法制審議会会社法(現代化関係)部会 第13回会議 議事録 第1 日 時  平成15年9月24日(水)   自 午後1時00分                         至 午後6時30分 第2 場 所 法務省大会議室 第3 議 題 会社法制の現代化に関する要綱試案(案)のたたき台(2)について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● まだお見えになっておられない委員・幹事の方が若干おられますけれども,予定した時刻が参りましたので,第13回会社法(現代化関係)部会を開会することにいたしたいと思います。本日は御多忙の中御出席いただきまして,誠にありがとうございます。          (委員・幹事の異動紹介省略)   それでは,早速,配布資料につきまして,事務局から説明をお願いします。 ● 本日の資料は,あらかじめ送付させていただきました「会社法制の現代化に関する要綱試案(案)のたたき台(2)」と題する部会資料11でございます。   それから,各委員・幹事の方々から本日の議事に関しまして意見書を提出していただいておりますので,御紹介いたします。   ○○委員から,完全子会社に係る会計監査人の設置の要否に関する特例に関する部分についての意見書の提出をいただいております。   また,○○委員から,補欠監査役の予選--本日初めて議事に取り上げさせていただく予定でございますけれども--この項目に関する意見書をお出しいただいております。   それから,本日,所用により御欠席の○○幹事からも意見書をいただいております。取締役の任期規制,それから監査役の権限に関する部分についての意見書でございます。○○幹事の意見書の内容につきましては,関係部分におきまして,再度,こちらの方から御紹介いたします。   ○○委員,○○委員の意見書につきましては,該当箇所で,適宜,各委員の方から補足していただければ幸いでございます。   資料は以上でございます。 ● 配布資料につきまして,何か御質問ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,本日の審議に入りたいと存じます。   本日は部会資料11につきまして審議をお願いするわけでありますが,大部でありますので,区切って御審議いただくことにいたします。   まず最初は,第4部の「第4 機関関係」の1から6までを一区切りにして,まず事務局から説明をお願いし,そして,それについて御審議をいただきたいと存じます。   それでは,お願いします。 ● 本日は,前回のたたき台(1)に引き続きまして,要綱試案の原案の全体像の残りの部分について御審議をちょうだいするわけでございます。第二読会までの間に実質においてほぼ御異論がなかった点と,意見が分かれる部分であっても,とりあえずこのような内容で意見照会をするということについてはほぼ御異論がなかった点については,説明を省略させていただきます。   本日も,前回と同様,実質的に御議論いただきたい点につきまして星印をつけております。関連する問題として新たに御意見をちょうだいすべきもの,新たな要望事項として早急に検討を求められているもの,それから,第二読会までの御議論を踏まえて,事務局においてこのような整理をするのが適当ではないかと考えて初めてお諮りするもの,その辺りについて星印をつけておりますので,それらを中心に御議論をちょうだいできればと思います。   まず,「第4部 株式会社・有限会社関係」の「第4 機関関係」についてでございます。   まず(前注)として--これは第4部の第1のところでも掲げさせていただいた内容を更に敷えんするものでございますけれども--確認的に,現行の有限会社の機関に関する規律に相当する規律の適用を選択する譲渡制限株式会社,つまり有限会社型の機関設計を採用する譲渡制限株式会社については,特に明示しない限りは基本的に有限会社と同様の取扱いをするということをうたわせていただいております。   「1 株主総会・社員総会」の関係でございますけれども,(1)につきましては,法制的にこのような規定を設けることの要否は別にして,実質についてはほぼ御異論がなかったところでございます。   なお,(注)において,少数株主による総会招集についても同様の手当てを講ずることでよいかという点を今回新たに掲げさせていただいております。手当てを講ずるかどうかということは,法制的な観点からの最終的な整理の問題ではありますけれども,実質として,法定の期間制限について定款での短縮を認めるということでよろしいかどうかということについて御意見をちょうだいしたいと思います。   (2)の「招集地」につきましては,とりあえずこのような形で意見照会をさせていただくということで,ほぼ御異論のなかったところではないかと思っております。   (3)の「総会検査役」の①,②につきましても,前回までにお諮りした内容そのままでございます。   ③の「裁判所による総会招集命令」という項目を,本日,新たに御審議いただきたいと思います。   現行法のもとでは,総会検査役あるいは業務財産調査検査役の調査結果の報告を受けた裁判所により,必要とあらば総会招集命令が出されることになり,そのような総会を経た上で,必要ならば更なる手続がとられることが予定されているわけですけれども,このような総会の招集ということが常にあらかじめ行われるべきかどうか,会社における事務負担等を考えますと,端的に裁判所が--現行法のもとにおいては総会招集の必要があると判断するような場合に--総会の招集を命ずるのではなく,株主に報告内容を通知するよう会社に対して命ずるというような形にして,株主にその後の手続についてのイニシアチブをとらせることとしたらどうかというのが,ここでの問題意識でございます。総会検査役のほか,業務財産調査検査役についても同様の手当てをすべきかどうかということもお諮りしたいと思います。総会検査役について言えば,裁判所が必要と認めた場合,会社から検査役の報告内容が株主に通知され,株主が必要と判断すれば,当該総会についての決議取消しの訴え等の手続に進んでいくという形での整理をすることが適当ではないかというものでございます。   (4)の「書面投票・電子投票」につきましては,①,②とも,第二読会までの間に格別御異論がなかったところでございます。   (5)につきましても同様でございます。(注)も含めて,このような整理でよろしいのではないかということで事務局の方でまとめておりますけれども,いま一度御確認いただければと思います。   (6)につきましても,特にこの方向で御異論がなかったものと承知しております。   (7)につきましても,a案,b案それぞれを推す御意見をちょうだいしたところであり,試案では両案併記で意見照会させていただくということで,前回までに御了解をいただいているところではないかと思います。   2の「取締役の資格」についてでございますけれども,(1)の「資格制限」につきましては,いろいろな御意見があったところでございます。株式会社全般について見直しをすべきなのか,あるいは取締役会設置会社か否か,すなわち,株式会社的会社か有限会社的会社かによって現行法と同じように取扱いを区分するかどうかということのほか,譲渡制限会社についてこのような手当てをするかどうかなど,いろいろな選択肢が提示されたわけでございますけれども,差し当たりここでは,二読までの御議論も踏まえて,譲渡制限会社一般についてこのような手当てをするということを試案に掲げて意見照会をさせていただくということでどうかということをお諮りしたいと思います。   (2)の①につきましては,第二読会までにいろいろと御意見はあったところでございますけれども,一応試案ではこのような形を打ち出させていただくということでどうかということをお諮りしたいと思います。   なお,成年被後見人の取扱いにつきましては,破産者の場合と異なりまして,本人保護という観点からの要請というものが判断要素として加わるところでございます。差し当たり試案では,この破産者を欠格事由から外すということのみを取り上げさせていただくということでよろしいかどうかにつき,いま一度御確認いただきたいと思います。   ②につきましては,幾つか御意見をちょうだいしたところでございますが,差し当たり,(注)の内容のような記載を加えた上で意見照会をさせていただきたいと思っているところでございます。   3の「取締役の任期」についてでございます。○○幹事の意見書もこの点について触れておられるところでございますが,譲渡制限会社の取締役の法定の任期を一般的にどのように取り扱うかということについては,様々な御意見をちょうだいしたところでございます。ここでの考え方は,一応,法定の取締役会の設置ということが所有と経営との分離を表わす機関設計であるということを前提とし,譲渡制限会社といえども法定の任期をなくしてしまうということはいかがなものかという御意見をも踏まえまつつ,譲渡制限会社の特質にかんがみ,これを伸長するという方向で検討したらどうかということで意見照会をさせていただこうとするものでございます。   (注1)は,取締役会が設置されない,有限会社的な機関設計を持つ会社におきましては,株式会社であっても任期規制を設けないものとする趣旨を明らかにするものでございます。(注2),(注3)も含めて,このような意見照会の仕方について御確認をいただければと思います。   4の「取締役の選解任」についてですけれども--(1)の文中に「各株主」とありますが,「各社員」の誤りでございますので,訂正いただきたいと思いますが--(1)につきましては特段御異論がなかったところではないかと思います。   (2)につきましては,取締役の任期規制の在り方とも若干関連するところがありますけれども,一応,意見照会の仕方としてはこのような形で意見照会をさせていただくということでおおむねの御了解をいただけているのではないかと思っているところでございます。   5の「取締役会の書面決議」につきましても,様々な御意見をちょうだいしたところでありますが,これまた一応,試案におきましてはこのような形で意見照会をさせていただくということでほぼ御了解をいただけるのではないかと思っております。   6の「取締役に係る登記」でございますが,(1),(2)につきましてはおおむね御異論がなかったものと承知しております。   (3)につきまして,賛否両論,いろいろな御意見があったところでございますので,なお検討するという形で試案に掲げ,問題提起をさせていただくということでいかがかということをお諮りしたいと思います。   第4の1から6までにつきましては,以上でございます。 ● 1から6までにつきまして,全体を通じて何か御質問ありますか。--よろしいですか。   それでは個別に御審議いただきたいと思いますが,前回と同様,まず星印の点につきまして御審議いただきまして,その後で,星印のないところについてもし御意見がありましたら伺うということにしたいと思います。   まず1の(1)の(注)ですけれども,この(注)が新しくつけ加わったということだと思いますが,何か御意見は。 ● 半分は確認になるかと思いますが,この前の改正で提案権を6週間から8週間にするときに,これも6から8にしたので,今回これも同じようにということなのですが,237条2項を見ますと,原則として取締役は遅滞なく招集手続をやらなければいかんと,それから,8週間内の日を会日とする招集通知を出さなかったと,二つありまして,この8週間と遅滞なくというのがやや連動するのかなと。つまり,8週間内の会日を定めるような総会を招集すると,きちっとこういう手続をしなければいかんのにされていないからというのが,最初の2,3週間目の話とか何かになるのかなと思うと,当然に定款自治を認める,それも裁判所が遅滞なくなされたかどうかを判断するときに,8週間が動くことによって--差し出がましいことですが--裁判所はよろしいかということを一つお聞きしたいなという感じなのですが。   一応8週間をベースに「遅滞なく」を考えるというのが普通の実務になるのではないかと思います。それを,例えば,極端な話,4週間にしてしまった場合の「遅滞なく」というのは翌日にしなければいかんとか,裁判実務が混乱しないかなという確認だけです。私は,うまく運用できるならこれでよろしいと思いますが。 ● これは改正前は6週間だったわけですので。 ● だから,6週間ぐらいまでならまだいいのですが。これはその程度だろうと私も思いますが,一言それを整理する必要があるかなという,異論というのではなくて,確認のために。 ● 一応これで意見照会するということはよろしいですか。 ● はい。 ● ほかに御意見ありますでしょうか。 ● これで意見照会するのは結構なのですけれども,この項目,株主提案権の行使期限もそうなのですけれども,先ほど○○幹事からお話がありましたように,そもそもこういう規定がなくとも定款で書くのは自由ではないかという気もするものですから,あえてこれを書くことによって,その他の,株主権を定款自治で拡大するものに制約をかける趣旨ととられかねないとも思うので,この意見を出すときの趣旨について適切な書きぶりというのをお考えいただければと思います。 ● そのように書くべきだと思いますので,どうも御注意ありがとうございました。   よろしゅうございますか,ほかに。   それでは,1の(3)の③ですが,これも新しく出てきたものかと思いますが,これを意見照会するということはいかがでしょうか。 ● 御趣旨はよく分かりまして,従来の規定では,裁判所の方が命ずることができるのは株主総会の招集という非常にリジッドな対応になっていますので,必ずしもそれは必要ではないのではないかということはよく分かるわけであります。確かに,この場合,招集の手続や決議の方法等が法令・定款等に違反するということであれば,いったん決議が起こった後の株主総会の決議取消しの訴えの対象になりますので,その点に関して株主にイニシアチブを持たせるというのは,御指摘のとおりだと思います。   しかしながら,実際の紛争の中には,例えば,100分の1を持っていますと提案権を行使できるわけでありますけれども,せっかく提案して,会社が開いている株主総会で議案を取り扱ってもらいたいとか,あるいは議題として取り上げてもらいたいといって手続をしてきたにもかかわらず,会社がそれを扱ってくれなかったというような場合,それを株主全員に通知してもらっても困るわけでありまして,本来ならば改めて株主総会を開いてもらうということになるわけですが,その場合の救済措置が,株主自らの費用で株主総会を開くということになりますと事実上不可能ではないかということと,それから,要件上は100分の3ということになっていますので,提案権行使者と総会検査役に関しては100分の1以上でいいということになりますと,そこもちょっとそごがあると。   そうなりますと,場合によっては,現行法の制度にプラスして,通知で足りる場合にはその通知を命ずるというように,付加的にするというようなアイデアはないのかどうか,選択的に裁判所の方が必要あらば株主総会を開くことを命ずるという道を残すことは必要なのではないかというふうに感じたのですが,その点,いかがでございましょうか。 ● これをそういう提案に変えるかどうかですね。○○幹事の御意見はごもっともだと思うのですが。現在のここに出ている案は,総会招集というのは全く条文から外してしまうということなのですが,むしろ,ここにあるような案は付加するような形の方がいいのではないかという御意見ですが,その点,ちょっと考えてもらえますか。 ● (注)の方なのですが,これも比較の問題ですが,業務財産調査については,前回も議論がありましたように,不正の行為か,あるいは法令・定款に違反する重大な事実あるときと,非常にバーが高いわけですね。したがって,その場合も恐らく,代表訴訟でやれるという場合には,先ほどおっしゃったような形で個々の株主が,これは単独株主権ですので,適宜なさったらいいと思うのですが,解任をしようというときに,要するに100分の3だけでは,今の話と一緒なのですが,何も対応できないということになると困るということと,前回のたたき台(1)の第4部の第3の10(3)ですか,○○委員から業務財産調査権と解任の話とか何かがありましたが,そういうことも考慮すると,「業務財産調査検査役に関しても,同様の取扱いをするものとする」と断定,少なくともこの(注)は「でよいか」ぐらいに少しトーンを落としていただいた方が議論が合理的になるのかなと思ったりもしたのですが。今の○○幹事の意見と半分は同じような,つまり,基本的にそれでいい場合もあるけれども,やはり総会招集をしなければいかん場合もあるし,とりわけ(注)の場合はその可能性が多いのではないかということで,少し御検討いただければと思います。 ● 業務財産調査権の294条は25年改正前からの規定で,25年改正前は,総会を開かないと何もできなかったのですね。現在の株主代表訴訟に当たることも,総会で一遍否決されないと起こせなかったわけでありまして,それだから総会ということになっているのですが,現在は,○○委員がおっしゃったように,両方あり得る。そのまま株主代表訴訟に行くケースと,解任のケースとある。現在でも,解任だと総会で一遍否決されないといけないという……。 ● この場合には,いずれも100分の3だから,それぞれやればいいじゃないかということにもなるのかもわかりませんが。 ● ですから,○○幹事のおっしゃったことを入れるのであれば,恐らく294条も同じような話になるのだろうと思います。   それでは,この点は,○○幹事のおっしゃったような形に直すかどうかということについて,事務局にもう一度検討してもらいたいと思います。   先へ進んでよろしいでしょうか。   次の星印がついておりますのは,2の(1)の「資格制限」のところです。これはいろいろ御意見があるところだと思いますが,こういう形で意見照会することではどうかということですが,いかがでしょうか。   適用されるべき会社について,従来は有限会社についてはこういう規定はないのですが,ここでは,取締役会を置かない会社ではなくて,譲渡制限株式会社という形で意見照会するという,ほかのところとはちょっと違ったような形になっておりますが。 ● いろいろ意見が分かれるところだとも思いますし,単に有限会社法制との一体化を図るという観点だけからいたしますと,取締役会を設置しない譲渡制限会社についてのみこのような提案をするというのが一番現行法に近いということになりますね。とりあえずその程度の線で意見照会をしてみたらどうかと私自身は思いますが。   いろいろ考え出しますと,譲渡制限会社においては取締役会でもって先買権者等を決めるわけですね,それを決めるということと,その人が取締役に選任され得る資格を得るということがドッキングした形になって,運用面でいろいろな問題が出てくる可能性は一応あるわけですね。定款でそういうことを選んだ会社はそうしなさいというだけのことですが,このような規定を置きますと,結構多くの会社が念のためと思ってこういう定款規定を採用する可能性はあるのではないか。そうなったときに,随分いろいろな法律問題がひょっとしたら出てくるのではないかなどと思いますと,とりあえず現行と同じ程度のところだけでよろしいのではないかなどとも思います。 ● ほかの委員の方,いかがでしょうか。 ● いろいろな問題が生ずる可能性があるというのを,少し具体的に教えていただけませんか。 ● 例えば,ある2家族がいて,そしてその一つの家族が,自分はもう年がいってきたので息子に対してだんだんに渡していきたいと。株も渡したいし,取締役にもかわりにさせたいというふうに思いましても,定款で規定があり,そして取締役会の過半数は別の家族が持っているというような場合に,この問題をめぐってもう一つややこしい要素がふえないだろうかということです。息子への譲渡を認めるか認めないかということが,取締役になる資格を得るかどうかということに関連してきてしまうわけですね。   ですから,紛争の実態がまた一段と複雑にならないだろうかという心配です。 ● ○○委員,何か御意見ありますか。 ● 御指摘のようなケースもあるかもしれませんけれども,それ以外にも,考え始めると,大きな会社でも,小さい会社でも,いろいろなことが起こるので,そういう意味では,別にこれでよろしいのではないかという気がするのですけれどね。そこまで御心配をされる必要はなくて,どちらかといえば,自治に任せるということで,全体としてある程度制限を取ってあげるという基本的な方針でほかのところも書かれていますので,意見照会は別にこれでいいのではないかと思うのでございますが。それで,どうしても困るというようなクリティカルな例がたくさん頭の中で想定されるということであれば,当然,御意見が強く出てくるでしょうし,今,○○委員がおっしゃったことについては,まあそんなことももちろんあるかもしれませんけれども,それが必然的には起こるようなケースでもないと思いますものですから。 ● これは,有限会社と同じように取締役会を置かない会社ということで意見照会をしますと,みんな,当たり前ではないかということで余り真剣に考えてもらえないおそれもありますので,こういうふうにちょっと違った形で出していると,改めて……。   要するに,これは資格制限の話なんですよね。定款でどこまで取締役の資格を制限できるかと。これは,ある程度は制限できる,合理的な制限ならいいけれども,何でも定款で決めればそれでいいわけではありませんよというのが普通の考えだと思うのですが,その一つとして現行法にはこういう規定があるということで,それに関係する形でこの案は出てきているのですが,改めてよく考えていただくためにはちょっと変わった形で出していく方がいいのかなと私も思っているのですが。みんなが「あれっ」と思うような形で出した方がですね。 ● そんなに深刻な問題ではないと思うがゆえに,それであれば現行法をベースにした規定の整理ぐらいでいいのかなという,そういう趣旨でございます。 ● これは,もともとは,もう公開会社も含めて全部取ってしまえという意見もありますので,ちょっと真剣に考えていただきたいと,そういうことですので。あるいは,この株主たる要件ということだけではなくて,本当はもうちょっと違う規定の仕方もあると思うのですね。資格について合理的な定款の定めはできるけれども,そうでない場合もあるということをあらわすためにはですね。   そういう議論を喚起する意味で,こういう形でということで御了解いただけないでしょうか。--よろしゅうございますか。   ほかに,この点について御意見ありますでしょうか。   では,一応こういうことで出させていただくということでお許しいただきたいと思います。   それから,これは星印がついていないのですが,次の3に,○○幹事からの本日配布の意見書に一つ御意見が出ております。 ● 私,○○幹事から出た意見に賛成でございます。と申しますのは,このあたりは,先ほど○○委員からもいろいろ御意見はあったわけでございますが,譲渡制限をかけている会社が自分がやりたいような会社につくっていくというのは,これは経営者の基本でございますので,ここら辺はもう少し,こんな感じで緩めていただいた方が有り難いなと。まあ,実態の話でございます。 ● ○○委員の御意見は,この○○幹事の御提案のような形で意見照会をしたらどうかという御意見でしょうか。   ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。   この原案は,「伸長する」となっておりまして,とにかく2年ではなくて伸ばすという形。それに対して,○○委員,○○幹事は,要するに有限会社と同じような形にもできるという形で意見照会すべきであると,こういう御意見だと思いますが。 ● おられない方の意見を確認してもしようがないのですが,これは全く有限会社と同じようにするというのか。有限会社は,放っておけば,別に任期なしでいいわけですね。ただ,この書きようだと,任期は定めなければいけないけれども,それは法定の最長期限を定めずに自由に定めるだけと。これは要するに有限会社と一緒と理解してよろしいわけですね。 ● 私も○○幹事の意見は聞いてないので,そこまでは分かりませんが,恐らく,突き詰めていけば,有限会社と同じ形でということではないかと思います。ただ,そこには幅があると思います。2年から定めがないものまで幅があるので,そこら辺はむしろ自由にするということで意見を聞いた方が自由闊達な議論ができるのではないかと,こういうことですね。 ● 私は,やはり原案のままの方がよろしいのではないかと思います。   といいますのは,譲渡制限会社といいましても,非公開会社のほとんどが譲渡制限会社であるということを考えますと,やはり任期もないような形で取締役が自由に選任されるようにするということの持つ意味というのは非常に大きなものになる。それに対して,取締役会を設置しないという選択をした場合には,いろいろ今の有限会社と同じような自由度があるけれども,そうでない場合には,一応これまで,株式会社とはこうあるべき,たとえ譲渡制限会社であってもこうあるべきと思っていたものが維持されるという意味で,もう既に選択肢があるわけですから,そのままの方がよろしいのではないかというように思います。 ● 私も,もし譲渡制限会社全般について有限会社と同じように任期をなくせることでどうかという意見照会をしますと,恐らく学者,弁護士会,裁判所その他から,圧倒的に,反対という,ただそれだけの意見が返ってくるのではないかという気がするのですね。こういう,伸長する方向でどうかということだと,もうちょっと詰めた議論がそちらの方からも出てくるのではないかということで,原案の方が聞き方としてはいいのかなという気がするのですが。 ● そういうことにスティックするわけではありませんけれども,結局,伸長というのは,2年を3年にするか4年にするかという相場観の話でありまして,今回の,株式会社でも,中小企業に特有の形のもの,性質のものについては自由度を上げて,経営が比較的自分の思う存分いろいろなことができると,その実態に合わせて改正をするということで言えば,ちょっと言葉はきつうございますけれども,この改正の基本的な方向性が伸長程度の話かと。そうじゃなくて,もう少しきちんと,劇的に変えることも含んでいるんだよということであれば,もうちょっと,伸ばすという程度ではない表現の方が望ましいかなと思って申し上げました。 ● そういう御意見もあるかと思いますが,先ほど○○委員がおっしゃったように,非公開会社の圧倒的多数は譲渡制限会社なんですね。その中には,いわゆる中小企業とは言えない,中堅企業でも相当大きいというものもありまして,そういう会社について,定款で定めれば取締役の任期なしにできるのだということについては,やはり,中小企業関係者以外,特に法律家関係では圧倒的に反対という意見が出てくるのではないかという気がしますので,もうちょっと細かい聞き方をした方がいいのではないかというふうに,私は,先ほど申しましたように,思っておりますので,原案のような形で御了解いただければと思うのですが。 ● ただいまの御議論を聞いていまして,二つ問題があるのではないかと。   つまり,この○○幹事の御提案が言っている,こういう形にすべきだという案と,それから,今,○○委員が言われていることは,○○幹事が提案していることを支持することのほかに,現在のこの案の中で「伸長する」という部分を,「定款の自治に任せる」とか,そういう表現にしろという部分的な修正の主張も含んでいるように思われますので,そこはやや問題が違うことが二つ出されているのではなかろうかと。そこを整理した上で考えた方がいいのではないかというふうに思いました。 ● 具体的にはどういう形で意見照会を……。 ● まず一つは,○○幹事の案だと,すべて譲渡制限会社については定款自治に委ねるべきという提案になりますね。   それで,こちらの方は,原案をそのまま生かした形にして--「伸長」という表現がありますけれども--これを,任期については「定款の自治に任せる」とか,恐らく○○委員のはそういう趣旨になるのかなと思いますので,そういう表現に変えるかという御提案であろうというふうに思われます。 ● そうしますと,○○委員は,○○幹事の案で意見照会すべきだという御意見ですか。 ● いえ,私は単に議論を整理しただけで。 ● これは恐らく,○○委員が先ほどおっしゃったように,4年にするとか,6年にするとか,そういう話だと普通の人はとるんだと思いますね。 ● 私は,最初に○○幹事から御説明がありましたように,この要綱案のたたき台の全体の構造からしまして,いわば所有と経営が分離するかどうかということを取締役会の有無で分けるという切り分けで全体を整理しておりますので,その点に着目しても問題を考えていく必要があるのではないかということを提起して御意見をいただくという意味で,取締役会の有無を一つの切り分けの点として提案する,こういう聞き方をするのが試案の意見照会の仕方としてよいのではないかというふうに思います。私自身もこの方がいいと思います。 ● それは(注1)ですよね。取締役会の有無で意見照会するとしますと。 ● 私も○○委員と一緒の発想法に立っておりますので,この3につきましては原案を支持しておりますとともに,2の(1)につきましても同じ基準でいった方が,皆さんにこちらの問題提起の趣旨をよく理解していただけるのではないかと。そういうことも含めまして先ほど御提案を申し上げた次第です。 ● そうしますと,もうこれは,本文ではなくて,(注1)を本文にして聞けという……。 ● いや,本文はこれで結構です。(注)と合わせてこういう形で聞いていただけたらいいのではないかと思っています。 ● 以前にも申し上げたことがあったかと思うのですけれども,ここはやはり,現行の取締役会を置く会社と置かない会社ということを設ける以上,そして,その取締役会を置くということが,現行法上は,所有と経営の分離といいますか,株主総会と取締役会の権限分配,230条ノ10というものを前提とした法的な構造になっていると。ですから,ここの任期の問題というのは,この230条ノ10の権限分配規定をどう取り扱うかということと恐らく密接に関係があるところだと思うので,伸長するという形で今書いているのは,やはりそこは崩したくない,崩さないという前提で我々事務局サイドとしては考えているということを示しているということになっております。 ● いろいろ御意見はあると思いますが,一応原案でいってはどうかという御意見が多数のようでありますので,こういう形で意見照会するということでよろしいでしょうか。--それでは,そのように取り扱わせていただきます。   6までで星印は以上ですが,何かほかの点につきまして御意見ありますでしょうか。 ● 1の(7)の関係なのですが,こういう形で聞こうということでこれまで議論を進めましたので,これ自体については特に申し上げることはないのですが,前回のたたき台(1)の方の第4部の第3の1(2)②で,結局,通常の会社が譲渡制限会社になった場合の定款変更の決議要件として,特殊決議を特別決議にするかどうか考えるというような(注)があったと思うのですが,例えばa案をとるとその話がなくなってしまうのかなというので,そういう形の連携は,一本にしたときに整理していただきたいし,そこら辺,何かお考えがあれば,お聞きできたらと思うのですが。これ自体ではなくて,前の該当箇所での問題だと思うのですが,つまり,a案を採用すると,特殊決議という概念がもうなくなってしまうのかどうかを確認させていただきたいのですが。 ● ここでは端的にいわゆる特別決議だけを論じているつもりでおりましたので,この帰趨によって特殊決議がなくなるとかなくならないとかいうことを考えていたわけではないのですけれども。 ● 特殊決議は,有限会社の特別決議にやや連動するような規定になっていたと思いますので,そこを確認させていただきたいと。だから,例えば,a案になっても,株式会社が譲渡制限会社になる場合には,何もしなければ特殊決議があるけれども,これについても考えるとなると,しかし,a案を採用したらもう一定の方向性があるんじゃないかなと思ったりもしますので,そこも含めて確認させていただこうと思ったのですが。 ● a案をとることによって特殊決議をなくすということではありませんので,特殊決議を維持するということであれば,この特別決議の整理とは別に特殊決議の規律を別途整理するといいますか,規定を設けておく必要があると思います。 ● よろしいですか,○○委員。 ● ただ,こちらの頭の中では,連動するのではないかと思いますが,一応そういう整理も可能だと思いますので,事務局のお考えは分かりました。 ● 今,○○委員の御指摘された1の(7)のb案なのですけれども,a案については,「所要の経過措置を設ける」というのが(注)に入っているのですけれども,b案が現実化するということになりますと,大抵の公開会社においては,こういう定款の定めができないということになると,特別決議というのは未来永劫不可能だということになってくるわけですね。   ここの規定ぶりですけれども,こういう定款の定めをすることに株主総会の了解が得られない場合にはすべてこういうふうになってしまうという意味なのか,現行の株式会社においては別段の変更をしない限りはずっと今までのままの特別決議でいいのか,そのあたりが(注)にないと,b案に賛成する公開会社なんていうのは1社もいない,そして現実不可能なことを強いるということになるだろうと思うものですから,よろしくお願いしたいと思います。 ● 株式会社と有限会社の規律の一体化を何らかの工夫をして図るという場面での提案につきましては,既存の株式会社,有限会社に対する規律の実質的な変更を求めようとするものではありませんので,既存の株式会社,有限会社につきましては現行の規律が当然適用されるということを前提としてお考えいただければと思いますし,その点,誤解ないように表現を整理させていただきます。 ● 重大な前提だと思いますので,よろしくお願いいたします。 ● 御指摘ありがとうございました。 ● 一つは全く表記だけの問題なのですが,1の(4)の②でございますけれども,ここで言っているのは,大会社以外の株式会社であっても,議決権を有する株主数が1,000人以上であれば書面投票制度を義務づけるということでございますよね。さっと最初に読んだときに必ずしもそう読まない方もいらっしゃるのではないかと恐れますので,少し表現を変えた方がクリアになるかなというだけでございます。   もう1点は,6の(2)でございますけれども,社外取締役である旨を登記事項から削除することについては,私も,こういう方向で意見照会をするということでいいと思うのですが,それは決して社外取締役かどうかということの情報開示を後退させようという趣旨ではなくて,もう少し実質的な手段を必要な会社については行うということを徹底した方がよいのではないかという意味での改正提案だと思いますので,もしそうであれば,そのような,かわりに行おうとしているようなことの方向性についてもあわせて書く形で意見照会をした方が,こちらが提案している意図もしっかり分かっていただけるのではないかと思うのですが,いかがでしょうか。 ● おっしゃるとおりだと思いますが,その点は恐らく解説等で書かれるのではないかと思いますので。 ● ここの,○○委員がおっしゃったところの,社外取締役の(注)なのですけれども,「社外取締役・社外監査役の要件の見直しについては,なお検討する」とあるのですけれども,これは,例えば5年要件を復活させる方向での検討ということにするのか,より独立性を増した方向で検討しようとするのか,このパブリックコメントに応じて意見を書こうとするときに,我々部会の委員がどういう方向をねらっているのか,その趣旨は何なのかというのが全く理解できないものですから,もうちょっと書き込んでいただかないと,反対しようにも,賛成しようにも,意見を書きにくいというところがあるのですけれども。 ● これは,意見は両方あり得るんじゃないでしょうかね,ここの委員の意見も。まあ,解説には,ここの意見を反映するという場合に,どういうふうに事務局が取りまとめられるのか知りませんが,多分両方あるのではないかと私は思っていますが。 ● 書き込むことがよろしいかどうかというぐらい意見が分かれていたところだと思います。まあ,要件の見直しの要否というような感じだと思いますので,見直しの必要がないということであれば,必要がないという御意見をお返しいただければいいという程度の問題提起でございます。 ● ほかにありますでしょうか。   これは内容ではないのですが,私は,1の(5)を見ていて,有限会社で議決権不統一行使が正当化される理由というのは何なんだろうなというのが……。信託だとか名義書換未了だとかいって,ただ,有限会社だと,ちょっと待てよという話になるのではないかなという気もちょっとしまして。また後ほど議論していただきたいと思いますが,余り実質的な議論はなかったのではないかと思うのですが。きのう読んでおりまして,何なんだろうなと考えましたので。   先に進んでよろしいでしょうか。   それでは,7から12までですね,これを一括して事務局から説明をお願いします。 ● それでは,7から順次御説明いたします。   7は「取締役の責任」でございます。   まず,(前注)として,「取締役の会社に対する各種の責任について,委員会等設置会社の場合とそれ以外の会社の場合との間における規定の調整を図る」ということを,基本的な考え方を明らかにするという趣旨で書かせていただこうと思っております。   従前の資料では,この各種の責任について,あちらこちらに分けて議論させていただいていたということもあって,分かりにくさもあったかと思いますので,今回は,それぞれの責任をすべて,この7の「取締役の責任」というところに一括して掲載し,御議論をちょうだいたいと思っております。   (1)は「任務懈怠責任」でございます。   星印を①のところにつけておりますけれども,任務懈怠責任について,商法266条2項・3項に相当する規定を設けないこととするということでよいかどうかという点が,①の問題でございます。過失責任と考えた場合にこの2項・3項という規定がどのような意義を持つかということを考えますと,それぞれの役員のそれぞれの任務の懈怠についての過失が問題になるわけでございますので,格別2項・3項のような規定を設けることなく,委員会等設置会社,非委員会等設置会社とも,同様にこのような整理をさせていただくということでよいのではないかということでございます。   ②につきましては,従来,格別御異論はなかったものと承知しておるところでございます。   なお,有限会社,それから有限会社的機関設計を持つ株式会社における業務執行権限を有しない取締役ないし社外取締役というもののニーズについて御指摘をいただいているところでございますけれども,(注)におきまして,これについての規律の在り方については--この責任を含めて--なお検討すると書かせていただいているところでございます。   (2)は「違法配当に係る責任」でございます。   ①は,この責任の過失責任化に関する点でございまして,これまでの御議論で,過失責任化自体には格別御異論がなかったものと承知しております。   問題は,過失責任化を図った場合の従前の2項・3項に相当する問題,つまり,まず実際に責任を負うべき者の範囲をどのように考えるのかということでございまして,ここでは,分配という行為をした取締役--これには原案作成取締役も含みますけれども--そのような取締役に限るのか,あるいは,それに係る取締役会決議においてどのような態度表明をしたのか,あるいはしなかったのかということをも,責任を負うべき者の範囲の決定に関連させるのかという点について,a案,b案,c案を打ち出させていただいております。試案において例えば一つの案で意見照会をさせていただくのが適当であるということであれば,この段階でお絞りいただきたいと思いますし,特に御意見が分かれるようであれば,この全部あるいは一部を意見照会の対象とさせていただきたいと思います。   (注1)から(注5)までを掲げさせていただいておりますけれども,(注1),(注2)は説明的な記載でございます。   (注4)も,恐らくこうなるのではないかという説明的な記載でございます。(注5)は,b案とc案との違いをこれまた説明的に記載させていただいているものでございます。b案は,端的に,この違法な分配に係る取締役会決議に賛成した,あるいは賛成したものとみなされる取締役に限って,分配した取締役とともに責任を負わせるということでございますし,c案になりますと,取締役は積極的に反対しない限り,あるいは積極的に異議をとどめない限り,場合によっては取締役会決議に参加しなかったという場合であっても,その過失のいかんによっては責任を負い得るという形での整理になります。その意味では,c案の方が責任を負うべき取締役の範囲が広いということになりますけれども,その違いを説明したものでございます。   ③につきましては,現行法の規律の適否につきいろいろと御議論があったところでありますけれども,論点としては維持しておくべきであるという御指摘を前回までにちょうだいしたところでございますので,試案にはこのような形で掲げさせていただきたいと思っております。   (3)の「期末のてん補責任」ですけれども,これも(2)と類似の整理が可能かどうかが問題となるところでございます。   まず①ですけれども,てん補責任を負うべき場合につきましては,a案,b案,それぞれ御意見が分かれたところですので,その御意見を踏まえまして,意見照会は両論併記という形でさせていただこうと思っております。そのこと自体については,ほぼ御了解をいただいているところではないかと考えております。   ②のてん補責任を負うべき者の範囲につきましても,先ほどの(2)の違法配当の責任の場合と同じような考慮が可能ではないかと思われますので,その範囲について同様の複数案が考えられるということを②で示しているところでございます。これについても御意見をちょうだいできればと思います。   (4)の「利益相反取引に係る責任」に関してでございますけれども,①の基本的な過失責任化の点につきましては,格別御異論がなかったところでございます。自ら受益した取締役に限り無過失責任をなお維持するかどうかということについて御意見をいただいているところでございますので,(注)を含めて意見照会をさせていただきたいと思っております。   それから,この利益相反取引に係る対会社責任を負うべき者の範囲等に係る記載につきまして,具体化を図るよう前回の御議論で御指摘をいただきましたので,②として改めて整理させていただいております。a案は,一般の任務懈怠責任とは区別しないものとして整理しようとする案でございます。もう一つのb案は,任務懈怠責任とは異なる特別の責任と整理した上で,その負うべき者の範囲を個別に設定しようとするものでございます。その範囲の定め方については,ⅰ案からⅳ案までございます。ⅱ案とⅲ案,賛成した取締役に限るのか,あるいは異議をとどめない取締役も含めるのか,やや芸の細かいところもありますけれども,現行の委員会等設置会社と同様とするというような整理をするかどうかによっては,このような案の区分も可能でございます。   (4)の③の「責任免除の在り方」のイについてですが,過失責任化を図るという場合には,少なくともその限度で現行の266条6項の規定に相当する規定は設けないということについては,格別御異論がないところではないかと思われます。委員会等設置会社についても,同様の手当てをすべきであるということになるのではないかと思います。   ③のロは--ここも今回お諮りしたいと思いますが--利益相反取引に係る対会社責任の一部免除の可否についてでございます。大ざっぱに言えば,一般の任務懈怠責任と同様に考えて一部免除を認めるのか,あるいは,そうではない特別の責任という理解をして一部免除を認めないということにするのかという整理ができるのではないかと思います。その整理の仕方も含めまして御議論をちょうだいできれば幸いでございます。   (4)の④についてですが,このような形に整理をさせていただくということにつきましては,実際の現在の有限会社の実務にどのような影響を与えるのか,御懸念をいただいているところでございますが,差し当たりこのような形で意見照会をさせていただき,その実務における不具合の有無を確認させていただいた上で,また再度御審議をいただければよいのではないかと考えているところでございます。   それから,(5)の「株主の権利行使に関する利益供与に係る責任」についてでございますけれども,どちらかというと,部会での御議論は,この責任も含めて過失責任化を図ることを検討すべきではないかという御意見が比較的強く,有力であったように承知しておりますので,①におきまして過失責任化の検討ということも打ち出させていただきたいと思います。   なお,過失責任化を図るということにした場合には,その責任を負わせるべき者の範囲というものがやはりここでも問題になるわけでございまして--もし無過失責任を維持するということであれば(注2)のような整理をするということでほぼ御異論はなかったように承知しておりますけれども--過失責任化を図るということにした場合にはどうするのか,先ほどの違法配当などの責任の場合と同じように,このような三つぐらいの案に整理することが可能ではないかと思われますので,この点もお諮りしたいと思います。   それから,「8 代表訴訟」につきましては,その見直しの方向性につきまして,様々な方向での御意見があるところでございます。実務界からは,訴訟委員会のような制度,すなわち,会社の利益--株主全体の利益と言ってもいいかもしれませんが--をも考慮して,訴えを比較的早期に終結させることができるような制度,方策というものに対するニーズが強いという御指摘があるものと思いますけれども,例えば(注)にこのような記載をして意見照会をさせていただくことはどうか,更に付記すべきような内容の有無について御意見をちょうだいできれば幸いでございます。   それから,9の「監査役」についてでございますけれども,監査役の権限については,従前から事務局案ではこのような形を打ち出させていただいているところでございます。   なお,○○幹事からは,従前から,会計監査権限のみを有するような監査役というものも認めるべきであるという御指摘をいただいているところでございますので,改めて,試案における取り上げ方をどうするかにつきまして,いま一度御意見をちょうだいしたいと思います。   それから,本日新たにお諮りする事項として,(2)の「補欠監査役」に関する事項がございます。実務的に,特に社外監査役の選任の必要に伴い,そのニーズが極めて強まっているものと承知しておりますけれども,補欠監査役をあらかじめ選任しておくことができるのかどうかということがかねてより問題となっているところでございまして,(参考)のところに書いてありますように,登記実務上,一定の要件のもとに,補欠者の予選の決議の効力を認めるという取扱いをさせていただいているところでございます。この登記実務の取扱いは,差し当たり,現行法に明文の規定がない中で,ある意味手がたい解釈として,このような要件設定であれば認められるのではないかと考えられたところによるものですけれども,立法に当たって,現在の登記実務における解釈の当否も含め,予選の可否,可とする場合の予選の効力,要件設定等について,どのように考えるべきかということをお諮りしたいと思います。現在の登記実務では,補欠監査役の任期については本監査役の任期の満了すべき時までとし,予選の効力については次期定時総会開催までとするというような定款の定めを持つ会社にあっては,その定款の定めに従って行われた予選は有効であるという取扱いがされているところでございますけれども,特に②の予選の効力の期間につきまして--これは予選にとどまらず,総会の選任決議の効力の有効期間一般にもかかわる問題ですけれども--このような期間制限を設けるべきかどうかということが恐らくここで主として論ずべき点ではないかと思われますが,御意見をちょうだいしたいと思います。   「10 使用人兼務取締役等」につきましては,いろいろと異なる御意見をいただいているところでございますが,差し当たりこのような形で意見照会をさせていただきたいと思います。   それから,「11 会計監査人」についてでございます。   (1)の①,②につきましては,基本的にこのような形で意見照会をさせていただくことに格別御異論はなかったものと承知しております。③につきましては,本日,○○委員から意見書をお出しいただいておりますので,後ほど,さらに敷えんして御意見をいただければ幸いでございます。事務局としては,有限会社における会計監査人の設置の可否とも関連する問題として受けとめているところでございますけれども,意見照会の仕方としてどうあるべきかという観点から御議論をちょうだいしたいと思います。   (2)につきましては,格別御異論はないところでございます。   (3)は,再度御意見をちょうだいすべきところでございます。前々回,この議論をさせていただいた際の御指摘を踏まえまして,再度論点を整理し直して,本日改めてお示しさせていただく次第でございます。   ここで論ずべきは,会計監査人が設置されるということに伴って機関設計に必然的に与える影響,制約というものをどう考えるかという点でございます。現行法のもとでは,言うまでもなく,大会社,みなし大会社のいずれにおきましても,委員会等設置会社か,あるいは監査役会設置会社かという機関設計の選択しかできないわけでございますけれども,任意設置の範囲が拡大され得るということもあわせて,この(3)の①,②の双方あるいはいずれかの会社の範囲に限りまして,今申し上げましたような,現行の会計監査人が設置される場合の機関設計よりも更に柔軟な機関設計を認め得ることとするかどうかというのが,ここでの問題でございます。   柔軟化し得ることとした場合の案として,a案からc案までを掲げさせていただいております。このような機関設計の柔軟化に伴う会計監査人が置かれた場合の効果の変容等につきましては,やはり前回御指摘いただきましたとおり,機関設計からくる制約が当然あると思われますので,ある程度整理させていただいております。   a案は,要するに複数監査役が要求される前の会計監査人設置会社と同様の機関設計でございます。これにつきましては,現在,会計監査人が設置される場合の手続・効果等に関する①から⑥までがすべて満たされるのではないかというのが事務局における整理でございますけれども,そのような整理が可能かどうかということでございます。   b案は,取締役会が設置されない会社においても監査役が置かれている場合には認めることとするものですが,これにつきましては,少なくとも⑥の効果は生じてこないのではないかということがb案の(注2)に書かせていただいているところでございます。   c案は,端的に,取締役プラス会計監査人という機関設計を認めることとするものですが,この場合には,(注)に書かせていただいておりますように,①が欠け,⑤についても特例を設ける必要があり,更に⑥についてはb案と同じように株主総会において確定せざるを得ないということになるのではないかと思われます。   このように,機関設計の在り方が会計監査人の設置に係る効果等に与える影響についての整理を一応させていただきましたけれども,このような,効果等が異なるものであっても会計監査人と呼び,その制度を法定すべきかどうか,言いかえれば,任意に公認会計士ないし監査法人に監査を依頼するということとは質的に異なる問題がどの点にあるのかというところが問題となるわけでございます。とりあえずこのような案を列記するような形で意見照会をさせていただいてよいかどうかということも含めまして,本日はこの点を中心に御議論をちょうだいしたいと思います。   (4)は従前からお諮りしているところでございますが,結局,前回までの御議論では,このような整理にさせていただくということになったのではないかと思いますので,いま一度御確認いただきたいと思います。   (5)につきましては,(注1)の中の「2~6年」というところを従前の資料から改めておりますので,この点を御確認いただいて,これでよろしければ,この内容で意見照会をさせていただきたいと思います。   (6)は,一応本文のような形で--幾つかの御意見につきましては(注2)でほぼ触れさせていただいているのではないかと思いますけれども--意見照会をさせていただきたいと思います。   (7)につきましては,これで一応御異論がない形になっているのではないかと思います。   (8)は,先ほどの(3)の機関設計の簡素化についてc案をとり得るかどうかということとも関連するものですし,あるいは,場合によっては,先ほどの監査役の権限,会計監査権限に限られるものも認めるべきではないかという御議論にも関連する問題のように思われますけれども,会計監査人を設置した場合には,何らかの登記を行うことによってそのことを開示したいというニーズがあるという御指摘をいただいておりますので,その点についての御意見をお伺いしたいということでございます。仮に登記を行い得るとした場合,どこまでの事項を登記させるべきかという点につきましても--ニーズとの兼ね合いでもありますけれども--御議論をちょうだいしたいと思います。   12につきましては,正にいろいろと御意見があったところでありますが,とりあえずこのような形で整理をさせていただくということでおおむね御了解いただいているところではないかと思います。   第4の残りの部分の説明は以上でございます。 ● それでは,この第4の残りの部分について,まず,先ほどと同じように星印について御審議いただきまして,それから,それ以外のところについて御意見をいただきたいと思います。   まず7(1)の①の部分でありますが,この点は前回も議論のあったところですが,こういう形で意見照会するということについて,いかがでしょうか。 ● やはり,もし266条2項・3項に相当する規定を全くどこにも設けず,解釈に任せるというようなことであれば,それはそれでも何とか回っていくぐらい,解釈でも自然に導ける話ではないかと私は思うのですが,ここでは書かないと決め,幾つかの箇所ではあえてこれを書くというふうにした場合に,例えば,ある具体的な決定が取締役会決議によってなされたときの解釈を今度は逆に縛ることになりはしないかというようにも考えられますし,もう相当に方向が決まった形でこのように意見照会することについては,私は消極的な意見を引き続き持っております。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 私も○○委員と同じなのですけれども,もし要らないとすれば,○○委員がおっしゃるように,解釈で同じ結果が導けるからということだろうと理解はしていたのですが,ところが,次の星印の方に話が飛んで恐縮なのですが,(2)の②のb案を見ますと,最後に,括弧して「商法266条2項・3項を維持するのと同様」という書き方がされておりまして,この書き方から見ると,こういうふうに特別にb案のような規定をつくらない限り,2項・3項のような解釈ができないかのようにも見えるわけですし,仮にそういう考え方をとると,さっき○○委員が御指摘のように,違法配当の問題だけではなくて,それ以外の取締役会決議事項に関する責任についても,2項・3項のような考え方ができないと,特にこの違法配当のような,仮にb案のような規定を設けるとすると,そういう扱いができないという解釈が逆に導かれる可能性があって,そうだとすると極めて問題ではないかというふうに思います。   この最初の(1)①の星印だけなら,さっき言いましたように,解釈でもうこれで異論がないということなら,あえて異論を差し挟まないつもりだったのですけれども,この(2)の②のような議論が出てくるとすると,これは非常に問題ではないかという気がしております。私,この(2)の②のところは非常に問題だと思っておりまして,そこまで今議論していいかどうか分かりませんので,とりあえず2項・3項との関係だけで言いますと,そういう問題が出てくるので,できれば,この(2)の②と合わせて2項・3項の問題を考えていただきたい。若しくは,そちらの方について,b案を括弧のような考えでとるのであれば,(1)の①の方はどうも賛成できないと思う次第です。 ● ちょっと問題点をはっきりさせる必要があると思うのですけれども,この①は,先ほど○○幹事がおっしゃったように,要するに任務懈怠責任でありますから,その人の行為又は不作為について過失があるかどうかということを問題にするということであります。ところが,現在の266条2項は,していないことについてしたとみなすという規定なのですね。これは恐らく,自分の行為又は不作為について過失・無過失を立証してくれという,あるいは原告が過失を立証するのかもしれませんが,とにかくそういう問題に適しないであろうと私は思っております。無過失責任であれば,行為について無過失責任が負わされているときに,行為をしたものとみなすというのは,これは非常に意味があるのですが,そうでないものについて……。   それで,先ほど○○委員がおっしゃった,規定はなくても同じように解釈できるという意味は,あるいは3項について言っておられるのか。2項については,私はちょっと理解し難いのですけれどね。 ● 例えば,新株発行を取締役会で決めたといたしますね。その決めたとおりに代表取締役が実際のいろいろな実務を,従業員にも頼んで,行いますね。しかし,結局,その新株発行という行為をしたのは取締役会になるのではないでしょうか。 ● いや,規定の上では,代表取締役が行為をするということになるのだと思います,266条の構成では。それで,ただ単に決議に加わった取締役は,決議に加わったことについての過失を問われるのだと私は理解しておりますが。266条の構成はどうもそうとしか私には読めないのですけれども。 ● つまり,不公正な新株発行が行われましたときに,それは具体的には取締役会で決定するわけですね。決定事項ですね。○○委員の解釈によれば……。 ● 取締役会の承認があってやっておりますけれども,行為をするのは代表取締役であるというのが,現行法の構成なんじゃないでしょうか。 ● そうしますと,取締役会で決定したことがたまたま代表取締役の個人的な希望とは違っていた方向に決められてしまったとしても,責任を負うのは代表取締役であって,という御趣旨ですか。 ● はい。 ● しかし,その代表取締役は取締役会の決議に従う義務があるわけですね。 ● ですから,取締役会でそういう決議が通らないように努力する。 ● でも,それが通らなかった場合には,自分で不公正な新株発行だと思ってもそれをやらざるを得ず,かつ自分の過失責任を問われ,そして,過失は,その取締役会の決議に従わなければならなかったゆえに過失はないというふうに判断されることもあると,こういうことでございますか。 ● はい,それはそうだと思います。