   もう一つは110番事業なんですけれども,例えば弁護士会と共同で,「労働110番」とか「医療110番」という銘を打ってやると,本当に困った人がそこに目を向ける。だから,抽象的なものではなくて,困った人に目が行くようなPRの仕方というんですかね,そういうことをやったらどうかなと思います。   それから,全国で消費生活相談機関は認知度90%以上というような状況です。そこに来る相談者は法テラスの利用者,法律扶助が必要な人もたくさんいるだろうと思うんですね。日常的に消費生活センターと法テラスの地方事務所が連携をもってパイプを作っておくと,自動的に法テラスにつなげていくというような,人と人との関係の中で法テラスの認知度を上げていったらどうかなと。また,法テラスの職員のアイデアの募集をするなど工夫をしてパンフレットを作ったりプレス発表をしたりという定型的なものでない地道な努力をしてもらいたいなと思います。   長くなって申し訳ないんですが,もう一点だけお伝えしたいのが,項目16と17の地方協議会の開催と人選なんです。そういった地道な努力をしていれば,地方協議会というのは実りのある会議ができると思うんですね。ところが,実態を見ると,開催はしているけれども,参加者が10名未満であったり,開催の中身が定例的なテーマであったりとか,日ごろのお付き合いが今ひとつ十分にされていないのではないかなと感じました。日ごろの付き合いの結果が法テラスの周知という形につながっていくと思われます。   そういったことを総合的に見ると,嶋津委員がおっしゃった項目1の統括というのは,私はA評価にさせていただいたんですが,嶋津委員と同じB+に変更をお願いします。以上です。すみません,長くなって。 伊藤委員長 分かりました。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 私も,さっき項目1のところで1人だけB+,今,坂本委員がB+という御意見だそうですが,私はちょっと方向が逆で坂本委員に恐縮なんですけれども,趣旨は,東日本大震災対策などで法テラスが非常に機敏にやっていただいたということは評価しつつ,なおかつ将来に残す課題があるということを認識していただきたいという意味でB+にしました。ただ,評価理由なり,あるいは,後ほど検討される大項目1の総合評価のところに課題が残っているということをメンションしていただいておりますので,そういう前提で全体の評価としてはAということで,私は評価をB+ではなくてAと。すみません。 伊藤委員長 そういたしましたら,先ほどの坂本委員の御発言,特に地方協議会の関係のことにつきましては,事務局から法テラスに十分お伝えをして,地方協議会の形式ではなくて実質が上がるように,工夫,努力をしていただくとお伝えをお願いしたいと思います。   その上で,項目1につきましては,坂本委員と嶋津委員との間に若干のお立場の変更がありましたけれども,それを踏まえまして,この委員会としての多数の意見としてはAということで,そのほかの項目についてもそれぞれの多数の委員の御意見に従うということで取りまとめさせていただいてはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。 (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。   以上で大項目1については審議を全てしていただいたことになりますので,ここで10分程度休憩をとりまして,10分経過したあたりから再開したいと思います。 松井参事官 今,3時57分ですので,4時10分から再開ということでよろしくお願いいたします。 (休     憩) 伊藤委員長 それでは,よろしゅうございますか。再開いたします。   次の大項目2に入る前に,先ほどの大項目1の項目9に関して事務局から補足的な説明がございますので,お願いします。 松井参事官 先ほど市川委員から御質問があった件につきまして,法テラスから調査結果の回答がございましたので,報告いたします。平成23年度の採用数39人のうち31人,新採になりますけれども,全員が司法修習生を卒業し,即法テラスのスタッフ弁護士になった者でございまして,例えば途中で研究者とかいう形でのキャリアはございませんでした。それから,法曹経験者の8人につきましては,ただいま配布させていただいております資料のとおりでございまして,8人全員が5年以内の法曹経験歴を有する者という結果でございます。   以上でございます。 伊藤委員長 市川委員,何か御意見ございますか。 市川委員 結構でございます。ありがとうございました。 伊藤委員長 それでは,大項目2,業務運営の効率化のための措置に関する各項目で,項目20~28までについての意見の取りまとめをさせていただきます。これらの項目につきましては,机上配布資料A-2にございますとおり,全てにつきまして,それぞれ7名以上の委員の方の評価が一致しております。したがいまして,「異論の少ない項目」ということになります。そこで,特段御意見がございませんようでしたら,多数の委員の一致した意見のとおりで評価委員会としての評価を取りまとめたいと思います。もちろんこの場でいただければそれについて審議をお願いしたいと思いますが,いかがでございましょうか。   どうぞ,遠藤委員。 遠藤委員 項目25のコールセンターの経費削減につきまして,私一人がB+なんですけれども,何をもって経費削減になったかということだと思うんです。A-3の資料でコールセンターの費用は前年度は委託方式で5億3,000万円だったものが3億7,000万円になったということで,数字だけを単純比較しますと1億6,000万円の減少になっているわけですが,これは経費削減をしたという評価ができるものではないんです。というのは,今までは委託方式だったわけですが,それがコールセンターの自主運営になったわけです。これを比較しまして経費が削減したということにはならないと思うんです。経費削減をしたかどうかというのは,平成24年度のコールセンターの実績を見て,コールセンターを自主運営した結果,どういう経費削減とか,どういう経費動向になったのかということになって,初めて比較検討できるわけです。   したがいまして,ここのところの経費削減という面からしますと,果たしてこれがA評価になるのかなというのが一つ疑問がございます。ただ,自主運営になりましたから,コールセンターの運営においていろいろな量的・質的な業務をおやりになっていることについていは,A評価していいと思うんですけれども,経費削減という面からしますと,Aというのはどうかなと。ちょっとその辺のところでジレンマがありまして。そういう意味で私はB+ということにさせていただきました。 