法制審議会会社法(現代化関係)部会 第19回会議 議事録 第1 日 時  平成16年2月25日(水)  自 午後1時00分                        至 午後4時35分 第2 場 所 法曹会館「高砂の間」 第3 議 題 株式会社と有限会社の規律・類型の一体化について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● まだこれからお見えになる方もおられるようですけれども,予定した時刻が参りましたので,第19回の会社法(現代化関係)部会を開会することにいたしたいと存じます。   本日は,御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。   それでは,配布資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。 ● 事前に配布させていただきました資料は,部会資料17--本日御審議いただきたいと思っております「株式会社と有限会社の規律・類型の一体化」と題するもの--でございます。   それから,席上に○○委員から御提出いただきました意見書を配布させていただいております。後ほど,委員の方から御説明いただければ幸いでございます。   配布資料は,以上でございます。 ● 配布資料につきまして,何か御質問ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,早速本日の審議に入りたいと存じますが,今後の日程の関係もありまして,この部会資料17は本日中に是非審議を終えていただきたいと存じますまで,よろしくお願いいたします。本日は会場の関係でエンドレスというわけにはまいりませんので,ひとつ御協力をお願いしたいと思います。   それから,資料17は割と後ろの方に重要なものがありますので,審議の前半につきましては特に審議の促進方をお願いしたいというふうに思っております。   それでは,まず部会資料17全体につきまして,事務局から説明をしていただいて,その後,○○委員から席上配布の資料について御説明をお願いしたいと思います。 ● 本日の資料17は,前回御指摘をいただきましたとおり,株式会社と有限会社の規律・類型の一体化の方向性について,要綱案を最終的にまとめる作業を進めるに当たり,どのような考え方の整理の上に立って作業を行うのかということを確認させていただこうとするものでございます。それに関連するものとして,幾つかの項目を拾い上げておりますけれども,それぞれの項目についてこれをもって要綱案の原案の取りまとめのための議論を終了させるという趣旨ではありません。基本的な方針として,このような整理をすることが良いかどうかということについての確認に際して,参考となる項目を示させていただいているものでございます。方針を決めるに当たり,現段階でいろいろと御議論をいただく必要があると思われる付随的な項目の幾つかを拾い上げているにとどまり,例えば規律・類型の一体化という柱一つをとってみても,これで関連するすべての項目を網羅しているというものでもございません。考え方の整理として,これで良いかどうかということを再確認させていただきたいという趣旨でございます。   それでは,資料全体について簡単に御説明申し上げます。   まず,一の「規律・類型の一体化」についてでございますけれども,一つの新しい法典を作るということを前提に,現行の株式会社・有限会社に相当する類型の会社について,以下のような規律の在り方を検討整理するという方針で臨んだらどうかということでございます。これは,試案の考え方をもう少し整理すると,基本的にはこういう内容であるということを明示的に確認させていただこうとするものでございます。この株式会社・有限会社に相当する類型の会社につきまして,三つの区分に分け,その三つの区分ごとに規律の在り方を考えていくというのが試案の考え方であったところでございます。   後ろの方の項目を御覧いただいた上で総括させていただいた方がよろしいのではないかと思いますけれども,多くの問題については,恐らくここで言う第1種の会社について,更なる区分を設けるべきかどうかという点に論点が絞られるのではないかと思われます。   ここで言う第1種,第2種,第3種というのは,あくまで資料上の便宜のために掲げたものでごさいまして,それ以上のものではないということを申し上げたいと思います。   第1種は,いわゆる譲渡制限株式会社について有限会社型の機関設計の選択を許容することとした場合における,そのような選択をした会社でございます。230条ノ10を前提といたしまして,株主総会が基本的にあらゆる事項につき決定権限を有するということを基本とする会社類型でございます。   第2種については,現在の株式会社で譲渡制限の定めがあるものを念頭に置いていただければ結構でございます。基本的に所有と経営の分離ということを前提として,法律あるいは定款に特別の定めがない場合には,一定の場合を除いて株主総会は特段の決定権限を有しないということとされる類型のものでございます。   第3種は,譲渡制限の定めがない会社でありまして,多くは上場会社である--公開会社とその範囲を大部分は同じくする--ということでございます。第3種も第2種と同様,取締役会が業務に係る決定権限を有する会社であると言ってよいと思いますけれども,その点はここでは繰り返しておりません。なお,委員会等設置会社というものがあり得るということは,ここでは省略しております。試案をきちんと整理した場合には,このような3類型に分けた上で規律の在り方を整理するということになるのではないかということでございます。   試案では,この譲渡制限会社について従来型の第2種のほかに第1種というものを認めた上で,それについては機関関係を中心に,基本的に有限会社と同様の取扱いをするという方針でいろいろと論点を整理していたということでございますけれども,現段階でこの方針が基本的によろしいかどうかということの確認をさせていただきたいと思います。   なお,試案に対する意見につきましては,前回御説明申し上げましたとおり,基本的にこのような方向性について賛同する意見が多かったと思われますけれども,さらに,当該会社がいかなる区分に該当するのかということが外部に明示されるような手立てが望ましいということを指摘する意見が少なくなかったということをつけ加えさせていただきたいと思います。   なお,この株式会社・有限会社に相当する類型の会社の区分の在り方につきましては,別途の観点からもその在り方を考えざるを得ないわけでございます。例えば,現行法においては,監査役の権限,あるいは会計監査人の設置等の在り方につきましては,会社の規模基準がとられておりますが,それについてはこの資料では格別触れておりません。監査役,会計監査人等に関わる審議の際に,また別途御議論をちょうだいしたいと思っているところでございます。   また,株主数基準によって書面投票に係る規律を整理するということも試案に盛り込まれているところでございますけれども,本日の資料は,それを否定するものではございません。この資料は,第1種,第2種,第3種という,このような類型を基本的に考えて,それらにおける会社の規律の在り方を基本的にこのように整理するということでいいかどうかということを--繰り返しでありますけれども--確認させていただこうとするものでございます。   それから,株式会社についてこのような整理をするということについては,部会におきましても,試案に対する意見照会の結果におきましても,強い異論はそう多くなかったところでございますけれども,現行の有限会社を第1種の株式会社と全く同一の規律の類型として整理することについては,いろいろな御意見が部会でもあり,意見照会の結果においてもあったところでございます。この点につきましては,各項目を御覧いただいた上で,最終的には四の2のあたりで御議論をちょうだいできればよろしいのではないかと思います。   端的に,株式会社の規律について大きくどう変わるのかといいますと,第2種,第3種のみであった株式会社について,新たに第1種を設けるということに尽きるわけでございます。既存の株式会社が第1種の株式会社となるということになった場合,その第1種の株式会社について適用される規律が従来のものからどのように変わるかということを整理させていただいたものが二の1でございます。   二の1の本文,それから(1),(2)に掲げさせていただいているところにつきましては,特に部会でも,あるいは意見照会結果におきましても,この第1種のものを株式会社として認めることとする限りにおいて格別に御異論はなかったところでございます。   次に,現行の有限会社について,第1種の株式会社と仮に同様の取扱いをすることとした場合には,現行の有限会社に対する規律がどのように変わるのかということを整理したものが2の(1)から(3)まででございます。   星印がついている点は,試案の中で考え方が複数示されている論点,あるいは試案の中では明示的に取り上げられていなかった論点で,本日,御議論をちょうだいしたいと思うところでございます。   有限会社について,基本的に第1種株式会社と同様の取扱いをするということについても,そう強い御異論はなかったところではありますが,明示的に議論されていなかった部分もありますので,本日,この点についての御議論をいただきたいと思います。   なお,(2)の①についても--星印はついておりませんが--御議論いただきたいと思います。   (2)の①は,有限会社法8条による社員の員数の制限について,有限会社につき第1種株式会社と同様の取扱いをすることとした場合には,これを削るということでよいかどうかという問題でございます。   (2)の⑤--総会の特別決議の決議要件--についてですが,原則を株式会社型にするのか有限会社型にするのかという点について,試案では複数案--a案,b案--を掲げていたわけですけれども,意見照会の結果によれば,現行の株式会社型を原則とするa案を支持する意見の方が多数でありましたので,とりあえずそのような整理をして良いかどうかということを御確認いただきたいと思います。   (3)の②についてですが,有限会社には現在認められていない株式交換,株式移転に相当する制度について,第1種株式会社と同様の取扱いをするということであれば,あえてできないこととしておく必要があるのかどうかということの御確認をいただきたいと思います。   それから,試案では,このような第1種から第3種までの整理に伴ういわば形式的な規律の調整以上に,株式の譲渡制限制度,有限会社における社員持分の譲渡にかかわる規律も含めまして,株式・持分関連の規律について,両者を整理した上で更なる見直しを図るという提案をさせていただいているところが幾つかございました。三の1から4までは,それらを取りまとめたものでございます。   なお,三の(前注2)で,譲渡制限会社について,試案及び以下に掲げた事項以外に検討すべき事項があるかという点を掲げさせていただいております。第1種のみならず,第2種も含めたいわゆる譲渡制限会社一般について,かなり定款自治的な規律の緩和が図られるという方向性については,いろいろな御意見があり得るところでございます。試案において,あるいはこの資料において掲げられていない事項につきまして,さらに取り上げるべき点があれば,御指摘いただければ幸いでございます。   三の1の「株式の譲渡制限」の(1)から(4)までの見直しの在り方につきましては,基本的には意見照会の結果においても賛成意見が多数でございまして,試案の内容について特段変更を加えているところはございません。   2の「種類株式関係」につきましては,(1)の「有限会社との調整」につきまして試案の内容を変更させていただいておりますが,その当否について御意見をちょうだいしたいと思います。   2の「種類株式関係」の(1)から(3)までにつきましては,基本的には意見照会結果においても賛成意見が多数であったところでございますけれども,特に(1)の①,②につきましては,いずれも試案の本文自体ではこの種の取扱いを有限会社型の機関設計の選択をした,すなわち第1種の会社に限って有限会社と同じように認めることとしておりました。その上で,第2種も含めた譲渡制限会社一般についても同様の取扱いをすべきかどうかということについては,なお検討するという形で掲げさせていただいていたところでございます。   この第2種の取扱いについて,明示的に寄せられた意見は少なかったのですけれども,寄せられた意見はおおむね賛成というものでしたが,他方で,先ほど申しましたように第2種の会社についての定款自治の拡大,規律の緩和ということについて,緩和し過ぎではないかというような評価もあり得るところでございまして,この点について御感触をちょうだいできればと思います。   (2),(3)については,特段申し上げるべきことはございません。   なお,若干,試案の記載から説明的な(注)を省いているということもありまして,記載が不正確な部分もあろうかと思いますけれども,特に試案に掲げておりました実質を変更しているものではございませんので,御了解いただきたいと思います。   3の「少数株主権関係」ですけれども,(1),(2)とも基本的に意見照会結果においては賛成意見が多数であったところではありますが,ここでは2点につきまして個別に御意見を賜りたいと思います。   (1)の③についてですが,取締役,監査役,清算人等の役員の解任請求権の行使株主について,試案では,解任決議に係る議決権を一定割合以上有する株主に限るというa案と,それに加えて,議決権の有無にかかわらず一定割合の株式数,単元数を有する株主をも含めるというb案とを掲げさせていただいておりました。これに対しては,b案を支持する意見が多数であったということもありまして,ここではb案を掲げさせていただいているところでございます。   それから,(2)の①の米印--少数株主権の行使要件についての株式会社・有限会社間の調整の問題--でございますけれども,試案では少数株主権,少数社員権一般について,その本文におきまして,現行の有限会社における要件にまでその要件の引上げを認める会社の範囲を第1種に限ることとした上で,(注)において,その範囲を第2種まで拡大するかどうか,その当否をなお検討するということとさせていただいておりました。この(注)については,意見照会の結果において意見が分かれているところでございます。事務局内部で検討させていただきまして,再度この会社の範囲について,各少数株主権,少数社員権のそれぞれの性質にかんがみ,いずれかの案が考えられるのではないかということで提示させていただいております。   要は,(1)の①から④までのうち,②から④までについては,定款をもって10分の1までの範囲で要件を引き上げることができることとする会社の範囲を第1種株式会社に限ることを前提に,①の帳簿閲覧請求権等については第1種に限るのか,あるいは譲渡制限会社一般に広げていいのかということについて,考え方が二通りあるのではないかと思われますので,その両案を掲げさせていただいております。御意見をちょうだいできればと思います。   4の「新株発行手続」--有限会社についていえば資本増加手続でございますけれども--(1)から(3)までにつきましては基本的に意見照会の結果においても賛成が多数であったと言えるところでありますが,今後詰めを行わせていただく上で,(1)について1点,それから(3)については方向性について,御意見をお伺いしたいと思います。   (1)の②の米印ですけれども,試案では第1種,第2種も含めた譲渡制限会社一般について,株主割当てにおいて一株に満たない部分や,申込みがされなかった部分についての再募集を認めないという提案をさせていただいておりまして,それ自体については賛成が多数であったということから,そのようにさせていただきたいと思うわけですけれども,第3種,すなわち譲渡制限会社でない会社におきまして,株主割当てがされるという場合にどのような取扱いをすべきか,同じような取扱いをすべきか否かということについては明示的に御議論をちょうだいしていなかったように記憶しておりますので,改めてこの点を確認させていただければと思います。   (2)については,特別補足すべきことはございません。   (3)につきましては,意見照会の結果を踏まえてこのような整理をさせていただいてよろしいかどうかということでございます。   まず,新株発行無効の訴えの提訴期間について,譲渡制限会社に限ってその期間を6月から1年に延長するということにつきましては,賛成意見が多数であったところですけれども,試案では,その(注)におきまして,その他の会社訴訟--合併等の無効の訴え等--についても提訴期間を延長すべきかどうかについてはなお検討するというようにさせていただいておりましたが,譲渡制限会社における新株発行無効の訴え以外の会社訴訟--合併等の無効の訴え等--につきましては,法的安定性の観点等から反対であるとする意見の方が有力であったところでございまして,ここでは,試案の本文のとおり,譲渡制限会社における新株発行無効の訴えの提訴期間を1年に延長するということでよいかどうかということを確認させていただきたいと思います。   それから,(3)の(注)についてですけれども,提訴可能期間中の口頭弁論の開始の許容--これは当然本文を前提としているわけですけれども--これについてはその他の会社訴訟でも同様に取り扱ってよいかどうかということも試案では論点として掲げさせていただいておりましたけれども,この点については各種会社訴訟において一般的に口頭弁論の開始を許容して構わないのではないかという意見の方が多数であったところでございまして,それに従った整理をさせていただこうとするものでございます。この点の当否について,御意見をちょうだいしたいと思います。   それから,5の「株券」についてですが,これは明示的には当部会では初めて取り上げさせていただく問題でございます。会社法(株券の不発行等関係)部会における御議論を前提として,それとの整合性を考えますと,このような整理をさせていただくということになるわけでございますけれども,その確認をさせていただきたいということでございます。譲渡制限会社におきましては,定款の定めの有無によって,株券の発行の可否が決まるわけですけれども,定款の定めがある会社--要するに株券を発行するという会社--でありましても,株主からの請求があるまでは株券を発行しないというような整理をさせていただくというものでございます。   なお,もとより既存の会社について,新しい法制に移行する際に当然に適用されるべき規律の実質が変わるということは混乱を招くところでございますので,定款自治による選択肢が増えるという場面については--そのような場面はここに限らず幾つかございますけれども--当然既存の規律の実質を保った定款の定めがあるということを前提にした経過措置が必要であると,一般的に言えばそのように考えているところでございます。   6の「株主に対する通知・公告」についてですが,試案では抽象的な問題提起をさせていただいたところでございますけれども,すなわち譲渡制限会社一般--第1種,第2種--における公告をもって通知に代えるという制度の見直しの要否についてはなお検討するというように提示させていただきましたところ,その見直しの必要性に賛成する意見が多数であったということから,少なくとも第1種につきましてはこのような整理をさせていただくということでよろしいのではないかと思われます。   