法制審議会     被災関連借地借家・建物区分所有法制部会 第9回会議 議事録 第1 日 時  平成25年1月29日(火) 自 午後1時30分                       至 午後4時23分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  罹災都市借地借家臨時処理法及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しについて 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○山田部会長 予定した時刻が参りましたので,法制審議会被災関連借地借家・建物区分所有法制部会の第9回会議を開会いたします。   本日は御多用の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   それでは,事務当局から配布資料の説明をお願いいたします。 ○岡山幹事 配布資料の説明をさせていただきます。事前に配布資料目録,部会資料13及び同14を郵送させていただきました。部会資料13は,「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しに関する要綱案(案)」でございます。部会資料14は,「罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する要綱案(案)」でございます。本日の御審議は,この部会資料13及び14に基づき,進めていただきたいと存じます。 ○山田部会長 それでは,本日の審議に入りたいと存じます。本日は,部会資料13及び部会資料14について御審議を頂きました後,できましたら,罹災都市法及び被災マンション法の要綱案の取りまとめを行いたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。   まずは前回の部会に引き続きまして,被災マンション法の見直しについて御審議を頂きます。部会資料13について事務当局から前回までの資料からの変更点を中心に説明をしてもらいます。まずは「第1 区分所有建物が大規模一部滅失した場合における特例」のうち,「1 取壊し決議制度」について前回資料からの変更点を中心にお願いいたします。 ○川副関係官 それでは,説明させていただきます。   まず,第1の「1 取壊し決議制度」について御説明いたします。   前回からの変更点を中心にということですけれども,「取壊し決議制度」のうち,(1)の「多数決要件」,(2)の「決議事項」につきましては,変更はございません。   (3)の「集会の手続」,ここのうち,②の中のイ,通知事項,また,説明事項としているところですけれども,このイというところについて記載を若干変更しております。前回までは「取壊しを必要とする理由」としておりましたけれども,今回,「取壊しが合理的である理由」と記載させていただいております。この点は,条文化する際には法制的にどのような文言を採用するかということを考えなくてはいけないという留保があり,他の用例なども見比べながら,検討を最終的にはしなければいけないというところはございますけれども,前回までの部会において,ここで通知事項,それから,説明すべき事項として,どのようなものが要求されているのかということを御議論いただきました。その中では,取壊し決議というものを提案する者において,今回,いろいろな選択肢がある中で,取壊しを行うことが合理的であると考えた理由を具体的に説明すると,そういうことが求められているということが確認されたのではないかと思います。そこで,要綱案におきましては,実質的にどういった事項を通知し,説明させるということを考えているのかということを表すという意味で,この要綱案(案)として,「取壊しが合理的である理由」という記載とすることを提案させていただいた次第でございます。この点につきましては,通知事項,説明事項は,この後も各決議において出てまいりますけれども,各決議において同様に今回,変更を加えております。   また,前回の部会におきまして②のアからウまでの各通知事項につきまして,どのような順番にするかということも若干,御議論いただいたかと思っております。こちらについても,結局,最終的に条文を作成する際に,法制的な観点から変更が必要になるということが考えられますけれども,前回の部会において頂きました御意見の中では,考え方としてはまず区分所有法にあります復旧の決議や建替え決議をしない,今回,大規模一部滅失した建物について現在の区分所有関係を維持しないと考えた理由というのをまず前提として,その上で,その後の方法として取壊しという方法を採る,それが合理的だという理由を明らかにするというような思考過程で考えるものなのではないかという御意見がございました。そこで,要綱案(案)においては,このような順番で提案をさせていただいた次第でございます。   「集会の手続」につきましては,そのような変更をしておりまして,あとは表現,字句に関する修正となっております。   (4)の「決議に賛成しなかった区分所有者の取扱い」,それから,(5)の「取壊しに関する合意」につきましても,表現の修正はございますが,内容の修正はございません。   (6)の「期間制限」につきましても,前回までは期間制限の1年というところに括弧を付けておりましたけれども,一応,今回,括弧を外した形で,1年以内ということを提案させていただいております。前回までの部会におきまして,この1年という期間について様々な観点から御懸念や,もうちょっと期間を長くすべきではないかという御意見も頂いておりました。   事務当局としましても,そのような御意見を踏まえてもう一度,考えてみた次第でございますが,1年という期間が若干短いという御意見は非常にもっともなところがございますけれども,これまで起こった中で,阪神・淡路大震災や東日本大震災といった事例を踏まえますと,1年ということを更に延ばすといったところの必要性があると言い切ることまでは,なかなか難しいのではないかと。阪神・淡路大震災においても,建替えの発意から1年以内に建替え決議ができたというような事例等もございましたので,1年ということを期間制限として,大規模一部滅失した建物について,早期に取壊しを実現するというようなことを考えるのが相当ではないかと思いまして,再び1年ということで要綱案(案)では提案をさせていただいております。 ○山田部会長 ありがとうございます。   それでは,御意見,御質問がございましたら,御発言をくださいますよう,お願いをいたします。 ○山谷委員 期間制限の件について,一言,申し上げたいと思います。前回の議論につきましては,今,川副関係官からお話があったとおりで私も承知しております。私の結論としては,1年で反対はしないということで申し上げたいと思います。ただ,前回,それこそ阪神・淡路との対比で,東日本大震災ではどうだったかということを私は問題意識がありまして発言したんですが,結局はそれこそ東日本大震災で解体決議があった例をとっても,1年で恐らく差し支えない現状だということで,私のほうで確認が取れましたので,1年でもいいのかなという,そういうことです。   ただ,問題になっていますのは,解体に当たっての費用の念出とか,そういういろいろなことを前提とした場合に,本当に1年で大丈夫だろうかという懸念は私のほうでありまして,あれこれ,関係の方の話を頂戴したりしたんですが,結局,今回は幸いなことに公費解体ということで資金的な手当が付いて,それで期間をそれほど窮屈に考えなくてもいいという現状がありますので,そういういろいろな制度の中でいろいろな手当の中で考えるべき要素もあるので,今回は1年ということに反対はしないということで申し上げたいと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ほかにございませんでしょうか。いかがでしょうか。採決は最後にまとめていたしたいと思いますが,しかし,そこに進めるに当たって一つ一つの説明を事務当局からしていただく,そのブロックごとにこのような内容でよいかということを一応,お諮りしながら進めていきたいと考えています。そこで,「1 取壊し決議制度」について御意見又は御質問がありましたら御発言いただき,それがないようでしたら,一応の「1 取壊し決議制度」についての取りまとめをしたいと思います。そういう進め方をいたしたいと思っておりますので,それを前提に,今,ここで御発言はございませんでしょうか。よろしいですか。   それでは,ただいま,山谷さんから御発言いただいたところでございますが,御修正の御意見はなかったということでございますが,よろしゅうございますでしょうか。それでは,「1 取壊し決議制度」については,この内容で取りまとめを行うこととさせていただきます。改めて採決をさせていただきます。   それでは,「2 建物敷地売却決議制度」について,前回の資料からの変更点を中心に事務当局から説明をしてもらいます。お願いします。 ○遠藤関係官 それでは,「2 建物敷地売却決議制度」について御説明を差し上げます。   まず,2の柱書き,それから,(1)の「多数決要件」につきましては,前回の部会からの変更はございません。   (2)の「決議事項」のうち,①のウでございますけれども,これは,前回は「売却による代金の分配に関する事項」としておりましたところを「売却により各区分所有者が取得することができる金銭の額の算定方法」という表現に改めております。この点につきましては,これまでの部会での御議論の中で,建物敷地売却決議がされた後に,どのように建物及び敷地の売却が実現されるのかということに関しまして,御議論を頂いたところでございますけれども,そのような現実の売却の在り方を前提とした場合には,必ずしも「代金の分配に関する事項」という表現が余り当てはまらないような場面が出てくるのではないかという御指摘を頂いていたところかと思います。   そういった御意見を踏まえまして,もう一度,事務当局で検討したところとして,このような表現を記載させていただいております。この点も最終的には法案を起草するに当たって,更に検討しなければならないと考えておりますが,差し当たり,「各区分所有者が取得することができる金銭の額の算定方法に関する事項」という表現とさせていただいておる次第でございます。実質的な内容につきましては,前回までの部会で御説明を差し上げていたところと変更するものではございません。   それから,(3)の「集会の手続」でございますけれども,このうち,②のイにつきまして,集会の招集の通知事項,それから,説明会における説明事項としまして,従前,「建物及び敷地の売却を必要とする理由」としておりましたところを「合理的である理由」という表現に改めております。その趣旨につきましては,先ほど「取壊し決議制度」のところで御説明を差し上げたところと同様でございます。(3)のその余の修正につきましては,1の「取壊し決議制度」のところで似たような表現をしているところがございますので,それとの平仄を合わせたという趣旨でございまして,この点も実質的な内容の変更にわたるものではございません。   それから,(4)の「決議に賛成しなかった区分所有者の取扱い」につきましては,1点,1の「取壊し決議制度」との平仄を合わせる修正を加えたほかは,修正はございません。   (5)でございますけれども,タイトル,それから,本文の中身のところで「建物と敷地」という表現をしていたところを今般,「建物及び敷地」という表現に修正をしております。これは2の柱書きのところに,「多数決により建物及び敷地を売却する旨の決議をすることができる」という表現をしておりますので,その柱書きの表現に合わせたという趣旨でございます。これも内容に変更を加えるものではございません。   それから,(6)の「期間制限」でございますけれども,これも取壊し決議制度における期間制限と同様に,1年に付されていた括弧を外したということでございます。   それから,第1全体の後注になりますけれども,便宜上,ここで併せて御説明を差し上げます。後注は三つございます。   まず,(後注1)でございますけれども,これは今般,要綱案を取りまとめていただくに当たって,それに合わせた表現に直したというものでございまして,実質的な中身を変更するということではございません。   それから,(後注2)(後注3)につきましては,前回の資料からの変更はございません。(後注2)につきましては,①の「建物内の見やすい場所に掲示してすることができる」という点につきまして,前回,大規模一部滅失した建物を前提としますと,建物の中に入れないというような場面も想定できるのではないかという御指摘を頂いたところかと思います。この点につきましては,事務当局としましても必ず建物内に掲示をしてくれということを,この要綱案(案)の表現で求めるという趣旨ではございませんで,建物内に掲示することが困難である場合には,敷地の建物の周辺に掲示をするということでも足りるというように考えております。   ただ,その実質の内容を表現する言葉として,どのような文言が適切かというところがまだ十分詰め切れていないというところもございますので,その点につきましては建物内とした上で,解釈でそのようなことが可能であるということをお示しをするのか,あるいは適切な表現を文言上,なお,検討して,そのような表現ぶりにするのかということにつきまして,更に検討させていただければと考えております。 ○山田部会長 ありがとうございます。2の「建物敷地売却決議制度」及び第1全体の後注として三つ上がっております。それらをまとめて,ただいま,説明を頂きました。ありがとうございます。   それでは,御質問,御意見がありましたら御発言ください。2の「建物敷地売却決議制度」についてでありましても,後注についてでありましてでも,どちらでも構わないと思います。よろしくお願いいたします。 ○沖野委員 後注についてよろしいでしょうか。(後注1)のところなのですけれども,「多数決により,建物を取り壊し,かつ,敷地を売却する旨を決議することができるものとする」という書き方からいたしますと,新たな決議制度をもう一つ設けるようにも読めますし,今までの議論の中では,二つの決議を同時期にすることも可能という説明であったように思います。それで,新たな決議というようなことになりますと,主体の問題ですとか,期間の問題ですとか,それぞれ独立に考える必要が出てくるように思われまして,ここでの後注の趣旨は,従来からの二つの決議を併せてするということなのか,それができるのだから,一つの決議としてまとめてやってしまうということなのか,その点をまずは教えていただけますでしょうか。 ○山田部会長 御質問がありましたのでお答えください。 ○遠藤関係官 すみません,ここで後注にしておりますのは,正に今,二つの選択肢を沖野委員からお示しを頂いたと思います。一つの選択肢は一つの決議,これまで検討いただいたものとは違う,独立の決議を新たに創設するという方法,それから,もう一つは既に取壊し決議制度,それから,第2,後ほど御説明を差し上げますが,敷地売却決議制度という二つの決議がありますので,それを合体して行うという方法もあろうかと思います。   ただ,この点につきましては,本当に取壊し決議制度及び敷地売却決議制度という二つの異なる決議を同時にできるということが法制上,担保できるのかというところにつきまして,なお,引き続き検討しているところでございます。もし,それができないということになりますと,今度は独立の決議を作らざるを得ないということも考えられるところでございます。ただ,その場合におきましても,取壊し決議制度,それから,敷地売却決議制度,これら二つを同時に行うということが議論の出発点といいますか,ここでの部会で御審議いただいたところかと思いますので,その実質の中身を変えることのないよう,決議の主体の問題であるだとか,その他関連する集会の手続であるだとかということについて,必要な手当てを取るということもあり得るということで,ここの後注の記載をこのような表現としているということでございます。 ○沖野委員 御趣旨は分かりまして,しかし,元々,同時にやるという場合も本当に単純に並列でうまくいくのか,どこかで何らかのつまずきがあったときにどのような形になっていくのか,元々,主体が変わり得るようなものであったわけで,二つの制度というのは,その平仄がうまく取れるのかというのは若干,気にはなっておりましたけれども,それぞれの決議の骨格がある中で考えていくというので,解釈によって対応できるのかもしれないと思っておりました。けれども,全く新しい一つの決議制度ということになりますと,作り込みが必要なようにも思われます。先ほどの繰り返しにすぎませんが,そういうものを作り,かつ,その内実についてはお任せするというのが(後注1)の趣旨ということですよね。 ○遠藤関係官 そのような趣旨でございます。仮に一つの決議とした場合に,具体的にどのようなものが考えられるかといいますと,基本的には取壊し決議制度,それから,敷地売却決議制度,それぞれ決議要件における議決権の算定の在り方が,取壊し決議制度の場合は建物を基準とした区分所有者及び区分所有法上の議決権を基準としております。他方で,敷地のほうは敷地共有持分の敷地に対する持分の価格の割合を多数決の基準としております。これを仮に一つの決議でできるという立て付けにした場合であっても,この実質は動かさないと,要するに建物と敷地,それぞれについて取壊し決議制度で要求されている5分の4と,敷地売却決議制度で要求されている5分の4というものが両方必要になると。結果としましては建物敷地売却制度,第1の2における決議要件と同様のものになるのではないかと考えております。   集会の手続につきましても招集の通知事項,それから,説明会の説明事項につきましては,取壊し決議制度で要求されている説明事項と併せて,敷地売却決議制度で要求されている通知事項について一つの決議でするということにした場合には,同様の説明をしていただくというようなことが考えられるのではないかと思っております。ただ,ここはまだ,内部でも検討しているというところは,先ほど申し上げたところでございます。 ○沖野委員 更に詳細を詰めていただければと思いますけれども,例えば一つの決議であるけれども,それぞれについて議決権が異なり得るわけでしょうか。その場合に,取壊しには賛成だけれども,売却には反対であるというような意向を表明できるのかとか,あるいは政令が公布されましてから2年たった段階においては,取壊し決議はできないんだけれども,敷地売却は取壊しが前提なので,3年はたっていないとしても,もはや,この特殊の決議はできないというようなことになっていくのか,そういった問題がいろいろ出てくるかと思いますので,それは既に重々承知のことと思いますけれども,考えるべき問題はいろいろあるのではないかということだけ申し上げたいと思います。繰り返しで申し訳ありません。 ○山田部会長 ありがとうございます。   今,沖野さんから具体的に指摘がありました2点については,今,事務当局でお考えのところがあれば御説明ください。 ○遠藤関係官 まず,それぞれの議決権について不統一行使のようなことができるのかということでございますけれども,基本的に取壊し決議制度は区分所有者が主体になっておりまして,敷地売却決議制度はかつて敷地利用権であった権利,敷地共有持分を有する人ということで,敷地売却決議制度の段階では敷地共有持分になっておりますけれども,建物が建っている状態であれば,元区分所有者であった者と基本的には同一のものになろうかと思います。ですので,議決権の算定の方法自体は,敷地についても5分の4をクリアしなければいけないという点は異なることかと思いますけれども,決議の構成員については,基本的には変更はないと考えております。   その上で,取壊しと敷地の売却を一つの決議でするという場合に,自分は,取壊しには賛成なんだけれども敷地の売却には反対であるという場合に,どういった議決権の行使の仕方があり得るかという御質問もあったかと思いますけれども,その点につきましては,仮にこれが一つの決議であるとした場合には,全体がパッケージで一つの議案の内容になっているかと思いますので,その場合には反対の一票を投じていただくということになるのかなと考えております。   それから,期間制限についても御指摘があったと思います。これは,1の取壊し決議制度,それから,建物敷地売却決議につきましては1年という期間を区切っております。これは(後注3)にございますけれども,大規模一部滅失した建物につきましては,一定の期間を過ぎてもなお必要な決議がされないということになりますと,区分所有者間の相互の買取り請求というものが発生するということが区分所有法で規定されておりまして,その期間は被災マンション法で延ばしているという立て付けになっております。   ですので,取壊し及び敷地の売却ということを一つの決議でするという場合には,まだ,建物が建っているということが前提になっているかと思いますので,取壊し決議,それから,建物敷地売却決議制度と同様の期間制限に服するものと考えられます。それで,1年の期間が過ぎた場合には(後注3)にありますように,区分所有者間相互の買取り請求ということで,事態の打開を図っていただくものと考えております。 ○山田部会長 よろしいですか。   (後注1)について沖野さんから御質問を頂き,遠藤さんからも詳細な説明をしていただきましたが,この点について何か更に御意見がございましたら,ほかのところの御意見よりも先にしていただけると集中することができるかと思いますが,いかがでしょうか。   では,また,お気付きの点がありましたら,(後注1)に戻っていただくことはお願いをしたいと思いますが,2の「建物敷地売却決議制度」と後注が三つありますもの全体に広げて,御質問,御意見を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。 ○鎌野委員 確認ですけれども,(後注3)で,前回と変わるところはないのですが,今,相互買取り請求の話が出ましたので,確認させていただきます。(後注3)の相互買取り請求,現行の被災マンション法の5条の規律について,所要の整備をするものとすると。そうすると,飽くまでも現行では全部滅失というのを前提としているのが被災マンション法ですので,今回,取壊し決議制度あるいは建物敷地売却決議制度ができたから,それも同じように区分所有法の61条12項の6か月というのを1年にすると,そういう趣旨と理解していいんでしょうか。それ以上,踏み込んで,こういった相互買取り制度自体を何か制限するとかということは含まないという理解で,ただ,時間を6か月から1年にするという理解でよろしいんでしょうかということです。 ○遠藤関係官 正に御指摘のとおりのことを考えておりました。現行の区分所有法61条12項は,大規模一部滅失した日から6か月を経過しても,復旧決議,それから,建替え決議,いずれの決議もされない場合には,相互の買取り請求が発動するという立て付けになっております。これを被災マンション法は政令の施行の日から1年と,期間の伸長をしているということでございますけれども,今回,復旧決議,建替え決議以外の選択肢というものが追加されますので,それらの決議のいずれもなされない場合,取壊し決議,それから,建物敷地売却決議,それから,もし,仮にもう一つ作るとすれば取壊しと敷地の売却というのを一つの決議ですると,これらいずれの決議も1年以内にされない場合には,区分所有法61条12項に戻って,相互の買取り請求が行われるということを考えております。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   私から申し上げるほどのことでないかもしれませんが,先ほどの沖野さんの御質問と遠藤さんからの御説明のところを反復させていただきますと,(後注1)については一つの決議で行うか,二つの決議で受け止めるかについては事務当局に任せてほしいと,いずれかの方法によって(後注1)で示されていることを実現するという形で委ねてほしいということであります。それについては沖野さんから具体的に御質問があったところにも答えがありましたが,ほかにも更にあろうかと思いますけれども,これまでの議論を反映させた形で,この部会の考えというものを実現することができると事務当局では考えているということで,この後注の3行の表現にまとめさせていただいているということでございます。また,御意見を頂けたらと思いますけれども,(後注1)についてはそういう趣旨で取りまとめをしてよいかということをこの後にお諮りしたいと思います。   ほかにいかがでしょうか。2の「建物敷地売却決議制度」の本体のほうは何かございますでしょうか。   それでは,ここにつきましても1と同じような形で進めさせていただきたいと思います。採決はまた改めていたしますが,まずは中途のものとしてでございますけれども,2の「建物敷地売却決議制度」については部会資料13のとおりで,修正をすべきであるという御意見はなかったということでよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。それでは,この内容で「2 建物敷地売却決議制度」及び後注3項目も含めてでございます。この内容で取りまとめを行うこととさせていただきます。改めて採決はさせていただきます。   それでは,先に進みます。「第2 滅失又は取壊し後の建物の敷地についての特例」について,前回の資料からの変更点を中心に事務当局から説明をしていただきます。お願いします。 ○遠藤関係官 それでは,第2につきまして全体を通して御説明を差し上げたいと思います。   まず,第2の前注でございますけれども,(前注2)につきまして要綱案(案)ということに合わせた表現ぶりに訂正をしたところがございますが,内容的な変更は(前注1)(前注2)のいずれもございません。   それから,「1 敷地共有者による敷地の管理に関する規律」のうち,(1)につきましては「全員で」という表現を削除させていただいております。前回の部会では,「敷地共有者は全員で集会を開き」うんぬんという表現としておりましたけれども,このうち,「全員で」という表現を削除しております。現行の被災マンション法の2条で,再建の決議をするための集会を開くことができるという趣旨の規定がございますけれども,そこの条文上は「全員で」という表現がございませんでしたので,そことの平仄を合わせたという趣旨でございます。具体的な内容の変更にわたるものではございません。それから,そのほかにも「取壊し決議制度」,それから,「建物敷地売却決議制度」で出てきた表現に平仄を合わせる修正を行っております。   それから,1の(注)でございますけれども,前回の部会における資料では,(注1)として規約に関する規律は設けないものとするという注をしておりましたが,要綱案(案)でお示しする内容としましては新たに規律を設けるものについて,その内容を表現するということかと思います。規約に関する規律は設けないということで,前回,御審議いただいた結果,そこの点については異論がなかったと承知をしておりますので,その点につきましてはあえて注で残す必要はないであろうということで,(注)から記載を落としたということでございます。   それから,2の「敷地売却決議制度」につきましては,基本的には他の第1,それから,第2のところで出てきた表現と平仄を合わせた修正を行ったものでございまして,内容の変更はございません。   (3)の②でございますけれども,集会の招集の通知事項,それから,説明会における説明事項として,前回の部会では「敷地の売却を必要とする理由」という表現を用いておりましたけれども,これを「敷地の売却が合理的である理由」と改めたところにつきましては,1の「取壊し決議制度」,それから,「建物敷地売却決議制度」について御説明を差し上げた趣旨と同様でございます。   