法制審議会 第172回会議 議事録 第1 日 時  平成26年7月14日(月)   自 午後4時31分                         至 午後5時37分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正に関する諮問第97号について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○松本司法法制課長 ただいまから法制審議会第172回会議を開催いたします。  本日は,委員20名のうち17名に御出席いただいておりますので,法制審議会令第7条に定められた定足数を満たしていることを御報告申し上げます。  初めに法務大臣挨拶がございます。大臣,よろしくお願いいたします。 ○谷垣法務大臣 大変御苦労さまでございます。法制審議会第172回会議の開催に当たりまして,一言御挨拶申し上げます。  委員及び幹事の皆様方におかれましては,御多用中のところ本会議に御出席いただきまして,誠にありがとうございます。また,この機会に法制審議会の運営に関する皆様方の日頃の御協力に対し,厚く御礼申し上げます。  さて,本日は一つの議題について御審議をお願いしたいと存じます。議題は「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正に関する諮問第97号について」でございます。  裁判員制度は施行から5年経過し,我が国の司法制度の中に定着しつつあると考えておりますが,諮問第97号は裁判員制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるようにするための法整備について御審議をお願いしているものでございます。  この諮問事項については昨年10月の諮問以後,刑事法(裁判員制度関係)部会におきまして調査・審議が続けられ,その結果が本日報告されるものと承知しております。委員の皆様方には御審議の上,できる限り速やかに御答申を頂けますようお願い申し上げます。  それでは,この議題についての御審議をよろしくお願い申し上げます。 ○松本司法法制課長 誠に恐縮ではございますが,大臣は公務のため,ここで退席させていただきます。 ○谷垣法務大臣 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。         (法務大臣退席) ○松本司法法制課長 ここで,報道関係者が退室しますので,しばらくお待ちください。         (報道関係者退室) ○松本司法法制課長 では,伊藤会長,お願いいたします。 ○伊藤会長 本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。  まず初めに,本年2月7日に開催いたしました前回の第171回会議以降,本日までの間における委員の異動につきまして御紹介申し上げます。異動内容の詳細につきましては,お手元にお配りしております人事異動表のとおりでございますが,新たに就任されました委員の方が本日御出席でございますので御紹介いたします。   東京高等裁判所長官の小池裕氏が委員に御就任になりました。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは,本日の審議に入りたいと存じます。先ほど大臣の御挨拶にもございましたように,本日の議題は一つでございます。その議題であります「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正に関する諮問第97号について」の審議をお願いいたします。  まず,刑事法(裁判員制度関係)部会における審議の経過及び結果につきまして,同部会の部会長を務められました井上委員から御報告をお願いいたします。 ○井上委員 井上でございます。ただいま会長から御紹介がありましたとおり,刑事法(裁判員制度関係)部会の部会長を務めさせていただきました。その立場から同部会における審議の経過及び結果につきまして御報告申し上げます。  諮問第97号は,「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の施行の状況に鑑み,裁判員の参加する刑事裁判の制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるようにするため,早急に法整備を行う必要性があると思われるので,〔同諮問に付された〕別紙要綱(骨子)について御意見を承りたい。」というものでした。   本諮問につきましては,御承知のように,平成25年10月15日に開催されました法制審議会第170回会議で,まず部会において審議すべきである旨が決定され,それに基づき,刑事法(裁判員制度関係)部会が設けられた次第です。  そして,同部会では,同年12月24日から平成26年6月26日までの間,合計5回にわたって審議を行いました。その結果,諮問に係る要綱(骨子)につきまして,これから申し上げるとおり一部修正の上,賛成多数により,本日,配布資料刑1としてお手元に配布されております要綱(骨子)のとおり法整備をすることが相当であるという結論に達したところであります。以下,同部会における議論の概要につきまして,この資料刑1に沿って順次御説明申し上げます。  要綱(骨子)の第一は,審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたるなどする事案については,例外的に裁判員の参加する合議体ではなく裁判官のみの合議体で審判を行い得る旨の規定を置くこととする,というものでありました。