法制審議会           被災関連借地借家・建物区分所有法制部会           第3回会議 議事録 第1 日 時  平成24年10月26日(金) 自 午後1時30分                        至 午後5時40分 第2 場 所  法務省最高検察庁大会議室 第3 議 題  罹災都市借地借家臨時処理法及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しについて 第4 議 事  (次のとおり)           議        事 ○山田部会長 予定した時刻がまいりましたので,法制審議会被災関連借地借家・建物区分所有法制部会の第3回会議を開会いたします。   本日は,御多様の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   それでは,まず,事務当局から配布資料の確認をお願いいたします。 ○岡山幹事 配布資料の確認をさせていただきます。   事前に配布資料目録部会資料5を送付させていただきました。配布資料5は「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しに関する中間取りまとめ(案)」と題するもので,本日は,部会資料5に基づき御審議いただきたいと考えております。   配布資料の説明は以上でございます。 ○山田部会長 それでは,本日の審議に入りたいと存じます。   本日は,パブリックコメントにかけるための被災マンション法の中間取りまとめを部会として決定したいと考えております。   それでは,部会資料5の「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しに関する中間取りまとめ(案)」に基づき御議論を頂きたいと思います。   「第1 取壊し決議制度」のうち「1 適用の対象となる建物」について,事務当局から資料の説明をしてもらいます。 ○川副関係官 それでは,まず「第1 取壊し決議制度」の「1 適用の対象となる建物」について御説明申し上げます。   この部分につきましては,第1回,第2回の御審議を踏まえまして,政令で定める災害により大規模一部滅失した区分所有建物を対象とするということを提案してございます。今回,部会資料1にはなかった(注)を記載しておりますが,これは大規模一部滅失の定義として,建物の価格の2分の1超に相当する部分が滅失した場合をいうことを記載しております。実質的な内容に変更はございません。これまでの補足説明でもありましたとおり,その適用の対象となる建物は建物の取壊しを行うことが経済的合理性の観点から見て,一定の合理性が認められるような場合に限る必要があると考えられることから,このような大規模一部滅失した建物を対象とするということが相当ではないかと考えているところでございます。   なお,政令というものが出てまいりますけれども,この政令というのは現行の被災マンション法と同様にこの新しい制度を適用する災害については,政令で指定することを前提で考えておりますので,その政令を記載しております。   説明としましては以上でございます。 ○山田部会長 ただいま説明がありました「第1 取壊し決議制度」の「1 適用の対象となる建物」につきまして,御質問,御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。御発言ありませんでしょうか。 ○津久井幹事 今の(注)の部分にあります「建物の価格の2分の1超に相当する部分」という点について,その意味,内容が何であるかを御質問いたします。(注)の意味を敷衍する説明として,災害前に10億円だったところ,当該建物の価格が5億円未満となった場合が該当するという例を挙げて,分かりやすく御説明いただいていました。その意味は,部会で紹介があった日本不動産鑑定協会が取りまとめた建物の震災前の価格に対して,復旧に必要な補修費用の見積額をもって滅失した部分の価格としているという考え方と同じことを意味しているのかどうかをお尋ねしたいと思います。   日本不動産鑑定協会のものは,滅失部分の価格は単純に補修費用の額を意味していると思うんですが,これに対し,この例示によれば,被災後の建物の価格が災害前よりも2分の1未満になっていますが,単に補修費用をマイナスするだけではなく,被災地における市場性の低下だとか,あるいは別の要素だとかで建物の価格が補修費用を超えて下落するようなこともあるのではないか。よく分からないので,同じことを意味しているかどうかということをお尋ねします。 ○川副関係官 ここで申し上げております大規模一部滅失というのは,飽くまでも災害による建物の価格の2分の1超に相当する部分が滅失した場合ということでございます。これまでの部会資料で御紹介いたしました日本不動産鑑定協会で作られている算定マニュアルというのは,その算定をするための手法としての考え方ということだと思います。   詳しくはお配りした参考資料6にも出ていることかと思いますけれども,滅失した部分の価格を何をもって考えるかということについて,基本的には復旧に必要な部分の補修の費用というのが正に前の状態に戻すために掛かる費用ということなので,その部分をもって建物が滅失した部分の価格と算定できる,そう考えられるのではないかという考えを基に,基本的には補修費用の見積額をもって滅失した部分の価格とするという考えで算定のマニュアルを作られているということではないかと思います。けれども,その際に更にそれに加えて津久井幹事がおっしゃったように災害に関する減価というようなものを加味して考える必要があるのではないかとかいう考えはもちろんあり得ると思いますので,現実の運用の中ではそういうものがプラスされるということもあるかと思います。そういう事情が全て加わった上で考えられる被災後の建物の価格が災害前の価格に比べて2分の1未満になっているというような状態が大規模一部滅失ということになりますので,災害の減価というものを事実上算定するべきではないかというようなお考えは,実務の中ではあるのかもしれません。 ○津久井幹事 よく分かりました。そうすると,大規模一部滅失の例として,例えば,災害前には10億円であったところ,災害後の補修費用が5億円以上になった場合がこれに相当するという言い方ではやはり足らないということでしょうか。 ○川副関係官 一律で補修費用が滅失した部分の価格そのものだというふうに定義として考えているということまではなかなか言えないと思いますので,中間取りまとめの補足説明において,大規模一部滅失の例として挙げるとすれば,10億円の建物が一部滅失した後の建物の価格が5億円未満となるのかなというふうに考えておりますけれども。 ○津久井幹事 それでしたら,その例示の前に「必要な補修費用を基本としつつ,そのほかの諸要素も考慮して減価額が5億円以上になる場合」とか,何かクッションを入れていただいたほうが分かりやすいのではないかなと思ったんですが,いかがでしょう。 ○岡山幹事 私のほうから補足いたしますと,部会で御紹介した当時の不動産カウンセラー部会が採ったこの手法は,飽くまでも大規模一部滅失を判定するための一つの手法にすぎない,それは先ほど川副のほうが申したとおりだと思いますけれども,ですから,それ以外の適切な価格算定の方法があればそれによるということですから,大規模一部滅失の例を説明する際に,不動産カウンセラー部会の手法を前提とした説明というのは,あたかもそれしかないというふうに捉えられかねないことになりますので,そういった面では,ニュートラルに例示を書くほうがむしろ適切ではないかなと思いますが。 ○津久井幹事 この部会の1回目のときにも,大規模一部滅失は何かということが問題になり得ることについて少し議論がありました。2回目のときには,専門家がいるので問題にはならないであろうという見解が示されたところです。しかし,やはり入口のところが議論になるだろうと思うんですね。だから,ここは将来的にまずとにかく第一の適用要件でもありますから,詰めた上で,ある程度将来の解釈に委ねるほうがいいと思います。私が思ったのは2案あって,例示は別になくてもよいのではないか,ということと,あるいは例示を補足説明に書くのであれば,なぜそのような例示になるのかを一言御説明したほうがよいのではないか,そういうことです。   日本不動産鑑定協会のものをここで採用すべしという意見ではございません。 ○川副関係官 2分の1を越える部分に相当する部分が滅失したとだけいうとちょっと分かりにくいとも思われるので,これまで10億円と5億円という具体的な数字を使って,どういう範囲が滅失した場合が大規模一部滅失に当たるのかということを説明させていただいておりました。具体的に,では滅失した部分は何を基に算定するのが相当なのかということについては,ある程度後ろに回すべきという考えもございます。御意見を伺った上でもう一度検討してみます。 ○津久井幹事 すみません,同じことばかりで。だから,例えば補修費用が4億5000万円掛かる場合,被災地では市場性がなくなるので,建物の価格は何をしなくても3割,4割下がるところ,日本不動産鑑定協会の考え方でいくと下落額は4億5000万円なんですよね。だから,10億円のうち4億5000万円だから大規模一部滅失に当たらないんですが,実際には大規模一部滅失に当たることになると思うんですね。しかも,絶対にこれは被災地で問題になると思うんですよ。4億5000万円という補修費用が相当か否かというのは,これは今度建築士さんの判断するところで,5億5000万円の見積書と4億5000万円の見積書が出て,どっちが正しいんだというような形で裁判も懸念されるわけですが,そういう意味で実務的には非常に微妙な部分なので,例示を補足説明に記載する場合には,もう少し御検討いただければと思います。 ○山田部会長 御指摘を踏まえまして,最終的に補足説明においてどういう表現にするかは事務当局において検討してもらいます。 ○森田委員 その点は,法令上の定義としては,2分の1を超える部分に相当する部分が滅失したということが書かれるだけであって,それをどう算定するかということについては,部会で紹介された運用例というのは一つの例だけれども,それに拘束されず様々な解釈が開かれていて,仮に,補足説明にこの点にコミットしたことが何か書かれたとしても,それは裁判所を縛るものでないということですね。そうだとすると,補足説明に書いてもそれはあまり混乱を生じないという保障にはならないと思います。この点を大規模一部滅失の概念の解釈に委ねたとしても,将来御懸念の,つまり大規模一部滅失に当たるかというある種の客観的な要件に欠けるので決議は無効であるという訴訟が頻発するのかしないのかという辺りの見込みについては,そのような訴訟は起きないだろうといわれるけれども,起きないだろうという根拠としては法令の解釈についてそれほど定まったものがあるわけではないということですね。   したがって,そのような見込みが正しいかどうかというのは,これは見込みの話ですから,今それ以上のことは客観的に論ずることはできなくて,仮に将来この種の震災が起きて,その種の紛争が少なからず起きるようであれば,現在の見込みというのはある意味では外れていたことが事実として明らかになったということなので,そのときに改めて法改正をするということにならざるを得ないのではないかと思います。その見込みが当たるかどうかというのは,現在のところは,そのような見込みは少ないという前提に立っているというふうに前回と前々回の事務局のお答えの内容から理解しましたが,それ以上のコミットはできないというふうに理解してよろしいですか。 ○岡山幹事 それでは,私からお答えいたします。   基本的に前回あるいは前々回のほうで森田委員のほうからも何度か御指摘があったかと思いますけれども,現時点においては専門家が一応その建物について鑑定し,それについて5分の4以上のこれは仮置きですけれども,多数決要件を満たしているというふうなことであれば,やはりそれについて紛争が生じるというのはなかなか余りないだろうというふうに私どもは思っていますし,仮に裁判になったとしても,それによって決議が無効になるというふうな可能性は低いであろうというふうに思っております。 ○山田部会長 ほかにいかがでしょうか。   それでは,第1の「1 適用の対象となる建物」,(注)も含めてこれを中間取りまとめとするということについてよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。   それでは,第1の「2 多数決要件」に進みたいと思います。説明をしていただきます。 ○川副関係官 「2 多数決要件」につきましては,第1回,第2回の御審議を踏まえまして,区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数とすることを提案しております。これまでの補足説明のとおり,取壊しというものが本来区分所有者全員が同意しなければ行うことができないことであることからすると,厳格な要件とする必要があること,決議の内容として建替え決議との類似性があるというようなことから,建替え決議と同様の多数決要件を求めることが相当ではないかと考えております。   なお,部会の中では決議が迅速に成立するようにするために要件を緩和すべきではないかという御意見もあったものと承知しております。ただ,要件を緩和すると,必然的に反対者に対する売渡し請求をしなければいけない相手が増えていくことからコストが増加するということや,実際に建替えを行う場合にも現実には全員合意に近い形の賛成が得られないと建替えがスムーズに進んでいかないというような実情があるということも散見されております。取壊しについても実際に取壊しを行うまでには様々な手続が必要になりますので,実際に取壊しをスムーズに進めるためには,全員合意に近い形の賛成が最終的に必要となるのではないかと。そうすると,要件を緩和することによって必ずしも迅速に取壊しが進むという関係があるとはちょっと言えないのではないかというふうに考えているところです。そこで,この5分の4以上の多数という要件を提案させていただいておりまして,御意見を頂ければと思っております。 ○山田部会長 ありがとうございます。ただいま御説明がありました第1の2につきまして,御質問,御意見などがございましたら御発言をお願いいたします。 ○根本委員 5分の4を緩和すべきであるという意見を繰り返し申し上げたいと思います。御説明がございましたように,必ずしも円滑に進むとは限らないという部分については十分理解をいたしますけれども,円滑に進む場合もあり得ると--逆に読めばですね--ということでございますので,そういうケースをこの時点で切ってしまうのはいかがなものかと思います。新たに建てるときの5分の4を掛けますと,大体3分の2というような数字も出てまいりますので,いずれかの数字にすべきではないかという意見をここでは表明させていただきます。 ○山田部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。   根本さんからは5分の4に対して,より緩和した要件をという御意見を頂きましたが,さらにそれとともに,取りまとめとしてはこれでよいということが含まれていたように思いますが,よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。   それでは,第1の2につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきますが,よろしいでしょうか。ありがとうございます。   それでは,次に進みますが,部会資料5の第1の3でございます。「決議事項」でございます。事務当局から説明をしてもらいます。 ○川副関係官 「3 決議事項」につきましては,部会資料1と一部記載を変更しております。そこを中心に説明させていただきます。   まず,建替え決議の場合,区分所有者が賛否の意思決定をするには建替えの概要が分かっていなければならないということや,決議に基づく建物の再建の実現を確保するということから,建替え計画の概要を定めるということが決議事項として要求されております。取壊し決議についても,趣旨として同様に当てはまるというふうに考えられますので,取壊しの概要を定める必要があると考えておりまして,この第1の3では,取壊し費用の概算額と取壊し費用の分担について定めるということを提案してございます。   それに加えて,今回,(注)という形にいたしましたけれども,建替え決議の場合でいうと,区分所有法第62条第3項と同様の規律,取壊し費用の分担について,各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならないというような規律を設けるものとするかどうかについて,なお検討するとしております。建替え決議の場合は,建替えの費用の分担に関する事項と,それから新たに建てる再建した建物の区分所有権の帰属に関する事項というのは,各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならないと決められております。この趣旨としましては,費用の分担や再建建物の区分所有権の帰属について,ある特定の区分所有者に不利な取扱いをするということを許すと,その不利に扱われる区分所有者が決議に反対せざるを得なくなってしまって,事実上建替えに参加することができなくなるというようなことが考えられますので,それを防止するという観点からの規律と考えられてございます。   建替え決議の場合に,いかなる定めが区分所有者の衡平を害するのかというのは個別的な判断というふうになると思われますけれども,一般的には特別な事情がない限り,再建する建物について取得する予定の専有部分の床面積割合の比率を基準として費用を考えるということが一般的衡平にかなうことが多いと考えられているようです。   ただ,取壊しについては建物の再建というものがございませんので,建替えの場合の考えをそのまま当てはめるということはちょっとできないのではないかと。取壊しの決議をする場合に,何を基準に費用の分担を定めるべきかが問題となるのではないかと考えております。基準としては議決権割合,基本的には専有部分の床面積割合というようなことだったり,敷地利用権の持分割合といったようなことが考えられるかと思います。何を基準に考えるべきかと,それから,具体的に事情を考えるときに大規模一部滅失した建物というのが対象になりますと,ある区分所有者の専有部分は滅失してしまっているけれども,ほかの区分所有者の専有部分自体は別に何ら被害を受けていないといった場合もあり得ると思われますので,専有部分の滅失の程度を考慮して取壊し費用の分担に差を設けるといった取扱いも許容されるのかどうか,具体的に衡平を害するというのはどういう定めをした場合にそうなるのかといったことについて検討する必要があるのではないかというふうに考えまして,今回,(注)にさせていただいた次第です。ここの部分につきましては,十分これまで整理ができていなかったところでして,申し訳ありませんが,(注)について御意見があれば賜りたいと思っております。 ○山田部会長 ありがとうございます。ただいま説明がありました第1の3につきまして,御質問,御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。 ○福田幹事 中間取りまとめ自体のこの記載について特に異議があるということではございませんが,今御説明いただいた何を基準に費用の分担を定めるべきかという点について少し意見を述べさせていただければと思います。   まず,何を基準に費用の分担を定めるべきかという点については,基本的には一義的に決められるようなものを基本にするべきではないかというふうに考えております。そういう意味では,専有部分の床面積割合というのが基本になるのではないかと思われるところでございます。   ただいま御紹介のありました各専有部分の滅失の程度等を考慮するということについてですけれども,ほとんど滅失していなくて住める状態になっている部分と,もうほとんどがれきになってしまっているという部分があった場合に,余り壊れていない人というのは,まだ住めるのに取り壊されてしまうのだから,取壊し費用としてはかわいそうなので余り負担しなくてもいいという方向なのか,それともまだがれきになっていないのに壊すのにはお金が掛かるから,もっと負担するべきだというふうになるのか,そもそもそこもちょっと考え方が分かれるような気がするという気もいたします。また,各専有部分の滅失の程度をいちいち考慮して,それを前提として費用の負担を決めなくてはいけないということになると,決議をする前の段階の準備としては負担が重いのではないだろうかと思います。さらにそれが裁判上争えると,決議の有効要件に関わってくるという話になりますと,滅失の程度を各専有部分ごとにきちんと調査をして,証拠を残し,将来の裁判に備えなくてはいけないというような話になり,それ自体としてこの決議が円滑に進むということに対する妨げになるのではないだろうかという気がいたします。   ということで最初に戻りまして,専有部分の床面積に従って費用を定めるということが一番衡平でもあるし,簡明なのではないかと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。御意見として最後性格付けていただいたように思うのですが,その中に専有部分の滅失の程度を考慮するというのは,いずれの方向に考慮することを考えているのか,両方考えられるのではないかという質問の部分があったように思います。その点について事務当局のお考えはありますか。どちらもあり得るというふうに考えていらっしゃるのか,それとも事務当局としては,いずれか一方向で考えていたのでしょうか。この質問の部分について,事務当局から,いかがでしょうか。 ○岡山幹事 では,私のほうからお答えしますが,私ども事務当局のほうとしては一定の結論を持っていたというわけではありません。やはり衡平の概念というのは,言わば開かれた構成要件みたいなものでございますので,どういった場合において,どのような形で衡平というものが害されるかどうかというのは評価概念だと思っておりました。したがいまして,今の問題提起については,どちらもあり得るだろうということで正に御議論いただきたいというふうに思っていた次第でございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。 ○森田委員 問題の所在ですが,何が衡平かということがいま議論になっていますけれども,ここで直接に問題となっているのは,「衡平を害しないように定めなければならない」という規定を置くかどうかということですので,これを置かないという場合には,衡平を害しても決議は有効であると考えるということなのでしょうか。つまり,衡平を害してもよいという意見はないのに,そのような規定を置くべきではないというのは,「衡平を害しないように定めなければならない」と規定すると何か困ったことになるかという辺りがよく分からないところで,それを規定すると何か不都合が生ずるのですかという問いに対しては,どういうお答えになるのでしょうか。