それから,「3 取壊し後の敷地についての再建の決議制度」につきましても,同様に平仄を合わせた表現上の修正を加えておりますけれども,実質的な内容の変更はございません。招集の通知事項につきまして,「再建が合理的である理由」という表現を用いております趣旨は,先ほど来,御説明を差し上げているところと同様でございます。   それから,「4 共有物分割請求の制限」につきましては,前回の部会からの変更はございません。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ただいま,「第2 滅失又は取壊し後の建物の敷地についての特例」について御説明いただき,その中では4項目の特例がございますが,それらを合わせて御説明を頂きました。この4項目のどこからでも結構でございますので,御質問,御意見がありましたら,御発言をお願い申し上げます。いかがでございましょうか。 ○鎌野委員 これも前回から修正されているわけではないんですけれども,改めてこういう要綱案(案)になったということで質問というか,確認をさせていただきます。1の(1)の「区分所有建物が政令で定める災害により滅失し」という,この「滅失」というのは全部滅失という,そういう理解でよろしいのかと。それで,被災マンション法では「全部が滅失し」と書いてあるんだけれども,この要綱案では特にそれを書かなくても,この全体からそのことは理解できるということで書かなかったのか,それから,先の話ですけれども,これを条文化する場合に全部滅失という「全部」というのを入れるのかということで,他方,この要綱案のままですと「滅失」と書いてあるので,一部滅失あるいは一部大規模滅失というようなのも含むようにも読めないことはないのですが,御提案の趣旨としては全部という意味なのか,そして,何で全部という言葉を入れなかったのかということで,その辺りを教えていただければと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。それでは,事務当局から御発言ください。 ○遠藤関係官 まず,この記載の「滅失」という言葉の趣旨は,今,御指摘を頂いたとおりでございまして,全部が滅失したということでございまして,大規模一部滅失した場合は含まないという趣旨で記載をしております。なぜ,このような表現を採ったのかということにつきましては,現行の被災マンション法は,全部が滅失という表現をしておりますけれども,この部会における資料としては,後に取壊し決議に基づき取り壊された場合というものと滅失というものを対比して,今まで御説明を差し上げてきたというところでございますので,表現としてはこのような書きぶりにさせていただいているということでございます。   確かに条文にしたときに,全部が滅失という表現が必要なのではないかという点につきましては,更に検討したいと思っておりますが,現行の滅失という概念に新たに取壊し決議に基づき取り壊された場合ということが今般,含まれることになりますので,その辺との平仄も考えながら,最終的にどのような条文の表現にするかは,検討させていただければと考えております。 ○山田部会長 実質としては全部滅失であるということで,ここに全部滅失という表現を使わなかったことは御説明のあったとおりであり,そして,法律案の法文にしたときにどうするかは,更に検討したいということでございますが,よろしゅうございますか。   第2のうち,ただいま,1について御発言があり,それに対する説明をさせていただいたところですが,1でもあるいは別のところでも結構かと思います。御質問又は御意見はございませんでしょうか,4項目の特例がありますが。 ○鎌野委員 度々,すみません。これも最終段階ですので確認という意味で,ある意味では議事録にとどめていただければという趣旨で発言させていただきます。部会資料12では,(注1)としていた規約に関する規律は設けないものとするということの御説明,それから,この点については前に私が意見を申し上げましたけれども,頂いた御説明で特に異論はございません。(注1)の趣旨でよろしいと思います,設けないものとすると。   そして,今回の部会資料13では(注1)を除くという趣旨ですけれども,この要綱案が公表されたときの理解ということで,そうすると(1)のところは途中から読みますと,「敷地共有者は,集会を開き,及び敷地管理者を置くことができるものとし……区分所有法に準じ,所要の規律を設けるものとする」ということで,部会資料12の(注1)が外れてしまうと,この要綱案の読み方としては二通り読めるといいますか,一つは現行の区分所有法では集会を開き,規約を定め,管理者を置くことができると現行法ではなっているけれども,そこで,「規約を定め」という文言がないので規約は定めないんだなと,言わば少し区分所有法を知っている人はそう読めるのですけれども,そうでない人は,集会を開き,管理者を置くことができ,そして,更に区分所有法に準じ,規律を設けるものとするということで,そうすると,区分所有法に準じると規約を定めということも入るので,どうなのかなというようなことが問題になろうかと思いますけれども,結局,ここで区分所有法に準じというのは,最初のところで集会を開き,管理者を置くことができるということ,わざわざ規約を定めということは書いていないということは,区分所有法に準じというのも規約については定めないと,多分,そういう理解になろうかと思いますけれども,多分,そういう御趣旨で,これ自体は異論はないんですけれども,若干,その辺り,心配かなと,要綱案で,ですから,なかなか,注の付け方も難しいんですけれども,確かに設けないような場合には注は付けないというようなことですけれども,要綱案の段階でその辺りの誤解がないようにというようなことを私は思っていて,わざわざ発言させていただいた次第です。こういった審議会でそういった議論があったということで,記録にとどめていただければと思いまして発言をした次第です。 ○遠藤関係官 この記載の趣旨としては,今,御発言を頂いたとおりでございまして,区分所有法3条の中では,集会を開き,規約を定め,及び敷地管理者を置くことができるという表現を採っている中で,あえて規約の部分については記載をしなかったと。それから,区分所有法の第5節が規約及び集会という節の名前になっておりますけれども,そこにつきましても集会に関しということで規約については触れていないというところで,規約についての定めは設けないということを表現したということでございます。 ○沖野委員 今の鎌野委員の御指摘を受けてということなのですけれども,もしも,その点の疑義を払拭するのであれば,あるいは一つの可能性として,本文に書き込むということも考えられるのかなと思いました。と申しますのは,決議に賛成しなかった区分所有者の取扱いの中で,期限の許与に関する規律を除いてという形で,どれを入れ,どれを除くかということを一部,明確にしているところがありますので,今の点は特に疑義がないようにということであれば,規約の定めに関する部分を除きというようなものをゴシックに入れてくるということも,考えられるようには思いましたが,そこまでして明確化を図ったほうがよいのか,あるいはそういうことを入れると,かえって対応関係が分かりにくくなるということだと,やらないほうがいいのだと思いますので,強い意見ではないのですけれども,そういうような考え方もあり得るのではないかというアイデアレベルで申し上げます。 ○山田部会長 ありがとうございます。   事務当局からお答えを頂きたいのですが,2の(4)に「明渡しの期限の許与に関する規律を除いて」という表現があるので,これと同じようにしてはどうかというアイデアの御提示を頂いたということが,沖野さん御自身の発言で性質決定をされているようですけれども,いかがでしょうか。 ○岡山幹事 それでは,私のほうがお答えいたします。御指摘のとおり,第1の2のところでは,「期限の許与に関する規律を除いて」と書いておりますし,私どものほうとしましては規約に関する部分というものは,「敷地共有者による敷地の管理に関する規律」では設けないこととして整理しておりますので,例えば1の(1)の中で,規約に関する規律を除いてということを何らかの形で明示できるのであればしたいと思っております。もっとも,具体的な表現ぶりや,どこに入れるかについはご一任いただければ幸いかと思います。 ○山田部会長 それでは,ここまでのところで今の点にフォーカスを当てて,私から少し発言をさせていただきます。実質としては規約に関する規律は設けないということで,その点については,今日,それについて別の考えの御意見はなかったように思います。それを前提にして,本日,採決ができればと考えております部会資料13にどう表現するか,事務当局は本日の段階では4ページの1の(1),このゴシックの5行で表現できているだろうと考えていたところかと思います。   しかし,鎌野さん,沖野さん,それぞれ御発言を頂き,この文章の中でより明確にしたらどうかと,実質について異論がない以上,更にクリアに表現できる方法を探ってはどうかということでございました。事務当局からは,今,岡山さんの発言がありましたが,(注)ではなく本文の中に「期限の許与に関する規律を除いて」を参考にして書き加えるということで,事務当局としても考えたいというところまで議論が進んでまいりました。   この点についていかがでございましょうか。どちら側の方向の議論でも,もう少し,議論をしていただいて一応の答えを出していきたいと思います。 ○山野目委員 今,部会長から,どちらですかというお尋ねを頂いたことは,どちらでもよろしいと考えます。それで,恐らく部会資料13に基づく要綱案(案)を(案)ではなくて要綱案にする決定をするときに,事務当局の補佐を受けて部会長が最終的な推敲をするということに,この後,御一任を申し上げるという手順が加わると思います。そのときに考えていただければよい程度の話なのではないかと感じます。心配であることは,沖野委員の御提案はごもっともだと感ずるとともに,何とかを除き,というものは,この文章に入れにくいと感じます。ですから,中身の理解が一致しているのなら,それはいずれでもよろしいのではないかと考えます。 ○山田部会長 ありがとうございます。   どちらでもいいということでございましたが,鎌野さん,沖野さんの意見の後に山野目さんの御発言を頂きましたので,実質的な性格としてはこのままでいいという方向にやや傾いているのかなと,傾いているのは山野目さんの御意見が傾いているのかなと思います。いかがでございましょうか。鎌野さんの御発言が最初にあり,議事録には残ることになりますので,この部会でどういう考え方でまとまったかというのは,これに手を加えなくても明らかであろうと思います。しかし,なお,議事録を見ず,要綱案だけを見た場合に生ずるかもしれない疑義をあらかじめ拭ったほうがいいのではないかという御趣旨は,そのとおりかと思います。いかがでしょうか。   では,第2について,これまで進めてきましたように,これでよろしいかというのを第2から次に進む前にいたしますので,そのときまでペンディングにさせていただいて,第2についてほかに御意見がないかどうか,御質問がないかどうかということをお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。   それでは,第2については規約に関する規律をどうするかという点を除いては,特に御意見がないということでよろしゅうございますでしょうか。そういたしますと,規約の規律の点については次のようにさせていただき,第2全体について,ここでの取りまとめをさせていただきたいと思いますが,実質は明らかになったかと思いますので,要綱案としてどのように表現するかということについて,部会長及び事務当局に御一任いただいて,そして,今日の段階では取りまとめをお願いするというものです。   その際には,今,出てきた議論を全面的に受け止めまして,(1)の表現を「除いて」を入れようとすると,ほかのところにも修文を加えないと文章として成り立たないと,そうすると,ほかのところについて,これまでまとまった御意見が変わったのではないかという疑義が生ずるというようなことについても点検をした上で,それでもなお,可能であれば「期限の許与に関する規律を除いて」を参考にしながら入れると。しかし,どうも一個の文章としてそれが難しかろうということでありましたらこのままという,ちょっとレンジとして広いということかもしれませんが,それをお委ねいただければ,そういう形で第2については今日の段階の途中の取りまとめとしては,取りまとめをさせていただきたいと思います。このことについて御意見はございますでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,鎌野さん,沖野さんの御発言は修正の御意見も含んでいたとも思われますが,今,申し上げたような形で受け止めさせていただき,修正の御意見としては位置付けないということで進めさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございますか。ありがとうございます。それでは,このような進め方で進めさせていただきたいと存じます。   第2の「滅失又は取壊し後の建物の敷地についての特例」につきまして,今,申し上げたようなものを含めて部会資料13のとおりで,修正の御意見はなかったということで進めさせていただきたいと存じますが,よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。   それでは,この内容で,しかし,修文は可能であればするということで取りまとめを行うこととさせていただきたいと思います。ありがとうございます。   それでは,この資料の最後の項目,大項目になりますが,「第3 団地の特例」に入ります。