法制審議会会社法(現代化関係)部会第12回会議議事録 第1 日 時  平成15年9月17日(水)   自 午後1時00分                         至 午後5時50分 第2 場 所 法務省第1会議室 第3 議 題 会社法制の現代化に関する要綱試案(案)のたたき台(1)について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● まだこれからお見えになる委員・幹事の方もおられますが,予定した時間が参りましたので,第12回会社法(現代化関係)部会を開会することにいたしたいと存じます。本日は御多忙の中御出席いただきまして,ありがとうございます。   それでは,早速,配布資料につきまして事務局から説明をお願いします。 ● あらかじめ送付させていただきました資料は,本日議題とさせていただきます,部会資料番号10「会社法制の現代化に関する要綱試案(案)のたたき台(1)」でございます。   それから,本日の議事に関しまして○○委員から意見書をいただいておりますので,お配りしております。   また,特に社債に関連して,全国銀行協会から,これまでのここでの議論に関連いたしまして意見書をちょうだいしております。あわせてお配りしておりますので,当該事項の審議の際に御参照いただければ幸いでございます。 ● 配布資料につきまして,何か御質問ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,本日の審議に入りたいと存じます。   本日は,この部会資料10につきまして審議をお願いするわけでありますが,今後の日程の関係上,試案の策定に向けまして,本日中にこの部会資料10の審議を是非とも終えていただきたいと存じます。前回も大変長時間御審議いただきましたが,本日もよろしくお願いいたします。   まず,部会資料10の「第1部 基本方針」から「第3部 合名会社・合資会社関係」までにつきまして,事務局から説明していただいた後,順次御審議いただきたいと存じます。   それでは,事務局の方から説明をお願いします。 ● 第1部から第3部までにつきまして御説明さしあげる前に,本日の部会資料の,たたき台(1)についてですけれども,最終的にはこの秋に公表するということが対外的な公約となっております中間的な試案の取りまとめに向けまして,事務局において,一読,二読の議論を踏まえ,いろいろと御意見が分かれるところはありつつも,とりあえず試案としてはこのような形で意見照会をさせていただいてはどうかという趣旨で,表現ぶりも含めて,前回までの資料に手を加えて,更に事項を並びかえるなどして整理させていただいたものでございます。   次回の資料としては,たたき台(2)を用意させていただいておりまして,もう発送準備を終えているところでございます。たたき台(2)はこれよりは枚数は少ないのですけれども,議論していただくべき事項は多々あると思います。そのため,次回の会議の場所を地下1階の大会議室に変更させていただくことになりましたので,あらかじめお伝えしておきます。よろしくお願いいたします。   それでは,第1部から第3部までにつきまして,御説明いたします。   第1部は,この会社法制の現代化に関する試案(案)の基本方針をうたおうとするものでございます。第2回の部会におきまして,一応このような形で進めさせていただいてはどうかということで,部会資料1に掲げさせていただいた内容とさほど異なるものではございません。現代語化を図るとともに,実質的な改正もあわせて検討するということ,それが第2部以降の事項であるということをうたおうとするものでございます。   続きまして,第2部から実質改正の中身に入るわけでございますが,本日の部会資料につきましては,主として試案の内容としてこのように掲げてよいかどうかということについてまだ議論が尽くされていないもの,あるいは,前回までの議論の中で,新たに検討すべきものとして指摘された問題点等を中心に星印をつけてあります。それらを中心に御議論いただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。   「第2部 総則関係」は,「会社の商号」,「支店の所在地における登記事項」,「使用人」,この3点についてでございます。   まず類似商号規制についてですが,この点は第一読会の際に御議論いただいたところですけれども--第一読会での資料からは表現ぶりを変えておりますけれども--議論の趨勢としては,商法19条による類似商号規制を,少なくとも会社に関しては廃止するという方向が多数意見であったのではないかというように承知しております。(注)も含めて,このような形でうたわせていただいてはどうかということでございます。   問題は商法20条の取扱いでございまして,それが(2)でございます。これまでの御議論では,このa案,b案,c案のいずれにつきましても支持する意見があったところですので--特に本日これを議論してどれか一案に収斂させなければならないというほどのことでもないような気もいたしますので--とりあえず試案としてはこのような形で掲げさせていただいてはどうかという趣旨でお諮りするものでございます。   (注)についてですが,商法21条については維持すべきであるという御意見が多数であったと記憶しておりますので,その方向性を打ち出そうとするものでございます。   それから,「2 支店の所在地における登記事項」についてですが,これは「3 使用人」の「(1) 支配人の登記」とも関連いたしますけれども,これらについては,基本的には余り御異論がなかったものと承知しているところでございます。   なお,3の(1)の(注)ですが,現在の支店における登記の効力に関する規定は支配人の登記以外には余り意味を持たないもののように思われますので,そうだといたしますと,支配人の登記について(1)の本文のような整理をすれば,必然的にこの(1)の(注)のような手当てをすることになるのではないかという点を注意的に明示しようとするものでございます。   なお,「3 使用人」の(前注)として,会社の使用人に関する規定を会社法の中できちんと規定するということをうたっております。法制的にはさらなる検討が必要ですが,一応このような方針でどうかというふうに考えているところでございます。   それから,「3 使用人」のところでは,(2)の「会社の支配人の競業避止義務等」の扱いについて,本日,若干の御議論を賜れれば幸いでございます。先般の改正によりまして,「業務担当取締役」なる概念が会社法上に存在するようになったわけでございますけれども,それと支配人との競業避止義務等にかかわる規律について差を設けておくべきかどうかという点についてでございます。二読で,支配人に関する規律の在り方につき見直すべき点はないかということをお諮りしたところ,格別の御意見をちょうだいしなかったのですけれども,一応,この点について,試案として何かうたうべきかどうかということを御協議いただければ幸いでございます。   「第3部 合名会社・合資会社関係」ですが,1の本文,(注1),2,それから4の本文,(注1)は,基本的に御支持いただいている内容ではないかと思われます。特に御異論があった事項ではございません。   本日新たに書き加えさせていただいております点は,1の(注2)と4の(注2)でございます。   まず,1の(注2)は,仮に1の本文のような整理をしたとした場合の合資会社・合名会社という商号の使い分けに関する規律を例えばこのようにするということでどうかというものでございます。ここで結論を出すというわけではありませんが,(注2)のような形で掲げて整理をさせていただくことでいかがかという点をお諮りしたいと思います。   4の(注2)は,仮に4の本文--合名・合資会社から株式会社への組織変更--を端的に認めるということにいたしますと,それとは別に合名・合資会社と株式会社との間の合併等について殊更規律を残しておくだけの意味合いがあるのかどうか,要するに,組織変更をした後で株式会社として合併すればいいというような整理も考えられますので,その見直しの可能性を残しておくという趣旨で掲げさせていただこうとするものでございます。   それから,問題は,3の「法人無限責任社員」についてでございます。端的に商法55条に関する規律について廃止する方向で検討するということを試案として打ち出すということでいかがかという点を再度お諮りしたいと思います。   もっとも,商法55条は会社の権利能力制限規定としての意義しかありませんで,合名会社あるいは合資会社の無限責任社員の社員たる資格について法人であってはならないという規律が明示的に置かれているわけではないという問題がございます。現代化に当たりまして,もし法人一般が社員となることはできないということになりますと,その旨の規定をあえて置かなければいけないかどうかという問題も生ずるところでありますが,とりあえず,55条の見直しという方向であればその問題も避けることができるということでございます。   なお,仮に3の本文をこのように掲げさせていただくこととする場合には,(注2)のような形で--これに伴う弊害の防止策の必要性につきましては,いろいろと御指摘いただいているところがあるわけですけれども--検討の方向性を打ち出すことでどうかということをお諮りしたいと思います。   取り急ぎ,第1部から第3部までの説明は以上でございます。 ● 先ほど事務局から説明がありましたように,本日は,時間の関係もありまして,主として星印がついているものを中心に御議論をいただきたいと思います。もちろん,星印がついていないものにつきましては,これで決まるというわけではなくて,とりあえずこういう形で意見照会するということではどうかということでありまして,なお意見照会の後,実質を御議論いただけることは当然のことであります。   それから,星印の議論が済みました後,なお星印がついていないものにつきまして是非この点は議論してほしいということがありましたら,どうぞ御遠慮なくお申し出いただければと思います。   それでは,まず「第2部 総則関係」の1の(2),19条,20条関係,まあ21条も潜在的には含んでいるかと思いますが,この不正競争目的の商号使用等につきましては,いかがでしょうか。この点,こういう形で意見照会するということでどうかということでありますが。 ● 実は,この問題につきまして,7月10日付で書面を出させていただきました。時間の関係もありますから,どういう内容を記載したかということを--今日は配布されておりませんので--ごく簡単に,短時間で申し上げさせていただきたいと思います。   確かに,19条の規定は,こういう狭い地域に非常に密集して会社ができてきたという状態で,新規に設立しようという会社が商号を選択するのに,まず登記するのに一つの桎梏になっているという実情は,私もいろいろな実務を通して理解しているわけですけれども,ただ,一つは大都市と地方とで相当事情は異なるであろうという点と,もう一つは,かなり古くから同一商号を使っているという会社も大変多うございまして--私の関与している会社でも,創業300年という会社がありまして,そこは江戸時代の屋号をそのまま商号に使って,合資会社,更には株式会社になってきたという会社であるわけでございまして--そういう古くから同一の商号を使っている会社の利益というものも無視できないであろうと考えまして,もし19条を全面的に削除いたしますと,そのような会社としては,極端に言えば,同一商号の会社の登記が隣地にされるということも登記上は可能ということになりまして,それを不正競争目的ということで争う以外に方法がないという状態になりますので,この19条の削除というのは影響が小さくはないだろうというふうに感じるところでございます。   ただ,19条は,「他人ガ登記シタル商号」というふうに規定しておりまして,一方で,商業登記法27条が,「他人が登記したものと判然区別することができない」ものも却下するという規定になっております。この点,商業登記法27条の解釈について,商法20条1項の類似商号と同義であるのか,あるいはこれより狭い観念か,これについて多少見解の争いがあるようでございまして,そういう意味で登記申請のときに多少の混乱を感じるというのが,司法書士さんたちの話として聞いているところでございます。   ですから,私がこの間書面に記載させていただきましたのは,この商法19条を維持した上で,商業登記法27条を改正いたしまして,登記申請のときのチェックとしては同一商号に限定するという方法をとってはいかがかということでございます。   今日のこのたたき台に書かれております,「既に登記されている会社と同一の住所の会社は……登記することができない」という案は,私の書面で言えば予備的主張ということになっております。   19条に関しては,以上でございます。   20条,21条については,特段,またこの私の書面をお読みいただく,あるいはこの試案でも維持するという基本的な方向性になっておりますので,詳細な御説明は省略させていただきますけれども,20条2項につきましてついでに申し上げますと,このa案,b案,c案の3案を提示するということで問題ないと思いますが,(1)の「類似商号規制」を,19条を維持するという私の考え方でなくて,この(1)の案でいくときには,これだけ登記を自由化するときには,恐らく登記に不正競争目的の推定力を持たせることは困難になってくるのではないかと,現時点ではそのように感じておりますが,意見照会としては,a案,b案,c案でしていただくということでもちろんよろしいと思います。 ● 御意見は,1の(1)について,もうちょっと表現に工夫を加えて意見照会をしてもらいたいという御意見かというふうに伺いましたが。 ● 結局,違うところは,同一住所というふうに限らないで,同一商号に限るけれども,その範囲が市区町村という現行法の範囲とするというところが若干違うということでございます。 ● それから,19条についてこの(1)のようなことになりますと,20条2項はそのままでは維持できないことは確かですね。 ● だと思います。   もし,19条を,私が申し上げたような,同一商号に限定して,それこそ商業登記法27条を別に置いておいて,19条の他人が登記したものと同一の商号というものを,これを同一商号と見て,その範囲で推定力を及ぼすということは可能だろうと思います。ですから,そういう,同一商号に限って市町村の範囲内で登記禁止という見解をとれば,推定力はいまだに生きるというふうに見てよろしいかと思います。 ● この(1)は私もちょっと表現は気になっていまして,19条は類似商号規制とは言っていないですね,学問的には。これは,○○委員がおっしゃるように,せいぜい判然区別できないものについて登記を受け付けないということでありまして,類似商号というと,学説上はもうちょっと広いものまで含んでいるように言っているのではないかと。だから,ちょっと表現自体は私も気になっているところがあるのですが,どっちを言っているのか余りよく分からないというところがある……。 ● 法文上も,20条,21条で初めて「類似商号」という文言が出てまいりますから。19条では,あくまでも「他人ガ登記シタル商号」としか言っておりませんので。 ● 文字通りは同一商号のことですよね。その点,ちょっと表現を,この(1)も考えてください。   ほかに。 ● この(1)の(注)に付加して,かかる商号規制の廃止に伴い,定款の事業目的の記載が柔軟化されることとなる,例えば「その他合法的な事業」という記載も登記所としては受け付けることにやぶさかではなくなる,というふうなことを入れてくれると,よりポリシーがよく出てくると思うので,御検討をお願いしたいと思います。 ● そうですね。趣旨,なぜこういう提案が出てきているかということの説明としても,もうちょっとつけ加える必要があるかと思います。   (2)についてはよろしいですか。この三つは論理的には必要だと思うのですが,これ以外に何かあるかということですが,とりあえず意見照会としてはよろしいですか。   それでは,3(1)のところの(注)ですが,これは商法13条について削除するということになったと思うのですが,要するに,支店登記,支店について登記してあることというのは実際ほとんどなくなってしまうわけですね。ですから必然的に13条はもう要らないという趣旨だと思いますが,この点はよろしいですか。 ● 今日取り上げていいのかどうか分かりませんけれども,今の支配人登記とあわせて,2の支店登記について確認なのですけれども。   このようなことになりますと,結局,支店における取引相手が会社に対して訴訟を起こそうというとき,当然,その会社の代表者あるいは支店の支配人の名前が分からなければ提訴できないわけですけれども,この案ですと,そういうときは本店の登記を見て確認してから提訴をすべきであると,いわば訴えを起こす取引相手の方がそれだけのコストを負担して提訴しろというふうに,ある意味で言うと利害関係を変えることを含む意味だということでしょうか。 ● これは,支店から本店の登記の内容は分かるんでしょう。 ● ええ,それは分かりますけれども,そこにワンクッション入るということは間違いありませんので,それをどの程度の負担と見るべきかどうかということです。 ● 実質上どれぐらいの負担になるのですか。そういう場合。 ● 手数料を2倍取られるんじゃないですか。 ● 手数料だけの話ですか。 ● 要するに,支店の謄本を1回とって,その登記所で本店の謄本を請求するということで,2倍プラス,交換でやるので,その100円分ぐらい上乗せになると思いますけれども。基本的にはそういうことです。それ以上にはかからない。 ● 分かりました。 ● そういうことですが,よろしいですか。 ● 異論があるわけではないのですが,確認ですが,2と3が関連するので,3のところでお聞きした方がいいのかもわかりませんが,3のところでは,会社の使用人に関することも排除するという前提で御説明になっていると思うのですが,2のところで,「会社の支店」と,会社に限定された趣旨はどういうことなのかなという,つまり,3の(前注)との関連で何か気になるのですが。限定する必要があるわけですか。もちろん,「会社の商号」となっているからこうなるのでしょうが。 ● 会社以外についても……。 ● 実質も,意味があるのは会社ですからいいのですが,総則の話だと……。   つまり,3の(前注)との関連でちょっと気になったというだけで,実質99.9パーセントこれで問題はないと思うのですが。 ● ここでは,会社のことしか議論しないという整理をしております。第2部の「総則関係」の「総則」とは,会社法制の総則という意味でございまして,商法総則そのものを指す趣旨ではございません。商法総則の中の会社に関する規律についてこのような整理をさせていただくことはどうかという趣旨でございます。さらにその上で,商法総則自体の商号,商業登記の規律をどうすべきかという点については,派生的な問題として議論していただくべきであろうとは思いますけれども,とりあえず,試案の取りまとめ方としては,会社法制に係るもののみを取り上げるという整理をさせていただこうとしている結果,「会社」という限定を付しているということでございます。 ● 趣旨は分かりました。 ● 一応,総則の規定には手は触れられないという前提で御議論いただいていいのだろうと思います。   3(2)の支配人の競業避止義務等についてはいかがでしょうか。これは取締役とずれがあることは確かなのですが。支配人のことについてはよく分からないのですが,いかがでしょうか。 ● これについても特に異論があるわけではないのですが,余りここでしつこく言うのもどうかと思いますが,従来は,支配人は雇用関係で従属関係だと,したがって職務専念義務を課してもいいと,これに対して,取締役は業務担当取締役であっても委任関係であるので,競業避止義務だけであると,こういう説明をしてきたのですが。確かに,競業避止義務などは,取締役でいったら,忠実義務とか,会社法上の問題がありますが,支配人については,会社法上,使用人という枠組みでやりますと,現行を維持するか,あるいは,少し少なくするなら,これについても契約に任せて,特別規定を置かないという選択肢もあるのかなと思ったのですが。つまり,職務専念義務を課す,会社法上の取締役と同じルールにする,契約に任す,この三つの選択肢があってもいいのかなと思ったのですが,なぜ取締役と一緒にされたのか,趣旨をもう一回御説明いただければと思いますけれども。 ● 特段,どうしてもこのようにしたいというわけではないのですけれども。業務担当取締役との関係で気になる面がないということであれば,現行のままでも構わないのですけれども。 ● 試案で皆さん方のパブリックコメントを求めるには,いろいろなことをお聞きになった方がいいから,これ以上時間を費やすつもりは毛頭ありませんが,そういう感想を持ったということだけテークノートしていただければと思います。 ● 私も,この支配人についてどうしたらいいのかよく分かりませんから,今の実質をいじるのは余り賛成ではないのですが,一応意見照会に出すということで。ですから,意見照会にはなるべくいろいろなことを聞いた方がいいということであれば,○○委員のおっしゃるような選択肢も書いておくというのは一つの手ですけれども。あえて何か是非こうしたいというわけでもなさそうですけれども,一応いろいろなことを検討しておかないと,後で内閣法制局との関係とかかなりいろいろなことがあるから,事務局も出してきているのだと思いますが。   この3(2)の点について,何かほかに御意見ありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,後の方がまた重要ですので。   第3部の1の(注2)でありますが,この点につきましてはいかがでしょうか。この本文のような整理をするとすると,この(注2)のようなものが必要になるのではないかということですが。--一応よろしいですか,これにつきましては。   次が,従来からいろいろ御議論があったところでありますが,3でありますけれども,一応こういう形で意見照会してはどうかということでありますが,なお表現等につきましていろいろ御意見があるかと思いますが,いかがでしょうか。 ● これについては度々発言いたしまして済みません。   杞憂なのかもしれませんが,制度というのは,どうしても本来ねらったとおりに利用されない場合も多いものですから。中間法人でも,いろいろ心配したとおり,やはり実際には営利目的の中間法人が大分できているようでありますし,そういうことを考えますと,これも前回申し上げましたように,ドイツで実際に問題になっているように,合資会社の唯一の無限責任社員に有限会社がなるような形で,実質的に物的会社の規制あるいは有限会社の規制を合資会社の形でくぐるということが出てくることは一応考えた立法をしておく必要があるのではないかと思います。   問題として考えられるとすると,三つぐらいあって,一つは,物的会社であるところの資本充実関係がどうかということ。二つ目に,ガバナンスのルールがどうか。三つ目が,ガバナンスに関連して,ディスクロージャー関係が合資会社であることによって弱くならないか。ドイツでは最後の点が一番問題になっているようでありす。   そこで考えますと,資本充実関係は,唯一の無限責任社員に有限会社がなっても,そちらの方で最低資本金の方が働いてきますから,これは余り重大に考えなくてもよいかなという気はします。   第2点目のガバナンスのところですが,合資会社ですと,常に業務執行者には無限責任社員がなるということになりますと,唯一の無限責任社員に有限会社がなって,その有限会社の代表者が業務執行権限を行使して,それ以外の有限責任社員は業務執行者を選ぶ権限がないということになります。有限会社ですと,当然,取締役は社員総会で選ぶわけですけれども,いわばそれがくぐられて,業務執行者を有限責任社員が選ぶチャンスがなくなるということになり,いわば制度的に永遠にそのチャンスがないわけですので,そういうことでいいのかなというのがやはり気にはなるところです。