法制審議会           新時代の刑事司法制度特別部会           第19回会議 議事録 第1 日 時  平成25年1月29日(火)   自 午前10時03分                         至 午前11時32分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  時代に即した新たな刑事司法制度の在り方について 第4 議 事  (次のとおり)           議        事 ○吉川幹事 それでは,ただいまから法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会の第19回会議を開催いたします。 ○本田部会長 本日も,皆様,大変お忙しい中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日の議事は,お手元の議事次第のとおり,新たに委員になられました方を御紹介した後,前回に引き続きまして,「基本構想」についての議論を行い,その取りまとめを行っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。   まず,警察庁及び警視庁における異動に伴い,舟本馨さんと髙橋清孝さんがこの部会の委員を退任され,新たに警察庁刑事局長に就任された髙綱直良さん,警視庁副総監に就任されました小谷渉さんがそれぞれ委員に任命されました。新たに委員になられたお二方には自己紹介をお願いしたいと思います。   それでは髙綱委員からお願いいたします。 ○髙綱委員 髙綱でございます。25日付けで警察庁刑事局長に着任をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○小谷委員 小谷でございます。同じく25日付けで副総監に就任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○本田部会長 また,前回,御欠席されました今崎委員からも,本日は自己紹介をいただきたいと思います。 ○今崎委員 1月8日付けで最高裁刑事局長になりました今崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○本田部会長 それでは前回に引き続きまして,「基本構想」についての議論を行いたいと思います。前回の議論を踏まえまして,試案の内容を修正いたしまして,本日,資料第61として修正案をお配りしてございますので,まずはその内容につきまして,事務当局から説明してもらいます。 ○岩尾幹事 皆様のお手元に御参考資料といたしまして,部会長試案の修正点を,いわゆる見え消しで記載したものをお配りしておりますので,これを基に主な修正点について御説明いたします。   まず,基本構想案全体の構成についてですが,前回の御議論の中で,この「基本構想」の位置付けや目的を明確にするべきとの御意見がございました。そこで,前回,構成について一旦御了承いただいたところではございますが,前回の案で,「第1」,「第2」及び「第5」としておりました内容を,いずれも「第1」に合わせて記載することとした上で,「作業グループでの作業を経て具体的な検討を行う」との今後の作業方針も含め,審議の指針が明確なものとなるよう,この部会で議論された検討項目を三つの類型に分類することといたしました。   この三つの類型と申しますのは,2ページの一番下の段落に記載してあるとおりでございます。①として,今後作業グループでの作業を経て,当部会で優先的に具体的な検討を行う事項,②といたしまして,これらに関連する事項であって,①の事項についての具体的な検討を行った後に,必要に応じて更に当部会で検討することとする事項,及び③といたしまして,当部会で結論を得ることが困難と考えられ,当部会とは別の機会に検討されるべき事項としております。   その上で,7ページの「第2」の末尾におきましても,「第3」以下で記載した具体的な方策を,これら三つの類型に区分した上で,①の事項については,枠囲いを付して記載し,その余の類型につきましても,その位置付けが明らかになるよう記載した旨,改めて説明しております。   なお,従来の「将来的な検討課題」との表現が適切でないとの御意見がございましたことから,当部会における今後の検討対象としない事項につきましては,「別途検討されるべき」との表現を用いております。   次に,前後いたしますが,3ページに戻っていただきまして,「第2 時代に即した新たな刑事司法制度を構築するに当たっての検討指針」の内容についての修正点を御説明いたします。この部分の記載につきましては,まず,より中立的・客観的な記載とするべきとの御意見がありましたことから,こうした御意見をできる限り反映して修正を行いました。   また,諮問第92号が発せられて当部会が設置されることとなった経緯に鑑み,捜査の適正確保が重要な課題であることが認識されるべきとの御指摘がありましたことから,4ページ7行目以下において,その旨加筆しております。   さらに,時代状況に関わる総論的な事項といたしまして,「科学技術の進展及びその普及」が重要な要素として取り上げられるべきとの御意見がございましたことから,5ページ3行目以下に,その旨記載しております。   続いて,8ページ以下の「第3」の「1」の修正箇所を順次御説明いたします。   8ページの「(1)取調べの録音・録画制度」に関しましては,様々な御意見がございました。このうち,まず,原則として被疑者取調べの全過程についての録音・録画を義務付けるとする,一つ目の○の制度案を念頭に置いて検討するに当たり,その対象を裁判員制度対象事件の身柄事件に限定するのは相当でなく,より広い範囲の事件を対象とするべきとの御意見がございました。前回お示しした部会長試案の原案におきましても,現段階では,制度の枠組みが定まっていないことから,制度の枠組みについての検討状況も踏まえて,必要に応じ,対象事件の範囲の在り方について,更に検討を加えるとしていたところでございますが,このような御意見を踏まえまして,修正案では,8ページの枠内及び11ページ上段の本文のいずれにおきましても,制度の枠組みに関する具体的な検討結果を踏まえ,対象事件の範囲の在り方について,更に当部会で検討を加えることとする旨,明記しております。   この点に関連して,検察官による取調べの全部について,その全過程の録音・録画を義務付けるべきとの御意見があり,これに対する反論も指摘されてきたところでございますので,10ページにその旨の御意見等を加筆し,対象事件の範囲の在り方に関わる問題として位置付けております。   さらに,被疑者の取調べに加え,参考人の取調べにつきましても,録音・録画を義務付ける制度を導入するべきとの御意見がございました。そこで,11ページの「エ」でございますが,従来,この問題が将来的な検討課題とされていたのを改めまして,この問題と,関連する範囲でのいわゆる2号書面の在り方の問題とを併せ,被疑者取調べの録音・録画制度についての具体的な検討結果を踏まえつつ,必要に応じて更に当部会で検討を加えることとする旨,修正いたしました。それに併せ,従前は基本構想案末尾の「その他」の中で記載しておりました,2号書面制度の在り方に関する記載の一部を,この部分に移記しております。   なお,前回の御議論では,被疑者取調べの録音・録画制度の枠組みに関し,「録音・録画の対象とする範囲は,取調官の一定の裁量に委ねるものとする」旨の二つ目の○の制度案を削除するべきとの御意見もありましたが,前回の会議でも,このような制度案を支持する御意見も示されたところであり,この案を削除した形でこの問題について現段階での取りまとめを行うことは困難と考えられたことから,原案の記載を維持することとしております。   12ページ以下の「(2)刑の減免制度,協議・合意制度及び刑事免責制度」に関しては,いわゆる捜査・公判協力型の協議・合意制度が具体的な検討対象とされていたことに関し,いわゆる自己負罪型の制度についても,併せて具体的な検討対象とするべきとの御意見がございました。