この点につきましては,法制審議会第170回会議におきまして委員の皆様方から多くの意見が述べられたことから,部会でも,それらの意見を紹介させていただいた上で審議を進めましたので,これに関連する点を中心に御報告申し上げます。  部会におきましては,要綱(骨子)の第一のような規定を設けることの必要性については,立法事実がないという意見もありましたけれども,今後,審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたるなどする事案が生ずることも考えられないわけではなく,そのような事態がいつ起こるか分かりませんので,そうした場合に備えて,あらかじめ規定を設けておく必要があるという意見が大勢を占めました。  また,総会委員の皆様方からは,審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたるという要件につきまして,抽象的ではないかという御指摘がありましたので,部会におきまして,その点につき,かなり突っ込んだ議論を行いました。その結果,要件の具体化を図るとしても,事柄の性質上,例えばですけれども,「審判に要すると見込まれる期間が1年を超えるような事件」,この数字は何でも構わないので,「6か月を超える」ということでもよいのですが,ともかくそういう具体的な数字を挙げて,それを超える場合には除外決定を行うといった規定とすることは適当ではないという意見が大勢を占めたところであります。  その上で,具体的な要件の定め方等につき審議を進めたところ,この規定が適用されるのは,迅速な裁判を行うための様々な方策を尽くしたけれども,やむを得ず著しく長期又は多数回の審理を行わざるを得なくなった場合である,という意味合いを何らかの形で法文の上に表すべきである,除外の要否の判断をより容易にする観点から,除外決定を行うための要件として,一度は裁判員候補者を呼び出して裁判員等選任手続を行うこととすべきである,あるいは,主に要件の明確性ということとの関係で諮問に係る要綱(骨子)における除外決定を行うための要件が,単に「〔必要な〕員数の裁判員〔等〕を選任することが困難」とされていた点について更に修正を検討すべきである,といった意見が述べられました。  これらの意見等を踏まえて,更に議論を進めた結果,諮問に係る要綱(骨子)につき,これから申し上げるように,主に3点の修正を行うことといたしました。まず1点目として,要綱(骨子)第一の一の1及び2につきまして,それぞれ長期・多数回の審判となることを「回避することができない」との文言を付加することとしました。  次に2点目として,要件を明確化し,除外の要否の判断をより容易にするという観点から案文の修正を行いました。具体的には,御覧になっていただければ分かると思いますが,除外決定を行う際の考慮事項として,「過去の裁判員の選任又は解任の状況」ということ,及び「法第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の経過」,あるいは「法第四十六条第二項の規定による裁判員及び補充裁判員の選任のための手続の経過」ということを例示することとしました。  このうち,最初の「過去の裁判員の選任又は解任の状況」とは,当該事件とは別の過去の裁判員制度対象事件における裁判員の選任の困難さや解任の頻度などといった事情を指します。また,「法第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の経過」及び「法第四十六条第二項の規定による裁判員及び補充裁判員の選任のための手続の経過」というのは,実際に裁判員等選任手続期日を開いた際の手続の経過を意味し,当該裁判員等選任手続期日では必要な員数の裁判員等を選任できなかったことなどの事情を指します。  以上のような例示をする上,必要な員数の裁判員等を選任すること自体が困難であるという場合に加えて,裁判員等選任手続を行えば必要な員数の裁判員等の選任が一応は可能で公判を開始することができるとしても,判決に至るまで裁判員等が職務を遂行することは困難だと見込まれる状況にある場合にも,除外決定を行えることを明らかにするため,諮問に係る案文においては必要な員数等の裁判員等を「選任することが困難」な状況にあるときなどとされていた部分について,「裁判員の選任又は職務の遂行を確保することが困難」であると認めるときというふうに修正することとしました。  そして,3点目として,諮問に係る要綱(骨子)第一の一の2で「裁判員の員数に不足が生じた場合において」とされていた部分を,「裁判員の員数に不足が生じ,かつ,裁判員に選任すべき補充裁判員がない場合であって」と修正することにより,裁判員に選ばれた人が足りないというだけでなく,補充裁判員もいないということが例外決定の要件となるということを明らかにしました。  なお,以上の点に関連して,要綱(骨子)第一の一の1の規定により公判開始前に除外決定を行う場合については,現時点までは,支障なく裁判員の参加する合議体で審判が行えてきたという状況にあることからしますと,先ほど御説明した例示のうちの「過去の裁判員の選任又は解任の状況」のみを考慮して除外決定に至るような事案はいまだ存在していないことになりますので,今後も,まずは裁判員候補者の呼出しに着手した上で,必要な員数の裁判員及び補充裁判員の選任ができた場合には裁判員裁判を実施し,選任ができなかった場合に除外決定を行うのが,当面の通常の運用になるであろうといった見解が部会の審議においても示されたところであります。  