あるいは,辞任しなかったからもうだめだと言われるかもしれませんが。 ● ここで解釈論をしても仕方がないと思いますが,○○委員の質問は二つありまして,行為をしたと判断される代表取締役の責任問題と,それから,新株発行なり,あるいは重要な業務執行事項について取締役会決議に賛成した者の任務懈怠責任はどうかということで。今の例で,不公正な発行をしたという場合に--不公正というと,会社の損害とどう直接関係するかはありますが--会社の損害となるような重要事項について決議をすれば,その決議に賛成したことが任務懈怠と判断されれば,代表取締役以外の決議に賛成した者も,その人の任務懈怠責任として責任を負わされる,これは異論のないところだと思うのですね。   そういう形で,それが現行法だったら,例えば重要な業務執行事項について代表取締役が行為をしたら,ほかのいわゆる平取締役も行為したものという形で責任を負わせる。そのときに,無過失責任なら分かるけれども,過失責任なら,決議に参加したことについての任務懈怠の有無が本来やられるべきで,行為したものとみなされて,そこの過失というのは擬制的なもので意味がないからというのが,○○委員の先ほどのおっしゃりようで,私もそれはそうかなと思ったので,決議に参加しただけの取締役は,決議に参加するという職務執行についての任務懈怠の有無が判断されるのだと。 ● 私も,解釈でそのようにできると思うのですね。 ● そして,そのときに,議事録に異議をとどめなければ,賛成したものと,今度は事実上推定されることになるにすぎないと思いますけれども,それは大きな問題ではないだろうということは,3項については私もそう思います。   ただ,ついでに言いますと,代表取締役は,少なくとも違法な取締役会決議には従う義務はない。違法な取締役会決議は無効だから。そして,それが不公正な場合に従う義務があるかどうか,これも,違法よりもむしろマイナスサンクションが多いものだったら従う義務はないということになるのかなという感じで,そこら辺になりますとまたややこしくなりますが,いわゆる決議に参加しただけの取締役について過失責任化したときに,行為者擬制がどういう意味を持つか,むしろお教えいただきたいという意味では,私も○○委員と同じような感想を持つのですが。 ● 私も,解釈で多分同じものが導けるのだろうというふうには思っているわけです。ですから,どうしても立法がなければならないとは思わないのです。 ● 解釈で行為擬制はならないのではと思いますが。 ● しかし,結局,過失責任を問われるという意味においては同じことになるのではないかと思うのですね。 ● 結論は恐らく同じになるのだと思うのですが。 ● ただ,問題は,ほかのところで部分的に規定が置かれることになる方向で今御提案があるものですから……。 ● 私の理解では,これは②のところで議論すべきだと思いますが,これは単なる任務懈怠に基づく損害賠償責任の擬制の話ではないのですね。弁済責任なんです。だから,従来言われているように違法配当部分ではなくて,例えば,5円配当したうちの1円だけが違法部分だとしても,5円分についての弁済責任を規定すると。それについて,このb案みたいにするか,a案にするか,こういう話で,この規定があるから当然に2項・3項を外したことのマイナスがどうのこうのということは,ちょっと私,理解できなかったのですが。これは弁済責任についての責任者を拡大するための規定であって,任務懈怠の判断基準の拡大の問題ではないと,こういう整理をすべきだと思うのですが。 ● ②の星印とも議論が関係していることは全くそのとおりなのですが,どうしましょうか。②についても御議論していただいていいのですが,①に限って何か補足的な御意見ありますでしょうか。 ● 今のに1点つけ加えますと,前にも申し上げたことですけれども,民法の方の議論として一体どこまでの議論ができるか,よくは分からないのですけれども,かつて問題になった点としては,取締役会の決議に賛成したけれども,自分一人が賛成しなかったからといって決議が成立しなかったわけではないということで,因果関係を否定するというような考えがあったわけで,そういったような議論を封じるという意味はあったと。因果関係は,取締役会で自分が賛成しただけでは,それによって成立した取締役会決議に基づいてなされた行為に基づく損害について責任を負わないというような抗弁は封じるという意味が266条2項にはあったわけで,少なくともそういう意味はなければ困る。   それは,多分,現在では解釈でできるのではないかとは思うのですけれども,次の(2)の②の方が一体どこまでの意味を含んでいるのか,ちょっと括弧の中の意味が分からなかったものですから,仮にそういうことをも意味しないようなところまで意味しているのだとすれば,ちょっと問題ではないかということで申し上げた次第です。 ● 今の○○委員のおっしゃったことは,私は,②ではc案になるんだと思うのですね。b案でおっしゃいましたけれども。 ● 私も,この7の(1)の①につきましては,○○委員が言われたとおり,特に266条の2項は,やはりこれは無過失責任と非常に整合性があることは確かですし,確かに解釈で対応できるという部分もあるかもしれないけれども,依然として無過失責任のような解釈がなされるという可能性は残る,見解,解釈が分かれるというような問題があるとすると,その両方の可能性が存在するという事態は,過失責任化する場合に支障になるのではないかなと思いますので,その意味で,○○委員が言われたとおり,この(1)の①についてはこのような照会をしてもいいのではないかというふうに思います。   ②の方は,また後で。 ● ①に限って御議論があれば,今伺いますが,ほかにございませんでしょうか。①については大体議論は出尽くしていると考えてよろしいですか。   それでは,②の方に移って,もちろん①と関連して御議論いただいてもいいのですが,どうぞ②の方について,御遠慮なく。 ● それでは,さっきの続きになるのですけれども,②のところは,仮にこういう聞き方をされたら,b案に賛成したいと思います。やはり,取締役会が利益処分の決定権限を持っている以上は,単に当該議案を提案した取締役だけではない,それに加わった者,決議に参加した取締役もそれに同じように責任を負うということが望ましいかと思います。   ただ,恐らく,このa案は,現在の266条1項1号のような規定をそのまま残したまま,いわば特別の責任として残したままでいく場合にこういう案になるということなのかもしれませんけれども,過失責任を徹底してこういう考え方をとると,むしろこの規定を除く方がまだ一貫する,違法配当も任務懈怠の責任一般に解消した方がまだ整合的になるのではないかという感じがいたします。   a案をとった場合,仮に分配について,その分配の議案について賛成した,このa案の対象になる取締役以外の取締役がどういう責任を負うのかというのが,この規定ではよく分からないわけでありまして,私は,結局その人も連帯してその分配された額について責任を負うことになるのではないかと。それに賛成して,その利益処分の議案に基づいて配当がされたということになれば,やはりそれは,その分について賛成した取締役も--過失があればですよ,当然,この過失責任を前提にしますから--責任を負うことになるので,そうすると,a案のような規定を特に置くとすると,その意味がどこにあるのか。逆に,置いてしまうと,それ以外の取締役が,任務懈怠責任が全然違ったものになるような感じを与えるのではないかという気がしまして,もし規定を置くなら,b案のような規定を置かないと意味がないのではないかというように思います。   一方,逆にc案の方は,これはどうも私は理解できないのでありまして,この場合,取締役会決議に反対して議事録に異議をとどめた取締役は当然過失がないと思いますので,過失責任を前提にしながらc案を提案するというのは,果たしてどんな意味があるのかなと,ちょっとよく理解ができなかったところでありまして。   問題は,b案にするのか,あるいはむしろ任務懈怠責任の一般に解消してしまって,a案のような規定は置かないという方がまだすっきりするのかなと。   ただ,恐らく,特に規定を置くことをお考えになったのは,後で出てくる一部責任免除の対象にするかどうかという問題があって,特別の責任としてなお残したいということがあるのでこういう案になっているのかもしれませんけれども,それ以外のことを考えますと,損害額にしろ,連帯かどうかということにしろ,恐らく民法の一般理論で同じような結論になるのではないかと思いますので,仮に一部免除の問題をおいて考えるならば,a案の考えをとるならば,そもそも特別の規定を置かないで,任務懈怠責任一般に解消した方がよろしいのではないかと。   a案のところに「現行の委員会等設置会社と同様」としてありますけれども,本当に同様なのか。委員会等設置会社と比較しますと,機関の役割が全然違うわけで,委員会等設置会社においては,業務執行機関は執行役の方でありまして,それに対して,取締役会はいわば監督機関にしかすぎなくなっているわけですから,やはりその間には違いがありますし,このようになるのかなという疑問を覚えた次第です。   とりあえず以上です。 ● クラリフィケーションですけれども,私の理解は,a案ですと,分配をした取締役は無過失を立証しなければ弁済額責任を負わされる,他の取締役は要するに任務懈怠責任でありますから,恐らく原告が過失を立証する形になるのではないかと思います。b案というのは,ここに挙がっている取締役がすべて,無過失を立証しなければ弁済責任を負わされる。c案は--これは「取締役会決議に反対し,又は」と書いてありますけれども,「かつ」ではないかと思いますね--「取締役会決議に反対し,かつ議事録に異議を止めた取締役以外の取締役」がみんな弁済責任を負うということでありまして,典型的には,欠席していましたという者は,b案では弁済責任を負わないのですが,c案だと責任を負わされるということなのではないか。先ほど○○委員がおっしゃったように,私が出ても出なくても同じだから欠席しましたというのは,c案だと弁済責任がかぶってくるが,b案だと任務懈怠を積極的に立証されない限り責任を負わないということになるのではないかと私は理解しているのですが,それでよろしいですか。「かつ」でよろしいですね,c案は。 ● 私も,○○委員と大体同じような感想を持ちましたわけで,まず第1番目に,c案というのは,積極的に特に御支持される委員あるいは御意見がございましたらあれですけれども,まずは落としてもいいのではないかというのが,まず一つの感想でございます。   それから,この問題について,一番実質的で,議論しなければならない点は,分配額の弁済責任について一部免除の対象とするかしないかということが大きい問題なのかなという感じがいたします。ここでは,ならないという方向で意見照会をするという提案になっているわけですが,そこをなるとするのかならないとするのかによって随分違ってくるのかなという印象を持ちました。   それから,こういう大きな問題に比べて,解釈の具体的な細かい技術的な問題にだんだん入っていくかと思うのですが,一番気になりますのは,こういうような規定の仕方をした場合に,一般的な任務懈怠責任との関係がどうなっているのか。特に,一部免除の対象とするというようなことになった場合にはますます,どこが同じでどこが違うのかということをもう少しクリアにしていかないと,みんな混乱してしまうのではないかという気がするわけです。もっとも,解釈論がいろいろ分かれているところですので,そこに立法でもって立ち入っていけばいくほど,立法論の議論としても細かい技術的なところでの対立が多くなってしまって,収拾がつかなくなるのかもしれませんが,大変気になるところではあります。   結論的には,私は,b案的な方向だけでこの場で意見が決まれば一番いいというようには思うわけですが,どうしてもここでは一本化しないで意見照会するということであれば,せめてa案,b案で意見照会をするということかなというふうに思う次第です。 ● 1点だけ補足させていただきますと,今,一部免除の対象になるかならないかというお話がございましたけれども,ここの(注2)にも書かせていただいたとおり,この違法配当に係る分配額の法定の特別責任というものを特別に設け,いわゆる一部免除制度が任務懈怠責任について議員立法で設けられた趣旨とは異なり,特別の債権者保護的な法定の特別の責任というふうに考える以上は,一部免除の対象とはしないというのが基本的には自然な整理であろうというふうに考えております。   では,任務懈怠責任との違い,一部免除制度以外の違いは何だろうかということを考えると,こういう法定の特別の責任というのは,結局,だれにその責任を負わせるかは,それはもうピンポイントで決めればいい話であって,要するに因果関係--先ほど○○委員から因果関係の話がございましたけれども--恐らく,例えばb案をとって,取締役会決議に賛成した取締役のその賛成した行為と,出ていったお金ですね,分配がなされたということとの間の基本的な因果関係的なものは--実際上は余り意味がない話かもしれませんけれども--恐らく意味のない,ピンポイントでどの範囲の者にどういう責任を負わせるかというだけの話をすればいいというのが,こういう法定の特別の責任の範囲の決め方で,あとは個々の人間が過失がないということを立証すればいいという関係になっているのではないかと思っているのですけれども。 ● 行為者についての因果関係ですか。 ● お金が出ますよね。違法配当で弁済がなされたと。それは損害の発生を要件としていませんから,単に出ていったお金についてそれを戻すというだけの責任ですけれども,このなされた行為と,取締役会で賛成したという行為,その間の因果関係,要するに,自分が賛成しなくても実際になされたとか,そういったような客観的な因果関係の存否という要件事実的なところを問題にする必要は恐らくないのではないかというふうにも考えているのですけれども。そういう趣旨で,この範囲というものを客観的に,このa案,b案,c案では決めると。だれにこの特別の法定責任を負わせるかという,そういう範囲設定の問題をa案,b案,c案という形で示しているわけであります。任務懈怠責任との違いと先ほどおっしゃられましたが,そういう点があり得るのではないかというふうに思っておりますが。 ● しかし,そうすると,266条の2項・3項を例えばここで置くということが意味を持ってくるという御趣旨でございますか。 ● いえ。だから,その266条2項・3項というものを今回見直したときに,結局,こういう法定の特別責任における266条2項・3項の意味というのをどう構成し直すかという点について,それは結局,その行為をしたものとみなすというのが266条2項ですけれども,そういうふうな法的構成にするのではなくて,こういう法的な特別の責任なのであるから,だれがその特別の責任を負うかという形でもう整理してしまうというのが,基本的にこのa案,b案,c案の今回の②の整理の仕方になっているのですけれども。 ● 私,この②はどのように理解するのか,必ずしもクリアになっていないのですが,先ほど,○○委員からa案の括弧書きが正しいかどうかということで,少なくとも委員会等設置会社の執行役の場合と同じというふうにする方が少しよくなるとは思うのですが。そして,少なくともb案の「商法266条2項・3項を維持するのと同様」というのはいろいろなインプリケートがあって誤解を生ずるので,今,○○関係官がおっしゃったように,これは過失責任だけれども,一般の任務懈怠責任ではなくて,そしてそこには先ほど○○委員が言われたように過失の立証責任が転換される,そして,損害額という形ではなくて,つまり因果関係に基づく損害賠償責任ではなくて,法定の弁済責任という特殊の責任を一つ設けると。これが従来は無過失責任だったけれども,これも過失責任にするというので,任務懈怠責任とは少し異質のものとしてそれを徹底したのがa案だと。それに対して,もう少し現行制度に配慮してb案をつくりましたという程度の意味で,「維持する」という言葉はやはりインプリケート--だから,この括弧は両方とも飛ばした方がいいように思うのですが--そういう意味で,a案とb案をお聞きになるのはそれなりに合理的かと思います。すなわち,b案については,すべて過失の立証責任が負わされるし,特定額の弁済責任をこの人たちが負いますよと。a案については,財務担当の取締役と恐らく社長の二人ぐらい,イコールの場合もあれば,せいぜい二人かそこら辺の人たちだけがその特別責任を負いますというのがa案だと。   そして,c案はやはり混乱するから要らないのではないか。とりわけ,(注5)の括弧書き,「取締役会の決議なく分配」というのは,監視義務違反についてもこんな弁済責任を負わすことになって,これはちょっと……。まあ,この括弧を取るだけでもいいのかもわかりませんけれども,(注5)とc案は取られた方が議論が単純かなと思うのですが。   そういうようなことを考えましたので,お考えいただければと思います。 ● 私は,○○委員はc案ではないかと思ったのですが。前回の議論から,私が出席しても反対してもどうせ結論には影響ないからというような抗弁を防ぐのだと言われたので,○○委員はc案なのではないかと思っていたのですが。 ● (注5)の括弧書きはちょっと行き過ぎかという気がするのですが。 ● ②につきましては,今,○○委員が言われたように,特にb案の括弧書きのこの部分は非常に誤解を招きやすいという点はもちろん私も同感で,これは外した方がいいのではないかと思います。また,この①と②の関係が,○○委員の説明を聞いていて非常にクリアに分かったという感じで,どうも議論を聞いていますと,②のときの議論になおも①の部分の影響というのが見られていて,この案は,①はもう過失責任にしますと,だから,過失責任を前提にして責任を負うべき者の範囲はどうかというのが②で立てられている,そういう構成になっていると思うのですけれども。②を卒然と読むとですね。それで,これと過失の有無はどうなるのかということが問題になっている。これは,(注1)を見ると,その点には解答があるということになっているのですけれども,そこはもうちょっと分かりやすい形で整理をした方がいいんじゃないかなというふうに思いました。   それから,○○関係官が言われた点ですけれども,因果関係を余り問題にしない形で責任を負わせる,そういう意味で特別な法定責任というものとして,違法配当については残そうと,そういう形で残そうという案だと思うのですけれども,過失の有無というものの判断の場合に,因果関係の存在というのはおよそ過失の判断の中に入ってこないのかなというと,これは入ってきそうな感じもするわけですね。ですから,そうだとすると,過失の有無の判断と因果関係の存在というものは,理論的には区別できますけれども,実際上は両方絡み合って過失の判断がなされるだろうということになると,そういう因果関係は事実上存在は認められるという推定,因果関係の存在の推定というのは何か規定があった方がいいのかどうかですね。この案は,そういう因果関係の推定みたいなものは置かないという形になっていて,過失については挙証責任を転換するという規定はあると。どうもそこがちょっと,先ほどの○○委員の議論の中で,因果関係がないような場合は責任がないということになりそうであると。どうなんですか。 ● ○○関係官がおっしゃったのは,もう因果関係は問題にしないのだと。○○委員がおっしゃったような問題がありますからね。私は確かに取締役会に出ていたけれども,出ても出なくても同じでしたから責任はありませんというような言い方はもう一切認めないというのが,この②では前提になっているのだと思うのですが。 ● それは規定を設けなくても……。 ● 違法配当がありましたと,それから,あなたはb案の要件に当たりますねといったら,もうあとは,私はその違法配当であることについて無過失であるという抗弁しか出せないということなのではないですかね。 ● そういう整理で,あえて規定は置かない,特別の責任として構成しようと。 ● 従来は無過失責任だからそうなんですね。違法配当がありました,それから,あなたは決議に出ていて反対しませんでしたねと,それでもう責任を負っていたわけですね。それが,ここでは,無過失だという立証は許しましょうと,そこまで変わったと,それだけではないかと。 ● そうすると,266条2項的な規定があると,より明確にはなるわけですね。 ● 266条2項は,これは無過失責任をかぶせるための規定なんですね。つまり,規定の仕方が,行為者は無過失責任ということになっていまして,だから,決議に賛成したら行為者にしてしまうという,そのための規定だと見ると非常によく分かる規定なんですね。だから,もう無過失責任でなくなれば意味はなくなる。 ● 因果関係が不存在という抗弁が出せないという……。 ● それも含んでいますけれども,もちろん。 ● そこがこのままの規定でいけるというのが,もう一つ……。 ● ですから,ここではいいんですよ。前回,私,申しましたけれども,そうではなく,任務懈怠一般について2項を置くと非常に変なことになってくる。つまり,取締役会決議と代表取締役の行為の間にタイムラグがある場合というのはいろいろあるわけですね。設備投資とか何とかになるとそういうことになってきますけれども,そのときに取締役会決議に賛成していたら,代表取締役がその後何か月かにわたってやった設備投資行為についてもその行為をしたとみなしますという話になって,非常に変な話なんですよね,これは。という問題が出てきますので,任務懈怠一般からはやはり2項は維持できないのではないかと私は思っているのですが。 ● もう1点更になのですけれども,任務懈怠責任と一般的な債務不履行責任との関係がどうなのかという難しい問題もあるわけですね。先ほど来,過失の立証責任が転換されるところに意味があるということでございますけれども,一体その過失の立証責任がどうあるのかということを,最後,不履行責任との関係で整理し始めると,またこれは議論百出なのではないかというふうに思いまして,必ずしも立証責任の転換ということだけでもって学界すべての者が納得するということではないのではないかというふうに思いますが。 ● いろいろな細かい議論があることは承知しております。 ● 済みません,意味のない,細かな文言の話なのですが,先ほど,○○委員から,c案の「又は」は「かつ」ではないかと,これはそういうことだろうと思います。b案の「又は議事録に異議を止めない」と,これも,現行の3項の推定ではなくて,擬制になってしまうのかという感じがあります。ここも少し整理いただければと思います。   あと,ついでに,○○委員がc案支持者かどうか知りませんが,先ほどの話からは,消極的なニュアンスを感じ取ったのですが,それはともかく,しつこいようですが,(注5)の括弧書きと(注4)の説明とがどうも矛盾するような気がいたしまして,(注4)も要らないのではないかなという感じが……。だから,私は,依然として,c案と(注4),(注5)を削ると少しはすっきりすると思うという感じを持っております。 ● いや,別に私もc案を是非置けと言っているわけではなくて,皆さんがc案は不要であるということであれば,落とすことは私も別に反対ではないのですが,いかがでしょうか。 ● 全く細かいことでもよろしゅうございますか。   分配額の弁済責任を負う者の範囲ということで,ここでは弁済であるということが明示してございますね。今,そういう解釈が多いかと思いますが,ここも,考え出すと,本当に弁済なのかということが気になります。 ● これは現在の特例法の言葉ですか。 ● そうですね。規定上も,今,266条1項1号で「弁済」という言葉を使っておりますし,ここは,出たものは戻せという,それだけのことで。だから,例えば,もらった株主の資力であるとか,債務を返す資力がなくなるとかなくならないとか,そういうことは別に問題にしなくて,出たものはただひたすら弁済して戻せという趣旨だから,「弁済責任」という言葉でよいのではというふうに思って使っているのです。 ● 規定上は「弁済又ハ賠償ノ責ニ任ズ」ですね。必ずしも「弁済」と書いているわけではない。3号はもちろん……。 ● 「弁済ナキ額」ですよ,1号は。違いますか。「分配ノ為サレタル額」……。 ● 今,○○委員がおっしゃられたとおりで,266条の1項はまとめてずっと書いてありますので,損害賠償のところは賠償すべきで,弁済となっているところは弁済で,そこは号によって違う。それで,ここは違法配当額の弁済ですから,弁済責任だと思いますが。 ● 過失責任になっても弁済ですか。 ● それは委員会等設置会社の21条の18と同じ規定を設けるという趣旨で,その範囲だけがこの②で問題になっているだけだと思いますが。 ● 整理していきますと,まず,c案は要るのかどうかということです。c案は,私は欠席していましたと,そして,それについて過失はありませんということだけを許すということなのですが,ここまで欠席者に……。   恐らくc案とb案の違いは,この(注5)にもありますように,取締役会決議に参加しなかった者について問題になるわけですね。ここまで弁済責任の対象にするのは過酷であるからやめろというのが,先ほどの何人かの御意見なのですが,その点については,いや,やはりこれは残すべきだと,少なくとも意見照会の段階では残すべきだという御意見はありますでしょうか。もし積極的に支持がなければ,落とすということになりますが,よろしいですか。--では,c案はもう意見照会に入れないということでよろしいですか。   そうすると,(注)もかなりの部分が不要になると思います。○○委員のおっしゃったとおりだと思いますが。   b案の括弧も取った方がいいですね。   それから,a案の括弧も何かいろいろ異論があるようですから,a案の最後の括弧も取ると。   それから,先ほど,b案と関係して,現在の266条の3項は推定であるが,この点はみなしになっているという問題の指摘がありましたが,もしその御意見を入れるとすると,b案は書きかえて推定の形の案にするということですかね。それはどっちがいいかという問題はあるのですが,現行法になるべく近づけるとしたら,そういうことになるかと思います。 ● その際に,先ほど○○委員から御説明がありました,a案の理解として,分配をした取締役は無過失の立証が可能であるというふうに限るけれども,他の取締役は原告に過失の立証責任が移るのだということは(注)等で書いておいた方が分かりやすいのかなと思うのですが。 ● その点,○○委員は御異論があるのかもしれませんが。証明責任というのは。 ● b案の今の266条3項のところの取扱いなのですけれども,○○委員がおっしゃられたように,ここではもういわゆる法律上の推定ではなくて,対象という形でどんぴしゃで規定しているわけですけれども,仮にこれを法律上の推定みたいな形にした場合,結局,過失・無過失の立証責任というのは取締役側にあるわけですから,その法律上の推定を打ち破るための立証責任みたいなものも……,結局,過失・無過失の立証と,そこの法律上の推定を打ち破る反証というか,それとの関係がよく分からなくて,そういう意味で,こうシンプルに対象者という形にしてしまったのですけれども。 ● あるいは私が考え違いしているかもわかりませんが,b案は,単純に,分配をした取締役,つまり,a案の分配をした取締役に加え,取締役会決議に賛成した取締役も含めるということでいいのではないかと。そして,事実上,議事録に異議をとどめなければ賛成したものと推定されるし,それで別にわざわざ「又は」が要るかなと,そういう感じで先ほど質問させていただいたのですが。異議をとどめるということが特別の問題ではなくて,賛成しなかったことを明らかにするために異議をとどめるのではないかと思ったので。あるいは,異議をとどめるというのは,やはり単なる反対よりももっと大きい意味を持つのですか。そこら辺があったので。特に,異議を「とどめる」ではなくて,「とどめない」なんですね。 ● いや,これは,日本の取締役会はほとんど決はとらないと思いますから,会議の席では激しく反対したけれども,結局,最後は決をとらないままに多数派の意見で決まったと,そういうケースは非常にあり得るわけですよね。そのときに,彼は結局反対したのか賛成したのかよく分からないという状況になるわけで,そのときに本当にそういう結論になるのかどうかという問題がある。 ● ただ,一応,議事録には出席取締役は全員判こを押しているわけですね。そこで全会一致で賛成したとか,そう書かれるのでしょう。そして,判こを押していれば,もう賛成したになるのではないかと。だから,余りこの「又は」以下をやるとややこしいなと,それだけのことなのですが。あるいは,実務的に詰めてこのままでよければ,私,強くは申しませんが,そして,これが大会社と--また不用意に言うと別の御異論があるかもわかりませんが--中小会社と,議事録の記載方法も違うのかもわかりませんが,まあ,議事録は出席取締役が判こを押しているのだろうと。ただ,議事録がない場合はどうなのかとか,またそこを言い出すとややこしいですけれども。 ● そうしますと,結論は,b案は,先ほどの○○関係官が言われたのは……。 ● 「又は」以下を削るということですか。 ● 疑問を申しただけですので,検討していただけたら。 ● そうすると,○○委員のあれでいくと,「又は議事録に異議を止めない取締役」というのは削るということになるのですか。 ● 削ってもいいんじゃないかという。ただ,それは御検討いただいて,もう一回議論すると。これで試案公表になるわけではないですよね。 ● ではないですね。 ● 今の御議論で,確かに日本の会社の取締役会では議決をとらない場合が多いだろうと。その場合に,非常に強く反対していたことが任務懈怠の過失の評価にどう影響を与えてくるかということで,結局,自分が最終的に反対しても,多数決はもう明らかになっているという場合は,そういう意味で因果関係がないという事態が生じ得るような感じもいたします。そうすると,過失の判断の場合に,決議録にあるかどうかという部分だけに着眼して推定あるいは何か一定の効果を与えるのが本当に妥当なのかどうか。任務懈怠の評価の基準で,取締役会における議論というものは一切考慮されないのかどうかですね。 ● そういう場合に,因果関係があるかないかと言い出すと,これは非常に難しいですよね。それはやはり任務懈怠の方がまだ分かりやすいのではないかという気がしますけれどね。ちょっといろいろ難しい問題はありますが。   ちょっとこればかりもやっていられませんので,b案について文言の修正をするということで,とにかくa案,b案を載せるということでよろしいでしょうか。   ①の方は一応これでよろしいですか。意見照会は。反対があったことはあれですが。 ● 私も,②はb案の方向だろうと思うのですけれども,理解が不足しているのかもしれませんが,なぜ②でb案をとれて,①でb案とれないのだろうというのがやはり疑問なのですけれども。①についても,何か新規事業に進出をする,そういうものについて投資をすると。②の方に(注4)のような書き方をしてありますけれども,当初の決議に基づいて直ちに取締役が行動を起こしたという場合には,決議に参加した取締役については,その行為をした取締役と同じように責任を負わせてしかるべきである,b案のようなことをとっていいと。それから,経営判断に基づいて,更に継続的に投資をしていって,状況が変われば,それは当然,当該行為をした取締役の責任だけが問題になるということで,(注4)のような言い方は①のような場合にも十分できるのではないだろうかと。決議に基づいて何か新規事業に進出するというようなことを決定したら,その決定については,やはり,過失責任ではあるけれども,b案のようにすると。単純に,他の取締役について監視義務を怠ったということを原告の方で言わなければいけないのではなくて,決議に賛成した場合には,他の取締役が自分の方で過失がなかったということを言わなければいけない,取締役会で決議したらそれぐらいの意味はあるのだということで,①についても,②のb案と同じような扱いをすることが可能であり,またそれは合理的であるような気がするのですけれども。 ● そうしますと,具体的にどういう規定を置きますかね。①に置くとしますと,②のb案みたいな案を何かうまい規定--おっしゃることはよく分かるのですが,どういう規定を書きますかね。 ● ちょっと誤解しているかもしれませんけれども,例えば,代表取締役が任務懈怠責任を負う場合の当該行為が取締役会決議に基づいて行われたのであれば,それに関与した取締役について過失の法定責任を負わせるというような御意見なのでしょうか。そのようにも整理できるのではないかと思うのですけれども。 ● いえ,法定責任ではない,任務懈怠責任ですけれども。 ● そうであれば,やはり,決議がどういう意味を持っていたか,そしてそれについて過失があったかどうかということが訴訟で争われるというだけの話なのではないか。結論はおっしゃるような判断になるのではないかと思うのですけれどもね。だから,あえて規定を置く必要があるのかどうかというのは,私はまだ疑問なのですけれども。   実質おっしゃることはよく分かりますので,そういう規定がうまくつくれれば,それはいいと思うのですが。 ● 決議を経ないでなされたような場合には,他の取締役の責任は監視義務違反の責任ですよね。それは原告の側で監視義務違反があったということを主張立証しなければいけないはずですよね。それで,決議に基づいてなされた場合には,原告はそれを言わなくてもいい。当該判断そのものがおかしかったのだということを言えば。そうしたら,あとは他の取締役の方で過失がなかったということを言わなければいけない。ですから,決議に基づく場合と決議に基づかない場合で法律上の差が設けられていてしかるべきではないかと。 ● ただ,やはり代表取締役の行為については,任務懈怠であることを原告が立証するのでしょうから。 ● それはそうですね。 ● ですから,それが立証されたということを前提にすれば規定はつくりやすいのですが,そこのところから問題になるというときに,規定がうまくつくれるかということなんですね。   ですから,むしろ,1の(1)の①については,各委員がおっしゃっていること,○○幹事,○○委員,○○委員,それぞれ実質は分かるのですが,ではどういう規定を置けばいいのか。とにかく,やはり「みなす」というのはおかしいのだろうと私は思いますので。 ● 現行の266条の2項・3項があるために非常に困るということがあるのであれば,それは変えなければならないかもしれませんが,今のようなままにしておけばよいというだけのことではないかと思うのですけれども。 ● やはり論理的にはおかしな規定ではないかと。無過失責任ですと,言っている意味は非常に明確ですが,条文を虚心坦懐に読む限り,過失責任一般の任務懈怠に当てはめますと,やはり私にはちょっと理解できない規定になります。 ● 私はそれで何も差し支えないというふうに解釈しておりますし,それから,先ほど来,過失の立証責任が何度も何度も出てくるのですけれども,不法行為であれば,故意・過失と損害の所在というものは主張する側が立証しなければならないのは当然でございますが,債務不履行の場合には,帰責事由がないことは債務者の方が主張立証しなければならない,これはもう確立した判例でもあり,学説でもある,これが出発点だと思うのですね。ですから,任務懈怠責任の場合に原告が主張立証しなければならなくなるのは,その話の中身が具体的な善管注意義務みたいな話になるので事実上そういう問題が出てくるだけであって,違法なことだという話になってまいりますと,それはやはり,事実上,立証責任が転換するということすら薄らいでくるわけですから,少なくとも言葉の上で,過失の立証責任は原告側にある,取締役は無過失を推定されると言わんばかりの議論は余り立法の中に入れない方がいいのではないかと思うのですけれども。 ● いや,別に立法の中に入れるとは申しておりませんが,これは○○幹事等が論文をお書きですのでここで議論する気はありませんが,それは別の場でも非常に議論はありました。それで,任務懈怠を立証するということになれば,大体その中で過失の立証は行われるであろうと,ただ,独禁法違反なり何なり違法行為があるということになると,原告はそれだけ立証すればいいのではないかというのが○○幹事の論文の趣旨だったと思いますが,別の場でもそういう意見は多かったように私は承知しております。 ● 今,○○委員が提起されたのは2点あると思います。   第1点は,もう既に○○委員と○○委員との間で解釈が分かれるようなものであって,やはり立法的に過失責任化を図る以上は,それと矛盾する解釈が出てき得るような規定はこの際はっきり整理した方がいいだろうと。   第2点の立証責任につきましては,これは取締役の特に任務懈怠の立証事実ですね,これは一体何なんだろうかと。これはいろいろな,しかし債務不履行の一般原則というのは確かにある。したがって,ここで言う立証責任の転換とか,そういう(注)の意味合いももう少し事務局の方で検討されて,もう少し明確な形,一体具体的に何を意味しているのかというレベルではっきりさせることが可能だったら,そういうものをした上で意見照会をするというような整理をやられたらいかがなのかなというふうに思います。 ● この辺になりますと,ちょっと説明の書き方も難しくなってきますが。 ● ○○委員に御質問なのですけれども,今の中間配当の定め,「注意ヲ怠ラザリシコトヲ証明シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ」とありますね。そういう規定ぶりが現行法に入っていることと,今,そもそもすべての事案においてそうなのだと,取締役が過失がないことを立証しなければいけないのだということとは,どういう関係になっているのか,ちょっと教えていただきたいのですけれども。 ● 解釈はいろいろだと思いますけれども,私は何も特別なことを言っているわけではありません。 ● 当たり前のことを言っているということですか。 ● はい。 ● 私どもは,過失責任の立証責任の転換だというふうに教わっているのですけれども。 ● この議論に割って入る勇気はないのですけれども,②の方についての整理なのですが,これはもともと,違法配当が行われた場合は株主が不当利得の返還請求に応じなければいけないというところから出発していて,その不当利得返還義務というものが履行されない場合について,かわってだれかに責任を負わせましょうという話だとすれば,資本充実責任みたいなものと非常に似通った形のものとして考えてもよさそうな感じがありまして,要するに,会社の設立のときに,かつては発起人だけが負っていた責任を,会社成立当時の取締役にも拡充しましょうというような政策的な判断がある程度ここにはあって,違法配当によって生じた会社の損失分を原状に回復するためにはだれに弁済責任を負わせるべきなのかという,そういう単純な議論で整理してもいいのかなと。   そうしますと,②の方の問題は,これは債務不履行責任ではなくて,いわば法定の弁済責任という形だとすれば,過失責任ということにした以上は,やはり弁済責任追及者の方の側で,一般の債務不履行の理論とは別に,過失は立証しなければいけないのではないだろうかと。   そういうふうな形で過失を立証することを前提とした上で,この範囲の人については法定責任を負わせることによって無過失の立証責任を負わせるということを立法上明確にするのだという,そういう整理で今回のこの立法をとらえれば,それほど違和感なく,債務不履行の議論と余り結びつけずに,これを法定の弁済責任というふうに位置づけてしまっても,解釈はできるのではないかなと。   これはたまたま人的範囲がかぶっているために皆さん誤解されるわけですけれども,それとは全く別に,債務不履行の原則である266条の中の2項・3項というのを過失責任化の中の世界でどういう位置づけを与えるかということは,やはり理論的に考えていかなければいけない問題としてあるのだと思いまして,私は,○○幹事がおっしゃられたようなことは解釈に委ねて,それぞれのケースで解釈していけば十分なのではないかなと。それは,行為擬制をしなくても,決議に参加したときにいいかげんに決議に参加したというようなことが主張立証されるべきであって,その具体的な行為の行為者なのだということの議論の中で議論するのは,○○委員がおっしゃられるように話がおかしいという感じがしますので,そういう点では,2項・3項は,冒頭に○○委員がおっしゃられましたように,解釈に委ねても処理できる問題というふうにして,この②の問題と①の問題は全く異質なものだというふうに整理してもいいのではないだろうかというふうに思いました。   ちょっと口幅ったいことを申し上げて恐縮ですが。 ● あるいは,①に(注)をつけて,任務懈怠に関して何か違った形で規定を置けるか。そういう任務懈怠行為を代表取締役がすることについて,取締役会決議に参加した者に何らかの責任を負わせる特別の規定を置くとしたらどういうことが考えられるかというような趣旨の(注)を置くか,それとも解説に書くか,これをとったから○○委員や○○委員が懸念しておられるように非常に結果が変わるものではないのだということを明らかにするような措置を事務局の方でちょっと考えていただくということで,一応意見照会はこういう①の形でするということぐらいでいかがでしょうか。 ● もう一つ,本当に単純なことですけれども,先ほど来,皆様が①,②とおっしゃっていますのは,(1)の①と(2)の②でございますね。 ● はい。   ですから,恐らく,懸念しておられるようなことは,結論はここでみんな,こういう場合はどうなるのですかといったら,余り違わないだろうと思うのですね。ですから,その趣旨を明らかにするような何らかの措置を考えていただくことにして,(1)の①は一応こういう形で意見照会をするということにさせていただければと思いますが,それでよろしいでしょうか。   それでは,あと幾つかの次の星印は関連する問題が多いと思いますので,一応ここで休憩させていただきます。             (休     憩) ● それでは,時間の関係もありますので,審議を再開させていただきます。   次は7の(3)の②でありますけれども,これについても,先ほどの(2)の②のa案からc案までというふうになっておりますが,先ほどと連動させるとしたら,これもa案又はb案ということになるわけですけれども,それでよろしいか,あるいはここ独自に考えて,違った取扱いをすべきかということでありますが,この点について御意見をいただければと思います。   もう単純にここは連動して直すということでよろしいでしょうか。何か御意見ありますでしょうか。(2)の②に合わせて直すということでよろしいですか。--それでは,そういうふうにさせていただきます。   次が(4)でありますが,星印がついておりますのは,まず②でありまして,これがa案と,それからb案の中が細かく分かれていると。それで,先ほどのc案に当たるのは第ⅳ案だろうと思いますが,これも,ここと違法配当とは別だという話があるのかもしれないのですが,この点はいかがでしょうか。対応するのはⅳ案だろうと思います。 ● 違法配当の場合には資本充実という大きなものがありますが,この場合は利益相反のことだから,向こうを落とすなら,このⅳ案も落としてもいいのではないかと思いますが。 ● ⅳ案を落とすことについては御異論はないと考えてよろしいでしょうか。   それでは,これは落とすとして,あとa案,b案,先ほどの(2)の②に連動しまして,文言はb案の方は修正があるかもしれませんが,一応こういう形でa案,b案を載せる,それからb案の中はこういうふうに分ける,これにつきましては御意見いかがでしょうか。 ● ここで言うb案の「特別の責任とし」ということの意味なのですけれども,「特別の責任」としか書いていなくて,一体どういう点において特別なのかがさっぱり,少なくともここに書いてあることからだけでは分かりませんで,さっきの違法配当のときのように,立証責任の転換ということで特別なのか,それとも,利益相反ですと,むしろ直接利益を得ている取締役については無過失だという考えが強く主張されているところでありまして,それも考えると,少なくともその説明をしないと議論がしにくいのではないかと。特別の責任にするにしても,その範囲が,仮に無過失だとすると,実際に利益を受け取った取締役だけだという考えも非常に有力なところですし,bのⅰ案からⅳ案にしても,特別の責任をどのような責任として規定するかということを,少なくとも試案に書かなければ,意見照会するにしても,的確な意見が集まってこないことになるのではないかということを危ぐします。正に今の,過失の立証責任の問題なのか,無過失なのか,あるいは損害賠償の範囲等についての特別の責任なのか,そこをはっきりさせる必要があるかと思います。 ● 無過失の問題は,①で,(注)も含めて書いてあるのではないかと思いますが。受益した者についてどう取り扱うかも含めまして。 ● それによって多分違ってくると思うのですけれどね。 ● ですから,それは①の問題で,②は受益した者でない者について言っている,それは前提になっているのではないかと思います。   特別の責任については,何か補足して説明ありますか。 ● おっしゃるとおり,無過失責任ということであれば,当然,特別の法定責任という形にはなるのだろうと思います。この②は,過失責任化した場合における,という前提で記載してあるところでございます。   それで,特別の責任という点につきましては,委員会等設置会社において商法特例法21条の21という特別責任の規定が今設けられておりますが,要するに,これがどの部分を転換しているものなのかというところが,先ほど来,任務懈怠責任における過失の立証責任がどこにあるのかという,そもそもそこに争いがあるということであると,ここで過失の立証責任を転換したと書くのもちょっとあれかなと,争いもあるところなのでなかなか難しいなと思ったものですから,こういう21条の21のような法定の特別責任的な規定を置くかどうかという,そういう趣旨で,この「特別責任」という言葉を使わせていただいているということです。 ● 先ほどの責任の一部免除の話も入っているわけですね。 ● そうですね。 ● 今の○○関係官の説明を前提にすれば,b案のところは,「一般の任務懈怠責任とは異なる」の後に「商法特例法21条ノ21第1項と同様の」--「同様の」とか「同趣旨の」とか--何かそんな言葉を入れれば,○○委員の御懸念なり,意見照会を受けられた方の疑問が生じなくて済むのではないでしょうか。 ● まあ,商法特例法を模したから余計に分からなくなるところと,分かりやすくなるところとあるようなのですが,趣旨は,どこまで含めるかはいろいろあり得るのですが,少なくとも一部学説によると,証明責任が違ってくるという考えはあると。それから,先ほどの責任の一部責任免除を含めるかどうかということが,特別責任としたときに初めて問題になってくるというようなことかなと。   あと,ここは損害賠償ですから,先ほどの弁済責任みたいな話ではない。そこの特別性はないのだろうと思いますが。 ● 損害額が幾らかという問題がございますね。 ● その点は,現在でも,266条でも4号・5号においては損害額ですから,余り違って考えてはいないのではないかと思いますけれどね。 ● 損害額の推定額。 ● 推定額ということにするのかどうか。価格だけの問題だとそういうことになるのですが,貸し倒れとかいろいろな……,どうなんですかね。ちょっと分かりません。   今のような事務局の説明ですが,一応こういう形で,必要な修正を施して,a案,b案を聞くということでよろしいでしょうか。 ● この(注)の意味なのですけれども,取締役会の承認を受けていると,故意・過失の不存在を基礎づけ得る事実となるということですね。取締役会の決議自体が不相当だという場合もあり得るわけですね。そのこととの関係はどうなりますでしょうか。 ● 一般の任務懈怠責任と区別しないということですので,過失と呼ぶか立証責任と呼ぶかどうかはともかくとして,原告側で任務懈怠事実,不完全履行事実というものを立証しなければいけないと。その際に,先後関係はよく分かりませんけれども,仮に,相手方の資力をよく見ないとかいう,いわゆる不履行,見なかった,注意しなかったとかいう不完全履行事実というものを立証した際に,取締役会の承認をちゃんと得て審議をしているということ,帰責事由の不存在ということを取締役側が立証するという関係がまずありますよね。その際に,それは原告側が最初に要件事実として立証しなければいけないのか,再抗弁的に立証しなければいけないのか,ちょっと分かりませんけれども,いずれにせよ,原告側が不完全な履行,任務懈怠というものの事実を立証する中において,取締役会決議の内容の不公正さとかいったようなことは,恐らくそれを基礎づける事実という形で原告側が立証するという構造になるのではないかというふうに思いますけれども。 ● 先ほど,ちょっと○○幹事の学説を引用しましたけれども,何か違法な行為があれば,あとは取締役の方で無過失を立証しなければ責任を免れないと,損害が出ておればですね,というのが前提だとしますと,取締役会の承認を受けていなければ,○○幹事が言われる違法な行為があったから,当然にということですね。 ● 任務懈怠は一般どおりということになるわけですね。 ● 任務懈怠の場合には,損害が立証されても,それによって,あとは無過失を立証しなさいとは言えないのではないかというのがここでの前提になっている話だと思います。つまり,取締役会の承認がある利益相反取引で,損害は出ている,それは立証されたとしまして,その場合に……。この任務懈怠と区別しないというa案はですよ,そういう考えに立っているという,そういう説明だと思います。   b案の方はそうじゃないんですね。承認を受けていても,やはり無過失は取締役の方が立証しなさいよというのがb案なんだろうと思います。   一応そういう理解でよろしいでしょうか。あるいは,a案の(注)の文言は○○委員がお気に召さないようなので,若干修正の必要があるのかもしれないのですが。   まあ,(注)にまでする必要があるかどうかですね。解説で書けばいい話なのかもしれません。一応そういうことで,(注)は留保させていただくことにして,あとはよろしいでしょうか。   それでは,③で,「責任の免除の在り方」でありますが,このロについてこういう形で意見照会してはどうか,一部免除を認めるかどうかということについて意見照会してはどうかということでありますが,いかがでしょうか。 ● このa案で言うところの「利益相反取引をした取締役」というのは,会社側に立って,その利益を得た取締役と取引をした取締役という,そういう趣旨でございますか。利益を得た取締役ではないと。 ● 利益を得た者については,もちろん一部免除はないのではないかと思いますが。これは特別責任を負う取締役という意味でしょう。a案は違うのですか。 ● 違います。 ● a案は違いますか。 ● もしも,この趣旨が,特別な利益を得た者についても一部免除を認めるとかいうことになると,何か変な話になるのではないかと思うのですけれども。そもそもこういう選択肢を設けて意見照会をすることが妥当かどうかというほどの変な話になるのではないかと思うのですが。 ● 私も同じように考えまして,少なくともa案は,利益相反取引をした取締役が受益した場合を除いてで,例えば他の会社の代表取締役であるような場合については,受益していないから,この表現でいいけれども--個人的な,100%のオーナーだったらどうかというまた別の解釈論はありますが--少なくとも個人的に受益した場合には,それを返さないと,何で一部免除するのだということになりますから,受益した場合を除いてすべての取締役とするのがこの趣旨かなと。先ほどの○○委員もそういう御理解だったのではないかと。 ● そうですね。b案のⅰ案に出ている利益相反をした取締役という意味かなと思ったのですが,a案の利益相反をした取締役というのは。取引の会社との相手方になっている人は当然に一部免除はないという前提のように読めるのですけれどね。 ● 済みません。この資料では,①の(注)は,一応ここで掲げさせていただきましたけれども,先ほどから御指摘がありますように,それ以降はこの(注)を踏まえていない形になっているのです。   ですので,先ほどの責任の一部免除の取扱いについても,①の(注)があった場合はどうかということについては触れていないという構造になっております。 ● そうすると,②のb案のⅰ案,それから③のロのa案に出てくる「利益相反取引をした取締役」というのは,商法特例法でいうと21条の21の1項の1号と2号に掲げられている--ここは委員会等設置会社ですから「執行役」という言葉が使われていますけれども--その両方を含んだ概念として使われているということですか。 ● そのとおりです。 ● そういうことのようです。   あるいは,そこのところをはっきりさせるためには,ここもそこもばらして書いた方がいいのかもしれないですね。   では,確かにそういう誤解を与える面がありますから,その点は,受益した者,それから会社側に立って行為した者,それを分けて案を作るということでやっていただけますか。 ● 戻って恐縮ですけれども,(4)の①の「過失責任化」のところの,先ほど御指摘のあった,(注)の「自ら受益した」というのは,これは第三者が受益した場合は除くということも含んだ趣旨でございますか。そうすると,②のb案のⅰ案なんかに出てくる「利益相反をした取締役」というのは,自ら受益した人と,プラス第三者を受益させた人というのも書かなければいけないということになろうかと思いますので。 ● 確かに,受益した第三者はどうなるんだという問題はあると思いますね。   細かく言っていくと確かに切りがないところで,無過失責任をやめると条文は非常に複雑になりますね。   それでは,もう一度そこの点の整理はお願いするということにして,基本的にはよろしいでしょうか。a案,b案,この形で。a案については,どこまで細かく書くかという問題はあるのですけれども,一応はよろしいでしょうか。   それでは,次の(5)の②のc案というのは,これもやはり自動的に消えることになりますか。ここは違うという御意見もあるかもしれませんが。これも連動するという理解でよろしいですね。 ● 今までのところなのですが,違法配当と利益相反取引,とりわけ利益相反取引について,いわゆる監査役設置会社でこういう変更をいたしますと,委員会等設置会社とまたちょっと違ってくるので,それの調整はなさる御予定という理解でよろしいわけですね。細かいことだから,一々,委員会等設置会社のここを変えるとかそういうことを言わないだけのことで。 ● そのとおりでございます。 ● 分かりました。 ● それでは,先に進ませていただきまして,「8 代表訴訟」でありますけれども,この点についてこういう形で意見照会をすることについて,御意見いかがでしょうか。 ● 例えばという形で踏み込んで書くのだとすれば,訴訟委員会の提案だけをして,多重代表訴訟の方を落とすというのは,少しバランスがよくないのではないかなと思います。   訴訟委員会制度につきましては,こういうものを規定するとした場合に,現在においても,監査役会が訴訟に参加して,これは却下すべきようなものではないかということを,独立当事者参加の形だったら言えるということとの関係をどう調整するのかというような問題等,どう考えるのかということをクリアしなければならない問題がまだ相当あるのではないかというように思います。 ● (注)の書き方でありますが,いかがでしょうか。 ● 事務局サイドで,この訴訟委員会制度はスタンディングなものなのか,アドホックなものなのか,どういう御理解なのか。私の理解では,これはアドホックの話ではないかと思ったりするのですが,一部では,こういう書き方をすると,何かもう委員会等設置会社の3委員会と並ぶような形でスタンディングなものだというようなあれだし,その意味でこれは誤解がないという理解でよろしいのですか。ちょっとこの書きようが気になったのですが。   そして,やはり,追及しないとともに,こういう委員会ができると,和解に関連しても相当の権限を持つことになる,その関係で,今おっしゃったように監査委員会とか監査役会との整理をせざるを得なくなるので,ちょっとハーフ・トゥルース的にならないかなと思ったのですが。別に私は,簡単に,例えばと。そうすると,「例えば,訴訟委員会を設けることなど」ぐらいに一言にしておいた方が。この5行6行は要らないのではないかという感じがするのですが。それか,多重代表訴訟制度,私,入れるには賛成ですが,それには御異論もありましょうから,今日議論するつもりはありませんが。 ● (注)につきましていろいろな御意見が出ておりますが。 ● この「なお検討する」ということの中で,(注)として,例えばとして訴訟委員会が挙げられていることの意味合いで,これを受け取った者は,「なお検討する」という中で訴訟委員会が挙がっていると,訴訟委員会について回答するというような対応にならないかなと。そうするとほかの問題について配慮が落ちてしまうというようなことだとすると,この例えばの書き方は非常に難しい。質問の趣旨と(注)との関係で,いろいろな問題点について広範囲な意見を求めているのか--代表訴訟制度については恐らくそうだと思うのですけれども--そうだとすると,この例えばというのはもう少しいろいろ挙げておくとかいうことも考えられるかなと。何か限定的に問われているように受け取られると,これはまずいわけですよね。 ● どうですか,事務局としては,この(注)の挙げ方は。いろいろ御意見が出ていますけれども。具体的には訴訟委員会制度にかなり踏み込んだ内容の説明がありますが,これは要るのかどうかというのは。 ● 尋ねるのであれば,もう少しいろいろな論点を挙げる方がいいのではないかと。 ● この(注)自体は,訴訟委員会制度というよりも,むしろ後半のところに意味を持たせているつもりではあるのですけれども,特に部会において方向性が出ている論点でもありませんので,御指摘を踏まえて,ここで出された御意見を要約して,主要な論点をすべて拾い上げる形で取りまとめたいと思います。 ● 単なる確認ですが,この訴訟委員会制度を設ける対象の会社としては,これは当然,委員会等設置会社だけを考慮されているのか,監査役設置会社でもそれは可能であるということなのか,あるいは,更に言えば,譲渡制限会社等についても適用可能か。その辺の前提はどういうことになっているのでしょうか。 ● 別の場で検討したときに挙がった案では,あるところから出してこられた案には,監査役設置会社だと監査役会がそれに対応するような判断をするような案になっていたような記憶があります。ですから,恐らく限定はしていないのだろうと思います。 ● 訴訟委員会制度につきましては,この部会が始まったときから検討方要請しているのでありますけれども,その趣旨につきましては,監査役設置会社についても当然含まれる,対象の会社であるというふうに言っているつもりであります。   