法制審議会会社法(現代化関係)部会 第14回会議 議事録 第1 日 時  平成15年10月8日(水)   自 午後1時00分                         至 午後4時52分 第2 場 所 法曹会館「高砂の間」 第3 議 題 会社法制の現代化に関する要綱試案(第一次案)について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● これからお見えになる委員・幹事の方が若干おられますけれども,予定した時刻が参りましたので,第14回会社法(現代化関係)部会を開催することにいたします。本日は御多忙の中御出席いただきまして,ありがとうございます。   本日は,次回10月22日の部会での試案の取りまとめに向けて,詰めの議論をお願いしたいと存じます。          (委員・幹事の異動紹介省略)   それでは,早速,配布資料につきまして事務局から説明をお願いします。 ● 事前に部会資料12をお配りしております。これは,前々回,前回とたたき台として二分割して出させていただき,御議論をちょうだいしたものにつきまして,前々回,前回での御議論を踏まえまして,修正を加え,合体させたものでございます。次回の部会での試案の取りまとめに向けて,第一次案的なものとして本日お出しさせていただく次第です。   それから,急で恐縮ですけれども,部会資料13を席上配布させていただいております。部会資料12の第6部の1,前回の最後の方で御議論いただきました「新たな会社類型」について,仮に意見照会をさせていただくとすれば,少し具体的な姿を示して御意見をお伺いする方が,その後の検討のためにより建設的ではないかという考慮のもとに,例えばこのような形で意見照会させていただくことはいかがかということをお諮りしようとするものでございます。本日お時間がなければ次回にということになるかもしれませんが,この第6部の1のところをこのような形に置きかえたものを試案として取りまとめさせていただくということはどうかという趣旨でお諮りするものでございます。   それから,○○委員から意見書を御提出いただいております。後ほど,該当箇所の審議の際に御説明をいただければ幸いでございます。   また,日本司法書士会連合会から意見書をいただいております。あわせて御覧いただきたいと思います。挙げられている項目は,いずれも当部会におきまして議論の対象とさせていただいているものでございます。   事前に,あるいは本日席上に配布させていただきました資料等の説明は以上でございます。 ● 配布資料につきまして,何か御質問ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは本日の審議に入りたいと存じます。   本日は,前回,前々回と違い,場所がここでありまして,終わりの時間が決められておりますので,審議に御協力いただきたいと存じます。   部会資料12,それから13につきまして審議をお願いするわけでありますが,本日は,まず,この資料12の中で,前回,前々回の審議におきましてまだ十分議論が尽くされていないと思われる重要項目について御審議いただきまして,その後,全体を通しまして,資料10,11からの変更点について御審議いただきたいと思っております。   まず最初に,とりわけ重要な点につきまして事務局から説明をお願いいたします。 ● たたき台からの修正箇所につきましては,後ほど,そのすべてを御説明申し上げますが,まず,実質についての御議論がまだ十分に行われておらず,また,前回までの御議論で,事務局において再検討をすべきであるとしていろいろと宿題をいただいたところが大きく2点ございまして,それらについての御議論を時間をとって行っていただければと思います。一つは,第4部の第4の「7 取締役の責任」に関する部分,もう一つは,第5の「4 分配機会及び決定機関の特例並びに役員報酬等」に関する部分,この2点でございます。   まず「7 取締役の責任」について御説明申し上げます。前回の非常に活発な御議論を踏まえまして,たたき台の中での案に相当程度の修正を加えたものを掲げさせていただいております。   まず修正点を中心に御説明いたしますと,「7 取締役の責任」の「(1) 任務懈怠責任」につきましては,①の「商法266条2項・3項に相当する規定の取扱い」について,本文をそのままにした上で,実質的にこの決議に関与した者の取扱いを特別にすべきではないかという御指摘を,それとは別の問題として,(注)として掲げさせていただいております。恐らく御指摘を法制的に整理するとこのようなことになると思いますので,このような表現にさせていただいてはどうかということでございます。   (2)以下の各責任を負うべき者の範囲につきまして,従前,a案,b案のほかにc案というものを掲げておりましたけれども,前回の御議論を踏まえましてc案的なものはいずれも削っております。また,b案につきましても,賛成した取締役をその責任を負うべき者の範囲に加えるということを明示した上で,議事録に異議をとどめなかった者の取扱いについては,(注)において,なお検討ということにさせていただいております。もしこの点について,現行どおり,賛成したものと推定するという取扱いが適当であるということでこの場での議論が収斂すれば,b案についてはそのような整理をさせていただこうと思います。この責任を負うべき者の範囲の取扱いについては,(2)の「違法配当に係る責任」にとどまらず,その後の各責任すべてについて同様でございます。   (3)の「期末のてん補責任」についてですが,「欠損てん補責任」というのは必ずしも適切な表現ではないと思われますので--この試案の中ではですけれども--「てん補責任」という用語に置きかえております。形式的な用語の整理でございます。   それから,①につきまして,現在の法制度をどのように改めるか改めないか,要するに現在の法制度と提案内容との関係が明らかになるようにすべきであるという御指摘を前回ちょうだいいたしましたので,そのような形で表現ぶりを直しております。a案,b案とされていたものをこのような形に整理したというものでございます。   また,ここでのてん補責任の在り方を考えるに当たっては,剰余金の分配に係る実質の見直しを視野に入れる必要があると思われますので,(3)①の(注)において,リファレンスという意味でその旨を掲げさせていただいております。   (3)②の責任を負うべき者の範囲については,先ほどの(2)の②と同様でございます。   (4)の「利益相反取引に係る責任」につきましては,「受益取締役」という言い方が必ずしも適切かどうかという御指摘をいただきましたので,言いあらわそうとしている内容をもう少し正確に表現すべく,(注1)の表現ぶりを多少変えております。   また,貸付けに係る責任についての取扱いがどうなるのかということを明示するために(注2)を掲げさせていただいております。ここでは,利益相反取引とは格別区別しないという趣旨をあらわそうとしておりますが,これについても御意見をちょうだいできればと思います。   それから,前回の御議論をいろいろと踏まえまして,利益相反取引に係る責任と任務懈怠責任との関係の整理につきまして,事務局内で検討を加えた結果,項目名なども変え,(4)の②のような形での整理をさせていただいております。a案は従前どおりですけれども,b案については,一般の任務懈怠責任に関する規定のほかに立証責任の転換に係る特別規定を設け,その特別規定の対象となるべき者の範囲をⅰ案,ⅱ案のように考えるという整理をさせていただいております。責任の性質というよりも,立証責任の転換規定の存否という論点に整理をし直したという趣旨でございます。   なお,仮にb案をとった場合における,特別規定の対象となるべき者として候補に挙げられる行為取締役といいますか取締役につきましては,利益相反をした者と,それから会社側の取締役と相手方の取締役というものが明らかに分かるような形で,ⅰ案,ⅱ案,それぞれ表現を修正しております。   それから③につきましては,やや細かいことですが,イの(注2)のところで,責任免除については原則として総株主同意が必要となるという記載をしておりましたけれども,原則ではない場合というのがどのような場合であるのかということを明記させていただいております。   ③のロのところですけれども,実質は変わっていないのですが,b案のところに「特別の責任を負う者」とありますけれども,これは,先ほどの修正を踏まえますと,「特別の規定の対象となる者」ということになりますので,申し訳ございませんけれども御訂正いただきたいと思います。   なお,ちょっとこちらの方での修正ミスがありまして,(5)の②でございますけれども,本文に,「次のように取り扱うことが考えられるが,どうか」とございます。試案におきましては,少なくとも各項目の本文については,「ものとする」,「方向で検討する」,あるいは「については,なお検討する」という表現ぶりに統一しようと思っておりますので,ここのところは,私どもの原案としては,「次のいずれかの案によるものとする」というふうに書かせていただこうと思っております。そのこと自体についても御議論いただきたいと思います。   7についての前回のたたき台の案からの修正点は以上でございます。内容については十分御議論いただいているところでありますので,逐一中身は御説明いたしませんけれども,前回からの修正点も含めまして,その全体について御議論をちょうだいできれば幸いでございます。   次に,第4部の第5の4の説明に移らせていただきます。   前回のたたき台でのまとめ方がやや分かりにくいという御指摘をいただきまして,それを踏まえて再構成させていただきました。題名も変え,(前注)をつけ,項目立てについても変更を加えております。   御覧いただきましたとおり,項目として,分配機会及び決定機関の特例のほかに,役員報酬等の取扱いというものを掲げておりますし,また,基本的に委員会等設置会社とそれ以外の会社との間の規律の調整,それから,今回の自己株式の取得に係る議員立法をも踏まえた,会社財産の払戻し機会及び手段の多様化等に対応する規制の合理化等の観点からの見直しであるということを(前注1)で明記しております。   (前注2)では,委員会等設置会社についても,(1),(2)については同様であるということをまず明らかにさせていただいております。4においては,基本的に委員会等設置会社以外の会社を前提にした表現を用いておりますけれども,(1),(2)については委員会等設置会社についても同様であるということが分かるようにさせていただいております。   (1)につきましては,まず,いわゆる現行法で言えば利益処分権限について特例が認められる会社の要件として,会計監査人が設置されており定款にこのような定めがある会社はその特例に当たるということを掲げさせていただいた上で,そのような会社における定時総会の意義,利益処分案の取扱い,剰余金変動計算書の作成,あるいは剰余金処分に関する理由の開示等の計算書類の取扱いの特例,それから株主からの配当議題追加請求権の取扱いについて,順に掲げさせていただいているところでございます。   (1)を御覧いただきますと,会計監査人を設置している株式会社は,会計監査人の適法意見が付されている場合には,計算書類の確定後,次の計算書類の確定までの間,取締役会の決議をもって以下の事項の決定をするということを定款で定めることができるものとしております。①は,いわゆる試案において横断的な整理を行おうとしている剰余金の分配の実施,②は,前回御議論いただきました,資本の部の計数の変動に係るものであって殊更株主の利益を害するものではないもの,これらについては取締役会の決議をもって行い得るということを定款をもって定めることができることとするということでございます。   (2)についてですが,そのような定款の定めがある会社の定時総会については,特別の取扱いがされることとし,基本的に計算書類の報告総会ということとなるとともに,利益処分案・損失処理案については格別記載すべき事項がないときはその作成を省略することが認められ,計算書類の取扱いについては剰余金変動計算書の作成が必要となり,重要とされている開示--前回の議論の中でもいろいろ御指摘をいただきましたけれども--それについては必要な開示というものが求められるということを掲げさせていただいております。   (3)の「株主からの配当議題追加請求権」ですけれども,先ほどの(1)の定款の定めのある,要するに特例の対象となる会社につきましては,株主からの利益処分案等に係る議題追加請求権--これは配当議題追加請求権ということで整理させていただいておりますけれども--それについての取扱いをどうするか,これはいろいろ御議論が分かれているところですけれども,前回の表が見にくいという御指摘をいただきましたので,一応,考えられる案をそれなりに整理して並べさせていただいております。   そもそも配当議題追加請求権をそのような特例会社については認めないといいますか,ないものとするのか,あるいは場合によってはあるものとするのか,あるものとする場合に少数株主権とするのか,あるいは,あるものとする,あるものとしないという区分が社外取締役の選任等の一定の要件にかからしめられることとするのかどうか等,幾つかの案が考えられるところでございます。一応,いろいろ考えられるところを並べさせていただいているところでございます。   特にa案につきましては,現行の委員会等設置会社における株主の配当議題追加請求権というものをどう理解すべきかということが,やや難しいといいますか,必ずしも明らかではないということもございまして,(注)を掲げさせていただいております。およそ配当議題追加請求権というものはないという理解をするのか,あるいは定款で付与することは妨げられないものと理解するのかというような点にかかわるところでございます。   (3)の(後注)では,現在の委員会等設置会社についてはa案かb案の取扱いがされているということを注意的に記載させていただいているところでございます。   (4)は,今のような(1)の特例の適用がある会社の取締役に対する報酬・賞与等の取扱いについてでございます。前回御議論いただきましたところでありますけれども,役員報酬については毎定時総会での決議で定めることとする,それから,役員賞与等,取締役に対する財産上の利益についても毎定時総会の決議によって定め得ることとし,利益処分案においてその定めを行う,それが(注1)でございます。監査役等の取扱いについても同様の取扱いを行うというのが(注2)でございます。   重点項目として,とりあえず本日,十分な御議論をちょうだいしたいとこちらで思うものは,この2点でございます。この2点の御議論が終わりましたらば,たたき台からのそれ以外の修正点について,御説明を差し上げたいと思います。 ● 今,事務局から説明いただきましたように,第4の7と第5の4につきましては十分時間をかけて御議論いただきたいということで,まず最初に御審議いただくわけであります。   今の2点につきまして,何か全体を通じて御質問ありますでしょうか。--個別の論点に入ってよろしいでしょうか。   それでは,まず第4の「7 取締役の責任」につきまして御審議をいただきたいと思います。   まず,(1)につきましては①に(注)がありますが,前回議論が分かれた点についてはこういう形で整理してはどうかということでありますが,いかがでしょうか。 ● 質問なのですけれども,ここで言っている「法令に違反する行為が行われた場合」の「法令違反」の意味なのですけれども,通常言われております善管注意義務違反も当たるのだということになると,すべての場合について該当するということになってくるような気もするのですけれども,そのあたりはどういう解釈だということでしょうか。ないしは明確化を図った方がいいのではないかという気がするのですが。 ● その点は恐らく御議論があるところなのではないかと思うのですね。取締役会決議でおよそ決めて,それで何か行われれば,全部この(注)に入ってくるのだという考え方と,新株発行とか特定のものだけだという……。それは,前回,むしろこの2項・3項は削除するなという御意見の方がどうお考えになっているか,恐らくそれぞれ御意見が違うのではないかと私は思っておりますが,○○委員,何かございますか。 ● 私は,むしろ,こういう限定なしに,現行のままでも対応できるのではないかと考えているわけですから,意見はそもそも①の御提案とは違う立場にいるわけですけれども,せめてこのような(注)の形で御指摘いただいたことは有り難いと思っております。 ● 恐らく,○○委員のお考えだと,○○委員の問題提起については全部入ると。 ● 全部といいますか……。 ● 取締役会決議にかかったことについては……。 ● もちろん,解釈上,取締役会決議で授権された者がその授権の裁量の範囲内で行ったことについて,取締役会が取締役会で決議したことそのものについての責任を直ちに負うということではないと思いますけれども,決議自体の問題を論ずる場合には,すべて入るという解釈になります。 ● 定かではないのですが,私の発言もこの訂正に関係したのではないかと思うので,必ずしも言いたくはないのですが,あえて申しますと,任務懈怠責任の場合には,そのそれぞれの人の状況に応じて,例えば,取締役会決議が善管注意義務に違反する決議だと思われる場合でも,代表取締役ないしは当該担当の取締役とそうではない取締役との間で,任務懈怠と判断されるかどうか,非常に微妙な場合もあると思うのですね。そういうこともあって,たしか前回は,取締役会決議に基づいて任務違反行為が行われたらというような表現があったのを,もう少し法令というか--法令の場合だったら,もちろん過失の有無も状況によって違いますが,基本的にこれは大きな問題がないので--そういう形で少し具体化したらよろしいのではないかという趣旨のことを申し上げたと記憶しているのですが。   この判断自体にも異論はあろうかと思いますけれども,そういう意味で,法令に違反するという形で,しかし,善管注意義務も法令に違反する場合もあり得る。が,しかし,ここで言うのは,そこは適宜,人によって変わるから,そういうことで,それぞれ今後解釈を詰めると。それが○○委員のおっしゃり方だと思うので。   ただ,私が前回このことについて少し意見を申したのは,善管注意義務というのは個々人で違うと。法令違反の場合には,客観的な法令違反というのは一律ですので,そういう形で,(注)についてはそういう表現をした方が分かりやすいのではないかと申しました。結論があいまいで申し訳ないですけれども。 ● この(注)で書いてあることは,あるいは二つの問題が含まれているのかなと思いまして。   一つは,今,○○委員が御指摘になったり,あるいは前に,今日は御欠席ですが○○幹事が御指摘になったように,法令違反--その定義は今議論になっていますけれども--と認められる場合について,任務懈怠かどうかという,立証責任がいわば実質的に転換されるという効果と,○○委員が最初にちょっとおっしゃいましたように,266条2項・3項に該当する意味,いわば因果関係に当たる問題,とにかくそういう決議に加わった以上は,その人の投票によって結果が左右されたとかいうことを特に立証しなくても,その因果関係があると一応推定されるという意味とがあると思うのですが,これは両方含めた問いであるというふうに理解してよろしいのでしょうか。 ● いや,決議に賛成したかどうかに関する任務懈怠は,これはもう,それぞれの人の任務懈怠があるかどうか,あるいは過失があるかどうかという話でありまして,この(注)では,さっきおっしゃった因果関係云々というそこの点だけを言っているのだと私は理解しております。