また,法制審議会第170回会議におきまして,委員の皆様の間から,裁判員制度対象事件からの除外決定をする場合には裁判員に意見を聴くなど,裁判員がその判断に関わるような形の方が望ましいのではないか,あるいは,公判開始後に裁判員が6名に満たず,1から5名という形になってしまった場合にも,それらの方々が手続に参加する意思があれば,その裁判員は審理に立ち会うなど,何らかの形で参加できる制度を設けることも議論してほしい,といった御意見が表明されました。  そこで,これらの点につきましても部会で議論を行いましたが,最初の除外するかどうかの判断に裁判員が関わるという点については,除外決定をすべきかどうかの判断は審理計画を前提としてなされることになると思われますが,その審理計画は,裁判員裁判の場合でも,争点及び証拠の整理の結果を踏まえて,専ら裁判官が策定することになっており,除外決定をすべきかどうかの判断はその審理計画の内容と密接な関係に立つものですから,その判断に裁判員が加わる,あるいはその判断をするに当たって裁判員に意見を聴く制度とするのは整合性という点で問題があるのではないかという意見や,特に要綱(骨子)第一の一の1により除外決定を行う場合,これはまだ裁判員が選任すらされていない場合ですので,この場合には意見を聴く相手がいないといった意見が述べられ,制度としてそのような形をとることについては消極的な意見が大勢を占めました。  ただ,今回の要綱(骨子)の第一の四を見ていただくと分かりますけれども,除外決定は当該事件の公判を担当する裁判体とは別の裁判官で構成される合議体がこれを行うということになっておりますが,その決定をするに当たっては,必ず公判を担当する裁判体の裁判長の意見を聴くことが必要とされています。それについて,相当程度審理が進んだ上で除外決定をすることと考えざるを得ない状況となった場合には,意見を求められる裁判長としては,それまで参加しておられた裁判員の意見を全く聴かないで自らの考えだけで意見を述べるということは考えられない。裁判員の意見も聴いた上で,裁判長としての意見を述べることになるのではないか。その意味で,裁判員の方々の御意見にも配慮することが運用上できるのではないか,という意見も述べられたところであります。  次に,要綱(骨子)第二は,東日本大震災の経験等に鑑みまして,重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け,自らその再建のために措置を講ずる必要がある方々につきましては,裁判員になることについて辞退が認められることを法律上明示することとするものであります。  また,要綱(骨子)第三は,著しく異常かつ激甚な非常災害の被害を受け,交通が途絶するなどした地域に住所を有する裁判員候補者又は選任予定裁判員の方々につきましては,一律に裁判員等選任手続への呼出しをしない措置を講じることができる旨の規定を置くこととするものであります。  これらにつきましては,部会での審議において,諮問に係る要綱(骨子)に対して特段の異論は示されませんでした。  最後に要綱(骨子)第四ですけれども,その一におきまして,被害者特定事項の秘匿決定がなされた事件につき,裁判官や検察官等は裁判員候補者に対し正当な理由がなく被害者を特定させることとなる事項を明らかにしてはならない旨の規定を設けることとし,その二におきまして,裁判員候補者又は裁判員候補者であった者は,被害者特定事項の秘匿決定があった事件の裁判員等選任手続で知った被害者を特定させることとなる事項を公にしてはならない旨の規定を設けることとするというものです。  このうち第四の一につきましては,諮問に係る要綱(骨子)に対し特段の異論はありませんでした。   第四の二につきましては,現在の裁判員等選任手続の運用上,被害者を特定させることとなる事項が裁判員候補者に伝わる場面は限定されているため,罰則付きではないとはいえ,このような義務を裁判員候補者に課す必要が乏しいと考えられるという意見もありましたけれども,被害者は自分の名前や住所等が知られることを非常に恐れているため,被害者の立場からは第四の二のような規定は必要である,あるいは,被害者の立場から見たときの制度に対する信頼感を確保することは刑事司法制度が適切に機能していく上で軽視できず,そのような観点からは第四の二のような規定を設ける必要性があるなどの意見が述べられまして,この規定を設けるべきであるという意見が大勢を占めたところであります。  以上のような議論を経た上で,修正後の要綱(骨子)について採決に付したところ,私を除く出席委員12名のうち賛成11名,反対1名の賛成多数により修正後の要綱(骨子)のとおりの法改正を行うべきであるとの結論に至ったところであります。  概略,以上のような審議に基づき,諮問第97号につきましては配布資料刑1のように法整備を行うことが相当である旨が決定された次第です。  私からの御報告は以上でございます。 ○伊藤会長 ありがとうございました。  ただいまの井上委員からの報告及び要綱(骨子)の全般的な点につきまして御質問,御意見を承りたいと存じますが,まず御質問からお願いしたいと思います。 ○川副委員 川副から質問をさせていただきます。  要綱(骨子)第一の「長期間の審判を要する事件等の対象事件からの除外」に関しまして,ただいまの井上委員からの御説明でほぼ理解ができたところでございます。その上で確認的な意味でお尋ねしたいと思います。大別して3点ございますけれども,相互に関連するものですので,大変恐縮ですけれども一括して申し上げてよろしいでしょうか。 ○伊藤会長 はい。 ○川副委員 では,そのようにさせていただきます。  