問題は,第2種の会社についても同様の措置を講ずるかどうかということでございまして,この点について,御議論をちょうだいできればと思います。   第2種の会社の場合には,株主数が相当程度拡散しているものがあり得るといたしますと,見直しについての消極的な意見の理由の一つが,譲渡制限会社といっても株主数がかなり多い会社もあるという点にあったところでございますので,第2種の会社においてもこういう整理をしてよいかどうかということについての御意見を,明示的にちょうだいしたいという趣旨でございます。   四の「その他」の1についてですけれども,株式会社の第1種から第3種までの区分間の移動は,現行の譲渡制限の設定,あるいは廃止と同じように,定款変更の問題という整理をし,組織変更という形での整理をしないということとさせていただければと思いますけれども,有限会社について第1種の株式会社と同様の取扱いをするということとした場合においても,そのような整理でよろしいかどうかということを確認させていただきたいと思います。   また,ここまでの問題,あるいはここで提示されている問題以外の点に着眼して,有限会社と第1種の株式会社との間に何らかの規律の相違を残すのが適当であるという判断に至ったという場合でありましても,第1種の会社の中に更なる区分を設けるという整理をすることも可能でございますので,その間の移動も組織変更ではなく定款変更として整理するということも十分あり得るところではないかと考えられます。   なお,区分間の移動に係る定款変更についての反対株主の買取請求権の取扱いについて,(注)において整理させていただいております。現行法の規律を前提にするとこのような整理になると思われるのですけれども,それでよろしいかどうかの確認でございます。   ①,②,③と記載してありますけれども,要するに第2種から第3種へ移行するという場合にのみ買取請求権がないということでございまして,その余の移動についてはすべて買取請求権が何らかの意味であるということでございます。   それから,2の「商号」についてでございます。規律の一体化,あるいは類型の一本化という問題を議論いたしますと,商号の使用についてはどうするのかという質問をよく受けるわけでございますが,既存の会社についてどのような取扱いをするかということは,この際ちょっと置いておいていただきまして,新たな法制のもとで作られる会社についての商号の規律の在り方をまず御議論いただきたいと思います。一つ考えられるのは,ここに掲げてありますように,現行法上の株式会社・有限会社に相当する類型の会社については,すべて「株式会社」という文言を商号中に使用させるという取扱いでございます。既存の会社については,米印の一つ目に掲げられているような整理が考えられるのではないかと思われます。   なお,先ほど来繰り返しておりますように,第1種の株式会社と有限会社との間の規律の調整に関して,何らかの面で規律の違いを残すこととする場合,それと名称の在り方とを完全にリンクさせる必要もないのですけれども,リンクさせた方が望ましいという御意見もあろうかと思います。それは,どこに規律の違いを残すべきかということにも関わるわけでございますけれども,第1種の会社の中での更なる区分というものを設けるか否か,設けることとした場合に,それを名称にリンクさせるか否かという点について,ここで一括して御議論をちょうだいできればと思います。   なお,一本化に関しましては、様々な論点がまだほかにもあるわけですけれども,本日のところは要綱案のたたき台の原案を作成させていただく今後の作業を進めるに当たり,まず詰めておいていただきたい点をピックアップして羅列させていただいているところでございまして,それ以外の論点が消え去っているものでは決してございません。その点については御心配なきよう,お願いいたします。   とりあえず,事務局からの説明は以上でございます。 ● それでは,部会資料17につきまして,全体については何か御質問ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,○○委員から席上配布の資料が出ておりますが,ちょっと拝見しますと,個別の論点に係る御意見も書かれているようですけれども,それは本日以降,個々の点で○○委員から御意見を表明していただくことにいたしまして,全体につきまして簡単に御説明いただけますでしょうか。 ● ちょっと長文のものをお配りさせていただいて,読む苦労をおかけして大変恐縮です。   要綱試案を昨年公表した後,私なりにいろいろ検討いたしまして,いろいろ気づくところがあるわけですが,とりあえず冒頭に書きました2点,すなわち譲渡制限株式会社と有限会社の規律の一体化,それから基準日制度と,全く別々の問題についてまとめて書かせていただいたわけですが,このうち第2点の方は7ページ以下に書いてございますが,これは後日またこの点の審議をするときに発言をさせていただくなりいたしたいと思います。そのときには,○○が何か書いたものが出してあったということを覚えておいていただいて,是非ともお持ちいただきたいと思います。   まず第1点の方ですが,これが今回の部会資料17をいただく前にこの書面を出させていただいたところ,たまたまこの第1点が本日の部会資料と直接関係するということで説明の機会を与えていただいたわけですが,端的に申しましてこの要綱試案では,譲渡制限株式会社に有限会社型機関設計の選択を認めると。これ自体はよろしいかと思いますけれども,実はそれ以外に,有限会社法の現行の規律を譲渡制限会社の中の有限会社型を選択しない会社も含めた譲渡制限会社全体にも広めて規律を適用していくかどうか,そういう問題提起が幾つかございます。その点を考えるときに,譲渡制限株式会社の現状の実態を踏まえるということ,それから現状の譲渡制限株式会社に有限会社型機関設計の選択を認めたことの影響はどういうふうになるかということを考えることが必要ではないのかなという気持ちがいたしまして,意見書はちょっと長文ですから読み上げることはいたしませんが,ごくはしょって趣旨を申し上げます。   まず第1点の,譲渡制限の株式会社の実態,これはもう委員・幹事の先生方十分に御存じだと思いますので,屋上屋を重ねるようなことはいたすつもりはないのですが,一口に言って非常に多様であるということでありまして,中にいろいろ書いてありますが,まず株主数から申しましても,株主構成から申しましても,あるいはその結果ガバナンスの形態というものが,譲渡制限株式会社全体100万社ぐらいあるそうですが,大変多様であるということがまず言えるかと思います。   3ページを御覧いただきますと,私なりに譲渡制限株式会社を分類したAタイプからDタイプまでが書いてございます。端的に申しまして,Aタイプは小規模の同族会社,Bタイプはベンチャー的企業,Cタイプは大企業の子会社,Dタイプが,ちょっとこの内容を読んでみますと,「従業員,取引先,社長等の親戚知人,創業者や歴代役員,その親族ないし相続人」という,各種の株主が混在して,先ほど○○幹事が申しましたように,株主数も100名内外,あるいは数百名を擁するという会社も多々見られるという状態でございまして,そのほかにも非常に類型が多様でございまして,特にこのAないしCはある程度タイプが分かれると思いますけれども,Dタイプ,これは非常に多様性に富んでおりまして,多様性が著しいということだと思います。ですから,譲渡制限株式会社と一口に言った場合にも,株主の人的結合が閉鎖性のゆえに強固であって,所有と経営が分離していないという会社ばかりとは言い切れないというのが実情だと思います。特にDタイプの場合なども,株主は相当分散しているにもかかわらず,ワンマン経営の会社も相当多いというのが実情でございますし,また株の移動も,これは名古屋の商工会議所の調査資料--これは○○委員が学会で御発表なさったときに行った調査資料ですが--これを見ましても,回答450社余りのうち,相続,贈与という典型的な株の移動があったというのが129社,48%。それから,金融機関とか取引先,親会社が増資に応じたというのが54社で約20%。それ以外のその他,要するに譲渡があったと見られる会社が105社で39%ということでございますので,4割近い会社が譲渡制限であっても株の移動が結構あるという結果が出ておりますので,そういう意味でも譲渡制限会社全般に所有と経営が分離していないとは一概には言えないというのが実態ではないかということが把握できるかと思います。   それから,第2点の有限会社型機関設計の選択を認めること,これが実際界にどう影響するかということでありますが,既に上場企業などは子会社群をそのような形にいたしまして,子会社のマネジメント統括を合理化するということを考えて,子会社について有限会社型機関設計を選択するという方向で考えているという声は結構耳にいたします。ですから,そういう方向はかなりあらわれるだろうと予測してよろしいかと思います。   問題はDタイプ,すなわち非常に多様な株主が混在している会社がどういうふうになるか,これは予測が非常に難しいわけでありますが,あるいは相当数がいわば雪崩現象的にコスト削減,あるいは経営の簡便化ということをねらって,今日の資料で言う第1種を選択するということも考えられなくはないということだと思いますので,もしその場合には,実体が有限会社と言えない会社であるにもかかわらず,第1種を選択するという会社が相当多く出てくるということが予測できないではないということが言えるかと思います。むしろこの影響で一番重要なのは,本来第1種が想定しております現行の有限会社型の経営形態の会社だけでなくて,かなり株式が分散した,株主が多様である,又は株主がたくさんいる,そういう実体の,有限会社と言えないような会社が第1種を選択していくという可能性が起きる,そのことをどう考えていくかということに私は着目いたしまして,そういったことを前提にいたしまして,先ほどの第1種の規律を第2種一般に広げていくときに,特に留意した方がよろしいのではないかという問題を四つばかりここに掲げておきました。   4ページに「意見要旨」ということでまとめておりましたけれども……。 ● その点は,個々の問題点のときに御発言いただければと思いますので。 ● 全般の趣旨はそういうことでございます。 ● 大変有益な御指摘,ありがとうございました。   それでは,資料17に基づきまして御議論いただきたいと思いますが,まず「一 規律の一体化」のところから順次いきたいと思います。「規律の一体化」の部分につきまして,御質問,御意見等ございますでしょうか。 ● ○○幹事から既に一番最初にお断りがありまして,1種,2種,3種というのは別にこだわるような名前でも何でもないと,こういうお断りがあったので,確認はそれでいいわけでございますが,我々が前々から何度も申し上げてきましたように,一つの会社類型で区別,差別されるような形になりますと,会社というのは常に動いて,大きくなったり小さくなったりいろいろな形があるものですから,可能な限り実体法上文言を書くときには,余り差別,区別が行われないで,会社という生き物が自在に規模を大きくしたり小さくしたり,変幻自在に動いていく,それを妨げないような形にしていただきたい。これは要望でございますが,そのようなことで是非お願いをしたい,こう思うわけでございます。 ● 関連ですけれども。   したがって,これは法律上こういう1種,2種,3種とか,こういう文言は出てこないということで御趣旨はよろしいわけでございますね。 ● 1種,2種,3種という言葉は使われるとは思わないのですが,何らかの法律上は区別がつくのだと思います。当然代表者の権限等からして違いますので,その辺は区別せざるを得ないのではないかと。取締役会があるかどうかで。 ● 例えば「株式の譲渡につき…の旨を定款に定めた会社であって,…であるもの」という語を毎回繰り返すのか,それを「以下「…」という」というようにするのか,それを例えば「○条○項○号の会社。以下「○号会社」という」とするか,そこはもう法技術的な問題でございまして,この場でどうこう言えるものではないと思います。   ただ,この区分の違いに応じて相当程度規律が変わりますので,どの区分に属するかということ自体はいずれにしても何らかの形で対外的に明らかにすべきであるという御意見は,それはもっともではないかと思われるところでございます。 ● 基本的にこういう整理で議論をしていくことを否定しているわけではなくて,さっき○○委員からも意見がありましたとおり,やや名称問題とまたリンクをしてくる可能性があるものですから,その点での懸念というか,留意ということだけでございます。 ● その点は,かなり意見が分かれるところかもしれないのですね。どの程度名称等で変えるか。○○委員がおっしゃったような意見も一方にあると思います。それから他方では,私がこの試案が出ました後にある座談会に引っ張り出されたのですが,そのときには,例えばドイツでは,株式会社と有限会社では代表者の--といいますか,取締役の--名称からして違っていると,だから日本もその方がいいというような御意見をおっしゃる実務家もあります。だから,意見は極端に違っている部分があるかと思いますね。 ● 繰り返しになりますけれども,そういうような御意見も世の中にはないわけではないということも踏まえて,我々中小企業の世界から見ると,そうではないように是非していただいた方が経済としてはよく回りますよと,それが非常に重要なことでありますと,こういうお願いをしたということでございます。 ● 御意見はよく分かっております。 ● 一つは,今,○○委員等から御意見のあった部分ですけれども,私も○○委員がおっしゃいますように,タイプが非常に違う以上,違う名前を,簡単な名前をつけていただかないとまず講義ができないという,こちらはそういう事情もございまして,条文上もなかなか複雑になるでしょうけれども,学生等に法律を理解してもらう,あるいは国民一般が法律を理解する上においても,一々長ったらしいものがあったのではどうにもなりませんので,やはり明確なラベルが必要だろうというふうに思いますし,それを商号とか登記の上で明らかにするかどうかということがまた一つ別の問題としてあると思いますけれども,その点についてもタイプ別の扱いをするのであれば,そのタイプの選択は自由であるし,タイプの間の行き来も自分たちの自主的な判断でもって移行しやすいようにする,これが重要ですけれども,自分たちのした選択を世の中に表示することを避けたい,ごまかしたいという要望というものをどの程度重んじるべきかということはまた別の問題で,慎重に検討すべき問題ではないかと思います。   そのことが一つですが,もう一つの問題として,ここの一のところから早速に出てまいるわけですけれども,「株主」と言ったり「社員」と言ったり,あるいは「株主総会」と言ったり「社員総会」と言ったり,あるいは「株式」,「持分」,こういう用語がございますね,先ほどの会社全体のラベリングの問題とは別に,せめてこのあたりの用語はもう同一にしてしまうということは,基本的な方針として早い段階で決めてしまってはいかがでしょうか,何か不都合がございますでしょうか。「株式」という言葉と「持分」という言葉をいろいろ使い分けるということだけでも随分面倒なことになるのではないかというふうに思うものですから,一つ一つ決断をすることができるところからしていくという点では,このあたりの問題はどうでしょうかということをお伺いしたいと思います。 ● どうでしょうか,これはかなり法技術的な話で,どっちが簡単になるのかというような……。 ● 後の方に出てくるべき論点かもしれませんが,第1種とされる株式会社の中を更に何らかの規律で2種類に区分して,片方を「有限会社」と呼ぶこととした場合に,その有限会社におけるものもやはり株主,株式というふうに整理をするということであればおっしゃるようにすべきでございますし,第1種についてそのような区分を設けないということであれば,なおさらそうなのですけれども,そこはまた御意見ちょうだいしたいと思いますけれども。 ● たとえその区分をすると決めたとしても,この際,それ以外の--商号なり会社の類型としてのラベリング以外の--ものについては,株式と持分とか,社員と株主とか,そういう用語の区別をもうやめるというふうにするだけで,条文を作る上においても整理ができるのではないか,一々言い換える条文を置かなくて済むわけですね。 ● どっちが簡単なのか分からない。例えば,株式譲渡制限されている株式とされていない株式とは言葉を違えた方が簡単になるのかもしれないのですよね。 ● ああ,そういう区分ですね。 ● ですから,ちょっと言葉の問題は,これから事務局でそれこそ検討されるのでしょうけれども,なかなか簡単には……。ここで決めてしまうわけにはいかないのではないかというふうに私は思うのですが。 ● 御趣旨はもちろんそのような方向で検討したいと思いますけれども。ただ例えば,株式と持分というのは概念が同じではないですよね,株式というのは株券で表象される一つ一つの株式ですし,持分というのは必ずしもそうとは言えない,割合的な持分というものを指したりする場合もありまして,必ずしも一致しないところもなくはない……。 ● 今回,株式会社と有限会社の規律類型を一体化するのであれば,そこの用語ももう一緒にしてしまうということでどうかということです。 ● どう一体化するかどうかは別にして,一体化したいということは間違いないのですが……。 ● 均一,それから複数所有,そういうところは変わっていないのですね,日本法は。 ● 合名や合資会社の方は変わっていると。 ● それは明らかに違うわけです。昭和41年改正までは明らかに違っていたわけですけれども,その後はちょっとややこしくなっていますけれども。   ちょっとその辺は,今決めてしまわない方がいいのではないかと私は思いますけれども。 ● 1種,2種,3種というところの区別の話をもう一度申し上げたいのでございますけれども,例えば債権者の保護とか出資者の保護とか,何らかの法律上区別をしなければいけない意味合いがあるところで,類型を区別をする,あるいは名称を変えるというのは当然のことでありまして,私ども何の問題もないと思っております。   大学の講義のためにラベリングをするというのは,私はコメントはいたしません。お好きなようにどうぞと。   要するに問題は,必要なところ,必要かつ十分な何らかの法的な手当てをしなければいけないところで区別ができるような形にしていただくということは私も大賛成で,お願いをしているわけでありまして,それが実際上のビジネスの世界で,商法というのはビジネスの世界の規律法でございますから,ビジネスをしていく上で余り支障にならないように,本当は支障に全くならないようにしていただきたいわけでありますが,会社というのは大きくなったり小さくなったり変わっていくものでありますから,そこが融通無碍に,100%でなくても結構なんですが,そこの妨げにならないような名称づけ,あるいは規定のつくり方ということをお願いをしたい,こういうふうに思うわけであります。