それから,例えばというところには,訴訟委員会制度に加えて,原告適格の見直しとかいうふうなものも入れていただきたいと思います。   それとの関係で,多段階訴訟についても,私個人としては,その導入に直ちに賛意を表するものではございませんけれども,皆さんの大方の意見が,一度パブリックコメントで聞いてみようということであれば,入れて,広く意見を募ってみたらどうかとも思います。 ● それでは,かなり拾った形で(注)を書いてパブリックコメントに付すということにさせていただきます。   ほかに御意見ありませんでしょうか。--よろしいですか。   それでは,先へ進ませていただきまして,9の(2)の「補欠監査役」につきまして,こういう聞き方でいいかということでありますけれども,いかがでしょうか。 ● こういうことでよろしいかとも思うのですけれども,(注)のところに,「なお,この考え方は補欠取締役にも妥当するものである」とか,監査役だけではないのだということが分かるようにしていただければと思うのですけれども。 ● 今日書面をお配りさせていただいたのですけれども,一つは,実務のニーズが当初の予測以上にありそうだという気がしたものですから,多少論点整理をするという意味でまとめてみた程度のことなのですが,今年6月の株主総会で,法務省の見解が出ましてから29社,2000社のうちの29社ですから1.数%の割合なのですが,その会社が定款変更と補欠監査役の選任を実施しているというようなデータがございまして,そういう意味では,法務省の回答が出てから短期間でこれだけの会社が採用したということで,実務のニーズが相当あるのかなという予測ができるというようなことがございました。   論点としては,恐らく,この試案の中に書かれておりますように,定款に定めを置くことを要するとするか,もう1点は,有効期間をどうするかということです。   定款に定めを置くことを要するという点につきましては,従来,新株発行で株主の変動があったときに,既になされた予選の効力が維持できるかという点が一つ争点になっておりましたので,将来の株主の選任権限を制約するという意味合いで,定款に定めを置けばその点がリーズナブルになるのではないかという意味で,定款の定めを置くことを要するとすることには賛成であるという,とりあえずの結論を書いてございます。   もう1点は,予選の有効期間が実務的には一番の関心事でございまして,当然,予選の性質から言って,その効力が長期にわたることは望ましくないわけですけれども,法務省の御回答では,これは,とりあえずは適法な範囲に限局してということで出されたものだと思いますので,約1年ということになっていますが,これですと,どうしても定時総会の度に予選決議をせざるを得ない。そういう意味では非常に実務には負担が大きいというような声が大分ございますので--ここに(試案)と書いたのは,ここで論議している試案とちょっと違って,私の試案ですから,私案と書いた方が妥当だったのかもしれませんが--監査役の任期と直接の関係がある問題ではないとしても,実務のレベルでは,1年ではなく,3年程度,あるいはそれプラスアルファぐらいの期間が欲しいというような声がございますので,とりあえず4年を法定の上限として,また,会社がその範囲内で,定款で例えば2年とかいうふうに任意的に決める,あるいは予選決議で具体的に,その予選は1年間効力を有するというふうに決めるというようなアローアンスといいますか,会社の選択を認めるというような立法が考えられるのではないかなと思います。4年というのは,これ以上要求してもなかなか難しいと思いますけれども,4年は長過ぎるという御見解もあるでしょうし,あるいは合理的だという見解もあると思いますので,とりあえず,これは本当に試案ということでお聞きいただきたいと思います。   それから,今,○○委員がおっしゃったように,取締役についても同様の法制化が可能だと思います。法務省の回答の解説にもそういうことが書いてございますので,この点もあわせて御審議いただくとよろしいのではないか。   それから4番目に,これを法制化した場合,定款の定めを置かない場合に予選ができるかという問題が出てくると思いますので,その場合は,一般的な条件付決議の一種ということで別に禁止する必要はないのだろうと思いますが,有効期間とか,あるいは新株発行があったときの効力の問題,それらについては解釈に委ねられるという意味で,法制化のメリットを受けられない決議になるというレベルのものにとどまるのではないかなというふうに考えておりますが,この点も付随して出てくる問題ではないかと思います。 ● ほかに御意見ありますでしょうか。 ● 私もこの御提案に賛成で,明確化した方がいいと思います。   その際に具体的にどうするのかということについては,今回は(注)で一般的に皆様方の御意見を聞くということであれば,それで結構かと思うのですけれども,この(参考)と書かれている,現行の運用の方法と比較しましたときに,私,少し疑問に思いますのは,予選自身は次期定時総会が開催されるまでの間は有効なわけですね。そういう意味では毎年予選をしなければいけない。それに対して,例えば任期途中でお亡くなりになった方が,まだ就任して1か月目の方の場合には,その後,その方があと4年近くお務めになられるということになるわけで,何か逆じゃないかなという気がするのですね。予選自身は,有効期間はある程度,今,○○委員がおっしゃったように,認めてもいいけれども,実際に任につかれた場合には,その方が務められるのは次の定時総会までという組合わせもあるのではないかと思った次第です。 ● 2点ありまして,取締役の点を加えるという点はいいですかね。(注)か何かで加える形になりますかね。 ● そうですね。主として社外監査役の関係で要望が強かったところでございますので,監査役の項目に掲げさせていただいたものでございます。 ● 社外取締役なんかでは確かに取締役にニーズがあると思いますので,取締役についてもどうかということは(注)に入れるということはいいのではないかと思います。   それから,この(注)の予選の効力,それから定款の定めの要否,これについては,今,実質の議論はいろいろいただきましたが,(注)の書き方はこれでいいのか,それとも何か違う書き方をせよという御意見なのか。一応これでよろしいですか。今,実質の御議論が○○委員,○○委員等からありましたけれども,聞き方としてはこれでよろしいですか。--それでは,こういう形でパブリックコメントに付させていただきます。   次が「11 会計監査人」,これにつきましては星印がないのですが,○○委員の方から本日提出された意見書にこの点が触れられています。(1)の③ですか。 ● お手元にお配りさせていただいたものを御覧いただきたいと思うのですけれども,この提案によりますと,「強制しないものとする」ということで,大変私どもの意見と食い違った書き方になって,そういう意見の聞き方だといかがなものかということで意見を申し上げるものです。   基本的には,私ども,こういう方向性については現段階では反対でございますので,それを簡単に申し上げますと--前にも申し上げたかと思うのですけれども,一応また改めて申し上げますと--(1)に書いてありますように,現行の有限責任の会社法制で,親会社が完全子会社の責務--債務ですね--を保証するということがなされない限りは,完全子会社といえども,親会社とは別の債権者が大いにあり得るわけですから,その債権者の保護という観点からは,やはり会計監査人がそこの会社においても必要ではないかという意味で,この方向はいかがなものかと。   二つ目においては,連結を作る場合に,私どもは連結財務諸表の作成における重要性ということを意識しているわけですが,この重要性というのはやはりどうしても実務においては考えざるを得ないというときに,連結ベースの重要性か,完全子会社の重要性か,そこが必ずしも明確でないということがあります。連結ベースでの重要性ということになりますと,やはり完全子会社の重要性がかなり低くなりますので,完全子会社が完全なる財務諸表を作るかどうかということについては若干トーンダウンするという問題があります。それから,完全子会社の重要性というベースでしっかりしたものをつくって,それを連結するという考え方に立ちますと,現在は,スモールな会社についてはほとんどチェックが,ある意味で無視しているという不十分な部分もあります。しかし,法的にそういうことになると,完全な子会社すべてを私どもとしては監査しなければいけないということになりますと,大変監査時間も増えるということで,これまた,多分,会社においては大変なプレッシャーがかかるのではないかという意味において,現実的でないと。   そういうことで,結論的に申し上げますと,照会することには反対ではありませんけれども,やはり,「しないものとする」という言い切り方ではなくて,「考えられるが,どうか」という程度の表現で,いろいろ異論はあるのだけれどもというニュアンスでお聞きいただけないかと,こういう提案でございます。 ● ここにも書いてあるように,確かにほかの委員・幹事の方の御意見もあったように記憶しますが。 ● 今の○○委員との関連もあるのですが,(注)のイに,完全子会社の貸借対照表や損益計算書が違法ないし不適切な場合には,それを修正して連結計算書類を作成することを注記するとあるのですが,これは連結ベースの適正さの話ですが,先ほどおっしゃいましたように,あるいは○○委員のあれにもありますように,完全子会社といえども,親会社が当然に保証責任なり連帯責任を負うわけではなくて別個のあれだと,子会社の債権者保護の観点からは,親の連結は修正されても,子の貸借対照表のことでこれはきちっとしないと。例えば利益処分について,これまでですと,完全子会社の会計監査人も--281条ノ3の第2項の第7号ですか--利益処分が違法かどうか,それを書かなければいけないけれども,これはもうなくなってしまうということになりますと,この利益処分財源がどうなるかというのをきちっと見るのも定時総会における会計監査人の役割だとすると,そしてそれが子会社の債権者と株主の間の利益調整にとって決定的に重要だとすると,この点を少なくとも子会社のだれかの,つまり役員ベースでない専門家のチェックが入らないと困るのかなと思ったりしたのですが。そのことも含めて,イの書きようでは少し簡単過ぎないかと。ですから,先ほど○○委員が,膨大な作業になると言われたけれども,親の方の会計監査人がこういうこともしなければいかんというような形にならざるを得ないとすると,本当にそれでいいのかとか,おっしゃるようにもう少し中立的な質問項目にするとともに,その質問項目を合理的に考える素材を少し丁寧にお書きいただいた方がいいのではないかと思います。 ● たしか前回でしたか,○○幹事の方から,親会社が無過失責任を負うならばという,何か外国にはそういう法制もあるとか,いろいろなお話をいただきましたので。   この「強制しないものとする」という表現は,○○委員がおっしゃるような形に変えるという点はよろしいですか。 ● 表現ぶりは変更したいと思います。 ● では,その点は修正していただくことにして,○○委員がおっしゃった点は,これは例えばですから,あと説明としていろいろな御意見をいただきましたので,それも加えるという程度でよろしいでしょうか。   ほかに,この点についてはありますでしょうか。--よろしいですか。   それで,星印がついておりますのは(3)でありまして,これが前回かなり議論になったところでありまして,今回,整理してこういう形で出てきたわけです。   a案については,これは昔こういうあれだったので,余り異論はないかなと,まあこういうことかなということですが,b案,c案については,こういうのを会計監査人と呼ぶのかとか,事務局から問題提起がありましたが,この点について,どうか忌憚のない御意見をお願いできればと思います。御質問でも結構ですが。 ● 私,c案を是非残していただきたいなという意見なのですが,これは前々回でも意見書を出させていただいたところでございますが,繰り返しになるかもしれませんが,理由は二つありまして,委員会等設置会社を導入した段階で,会計監査人監査に監査役が必ず必要であるという制度的な前提は一応外れたのではないかというのが一つでありますが,実質的には,ベンチャー企業等の問題におきまして,設立当初から委員会等設置会社を目指すベンチャー企業は少なからず存在し得るはずでありまして,その場合に,IPOに至るまでの間の経路といたしまして,譲渡制限会社が大規模な譲渡制限会社になるという段階は必ず通るわけであります。その場合に,大会社に分類される段階のみ監査役等を入れなくてはならないというのは,ちょっと流れとして,むだなコストをかけることを強いることになると思われるわけでありまして,c案で--もちろん貸借対照表・損益計算書の確定等は絡める必要はないと思いますが--そのような自由な設計をお認めいただきたいというふうに思います。そのときは,取締役について例えば社外取締役要件等を加えることは一向に問題ないと思われます。   今後,大会社,要するに会計監査人監査を必要とする会社の規模についての議論が行われると思われるのですが,その議論において,機関設計の話と会計監査人監査が必要な会社の範囲というのはできるだけ切り離して議論ができるようにしておいた方が混乱した議論が行われないと。そういう意味でも,c案的なものをお残しいただければと存じます。 ● ほかに御意見ありますでしょうか。この(注),a案,b案,c案を含めまして,こういう形で意見照会するということについて御異論ありますでしょうか。   a案,b案,c案の内容についても,これで一応クリアでしょうか。それとも何か質問等がありましたら……。   これは整理してもらいましたので--御意見はあるのではないかと思うのですが--これでよろしいですか。--御異論がないようでしたら,こういう形で意見照会させていただきます。   それでは,次に進ませていただきまして,これは今の点にも関係するんですかね,(8)でありますが。 ● 私,これに賛成なのですが,会計監査人がどなたかということをきちんと明示された方がいいと思うのですが,ただ,登記である必要があるのでしょうか。決算公告をする際に署名をするというようにすれば,それでも済みませんでしょうか。つまり,決算公告を皆さん御覧になったときに,これはきちんと会計監査人がいらっしゃって監査が済んだものだということが合わせて一緒に情報開示されると非常に分かりやすいと思いますし,また,(4)では,会計監査人が不適法意見を述べている場合には,決算公告においてその旨を明示させるのがいいのではないかという,今度はこういう問いかけをしようということになっているわけですけれども,そのこととの整合性もいいのではないかと思うのですが,いかがでしょうか。 ● 公告についての署名というのは,法律的にはどういう問題になりますかね。   要するに,決算公告に,署名ではなく,会計監査人の監査を受けておりますということを明示させるということですか。 ● 事実上それで済むのではないかと。それは,一覧性がよいということと,それから,中小会社などの場合に,登記ではなくて,こちらの決算公告ですと,最近は費用が安くて済むわけですから,そういうメリットもあるのではないかと。 ● ここは恐らく登記することにニーズがあるのかもしれないものですから,ちょっと中小企業関係の委員・幹事の方がいらっしゃらないのですけれども,多分,決算公告で足りるという趣旨ではないのではないかと思いますので。またその真意を踏まえて整理させていただきたいと思いますけれども,伺った限りでは,任意に会計監査人を置く会社には,登記という形での開示をさせたいという御要望だったように承知しております。 ● どなたか,説明される方,ありますか。違っても結構ですが。 ● 全く素朴な質問なのですけれども,社外取締役の方は登記から外して,会計監査人の方を登記するというのは,比較して,両方の--例えば代表訴訟の対象なんかのときに違ってくるとかということなのでしょうけれども--一体どこに違いがあるのか,ちょっと教えていただけたらと思って。非常に素朴な質問ですけれども。 ● 済みません,実務上のニーズにいろいろと応えようとして検討を進めているものですから。   社外取締役の方は,ここで繰り返すまでもないですけれども,社外取締役とは自他ともに認識していない社外取締役が社外取締役に係る登記の懈怠となっているという事態をどう見るかという問題であり,こちらの方は正に,任意ながら,中小規模の会社であっても会計監査人を置くという姿勢を示しているということを登記によって世に広めたいという会社についてどう対応すべきかという問題でございます。 ● 多分,私の理解するところでは,銀行とか優良な取引先に対して自分の会社のアピールをしたいときに使うのではなかろうかと。そういう意味で,うちは会計監査を受けている大会社並みの会社ですよという信用担保力を発揮したいのではなかろうかと。私どもとしては,逆に余り変なふうな形で使われるのも困るなというのもあるのですけれども,ここのところの使い方は確かに確認したいところではあります。 ● 反対する意味ではございませんので,このままで結構でございます。 ● 積極的に登記をしてほしいという関係の方が来ておられないようなので……。 ● 今の○○委員の御質問ですけれども,社外取締役と会計監査人と言ったときに,その開示すべき対象というか,相手方となる人間の範囲というのはやはり違うはずではないかと。計算書類の適正さというのは取引相手一般に幅広く関心事であろうし,それは登記という一般的な公示制度というものの必要性は高い。ただ,社外取締役に関しては,それがいたからといって,別にそれによって法的な効果--委員会等設置会社云々は別途公示されるわけですから,社外取締役がいたからといって……。あえて言うならば,代表訴訟のときの対象における責任制限ぐらいでしょうけれども,代表訴訟で追及すべき株主であれば,選任決議等においてとか,別途分かる手段とかもあり得るのかということも考えると,やはりそれは対象とする範囲が全然違うというふうにも言えるのではないかと思います。 ● 何か解説を書くときに困るのかもしれませんが,今日はこれ以上突っ込んだ議論はできませんので,一応,意見照会の中にはこれは入れるということで,この点はよろしいでしょうか。 ● この御提案というのは,会計監査人を設置した場合にのみ登記事項とする,こういう御提案ですよね。大会社とかみなし大会社であっても,利害関係者にとってみれば,だれが会計監査人かというのは結構興味深いものがあるという話を前に聞いたことがありまして,そうであるとすると,会計監査人を設置した場合でなければその旨というのはないとは思うのですが,これに限定せずに,会計監査人の名称等を登記事項とするというのであれば,やはりすべてに押し及ぼすのが,どちらかというと美しいのではないかという気もいたすのですが。 ● 会計監査人を設置した場合には,当然,登記義務は……。 ● これは,すべての場合という意味ですね。 ● 御意見をちょうだいしてそう時間もないものですから,厳密にいろいろ詰めたわけではございませんが……。特に,負債基準で会計監査人の設置を求められる会社につきましては,仮にこれを強制した場合には,なかなか法制的に難しい問題が出てくるのではないかと思いますが,ともかく会計監査人に関する登記事項というものをどこまで充実させるべきかという一般的な論点としてとりあえず聞かせていただくということでどうかと思います。 ● そういうことですが,よろしいですか。   ほかに,この論点については御意見ありますでしょうか。 ● 星印がついていませんので先ほどちょっと抜けたのですけれども,11の(2)の「会計監査人の任意設置の範囲」ですけれども,1億円以下の会社に対する任意の監査については,私も,導入すべきだということで意見開陳をしてきたわけであります。これは,やはり計算の明確化とか,公開になって中小企業が元気が出るということで,活性化を図るという点からも必要だということで,任意であっても導入すべきだということを言ってきたわけであります。   それで,この表現のままで意見照会をすると,ちょっといかがなものかなという感じがするのですね。というのは,私の理解しているのは,会計監査人というのは,いわゆる証券取引法に基づく投資者保護ですね。また,商法上の会計監査人というのは,いわゆる債権者保護に基づくところの監査というような,いずれも内部統制組織ができているところ,そういうところを外部的にチェックしようじゃないかというのが前提だということですね。それで,このまま,中小会社,1億円以下の会社に対する外部会計監査人になると,意見照会をする場合に,一般的にいわゆる監査というふうに思ってしまうわけですね。ということは,非常に厳しい監査--最近は特に,ある銀行のように,ああいう例もあるわけですから--非常に厳しい監査ということになると,中小会社が受け入れるのかどうかという判断が非常に難しくなるように思うのです。だから,例えば報酬についても,大会社の場合のような高額な報酬も払えないというようなことにもなるわけで,そんなものを払うのだったらかなわないということで,その点の判断が非常に難しいんじゃないかなという感じがするのです。   したがって,1億円以下の中小会社の実態に即したような監査の方法を考えなければいけないのではないかと思うのです。こういうような書き方をすると,「会計監査」になると,一般の流れが,大会社の会計監査と同じような考え方で物事を判断する可能性が出てきますのでね。その辺は一つお願いなのですけれども,あくまで中小会社の任意であっても,やはり定着するような方法というのが必要ではないかなと,こう思いますのでね。だから,会計の専門家による監査ということで,「適正証明」とか何とか名前もそういうふうに変えて,実態に即したようなスキームをつくっていかないと,どうもこれだけで出してしまうと判断がしにくいのではないかと,また,判断しないでノーと言うようなこともあり得るのではないかと思いますので,是非ともその辺は,解説に書くとか何とかして,ひとつ分かりやすくしていただきたいなというふうに,これは要望ですけれども,しておきます。 ● この(2)の点,会計監査がどういうものかというのは(3)の方にもかかわってきまして,正直言って私もよく分からない点があるのです。このb案,c案あたりになってきますとですね。   解説あたりにどういうふうに書くかというのは,これはなかなか事務局も苦労するところだと思いますけれども,ちょっと考えさせていただきます。   ほかに,この7から12までにつきまして,星印がついていないところについて,どうぞ御意見を。 ● 意見というほどでもないのですけれども,7の(3)の①のa案に「損失が生じた場合には,すべて責任を負う」と書いてありますが,これは当然,たとえ責任を負うとしても,さっき○○委員が御指摘のように,293条ノ5の5項ただし書のように,無過失であることを立証すれば責任を負わないということを前提にしていると思いますので,それを書いていただかないと,単に「すべて」と言うと,まるで無過失責任みたいな印象を与えてしまいますので,少なくとも解説にはそれを書いていただいて,誤解の生じないようにしていただきたいと思います。 ● 確かにおっしゃるようで,要するに,これは「すべて」は要らないですよね。 ● 私も全く同じことを考えておりまして,a案は,結局は現行法どおりということでございますね。むしろそうお書きいただいた方が分かりやすいのではないか。それに対して,b案の方は,もう少し低いバーを新たに設けようとする提案であると。そこを明示した方が中立的でもあるし,皆さん御理解いただきやすいのではないかと思いました。   それからもう1点でございますけれども,266条1項3号の責任をどうしようとしているのかということについて,これではどこにもメンションがないのではないかというように思いますが,この点はよろしいのでしょうか。そうなりますと,一体これを残すつもりなのか,もう廃止するつもりなのかということについても,これを読んだだけでは余りよく分からないのではないかと思うのですが。 ● これは,委員会等設置会社で現行法がこうなっているからこういう書き方なんだと思うのですけれども。 ● 現在は委員会等設置会社の方が少ないわけで,それでそれ以外の会社の方については266条1項3号の責任があるわけですから,やはり,どうしたらいいのかということを,もしやめるつもりであれば聞くべきであろうと思いますし,私自身は,やめない方がいい,残した方がいいというふうに思っております。 ● この案の考え方は,利益相反取引の中にもう含めるという考え方ですね。ですから,その点の解説の書き方はそういうことになると思います。 ● そういうことでいいのか,そういうことにするのかどうかということについての意見照会をしていただきたいということです。 ● 意見照会までするということですか。   どうですか,これは。 ● ちょっと工夫します。 ● それでは,その点は考えさせていただきます。   ほかの点,いかがでしょうか。 ● 266条1項5号について,法令・定款違反という書き方を,商法特例法21条の17のように,任務を怠りたるときというような規定の書き方に変えるということは当然の前提になっているわけですね。それはそれで,実質が変わらないのなら構わないでしょうということに別の議論の場でもなったのですけれども,そのことについて何の言及もないので。これも,重要な規定の表現が知らない間に変わってしまうというのは好ましくないので,注記するなり解説に加えるなりしていただきたいと思います。 ● 御注意ありがとうございました。これはたしか,この5号,それから254条ノ3の文言をどうするかということが別の場ではかなり議論されたように記憶しておりますので,その点は忘れないように解説の中には触れるようにお願いしたいと思います。 ● 今の,「任務を怠りたるとき」なのですけれども,それだと分かるのですけれども,「任務懈怠」なんて言うと,この現代化をやっている中で,一般国民がどの程度理解しているか,そういうふうな表現をやめていこう,口語化を図ろうという中で,私どもが出すものに,そういう特殊な,ごく一部の者にしか理解できないような表現を用いていることのセンスが問われかねないと思いますので,何かいい言葉があるのか,口語体にしていくわけですから,お考えいただきたい。   それと,10なのですけれども,委員会等設置会社における取締役の使用人兼務の禁止なんていう,こういう次元の低いものを意見照会をすることもないのではないかと。使用人兼務執行役の報酬ぐらい言っておけばどうかと。実際,取締役が執行役を兼ねていて,その執行役の職務が使用人じゃないのかどうなのかなんていう細かな議論をするなんてあり得ないことだと思いますので,あえてこういうことを意見照会するのはいかがかと思います。   それから,株式会社に係る会計監査人の設置強制の範囲で,「設置が強制される範囲を画する現行基準の見直しの要否」と書いてありますけれども,これを見直すとした場合,例えばどういう観点で見直すのかという審議会での意見ぶりというのが読む人は分からないと思いますので,解釈等でよろしくお願いいたしたいと思います。   次の大規模有限会社の会計監査人の問題ですけれども,○○委員の方から,完全子会社の特例については「強制しないことでどうか」というふうに書きぶりを変えろという御指示があってそうなるわけですけれども,ここについても,今までの有限会社を規制強化していくものですから--有限会社についてはどんなに規模が大きくても会計監査人の設置が今まで不要だったものが,これは強制しようということでございますので--「強制するものとすることでどうか」という書きぶりにしていただいて,平仄を合わせていただきたい。規制緩和も規制強化も同じようなスタンスに立っていただいたらどうかと思う次第です。 ● この文言を変えるという点につきましては……。10の(1)の取締役の使用人兼務の禁止はやめてはどうかということですが,これについてはいかがでしょうか。 ● これは,前,座談会で議論したところでもありまして,解釈が分かれておりますので,実務にとって--今の○○委員のお話は,これに反対するのではなくて,そんなところまで聞かなくていいという御趣旨かと思いましたけれども--やはり議論が分かれている以上は明確化した方がいいと思いますので,この点の意見照会は是非していただきたいと思います。 ● 世の中,必ずしも○○委員のような見識のある方ばかりではありませんので,聞く必要はあるんじゃないかということですので。   それから,最後の完全子会社については,文言についてはいろいろ注文が出ましたけれども,これは事務局で調整をしていただいて。 ● 最終的に全体の表現ぶりの調整を図る必要がありますので,本日の御指摘を踏まえて工夫をしてみたいと思います。 ● そのほかの点はいかがでしょうか。--よろしいですか。   それでは先に進ませていただきまして,次に「第5 計算関係」,これは3までが一応の区切りですので,そこまでについて事務局の方から説明をお願いします。 ● 「第5 計算関係」の1から3までを御説明いたします。   1の「剰余金の分配に係る規制」につきましては,(1)の①,②,ほぼ御異論がなかったところだと思います。御指摘いただきました①イの関係での営業の一部譲渡等の取扱いにつきましては,(注2)の中で触れさせていただいているつもりでございますので,御容赦いただきたいと思います。   (2)につきましては,格別御異論がなかったところでございます。   (3)も,本文,(注1)につきまして,細かい点はともかくとしまして,結論として,実質においては格別御異論なかったのではないかと思いますが,本日,(注2)を具体化しておりますので,この点について御議論いただきたいと思います。金銭等の分配,自己株式の取得につきまして,株主総会あるいは取締役会の決議で一定の授権枠が設定される場合の,その授権枠についての剰余金分配規制における控除の仕方--枠そのものを引くのか,授権枠に基づいて実際に取得した,あるいは支払ったものを引くのかという点--の整理ですけれども,端的に申しますと,その授権の趣旨によって結論を変えればよいのではないかというのが,ここでの提案の趣旨でございます。取締役に対する授権的性質を持つような決議におきましては,基本的には授権枠自体を控除するということを原則とするというのがイでございまして,そうではない留保があるという場合,総会においてそのような趣旨での授権がされたというような場合にはロのような取扱いをするということでいかがかということでございます。   それから,(4)についてですが,第二読会までに,決算期から決算確定時までの剰余金分配の取扱いについても真摯に検討すべきではないかという御指摘をちょうだいしたことを踏まえて,本日新たに御議論をちょうだいしたい項目でございます。   (4)の①でございますが,利益処分について,最終の決算期に係る貸借対照表から算出される分配可能限度額,現行法で言いますと配当限度額に,最終の決算期後,当該決算の確定時までの剰余金の変動,これをも反映させるという形での分配規制を行うこととしたらどうかというのが,①の本文でございます。確定前につきましては,前々期の計算書類を基礎にすることしかできませんので,(注1)のような整理をするということでどうかということでございます。そうなりますと,結局,実際には,定時総会における利益配当的なものも含め,現行の中間配当とほぼ同様の規律を適用するに等しいような形になるわけですけれども,それでよろしいかどうかということでございます。   ②のイは,仮にそのような整理をするとした場合,欠損てん補責任の在り方も,決算期から決算期ではなく,確定時から確定時という整理をするのが適当かどうかという問いかけでございます。ロは,決算期後,決算の確定時までの剰余金の変動も反映させた上で欠損の判定をするということでいかがかということでございます。   なお,従前の議論では,計算書類の確定の際に決定する剰余金の分配については事後的な責任を課さないという現行の制度について,これを維持するということを特に御了解いただいているわけですが,この(4)のような問題を考えたときになおそのような実質を維持することでよいかどうかということも改めて議論の対象となるのではないかと考えられますので,(注)においてその点を再度確認させていただいているところでございます。   (5)につきましては,前回までの御議論を踏まえて案を二つに絞っております。ただ,これも,(4)の取扱いいかんによっては,果たしてこれでいいのかどうかということをいま一度考える必要があるかどうか,本日,御議論をいただければ幸いでございます。(注)はその点に触れるものでございます。   次に,2の「資本・準備金」でございます。   (1)については,特に御異論のなかったところでございます。   (2)につきましては,非常に両極の御意見があったところでございますが,とりあえずこのような方向で検討するという案を試案に掲げさせていただき,議論を惹起することとしてはどうかということをお諮りしたいと思います。   (3)につきましては,従前の案の表現ぶりがやや誤解を招くおそれがありましたので,ちょっと表現ぶりを修正いたしましたけれども,内容において変更を加えているものではございません。   (4)につきましては,従前の資料の(注)において一応この趣旨をお諮りし,格別御意見をいただいていないところでございます。項目を新たに立てておりますけれども,このような形で試案に掲げることでどうかということでございます。   (5)は,いろいろと御意見があったところでございますが,とりあえず試案においてどのような表現ぶりで意見照会をすべきかということについて御意見をちょうだいしたいと思います。   (6)ですが,部会でこれ以上御議論をいただいてもという,割と大きな問題でございますので,従前の御了解どおり,このまま試案に掲げさせていただきたいと思います。   それから,3の組織再編行為に係る計算に関する部分でございますが,(1),(2)とも,特に御異論をちょうだいしていないところでございます。   (3)につきましても,①,②については特に御異論のなかったところでございます。   ③については御意見が分かれるところでございますので,今回は(注)をつけさせていただいたところでございます。これについて,③の本文も含めて御議論いただければと思います。   (4)の①,②につきましては,二読までの間に実質についてほぼ御異論はなかったのではないかと思いますが,御指摘を踏まえて①の表現ぶりを修正させていただいておりますので,これでよろしいかどうかを御確認いただきたいと思います。また,②の後に(注)をつけておりまして,御指摘を踏まえた記述になっているかどうかも御確認いただきたいと思います。   1から3までの説明は,以上です。 ● それでは,これも,まず星印のついている点を御審議いただきたいと思います。   まず,1の(3)ですね。剰余金の分配限度額の計算方法で,枠だけ取って,まだ分配していない額の扱いにつきまして,このような形で意見照会することではどうかという,かなり細かい書き方になっておりますが,この点について御意見をいただければと思いますが,いかがでしょうか。決議の仕方で変わってくるというかなり芸の細かいものですが,こういう形で意見照会するということでよろしいでしょうか。 ● 正直申しまして,これをいただいたときに読んで,具体的にどういう場合がイに当たり,ロに当たるのか,よく分からなかったので,意見を申し上げることも難しい感じで,かつ,考え方,なぜこういう考え方になるのかというのをもう少し説明していただけないでしょうか。 ● これは,例えば自己株とか--中間配当はしないのかな--要するにそういう枠を決めたときはイなんですかね。そうではなくて,トータルであれしたときがロということですか。 ● ここは余り難しく考えていないというか,主として念頭に置いているのは自己株式の取得というか買受けの方なのですけれども,現在の210条の決議をした場合に,その決議で定めた額をすべて取締役に対して買い取れという趣旨では必ずしもないということで,今ですと枠全体を引いているわけですが,ほとんどの会社が使わなかったようなときにはそれが全部空振りになるという事態が起きているということで,それに対応しようとしているのがロでありまして,枠というか,自己株式に充てるのだったらこれだけ使ってもいいけれども,必ずしもこれだけに使いなさいという趣旨ではありませんということであれば,そういう決議をしてほしいと。   他方で,イというのはどういう場合に使うのかというと,場合によってはこれだけの額のものを取得しなければいけないというようなことがあるのかどうか。特に,前回の議論で問題になったような相対取引のような場合に,確実にこれだけは買うというようなことをあらかじめターゲットにしていて,売主との合意の時期ずれ等によって取得した額と全体の枠の額のずれが生じるというような場合であっても,結論において,株主総会においては枠全体を取得しろと言っているに等しい状況でありますので,そういう場合には枠を引きましょうというだけでありまして。これは,どちらかというと,①の(注)にも書いておりますが,取締役会決議であればいつでもとっとと撤回して,また新しく決議をし直せばいいわけですが,株主総会の場合には,多くの会社,特に公開会社の場合は年1回しか無理ですので,予防的にたくさん取ると,後から配当ができなくなるし,かといって途中で修正しようと思ったら,また総会を開かなければいけないというのを若干修正しようという程度の趣旨であります。 ● そういうことのようですが,○○委員,何か。 ● そうすると,これは,授権決議の拘束性が高いか低いかということで決めようという思想なのでしょうか。そうすると,かなり微妙な解釈が必要ですね。 ● 微妙なケースはありますよね。 ● 今,○○関係官から御説明があったところですけれども,かつてというか,今日までは,こういう記述分けというのが必要なのかなという感じもするのですけれども,明日になれば新しい改正商法が施行されるので,本当に必要なものだけしか株主総会では枠取りをしないことに多分なさるのではないかと思うので,そうすると,ここまで芸の細かいことをしなくても済むようにも思うのですけれども,なお明日以降もこれをやるというのは何か意味があるのでしょうか。 ● どうなんでしょうかね。実務のことはよく分かりませんが。 ● 明日以降も,会社によっては,定款授権の場合はあくまでも代替的な手段ですから,やはり株主総会で多めに取っておいて,そうすると,期中において自己株取得の必要性がどうして出てきたのかという説明をするのが面倒くさいから,もう株主総会でやっておこうという会社がなきにしもあらずだというふうなことを考えると,こういう局面もまだあり得るのかなと,そういう印象ですけれどね。 ● 問題は,イを置く必要があるのかどうかということですかね。確かに,○○関係官のおっしゃったようなケースは論理的にはあり得るのだけれども,ほとんどないのだとすると,ロだけでもいいんじゃないかというような話なんですかね,議論としては。 ● ロの方が原則になるのですか。 ● 普通はロなんでしょう。今の自己株の買受けの決議というのは。○○委員がさっき言われたような形で決議した場合はロなんですね。 ● そうですね,今は。 ● いかがでしょうか。 ● ただ,この書き方からだけすると,イの方が原則のように書いてあって,ロのような扱いをするためには,「妨げない旨をも決議したときは」という書き方ですから,決議の中でその趣旨を明らかにしないといけなくなるというように読めますよね。 ● 何か,イをもうちょっと限定した書き方,こういう場合と書ければ趣旨ははっきりするような気がするのですが。 ● ですから,これだけ見ると,ある意味で言うと,新しくそういう決議の仕方について一定のフォーマットというか書き方を求めることになるという意味を持つ提案なのかなというふうに,今伺っていて,感じたのですけれども。   ただ,そういうことになれば,恐らく必ず決議でそれを入れることになると思いますけれどね。 ● 私もよく分からなかったのですが,要するに,明日からの新法はちょっと括弧に入れまして,旧法上は,(注2)の場合には一応株主総会の話だけで考えられるわけですね。だから,これを維持するにしても,書きぶりとしては,定款で取締役会に授権する場合としない場合と丁寧に分けてもらった方が分かりやすいのかなと思ったり。そして,少なくとも現行の210条の話の場合には,やはりロをもう少しきちっと分かりやすく……,つまり,ロが求められていると思いますので,その求められていることをどのように具体化するかという形をきちっとお書きいただいた方が,読み手は分かりやすいのではないかなと思うのですけれどね。   イが原則だと言われると,「何これ」となってしまって,結局,210条の場合には,株主総会で恐らくこういう決議をするだろうと。そうすると,実際上,実務はこれが原則になるけれども,その一言を言って,それで現在と百八十度変更することがいいかどうかをまたゆっくり考えるということになると思うのですね。ちょっと私も内容が分からないので,単純に,新しい制度はともかく,210条の場合はどうなるのか,今度211条ノ3か何かに定められたやつはどうなるのだという点を,ちょっとくどいようでも,やっていただいた方が,少なくとも親切だなという感想だけを申させていただいて,あとはその後ゆっくり考えさせていただきます。 ● その点はおっしゃるとおりだと思います。定款授権をした場合とそうでない場合とは分けて,この場合は定款授権をしていない場合だということをはっきりさせるということと,それから,普通はロですというのであれば,ロが原則になるような形に案を直してもらった方がいいのではないか。それで,こういう場合はイになりますというような書き方にするのが分かりやすいのではないかなと思うのですが,そういう書き方は難しいんですか。 ● ここは,もう少し,株主総会決議も取締役会決議も割り切って,撤回は別に臨時総会でもやれるわけですから,分配時点における既支出額についてはもうすべて控除する,枠については控除しなくともいいというふうなことでも弊害はないのではないかと思うのですけれどね。 ● 読んでいるうちに分からなくなったので,確認したいのですけれども。   剰余金の分配をする限度計算をするわけですね。ということは,株主総会で剰余金の分配計算をして確定して分配をするという限度枠を計算するときに,その株主総会で,金銭の分配又は自己株式の取得に充てた分についてはそこから控除すると。そうすると,片方で,剰余金の分配についての金銭の分配をある額決めてそれは控除しておいて,残りについて,剰余金の分配についてどうするかを自由にできる金額を確定しておくと,こういう趣旨ですね。そうすると,剰余金の分配財源が二つになるわけですか。 ● 剰余金の分配というのはかなり広いので,中間配当とかいろいろなものが入っていますので,二つになるというか……。 ● 「自己株式の取得」という言葉だけでいくとすごく分かりやすいのですけれども,分配を入れてしまうと,そこで決めた分配はまだしていないわけですから,一応財源としてとっておくわけですね,一種の未払い分配みたいにして。そうすると,その残りの財源についての分配可能額ということになるわけですね。 ● 現在は,決議するとしたら自己株だけですかね。ほかには決議することはないですかね。 ● そういう意味では,「金銭等の分配又は自己株式の取得」と書いてあるものですから,ちょっと分かりにくかったので。「自己株式の取得」ということにするとよく分かったのですけれどね。 ● ここに「金銭等の分配」と入れたのは,今,利益処分案に基づいて払戻しをするときに,別に時期の限定がありませんで,要するに,支払うものとされた額が控除されるというのが現行法の世界になりますので,それを,もし自己株式のロのような取扱いをするとすれば,利益処分案で,例えば幾ばくかの役員賞与を払うと決めても,現に払うまでは引かない,払ってから初めて引くというふうに変わる可能性が,ロだけにすると,あり得るということになります。   二つあるという趣旨は,ある目的が決められた財源が一つと,目的が決められていない財源がもう一つできるという趣旨では,確かにおっしゃるとおりかもしれないのですけれども,そこはそういうふうになるのかなということですね。 ● どういうふうにこの答えをしていったらいいのか,問われたときに非常に分かりにくいんですよね。 ● そうですね。だから,もうちょっとイの中が……,どういう場合がイなのかというのも列挙するのは難しいのかもしれないのですが,意見照会するわけですから,もうちょっとぼやっとした形でもいいと思うので,イの方に入るのはこれとこれと,こういうふうには書けないんですかね。今,○○関係官がおっしゃったようなことまで入るのだとするとね。 ● 検討します。 ● 実質についてはよろしいですか。要するに,普通に皆さんが考えておられるのはロだということですよね。論理的にはイの方が原則なのかもしれないのですが。 ● 自己株を念頭に置けばロだと思うのですが,すべての分配についての記述にすると,本当にどっちが原則かよく分からないところがあると。それは,現行法が一応自己株もイなので,そのままにしておいた方が現行法との連続性はあるかなというだけでイを原則にしただけなのですけれども。 ● 本文の方とあわせて読んであれしないと,何が原則なのかもちょっと間違える可能性はあるのですが。   とにかく,自己株については現在と変わると,実際に。枠ではなくて,それまでに分配した額というのが原則になると。その点は確かですね。 ● まあ,そういうやり方もありかなと。 ● 単に自己株だけではなくて,○○関係官がおっしゃったように,金銭の分配とか利益処分についてもロがあり得るということだと思うのですね。   ですから,これは書き方だけの問題だと思うのですけれども,そもそも解説でもいいのかもしれませんけれども,この(3)の基本的な考え方というのは,今とは違って,現に流出した分だけを引きましょうという考え方に変えるということなんですよね,限度額の計算の基礎を。そのかわり,流出した分はその後にも出てきますけれども,期末後に流出した分を引きましょうということですから,それに対する例外をここで聞いているんですよね。まだ現に流出していないけれども,現行法のように枠取りした部分は引きますよというのが,今度の思想からいうと例外になるわけです。   それは,○○委員がおっしゃるように例外はなくてもいいじゃないかという聞き方の方が分かりやすいと私も思うのです。ですけれども,ここで原案は,例外が今のルールですから,少なくとも自己株についてはですね。ですから,そっちを原則に書いているものですから,イと来ていて,変える部分がロと,こうなっているのだと思うのですけれども,ここは書き方の問題なので,順序をどう書くかはお考えいただければと思いますけれども,今度は実際に出たものだけ引くのだということをまず説明していただいて,その例外として,現実に流出していないけれども枠の部分を引く場合があるのだということでないと。   そうすると,むしろロが原則であって,例外の場合がイになる。大きな流れから言えばですね。そういうことを分かるように聞いた方がよくて,あとは書き方はどうでもいいと思うのですけれども,そういうことだと思います。そして,それは自己株だけではないはずなので,ちょっとそこも,書いてはあるのでしょうけれども,どういうふうに書くかはお考えいただければと思います。そう難しい話ではないと思います。 ● どうも,今おっしゃったように,やはりロを原則にしたような形で書いてもらった方が分かりやすいのではないかと思いますので,そういう形で工夫してもらうということで。   実質についてはよろしいですか。今のようなことで,ある一定のものについては枠を引くということもあるのだと,しかし原則は今と違って,出た分を引くと。   ということで,一応よろしいでしょうか。--それでは,あとは書き方を工夫していただくことにして,一応そういうことにさせていただきます。   次が(4)でありますが,これは,最終決算期後に分配した額についての取扱いということで,これもかなり現在とは変わるということですかね。 ● 質問ですけれども,3月31日の決算期の場合の配当なのですけれども,それを6月の末に行う,それで決算の確定が5月の中旬だというときには,4月1日から5月中旬までの剰余金変動計算書を必ず作成して,それで分配可能限度額を決めるということをここでは言われているのか。決算が確定する日において,その日におけるまでの日々の変動というのは会計上どう計算すればいいのか。リアルタイムでもってすべて,今日の剰余金は幾らですというのがフローも含めてどう出てくるのか。そのあたりがちょっと分からなかったものですから,教えていただきたいと思います。 ● ここは(4)の①の(注2)のところに書いてあるのと同じで,フローの部分についてはとりあえず相手はしないと。4月から今の場合ですと5月の中旬までに,いわゆる剰余金の分配ですか,配当とか自己株式の取得をやった若しくは資本減少したというような場合だけとりあえず反映させて,それで4月から5月まで営業損益が上がっているかもしれませんけれども,そこはとりあえず無視をしましょうということで,現在であれば起き得ないというか,起きにくいことが頻繁に起こるのではないかという御指摘を踏まえ,そこの部分については最低限手当てをしようという趣旨です。 ● この表現でその趣旨が明確になるのであればよろしいのですけれども,そうでなければ解説しておいていただければと思います。 ● 全く同趣旨なのですけれども,そこの文章の「剰余金の変動」という言い方ですね,これがある意味では,私どもの理解からすると,その変動利益も入ってしまうので,もうちょっと,確定的なとか,何か文章を修正していただけると大変分かりやすい。解説でも結構ですが,お願いいたします。 ● では,その点ははっきりさせるように工夫していただくことにしまして,実質はこれでよろしいですか。 ● この②のロというところで,「「欠損」の判定については,①と同様,決算期後当該決算の確定時までの剰余金の変動をも反映させる」と書かれているのですが,ということは,例えば,この間に,まあそういうことは余りないとは思うのですが,減資とか法定準備金の減少をすると,それによって欠損がなくなってしまうということがあるという,こういうことを含んでいるのでしょうか。 ● はい,含んでいます。 ● つまり,責任を事実上それによってなくすことができるということですね。 ● そうですね。事前に債権者保護手続をとって。 ● よろしいですか。趣旨はそういうことのようです。   いかがでしょうか。   剰余金の変動については趣旨をはっきりさせるということで,一応こういう形で意見照会するということでよろしいですか。   それでは,今の点に関係しまして,(5)も,そういうことに関連して,もう一度,会計監査人の関与についてこういう意見照会でよいかということを御確認いただきたいということなのですが,いかがでしょうか。一応はこういうことで御異論なかったのですが,前の方がかなり複雑になってきましたので,前のままでいいんですかというのが事務当局のおっしゃる趣旨だと思うのですけれども。--一応よろしいですか,こういうことで。   (5)の(注)についてもよろしいですね。   次の2の(2)でありますが,これも,実質についてはいろいろと御意見が分かれるところかと思いますが,一応意見照会はこういう形でどうかということなのですが,いかがでしょうか。 ● これはもう少し範囲を広げて,欠損てん補に充てる場合のみならず,形式的な減資については普通決議でどうかということを世に問うことはできないのでしょうか。 ● そこでおっしゃる形式的減資というのは……。 ● 株主への分配等を伴わない,帳簿上だけ,資本欠損の補填に充てようが,剰余金に持っていこうが,債権者保護手続は別途行うわけですから,定時株主総会においてはいずれも普通決議とすると。欠損てん補に充てる場合だけを特別扱いする必要はないのではないかということなのですけれども。 ● その点は,それを形式的減資を呼ぶかどうかは別にいたしまして,実質的に意見が分かれているところなので,一応は今回はこういう形で意見照会してみるということだと思うのですが。   意見照会としてはこれでお認めいただけませんでしょうか。 ● はい。 ● それから,2の(5)ですが,これも,前回,実質的な意見はかなり分かれたところなのですが,いかがでしょうか。   現行法は,資本金の4分の1は法定準備金を積ませる趣旨ではないかという意見が○○委員からあったのですが,それに対しては,結局,従来は,法定準備金は一切減少できない,それで資本を減少しなければいかんということになっていたのを直した際に4分の1だけ残したというのは,これも論理的にはそうする必要はなかったんじゃないかという反論がなされまして,いろいろ議論があったのですが,一応こういう形で意見照会することについてはいかがでしょうか。 ● この問題は,申し上げようかどうか,実は迷いながら言っているのですけれども,結論的には,二読の「どうか」という方向,あるいは,こういう方向で検討するというレベルの問いかけにしていただいた方がよろしいのではないかという気持ちがいたしております。   というのは,簡潔に申し上げますと,現在,確かに,上場企業初め,資本準備金あるいは法定準備金の減少を盛んにやっておりまして,また,全体的に資本の効率化というのが経営課題として非常に大きい課題になっているということですから,この問われている問題については非常に需要が高いというふうに私も認識しているのですが,ただ,現時点の,一時代における要請という面もあろうかと思いまして,近未来において再び企業の内部留保の重要性が非常にクローズアップされるということもあり得ないことではないという気がいたしまして,今回,これほど抜本的な法改正,これを長期的スパンで見ていくと,やはり現行の4分の1という規制を外すということについては慎重論もかなりあるのではないかという気持ちもいたしますので,こういうふうに言い切った形よりも,二読のレベルの問いかけにしていただいた方がよろしいのではないかと,そんな気持ちがいたしております。 ● そういう御意見がありますが,いかがでしょうか。   では,この点は,問いかけの表現は,いろいろ御異論も確かにあるようですので,もうちょっと弱めた表現に修正するということでよろしいでしょうか。   あと残っておりますのは,3の(3)の③についている(注)でしょうか。③については,実質的な御意見が分かれているところで,そこでこういう(注)をつけたということですね。こういう形で意見照会するということについてはいかがでしょうか。--よろしいですか。   それでは,このような形で意見照会をさせていただきます。   それでは,今の第5の1から3までにつきまして,何かそれ以外の部分について御意見がありましたら,お願いいたします。 ● 先ほど質問させていただいたところとの関係でなのですけれども,この2の(2)というのは基本的に私は賛成なのですが,もし1の(4)の②のロが先ほどのお答えのように解されるとすると,この欠損てん補に充てる資本減少を普通決議でやってしまうと,実質的に取締役の責任を普通決議で免除するというか,なくしてしまうということになるのではないかという気もするのですが,そうはならないのですか。 ● ロの方は,決算確定前に,いずれにしても債権者保護手続を経て減資をしないといけないということでありますので,それはたまたま時期が3月をまたぐかまたがないかということかと思います。   他方で,2の(2)の方は,確定した後,その確定した欠損額に埋めるということを意図していますので,現在の289条の1項に規定する法定準備金の使用に相当する資本減少ということになりますので,この(2)の話と,取締役がもし前期に配当等をしていた場合に負うべきてん補責任の問題は別問題というか,この減資をしたからといって責任を免れるわけではなくて,その時点で責任は確定してしまうということです。 ● よろしいでしょうか。そういうことで。   ほかにいかがでしょうか。 ● その下の利益準備金の科目の廃止というのは,会社法上廃止するということなのですけれども,これは,連結決算を行っていく上において,こういう科目がなくなるということは,連結決算作成上何か問題があるのかないのか,ちょっと分からないところがあるのですけれども,また○○委員に御見解をお聞きしたいと思うのですけれども。 ● 2の(3)のところですよね。   むしろ,(5)で,法定準備金がある意味で簡単に減少できるということになると,連結上は,多分,準備金とその他剰余金の形になってしまうと思いますので,ほとんど問題ないのではないかと。リーガルな話だけがそこの中に確定する分だけ入ってくるかもしれませんけれども,連結上は,この4分の1の累積がなくなると,多分問題ないと思います。 ● よろしいでしょうか。   ほかにありますでしょうか。 ● くだらないことで恥ずかしいのですが,2の(2)のところの資本減少の決議要件で,内容の話ではなくて,形だけなのですが,「足りるものとすることはどうか」とか,「する」ではなくて,「方向で検討する」という言葉がありまして,私,先ほど,この最後の語尾の方はほとんど気にしていなかったのですが,議論があったので,あ,これだけと思って,あと,ちょろちょろと見ますと,前回,大きい話のときには,例えば合資会社と合名会社を一緒にするとかそういう話のときには,「方向で検討する」という話があったのですが,こういう個別の規定で,「方向で検討する」という表現がなかったので,これは意図的に使われたのか,一つのものか,それだけ一言お伺いして,あとはうまく整理していただいたら結構なのですが。 ● 非常に検討項目が多くて,そこまで頭が回っていないのですけれども。   本文では,「……であるが,どうか」という表現はできる限り使わない方向で表現ぶりを整理することにしたいと思っております。したがいまして,「ものとする」という断定的な表現を避けるべきところについて,「なお検討する」,あるいは,もう少し議論を踏まえた方向性を出した上で意見照会をすべきだとすれば,「方向で検討する」というような表現を使わせていただこうかと今のところ考えている次第でございます。 ● 次の段階で整理されるということですね。分かりました。 ● よろしいでしょうか。   そのほかの点は何かありますでしょうか。   よろしければ,最後,第5の4から最後まで一応説明いただいて,御審議いただきたいと思いますが,そういうことでよろしいですか。   それでは,お願いします。 ● 第5の4と5について説明いたします。   まず,「4 分配の機会の柔軟化」についてでございます。言うまでもなく,委員会等設置会社における利益処分権限の所在に係る規律と,それ以外の会社における利益処分権限の所在に係る規律との調整が今回の現代化の作業の中で求められているところでございますが,これまでの議論を踏まえて再整理をさせていただいたところがこの4でございますので,(1)から(3)までにつきまして御議論をちょうだいしたいと思います。   (1)においては,一定の範囲の株式会社において,①から④までに掲げているような取扱い--これは特例的な取扱いですけれども--これを認めることとするとともに,そのような場合において,特に利益処分案等を作成する必要がないときにはその省略をすることができることとしてはどうかということで整理させていただいております。   ①は,剰余金の分配についてでございます。この概念の整理につきましては従前お諮りしているとおりでございますが,これを取締役会決議をもって時期を問わず行い得るという会社を一定の範囲で作るということでございます。   ②は,そのような会社--そのような会社をどういうふうに定めるかは(2)の問題ですけれども--そのような会社における一定の資本の部の計数の変動にかかわる行為については取締役会限りで行うことができるものとするという趣旨でございます。なお,利益の資本組入れにつきましては,株主に対する配当原資に大きな影響が生じ得るということから,必ずしも取締役会の決議により行わせることが適当ではないという御指摘がありましたので,その点を(注)として記載させていただいているところでございます。   それから,委員会等設置会社とそれ以外の会社におきまして役員賞与の取扱いが分かれているところでございますけれども,とりあえずここでは,定款の定めによることなく,個別の株主総会の決議により役員賞与の額を決定するということとしてはどうかということを問わせていただいております。   ①,③以外の利益処分といいますか,会社財産の払戻しについてはどのように取り扱うべきかということが④の問題でございます。取締役会限りでの役員賞与の支払を禁止するという趣旨をさらに突き詰めますと,a案のような形の整理ができるのかどうか。a案は,寄付なども含めた利益処分一般を禁止するという趣旨でございます。これに対し,それらの行為を当該会社が行い得るということを前提にしつつ,定時総会の利益処分案における処理に委ねるというのがb案でございます。   なお,委員会等設置会社につきましても,それ以外の会社につきましても,①,②,④については同様の整理をさせていただくことはどうかということが,(注)に掲げられているところでございます。   それから,(2)でございますが,以上のような,取締役会で利益処分ができるというような会社の範囲につきまして,委員会等設置会社以外の会社についてそのような取扱いを認める要件につきましては従前お諮りしたところでございますけれども,明日から施行される改正商法を前提といたしますと,①から③までのほかに,取締役の任期についての取扱い方をどのようにすべきかということを新たに議論すべきこととなったのではないかと思われますので,この点を明示的に(注1)として掲げさせていただいているところでございます。   (注2)は確認的記載でございますが,(注3)は--○○委員からも御指摘がありましたように--委員会等設置会社につきましても定款の定めによってこのような例外的な取扱いをするかどうかの選択肢を設けようとする趣旨をあらわすものでございます。   (3)は,株主からの配当議題追加請求権についてでございます。以上のような例外的な取扱いを認める会社における株主からの配当議題追加請求権の在り方について,従前の案を更に整理して御提示させていただいております。一定の会社たるべき要件として,取締役の任期1年,あるいは情報開示の充実--情報開示の充実については内容を具体化すべきであるという御指摘がありましたので,(※1)でその内容を掲げておりますけれども--これらの要件を備え,あるいはそれに加えて,例えば社外取締役の選任等の要件が加わった場合において配当議題追加請求権を認めるか認めないかということについては,ⅠからⅣまでの区分ができるわけでございまして,そのいずれをとるかということがここでの問題でございます。差し当たり議論が収斂しないとすれば,このような形で意見照会をさせていただくことでどうかということでございます。   なお,(注2)に掲げてありますように,(3)の表の中のⅡとⅢにつきましては,論理的に両方が同様に成り立ち得るわけですので,その両方を選択的に採用するという案も考えられるところでございます。   (※3)等,前回の御議論を踏まえて,表現ぶりも含めて修正を施しております。   それから,5についてですが,(1)の附属明細書の取扱いにつきましては,従前の案と同様でございます。有限会社の場合,附属明細書の作成を要しないこととされているということが債権者保護との関係で問題ないかどうかという御指摘をいただいたのですが,これまで事務局において調べたところによっても,どうもよく分からないところでございます。このような問いかけをすること自体,あるいはこの実質自体について,更にもし御意見をちょうだいできれば幸いでございます。   (2)は,格別御意見をいただいていないところでございます。   (3)については,前回までの御議論を踏まえて案を整理し直しております。今のd案に相当するものが,前の資料ではb案になっておりましたけれども,御指摘を踏まえまして--現行制度そのものとは言い難いのですが--現行制度に準じた形で決算公告の義務の存否というものを整理するという案をb案として新たに設けることといたしますと,従前のb案はそれらも含んだ趣旨で書いていたものですから,むしろ,会計監査人の設置が義務づけられる会社に絞った案として整理をさせていただいた方がより分かりやすいだろうと思われますので,案がふえて恐縮ですけれども,このように整理をし直しております。これによって,a案からe案にかけて,徐々に対象範囲が狭まっていくということになろうかと思います。   (注3)につきましても,従前の御議論を踏まえて,表現ぶりを訂正しております。   それから,「第6部 その他」として,これまで御議論をちょうだいしていない点について幾つか項目を掲げさせていただいております。   まず,1についてですが,いわゆるLLCについて,これまで,当部会における御指摘も含めて,その実現の御要望があったところでございますが,当部会におきましては,差し当たり私法上の問題として,株式会社・有限会社,あるいは合名会社・合資会社といったような既存の会社類型とは異なる新たな会社類型というものの創設のニーズというものが,私法上の観点からのみ考えた場合に,本当にあるのかどうかということを吟味した上で,必要とあらばその検討を進めていただきたいというふうに思う次第でございます。現在,新たな会社類型に関し是非必要ではないかと言われている私法上の観点からの要素は,(注)に掲げてありますように,出資者たる構成員,社員の有限責任が確保されており,なおかつ,会社の内部の関係につきましては所有と経営とが完全に一致したような組合的な規律が適用され,それがために内部的には非常に柔軟な運用が可能であるというような特徴であり,そのような特徴を有する会社類型の創設を求めるという御意見が強いところでございます。もとより,当部会での新しい会社類型の創設の検討がそれらの会社類型を含めた各種法人,少なくとも各種会社類型に対する税制の在り方に直ちに影響を及ぼすものではないということを前提にした上で,御議論をちょうだいできれば幸いでございます。   また,2についてですが,罰則につきまして,一応,何らかの見直しが不可欠になるのではないかということから,明示的に項目として掲げさせていただいております。予想されるところでは,例えば,特別清算については倒産法制の見直しの一環として倒産法部会で御議論いただく予定になっておりますけれども,これまでの倒産法制の見直しにおきましては,刑事罰についても統一的な整理がされつつあるころでございまして,特別清算についても,場合によっては倒産法制の見直しにおいて検討がされてきたものと同様の整備が行われる可能性がございます。その場合,会社法制の中で,特別清算にかかわる刑事罰の見直しが行われ得るということになりますと,会社法制一般について,それと関連した検討が不可欠になる可能性がございます。それらの可能性も含めて項目として掲げさせていただいているところでございます。   また,法人が会社の役員になり得るという整理が,新たな会社類型の創設あるいは商法55条の見直し等によってされ得るとした場合には,当然,罰則規定についても,法人が役員であるという場合をも前提とした整備が欠かせないこととなる可能性がございます。それらの可能性も含める趣旨でございます。   3の「関連規定の整備」は,通常掲げている典型的な文言でございます。   とりあえず説明は以上でございます。 ● それでは,この点も星印の点をまず御審議いただきたいと思います。   第5の4の(1)ですが,こういう形で意見照会をしてはどうかということですが,この点について,御意見いかがでしょうか。 ● ③のところは,「いわゆる「役員賞与」の取扱い」と書いてあるのですが,中の文章を読みますと,「取締役等に与える財産上の利益については」という書き方がされていまして,これを見ると,役員賞与だけではなくて報酬等もこの手続にするという趣旨のようにも読めますし,一体どの範囲のことをここで書かれているのか質問したいということであります。   もう一つは,「株主総会の決議により決定する」と,「決定する」ということの意味,どこまでのことを決めるのかということなのですけれども,これはさっきの報酬の問題とも絡みますけれども,従来,報酬については上限だけ,しかも取締役全員の総額の上限だけを決めればいいという少なくとも慣行になっているわけですけれども,それと同じでいいということなのか。そこら辺の趣旨も,ここで書いてあるのは,要するに,定款で定めるのではなくて,株主総会でやれということしか言っていない。さっき,個別の株主総会とおっしゃったのですけれども,そうすると,あるいは株主総会にしても,個別ということの意味は,毎年決議をしなければいけないと。従来,報酬の場合は,一度決議した場合は,それをふやさない限りは翌年以降も使えるという運用だったと思うのですけれども,そこら辺についても,どういうふうにお考えなのか,まず趣旨を御説明いただければと思います。 ● 財産上の利益には報酬は入っていないのだと私は思っていましたが。 ● この中には入っています。   今269条と281条の方で分けて決議しているものを,とりあえず商法上の手続としては一つの決議としてやっていただいてはどうかという趣旨がまず一つ入っておりますので,この「財産上の利益」の中には,報酬と呼ぶか賞与と呼ぶかについて区別しないという趣旨が入っています。   それから,個別の株主総会の決議というのは○○委員御指摘のとおりでありまして,毎年の決議を各別に要するということであります。   それから,「決定することとしては,どうか」というこの「決定」には格別の意味はございませんで,今の269条が,「決議ヲ以テ之ヲ定ム」というふうに書いているのを平仮名化すると,「決定する」になるぐらいかなというのがせいぜいでありまして,別に「定めるものとする」でも同じ意味になります。 ● よろしいですか。 ● まず(1)の最初のところなのですけれども,「利益処分案・損失処理案に記載すべき事項がない場合には,その作成を省略することができるものとしては,どうか」ということは,利益処分案をつくらないケースがあり得るというふうに読めるのですけれども,必ず当期損益というものが発生すると思うのですけれども,それをどうするかということについては,そこら辺は,これは剰余金増減でやるということなのでしょうか。そこがまず一つ分からなかったことです。   それから,今,○○委員がおっしゃいました役員賞与の扱いなのですけれども,これは会計的には非常に困った問題で,委員会等設置会社では,取締役会で年間で決めることができるわけですね。それで変動的な費用についても決めることができると。そうすると,委員会等設置会社では,恐らくその処理は費用処理するのではないかと。ここの場合は株主総会の決議によるということは,やはりこれは利益処分の一環として見るのかなということになりますと,役員賞与は費用ではないという扱いになるのかなと思うのですが,そこのところはどういうふうにとらえているのでしょうか。私どもとしては,いずれも,役員賞与という性質から見ると,損益のコストとして考えてもいいのではないかというふうに思うのですけれども。 ● ちょっとこれも説明をお願いできますか。 ● まず,利益処分案と損失処理案に関しましては,要すれば繰越利益を出すプロセスをどこでやるかという問題だと思うのですけれども,それだけであるならば,現在の前期の貸借対照表と損益計算書を作成する限りにおいてはとりあえず要らないということになります。①,②,利益配当をして,任意積立金を積み立て,役員賞与を支払うということを今行っていると,利益処分案を作るということになりますけれども,これらを異なる手続に置いてしまえば,必ずしも利益処分案に書かなくてもいい場合があり得るということですので,もし,会社側からの提案として①,②に相当するものは適宜行い,③に相当するものを別の手続にするということであれば,利益処分案は会社の方からは積極的につくらないということがあり得べしだということであります。   先ほどの繰越利益の問題は,とりあえず未処分利益からどういうふうに引いていくかというのは,剰余金変動計算書の問題として翌期の問題になるということであります。   それから,③のところの御指摘の点は,前々回ですか,○○委員の方からも御指摘があった点でありますけれども,商法上といいますか,配当規制上といいますか,役員報酬と役員賞与,要するに役員に対する財産上の利益の移転を損金に計上すべきか,利益から控除すべきかということについては,必ずしもどちらがいいという決め手が余りない。結局は配当財源を食いつぶしていることになりますので,ほとんど等価であります。役員賞与の場合には財源規制が支払時にかかるというところに若干の特徴はありますけれども,それだけのことでしかないということでありまして,かつ,ある種の財産上の利益の移転が報酬的な位置づけになるのか,賞与的な位置づけになるのかというのも,これも必ずしも基準が明確ではなくて,特に業績連動型報酬を報酬として費用処理するということになるとすると,何が賞与で何が報酬かが本当に分からなくなる。   そういうことでありますと,会計上の取扱いはさておき,商法上は,どちらかというと,取締役に対する財産上の利益の移転についてだれがその決定に関与して決定をすべきかというところがとりあえず一つは問題になりますので,一般の会社については,株主総会の決議を要するという今の269条,若しくは281条でも同じ結論になるのですけれども,それをとりあえず維持するということが③の内容であります。   それで,この決議に基づいて支払われたものを,では一体その費用処理と利益の処分をどういうふうに振り分けるのかということについては,ちょっと今の時点でどうこうするということもできかねるところもありまして,先ほど申し上げましたように,必ずしも商法の方でどちらかに決めて,支払若しくは処理をしなければならないという規律が出てくるわけでもないと。それは,委員会等設置会社は全部損金処理をしても大丈夫というふうにしたことからも明らかなように。   ということでありますので,そういうことは解説の方で,この提案の背景も含めて--やや一部の専門家向けになると思いますけれども--意見照会をするという形で対応させていただきたいということであります。 ● この③の総会決議というのは,報酬部分については毎期毎期やるということではないのですね。1回やればいいんですよね。 ● 毎期毎期にしてはどうかという提案を含むものです。 ● それだと現在と大分違ってくるのではないかと思いますが。   いかがでしょうか。 ● その毎期毎期にする趣旨ですが,そうしないと毎年株主総会が開かれ,後の問題と絡んできて,株主総会を開く場がなくなるということを考えてのことなのでしょうか。 ● 結論において,(3)まで全部一気通貫で考えれば,そうなる場合もありますでしょうし,先ほど申し上げましたように,財産上の利益を役員に戻すという行為と,株主に利益を還元するという行為とがぶつかるものですから,片一方で随時払戻しを認めながら,片一方でどれだけの額が役員に現実に流れ出ていくのかということを対比するというか,株主にある程度大枠での決定権を残すということでどうだろうかということです。 ● ほかのことも言いたいのですが,③だけに限定して申しますと,やはり今のような御説明だと,二,三の方の御質問にあるように,取締役等に与える財産上の利益というのは報酬を含むというのをきちっと書いた方がいいし,そして,株主総会の決議ではなくて,毎期というのは定時総会のことでしょうから,毎定時総会とお書きになった方が……。そういう御提案ならそうお書きになって,ここでも了承を求められるとともに,試案に公表されたらと思うのですけれどね。ここだけで今までの説明をすべて読み込むというのは至難の業ではないかと思います。   ③についてはそれまで。あとはまた別途。 ● 私も③についてだけ今申し上げさせていただきますと,私もやはりここのところの趣旨がよく分からなかったのですが,御説明を受けて,毎期毎期役員報酬についてきちっとかけさせるというのは大きな変換でありますが,取締役会限りでもって剰余金の分配等々ができるようにすることとの絡みで一緒に提案するということであれば,それはそれで一つの考え方だとは思いますが,せっかく従来,取締役の報酬と監査役の報酬とは別枠で決めるということをこれだけ一生懸命確立してきたものが今回なくなってしまうということまで含んでいるとすると,その点も果たしていいのかということがあるかと思うのですね。先ほどの御説明によりますと,そこは一括してという御説明だったかと思うのですが。 ● 取締役と監査役を一括でという趣旨はないです。 ● それなら結構でございます。 ● やや,「等」がミスリーディングではありますけれども。 ● ③ですけれども,これはあくまでも剰余金とか分配機会の云々と,こう言っているわけでありまして,役員の報酬も入れるということになりますと,累損を抱えている会社においては役員の報酬を支払ってはいかんということになるわけですから,まさかそういうことまで考えておられるのではないだろうと,こう思うものですから,ここを賞与と報酬を両方含めた概念で,「分配」というところに報酬を入れるというのはどういうスタンスになっているのか,全く理解できませんね。 ● 私も○○委員と同じで,だから報酬は入っていないと思って読んでいたのですけれども。   これはかなり,意見照会すること自体について異論が出てくる……。 ● 赤字会社はみんなただで働けということを言っているわけですよね。 ● ほかに,この③については御意見ありますでしょうか。   ちょっとこれはドラスチック過ぎるような気が私はするのですがね。これはもう一度……。 ● ここは要するに,役員賞与というものを残すとすれば,それは多分,一般の会社では株主総会でやらざるを得ないということになるとすると,話の前提として,(1)から(3)まですべて通して,一般の会社では役員賞与を含む形での利益処分案の役会権限化は多分できないという結論にならざるを得ない。役員賞与については単なる報酬額の延長線上であるので,そこについての株主総会の関与はさておきというか,そこはそうさせたまま,それを利益処分案の中に溶け込ませて書くという現行制度を改める必要が,まず話の前提としてはないかということもこれありなものですから,そのあたりも含めて,ここの部分はもう一度書きかえた上でお諮りしたいと思います。 ● つまり,③だけについて言えば,赤字会社でもできるという,そういう御趣旨ですか。 ● どちらかというと,賞与についても報酬の決議にあわせて決議することとしてはどうか,の方が近いと思うのですけれども,そういう趣旨であるということです。 ● それでは,③については,もう一度文章を練り直していただくことにして,ほかの点について,いかがでしょうか。この(1)につきましては。 ● ④の「その他の利益処分事項」で,「①・③以外の利益からの会社財産の払戻し」というのは,具体的にどういう場合があり得るのでしょうか。これは,特定株主に対してだけ何か経済的な利益を供与するとか,そんなことなんでしょうか。ちょっとよく分からなかったのですが。 ● 私,実務上は余り見たことはないのですけれども,講学上はあると言われているらしいというたぐいのものですね。すなわち,利益処分として無償で交付するのは,だれに対してお金を交付しても株主総会がオーケーと言えばできるということを前提にしますと,例えば,税法上損金算入されない寄付などは利益処分で処理をしてしまおうというような場合があるのかどうか。公開会社の場合は監査が入りますので,そういう取扱いは難しい場面があると思うのですけれども。 ● 利益からの払戻しという書き方をしているものですから,そうすると,①の剰余金の分配との違いがどういうふうにしてつけられるのか,ちょっとよく分からないような気がしたのですが。 ● ①は,要するに「株主に対する剰余金の分配」。それで,もし④みたいなものをa案のように禁止するという形にしてしまえば,剰余金の分配イコール,こういう会社においては株主に対するものだけに限られるということになりますし,他方で,b案のような形にすると必ずしもそうならない可能性があって,①に入るのは配当その他で株主に対するということになるというだけです。だから,特定の株主に対する利益の移転というのは①に入るのか④に入るのかと言われると,多分,現行法を前提にすれば④の方に入るのだと思いますけれども。 ● 別の議論の場で何を念頭に置いてこんなことを議論したかだけ申し上げますと,講学上と言われたのは,あれは利益参加社債なんですね。利益参加社債で配当という形で受け取るようなタイプ,利息の計算の仕方で連動するというのではないタイプのものが,これが認められるというふうに一応は言われておりまして,そういったものはもう一切だめなんだと言ってしまえば,④のaでいいのですけれども,そんなタイプのものも可能性としては残したいという--余り抽象的なことで恐縮なのですが--もしそういうことであれば,完全に禁止はできないだろうということで,こういうのが残ったのだと思います。具体例として挙がったのはそれぐらいだったと記憶しています。 ● 利益参加社債の場合は果たして定時総会の決議承認を要するのかどうかというのはよく分からないのですが,ほかに議論があったのは,さっき言われたような寄付ですね。典型的には政治献金。取締役会限りでやるといろいろ議論があるから,総会にかけて政治献金は利益の中からしましょうというようなことをやった場合ということも議論に出ていたと思いますが。 ● この①から④までについても,抜本的に変える立場から理念的に区別されているのはよく分かるのですが,1年間,別の議論の場等での熱心な議論に参加していない部会のメンバー,プラス,それ以上に何も知らない人には,この意味が非常に分かりにくいと思うのですね。   一番言いたいことは,利益処分は取締役会限りでやりましょうということに変えたいと。それにつながって③が少し関係しますし,取締役会でやるにしても株主に対する分配以外のことは株主のオーソライズが要りますよというのが④で,だから,①がベースで,③,④は本来注記でもよさそうなものに思うのですね,極端に言えば。ただ,大ごとだから,こうやっていて。そして,剰余金の分配ということで,自己株と利益配当ないし中間配当とをトータルにやりましょうという非常に高度な理論的な観点からは非常に分かるのですが,4の「分配の機会の柔軟化」のところの前書き--何か前書きがある場合もありましたね--そこでちょっと,従来の経緯のこの問題をもう少し幅広にこういうふうに変えようと思いますというようなことを御説明いただいた方が分かりやすいのかなという気がします。   とりわけ,④についてはともかく,③については,毎定時総会で決議するということになりますと,これまでの実務の大幅な変容で,私個人はそれに特に反対するつもりはありませんけれども,ここで出てくるのはちょっと唐突だなということで,やはり少し,①と並んで③が出てくるのはいかがか,①と④は並んでもいいけれども,①と③の重みはちょっと違うのではないかとか,そこら辺,基本方向はいいのですが,これまでの議論に参加していない人にも分かり,かつ,13年の改正との連続性ある形で説明していただくと有り難いなという感じがいたします。とりわけ,13年の改正との関連では,一般の会社についても,取締役の任期1年と社外取締役1名があれば,利益処分を取締役会におろしてもいいけれども,それについての折り合いがつかなかったのでできなかったという面もありますし,そのときに,自己株の買受けが自由になるという状況のもとでは2年前の議論がそのままできない。それは(注1)に書いてあると思いますが,そこら辺のことも踏まえて,少し分かりやすいようにお書きいただけないかなと思います。御説明を聞いてある程度の意味合いは分かったのですが,それを解説で書くだけではなくて,こちら側にも,少し分かるように御配慮いただけたらと思います。 ● 確かに,①,②と③,④は相当違う性質のもののように思いますので,ちょっと書き方を考えてもらいたいと思います。   ほかにありますでしょうか。特に④につきまして。 ● ①のところで,この考え方についてなのですけれども,委員会等設置会社の場合も同じ問題があると思うのですが,現在の利益準備金の規定というのは,10分の1以上を積み立てろと言っているわけですよね。今度,取締役会がこういうことを決めるときに,利益準備金の積立ては幾らでもフリーハンドでできるというのもちょっと問題な気がするので,その辺を,中間配当の場合はわざわざ10分の1と今まで読んできたこととのバランスを考えて動かす必要はあるのではないかという気もするのですが。 ● 確かに問題点かと思います。その点も検討をお願いします。 ● これは細かいことで恐縮なのですけれども,①の「剰余金の分配」で,「一定の範囲の株式会社においては」と書いてあるのですけれども,これは,②,③みんな,一定の範囲の株式会社においてはということですよね。 ● そうです。 ● だから,①だけではないわけですね。ちょっとダブっているような感じがしたので。 ● そうですね,ちょっと不ぞろいであります。その点も誤解ないように書く必要があると思います。   ほかに。 ● 一定の範囲の株式会社において,取締役会の決議をもっていろいろなことができるようにするという御提案と,それから,そういう場合でも,特にこの点については株主総会で決めたとか,定款において--まあこんなことは余りないかとは思いますが--これだけの積立金は確保せよというように決めたとか,そういう場合との調整はどういうことになりますでしょうか。 ● 現行法に倣えば,230条ノ10の定款の定めでそれぞれを差配するということになると思います。 ● それは可能であるというのが前提であるということですね。取締役会はできるだけであって,そこに独占するという趣旨ではないわけですね。 ● (1)限りに関しましては,(2)の(注1)の(参考)のところに書かせていただきましたように,従前の株主が持っている権利について一定の制約をかけようというところは意図していないと。(1)の提案だけであれば。 ● よろしいでしょうか。   ほかに御意見ありますでしょうか。--よろしいでしょうか。   それでは,(2),あるいは(3)も一緒に議論いただいた方がいいのかもしれないのですが,(2),(3)について,いかがでしょうか。 ● (2)のところですが,最初のところで①から③までの要件を書いていただいているのですけれども,③の情報開示の充実というときに,これだけ見ると,単に剰余金変動計算書を作成すれば充実したように読めますけれども,やはり考え方としては,そもそも今後の剰余金がどういう見通しであって,会社の業務というか,キャッシュフローの流れがどういう見通しであって,それに基づいてどういう考え方のもとに分配政策をやっているかということを株主に説明していくということが重要だと思いますので,少なくとも解説を書くときには,そういうことを是非書いていただきたいと思います。   それから2点目は,(注1)のところの,これはさっき質問したことにかかわるのですが,取締役の任期が1年であることも要件とするかどうかということを議論し,かつ,(参考)で,②の株主総会の承認,あるいは株主総会での質問権ということが出てくることの関連で,こういう体制のもとで毎年株主総会が開かれることになるのかどうかということですね。これは非常に大きい問題なので,任期が1年にならなくて,さっき○○関係官がおっしゃったように,毎年,報酬・賞与等の決議を行うということでないと,株主総会は必ずしも毎年開かなくてもいいということになりますので,そこら辺について,この体制のもとでどうなるかということを是非説明していただきたい。   三つ目は,(注3)の意味なのですが,「委員会等設置会社についても,定款の記載がある場合に限り,(1)のような取扱いを認めるものとする」とあるのですが,「(1)のような取扱い」の意味が,(1)の最後の(注)を見ますと,「上記①,②及び④の取扱いについては,委員会等設置会社についても同様の措置を講じることとしては,どうか」と書いてあります。結局,違いとして残るのは③だけだということですね。