まず要綱(骨子)第一の一の1でございますが,過去の裁判員の選任又は解任の状況,すなわち過去の別の事件の状況ということですが,これが考慮要素の一つとされている。その他の要件等を含めて総合考慮されるということになるわけです。これに関しまして,今日「審理が比較的長期に及んだ事例一覧表」が机上配布されております。今の御説明でほぼ理解できますが,少なくともここに掲げられている事件の審理期間,あるいは公判回数をもってしては直ちに対象事件から除外するものではない。そういう意味では,現時点ではこの除外事由に該当する過去の事件はないという認識で理解していいのかどうか。これが1点目でございます。  もしそうだといたしますと,今のところ,先ほど御説明がありましたように,これらの事件に匹敵し,あるいはそれを超えるような長期間又は多数回の審理を要する事件でありましても,当該事件の裁判員等選任手続の経過,すなわちまずは裁判員裁判を実施するという方向で裁判員の選任手続をしてみて,その経過などを踏まえて対象事件からの除外をすべきかどうかを検討するという解釈,あるいは運用がなされるという理解でよろしいのかというのが2点目でございます。  この点は先ほどの御説明にもありましたように,部会でも詳細な議論がなされていることが議事録からも読み取れますけれども,大変重要な論点だと思いますので念のためこの場で確認をさせていただきたいと思います。  その上で3点目でございます。今後のことでございます。今後,この要綱(骨子)が立法化されて運用されていく中では,確かにまれなケースだとは思いますけれども,対象事件から除外される言わば先例が出てくることになると思います。そうした状況を考えましたときに,その先例が考慮要素の一つとなるわけでございますけれども,その先例の審理期間や公判回数に匹敵する,あるいは超えるような事件が生じた場合には当該事件では裁判員等選任手続は基本的に行わないことになるのか,それとも事案の個別性,あるいは裁判所が所在する地域の人口,その他の特性なども考慮して選任手続を試みるかどうかを含めて,できるだけ裁判員裁判を実施する方向での検討や御努力をしていただいて判断されると。ケース・バイ・ケースということであろうかと思いますけれども,お考えをお聴かせいただきたいと思います。部会での御議論,あるいはもし裁判所としてこれが立法化された場合にどうお考えになるかという御所見でもおありでしたら議論の参考に供していただければと思います。以上でございます。 ○伊藤会長 ただいま3点につきまして川副委員から御質問がございました。これに対するお答えは,井上委員からお願いしてよろしゅうございますか。 ○井上委員 概略は先ほど御報告したとおりでございますけれども,1点目及び2点目につきましては,どのぐらいの長さになれば「著しく長期」に当たることになるのかについて,できるだけ同じようなイメージを持ち,どれを前提として議論したいということで,ラフな意見交換はいたしました。その際に,これまでの実績を踏まえると,裁判員の職務従事期間が最も長かったのが100日,2番目が97日,3番目が75日でありますが,それらの事案におけるような長さでは,除外すべきだというふうに思っている方はいなかったように思います。  そういう意味で,この考慮事項の最初の方の例示に当たるような事態はこれまでのところ生じていない,ということを申し上げた次第です。したがって,その例示された要素を考慮して,それのみで除外決定をするということは,いきなりは考えにくいのではないかという意見が示されたところです。まずは裁判員候補者の呼出しに着手して,選任手続を行っていくことから始めるのが当面の通常の運用となるのではないかということであります。  なお,要綱(骨子)第一の一の2の適用が問題となる場合について,当初から著しく長期の審判が予定されている事件につき裁判員に不足が生じ補充裁判員がいないといった事態が生じた場合をどうするかということも問題となり得ますので,補足的に申しますと,そのような事態に立ち至るまでの当該事件の審理の経過,あるいは,従前の裁判員等が解任された時期や理由といった事情を考慮した結果,欠員を補充して審理を再開しても,また同様の事態に陥る蓋然性が認められると合理的に判断できる場合もないわけではなく,そういう場合には,再度の裁判員候補者の呼出しに着手することなく除外決定をすることもあり得るのではないかという意見が示されまして,それに対しては特に異論は示されませんでした。  御質問の3点目については,結局は個々の事件における今後の裁判所の判断によるということになると思いますが,御指摘のような過去に除外決定がなされた事案が存在するようになった場合には,そのような事情は過去の裁判員の選任又は解任の状況として除外決定の可否の判断の中で考慮要素になるだろうと思われます。  もっとも,この要綱(骨子)第一による除外決定は,過去の裁判員の選任又は解任の状況ということだけで除外するかどうかを決めるというわけではありません。裁判員等選任手続の経過や,その他の事情をも考慮して行われることになっておりますので,各裁判所が,個別具体的な事案において,過去の事例以外の必要な事情も考慮して個別の判断を適切に行っていく,ということではないかと思われるのであります。 ○川副委員 ありがとうございました。 ○伊藤会長 それでは,ほかの委員の方で御質問がございましたらお願いいたします。  どうぞ。 ○中村幹事 幹事の中村でございます。私の方からも今の川副委員の御質問に関連して,要綱(骨子)第一の除外制度について御質問させていただきます。  