伊藤委員長 分かりました。御指摘ごもっともと思いますが,ただいまの遠藤委員の御発言に関連してどなたか委員の方から御意見ございますでしょうか。   どうぞ,市川委員。 市川委員 どうなんでしょう,経費削減を目的として委託をやめたという面もあるのでしょうか。 遠藤委員 それは経費削減というのではなくて,費用の絶対額が減ったという話なんです。だから,経費の削減ではないんです。従来に比べて事業運営費が減ったというだけの話なんです。というのは前提が変わったわけですから,比較にはならないんです。削減というのは,同じものを比較して減ったか増えたかという話ですから。 伊藤委員長 遠藤委員,その点は御指摘は十分ごもっともと思いますが,遠藤委員御自身もコールセンターの運営自体に関しては評価をされているということで,よろしければこの場の多数の御意見でよろしゅうございますか。 遠藤委員 それは構いませんけれども,経費削減したからAというのは,この評価委員会としてはあくまでも平成24年度の実績を見て,経費削減云々という評価をしなければいけないということをお話させていただければと思います。 伊藤委員長 はい,分かりました。その点確かに承りました。   そういたしましたら,大項目2に関連して,本日御欠席の小林委員から事務局に御意見の言付けがあると承っておりますので,それを紹介していただけますでしょうか。 松井参事官 小林委員から皆様にお尋ねしていただきたいと言付けを賜っているのは,項目22の常勤弁護士の適正な採用・配置という部分でございます。小林委員は,この項目につきましては,B+とB評価,どういうふうな観点で違いをつけるのかという点について,パイロット事務所の設置に関する新たな検討会につきまして,常勤弁護士の質の向上に資する新たな取組として評価すべきか,あるいは,まだ成果が上がっていないということで評価を慎重にすべきか,こういう二つの方向から考えがあるだろうという前提の下,前者すなわち新たな取組として評価すべきということでB+評価をされたということです。   小林委員からは,Bとされた多数の委員の方々におかれましては,この検討会の成果がまだ見えていない段階だということで,B評価にとどめておくのが相当だという御判断をされたのだろうかと。もしそうであればそういうような観点もあるのかなということで,お尋ねしていただければという形で承ってきましたので,御確認いただければと思います。 伊藤委員長 分かりました。   これは小林委員からのB+という意見の趣旨の確認ということかと思いますけれども,ただいま事務局から御紹介がありましたように,B評価の理由は,検討会は立ち上げたけれども,その取組がどういう形で実を結んでいるかについてはまだ具体化していないというようなことで,B評価になっているのではないかという確認で,この場での多くの方の御意見ではBとなっておりますが,そういう趣旨だと申し上げてもよろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 そういうことでよろしければ,これは小林委員の御質問に対する回答ということにもなりますし,またこの委員会としての確認ということにもなりますが,今申しましたような趣旨でB評価ということで御了解いただければと思います。   特段ほかに大項目2に関しての御発言はございませんか。どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 項目23について私一人だけB評価をさせていただいているんですけれども,先ほど発言したことと趣旨は同一なんですけれども,項目23のところを,実績の評価の書き方として,東日本大震災に対する対応として非常に機動的に,宮城県内に3か所,岩手県内に1か所の出張所を開設し,その出張所の方が大活躍をしているということはお話をしたとおりなんですけれども,残念ながら福島県内における対応について,ここのメンションでは書いてないんですが,最近,二本松に出張所を作ることになったということなんですね。   二本松というのは福島県でいうと中通りになるんですけれども,浜通りに対する対応というのが課題として残っております。これからも課題であり続ける,特に浜通りは津波だけではなくて原発の被害の問題等があり,除染が進めば避難している人たちがそこにまた戻ってくるということも含めて需要があるわけでございまして,そこのところは法テラス自身も問題意識を持っているわけですね。そういうことを含めて項目1のメンションなり,あるいは,総合評価のところでも課題が残っていると法テラス自身も認識しているわけですので,私は,ここのところをAとしてそのまま置いておくと,その課題を無視することになると思いますので。   Bにはこだわりません,一生懸命やっていただいたということですから,B+で十分なんですけれども,しかし課題は残しているということを,今年の評価についてはぜひ残しておくべきだと思いますので,私の意見は主張させていただきたいと思います。ここに課題が残っているという痕跡と言いますか,評価理由の中にもそういう文章も含めて。ただ,あまり地域を限定したりすることは,逆に言うと関係者を刺激したりすると思いますので,課題が残っているということと趣旨を,特に地域とかは限定せずに,福島県の浜通りというと関係者はたくさんいますので,そういうことはメンションせずに,まだ課題があるという表現にとどめて,評価とするとAではなくてB+と。Bにはこだわりません,B+という形にしておくことが必要なのではないかなと思います。 伊藤委員長 ただいまの嶋津委員からの,評価としてB+が適当で,その理由としてはなお課題が残されているということを記述すべきだと。こういう御意見につきまして,委員の中の評価としてはAが大多数であったわけですけれども,いかがでしょうか,御意見をおっしゃっていただければと思います。   どうぞ,知久委員。 知久委員 福島県内に多くの方が避難されているということですけれども,埼玉県内にもかなりの方が避難されていて,最近徐々に福島にお帰りになっているということもありますので,平成23年度としてはこの評価にしておいて,そこに引き続き必要な見直しをしていってほしいというような要望を評価の理由に書かれてはどうでしょうか。すみません,A評価とした者としては。実際にこれからが正念場ということで,今年度は不足している地域に出していただいて,弁護士会,司法書士会も,個別に相談場所を開設して相談活動を行っているのは事実でございますが,法テラスとしても今年度こちらに出していかれることになっているようでございますので,この評価の理由の中に若干の加筆があってはどうでしょうか。 伊藤委員長 分かりました。   他の委員の方,いかがでしょう。遠藤委員,お願いします。 