「なお検討を要する」というと,何か検討することがあるように受け取られそうですが,これを検討しなくても衡平を害してはいけないとだけ規定しておけば,ひどい案が出てきたときにはそれで抑えることができるので結構なことではないですか,という意見が出されたときに,これに対して,いや,それはそう単純ではないのです,なお検討が必要ですという場合には,何を検討することになるのでしょうか。このような規定を置いたとしても,何が衡平なのかということ自体については結局法律で定めることはないとすると,更に何を検討することになるのかがよく分からなくなってきたので,その点について確認させてください。 ○岡山幹事 恐らく福田幹事の御質問と意図は重なるんだろうと思いますけれども,規定を置くというふうな話になれば,ではどういった場合が衡平を害するかどうかを詰めなければいけないという話になります。逆に言えば,議決権割合,すなわち床面積割合でしか考慮ができない,それが基準であって,それ以外の考え方はないということであれば,法制として置くのであれば議決権割合によるというふうに法制面で置けばよいというふうになります。ですので,それ以外の考慮要素として何があるかということを正に御議論いただきたいというふうに思っている次第です。 ○川副関係官 そもそも何も規定がない場合に,取壊しの費用負担をどのように定めるものだと考えられるのかという点も問題なのかなと思っておりまして,普通でいえば共有物に関する費用というのは持分割合に応じて決まるものだとは思われますけれども,区分所有建物の取壊しの費用というものを考える場合に,何も規定をしていない場合に何らかの,例えば民法の持分割合という形で決まると,一義的に衡平を害さない形で決まるというのであれば何の規定も要らないとも思われます。それとも,それとは別に一義的にこれによるという基準が決まらないということなのであれば,先ほど申し上げました一部の人について不利な取扱いをすることによって取壊しに参加できない区分所有者が出るといったことを防止するという観点からは,衡平という規定を決めておかなければいけないとも考えられるのではないかというふうにも思っておりまして,そこのところもこのような問題提起をさせていただいた理由になるかと思っています。 ○垣内幹事 垣内です。今の御議論を伺っておりますと,基本的には何も規定を置かないか,あるいは衡平を害しないように定めなければならないという規定を置く,あるいはそのほかに例えば先ほど福田幹事の言われたような方向を明示的な規定として床面積,所有権の持分割合によるといったような規定を明文で置くというような大きくいって三つの選択肢があり得ようという感じがいたしますけれども,そうしますと,ここの(注)の記述に関してですけれども,現在の文言ですと,専ら衡平を害しないように定めなければならない旨の規律を設けるのか,あるいは何も規律を設けないのかという二者択一であるかのような印象を若干与える感じもいたしまして,そこは具体的な書き方はいろいろあり得るかと思うんですけれども,例えば(2)の事項の定め方に関し,例えばこれこれの規律を設けるものとするかどうかについてはなお検討するといったような形で,少し問題の幅を広くとっておいても,この段階ではいいのかなという感じもいたします。具体的な書き方については御検討いただければ幸いです。 ○山田部会長 ありがとうございます。部会資料5の具体的な文言についての今御提案を頂いたかと思いますが,いかがでしょうか。 ○沖野委員 今の点と,それからこの後作成されるであろう補足説明の書き方と,さらには決議事項の(2)との関係です。まず(注)に関わる部分ですが,ここで問題となっておりますのは,考え方の可能性というか,おっしゃったようにこの定め方の基準が何か,それを提示できるのかということと,その基準による機械的,一律の基準の運用しか許されないのか,それとも多少の裁量といいますか,デビエーションは許すけれども,その枠を衡平という形で画することによってそのような乖離が多少は許されるということなのか。更にどういうものが許される場合に当たるのかということをその場合には検討しなければいけないということになります。(注)は,それらを含めて全て検討する必要があるという趣旨でしょうから,それが分かるような書き方のほうが恐らくは望ましいだろうと思われます。   そうしますと,補足説明を作成する際には,そもそもこの場合には何を基準に費用の分担を定めるべきか,さらにはその基準によって機械的に画するべきであるのか,それとももう少し裁量の余地があるのか,もしそうだとするといかなる場合が衡平に当たるのかというような説明をすると,分かりやすくなるのではないかと思いましたので,参考にしていただければと思います。   もう1点ですけれども,今のような考え方の可能性という点からしますと,全く乖離を認めないといいますか,完全に機械的に持分割合なり専有部分の床面積割合等によって規律するという考え方を仮に採った場合なんですが,その考え方を採った場合に決議事項の(2)というのは意味を持ってくるのかということでして,費用概算が決まると,例えば法定で持分割合によると決まっているとすると,それはもう機械的に決まるので,計算の点だけで計算間違いがないことを確認するためだけの決議になってしまうように思います。ですので,その基準の書き方によってはそれが決議事項に反映する可能性もあるように思われます。誤解があるのかもしれませんけれども,参考にしていただければと思います。 ○鎌野委員 ここでの書き方は今,沖野先生始め何人かの先生がおっしゃったように,場合によっては工夫が必要かなというふうに考えております。ですけれども,当面私の考えを申し上げますと,もちろんこの(注)は,今回の議論は付けるか,付けるとしたらどういうふうに付けるかということで,それ自体は付けていただいて構わないんですけれども,今まで出た御議論についての若干私の意見というのを申し上げますと,建替えについては,3号,4号で幾つかの要素が出てきて,取壊しの費用,それから建築に要する費用と,これは必ずしも一致しない。そして,4号の区分所有権の帰属というのにも関わる。ですから,一律になかなか決めにくいというようなことで特別にこのような規定が設けられているんだと考えることができる。これに対比すべきは,復旧に関しては,復旧の費用については特段の定めがないんですよね。恐らく共用部分の持分の定めによるということになるでしょうけれども,それと先ほどこれも一律に共用部分の持分割合あるいは床面積割合ということにしてしまうと,従前規約で別段の定めをしていたと,そういうことも許されるので,そういうところに齟齬が出てくると。ですから,一方では一律にここのところを定めるのは難しいのかなと。   そうすると,当面私の考え方としては,(注)はともかくとして,それでパブコメにかけるというのはもちろんよろしいんですけれども,(1)と(2)の規律ということで費用の概算額と費用の分担をどうするのか。大部分は床面積割合になるでしょうけれども,従前規約で別段の定めをしているような場合とか,何か特段の事情があるというようなことで分担の定めをそれとは別に設けることも構わないと。最終的にこれは先ほどの多数決要件の5分の4以上の賛成ということで担保されるのではないかと。これに不満な人が5分の1以上あればこの決議は通らないので,そういったことでこの提示されている(1),(2)というようなことで,(注)でこういうことを設けるけれども,そこでパブコメで意見を聞いて,それはニュートラルに聞いて,そして結果的には必要ないということもあり得るのではないかと。私は,今のところは必要ないと思います。この衡平というふうに定めてしまうと,なぜここで衡平という規定が特別に入っているのか,衡平とは何かという議論を呼び起こす可能性があるので,意見を申し上げました。 ○山野目委員 2点申し上げます。   1点目は中間取りまとめの文章ですが,3の(2)の費用の分担に関する決議事項の提案は,このままにしておくのがよいのではないかと感じます。(注)の表現,(注)を置くかどうかと,その表現についてもこのままにしておくのがよいのではないかと感じます。そのように考える背景としては,決議事項の(2)は,やはり設けておくべきでありまして,沖野委員から御示唆があった問題でございますけれども,考えてみますに機械的に計算で決まる費用の分担しか認めないという解決の在り方というものは,あり得ないと思います。鎌野委員からも御指摘があったように,規約で様々な多様な定めをしている場合もありますし,それから,各事例の現場においては端数の問題の処理なども生ずるものでありますから,そうすると,やはり(2)の事柄というのは決議事項にしなければならないと感じます。   注記のところですけれども,この「衡平を害しない条項」というのは,現在の区分所有法の62条3項にも置かれているものでありまして,鎌野委員から御注意があったように,62条3項は従前建物に関わるいろいろな事情と再建建物に関わるいろいろな事情とを総合考慮して衡平を考えなさいということを趣旨しているものでありまして,そのような従来法制の変遷というか成り立ちとの関係に十分注意を払ってこちらの衡平条項を設ける必要があります。こちらのほうにも何となく入れましょうということで衡平を入れると,こちらでは再建建物に当たるものについての衡平という要素は考えないことになりますから,その規律を置くことの影響が普通法制の62条3項の法制理解に跳ね返ってくるおそれがあるのかないのか,ということをもう少し慎重に考えなければいけないであろうと感じます。   そういうわけで,この注記はパブリックコメントに付して社会の意見を聴くということももちろんあってよいですが,もう少しここのところを考え込むために時間が欲しいという意味でも留保しておいて,今日の議事録の様子も御覧いただいてパブリックコメントの意見を寄せていただけるとも思いますから,この点の御検討があってしかるべきであって,そのような観点から注記をこのままにするのはよろしいのではないかと感じます。   もう1点は,補足説明としてこれから法務省事務当局が御用意になるものにおいて,従前建物の専有部分の被災の状況という要素を書き込むということは慎重にしていただきたいという要望,これはここで決めることではありませんから,要望として申し上げます。福田幹事がおっしゃったことに同感でありまして,どちらに働く事項であるかがかなり微妙であると考えます。岡山幹事から,それを決めないで出しているというお話であり,そのようなものを補足説明に書くということは論議の混乱を招くおそれがあるというふうに感じます。今日の議事録の様子というものは将来的に各方面において見てもらえるのでありますから,このような議論があったということで,将来,解釈上のいろいろな論議を喚起し,裁判所が個別の事案に向き合うときに参考にしていただいてもよろしいと思います。今,中身を詰めないで補足説明を書くということになると困りますから,そこは慎重にしていただきたいという印象を受けました。 ○山田部会長 ありがとうございます。まだ御発言あるかもしれませんが,大分御意見を頂きましたので,少し整理をさせていただきます。   ここまで頂いた方々の御発言で,部会資料5の記載について修正を考えてはどうかということが含意されている御発言があったと私は思います。それは(注)についてであります。垣内さんがはっきりおっしゃってくださったところかと思いますが,(注)は衡平を害しないように定めなければならない旨の規律を置くか,そうではなく何も規律を置かないか,その二者の意見を問うているように見えるけれども,もう少し選択肢の幅は広いのではないかというものです。選択肢の幅が広いということが素直に分かるような形で(注)を修正してはどうかという御趣旨と承りました。   他方で,(注)はこのままでいいだろうという御意見も頂いたところですが,この(注)について事務当局のお考えをお伺いしたいと思います。   それからあともう一つありました。(2)ですね。「3 決議事項」の2項です。ここについて沖野委員から機械的に分担を決めるということでもし考えるとするならば,(2)が不要になるのではないかという御意見で,前段が仮定的なお話になっているので,ちょっと確定的に(2)を削除するのが望ましいという修正の御意見ではなかったかもしれませんが,修正を含む御意見かと思いました。いかがでしょうか。 ○沖野委員 すみません,今の点については修正すべきだという意見は全く含んでおりません。(注)についての考え方で可能性として出てくる特定の考え方が採られるような場合には,決議事項自体の(2)の意味するところについて考え直す必要が出てくる可能性があるのではないかという点を指摘したのみであって,この3の決議事項の書き方についての何らかの変更が必要であるということを言うものではありません。 ○山田部会長 分かりました。ありがとうございます。では,沖野さんの御意見の中に修正の提案が含まれていたという私の発言は撤回させていただきます。そうしますと,修正の提案が含まれているのは垣内さんの(注)に関する御発言だったかと思いますが,事務当局,いかがですか。 ○川副関係官 現時点の事務当局の考えとしては,(注)の表現自体はこのままにさせていただいて,今後作成する補足説明の中で,今御指摘いただきました幅が少しあるという点,先ほど整理していただいたどういったことを問題と考えているのかというところを丁寧に記載させていただくということでどうかと思っておりますが,いかがでしょうか。 ○垣内幹事 私としては,補足説明で問題状況が分かるように書いていただけるのであれば,それで結構かと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。そうしますと,今まで出てきた御発言の中で部会資料5に手を加えてはどうかという点については,手を加えなくてよいだろうということで解決したかと思います。他方,今後作成される補足説明については,多くの御要望がございました。最初に福田さんから,取壊し費用の分担を定める際に専有部分の滅失の程度を考慮するということの意味いかんという御質問があり,山野目さんからもそういう点については補足説明に書くのはいかがかという御意見がありましたので,その点,補足説明を作成する際にはお考えいただきたいということがありました。それから,沖野さんからは,考え方の順序を沖野さんの御発言の中で整理していただいたのではないかと思いますので,議事録を御覧になって,沖野さんがおっしゃったような整理で説明することをお考えいただきたいということがありました。そして,垣内さんの御発言は,垣内さんの先ほどの御発言の趣旨が補足説明にうまく反映するようにということかと思います。それは事務当局は,そういたしますということでしたので,補足説明については,それぞれの御意見を今申し上げましたように反映させた形で作成していただくということとしたいと思いますが,ほかにいかがでしょうか。 ○根本委員 単純な質問でございます。前回,私欠席させていただいたので,1回目の記憶で申し上げるのですが,実際には取壊し費用というのは公費で行われるケースが多かろうという想定をいたしました。そういった場合に費用の分担に関する事項が呈されていたときに,公費が後から出てきたときには,これはもう一度やりなさいということになるのでしょうか。 ○川副関係官 公費解体というものが実際上行われるということは確かにそういう場合が多いかと思われるんですけれども,決議の際に公費解体の費用を算定した形で分担とか概算額を決めることにするのか,それともそうではなく,きちんと取壊し費用というものが決まって,その後から結局公費解体の費用として出てきたもので分担が変わっていくということになるのかというのは,こちらの法制でどちらですということがきちんと決めて言えるということではないのではないかと考えております。といいますのも,現状,公費解体を申請する場合は区分所有者全員の同意で,全員の名前で請求するということでございますので,決議をする際には結局費用が出るということが実際上確定していないというようなこともございます。また,そういうものが確定していないということもございますので,それがどこまで決議の中に入れられるかというのは事情によるというところもありますし,公費解体という制度がどうなっていくかということで変わっていくということもございますので,決議の中に公費解体という事情を入れるかどうかというのは,はっきり確定はできないのではないかというふうに思っております。   結局,各区分所有者,どういう形で決まるか分かりませんけれども,例えば専有部分の床面積割合というようなもので費用分担を決めるというふうになりますと,各区分所有者が負担すべき取壊しの金額というのは決まりますので,そういう決議が成立した後に公費の解体の費用が出ますというふうになった場合に,その決議がどうなるかということにつきましては,結局,決議したときには概算見積もりということで取壊しの概要というものが結局明らかになるわけですけれども,それと矛盾がないかというか,全く違うことになっていないかということで判断するしかないということになります。 ○根本委員 懸念いたしますのは,実務が回るかということでございます。議論の世界は今御指摘いただいたとおりで,そのようにやられるのだろうと思いますけれども,実際上,被災地でこの法律ができたときに取壊しの実務がスムーズに回るかどうか,そちらの視点を優先いたしますと,もう一度やれとかいうような可能性が出てくることがないようにしていただければ有り難いということでございます。 ○岡山幹事 若干補足いたしますけれども,ちょっと川副が述べたことと重なるかもしれませんが,今の現時点においては,公費解体制度というのは全員が賛成というか,合意した状態でないと申請できないという整理になっています。ですから,そういった面では取壊し決議というものが先行し,その売渡し請求を経て全員合意の状態になった状態でないと申請できないという整理になっています。   ですので,将来公費解体の制度というものがこの取壊し決議制度が導入されたことによって変わるのかどうか,それにも関わることでしょうし,実際今御懸念されている公費解体制度とこの取壊し決議制度について,実務上混乱が生じないかというふうなことを御指摘いただいておると思いますが,実務上混乱させないように,被災マンション法が適用になった時点での公費解体制度との関係を私どものほうで整理した上でアナウンスしていくことになるのではないかと思います。実際その公費解体制度が将来どうなるか,現時点においては何とも言えないという前提で,その解釈についてお話しせざるを得ないという状況でございます。 ○山谷委員 質問になるんですが,例えば取壊しには賛成だけれども,再建には加わる用意がないと。費用の負担もできないということで,そういう人は費用負担がないと,そういう決議というのはあり得る,つまり衡平の観点からいってそれはあり得るという考えなんでしょうか。それとも幾らかは負担しないといけないということなんでしょうか。そこはいかがなんでしょうか。 ○川副関係官 取壊し決議に賛成をして,その後に再建には反対と。そうしますと,再建の決議の段階で反対者として売渡し請求を受ける,決議が成立すれば,ですけれども,売渡し請求を受けるというような形になって,再建が強制されるということはもちろんないことが前提にはなっています。 ○山谷委員 その場合に,取壊しの費用を負担,そういう人には費用を負担させないという決議というのはあり得るんでしょうか。 ○川副関係官 取壊しのほうの費用という御趣旨ですか。取壊し費用の分担というのは,正に何を基準に決めるかということになるかと思いますので,それが先ほど出た床面積割合というようなことでいえば,それに従って決まるということなので。 ○山谷委員 先ほど来の面積割合,一元的というのがキーワードになっているんですが,取壊し決議には賛成だと。だけれども,費用は負担したくないという方がいらっしゃるときに,どう決議に反映できるかという問題はあり得ると思うんですね。その面積割ではないから,それは決議の事項としては通らないということなのかどうか,そこはいかが考えてよろしいんでしょうか。それともその場合には反対するしかないということなんでしょうか。 ○石渡関係官 若干補足させていただきますと,取壊し決議をした上で再建決議をするというのは,正に建替え決議を行っているという場面だと思いますので,それは一緒に行うということは,基本的に私どものほうでは想定していないと。そこは建替え決議を行っていただいた上で,それに賛成するのか反対するのかという形で解決していただくのではないかなというふうに思っております。 ○山谷委員 ただ,解決しないのが取壊し決議のときに解体の費用に関する分担を決めないといけないわけですよね。そのときにこの特定の人には負担を求めないという決議はあり得ると思うんです,考え方としては。その場合,それをよしとするのか,その場合には反対してくださいというのか,そこはどう考えたらよろしいんでしょうか。 ○川副関係官 それは取壊し決議には賛成だけれども,実際費用負担をすることができないと言っている人について費用を負担させないということが可能かという御趣旨でしょうか。それは,やはり取壊しに参加する区分所有者全員がそれを合意するのであれば,当然可能になる可能性はあるのかもしれませんけれども,それに対する反対者がいる状態で,この人については負担させないといったことが合意でできるかというとなかなか難しいのではないかと思いますけれども。 ○山谷委員 そうすると,先ほどの多数決の要件ではないけれども,迅速に進めるためにはやはりもう少し多数決の要件を緩和するという方向に動く事案もありそうな感じがするんですが,ちょっと今,確認させてもらいました。確認ということで。 ○森田委員 ただいまの議論がかみ合っているかどうかということの確認なのですが,この決議事項の(2)の分担の決め方として,例えば,資産とか貯蓄の額などを基準に一定額に満たない者については取壊しの費用を負担しなくてよいという分担方法を定めた決議というのは,この制度の下でもできるのか。また,「衡平を害しないように定めなければならない」という規定を置いたときには,そのような決議は衡平を害することになるのか。山谷委員の御質問は,そういう分担の定め方には何らかの法的な制約があるのかという趣旨の御質問ではないかというふうに私は拝聴しましたが,そうしますと,それに対するお答えというのは一定のものがあり得ると思います。再建の話をその背景として言及されましたけれども,御質問の趣旨をこのように定式化しますと,分担の方法としてそういうような定め方が理論的にあり得るかという点については,このような決議を法制上は排除していないのではないかと思います。そのような決議が成立すれば,それは決議内容として全員を拘束するということでよろしいのではないかと思いますが,そうではないという考え方があり得るのでしょうか。 ○川副関係官 正にそこが先ほどもありましたけれども,分かれるところなのではないかなと思っておりまして,そういうような場合が先ほど申し上げました衡平を害しないというようなことに当たるのか当たらないのかというのは,ちょっと両方あるような気がしております。