この部会の議論の結果について平成26年6月27日付けの全国紙の報道によりますと,複数の全国紙に「審理の1年超は対象外に」ということで,「1年」という数字を明確に記載して,いわゆる除外制度の対象となる事件は第1回公判期日から判決までの期間が1年を超えるものを想定しているという趣旨の報道が一部にございました。  しかし,先ほどの詳細な井上部会長の御報告,あるいは川副委員からの御質問に対する回答に照らしますと,部会におかれましてはどの程度の審理期間又は回数であれば著しく長期,又は著しく多数に当たり,除外制度の対象となり得るかどうかという点について具体的な数値を明示することは適当ではないとされ,公判開始前における除外制度,要綱(骨子)第一の一の1についてはまず裁判員候補者の呼出しに着手した上で,必要な員数の裁判員等が選任できた場合には裁判員裁判を実施し,できなかった場合に除外制度の適用を検討するという運用が当面の通常の運用となると想定されていると理解しております。  そういたしますと,最初に申し上げました一部の報道というのは部会の御議論を正確に伝えるものではないように考えますけれども,この点について確認させていただきたいと思います。 ○伊藤会長 井上委員,よろしくお願いします。 ○井上委員 一部の新聞でそのような報道がなされたということは,私も承知しています。私自身,その紙面を見てびっくりしたのですけれども,部会でそのような決定をしたとか,あるいは,それが委員の間の共通認識であったということはないと理解しております。  先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども,何らかのはっきりした合理的な根拠,あるいは実証的な根拠に基づき特定の具体的な期間を設定して,それを超えれば一律に除外決定をするといった規定とすることは適切ではないというのが部会でのほぼ一致した結論でありました。報道されたことについてこういう場で一々コメントするのは余り適切とは思えませんけれども,そういったことを部会で決定ないし確認したという事実はございません。 ○伊藤会長 よろしゅうございますか。 ○中村幹事 ありがとうございました。 ○伊藤会長 ほかにいかがでしょうか。  それでは,山根委員からお願いします。 ○山根委員 著しく長期となりますとやはり裁判員の負担が重くなりますので,そこへの配慮は別途重要になるとは思いますが,こういった例外要件を置くとすれば曖昧さというのは限りなく小さくすべきでありますし,今回の要綱(骨子)第一の文言については賛成いたします。  その上で,期間をなるべく短くするための努力や工夫についていろいろと議論がされたのかどうかをお伺いしたいと思います。 ○伊藤会長 これも井上委員,よろしゅうございますか。 ○井上委員 御指摘がありましたとおり,できるだけ短くするように関係者が最大限努力すべきであるというのは当然のことでありまして,部会でも,そのような御意見があり,共通した認識となっていたと言えます。先ほど御説明しましたように,種々の方策を講じたけれどもやむなく長期,あるいは多数回に及んでしまうといった場合に初めて除外決定がなされるのだという意味合いを表す文言を付け加えたのも,正にそういう議論を踏まえた上でのことなのです。  できるだけ短くするためには種々の方策があり,事案,事案により使える方策は異なり得ますし,またどれか一つということではなく,幾つかの方策を組み合わせて使うべき場合もあるわけですけれども,関係者は最大限それらの方策を駆使して,参加される国民の負担が過重なものにならないよう努めなければならないということは,今回の要綱(骨子)案の当然前提とするところであると言えます。 ○伊藤会長 よろしいでしょうか。  それでは,先に佐々木委員からお願いいたします。 ○佐々木委員 前回も質問をさせていただいたのですが,1から5人の参加に対して制度として設けるのは消極的な意見が大勢を占めたということをおっしゃったのですけれども,運用としてその裁判官が意見を聴くことがあるのではないかとおっしゃったように思ったのですが,ちょっと違うかもしれません。この1から5人となったときの場合の議論についてもう少し教えていただけますでしょうか。 ○井上委員 早口で二つのことを申し上げたので,それが一緒のものと聞こえたのかもしれませんが,裁判長が裁判員の意見を聴いて反映させることはあるだろうと申しましたのは,除外決定をするかどうかの判断についてであります。  相当の期間,審理が続いた上で,まだまだ長く掛かりそうだけれども,裁判員を更に補充することは非常に困難だという場合に,それまで参加してきた裁判員がおられるわけですので,除外をするかどうか判断をする合議体から意見を求められた当該公判担当の裁判長は,意見を述べるに当たって,裁判員の意見を聴き,それをも踏まえて意見を述べるのが普通でしょうということです。  一方,裁判員の数が6名に満たなくなり,除外決定がなされた場合にも,それらの方々が希望すれば,何らかの形で参加し続けることを可能にできないかという点については,参加といっても二つの形があり得るわけです。その一つは,除外決定がなされる前と同じように,評決権を持ち,全く同等の立場で参加するという形ですが,そのようなことを認めるというのは,裁判官3名及び裁判員6名で構成される裁判体が審判に当たることとしている,そもそもの制度の作りとは異なる裁判体による審判を認めてしまうことになりますので,適切ではないのではないかという意見が示されました。  もう一つは,評決権は持たず,参考意見を述べるだけという形ですが,そもそも裁判員制度自体,国民に参加していただく以上は,裁判官と同等の権限を持って裁判体を構成し,主体的に判決の形成に参加してもらうべきだということで制度が作られているのに,それとは違う形の参加制度を作ることになってしまい,裁判員制度本来の趣旨から外れてしまうのではないか。  