したがって,最初から何かレッテルをまず張って議論し始めるというような議論には,私どもは反対でありまして,会社というビジネスの主体であることにまず共通して何らかの規律を加える,それがどんどん細分化されていって,ここは違うなというときには,それぞれ細かな区分けをしていくということでよろしいのではないかと。   例えば,大会社についても様々な要請があるわけでありますから,監査役の権限とか会計監査人の設置等について,また規模とか様々な意味で変わってくると思いますので,そこもまた小さなクライテリアに変えていく,そういうものが重畳的に重なったものが商法の全体系になっている,そういう理解をいたしております。したがって,言わんとするところはもうお分かりいただいたと思うのでございますが,なるべくスムーズな,一体感のあるネーミング,体系にしていただきたい,こう思うわけでございます。 ● ほかに,一について御意見ありますでしょうか。 ● 一のところで検討されております第1種から第3種までの分け方,特に第1種と第2種をどのように違うものとして位置づけるかということが,この後で議論していくいろいろな問題,すなわち例えば定款変更の決議要件ですとか,少数株主権の位置づけですとか,そういったいろいろな問題にかかわってくると思いますので,これは非常に重要な問題ではないかと思います。   この第1種と第2種,試案では取締役会決議のある会社かどうかということで,一応言葉としては説明されておりましたけれども,その趣旨としては,座談会でそれこそ○○幹事がおっしゃっていらっしゃったと思うのですけれども,むしろ株主総会がいわば万能の権限を持っているかどうかということが重要なんだと,取締役会がある方は業務執行については取締役会が決めて,株主総会の権限は業務執行事項には基本的には及ばないということになっているのに対して,有限会社型の場合には取締役会がなくて,そのかわり株主総会が万能の機関として位置づけられている,そういう点に大きい違いがあるのだという説明がたしかされていたと思うのですけれども,本当にそれでいいのか,あるいはもっと考える必要はないのかというのは問題としてあるように考えまして。まず株主総会の権限でいいますと,現行法上でも第2種の方であっても定款変更で,定款で拡張すれば株主総会が業務執行事項についても決議できるわけですし,逆に第1種の方も,これは余りはっきりしていないのですけれども,有限会社であっても社員総会の権限を定款で限定して,業務執行事項に及ばないと定めることも多分できるという考えが強いのではないかと思いまして,ちょうど今内閣官房の方で非営利法人の制度の立法化の検討をしておりまして,そこで同じようなことが問題になりまして,たしか担当者の方が○○関係官の方に意見照会したところ,○○関係官はそうであるというお答えをされたそうなんですけれども,そうだとしますと,もう完全にこれは相対的なもので,定款でどう決めるかということだけになってしまって,果たして株主総会が万能の機関かどうかということは本当にそんなに決定的なメルクマールになるのかというのが,これはよく考えないといけない。もし仮にそれが決定的でないとすると,むしろそれ以外の少数社員権ですとか,あるいは定款変更の仕方とか,いろいろなところに総合的に考えて所有と経営が分離しているか,あるいは株主が直接経営にかなりの発言権を持てるかどうかということが実質的な問題であると。   例えば,この間書かれた試案に対する評論の論文の中で,○○教授は,むしろ定款自治が妥当するかどうかが一番大きなメルクマールになるのではないかということをおっしゃっていらして,要するに株主の間でなるべく契約自由というか,定款の自治が認められるタイプのものとそうでないものとを分けるとすると,というような観点も考えられると思いますし,果たしてここで書かれているのが基本的な分け方の考え方としてこれでいいのかどうか。もし,株主の発言権が多くて,定款自治を大幅に認めてもいいということになるとすると,現行法はむしろ株主の権利が有限会社の方が小さくなっているところが多いわけですね,少数株主権なんかの要件も厳しいですし,ある意味で逆転現象が起きているので,果たしてそういった法制でいいのかどうか。   定款自治が重要だということになると,その定款の変更の要件などが非常に重要だと思うのですけれども,後で出てくるように,株式会社と同じように定款変更の要件を非常に緩やかにしてしまった場合,定款自治ということを一体本当に広く認めてしまっても問題が起きないのかということが問題になってくると思いますので,基本的な視点として,この第1種と第2種をどういう考え方から分けるかというのは,やはりここで確認しておいた方がいいのではないかという気がします。 ● 上位機関の権限を--端的に言うと総会ですが--下部機関に定款変更で移せるとは,私は思っていなかったのですが。 ● 1点だけ,補足して説明させていただければと思うのですけれども。   今,○○委員が御指摘になった内閣官房の公益法人の担当部局から法務省に対して問い合わせがされた案件は,有限会社において,正に○○委員がおっしゃられたように,強行規定で社員総会の権限であるとされているものについてはそれを取締役には移せないのだろうと。ただ,定款をもって業務決定については取締役に完全に委ねて,社員総会は決定権限を有しない,決定しないという,そういう形での定款の定めをすることが有限会社においてできるかどうかという,そういうような趣旨で問い合わせをいただいたわけです。   これについては,実は内閣官房との間で大分やりとり,いろいろ紆余曲折がありまして,我々内部の方で検討して最終的に向こうに返したのは,やはりそういう定款の定めを置くことはできるであろうと,ただそれはいわゆる定款ですので特別決議という形でやっているわけですので,問題は,要するにそうは言っても定款の一部解除みたいなものは当然できるわけですので,そういう意味合いを持って社員総会が,普通決議レベルでは,委ねた事項について取締役会がした決定を覆すことはできないだろうけれども,特別決議のレベルで,定款でそういう定めをしたのと同じ決議要件をもって再度社員総会がそういう決議をするのであれば,それはいったんした定めの一部変更という意味合いを持ってくるのと同様に考えることができるのではないかということで,結局社員総会の最高機関性というものは,その限りにおいてもやはり失われないのではないかと。そういう答えを最終的には我々は内閣官房の方に実はしておりまして,そこはちょっと○○委員の方と内閣官房の方とどういうふうなやりとりがあったのか私も承知しておりませんけれども,そういう意味で完全にもう委ねてしまえば,何も社員総会は手が出せないのだという返事をしたわけではないので,ちょっとその点だけ一言補足させていただきます。 ● そのことは分かりましたが,たださはさりながら,この第1種においては株主が業務執行事項についても株主総会の場で質問権が行使できるとか,そういう形で直接経営に発言ができるのだと,だからそういう会社については非常なフレキシビリティーを認めてもいいしという考えで第1種と第2種を分けていると思うのですね。ガバナンスについても,株主が直接株主総会の場でそういうふうに発言できるということを前提に,所有と経営が分離していないということを認め,そして取締役会等の制度で経営の監視をするということを必ずしも用意しなくてもいいと,そういうふうな考え方でこの二つの分け方ができていたと思うのですけれども,定款変更という形で株主総会の決議事項がそうやって限定することが可能で,質問権も行使できなくなるということになっていくとすると,果たしてそう基本的な二つ,1種と2種を分ける基本的な考え方が妥当するのかどうか,もし妥当しないとすると,もっとほかのいろいろな制度面で1種と2種と分ける手当てをしておかないといけないのではないか。あるいは,今のような定款変更がそもそもできないとするのも一つの強行法としてそういうふうに定めるというのもあると思いますし,そこら辺のところ,最初にちょっと考えておいた方がいいのではないかということなのです。 ● 今の○○委員の御意見の点は,もうちょっと具体的に検討する必要があると思いますので,事務局も検討していただきますが,つまりもう少し第1種について強行規定的な縛りをする必要があるのではないかということですね。   事務局も考えてほしいと思いますし,○○委員御自身からも,こことこことここというふうに挙げていただいた方が,事務局もやりやすくなると思いますので,是非お願いしたいと思います。 ● 今,○○委員の御指摘にもちょっと関連するのですが,私の目から見ると,1と2はそんなに実は大きな差がなくて,これは感想に近いのでございますけれども,その中のガバナンスのやり方が少し違うというものであって,1,2というクライテリアと3というクライテリアはこれは全く違うと思うのでございますけれども,ちょっとこう並列で書かれると,あたかも有限会社の末裔である第1種というのが独立して特別なものだと,どうも皆さんそういう意識が強くなりがちなものですから,ちょっとこれは感想でまず申し上げておきます。   二つ目の点は,先ほど○○委員から資料が出ておりましたが,Dタイプというお話があって,第三セクターのようなものとかいろいろなケースが出て,これがうまく合致しないのではないかという,様々あって,いろいろな多様なケースがあってちょっと難しいぞと,こういう御指摘だったと思うのでございますが,このDタイプというのは私どもたくさんこういうケースを知っております。株主が非常に数が多かったり,様々な方が入っていると。   こういうことを全部つぶさに申し上げることはできませんが,例えば第三セクターのケースで申しますと,所有と経営が分離しているのかというと,実は第三セクターはそうではありませんで,第三セクターという会社の社長が何かやりたいときには,必ず県とか市に説明に行って,実際上はそういうことをして了解をとって進めているなど,かなりそこは一体になっているケースが多いと思います。   それから,従業員,取引先等が株主として入っているようなケースであっても,何かやるときは必ず御了解を得てやっているというようなケースが多いので,必ず人数が多いからどうのこうのということは該当しないのではないかと思います。   それから3点目は,これも感想に類する話でございますけれども,先ほど○○委員の御発言の中で,名古屋の方でやったという調査というお話がちょっと出まして,私もある雑誌でちらっと見ただけなので十分検討をいたしておりませんけれども,回収率問題とか様々な統計上の問題もまたありますし,サンプルの選び方の問題もあると思いますので,もし本気でこれをやるとすると,相当サンプル数をふやして,全国ベースできっちり議論をしないと,このアンケートだけですべてを議論していったり傍証にするのはちょっとどうかなという感じを持ったということ,これは感想でございますが,申し上げておきます。 ● もちろん,この統計だけでどうこうということは申しませんが,なかなかおもしろい結果も出ている統計でございますので,また後から○○委員からいろいろ御意見はあるかと思うのですが。   先に進まなければいけませんので,よろしいでしょうか,一につきましては。一は全体にかかわることですから,またいろいろなところで御意見をいただく機会はあると思います。 ● 部会長がおっしゃいましたけれども,○○委員の提起した問題,非常に重要でして,○○委員がおっしゃるように1,2は親類みたいなもので,3が異質だというのは分かるのですが,1,2の区別としては,ネーミングはともかく,有限会社の機関設定をメーンにするものが1種で,現在の譲渡制限株式会社をメーンとするのが2種だというような了解で,たしか○○幹事もこの細かなことは後ろの方の個別問題を考えていかなければクリアにならないとおっしゃったと思いますので,私も人数とか特別決議要件とか,そういうものと定款自治とか取締役会の存否とかいうのは連動しますので,1種,2種はそういうふうに,当初ありましたように有限会社型機関設計,現行の譲渡制限会社ということをイメージに,その分かりやすいものとして事務局はこうされたけれども,もう少し今後検討する必要があるぐらいのところで了解したということで済ましていただいて,あといろいろ細かなことは○○委員もきちんと整理してくださるでしょうけれども,我々も考えるということにさせていただきたいと思います。 ● 基本的なことは,○○委員がおっしゃるとおりだと私も思っております。   それでは,二の「第1種株式会社における規律の在り方」,これ全体につきまして,何か御意見ございますでしょうか。大体これは整理の問題ですけれども。   もちろん,全部これに書いてあるというわけではなくて,例えば総会の招集通知が書面によらないということになりますと,これは計算書類の謄本が添付されないということにも当然なります。出ておりませんけれども。そういうことも出てまいりますし……。   一応,よろしゅうございますか。二につきましては。 ● 1の米印の(2)の①の取締役・監査役の資格を株主に限ることができるというところでありますけれども,これは3種についても定款自治ということにすればよろしいのではないかと。したがいまして,株主に限ることを定款でもっても定めてはいかんという規定は,そもそも株式会社全部について削除をするのでよろしいのではないかという提案をさせていただきたいと思います。 ● それは,意見照会前からかなり議論はしたところかと思いますが,いかがでしょうか。   何か,理解といたしまして,もちろん定款で全く資格を限定できないわけではないのですね,3種につきましても。合理的な定款の定めによる資格限定はできるというふうに考えていると思います。ただ,合理性いかんという問題がありまして,これがなかなか解釈上難しい問題であります。   ここは,私の理解では,公開会社については,定款の定めの合理性というのも,やはりそれは1種,2種に比べると資格限定できる範囲は狭いということになるだろうと,公益的な部分がありますので。   程度問題なんですけれどもね。それをあらわすために,一方には一応今の現行のような規定は置かれると。1種については置かないと。そういうことで,別段質的に非常に違ってくるとは私は思っていないのですけれども。大体そういう理解だったのではないかと思いますが。 とにかく株主に限ることができるかどうか,これはほんのわずかな話ですよね。定款で資格を定めることからしますと,こんなこと……。これは象徴なんですよね。 ● 1の米印のところにいろいろ書かれた部分なんですが,これは今後の予測ですから何とも確定的に申し上げるべき問題ではないのですけれども,例えば実体が有限会社と言えない会社であるものが,第1種を選択するという可能性もないわけではないということを踏まえますと,(1)の④と(2)の③,すなわち株主総会招集通知に会議の目的事項の記載又は記録を要しないと。それから(2)の③は任期の規制がないと。これは現行有限会社がいずれもそうなっておりますので,それに合わせるという趣旨から申しますと,第1種がそういうものなんだという前提に立てば,これはやむを得ないのかなという面もなきにしもあらずなんですが,先ほど申し上げたような今後の実体の予測ということを考えますと,総会招集通知に目的事項の記載を要しない,それから任期については私の書面にちょっと詳しく書いてありますけれども,任期規制がないという形ではなくて,任期を伸長するということにとどめた方がよろしいのではないかという考え方を持っております。   というのは,意見書にも書いておきましたが,有限会社のケースにおいて法定任期がない結果,取締役が亡くなっても死亡者が登記されたままのケースがあるという報告もありまして,司法書士さん,あるいはそう登記実務の関係者から,登記の信頼性に影響するのではないかという意見も出ておりますので,この機会に任期--別に2年でなくてもあるいはいいのかもしれませんが--任期の規制がないという状態を,やはり法定任期,多少長期でもいいですから設けるという方向で検討した方がいいのではないかなという気持ちを持っているということです。   それともう1点は,「法定の機関たる「取締役会」を設置しないこと」というふうに表現されておりまして,例えば第1種で取締役会が設置することが強制されない会社が,取締役会というものを例えば定款に定めて,取締役会は議事録もつくっているというときも,やはりこれは第1種ということで扱うという趣旨と理解してよろしいのでしょうね。 ● それはそのとおりです。現在の有限会社の取扱いと同様でございます。 ● ですから,さっきの○○委員の御意見とも関係するのですが,第1種が業務執行について株主総会が主たる決定権を有するという表現になっているのですが,ガバナンスという,あるいは実社会の目から見ると,取締役会が法定のものとして強制される会社かされない会社か,業務執行権限を取締役会という法定機関が主として決定する会社かどうかという観点からの区分の方が,私どもの感覚から言うと分かりやすいような感じがするのですが。 ● なかなか難しい問題ですが,確かに相当株主が分散した会社が第1種になる危険というのは,皆無ではないのですね。これは,後からどういう要件をつけるかということにも絡んでくるのですけれども,それは○○委員がおっしゃるどおりだと思います。   だから招集通知のあれを,何か現在の有限会社法より限定しろということに当然していいかどうかというのは,これは先ほどの○○委員のおっしゃったように,総会が業務執行まで相当に介入するのだということを前提にしますと,これは相当頻繁に総会を開く,迅速に開かなければいけないという要請も一方ではありまして,なかなかこれを強化してしまうとそっちの方にも響いてくるのですね。だから難しいところだと思います。   それから,任期の点については,確かに意見照会についていろいろ御意見があったところかと思いますが,今の○○委員の御意見について,ほかの委員の方,いかがでしょうか。 ● 今の○○委員の御意見に,私は基本的に賛成です。   最初の方の,(1)の④,⑤ですが,今まで④と⑤は割合に関連するものとして位置づけられてきていたのではないかというように思うのですが。つまり,④で目的事項の記載又は記録を要しないものですから,社員総会の場で自由に新たな議題等も持ち出せるという理解だったのではないかと思います。そうしますと,後者の部分はやはり第1種の株式会社というものをもし設けるとすると,やはり課した方がいいのではないかというように思います。   ただ,御指摘されましたように,④の部分についてはそれと切り離す形で一応議題をある程度知らせた上で招集をするというのは,あらゆる会議において望ましいやり方には違いないわけですから,切り離してそこの部分を生かすということであれば,少し検討してもいい話なのではないかという気がいたします。   それから,(2)の③につきましては,私もかねてより○○委員のような意見を持っておりましたし,ここでもそのように述べてきましたので,また意見照会を見ましてもそのあたりについては意見がかなり分かれていた部分があるかと思いますけれども,こちらのような任期を延ばしはしても設けるというお考えの支持のところもあったことでございますし,もう一度この点お考えいただけると有り難いと思います。 ● 今の○○委員からの御提言の件でありますけれども,まずそもそも有限会社と株式会社を統一しようといったときの最初の出発点が,私の理解するところでは有限会社の定款自治の範囲は後退しない,むしろそれを株式会社の方にも広げられるということで定款自治の原則を広げる方向で,要は規制緩和の方向で進めるのであるということだったと思うのです。