まず,前回の資料からの変更点を中心に事務当局から説明をしていただきます。お願いします。 ○石渡関係官 それでは,第3の「団地の特例」について御説明いたします。第3の「団地の特例」につきましては,他の項目との平仄等の観点から表現ぶりを修正した点がございますが,内容につきましては前回から実質的な変更はございません。 ○山田部会長 ありがとうございます。   それでは,「第3 団地の特例」につきまして,御質問,御意見がございましたら,御発言をお願い申し上げます。いかがでございましょうか。御発言はございませんでしょうか。   御発言がなければ,これでよろしいかという取りまとめをしたいと考えておるところでございますが,いかがでございましょうか。よろしいですか。   それでは,御発言を頂戴することがありませんでしたが,第3について進めたいと思います。「第3 団地の特例」につきまして,部会資料13のとおりで修正の御意見はなかったということでよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。   それでは,この内容で取りまとめを行うこととさせていただきます。   ここまでについていずれも同じですが,本日,改めて採決をさせていただきます。   被災マンション法についての御審議は,部会資料13に従って,本日,進めてまいりましたが,ひとまず,ここまでとさせていただきたいと存じます。よろしゅうございますか。   それでは,続きまして部会資料14でございますが,罹災都市法の御審議をお願いしたいと思います。   部会資料14の「第1 見直し後の制度の適用の在り方」について,事務当局から説明をしていただきます。お願いします。 ○川副関係官 「第1 見直し後の制度の適用の在り方」については,前回の「要綱案たたき台(その2)」から変更はございません。政令で災害を指定し,更に適用する制度,地区を指定するものとしております。更にその指定の後,必要性のある場合には追加で制度や地区を指定するという提案をさせていただいておりまして,現行法とは適用する制度を指定する,それから,追加で指定するというところが異なっておりますが,今後の災害に適切に対応するため,このような制度を設けるということを要綱案(案)で提案するという方向でまとめさせていただければと思っております。 ○山田部会長 ありがとうございます。   「第1 見直し後の制度の適用の在り方」について説明を頂きました。この点につきまして,御質問,御意見がありましたら,御発言をお願いいたします。いかがでございましょうか。お願いします。 ○細谷委員 政令の適用につきまして,借地権者にとっては建物が滅失している状態というのは,非常に極めて不安定な状態でして,借地権の対抗力については速やかに適用していただくということが必要ではないかと思いまして,分割適用ということを十分検討していただきたいなと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ただいま,御意見として御発言を頂いたかと思いますが,事務当局から何かございますか。 ○川副関係官 借地権の対抗力の特例は特に今回,見直す制度の中でも早期に適用する必要があるのではないかということは,部会の中でも御意見を度々頂きました。政令の指定の際には,この法律を共管されています国土交通省さんのほうとも協議させていただいた上で,なるべく速やかに行いたいと思っております。現在もその協議をさせていただいているところですけれども,頂いたような御意見を踏まえて運用していければと思っております。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。   それでは,「第1 見直し後の制度の適用の在り方」につきましては,部会資料14のとおりで修正の御意見はなかったということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは,この内容で取りまとめを行うこととさせていただきます。部会資料14につきましても部会資料13と同様に,資料全部について今のように説明と御審議を頂いた後,まとめての採決をお願いをしたいと考えております。よろしくお願いを申し上げます。   それでは,次に「第2 借地権保護等の規律」について,まとめて変更点を中心に事務当局から説明をしていただきます。まとめてというのは,1,2,3と,ここには三つの項目がございますが,まとめて御説明いただき,まとめて審議をしたいと思います。それでは,事務当局からの説明をよろしくお願いいたします。 ○川副関係官 「第2 借地権保護等の規律」につきまして,変更点を中心に説明させていただきます。   まず,「1 借地権者による土地の賃貸借の解約等」でございますけれども,こちらにつきまして実質的な変更はございません。解約等をすることができる期間について,若干,表現を変更しておりますが,期間についてはこの後のいずれの規定につきましても,「政令の施行の日から起算して」というところの「起算して」という部分,それから,例えばここでは1年ですけれども,「1年を経過する日まで」という,そういう表現をやめております。今回の法律は借地借家法の特例という位置付けになるかと思いますけれども,借地借家法においての期間の定め方というのは民法の原則と同様で,政令施行の日から起算してというような形では数えておりませんで,これに合わせて表現するようにしたものでございます。解約等をすることができる終期をこのような表現で定めたと考えております。そのほかについて変更はございません。   2の「借地権の対抗力」でございますけれども,こちらにつきましても実質的な変更はございません。期間の定め方につきまして,先ほど申し上げました1の場合と同様の修正を行い,そのほか,表現の修正を行っております。この中では,「要綱案たたき台(その2)」という前回までの資料では,②の掲示によって対抗力を認める期間を3年としておりまして,それに括弧を付しておりましたが,その括弧を外して3年というのを提案しております。結局,今回の要綱案(案)では対抗力を認める期間について,①では何ら公示をせずとも6か月間,対抗力を認めることとし,②では掲示によって3年間,対抗力を認められるものとしております。   これまでの部会においては,現行法を前提に5年間,掲示によって対抗力を認めるとすべきではないかといった御意見も頂きましたし,それから,政令の施行の日から2年間,掲示によって対抗力を認めるとすればよいのではないかと,このような御意見も頂いておりました。ただ,現在の借地借家法第10条第2項との関係,それから,通常,建物が建てられるのに要する期間というようなことを考慮いたしますと,通常の場合の2年間というのを延ばす必要があると考えられますけれども,それは3年とすることで足りるのではないかと考えて,今回,括弧を外して3年ということを提案させていただいているところでございます。   3の「土地の賃借権の譲渡又は転貸」ですけれども,こちらについても実質的な変更はございません。これまでありました期間の終期までの表現や,それから,表現の字句の修正をしたというところでございます。ここにつきましても,部会においては許可を求める申立てができる期間について御意見がございました。1年では短いのではないかといった御意見も頂いたところでございます。   ただ,しかし,そもそも既に借地上の建物が滅失しておりますので,滅失してしまっている状態では,現在ある建物を保護すべきであるといった要請がなくなっておりまして,そのような状況で借地権の譲渡,それから,転貸といったことに関しての裁判所の代諾許可を求めるというのは,借地権者をそのような被災時において保護しようといった要請からの例外的な規定と考えられます。そうしますと,これを長期間とするのは,なかなか,困難であるのではないかと。  また,譲渡・転貸先を探すのが難しいということも頂きましたけれども,譲渡・転貸の相手方を探すのが難しいとなりますと,借地権者自身が自分で利用するという見通しが立たなければ,最終的には借地権を解約するというような選択をすることが考えられます。そうしますと,解約という今回の制度と同様の期間を設ける,許可の申立てをするまでに同様の期間を設けて,その間に借地権の目的である借地について,今後,どのように使うかということの見通しを立てていただくということが必要なのではないかと考えております。そこで,要綱案(案)においても1年とすることを提案させていただいております。   それから,第2については後注がございますけれども,ここについては強行規定とすること,借地権者について不利な特約は認めないといった趣旨の強行規定とするということであり,変更はございません。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ただいま,事務当局からは「第2 借地権保護等の規律」,その中に3項目があり,「1 借地権者による土地の賃貸借の解約等」,「2 借地権の対抗力」,そして,「3 土地の賃借権の譲渡又は転貸」についてまとめて御説明いただきました。第2の後注というものもあり,その点についても最後に御説明を頂いたところでございます。この「第2 借地権保護等の規律」の全体について,どこからでも結構でございますので,御質問又は御意見がございましたら,御発言をお願い申し上げます。 ○山野目委員 ただいま,川副関係官のほうから御説明いただいた事項の範囲内で,「政令の施行の日から」という表現が登場する場所が4か所あると理解しております。その部分について,「政令の施行の日から起算して」という「起算して」という表現を削った趣旨を,特例の大元になっております借地借家法の規律を参考にして,と御説明があったように聞きました。この部分について得心しかねる部分がございます。再度の御説明をお願いすることはできませんでしょうか。 ○川副関係官 「起算して」という文言を今回,期間のところでは削っております。先ほど私のほうから御説明を申し上げたのは,今回,参考にしております借地借家法におきましては,期間の定めについては「政令の施行の日から」という観念がそもそもございませんけれども,民法の原則と同様に「起算して」ということを入れずに何らかの期間を定めているということ,また,現行の罹災都市法につきましても,政令の施行の日から起算してという形ではなく期間を定めているということがございましたので,期間について定めるときに,現行の罹災都市法,また,大元である借地借家法と同様の考えで,民法の原則に基づいて期間を定めるということがいいのではないかということを考えて,このように変更を加えたという趣旨でございます。 ○山野目委員 今の御説明のほうが正しいと理解します。つまり,借地借家法には政令の施行の日から期間を起算する場面がございません。おっしゃるのであるとするならば,現行法がそうなっているということを参考になさったということであろうと想像します。現に今,そのように御説明がありました。その上で申し上げますけれども,現行法は法制執務が完成しないうちに文言が選ばれた,あの幼稚な文言で作られている法制で,そういうものを含めてきちんと現代語化して,あるいは現代化して見直すということも,今回のこの法制の見直しに含まれていたのでありまして,現行法を参考にするというのでは見直しにならないと思います。それで,被災マンション法のほうはきちんといろいろな期間について,政令の施行の日から起算して,と現代の法制執務が整った段階の表現で一貫して表現しています。   一つのみ部会資料13に戻ってしまって恐縮なんですけれども,部会資料13のほうは全般を通じて,政令の施行の日が起算日のときには,政令の施行の日から起算してとなっていて,ただし2か所の例外があります。同一性質のことですが,一つ例を挙げますと3ページのところの(4)の中にある「敷地売却決議の日から2年以内」というところは「起算して」が入っていませんが,ここはよろしいと思います。これこそ,正に特例の大元になっている区分所有法の規律に合わせたものでありまして,これは建物敷地売却決議が行われたのが午前0時でない限りは,初日を算入しないで2年を計算するという意味であると理解します。   それに対して,「政令の施行の日から」と表現する場合には,当該政令が公布の日から施行すると定めていた場合の公布の効果が発生する時期について疑義が残るから,現在の法制執務においては「政令の施行の日から起算して」という表現が採られているのでありまして,こういう法制執務の形成の経過を考慮していただいた上で,改めて部会資料14のほうに政令の施行の日から何年間あるいは何か月間という部分が複数にわたってございますから,これは見直していただくことが相当であると感じます。   なお,申し添えますけれども,私が今,発言していることは修正意見の提案ではございません。いずれにしても,これは本日,要綱案が採択されるに際して,事務当局の補佐を受けて部会長に字句の推敲を改めてお願いする,その作業の過程の中で,ここのところについて心配りをしていただければ有り難いと感ずるものでございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。   今の山野目さんの御発言について,修正の意見ではないけれども,しかし,あとは適宜にではなくて具体的に,クリアにこうされたいという御発言と思います。それについて事務当局から。 ○岡山幹事 御指摘いただきましてありがとうございます。起算点の考え方につきましては,御指摘を踏まえまして整理した上で,要綱案についても適宜,検討していきたいと思っております。ありがとうございます。 ○山田部会長 それでは,「起算して」の点については事務当局でただいまの山野目さんの御意見を踏まえて,更に検討した上で適切な表現とさせていただくということで,修正の御提案には及ばないということとさせていただきます。   ほかに「第2 借地権保護等の規律」についてはいかがでございましょうか。 ○細谷委員 意見として述べさせていただきます。「対抗力」の②の掲示する期間が3年間ということ,あと,3の譲渡の申立てが1年ということなんですけれども,借地権者としては実際に建物を建て替えるという場合,なかなか,困難な状況が一つはあるわけですね。それは一つは住宅ローンを借り入れるという場合に,一般の金融機関ではなかなか借地の場合は貸出しを認めないというところも最近,増えてきています。   それで,フラット35という融資制度を利用して建てるということは,借地権者に認められているわけですけれども,その際でも,住宅金融支援機構の抵当権を建物の第一順位にすること,地代を滞納した場合には契約を解除する前に住宅金融支援機構に真っ先に連絡し,支援機構が立て替えて払いますよという承諾書を地主さんから提出してもらうことになっています。そういう承諾書を地主さんからもらえないと,なかなか,融資を受けることができず,実際に家を再建するということは困難な状況にあります。   こういう震災の場合に際して,いろいろな形での借地人が建物を建てる場合の支援という金融面での条件をもう少し緩和してもらいたいと思います。  それと,根本的には山野目委員が借地権の対抗力でおっしゃっていたと思いますが,借地権の担保化という方策を検討しないと,なかなか,借地権を買い取ってくれる人を見つけたり借地上の建物を建て替えるという際に金融機関は協力してくれないという問題があるのではないかということです。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。「第2 借地権保護等の規律」でございます。よろしいですか。1から3まで3項目を含めております。   それでは,複数の御発言を頂戴いたしましたが,本資料14についての修正の御意見はなかったということでよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。それでは,この内容で取りまとめを行うこととさせていただきます。   次に,「第3 被災地短期借地権」,被災地短期借地権というのは今回,初登場の言葉ではないかと思いますが,これにつきまして変更点を中心に,変更点は被災地短期借地権という用語についても含めて事務当局から説明をしていただきます。よろしくお願いします。 ○遠藤関係官 それでは,第3について御説明を差し上げます。   ただいま,部会長から御紹介がありましたとおり,被災地一時使用借地権(仮称)というのが従前の部会での名称でございましたけれども,今般,被災地短期借地権という名称に変更をしております。  その趣旨としましては,従前,被災地一時使用借地権という言葉につきましては,基本的には借地借家法の一時使用目的の借地権,借地借家法第25条になりますけれども,その一時使用目的の借地権を参考にしながら規律といいますか,借地権の内容を御議論いただいたというところがございました。ただ,実際に借地権を設定する場面に思いをめぐらせてみますと,被災地一時使用借地権という名称ですと,当事者が借地借家法上の一時使用目的の借地権を設定するつもりであったのか,あるいはここの被災地一時使用借地権を設定するつもりであったのかということについて,若干の混乱を来すおそれがあるのではないかと,内部での検討でそういった意見といいますか,そういった考えが出てきたというところでございます。そういったこともございまして,一時使用目的の借地権というものとはなるべく違った,ただ,他方で借地権の実質を表現できているような名称にすることが望ましいのではないかということで,今般,被災地短期借地権という名前に変更させていただいたということでございます。   また,(仮称)というのが取れておりますけれども,これは実際に法案にするに当たって,被災地短期借地権というものが必ずこの名前で残りますということまでを申し上げるつもりではございません。まだ,この先の法案の起草作業の中で,このような名称が適切かどうかということも含めて,検討をするということではございますけれども,少なくとも一時使用目的の借地権というものとは,なるべく区別できるような名称が望ましいのではないかということで,(仮称)というのは取っておりますけれども,一応,仮の名前のものとして,一時使用という言葉を使わないものとして,被災地短期借地権という名前にしたということでございます。   それから,本文の中身のところでございますけれども,これも①のところでかなり「要綱案たたき台(その2)」と表現ぶりを変えているところがございます。   まず,「政令の施行の日から起算して2年が経過する日までの間」というのが従前の表現でございましたけれども,ここは第2の類似の表現があったところと平仄を取っているということでございますが,先ほど御指摘があったところも含めて,なお具体の法案の起草の段階では,そういった点も踏まえて検討をしていきたいと考えております。   それから,存続期間を5年以下とし,かつ,本規律の適用を受けないこととする旨を定めて借地権を設定したときは,借地借家法3条から8条まで,13条,17条,18条,それから,22条から24条までの規定は適用しないというのが従前の表現でございましたけれども,ここをがらっと改めまして,「存続期間が5年以下であって,かつ,借地借家法の契約の更新に関する規律(同法第3条から第8条まで)の適用を受けない借地権を設定することができるものとする」というように改めております。   これは実質の内容を変更する趣旨ではございませんで,基本的には従前,御議論いただいたとおり,借地借家法の3条から8条まで,それから,13条,17条,18条,22条から24条の規定の適用を受けないような借地権を被災地において設定できるようにしようということについては,変更をするものではございません。ただ,従前の「要綱案たたき台(その2)」の表現はかなり条文に近いといいますか,このまま要綱案が法律になるのではないかというような表現に近い表現にしておりましたけれども,必ずしもこのような条文の構造になるかということが,この間の事務当局の検討において疑問が出てきたということでございます。   具体的には,例えば18条については,借地借家法の18条と申しますのは,借地契約の更新後の建物の再築の許可ということについて規律する条文でございますけれども,そもそも,被災地短期借地権につきましては更新というものがございませんので,法律で改めて適用を排除しなくても,当然,適用はないと考えられます。また,22条から24条までというのは,定期借地権に関する規律でございますけれども,普通定期借地権,それから,事業用定期借地権等につきましては,存続期間について法定の期間がございますが,それらの借地権は5年以下では設定できないということは明らかでございますので,これもあえて22条から24条の規定は適用しないというようなことを法文上,書く必要はないであろうというようなこともございます。   そういったことをもろもろ考えますと,このような効果として,3条から8条まで,13条,17条,18条,22条から24条までの規定は適用しないという表現が要綱案として適切なのかどうかということを考えますと,必ずしもそうではないのではないかということがこの間の検討で思い至ったということでございます。   それから,従前は本規律の適用を受けることとする旨を定めて,借地権を設定することができるという表現を採っておりました。これは借地借家法上の一時使用目的の借地権との区別という観点から,あるいは借地権を設定する当事者にとって,こういった特殊な類型の借地権を設定するんだということを明確に合意するということを担保するという観点から,このような要件を設けているのですということをこれまで御説明を差し上げてきたところでございます。   ただ,翻って考えてみますと,本規律の適用を受けるというだけで,借地権設定当事者の意思を担保する手段として適切なのかというと,必ずしもそうではないのではないかと,むしろ,契約の借地権の内容について明確にこういう合意をしていただくと。例えば更新はしないという旨を合意していただくだとかといったことのほうが,要件の規律の切り分け方として適切ではないかというような意見も出ているところでございます。そういった点も含めまして,被災地短期借地権の実質の内容を条文で表現にするに当たっては,必ずしも従前の「要綱案たたき台(その2)」のような表現が適切かどうかということにつきまして,なお,検討しなければならないところが多々出てきたということでございます。   そういったこともありまして,今回の要綱案(案)では,①の内容として少なくとも被災地短期借地権のことの実質として,中心的な借地借家法の契約の更新に関する規律の適用がないと,必ず存続期間を5年以下とした場合には,契約で定めた期間が終了した段階で借地権は確定的に終了すると,そういった特殊な類型の借地権を認めるんですという実質が表れる表現として,このような表現とさせていただいているということでございます。ただ,要綱案の表現から,13条,17条,18条,22条から24条といった条文の適用がないということが明文では書かれてはおりませんけれども,実質の内容としましては,このような規律についても適用しない借地権として被災地短期借地権を考えているということにつきましては,従前に差し上げていた御説明と変更を加えるものではないということを改めてここで御説明を差し上げたいと思います。   ②と③につきましては,従前からの変更はございません。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ただいま,御説明のありました「第3 被災地短期借地権」につきまして,御質問,御意見がございましたら,御発言をお願い申し上げます。 ○山野目委員 借地借家法13条の定める建物買取請求権について,もう少し,具体的にどういう御検討をなさったのかというところのお話を聞かせていただきたいと感ずるのですが,いかがでしょうか。遠藤関係官のお話の中で,18条は御懇切な御言及を頂きましたが,13条のほうについて,なお,お教えいただきたく存じます。 ○遠藤関係官 13条につきましては,今までは一時使用目的の借地権の条文の並びに従って,13条の適用はしないということについては,変更するつもりではございません。この被災地短期借地権であっても,建物買取請求権に関する13条の規律は適用しないということを考えております。ただ,それの表現の表し方として,13条の規定は適用しないという表現にするのか,あるいは契約の内容がそういったものであるということでございますので,当事者の合意として13条の規定のない借地権であるという旨を合意していただくということも,選択肢としてはあり得るのかなということでございまして,その点も含めて検討したいということで,先ほど御説明を差し上げたところでございます。 ○山野目委員 今,ここにいる委員・幹事の名前で採択されようとしている文書,要綱案は法文そのものではありませんから,このとおり法文になるという前提で決めてかかって議論をするはよくありませんけれども,仮に法文になったときに13条の適用を排除すると書いておかなければ,片面的強行規定の内容を定めている借地借家法16条が働いて,当事者が合意をしても,その合意は無効になると考えるべきなのではないかと私は考えます。   その上で申し上げると,①のところについて私が何か修正してほしいという意見を抱いているものではありませんけれども,繰り返し申し上げますと,ここで採択される文書は委員・幹事である我々が考えたことの表現物になりますから,そうすると,このままの文章ですと,契約の更新に関する規律がないというのが被災地短期借地権というものの本質ですよと,そういう本質を持った借地権を設けます,ということを委員・幹事は考えました。そのことが要綱案において表現されるとして,その上で,それを受け取った法務省事務当局が内閣提出の法律案を作成する段階で,その本質はもちろん受け止めて法文を作るけれども,それなら関連して建物買取請求権も排除するという法文にしていきましょうねと,そこは行政判断でなさるということはあっていけないということではありませんが,我々が採択しようとしている文書の理解は,ここでの理解に齟齬が無いような仕方で取りまとめがされていくことが望ましいと考えるものでございますから,参考として,一言,申し上げさせていただきます。 ○山田部会長 いかがですか,事務当局から。 ○遠藤関係官 すみません,強行規定との関係では正におっしゃるとおり,借地借家法の強行規定にかかわらずという趣旨の文言を入れなければ,そういった法律効果は実現できないだろうと考えております。そこはまた,そういった点も含めて検討したいと考えております。ここの部会での御審議の実質として,被災地短期借地権の本質的要素というものとして,規約の更新に関する規律の適用を受けないということだけで十分なのかどうかということにつきましては,従前,更新だけではなく,当然,建物買取請求であるだとか,ここに書いてある規律の適用はないということを前提に,御審議を頂いていたと思っておりますし,我々もそのように受け止めておりますので,確かにかなりドラスチックに削ってしまったというところもありますので,引き続き,具体の要綱案を検討するに当たっては,そういった趣旨も反映されるような表現ぶりとして考えられないかということも含めて,検討させていただければと考えております。 ○森田委員 借地借家法の一時使用目的の借地権と,この特例に基づく借地権と,当事者がいずれの合意をしたのかということを明確にするという観点から見ますと,従前のたたき台の文章のほうがその点では明確であったわけですが,この要綱案になって明確でなくなったという感じがしたものですから,御質問させていただきたいと思います。   ①の要件を満たすものというのは,借地借家法上の一時使用目的の借地権であっても,これに当たりますが,そうしますと,例えば3条から8条までを適用しないという契約があった場合にそれがどちらの合意なのかというのは,当該契約書の内容だけからは分からないということになります。