もちろん,そもそも論に戻って考えるのなら,その両方を併用させる制度とするということはあり得なくはないのですけれども,今回の改正において,大本に戻ってそういうものを盛り込むのは適切ではないのではないか,そういう意見が大勢を占めたということです。 ○伊藤会長 よろしいでしょうか。 ○佐々木委員 今のお話,もちろん分かります。分かりますし,御説明はとても分かりやすかったので有り難いと思いますし,難しいと思うのですけれども,今のお話だと1から5までの人たちはそこまでずっと参加してきたのに,意見を言うということになると,本来の裁判員制度の趣旨と違ってしまうからなんとなく変だということになるわけですが,つまりは100点でない,中途半端な点だったら0点にして,あなたたちの意見は聴きませんよということになってしまうので,どちらかを天秤(びん)に掛けた場合にどうなのかというのが,前回私もアドバイザリーのような形が何かないのかとか申し上げた。運用面という表現が,私もちょっと不確かだったのですが,最後に何か意見表明をしてから終わるのか何なのかということが考えられるのかなという意味では,制度上おっしゃっていることはよく分かりますが,そこまで何日間かやってきた人たちにとってみると,いきなりゼロに振り出しに戻るのは,ルール上そちらの方が正しいからと言われるとちょっといかがな……,もう少し知恵がないかなとは考えますが。 ○井上委員 ここからは私個人の感想として聞いていただければと思うのですが,おっしゃっている御趣旨はよく分かります。裁判員の方たちが,せっかく仕事などの調整を付けた上で何日も審理に参加してくださったのに,申し訳ない。私もそういうふうには思うのですが,御希望の方に参加し続けていただける制度とすることは,今申したように適切でないところがある上,もう一つ難しいのは,裁判体の構成員でなくなってしまった人が評議に加わるとか,判決の形成に影響を与えるような意見を言うことを認めることには,慎重に考えないといけない問題があるように思います。最初からそういう作りの制度になっていれば別かもしれませんが,そうではないのに裁判体の構成員ではなくなった人が評議に参加したり,判決の形成に影響を与えるような意見を言うのを認めることについては,それ自体として慎重でなければならない問題があるのではないか,というのが私の感想です。 ○佐久間委員 中座させていただきたいと思っておりますので,議事に関して意見を言わせていただきたいと思います。本日の諮問案について賛成でございます。現実的な問題を考えれば将来起こり得るケースに備えるのは当然のことだと思いますし,またこういう規定があることによって裁判員になられる方の心理的なプレッシャーを和らげる効果もあるかと思いますので,賛成でございます。以上でございます。 ○伊藤会長 御意見をありがとうございました。ほかに御質問はございますでしょうか。   もしございませんようでしたら御意見のある委員の方,お願いいたします。 ○古賀委員 まず,要綱(骨子)第一の対象事件からの除外についてでございます。対象事件からできる限り除外すべきではないというのがこの裁判員裁判の趣旨だと思いますけれども,その観点から先ほどの議論も含めまして今回の修正案は妥当であると判断いたします。部会長を始め部会の皆様方の御労苦に心より敬意を表します。   今後は安易に対象事件から除外されることがないように,制度本来の趣旨を踏まえた適切な運用を行っていただきたいと思います。加えまして,昨年も,これまでも申し上げてきましたけれども,本諮問内容と関連して重要な視点であると考えますので,裁判員制度のより良い運用とその定着という観点から幾つかの要望を申し上げておきたいと思います。   一つは,裁判員制度の国民への定着の促進についてです。先ほどもございましたように,裁判員制度は概ね順調に運用されていると思いますけれども,今後も裁判員制度への国民の理解を促進するための取組を一層強化すべきであると考えます。   また裁判員に選ばれた国民が裁判に参加しやすい環境を整備することも必要ではないかと思います。例えば各企業が裁判員休暇を有給で創設をするよう啓発活動を推進することや,裁判員の精神的負担に対するフォローの在り方など,必要に応じて適宜検討をしていくべきであると思います。   二つ目は,裁判員候補者の辞退率についてです。最近のデータを見ますと,2013年は63.3パーセントとなっており,候補者の辞退率が年々高まっているとお聞きしております。裁判員制度は司法だけではなくて,社会全体の一つの大きな変革の取組であったために,運用開始時点では柔軟な取扱いが必要であり,そのことは妥当であったと思います。しかし,法令上の理由がある場合はともかくも,あまりに緩やかに辞退を認めることは国民の間に不公平感を招くことにならないかと懸念しております。裁判員制度は国民の支持と理解が不可欠な制度であり,裁判所として辞退事由についてのチェック機能を強化するなどの対応も必要ではないかと思います。   また,守秘義務の運用の在り方が,裁判員経験を社会で共有することの妨げになっていないのかという点も検証する必要があるのではないかと考えます。裁判員候補者の辞退率の上昇に拍車が掛からないように,例えば言ってはならないことを個別具体的に明記したガイドラインを策定するなど,守秘義務の明確な運用に向けた対応を御要望し,意見といたします。以上でございます。 ○伊藤会長 御意見をありがとうございました。更に御意見はございますでしょうか。 ○岩間委員 私も似たようなことですが,今後とも裁判員制度を定着させていくために情報開示及び国民への理解を訴えるための情報の提供の仕方はもっと工夫が必要なのではないかという気がいたします。   ここに出ているような最高100日36回というのも,それはそれで相当な負担だと思いますので,それがどういうことであって,なぜ国民にとって大事なのかということを訴えていくことが必要だと思います。今以上に国民がアクセスしやすい情報をどうやって出していくか,考えていただきたい。辞退率を下げるためには,最初の時点でこういうふうになっていますけれども,協力をお願いしたいということを分かりやすい形で提供できるような情報提供活動を是非工夫していただきたいと思います。   今後,これが実際に運用される場合が出てきて,除外されることがあるような場合は,それもやはり国民に対して分かりやすいような情報として提供していただきたいと希望いたします。 ○伊藤会長 御意見ありがとうございました。ほかに御意見はございますでしょうか。 ○川副委員 何度も発言して恐縮ですが,簡単に意見を申し上げます。要綱(骨子)第一ないし第四の全てに賛成いたします。この諮問に関しては,昨年の法制審議会第170回会議でいろいろな意見が出ました。要件をもっと明確化すべきではないか。手続的な要件を入れることも検討してはどうか。そういった様々な意見について,部会の方でもしっかり受け止めていただいて,非常に緻密な御審議をされた。そういう意味では,この法制審議会の総会と部会の在り方というものが非常にうまく機能したのではないかということで,部会長を始め部会の委員の先生方には改めて感謝を申し上げたいと思います。   実際の今後の運用,とりわけ対象事件からの除外の関係ですけれども,部会の裁判所の委員の方からも非常に慎重にやっていくという御発言があったと思います。少なくとも除外事由になるような事件は現時点では存在しないという前提で,できるだけ裁判員裁判を行うということで選任手続を実施する。その上でその実際の状況をよく見て判断するということを改めて確認をしていただきたいと思いますし,先ほどの,こだわるようですけれども今後先例が出てきた場合それが独り歩きして,その期間あるいは回数だけで除外ということにならないように,これは裁判所に対する要望になりますけれども,事案の個別性などについても十分御配慮いただきたいと思っております。   そうした努力を重ねることが私ども法曹三者全員に課せられているわけですけれども,そのことがこういった除外をする場合でも国民が納得できる手順と理由が求められるということを改めて自覚し,その積み重ねをすることによって成熟した制度に育てていかなければいけないと改めて感じております。   それから,これとは別のことですが,先ほど御指摘のありました守秘義務との関連で一つ,要綱(骨子)第四の二に関して裁判所に注文的なことを申し上げておきたいと思います。この条文に基づいて裁判官が具体的にどういった説示をなさるのかということは,部会の御議論でも今後立法化された後に裁判所で十分検討したいというお話になっているようです。ただ,これは老婆心かもしれませんが,説示の仕方いかんによっては守秘義務を過度に広く印象付けてしまいまして,それが国民の間に広がって,ひいては裁判員候補者として出頭すること自体を敬遠する効果をもたらすおそれもないわけではない。あくまでも公表禁止の対象となるのは裁判員等選任手続で知った非公開決定のある被害者特定事項だということが明確に分かるような形での説示の在り方を慎重に御検討いただきたいと思います。以上でございます。 ○伊藤会長 ありがとうございました。それでは,原案につきまして採決に移りたいと存じますが,よろしゅうございますか。           (「異議なし」の声あり) ○伊藤会長 御異議がないようでございますので,そのように取り計らわせていただきます。   諮問第97号につきまして,刑事法(裁判員制度関係)部会から報告されました要綱(骨子)のとおり答申することに賛成の方は挙手をお願いいたします。           (賛成者挙手) ○伊藤会長 反対の方にも挙手をお願い致したいと存じますが,いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。   それでは確認いたしました。 ○松本司法法制課長 採決の結果を御報告申し上げます。議長及び部会長を除くただいまの出席委員の数は15名でございますところ,原案に賛成の委員は15名,全ての委員の御賛成ということでございます。以上でございます。 ○伊藤会長 それでは,ただいま報告がございましたとおり,採決の結果15名全員の方に賛成を頂きましたので,部会から報告されました要綱(骨子)は原案のとおり採択されたものと認めます。   採択されました要綱(骨子)につきましては,会議終了後,法務大臣に答申することといたします。井上委員,ありがとうございました。   これで,本日の予定は終了となりますが,ほかにこの機会に御発言いただけることがございましたら,お願いいたします。 ○佐々木委員 法制審議会と部会の関係など,過去にも御提案などさせていただいてきました。今回は先ほど井上委員から御説明いただいた中でも前回の本会議での審議の内容を丁寧に議論していただいた旨を報告されて大変有り難かったと思うのですけれども,今回の件ということでは全くなく,全体の仕組みとして今までずっと疑問に思っていたことがあります。   それは特別部会などでの結論がすぐに新聞に載ること,報道されるということです。今,伊藤会長からもこの審議結果を会議終了後,法務大臣に答申をいたしますということですが,もう国民は新聞を読んで知っているというのは順序から言うと逆な話だと思います。   