もうちょっとはっきりさせるのであれば,この2項・3項に関する規定を設けなかったとしても,なおかつこの(注)のようなことだと,こういうことだろうと私は理解しているのですが。 ● そうだとすれば,とにかくその趣旨をもっと,少なくとも説明等で明らかにしていただかないと,ただこれだけの問いかけですと,この「特別の取扱い」というのは一体何を意味するのかが,恐らく意見照会を受けた人は分からないと思いますので。 ● 御指摘は誠にそのとおりでございます。ここでは,(1)の項目自体を「任務懈怠責任」と言い切ってしまっているところが第1点目の問題でございまして,それ自体についても--試案に書かせていただくかどうかはちょっと留保させていただきますけれども--御指摘のような問題が分かるような形で……。 ● ただ,それについてもかなり御意見があると思いますから。 ● はい,重々承知しております。委員会等設置会社についての取扱いが,さっとこの辺りを変えてしまっているものですから,そこを改めて御議論いただく必要があるとは思っております。   (注)は,御指摘の第2番目の点を主として念頭に置いているものですが,ただ,法令に違反する行為と書きますと,その点についての理解の違いというのが顕著にあらわれてくるということだろうと思いますので,ちょっと留意したいと思います。 ● 要するに,現在は,決議に賛成したらその行為をなしたものとみなすということなのですが,これを削除するかどうかが問題でありまして,削除するなという御意見は,この(注)にありますように,賛成したことについて何らかの因果関係等において特別な措置が必要であるという御意見だろうと思いましたので,このような(注)になっていると,趣旨はそういうことであります。   もうちょっと分かりやすくするか,あるいは補足説明において詳しく趣旨を説明するかはともかくとして,一応はこういう方向で意見照会をするということについてはよろしいでしょうか。--ありがとうございます。それでは,そういう方向でこれは処理させていただきます。   あと,違法配当責任,(2)でありますけれども,この点につきましては,前回からc案を削ったとかいうことがあります。それから,異議をとどめなかった者についても書き方がちょっと変わっております。この点につきましては,(2)全体を通じて,いかがでしょうか。 ● 本当にこのあたりは難しいところで,御苦労されたことと思いますので,お取りまとめいただきましてありがとうございました。   ○○幹事の方から先ほど特にメンションのありました(注3)でございますけれども,私としましては,これについては現行法どおりでいいのではないかということで,このような意見照会も削除するという御提案の方に賛成だということを申し上げたいと思います。   (2)の全体についてでございますが,このあたり,方向としてはこういう格好で意見照会するということで私も賛成でございますけれども,そもそもの議論の出発点において皆さんの意見のいろいろ分かれているところでございますね。これは取締役の責任全体についてそうでございますので,だから,こういう意見照会の取りまとめで大変御苦労されるということだと思うのですが,この違法配当に係る責任についてもそういうところがございます。したがいまして,特定の立場を前提に記述するということを少し避けぎみにした方が穏当かという程度のことの提案でございます。例えば①の「過失責任化」のところでございますけれども,これにつきましては解釈論としても過失責任だとおっしゃっている方が相当数あったということを前提にいたしますと,無過失責任規定を見直すのだとかいうような表現は避けてもいいのではないかというように思います。同じことなのですけれども,過失責任化といいますか,「過失責任であることを明らかにするものとする」ぐらいのことでもいいのではないかと。これは感想的なことでございます。 ● 御趣旨はよく分かりました。   まあ,「無過失責任と一般に解されている」とか何とかすればよろしいんでしょうかね。   しかし,少なくとも下級審裁判例では無過失責任だともう確定しているのではないかという気もしますけれどね。学説には異論があることは事実ですが。 ● でも,過失責任が有力になってきておりますね。 ● 学説上は有力であることはあれですが,やはり基本的には判例,条文や規定がはっきりしないところはまず判例でいって,それから学説ということになるのではないかと思います。   まあ,確かに表現はもうちょっと緩めた方がいいのかもしれませんが,やはり無過失責任云々ということは出さないと,論点ははっきりしないのではないかという気がしますけれども。 ● まあ,表現のことでございますので,これで結構です。 ● まず,○○委員の前半の部分については私も賛成なのですが,そういう観点からしますと,○○委員は,削除すればとおっしゃったのですが,(注3)を削除しただけだと,これはかえってまずいことになってしまうので,むしろb案の本文を,「取締役会決議の議事録に異議を止めなかった取締役も含める」という文章にできればしていただきたいと思います。 ● 前回の案では,b案は異議をとどめなかった者も含める形だったのですが。 ● ですから,取締役会決議に参加した上で異議をとどめなかった者も含めると。 ● 議事録に異議をとどめない者を賛成したものと推定するという……。 ● はい,それで結構です。そういう趣旨のことです。そういう文章にした方がよろしいのではないかと思います。   あと,さっきの,全体の趣旨を分かりやすくするという点から言いますと,この(2)の②の書き方は,案を書きました事務局にとってはよく分かると思いますし,我々は説明を受けましたので分かりましたけれども,私,前回,やや誤解して質問してしまったのですけれども,そういうふうに初めて読まれた方にはここの趣旨はやや誤解される危険があるので,むしろ,さっきもちょっとおっしゃいました,次の(4)の②のb案のような書き方でこの②も書いていただいた方がこの趣旨がよく分かるのではないかと思います。つまり,「一般の任務懈怠責任に関する規定に加え」,ここですと「商法特例法21条の18と同様の立証責任を転換した特別の規定を設けるものとし」というような書き出しでここは説明していただいた方が,この(2)の②で提起されていることがより明らかになるのではないかと思いますが。 ● 御趣旨は分かりました。   一つの問題点は(注3)の取扱いですけれども,○○委員は,賛成した取締役,b案につきまして,異議をとどめない者については推定すると,はっきり本文の方に入れてしまうという意見ですね。   先ほど○○幹事からも説明がありましたように,それで皆さんが一致されるのであれば,そういう扱いをすることは事務局としては一向に構わないのですが,本当にそれでいいのかちょっと疑いがありましたので。 ● この推定の問題については,私も,○○委員,あるいは○○委員の御意見に賛成でございます。   前回の案ですと,賛成したことと異議をとどめなかったことが両方,直接の責任原因になってしまうということですから。ところが,賛成した場合は実体的な責任判断の対象になると思うのですけれども,異議をとどめなかったというのは,これは文書の外形上の問題ですから,それを直接責任の原因にしますと,禁反言を直接認めたような形になってしまうことになりまして,やはり異議をとどめなかった場合には反証を許すというのが穏当ではないかなという気持ちがいたしますので,推定にとどめる方がよろしいのではないかというふうに思っております。 ● 書きぶりの問題だと思うのですけれども,今の○○委員の御指摘というのは,結局,現行の推定についてはこの(注3)の書きぶりではまずいのか……。というのも,このa案,b案というのは,分配額に係る弁済責任を負うべき者の範囲という形で,その範囲は,賛成した取締役ということで決めているわけですね。そして,その賛成したということの推定をどう取り扱うかということの問題が,正に今の266条3項の問題なので,この(注3)における「なお検討する」という中には,当然,現行を維持するという考え方,それから,前回,○○委員から御指摘があったように,果たしてこのような推定規定が要るのか要らないのかという問題提起がございましたものですから,それを含めた形で(注3)に掲げているということなので,本文のb案に入れるというのは,ちょっとレベルが違ってくる話かなと思うのですが。 ● 「なお検討する」を現行法と同じにすると書けば,○○委員はよろしいわけですね。 ● そうです。「なお検討する」の意味が非常に問題になっているものですから,むしろそれをいわば本則の考え方として提案してほしいというだけのことであります。 ● (1)の任務懈怠責任について,「266条2項・3項に相当する規定は設けない」というのもありますので,ここにも影響してくるかと思いますので,ですから,266条3項に相当する規定は,現行と同じ趣旨の規定を,責任についての通則的な形で入れるということでよろしいのではないかなというふうに思うのですが。 ● それは,(1)についても3項は残すというような御意見かと思うのですが,それは考えられないではないような気もするのですが。 ● 私がずっと申し上げておりますのもそういう趣旨でございまして,要するに,現行の2項・3項をそのまま残せばそれでよいのではないかというだけのことです。 ● 2項をおっしゃっているわけですか。 ● 2項はともかく,3項についてですね。 ● (1)の①は,確かに2項と3項は分けて考えられないわけではないと私も思います。○○委員のように2項を残すべきだとは私は考えておりませんけれども。それは繰り返し言っておりますが。 ● (注3)について確認します。○○委員も,別に本文に入れるということを強調されるのではなくて,(注3)の「なお検討する」がきちっとなればそれでよいという前提でいいわけですね。   私も,それで少なくとも2項と3項は異質のものですので,2項はみなし規定で,やや強引な,責任を実質付加するもので,3項は単なる推定規定ですので,この規定がなくても事実上推定されるだろうし,そして,ほとんどこのコンテクストで事実上の推定も法理上の推定も変わらないと思いますので,私はどちらでもいい派ですので,そういう形できちっとした方がいいとおっしゃるなら,(注3)の「なお検討する」をもう少しはっきりした形でされたらすっきりするのかなという気がいたしますが。 ● 前回そういう御議論があったので,「なお検討する」になっているのだと思うのですね。3項は当たり前ではないかと,事実上の推定は当然あるのだと,最後にどうせ決をとらないのだから賛成したのかどうか分からないのではないかとか何とかいう議論があって,両説あったように思いましたので,事務局はこうしたのだと思うのですが,皆さんが,少なくともこの点については現行のままの規定でいいのだということでありますと,それでもいいと思いますが,いいですか。 ● いや,形で申し上げただけです。 ● では,この(注3)の「なお検討する」は,現行法どおりとするという趣旨に直して意見照会すると。   それから,○○委員がおっしゃった(1)の任務懈怠の方も,3項については別途考えられるのではないかという点は,事務局はどういうふうに……。 ● 一般則としてですか。 ● およそ分配責任だけではなくて,要するに取締役会決議で何かしたというときについては,とにかく異議をとどめていなければ,その決議には一応賛成したのだと推定すると。 ● (1)についてそのような取扱いをするかどうかは,正に(1)の①の(注)をどうするかにかかっておりますので,それ次第だろうと思います。(1)も含めて,責任に関して一般的に異議をとどめない者を賛成したものと推定すべきであるという規律がそろうのであれば,何か責任の一般則的なものとして法制的に整理することはあり得るかもしれませんが,(1)の①の(注)の扱いいかんによっては,特別の場合にだけ断ればいい規定になりますので。 ● (注)を検討してからまた御検討いただくということで結構ですけれども。 ● それでは,○○委員が御指摘の点については,(1)については(注)の問題だということで,一応このままということにさせていただきます。   それから,○○委員の,(4)の立証責任云々ということにしてはどうかという御意見ですが,私は,(4)については,立証責任云々とはっきり書くと,恐らく○○委員から御異論があるのではないかという気もしておりますので,ちょっと留保させていただいて。 ● とにかく,ここで提起している問題の趣旨がもう少し明らかになるように書いていただければ有り難いということです。 ● なおこの後で御議論いただきたいと思います。 ● 形式的な質問です。これは「違法配当に係る責任」と書いているのですけれども,「違法配当」,「違法分配」,そのあたりの言葉,最初の方でも出てくるのですけれども,配当規制としての資本金と出てくるのですけれども,分配という概念に全体を変えていく中で,そのあたりの用語を統一するのか,形式面ですけれども,お考えいただければと思います。 ● そうですね。(2)の柱書きといいますか,(2)に「違法配当」と書いてある,これが問題なわけですね。 ● そうですね。 ● これはちょっと訂正漏れかもしれません。   ほかに,(2)については御意見ありますでしょうか。--よろしいですか。   ○○委員が御指摘の点は,(4)に関連してまた御議論いただきます。 ● ○○委員の質問と,それに対する○○委員のお答えの確認ですが,この違法配当を,次に議論される自己株取得,買受けも含めて,自己株についてもこの(2)の責任を負わすという前提で……。それは今はちょっと違うようになっていると思うのですね。もちろん法令違反の責任は出ますが,少なくとも266条1項の責任はないと。あるという一部有力説もありますが,多くは,ないとしている。しかし,こういう剰余金の分配という形で配当と自己株買受けを統一的にすると,ここに入れてもいいし,まあ過失責任化されたらそれでいいのかなという気もしますが,これは単に言葉の修正ではなくて,確認はする必要があるかなと思ったのですが。異論があるわけではないのですが,現行法と違うという意味で。 ● おっしゃるとおりだと思います。問題は確かにあると思います。   しかし,こう書くと自己株買受けも入ってくるのですか。 ● 私も,恐らく過失責任化されたからそれでいいんだろうとは思うので,先ほど,異論はないと言ったのですが,ちょっと確認だけはしていただいた方がと。 ● ただ,それこそ証明責任は変わってくるかもしれないですよね。 ● この試案の趣旨は正に御指摘のとおりでございますので,誤解のないような形で意見照会させていただきたいと思います。 ● それでは,(2)はこういうことでよろしいでしょうか。   次は(3)の点でありますが,これは,①については,「現行制度を改め……」等,趣旨をはっきりさせたということでありますが,いかがでしょうか。 ● 私は,中身としては現行制度の方がいいと思いますが,このような形で,「なお検討する」という格好で意見照会をされるということであれば,それで結構でございますが,ほんの小さなことですけれども,表現で,「取締役が負うべき事後的なてん補責任を負うべき場合」というのは,ちょっと「負うべき」がくどいのではないかというように思いました。 ● 異議なし。 ● 御指摘ありがとうございました。   「取締役が事後的な……」でいいんですかね。ちょっと検討させていただきますが,御指摘はそのとおりだと思います。   ほかに,(3)につきましてはよろしいですか。   それでは(4)でありますが,①につきましては,ちょっと表現が変わったということでありますけれども,いかがでしょうか。特に(注)の部分で表現が若干変わっているということですが。 ● 本当にこのあたりのところが難しいことは,私もどうしたらいいのかちょっとよく分からなくて,今週末といいますか,次の連休に学会でも報告しなくてはならなくて,困りかえっているというのが実情でございますが,取りまとめの皆さん方も大変かと思います。   ここまで整理していただいたのですが,なおも,この全体を通じてでございますけれども,何をどう変えようとしているのかということについて,一読された方がすっと頭に入るということでも必ずしもないような気もするのですね。途中の,どういう解釈を前提にしているのかとか,そういうことをもう少し捨象してしまった形で,幾つかの結論的に,こういう立法についての提案をしているのだということだけを前面にもう少しクリアに出すような,そういう工夫が何とかできないものか。例えて言うならば,利益相反取引について,②のa案ということは,要するに何ら特別な規定を設けないというこれだけの趣旨なのではないでしょうか。 ● はい,そうです。 ● だったら,そのように書いた方が分かりやすい。意見照会する選択肢として,何ら特別の規定を設けないというのが一つの選択肢,それからもう一つの選択肢が,商法特例法21条の21と同様の規定を置き,かつ--私,ここをそうした場合の最大の効果は,③のロとドッキングさせたときに一番大きな効果があるのではないかと思うのですが,そうだとするならば,そこのところをワンセットにして,こういう効果を持たせるものとしてのオプションが一つとか,それから,利益を本当に得た取締役,直接間接に得た取締役についてだけは無過失責任とするとか,そういう幾つかの選択肢にもう一段と整理して聞いた方が,聞かれた方は助かるのではないかという印象を持つのですけれども,ではやってみろと言われたら,どうしていいかよくわからないぐらい私も困りかえっておりますので,強く申し上げるわけではございません。 ● ①については,皆さん,よろしいでしょうか。①の(注1),(注2)はちょっと表現が変わっているのですが,この点はよろしいですか。主な論点は②以降であることは承知しておりますので,もし①についてこれでよければ,②の御意見をいただくのですが,よろしいですか。 ● それで結構でございます。私がなぜ今の段階で申し上げたかといいますと,①,②,③という区別すらもう一度整理し直すという提案だったものですから,この段階で申し上げたということです。 ● 論理的には,やはり①につきましては,これも多くは無過失責任だと言っておりますので,一応はこう書くのが分かりやすいのではないかと思いますが。   一応,①はよろしいですか。   ②につきましては,おっしゃるように③のロにも関係はあるのですが,○○委員は,先ほど,要するにb案が非常に分かりやすいということをおっしゃったわけで。   いかがでしょうか。少なくとも前回いろいろ議論がありました,分かりにくいという点については,これで分かりやすくなったのでしょうか。 ● 前回よりは随分,御努力いただいた甲斐があったように思います。 ● 先ほどの○○委員の論点はどうですかね。b案は,確かに(2)の違法分配,違法配当の書き方とちょっと違うことは確かですね。 ● なぜ違うかと申しますと,利益相反取引の方は任務懈怠責任であるというところからスタートしておりますので,いわゆる一般の任務懈怠責任的な規定とは別に特別の規定を設けるかどうかという話をしているから,こういう書きぶりにしていると。   ところが,違法配当の方は,いわゆる特別の,この間も議論がありましたけれども,任務懈怠責任とは性質の異なる,全く違う責任であるというふうな整理をしておりますので,そうである以上は,一般の任務懈怠責任との関係みたいなものを特段書かずに,こういう,責任を負うべき者の範囲というタイトルで整理をしているという違いが,この構成の違いになっているわけなのですけれども。 ● ただ,もっと違うわけですから,はっきり違うと書いた方がより分かりやすいのではないかと。   