ただ,○○委員のおっしゃるようにいろいろな譲渡制限会社があり,利用する可能性があるということを考えると,従来有限会社のかなり緩やかな部分を制限する必要が出てくるのではないかという議論になるということですが,そこをちょっとお考えいただきたいといいますか,そもそもそういう方向で議論するとすれば,そもそも有限会社やめよう--やめようといいますか,統一しようという試み自体がちょっと疑問を呈せざるを得なくなってしまうということになってしまうわけでありまして,やはり適用範囲をどこに限るかという議論は別にいたしましても,有限会社の現行の規制の範囲といいましょうか,要するに定款自治の範囲を後退しない方向での議論を進めていくのが,まず第一の考え方なのかなというふうに思うわけであります。 ● 基本的に,今,○○幹事から言っていただいた意見と全く同じなんですけれども,若干各論の話も少し出たと思うものですから,例えば任期の点なんかについては私ども,これはまた以前から申し上げておりますけれども,当然1種については規制がないということで十分だと思いますし,それから2種なんかも含めても,これが取締役会の有無ということで線引きをすることについて,やや理屈の問題として分かりにくい,やはり譲渡制限という大きな枠の中で,特に区別する理屈はないような気がしておりますし,それから議論の進め方としては,実は一気に任期の規制がなくなるというオプションだけではなくて,デフォルトとして何年というようなことを定めながら,定款でもってそれ以外の定めができるというようなやり方とか,幾つかいろいろあるわけですから,そこのところはあえて,いろいろな意見が出ておりましたのでとりあえず申し述べておきたいと思います。 ● 今,先生方の御意見伺って,私も出発点が譲渡制限株式会社を有限会社の規制に合わせるということで出発しておりますし,有限会社の現行の規律を更に厳格化するという,全般的に厳格化するということを考えているわけでは毛頭ないわけであります。むしろ有限会社法の改正の歴史を見ると,株式会社に近付けるということで規制が大分厳しくなりつつあるということですから,今回ほかの全般の要綱試案のあれを見ますと,ファイナンス面では相当有限会社もかなり自由になるということもありますので,そういう方面に有限会社の規律を更に柔軟化するということについては私も賛成しているわけですけれども,ただこの会社内部の規律という面から見て,会社法というのは一種の手続法という面もありますので,会社の手続をきちんと守って,債権者その他に迷惑かけないという,会社統治という意味で,そういう観点からだけ考えていった場合に,今の2点,これについて再度お考えいただいたらどうかなということを申し上げたわけでして,全般に有限会社の規律を厳しくすることを主張しているということではないので,その点は御理解いただきたい。 ● いろいろ御意見いただきましたが,従来からそういう御意見のばらつきはあったと思うのですね。それは事務局も承知しておりますので,今日は先ほど申しましたように後ろの方に重要案件が控えておりますこともありますので,御意見を伺ったということで先に進ませていただければと思います。   2の「現行の有限会社からの変更点」,ここに幾つか星印がありまして,先ほど来の議論と関係するのですが,(2)の①あたり,社員の員数制限とか,こういう新しい論点もありますので,こちらに入りたいと思います。   この2全般につきまして,特に(2)①に星印をつけてくれということでしたけれども,これも含めまして,特に星印を重点に御議論いただければと思いますが,いかがでしょうか。 ● この星印のところの①,社員の員数の制限をしないというのは,ある意味では妥当な気もするのですけれども,しかし先ほど○○委員も御指摘のように,やはり有限会社になぜ少数社員権を10分の1以上としているかということは,やはり50人以下という要件を課されていたからこそこれは合理性があったのではないかという気もいたしまして,この社員の員数の制限というところを見直すのであれば,やはり少数社員権の要件を,後ろの方で何か10分の1まで引き上げることができるようにしようという提案があるわけですが,それはかえって問題があって,逆にこういう第1種のような場合に定款自治を広く認めるのだったら,社員の権限をもっと強化した方がいいのではないか,そういう印象を持ちます。 ● 今,○○幹事もおっしゃいましたように,何かの規定と何かの規定は実は内的に関連しているというようなことがいろいろ多うございますね。そういう観点からしまして,皆様方の意見照会に対する回答等も見させていただきまして気になりましたのが,2の(3)の「その他」の①のところです。「社債・新株予約権・新株予約権付社債に相当するものの発行を認める」と,こういう提案で進んでいるわけですが,やはりこういう社債につきまして,従来有限会社には認めないということになっていたその一つの理由は,計算書類の公開がなされていないということと深く関係するものではないかという気がするわけです。今回,計算書類の公開問題につきましては,前半の方では取り上げられておりませんけれども,これは現行の株式会社法制,有限会社法制の非常に大きく違うところであり,現状においてどの程度守られているのかということを加算して考えてしまいますと,ついこの規制の違いの大きさというものを軽んじてしまうようなところがありますが,しかし新たな法律の改正,規律の一体化ということを考えますと,やはり大きな違いとして私たちは認識すべきであろうと思いますが,その大きな違いに正に関連しているのが社債の発行を認めるか認めないかということではないかと思うのです。したがいまして,計算書類の公開の規定がどのようになるか次第によって,ここの点はもう一度考え直す必要のある項目ということで,要注意のマークをこの段階でつけておくということでお願いできないだろうかと思うわけです。新株予約権についても同様に考えていいのではないかという気がいたします。   それからもう1点,新株予約権についてなのですが,譲渡制限のある会社において,新株予約権については譲渡制限のないものを自由に発行する,これはできるというふうに解釈されているのでしょうか。 ● 新株引受権付社債とか転換社債のころは,譲渡制限にかかわらず転換社債を譲渡するのは自由でした。逆に,譲渡制限が多分制度上できなかったのだと思うのですけれども。それを,平成13年の改正のときに,それだとまずいだろうということで譲渡制限の定めができるようにしたという歴史をたどっていますので,できないことはないのですけれども。 ● 結局,何かできる格好になってしまっているのではないかという気がするのですが。 ● 昔は譲渡制限ができないのが原則だったのです。 ● 現行法です。現行法においては……。 ● それをできるように変えた……。 ● できるようになっている。だから,譲渡制限会社であっても,譲渡制限のない新株予約権が一般的に発行できるようになっているのではないかと。   しようと思えばできますね,しかしこれが果たして制度的に整合性のあるよいものなのかどうかという検討は要らないのでしょうか。   これは,第1種に限らず第2種の譲渡制限会社も含めてだと思うのですが,この点,ちょっとこの問題を考えているうちに気になりましたので,御質問させていただきました。 ● 第1種の発行した社債が,どの程度流通するかという問題はあると思うのですけれどもね。 ● むしろやめておいた方が,濫用の危険もないということになるかと思います。 ● 恐らくそういうケースのときは,経営者というか,その方たちは譲渡制限は今の株式についてはかけておくけれども,ここから一勝負打って,お金をわっと取りたいのだから,そこはその次はこの段階に行くのだというような考え方で意識的にやるということも十分あり得ると。   ですから,いろいろなオプションの手があって,その中の一つだというふうに理解すれば,さほど変な感じもしないかなと思いますが。   ○○委員がおっしゃっているのは,最初にもう譲渡制限しているからこっちもしなきゃ一貫しないだろうというお話なんですけれども,そこは会社が動いていくときにいろいろなことを考えるということだと思いますね。 ● それは,そもそも論としては実際にも私募債というような形にもちろんなるわけですけれども,こういうのをやらせてくれというニーズが現にあったこともまた事実でございますので,その意味では必要だというふうに私どもとしては思っておりますし,今計算書類云々という御議論もございましたけれども,実際に流通性とかいろいろなことを考えると,そんなに固く考える必要はないのではないかというふうに,私どもはとりあえずは思っております。 ● 今の○○委員の御指摘とちょっと関連して質問したいのですけれども。   これ,新株予約権に譲渡制限をかけないで自由にできるということになると,この第1種,第2種から外れるということになるのですかね。この第1種,第2種の定義は,すべての所有の株式について譲渡について承認を要する旨を定めた定款の定めがあるという,こういう会社ですから,その考え方からすれば,一部分自主的に自由に譲渡できるような株式があるのと似たような状況になるということは,そういうのを出した途端に第3種に方に移るという,こういう理解でいいのでしょうか。 ● ちょっとそこの点,これはあいまいですね。 ● 例えば,もし新株予約権一枚でも出せば,対第三者発行のときは全部取締役会決議でできるというふうになるわけですね,第3種になるとすれば。そういう選択にするのか,それとも今一応新株予約権は譲渡制限が定められますよという制度設計にした上で,もし仮に対第三者発行するのであれば,その時点で特別決議を要することになっておりますし,その時点でどういう権利内容で発行するのかということも,聞こうと思えば聞ける。それを見た上で判断をし,どちらかに決める。   それがたまたま潜在株として譲渡可能なものとして出ていくと,この状態のときにその状態が譲渡制限会社ともう呼べなくなったというふうにして,譲渡制限がかかっていない会社に持っていくのか,それとも権利行使されればまた譲渡制限会社に戻っててくるわけですけれども,もとの株式は譲渡制限がかかっていますので。ちょっと,どこら辺で線を引くかというのは非常に難しいのですが,現行法はそこはもう要するにオプションの発行のときの手続にそういうものも込み込みで考えていただくというふうに割り切って--それが完璧にいっているとは思えない場合もあると思いますけれども--割り切ってやっていますので……。 ● 現行法では,差が余りないですね,譲渡制限会社とそうではない会社。今回は物すごく差をつけるという話ですね。ですから,今までとはまた違った配慮が必要なのではないかと。少なくとも,それを明らかにしておく必要はあるのではないかという気がするのですけれども。 ● そうですね,確かに重要な御指摘だと思いますので,考えさせていただきます。   (2)の①について,先ほど○○幹事から御意見ありましたけれども,ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● 私も,○○幹事と(2)の①については同じような懸念を持っております。   それ以外のことも申し上げてよろしいですか。 ● はい。 ● 先ほど申し上げたこととの関係で,もう一つの星印の(2)の⑤ですけれども,さっき申しましたようにいわゆる有限会社型の方はなるべく定款自治を広く認めると,社員間でそういうことがなるべくフレキシブルに合意できてやっていけるようにするのが根本だという考え方からしますと,定款をどう決めるかというのは非常に重要なことだと思うのですけれども,この⑤が現在の非常に,はっきり言えば緩和化された株式会社,特に平成14年改正で緩和化されたような定款変更の手続でかなり容易に変更できるような定款でもって定款自治を広く認めるということになるのは,ちょっとやや心配があるという気がしまして,定款自治が重要であり,それを尊重するがゆえに,むしろ定款の変更手続というのは重くしておいた方がいいのではないかという気がしまして,その点では私はむしろ現在の有限会社の定款変更手続に合わせる方が妥当ではないかという気がしております。 ● 確かに,今の特別決議要件は,主として公開会社からの御要請によって非常に緩くなって,恐らく世界一緩いのではないかと思っていますけれども,確かにおっしゃるとおり問題はあるのではないかと思います。   ほかの委員の方,特に員数制限の点は○○委員から先ほど御指摘があったところによりますと,これは恐らく○○委員はすべきであるということになるのではないかと思うのですが。 ● ①と⑤は関連する問題ですけれども,少なくとも⑤については従来のb案というのですかね,例の第1種については有限会社型を維持し,それ以外のところについて現在の株式会社まで緩和できるという,そのルールにしないと,第1種というのが非常に株主の利益に配慮しない,少なくとも支配株主にはいいかもわからないけれども,その第1種の少数株主の権利なり何なりについていろいろの問題が起こるのではないかと思いますし,またそのような従来型のb案,具体的には第1種については現行の有限会社法の特別決議要件が妥当するのだというふうにいたしますと,①についても少なくとも総社員の半数以上の同意が必要になってまいりますので,そういうことからすると,人数も200人,300人とあった場合に,半分の人の同意を得るのか,そうすると先ほど○○委員がおっしゃいましたように,100人でもお役所なり何なりである程度結束力のある人ならきちんと合意がとりやすいという形で,50人超えてもある程度のガバナンスというか,株主の連帯できちんと少数株主にも何とか整理できるとありますので,私は①についてはあるいは現在のそういう事情をベースにすると,第1種に制限を加えるといろいろ使いにくいのかなと思いますので,これについてはあった方がいいように思うけれども,実務上困るといわれたら強く残せというつもりはありませんが,そうであればなおさら⑤については再考する必要があるのではないかなと,少なくとも第1種については現行の有限会社の特別決議要件を維持するというべきではないかなという気がいたします。 ● 基本的に同旨なんですけれども,やはり有限会社から来るものだけではなくて,それとほぼ同じようなレベルの譲渡制限の株式会社というものも1種になってくるわけですので,それについては現在員数の制限がないと,かつ相続とかいろいろな事由で株主の数が非常にふえているいうケースも当然出てくるかと思いますので,その意味では員数の制限をするということについては,そもそも余り想定もしていなかったのですけれども,そうなってくるといろいろとまた不都合が出てくるかなと,やはりこれについてはない方が望ましいと。   それに伴って,またほかの規律がどうなってくるかというのは,これはまた別の議論かと思っておりますけれども,というふうには考えております。 ● 員数制限のことですが,私も員数制限をすることがどういう波及効果を及ぼすかということについては,全体を見渡してみないと何ともまだ自信が持てないところがあるのですが,少なくとも後に出てきます剰余金分配,あるいは議決権に関する別段の定めの関係ですね,これは後でその箇所で申し上げようかと思っておりましたのですけれども,これは譲渡制限という閉鎖性があるから別段の定めができるという考え方よりも,やはり50人という人数制限があるから,それで社員の個人個人の個性が十分に全般に把握できるという前提のもとに,この別段の定めというものが認められている,それが有限会社法の現在の39条とかそういった規定ではないかというふうに考えまして,少なくとも譲渡制限会社についてこういった別段の定めの制度を置く以上は,員数制限をすべきであろうということを先ほどの書面にも書かせていただいたのですが。   それ以外の制度の面において,全般的に第1種の員数制限をするということが妥当かどうかということについては,まだ確たる自信が持てていないのが現状ですが,ただやはり有限会社で,先ほど○○幹事がおっしゃったように,少数株主権の問題にも響いてくるということですと,やはりもう一回この第1種の員数制限の問題,これは十分に詰めた方がよろしかろうという気持ちがいたします。 ● 特に員数制限については,各委員・幹事の御意見を伺っておいた方がいいと思うのですが,いかがですか。 ● 員数制限の話ですけれども,先ほど来の議論の流れを見ますと,ここに員数制限をして第1種の規律というのでしょうか,定款自治の範囲をできるだけ広くとるというのは一つの考え方としてあるのかなとも思うのですが,ただせっかく有限会社を株式会社に統合することの一つのメリットとしては,有限会社的なものからずっと大きくなっていくという,出世ストーリーみたいなものをスムーズに展開できるというようなことも非常に大きな点としてあると思うわけであります。そうだとすると,50人とかいうところで員数制限をするとすると,ちょうどベンチャーがそのあたりでかかってきちゃって,大変組織法として使い勝手が悪いということになるのではないかと思いますので,できれば員数制限をしない方向で行ければよろしいのではないかなと。   その場合に,やはり1種と2種の株主権の差というのを,できれば余り大きくしない方が,1種と2種と,これは組織変更という位置づけになるのかどうか,これもちょっと後で議論があると思うのですけれども,組織形態が変わるところがスムーズにいくのかなと。そうだとすると,先ほど○○幹事からも御指摘がありましたけれども,少数株主権のところはむしろ現行の株式会社にそろえる形で,10分の1でなきゃいかんというようなことを言うこともないのかなと。   ただ,先ほど来御議論がありました⑤の点なんですけれども,これもやはりどちらかというと株式会社に合わせられたらその方が1種,2種と変わったときに,がくっと株主権が変わらないという意味では,できればそっちの方向で検討できれば望ましいのではないかと思います。ただ⑤につきましては,もしこのような原案どおりにするとすれば,経過措置,現行の有限会社からこういう方に変わる,3分の2でよいということになるとすれば,現行少数株主の拒否権が飛ぶということになりかねませんから,その点についての十分な経過措置が必要であると思います。 ● ほかにございませんか。   ①は,これは世界的に見ても非常に分かれているのですね。たしか,デラウェアは人数制限ついているのですね。ドイツはついていない,フランスはついている。   非常に建前からいくと,それは50人以上いて総会主導なんてあり得るかということになるのですけれども,かといって50人の制限を取り払ってしまうと非常に濫用が起きるかというと,私はそんなに起きるものでもないのではないかという気もするのですけれどね。税制上のメリットか何かがあると,それはもうとんでもないのが出てきますけれども,そうでもないみたいですから。   ほかに御意見ございませんか。   では,大体意見分布は分かりましたので,またこれを踏まえて事務局にも検討してもらうことにいたしまして,(3)の②の株式交換・株式移転については何か特段の御意見ございますか。   現在,有限会社に認められていないのは,特に理由があってそうしたわけでもないと思いますので,これはよろしいでしょうか。   