そこで,これまでの御議論の状況をも踏まえまして,修正案14ページにおきましては,まずは捜査・公判協力型の制度について具体的な検討を行い,その結果を踏まえ,必要に応じて,自己負罪型の制度について,更に当部会で検討することといたしました。   続いて15ページ以下,「(3)通信・会話傍受等」でございますが,このうち,まず,通信傍受の合理化・効率化に関しては,「通信傍受が憲法上の通信の秘密やプライバシー権を侵害する捜査手法であることから,対象犯罪の拡大や手続の合理化・効率化に当たり,傍受の実施の適正を担保するための特別な配慮が必要であることを踏まえるべきであり,それを踏まえ,通信傍受の改正については,その採否も含めた具体的な検討を行うものと位置付けるべき」旨の御意見がございました。これまでの御議論の状況や現在検討対象となっている3点が,いずれも現行通信傍受法における傍受の実施の適正担保の要請を緩和するものとは必ずしも考えられないことに照らしまして,御意見をそのまま反映する形は採りませんでしたが,通信傍受法の改正についての具体的な検討を行うに当たり,傍受の実施の適正を担保することが必要であることを確認する趣旨で,枠内及び15ページ(ア)の本文に加筆いたしました。   また,会話傍受については,前回の会議で,これを検討対象から除外して記載を削除するベきとの御意見も示されましたが,これまでの御議論の状況に照らし,そこまでの必要はなく,採否も含めた具体的な検討を行うものとされている事項でもあることから,原案の記載を維持することといたしました。   21ページ以下の「(5)弁護人による援助の充実化」のうち,まず「ア 被疑者国選弁護制度の在り方」に関しましては,原案において,被疑者国選弁護制度の逮捕段階への言わば前倒しが,結局,当番弁護士制度を国費で賄うことの可否の問題に帰着するとされていた点について疑問視した上で,仕組みの在り方の検討を含め,より積極的な検討対象とするべきではないか,また,弁護人による援助の意義を積極的に評価する意見があったのであるから,その旨の記載をするべきではないかとの御意見がございました。   そこで,御指摘を踏まえまして表現の修正を行った上,22ページで,「逮捕段階において弁護人の援助を得る仕組みを設けること」について,「被疑者国選弁護制度の対象事件の拡大についての具体的な検討結果を踏まえ,必要に応じて更に当部会で検討を加える」事項とすることといたしました。   イの「被疑者の取調べへの弁護人の立会い」に関しては,同様又は類似の制度が諸外国で採用されている点を記載するべきとの御意見や,弁護人が立ち会うことにより,被疑者に対して黙秘権の行使を助言することが,あたかも不当であるかのように記載されている点は不相当であるとの御意見がございましたことから,これらの意見を踏まえて修正を行いました。   また,この検討事項について,当部会における具体的な検討対象から除外すべきでないとの御意見もございましたが,この問題については,原案にも記載されているとおり,強い御異論もございましたことから,その位置付けを変えることは困難であり,別途検討されるべき事項と位置付けられるべきものとしております。   次に23ページ以下,「第3」の「2」の修正箇所について御説明いたします。   23ページ以下の「(1)証拠開示制度」のうち,「ア 証拠開示制度の在り方」に関しては,まず,被告人に全面開示を請求する権利があることを明確化するべきとの御意見がございましたが,これまでの御議論の状況に照らし,そのような点を含め,現行証拠開示制度の枠組みを改めることについての強い御異論もありましたことから,この御意見を反映させることは困難と考えております。   なお,現行証拠開示制度の枠組みを前提として,類型証拠開示の対象となる証拠に,被告人以外の者の供述内容が記載された捜査報告書等を含めることを検討対象とするべきとの御意見がありました。この点については,更にその必要性等を具体的にお示しいただくことが前提となろうかとは存じますが,いずれにしても,かなり専門的・実務的な事項でありますことから,証拠開示制度についての今後の作業グループにおける検討の中で,必要に応じ,その要否及び当否も含め検討することといたしました。   次に25ページ「ウ 再審請求審における証拠開示」につきましては,当部会における検討課題として取り上げるべきとの御意見がございました。そこで,この問題については,通常審における証拠開示制度の在り方についての具体的な検討結果を踏まえて,必要に応じ,更に当部会で検討を加えることといたしました。   26ページ以下,「(2)犯罪被害者等及び証人を支援・保護するための方策の拡充」に関しては,「イ ビデオリンク方式による証人尋問の拡充」と「エ 証人に関する情報の保護」に関し,それぞれ,これまでの御議論での指摘が十分に記載されていないのではないかとの御意見がありましたことから,それぞれ御意見を反映した内容を加筆しております。   35ページ以下の「第3」の「3 その他」でございますが,まず,「(1)事実認定と量刑に関する手続の在り方」に関しては,この問題について,当部会で具体的な検討を行うことが困難であるとしても,運用面において,量刑資料をできる限り区別して取り扱い,取調べの内容を適正なものとする運用を見いだしてもらいたいとの御意見がございましたことから,その御趣旨をできる限り反映するための修正を加えました。   また,「(2)いわゆる2号書面制度の在り方」に関しましては,先ほど申し上げたとおり,参考人取調べの録音・録画の問題と関連する範囲において,必要に応じて更に当部会で検討を加えることとしたものであり,これまでの御議論に照らしても,それを超える部分について当部会での検討対象とすることは困難と考えられますことから,別途検討されるべきものとしております。   最後に,刑事実体法の客観化や黙秘からの不利益推認の制度化についても検討されるべきとの御意見がありましたことから,それに対する反対の御意見とともに,「(5)刑事実体法の在り方等」として記載しております。 ○本田部会長 前回の議論,そしてまた今回の議論までの間におきましても,多くの御意見を頂きました。そこで,皆さんの御了承を得ることができるものにするという観点から,頂いた御意見を十分に踏まえつつ修正をさせていただいたところでございます。この点も御理解の上,取りまとめに御協力をよろしくお願いをいたします。   それでは,この修正案の内容につきまして御意見を伺いたいと思います。御意見のある方は御発言をお願いいたします。 ○後藤委員 意見というよりも,まず趣旨を確かめたいという意味で質問させていただきます。取調べの録音・録画のところで,案が前回から少し修正されています。この趣旨だと,取りあえず作業グループでは,裁判員事件の身柄対象事件について,まず案を作ってみて,それをこの部会に持ってきて,次の検討に移る,こういう捉え方でよいのでしょうか。もう一つは,11ページの「エ」の直前で,対象事件の範囲の在り方について,更に検討するという部分の意味です。ここで対象事件の範囲という中には,例えば在宅の取調べまで含めるような広げ方の可能性も含めて,想定しているという理解でよろしいでしょうか。 ○岩尾幹事 御指摘のとおり,まず制度の枠組みについて作業グループで検討するに当たっては,裁判員制度対象事件の身柄事件を念頭に置いて案を作り,その作業グループの成果を部会でお示しし,制度の枠組みについて御検討いただいた上で,その結果を踏まえて,対象事件の範囲の在り方について御検討いただくと,こういう手順を記載したものでございます。そして,対象事件の範囲の在り方というのは,何を念頭に置いているかというのは,本文の10ページの「ウ」で記載している事柄でございまして,そういったものが含まれるという趣旨でございます。 ○小坂井幹事 前回の御議論を踏まえて,部会長と事務当局の方で修正をしていただいた,それには敬意を表しますし,本当に御努力いただいたなと思っております。ただ,この取調べの録音・録画制度の枠囲いの中で,二つ目の○がまだ残っておるというところがあって,ここはもちろん従来から議論しているところであるわけなんですが,あえてここで確認しておきたいことがあります。この枠囲いの二つ目の○を導くに当たって,ちょっと私の読み方がもし間違っていればお教えいただきたいんです。