御趣旨は分かったのですけれども,ただ,そういう前提の予備知識なしに読みますと,一般の任務懈怠責任と,この従来の266条1項1号を受け継いだ(2)の②の規定との関係がどうなっているのかというのがすぐに理解していただけるかどうか,ちょっと心配なところもありますので,どうせはっきり違うなら,やはり,違う特別の責任の規定だということを入れていただいた方がはっきりするのではないかということだけであります。 ● 恐らく○○委員の御意見は,(2)については,①の過失責任化のところにもうちょっと詳しく,商法特例法21条の幾つと同様,立証責任を転換した云々と書けば,御趣旨は満たされるのですかね。それならば別に問題はないような気もしますが。 ● (2)や(3)が任務懈怠責任とは全く別の責任だということが分かるような形で,(前注)か何かを工夫してみたいと思います。 ● 一般の任務懈怠責任はある,その上に更につけ加わった特殊な責任だということが分かれば,それで結構だと思います。 ● 確かに,(2)は,損害賠償責任ではないというのが出発点ですから。事務局はそういうことで整理しているのだろうと思いますが。   御趣旨は分かりましたので,文言はまた検討させていただきます。   ほかに御意見いかがでしょうか。(4)の②以降につきましては。②,③,④の部分でありますが。   ○○委員からは,なお一層の整理をという御意見がありましたが,ほかの方はいかがでしょうか。何か具体的な御提案があれば。   ②はこれでよろしいですか。   ②の(注)は,「なお検討する」はさっきと同じですね。 ● ここは全部そうさせていただきます。 ● ここは機械的に直るわけですね。   ほかの点はよろしいですか,②。   a案の「一般の任務懈怠責任と区別しない」というのは表現を変えた方がいいというのが○○委員の御意見でしたが,どうですかね。趣旨はおっしゃるとおりなのですけれども。規定を設けない……。ただ,設けないという方が分かりやすいのか,それとも現在のような案が分かりやすいのか。私は,a案で規定を設けないと言ったら,分からない人はますます分からないのではないかという気はするのですが。 ● 少なくとも266条1項3号・4号に当たる規定は設けないというふうにするとか,削除するとか,そういうことは書く方がいいのではないでしょうか。この②のところでは。ここは,今の266条の1項3号・4号に当たる規定は設けないという意味ですよね。前の委員会等設置会社のときも,結局,それに当たる規定は設けないというふうに書かれていたような気がしたのですけれども。 ● それは,任務懈怠責任と区別しないという文言は外すのですか。 ● いやいや。それは残して。つまり,それイコール今まである規定を削除するのだということですから,やはりそれは書いておいた方が,現行法とは違う立場をとるのだということなので,よろしいのではないかと思います。 ● ○○委員の御意見も,そういうことだとよろしいのですか。 ● そうですね。 ● では,その趣旨を加えると。どういう形で加えるのがいいか,私はちょっと分かりませんが,本文に書くのか,(注)に書くのか,あるいは別のところに書くのかは知りませんが,a案はそういう趣旨だということを書く。 ● 趣旨は私も同じなのですけれども,ここで言う「一般の任務懈怠責任」という意味が,これは恐らくは,7の(1)の①をとるということであるとすると,むしろこちらの方を括弧か何かで引用する,あるいは括弧なしで引用した方がいいのではないかなと。ここで言われている「一般の任務懈怠責任」というのは,もう変える趣旨で考えた任務懈怠責任だという意味だと思いますので,そういう表現にした方がいいのではないか。 ● おっしゃるとおり,(1)のを指していることは明らかなのですが。   それでは,その点も含めまして,なお分かりやすい表現を考えてもらうことにいたしたいと思います。 ● 266条1項3号・4号の--今,○○幹事が整理してくださったのですが--1項3号につきまして,私はかねてよりこれは残した方がいいのではないかという意見を申し上げてきましたが,今回,①の(注2)で,ここのところについても表現をひょっとしたら改めるということになるのかもしれませんが,削除するという方向での御提案かと思いますが,「なお検討する」ぐらいの表現にしていただければうれしいと思います。 ● この点はいかがですかね。金銭貸付けだけについてはやはり利益相反取引の中に残すという御意見だと思うのですが,実質的にいかがでしょうか。ほかの委員の方は。   ①の(注2)ですよね。 ● そうですね。連帯責任と同じような意味を持たせるということですね。それが現行法の趣旨で,それを残した方がいいのではないかということです。 ● それは無過失責任という形でですか。 ● そうですね。 ● 現行法と同じ,保証人としての責任を維持するという御意見。 ● 今,○○委員がおっしゃられたことは,委員会等設置会社を作るときに,当時の会社法部会でも御議論いただいたと記憶しているのですけれども,過失責任化する以上は,貸付けだけを無過失責任という形にするのはバランスがとれないというのが大方の御意見で,一時は貸付責任だけ別にするという議論もあったと思いますけれども,委員会等設置会社についてはそういうことで一本化するということにされたわけですので,そのラインから言うと,やはりこの原案のようなものになるのではないかと思うのですけれども。 ● ○○委員の立法論的な御見解は分かったのですが,ほかの委員の方,いかがでしょうか。 ● いずれにしましても,まだ大半の会社につきましては266条1項3号があるわけですから,それを今回改めてなくそうということで提案しているのだということははっきりさせた方が,意見照会としてはいいのではないかと思います。 ● いかがでしょうか。   確かに,委員会等設置会社以外についてもこういうことになるということなのですが,この(注2)の表現を現在のような形にするかどうかについてはなお検討するということにするかどうかということにつきましては,恐らく多数の方は,この原案のようなことでいいのではないかとというお考えではないかと思うのですが。   よろしいですか。 ● それは少数意見が通らないのは当たり前のことでございますから。 ● それでは,③はいかがでしょうか。 ● ②にも若干関連して,③の理解の仕方にかかわるのですが,「利益相反取引に係る責任」という形で(4)にくくっているのは,取締役会の承認を受けたにもかかわらず当該行為から損害が発生した場合というふうに限定して考えておられるのか,それとも,承認の有無を問わず利益相反取引一般について議論されているのか,そこのところを明確にしていただかないと,③のところでむしろ逆転してしまったりとか,どちらの方が重いのかということの議論が出てきてしまいかねませんので,現在,委員会等設置会社,21条の21では,承認を受けた取引についてということを前提にして規定しているわけですが,今回のこの御提案は,承認の有無について分ける御趣旨なのか,分けない御趣旨なのか,教えていただければと思いますけれども。 ● a案は,取締役会の承認を得ているか得ていないかということについて法制的に区別するものではないわけです。b案につきましては,これは商法特例法21条の21と同様のものでございます。今現在は,取締役会の承認を得た場合についての規定が21条の21で,得ていない場合は一般の任務懈怠責任でというのが委員会等設置会社についての仕切りになっておりますので,それと同様の形にするというのが,このb案の考え方でございます。 ● どうもありがとうございました。 ● 趣旨はそういうことのようです。   ほかに,この(4)につきましては御意見ありませんでしょうか。--よろしいですか。   それでは,(5),利益供与でありますが,ここも機械的に直るところはありますが,(5)についてはよろしいでしょうか。--よろしいですか。   この取締役の責任については以上なのですが。 ● 最後の詰めのところで少し整理をいただきたいというお願いですが,7の(前注)では,委員会等設置会社の場合との間の不整合等もありまして,それを,この前の国会の委員会の附帯決議を前提に調整を図るという形で,したがって,しばしば委員会等設置会社の関連規定を準用しながら,その場合と同様にとかやられているので,それはいいのですが,しかし,幾つかの点,とりわけ先ほど○○委員が言及されました(2)の違法配当なんかは,委員会等設置会社についても変わるかもわからないし,そこら辺をきちっと(注)で過不足のないように,どれがどうなのか,今,さっとは言えませんが,二十何日までですか,に少し整理していただければ有り難いと思います。 ● 御注意ありがとうございました。   ほかにありませんでしょうか。--よろしいですか。   それでは,もう一つの重要問題に移らせていただきまして,第5の4であります。   まず,(前注)が二つついたということでありますが,これにつきましてはいかがでしょうか。 ● 質問を一つさせていただきたいのですが,この(前注2)と(1)を読み比べると,結局これは,委員会等設置会社についても監査委員会の適法意見が付されていなくてもよいというふうに変えるという御趣旨でしょうか。この(1)と(前注2)を組み合わせると。 ● 済みません,文章が足りないところがあって,ここで会計監査人について言っていることは,まず基本的には会計監査人の適法意見があることが大前提で,あと,(注2)のところにありますけれども,別途,会計監査人の機関設計いかんの議論がございますので,それを踏まえないといけないということ……。ちょっと文章の都合上抜けているだけでありますので,殊更に監査役会若しくは監査委員会の適法意見がない場合を念頭に置いたものではありませんので,書きぶりは工夫したいと思います。 ● つまり,そこは要件としてあえて外そうというわけではない。 ● ええ。それを絶対にしてしまうと,(注2)みたいなことで,監査役がいないとか,監査役会がないとかいう場合はどうするかという問題がまた出てきますので。   済みません,そこはちょっと整理をさせていただきます。 ● 確かに,その点は断らないと。まあ,別途説明書がつきますので。   (前注)以外の中に入ってよろしいでしょうか。   そうしますと,(1),(2)についてはいかがでしょうか。これは,前回から非常に大きく実質が変わったというわけではないのですね。(1),(2)につきましては。 ● (1)もさることながら,(1)と(3)の関係がちょっと私の中で混乱しておりまして,特に(3)がよく理解できないものですから,それで困ってしまうのですが,一応(1)の限りで言いますと,この御提案は,取締役の任期が1年でない場合であってもよいと,つまり,定時総会において何の議題もないような総会があるということを前提とした御提案ということでございますか。 ● (4)がありますので,報酬等についてはあるということではないでしょうか,原案は。 ● ああ。逆に。   このあたり,関連するんですよね。どこでどういう選択肢をとるかによって……。 ● もし(4)が違うあれになると,決議はないという可能性が出てきます。(2)の(前注)にちょっと書いてありますけれども,計算書類等の報告をする総会ということになる可能性も全くないわけではない。ですから,それは正に実質にかかわる話です。   一応よろしいでしょうか。もしまた問題が出てくれば,戻っていただくことにして,前回非常に問題があったのは(3)と(4)だったと思いますので,(3),(4)の御議論をいただきたいと思いますが。   (3)につきましては,前回,配当議題追加請求権なるものにつきましては,表が見にくいということもありまして,かなり議論が混乱したのですが,まあこのような形になったと。   前回,たしか○○幹事から御指摘がありましたので,a案については(注)もついている。つまり,定款で特に総会議題にするということを決められるのかどうかという問題があるのではないかという御指摘がありましたので,こういうことになっているわけですが,要するに,利益処分について取締役会限りで決められますので,それに対して株主はもう何も言えないのかという,そこから問題が出てきていて,配当議題追加請求権なるものが提起されていると。それで,それの扱いということでありますが。 ● この(3),(4)についても共通するかと思うのですけれども,そもそもの前提として,株主たちは定款変更について株主総会に提案できるということが,これまでの理解ですと,一応前提となっているわけでございますね。   そうしますと,その定款変更を提案しつつ,配当についての提案もできるということで,皆,そのように理解して運用するだろう,それは委員会等設置会社についてもそうであろうというふうに私などは思うわけですが,今回のこの(3)につきましても(4)につきましても,そこを否定しようという趣旨の御提案に,部分的にといいますか,相当部分,なっているわけですね。   そうすると,そういう形で提案をしていくのかどうかということからまず議論をする必要はないのでしょうかということについて,先回もその点に少し私触れていたと思いますが,引き続きその疑問を持っているわけでございます。 ● 委員会等設置会社がどうなのかということにつきましては,ちょっとよく分からないところがありまして。この(3)の(後注)というのがついていまして,「現在の委員会等設置会社は,a案又はb案と同様の取扱いとなっている」というのですが,b案はそうかなと。a案と(a案注)については,これは確かに現在の委員会等設置会社について解釈上争いがあり得るところだと思うのですが,b案というのは考えられますかね,現在の委員会等設置会社で。 ● ただし,委員会等設置会社につきまして,その委員会等設置会社の中での定款変更の限度というものを御懸念になって御議論されていると思うのですが,委員会等設置会社になるかどうかは実際に定款で決めることですから,これを変えたいという提案もできるわけでございますので,いずれにしましても,株主たちが配当議題を審議せよと提案権を行使して言ってくるのを妨げるという立法提案をしていくことは,やはりかなり難しいことなのではないか,あるいは,今までの理解を前提にしますと,適切なことではないのではないかというように私は思いまして,むしろその逆に,提案権の行使要件でもってすれば,今,放っておいても配当議題追加請求権は一応実質的に行使できるということを前提に,しかし,機動的に取締役会の方で配当等を決めることができるという提案をしていくのだという格好で今回の改正に全体的に臨んだ方が,スムーズでもあるだろうし,皆さんにも納得していただきやすい方法なのではないかというふうに,まず根本のところからそう思うわけです。 ● 株主が委員会等設置会社であることをやめようという提案をできることは確かなのですが,しかし,委員会等設置会社でありながら配当議題追加請求権というものを認めるか認めないかは,また一つ議論はあり得るところだと思うのですね。少なくとも論理的には議論はある。もう委員会等設置会社である以上はすべて剰余金の分配は取締役の決定だということは,それは論理的にはそういうチョイスがあり得ると思いますので,聞かないわけにはいかないのではないかと私は思うのですが。 ● 私も○○委員の意見と同趣旨でありまして,これは株主総会と取締役会の権限をどう分けるかという問題だと思うのですね。   したがって,株主総会で,定款で決めれば,どんどん取締役会の権限を奪えるというか,総会に移せるという,いわば株主総会万能的な,最高の機関というふうに位置づける考え方はもちろんあるわけですけれども,逆に,もう株主総会と取締役会は権限の所在をはっきりさせて,そういう意味では,株主総会といえども取締役会に与えられた権限は奪えないという具合にはっきり権限を分けていこうという考え方も他方あり得るわけで,恐らく後者の考え方に立脚して,この案,少なくともa案とかそういうものが考えられているのではないかなと。   そういう意味で,○○委員が言われたことは,そういう権限の分配がはっきりしていてという考え方に立脚している,そういう考え方も論理的にあり得ると,こう言われたのだけれども,だから,そういう考え方に基づいているというふうに考えれば,必ずしもこの提案の仕方で,私はそう違和感はないなというふうに思いますが。 ● 私も,今御指摘の点の解釈についてはいろいろあり得ると思うのですね。しかし,たとえそう解釈したところで,委員会等設置会社について,委員会設置会社であることをやめようという定款変更の提案をできないということはできませんね。 ● それはもちろんですよ。それはできません。 ● そうした上で,だから株主総会でもって配当を決めるという提案がなされたときに,それをだめだというふうに言うことができるのか。要するに,株主総会は万能ではないということにもう既にしてきているわけでございますけれども,少なくとも最高の機関であるということは言ってきた。その解釈の延長線上でもって,定款変更についての提案は株主たちはできるという解釈が定着しているわけですから,それを変更するという提案をするならするで,そこを変えるのだという前提で書かなければやはりいけないのではないかと思います。 ● 正に現行の解釈がいろいろですので……。例えば,株主総会で代表取締役を選任できるかという議論がありますよね。あれと似た面があるのですね,委員会等設置会社になった場合に株主は配当議題追加請求権を持っているかということはですね。 ● 本件の場合は,いずれにいたしましても,委員会等設置会社についても,定款に書かなければ株主総会で決めなければならないというふうに今度変えるわけですから,それのコンテクストで考えた場合においては,委員会等設置会社においても,その他の会社においても,配当を株主総会事項にするかどうかは定款自治であるという前提に立ちますと,その定款の削除を求めてくる,取締役会で決定できるということの削除を求めてくるということは総会事項になる。これは,300単位でしたか,1%何とかで,少数でいつでもできる話で,それを停止条件にして議題を追加していけばいいわけです。   ここで書かれているところというのは,株主の権利というのを削減する方向で逆に考えているのではないかと,私もかねてよりそう思っているものですから,そこは正に○○委員と同じ感想を持つわけであります。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。   しかし,質問としては,やはりa案を出さざるを得ないのではないかという気が私はいたしますが。a案の実質について賛成するかどうかは別にして,一応,意見照会としてはせざるを得ないのではないかと思いますが。 ● ですから,意見照会をする場合に,これは現行法よりも規制の強化になっていて,自治を認めない方向での提案なのだということは……。 ● その点が,○○幹事が前回御指摘のように,どうだかよく分からないのですね。   (後注)についてもうちょっと御審議いただければと思うのですが,いかがでしょうか。   恐らく,(a案注)というのが,○○幹事が前回言われた,これが現行法ではないかという考え方ですよね。確かに,皆さん,そうお考え,恐らくそれが多数説なのではないかと思います。そして,それがそうだという前提に立ちますと,もし,a案の本文というのが,およそ定款自治を認めないのだと,すべて取締役会に権限が専属するのだという,先ほど○○委員が言われたようなことだとすると,現在の多数説に比べると確かに株主の権限を制限する案ですね。しかし,そういう案は論理的にはあり得ると思うのですよね。それを聞かないかどうかというチョイスでありまして。 ● 私も多数説がどちらかは分からないのですけれども,委員会等設置会社をつくったときには,やはりアメリカの会社のガバナンスをモデルにしてつくったわけでありまして,いわばワンセットでそういったタイプのものを採用するか,あるいは従来型の日本のガバナンスを残すかを各会社に任せようと。   それで,アメリカのタイプをとった場合を考えますと,アメリカの場合は,御存じのように,株主総会の決議の対象にできるかは,プロパー・パーパスに当たるかどうかという基準で決められて,こういう利益処分等はプロパー・パーパスに当たらないというのがアメリカの一般的な理解だと思うのですね。いわば,業務執行というのは本来取締役会に専属しているということを前提にした制度でありますので,ですから,もし委員会等設置会社のようなものをとった場合には,それと同じような考え方でいくというようなことも十分考えられるし,私は,むしろそうではないかと思っていたのですけれども。   ですから,私は,むしろb案が現行法と同じというのはそうかなという気がしておりまして,少なくともa案のような問いかけを出すということ自体が現行法からの株主の権限の縮減になるとか,特にそういうふうに考える必要はなくて,やはりこれは聞いていいのではないかなというふうに思います。 ● 「現在の委員会等設置会社は,a案又はb案と同様の取扱いとなっている」というのは,私は,b案というのはちょっとおかしいのではないかという気がしているのですが。もし現行法が(a案注)であれば,b案というのは,何かそれを逆にするのですか。そういう考え方はありますかね。 ● ○○委員のおっしゃるように,アメリカ法は正におっしゃるとおりだと思うのですね。それを日本法に部分的に移植したときに,どのようにうまく周りと整合的におさめるかという問題だろうと思うのです。   日本法は,やはり戦前ドイツから学んだものがベースになっておりますので,株主総会は最高かつ万能であったのを,やはり万能では動かないだろうということで直しましたが,しかし最高ではあるということで来ている。そこに,定款でもって委員会等設置会社を選択できるというものを入れたわけですから,やはりおさめ方としては,アメリカのものを,ここだけ,アメリカの世界なんだから日本法は一切介入するなというわけにはいかない。やはり定款によってそういうものを採用するものとして,このこと自体を日本法の中におさめなければいけないような話なのではないかと思いますし。 ● 御趣旨は分かりますが,ただ,やはり,ある制度というのは一つの論理的な体系の上に立っているわけですので,委員会等設置会社の場合は,そういうアメリカ法的な考え方,業務執行というのは取締役会に専属して,そしてそこから執行役が委任されて行うのだということで作って,それによってうまく機能するようになっている。   ですから,あとは,委員会等設置会社のようなシステムをとるか,あるいは伝統的な,株主総会が最高の機関としてかなりの権限を持っている,現行法の232条ノ10の規定を前提にしているシステムでいくかということで,私は,恐らく委員会等設置会社をとった場合は株主総会の権限がある程度限定されると。解釈としてですね。委員会等設置会社の趣旨に反しない限度でしか株主総会の権限が残らないというか,ある面,委員会等設置会社の趣旨に抵触する部分については,株主総会であっても自由に決めることは,定款によってもできないというふうに変わっているのではないかというふうに思いますが。 ● 今,現行の委員会等設置会社でどういうふうに解釈するかということについて見解が分かれているような感じなのですが,しかし,今,我々がここで議論しているのは,新しい会社法の中身をどうするかという話なのであって,その場合の選択肢として,取締役会に権限を専属させるというのは一つの選択肢としては考え得る選択肢なのであって,それを入れることは問題ないであろうし,それは委員会等設置会社の現在の解釈がどうかということとはかかわりなく,そこと結びつけるようなふうにとらえる必要はないのではないかと。この選択肢の出し方として,権限専属という考え方も一つ出す。それから,その権限が専属しないで,株主総会で定款で取り扱うというふうにすれば,それは定款自治の範囲内に入れるというのも一つの考え方ですから,そこはやはり,考え方を出すという整理でいかざるを得ないのではないか。今,ここで議論は確かにあって,これは見解が分かれていることなのでしょうから,もう一つ,ここは新しい提案の選択肢という視点から見て整理したらいいのではないかというふうに思います。 ● では,こういうことではどうでしょうか。   この(後注)はちょっと議論がありますので,これはもう消しまして,解説に,どうも多数説は(a案注)のようなものらしい,だから,a案はそれよりも取締役会の権限を強めるといいますか,多数説よりは総会権限を狭めるということになると,そういう趣旨の提案であるということははっきり書きまして,意見照会はそういう形で出すということではいかがでしょうか。 ● 意見照会でございますので,幾つかの選択肢を,余り解釈論のいかんにかかわらない形で,客観的に出されるということで結構だと思うのですけれども,株主は配当議題追加請求権,今の提案権と同じ条件でもって有するという明確な選択肢を一つつけ加えたらよいのではないかと思います。 ● 配当議題追加請求権は,この本文に出ているのは,提案権と同じ要件が前提なのではないですか。(d案注)に,それよりも制限した形でのみ認めると。 ● つまり,まともに株主が配当議題追加請求権を有するということを明示する選択肢がないわけですね,今。 ● 有しない旨を定款で定められるという規定は,定めなければ有しているということですから。 ● ああ,そういう意味ですか。 ● ですから,明確に有しないと言っているのはa案だけで,b案以降は,有しているけれども,それを制限できるか,どういう要件の上に制限できるかという案になっているわけですから,数としては,有している案の方が圧倒的に多いわけです。 ● かつ,原則は株主提案権と同じ要件だということで書いてあるのだと思います。それで,それよりももうちょっと制限しようというのが(d案注)なんだと思います。 ● ですから,今,提案権を有しているものを制限する案はいろいろありますが,制限しない案があっていいのではないかということで申し上げているのです。 ● 定款でも制限できないという案を作るべきだと。 ● はい。 ● それも論理的には確かにあり得る案ですので。 ● ちょっと議論が分からなかったのでお聞きしていたのですが,要するに,○○委員がおっしゃいましたように,この(3)は,(1)を前提にするわけですね。こういう新しい制度をつくろうと。これは,(前注1)にありますように,そういう選択肢も非常に合理的なもので,(1)を選択したときに,これは基本的にもう剰余金の分配は取締役会の権限だと一応法定するけれども,株主の利益のその意味での復元のために何らかの追加提案権を認めようかと,こういう論理構成になると思うのですね。そして,そこのところで,現在の委員会等設置会社がどうなのかという議論もあってややこしくなって,私も一言言いたいなと思ったのですが,これもまた論文で書けということになるでしょうから,ここでは申しませんが,ともかく,そういう意味からすると,私は,それこそa案とは別な意味で,論理的に○○委員のおっしゃるようなことはありますが,提案としてはちょっと違和感があるので。強く言われたら,第4の案として,完全にこれについての提案権を認めるべきだと,定款でも一切制限できないのだという選択肢を入れることは別にいいのですが,(1)との関連で何か違和感があるというのが第1点です。   これは意見を聞くのですから,いろいろな選択肢があっていいと言われれば反論しないのですが,ただ,いろいろな意見を聞くにしても,こういうのは大体三つか四つに収斂させるのが合理的で,○○委員の案は別にしましても,例えば,今度は今の議論をちょっと離れることになるかもわからないのですが,b,c案は一つの案とその(注)で,まあ,c案にも(注)があるから困るのですが,c案をb案の(注)にしてもよさそうなもので,それからe,f案をd案の(注)にしてもよさそうなもので,少なくとも,この提案をa,b,dにして,cとe,fはそれぞれ(注)にして,三つ提案されて,三つの中にも少し細かな選択肢があるぞという形の方向をまずお考えいただかないと。それにあと1案というと,何かわけが分からないなという感じがいたしますので,○○委員の案を入れるか入れないかは,私はニュートラル,まあ入れんでもいいのではないかと思いますが,強くは反対しませんが,この案についてもちょっと整理してほしいと,御検討をお願いいたします。 ● おっしゃるとおりだと思います。b案,c案は整理できると私も思っております。d案,e案も一つに整理できると思っております。 ● 整理する意味で,このb,cとd,eの,cの中の社外取締役云々と,こういう意味のないことを書くからこうふえてくるのであって,c案,e案はそのままばっさりと削れば,それで(注)も要らなくなるわけですから,どういう要件を課すかぐらいにしておいて。社外取締役をまた要求するということになってくると,また経済界挙げてのむしろ旗ということになってくるものですから。 ● まあ,これも意見があるところですので。 ● まず,実質的には今の○○委員の御意見とはちょっと反対の立場でありますけれども,それとは別に,a案からf案まで多過ぎるというのは全く御指摘のとおりだと思うのですが,その多過ぎる云々を別にしまして,どうもちょっと分かりづらいというのですか,特に一般の方々にはなかなか理解できないのではないかと思います。私もよく理解できなかったのですが。   それで,なぜかということを考えておりましたら,どうも委員会等設置会社と監査役設置会社を無理にここで一緒に扱おうとしているのが分かりづらくなっている原因ではないかということで,例えば,それにこだわらないとすれば,つまり従来の議論の流れを素直に追っていくとすれば,まず,委員会等設置会社についてはその二つの選択肢があると。要するにa案ですね,株主は配当議題追加請求権をおよそ有しないというのと,定款でそれを緩めるといいますか,追加請求権を認めることができるというのと,二つ挙げまして,次に,それ以外の会社については原則として配当議題追加請求権があるのだということをちゃんと書いた上で,どういう条件があればそれを定款で制限できるのかという書き方をすると,非常にすっと入るような気がして。ここに書いてあることは要するにそういうことだと思うのですね。   それから,私は,個人的には,社外取締役の要件というのは,少なくとも聞くだけは聞いた方がいいなというふうに思っております。 ● この(3)の柱書きの括弧の中を読み込むと,この御提案というのは,委員会等設置会社ではなく,かつ取締役の任期が1年でない会社においては,(1)の定款の定めがあるにもかかわらず,株主は常に配当議題追加請求権を強行的に有するという,こういう前提なんでしょうか。 ● はい,そうです。 ● そうだとすれば,やはりそれは書いておいた方がいいのではないか。意見照会をするときに,そういう会社は強行的にやるけれども,それ以外の一定の要件を満たす会社についてはそれを制約しようという,こういう御提案なのだということをお示しになられた方がよろしいのではないかと。 ● 今の二つの御意見は,どうも会社の種類ごとにきちんと分けて書けという……。 ● その方が分かりやすいのではないかというだけの趣旨です。 ● それが分かりやすいのだという整理の御提案だったようですが,いかがでしょうか。 ● 分かりやすいのはそのとおりだと思いますけれども,そもそもこういう議論をしている背景には,国会の附帯決議を受けているということがありまして,委員会等設置会社と監査役設置会社におけるガバナンスの相違による効果の是正を図るべしということを受けてきているものですから,ここでまた社外取締役とかいうのを持ち出して更にまた差をつけようとするというふうなことは,国民を代表する国会の意思に反するものではないかというふうに考えております。 ● 余り前向きではないのかもしれませんけれども,ここの配当議題追加請求権というのは,総会の議題ですよね。今,前提になっているのは,取締役会限りで利益処分ができる場合を想定して,そうすると,総会は,先ほどの(4)はあるかもしれませんが,ひょっとすると報告だけのために開くことになっていると。そこの総会で決議の議題としてこれを出せるという意味ですよね。それは当たり前のことだとは思うのですけれども,ちょっと書いた方がいいように思うのですけれども。○○幹事がおっしゃったようなことと同じような問題意識なのですけれども。   それで,もしa案のように権利がないということになると,恐らくアメリカのように,今度は配当請求権が出てくると思うのですね。解釈問題ですけれども。取締役会で,1円も配当しないと,毎年それを続けたら,恐らく株主は,配当せよという,これは解釈問題ですけれども,アメリカでデラウェア州などでは認められていますけれども,そういうことになると思うのですね。それで,そこは解釈ですから,立法はする必要ないと思うのですけれども,そういう表裏の問題があって,これは逆に,こういう提案をしているということは,そういう直接請求みたいなのは,特にひどいような場合は別にして,普通はないのだと。しかし,もうちょっと穏当なと言っては何ですけれども,総会で利益処分決議をしてくださいという,そういう議題の請求権だと思いますので,そういう基本的なところがもう少し文章になっていると分かりやすいと思うのですけれども。   もしそうなっていれば,委員会等設置会社とそうでないものを別に区別する必要はむしろなくて,取締役会で利益処分ができる場合について株主は何を言えるかということで整理をすればいいと,今もそういうことで書いてあるのですけれども,そういう気がします。 ● ちょっとアメリカのような形には,恐らく日本法ではならないと思いますけれども。規定を置かないとですね。   いろいろ御意見をいただきましたので,分かりやすく整理することはもちろん必要で,それから,そもそもこの配当議題追加請求権というのは,機関投資家とかそういうののウエートが大きくなってきているので,こういうのはあるのではないかという議論が一方で出てき,それから,いや,株主提案だってできるのではないかというあれがあって,いきなり聞いた人には確かに分かりにくい制度だと思います。ですから,その辺を解説で分かりやすく書いていただくことは非常に重要なことなのですが。   何か,今の議論で,事務局としては,例えばこういうまとめ方ではどうかという案はありますか。 ● (3)の部分は,御指摘のあった,要するに,どこが前提になっていて,どの部分の提案を含むものなのかということが分かりやすくなるように,もう少し書きかえたいと思います。 ● ほかに,こういう観点から整理してはどうかというアイデアがありましたら,是非お願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。   それでは,いろいろな御提案をいただきましたが,とにかく整理して,選択肢の数は減らす,それから会社類型ごとに,それから現行法がどうなっているかというあたりをはっきりさせると分かりやすいのではないかという御意見をいただきましたので,事務局にもう一度努力をしていただきたいと思います。   (4),これも前回かなり議論になったところでありますが,いかがでしょうか。 ● 「役員報酬については,定款でその額を定めることを認めず,毎定時総会の決議により定めるものとする」という御提案ですけれども,極めて唐突な提案のように思うのですけれども。これは,利益処分案なるものが付議されなくなるから,毎年役員報酬という形で付議事項を作ってみようかと,少なくとも付議事項があるように,というふうなことで,今の実務を大きく激変させようとしているものなのかどうか。これはかなり抵抗が,実務界としては激しくなる。どうして,一定の枠を決めておいて,その枠の中で毎年決めていってはいけないのか,毎年どうして総会で枠取りをしなければいけないのか,そのニーズというのは分かりかねるのでありますけれども。 ● 前回も○○委員からそういう御趣旨の発言がありましたが。 ● 前回はこういう御提案ではなくて,役員報酬も全部利益処分でやれということなものですから。 ● しかし,前回も,趣旨としては,毎年毎年決議はするのだというような説明が事務局からありましたので,その点では変わっていないと思いますが,まあ,おっしゃるように激変ではありますので,いろいろ御意見はあるところかと思いますので,どういう形で意見照会するか,ほかの委員の方の御意見も是非伺いたいと思いますが。 ● 私も,今,○○委員がおっしゃったのと同じ感じを持っております。ただ,これの理論的といいますか,どういう根拠でこういう提案をするのかということについての説明がないと,非常に唐突な印象を受けたまま回答するという感じになってしまいます。ですから,その点をここで触れるか,あるいは解説で触れるか,その辺を配慮していただくことがやはり最低必要ではないかと思いますけれどね。 ● 本日は唐突でもないのかもしれませんけれども,前回はかなり唐突だったので,なぜこういう提案かというのは,やはり実質的に御議論いただかないとあれなのではないかという気もするのですが,どうなんですかね。 ● いろいろあるのですが,一つは,やはり,定款で定めることはもう認めないと言い切ってしまう根拠が何なのかということを説明しないと,理解し難いのではないかというのが一つです。   もう一つは,これは額で定めるということが前提の記述になっているかと思うのですが,現在の269条におきましては,1項1号・2号・3号とありまして,例えば,「金銭ニ非ザルモノニ付テハ其ノ具体的ナル内容」とか,「額ガ確定セザルモノニ付テハ其ノ具体的ナル算定ノ方法」とあるわけですけれども,これとの関係で,これも毎定時総会で確認させるという趣旨なのかどうかということの質問ですが。 ● まず,定款で定めるかどうかというのは,委員会等設置会社の方が定款で定めるということにはしておりませんので,それに合わせてはどうかと。すなわち,先ほど○○委員の方から御指摘がありましたように,両者を格別に区別するべきではないという趣旨であるとするならば,どちらかに合わせざるを得ないということになるのではないかということであります。   二つ目の,額は,今の269条の実質を変えようというものではありませんので,単に「等」が抜けているだけというふうに解していただいても差し支えありません。 ● これは,こういう案,毎年毎年決議しろというのは,やはり報酬委員会みたいなものに近づけるという発想ですかね。実質はどう説明すればいいんですかね。ただ決議事項を作るだけだということではないのではないかと。 ● 確認なのですが,そもそも委員会等設置会社以外の会社でも定款で報酬を定められないというのは,すべての会社に……。 ● 「(1)の定款の定めがある会社」。 ● 済みません,失礼しました。閉鎖会社等は定款自治があるということですね。済みません。 ● 既に確認されていたかもしれませんが,もしかしたら申し訳ありませんけれども,②の「財産上の利益」というのは,ストックオプションも含むという意味ですか。もしそうなら,解説か何かで明らかにしていただいた方がいいと思いますが。 ● ストックオプションの取扱いは,会計も含めて少し検討させていただきたいということであります。 ● その旨もどこかで,解説か何かで明らかにされた方がいいように思います。 ● ストックオプションは,与えるごとに決議はするわけですよね,今でも。 ● ただ,毎年やれということになるとまた激変なので。