そもそも部会の結果が一般的に告知され,ニュースにもテレビにも出て,その後ここで議論をしても,大きな変更はあり得ないのではないかと思うのです。これは過去にも最終的にここで議論してもあまり変わりませんねということを発言させていただいたことがあるのですが,もし本当にこの審議会がファイナルに,今回はもうちょっと部会の方々に議論を続けてほしいといって,仮に差戻すことができるなら,きっと過去に事例はないのだと思うのですが,分かるのですが。本来はこの審議会機能はそういったこともあり得る本会議だとすると,特別部会で決まったことがもう少し秘密裏にというのでしょうか,公にならない方法でこの審議会までもたれて,そしてこの審議会で初めてというか,審議委員にきちんと報告されて,いろいろな意見をもって議論し,最終的に本当に決まってから発表されるというのが,大切なのではないでしょうか。もしかすると皆様御専門の方からすると,「いや,そういうことではないよ」ということかもしれませんが,審議会の建て付けからすると,そちらが自然な気がいたします。   私自身も自分が来る本会議の前に新聞にいっぱい出た案件は今までいっぱいありました。「あれ,私休んでしまったのかしら」と思って見ると日程はそうではなくて,ちゃんと,本会議は来週ではないかというようなことがいくつもあった。この本会議の意味といいますか,よく分からないなと思うことがございました。   ですから,是非一度,これは一委員の私の意見として仕組みとして特別部会で様々な専門家にお考えいただくことがこちらに持ち込まれる間に報道されないということについて御検討いただけないかという一つの意見です。   それから,例えば今回の裁判員制度に関しましては,先ほど来出たように,これを国民にどうやって啓もうしたり広めていくかということも重要な案件です。これをPR,告知される機会として捉えることも大切です。こういう決定事項があったときに記事になるわけですから,上手に発表することが啓もうや告知にもつながるのだと思います。なので,そういった報道プランというか,PRの意味も含めて,どういうタイミングで,どんな内容や言葉を添えて発表するのかということももう少し慎重にしていけたならば,国民に関わる法律の決定において,様々な決定において,より良い報告や答申ができるのではないかなと思っております。 ○伊藤会長 分かりました。今の佐々木委員の御指摘に関し事務当局から御説明いただくことがございましたら,お願いいたします。御指摘は,部会と総会との関係にも関わることでございますので,御指摘については然るべく検討をすることもあろうかと思いますが,いかがでしょうか。 ○小川関係官 従来の部会と総会の関係でございますが,基本的には部会で具体的な議論をしていただき,それはその都度メディアへの公表などもしております。その上で部会では例えば表現はいろいろありますが,要綱(案)という形で部会が策定し,それを最終的な答申をしていただく形でこの総会にお諮りするというのが基本的な流れでございます。   したがいまして,部会での審議の状況についても従来から公表しておりますので,やはり要綱(案)の形であっても一定のメディアに対する公表は必要かと考えています。ただ,先ほどもお話がございましたように,もちろんその後総会の議論があるわけですので,公表の仕方あるいは報道機関への説明の仕方という点については十分留意するようにしたいと思います。 ○伊藤会長 もちろん最終的な要綱の採択及び答申はこの法制審議会(総会)で決定することでございます。ただ,御懸念のように,総会開催の前に実質的に決定済みと受け取られることにならないように,それぞれの部会や特別部会における審議についても適宜報告をしていだたくように,従来からもしているかと思いますので,今後ともその点を事務当局に留意いただきたいと思います。   ほかに何か御発言はございますでしょうか。   御発言がございませんようでしたら,本日の会議における議事録の公開方法につきましてお諮りしたいと思いますが,審議の内容等に鑑みまして,私といたしましては議事録の発言者名を全て明らかにして公開することにしたいと思いますが,いかがでございましょうか。それでよろしいでしょうか。           (「異議なし」の声あり) ○伊藤会長 それでは,本日の会議における議事録につきましては発言者名を全て明らかにして公開することにいたします。   なお,本日の会議の内容につきましては後日発言を頂きました委員の皆様方には議事録(案)をメール等で送付させていただきまして,御発言の内容を確認いただいた上で法務省のウェブサイトに公開したいと存じます。   最後に事務当局から事務連絡がございましたらお願いいたします。 ○小川関係官 次回の総会の開催予定について御説明申し上げます。従来から申し上げておりますとおり法制審議会は2月と9月に開催するのが通例となっておりますが,次回の総会の開催の日程につきましては,内々ということで御連絡しておりますとおりで,場所は本日と同じこの大会議室において法制審議会第173回の会議を予定しております。正式には案件が確定次第の御案内とさせていただきたいと存じます。つきましては,委員,幹事の皆様方におかれましては御多忙のところとは存じますが,第173回会議の御予定につきまして御配慮いただきますよう,よろしくお願い申し上げます。 ○伊藤会長 それでは,これをもちまして本日の会議を終了いたします。   本日は皆様方,御多忙のところをお集まりいただき,また熱心な御議論を頂きまして,心より御礼申し上げます。ありがとうございました。 -了-