法制審議会会社法(現代化関係)部会第10回会議 議事録 第1 日 時  平成15年7月23日(水)  自 午後1時00分                        至 午後5時04分 第2 場 所  法曹会館「高砂の間」 第3 議 題    会社法の現代化に関する改正検討課題(二読版)(2)の残りの部分について    会社法の現代化に関する改正検討課題(二読版)(3)について 第4 議 事 (次のとおり)               議         事 ● 予定した時刻が参りましたので,第10回会社法(現代化関係)部会を開会することにいたしたいと思います。本日は御多忙の中御出席いただきまして,誠にありがとうございます。        (委員・幹事の異動紹介省略)  それでは,配布資料につきまして,事務局から説明していただきます。 ● あらかじめ御送付させていただきました資料は,部会資料9「会社法の現代化に関する改正検討課題(二読版)(3)」と題するものでございます。本日は,既に前回の部会用としてお配りしてございます部会資料8の全部と,この部会資料9の相当部分について御審議をちょうだいできれば幸いでございます。  それから,本日,所用により御欠席の○○委員から,本日の議事に関しまして意見書が提出されております。その該当箇所でこちらの方からまた御紹介いたします。  それから,資料関係ではございませんが,本日の午前の参議院の本会議におきまして,例の自社株に関する議員立法が可決・成立しましたことを,この場をかりて御報告させていただきます。  配布資料等につきましては以上でございます。 ● 何か,配布資料につきまして御質問等ございますでしょうか。--よろしいですか。  それでは,本日の審議に入りたいと存じます。  本日は,部会資料8について審議をお願いした上で,部会資料9につきましてもできるだけ審議を進めたいと思いますので,御協力のほど,よろしくお願いいたします。この第二読会は,本日と次回の2回でこの8と9をほぼ済ませなければならないということでありますので,本日,9の審議にも相当入る必要があります。  部会資料8は,「第1 計算関係」,「第2 社債関係」,「第3 組織再編関係」,「第4 清算関係」の四つの部分に分かれておりますが,第1から第3までの事項につきましては,既に当部会におきまして一度議論されているものでありますので,本日は,これまでの議論において意見が分かれている部分,それから,関連する新たな論点に関する部分を中心に御審議をお願いしたいと思います。  まず,「第1 計算関係」と「第2 社債関係」につきまして,事務局から説明の後,順次御意見をいただきたいと思います。  お願いします。 ● それでは,第1,第2をあわせまして御説明申し上げます。  第1,第2に限らず,部会資料8に掲げられている事項につきましては,御紹介がありましたように,既に一読において御議論いただいている問題がほとんどでございますので,意見が分かれたところ,あるいは検討に際して新たに論点として考えるべきではないかと思われたものをピックアップしておりますので,それらを中心に御意見をちょうだいできればと思います。  まず,「第1 計算関係」の1の「配当規制」についてでございます。  (1)の「会社財産の払戻しに対する横断的規制の導入」につきましては,基本的にこの方向性について,一読においては特段の御異論がなかったものと承知しております。現在の利益配当,中間配当のほか,資本減少や準備金減少に伴う払戻し等につきましても,例えば,資本準備金の減少幅にかかわらず剰余金の分配として財源規制のもとでのみ払戻しを可能とし,また,自己株式の買受け等につきましても,同様の考え方のもとに,剰余金の分配として統一的な財源規制をかけようとするものでございます。  問題は(1)の①でございますけれども,例外的に財源規制が課されないこととすべき自己株式の取得として,イとロの場合を掲げさせていただいております。この範囲の当否については,複数の御意見があったものと承知しておりますので,その点について確認させていただきたいと思います。  (1)の②につきましては,格別御異論がなかったものと承知しております。  それから1の(2)の「現物配当」についてでございますけれども,金銭以外の財産の分配というものを明示的に許容する規定を設けるかどうかということに関しまして,第一読会では,この①,②のような考え方を提示させていただいていたわけでございますけれども,これについては,②の後段だけでよろしいのではないか,つまり,①のような考え方ですと,定款の定めいかんによっては必ずしも適当な結果が得られないのではないかという御指摘があったところでございます。この①,②という形で中間試案でお諮りすることの当否につきまして,御意見をちょうだいできればと思います。  それから,(3)でございますが,剰余金の分配に係る財源規制の基本的な考え方の変更についてでございますけれども,やや表現ぶりは変えておりますけれども,正確な記載をするということがなかなか困難なものですので,基本的な考え方を示すということで,試案ではその考え方を示すという形でとどめたいと思っております。基本的には第一読会でお示しした考え方と変わっているところではございませんが,要するに,米印の一つ目に掲げておりますように,基本的に現行法の実質を変更しないということを前提とするものでございます。  ただ,基本的に変更しないとしながらも,ほかの項目の検討いかんによっては変わり得る部分がございます。  一つは,自己株式の処分差益の取扱いをどうするかという前回お諮りした点に関してですが,その帰趨によっては,現行法とはその実質が変わり得るわけでございます。  もう一つは,米印の二つ目についてでございますけれども,特に自己株式の取得に係る総会ないし取締役会の決議に基づく一定の取得枠が定められた場合,その取得枠自体を財源規制の中でどう取り扱うかという問題がございます。現に取得されたものだけを控除するのか,あるいは取得枠自体を控除するのかということにつきまして,例えば,その枠の授権というものの趣旨にかんがみ,その枠は必ず自己株の取得に充てなければいけないということであれば,枠自体を控除し,そうでなければ,つまり限度としてはその枠内だけれども,その枠を踏み越えない,ほかの形での剰余金分配もあり得べしということであれば,その取得枠自体を控除せずに,現実に取得した部分だけを控除するというような整理もあり得るのではないかと考えられるところでございます。これについては,この資料ではまだなお検討という形で整理させていただいておりますが,この点についても御意見をちょうだいできれば幸いでございます。  それから,2の「資本金・準備金」でございますけれども,この(1)から(3)までにつきましては,いずれも基本的に第一読会では御異論はなかったものと承知しておりますので,説明を省略させていただきます。  「第2 社債関係」に移りまして,まず,1の「社債総則に関する規定の整理」についてでございます。  (1)の①,②につきましては,やはり第一読会では基本的に御異論はなかったものと承知しております。  (2)につきましても,特に御異論はなかったところでございます。  2の「社債管理会社」ですけれども,その資格範囲の見直しにつきまして,その拡大の方向での検討にほぼ御異論はなかったものと承知しておりますけれども,具体的にどのようなものにその範囲を拡大するかという点でまだ突っ込んだ御議論をちょうだいしておりませんし,こちらの方でも,取り立てて具体的な職種を挙げた形での御要望をちょうだいしているわけでもございませんので,とりあえず,この見直しの要否についてなお検討するというような形で試案には掲げさせていただいてはいかがかということをお諮りするものでございます。  (2)につきましては,特段御異論がなかったところであると承知しております。  (3)につきましては,社債管理会社が辞任しやすくなるということに伴いまして,かえって適切でない場面が生じ得るのではないかという御指摘があったところでございますので,(3)の米印の二つ目--一つ目は当然のことを記載しておりますけれども--二つ目につきまして本日お諮りさせていただく次第でございます。社債管理会社が辞任によって社債権者に対する責任を不当に免れるという事態が生じないように,現在の商法311条ノ2の規定に関してさらに何らかの措置を講ずるべきではないかという観点から,a案,b案を掲げさせていただいております。これをたたき台に御議論をちょうだいできればと思います。  まず,発行会社の支払停止3か月前の間に社債管理会社が辞任し,かつ,その3か月の間に弁済を受けているという場合,要するに,辞任後であっても3か月以内であれば,311条ノ2の第2項と同様の規制が適用されるべきこととしてはどうかというのが,b案でございます。  a案は,社債管理会社が辞任後3か月の間に弁済を受けた場合において,その弁済が発行会社の支払停止前3か月内であれば規制の対象としようとするものです。要するに,辞任の時点を発行会社の支払停止との関係で見ますと,最大6か月前であっても規制の対象になる可能性があるわけですけれども,a案はそういう趣旨でございます。  b案は,その規制期間が3か月間であるという点においては現在のスキームと変わっていません。ただ,弁済を受けた時点で既に辞任していても,その期間内に辞任をしていたのであれば,辞任していないのと同じように取り扱うというのが,b案でございます。  それから,(4)でございますが,311条ノ2の第2項の見直しに関しましては,その他いろいろな御意見があったところでございます。  米印の一つ目の相殺の取扱いに関しましては,破産法の改正における相殺の取扱いの議論が正に収斂する時期を迎えておりますので,その動向を踏まえて,それと平仄の合う形での整理をする必要があるということで,このような形で記載させていただいております。次回までには,破産法の改正の議論の取りまとめがされる見通しですので,それを踏まえた何らかの考え方をまたお示ししたいと思います。  それから,同項における「三月内」という期間の長短につきましては,またいろいろな御意見があったところでございますので,なお検討するという形で整理させていただいてはいかがかということでございます。  本日は,(4)の米印の三つ目と四つ目について御議論をいただきたいと思います。  まず,米印の三つ目は,現行の商法311条ノ2が規制する支払停止前3か月という期間に関しまして,支払の停止後の弁済であっても同様の取扱いをすべきではないかという問題意識に基づくものでございます。  それから,米印の四つ目についてですが,現行法の311条ノ2の第2項は,社債管理会社自身の債権に係る満足を受ける行為のみを問題にしておりますけれども,それと密接に関連がある会社の行為についても同様に取り扱うべきではないかという御指摘もあるところでございますので,この点についてどう考えるかということをお諮りしたいという趣旨でございます。  (5),(6)につきましては,第一読会では格別御異論がなかったものと承知しておりますので,説明は省略させていただきます。  続きまして,3の「社債権者集会」についてでございます。  (1)の決議事項の許可制の廃止ですけれども,決議事項に係る裁判所の認可制度が存続されるということを前提に,事前の許可制度を設けないこととしてはどうかということについて,細かな点についてはいろいろ御指摘はありましたけれども,基本的な方向性については御異論がなかったものと承知しておりますが,いま一度,この方向性について確認させていただきたいと思います。  それから,3の「(2) 決議の成立要件」についてでございます。ここでは,最も決議の成立が求められる会社更生手続における,関係人集会において社債管理会社に議決権を行使することを授権するという場面での社債権者集会の特別決議の成立要件について議論していただくところでございますけれども,実際の実務を前提にしますと,b案以外は決議の成立に向けての要件としてはなかなか厳しいのではないか,つまりb案以外は現実問題として採用が難しいのではないかという御指摘もあったところでございます。  仮に,この本文の場面での成立要件の緩和についてb案をとり得るとした場合には,さらに論点が二つございます。  一つは,会社更生手続以外の法的倒産手続に関する社債権者集会の特別決議の成立要件についても同様に取り扱うべきこととしてよいかどうかという問題でございます。  もう一つは,この法的倒産手続を離れまして,一般の社債権者集会の特別決議の成立要件について,同じような緩和策を講ずるべきか,違う緩和策を講ずるべきか,あるいは現行法の成立要件について特に手当てをする必要はないと考えていいかどうかという問題でございます。これらの点についての御意見をちょうだいできればと思います。  部会資料8の第1,第2についての説明は,以上でございます。 ● それでは,順次御審議いただきたいと思います。  まず,第1の1の(1)でありますけれども,ここにつきましては,おおむね第一読会で異論がない点が多いのですが,意見が分かれておりますのは①の部分かと思います。イにつきましては,会社分割,それから営業の譲受けにつきまして,営業全部という場合だけがここに挙げられておりますが,ここについてはなお御議論があったところでありますし,ロについても若干御議論があったところでございますが,この点につきまして,何かつけ加えて御議論ありますでしょうか。 ● 繰り返しになるのでありますけれども,この「分割会社の営業の全部」でありますとか「営業全部の譲受け」に加えまして,全部ではなくとも,当該株式を持っている部門が営業譲渡の対象となるような場合についても財源規制の例外としていただくか,若しくは,もう一つの方は全部又は実質的全部というようにしていただくとか,そういうことで少し緩和を図っていただければ有り難いという,前に申し上げたとおりでありますけれども,要望です。 ● それでは,この点はこれぐらいでよろしいでしょうか。 ● この①において,結局,イ,ロを除いて実際上特に問題になるのはどういう場合なんでしょうか。例えば株式交換などの場合もここに入ってくる問題になるのでしょうか。ちょっとそれを伺えればと思ったのですが。現金でない有償取得として,ここで実際に①で主に考えられているのはどういう場合なのか。 ● ①で考えているのは,今,「買受け」と条文がなっておりますので,まず,主として対価が現金以外の場合も,今,解釈で入るであろうということになっておりますけれども,それを明確化するというのが,一つの大きな趣旨であります。  あと,先ほど○○委員の方から御指摘のあった,営業に伴うと言われている部分について,どこまでが財源規制がかかり,どこまでが財源規制がかからないのか。それから,財源規制がかからないというようにするのであれば,どういう手続が要求されたときに満たされるのかということについて明らかにしようということでございます。  御指摘になった株式交換に関しましては,多分,問題になるのは基本的に完全親会社の方だと思いますが,完全親会社側で株式交換に際して自己株を取得するというのは基本的にはない,買取請求権を除けばないと思われますので,そこの部分は,多分ここでは,いずれにしても対象にならない。ただ,買取請求権については,ロの方に書いておきましたように,別途の手当てを講ずるということでございます。 ● 趣旨はそういうことですが,よろしいですか。 ● ちょっと確認させていただきたいのですが,先ほど○○委員がおっしゃったことで,営業の重要な一部になるのだと思うのですが,それを強調されるのは,取得規制がありますね,市場買付けかどうのこうのという,それを外すためなのか。やはり財源規制も絶対外す必要があるということですか。 ● 財源規制を絶対とは言っていませんけれども,それによって組織再編に障害が出るようなことが生ずることが考えられますので,大きな弊害がなければ,営業の一部の譲受けであったとしても,その営業部門が営業上の必要性に基づいて自社株を持っているというようなときには,財源規制から外していただければ有り難いということなのですけれども。 ● 一部譲渡で,しかも財源規制に抵触する場合が念頭に置かれていると思うのですが,そこまでする--つまり,今ちょっとおっしゃった,債権者保護措置を講ずるのはともかく,それが考えられていないときにあえてそこまで必要かという気がするのですが。 ● 問題点は,恐らく○○委員は営業譲渡で譲り渡す側ですね。譲り渡す側の便宜としてはそういうことが多いと。ここの趣旨は,むしろ譲り受ける側のことを考えて,規制しようという話なんだろうと思います。まあ,意見は分かれるところだろうと思いますが,一応原案はこういう形になっているということです。 ● 単純な確認で申し訳ないのですが,財源規制のかからないケースとしては,従来,現行法でも,「その他別段の定め」というのが幾つかありまして,例えば子会社所有親会社株式の買取り,それから株式の分割・併合における端数株,こういったものは当然財源規制がかからないということを維持するという御趣旨でしょうか。 ● それは,例えばいわゆる抱き合わせ株式と言われる問題につきましては,これはたしか前回,もう○○委員が,これはそういう形の自己株取得は認めなくていいというふうにおっしゃいまして,皆さん異論がなかったように私は記憶しておりますが,いろいろなケースが……。 ● そのほか,所在不明株主の株式の買取りとか,細かい,現行法で財源規制のない株式買取りがありますけれども,こういうものはかからないということですか。 ● それは現行法どおりということです。 ● 今,御指摘のあったうち,子会社から自己株式を買い受ける場合と,所在不明の株式を自分が買い受ける場合の二つについては,既に財源規制が現行法でも講じられております。  もう一つ御指摘のあった,端数を処理するときに自己株を取得できる制度があるのですが,現行法ではこのときには財源規制がかかっていません。ここで書いている趣旨は,それは一応今回は財源規制をかけようという趣旨であります。  すなわち,会社が任意に自己株式を取得することを選択することができるような場合には,原則として財源規制をかける方向で整理をしていくということです。 ● この(1)につきましては,ほかに御意見ありませんでしょうか。--よろしゅうございますか。  では,(2),これも前回かなり御議論があったところと記憶しておりますが,いかがでしょうか。  前回は,①は要らないのではないか,みんな②の方でいいのではないかというような御意見があったところのように記憶しておりますが,一応こういう形で意見照会するということでよろしいでしょうか。 ● ①はなしということですか。 ● いえ,原案のような形でです。 ● 前回,たしか意見を申し上げたと思いますが,もう一回。  一般的な形でこのようにしてしまうことにはやはり問題が残るような気がするのです。定款に書いておきさえすれば何でもいいということになると,例えば,会社の業績が余りよくないので売れ残った在庫商品をたくさん抱えていると,それが配当として配られる。それは,自社製品で配当すると定款で書いておけば何も文句を言えないとなる。あるいは,小さな会社で,非常に土地が高い,土地だけが優良な資産であるというときに,それも定款に書いてありさえすれば,外に出てしまうということがあり得る。  ということでいいのかということを考えていくと,原則としては任意で,市場性のある有価証券等を配当するような場合だけは例外で①のような扱いでもいいのかもしれませんけれども,一般的な形でこのように書いてしまうと,起こり得る弊害というのをすべて事前に予測しておけるのだろうかという懸念がありますので,①は取った方がいいのではないかという意見を持っております。 ● いかがでしょうか。