今は特別決議でやっていますけれども,会計処理が,費用計上するということになったときにどうするかという問題は別途あると思いますけれども,もし責任軽減,免除の方と同じように,財産上の利益を全部含むというふうにするのか,どういう趣旨なのかを明らかに解説していただければという程度の趣旨です。 ● 「①の決議」というと,そうですね。特別決議ではないという意味まで含んでいる可能性がありますから,おっしゃるとおりですね。 ● 先ほど○○関係官からお話があったので,お話があった範囲ではよく分かったのですが,やはり①は二度聞いても唐突感があるのですが。ありていに言って,なぜこうする必要があるのか。一つには,こういう広い意味での処分権限を取締役会に与えるということは,委員会等設置会社でなくても,アメリカ型的な面があるから,先ほど○○委員もおっしゃったように,こういう制度を作ると,事実上報酬委員会的なものが強制されるというかエンカレッジされてという趣旨なのか,あるいは,端的に,一つぐらい決議事項がなければ定時総会が形にならんというのか。   またこれは蒸し返すようで申し訳ありませんが,2年前の秋ぐらいにいろいろと議論したと思うのですが,その当時も,委員会等設置会社について利益処分権限を取締役会に与えるかどうかを議論したときに,一つの大きな議論になったのは,取締役の任期1年と,それから社外取締役要件ですか,そして,そのどちらが大きかったのか分かりませんけれども,そこら辺の整理がつかずに,それは見送りになった。そして,今回,その両方ともが取っ払われる原案が出ますので寂しい気もしますが,これも試案の中だったら仕方がないことで黙っているのですが,定時総会の決議だったら,むしろ,(3)の「取締役の任期を1年としたものに限る」という形のところが,やはり,私,こういう制度を作って,例えば,取締役の任期が2年だったら当然に株主に配当の利益処分関係の議題提案権があって,それが一切制限されないという法制度が滑らかなのかどうなのか。   これは,先ほどのb案に加えて○○委員の案についても意見を聞くことはどうかという議論の蒸し返しになって申し訳ないのですが,要するに,お聞きになることは御自由だという言い方がいいか悪いかは別としてもあれですが,そういう株主の利益を十分に確保しようという場合には,やはりb案が制度設計としては穏当なのかなという感じもしますので,私,○○幹事でしたか,の御意見を聞いて,うっかり失念していたのですが,やはり,定時総会で何か決議が必要だとあれば,取締役の任期を1年にする方が,そして,その利益処分の運用実態も見て取締役の再選をするかどうかを考えるべきで,利益処分の運用実態を見て報酬を決めるというのはむしろ迂遠な感じがするのですね。   実質的な変更を最終段階で申し上げてあれなのですが,私は,①について,反対もしないけれども,強く支持する気持ちもありません。しかし,やはり何か定時総会で決議事項がある方が合理的だし,その合理性としては,またこれは別の観点から○○委員から怒られるかもわかりませんが,任期を1年とする提案の方が説得力があるのかなと思うのですが。   ちょっとこの議論を今ごろ言って申し訳ないと思うのですが。 ● 私も,(1)に関連して先ほど申し上げましたのは,そのことを踏まえてのことでございまして,○○委員に賛成です。つまり,1年任期ということもあわせて要件としておくことによって,逆に,(4)あたりのことについてはそれほど変更しないという選択肢もあり得るのではないかというふうに思います。 ● 何人かの委員の方から,そういう,(4)よりはという意見が出ましたが。 ● 任期1年問題につきましては,正に一昨年やっているときに,私どもとしては,社外取締役関係なしに,任期1年の普通の会社において利益処分を取締役会に持っていくようにというのが最終提案であると申し上げて,却下されたわけでありますけれども,任期1年というのは正に委員会等設置会社とのバランスはとれているわけで,そこで反対をするわけでもございませんので,この配当議題追加請求権のところから,こちらの本体の方に持ってくると,そこについてはそういう形で意見照会をしてもらった方が分かりやすいのではないかと,それが筋なのかなという気がします。   そのかわりに,この変な役員報酬のところは削除していただきたいと思うのですけれども。 ● 何人かの委員の方から,かなり大きな変更提案がありますが。 ● ただ,これと直接関係ないのですが,委員会等設置会社以外の役員報酬制度については抜本的に考慮する問題があるのだということだけは--私,現行制度がいいから①を消せと言っているわけではないということを付言させていただきます。 ● そうしますと,ほかの委員の方,いかがでしょうか。   今の何人かの委員の方から出た案は,むしろ(1)の分配機会に関する定めのところに任期1年というのを入れる,そして(4)の①の毎年役員報酬の決議をするというのはやめるということですが,いかがですか。 ● そこまでは結構なのですが,(注1),(注2)をどのようにするか,すなわち,これが利益処分案に残ってしまうと,委員会等設置会社以外の会社はいずれにしても利益処分案を株主総会でやらなければいけないことになるのか,それとも,ここも委員会等設置会社と同じような整理をするのかについて--要するに,(4)の①全体を削ってしまうことについて--は事務局にも余りこだわりはないのですが,役員賞与と役員報酬の計算書類上の違い若しくは決議の根拠規定の違いをどう調整するかという問題がありますので,済みません,この点について。 ● 役員賞与についてどうするかですね。委員会等設置会社と同じにするか,それとも別個決議をして払うということにするか,意見照会としてどちらがいいかということですが,いかがでしょうか。   ○○委員はこの点はいかがですか。 ● 支払ってはならないというのはいかがなものかと思いますから,賞与を支払いたいときは定時総会で付議をするということだろうと思います。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。特に御異論がなければ,もうそういう形で意見照会するということではどうかと。 ● 今の案は,利益処分とは別にということでよろしいのですね。 ● 利益処分をそもそも総会にかけるところは利益処分の付議をしていいだろうと思うのですね。それで,今,利益処分が総会事項ではない会社のお話ですよね,それはもう役員賞与支給の件ということで付議するしかないと思います。 ● 分かりました。 ● よろしいですか,ほかの委員・幹事の方も。--それでは,そういう形の案で意見照会するということにさせていただきます。   4の問題につきまして,なお御意見ありますでしょうか。もしなければ,ここで休憩させていただいて,休憩後は,ほかの論点について事務局から全部説明をいただくことになりますが,よろしいですか。 ● そこで書いてある案は,剰余金変動計算書を作成することが前提となっているように思うのですけれども,その剰余金変動計算書に,是非これは,ひな形といいますか,一般化したものを,規則で,後の方で省令で定めるというところに,是非入れていただけないかと。   私どもが中で議論したときに,剰余金変動計算書でどこまでの剰余金の変動を入れてくれるのだろうかという問題があります。実は,今,いろいろなものが資本直入になって,損益計算書とバランスシートの間につながりがなくなってしまっているのですね。それで,この剰余金変動計算書を作るということであるならば,むしろ直入するものをすべからくみんな入れて,バランスシートとPLにつながりがあるようなものを持たせてくれると,非常に分かりやすい,多分,株主にとってそれが一番分かりやすいものになるだろうと思いますので,こういうことを機に,是非そこはお願いできないかという提案だけ申し上げておきます。 ● ほかに,よろしいでしょうか。   それでは,休憩をいたします。             (休     憩) ● それでは,時間が押しておりますので,再開させていただきます。   部会資料12のその他の項目につきまして,前回及び前々回の資料からの変更点について,全体を事務局から説明していただきます。 ● 先ほど御紹介いたしましたとおり,前々回,前回に分けてお示しいたしましたたたき台の各項目につきまして,御議論を踏まえて修正させていただいて部分について,ざっと全体を御説明申し上げます。それ以外のところは,特に内容自体に御異論がないところ,あるいは,内容自体には様々な御意見があった上で,このような形で意見照会させていただくことについては御異論がなかったものというように私ども了解しておりますので,それも含めて御確認いただきたいと思います。   まず,「第2部 総則関係」でございますけれども,1の「会社の商号」につきまして,前々回の御指摘を踏まえて表現を修正しております。   項目名につきまして,当初,「類似商号規制」としておりましたけれども,本文の商法19条自体について,類似商号規制というのは必ずしも正確ではありませんので,本文の表現も含めまして,項目名を変えております。   また,商法19条のほか,商業登記法27条につきましても,条文の掲記もさせていただいているところでございます。   それから,御指摘いただきましたとおり,これが直接の目的とするところを(注2)に書かせていただいているところでございます。恐らく,この点については格別御異論はないのではないかと思われます。   飛びまして,2の「使用人」の(2)でございます。若干試案用に表現を修正して,「当否等については,なお検討する」という語尾にしております。中身については特に変更点はございません。   それから,第3部の1のところも,(注2)の語尾につきまして,「とする方向で検討する」という表現への修正をさせていただいております。   「3 法人無限責任社員」につきましては,前々回の御指摘を踏まえまして,この商法55条の規定の廃止に伴って検討すべき事柄について,その検討の観点を(注)の中で掲げさせていただくことにしております。当該会社の「適切な管理運営の確保等の観点から」という記載を追加しております。   第4部につきましては,この試案(案)における「譲渡制限株式会社」という用語の定義,説明を第1の「総論」のところでさせていただくということで,2の(注2)をつけ加えさせていただいております。   また,2の(注1)では,譲渡制限株式会社の機関設計が一般的に有限会社型の機関設計になり得るということを提示しておりますけれども,大会社に相当するもの,すなわち会計監査人設置にかかわる会社の機関設計の在り方についてはまた別途の議論があるということを(注3)で明記させていただいております。   次は,4の(2)でございます。(2)の(注)の部分を二読版の案の内容にほぼ戻しております。たたき台では,定款の絶対的記載事項について,基本的なごく一部のものを除いて,認証後においても発起人全員の同意により変更可能とすることについての記載をさせていただいておりましたけれども,御議論を踏まえまして,二読版のとおりにさせていただいております。(1),(2)の本文を受けた論理的整理という趣旨でございます。   少し飛びまして,第3の「株式関係」の2の(1)の(注2)のところですけれども,自己株取得の授権決議につきまして,現行法においては定時総会と限っているものを,臨時総会の場合も含め得るということとする提案の趣旨--この項目自体は,市場取引等以外の方法による自己株取得の手続について触れているのですけれども,その方法によらないもの,つまり市場取引等の方法による場合も含めて,その見直しを行うという趣旨--を明らかにしようとしております。   それから,この2の(1),(2)を通じまして,全体的に,前々回の御議論を踏まえまして,(1)のような基本的なスキームを前提とし,それに売主追加請求的な制度,現行の制度というものをなお維持するかどうかという論点を(1)の(注3)でまず掲げさせていただきまして,そのいかんにかかわらず,特定の場合において,(1),あるいはその(注3)も含めた,つまり現行の売主追加請求制度に類似したものも含めたものに対する更なる例外として,(2)の①から④までの例外というものを掲げ,さらに,それ以外に付加すべきもの--これがいろいろ御意見,御要望があったところですけれども--それらの①から④まで以外に更に付加すべき場合があるかどうかということを⑤で論じるという形に整理し直しております。   なお,ここのところで,〔関連規定〕が抜けておりますが,商法204条ノ3ノ2,それから旧商法210条,これらを付記すべきであると思っております。   6の「株式の消却」の(1)のところですけれども,株式の消却と自己株の買受けとにつきましては,それらの規定の在り方を整合的に整備する必要があると思われますので,その点を注意的に(注3)で掲げさせていただいておるところでございます。   それから,6の「(3) 授権株式数の変更の取扱い」についてですけれども,御指摘を踏まえて,「ものとする」という断定的な表現を避けるという形の取扱いをしているとともに,一応,消却と併合とを場合分けして,より問題点が分かりやすくなるよう,消却を前面に出して御意見をお伺いするということでどうかということにしております。   8の「(3) 議決権制限株主の買取請求権の在り方」の本文のところですが,前回は,御意見をお伺いするという項目だったこともあって,「としては,どうか」という言い方をさせていただいていたかと思いますけれども,これを,「ものとする」という表現に改めております。   10の(3)の--ここは,本日,もし絞り込めれば,絞り込みたいと思いますけれども--①のところですけれども,役員の解任請求権を行使し得る株主の要件について,前回お示しした案はa案のみだったわけですけれども,b案的な御提案が有力だったかと思いますので,一応両案を並べております。もしb案で意見照会をすべきであるということであれば,そのようにさせていただきたいと思います。   それから,10の(5)の「株主名簿等の閲覧請求権の制限」についてですが--これも前回は御提案という趣旨でありましたけれども--要件についてはちょっと御議論がありましたけれども,方向自体についてはさほど御異論がなかったものと承知しておりますので,「ものとする」という形に改めさせていただいております。   飛びまして,12の(3)ですが,項目名を変更しております。要するに,株式申込証の用紙という制度を廃止するかどうかという論点であることを分かりやすく説明しようという趣旨でございます。申込証の用紙というもの自体は,その法定記載事項がある用紙の交付ということによりまして,一定の開示機能を営むとともに,書面性ということで,株式の引受けの確実性を担保するといった機能を有するわけでしょうけれども,その前者の部分につきましては,①から③までのような手当てをするということで,廃止といいますか,その機能を申込証の用紙という形によらしめなくてもよいのではないかという整理をするということでございます。そして,後者の機能につきましては引き続き維持する,したがって,(注1)のような整理--有限会社的な整理と言ってもよろしいかと思いますが--整理をさせていただくというような趣旨の提案であるということを明らかにしようとするものでございます。   12の(4)についてですが,前回の御指摘によれば,電子公告制度導入後につきましては,この措置は不要であるということでございましたので,その旨を(注)に記載させていただいたということでございます。   第3の末尾の14ですが,これは新しい事項であります。前々回,譲渡制限会社における株主への通知に関しまして,公告の機能が株主への通知としての実質的な意味を有していないのではないかという御指摘がありましたので,それを踏まえまして,それ自体について抜本的な見直しが必要かどうかということを論点として提示して,御意見を広くお伺いしようとする趣旨で掲げさせていただくというものでございます。   第4に移りまして,1の(1)でございます。前回の御指摘を踏まえまして,(注)については,少数株主による総会招集について,当然本文と同じ扱いをするというような断定的な表現は避けることとしております。   1の(3)の③についてですが,前回の案では,総会招集命令に代えて通知制度を設けるという提案をしたらどうかということをお諮りしたのですけれども,必ずしも代替し得るものとは言い切れないという御指摘がございましたところから,総会招集命令制度に加えて通知制度を設けるということで,裁判所の適切な判断に処理を委ねることとしてはどうかという提案をさせていただこうとするものです。(注)につきましても同様の御指摘がありましたので,表現ぶりを変えております。   それから,1の(4)の②につきましては,語順の変更だけですけれども,御指摘を踏まえて,誤解のないようにさせていただきました。   1の(7)の(注)ですが,従前,a案のところにだけつけておりましたが,b案をとる場合であっても同様であるという御指摘をちょうだいしたところでございます。その点が分かりやすくなるような形の(注)に改めております。   やや細かいですが,2の(1)につきましてもいろいろ御意見があったところでございますので,「方向で検討する」というように語尾を修正しております。   それから,「3 取締役の任期」につきましては,譲渡制限会社一般における法定任期の廃止という御意見も有力に御主張されているところでございますので,一応(注)をつけさせていただいております。   飛びまして,6の「(2) 社外取締役」についてですけれども,登記事項からの削除につきまして,特に公開会社における開示は引き続き重要ではないかという御指摘を踏まえ,(注1)をつけ加えさせていただいております。   7につきましては先ほども御議論をちょうだいしたところでございますので,飛びまして「8 代表訴訟」ですけれども,前回はイに相当する項目のみを(注)に記載させていただいておりましたけれども,ロ,それからハについても--二読版では掲げさせていただいていたと思いますが--これを掲げさせていただいております。   「9 監査役」の(2)の「補欠監査役」につきましては,現在の登記実務の取扱いの紹介は補足説明に委ねさせていただくことにいたしまして,予選を可能とする要件につき,定款の定めの要否,それからその予選の効力について,このような--本監査役といいますか--被補欠監査役の任期満了のときまでとすることの当否という形で御議論をちょうだいしたいという趣旨で(注1)を掲げさせていただいております。   (注2),(注3)は,前回の御指摘を踏まえて付記したものでございます。   それから,11の(1)の②,③につきまして,いずれも強い反対意見もあったところでございますので,更に御異論もあろうかと思いますが,一応断定的な表現は避けるという趣旨で,両方とも語尾を「方向で検討する」という形に修正させていただいております。   それから,ざっと飛びまして,第5の1の(3)につきまして,(注2)を記載させていただく前提として,本文の表現を変えております。(注2)につきましては,前回の御議論を踏まえまして,授権枠自体を引くのか,あるいは,授権枠に基づいて,現実に取得し,あるいは分配した額を引くのかという問題に関して,前回の御議論に従った整理をさせていただいております。基本としては現実の額を引き,場合によってはそうでないことがあり得るという検討の方向性を示して意見照会させていただこうというものでございます。   (4)でございますけれども,①の(注2)は,分配可能限度額の増減というものには期間損益による変動を含まないという趣旨を明らかにして,誤解のないようにさせていただこうとするものでございます。