大体9ページの下から二つ目ぐらいのパラグラフから,これはいわゆる事後規制で足りるのではないかという意見に関して,「困難な場合があると考えられる」という,こういう表現で,この表現自体が私としてはやや腑に落ちないところがあります。というのは,これも一つの意見だと思うので,そこはやや引っ掛かるところがあるんですが,その後,「考えられる。したがって」となって,「取調べや捜査の機能に深刻な支障が生じる事態を避ける」,それから,その場合に「適切に除外される制度とする」とあります。深刻な支障が生じるのかどうかについても,これはいろいろな議論が今後あるんだろうと思いますけれども,取りあえず適切に除外する制度にするということ自体について,これは一般論としては,それほどの異論はないのだろうなと思うんです。が,次に10ページに移っていきますと,「この点を踏まえて制度の枠組みを考え」ていくという中で,どうも一定の例外事由を認めるということは,一つ目の○で原則的に考えて,こうなるだろうという案を書かれているんです。が,その後,実は適切に対象外とできるかどうか,疑問であるということで,この二つ目の○がちょっと導かれておって,この論理の流れは本当にこれでいいのかなという感じが若干,私などはどうしてもしてしまうわけです。   それで,何をここで確認したいかといいますと,作業部会で今後恐らく議論をしていく過程で,例えば,適切な除外というものはいろいろな要件を定めながら,皆さんで考えていく。しかし,作業部会の中でも,適切な除外についてはいろいろ議論が分かれる可能性は当然ある。うまくまとまっていけば,それはもちろんいいわけですけれども,やはり何種類かといいますか,幾つかの議論にもなるし,考えようによっては,これでは適切に対象外は定められていないなと言い出す方もいらっしゃるだろう。そこは様々な議論があり得ると思うんです。そうなったときに,9ページから10ページの文章の読み方いかんによっては,適切な除外が作業部会で直ちに成案にならなかったら,二つ目の○に行くんですよというようなトーンを読めなくもないような気が,私なんかはしてしまうんです。ちょっと考え過ぎかもしれませんけれども。   そこで,やはり作業部会で疑義が生じれば,当然この本部会に持ってきて,そこでまたそこは議論するというような,そういうフィードバックがあるんだということは,そういう前提で考えさせていただいて,よろしいでしょうか。 ○井上委員 今,小坂井幹事が言われたことは,杞憂だと思います。小坂井幹事が指摘する部分は,「意見もあった」という締めくくりになっており,全体としてこういう枠組みであるという書き方ではないのです。除外事由については,まずは作業グループで作業することとされていますが,除外事由を適切に盛り込めるかどうかは作業グループが判断するわけではなく,そういう判断をするのは飽くまでこの特別部会の場だと思います。ですから,そこは杞憂だと思います。 ○小坂井幹事 いや,その確認ができれば十分です。 ○後藤委員 部会長の御苦労は察しつつ,しかし疑問点は率直に申し上げた方がいいと思いますので,申し上げます。今議論になっている取調べの録音・録画のところが,前回から修正されてはいますが,やはりこの二つ目の○が問題です。前回,裁量に委ねる制度化というものがあり得るのだろうかと,疑問を申しました。私は,この1週間いろいろ考えてみたのですけれども,裁量に委ねることと制度化することが,どうしたら調和するのか,つまり,裁量に委ねつつ制度化するという具体的な構想が,私には思い付きにくいです。制度化するというからには,何らかの意味で,取調べをする側に録音・録画を義務付けるという要素が入らないといけないと思います。単に録音・録画することができるという権限を定めるだけでは意味がないし,適切ではないと思います。そうすると,例えば,非常に広範囲に,原則として取調べを全て録音・録画することを要求した上で,その例外の判断は裁量的な要件に委ねるといったやり方なら,それは制度化の一種だろうと思います。しかし,二つ目の○を支持される方は,恐らくそれほど広範囲の義務付けを想定されてはいないでしょう。そうすると,裁量に委ねることと制度化することが調和するために,どんな構想があり得るのか,やはり私には思い浮かびにくいというのが率直な疑問です。 ○岩尾幹事 その点は,かなり制度の中身に立ち入った議論ですので,具体的には,今後の作業グループにおいて詰めた議論がなされるべき事柄であろうとは思っておりますが,録音・録画が必要な取調べの範囲について,捜査機関が裁量的に判断する制度でありましても,全く捜査機関の運用によるのではなく,法制度とする以上は,全くの自由裁量ではない一定の制度的な制約が必要となるのではなかろうかと考えているところでございます。 ○本田部会長 ただ単なる裁量ではなく,「一定の裁量」ということですので,具体的な内容を詰めながら,もちろんこの部会でも議論をいただきますけれども,決して上が駄目だったら,もう次は下ですということでもございませんし,飽くまでも録音・録画制度を導入する目的を中心に考えながら,ただし,問題点もあるという御指摘もあったところですので,この「一定の裁量」という二つ目の○を考える場合には,その目的から見て,納得がいただけるものかどうかという詰めも,今後,していきましょうということです。他方で,一つ目の○についても,非常に難しい問題はあるかと思いますが,具体的な検討を行いましょうということです。いずれにしても,飽くまでも録音・録画制度を導入するという前提の中で,お互いに知恵を絞っていくということであろうと思っています。 ○小野委員 今の点で,この二つ目の○については,かねてからいろいろ意見が出ていたわけですが,最終的に残ってしまったというのは,私としては非常に残念に思いますが,この10ページの上の方の①,②の説明というのか,何というか,こういう意見もあったという書きぶりのところで,②のところの,「取調官の一定の裁量に委ね,取調官において任意性立証に必要と判断した部分とするという制度の在り方」という書きぶりについては,これこそ,こういう制度の在り方というのが本当にあるのかなと,任意性立証に必要と判断する取調官が,任意性に必要だと判断する,それはもう言ってみれば,取調官の正にその場その場における裁量ですよね。取調べをやっている中で,どうもこれは場合によっては任意性立証に必要だなというふうに判断をしたときに,何かやるんだという制度というふうに書かれているので,この点については,これを作業部会に下ろすということについては,そういうふうに部会長の方で取りまとめられたということですからあれですけれども,一応この点について,非常に疑問が大きいということは前提の上で,その作業部会で御議論をいただきたいなと思います。 ○安岡委員 短い間に,前回の議論をかなり的確に反映した修正案をお作りいただいて御苦労様でした。ありがとうございます。取りまとめへの協力をよろしくという部会長の冒頭の言葉に対しまして,基本的には,この修正案を元に作業グループで具体案を検討していただくことに賛成ですが,少し手直しをしていただきたい部分が幾つかありました。お手元に補助資料ということで,お配りしているものに具体的な書換えの一案を並べてあります。それに沿って意見を述べてまいります。   まず,「第2」の検討指針です。修正案の4ページの上から6行目に出てくる言葉で,見え消し版でいきますと,4ページの赤字で新たに付け加えていただいた3行目です。ここに「近時の誤判事例等を原因として」とあるんですけれども,この部会への諮問の内容は,捜査・公判の両方の在り方を考え直してほしいというものでありました。この新たに付け加えていただいた部分の「原因として」の後には,捜査にも問題があるのだという指摘が,あるにはあるんですけれども,「近時の誤判事例等を原因として」のままですと,「等」のところに,捜査の問題をまぎれ込ませたことになる。それでは,裁判所の委員の方の心情をおもんぱかると,ちょっとすっきりしないのではないかなと思います。志布志事件,それから村木委員の事件は誤判ではないわけで,不適正な捜査が問題になったわけですから,「誤判事例等を原因として」は,「誤判や不適正捜査の事例等を原因として」と書かないと,部会の問題意識がはっきりしないのではないかと考えます。   