衡平を害してはならないという規定がない場合には,なおそういう定め方は決議として無効だという根拠があるのかないのか,ちょっと確認したいと考えております。 ○山野目委員 山谷委員から御指摘を頂いたことは,今後,被災地等の現場において実際に建物の取壊しや再建を考えなければならない局面を具体的に想像しますと,可能な限りの検討をしておかなければならない重要な問題について御注意を喚起いただいたと感じます。それとともに,考えてみますと,現行の区分所有法の62条が定めている建替え決議の場合につきましても,建替えの事業に反対はしないけれども,それに乗っかっていって再建建物について権利を取得したり費用の分担をしたりすることは控えたい,あるいは困難であるというふうな申入れがなされるという事例は,建替えの実務の現場にはあることでありまして,今までも処理してきたことであります。   ただし,その処理の道筋というものは62条には書かれていないものでありまして,これは建替えの現実の事例と向き合って問題を処されてきた管理組合の方々であるとか,建替えの問題を専門とする弁護士の方々が今まで実務上の知恵で処してきたことではないかというふうに想像いたします。再開発法制の中には従後の権利を取得する代わりにお金をくださいという申入れをするというルートが設けられていて,法の規定に則ってそれが処理されますけれども,区分所有法制はそこまで細密なことをしなくても従来の運用がされてきました。今回もそのような運用をしていくということであろうと感じます。仮にそういうふうな実務の展開を期待したときに,それは法理的に見てどういうふうに整理されるのかということを考えてみますと,それは森田委員のおっしゃったとおりでありまして,この取壊し決議の費用の分担に係る決議事項として,ある方の費用の分担について少し特別な配慮をするとき,その特別な配慮がきちんと合理的な説明が可能であって,人々に支持されるものとして説明が可能なものであれば,衡平の条項を置くと置かないとにかかわらず,衡平の原則に抵触しないものとして評価されるでしょうし,そうでなければそれは問題視されるということになり,そこのところを注意して実務を処してくださいというお願いなのではないかと感じます。 ○山田部会長 それでは,途中で整理した後に出た幾つかの御発言についても,事務当局が補足説明を準備する際に考慮できるところを考慮していただくということとしたいと思います。その上で第1の「3 決議事項」,いかがでございましょうか。   では,第1の3につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   続けて,「4 集会の手続」に進みたいと思います。事務当局の説明をお願いいたします。 ○川副関係官 「4 集会の手続」につきましては,基本的には部会資料1でお示しいたしました内容とは変わっておりません。建替え決議制度との類似性から,建替え決議制度を参考にして手続を設けることとしてはどうかということを提案してございます。   ただ,(注)を追記しておりまして,ここでは取壊し決議を会議の目的とする集会を招集した者が説明会を開催しなければならないものとするかどうかについて,なお検討するということとしております。説明会の趣旨につきましては,既に部会資料1でも若干触れておりますけれども,被災地を想定した再建の決議では説明会というものが必須の要件になっておりませんので,取壊し決議についてどちらにより近づけてというのもちょっとおかしいかもしれませんが,どちらをベースに考えるべきかというところは御意見があるところかと思います。そこで,(注)で追記させていただいてパブリックコメントにかけさせていただくということでどうかというふうに考えております。 ○山田部会長 ありがとうございます。それでは,「4 集会の手続」について,御意見,御質問等の御発言をお願いいたします。   御発言ございませんでしょうか。   それでは,第1の4につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   続きまして,「5 決議に賛成しなかった区分所有者の取扱い」について事務当局から説明をお願いいたします。 ○川副関係官 「5 決議に賛成しなかった区分所有者の取扱い」につきましては,表題は変わっておりますが,内容としては部会資料1と変更は特にございません。売渡し請求等に関する規律を設けるものとするということを提案してございます。取壊しを実現するために,取壊しに反対する者から取壊しに参加する者へ建物や敷地に関する権利を集約しなければいけない,それが必要であるということについては,これまで1回目,2回目の部会で御審議いただいたとおりでございます。このような制度を設ける場合には,具体的な手続として建替え決議の場合と同様に催告の制度を行って,取壊し参加者と不参加者を確定して,その上で売渡し請求をするという規律を設けることが考えられるというふうに考えております。   なお,売渡し請求の対象という点について前回の部会においても御議論を頂きまして,区分所有権のみを対象とすれば足りるのではないかという御意見を頂いております。建物の取壊しを実現するために必要な範囲という意味からはごもっともな点がある御意見だと考えておりますけれども,ただ,区分所有権のみを時価で買い取るというふうにした場合に,取壊しの存在を前提とすればその価値は想定することができませんし,大規模一部滅失という建物の現状の区分所有権の価値はほぼ値段が付かないということになってしまうと。そうすると,売渡し請求をするとしても対価というものが想定できなくなってしまうのではないかというふうに考えられます。   その場合に取壊し費用の清算というのができなくなるというような話がございまして,その点につきましては,その敷地を売却した段階で清算すればよいのではないかという御意見があったところだとは思われますけれども,敷地の売却の際にそのような拘束を掛けることができるのかということもちょっと問題になるのではないかというふうに考えました。建物の取壊しを行った後は更地の敷地が残っている状態でございまして,その敷地共有者の中に取壊しに反対した人で,その取壊しの費用を清算すべき人が残っているというような状況があるとしても,その拘束がどこまで掛けられるのかと。例えば決議の反対者が後から敷地持分を第三者に譲渡してしまったというような場合には,その清算するという拘束を第三者に及ぼすというのはちょっと難しいのではないかというようなことも考えられまして,実際上は取壊し費用の清算というのは売渡し請求のときに行うしかないのではないかというふうに,現状としては考えております。そこで対象としては従前あったとおり,区分所有権と敷地利用権を一緒に売渡し請求するということが現実に取壊しを進めていく上では必要なのではないかというふうに一応考えているところでございます。   このようなことを前提に,売渡し請求の制度を設けるということで中間取りまとめをさせていただくということでどうかということを御提案させていただいております。 ○山田部会長 ありがとうございます。「5 決議に賛成しなかった者の取扱い」について,御質問,御意見,いかがでございましょうか。 ○福田幹事 ちょっと細かいところについて意見を述べさせていただきたいと思います。中間取りまとめのほうの記載ぶりについて何か意見があるという趣旨ではございません。問題意識だけ述べさせていただければという趣旨でございます。   基本的には,建替え決議の場合と同じ規律を置いてはどうかということだと思うのですけれども,再売渡し請求について同様の規定を置く必要があるかどうかという点についての問題提起でございます。再売渡し請求については,建替え決議をしたにもかかわらず2年以内に建物が取壊しの工事に着工されないという場合に,一度は反対して売渡し請求を受けた人が取り壊されないのであればということで,また今度は再売渡し請求をして自分で所有権を取り戻すということだと理解しています。建替え決議の場合には,建物が滅失しているというような要件がありませんので,基本的に建物としては建っていると。なので戻ってきたいという需要が当然考えられるのだろうと思いますけれども,この被災マンションの場合には,大規模一部滅失ということがそもそも前提になっておりますので,そのような場合にも再売渡し請求を認めて建物の所有権を取り戻すということを認める必要性は,必ずしも建替え決議と同じではないのではないだろうかという気がいたしております。   再売渡し請求を認めるということになると,法律関係としては若干複雑にはなってまいりますし,工事に着工しなかったことについて正当な理由があるときには再売渡し請求は認められないということで,その部分について紛争が生じるというおそれも出てまいりますので,必ずしも建替え決議と同じように考えなくてもいいという考え方もあり得るのではないかと考える次第でございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。再売渡し請求の制度をこの場に設けるかどうかは,事務当局で引き続き検討していただくということでお願いをいたします。 ほかにいかがでございましょうか。   よろしゅうございますでしょうか。 ○鎌野委員 5について特にないようでしたら,ちょっと4の(注)に戻ってよろしいでしょうか。ちょっと先ほどすんなりいってしまったので,すみません。説明会について一言私の意見というか,(注)自体は全く問題ございません。ただ,補足説明の書き方について意見を述べたいと思います。事務当局の説明では,緊急事態のことを考えれば説明会不要ということも考えられるし,他方では重大な法的な効果をもたらすので必要だと。そして,わざわざこういう(注)を設けたのは,説明会の開催というのは必ずしも必要でないではないかというような形,そういう意図が事務当局にあるかどうかは分かりませんけれども,多分ニュートラルだと思いますけれども,印象をひょっとすると持たれてしまうということで,あえて議事録などに残していただくために私の意見を申し上げます。やはり説明会というのは必要ではないかと。というのは,確かに迅速性というのはあるけれども,そして,建替えの場合とは違うけれども,ここでは,一方では取壊しの後,多分取壊しだけですから見通しが立っていないのかも分かりませんけれども,説明会のところでそういった取壊し後の可能性というのも説明がある,あるいは質疑応答があると。それは両方の方向に働くんだろうと思います。取壊し決議を推進する側ですから,費用を出して取壊しをしても,そういう見通しがあるならそちらに賭けようというのと逆の場合もある可能性があります。取り壊しただけでその後どうなるのかという可能性もあります。   それから,他方もう一つ大事なのは,この場合にやはり復旧した場合の費用,建替えもそうですけれども,そういうのと比べてということで,今一度復旧の可能性はないのかというのをやはり説明会を通じて,いきなり取壊し決議ではなくて吟味する必要があろうかと思います。そういった意味で,やはり復旧の可能性ということについての説明というか,そういった意味でやはり建替えの場合,説明会を経て決議に至るというような熟慮期間というか,そういうのをやはり迅速性は重要ですけれども,必要なのではないかというようなことで,その説明会を円滑に進めるための工夫は必要かも分かりませんけれども,なお私としてはこれを建替えと同じように設けるという方向のほうがいいのではないかと思います。多分,本当の緊急で公共的にも問題があるというのは決議すらやっている余裕はないし,それは建築基準法とかその他の公法的な法制での取壊し命令とか除却命令とかということになるので,とにかく決議ができて決するという事態ですから,そういった意味では速やかな復興ということはあるかも分かりませんけれども,なお説明会というのを残す方向で考えたらどうかという意見を申し上げておきます。 ○山田部会長 ありがとうございます。御意見を頂戴いたしました。ほかにいかがでしょうか。 ○森田委員 今の鎌野委員の意見に全く賛成でありまして,その意味で今後作成される補足説明が今言われた趣旨が反映されるような内容になっていると,ニュートラルだという趣旨がよく伝わるのでないかと思います。先ほど議論があった大規模一部滅失の概念との関係で,以前にも議論になりましたけれども,結局,大規模一部滅失に当たるがどうかというのは,復旧するとすればどのくらいの費用が掛かるかという点とも関わっていて,また,それが取壊しの合理性を基礎付ける事由でもありますから,そういった点が説明会の中で説明されていなければいけないということが法制上も明示されていることが,先ほどの論点となった訴訟が起きる見込みが少ないだろうということを支える理由にもなっていると思います。したがって,説明会を開く意味について,説明会で何を説明しなくてはいけないかということを法制上明らかになっていることが持つ意味を含めて補足説明にも書いていただくとよいのではないかと思いますので,その点,意見として述べさせていただきます。 ○山田部会長 ありがとうございました。御意見と,それから,森田さんは補足説明を作成する際にもう少し検討を続けてほしいという御発言がありました。検討した上でその点,確定してほしいという御指摘を頂いたところであります。ありがとうございます。よろしゅうございますでしょうか。  それでは,第1の4についてお二人から御意見を頂きましたが,それは先ほど申したように扱うことといたします。第5は御了解いただいておりますので,第1の6ですね。「取壊しに関する合意」に進みたいと思います。事務当局から説明をお願いいたします。 ○川副関係官 「6 取壊しに関する合意」につきましても,表題は変わっておりますが,部会資料1と実質的な変更はございません。売渡し請求を経て権利を集約して,合意をしたものとみなして,一体として取壊しを進めていくことができるように規律を設けるということでございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。それでは,6,取壊しの合意について,御意見,御質問ございませんでしょうか。 ○森田委員 取りまとめの内容そのものについては,このとおりでよいと思いますけれども,先ほど3の決議事項のところの(2)について沖野委員から出た意見に関連して,この合意の擬制の対象が何なのかという点ですが,取壊し費用の負担については,この合意の擬制によってそれに拘束される者が法的に取壊し費用を負担することになるのではないかと思います。そうなりますと,取壊し費用の総額を決議に賛成した者にその分担方法に従って割り付けていくということになります。これに対し,決議に反対した者は,この合意の擬制によっては取壊し費用を負担することにはならないけれども,ただ,売渡し請求の対象となる建物区分所有権若しくは敷地利用権の時価の算定のところでこれを事実上考慮することあり得るし,考慮しない算定方法もあり得るところで,それから,先ほどのお話ですと,現に建物が建っていたら考慮することができるけれども,建っていない場合には考慮することが難しくなるのではないかという意見も述べられたと思いますが,いずれにせよ,そこは事実上考慮するかという問題であって,反対した者は取壊し費用を法制的には負担する義務はないというのが合意の擬制の対象となることの意味であろうと思います。そうなりますと,先ほどの(2)が決議事項に含まれないことになると,これに拘束されないことになるので,費用の分担が客観的に床面積の割合で定まるとしても,やはりそれは決議事項の中に含まれると考えないと困るのではないかと思います。この点については含まれなくてもよいという考え方もあるとすると,その辺りの前提についても理解が異なるということになってきますので,その前提について確認をさせてください。 ○山田部会長 事務当局に前提についての意見を求めているように思いますが。 ○遠藤関係官 すみません,今の御趣旨は先ほどの決議事項の(2)を仮に書かないとするとどうなるんだという御趣旨でしょうか。 ○森田委員 そうです。 ○遠藤関係官 恐らく仮に(2)を何も書かないとなると,それはもう機械的に決まるのだという考え方が背景にあると思いますので,床面積割合によるのかあるいは共用部分の持分割合によるのかというルールを決議事項とは別に書くということになるのではないかなと思いますが。 ○森田委員 決議事項が法定されているということですね。法定の内容に従って合意したものと擬制するという後ろのほうの理解も変わってくるということで,いずれにせよ,決議内容に拘束されるというのは,その点を含むという理解でよろしいですね。 ○遠藤関係官 はい。 ○山田部会長 森田さん,ありがとうございます。それでは,「6 取壊しに関する合意」についてほかに御意見ありませんでしょうか。   では,第1の6につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   第1についてはあともう一つ項目があります。「7 期間制限」でございます。事務当局から「7 期間制限」についての説明をお願いいたします。 ○川副関係官 「7 期間制限」につきましては,部会資料1でお示ししたゴシックの記載からは若干記載を変更しております。部会資料1のときには,政令の施行の日から起算して1年とすることを提案しておりましたが,今回は具体的な期間の定め方についてはなお検討するとして,一定の期間に制限するという記載にしております。期間制限を設ける必要性につきましては,大規模一部滅失した建物ですので,いつでも取壊しをすることが可能であるとすると,区分所有者の地位が不安定な状態が続くということになりかねないということが考えられます。   具体的な期間という点ですが,現行法上,政令で定める災害によって区分所有建物が大規模一部滅失した場合には,政令施行の日から起算して1年以内に復旧や建替え決議がなされない場合には,その各区分所有者が買取り請求をすることができるようになるという規定が置かれております。1年というふうに考えたのは,一応この買取り請求ができるようになる期間を1年と被災マンション法でしていますけれども,その趣旨としては,1年という期間が確保されれば被災時に復旧,建替えの決議といったことができるだろうという一応の目安ということで定められているということが考えられるので,取壊し決議においても1年を目安としてはどうかと考えております。現在もその考えが変わっているわけではございませんが,1年では短いのではないかといった御意見や,それから,災害によって必要な期間が異なるのではないかといった御意見も頂いていたと思いますので,一定の期間内に制限をするということで中間取りまとめをさせていただき,具体的な期間,期間の定め方などについてはなお検討するということの注記をさせていただくということでどうかと考えております。 ○山田部会長 ありがとうございます。ただいまの第1の「7 期間制限」について,御質問,御意見などの御発言はございませんでしょうか。   よろしいですか。(注)について取りまとめはこれで異存はないけれども,今意見を言っておきたいというような御発言は,ここにはございませんでしょうか。促しているわけではありませんけれども。   それでは,第1の7につきまして,部会資料5のとおりとさせていただきます。   「第2 滅失又は取壊し後の建物の敷地についての特例」に進みたいと思います。   それでは,第2の1の「敷地売却決議制度」,(1)多数要件について事務当局から御説明をお願いしたいと思います。 ○遠藤関係官 それでは,御説明いたします。   まず,二つの(前注)は前回と変わっておりませんで,検討の前提として確認すべき事項を記載しております。「1 敷地売却決議制度」でございますが,このような制度を設ける理由,特に必要性については第1回の部会で御説明を差し上げたところでございます。   若干補足をしまして,このような制度をなぜ設けることが許容されるのかということを補足いたしますと,区分所有建物が建っていた状態においては,敷地利用権というのは専有部分を所有するための敷地に関する権利ということでありまして,分離して処分することが制限されているなど実質的には専有部分の権利に従属する性質を有するものであるということができると考えられます。また,敷地利用権は,建物の管理や建替えとの関係においても,団体的な制約を受けているところでございます。このような敷地利用権の性質に鑑みますと,建物が取り壊された後においても一定の団体的な拘束を及ぼすことに合理性があるのではないかというように考えられます。   また,多数決によって敷地を売却することができることとなりますと,売却に参加しないものの権利保護にも配慮した制度とする必要がありますけれども,この点については売渡し請求制度を設けることによって売却に参加しない敷地共有者に対しても,その持分の時価による資本回収の手段を確保するということができるというような考え方も成り立ち得るのではないかというふうに思われます。このような点も併せ考えますと,敷地売却決議制度を設けるということも敷地共有者間の権利調整の在り方の一つとして認められるという考え方に合理性があるのではないかというふうに考えておるところでございます。このようなところがこの制度を新設することの理由でございまして,そこが多数決要件にも関わってくるのかなというふうに思っております。   多数決要件につきましては,部会資料1と同様に,敷地共有持分の価格の割合の5分の4以上ということを提案しております。その理由は,部会資料1,第1回の部会でも御説明をしたところでございますけれども,決議の内容の重大性に鑑みますと,それを正当化するためにはそれなりに重い決議要件とする必要があるであろうということでございます。それから,先ほどの敷地利用権との関係で申し上げますと,全員合意によらずに処分なりをすることができるという点,それから,反対者に対する影響,決議に賛成しないものに対する影響という点では,直接的には被災マンション法の再建の決議という制度が既にございますけれども,そのような観点からしますと,両者は類似するというところがあるのではないか,というふうに考えられます。これらを考慮しますと,多数決要件といたしましては5分の4以上というようにすることが適当ではないかというように考えているところでございます。   (1)についての説明は以上になります。 ○山田部会長 ありがとうございます。ただいま説明いただきましたので,御質問,御意見など御発言がございませんでしょうか。 ○吉政幹事 多数決要件についてお尋ねをします。具体的には,頭数要件は外すことの趣旨についてお尋ねをしたいと思います。   御提案において頭数要件が外されているのは,恐らく,現行の被災マンション法がそうなっておりますので,その要件を参考にされたということかと思います。被災マンション法の立法趣旨の説明では,区分所有者の居住の利益を考慮する必要がないということが言われておりまして,その趣旨説明を今回も持ってこられているのだと理解しております。   ただ,それが果たして説得的な理由付けなのか問題があるように感じます。といいますのも,団体拘束の根拠であるはずの建物がなくなった場合のほうが団体拘束を掛けやすくなるというのは,何か逆であるような気もいたします。