法制審議会会社法(現代化関係)部会第6回会議 議事録 第1 日 時  平成15年5月28日(水)  自 午後1時00分                        至 午後5時35分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題    会社法の現代化に関する改正検討課題(4)について 第4 議 事 (次のとおり)               議         事 ● まだお見えになっていない委員・幹事の方がおられますけれども,予定した時間が参りましたので,第6回の会社法(現代化関係)部会を開会することにいたします。  本日は,御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。        (委員・幹事の異動紹介省略) ● それでは,まず配布資料につきまして事務局から説明をお願いします。 ● 本日の配布資料は,事前にお配りいたしました部会資料6の「会社法の現代化に関する改正検討課題(4)」と題するものでございます。  それから,本日席上に,今月,中小企業政策審議会企業制度部会においてとりまとめられました,「中小企業政策の視点からの新しい会社法制のあり方について」と題する書面をお配りしております。後ほど,○○幹事の方から御紹介がある予定でございます。 ● ただいま御説明いたしました配布資料につきまして,何か御質問等ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。  それでは,本日の審議を行いたいと存じます。  前回の部会では,部会資料の5の最後の「第3 外国会社等」の部分につきましては,前回十分な審議時間がとれませんでした。そこで,本日,引き続き御意見をお伺いしたいと思いますが,いかがでしょうか。  まず,この「1 外国会社に関する規定」の「(1)疑似外国会社」の部分につきましてはいかがでしょうか。  一応,(1)の本文に書いてあることは,これが判例だというふうに言われている見解だと思いますが。  それから,米印の1も,一応は解釈論としてもこういうことになると解されているのではないかと思いますけれども。そういう意味では,現行法を確認するというようなことに米印の1はなるかと思いますが。  それに対して,米印の2番目は全然違う見解ということです。削除するということになります。 ● 例えば,ケイマン法人を利用したいろいろな仕組みの工夫などにつきまして,商法482条をこの本文,あるいは米印の1という形で整理をするということが法的安定性を害するという実務上の指摘があるとすれば,むしろ米印の2のような形で482条に相当する規定自体を削除してしまうという選択肢がとり得るのではないかということでございますので,この点の実務上の感覚,ニーズについて,もし御指摘があればちょうだいしたいと思います。 ● 今,○○幹事から問題点の指摘があったような点につきまして,いかがでしょうか,御意見ございますでしょうか。 ● まず御質問なのですけれども,最初の米印で「商法481条2項に相当する規定の新設等」とございますのは,この意味は,要するに実際に行為した会社の代表者あるいは代理人等の行為者に責任を負わせる規定を置くということでしょうか。 ● 例えばそのようなことを手当てしなくていいのかどうかということをお諮りするものでございます。 ● 手当てをしなくても,法人格が否認されましたら,実際上行為者が個人としてやったものとして扱われる,--あるいは民法117条の問題になるのかもしれませんけれども--ということで,規定を設けても設けなくても余り変わらないような結果になるのではないかという気もするのですが,いかがなんでしょうか。 ● 恐らく現行法の解釈としても,私は○○委員がおっしゃったように一種の無権代理として行為者は責任を負うということになるのではないかと思っているのですが,確認ということでしょうかね。 ● あと,二つ目の米印ですが,ここで意見として紹介されておりますのは,最近の学説ではむしろ○○先生,○○先生初め,設立以外の規定の部分についての日本の会社法の法規を適用するという説の方がむしろ有力ではないかという感じがするのですが。二つ目の米印で書かれている立法論というのは,そのような最近の有力説と同じような結果なんでしょうか,それとも違ったものになるのでしょうか。 ● 私は,この二つ目の米印は違ったものになるのじゃないかと思っていますが。疑似外国会社というものについては,そういう考えはしないと。日本で取引をすることを主たる目的といいますか,専らそういう目的で外国に設立して,それで日本で商売やっていても,それは構わないということになるのが米印の二つ目の提案ではないかと思っております。 ● 立法論が余り展開されていませんでしたから,御意見はなかったのかもしれませんが,逆に行き過ぎにならないのかなという点もちょっと気になるのですが。 ● 今の○○委員がおっしゃった最近の有力説というのに従うとなりますと,一応は法人格があると認めると,しかし日本の会社法の規定には従えと,こういうことになるので,そうしたらどの規定については日本法の規定に従うのだということになって,これはかなり条文の整理等,相当必要になる。最近の有力説というのは,そこまでどうも整理はしておりませんので,これはとても作業が大変なことになるのではないかということで,最近の有力説なるものはここには挙がっていないのではないかと私は理解しております。 ● 内部の検討では,もし最近の有力説であると御指摘の考え方をとる場合には,適用されるべき規定を限定列挙せざるを得ないだろうと考えております。この点については,余り議論の指摘がないこともあり,ちょっと難しいのではないかということで,この二つの方向の考え方についてお聞きしようとしたものでございます。 ● 我々,ファンド法制とか,ああいう議論を最近始めているのですけれども,日本の場合,ベンチャー・ファンドについては中小有責法というのがあってきちんと国内でできるのですけれども,結構それ以外の案件というのはケイマンとか海外で使って,そういう人たちにも影響のあるような議論なんでしょうか,これは。  そこら辺の,実態に対するインパクトがよく分からなかったものですから。そういう議論とは余り関係ない。 ● ケイマン法人を利用していろいろなスキームを考えられる際には,多分482条も視野に入れて検討されているのではないかと思われます。ケイマン法人自体の法人格がこの規定によって否定されることがあるかどうかという点も議論されているやに承知しておりますけれども。 ● そうすると,ここで幾つかのオプションが出ていますけれども,それぞれの選択肢によって,今行われている,皆さんが思っている前提というのは相当変わるような御提案になっているのかどうかというのは……。つまり,私が素人でよく分からないものですから,どういうふうに判断をし,現に営んでいる方々との関係で,ここで御提起されているものがどういうインパクトなのかということを御説明すればいいのかというのを教えていただければ,そういう方々とも議論しやすいなということでございます。  スタンスが決まっているわけではなく,本当に質問で恐縮なんですけれども,後日でも結構なので,そこはちょっと教えていただければ非常に有り難いと思います。 ● ちょっと私も,ケイマンにそういうものをつくってするという場合ですね,その会社が日本でどういうことをしておられるのかちょっとよく分かりませんので,482条の解釈との関係でそれがどうなるかというのは,その点が分からないものですから。 ● できれば,我々も一般的なファンド法制ができないかという,まともな方向でちゃんと制度の手当てをするように考えてはいるのですけれども,その法的な対応というものがいつのタイミングになるかというのはまだ決まっておりませんので,過渡的にどういうことが起こるのかということも含めて,また御教示いただければ有り難いと思います。  また,必要なら我々の方でファンドの方々がどういう事業を国内で営んでおられるのかということも別途御提示しながら,教えていただければと思います。 ● 是非そのような調査をしていただければと思います。  では,この(1)についてはそういうことで,今後経済産業省等で調査をいただくということでよろしいでしょうか。  (2)はいかがでしょうか。483条につきましては,こういう規定があるわけですが,つまり日本における株券等の流通については日本法に従うという規定なんですが,そういうことを日本で言ってみても,果たして外国の本店等がそれを認めてくれるかどうかは甚だ疑わしいというふうに言われておりまして,こういう規定を日本に置いたところで実効性は乏しいのではないかというふうに言われてきたと思いますが。  この点はよろしゅうございますか。--それでは,(2)については削除するという方向で御承認いただいたということで進めさせていただきます。  (3)につきましてはいかがでしょうか。  どうも現在は外国会社が日本における代表者について,どうも代表者すべてについて日本に住所を有することを要求しているのが登記実務の取扱いなんだそうですが,そこまではする必要がないのではないかというのがこの(3)で,そういう趣旨を明確化しようという規定を置いてはどうかということだと思いますが。 ● 私も,この改正案に賛成でございます。一人は日本に住所を持っていないと,民訴4条4項の裁判籍を設定する上で困りますから,それは必要だと思いますけれども,一人いればそれはできることだと思いますので,このような方向の改正でよろしいかと思います。  それから,さっきの(2)のところですけれども,正に○○幹事の御指摘になったケイマンのようなものは,証券化のときに大抵SPCをケイマンにつくってやるものですから,正に483条の問題になる場合が多いのではないかと思いまして,そういう方向での御検討を是非お願いしたいと思います。 ● では,この(3),及び,今,○○委員が御指摘された(2)について,そういうことでよろしいでしょうか。  それでは,(2),(3)につきましては,ここにあるような方向で進めさせていただくということにさせていただきたいと思います。  それから,2につきましてはいかがでしょうか。 ● 前回,私の方からは意見を申し上げましたので,重複しますので……。 ● その点は承知しております。  ほかにございますか。 ● 私は,このいただきました書類に書いてありますような方向での意見に賛成でございます。 ● 2につきましては,ほかに御意見ございませんでしょうか。--よろしゅうございますか。  それでは,2につきましては,なお検討させていただくということにいたしたいと思います。  それでは,前回の続きは終わりまして,本日の席上配布資料につきまして,○○幹事の方から資料の御紹介をお願いしたいと思います。 ● 今日,お配りいただいている資料,中小企業政策審議会の企業制度部会で,中小企業政策の立場からの会社法制の在り方について意見をまとめさせていただきましたので,大変貴重なお時間でございますけれども,いただきまして,御紹介をさせていただけたらと思います。  資料の3ページに,このレポートの基本的な問題意識が書いてありますけれども,3点ほど掲げております。  1点目は,枠組みの画一性ということで,株式会社,有限会社それぞれの組織形態によって,株式会社になったら株式会社という,一連のセットの規制になっているということで,なかなか選択の余地が狭いという点が挙げられます。  2点目は,個々の規制の中に過剰な部分があるのではないか。  それから,会社形態に対するイメージ,特に有限会社に対するイメージの問題というのがあります。  こういった観点から,中小企業政策の立場から,この会社法制をどういう形で見直したらいいかというのが5ページのところに「検討の視点」ということで書いてございます。  1点目は,要は有限責任のもとで運営される会社が守るべき必要最小限のルールというのをまずかちっと明確にする,要するに守っても守らなくてもいいというようなことではなくて,本当にちゃんと守らなければならないところは何なのかというのを明らかにした上で,それを満たした上で,それぞれ中小企業の実態なり成長段階に応じてルールが選択できるようにしていただければということです。  2.でございますが,その際,譲渡制限会社というのが一つの中小企業の大きな形態でございますので,こういった点に着目をして,見直していただいたらどうかと。  具体的には,3.ですけれども,債権者保護を目的とする規制につきましては,過剰な部分がないかを検証していただくということでございますけれども,有限責任性の担保という観点から,現行の有限会社の規制のレベルに譲渡制限会社の規制を合わせていくという方向で検討をいただけたらと。  それから,6ページの②ですけれども,出資者と経営者との利害調整のための規制ですけれども,これは会社の内部の問題でございますので,できるだけ定款自治の範囲を拡大をしていただけたらということでございます。  ③ですけれども,法形式あるいは名前につきましては,できるだけひずみがないように,対外的な印象にも気を配っていただけたらということでございます。  こういった考え方は,このルールを,商法を守っていれば中小企業は成長するということではなくて,中小企業の側でも,ルールを守った上で更にコーポレート・ガバナンスの仕組みを整備をしていくという努力が当然求められるということでありまして,商法の規制を満たす上で,金融機関あるいは取引先の取引を拡大するという観点から,自らの努力は当然求められるということであります。  7ページ以下が具体的な論点でございます。これは,当部会でも既に議論いただいている点もございますので,ポイントに絞って御説明をさせていただきます。  まず,最低資本金規制でございますけれども,これは大幅に引下げ又は廃止をすべきというような意見でございます。これは,この審議会の場でも,最低資本金を引き下げるなり廃止することによって,会社が乱立するのではないかという意見もございましたけれども,この経済情勢の中,特に廃業率が開業率を上回っているという状況の中で,少しでも開業の障害になるものを,できるだけ阻害要因を外していく必要があるのではないかということでございます。  9ページに,私どもがとったアンケートの結果がございます。これは,いわゆる商工会議所等が実施している「創業塾」で来た方々に対するアンケートですけれども,大部分の方が最低資本金規制の廃止又は引下げというのを求めているということでございます。  それから,10ページ,11ページですけれども,最低資本金規制というのは債権者保護の規制ということでございますけれども,これは私どもが中小企業者に対してアンケートを取りまして,大体株式会社4,000社,有限会社2,000社に配布をしまして,回収率が大体8割ぐらいの回収率でアンケートをとったものでございますけれども,取引先の信用判断をどういうことでやっているかということですけれども,過去の実績,業界での評判,経営者個人の信用ということで,資本金の大小で判断するという方はほとんどいないということで,資本金額を決めることの債権者保護の実務上の意義というのは余り深くないのではないかということでございます。  それから12ページですけれども,これは「会社の目的記載の柔軟化」ということで,会社目的の記載の登記実務の運用について,非常に運用が固いということで,できるだけ包括的な記載を認めてほしいということでございます。これは,類似商号の防止という観点から,登記する際に会社の目的を書くわけですけれども,その語句の使用が結構厳格で,審査に時間がかかって,企業のスケジュールがなかなかできにくいということから,できるだけ包括的に認めていただけないかということでございます。  不正商号の利用については,事後的な救済を中心に考えていただければよいのではないかということでございます。  それから,14ページでございます。「取締役の員数」ですけれども,これは譲渡制限会社については一人以上ということですべきではないかということでございます。これは,会社運営をどういう形で任せるか,特に転々株式が流通して株主が変わらないという株式会社においては,株主なり定款で,できるだけ自由に決めさせてもいいのではないかということでございます。  15ページの下に私どものとったアンケートの結果がございますけれども,一人ないし二人の名目的な取締役を置いている方というのが半数ぐらいいらっしゃるということでございます。  16ページでございますけれども,「取締役会の設置」ですけれども,譲渡制限会社については取締役会,あるいは代表取締役というのを任意として,現行有限会社と同様の扱いにすべきであるということでございます。  これも趣旨としては同様でございまして,17ページの下に取締役会の開催頻度というもののアンケート結果がございまして,月に一度以上という方はわずかで,3か月に一度ぐらいは当然なのでしょうけれども,年に一度とか,開催していないという実態も結構あるということでございます。  それから,18ページには出席状況等のアンケートの結果に加えて,下の方は取締役会の設置の任意化については,半数以上,58%が任意とすべきという回答をしております。理由については,社長が実質的に一人でやっているからとか,日ごろから連絡をとっているのでというようなことでございます。  20ページでございますけれども,「取締役の任期」でございますが,有限会社並みに自由に決められるべきではないかということでございます。これは,基本的に株主と取締役が事実上一致しているということが多いので,定期的に法律で強制して信任を問うという必要もないのじゃないかということでございます。あと,取締役が変わっていないにもかかわらず,登記の手続費用というのが負担であるというようなことが21ページの上のアンケートの結果からも出てきております。6割,7割ぐらいの方が任期規制を外してほしいというようなことを言っております。  それから21ページ,「取締役会の書面決議」ですけれども,取締役全員の同意を要件に,書面決議を認めていただきたいということでございます。これも,実務上この方が簡便だからということで,特に譲渡制限会社の場合は取締役間の連絡も密であり,日ごろ日常的に意思疎通が行われているというのが実態なので,全員が同意するということであれば,書面でもいいのではないかということでございます。  23ページ,「監査役の設置」でございますけれども,例えば譲渡制限会社については監査役の設置を任意化したらどうかということでございます。これも,会社のガバナンスについては株主の選択に任せればよろしいのではないかということでございます。  24ページですけれども,監査役についてどういう状況かというと,やはり8割弱の会社で名目的に置いているということでございます。実務上は,税理士さんと公認会計士さんが資料を作成されているということで,余り知識のない人が監査役になってもメリットがないということで,任意にしてほしいということでございます。  24ページの最後の丸のところに,当部会でも御議論がございましたけれども,監査役の権限について,今,小会社については会計監査のみですけれども,これを業務監査を含めるかどうかということですけれども,これについては定款の定めによって業務監査も任意に付与できるようにしてほしいということでございます。今,名目的な監査役の方がこういう状況なので,業務監査も付与すると,更にまた実態も乖離する,あるいは名目的なのに後から責任を問われる可能性が高いということで,かえってトラブルにもなるので,そこは株主の選択に任せればいいのではないかということでございます。  それから,25ページですけれども,「自己株式の取得」について,定時総会だけでなく,期中の総会決議でも可能としていただきたい。これは,特に株主の安定株主対策,相続の場合等についてこういったニーズが強いということでございます。  26ページですけれども,相続等におきます株主の移転の制限ということで,譲渡制限株式の場合と同様の取締役会の承認というような措置を導入していただきたいということでございます。これも,中小企業の経営者にとっては相続というのは非常に大きな関心事ですし,日ごろ頭を悩ましているところでございますので,非常にニーズが強いということでございます。27ページのアンケート結果にも,強くそのような意見が出てきているところでございます。  28ページが「計算書類の公告」でございます。これについては当部会でもいろいろな御議論があるところでございますけれども,今の公告,株式会社に対する公告義務の有効性について検証していただいて,どこまで義務を課すのがいいのか,その必要があるのかということについては,是非見直しをしていただければということでございます。  多少ここは御説明させていただきたいのですけれども,平成13年の商法改正によってインターネット公開というものが実現をしておりますけれども,実態を見ますと,私どもがとったアンケートの30ページに書いてございますが,一度も実施したことがないのが83%,昔やったことがあるけれども最近はやっていないというのが8%で,9割の方がやっていないという状況になってございます。  これは,なぜやっていないのかということですけれども,右の方に理由が書いてございます。金融機関とか取引先には出しているので,公告して不特定多数の人にやるというニーズがないということが一番強いということです。  一方,自分が取引をする立場として,計算書類が公告されていないことについて何か不都合があるかということについては,中小企業同士では不都合は余りないということで,それが85%ぐらいいらっしゃいます。これは,計算書類というよりも,業界での評判とか過去の実績とか,信用調査会社に聞くとか,そういったところの方が意味があるので,そういったところで信用判断をしているという方が多くなっております。  ちょっと戻っていただきまして,したがいまして公告というのは中小企業にとっては金融機関とかには既に計算書類とか出ていますので,潜在的に取引に入る中小企業同士の問題というのが非常にニーズがあるかどうかというところの判断になりますけれども,今のアンケートの結果で見ますように,公告を実施する側からすると,既に必要なところに出しているし,広く一般に公開することの意義というのが余り感じられないと。もちろん,将来ベンチャー企業で公開を目指すような会社においては,積極的にそういうことをやっていくという経営方針の方もいらっしゃいますけれども,そうでない中小企業の方というのは,そういうことに必要性を感じていないということでございます。  それから,公告を受ける方も,信用判断について計算書類は余り重視していないという人が多いということなんでしょうけれども,信用調査会社が過去の評判で判断するということになるので,メリット,実益というところが非常に感じられていないということだろうと思います。したがいまして,罰則をつけてここを強制することについての法制度としての在り方については,やはりもう一度制度設計を見直していただけたらということだろうと思います。もちろん,私どもとしても政策的に中小企業の会計を整備するとか,ディスクロージャーを進めていくというのは,経済状況の中でますます重要になってきておりますし,これは法律というよりもマーケットの中でそういうことをやらない人はやらないなりのことしかできないということになっていくのだろうと思います。したがって私どもとしては,そういう中小企業が積極的に取り組めるようないろいろな支援というものを考えていきたいと思っております。具体的には,中小企業の会計に関する研究会なんかをやっておりますし,それを踏まえまして税理士会なんかでもいろいろな普及の取組みをされていますし,公認会計士協会さんでもいろいろな検討作業を進められているというふうに伺っております。また,中央会の方でもいろいろな支援システムなんかを講じているということですので,こういった形でできれば進めていきたいと思っております。  なお,現代化の中では有限会社と株式会社との規律の一体化ということが議論されていますけれども,これまで公告義務がなかった有限会社にこういった義務を追加するというのは,この状況を見ると現実的ではないかなということでございます。  次に,32ページに行きますが,合名・合資の関係ですけれども,一人社員でも存続を認めてほしいということでございます。  