次に,「第2」の「1」です。5ページになります。「取調べへの過度の依存からの脱却と証拠収集手段の適正化・多様化」のうち通信傍受の拡大,手続の合理化,会話傍受の導入の部分です。各論では,先ほど岩尾幹事から説明があったとおり,15ページの枠囲いの中と,それから本文に,ともに「傍受の実施の適正を担保しつつ」を新たに入れたわけですけれども,これは非常に重要なことだと思いますので,基本方針にも,「適正な手続を確保しつつ,担保しつつ」という文言を入れていただきたい。具体的には,5ページの下から,9,10行目,見え消し版では5ページの末尾から6ページの初めにかけてにある,客観的な証拠を「より広範囲に」収集できるようにするためというところを,「適正な手続を確保しつつより広範囲に」としていただきたい。   それから,刑の減免制度と弁護人による援助の充実化ですけれども,言いたいのは,弁護人の取調べへの立会いの問題です。22ページで,弁護人の取調べへの立会いについては,当部会において結論を得ることは困難であり,別途検討すべきであるという結論になっている。この結論に,私は不満ですけれども,冒頭述べたように,まとめていくという方向を考えた場合には,この結論も致し方ないのかなと思います。   それでもなお弁護人による取調べへの立会いの可能性を探っていただきたい部分があります。それは,前回の議論で,刑の減免制度,取引司法的な手法を導入する場合には,取調べへの弁護人の立会いが不可欠だろうと,被疑者・被告人に対する密接な援助が不可欠だろうという意見が出まして,それに対して,確か井上委員だったと思うんですけれども,それは,この刑の減免制度を設計する中で考えればよいという御意見があったと覚えております。そのやり取りを明文にして,刑の減免制度を考える際は,制度の適正な運用を保障するために必要な,弁護人による援助の充実化を併せて検討しなければならないと,その検討は必須である旨を書き加えていただきたいと思います。弁護人の取調べへの立会いの芽だけは残しておいてもらえませんかと,こういうことであります。   それを具体的に書き加えるとなると,刑の減免制度のところと,それから「弁護人による援助の充実化」の取調べへの立会いのところに少し手を入れていただくことになると思います。刑の減免制度でいきますと,12ページの枠囲いの上から3行目に,「指摘される懸念をも踏まえて」とあります。同じ文言が,枠囲いの下の本文の「ア 必要性」の終わりから3行目にあります。ここに「弁護人による適切な援助を被疑者・被告人が受けられるように」と,付け加えてほしい。読み下してみると,「指摘される懸念をも踏まえ,かつ弁護人による適切な援助を被疑者・被告人が受けられるように具体的な検討を行った上」でと,こういうふうにしていただけないだろうかということです。   長くなって恐縮ですが,録音・録画のところです。枠囲いの方針については,これでしようがない,これで作業グループに御苦労をお願いしたいというのが結論なんですけれども,本文の参考人の取調べについて,少し書きぶりを変えていただけないかと思います。   修正案は,私の見方からは,初案に比べ相当改善されたと思いますけれども,依然として被疑者取調べのみが可視化制度,録音・録画制度の幹であって,参考人取調べは,言わば枝葉であるかのような扱いになっていると読みました。ひが目かもしれませんけれども,そういう扱いであれば,会合での議論の内容を反映していないと私は考えます。この問題についての議論状況を振り返ると,少なくとも可視化の制度化に賛成する委員・幹事の多くは,可視化の必要性を被疑者取調べに限定せずに議論していたと思います。むしろ調書に過度に依存した公判の在り方を考え直し,いわゆる調書裁判を改めていくためには,むしろ参考人の取調べを可視化して適正な取調べと,適正な調書の作成を確保することが欠かせないという意見だったと私は整理しています。   そういう議論状況を反映した文章にするとしますと,被疑者取調べと参考人取調べを並列して議論したけれども,参考人の調べについては,種々の理由によって,被疑者取調べよりも劣後した扱いにせざるを得ない,それは範囲の問題であるかもしれませんし,制度化の順序の問題かもしれませんけれども,いずれにしても,まず被疑者取調べから制度化を考えましょうという結論になったと,そういう文章にすべきだと考えます。   具体的な書き直し案としては,修正案の11ページに入っています,「エ 参考人取調べの録音・録画」が別立ての項目になっているけれども,これを9ページの「イ 制度の基本的な枠組み」のところで検討したんだという形の文章にしていただけないかということであります。具体的には,この「イ」の冒頭の「被疑者取調べの録音・録画制度において,」の前に例えば,「録音・録画制度の基本的枠組みを検討するに当たってはまず,被疑者の取調べに限定するかどうかの問題がある。」などの文を挿入して,さらにその後に,11ページの「エ」の前半部分,つまり「被疑者以外のいわゆる参考人の取調べについて,こうこうこういう議論があった,しかし,それに反対する意見も強く表明された」という部分を入れてはどうでしょうか。   それで,その次に,被疑者の取調べについてはどうだろうかという部分,9ページの「イ」の1段落目「被疑者取調べの録音・録画制度については」と始まる部分を入れる。ですから,「イ」の前に,まず,制度的な枠組みについて,被疑者取調べだけにするのかどうかなどを検討したと挿入する。その挿入部分に,参考人については「エ」の前半部に書いたような意見があったと書き入れる。それから,その次に「イ」の第1段落に入っている「被疑者取調べの録音・録画制度については」以下の部分を,「一方,」とか,そういう言葉を入れてつなげる。例えば,「一方,被疑者取調べについては,こうこうこういうことで,大きな異論がなかったとくくれる」旨を述べた文を入れる。それで,その後に,被疑者取調べに今回はまず絞るとする結論部分を入れる。読み下しますと,補助資料で下線を付けた,「今後作業グループでの作業を経て優先的に具体的な検討を行うのは被疑者取調べについてとし,」それで試案の本文を続けまして,本文の11ページ,「エ」の,先ほど前半と後半に分けました後半の3行,4行にある「参考人取調べについては,必要に応じて当部会で検討を加える」との結論をここに入れるということです。以上の書き直し案の趣旨は,最初に述べましたとおり,録音・録画制度を考える意見が,私を含め,多数の委員・幹事から出たわけですけれども,最初から被疑者取調べに絞った議論ではなかっただろう,被疑者取調べと,いわゆる参考人の取調べとを同格というのでしょうか,並べて議論していたはずなので,その議論状況を反映した形にしていただくためには,参考人調べを別の項目にするのはどうも具合がよろしくないということであります。ちょっとごちゃごちゃして分かりにくいかもしれませんけれども,以上です。 ○髙綱委員 ただいまの安岡委員の御意見のうち,参考人取調べについて,被疑者取調べとこれまでの議論を踏まえれば,同格と位置付けるべきではないのかというような趣旨で修正意見が述べられたわけですけれども,私どもの方からこれまでの部会でも申し上げてまいりましたように,やはり参考人の取調べと被疑者の取調べとでは,全く同列に論ずるべきものではないという御意見を申し上げてきております。それは一つには,参考人の取調べというのは,被疑者取調べと比べまして,圧倒的に件数,数が多いということ,それから,取調べ場所も必ずしも被疑者取調べのように,取調室に限らず,様々な,交番とかいろいろな場所で行われるというようなことがあって,コストの観点から見ても,現実性が極めて希薄であるということを申し上げてきたと思います。   それから,私どもの警察捜査の現場を踏まえますと,これにつきましては,参考人の取調べの録音・録画については,やはり参考人の負担が増えて,その協力が得られにくくなるというようなことも申し上げてきております。したがいまして,ただいま安岡委員の方から,これまでの部会を踏まえれば,客観的に同格というような扱いで修文すべきだという御意見があったんですけれども,これまでの部会では,今申し上げたような議論が重ねられてきたというふうに考えますので,原案どおりでよろしいのではないかと考えております。 ○安岡委員 一言だけ申し上げますけれども,並べて論じた,同格に論じたというのは,必要性において同格という議論をしていたはずだということです。現実の制度にするときに,違う困難さがあることは,参考人の取調べも可視化すべきだという意見の委員の方からも,現実の制度に移すときには,違う困難があることは認める意見が多かったと私は記憶しています。私が申し上げたのは,その必要性において同格に論じてきたはずだということです。 ○酒巻委員 参考人の取調べの録音・録画に関する議論の状況と被疑者取調べの録音・録画に関する議論との関係についての安岡委員の整理は,結論だけ申しますと,本部会の議論状況を客観的に反映したものであるとは思われません。議事録を検討していただければ,必要性においても,法律上も,参考人の取調べと被疑者の取調べは違うものであるということを前提に様々な議論が行われたのは明らかだろうと思います。安岡委員の提案をそのまま文章にいたしますと,議論状況を正確に反映したものではなくなりますので,私は一委員としてそれには到底承服できません。 ○青木委員 今の議論のところではないところですけれども,またもっと前の議論と同じ話をさせていただくんですが,やはり8ページの囲いの中の二つ目の○については,この取調べ録音・録画制度を導入する必要がどこにあるかというところで,8ページの下の方に書いてある「①取調べの適正確保に資する」という部分,そして,9ページの最初の方にも書いてあります「取調べの適正が十分に確保されるとともに」という,真っ先に書かれている部分と,本当に両立する制度になるんだろうかということについては,非常に疑問に思っております。   ただ,先ほど部会長が言われたように,このような制度を導入しましょうという趣旨・目的に照らして検討するんだということなので,そういう検討を行っていただくこと自体はいいのかなと思いますけれども,そういう意味で,取調べの適正確保に資するという制度の導入目的に反しないような制度について,そのような制度になるということを非常に強く希望しますので,そういう方向での検討を行っていただきたいという希望を申し上げたいと思います。 ○川出幹事 安岡委員の御意見にもう一度戻りますが,本部会での議論の状況については,まず,被疑者取調べの録音・録画について議論をし,その上で,参考人の取調べについても録音・録画が必要ではないのかという順序で議論をしたと思いますので,最初から両者を同格のものとして位置付けた上で議論したということではなかったと思います。また,録音・録画の必要性に関しても,確かに,参考人取調べについても録音・録画が必要だという御意見の方は,必要性として同格だという前提で主張をされたのだと思いますけれども,しかし,それについて本部会のメンバーの意見が一致していたわけではありませんので,その点からも,先ほど酒巻委員がおっしゃったように,両者を同格として議論したとするのは,部会の議論状況を反映していないのではないかと思います。   それから,その内容を見ると,この安岡委員が修文されたものでも,結論としては,被疑者の取調べの録音・録画を優先的に議論して,その後,必要であれば参考人取調べの録音・録画についても検討するという点では,今回の修正案と同じであるわけですよね。そうだとしますと,安岡委員の修文のように,途中で参考人取調べの話題を入れる形にするのは,逆に分かりにくいのではないかと思います。修正案のように,まず優先的に議論すべき被疑者取調べの録音・録画について書いた上で,それから参考人取調べについても更に検討するという順序にした方が,これからの検討の道筋を示す上で分かりやすいのではないかという印象を持ちました。   それから,もう一つは,刑の減免制度の部分ですが,御提案によれば,被疑者取調べへの弁護人の立会いが,12ページの「第3」の(2)全部にかかりますので,刑の減免制度だけではなくて,協議・合意制度,それから刑事免責制度も対象になることになります。確かに,協議・合意制度については,被疑者・被告人に弁護人が選任された上で検察官と協議を行うことが必要であるという議論がありましたが,それは,弁護人が取調べに立ち会うという話に直結するわけではないですし,刑の減免制度についても,その適用に当たって,被疑者が弁護人の援助を受ける権利をどのように絡めるかは,取調べへの立会いを含めて,別途検討すべき話だと思います。   また,刑事免責制度について言えば,それが適用される場面では,その対象者について証人尋問がなされるわけですから,取調べへの弁護人の立会いとは直接には関係しません。したがいまして,刑の減免制度のところに,被疑者の取調べへの弁護人の立会いと関連付けて,「弁護人による適切な援助を被疑者・被告人が受けられるように」という記載を入れるのは,適切ではないと思います。 ○神津委員 少し重複するところもあろうかと思いますが,まとめて全体で申し述べたいと思います。まず,今回,これまでの議論経過を踏まえてということで,こういう修正案に至ったということについては,部会長,それから,事務当局側も真摯に御対応されたということだと,私も受け止めたいなと思っております。その上での意見なんですけれども,まず録音・録画なんですが,私もこの枠の中の二つ目の○の表現には,依然として違和感を持っているということは,改めて申し述べたいなと思います。私のような立場の者から見ても,「裁量」とか,「委ねる」という言葉に,ちょっとやはり目を奪われてしまうなというのが正直なところ,率直なところであります。ここは是非,これからの検討の中で,そこが前面ということでは決してないんだと思っていますので,基本的にどういうルールをこの中にビルトインしていくのかということが,まず前面に出るべき事柄なのだろうと思いますので,そのこととの関わりも含めて,是非表現については検討いただきたいなと思います。   それから,今回,必要に応じて更に当部会で検討するという位置付けにされたもののうち,二つについてなんですけれども,今ほど御議論がありました,参考人取調べの録音・録画,それと,もう一つは逮捕段階で弁護人の援助を得る仕組み,この二つについて,こういう位置付けにされたということは,私は非常に大事なことだと思っておりますので,どういう形で前に進めていくのかという視点で,是非検討をしていただきたいなと思っています。今ほど議論がありました,参考人の取調べの録音・録画に関しても,これは前回も意見として出させていただきましたけれども,この本部会の設置に連なるところの一つの大きなきっかけとして,村木委員の事案があったということは事実だと思いますので,少なくとも検察官による参考人取調べについては,これを録音・録画の対象とするといったことの具体的な検討が進められるべきではないのかなと思います。   それから,通信傍受の関係で,これについて検討を進めていくということについては,私は是とするということで意見を提出させていただいておりますが,言わずもがなですが,基本的人権なり,プライバシーをこれも前提とする,飽くまでも前提とするということでありますし,その面において,これから作業グループで検討される中で,そういうことも考えられていくと思いますが,技術的側面については,いろいろな技術者や専門家のヒアリングなども含めて,是非担保いただきたい。そのことが分かりやすい説明につながるようにお願いをしたいなと思います。   それと,今,現状の仕組みの中で,NTTを始めとする通信事業者の立会い,あるいは施設の提供ということで,非常に大きい負担があるということでありまして,これについては,今回の機会に解消が図られるということが望ましいんだということで,これは働く者の立場からも,お願いをしておきたいなと思います。   それから,最後,別途検討されるべきということで,引き続き除外されている内容について,二つ触れておきたいと思いまして,弁護人の立会い,それから手続二分,これについては,結局この部会では扱わないということで除外されるということについては,私自身は依然として釈然としない思いがあるなと思っています。