法制審議会会社法(現代化関係)部会 第20回会議 議事録 第1 日 時  平成16年3月17日(水)  自 午後1時00分                        至 午後5時28分 第2 場 所 法務省大会議室 第3 議 題 会社法制の現代化に関する要綱案(案)たたき台(1)について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● 予定した時刻が参りましたので,第20回会社法(現代化関係)部会を開会いたします。   本日は御多忙の中御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日からは要綱案の取りまとめに向けた詰めの議論を行っていただくことになりますので,御協力のほど,よろしくお願いいたします。   それでは,配布資料につきまして事務局から説明をお願いします。 ● 事前に送付させていただきました資料は,部会資料18「会社法制の現代化に関する要綱案(案)たたき台(1)」と題するものでございます。要綱試案で取り上げておりました項目につきまして今後詰めの御議論をいただくわけですけれども,差し当たり,多少順不同で恐縮ですが,事務局において取りまとめがしやすかった事項を中心に,この(1)に掲げさせていただいております。本日,可能な限りこの全部について御議論いただくべく,御協力をちょうだいしたいと思います。   それから,○○幹事から決算公告に関する資料をお出しいただいておりますので,この後,若干御説明をしていただければ幸いでございます。それが席上配布資料でございます。   配布資料につきましては,以上2点でございます。 ● 配布資料につきまして,何か御質問ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,審議に入ります前に,○○幹事からの席上配布資料でございますが,これについて御説明いただけますでしょうか。 ● お手元に横長の紙をお配りしてございます。先だって,中小企業の計算書類の議論も若干出ましたし,その折に中小企業者の意識についての御議論が若干出たものでございますから,私どもの既存のアンケートではございますけれども,その関連部分に絞って御紹介するという目的でお配りさせていただきました。   1枚めくっていただきますと,私どもがアンケートをする場合,できるだけ中小企業の実態に合った形の企業のサンプリングがやはりかぎではないかと思っているものでございますから,ここに合わせて,「全国構成比」と書いてあるところが現実に今存在している会社の資本金区分別の割合なのでございますけれども,こういう調査では小さいところがどうしても割合として低くなるという傾向がありますので,そこのところをどれだけうまく拾うかというのがこういう調査の非常に大きなポイントでございます。先だってちょっと御紹介がありました名古屋大学の調査の方は,そういう意味では,非常に現実的に,どうしても大きいところを中心にやられているということがあるものですから,かなり実態の割合と食い違いが出てきているというところがあるのですが,私ども,そこはできるだけそろえる形で調査をやってきているということの御紹介。それから,実は業種別の区分みたいなことも目配りをしながらやっております。といいますのは,当然のことながら,製造業とかサービス業なんかでも,これは商法の規制は何ら差はないわけですけれども,取引先の数ですとかいろいろな面で違いがあるものですから,そこら辺もできるだけ実態に近づけるという形で調査をしているということの,まず前提の御紹介でございます。   中身の方でございますけれども,1枚おめくりいただきますと,計算書類の公告がなぜ行われないのかというところについてですけれども,基本的には,選択肢として,金融機関あるいは取引先で既に必要な情報は提供しておられると,したがって余り不特定多数の方に提供する必要はないという選択肢を立ててお聞きしたところ,8割以上の方がそのとおりだとお答えになられているというところがあるわけでございます。   おもしろいのは,右の方で資本金区分別でも数字をとっておりますけれども,3億円を超える中小企業の中でも大きな会社は若干数字に乖離がございますけれども,それ以外の区分はほとんど同じ傾向を示しておりまして,その意味で,中小企業の中でも大きいところと小さいところで物すごく意見が違うというようなイメージがございますけれども,こと計算書類の公告なんかについては,その実態も含めてそうではないような感じがしております。   もう1枚おめくりいただきますと,実は自分はやりたくないけれども,人にはやってほしいのだというお話があったものですから,その関係についての,じゃあ計算書類の公告がなされないことによる不都合は何なのか,不都合があるのかということをお尋ねいたしましたところ,これもおもしろいことに,資本金3億円以上といった,これは中小企業基本法上も中小企業でなくなってしまう領域に近づいているわけですけれども,そういう会社を除くと,不都合を感じないという方が,きれいにまた8割ぐらいでそろっておられるというところで,これも比較的共通の傾向として見られるのかなという感じがしております。   それから,これは後でまた出てきますけれども,逆に言うと,じゃあどういう情報に頼っているのかというところで,やはり大半の企業は評判とか実績みたいなものに依存していると。それから,資金力のある,資本金の大きな会社なんかは調査会社等をうまく使っているということで,自分の実態に合わせて非常にうまく情報を入手しておられるのかなという感じがしております。   それを確認する意味で,最後のところで,取引先の信用力をどうやって判断しておられるのかというのを聞いた結果なのですけれども,もちろん,さっき申し上げたように,実績とか評判というのは中小企業の取引の場合には常にベースになってくるわけですけれども,ここら辺は,実は有限会社を含めてみても,企業規模の大小なんかでは余り変わってこない。他方,信用調査会社とか,取引先からちゃんと計算書類を入手するという形のアプローチは,これも必然ですけれども,資本金規模が大きい企業ほど利用割合が高いということでございますので,資本金規模が大きい企業,比較的規模が大きく,取引先も多いというような会社は,やはりそれに見合った手段をうまく使っておられると。当然資金力もそれに見合っておありなわけですから,信用調査会社なんかを使っても余り不都合がないということだろうと思いますし,逆に言うと,そういう情報の入手については,情報を欲しい方が金を払うという慣行が市場でもそれなりに成立しているということの裏返しではないかと思っております。結論としても,さっき申し上げたように,8割以上の方が不都合を感じていないということなものですから,基本的に私どもの御説明していたことを大体裏打ちするような形の調査ではなかったかというふうに存じております。   とりあえず御紹介は以上でございます。 ● この問題につきましては,今後また御審議いただく機会があると思いますので,そのときの資料にしていただければと存じます。   それでは,本日の審議に入りたいと存じますが,本日の部会資料は,御覧になってお分かりのように,かなり大部でありますので,「第4部 株式会社・有限会社法関係」の中の「第4 機関関係」の部分,これは相当多いので,この部分は別にいたしまして,それ以外の部分につきまして,まず事務局から説明をしていただいて,それで御審議いただき,その次に,この「第4部 株式会社・有限会社関係」の「第4部 機関関係」の部分について事務局から説明をしてもらって,それで御審議いただくと,こういう順序でやりたいと思います。   それでは,まず,この部会資料18の「第4 機関関係」以外の部分につきまして,事務局から説明をお願いします。 ● 本日の部会資料18のうちの「機関関係」の部分も,要綱試案で取り上げられておりました機関に関する項目すべてを拾い上げているものではございませんけれども,取締役等の責任の項目を中心に,試案取りまとめ段階でも相当程度活発な御議論をちょうだいしたところでありますので,本日御議論いただくにしても,それなりのまとまった時間をおとりすべきことであろうということから,まず機関以外の項目についての御議論を済まさせていただきたいという趣旨で,先に機関以外のところの御説明と御審議をお願いしたいと思います。   この「要綱案(案)たたき台」におきましては,要綱試案の項目について,部会における議論・意見が分かれたものであったとしても,それなりに方向性が固まり,試案においても,「……ものとする」というような形で方向性を打ち出し,なおかつ意見照会の結果でもそれについて多くの賛成意見が寄せられたというものにつきましては,表現ぶりの若干の違いは別にしまして,特段内容を変えているところはございません。そのようなものにつきましては,星印を付していないところでございます。星印を付してありますのは,要綱試案を取りまとめるに当たって御議論が分かれ,例えば試案においては複数の案が提示されていたものであるとか,あるいは,その方向性について「……ものとすることで,どうか」というような形で意見照会をしていたものについて,今後の取りまとめに当たってはこういう方向で取りまとめるということでどうかというところを,今回,決めにかかっていくという実質のある部分でございます。また,若干新たな論点についても必要に応じて星印を付しているところでございます。もとより,星印を付していないところについても御議論をちょうだいする必要があるところはあろうかと思いますけれども,まず,この星印が付されたところについて御議論をいただくことは不可欠でございますので,その点の御議論を中心にしていただければと思います。   最初の星印は,第2部の1の(2)でございます。1の(1)の商法19条に係る規制の廃止につきましては,要綱試案に対する提案について相当多数の賛成意見が寄せられたということもありまして,その実質を維持しているわけですけれども,それに伴う商法20条の取扱いにつきましては,試案において複数案の提示をしておりましたが,結論において,試案におけるc案--商法20条の削除という案--をとるべきであるとする意見が多数であったということを踏まえまして,このような整理をさせていただいてはどうかという趣旨でございます。   次の星印は,「3 使用人」の(2)でございます。会社の使用人のうちの支配人に係る競業避止義務等の義務規定の内容について,会社における役員等の義務規定との平仄を考えるべきではないかという趣旨の問題提起をさせていただいたわけですが,この見直しの方向性についての意見照会の結果,賛成する意見が比較的多数であったわけですけれども,他方において,事務局なりに検討いたしましたところ,支配人に係る規定というのは会社のみならず商人一般の規定であって,会社法制における強行法規性とも異なる性質の規定であり,また,支配人と会社における役員とは責任等の面で違いがあるということもあって,無理に見直す必要がないということであれば,この段階で殊更会社に係る支配人に関する規律ということから見直しを図ることとしなくてもよいのではないかというようにも思われるところでございまして,これについてここでお諮りしたいと思います。要するに,現行の支配人に関する規制については,今回の現代化に伴っては格別の取扱いの変更をしないという選択肢も十分あり得るのではないかということをお諮りしたいということでございます。   「第4部 株式会社・有限会社関係」についてでございますけれども,星印を付した事項ではないのですが,第1の「2 会社区分の整理」--ここは前回の部会での御議論を踏まえて規律を整理させていただいているところでございますが--の「(1) 会社区分」の中の第1種の会社の(注)において,分かりやすさということから説明的な注記をしているわけですけれども,ここでは株主総会の権限等を中心とした説明になっておりますが,言うまでもなく,取締役は一人で足りるとか,監査役を置くか置かないかは自由であるとか,そのようなことが当然に伴っているものでございます。全部網羅しているわけではないということをあらかじめお断りしておきたいと思います。   ここでの星印は,「(3) 現行の有限会社の取扱い」の(注)でございます。現行の有限会社について基本的に第1種株式会社として区分整理するという基本方針を本文で掲げさせていただいた上で,(注)において,別途格別に検討を加えている項目以外については,現行の有限会社についても原則として現行の株式会社の規律を適用するという方向で具体的な規定を整理させていただいてよいかどうか,そのような方向で検討するということでよいかどうかということを掲げさせていただいているものでございます。主として機関や株式・持分について明示的にいろいろと御議論をしていただきましたけれども,前回御指摘がありましたように,例えば設立手続の詳細についても,それなりに株式会社・有限会社間には違いがあるものですから,格別断らなければ,株式会社の規律に沿った形で規定の整備を図るということでいかがかということを確認させていただこうとするものでございます。   「第2 設立等関係」は,これも具体的にすべての項目を取り上げているわけではありませんけれども,まず「2 払込取扱機関」につきましては,要綱試案の表現を,法制的な正確性という点を配慮して,本文と(注2)という形に分けて表しております。従前の表現ですと,払込金の保管証明制度という現行の制度が選択的に維持されるかのような形になっているわけですけれども,実際問題として,そのような選択的な制度の併存ということは法制的に難しいこともありまして--事柄の実質はこういうことだろうと思われますので--本文と(注2)という形に整理させていただいております。   それから,要綱試案におきましては,この払込取扱機関たる金融機関の範囲の拡大の当否についても論点の提示をさせていただいておりましたけれども,信託業法の見直し等で実質的に範囲が拡大され得るという事態をも踏まえますと,格別積極的な賛成意見というものも多くなかったということもありまして,特段見直しは行わないという整理でよろしいのではないかということについて,お諮りしたいと思います。   「3 募集設立」ですけれども,ここも意見が分かれたところではありますが,一応募集設立を廃止するという方向性についてのいま一度の御議論をちょうだいしたいと思います。   なお,仮に募集設立という手続がなお必要であるということでありますと,払込取扱機関に係る規律の見直しについては,募集設立における株式引受人,第三者的な出資者の保護という観点からは,やはり発起設立と同列には論じられないのではないかと思われますので,この米印の箇所に書いてありますように,募集設立を廃止しないということであれば,払込みの取扱いや発起人等の責任等につきましては,現行の規律を維持させていただくべきではないかと思われるところでございます。   4の(3)についてですが,これは先ほどの有限会社と株式会社の設立手続の詳細についての違いの一つでありますけれども,設立時の最初の取締役等の選任につきまして,ここに掲げさせていただいておりますような整理をさせていただくということでよろしいかどうか,お諮りしたいと思います。実質は②にありまして,定款で定めなかった場合にはどうしたら定め得るかというところを,この②のような形で整理するということでよいかどうかということでございます。もちろん,募集設立が残るということになりますと,創立総会という話になりますので,若干別でございますけれども,それを考えないとすれば,このような整理になるのではないかという趣旨でございます。   「(4) その他の定款記載事項」ですけれども,公告方法についての有限会社と株式会社の規律の調整を図ることとした場合,有限会社におきましては公告方法について基本的には制限がなく,一定の場合に官報での公告を要するという規律になっておりますので,その実質を踏まえれば,基本的にこのような調整をさせていただくということでよろしいのではないかということでございます。   (4)の②の発起人の受ける特別の利益・報酬等についてですが,募集設立を廃止するということを前提にして要綱試案の段階では案を考えておりましたので,当然廃止されてしかるべきではないかと思われるところですけれども,仮に募集設立を存続させるという場合でも,特段このようなものは残しておかなくてもよいという整理ができるのかどうか,募集設立の取扱いとも絡めて御判断いただきたいと思います。   「6 現物出資・財産引受け」の(1)③,いわゆるデット・エクイティー・スワップの(注2)についてですが,債権の存在を証する方策として考えられるものとしては,それを証する書面というものを登記における添付書面とするということくらいしか思いつかないところでございますが,実際にこのようなこととした場合に,どのような書面が考えられるかということも含め,また他の方策の有無などについても御議論いただきたいと思います。   6の「(2) 現物出資等に関する関係者の責任」のうち,(注)に掲げております点についてですが,試案では「なお検討する」という形であったかと思いますけれども,会社成立後の新株発行の際に,会社と無関係の者が現物出資によって責任を問われ得るという場合に,出資の取消権の行使という形での離脱を認めるかどうかについては,好意的な御意見が,部会でもありましたし,試案に対する意見照会でも有力でございましたので,その方向で制度を整理するということでどうかということでございます。   それから,第3の「7 種類株式」についてでございます。ここは前回御議論いただきましたところを踏まえて整理し直しているところでございます。7の(1)の①につきましては,剰余金分配等における,現行の有限会社におけるような定款による別段の定めを認め得る株式会社の範囲は第1種株式会社に限るというのが,前回の御議論の結果であったと思いますので,そのような整理をさせていただいているところでございます。   「(2) 議決権制限株式等の発行限度」につきましては,前回の御議論では,(1)と同様に,第1種に限るべきであるという御意見と,それとは異なり,譲渡制限会社一般,すなわち第2種も含めて別の取扱いが考えられるのではないかという御意見とがあったことから,一応,「譲渡制限会社においては」という前回の内容を維持させていただいておりますけれども,この点についてもいま一度御議論をちょうだいしたいと思います。   