ということは,(注3)で言っていることの意味は,③の部分ですね,役員賞与等の,さっきの報酬の扱いを定款で定めれば,(1)の③と同じ扱いができるということをどうも意味しているように少なくとも読めるのですが,それは,従来の委員会等設置会社の基本的な考え方,監査委員会・指名委員会・報酬委員会を一体のものとして,報酬については報酬委員会で決めていくのだという基本的なポリシーを定款で変えていいよということを言っているように少なくとも読めるのですけれども,そうだとすれば,これは極めて疑問だと,反対であるということを申し上げたいと思います。   それから,次の(3)について言えば,「議題追加請求を禁止又は制限をすること」というのですけれども,これは配当議題の追加請求を法令で禁止するというところまで立法することはあり得るのでしょうか。論理的にはそういう表はつくれるかもしれませんけれども,そこまでやる必要があるのかというのはちょっと疑問に感じました。 ● (注3)は誤解を招く記載になっていますが,意図しているところは,委員会等設置会社ですと,今,当然に利益処分案が取締役会決議によることとなるという効果になっております関係上どうするかという話があって,従前,委員会等設置会社についても,定款で記載して,利益処分案その他のやつを取締役会決議にするというふうに決められるようにしてほしいという話がたしかあったと思うのですが,それだけの意味,すなわち定款に定めがなければ一般の会社になるということで,役員報酬のところについては,当然,委員会等設置会社は特別の規律がかかっておりますから,そこを動かすところまでは意図していなかったのですが,先ほど来の私の説明にあるように,(1)の③,④等の取扱いが揺れておりますので,というか,扱い方にやや難点がありますので,そういう誤解を招くような書き方になっているということでございます。 ● それから,(3)につきましては,これは現在の委員会等設置会社ではそもそも総会に出てこないから,議題追加というのはないんですよね。ですから,それを前提にすれば,別に禁止は不思議ではない。ただ,これは表で書いてあるから分かりにくいので,やはりこれは文章で書いてもらった方がいいんじゃないですかね。①,②のときに限り認めない。それから,それに加え社外取締役の選任等があると認めない。それから,あとは,どっちかだと認めないといいますか,何かやはりこれは,表を見て分かる人は分かるのかもしれませんが,どうも一見したところ,私はよく分からなかったのですね。 ● ○○委員が疑問に思われたこととかなり重なっていると思うのですが,最後におっしゃいました1点は,私はむしろ逆の方向で分からなくなってしまったのですが。   つまり,委員会等設置会社において230条ノ10がどのような役割を果たすのだろうかという問題ですね。余りそういう例はないとは思いますが,考え方の整理として,一応,取締役会で,あるいは報酬委員会の方で,原案を定めたり,いろいろなことを決められるけれども,うちの会社については,特別,取締役の報酬については報酬委員会がつくった原案を株主総会にかけたいということを定款で書かれた場合に,それを許さないという趣旨なのかどうかということは,これは一つまた問題になるのかなということを,今までの御議論を聞いていて,思った次第です。   それはちょっと留保しておきまして,実務的な意味は薄い論点かとは思いますけれども,考え方の整理としてはちょっとクリアにしておいた方がいいのかなという程度のことでございますが,もう少し実質的な問題なのですけれども,私も,この(2)と(3)の書き方はもう少し変えていただいた方が分かりやすいのかなということとともに,中身の点におきましても,○○委員がおっしゃったことと多分同じことを言っているのじゃないかと思うのですが,(3)の方で,②で書いていらっしゃる情報開示の充実の点ですね,これについては,むしろ(2)の方に上げて,そして,情報開示をきちんと充実する,その際に質問なども株主総会で保証されるという,やはりそこはセットにしておいた方がいいのではないかなという気がいたします。   それで,(3)のように少し別のタイプのものをもう少し設けることによって,更に進んだガバナンスの形態をとろうとするインセンティブにひとつしていこうという御趣旨かなというように思いまして,そのこと自体に何も反対なわけではないのですが,少なくとも議題追加請求を禁止することを認めるというような表現があるような,そういう問いかけをしていくということが果たしていいのかどうかというレベルからも,それは疑問に思います。ここにおっしゃっているように,議題追加請求権の行使要件をほんのわずかだけ過重する,例えば10分の1以上にすると,こういう要件を満たしている場合にはほんの少しだけ過重するという程度のことであれば,まあ考え得る範囲のことかと思います。その場合に,例えば取締役の任期が1年であるとか,社外取締役の選任要件が更に加わるとか,その程度の話であって,やはり,議題追加請求を全く禁止するということまでここで提案していくということについては,消極的な意見を持っております。 ● これはちょっと意見が分かれるところだと思うのですがね。今までも現に議論が分かれていたのではないかと思うのですが。つまり,これは,配当議題については追加請求を強行規定として置けという,逆に言えばそういうことなんですね。どういう場合に強行規定になるかと。こういうことにすると,利益処分は取締役会の専権であるという考え方もないではないと思うのですね。 ● しかし,それを今提案していくのが果たしてよいのかどうかということの話から始めなければいけないのかもしれないのですけれども。 ● ちょっと,どういう意見の分布だったかは覚えておりませんが。 ● 現行の委員会等設置会社においては,要するに,先ほどの230条ノ10の取扱いのいかんをどうするかという問題はありますが,もしそういう定款の定めを置かなければ,議題追加請求権はないわけですね。不適法として却下されてしまう。   ○○委員のおっしゃっている案を取り入れようとすると,まず,委員会等設置会社について現行の取扱いを改めるかどうかというところから始まると思いますし,それがここで言うところのⅣ案とかⅢ案みたいなやつをとって,(注1)で認めるというような形の選択肢をとったらそういうことになるということだと思いますけれども,もともとの要望というか,調整の趣旨というのは,委員会等設置会社の現行の利益処分の取扱いに合わせるためにどういうふうにすべきかということであろうということを考えますと,やはり認めない--どういうふうに書くのが言葉がやわらかいかという問題はありますけれども--実質的に株主が利益処分に関する議案にはかかわれないという会社類型がこの要件で認められるという形を出していかないと,多分,当初の目的は達成できないのではないかというふうには考えておるのですけれども。 ● これは商法部会だった時代からずっとあるのかもしれません。どういう会社について利益処分は取締役会限りでできるのかということについてはずっとあったわけですね。それで,一応,この前のときは委員会等設置会社という形で決着がついたのですが,なお満足しておられない方がおられるわけで,その議論の続きからいきますと,やはり論理的には,一定の範囲の会社について議題追加請求権がないというのはあり得る選択肢ではないかと私は思うのですが。 ● また質問なのですけれども,委員会等設置会社においても,監査役設置会社においても,委員会等設置会社の場合に,定款に,先ほどの○○委員の話ですけれども,利益処分を株主総会の決議事項とすると定めるというふうなことが認められるのだということに立つのであれば,今,株主としては,定款変更の議題提案は,100分の1か30単位ですか,でできると。そういう定款変更した上で配当議題を出せばいいわけですから,幾らでもできるわけですよね。おっしゃっている意味は,そういうことができないように強行規制でもってやっていこうということ,今ある権利を縮減しようというようなことで言われているのですか。 ● いや,○○委員が御指摘になった最初の考え方,すなわち,ここで言うところの(2)の①の「定款への記載」というのがどこまで響くかという問題はありますけれども,そういうふうなことと定めた会社については認めないという取扱いにしましょうと。すなわち,議題追加請求権を与えるか与えないかというのが,ある意味選択制になるということです。 ● 株主総会で何もかも決めなければならないとすれば動きがとれなくなるので,もう少し機動的に動けるような会社形態を規制緩和によって認めていこうと,この趣旨は分かるのですが,本来株主が持っている権利を強行法的に奪うような方向というのはやはり抑制的であった方が,日本の正に資本市場の発展につながると思うのですね。 ● 私も,議題追加請求権は実質として認めるべきかどうかということになると,認めた方がいいのではないかという考えを持っているのですが,しかし,論理的には,やはり,こういう選択肢を全く外して意見照会するということになるのかどうかというのはちょっと疑問を持っているのですが。 ● 今の(3)のところは,私ども素人から見ると,「認めない」というところに力点があるように思うのです。つまり,制限,議題請求を禁止したい,請求を認めないというところに力点があって,そのためには,①,②,それから社外取締役の選任等の条件が加わったときにどうかと。そこの下の「認める」というのがあれば,これは何をやったって認めるということは,つまり制限しないということになるわけですから,問いとしてはどうも弱くなってしまうというふうに私には見えるのですね。ですから,(3)をちゃんと聞くなら,「認める」という欄はなくてもいいのではないかと思うのです。 ● これは,「認める」という欄があるから非常に分かりにくくなっていまして,認めないということでいくのであれば,どういう場合に認めないかというのをずっと列挙していくというような形にすべきだと思いますね。 ● ついでに,(注2)の,Ⅴの「Ⅱ及びⅢ」というのは認める方になるのか,ちょっとよく分からないのですが,どっちになるのでしょうか。 ● ちょっとこれの意味も……。これは,どっちかがあると認めなくていいという,そういう意味ではない。 ● そうですね。 ● そういう意味なんですね。 ● 認めない。 ● つまり,社外取締役があれば,議題追加請求を認めないという選択肢もあり得るかと,こういう問いかけではないかと思います。ちょっとこれでそう読むのかどうかは非常に,私も相当考えて,そうじゃないかなと思ったのですけれども,なかなか難しいので,とにかくこれはちょっと書き直してもらう必要があるのではないかと私も思っていますが。 ● (2)で,一つは剰余金変動計算書,大変有り難い提案なのですけれども,これは,むしろ私どもとしては,どんな会社でも全体として計算書類の一部として今後つくっていただければいい方向ではないかと思うのですけれども,ここでは計算書類の一部という位置づけなのか,それとも独自の計算書というような概念を生み出しているのか,そこを確認したいと思います。   それから,(2)の(注1)の(参考)の②なのですけれども,ここでは,「役員報酬については,賞与も含めて株主総会の承認を要する」という言葉があって,これをさっきの(1)のところと結びつけると,必ずしも金銭等の分配とは関係なく言っているのかなということになると,さっきの③の方がまた,要するに金銭の分配ではないとすれば,何もあえてそこで入れなくてもいいのではないかという,ちょっと,どっちかなというのがまた出てきてしまったので,そこもさっきの議論とあわせて,うまい書き方をお願いしたいなと思います。 ● 役員賞与の方についての御指摘を踏まえて直したいと思います。   それから,剰余金変動計算書に関しては,もしここでこういうふうな形で出すとすれば,現在,附属明細書レベルで開示されているものが株主に対して送付するものに加わるという違いが出てくるわけで,それは,今,これに関するものが計算書類の一部をなしているというのは,多分,現行法も変わらない。要するに,附属明細書まで含めて計算書類と読めば,位置づけは変わらないと思います。 ● それでは,この(2)につきましては,先ほど○○委員等から御指摘がありましたように,剰余金変動計算書等の持つ意味とか,情報開示の持つ意味,それから取締役の任期が1年であることの意味等をもう少しはっきりさせる形で書いていただくということ。   それから,恐らく(3)は,こういう形ではなくて,可能性を全部,論理的に一つ一つ列挙していくという形にすると,もうちょっと議論は明確化するのではないかと思いますので,そういう形で書き直していただくということでお願いしたいと思います。 ● 規定ぶりの問題になると思うのですけれども,これは現行でも,委員会等設置会社で,取締役会レベルで利益処分案が承認されればそれでよしとする条文については,株主総会での承認があったものとみなすというような規定ぶりではないのでしょうか。商法特例法21条の31なのですが,それは,適法意見があって,監査委員等についても皆特に異論もなく,それで取締役会の承認決議があった場合には,利益処分は本来株主総会の承認決議が必要なんだけれども,あったものとみなすという規定ぶりだとすると,やはり議題として提案することは可能,一応法定決議事項ということを前提にした規定というふうにも解釈できないわけでもなさそうな気もしまして,そこのところをどういうふうに整理するかというのが気になったものですから,お教えいただければと思います。 ● 解釈はいろいろあると思いますが,計算書類の確定に関しましては,会計監査人と監査役のオーケーがあった場合にも総会決議にかけられるかということについては,これはたしか,定款にそういう定めがあればというふうに言っていますよね。それをこのままここへ持ってくれば,定款にそういう定めがあって初めて,利益処分については総会決議にかけられると。だから,逆に言えば,定款にそれが書いていなければ,もう総会では議題も提案できないということになるのではないかと私は思っていたのですが。 ● むしろ,提案権を行使するのが8週間前までだといたしますと,その時点でどれだけの情報があるのかということがございますね。その時点ではまだ,適法というか,適正かどうかよく分からないわけだから,とりあえず提案をしておいたといたしますね。その後,取締役会限りで決定できることになったときに,その提案したことが全く無意味になってしまうという解釈をとるのが果たして妥当なのかどうかという問題もあると思うのですね。 ● 実質的な問題としては,○○委員も御著書の中にもお書きになっておられますけれども,実際の社会の中には,かなり剰余金がたくさんたまっていて,株主の中には,もう吐き出してほしいと言っていて,株主総会でそれを主戦場として争うというような事件が実際に起こっているわけでありまして,そうなりますと,やはり株主総会でしっかりやってくれというような提案がきちっと出ていて,それで委任状等も集め始めているというような状況が起こっている場合に,それを全く無視してしまってもいいのかということを考える場合には,理論上何かきちっと説明をして,そういう可能性を残しておくということの方が,ガバナンスがきちっときいていいんじゃないかなというふうに思いますけれども。 ● それで,この①,②とかいろいろなことが挙がっていると,こういうことなんだろうと思います。今までの議論の筋は全くそのとおりなんですね。   とにかく,(3)につきましてはもう一度整理してもらって,きちっと論理的に,こうこうこういう要件があればどうなんだという形の問いにしてもらうと,もうちょっと分かりやすくなるかと思いますので,それをお願いしたいと思います。   ということで,今日はよろしいでしょうか   それから,5の(3)でありますが,この点はいかがでしょうか。 ● この点につきましても,先ほどの御提案と同じようなことになると思うのですが,たくさんの選択肢,考えられ得る限りいろいろお伺いしていくという意見照会の仕方もあると思うのですが,ある程度,この部会としての姿勢というもので,少し数を減らす形でもって,見識が一応はあるのではないかと思われるような選択肢だけに限っていくということだって考えられ得ると思うのですね。   その場合,私としましては,d案とe案,とりわけe案は,これまでここでどなたも主張されなかったのではないかと思いますので,a,b,c案,これはそれぞれ一つずつの考え方があろうかと思いますから,この程度に限って意見照会していく方がよいのではないかと個人的には思います。 ● e案はないのですか。 ● ないとも言えないのですが。 ● ないともどうも言えないみたいで,要するに,義務づけはやめて,決算公告をすると何か……,とにかく強制はしないという案は,どなたか,中小企業庁とか,いろいろあったのではないかという気がしますので。 ● この中には取り上げられていないのですが,私が主張いたしましたのは,いわゆる法的な義務づけはしないけれども,決算公告を電子開示すると。要するに,登記上のホームページにアクセスすることによって,開示しているかしていないかが一目瞭然になるような形でするということで,法的な義務づけはしないという提案をしております。 ● もしそうであれば,そういう提案としてここで挙げていくのであれば,またそれは一つの考え方だと……。 ● これだけではよく分からないけれども,説明をきちんとつけるという……。 ● ということをしっかり開示させるという趣旨です。 ● それは是非,説明をつけまして,余りこの部会の見識が問われるようなことのないようにしたいと思います。   ほかに,この点については御意見ありますでしょうか。   では,そういう説明をきちんとつけるということで御了解いただいたものとして取り扱わせていただきます。   次が第6部ですが,星印が1,2両方についておりますが,まず1の方について,これは私法的な問題に限ってニーズがあるのかどうかを御議論いただきたいということなのですが,いかがでしょうか。 ● この点なのですけれども,有限責任制であり,内部は組合という組織フォーマットについては,現在,経済産業省でいろいろ調べているのですが,三つぐらいのビジネス類型で実需が相当あるかなと考えております。   一つは,専門的な職業の受け皿ということでございます。イギリスが,たしか2000年にLLPという制度を導入しております。パートナーシップと書いてあるのですが,一応法人格があり,有限責任制で,内部は組合だということで。もともとこれを設けた趣旨が,監査法人とか法律事務所,あるいは経営コンサルタントのような事業のフォーマットとして,有限責任制であり,なおかつ内部は人的な組織ということで用意されたと聞いております。イギリスの実情では,大手の監査法人とか法律事務所がかなりこの制度を使っているということでありますので,日本についても同じような実需が出てくるかというふうに我々は考えております。   二つ目の類型は,これと似ているのですけれども,物的な資産ではなくて,どちらかというと人的なノウハウで創業したいというときの受け皿になり得るかということであります。イギリスのLLPもそうですが,あるいはアメリカのLLCと呼ばれるところのものの使われ方を見てみると,例えばニッチな分野を担う投資銀行を作るときに,人的なノウハウのある方々が集まって有限責任制の中で事業を展開するというようなフォーマットで多々使われているやに聞いております。   三つ目の類型は,ちょっと毛色が変わるのですが,合弁事業,ジョイントベンチャーですね。米国のLLCの事例を見てみると,意外とそういう事例が多くて,日本の企業も結構使われております。いすゞとGMの合弁事業,あるいはIBMとかインテルとかが集まっている半導体部門における新しい合弁事業等のフォーマットで広く使われているようでございます。   それで,ちょっとこれは調べがまだついていないのですが,最近,フランスの投資庁といいますか,対仏投資を促進する役所のホームページを見ていますと,単純型株式資本会社制度なるものが用意されていて,法人が株主になり,内部は自治が貫徹していると,こういう新しい,合弁向けの株式会社のフォーマットがフランスでは用意されているようでございます。   いずれにいたしましても,こういう専門的な人材が集まって作る人的な会社,あるいはある種の創業のフォーマット,あるいは大企業あるいは中堅企業等が行う新しい合弁事業のフォーマットとして,こういう,内部は非常に自治が貫徹するのだけれども,有限責任性があり,かつ法人格があるというようなところについては,日本においても,恐らく,用意されれば,相当程度実需が出てくるのかなというふうに考えております。いろいろアンケート調査とかをやっているのですけれども,やはり,ベンチャービジネスの方々,あるいはファンドのGPのフォーマット,あるいは大企業の実験的な合弁事業で使いたいという結果は返ってきてございます。   それで,当然,税制の問題でございますね,法人課税なのか構成員課税なのかという議論も非常に重要な論点だと思うのですが,そうした課税の問題をとりあえず置いておいた上で,組織フォーマット上の用意として,こうしたある種人的な組織のバリエーションをふやしていただく方向でこの部会の方で御検討いただければ,経済のある種の活性化だとか,新しい選択肢の拡大という意味合いで意味があるかと思っておりますので,そういう方向での御議論を是非お願いしたいと思っております。 ● どうも今まで書かれたものは,日本で作る場合ですね,組合類型だということを前提に書かれている文献が多いのですが,ここで会社類型と言っていますのは,これは法人だということが前提の議論だと思うのですが,そのいろいろな文献で書かれている組合類型というのは本質的な議論ではなくて,会社類型でもいいのだという,そういうことですね。 ● そういうことです。はい。 ● 先ほど,○○幹事から,直ちに税制には結びつかないという前提で,私法上の議論だという厳しい切り口があったわけでございますけれども,税制を進める上においても,この会社法の類型としてというのが一方ではあるわけでありまして,私法上の問題からだけ詰めるのではなくて,税制上の問題を詰めるためにも,私法上の問題,こういうふうな類型があるべきであると。そうでないと,現実上,税制がついてこないのではないかと私ども危ぐしているわけでございますので,今,○○幹事から,私法上のニーズというお話がございましたけれども,やはり税の問題というのは一番大きゅうございますので,それを促進するためにも,新たな会社類型としての検討を是非していただきたい。別にそれを,そういう目的のためにと書く必要はないのですけれども,あうんの呼吸というのはやはりあるでしょうから,是非そういうふうにしていただきたい。   したがって,この「創設の要否については」と--今回の資料の中で何回か,「要否については,なお検討する」というのが,訴訟委員会,株主代表訴訟と,この新たな会社類型,それだけは「要否」と--要否を検討する段階ではもはやなくて,創設について,その内容についてなお検討するというふうに本当は書いてほしいところであって,かねてより,本当にかねてより主張しているところが,まだ,こういう,要否だけでぽとっと切り捨てられているのは,非常に残念な思いがいたします。 ● 今の創設の話ではないのですけれども,同じように問題になり得るかなと思うのは,匿名組合というのが一種の企業形態の一つなのですが,匿名組合については商法542条で合資会社の規定が幾つか準用されていますね。したがって,合名・合資会社の規制の在り方というものの見直しをすると,この匿名組合というものを放置しておいていいのかなと。合名・合資という形態がもし動くとすると,こちらの方に影響を及ぼしてくるので,この際,匿名組合もいろいろな金融商品のビークルとして利用されている面もあるので,これは新しい制度の創設というわけではないのですけれども,会社法の全面的な現代化を考える際に,商行為の方にある匿名組合の部分も,その限りで検討対象に含めた方がよりいいのではないかなということ,そういう意見です。 ● 匿名組合についてはどう考えるかですね。 ● 合資会社の規定の準用関係の整備は,当然,関連法規の整備の一環として行われるべきことでございますけれども,更にそれを超えた実質の改正の検討が,会社法(現代化関係)部会に係る諮問の範囲内かどうかということについては,ちょっとなお留保させていただきたいと思います。 ● 蒸し返しを言うわけではないのですけれども,私は,○○委員の御提案に更に追加して,早急に検討するというのを是非お願いしたい。   公認会計士法が改正されまして,責任の強化だけが前面に出てきて,このままでいくと監査法人の存亡の危機になるということで,やはり諸外国と同様の制度というものを日本でも早く設置したいと。これが監査法人等の単独のそういう形でできればいいのですけれども,今までの監査法人の仕組みというのは企業の会社組織のことを準用しているものですから,やはり,企業の方においてそういう仕組みをつくり出していただいて,それを準用するという形にならざるを得ないのではないかということで,是非御検討をお願いするということの文章化をお願いしたいと思います。 ● ほかに御意見ありますでしょうか。   積極的な御意見が何人かの方から開陳されたということですが,もちろん,やれるものならだれも反対はないのだろうと思いますけれども。   ほかに御意見ありませんか。   それでは,2の「罰則」についてはいかがでしょうか。これは先ほどいろいろ御説明がありましたが,特に御意見ありませんでしょうか。 ● 現時点で,何か具体的にこのような方向性をといってお諮りすべき内容があるわけではありません。どちらかというと,それ以外の実質が定まっていく過程で見直しの必要性が出てくる部分が多々あろうかと思いますので,その際にまたお諮りしたいと思います。要するに,罰則としてかなり見直しを行うべき点が出てくるかもしれないということをノーティスしておいた方がよろしいのではないかという趣旨で,項目として掲げさせていただくものでございます。 ● 質問なのですけれども,その罰則の類型として,例えば保護観察制度を企業に導入するとか,そういうふうなことを含めて検討しようということを考えておられるのかどうかなのですが。 ● いつぞや新聞報道がされたものにつきましては,当局では承知していないところでございまして,少なくともこの項目につきましてはそれを念頭に置いているわけではございません。 ● それでは,一応,星印については一わたり御議論いただきましたので,それ以外の点につきまして御意見がありましたら,どの点でも,お願いいたします。 ● 一つだけ見残したので,申し上げておきたいのですけれども,第5の3の(1)の点なのですが,組織再編行為で,株式交換・株式移転で,純資産をベースとするのではなくて,親会社ベースで株式の価額を基準とするとありますね。それで,合併差損との関係なのですけれども,私どもの理解では,通常,合併差損が出るようなケースでは,むしろ営業権を評価して,営業権が評価できれば合併差損を消して,それを株式の評価の中に入れるというふうなことが多いのですけれども,もしそうだとすると,3の(4)の①で,合併差損の定義の中に「承継する資産の簿価が負債の簿価を下回る場合」ということをはっきり入れてしまっているので,こういう場合のケースと今考えたこととがどういうふうにマッチングするのかなというのが疑問があったのです。そこをお伺いしようと思っていて,さっき忘れてしまったので,確認しておきたいと思ったのですが。 ● 今は会計基準がどうなるかも定まっていないので,はっきり言えませんけれども,いわゆる持分プーリングをやったときにもなお,のれんを計上することが認められるということであれば,要するに差額のれんの形で計上すればいいという,現行やられている実務だと思いますけれども,それでいいのだと思いますが,多分そういうわけにはいかないのではないかということを前提にすると,怪しげな差額のれんを積んで,あたかも資本が毀損していないように見せかけるよりも,はっきりとさせた方がいいのではないかという趣旨であります。 ● ほかにいかがでしょうか。--よろしいですか。   それでは,今日は本当に長時間,今までで一番長い時間,御審議いただきまして,大変ありがとうございました。   一応,本日予定した議題については御意見をちょうだいすることができましたので,審議はこれで終了させていただきます。   なお,事務局から連絡事項がございます。 ● 本日は誠に長時間,ありがとうございました。   次回は,10月8日,水曜日,午後1時から,場所は移りまして,法曹会館の高砂の間になりますので,御参集のほど,よろしくお願いいたします。   前回と今回のたたき台に対する御審議を踏まえまして,試案の原案といいますか,一次案をお諮りしたいと思います。特に,取締役の責任関係,それから利益処分権限の所在にかかわる論点につきまして議論を更に整理させていただく必要がありますので,その辺りを中心に御審議をいただき,あとは御指摘いただいた修正の確認をしていただきたいと思います。   それから,本日,新たな会社類型に係る検討の必要性について,いろいろと積極的な御発言をちょうだいしたわけですけれども,修正の検討に更に加えて,こちら側に余力があれば,新たな会社類型についてももう少し突っ込んだ書込みといいますか,意見照会により資するような形での骨格案の提示のようなことができるかどうかということも検討いたしまして,御相談させていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 ● それでは,本日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。