取り分け手続二分については,これまでの議論の中の意見を紹介されているんですが,私の方からは,裁判員制度との関わりで,より裁判員に分かりやすいものとするという視点も何回か意見として申し述べさせていただきましたので,でき得れば,そのことについても触れていただきたいなと,これは要望であります。 ○井上委員 この修正案は,前回の議論も踏まえて修正され,全体として穏当なものとなっているのではないかと思います。委員・幹事それぞれの思いはあるでしょうけれども,そういうことを言い出したらきりがないので,私も自分の立場から言えば,ここの文章をこう変えろと言いたいことはいろいろありますけれども,それだとエンドレスになってしまいます。ですから,審議を一応前へ進めるためにどの辺で我慢できるかという判断をせざるを得ないと思います。安岡委員が文章家として細かくチェックされたのはよく分かりますけれども,安岡委員のように修正すれば,違う立場の人からはこうすべきではないかいうことになってきて,前に進めなくなり適切ではないと思います。ですから,私としては,基本的に,この修正案どおりで行くべきだと思っています。   内容的に付け加えますと,まず,神津委員が言われた,通信傍受のヒアリングですけれども,現行の通信傍受制度を作ったときも,当然,技術面の検討に当たり,専門家のヒアリングを十分に行いました。今回も当然のことながら,必要に応じて行わなければならないと思います。   安岡委員が言われたことの中身については,参考人取調べの録音・録画の点は,川出幹事が指摘されたとおりである上,今回の諮問の中でも,被疑者取調べというのが特化した形で例示されているので,そこから議論したということは間違いないと思います。それをどこまで広げるべきなのか,広げ得るのか,そういう問題なので,修正案にある書き方でよろしいのではないかと思います。   二つ目の○については,私も前に疑問を呈したとおりですけれども,とにかく具体案を作ってみて,適切なものができるかどうか見てみようということなのかなと思っています。   あとは,安岡委員のいう刑の減免制度などにおける弁護人の立会いについてですが,取調べへの弁護人の立会いの問題とはちょっと違う性質の事柄なのです。刑の減免制度など,それ自体の適正さをいかに確保するかという問題の中で,その一つの方策として弁護人の援助ということが採り上げられるという位置付けのものなのです。刑の減免などの制度を作るときに適正さを確保しなければならないのは当然で,そのための保障手続をどう作るかという問題なので,取調べへの弁護人の立会いという角度から特に付け加える必要はないし,付け加えると,違うニュアンスを持ってき得るので,私は反対です。 ○宮﨑委員 この特別部会は,村木委員のえん罪事件をきっかけとして,続発する深刻な多くのえん罪の原因として,様々な検証で指摘されています取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判を抜本的に見直して,制度としての可視化を含む新たな刑事司法制度の構築を目的として設置されたものと理解しております。このような部会設置の経緯と目的に照らすと,取調べの録音・録画制度において,多くの批判にもかかわらず,なお,対象とする範囲は取調官の一定の裁量に委ねるなどという案が残され,通信傍受の大幅な緩和や会話傍受の導入が検討対象とされる一方で,諸外国で通常行われている取調べへの弁護人の立会いが検討対象から除外されているのも理解し難いところであります。   しかしながら,被疑者の録音・録画の範囲や,参考人調べの録音・録画,逮捕段階で弁護人の援助を受ける仕組みなどについて,審議会の経過がある程度反映され,一定の修正が加えられていることや,録音・録画の制度化や証拠開示,勾留・保釈制度の改善がいずれも喫緊のテーマであることを踏まえますと,私はこの修正案で取りまとめを行うことについて,大局的な見地から同意させていただきます。   なお,試案が大きく報道されていますとおり,言うまでもなく国民世論の関心が極めて高い課題であります。捜査・公判の在り方を大きく変革させ,えん罪防止につながる制度とするため,我々の責任もまた重大だと改めて痛感したところです。議論を前に進めるために,部会長あるいは事務当局が本取りまとめをされたことについて,改めて敬意を表し,私の意見とさせていただきます。 ○周防委員 修正案を拝見させていただきまして,もう文言について,これ以上,井上委員もおっしゃっていましたが,それぞれの立場で,その言葉をどう理解するかというところも含めて,余り実りのある時間を持つことはできないような気がしますので言いませんが,安岡委員がおっしゃっていたように,参考人の取調べも簡単に無視されたくないという思いが私にもあります。被疑者と参考人を,そもそもそれほど簡単に分けていけるのか,被疑者になってしまうと録音・録画が必要だから,では参考人のままある程度引っ張ってしまえとか,そういうことすら考えてしまい,素人としては,そういうことに恐れを持つわけです。そういう意味で,参考人の取調べを,そんなことをやったら範囲が広過ぎてできないんだよという形で簡単に諦めてほしくはない。そこもきちんと検討されないと,やはりこの部会の意味はないと思いますので,是非参考人取調べについて,今は一顧だにしないような意見をお持ちの方もいらっしゃるみたいですが,きちんと議論していただきたいと思います。同じく弁護人の立会いについてもそうで,これについても,そう簡単に無視はしてほしくありません。できる限り,とことん詰めていただきたい。委員として参加している私としては,どのレベルで実現できるのかというところで,納得をしたいと思いますので,きちんと話してほしいなと思います。   証拠開示についてもそうです。私はしつこく全面的証拠開示を言ってきましたが,そのことについては,やはり賛同を得る部分は少ないようで残念ですけど,やはりこれもきちんと,今の制度の中でどれほど証拠というものが開示されているのか,要するに,酒巻委員は出るものは全部出るんだというふうにおっしゃいますが,本当にそうなのかというところを,もっともっと現場サイドで考えて,なるべく良い証拠開示制度にできないか,もっともっと良い証拠開示制度はないのかというところの努力を是非この部会ですべきだと思います。   また,勾留の問題もそうです。人質司法とこれだけ長い間言われてきたその現実をきちんと認識して,これからどういうふうに制度を考えるのかというところで,大きな制度改革だけでなく,人権の基本的な考え方として,勾留というものをどう考えるのかということについても,きちんとやはり話し合うべきだと思いますので,よろしくお願いいたします。 ○小野委員 きりがないと言われましたけれども,見え消し版の21ページの被疑者国選弁護制度についてなんですけれども,ここの枠の中には,「更なる公費負担の合理性や予算措置の可否」などという文言が入っておりまして,こういう公費負担の問題あるいは予算措置の問題というのは,このほかの制度についても当然生じ得る事柄であるわけですけれども,ここについてだけ,こういう文言が入っているということは,何か偏頗な取りまとめではないのかなというふうな気がしてならないわけですね。確かに,被疑者弁護については,憲法上の権利かどうかということについて議論があるわけですけれども,しかし,それは被疑者にとって,極めて重要な権利であることについては多分,異論がないことだろうと思いますし,それをこの間,段階的にではあっても拡大してきたという経緯もあるわけですから,その点については,ここの文言が枠内に入っているということについては,非常に私としては異論があります。ほかのところにもいろいろ入っているのであれば,それは合理的なまとめ方だと思いますけれども,ここだけについて入れてあるというのは非常に偏頗なことではないかなというふうに考えております。   それから,逮捕段階についても,今回修文をされて検討対象ということになったのは,大変結構なことだと思いますが,現状の取調べについては,勾留段階以前の状態での,いわゆる72時間の間で,かなり緻密な取調べがなされて,しかも,その状況については,録画をするというような実務が非常に広がってきているという現状を考えますと,逮捕段階での何らかの形での弁護人の派遣,弁護士の派遣,それが弁護人なのか,弁護人となろうとする者なのかどうなのかという,いろいろな仕組みはあり得ると思いますけれども,この点について極めて重要な問題となっていることは間違いのない現状がありますので,その点を踏まえて十分に御検討をいただきたいと思います。   