御提案になっている敷地売却決議制度は,区分所有法では認められていない新たな制度である以上,厳格な要件を課す,すなわち頭数要件を要求するといった選択肢も十分にあり得るのではないかと考えられます。もちろん,反対に,頭数要件を課すとマンションの取壊し及び敷地の売却の円滑な実行を妨げることになるという判断もあるかと思います。   頭数要件を外す理由として私がより重要だと感じることとして,敷地を売却したときの利益は恐らくその持分に従って分配されることになると思いますので,敷地の共有持分に従って議決権を与えたほうがより適切な売買契約が締結される,より高い値段で購入し,より有効に土地を利用してくれる人に売却することが可能になる,そういったインセンティブを与えることが可能になるかもしれません。敷地売却決議において頭数要件を課す理由は,以上のような観点から説明することもできるのではないかと思います。いずれにしても,居住利益に配慮する必要があるかということが問題の本質ではないように感じます。 ○山田部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでございますか。御意見ございませんでしょうか。   それでは,第2の1の敷地売却制度のうちの(1)多数決要件についてですが,部会資料5のとおりとさせていただきます。   では,次の敷地売却制度の(2)決議事項について事務局からの説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 (2)は決議事項についてでございます。ここでは売却の相手方となるべきものの氏名又は名称,売却により得られる金員の見込額を決議事項とすることを提案しておりますが,この点は部会資料1と同様でございます。   なお,部会資料1ではこのほかに売得金の分配に関する事項についても決議事項とした上で,これについては各敷地共有者の衡平を害しないように定めなければならないものとするというようなことを御提案しておりました。しかしながら,この点につきましては,第1回の部会において売得金の分配は基本的には持分割合によるべきであろうと。分配について決議で決めることとするためには,そのような制度を設けることの必要性について十分な説明が必要ではないかという御趣旨の御指摘を頂いていたところでございます。   これを受けまして,再度事務当局として検討しました結果でございますけれども,基本的には,当初は売買契約に要する費用などを清算するということを考慮して,常に持分割合に忠実に分配する必要はないのではないかというような考えをしていたところでございますけれども,この点につきましては,特段の規定を設けなくても売得金の分配に当たって契約費用を控除してから,各共有者に分配することになるというように思われますので,あえてここで分配に関する事項を決議事項とするような規律を設ける必要はないのではないかというように考えるに至ったところでございます。そこで,本資料では部会資料1とは異なり,こういった規律を設けることは提案しないということとしております。   御説明は以上になります。 ○山田部会長 ただいまの説明いただいたところでありますが,御質問,御意見などの御発言ございませんでしょうか。 ○根本委員 公費解体後に単純に売却してしまうということになりますと,公費が単純に被災者間で分配されるという結果を招くことになります。その点についての考慮は,公費解体のほうの制度で考えるんだという理解をしてよろしいでしょうか。 ○遠藤関係官 結局公費解体について我々で何かお答えを差し上げられることができるかと申しますと,ちょっとそこは難しいのかなというように思います。今のは補助金が出されているにもかかわらず,その補助金を自分のポケットの中に入れて取り壊さないまま売ってしまうという事態を許すのかどうかという御趣旨なのかなとも思ったんですけれども……そうではない。 ○根本委員 取り壊した後,取り壊したほうが価格は上がるケースのほうが多いと想定しておりますので,取壊し費用分だけ敷地の価格が上がることになり,その部分についても分配がなされるという結果になります。そうなったときにそれが社会全体から見て公平であるかどうか,公正であるかどうかの判定は,この制度下ではしないという理解でよろしいでしょうか。 ○遠藤関係官 そうですね。おっしゃるとおりだと思います。恐らく現状でもそうなっているのではないでしょうか。ちょっとその辺は分からないですけれども。 ○山田部会長 これは敷地を売却することを容易にする制度でありますけれども,この制度がなくても敷地の売却はそのときの敷地共有者全員が合意をすれば,現在の民法に従って売却をすることができ,根本さんが御指摘された事例というのは起こり得るのだろうと思います。したがって,根本さんが指摘された点について仮に問題を意識するにしても,この制度は直接にはコミットしていないということだと思います。   ほかにいかがでございましょうか。(2)の決議事項でございますが,御発言ございませんでしょうか。   一つ前の項目で吉政さんが御発言いただいたことに関わることを事務当局としてここで今御説明を差し上げたという順番になっていたかと思います。吉政さんにまた御発言を頂きたいという趣旨ではありませんが,関係を指摘させていただきました。   よろしゅうございますか。それでは,第2の1の(2)につきましては,部会資料のとおりとさせていただきます。ありがとうございます。   では,次に進みます。第2の1の(3)でございますが,事務当局から御説明をお願いします。 ○遠藤関係官 第2の1,(3)は敷地売却決議を会議の目的とする集会の手続につきまして,被災マンション法上の再建の決議制度における規律を参考にして,必要な規律を設けることを提案するものでございまして,部会資料1と同様のものでございます。   必要な規律について若干補足して説明をいたしますと,具体的にどのようなものが考えられるかと申しますと,例えば集会の招集は議決権の5分の1以上を有する敷地共有者が招集することができるものとするといった規律であるだとか,招集の通知は少なくとも1週間以上前に議案の要領を示してするものとする,それから,集会を招集した者又は決議で示された者が議長となるものとする,議決権の行使につきましては,書面又は代理人によっても行使することができるものとするといった現行の被災マンション法で設けられているような規律と同様の規律を設けることが考えられます。   また,後に検討しております敷地管理者制度が設けられることとなった場合には,敷地管理者に集会の招集権限を与えるなどの規律を設けることも考えられるかと思います。   また,集会の手続につきまして,今回二つ(注)を付しております。これは部会資料1では正面からは取り上げておりませんでしたが,中間取りまとめに当たって皆様方の御意見を賜れればと思い,記載したものでございます。   (注1)は,集会の招集の通知の方法に関するものです。招集の通知は各敷地共有者に対してしなければなりませんが,この通知は各敷地共有者の住所地に宛ててすることが原則であるというように考えられます。しかしながら,第1回の部会でも御指摘を頂いたことと存じますが,大規模な災害が発生した場合においては,敷地共有者の中には避難生活を余儀なくされている方も少なくないというように思われます。そうしますと,招集通知を発することが困難になるといった事態もないわけではないというように考えられるところでございます。そこで,このような事態に対処するために,区分所有法上の集会の招集通知に関する規律や民法上の公示の方法による意思表示に関する規律などを参考にして,何か特別な方法による通知を認めるものとするというような考え方もあり得るところかと存じます。   他方で,集会の招集の通知は敷地共有者に集会に参加する機会を手続的に保障するという性質のものでございまして,敷地売却決議の内容の重大性に鑑みますと,招集手続を安易に簡略化するということは相当でないという指摘も考えられるところでございます。また,取壊し決議が先行して敷地売却決議がされる場合には,取壊し決議の段階で後々取壊し後の敷地の利用や処分に関する方針が団体的に決められるということを皆さん予定されて取壊し決議に賛成なり参加しているということになると思われますので,敷地売却決議の段階で集会の招集が困難になるという事態は余り生じないのではないかというようにも考えられるところでございます。   このように集会の招集の通知につきまして,特別の規律を設けるものとするかどうかについては,両様の考え方があり得るというように思われますので,(注1)についてはこの点についてなお検討する必要があるというようにしております。   (注2)は,取壊し決議でも同様の(注)がございましたが,敷地売却決議を会議の目的とする集会におきまして,それに先立つ説明会を開催する必要があるかどうかに関するものでございます。基本的な問題意識としては,取壊し決議について説明したところと同様でございます。   (3)についての説明は以上です。 ○山田部会長 ありがとうございます。それでは,第2,1,(3)集会の手続について,御質問,御意見などの御発言がございませんでしょうか。 ○鎌野委員 (3)の集会の手続の(注1)の敷地共有者の所在を知ることができない場合,特別の規律を設けることについての検討なんですけれども,これは質問になると思うんですけれども,取壊しの場合にはこういう注記を設けていない。恐らくここで設けたのは,もう建物が取り壊されて,それぞれ従前のマンションから離れて被災のためにそれぞれのところで生活をしているということで,特別にここでは所在を知ることができないという趣旨だろうと思うんですが,考えてみれば,取壊し決議をするときにも大規模一部滅失をしたと。そうすると,そこでもう居住していないと。それこそてんでんばらばらになって所在を知ることができないという場面がそこでもあり得て,別の言い方をすれば,取壊し決議は行われたんですね,ここの前提としては。だから,そこで基本的には所在が明らかになっているので,ここで初めて,もちろん建物がなくなってその取壊し決議後にどこか遠くに行っちゃってということはあるかも分かりませんけれども,少なくとも取壊し決議をなされて,そこで集会を開いて把握しているので,ここで急にこういう所在を知ることができない場合というのが出てくるのはちょっと奇異かなということで,何か事務局のほうでその辺り,説明いただければと。あるいはそうではなくて,取壊し決議の場合にも同じような問題は起こるんだよということなのか,その辺りちょっと御説明を頂ければと。 ○遠藤関係官 正に御指摘のような問題は取壊しの段階でも起こり得るということは認識しておるところでございます。区分所有法上は,具体的には管理者に対して通知の届け出先を知らせておきなさいと。その届け出があった場合には,その場所において通知すれば足りると。あるいは規約で特別の定めをしている場合には,建物内の見やすい場所に集会の通知について掲示するということができるというような規律が設けられておるところでございます。基本的には,取壊しの段階ではまだ区分所有法のこのような規律の適用が一応はあり得るということでございますので,こういった規律で対応するということも運用の中では可能なのではないかなというふうに考えていたところでございます。   他方で,ここではもう既に区分所有法のそういった規約に関する規律であるだとか,管理者に関する規律であるだとかというのはまた別の枠組みで動いているという前提になりますので,必ずしも規定を何も置かなければ区分所有法の規定が適用になるということになるわけではないというように考えているところです。ですので,ここで敷地のところについてこういう規律を設ける必要があるかどうかということを(注)で書いているということでございます。 ○鎌野委員 分かりました。もう区分所有法から外れるから特別やはり規律が必要だと,そういうことですね。分かりました。 ○山田部会長 (注1)及び(注2)も含めて(3)全体についていかがでしょうか。 ○山谷委員 それこそ前提の確認の意味なんですけれども,今回特に福島の被災者の方を見れば分かるとおり,かなり転々としているんですよね。ですから,それこそ一度所在場所を確認したからといって,次に確認できるかというと,なかなかそこは保障できない事態もあるので,やはりそこはきっちり手続を踏んだほうがいいかなと私は思うんです。ですから,今回の場合にも改めて通知の手続を踏むという必要性はあるかなと私は思いますね。ちょっとそこを指摘したいと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。 ○森田委員 単純な確認の質問ですが,(注1)に関して,先ほどの取壊しの決議の場合には,まだ区分所有建物があるので,区分所有法35条3項,4項の適用があることが前提となっているということでしょうか。 ○遠藤関係官 はい。 ○森田委員 そのことに問題はないのでしょうか。そこにいわゆる生活共同体が現にあるという場合に,そのような通知の方法によることは合理的であるけれども,大規模災害によってそうでないことが明らかな場合にも当然に適用があるという点は,そこは逆に問題ではないかという御指摘も先ほどの鎌野委員の御意見の中に含まれていたように思いますが,そこは当然適用があるということですね。 ○遠藤関係官 特に法律上の文言としてそういうようなことが除外されておりませんので,もちろん,解釈としてそういう解釈が採られるという可能性は否定できないのかもしれませんけれども,一応は適用があるという前提に立って検討したという趣旨でございます。 ○山田部会長 (注1)についての御発言が続きましたが,(注1)について,あるいは(3)全体についていかがでしょうか。 ○森田委員 別の点についての確認ですが,以前,部会資料1の「第1 総論」に(注1)が付いていまして,「取壊し決議と敷地売却決議を同一の機会に行うことは妨げられないことを前提としている」とありましたけれども,ここで提案されているような集会の通知等々の規律を含めて考えますと,「同一の機会」といっても,同じ日に両方の決議を行うことは,事実上は不可能ではないかと思います。取壊し決議をした場合にも反対者に対して催告をしたりしなくてはいけませんから,取壊し決議と敷地売却決議のそれぞれの母集団となる団体そのものが同一の日に確定することは恐らくあり得ないのではないかと思います。そうすると,以前の(注1)の「妨げられない」というのは,これがあり得るかのような表現ですけれども,実際にはあり得ないのではないかと思うのですが,その点はそういう前提でよろしいでしょうか。 ○遠藤関係官 その点につきましては,第2の1の最後に(後注)というところを設けておりますので,ちょっとまたそこで御議論を頂ければと存じます。 ○山田部会長 森田さん,よろしいでしょうか。またもう一度必ず取り上げますので。   では,(3)の集会手続についてはいかがでしょうか。 ○沖野委員 調べてくるべきだったんですけれども,(注1)の特別の規律に関しまして,現在被災マンション法の場合にもとから全滅という場合にはそういう特別な規律は設けられているんでしょうか。 ○遠藤関係官 現状は特に設けられていないと思います。 ○沖野委員 それとは事情は違うのでしょうか。 ○遠藤関係官 御趣旨は被災マンション法で設けられていないだから,この場面でもという御趣旨……。 ○沖野委員 いえ,両論に働くのかと思います。むしろこのような規律を入れるならば被災マンション法のほうでも同じようなことを考える必要があるのではないかと。この部会の対象なのかどうかは分からないのですけれども。 ○遠藤関係官 正に御指摘のとおりでございまして,ここでは敷地売却のところで特別な(注)として掲げておりますけれども,恐らく関連して,今被災マンション法で再建の決議について規律がありますけれども,それも併せて何らかの措置を講ずると。仮に設けるとする場合には,そのようなことになるのではないかなというふうに考えているところです。 ○山田部会長 ほかにいかがでしょうか。(注1)については多数の御意見を頂きましたが,この部会資料5の記載について一定の修正を施してはどうかということを含んだ御発言はなかったように思います。御発言いただいた方々あるいはそれを聞いていらっしゃった方々,よろしゅうございますでしょうか。ほかにございませんでしょうか。   それでは,第2の1の(3)集会の手続でございますが,部会資料5のとおりとさせていただきます。   続きまして,第2,1,(4)決議に賛成しなかった敷地共有者の取扱いについて,事務当局から説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 (4)も部会資料1と同様に,被災マンション法上の再建の決議制度における売渡し請求等に関する規律と同様に必要な規律を設けるものとするということを提案しております。売渡し請求等に関する規律としましては,先ほどの取壊し決議でも若干御説明がありましたが,まず,敷地売却決議が成立した場合には,集会を招集した者から決議に賛成しなかった者に対して,改めて売却に参加するかどうかの催告をすると。それから,売却に参加する敷地共有者又はその全員の合意により,敷地共有持分を買い受けることができる者,買受指定者というふうに申しておりますけれども,その買受指定者は催告の結果,売却に参加しないこととなった敷地共有者に対しまして,敷地共有持分を時価で売り渡すべきことを請求することができると。それから,売却決議が成立してから一定期間が経過しても売却が実現されない場合には,敷地共有者に再売渡し請求を認めるものとするというような規律を必要に応じて設けることになろうかというように考えられます。   このような規律を設ける意義,つまり決議の内容による売却を実行するためには,売却に参加する者の下に権利を集約する必要があるというように考えられることなどにつきましては,第1回,それから第2回の部会で御説明をしたとおりでございます。   また,売渡し請求制度に関連しまして,先ほど買受指定者も売渡し請求をすることができるものとするという説明を差し上げたところです。この点に関しまして,買受指定者が実際にどのように利用されるのかにつきまして若干補足をいたしますと,建替え決議の場合ですと,例えば建替え事業に参加するデベロッパーが買受指定者として指定されるということが考えられまして,このようなデベロッパーが指定されることによりまして,実際の建替え事業を円滑に実施するということが期待できるというように考えられるところでございます。ここで敷地売却決議制度におきましても,買受指定者の制度を設けた場合には,敷地を買い受けて利用しようとするものを指定することによりまして,敷地の売却を円滑に実施すると。具体的には買受指定者制度を利用することにより,一旦売却に参加する者の下に権利を集約しなくても実質的には決議の内容に従った売却を実現するといった運用も可能なのではないかというように考えられるところでございます。   説明につきましては,以上です。 ○山田部会長 ありがとうございます。それでは,第2,1,(4)決議に賛成しなかった敷地共有者の取扱いについて,御質問,御意見などの御発言をお願いいたします。御意見はございませんでしょうか。   それでは,ただいまの第2,1,(4)決議に賛成しなかった敷地共有者の取扱いにつきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   続きまして,第2,1,(5)に進みます。敷地の売却に関する合意です。事務当局からの説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 (5)は敷地の売却に関する合意についての提案でございます。これまでの部会においても御説明いたしましたとおり,敷地売却決議が成立しただけでは当然に相手方との間で敷地の売買契約が成立するというわけではなく,具体的な敷地の売却は,売却に参加する者によって実行されるということになります。もっともこのように申しましても,売却に参加する者が具体的にどのような法律関係の下にこれを実行することになるかにつきましては,必ずしも明らかとはいえないということになろうかと思います。そこで,本項では,被災マンション法上の再建の決議や区分所有法上の建替え決議の場合と同様に,敷地の売却に参加することとなった者の間に決議の内容により売却を行う旨の合意をしたものとみなすという趣旨の規定を設けることを提案しております。   ここでいう合意と申しますのは,決議の内容により売却に参加しようとする者,つまり売り手側の間におけるものを意味しておりまして,買い手との間での合意,すなわち売買契約が成立したものというようにみなす趣旨ではございませんので,念のため補足をいたします。   このようなみなし合意をされることによりまして,売却に参加するものは相互に売却決議の内容による売却の実行に協力するという義務を負うことになると考えられます。具体的な敷地の売却は,この合意に基づく義務の履行として実行されることになるというように考えられます。   なお,ゴシックでは敷地共有者と敷地売却決議に賛成した敷地共有者等という言い方をしておりますが,この「等」に含まれるものとしましては,敷地売却決議に賛成したもののほか,決議後の催告に対して売却に参加する旨を回答した敷地共有者,それから,先ほど御説明をした買受指定者を考えているところでございます。   御説明は以上になります。 ○山田部会長 ありがとうございます。それでは,(5)敷地の売却に関する合意について,御質問及び御意見の御発言はございませんでしょうか。 ○根本委員 すみません,少しだけ教えてください。区分所有者以外の単なる敷地の共有者は,この場合はどこにいってしまうのでしょうか。 ○遠藤関係官 すみません,区分所有者以外の敷地の共有者につきましては,第2の(前注)になるんですけれども,基本的には含まれないということになりますので,決議自体に単なる敷地の共有者が拘束されるというわけではないと。その者との間では別途合意が必要になるということを一応考えております。 ○根本委員 分かりました。 ○山田部会長 ほかにいかがでございましょうか。   それでは,第2の1,(5)敷地の売却に関する合意につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   もう一つ進みたいと思います。第2,1,(6)期間制限について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 (6)は期間制限に関するものでございまして,被災マンション法上の再建の決議の期間制限に関する規律と同様の規律を設けるものとすることを提案するものでございます。このような提案の理由や期間制限の起算点を政令の施行の日,すなわち区分所有建物の滅失や取壊し決議の前提となる大規模一部滅失の原因となった大規模災害を指定する政令が施行された日とすることにつきましては,部会資料1と同様でございます。   なお,(注)では取壊し決議の期間制限に関する検討を踏まえて,具体的な敷地売却決議の期間制限の具体的な期間については改めて検討する必要がある旨を記載しております。