「8 法定種類株主総会」の「(2) 商法346条の規定による種類株主総会」の(注2)につきましては,従前御指摘いただいているところでございますが,(2)の本文におけるような手当てをすることとした場合における,(3)で対象となっていないもの,すなわち商法222条11項に掲げる事項について定款の定めなくして格別の定めがされるという場合において損害が及ぶべきものの保護として,(3)と同様に買取請求権を保障するという形で保護することとするという整理でよいかどうかということを確認させていただきたいと思います。   10の「(1) 少数株主権の行使要件についての基準の見直し」の中の④に米印を付しております。これも度々御指摘をちょうだいしているところでございますけれども,免責の対象に係る取締役等が利害関係株主として存在するという場合において,特別な取扱い,特別な措置を講ずる必要があるのではないかという御指摘に対して,この米印に掲げているような措置を講ずるものとすべきかどうか,御意見をちょうだいしたいと思います。すなわち,そのような利害関係を有する株主がいるという場合には,異議の申出をする権利に係る行使要件の算定上,分母からも分子からもそのような利害関係株主を除外して,つまり利害関係を有しない株主のみでその要件の算定を行うというような措置を講ずることとしたらどうかというものでございます。仮にそのような措置を講ずることとした場合に,関連するその余の場合,例えば解任請求等についても同様の措置を講ずることとすべきかどうか,関連する論点となると思われますので,この点についての御意見もあわせてちょうだいしたいところでございます。   「(2) 行使要件についての調整」の①についてですが,ここも前回の議論にかかわるところでございます。前回の資料と同様,今回の資料も第1種株式会社について人数制限をしないということを前提に作られておりますけれども,仮に人数制限をすることにした場合には,第1種株式会社について,現行の有限会社における少数社員権の要件にまで定款によりその要件の引上げを認めるというような手立てを講ずることとすべきかどうかということが論点となるところでございますので,その点を掲げさせていただいているものでございます。   少し飛びまして,「12 新株発行手続」の「(3) 新株発行の際の公告・通知」についてですが,一定の場合に商法の規定による公告等を不要とするという措置につき,電子公告制度の導入のいかんによってその要否が異なることとなるかという点につきましては,意見照会の結果においては両論あったわけですけれども,そうであれば,とりあえずこのような形,すなわち電子公告制度導入のいかんにかかわらずこの措置を講ずるということで検討を進めさせていただくことでいかがかということでございます。   「14 株主に対する通知・公告」につきましては,前回もお諮りしたところでございますけれども,本文では,御覧いただきましたとおり,譲渡制限会社において,公告をもって株主への個別通知に代え得るという場合の公告を具体的に列挙させていただいております。このような公告については,譲渡制限会社においてはその公告をもっては株主に対する個別通知を省略することはできないという整理をさせていただくということの確認をさせていただきたいと思います。   「15 株券」についてですけれども,前回,口頭で説明いたしましたところですが,(1)の(注)におきまして,現行の株式会社に係る経過措置の在り方について,注意的に記載をさせていただいているところでございます。新法施行に伴う混乱の回避は不可欠でございますので,実質的にはこのような経過措置を設けるということを確認させていただくものでございます。   機関の部分は後回しにさせていただきます。   「第8 清算関係」のうち,星印を付けさせていただいているのは,2の「(2) 清算中の株式会社の監査役」でございます。試案では,まず,解散時に大会社であった会社の取扱いについて複数案を掲げておりましたが,試案におけるb案,すなわち,ここで掲げさせていただいております監査役一人以上の設置の義務づけという案を支持する意見が極めて多数であったということから,それに沿った整理をさせていただこうとするものでございます。   もう1点は,解散時に譲渡制限会社でなかった会社の取扱いについてでございますけれども,この点も,意見照会の結果では,意見が分かれたところではありますが,試案におけるb案,すなわち,非譲渡制限会社については大会社でなくても監査役一人以上の設置を要するが,譲渡制限会社については設置を不要とするという案を支持する意見が有力であったと思われますので,そのような整理をさせていただくことでどうかというものでございます。   3の「(1) 債権申出の公告」についてですが,債権申出の公告の回数を1回にするということについては格別御異論が少なかったところですけれども,この(注)の取扱いについてはそれなりに意見が分かれたところでございます。各会社とも,どちらの立場にも立ち得る問題でありますので,意見が分かれるのも当然かと思いますが,短縮するということであれば,それなりのニーズと,それに伴う弊害の有無ということについて--実務感覚に相当程度左右されるところではないかと思われますので--改めて御意見,御議論をちょうだいしたいと思います。   4の(2)の(注2)ですが,清算中の株式会社が分割会社となる人的分割,あるいは完全子会社となる株式交換等は認めないこととする点について,これも,そうすべき--認めないものとすべき--であるという意見が有力でありましたので,そうさせていただくということでよろしいかどうか,確認させていただきます。   第9の1の(注2)ですけれども,株式の相互保有の場合の議決権の制限について,その制限に係る主体というものを,必ずしも株式会社・有限会社に限定しないという整理をさせていただくということの確認をさせていただきたいと思います。   それから,念のために,(注3)ですけれども,子会社による親会社株式の取得の禁止の範囲の問題については,こことは別に別途御検討いただくということにさせていただきたいと思います。   機関の部分を除けば最後の星印ですが,「第5部 外国会社関係」の「1 擬似外国会社」についてでございます。試案におきましては,a案,b案の両案を掲起させていただいていたところでございます。これについては,b案,すなわち,ここに掲げてありますような商法482条を削除するという案を支持する意見が大多数でございましたので,それに従って記載させていただいているところでございます。   少々簡略な説明で恐縮ですけれども,十分な御議論の時間をとっていただくべく,とりあえず説明は以上でございます。 ● ということで,機関の部分を除きまして御説明をいただいたわけでありますが,今御説明いただきました部分全体につきまして,何か御質問ございますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,特にこの星印に重点を置いて御審議をいただければと思います。もちろん,星印がついていないところに御意見がありましたら,どうぞおっしゃっていただいて結構でございます。   まず,「第2部 総則関係」の中の1の部分につきましては,(2)が星印であります。このような意見が多かったので,このような形ではどうかということですが,この点につきまして御審議をいただきたいと思います。星印がついているところは従来から議論が分かれていたところで,どんどん決めていきたいということですので,是非御意見をちょうだいしたいと思いますが,いかがでしょうか。   20条を削除して,21条は維持するということなのですが,そうなったら21条の解釈というのはどういうことになるのかという……。従来は,二つ条文があることを前提に,いわゆる登記による不正競争目的の,つまり誤認・混同目的のものは20条で,それ以外のものが21条というような,学説上はそういう説明がされていたと思うのですが,20条がなくなると,これはどういう……。21条はどこまでカバーしている話になるのかねというのが,どうなるんだろうなと,立法関係者はどう考えたんですかというようなことを後で聞かれたときにどう答えるのかなというふうなこともちょっと気になっているのですが。いかがでしょうか。   20条2項は19条廃止との関係で維持できないというのは,恐らく異論のないところだろうと思いますが,それとの関係で20条は全部削除と。   結論につきましては特に御異論はありませんでしょうか。よろしゅうございますか,この結論自体につきましては。   20条が削除された場合,21条の解釈というのは……,総則の教科書をお書きの先生はそれなりにお考えになるところだと思いますけれども。 ● この問題は,私も第一読会あたりで書面で意見を述べたという関係もありますので。   19条を削除すれば20条2項は意味をなさなくなる,これは事実だと思うのですね。それでは20条1項の存続をどうするかという問題になると思うのですが,20条1項は商号登記の私法上の効力というふうに言われていまして,登記があれば,不正競争目的を立証すれば抹消請求ができるというものだったのですが,それに対して21条は,登記があってもなくても,不正目的のものについて利益を害されるおそれがあるということを立証すれば差止請求できると,そういう形態でできておりますので,そういう意味では,20条1項を削除しても,21条で同じことが包摂されるという解釈もあるいは可能かなと思いまして,ここまで御議論いただいた結果として,私も抵抗勢力みたいなことはもう余り言わないで,この結論にとりあえず賛同するというつもりで今いるところでございます。   それで,あのときにちょっと引用しました木馬座事件の判決の事例,これも20条1項で救われた事件なのですが,21条を存続していただければ,21条で救済できたと思われますので,恐らく弊害はないだろうというふうに思います。 ● 結論といたしましてはよろしいでしょうか。恐らく解釈も,今,○○委員がおっしゃったようなことなのではないかと。21条の方が恐らく広いので,20条1項を消しても結局同じことだということではないかと思いますが,よろしいですか。--それでは,この1の(2)の星印は,このようなことで御承認いただいたものとさせていただきます。   1につきましてはよろしゅうございますか。   2は星印がついておりませんが,こういうことでよろしいでしょうか。   3につきましては,(2)に星印がついております。支配人の規定ですけれども,これについては格別ここで改正する必要はないのではないかということですが,いかがでしょうか。 ● 先ほどのお話で,ここは意見照会の場合に賛成意見が多かったということでありますけれども,後で事務局で考えてみてどうかというのは,ちょっとパブリック・コメントに付したということとの関係ではいかがなものかと。   それから,委員会等設置会社の場合の執行役等と比較して,会社の支配人についてのこういう規制というのはやはり重過ぎるのではないかという感じもするものですから,やはり原案といいますか,見直すということでお願いできればと,大きな問題があれば別ですけれども,と思う次第です。 ● アンケートの結果は,確かに,自ら営業を行うことというような規制は撤廃するという意見が多かったのですが,しかし,考えてみますと,事務局が先ほど言われましたけれども,例えば執行役等と比べますと,責任の点は,向こうは強行規定としての責任があるわけで,それから代表訴訟もある。それに対してこちらはないので,結局は,やはり会社の場合は取締役会なり何なりがしっかりと内部統制として監督するということでないと理屈は合わないのではないかと。それで総則の方には残るわけですから,それとの平仄を考えても,あえてここで変えなければいけないというのはやはりちょっと考え物ではないかというのが,この事務局が改めて検討した結果の原案ということだと思いますが。   いかがでしょうか。あえて今回は改正の必要なしということで,この案でよろしいでしょうか。   よろしゅうございますか,○○委員。 ● では,それで。はい。 ● それでは,この点も,この案のようなことで確定させていただきます。   次は第4部の「第1 総論」の部分でありますが,1につきましては特に星印はついておりません。よろしゅうございましょうか。   2の会社の区分でありますが,ここは星印がついておりませんが,従来から,この第1種につきましては,何で取締役会がなければ定款自治なのかということについて,誤解といいますか,ちょっと分かりにくいということがありますので,この(注)がついていると。別のところにあった(注)ですけれども,こういう書き方にした方が分かりやすいのではないかということで,第1種というのはこういう会社でありますという説明がここへ来ているわけであります。   星印がついておりますのは,(3)の(注)のところでありますが,これはこういうことでよろしいでしょうか。 ● 1のところも含めて申し上げますと,1に書いてあることはそのとおりでございますし,今回,中小企業団体として私はここに出ておりますが,ほかの中小企業の団体さんともこういった中身について連絡をいたしますと,2のところの1種,2種,3種と,一番最初に○○幹事から断りがあって,これは便宜でこういうネーミングにしてあるだけであってと,それで私もよく理解しているのでございますが,こういう紙がつくられてくると,まずエモーショナルには皆さん非常に不安感とか心配があって,区別,差別されるのではないかという感じがございますので,法文を作るときには,なるべくそういう区別,差別的なことにならないように,うまく文章をつくっていただきたいと,これは前にも同じようなことを申し上げましたが,お願いをさせていただきます。   もう一つ申し上げますと,1種と2種,私も便宜的に今そういう言葉を使うわけでございますが,1種と2種の区別は,この書き方が,(注)を書けば書くほど,いかに違うかというようなことが明らかになってくる感じがありまして,私どもの立場というか考え方は,1種と2種はそもそも余り差がないのだと。たまたま機関のやり方が違うのであって,ちょっと言い方が不正確かもしれませんが,今回は株式会社・有限会社の区別がなくなって,有限会社という仕組みがなくなって,株式会社に一本化されると。そのときに,あたかも元有限会社,前有限会社という,1種というようなものが麗々しく書かれるということに,一本化しつつ一本化されていないという,そういう感じが非常にありますものですから,まず,1種と2種につきましては,後ほど機関のところでもいろいろ出てまいりますが,その差をなるべく少なくしたいと,そういう方向で御議論いただいて,この区分のことにつきましても余りあからさまな区分にならないように,これは非常にエモーショナルな意見で恐縮でございますが,そういう形に是非していただきたいと。(注)にたくさん書いてありますことも,ある法文で一文書けば自動的にこれと同じようなことがだーっと連鎖的に全部決まってくるというようなことも多いのではないかと思っておりますので,これは書き方の問題だけのことで文句を言っているのかもしれませんが,余り違う,違うというようなことではなくて,そこはなるべく同一のものだという方向で御議論をまとめていただければなと,こう思うわけでございます。   具体的な機関の話については,また後ほどさせていただきます。 ● 第1種とか第2種とかいうのは,一番単純といいますか,色のつかない言い方なのではないかというふうに思っているのですけれども。 ● 反論するわけではないのですが,世の中の資格の法律を見ると,1種,2種とか,そういうものは,レベルが大きく違うという意味で使われているのでございます。「第1種○○士」とかですね。世の中の法律の世界,行政法の世界では,もうそういう相関になっているものですから,皆さん非常に敏感に受けとめているということを御理解いただきたいということなのでございます。 ● 「第1類型」とか言えばいいんですかね。まあ,それは表現の問題ですので。   それから,中身につきましては,また個々のところで御議論いただければと思います。 ● ○○委員がおっしゃるように,違うルールは欲しいけれども余り目立たないようにしてほしいという御要望も確かにあるかとは思うのですが,会社というのは大勢の関係者がいるわけでございまして,どちらの規定が適用されるのかということが関係者にも分からなくなってきてしまうようでも困るわけでございますね。 ● 第1種の関係者は,実は,実態上極めて数が少数でございまして,債権者等は除きまして,いわゆる会社内部の関係者というのは非常に数が少ないわけでございます。私の知る限り,典型的な第1種のあたりで言いますと,5人から10人ぐらいがお金に絡む人たちで中にいる人たちというのが一般的でありまして,それも,もっと典型的な例は,二,三名が絡んでいるというケースが多うございます。したがって,ここは,会社の内部における意思決定のやり方の違いというものを,どこまでどういうふうに外部の--おっしゃっている関係者というのは外部の人かもしれませんが--そこに見えるようにするのかどうかと。   もう一つは,法律の議論だけではなくて,やはりこの会社法というのは生き物でございますから,現実社会,ビジネスの社会で適用されていって初めて価値を生み出す法律だということでございますので,そこで不都合のないように,そして,何度も何度も私は同じことをここ1年以上繰り返しているのでございますが,会社というものは,○○委員のところのような超大会社から,極めて小規模零細なところまで,連続的なものなのでございます。途中断絶がなく,こういうふうに動いていって,成長し,あるいは衰退していくもので,そういう連続性の中でお考えいただきたい。   そして,当然のことながら,債権者の保護とか,出資者の保護とか,そういったことは十全に考えるべきだということはもう論を待ちません。そこは同じだと思っています。 ● 債権者保護とか,そういう対外的なことに関してではないので,利害関係人が比較的少ないということはそのとおりだと思うのですね。ですから,対外的な,例えば商号などを同じにしようという発想で今進んでいるわけですけれども,さて,対内的といった場合に,例えば,株式を譲り受けようとする者が,この会社が第1種なのか第2種なのかということをどのようにして確認できるのかというようなことは,やはり注意しておく必要があるのではないかと思うのですが。 ● 私がお答えするのが適切かどうか分かりませんが,譲渡制限会社において株式の譲渡を受けたいという者は,株式を保有している人に申入れをしたり,状況調査をしますから,その時点で恐らくほぼ100パーセント,もう極めてイージーに分かると,こう思っております。それが実態のビジネスというものだと思いますが。 ● その最終的に確認するのは,やはり定款に書くということになるわけですね。 ● 恐らくそうならざるを得ないと思います。 ● しかし,定款には書くけれども,例えば登記事項にするなと,こういう御意見になるわけでございますか。 ● ちょっと,そこは後ほどまたあるかもしれませんが,聞けば分かることだったら,それでいいのではないか,それとネーミングの話は違うでしょうと私は申し上げているわけです。 ● それから,ちょっと○○委員に,今後この法律の改正が成立したときの見込みとしてどういうふうにお考えかはちょっとあれなのですが,もしこの法律が成立しますと,200万以上ある中小企業のうちで,現在の有限会社と小規模な株式会社ですね,それが第1種と第2種でどれぐらいのあれになるというふうにお考えですか。何か,今ちょっと伺ったら,専ら第1種は旧有限会社だというふうにお考えのようにも聞こえたのですが,私は,そうではなくて,この制度ができたら,現在の株式会社である中小企業は相当第1種の方に移るのではないかと思っているのですが,○○委員はどのようにお考えですか。 ● 私も,詳細の数字はちょっと見当がつきません。この仕組みができ上がって,経営者なり,あるいは出資者と言った方がいいのでしょうか,彼らにとって一番事業がやりやすい会社形態は何なのかという判断がそこで行われるのだと思います。実際上の現在の中小の株式会社,120万社ぐらいあるかもしれませんが,この方たちにとっては,例えば取締役の任期がないというようなスタイルになるのだとすれば,それを選択する人も相当数出てくる可能性はあるかなと思います。   私が申し上げているのは,それがいいか悪いかではなくて,彼らのメンタリティーとして何をベターだと考えるかと言えば,そういうことも十分あるのではないかと思っております。ですから,旧有限会社だけが云々ということではないと私は考えております。   何か○○幹事から。 ● 基本的には同じなのですけれども,数的にどうかというのはもちろん分からないのですが,必ずしも全部が1種に行ってしまうとかいうことではなくて,そこは取締役会の選択とかいうのも相当出てくると思いますので,当然そこは両方にまたがる形で展開してくるのだろうというふうに我々は思っております。 ● 従来,中小企業で取締役会がちゃんと行われているのはどれぐらいあるのかという気もしますけれども,本当にそんなに第2種に残るんでしょうかね。 ● 今の御質問の点なのですけれども,またベンチャーの話をして申し訳ないのですけれども,多分,これから作るベンチャー企業に対してどっちを選択するかといえば,例えば私なんかだと,第1種を選択して自由に設計しましょうというふうに申し上げるだろうと思いますね。それで,取締役会がないということであっても,取締役会と同種のものを任意につくってやればいいわけですから,ベンチャー的な企業についてはそれほど問題はないのだろうと思います。そういう意味で,ガバナンスもちゃんと自分たちで,キャピタル側がちゃんと参加するわけですから,それも多分問題ないだろうということで,ベンチャー系は多分,1種の方を選択することが多くなるのかなと。   むしろ問題なのは,そうではない同族会社なのですけれども,取締役会があるかないかということだけで分けますと,ガバナンスの観点から言えば,一般的にはちゃんと取締役会を作る方がいいわけですよね。しかし,取締役会を作ると,規制といいますか,ちょっとかたくなる。そうなると,ちゃんとガバナンスをすることのインセンティブがない,要するに逆になってしまうのではないかなというのが,一つの区切りとしてこれをするについて,今申し上げましたようにベンチャー的な観点からすれば全く障害にはならないと思いますので,反対するとかいうことではないのですが,それこそ,立法者としてどうしてこういう区切りにしたのですかというのをどういうふうに説明するのかなというのは今でも悩んでいるところでありまして。ですから,なし崩し的に1種に来てしまうという予測が一つ成り立つのではないだろうか,2種はだれが選択するのかなというのが疑問であります。 ● 先ほど言われた,取締役会がない会社になぜ定款自治を認めるのかという意見があるので,この(注)をつけたということなのです。取締役会に権限を持たせない会社ですという(注)なのです,これは。そういう趣旨を書いているつもりなのですが。株主総会にいかに権限があって,取締役会には--取締役会というのはないのですけれども,法定のものはですね。 ● といいますと,これは,総会が一つ別種の取締役会類似の任意機関に決定を委任することは禁じられてしまうわけでしょうか。 ● 取締役が取締役会というものをつくって,そこで会社の運営をするということを認めていないと。つまり,取締役会と言うとちょっとあれなので,要するに取締役にそれほどの権限を認めていない会社と。 ● といいますと,質問ですけれども,社員といいますか株主が全員集まって決めないと,経営に関する決議ができなくなってしまう,実質的にもできなくなってしまうという御趣旨なわけですか,これは。 ● いや,それは,ですから,細かく見ていくといろいろなあれがあるわけですけれども,例えば新株発行だって,特に定款で定めていなければ取締役会では決められないとかですね。 ● もしそうだとすると,結構ベンチャー的には問題が出てきてしまうなということで……。 ● だから,個別に外している部分もあるわけです,定款で。新株発行ですと,今言いましたようなことになっていたと思います。そこは配慮はしているつもりですけれども。 ● その辺をちゃんと切り分けて書いて……。(注)というよりは……。これを見ただけではよく分からないのですが。 ● 切り分けて書いているのですけれども,いつまでたってもそういう御意見が出てくるので困っているのですけれども。 ● ○○幹事がおっしゃることも,共感できるところと,少し感じが違うなというところがあるのですが,私なんかが会社の経営者,本当にたくさんの方からいろいろお話を聞きますと,有限会社的な,要するに出資者がぱっとすぐ集まって総会ができるのだから,株式会社で結構立派なところでもそれができるというところもあれば,そうではないところとか,いろいろなケースがあるのでございます。したがって,会社の規模で一概に1種か2種かとか,あるいは非常に同族的だから1種か2種かということでもちょっと決まりにくいのかなというのが,実は私の感じであります。銀行さんが出資をしていたり,いろいろなことがあったり,ほかの人が入ってきたりするとやっぱり取締役会やってくれよというケースもありますし,お近くに例えば銀行がある場合には,その人が,いつでもやってくれれば総会におれは行くよというところもあるし,全部委任するよというところもあるし,いろいろなケースがあって,それはどうも一概には議論し得ないところではないかなと。   それで,私どもが考えておりますのは,過去の議論の経緯を言えば,有限会社と株式会社二つではなくて,もうそこは一緒にしようではないかというところから発想が来ましたが,私どもがいろいろなことを申し上げたこともあったのかもしれませんが,有限会社的な要素の株式会社という名前のものを残そうということで,その二つを合体したようなものになりましたので,○○委員から,そうするとみんな1種に行くのか,2種にどれだけ残るのかと言われるのは,実はちょっと私は設問が違って,そういうオプションを,幾つかオルタナティブを上げたのだから,大きくても小さくても,それぞれいろいろなところに行ける道ができたのだと,非常にすばらしいことだなと,こう思っているのでございます。 ● それは,基本的には○○委員のおっしゃるとおりで,私もそう思っております。   ただ,○○委員は中小企業の関係者としてどういう予想をお持ちかなということにちょっと関心がありましたので。 ● 端的に申しますと,実際上は,今まで株式会社で取締役会というのをやると,議事録をつくったり,いろいろ大変だというのも,先生がおっしゃられるような面もありましたし,それは面倒だけどあえてやっているというところもあって,いい悪い,いろいろなところがあるわけです。それで今回,どうせ取締役といったって,今ここに会社で働いている5人の人が集まれば総会でもあるし取締役会でもあるという会社が相当なウエートを占めていると思いますので,それはもう気分でどちらを選択するかと。あるいは,リコメンドする方が,こっちがいいよと,例えば○○幹事のような方が,ベンチャーは1だよな,2だよなと言えば,だだだっとこういくという,その程度のことなのかなという感じなんでございますね。 ● 前回申し上げたことの繰り返しになるかもしれないのですけれども,この問題は,さっき○○委員がおっしゃいましたように,日本の会社というのは正に小さいものから大きいものまで非常にいろいろなものがある,従来,譲渡制限株式会社とされているものの中にも,実態としてはかなり規模の大きいものから小さいものまである,そこで,そういったものを改めて整理するときに,譲渡制限会社ということで,従来の商法上の譲渡制限株式会社と同じような規制を,新しく有限会社等から移ってくるところを含めて,すべての譲渡制限会社にそういったルールを強制というか適用していくのがいいのかという問題ではないかと思っています。日本の場合は,譲渡制限株式会社の中にも結構大きいものがある。そういうところは所有と経営が実質的にはかなり分離していて,取締役会がかなり株主総会から独立して経営すること,そして機動的な経営をそこで行っていくということを認めていく必要がやはりあるのではないか,そこのところには,そういったタイプの,現在の譲渡制限株式会社に適用されるようなルールを継続的に適用していくのがいいのではないかという感じがするのです。   ただ,新しく有限会社も譲渡制限株式会社という範ちゅうの中に入ってくるときに,そういったものに対してまで従来の譲渡制限株式会社のようなルールを適用していくのがいいかというと,これはちょっと無理があるのではないかと。そういうところは正に所有と経営が余り分離されていなくて,むしろ所有者であるところの従来の社員,有限会社であれば社員,それで株主,彼らの間の定款自治というか契約自由がかなり妥当するような,そして経営管理システムももっとシンプルなものでいいようにする,取締役会を設けなくてもいいようにすると。いわば所有と経営が分離していなくて,定款自治あるいは契約自由をかなり認めていいようなタイプと,ちょっとそうはいかなくて,従来のようなかなり大きい規模のものと,やはり二つ,譲渡制限株式会社の中でもタイプを用意する必要があるのではないかと。そういう問題関心でこの第1種と第2種を分けるということになっているのではないかと私は理解しています。   それで,取締役会があるかないか,あるいは株主総会の権限がどこまでかというのは,そういった所有と経営が分離しているかどうか,それから定款自治等をどの範囲で認めていいか,あるいはその定款自治を認めるときの要件をどう考えていいかということの一つの徴表ではないかと。一つだけ見ていると,何で取締役会があることによってそんなに違うのかとか,あるいは,株主総会の権限のいわばデフォルトルールが違うだけでどうしてそんなに大きな違いがあるのかという疑問が出てきてしまうかもしれませんけれども,それだけでなくて,全体として見て,この後で出てきますような定款変更するときの決議要件とか,あるいは各社員が持っている少数社員権なり単独社員権が,いわば所有と経営が分離していないことによって,そういった権利を十分保障してやる必要が第1種の方にはあるのではないかとか,そういうことをすべてトータルに考えて,所有と経営が分離していなくて,そして定款自治をかなり広く認められるような条件を満たした会社のそういったルールのワンセットとして第1種の譲渡制限株式会社というものを構想して,それと,かなり大きいものを含めて所有と経営が分離しているようなタイプの第2種と,実態から考えると,その異なる二つの譲渡制限株式会社というものを設けた方がいいのではないかというのが,この現在の案の考え方ではないかなと,そういうふうに私は理解しております。 ● おっしゃるとおりですが,2の(1)の(注),①から⑧まで並んでおりますけれども,こういう書き方が分かりやすいのかどうかというのは問題がありまして,おっしゃるとおり,もうちょっと数を減らして,あるいは別のものをつけ加えてという方が分かりやすくなるのかもしれません。なおこの辺は事務局にも工夫してもらいますけれども。これは別のところからただ移しただけみたいなところがありますので,もうちょっと表現は工夫の余地があると思いますが,前回よりは,先ほど○○委員がおっしゃったような趣旨の書き方になったのではないかと思っております。 ● 一言だけ。   今,○○委員からお話があって,お話の内容は私も是認できるものだと思うのでございますが,問題は,おっしゃった二つの類型の相当部分が実態として重複しているということなのでございます。集合がちょっと重なっているのではなくて,どっちを選ぶかというのがどっちでも選べるような企業が実は世の中にたくさんあると,そこがちょっとあるものですから,論理的に整理をすればおっしゃるとおりなことだとは思うのでございますが,先ほどの○○委員の問いかけについて,そうするとなかなか答えられなくなるという実態があるということを是非御理解を賜りたいと思います。 ● 重なっていることも事実です。ですから,第1種になっても第2種的になれないかというと,そうではないのですね。定款の書き方次第というところがあるのです。 ● さっき○○委員からありまして,私も前回申し上げましたけれども,対外的な公示という意味では,やはり商業登記簿に会社の種別というのがあって,1,2,3と,こういうふうにするということを前提で考えてよろしいのでしょうか。そこをちょっと確認を。ないしは定款の記載事項にもなるのかどうか。 ● 御覧いただけばお分かりのとおり,少なくとも,第3種とそれ以外は,株式に係る譲渡制限の定めの有無で区分されますので,これは定款記載事項であり,登記事項であることは言うまでもございません。第1種と第2種の区別も,どのような形で代表者が選ばれるのかということにかかわる問題でもありますので,もちろん定款記載事項でありますし,何らかの形で登記にあらわれるべきものではないかと今のところ考えているところでございます。それが1とか2とか3とかいう数字であらわれるわけではないのですけれども,区分の在り方は,○○の定めが定款にある会社かない会社か,というような区分としてあらわれてくるべきものであると思っております。 ● それでは,この会社区分のところの表現はなお事務局に努力してもらいますけれども,先に進ませていただきまして,今のところ,2の「(4) 商号」,ここのところについては,一番最後の米印にありますように,「有限会社」という名称をなくすとまだ決めたわけでもありません。これは前回御議論いただいたところですけれども。一応こういうことで議論を進めさせていただいてよろしいでしょうか。   それでは,「第2 設立等関係」に移ってよろしいでしょうか。   「設立等関係」は2から始まりますが,2の部分につきまして,いかがでしょうか。払込金保管証明という制度はもう完全になくなるという案でありますが,いかがでしょうか。 ● 質問でございますが,まず,これまで行ってきたような,払込取扱機関に金銭を払い込むという制度自身を全くなくしてしまうという御提案になっているのかどうかという質問が一つです。   それから,残高証明という場合に,だれの預金の残高があるということを証明することになるのか。例えば新株発行などの場合ですと,もう会社自身に払い込んでもらって,これだけ払い込んでもらった預金がありますよとでも言えばいいのか,でもそれは別預金にするのか,会社の一般的な預金の中でいいのかということがよく分かりません。あるいは,むしろ逆に,出資者がこれだけ出資するお金を持っていますということを預金で証明するとなると,大勢の方が払い込むような場合には大変なことになるのではないかという感じがするのですが。 ひいては,新株発行ではなくて,会社設立時であった場合には,今度は会社側の預金ということがまだあり得ないわけですね,設立段階ですから。そうすると,この場合は発起人代表などの預金の証明ということになるのでしょうか,それとも出資者自身が,これだけ預金を持っていますということをするのか,ちょっと具体的なイメージを教えていただければということですが。 ● まず,払込取扱機関への払込みを要するという規律には変わりないというのは,本文を御覧いただいたとおりでございます。ただ,受け入れた金融機関側での保管証明にかかわる制度の部分だけを外すという趣旨です。   それから,設立時の段階でだれの口座の残高証明を求めることになるのかという点につきましては,従前も御議論があって,恐らく発起人組合代表だれそれとか,そういった口座になるのではないかという御紹介がたしかあったかと思いますけれども,現在特例でそのような手当てがされている部分については,恐らく同様の取扱いがされているのではないかと思いますが。 ● これは,新規事業創出促進法の話なのか,それとも商業登記所で設立登記を受け付けるときの話なのか,どこであれしているのか知りませんが……。制度としては,現在は,とにかく何らかの金融機関に,恐らく発起人名の,何々会社発起人だれそれ名義の,そういう預金口座を作るのではないですかね。それを持ってくるのではないですかね。 ● 改革のそもそもの出発点が,最近は預金の口座を作るのもなかなか大変になりましたし,払込取扱機関になってくれということで銀行に頼んでも,いろいろ調査やら何やらで時間がかかって,もう少し簡便な方法はないかというところから出発していたかと思うのですが……。 ● 預金口座をそういう名前で作るのは,これは簡単につくれるのではないでしょうか。払込取扱金融機関ということになりますと,これはそれなりの契約をして,それを変更するのは裁判所の許可が要るとか,ああいう一連の制度ですね,そういうものはなくすということで,やはり発起人としては,一応は何々会社設立発起人だれそれという口座を作るのではないでしょうか。ただ,例えば発起人が破産したような場合に預金がどういう取扱いを受けるかは,それは恐らく従来の払込取扱金融機関制度とは相当違ってくるのではないかと思います。