従前の案では,ここを「剰余金の変動」という形で表現しておりましたけれども,「分配可能限度額の増減」という形に改めさせていただいた上で,(注2)の記載をも改めているところでございます。   それから,(4)の②についてですが,「欠損てん補責任」とありましたところを,先ほどちょっと御説明いたしましたけれども,この試案の中では必ずしも「欠損てん補責任」と表現するのが適切ではないと思われますので,「てん補責任」という表現にさせていただいております。   (5)につきましても--ここも先回御指摘のあったところでございますけれども--現在の会計監査人の関与の在り方というものをどのように変えるのか変えないのかということが分かるような表現にさせていただいているところでございます。   2の「(5) 法定準備金の減少額の上限規制」についてですが,御異論があるところでございますので,断定的な表現を避け,「方向で検討する」という表現ぶりにさせていただいております。   4につきましては先ほど御議論いただいたところでございますので,飛びまして,5の「(3) 決算公告」についてですが,e案について何か説明を加えるべきであるという御指摘があったのですけれども,とりあえず(注3)のような記載をさせていただき,あとは補足説明に委ねさせていただきたいと思っております。   それから,第6の3の(3)の「② 社債管理会社の子会社等の行為」です。従前の案では,「親会社」,「子会社」と表現しておりましたけれども,それ以外の関連会社の問題についても検討すべきではないかという御指摘を前々回ちょうだいいたしましたので,「子会社等」とした上で,(注1)をつけ加えさせていただいております。   「8 新株予約権付社債の譲渡等」につきましては,新株予約権付社債について,「株式と同様の取扱いがされるものを創設するものとする」という,とりあえず断定的な表現で本文を書かせていただくことにしております。   (注2),(注3)についても,同様に,「講じるものとする」,あるいは「認めるものとする」としておりますけれども,これらについては明示的な御意見をまだちょうだいしていなかったかと思いますので,御指摘があればいただきたいと思います。   「9 社債の銘柄統合」につきましても,「次のような手続を設けるものとする」というように語尾の表現の修正を行っております。   10は,前々回の御指摘を踏まえまして新たに追加させていただこうとする項目でございます。社債権者集会に係る完全な書面投票を認めるものとするかどうかについては,なお検討するというものでございます。   この場合の書面投票により決議することが可能な事項につきましては,制限を設けないものとするか,あるいは,必要最低限ということであれば社債権者集会の意思決定に代替し得る代表者の選解任等にかかわるものだけに限るということもあり得るところでございますので,(注1)でその旨を記載しているところでございます。   (注2)から(注4)までは,いずれも恐らく確認的な記載ということになろうと思いますけれども,このようなことを説明的に記載したらどうかということでございます。   ちょっと飛びまして,第7の「3 略式組織再編行為」のところですが,特に対価柔軟化をも踏まえますと,略式組織再編行為における少数株主の保護のための措置について十分検討をする必要があるのではないかという御指摘をいただいているところでございますので,(注3)を加えさせていただいております。   「5 人的分割における財源規制」のところでは--これも実務界からの御指摘を踏まえまして--いわゆる現行の人的分割については格別の例外を設ける,要するに現状維持的な例外を設ける--仮に見直しをするとした場合ですけれども--ということを注意的に明らかにしております。   第8の2の(2)につきましては,前々回,御議論をちょうだいしたところでございますけれども,清算中の会社における監査役の設置の在り方について,大会社とそうでない会社につき,それぞれ前々回の御議論を整理するとこのようになるのではないかと思われるところを掲げさせていただいております。もし議論が収斂すれば,一案に絞るということもあり得るのではないかと思います。   4の(2)のつきましては,表現の整理ですけれども,本文の「自己株式の取得」という部分について,従前の案では特定の自己株式の取得の場合を別途挙げていたところですけれども,一括して「自己株式の取得」という表現にしております。   (注1)につきましては,合併の場合を除いては,株式の買取請求権の行使を認めないという整理でよいのではないかと考えられますので,一応このような形にさせていただこうと思っております。これについては更に御議論をちょうだいする必要があるかもしれません。   第9の1につきましては,その意味するところの子会社に関する規定として考えられるものを(注1),(注2)にそれぞれ記載させていただいております。   それから,第5部の2については,前々回の御指摘を踏まえまして(注)をつけさせていただいておるところでございます。   ごく形式的な字句修正についてはコメントしておりませんけれども,内容にかかわる前々回,前回からの資料の変更点は以上でございます。   それ以外については,恐らく,表現ぶりも含めて,少なくとも意見照会をさせていただくこと自体については格別御異論がなかったのではないかと思っているところでございます。 ● ちょっと急ぎまして申し訳ありませんでしたが,何か,全体について御質問ありますでしょうか。   もしなければ,順次御意見をいただくわけですが,もう一つ,今日は,部会資料13というのがありまして,少なくともこれについても説明をしていただいて,それから若干は御議論をいただいた方が,これは全く新しいのに近い問題でありますし,そうする必要はあるのではないかと思います。部会資料13について説明,御審議いただく必要もあるということを念頭に置いた上で,今,事務局から説明いただいたことについて御意見をいただければと思いますが,本日,○○委員から御意見が出ておりますので,まずこれについて御説明いただけますでしょうか。 ● 今日,ペーパーをお配りさせていただいたのですが,これは,私がこの場で意見を申し述べてきたものをペーパーにし,また補足的につけ加えさせていただいたものを配布させてもらったわけであります。   いわゆる中小会社,資本金1億円以下の会社に対して外部監査をするのがいいのかどうかという議論があったわけでありますけれども,私は,幾つかの理由を掲げまして,やはり導入した方がいい,それが中小会社のためになるのだということを申し上げてきたわけでありまして,第4部の第4の11の(2)の「会計監査人の任意設置の範囲」で,「会計監査人の設置が強制されない会社は,現行の小会社(資本金1億円以下かつ負債総額200億円未満)の範囲の会社であっても,法定の「会計監査人」を任意に設置することができるものとする」ということで,ここに入れていただいたわけであります。   そこで,いわゆる会計監査ということの認識なのですけれども,今,社会的な認識につきましては,やはり監査は非常に厳しいということが認識されておりまして,いわゆる従来の監査というものを中小会社に取り入れるとすれば,果たして中小会社が受け入れることができるのかどうかという問題があろうかと思います。したがって,この制度を導入するとすれば,中小会社の実行性のあるものにしなければいけないと思うわけであります。したがって,監査証明とは違った一つのスキームを構築する必要があるのではないかなというふうに考えているところであります。   そういう点からいきましても,例えば14年度の商法改正の国会の附帯決議につきましても,中小会社に過重な負担を課し,経営を阻害するものであってはならない,その辺を十分考慮してやれと,こうなっているわけでありますから,例えば適正証明とか何とか,そういった制度,スキームを構築する必要があるのではないかということを強く要望するわけであります。そのスキームにつきましては,効果と独立性,責任というこの問題については,やはりはっきりと法律の中で決めていかなければいけないと思うわけでありますけれども,そういったものを堅持しながら新しいスキームを作る必要があるのではないかというふうに思うわけであります。   したがって,こういうふうに入れていただいた上は,入れていただくという方向につきましては賛成しておりますし,もしそういう方向であれば,今申し上げておりますように,一つの独自の制度を構築していただきたいということを,強く強く要望するわけであります。   最後に,そういった適正証明というようなものが商法上明確に規定されるということであれば,これはおこがましい言い方ですけれども,税理士もその資質を有しているということを申し添えまして,私の要望とさせていただきます。 ● ありがとうございます。   何か,この点について御意見ありますでしょうか。 ● 若干別個ですが,関連する点といたしまして,前回も御意見の紙を配らせていただいたのですが,監査役の権限のところで,今,一律に業務監査権限を付与するというふうな形になっているのでございますが,ここのところについて,私ども,会計監査のみを行うような形の監査役というのを置く余地を何とか残せないものかということを引き続き考えておりまして,これは当然,今御指摘のありました中小企業のいろいろな負担というようなことも考えまして,少なくとも選択肢として--現在,商法上の小会社ですとか有限会社についてやっているプラクティスとの連続性ということも踏まえて,そういう余地を何とか,少なくとも意見を示す,あるいは意見を聞く段階で残せないかという点が若干ございます。 ● 中小会社の計算書類の適正担保ということについては,これはまた一つ大きな課題として検討すべきだと思います。   ただ,その内容につきましては,以前にもいろいろな疑問があって,大激論があったということは私も聞いておりまして,やはりこの辺の方向性については多くの意見をもっとより慎重に集めて,少なくとも時代のタイミングと合わせて御検討いただければというふうに思います。 ● それでは,先ほど○○幹事がおっしゃったのはこの内容にもかかわりますので,またそのときに御意見をいただければと思いますが。 ● 今,○○幹事がおっしゃいましたように,私ども,中小会社に業務監査まで強いるのはどうかなと。非常に範囲が広いですから,監査役が業務監査まで見る能力とか時間とか,いろいろな面からいっても,あるいは責任の問題を考えましても,非常に難しいのではないかなと思いまして,少し負担が過重なのではないかなというような感じがします。 ● それは,またこの後,順次御議論いただくところで,またほかの委員の方からも御意見をいただきたいと思いますが,順次,「第2部 総則関係」,それから「第3部 合名会社・合資会社関係」,ここにつきまして,今,事務局から説明いただいたことについて,何か御意見ありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,第4部のうち,「第1 総論」,「第2 設立関係」ですが,ここまでにつきまして何か御意見がありますでしょうか。 ● さっき言った形式面ですけれども,第2の1の(2)の「配当規制」というのは,やはり「剰余金分配規制」とか書いておいた方がよろしいのではないかと。 ● 配当規制についてですけれども,確認ですが,これは会社成立後も続く規制としての御提案ということですね。 ● もちろんでございます。 ● よろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきまして,「第3 株式関係」につきまして御意見ありますでしょうか。 ● 7の(3)のところ,いろいろ御検討いただきましてありがとうございました。御意見を取り入れていただけて有り難く思いますが,更にその(注)のことなのですけれども,株式併合というのは株主総会の特別決議でできるわけでございますね。それで,授権枠の定款における設定も特別決議でございますね。両方合わせて行いますと,授権枠を一定限度のところまで制限するということが全く意味をなくしてしまうのではないかということがやはり懸念されるわけでございまして,余りにも容易にくぐれるような穴のあいた法律というものを避けるという意味では,せめて株式併合だけについても,自動的にむしろ減少することの方を原則として,変えたいのであれば,その際に特別決議は容易にできるわけですから,自分たちの自主性でもって,しかし一定の制限の範囲内で,4倍なら4倍の範囲内で変えるという方を原則にした方が,くぐりにくい法律ということになるのではないかと思うのですけれども。 ● そうしますと,どういうふうに……。 ● ですから,株式の併合がされた場合に,まあ全体になかなか整合的にうまくきれいにいかないことは重々承知していますので,消却についてはこういう形で意見照会されるということで結構でございますが,株式が併合された場合については,割合に応じて減少するということの方をむしろ原則とする考え方に立って,なお検討するみたいなことになるのかなと思います。 ● この(注)は,「同様とするものとする」というのは,検討するのですが……。 ● 方向性がちょっと違うので……。 ● まあ,ちょっとウエートを変える表現が考えられるかどうかということですが。   何かありますか。 ● 6の(2)の①の整理との兼ね合いもあるものですから……。 ● ほかの委員の方,いかがですか。   特に何か積極的な御発言はないようなので,なお事務局で検討させていただきますけれども,直すべきかはちょっと保証はしかねますが。御意見ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ● 10の(3)の②のところで,これは質問になるのかもしれませんけれども,「取締役等の定款授権による免責に対する異議の申出をする権利は,取締役の責任の一部の免除に係る株主総会決議において議決権を行使することができる株主がその行使をすることができる」というわけですが,これを,7の(2)とあわせて考えますと,7の(2)によりますと,有限会社法39条1項ただし書のように,免責決議をなし得る社員をごく一部の社員に絞るということも可能なわけですね。2分の1というような制限なしに。そうしますと,取締役自身だけが議決権を持っている社員になるというような場合も出てくるわけですが,異議を申し出ることができる,そういった免責決議について議決権があるのは例えば当該取締役自身だけというような場合も,極端な例ですが,出てき得るわけですね。免責決議自身については,当然,自分で免責決議するのでしょうけれども,そうすると,247条1項3号でそれは取消しということがあり得ると思うのですけれども,この異議申出の場合ですと,247条1項3号に当たるような規制はないわけですが,当然それはちょっとおかしいと思うのですが,どういうふうな法理でそれはチェックされるということになるのでしょうか。 ● さて,どうなんでしょうか。 ● かなりレアケースかもしれませんけれども,考えられないわけでもないので。既に247条1項3号についてはネオ・ダイキョー判決なんかでも出ていますので,異議申出の場合にも,何らかの法理でそういう場合はチェックが必要なのではないかと思いますけれども,何かそういうことの問題提起でも,あるいは(注)の中ででも書いていただけたら有り難いと思った次第です。 ● 確かに難しい問題があるように思いますので,それでは,補足説明でその点も触れるかどうか,ちょっと検討してもらいたいと思います。   補足説明についても,次回には一応間に合わせて,お目通しをいただくことになると思いますので,その際にまた御意見をいただければと思います。   ほかに,10の(3)のところ,もしこの方向づけができれば,まとめることも考えられるという事務局からの問題提起だったかと思いますが,この点,いかがでしょうか。一応このa案,b案併記でよろしいですか。 ● 私はb案の意見ではありますが,無論,こういう形で意見照会していただくのは別に構いません。 ● 一応併記でよろしいですか。   ほかに,14は,前々回の--○○委員でしたか--御指摘を踏まえて,新しくつけ加わったもののようです。この点もよろしいでしょうか。 ● 10の(3)の②の,○○委員がおっしゃられたこととは別のことで,技術的なことなのですけれども,「取締役の責任の一部の免除に係る株主総会決議において議決権を行使することができる株主」と。現行制度ではどうなっているのか分からないのですけれども,このために基準日を別にしいたりはしていないような気がするのですけれども,ここで言っている意味合いというのは,単に種類株式のことだけを言っているのか,時点の……,10年後の株主総会のことを言っているとは思えませんし,どういう……。ちょっと意味合いがよく分からなかったものですから。 ● ここで問題になっているのは,3%だったと思うのですけれども,割合の分母になる数は,基準日のいかんにかかわらず多分分かるはずであります。ちょっと特殊な場合がありますから何とも言えませんが,通常は分かるはずであります。   分子の方はどういうふうにカウントするかというと,現実には,異議を申し出てくださいという期間を設定し,その間に出てきた数が正に分子になるというだけの計算ですので,特段,株主を確定しなければならないということの趣旨を含むものではありません。 ● この「一部の免除に係る株主総会決議」を,例えば本件の取締役会決議のあれが拒否された場合には5年後にやろうと思っていたというようなときに,これはどういうことになっているのでしょうか。済みません,細かなことで。 ● これは,議決権を行使できる株主というものには,種類株式以上のものは含まれていませんので,すなわち,取締役会決議では免責できませんという効果だけが生じる手続という側面で考えたときに,こういう制度。それで,その後異議が申し出られて,取締役会決議ではうまくいかなかったとき,それで免除するかどうかを悩む間に5年たって,6年たって,10年たったときに株主総会を開くというのであれば,それはそのときの株主さんがやっていただくというだけの仕組みになります。 ● よろしいでしょうか。 ● はい。 ● ほかに,よろしいですか。 ● 先ほど○○委員がおっしゃったことにちょっと関連するのですが,この10の(2)というものでは,議決権を行使できない事項に係る権利については行使ができないということにしようとしているわけですけれども,ここでは,株主総会決議取消しの訴え,株主総会の決議取消しの訴えを提起する権利もここに入るとすると,先ほど○○委員がおっしゃったような,実際に株主総会で議決権を行使できる株主は,実際には責任を免除される取締役あるいはその近親者ばかりという場合に,議決権制限株主で議決権を行使できない人たちは何も言えないということが,今の仕組み,つまり議決権の排除という仕組みがない状況では起きるわけですけれども,それでもいいのかなというのがちょっと疑問を感じたのですが。 ● ○○委員がおっしゃったのは正にそういうことだろうと思いますので,難しい問題であることは確かなので,その点はどう考えるべきかというのは,やはり補足説明等で問題提起として書く必要があるのではないかということです。 ● 誤解のないように申し上げておきますが,10の(2)自体は,請求権というところまでで限定列挙のつもりでありまして,株主総会の決議取消し自体は,事務局内部では議論になりましたけれども,結局,定款違反の決議が取消事由になることからしまして,議決権の有無にかかわらず,提起権自体は残しておかざるを得ないのではないかという整理をしております。 ● そうですか。やはり補足説明でよく読ませていただかないと,ちょっと……。   それでは,「第4 機関関係」に移ってよろしいですか。 ● 確認だけ1点,よろしいですか。   戻って申し訳ないのですが,第3の2の(2)の自己株式取得の手続例外のところで,①,②,③,④,⑤とありまして,「その他の場合における特例の要否」とあるのですが,これは既に御議論があったのかもしれませんが,償還株式について,これまでいろいろな議論があったのですけれども,それについては説明の中で触れていただけるということでしょうか。つまり,このままあれしますと,これ以外はだめという規定になると,要するに償還株式などについて特例を設けないと,それはやはりタグ・アローングがついてきてしまうということになってしまう。そうしますと,かなり実務を混乱させるのではないかと思いますので,一応確認させていただきたいと思います。 ● どこですか。 ● 第3の2の(2)の⑤です。「その他の場合における特例の要否」というのがありますが,これは,「なお検討する」ですけれども,「現行法で認められている場合及び①から④までに掲げる場合以外に」どうするかという書き方で,要するに,限定列挙という形になりますと,例えば,そういった契約で定められた償還株式などについての取扱いがもし入っていないとすると,手続規制にかかるという解釈になってきそうな気がするのですね。 ● 御指摘の点は,そういうことになりかねないので,償還株式,従来であれば,6のところの消却に関する定款規定との関連も含めて問題になっていたわけでありますけれども,その償還株式その他,要するに買受けなのか消却なのかというのは大した問題ではないものですから,6の(1)の方に(注3)というのを今回新たに加えまして,今御指摘のあった償還株式なら,多分,定款の定めに基づく有償消却の一類型になろうかと思いますけれども,これと,3で並べている自己株式の買受手続とその特例との関係についてはどういうふうな形で整理できるかということについては,なお,今の償還株式の実務その他を踏まえて検討させていただきたいということにしております。 ● そういうことのようです。   それでは,「第4 機関関係」でありますが,できれば前の方から。   まず1の「株主総会・社員総会」についてはよろしいでしょうか。ここは余りないようですね。   それから,2の取締役関係がありまして,ここも,先ほど問題になった7より前は余りないようですが。 ● 申し訳ないのですが,3の「取締役の任期」の件でございますが,「取締役会が設置されないものを除く」ということで,ここで明確に差別をしていると。私どもとしては,取締役会の設置にかかわらず,任期については定款で自分で決めるというふうにしていただきたいなと思っておったのでございますが。 ● 取締役会が設置されないものについては任期の定めはなくてもいいわけでありまして。ここは,取締役会が設置されている会社については伸長するということでありまして。ただ,前回でしたか,前々回でしたか,○○委員がおっしゃったようなことがありますので,(注4)が入ったということです。 ● 仮に(注4)が採用されるとすれば,取締役会の設置にかかわらず,全体として任期はないと,こう理解をしてよろしゅうございますね。 ● はい,(注4)はそういう趣旨です。 ● まあ,a,b,c,dではなく,(注)に落ちているというのが若干悲しいところではあるのですけれども,では,そこは確認をしまして。 ● 6まではよろしいでしょうか。   そうしますと,次は8から12までの部分についてはいかがでしょうか。 ● 先ほど,お二方から意見が出ましたが,「9 監査役」のところでございますね,一律に業務監査権限ということになると,相当お役目としては広いと。例えば,私どもが対象にしているような中小の会社の場合で,そういう広い範囲を,あなたお願いしますよと監査役さんにお願いすると,とてもじゃないけどそこまではできないというケースが非常に多く出てくるのではないかなというところが危ぐされるわけでございまして,いつも実態のことを申し上げて恐れ入りますけれども,実態に合わせた形にしていただかないと,しり抜けになるおそれがあると思います。 ● これは,先ほど○○幹事から御意見があったところにもかかわってくるのですけれども,ほかの委員・幹事の皆さん,何かこの点について御意見は……。 ● そもそも,監査役を置かなくてもいいという選択肢が相当に広がるわけでございますから,決して規制強化にはなっていないのではないかということが一つと,私自身は,先ほど○○委員がおっしゃったような方向で一つ考えてみるのが,実は中小企業の会計の適正化に役に立つのではないかと思っておりまして,もしそういうふうな制度を認めるのであれば,会計だけをやっていただくのはそちらの方にお願いするというオプションもあるのではないかと思いますが。 ● 監査役を置くかどうかについてオプションがあると,大変自由度が高まって,結構なことだと思います。   ただ,すべてのことは,やはり外から企業をどういうふうに見るかということにかかわってくるので,監査役を置いている会社なのですか,置いていない会社なのですかというところが当然判断の基準になるだろうし,それから,○○委員から御提案のあったことについても,そのとおりになるかどうかというところも,これもまたいろいろありますし,我々としては,多くのプロトタイプというか,企業にとって非常に使いやすい制度で,もちろん選択の余地もみんなあって,そして,選択をするということは,それについての結果の責任があるわけで,監査役は置きませんと言った瞬間に,あ,そういう会社ですねと見られることを覚悟した上で,監査役を置かないという判断をすると。   そういうことを考えますと,一般的には,私どもはなるべく監査役は置きたいと,きちっと監査をしていただくのだけれども,では,お金の面だけではなくて,業務も全部見てもらうと,ちょっと言葉は悪うございますけれども,日々,例えば営業が何をやっているかというところまで含めて業務を監査していただくという監査役を置かなければ,監査役を置いたというステータスが得られないというのは,ちょっとトゥー・マッチなのではないかなと思うのでございますが,いかがでございましょうか。 ● ○○幹事がおっしゃったことにもちょっとかかわるのですが,会計監査だけをやる監査役というのを置く場合に,何か資格のようなものを要求するかどうかというような,そういう話になってくるんですね。   何か,○○幹事はいかがですか。 ● その点につきましては,基本的に政策の方向としても,やはりそういう監査役を置いて,企業がきちんとそういう問題に対応していくことが非常に重要だと私どもは思っております。   その意味で,今,業務監査役を一律に要求するということになってまいりますと,その置く人がぴかぴかでないといけないと。ところが,現実にはなかなか,ぴかぐらいの方しかおられないという場合であっても,そういう方を置いて,しっかりこういう問題に取り組みたいという会社はやはり応援したいという気持ちもございまして,その意味では,負担が大変だからとかいうことよりも,少しでも全体のコーポレートガバナンスのレベルを上げていきたいというのが,実は私どもの問題の根本にございます。   それから,もちろん,実際にそういうサービスというか,そういう能力を持った方というのをどう養成していくかというのは,これはまたこれで非常に奥の深い問題でございますが,これまた是非検討していきたいというふうに思っておりますけれども。 ● 9の(1)に,そういう問題に関する会計監査をやる,こういう会社の監査役というものについて,資格要件みたいなのをつけて何かするということが考えられるかというのは,(注)でもつけられるかという……。ちょっとこの本文だけでは,そういう今言ったようなニーズが全くなくなってしまうという御意見だと思うんですよね。   ○○委員がおっしゃるように,全くの素人が,会計監査をやる監査役だといって入っているのは,これまた余り理屈はつかない話だと思いますので。 ● 軽い要件をつけて--軽いと言ったら悪いですけれども--やはり何かの要件をつけた形で,会計の監査だけしていただく方を置くという選択肢があることは悪くないのかなという気もいたしますけれども,私も,名前だけの会計監査の方を置くという選択肢はあえて残す必要があるのかという気もいたしますが。 ● ただ,それは,一律に業務監査を要求した場合であっても多分同じ問題が残るような感じがするものでございますから,そこはやや別の問題かなという気がいたしましたけれども。 ● 実際上余り期待はしていないという……。   それでは,何か(注)のようなものがつけられるかどうかというのは,もうちょっと中小企業庁とも相談していただきまして。 ● それ以外でもよろしいですか。   この「8 代表訴訟」と,今まで議論してきました「7 取締役の責任」との間に,(注)でもいいのですけれども,「取締役の責任軽減制度について見直すべきであるとの意見があるが,どうか」,ないしは,「見直すことの要否について,なお検討する」とかいうのを是非入れていただきたいと思うのでありますけれども,それで意見を募集していただきたいと。言っている意味は,また公認会計士の方で出てきますが,6,4,2の問題でございまして,まだ厳し過ぎると思うものですから,検討の俎上には上げていただきたいということです。 ● 取締役の責任の最後につけるということですか。 ● そこしか入れるところがないような気がいたしまして,(後注)ぐらいで入れていただければ有り難いのですが。 ● 何か考えはありますか。 ● 7のどこかにちょっとコメントさせていただきたいと思います。 ● ほかに,どの点でも結構ですが,いかがでしょうか。 ● 先ほど○○委員からお話のありました11の(2)ですが,これがそういう深い意味を持っているということは全く理解できませんで,「法定の「会計監査人」」,ここに通常の会計監査人ではない別の会計監査人を読み取れというのは,普通の人はこれでは理解できないと思いまして。 ● そういう趣旨ではないのだと私も考えております。ここで言っているのは通常の会計監査人だと思います。 ● (2)の本文の前の方の会計監査人には括弧をしていないのに,ここでわざわざこう入れる,なおかつ,「法定の」と入れると,新たに法定するとか,そういう意味なのかなと,深いなと思ったのですけれども。 ● いや,ここはそういう前提の議論ではなかったと思いますので,責任も従来からの会計監査人と全く同じに生ずると,それはもう当然の前提として議論が進んできたと思いますので,そういうインプリケーションはないのだと思います。 ● ○○委員はそういうふうに言っておられて,感謝されたわけですから。 ● いや,○○委員がおっしゃったのは,また新しい類型の,いわゆる会計監査ではないものという御意見だと思います。むしろ,先ほど言いましたような,中小企業に,別個の,何か会計監査をやる監査役のようなものが入るという御意見だと私は理解していたのですが。   確かに,かぎ括弧をつけたりすると問題だということはおっしゃるとおりかと思いますので,この点は整理させていただきます。 ● 今のところの上,「完全子会社の特例」で若干語尾を修正していただいて,有り難いと思いますけれども,説明かあるいは(注)かどこかで,子会社の内部統制の問題とか,子会社の債権者の保護とかということについて,もしこういう方向だと,現行法と変わるということについては意見があるわけで,その辺についての配慮を是非お願いしたいなと思います。多分,「方向で検討する」といっても,大部分は,結構だ,結構だと。「ものとする」ぐらいでいいのではないかということで,若干危険性を感じますので,是非,問題の指摘だけお願いしたいと思います。 ● 今の点なのですが,完全子会社の中に,特にアメリカなんかでもそうですけれども,いわゆる持株会社の下にぶら下がっているような金融機関の場合というのが典型例として考えられるわけですが,最近,金融機関の中には,持株会社を薄っぺらなものにして,実体は子会社で運営しているという形の,ちょうつがいのような形の持株会社というのが志向されているわけでありまして,そうなりますとちょっと危険かなという感じのところがやはり否めないわけですので,そのあたり,やはり慎重な問いかけを是非していただければ有り難いなというふうに思います。 ● この点については従来からいろいろ御意見があるところで,もっと限定すべきであるというような,あるいは親会社の責任も含めていろいろ考えるべきだという御意見があるところですので,少なくとも補足説明では非常に詳しい説明がなされるのだと思いますけれども,表現についてはどういう書き方になるのか……。   それでは,これも少し表現を検討してもらうことにいたします。   ほかに。 ● 先ほど話題になりました,11の(2)の御指摘のあった「会計監査人」というところなのですが,先ほどの○○委員のお話を聞いていると,そこら辺は少し,税理士さんも含めて,この場合には,「設置が強制されない会社であっても」云々ということで,大分概念が外側ににじみ出してくる部分があって,それから11の(1)の①のところを見ると,「強制される範囲を画する現行基準の見直しの要否」,これもまだこういう形で少しぼんやりしたところがあって,会計監査人自体についての議論というのはほとんどされていないように思うのですけれども,私は門外漢なので余り具体的な意見を述べられないのですが,ここら辺については,全然,今後検討されない--これまでも余り検討されてきていなかったので,○○委員はやや遠慮しながらおっしゃっておられたように思ったのですが,何か少し,この強制ではないもので任意でやるような場合には,コストとか様々なものを考えると,今までお願いしていた先生にお願いをするというようなこともあるのではないのかなと我々は思うのでございますけれども。 ● ただ,この11で議論してきました問題は,任意に設置するというのですけれども,これは非常に志の高い会社の話であるという前提で話が行われていたと思います。ベンチャー企業とかそういうところが……。 ● これから伸びていって,間もなく……。 ● 強制はされないのだけれども,そういうちゃんとした会計監査人をうちはつけているのだという,そういうニーズもあるという議論が専らこれまではなされてきたわけでありまして,○○委員がおっしゃったのは,ちょっとここには入らない議論なんだと思います。入るとしたら,先ほど言いましたように,9の方の業務監査でない監査役,こちらの方につながりがある議論だと私は伺っていました。 ● 私,若干,その資料を読んで誤解をしておったのかもしれませんけれども,○○委員がおっしゃったことは,この紙に書いてあることはこのとおりだと思うのですけれども,今,○○委員がおっしゃった志が高い企業,結構たくさんあるわけでして,新しいのも古いのもたくさんあるので,こういう方たちが,志は高いのだけれども業績は伸びないというケースももちろんあるので,いろいろ少し自由度があった方がうれしいかなという気がちょっとしていたものですから,発言したのでございます。 ● 先ほどの話では,この「会計監査人」のかぎ括弧は取るということになったのですが,要するに「法定の」とつけられた趣旨は,今でも公認会計士ないし監査法人の任意監査を受けていられるのですけれども,これは事実上の問題で,商法特例法の定める法的効果もなければ,会計監査人という責任規定もなされない,実質すべて契約ベースの話になっていると。それをワンランクアップして,こういういわゆる任意監査でも,法的効果の点についても,公認会計士の責任についても,商法特例法上にしようということで,そういう意味で「法定の」とされていた,その趣旨がもう少し分かるようにお書きいただく。ここでも,6月ごろですか,少し議論があったと思いますので,そういう意味で,従来の任意監査とは質的に違う効果,要件効果をベースにしたという趣旨で「法定の」と言っていることが分かるように,ここでか,あるいは説明かでよろしくお願いいたします。 ● おっしゃるとおりだと思います。これはもうちょっと分かりやすくする必要はあると思います。   先を急いで申し訳ありませんが,よろしいでしょうか。   それでは,「第5 計算関係」に入らせていただいてよろしいでしょうか。ここは1から5までありますが,いかがでしょうか。 ● 1の(5)ですけれども,前は,たしかaとbで問いかけをしていたような気がしたのですけれども,ここでは,「関与することとするかどうかについては,なお検討する」というのは,一応問いかけをやめたという趣旨なのでしょうか。 ● 従来のa案,b案というのは,現行どおりとするか,そうではなくて,期中における剰余金の分配全般について関与することとするかどうかという2案でございましたけれども,a案が現行どおりであるという趣旨が必ずしも明らかではないというところを明らかにするために,表現を整理させていただいたものでございます。したがって,問いかけの内容が,現行どおりとするか,従前でいうb案とするかというものであることに変わりはございません。 ● よろしいでしょうか。   ほかにいかがでしょうか。 ● 1の(4)なのですけれども,①の分配可能限度額の増減は事前のものですから,(注2)にあるように期間損益は含まないでいいのですけれども,②の事後の方のロの欠損判定というのは期間損益を入れていいのではないでしょうか。 ● 確かに問題はあるところかもしれませんが。 ● 多分,ロのところで期間損益を入れようとすると,確定時までにもう一回計算書類を確定させなければいけないという嫌みがありますよね。要するに,最終の決算期時点の計算書類を確定させる作業に係る期間中に行われた利益配当その他で分配可能限度額が変更された場合に,それを反映させるというのは,事前の場合も,事後の場合も,どちらも同じ。判定時点がどうしても確定時にならざるを得ない。 ● 事前はそれでいいと思うのですけれども,現在は,期末に欠損があるかどうかという場合は,今おっしゃったような意味で言えば,期間損益を入れて確定して,貸借対照表上欠損があるかどうかということではなかったかと思うものですから。   実質をお聞きしているので,入れるべきでないということで書いてあるということが明らかであれば,もちろんそういう意見照会で構わないのですけれども,私の理解では,期末に欠損が生じたというのは,その間にまたプラスがあってもうかったりして,それはもういいのだと。いいというのは,それを全部カウントしますよと。つまり,損益も含めてカウントしますよという意味ではないかと思うのですが。そもそも思っていたのが現行の解釈としてもおかしい,私の理解がおかしいのかもしれませんけれども。 ● 済みません,書き方の問題かもしれません。   ロで問題にしているのは,前期の分配行為のてん補責任を問うというときに,計算書類上は,当然,前期末。ですから,前期分の全部の期間損益を計算して,それを含んだ,前期末というか,当期首というか,の欠損で判定するということになると思うのですけれども,その当期首の数字を出すタイミングが,4月1日ではなくて,6月10日とかになってしまうことになると。 ● その間は,分配可能限度額の増減だけは反映させると。分かりました。   ですから,10月に自己株式を買い受けたと。そのときに,期末の欠損てん補責任を負うわけですけれども,3月31日で確定するものについては期間損益を計算するけれども,4月1日から6月10日までの間については損益は出ませんので,剰余金の変動だけをここで言うカウントするということですね。分かりました。それならそれで,現行法もそういう趣旨だと思いますので。