先ほど申し上げましたとおり,本項の期間制限の起算点は,取壊し決議の前提となる大規模一部滅失の原因となった災害を指定する政令の施行日であるということにしておりますので,このこととの関係で取壊し決議の期間制限と本項で検討している敷地売却決議の期間制限とは密接に関連することになろうかと思います。そこで,取壊し決議の期間制限がどうなるかを踏まえて,改めて敷地売却決議の期間制限についても検討することが必要になるというように考えられます。(注)は,その旨を記載するものでございます。   説明は以上になります。 ○山田部会長 ただいま説明を頂きました(6)期間制限について,(注)も含めてでございますが,御質問,御意見ございませんでしょうか。   いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。   それでは,ただいまの第2の1の(6)期間制限につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。           (休     憩) ○山田部会長 休憩後の会議を再開したいと思います。   (6)の期間制限まで休憩前に進んだところでございますので,その次の第2,1,敷地売却決議制度の(後注)に進みたいと思います。では,事務当局からの御説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 第2の1の(後注)は,区分所有建物が政令で定める災害により大規模一部滅失した場合,取壊し決議の前提となる状況になった場合につきまして,当該建物を取り壊すことなく敷地とともに売却することを可能とするかどうかということについて検討するというものでございます。   中間取りまとめでは,取壊し決議制度と敷地売却決議制度をそれぞれ独立の制度として設けることを検討しております。その理由としましては,区分所有建物が大規模一部滅失した場合において,建替えも復旧も困難なときに区分所有者が採り得る選択肢としましては,まずは建物を取り壊して敷地についての利用処分の方針は,後々ある程度時間を掛けて検討するということが現実的な選択肢ではないかという考え方によるものでございます。もっとも区分所有者が建替えも復旧も諦めて取壊し決議をしようという段階で,大規模一部滅失した状態であっても建物ごと敷地を買い受けてもよいという相手方が現れることもないわけではないというように思われます。このような場合には,一度に売却のところまで決めるということができることが便利ではないかという御指摘もあろうかと思われます。このような結果を実現するためには,①として取壊し決議と敷地売却決議を独立の制度とすることを前提として,同一の機会に行うことを認めるという方法,それから,②として取壊し決議制度と敷地売却決議制度とは別に建物と敷地を併せて売却する旨の決議をすることができる制度を創設するという方法などが考えられるところでございます。   このうち,①の方法につきましては,取壊し決議と敷地売却決議との関係に関して,どの段階から敷地売却決議をすることができるのかといった問題であるだとか,敷地上に建物がなお現存している場合に,敷地売却決議をするということにした場合には,区分所有権と敷地利用権の分離処分禁止の制限との関係でどのような法律関係になるのか,あるいは敷地上に建物が現存する場合に,建物と敷地をめぐる法律関係をどのように整理することができるのかといった論点について,なお検討する必要があるものというように思われます。   他方で,②のような制度を創設することにつきましては,そもそも大規模一部滅失した建物ということを前提としますと,これを敷地とともに買い受けようとする者が現れるということが本当に想定できるのかというような問題があろうかと思われます。仮にそのような者が現れたという場合であっても,基本的には建物を取り壊すことを前提として買い受けることがほとんどであるという考え方もあり得ようかと思いますので,そうした場合にはあえて取壊し決議と敷地売却決議とは全く別の制度を設けることの必要性がどれだけあるのかという議論になろうかと思います。   また,このような独立した制度,第三の類型の制度を設けることとした場合には,取壊し決議や敷地売却決議とは全く異なる観点から具体の規律について検討するということが必要になろうかと思われます。まだ(後注)につきましては,事務当局として十分な御説明というか整理ができていないところで大変恐縮ではございますけれども,これらの点を踏まえまして,(後注)では建物を取り壊すことなく敷地とともに売却することを可能とするかどうかについて,なお検討する必要がある旨を記載させていただいたところでございます。   (後注)の説明は以上になります。 ○山田部会長 ただいま御説明いただきましたこの(後注)につきまして,御発言いただけますでしょうか。御質問,御意見どちらでもお願いいたします。 ○鎌野委員 私が第1回でしたか,あるいは前回もでしたか,この(後注)のような趣旨の発言をさせていただいて,御検討いただくと。そして,その結果としてこういう,私だけではもちろんございませんけれども,(後注)を載せていただいたということについては賛成でございます。その上で,今の事務当局からの御説明で,私はどちらかというと,①,②のうちの②の方法をイメージして発言をしたつもりですけれども,必ずしも取り壊さないで敷地と建物を一括して売却する決議という正にこの(後注)に書いてあるようなものについて非常に有益であろうし,実際こういう事情というか,双方にとって区分所有者の側及びそれを買い受ける例えばデベロッパーの側ということを想定していたんですけれども,②のような制度を創設するについては,事務当局の説明では,こういった買い受けようとする者が現れることは余り想定できず,それからもう一つは,取り壊すことを前提として買い受けることが前提となっていることがほとんどで,独立した制度として設ける意義が乏しいということで,こちらのほうは,後ろのほうは少ないかも分かりませんけれども,ひょっとすると現在建っている建物も区分所有者だと資金の面でなかなか復旧するのは難しいけれども,買い受けた者がそれなりに資金を出して復旧すれば,まだまだ市場性はあるというような場合が全くないわけではないというようなことで,そういった意味では必ずしも取り壊さないでも現にある建物ごと売却して,場合によっては買い受けた者が取り壊すという制度,そういうのが非常に有益なのではないかというふうなイメージを描いていたんですけれども,事務当局の御説明ではちょっとそういうことは余り想定できないということなんですけれども,この点もしお分かりでしたらというか,何らかの御意見を頂けましたら,関係の委員のほうでいいますと,恐らく根本委員が一番こういうところに近いところにいらっしゃると思いますので,ちょっと御意見を賜ればと思いますけれども。 ○根本委員 御指名ですので。今後想定されます首都直下あるいは東海・東南海・南海の3連動等の規模になりますと,例えばデベロッパーであるとかそういった者が被災したマンションを建ったまま何らかの形で買い受ける,あるいは再建に入るということのほうが現実味があるだろうという指摘を受けております。住民の皆様が被災されますと,先ほど来御指摘があるとおり各地に散らばってしまうようなケースが非常に多うございますので,なかなか住民合意は取りにくい。ただ,それを取りまとめる役柄,プレイをするものが必要であろうということになりますと,そこを買い受けるような事業者がその間に立つというのが現実的ではないかというふうに想定されます。むしろそのほうが多いであろうということで,一括した売却あるいは再建のような形が可能となるような制度設計がなされていることのほうが復旧・復興にはつながりやすいのではないかというふうに思っております。 ○山田部会長 ありがとうございます。(後注)についていかがでしょうか。 ○根本委員 あと1点よろしいでしょうか。それで,むしろ取壊しと売却の決議を一括して行うことはできないのだという制度設計は,端的に申し上げて避けていただきたい。余計物事が前に進むスピードが遅くなるだけになります。取り分け被災された皆様を早く定常の生活に戻すということも考えますと,手続を複雑にすることあるいは手続のスピードを緩めてしまうような制度設計は避けるべきではないかというふうに考えております。 ○山田部会長 ありがとうございます。 ○山野目委員 (後注)をここに今回掲げるということを事務当局において考えるに当たっては,いろいろお悩みになられたことであろうと想像します。と申しますのは,第1回会議及び第2回会議におきましては,鎌野委員から先ほど御指摘があったように,同委員等から重要な指摘としてこの論点の提起がなされておりましたが,部会資料においては掲げられておらず,したがって,ここでの熟した論議の積み重ねがない状態で今ここにこれが掲げられたというふうに感じます。それをするに当たっては,いろいろお悩みになって補足説明の準備等を進めておられることであろうと想像します。   私もいろいろなところを勉強してこれを考えなければいけないと感じていますが,細かい問題ですけれども,差し当たり少し事務当局においてお考えになったところをお漏らしいただきたいのですが,再売渡し請求に係る制度というものは,多分この(後注)の制度を設けるときにも上の(1)から(6)までのようなことを考える中で,(3)の問題の中で検討しなければいけないことであると考えますけれども,その点についてはどのようにお考えになっておられるか,もしお考えがあったらお教えください。 ○遠藤関係官 率直に申し上げて,まだ具体のそこの細かいところまでは考えておりません。先ほど取壊し決議との関係では再売渡し請求というものについてニーズがないのではないかというような御指摘もあったかと思います。ここでの問題状況も似たような問題状況はあろうかと思いますので,そういったことも含めて今後更に詰める必要があるであろうというように思っております。 ○山野目委員 取壊し決議の際に,福田幹事のほうから再売渡し請求の制度を強いて置く必要があるかという問題提起を頂いて,なるほどというふうに感じましたとともに,ここで問題となっている取壊しの要件は大規模一部滅失であるということにとどまるものでありまして,決してマンションの建替えの円滑化の促進等に関する法制が定めているような危険なマンションのようなところまでいっているという必然性はないものですから,現行61条が定めているような復旧の可能性もあるというふうに認められる以上,恐らく通常の取壊し決議の場合には,再売渡し請求の制度を導入するということが普通法制との関係で整合性を保った安定的な解決であろうと思います。そちらをそういうふうにもし仮に考えるとしますと,しかしながら,この(後注)により建物を取り壊さないで一括して売却したときに,いつまでもその状態が続いているというか,いつまでもその状態が続いているのがむしろ普通であるかもしれませんが,それで再売渡し請求の制度を考えるということは,恐らく論理的にかなり困難であろうというふうに感じます。   そのことを確かめた上で更に考えますに,根本委員が御指摘のように,被災地において一括して買い受けようとする需要は確かにあるはずですし,そういうことが任意の営みとして行われるということは今後も考えられますし,今までもあったものであると考えますけれども,問題は,(後注)の制度は多数決によってこれを行い,反対者に対してその有している区分所有権に対する売渡し請求を行うという制度を伴っているものでありまして,用いられ方いかんによっては濫用的な用い方がされて,区分所有建物においては,災害による大規模一部滅失を奇貨として,感情的な対立がある少数の一派を追い出すためにこの制度が使われるということになりかねないという心配がどうしても残ります。そのときに幾つか考えられる救済策の一つが再売渡し請求の制度であろうと思いますが,その制度も恐らく組みにくいであろうと考えられるものでありまして,この(後注)の制度をパブリックコメントにかけて,こういう制度が大変いいのだという意見が出たときに,本当にこれを法文に書き表して,立法的合理性も説明し,憲法適合性をも確保することができるものになるかということについては,私はすごく心配であるというふうに感ずることは申し上げておきたいと感じます。 ○山田部会長 いかがでしょうか,(後注)について。 ○住本幹事 すみません,住本でございます。根本さんが言ったようにニーズとしてはあると思いますし,また一方で,法律として組むときに問題があろうかというのもそのとおりだと思います。そうしますと,今回の部会における射程距離といいますか,元々の目的を確認しておくべきだと思います。被災者の救済なのか,それとも大規模一部滅失をした建物について,そのまま放置をせず解体することなのか。元々の想定はそれを解体するのに全員同意が要るので,全員同意でなくても解決しようということに主眼があるのか,あるいは被災者の救済,要はそこの拘束された地位から解放することが目的なのか。もし被災者の救済という観点から見ますと,解体のみならず売却をして,そこの拘束された立場から解放するという意味として(後注)というのが意味を持ってきます。したがいまして,今回のこの部会において本来であれば解体すべき建物を解体して復旧を促進するためのものなのか,それともその拘束された地位から解放することによって被災者救済をしていくのかという考え方によって,この射程が違ってくるのではないかと思っております。 ○山田部会長 ほかにございませんでしょうか。先ほど森田さんが別のところでこの二つの決議を同時にすることを妨げないという観点から,ここに関わることをおっしゃって,また後でというふうに申し上げたかと思いますが,いかがでしょうか。 ○森田委員 今日の御説明にあった①の方法のところで,なお検討をする必要があるといわれたのは,検討の結果として①の方法によることも可能であって,これを論理的な選択肢として排除していない趣旨であるようにも理解できますが,私が考えるところでは,①の方法は論理的選択肢として事実上消えてなくなっているのではないかと思います。そうではなく,今の時点では,はっきりとそうとはおっしゃらないということであれば,それはそれで結構です。しかし,先ほどの通知の要件を考えると,取壊し決議をした時点では,敷地売却決議を行う主体そのものが確定していないので,そこから催告等の一定の手順を踏まなければそもそも誰に通知してよいのかということも定まらないはずであり,なおかつ通知するには一定の期間が必要だとすると,同じ日に二つの決議を行うということは,論理的に不可能であることがこの提案がなされた現時点で確定しているように思います。そのため,(後注)では別個の制度として,それを実質的に可能とするものとして,建物と敷地を併せて売却する旨の決議をするという②の方法による制度を設けるかどうかについてはなお検討すると記されていると理解することができそうです。   先ほどの御説明では,②の方法についても一定の疑問が示されたわけですが,これらの疑問をクリアするような案としてどういうものがあるかについて,これも詰めていくと様々なバリエーションが考えられます。つまり,建物の売却といっても,その取壊しを前提とするのか,しないのかによっても違ってきますし,建物の取壊しを前提としない場合には,賃借人などの居住者は建物を明け渡さなくてはいけなくなるのかということもよく分からないところであります。これも短期間でこの内容を詰めていって,来年の通常国会に提出できるような案として検討するのは実際には難しいと思いますけれども,そうすると,事実上①と②のいずれの選択肢についても今の検討スケジュールでは成案を得ることは難しいということがある程度分かっているにもかかわらず,(後注)を掲げるということのある種の矛盾を山野目委員は表明されたように思います。私もその意味ではある種の矛盾を感じますけれども,しかし,そこは様々な御考慮の上,こういう(後注)を設けるということであれば,そのことについては反対するつもりはございません。 ○山野目委員 森田委員から私に賛成していただいたところはそのとおりであると考えます。それで,前半でおっしゃったことですが,議論の状況の確認として,根本委員がおっしゃったように,取壊し決議と同時に敷地売却決議をするようにしておいてあげるという需要はあることでしょう。森田委員は今のままではそれはできないという論理になるというふうにおっしゃっているように聞こえますが,そのような理解でよろしいですね。 ○森田委員 提案されている手続を踏んで,同じ日に2つの決議を行うにはどのような方法があるのか。もしそれが可能であるというのであれば,こうすればクリアできますよという解釈論なり提案を示していただければ私も納得できますが。 ○山野目委員 その点など,確かに森田委員が御指摘になっているように重要な論点であると思いますが,私はこの部会資料5の2ページの1の敷地売却決議制度の柱書きや(1)のところを見ますと,議決をすべき集団は敷地共有者であって,取壊しに関する合意の当事者にはなっていませんから,取壊しに関する合意が形成され,かつその当事者団が確定していなくても,取壊し決議の集会の段階で既に敷地共有者とここで使われているこの概念は存在しておりますので,その人たちが議決すること自体は可能ではないかというふうに考えていました。ただし,問題は更にあって,取壊しに関する合意が論理的にまだ成立していない段階で,敷地売却決議というものをするということが論理の順番としてあり得るのかというところはなお問題として残ると思います,根本委員のお顔が少し険しくなってきておられますけれども。   しかし,それについても,この取壊し決議に係る集会をする段階で,取壊しに関する合意が成立することを停止条件とする敷地売却決議というものをしてはいけないという法律理論上の障害はないと考えておりまして,そのようなことを積み重ねていきますと,現在のこの部会資料5の(1)の中間取りまとめの案文の書き方であっても,その解釈として取壊し決議と敷地売却決議を同一の機会において成立させるということが絶対にできないものではないであろうというふうに感じます。ただし,今のロジックを皆さんがそうだというふうに感ずるかどうか自体も御議論いただきたいですし,もう一つは,ロジックがそうだというふうになったときに,しかし,そのことを運用の衝に現実に当たる一般の皆さんに平明な法律制度として理解していただけるかというところも更に御議論していただく必要は残るものであろうというふうに感じております。 ○山田部会長 ありがとうございます。山野目さんの御指摘された記載というのは,第2の1の敷地売却決議の柱書きでしょうか,具体的に言うと。 ○山野目委員 柱書きの4行と(1)のところは議決の主体が敷地共有者になっているように読めます。そうすると,この取壊し決議の集会の段階でも,繰り返しですけれども,敷地共有者の集団なるものを観念することができますから,決議の主体のところは論理が調っているものであろうというふうに理解しました。 ○山田部会長 ありがとうございます。何人かの方から(後注)に掲げられているこの制度について最終的にどっちの方向で考えたいと思っているという御発言を頂きましたし,それはまだ時間が残されていると思います。それとは別に今日決着をつけたいところは,このテーマについて(後注)の3行の記載をすることでパブリックコメントに問うということについてどうするかということかと思います。   なお御発言があれば御発言を頂きたいと思いますが,(後注)の制度を最終的にどのような方向で考えると良いかという趣旨の御発言か,(後注)の3行を記載してパブリックコメントを行なうことについての御発言か,どちらかの御発言であるかを整理させていただいて,以後進めていきたいと思いますけれども,いかがでしょうか。 ○根本委員 顔は余り険しくなっていないのですが,法的な解釈のところが他の法令との関係で非常に難しいのでとか,そういうことも非常に大事であることは十分認識しているのですが,目的は被災されたマンションをスムーズに建て替えられるあるいは取り壊す,売却することをスムーズに行うことであって,それがスムーズに進むように法律関係を整理していく知恵を出す場だというふうに理解をしています。したがって,何をしたいのかというと,スムーズに物事が進むようにということでございますので,一括売却あるいは一括での建替えの委託とかいろいろなケースがあると思うのですが,全てのスムーズにいく可能性のある方法を排除しない形で物事が進むようにしていただきたいというふうに考えております。したがって,できれば本当は(後注)のところも可能とするかどうかについてはなお検討するのではなくて,可能となる方法を検討していただきたいというのが私の心情でございます。 ○住本幹事 先ほど山野目先生がおっしゃったことは重要なことでございまして,確認をさせて下さい。大規模一部滅失なので必ずしも壊す必要はない。そうすると補修,修補という可能性だってあるではないかということになります。そうした可能性があるかないかによってシステムとして大きく違ってくるだろうと思われます。といいますのは,これを買って壊すのであれば,今いろいろ御議論ありますけれども,同時決議をしたりとか工夫でいいのではないかということになります。あるいは買った後に補修もあり得るべしとなりますと,今まで議論してきた取壊し決議とは全く異質の分野に入っていきますので,相当仕組みとしては複雑なものになっていくのではないかと。その点を山野目先生は御指摘したと思ってよろしいでしょうか。 ○山野目委員 そのとおりでございます。 ○山田部会長 ほかにいかがでございましょうか。   そうしますと,(後注)をどう扱うかというところに問題を絞り込んでいきたいと思いますが,実質についてはなおこの場でも,異なる御意見があるということは今の議論の中で明らかになったところでございます。したがって,この会議体としては,当部会としてはなお検討するのがよろしいのではないかと私は思いますが,しかし,なお検討するというのをこの段階で中間取りまとめに書いていいかどうかという観点からの御意見があったように思います。なお検討するというところを可能とする方向で検討するというのであれば,そうでないという御意見もありますので,なお検討する,で取りまとめるのはまだ難しいように思います。   進行についてある程度の自由度を与えてくださるためかと思いますが,(後注)について,具体的に記載はこう修正してほしいということはどなたも具体的にはおっしゃっていないように思います。そこで,そのような具体的な修正の提案を頂けるかどうか確かめたいと思うのですが,一番はっきりおっしゃったのは山野目さんでしょうか。今の段階で(後注)を削ったらよろしいということが含まれた御意見でしょうか。 ○山野目委員 私は人品穏やかな人物でございますから,事務当局が一所懸命お作りになったものをばっさり削れなどという意見はなかなか申し上げにくいところでございます。