原則②に絞る,あるいは○○幹事が今言われたような形で若干のものにだけ例外を設けるというような案にこの際すべきかということでありますが,いかがでしょうか。  是非①のような形を残すべきだという御意見はありますでしょうか。  前回はどうでしたか。①を支持された意見はありましたかね。 ● 実務上のニーズが①にはそれほどないかどうかということに尽きるのではないかと思いますが。 ● もし,②に絞った方がいいという御意見が強ければ,第三読会では②に絞ったような意見に書き直して事務局から出してもらうということが考えられますが,いかがでしょうか。 ● ①がなくて②というのは,どう読んでいくのでしたかね。 ● 恐らく,②の「特別決議を要することとするが」から後ということですね。 ● 金銭以外のものについては特別決議を要することとするという……。 ● そうですね。②の前段を残すとすれば,そういうことになります。 ● いかがでしょうか。  それでは,特に①をどうしても残すニーズがあるという御意見は余りないようですので,②の方向で整理するということでよろしいでしょうか。--それでは,第三読会では②の部分だけを残すという形で整理させていただきます。  それから,(3)でありますが,本文の部分については基本的に前回御異論がなかったかと思います。なお検討する必要があるのは米印の2番目の方かと思いますが,何かこの点について御意見ありますでしょうか。なお検討するということで,もし特に今御意見がないようでしたら……。 ● もし書けるのであれば,それは控除しないというふうにしていただければ有り難いのですけれども。 ● この点につきましては,また三読のときに,もう少し論点を整理させていただいた上で御議論いただきたいと思います。 ● それでは,この1の部分は以上のようなところでよろしいでしょうか。  それでは,2ですが,2につきましては,全体を通じて,前回特に御異論はなかったようですが,よろしいでしょうか。  それでは,「第2 社債関係」に進ませていただきます。  社債関係につきましては,まず1でありますが,1の部分につきましては,(1),(2)とも,特に前回御異論はなかったように承知いたしますが,いかがでしょうか。 ● 質問ですけれども,「社債の発行に係る取締役会の決議」と書いてありますけれども,これは,取締役会決議を要する社債の発行については,という意味なのか。多額ではない社債については代表取締役への権限委任を認めていただきたいと前に申し上げたのですけれども,これはどう読むのでしょうか。すべて取締役会決議を要するという趣旨でしょうか。 ● 基本的に現行のスキームを前提としつつ……。 ● 前提としようということですか。 ● そうでございます。その上で,機動的な社債発行に資するような手当てとしてこのような方向が考えられるのではないかということで,実務上のニーズを踏まえつつまとめさせていただいているところでございます。 ● よろしいでしょうか。  それでは,「2 社債管理会社」の部分でありますが。 ● 誠に申し訳ないのですが,「社債関連規定の合理化」の中で,もう一度実務界から要望が出てまいりまして,金銭以外を払込対価とするもの,それから,償還金ですとか利払いを,現金ではない他の現物でもって支払っていくというような社債については,現状でも認められているのかどうか分からないのですけれども,そういうものを許容していただきたいということが1点です。  それから,社債の銘柄につきまして,利払日ですとか利払金が同じものについては,第1回社債,第2回社債,第3回社債とか呼んでいくのではなく,後で発行したものを含めて銘柄を統一していただければ社債の流通に資するところが極めて大きいということで,流通サイドからも強い要望が出ておりますので,そういう在り方についても,前には申し上げませんでしたけれども,新たに出てまいったものでもありますので,御配慮願いたい,検討事項に上げていただきたいと思う次第であります。 ● それでは,その点は少し事務局で検討してもらいます。 ● 銘柄統合の点は,実務的に別途御要望をちょうだいしているところでございますので,また整理してお諮りしたいと思います。その余の点につきましては,現行法のもとでどのように理解されているのかということをお教えいただいた上で我々も整理したいと思いますけれども,どうでしょうか。 ● 確かに規定の文言は何か金銭みたいに読めますけれども,そうは解されていないのではないかと私は思っているのですが。文言は確かにあれなんですよね。払込みと書いてありましたっけ。303条,「払込ヲ為サシムルコトヲ要ス」というので,普通は払込みというと--普通といいますか,設立のところなんかでは払込みというのは金銭だとか何とかいうのですが,ここは必ずしもそうなるかなという疑問を私は持っていますが,現物を絶対排除する趣旨ではないのではないかと思っているのですけれども,その解釈も含めまして,少し検討させていただきます。  では,「2 社債管理会社」でありますが,(1)については,なお検討するという形で意見照会に付するということかと思います。  (2)については,特に御異論はなかったように承知しております。  (3)につきましても,基本的方向としては御異論はなかったように承知いたしますが,少し御議論いただきたいのは,二つ目の米印ですね。a案,b案と出ております。この点についてはいかがでしょうか。この点は今回初めて出てきた論点かと思いますが,御意見をちょうだいできれば幸いですが。 ● まず,(2)のことなのですけれども,中身に反対ということでは全然ないのですが,前回も少しよく分からなくてお伺いして,いわく因縁のある規定なのだということでお教えいただいたところだと思うのですけれども,それで結構なのですが,297条ノ3というのは社債管理会社の義務を規定しているわけですね。この「約定権限を含める」という表現で,それでよいのかと。つまり,権限の行使の話と,義務の話と,少しずれるのではないかという気がまだちょっとしておりますので,表現だけの問題だけだと思いますけれども,御検討いただければというふうに思った次第です。  それで,(3)の「契約による社債管理会社の辞任」が大きな論点だと思いますけれども,米印のような形でいろいろ御検討いただいたということは改善に資すると思いますので,私も賛成なのですが,そもそも社債管理委託契約等におきまして,こういう一定の場合には辞任をするということを定め,それに従って辞任することを認めると,こういう趣旨でございますね。その際に,一番大きな例として挙げられている「利益が相反する事態」ということの意味なのですけれども,そもそも利益相反関係に立っている者が社債管理会社になることは結構である,しかし実際に倒産が生じたらもう辞めてもよろしいということを意味しているのだとすれば,やはり何かそこにおかしいなというものを感じるのだと思うのですね。もし,社債管理委託契約において利益相反関係に立たないということをもう約束し,これだけの条件が生じないことを前提にして,ところが後からそういう事態が生じてしまった,危険が生じた場合には辞任する,これなら分かると思うのですが,「利益が相反する事態」というのがひょっとして倒産したらということだとすると,もう少し中身を詰めて考えた方がいいのではないかという気がなお残るのですが。 ● 中身を詰めるといいますと。 ● つまり,利益相反関係に立つ者が社債管理会社になることができて,なおかつ倒産したら辞められるということはやはり認めるべきではない。もしそういうことを考えるのだったら,こういう規定は設けない方がいいということにもまたつながるかと思いますし。 ● 非常に中心的な論点に切り込むような御指摘なのですけれども,要は,メーンバンクは社債管理会社にはなれないというような規定を設けるかどうかということになるのではないかと思います。  ここでは,「定める事由」の例示として「利益が相反する事態」を掲げているだけで,別にとりたてて深い意味はないのですけれども,社債管理会社も発行会社に対する債権者であり,社債権者ももちろん債権者であるという意味では,発行会社の資力が潤沢である限りは利益相反関係でありませんけれども,その資力に疑問符が生じたときから利益相反状態になる,これが今の社債をめぐるスキームではなかろうかと思います。社債管理会社は発行会社の債権者であってはならないということであれば,そのことは避けられるのですけれども,それはまた根本から今までの社債に係るもろもろのありようを変えてしまうことになりますので,それはそれで一つの割り切った行き方ではありますけれども,それはかなり難しいのではないかということを前提に,少しでも何らかの改善が図られるかどうか,特に,相反する事態,デフォルトになる事態が目立ってきているということを踏まえて,少しでも手当てをしようというのがここでの考え方でございます。そもそも論に立ち返って整理をするというのはもちろん一つの行き方でありますので,御意見をちょうだいした上でまたこちらでも考えてみたいと思います。 ● デフォルトが起こったときのため,そのときに一番に社債管理会社に働いていただきたい,そのときに社債管理会社があれば少しでも社債権者の保護になるのではないかという発想に立って,社債管理会社を設置強制するというところまでの選択をしたわけですね。ところが,実際に本当に役に立つのかという疑問が生じるような事態が今生じてきている中で,何らかの改善を図ろうという改正だと思うのですが,一体これが改正・改善になるのかという疑問が出てきてしまうような話なのではないかと。それだったら何もしない方がまだましなぐらいではないかということですし,そして,立法でもって,もちろん社債管理会社はメーンバンク等々が外されるような形で一定の利益相反関係に立たない者しかなれないというふうにするのはもちろん大決心ですけれども,とてもすっきりした方法だと思いますが,もし,それとは別に当事者間の契約において,うちはそういうことを要件とする,だからその要件が外れたときには逃げる……。でも,これも変ですかね。いや,なかなか難しい問題だと思います。 ● こういう辞任というのは,ユーロ債とかそういう社債契約の中には比較的よく入っているものなのですが,これはむしろ,現実的な利害相反状況が生じたら,中立・誠実・公平義務を負っている社債管理会社は適切な議論ができなくなるという事態が考えられるので辞めましょうという,そういう目的がかなり大きいと思うのですね。ですから,本来的に公平に果たす役割というものを果たせなくなる,それにもかかわらず辞任が認められないでなお継続しろというような事態は困るわけなので,そういう利害相反が現実的に生ずるような状況が生じたら,自分はもう不適任になりましたので辞めさせてもらいますという,そういうルートを認めるという意味で,これは決して社債権者に不利な話ではない場合も十分考えられる,むしろそういうものではないかなと私は思っていまして。ですから,これは,そういう状態が来たらむしろ辞めてもらった方がいいわけなので,辞めるということを合意の中に入れておく。しかし,辞めて一切知りませんということになるのは困るので,そこで,もし一定期間内において弁済を受けたりすれば,それは何らかの手当てをするという形で,辞め得という事態を防ぐ処置を盛り込むことによって,むしろ全体的に社債管理会社の公平な役割を果たすという機能を維持させようという趣旨が背後にあるのではないかなと。そういう理解でこれを拝見していたのですけれども。 ● 恐らく社債発行会社がデフォルトになる前は,主たる社債管理会社の役割は,先ほどの約定権限,つまり財務上の特約とかそのような監視でありまして,これは取引銀行などが一番役に立つといいますか,できる。ただ,デフォルトになってしまいますと,文字どおり競争関係に立つような形になりまして,弊害が非常に大きくなる。そういう○○委員が言われたような状況がありますので,こういう形になっているのだと思うのですね。  ですから,取引銀行が社債管理会社になってはならないというのは,これは根本的な解決ですが,そこまで規定している立法例は恐らくないので,ちょっとそれを案に出すのは難しいのかなという気が私はいたしますが。  この米印の二つ目については何か御意見いただけませんでしょうか。 ● この米印の二つ目というのは,それはそれなりに意味はあるような気もするのですけれども。312条の3項では,もともと「社債管理会社ハ已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ……裁判所ノ許可ヲ得テ辞任スルコト」ができるわけですね。その場合には,多分このような規定は,今のところこの米印の二つ目ではかかってこないし,今までもかけてこなかったと思うのですね。それとのバランスと言ってはいけないのかもしれませんが,「已ムコトヲ得ザル事由」という312条の3項のこれが一体どういう意味を持っているか,どれぐらい広いのかということにもよるかとは思うのですけれども,社債権者と社債管理会社との利益が相反する事態が生じたようなことを理由にして,例えば辞める,こういう場合に,今までよりも厳しい規定を置かなければいけないような,そういう弊害が今までに現実に現実化したということはあるのでしょうか。 ● 今まで,辞任した例というのはあるのですか。 ● 米印の二つ目を提案させていただいた趣旨は,前回の御議論に基づくものでございますが……。 ● 今,○○幹事の方から御指摘がありましたが,現在,312条の3項以外にも,例えば1項におきましても,社債管理会社は社債権者集会の同意と発行会社の同意がある場合にはもちろん辞めることができますし,あるいは解任ということもありますので,もしこの米印の二つ目のような措置を置くということであれば,そういった場合にもこういう規定を入れるというのも一つの解決かとは思いますが,その点についても御議論いただければと思います。 ● そうですね。○○幹事が言われたように,ほかのところにもこの米印の二つ目のようなあれはかけるべきだという考えは当然あり得る考え方だと思います。 ● その辞め方の理由が効果に影響を与えてくるという場合があるのではないかと思うのですね。つまり,契約で辞める事由を決めるということは,割と自由に辞める時期を選べるということになってくるのですけれども,裁判所のあれで辞めるというような場合とか,あるいは解任されたとか,これはむしろ,辞める時期を選べるとか何とかいう話ではなくて,強制的に首になるという話です。だから,社債管理会社の自由な裁量で辞めるタイミングを選べるというような場合とそうでない場合とで効果に違いを設けるというのも理論上は可能であろうと思います。そういう効果の違いは,さっき○○幹事がおっしゃったように,非常に強い制裁をもって臨むほどの効果の違いがあるかどうかという点が分かれるところだと思いますけれども,社債契約の中身で,辞める事由,あるいは辞めるタイミングについて絞りが全然ないという状態で,そして辞めたときのサンクションも全くないというのはちょっとバランスが悪いかなというので,恐らくこういう米印がついた議論というのは,そういうあたりを配慮した議論だったのではないかなと思うと,それなりに合理性はありますけれども,ただ,これがこれほどまで強いという感触を○○幹事はお持ちのようなので,そこまでやるかどうかという問題はあるいはあるかもしれませんけれども,そこは自由なタイミングということとの見合いでセットであると。  そうすると,a案,b案と両方あるのですけれども,a案でいくと最長6か月という説明でしたけれども,その6か月間という長さでうまく免れるようなタイミングで辞めるということが可能なのかどうか,かなり厳しいのではないかという感じもして,そういう観点からすると,b案ぐらいでもいいかなというような感じもいたします。 ● ほかに御意見ありますでしょうか。どの点でも結構ですが。○○幹事の論点でも,a案,b案どちらに賛成するかという論点でも結構ですが,ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。  ○○委員,いかがですか。何か御意見をいただければ。 ● これは,むしろ311条ノ2の規制の在り方とかかわっていると思うのですけれども。311条ノ2の規制は次の(4)のところで議論させていただきたいと思っていたのですけれども,それが合理的なものであれば,ある意味でいうと3か月というのは短過ぎないかなという疑問はあり得たと思うのです。前の議論,そもそもこの規制を平成5年改正で入れたときの議論では,最初はもっと長い期間でしたし,モデルになりましたアメリカの信託証書法311条では4か月になっておりますし,そういう意味ではa案もそれなりに理解できるところはある。ただ,特に日本の311条ノ2は,(4)で申し上げますように,どうも余り合理的な規定になっていないような感じがしまして,それを考えると,ちょっとa案では厳し過ぎることになって,b案でもいいのかなと,そんな感じを持っております。 ● ほかに何かありますでしょうか。特に御意見ありませんでしょうか。  それでは,関連しますので,(4),どうぞ,○○委員。 ● まず,この米印で質問されているところについて申し上げますと,先ほど○○幹事が意見を聞きたいとおっしゃいました三つ目の米印については,これはやはり支払停止後の弁済も対象とするのが合理的だろうと思います。これはアメリカの連邦信託証書法311条もそういう扱いになっております。  次に四つ目の米印については,確かに脱法的なことが行われるのは好ましくありませんから,社債管理会社と非常に密接な関係のあるものについてはこういうことを考えることもできるのではないかと思います。  ただ,さっき申しましたように,311条ノ2の規定はどうもやや適用しにくいし,また,下手をすると非常に広がり過ぎる危険がある規定になっているように思いまして,これは忠実義務,誠実義務の一適用のような形になってしまって,すべて社債権者の利益を優先しなければいけないという規定になっております。そうしますと,それこそさっき○○委員が御指摘になったように,社債管理会社としては非常に厳しいところに立たされて,自分が一生懸命努力して弁済を受けた分を全部社債権者に提供しなければならないということになってきてしまうので,それは余りにも酷であるし,それに更に社債管理会社の方に社債権者のために行動するインセンティブを与えないと,つまり,全部ただただ社債権者のためだけに弁済を受けることになってしまいますので,そういうことを考えると,前にも申し上げましたように,アメリカの連邦信託証書法311条のように,取り立てた分については特別のファンドをつくって,社債権者の債権総額と社債管理会社の有している発行会社に対する債権額との案分比例で分配するというようなルールを導入した方が合理的ではないか。その方が結果的に社債権者のためにもなると思いますので,そういう提案もできればこの中につけ加えていただければ有り難いと思う次第です。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● (4)の米印の4番目ですけれども,「親会社又は子会社」というのは,そういう一定の関係の存在自体で311条ノ2の第2項が及んでくるという趣旨で書かれているのでしょうか。つまり,何か一定の介入行為といいますか,親会社が何らかの行為をするという,つまり,存在自体だけではなくて,一定の支配力の行使というようなものがあってこういうことであるとすれば,それなりの合理性は認められると思いますけれども,単に親子関係という存在だけでこういう規制を及ぼすというのは,恐らく,今までのいろいろな規定でも,支配力の存在そのもので何らかの責任とかそういうものを要していくというのはむしろ例外で,支配力の行使というのがプラスあってというのが従来は原則だったのではないかなと思うと,米印の4番目は,もしそういう支配力の行使みたいなものを必要としないという趣旨だと,ちょっと厳し過ぎるのではないかなという印象を持ちます。 ● 恐らく,この米印の4番目の趣旨は,一定の関係があればすべて使われるという趣旨だと思うのですね。何らかの行為が立証されれば297条ノ3あたりに引っ掛かってくるわけで。  そういう趣旨ですね,これは。 ● 特には考えておりません。 ● ほかに御意見,いかがでしょうか。 ● ○○委員が言われましたように,この米印の4番目というのは,こういう法制をしくことになりますと,他への波及も計り知れないものがあるという気がいたしますので,これは削除していただきたいと思います。 ● いかがでしょうか。ほかに御意見ありますでしょうか。厳し過ぎるのではないかという御意見が何人かの委員から出ましたけれども,ほかの委員の方,いかがでしょうか。 ● この米印の4番目というのは,「社債管理会社の親会社又は子会社のうちの一定のもの」が損害賠償責任を負うという趣旨ですか。それとも,そういうことを行うと社債管理会社が責任を負うという規定を提案しているのですか。 ● これは当該親会社又は子会社なのではないかと思いますが。 ● そうすると,この2項のただし書に当たるような部分の,責任を負わない条件というのは,それに合わせて何か変えてくるのか。それとも,もう無条件で責任を負わせるというのだったら,それはちょっと余りにもひどい話という気がするのですが。 ● それは311条ノ2の2項ただし書のようなものもつくのでしょうね,多分。  いかがでしょうか。特に米印の四つ目が必要だという方向からの御意見はありませんでしょうか。 ● 先ほど○○委員が,合理的なのではないかとおっしゃったと思うのですが,私も,詰めるべき事項は多いと思いますけれども,平成5年段階以降,いわゆる持株会社形態がいろいろ展開していますし,また,社債管理会社の資格範囲の見直しとかいうことで,いろいろなことを考えますと,やはりこういう実質的に同体であるようなものの脱法行為というか,関連行為について規制を及ぼす姿勢は必要だと思うのです。ただ,現行会社法体系で必ずしも会社の約款全般の規制がないところで,そういう,開示規制とかいう形式規制ではなくて,損害賠償ないしはそれに類する実体規制として設けることに警戒心が強いのは分かりますけれども,こういうものが必要だということを前提に,過不足のないものをこれから考えるべきかなという一般論しか言いませんが,やはりこの精神は大事にしていただきたいなと思います。 ● それでは,いろいろ御意見をいただきましたので,米印の四つ目についてはなお検討するといいますか,詰めてみるということにさせていただきたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。 ● 要件その他については更に検討するというふうにつけ加えていただいて。 ● もちろん,そういうことにします。  (5),(6)あたりにつきましては,前回,特に御異論はなかったと思いますが,いかがでしょうか。 ● (6)ですが,基本的に,社債管理会社が社債権者集会の決議なくして異議を申し述べることができることとすることには全く賛成でございます。機動的に動けるようにするということの意味は大きいと思います。ただ,現在は,一応社債権者に対しても催告をする前提になっているわけでございますね。 ● これは電子公告制度と関係いたしますが,電子公告制度の今の案では,無記名社債権者には,特に個別催告はできませんから,行かないのです。それで,電子公告をしますと,何らのアクション,異議申立手続がとられませんと,承認したものと扱われるということになります。ですから,電子公告の現在の案からすると,迅速に異議を申し述べられるような手続にしておくことは必要なんですね。それで,このような形になりますと,社債管理会社の責任で異議を迅速に言うと。 ● 迅速に述べることは全然問題ないのですが,全然知らせもしないということで,その点は現行よりも更に後退させることとワンセットにしておくのかということを少し心配しておりまして,何と言いますか,知らしむべからず,寄らしむべしのような精神が少し見えるとすると,現行法をその点で後退させる必要はあるいはないのではないかという気もいたします。 ● 後退というのですかね。無記名社債ですので,現在でもできないんですね。 ● つまり,現行法と同じ扱いにして,そこは手をつけないということもあり得るのではないかということです。 ● ただ,実質は現在と同じだと思うのです,何も来ないことは。それで,電子公告になりますと,官報よりは一般無記名社債権者も見やすいといいますか,そういう状態にはなるのかなと思いますけれども。 ● まず(5)の方なのですけれども,これは,ここに注記してありますように,第一読会の(3)の第2の3(3)で取り上げられていた問題ではあるのですが,第一読会では,関係人集会において社債管理会社が議決権行使をするということについての問いかけだったのですね。ところが,今度のを見ますと,「商法309条ノ2第1項2号に掲げる行為のうち」と。2号ということは,309条ノ2第1項2号は1号に掲げる以外のことを指すというふうに規定されておりますので,したがって,支払の猶予免除,和解等が1号に入っていますので,それは除かれるということになるわけですね。そうしますと,関係人集会で例えば更生計画案を承認する際に議決権行使をすると。その中に支払猶予等々の条件が入っている場合の問題というのは,この(5)では扱っていないということになるのでしょうか。それをまず質問したいと思うのですが,いかがでしょうか。 ● それは恐らく現行法でも,更生手続の関係人集会で例えば支払猶予とかの原案が出てきたときに,これは309条ノ2の1項の1号と2号両方かどうかという,多分そういった問題だと思うのですが,それはそういうふうに考えるんでしょうかね。 ● ですから,これは1号を抜かして2号だけの問題をここでは問いかけているのか。ということは,1号の支払猶予免除等が含まれているような内容の更生計画案,多分当然そうなると思うのですけれども,そういうものについてはここでは取り上げていない,そういうものについての管理会社の権限についてはここでは問題にしていないのかということを質問しているのです。さっき申しましたように,第一読会ではむしろそちらの方を問題にしていたように思いますので,何か考え方の違いがあるのかどうか,それをまず伺いたいと思っております。 ● 済みません,ここは原案の書き方が悪いというふうにまず御理解をいただきたいと思います。  2号に限った趣旨は,1号を明示的に排除するという意味ではなくて,法的倒産手続に関する一切の行為という趣旨で書いておりますので,前段部分は削っていただいて構いません。 ● そうすると,全部カバーするわけですね。 ● そうだと思います。 ● そうでないとちょっと意味がないような気がしまして。それがまず伺いたい点だったのですけれども。確かに,社債管理契約でそういうふうにあらかじめ定めてあれば,それでいいように思いますが,ただ,実際には管理会社は怖くてなかなかこういうことはしないのではないかという気はします。  それと同じような趣旨で言いますと,次の(6)の方ですが,これも確かに,○○委員が御指摘のように基本的には妥当なような気もするのですが,一方で,こういう規定が入ったときに実際上どういう効果を持つかということを考えますと,結局,社債管理会社が異議を申し立てないと,特に会社分割の関係で考えますと,374条ノ10の2項で,異議を述べないと,分割後のそれぞれの会社が債務を負担しなくていいという効果が生じてしまいますので,ということは,社債権者に対するそれこそ誠実義務違反か善管注意義務違反を問われかねないことになるので,こういう権限を与えられるということは,結果的に社債管理会社としてはとにかく異議を申し立てるということになるのではないかと。確かに,そういう意味で,それぞれが連帯して債務を負ってもいいように思いますから,これでもいいようには思いますけれども,多分,実際上の意味はそういうことになるのかなという気がします。 ● 会社分割は新しいので,それはどうなるか分かりませんね。確かに○○委員がおっしゃるような形になるかもしれません。  ただ,合併等につきましては,前にも申し上げましたが,昔の募集の受託会社時代の募集委託契約には,この(6)と同じような条項が入っていたのですね。募集の受託会社の承認がないと合併してはいけませんというような条項が入っていましたので,実際上,募集の受託会社の承認がないと合併できなかった時代があります。  ですから,合併等についてはそう異例なことを(6)は定めているわけではないと私は思いますけれども,おっしゃったように,分割になりますと,とにかく危ないから異議を言っておこうかということは出てくるかもしれません。ただ,だからといって現行法の,社債権者集会の決議を経てから異議を述べろと,そして,社債権者集会をやるために裁判所の許可で異議期間を延ばせるとか,これが合理的かと言われますと……。これはやはり現行法を何とかしなければという気がいたしますので。  (5),(6)につきましては,一応はよいというふうに理解してよろしいでしょうか。  それでは,次に移らせていただきまして,3でありますが,(1)につきましては,特に前回御異論はなかったかと思います。  (2)につきましては,a案,b案,c案と出ておりますが,更生手続における関係人集会における議決権行使という局面に限れば,b案以外は考えられないのではないかというような○○幹事からのプレゼンテーションだったかと思いますが,この点につきましてはいかがでしょうか。  どうも,前回,○○委員がおっしゃいましたように,公開会社か非公開会社かでかなりパーセンテージが違うもののようで,そうなりますと,ちょっと法律で数字を書くというのは難しいのかなと。そうしますとb案ということになるのかなという,そういう趣旨だというふうに私は理解いたしましたが,いかがでしょうか。  まず,更生手続に限るとb案ということでよろしいでしょうか。 ● 確かに,会社更生法が190条を定めまして,とにかく出てきた社債権者の分しか議決権に考慮してくれませんから,こういうのもやむを得ないかと。そうでないと,社債権者の権利が十分反映された更生計画案になりませんので,そういう意味ではやむを得ないかと思うのですけれども,ただ,一方で,実際に社債権者集会に出てくる社債権者がごく少数だということになると,そこで決議したのが本当に社債権者全体の利益を反映しているかという懸念はどうしても残る。本当の正当性から言うとa案の方が望ましいのですけれども,現実的に考えて,やむを得ずb案かなと。ただ,そのかわり,そうしますと,商法326条による裁判所の裁量権を適切に行使していただくということに非常に期待せざるを得ないという意味で,裁判所には是非そういうことをよくお考えの上,行動していただきたいと思う次第です。 ● 更生手続についてはb案でやむを得ないとしまして,それ以外の倒産手続,それから法的な倒産手続以外の場合,これについてはなお検討するとなっておりますが,それにつきましても御意見をいただければ幸いですが,どなたか御意見ありませんでしょうか。  ○○委員は,その点については。 ● これについては,さっき申しましたように,本来はa案の方が望ましいと私は思っていますので,少なくとも試案のときにはこういう形で意見照会をしていただけたら有り難いと思います。 ● ほかの場合については,こういうa案,b案,c案--c案は必要ですか。 ● c案が何で人気がないのかという気もするのですけれども。たしか金融再生法か何かはこのc案を使っていて,私は決して悪いとは思わないのですけれども,ただ,かつてあって削除した規定を復活させることに抵抗感があるようですから人気がないのだろうと思いますけれども。c案だってそんなに不合理な制度だと思いませんし,フランス等そういう制度をとっている国もありますので,一応意見照会のときには入れていただきたいと思います。 ● 分かりました。  ほかに御意見ありますでしょうか。 ● 社債権者集会における書面投票制度というのは,どうなっているのでしょうか。 ● これは特に改正しないと。 ● 排斥はしないということですか。 ● はい,この案には入っておりませんので,現行のままです。 ● 使えるわけですよね。 ● はい。 ● 今のは,会議を開催せずに,もうその書面オンリーでということですか。 ● いえ,違います。株主総会と同じような書面投票制度は,社債権者集会でも準用されているのですねという質問ですけれども。 ● 書面による議決権行使のことをおっしゃっているのですか。 ● はい,そうです。 ● それは入っております。 ● それでは,更生手続以外につきましては,このa案,b案,c案を列記した形で意見照会するということにさせていただきたいと思います。  以上の第1,第2につきましては,ほかに何かつけ加える御意見はありますでしょうか。--よろしいですか。  それでは,先へ進ませていただきまして,第3につきまして,事務局から説明をいただきます。 ● 済みません,全然間違っていて。集会を開かずに書面だけでという制度を設けることができないのかと。余りに社債権者が多くなって,会場設営に実務上の困難が生じるとかいうふうなことで,裁判所の許可による書面だけによる決議というのはできないものだろうかということです。失礼いたしました。 ● 検討させていただきます。 ● これはなかなか,○○委員がおっしゃったように裁判所が大変な問題を抱え込むことになるような気もしますし……。  それでは,お願いします。 ● 「第3 組織再編関係」につきまして御説明いたします。  1は重要な論点であります「対価柔軟化」についてでございます。  第一読会でも突っ込んだ御議論をちょうだいいたしましたけれども,対価を柔軟化するかどうか,仮に柔軟化するとした場合に,その対価の種類に制限を加えるかどうかという論点がございます。ここでは,本文には,対価についての特段の制限を設けない方向を打ち出したらいかがかという趣旨を含んでおりますが,その点についても再度御確認させていただきたいと思います。  米印の一つ目,これは当然であるということになろうかと思いますが,米印の二つ目以下が,今回新たに御提示させていただく項目でございます。  まず,米印の二つ目は,簡易合併の要件につきまして,仮に対価が柔軟化されるといたしますと,株式数を基準とするということのみならず,株式以外の対価をも基準として取り込む必要がありますので,その基準の合算という形での整理をするとともに,交付金にかかわる現行の基準は廃止したらどうかという点についてでございます。法制的には多分このような整理になるのではないかという感じがいたします。  米印の三つ目でございますけれども,対価を柔軟化した場合,例えば合併の際には,存続会社が受け入れる財産価額から,対価として株式以外のもので払い出される価額を差し引いたものを,資本ないし準備金とするというような原則的な整理になるのではないかという理解を前提にして,その控除その他の会計上の手当てについて一部法務省令に委任するという形で細かな整理をさせていただくということはいかがかという点についてでございます。  米印の4番目についてですが,一つは,株式交換の場合,現在は完全親会社となる会社におきましては債権者保護手続が格別用意されていないわけでございますが,完全親会社から株式以外の対価が払い出されるということになりますと,責任財産にかなり変動が生じ得るものと評価することも可能でございまして,この場合に債権者保護手続が必要とはならないのかどうかが問題となります。対価が株式の場合には必要なく,金銭その他の財産が絡めば必要になるというような理解をすべきなのかどうかという,当初株式交換そのものについては債権者保護手続が不要と整理されたことの理由づけにもかかわる問題でございますけれども,この点をどう考えるかということをお諮りしたいと思います。  米印の4番目のもう一つは,第一読会でも御議論いただきましたように,その対価の適正性という点について何らかのチェックの制度を用意すべきかどうかという点についてでございます。そのような制度を何のために,どういう趣旨で用意することにすべきかどうか,いろいろと御意見があったところでございますけれども,その制度の要否を含めて再度御議論をちょうだいしたいと思います。  それから,2は「簡易組織再編行為」につきましてですけれども,現在ある簡易組織再編行為に係る要件について,その緩和を求める御要望が強いところでございます。どの程度の緩和を図るべきかどうか,幾つかの御意見をちょうだいしたところでございますけれども,例えばということで試案の段階で数字を掲げさせていただいてよいかどうかということをお諮りしたいと思います。  2の(2)につきましては,格別御異論がなかったところでございます。  それから,第3の3についてですが--ネーミングを変えまして,「略式再編」というふうに申し上げることにしましたけれども--要は,被支配会社における手続の省略を認めようとするものでございますけれども,その支配関係というものの要件をどのように設定するかという点が,米印の一つ目でございます。例えば90%の支配権を要件とするということでどうかというのが,ここでの提案の趣旨でございます。  米印の二つ目は,異なる二つの制度の提案につきまして,第一読会でも御議論いただきました内容を改めて確認させていただいております。御支持される御意見,それから消極の御意見,それぞれ有力に御提示いただいており,更なる慎重な検討が必要ではないかという感じもいたしますが,さしあたり,このような形で考え方を試案の中に盛り込ませていただいて意見照会にかけるということでいかがかというのが,ここでのお諮りする趣旨でございます。  4の「組織再編行為に伴う計算関係」でございますが,(1)のうち,①,②につきましては,結論においては格別御異論はなかったものと思います。  ③につきましては,消極の御意見が強かったように記憶しておりますので,いま一度この点について確認させていただきたいと思います。  (2)につきましては,ここも格別御異論のなかったところでございます。  5の「効力発生」についてでございますが,吸収合併と吸収分割に限って,組織再編行為を行う会社間,当事会社間で定めた一定の日にその効力が実質的に生ずるものとすることとしてはどうかということでございます。  その実需については第一読会で御紹介させていただいたとおりでございますが,問題は米印の2番目でございまして,効力の発生後,場合によってはその登記が相当期間行われないという事態が仮に生じたとした場合に,登記を信頼する利害関係人をどう保護するか,という問題が残ります。商法12条の登記の効力の規定をそのまま適用するということであれば,第三者の善意・悪意をもってその効力の対第三者対抗関係が決まるということになりますが,仮に善意・悪意によってそのような効果が多義的に生ずることが望ましくないということであれば,善意・悪意にかかわらず,登記の時までは第三者には対抗することができないという整理をすることも可能かどうかという点を考えるべきではないかと思われます。  ニーズとしては,米印の3番目にあるように,新たに会社を設立するタイプの組織再編行為についても,その見直しを求める声があるわけでございますけれども,会社の設立について,登記時をもって効力発生時とするという基本原則に照らしますと,なかなか難しい問題があるのではないかと思われます。この点については,なお検討するという形で掲げさせていただくことでいかがかというのが,ここでのお諮りする趣旨でございます。  第3につきましては,以上でございます。 ● それでは御審議いただきたいと思いますが,まず,「1 対価の柔軟化」という部分でありますが,対価の種類は限定しないというのがこの本文の趣旨であります。それから,米印につきましては,それぞれいろいろ御意見が前回あったところでありますが,どの点につきましても御意見をいただければ幸いですが,いかがでしょうか。 ● 米印の1番目は当然としても,米印の4番目の対価の適正性調査のための制度を何とか工夫できないかというのが一つでございますが,もう一つ,米印の2番目なのですけれども,これは,対価を柔軟化した場合にあってもなおかつ簡易合併等の簡易再編を積極的に認めるためにこういう手当てをしようという,こういう趣旨でございましょうか。 ● 米印の2番目は,簡易合併ですので,譲受け側でありまして,したがって,どちらかというと営業譲渡というか,簡易な財産の譲受けというか,それに準じた形式に,対価を柔軟化すればするほど,なっていくわけでありまして,対価柔軟化が影響があるのはどちらかというと消滅会社若しくは人的分割の場合の分割会社側なものですから,ここでは,簡易合併の要件を譲受け側において株式を使った場合と現金を使った場合とでそう大差がないように調整をしましょうという趣旨でありまして,別に譲渡した側の方に関してこの手続を変える趣旨ではございません。 ● よろしいでしょうか。  要するに,米印の二つ目は計算の仕方の問題ですね。 ● 割合の合計とか,割合の双方でとか,そういう意味合いですね。2分の1足す3分の1とか,そういう合計ではないですよね。いや,「合計で」という意味がよく分からなかったので。 ● これは足すのでしょう。 ● 足すのですか。足すという意味は……。 ● つまり,株式と金銭をですね。株式の方は発行済株式総数で計算し,現金の方は純資産額で計算する。 ● それを足して,要するに加重平均をして。 ● 加重平均というのでしょうかね。 ● 10分の1足す3分の1イコール何とか,それでその比率を決めていこうと,そういうことですか。 ● ええ。 ● テクニカルにどういう足し方があるかというのはいろいろあると思うのですが,基本的には,新しく出す株式若しくは自己株式を移転する場合は発行済株式総数に対する割合ぐらいでしか計算できないので,それはそれで計算し,他方,会社の持っている財産を相手方に交付する場合は純資産額を基準として計算し,どういうふうに足すかは別として,両者を足して割合を出すということです。 ● 分かりました。  米印の4番目なのですけれども,これは,金銭等を株式のかわりに交付した後でもまだ剰余金がプラスであるというふうな場合にも債権者の保護手続を要するものとするという方向なのか。剰余金が負にならない限りにおいては普通の配当と何ら変わらないわけだから,債権者保護手続は不要だと思うのでありますけれども,いかがでしょうか。 ● これは株式交換ですので,対価で支払った完全親会社となる会社側の資産は,かわりに完全子会社となる会社の株式に入れかわるわけですので,交付する財産含み損があるとか何とかというような特別の事態がない限りは,資本の部の変動には直接影響を与えないはずなので,必ずしも剰余金が事後なくなるかどうかという基準では切りにくいかと。 ● 従来は,株式交換については債権者保護手続はないわけです。ほかのこういう組織再編行為と違いまして。それは,入ってくる財産は株式なのでマイナス財産ということはないと。それから,完全親会社となる会社が出すものも,これも株式交換交付金とか,あるいは自己株というものもあり得るのですが,それは余り多くないだろうと,基本的には新株だろうということで,出ていく財産もほとんどないと。そういうことで債権者保護手続は置いていないのですが,出ていく方は結構金銭等が出ていって,入ってくるものは限りなくゼロに近いということもあり得ますので,今までとは考え方を変える必要があるでしょうかという問題提起なのですが。  現行法は,債権者保護手続を要するかどうかの決定的メルクマールをどこに置いているのかというのがもう一つ分からないところがあるのですが。 ● 細かいことを言いますと,現行法でも,株式交換の結果,子会社になる方の会社の株式,資本を減らすことができるわけですね。それを資本準備金の方に振り替えることが可能になっていて,資本の拘束が弱くなっているという問題もあったのではないかと思うのですけれども。従来よりも,子会社の方の資本として計上していたのを資本準備金の方に回すことができると。次の4の「剰余金の計上」のところの「増加すべき資本金又は準備金」ですね,これが,どちらでもいいという解釈になっていたと思いますので,従来資本だった部分が準備金に振り替わるという問題もあることはあったと。ただ,それは両方とも債権者保護手続が一応現行法ではかかっているから,特に問わないということではあったかと思いますけれども,それでも保護が弱くなっているという問題はあったのではないかと思います。 ● そうしますと,○○委員は,結論的にはどういう……。 ● 債権者保護手続があってもいいと,そういう意味です。 ● 債権者保護を全面的に株式交換にも導入するという御意見ですね。  ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。  米印の3番目については格段御異論はないでしょうか。--これはよろしいですか。  そうしますと,いろいろ御意見があるのは恐らく米印の4番目ですね。対価の適正性に関する調査につきましては,これは前回相当御議論があったところで,意見照会にはもちろんこれは入れるといたしまして,もうちょっと何か具体的に書くかどうかというような……。 ● 意見照会の場合には,やはり存続会社の株式,すべてそれによるのではなくて,金銭その他の財産の一部又は全部を交付する場合の手続としての債権者保護手続ということで意見照会してもらうなら分かるのですけれども,○○委員のように,そもそも今の考えております株式交換自身もまた債権者保護手続だということになると,ちょっと,どうして急に規制強化になるのだろうという気がするものですから,今までの法制が債権者保護に欠けていたのかなと言われるのも嫌なものですから,意見として申し上げておきます。 ● 米印の4番目は二つにばらして,それぞれを詳しく書く必要があるように思いますね。  何かそのほか,この米印の4番目の書き方につきまして御示唆をいただければ幸いなのですが,特にありませんでしょうか。 ● おっしゃるように,4番目をこう見ると少し分かりにくいのですが,しかし,4の1と4の2に分けるとしたら,4の1と4の2はorになるので,andではなさそうな気がします。つまり,対価の適正性というのは恐らく検査役の調査とか何かを想定されているし,債権者保護手続は減資なり合併なりのあれでしょうし,両方重なっている制度は現行法上なさそうな気がするという意味で,これは一つになっているのかなという気がして……。  そうでもないですか。andもあるのですか。 ● これは二つ別のことを言っているのだと私は理解していました。 ● だから,andもあるという趣旨で。 ● はい。  これはそういう趣旨ではありませんか。 ● まず,前半の株式交換に対しての債権者保護手続,これは専ら対債権者との関係を律する話でありまして,それから対価の適正性の調査の話は,対債権者との関係で不当な対価額が払われるかどうかという問題と,もう一つは,交付される側の株主に対して適切な企業価値を反映したものが戻されるかどうかという両者が多分入りますので,andはあり得ても,必ずorになるかと言われると,ちょっとそこまではどうかと。  ただ,その対価自体が対債権者との関係で過不足がないという意味で適正だということであれば,もしかすると満たされるものなのかもしれません。要するに前者の方は要らなくなるということはあり得るかもしれませんが,前者の方だけを置いたとしても,それは不足であれば債権者を満足したりしますので,ちょっと必ずしもその関係が一律に区切れるものではないかと。 ● そうすると,対価の適正さは主として株主間の平等になるということですか。それなら……。 ● これになりますと,いわゆるシナジーの分割とか,難しい問題がいろいろ出てきますので。 ● そうすると,いよいよきちっと分けなければ,誤解を生ずると。 ● という趣旨だと思います。 ● 分かりました。 ● 先ほどの○○委員の御質問でちょっと気になったので,質問させていただきますが,この対価の適正性の調査のための制度というのは,検査役調査を念頭に置いていらっしゃるということなのでしょうか。  そうだとすると,せっかくこれから作る制度の機動性に欠けるということになると思いますので,極めて憂慮すべきことかなと思うわけであります。 ● 単純に「対価の適正性の調査」と言いますと,おっしゃるような反応になりますので,何かもうちょっとあるのかなと思って,先ほど,もうちょっと何か具体的にアイデアありませんかというふうに伺ったのですが,○○幹事は,具体的にこういうのならいいというようなのがあれば。 ● 条文に落とす場合にどういうふうに書くのかというのはよく分かりませんけれども,やはり対価の算定の基準というものについての専門家の意見を株主総会等に適正に開示することが当然要求されて,それを怠った場合については取締役に責任がかかるというような形で株主間でかっちり決めて,かつ,問題があった場合については事後的な損害賠償の追及と,そういうようなルートでお願いできないかと思います。 ● ほかに何か御意見ありますでしょうか。--よろしいですか。  それでは,2に移りたいと思いますが,(1)につきましては,これは意見照会には数字は固められないと思うのですが,この括弧内に入れる数字をどういう数字を意見照会では入れていくかという点の問題はあるかと思いますが。  それから,(2)については,特にこれは御異論がないわけですね。  いかがでしょうか。このままでよろしいでしょうか。 ● それぞれ20%という数字が入っているわけですが,これは決めの問題なので分かりにくいですけれども,一方で,証取法がこういった各種の組織再編行為について,特にインサイダー取引との関係で重要だと見ているのは,証取法166条2項に基づく会社関係者等の特定有価証券の内閣府令ですね。それを見ますと,総資産ではなくて,純資産の30%で,売上高の10%という基準をとっていますので,例えば分割会社の総資産の20%に比べますと,実質的にはもっと小さい数字であって,例えばこちらに引き直してみますと,あるいは10%ぐらいの感じになるのかなということを見ると,ちょっと20%は大き過ぎないかなという若干の懸念はあります。  そこから更に考えますと,仮に20%をこういった簡易組織再編のめどにするということになってくると,これは相当株主にとって実質的に影響を与える,特に再編行為に従ってなされる新株発行の割合ですね,それが相当大きいインパクトを与えるだけの新株発行がなされる場合を対象にするということになってきますので,そうしますと,この部会を最初に始めるときに強くお願いしましたように,一定割合以上の新株を発行するときには株主総会の承認を必要とするような,これは前の14年改正のときの中間試案のときにも強くお願いして,その中間試案には入っていたものでありますけれども,そういった制度とあわせてこれは考える必要が出てくるのではないかと。  ガバナンスの方には緩和の方向でのことはいろいろ出ていますけれども,そういう株主によるガバナンスを強化する面もやはり必要だと考えておりまして,相当程度の割合の新株が発行されるような場合については,これはアメリカでもむしろ各州法などで,あるいは証券取引所等でそういう要求を入れている場合が多いわけでありますから,そういう場合については,むしろ新株発行一般についてそういう株主の承認,総会による承認が必要な場合として整理する方向をとるべきではないかという気がします。  ついでに蛇足として申し上げますと,簡易組織再編をこうやって見直すのであれば,一方で,例えば413条ノ3の5項や8項ですか,これで株主の異議が出た場合に簡易合併等ができなくなる要件,現在は6分の1の株主ということになっていますけれども,これを定めたときは,いわば定足数が2分の1のときに,それと3分の1を掛けて6分の1にしたわけです。それが,定足数が3分の1に減っているときにこれをそのままにしておいていいのかという気がしまして,その点もできればあわせて見直していただきたいと思います。 ● 今の○○委員の,新株発行規制もあわせて見直すべきであるという意見に全く賛成です。 ● もし,そちらの方で規制強化がなされるのであれば,簡易組織再編行為の要件は切り上げる必要もないというようなことの相関だろうというふうに,感触としてはそういうふうに強く思っているものでございますので,意見照会をこれと見返りになされること--していただかないことにこしたことはないのですけれども--された場合にも当然また反対を申し上げるということになるだろうと思うのですけれども,できれば,もう一度かんかんがくがくとならないように抑えていただければ,精神的に非常に楽になると,こう思う次第でありますが。 ● 新株発行の処理はどうしますかね。  ○○委員が最初におっしゃった,数字はもうちょっといろいろ,ほかの,インサイダー取引規制とか,そういうことについても何か注のようなものをつけるのがいいのではないかというのは,ちょっとそういう気は私もしますね。ただ単に,20という一つの数字をぽんと出すのではなくて,もうちょっと,こういう考え方もあるというような方がいいのではないかと思いますが。 ● インサイダー取引規制との並びという点が示唆になることは確かだと思いますけれども,言葉の性質がかなり違うのではないかなという感じもするのですね。株の変動に影響を与える割合がどのぐらいであって,株に影響を与えるインパクトという観点から数字が決められているという,それで内部者の取引を禁止しようという……。  だから,ちょっとそれは視点が,企業再編をやる必要性というのが実際上必要であるという状況の中で,株式会社のルールというもの,本来の原則のルールというものをどこまで外していくかという観点とは,重なる部分はもちろんあるかもしれませんけれども,大分基本的な観点が違うので,そういう意味では,米印にくっつけるとミスリーディングになるような気もしないでもないというような感じもあるので,なかなかこの数字のところは難しいので……。説明をある程度つけ加えるのはいいのですけれども,特定のものを引くのが適切かどうか。 ● 重要な営業譲渡かどうかということについては,インサイダー取引規制がこれぐらいだから,これぐらいなら重要じゃないんだという,そういう言い方は今までしていたと思うのですね。 ● 私は,インサイダー・トレーディングの方が広いインパクトが--20%なんていうのではなくて,もっと低くても,インサイダー取引としては規制していく範囲として考えていくというのが,恐らくインサイダー取引禁止の趣旨から言うと,合致するのではないかなと思うのですが。 ● いろいろ受け取り方はあったのですが,現に実務ではそういう考え方もあったのですね。インサイダー取引規制と重要な一部というのはリンクさせて考えている考え方もありましたので,インサイダー取引規制をここに注ぐらいでつけると必ずミスリーディングになるという気も私はしないのですけれども。それは人によっていろいろ学説はあると思いますけれども。 ● 趣旨がちょっと違いますからね。 ● それはもちろん違うのですが。 ● 違うから,そのまま卒然と並べると,誤解を招く……。まあ,○○委員のようによく分かっておられる方は問題ないでしょうけれども。ということをちょっと感じましたので。 ● それでは,また第三読会で御検討いただくことにいたします。  3につきましては。 ● もう繰り返しになりますから,言わなくても分かると言われるぐらいかもしれませんが,米印の二つ目の②ですね,これはやはり問題が非常に大きいのではないかというふうに思います。ある株主が提案をして,それを受けた少数派の9割が賛成するのであれば,こういう制度を設けるということは大いに考えられると思います。 ● ほかに。 ● この3のような場合に,本文の話ですけれども,1とセットにするような場合にこれでいいのかという疑問が実はありまして,つまり,対価が柔軟化されているような場合には,先ほど○○幹事がおっしゃっていたような例えば株主総会で説明すればいいということは,この3については実現すると言えないわけですね。つまり,株主総会決議が要らないと言った以上は,そんなところで対価の妥当性を説明するなんていうチャンスもないし,争うことができないということになりますから,対価が株式以外の場合には,やはり株主総会決議を要求し,かつ,株式買取請求権以外の救済方法,すなわち株主総会決議取消しの訴えの余地が残るようにしないと,ちょっとまずいのではないかという印象を一つ受けます。  それともう一つ,株式買取請求権は今のところ現在の時価です。現在の時価といっても,その決議なかりせば有したであろう公正な価額でよいということですけれども,無理やりスクイーズアウトするような場合,これは結局,対価を柔軟化するということは,スクイーズアウトが実際できるということですから,この米印ではない部分においても,ですから,そういうときに果たして今の時価でいいのかという問題もあるわけです。つまり,例えばTOBをかければ現在の市場価格より高い値段を出さなければ株式買取りができないはずなのに,こういうルートを使うと,実質的に株式買取請求権しか認めないと,現在の時価しか保証されないという,こういう危険性は十分にあるように思われます。そうすると,この3のような場合--実は2の場合も,分割会社についてはそういう問題が,人的分割だと近いことが起きるかもしれないとは思うのですけれども--対価の柔軟化とあわせて,3の範囲というのはもう少し制約した方がいいのではないかと思うのですが,いかがでしょうか。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。それは新しい論点だと思いますが。 ● 私も賛成です。 ● ○○幹事のおっしゃる場合は,9割の大株主がいる中で株主総会を開いても意味がないからということでこういう立法になってきていたと思うのですけれども,どういう代替措置ということになるのでしょうか。 ● 私の意見としては,株式を対価とするケースにおいては,この3でもよろしいと思うのですけれども,株式以外を対価にする場合というのは,実質的にはスクイーズアウトができるケースですから,そのような場合に株式買取請求権だけだと救済手段としては十分ではないので,株主総会決議を要求し,かつ,実際にこの9割以上持っている方が議決権を行使したことによってその決議の内容が著しく不公正な場合には,決議取消しの対象になるという,こういう意味での救済を残したらいかがかという考え方なのですが。 ● 分かりました。 ● 3には要件を付加するというのが○○幹事の御意見ですが,ほかにいかがでしょうか。  それでは,○○委員からサポートもありましたので,意見照会では,その点は何か注のような形で,要件を付加するという○○幹事の御意見もつけ加えたいと思います。  よろしいでしょうか。  次に4でありますが,ここにつきましては,まず(1)の部分につきましては,特に意見が分かれていたのは③の点かと思います。 ● 意見が分かれていない部分だと思うのですけれども,①の米印で,「剰余金の引継ぎに関する制度については,廃止するものとする」と。要するに,「資本準備金ト為サザルコトヲ得」というのを廃止するということは,資本準備金にしろということですね。 ● はい。 ● そのときに,配当財源の承継を必要とする場合には,①の本文を使って,資本ないし準備金を減少すればいいという,そういう考え方ですね。 ● はい。 ● それで,これは合併のときの会計方法にも関係するのですけれども--仮にもしプーリングが残るということがあったケース--プーリングの場合,必ず被合併会社の株主持分をそのままに引き継ぐとは言い切れないのですけれども,引き継ぐのが原則ですね。そうすると,その場合には,この①のような資本金又は準備金を減少する手続を伴わないと承継できないということになります。 ● 一応,この案だとそういうことになりますが。  そうですね。 ● 会社法上の配当規制との関係ということだけで考えれば,そこはプーリングで処理されようが,パーチェスで処理されようが,余り区別して考えなくてもいいのではないかというのが,①の問題です。  それで,その減少した--減少したという言い方は余り適切ではないのですけれども--その差益部分というか,資本金若しくは準備金にしなくてもよくなくなった部分をその他資本剰余金として計上しなければならないのか,それとも,一定の会計処理に基づいて,一部利益剰余金として計上することを認めるのかという点については,多分まだなお考える余地があろうかと思いますので,そこの部分については,細やかな会計処理の問題として,不都合がないように手当てをしたいと思いますが。  現行法でも,必ずしもプーリング的な処理をとったからと言ったとしても,「準備金ト為サザルコトヲ得」とやっているだけでありますので,必ずしも利益に計上しなければならないということでもありませんので,そこの部分は,会社法という視点からだけ見れば,余り変わらないのではないかと思います。 ● そういうことですので。よろしゅうございますか。  いかがでしょうか。③の点につきましては。簡易組織再編だと,総会決議を要せずに資本金・準備金の減少はできるという案でありますが。前回はそれについてはかなり反対が,○○委員,○○委員等から反対があったところですが。 ● こういう決めたような形で意見照会するのは,少し慎重であっていただきたいと思いますけれども。 ● ○○委員もやはり同じと考えてよろしいですか。 ● 確認ですが,債権者保護手続はあるということですね。かつ,ここで問題にしているのは,増加すべき資本金又は準備金を減少する範囲の減少だけですね。 ● はい,そうです。 ● 次回の資料になりますが,既存の資本金等を合併に際して減らすという手続の場合は,それは別の手続であります。 ● これはちょっと異論がありますので,③はこういう断言的な形では書かないということで。 ● 御趣旨を踏まえて,表現ぶりを工夫したいと思います。 ● それでは,そういう形で次回は出させていただきたいと思います。  (2)につきましては,特に御異論はなかったのではないかと思いますが。 ● ちょっと確認させてください。  ここで想定されているのは,株式交換・株式移転を使った持株会社のケースを想定しているというふうに考えてよろしいですか。 ● 持株会社だけではなくて,いわゆる完全親会社。 ● ですけれど,持株会社にした場合は,増加する資本について,取得する株式の価額を基準として資本の増加額を決めるというのは何となく分かりやすいのですが,私自身,法律のことをよく知らないので,仮に株式交換の手続を使って通常の企業合併に近い形のものをやるとすると,これもさっきのようなある極限された状況ではプーリング的な世界が出現する可能性はあり得るわけですね。  そうすると,この書き方ですと,基本的には承継する,つまり子会社といいますか被買収会社の株主持分の額を基準とするのではなくて,承継する株式になってしまいますから,書き方がややパーチェス的な書き方をしているわけなのですが,そこは大丈夫なんでしょうねということです。ちょっと今日は金融庁がいないので勝手なことを言えないのですけれども,可能性としては,国際基準がパーチェスに一本化して持分を禁止したからといって,日本が100パーセントそれを丸のみするとは決まりませんので,そこについてどう考えたらいいのかということだけ,確認させてください。 ● 今の点につきましては,現在,合併の場合の商法の規定で,413条ノ2というのがございますが,ここは,消滅する会社より承継する財産の価額という形になっております。言いかえれば存続会社が取得する財産の価額になるわけですけれども,こういう書き方で,現行法はプーリングでもパーチェスでも両方読めるであろうと。すなわちそれは,財産の評価をどういう形で受取り側でするかということは商法は直接には規定していなくて,会計に委ねるという趣旨でありますので,この株式交換の場合でありますれば,取得する完全子会社の株式の価値をどういう形で評価するかというところに多分解消されてきて,それが時価で評価をするということであればパーチェス的な処理になりますし,完全子会社となる会社の簿価純資産額を基準にやるということであればプーリング的な処理になるという余地は残すつもりで書いております。 ● そういう読み方ができるのであれば余り支障はないのですが,わざわざ,子会社の方の純資産額ではなくて,取得する株式の価額というふうに書いているというのは,何か特別な意図があってというふうに読まれかねないということだけなのですけれども。 ● 規定自体は,他の組織再編の場合の資本増加額の規定に評価の基準を合わせようという趣旨だけでありますので,そのあたり,若干説明等で補足をさせていただきます。 ● 解釈がはっきりしていれば問題ないということです。 ● 実質は,今,○○関係官から説明があったことだというふうに御理解いただければと思います。 ● 確認ですが,ですからこれは他の組織再編と整合性を合わすだけで,実質を変えるという積極的意図はないという意味に理解していいわけですね。 ● はい。 ● 何かこれを変えるとなるとちょっと大ごとだなと私も思いますので。要するに,組織再編行為を一つの枠にして同じようにしたらこうなったと,それだけのことですね。 ● はい。入ってくる資産の額を最高限度としてというだけの話です。 ● まあ,従来のこの規定の書き方が,いろいろ由来がありまして特殊な書き方になっている,それを普通に直すという趣旨だと理解していただければと思います。  それでは,ここで休憩して,休憩後は5から始めたいと思います。            (休     憩) ● それでは,再開させていただきたいと思います。  第3の5であります。吸収合併・吸収分割につきまして,現在は,対外的には登記のときに効力が発生するということでありますが,これを,上場株式等のことを考えて,会社間で定めた一定の日において効力が生ずるものとしてはどうかということであります。  それに関して,ただ,登記が単に商法12条の効力ということになりますと,昭和13年改正の前のように,善意か悪意かによって関係者ごとにばらばらの効力ということになってしまいますので,この米印の2番目でありますが,所要の措置を講ずるものとしてはどうかというのが,この5の中心問題かと思いますが,この点につきまして,いかがでしょうか。 ● 前回も申し上げましたけれども,実需は分かりますので,あとはどう工夫するかというときに,やはり対内的と対外的,株主間関係の証券発行関係と,対外的な取引関係と,ここでずれが生じることを正面から認めたい,その方策として,合併の効力自身を,対内的なものを中心にまず効力を発生させた上で,あと何とか始末しましょうという方向に移行するかどうかという,まあ,そちらの選択肢を結局とっていらっしゃるわけですが,しかし,やはり,これによれば,株式移転とかそういったものについてはまだ救済できないわけですよね。株式移転と,新しく会社を設立する類型の組織再編行為の場合についてはやはり問題が残るわけですね。米印の3番目にあるとおりで。したがいまして,やはりもう一工夫要るのではないかという気がしてならないのですが。  つまり,226条で株券発行の時期を会社成立後にしている,それと同じように,合併の場合も,実際に効力が発生してからでないと株券としてどうなのかという問題がどうしても出てくるのかと思いますが,ここら辺,あるいは合併の効力発生前であっても権利株の譲渡みたいな形でできると,あちらの方をいじった方が,株式移転等も含めた全体的な救済になるのではないかという気がするのです。 ● 何か事務局からはありますか。--よろしいですか。  ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。なかなか難しい問題であることは確かなのですが。  株式移転なんかについては何らかの工夫は考えているのですか。 ● 御指摘のように,株式移転等の場合についてはこのようなアプローチではなかなか解決が困難で,なお検討と言いながら,多分難しいのではないかと思っているのですけれども,権利株のような考え方をとるにいたしましても,株式移転等の場合についてはやはり難しいのではないかと思うのです。結局は,会社の設立自体について,登記を効力要件とはしないというところまで踏み込まないと解決できない問題になっているのではないかと思われます。それはそれで,求められている措置,具体的な要望に対する答えよりははるかに大きな問題を取り上げなければならない感じがするものですから,とりあえず設立の効力発生時については手をつけないでおくこととしたらどうかというのが,この米印の3番目の趣旨です。中途半端といえば中途半端ですが。 ● 株式移転については実務上の要請はないのですか。 ● いや,ないことはないです。 ● 難しいですね。  確かに○○委員のような御意見もなお検討しなければならないと思いますが,仮にこの本文のようなアプローチをとった場合にはこの米印の2番目ということが必要だという点は,皆さん賛成でしょうか。--それでは,こういうアプローチをとったらこうなる,それでなお別案もあり得るというような形で,以後,審議をいただければと思います。  この点につきましてはよろしいでしょうか。  第3全体を通じまして,よろしいですか。  それでは,次に第4に入らせていただきます。事務当局から説明をお願いします。 ● 第4の「清算関係」は,第一読会ではお示ししていなかった事項でございます。会社法の現代化という作業の中で避けては通れない規定の点検に当たり,議論しておいていただきたいと思われる事項を掲げさせていただいたものでございます。  なお,特別清算・会社整理につきましては,倒産法部会において別途御議論が予定されておりますので,それを待った上で,会社法の現代化の中であわせて実現させていただくという方針でおりますので,御了解いただきたいと思います。  まず,1の「清算手続への裁判所の関与」にかかわる部分でございます。  (1)は,清算手続への裁判所の関与の在り方についてですが,現在の幾つかの裁判所の監督関与を前提とする規定を廃止したらどうかという提案でございます。  これは昭和61年の改正試案でも同様の趣旨が盛り込まれていたところでございます。例えば,商法418条では清算人の氏名--「氏名」の後に「等」が抜けておりますが--等の裁判所への届出,419条では財産目録等の裁判所への提出について規定されていますけれども,実際上なかなか守られている規定ではない上に,守られたからといって裁判実務上さして意味がある規定ではないところでございます。  (2)は,裁判実務からの具体的な御要望事項でございます。現在,清算結了後の重要な資料の保存につきましては,その保存者を別途定めるシステムになっておりますが,これを,清算結了時の清算人が基本的に保存義務を負うこととし,必要とあれば別の保存者を選ぶという形にさせていただいてはどうかということでございます。  それから,2の「清算中の会社の機関の在り方」についてでございます。  清算中の会社の機関につきましては,判例・解釈上,存続中の会社の機関とは異なる扱い,異なる解釈がとられているところでございますけれども,規定上明確ではないということもありまして,現代化に当たっては,どの程度明文化すべきかはともかくとして,そのあたりの実質を固めておく必要がありますので,御議論をちょうだいしたいというところでございます。  ここでは,会社の清算というものが,一方においては適正に行われるべきものでありますけれども,他方において迅速かつ安く--できるだけ債権者への弁済に回るようにという意味で「安く」ですが--という清算手続の実施に対する実務上の要請を踏まえて,どれだけ重厚な,あるいは軽快な機関を用意することを原則とすべきかという観点から御議論をいただきたいと思います。  米印の1番目は,従来,清算中の会社における執行機関として,清算人は一人でも足り,必ずしも清算人会というものが設置される必要はないという理解が判例上されていたと思いますし,それを支持する見解も有力だったのではないかと思いますけれども,これについてどう考えるかという点についてでございます。  米印の二つ目は,それと関連いたしますけれども,清算中の会社であって大会社であったものにつきまして監査役会が従前置かれていたわけでございますけれども,清算中の会社における監査役の在り方はどのようなものであるべきかという点についてでございます。仮に,清算中の会社においては清算人が一人でもよいということとした場合であっても,大会社に相当する会社であれば監査役会は常に必置とすべきなのかどうか,社外監査役,あるいは常勤監査役の有無についてはどのような整理がされるべきかという点についてお諮りしたいと思います。  三つ目の米印は,清算中の会社であって,商法特例法上,参考書類の送付等が義務づけられる会社につきまして,清算中にそのような手間,費用をかける必要があるかどうか,それに疑問を呈する御意見もあるところでございますので,この点をどう考えるかということについてお諮りしたいところでございます。  それから,3でございますけれども,「清算中の会社の配当等」についての考え方の整理についてでございます。  (1)は,最終的な残余財産の分配における現物交付についてどのように考えるかという点についてでございます。先ほどの現物による配当,払戻しの問題とある種関連する議論ではありますけれども,ここでは,金銭以外の財産による残余財産分配も可能であることを明確化した上で,各株主にはその分配されるべき残余財産の価額に相当する額の金銭の分配請求権,要するに金銭で分配を受けるべき権利というものを保障することとしたらどうかということを提案させていただいております。ここは,現物配当の場合とは必ずしも事情が全く同じというわけではなく,非常時の一回のみの事柄である上に,場合によってはかなり多額の財産が分配される可能性があるという点を踏まえ,株主の権利としていかにあるべきかということをお考えいただきたいと思います。  (2)でございますけれども,清算中の会社におきまして,先ほど御整理いただいておりますような,剰余金の分配に当たる行為をどの程度認めてよいのかという点についてでございます。残余財産の分配はもちろんですけれども,それ以外の場面においては,清算中の会社が消滅会社として合併する場合の反対株主の買取請求権を除けば,基本的に株主に対する剰余金の分配に当たる行為は認めないこととするのが,清算の本質上適当,不可欠ではないかという御意見について,どうお考えいただくかということでございます。  米印はその趣旨を敷衍したものでございます。要するに,剰余金の分配に当たる行為が清算中に行われますと,清算段階で本来まず債権者の弁済に充てるべきものを,それよりも先に株主に対して支払うことになりますので,そのような行為は基本的には避けられるべきではないかという趣旨でございます。  それから,4は,「清算中の会社がすべき公告」についてでございます。実務的な御要望として,これらの(1),(2)の公告の見直しをすることとしてはどうかという御意見がありますが,これについてどうお考えになるかということでございます。(1)の債権申出の公告は,機会を異にして3回行うことになっておりますけれども,これを1回で足りることとしてよいかどうか,(2)の清算中の会社の決算公告については,格別それだけの費用をかけてまでする必要がないのではないかという意見について,それぞれどうお考えになるかということをお聞かせいただきたいと思います。  以上です。 ● それでは,「第4 清算関係」の御審議をいただきたいと思います。  まず,1は裁判所の関与の関係でありますが,いかがでしょうか。(1),(2)でありますが。(1)の米印はたくさん並んでおりますが,昭和61年の商法・有限会社法改正試案にも載っていた事項だそうです。  裁判所は今日はお見えでないですね。  特に御意見ありませんでしょうか。--よろしいですか。  それでは,1は基本的には御了解いただいたということで,2でありますが,「清算中の会社の機関の在り方」,これはかなり議論があり得るかと思いますが,いかがでしょうか。 ● 是非こういう方向での検討をお願いいたしたいと思います。清算中の株式会社,大会社の場合に監査役を置かなければいけないなんて全く承知しておりませんでして,よく法律を見れば準用されておりまして,あれれと思った次第なのですけれども,どうしてこういうものを置かなければならないのかと思いながら承知した次第なのですけれども,清算の迅速さとコストの安さということを考えたときに,こういう過重な構造をとるのはいかがかと思う次第であります。 ● 米印の1番目は,これは最高裁の判例がたしかこうでありまして,少なくとも実務はこういう形で動いているのではないかと思いますが,この点はよろしいですか。  それから,米印の二つ目が,今,○○委員がおっしゃった点でありますが,○○委員のおっしゃったこともごもっともなのですが,他方,清算段階というのは割と利害対立が大きく出る場面ではあるのですね。営業譲渡等を結局するわけですから。それをめぐりまして,何か,大株主に安く売っただろうとか,そういう訴訟がないではないのですね,実際上,今までの裁判例等を見ておりますと。だから,簡単にそういう監督機関である監査役の規定を緩めてしまっていいのかということについては御異論もあるかと思うのですが,いかがでしょうか。  私も,常勤監査役は要らないだろうと思うのですね。つまり,もう事業をやらないわけですから,四六時中監査している必要はないかと思うのですが,節目節目ではやはりきちんとした業務監査は必要な気もするのですが,いかがでしょうか。 ● 三つありますが,二つについては,全部かどうかは別にして,緩和化する方向は合理性があると思いますので,その方向で,どこまで,例えば常勤ははっきり要らないとか,少なくとも米印の2番目は簡単にしてもいいのではないかと思うのですが,3番目については,やはり相当重要な決議もありますので,これについては慎重に検討する必要があるのかなという気がいたします。特に,1回かせいぜい2回の話ですからね。こんなのに5年も10年もかかるのがおかしいので,1回ならそういうことをきちっとしていただきたいなと。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。  ○○委員は,この米印の2番目はどの程度まで。常勤はまず要らない。 ● 常勤は要らない。社外も要らないのかなという感じがしないではなかったのですが,これもいろいろな……。そうすると,監査役会がそれほど要らないとすると,あとは,複数か,3人かとか,そこら辺になるのかなと思いますから,余り議論したくないのですが,御自由にということで。  ただ,監査役が要らないというのは困ると思います。例えば,会計監査人は要らないとなっているわけですね。私は,これは業務監査が必要だということは押さえるべきだと思いますが,お一人以上で適宜やられてもいいのかなという気がしないではないのですが。 ● いかがでしょうか。 ● 私も,米印の三つ目につきましては,○○委員のおっしゃるような方向の方がよいのではないかと思います。 ● 米印の二つ目はいかがですか。 ● 緩和する方向には賛成なのですけれども,どの程度というのは,これはちょっと難しいものですから,発言を差し控えさせていただきます。 ● ここで,どこまで簡素化できるかというところを考えていただくに当たっては,清算前の通常の場合の会社における機関設計というものを,例えば譲渡制限会社についてどこまで簡素化できるかというようなことを考えていて,それで非譲渡制限会社と譲渡制限会社のデフォルト的なものがどこになるかという,そういった議論が恐らくあって,その議論をそのまま清算中の会社にどこまで持ち込めるかという話があると思うのですね。  