ちょっと最後の点は現行法は明らかではないと思いますけれども,それは解説に書いていただいた方がいいように思います。 ● ほかによろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきまして,第6から,あと最後まで,一括して,いかがでしょうか。   実は,新しい問題もここには入っているようなのですが。第6の10と,先ほど事務局から問題提起があった,第8の2を整理できるかというのがありましたけれども,こういう形で意見照会をするということでよろしいでしょうか。 ● 第8の5の「清算結了登記後の資料の保存者」という部分ですが,これは,実務的には,親会社が資料を保存するというケースのニーズも結構あるようでございまして,この意見照会の文言ですとその辺がカバーできるのかどうかですね。(注)に,「清算人がいなくなった場合等」と「等」が入っていますから,清算人以外が保存するというときには,この「等」に含めて親会社を裁判所に選定してもらうということもあるいはできるのかもしれないのですが,親会社が保管するということをどの部分でカバーできるか,これをちょっと御検討いただいたらどうかと思います。 ● 実務的には確かにそういうのがあるんだと思いますが,どう書けるかですよね ● ここにつきましては,とにかく何でも保存者を定めなければいけないという現行の制度が必ずしも裁判実務上望ましくないのではないかという裁判所からの御指摘がございますので,基本的にはこういう形で問わせていただきたいと思いますけれども。要するに,保存者を選任し得る要件というものが広ければいいという御趣旨だと思いますので。 ● 本文の部分で,「清算人が義務を負う」と。その「清算人が」というところで,端的に言えば「清算人又は親会社」という趣旨が出ればはっきりするということで,まさかそういうふうに記載するというわけにもなかなかいかないと思いますけれども。 ● 要するに,保存者の選任が請求されない限りは清算人が義務を負うということですので,保存者の選任を請求していただければ構わないという制度に改めようという提案でございますから,それはその趣旨を説明はいたしますけれども,特に御懸念はないのではないかと思いますけれども。 ● 「第9 その他」の「1 子会社に関する規定」ですけれども,「一定の支配権が及び得るとみられる法人等」というのは,実質連結決算で,実質支配会社という概念で私どもはやっていますけれども,それと同様のという理解でよろしいのでしょうか。 ● (注1)につきましては,ほぼそうすべきなのではないかという……。 ● 「一定の支配権が及び得る」というところの実質でございますが,(注1)の,現在,子会社と連結子会社を分けている規定の整理をするというところで,要するに,今の連結対象をここで言う子会社概念に使おうという趣旨でありますので,同じ規律を立てようと思っています。 ● そういう趣旨のようです。   よろしいでしょうか。 ● 大変有り難いのですけれども,かなり広い範囲になりますので,その調査権を持てるということは,監査役は大変だなということもありますので,そこだけ留意していただければと思います。 ● 調査権の範囲は現行と変わらないと思います。 ● 第7の1の「対価柔軟化」のところですが,柔軟化の方向で意見照会をするということで,賛成でございますけれども,その場合にどういう要件にするか等々について,いろいろ(注)にもお書きいただいておりますが,いろいろな御意見があるかと思いますので,「認めるものとする」というのは,「認める方向で検討する」ぐらいの表現に何とか変えていただけないでしょうか。 ● 何かここは強い御希望もありますので,なかなか難しいかなと……。   ほかにいかがでしょうか。   もしなければ,先ほど申しましたように,部会資料13についても,少なくとも説明は今日事務局からしてもらわないと非常に困った事態になりますので,そちらに入らせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。   それでは,部会資料13について,説明をお願いします。 ● 部会資料13は,先ほど申しましたように,部会資料12の第6部の1の「新たな会社類型」という項目につきまして,その本文及び(注)をこのような形に置きかえさせていただいた上で意見照会させていただくことはどうかということをお諮りする趣旨で提示させていただくものでございます。   前回の御議論におきまして,いろいろな思惑はあるのですけれども,当部会において,私法上の観点から,この新たな会社類型の創設の要否を検討するかどうかという点については,私法上の観点に限っても,そのような会社類型の創設を検討すべきであるという御意見が示されたところでございます。意見照会をするに当たっては,何らかの骨子を示さないことには建設的な御意見が返ってこないのではないかと思われますので,差し当たり事務局内部で検討させていただいたものを,骨子として示すものの案として提示させていただくものでございます。   新たな会社類型として求められているものの要素は,前回の資料にも掲げさせていただいておりますけれども,出資者の有限責任の確保と,内部関係における組合的な規律の適用,この2点でございますので,これをやや具体化するということとともに,その他の点,主として株式会社・有限会社あるいは合名会社・合資会社の規律との整合性というものを考えながら規律の骨子を考えていくと,大体,(注)の1,2あたりに恐らくはまとまるのではないかというところでございます。   ざっと御説明いたしますと,(注)の1は「会社の内部の関係」でございまして,これは必ずしも責任の問題とは関連しないところでございますけれども,基本的に合名会社の規律に準ずることとしております。すなわち,基本的には組合的規律というものが前提となり,メンバーの異動につきましては,定款変更として,原則として総社員の一致が必要であると,こういう閉じた世界ということになるのではないかということでございます。   それから,株式会社・有限会社と違いまして,持分の譲渡による投下資本の回収の確保という点が維持されず,それとは違う取扱いがされるべきことになるのではないかということから,その投下資本の回収手段について,これを退社とそれに伴う払戻しという形で保護することとすることについての検討が必要ではないかというのが,(2)のところでございます。   (3)は,業務執行について,組合,合名会社と同じような規律ということでよいのではないかとするものでございます。   なお,この新たな会社類型の要望につきましては,当然のことながら法人がそのメンバーになり得ることが想定されておりますので,法人が業務執行者になり得る--これは組合も同様ですけれども--ということになるわけでございますが,その場合に出てくる問題点というのは,法人無限責任社員における問題点と同様ということになるのではないかと思われますので,そちらの取扱いとあわせて検討するというのが,(3)の(注)でございます。   「2 会社の外部との関係」についてですが,これは有限責任性の問題でありますけれども,規律をある程度明確化しようと思うと,やはり全額払込制度を採用すべきではないかというのが(1)でございます。   有限責任性の前提として,貸借対照表・損益計算書の作成を義務づけるべきではないかというのが(2)でございます。   それから,有限責任性の前提として,剰余金の分配について,株式会社制度と同様の財源規制の規律を及ぼすべきではないかというのが(3)でございます。   また,第三者責任についても,株式会社・有限会社と同様の規定を設けるべきではないかというのが(4)でございます。   一番難しい点が(5)ですが,先ほどの退社による持分の払戻し,これが投下資本の回収手段の確保としての意味合いを持っているといたしますと,それと有限責任性との調整というのが問題となるわけでございます。   a案というのは,払戻しの際にも財源規制を適用するというものです。もし財源規制に抵触するという場合には,債権者保護手続をとった上で,いわゆる資本減少に相当するような状態をつくり出す必要があるということにするものでございます。   b案というのは,払戻しの場面では財源規制を適用しないかわりに,いわゆる一部清算というような考え方で,清算に準じた債権者保護手続をとるということにするものです。   a案,b案のどちらも,現行制度その他の会社制度との規律との並びでは,あり得る選択肢ではないかと思われるところでございます。   なお,a案,b案のいずれをとるにいたしましても,会社が,a案であれば資本減少に相当する手続をとらないという場合,b案であれば債権者保護手続をとらないという場合には,退社員が投下資本の回収手段を持たないということになるかどうかということになりまして,その場合の退社員の保護ですとか,あるいは,法定の限度を超えた,あるいは手続違背の,違法な払戻しをした場合における関係者の責任の在り方等につきまして,いずれにしてもいろいろと考える必要があるというのが,(注)の趣旨でございます。   全く白地で制度設計を考えるということになりますと,いろいろな選択肢があり得るわけですけれども,前回も御意見をちょうだいいたしましたように,私法上の観点から新たな会社類型の創設を検討するにいたしましても,実務的な御要望というものがそれなりにございまして,それをいろいろ承りながら規律の在り方を考え,ある程度このような感じのものが求められているのではないかと考えられるところをとりあえず取りまとめさせていただいたものでございます。ちょっと今日はお時間もありませんので,また次回,引き続き御検討いただければと思いますが,できますれば,いろいろと事前に御指摘いただければ幸いでございます。 ● ということで,あと10分ぐらいしか残っていないのですが,どうぞ,御質問もあるかと思いますので。御意見でももちろん結構なのですが。 ● 今の御説明をきちんと聞いていなかったのかもしれませんが,一番最後の(注)のところに,「いずれの案を採用する場合においても,会社が債権者保護手続を行わない場合における退社員の保護」とありますが,これは債権者の保護ではなくて,退社員の保護の問題になるのでしょうか。ちょっとよく分からなかったのですけれども。 ● 急いでつくったものですから,表現ぶりが……。   御指摘は違法な払戻しの問題ですよね。それは(注)の後半の問題でございます。退社員の保護とは,要するに,持分の譲渡により投下資本の回収を確保するという道はとらない組合型の会社にあって,脱退に伴う払戻しでしか投下資本の回収が確保されないとした場合には,a案,b案のいずれにしても,会社側が何らかの手続をとらないと退社員の投下資本の回収はできないことになってしまうけれども,それでよいかという問題でございます。 ● ああ,そうですか。   いや,まず先に債権者保護の問題が出てくるかなと思っていたのですけれども。 ● 時間のないところあれですけれども,ここに書いていただくかどうかということではなく,1点だけちょっと申し上げたいことがあります。   組合型で内部を規律する場合,デッドロックの状態が起こったようなときの解決の問題としましては,合名会社にしても組合にしてもそうなのですが,解散と退社と除名という三位一体の構造で処理するというのが,内部紛争を非常にうまく解決できる手法になるのかなというふうに思いまして,例えば,両方の意見が対立したまま業務執行がうまくいかなくなったときに,一方が解散を求めてきたときに,その求めている方に問題があるような場合には除名という形で対抗して紛争解決するという形になるのだと思いますが,そうしましたときに,やはり持分の払戻しの問題というのが出てきまして,この場合は任意の申立てではなくて,どうしようもなくそこで出ていってもらうという形になりますので,その場合は財源規制というのはちょっとなじまないというような問題もあろうかと思います。   もちろん,これは,財源規制をどうかけるかという問題もありますし,検討が必要になってくるかと思いますので,出口は退社だけではないということを前提に,少し御検討いただければ有り難いなというふうに思います。 ● この1と2,大変,検討有り難いと思っていますけれども,2になるのでしょうか,最低責任といいますか,あるいは最低払込制度といいましょうか,要するに,どんなレベルでもいいよということではなくて,やはりある程度レベルが一定以上という,そういう限定をする必要があるのではないかと思いますので,その辺は,ここで入れるかどうかは別として,考えていただければと思います。 ● 2の(3)を御覧いただきますと,少なくとも平時における債権者と社員との利害関係の調整については財源規制の問題として整理するということにしたらどうかというのがここでの趣旨でございます。資本制度につきましても,いろいろな選択肢はあり得ますけれども,格別操作をせず,株式会社と同じにするというのも一つの選択肢であろうと思います。まあ,そこも含めて御意見をいただくべきところだと思いますけれども。 ● 一つ言えますのは,例えば,私どもであるのは,無限責任が一部あるわけですね。これでいきますと有限責任で,無限責任というのは,例えば(4)あたりになるのかどうかよく分からないのですけれども,どこで読めばいいのかなというのが,見ていたときにちょっと読めなかったものですから,責任の範囲というのをどうするのかなと。 ● 冒頭でも申し上げたのですが,出資者の有限責任の確保ということが,この新しい会社類型を求める要望の前提の一つでございますので,社員はすべて有限責任であるというのが原則でございます。   もとより,業務執行者が第三者に損害を及ぼした場合には,それに係る責任が有限責任になるわけではございません。それは民商法の一般法理の問題,あるいはここで言う第三者責任についての規定を更に設けるべきかどうかという問題でございます。 ● 前回におきましては,「新たな会社類型の創設の要否については,なお検討する」という書きぶりでございまして,○○委員からも,私からも,早急な創設ということにしていただきたいと申し上げましたところ,極めて早急にこの部会にこういう案をお出しいただいて,迅速な動きに敬服いたしているところでございます。   いずれにいたしましても,合名会社・合資会社と違って全社員が有限責任である中で,なおかつ会社のガバナンスが全くきいていないというふうな類型を作るわけでございますので,債権者の保護に欠けることがないかどうか,委員の方々によく御研究いただいて,これがまたにっちもさっちもいかないということになると困るのですけれども,ある程度の制限ということでありますと,この新たな類型を作る方が極めて重要だと思っておりますので,いろいろな御意見を足していただいて,またこの場で議論できればと,そう思っているわけであります。本当にありがとうございます。 ● この新しい会社類型の会社というものは,これは営利性が前提になっていることは確かなんですね。したがって,商法から見て営利性がないとされている弁護士とか,あるいは公認会計士もそうなるかどうかはちょっと解釈があるかもしれませんけれども,そういうプロフェッショナルがこういう形態を利用したいというニーズにこたえるものではないというふうに理解してよろしいわけですね。 ● まあ,弁護士法人も監査法人も,特別な法律に基づく法人でございまして,現在も,合名会社の規律を基本的には準用しつつ,合名会社とは異なる法人として整理されているものでございます。ですから,私どもの立場から言わせてもらえれば,今でもこのような類型のものを監査法人なり弁護士法人なりとしておつくりになればいい話ではありますけれども,ただ,基本的な会社法における議論を待つというような姿勢で所管省庁の方が臨んでおられますので,まずは会社法における議論を先行させることとして,恐らく,会社法においてこのような整理がされれば,それに業法的な特例を付加した上でそちらの方の法人法制も整備されるということになるのではないかと思いますが。 ● もう時間がないので,実質的にはまた次回になさるのだと思いますが,ちょっと気が付いたことを二,三点申させていただきますと,1の(1)に,「入社・交代,持分の譲渡」とありますが,交代は譲渡とどう違うのか,ちょっと混乱するなということと,持分の譲渡は総社員の同意が要る,他の社員の同意が要るということですが,そういうことからすると,(2)の(注)も--株式会社のような譲渡による投下資本の回収は保障されないのでしょうけれども--持分の譲渡が認められなかったら退社するという形で,これは連動するのではないかと思うので,「譲渡による投下資本の回収は,制度として保障しない」というのは,間違っているとは思いませんけれども,譲渡と退社の関係が少しあいまいなのかなと感じたというのが1点です。   そして,先ほど○○幹事がおっしゃいましたように,任意退社,告知による退社だけではなくて,強制退社的なこともバランスよく書かれる必要があるというふうに思います。   それから,対外的な関係で言いますと,2の(1)の全額払込制度で趣旨が分かるのかもわかりませんが,要するに,出資の目的の制限ということも,これは労務出資なんかは認められないという前提で書かれていると思うので,それはあるいは確認された方がいいかなと思いました。   そして,(4)で,業務執行者については当然にあるのでしょうが,相当の業務事項についても,総社員の意見が聞かれる場合には,形式的に言うと,社員が取締役会のメンバーみたいになるようなこともありますので,業務執行者だけでなく--まあ,これを広げると,今度は有限責任が有名無実化しますけれども--少なくとも業務執行者だけではない,社員の第三者責任も考える余地があるのかなということを,よく分かりませんが,業務執行者だけで本当にいいのかなという感じも,これは有限会社について一部あるところですので,そこも含めて,少し御検討いただけたらと思いました。 ● 実はもう時間が来ておりまして,今日,部会資料13につきましてもいろいろ御意見をいただきましたので,またそれを踏まえて事務局の方で整理をしてもらいまして,次回また御議論いただくということになるかと思います。   次回は十分時間はあるんですね。   もっとも,補足説明まで検討していただくとなると,これは大変な時間を覚悟しなければいけなくなりますが,ともかく本日は長時間御審議いただきまして,一応,本日予定しておりました審議事項につきましては御意見を全部ちょうだいすることができましたので,本日の審議はこれで終了させていただきます。   事務局から連絡事項がございます。 ● 次回は,10月22日,水曜日,午後1時から,法務省20階の第1会議室で行います。   次回につきましては,時間の制約は余りありませんので,忌憚のない御意見をちょうだいできると思いますが,本日御指摘いただきました点を踏まえまして,更にこれについて修正を加えたものを試案(案)として出させていただき,恐らくそこでの御議論を踏まえて若干の修正を施すことを前提に,試案としておまとめいただきたいと思います。   補足説明につきましては,何分事項が大部でございまして,今,作業中なのですけれども,今日の御議論,あるいは次回の御議論をも踏まえるということになりますと,実際の確定版は次回の期日以降に公表するということにせざるを得ないと思っております。次回は,その時点での,非常に暫定的な版ということでできればお示ししたいと思います。今,努力中でございますので,何分資料と同時に発送することは無理だと思いますけれども,できるだけ事前にお手元に届くように努力いたしますので,よろしくお願いいたします。 ● それでは,本日の部会を閉会させていただきます。本日は長時間にわたり熱心な御審議,ありがとうございました。