できれば削っていただきたいと考えますとともに,鎌野委員のように,推しておられる方もおられるものでありますので,ここから先は部会長が最終的な推敲整理を事務当局の補佐を得て進めていただくというところにお委ね申し上げるという意見を基本として申し上げた上で,その際には(後注)を全部削るか,あるいは(後注)の中に,可能とするかどうかについては,字句は推敲していただきたいですが,そのことに伴う問題点が幾つかあることに十分留意しつつ,なお検討する,というふうなことをメッセージとして入れていただけないかというふうに感じます。と申しますのは,このまま出すと大変いい制度であるというふうに,バラ色の制度であるように見えますから,ニュートラルにお書きになっているというお考えかもしれませんけれども,それでバラ色を描かれた方が法制的,立法的にもできるというふうに印象を抱かれて意見が出され,これを再上程する部会やその後の法務省事務当局による法制立案でいろいろお苦しみになるということは,できれば避けたいというふうに感ずるものですから,何か推敲していただいた上で(後注)を残すか,何らかの工夫をするか,大変難しい注文を差し上げているというふうには感じますけれども,そのようなことを感じているということを申し上げさせていただきます。 ○山田部会長 ありがとうございます。何か事務当局から今の段階でメッセージがありますか。 ○岡山幹事 私のほうから今の取りあえずのメッセージというか,コメントということですので申し上げますと,この制度を設けるかどうかについては,特に先ほど御説明した②のような制度を設けるかどうかについてはいろいろ多角的に検討しなければいけない問題点が多々ありまして,そういった面では我々の検討の能力が間に合うのかどうかも含めてちょっと考えなければいけないというのが正直に思っているところです。また,これまでニーズがあるということはいろいろお伺いしておりますので,そういったニーズに応えられるかどうかも含めてこれから検討していきたいというふうに思っております。   取りあえず今日のところは以上でございます。 ○山田部会長 いかがでしょうか。山野目さんもお任せくださるということでありましたので,具体的な修正提案はないということで進めていきたいと思います。これまで出てきた御議論を参考にしながら,(後注)をこのままでよいという御了解を頂ければと思うのですが,といいますのは,山野目さんは直前にかなりはっきりと削るのが本意であるという御意見でありましたが,他方,複数の方から建物と敷地を共に売却することを可能とする制度を導入するのがいいだろうという御意見もありました。ですから,それに伴う問題点の解決を図りながらなお検討するというのですと,この場の全体の議論からすると少し偏ると考えます。ですので,ここについては再開後,パブリックコメントに寄せられたことを参考にしながら,同時に,できることとできないことを見極めていくということはしないといけないことであると思います。   その上で,(後注)についてはこのままということでいかがかというふうにお諮りをさせていただきたいと思います。(後注)について,この部会資料5の3ページの下のほうですが,このとおりとさせていただくことでよろしゅうございますでしょうか。   ありがとうございます。   それでは,次の第2の2ですね。取壊し後の敷地についての再建の決議に進みたいと思います。事務当局からの御説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 第2の2(2)つきましては,部会資料第1と同様でございまして,取壊し決議に基づき建物が取り壊された場合についても,再建の決議をすることができるということを提案するものでございます。また,ここでも取壊し決議及び敷地売却決議と同様に,説明会の開催の要否についてはなお検討する必要があるというように考えられますので,その旨を(注)で記載しております。   御説明は以上になります。 ○山田部会長 ありがとうございました。それでは,どうぞ御質問,御意見などの御発言をお願いいたします。   御発言ございませんでしょうか。それでは,よろしいでしょうか。   ありがとうございます。第2の2は部会資料5のとおりとさせていただきます。   次に,第2の3でございますが,事務当局から3の柱書きの部分も必要であれば含めて,そして,(1)について御説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 第2の3は,敷地共有者による敷地の管理につきまして,敷地売却決議又は再建の決議をするまでの間,敷地の管理を円滑にするという観点から区分所有法上の関連する規律を参考にしまして,必要な規律を設けることを提案するものでございます。基本的には部会資料1と同様のものになっております。   また,本資料においては規約についての規律を設けることを提案しておりません。この点につきましても,部会資料1と同様でございまして,こういった敷地共有者による管理というのが基本的には暫定的な間に限られるということから,このような提案をしていないということでございます。   以下,各項目ごとに御意見を頂ければと存じますが,まず(1)は敷地の管理に関する事項を敷地共有者の集会の決議によりすることができるものとするなど,区分所有建物の敷地の管理等について定める区分所有法18条,これは21条が敷地の場合について準用しておりますけれども,この18条を参考にしまして必要な規律を設けることを提案するということでございます。   なお,敷地共有者は敷地売却決議や再建の決議をする余地が認められる間に限って団体的拘束に服するということが予定されているにすぎないということは先ほど御説明を差し上げましたが,そのような観点からしますと,敷地の荒廃を防ぐために必要な行為であるだとか,あるいは再建の決議,敷地売却決議をするために必要な準備行為をするということを超えてまで強い団体的拘束を及ぼすまでの必要はないというように考えられます。そこで,区分所有法においては,4分の3の特別多数決で敷地の変更ということが認められておりますけれども,このような点については特段の規律を設ける必要はないのではないかというように考えているところでございます。   (1)についての説明は以上になります。 ○山田部会長 ありがとうございます。それでは,第2,3,(1)敷地の管理につきまして,その上の柱書きの部分も含めていただいて御質問,御意見などの御発言をお願い申し上げます。いかがでございましょうか。 ○鎌野委員 ちょっとここで発言していいのかなんですけれども,規約に関してなんですけれども,前提のところと,それから次の敷地管理者についてというところとまたがっておりますけれども,ちょっとここで発言をさせていただきたいと思います。   事務当局の説明では,第2の3においては区分所有法の規約に関する規律に類する規律を設けるのは相当でないと。それから,敷地管理者を設けた場合もやはり同じく規約に関するものを設けることは相当でないとなるのかと思います。確かに御趣旨のように暫定的なものであると。そして,いわゆる区分所有建物があるという管理の場面ではない。敷地,なおかつ暫定的なものであり,取り壊した後,その後どうしようかということ。ですから,そういった意味では規約を設ける必要はないのかなとも思いますし,事実上必要ないのかなとも思いますけれども,他方,やはり数か月あるいは数年に及んでくると,敷地をめぐって具体的に申し上げたほうがいいんでしょうけれども,駐車場として使いたいんだけれども,あるいはみんなで使うにはとか資材置き場がどうかとか,中にはそこで何か野菜などを作り出すというような混乱があり得ると,その点が第一点です。ですから,暫定的であっても,いわゆる義務違反あるいはそれに準ずるようなことが起こりはしないかと。そのためにも規約である程度ルールを作っておくことも考えられるのではないか。   それからもう一つは,持分が譲渡され承継人が現れたとします。もちろん集会の決議によってそれは拘束されるんですけれども,そういった承継人を拘束するという区分所有法では規約とか集会決議で拘束するというときに,いちいち集会を開いておけないだろうというようなことで,あらかじめこの敷地の管理についての定めを設けておくと。そして,それは特定承継人にとっても効力を及ぼすんだと。そうすると,決して規約というのが無用なものでない,必要でないと言い切っていいのかなと。現に区分所有法でも現在では標準管理規約を始め,ある意味では非常に整った規約がありますけれども,そういうイメージの規約ではなくても,区分所有法上は規約を定めることができるというただそれだけで,別に規約を作らなくてもいいわけで,ですから,規約を作ることを妨げない,ですから,今言ったようなニーズからやはりそういうのも考えておく必要があるのかなと。規約は必要ないということを言い切っていいのかなということについての懸念でございます。   申し訳ございません。これまでの部会でその旨の発言をしないで急にここで言い出したんですけれども。ですから,そういった意味では特段ここのところに書くべきことではなくて,あえてもし可能であれば規約を定める必要があるかどうかは,なお検討するということまでお書きいただければなおよろしいんですけれども,そうでなくとも,設ける必要がないと考えるというふうに切り捨てていいのかどうかということについての懸念でございます。 ○山田部会長 分かりました。お答えいただけますか,事務当局から。 ○遠藤関係官 今お話があったところでございますけれども,区分所有法の規約というのは基本的に建物の多分日常的な維持管理等があることが前提になっておると思います。また,建物が基本的にはかなり長期間にわたって存続するということがその規約を基礎付ける根拠になるのではないかなというふうに思っております。   ここでの敷地売却決議あるいは再建の決議をするまでの間というのは,決議のそれぞれの期間制限をどのように設けるかということにも関わってくるところではございますけれども,基本的に区分所有建物がそこにあって,日常的にそこで生活する必要がいるということではございませんので,管理に関する事項については,その都度決めていただくということにしたほうがむしろ安定をするのではないかなというふうに思っております。   また,いずれ共有物分割請求なりということもゴールとしては考えられるところでございますので,そういった観点からもいつまで続くかどうか分からない集団について,何らか規約を設けるということがあったほうがいいのかどうなのかというところについては,やはり疑問があるのではないかというのが考えでございます。 ○山田部会長 ほかにいかがでしょうか。   今の御説明で鎌野さん,補足説明を作成する際にはもう少しトーンを抑えた形の公表が望ましいのではないかという趣旨の御発言でしたでしょうか。 ○鎌野委員 そうですね。規約に関してははっきりしていないよということですよね。そして,やはり集会決議というと確かにそうなんですけれども,やはり事実上,集会決議を何か事が起こってからその都度開くというのは非常に難しいと思うんですよね。それよりも最初の段階で,これは恐らくこういう制度ができて規約を設けることができるということになったら,この敷地の管理に関する言わば規約のモデルみたいなものは恐らく国交省辺りで,あるいは法務省かも分かりませんけれども,必要になってこようかと思いますけれども,やはりそういった何らかの取り決めというのがあったほうがスムーズになるのではないかと。事が起こってから集会を開くというのは多分なかなか難しいと思いますので,そういった意味では非常に短期間の暫定的なもので,無駄になるかも分かりませんけれども,少なくとも集会が開かれる以上,規約の設定というのも認めていいのではないかと。あるいはもう決議のときに現行の区分所有法の書面決議みたいな形で,そういった決議に賛成した人全員の書面による合意というようなことで,それを集会の規約と同じに扱うというような形で,ちょっと規約を全面的に排除してしまうということは確かに遠藤局付の御説明は十分分かって,実際には無駄なことになるかも分かりませんけれども,法的にはなお規約というのが捨て切れないと,そういうふうに感じております。   最終的なこのパブコメにかけるときは,そうこだわりませんので,お任せしますので,特にこだわるわけではございません。 ○山野目委員 鎌野委員が問題提起された規約の問題については,中間的な取りまとめのほうは,必要な規律という表現にとどめられているものの中に規約のことを入れるかどうかという問題になりますから,このままの文言でいじらなくてよろしいと感じます。今後作成される補足説明には,鎌野委員から御要請があったように,余り規約は要らないとはっきり書き込むな,というお話ですし,二度までおっしゃったのですから,きっと事務当局は書き込まないと予想します。ただし,そのようなお役所的な話ではなくて,実質的に考えなければいけない問題というものはありまして,確かに鎌野委員がおっしゃるように規約を定めておいたほうが安定するという部分が一方にあり,半面において,一旦規約を定めると,その内容の変更は集会を開いて特別多数を確保しなければいけないことになりますが,それに対し決議の積み重ねによって運用していくというときには,恐らく私の理解では,過半数の決議であっても,後からの決議のほうが,後法が前法を廃するという関係になって簡易な運用が可能になりますから,そこを考えますと,今度は逆に規約を設けておかないほうが楽であろうという部分もあるものと思います。   それから,被災地の現地のマンションでここをどう規律しようが,規約と名前を付ける文書を作ることはきっとあり得るであろうと思いますし,それはそれでおやりいただいてよろしいと思います。その点などのことをいろいろ考えてみようね,というふうな方向で補足説明の文章を練っていただくことは前向きに意味がありますが,何となくぼかしましょうというだけになるものとすると,少し立法の準備としてはまだ深堀になっていないというふうにも感じます。 ○山田部会長 それでは,補足説明を作成して公表するまでに規約に関する記載について,今出た鎌野さんと山野目さんの意見を考慮しながら検討していただくということでお願いいたします。   ほかにいかがでございますか。 ○森田委員 今の議論で分からなくなってしまったので確認ですが,中間取りまとめの本文中には区分所有法30条から33条までに相当するルールを参考にしてということは入っていないというのは,中間取りまとめ案では規約については設けないということを述べているのではないでしょうか。つまり,今後補足説明をどう書くか以前の問題として,中間取りまとめの内容としては,規約に関するルールは設けないという形で提案がなされているという理解でよろしいでしょうか。 ○遠藤関係官 提案というか,このペーパーの趣旨はそうでございます。 ○森田委員 それで結構です。 ○沖野委員 18条が参考として掲げられているんですが,18条2項は排除するという,そういう理解でよろしいですか。 ○遠藤関係官 規約に関する規定が18条の中にも,今後(2),(3)のところでも規約について書いてある条項が範囲としては含まれておりますけれども,それについてはこの場面では必要ないのではないかということを考えておりました。 ○沖野委員 分かりました。 ○山野目委員 森田委員のお尋ねに対して,遠藤関係官がそのとおりですとおっしゃって,森田委員はいいとおっしゃったのですから,いいのでしょうけれども,鎌野委員の御要望は,それではうまく反映されないことになりますから,私はそれ,(3)の問題ではなくて(1)の問題であると思っていたところであり,そこでいろいろなものを参考にして必要な規律を設けると書いてあって,そこから必ずしも規約を排除する文言になっていなければ鎌野委員の御指摘も引き続き切り捨てられたものではない扱いとして保たれているというふうに理解しておりました。ここから先はどうぞ整理,推敲の段階で御承知を頂ければと思います。 ○遠藤関係官 ペーパーを書いたのはそういうつもりでしたというところを先ほどは趣旨として申し上げたということでございます。 ○山田部会長 よろしいですか。森田さんの質問に対する遠藤さんのお答えは,書いたときの趣旨はそうでしたが,山野目さんのような理解もこの部会資料5については十分成り立つだろうと思います。 ○森田委員 そこには書いていないけれども,つまり,参考にする区分所有法の条文の中には含まれていないけれども,書いていないことを参考にすることを妨げるものでないと読めばよいということですね。 ○山田部会長 はい,そうですね。   ですから,作成予定の補足説明についても山野目さんと鎌野さんの発言を参考にして検討をしてくださいというふうに申し上げたところに応じて書いていただければ,その必要な規律を設けるものとするというところの趣旨も規約については設けないというふうには決めていないということになり得るのではないかと思います。   いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 ○沖野委員 すみません,先ほどの質問に関連して確認です。そうしますと,その18条2項ですが,3の(1)敷地の管理には21条,18条を参考にしてと書かれていますので,当初の想定は,18条2項は除くという趣旨であったけれども,今回の御提案を受けると2項を除くかどうかということもなお検討するものとして,この試案の中ではそこは書いていないと。ただ,具体的に参考にした場合に何がどれまで参考になるのか,そして,2項が入るならば規約の規定が別途必要ではないかということになるので,そのような理解の下で補足説明を充実させていただくという, 書いてある文面は同じだけれども,実は当初想定されていたものと今回の御議論を聞いた上で改めて見たときでは,実は違っているという,そういう理解でよろしいですか。 ○山田部会長 補足説明を基にして部会資料5というものは理解していただくことになるだろうと思いますので,補足説明を作成する際に本日のこの議論を参考にして記載することによって,部会資料5の意味も今おっしゃったように動くだろうと思います。あるいは動き得ると言ったほうがいいかもしれません。   そういたしますと,御意見ございませんようですので,お諮りをしたいと思います。どのようにお諮りをするかというと,今(1)だけですので,具体的に出ましたのは,第21条,第18条,括弧の中ですね。これはもうこのまま触らないということにして,そして,規約については特に(1)の中に何か書き加えるということはしないということで取りまとめをしたいと存じますが,いかがでございましょうか。   ありがとうございます。それでは,3の(1)については,部会資料5のとおりといたします。   続きまして,3の(2)に進みたいと思います。お願いいたします。 ○遠藤関係官 (2)は敷地の管理を行うべきものとして敷地管理者の制度を設けることを提案するものでございまして,敷地管理者の選任及び解任権限等につきまして,区分所有法の管理者に関する規律を参考に必要な規律を設けることを提案するものでございます。   具体的には,主なものとしましては,敷地共有者は集会により敷地管理者を選任し,又は解任することができるものとする。それから,敷地管理者は敷地を保存し,集会の決議を実行する権利を有し,義務を負うものとする。それから,敷地管理者はその職務に関し,敷地共有者を代理するものとする。敷地管理者は,集会の決議により,その職務に関し,敷地共有者のために原告となり,又は被告となることができるものとするといった区分所有法と類似した規律を設けることが考えられるところでございます。   以下,この資料を作成した段階では規律を設ける必要がないというふうに考えていたところでございますけれども,規約につきましては,今御指摘があったことも踏まえまして,もう一度説明の仕方について検討したいというふうに考えております。   次に,共用部分などについて損害保険契約が締結されている場合について,区分所有法上は管理者がその保険金の請求や受領について区分所有者を代理する権限を有する旨を定めているところでございます。これは共用部分についてかけられる損害保険につきましては,これが毀損又は滅失した場合に修復,復旧の費用に当てることを目的として締結されることが通常であり,管理者に区分所有者を代理する権限を与えることが便利であろうという考え方によるものでございます。しかしながら,ここで検討されております敷地につきましては,保険金を修復,復旧に要する費用に当てることを目的として保険契約を締結するといったことは想定し難いというように考えられますので,この点に関する規律を設ける必要はないのではないかというように考えております。   また,管理所有に関する規定についても,区分所有法上は規律が設けられているところでございますけれども,ここで検討されております敷地につきましては,管理所有の対象となるようなものを観念することができませんので,この点についても規律を設ける必要はないのではないかというように考えているところでございます。   (2)についての説明は以上になります。 ○山田部会長 ありがとうございます。いかがでございましょうか。ここでも補足説明を記載する際には,先ほどの規約のように同じような性格の議論はあり得るだろうと思いますので,どうぞ御発言をお願いいたします。 ○根本委員 事務当局の御説明の一番最後,損害保険契約のところを明示的に排除してしまうことが本当にいいのかどうかというのが実際の復興過程においてよく分からない部分があります。可能性を排除するようなことはできるだけ避けておいたほうが実際の復興というかビジネスというか,そういうところに資するのではないかと思いますので,積極的な理由がないのであれば権限を代行することもできるような状態に置いてあげていただきたいと思います。 ○山田部会長 いかがですか。 ○遠藤関係官 イメージが湧かないんですが,土地について損害保険契約を締結するということがあるんでしょうか。 ○根本委員 申し訳ありません。私のイメージが間違っていたら申し訳ないのですが,土地の管理をされている方が例えば3年間の間にそこに何らかの施設等を作成してオペレーションするということも考え得るのではないかとふと思ったものですから,そういう場合にその管理者の方がいろいろな保険契約の当事者となり得るような状況が必要なのではないかと。それは今御指摘あったように,これは土地のことだけなんですということであれば発言を撤回いたします。 ○遠藤関係官 基本的にここで考えていたのは,土地のことを念頭に置いておりました。区分所有法の同様の規律は,共用部分等について掛けられる損害保険ということを念頭に置いておりますので,この敷地の場合は,そのような類似した状況にないのではないかということを記載しているところでございます。 ○根本委員 くどいようですが,すみません,例えば取り壊した敷地について一定の期間,駐車場として利用しますというような場合には,別の管理の体系を構築してくださいということになるという理解でよろしいでしょうか。 ○遠藤関係官 そのような利用の仕方が仮に管理の範囲で行われ得るんだというものであれば,先ほどの管理の決議をしていただくということになるのではないかなと思いますが。 ○根本委員 その場合の損害保険契約で,ここで否定している損害保険契約というのは,地面の敷地の部分だけの話なので,駐車場施設そのものに対する保険は排除されていないという理解でよろしいでしょうか。 ○遠藤関係官 そこは管理自体の,積極的に損害保険契約を締結してはならないということを言っている趣旨ではないので,具体的な管理行為の対応等あるいは解釈等に委ねられる問題なのではないかなというふうに思っております。 ○根本委員 分かりました。ありがとうございました。 ○山田部会長 よろしいですか。ほかにいかがでございましょうか。   それでは,第2の3の(2)敷地管理者についてはいかがでございましょうか。   ありがとうございます。それでは,第2の3,(2)については,部会資料5のとおりとさせていただきます。   続きまして,第2の3の(3)敷地共有者の集会について事務当局から説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 (3)は敷地共有者の集会に関して,ここでも区分所有者の集会に関する規律に準じた規律を設けることを提案しております。具体的には,集会の招集に関する規律,招集の通知に関する規律,招集手続の省略,決議事項の制限等々につきまして,敷地共有者の集会の性質に反しない限度で必要な規律を設けることとすることが考えられます。   なお,敷地共有者の集会における議決権につきましては,区分所有法の決議要件とは異なり,いわゆる頭数要件を要求しないということを考えております。この点につきましては,部会資料1で再建の決議であるだとか敷地売却決議であるだとかについて説明をしたところと同様の考え方をしております。   また,本項で検討の対象としている集会ということの意味ですけれども,先ほど(1)で検討しました管理に関する事項を決する集会であるだとか,あるいは敷地管理者についての選解任を会議の目的とするものを念頭に置いておりまして,敷地売却決議あるいは再建の決議を会議の目的とする集会につきましては,それぞれの項目で御議論をお願いしましたとおり,決議の需要に鑑みますと,ここで検討しております集会の手続とは異なる考慮が必要になるのではないかというふうに考えられるところでございます。   また,区分所有法の規律を参考にするといいましても,全てについて全く同様の規律を設けるということではございませんで,飽くまで必要な規律ということになろうかと思います。先ほど来,御議論になっておりますけれども,規約につきましては,ちょっと補足説明で工夫をしてみたいというように思います。   それから,年に一回の集会の招集であるだとか敷地管理者に事務に関する報告を義務付けるという規律もございますけれども,この点につきましては,敷地共有者のここでいう団体の性質といいますか,敷地共有者間で行われる管理行為の性質等に鑑みますと,そこまでの義務を課すということは必要ないのではないかなというように考えております。さらに区分所有法では,集会との関係で専有部分を賃借している賃借人等の専有者についての規律が設けられておりますけれども,ここで検討しております敷地については,このような賃借人がいることは想定し難いと思われますので,この点についても規律を設ける必要はないというように考えております。   (3)については以上になります。 ○山田部会長 ありがとうございます。それでは,御質問,御意見などの御発言ございましたらお願いを申し上げます。   御発言ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,第2,3,(3)敷地共有者の集会については,部会資料5のとおりとさせていただきます。   次に,第2の「4 共有物分割請求の制限」を取り上げます。事務当局からの御説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 第2の4につきましては,これも部会資料1と同様でございますけれども,取壊し決議に基づき建物が取り壊された場合について問題,現行の被災マンション法第4条と同様に,共有物分割請求を制限する旨の規定を設けることを提案するものでございます。また,取壊し決議に基づき建物が取り壊された場合については,被災マンション法で認められている分割請求を制限するまでの猶予期間については,これを設けないということを考えておりまして,(注)はその旨を記載するものでございまして,この点につきましても,部会資料1と内容の変更はございません。   御説明は以上になります。 ○山田部会長 御質問,御意見などの御発言,いかがでございましょうか。 ○垣内幹事 ごく細かい点なので恐縮なのですが,2点ほど確認の質問をさせていただければと思います。   1点目ですけれども,この4の規律が適用されますと,敷地共有者は共有物分割請求はできないわけですが,しかし,自己の持分を第三者に譲渡するということ自体は妨げられないのではないかというふうに思うのですが,その点の御確認が第1点です。第2点は,関連いたしまして,その場合については,持分権を譲り受けた譲受人は,これは自身は区分所有者であったというわけではありませんけれども,しかし,敷地利用権であった権利を譲り受けて共有する者ですので,やはりこの資料にいっている敷地共有者に該当し,共有物分割請求をすることはできないということになるのかなと思いましたけれども,それでよろしいでしょうかというのが第2点です。 ○山田部会長 お願いします。 ○遠藤関係官 いずれについても,御指摘のとおりのように考えておりました。 ○垣内幹事 そうしましたら,これも非常に細かい点で大変恐縮なんですけれども,部会資料5の2ページの(前注1)のところの敷地共有者の概念についての説明なのですけれども,「敷地利用権であった権利の共有者をいい」というところはこれで全くよろしいのかと思うのですが,その後の「区分所有者以外の単なる敷地の共有者は含まない」という部分につきまして,より厳密に言えば区分所有者又はその承継人以外の単なる敷地の共有者ということになるのかなとも思われましたが,その点,いかがでしょうか。 ○遠藤関係官 確かに御指摘のとおりかと思います。正確に書こうとするとそうなるんですけれども,多分ほかのところでも似たような問題を生じるところがありそうな気がいたしますので,補足説明でその旨を注記することにさせていただくことも含めて,検討させていただければと思います。 ○山田部会長 補足説明に書き込むということを含めてということでしたが,やはりそれは書いたらいいですね,特定承継人を含むと。最初のところに書くのか,それとも問題になるようなところで繰り返し書くか幾つかの方法があると思いますが,それは書いていただくという方向で事務当局はお引き受けいただけると思います。   その上で,いかがでしょうか。(前注1)についても特定承継人を含むというのを書くべきという御意見でしょうか。 ○垣内幹事 書いたほうが正確であろうとは思いますけれども,そこは御判断にお任せしたいと思います。 ○山田部会長 それでは,御判断というのはこの場の御判断ということでもあるのでしょうけれども,私から御提案をいたしますと,その点についてはできるだけはっきりと,特定承継人が含まれないという誤解が生ずると,違ったルールを提案していることになりますので,はっきりと補足説明の中に書くということで,部会資料5には手を付けないこととさせていただくということで進めたいと思います。よろしいでしょうか。今は垣内さんの御発言について一応御了解を頂いたということで続けたいと思います。   今の点も含めてでございますが,「4 共有物分割請求の制限」について,ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。 ○根本委員 今のお話で,そうしますと,敷地の利用権が市場で転々と流通することを前提とするということでございましょうか。 ○遠藤関係官 転々と流通することがあり得るかどうかはともかくとして,それを禁止することはしないという趣旨でございます。 ○根本委員 そういうことなのだという理解をいたしますが,そうなりますと,非常に再建としてはやりにくくなるということだけ指摘させていただきます。 ○山野目委員 2点申し上げます。一つは部会資料の中間取りまとめの案文の表現のことですが,部会長のお取りまとめのとおりでよろしいというふうに私は考えまして,(特定承継人を含む。)という記述を入れたほうが精密であるという場所はたくさんあるのであって,1か所だけ入れることは変です。これ,一般の人に読んでいただくので,そこまでの法制上の表現の精密さは求めないということで部会資料5のゴシックの文章は簡明なものにし,補足説明で所要の説明を補っていただくことがよろしいと考えます。   もう1点は,根本委員から御指摘があったことは,被災地における不動産取引等のことを考えますと,ごもっともな心配であると感じます。そしてそのことは,現在の建替え決議が成立した区分所有建物とか現在の被災マンション法の再建決議が問題になっているところにおいても同じ問題があるであろうと思います。それについて,関係する敷地共有者に対して「君たち,絶対それを第三者に譲渡するな」という処分禁止みたいなことを強いるということは法制的に少し組みにくくて,それはかなり強い効果になり現実的に困難ですし,強すぎて相当な結果を導かないと考えます。   それからもう一つは,被災地において不動産を譲り受ける人が,この再建決議とか取壊し決議があることは登記上公示されておりませんから,知らないで買い受けて特定承継人に対する拘束を受けるということは起こり得ることですけれども,しかし,それは被災地に現にマンションが建っていて,どうも壊れているかもしれないというような現状を認知していただくということは期待しなければならないところですし,不動産取引に当たって説明を行う宅地建物取引業者がそのようなことを調査して,調べて伝えていただくというようなことも期待しなければならないところであろうと思いますから,従前の扱いに即してここも同じように特定承継人に対して効果を及ぼすということをお考えになっているものであろうと理解いたしました。 ○山田部会長 ありがとうございます。ほかに。 ○住本幹事 すみません,途中からだったので議論をされていたら教えていただきたいんですが,敷地売却決議制度との関係がこれパブリックコメントにかかりますと1と4との関係が分かりづらい点があるのではないかと。先ほど議論されたと思うんですが,そこについて事務局についてお願いは,外から見ていて,パブリックコメントに書いたときに1と4との関係が分かりやすいように工夫できないかということをちょっとお願いしたいと思います。期間についていろいろ起算点もありますし,何年間という複数の期間というものが複数の概念,例えば敷地売却制度についての期間制限,あえてここで(注)でわざわざ入れていただいて,ここも議論があったと思いますけれども,それとこの4の部分との関係がどこかで触れていただいたほうが一般の方に公開するという意味からすると,分かりやすくなります。かといって不正確になってしまうと困りますのでなかなか難しい点はあるんですが,その点はパブリックコメントをかける際にできるだけ御配慮いただきたいと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,第2の「4 共有物分割請求の制限」についてよろしいでしょうか。では,第2の4につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   もう少しございますので,お付き合いをお願いいたします。   「第3 団地の特例」,「1 再建承認決議制度」に進みます。ここについて事務当局から説明をお願いいたします。 ○石渡関係官 それでは,「第3 団地の特例」について御説明いたします。   まず,「1 再建承認決議制度」については,部会資料1から実質的な変更はございません。建替え承認決議制度を参考に再建承認決議制度を設けるということを提案してございます。   具体的には,政令で定める災害により滅失し,又は取壊し決議に基づき取り壊された建物も含めた団地内建物の敷地共有者の議決権,これは敷地共有持分を基準といたしますけれども,敷地共有者の議決権の4分の3以上の賛成により,再建承認決議を行うものができるとすることを考えてございます。   また,再建承認決議に係る再建が他の建物の建替えや再建に特別な影響を及ぼすときにつきましては,当該他の建物の4分の3以上の賛成を必要とすることとして,滅失等をした建物についてもいわゆる各棟要件を要するものとすること考えております。これは,A棟からD棟まであるという団地を想定した場合に,A棟とD棟が滅失してしまったというような事例を考えますと,A棟の再建によって同じく滅失等していたD棟の再建が不可能になってしまうというような事態ということは相当ではないというふうに考えられます。また,そもそもこのような再建承認決議制度のような特例を設けなかったらどうなるかということを考えてみますと,A棟の再建をしたいといったとしても,滅失等したD棟の全員が同意しない限りは再建ができないという状態にあったにもかかわらず,この再建承認決議制度を設けることによってD棟の敷地共有者については全体要件のみで考慮すればよいということは相当ではないのではないかというふうに考えておるところでございます。   その他といたしまして,再建の決議や建替え決議を行う建物が2棟以上あるときにつきましては,一括して承認決議に付することができることとするといった規律を設けることが考えられます。前回,説明が不正確になってしまい,鎌野委員からお答えいただいたというところではございますけれども,建替え承認決議制度におきましては,区分所有法の第69条第6項におきまして,2棟以上の建替えを行うときに一括して建替え決議を求めることができるという規定がございます。これは例えばA棟とB棟が別々に新A棟と新B棟の建替え決議をした上で一括的な承認決議を求めるということもできますけれども,それだけでなく,A棟とB棟を建て替えて新たに一つの棟を建てるということも想定した規定になっているということでございます。   このような規定を再建承認決議の場面でも設けることによって,例えば元は3棟あった建物を2棟の建物として再建するという決議をした上で,この規定によって一括して再建承認決議を求めるということもできるということが考えられるということを想定しております。   なお,再建と建替えが一括されるような場面もあり得ると思いますので,そのような場合につきましても,一括した承認手続ができるようにするということを考えております。   再建承認決議をどのような集会で行うか,誰が招集するかということにつきましては,災害により建物が滅失する前と同様に,滅失等した建物を含めた団地建物所有者で構成される団体の集会において,これを行い,団地の管理者が招集権者となるということが考えられます。   なお,第3の1におきましては,区分所有法第69条と同様に,団地内建物の全部又は一部が区分所有建物である場合を制度の適用対象とし,滅失等したのが区分所有建物である場合に限られないということを前提としております。これは団地内の建物が全ていわゆる戸建ての建物である場合につきましては,所有者も比較的少数にとどまると考えられ,区分所有建物が含まれる団地と比べて,民法の共有の規定の特則を設ける必要性,合理性が小さいものと考えられるのではないかと思います。   一方で,団地内の建物に1棟でも区分所有建物があるときにつきましては,全員の同意を得ることは困難があり,これは滅失したのが区分所有建物であるか否かには関わらないと考えられます。したがいまして,区分所有法69条と同様に考えているというところでございます。   また,中間取りまとめ第3の1の(注1)は,部会資料の第4において(前注)として記載しておりましたものと趣旨は同様でございます。また,(注2)は部会資料1の第4の1の(注2)として記載しておりましたものと同趣旨でございます。   さらに第3の1に関連いたしまして,建替え承認決議につきましても所要の整備をするということを考えております。具体的には建替え承認決議の場面におきましても,滅失等した建物が団地内にあるということになりますと,その建物の敷地共有者につきましては,別途全員の同意を取らなければいけないということになってしまいますので,滅失等した建物を含む敷地共有者の4分の3以上の賛成により建替え承認決議をすることができるものとし,滅失等した建物についても各棟要件を求めるということが考えられます。   1の説明は以上でございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。第3の「1 再建承認決議制度」でございますが,ただいまの説明につきまして,御質問,御意見ございませんでしょうか。御発言をお願い申し上げます。いかがでしょうか。   石渡さんの御説明の最後にありました建替え承認決議制度については,この部会資料5には触れていないけれども,補足説明では説明する予定ということですね。 ○石渡関係官 はい。 ○山田部会長 いかがでございますか。よろしいでしょうか。   では,第3の「1 再建承認決議制度」につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   続きまして,「第3 団地の特例」,「2 再建を含む一括建替え決議制度」でございます。事務当局から説明をお願いします。 ○石渡関係官 「2 再建を含む一括建替え決議制度」につきましても,前回御議論いただいた部会資料1から実質的な変更はございません。再建を含む一括建替え決議制度を設けるものとする場合の具体的な要件としては,いわゆる全体要件として滅失等した区分所有建物を含む団地内の区分所有建物の区分所有者及び議決権,これは敷地共有持分ですけれども,議決権の各5分の4以上の賛成と,いわゆる各棟要件として滅失等した区分所有建物を含む建物ごとの3分の2以上の賛成によって再建を含む一括建替えをすることができるものとするということを考えております。   各棟要件におきましては,滅失等した区分所有建物にあっては,敷地共有持分を基準とし,それ以外の区分所有建物にあっては70条と同様に区分所有者の頭数及び区分所有法第38条に規定する議決権を基準とするということが考えられます。いわゆる各棟要件の要否につきましては,前回不要ではないかという御指摘も頂いたところではございますけれども,滅失していない建物については,いわゆる各棟要件が必要とされているということとのバランスという観点もございますし,再建承認決議制度のところと同様に,再建を含む一括建替え決議制度を設けなかった場合にはどうなのかというと,一括的な建替えや再建を行おうとするときには,別途滅失等した建物の敷地共有者の同意を得なければならないという地位にあった者ですので,なお団体的な拘束を及ぼすという場合にも,全体要件のみならずいわゆる各棟要件をも求めるということが相当であるというふうに考えております。再建を含む一括建替え決議制度のその他の要件としては,区分所有法第70条の第3項や第4項を参考に所要の規律を設けるということが考えられます。   また,集会をどのような団体で行うか,招集権者をどのようにするかという問題につきましては,再建承認決議制度と同様に,従前の団地の集会において行い,団地の管理者が招集権者となるものとするということが考えられます。   なお,第3の2におきましては,区分所有法第70条と同様に,災害により区分所有建物が滅失等する以前は,団地内の建物の全部が区分所有建物であって,団地内の区分所有建物の全部の管理又は使用に関する規約が定められていた場合を制度の適用対象とするということを前提としております。これは,再建を含む一括建替えという強い団体的拘束を認めるためには,災害により区分所有建物が滅失等する以前は区分所有法第70条により一括建替えをすることができたというものに限定することが相当と考えられるということからでございます。   2の説明は以上でございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。ただいまの説明についての御質問,御意見ございませんでしょうか。   御発言いかがでしょうか。それでは,よろしゅうございますでしょうか。   第3の「2 再建を含む一括建替え決議制度」につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   それでは,部会資料5でいいますと最後になりますが,ここにも(後注)がございます。「第3 団地の特例」の(後注),石渡さんから御説明をお願いいたします。 ○石渡関係官 それでは,最後の(後注)について御説明いたします。   (後注)におきましては,団地内の建物が政令で定める災害により滅失し,又は取壊し決議に基づき取り壊された場合に関して,団地の敷地の分割を容易にする制度を設けるものとするかどうかについては,なお検討するとしております。団地の敷地の分割を容易にする制度につきましては,前回引き続き案を検討してはどうかという御意見を頂きますとともに,検討することは妨げないけれども,なかなか難しいのではないかといった御意見も頂きました。また,検討するとしても,余り大風呂敷を広げたような特例にするのではなくて,第3の1や第3の2でうまくいかない場合というのがどこにあるかということを検討した上で,そこに限ったものとして検討するほうがよいのではないかという御示唆も頂いたところでございます。   事務当局といたしましても,前回よりも詰めて検討してみたところではございますけれども,具体的に提示できるような案の作成には至らなかったということで,制度を設けるかどうかについては,なお検討するとさせていただいたということでございます。   そもそもの前提といたしまして,団地内の建物が滅失した場合に,その敷地共有者は何ができるかといいますと,まず,再建の決議をした上で再建承認決議を得て建物を再建するということが考えられます。また,敷地売却決議をすることによって,当該建物の敷地共有者の敷地共有持分を一括して売却することもできるということを前提としております。   なお,この敷地が団地内の建物所有者の共有に属する場合には,滅失等した建物部分の敷地というものが別個に存在するというわけではない以上は,このような方策を採ることはできないあるいは実際上意味がないという考え方もあり得ようかと思います。しかし,実際上も滅失等した建物以外の建物の敷地共有者が滅失等した建物の敷地共有持分を一括して買い取って敷地を利用する,あるいは第三者が敷地共有持分を一括で買い取った上で再建をし,再建承認決議を得るといったことも一応考えられるところでございますので,このような方策を採ることができないというまでの必要性はないのではないかというふうに考えております。   その他,共有物分割の協議を行う又は協議が整わない場合につきましては,共有物分割訴訟を行うということも可能であるというふうに考えております。そもそも団地におきましては,共有物分割はできないという議論も前回あったところではございますけれども,区分所有法第22条の分離処分禁止の原則を除いて,共有物分割を制限する明文の規律はないところでございますので,余りに不相当な分割はできないといった解釈上の制限はあり得るにせよ,一切の共有物分割訴訟あるいは共有物分割の協議ができないということではないだろうと考えております。   