そうすると,現在,判例ということになるのでしょうけれども,清算人に関してはどんなに大会社であっても一応一人でいいのかという議論があると。そうすると,例えば清算人会がなくて清算人が一人だけというのに,では複数の監査役というものを要求しなければいけないのか,このバランスはどうなるのかとか。究極の姿としては,清算前がどんなに大会社であっても,いわゆる有限会社タイプの機関設計を認めてもいいのかとか,そういったようなところまで,一つの方向性としてはあり得ると思うので,その辺,御感触等をお聞かせいただければと思っております。 ● 常勤者がいなくなれば,そんなに費用がかかるわけではないのではないかという気が私はするのですけれども。3人いても。  方向としては,米印の2番目は簡素化の方向,3番目は慎重にという御意見が今までは強いのですが,いかがですか。  ○○委員,○○委員,○○委員等はいかがですか。この辺の御感触は。 ● 実際に清算に入りながら結構時間がかかったりする場合もあるものですから,それを考えますと,私は,別に監査役が複数いてもいいのではないかという気もしております。  それから,三つ目の米印については,やはりあっていいというふうに思っています。 ● 私も,基本的には簡素化は非常に結構だと思います。清算中の会社の財産がどの程度の規模であるかということで,その適正な清算がなされなければいけないということは確かなので,その部分の担保をどの程度確保できるかということだと思います。  監査役は,確かに常勤監査役は要らない,社外監査役も要らないかもしれませんが,少なくとも監査役一人は必要であろうというぐらいのところで,米印の二つ目はそういうことです。  三つ目の米印については,清算そのものの適正性について株主として意見を表明するためには十分な情報というものがなければ適切な判断ができないということを考えると,三つ目の米印は必要であろうというような感じがいたします。 ● この清算中の会社の機関の問題は,一般的な会社のコーポレート・ガバナンスの確立という問題とはちょっと違うと思いますので,少なくとも--私ども,清算実務に直接かかわったことはないのですが,私の知り合いの会社が清算に入ったと,その過程で,清算がどういうふうに行われているか分からないということで,複数の株主のうちの一部から,だれに聞いたらいいか分からないというような相談などが株主サイドからあるということも実際上ありまして,そういう意味では,清算人が一人しかいない,それに対して裁判所の監督というのも今回削除の方向であるということになると,やはり何らかの形でチェック役が必要であろうというふうに思います。  それで,大会社であったか,そうでないかによって,それほど清算実務のチェックという面では違いはないと思いますので,そういう意味では,この米印の2番目は,簡素化するという方向で十分だろうというふうに思います。  最後の点は,確かにコーポレート・ガバナンスとは違う問題ですが,それとは違った,残余財産分配を受ける株主に対する情報提供という意味では,少なくとも参考書類を送るという制度は残すべきではないかと思います。 ● ありがとうございます。  大体,3番目については,皆さん,残すと。やはり1,000人以上いる以上は,こういう制度は必要だという御意見のようですね。  米印の二つ目は簡素化の意見が多いのですが,若干疑念を持っている方もいるという状況かと思います。  これは今回初めてですので,米印の二つ目についてはなお検討を続けるということでよろしいでしょうか。  次に3でありますが,これについてはいかがでしょうか。  まず,(1)について,いかがでしょうか。--特に御異論はありませんでしょうか。  それでは(2)でありますが,これは解釈上は一応こう理解されていると考えていいのですか。規定はないけれども……。 ● 配当はだめというのはありますけれども,それ以上はちょっとよく分からないですね。 ● 明確化するという趣旨ですか。何か現行の解釈を変更するという趣旨ですか。 ● 現行の解釈がはっきりしないと思っておりますが。 ● 他の関連制度との関係で言えば,利益配当等は行われないことを前提として,税法その他の規定が置かれているようではありますけれども。  (2)の一つのポイントは,本文の,清算中の会社が消滅会社となる合併をする場合の反対株主の買取請求権というのを認めるかどうかにつき,明文で認められる旨の規定を置くかどうかというところ--現在,営業譲渡をした際にあわせて解散の決議をした場合には反対株主の買取請求権はないという規定が245条ノ2に置かれておりまして,これについては立法論的に幾つかの御指摘があるのですけれども,その制度をどうするかという問題と,解散時若しくは清算中において一定の場合に買取請求権を認めるということをきちっと置くかどうかという点が1点あろうかと思います。 ● 株式買取請求の点は,ここにあるようなことでよろしいでしょうか。全然株式買取請求を認めないということになると,やはりそれは問題が出るような気もするのですが,基本的にこれでよろしいでしょうか。 ● 今の245条ノ2の関連ですが,1項のただし書でありますが,この規定は,要するにこういう形で清算中であれば認められるということであれば,削るという方向でよろしいでしょうかということです。 ● この点,いかがでしょうか。削るということですが。245条ノ2のただし書ですね。 ● 削らないでいただきたくて。実務上,非常にこれはよく,営業譲渡と解散の決議を同時にすることによって買取請求権がなくなるものだから,円滑な解散が進むということでしょっちゅう使われている条文だと思いますから,これを切るというのは,ちょっと実務に与える影響が大きいと思うのですけれどね。 ● しかし,これこそ,さっきちょっと言いましたけれども,これは厳密に言うと解散した後に営業譲渡したのではないのですけれども,もう事業を吸収して,その後営業譲渡して,その後解散したわけですね。それについて株主が,大株主に安く売っただろうというので検査役の選任を請求して,結局却下になっているのですが,かなり大きな会社の事件ですけれども,そういう事件もありますので,こういう解散時というのは,結構そういう形のトラブルはあることはあると思うのですね。  いかがでしょうか。  確かに実務上は便利な規定として使われているようで,会社側からは便利な規定なのですが,それでいいのかという問題も他方あるように思います。 ● 確かに○○委員のお気持ちも分かるのですけれども,一方で,ほとんど営業譲渡の内容で決まってしまうわけですね。それを考えますと,例えば,多数派に非常に有利な内容の営業譲渡をしてしまって,それ以外の株主には余り利益が回ってこないというようなことがこういう場合もあり得るというか,ある面もっとシビアに出てくるところがあるわけです。倒産法の方でも,倒産の過程での営業譲渡というのが今非常に問題になって,更生計画等の決定の前の段階で営業譲渡をすることを認めたわけですけれども,それはあくまで裁判所の監督のもとでということで認めているわけなので,それと比較しますと,何も株主に救済はないということでいいのかというと,やはりちょっと疑問が残るように思います。 ● これは意見が対立するところだと思いますね。なお検討するというほかにはないように思いますが,そういうことでよろしいでしょうか。 ● 戻って恐縮なのですが,3の(1)なのですが,残余財産分配の現物交付というのは,これは相続の場合の代償分割のように,一部の株主に現物を分配して,その他の株主は残余財産の価額に相当する現金をもらうということを想定しているのではないかと思うのですが,金銭の分配を請求する権利を与えるというのは,どの株主に権利を与えるということなのですか。要するに,請求権のある株主は各株主ということでしょうか。すべての株主。 ● 要するに換価請求権といいますか--株主平等の原則がかかることはここでも疑いようがないわけですから--現物で分配したいと清算人がおっしゃり,株主の中でそれを許容する者と許容しない者とがいた場合に,許容しない者には,清算人に対してそれを換金して分配すべしという請求権を与えるという,そういう趣旨でございます。 ● 今日の初めにあった,1の(2)の①を削除して,②をベースにということになりまして,この②とその米印の平等原則がこの場合にも当てはまるという前提で,それと平仄を合わせたという,そういう理解でよろしいわけですね。だから,今,○○委員のおっしゃったようなものはここでは想定されていないと。  ついでに言わせていただきますと,3の(2)のところですが,245条ノ2の第1項のただし書については,米印か何かでちょっと御紹介なさるということでよろしいのですか。○○委員は御異論があるかはともかく,そういうまとめをされたという理解でよろしいわけですね。 ● どういう書き方にするかは分かりませんが,その点については議論が対立していて,なお検討するということをどこかに書くということであります。 ● 質問なのですが,3の(2)のところで,反対株主の買取請求ですけれども,これは,清算してみたら株主にプラス部分があるという前提ですか。清算してみてプラスがなくてゼロというような場合は,これは認める必要があるのかどうか。 ● この問題は,実は買取請求権そのものに財源規制をかけるかどうかという問題が,まず平時においては問題になり,清算時においては特にそれが際立つことになるのだと思います。そこをどうするかというところは一つ問題があることは確かなのですけれども,ただ,合併なんかの場合には,存続会社側が最後支払いをすることになりますので,必ずしもマイナスかどうかというのが消滅会社側では余り問題にならない--余りという言い方はちょっと語弊がありますけれども--問題にならないのは平時と同じでございます。  他方,分割でありますとか,株式交換で完全子会社となるとかいう場合には,おっしゃられた問題に直面するのだと思います。そういうときに,払戻しの財源を,平時にはかけないけれども,こちら側でかけるかどうかという点について,もし検討する必要があるということであれば,またこちらの方でもう一回整理させていただこうと思いますが。 ● 何か,本来取るべきものが何もない人間がたまたまそういうことがあったときは買取請求を行使するのを認めるかどうかという問題は確かにありますよね。 ● 確かに,おっしゃるように,一種の劣後的債権者みたいな取扱いにする必要があるのではないかということはあると思いますね。  その点も検討していただければと思います。  よろしいでしょうか。 ● 米印は,利益配当はもちろん,自己株取得も一切認めないということなのですね。後ろにかかるのではなくて。 ● そうですね。 ● 確認の質問ですが,3の(1)のところですけれども,株主平等原則はかかるというお話でしたけれども,仮にこれが株主平等原則に沿わない現物分配といいますか,例えばいろいろな土地があって,閉鎖会社みたいなものを考えた場合に,一つずつみんなに分けましょうということについては,全員一致でなくてはできないけれども,全員一致であればできることになるということでよろしいのでしょうか。 ● 少なくとも全員一致であればよろしいと思いますが。 ● 全員一致でなければやはりできないわけですね,この場合。そこまでは考えていないということですか。 ● そうでしょうね。恐らく平等とは言えないでしょうね,それは。  それでは,4に入りたいと思いますが,よろしいでしょうか。 ● 質問ですが,この4の(1)というのは,現行の422条はいじらない,動かさないことを前提とした御提案ということでいいのですか。つまり,最近,電子公告をめぐって何かいろいろと,催告をしなくていいとか,そういうことが提案されているのですけれども,422条の1項の,知れたる債権者に個別催告を必ずやると,そして,知れたる債権者は申出がなくても清算から除斥できないという,こういうような仕組みが前提だったら,まあ(1)はいいのではないかと思うのですけれども,そうでなければ,やはりちょっと,1回ぐらいだったら見落とすというのは,幾ら電子公告であってもあり得るので,その辺のバランスはどうなっているのでしょうか。 ● これは個別催告をするのですね。 ● ええ,電子公告に係る改正でも,この点については特段の簡略化を予定しておりませんので,現行の422条を前提としてお考えいただいて結構でございます。 ● そういう前提ですが,よろしいでしょうか。--それでは,この点は御了解いただいたものとして扱わせていただきます。 ● 清算について,2か月間の弁済禁止期間なのですけれども,裁判所の許可というのは,1の(1)との関係で,それも検討対象になるのでしょうか。 ● 御指摘の制度については,変更を加えることを意図しておりません。原案では。 ● そうしたときに,2か月間というのを例えば1か月間に短縮するとかいうのは,やはり債権者保護に大きくもとるということですかね。 ● どうでしょうかね。 ● 2か月間ずっと,本来清算できるものをそれで拘束されているというのは……,またそれを払うのに一々裁判所に行かなければいけないというのはいかがなものか,1か月ぐらいにできないものだろうかということなのですけれども。 ● それでは,その点も検討してもらいますか。 ● お願いいたします。 ● それでは,部会資料8についての審議は以上で終了いたしまして,次に部会資料9に移りたいと思います。  それでは,事務局からお願いします。 ● 部会資料9には第1から第4までございますけれども,差し当たり第1の説明をさせていただきます。  第1の「1 譲渡制限株式会社における新株発行無効の訴え」は,新たにお諮りする項目でございます。  (1)は,新株発行無効の訴えの提訴期間の延長の可否についてでございます。  現在でも,有利発行決議がされた場合,あるいは株主割当てがされる場合には,発行事項の公告・通知等が省略されますので,具体的な新株発行の事実が株主には必ずしも明らかとはならない可能性があります。現行の6か月という期間ですと,その間に定時総会が開かれない場合には,必ずしも株主がその新株発行の事実を知らないまま提訴期間を過ぎてしまうということが起こり得るという問題点が指摘されております。公開会社であればさておき,非公開会社におきましては,新株発行の事実を把握することができる機会は,場合によっては,唯一定時総会の場面だけかもしれません。そうしますと,この提訴期間というものを6か月としておくことは,少なくとも譲渡制限会社に限って言えば短過ぎるのではないかというのが,ここでの問題意識でございます。  また,譲渡制限会社につきましては,必ずしも株主の移動という事態が頻繁には生じないことから,多少提訴期間を延ばしたからといって,新株発行を無効とするにちゅうちょが生ずるような株主の変動・拡散ということは起きないのではないかという考慮もありまして,この提訴期間の延長を考えてはどうかということをお諮りするものでございます。  ただ,ここでもう一つ問題になりますのは,現行法上,この提訴期間は口頭弁論の開始を待つ期間とされている点でございます。御承知のとおり,裁判の迅速化が図られるべきこととされておりまして,原則2年内に第一審の判決にたどり着くということが求められるようでございますけれども,それをおくといたしましても,例えば提訴期間を1年に延ばした場合に1年間その訴訟の進行を待たなければいけないとすることは必ずしも合理的ではないようにも思われるところでございます。幾ら譲渡制限会社であっても,時間が経てば経つほど株式は拡散する可能性がありますので,そうなればなるほど裁判所が無効という判断を下す可能性も小さくなってくる,というような関係にもあろうかと思います。  (2)につきましては,必ずしも6か月を1年に延長するということが論理必然的にこの問題の検討を余儀なくさせるものではないのですけれども,提訴可能期間中は口頭弁論を開始することができないものとする規制を取り除いても差し支えないのではないかということについてお諮りするものでございます。原告側が敗訴した場合に,その効果が他の原告適格者に及ぶわけではございませんので,この規制を廃したからといって,必ずしも原告適格者に不当な事態をもたらすということも考えにくいところでございますけれども,これらの点についてはどのようにお考えいただくかということでございます。  また,仮にそういたしますと,譲渡制限株式会社における新株発行無効の訴えの提訴期間中の口頭弁論開始のみならず,あらゆる会社訴訟におきまして,提訴期間中は口頭弁論の開始を待つという必要があるのかどうかということ自体も問題となり得るのではないかと思われます。(2)の米印の二つ目は,提訴期間の延長の可否いかんにかかわらず,この点について全体的に見直す必要があるのではないかという趣旨でございます。  また,今般,電子公告の改正の検討がされているわけですけれども,その中では,このような訴えが提起された場合におけるお知らせ的な公告については廃止するという方向で検討が進んでいるものと承知しております。そうだとしますと,なお一層,提訴権を有する株主の提訴が出そろうのを待ってから一体として口頭弁論を開始するという要請は更に小さくなるのではないかということから,今回,この新しい問題をお諮りさせていただく次第でございます。  それから第1の2についてですが,これも,このような形でお諮りさせていただくのは今回が初めてでございますけれども,前回御議論いただきましたように,特定の株主からの自己株式の取得に伴う売主追加請求制度に必ずしも合理的でない部分があるといたしますと,抜本的に,例えばこのような考え方をとることはいかがかということで,今回,事務局の方で整理をさせていただいて,御意見をちょうだいすることにしたものでございます。市場取引,公開買付け以外の方法による自己株式の買受け制度について,①から③までのような整理をするという考え方について御意見をお聞かせいただきたいと思います。  要は,このような方法,つまり市場取引,公開買付け以外の方法により自己株式を取得しようとする場合,まず,株主総会において所定の事項の決議をして,取締役会にその取得の授権をし,取締役会において具体的にその決定をした上で,株主への通知・公告をし,それに応じようとする株主が申出を行い,会社は申し出た株主から買取りをする,仮に①,②に従った枠を超える申出があった場合には,各株主を平等に取り扱う,つまり案分して買取りを行う,という形で整理をさせていただくのがよろしいかどうかということでございます。①から③まで,いろいろ細かい点については不足があるかもしれませんが,基本的にそのような考え方を提示させていただいております。  仮にこのような考え方を前提といたしますと,現行の売主追加請求制度というものは,(1)の③において,買受けを請求することができる株主を会社が定めた特定者と,定時総会の5日前までに請求した者に限り,これらの者のみを③における株主として会社は相手にすると,こういう制度になっているわけですけれども,もし(1)のような制度設計が可能だといたしますと,現在のこのような制度を維持する必要が果たしてあるのかどうか,仮にあるとしても,実際のニーズに沿ってかなり絞った形で,その例外的な措置として許容するにとどめることはいかがかということが,ここでの問題意識でございます。  (2)の米印は,その認められる場合を限定すべきであるという意見についてどうお考えになるかということを聞かせていただこうという趣旨でございます。  それから,3は,新株発行等の際の公告・通知につきまして,証取法に基づく開示がされており,その開示事項が商法の要請するものであって,商法の要請する期間までに行われている場合には,商法における公告・通知を不要とするということを認めるべきかどうかについて,再度御意見をお伺いしようとするものでございます。