この(注)のところで書いてある,「当該法人の職務執行者の指定等の所要の措置」という中にそういうところまで考えておられるのかどうかは分かりませんが,恐らくそうではないのではないかと。単に,唯一の無限責任社員に有限会社等がなったときの,そこから派遣される業務執行者がどうかという点だけのことを考えているのかと思いまして,そこら辺について,なおもう少し,起こり得る弊害について意見を聞くような表現があってもいいのかなと。   もう一つがディスクロージャーの点,これが,さっき言いましたようにドイツでは一番問題になっていまして,具体的に考えてみますと,合資会社の有限責任社員の権利は,153条の監視権など,極めて限られた権限になっていますし,また,そのときも,合資会社は人的会社なものですから,商法総則の計算規定しか適用がなくて,貸借対照表だけ作成すればいい,請求して見ることはできますけれども,その見ることができるのも,当然作成される貸借対照表だけで,損益計算書その他の計算書類はそもそも作成もされないということになって,ディスクロージャーの観点で,果たしてこれはそれでいいのかと。若しくは,ドイツのようにそのような形態が一般化したときにそういうことがあっていいのかというのは若干気になりまして,会社法典として整備するならば,むしろ合名・合資会社だって損益計算書をつくった方がいいのではないかという気もしますし,そこら辺の計算あるいはディスクロージャーの点で,仮にそういうのを認めるとすれば,何らかの手当てを考える必要がないかというようなことを一言聞いていただけたら有り難いと思う次第であります。 ● この3は,御承知のことかと思いますが,LLC,LLPの関係で出てきていますので,そちらの議論はまた後ほど,意見照会前にされると思いますけれども,それに関連して,先ほど御指摘のあったディスクロージャーの問題とか,いろいろなことを議論すると思いますが,御指摘はここにも入れておく必要が確かにあるかと思いますので,その点は事務局に検討してもらいたいと思います。   ほかにありますでしょうか。 ● もとに戻らせていただいて,1の(注1)のことで,(注1)もこれでよろしいのですが,(注1)と(注2)を読み比べると,結局,合資会社のすべての有限責任社員が退社した場合には,無限責任社員だけになって,実体はもう合名会社と一緒なのですが,これについては,ずっと合資会社の商号でも実害ないからいいということなのか。実害ないからいいと言われても,それが合資会社かと言われると……。つまり,162条の現行ルールは,それなりの美意識というか,ある種の整理をしているのですが,大雑把という日本語が不適切なのは十分分かっていますが,まあこういうことになるのかなと思いつつ,何かちょっと……。 ● 私もその点は気になっていたのですけれども,どういうふうに商号が当然に変わるのか,まさかそんなことはないかなと。 ● それから,162条だと,2項で,合名会社として継続した場合,設立の登記をすると,3項で,2週間以内にと。この2項,3項あたりのことをすることは否定されないのか,あるいはこれを義務づけるのかとか,そこら辺の整理かなと思ったりはしたのですが。つまり,1年以上も無限責任社員がいないけれども,合資会社の商号で何で悪いと言われたら,何も悪くないようなので,法律家の無意味な技術論だと言われれば黙りますが,ちょっと,なお検討していただければ。成案がありませんので,やむを得なければこれで結構ですが,少し御検討いただければと思います。 ● いや,この案はいろいろ整理すべきところがあると思います。   ただ,この案は,当然に合資会社が合名会社になってしまうということを制度の前提にしているのですね。   あとは,4の(注2),これは星印はついていませんけれども,新しい問題のようであります。現在は,合名会社・合資会社については株式会社への組織変更は認められておりませんけれども,これを認めることにすると,現在は株式会社と合名会社は合併できるのですが,そういうことが要るのかとか,そういう問題の提起でありますが,一応こういう(注)をつけて意見照会するということについてはよろしいでしょうか。 ● 技術的なことで。   13年のように解説もお書きいただくという前提で,この(注2)についても,我々は,組織変更手続があったから要らなくなるだろうということが分かりますが,そのようなことを一々(注)に書くのはいかがかとは思うのですが。解説か何かのところでちょっと御説明いただいた方が,パブリックコメントを求めるときに滑らかに理解しやすいかなと思いますので,これはこのままでいいですが,解説をお書きになるなら,そこら辺も配慮してお書きいただければと思います。 ● 意見照会には,従来は,これに解説がつくか,あるいは雑誌に解説が出るか,いずれかではあったと思うのですが。 ● 試案自体は,部会での御議論を取りまとめていただいたものとして公表させていただくわけですけれども,その取りまとめに至る議事を反映させた,解説的な補足説明を,従前,参事官室がかかわる立法作業におきましては,常に付して意見照会を行っております。今回も,参事官室の文責のもとで同様の補足説明を用意させていただくべく準備をしておるところでございます。試案をどれだけコンパクトにするのか,詳細なものにするのかということにもかかわりますので,先ほどの商号の点につきましても同様なのですけれども,試案と補足説明との間で記載をどのように割り振るかにつきましてはなお考えさせていただきたいと思います。   いずれにしても,ここでの議論が正確に世に伝わるような補足説明を用意させていただきたいと思いますので,その点は御心配いただかなくてよろしいかと思います。 ● それでは,第3部まで,星印以外の点につきまして,この点は是非議論すべきであるという点がありましたら,御指摘いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ● 代表取締役の住所というのはどこで議論されるのでしたっけ。 ● 次回でございます。 ● 機関でやるのですか。 ● そうでございます。 ● よろしいですか。   それでは,先に進ませていただきまして,次は,第4部の「第1 総論」と「第2 設立等関係」までを一区切りとして,事務局の方から説明をしていただきます。 ● 第4部の「第3 株式関係」がやや大部ですので,第1と第2についてまず御説明いたします。   「第1 総論」の「1 株式会社と有限会社の規律の一体化」についてですが,ここにちょっと誤記がありまして,二読の資料における該当箇所の紹介の部分ですけれども,「(1)第1・4(1)」とありますが,これは「(1)第1・1」でございますので,御訂正いただきたいと思います。   これは,二読でもお諮りしましたとおり,株式会社・有限会社の規律の見直しにかかわる基本的な方針を示そうとするものでございます。   それから,2は,従前は機関のところで取り上げていたものでございます。今回の見直しは,株式会社・有限会社の規律の一体化を前提にしており,その一体化の核となる点が,譲渡制限株式会社における一部の会社につきまして有限会社と同じ規律の適用を認めようとする点でございます。ここで有限会社に係るどのような規律の適用を認めるかにつき,その具体的な規律の取捨選択についてまで合わせて議論をすると議論が混乱いたしますので,まず譲渡制限株式会社において有限会社型の機関設計を選択するという道を一つ設定し,そのような選択をした場合には基本的には有限会社と全く同じに扱うという基本方針を示すこととしようとするものでございます。したがいまして,第2以下で,機関設計を含めた規律の見直しについては,この2であらわれている内容以外の事項を取り扱うという整理をしております。譲渡制限会社であるのかどうかと,譲渡制限会社において有限会社型の機関設計をとっているかどうか,この二つのメルクマールが混在していて混乱しているのではないかという御指摘をいただいておりましたけれども,とりあえずこのような整理,つまり,何もなければ,譲渡制限会社のうちの有限会社型の機関設計を選択した会社については全く有限会社並みに扱うということを前提とし,それでは適当ではないという点があるとした場合には,個別にそれについての項目を立てるという整理をさせていただいております。   続きまして,「第2 設立等関係」でございますけれども,最低資本金制度につきましては,現段階で意見の収束が見られるような状況ではございませんので,前回までの議論を踏まえまして,このような整理をさせていただいてはどうかということでございます。   (1),(2)については,前回までの御議論を踏まえればこのような形で意見照会をさせていただくことに格別御異論はなかったのではないか--実質については非常に先鋭な対立がありますけれども--意見照会をするという限りではこのような形で御了解をいただけるのではないかと思うのですが,(前注)と(3)につきましては,前回の資料からは若干表現を変更しております。(1)の設立時における払込価額規制と,それとは異なる--必ずしもメルクマールが一致しない--(2)の配当規制のほかに,(3)の資本として表示することができる額についての下限の規制というものを(1),(2)とは別のものとして設けておく必要があるのかないのかということについては,その必要はないという方向での整理をさせていただこうとするものでございます。   なお,(3)の(注)では,従前の御議論で確認させていただいたとおり,資本についてのこれ以上の制約は格別設けないものとすることをうたわせていただいております。   次に移りまして,2の「払込取扱機関」につきましては,一部御意見はありましたけれども,基本的にこのような形で意見照会をさせていただきたいと思います。   3の「募集設立」につきましても,このような形で意見照会をさせていただくことで御了解いただけるかと思います。   4の(1)から(3)までですが,星印がついているところを除けば,これまで,一応このような形で意見照会をさせていただくことについて御異論はなかったかと思います。   (2)の(注)と(3)①の(注2)につきましては,実質的に新たにつけ加えさせていただいたものでございます。(2)の(注)は,3の募集設立の廃止の可否とも関係いたしますけれども,原始定款に記載されるべき絶対的記載事項のうち,設立手続終了前にその変更が生じ得るものが仮にあるとした場合に,改めて公証人の認証をとり直すことが必要となるということに対する批判といいますか問題提起について,どのように応えるかという点についてでございます。募集設立という手続についてのニーズが現在もあり,その一要因がこの点--設立前段階での定款変更手続に必ずしも公証人の再認証を要しないという点--にあり得るとすると,(2)の(注)のような整理をさせていただくこともできるのではないかということでございます。仮にそのような定款認証後における発起人の全員一致による定款記載事項の変更ということを認め得るとした場合に,認め得る事項はどの範囲までであるかということも含めて,本日御議論いただければと思います。   それから,(3)①の(注2)は,有限会社につきましても,資本持分関係を株式会社の資本株式関係と同様に取り扱うこととした場合には,有限会社法23条ノ3のような規律ではない,株式会社的な規律とすることとなるということを確認させていただこうとするものでございます。   5の「事後設立」につきましては,(1),(2)とも,従前の御議論では格別御異論はなかったかと記憶しております。   6の「現物出資・財産引受け」についてですが,まず発起人以外の者からの財産引受けに係る論点については,反対の御意見がかなり有力であったことを踏まえまして,試案では取り上げないこととしたらどうかということで,ここには掲げておりません。   「(1) 検査役の調査を要しない場合」につきましては,①,③については慎重論も有力に御主張いただいているところですけれども,(注)を含めて一応このような形で意見照会をさせていただいたらどうかということをお諮りしたいと思います。   それから,「(2) 現物出資等に関する関係者の責任」につきましても,本文と(注1)につきましては,従前の御議論では特にこのような形で意見照会をさせていただくことにつき御異論はなかったところでございます。   (注2)は,初めて明示的に掲げさせていただいたものでございますけれども,有限会社についても同様の取扱いをするという,法制上の整理をさせていただくということを明らかにしようとするものでございます。   第2までは以上でございます。 ● それでは御審議いただきたいと思いますが,「第1 総論」の点につきましては,これは趣旨を明らかにするものでありますので,第2の方から,星印がついたところを御議論いただきたいと思います。   まず,「第2 設立等関係」の「1 最低資本金制度」に関することにつきましては,表現が変わったところ,(前注)と(3)でありますが,この点の表現を,これで意見照会するということについてよろしいかどうかということについて御確認をいただきたいと思うのですが,いかがでしょうか。 ● 戻って恐縮なのですけれども,第1の2の「譲渡制限株式会社における有限会社型機関設計の選択的採用」というところですけれども,これは,大規模な譲渡制限株式会社であったとしても,例えば負債総額が何千億,資本が100億とかいうふうな会社であったとしても,今まで有限会社ということで運営できたわけでありますけれども,株式会社となったとしても取締役が1名というような,大規模譲渡制限株式会社の有限型というものができるという前提で書かれているのかどうかの御確認をお願いしたいと思うのですが。 ● ここでは,会計監査人制度に係る規律を度外視して,一般論を記載しておりまして,会計監査人制度の絡みで制度設計にどのような制約を設けるのかどうかという点については,会計監査人の部分で整理させていただこうという趣旨でございます。会計監査人制度がないとすれば,おっしゃるとおりなのですけれども,有限会社型の会社にも会計監査人制度を置くということにいたしますと--現行法を前提とすればそうなるわけですけれども--それとの関係で機関設計の在り方に制約を設けるのか設けないのかという--従前も御議論いただいておりますし,次回も御議論いただく予定でございますけれども--そちらの問題として整理させていただきたいと思います。 ● よろしいですか,○○委員。 ● はい。そのようなことが分かるように,解説案か何かにしておいていただければと思います。 ● 御指摘ありがとうございます。   最低資本金制度にかかわる,(前注)と(3)につきましてはいかがでしょうか。特に御意見ありませんでしょうか。 ● 質問なのですけれども,ここの配当規制の読み方なのですけれども,例えば,資本金が100億であって,ところが90億の資本累損を抱えている,それで10億の純資産だというふうなときでも,300万円以上の純資産があるのだから配当が自由にできるというふうに読むのでしょうか。 ● 利益があっても,というところでそこは読んでいただければと思います。すなわち,今の場合ですと90億円分の損失があるので,一応利益がないという状態になると。 ● そう読むのですね。これがちょっと分からなかったのです。今までの配当規制をがらっと変えようとする趣旨のようにも一方では見えたものですから。 ● そこまでは意図していません。 ● 分かるようにしていただければ。 ● では,表現を考えさせていただきます。   ほかにありますでしょうか。 ● 質問させていただきたいと思いますけれども,3(3)で「表示規制」というのがございますね。資本として表示できる額というものには下限を設けず,例えば100万円でも1円でもよいということに今後は変えようということになるわけでございますね。そうすると,資本減少手続等々の……,何かがらっと制度を変えようとしていらっしゃる御趣旨だと思うのですが,なぜこのような提案をするのかという趣旨等をもう少し説明していただくと,私どもも理解しやすくなると思いますし,また意見照会を受けられた方々も分かるのではないかという印象をちょっと持ったのですが。 ● 資本減少手続につきまして,特にここで変更を加えるということを提案しているものではございません。特別決議ではなく,一定の場合については普通決議でもよいかどうかということについては,前回,御議論いただきましたけれども,それ以上の提案を含むものではありません。   ただ,この(2)のような配当規制をかけるということにした場合,仮にその額が300万円だとしますと,300万円以下の資本が設定されても特に構わない……。 ● 単に表示の問題ではなくて,そのように減資手続をとるということですね。 ● それが前提でございます。 ● この点は,解説等で趣旨が明らかになるように書く必要はもちろんあると思います。実質的な内容はそういうことであります。   よろしゅうございますか。   それでは,次に進ませていただきまして,4(2)の(注)でありますが,これは,募集設立にはなおニーズがあるという御意見もありますので,例えばこういうことにしてはどうかということなのですが,○○委員,何かこの点については御意見ありますでしょうか。○○委員は,かねてから,募集設立にもまだニーズがあるという御意見だったのではないかと思いますが,その実質が,募集設立のニーズというのは設立手続に入った後も公証人の認証をとらないで定款を変更できるという点が便利なのだということであれば,この(注)のようなことを設ければ○○委員の言われる募集設立のニーズというのはなくなるのではないかというのが,事務局のこの本日の提案だと思うのですが,その点について御意見を。 ● そこは有り難いところなのですけれども,更に,募集設立については,前にも申し上げましたように,発起設立だけということになると,会社の経営に責任を持つ者が発起人になる,それで,募集を利用する者というのは単に出資者としてとどまるというふうなことになるものですから,発起設立一本だけということになると,ちょっと難しいかなと。   それから,外国会社の場合にいろいろなものを要求されるということは,今おっしゃったことと関係してくるのかもしれませんけれども,定款の認証だけではない問題があるのではないかと。   ここで意見照会していただくのは結構なのですけれども,実務界でもうちょっと詰めさせていただいて,これでよしとするのか,意見を言わせていただくのかということだと思いますが。 ● これだけでもう全部満足ですというわけではないということですね。 ● そういうことです。 ● 私も,こういうことですと,これ以外については公証人の定款認証を受け直さないで変更できるのだとすると,何のための公証人の定款認証なのかという気がするのですね。一遍公証人の定款認証をとりあえず受けておいて,後で何かわけのわからない種類株を定款に書くとかいうことも,これならできてしまうんですよね。この定款は違法じゃありませんということを認証するのが公証人の認証の目的だと思っているのですが,これでは何のためなんだという……。まあ,会社設立後は公証人の認証がありませんから,設立後に定款変更して,何だかわけのわからない定款の規定を置いているということが実務上あるようなのですが--だから大同小異だと言えばそうなのですが--どうも余り私としては釈然としないですね。   (注2)ですが,この点はいかがでしょうか。   現在は,自己持分消却の場合には社員総会の特別決議が必要なのですが,これも何のために必要があるのかよく分からないですね,現行法は。何か理由があったのかもしれませんが。   いかがでしょうか。--よろしいでしょうか。   そうしますと,第2の6の最後のところに星印がありますが--有限会社の取締役・社員についても,この財産価格てん補責任について同様の措置を講じるということですが--この点はよろしいでしょうか。   それでは,第1と第2の部分の星印以外の点につきまして御意見がありましたら,お願いいたします。 ● 第2の2の「払込取扱機関」の部分なのですが,再三再四ここで議論して,需要があることは非常によく分かっているのですけれども,問題は,いかなる方法があり得るかということだろうと思うのですね。   その際に,この意見照会においては,「残高証明その他の適切な手段によれば足りるものとする」ということで,「適切な手段」と書いてありますので,何かいい方法があるのではないかというので,賛成しようかという気分にもなりがちではあろうと思うのですが,一体「適切な手段」の中身がどういうものなのかということをもう少し制度設計した上で意見を聞いた方がよろしいのではないかという気がするのですが。すなわち,一体だれの残高をどのように証明し,会社設立後どのようにそのお金を会社が使うようになるのかとか,それから刑罰規定やら何やらに至るまで,現行法はここのところを非常に厳格にした,というのは,過去に随分いろいろ問題があったからこそ何度も手直しして厳格にしてきたものを,今回,大幅に改正すると。その方向としては適切な手段があるのだというイメージをここで打ち上げているわけですが,もう少し具体化して聞くということの方がよいのではないかということです。 ● 解説には,当然,何か,こういう形でということは書かれると思うのですが,しかし,「適切」という言葉はここからは取った方がいいのかもしれません。「その他の手段」でいいのかもしれないですね。   一応,こういう要件が満たされていればいいというのは,事務局には何かあるわけですね。産業再生法か何かでもう既にやっているんでしたか。 ● ええ,残高証明でも構わないということにしておりますが--「その他の適切な」の「適切な」という表現が適切かどうかにつきましては,確かに……,ちょっと表現ぶりを検討いたしますけれども--要は,払込保管証明にかかわらず,払込取扱機関に対して金銭の払込みがなされたという事実が何らかの形で証明されればそれで足りることとしてよいかどうかという提案ですので,とにかく払込取扱機関にきちんと保管義務を負わせ,会社成立後まで払込取扱機関に保管させておかなければいけないという規律をかけるのであれば,この2のような提案については消極という意見になるということでしかないと思われます。 ● 一応,ここに書いてあることの実質はそういうことなんですね。現在は,設立登記が終わったことを確認しないと払い出してはいけないけれども,それは恐らく実質としてなくなるのですね。とにかく,いったん銀行に,だれの名義の預金か知りませんが,とにかく入ったということの証明さえあれば,設立はできますと,設立登記が受け付けられますと,そういう制度になる,あとは規制はないということになるということが実質だと思います。ここに書いてある案の実質はそういうことだと思います。   では,この点,もうちょっと表現の検討をお願いします。   ほかにありませんでしょうか。--それでは,先に進んでよろしいでしょうか。   それでは,「第3 株式関係」,ここがちょっと大量ですので,ここだけを事務局から説明をお願いします。 ● 「第3 株式関係」はやや大部でございますし,二読までの間にいろいろと御指摘をちょうだいし,宿題となっている点も多く,本日,新たにお諮りさせていただくべき点も多いと思いますので,よろしくお願いいたします。   まず,第3の1の「株式等の譲渡制限制度」でございますけれども,(1),(2)とも,二読における御指摘を踏まえて修正をさせていただいております。基本的には,(1)の②につきまして,代表取締役への委任も可能である旨を定めることとしておりましたけれども,それを御指摘に従って削り,(2)の①に含めるということにしておりますので,二読までの議論を踏まえれば,このような形で試案として意見照会させていただくことにつき特段御異論はないのではないかと思われます。   なお,定款をもってあらかじめ売買価格を定めることができるものとする制度の創設の提案につきましては,非常に問題も多いという御指摘を多々ちょうだいしたところでございますので,取り上げることは見送らせていただいているところでございます。   (3)についてですが,①の取扱いについては,二読で多々御議論をちょうだいしたところでございます。ここでは,①の(注1)の実質を前提とし,新たに(注2)のような整理をさせていただくことでどうかという点について御議論をちょうだいしたいと思います。つまり,一部の種類の株式について譲渡制限の定めがあるという会社において株式が発行される場合の,会社全体あるいは各種類の株主総会の要否ということについて,(注2)の①,②のような整理をさせていただくということでどうかということでございます。   (注2)の①は,発行される種類株式が譲渡制限種類株式であるという場合には,当該譲渡制限種類株式の株主に株式数に応じて割当てがされるときを除いて,当該種類株式に係る種類株主総会の決議を要することとするというものでございます。   それから,二読までの議論の中で御懸念が示されたのは②の方ですけれども,発行される種類株式が譲渡制限種類株式以外の種類株式であるという場合におきましては,当該譲渡制限種類株式については,その種類株主総会の決議を要しないものとし,当該譲渡制限種類株式の株主の保護については,拒否権の設定によることとするというものでございます。もちろん,会社全体の手続は別途必要となるわけですけれども,種類株主総会についてはこのような整理をさせていただくということでよろしいかどうかということでございます。   (3)の②の「種類株式発行後の譲渡制限の定め方」については,二読の際と同じ内容を提案させていただいております。二読での御指摘を踏まえて従前の米印の三つ目をとっておりますので,これで特に御異論があった部分はないことになっております。   次の「取得者からの承認手続と名義書換手続の調整」につきましては,(3)となっておりますが,(4)の誤りでございますので,申し訳ございませんが御訂正いただきたいと思います。   それから,①の記載中に「からから」とありますが,これは「から」の誤りでございますので,御訂正いただきたいと思います。   (4)につきましては,表現ぶりについてやや誤解を与えるおそれがある旨の御意見をちょうだいしたところですので,若干表現ぶりを修正しておりますが,要するに,両手続を調和,融合させた形での規定の整理をするという趣旨をあらわそうとするものでございまして,実質に変更はございません。   2につきましては,本日一括して突っ込んだ御議論をちょうだいしたいと思います。二読でも2回に分けて御意見を賜ったところでございますけれども,自己株式の買受手続について,市場取引等以外の方法による場合における一般的な手続として,(1)のような手続を設けることとしたらどうかということでございます。これは,二読の際の提案について御意見を踏まえて若干修正をさせていただいているものでございますけれども,基本的なラインは変わっておりません。このような制度設計をさせていただくということを前提とし,(2)に掲げるような幾つかの特例を設けることとすべきかどうか,あわせて御議論いただきたいと思います。   (2)の①は,合併等の場合において自己株式を取得することとなる場合につきましては,(1)のような手続を設けたとしても,それによらないでその取得ができることを明確化しようとするものでございます。営業の一部の場合についても同様に取り扱うべきであるという御意見については,(注)において御紹介させていただいているところでございます。   ②は,現在の商法204条ノ3ノ2の規定に係る規律について,(1)の制度を設けた上でなおそのまま維持することとしてよいかどうかという点を確認させていただこうとするものでございます。   ③でございますけれども,譲渡制限株式会社におきまして,株式が相続・合併によって移転する場合に,その新たな取得者からの自己株式の買受けについてのニーズが強く示されているところでございまして,この場合,(1)のような制度だけでは賄い切れないのではないかという懸念の御意見がございました。そうだといたしますと,③の場合にも,②と同様の手続によって,(1)の原則によらないという整理ができるかどうかという点が,ここでの問題でございます。この点についても御意見をちょうだいしたいと思います。   ④についてですが,二読までの御議論の中で,市場価格のある株式については,市場取引以外の方法による場合であっても,市場価格で買い受けるのであれば(1)のような手続をとらなくてもよいのではないかという御指摘をちょうだいしております。仮にそのような御指摘を是認するとした場合に,(注)のような手当てをするということでよろしいかどうか,そもそも本文自体をどうするかということも含めて,御意見をちょうだいしたいと思います。   ⑤は,以上のような例外も含めて手当てをすることとした場合に,現行の売主追加請求制度についてどのような取扱いをすべきかという点についてでございます。(注1)のとおり,現行の売主追加請求制度は,(1)を前提にしますと,(1)の原則をやや狭める特別な手続として整理できるわけでございますが,このような制度を一般的なものとして残してよいかどうかということが問題となります。また,仮に⑤につきまして売主追加請求制度を残さないということにした場合に,①から④までの場合以外にも例外とすべき場合として検討すべきものがあるかどうかという点が,(注2)の問題でございます。   3は「自己株式に係る株主の権利の内容」でございます。このような形で意見照会をさせていただくことについて,内容も含め,さほど御異論がなかったところではないかと思います。   4の「子会社による親会社株式の取得」につきましても,(注)についてどのような方向性でその検討をするかどうかはともかく,このような形で意見照会をさせていただくということについては御了解をいただいているところではないかと思われます。   それから,5につきましては,賛否両論があるところでございますが,新株発行手続自体の見直しも避けられなくなる問題でありますので,とりあえず,断定的な表現を避けつつ,問題提起をさせていただくこととしたらどうかと考えております。   6の「株式等の消却」関係ですが,(1)と(2)の①につきましては,格別御異論がなかったものと承知しております。   なお,(2)の①に「株式の一部を」とありますが,「株式の一部の」の誤りでございますので,御訂正いただきたいと思います。   本日御議論いただきたい点は,(2)の②の定款に基づかない株主の多数決による強制消却をどの範囲で認めるかという点でございます。債務超過の場合であれば一般的に認めてよいということにするのか,あるいは,法的倒産手続の中でなければ認めないこととするのか,それが現在の実務にどの程度影響を与え得るものかということについて,二読でも御意見をちょうだいしたところでございます。ここでは,とりあえず,債務超過である場合においては認めることとしたらどうかということを本文に掲げてございますけれども,その可否いかんによっては(注)のような形での整理をさせていただくということを合わせて掲げせていただこうかと思います。端的に両案を並列にするのか,あるいはこのような順序づけをしても構わないのかどうかということも含めて,御意見をちょうだいしたいと思います。   (3)につきましては,御反対をいただいているところでもありますが,法制的にはこのような取扱いしかないのではないかと考えておりますので,一応,再度お諮りしたいということでございます。   それから,「7 種類株式」についてですが,二読までの御議論を踏まえて,(1)から(3)までについては,有限会社と取締役会が設置されない譲渡制限株式会社,要するに有限会社的な会社においては,この(1)から(3)までの手当てをし,有限会社的な会社ではない株式会社については,従前どおりの,種類株式のみという整理をさせていただくということでどうかということでございます。法制的に株式会社と有限会社の一体化を図りつつ,現行法にはできるだけ手を加えないという方針で整理をさせていただくとすると,このような形での整理をするということになるのではないかと思われます。   なお,仮にこのような手当てをするかしないかにかかわらず,有限会社における(2)の別段の定めの変更手続の在り方等については,現代化に当たって何らかの手当てを要するのではないかと思われますので,(2)の(注1)において,その点を明らかにしているところでございます。   (2)の(注2),(3)の(注)とも,二読では,譲渡制限会社一般についてそれぞれ本文のような整理をさせていただいてはどうかというような形で提示させていただいたわけですけれども,その点について,修正をした上で,このような表現ぶりで注意喚起をさせていただこうとするものでございます。   (1)から(3)までの内容について,それ以外の点は二読の際と変わっておりません。   (4)の「強制転換条項付株式」については,格別御異論をちょうだいしなかったところでございます。   (5)につきましては,種類株式の内容に係る登記事項,開示の在り方について,いろいろと御提案をさせていただいたのですけれども,登記による開示を維持すべきであるという御意見が多数であったものと承知しております。それを受けまして,種類株式の内容についての取締役会決議による設定,変更については,このような整理をさせていただくということでどうかということでございます。   それから,「8 法定種類株主総会」についてでございます。   (1)につきましては,これまでの御議論の中で格別御異論はなかったところでございます。   (2)につきましても,本文と(注1),(注2)については,このような内容で意見照会をすることに御異論はなかったのではないかと思いますが,(注3)については,新たに付加したものでございますので,御確認いただければと思います。   現在の商法346条の後半部分に掲げられておりますイベントの種類がこのままでよいのかどうか,二読でも御議論いただきましたとおり,それ以外の事由によって株式が発行される場合においても同様の考慮が必要であるとすれば,それらの場合もここに付加することが必要になりますので,その見直しの可能性を残しておこうとするものでございます。   それから,(3)についてですが,(2)の(注2)におきまして,従前,(2)本文とは分けて記載してあった内容を取りまとめておりますが--これが二読での御議論の趣旨に沿っているはずなのですが--それとは別に,つまり346条についての手当ての有無にかかわらず,(3)のような買取請求権の在り方についての手当てを行うことについて再度御確認いただければと思います。仮に(3)のような手当てをするといたしますと,(2)の(注2)は(3)の②に収斂するという整理もできるところでございます。   それから,「9 端株・単元株」でございますが,要は両制度を一本化する場合の内容をどうするかということが重要であるという御指摘をいただいているところでございますので,(注1)におきまして,新たに問題点を整理して掲げさせていただきました。ある意味では同種の政策目的に従ってつくられた二つの制度について,現代化に当たってどういう整理をするかという問題でございます。   a案は,これまでの資料の中で示させていただきましたとおり,端株主・単元未満株主が有する権利内容をどちらかの方向に--あるいはその中間あたりでかもしれませんが--同一化することにより制度の実質的な統一を図ろうとするものでございます。これについては,両極も含めた意見の相違があり,その一本化については,もちろん現段階ではできませんので,(注)の①から③までにおきまして,これまでの資料に掲げさせていただいていた案を列挙させていただいているところでございます。   b案についてですが,現在の端株制度・単元株制度というものが,結局は株主総会の特別決議を経ることにより行き来ができる仕組み,すなわち,併合,分割,端株の割合の設定,単元の設定,これらが,少なくとも株主総会の特別決議があれば可能という仕組みになっておりますので,どちらかの制度に一本化しつつ,その株主--それが単元制度であれば単元未満株主ですけれども--単元未満株主の有する権利内容を端株主の有する権利内容まで変更するということを認めることにより,一つの制度として整理することが可能ではないかというのが,このb案でございます。   何らかの形で権利内容を一致させ,例えば,単元未満株主が有する権利はこの限度であるということを固定的に確定してしまうかどうか,それが可能であるとすればa案でありますし,そうではなく,現行法の実質を,制度の名称などを除けば基本的に変えないとすればb案のような整理ができるのではないかというのが,ここでの提案の趣旨でございます。   それから,10ですが,二読まででは御議論をいただいていない(1)から(3)まで,それから(5)が新たな論点でございますので,本日御議論をちょうだいしたいと思います。   現行法のもとでは,少数株主・単独株主の権利行使要件について議決権が基準とされていますが,この点については,無議決権株主の取扱いが本当にそれでよいのかどうかという点の検討を求められているところでございます。ここでは,議決権を基準とすべきものとそうでないものとがあり得るであろうということから,(1),(2),(3)のような整理をさせていただいてはどうかという点をお諮りしたいと思います。   まず(1)は,議決権のみにかかわらず,株式数,単元数基準によって行使要件を定めるべきではないかと思われるものを掲げているものでございます。   (2)は,総会関連の少数・単独株主権については議決権基準によるべきものとした上で,なおかつ,議決権を行使することができない事項に係る権利についてはその行使をすることができないものとするという整理をさせていただいたらどうかとするものでございます。   (3)の①は,役員の解任請求権について,その解任の決議につき議決権を有する株主がその行使をすることができるという整理をさせていただいたらどうかというものでございます。また,②は,取締役等の定款授権による免責に対する異議申出について,責任免除が可能な株主,責任免除に係る総会決議への関与が可能な株主がその行使をすることができることとしたらどうかという整理を提案させていただくものでございます。   (4)については,(注3)を除けば,従前の案と実質において相違はございません。(注3)は,定款をもって少数株主権の行使要件を引き上げることを認めることとした場合に,逆にそれを引き下げることについてはこのような整理で実質としてよいかどうかという点を確認させていただこうとするものでございます。   (5)につきましては,これも新たな事項でございますけれども,いわゆる名簿屋等による権利行使を阻止するという観点から,名簿の閲覧請求権に拒絶事由を定めることとしたらどうかという趣旨でございます。拒絶事由として考えられるものを例示しておりますので,その適否についても御意見をちょうだいしたいと思います。   それから,「11 基準日」についてですが,一読,二読の際にいろいろと宿題をいただき,事務局においても整理をし,分析してお諮りしたところではありますが,結局は会社の裁量に委ねてよいという御議論になったものと記憶しております。法文でどのように書くか書かないかは別にいたしまして,内容としてはこのような整理でよいかどうかという点が,(1)の本文でございます。   (2)についてですが,まず本文自体については御異論がなかったところでございます。(注1)は,株式分割等についても同様の取扱いをするということについて,確認をさせていただきたいというものでございます。   それから,(1)の議決権の基準日の取扱いに関連して,配当等の基準日についてはどのような取扱いがされるべきかという点について,二読では若干問題提起をさせていただいたのですけれども,突っ込んだ御議論をちょうだいできていない部分でもありますので,一応,議決権の場合と同じ取扱いになるとは限らないという趣旨を明らかにするために,(注2)を掲げさせていただいているところでございます。   それから,「12 新株発行及び増資の手続」についてですが,(1),(2)については,株式会社と有限会社の規律を一本化するということであればこういう整理もあり得るということで,このとおり意見照会をさせていただくことにはおおむね御了解をいただけるのではないかと思います。   (3)については,二読での御議論を踏まえて整理をし直しております。株式引受人に対する情報開示の在り方につき,申込証の用紙への記載とその交付という制度を廃止し,株主割当ての場合には通知制度を維持することとし,総額引受けの場合には格別の開示制度は不要とすることとし,割当者を定めずに募集する場合において,証取法による開示が行われない場合には,現在の申込証の用紙への記載及びその交付によって開示されるべき事項とされている事項を別途通知させることとするという形で整理しております。二読での御議論はこのような内容であったかと思いますけれども,確認させていただきたいと思います。   (4)につきましては,御議論をいろいろといただいたところですが,一応このような形で意見照会をさせていただくことでよろしいかどうか,再度確認させていただきたいと思います。   最後,13でございますが,(1),(2)とも,基本的に方向性については御了解をちょうだいしているところでございますけれども,(1)の本文に,有限会社の資本増加無効の訴えも追加しております。この点について確認させていただきたいと思います。   それから,(2)に(注)を設けまして,提訴可能期間中の口頭弁論開始の可否について,商法中に--要するに会社法制中にですけれども--規定のある各種訴えについても同様の取扱いをするということを記載しております。この点についても御意見をちょうだいしたいと思います。   第3につきましては,以上でございます。 ● それでは,第3について順次御審議いただきたいと思います。   まず,1(3)①に星印がありますけれども,(注2)ですね。それから次のページに移って,①,②と,こういうふうになっているのですが,この点について御議論をお願いしたいと思います。 ● 質問させていただきたいのですが,この(注2)と,12の(1)の①というのはどういう関係に立っているのかということがちょっと……。12の(1)①の方は,一般的にすべてに対して譲渡制限をしている会社を考えているのかどうかという点ですね。もしも有利発行手続と第三者に対する発行手続とを12の(1)①のように一体化するというのだとすると,この1(3)①の(注2)というのは,有利発行であってもやはり取締役会の決議で基本的にはよくて,種類株主総会の決議を一部要求するという,こういう御趣旨なのか。そうだとすると,有利発行について歯どめをかけられなくなって,やはり問題があるのではないかという気もするのですが,この二つはどういう整理がされているのでしょうか。 ● まず,1の(3)の①の(注1)のところに,全部の種類について譲渡制限を定めているものを譲渡制限株式会社とするということで,12の(1)でいうところの譲渡制限株式会社,これは全部の種類について譲渡制限を定めているものであります。それから,(注2)のような,要するに譲渡制限がかかっていない会社の会社全体の手続というのは,譲渡制限がかかっていない会社として扱われますので,したがって,ここに「原則として,取締役会の決議」と書いてあるのは,例えば定款で株主総会を要するとされている場合,若しくは,有利発行等で法律上会社全体の株主総会が要る場合については,その手続を要するという趣旨であります。 ● 整理はそういうことですが,よろしいですか。 ● 分かりました。 ● それでは御意見をいただきたいと思いますが,この(注2)につきましては,前回,たしか○○委員からいろいろと御意見があったところなのではないかと思いますが,いかがでしょうか,こういう整理で。 ● これで結構でございます。 ● ほかの方,いかがでしょうか,こういう形で意見照会するということにつきましては。一応,譲渡制限されている種類の株式は会社支配権にかかわるものだという前提でこういう整理になっているのだと思いますが,よろしいですか,一応の整理としては。 ● 全くくだらない,形式的なことなのですが,先ほどの○○幹事のような疑問を私も持ちまして,先ほどの御説明で十分に理解したのですが,その関係で,前の方に戻っていただきますと,第4部の「第1 総論」の2の本文で譲渡制限株式会社の定義があって,「以下同じ」とあるのですが,以下,この譲渡制限株式会社はどうなるのかなと思うと,「第3 株式関係」まで譲渡制限株式会社がなくて,そして,ここでは,(3)の①の(注1)で,数種の株式が発行されているときにはこれですよと,第1の2の一般的な定義規定を修正されているのですが,そこら辺のこと,「以下同じ」とあると,ここのところはそうだけれども,相当後ろの第3の12の(1)になるとまた第1の2の方を念頭に置いてしまうということで,少し混乱されると思いますので,その点を,この本文でやるのか,先ほど来議論になっている解説でやるのかはともかく,分かりやすくしていただいた方が,やはり我々としては……。全部譲渡制限なのか一部譲渡制限なのかによって相当利害関係が変わるときに,第1の2のような一般的な定義規定を設けることが穏当なのか,とりわけ,「以下同じ」ということがいいか悪いかも含めて,ちょっと……。これは文章上の整理をしていただければと思います。 ● それでは,その点,分かりやすいように表現を事務局で考えていただきたいと思います。   今の点につきましてはよろしいでしょうか。   そうしますと,次が,「2 市場取引等の方法による自己株式等の買受手続」の全般について審議をお願いしたいということで,とりわけ,(2)の②から⑤までに星印がついておりますが。   まず2の(1)につきましては,表現はちょっと変わったところがあるかもしれませんが,前回提案されたのと同じで,市場取引あるいは公開買付け以外につきましても,一応は株主に呼びかけて,希望者はみんな申出をせよという形になるという,そういう制度を導入するということだと思いますが,この点については,表現を含めまして,よろしいでしょうか。 ● 今日,意見書というわけではないのですが,書面を出させていただきました。これの趣旨は,この書面の2ページの下の方の2のところなのですが,全般として,自己株取得制度のスキーム全般の中の,いわば市場取引以外の方法による取引に関する制度化をどうするかという局面の問題だと思うのですが,私,これを読ませていただいて,ほかの株主も平等といいますか,買受請求権を保障するという意味では非常に適切な,二読のときからそういうふうに思っておりましたけれども,2の(1)の①によりますと,株主総会の普通決議によって取締役会に授権するという方法が書かれているわけですが,実際には,取締役会に買受期間とか種類,総数,総額を授権して,ある程度の期間でもって買い受けていくというのが一番便利ですから,恐らくこういう方法がとられるだろうと思います。ただ,ここに明示的に書かれていない方法として,株主総会が直接に,現行の210条の1項2号でしたか,と同じように,特定株主を株主総会の議案に表示して,株主総会が直接に特定株主からの買受けを決議するということを認めるのか,あるいは禁止するのかという点がちょっと明記されていないような感じがいたします。   この趣旨からいくと,株主総会が取締役会に授権しないで,直接に特定株主を明示して決議するということを禁止するわけではないであろうというふうに私は読んだわけでありますが,そうすると,株主総会が直接に,A,Bという特定株主からの買受けを決議するときには,やはり何らかの形でほかの株主の売主となる機会というものを保障しなくてはいけないだろうと。そうすると,現行の売主追加請求制度というのがこの限りで残ってくることになるのではないかという疑問を持ちまして,それでちょっと文章化してみたわけですけれども。   