そこで,契約のネーミングで被災地短期借地権という言葉を使っていればよいけれども,それを使っていなかったり,当事者が被災地一時使用借地権といった言葉を使っていたような場合には,どちらなのかという問題が生じてきます。従前は,この特例によるという文言が入っているかどうかということで見分けるということだったわけですが,それがなくなったことにより,問題は振出しに戻った感じがあります。   先ほどの御説明では,こういう形にした趣旨は,特例に基づく借地権であると同時に,特例に基づく借地権というのはどういう内容なのかということについて,具体的には3条から8条まで,あるいは場合によっては13条を適用しないという内容について書面に書くことによって,意思の明確さを確保することにあり,そうした理由から契約書面に書くべき内容を具体的に示してほしいということだとすると,従前の考え方と,それにプラスして,書面に書くべき内容を示すということは両立し得ることだと思いますので,①を変える必要はないような感じがいたします。   そのような理解でよいのかどうかも含めまして,最終的な字句をどうするかについては,私も部会長に一任したいと思いますけれども,御説明をお伺いしていますと,修正によってよくなったというよりは,曖昧さが増したとすると,単純に従前に戻したほうがよいのかというと,それでは足りない部分があるからこのように変えたと思いますので,今回,この修文によって実現しようとしたことが何かということと,それから,従前の議論の前提となった実質として確保すべきことは何かということを,その2点を確認した上で,最終的な字句についてはお任せするというような取りまとめが適切ではないかと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。   もう一人,御発言を希望されている方がいらっしゃいましたので,発言いただいた後に丁寧に少し進めたいと思います。 ○津久井幹事 私は13条と17条を排除することを明確にする要綱案にしていただきたいという意見を申し上げます。そもそも,被災地の実情を踏まえた役に立つ制度作りをというのが趣旨だったと思います。現実に阪神でも東日本でも,被災地の仮設住宅が2年や5年でなくならないという議論もあったかと思います。実際にこの短期借地権の存続期間を超えて残るような建物が建てられたとき,きちんと終了して明渡しをしていただける明確なルールがないと,復興の妨げになるのではないかと思います。   阪神・淡路のときの自力仮設住宅は,自己増殖していくのが一つの特徴でして,最初に作った仮設に更に建て増しをしていく。そういった方法も社会的に容認しようという話になれば,17条の問題も出てくるでしょうし,せっかく作ったのだからということで13条の問題も出てくるはずです。したがって,これらが適用されないということを明確にする必要性は,非常に高いと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。   森田さんと津久井さんから山野目さんと同じ方向の御発言を頂きました。事務当局からいかがでしょうか。 ○遠藤関係官 13条と17等も含めて適用が排除される条文,少なくとも建物買取請求,それから,17条の借地条件の変更,増改築の許可については適用がないということが,要綱案の文言としても明らかになっていたほうがよいのではないかという趣旨の御発言につきましては,そういった点も含めて,もう一度,検討をしたいなと考えております。ただ,いずれにしましても,それらの規定の適用がないという実質を被災地短期借地権,名前を変えたからといって,そこを変えるという趣旨ではございませんので,そこは重ねて申し上げます。   それから,森田委員のほうから従前の本規律の適用を受けることとするという文言についての御質問といいますか,御意見を頂いたというところでございます。この点につきましては,本規律の適用を受けることとする旨を定めるということが,果たして実質を捉えているものとして適切なのかどうかなのかと,ただ単に契約の名前として被災地短期借地権という契約を設定するんですというだけでは,契約の当事者の意思として,十分に借地権の内容について了解をした上で設定をしたというところまでは言えないのではないかということが,この間の内部での検討で疑問として上がっているというところでございます。その点も含めまして,被災地短期借地権の実質を表すものとして,どういった合意をしていただくのが望ましいのかということとともに,借地借家法上の一時使用目的の借地権との切り分けについても,きちんと整理をしなければならないと思っております。   仮に規律の適用を受けることとする旨を定めてという要件の設定の仕方ができないということになるのであれば,被災地において存続期間を5年以下とした借地権であって,更に被災地短期借地権の内容の実質を伴う借地権の設定合意が書面でされたというような,この第3の規律の適用を受けるような要件全てを満たす借地権については,被災地短期借地権として扱うと。それ以外の借地権につきましては,被災地短期借地権の規律の適用はないということになりますので,それについては通常の借地借家法の規律に委ねられるという整理の仕方もあり得るのかなと,考えておる次第でございます。  ただ,いずれにしましても,一つの借地権に二つの借地権に関する規律の適用があるという事態は回避をしようと考えておりますので,今までは本規律の適用を受けることとする旨という表現を使って表していたところでございますけれども,そこも含めて検討したいということで,表現を改めたということでございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。   今の点について更に御質問,御意見はございませんか。   すみません,では,私から質問させてください。これまで3人の方から御意見いただいたのと同じ方向での質問になろうかと思いますが,3条から8条までというのは,今日の部会資料14に書かれているとおりで,ここには異論がないところだと思いますが,それに加えて,恐らく13条と17条だと思います,それを部会資料から落としたけれども,実質には変更を加える趣旨はないという御説明は頂いておりますが,どういう仕組みで落としても,13条と17条は残ると,今,お考えなのか,あるいは逆に13条,17条については,今,ここに書くことが何らかの今後の作業の差し障りになりそうだということに気が付かれて,今,こういう対応をされているのか,それはお話しいただけないこともあるのかもしれませんが,お話しできる範囲で,その辺の事情を伺いたいと思います。 ○遠藤関係官 具体の要綱案と条文上の表現の違いというのがどれだけ齟齬あるのかというところについて,若干,慎重になりすぎたというか,安全側に立ってしまったなというのが率直なところです。ただ,その上で,被災地短期借地権の本質は何なのかということで,事務当局としては契約の更新に関する規律が中心的な要素であるということを考え,余り13条,17条について十分な配慮ができていなかったということが,今日の御審議で御指摘があったところかなと思います。ただ,そこは先ほど来,申し上げておりますとおり,13条と17条について適用があるということにしようとする趣旨ではございませんので,そこはもう一度,検討をしたいと考えておるというところでございます。 ○山田部会長 ありがとうございます。   何か私から駄目押しのような質問をさせていただくことになってしまいましたが,実質は共有の認識に達したのではないかと思います。ただ,要綱案をこのままで,今日,取りまとめるか,それとも,ここまで二つ修文に及ぶものでありましたが,そこは修正の意見ではなくと御発言された方,あるいは私からお願いをして,そうさせていただきましたが,ここは今日のこれまでの例とは違って,修正をこういう方向で図ると,修文の内容を今,具体的に確定するわけではないのですが,しかし,13条,17条というのが相当,焦点が絞られてきましたので,これを何らかの形で適用が行われないものとして,要綱案をまとめるということを今,可能性として考えているところでございます。   皆様方の御意見を伺う前に,私から今,申し上げた,ここでは事務当局及び部会長に委ねていただいて,今のことを極力,反映させることができるようにというのではなく,13条,17条という条文二つを挙げて,その適用がないものになることを要綱案として明らかにするという形での修正もあり得ようかと思いますが,事務当局としての御意見はございますか。 ○岡山幹事 遠藤関係官が御説明したとおりでございまして,私どものほうとしましては,これまで13条,17条も不適用という前提で議論してきたものでありまして,その前提を動かすものではございません。したがいまして,今日,御指摘を受けたことを踏まえまして,それが具体で表れるような修文ということを部会長と一緒に考えたいと思っております。ありがとうございます。 ○住本幹事 内容についてではございません。被災地の法律でございますので,通常の民事法制と異なり,ともかく被災地の方々に分かりやすく,明確でなければいけないと我々は認識しています。そこは法務省さんと同じでございますので,できるだけ分かりやすい法制度になるように,今後とも法務省さんと協議をしていきたいと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。 ○山野目委員 今,岡山幹事が部会長と相談して,引き続き作業をするので任せてほしいというお話で,任せないものではありませんけれども,心配なのは,つまり,被災地短期借地権の概念を要件事実論的にいうと,冒頭規定を示すような仕方で提示する規定がまず必要で,その規定を前提として,その規定の提示する法律行為の要素に当たるものが全て満たされていたならば,一旦,被災地短期借地権とされるという効果が認められ,そして,それに対して法定の何らか別の効果が付け加わるというふうなふるい分けで,つまり二段構えで,冒頭規定の中に示される要件と,それに付随する法定の効果とを書き分けて,書いていかなければいけないという作業の難しさを分かった上で,岡山幹事が今,部会長と相談するとおっしゃったと私は信じています。その方向で,どうぞ,おやりください。それなら別に反対はしません。   ただし,恐らく見通して,そうしていくと,森田委員と私が考えていることが同じか,異なるのかは分かりませんが,私自身は,被災地で存続期間が5年以下で,自分たちは契約を更新しないよと約束したら,それは一時使用目的の借地権になるのではなくて,被災地短期借地権になると明快に扱ってもらうということにならざるを得ないし,それでよいんだと考えます。それでよいということが先ほどの住本幹事の御意見とも方向性は同じになります。森田委員と同じになるかどうか,まだ,私は心配でよく分かりませんが,岡山幹事が部会長と今後,相談なさるときに,そこまで踏ん切って構わないという一委員の意見があったということを踏まえて,どうぞ,御相談いただければと感じます。 ○山田部会長 ほかに御意見はございませんか。「第3 被災地短期借地権」についての①,このままでいいという御意見は今,出ていないように思います。適宜,参考にして解決をしてほしいと,しかし,具体的には委ねると,したがって,修正意見としては取り上げなくて結構だという御趣旨の御意見もあるように思います。それから,私が先ほど可能性としてあるように思うと申し上げたのは,修正意見として受け止めさせていただき,それで取りまとめをするということも,三つ目の選択肢としてあろうかと思います。いかがでしょうか。   今,山野目さんから整理がされたのは私も同感であります。どういう合意があれば,この短期借地権として特例が適用されるかという問題と,それに対してどのような効力が与えられるかと,あるいは一般法としての借地借家法の規定の適用がないことになるかというのは,二つ,異なる連動する問題ですが,問題がありまして,何をどちらに振り分けるかということがあるのだろうということであります。それと,最初のほうで事務当局からお話があった点ですが,ここに限りませんけれども,要綱案の表現がそのまま法律案として具体化するとはつながらない点があると,ここもそのことを一つ念頭に置きながら,今回はこういうふうな提案をしているという御説明でもあろうかと思います。その上でいかがでしょうか。   事務当局としては,少し自由度を預けてほしいということであります。それが最後に岡山さんの御発言があったことの趣旨であり,この場では委ねてよいということでありましたら,そのようにまとめたいと思いますが,少し,手を縛ることになっても,ここでの考え方は文章として残したいというお考えもあろうかと思います。いかがでしょうか。 ○沖野委員 もちろん,事務当局にお願いするわけですけれども,理解しておりますのは,当初の説明から,あるいはやり取りの中から既に明らかなように,13条,17条の規律が妥当しないということは,要綱案の本文で明確に書くと。   ただ,その書き方については幾つかの可能性があり,例えば合意内容として,それを入れてしまうという書き方と,合意はそこまではいかないんだけれども,その合意をすることで効果としてそれが付いてくるという構成があり,そのような複数の可能性があるために,それを今,直ちに決定し,そうして文案はお願いするとしても,できるかということについて,なお余地があるんだと思います。そして,その際には規律の内容によって具体的に,それが実施されるときの恐らくは契約条項の書き方ですとか,それぞれの権利,義務について借地権の設定の契約の当事者に不測の不利益といいますか,予想外のことが起こらないように実施していけるように考えていく,そのようなこともにらみつつ,どういう規律にするのかということを考えていかなければいけないので,その部分の検討を委ねるということだと理解しております。   