それから,取調べへの弁護人立会いについては,別途検討というふうな取りまとめになっています。これもきりがないと言われればそうかもしれませんけれども,やはり,その立会いというのは,今や国際的なスタンダードだというふうになっておりまして,この国だけ非常に特異な状況に陥ってしまっているので,これを別途検討というのでは,誠に問題が大きいままで存続してしまうのではないかというふうに,今,大きな疑問があります。仮に,こういう形で別途検討とするのであるとすれば,具体的にどのような場で,どういうふうに検討するのかということも含めて,この部会でもそれなりの提示をしておくべきだろうと思います。そうでなければ,この問題がなおざりにされてしまう,そのまま放置されてしまうという,非常に大きな懸念があります。この部会の中でも,様々な委員の方からもそういう意見が大分出ております。また,視察に行った国々でもこういうことが実施されているという現状を踏まえて,この部会としても,それなりの見解をきちっと示しておくべきではないかなと考えます。 ○神幹事 先ほどの小野委員や宮﨑委員と全く同じような考えではありますが,私も,弁護人の取調べへの立会いについては,ここの説明文を読んでいますと,取調べへの支障が大きいということが強く言われています。日本の場合は,確かに緻密な捜査を行います。同時にまた,日本の場合について言えば,取調べ受忍義務なるものがあるというふうに言われてもおります。そういった状況下で弁護人の立会いがないというのは,ある意味では,諸外国に比べて更に過酷な要素を持ち得るし,それが今回提起されているいろいろな問題にもつながるところがあるのではないかと考えています。私としては,取調べ立会いというのは,その立会いの内容をどのように組み立てるかということによって,取調べへの支障と調整ができると考えていたんですが,残念ながら,今回はこれが取り上げられませんでした。   小野委員が述べられたように,取調べへの弁護人立会いが世界のすう勢となっているのですから,この日本で弁護人の立会権がないというのは問題だと思います。これをそのままにせず,きちんと議論する別の場の時期等についての方向性を示していただいて,だから,ここでは取り上げないという形にしないといけないと思います。「別途検討」する課題にしてしまうと,その検討が,結局,10年,20年先になりかねないということを私は懸念します。   それから,今回の「基本構想」では,四角く囲った検討項目を議論する中で,その検討結果を踏まえて,「必要に応じて」これに関連するとして幾つかの検討項目も取り上げていただきました。しかし,この「必要に応じて更に当部会での検討を加える」という項目も,厳格に考え過ぎますと,なかなか内容に入らずに終わるのではないかということも懸念しています。そういう意味では,十分な議論をしながらも,少しでも委員・幹事の皆さんが強い関心のある事項については,積極的に「必要に応じて」を活用して,その内容の検討に入ってほしいと思います。 ○露木幹事 先ほど小野委員がおっしゃった,21ページの「被疑者国選弁護制度の在り方」の枠囲いの中に,公費負担の合理性ですとか,予算措置の可否について,このテーマにだけ言及があるということについての問題提起があったわけですけれども,私が思うに,この被疑者国選弁護制度を拡充するというのは,被疑者はいつでも弁護人を選任することができるわけですから,国が選任するとはいえ,実質的には,その選任に要する費用を公的に負担することがいいのかどうかという,公的給付,一種の公的給付の範囲を拡充することがいいのかどうかという点に,多分本質があるんだろうと思うんです。そういう意味で,この点が正に問題の本質としてここに列挙されているんだろうと思います。   そのほかでは,録音・録画の制度を導入するということについても,確かに行政上のコストが掛かるわけですけれども,公的給付というのとは問題の本質が違いますので,したがって,この点についての言及があるものが区別されているんだろうというふうに私は理解しております。 ○小坂井幹事 私も別にもう修文までは求めませんので,意見ということで幾つかお話しさせていただければと思います。もう繰り返し弁護人立会いの問題は出ていますので,ちょっとくどくなってしまって恐縮なんですが,やはり将来的検討課題から別途検討ということで,出世したのかどうなのかよく分かりません。けれども,違うのかもしれませんが,やはりこの部会から外されたということについては,イタリアに行き,フランスに行き,アメリカに行き,韓国に行き,どの国も立会いがあったわけで,その視察の成果をやはりいかす場をきっちり設けるのは,この部会としての責任があるのではないのかなと思います。この「基本構想」の修正案自体を修文する必要が今となってはないんでしょうけれども,そこはそういう形での要望を申し上げておきたいと思います。   同時に,安岡委員が,弁護人の立会いに関係して,いわゆる協議・合意制度とか,刑の減免制度に関してのお話をされました。私は修文まで必要だとは思いませんけれども,前回のやり取りでも,もちろん川出幹事がおっしゃるように,あるいは井上委員のおっしゃるように,弁護人取調べ立会いマターではない側面があるのは事実です。けれども,同時に,こういった減免とか,あるいは協議・合意制度を作っていく中で,この「基本構想」の中では,例えば,取調べの全過程の録音・録画などの手続的保障を併せて講じる必要があるのではないかなどの指摘があったとの言及がなされているわけで,やはりそこでは弁護人の立会いもあり得る。もちろん関与の仕方は取調べへの立会いだけに限らないという趣旨もよく分かりますけれども,そこから,排除はされていないわけです。ですので,今後,そういう議論までは排除されていないということは,確認させていただいていいのではないのかなと思います。   さらに,ここまで言うと,いや,それはちょっと言い過ぎだと言われるかもしれませんが,身体拘束で,例えば,中間処分を今後設けるんだというようなときに,手続の適正さのためにはやはり勾留質問の段階で弁護人が関与するような仕組みも,それは考えていくべきだろうと思います。ですので,それはそういう意味での関与がどういう形であるかは,やはりまだまだ今後の議論というのは,そういう意味合いではあり得るのではないのかなと思っております。   それと,これも,もしかしたらそこまで読むと読み過ぎだと言われるかもしれないんですが,前回ちょっと私,意見としては別に申し上げていないんですけれども,被害者等の捜査段階の供述の録音・録画媒体の公判での活用というようなことで,27ページから28ページまで記載がありまして,ここでは,例えば,第1回公判期日前の証人尋問を実施する案とか,幾つかの案が考えられているんです。けれども,やはりこの種の問題は,いわゆる司法面接の研究といったものは,欠かせないことだと思いますので,それはやはり,今後の議論の中で,議論はされていくことでしょうから,別に検討として外れているわけではないんだろうなというような意見を持っております。   それから,証拠開示の関係では,24ページで今回,捜査報告書等という形で,類型の対象を広げる検討もするんだという形になっておるわけです。前回,弁護士の委員の方が言われたことと,若干違うことを言うかもしれませんが,今の実務では,この捜査報告書を6号に入れるかどうかは,相当シビアな話になっておって,仮に裁定まで求めれば,むしろ任意に開示されている例が多いのではないかというようなことがあります。やはり疑義があるような類型証拠の問題が一杯あると思いますので,仮に類型証拠の問題で今後検討していくんだというのであれば,やはりそういった疑義がいろいろあるものが相当数あると思いますので,類型証拠の範囲をきっちりと広げていくという作業をしていただければということを意見として考えております。 ○本田部会長 これまでかなりの時間,御意見を頂きました。それを整理しますと,「基本構想」については,この修正案のとおりということで,おおよそ皆さんの御理解をいただけたのではないかなと思います。