3ページに参りまして,米印が三つありますが,株主総会が取締役会に授権しないで,直接にある特定株主からの買受けを決議するという実務上の必要性がどの程度あるのかという問題があるのですが,例を挙げますと,ここに書きましたように,事業の転換をしたいという会社が,事業を転換するのであれば出資の返還を求めるという株主が出てきたときに,その株主から株式を買い受けて,取締役会に授権するという期間をとることなく速やかに事業転換を行うという,そういうケースがないわけでもなかろうと思います。   そういうケースを想定してこういうことを考えてみたわけですけれども,そういう意味では,株主総会で決議をして,スピーディーに買い受けて,事業転換をしたいということを考えたときには,今日のたたき台の①の買受期間を非常に短期間に設定すれば,実際には実現できます。ここでは「1年を超えない範囲」となっておりますが,最短の制限というものはないわけで,例えば株主総会が終わってから3日間というような期間を定めて行うことができれば,結局スピーディーにそういった買受けができます。だから,必ずしも売主追加請求制度を別途設けなくても,この①の方法で可能だということもあり得ると思いますので,株主総会で直接決議する場合に絶対的に売主追加請求制度を設けなくてはいけないというわけではないというふうには思います。その辺を,ちょっと私もまだ,どちらがよろしいのかということを考えてはいるのですが,制度を統一化するとすれば,買受期間は相当短期でもいいのだという前提のもとに,この①の方法に限定するということでもあるいはいいのかなという気はいたしております。   それと,ちょっと先走って,たたき台の方の2(2)の⑤に「その他の場合における売主の限定の可否」とあり,その(注1)で,売主追加請求制度を,このような「請求をした者のみに限定することを認める制度として整理することができる」とあります。この点については,私の書面の3ページの米印の2番目に書きましたように,株主総会招集手続で売主になる機会を付与するわけですから,そういう意味では,買受請求権者が,株主一般ではなく,議案変更請求を5日前までにした株主に限定されるということは,別に株主平等原則の上でも差し支えはないと考えてよろしいのではないかと思います。   あとは,株主総会で特定の売主を定めて決議する場合に,どんな場合も売主追加請求制度とかそういうものが働くのではやはり非常に不便ですから,その点をどうするかということにつきましては,たたき台の方の(2)の①から④まででほぼ適切に売主追加請求制度が排除されるという形になっていると思いますので,その点は実務上も別に支障はなかろうということでございます。   端的に言いますと,(1)の①の方法,これは非常に適切だと思いますが,株主総会が直接に特定株主を決議するという場合に,どのような手続になるかということが明記されていないような感じがする。その場合に売主追加請求制度というものを残さざるを得ないのか,あるいはこの①と同様の方法で統一するということでいくのか,その辺の問題ではないかということ,その点がメインの部分です。 ● 恐らく,○○委員の御意見は,特定の株主をもう総会で決めてしまう,この人から買うという,そういう総会決議をしたいというニーズがあるという前提の御意見だと思いますが,その点につきましては,恐らく今日の案では2(2)の⑤がその問題を取り扱っているのではないかと。何らかの形でそういうニーズに配慮した制度を残すということを前提に,そうするとこういう制度になるのではないかというのがこの事務局の案ですが,おっしゃるように,その場合でも2の(1)の方に乗せていくという考え方もないではないのかもしれませんが,一応,事務局としては⑤の方で考えていたと,こういうことなのではないかと思いますが。 ● 私も,同様に,そういう位置づけで今発言させていただいたわけです。ただ,2(1)の①と関係するものですから,この段階でちょっと。 ● 補足いたしますと,2の(1)の制度につきましては,株主について平等的な取扱いのみを考えております。それがゆえに普通決議でもよろしいのではないかというのが前回の御議論だったところでございます。特定の株主のみからの買受けをすることも許容するという制度であれば,それでも普通決議でよいという話には--現行法を前提に考えれば--ならないわけでございます。したがいまして,特定の株主からの買受けは,(2)以下の問題になるというように整理しています。   それから,(2)につきましては,現行法が認めているような場合,あるいは解釈上認められるような場合,あるいはニーズが多いとされている場合,あるいはその他の株主の実質的な平等を害するおそれがないというような場合について例外を設けつつ,売主追加請求制度というものを仮に残さないものとして整理することもできるのかどうかという点が①から④まででの問題です。今のようなニーズについて言えば,例えば,株主総会の特別決議さえあれば,売主追加請求制度がなくても特定の株主からの買受けを認めていいということにしてしまうのか,あるいはそれを何らかの一定の事由の場合に限って認めることにするのか,あるいは売主追加請求制度というものを維持しなければならないという整理をするのか,いずれにしても⑤の問題であろうと思われます。 ● 株主総会が直接ある株主から買い受けるという決議をしたいというときには,現行法と類似の形になりますので,売主追加請求になるのかなという発想で書いたわけですけれども。 ● 恐らく,○○委員の御指摘は,(1)の,平等に従わない,特定の株主から買うというのは,(2)に①,②,③,④まで並んでいるが,これでは賄えない場合が恐らくあるだろうということが前提の御意見だと思うのですね。だから,それをどうするかと。もしそういう御意見でしたら,この事務局の案を前提にすると,⑤のような現行のような制度は残すのだと。あるいはもうちょっと改良の余地はあるのかもしれませんが,恐らくそういう御意見になってくるのではないかと思います。ですから,まずその点を,実質に入りますが,ほかの委員の方がどういうふうにお考えになるかですが,何か事務局の案は,(2)のような不平等なあれはある程度限定できてしまうのではないか,法律でこれとこれと列挙すれば,もうそれで終わるのではないかということも考えているようなのですが,○○委員は,そうはいかんだろうという前提の御意見なんだろうと思うのですが。 ● この2の(1)について質問させていただきたいのですが,ここで,買い受ける株式の種類も決議するということは,実際に株式の種類によっては違った取扱いがされる可能性というのが多分あるのだろうと思われますし,また,議決権制限株式,全部について制限されているなり何なり,いろいろなことがあると思いますが,そういう方々はこの普通決議に参加なされないわけで,そういう人たちを保護するとすると,特殊株主総会といいますか,種類株主総会による保護をかけるしかなさそうなのですが,8の(2)で,346条の適用除外を定款に定められるというので,そうすると,仮に定款で,こういった場合には種類株主総会決議を要しないと定められていて,ある種類株主にとっては不公平な買取りの決議が授権されたようなケースとか,こういう場合にどうやって--その人たちが自衛すればいいという考え方もあろうかとは思うのですが--事務局の方では,そういう場合に,株主,つまり議決権を行使できない株主,あるいはある種類の株主はどういうふうに保護されるとお考えなのでしょうか。 ● 確かに重要な点を御指摘いただいたと思うのですが,ここで言っている(1)①,株式の種類,これはどういう決議の仕方をすればいいんですかね。もう最初から,買受けについては差をつけますというふうな種類株式なら余り問題ないのですが,そうではなくて,ただ並列的に複数の種類のあれが残っているときにですね。 ● それは,現在ですと,222条の11項に,株式の買受けのときに格別の定めをすることができることになっていて,これで損害が及ぶ場合であれば346条の問題になるということでとりあえずは整理されています。他方で,346条の方を全面的に適用除外にしてしまうという後ろの方で出てくるやつというのは,そこはある程度甘受して,若しくは別途の手段で交渉して拒否権を設定するなどのことをやらないと,入らないということに一応ならざるを得ないということですね。 ● 一応は,何も特段の定めがないと種類株主総会をやるのだという前提ですね。そういう前提のようです。 ● しかし,そうなると,種類株主総会の適用除外をこんなに簡単に,8の(2)みたいに認めていいのかと。やはり極端なケースというのはあるわけですよね。あらかじめ除外していても,普通は,まあ真っ当にやってくれるだろうと思って。いや,そんなことを考えるのは甘いのだ,もう弱肉強食の世の中なのだと,こうお考えなら,それはそれでいいのですが,それはやはり行き過ぎではないかという気がします。これは組み合わせてみるとやはり弊害があるので,何らかの方法で自衛する手段というのを商法はとりあえず用意してやった方がいいのではないかとか,あるいは,この格別の定めというケースにおいても,種類株式によってかなり価値が違ったときに,例えば,あるものについては幾らというふうにとりあえず決められたときに,その間に,ある株主にとっては有利な値段がこの①の決議で定められて--有利な値段というとちょっと語弊があるのかもしれませんが,実際に①で総額と言った場合に,例えば,本当に全部の株式を合わせて幾らというふうに決められた場合には,取締役会が今度は個別の株式の種類ごとに値段を決めていくということになるのではないかと,この2の(1)からは読めるのですが,それ自体の価格が問題だと思ったときにどう争えばいいのかというのが,この2の(1)からは分からなかったのですが。 ● 何か事務局からありますか。 ● 授権をした総額が決まっていて,具体的な買付けの場面で幾らで買うかという問題は,実は現行法も何ら手当てをしていません。さらに,現行法は,2(2)の⑤の(注1)のところに書きましたけれども,そもそも売渡しに参加できる株主自体も株主総会の時点で限定してしまっていますので,その限られた範ちゅうの中で幾らで買おうが,知り得る余地すらないというふうに現行法はなっています。そこは一応買取価格を--種類を超えた場合にどうするかという問題は,事務局の方では,先ほどのような整理でどうかと考えておりますのであれですけれども--同一の種類であれば,価格の問題は一応知らしめて買うという形に整理をしようと。種類を超える場合については,そもそも346条の全面的な適用除外を認めるかどうかの一点に尽きるのではないかというふうに思います。 ● つまり,事務局のお考えとしては,この2の(1)の①の決議というところで,単に全部の種類の株式,そして総数,総額というのを決める場合であっても種類株主総会の決議が常に要求されるという,そういうふうに考えるという御趣旨ですか。   つまり,実際にある種類の株主にとって不利益が及ぶかどうかということは,実は,取締役会が決めた一株当たりの買受価格というものを見てみないと,ある種類株主にとって不利かどうかは分からないわけですよね,①ですべての株式を対象にするというふうにとりあえず決めてくれていれば。そうすると,その場合に,実際に不利益じゃないかというふうに取締役会の段階で不利益かどうかということが分かったときに,株主としてはどう争えばいいのかという,そういう疑問なのですが。 ● 恐らく,高く買い過ぎたら責任追及はあるのですが,現行法もそれ以上には……。 ● 222条の11項の事項は,そもそも本体で株主総会がない場合であっても出ますので,例えば株式分割なんかの場合には取締役会決議限りでいくわけですけれども,その比率が不公平であれば種類株主総会を開くべきと規定されている。とすると,①のところで,すべての種類から買いますよというふうにやれば,その事実をもって直ちに損害を及ぼすとは言えないかもしれないけれども,具体的な買付けの場面ではあり得べしという整理になっているのではないかと。 ● ただ,ここでは株式の種類と総数しか決めませんから,ある株式は何株,ある株式は何株,そこでもう不公正だという話が出てくるので,やはり,種類を超えていると,これは常に種類株主総会が要るのだということにどうもなりそうですね。   確かに,○○幹事御指摘のように,いろいろな問題が(1)についてはまだ検討すべき余地はあるのかもしれませんが,一応,こういうスキームの根本的なところについては御了承いただけますでしょうか。 ● 2の今回の御提案の中では,(注)の方にも重要なことが書いてあるようにお見受けしたのですが,2の(1)の(注2)ですけれども,これは当然なのではないかというように思います。定款授権によって,取締役会の方が,中間配当財源を基準にしながら,いつでも買えるということになったのに,株主総会においては定時総会に限るということもいよいよ根拠が薄くなってきたと思いますので,賛成です。   それから,①のところにある(注)なのですが,これはなかなか重要な御提案ではないかと思います。平等に買い付けるのだから普通決議でさっさと決めていくという場合に,一回の買付けにおける買受株式の数などにある程度条件を付するというような発想法を何とか入れられないものかというふうに思いますので,そういう方向で検討していただければと思います。   一つ疑問なのですが,今回こういう整理をされて,非常に整理が進んだ部分もあると思うがゆえに,それに触発されて更にお伺いするのですが,今まで,市場取引・公開買付け以外の方法による自己株式の買受制度云々と言ってきたわけですけれども,ここで今御提案になっていらっしゃることと,公開買付けというのは,本質的には同じなのではないでしょうか。そうだとすると,証券取引法で定めるところの上場株券等だけに規定されるところの公開買付けというものをわざわざ商法で別に規定する意味はなくならないのかという気がするのですが。したがいまして,商法としては,こういう制度を設ければ,上場株券について言えば,それは中身としては単に公開買付けの問題になるのではないかというような気がするのですけれども,ちょっとこの辺,お教えいただけると幸いです。   第2番目に,こういう整理は大変結構だと思うのですが,私も,○○委員がおっしゃるように,特定の者から買い付けるということは,すなわち,その方からは全部,案分比例とかいうことではなくて,全部買い付けると,しかし,そのほかの方にも,一応,売主追加請求権という格好で追加の請求を与えるという,そういうスキームもあわせあっていいのではないかという気がいたします。その売主追加請求権制度の整理の方法としては,(2)の⑤の(注1)のような形できれいにいくのではないかなというふうに私も説得されたところでございますが,そういう制度自身は残すことを考えていいのではないかということが次の点です。   それから,今度は(2)なのですが,ここでは,正に特定の者から一株も残さずに買い受けるということが必要になりそうな場合についての手当てを書いていらっしゃいまして,特別決議がかかる。④につきましても,一応,特別決議ということをお考えなわけでございますね。(注)まで含めるとそういうことかというふうに思うわけですが,特別決議であれば,特定の者から全部残さず買い取ることができるという制度設計になるのかと思うのですけれども,このうちの①と④につきましては,結局のところ,①の場合ですと,反対株主の株式買取請求権等々がある場合ですから,ほかの者も平等に,抜け出たい,離脱したいということが可能な仕組みになっていると思いますし,④の場合も,市場価格でほかの者も売ることができる市場があるわけですから,これでよろしいかと思うのですが,②と③の場合について,そんなにいいお値段だったら私も売りたいという者は,特別決議に負ければふさがれてしまうということになるわけです。従来,②は,現行法でもこういうことになってきて,私,ちょっと問題ではなかったかというふうに思うのですけれども,今度,その扱いを更に③にも広げる。この③にも広げること自体には賛成なのですが,特定の者から一切残らず買い受ける,でもほかの人にも平等な機会が一応は与えられるという制度設計であれば何の問題もないかと思うのですが,基本的な変更等々においても,すべて反対株主の株式買取請求権というような形で離脱のところを保障しながら,いざこの場合になりますと,一切そういう均等扱いということではない,特別決議さえあればよいのだという形で押し切っていってしまう制度設計が果たしてよいのかという疑問が,特に閉鎖会社の実情等々を考えますと,残るのではないかというふうに思います。 ● いろいろ御意見,御質問をいただきましたが,2の(1)の制度と公開買付けとの関係は,これは上場会社については公開買付けだという前提ではないのですか。 ● そうです。 ● これは証券取引法適用会社以外についての手続ではないかというふうに私は理解していますが。 ● 商法が規定しているものの中に公開買付けがすっぽり入って,上場会社の場合にはそこに入るのではないか。つまり,公開買付けと何か分ける意味がありますか。 ● 実質は,極力公開買付けに近づけようとしているのだと思うのですが,公開買付けというのは,テクニカルタームとしては証券取引法が上場株式について規定しているもので。 ● ですから,そういう用語を設けなくても済んでしまうぐらいになったのではないかと。 ● これは技術的な問題ですが,何か事務局,その点については。 ● まあ,法制的な整理が必要であれば……。 ● つまり,実質は,おっしゃるとおり,極力公開買付けに近づけようとしているのだと私も理解しております。 ● 私がさっきちょっと申し上げた,株主総会が直接,特定株主から買い受ける決議をする場合に,従来型の売主追加請求があってもいいという○○委員の今のお話を伺いまして,大変意を強くさせていただいたのですけれども,その場合も,特定株主からは全部買って,ほかの株主が売主追加請求で関与するというのは,現行法では,もしその枠をオーバーしたときには,結局,特定株主として議案に表示された人も案分になってしまうわけですね。これはやむを得ないのではないか。それは○○委員も同意見でいらっしゃいますか。 ● はい,そうです。 ● それと,私の書面の3ページの(3)で,特例を認めるべき場合ということで,現行法で別段の定めということになっている場合を羅列させていただいたのですけれども,これは恐らく,事務局としても,反対株主の買取請求に応じて買い取る場合,あるいは株式分割とか併合における端数株式の買取り,こういう場合にほかの株主の買受請求を認めるという御趣旨ではないだろうということで考えておりますけれども,この①から④まで以外に特例を認める場合が何かあるかどうかという⑤の(注2)があるものですから,どこか別の体系のところでお考えになっているのかなというふうに思っていたのですが,確認の意味でここにちょっと書かせていただいたというレベルのことにすぎませんので,そういうことで御理解いただきたいと思います。 ● 反対株主の株式買取請求等については,もちろん現行法に手をつけるつもりはないと思います。(2)に並んでおりますのは,恐らく,①については,現在規定はブランクのようになっていてはっきりしないから書いているのだと思いますし,②は現行維持ですね。それから,③は新しい,④も新しいと。それから,おっしゃるような反対株主の株式買取請求なんかは現状維持と,そういう理解だと思います。 ● それで結構です。 ● ⑤については,○○委員,○○委員から,こういう制度は残すべきであるという御意見をいただきましたが,ほかの委員の方,いかがでしょうか。 ● (1)の②の話なのですが,一般論としてはこういう形で周知するということになるのでしょうが,新株発行の公告のときにも,これは譲渡制限会社についても十分問題になる話だと思いますが,むしろ,公告というのが譲渡制限会社ではほとんど意味をなさずに,知らされない,だから新株発行の場合でも,平成2年前に,公告をしてしまって,だれも知らないうちに新株発行されてしまったという不公正なことがありますので,この場合にも,今後整理される場合には,通知又は公告ということも,場合分けをすることも含めて,きめ細かに,実質周知徹底できるような手続をお考えいただきたいと思います。 ● 御指摘ありがとうございます。 ● これは(1),(2)全般的に共通することですけれども,一般的な買受手続を明確化するということで(1)のルールを定めるということ自体については,それはそれで一つの考え方かなと思うのですけれども,いわゆる中小企業の場合にこの手続を使って実際やれるかというと,二つ問題があって,要するに,譲渡制限がついているということと,市場価格がないという二つの特色が上場企業の場合と違います。譲渡制限があるということは,特定の株主は望ましくないということが制度上予定されているという制度です。それから,市場価格がないということは,これは相続税なり税法上の評価も,支配株主の場合は純資産で評価されますし,少数株主の場合は配当還元ということで,この(1)の手続で,例えば,ある支配株主から株を買うというときに,これを純資産なり価格を評価して買うと。それで買いますよといって,少数株主で相続で配当還元の評価を受けたものが,じゃあおれもそれで買ってくれということになるのが,これが株主平等なのかというのが,税法の実態を考えると,何が平等かというのが,ここの建前だけではちょっと運用できない部分が結構ございます。したがいまして,これはこれで使う場合もあるのですけれども,なかなかこれだけで社会がルールメーキングできるかというと,非常に難しい面があるのではないかと思っております。   したがいまして,(2)の特例のところも,例えば,従業員持ち株会をやっていて,従業員の方がやめるときに会社が買い戻すというときに,それは退職金代わりだからある程度の価格で買い戻しますよというときに,ほかの株主から,それじゃおれも買い戻してくれというのを認めるかどうかとか,いろいろ細かく議論をして考えないと。今,これは,何となく市場価格があるものもそうでないものも一緒の共通制度として議論をされているのでこういう形になるのでしょうけれども,(2)の④で,市場価格のある株式を市場価格で買い取る場合はまた別の制度ですよとなってくると,結局これは市場価格のない株式の制度が中心になるということだと,(1),(2)含めて,もうちょっときめ細かく,実態に照らして議論しないと,どうもなかなか使いづらいかなという気がしておりまして,例えば,相続・合併以外にも特定の人から買い取ることができるようにするとか,定款で買受人をあらかじめ会社に指定するとか,従業員持ち株会の場合は会社で買うと定款で決めた場合は取締役会でできるとか,いろいろ検討する余地があるのかなというふうに考えていたのですが。 ● 御意見は,この(2)の①から④まで以外の買取りの形,○○委員がおっしゃっているような,特定の株主を総会で明示して決議するような--先ほど,非上場会社で従業員持ち株会をやっていて,それで従業員から買い取る場合を挙げられましたけれども,これは,現在ですと,売主追加請求に従ってしまうのですね。どうもそれについてもうちょっと考え直してくれという御意見だったかと思うのですが,これはこの前の改正のときにああいうふうになってしまっていますので。 ● あれで実務的に非常に回らなくなっているということを発見いたしまして。 ● だから,それを考えていきますとね。しかし,売主追加請求を排除する場合をどこまで広げていけるかというのが一つの問題点なんですね。   ○○委員は,どうも③あたりでも売主追加請求を認めるべきだという御意見のようで,非常に意見が多岐に分かれているわけですが,どういうふうに意見照会しますかね。 ● 確かに税法の扱いが全く違っているのはおっしゃるとおりなのですけれども,それは,法律上株主を平等に扱う部分が非常に制限されているものですから,税法はそれを反映しているのであって,税法がそうだから商法上も株主を余り平等に扱うべきではないという議論はやはり成り立たないということなのではないかと思うのですが。 ● どうも今までの御意見の大勢では,(2)の①から④まで以外にも,○○委員がおっしゃったような,譲渡株主を明示して決議するという方法を認めるか,あるいは,①から④までにおいてもどの程度売主追加請求を認めるかについては,かなり意見が分かれていますので,これは意見照会の仕方もかなり難しいということのように御意見をお伺いしました。