遠藤委員 法テラスから来ています業務実績報告書を読ませていただくと,今,嶋津委員のお話になったことは触れられていないんです。したがって,実際そういう状況があるということが分かった以上は,そのままA評価にするというよりも,まだ検討課題があるんだということでワンランク下げると。ワンランクではなくて,0.5ランクだと思うんですけれども。   それから,皆様のお手元にあると思いますけれども,総合評価のところに課題があるんだということが事務局の案では触れられているんですよね。そうすると,個別評価のところではいいよと言っておいて,総合評価のところで課題があるなどというのは,評価としては整合性がないと思うんです。我々は新しい情報を得たわけですから,今の段階からしますと,AではなくてB+と,まだ検討課題ありますよということの方がいいのではないかと私は思います。 伊藤委員長 分かりました。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 最後に検討していただく総合評価のところで,法テラスの方ともディスカッションしたんですけれども,大項目1の評価はAなんですけれども,対応する中身として,「震災対策に対する対応につきましては,被災地出張所の設置状況等に照らせば,法的サービスを提供するための人的・物的整備がいまだ必ずしも十分とは言えない一面があることを指摘しておく」と書いていただいているんですけれども,この中身は先ほど言った地域名は出さずにまだ重要な課題があるということは法テラス自身が認識しているわけで,その部分の個別評価のところがAということになると,全体として統一がとれていないことになってしまいますので,ここのところはそういう評価を残しておくべきではないかと思います。 伊藤委員長 分かりました。   他の委員の方,御意見をお願いいたします。どうぞ,髙部委員。 髙部委員 私もAということに固執する気持ちは全くございませんし,今,嶋津委員と遠藤委員から非常に説得力のある御説明をいただきましたので,私としてはB+という形で対応することについて十分胸に落ちております。率直に言ってちょっと気の毒なんですけどね,大変な作業ですからね。その中で一生懸命やっているというのは理解してあげる必要があるのかなという気はしますが,非常に説得力のあるお話をいただいていますので,私としては胸に落ちております。 伊藤委員長 分かりました。   はい,どうぞ,村瀬委員。 村瀬委員 私もB+がよろしいのではないかと思います。 伊藤委員長 分かりました。   そういたしましたら,実績という意味でこれまでになされたことに対する高い評価は委員の間で認識が一致していると思いますし,課題がまだ残されているという点に関しても御意見の違いがないように思います。それぞれの方々から出していただいた意見としては,Aが大多数であったかと思いますが,ただいま髙部委員,村瀬委員から御発言もございましたように,これまでの実績に対して高い評価をしないということではないと。そういうことはよく伝わるようにし,しかしなお課題が残されているということでB+と,そういう評価にしてはいかがでしょうか。実績に対する評価という意味ではAと言ってもよろしいかと思いますが,ただいま私が申し上げたような意味でB+ということにするということで御了解いただければ,これを委員会としての取りまとめにしたいと思いますが,よろしゅうございますか。 (各委員了承) 伊藤委員長 それでは,Aという気持ちも何らかの形で伝わるようにとは思いますけれども,評価としてはB+,そして,評価の理由として,残された課題の存在についての指摘をすることにさせていただければと思います。   大項目2についてよろしければ,次に大項目3,業務の質の向上のための措置に関する各項目,資料1で言いますと,項目29~50についてでございます。まず,「意見の分かれた項目」でございますが,項目29の客観的評価の実施とその反映(情報提供)に係る項目でございます。御覧になっていただくとお分かりになりますように,Aが4名,B+が6名という分かれ方になっておりますので,この点に関して御意見をお願いしたいと思います。   どうぞ。 髙部委員 項目29ですけれども,私が最初に検討したときにはAでいいかなと思ったんですが,改めて読み直してみるとB+の理由というのは,すみません,6名が7名になったらころっと変わってしまうという立場にいるので節操がないと思われるかもしれませんけれども,読んでみたらなるほどなと思っているところがあるので,私,Aで意見を述べさせていただいておりますが,B+に変更させていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 伊藤委員長 分かりました。   いかがでしょうか,髙部委員の今の意見の表明によりまして,B+の評価の方の数が相当数に上っているという状況でございます。私自身もAという評価をしておりますが,確かにB+の理由として述べられている指摘の点もございますので,あえてAにこだわるものではございませんが。   知久委員はいかがでしょう。 知久委員 Aにした理由は,前年度20地方事務所から,今年度は全事務所でというところを評価しました。B+かなと思いつつもかなり頑張ったところを加味したんですが。御指摘もありますので,どうしてもAということはありません。 伊藤委員長 そこはよく分かりますが。これもどちらかに絶対的な理由があるというのは難しいかと思いますけれども,相対的に多数の方の御意見で,かつ,知久委員もどうしてもAでなければいけないということではないということですので,B+ということで御了解いただけますでしょうか。 (知久委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。そうしましたら,項目29はB+ということにいたします。   次に,やはり御意見が分かれているところで項目33,情報提供の方法・手段の工夫と。これはAが3名,B+が6名,Bが1名。これについても意見が分かれておりますが,御意見をお願いしたいと思います。   どうぞ,村瀬委員。 村瀬委員 Bにしましたのは,自己評価でも中心的な問題とされておりましたIT技術の活用が進展していないというところで,昨年と同じ評価かなというのが理由でございます。ただ,別の目で見れば震災関連ではかなり情報提供などの努力がなされているということで,そういう意味ではB+でよろしいかと思います。 伊藤委員長 それに対してAの評価をなさっている委員の方もおいでになりますが。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 私,評価についてはB+で異論はないんですけれども,評価理由のところに,もう少し前向きでQ&Aに対する評価を何で書いておかないのかなと思っているんです。