この点については御意見が分かれていたかと思います。  第1につきましては,とりあえず以上でございます。 ● それでは,第1の「株式等関係」について御議論いただきたいと思います。  まず,「1 譲渡制限株式会社における新株発行無効の訴え」に関するところで,新しい論点でありますが,この点,いかがでしょうか。 ● 大変よい御提案ではないかと思いますので,私は賛成です。特に譲渡制限会社の新株発行については,このような需要が高いというように思います。  ただ,こういういい御提案である場合には,もう少し広げていってもいいのではないか。つまり,1年に1回株主総会があるということを前提にしますと,そこでいろいろな事態が明らかになるということは大いにあり得るわけですね。したがいまして,新株発行無効のみならず,そのほかのものについても,とりわけ譲渡制限会社については1年ということを考えることはできないだろうか。  あるいは,更に言えば,なぜ現行の制度が各種訴えについて6か月の期間と定めているのかということを考えてみますと,昔は6か月に1回ずつ株主総会をしている会社がかなり多かったのではないかと思います。そういう時代につくられた法律がたまたま6か月としていたということも考えられますので,そうしますと,年に1回の総会がこれだけ定着してきているときには,むしろこのような考え方は一般的にとってもいいものなのかもしれないというように思います。 ● 例えば,知らないうちに合併しているとか。 ● はい。いろいろあり得るのですけれども。 ● よく分かりました。考えられるかどうか,検討してみる必要はありそうですね。  ほかにいかがでしょうか。  (2)についてもいかがでしょうか。  ○○委員はよろしいですか。 ● 賛成です。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。特に御異論はありませんでしょうか。  それでは,○○委員の御提案は検討させていただくことにいたしまして,次に移りたいと思います。  2はいかがでしょうか。  まず,(1)のような制度を整備してはどうかということであります。 ● これにつきましても,大変いい御提案をしていただいたのではないかと思いまして,私は賛成です。  つまり,これまでに考えられていた基本的なところは一応受け継がれながら,なおかつ,規定の上では非常にすっきりするのではないかというように思いますし,従来,平等に株主から買い付けるということについては,証券取引法の方で公開買付けという形でしか規定されていなかったわけですが,会社法自身でもってこういうものをきちんと認め,平等に買い付けるのであれば,このような自己株式の買受けがよいということになりますと,その一場合として証券取引法の言うところの公開買付けに従えば,当然これは満たされているわけですし,少し問題があるかもしれませんが市場買付けもほぼ同様であろうという位置づけでこういう法体系を組み立てているのだということで,すっきりするかと思います。  したがいまして,私は,米印の2番目,これもこういう形で踏み切ってもいいのではないかというように思う次第です。つまり,普通決議でも足りる,そのかわり株主の平等な機会だけはきちんと保障しますということです。  そして,当然,(2)はなくしてもよいということになるかと思います。 ● この2の制度は,証取法適用会社には適用がないということですね。証取法適用会社だと,これは公開買付けになってしまいますね,事実上。 ● 自然に公開買付けになるというだけであって……。 ● だから,これをやるから公開買付け手続は適用がないという主張はできないわけでしょうね。 ● そういうことではないです。 ● ですから,これは証取法適用会社以外がやる手続だと考えてよろしいわけですね。 ● つまり,この手続プラス証取法の手続が公開買付けの場合には必要ですよということになるだけで,概念の上では,むしろこちらの手続の方が会社法的な大もとの規制ということになるのではないかと思います。 ● 質問ですが,この制度,2の(1)の整理ですけれども,これは,特定の株主からのみ株式を取得しなければいけないビジネス上の必要性があるとした場合,そういう方法はここは認めないというインプリケーションを含んでこの提案がなされているということでしょうか。 ● 前回,売主追加提案を認めない類型という提案がありまして,それは当然,あれが承認されれば,そういう類型は恐らく残るのだと思います。 ● まず,(1)の制度だけで,○○委員から御指摘いただきましたように(2)の制度を全く認めないということであれば,特定の株主のみから取得するということはできないということになります。  何らかの形でその道を残すとすれば,その事由をどの程度限定するかどうかという問題がまずありまして,その際,現在と同じような売主追加請求の制度というものを維持するかどうかという問題は,恐らく事由をどれだけ限定するかにかかわってくると思います。売主追加請求制度については,それを認めないでほしいという要請が一方でありますので,事由を限定することによってそれを外し,特定の者からの取得を,限定された場合に限って認めるかどうか,これが(2)での問題でございます。 ● この(1)の後ろの方の案分買付けという買受けなのですけれども,これは公開買付けでも実際にそういうことはあり得るわけですが,こういう授権をして,いつでも取締役会がこういうことをできるとすると,実質的には大株主からだけしか買い付けないということができる可能性があるわけですね。つまり,例えば一株ずつしか買い付けないということになると,案分比例の場合にはどうしても一番多い人から買うということだけになってしまう,極端な場合を考えるとですね。そうすると,そのときに価額が正当に決まっていない,買付けの取得価額が正当に決まらないと,やはり株主平等には実際にはならない可能性というのが十分に考えられるわけでして,本当にこういう市場取引等以外の方法で随時取締役会が自己株式を買い付けるというニーズがどれぐらい高いのかというあたりが一つの問題としてあるのではないかという気がするのです。つまり,株主総会で決議する場合は,ある程度のロットの大きさで買う可能性が高いし,そうでなくても,この売主追加請求権というのを行使できますから。そして,余りにもむちゃくちゃなことをやれば,そもそもその決議自体が取消しの訴えの対象にさらされる可能性があるのですけれども,取締役会が随時,適当な大株主からしか実質的には買い付けなくて済むようなロットで細分化して買い付けた場合には結構問題があるのではないかという気がするので,その点についての対応を何か考えてこの制度は整理した方がいいのではないかという気がするのですが,それはちょっと考え過ぎでしょうか。 ● 総会決議事項をもうちょっと工夫するというようなことでしょうかね。総会である程度のことを決めておけば,それは恐らく弊害はないだろうという,そういう御意見でしょうか。 ● はい。まあ,それをどういうふうにやっていいか分からないのですけれども,ここに挙がっているだけで決めると,最悪,特に譲渡制限会社のような閉鎖会社の場合には,悪用される危険性は十分にあるような気がするのですけれども。 ● 御注意,ありがとうございました。確かにそういうことは気をつける必要があるかと思います。その点はなお検討させていただきます。  先ほど○○委員から御指摘がありました米印の2番目,○○委員は,これでよいのではないか,普通決議でも足りるのではないかという御意見だったかと思いますが,ほかの委員・幹事の方,この点はいかがですか。この点はよろしいでしょうか。 ● 私は,○○幹事のおっしゃったこととやはり関連するのかなという気はするのですが,○○幹事の御心配がクリアされるような形でいければ,私も普通決議でよいかと思うのですが。 ● 論点は分かりました。 ● ただ,私,(1)が非公開会社でどの程度需要があるのかよく分かりませんし,こういう制度を設けてほしいという実務の要請があれば,さお差すつもりはないのですが,むしろ(2)の方で,これをすべて削除してしまうと,むしろ実務としてはお困りの方が……,差し出がましいことですが,思うので。  それで,先ほどの御説明では,こういう制度をつくって,そして(2)の米印の,認められる場合を限定すると,売主追加制度をもうなしにしてしまう,そういう制度設計もあり得るのではないかというふうに御説明があったと思うのですが,それは少なくともこの文章からは読み取れないように思うので,そこら辺をもう少し場合分けして,きちっとお書きいただきたいと思います。私も,閉鎖会社において合理的理由がある場合には売主追加制度をなくすことも検討に値するのではないかと思っておりますので。ただ,それを不用意に認めるとまた大変ですが,一切,常に売主追加制度を認めなければならないということでは対応できないものもあるのかなと思いますので,(2)について,米印か何かでもう少し整理していただければと思います。 ● (2)ですけれども,少なくとも公開会社の場合には,5日前までに請求をした株主に売主追加請求権を与えるという制度はなしにする選択を認めていただきたい。市場で売れるわけですから。 ● 一つだけ確認を。  今おっしゃられたのは,公開会社ですか,それとも上場株券等に当たるものですか。すなわち,公開会社が上場していない株式を出している場合もあるわけですね。株主の売主追加請求権を一定の場合に排除するような制度を検討するに当たり,前提として……。 ● その株式は流通しているものということです。 ● ということですね。 ● はい。 ● 今の○○委員の御意見に対する意見でございますけれども,やはり上場会社等の場合でありましても,合併等においても反対株主の株式買取請求権が認められているのと同じような役割を果たすことになるのではないかと思いますので,やはり売主追加請求権はあった方がいいと思います。 ● 特定者から買うという制度についてのニーズにつきましては,これは実務上のことは差し出がましいがと○○委員がおっしゃったのは○○委員におっしゃったのかなとも思いましたが,○○委員,ニーズの点は御検討いただければと思いますが。 ● 余りぴんとこないなという感じもして,ちょっと聞いてみないと……。 ● この自己株取得のアウトラインをどういうふうに構成するか,今までの議論の中でいろいろな案が出てきておりますので,私なりに整理している最中なのですけれども,前回,少なくとも特定株主から買い受ける場合には売主追加請求権を認めるのが原則であって,限定列挙で相続とかそういう場合は排除するという意見を実は私申し上げたのですけれども,今回の(1)の各株主の買受請求権という制度が設けられれば,むしろ原則が逆転しまして,各株主の買受請求権が認められれば株主平等の原則が確保されると。したがって,この売主追加請求権を認める場合というのは相当限局されるということになってくると思うのです。  ただ,実需の問題として申しますと,例えば株主総会が取締役会に授権して,一般の株主の買受請求権を認めるという方法をとった場合においても,やはり,まず,相続の場合とか--あるいは合併の場合は議論がありますけれども--譲渡制限会社で譲渡承認請求に対して会社を譲受人に指定したという場合,これは204条ノ3ノ2の規定が別途ありますので,この場合はそれでいけるのかもしれませんが,やはり実務の問題としては,相続ですね,相続の場合に,ほかの株主の買受請求も出て案分になるということになると,これは非常に差し障りが出ると思います。  ですから,そういう意味では,株主一般に買受請求権を認めるという制度を設けた上で,特定者から買い受けることを会社から提案する場合には,やはり売主追加請求権を認めるということにせざるを得ないのではないかというのが,私の現時点での理解でございまして,そのまた例外ということで相続とか合併とかを列挙するというようなことに整理できるのかなという理解を今しているところです。  今の問題に関連して,さっき○○委員がおっしゃった,市場価格ある株式の場合には,特定者からの買受けであっても売主追加請求権を認めないと。これは平成6年の改正の段階の法制に戻るということになりますので,市場価格ある株式についてはそれで十分ではないかなというのが,私の考え方でございます。 ● なかなかこれは難しいところですね。前回,売主追加を認めないこととしてはどうかということで非常に意見が対立したのが相続だったかと思いますけれども,そこと,今日出てきましたので,あわせて,両方ドッキングさせて制度がどういうことになるのか,もう一度整理していただいて,じっくり次回御議論いただければと思いますが,そういうことでよろしいでしょうか。  それでは,3でありますが,これも前回かなり御議論があったところですが,いかがでしょうか。特に追加する御発言はありますでしょうか。やはり証取法に基づく開示では問題があるのではないかという御意見が,前回,かなりあったように記憶しますが。--よろしいですか。  それでは先へ進ませていただくことにしますが,第2,これは切ってやりますか。  それでは,まず1から。 ● それでは,「第2 計算関係」の「1 分配の機会の柔軟化」の部分について御審議をちょうだいしたいと思います。  この問題は,御案内のとおりでございますけれども,利益処分権限の所在につきまして,委員会等設置会社とそれ以外の会社との間の違いをどう調整するかという大きな論点の一つでございます。  まず,(1)の「分配機会及び決定機関の特例」という部分でございますが,委員会等設置会社か否かにかかわらず,一定の範囲の株式会社においては,取締役会決議をもって,いつでも,分配できる剰余金の範囲内で,利益配当等の剰余金の分配ができるものとするということとし,そのような会社にありましては,米印の1番目ですけれども,現行の利益処分案等に記載すべき事項のうち,資本の部の計数の変動にとどまる効果を有するものにつきましては,取締役会の決議により期中随時に行うことができるものとする,このような整理をしたらどうかということを確認させていただきたいということでございます。  米印の2番目は,例えばそのような会社--そのような会社をどう定めるかは(2)以下で御議論いただくわけですけれども--そのような会社におきまして,例えば役員報酬や第三者に対する利益処分などがないというような場合など,利益処分案,あるいは損失処理案に記載すべき事項がないという場合には,その作成を要しないものとするという整理ができるのではないかという点についてでございます。  米印の3番目は,計算書類と同様に,利益処分案等につきましても,その記載事項を法務省令に委ねるということとしてよろしいかどうかという点について御意見をちょうだいしたいという趣旨でございます。  (1)は,どのような要件かはともかく,取締役会決議によって現行法で言う利益処分ができる会社においてはこのような取扱いをしていいかどうかを確認させていただくものであり,(2)は,そのような会社の範囲をどのように定めるか,これについて御意見をちょうだいしたいということでございます。  問題は,委員会等設置会社以外の会社について(1)のような取扱いを認める要件でございまして,それについて少なくとも①,②,③,④の要件は必須と考えていいかどうかということを,まずここでお諮りしたいと思います。  それから,米印は,第一読会で御提案がありました,委員会等設置会社につきましても①を要件とする--もちろん,②,③,④というのが既に要件化されているということが前提ですけれども--要するに,①もあわせて要件とし,定款の定めによって利益処分権限の所在について会社側の自治を認めるという取扱いをすることはどうかという点についてでございます。  米印の二つ目は,(1)のような範囲の会社について--委員会等設置会社について言えば,米印の1番目を前提にすれば,定款の定めでそのような選択をした会社になるわけですけれども,現行法では委員会等設置会社そのものがそうですが--役員賞与その他(1)に掲げたもの以外の利益処分について一律に禁止する,あるいは株主総会決議等一定の要件のもとに認めるというような整理をするかどうかについてでございます。現行法は,委員会等設置会社においては利益処分が取締役会権限化されているということを前提に,その決定機関におきましては役員賞与の決定はできないということとされているわけですけれども,これらの取扱いを委員会等設置会社以外の会社にも及ぼすべき場合にどのような整理をすべきか,およそできないということにすべきか,あるいは,その処分の権限の所在いかんにかかわらず,株主総会の決議をもってすればできるということにすべきかという点の整理につきまして,委員会等設置会社及びそれ以外の会社を含めて横断的に考え方を整理させていただきたいという趣旨でございます。  (3)は,(1)のような取扱いをする会社における株主の配当に対するかかわり方をどうするかという点についてでございます。配当議題追加請求権を何らかの株主に認めるかどうかということでございまして,また,この問題とその特例が認められる会社の範囲に係る要件の在り方をどう考えるかということとが,関連する問題であると思われますので,この株主からの配当議題追加請求権の取扱いいかんと,(2)の①から④まで以外にこの(1)の会社となり得る要件として更に追加すべきものがあるかどうかという議論とを,この(3)において一緒に御検討いただきたいと思います。  (2)の①から④までの要件以外の要件として御指摘いただいてますのは,例えば社外取締役の存在ということですけれども,これらの取扱いと配当議題追加請求権の取扱いとをどのように関係づけるか,あるいは関係づけないかということが,ここで御意見をお諮りしたい点でございます。  (3)の米印は,配当議題追加請求権の在り方として,a案は,現在の委員会等設置会社と同様に,株主にはそのような請求権を一切認めないという整理をするものでございます。b案は,一定の株主--例えばということで100分の3以上の少数株主というふうに掲げさせていただいておりますが--一定の株主に配当議題追加請求権を認めるというような制度を設けるという案でございます。このb案をとる場合に委員会等設置会社についてどう取り扱うかという点は,②の要件の在り方との関係で問題となってくるところでございます。  ②の要件の在り方について御説明いたしますと,①の議題追加請求権と,(2)の①から④までの要件以外の要件として,例えば社外取締役の存在というものを考えるとした場合にはその取扱い等につき,いろいろ組み合わせが考えられまして,例えば②に掲げておりますx,y,zのような案が考えられるのではないかということでございます。  x案は,委員会等設置会社につきましては,現行の規律,すなわち,株主には配当議題追加請求権がないということを維持した上,委員会等設置会社以外の会社につきましては,(2)の①から④までの要件を求めるとともに,例えば社外取締役の選任等というような要件の加重を考えるというものでございます。そのような要件の加重を前提に,(1)の取扱いを委員会等設置会社以外の会社についても認めようとするのがx案でございます。  y案は,株主に配当議題追加請求権を与えることによって,委員会等設置会社以外の会社につきましても,(2)の①から④までの要件のみで(1)の取扱いを認めようとするものでございます。言うなれば,委員会等設置会社における社外取締役の存在,委員会等設置会社と非委員会等設置会社とのガバナンスの違いというものを,株主の配当議題追加請求権で補い,代替するというような考え方がとれるかどうかということでございます。もっとも,その場合に,委員会等設置会社につきましても配当議題追加請求権を株主に与えるかどうかという選択は別途あり得るところでございます。  z案は,まずy案をとった上で,(2)の①から④までに掲げる要件に更なる要件,例えば,社外取締役の選任等の要件を具備した委員会等設置会社以外の会社につきましては株主に配当議題追加請求権を与えないものとするというものでございます。