そのほかに,今後の審議の進め方に関する御意見なり,それぞれの課題についての御主張もございましたが,これらはこれからの部会に関することですので,本日は,まず,この修正案のとおりに「基本構想」を取りまとめることについて,皆様の御了承をいただきたいと思うのですが,よろしゅうございますか。 (「異議なし」の声あり)   ありがとうございました。   それでは,本日お示ししました修正案の内容で「基本構想」を策定することといたします。   次に今後の審議の進め方について御説明をさせていただきたいと思います。 ○青木委員 すみません,もう1点だけ言わせていただいてもよろしいでしょうか。   修正ということではないんですけれども,今までの流れでその続きで一言だけ申し上げたいことがありまして,DNA型資料の採取及び保管等に係る法制化についてなんですけれども,これについては,捜査手法,取調べの高度化を図るための研究会で法制化について議論されたということがこの部会でも紹介されて,その最終報告についても御報告があったと思います。   それで,このまとめの中では,この法制化について,ここから外すという形になっていまして,それ自体は,これだけ課題が多い中で致し方ないとは思うんですけれども,先ほどの研究会の最終報告の中でも,DNA型資料の採取対象,データベースへの登録対象,採取方法,データベースからの採取時期,データベースの運用期間,第三者機関による監督,被疑者・被告人側からのアクセス等といった運用に関する個別の論点についても,引き続きどのような選択肢が最も効果的なものであるか等について,検討を続ける必要があるというふうに指摘されていまして,その必要性が今,なくなったとも言えないでしょうし,むしろ増しているんだろうと思うんです。この部会では検討しないにしましても,この問題について,今,この最終報告に出されたようなものなどを含めて,それをきちんとカバーする法律,法制化については,この部会とは別途でいいと思うんですけれども,きちんと議論する場を設けて,議論を始めるべきだと思います。先ほど立会いの問題とか,手続二分の問題とかが出ましたが,それについても是非,別の場所で具体的な検討を始めていただきたいと思っております。 ○本田部会長 御意見としてお聞きしておきます。   それでは,今後の進め方について,皆様にお諮りさせていただきたいと思います。前回も申し上げましたけれども,当部会として,具体的な制度の策定に向けた検討を効率的に進めていくために,当部会の下に二つの作業グループを設けまして,まずは,先ほど取りまとめました「基本構想」に沿いまして,たたき台としての具体的な制度案を作成していただき,これを基に当部会で議論を行うこととしたいと考えております。そして,当部会で議論いたしました結果を踏まえ,作業グループにおきまして,順次,制度案を改訂していただき,これを基に,当部会で更に議論を行い,具体的な制度の策定を進めていきたいと思います。   作業グループの設置に関します具体的な事項につきましては,御提案させていただく内容を書面に整理してございますので,これから配布させていただきたいと思います。 (書面の配布が行われた)   それでは,この書面に沿いまして,具体的な事項につきまして御提案をさせていただきたいと思います。なお,作業グループというのは,法制審議会における位置付けが,「部会分科会」ということになりますので,正式な名称は「作業分科会」ということにいたしますけれども,今後,御説明等をするときには,「作業グループ」と呼ばせていただきたいと思います。   この書面の冒頭の「趣旨」に記載いたしておりますとおり,作業グループは,飽くまで制度設計に関する試案等を作成する場として設置するものであり,具体的な制度設計やその採否の判断など実質的な審議はこの部会で行いますので,その点をまず,御承知おきいただきたいと思います。   そして,作業グループには,専門的・技術的な検討を加えつつ,試案等を作成していただきたいことから,構成員といたしましては,この書面に記載した方々にお願いすることといたしたいと考えております。そして,井上委員,川端委員におかれましては,誠に大変でございますが,分科会長として,各作業グループの進行を総括いただければと思います。   次に,検討事項の分担につきましてでございますが,基本的には,各検討事項相互の関連性を考慮いたしまして,第1作業分科会におきましては,「基本構想」の「第3」の「1」に記載いたしました,主として捜査段階に関する検討事項,第2作業分科会には,「第3」の「2」に記載しております,主として公判段階に関する検討事項を分担させていただくこととしたいと考えております。その上で,予想される作業量も考慮いたしまして,「被疑者国選弁護制度の在り方」につきましては,第2作業分科会に分担していただくこととして,この書面に記載したとおりの分担でお願いしたいと考えております。   次に,その他運営に関する事項でございますが,まず,構成員の方が御欠席される場合などもあり得ますので,その場合は,分科会長において,作業グループの構成員以外の委員・幹事の御出席をお願いすることができるものとしたいと考えております。   また,作業グループにおきましても,議事録を作成いたしまして,法務省のホームページで公開することとしたいと思いますが,テレビモニターによる議事の公開を行うまでの必要はないと考えております。   なお,構成員以外の委員・幹事の方々に対しましては,各作業グループの開催後,できるだけ速やかに作業グループでの議事の概要をお送りすることとともに,議事録につきましても,お送りさせていただくことといたしたいと思います。   このような内容で,当部会の下に二つの作業グループを設置することにつきまして,御了承いただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり)   ありがとうございました。   それでは,御提案させていただいたとおり,作業グループとして「第1作業分科会」と「第2作業分科会」を設置することといたします。各作業グループにおかれましては,各検討事項につきまして一通りの御検討をいただいた上で,まず,できれば本年5月頃をめどに,当部会にそれまでの検討結果を報告していただいて,それに基づいて当部会で審議を行いたいと考えます。その後,作業グループの更なる作業を経まして,部会で審議を行い,このようなサイクルによって,成案の取りまとめを行っていきたいと考えます。なお,各検討事項につきまして,どのような順序で作業を進めるか,どのような資料を作成するかといった具体的な作業方法につきましては,差し当たり各作業グループで決めていただきたいと思います。   当面,このような形で審議を進めていくことについても,御了承いただきたいと思いますが,よろしゅうございますか。 (「異議なし」の声あり)   それでは,御提案いたしました方法で審議を進めていきたいと思います。 ○周防委員 この作業グループの作業を見学させていただくことはできるのでしょうか。別に口を出すのではなくて,どういう会議が進んでいるのか単に見てみたいなということなのですが。 ○本田部会長 傍聴したいということであれば可能ですが,事前に事務当局に言っていただき,分科会長の御了解をいただいておいてください。 ○周防委員 分かりました。ありがとうございます。 ○本田部会長 最後になりましたが,本年2月8日に法制審議会の総会が開催される予定とされています。当部会の審議が始まって約1年半が経過しておりますことから,当部会での調査審議の経過等につきまして,私から総会に対して中間報告をさせていただきたいと思います。   それでは,本日の議事はこれにて終了したいと思います。本日の会議につきましても,特に公表に適さない内容というものはなかったと思いますので,発言者名を明らかにした議事録を公表させていただくことといたしたいと思います。   なお,当部会の次回の会合につきましては,追って日程調整をさせていただきたいと思います。   本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。 -了-