立派なQ&Aを作って評価されているわけですので,そのことをメンションしておいて。大震災に関する対応がAということはあり得ないと思うんですね,これだけ大変なことについて。ものすごく努力をされたという評価も含めてB+ということで。今年の評価について言えば,先ほどの出張所の話もそうですけれども,ものすごく評価をしたけれども,そういうことについてAという評価は人智を超えたような対応になってしまうわけだから,それはB+でいいのであって。ただ,Q&Aなどを出して評価されたということ,何で「石炭じん肺訴訟の和解云々」ということになってしまうのかあれなんですけれども,もう少し前向きのことをメンションしておいていただきたいと思います。 伊藤委員長 分かりました。   今の嶋津委員の御発言に関して,何か関連した御意見ございますか。   結論はもう一度お伺いいたしますけれども,B+の理由として,Q&Aの発行についての積極的な評価を付け加えることに致します。文章表現については,恐縮ですが,私と事務局に御一任いただければと思いますが,趣旨はよく理解しておりますので,そういうことにさせていただきます。その上で,評価に戻りまして,Aという評価をしていらっしゃる委員も複数おいでになりますが,いかがでしょうか。   どうぞ,髙部委員。 髙部委員 私が項目22の関係でB+で「分かりました」と申し上げておきながら,こちらでAを維持するというのも若干平仄が合わないと,嶋津委員からそういう間接的な御指摘を頂いたということが理解できましたので,私はAからB+ということで対応させていただきたいと思います。 伊藤委員長 分かりました。   坂本委員はいかがでしょう。 坂本委員 私は項目29も33もAにしております。嶋津委員のおっしゃっていることもよく分かるんですけれども,現場で働くスタッフの努力と,それをより良くしていこうという,フィードバックをしようとする評価の仕方については,やればやっただけ上がっていくんでしょうけれども,現場で働く人たちが,今,現に努力していることはきちっと評価してあげた方がいいんじゃないかなと思いました。 伊藤委員長 そうですね。確かに坂本委員のおっしゃることはそのとおりだと思います。そういう意味でも,先ほど嶋津委員からB+の理由について,より積極的に評価をすべき点を補足してということを付け加えた上で,この場の大多数の御意見としてB+ということで御了解いただけませんでしょうか。   どうぞ。 坂本委員 ちょっと付け加えますと,現場のスタッフはすごく努力しているんだと思うんです。私がAをつけた理由はほかとのバランスの中で,ほかにもうちょっと頑張らなければいけないところがあるのに,これをBにするのかというバランスの中で,もっと法テラスの中に乗り越えなければいけない課題があって,スタッフというのは結構頑張っているんじゃないかなと,そのバランスがあってのところです。ですから,B+に評価する場合はQ&Aのことも含めて評価すべきところがあるというところを付け加えていただけたらと。 伊藤委員長 ただいまの坂本委員の御配慮を踏まえて,B+の理由に関しては事務局と協議をして工夫させていただければと存じます。ありがとうございました。   それでは,次に項目39でございますが,サービスの質の向上について。これもはやりAが3名,B+が5名,Bが2名ということで意見が分かれておりますので,それぞれの委員の御意見をお願いしたいと思います。   坂本委員はこの点については比較的厳しい御意見のようにうかがえます。 坂本委員 先ほどの言い分と変わって恐縮なんですけれども,弁護士の方がいらっしゃる中で恐縮ですけれども,弁護士が威圧的で相談がしにくいとか,親切でないとか,そういった話をよく聞きます。その辺のところで弁護士さんたちにより良く,法律扶助を受ける人たちというのは弱者であって,困っているから相談するのであるから,クレーマーも今,結構多い時代で,必ずしも弁護士が悪いということはないんですけれども,弁護士に対するクレームが多いというような話を聞いたことがありまして,ここはちょっと厳しくやらせていただきました。B+でも結構かと思います。 伊藤委員長 個別事案においてどういう対応がなされて,その対応の原因が何かを把握するのは難しいところがございますけれども,問題がある,事例があるということは指摘されているとおりでございますが,いかがでしょうか。他方,Aの評価をされている委員の方もおいでになりますけれども。知久委員はいかがですか,項目39に関して。 知久委員 私はA評価にしました。先ほど坂本委員の御指摘があったようなことも,アンケートで結構出てきていますよね。でも,それをフィードバックして,各相談員に周知徹底しているようにも聞いておりますので,B+でもいいんですが,改善が図られていることを評価してAにさせていただいたんですが。 伊藤委員長 どうぞ,市川委員。 市川委員 これは弁護士にとっては正直言って耳の痛い御指摘でして,実際私どももよく耳にします。しかし,法テラスとしてはそれなりの周知は図っていると思います。よく聞こえてきますし,法テラスも努力を一生懸命していることは十分認めるんですが,結果として次から次へと発生してきていることも事実なので,全部が法テラスの責任だというのは気の毒のような気もするのですけれども。現実にそういう事象が頻繁と言いましょうか,結構あるものですから,やっぱりAは差し上げにくいかなと。頑張っているのを認めるのはやぶさかではないけれどもということで,私はB+ということにさせてもらったんです。両方の委員の御指摘はそれぞれごもっともだという気がいたします。 伊藤委員長 髙部委員,この項目はいかがですか。 髙部委員 すみません,市川委員がそうおっしゃるなら私も異論はありません。B+で結構でございます。 伊藤委員長 いえいえ,髙部委員御自身の御意見をおっしゃっていただければ結構と思います。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 私も別にBにこだわるものではありません。先ほどの震災対応も含めて,Aという対応はなかなか難しいということも含めてB+ということで結構でございます。 伊藤委員長 分かりました。   それでは,B評価ということで最初の御意見を示された委員からもB+で結構であるということをおっしゃり,また,A評価の委員の方からは,気持ちとしてはAなんだけれども,どうしてもそれでなければということではないという御意見もございましたので,項目39につきましてもB+をこの委員会としての結論にさせていただければと存じます。   