これを前提としつつ,団地敷地の分割制度ということについて考えてみますと,例えば①として団地内の建物の全部又は一部が区分所有建物であり,かつ敷地が団地内の建物所有者の共有に属する場合において,団地内の建物が政令で定める災害により滅失し,又は取壊し決議に基づいて取り壊されたときは,団地内の敷地共有者の全員の合意によらず,団地の敷地を分割する旨の決議,団地敷地の分割決議ということをすることができる。また,②といたしまして,分割決議の内容,団地敷地の分割決議の内容は各敷地共有者間の衡平を害しないように定めなければならないと。③といたしまして,団地敷地の分割決議が成立した場合には,決議の内容により団地内の敷地共有者の間に分割の協議が整ったものとみなす。④といたしまして,団地の敷地の分割決議は,政令の施行の日から起算して一定の期間内にしなければならないと,こういった制度を設けるということが一応考え得るところでございます。   もっともこのような制度を設ける場合につきましては,敷地を現物分割すること自体の問題といたしまして,これまで一体的に利用されてきた敷地を現物分割するということといたしますと,飛び地の団地関係が成立したり公道に接しない土地ができたりして,以後の敷地等の管理や建物の建替え,再建等に支障が生じるということも考えられるところでございます。また,公道に接しないような土地はもとより,そのような土地でなくても分割により細分化された土地では,かえって買い手が付かないというおそれもございます。そういたしますと,敷地の現物分割が促進されるような制度はそもそも余り望ましいものではないという考え方もあり得ると思います。   また,多数決に委ねることの相当性といたしまして,部会資料1にも記載しておりましたように,団地の多様性に照らしますと,内容的な制限を設けることは相当ではないだろうというふうに考えられる一方で,様々な分割の在り方を認めつつも,決議の内容は衡平を害しないものとしなければならないといった一般的な要件に委ねるということの相当性も問題になろうかと思います。分割の内容いかんによっては,他の敷地共有者に及ぶ影響も様々であることに照らしますと,このような決議の多様性を踏まえたものとしてどのような多数決要件を設けることが適切かということも問題になります。さらに決議の詳細性についての問題といたしまして,部会資料1にも記載しましたとおり,どこまで詳細な決議をしなければならないのかという問題もございます。加えまして,反対者の取扱いなどについての問題といたしまして,例えば滅失等した建物の敷地の共有者の敷地共有持分を滅失等していない建物,建っている建物の敷地共有者が買い取るという旨の決議が成立した場合において,滅失等していない建物の敷地共有者は決議に反対したとしても敷地共有持分を買い取るための金銭の支出を余儀なくされ,その支払いのためには区分所有権及び敷地共有持分を売却せざるを得ないといったおそれがあるのではないかということをどう考えるかという問題もあろうかと思います。   ほかに考えられる制度としては,滅失等した建物敷地共有者から滅失等していない建物の敷地共有者に対する敷地共有持分の買取り請求を認めるということも考えられます。もっとも,このような買取り請求を認めなくても,敷地売却決議を行って滅失等していない建物の敷地共有者が滅失等した建物の敷地共有持分を任意で買い取るということは何ら妨げられませんし,このような買取り請求を認めるものとすると,滅失等していない建物の敷地共有者は,滅失等した建物の敷地共有持分を買い取るための金銭の支出を余儀なくされて,その支払のためには先ほどと同様に,区分所有権及び敷地共有持分を売却せざるを得なくなってしまうといったおそれもあるところでございます。   他方で,滅失等していない建物敷地共有者から滅失等した建物敷地共有者に対する敷地共有持分の売渡し請求を認めるということも考えられますし,その場合には先ほど申し上げたようなおそれはないということになろうかと思いますけれども,滅失等していない建物の敷地共有者に金銭的な余裕がなければ結局買い取ってもらえないという問題があろうかと思います。   以上のように事務当局といたしましても,このような制度につきまして再度検討したというところではございますけれども,検討した制度につきましても,余りうまく機能することができるような制度ということが思い当たらないと。様々な問題が生じるおそれもあるのではないかということでございまして,具体的な案を提示するには至らなかったというところでございます。したがって,さきに申し上げたとおり,なお検討するとさせていただいたということでございます。   説明は以上でございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。ただいま御説明いただきました第3の(後注)について,御質問,御意見の御発言を頂きたいと思います。いかがでございましょうか。 ○森田委員 ここでの検討の前提として,団地内の建物の敷地について,民法の一般原則に従った共有物分割請求ができるかできないかについて,これはできるではないかという御説明と,しかし他方で,敷地利用権と建物の分離処分の禁止に反しない範囲でという二つのことをおっしゃられたと思いますが,そうしますと,ある建物が建っていて,そこの建っていたところの敷地といっても,その敷地は団地全体の区分所有者の共有でありますから,そうすると,その敷地の共有持分権を第三者に売却したとすると,その共有持分権を取得した者は,まだ建っている他の建物の敷地利用権との関係を切ることはできませんので,その負担が付いたままでしか買えないということになるのではないかと思います。このことは,分割請求した場合も同じであって,分割請求して建物が建っていた敷地を一部切り取って,何ら負担のない土地として取得するというような分割請求はできないのではないかと思います。そうすると,言わば負担付きでの敷地の分割請求という趣旨なのか,それとも,分割請求というのは建物が建っていた団地の敷地の一部を切り取ってしまって,団地内の現に建っている建物の敷地利用権としての制約の切れた土地として,分割してそれをある者が取得することが可能だということなのか。仮に後者だとすると,それは分離処分の禁止との関係でどのような説明になるのかというのがよく分からなかったので,その点をまず確認させてください。 ○石渡関係官 すみません,ちょっと問題の所在が正確につかめなかったところなんですけれども,分割請求をした場合には22条の制限が掛からなくなるのかどうかといったところだったんでしょうか。 ○森田委員 分割請求によって現物分割ができる,つまり,団地内の建物が滅失した場合に,その敷地共有者は何ができるかということについて御説明がありましたが,御説明があった現物分割の方策は現行法上も可能であるという趣旨なのでしょうか。そうだとしますと,そこでいう現物分割なるものの意味は,団地の敷地のうち建物の建っていた部分を切り取って,そこを現に立っている他の建物の敷地利用権としての何ら負担のないものとして処分するという内容での共有物分割というふうに理解したのですが,その点の理解が違っているということであれば,御指摘していただきたいのですが。 ○石渡関係官 まず,現物分割するに当たって,滅失した棟につきましては,区分所有法22条の制限は掛かっていないと。他方で,滅失していない棟につきましては,22条の制限が掛かっていると,そういった前提を踏まえながら22条の趣旨に反しないような形での共有物分割をしていただくということになろうかと思います。最終的にそういった結果として分割が終わったと。A棟部分の敷地というものができたといたしますと,それはもう元の団地とは別の敷地になりますので,そこは22条の制限は当然掛かっていない状態での敷地になるという理解でございます。 ○森田委員 「分割ができたとして」というのは,分割はできるのでしょうか。 ○石渡関係官 分割はできるという前提で考えております。 ○森田委員 その分割した土地について,他の建物の敷地利用権としての関係は切れてしまうのはなぜなのでしょうか。 ○石渡関係官 滅失した棟につきましては,22条の制限は掛かっていないという前提ですので,共有物分割ということができるだろうと。その場合におきまして,恐らく滅失していない棟からすると,22条の制限は掛かり続けているはずなので,そういった分割自体がそもそもできないのではないかという御指摘かと思います。そもそも共有物分割の制限する根拠というのが区分所有法22条だということからいたしますと,一番無難な方法といたしましては,全ての棟の規約を変更した上で全員の合意によって敷地の分割を行うということだと思いますけれども,恐らくそこまでしなくても,全員の合意があるという段階だといたしますと,規約の変更を別途しなかったとしても共有物分割の協議ということはできるものと考えております。   ですので,区分所有法22条との関係につきましては,滅失していない棟につきまして全ての棟の規約を変更するということが一番無難な解決ではあると思いますけれども,そこまでしなくても,全員の合意をするということを前提とすると,22条の問題は生じないと,22条違反として無効になるものではないというふうに考えているというところでございます。 ○森田委員 分かりました。そうすると,共有物分割請求によって可能であるということではなくて,全員の合意による共有物の現物分割はできるけれども,共有物分割請求はできないということですね。 ○石渡関係官 そうですね。共有物分割の協議はできると。更に共有物分割請求をした上での共有物分割訴訟ができるかどうかということにつきましても,まず,全ての棟の規約を変更すれば間違いなくできるんだろうというふうに考えておりますし,恐らくある棟の規約を変更した上で共有物分割訴訟はできるかどうかということにつきまして,例えばある棟の規約を変更するというよりは,滅失した棟から共有物分割請求をした上で,その共有物分割訴訟を行うということができるかどうかということにつきましては,それはできるというふうに考えております。それは,区分所有法22条の共有物分割訴訟であれば処分に当たらないといった考え方も成り立ち得ると思いますし,そこが難しいということだといたしましても,区分所有法22条による制限が滅失していない棟については掛かっていると,そういった前提を踏まえながらの共有物分割訴訟を行っていただくと。分割の裁判を行っていただくということはあり得るのではないかというふうに考えておりますので,結論といたしましては,共有物分割訴訟もできるということになろうかというふうに考えております。 ○山田部会長 御意見,いかがでしょうか。 ○鎌野委員 こういった検討をしていただきたいということを言い出した一人でございまして,そういった意味では,前回を踏まえて更に再度検討していただきまして,ある程度のところは分かり,ますます難しいなということを認識させていただきました。そういった意味では,そういったことを言い出した一人としてお礼を申し上げますと,それから,(後注)でこういう形で提示いただいて,きちんと具体的な提案が更にできるかどうかはともかくとして,なお検討ということは,これ,私自身も含めて更にもうちょっと時間を掛けて考えてみたいということで,今回私はこういう(後注)の出し方で賛成をいたします。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでございましょうか。(後注)は3行ですけれども,詳細に御説明いただいたところです。いかがでしょうか。 ○住本幹事 すみません,これ,事務局にお尋ねしたい点があります。ここに載っていないということは改正をしないということだと思うのですが,借家人の扱いと担保物権の扱いについてです。パブリックコメントに出ますと,地方公共団体及び関係団体から問合せが入る可能性が高いのでございますが,その際にはどういう処理を想定していると答えればいいんでしょうか。それはこれから議論をするんですというふうにお答えすればいいのか,現行法令でも対応できるから触れていないんですというのか,お答えできる範囲でお願いしたいと思います。 ○岡山幹事 それでは,私のほうからお答えいたします。   まず,担保物権の取扱いにつきましては,現時点においては取壊し決議と敷地売却決議というものを基本として考えておりますので,まず一番問題になるのが取壊し決議の際に,その取壊し対象の区分所有建物の抵当権の取扱いがどうなるかということだと思います。基本的に私どもが考えておりますのは,大規模一部滅失した建物について金融機関がその抵当権を抹消しないということは,特に被災時という緊急事態であることに鑑みますと,そういった金融機関というのはなかなかないのではないかと。ある意味,任意の交渉でもってその区分所有建物に付されている抵当権については抹消されるのではないかというふうに思っております。したがって,今回の中間取りまとめもそうですけれども,今回の見直しの中では特例を設けるということは考えておりません。これがまず1点目です。   次に,借家人の取扱いでございますけれども,これまた大規模一部滅失したマンションということで考えてみますと,借家人の方がそこに本当に住み続けたいというふうに思うのかどうかということだと思いますけれども,多くの場合は,やはり将来取り壊されるかどうかということも踏まえて,その借家人との間で合意解除ということがなされるのではないかというふうに思われます。したがいまして,今回の中間取りまとめにつきましても,その特例を設けるということは考えておりません。 ○住本幹事 ありがとうございました。 ○山野目委員 部会資料5に基づく中間取りまとめが,ほぼつつがなく本日の部会において採択されつつあるものであると認識いたします。その上で,これからパブリックコメントに進んでいくに当たって,手順の問題と内容の問題の両面について少し横断的に感じているところを1点ずつ申し上げさせていただきたいと考えます。   一つ目は,補足説明をこれから法務省事務当局が作成して,この中間取りまとめとともに社会へ意見を尋ねるという段階になると想像しますけれども,かなり複雑な制度について世の意見を問うということになるものであろうと感じています。途中で住本幹事から別の論点について分かりやすく説明してほしいというお話もあって,国土交通省はいつもきれいな色刷りのポンチ絵を作るのがお上手で,かつお好きなようでありまして,法務省の文書は今までそういうことをする例は余りないですけれども,できれば補足説明等においては,取壊し決議があった後,再建決議に行くというルートと,敷地売却決議に行くというルートと二つパカッと分かれるのですというような,そういう概念図みたいなものを入れるとか,色刷りにせよ,とまでは言いませんけれども,そのような工夫があってもよいのではないでしょうか。最近は法務省関係の文書でも債権関係の部会のほうでは,一般に法律関係の理解が難解であると思われるところはいろいろ図解などしている例もございますから,是非御検討いただきたいと望むものでございます。   それから,もう1点は内容の面ですが,パブリックコメントが進行している間,事務当局も法制面での更なる深堀の検討をしていただくと思いますけれども,先ほどパカッと二つに分かれるというふうにイメージで申し上げた二つのルートが本当に細かな面でシンメトリックな関係になっているか,といったことは,パブリックコメントとは別にまた部内において引き続き御検討いただきたいと切望する部分がございます。具体的に一つ申し上げますと,取壊し決議と敷地売却決議は同一の集会,同一の機会において行われることが許されるし,また,実際上の合理的な需要もあると感じますけれども,取壊し決議と再建決議を同一の機会においてすることは困ると感じます。それは,建替え決議の要件をネグレクトして,言わば建替えについて裏口入学をするのに等しい事態になりますから,そういった細かなところを考えると,いろいろ付き合わせて検討していただくべき部分がございます。違いが出てくるところは分かるように説明を加えたり,法制上の表現を工夫していったりしていただく必要もあると考えますから,そのような御検討も引き続きなさっていただければ有り難いと感ずるものでございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。お二つ発言を頂き,いずれも貴重な発言であると思いますが,第3の(後注)が残っておりますので,これを片付けたいと思います。 ○根本委員 すみません,住本さんからの質問に対して,岡山幹事のほうからのお答えの中で,金融機関の担保は抹消されるであろうという御発言がございました。ただ,対象としている物件が例えば51%のみ毀損している物件でもあり得る可能性がございますので,全てそうなるよということにはなかなかなりづらい可能性がございます。したがって,そこの部分をお答えになられるときに,抹消されるでしょうからという問合せへの回答は控えていただいたほうがよろしいかと思います。 ○岡山幹事 ありがとうございます。 ○山田部会長 それでは,(後注)以外のなおこの部会資料5についての御発言がありましたら,その後伺い,また部会資料5そのものではないけれども,今後の審議について御提案,御希望があるということでありましたら,またその後伺うということにさせていただきたいと思います。   それでは,この第3の(後注)について,このようなことにすること,いかがでございましょうか。   ありがとうございます。それでは,第3の(後注)につきましては,部会資料5のとおりとさせていただきます。   本日は,部会資料5を22の項目に分けて審議をしていただきました。その22の項目いずれにつきましても,部会資料5のとおりの取りまとめとしてよいとしていただいたところでございます。しかし,前後に関連する項目も少なくありませんので,ここで全体についてもう一度部会資料5のとおりで取りまとめをしてよいかどうかお諮りをさせていただきたいと思います。   中間取りまとめにつきましては,部会資料5の内容で取りまとめることとしたいと存じますが,よろしゅうございますでしょうか。   誠にありがとうございます。御異論がないようでございますので,部会資料5の内容で中間取りまとめとさせていただきます。誠にありがとうございます。   なお,最終的な中間取りまとめの表現等につきましては,実質的な内容の変更にわたらない範囲でございますが,部会長の私と事務当局に公表までの間御一任いただいて,必要であれば字句の修正をさせていただくことを御了承賜りたいと存じますが,よろしゅうございますでしょうか。   誠にありがとうございます。では,そのようにさせていただきます。   そうしますと,今日の本体はこれで片付きましたので,部会資料5について,何か御発言あるいは今後の審議,あるいは審議を再開するまでの事務当局の作業について御提案あるいは御指摘ございますでしょうか。 ○細谷委員 1点質問があるんですけれども,第2の(前注2)の敷地利用権が賃借権の場合,賃貸人の承諾を得るということが前提になっていると思うんですけれども,承諾が得られなかった場合についてはどうなるのかということについて,ちょっと御意見をお聞きしたいんですけれども。 ○山田部会長 第2の(前注2)ですね。そして,その場合の敷地の売却をする場合でよろしゅうございますか。 ○細谷委員 そうですね。 ○石渡関係官 賃借権を譲渡する場合ということでしょうか。基本的には,決議の拘束力が賃貸人にまで及ぶというわけではないという整理をしておりますので,別途,同意を取っていただくということになろうかと思います。他方で,借地借家法の19条が使える場面なのであれば同条によるということになるでしょうし,関連するものとして罹災都市法につきましても今後見直しを行うことになりますけれども,そこで設けられる制度いかんによっては,今の問題についても一つの解決が得られるということも考えられるかと思っております。   現時点では以上です。 ○山田部会長 部会資料5の範囲では,何ら一般的な賃貸借の関係については特例を設けていないということになろうかと思います。ありがとうございます。   ほかに今のような御発言でも結構ですし,今後の進め方についての御提案ございますか。よろしゅうございますか。   それでは,以上といたしまして,次に被災マンション法の中間取りまとめに関する今後の段取りにつきまして,事務当局からの説明を頂きたいと思います。 ○岡山幹事 本日は,中間取りまとめを御決定いただきましてありがとうございました。今後中間取りまとめをパブリックコメントの手続に付す予定でございます。その時期につきましては,今後の最終確認作業や事務手続にどの程度の期間を要するかにもよりますが,11月初旬から中旬ころをめどにパブリックコメントの手続を開始したいと考えております。また,パブリックコメントの期間は1か月間を予定しております。   なお,中間取りまとめをパブリックコメントの手続に付す際には,民事局参事官室の責任で作成いたしました中間取りまとめの補足説明も併せて公表させていただく予定でございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。この民事局参事官室の責任で作成していただく中間取りまとめの補足説明について,今日幾つかの御教示を頂きましたので,今ここで一つ一つそれを反すういたしませんが,事務当局のほうでは適切にそれを受け止めて作成していただくことにするようお願いを申し上げます。   今の点について今後の段取りでございますが,何か御質問ございますでしょうか。よろしいですか。   ありがとうございました。本日の御審議はこれにて終了としたいと思います。   最後に,事務当局に次回の議事日程等について説明をしていただきます。 ○岡山幹事 次回の議事日程等について御連絡いたします。次回の日程は,平成24年11月12日月曜日,午後1時30分から午後6時までというふうに予定しております。また,場所は法務省20階第1会議室でございます。   次回以降,被災マンション法をパブリックコメントにかけている間は,罹災都市法について御審議いただく予定でございます。次回の第4回会議では,既に送付しております部会資料2の罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する担当者素案,部会資料3の罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する担当者素案の補足説明,参考資料5の罹災都市借地借家臨時処理法改正研究会報告書をお持ちいただけますようお願いを申し上げます。   また,罹災都市法につきましては,事前にパブリックコメントの手続を行っておりますので,その結果をまとめた資料につきましては,遅くとも会議の1週間前には御送付いたします。 ○山田部会長 次回の議事日程について何か御質問ございますか。よろしいですか。   それでは,法制審議会被災関連借地借家・建物区分所有法部会を閉会させていただきます。   本日も御熱心な御審議を賜り,中間取りまとめを頂きましたこと,誠にありがとうございます。 -了-