それでは,先へ進ませていただきまして,三の(前注)を含む部分でありますけれども,特に(前注2)ですけれども,ここに事務当局で挙げたもの以外に検討すべき事項があるかということですが,もしございましたら是非ここで御指摘いただきたいのですが。   あるいは,これ全部一応見てから最後にまた戻ってもよろしいのですけれども,何か今もしありましたら……。この点が抜けていると,特にこれは重要だということがありましたら御指摘いただきたいのですが。 ● 私,この前の議論のときによく聞いていなかったからかもしれないのですが,この株式の譲渡制限の場合に相続,合併の場合の株式移転について承認対象とするということは,この場合は必ず先買権者の指定の請求,同時にやらせる,強制的にやらせるのと同じという,そういう理解でよいということでしょうか。 ● 1の方ですか。 ● はい,1の(1)の②のロですけれども。 ● ちょっとそれは後で……。(前注)については特にございませんか。もう一度最後に聞きますので,それではもしありましたら……。   では1ですけれども,(4)までありますけれども,今の○○幹事のおっしゃったのは1の(1)の②のロのところですね。   これは,株式譲渡制限会社については,定款で定めればこれはできるようにすると,こういうことですね。こういう案だったのではないかと思いますが。 ● つまり,先買権者の指定をこの場合はもう絶対にパッケージで事実上やらされることになるという理解でよろしいかとお聞きしたわけです。 ● 相続の場合は,承認しないということになれば,そういうことになりますね。   定款で書くわけですから,きちんと定款に書いてあるかどうかちょっと怪しいのですが,そういうことに当然なるのではないかと思いますが。 ● 先ほど,○○委員から,これで大体意見の分布が分かったという御発言がございましたけれども,念のため申し上げておきますけれども,この事務局原案に賛成の場合にはあえて意見を申し述べていない方も多々あると思いますので,発言をして反対だ,賛成だと言っていないから,それでどうのこうのではなくて,事務局原案を前提として反対意見を述べられた人だけが反対をしているのであって,それ以外は賛成だというのが筋なのではないかというふうに思うのが1点。ごしんしゃくしていただければと思うのですが。   今の相続・合併なんですけれども,かねがねより申しておりますとおり,譲渡制限会社においては相続・合併というのはそもそも定款に書かなくても,譲渡制限の承認対象事由であるというふうにするのは行き過ぎだということでしょうか。   譲渡制限会社でありますから,包括承継だから云々ということではなくて,そもそも相続・合併等の場合にも定款に記載がなくとも譲渡承認にするということの方が,みんなの意思に合致しているような気がするのですけれども。 ● いかがでしょうか。一種の任意規定で,任意規定をどういうふうにつくっていくのがいいのかというのは,今はやりの議論のようなのですけれども。   何か積極的な御意見はありますか。今までは,包括承継は入っていないという解釈なんですね。承認対象になっていないと。 ● 少なくとも今までは,包括承継は入ってなかったわけですから,一般の方が○○委員のおっしゃるような認識を持っているわけではないので,今後は変わったということを認識してもらうためには,新たにこういうのを設けた方がいいのではないか,混乱がないという気がします。 ● (1)の個別的な事項で,(1)の②のところですが,ロが今議論になっていますが,ロについては私も○○説になるとそれ以外の選択肢はだめですので,現在からの連続性ということと,これはいいわと思う会社は別に削除してもいいだろうが,それはちょっと他のやつとは違うだろうというので,ロはこのままでいいと思うのですが,イとハについて補足説明では,解釈論として定款の定めがなくても取締役会の判断でこういう社内ルールを決めてもよいという学説があるという指摘があったと思うのですが,この提案だと,それは解釈に委ねるのか,もうこういう規定を置いたら,定款の定めがない限り取締役会でそのような主体的判断できないとなりそうな気もするのですが,少なくともこの御提案の趣旨はどういうことか,まずお伺いして,必要があれば追加質問なり意見を言わせていただきたいと思います。 ● この規定自体は,多分明確化するということになりますので,こういう規定が置かれますと,とりあえず会社法との関係だけとすれば,定款を書かないとできないかもしれないということになると思います。が,別途例えば株主間契約でありますとか何とかでありますと,そういうことで結ばれた契約の有効性がどうかという問題は,多分従来の問題と変わらない。ただこの規定があるがために,そこの契約,効果の解釈に影響を与えるということはあると思いますけれども。 ● 私,いろいろ複雑になりますので,定款自治ということを標榜する改正に際して,これとこれとこれは定款でこうすると,法的安定性上よろしいですよという形でいろいろと細かに規定するのも一つの方策だと思いますが,この問題について私がルーズというか,柔軟な解釈をしているせいかもわかりませんけれども,イやハについてはこういう定款自治なり会社の主体的な判断を積極的に許容するような改正がなされた後は,今の学説以上にイやハは解釈論上認められる,それもこの提案以上の,つまり定款でなくたって取締役会でできるというような解釈になる余地もありますので,一番最初の総論でしたか,試案の第1部の1の(2)に「用語の整理を行うとともに,解釈等の明確化についても必要に応じ規定の整備を行う方向で」ということで,この必要に応じということと方向でどの程度まで解釈の明確化をされるのかが最後の最終段階のあれだと思いますけれども,これについてはお書きいただいても強く反対するつもりはありませんが,解釈論に任せて,条文を少なくするということも法律改正の経済上お考えいただけたらということを,強くは申しませんが,一言だけ申し上げさせていただきます。 ● ほかに,この1については御意見等ありますでしょうか。 ● 質問ですけれども,1の(3)のイのところで,「種類株主総会の決議を要し」とあるのですが,この場合の種類株主総会の決議要件はどのように考えているのでしょうか。現在ですと,特殊決議ということだと思うのですけれども。 ● 試案の段階では,全体は通常の特別決議,これは特殊だという説を聞いた記憶があるのですが。メモしておりませんので信用はおけませんが。 ● 試案はペンディングになっていたと。なお検討するで。かなり重い問題なものですから,私は現行法とそんなに変える必要はないような気がしているのですけれども,これはどういう考えで書かれているのか伺いたいと思って。 ● この資料,ちょっと「なお検討する」が抜けているところが多いのです。先ほどの事務局からの説明のときにありましたけれども,基本的な枠を聞いているので,このまま条文になるわけではないそうなのですけれども,そういうところが多々,といいますか,幾つかあるのです。 ● 恐らく,第1種における特別決議の考え方によって,大きく左右され得るところではないかと思いますので,それ次第というように思っております。 ● 御注意,ありがとうございました。そういうことで,もうちょっと検討させていただきます。   よろしいですか,まだ大分重要問題が残っておりますので。   2の「種類株式関係」でありますが,ここは星印がついております。(1)の①,②ですけれども,試案では第1種にこうすると書いてありまして,それについてはほとんど賛成だったようですが,ここではちょっとそれを広げて,譲渡制限会社にまで広げてはどうかということであります。   それは,なお検討するでありましたので,それについて意見を述べられた方は余り多くなかったという問題があります。この点について御意見いただければと思いますが,いかがでしょうか。 ● これは,先ほどの書面の5ページにちょっと詳しく書いてございますので,お読みいただければ私の考え方は御了解いただけると思うのですが,結局この剰余金分配・議決権に関する別段の定めというのは,いわゆる属人的な定めというふうに言われているわけですが,なぜ有限会社でこういったことが認められてきたかということについて,必ずしもはっきり書いた文献を当たったわけではないのですが,どちらかというと,会社運営上社員の個性のウエートが高い,したがって人的結合関係が緊密であるという前提を置いた規定であって,持分の譲渡制限がなされている,すなわち非公開だという趣旨よりも,むしろ社員の数が少ない,この点が根拠であるのではないかなというふうに考えているわけでありまして,そうすると先ほど申し上げたように,かなり多様な譲渡制限株式会社が第1種を選択していくという可能性もございますので,その中においても相当この属人的な定めが利用されるということになりますと,かなり多数の株主を擁する有限会社型の機関設計の会社において,属人的な定めが利用されることもあり得る。そうすると,譲渡制限株式会社一般に認めるということになりますと,かなり株主数も多いし株主構成も多様だ,そういった会社全般において利用可能だということまで認めるにはちょっと不適切ではないかという考え方でございます。   更に言うならば,要件の問題といたしまして,5ページの下の方のハのところに書いておきましたけれども,取締役会が設置されない会社に限って認めるといたしましても,なおかつ株主の数について,社員の個性が全般的に把握できるというような人数の制限,これを設けて,更に有限会社法では事後的な定款変更でこれを新設あるいは変更するときには,総株主の同意を要するという解釈になっておるようでございますけれども,そういう少数株主保護の制度も要件として設定すると。要綱試案では拒否権ということも考えられておりましたが,それでもよろしいかと思いますけれども,そういう第1種に限って,なおかつこの制度については人数制限をして,少数株主保護の制度も併設するというくらいの慎重さが必要な制度ではないかというふうに考えます。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● これも先ほどから申し上げていることと関係するのですが,やはりこれは定款自治が広く認められるタイプの会社においてこういうことがフレキシブルにやっていただこうという趣旨からしますと,私も第1種のものがこういうことが認められるのがふさわしいのではないかなというように思っております。 ● ほかにいかがですか。   余り今まで,○○委員のおっしゃった属人的定め,これは有限会社法にあるのですけれども,実際は余り定款で工夫しているという例はないと思うのですが,本当にやると,これは相当なことができると思うのですね。ですから,これを今の株式譲渡制限してある会社というのは--要するに,公開会社以外はもう地方有力企業なんてみんなやっているわけでありまして,それにまで本当に認めていいのかというのは,私もどうかなというふうに思うところがあるのですが。 ● 2の(1)の①については,私もいわゆる株主間契約で個別的にやっていたことを少し認めるかということですので,1種に限定し,そしてこういうことも認められるのだから,先ほどの繰り返しで申し訳ありませんけれども,特別決議要件というのはやはり頭数とそれから4分の3でしたか,そういう厳格なものが必要になるのかなという感じがいたします。   そして,②についても1種でいいのかなという気がいたしますが,①と②はちょっと異質かなと思いますので,なお検討させていただきますが,①についてはやはりちょっとこれは広げ過ぎかなと。プラス特別決議要件について,こういうことに配慮してもう一度原案を御検討いただけたらと思います。 ● 皆様方の御意見に全く同感だということを申し上げたいだけでございます。黙っていると,賛成だというふうに思われるといけないと思いまして,これだけ申し上げさせていただきます。 ● そうは思っておりませんが,やはり事務局も皆さんの顔色を読んでおりまして……。そういうところから判断していると思います。 ● 第1種限定に賛成であります。 ● 大体そういう理解でよろしゅうございますか。①については,少なくとも第1種限定ということで。 ● 同時に,やはり本当にこういう問題を考えますと,○○委員がおっしゃいますように,二の2の(2)の⑤についても,あるいは(2)の①についても,慎重に考えた方がいいのではないかと思います。 ● ②については,○○委員は留保と言われましたけれども,いかがでしょうか,ほかの方は。 ● 異論があったらと言ったので,異論がなければもう撤回させていただきます。 ● ②につきましては,原案どおりでお願いできればと思うのですが。   といいますのは,これは何かベンチャーの話ばかりして申し訳ないのですけれども,いろいろな種類株式の設計を行いまして,特に種類株式を使った支配の分配といいますか,要するに拒否権をつける等のものは,特にベンチャー・キャピタルファンドに対しては相当数発行されることが予定されているわけであります。もちろん,当初は第1種で始めたといたしましても,ある規模的に大きくなった場合等,あるいはIPOをにらんだ組織設計を考えた場合に2種に行くということは十分あるわけでありまして,そのときに,2種に行ったからベンチャー・キャピタル等につけたこういった制限……,というよりも,むしろプラスの面の方が大きいと思うのですけれども,要するに普通株式とは違った形の議決権をつけたもの等につきまして,数制限,パーセント制限というようなものがあるというのはやはり非常に設計上問題が出てまいりますので,できればその点は自由な形でできればなということで,②は原案どおりでお願いできればと思います。 ● ②につきましては,ほかの委員・幹事の方,いかがですか。 ● 私も,本当は①と②は一体の問題ではないかというふうに理解しております。ですから,①の方を第1種に限定すれば,②も第1種に限定するのが自然だと思っております。 ● 手を挙げなくても,うなづいておられる方は相当おられたと事務局は見ていたと思いますので……。   ほかに,御意見ございますか。特に積極的な御発言,②についてはございませんか。   それでは,2につきましてそれ以外の点はいかがでしょうか。 ● (2)のところで,試案の3・8(2)について書かれているのですが,試案には(注3)がございまして,商法346条後段に掲げる場合以外についても加えるかどうかをなお検討するとなっていましたが,ここに書いてあることは,(注3)の検討はもうしないということですか。 ● これは,先ほど申しました「なお検討する」が落ちている例でありまして,私もそれは事務局に言ったのです。 ● 分かりました。 ● 落ちております。それは事務局も承知しておりますので。   特段の定めをしたというようなときの処理ですね,おっしゃるとおりの問題があります。   それでは,ここで休憩いたしまして,再開後は三の3から御審議いただきたいと思います。             (休     憩) ● 時間ですので再開いたします。   3でありますけれども,3全体につきましては星印がついているところは2か所ですけれども,どの点についてでもどうぞ御意見お願いいたします。 ● 3の(1)の星印の③でございますが,これは私はこのようなb案に基づく案の方がよろしいと思います。   ついでに④ですが,これは私が前にここで申し上げて,補足説明の方に書いていただいたのですけれども,免責の対象となる取締役だけが責任免除決議の議決権を持っているような場合ですね,商法222条1項5号の定めなどによって。そういう場合には,結局異議の申出をする権利を持つのも免責決議の議決権を持っている当該責任を問われている取締役だけということが起こり得るわけですけれども,免責決議をした場合は,商法247条1項3号で決議取消しが可能ですが,異議の申出をしないということは決議取消しというチャンネルで,いわば自己免責に対するチェックが働かないのですが,そういった問題があるということを申し上げて,それは補足説明の方に書いていたのですけれども,その問題はさっきの「なお検討する」で,今後も考えていただけるということでしょうか。 ● 各項目につきまして,これで決めを打つという趣旨ではございませんので……。 ● では,なお検討してください。   あと,次の(2)の方の星印,これですが,これはさっきから出ている少数株主権の要件で,人数制限を入れるかということとも非常にかかわってくると思うのですが,まず質問なんですが,b案の方が①についてだけ2種を含めてこういうことを認めるというふうにした,①と②から③までとを区別した理由,これを教えていただきたいのですけれども。 ● これは決めの問題ではありまして,議論をしておいていただこうかという趣旨なんですけれども。   第1種と第2種の切り分けを--先ほどのように定款の定めによっていかようにもなるということがあることはあるのですけれども--一応株主総会で決議できる事項のデフォルトのルールが異なっているという点に着目して分けるとすると,②から④までというのはいずれも結局株主総会における議決権行使を基準に,一部ちょっと違うところもありますけれども,行使できる株主を割り振るということをやっておりますので,それに関連して少数株主権の要件も勘案するのかどうかということを考えたときに,帳簿閲覧請求権は必ずしも株主総会と関係がないものですから,そうするとそこだけ別異の取扱いをすることが考えられるかどうかということだけです。   ただ,先ほど来の議論で,そもそもこういう定款の定めによって変えることの可否,是非の問題がありますので,ちょっとそこともあわせてということだと思うのですけれども,分けた趣旨はそういうことです。 ● 私としては,まだa案の方がいいかと思いますが,一方でそもそも何で第1種の方が少数株主権の要件が厳しくなっているのかという根本問題が,さっき申し上げたとおりあるような気がしております。そのために,人数制限という考えも出てくると思います。 ● いかがでしょうか。ほかの委員・幹事の方。   私も,(2)の①はb案のように分ける必要はないような気がするのですけれどもね。 ● 先ほど来の人数制限を設けないとする代わりに--代わりにといいますか,ということを前提に--少数株主権について10分の1までのような引上げを認めないこととするというような方向での考えについての御意見を確認させていただきたいのと思うのですけれども。 ● 第1種の話ですか。 ● はい。 ● いかがでしょうか,人数制限をすべきであるという御意見の方,相当おられたのですが,しない場合に,こういう10分の1までの引上げを認めないという前提であれば……。 ● 先ほど来の御意見は,人数制限にかなりいろいろな意味合いがあって,例えば人数制限を設けないということであれば,定款変更決議要件は加重されてしかるべきであり,あるいはここの少数株主権も10分の1までというような引上げをすべきでないという御指摘も明示的にあったと思いますので,それについての御議論ももう一度確認させていただきたいと思います。 ● かみ砕いて言えばこういうことですかね,少数株主権さえあれば,行使できれば,大勢でも第1種と認めていいかと。   50人以下だから総会主導なんだという,それが人数制限論者の根拠だと思うのですが,しかし少数株主権は保障しますと,3%とか1%ですから,まあ使えるでしょうと。そうなっておればよろしいかと。 ● 現時点では,第1種と第2種は結局何で分けることになったのでしょうか。 ● 試案の考え方も,それの延長線上にある今日の資料も,何で分けるというと正確ではなくなるのですけれども,要するに現行の有限会社的なワンパッケージの規律と,譲渡制限株式会社のワンパッケージの規律との両方を設けた上で,それをいずれも株式会社と整理し,どちらも選択できるようにしましょうと。そのメルクマールの一つとして,取締役会が設置されており,その取締役会の権限が強固かどうかというところがメルクマールではありますけれども,それですべてを切り分けるわけではなくて,ワンパッケージなんですね。 ● 取締役会を設置したら,第2種になるというわけではなくて,第1でありながら取締役会の設置もできると。 ● それは,今の有限会社において取締役会が設置されるということは,別に法律で禁止されているわけでもないですけれども,そこの取締役会の権限というのは法律上何か規定を設けられているわけでもない。そういう規律がワンパッケージであって……。 ● ですから,今までの有限会社的なものをそのまま第1種に持ち込むということになると,当然強制はされないけれども取締役会を設置することは自由ということになりますね。 ● その取締役会はかぎ括弧つきですけれども。それは,別に現行法上も,条文上は書いていないだけです。 ● そこが少し分かりにくいのではないですかね。例えば,譲渡制限会社のうち,取締役会が設置されているものが第2種で,設置されていないものが第1種というような切り分け方をしたとしますね,自分たちがそれは選択できる話なんですけれども。そうすると,かなり分かりやすくなりませんですか。 ● そうですか。 ● 取締役の過半数で決するといっているときに,取締役会というのをつくったときに,ちょっとこれ数がずれてくるのですね。取締役会の過半数はありました,だけど取締役の過半数はありませんでしたというものができてきますのでね,そういうケースが。 ● 法技術上は,株式会社について例えば第1款にこれだけの規定があり,第2款にはそれとは別の区分についての特例規定がこれだけあって,定款の変更によってそのどれかが選べるということになるだけであるはずでございまして……。 ● いろいろな決め方があると思いますのでこだわるわけではないのですが,第1種と第2種はどう違うのですかと言われたときに,やはり分かりやすいメルクマールがあった方が利用者にとっては便利なのではないかという気がするのですね。 ● メルクマールが最初の一だけなら単純なんですが,そこにいろいろなメルクマールをつけ加えるべきではないかという議論が出てきていますので,議論が複雑になっていることは確かなのですが。 ● 結局,一番最初の○○委員の御指摘にさかのぼる話だと思います。 ● さっきの事務局の問いかけには,積極的にどうも賛成だと言われた方はおられないのですが。先ほど,人数制限をすべきだと言われた方で。 ● すべきだというか,そうでもないとうまく説明できないということで,なぜ1種の方が少数株主権の持株要件等が厳しいかというのを,理由を考えていくと余り出てこなくて,あり得るとしたら実際上人数が少なくて,そんなにクリアすることは難しくないからこういうのを設けても別に構わないということぐらいしか考えられないので,それならばそういう少数株主権を厳しくすることができる範囲というのは,社員の人数が限られている第1種と一致させる方が,説明としては自然だろうということで申し上げたわけです。   それを逆に,逆が成り立つかどうかというと,これは必ずしも成り立たないのではないかという気はしております。ちょっとそれ以上は,考え抜いていないので自信のあることは申し上げられませんけれども。 ● 私も,今ここですぐに頭の中が整理できているわけではないのですが,単に記憶ですけれども,これは有限会社と株式会社をわざわざ変えようという立法的な意図のもとに要件を変えたのでは,ほとんどの場合なかったのではないでしょうか。昔はむしろ一緒であったと,しかし株式会社の方についてだけ皆さんが注目されて,10分の1はおかしいとか,そういう御意見があり,改正をするときに,有限会社法の方をついほっておいたということの結果だったのではないでしょうか。 ● そういう部分もあると思います。ほっておいたのもあるし,それから○○委員がおっしゃったように,まあ有限会社は社員数も少ないし,10分の1でもそんなに弊害はないでしょうということだったのだと思いますね。 ● ですから,更に言えば,これは究極的には本日の最後のところの問題,商号のところの二つ目の米印の,無理に第1種株式会社にすべて有限会社を吸収しなければいけないかという問題に最後はかかってくるのかなと。なお二つの,第1種株式会社と有限会社というものがあり得て,その間では法規制というか,要件等に差がある場合もあり得ると考えれば,それほど神経質に考えなくてもいいのかもしれません。 ● 分かりました。ちょっと急に言われてもということなので,なお検討させていただきますが,この(2)のb案はもういいですかね,これに積極的に賛成の方はおられますか。   よろしいですね,これは消えるということで。 ● それほど強い意見ではないのですが,3の(1)の③ですけれども,意見照会したところ,b案の支持が多数ということもあってこのようなつなぎ方をされまして,特に強い反対というわけではないのですが,しかしそもそも問題は,解任請求というものを解任の決議がいったん否決された後,請求できるものとするという,その位置づけをとるかとらないかというところがあり,もしそういう位置づけをとるというところからこの「又は」の前半部分の要件が出てくるわけでございますね。「又は」の後半部分のような要件をとるという考え方も十分あると思うのですが,しかしそういう考え方をとるのであれば,そもそも否決されるということの要件を前に置くことが妥当かどうかということもあわせて考えなければならないような,そういう問題を抱えるような二つの要件を並列して,多少芸が細かいというのか分かりにくいというのか,そういうことになりはしないか,筋がどう通っているのかというふうに聞かれたときに,ちょっと説明のしにくいことになるのではないかということをやや懸念します。 ● これも,それから③も,○○委員からも御意見がありましたし,いろいろ意見が分かれているというのが現状かと思います。   ちょっと先に進ませていただきます。   4でありますが,これが新株発行関係ですね。星印は二つここにはつけられておりますが,いかがでしょうか。どの点でも結構ですが。 ● 4の(1)の③のところですが,ここでは「譲渡制限会社における株主割当て」につきと書いてございますが,これは第1種のみではなくて,第2種も含めての譲渡制限会社という趣旨でございますか。 ● ここはそのようですね。ただ,今事務局にも確かめたのですが,経過措置の問題はある,既存会社をどうするかという問題がある。   おっしゃるとおり,これはこの文章のままですと,現在の譲渡制限会社は株主割当てでやるならば取締役会で決定できるのですね。でもこれになりますと,定款で定めていない限り総会にかけないと増資はできなくなります。ですが,それで皆さんよろしいのでしょうかねと。   私は,閉鎖会社というのはその方がいいと思っているのですが。株主割当てというのは,いわば払込みを強制するわけですから,それは閉鎖会社の在り方としてはおかしいと私は思っているのです。結論は,私はこれでいいと思っているのですけれども。 ● 私も,ちょっと趣旨を確認したいということが第1点。   それからもう一つは,第1種の場合についてということになるかと思いますが,第1種の場合について定款に定めがあるときには,株主総会も何もかけずに,取締役会はもちろんないことが前提でしょうから--ある場合もあるかもしれませんが。そうしますと,取締役で自由にさせるという,そういう趣旨なわけですね。 ● 文章はそのとおりだと思います。 ● それが妥当かどうかということです。 ● これは,ですから現行法を前提にするとかなり変わる話です。 ● 変わりますね,いずれの側においても。第1種においても第2種においても。 ● 試案では,有限会社の増資手続ということで第3の12の(2)の②ですが,意見照会をして基本的には賛成意見が非常に多かったということでありますので,これを株式会社バージョンに書き換えていると。 ● 有限会社についてそうするということについては,試案に出たいたのですよ。だど譲渡制限株式会社全部そうだという,これは試案には書いてなかったと思うのです。   ベンチャー企業なんかは定款に書いておけば,別に弊害は出てこないと思うのですね。定款に書いておけばできるのですから。ベンチャー企業なんかは,定款にちゃんと書かれると思いますから,そんなに弊害は出てこないと思いますけれども。   ②の米印はいかがですかね。第3種についても株主割当てについて再募集を認めないとしますと,現在の公開会社でも株主割当てで……。   電力会社とかガス会社はどうしておられますか。まだ株主割当てやっているということは……。もう全くなくなりましたかね。 ● どうでしょう。 ● もしやっているとしたら,ちょっと困りますね。 ● ここは,会社の判断でもって再募集ができるように,第3種についてはしていただきたいと思いますけれども。 ● ただ,第3種も二つありまして,うんと中小は譲渡制限の定めしていないのですね。そういう会社については,第1種と同じ取扱いでないとおかしいのではないかというところがあるのですが,それはもうしようがないかと。     ちょっとこの米印については,○○委員がおっしゃったような問題があるのではないかと思います。   下の方の,(3)はいかがですか。これ自身については余り反対はないようなのですけれども,合併無効等について提訴期間が1年になるということであれば困るという意見が多かった,こういうことであります。   組織変更については,1年間分からないということは余りないのだろうと思うのですけれども。こっそりやられちゃってという問題は,主として通常の新株発行のケースなんだろうと思うのですが。   一応そういうことでよろしいですか,通常新株発行だけだということで,1年に提訴期間を延ばすのは。   それでは,先に進んでよろしいでしょうか。 次に,5の「株券」のところであります。これは第1種,第2種を通じて定款の定めがある場合に限り株券というものがあると。定款に特に定めなければ,株券はなくなる。   ただ,これも先ほど事務局からちょっと説明がありましたように,既存会社についてどうするかという別問題がありまして,既存会社につきましては何もしないでいきなり株券が無効になってしまう,法律が発効した途端に株券が無効になってしまうということになりますと困りますので,それはまた別だということのようです。   よろしいでしょうか,少なくともこの法律が施行されてからできる株式会社につきましてはこういうことだということで。   御意見がないようでしたら,6に進ませていただきますが,6はいかがでしょうか。 ● この項目を取り上げていただいて,かつ第1種株式会社についてはこういう方向で行くということで方針立てていただいて,大変喜んでおります。   ついでにと言っては申し訳ないのですけれども,第2種の株式会社については,このようにしないという理由は,それほど重たいものではないのではないかという感じがするのですね。たとえ株主数が多い会社も,第2種の場合結構多いのではないか,そんなこと言い出したら第1種でも株主数の制約をしないということになりますとある程度多いかもしれませんが,しかし多いといっても多分100名から500名ぐらいの間どまりであって,それ以上の株主数のある譲渡制限会社というのはほぼないと言っていいに近いのではないかという感覚を持っております。一度確認した方がいいのかもしれませんけれども。   もし,そういう会社がほんのわずかあるといたしましても,それにしてももう株券も発行しないのが原則になってきてしまったりする場合に,株主名簿でもって管理することになるわけですね。譲渡制限会社であればなおさらのこと,特に株主に個々に通知するということで支障があるとも思われませんので,是非第2種株式会社についてもこのような措置を講じていただけるといいのではないかと思います。 ● この点,従来必ずしも意見を言ってこなかった部分なんですけれども,いろいろと実務の方を確認してみますと,結論から言いますと1種も含めて,やはり公告というのがおよそ使えないという形になることについては,かなり深刻な問題があるというふうに考えております。   それで,現実はやはりいろいろな相続が間に挟まったりとか,それから所在がきちんと確認ができないということは,これは人数が少なくても当然またあるわけでございまして,現実にそういうことに絡んでいろいろな決議取消請求とか,いろいろな形でそういう紛争の種になるというようなことがいろいろわけでございますので,できる場合には通知をやるということについては異論はないのですけれども,およそ公告という手段が使えないということについては非常に深刻に困るというふうに考えております。   それは,実は2種の場合ももちろん,ましてやということになってくるわけでございますので,その意味では今と全く同じように,並列的に通知又は公告というふうにするのか,それともできるだけ通知を使いつつ,それにより得ない場合に公告という手段を認めるという形にするのかは別としまして,公告を全く禁じるということについては,ちょっとこれは実務の観点から非常に難しいというふうに考えております。 ● これは,そういう案ですか。通知はしなければいけないという案であって,公告は任意にするのは自由なのではないかと思いますが。通知をしないで公告だけだというのはだめだと。 ● 私もいろいろ株主でそれこそ相続とかいろいろなことで分からなくなったという人がいるのかもわかりませんけれども,商法のルールは,名簿上の住所なり特定の場所にやれば,会社としては免責されるので,ただ実態100人を超える多数の株主がいらっしゃる譲渡制限会社で,そういう法の手続だけを遵守していたのではIR的に問題だというときに,プラスアルファすることは何の差し支えもないと。ただ,ここでやるのは,最近は少なくなりましたけれども,公告ということをほとんどしないにもかかわらず,ぽっとして,それで不公正な発行をするような会社に対する対応ということですので,やはりそういう観点からは,通知がきちんとできて,基本的にそれで何とか対応できる譲渡制限一般に,私もこれは及ぼすことをベースに,特に何かいわゆる2種について及ぼす弊害が考えられるならまた検討しますが,原則は譲渡制限一般ということをベースに,少し詰めていただいて,問題点を,つまりそれをすることの問題点をお教えいただければと思います。 ● 逆の立場なのですけれども,これについては第1種,検討事項でも第2種についても規制を強化しようというわけですから,規制を強化すべき立法事実があるのかという点をまず開示していただいて,それで議論をすべきではないかと思うのですけれども。 ● それについては9月ころに,この試案の取りまとめの最終段階で,少し平成2年以降状況が変わったとはいえ,小さな会社で公告をすることによって幾つか困難な問題が判例上あると,ただそれが平成2年以降,どこまで重いかというのは,私,大体四,五年おくれで分かるものですから,最近の状況は分かりませんが,少なくともそういうおそれがあるのでこういうことをお考えいただきたいと申し上げたのですが。 ● たしかそうだったと思います。 ● 第1種株式会社というのは有限会社的でありまして,今現在有限会社には公告をもって通知にかえるという制度自体がないのですね。ですから,そのまま横にずらしますとこうなるということなんですね。   すなわち,株式会社に有限会社型の機関設計を認めて,その他有限会社的な制度を適用しようというふうにするとすると,少なくとも株主に通知すべき事項ですから,余り今有限会社の場合はないので問題にはならないのですが,例えば基準日の設定とか,株式分割のお知らせとか,そういうやつについて通知又は公告というのが株式会社に認められているのですが,有限会社の場合は基本的には公告で代えるという手段もないということなので,そこはどちらに合わせるかという問題を考えるときに,昨年の秋ごろの議論を踏まえると,少なくとも第1種についてはこういう整理ではないだろうかと。   さらに,第2種につきましては,いろいろあるのですが,第2種も場面によっては株主が分散している,場面によっては株主が特定できるというあれがあるのですけれども,それがどうかという視点でありますので,1種について規制を強化するということではないと。 ● 主として,第2種の米印の方がむしろ重要な問題だということのようです。 ● この問題も,先ほどの第1種と第2種の会社の株主の数,あるいは構成がどうなるかという予測の問題とかかわると思いますので,もともと第1種と第2種の区別の要点というのは,有限会社型機関設計を選択採用したかしないかという問題だと思いますけれども,株主がどれだけの数がいて,執行部の方で株主をどれだけ把握可能かという問題については,第1種においてもある程度株主が分散した会社がそれを選択する可能性もありますし,あるいは第2種でありながら,株主が非常に少数だという会社もあらわれるかもしれないということですから,そういう意味でこの第1種,第2種を株主に対する通知・公告の問題で区別する合理性はないのではないかというように思います。   結論としますと,第2種についても講じた方がいいのではないかということです。 ● 1点,確認なんですけれども。   任意による公告というのは,当然できるという,そういうことでよろしいわけですね。 ● はい。   今まで御意見をおっしゃった方は,第2種についても通知はすべきであるという御意見のようですが,大体そういう御意見の大勢だというふうに考えてよろしいでしょうか。--それでは,そういう方向で考えさせていただきます。   それでは,いよいよ最後になってまいりましたが,四の「その他」で,まず1の「組織変更」でありますけれども,これにつきましては,後の方にもかかわるのですけれども,組織変更という規定は一応廃止すると,その場合に株式買取請求権は2種から3種になるとき以外は全部あると,こういうことのようです。   あるいは,次の「商号」のことにもかかわっておりますので,四は全体を御議論いただいた方がいいのかもしれないのですが,そういたしましょうか。   四の「その他」につきまして御意見いただけますでしょうか。 ● 1の「組織変更」のことなんですが,基本的ルールはこういうことになるのだろうと思うのですが,定款変更の決議要件が一つ問題で,先ほど○○委員から,一部の株式を事後的に譲渡制限する場合にどうかという話がありましたが,これについては今の株式会社の定款変更決議,要するに最低9分の1あればよいという,そういう前提でこれは御提案しておられるのか,それとももう少し今後詰めるということなのか,そのことだけ教えていただければと思います。 ● ここでの決議要件は,正に第1種における特別決議の要件がどう設計されるかによって,変わってくる問題であるというように整理しておりますので,その議論をお待ちした上で,論点として提示させていただこうということで,あえて載せていないところでございます。 ● 要するに,インプリケーションとしては,組織変更に関する規定を廃止するというのは,もう第1種と有限会社を一緒にするというインプリケーションなのですが,そもそもそれが,それで「商号」のところもそういう前提で,これは商号をどっちを選ぶかだけの話だと,こういうことになっているのですが,そこのところは正に最大の問題点,本日伺ってきましたことに全部かかわってくる問題だと思うのですが,この点について是非ここで十分に御議論をいただきたいと思って,かなり急いで御議論いただいてきましたので……。 ● 米印の最初の方ですが,現在私が有限会社をやっているとすると,定款変更をしなければ未来永劫「有限会社」と名乗っていけるという結果が生ずると理解をしてよろしいのでしょうか。   それは,商法という観点から言うと,どう評価されるのかなと。けしからんやつだと,ネガティブな評価があるのかどうか。   これをお書きになった方は,どういうおつもりでお書きになったのかなと。 ● これは,2の方の原則をどうするかにもよるのですが,新しい会社類型はとりあえず株式会社にしましょうということにした上で,星印で新法が施行されて認められた制度に移行する場合には,新法のルールに合わせてくださいと。新しい法律ができたことによって認められた制度に移行するときには,その新しい制度に従ってくださいということで,名称も株式会社に改めましょうというのが星印の趣旨でありまして,要するに何を気にしているかといいますと,別に有限会社の経営者の方は法律が通ったからといって法律がどう変わったかと余り興味がない方も非常に多いですし,かつ別に自分は何も変わっていないのに,有限会社の看板を株式会社に書き換えなければいけない,これも結構しんどい話なので,仕上がりがどうなるにせよ,今,「有限会社」と使っている人たちがその制度の状態のまま運営される方には,「有限会社」をそのまま使っていただくと。 ● ちょっと具体的なことをお尋ねをすると,例えば取締役がかわりましたといって登記所に行って登記をしようと。おたくさんは有限会社だけれども,今は商法がかわりましてね,施行されましてと,商号もこういうお名前に変わりますよと言われるのですかね。そこは言われないのですか。   私が以前から申し上げているのは,今,有限会社という名前でいて,その有限会社という通り名で世間的に流布している方たちについては,そのまま使わせてあげていいのではないかと,登記上も。すべての面において余計な手間,お金をかけなくてもいいのではないかと。これがビジネスの親切というものだと。そこら辺がはっきりしないものですから。 ● 今まで有限会社でやってこられて,積極的に定款変更決議もしていない,有限会社を株式会社にかえるという何らアクションをとっていないという有限会社の方は,登記所に行っても商号は有限会社であると。 ● 取締役をかえようが,定款の他の部分を変えようが言われない。 ● はい。「有限会社」という商号を維持できたままで,登記でも何でもできるということです。 ● そうですか。2のところの星印がついておって,最初の3行のところは結構な話だなと,新たに株式会社と1種でも2種でも3種でもみんな株式会社だというのは非常に美しい形で,今回,私の議論をしてきたことの結果がここに象徴的に結実するのかなと。   一方,二つ目の米印について申し上げれば,これはどういうことなのだろうかと,そういう御意見をおっしゃった委員が存在することについては認識はしているものの,決して多数説だとは思っていなかったのだがと。   これをやりますと,ごく一部はガバナンスが少し違っても,会社の名前がそれだけで違ってしまうというのは,今回の改正の趣旨とはちょっとうまく整合性がとれないような気がするなというのが,私どもの気持ちでございます。 ● いかがでしょうか,むしろ,米印2の方が非常に重要な問題を含んでいるというふうに思っておりますが。 ● 私は,米印2のような解決方法しか恐らくコンセンサスが得られる--○○委員のコンセンサスが得られるかどうかは分かりませんが--国会のコンセンサスが得られるような方策はないのではないかという判断のもとに,この米印に賛成しているのです。つまり,本心から言いますと,決算公告等々,全部の会社について公開を求めると,計算書類の公開を求めるというヨーロッパ方式,これに踏み切るということであれば,私も米印1といいますか,本文といいますか,すべて株式会社ということで経過措置的にそのまま有限会社を使っていいよということだけで十分それに賛成なのです。しかし,決算公告の問題につきましては,これは本当に意見照会をしましても分かれておりまして,これをどう決着させるかということを考えずに,ほかの設計ができないほどの出発点のような話になろうかと思うのですが,その際に,やはり一番分かりやすいのは現行法のままにするということではないかというふうに思うわけです。   もしこの点を変えるとするならば,変える説明が要りますよね。その説明が,果たして国会の議員の皆様方やら国民の多くの方が納得するような形で,改正の提案ができるのだろうかとさえ思うわけです。そうすると,決着のつかない問題は現行法どおりという,そういう扱いになるわけですから,立法は一番通しやすい方策だと思いますし,結論として実体上それが悪いかといいますと,私の個人的に思う理想の像とは違いますが,しかし自分の会社はやはり計算書類の公開をしていくのだと決められたところはそうだということを世間に堂々と言い,そうでない選択肢も十分とれる。そうでない選択肢をとったからといって,ほかの点ではほとんど差がない。けれども,そのような公開はしないという選択をとったということについては,それも何も恥ずべき話ではなくて,自分たちはそういうポリシーなんだ,それでいけるのだということなのですから,堂々と名乗られたらいい。やはり二つの商号を使うということになりましたときに,ガバナンスの差を商号に表示させるというよりは,やはり債権者との関係において法律関係上違う扱いがされるというところでもって,商号の差にした方がよほど合理的だというふうに思います。そういう点からいっても,不都合ではないのではないかという意味で,もうほかに国会を通るような選択肢はないという意味において,私は米印2に賛成だということでございます。 ● 国会が通るかどうかというのは,これまた別の話かと思いますのであれなんですが,基本的に今回の議論,実体として有限会社,つまり計算公告のことでいえばそういう義務がかかっていない会社の実体,それから大半の譲渡制限会社が法律的には義務がかかっていながら,現実にはそれがほとんどの場合履行されていないといったような実態の,ある意味では共有性,共通性というのを見ながら,そういうものをいたずらに区別をするのではなくて,一つの類型のもとに規律をしていくという流れでこういう検討が進んできているかと思いますので,その意味では必ずしも現行法の扱いをそのまま維持しなければならないというふうには当然にはならなくて,むしろ一体として考えながら,それから名称においても現実に株式会社というふうな名称で営業しないとなかなか不都合があるというような実態も含めあるわけですから,無理に有限会社という名称--既存の有限会社の問題は別にしまして--というものを無理に残すということは,必ずしもこれまでの検討の論理必然的な結果でもないように思っております。 ● ○○委員,○○幹事から御意見がありましたように,この問題の背景には,やはり決算公告といいますか,中小会社における計算書類のディスクロージャーの問題が深くかかわっております。これは最低資本金の問題ともかかわっております。   それで,ちょっと○○幹事に一つ御質問なんですが,新事業創出促進法ができまして,あれによりますと経済産業省に計算書類を持ってこいと,そして縦覧させるという制度になっておりますけれども,あれはどうですか,状況は。 ● 済みません,先日の会合のときに○○委員の方から若干御指示がございまして,基本的には包括的に次回か次々回ぐらいに御紹介する準備は今進めておるところなんですけれども,まず数字的なことでいいますと,前回の記事にも出ておりましたとおりで,大体今1万件を超えるぐらい確認件数があって,実際に設立しているのが9,000件弱で,実際その中で卒業という形でもう1,000万を積まれて,あるいは300万で有限会社になられたというところが270件と,それから他方既に解散という形になってしまったものが21件ぐらいということで,これは中身としてはいろいろございまして,経営者の方がお亡くなりになったとか,銀行からお金が借りられなかったというものから,合併をされてほかの形でやっていくことが決まったとかいうようなものもあってあれなんですけれども,数字的には大体会社というのは設立後1年ぐらいでつぶれるというか,だめになるケースというのが平均して3割から4割ぐらいあるということになっておりまして,それとの比較でいいますと,8,780件が正確なあれなんですけれども,そのうちの21件くらいが1年弱ですけれども解散というのは,そんなに悪いあれではないなと。   それから,これがもちろん悪用されているとか,いろいろな濫用みたいな議論があったわけですけれども,少なくともそういうような議論は聞こえてきていないということでございますので,まだ法律として御案内のとおり5年ということで,まだ4年ほどあるわけですので,もう少し見ていく必要があるわけですけれども,とりあえずは大きな問題にはなっていないというふうに考えております。 ● その点は前回伺ったのですが,今日伺ったのは計算書類の,もう大体法律施行後1年たったのではないかと思うのですけれども,計算書類を持ってきていますかということなのです。これは簡単にお分かりになると思うのですが。 ● 済みません,その点は基本的にもう経済産業省の方でこれは確認の手続をする際にたしか提出を求められることになっておりますので,出てきているというふうに理解しております。ただ,もちろんそれをみんなが見にきているかとか,利用されているかという,そこの点については明確なあれがありませんので,恐らくそんなに今の公告と顕著な扱われ方の違いがあるということでは必ずしもないかもしれませんが,手続としては法律どおり行われております。 ● 行われていますか。 ● はい,そういうふうに承知しております。 ● そうではないという情報もありますので伺ったのです。 ● 済みません,その点について,私も直接の担当ではないものですから,その点も含めて次回のときに……。 ● どの程度計算書類出ているか,お願いいたします。   この点,計算書類の開示状況というのは,今後の議論として非常に重要な一つの資料だと思いますので。 ● 私どもの組織は,全国中央会という協同組合の--全国で322万社ぐらいまず企業があって,それが4万から5万ぐらいの間なんですが組合というものをつくって--その全国団体なんでございますが,一方,この車の両輪で商工中金というのがありまして,組合に加盟している方たちのための金融機関ということで商工中金というのが存在をしておるのですね。ですから,組合になっていなければ金融はしないと。   ここでも相当多額の政府系金融機関として融資をしておるわけでございますが,通常は融資をいたしますときに,単なる決算公告だけではなくて,それをもちろん何倍も上回るような,かつてはトラック1台分と言われまして,トラック1台分の書類がない会社は融資ももらえないなんていうばかな話があったぐらいでございまして,ですからほとんどの企業が商工中金等から融資をいただいているときにそれを出していると。   そういたしますと,金融機関はもちろん守秘義務とかいろいろあるわけでございますが,様々なところで取引先についてはこういうところから問い合わせがあったりいろいろなことがあって,商法の公告の制度,決算の公告,計算書類の公開の制度について軽んずるつもりは毛頭ありませんし,私もディスクロージャーをどんどん進めるべきだという考え方でありますが,実際上は多くの企業は,それと同じことを金融というようなプロシージャーの中で行っていると。そうすると,取引先はどこですかと必ず銀行の取引先を聞くわけです。私,○○商事は商工中金と何々銀行と何々地銀と何々信用金庫と何々信用組合とやっておりますというと,それを聞いただけで,では大丈夫だなというようなことが分かったり,あるいは最近は少なくとも新規の融資があれば認めてもらっているなんていうことを推し量りながらやっていくというのが,実は世の中の実態だと。これは大企業でも中小企業でも全くそこは同じだと思いますけれども。   したがって,結論でございますが,決算公告義務の有無,かけることも一案だと思いますし,かけないことも一案だと,私どもいろいろそこは議論があると思っておりますけれども,これがあるなしで,会社の名前で,ディスクリミネーションという言葉は使いたくありませんけれども,区別する,差別するということは,直接の関連をつけるような事柄ではないのではないかというふうに思います。 ● 1種,2種,3種をどういうふうにネーミングするかという問題については,確かに同じ株式会社であるからそれを名称上区別する必要はない,そういう見方も確かにあるとは思うのですけれども,また一方で,計算開示という観点から区別するというのも非常に大きな問題があるということは承知しているのですが,もう一つ,私先ほど書面で書きましたのは,やはり対外的な取引の面から見た場合に,相手の会社が取締役会を法定的に設置している会社なのか,あるいはそうでないのか,例えば取引するときに代表取締役と名刺を出されたときに,第1種であればそれぞれが業務執行権を持つということになると思いますので,代表取締役というのはいないはずだけれども,これが第1種の会社なのか第2種なのか分からないというような問題なども出てまいりますので,例えばまた定款を取り寄せて見たところ,取締役会という規定がある,ところがその会社は実際には第1種の会社であって,法定の取締役会ではないというようなことが,商法あるいは登記簿を見ても判明しないという結果は果たしてどうなんだろうかというような問題があると思いますので,やはり差別とかそういうことではなくて,ガバナンスの状況というものを会社が責任持って対外的に分かるようにするという考え方から見て,第1種と第2種--これは,今取引するときに取締役会の議事録をわざわざ確認するというケースは少なくなっていると思いますけれども,ただやはり地域金融機関とか協同組合組織の金融機関などは重要な多額の借入れについては取締役会決議の議事録をとるということをやっているところもありますし,特に自己取引に該当するときには,外面的に分かりますから,本当に自己取引の承認の手続をとっているかどうかを確認したいということもあると思いますので,その場合に取締役会議事録をもらうのか,あるいは第1種であれば株主総会議事録ということになりますので,何を要求するかということが登記簿上あるいは商号上分からないというのは,やはり取引上ちょっと不便が残るだろうというような,いろいろな角度からの考え方があるとは思うのですが,そういったような対外的な取引の安全という角度から見ると,第1種と第2種はやはり商号上何らかの区別があった方がいいのではないかと,そういう趣旨でございます。   書面に詳細は書いてありますので,4ページのところですが,またお読みいただければと思います。 ● 何らかの対外的な公示というのは必要だと思うのですけれども,名前自身を変えるのか,少なくとも定款には当社は第1種株式会社とする,当社は第2種株式会社とする,これは当然規定するのですよね。 ● もちろんそうです。 ● それが登記に,おたくの会社類型は第1種,第2種,第3種,これも登記されますよね。 ● そうでしょうね。 ● 登記事項にもなる。   それ以外に,会社の名称まで変えさせるかどうか,やはり債権者の立場から必要……,経団連の意見は必要だということでずっと述べてきているのですけれども,本当にそこまでやらなければいけないかどうかですけれども。 ● 私も,第1種と第2種そのものが登記されるということはちょっと認識していなかったものですから。いずれにしても,1種と2種が登記簿上区別が判明すれば,債権者としてはその区別はつくということですから。おっしゃるとおりです。 ● それは間違いないのでしょうね。登記の点。 ● 現在の委員会等設置会社と通常の会社の区別をどうするかという問題と,同じような切り分けにするべく規律はつくりますので,第1種と書くか,それとも第何節の規定の適用のある会社と書くか,それは法技術的な問題ですが,いずれにしても法律効果が変わるのであれば,それは登記をすると。 ● 確認的ではありますけれども,当然名称の問題にも絡んでくるものですから,登記にどういう形で書かれるのか,1種,2種,3種という形で登記されるかというのは,これは非常にまた関心を強く持っている部分なものですから,その点は繰り返しになりますけれども申し述べさせていただきます。 ● もちろん,取締役の権限からして違いますので,当然それは何らかの登記は,第1種と書くかどうかは別にして,見る人が見れば分かるという形にはなると思います。 ● 今,○○幹事が御発言されたこと,私も大変感心がありまして,登記所に行きますと当然お金もかかるし,ですから小さければ小さい企業ほどコストとしては非常に厳しいということがありますので,そこら辺は具体的な案を見させていただいてからコメントしたい,こういうふうに思います。   それから,先ほどちょっと御発言が○○委員からございましたが,金融機関がお金を貸す貸さないのときに,いろいろなものを持ってこいというのは山のように持ってこさせるわけでありますが,そこで例えば取締役会の決議を持ってこいと言って持ってこられなければ当然のことながら融資は実行されないので,持ってこられないということはやっていないのですねとか,そういう取締役会はないのですねと,大体プロはすぐに分かるものでございますね。これは当然でございます。その企業のことを知らなければ審査はできないわけですから。ある程度,相当深いところまで知って,ちょっと極端なことを言うと,息子さんは今どういう状態でいるのかとか,親族がどうかということまで金融機関--リレーションシップ・バンキングというのはそういう話なわけでありますから,ちょっと言葉の意味を変にとるわけではないのですけれども,そういうことで行われるものだと。   最近,審査もなしに,自動審査で出すような都市銀行の中小ローンもたくさん出てきておりますが,これはそこのリスクも含んだ上で金利にその部分を乗せて,高く出したり安く出したりということを全部やっているので,それが自動審査の意味なんでございます。したがって,法律的にいえばリジッドにこれがどういうクライテリアの会社なのかというのを知ることは,一情報としては非常に重要でありますが,だからといってそれに全部依存して世の中が動いているわけではなくて,ほかの要素に依存している。   私は実際の話を申し上げているので,そう御理解をいただきたいと思います。 ● この米印の二つ目につきましては,○○委員は従来からおっしゃったように決算公告の点を非常に重視しておられまして,機関構成等は変わらなくても決算公告があるかないかで会社の商号を変えるべきだという御意見なんですが,これ機関と決算公告の話が出ているのですが,ほかのところも実は株式会社と有限会社というのは違うところがたくさんあるのですね。設立手続からして違うのですよね。