--どうしますかね。   事務局の方から,何か,この点だけは確認しておきたいということがありましたら。 ● いえ,御議論を踏まえて,また整理をさせていただきます。 ● ④については,これは認めることができるかというような書き方でありますが,この点についてはいかがでしょうか。ここにあるように,特別決議があればこういう形を認めてよいかということですが。 ● 基本的にこういうのはいいとは思うのですが,ただ,大量に持っている場合,市場価格で売れるかと言われたら,売れないわけです。市場価格があるといっても,上場している例えばソニーとか新日鉄とか,非常に大きい会社であれば,確かに市場に厚みはあるでしょうけれども,ほとんど取引がなされていない店頭市場の銘柄もあることはあるわけで,そうすると,そういう市場に厚みがないというか取引量が少ないようなものというのは,本当に市場価格でほかの人が売れば売れるじゃないかとは言えない局面もあって,④の場合に,どうしてもある人から全部買い取らなければいけないというケースがあるからこういう規定が置かれているのかもしれないのですが,しかし,④の場合に売主追加請求権を認めなくていいのかというと,昔,私なんかが習った自己株式取得の禁止というときには,価格だけではなくて,売るチャンスを確保するとか,そういうことが言われていて,やはり店頭市場では売りたくても売れないケースというのは幾らでもあるので,その辺を検討してみる必要があるんじゃないかなという気もするのですが。 ● 私もおっしゃることに全く賛成なのですけれども,現状においては,もう既に,クロス取引であるとか,立会外の終値取引であるとか,いろいろな便法があるわけですね。それを,今回,譲渡人を除いた株主による株主総会の特別決議によってこういうものを正面から認めるというふうにするのだとしたら,大変改善ではないかと思いまして,賛成している,だから(注)を含めて賛成しているという趣旨です。 ● それでは,いろいろ御意見をいただきましたので,再度,もう一回は意見照会前に見直していただく機会がありますので,今日の御意見を踏まえて,もう一度事務局で整理をしてもらいたいと思います。   それでは,少し時間がたっておりますので,休憩いたします。            (休     憩) ● それでは,時間でありますので,再開させていただきます。   次は,星印がついているのは,6(2)の②でありますが,これもいろいろ御意見はあるところですけれども,こういうことで意見照会するということではいかがかということです。   ○○委員は,現在,実務ではこうなっているのだというような御意見でしたが,ですから,実質については○○委員は御異論ないと思いますが。 ● ここは,「強制消却することを認めることとする」で,後を削除していただければ有り難いのですが。何か,実際にやっていることが認められない場合にはと,こう出てくるのは,じくじたるところであります。 ● まあ,完全に認めないと言うかどうかがあれですので,こういう表現になっているのだと思いますけれども。 ● 私の希望としましては,やはり並列でもって問いらしい質問をしていただいた方がいいのではないかと思います。 ● だから,いろいろな御意見がありますので,微妙なバランスの上に乗ってこういう表現になっております。できればこういう表現で意見照会することでお認めいただければと思いますが。   それから,次の(3)も,これもいろいろ実質については御意見のあるところですが,これはたしか○○委員から御意見があったところかと思いますが,現在でも,4倍ルールというのは完全につなぎかえているわけでもないのですね。登記実務では4倍以上になってしまうことがありますので,論理的なあれとしては何か規定を置かなければいかんということになると,どうもこれ以上簡明な決め方はないのではないかということかと思いますが。 ● これは断定的に「減少するものとする」とありますね。せめて,「どうか」とか。少なくとも併合はやはりおかしいんじゃないかなという気がどうしてもします。なかなか技術的に苦労が多いということは分かるのですが,この方向で断定的に皆さんにメッセージを出すのは……,ちょっとトーンダウンしたらいかがでしょうか。 ● 分かりました。では,これも事務局で検討してもらうことにします。   次,7の「種類株式」。   まず(2)でありますが,これにつきましてはいかがでしょうか。取締役会が設置されない譲渡制限株式会社に限り,有限会社のように,種類株式以外の,いわゆる属人的定めと言われているものを認めるという案でありますが,一応こういう形で意見照会をするということでよろしいでしょうか。   次が(3)でありますが,これについてはいかがでしょうか。やはりそういう会社について,議決権制限株式の発行限度ですね,これも有限会社では現在発行限度がありませんので,こういうことで意見照会するということでありますが,よろしいでしょうか。   次に進みますと,8の「法定種類株主総会」でありまして,これには,(2)の(注3)と(3),これは若干重なっている部分があるわけでありますが,こういう形で意見照会することはどうかということでありますが,先ほどちょっと○○幹事から御議論がありましたが。   (注3)の方は,括弧内に「合併,分割,株式交換,株式移転のみ規定している」とありますが,もし増えるとしたら,具体的には何が入ってくるんですかね。 ● 入れるかどうかもあれなのですが,例えば,先ほども出ていましたけれども,有利発行をする場合にどうかということなどは多分問題になると思うのです。それを「有利発行」と書くか,「株式の発行」と書くかというところもあると思いますけれども,ほかにもあり得るかどうかという観点で,この程度の書き方にしています。 ● それも解説等には書かれるのだと思いますけれども。 ● (3)なのですけれども,例えば,当該種類株式の発行条件の中で別段の定めがある,すなわち,こういう反対する権利はないのです,株式買取請求権はないのですというふうに発行条件で定めた場合にはこの限りにあらずというのは当然のことなのでしょうか。それとも,そういう種類株式を出すことはできないということを前提として考えているのでしょうか。 ● 恐らくできないのではないかと思いますが。といいますのは,合併等において消滅会社になるような場合にどんな合併条件が決められるかというのは,発行のときには分からないわけですね。その株式を新株発行において取得するときには。だから,そのときにもう定款で,一切こういう株式買取請求とかそういうことはないのですということを言ってしまうということは,ちょっと常識的には考えられないのではないかと私は思っているのですが。 ● 合理的な定めというのはできないだろうということですか。 ● はい。これはそういう案だと思っていますが。   ですから,例えば株式分割なんかにつきましては,それは優先株であるものについては株式分割されなくてもいいわけですね,普通株だけが分割されて。そういうときは,定款であらかじめ定めておけば,それは合理的なあれなのですが,ここで言っている合併とかになりますと,ちょっとあり得ないんじゃないかと私は思うのです。   この(3)が定められれば,あるいは(2)の(注2)は要らなくなるのではないかという事務局からの説明でしたが,(3)自体についていろいろ御意見があるかもしれませんので,一応意見照会はこういう形でするということでよろしいでしょうか。   それでは,先に進んでよろしいでしょうか。   9の(注1)ですね。a案,b案とありまして,b案が新しくつけ加わったようでありますが,この点について,御意見いかがでしょうか。 ● 意見ではなくて,b案がどういうものか,ちょっとイメージがしにくいので。私だけが分からないなら,後でゆっくり考えるのですが,もう少し,例えばaの①のあたりと具体的にどう違ってどうかという形のことを,解説が出れば読ませていただきますが,その前にお教えいただけるなら,ちょっと教えていただけますでしょうか。 ● a案は,とにかく現在の二つの制度を一本化する前提として,端株主と単元未満株式に係る株主の権利とをまず同一にするというものでございまして,そうすると,それをどう呼ぶかは言葉の問題ですから,それを単元と呼んでもいいし,端株と呼んでもいいということでございます。   b案は,その同一化については,どちらに寄せるのかについて非常に大きな意見の対立があることを踏まえ,現行の実質のままで一つの制度として説明してしまおうという趣旨のものでございます。b案をとると,デフォルトルールがどちらか,単元なら単元というふうに寄せられ,そこから最大限,端株主の権利内容までの間のどの段階で落ち着くかというのは特別決議により無数の選択があり得ることとなるわけですが,今の両制度の併存の実質を極力維持しつつ,しかしながら法制的には一つの制度として規定を整理しようと思うと,このようになってしまうのではないかというものでございます。 ● 言葉が過ぎたらお許しいただきたいと思いますが,形だけ一本化する案がb案ということでいいのですか。そうでもないですか。 ● いや,そのとおりです。単純に形だけではないですが,まあ実質的には形だけですね。 ● 何というか,形だけといいますか,端株・単元株という言葉がどちらか一つになるというだけでありまして,現在でも,単元株制度をあれしている会社が株式併合してしまえば端株になってしまう,逆もできる。それを実質的に維持すると。それで,言葉は単元株か端株かどちらか一つになると,そういう案のようです。 ● 分かりました。 ● ただ,言葉が一つになるのは,かなり条文数の節約になるようですので,ニーズは非常に--事務局のニーズは非常にある。   ということで,一応このb案も意見照会に付すということでよろしいでしょうか。   では,先に進ませていただきまして,10でありますが,「議決権制限株主その他の株主の少数・単独株主権等の在り方」であります。現在は,おおむねこれらの基準が議決権基準によっているわけですが,それについて考え直す点があるのではないかというのが,ここでの問題かと思いますが。   (1)についてはいかがでしょうか。現行法は,どうも文言上は議決権で決まっているようですが,それはおかしいのではないかということで,こういう提案が出ているようですが。--よろしいでしょうか。   それでは,(2)はいかがでしょうか。これは要するに,株主提案権等については,議決権があるものについては権利あり,議決権のないものについては権利なしという方向で整理してはどうかということのようですが。--これもよろしいでしょうか。   では,(3)は,①,②とありますが。   ①は,これは現行法と違うんですかね。これは現行法を変える趣旨ですか。 ● 解釈はさておき,現行法上は,解任決議につき議決権を行使できる株主が例えば議決権制限株主だったとすれば,その少数株主権を定款で排除することができるやに規定されておりますので,そこの部分は端的に改めて,(2)と同じような整理をしてはどうかということです。 ● 何か,議決権制限株式については,いろいろな権利を一律に排除できるような形の条文が確かにありますね。あれに関することかと思います。 ● ○○委員に解釈でもそうだと言われると,ちょっと自信がなくなるのですけれども,257条の3項の場合は,「不正ノ行為又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事実アリタル」場合ですので,そういう取締役を排除するのに,その取締役を選解任する種類株主総会の議決権のある株主しかそういうことについてクレームが主張できないというのは,ちょっといかがかなという気が若干はするのですが。 ● ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 私もそう思うのですけれども,このそもそもの設計が,まずは株主総会にかけて,負けてからでないと解任請求ができないということになっているその大問題の方がむしろ議論しなければならないような問題なのかもしれませんね。   いや,それはあれですけれども,(注)の方ですね,「種類株主が選任した取締役等の解任請求については,なお検討する」ということですが,これは先回,随分苦労していろいろな制度を設けた部分かと思うのですが,これを今回改めようという,こういう御提案と思ってよろしいわけですか。 ● 種類株主が選任した取締役等の解任請求につきましては,現在,257条ノ3の4項に規定がございまして,ここで解任請求を行使できる株主が2種類に分かれている,すなわち,ここで提案している①のような内容のもの,解任の決議において現に議決権を行使できる者の3%という要件と,別途,全体の議決権の3%というのが重畳的に書かれているものでありまして,したがいまして,(3)の①のように,行使できる者だけというふうに限定するのであれば,こちらの方の取扱いをどうするかという問題は別途考えないといけないという問題になりますし,他方で,先ほど○○委員の方から御指摘があったように,こういう整理ではなくて,もうちょっと違う整理をしないといけないのではないかということであれば,それを踏まえてやるということになると思います。 ● 根本的な変更になるので,今の時点で言うのがいいか悪いか分かりませんが,10の(1)で,資本ベースで決めることにしたわけですね。議決権ではなしに。そして,この294条の文言も,「不正ノ行為又ハ法令若ハ定款ニ違反スル重大ナル事実」で,同じ要件が257条3項に入っているという形にすると,10の(1)と(3)①との関連から言うと,○○委員のおっしゃったような形で検討するのが筋だろうなとは思うのですが,試案段階でそれをやるか,あるいは試案にもそういうコメントがあったら,それに基づいて,いつごろになるのか知りませんが,秋にもう一回考えるのかもわかりませんが,私も,10の(1)と(3)①との整合性は今後整理していただきたいと思います。そして,それがもう少し別の,イギリス法のエクイティー・レメディー的な制度に発展するのかもわからないと思いますので。 ● そうですね。資格喪失までいくと,かなり重要な,きき目のあるものになりますが,解任というのはどれほど効き目があるものなのかという問題が一つある。 ● いや,もう少し幅広く。ここでというつもりでは決してありませんので。 ● 解任については確かにいろいろ検討すべき点はあるかと思いますので,これは今日初めて提案されておりますので,なおこれは事務局で検討してもらいたいと思いますが,意見照会の表現ぶりももうちょっと検討してもらって,また次回,御審議いただきたいと思います。   ②の方はよろしいでしょうか。--これはよろしいですか。   御意見がないようでしたら,次の(4)の(注3)でありますが,これはこういう考えでよろしいでしょうか。--これはよろしいですか。   それから,(5)でありますが,これは問題は何でしたかね。 ● これは初めてお示ししているものです。 ● 全く初めてですか。   これについてはいかがでしょうか。 ● 賛成です。   単に気のついたことだけですけれども,関連規定は293条ノ7ではないでしょうか。 ● ありがとうございます。 ● これは個人情報保護の問題とも非常に密接にかかわりますので,閲覧拒絶の事由を定めるということは非常に望ましいと思います。   ただ,この中で,「利益を得て」という要件を入れるかどうかなのですが。というのは,名簿屋などの請求があったときに,この「利益を得て」というのが要件になっていますと,会社側がその「利益を得て」ということの立証責任を負うことになると思いますので,その点の立証というのはなかなか大変ですから,「利益を得て」というのは削除してもよろしいのではないかと思うのですが。 ● 何か,事務局から,その点については意見ありますか。 ● 御趣旨は理解できるのですが,例えば②ですと,譲受人となろうとする者に伝えるだけでも該当することとなってしまっても困りますので,ちょっとまたそこは工夫の余地があるかなと思います。 ● 文言的なことも含めますと,ほかにいろいろ御意見あるかと思いますが,いかがでしょうか。 ● 趣旨には大賛成なのですけれども,こういうのは法律事項なのか,政令に委任できるのかという,そういうあたりの基本的な考え方はどうなっているのでしょうか。やはり法律じゃないと……。 ● 法律か政令かの切り分けは極めて法技術的な問題でもありまして,今ここで掲げているのは,端的に,293条ノ7が法律で要件を書いているので,並べて書いてあるだけでありまして,最後,法案を作るときに,これは法律マターではなくて政令で決めれば足りるというような判断があるとすれば,またそれはそれということです。 ● それでは,この文言等につきましては,お気づきの点はまた事務局の方へ御連絡いただければと思いますので,ひとつよろしくお願いいたします。   次は「11 基準日」のところを御審議いただきたいと思います。   まず(1)につきましては,前回はいろいろな案が示されておりましたが,どうも余り細かい規定を設けない方がいいのではないか,最終的には株主平等なり何なりで濫用的なものは規制すればいいのではないかという御意見が多数を占めたのではないかということで,こういう案に本日はなっておりますが,こういう形で意見照会するということでよろしいでしょうか。 ● ちょっと気になりますけれども,そういう皆さんの御意見でありましたら仕方がありません。結構でございます。   括弧の中の二読版の該当箇所がちょっと違っているのではないかと思ったのですが。 ● 言い忘れました。11の(1)の二読版における該当箇所は,ここには「(3)第3・1(1)」とありますが,正しくは「(1)第3・2(1)」でございます。 ● それでは,これは星印がついておりませんけれども,11の(2)のところに(注1),(注2)が新しく付け加わっているようですので,この点も御意見をいただければと思うのですが。   (注1)はいかがですか。株式分割についても,これは日割配当という考え方を採用しないということですね。これは当然のように思いますが,よろしいでしょうか。   (注2)につきましては,これは,(1)で,基準日後に発行された株式についての議決権については取締役の裁量を基本的には認めるということなのですが,それの配当等への適用についてはなお検討するというので,これはむしろ否定的なニュアンスだというような説明だったかと思いますが,この点はいかがでしょうか。   基準日後に発行された株式について,普通は,議決権についてはどうも基準日の位置づけがはっきりしていませんので,いろいろ意見があるのですが,配当については大体定款において基準日の株主に配当するというふうに定めてあるので,実務上は問題はほとんど起こらない。ただ,理論的には,そういう定款の定めがなかったときにどうなるかという問題があって,そのことなんだろうと思うのですが。   基準日後に発行された株式についても配当をやるという考え方がありますかね。確かに,配当をどの株主にやるかも自由だという考えもある。そっちが支配的ですかね。   いかがですか。 ● 11の(1)の「基準日後の株主の議決権」の問題については,私もいろいろと意見を言わせていただいて,私が考えているとおりの形にまとめていただいたのですが,実は,配当については全く別に考えておりまして,基準日後に発生した株主については,少なくとも期末配当にはあずかれないと。ただ,当期の定時総会での利益処分の決議には議決権を行使できるというふうに,議決権行使と利益配当とを分けて考えていたのですが,それが少なくとも数年前までは大多数の学説ではないかというふうに,僭越ですけれども,理解しておりました。 ● ほかの委員・幹事の皆さん,いかがでしょうか。   実務上は余り問題になってこなかった話なので,ちょっと急にあれされても困るということで,ここでは,「なお検討する」ということで意見照会するということでありますが,一応はこういうことで,なお委員・幹事の方にもお考えいただくということでよろしいですか。--それでは,一応こういう形で意見照会するということにさせていただきたいと思います。   あとは,12の(3)のところに星印がついておりますが,株式申込証の用紙の記載事項という形で規定があるところを次のようにするということで,①,②,③と書いてありまして,前回はこれについてもいろいろ御意見はあったところですが,いかがでしょうか。一応はこういう形で意見照会するということについてはお認めいただけますでしょうか。よろしいですか。--それでは,こういう形で意見照会をさせていただきます。   次は12の(4)でありますが,これについてはいかがでしょうか。 ● この内容自身に賛成です。   それから,このような手当てをするのであれば,なおさらのこと,先ほど○○委員がおっしゃいましたように,そうではない会社の場合に果たして公告でよいのか,むしろ通知を求めるのを商法としては原則としてしまった方がよいのではないかという問題もあわせて御検討いただければと思うのですが。 ● そうしますと,それを加えるかということですね。   ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● この(4)の場合に,例えば「証券取引法に基づく届出書等」というこの「等」に何が入るかがちょっとよく分からないのですけれども,有価証券報告書を提出しているような上場会社とか,いわゆる公開会社と言われるもの以外であっても,通知書とか届出書を出す可能性というのは理論的にはあるのではないかと思うのですね。そうすると,そういうある意味で非常に小さいといいますか,閉鎖的な会社で,たまたま大きな募集売出しを行う場合に,証券取引法の適用があると,ある株主にとっては,これでは不意打ちになる可能性があるのではないかという疑念を実は私は持つのです。つまり,本当に上場会社とか,あるいは店頭登録会社とか,こういう会社であればこれでよろしいと思うのですが,しかし,やはり,そもそもそういう公開会社ではない会社であっても,証券取引法に基づく通知書,届出書を出さなければいけないケースは理論的にはあるので,そうすると,やはりすべての場合にこの(4)を認めるというのではなくて,そういう非常に例外的な場合を何か排除するような措置をしてやらないと,一部の株主にとってはこれは不意打ちになる危険性はあるのではないかということなのですが。 ● 現在でも,官報でもいいんですよね。官報でもいいというか,官報とどっちが公示的な機能があるかということになるのですが。   普通は,これは発行価額の話ですよね。果たして証券取引法の書類に発行価額まで2週間前に書いてあるかというと,実際は余りないのだろうと思うのですが。   ○○委員の先ほどの通知を要求すべきだという御意見は,これは,もう必ず通知をしなければならないということですね。 ● 公告ではなくて。 ● その点,いかがですかね。実際は第三者割当増資のときですよね。   そういう形の意見照会をするかどうかということですが。 ● 前にも,決算公告の関係で,有価証券報告書提出会社については決算公告省略という案がちょっと出て,それについていろいろと御議論があったと思うのですが,証券取引法の規定に基づく縦覧書類について,一般の株主あるいは投資家が縦覧に行かなくては見られないというものをもって公告にかえるということが適切かという議論があったと思うのですが,今回は新株発行の予告ですから,決算公告よりもより株主に知らせる手立てというものは完備した方がいいのではないかという感じを持ちます。○○幹事がおっしゃったのと同趣旨でございます。 ● 二つ問題があって,これについてどうかということと,それから○○委員の御意見でありますが,まず○○委員の御意見について,何かほかの委員の方,御意見いかがですか。 ● 現状よりも規制を強化しようということなのでしょうけれども,先ほど○○委員が言われた弊害というのは,たまたま株主が余りにも,通知が来た文書でも見なかったような株主であるとか,どういう……。 ● 判例であらわれたのは,平成2年の改正前,すなわち,譲渡制限会社について新株引受権が与えられない場合ですけれども,そういう場合に,通常は10人とか15人の同族プラスアルファのところ,公告をしてもだれもそんなものを見るような意識のないところで,公告しましたということで,新株発行。要するに,280条ノ3ノ2の違反,それと仮処分違反ですか--その二つしか無効事由にならないという一般の解釈が問題だといえば,また別の問題がありますが--少なくともその二つが実質無効事由にならないというときに,余りに問題ではないかということが言われていたのですね。そして,現在,譲渡制限会社については新株引受権が法定されていますので,99パーセントは弊害が除去されたけれども,○○委員のおっしゃるのは,1パーセント--1パーセントか何パーセントか知りませんが--少しなお残っているのではないかという御指摘だと思うのです。先ほど私が申しましたのは売渡請求の方ですので,それについては,むしろ譲渡制限会社について多く問題があるから,少なくともそっち側はきちっと手当てをしてくださいと。つまり,分からないうちに特定の人だけが売り渡す機会を持つだけだと。これについては,その1パーセントから数パーセントをどう思うかということで,私は何も申し上げずに,○○委員が年来の主張をされたと,こういうコンテクストになっております。 ● ありがとうございました。分かりやすく御説明いただきましたけれども,要するに,非常に弊害が確かに多かったのは,譲渡制限会社については一応新株引受権を原則として与えるという形で解決はしたのですね。○○委員の御意見は,譲渡制限をしていない会社についてなお問題が残っているのではないかという御意見なのですが,是非そうすべきだということについて,ほかの委員・幹事の方の御支持があれば,考えざるを得ないと思うのですが,いかがですか。 ● この(4)のような改正をするのであれば,あとの残りの部分は通知だけでよろしいのではないかということで申し上げたわけですけれども。 ● だから,○○委員の意見も,○○幹事の意見がない場合の話ですので,○○幹事の意見についてちょっと質問させていただいてよろしいでしょうか。   これは,○○幹事に対してではなくて,むしろ,この(4)は経済界が相当強く主張された面もあると思うのですが,これは二重で費用がばかにならないという面と,機動性の問題が……。 ● 機動性の問題は,例のブックビルディング方式によるということで商法の開示ができることになりましたから,先ほどの発行価額が別に商法の公告に載らなくてもいいわけですね。そういうことからすると,機動性の面はこの前の改正でもって担保されているのではないかと。あとはお金の問題,コストの問題です。 ● それは,例えば,具体的に言いますと,二,三十万かかるという話。 ● そうですね。二,三十万から二百数十万か,いろいろあるだろうと思いますけれども。 ● 電子公告が入ると……。 ● ○○幹事がちゃんと法律にしてくれるという前提で話すのと,それが今の制度のままということでは,大きな違いになってくるのでしょうけれども。それは電子公告になると大きな違いです。 ● 電子公告になれば,こうするニーズも余りなくなってくるということでしょうか。 ● なくなってきますね。 ● 私は,そういうことで,機動性のことが気になったのですが,それがなくて,むしろ公告費用だけだとなると,そういう新しい制度が創出されることをある程度前提としてこれを議論してよいということなら……。 ● では,これは少なくとも,電子公告が導入されてもこういうニーズはあるかというような(注)をつけることは構わないわけですね,○○委員は。 ● それは構わないです。 ● では,いろいろ御異論もあるようなので,そういう(注)は最低限つけるということで。   ○○委員の御意見については,ちょっと,なお検討させていただくということにさせていただきたいと思います。   それでは,一応,星印がついているものにつきましては一わたり御意見をいただきましたが,星印以外のところで何か御意見ございますでしょうか。 ● 4の「子会社の親会社株式の取得」と関連することなのですが,実は,今日提出しました私の書面,これは,株式交換・移転の際の新株予約権付社債の承継の問題で,この後で御議論いただく問題について実務上の扱いをいろいろ調べまして,ここに文書に書いたのですけれども。それを調べる過程のごく一部の問題として,私の書面の1ページの1の(1)②に,新株予約権付社債の承継に関する証券取引所の上場規則のことが書いてあるのですが,現在,新株予約権付社債の実質的な承継を達成させる方法としてイの方法とロの方法が認められておりまして,このイの方法に関することなのですけれども,イの方法は,完全子会社になる会社が上場新株予約権付社債を発行しているときに,株式交換によって子会社になる際に,完全親会社になる上場会社の株券を交換の対象とする他社株券交換社債を新規発行しまして,それに応募した旧社債権者の選択によって旧社債を代用払込みに使うということが平成14年3月1日の上場規定の特例で認められたわけですが,米印の2番目に書きましたように,完全子会社が交換のために親会社株式を取得する,あるいは保有するという上場規定と商法の整合性という問題がちょっと残っているのではないかということに実は気づきまして,この4の「子会社の親会社株式の取得」の①と②と,それから,従来,211条ノ2の第1項の1号・2号,これとあわせて見ましても,交換債を出すときに,子会社が親会社株を交換のために取得・保有するということはカバーできるかどうかというのは若干解釈の余地があろうかと思います。もしそれができないということになりますと,現行の上場規定との整合性という問題が残るような感じがいたしますので。交換債だけのために子会社の親会社株式取得の例外をまた拡張するということが果たして適切かという問題はあろうかと思いますけれども,交換債を発行した場合に,その交換対象になる範囲の親会社株を取得して,結局,交換で出てしまうわけですから,弊害も少ないという意味では,それをこれに加えるということも考慮の余地があるかなと思いまして,その点は御審議をいただいたらどうかということで,ちょっと触れさせていただきました。 ● この○○委員のお出しいただいた案の,他社株交換社債を発行した場合というのは,これは現行法ではもとより行われているようですが,どういう手続で行われているんですかね。何かこの点,御存じの方,ありますでしょうか。   事務局の方は,この点については,何か御存じですか。果たして子会社が親会社株式を取得するという形でやっているのかどうか。しかし,そうではないとしたら,どういう手続でやっているのか。 ● 実例が1件ありまして,ホールディングを作るときに,現実に新株予約権,当時は転換社債ですけれども,転換社債を,親会社,要するにホールディングの株券と交換するという交換社債を新規に子会社が発行して,実質的には繰上償還が原則なのですが,これに応募した希望の社債権者については現物払込みという形を認めるという扱いをしまして。現実にどれだけ交換債が発行されたかというところまでは,私,ちょっとフォローし切れていないのですけれども,実例としては1件だけあるようです。 ● どうやったんですかね。   そういう問題があるので,この4の①,②で足りるかというのが,○○委員の問題提起だと思いますが。 ● ここで結論というわけにもなかなかまいらないかと思いますので。 ● 結論は出せないと思いますが,ほかの委員の御意見,もしありましたら,どうぞ。 ● ここの(注)の「なお検討する」というのは,本当の意味でなお検討していただきたいと思うのですけれども,これは,取得はこの①,②の場合にできると。②の場合には,それがすぐなくなっていくからいいのですけれども,①の場合というのは,これを速やかに売却する義務というのは相変わらずである,取得は一時的にはできるけれども,放出はしなければならないということですよね。   それから,この前申し上げましたけれども,トヨタがダイハツを子会社化したときに,ダイハツがトヨタの株を持っていた問題,これも相当の時期に売らなければいけないというふうなことで,実務上大変困ったということがあるわけですけれども,そういうトヨタ・ダイハツのケースなんていうのは,もちろん売却,相当の時期に処分ということは相変わらず残そうということになるわけですね。このあたり何とかならないものか。一般的に全部規制を撤廃してもらうのが一番いいのですけれども,それが無理だとした場合,今,○○委員が言われたのに加えて,そういうふうなものについての相当の時期の売却問題というのも検討の俎上に上げていただきたいなと。実務的には極めて困る問題でもあり,意味もなく株価を下げてしまうということがあるものですから。 ● これも,「相当の時期」というのがどの程度の時期なのかということにも関係すると思うのですが,御意見は承りましたし,事務局も承知していると思いますので,その点は引き続き検討させていただきたいと思います。 ● 自分の意思で積極的に取得する場合と,自分の意思でないところで子会社化になってしまった場合との区分けというのができないかということなのですけれどね。 ● 分かりました。   では,○○委員,○○委員の問題指摘もありますので,何らか意見照会に組み込めるものかどうか,その点を事務局に検討していただきたいと思います。   ほかの点につきまして,審議すべき点はありますでしょうか。 ● 5の「自己株式の市場取引による売却」の方は,私は,内容的にはもちろん反対しておりますのですけれども,ここにある「なお検討する」というのは,今回見送りのニュアンスを相当込めたものということで,このように聞くということですね。 ● はい。 ● ほかの点,よろしいでしょうか。 ● 市場における売却が5であるわけですけれども,転換株式の転換の場合であるとか,従来の転換社債の転換の場合,このときに,新株ではなくて,代用自己株を使うというふうな場合には,今はどういう……。私が実務上どうなっているのか聞くのもあれですけれども,新株発行手続をその場合にも一々とらなければならないという,逆に言うと,必ず新株を出さなければならないのかどうかというところはどう解釈すればよろしいのでしょうか。 ● 法律上は,まず旧法の転換社債については,13年の臨時国会のときの改正法の附則で,代用自己株を充てることができるように手当てをしております。   転換株式の方は,自己株を充てるというのは,要望があるのは承知しているのですが,何になっているのかというのがよく分からない,要するに何が起きているのかというのがよく分からなくて,転換株式自体の発行価額に相当するものが資本に積まれています。自己株の方は控除価額になっておりますので,それを普通にそのまま転換すると控除価額がなくなるのですが,払込対価がゼロ,と言うかどうかというのも問題なのですけれども,ゼロなものですから,利益が減ってしまうとか,若しくは利益がないときにどうするかとか,ちょっと資本のところをいじらなければいけないのではないかという問題がありまして,極めて強い要望があるというのであれば別なのですけれども,現時点ではその検討に上げていないというのが現状です。 ● もし強いニーズがあるということであれば,正式の意見書の段階で要望するということになるかもしれませんけれども。 ● それでは,ニーズの点等,御検討いただければと思います。   ほかの点,ありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,先に進ませていただきまして,次は第6につきまして,事務局から説明をお願いします。 ● 第4,第5につきましては,次回,重点的に御議論いただくといたしまして,「第6 社債・新株予約権関係」をまとめて説明いたします。   この中で議論をいただくべき点は後ろの方に集中しているのですけれども,最初の方から確認をさせていただきます。表現ぶりについては二読までの資料から若干修正しているところもありますが,実質において変わっている部分について個別に説明させていただきます。   まず1,2(1),(2),それから3(1)までは,いずれも二読までの間に特に御異論がなかったものと承知しております。   3の(前注)につきましても,このような形で意見照会をさせていただくということで特に御異論はなかったかと思います。   それから(2)の「契約による社債管理会社の辞任」についてですが,この点については意見が分かれているところでございますけれども,一応,約定事由の発生による辞任というものを正面から認めた上で,(注1)のような手当てをするという形で意見照会をさせていただきたいと思います。   (2)の(注2)につきましては,従前は二つの案を併記しておりましたけれども,こちら側の案を推される意見の方が強かったこともありまして,これを掲げることとしているところでございます。   (3)の①の本文については,特に御異論がなかったところでございます。   (注)については,本日の銀行協会からの意見書の中でも,消極的な御意見が述べられているところでありますけれども,平成5年改正以降の動向を踏まえ,期間を延長する必要があるかどうかについては,実務的な御意見の照会結果を受けた上で更に検討すべきではないかということから,掲げさせていただいているものでございます。   ②の点につきましても,二読では御意見が分かれたところでございますけれども,理念的には,何らかの手当てを検討すべきではないかと思われますので,本文のような形で意見照会をさせていただきたいと思います。   もっとも,要件等の定め方につきましては非常に難しいところがありますので,これも具体的な検討の要否は意見照会結果次第という形で整理させていただいてはどうかということでございます。   (3)全体の(注)として,(3)の最後のところに,相殺の取扱いについて掲げさせていただいております。この取扱い方の重要性は,どちらの方向での議論においても強調されるところだと思いますが,銀行協会からの意見書では,ここについては極めて憂慮するという趣旨の御意見が述べられています。破産法の改正に関しても,この相殺の取扱いが非常に重要な問題とされ,その議論にかなりの時間が費やされたと承知しておりますけれども,そこでの議論の成果,結果を踏まえて,この場面においても過不足のない,整合性のとれた手当てを,必要とあらばすべきであろうと思われますので,まだ破産法の改正が実現しているわけではありませんけれども,そことの整合性を図る必要があるという意味では,(注)を維持すべきではないかと思っているところでございます。   (4)については,二読での御指摘を踏まえて表現ぶりを修正しております。実質については変更はありません。   (5)についてですが,これも銀行協会から御批判を受けているところではありますが,一応,最低限この程度の手当ては必要ではないかということで,部会ではさほど御異論がなかったように承知しておりますので,このような形で掲げさせていただいてはどうかということでございます。   「4 社債権者集会」についてですが,(1)につきましては,従前,御異論のなかったところでございます。   (2)の①につきましては,二読までの御議論を踏まえますと,結局,更生手続に係る社債権者集会の特別決議につきましては,②で掲げておりますb案をとらざるを得ないのではないかということでおおむね御了解が得られたのではないかと思います。(注)は,なお念のためですけれども,再生手続についても場合によっては同様の措置を法制的に講ずべきこととなるということを掲げさせていただくものでございます。   そこで,①と②とを分けまして,更生手続についてはb案をとるということを明確にし,それ以外の場合についてはa案,b案,c案を列記して意見照会をするというのが,前回までの御議論の結論ではなかったかと思いますので,その点を確認させていただきたいと思います。   それから,5の新株予約権等の端数処理の問題ですけれども,本文自体については特段御異論がなかったものと承知しております。(注)は,新株予約権付社債に関連して,商法341条ノ3の第1項第7号に係る,転換社債型の新株予約権付社債についての規律をこのような形で見直すこととするということでどうかというものでございます。   それから,6につきましては,(1),(2)とも,従前,御異論がなかったところです。   (3)が新たに提示させていただいている問題ですけれども,要は,無記名式の新株予約権付社債について強制転換条項付きというものを認めることにいたしますと,転換の瞬間に,いわゆる無記名式の株券が発行された株主のような状態になるわけですけれども,これらの株主に係る株式の取扱いをどのようにすべきかという点について,基本的には所在不明株主に係る取扱いと同様としていいかどうか--同様とするものとするというのがここでの提案の内容ですけれども--お諮りしたいと思います。(注)も含めて,所在不明株主に係る株式の取扱いと同様にするという考え方で取りまとめておりますので,御議論をちょうだいしたいと思います。   それから,7についてですが,これまでの御議論を前提にいたしますと,(1),(2)とも,それぞれの(注)も含めて,このような取りまとめ方で意見照会をさせていただくということで御了解いただけるのではないかと思います。(注)はいずれも重たい論点ではありますけれども,現段階でとりたてて具体的な成案をお示しできる状態でもありませんので,一応このような形で取りまとめさせていただいてはいかがかという趣旨でございます。   本日新たにお示しし,御議論をちょうだいしたい項目が,8と9でございます。   まず8につきましては,現行法上,無記名式に限られております新株予約権付社債について,対抗要件,権利移転に関して現在の株式と同じような取扱いがされるというようなもののニーズがあるものと承知しておりますが,そのようなニーズに応えることとした場合に,どのような制度設計が考えられるのか,株式と同様,というような制度設計を行うということでどうか,その点についての御議論を賜りたいと思います。株式と同様という趣旨は,(注1)の①から⑤までに掲げさせていただいているとおりでございます。   それから,新株予約権付社債の場合には,一面,新株予約権と同様の取扱いが実務上求められる一方で,社債たる性質を持っていることから来る法制上の問題というのがあり得るところでございます。   仮に新株予約権付社債について何らかのこの種の手当てを行うこととした場合,普通社債といいますか,社債一般についてはどう考えるべきなのかということが,(注2)の問題でございます。この点について,新株予約権付社債とは別の取扱いというものを考え得るかどうかということでございます。   他方,新株予約権付社債につきましては,新株予約権と全く同様の譲渡制限制度を設けるということも考えられるわけでございますので,(注3)ではその点を掲げさせていただいているところでございます。   それから,この8の問題を考えるに当たっては,(注4)に掲げておりますように,現行の記名社債制度との調整,制度の併存,あるいは記名社債制度の見直しも含めた議論の整理が不可欠ではないかと思われるところでございます。現行の記名社債制度につきましては,その要素が何であったかは別にして,ある程度のニーズがあるということを前提に,平成5年改正時にも存続することとされた制度であると承知しておりますけれども,新株予約権付社債について,本文に掲げてあるような何らかの制度の創設を検討するとすれば,社債一般,特に記名社債制度についてどのような整理をさせていただくのが合理的であり,法制度上整合的かということを御議論いただきたいと思います。   それから,「9 社債の銘柄統合」につきましては,実務界からの御要望の強いところであると承知しておりますけれども,例えばということで,米印の下に掲げておりますような手続を設け,そのニーズに応え得ることとしてはどうかという問題提起をさせていただいているところでございます。ここで言う銘柄統合というものの念頭に置かれている効果いかんの話ではあるのですけれども,取引市場における工夫で賄い得る問題にとどまらない実体法上の問題があるとすれば,このような整理をさせていただいてよいかどうか,実質的には,二つの社債を一つの社債にいわば更改するというようなものであるわけですけれども,手続的にこれで過不足がないかどうかという点について御議論いただきたいと思います。   第6につきましては,以上でございます。 ● それでは,「第6 社債・新株予約権関係」につきまして,順次御意見をいただきたいと思いますが,これも最初に星印から御議論いただければと思います。   まず最初は3の(3)②でありますが,この点につきましてはいかがでしょうか。いろいろ御意見はあるところですが,一応こういう形で意見照会はしたいというのが事務局のお考えですが。 ● これは非常に規定するのが難しいだろうという気はするのですが,果たしてうまくできるかなと思いますが,実際的な観点から申しますと,社債管理会社は実際はほとんどが銀行でありますので,そうしますと,本当に問題になるのは,現在は銀行持株会社の体制を大体とっておりますので,それで銀行持株会社自身は何ら持株の活動以外は禁止されておりますので,ここに書いてあるような弁済の受領を行う行為があり得るのは,むしろ兄弟会社だと思うのですね。債権回収等が問題になる。ですから,問題関心は分かるのですが,実際に問題になるということから言うと,ここに書いてある親子会社というより--子会社はまだあり得るかもしれませんが--むしろ兄弟会社が問題になるのかなと。そもそも余りうまく規定できるとは思いませんけれども,実務界から見れば,むしろ問題は別にあるのではないかと言われる可能性があり得るかなという気がします。 ● 御指摘ありがとうございました。   それでは,この点は,表現はなお事務局で検討していただきたいと思います。   (3)の(注2),相殺につきましても,これも全銀協から意見が出ておりますし,いろいろ御意見があるところとは承知しておりますが,やはりこれも意見照会はせざるを得ないと思いますので,こういう形で出すということについてはよろしいでしょうか。--では,この②につきましてはよろしゅうございますか。   それでは先に進ませていただきまして,星印がついていないけれども新しい問題は,5の(注)のところ,これは従来からいろいろ議論のあったところで,要するに転換社債の話ですね。何か転換社債についてはこういう規定が従来からあるのですが,転換社債は,要するに,社債権を放棄して,それで新株が出てくるというものなのですが,放棄する社債権の価値は発行価額とは違うのではないかという問題がありまして,何だか今の規定はわけが分からないねということは前々からありますので,あえてこの規定はなくてもいいのではないかということではないかと思います。   この点について,何か御意見ありますでしょうか。よろしゅうございますか。--それでは,一応こういう形で意見照会させていただくということにさせていただきます。   それから,6につきましては,これは前から指摘があったところですが,(3),無記名社債の場合,強制転換をした場合に株主を把握することができない株式が出てくる。その場合の取扱いですが,これもよろしゅうございますか。--特に御意見がないようでしたら,こういう形で意見照会させていただきます。   それから,最後に大きな問題として8,9というものがありますが,まず8についてでありますが,こういう新株予約権付社債につきまして,現在はたしか無記名式に限られているのですね。それにつきまして,こういう制度を創設してはどうかということです。株式と同様とはいうのですが,ただ,譲渡制限の点は,(注3)で,このように譲渡制限付きの株式とは違った形をとり得るということであります。これは恐らく私募債なんかがあり得るからだと思いますが。   それから,普通社債,記名社債について問題があるということは,(注4)に書いてあるとおりのようなことですが,いかがでしょうか,この新株予約権付社債の譲渡に関する規定の創設ですが。 ● この(注3)で,新株予約権付社債について,新株予約権と同様の譲渡制限をかけるというわけですけれども,この新株予約権付社債というのはかなり経済的価値が大きいような気がするのですね。そうすると,ここで取締役会が承認をしてくれない場合に,株式と違って先買権者の指定とかこういうのを要求できないとなると,ひょっとすると発行会社の財政状況が悪化しているようなときに,もうさっさと社債を売っ払ってリスクを確定したいというようなときに,譲渡は承認しないよと,こういう生殺しに遭ってしまう危険性がないのかなという点なのですが。 ● 私募債の譲渡制限をするためにこういうことにしていますので,正にそういうことになるのではないかというふうに私は見ていたのですが。 ● まあ,それでいいのかなというだけでして。 ● 無記名式だけでは困るというニーズは確かにあるわけで,その場合に,ではどうするか。しかし,記名社債を認めるといっても,記名社債の規定というのはよく分からないのですね。そもそも善意取得があるかどうかすら分からないというような世界ですので,一応こういう株式に準ずるような形で,譲渡制限等はもうちょっと自由にするという形のものをつくってはどうかと,こういうことなんだろうと思うのですが,いかがでしょうか。   これが果たして実務が望んでいるものなのかどうかというのは私も自信がないのですが,一応こういうことで意見照会してみるということでよろしいですか。普通社債についてもこういうものができると。しかし,これと記名社債の関係はどうなるんだと言われると,一応これは別物という考えですね。記名社債制度は,何も手をつけなければ,現行どおり残っていると。 ● 記名社債につきましては,この8の手当てをするか否かにかかわらず,現代化に当たって,今のままにしておいてよいのかどうかという別個の問題がありますので,そういう趣旨も含めて掲げているところでございます。 ● 記名社債の規定というのは,あれは文言上は昭和13年改正前の株式の規定と同じで,昭和13年前の株式というのは,御承知のとおり,判例で,慣習法でもって,文言からは非常に離れた制度だったようですが,記名社債は余りありませんので,商慣習らしきものも余りないのだろうと思いますので,さっぱり分からないということですので,先ほど事務局からありましたように,何らかの整備・整理は必要なんだろうと思いますが,一応これで意見照会するということでよろしいでしょうか。   では,次に「9 社債の銘柄統合」であります。これも実務上の要望が非常に強いところですが,ここに米印で書いてあるような形で,いわゆる銘柄統合というのは認めるということのようです。この限りで認めるということでしょうかね。これを超えるものは社債権者集会の決議が要るということなんだろうと思いますが,何か御意見ございますでしょうか。   これも,果たして実務界のニーズがこういうものなのかどうかというのは私もよく分からないのですが,一応これで意見照会するということはよろしいでしょうか。--それでは,そういう取扱いにさせていただきます。   それでは,星印がついていないところで御意見等ございましたら,お願いいたします。 ● これも今日の書面ですが,これは,意見書というよりは,実務の扱いを調べまして御報告申し上げるというレベルのものですので,簡単に御説明申し上げます。   最初に,新株予約権付社債の承継,株式交換によって完全親会社が債務引受けという形での承継,これについての実務上のニーズがどれだけあるのだろうかという観点から調べまして,大分マニアックになってしまったのですけれども,一つは,現状は大多数が繰上償還条項,これは,株式交換制度ができてから,繰上償還条項をつけて,株式交換あるいは移転に当たっては期限前償還を行うということで行われているというのが大多数だと思います。   ただ,会社によっては,あるいはケースによっては,社債権者の要請とかそういうことがあって,親会社が実質的に引き受けざるを得ないというようなケースに対応して,先ほどちょっと申し上げた,この1ページのイの,親会社の株券を交換対象とする他社株券交換社債を子会社が発行して代用払込みを認めるという方法と,ロの,これは逆に完全親会社の方が新株引受権付社債を新規に発行して,旧社債をその代用払込みに使えるようにするという二つの方法が上場規定で認められておりまして,そういう意味で言えば,株式交換あるいは移転に際して,完全親会社となる会社が債務承継しないけれども,実質的に上場債として残っていくという扱いが実際上認められているという事実がまず第一にあります。   そして,そういう状況のもとで,この新株予約権付社債の承継という法律上の債務承継の制度として新設するということについていろいろと意見があろうかと思いますけれども,私がいろいろ聞いた範囲では,資産・負債の承継を原則として伴わない株式交換について,債権者保護制度を,新株引受権付社債が発行されているという限定的場合のためだけに導入するまでの必要性があるのだろうかという疑問を提起する部分が一つあります。   それからもう一つは,株式交換などの場合には,できるならば繰上償還をして,完全親会社が負債を承継するということはしないで,また,新株予約権付きということもありますので,将来的な株式の希釈化ということも発生しますから,どちらかというと,承継の制度を設けてしまうと,今申し上げたような意図で株式交換するときに,社債権者からの要請とかそういうもので,事実上そういう制度があるのであるから完全親会社が社債を引き受けるという方向で対処するように要求されて,繰上償還がしにくくなるというような波及効果が生じかねないのではないかという意見もあります。   これがすべての実務的な見方というわけではないと思いますけれども,半面で,先ほど申し上げたような証券取引所の扱いのような,新規の社債を発行するというのは相当手間とコストがかかりますから,また,仮に債権者保護制度を導入するにしても,いずれ改正によって相当簡易化されるということがもし含みとしてあるとすれば,必ずしも企業にとって負担ではないという見方から,一つの選択の余地という意味で,新株予約権付社債の承継ということを法制化することを望むという部分もないとは言えないように思います。   ただ,どちらかというと,私が把握した限りでは,株式交換あるいは株式移転の際には,できることなら繰上償還してしまって,完全親会社が債務として承継するということでなく,実務としてはやっていきたいと。ある場合に承継できれば助かるなという場合が予想はされるけれども,具体的には余り考えられていないというのが,私が把握した限りでの感触でございます。   ですから,意見照会していただくことはよろしいと思います。実務のニーズが意見照会によってはっきりするという面はあると思いますが,あとは法律論の問題として,この株式交換制度に非常に例外的に債権者保護制度の導入という問題を論議せざるを得なくなるという点をどういうふうに評価していくかという問題ではないかと思います。 ● どうも,○○委員,御調査ありがとうございました。   この7に関係するのだと思うのですが,前回の議論では,7の(1)については余り御異論なかったと思うのですが,次の(2)の方については前回もいろいろ御議論があったと。例えば,完全親会社となる会社が新株予約権付社債を承継した場合は子会社に対する債権を取得するのかとか,もし債権を取得するのであれば債権者保護手続は要らないんじゃないかとか,そういう御意見がいろいろ出たと思いますが,それに関して,○○委員が現在の実務とその要望等を御調査いただいたということだろうと思います。   恐らく繰上償還することは問題ないと思うのですね。発行のときからそういうふうに決めておきましたらね。だから,これは問題ないのですが。例えば,(2)の(注)として,繰上償還等をすることを妨げるものではないということをつけ加えるのはいいと思うのですが,果たして②あたりになると,これは現行法上全然問題ないのかと言われると,先ほどの親会社株式を子会社がこのために処理するというのはどこで読むんだとか,若干問題があるのかもしれませんので,それが妨げられるものではないと書くのはちょっと問題があるのかもしれないのであれなのですが,各委員・幹事の皆さん,どうでしょうか。意見照会は何らかの形でせざるを得ないと思うのですが,(2)についてはどういう書き方をするかということですね。   恐らく,現在,繰上償還条項が入っていれば,これは問題ないとしまして,②のイ,ロなんていうのは,これは一応,社債権者の関係では任意なんですね。社債権者の方がこれに応じなければ,残ってしまうということですね。○○委員がお調べいただいた②の「承継に関する実務の取扱い」ですが,交換債というのは,既存の新株予約権付社債の債権者がこれに応じますと言ったときに初めてこうできるわけで,強制はできないわけですね。 ● 強制はできないですね。 ● 恐らく,この本日の案に出ている(2)は,これは強制もできるようにしようということですね。ですから,場合が違うと言えば違うので,この(2)の案は決して任意でやることを妨げるものではないのだろうと私は理解しておりますが。 ● このたたき台の方の(2)は,いわゆる債務引受けとして承継するという制度を選択できるという趣旨だと思うのですが,そういうことですね。 ● そうですね。 ● それで,私の方で調べた,証券取引所の上場規定のそういう別途の債券を出すというのは,これも一つの選択でありまして,旧社債権者がそれに応募して代用払込みをするかどうかは任意ということになっています。 ● このたたき台の(2)の制度は,こういう条件で承継しますと言うと,承継されてしまう,それで不満な者については保護手続を設けようと,こういうスキームなんですね。恐らく強制するニーズはあるのだろうと思うのですね。つまり,なぜこんな--実務上,任意というような形でありますが--なぜこういうことをされているのかというと,子会社に対する社債として残したくはない,できれば全部親会社の社債に振り替えてしまいたいということで,しかし方法がないから任意でやっているということだろうと思いますね。だから,強制の制度をつくってくれという要望はないわけではないと思うのですけれども。 ● その辺はちょっとよく分かりませんが。どちらかというと,完全親会社になる,要するに株式交換当事会社の立場では,繰上償還で終わらせてしまいたいと。 ● 繰上償還できるなら問題ない。それが一番簡明であることは事実なのですが,繰上償還する金もないという……。だから,親会社が債務引受けする形で,しかも強制する形でというニーズが,場合によっては起こり得るということだと思いますね。 ● ただ,むしろ,繰上償還条項があるのに,社債権者の要請とかそういうことで親会社が引き受けざるを得ない羽目になることもまた怖いと,そういう見方もあるわけですね。 ● その点は,繰上償還条項は最初から入っているわけですから,余り法律論ではないような気がしますが。 ● 法律論とはちょっと違う。 ● そういうことが事実上はあるのだろうと思いますが。 ● むしろ,承継制度を新設されると,それをやらざるを得なくなって,制約されるという感覚があるということです。 ● そういう感覚だと思います。   意見照会するとすると,そういう,任意の現在まで行われている繰上償還その他についてのことを,これは解説で書くのかあれかは別ですが,どこかで触れるということはしていただいた方がはっきりすると思いますが。それにプラスアルファであるという趣旨をはっきりさせた方がいいと思います。   どうもありがとうございました。ほかにありますでしょうか。   それでは,この第6についてはよろしいですか。 ● 済みません,プットオプションの法制化というのはどういうふうになっているのでしたっけ。新株予約権ではなくて,ある一定のあれになれば会社に株式を売りつけることのできる権利の法制化ということについての検討状況はいかがなっているのでしたっけ。 ● おっしゃるプットオプションというのは,もう一度御説明いただきますと,どういうあれですか。 ● 会社に対して株式を売却することのできる権利を売ると。新株予約権と反対になるんですかね。 ● これは種類株ではないわけですね。実質はいわゆる義務償還株式ということなのですが,それが種類株として構成されている。そうではなくて,一般の,普通株の特定のものにそういう権利を与えるということですよね。 ● ないしは,公募して売る場合もあるのかもしれませんけれども。資金調達の多様化という……。 ● それは,先ほど来問題になっております自己株式のところでありましたけれども,平等の関係でどういう問題が出てくるかということで,かなりいろいろ検討することはありそうな気がしますね,もしやるとしますと。   それは非常にニーズがあるわけですか。 ● 証券界からも大きなニーズがあると。 ● まさか取締役に対するインセンティブ報酬として使うわけではないでしょうから。 ● 使いませんね,そういうふうには。 ● 上がればもうかるという。 ● 下がる方にインセンティブが働く商品ですから。 ● だから,ちょっとどうもニーズの点でもう一つぴんとこなかったのか,事務当局も少なくとも検討はしていないようですが,今までのところ。   まあ,これは,是非こういうニーズがあるのだということですと,意見照会のときに,それについても詳しく,ニーズ,それから,どういう形になるのかというようなことをお出しいただければ,後ほど検討するということではないでしょうか。 ● 分かりました。 ● それでは,先に進ませていただきまして,第7以降を全部一括してお願いします。 ● それでは,定刻を過ぎつつありまして恐縮ですけれども,第7以降を急いで説明させていただきます。   第7は「組織再編関係」でございます。1の「対価柔軟化」については,一応このような形で意見照会をさせていただくことでよろしいかどうか,再度御確認いただきたいと思います。   二読で懸念が御指摘された点につきましては,(注2)と(注3)とに分けて掲げさせていただいているところでございます。   それから,2の「簡易組織再編行為」につきましては,要件の緩和幅についていろいろと御議論が分かれているところではありますが,意見照会をするに当たって,基準となる数値を示すべきではないかと思われますので,一応,括弧書きで20という数字を出させていただければと思います。(注1)も含めて意見照会させていただきたいということでございます。   (注2),(注4),(注5)は,新たに付け加えてあるものでございます。   (注2)は,会社分割並びで,営業の重要な一部の譲渡についても同様の簡便な手続を許容したらどうか,法制的にはそのような整理をするのが整合的ではないかという趣旨でございます。   それから,(注4),(注5)についてですが,二読までの間に,この簡易組織再編に係る濫用の懸念から慎重な検討をすべきであるという御意見をいただいているところでございまして,いずれもその内容を明記した上で意見照会をさせていただこうとするものでございます。   (2)については,格別御異論がなかったところです。   それから,3の「略式組織再編行為」についてですが,本文の基本的な方向性については,とりあえず御了解いただけているのではないかと思います。(注1)の要件設定の在り方を含めて,意見照会の結果を待つこととしたいという趣旨でございます。   なお,二読の際に,対価柔軟化に関連して株主保護に欠ける場面が生ずるのではないかという御指摘をいただいたところでございますので,その点を(注2)に掲げさせていただいているところでございます。趣旨については,更にこれを具体化するか,あるいは補足説明で補充するかさせていただきたいと思います。   (注3)につきましては,①,②とも,賛否両論のあるところでございますけれども,略式再編について制度設計を考えるということになりますと,派生的にこのような制度を設けることの適否ということも議論になってくるであろうということから,一応このような形で(注)の中で触れさせていただければと思います。   それから,4の「効力発生」についてですが,いろいろと御批判もあるところでありますが,とりあえず,このような方向性でどうかという趣旨で意見照会をさせていただければと思います。   基本的に,問題は(注2)の措置の在り方であると思われますけれども,実質を考えれば,結局のところ,第三者の善意・悪意にかかわらず対第三者対抗要件は登記とするということであれば,昭和13年改正以前に戻るというわけでもなく,利害関係人との関係での問題の発生ということもそう多くはなさそうな気もするのですが,なお思い至らない問題点もあろうかと思いますので,意見照会の結果を踏まえて,またその当否について御議論をちょうだいしたいと思います。   それから,5の「人的分割における財源規制」についてですが,二読では両案併記していたところですけれども,一応,単純に法制的にきちんと整理をすれば,つまり現代化の中での他の整備の方向性と整合的に整理をしようとすれば,このような整理になるのではないかということをあらわしつつ,実務に与える影響も踏まえて,なお検討するというような形の表現ぶりで意見照会をさせていただきたいと思います。(注)も含めて,このような形での整理をさせていただいてはどうかということでございます。   それから,「第8 清算関係」についてですが,1につきましては特に御異論はなかったところでございます。   2の(1)については,これまで特に御意見をいただいていないところでございますが,これでよろしいかどうか,再度確認させていただきたいと思います。   問題は2の(2)でございますが,二読では御議論が分かれていたところでございまして,本文の基本的な方向性については余り御異論はなかったようにも記憶しているのですけれども,その辺りも含めて,本日再確認させていただきたいと思います。二読でいただいた御意見を(注1)で取りまとめさせていただいているところでございます。   (注2)につきましても,この内容でよいかどうかということを御確認いただければと思います。   なお,2全体の(注)として,二読で確認させていただいたところを付記しているところでございます。   3の公告についてですけれども,(1)の本文については格別御異論がなかったところです。もちろん,清算中の会社の債権者に対する個別催告の実施が前提ということでございます。   (注)につきましては,実務的な御要望のあるところでございますので,もし本日御議論が収束すれば,もう少し踏み込んだ表現とすることもあり得べしかと思いますが,議論の時間がないのではないかという懸念もありましたので,一応,この資料では,(注)としてこのような形で意見照会をさせていただいてはどうかという趣旨でまとめさせていただいております。   (2)については,特に御意見がなかったところでございます。   それから4の(1)ですが,(1)自体については,一般の現物配当との関連も含め,これについて特段御異論はちょうだいしていなかったものと承知しております。   4の(2)について,本日御議論いただきたいと思いますけれども,二読での御議論を踏まえて若干整理をさせていただいております。特に,清算中の会社における買取請求の可否という点について,どのような整理をさせていただくのが適当かどうかということでございます。   関連して,商法245条ノ2第1項ただし書の規律,これ自体の当否が,清算中の会社における買取請求の取扱い方いかんにかかわると思われますので,この点も含めて,(注1)のような各種論点について,本日御議論をちょうだいできれば幸いでございます。仮に245条ノ2第1項ただし書の規律に合理性があるとすれば,清算中の会社における買取請求というものは基本的には認めないという方向での整理が可能ではないかと思われますけれども,この点についてどう考えるかということでございます。   「5 清算結了登記後の資料の保存者」につきましては,裁判実務からの御要望のあるところでございまして,特に御異論をいただいていないところでございます。   それから,「第9 その他」の「1 子会社に関する規定」についてですが,二読では明示的に触れなかったところですけれども,子会社に関する会社法上の様々な規定について,我が国の法律上の株式会社・有限会社のみならず外国会社を含めた法人等をその対象に含めるという整理を--一般的に,あるいは個別の規定の趣旨に応じて--させていただくかどうかという問題でございます。ここでは,従前の資料と同じ表現だと思いますけれども,抽象的に,株式会社・有限会社に限られないこととするということを打ち出そうとしておりますが,規定の趣旨に応じてきめ細かい考慮が必要ではないかという御意見もいただいたところでございます。   「2 会社整理・特別清算」につきましては,その見直しの問題が倒産法部会に係る諮問事項の一部をなしていると理解しているところでございまして,これについては,破産法改正の議論が終了いたしました倒産法部会において引き続き検討していただくということになっております。時期的には,この会社法制の現代化の法案提出時期に間に合うように議論が終わるものと承知しておりますので,そこでの議論の結果を法案の中で合体させて,国会に提出するということとさせていただければと思います。   それから,第5部は「外国会社関係」でございます。   ここでも誤記が2カ所あります。   一つ目は,1のa案の中の「議事」というのが誤っておりまして,それを「擬似」と御訂正いただければと思います。   二つ目は,b案の中に「通常の外国会社についても同様の取扱いをする」とありますが,これは「通常の外国会社と同様の取扱いをする」という趣旨でございますので,そうお読みかえいただきたいと思います。   擬似外国会社の取扱いにつきましては,a案,b案のほか,設立に関する規定は適用せず,それ以外の規定は基本的に適用するという考え方があり得るわけですけれども,そのような整理をきちんと法制的に行うことはなかなか難しいということもありまして,a案,b案を併記するのみで意見を求めることとしてはどうかということをお諮りしたいと思います。   2の「外国会社の日本における代表者」につきまして,これ自体は格別御異論をいただいていないところであるものと承知しております。   なお,「第6部 その他」につきましては,次回の部会資料の中でお諮りすべき事項でありますけれども,いわゆる新しい会社類型の創設の要否等の問題もその中で取り上げる予定でございますので,その辺りはまた次回に御議論をちょうだいしたいと思います。 ● それでは御審議いただきたいと思います。   まず,「第7 組織再編関係」でありますが,これも,最初に,星印がついているものを順次御審議いただきたいと思います。   2の(1)の(注2),(注4),(注5)とありますが,まず(注2)につきましてはいかがでしょうか。こういう形で意見照会するということでありますが。会社分割の基準が決まれば,それにそろえるということでありますが,一応こういう形で意見照会するということでよろしいですか。   それから,(注4)につきましては,かねてから御議論あるところでありますが,こういう形で意見照会するということでよろしいでしょうか。 ● これは解説書に何か出るのだろうと思うのですけれども,見直しの要否といったときに,○○委員の言われる,厳しくするのと--簡単に反対できるようにするのと,反対に難しくするのと,読み手は全く分からないのではないかと思うのですけれども。 ● 部会での御議論は,できるだけ適切に,補足説明において明らかに表したいと思いますので,主な御意見は何らかの形で分かるような説明をさせていただく予定でございます。 ● よろしいでしょうか。   では,(注5)でありますが,この点につきましてはいかがでしょうか。これもかねてから御意見があるところですが,こういう形で出すということでよろしいでしょうか。 ● これは,株主総会の特別決議ということについてはもうあきらめていただいたということでよろしいのでしょうか。 ● これはいわば意見照会ですから……。 ● 今の段階で,そういった意見はもう受け付けないという趣旨を盛り込むものではありませんので……。 ● 一応こういう形で意見照会することでよろしいですか。 ● ○○委員がこれでいいのかなと思いましたので。 ● 本来,株主総会の特別決議と書いてほしいところですが,事務当局のいろいろの御考慮を考えて,特に異論までは申しませんが,是非,解説の中では,そういう意見があったということを書いていただきたいと思います。 ● それでは,意見を適切に反映するように事務局にはお願いしたいと思います。   それでは,次に進みまして,3ですが,これの(注2)につきまして,前回御意見があったところをこういう形で盛り込んだということですが,この点もこういうことでよろしいでしょうか。 ● (注2)の問題ではなくて,この3自体にちょっと。   3の場合に,仮に合併比率とか分割比率とかが不適切に決められた場合の少数株主の保護というのを,株式買取請求権だけしか実際にできなくなるのではなく,やはり合併無効とか分割無効とかの原因になるということが何か明らかになるような手当てをした方がいいのではないかという気がするのですね。つまり,今までですと,株主総会決議取消しの訴えとかで,特別利害関係人が参加したことによって著しく内容が不公正だという,これで争えた。そのレベルで合併無効は争えるかもしれないと。しかし,今の裁判例だと,単なる合併比率の不公正は合併無効原因ではないという考え方がとられているようですし,有力な学説もそういう考え方をとっていて,そうすると,今までですと,株主総会の決議を争うという形で合併無効とか分割無効を争えたのが,この3の場合には全くその余地がなくなるので,そこのところをもう少し無効の訴えのところで配慮するということが必要ではないかというふうに思うのですけれども。 ● そうすると,具体的には,差止めですかね。つまり,無効の訴えになると,株券がなくなると,無効になるとフォローできなくなってしまって,非常に解釈が難しくなるのですね。支配会社から株式が発行されて,それが事後的に無効になりますと,それが譲渡されていますと,無効なのを譲り受けたのはどいつなんだというのが,株券があると株券番号でフォローできるのですが,なくなってしまいますと,何だか大変なことになるので,やるなら差止めかなという気がするのですが。日本の裁判所は差し止める勇気がありますかね。   しかし,これは新しい問題で,○○幹事のおっしゃる問題は確かにあると思いますので,その点は適切にどこかに盛り込むようにしてください。   ほかにありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,5ですが,人的分割の構成をこうしてはどうかと。前回は二つ案が挙がっておりましたけれども,これに絞って意見照会するということですが。非常にドラスチックでありますが,事務局は非常に問題意識を持っているところでありますので,一応こういう形で意見照会するということでよろしいでしょうか。 ● ここの(注)なのですけれども,「株式のみの場合等一定の場合について」,この場合においてもまだ,例外とするかどうかについてなお検討するということは,ちょっと厳し過ぎるのではないのかなと。株式のみによるような場合についてはそもそもこの例外とするというふうにしていただけないのかということなのですけれども。 ● 現在と非常に変わってしまうと。 ● はい,余りにも変わってしまう。こういう人的分割というのが,そもそも財源規制でできなくなる場合が--本来,株式でやる場合が圧倒的に多いでしょうから,それすらも事実上できなくなってしまう。これはまず例外ですよというふうに言っていただきたいなと思うのですけれども。 ● おっしゃるとおり,こういうあれが出てきたのは,確かに,交付金でやるという,全部キャッシュでやるということが出てきたので,非常にこういう問題が出てきたので……。   それでは,(注)の表現は検討していただきたいと思います。   ほかに,この点につきましてはよろしいでしょうか。   それでは,先に進みまして,「第8 清算関係」ですが。   まず2の(2)でありますが。いろいろ御意見はありましたが,こういう形で意見照会してはどうかということでありますが。削れるものもあるかというような話かと思いますけれども。(注)だけではなくて,本文の方についても御意見がありましたら,どうぞ。   この(注1)のc案というのはどうですかね。全くないというのはどうかなという気が私はするのですが。取締役1人でいいというのは,判例でもありますし,それでいいかなと思うのですが,監督者はやはり利益相反はありますので,c案までは要るのかなという気が私はするのですが。   いかがでしょうか。例えばc案を削るというような……。 ● 賛成です。 ● よろしいですか。   c案は是非残せという御意見はありますでしょうか。   何か事務当局は。 ● いえ。 ● では,(注1)のc案は削ると。 ● 今のままですと,本文とa案とが相矛盾している。本文では3人以上というのは適用しないとしておきながら,a案では,亀甲がついていますけれども,3人以上と。ちょっとここは表現を考えた方がいいかもしれませんね。 ● これはどういう関係なんですかね。 ● 本文は,とにかくフルセットでの監査役に関する規定というのはとりあえず適用しないということを確認させていただくものでございまして,しかしながら,監査役に関する規定の一部はやはり適用されるべきであるとするのがa案,b案でございます。   それで,a案につきましては,ここでさらに確認させていただければ,この表現を改めさせていただいてもよろしいのですけれども,監査役を複数置くべきであるという御意見が前回あったのですけれども,それが,2人以上であればいいということまで意味しているかどうか,人数は3人要るのだけれども社外監査役・常勤監査役は要らないという御趣旨なのか,そこがちょっと不明だったということと,それから,複数必要だという場合に,それが監査役会を置くということを当然に前提としておられる御意見かどうかも不明だったものですから,いずれの点についてもここではやや中途半端な書き方になっているところでございます。もし,a案について,例えば監査役が2人以上いなければいけないという趣旨であれば,そういたしますし,あるいは,2人以上置く限りは監査役会を設置するということを当然にするということであれば,そういたしますし,その辺りの御議論をいただければと思います。 ● どうも趣旨はそういうことのようです。本文の方は,要するにフルセットの説明だということのようです。   いかがでしょうか。3人以上,監査役会設置までは必要だという案が一つはあり得るかということですが。社外監査役・常勤監査役は不要としてもですね。 ● 私,この議論のときに退席していたので,初めて審議に参加させていただくのですが,したがって前回の議論は分からないのですが,a案について,3人以上,監査役会の設置まで,そこまでぎちぎちする必要があるかなという気がいたしまして。つまり,清算人は1人で,その清算人の職務遂行をいろいろとチェックするときに,清算人はいろいろ従業員を使えるけれども監査役は必ずしもそうでないということで複数いるにしても,3人のところを2人にして,監査役の設置は義務づけないという単純なものにした方がいいのかなと思うのですが。   ただ,前回,こういう主張をされた方がおられるとすれば,その方の御意見をお聞きしたいと思うのですが,何か,そこまでぎちぎちしなければいけないかと。とりわけ,監査役会まで要るのかなという感じがするのですが。 ● 削っていく順番としては,まず削る必要があるのではないかと思うのは,常勤監査役なんですね。清算段階ですから,高い給料を払う必要はないだろうと。だから,一番きつい案としては,常勤監査役だけを外して,ほかは3人以上は置けとかいうのがまず来るのですね。その次が,社外監査役・常勤監査役は要らないけれども,3人は置けとかいうのが来まして,それからa案みたいなのが来まして,それからb案が来ると。これ以上詳しく書けばそういうことになるのかなというのが私の感じですが。   どこまで緩めていいかというのは,これは,私,前回も申しましたけれども,清算段階で利益相反というのは明らかにあるのですね。大株主とそうでない株主とで。大株主というのは,実質上会社財産を買い取る人ですけれども。そういうことを考えて,どこまで緩められるかということなのですが。 ● これは試案ですので,あえてa案の亀甲を残して御意見をお聞きなさるのはあれですが,何か重いなという感じが率直にするという,それだけのことですので。一応,このa,b,cで結構ではありますけれども。   ただ,それとの関連では,(注2)については,○○委員のおっしゃることからすると,大会社以外でも利益相反の可能性はあるわけですね。そうすると,監査役を任意というのは--そもそもゴーイング・コンサーンのときにも監査役を設置しない形態は別ですけれども,ゴーイング・コンサーン状況で監査役設置が義務づけられている会社がこれは前提になっていると思うのですが,その場合には(注2)が合理的なのかなという気がむしろしますが。a,b,cよりは。 ● そうですね。   ほかにいかがでしょうか。 ● 確かに難しいところですが,今,○○委員がおっしゃったように,この(注2)は,大会社以外については全部監査役設置を義務づけないというのは,ちょっと広がり過ぎかなという感じはしますね。   ですから,大会社以外については,少なくとも監査役を1人以上設置するとか,更にその中で譲渡制限会社について設置を義務づけないというふうに限局していくとか,段階を追った方がいいのではないかという感じはします。 ● いかがでしょうか。(注2)はちょっと広過ぎるのではないかという御意見かと思いますが。   (注2)を,今,○○委員がおっしゃったような形にもうちょっと,これほどドラスチックではない形にするということでよろしいですか,意見照会の形としては。 ● そもそも,大会社以外については,譲渡制限のあるなしで,監査役を置く,置かないというのは決まってくると。清算人については1人以上で足りる。そういう意味では,取締役会のような会議体というものは要らないのだという,そこからスタートしたときとのバランスというのは,それはそれでいいんですかね。 ● チェック役ですから。 ● それは,会議体としてのチェック,清算人会のようなものをつくってとしてのチェック,そういうものは特段なかったとしても,独立した立場での人間の一人をチェック,これは要るのだという,そういう価値判断ということなのですか。 ● むしろ,清算人という機関が1人なら1人いて,それをチェックする監査役というチェック機関が独任制で1人いるというバランスでいいのではないかという感じはしますけれどね。 ● 大体そういう方向ということでよろしいですか。   監査役会の設置まで要るという御意見はありますかね。監査役会というのは余り要らないような気がしますね。だから,常勤監査役と監査役会は余り要るという御意見はないのではないかという気がするのですが。社外監査役になるとどうかなということがあるいはあるのかもしれませんが。   そうすると,a案は,複数で,社外監査役はどうしますかね。もう常勤監査役不要はいいんじゃないですか。常勤監査役と監査役会は。 ● 分かりました。 ● 社外監査役は残す案が一つぐらいあってもいいのではないかと。社外監査役が複数である案,それから社外監査役もなくす案,それで複数,それから一人でいいと。これで案は三つぐらいになりますよね。そういうことでよろしいですか。   それから,3の(1)の(注)につきましては,これは御議論のあったところですが,たしか○○委員からこういう御主張があったと思いますが,この点につきましては,こういう形で意見照会するということでよろしいですか。   次が,4の(2)でありますが,この点はいかがでしょうか。株式買取請求をどうするかという問題ですが,営業譲渡して解散するというケースとの平仄を考えると,解散後の営業譲渡についてもいろいろ問題が出てくると。株式買取請求のところについてはですね。ということですが,どういうふうに書いて意見照会すべきかということでありますが。   確かに,全く株式買取請求を認めないのも問題だけれども,しかし,ほかの債権者と同列だというのも何だか行き過ぎのような気はするんですね。劣後的な債権者になるとかいう取扱いは考えられるのかどうか。   しかし,株式買取請求を認めると,これは清算がかなり時間がかかりますよね。裁判所で買取価額が決まるまで,株主へは分配できなくなってしまいますから。   いろいろな考慮があると思いますが,いかがでしょうか。 ● これは絶対的な意見というのは多分ないと思いますけれども,意見照会をすることの是非という問題は一応さておき,私の感覚では,清算中に会社からお金を出して株式買取りをする必要性というのはないのではないかと考えていますけれども。   ただ,例えば,株主が,その営業譲渡では反対であって,こちらに対するこの価格の営業譲渡なら賛成だという場合もあるとは思いますから,こういう需要が絶無ではないというふうに思いますけれどね。ですから,意見照会すること自体に意味がないとは言えないと思います。   ただ,買取請求で株主にお金を払う,債権者に先立ってお金を払うというほどの観念は,ちょっと私,原則的にはないですけれども。 ● 株式買取請求がないということになると,実際問題は,その決議の効力を争うか,特別利害関係か何かで争うか,取締役の責任追及か,それに限られるということですよね。救済は。もうそれでいいというふうに割り切るのか。 ● あるいは,買主を探してきて,株主提案をするとかですね。 ● いかがでしょうか。   ここに書いてあるような問題があることは間違いないのですが,どういう形で意見照会をしたらいいかということですが。 ● 前にも言いましたとおり,世間をあえて騒がせることなく,ここは何も意見照会をしないでいただけると有り難いのですけれども。   これは,実際,こういうのを認めていないから大きな問題が生じたという,そういう実例が出てきたのでしたかね。 ● 判例にそれに近い事案はないわけではないんですよね。清算段階で,大株主に営業譲渡したのはけしからんというような訴訟が起こったことはあるのですね。清算段階で売ったのではなくて,私の記憶では,正確には解散・清算する直前に営業譲渡したということなのですが,結局その後すぐ解散しましたので,実質同じような話なのですが,清算段階というのは,結局,営業を買い取るのは大株主と会社の周辺の者であることが多いですから,そういう争いが訴訟でもないわけではないというふうに私は認識しています。   ですから,営業譲渡を認めないということは,結局,争い方はそれ以外の争い方をしろということですよね。株式買取請求を認めると,先ほど申しましたように清算が非常に遅れるというような問題は確かにあると思いますので,それでいいという割り切り方はあると思いますけれども。   まあ,一応意見照会するということで,特にはっきりした御意見がなければ,もうこのまま意見照会するということですが,よろしいですか。--それでは,そういうことにさせていただきます。   それでは,第9の2の「会社整理・特別清算」ですが,これはこのとおりでよろしいでしょうか。   それから,第5部の1の「擬似外国会社」でありますが,論理的には三つぐらいあるが,ここでは二つにしてあるということです。   これも,こういうことでよろしいでしょうか。   それでは,一わたり星印については……。 ● 外国会社のところの2の方,これは,前,余り議論したことのなかったところですけれども,日本における代表者が日本に住所を有しない者であるというのは,果たしてどれだけの意味があるのか,ちょっとよく分からないのですけれども。裁判管轄を設けたり,あるいはいろいろな問題の処理に当たるためには,やはり日本にいる人でないと実際上は処理できないということになると思いますので,そうでない者を認めて果たしてどれだけの意味があるのかなという感じがするのと,それはそれとして,更にこの483条ノ3の関係ですと,特に裁判管轄等のことなんかを考えますと,代表者が退任したときの債権者の異議手続等は,やはり,日本に実際に住所を有する代表者について,退任すればこの規定の適用があるというようなことを考えないと,余り保護にならないような気がしますので,仮に2のような規定を入れるとすれば,483条ノ3について検討が必要ではないかというようなことを意見照会のときに触れていただけたら有り難いと思います。 ● それでは,その点も事務局に検討いただきます。   ほかにありませんでしょうか。 ● 第9の1の「子会社に関する規定」なのですけれども,読み手からいたしますと,これを規定することによって何が変わってくるのかというのが全く分からないのですけれども。「親会社からの一定の支配権が及び得るとみられる法人等をその対象に含めるものとする」というのは,支配の方は分かるのですけれども,「外国会社等を含め」と言うことによって今の規律とどういう点が変わってくるのか。監査役とか会計監査人の子会社調査権が外国会社にも及ぶので,適切な場合に外国会社に行って調査をしなかったがゆえに監査役や会計監査人の責任問題が出てくるとか,そういうことを意味しているのでしょうか。それ以外にもいろいろな局面があるのか。どういうところに実務で影響を与えてくるのか,全く,今の子会社調査権ぐらいしか思い浮かばないものですから。 ● それでは,もうちょっと詳しく。 ● 子会社に関する規定はいろいろありますけれども,ここでは,一応それらの規定を全部念頭に置いているわけでございます。   以前この議論をした際には,たしか○○委員からは,問題の局面によって,連結計算書類の関係では支配概念をもって広くしても余り差し支えないけれども,それ以外の局面では非常に困るという御指摘をいただいたと記憶しております。   例えば,子会社による親会社株式取得規制がどこまで及ぶことになるのかと同様の問題でございまして,今御指摘のような,子会社,あるいは子法人というべきかもしれませんが,そちらに対して監査役の調査権が及ぶこととした場合,仮にそれが外国にある会社である場合には,きちんとした手当てがされていないとまずいのではないかとか,いろいろと御指摘をいただいたところでもあり,どのような規定に,これがどのような実質をもって変更が加わるかということは,ちょっとここでは書き切れませんけれども,何らかの形で明らかにしたいと思います。 ● お願いします。 ● 御指摘ありがとうございました。   ほかに。 ● 戻って恐縮なのですが,第2の6(1)の③の,会社に対する金銭債権についての意見照会の内容なのですが,もう既に議論し尽くした感じはあるのですが,この「当該債権額」という場合の債権の額について,券面額説と評価額説という説の対立がありまして,ここで,もし「当該債権額」というのを券面額というふうに理解すると,券面額以下で出資する場合には検査役調査を不要とするというふうになっているのですが,券面額を超えて出資するというケースはあるのだろうかと。現実にちょっとあり得ないのではないかと思いますので,そういう意味で言えば,券面額と理解して,それ以下で出資する場合は検査役調査を不要とするという問いかけが実務的に果たしてどういう意味を持つのだろうかという感じを持ちまして。 ● 恐らく実態はそうだと思うのです。券面額以上ですることはないと思うのですが,しかし,法律ですから,ありとあらゆる場合を想定してこれは書いているのだと思いますが,おっしゃるとおり,履行期が到来しておりますと,券面額以上ということはあり得ないと思います。それをしたら法的に問題が起こることは明らかなのですが。 ● デット・エクイティー・スワップの実際からいくと,検査役調査の例外を,もう少しバーを下げるという意味合いの問いかけであればある程度分かるような気がするのですが,現実にあり得ない券面額以上の出資だけに検査役調査を要求するというのがどれだけ意味があるのだろうかという見方をされてしまうと,この意見照会が何となく落ち着きが悪いという感じが残ってしようがないのですが。 ● 非常に絞っていることは事実なんですね。検査役調査が不要なものの範囲を,履行期が到来しているものを債権額以下でと,こういうふうに絞ってありますね。 ● 債権額以下というところがどういう見方をされるかという点で,ちょっと気になっているものですから。これは星印もついていませんので,余り繰り返し議論してもいけないかとは思うのですけれども。 ● 「履行期が到来しているものを出資する場合には(債権額を超える場合を除く)」とかにするといいのかなという気はしますが,まあ表現の問題で,実質の問題としては,これは,かなり絞った上で,それについては検査役の調査を不要とすると,そういう趣旨なんですね。ちょっと表現の問題だから……。   確かに,普通はあり得ない話なんですね,債権額以上というのは。これは前にも議論が出たと思いますが。もしやったら,明らかに違法だろうということは確かなんですよ,それは。   それでは,なお表現は考えさせていただきますが,実質はそういうことなんですね。 ● だから,この表現から,検査役調査がもう当然当たり前であろうと。それよりも,検査役調査を要求すべき場合としてはもう少し絞った場合に要件を設定すべきではないかという見方をされてしまうおそれがあるのではないかという感覚をちょっと持ったものですから。 ● それでは,改めて表現は検討させていただきます。   ほかに,全体,どこでも結構ですが。 ● 第7の1の(注3)ですけれども,「各種の組織再編行為につき,対価の適正性調査のための制度」とあるわけですけれども,これが,例えば検査役調査を義務づけるとか,そこまでの制度設計は恐らく考えておられないのだろうと思うのですけれども,ちょっとイメージを出しておかないと,例えばどういう制度,専門家による鑑定意見とか。それが正しい理解なのかどうかも自信がないのですけれども,検査役制度までは行っていないのだろうと思うものですから。 ● これはいろいろな御意見がありますので,ここで出た御意見を適切に反映する形で解説等は書かれるということだと思います。   ほかに御意見ありますでしょうか。   一応,本日の範囲につきましては,以上のようなことでよろしいでしょうか。   それでは,どうも長時間にわたりまして熱心な御議論をありがとうございました。   大幅に時間を経過しておりますので,本日はこれで終了させていただきたいと思いますが,なお,事務局から連絡事項がございます。 ● 本日は,前回に引き続きまして長時間の御議論,ありがとうございました。   冒頭で申しましたように,次回は会場を変更させていただきたいと思います。内部の事情で恐縮でございますけれども,地下1階の大会議室で,来週24日の水曜日,午後1時から開催させていただきます。機関,計算関係につきましては,まだ議論が尽くされていない論点が多数ございます。会計監査人制度関係を含めて,二読の議論を踏まえてかなり整理させていただいた資料を本日発送させていただいておりますので,御覧いただいた上で,また活発な御意見をちょうだいしたいと思います。   なお,次回でたたき台についての御審議を終えていただくとしますと,10月には2回の部会が予定されておりますが,その2回目には試案を取りまとめていただけると大変有り難いと思っています。今後の日程を考えますと,10月中に--10月22日が10月の2回目の部会ですけれども--おまとめいただければ大変有り難いと思っております。   また,本日,非常に分量が多いところ,無理を申しまして御審議をちょうだいしたわけですけれども,実質,形式にかかわらず,御指摘いただき足りなかった部分につきましては,別途,何らかの形で御意見をちょうだいできれば,この部分に関する次の回,10月8日用の資料の作成に当たって反映させたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 ● それでは,本日は本当に長時間,ありがとうございました。これで終了させていただきます。次回は機関等もありまして,また大変長時間お願いするかと思いますが,よろしくお願いいたします。