ですから,少なくとも13条,17条が適用されるようなものではないということは,要綱案には明らかにされるので,その実質をいかに適切に確保できるかという部分は,部会長,事務当局にお願いすると。  それを修正と言うのか,言わないのか,裁量なのかということは,そもそも,裁量と修正の違いはどうかというようなことにもなってきますが,内実としてはそういうことだと思われまして,そういうものとしてお願いするということでよろしいのではないかと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。   状況認識については沖野さんの状況認識と私は一致しますし,先ほど山野目さんがおっしゃったことも共通ではないかと思います。ただ,もう一度,事務当局に私から伺います。何らかの方法で,13条,17条が適用されないものになるということを要綱案の中に反映させること,それについてはいかがでしょうか。 ○岡山幹事 正に沖野委員から御指摘のとおりでして,①の合意の内容に,13条,17条の不適用というものを合意の内容に入れた上での被災地短期借地権と位置付けるのか,あるいは今現在に書いているように,存続期間を5年以下で3条から8条までの適用を受けないということを合意をすれば,13条,17条の不適用という法的効果を発生させるのか,そのあたりの整理につきましては少し考えたいと思いますが,いずれにしましても要綱の中で,13条,17条が不適用になる形を考えたいと思っております。 ○山田部会長 要綱案の中で考えたいということでございます。そこまで事務当局から御発言がありました。その上で,どう議事として進めていくかということでございますが,この辺りがちょうど限界のところかなと,委ねていただくという意味で,時間ではなくて,思うのですが,委ねてもよしという趣旨の発言が山野目さんと沖野さんからあったように思いますので,私がこういう可能性もあると申し上げたときの私の主観とは少し違うのですが,今,御議論いただいて明らかになったところを踏まえて,最大限,要綱案に今の13条,17条の適用がないものとするということを反映させると。ただ,その書き方が二通りある実質に応じてというか,どちらもあり得るという書き方が恐らく大変苦労がありそうだということはよく分かりましたので,その苦労を事務当局にお願いをするということで,今の点を改めてここの取りまとめを致しますが,進めたいと思いますが,いかがでしょうか。 ○森田委員 委ねる範囲ですけれども,お考えいただくときに,①の修文を考えるというほかに,②の書面の内容でこういうことを含んだ書面にしなくてはいけないということで,分かりやすさといいますか,合意の内容の内実を確認するという意味では,②を修文するということも併せて検討の余地に含めていただいたほうが選択肢としては広いように思います。   ①だけでうまく書き切れないとすると,①のほうでは,被災地短期借地権というのが何条の適用を受けないものかということを全て明らかにした上で,契約は必ず書面によってしなければならないということになっていますから,合意の内容は書面によって担保されますので,ここでの問題は,②の書面の内容はどういうものを含まなくてはいけないかという規律にあるということもできます。そちらについては,例えば3条から8条まででよいのかもしれませんし,13条,17条も含んだほうがよいかもしれません。いずれにせよ,そこの二つの調整の仕方は,②まで含めて考えていただいたほうが選択肢が広がるので,①だけではなくて,①,②を含めて広く委ねるというのが適当ではないかと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。事務当局が検討する際に,どこまで視野に入れるとよいものができるかという点について,御示唆を頂いたところでございます。ありがとうございます。   ほかにございませんでしょうか。   それでは,森田さんの御発言の前に私から,直近でこう進めようと思っていると申し上げた方向で,ここではお諮りをしたいと思います。第3については,13条,17条について適用がないということを要綱案に表す方向で最大限,事務当局には知恵を絞っていただくと,それについては私もチェックをするということをお引き受けし,そういう形で委ねていただきたいというお願いを添えまして,修正の御意見はなかったということで進めさせていただきたいと思いますが,よろしゅうございますでしょうか。それでは,この内容で取りまとめを行うこととさせていただきます。ありがとうございます。           (休     憩) ○山田部会長 時刻が参りましたので,休憩後の審議を再開したいと思います。   それでは,部会資料14の最後の項目になります。「第4 優先借家権制度の在り方等」について変更点を中心に事務当局から説明をしていただきます。 ○石渡関係官 それでは,第4の「優先借家権制度の在り方等」について御説明をいたします。   第4につきましては,これまで優先借家権制度を廃止し,これに代わる特段の規律を設けないものとする甲案というものと,優先借家権制度に代わる規律として,通知に関する制度を設けるとする乙案との両案を掲げながら検討してまいりました。これまでの検討におきましては,余り実効性がないのではないかという消極の御意見もございましたが,民事法の観点からも,このような制度が設けられることは,従前の建物賃借人に交渉の機会を与えて,従前の居住等をしていた場所に戻ってこられると,それがコミュニティの維持等に資するといった意義があるなどとして,通知制度を設けるべきであるとする乙案に多くの支持が集まっていたように思われます。そこで,要綱案(案)におきましては,通知制度を設けるという案を提示させていただいております。   なお,その骨格につきましては,これまでの検討から変更はございません。従前の建物の賃貸人が建物を建てるときについては,知れている賃借人については通知をしてあげてくださいと,こういった制度でございます。   若干,表現ぶりを変えているところでございますけれども,「同様の建物を再築し」というところにつきましては,やや表現が分かりづらいところもあるかもしれませんが,その趣旨といたしましては,例えば元々,アパートを建てていたところに,今度は工場を賃貸目的で建てるというような通知をする必要性が乏しい場面につきましては除くということを検討しているという意味で「同様の」という言葉を付けておりまして,例えば何階建てで何部屋あるというところまで同様でなければいけないといった趣旨ではございません。   その他,「その建物の敷地である土地の上」といった表現を改めていますが,法制上の表現については,なお検討したいと考えております。また,「賃貸する目的で」という文言を削っているのは,「賃貸しようとするとき」と書けば賃貸する目的かどうかということを書かなくても,趣旨は分かるのではないかということでございます。また,「賃借人の募集を行う」という表現を変えているところにつきましては,募集というとイメージが付きやすいかもしれませんが,それを法制上,どのように表現するかという点についてはなお検討したほうがよいだろうということで,ある程度,広がりのある表現として「賃貸しようとする」と書いております。   「賃貸人の募集に先立ち」という点については,このように記載すると募集と通知との関係が問題となり得ることから表現を改めておりますが,この点につきましても,条文上,どのように表現するかということについては,検討させていただきたいと考えております。いずれにせよ,実質として賃貸しようとするというときには,遅滞なく通知をしてもらうという制度を作るということを案として提示させていただいているというところでございます。   なお,繰り返しになりますが,全体につきまして,こういった文言を法制上,どのように表現するかということにつきましては,必ずしも練られた表現ではないというところもございますので,その点につきましては引き続き検討させていただきたいと考えております。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ただいま,「第4 優先借家権制度の在り方等」について御説明を頂きました。資料14にはその後に(後注)がございますが,これは改めてまた,審議の対象とさせていただきます。(後注)は含まない第4の「優先借家権制度の在り方等」について,御質問,御意見がございましたら,御発言をお願い申し上げます。 ○鎌野委員 趣旨には賛成でございまして,先ほど御説明があった同様の建物ということで,これも先ほど御説明があったように,更にこれから要綱案あるいは法文化するに当たっては御検討されるということで,それに委ねたいと思います。それで,趣旨を伺いまして1点だけ御参考にということで,既に御検討かも分かりませんけれども,区分所有法の改正前の62条に「建物の敷地に新たに主たる使用目的を同一とする建物」という表現がございますので,御趣旨からいえば,こういう表現が参考になるのではないかというようなことで申し上げておきます。 ○山田部会長 貴重な御助言をありがとうございます。   ほかにいかがでございますか。 ○山谷委員 確認の意味なんですが,通知をしなかった場合の効果ですが,従前の議論では例えば損害賠償の請求権が発生するとかという議論が確かあったかと思うんですが,そういう理解でよろしいのでしょうか,いかがでしょうか。 ○山田部会長 事務当局からお願いします。 ○石渡関係官 通知を怠った場合の効果につきましては従前の御議論のとおり,損害賠償請求の問題となり得ると考えております。ただ,他方で具体的にどのような場面で損害賠償請求が認められるかというと,かなり限定された場面であるだろうといった御議論もあったと思います。そういった前提ではございますけれども,損害賠償請求の問題となり得るという整理でございます。 ○山谷委員 了解しました。 ○山田部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでございますか。 ○森田委員 実質は変更ないという御説明で,内容は理解したのですが,要綱案の文言の「その旨を通知しなければならない」の「その旨」が何を通知するかというのが,このままいくと「賃貸しよう」という旨の通知だとしますと,そのような通知を受け取った側から見ると賃貸借の申込みを受けているようなふうに読めますが,そうすると,これは締約強制になってしまいます。従前は「賃借人の募集」という表現でそこが担保されていたところが,「募集」という文言がなくなったことによって,優先借家権制度に代わるものとしてという説明と併せて見ると,今後は優先的に入居を認めるものであって,ただ,同様の用途の建物というところにのみ限定が掛かっているという読み方ができる要綱案になってしまうように思います。従前の経緯を分かっている人はそのようには読まないわけですけれども,この要綱案だけを見た人は,違う読み方ができる文章になっているので,その点について,何らかの御配慮といいますか,「賃貸しよう」の前に「一般」といった文言を加えるなど,いろいろな工夫の仕方があると思いますけれども,そのような読み方がされないような文章に工夫していただければと思います。 ○山田部会長 ありがとうございます。事務当局から何か。 ○石渡関係官 趣旨といたしましては,もちろん,申込み自体をしてもらうというよりは,ある意味,募集といいますか,これから賃貸をしようとしますよということを通知するということでございます。それを前提にどのような表現をすることがよいかということについては,現在の記載のままでも御理解いただけるのではないかという前提で書いていたところではございますけれども,表現を足したほうがいいかどうかを含めて,検討させていただきたいと思っております。 ○山田部会長 ほかにいかがでございますか。よろしいですか。罹災都市借地借家臨時処理法の見直しについては,第6回の会議で扱い,第4の「優先借家権制度の在り方等」についての御議論を様々,熱心に頂いたところでございます。それを受けて事務当局はここまで準備を進めてきたところでございますが,御発言はございませんでしょうか。 ○細谷委員 この「賃貸しようとするとき」ということは,募集という意味もあるということなんですけれども,その場合に借主として一番関心があるのは賃貸する条件ですよね。そういうものについても募集の中で通知をしていくという趣旨なんでしょうか。 ○山田部会長 事務当局からお願いを致します。 ○石渡関係官 この通知制度において必ず通知しなければいけない事項は,今から賃貸しようとしますよということのみでございます。例えば募集を行いますよというときに,その通知とともにこういった内容の募集を行う予定ですといったことも併せて知らせるということは,望ましいことの一つだろうとは思っております。もっとも,どういう状況で通知をしようとするかというのはいろいろな場面があるのかなと思います。まだ,詳細が決まり切っていないという段階において,今から大体,こういう建物を建てて賃貸しようと考えているという程度でもよいかと思いますので,その後はいろいろな段階に応じて連絡を取り合っていただけばよいことかなと思っております。したがって,具体的な賃貸条件を必ず通知しなければいけないというところまではしていないというところでございます。 ○山田部会長 よろしゅうございますでしょうか。ほかにいかがでしょうか。第4でございます。では,第4についてもこれまでと同じように進めていきたいと思いますが,部会資料14のとおりで第4について修正の御意見はなかったということで,よろしゅうございますでしょうか。それでは,この内容で取りまとめを行うこととさせていただきます。ありがとうございます。   部会資料14には,最後に(後注)がございます。ここについては変更点はございませんが,現行の罹災都市法の各制度は廃止するということが記載されております。この点について御意見はございませんでしょうか。