募集設立がないということもあるのですが,有限会社ではいきなり取締役を選ぶとか,いろいろなところが本当は違っていまして,それでそういういろいろな違いを考えて,やはり有限会社というのは残すべきだと。   今まで検討してきたのは,実は機関とそれから株式・持分なんですね,大部分な話が。そろえていいのではないかとか。それ以外にも実は論点は,そろえていいのかという問題はないわけではないのですけれども,そのあたりで,やはりそろえちゃいかんのだと,やはり有限会社というのは別類型として残すべきなんだというような御意見がもしあるとしたら,早い段階で言っていただきたいわけですが,今まで余りそういう御意見出ていませんので……。 ● 追加的に一言だけ。   仮に有限会社というネーミングが特定のものとしてみなされるということになると,恐らく中小企業,私の団体とかいろいろなところが,またこの法改正全体について相当違う意見を言わざるを得ないということになるのではないかと思うのですね。やはりネーミングというのは,本当に重要な部分でありますから,例えば「有限会社新日本製鐵」となったら,それは危ない会社だと思うのですね。そういう名刺を出したら,ですよ。ちょっと極端な話ですが。 ● いや,試案でも,有限会社をなくすとは言っていないのですね。規制をそろえる方向で検討すると言っているのですが,2類型をやめてしまうと断言しているわけではないのですね。 ● ○○委員がおっしゃることは分かりますけれども,これまでの受けとめ方というのは,これはもうどなたもそう思われると思うのですが,有限会社と株式会社の垣根がなくなって,どちらかというと○○幹事がおっしゃったように,規制緩和の方に行くと。これはいい話だと。ということは,もう有限会社という名前ではなくて,みんなマル株になるのだなという感じが,勝手な思いこみなんでしょうけれども,下々のものはみんなそう思っています。 ● そう思い込んでおられる方もおられるかもしれませんが,ここではそういうことを決めたことは一度もありません。改めて御議論を今日いただいているわけです。 ● 私も○○委員と同じで,決算公告をすべての物的会社と申しますか,構成員の有限責任を認められる会社に要求することができるのだったら,統一する方向で,つまり有限会社をやめる方向で是非進めた方がいいのではないかと思うのですが,ただ世の中には決算公告したくない,決算公告というより今は公開でもいいわけですが,したくないというところもあるのではないかということを考えると,それに規制緩和だからといって株式会社を合わせるというのは,これは余りにもちょっと行き過ぎではないかなという気はするのですけれども。 ● 先ほど,○○委員から,○○委員がなさった実態調査というのがありましたけれども,実はここにあるのですが,○○委員が指導されたのですね,実際にされたのはもっと若い学生なんですが。そこでこれはまた決算公告について改めて議論をする機会があると思うのですが,そこでは大変おもしろい結果が出ています。   半々ぐらいなんですね,是非決算公告というのは中小企業みんなやるべきだというのと,それから人のは知りたいけれども自分のところは嫌だというのと。しかし,みんながみんな嫌だ言っているのではなくて,自分は嫌だけれども人のも出てくるならいいやというのも含めれば,そっちの方が多数であったというようなことですが。私はそう理解したのですが。 ● そのデータにつきましては,是非調査したいという項目を設けましてデータを得たのですが,実は調査をしまして大変びっくりしまして,今日持ってくればよかったのですけれども,その比率なんですが,それも持ってくればよかったのですが,もう一度昔昭和57年ぐらいだったか,ちょっと何年かまで頭に入れてこなかったので申し訳ないのですけれども,そのときも調査しましたのです。そのときは,今回の調査と違いまして,母集団を全く商業登記所に行って無作為でとりました。今回の調査は,ちょっと時間やら何やらがなかったものですから,商工会議所の会員の方々を対象としましたので,やや○○委員のおっしゃるDタイプという,少し大きめの会社が多く含まれているということになったかと思いますけれども,全く登記所でもって無作為に抽出した会社にアンケート調査をした場合も,今回の分布とほとんど同じだったのですね。しかも,年数もたっているのに,分布割合がほぼ同じだったということに大変私どもとしては興味深い結果だというふうに思いました。次回,用意して持ってまいります。 ● また御議論いただく機会がこの点についてはあると思います。決算公告以外で有限会社類型,「有限会社」という名前自体も残すかどうかというのはあれですけれども,第1種株式会社と有限会社は違う類型として残すべきだという,そういう御意見は特に積極的にはございませんか。決算公告以外の点につきましては。   決算公告については,○○委員が強い御意見を従来からお持ちだということは分かっているのですが。 ● 積極的な意見という意味ではないのですが,私自身がよく分からないのでむしろ教えていただきたいという部分なんですが。   先ほどの剰余金配当,あるいは議決権についての別段の定めという属人的定めの問題がありますね,これは持分についてと今までずっと見てまいってきているのですけれども,株式という物的の細分化された権利というものについてそういう属人的定めというのは,株式の本質に照らして認められるのでしょうか。   というのは,もし有限会社を残すということであれば,そういう属人的定めをしたいという会社は有限会社組織を選ぶ,あるいは今度新しく認めるLLCでやるという余地があるのではないかという気がするのですが,株式会社にあえてそういう属人的定めを株式というものに認めるというのは,理論的整合性という意味ではどうなのかということが若干疑問を持ちながら過ごしてきているのですが,もし教えていただければと思いまして。 ● 属人的定めというのも,これもいろいろあるのですね。議決権等が頭打ちになるというのは,これは世界各国の有限会社の法制を見ればそう異例なものではないと思うのですが,どこまで認めているかというと,これはちょっと分からないところがありますね。   こういう点は,○○委員が一番お詳しいのではないかと思いますが。 ● それではないのですけれども,最低資本金制度が(後注)に書いてありますけれども,基本的に撤廃するという方向であればいいわけですけれども,例えば第1種株式会社のうち有限タイプのものは撤廃するけれども,それ以外は300万だとか,そういうふうな方向での議論というのはもうなされないという前提ですよね。ということであれば,それ以外にも第1種の中をまた有限と分ける,その理屈というのは,今の持分のことは分かりませんけれども,ないのではないかと思うのですけれども。   それから,決算公告については,○○委員は非常にこだわりますけれども,あんなものはもうむだそのものであって,だれもあんなものを見て,その会社の状況を把握している人なんか,一人もいないだろうと思うものですから,融資するに際しても取引するに際しても,どこかのチョコレートを買うときに,そこの決算公告を見てから買いにいくわけではないですし,全く無意味な……,何でああいう制度があるのかも分からないぐらい無意味な制度ではないかと思っております。 ● 取引するかどうかの決定に見るというよりも,やはり社会的コストの削減ということなのではないかと私は理解しておりますけれども。 ● しかし,有用なものとはだれも思っていないのではないですかね。 ● いや,いろいろ調査する際の。 ● 調査する際。 ● プロがやはり調べるわけですよね,興信所とか何とかが。そういうときのコストが下がってくるというメリットがあるということが一番大きいのではないかと,私は思っているのですけれども。 ● 本当のものだと信じて調べているというわけですか。 ● その点は,実際にはいろいろな情報会社が大体情報を集めるわけなんですけれども,何が起こっているかというと,当然取引先とかそういういろいろなところから情報をとるものですから,実際にはきちんと取引をしようとする中小企業は,自主的にデータを大体そういうふうに出して,今,帝国データバンクとかいろいろなところは巨大なデータベースができているという現実がございまして,その意味では公告といった形でだれの目にも触れる形にはできないけれども,そういうところには出すというのがむしろ今の取引慣行でございますので,実際はそちらの方を見てみんな取引をしているわけでございます。   それから,中小企業のいろいろなアンケートのことが話題になっていますけれども,私どもも当然,5,000社を超えるような調査もやっておりまして,そこではむしろ公告を一回もやったことがないという人が83%おられて,実際不都合は感じないという方が56%,それはなぜかというと,実際は業界の評判とかそういうことで--済みません,取引の相手方ですね--取引の評判でもって十分判断できるので,別に公告がなくても全く困っていないというふうな方が半分以上,それから35%ぐらいが信用調査会社なんかがあるので全然困っていないというようなこともあるので,もし必要であればまたそれもお配りをしたいと思います。 ● なかなか興味深いですね,実態調査をしても,聞き方によって非常に結果が違ってくるし。 ● これは,制度が正面から予想していることではないので,申し上げていいかどうかちょっと分からないのですけれども,決算公告が要求されているということは,そういう物的会社というものは世間で取引していく以上は自らのそういう財務状態はパブリッシュする義務があるということを言っていることになるわけで,特に金融機関などが企業に貸し出している債権を譲渡して,債権の貸出市場をつくろうとしているわけですけれども,そういうときに金融機関が債務者に対する守秘義務をどの範囲で負っているかということを考える上で,今のような決算公告が法制上定められているということは,その範囲では債権を売買するに当たって債務者の情報を出すことが銀行の守秘義務違反にはならないというような形で意味を持ってくるわけで,単に直接的な,決算公告がなされているそれを見て取引するというだけの意味ではないということは御理解いただきたいと思います。 ● どうしても決算公告の話になるのですが……。 ● ○○委員は,そんなことにどうしてこだわるのかということをおっしゃったわけですけれども,会社法の歴史自身がもうそれにずっとこだわって,それをめぐって大論争をしてきたということで,その到達点としてようやく,100年の行ったり来たりの歴史を経て,イギリスがすべて物的会社である以上,計算書類を公開すべきだという方針に踏み切り,ヨーロッパ,EUもそれに従ったということがありますから,それは正にどこの国でも,いつの時代でも,大問題なのです。   それから,銀行に聞けば,銀行照会という格好でインフォーマルな形で教えてもらえるとか,興信所に行けばデータは何とか得られるという実態があるのではないかということですけれども,これは部会長おっしゃいましたように本当にコストのかかる方法なんですね。興信所に頼みますと,やはり万単位のお金を払わなければならないわけです。そのぐらい需要がある。   それに対して,法的にあとどこまで責任追求できるか分からないようなそんなデータでも,万単位のお金を払って皆入手して,それで取引をしようかどうか,信用をどのぐらい与える格好での取引をしようかということを判断しているわけですから,これは大変に需要があります。これはアンケートをとりましても,皆,人のものは欲しい,自分のものは出したくないけれどもという中で,本当に欲しいのですね,人のものは。   それから,確かに経産省等々の方で行われました調査などと違うデータが出ている,これは一遍つき合わせてみるとなかなかおもしろい面があると思いますが,私どもは順位をつけて理由などを聞きますと,信用調査はうわさだけで十分だとか,そういうようなのは順位が低いのです。ですから,もう少し中を細かく見ていくと,本当のところはやはり知りたいということは,しかしすべがないという状況というのは,やはり言えるのではないかというふうに考えております。 ● 差し出がましいことですが,(後注)にあるように決算公告の話はまた各論でなさいますし,○○委員の意図としては,この②の本文と(注)あたりで大勢を見ようということで,十分に分かったかと。つまり,一応ベースは新設会社は株式会社一本にしようやと,としたとしても,不利益にならないように経過規定を米印の1番目ですると。○○委員や○○幹事が確認されたとおりで,米印の二つ目はもう少し(後注)の決算公告の部分のところで議論する。これはまた,激しい,時間のかかる議論になるなと。   そのときは私も発言させていただきますが,今日は別に言わんでいいだろうということで黙っていたのですが,ただちょっと前の方になって申し訳ないのですが,三の(前注2)ですか,それは先ほどの有限会社という制度を残すとしたら,決算公告以外にどんなものがあるかとの関連なのですが,マイナーかもわからないけれども重要な問題としてここに挙げられていないのは,罰則規定が有限会社は非常に軽いのですね。ここにおられる方は余りお考えにならないのかもわからないのですが,罰則規定はこの1種,2種と,少なくとも1種と2,3種と異なるというのは,一本化するとちょっと……。これは刑事局ともあれかもわかりませんが,罰則が例えば一番重いのは特別背任罪は,会社法では10年の1,000万,これが有限会社だと5年で二,三百万かそんなのだと思いますし,それからほとんど意味がないですけれども,例の497条でしたか,あの規定は有限会社にないし,そこら辺,ちょろちょろといろいろとありますので,罰則規定についてもちょっと整理をしていただけたらなと思います。 ● ありがとうございました。この4の「その他」につきまして私が一番知りたかったのは,決算公告以外の論点で有限会社という類型をやはり区別すべきだという御意見がどの程度あるかということを一つ知りたかったのですが,その点は余りないようで……。   それから次に,今,○○委員が言われた三の(前注2)の,ほかに何がありますかという,その御意見いただこうと思ったら言っていただきました。   この(前注2)のところ,譲渡制限会社につきまして,試案及びこの資料17以外について,何かお気づきの点がありましたらお願いしたいと思います。 ● 済みません,四の1の「組織変更」についてよろしいでしょうか。 ● はい。 ● 質問なんですけれども,これは要するに1種,2種,3種の間で変更といいましょうか,変わるというのは,組織変更という扱いはしないということだと思うのですが,ではどうやってやるのかという具体的イメージがよく分からないところがあって,3種になるかならないかということについては定款の譲渡制限の定めを外すかどうかということだけで多分するということだろうと思うのですが,よく分からないのは1種と2種との間の,これは何をメルクマールにするか議論してきた点なんですけれども,要するに公式の取締役会というものを設置する決議みたいなものが,特別決議か何かでそういうものを条項として入れるというイメージなのでしょうか。どうやって1種,2種を株主に選択させるのかというのが第1の質問です。   それからもう一つは,1種から3種に直接飛ぶということもあると思うのですが,これは②の中に包含されていると。1種から1種以外のものですから,という理解で,それはあり得ないということをおっしゃっているわけではないですよねという確認。   それからもう一つは,株式買取請求権なんですけれども,これは確かに譲渡制限をつける場合には,これまで同様買取請求権があってしかるべきかと思うのですが,逆に,もちろん2から3はなしとおっしゃいましたけれども,1から2に行く場合は買取請求は必然かどうかというのは,これはこれから少数株主権等々の株主の権利がどう変わるのかということを見た上で議論すればいいことなのかなと。この段階で当然1,2に行くときは買取請求権発生するということを決めてしまわなくてもいいのかなということで,三つばかり質問です。 ● これは定款変更という形で抽象的に書いてあるのですが,おっしゃるとおり1種と2種の区別がどうなるかということにもかかわってきますのでね,実質を言い出しますと。これは抽象的に1種と2種,明らかに定款上違うということを前提にして,その定款変更について株式買取請求権が出てくると,そういうことだろうと思うのですね。中はまだちょっと詰められていない部分があると思います。   それから,確かに1種から2種に行くときに要るのかというのは,これは現在でもあるのですね。なぜ有限会社から株式譲渡制限のある株式会社に行くのに,組織変更であって,株式買取請求権あるのかと。たしか立法論としての問題はあるのだと思いますが,今度は相当変わってくるのではないかと。1種と2種は。実体は相当違うのではないかと私は理解していますけれども。組織形態その他は。 ● 御指摘のように,特別決議の要件の設定の仕方に原則的な違いを見出さないということになると,1から2への組織変更に果たして必要かという疑問は出てくるのではないかと思いますが,先ほど来の御議論ですと,どうもそこは第1種については固くすべしという御意見の方が有力だったように思います。   もし,仮にそういう前提をとるとすれば,やはり現行の有限会社から譲渡制限つきの株式会社に移行するのと同じではないかという議論が割と強くなってくるのではないでしょうか。そこも御議論だと思いますが。 ● ほかに,何かこの譲渡制限会社につきまして御指摘いただく点はありますでしょうか。 ● 細かいことですけれども,三の6の通知・公告の点は,今日あったいろいろな御指摘を踏まえてまた考えたいと思いますので,そのように立場を留保させていただければと思います。 ● ほかにいかがでしょうか。   それでは,大体本日御議論いただきたかった点は皆様の御協力によりまして時間どおりに済ませることができましたので,本日の審議はこれで終了させていただきたいと思います。   事務局から連絡事項がございます。 ● 次回は3月17日午後1時から,場所は法務省地下1階の大会議室で行わせていただきますので,よろしくお願いいたします。   それから,まだ確定ではございませんけれども,4月,5月の予定だけ申し上げておきますと,4月14日水曜日,5月19日水曜日,一応仮に押さえておいていただければ幸いでございます。場合によりますれば,もう少しいろいろ御協力をお願いせざるを得ないことになるかもしれませんが,今のところ,4月,5月についてはこの二期日をお願いしたいと思っております。6月はかなり詰めた日程にさせていただきたいと思いますが,まだ未定でございますので,水曜日を全部あけておいていただければ幸いでございます。 ● 次回の項目は。 ● 次回は,まだ本当に予定ですけれども,要綱案のたたき台として会社の総則,機関のうちの監査役の権限ですとか会計監査人に関する部分以外のところ,それから清算,その他……。 ● 決算公告の話はいつになるのですか。 ● 少なくとも次回はしません。6月ぐらいになるのではないかと思います。 ● ということは,何か調査ものをする時間もないわけではないわけですね。例えば新たに。ほかの方がやった調査を信用しないわけではないのですけれども,やはりアンケートの書き方で大分変わりますのでね。 ● 日程はそういうことですので,調査なさる御予定があればどうぞ。   それでは,本日の部会を閉会させていただきます。本日は長時間にわたりまして熱心な御審議をありがとうございました。