それから,33ページについては,合名・合資の会社から有限会社,株式会社への組織変更の手続を整備をしていただきたいということでございます。  34ページですけれども,LLCについては別途研究会を経済産業省の方でやっておりますので,その検討を踏まえながら,更に御議論いただければと思います。  最後35ページですけれども,いろいろなこういった会社法制を見直していきますと,有限会社と譲渡制限株式会社の規律というのは大きな違いがなくなるので,場合によってはこれを一体化するという議論も当然出てくるかと思います。私どもとしては,そういったことによってより分かりやすく使いやすい会社法制になるのであれば,それは望ましいということでございますけれども,既存の有限会社に対してどういう影響を与えるのかという点も配慮することが必要であるということで,4点ほど掲げております。商号の問題,それから定款変更等々の手続,それからこれまでやっていたものができないことにならないか,あるいは法整備の問題等々,名称の問題ということでございます。  なお,「閉鎖会社」というのはやめてほしいということはここでも議論が出ましたけれども,そういった意見は中小企業の中には非常に強うございまして,もう閉鎖するのじゃないかというのはちょっと勘弁してほしいというようなことでございました。  概要は以上でございます。最後に中政審の方の部会のメンバーが書いてあります。中小企業の代表の方,学識経験者の方,○○先生にもお入りをいただいて議論をしたものです。アンケートについては,36ページに概要が書いてございます。是非私どもとして,中小企業政策の立場から検討した結果でございますので,当部会の議論にもできるだけ反映させていただければと思っております。 ● 何か御質問ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。  それでは,既に一読でいったんは御議論いただいた問題,あるいはこれから出てくる問題で,網羅的に中小企業政策審議会の企業制度部会の御意見を伺ったわけであります。  それでは,次に進ませていただきまして,本日の部会資料6の審議に入りたいと存じます。この部会資料6につきましては,本日とそれから次回と2回に分けて審議を行いたいと思っております。本日は,部会資料の中の「第1 機関関係」と,それから「第2 計算」というところ,この辺まで終われればというふうに思っておりますのでよろしくお願いいたします。  まず,第1からでありますが,「第1 機関関係」は大きく「1 会計監査人関係」,「2 株主・株主総会関係」,「3 取締役・取締役会関係」の3項目に分かれますので,各項目ごとに御議論をいただきたいと思います。  それでは,まずこの「第1 機関関係」の1につきまして事務局から御説明をお願いいたします。 ● 第1の1では,会計監査人にかかわる項目を取り上げさせていただいております。  まず(1)は,商法特例法によって会計監査人の設置が義務づけられる会社の範囲の在り方についての見直しの要否の問題についてでございます。  株式会社と有限会社との規律の一体化等に関しまして比較的大きな視点でその制度設計の在り方を御議論いただいているわけですけれども,その一環として,会社の区分の在り方についても現代化に当たって一応目を通していただく必要があろうかと思われます。  現行法においては,さまざまな改正論議の結果,御存じのとおり資本金5億円以上,負債総額200億円以上のいずれかの要件を満たす大会社,これにつきまして会計監査人の設置が義務づけられているわけでございます。これについて,現段階においてその見直しをする必要があるかどうかという点についての御意見をお諮りするものでございます。  例えば,EU諸国ですと,この会社の区分を画する基準として,売上高ですとか資産,あるいは従業員数などを基準に用いているわけですけれども,このような諸外国の立法例等も踏まえて,現時点においてなおこの基準を維持するかどうか--基準の線引きのみならず,どういうメルクマールで区分をするかということについての見直しをもする必要があるかどうか--ということについての御議論をいただきたいという点が,米印の1番目でございます。  それから,米印の2番目は,有限会社と株式会社との規律を一体化するとした場合に,必然的に検討を余儀なくされる問題ですけれども,非常に大規模な有限会社,商法特例法上の大会社に相当する規模を持つ有限会社について,会計監査人の設置強制をどう考えるのかという点でございます。規律の一体化をするということであれば,基本的には株式会社と有限会社とのその部分の規律を同様にするというのが一つの選択肢でございますけれども,もしそこがそうではないということになりますと,その限りで規律の一体化はできないということになりますので,この点についての御意見をお諮りしたいということでございます。  3番目の米印は,連結計算書類作成会社の完全子会社等につきまして,その規模いかんにかかわらず会計監査人の設置を義務づけないものとしてよいかどうかという点についての御意見をお聞きするものでございます。連結計算書類の作成の際には,親会社の会計監査人が子会社の計算書類をも基礎としつつ,そのチェックを行うということでありますと,必ずしも子会社について設置強制をする必要性もそう大きくないのではないかという御指摘もあるところでございますので,そのような御指摘についてどのように考えるかということでございます。  (2)は,会計監査人の任意設置の範囲の問題でございます。御承知のとおり,みなし大会社となり得る会社というのは,商法特例法上の中会社までとされておるわけですけれども,小会社につきましてもそのような余地を認めることの当否について御意見をお伺いするものでございます。もとより,企業がその会計について専門家に何らかの事務を任意に委任,委託するということは妨げられないわけですけれども,ここではいわゆる制度上の会計監査人,法定の権限,義務を有する会計監査人を置くことができる会社の範囲についてどのように考えるかということでございます。  (3)は,この(1),(2)の在り方とも関係いたしますけれども,会計監査人が置かれる会社における機関設計についてどのように考えるべきかという点について,御意見をお伺いするものでございます。現在は,先般の改正によりまして,委員会等設置会社,あるいは監査役会設置会社という機関設計のみが会計監査人を置く会社のとり得る機関設計ということになっているわけですけれども,例えば譲渡制限会社について御議論いただいておりますように,かなり柔軟な機関設計の余地を認めるということとした場合において,他方その中の大規模な会社について会計監査人の設置を義務づけ,あるいは任意に置くことを認めるということになりますと,非常に緩やかな機関設計のもとで会計監査人を置くという余地を認めるかどうかということを検討しなければならなくなるわけでございます。かつては,取締役会プラス監査役プラス会計監査人という機関設計があったわけでございますので,そのような選択肢を認めるかどうかということも検討すべき点でありますけれども,それ以上に,例えば取締役会,あるいは取締役会プラス監査役,あるいは取締役プラス監査役,あるいは取締役のみという機関設計のもとでも会計監査人を置くことを認めるかどうかということについても御意見をお諮りするものでございます。  それから,(4)は,前回の改正に係る法制審議会の会社法部会で御議論いただき,結論において成案を得ることが見送られました会計監査人に対する株主代表訴訟について,どのような検討を行うかという問題についてでございます。  ①代表訴訟の対象とするかどうかということと,②代表訴訟の対象とするとした場合における責任の免除の在り方についてどう取り扱うかということの二つの問題に分け得るところでございますけれども,前回の改正の際の御議論では,①の部分についてはおおむねその方向で,つまり会計監査人の会社に対する責任についても株主代表訴訟の対象とするという方向での御意見が極めて有力だったと承知しておりますけれども,責任の免除の在り方についてはいろいろな御意見が出され,結局結論が見送られたと承知しているわけでございます。  ここでは,前回の改正に係る部会において検討された案のうち,代表訴訟の対象とするとした場合にとり得る甲案,乙案について紹介をさせていただいております。恐らく,現時点での検討に当たっても,基本的にこれらの案から検討を始めるべきだと思われますので,これらについて改めて御意見をちょうだいするものでございます。  それから,(5)は,会計監査人の報酬に関して,委員会等設置会社における監査委員会,あるいは監査役会設置会社における監査役会に,更なる関与の機会を確保するという見直しをすべきかどうかということについてでございます。ここでは,会計監査人の報酬を決定する権限を付与すべきであるとの意見を紹介しておりますが,決定に限らず,米印に書いてありますように監査役会につきましては,--監査役は取締役ではありませんので,--同意権を付与するかどうかという議論の方がより適しているかもしれませんけれども,いずれにしましても取締役会の専権に委ねることなく,監査委員会あるいは監査役会にその報酬額の当否,会計監査人との間で報酬額を交渉するに当たっての当否について関与する機会を設けることとしたらどうかという意見についての審議をお願いするものでございます。  それから(6)は,従前御指摘がありましたように,現在の商法特例法におきましては,会計監査人の欠格事由として,監査法人であって,その社員のうちに前号,すなわち業務の停止の処分を受け,その停止の期間を経過しない者がいる場合には,会計監査人として欠格であるということが定められているわけですけれども,非常に多数の公認会計士を社員として抱える大規模な監査法人において,当該会社の会計監査とは一切かかわりない社員であっても,その社員に,この事態が生じた場合には当該監査法人が会計監査人としての資格を失う,--それはすべての当該監査法人が行っている会計監査人としての業務に支障を来すということになりますが,--この点について欠格事由の見直しを図るべきではないかという御意見を紹介するものでございます。もとより,公認会計士法におきましては,このような事態に至った監査法人について,最終的には監査法人の存立の根拠をも失わせる仕組みが備わっているわけですけれども,この御意見は,そのような公認会計士法における監督官庁の適切な処理に委ねる,--監査法人がその監査法人としての法人格を失うということであれば,それはもとより会計監査人としての資格を失うわけですので,--そちらの方の処理に委ねることとしてはどうかとするものでございます。  第1の「1 会計監査人関係」に関する説明は,以上でございます。 ● それでは,この「1 会計監査人関係」について御意見をいただきたいと思います。あるいは御質問でも結構ですが。  まず,この「(1) 会計監査人の設置強制の範囲」でありますが,この点につきましてはいかがでしょうか。 ● 幾つか問題提起をさせていただきます。  現行の,資本金5億円以上又は最終の貸借対照表の負債の総額200億円以上という,資本金と負債とを基準としているということについてまず申し上げますと,私は,この基準は大変実務で使っていていい基準だというふうに思います。一つは,資本金というのは確かに確定しているということで,分かりやすい。それから負債総額といいますのは,債権者保護という観点から見ますと,やはりそれなりの基準であるというふうに思います。  これ以外に,売上高とか総資産,従業員数,こういう点についてどうかということですけれども,まず総資産,これは負債とパラレルの関係にあると思いますので,これは両方を基準にしても結果的には同じではないかということから,これはあえてとる必要はないと思います。  それから,売上高ですけれども,これは売上高の計上というのが本当に規模の大きさをあらわすかどうかということについて,必ずしもそうではない,業種別によってかなりばらつきがあるということを考えますと,これはあって悪いとは言いませんけれども,かなり難しいかなと思います。  それから,従業員数というのは,確かに企業の規模をあらわすものとして大変有益なものであると思いますし,また従業員ということがある意味で企業の会計を明らかにするという意味で大変重要な対象だと思いますので意味があると思うのですけれども,ただこれは大変実務の上では難しい数字だと思いまして,果たして実務に耐えられるのかなと,パートをどうするかとか,あるいは雇用形態を一体どういうふうに見て従業員数というのを明確にするのかということで,大変難しいと思います。  負債総額だけでも,現在200億円以上に達しているのに監査を受けていない会社というのが結構な数であるのではないかというふうに私ども思っておりまして,これは倒産してみて初めて分かるというケースが多いのですね。通常はどうやってこれを,そういう200億円に達しているのだけれども会計監査を受けていないという会社を探していったらいいのか,あるいは本来の罰則を適用していったらいいのか,ここは大変今不確かになっているように思います。  そういうわけで,結論といたしましては,資本金と負債総額ということでいいのではないかと思いますが,その額については若干提案したいと思っております。  一つは,資本金ですけれども,かつて1億円以上ということで法制審議会で議論されていたかと思いますけれども,それはいわば大会社は全部対象にするというふうな位置づけだったのではないかと思います。現在では,大会社というのは幾ら以上かということになりますけれども,一つの試みとしては,資本金3億円ということが出されているようでありますので,資本金3億円以上,あるいは3億円超,その辺はどちらでも結構ですけれども,そういうことで大会社ということにして,それをカバーすべきではないかと思います。  それから,負債総額が前に200億円となりましたのは,当初は資本金5億円で負債総額100億円ということで,これは大体5億円に見合うのが100億円程度と,20倍の関係にあると。逆に,負債総額が100億円あったとしても,資本金がそれに達していないという会社も結構あるということで,当初されたものが,200億円にいわば妥協的なことで格上げされたのじゃないかと思いますと,今もそういう40倍の関係があるかどうか,あるいは20倍の関係にあるかどうかということについては,改めて試算してみなければいけないとは思いますけれども,その20倍ということであれば3億円に対して60億円,20倍であるとすれば120億円,そういう金額に負債総額も置き換えることで考えられないかということを申し上げたいと思います。  それから,同じ(1)の米印のところで,株式会社と有限会社との規律の一本化が図られた場合ですけれども,これは今申し上げたように負債総額の重要性,つまり債権者保護という観点からの重要性を考えた場合には,当然有限会社においても対象にすべきではないかというふうに考えます。  それから,連結決算の場合の完全子会社ですけれども,これはこの前も私意見を申し上げたと思うのですけれども,完全子会社においてもいわゆる管理体制はホールディングの方と全く違うことが多く見られますので,それはそれで連結で仮に修正されたとしても,個別で問題があれば個別で問題だということは言う機会があっていいのではないか。例えば,最近問題になりました○○銀行でも,○○ホールディングの下にあると,私どもが監査意見をつけたのは,○○銀行に対して--監査意見をつけるというか,修正を申し入れたわけですけれども,やはりかなり重要なポイントになったのではないかというふうに思います。やはりほかの事業会社であっても,その子会社について意見を言うことが意味があるというケースが大変多くあると思われますので,完全子会社であっても,それはそれとして個別にやるべき意味があるということで,そういう点ではこの意見に対しては反対でございます。  以上,(1)について申し上げました。 ● 一部○○委員に対して反対意見ということになるわけで,監査を受ける立場でございますけれども,資本金基準というのはもう要らないのではないかと。資本金と株式との関係というのはもう遮断されているわけですから,減資なんていうのは極めて容易にできるということでございますので,そもそも資本金を基準にする区分けというのは,昔のような意味を失ってきているのではないか,したがって負債基準のみに統一すればどうかと。  そのときの負債につきましても,有限会社等がこういう200億円等の負債を持ってきた場合に,直ちに会計監査人の設置強制をするのかということにつきましては,極めて借入れ等が閉鎖的になされているというふうな場合もあるだろうと。例えば,特定関係者,親会社からの負債のみで成立している,ないしは親会社がすべて信用補完をしている,他の債権者の負債を集めると数千万円にすぎないというようなことも考えられると思いますので,負債基準のみにして,その負債の定義を総負債マイナス特定関係者--これを定義することとして--からの負債を除くというふうな基準にすることによって,いわゆる閉鎖的な会社においても,共通のルールにできるのではないかと思うわけであります。  会計監査人の設置の強制問題でありますけれども,完全子会社等でありますけれども,やはり親会社の会計監査人が連結財務諸表を作成するに当たってどうせ監査をする,間接的ではありますけれども入ってくるものですから,完全子会社についての強制はすべきではないのではないか,もし今の特定の銀行等の問題ということになりますと,それはそれぞれの業法の問題であって,それだけをとらえて,例えば完全子会社といってもいろいろな完全子会社があるものですから,今の○○ということになると,うーんということになるのですけれども,一般的な完全子会社というのはもっと本当の意味で閉鎖している会社でございますし,債権者に与える影響等から考えても,さっき言ったところから言いますと,余り大きく分布していないということも考えられますから,これは原案の意見のとおりとしていただきたい。 ● 実質に入っているときに申し訳ないのですが,分かればということで。  まず,米印1と2について,現行の基準で米印の1の場合,落ちている会社もあるのじゃないかということなんですが,ほぼどの程度か,当初は8,000とか9,000を言われて,最近では1万から1万1,000とかいう数字がありますが,そこら辺,少し正確な流れを教えていただきたい。  米印2についても,有限会社で現行基準でいくとどの程度が対象になるか,分かればお教えいただきたいというのがまず1点です。  それから,内容についての質問ですが,米印2について有限会社に会計監査人の設置強制をするのはこれだけであって,(3)とかかわりますけれども,取締役会だとか監査役だとか,そこら辺と連動させるということが含意されているのかいないのか,恐らくないという方向だと思いますが,それを確認させていただきたいと思います。  それから,米印3のことですが,会計監査人を完全子会社等に設置しない場合に,この方向があると7条3項あたりの会計監査人の子会社調査権ですか,ここら辺について何か手当てをすることを前提の議論なのか,つまり今よりももっと親会社の会計監査人が子会社監査をする方向の何か,そうすると,子会社の単体についても何か権限を負わせるのか,そこら辺のお考えをお教えいただきたいとともに,これは監査役制度にも連動する問題ですので,全く別物として議論されるおつもりかどうか,この点を少し,(1)を全体と整合性ある検討をする際の前提問題としてお教えいただければ幸いです。 ● それでは,今の3点ばかり御質問がありましたけれども。 ● こちらの方で把握できる数字には限りがありますので,正確なことはまず申し上げられないのですけれども,法務省側の統計によりますと,現在資本金基準にかかる株式会社数というのは約1万1,000,このうち監査が実施されているとされている会社が約9,000弱ぐらいです。もちろん,資本金基準にかかわらず負債基準にかかっている会社がどのぐらいあるのかということは,申し訳ありませんがちょっと把握できません。  それから,有限会社の方は,資本金基準を満たす会社が90社程度であるということでございます。  まず米印の3について,これは御意見を紹介するものでございますので,もしこの御意見を是とした場合に,代替措置としてそのような御提案も付加して検討すべきだということになれば,ここであわせて御検討いただきたいということでございます。  それから,機関設計の点につきましては,特にこちら側の方に成案があるわけではありませんけれども,現在はとにかく会計監査人が設置されている場合の機関設計の自由度が非常に低く,監査委員会あるいは監査役会が置かれていることを前提に制度が組まれておりますので,他方において非常にフレキシブルに会計監査人を置き得るということになった場合に,その会社の機関設計の在り方が会計監査人の設置との関係で制約されるというように考えるのかどうか自体をお諮りしたいということでございます。場合によっては,取締役だけの会社について会計監査人が置かれるということもあり得るかどうか,極論すればその点を含めて御意見をちょうだいしたいということでございます。 ● まず,米印の1番目ですけれども,確かに資本金ということの持つ意味が昔と少しずつ変わってきているというところはあるかと思いますが,何といっても分かりやすい基準ですので,私はやはり○○委員の御意見に賛成です。資本金基準で法務省側で把握できるものですら,今のお話によりますとなかなか会計監査を受けていないという会社が1,000,2,000のオーダーであるようでございますけれども,ここら辺につきましては少なくとも把握できるわけですから,きちんと罰則規定をかけていくなり何なりという対処だってとれるわけですけれども,これが負債総額だけとか,他の基準になりますと大変難しくなるのではないかというふうにおそれられますので,この点については変える必要はないのではないかと思います。  それから,米印の2番目について,正にこういう効果が生じることがねらいの一つと言ってもいいほどの役割を果たすものではないかというように思います。有限会社になれば,計算関係がきっちりしていなくてもいいのだ,幾ら負債総額が多かろうと,資本金が多かろうと構わないのだということでは,やはりバランスがとれないわけですから,これは当然に扱いを同じにしていくということでお願いできればいい話だと思っております。  それから,米印の三つ目ですが,これにつきましては○○委員がおっしゃるように,果たしてこれは会計監査だけの問題かということだと思うのです。一体,完全親子関係の場合についてだけ特殊な扱いをするのかどうかということを総合的やはり考えてみる必要があるのではないかというように思います。先ほど○○委員の方から,米印1番目につきましても負債総額を判定するのに特定関係者の負債を除くという提案がなされましたのですが,もしもこれが特定関係者の負債については倒産時に劣後するということが法的ルールになっているのであれば,当然に今のような御主張でつじつまが合うと思うのです。また同様に,完全親子会社である場合には,倒産した場合にも親会社の有限責任の主張が一定限度制約される,私も全くすべて100%責任を親会社が負う--実務上は結構その扱いが多いようでございますけれども,--そこまでは必要ではないのかなとは思いますが,せめて親会社の方でおかしいことはしていなかったということを主張立証しないと責任を負うというぐらいの立証責任の転換ぐらいはあってもいいのではないかというふうに思いますが,もし仮に,そういう形で多少一般の親子関係と完全親子関係とでは違うのだというルールを設けるのであれば,あわせて監査の体制についても,何もこの会計監査人のみならず,監査役の体制についても,少し違いを設けるということは考えられると思いますし,そこのところについて何も変わっていないのに,完全親子会社だから会計監査人を置かなくてもいいとか,そういうルールはやはりつじつまが合わないのではないかというふうに考えます。 ● ほかの委員の方,いかがでしょうか。 ● 大規模有限の話なんですけれども,恐らく表面的に見れば新しいルールをこういう方々に導入するということですから,通常,規制を導入するときには何らかの弊害が相当程度顕在化していて,その方々にもある程度納得感を持って受け入れていただくということが必要だと思うのですけれども,大規模有限は90社でありまして,今我々もちょっと個別の会社がどういう事業を営んでいるのか見させていただいているのですけれども,直感的には,さっき○○委員がおっしゃったように,相当程度閉鎖的--という言葉は,さっき○○幹事が使うなと言われたのですけれども,物すごく分かりやすいので……--非常にクローズな関係で事業を営んでいる,そういう方々に対して,規模が大きいからという理由だけで会計監査人を導入するということの効果がどの程度発揮されるのかというのは,ちょっとまだ私は得心がいかないところがあります。  ただ,大規模有限会社というのはだれもまだまだ実態をちゃんと見てきた経緯もございませんので,今ちょっと個別の事業の内容とか,クローズドな関係というものが具体的にどうなっているのかということ,もう少し精査をして,こちらの方でも大規模有限についてこういう新しいルールを入れるのが妥当かどうかということについては詰めさせていただきたいと思いますが,何となく規模が大きいから会計監査人という議論には,ストレートにはならないような印象を今持っているということだけ,ちょっと述べさせていただきたいと思います。 ● 大規模有限会社の実態がよく分からんということでありますが,私どもの会社が昔の有限会社の相当大規模なのを幾つかつくりまして,それがはやりのもとになって,化学会社で相当数出てきたという経過でございまして,その大規模有限会社がふえだした元凶として若干申しますけれども。  それに,ジョイントベンチャーをつくりたい,資本の額は大きいのだけれども,大体親会社の責任で金融をやり,商売自体もほとんどやらない,製造をして親会社に売っている,そういうふうな法的な主体ではあるけれども経済活動としては非常に限られた範囲でやっているというのが多いと思います。それを,大規模株式会社にして会計監査人の監査を受ける必要が実際にはない,そういう場合に,何かいい方法はないかということで考えて,じゃ有限会社にしようとしたわけであります。もしそういうことで,有限会社がだめになったら,次にそういう場合何にしたらいいのかなと,LLCでもつくっていただいたらそっちの方に乗り移りますけれども,今だったらそういう本当に法的な主体としてだけ大きな会社をつくりたいときに,非常に面倒な手続を必要とする手段しかないということでいいのだろうかと。現実に弊害が起こっていないというのはそのとおりで,多分大規模有限会社で倒産した例というのは皆無だと思いますけれども,そういう実態だということをちょっと申し上げたいと思います。 ● 昔,学者がやった大規模有限会社の調査というのがありまして,それもたしか子会社といいますか,そういうものが多いという結果だったかと思いますが,なおこの点は経済産業省に御調査いただきたいと思います。 ● 資本金についてなのですけれども,実際会社をいろいろ作るときに,資本金の5億円,社外監査役が要る,それに加えて公認会計士が要るということになると,みんな4億8,000万円でつくっているのですね。本来的にはエクイティーポーションをもっと大きくしたいというふうなことで,10億円ぐらいにした方が,デッドエクイティーレシオが非常にいい会社になるのかもしれない。しかし,公認会計士の費用が要るということで4億8,000万円にしているというのが実務でございますので,負債の方が引っ掛かってしまってはこれはどうしようもないわけですけれども,そういうことでございますので,資本金についてこういうふうに規制しているというのがかえって健全な会社経営をおかしくしているのじゃないかという側面もあるのだということを申し上げておきたいと思います。 ● 先ほどの完全子会社の件ですけれども,これはディスクローズの仕方にもよると思うのですが,完全子会社のディスクローズは一切しない,連結だけをディスクローズするのだということで,全体が統一されるならば,それは一つの方法かと思いますけれども,恐らく重要な子会社が幾つもあった場合に,それも事業が違うという子会社があった場合に,それぞれの状況をやはりディスクローズすべきだということになりますと,連結で修正すればいいのだからということで個々の子会社についての適正性が保証されないという可能性が,こういうふうな提案ですとあるわけですね。それはやはり問題を残すのではないかという意味で,反対ということを申し上げております。  それから,今,○○委員の4億8,000万円,4億9,000万円という資本金の会社の設立ですね。私どもも確かにあります。何で5億円にしないのという話をやるのですけれども,これは逆に監査逃れを余り意識し過ぎているのじゃないか,やはり企業はもうちょっとディスクローズということに対して前向きであってもいいのではないかということで,今監査フィーはそんなに高くありませんから,是非前向きにお考えいただきたいということで,私は是非これは残すべきだと思います。 ● 先ほどの質問を前提に意見を述べさせていただきますが,私も将来的にはいろいろ検討の余地があるかと思いますが,先ほどもおっしゃったように,米印1ですが,負債総額だではなかなかきちんと把握できないということもありますので,そういう意味で分かりやすい資本金基準を当面は残す必要があるのではないかというふうに考えております。  そして,○○委員がおっしゃったことに尽きると思いますけれども,56年以降,ある程度の規模の会社はきちんと計算書類を,あるいは会社の内容を開示すべきだと,開示する以上は専門家のチェックを受けるべきだと,こういう理念で,しかし当時公認会計士もそれほど多くなかった,それからこれを言うとどうかと思いますが,職域的ないろいろな問題もあって,そういう妥協の産物で49年から56年に少し緩和されたというような経緯もあると思いますが,その中で,もう20年もたっているわけですから,ある程度これを緩めるという,下げる方向でいろいろと検討することも十分考える余地があるのではないかと思います。  それから,有限会社の問題については,実体が実質子会社であれば,米印3と連動した問題として考えるのが合理的であろうと思います。そして,先ほどの質問からお分かりいただけるように,親会社監査をきちんとするために子会社も単体をきちんと監査するとなると,経済でも親子会社の監査はほぼ同じ監査法人がなさっている例が多いと思いますので,監査フィーがどうなるか,その障害上のことは私関心ありませんが,実質7条3項なりあるいは開示ルールを単体と連結と,子会社の単体も含めてきちんとするようなことになれば,この米印3は形の上の問題で,実質どういうことを要求すべきかという形として,むしろ親会社に集中してきちんと子もやる方が,あるいは制度として合理的なのかな,特に先ほどちょっと挙げた7条3項ですけれども,一応ここでは連結計算書類の監査を行うために必要な権限しか認められていないとなると,少し制約があるのかなと思いますので,少なくともきちんと親も子も会計監査人が監査しなければいけないけれども,それをどう合理的にできるかという方向で議論すれば,そんなに対立がないのかなと思ったりするのですが。 ● この(1)の問題は,一つは子会社の問題ですね。これは先ほど来,○○委員,○○委員,それから○○委員,ちょっと御意見が違うようですが,問題の焦点は一つ,子会社の取扱い。それからもう一つは,独立の会社で相当の規模の会社の取扱い,この二つの問題があるわけですが,何か親子会社の方につきましては○○委員,それから○○委員,○○委員,○○委員等からは御意見ありましたけれども,○○委員に問題点をまとめていただけたのですが,ほかの委員,何か御意見,この点についてありますか。子会社の取扱いという点に絞りますと。なお御意見いただける方があればあれですが。なかなか今日意見をまとめるというわけにはいかないかと思いますが。 ● 私も,基本的には子会社の問題については○○委員のおっしゃったことに賛成なのですけれども,一つは完全子会社といっても,確かに完全子会社ですと株の100%保有ということで,閉鎖と言うと語弊があるのですけれども,クローズ性というものは完全に保たれているということなのですが,会社の政策によって子会社に独立性を非常に強める方針で管理しているというケースもありまして,例えば二,三年前でしたか,証取法の改正でインサイダー取引の範囲が連結子会社の重要事実も含むというようになりましたときに,ディスクローズというか,インサイダー取引にならないようにするための公表について,子会社の重要事実を親会社が公表するか,あるいは子会社が独自に公表するかという問題について,内部管理をどうするかということでいろいろと学者が知恵を絞ったということがあったと思うのですけれども,独立性の強い子会社の場合には,親会社が公表に関与しないで,子会社が独自に公表するというようなケースもありまして,そういう意味では法的に連結の基礎になる子会社の情報を親会社に公的に伝達する義務というものが法定されておりませんので,そういう意味ではその辺の確保がされていない。したがって,子会社がかなり独自の管理形態をとっているというようなこともありまして,連結計算書類の監査という局面だけで子会社の内部のさまざまな問題を把握できるかという感じもありますので,なかなか完全子会社といってもそれだけでクローズ性があって,連結計算書類の調査だけで十分であるというふうにはちょっと言い切れない管理形態をとっている場合もあるのではないかということを,実務的に若干感じる場合もありますので,そういう意味では米印3については,連結計算書類作成会社の完全子会社についても,独自の会計監査というものを維持した方が当面はよろしいのではないかなという感じを持っております。 ● 私も,基本的には○○委員,○○委員,それから今の○○委員御指摘のような考え方でよろしいかと思います。それから,有限会社の場合につきましても,確かに債務の額が非常に重要でありますから,したがいまして大規模な有限会社もできれば対象にするのがよろしいのではないかと思います。  ただ,○○委員が御指摘になりました有限会社の特殊関係者の問題については,すぐにそれを法制化するのは,○○委員御指摘のとおり難しいかもしれませんけれども,そういう点をうまく実質的に問題がないような形に除外することができるのであれば,それは一つの考え方かという感じはいたします。  それと,もう一つつけ加えますと,さっき○○委員御指摘の機関の構成との関係がどうしても問題にならざるを得ないところがあると考えておりまして,会計監査人をつけるということになりますと,少なくとも現在全く任意に設置する場合と違いまして,設置することを強制した場合,恐らく計算書類の確定権限も与えられるということになってくると思いますので,それをどこまでワンセットの規制にするかは更に議論しなければいけませんけれども,少なくとも現在考えられている規制の仕方ですと,ワンセットになってきてしまうものですから,恐らく結果的には取締役会あるいは監査役等を有限会社に強制する結果になる可能性がありますので,それが有限会社形態を従来とってきた,正に90社ぐらいの会社の実際のニーズとの関係でどうかということは,やはり検証する必要があるという気がしております。 ● 大体今までの御議論では,資本金・負債基準をどうするかということについては,資本金については○○委員が疑問を呈されたわけですが,ほかの委員の方は明確性からしてこれをなくすとちょっと困るのじゃないかという御意見が有力なのかと思います。  金額についてはいかがですか。資本金基準を維持すべきだという方。○○委員は,5億円よりは下げるという御意見でしたね。 ● いろいろ難しい問題がありますから,具体的に数字はあれですが,下げてもいいのじゃないかと。 ● ○○委員も,何かそういう御意見だったかと思いますが,ほかの委員の方,この点はいかがでしょうか。 ● ただいまの○○委員の御意見の点ですけれども,要するに会計監査人設置強制だけではなくて,要するに機関設計で固くならざるを得ないという点ですが,その点まで考えますと,やはりかなり閉鎖的な--閉鎖的と言ってはいけないのですね,済みません。--かなりオーダーメードの組織設計をしたいというニーズがあるようなベンチャー企業ないしジョイントベンチャー,更には同族企業も含めてよろしいと思うのですが,そういった会社の機関設計を自由にやりたいというニーズが制限されるのはまずいなと,それだけはそもそも今回の改正の方向に反するのではないかと思いますので,もしそれがワンセットであるということであれば,少なくとも引下げといいますか,厳格化の方向には私は反対で,むしろ緩和というのでしょうか,基準を引き上げるという方向が望ましいと思っております。 ● 先ほどから,資本金5億円を下げる方に賛成という方がお二方ばかりいらっしゃったのですが,まずお聞きしたいのは,じゃ下げる場合に,先生方がおっしゃったように具体的になかなか言いにくいと。そうすると,感覚的な議論だけで改正の方向が決まっていくというのは,非常に私ども心配をしておりまして,資本金が例えば2億円,3億円,4億円というあたりは中堅企業としては非常にいい企業が,私どもの知っている限りは多くて,しかしこれは世界でもオンリーワン企業みたいなところがそういうところが結構多いのですが,ファミリービジネスとしてのよさも残しながら,設備投資をしていく度に資本を増強してきたと,こういうケースが多いのでございます。それを,感覚的な議論で少し下げる方がいいなと言われるのは非常に怖いものですから,そこは相当ぎりぎりした議論をして,納得のいく,説明のできる,現状を把握した上できちんとした議論をしなければいけないのではないかと。これだけは一言申し上げておきます。 ● 私の発言を,率直に言って誤解されているようですので,私の趣旨を申しますと,私は公開される計算書類は,専門家がチェックし,信頼性のあるものでないといけないというのをプリンシプルにしております。したがって,その角度からは,例えばすべての株式会社が会計監査人監査を受けなければいけないという方向が理想論としては望ましいということになります。  ただ,今100万社を超える株式会社にそんなことをする,そしてまたそれが実益があるかというようなことがありますから,従来10億,5億と来たのですから,こういうのはやはり段階的に下げざるを得ないだろうと。そして,今のところ最低限のものとして1億が--今まで言われていた金額で資本金ですと1億がありますから,1億以下にするということはちょっと現状実現可能性がないから,5から1までの間で,それこそいろいろな配慮をするということで,単なる感覚的ではなくて,いろいろの利害とか何かを調整する必要があるだろうからということで,理念的に言えと言われたら,私は1億でも--○○委員は3億で,多少妥協されたのだと思いますので,そういう御配慮を,実務家の,経験を践んでおられる方の御配慮を尊重するということで,具体的な数字を言わなかっただけであります。理念的には,私は自分の立場ははっきりしていると思いますが,これを理念的に言ったって通りそうもないものは意味がないので,感覚的な議論と理念的なものを発言しないということとは別だと思いますので,そこだけ申し上げておきます。 ● ○○委員のおっしゃることはよく分かりました。そこについては,私が感覚的と言ったのは,やはり実際上の調査に基づいてどこら辺までが必要なのかということを,相場観というのはそういうところから出てくるものだと思うので,方向性だけではなくて,方向性としては今まで下がってきて傾向は分かっておりますけれども,じゃ今本当に5億から下げる必要があるのかは,実態をもう一度きちんと,先ほどから経済産業省にお願いすると,こういう話でございますので,それを見てから進めるべきだ,こういうことでございます。 ● 資本金基準をとった場合の金額の点と,それから子会社をどう扱うかにつきましては,これは○○委員,○○委員,それからほかの委員の方々とはちょっと意見が違っているというのが,今日のところの議論の結果だったかと思います。  そういうことで,ほかのテーマもありますので,この点は今日はこのぐらいでよろしいですか。なお是非発言したいという方がおられましたらあれですが。--よろしいですか。  大体今日はそういうところだったということで,なお検討させていただきます。  次に,(2)でありますが,この点についてはいかがでしょうか。  現在では,小会社が公認会計士の監査を受けても,特に法的な効力は発生しないのですが,この(2)は,現在の資本金1億円以下の小会社でも,計算書類の確定等について一定の効果が生ずるような会計監査人を置けるということにすべきであるとの意見があるがどうかという問題提起ですが。 ● 小会社の1億円以下と書いておりますけれども,この範囲の会社についての会計監査を任意監査を導入してはどうかという話ですけれども,私は導入するとした方がいいのじゃないかということで,少し意見を述べさせていただきます。  最近の小会社といえども,まず資金の調達方法が変わってきているということですね。これはなぜかといいますと,間接から直接に変わってきているということ,従来の金を借りるのに土地等を担保にして金を借りるという,そういう従来の風習というか,慣例があるわけですけれども,これからの企業というのは,いわゆる計算書類を提出し,その将来の計画性を持って,いわゆる投資家,あるいは金融機関が判断するというような時代に変わっていくだろうと思うのですね。したがって,検討をされる計算書類というものの透明性,正確性というものは問われてくると思うのですね。まして資本金が1億円とか,あるいはそういった企業に対する支援対策というのはとられているわけでありますから,そういうふうな面におきましてもやはりそういった企業を支援する意味からも,今申しました計算書類の正確性を検証する一つの手段があってもいいのじゃないかと。  それから,次が国際取引がどんどん進んでおりまして,人・物・金というのが国境を越えて自由自在に行き来するわけでありますから,どんどんこれから国際的に取引する中で,例えば取引する場合において,従来の日本の風習ではなくして,やはりあくまでも透明性と正確性が問われる計算書類の提出を求めて取引を開始するとか,あるいは決算ごとにそういった計算書類を提出して,取引を継続するとか,いろいろそういった国際間において取引というのは1億円以下の小会社であっても当然行われていくわけでありますから,そういったことを前提にしても,やはりきちんとした法律上の位置づけは必要じゃないかなと思います。  それから,中小会社等で適当な監査役の人材が得られない場合,これについてはやはり監査によって会社のいわゆる運営を支援するという点からも,コーポレート・ガバナンスという観点からも必要じゃないかなというふう思うわけであります。  それから,先ほどちょっと中小企業庁の方からもおっしゃいましたけれども,計算書類の公開がインターネットで公開された,これは実効性を考えていかないといかんわけでありますけれども,じゃその計算書類の正確性,適正性というものをどこでどうするかという問題が当然起きてくるわけですね。どこでチェックするのだと。自分がつくったものを公開するわけでありますから,どうでもできるわけですね。それで果たしていいのかどうか,そういった議論から考えていきましても,やはり監査というのは必要じゃないかなというふうに思います。  従来,どちらかといいますと日本の小会社というのは,計算書類がクローズであったのですね。しかし,これからの時代というのはどんどんオープンにしていく,ディスクローズしていくというのがやはり中小会社の元気が出る,活力のある経営が出ると思うのですね。ということは,我が社の決算を出さない,あるいは赤字だということで隠したい,言いたくないのだというやつがどんどん頑張って黒字に転換していくというような,そういった意欲がわいてくるのではないかなと,こう思うのです。ひいては,中小企業がそうしたことで活力ができ,元気が出れば,日本の経済の発展,安定に貢献するのじゃないかなというような気がするわけであります。  それから,最後に,これは欧米でもこういった計算書類の信頼性の担保については正規の監査,例えば証取法とかあるいは商法の特例法に求められている正規の監査以外に,対象会社の実情に応じたいわゆる簡易な監査と申しますか,そういうようなものを利用されているということでありまして,小会社に対する監査の導入に当たっては,小会社の受れ入れやすい簡易な監査というものの仕組みが当然確立されるべきだと思うのです。と申しますのは,あくまでもこれは,当初はやはり任意であるということと,それからコストの問題,フィーの問題ですけれども,これも非常に低廉なフィーであるとか,いろいろそういうことも手当てをして,中小会社が受け入れやすいような仕組みを前提として,やはり受け入れるべきじゃないかと,私はそう思っております。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● 計算書類の適正性の効用に資するという観点から,この(2)の意見には賛成をいたします。 ● ほかに,いかがでしょうか。 ● (2)の問題は,さっきの(1)でも申し上げましたけれども,むしろ次の(3)と一緒に議論すべき問題ではないかと思います。部会長御指摘のとおり,この任意設置の意味は,要するに計算書類の確定の効果を持つ監査をどういう場合に認めていいか,それを任意でやるということをどういう条件のもとで認めていいかという問題だろうと思います。計算書類の確定の効果のない場合の任意の公認会計士監査等を受けるという,これは完全に自由にいつでも行えるわけであって,法律論としては特に議論する必要もないわけでありますので,ここの意味するところは計算書類の確定の効果のある監査を任意で認めるときにはどういう条件があるときに認められるかという問題として考えるべきだと思います。  現行法は,商特法の2条2項で,要するにみなし大会社ですべてガバナンスについては大会社と同じ体制をつくったときに初めて任意監査を認めて,その効果として計算書類確定の効果を認めるという法制をとっているわけで,それをそのまま維持するのであれば,これはもう1億円以下の会社だって別に全く問題なくそういうのを採用していただいて,そして計算書類の確定の効果も認めていいのだろうと思うのですけれども,ここで問題になるのは,1億円以下の会社についてもう少しそこまで,いわば大会社と同じガバナンスの構造を持たなくてもそういう効果を認めていいのかというのが恐らくこの問題の実質ではないかと思うのです。したがって,その意味で次の(3)と一緒に考えなければいけない。  (3)の方では,ガバナンスについて監査役会までやらなくていいと,監査役だけでいいということを認めているわけで,これは多分いろいろ議論があると思うのですけれども,それはそれぐらいの緩和化というのはあり得る考え方かなという気がするのですけれども,ただそれ以外のいろいろなガバナンスの問題にこれはかかわってきてしまって,現在のあれですと資本金1億以下は例えば取締役会の設置強制がかからないことになるはずですけれども,恐らく取締役会は強制しないとおかしいでしょうし,更に取締役の例えば任期規制ですとか,選任するときの株主総会の定足数の規制ですとか,あるいは解任決議の決議要件,あるいは競業避止義務や利益相反取引の承認手続をどこでやるかといったところもみんな違ってくるわけですね。ほかのガバナンスの規定のところで。それも全部ワンセットに,大会社と基本的にはそろえないとこういう効果は認めないのかどうかというのがここの議論で,そこまで認めるのだったら当然異論なく私はどうぞ御自由におやりくださいということになると思うのですけれども,もしかそっちの方も一緒に変えるということになると,これはやはりそれぞれの規定ごとに検討する必要が出てしまうのではないかというふうに思います。 ● ○○委員おっしゃるとおりで,まとめてサポートしていただいたような気持ちでございまして,何かを入れて効果が出るのであればコストが下がる,先ほど○○委員からもお話がありましたけれども,物すごく重畳的にいろいろなものをやらないと効果が出ないよということではなくて,新しいことを,1億円以下で例えば入れることができればいい効果が出て,そしてコストも全体として下がる,そういう簡便な方法を合理的に入れていただきたい。そういう意味で,今の御意見に大賛成でございます。 ● それでは,先ほど来(1)の段階から(3)の問題が相当出てきておりますので,(2)だけではなくて(3)についても御自由に御意見いただければと思います。(4)はまたちょっと違う問題ですので,(2),(3)まとめてということでどうぞ。 ● 私も○○委員がおっしゃるのと全く同じように考えるわけでして,(2)と(3)は一緒に論じなければならない問題であると。  と同時に,私は(5)もあわせて考えた方がいいのではないかなというように思います。やはり会計監査人の報酬をだれが決めるのかということも重要な問題であって,特に会計監査人を計算書類の確定権限もある形で依頼するというものの仕組みのうち,ガバナンスの中の何が重要で,どれだけは中小会社であれ何であれそういう効果を認める以上あるべきであるのか,何は簡易でいいのかということを考えたときに,やはりだれが会計監査人を事実上選び,報酬についてもどこら辺で決めているのか,これをワンセットに考えた方がいいのではないかと思うのです。  更に欲を言えば,昔,議員立法で一時提案されていたことがあったと思いますが,契約の締結権限,これも会計監査人との契約だけについていえば,会社の代表取締役の権限ではなくて,別のところにあった方がよりすっきりしていると思うのです。そういう意味で,そこが実は本質なのではないかというふうにもし考えていくとすれば,大会社についても随分今回の監査委員会にしましても監査役会にしましても,いいところにいっていると思いますけれども,あともう一歩,報酬権限についても明確化するというこの(5)の意見に賛成であると同時に,締結権限の問題まで,だれが会社を代理する形で監査契約を結ぶのかというところまで踏み込むというところが一番徹底するのじゃないかと思いますし,逆に中小会社でも,社長ラインの人ではない,取締役ラインの人ではない者がその権限を持つということでさえあれば,たった一人の監査役がいるというだけであっても,これはもう構わないのではないか,つまり監査役が一人さえいれば,取締役会があろうとなかろうと,監査役会があろうとなかろうと,監査委員会であろうとなかろうと,その一人の監査役が会社を代理して,報酬も含めて会計監査人と契約を締結する,これが一つの方向になり得るのではないかと考えてみました。 ● じゃ,(5)も御議論の中に含めていきたいと。確かにこれも,機関設計の一つですから。 ● 私も,(3)については賛成なんですけれども,会計監査人,コストばかり強調されて,社会的な効用がないというふうな観点から,余り広げるべきではないというふうなことも実務家の立場からあり得るかと思いますけれども,私どもはやはり基本的には実務家の立場ということではなくて,その会社のディスクロージャーがどこまでなされるべきか,いわゆる会社の存在というものが社会的に許されるとすれば,その担保としてどこまで有限責任を享受するがゆえのディスクローズということをされるべきかと,そういう観点は欠かせてはいけないと思うのですね。それが大会社の宿命というべきであって,これがしたがってどこまでかということは先ほどから議論いただいているわけですけれども,基本的にはやはりそういうことで考えるべきだと思いまして,そうなると仮に大会社でなくても,有限責任,限定責任である限りは,やはりディスクローズすべきだということが基本的にあるのではないか,そういう意味ではそれを基本的に感じた会社は,仮に監査役会がなくても,あるいは監査役一人でも,会計監査人とセットで,もちろん決算の確定という問題は当然ついて回りますけれども,そういうことがあって,監査を得た結果を社会に公表するというふうな仕組みがなされていいのではないかと思うのです。 ● 今まで(3)について具体的な御意見をいただいたのは,○○委員,○○委員,両方とも監査役は要るという御趣旨だと思いますが,ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● 私どもも任意の設置というのも,そういう努力をする中小企業がそういう選択肢を持つというのはいいことだと思いますし,特にベンチャー企業なんかもそういったニーズも強いと思いますので,認められるべきだろうと思います。  ただ,その際に,先ほど○○委員からも4億8,000万円にするというのは会計監査とか監査の費用が結構かかるということですので,特に中小会社の方は監査の費用というのが結構ネックになりますので,できるだけそれぞれの中小企業のニーズに応じた,使いやすい,実務上のこれは問題かもしれませんが,そういった工夫というのも是非していただけたらと思います。  それから,先ほど私が紹介した中政審のレポートでも,今の監査役がほとんど名目的に置かれているという状況の中で,機関設計の柔軟度をできるだけ私どもとしては選択肢を広げてほしいという立場ですので,今の中小企業の名目的な監査役が置かれている実態を見ると,必ずしも監査役があると会計監査人が置けるということでもなくて,もうちょっといろいろな機関設計のパターンの工夫はできないものだろうかと,要は少なくとも今よりよくなる方向に行くのですので,そういった道筋をできるだけ持たせていただけたらというふうに考えております。 ● ほかに。 ● 私も,計算書類の確定というところまでいくのであれば,やはり1ページの一番下の米印のように,監査役会がなくても監査役があるというところまで一緒だろうなと思うのですけれども,計算書類の確定というところはちょっと置いておいて,それ以外の面で,会計監査人の選任・解任と権限義務,責任についてだけは特例法の規定が適用される,機関設計については関係ないけれどもという形で特例法上の会計監査人の監査を1億円以下の小会社が選べるようにするということは,理論的にはあり得ると思いますけれども,実務上そんなニーズはないと,そんなものつくったって法律の責任だって場合によっては第三者にも責任を負わなければいけないし,場合によっては代表訴訟の対象になるかもしれないというようなことになると責任が重くなって,それなら実際のニーズがないかもしれないけれども,場合によってかえって逆にそのような重い責任を負うということを前提にして会計監査を入れていますということだけでも意味があるということであれば,計算書類の確定ということ抜きにして,(2)を考えるということは一応考えられるのではないかと思いますが。 ● (3)の選択肢についてなんですけれども,先ほど申しました小規模会社の機関設計の自由度ということと,それから委員会等設置会社を導入したことに伴いまして,例えばベンチャー企業などが出世して,と言うとあれなんですけれども,成長して,将来大規模会社になった場合に,監査役会設置会社をとるか,あるいは委員会等設置会社をとるかというのは,その選択は任意なわけでありますから,その両方の方向に小さいうちに,といいますか,ベンチャーの時代からそのような機関設計がとれるような選択肢を残した方がよろしいのではないかということで,私が提案させていただきたいのは,必ずしも監査役を必置ということではなくて,社外取締役を含む取締役会プラス会計監査人という選択肢を残していただけないかということであります。 ● いろいろ御提案いただきましたが,この段階ですからいろいろお出しいただいた方がいいわけでありまして……。 ● 先ほどの大規模有限会社について会計監査人を強制するかしないかという議論から始まったときに,強制したときにこういういろいろな機関設計を自由化すると,幾つかいろいろなパターンが分かれてきますよね。かつ,それに伴って計算書類の確定とか,○○委員がおっしゃったようなさまざまな効果が付与される,されないというたぐいの議論があるので,ちょっとなかなか同意をするのに,実務をやられているそういう方々に,どういうオプションがあって,どれが合理的かという話を説明すればいいのかなと,ちょっと私自身混乱をしていますので,どういうふうに詰めていけばいいのかと。  最初,法務省の資料だけ見ると,まず会計監査人の設置が強制される範囲を広げるか広げないかという問いかけがあって,そうすると大規模有限会社というのは広げるという議論に落ちるかどうかという議論がまずあるわけですね。じゃ広げようと。広げようとしたときに,広げたことに伴ってその効果はどうなるのかというさっきの○○委員のような議論と,同時に会計監査人の設置が強制されたときに,友連れで機関設計についてどこまで自由度を認めるかという議論が次に2段目で来ているような構成になっているのですけれども,何となく非常に議論しづらいなと思って。  というのは,(1)の会計監査人の設置強制の範囲といったところについて,まだ非常に議論が割れている段階でこちらの議論をするのもなかなかしづらいなという感じがするのです。  実態だけちょっと申し上げると,先ほどの大規模有限のような会社を念頭に置けば,仮に(3)のような話が強制される場合になったとしても,機関設計については相当程度自由度を認めてあげないと,今の現状からすると相当乖離するなというような,ある種の仮置きの議論しかできないのですけれども,○○委員がおっしゃったように,効果としてどういうものが出てきて,どういうオプションがあってというのを,いま一度ちょっと法務省の方から御説明いただけると有り難いのですけれども。 ● 確かに(3)は,(1)の方から来ているのと(2)の方から来ているのとあることはそのとおりだと思いますが。 ● 先ほど,○○幹事におまとめいただいたことに尽きるのではないかと思いますけれども。  会計監査人といった場合に,所与の前提として現在の会計監査人が置かれたときの効果の丸ごとを考えるのかどうかということだろうと思います。機関設計の柔軟化の議論とクロスする中で,会計監査人という形で専門家は関与させるけれども,その効果は機関設計との関係で一部変容,縮減されるということは十分あり得ると思いますので,そのような効果に多様性を持たせないということであれば,会計監査人が置かれた場合の機関設計はかなり固定的なものになりますし,関与させるということに意味があって,機関設計については柔軟化するということであれば,得られる効果は非常に今よりは限定的なものになる。ですから,そのどちらに重きを置くかということで,また考え方は変わってこようかと思うのです。 ● そうなると非常に選択肢が多いので,これは話は簡単ではないのですが。  何かこの(3)につきまして,こういう点もあるという御指摘等ありましたらお願いしたいのですが。 ● 私もこの問題は大規模有限会社の(1)の米印2のところで質問しただけで,これについては後半のところで意見を言わなかったのは,よく分からないから言わなかったのですが,(3)との関係で,米印を見ると,譲渡制限会社についてということで事務局がおまとめになったときについても,譲渡制限会社以外については恐らく権限と機関設計は同じようなものかという前提であったと--また自分の意見を言わずに質問だけで申し訳ないのですが,--そういうことを前提におつくりになったと理解してよろしいわけですね。基本的には譲渡制限会社について簡易化の道を探ろうという方向で,非譲渡制限会社については,先ほど○○委員がおっしゃった権限とか,従来の機関の枠組みですね,がっちりした,それがベースになっていると。そこは少なくとも押さえる,押さえないで議論が大幅に動くと思うのですが。  有限会社の場合には,したがって譲渡制限会社となりますので,ここでは場合によっては有力にあってもいいのじゃないかというのがインプリケートされているかと理解したのですが。 ● もちろんアプローチは両方あり得ると思いますけれども,(3)の本文米印で書かせていただいたのは,御指摘のとおりの考え方を仮に提示させていただいたということでございます。 ● 今,事務局の方からのまとめもあり,○○幹事から計算書類の確定という効果と切り離して考えることもできるのではないかという御指摘があったわけですけれども,強制の場合はちょっと別にして,(2)と関連する任意設置についてですけれども,小会社が問題ですが,そもそも小会社で任意設置をして,仮に計算書類の確定という効果をもたらすことにした場合に,そういうメリットのために小会社で任意に会計監査人を設置するというのはどの程度あり得るのでしょうか。その辺から議論を始めた方が……。そもそもそんなニーズは全然ないというのだったら,余り議論しても意味がないような気がいたしますが。  なぜそういうことをお伺いしたかというと,今日の中小企業庁からの御提言の中に,小会社ということではなくて譲渡制限会社という切り口ではありますけれども,株主と経営者との信頼関係が強くて経営がうまくいくのだというお話があるところなので,そうすると何でも株主総会で簡単に決められるわけだから,特段そんな取締役会限りで決めるとか,そんなことをしなくたって,そこは痛痒を感じておられないというふうにも思われるので,そうするとそこは余り必要ないのであれば,別のメリットを何か,商法特例法上のメリットじゃない何らかのメリット,実務上あるいは経済上の何らかのメリットのために会計監査人を任意に置くという,そういう実益なりがあるのかどうかということなのですが。 ● お答えになるかどうか分かりませんが,私の知っている例ですと,これは車の輸入会社なんですけれども,ぐんぐん伸びているところがありまして,大分前から公開を目指して動いていて,非常にビジネスが拡大している。しかし実体は,資本金はまだ小会社,こういうケースの場合には,いろいろな例えば公開を目指してサポートをしてくださる方からこういうシステムを入れた方がいい,こういうことをやった方がいいと,それは今からやっておけば信頼性が高まるし,例えばその方はある外国の車のソウルエージェントを今幾つかとろうとしている,そのときに海外向けにもきちんと説明ができるから。こういう実際上のケースでおやりになっているところは,私は現実に知っております。参考になるかどうかはあれですが。 ● ○○幹事がおっしゃったのは,計算書類が確定するという効果にどれだけのメリットがあるのかということを御指摘になられたのだと思うのですね。実際に株主といっても少人数の,譲渡制限もしているような会社において,その効果がありますということ自体については,ほとんどメリットにもならないようなメリットでしかないというのはおっしゃるとおりかもしれませんが,だからといって,今のように資本金が1億円にならなければ,資本金の小規模な会社は会計監査人と名乗る者を置いてはいけませんというようにする必要は全くないわけですね。ですから,フル装備のものであれば資本金1億円なんていう制限なしに会計監査人というものを選んで,そこの監査をうちは受けていますというふうに対外的に宣伝されても構わないとおっしゃるのは,○○委員がおっしゃるとおりで,ですからニーズがあるかどうかではなくて,制限する必要があるのかどうかという,そういうレベルの話だろうと思うのですね,資本金1億円というのは。 ● 今言われたように,そもそも制限なんかされていないのじゃないですか。取締役会限りで確定するという効果が出ないだけで。 ● 会計監査人という名前は使えないですね。 ● 会計監査人という名前を使うかどうかは別にして,その実質として公認会計士監査を受けることができるわけですから。 ● 現行法は,小会社はできませんので,その道を開く意味はあると思います。ただ,その場合に,フルセットでないと道を開けないというふうに考えるのかどうかというのが議論すべき問題だろうと思うのです。 ● 全く何の効果もなく,会計監査人も名乗らないのであれば,○○幹事がおっしゃるように契約自由のレベルだけの話ですが,象徴的に言うと計算書類の確定権限ということになりますけれども,そのことよりはむしろ正式にうちは会計監査人の監査を受けていますというふうに対外的にちゃんと言えるという,それだけのものを満たすための最低限の条件は何かという格好で今議論をする価値があるのじゃないかと思いますけれども。 ● 補足いたしますと,計算書類の確定の前に監査役ないし監査役会の監査報告書と,別途会計監査人という法定の責任を負うべき,あるいは法定の権限に基づいて監査をし,法的な責任を負うべき会計監査人という専門家の監査報告書を計算書類にきちんとつけられると,そしてそれを本店に置けるというのが第1の効果だと思います。そして第2番目に,計算書類の貸借対照表と附属明細書とを株主総会でなくて取締役会限りで確定することができる。この二つで,後ろの方は理論的には非常に大きな意味がありますが,実質的に余り意味がなくても,前者の方が重要な意味を持つということが恐らく実務の感覚かなというふうに思いますが。 ● 今,○○委員がおっしゃっていただきましたけれども,それプラス実務的,実践的効果もあるというふうに思います。もちろん,会社によってはそんなの全く要らないということもあるかと思いますし,多くはそうだと思いますけれども,しかし中には銀行との取引,あるいは対海外会社との取引,そういう中において,うちは会計監査人の監査を経ていますよということを付票として提出するということは,大変意味があると思いますので,これはやはりあっていいのではないかと思います。 ● 今の会計監査人の監査を受けておりますとは言えないけれども,公認会計士の監査を受けておりますというのは自由にできますよね。別に,海外は会計監査人なんて何も知らないのであって,CPAが重要なんじゃないでしょうか。 ● 言い忘れたのですけれども,今の日本では,会計士監査を受けていますという言い方は,任意監査と法定監査と,やはり位置づけが違うと思うのですよ。任意監査ですと,やはり部分監査とか,あるいはいわば概括的監査とかいう意味合いで,何となくチェックしてくれていると,しかし法定監査でやっているといえば,それは法定の責任が発生するわけですから,そこは受けとめ方もかなり違うのじゃないかと思います。 ● ○○幹事が今出された問題というのは,この前の中会社について,今と同じようにみなし大会社制度をつくった,じゃ中会社において本当に計算書類を確定するニーズがあるのかどうかというのも別に調査もしませんでしたよね。だけど,そういう制度を設けることによって,そういうあめがあることによって,公認会計士の監査を受けようとする会社のインセンティブが少しでも増えることはいいことではないかということだったのだろうと思うのですね。実際のニーズがどうかというのは,よく調査していない。  今度の場合もそうだと思うものですから,会計監査人ということの監査を受けているということによって,事業の発展をよりやっていきたいというふうなところにおいては,そもそもそれを使うことができる,それだけではなくてこういう効果もつきます,その効果については今までよりはもう少しリラックス,緩和されたものでやってあげましょうというのが筋だろうと思うのですね。 ● 大分時間をかけて御議論いただきましたが,そうしますと効果はともあれ(2)については皆さん賛成であると,反対の意見はなかったのじゃないかと思います。 ● ちょっととんちんかんな質問で申し訳ないのですけれども,この会計監査人の任意設置の問題とセットになっている事柄はどこまでかということをちょっと確認したいのですが。  先ほど来の御議論ですと,計算書類の確定のところまではおおむねセットになっているような感じがいたしますけれども,それプラス例えば利益処分権限のようなものについてはセットになっているのかどうかということをちょっと確認したいのですが。 ● 私の理解では,計算書類の確定についても必ずしもここでの合意はないので,○○幹事,○○委員がおっしゃいましたように,とにかく法定監査といいますか,会計監査人が現在の商法特例法の定める責任を負って監査をしておりますと,そういうことになると。それだけでも一つの制度としてのメリットであるという,そこまで,そういう御意見が何人かの方から表示されまして,ですから(2)について賛成だと言われる方の中には,計算書類の確定や利益処分権限については必ずしもよしとは言っておられない方がおられるのじゃないかというふうに,私は推測しております。 ● 私,これまだ確定的な意見でないのですが,二つに分けられると先ほど言っただけで,ただ素直な理解では計算書類の確定権限まで込みにしないと,議論がややこしくなるなという感じはしております。これは全くの感覚意見ですので,御批判があるかもしれませんが。 ● 皆さんそうだということであれば,少なくとも計算書類の確定の確定までは前提にした議論だということであればいいのですが……。  ○○幹事は,そうですか。 ● 込みにした方が議論はすっきりする。分けるとますます選択肢が広がって複雑にはなるのですけれども,ただ計算書類の確定までは要りませんと,法定監査をつけているのですというところに意味があるのだと,中小企業で積極的にそういうふうにしたいと--今だって任意監査は受けられるけれども,法定監査と名乗りたいというところのある程度のニーズがあるのだったら,それをだめだという必要もないような気がするのですが。 ● 少し中小企業のガバナンスをよくする立場からすると,いろいろな選択肢があってコストを払ってそういうことをやろうという人にはやれる道が開けるというのは重要だと思うので,そういう今の御意見に賛成です。  ただ,先ほど○○委員も,何か簡易な監査とかいうお話が出ましたけれども,その簡易な監査,例えば計算書類の確定権限を含む監査なのかそうでない監査なのかとか,議論のバリエーションは,それはどうなのかなと私もお聞きしていたのですけれども,できるだけ選択肢が多い方が……。  私どもも一生懸命検討しますので,検討していただけたらと思います。 ● 確かに,○○委員がおっしゃるような簡易な監査というところまでいくと,皆さん計算書類の確定まで賛成されるかどうかですね。 ● 今の○○委員の御質問との関係で言うと,三つのレベルの問題があると思いまして,最初にまず現在の商法特例法の責任追求などがあり得る会計監査人監査があったと言える意味での任意監査ですね,これは恐らく会計監査人の,公認会計士法から来る押さえと,それと商法特例法上の重い責任関係なんかがあれば,これである程度信頼できる監査だということが対外的にも言えると思いますから,これはこれだけで一つの制度としてあり得ると思います。  その次のレベルとして,計算書類の確定の効果まで発生させるとすると,これはガバナンスの問題にかかわってきてしまいますので,単に会計監査人の責任の規定だけで済まなくなって,それ以外の正にガバナンスの規制がどこまでフルセットでなければいけないかという議論をしなければならなくなってきて,更にもう一つ,利益処分の確定権限までということになると,これは現行法上は委員会等設置会社にしか認められていない効果でありますので,これはむしろ後で出てくるアラカルト方式の議論の方になってきて,少なくとも現行法は現在の委員会等設置会社のガバナンス構造を備えていない限りその効果は認められていないということになりますから,したがって○○委員の御質問に対しては,少なくともここまでの議論ではそこまでの効果は出ないということになるかと思います。 ● そうしますと,どうしますかね。効果としてどこまで認めるかを議論しないと,ちょっと(3)の結論は出ないという問題がありますので……。  ○○委員も,先ほど出た第一段階,第二段階,第三段階,第一段階だというものはやめて,第二段階はもう当然だということを……。 ● 第一段階のもあり得ると私は思いますけれども。  ○○委員の御指摘,非常に鋭くて,そういう信頼性のあるものを使っているということが言えるというのは,一つはあると思いますね。そのメリットは,さっき言いましたようにガバナンスの方の複雑な制度を一緒に全部持ち込まなくてよいという意味はあると思います。 ● 分かりました。それでは,ここの段階では第二段階を前提とした議論ということはもうしないと,第一段階でも含めて(3)は今後御議論いただくという,今日のところはそういうことでよろしいでしょうか。  第二段階を前提としたこの(3)の議論をするのではなくて,第一段階もあり得べしということを前提にした(3)の議論を今後続けていくと。--よろしいですか。  それでは,3時を過ぎておりますが,ついでですから(5)について,○○委員の御指摘もありましたので御議論いただければと思うのですが。いかがでしょうか。 ● ○○委員は,先ほど契約締結権限も監査役会にというお話だったと思うのですけれども,実質上会計監査人の選任の同意権を監査役会が持っている,今回の案でもって報酬の決定についても同意権を持つということで,あと契約締結行為というのは単に事務的な行為にすぎないわけですから,これで実質上監査役会の権限の強化は図られているのではないかと思います。  