よろしいですか。   それでは,(後注)につきましても同じように進めたいと思います。(後注)につきまして,部会資料14のとおりで修正の御意見はなかったということでよろしいでしょうか。この内容で取りまとめを行うこととさせていただきます。   一通り,今日,御審議をお願いすることについては,ここまでで御審議を頂いたところでございます。何かここまでで御発言を頂くことはございませんでしょうか。   それでは,要綱案として部会資料13と14,それぞれ別々に採決を諮るということとしたいと思います。そして,今日の審議の順序とは逆なのですが,当部会の名称の並べ方からしますと,借地借家のほうが頭に来ておりますので,部会資料14のほうから採決に入りたいと思いますが,そのような進め方でよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。   それでは,要綱案の採決に移りたいと思いますが,まず,部会資料14,「罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する要綱案(案)」,これにつきまして全体として何か御意見はございますでしょうか。   私から申し上げたいことがございます。今日は三つ,お預かりしたことがあり,そのうち二つが部会資料14に関することでございます。審議の順序と入れ違えておりますので,分かりにくいところが生ずるかもしれません。その点はおわびを申し上げますが,借地借家について二つお預かりしたものの一つは,「政令の施行の日から」というのを異なる表現にした点について,もう一度,真剣に考えてほしいということで,推敲の作業に委ねてよいということでしたので,事務当局がもう一度,考え検討し,そして,私も最終的にはそれをチェックさせていただくということで,お預かりさせていただきました。   もう一つが休憩前に御審議いただいたところでございます。第3の「被災地短期借地権」についてでございました。ここについても推敲の作業として委ねさせてほしいということで,先ほど御了解を頂いたところでございますが,直後に休憩がございまして,事務当局と私とで少し意見交換をする機会がございました。そこで,その段階での進め方と異なるのですが,次のようにさせていただきたいということでお諮りをしたいと思います。   「第3 被災地短期借地権」については①,そして,必要に応じて②も対象に含めることがあり得るとし,この「被災地短期借地権」につきましては借地借家法13条,建物買取請求権と,17条,借地条件の変更及び増改築の許可の規律については,適用がないということを要綱案上,明らかにするということでございます。それを先ほどは最大限,その方向で努力しますと,推敲の作業として委ねていただきたいということで御了解いただいたところでございますが,実質に立ち戻って考えますと,修正として取り上げさせていただき,その形でお諮りをするのがよろしいのではないかと考えた次第でございます。   中身については先ほどの審議のとおりでございまして,これまでの議論を変えるものではないというものであります。しかし,変えるものではないとして,この要綱案を今日はそのまま承認するのではなく,具体的な修正後の表現についてはお任せいただきたいのですが,修正をするということでお諮りをしたいと思います。この点,30分ぐらい前と形式的には違ったことを申し上げておりますが,そういう進め方をさせていただくことでよろしゅうございますでしょうか。大変申し訳ございません。ありがとうございます。   それでは,繰り返しますが,お諮りをするのは部会資料14について,全体について,「第3 被災地短期借地権」については借地借家法13条,17条をこの被災地短期借地権には適用しないということを表現するという点を修正し,その修正を伴うものとして取りまとめをするということをお諮りしたいと思います。そのことについて御意見はございますでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,ただいまの内容で「罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する要綱案」につきまして取りまとめることとさせていただきます。御異論がございませんので,部会として,部会資料14の内容にただいま申し上げた修正を加えたものを要綱案として決定したということにさせていただきます。大変ありがとうございます。   そして,これまでも既に出ておる話でございますが,推敲ということにつきまして少し申し上げたいと思います。要綱案につきましては,今後,法制審議会の総会での要綱の取りまとめまで間に,法律案作成の観点その他から,実質的な内容の変更にわたらない細かな表現や字句等の修正があり得るものと思われます。その一つに,「政令の施行の日から」というものを含めさせていただくということでございます。このような形式的な修正につきましては,誠に恐縮でございますが,部会長である私と事務当局に御一任を頂きたいと考えておりますが,そのようにさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。御異論がないということでございますので,そのようにさせていただきます。誠にありがとうございます。   それでは,要綱案の採決の二つ目でございます。部会資料13,番号が遡っております,申し訳ございません。「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しに関する要綱案(案)」につきまして,全体として何か御意見はございますでしょうか。   ここについても私から一言,申し上げなければならないことがあります。部会資料13につきましては,規約の規律について御議論を頂いたところでございます。箇所は第2の1でございます。第2の1にはこれまで(注1)というものがございまして,しかし,それを削除しております。ただ,実質については変更がないものとして取りまとめをしたいというのが,事務当局からの提案でございます。それに対して(注)を削っただけでは,そのことが必ずしも明確にならない,心配が残るということで,本文1の(1)の中に「明渡しの期限の許与に関する規律を除いて」という表現が他の項目にございますので,これを参考にしながら修文してはどうかという御意見がございました。それについては適切にこの文章の中に埋め込むことができるかどうかということも含めて,推敲の作業の問題として事務当局,そして,私に委ねていただきたいとお願いをし,先ほどは御了解いただいたところであります。その点についてはこの扱いで進めたいと思います。   そういった推敲の段階での作業はお引き受けするということで,この資料13について要綱案の採決という取りまとめをしたいと思いますが,そういう進め方でいかがでしょうか。御意見がありましたらお願いを致します。   それでは,部会資料14とは異なる形になりますが,部会資料13につきましては,この内容で取りまとめることにしたいと存じますが,いかがでございましょうか。御異論がないようでございますので,部会として部会資料13の内容で要綱案を決定したということにさせていただきたいと存じます。大変ありがとうございます。   部会資料14と同じことを申し上げますが,お許しください。部会資料13について決定していただきました要綱案につきましては,先ほどの罹災都市法と同じく,今後,実質的な内容の変更にわたらない細かな表現や字句等の修正があり得るものと考えられます。このような形式的な修正につきましては,誠に恐縮でございますが,部会長である私と事務当局に御一任を頂きたいと考えておりますが,よろしゅうございますでしょうか。御異論がないということでございますので,そのようにさせていただきます。誠にありがとうございます。重ねてお礼を申し上げます。   以上をもちまして,本日,無事,2件の要綱案を採択することができました。これも委員・幹事の皆様の御尽力のお陰でございます。本当にありがとうございました。   それでは,今後の予定等につきまして,事務当局から説明をしていただきます。 ○岡山幹事 非常にタイトなスケジュールの中,9回にわたって審議いただきまして,誠にありがとうございました。今後の予定でございますが,法制審議会の総会につきましては,本年2月8日に開催される予定です。この総会では山田部会長に当部会を代表して,罹災都市法及び被災マンション法の要綱案の内容について報告していただいて,御審議いただく予定でございます。総会において御審議の結果,要綱をお取りまとめいただけますと,法務大臣に答申していただくということになります。その後,私ども事務当局において,その答申の結果を踏まえまして所要の法案を作成いたします。そして,できる限り早期に国会に法案を提出して,その成立に向けて努力するということになります。   なお,予備日として2月4日の日をお願いしていたかと思いますが,本日,無事に要綱案が取りまとめられましたので,2月4日については開催することはございません。ありがとうございました。 ○山田部会長 ありがとうございました。   それでは,最後に民事局長でもある深山委員から御挨拶をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。 ○深山委員 それでは,最後に事務当局を代表して,一言,お礼の御挨拶を申し上げます。昨年9月の第1回から今日の9回まで,委員・幹事の皆さんには大変熱心に議論していただきまして,今日,こうやって要綱案を取りまとめることができました。また,山田部会長には,この間の円滑な審議,更には要綱案の取りまとめに大きな力を発揮していただいたと感謝をしております。改めて事務当局を代表して,皆様の御尽力に対して深く感謝を申し上げる次第です。   今後のことにつきましては,先ほど岡山幹事が申し上げたとおりで,まずは法制審の総会で要綱案を審議していただいて,取りまとめを目指すということになります。その要綱案自体も,もう少し,今日の議論を踏まえて考え直しますけれども,法制審の総会で要綱という形で大臣に答申がされますと,要綱の条文化が我々事務当局の大きな作業になります。既に少し着手しておりますが,今日の議論もややその反映という面もありますけれども,なかなか,条文化することが難しいものもありまして,これからまた,大いにこちらも頑張らなくてはいけないと思っておりますが,なるべく早く条文化の作業を終えて国会に法案を提出し,成立を図りたいと思っております。   もとより,将来の大震災に備えた法制の整備というのは,喫緊の課題だと思っておりますので,なるべく急ぎたいと思っていますが,皆さんも報道等で御案内のとおり,今年の通常国会は,はっきりしたことは私も分かりませんが,報道どおりだとすると延長はないと,それから,予算審議が連休明けまで掛かる,あるいは連休ぐらいまで掛かると。そうすると,これは予算関連法案ではありませんので,通常の法案の審議というのは予算が終わった後ということになって,会期延長がないと非常に審議の日程が窮屈な国会であるということでございます。   また,これも正直に申し上げざるを得ないのですが,民事局だけでも,これ以外にも法案を提出できる状況で準備をしているものが複数ありますし,更に法務省全体では刑事関係でも三つ,そのほかの部局も幾つというようなことで,まだ,どの法案をどういう順番でどう審議していくかということ自体が省内でもはっきり決まっているわけではないという,混沌とした状況にございます。我々担当者とすれば,何としても,この法案の優先度が高いということで,省内あるいは省外とのいろいろな交渉をしていこうと思いますけれども,いつ,成立するんだということをなかなか予想であれ,申し上げられないのが残念なところですが,最大限の努力をしていきたいと思います。   それから,条文化の作業,更には国会での審議においても,ここにおられる委員・幹事の皆様にいろいろと御協力,御支援を賜ることが今後,必要になると思います。部会の審議は,これで終わりですけれども,その節には,また,ひとつよろしく御協力,御指導をお願いしたいと思います。   以上をもちまして,私の事務当局を代表してのお礼の挨拶とさせていただきます。 ○山田部会長 深山さん,ありがとうございました。   それでは,大変恐縮ですが,部会長である私からもほんの簡単な一言でございますが,御挨拶を差し上げたいと思います。  昨年9月から5か月という短い期間に集中的に9回の会議を開き,本日,2件の要綱案を当部会として取りまとめることができました。このことはひとえに当部会に御出席くださいました委員・幹事,そして,関係官の皆様の御尽力の賜物でございます。当部会長の任をお引き受けいたしました私からも,皆様に心よりお礼を申し上げます。誠にありがとうございます。   個人的な感想を一言,申し上げることをお許しください。私は1995年1月に神戸におりまして,阪神・淡路大震災を経験いたしました。そのときに罹災都市借地借家臨時処理法というものについて,実質的に初めて出会ったところでございます。それから,18年が経過しております。この当部会の審議は2年前,2011年3月の東日本大震災を機縁に始まったものと私は承知しておりますが,私個人としては私が経験した阪神・淡路大震災から18年たったここで,当部会としてこのような大変立派な要綱案を取りまとめいただけたことを大変うれしく思っております。山田誠一個人からも皆様方に取りまとめいただきましたことに御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。   それでは,本日も法制審議会被災関連借地借家・建物区分所有法制部会で熱心に御議論を頂いたところでございますが,名残惜しいというのもおかしな表現かもしれませんが,本日で法制審議会被災関連借地借家・建物区分所有法制部会の審議は終了でございます。誠にありがとうございます。   以上で閉会といたします。 -了-