従来の払込取扱金融機関という制度は,これは払い込まれた金は新株の引受人等から金を預かっているのですね。だから,それを変更するのは裁判所の許可が要るわけです。この払い込まれた金というのは正に権利能力なき社団の財産でありまして,恐らく発起人が破産しても破産財団には入らないのだと思います。そのために権利能力なき社団だと言っているのですよね,設立中の会社は。 ● 金銭債務は特別だというような議論がまた始まって,一体どうなるのかということが……。 ● 設立中の会社というのは,最低限,払い込まれた金は設立中の会社の金だというのは,これはどんな学説をとっても疑いはなかったと私は思っていますけれども。そういう制度はなくなる。 ● そういうことであれば,銀行がすぐに口座をつくってくれるということで改善になるからこういう改革をすると,こういう理解でよろしいわけですか。 ● 実質が違ってくるのはそういう点だと思います。例えば,私が,何々研究会代表○○の口座をつくりにいったら,これは銀行はすぐにつくってくれますよね。それと同じになるのではないかと思うのですが。払込取扱金融機関になってくれという,先ほど言ったような,変更に裁判所の許可が要るようなものになってくれといったら,なかなか簡単になってくれなかったということなのではないかと思うのです。 ● 払込金保管証明制度を廃止するということは,実は189条2項のような規定はなくなる,つまり払込取扱機関の責任というのはなくなるということだと思うのですが,今おっしゃっていたような仕組み,つまり発起人名義とかそういう名義になると,実際には,預かった銀行側は,その発起人に対して有している債権とその払い込まれたものを相殺できるということになるということでしょうか。 ● そうなりかねないですね。ですから,新株引受人の払い込んだ金は,先ほど言ったように発起人が破産したような場合,危ないといえば危なくなってきます。ですから,その後にありますように,募集設立を残すのであれば,まさかそんな制度にはできないでしょうねと,従来どおり,これは株式引受人から預かった金で,もし会社設立が中止になれば株式引受人に返すのだと,発起人には返しませんと,そういう制度を残さざるを得ないのではないか。 ● 今,○○委員が御説明のような形の制度設計というのは十分考えられることですし,そのような理解で事を進めることもできるかと思うのですが,皆さんの御懸念も踏まえて考えてみますと,平成2年の商法改正で,発起設立についても払込取扱金融機関というのを設けましたが,たしか立法のときには,170条2項で払込取扱金融機関について定めなさいということにして,そこに払い込ませるという,従来の発起人代表にお金を預けるというやり方をやめて銀行口座に振り込めという形にして ,そのことに伴う検査役の調査を削減しようという,そういう立法だったと理解しているのですが,その際,ここの170条2項の方で定められた払込取扱金融機関については,変更について裁判所の許可というのはたしか入っていなかったのではないかと思うのです。条文としましては,178条の方で払込取扱金融機関の変更について裁判所の許可を得なさいとなっているのは177条の方を受けておりますので,177条の方は,募集設立の場合の従来型の払込取扱金融機関についてはそういう厳格な,正に○○委員がおっしゃられたような株式引受人保護という観点からの厳格な手続というものがかかっているという理解もできるのではないかと思います。   そうしますと,170条2項のような規定を残して,払込取扱金融機関という概念を残して,従来どおり,設立中の会社という権利能力なき社団の財産であるということを前提とした払込みを認めたまま,ただ保管証明責任という制度を外すというような制度設計も理論上は可能なのではないかなというふうにちょっと思いまして,正に,いろいろなその後の取扱いを大幅に,破産等の状況の中で変えるというよりも,その預金自体は設立中の会社の預金であるという形で例えば別除権等を行使できるというような仕掛けにしておいて,ただ,保管証明というのは出さなくてもいいので,保管証明責任は負わせませんという形にすると,責任を負わなくてもいいのだったら取扱金融機関になってもいいですよという人たちは出てくるのではないかなというような気がいたします。   それで,最近,銀行の本人確認の問題があってなかなか口座をつくれないというのは確かにそうだと思いまして,○○委員が理事長をなさっておられます某学会の事務局を私がやっておりますが,預金口座をつくりますときには,規約等一切,あるいは役員等全部出して,それで本人確認していただかないとなかなかというような状況が権利能力なき社団に対してはあるというのが最近多いかと思いますが,これについては,発起人という形で単純な預金を設定するときであっても,もし設立中の会社発起人代表と書けば,何のためにこの預金口座を開設するんですかというようなことを銀行はちょっとチェックを入れるというのが実態なので,余り変わりはないかなというように感じるところがありまして,だとしますと,むしろ,そこのところを改善するためにあえて破産手続等にも大きな影響を及ぼすような改正をするよりは,保管証明責任だけ外しますから,どうぞ取扱金融機関になってくださいというやり方の方がひとつよろしいのではないかなと,今の皆さんの御議論を聞いて思いましたので,述べさせていただきました。 ● 正に今,私も懸念しておりましたのは,残高証明というと簡単に見えるのだけれども,本当に簡単になって,今回の立法を改正しようという趣旨にかなう方法なのかどうなのかということが知りたくて質問させていただいたのですが,発起人代表名であっても銀行が口座を作るときに厳しくチェックするのは余り変わらないだろうという御説明を受けてようやく得心したようなところがございます。したがいまして,そうであるとすればなおさらのこと,一体こういう改革の必要があるのか。   それで,今,○○幹事は,保管証明責任というものを外してやれば銀行は少し気が楽になって,もう少し簡単に開設してくれるのではないかとおっしゃったわけですけれども,いったん口座を開設してお金を預かっているのであれば,それを残高証明という格好で証明するのと,保管証明という形で証明するのとで銀行にそれほど差はないような気もするのですけれども,そうなってくるとますます,何のために改正するのかということにはなりはしないかというのが疑問点です。 ● 私もちょっと分からないのですけれども,銀行は本当に189条2項の保管証明さえやめれば簡単にあれしてくれるのかというと,どうなんでしょうかね。払込金保管証明というのは,これは登記のときに要るわけですけれども,それさえ出さなくていいということになれば簡単に引き受けられるのか。しかし,例えば途中で設立がうまくいかなくてポシャるときがありますよね。そうすると,先ほど言ったように,やはり銀行としてはかなり厄介な問題が出てくるはずなんですね,実務上は余り数は多くないと聞いていますけれども。だれに返していいんだとか。発起人の預金なら,これは発起人に返せばいいのですけれども,払込金保管証明でこれは権利能力なき社団の財産であってということになると,これは趣旨からするとやはり株式引受人に返さなければいけないという話になってくるのではないかと思うのです。少なくとも株式引受人全員の合意がなければ発起人に返せないという話になってくるのですね,払込取扱金融機関という地位についた限りは。ですから,189条2項だけやめたら銀行はすぐやってくれるかというと,そうとも限らないのではないかと私は思っています。   それから,○○幹事がおっしゃったように,平成2年改正までは発起設立についてはなかったのですね。それは発起人だけが払うわけですから,別に法律が介入して保護する必要はないという制度だったわけです。募集設立についてだけあったわけですね,この制度というのは。だから,募集設立をやめれば,昔に,平成2年より前に戻ると,ただそういう話のように私は思っていたのですが。もう平成2年前に戻るのだと。 ● 平成2年前に戻るとすると,残高証明等を添付書類にするということもなくなるわけでございますね。逆に,検査役の調査をまた復活するかみたいな話になる。 ● 平成2年改正前は検査役の調査だったわけですね。ちゃんと払い込まれたかとか,別に預金通帳を持っていく必要も恐らくなかったので,検査役の調査のあれを持っていっていたわけですね。まさか検査役の調査に戻るわけにもいきませんので,そこをどうするかで,こういう銀行の残高証明という形になっているということだと思います。   しかし,どういう形になれば銀行が簡単に引き受けてくれるのか,これはちょっと調べてみないとここでは結論が出ない問題ですね。なお検討するほかないですね,この問題は。   この2の(注2)の星印は,そういうことで,なお検討させていただくことにいたしまして,次の米印の星印,これはいかがでしょうか。払込取扱機関の範囲の拡大は行わないということですが。 ● これも払込取扱機関全体をどうするかということの中で,こちらでかなうならばここはいいというような,そういう関係になるかと思いますので,あわせて検討していただければいいかと思いますので。 ● それでは,これもなお検討させていただきます。   次に募集設立の関係でありますが,一応,募集設立廃止という案が要綱試案でも挙がっていたのですが,これについては賛否両論あったと。それで,もし募集設立を残すのであれば,この米印のようなことにならざるを得ないのではないかということなのですが,これはいかがいたしましょうか。   どうも募集設立廃止の理由として挙げられるところでは,私の聞いているところでは,例えば当初から株主にはなりたいけれども発起人としての責任は負いたくないという人もいるというのが大きな理由だったかと 思いますが,例えば現物出資に関する財産てん補責任とか,そういう無過失責任がなくなるというような前提でもやっぱり発起人にはなりたくないということなのでしょうか。○○委員,いかがでしょうか。 ● ○○委員は今,私を説得されようとしているのでしょうけれども,そういうことでございまして,実務界において,やはり募集設立の例が実際使われているということでございますので,よほどの弊害がない限りにおいては,現状使われていることを廃止というふうにはしていただきたくないということでございます。 ● いかがでしょうか。 ● もちろん,少しでも利用される可能性があるのであれば,残しておいてもいいのではないかという発想法もあるかと思いますけれども,ただでさえ膨大な規定になりそうなわけでございまして,それほど必然性が高くないような選択肢につきましては少し整理するという方向も可能であればという気がするのですが。つまり,やはり無過失責任でなくなる以上,そういう方々にも納得していただけないかなという,そういうことはございませんでしょうか。 ● 実際に起案するというときに,無過失責任を負っているからという,そういう法的な議論もあるかもしれませんけれども,やはり今後の会社経営のことを考え,発起人には名を連ねたくない,募集設立に応じるということだったら協力しましょうということが,現実の経営者の感覚としては非常に強いものですから,○○委員が言われましたように,商法・会社法というのは,そういう会社の起業でありますとか運営のためにある法律なものですから,それによって六法全書が2ページふえても,大学で授業するときに1項目ふえても,やはりやっていただきたいという切実なるお願いでございます。 ● ○○委員に質問したいのですけれども,そうしますと,いわば発起設立だけは残して,とにかく会社が設立した後で最初に新株発行する段階で引き受けるのでは嫌だというのでしょうか。最初から,いわば募集設立の中の株式引受人という存在になりたいという需要があるのか。会社のメンバーになるという意味合いであれば,別段,設立した後でもよろしいわけですよね。 ● ということもあるのですけれども,設立時に例えば1,000億なら1,000億の巨額の資金を集めてやりたいというときに,設立した後の段階で新たに新株発行をする,それを引き受けてくれるかどうか分からないというふうなこともございますから,設立時の資本というのを充実したい,だけども発起人になるのは嫌だという人がかなりいるという中での資金調達形態なものですから,二段階に分けてということも考えられるのですけれども,その場合に資金が本当に集まるのかどうかという自信もないということもございますので,ということですけれども。 ● ○○委員のおっしゃること,私は非常によく分かりまして,最初の発起人には入りたくないんだけれども,ほかの人から出資を募るときに,彼も最初から出資しているんだよねと言いたいと,こういうのも中小企業,大企業問わず当然あるのでありまして,六法全書のページ数については私は言及いたしませんけれども,こういう仕組みがあるというのは,非常に選択肢がふえていて,ビジネスをやっていらっしゃる方には非常にやりやすい仕組みかなという感じがいたします。これは参考意見ですが。 ● どうも実務の関係者は非常に強い御意見をお持ちのようですので,これは残すということにせざるを得ないかと思いますが,その場合,この米印はこういうことで致し方ないということでよろしゅうございますか。結局,募集設立については従来と余り変わり映えしないと,そういう方向ということでよろしゅうございますか。--それでは,3は,募集設立を残す,そして米印のような方向ということで進めさせていただきます。   次は,4の(1),(2)は特に問題ないようであります。   4の(3)でありますが,この点はいかがでしょうか。   実質は②の方なんですね。 ● 募集設立を維持するということであれば,ここは発起設立時の規律の整理ということになります。 ● ②は従来と変わっているのでしたっけ。 ● ②は,有限会社について,払込みを先にするか,取締役の選任を先にするかの順番を株式会社に合わせて……。 ● これは有限会社と株式会社の調整の問題ということですね。 ● そうです。 ● 有限会社はいきなり定款で定めていたのがこうなる,有限会社についても株式会社と同じようになると,それが実質の話でありまして,余り大きな問題ではないように思いますが,よろしゅうございますか。--それでは,これはこのような方向で進めさせていただくことにいたしたいと思います。   (4)ですが,これはいかがでしょうか。 ● ②の方についてなのですが,これは廃止しないという方向で検討していただくような余地はないかということでございます。先ほど,六法全書が二,三ページふえようとも必要なものは残すという御議論がございましたところですけれども,六法全書に1行ふえても必要なものは残すというぐらいの量しか占めない話だと思いますので,やはりこの1行は残した方がいいのではないかと思いますのは,確かに,現在,発起人が特別の利益を受けるとか報酬を受けるとかいうようなことはほとんどないことだと思います。それで,ほとんどないのは,こういう規定があるからとも言えるわけでして,そういう意味では,この規定があることはやはり価値があるのではないかと思いますので,一体どういう形で使われるか分からない,もしこれを外せばいろいろな工夫の余地が出てくるかもしれないのですが,いかに工夫されても,やはりきちんと定款に書くなりして明示していただくという方針をとった方がよいのではないかと思いますし,それが嫌で余り不明朗な報酬やら利益やらが流れないということであれば,これは結構なことでございますから,1行はやはりあるべき,必要な規定なのではないかというふうに思います。 ● これは有限会社に規定がないのですね。だからこれがあえて挙がっているのですけれども,いかがでしょうか。確かに,これは,使おうと思えば非常に使い道があるような制度なのですけれども,日本では伝統的に使ってこなかったのですね。分かりませんけれども。 ● 適切な例かどうか分かりませんが,もしこれが何らチェックを受けないでもらえるということになりますと,例えば設立費用みたいなものは少額にとどめておいて,最終的に自己負担になっているものは報酬という形で後からもらいましょうというような感じで,適切なチェックを受ける部分は少額にしておいて,あとは自分で負担したものは報酬で回収しますということになってしまいますと,設立費用の規定というのも余り意味がなくなってくるかなというのは,ちょっと教室の例のような設例で恐縮ではありますが,そういう使われ方があるのかなというのもちょっと気にはなるのですが,いかがなものでしょうか。 ● そうですね,従来のあれがないものですから……。 ● 従来は両方が同じチェックにかかっていますので,結局はそういうことができなかったわけですけれども,設立費用だけきれいな形にしておいて,あとは後からバックマージンのような形でもらってしまえば終わってしまうのであれば,設立費用の規定も余り意味がなくなってくるのかなという感じがするのですけれども。 ● ただ,これは,制度が残れば,これについても検査役の調査はあるんですよね,たしか。 ● だから,ほとんど皆さん,お使いにならないという格好で対処されると思うのですね。それは結構なことなのではないか。もうすぐに,あっという間にみんな設立してしまうわけでして,現実には。その間の報酬等々要らないという格好で処理する今の実務をそのまま維持するような形の方がいいのではないかということです。 ● ○○幹事の御意見は,これは残さない方がいいということですか。 ● いや,そうではありません。従来どおりにしておかないと,結局,これが外れたことによって報酬は自由にもらえるということであれば,設立費用は,例えば適切な金額というのは相場があると思いますけれども,その金額でとりあえず定款に記載をして,検査役の調査を受けて,オーケーですということで,それだけは求償していくわけですけれども,実際はもっとたくさんお金を使ってしまっても,その分は自己負担をしながらも,最終的には報酬という形でもらえるのだからということになってしまえば,設立費用に関する法規制というもの自体が無機能化してしまうのではないだろうかという懸念があったものですから,正に○○委員がおっしゃられるように,現行では,それも検査役の調査を受けなければいけないということになっているのでたががはまっていて,むしろ,設立費用という形で正当にもらえるものだけはもらっているという実務になっているのではないだろうかと。○○委員の御意見と同じ意見だということでございます。 ● いかがでしょうか。これも現行法どおりの制度を残すという御意見が二人の委員・幹事の方から出ましたが,よろしゅうございますか。