私は,監査役会が決定権限を持つのではなくて,やはり執行サイドが決定権限を持って監査役の同意権に付するということにいたしませんと,監査役が会計監査人に余りにも会社の経営状況をわきまえずに多額の報酬を払うことによって,自分の監査を楽にしようなんていうことを思ってもいけませんので,やはり妥当な線というのはまず執行役が考えなければいけない,監査役が同意をするということが妥当だろうと思います。 ● 私も,少なくとも監査役会設置会社については米印の方がいいのではないかなと思っております。そして,監査委員会等設置会社については,本文の,これについては議案を提案しちゃうわけですから,監査委員会については本文でいいのかなという気もしておりますけれども,監査委員会に執行側が一切入らないというときに,どうするかこうするかと,先ほど○○委員のおっしゃったことがありますが,事実上相談することがあるので,まあ監査委員会については本文でいいのかと思います。 ● 実践的には監査人の報酬の決定というのはやはり代表取締役にあると思いますけれども,よくあちこちで誤解を招くのが,会社から報酬をもらってちゃんと監査ができるのかと,これは多分に今の代表取締役が権限を持って,そこで報酬を支払う,だから報酬を支払うかわりにいわば監査人が言うことを聞くというふうな誤解を招く,そういう仕組みになっていると思うのです。私は,やはり第三者に分かりやすいシステムを考えた場合には,やはり監査委員会又は監査役会に報酬を決定する権限を付与した方がいいのではないかと。  ただ,現実問題として,今の,と言っては大変恐縮ですけれども,監査役会に,本当に権限があるのかといったときに,今日監査役協会の方いらっしゃいませんから申し上げるのですけれども,とてもないのじゃないかと。それなら逆に,報酬を付与する権限は監査役会に上げて,いわば代表取締役の承認を得るという逆の方が分かりやすいのかなというふうに思いまして,ここは是非そういう点もお考えいただきたいと思います。 ● この問題につきましては,委員会等設置会社では監査委員会にまず人事権があるわけですけれども,ただ一方で報酬の方を代表取締役が決めることになりますと,気に入らなければそっちの方で絞ってしまえば実質的に人事権を無意味にできるわけですので,そういうことは好ましくないだろうと思います。そういう観点からしますと,ここに書いてあるような報酬の決定も監査委員会あるいは監査役会にというのは,私は望ましいとは思うのですけれども,ただ○○委員のおっしゃった会社の実質を無視して過大な報酬を払うのはいかがかということは,私もそれはそうだと思いますので,ただそれに対する対策として,○○委員のおっしゃったように代表取締役が承認するというのがいいのかどうかは,ちょっと考えてしまいまして,もうちょっと引いて,現在の代表訴訟でかかった費用に関するチェックが商法の268条ノ2で,いわば相当な報酬でなければいけないという定め方を商法はしているわけで,それと同じように,相当なる報酬を監査委員会等が決定することができるというような法制ではいかがかという感じがしております。 ● 今,○○委員がおっしゃったこととほとんど重複するような感じですが,いずれにしても報酬を決定する権限のある者が,決定するについては他の者の同意が要るとか,あるいは承諾がいるというシステムをとりますと,同意がない場合,あるいは承諾がない場合には決定できないわけですね。決まらないという結果になるということですから,私は端的に会計監査人については監査委員会,あるいは監査役会が解任権とかそういった任免する同意権とか,そういった権限を持っていますので,監査役会にしても監査委員会にしても,決定権を端的に持つというふうにした方が簡明ではないか,その方が会計監査人の独立性にも資するというような感じがいたしますので,ちょっとそういうふうに思いますが。 ● 私も,やはり今おっしゃいましたと同じように,第三者が見て非常に簡単に,これは信頼できるのだということが分かりやすいメッセージということになりますと,会計監査人の決定も報酬の決定も代表取締役あるいは代表執行役ラインとは別のところでやっているということが明確な方がいいと思います。  それから,会計監査人の報酬が多すぎる場合の問題ということは確かに心配なところですけれども,これはもうある意味では広い意味での監査費用の一部とさえ言える部分だと思うのですね。監査役が自分の監査の業務を行うためには,会計監査人の専門家の助けが要るということで頼んで,一緒に協力しながら監査をしていくわけですから,監査費用とも本来言えるべきであって,広く解釈すれば現在の279条ノ2の中で何とか解釈できないかということさえ可能なぐらいの理論的な問題だと思います。現行は余りそんな形で動いていないというだけのことですから。したがいまして,今回もしこの点について改めたとしましても,もし費用が相当でないということになった場合には,279条ノ2の精神と同じように,相当でないということを社長のラインの側が言えば,それは断れるというようなことを考えることはできないだろうかというふうに思います。 ● だれに決定権限を与えるかについては,ちょっといろいろ御意見が分かれているところかと思いますので,今日その点について決定してしまうということはちょっと難しいかと思うのですが,とにかく現在は,報酬につきまして監査委員会や監査役会に何も権限がないところが,何らかの権限を与えるというところについてはどなたも御異論ないというふうに理解いたしました。ですから,なお決定権限をどういう形でだれに与えるかにつきましては,なお検討させていただきたいと思います。  それでは,このあたりで休憩にいたしたいと思います。            (休     憩) ● それでは,再開させていただきたいと思います。  第1の1で残っているのが(4)の「会計監査人に対する株主代表訴訟」のところでありますが,これは平成14年改正以来の議論があるところでありますが,この点についていかがでしょうか。 ● 今までの経緯を伺っておりますと,どうも私どもが申し上げるのは多勢に無勢のような感じがしますけれども,一応申し上げておきます。  会計監査人の責任は,もとより特例法の9条で決まっているわけですけれども,取締役あるいは監査役の会社の機関とはちょっと違うのではないかということは従来から思っております。少なくとも,いろいろな会社の行為に対する承認活動には全く加われない,あくまでも取引の結果に対してのチェックしかできないという意味では,かなりそこにおいては差があるのではないかというふうに思っております。そういう意味では,独立した第三者の機関ということで考えますと,代表訴訟になじむのかなということで,この第9条の責任を全うすればいいのではないか,このように考えておりまして,株主代表訴訟の対象とすることには反対でございます。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● 従来から言っておりますので一言申させていただきますと,会計監査人の法的地位が取締役や監査役とは少し異なるということは確かですし,会計監査というものに限定されるということからいろいろな問題は違うこともあろうかと思いますけれども,少なくともそれは,従来ですと,平成13年12月の改正で責任限定が他のところにつきましたからですが,従来からも責任限定で配慮すべきことで,とりわけこういういわゆる粉飾決算を見逃したということが典型的な責任になると思いますが,それは経営者,監査役,そして会計監査人がある程度連携したといいますか,ちょっと日本語でどう言っていいのか分かりませんが,率直に言いますと,同じような形でなされる場合も多いとなりますと,そういう場合についてはおよそ経営サイドからの責任追求はされないという意味で,株主代表訴訟制度の趣旨からは,同じような状況にあるのではないか,そこで代表訴訟は認めつつ,そういう第三者性にも配慮して,責任限定について何らかの合理的な手当てするのでいいのではないかというのを平成13年以前から考えておりましたので,そういう方向で,むしろ②のところでいろいろ議論する方が建設的ではないかなというふうに私は考えます。 ● もしよろしければ,②についても何か御意見いただければ。 ● これについても,私は余りこういう算数が得意ではありませんので……。  ただ,一応13年の12月改正をベースにすると,乙案の中のいずれかという程度のことしか今は言えないのですが。 ● ここのA案とB案なんですけれども,全収入というのは会計監査人が会社から受けた証取法監査も含むような意味での全収入ということなのか,他者から受けた収入も含む総財産のことを言っているのか,どちらなのでしょうか。 ● これは,前回の改正時における提案内容ですけれども,その際は後者です。正に全収入ということで議論されていたと承知しております。 ● 分かりました。  本件は,やはりA案,会計監査人が会社から受けた報酬を基準とすべきではないか,そのときに取締役の責任制限限度額が一律2年ということになるのであればここは2年だし,取締役の責任制限が変わらないということであれば,平均的な4年分である,そういうことが妥当ではないかと思料いたします。 ● ほかの委員の方,いかがでしょうか。 ● 会計監査人にとっては,やはり株主代表訴訟の対象になるということは厳しいことだと思いますけれども,しかしまたそういう厳しいものが後ろに控えているということがあって,初めて厳しい指摘をできるのではないか,そういうふうにも思われるわけです。もしそれが,後ろに何も控えていないのに自分が厳しい指摘をするということは非常に心理的に難しいことではないかというふうに思いますので,私はもちろん当然①についてはこの意見に賛成でございますし,②につきましても,どちらかいえば,やはり取締役の平均値というよりは厳し目の方がよろしいのではないかという感じがいたします。  しかし,やはり乙案の中のB案のようなことになりますと,とても大きな事務所の方々は大変でございましょうし,それからまたA案ということになりますと,大きな事務所の方ですとほんの一部だということになってしまいますので,それを組み合わされたC案が一番よろしいのではないかというふうに思います。  そのうちの,何年分がいいのかということがございますけれども,やはりC案のうちの当該会社から受けた報酬については,例えば6年以上はやはり欲しいところで,10年なんていうのは大変結構じゃないかと思いますし,逆に全収入の方からいきますと,これはいずれか多い額ということでございますから,2年と言わずとも1年分でもよろしいのじゃないかと思います。 ● 先ほど反対していたから急に翻すのも何ですけれども,仮に導入するとした場合に,やはり②では,今,○○委員がおっしゃいましたけれども,ある特定の監査の収入と,監査法人の全収入とでは余りにも開きがあり過ぎます。そこをもし全収入を対象とするというふうな考え方にした場合には,これから外人訴訟,特にアメリカですけれども,そういう訴訟好きの方々がまずねらって訴訟を起こしてくるだろうということは間違いないと思いまして,これは訴訟合戦に大変なコストがかかってしまうということで,そこはやはり現実的な考え方としてA案を是非採用していただきたいと思います。 ● 企業の立場からしましても,もし代表訴訟の対象にするのであれば,責任制限は当然つくし,その場合にB案若しくはC案のように,その監査法人の全収入を対象にするということは,これだけ事務所が大きくなっている状況からしますと,随分多額になる。それは,企業にとってみれば,一応自分のことではなくてよそ事ではありますが,結局はその保険料部分が監査報酬にはね返るわけでありますので,結局自分で首を絞めて,それがまた株主の負担になってくるということもございますので,もし代表訴訟の対象にするのであれば,やはりA案的な,その仕事から受けた報酬をベースにしたもの,それが何年であるかというのはいろいろ意見があろうかと思いますが,C案がいずれか少ない方だったらそれでもいいのですけれども,そうはいかないでしょうから,A案がいいのではないかと思います。 ● まず,代表訴訟の対象となるかどうかという点につきましては,これは皆さんと一緒なんですけれども,商法特例法上の会計監査人の規定を見ていきますと,いわば会社の機関として扱われているわけでありまして,それだけの特別の地位と権限を与えられているわけでありますから,そういう意味で取締役等と同じように,監査役等と同じように代表訴訟の対象になるというのはおかしいことでは全くない,むしろそれがあるべき姿だと思います。  そこで,次に責任制限の方でありますけれども,②の方でありますが,私もいろいろ考えますとA案がいいかとは思うのですけれども,何年分がいいかということは取締役等の比較で考えますと,2年というのは社外取締役ですね,会計監査人の方は社外取締役みたいによく事情が分からない立場で見るわけではないと思いますし,むしろ会計の部分については,はっきり言えば代表取締役と対等の立場でチェックするわけでありますから,どうも理屈としては本当は6年がいいのじゃないかという感じがしております。 ● ②は甲案と乙案とありまして,乙案の中にA案,B案,C案とありますけれども,アイデアはこれだけではないのですね,各国立法例等を見ましても。たまたまこれは,14年改正の際の議論はこうだったというだけでありまして,もう少し幅広に考えることもできるのじゃないかと思いますが,その点事務局は。 ● 立法例としては,既に前回の改正の際の議論でも御紹介があったかと思いますけれども,絶対額で区切るという例もございます。絶対額の決め方も非常にいろいろでございますので,また第二ラウンドでも御紹介したいと思いますけれども,要するに最低限どこまで免除し得るかというそのラインの問題でございますので,それとしてどれが適当かということをまた改めて御議論いただきたいと思います。  それから,先ほど申し忘れましたけれども,責任免除を御検討いただく際には,現在の取締役の責任免除のシステムである総会の特別決議,定款授権に基づく取締役会決議,定款授権に基づく社外取締役についての特別の約定,これらのすべてを認めるのか一部についてのみ認めるのかということについても,あわせて御議論いただく必要があろうかと思います。 ● 今,○○幹事御指摘の点に関して言えば,大部分の会計監査人の責任が追求されるのは会社が破たんしたときだと思います。そういう場合に,事後的な責任免除というのはほとんど,恐らく倒産法上否認されるようなことになるのではないかと思いまして,意味のある制度として作るのであれば,やはりこれは事前に免責をするという制度としてつくらないと,機能しないのじゃないかという気がしますし,また私はそれでもいいのじゃないかというふうに思っております。 ● その点について,私も事前という趣旨が12項の方なのか19項なのかはあれですが,私も19項的に,監査契約をするときにきちんと決めておくというのが原則形態じゃないかなというふうに理解しております。 ● 今の議論,専ら大企業の前提だと思うのですけれども,今1億円以下の企業にも任意の監査と,それをどういう設計するか,これから議論,会計監査人の責任がどこまであるか,それに関連すると思いますけれども,株主代表訴訟に対象になった場合に,余りフィーが期待できない中小企業で,一応代表訴訟の対象になって責任追及されるということになったときに,公認会計士の方がどのぐらい本当にやってくれるのかなという,余りおいしくないからやってくれないのじゃないかというか,そこら辺の,ちょっと私どもイメージが分からないので,どう考えたらいいのかというのをお聞かせいただければと思います。 ● それは商法の世界ですから報酬の問題にしていますけれども,一方で公認会計士法の世界があって,これは変なことをやったら懲戒処分とか行政上の処分があるわけです。これは公認会計士の資格の問題になってきますので,そこはそちらの方で,私どもとしては強く意識をするということで,決して報酬が安いから手を抜くとか,そういうことにはならないと思います。 ● そうすると,余り受けてくれないのじゃないかという,逆の……。 ● 小さく産んで大きく育てるというのがありますから。 ● いろいろ御意見いただきましたが,何か多い議論は,今の責任免除システムの中では何か事前的,最初に契約で決めると,そしてどちらかというと年数はともかくA案的な,その会社からもらった報酬の何年分とかというのが比較的--そうでない御意見もありましたけれども,--比較的多いようですが,ほかに御意見ありますでしょうか。  では,これもそういう今日いただいた御意見を念頭に,検討させていただくということでよろしいでしょうか。  それでは,あとここで残っておりますのは(6)でありますが,この点はいかがでしょうか。 ● これは,私どもが多分要請した事項だと思います。これは,決して問題を起こしたときに停止処分を受けたくないということで言っているのではなくて,むしろ積極的に,と言っては語弊がありますけれども,しっかりとした仕事をしていなかった場合に処分を受けるのはやむを得ない,ただ今の法律ですと,監査法人の中で社員でいたときに,その処分を受けるとたちまちにして全契約についていわば効力がなくなるというふうなことは非常に非現実的だと思いますので,とても社員でいる間にはそういうことが処分できないということになりますと,非常におくれてしまう。監査法人をやめてからということになりますので,それにはまた全社員の同意とかいろいろ手続が面倒で,それがまたそれとして問題があるのじゃないかと。ですから,たまたま問題になった社員は,期間の問題も一つ考えることができるかと思いますけれども,この辺の手当てが必要だと思いますので,そういう意味ではここでの欠格事由からは是非削除していただきたい,こういうことでございます。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● この点に関しましては,例えば最近でもある監査法人が,社員が虚偽証明を行った場合ということで懲戒処分の対象になったというのは,公認会計士法上でもございますのですけれども,そのことによってそれまでその監査法人が監査を行っていた他の監査特例法対象の会計監査人たる地位を全うできなくなるというふうなことで,具体的に監査の途中で他の監査法人あるいは公認会計士に--失礼,この場合ですと監査法人ですけれども,--監査法人に監査業務を引き継いだといったような事例がありまして,当該大会社との関係という視点もさることながらというのでしょうか,他の大会社との関係における実質的な影響というものが実際生じたケースがございますものですから,私どもとしましてもこれはこの欠格事由の削除という点については,賛成をするものでございます。 ● ほかに御意見ありますでしょうか。 ● 今の御発言に対してですけれども,当該会社の監査に関して業務の停止処分を受けた場合でも,担当社員さえかわればいいということになるわけですね。商法特例法上は。 ● 会計監査人となることができないということですから。 ● 基本的にはいいと思うのですけれども,当該会社の監査に関して業務停止処分を受けた社員がいるときには,その会社については監査法人は会計監査人資格ありませんとすることは,それは選択肢としては……。 ● 済みません,ちょっと私も誤解を招いた表現がございますので整理をいたします。  今おっしゃられるとおり,当該大会社との関係においてということは,これはそういうことでございますので,ちょっと先ほど申しました点につきまして訂正をいたします。 ● よろしいですか,そういうことで。 ● この規定,商法特例法4条2項の4号ですけれども,法人の場合はほかにも欠格事由があるわけですが,ほかの欠格事由は社員の半数以上という欠格事由になっていて,ここだけが「掲げる者が」ということで一人でもいればだめだということになっているわけですけれども,ここでに掲げられているのは,欠格事由自体は削除してしまうということで,半数以上いてもいいということにするわけですか。半数以上が業務停止処分を受けていてもいいと。 ● そういうケースがどれほどあるか分かりませんが。 ● 第4条2項4号のうちの前段に当たる部分を削除したらどうかというのが,ここで御提案させていただいている趣旨でございます。例えば,これが一人では大変だけれども二人だったらいいのではないかとか,3人だったらいいのではないかという話になると,非常にぎらつく規定になることもありまして,とりあえず削除したらどうかという御提案をさせていただいているものでございます。  もちろん,半数であったらという考え方もなくはないのでしょうけれども,特に大規模な監査法人においてそのような事態を想定すること自体がいささかどうかということもありますし,一人でもそういう人間がいれば公認会計士法上は何らかの処分の可能性が当該監査法人自体についてあり得るわけでございますので,3号に該当する者が監査法人にいる場合の当該監査法人についての会計監査人の資格の在り方については,公認会計士法における処置に委ねるということでよろしいのではないかという趣旨でございます。 ● 確かに特例法4条2項の4号は厳し過ぎるというのはもっともだと思いますので,改正に賛成なのですが,しかし2項の3号の方の規定があるわけですね。公認会計士が自然人でなさっていらっしゃる場合については,3号の処分を受けるわけですね。それが,監査法人になると何もこれに対応するものがなくなるのかという問題がございませんでしょうか。  例えば,そんなことはあることはないかもしれませんけれども,○○幹事がおっしゃるように,やはり半数以上であれば3号に対応するものとして4号に置くと同時に,担当される公認会計士がやはり問題を起こした場合には,その会社についてはしばらく冷却期間を置いていただきましょうと,担当の監査法人を変えてくださいというような規制にすることも考えられるのではないかと思いますが。 ● 私が先ほど申し上げたのはそのようなことで,監査法人のうち一人がその会社の監査に関して処分を受けたら,その会社については監査法人はやはりやめてもらいましょうというのも合理的だと思うのですが。 ● 先ほど○○幹事は,監査法人で社員の半数以上がそういう処分を受けるということは想定し難いということをおっしゃったのですけれども,そもそも非常に大きな監査法人が幾つかあるということはもちろん承知していますけれども,監査法人になっているところで社員の数というのは,弁護士法人なんかかなり社員の数は少ない弁護士法人もあるやに聞いているのですけれども,監査法人の場合は,みんな法人になっているところは100人も200人も社員がいるのですか。 ● 一番小さいところは5人です。大きいところは,350人ぐらい。社員というのでね。 ● 上位の4法人は,これは1,000名近くですけれども,上から5番目ぐらいになりますと一気に落ちて,ベスト10ぐらいになりますともう後半はたしか20人ぐらい台ということで,そういう意味では最低限は5人ですけれども,相当上の方に大多数が集中していると。むしろこの規定の削除の背景も,これは先ほど補足を申し上げるべきだったと思うのですけれども,そういう大規模な監査法人にあって,責任がどこまで及ぶのか,かつ監査証明を行うに当たってという,そういった議論も別途ございますものですから,そういう観点でその中の一人がやったら全部がアウトだというところについては御再考いただきたいという背景でございます。 ● 規定を現在の特例法4条4号について再考するということについては皆さん御異議はないのですが,ちょっと細かい点についてはいろいろ御意見が出ましたので,なおこれも検討させていただきます。  それでは,1は終わりまして2に移りたいと思います。 ● 説明は簡略に行わせていただきますが,よろしくお願いいたします。  「2 株主・株主総会関係」でございますが,(1)は専ら株式会社,有限会社間の少数株主権,少数社員権の行使要件や株主総会,社員総会の決議要件について,この両者間の規律を一体化するとした場合に,どのような調整を図るのが適当かという問題でございます。  ①の少数株主権の行使要件ですが,株式会社の場合には少数株主権がいろいろな要件で設けられておりますけれども,その細部についてはともかくとして,大きな方向性としてこのように考えることはいかがかという内容が米印のところに掲げさせていただいているところでございます。  