それから,大項目3の「異論の少ない項目」に移りますけれども,ただいま御審議いただいたものを除いた項目,つまり,項目30から32,34から38,40から50につきましては,委員の方々の御意見が大体一致しているようでございますので,よろしければ一致した御意見を委員会としての意見にさせていただければと思いますが,何か御発言ございましたら,お願いいたします。いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。それでは,委員の方々の多数の御意見をこの委員会としての意見として取りまとめさせていただきます。   休憩をとりましょうか。5時5分過ぎぐらいでよろしいですか。  それでは,それまで休憩したいと思います。 (休     憩) 伊藤委員長 それでは,再開させていただきます。   大項目の4,財務内容の改善に関する事項についての審議をお願いいたします。これまでと同様に意見の分かれました「議論を要する項目」をまず取り上げたいと存じます。そこで,項目52,立替金債権の管理・回収計画等につきましては,A評価が4名,B+評価が5名,Bが1名ということで,AとB+,Bの評価が分かれておりますけれども,この点に関しまして御意見をお願いいたします。   どうぞ,髙部委員。 髙部委員 私が一番悪いB評価を付けております1名でございます。この関係についても,各委員の意見集約表の項目52と53を見ていただきたいんですが,立替金債権の管理・回収計画等の問題と,効率的で効果的な債権回収という問題が記載されております。項目53のところでは,B+の評価のところでも書いてあるのですが,赤字で「回収方式の多様化を積極的に採用する及び督促体制の整備を図る取組を行っていた」と記載されています。   他方,項目52のB+の評価を見ますと,最後のところで「現段階においてはB評価相当と言わざるを得ないが,全体としての取組状況は積極的であり,比較的良好と認められるため,B+評価とした」と記載されているんですが,今申し上げたとおり,具体的な取組は回収に係る取組が中心でございまして,従来のいわゆる立替金管理の関係についての取組というのはワンランク下に落ちているのかなという認識でございます。   この点については,具体的にお名前を出させていただいて恐縮なんですが,遠藤委員が前回の会議においても御指摘になっていましたように,まさに今法テラスが抱えて いる問題というのは,現状発生している立替金の問題ではなくて,過去に発生している立替金について,これをどういう形で処理していくかということが最も問われているという認識でございますが,その点についてはいろいろと努力をされていることは十分認識しているものの,抜本的な対応が十分できていないのではないかというのが私の個人的な意見でございます。つきましては,私は別にBにこだわっているわけではございませんが,Aというのはこの問題に関してはいかがなものかなというのが率直な私の意見でございます。   ちょっと率直に言い過ぎているかもしれませんが,そういう気持ちもございまして,項目53は今標題に上がっていないわけですが,項目52と53が関連することを前提にいたしますと,項目53の問題についての効果的な債権回収の問題も,従来の既存の立替金についての回収方法をどうかかわっていくかという点であろうかとも思いますので,併せて申し上げさせていただくと,この問題に関しては,A評価ではなく,皆様方多数の意見を踏まえてB+評価としていただけないのかなと認識しているところでございます。   以上でございます。 伊藤委員長 ただいまお名前が出ましたが,遠藤委員からもお願いしたいと思います。 遠藤委員 立替金債権の管理・回収ですけれども,項目52と53は別々に評価するのではなくて,一体として評価していかないと,さっき髙部委員がおっしゃったように,残高管理があって,それの回収はどうするかという話になるわけです。これは法テラスが法律扶助協会からそのままどんぶりで受け取っているというのがあるんです。それについては恐らく回収はやっているけれども,残高管理はしていないんだろうと思うんです。   今回,システムの入替えをしましたので,そこのところを分離して,つまり,法テラスが実際に法テラスになってから立替金の支払をしたものです。その管理と,法律扶助協会から来た残高です。これは残高でしかありませんから,その残高の管理とを分けて管理をしていくというふうに二つに分けないといけないと思う。そこのところで法テラスは,どうも回収の方に目が向いていまして,残高管理についての視点がちょっと薄いのかなと考えます。   私は両方ともB+にしているんです。それは何かと言いますと,従来に比べると担当業務課の方はかなり意識が変わってきていますので,前回もBだったと思うので,Bにしちゃうと意識をそぐのではないかと思いまして,私は今後の期待を込めて残高管理をB+と。残高管理は現状からするとBだと思うんですけれども,将来の意識を高めていただくということでB+としております。   項目53の回収につきましては,従来に比べますと,いろいろな手続,考え方をとることによって,従来よりも手続的にはいろいろな選択肢を持ってこられているということは評価していいと思うんです。ただ,それが本当の回収の実績に伴うかどうかというのは今後の状況を見ていかないと分からないと思うんです。そのためにも,今お話ししましたように,法律扶助協会から引き継いだものと法テラスになったものを明確に分けて,法テラスになってからのものをどうやって回収していくかというのが基本だと思うんです。   恐らく法律扶助協会のものはダンゴでシステムはとられていたのではないかと思うんです。法テラスになってからのものはデータもありますし,資料もありますから,管理できますから,そこからしていくと非常にいい流れが出てくるのではないかと思います。そういう意味からしますと,項目52は甘くてB+,項目53はいろいろな施策をとられているということでB+でいいように思います。私としてはそういう考え方を持たせていただいています。したがって,項目52と53は同じような視点で評価していただければと思います。 伊藤委員長 分かりました。   遠藤委員からは,回収と残高管理の二つの問題をきちんと分けて。もちろん項目52についてもそれなりに認識を高めて努力をされていることは評価できるけれども,よく見てもそれはB+だろうという御指摘がございました。他方,Aという評価の委員も複数いらっしゃいますが,このあたりはどうでしょうか。どうぞ御自由に御意見をお願いいたします。   どうぞ,坂本委員。 坂本委員 遠藤委員の説得力ある御発言に賛同いたしまして,AをB+にさせていただきます。 伊藤委員長 B+ですか。 坂本委員 はい,B+です。 