残すということで特に御異論はありませんでしょうか。--それでは,これも②の方につきましては現行法どおりということで処理させていただきます。   ①はよろしいでしょうか。①につきましては,現在は,株式会社についてはとにかく定款に何らかのことを書けということなのですが,何も書かなければこうなるという規定にするということですが,よろしいですか。--それでは,これも御了解いただいたものとさせていただきます。   次が「事後設立」,これにつきましては要綱試案のとおりであります。   次の「6 現物出資・財産引受け」の(1)につきましては,③のいわゆるデット・エクイティー・スワップに関しまして,(注2),これが従来から御意見があったところであります。こういうことにしてはどうかということであります。この点,何か御意見ございますでしょうか。 ● 市場価格のある有価証券等は,それが存在しているということの書面は要らないわけですよね。これは,債権の場合に書面をという,そこまで登記手続を煩雑にしなければならない趣旨というのはどういうところにあるのでしょうか。   言っている意味は,添付書面としないで済ませていただきたいということですが。 ● これは従来から,「金銭債権のうち履行期が到来してしているものを当該債権額以下で出資する場合」というのは,これは評価の問題はないから検査役の調査は外せるということなのですが,それについては債権の存否自体が問題だという御意見もあったのでこういう(注)がついているのだと思うのですが。果たしてどういう書面を出すのか,どういう書面ならこの要件を満たすのかというのは,確かに実務的には問題が出てくると思いますが。まあ,これは登記の際の問題になってきますが。 ● この問題をもともと提起したのは私でしたので。   実際,中小企業が新株発行して増資するときの登記の実務を見ますと,こういう場合が非常に多いのですね。実際に経営者である人がまたオーナーであり,会社に対して貸付けなどをして,それを出資したという形で登記するということが非常に多いもので,かつ,それをめぐって,本当にそういった債権があったのかということで訴訟になった事件がかなり多うございまして,それで,本来やはり,その債権がきちんとあって,それが払い込まれたということを何らかの形で最低限担保することが必要ではないかということで申し上げたわけで,市場のある債券でしたら,それは価値があるということがはっきり分かりますけれども,この債権の場合ですと,そもそも本当にあるのかどうかが実際の事件で非常に問題になることが多いものですから。   確かに,どんな書類を出したらいいかと言われると,私も非常に困って,実際にその書面を出すのも当該代表取締役自身ということが多いのでしょうから,どれだけ担保になるかと言われれば,非常に心細いものがあるのですけれども,一方で,虚偽の書面を出せば,またそちらの方の刑事罰もありますし,こういう形で何らかの最低限の手続的な担保を設けていただければ余りに露骨なひどいことは行われないのではないかというぐらいの気持ちで,できればこういう形ででも制度化していただければ有り難いということであります。 ● この(注2)のようなことが出てきた理由は,今,○○委員が説明されたとおりなのですが,多いのは,経営者が報酬としてもらったことになっているけれども,実際は払われていなくて,会社に対して貸付けにそのままなっていると。そういう場合だと,これは確定申告の書類か何かを持っていけば一応報酬は払われている,それで,会社に貸しているのですという,その証明にはなるように思いますけれどね。恐らくこれは,非常に厳格な書面を要求するのは無理だと思いますけれどね。   これも御意見がちょっと分かれておりますので,もう少し検討するということにせざるを得ないかと思いますが,ほかの方,この点について御意見ございますでしょうか。 ● ○○委員にお尋ねしたいのですが,私はこういう例でトラブった事例をよく知らないのですが,最初からだます気で,例えば,私が社長で,会社に貸し金がないにもかかわらず,それを出資したことにして登記所に行くという,いわば最初から犯意があるわけですよね,故意で。そういう人たちにこういうものをかけて,またにせものを出すと,一番考えられるのはそういうケースなのですが,そういうことでトラブっているのでございますか。それを他の取締役とか株主が,違う,違うと,こういうことでトラブっているのですか。 ● 実は,私が判例評釈して,その実際の当事者の人にインタビューをして聞いた事件がそうだったのですけれども,大抵こういうのは実際には同族の内紛でありまして,一部の争いのある同族の間のほかの人たちが知らない間に,現代表取締役が新株発行があったということで登記して,多数を握ってしまったと。そのときに,その新株発行の払込みとして,かつて自分は会社にこれだけ,資金が困ったときに貸したんだということで,払込みがあったということで登記されていて,それを他の反対派側の同族の株主が,本当にそんなことがあったとは思えないと言って,正に争って訴訟になっていたわけでありまして,最初からだます……,そもそも事実の解釈自身がそういった事件では問題になるのでしょうけれども,仮に本当にうそでそういった書類を出すということになりますと,虚偽の私文書を提出したということになって刑事罰の問題にもなりますから,そういう形で,最低限,余りひどい,うそのようなことはしないための手続的な担保としてこういったものがあってもいいのではないかと私は考えた次第です。 ● 大多数の方がそういう悪いことをしているわけではなくて,ほとんどの方はちゃんとやっているのでしょうから,確実に防止できる度合いが非常に少ない手段をここにビルドインして,多くの方がそれで非常に煩瑣な手続をというのは,バランスからいくとちょっと厳しいかなという感じがあるのでございますがね。 ● これは実際,正に登記実務の方でどういう書類を要求するかということにかかってくるので,私も,商事課の方で実際にもし制度化するとしたら具体的にどういうものを要求するかという,それにかかってくると思います。ある程度,それほど面倒でなく,大きい負担にならない形で何らかのこういう制度ができるならば,あった方が望ましいのではないかと思っている次第です。 ● 今の○○委員の扱われた事例におきましては,その新株発行の際の変更の登記をなすに当たって登記実務の方はどのように処理されたのでしょうか。検査役の調査はなされたのですか。 ● たしか検査役の調査が必要な限度ぎりぎりの金額で払込みをしたんだと思います。ですから,正にノーチェックなんですね。 ● 法律で添付書面に債権の存在を証する書面と書いた場合に何が要求されるのかは解釈の問題になろうかと思いますが,通常,債権は債権者と債務者しか当事者として分からないものです。そして,一番確実と普通思われるのは,債務者が承諾するということになるわけですが,ここでは会社に対する金銭債権ですので,恐らく会社自体が,そういう債務を負っていますと承諾する書面を書くか,または契約書を持ってくるかしかないと思われるところでありまして,その程度の信用力のもので差し支えないというのであれば,検査役の調査は外すということでよろしいと思いますし,それで足りないということであれば,もう少し工夫する必要があろうかと。(注2)のような書き方をしたのであれば,通常であれば,債務者である会社が判こを押したものがあるということにしかならないのではないかなというふうに思いますが。 ● どうも登記実務から言うとそういうことのようです。 ● そのときの債務というのがオフバランスなのかオンバランスなのかということになると,オンバランスの債務でなければだめだということにやはりなるのでしょうかね。貸借対照表にはその債務を記載していなかったというような場合にどうなるのか。 ● オフバランスだったら絶対にだめかというと,恐らくそうでもないでしょうね。   まあ,ちょっと意見が分かれておりますので,この点についてはなお検討させていただきます。   それでは,次が6の(2)の最後,(注)に星印がついておりますけれども,これはこのようなことでよろしいでしょうか。意見照会の結果も大体賛成が多かったということですが,よろしいでしょうか。--それでは,これは御了解いただいたものとして取り扱わせていただきます。   それでは,ちょっとこの辺で休憩いたしましょうか。   それでは,株式の前まで行ったというところで,休憩させていただきます。            (休     憩) ● それでは,時間になりましたので,再開してよろしいでしょうか。   それでは,「第3 株式・持分関係」でありますが,ここから再開させていただきます。   1については,特に大きく議論が分かれているところはありません。1につきましてはよろしいでしょうか。何か御意見ございますか。--よろしいでしょうか。   それでは,次は項目が飛んでおりますが,7に行きますが,7につきましては,(1),(2)に星印がついております。   (1)につきましては,これはたしか前回御議論いただいたと思いますが,いわゆる属人的定めと言われるようなものですね,これを認めるのは第1種株式会社のみにするというのが前回の多数意見だったと思いますので,こういう案になっているわけですが,この点はよろしいでしょうか。--それでは,この点はこのような方向で進めさせていただきます。   (2)でありますが,これにつきまして,議決権制限株式の発行限度につきまして,有限会社は従来から限度の定めがないのですけれども,株式会社については,従来,2分の1という制限があったと。これを,第1種につきましてはそういう規制がなくなるわけですけれども,それに加えて,第2種,譲渡制限会社一般につきましてこういう撤廃をすることでよいかということで,これは御議論が分かれていたかと思いますが,いかがでしょうか。 ● 前から申し上げておりますことの繰り返しになるかと思いますけれども,(2)の提案につきましては,(1)の提案との関係からしまして,当然,第1種の株式会社につきましてはこのようなことでいいかと思いますが,第2種につきましてはもう少し慎重であってもいいのではないかというふうに考えております。 ● 実際のことを考えると,私もちょっと自信のないところもあるのですけれども,理屈として考えると,やはり,先ほどの(1)と同じように,定款自治の範囲を広く認める会社においてこういったガバナンスについての規制も外すという方が論理的には一貫するのかなという気がしまして,それを考えますと,私は,この(2)の方も第1種についてのみ発行限度に関する規制を外すということの方がいいのかなと,その方が少なくとも安全かなというように考えております。 ● 第1種に限った方がいいのではないかという御意見がお二人の委員から出ましたが,いかがでしょうか。特に第2種についても是非認めろという積極的な御意見はないということでよろしいでしょうか。 ● 意見ではないのですが,私ども,ちょっとここは実態がよく分からないところがありまして,少し調べさせていただいてもよろしゅうございますか。   と申しますのは,私どもは1種と2種になるべく差をつけたくないという基本理念もあるものですから,どっちかに統一したいなと。有限会社についても余り,ちょっとこれは言い過ぎですけれども,撤廃しなくてもいいというオプションもあるかもしれませんし,そこはあれなので,ちょっと調べさせていただいて,なるべく同じような扱いにしていった方がいいような感じがしていまして……。これ自体は,瑣末だというと言葉が悪いですが,さほど重要な案件ではないものですから,ちょっと調べさせていただければと思います。 ● はい。 ● 議決権制限株式の意味なのですけれども,例えばクラス・ボーティングなんかにつきましては,これは議決権制限株式に入らないということでよろしいわけですね。 ● クラス・ボーティングの話はまた別の話です。 ● これはそういうものではなくて,10あるところが8,7になるということだけをということですね。 ● 決議事項について議決権がないという,あのタイプです。   それでは,○○委員のおっしゃったように,これは決める問題だけのようなあれもありますので,なお○○委員の方で実態を調べられるということなので,結論は留保いたします。   先へ進んでよろしいでしょうか。   8に移ってよろしいでしょうか。「法定種類株主総会」でありますが,これは(2)の(注2)のところに星印がついております。これは,前回,たしか○○委員から御意見があったところに関連するのではないかと思うのですけれども,問題の所在等はこういうことでよろしいですか。   いかがでしょうか。問題の所在は,○○委員が指摘されたのはこういうことだったと思いますが,これは買取請求権を行使することができるという解決方法でいいのかどうかという問題があるのですが。   ○○委員,いかがでしょうか,この点は。 ● 一つの行き方としては,私はこれでもいいのかなと思います。 ● いかがでしょうか,ほかの委員・幹事の皆さん。大体こういう処理方法でよろしいでしょうか,この問題につきましては。 ● 星印がないところで,また初歩的な質問で恐縮なのですけれども,8の(1)の他の種類株式というところなのですけれども,この「他の種類株式」というのは,普通株式も入る概念ということになるのかどうか。種類株式を出しているときに普通株式の授権枠を上げるというときには,種類株主が拒否権を持つのかどうかということなのですけれども,これはどうとらえるのでしょうか。これはそういうことなんでしょうか。 ● そうですね。別の種類の株主が逆に不利益を受けるということですよね。自分が持っている株式と違うものに内容が変わってしまうわけですから。つまり,議決権をふやすとか,そうなると,こっちは不利益を受けますよね。そういう話です。 ● そうすると,種類株式を出している,あるいは優先株を出したというときに,普通株でもって増資をして授権枠を上げようというときに,種類株式がノーと言えば,そこでもうデッドロックになって資金調達ができなくなると,こういうことになるということでしょうか。 ● 要するに,損害を及ぼすべき場合の解釈いかんだと思うので,そこの部分は今の345条とは変わらないのですね。そこはどう考えられてきたかというと,従来は多分,出ている種類株式は優先株が多いものですから,普通株式がふえたからといって直ちに損害は及ばないのだという整理をしていたのではないかと。他方,例えば劣後配当なんかで先に取られてから払うとか……,まあ,それでも,もともと劣後なんだからということなのかもしれませんけれども,場合によって,普通株式が増えることによって種類株主が不利益を受ける場合が皆無とは言えないということなので,形式的に除くということではなく,損害を及ぼす場合の解釈いかんと。 ● 分かりました。 ● よろしゅうございますか。   それでは,この8につきましては,ほかに,その他の点も含めまして,御意見ございませんでしょうか。--よろしいですか。   それでは,先に進ませていただきますが,10であります。10につきましては,問題になっておりますのは④のところでありますけれども,取締役の定款授権による免責に対する異議の申出をする権利でありますけれども,これにつきまして,その免責対象となっている取締役が当該異議申出をする権利のある株式を持っているという場合に,この④の米印の意味は,要するに,その当該本人が持っているものについては分母・分子から除いて,その他のもので計算すると,こういう提案です。算定の際の分母・分子に入れないという処理ではどうかということなのですが,これも○○委員が従来言っておられたところですが,何か御意見ありますでしょうか。 ● この範囲ではこれでよろしいかと思うのですけれども,ただ,究極の場合,その種類株式を当該責任を問われている取締役が全部持っている場合はどうするかという問題は残る。それについてどうするかというのは,ちょっとここに出てこなくて,むしろ,これを単に形式的に読んでしまうと,そういう場合はそもそも異議申立ての可能性がなくなってしまうのかなと。ほかに異議申立てをする株主がいないということですから。それでいいのかなというのはなお疑問として残っているということです。 ● どうなるんですかね。 ● ですから,ある意味で言うと,もう定款の定めで最初から免責ができる--現在ですと,社外取締役だけがそういう限定が可能なわけですけれども--事実上それと同じ効果が出てしまうことになる場合があり得るけれども,それは実際上そういうことになっても目をつぶるかと,そういう問題はなお残るのかなという気はします。 ● そこまで条文にうまい手当てが書けるのかどうか。もう最後は裁判所に判断をお願いするしかないのかもしれません。   それでは,そういう極端な場合を除いては,一応これでいいということでしょうか。   それと,解任についてはどうか。解任も100分の3ですかね,解任の訴えというのがあるわけです。これも分母・分子から除くことに--「同様の措置を講ずる」というのは,同じ,当該解任の訴えの対象になるものについては,やはり100分の3の分母・分子から除くと。いかがでしょうか。 ● 念のための質問ですけれども,株主総会の決議でやるというときには,特別利害関係人ですけれども,今までどおりでやって……,これはそういうことですね。異議権の場合だけに限定してやろうということですね。 ● はい,そういうことです。   よろしゅうございますか。解任についても同じ処理をするということでよろしいでしょうか。   特に御異議がないようですので,それでは,解任についても同様の措置を講ずるという方向で考えさせていただきます。   次が,(2)の①の米印のところに星印がついておりますが,第1種株式会社における少数株主権の要件ですが,これについては現行の株式会社と同様のものとするということなのですが,人数制限をもし第1種株式会社にかけた場合には,10分の1までの範囲でこの要件を引き上げることができるものとするということにするかどうかということでありますが,いかがでしょうか。 ● この点,必ずしも明確でない部分もあるのですけれども,先ほどから話が出ておりました,1種,2種にどういうふうに線を引いて,また両者の関係をどう考えるかということともまた絡んでくるのかなと。それから,米印のところで人数制限等が書かれているものですから,考え方としては人数制限をかけないということを前提に私どもは考えているわけですけれども,かけない場合においても,その要件の引上げという余地が残せないものかという部分もございますし,ほかの項目とのバランスとかをまた見ながら考えないといけない部分がややあるのかなという感じがちょっとしております。 ● この点については,ここで米印がついているのは,人数制限をかけることにした場合にはこういうことも考えられるかということでありまして,人数制限をしない場合については,前回の議論では,少数株主権を行使できるということも定款自治を認めることの非常に大きな要素だという意見が強くて,人数制限しないのであれば,そういう現在の株式会社の少数株主権の要件は維持されなければ困るという前提でこの案まで来ているのだと思います。   人数制限につきましては機関のところで取り扱いますので,その点の議論はちょっと後に留保していただきたいと思います。   そうしますと,特に人数制限をかけることを前提にして,その場合にはこれを認めるべきだという,そういう積極的な御意見はありますか。   それでは,これは人数制限の点にもかかわっていますので,この問題は後まで留保するということでよろしいでしょうか。また後で,これも含めて御議論いただきたいと思います。   次は12ですけれども,これの(3)でありますけれども,新株発行に際して,証券取引法に基づく届出書等において商法により公告等をすべき事項が開示されている場合には,商法の規定による公告を不要にするということにつきまして,電子公告制度の導入いかんにかかわらずこの措置を講ずるということではどうかということですが,この点につきましてはいかがでしょうか。--特に御異論はありませんでしょうか。 ● 賛成でございます。   それで,この2週間の問題というのは1週間ぐらいにできないかというのが,本件とは別の問題かもしれませんけれども,別途御検討願いたいところでございます。 ● それでは,この(注)につきましては,特に御異論はありませんでしょうか。   よろしいですか。--それでは,この点はこの方向で進めさせていただきます。   次が14でありますけれども,公告をすることによって,株主に対する通知を省略するということについては,ここに列挙されたものについてはできないこととするということであります。この点,いかがでしょうか。 ● 譲渡制限会社でも関係人が多いという場合もあるので,できれば公告のみでもって現状どおりやっていただきたいと申し上げたところなのですけれども,いろいろな公告・通知の中でこの三つに限っては通知が絶対であると,こういうふうにされようということですよね。その,特にこの三つに限るというのは,他の公告に比べて株主の利害に非常に大きな影響を与えているからということなんでございましたっけ。そこの立法趣旨を教えていただきたいのですが。 ● 現行法を眺めてみましたときに--まず債権者は除きます--株主に対してだけお知らせをするというもののうち,通知及び公告が要るものと,通知又は公告によるものというのがありまして,かつ,この類型は譲渡制限会社でありますので,いわゆる資金調達系の通知又は公告というのがなくなっている状態なので,そうすると,全法的に眺めてみても,商法に規定されているもののうち,通知か公告を選択的に株主に対するお知らせとして利用できるのはここに挙げたものしかないということなので,この程度であればどうかということであります。 ● いかがでしょうか。三つ。 ● 余りぴんとこないのですけれども。今の○○関係官の説明も全然ぴんとこなくて,どれも大したことないのではないか,要らないのではないかと……。公告をすれば,通知省略は別にしてもいいのではないかなと思うのですが,だめなんですかね。並びで特にこれがすごいという,どうもそういう説明でもなかったみたいなのですけれども。余りにもテクニカルなので,ちょっと理解を超えている面があって,コメントのしようがないというのが正直なところなのですが。 ● これは,発想は,本来は株主に通知をすべきものであると,だけど非常に株主が多い会社については,コスト的にも大変だから,公告を認めていると。 ● ただ,その中でなぜこの三つだけそういうふうにピックアップしているのか。 ● ですから,どちらもできるというのは,この三つだけなのですね,今の法制では。 ● その,なぜ両方できるのかということについての分析がないので,ちょっと頭にすっと入りにくいんですよね。 ● それは,公告よりも通知がすぐれているというのが前提なわけです。 ● それで,これがほかに比べてより大切だからという,そういうことになっているんですかね。そうでもないですね。公告又は通知ですから,その第2順位ぐらいだということですね。 ● 譲渡制限会社については,結局これはもう全部通知だということですよね。株主に対する公告というのはもうこれでなくなるわけですね,もしこうなれば。 ● 先ほどのあれで言いますと,例えば株券を発行している場合に,株券回収を伴うような場合,これは公告が重畳的に必要になる事例ですし,それから現行法で言いますと,基準日などはこの公告しか認められていないので,こういうのは公告だけという整理かなと。 ● もうちょっと全体を並べてみて,本当にそれでいいのかというのを根本から見直してはいかがでしょうか。譲渡制限会社における公告・通知について。今の基準日も何か変な感じがしますよね。 ● 公告をせざるを得ないものもあるのですね,名簿を書きかえていない者がいるという前提の場合は。 ● 公告・通知についての鳥瞰図みたいなものがあると非常に分かりやすいと思うのですけれども。星印取表がですね。これだけこう書かれると非常に理解できないのですね。 ● それでは,分かりやすい資料を出して,これはもう一度御議論いただくことにいたします。 ● これまた第1種,第2種で違えたものが出てくる可能性があるのでしょう。それはないですか。 ● それはないですね。 ● ありがとうございます。 ● 前回の資料では,1種で,むしろそれを2種に広げるかというような問題提起だったように記憶しているのですけれども。ですから,そこは論理的にはまた分けるということもあり得るのだろうとは思うのですけれども。済みません,議論を引っかき回すつもりはないのですけれども。 ● それでは,14は再度御議論いただきます。   「15 株券」につきましては,特に星印がついておりますのは,(1)の(注),これは前回は口頭で説明があったわけですけれども,これを特に書いたということで特に注意的に星印がついておりますけれども,実質につきましてはよろしいでしょうか。--よろしゅうございますか。それでは,これはこのようにさせていただきます。   では,機関は飛ばしまして,「第8 清算関係」でありますけれども,「2 清算中の会社の機関」の(2)が,従来から幾つか案が並んでいた問題であります。解散時に大会社であった会社又は譲渡制限会社でなかった会社につきましては,監査役を一人以上設置することを義務づけると。それから,株主数1,000人以上の清算中の会社には,参考書類の送付,書面投票制度の採用を義務づけると,こういうことではどうかという案でありますが,いかがでしょうか。   これは,意見照会については大体これに賛成が多かったということですね。 ● はい。 ● そういうことでこういう案になっておりますが,いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。--それでは,これもこのような方向にさせていただきます。   次の3の(1)の(注)でありますが,債権申出期間を1月に短縮するかどうかということでありますが,これはいかがでしょうか。現在は2か月ですね。これは実務上どうなのか。現在は2か月でやっているわけですけれども,債権申出というのは大体どういう期間内にあるものかというのは,私はちょっと実態はもちろん知らないのですけれども。 ● 1月を超えて債権申出があることは聞いたことがないというふうに,別の議論の場における経済界のメンバーの発言があったというふうには聞いておりますけれども。 ● 経済界というのは,どのあたりの経済界なんですか。大企業ですね。だとすれば,もう少しフォーカスを広げてあれしないといけない。私は別に1月で悪いとも言えないのですけれども,そのことだけで1月でいいともちょっと言い切れないところがあると思いますので。 ● 確かに,会社によってもいろいろ違うのかもしれません。債権申出期間が短ければ清算は早く終わるのですけれども,本当にそうしなければいけないものなのかどうかという点もありますね。   では,これもなお検討するということにさせていただけますでしょうか。   それでは,次,4につきましては,(2)の(注2),これがお決めいただきたい点でありますが,清算中の株式会社が分割会社となる人的分割及び完全子会社となる株式交換・株式移転は認めないということではどうかということですが,何か,特にこれを認めるべきだという御意見はありますでしょうか。   清算中の会社については余りこれは考えられないということでこういう案が出ているのだと思いますが,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。--それでは,特に御異論ないようですので,こういう方向で進めさせていただきます。   次に,「第9 その他関係」の1の(注2)が,星印がついている問題でありますが,いかがでしょうか。相互保有の場合の議決権制限について,制限される会社を株式会社・有限会社に限定せず,他の法人等も含めるということでありますが。   それから(注3)も,子会社による親会社株式取得の禁止の範囲については別途検討するということですが。 ● この星印そのものでないのかもしれませんが,(注2)につきましては,こういう方向で賛成したいと思っているのですけれども,少し質問なのですが,この文章を読んでいますと,「親会社からの一定の支配権が及び得るとみられる」という表現になっておりますが,このことの意味は,実質支配基準的なものを採用するという意味合いを含んでいるのかどうかということがちょっと気になっているのですけれども。 ● (注1)に関してはそういうことですね。実質支配基準です。   (注2)は,今の規律を殊更に変えようというわけではないので,4分の1で規律していくほかないということでありまして,ちょっと色合いが違うので一応分けておりますが,本文の意味での子会社というのは,いわゆる今の子会社調査権なり子会社何とか権に適用するものになります。 ● 一般的に実質支配基準を採用するという意味も含んでいるということですね。分かりました。 ● よろしゅうございますか。--それでは,この(注2),(注3)の点もこういう方向で進めさせていただきます。   機関以外の最後ですけれども,擬似外国会社につきまして,482条は削除するものとすると--現在の擬似外国会社の規定ですね--という案でありますが,この点はいかがでしょうか。 ● 私から申し上げるのが適切かどうかは微妙なのですけれども,実は昨日,国際私法(現代化関係)部会という別の法制審議会の部会が開かれまして,私,参考人として若干意見を述べさせていただく機会がありました。それとの関係で,向こう側での議論がどのようなものであったかということと,我々として今ここでどういう議論をすることが向こうから期待されているだろうかということを,恐らく,そういったことに関してはまず情報を申し上げた方がいいかと思いますので,その点についてお話しさせていただきたいと思います。   国際私法の現代化は,法人の部分についてもいろいろ規定を置こう--今はないのですけれども--ということをしておりまして,昨日,この論点に関することに限って申しますと,会社の従属法は設立準拠法とするという明文の規定を置くかどうかということが,最初のトピックとして議論されました。それとの関係で私がその場で申し上げましたのは,その議論は分かるのですが,実は会社法の現代化の方で482条を全面削除するという案もあって,かつ,パブリックコメントではそれが多数で,そちら側に傾く公算も少なくないという,そういう前提でその議論はしていただく必要があるのではないかといった情報提供,これは純粋な情報提供ですけれども,それをさせていただきました。   その結果どういうふうな議論がなされたかは,もう非常に多様な意見が出たのですが,少なくともそういう可能性が無視できないとすると,今,本拠地法主義か,設立準拠法主義か,その明文の規定を置くかどうかの議論は到底できない,先延ばしせざるを得ない,こちら側の議論をきっちり踏まえた上で,もうちょっと連絡をとった上で決断したいということで,その場では結論は下されませんでした。   つまり,その場で出た意見はいろいろあったのですが,482条を削除するという立法と,設立準拠法主義を明文で宣言する,裏返して言いますと,もはや解釈論としては本拠地法主義はとる余地がないという世界を作るということ,この二つを同時に,全く連絡ないまま無関係に決めてしまって,これが同時に起きてしまうと,非常に現在とは違った世界がつくられてしまう,それのよしあしについては,さすがに大ごとなので,今よく考える必要があるのではないかという慎重論が何人かの方から表明されたと理解しております。ちょっと私の理解がずれているのかもしれませんので,ほかの参加者の方からまた御指摘いただければと思いますが,そういった意識が表明されたというふうに記憶しております。   念のために,482条の話と,本拠地法主義,設立準拠法主義の話がどういう結びつきで議論され得るかということだけ確認的に申し上げた上で,ここで482条を削除するということが向こう側にとってどういうふうな意味合いを持つと論理的に理解され得るかということを申し上げて,それで,今後どういう議論をするかという前提の理解としていただければと思うのですけれども。   今の我々の法秩序のもとでは,本拠地の法秩序,少なくとも会社の組織に関する法秩序というのは全く無視できるというふうな発想はとっていないのだと思います。ただ,それとの関係で,設立準拠法をとると一見それができるようになるような形はあるのだけれども,実質法の外人法の規制があるから弊害はある程度抑えられていると,そういう説明をした上で,準拠法選択のときに設立準拠法でいいのだというふうな説明がされることがあります。   そういうことを前提としますと,その役割を果たしている482条を削除するということは,準拠法選択の方の議論との関係では二つの異なったインプリケーションを持ち得るところです。このところは,法例改正に関する研究報告書という書類が出ておりまして,それは国際私法の現代化の方の基礎資料ですけれども,そこで非常に明晰に分析されています。   一つは,482条,実質法の手当てをしなくなったということは,もし本拠地の法秩序,組織法に関する法秩序がやっぱり何らかの形で影響しなければいけないのだというふうな前提をとるのであれば,準拠法選択の方は設立準拠法をとる,かつ明文で書いて解釈論の余地を封じることにはちょっと慎重になるべきではないかというふうにつながる。一つのロジックはそれです。   もう一つは,482条を削除するということの意味が,日本で実質的に営業する会社を作る当事者が自由に,どこの国の組織法でも持ってこれるのだと,もうそれは認めるのだというインプリケーションを持っているとすれば,準拠法選択の方としては,そういう商法の決断をもし尊重するのであれば,本拠地法主義をとるなんてとんでもない,できるだけはっきり設立準拠法主義を宣言することにしましょうと,こういうふうに結びつく。   それで,いずれかは分からないというふうにその報告書には書いてあるのですね。その当時はまだb案と言っていたのですけれども,b案をとることがいずれを指すかは分からないということでした。   我々は,どちらの趣旨でこの482条の削除という案が書かれているかもちょっとよく分からないところなのですが,向こう側としては,482条を削除すると言っただけではなくて,それがどういうインプリケーションを念頭に置いて決断されているかということまで当然知りたいと思いますし,また,そこのところまで踏み込んだ議論は,これまでのところ,ここではなされていなかったのではないかというふうに記憶しております。   ややくどいですけれども,例えば,日本で新たに会社を作る人が,日本の会社法はよくない,ガバナンスのシステムはデラウェアの方がすぐれている,だから我々はデラウェア会社として日本で活動する会社をつくりたいのだといったときに,それは大いに結構ですということを--今の482条を削除し,向こう側で設立準拠法主義を宣言すると--宣言してしまったことを意味しかねないことが,この問題を考える上でよく認識すべきところではないかと思います。それは,制度間競争,大変結構ですねという議論はありそうな議論ではありますけれども,そういうことなのかということであります。   ただ,それをそういうふうにしますと,会社法の現代化及び会社法というものの理解を根本的に変える可能性もあることも,論理的にですけれども,認識する必要があるかと思います。つまり,日本の会社法というのは,日本で事業を行う人にとって,自由に選べる組織運用の一つという位置づけになってくるわけです。やや誇張していますが,現実にそれがなされるかどうか,それほどの自由度が別の形で制約されることはあり得るにせよ,そういう決断ということになります。   実務的な観点でいろいろコメントとされているところで,例えば流動化のときに482条が非常に不安定な法律関係をもたらすといった指摘は確かにございました。よく分かるのですが,そういった問題を解決する道具としては考え得る最も大きい道具立てを使って--もしそれが念頭にある主たる対象であるとすれば,そういうことをしてしまっていることになります。流動化でケイマン法人がいつ効力を否定されるか分からないのが怖いという,それだけであれば,例えば擬似外国会社の定義で,日本における流動化のためのスキームというのは,日本で営業しているとはみなせないことを法文上何らかの形で明らかにするという手段もあるのかもしれません。   それで,条文技術として,中間的な--つまり,482条の削除と,あらゆる法律関係について日本法人に従えという両極端を提案して,それで明らかに答えは全面削除案という答えが多かったのですけれども,先ほど申し上げましたような強いインプリケーションまで考えた上での決断だったかどうかということをもう一度考えた上でフィードバックしないと,国際私法の現代化の方との関係でも,先方もやはりまだ何か不安が残ると思いますので,そのあたり,昨日の議論とその感想ですけれども,申し上げさせていただきました。 ● ありがとうございました。   国際私法の方ではそういう議論がなされているようです。   確かに,482条というのは,設立法主義をとった上で一定の歯どめをかけているという規定だと理解されてきたと思いますが,もし国際私法の方で設立法主義を明文化して,これを取りますと,○○幹事がおっしゃったように,日本で商売するためにデラウェアで会社を設立します,それも自由ですということに,論理的にはなると思います。果たしてそれでいいのだろうかというのが,○○幹事からなされた問題提起だと思います。   しかし,どうあるべきかというのはどこが決めるんですかね。そこが決めるのか,こっちが決めるのか。ここで議論すると,それも結構ではないか,デラウェアで作るのも結構じゃないか式の議論が出てきかねないわけですけれども,本当にここだけでそんなことを決められるのかどうかという問題はあります。   それでは,これも,本当に482条を全部削除するのか,それとも,この意見照会に答えられた方は専ら証券化とか何とかだけを念頭に置いて答えられたという可能性もありますので,どうしますかね。これはもうちょっと……。 ● ちょっとよろしいですか。   ○○幹事が言われたとおりで,私もきのうのその部会に出ていまして,向こうの部会の委員からは,向こうでも,自分たちが国際私法の観点からだけこういうことを決めていいんだろうかというお話が同じようにあって,こちらでも同じことになるわけですが,しかも立法の時期が非常に接近していますので,両方勘案して,結局どういう世界を全体として実現するのが望ましいかということについての認識が,両方の部会がほぼ同じことになって,手当てとしては,商法ではこうしましょう,国際私法の方ではこうしましょうと,こういうふうにあるべきであろうという話で,法務省としてもそこは十分配慮してほしいと,我々事務当局の側はですね,というお話がありました。それは誠にもっともで,こういうたぐいの話というのは時に生じます。部会を超えて,同じような,関連する論点が同時に見直しの議論になるということはこれまでもありましたが,基本的なやり方は,両方でやると。それで,実現すべきは,両方とも基本的に同じ認識でそれぞれの法分野で近接した時期に手当てをするということだと思っています。   ただ,国際私法の方で,この法人の準拠法の話を第一読で初めて議論したのがきのうだったのです。こちらの方が少し議論が先行しておりまして,パブリックコメントまで来てしまって,その段階では,向こうはまだ法人の準拠法についての事務局の第一次的な提案すらなかった時代で,ちょっと向こうが遅かったものですから,きのうの時点で,共通の問題点がありますねということがオープンの場で初めて議論になりました。   それで,今後の進め方なのですが,担当の参事官同士,○○幹事と向こうの参事官同士で,昨日の議論の前にもちょっと打合せをしてもらいましたけれども,双方の部会での御議論の状況を,まずはそれぞれの参事官が担当者同士で少し議論して,こちらと向こうとで最終的には同じイメージを描いてそれぞれの手当てについての結論を出すというようにするべく,事務局内部でのすり合わせの努力をしなければいけないと思いますし,大いにお願いしますということを向こうの部会でも言われていますので,ここは,少なくとも今日はばんと決めてしまわないで,そういうふうなことで少し調整をした上で,またその結果を踏まえた議論の機会を別途設けさせていただければと思います。 ● では,今日ここで決めるわけにはいかないわけですが,実質についてどう考えるべきかということについて御意見をいただくのは事務局としても大変有り難いと思いますので,この482条の問題につきまして何か御意見がございましたら……。今まで,そんなにここで詰めた議論がなされたわけでもないように思いますので,御意見がありましたら是非いただきたいのですが,いかがですか。   そういうことならもうちょっとよく考えてくるんだったという方もおられるかもしれませんので,それでは,この問題につきましては,次回以降,改めて御意見をいただくということで,今日は,そういう状況にあるということを御認識していただきましたので,それぞれお考えいただきたいと思います。   それでは,次に機関のところを事務局から説明を……。 ● よろしいですか。   星印でないところですし,また,今のような大きな問題ではなくて,ほんの少しの話なのですが,第8の「5 清算結了登記後の資料の保存者」の話でございますが,清算結了時の清算人がその義務を負うものとするように変えようということでございますけれども,この「原則として」というのが,どの程度の意味を持つのかということでございます。何か聞くところによりますと,例えば子会社などの清算をした場合には,親会社があと資料等を保管する場合などが多いというように聞いておりまして,それも合理的な話だろうというふうに思うのですが,そういうことが引き続きしやすいような制度にしておいた方がいいかと思いますが,いかがでしょうか。 ● これを起案しているときは,パブリックコメントでも一部そういう御意見をいただいたところであって,これを原則とした上で,細かい手当てをすべきかどうかというところについてはちょっとまだ,確かにおっしゃるとおりの指摘があることは承知しておりますが,とにかく,ここで書いているときには,この資料自体は,「原則として」と書かせていただいて,そういう意味ではちょっとぼやかしているところがあることは確かで,その辺のところで,そういうニーズがやはりある,手当てが必要であるということであれば,御意見をちょうだいしたいと思いますけれども。 ● 要するに,現行法ではとにかく保存者の選任を請求しなければいけないという状態になっているものを,清算人がそのまま保存することができるのであれば特にそういう保存者の請求というものは要らないということにしてよいのではないか,デフォルトルールは清算人であって,必要とあらば保存者の選任請求をするという形で保存者の選任請求を位置づけるということで,もちろん,そのような場合に親会社を保存者とする選任請求をするということは一向に差し支えないという理解のもとに,そういう事情がなく,清算人が預かれるのに,わざわざ保存者の選任請求をしなくてもいいのではないかと,条文上そのような整理をさせていただいたらどうかということでございます。 ● それから,単純な質問なのですけれども,だれが保存しているのかということは,例えば9年目ぐらいのあたりのところで調べたいという事情があったときに,どうやって調べたらいいのかということにつきまして,ちょっと教えていただければ有り難いと思います。 ● それについては何か考えているのですか。 ● 現行法がどうか……。 ● 現行法でもこれは分からないですよね,恐らく。 ● 正確でなかったら申し訳ないのですけれども,恐らく,非訟事件の記録の閲覧とか,そういった話にまで行き着くことになるのではないかと。この原則が生きれば,とりあえず清算人のところに行けば分かる可能性があるわけですね。そこにあるか,あるいは,そうではなくて,ほかの人に渡したかということは分かるはずですので。今でも,事実の世界では,清算人に聞けば分かるのかもしれませんけれども。 ● 何らかの形で分かるような仕組みも,この際あわせて整備しておくのも一案かななどというふうに思った次第です。 ● 問題点の御指摘は分かりました。ありがとうございました。 ● 第9の1の,先ほどの(注2)の議論なのですけれども,他の法人等の中には,外国の子会社,こういうものも含むという理解のもとの(注2)なのでしょうか。 ● そうだと思います。 ● そうすると,外国の子会社は外国の法律に従って設立されていますね。そうすると,そこでの議決権の行使というのは,外国の準拠法によるということになったときに,日本の規制と外国の準拠法の規制とがバッティングするという状況は考えられることは考えられますね。その場合に,外国の子会社は,日本法の要求にも従わなければいけないし,同時に自分の設立のもとになったものにも従わなければいけないという事態が生じそうな感じもするのですけれども。 ● ここで言っているのは,日本の会社で議決権行使を認めてはいけないということだけ言っているのではないかと思いますが。ですから,確かに向こうの会社法からすると心外かもしれませんけれども,それは日本としては認められないと,それだけを言っているのだと思います。 ● (注2)が書かれているのはその限度であるという理解で。分かりました。 ● よろしゅうございますか。   それでは,機関のところの説明をお願いします。 ● 重いテーマが並んでいるので,時間の関係で多少恐縮でございますけれども,よろしくお願いします。   「第4 機関関係」の星印の第1番目は,「1 株主総会」の(1)の(注)でございます。本文の株主提案権の行使期限の定款による短縮について--明文で書くかどうかについては御議論のあるところですけれども--実質においてこのような整理をするとした場合に,(注)のような,少数株主による総会招集についても同様の取扱いとするという実質についての確認をさせていただきたいというのが1点目でございます。   それから,「(4) 書面投票・電子投票」の関係でございますけれども,①の(注1)についてですが,本文のような整理をすることとした上で,株主から請求があるときにはやはり議決権行使書面の交付を要するということの当否について,試案に掲げさせていただいたところでございます。これについては,意見照会の結果,賛否両論あったところでございますが,電磁的方法によることができない状況の発生というものが考えられ得るとすると,やはりこのような請求を否定してしまうことには問題があるのではないかということで--反対の意見はそのような理由を掲げているわけですけれども--そのような点を重視すれば,(注1)のような整理をせざるを得ないのではないかということでございます。   (注2)につきましては,実務上のニーズとして非常に深刻なものがあるという指摘を受けておりますけれども,書面投票と電子投票とが重複して行使されたというような場合の取扱い,あるいは特に電子投票の受付についての合理的な制限,期限の設定というような点について合理的な定めを設けるということを認めてよいのではないか,その場合の手当てとして,このような形での開示,お知らせということで足りるのかどうかということについて,御意見をちょうだいしたいと思います。   それから,「(7) 特別決議等の決議要件」でございます。従前来お諮りしているところでありますが,①,②を通じまして,現在の有限会社の特別決議に係る決議要件と,現在の株式会社におけるいわゆる特殊決議に係る決議要件について,基本的な要件の調整を図るということとした上で,現行法のもとでの規律にも引き直せるような,定款での選択肢の許容ということをこのような形で認めたらどうかというものでございます。   ここで,前回御議論があったかと思いますけれども,特別決議につきまして頭数要件というものを維持することとした場合,第1種株式会社において株主数の制限を行わないというような整理ができるかどうか--この案はそのような整理をしてもよいのではないかということでお諮りしておりますけれども--それについての御確認,御議論をちょうだいしたいと思います。   あと,細かな話ですけれも,①,②を仮に調整するとした場合には,総株主の過半数なのか,あるいは総株主の議決権の3分の2なのか,4分の3なのか,デフォルトルールをどうするのかということについて一応の案の提示をさせていただいておりますけれども,この当否について御意見をちょうだいしたいと思います。   それから,②の(注)におきまして,②のイ,ロにおける定款変更,要するに種類をまたいで移動する場合の定款変更に係る決議要件として,定款変更に係る決議要件一般についてどういう見直しをするかはさておき,いわゆる特殊決議を要するということを維持するかどうかということについて,改めて確認させていただきたいところでございます。   次は,「3 取締役等の任期」でございます。かねてより御意見が大きく分かれている論点の一つでございますが,まず,会計監査人が設置される場合の任期の取扱いについては,会計監査人にかかわる論点の一つとして別途検討させていただくということにいたしたいと思います。   その上で,(1)におきましては,第1種株式会社における任期について,規制を設けないということの確認をさせていただきたいということでございます。   (2)におきましては,第2種について,委員会等設置会社を除き,役員の任期については引き続き法定任期というものを維持することとした上で,定款をもってその伸長を図り得ることとしてはどうかという提案をさせていただいております。例えばということで5年という数字を示させていただいておりますが,4年,6年,いろいろと選択肢はあり得るところでございますけれども,そのような伸長を認めるということでいかがかということでございます。これに関しては,取締役のほかに,監査役の任期についても同様に定款での伸長を認め得るということにするかどうかについて,明示的に御議論をいただきたいと思います。   なお,(2)の①の(注)を御覧いただきますと,任期の起算の仕方について,明確な規定を設けることとしてはどうかという提案を掲げてあります。要するに,一般の会社におきましては,例えば任期2年といったときに,どの時点から起算した2年なのかが実はよく分からなかったりするものですから,そのようなことのないように,委員会等設置会社における取締役の任期の規定を参考にしながら基準を規定することとしてはどうかということでございます。   (3)についてですが,第3種につきましては,現行では,取締役の任期は委員会等設置会社を除けば2年ということでありますけれども,例えば,①の(注)にありますように,委員会等設置会社以外の会社であっても,第3種の会社すなわち非譲渡制限会社におきましては,取締役の任期を一律1年にするということも考えられなくはないということでございまして,その点についてお諮りしたいと思います。   また,監査役の任期について,第3種につきましては引き続き4年とすることでよいかどうか,いま一度確認させていただきたいと思います。   特に第2種の会社の役員の任期の取扱いにつきましては,部会におきましても,それから意見照会の結果におきましても,いろいろと意見が分かれたところでございます。意見照会の結果を御覧いただきますと,第2種の役員の任期の伸長について--伸長するという方針を試案の本文では打ち出していたわけですけれども--これについては賛成意見が多かったことは多かったのですが,意見は分かれたところでございます。また,試案では,(注)として,第2種につきましても任期規制を廃止すべきであるという意見も紹介しておりましたけれども,これについてもかなり意見が分かれたところでございます。また,第1種の会社の役員の任期の取扱いにつきましても,規制を設けないという有限会社タイプを採用することについてはそれなりに反対意見も有力であるところでありまして,それらを総合的に考えれば,このような整理をさせていただくのが穏当なのではないかというのが,この事務局案でございます。   続きまして,4の「(2) 解任決議の決議要件」についてですが,すべての株式会社について普通決議にするということを試案では打ち出しておりましたけれども,これに関しては,(注1)と(注2)につきまして,このような実質で整理をさせていただくことでよいかどうかということを確認させていただきたいと思います。   まず,累積投票によって選任された取締役の解任決議については,累積投票制度の趣旨にかんがみて要件の加重をすべきではないかと考えられるところでございまして,これについては賛成意見が多かったところでございます。また,監査役の解任決議の要件につきましても,監査役の地位の安定というような観点から,やはり決議要件の加重という方向での賛成意見が多かったことから,(注1),(注2)とも,このようなことでよいのではないかということをお諮りしたいと思います。   「5 取締役会の書面決議」につきましては,部会では御意見が分かれたところでありますけれども,意見照会の結果は比較的賛成意見が多かったところでございます。ただ,消極意見も少なからずあったところでございまして,実現するとすれば,最低限,(注)のような手当ては必要ではないかと考えられるところでございますが,この点についての御意見をちょうだいしたいと思います。   それから,「7 取締役の責任」でございます。論点は尽きないと言えば尽きないのですが,まず,「(1) 任務懈怠責任」の①の論点につきましては,少なくとも法制的に置くことができない266条2項に相当する規定について,これを設けないという方針を確認させていただくことにしたいと思います。   なお,(注)を御覧いただきますと,266条の3項に相当する規定の維持について,更に意見をお諮りしたいということを掲げてありますけれども,仮にこれを維持するということであれば,恐らく取締役の責任規定というよりは,取締役会議事録に係る規定の一つとして整理するということになろうかと思われます。この点についての御意見をちょうだいしたいと思います。   ②の(注2)についてですが,②自体は,第1種の株式会社の取締役の任務懈怠責任について一部免除制度を設けるというものでございまして,それは,要するに,現行の有限会社が第1種株式会社として整理されるとした場合,そのような会社についてもこのような取扱いをするという意味では有限会社の取扱いを変えることになるわけですけれども,そのようにした場合に社外取締役的な取締役の存在を明示的に認めるような形での手当てをするかどうかという点が,(注2)の問題でございます。その存在を認めるかどうかということと,認めるか認めないかにかかわらずそのような手当てをするかどうかということとは,一応別の問題ではありますけれども,両論あり得るところだと思いますので,御議論いただきたいと思います。   「(2) 違法な剰余金の分配に係る責任」につきましては,②について,責任を負うべき者の範囲として,試案におけるb案を支持する意見が多数であったということから,それに従った整理をさせていただいております。実際に分配をし,あるいは分配議案を作成した取締役に加えて,取締役会決議に賛成した取締役もその範囲に含めるという取扱いをするということでございます。   