株式会社において100分の3要件で行使し得るものと,有限会社で10分の1要件で行使し得るもの,大体これが似たような少数株主権,少数社員権でございますので,これらの調整をどうするのかということでございます。  整理の仕方は法制的にいろいろあり得ると思いますけれども,原則としては現行の株式会社における少数株主権の行使要件の内容を前提としつつ,現在の有限会社に相当する会社について,現行の有限会社法における少数社員権の行使要件に相当する要件の維持を図るというのが基本的な発想でございまして,その図り方として,どのような例外を設けるかというのがbでの提案でございます。  一つは,株主の数,--これは有限会社は社員50人以下となっておりますけれども,--あるいは譲渡制限,あるいは取締役会という法定の機関の有無によって,一律に現在の有限会社法の少数社員権の行使要件とするかどうかを定めるという案です。つまり少数株主権,少数社員権の行使要件について,一定のメルクマールのもとに二つの類型を認めるというのがⅰ案でございます。  ⅱ案は,一定の会社について現在の有限会社の少数社員権の行使要件まで定款で引き上げるという自由度を持たせるということによって,実質的に従前の少数社員権の実質を確保する道を認めようとする案です。ⅰ案が単純に行使要件に関して二つのタイプを設けるというものであるのに対して,ⅱ案は10分の1までの範囲で定款での引上げを認めるということで実質的に従前の行使要件の実質を確保させるようにするという考え方でございます。ほかにも考え方があり得るかもしれませんが,基本的にこのいずれかなのではないかと思われますので,これについてお諮りしたいというのが1点目でございます。  それから2点目は,米印の2ですけれども,有限会社におきましては少数社員権に保有期間の要件というのがかぶさっておりませんけれども,株式会社につきましては一定の少数株主権について保有期間の要件がございます。これについて,株式会社であっても譲渡制限会社であればそのような保有期間制限を課さないこととしてよいのではないかという御意見についてどうお考えになるかということをお聞きするものでございます。  続きまして②でございますが,--本文中の「株主総会」は「株式会社」の誤りでございますけれども,--総会の決議要件は,御承知のとおり株式会社と有限会社とでは異なっております。株式会社は普通決議,特別決議,更に特殊決議と三種類あるのに対して,有限会社は普通決議と特別決議,--特別決議は株式会社における特別決議と特殊決議とを足したようなものですけれども,--この二つのものしかございません。また,特別決議の要件設定が両者間で違っているところでございます。  これを調整するとした場合に,先ほどの少数株主権の調整の場合と同じようなアプローチが考えられ得るところでございまして,原則として現行の株式会社における決議要件の規律を維持するということを前提とし,現在の有限会社に相当するような一定の会社について,現在の有限会社におけるような決議要件を維持し得る道を開く工夫として,bの例外のⅰ案,ⅱ案というような案が考えられ得るところでございます。  ⅰ案は,先ほどの少数株主権と同じように,社員数,株主数,あるいは取締役会が置かれているかどうか等によりましてメルクマールを設け,特別決議の決議要件について現在の有限会社と同じ決議要件を確保するというものであり,要するに決議要件について二つの類型を設けるというものでございます。  ⅱ案は,先ほどの少数株主権のⅱ案と同様でございますけれども,決議要件について定款の定めによって原則からの加重を認めるというものでございます。  ただ,少数株主権の場合と違いまして,加重の程度に上限を設けるということについては,この部会資料を作成して以降内部でも検討いたしましたけれども,やや問題があり得るのではないかと考えられます。すなわち,そのような上限よりも更に加重するという余地が現行法の解釈上認められているとすれば,それを閉ざしてしまうという結果になるおそれがありますので,bのⅱ案というのは必ずしも好ましくないということになるかもしれません。そうだといたしますと,特別決議の決議要件を定款で更に加重する,上限を設けずに加重するという可能性だけを確保するということで足りるということになろうかと思われます。  cについてですが,株式会社に特殊決議というものがあることから,有限会社タイプの決議要件を選択し得る会社について,その特殊決議をどうするかという点についてでございますけれども,特別決議の決議要件の取扱いと横並びにしたらいいのではないかということを言わんとしているところでございます。bのⅱ案に従った形で書いておりますけれども,bのⅰ案をとれば,ここも当然一律の決議要件として恐らく特別決議の決議要件と同じということになると思われます。先ほど申しましたとおり,ⅱ案については若干問題がありますので,定款でその引上げの余地を認めるという実質が確保されるようにするだけで足りるのではないかというように思われます。  それから(2)ですけれども,現行法上の大会社であって,なおかつ株主の数が1,000人以上という会社において,電子投票を行おうとした場合におきましても,書面投票制度が義務づけられる結果,結局のところは議決権行使書面という紙の交付が必要ということになるわけでございますけれども,招集通知を電磁的方法によって受領することを株主が承諾した場合には,そのような紙の交付を不要とすることとし,必要な情報については電磁的方法によって提供すれば足りることとするというように,IT化に資する手当てを講じたらどうかという意見についてお諮りするものでございます。  この場合において,なお株主から書面の交付請求があった場合には,その交付に応じなければならないものとするかどうかという問題が米印の1番目でございます。  それから米印の2番目についてですが,大会社かどうかにかかわらず議決権を有する株主の数が1,000人以上いるという会社について,一律に書面あるいは電子投票制度を義務づけることとすべきであるという意見についてどうお考えになるか,御意見をお聞かせいただきたいと思います。  それから,(2)の②でございますが,先般の改正で株主提案権の行使期限につきまして,実務上の要請も踏まえ,総会の会日の8週間前ということにされたわけでございますけれども,すべての会社におきまして一律に8週間前とし,それ以降の株主提案権の行使を認めないという規律をなお維持すべきかどうかということについてお諮りしたいということでございます。定款自治によって,その期間を短縮するという余地が認められてもよいのではないか,株主提案権の行使の機会を拡充するという方向での短縮であれば差し支えないのではないかという意見について,どのように考えるかということについてお諮りしたいというところでございます。 ● それでは,この「2 株主・株主総会関係」について御議論いただきたいと思います。  まず(1)の①,少数株主権の行使要件。これが,現在株式会社と有限会社とで違っているところを,もし調整するとしたらどうするかということでありますが,この点御意見いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ● ①の米印の2番目でございますが,確かにこのような差が現行のものからの移行ということを考えますとあるわけですから,このような調整をするということもあるかと思いますが,そこまで詳しい区別をあれこれしなくても,譲渡制限会社も含めて6か月の保有要件があるならあるで,一律の規制であってもそんなに皆さんお困りになられないのではないかなと。わざわざ区別した法律を法典上に置くことの意義という点からいって,ここら辺は目をつぶってもいいことなのではないかなという気もいたします。  これに対して,10分の1であるのか100分の3であるのかということは,多少やはり重い意味もあることでございますので,現在の有限会社の方々が今回法律が一本化されるということのために急に変わったということでいいのかという問題を確かに考える必要があるかというように思いますけれども,これはせめてⅱ案といいますか,現在の有限会社の方々は移行時において定款の定めによってこういう引上げを認められる法制のもとで認めたものと扱うというぐらいにしておきますと,スムーズにいくだろうということで,ⅱ案の方に賛成したいと思います。  これに対して,②の決議要件の方も同じような有限会社の移行という状況を考えながらの御提案だったと読み取らせていただきましたのですが,今も○○幹事の方から御説明がありましたので安心したのですけれども,ⅱ案あるいはcにつきまして,やはりこれは定款自治という問題の解釈の問題にかかわってくると。やはり一定の者の利益の保護のためにある程度の要件がかけられていても,それは片面的であって,加重するのは内部の自治の範囲なのではないかというふうに思っていたものですから,今の御説明を伺って安心したことです。  同じことが,私は(2)の②についても言えるのじゃないかと思うのですね。これは,やはり短縮するのは定款で短縮されるということは,これはやはり定款自治の本来的な範囲内のことではないかと。したがいまして,一々そういう問題がある度にはっきりするように立法上書くという方針もあるかと思いますが,そういう解釈で全然問題ないのではないかということで皆がコンセンサスあるのであれば,あえて法典に書かなくても済むような話なのではないか,つまり8週間よりも前に--8週間といいますか,9週間,10週間にするについてはいけないけれども,5週間前であろうと何であろうと,定款でうちの会社はそうするとお決めになればそれでよろしいということで済むのではないかと思います。  (2)の①の1,000人以上のところに書面投票,電子投票制度を義務づけるということについては,賛成でございます。 ● 私が本件について申し上げたいと思っていたことについて,すべて今,○○委員がおっしゃられたところで,完全に同意するものであります。  2点,質問なんですけれども,特殊決議ですけれども,ここで書いておられることは頭数の問題というのはそもそも決議要件からは外してしまうという,それは定款自治で頭数の問題もいこうということですよね。 ● いえ,ここでは両会社類型の調整をどういう形で行うかということだけを取り上げております。 ● それは,特殊決議ですから理解が間違っているのかもしれませんけれども,頭数の過半数かつ4分の3と今なっているわけですね,有限会社は。  頭数は両方とも入っているから関係ない。失礼いたしました。  書面投票なんですけれども,是非こうしていただきたいのですけれども,株主から議決権行使書面の交付の請求があった場合には,その交付を要するものとするかどうかということなのですけれども,質問なんですけれども,そもそも電磁的方法により受領することを承諾した株主というのは,いつでも承諾の撤回権を持っているのかどうか,そして撤回した以上は,撤回権がないというのであればこれでいいのでしょうけれども,いったん承諾したら撤回権がその後あるのであれば,交付を自動的に要しなければなければならないのか。このあたりは,法律関係がそもそもどうなっているのかということをお聞きいたしたいと思います。  あとは○○委員の御意見どおりでございます。 ● ちょっと基礎的なことをお聞きして申し訳ないのですが,しばしば50人以下という数字が出ておりますが,有限会社においては50人超については例外的な場合しか生じないことになるわけですが,譲渡制限会社においては50人以下の会社が譲渡制限の運用によって50人超にならないようになさるのだと思いますけれども,事実上のこれは問題ですね。例えば定款で50人以下とするというふうに定めるとか,そういうことではないわけで,こういうルールを決めたときに,50人超の場合にどうするかということがあるのかなと。  つまり,恐らくこういう譲渡制限会社は50よりもずっと少なくて,10前後ですから,実務的にはほとんど関係ないとは思うのですが,制度設計上,有限会社が50人だからこちらも50人という数字をとられたのでしょうけれども,有限会社は法律上50人超にならない制度設計になっている,こちらはすべて会社の自治なり実態の問題で,特に相続の際には現行の譲渡制限制度だと承認の範囲外ですので,40人のところが相続人が多いと50人超になるという経過措置からすると,これ実際ないからうまくいくのか,そこら辺,ちょっと御感触をお教えいただけたらと思うのですが。  中小企業の方から,そんなの心配せんでいいと言われたら,私何ももう心配しないのですけれども,法律的には,技術的にはちょっと気になるなということなのですが。  基準日現在でいつも考えて,1年間そのままいくとか,そういうことにするのかなとか,ふと思ったということですが。 ● ○○委員の御質問の方から先に申し上げますと,①,②ともbのⅰ案では株主数を一つのメルクマールとしておりますけれども,御指摘のようにこれがうまく機能するかどうかは甚だ疑わしい要件でございますので,一つの提案というように受けとめていただければ結構でございます。  何らかのメルクマールで,この少数株主権の行使要件ないし総会の決議要件の規律の在り方に関して会社を二つに分けるということにして,なおかつ,それらについてそれぞれ一律に規律を設けるのか,あるいは定款で自由度を認めるのかという場合におけるメルクマールの在り方として,おっしゃるように株主数は必ずしも適当でないと思ってはおりますけれども,有限会社の今の実質に照らすと,この要件もひょっとしたら見逃せないかもしれないということで,御議論をちょうだいしたいと思って掲げさせていただいております。  それから,撤回の方はいかがでしょうか。 ● ちょっと撤回の方は難しい問題ですから,後で解釈伺うとして,ほかの点はいかがでしょうか。  先ほど,○○委員,○○委員は大体ほとんど御意見が一致していて,①についてはⅱ案でかつ既存の有限会社については経過措置といいますか,それを設けると。  それから②もⅱ案で,先ほど○○幹事が言われたように,単に定款で引上げを認めると,そういうことにする。  (2)の②については,解釈上当然ということでしょうかね。 ● ちょっと質問も含めてなのですが,(2)の②の株主提案権の短縮ですが,大会社ないし上場企業で定款で短縮をするという需要といいますか,そういう意向のある会社がどれだけあるのかという,実態関係の問題ですね。  それからもう1点は,もし提案権の短縮を定款で定めることができるというふうにいたしますと,株主提案でもってそういう定款変更せよということが起きかねないということもありますので,もし上場企業その他でこういう需要が余りなくて,逆に株主提案が毎年,今回は6週間,今回は5週間というのが連続するという可能性も起きるということを考えた場合,定款自治が果たして実務的に妥当なのかどうかという点は,私も数少ない経験しかありませんので,何とも分かりませんけれども,その辺の危ぐというものはないかどうか。  あるいは一つの考え方として,招集通知の期間を定款で1週間前とした場合,そういう会社については株主提案権の期間を一定期間に短縮した期間を法定するという方法もあるいはあるのではないかという気持ちがしておりますので,ちょっと御検討いただければと思います。 ● 上場会社からしますと,そういうニーズは全くないわけでありまして,したがって前回6週間というのを8週間に変えていただいたということなのですけれども,今の提案権の問題というのは,例えばこれだけではなくて,取締役に対して代表訴訟提起権があるけれども,定款において執行役に対しても代表訴訟提起権を規定すべきである,設けるべきであるとか,100分の3の少数株主権について,当社においては100分の1とすべきであるとか,そういうのは解釈上は幾らでも起こり得る話ではないか,これも一つの類型だろうと思うのですけれども,したがって定款をもって短縮することを認めるというふうな法律は全くつくらなくて,解釈でやっていけばいいというのが今の○○委員の意見で,私も一緒だなと思いました。 ● この2のところ,全部の意見を一度にまとめて言わないといけないのでしょうか。 ● いやいや,そんなことはありません。 ● 私の頭では,一遍に言えないものですから。 ● そういうあれになっておりますので,どの点でも結構です。 ● 何か言うべきことがいっぱいあり過ぎるのですけれども。  どうも私一人の単独説みたいな感じなのですけれども,私は正直言って(1)①のbのⅱ案,少なくとも今御提案されているような形でのⅱ案には非常に疑問を持っております。  まず,前提としては,ここに出ているのはあくまで現行法が株式会社と有限会社とでルールが違うので,それをルールを一元化しようとしたらどうすべきかという発想からまず提案されていると思いまして,それを考えるとできれば現状を余り変えない方がいいのじゃないか,特にそれぞれの会社の関係者としては,現状を前提にしていると思いますので,こういうふうに法律が一遍に変わってしまうとそれぞれの方で調整の必要が出てくるわけで,まず株式会社であってこの要件に該当するところも出てきますし,また有限会社は当然これに従って変えなければいけないことになるのですけれども,少なくともまず附則か何かの形で,特に定款変更なんかの手続をしなくても,現状のルールが妥当するように定めることがまず必要だろうと思います。  それから,基本的な考え方からいうと,私はむしろどちらかというと筋としてはⅰ案の方ではないかなと思っていたのです。それはなぜかというと,より深い,重いというか,閉鎖性のある会社については--「閉鎖性」という言葉はあれですけれども,--決議要件なりあるいは少数株主権なりがこういった10分の1になり,4分の3という方が,非常にサイズの小さい,構成員が小さいようなところではその方が適切だということで,もともと有限会社法が株式会社と違うルールを設けていたわけでありまして,それをどっちかに合わせるために定款自治--言葉はいいのですけれども--の方に持っていってしまうというのはやや危ぐを感じまして,本当のその会社の実態に合ったルールがどっちかということで考えるべきであって,そうしますと本当は構成員の数が少ない,株主数が50人以下,○○委員御指摘のような技術的な問題はありますけれども,それは恐らく株主名簿の対抗要件とかそういうことで技術的に対応すべき問題であって,本来の考え方は私はむしろⅰ案的な方が筋かなとは思っております。ただそれが,技術的にいろいろ難しいというのでしたら,それは考える必要はあると思うのですけれども,さっきの現状を尊重するという意味と,それから閉鎖性の関する基本的な考え方からして,ⅰ案というのは考え方の筋としては私はむしろこちらの方があるべきルールかなという感じがちょっとしておりました。  次に,ⅱ案のところが,さっきの御提案では定款の定めによって総株主の議決権の10分の1以上に引き上げることができる,しかも引上げには上限がないというふうに今御説明があったわけですけれども,そうなりますと,少数株主権は10分の1どころか,下手すると過半数に近いものを持っていないと行使できないということも出てくるわけですね。これは幾ら何でも私は行き過ぎだと。 ● そういう趣旨ではないと思います。10分の1以上持っている人に行使させるという定款の定めを置いていいということじゃないでしょうか。 ● そうなんですか。それならまだ分かるのですけれども,さっきはそうじゃないような御説明に伺ったのですが。 ● 説明が不十分だったかと思いますけれども,①の方は正に10分の1までは確保しなければいけないという実質ですので,定款自治を認めるにしてもⅱ案のような発想でないとだめなのですけれども,総会の決議要件の方は,そのような上限の枠をはめてしまうということ自体,解釈上問題があるのではないかということでございます……。 ● 決議要件の話なんですか。さっき言いましたように,全部議論しますと分からなくなってしまって……。  少なくとも少数株主権についてはおかしいと,もしかそういう考えがあるとすると,ですね。やはりそれは,現状から変われる範囲であってもそれはやはり10分の1までということではないかと思います。  それから,決議要件の方も,さっき言いましたように今まで4分の3以上,あるいは3分の2以上ということをそれぞれ前提に株主間の一種の利害調整がされてきているわけですから,例えば仮にbのⅱ案をとるとすれば,改正附則において有限会社については4分の3以上の定款の定めがあるものとみなすというような規定を置いて,特に定款変更の規定をしなくても,従来有限会社だったところは4分の3以上の多数決でないと定款変更決議ができないといったような扱いは最低限する必要があるのではないかと思います。  それから,もう一つ,これは余りそういう考え方はないかもしれませんけれども,少数株主権の方が厳しくなって,10分の1以上になってしまうというのは,やはりそれはさっき言ったような会社の小さい,非常にメンバーが少ないところであるという前提で成り立つ考えだと思いますので,そうだとすると,決議要件の4分の3というのもやはり同じようなことを前提にしていますので,定款自治を認めるにしても,両方のルールはワンセットにする方が本来の筋かなという気も少しいたします。  それから,cのところですけれども,現行の株式会社の特殊決議を要する事項について,「総株主の議決権の3分の2以上」との部分を「総株主の議決権の4分の3以上」へ引き上げることを認めるというのですけれども,これが定款の定めということなのですけれども,こういうことが認められるのは取締役会非設置会社に限られるわけですね。としますと,すでに株式の譲渡制限がされているところの会社でしか起こり得ない話かなという気がしまして,そうだとすると,特殊決議というのは要するに譲渡制限を決める場合の話ですから,これは議論しても余り意味がないというか,当然の場合の話かなという気がちょっといたしました。  それ以外のところですが,次の株主総会の書面投票制度の義務づけについては,これはすべて賛成しますし,提案権の方は制度としてはこのようにすることでいいのではないかというふうに思います。とりあえず以上です。 ● 既存の会社については,定款変更の手続を特に要せず,既存のままになるということは,これは○○委員も先ほどおっしゃったところに入っていたかと思います。 ● cのところは,特別決議の決議要件をどうするかにかかわっているのですけれども,結局現在の株式会社が3類型の決議要件を持っているのに対して,有限会社は2類型しかないというところをどう調整するかというだけの話です。有限会社類型のものについては,特別決議,特殊決議の類型の差を設けない形で整理するのが多分簡便だろうと思いますので,その方向で整理をさせていただきたいと思います。 ● ちょっと基本的なことで私頭が混乱してきているのですが,既に有限会社として存在している企業について,この改正が施行された時点で,そもそもそういったときの規制は原則引き継がれるというやり方にもちろん是非していただかないと,大混乱が起こるだろうと思っているのです。そういう意味では,ここにいろいろ引上げを認めるという書き方ではなくて,先ほど○○委員とか○○委員とかもございましたけれども,非常に安定した形で移行していって,法律が施行された後に新たに会社を興す人については,株式会社と有限会社がほぼ同一の形でルールの変更を受けると,こういうふうにしていただきませんと,実際上はこれはもう大混乱,大変なことになると思います。  もっと極端に私なんかひどいことを言いますと,有限会社法という法律自体はそのまま存置しまして,ずっとそれのルールが適用されて,これから作る人について初めてこういう新しいものが適用されるくらいの実際上の効果を申し上げているのですが,法典の構成上はいろいろあると思いますが,そういうことにしていただきませんと,社会上は非常に困る。  私ども,株式会社を緩めて有限会社並みにということはもうずっとお願いをしてまいりましたので,そういう経済的な効果を得るときに混乱が起こらないということを必ずかみ合わせていただきたい。これは,お願いも含めましてちょっと……。 ● ほかに御意見いかがでしょうか。 ● ちょっと私も①,②一緒くたにするとよく分からないので,誤解したようなことを言うかもわかりませんが,先ほど50人がふらふらしたときどうなるかと言ったのは,bのⅱ案をするときには,定款変更して半年後にふえたらどうなるかということで,そういうことを考えるとⅰ案しかできないのかなと思ったりしたわけです。ただⅰ案にしてしまうと,50人以下になると当然になって,それは違いますということになることで,やはり何か会社の行為があった方が安定的だということで,ⅱ案もいいかなということで堂々巡りを私の頭の中でしております。  そして,そういうことからすると,できるだけ譲渡制限会社で50人以下のところで有限会社と同じようにすることがいいのでしょうけれども,実務を混乱するようなことで,大勢に影響がないなら,そこまできちょうめんに一緒にする必要があるのかなという感じがせんではないということで,そういう方向で議論されていますので,特に異論を申すわけではありませんが,うまい具合にしてくださいという,ちょっと距離を置いた気持ちになるのかなというのが率直な印象です。  あと,2回前の話と混乱して,何か出てきたような気もしますが,少数株主権といった場合に,株式会社については株主提案権と総会検査役制度があるのですが,これは有限会社にないので,ここのコンテクストでは議論されていないということでよろしいのでしょうか。これについて平仄を合わすということも,いつの時点かになさるのでしょうか。例えば,50人以下,とりわけ10人程度の株式会社について,何でわざわざ提案権必要なんだ,むしろ招集通知に議題通知をせずに,有限会社と同じようにしたら提案権なんか要らないじゃないかという議論もありますから,そこまでは踏み込まれる御予定はないのか,そこら辺,ちょっとお教えいただければと。徹底するならむしろそっちの方じゃないかと思ったりもしまして,この10分の1とか100分の3は,本気になったら大勢に影響ないかなと。  最初の話になるので,黙っとれと言われたら黙りますが。 ● 提案権の方は,御指摘のように有限会社のように議題の設定を事前に要しない類型を残すことを前提に考えておりますので,そのような会社においては提案権というものは必要ないところだと思います。 ● 総会検査役の方は。 ● 総会検査役の取扱いについては,まだ整理ができておりません。二読のときにまた改めてお諮りしたいと思います。 ● いろいろ御意見いただきましたが,少なくとも既存の株式会社,有限会社についてはそれまでこの改正法が施行されるときまでに行われていた要件,それが引き継がれると,それは皆さん御異論ないところであると思います。  あと,私個人の意見を申しますと,○○委員とはちょっと意見が違いまして,ⅰ案はかなり混乱するのではないかという気がしています。やはり定款で定めた方が混乱は少ないのじゃないかという気がしております。  それから,○○委員がおっしゃった(2)の①ですね,この撤回の場合ということですが,撤回の場合は,ここと関係あるのですかね。撤回は確かに認めるのでしょうけれども,電磁的方法でまた撤回するということもあり得るのではないでしょうか。特に電磁的方法で何か議決権行使したときに,撤回したら議決権行使書面で表示しなければいかんという御趣旨ですか。 ● いえ。ここの(2)①の米印のところに,「株主から議決権行使書面の交付の請求があった場合にはその交付を要するものとするか等については,なお検討する」と書いてあるわけでありますけれども,そもそも招集通知を電磁的方法により受領することを承諾して株主なるものは,いつでもその承諾を撤回して,招集通知そのものを文書で送れとか言ってくることができるのであれば,自動的にこういうふうになるのかなと思ったものですから,そもそもそういう撤回権なるものがあるのかどうかが疑問になったわけであります。 ● 米印の1の取扱いにもかかわるのですけれども,いずれにしても書面の交付が必要な場合に備えて会社が対応しなければいけないという点が実務上耐え難いということであれば,そもそも書面投票制度の義務づけ自体について,書面投票制度と電子投票制度との選択的な義務づけのようなことまで検討しなければいけないか,何かそのようなような感じもいたしますが。 ● ①と②の点ですが,常に既存の会社についての株主間の権限関係を変更するのは問題であるということは皆さんがおっしゃったわけですが,もう一つの問題点としては,これからこの取締役会設置会社というのでしょうか,そういったものを選択する会社について,有限会社法の規制と株式会社法の規制をどう調整するかという問題があると思うのですが,どちらかというとこの原案は,有限会社,つまり取締役会を設置しないような会社というのは現行の有限会社法的に考えるべきであるということかなというふうに読んだのですが,私はむしろデフォルトルールとしては現行の株式会社から出発した方がいいのではないかなというふうに思っております。  ただ,ちょっと留保がありまして,ですから総会の決議要件については特別決議は3分の2から,もちろんしかし先ほど○○幹事から御説明がありましたように,定款によってそれをアップすることは可能なわけです。いずれにしてもこれから選択するということを前提にしておりますから,株主間でそれは決めていただければよろしいということになるのかなと思います。  それに対して,少数株主権の行使要件につきましては,私は少し逆行するのかどうか分かりませんが,10分の1から始めてもいいのかなと。これは,いずれにしましても現行の株式会社は取締役会設置会社ですから,これから取締役会設置会社を選択するということになりますので,少数株主権10分の1からをまず確保しても,そんなに問題はないのではないだろうと,ただ定款自治でそれを3%でいいというふうにするのは可能であるというふうにしてはどうかと。ですから,3分の1,10分の1というのをデフォルトとしてはどうだろうかというふうに思っております。 ● この①のⅰ案というのは,これは10分の1から引き下げることは可能なんですか。 ● ⅰ案は,二者択一です。 ● 強行規定ということですね。 ● 少数株主を厚くするのもまずいですか。 ● そこは,先ほどの定款自治の解釈の問題につなげるかどうかということですね。 ● ○○委員は,①のⅰ案も引き下げるのは自由だと言われるのかもしれませんが。 ● 私も,○○幹事のおっしゃるような考え方はもちろんとり得ると思いますね。いずれにいたしましても(2)②の方は定款自治の範囲でしょうけれども,(1)の①の少数株主権につきましては,これは定款によって100分の3から10分の1に上げることができるかどうかという話になりますと,これは法律が決めていない以上できないわけですから,だからこういうⅱ案のようなものを置いて,そして移行期の有限会社については,経過規定でもってスムーズに現行どおりでまずは出発できるようにした方がいいのではないかということで先ほどⅱ案に賛成したのですが,○○幹事の方は,取締役会が設置されない会社は原則10分の1以上ということをワンセットにしようとされるわけですね。 ● まずは,現行有限会社法については10分の1で--ごめんなさい,それは経過規定でいいわけですけれども,--これから取締役会設置会社を選択するという場合については,まあ大体株主の人数もかなり限定されたものが前提となっておりますでしょうし,そういうものを選択するということに当たっては,少数株主権についてはそのぐらい覚悟して経営者が選択することはあり得るのではないだろうか,そんなに大きな問題はないのじゃないかということです。 ● 私も,だからそういう制度設計があり得るということはよく分かるのですけれども,ただ少数株主権が現実に今の有限会社レベルのような会社で使われるような事態は,そう多く考えられるわけでもないし,法律の規定の中に余り法律専門家たちがああだこうだといっていろいろな選択肢をつくって,物すごく膨大な法典をつくって,果たしてそれがみんなに役に立つかという問題もあると思うのですね。したがいまして,100分の3であれ10分の1であれ……。 ● 私が提案させていただきましたのは,改正後新しくできる取締役設置株式会社についても,現行有限会社と同じようなガバナンスシステムをとれることが必要であるということが仮に前提にあったとすれば,今のようなところから出発すれば,あとは定款自治でできますよと,要するに決議要件3分の1から出発しても4分の3にすればよろしいわけでありますし,それで少数株主権にしても,ちょっと3%じゃきついから10%にしてくださいということは可能なわけですから--逆か,10%にしておけば下げることはできるわけですから,4分の3,10%という現行の有限会社法の規定をそのままセットを残せると,そういう意味で比較的分かりやすい,とりやすいのかなということで申し上げたのです。 ● 10分の1と書いたときに,100分の3まで引き下げられるか,それが解釈論として出てくる問題だと思います。○○委員がおっしゃるとおりだと思います。ただ,100分の3と書いたときには,上げられますということをはっきり書かないといけないわけで,原案はそういう頭で,その点だけを心配して書いてあるものだと思います。  いろいろ御意見いただきましたけれども,ちょっと整理する必要があるかと思いますので,改めて事務局に検討してもらいまして,もう一度今日いただいた御意見を参考にして,各案について再検討させていただきます。○○委員のおっしゃった撤回の件も含めて,検討させていただきます。 ● 第1の3について御説明させていただきます。項目は多少多うございますけれども,3について全体を御説明いたします。  まず,3の(1)でございますが,現在の社外取締役,社外監査役の社外性たる要件につきまして,何らかの見直しをすべきかどうかという点についての御意見を伺おうとするものでございます。  ①は,いわゆる独立性に関する何らかの要件を加えるかどうか,要件としてちまたに言われているところの幾つかをそこに掲げさせていただいております。親族関係,取引関係等の関係,親会社,兄弟姉妹会社の業務執行の経験の有無,この辺りについてどうお考えになるかということでございます。  それから,②についてですが,先般の議員立法が未従事要件,当該会社及びその子会社の業務執行に従事したことがないという要件について,その未従事が求められる期間を永遠としたわけですけれども,これについての実務上の支障というものが現実に指摘されているようでございまして,5年とするかどうかは別にして,期間制限をもう一度設けるかどうかということの検討の要否について御意見をお伺いしたいと思います。  それから(2)では,取締役の欠格事由に関する商法254条ノ2につきまして,見直すべきかどうかという幾つかの論点を掲げさせていただいております。  米印の1は,破産宣告を受け復権していない者,要するに免責を受けていないという状態の破産者を欠格事由から外すべきかどうかという点でございます。破産宣告を受けるということによりまして,委任関係が終了いたしますので,従前の取締役がその地位を失うものと解されるわけでございますけれども,また改めてその状態のままで選任され得るという自由度を認めてよいかどうかということでございます。  米印の2は,同条の第3号に関するものでございます。同号におきましては,会社法その他の罪について特別な取扱いがされており,それらの罪を犯した者につきまして,欠格事由が加重されているわけですけれども,それらの罪として会社法以外に証券取引法や倒産法制にかかわる罪を加えることをしたらどうかという意見について,どのようにお考えになるかという点でございます。  3番目は,やや大きな論点ですけれども,法人その他の団体が取締役となることができない旨,--現在はそのように考えられていると思いますけれども,--この旨を欠格事由の規定として明らかにすべきかどうかということでございます。他方,これに関しましては,そのような法人その他の団体が取締役になることを認めるべきであるという御意見もありますので,これら双方の見方についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。特に,法人等が取締役になることを認めるべきかどうかという点に関しましては,先ほど御紹介がありましたようなLLCについての検討をする中で,法人たるメンバーが組合的に業務執行権,代表権を持つという形での組織形態の検討が求められているものと理解することができますので,その検討との整合性を図ることが必要かどうかという観点も欠かせないところだと考えております。  それから,(3)は,昭和61年の改正試案にも盛り込まれていた点ですけれども,共同代表制度について,利用されている例が必ずしも多くないということのほか,もしこれが規定の趣旨そのものの効果を発生させるとすれば,取引の安全を損なう可能性があり,他方において表見法理によって,実際には共同代表制度が余り実効性を有しないという形で紛争が処理されるということもありまして,これを廃止したらどうかという意見についてお考えをお聞きしたいということでございます。  それから,(4)は,委員会等設置会社における使用人兼務取締役の取扱いでございますけれども,通常の株式会社と異なりまして,委員会等設置会社におきましては取締役会の機能が監督機能に特化される面があり,使用人と取締役との兼務ということが通常の会社以上に違和感があるところでございますので,これを禁止するという考え方についてお諮りするものでございます。  (4)の②は,使用人兼務執行役の報酬に関して,報酬委員会が使用人として受ける報酬部分についても決定すべきこととしたらどうかという意見についてどのようにお考えになるかということでございます。報酬委員会が執行役の報酬について決定するという実質を更に担保するために,このような手当てを講ずることの当否という点についてでございます。  (5)についてですが,これは有限会社の取締役について代表訴訟制度がありながら責任免除制度が設けられていないという点について,規律の一体化という観点から,株式会社の取締役と同じようにしていいかどうかということをお諮りするものでございます。  それから(6)は,前回の改正の際の部会でも御議論いただいているところでございますけれども,取締役会においての書面決議というものを認めてよいかどうかということでございます。特に,社外の者がメンバーとなった場合に,実質的にその意思を反映させる手段として,通信手段の発達等によりテレビ会議システム,電話会議システムなどの利用が認められるところでございますけれども,それらのシステムを要しない形で社外の者が関与することを確保しようとした場合に,このような書面決議というものの可能性を認めることとしたらよいのではないかという御意見があるところですので,それについての御検討をお願いするものでございます。  なおこの場合に,取締役及び監査役の各自の同意を要件とするということが従前考えられてきたところですけれども,同意の中身というのは二通り考えられるわけでございまして,一つは書面決議をするということ自体についての同意,書面決議の対象となる事項についての賛否にかかわらず,書面決議をするということ自体の同意を要件とするという考え方でございますし,もう一つは,株主総会の書面決議と同様に,議題となるべき内容についての賛成というものをここでの同意と見るという考え方でございます。仮に認めるとした場合には,どちらの要件がより適切かということについてもあわせて御意見をちょうだいしたいと思われます。  それから,(7)は,取締役会の監査役の出席義務について,監査役全員に出席義務を課すということの当否をもう一度見直すべきではないかということについてでございます。例えば,監査役の中から,出席すべき監査役を指定することにより,--これは監査役会であれば監査役会の決議により,監査役会がないという場合には監査役の過半数の同意によりなどという方法があり得ると思いますけれども,--指定された監査役のみに出席義務を負わせ,その他の監査役についてはその出席について,権限を行使するかしないかも含めて善管注意義務の問題であるという形での整理をすべきかどうかということでございます。  (8)は,実務的にまだ採否の検討は余り進んでいないようでございますけれども,重要財産委員会制度について,現時点で更に見直すべき点があるかどうかという点についてでございます。  米印の1は,(7)と同様のものでございます。  米印の2につきましては,重要財産委員会の権限が現行法のもとではやや少な過ぎる,例えば社債発行の権限等を含めたらどうかという御意見があるところでございますので,その拡大の当否について御意見を伺おうとするものでございます。  米印の3は,取締役の員数要件について緩和を求めるという御意見がありますので,それについて御検討をお願いするものでございます。  それから(9)ですけれども,ここでは特に大規模な会社を念頭に置いておりますが,機関の在り方について一層の柔軟化を図るべきであるという御意見が幾つかございます。代表的なものを掲げさせていただいておりますけれども,米印の1は委員会等設置会社以外の会社において,監査委員会を置くことによって監査役あるいは監査役会の省略を認めるという余地を設けてほしいという意見についてどうお考えになるかということでございます。  それから,米印の2は,仮に米印の1のような見解があり得るといたしますと,いわば監査委員会と監査役会とがかなり等値のものというような理解に立つことになりますので,委員会等設置会社において監査役会を設けることによって,監査委員会についてのみ省略を認め,置かないものとするという選択肢を設けることの可否について御意見をちょうだいしたいということでございます。  あと,この点に関しては,実務的にさまざまな御要望があるやに承知しておりますけれども,現行の委員会等設置会社等のスキームを踏まえて,どのようなニーズとそれに対する回答が考えられるかということについて,御意見をちょうだいしたいと思います。 ● 5時近くになっておりますけれども,少し延長することはお許しいただきたいと思います。  3全部はちょっと無理じゃないかなと思いますが,行けるところまである程度時間をかけて議論をしませんと,全然議論が深まらなかったということでも困りますので,ある程度時間をかけて御議論いただきたいと思います。  まず(1)でありますけれども,この点いかがでしょうか。 ● 当然今回の改正では,この点を見直す必要は非常に高いと思われますので,基本的な方向として賛成です。  ①の,ウについてなのですが,就任前に親会社,姉妹会社等の業務を執行したことがないことを今回入れようという御提案でございますけれども,就任した後に親会社,姉妹会社等の業務を執行し続けるもの,これが現在の要件の中にきちんと入っておりませんですね。ですから,そこを入れないまま,この要件を入れてみても始まらないのではないかというように思いますので,そこもあわせて考える必要が高いのではないかというふうに思います。  それから,②でございますけれども,就任の前5年間外してしまったというのは,思い切った改正ではあったわけですが,これだけ転職が多い時代になってまいりますと,やはり不都合ということもあると思いますので,復活するのに賛成なんですけれども,しかしあのときに問題になったのは,5年ぐらいたっているとこれまでは社内であった人が5年間監査役をやり続けたら今度は社外監査役として資格要件を満たすようになると,こういう扱いが問題になっていたわけでございまして,今度社外取締役についてもですけれども,若いころに取締役になって,ずっとやっていると,ある年数たったら今回の改正のときにはもう今度は資格があるのだと,社外取締役なんだなんて言われても困るわけですから,そういう既に取締役,監査役についている者の年数は外すというような,何かちょっと一工夫をしないで復活するということになると,やはり説明がつかないのではないかというふうに思います。 ● もう意見を言う前から,そういうことを言うのだろうと思われていると思いますけれども,こういう意見につきましては全く反対でございます。社外取締役制度にいたしましても,この4月1日から施行になったばかりでございますし,社外監査役につきましても今後こういう要件になるということでございまして,今のところそういう社外取締役であれ社外監査役というものをいかに確保していくのがというのが実務界の大きな課題になっている。社外取締役は選択制ですからどうでもいいのでありますけれども,社外監査役の場合はそういうことで強制されてくる。そういう中で,親族でありますとか当該会社との取引上の関係でありますとか,ましてや親会社との関係,これは何回も議論がありましたけれども,こういうものを今の時点で,まだ制度が発足していない中で,ないしは発足した直後のところで議論することすらナンセンスであると。本当に弊害が生じてきた段階でやればいいのであって,社外制というのをやりたいのであれば,とりあえずはいろいろなソースの中からやってみて,それで本当に弊害があるというのであればその時点で考えるべきであって,今こういうふうな要件をつけ加えるということには反対いたします。  就任の前5年間の問題も,これ経済界からこういうことが出ているのではないと思うので,だれがおっしゃっているのか分かりませんけれども,これも決めたばかりの話について,弊害があるから永久に従事をしたことがない者ということにしたのに,その弊害がそれほどでもなかったということの確証がない中ですぐまたこの5年間問題が出てくるとか,このあたり,余りにも拙速ではないかというふうに思うものですから,これは22世紀の問題として取り上げていただきたいと思います。 ● まず①の方は,ちょっと当否の問題はさておいて,技術的にイなんですけれども,全く取引上の関係がないというのはちょっとワークしないのではないでしょうかということで,アメリカでもそうだと思うのですが,主要な取引先とか,あるいはパーセントないし額等で限定しないとワークしないだろうというのが1点。  それから2番目ですけれども,これはやはりもうちょっと,○○委員も慎重にというお話でしたが,私もやはりちょっと慎重な方がいいのではないかと。というのは,やはりまだ我が国におきましていわば会社共同体的な部分が非常に強いところを見ますと,5年といってもこれは社外監査役の事例を見れば分かりますように,おやめになって5年たった人がすぐに社外のものとしてプールされちゃうということがなされたばかりのことでありますから,少なくとも5年ということはないのじゃないでしょうか。期限を区切るにしてもかなりもう少し長い期間が必要になるのじゃないかと思います。 ● ほかに御意見,いかがでしょうか。 ● 今,○○幹事がおっしゃった①の各要件については,これから精査されることだと思います。親族についても,親族の範囲はどこまでなのかということでもありますし,そこはある程度重要性というのか,実質的な,こういう類型をもう少しクリアにしようというふうに善解して,こういう方向がいいのかどうなのかを議論しないと。  その意味で,私もどういう要件にするか,立法技術的に大変でしょうけれども,何らかの独立性,つまり就職していないとか,従業員でなかったという形式的な基準だと非常に分かりやすいのですが,やはり今後社外取締役,社外監査役に求められる機能からすると,何らかの実質的な独立性を加える方向でいろいろと要件を整理するし,その一つとして親族関係,血縁関係,取引関係,それからそういう役員使用人のある種の関係者グループですか,そこら辺のア,イ,ウというのをベースに検討していただくのがよろしいのではないかと思います。  ただそのときに,これは最後の(9)とも関連するのでしょうけれども,社外取締役と社外監査役,全く同じ機能なのかどうなのかということで,実質的独立性ということをより強く,これは異論があると思いますが,社外取締役についてと社外監査役についてと全く同じでいいのかどうなのか,そういうことも含めて今後検討していただければと思います。基本的方向としては,①については賛成ですが,社外取締役と社外監査役全く同じということでいいかどうかはもう少し検討させていただきたいと思います。  ②については,①がないために無限定な,未来永劫ということになったので,私自身は少し極端な例だと思いますけれども,まあ施行されてまだ1年ほどのところですから,特に困るという声がなければ,今議論する必要はないと思いますけれども,少なくとも②の議論は①とセットのものであり,かつ②を形式的に5年か7年になるにしても,少し○○委員のおっしゃったような形の,もう少し実質に配慮した形で②は検討するという,つまり今すぐに検討する必要はないにしても,①とセットだということと,少し単純な算数だけではない問題があるということを視野に入れて検討すべきだと思います。 ● ほかに御意見ありますでしょうか。 ● 社外の独立性の要件を明確化するという議論自身に反対するわけではないのですけれども,そもそも社外取締役ということの期待されている機能は何かというと,普通教科書的なコーポレート・ガバナンスの議論とかいろいろやっていると,経営と所有とが分離をした結果として,その経営に対して内部昇進者からなる経営者以外の株主に近い方々のチェックを入れるのだという,こういう御説明が多いのだと思うのです。例えば,そういう見方をすると,株主からの社外というのはだめだという議論はなかなか議論がつかないという議論もありますし,また別途の議論で,外部の意見を聞くことで経営の規律が高まるのだと,こういうたぐいの議論をすれば,さっきの取引先の議論がありましたけれども,取引先はアプリオリに排除するという議論にはなかなかならないと思うのです。したがって,社外性の要件ということを,例えばこういう法律的になりわいの中で一律に定めることというのは相当程度私は難しいのじゃないかと思っております。  諸外国をいろいろ見ると,いろいろなアプローチがあって,証券取引所の上場規則のような比較的実態に合わせながら柔軟に改定できるようなアプローチをして社外性を定めるという別途の道もあるかもしれませんし,したがってこうした社外性の要件をある程度明確にするということは是としたとしても,社外性の要件について具体的に何を採用するのかという議論について,本当に法律で一律に強制をするのか,それともマーケットのルールの中で一度こなしてみて,その中で取捨選択をしていくという道を選ぶのかというのは,恐らく現状では私は後者の方がいいような気がします。  それから,ちょっと気になったので,ここは我々の方で東証一部上場企業1,500社ぐらいピックアップして,非常勤の取締役の方々が2,000名強おられるのですけれども,その中で,ここで言われているような独立性が認められる人,すなわち大株主とか系列とか銀行とか官庁の出身者というようなものをとりあえず除いた方々というのはどのぐらいいるかというと,3分の1ぐらいしか現状おられないのですね。そうすると,余り最初からハードルを高くしてしまうと,委員会等設置会社に移行しようと思ってもかなかな移行できないというような実務上のデメリットも出てくるような気もしていまして,したがってここでこういう社外の独立性の要件について諸外国との並びでグローバルスタンダードでどうするかとか,社外取締役のそもそもの機能は何なのかという議論でいろいろと議論をしていただいて,ある種のコンセンサスを得ることは非常にいいとは思うのですが,それを具体的に履行する手立てとして,本当に会社法という器が現時点で妥当なのかどうかというのは,慎重に御検討いただいた方がいいのかなというのが,今の暫定的な私の感じでございます。 ● 私も,そういう規制機関の弾力な規制も合理的だと思いますけれども,少なくとも我が国の状況を見ますと,それだけに依存しておくことはできないということで,最低限のルールは法律で定めるとともに,それ以上のことを実質的機関にというのが本来進むべき道だと思います。その関係で,理念的にはこうだけれども,最低限こうだとかいう形の議論を,ア,イ,ウですべきだという御指摘なら,私はそのとおりだと思います。  ただ,ウにつきましては,大株主と親会社とは質が違うということも御理解いただきたいと思います。大株主がやったって悪くはないと思うのですが,ここは親会社,兄弟姉妹会社と言っているということで,これは同一の経営政策のもとに行動している,上とか横が今入っているのはおかしいのじゃないかということで,そして取引所の問題についても,「主要な」ということの概念ですけれども,「主要な」というのを入れると,先ほどの3分の1がもう少し多くなるのかなと思ったりもしますので,そこら辺,精査していただけたらと思います。 ● この(1)につきましては,基本的に前向きの御意見と,それからこれは22世紀の話だという御意見と,大きく分かれておりますが,なお今後御議論いただきたいと思います。  (2)の欠格事由,このあたりまでいきたいと思いますが,いかがでしょうか。  まず,米印の1はいかがでしょうか。 ● 破産者の経済生活の再生の機会をきちんと確保すべきであるというのは当然だと思うのですが,破産宣告を受けて,あと復権するまでというのは相当時間がかかったりとか,あるいは条件が厳しかったりして難しいという前提で,こういう御提案がされているということでしょうか。 ● 破産法の改正の作業を今しておりますので,その結果がどうなるかにもよるのですけれども,今の実務では,これは自然人を前提にしていますので,自然人の場合はほとんどの方が破産という手続を選ぶのは免責を受けるためでございます。免責は大半が実情としては認められておりまして,免責が認められると自動的に復権いたします。ただ,ここで出ているのは,取締役の欠格事由として破産の宣告を受けて復権していないものが今欠格事由ですので,いったんは取締役をやめなければいけない,破産宣告を受けた時点で。破産宣告を受けてから免責の決定を受けて復権するまでの期間ですけれども,大体6か月ぐらいは……。もっと長いですか。 ● もっと長いですよ。全然長い。大体3年から4年ですよ。経営者的な人は,私たくさん知っているのですが,3年から4年ですね。ローン地獄とかいうのはまた違うでしょうけれども,企業の経営者で。  大体このケースというのは,経営者が破たんをして,なるべくその能力を生かしてまた再生したいのだけれども,免責をもらえないうちは取締役になれない,そうするとビジネスは常に横でやらなければならない。物すごい不便なんです。これは相当年数かかっています。たくさん例を知っております。6か月なんて,とんでもありません。 ● 失礼しました,今,○○委員がおっしゃったとおりで,経営者のように個人の財産を相当お持ちの場合は,その財産の清算手続をいたしますので,それで時間がかかるわけです。普通の人の場合は,それが終わってからでないと免責手続をしないものですから……。 ● 申し訳ありません,雑談調になってあれですが,私の知っているケースの多くは,財産も多少ありますが,あっと言う間にそれは全部押さえられて処分されます。その後が,裁判所等の手続が結構時間がかかりますね。 ● 免責手続自体は裁判所によって違いますけれども,今,○○幹事が言われたように半年前後じゃないかと思うのです。 ● 裁判所に行ければいいのですが,その前に弁護士さんと相談して債権者とあれしてと,そこが相当やはりかかる。 ● それから,中小企業の経営者の方の場合には,不動産の処分などに非常に時間がかかることがありまして,すぐ終わるということはむしろまれだと思います。ある程度の資産がありますから。そうすると,資産の換価だけ,破産手続だけで破産宣告を受けてから1年2年かかってしまう,売れにくい資産など持っていると3年ぐらいかかってしまうというようなこと,例えば山林一つ持っていても,よほどの価値がないということで放棄でもしない限りは3年ぐらいかかってしまうことがありますので……。 ● 今,土地を持っていましたら,まずそれを処分するのに1年以内で処分できるということはあり得ないですね。数年はかかる。 ● その後,半年ぐらいは……。 ● ということで,私が言ったのは実質の話を申し上げている。やはり実態を知っていただかないと,6か月でできますというような話は,これはもう全くの夢物語。 ● そういう前提だそうです。  いかがでしょうか,この点については米印1についてそういう実態だということであれば,皆さんこれについては賛成いただけるでしょうか。 ● 中小企業でもう一度リボーンするために,こういうことをうまく入れていただければ大変有り難いと思います。そうしませんと,ほかの人の名前をかりてビジネスをやらなければいけない,そういう不便がございますので,是非よろしくお願いいたします。 ● 中小企業のオーナー経営者の要請としてはそれなりに合理性があると思うのですね。ただこれは,一般法で書きますと,公開会社の取締役も入ってしまうわけですね。そして公開会社の場合には,むしろ中小企業のオーナー経営者,おのれの財産をおのれが管理している,わたくしが管理しているということなのでしょうが,公開会社の場合はそうはいかないということで,やはり公開会社の,つまり他人の財産を管理する者の適格性という観点からは,この規定に合理性があると,しかし実質自分の財産を管理している面で,ただ有限責任の特権の享受という観点からこの制約を置くことが合理的かどうかという,この二つの問題をどう調整するかという観点から整理する必要があるのじゃないかなという気がしたのですが。  ○○委員のお話は非常に説得力があると思うのですが,これはそれだけの話だとあれで,一般法に書くときにもう少しそういう点も含めて,例えば他人の財産を管理するものとして,例えば後見人制度がありますけれども,その場合とか,いろいろなものとの整合性も必要かなと思いますので,十分に実情は分かったし理解もしなければいけないと思うけれども,なお検討させていただきたいというのが率直な印象です。 ● この問題は,理屈としては確かに○○委員御指摘のとおり,自分の財産の管理能力のない者が他人の財産の管理をしていいかということで,会社の場合ですと破産しますと民法653条で,いったん委任上の地位はなくなるわけで,改めて株主総会で選んでもらわないと取締役になれない。ですから,したがっていったんは地位から外れて,次の株主総会まで地位にそのまま残れないと思うのですね。 ● 同じ会社でということですか。 ● そういうことですね。現行法でもそういう問題がありますので,まずそれが一つあります。  その次に,取締役にまた株主総会の多数決で選ばれたからといって,株主の多数決だけで本当に決めていいのかというのがここの問題ではないかと。  あと,実質的なことでいえば,現在の倒産手続はDIP型が認められてきていて,そのDIPとして自分で会社の経営を続けたいというニーズからこういう要望が出ているのではないかと推測するのですけれども,それが本当にいいのかいけないのか,株主総会の多数決だけでそれを認めるいうことが債権者との関係で社会的に認められるかというのが,多分この問題の一番の実質のところで,株主総会で再任されたから当然やっていいのだと言えるのかというのは,ちょっと私,やや引っ掛かっているということでございます。 ● 今,○○委員が最後におっしゃった点を言おうと思っていたのですけれども,必ずしもこれ,同族会社だけの話ではなくて,公開会社でもそんなに大きなものではないと思うのですが,ベンチャーがIPOをしたみたいな会社については,当然社長が個人保証をつけているわけですね。それで破たんしますと,会社だけが破たんするのではなくて,社長自身も個人破産ということにならざるを得ないわけです。  せっかく民事再生法ができて,今,○○委員がおっしゃったDIPで経営者がそのまま残れるというインセンティブをつけて,早く手をを挙げさせようという方向にしたのだと思うのですね。この立法論的な当否はさておき,いずれにしてもそういうものができて,それができたということはその方向で行こうというふうにしているのに,商法のこの規定があるために,それが意味をなさないというのはやはり問題ではないかと。ということで,やはり米印1は全面的に賛成したいというふうに思います。ですから,そのまま残れるということが必要ではないかと。 ● この点もちょっと議論が分かれたということかと思います。 ● 先ほど来の議論の前提になっている破産宣告のようなときに,当然に委任の規定から取締役の地位から外れるというふうになるかどうかについても,実は議論は,解釈論ですが分かれていると思いますし,それからこの欠格事由は非常に象徴的でして,ほかにも類似ものはみんなこれに横並びで,今回破産法の改正に当たっては,破産者が過度に懲戒主義的な不利益な扱いを受けるのはなるべく避ける方向にすべきだろうと一般的に倒産の世界では考えられていますが,そういう意味ではさまざまな欠格事由はこの際各担当省庁なり担当部局で見直していただきたいという話にいずれなるのですが,多くのところから言われそうなことは,商法のこれがあるからうちも横並びですというようなこともありまして,しかし先ほど来言われているように,趣旨自体はそのようにもちろん十分考えられて,何もいじめようというわけではなくて,その財産を管理するさまざまなポストの一番典型的なものですけれども,そのようなポストに就く者としてふさわしくないということからつくられている規定ですから,こちらで十分議論していただいて,慎重に考えていただきたいと思います。 ● それでは,そういうことで,なおこの米印1は検討続けるということでお願いしたいと思います。 ● 先ほど○○委員がちょっとおっしゃられたのですけれども,仮に破産についてこの欠格事由をやめるということにするのであれば,成年後見,254条ノ2の1号の方ですけれども,それもあわせて御検討いただく必要があろうかと思います。  成年後見制度,平成11年にできたわけですが,このときもノーマライゼーションということで欠格事由をできるだけ外すということをやったわけでございます。ところが,商法につきましては,先ほど○○委員が言われた,自分の財産が管理できない者が他人の財産を管理できるかということで,破産で復権していない者はだめだから成年被後見人はだめだということになったという経緯でございますので,2号が変わるのであれば1号もあわせてどうするかということを御検討いただく必要があろうかと思います。 ● それでは,そういう問題もあるということを御認識いただきたいと思います。 ● 今,破産者で復権していない者が取締役をやるとして,そのときやるのは破産管財人がやるのですか。どなたが取締役をやるのですか。本人がやるのですか。 ● ここで言っている破産というのは,取締役御自身が破産を別途受けたということですので,会社自体が破産を受けたかどうかとは別のことです。 ● さっきの本人というのは,管財人の許可なくしていろいろなことをやれるわけですか。管財人がやるのじゃないのですか。管財人の許可を得て経営に当たる。こういう取締役会で賛成していいかどうかなんていうのは,管財人の許可を聞くのじゃないですか。 ● 破産管財人の権限というのは,破産財団に属するものの換価処分その他の行為ですので,よその会社で取締役として活動することまで破産管財人が監督するということはないと思います。 ● 米印の2はいかがでしょうか。これは若干ほかの罪も加えるということでありますが,これについてはいかがでしょうか。 ● 賛成です。 ● 特にこれについて,反対の御意見はありませんでしょうか。 ● 取締役になれる人をどんどんふやそうしている中で,こっちは規制強化をするということ。  破産をする人はいいけれども,違反をする人はだめだと,こういうことですかね。 ● これ,同じ破産の話がまた出てきていますけれども,上の方は,外すべきだというのは,破産者がゆえに一律に欠格事由にするのは再生を妨げると。下の方は,同じ破産法で,破産法上の罪を犯した人というのは,破産者で財産の隠匿を図ったとか,手続に妨害したとか,そういうたぐいの人なんですね。悪質破産者はやはりひどいだろうと。ただ破産だということで,余りに不利益な扱いをするのはよくないだろうと。だから矛盾しているわけではないと思います。 ● そういうことですが,よろしゅうございますか。 ● 「等」ですけれども,どこまで検討していくのでしょうか。例えば独占禁止法で違反を犯したというときにも取締役の自動退任ということになるのかどうかとか,「等」がどこまで広がっていって,何でそれだけでほかの法律はこうなのかということになると,これは収拾つかなくなるのではないですか。 ● 「等」については何か今考えていることは。 ● 「等」については,今,特段何も考えておりません。会社法制を濫用した者のほかに,公開会社について最も密接な関係を有する証券取引法と,それから会社制度の終末である破産,倒産手続に係る法律について,それらの法律に違反した者が会社法制濫用に準するものとして考えられるのではないかということで挙げさせていただいているものでございますので,今これ以上広げるつもりは全くないというふうに申し上げられませんけれども,今のところこの程度でいかがかというように御提案させていただくものでございます。 ● 3号がよく分からなくて済みません。これは実刑の方だけという範ちゅうでしたっけ。 ● 罰金も含みます。 ● 執行猶予はどうだったのでしたっけ。 ● 執行猶予中も含みます。それは4号。 ● そっちの商法,有限会社法と同じ罪ということでこれを入れようと。そういうことになるわけですね。ちょっときついのじゃないか。 ● 倒産法上の犯罪というのは,今,○○委員御指摘のとおりさまざまありまして,およそこれに引っ掛かったら全部というのは立法の合理性が余りなさそうな気もします。実際に話を詰めるとなれば,一つのポリシーとしてずらっと洗ってみて,倒産法上の犯罪たくさんありますが,すべてが欠格事由にふさわしいかどうかはちょっとよく分からない。いろいろなタイプのものがあります。  実は,ここは近々改正されることが予定されていて,この秋の破産法の全面改正で犯罪類型なども変わることも予定されています。ですから,最終的に破産法を始めとする倒産法の罰則が全面的に変わったものがこの秋に出ると。それでどれだけの類型の犯罪が最終的に設けられることになって,そのうちのどれに当たればというような議論までいかないと,今言われたように,全部ひっくくって,およそこれに触れて罰金でも払ったら全部だめというのはちょっと……という御指摘はごもっともだと思うのです。ですから,これは一つの考え方を恐らく示しているので,具体的に立法化するときにはもう少し1個ずつ見ていって,どの犯罪に当たったら問題なのかを詰める必要があるとは思います。 ● その議論をしますと,例えば食品衛生法違反の場合もこれに入れろとか,商品先物何とか法に入れろとか,果てしなくなるような気がしますね。 ● ○○委員の御疑問はそのとおりだと。ただいま○○委員はそうおっしゃったのだと思うのですが,私もこれを見まして,要するに学問上の概念ですからやや不明確ですけれども,証取法の開示規制と業者法規制の相当部分は実質的に会社法ではないのかと。そういう趣旨から,広い意味での会社法類型だということで,証券取引法もたまたま証券会社の役職員としての犯罪を犯したことが,他の業種の取締役の不適格というと,また検討の余地もあるように思いますし,それ以上にこの倒産処理法については問題がありますので,要するにこれは証取法や倒産法の中で実質的な会社法というのですか,あるいは会社の財産を先ほどおっしゃったようにちょっとおかしくしたようなとか,そういう会社役員として不適格だと思われるようなものをある程度取捨選択する必要があるけれども,ここでそれは挙げられないからという感じの了解をすれば,大きな異論はないのじゃないかと思っておりましたのですが。 ● 会社役員としてふさわしくないというと,詐欺・横領は構わないわけですか。 ● そういう意味で,先ほど言いましたように会社財産を逸脱するということでやったと。つまりこれは,現行法がありますから,現行法の3号を弾力的にするという,その意味で「等」というのもほとんどこれに尽きるだろうという趣旨です。そういうものでないかと思うのですが。 ● 人格的悪性を問うのじゃなくて,要するに会社法類型の中で何かやったのを欠格事由にしようと,そういうことだというわけですね。 ● 私は,そちらに座っているものではないので……。 ● 3号はその趣旨でございますし,その趣旨をより実質的にやや広げたらこうなるのではないかという趣旨でございます。 ● いろいろ御懸念もあるようですので,これは破産法改正がもう少し進めばはっきりすると思いますので,なおその結果を待ってまた御審議いただくということではいかがかと思います。  最後の米印ですが,法人等が取締役になることについて規定を設けるかということですが,これはいかがでしょうか。 ● 解釈で法人取締役を認めないということで定着していると思いますけれども,念のために設けるというのであれば,それはいいことだと思います。  LLCなど,別の問題に通じるかというお話がございましたが,それはそれで,むしろそちらの方を特則的に何か考える必要があるかどうかを検討すればよいのではないかと思います。 ● LLCの議論,今詰めているのですけれども,当初ベンチャービジネスの創業組織だとか,それから人的ノウハウの人たちが集まってやる人的結合会社っぽいやつが多いのかなと思って議論を進めてきたのですね,そうすると合名・合資とか,ああいうところをベースにして,構成員課税の類型を作るかという議論だったのですが,つい最近,アメリカの方に行って調査に回ると,意外とジョイントベンチャー,経団連さんの方の御要望に合致するような類型が結構LLCでこなされているわけですね。そうすると,組織法制のフォーマットとして,恐らく今回の議論をずっとお伺いしていると,合名・合資というフォーマットもあるだろうし,それから新しくできる譲渡制限株式会社をフォーマットにしてという議論も,恐らく一つの選択肢ではあるだろうなと。そうすると,出資者自らが経営に参画しているという議論が,恐らく税制の構成を考えるときに必ず出てくる要件で,そのときに法人自身が取締役として経営に参画する道というものがもし仮に出てくれば,それは一つの制度の設計の仕方としてあり得るなというふうに思っております。  ただ,いろいろとこれは本則の方でなかなか難しい御議論,今の通説とのいろいろな対立点が出てくるやに聞いております。だから,今の段階で確たるお願いはなかなかできないのですけれども,これからちょっと税制当局といろいろ議論をする過程において,株式会社をフォーマットにしたようなLLCをつくり込もうと思ったときの一つの選択肢として,現段階で一律にアウトだということを決めていただくと,ちょっと議論がしづらくなるなというのが正直なところでございまして,もし先生方から,株式会社の法制でなかなか法人が取締役になれないという論理とか,そこら辺,また教えていただきながら,今正に御指摘があったように,何らかのうまい形でルールメイクができるような方策があるかどうかということも検討させていただきたいなと思っております。  現在ではそこまでしか言えないのですけれども,よろしくお願いしたいと思います。 ● 現在,何かこう決めてしまいますと,非常に周りが動きにくくなるという点はあるようですので,これもなお継続して御審議いただくということで……。 ● この(2)は,「取締役」となっておりますが,基本的にこの254条ノ2は監査役にも準用されています。それは,同じようにするという前提で取締役になっていると理解してよろしいわけですね。 ● そうです。 ● よく知らないのですけれども,諸外国ではどうなっているのかということと,会計監査人の場合には法人が会計監査人になれる,監査役,取締役は法人はなれない。これはどういう思想の相違なのかというのをちょっと……。今の状況を教えていただけますか。 ● 外国法はいろいろあるのだと思います。たしかフランスは認める,ドイツは法人は認めないと。各国法も非常にばらばらだと思います。  ですから,ちょっと今ここでどちらかに決めてしまうというのは,なかなか難しい問題だと思います。  それでは,私の不手際で今日は余り進めませんでしたが,一応今日は3の(2)までいったということで,次回,(3)以下を御議論いただきたいと思います。大変申し訳ありませんでした。  本日の審議はこれで終了したいと思いますが,事務局から連絡事項がございます。 ● どうも長時間ありがとうございました。  次回は来週6月4日水曜日,午後1時から,場所は法曹会館高砂の間で行わせていただきますので,よろしくお願いいたします。  次回には今回の資料の検討を是非終えていただくようお願いしたいところでございますので,よろしく御協力のほど,お願いいたします。 ● それでは,本日の第6回の部会を閉会させていただきます。本日は長時間にわたりまして熱心な御審議,ありがとうございました。