伊藤委員長 どうぞ,知久委員。 知久委員 前回お休みしたのでここの説明を聞いていませんので分からないのですが,今,遠藤委員の御指摘の管理の部分で,法テラスになる前と後と分けるということについてもう少し説明していただけますか。すみません。 遠藤委員 実際に私,監査をやっていないものですから,内容は分からないんですけれども,私は前に法律扶助協会の評議員をやっていましたので,恐らくそうだろうと思うんですけれども,属人別の個別管理はやっていなかったと思うんです。残高管理においてですよ。したがって,法テラスが残高管理を正確にするのであれば,まず法律扶助協会のものと法テラスのものを,はっきりと区分する。システムを入れるときに分けて,法テラスが担当した支払については完全にフォローしていく。これはできると思うんです。というのはデータが全部そろっていますから。属人別,目的別に全部分類できると思うんです。   ただ,法律扶助協会のものは恐らくデータがないと思います。あったとしても分かりにくいと思いますので,それはダンゴにしておいて,回収だけを引っ張っていくということになるんだろうと思うんです。まずそこを分けることが必要だと思います。そうしないといつまでたっても残高管理はできない状況が続くと思うんです。だから,まず残高の中の明確になるものとそうでないものを分けてしまう。我々が会計監査をやるときにはそういう考え方を採ります。そして,不明確なものの原因分析をしていくというやり方をするんです。そういうふうにしていかないと,ますます残高管理で混乱してくると思いますので。そういう意味です。 髙部委員 いささか異論があります。もともと法テラスは法律扶助協会からそういう形で資産性あるものとして立替金債権を継承しております。そういたしますと,この管理債権については時効の中断も含めてできる限りの回収を図るべき義務を法テラスとして負っているというのが私の認識でございます。そうしますと,ダンゴはダンゴなんでしょうけれども,法テラスになってから生じている立替金債権の管理を行うことはもとより,マンパワーの関係でいろいろ問題はあるとしても,法律扶助協会時代の立替金の問題について,できる限りシステマチックにそういう形の問題を取り込むように行うべき課題を,法テラスには気の毒ですけれども,背負わされていると認識しております。 遠藤委員 髙部委員がおっしゃるのは確かにそうなんです。恐らく法律扶助協会のものも,立替金債権の資産側に上がっているものと,それを評価しているものがあります。その評価も一般評価のものと個別評価したものがあるわけです。その細かな内容というのは法テラスは分からないと思うんです。つまり,金額の塊としてはあるんです。それは決して法律扶助協会のものを放置するというのではなくて,分からないものをいつまでもそのままにするよりは,どこにどれだけの差があるかというのは法テラスのものでまず差を出しておきまして,平成25年3月の段階で法テラスになってからの残高の中で不明な分とか引当てしたものの区分をする。あと残っているものは法律扶助協会の平成25年3月の残高であり,それに伴う一般引当て……。恐らく一般引当てはないと思う,個別引当てだろうと思うんですけれども,そういうふうに分かれてくるものですから,その点で問題点がはっきりするんです。 髙部委員 一点だけ反論させてください。法テラスはその関係もあって法律扶助協会時代に債権回収の関係の管理を行っていた方に現在まだ在籍していただいております。ですから,それはそういう視点で法テラスは当然考えているんだろうと思います。要するに,法律扶助協会時代にそういう責任者であった方が現実に今でも法テラスに在籍されているのは,係る観点から理解できるものだと認識しているところでございます。 伊藤委員長 髙部委員のおっしゃることはよく分かります。しかし,遠藤委員がおっしゃるのは管理の手法の違いだということですから,御意見は,反論というものではないと思うんですけれども。 髙部委員 一言言っておかないといけないと思って言っているだけですので,御容赦ください。 遠藤委員 髙部委員のおっしゃることは私もよく分かっているんです。ただ,この問題はどこかでケリをつけておかないと。もう一つあるんですけれども,業務が把握している立替金の債権残高と経理が把握しているものと10億円ぐらい差があるんです。これも処理をしなくちゃいけないんです。そのためには,今言いましたように,まず法テラスのものをちゃんとしておかないと,この10億円の差が何なのかというのが分からないんです。そういう意味からもどこかで正確にとらえておく必要があるということでお話をさせていただいています。 伊藤委員長 はい,分かりました。   どうぞ,知久委員。 知久委員 質問した者としてさらに分からなくなってきたので,すみません,再度質問させていただきますが,今回のシステムの回収によって私は全部が改善に向かうのかと思ったのですけれども,そうではないということですね。 遠藤委員 ならないと思います。というのは,それは運用の仕方だと思うんです,どういうふうにやっていくかという。ただ,今回の場合は属人別,目的別に管理できるとおっしゃっていますから,その新しいシステムを適用した後のものは全部できますから,それ以前のものをシステムとしてどういうふうに結び付けるかというのがあると思うんです。それを新規のものと同じように結び付けるのは非常に難しいと思うんです,システム的に。私はシステムの概要を聞いていますので,通常の場合はそういう形だと思うんです。そうすると,どこかで層別に分けて対処していくしかないんです。そこのところは業務課に詳しく聞いてみないと分かりませんけれども,私の経験からすると恐らくそうじゃないかなと思います。 知久委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 ということで,評価にもう一度戻りますと,先ほど坂本委員からも御発言ございましたが,項目52につきましては,Aはなかなか難しいと思いますし,B又はB+ということですが,改善の方向に向かっているということは認識があるかと思いますので,B+ということでいかがでしょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。   そういたしましたら,項目52につきましては,B+にさせていただきまして,関連して既にお話が出ております項目53の効率的で効果的な債権回収の項目に移りたいと思います。これにつきましても,Aが4名,B+が5名,Bが1名という似たような評価の分布になっておりますけれども,御意見をお願いしたいと思います。   これについては,髙部委員はかなり厳しい御意見ですよね。 