社外取締役の選任等の要件と配当議題追加請求権とを正に代替させるという考え方を委員会等設置会社以外の会社について採ることとするというものでございます。これによれば,恐らく委員会等設置会社につきましては株主には配当議題追加請求権がないという整理になるのが自然だと思いますけれども,そのような整理でよいかどうかということでございます。  それから(4)についてですが,第一読会でもお諮りいたしましたけれども,利益処分等に対する会計監査人の関与につきまして,第一読会でお示しした内容を整理しますと,このような形になるところでございます。会計監査人が期中における剰余金の分配について関与せず,期末の利益処分案についての監査も行わないものとするのがa案であり,b案は現行どおりでございますけれども,期中における剰余金の分配については関与せず,期末の利益処分案についてのみ監査を行うというものです。c案は,会計監査人がそのいずれについても関与し,あるいは監査を行うというものであります。  本日御欠席の○○委員からは,この点についての意見書をあらかじめ御提出いただいておりますので,お目通しいただきたいと思いますけれども,期中における剰余金の分配が少なくとも経営者の経営判断と将来予測というものに基づいてなされるものである限りは,それについて会計監査人が責任を負う形で関与することは合理的ではないという趣旨の御意見でございます。第一読会の御議論ですと,結果的には現行どおりのb案を支持される御意見が比較的有力だったかと思いますが,なおその点についての確認をさせていただきたいということでございます。  第2の1は以上でございます。 ● それでは,この第2の1について御議論いただきたいと思います。  まず,(1)につきましては基本的には御異論なかったのではないかと思います。(2),(3),あるいは(4),このあたりが主たる御議論の対象かと思いますので,(1)はよろしいでしょうか。 ● 一ついいですか。  この利益の資本組入れ等も取締役会の決議でいいというところで,私はそのとき欠席したので申し訳ないのですけれども,このようなものでいいという,そういう合意だったということになるのでしょうか。 ● この米印の一つ目を明示的にこういう形で御紹介するのは今回が初めてであります。  それで,任意積立金の積立て・取崩しと,利益の資本組入れに若干の性質上の差異があることは前提とした上で,なおこういう取扱い方でよいかどうか,すなわち,会社財産が外部に流れ出ない形で,配当財源を減らしたりという方向での行為も含めて取締役会に委ねるか,それとも減らす行為につながるものについてはやはり株主を関与させるか。ここはその二つあると思いますが,原案は,財産の分配がない限りは,取締役会限りでいいのではないかということであります。 ● やはり伝統的な考え方からすると,利益の資本等への組入れというものは株主の利益に結構影響があると思うのですね。任意積立金の積立て・取崩しというのは,これは別に商法上の配当可能限度額算定上は影響が全くない行為ですけれども,利益の資本等への組入れとなると,これをまた配当財源に戻したいと思うと厳格な手続を要求されるわけで,やはりドイツの最近の動向,これまでは取締役会で年度利益の半分は配当しないという方向へ持っていけたのを,もう少しそういうのではないように,つまり株主の配当請求権というのか潜在的な配当請求権を広げる方向で改正があったということも考えると,ここまで取締役会の決議によって行わせなければいけない必要性というかメリットは余りないのではないかなと思うので,この米印のところはもうちょっと慎重に考えた方がよろしいのではないかと思います。 ● 御指摘は分かりました。では,その点は検討させていただきます。 ● (1)ですが,その次の二つ目の米印の「利益処分案又は損失処理案に記載すべき事項がないとき」の具体的意味なのですが,結局,自己株式は期末から定時総会までに期末の決算が確定しますね。5月の連休前後に。それで,自己株はその間でも,前年度の定時総会の決議でやっているからいいじゃないかと言われるとそれまでなのですが,それまでの利益配当をするときに,1年と2か月前の決算でいいのか。そこら辺,これはどういう趣旨なんでしょうか。 ● 米印の二つ目は,財源規制のカウントの起算日については何も触れておりません。すなわち,今,○○委員から御指摘のあった点については十二分に検討すべき事項ではあるのですが,この米印で何かをしようとしているものではありません。  それで,この米印自体は,まず剰余金の分配,いわゆる今利益配当として行われているものは(1)の本文の制度として整理され,任意積立金等の積立て・取崩しに関しても別の制度に整理されると。  それから,(2)の米印の二つ目にありますけれども,役員賞与等の取扱いについてどういうふうにすべきかという問題はありますが,こういう処分を行わないということであるならば,現行,利益処分案に書くべきものというのがなくなるものですから,その場合に限ってはあえて作成しなくてもよいということとしていいかどうかという趣旨にとどまるものです。 ● ちょっとよく意味が分からないのですが。では,定時総会で利益処分案,つまり期末から定時総会までにやられた利益処分について,期末までのやつと同じ取扱いでいいのかどうなのか,そこら辺がちょっとよく分からなかったのです。同じだと言われればそうかなと思ったりもするのですが。自己株はそうだと言われればそうだと,しかし利益処分はちょっと違うのかなという気もしますので。 ● 要するに,3月決算の会社を前提にすれば,四六に行われる中間配当的な金銭分配の取扱いについてはかなり問題でありまして,そこについては引き続き取扱いを検討させていただければと思います。  それともう一つは,自己株式が既に行われていますので,これとの関係も若干難しい問題があるということは理解しております。 ● では,なお検討させていただくということで。  時間が大分押しておりますが,(2),(3),これは関連する問題でありますが,非常に重要な問題でありますが,御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。 ● 株主が,配当について自分たちが直接かかわる形で決めるという商法のこれまでの基本線というのは,やはりそれなりに大変大きな意味のある重要なことだと思うわけです。  ところが,これを見直す動きになってきたのは,一歩先んじて委員会等設置会社についてガバナンスが少々強化されたからという形で動いたということもございますけれども,何よりも大きな理由は,期中において剰余金が随時分配されるということを割合認めてきたものですから,従来のようなものだけではなかなかいかないのではないかという需要も出てきたということかと思うのですが,そうだとするならば,制度を動かしながら従来重要だと思われてきたものを生かす仕組みは何かという観点から考えたときに,最も適切なのは株主からの配当議題追加請求権であろうと思うわけです。だから,むしろ,これがきちんとしている限り,比較的緩やかな要件でもって認めても構わないとさえ言えるのかもしれない。  私も,先ほどの○○幹事の御意見に全く賛成でして,利益の資本等への組入れ等は配当をしにくくする方向ですから,これは取締役会だけで簡単に決めていただいては困る。しかし,分配をしていく方については取締役会の判断にある程度任せてもいいが,問題は,取締役会がちっともそれを提案しないときに,もっと配当をした方がよいという提案を株主たちの方から出していける,これが,これまでの趣旨を生かす一番の道だろうと思うわけです。  そうだとすると,この株主からの配当議題追加請求権をどのような要件で認めるかということが重要になるわけですから,そうだとすれば,従来は提案権でもってこれは提案できたことですね。ですから,提案権の要件で認めるのがよいのではないかと思います。  かつ,x案,y案,z案ということになりますと,やはりy案が適切なのではないか。委員会等設置会社においても,確かにガバナンスは強化されていますけれども,株主からのこのような配当議題追加請求権を否定しなければならないほどのものではないのではないかというように考えます。 ● この株主からの配当議題追加請求権に関連してですけれども,実は,これは,取締役が配当しないという問題のみならず,この配当議題についてもし承認決議されるということになったときは,会社からその株主について配当がなされることになるわけで,そうしますと,実際は,いろいろな種類株を発行している場合は,その種類株主間で利害の対立というのがあるわけですね。例えば,転換予約権付株式というものを発行していると,その転換予約権付株主の利害というのは,今配当するよりも,むしろそれを再投資してもらって将来のゲインをねらうという利害があるわけなので,したがって,今配当してもらっては困るという株主がいる。他方,今配当した方がいいという株主がいるような場合の,その株主間の利害対立という問題に対して,単純にこの配当議題追加請求権を認めていくということで,一体,株主間の利害調整は十分図られるのだろうかというと,ちょっと疑問があるような感じもして,この辺のところはどういうお考えでこの配当議題追加請求権というものが出てきているのかなというあたり,もし分かればと思いますが。 ● まず,現行の委員会等設置会社以外の会社について種類株式が発行されている事態を考えれば,これと同じような事態が起こり得ると。これに対する手当てというのは,多分,定款の定めで配当の仕方が種類株式ごとに決まっていること以上のものは,従来からはなくて,平成13年の臨時国会のときに改正をした拒否権みたいな制度を入れれば,一定の配当議題に対して利害関係を有する種類株主が拒否権を発動することができるという形で利益保護を調整しようということではないかと思うのです。  多分,おっしゃっている趣旨を進んで実行しようとすれば,今の346条みたいな形のものをエクイティーの発行の場面以外にも及ぼしていくことを明確化していくかどうかという議論になるのだと思いますけれども,原案を考える時点ではそこまでのことは考えていなくて……。 ● だから,押していくとそういう方向にたどり着きそうな感じがするとすると,ですから,これは,配当するかどうかというのは実は非常に複雑な問題であって,そう簡単に割り切れる問題ではないということになると,むしろこういうものは認めない方向を原則として,配当しないことが会社の利益の最大化という観点から見ても非常に問題であるというような場合は,取締役会の濫用といいますか,裁量,配当政策そのものの濫用というような形で押さえていく。その場合は,もしそういう枠組みをとると,いろいろな要素を考慮して,配当を認めるのがいいのか,認めないのがいいのかということについて,かなり柔軟な,いろいろな要素を考慮した解決がとれそうで,むしろそっちの方がいいのではないかなと。この配当議題追加請求権というものをストレートに認めて,その場合のいろいろな株主間の利害調整も含めて調整のメカニズムを用意しないままに,これを卒然と入れ込むというのは,ちょっと何か問題がありそうな感じを私は受けております。 ● 恐らく意見照会にはいろいろな案を提示せざるを得ないとは思うのですが,いろいろな意見を今おっしゃっていただければ有り難いのですが。 ● 今の○○委員の御発言の点につきましては,恐らくここで考えている基本的な前提としましては,経営陣といいますかインサイダーは,いわゆるフリーキャッシュフローが生じた場合においては,やはり手元にとどめておきたいという潜在的な利益を持っていて,少なくとも上場会社の株主一般の利益は,それをできるだけ出してほしい,株主に還元してほしいということだという基本的な利害対立の構造というのを前提にしてこのような提案がなされたのではないかと理解しております。  そのような利害対立ということを考えた場合におきまして,私はz案を支持したいと思うわけです。具体的に言えば,要するに社外取締役の選任か配当議題追加請求権かのどちらかを選ぶと。選ぶと言うとおかしいですが,どっちかは入っているということが必要ではないかというふうに思っております。  と申しますのは,委員会等設置会社においてのみ,現在,取締役会決議のみでの利益処分が認められているというのは,あれは少なくとも社外取締役が二人入るということでありまして,物的資本の拠出者からの代表が一応ボードの場におきましてインサイダーと交渉ができるということを前提にしているわけで,これは単にモニタリングの話ではない。ですから,監査役がいればその点は問題ないという話ではない。ただ,監査役設置会社につきましても,株主の代表としての社外取締役が出て,フリーキャッシュフローを還元してくれということが言えるような制度的前提があるのであれば,それはそういう考え方はあり得るであろうと。ただし,それができないのであれば,配当議題追加請求権を保障することによって,例えば東京スタイルのようなこともあり得べしという保障をつけるという必要があるのではないか。そういう意味でz案を支持したいと思います。 ● 私が何を発言しようとしているか,恐らくもう御理解いただいていると思うのでありますけれども,x,y,zとありますけれども,そもそも最初に,「①a案を採用し,委員会等設置会社以外の会社につき,(2)①から④までに掲げる要件とする」という基本類型が抜けていることについて,いろいろと御議論もおありのことでしょうけれども,極めて強い不満を覚えているところであります。 ● この問題は非常に意見が対立するので,当然ここで決着はつかないと思いますので,むしろ,意見照会をするときにどういう書き方が適当かという観点から意見を申し上げたいと思います。  一つは,○○幹事がおっしゃったような,社外取締役を重視する,カウントするという考えも非常に強いと思いまして,その観点から見ますと,(3)の配当議題追加請求権等のところの柱書のところには,「例えば,社外取締役の選任等をも要件とすることとの関係について」と書いてあるのですが,その後の②の要件の在り方のところを見ると,単に「何らかの要件を加重する」としか書いていなくて,一体具体的に何が入るのか分からないので,さっきの○○幹事は正にここにまず社外取締役が入るということをおっしゃりたいと思いますので,そういうことをもうちょっとはっきり書いていただいた方がいいのではないかと思います。  それから,株主による配当議題追加請求権についても,どういう考え方から出てきたのか,まず,そもそも14年改正のときの経緯を考えますと,あのときは,特に○○委員の御意見として,機関投資家が非常に重要性を増していること,そして彼らの発言を重視する必要があることからは,やはり株主総会という場で決めることが重要ではないかという御指摘があったと思いますが,これを見ると,あくまでも総会の決議事項から外すことを前提にしたことばかり書いてありますので,そういう意見もあると。そして,そういう考えについてはどうかということも,できれば明らかにしてほしいと思います。  また,配当議題追加請求権から言いますと,今の○○委員のようなお考えとの比較で考えますと,b案の「一定の少数株主(例えば,総株主の議決権の100分の3以上)」というのは,これはなかなか重い,機関投資家でも3%以上持っているというのはそんなにないわけで,そういう声をもっと反映させたいということであれば,100分の1ぐらいの方がむしろ適当かという気もしますので,そういった点についての意見照会もしていただければ有り難い。  最後に,私は,○○委員がおっしゃったように,配当の方針というのはいろいろな考慮をしなければならなくて,なかなか単純にいかないというのはそのとおりだと思っていまして,大きなあれとしては,(2)の④の情報開示の充実ということとあわせて,ガバナンスの強化の中でやっていくというのが方向かなと思いまして,それを考えますと,この情報開示の充実というのは一体具体的に何を開示させるのかということを言わないと,ねらいがはっきりしないのではないか。特に,会社の経営方針,あるいは財務の現状と今後の見通し,そして今後の設備投資等の必要性あるいは資本市場との関係等を考え,あるいは○○委員がおっしゃったようないろいろな種類の株主の間の利害調整等を含めて,どういう配当方針をとっていく必要があるのかということを開示してもらうことが一番重要であって,そういうことを書いていただかないと,単に「株主に対する情報開示の充実」というだけでは,意見照会をされた人がどう答えていいか分からないと思いますので,もっとそこら辺を書き込んだ意見照会にしていただければと思う次第であります。 ● 大変有益な御示唆をありがとうございました。 ● 私のバックグラウンドからすると,株式がいわば市場性を持って価格がついている限りは,その配当決定の権限をどこに置くかということについてはそれほど私はこだわらないのですけれども,余りその話をするとここの枠組みから外れますので,ラジカルなことは言わないことにして,非常に瑣末なことを1点だけコメントしたいのですけれども。  (2)の米印の二つ目,役員賞与等を一律禁止するか,又は株主総会の決議等一定の要件のもとに認めるかという問題なのですけれども,このこと自体はそれほど重要と思わないのですけれども,仮に一律禁止しますと,会計上厄介な問題が出てくるということだけ,一つ申し上げたいのです。  つまり,特定の会社について一律に禁止しますと,役員賞与が,その範囲の会社については全部通常の費用の項目になってしまいますし,そうでなくて禁止されていないところについては利益処分の方に入ってくるということで,大変厄介で,そうすると,特に会計士さんのような発想をとる方は,役員賞与でやっていても,何か,会計上は利益処分でやらずに費用の方に移さなければいけないんじゃないかとか,そういうことをいろいろ考え始めるのですね。それで割につまらない議論になってしまうのではないかというふうに私は思いますので,そういう余計なコストを避けるためには一律禁止はやめた方がいいという,そういう感じはいたします。 ● 私も,この問題については昨年の10月にこの部会に書面でお出しいたしまして,そこに基本的な考え方を書いてございまして,先ほど○○委員がおっしゃった御意見に全く同意見でございます。  一言つけ加えますと,先ほどの,ある要件をつけ加えるという問題について,○○委員は情報開示の問題を非常に重要視されましたけれども,社外取締役とかそういう要件のほかに,情報開示の一環として,剰余金処分の方針というものを取締役会から詳細に開示するという点を重要視してはどうかというふうに思っております。 ● いろいろ有益な御意見をいただきましたので,これは何らかの形で,併記の形で意見照会せざるを得ないと思いますので,今日の御議論を参考にいたしまして,改めて第三読会に出させていただきたいと思います。  ちょうど○○委員が今日は御欠席ですので,(4)以降は次回にやるということで,今日は(3)まで終わったということにさせていただきたいと思います。  大変長時間,熱心に御議論いただきましたが,そろそろ時間でありますので,審議を終わらせていただきたいと思います。  最後に,事務局から連絡事項があります。 ● ほぼ予定どおりの御審議をちょうだいいたしまして,ありがとうございました。  次回は,9月3日の午後1時から,場所は法務省本館第1会議室,20階でございますが,そちらになります。御参集のほど,よろしくお願いいたします。  次回は,本日の部会資料9の最後まで必ず御審議をいただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 ● ということで,次回は少々遅くなるということを御承知おきいただきたいと思います。  それでは,本日は大変長時間,ありがとうございました。本日の会議は終了させていただきます。