髙部委員 先ほど申し上げたとおりで,Bの評価をさせていただいておりますが,先ほども遠藤委員からおっしゃっていただきましたように項目52と53は表裏の関係にあるというか,いわば同じものを違う観点から見ているのかなという気がしておりますので,私としては先ほどの項目52と同様にB+の評価としていただけないだろうかということで御提案をさせていただきたいと思います。 伊藤委員長 分かりました。   どうぞ,ほかの委員の方御発言をお願いできればと思います。   先ほど来いろいろな項目について審議をお願いしておりまして,努力ないし改善が認められるが,まだ課題が残っているというような場合については,本委員会としては大体B+という評価にしているかと思いますので,課題が残っていることは恐らく御異論のないところだと思いますし,また,改善の努力がなされていることも認められると思いますので,B+ということでいかがでしょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 よろしゅうございますか。それでは,項目53につきましても,B+という評価にさせていただきます。   それから,意見の分かれております項目55,地方公共団体等からの財政的支援の獲得の項目でございます。これについても,A4名,B+4名,B2名という形で評価が分かれておりますので,御意見を頂戴した上で委員会としての意見をまとめたいと思います。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 事柄はどちらかというと単純な話で,意見がAとBに分かれるような性質の話ではないんじゃないかと思うんですけれども,仮にこれをBに評価するということは努力不足だということになって,それではどうすればいいのかというと,それは単に無償で借りるのではなくて,土地をもらっちゃえとかという話を言うのかということになっちゃうんですけれども,臨時の出張所というものも,土地をもらったりしても後で困るわけですから,地方公共団体と相談して無償であれしたら,地方公共団体もそういう配慮をしたということで,AとかBという評価をすべき話でもないと私は思います。だけど,無色透明なAということでいいのではないかと。 伊藤委員長 分かりました。   どうぞ,御意見をお願いします。知久委員。 知久委員 今回の地方自治体の御協力を仰いで4か所無償で貸与を受けたということに対しては評価したのですけれども,大震災ではなくても,司法過疎地域でも空いている場所をこういった形で,今回のような被災関連だけではなく,本来の司法過疎地域で弁護士に来てほしいというような地域でもこういうことをしていただければと思いまして,B評価にしました。B+にされるのであれば,そういう期待感を盛り込んでいただけたらと思っております。行政的支援というよりも,空いているところを貸していただけたらいいなと思います。地方公共団体から法テラスが財政的支援を受けていいかどうかというのはよく分かりませんけれども,空いている,例えば役場の分室みたいなところを安価で借り受けるとか,そういう形ができればよいことだと思いますし,これを発端として検討されたらいいなと思っております。 伊藤委員長 一般的にこういう努力を続けるべきだというのは当然のことかと思いますけれども,それが評価にどういうふうに結びつくかということですね。 嶋津委員 今の知久委員の意見にちょっと反論めいたことになっちゃいますけれども,それは性質が違う話だと思いますよ。今の震災対策等で臨時に事務所を作るときに,地方公共団体が便宜供与をして土地を提供するということと,例えば公共性があるからといって,支援センターがコールセンターを仙台市に作るんだったら,仙台市がビルとかそういうものを全部用意すべきだとか,あるいは,各県の事務所も地方公共団体が持つべきだとかいう話になると,それは性質の違う話になりますから。地方公共団体が過疎地域で事務所をほしかったら土地を提供しなさい,建物を提供しなさいというのは,やや行き過ぎの話になって,性質が違う話になりますから。この話とそういう話を結び付けて考えない方がいいと私は思います。 伊藤委員長 財政的支援の内容にもいろいろなものがあることは前提であると思いますけれども,いかがしましょうか。他の委員の方から御発言をお願いいたします。   市川委員あるいは村瀬委員も評価はB+ですね。 市川委員 私はB+にしたんですけれども,Aでも悪くはないと思います。何でB+にしたかと言うと,原案にも書いてありますけれども,これほどの震災で自治体が多少の支援をするというのは当然と言ったら言い過ぎかもしれませんが,大いに期待していいところであって,それをそんなに高く評価するのもどうなのかなという気持ちもあって,B+にしたんです。一方で,法テラスの方,理事長始め皆様が大変苦労したことも確かだと思うので,Aでも悪くはないかなという気もしております。これほど割れると思わなかったんですけれども,今考えますと,法テラスの関係者の努力を多としてAにしてもいいかなということで,私,Aに変えます。 伊藤委員長 分かりました。   村瀬委員はいかがですか。 村瀬委員 私もこだわりませんけれども,視点が,震災の4か所だけではなくて,より広い議論かなという前提で考えていたものですから。それと同様にほかの面でもまた努力していただいたほうがいいかなと,その程度の気持ちでしたので,Aでも結構です。 伊藤委員長 遠藤委員は少し厳しい御意見のように思いますが。 遠藤委員 私はむしろ財政的支援は求めるべきではないと思っています。もちろん,東北の場合には緊急性がありましたから,法テラスが場所と建物をどこにするかなどと言っていたのでは,緊急のサービス提供はできないわけです。したがって,これは確かにAでもB+でも評価できると思いますけれども,基本的には地方公共団体に土地を貸してくれとか家屋を貸してくれというのはどうかなと思うんです。むしろ自前で。ただ,探すにあたっていろいろ援助をしてもらうというのはいいと思いますけれども,賃料等以外の費用はちゃんと負担をして,各地方に言いたいことを言うという形にしておいた方が,各地方公共団体に対する独立性があっていいんじゃないかなと思うんです。 伊藤委員長 どうぞ,髙部委員。 髙部委員 法律扶助の業務の性質から,地方公共団体に援助を受けられるところは援助を受けるような形で対応していくというのが,一つのスキームというか形になってしまっているので,その点について法テラスが努力をしているというところは,当委員会としてもそれなりに評価をしてあげるのが本来の筋かなと。嶋津委員が言われているようにA評価とするのがいいかなと思っております。 遠藤委員 過疎地域に事務所を設ける場合に無償提供してくれるのが条件になってしまうと,本来の国民に法的なサービスを提供するんだということと離れちゃうわけです。あくまでもこの地域は法的なサービスを提供すべき場所であるというのは法テラスが主体的にやるべきであって,地方公共団体からではないと思うんです。そういう意味からすると,独立性を持っておいた方がいいんじゃないかと。そういう意味で私はお話させていただいたわけです。 伊藤委員長 分かりました。   この点は,遠藤委員がおっしゃるように,一般的に地方公共団体からの財政的支援の獲得を目標にするということを立てるのがどうかというのは御指摘のとおりかと思いますが,他方,震災の場合のような状況にあるときに,直ちにサービスの提供ができるような体制ができるための基盤作りをしておくというような意味では,こういうことが法テラスの活動の一つの基礎になるということも評価できるところかと思いますので。伺っておりますと,Aの御意見がそういう意味では多数のように思いますので,もし御了解いただければそのように取りまとめさせていただければと思いますが,いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。それでは,そのようにさせていただきます。   項目55についてはAと。あと,大項目の関係では「異論の少ない項目」になろうかと思いますが,項目51,54,56ですね。委員の意見がおおむね一致しておりますので,よろしければおおむね一致した意見に沿って委員会の意見を取りまとめさせていただければと存じますが,よろしゅうございましょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。   それでは,これが最後の大項目になりますけれども,その他業務運営に関する重要事項でございます。御覧になっていただくとお分かりのように,項目57,58についてはいずれもA評価で意見が一致しているように思いますので,御意見があればもちろん承りますけれども,特段の御意見がないようでしたら,これをもって委員会としての評価にさせていただければと思いますが,いかがでしょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 ありがとうございます。   これで項目別評価表についての意見の取りまとめを終えることができました。先ほど一,二点相違点がございましたが,実質にわたらない表現や形式の修正ないし統一に関しては,恐縮ですが,私と事務局にお任せいただけますでしょうか。 (各委員了承) 伊藤委員長 次に総合評価表に移りたいと思います。資料2でございますが,これについて御意見を承った上で,総合評価表の記載に関して委員会としての意見を取りまとめたいと存じます。これに関して何か御意見ございますでしょうか。先ほども個別項目の中で総合評価表についての言及もございましたが,御意見ございましたら,どうぞお願いいたします。   よろしいでしょうか。もし特段の御意見がなければ,総合評価表につきましては,資料2に記載のとおりということにさせていただきたいと思います。   さらに,評価の視点等を踏まえた評価についてでございます。資料3を御覧いただきますと,冒頭に事務局から説明がございましたが,「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」及び「平成23年度業務実績評価の具体的取組について」におきまして,指摘された事項に関する当評価委員会の評価を記載した案がございます。これは資料3に記載のとおりでございますが,この記載につきまして,何か御意見がございましたら,お願いいたします。   どうぞ,嶋津委員。 嶋津委員 今の総合評価表の書き方なり,あるいは,最後の支援センターの業務実績評価に関する評価表についても,今までの委員会の審議なり御意見に合わせて委員長のところで修文なり直す必要のあるところは適宜直していただければ,原則としてこの内容自体は必要な事項は書いてあると思いますので,あとは委員長のところで,今日の審議の状況によって直すべきところがあれば直していただいたらどうかなと思います。 伊藤委員長 分かりました。   そういたしましたら,この記載を基礎にして,本日のそれぞれの項目に関する審議等を踏まえまして,表現等で修正すべき点がございましたら,それに関しては私と事務局の責任でしかるべき修正をするということでよろしゅうございますか。 (各委員了承) 伊藤委員長 それでは,そのようにさせていただきます。   以上で,平成23年度の業務実績評価は終了いたしました。ありがとうございました。   項目別評価表と総合評価表,それから,ただいま直前に審議をしていただきました資料3の評価表の今後の取扱いにつきまして,事務局から説明をお願いいたします。 松井参事官 本日御討議いただきまして決定いたしました評価表等につきましては,今後,公表手続を行いますとともに,本月末までに総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に通知をいたすことになっております。 伊藤委員長 それでは,そのようによろしくお願いいたします。   次に,財務諸表の承認でございますけれども,これについての意見,審議をお願いいたします。冒頭に資料の紹介がございましたが,D-2以下に,平成23年度の支援センターの財務諸表等をお配りしてございます。法務大臣がこの財務諸表を承認することに関しまして,もし承認を相当としないという御意見がございましたら,お願いいたします。   それでは,当委員会として,ここに提出されております財務諸表につきまして,承認して差し支えがないという意見でよろしければ,そのように取りまとめたいと思います。よろしゅうございますか。 (各委員了承) 伊藤委員長 以上で予定された審議事項はすべて終了いたしましたので,第30回評価委員会の会議はここで終了させていただきたいと思います。   事務局から何か指摘がございましたら,お願いいたします。 松井参事官 本日の議事録の作成についてでございますけれども,先回の会議と同様でございまして,事務局におきまして原案を作成させていただきまして,各委員に内容を御確認いただきます。そして,委員長に全体を確認していただきまして公表するという,従前の取扱いと同様の段取りとさせていただきたいと考えておりますので,その点よろしくお願い申し上げます。 伊藤委員長 分かりました。   それでは,議事録につきましては,松井さんからお話がありましたような形での取扱いをさせていただきますので,よろしく御協力をお願いいたします。   他に本日の審議全体について特段の御意見がございませんようでしたら,第30回の会議を終了させていただきます。長時間にわたりまして,どうもありがとうございました。 -了-