「③ 責任の免除の在り方」についてですが,部会では比較的消極の御意見が有力であったように記憶しているのですけれども,意見照会の結果を見ますと,やはり現行規制についての理論的な不当性というようなことを御指摘いただく意見の方が多数であったということから,少なくとも財源規制に違反して分配された部分に限っては総株主の同意による免除ということは認めないという整理をさせていただくことでよろしいのではないかというのが,ここで再度掲げさせていただいている趣旨でございます。   「(3) 期末のてん補責任」についてですが,責任を負うべき者の範囲について,(2)の②と同様の整理をさせていただいております。これについても,(2)と同様に,意見照会の結果では,取締役会の決議に賛成した取締役も含めるべきであるという意見が多数であったところでございます。   なお,(注3)を御覧いただきますと,取締役が事後的にてん補責任を負うべき場合について,従前,緩和の方向で現行制度を改めるものとするかどうかについての論点を提示させていただいておりましたけれども,この点については,計算関係の様々な論点とあわせて,別途の機会にもう一度整理して,お諮りさせていただきたいと思います。本日のところは,責任を負うべき者の範囲に絞って議論していただきたいと思います。   「(4) 利益相反取引に係る責任」につきましては,「② 一般の任務懈怠責任との関係」についてどのように整理するかという点が問題でございます。試案では,a案,bのⅰ案,ⅱ案というように複数の案を提示していたところですが,これも意見照会結果では相当意見が分かれたところでございます。ここでは,委員会等設置会社における手当てという先例を重視いたしまして,bⅱ案をとるというような形での整理,すなわち,商法特例法21条の21と同様の趣旨の規定を設けるというような整理をすることでどうかということでお諮りさせていただきたいと思います。   それから,③のロで,一部免除の取扱いにつきましては,任務懈怠責任として整理する限りは,先ほどの立証責任についての特別の規定の要否という問題とは別に,免除の関係では試案におけるa案をとるというのが理論的ではないかということが,意見照会の結果でも指摘されているところでございまして,それに従った記載をさせていただいております。これについては,従来からいろいろと御意見があるところですので,改めて御議論をお願いしたいと思います。   (5)の利益供与に係る責任につきましては,事務局側からの持ち出し方が過失責任化にはやや消極という感じだったのですけれども,部会では過失責任化を図るということでよいのではないかという御意見の方が有力であったと記憶しております。意見照会の結果でも意見が分かれたところでございますけれども,立法担当者はこの責任を無過失責任とする意図はなかったとしておられますので--したがって,過失責任化を図るのではなくて,過失責任であることを明確化するというのが正しいのかもしれませんが--そのような整理を今回行うこととしてよいのかどうか,いま一度御議論をいただければと思います。   最後ですけれども,「9 監査役」の「(2) 補欠監査役」の(注1)でございます。補欠監査役の予選ができることを明確化するということについては,おおむね御意見の一致をみているかと思いますが,論点は(注1)をどう処理するかという点であろうと思われます。すなわち,定款の事前の定めというものを必要条件とするのかどうか,あるいは予選の効力を次期定時総会までにとどめるのか,被補欠監査役の任期満了の時までとするのかという点でございます。この点については,意見照会の分析結果を御覧いただきますとお分かりのとおり,非常に様々な意見があったところでございますけれども,(注1)のような案を支持する意見も相当有力であったところでございます。決めの問題であろうと思いますけれども,いま一度お諮りさせていただきたいと思います。   急いで恐縮ですが,差し当たり,説明は以上でございます。 ● それでは,御審議いただきたいと思います。   まず,第4の1でありますけれども,(1)に星印がついております。株主提案権の行使期限の定款による短縮ですが,これにつきまして,少数株主による総会招集に関しても同様の取扱いとしてはどうかということですが,この点についてはいかがでしょうか。特に御異議はございませんか。--それでは,これもこのように取り扱わせていただきます。   次に,(4)の①につきまして,(注1),(注2)に星印がついております。この点を御議論いただければと思いますが,いかがでしょうか。 ● (注2)についての質問なのですが,後半部分ですね,「議決権行使を受け付けるべき期間について会社があらかじめ合理的な定めを設けることができることを明確化する」ということでございまして,基本的に賛成なのですが,この「合理的な定め」という中に大体どのようなことが入るというようにお考えの上の御提案かということを伺えればと思う次第です。   と申しますのは,一つには,前日の12時まででは困るので前日の5時までにしたいと会社の方で決めてよいかという問題があるかと思うのですね。   もう一つには,最近は電子株主総会などもできる環境ができてきたので,うちは同時に受け付けるということもやるのだという会社があった場合に,それをとめることはないので,それも合理的だということで認めるか,こういうことまで含むのかどうかということがございますね。   更に言えば,インターネットを通じて株主総会の実況中継をやりますと,大体皆さん,その晩に御覧になる株主が多いので,その夜まで受け付けると。そして,議事の決定は,その後,皆さんに何らかの形でお知らせするというような,こういう案を昔から,あの○○先生がそれが一番合理的だという形でおっしゃっていた話でございますけれども,そういうことも会社が自主的に考えて,いいと思えばやってもいいということになるのかどうか,そこら辺を伺わせていただければと思います。 ● ニーズとして寄せられているのは,一番最初の点ですね。少なくとも前日の真夜中の12時までということでは困るというところを何とかすべきではないかということを念頭に置いているものです。   それから,通知期間の保護という観点を欠かすことはできないと思われますので,2週間なら2週間という期間が確保されるべきことは当然の前提というふうには整理しておりますが,ちょっとそれ以上のことは,まだ考えておりませんでした。 ● そうすると,これは今後の解釈の問題ということになるということで今回立法しておこうと,こういうことになると理解してよろしいわけでございますか。 ● そうだと思います。   その点はそういうことでよろしゅうございますか。   この(注2),それから(注1)も含めまして,ほかの委員の方,いかがでしょうか。 ● ちょっと単純な質問で恐縮なのですが,(注2)の「及び議決権行使」という場合,この議決権行使は書面投票も含んでいるのでしょうか。書面決議は,現在,前日到達までということになっていまして,あるいは,ここではウェブサイトの行使を5時までに制限するというニーズだけをお考えなのかなというふうに私は理解していたのですが。ここだけ読むと,議決権行使書についても会社が受付けの期間を定めるということを含んでおられるのかどうか。 ● 案を記載させていただく上では,特に書面のことは念頭に置いておりませんでした。書面を自ら持参した場合はどうかという問題はありますけれども,通常,郵送の場合には,合理的な時間内に配達されるものですから,その点について格別会社側で制約を設ける必要はないだろうということを前提に考えていたところでございます。 ● ウェブサイトの点だけに限っての注記ということで理解してよろしいですね。 ● といいますか,書面の方は余り問題が生じていなかったものですから,考えていないということです。あるいは,解釈上の問題は,いろいろ細かくあれしますと,おっしゃるような問題があるのかもしれませんけれども。 ● 法律論ではないのですけれども,実際問題としては,書面の場合,到達しそうもなければもう投函しないということで,期限直前に到達するものはそれほど多くないというふうに聞いているものですから,そこはニーズとしては余り考えられていないところです。法制的にどう整理するかは更に検討させていただきたいと思いますけれども。 ● 法制的には,郵便局の配達の問題ですから,現行法の規定を変える必要はないのではないかというふうに私は思います。むしろこれは,ウェブサイトについて会社が定めるというふうに限定して理解しておいた方がいいのかなというふうに思ったものですから。 ● 念頭に置いているのは,そのとおりです。 ● もう一つよろしいですか。   星印のついていないところで恐縮なのですが,「(2) 招集地」ですね,これは少数株主招集の総会についても特段制限なしという御趣旨でしょうか。これは,意見照会の中にも,その点を懸念している意見も幾つかあったように思いましたので。 ● これは経団連の方からも意見を出させていただきましたけれども,少数株主による総会招集の場合には,定款に規定がない場合は,本店所在地という規定を入れていただかないと困るのかなと。 ● これは,もう規定で書く……。あるいは,裁判所の許可ですから,その段階でチェックするということで余り非合理なことにはならないということなのかもしれないですね。そういうものは許可しないと。 ● そうでしょうね。なるほど。 ● では,どうしますか,招集通知については。 ● おっしゃるように考えておりまして,特段区別しない方向で考えておりましたけれども。 ● 少数株主の場合はそういうチェックも働きますので,実際上の弊害は余り起こらないと思いますので,よろしいですか。これで御了承いただければと思いますが。   (4)の(注1)については,これでよろしゅうございますか。特に御異論はありませんでしょうか。--それでは,この点も御了承いただいたものとさせていただきます。   次は,(7)でありますけれども,特別決議あるいは特殊決議の要件でありますが,この点についてはいかがでしょうか。 ● ①の特別決議の決議要件につきましては反対でございまして,そもそも,第3種株式会社におきましては,こういう頭数が原則であるというふうなこと,公開会社において原則論がこれであるということはいかがなものかと。やはり,原則論からいきますと議決権だろうと思うものですから,これにつきましては,少なくとも3種については特別な扱いというか,今までどおりというふうにすべきだろうと。原則がこれだということの株主総会運営につきましては,問題意識を持つところであります。 ● これは規定の書き方の問題ですね。別建ての規定,第3種と第1種,第2種は別の規定にしてくれと,わざわざ定款を置かなくても,第3種については,当然ある形の規定にしてくれと,こういう御意見だと思いますが。 ● その関連で,2種もやはり同じような問題があるのかなという感じがするものですから。ちょっと余りこういう検討をしていなかったものですから。ただ,やはり,頭数となってまいりますと,2種--まあ,1種の方もちょっとまたあるかもしれませんけれども,1種は今の有限会社ということを前提にすればあれですけれども,それ以外の入ってき得る会社のことなどもいろいろ考えますと,ここら辺は,影響も含めて少し考えさせていただければという感じがしております。 ● この点は,1種と2種は区別してほしいという御意見かと思います。 ● 1種の方もなのですけれども,有限会社からの流れという意味では,これは頭数はやむを得ないのかなと。要するに,少なくとも規制強化になっているわけではありませんから,文句を言う筋合いではないのかもしれないのですが,先ほど来申し上げておりますように,もしベンチャー的な企業についても第1種を活用することをお許しいただけるとすると,この頭数というのはどうしても入れなければいけないものなのだろうかと。ちょっといろいろな意味で問題になってくる可能性が高い,特にエンジェルなんかの出資を受けるというような場合について,割と細かい出資者に対して拒否権を与えるということになってしまいますので,ちょっと……。これは,要するに1種に対してベンチャー的な企業が利用することを認めるかどうかという,後でもいろいろなそういう関連の規定が出てくるわけですけれども,そういうことにかかわることだと思うのですが,いま一度お考えいただければということ。   それから,②なのですが,組織変更のときの頭数基準ですね,これは特に3から2,1に行くという場合に,頭数基準を入れるというのはかなり問題になるのではないだろうか。特にゴーイング・プライベートのときに細かい株主に対して事実上の拒否権を与えるような形になりかねないということで,これは特にもう少し慎重に考えた方がいいのではないかと思います。 ● 私は,先ほどから申しております第1種の在り方の基本的な考え方から言うと,第1種というのは,所有と経営が分離されていなくて,定款自治が最大限尊重されるという実体を持つものにすべきだと考えます。そうしますと,むしろ,定款自治が認められていることは契約自由で,本来は全員が同意しないといけないのが原則で,さはさりながら,そこまで言うと実際に会社経営が動かないのである程度緩めるということで,現在の有限会社のような定款変更のルールができているわけです。私は,その点では1種と2種,3種とは区別するのが妥当であって,1種については,基本的には現在の有限会社におけるような定款変更ルールをできれば維持して,そのかわり,いろいろな定款自治等を大幅に認めた形態として認めていくのがいいのではないかという気がします。   外国の閉鎖会社立法を見ますと,確かに,こういった人数制限等を含めて国によって違いますので,一般的には言えませんけれども,ドイツなどは,有限会社といっても,かつては巨大企業も入っていたような国であって,そこでそういったかなり緩やかなルールが一方で認められたのであって,フランスなんかはむしろ,人数制限を含めてかなり厳しいのをとっていて,そのかわりフレキシブルな定款自治等が認められると。私はその方が制度としてすっきりするように思いまして,その意味では,私は,この点については,現在の有限会社と同じようなルールを第1種についてだけ認める,それで第2種,第3種は従来と同じということでいいのではないかと思っております。 ● 実は,この①は現在の有限会社より緩いんですよね。たしか4分の3ですよね。それを総株主の議決権の3分の2の方にしております。もちろん,これは定款自治で高めることはできるのですけれども,デフォルトルールとしてはといいますか,反面的強行規定としては3分の2というところにおろしているのですね。ですから,もし○○幹事の言われるようなことになると,これを後の方の,議決権の3分の2なんかではなくて,うんと上げなければ,○○委員が言われたような問題が出てくるということだと思います。 ● 私も,基本的に○○委員の御意見に賛成でして,○○委員や○○幹事がおっしゃいましたことにつきましては,そういう手当てでいいのではないかというふうに思うのですけれども,○○幹事がおっしゃいました1種もという話につきましては,やはりここは慎重に考えた方がいいのではないかというように思います。ベンチャーの都合ということがございますが,恐らくそういうベンチャーは2種を活用されるところも結構出てくるということで,事実上余り支障がない形で,二つオプションがあるわけですから,それで済むのではないかというように思います。   それで,①の問題につきまして,頭数の要件を入れるか,株主数の制限を行うか,少なくともどちらか,あるいは両方しないことには,○○委員が御指摘されたような観点からの首尾一貫性というものがなくなるということになるかと思うのですが,私としましては,この原案にありますように,株主数の制限はないけれども,特別決議の決議要件を有限会社の流れをくむ形でもって高くするということに賛成です。   なお,①の具体的な要件としてどうするのか,特に,3分の2にするのか,4分の3にするのかということがもう一つ問題になるわけですが,この数字は,②の要件の数字と一緒でいいのではないかということからして,両方とも4分の3ということもあり得ますけれども,②の方の,従来の3分の2要件というものを生かす形で3分の2にしても,ここはこのぐらいで決めてもいいのかなという印象を持っている次第です。   なお,○○幹事は,②の要件につきまして,ゴーイング・プライベートのときなどに困るということでございましたけれども,やはり譲渡制限をするのかどうか,あるいは第2種,第1種への変更ということになりますと,慎重な決議でもって決めていただくというのが従来からの方針でもあったし,この点については変えない方がいいのではないかというふうに思いますので,この②の方に賛成です。 ● ②も,これも緩んでいるのですね。現行法は株主の過半数。過半数が半数になっていますね。これは二人会社を考えていまして,過半数だと,二人会社については全員一致だということになりますので,それは実は緩めているのです。 ● そういうことからすると,やはり過半数の方がいいのかもしれませんね。 ● それでは,第1種,第2種,第3種は書き分けるという点は,皆さん大体御意見が一致していると,そういうことでよろしいでしょうか。   それから,株主数も,第1種については要るという方が多数意見であると。 ● 今,○○委員が最後におっしゃったのはどういう意味ですか。 ● 第1種につきましては,この原案は頭数要件と議決権要件と二つあるわけですが,頭数要件についても第1種については置くということです。 ● この(7)①の(注2)の話ではないですね。 ● そうではないです。本文の方です。 ● ちょっと頭の中が十分整理できないのですが,○○委員がおっしゃった,経営と所有が分離していない類型としての第1種という,その整理自体は,前から申し上げているようによく理解できるのですが,この仕組みが導入されると,そうではない方たちが使うというケースが相当出てくると思われるのです。ですから,それを全く使えないように制度設計をするというやり方ももちろんありますし,しかし十分にできない,経済実態が実はそうではなくて,分離していない人も第1種を使うということになると,極めて使いにくい制度になるということも考えていかなければいけないのではないかなと思っているのです。   十分に具体的に説明ができないのは,実は私どもがここら辺の実態についてよくイメージがわかないところがあるものですから,もう少し,例えば(7)の①の(注2)の,株主数の制限を行う,行わないという話とか,それから取締役の任期の問題とか,あるいは監査役のものとか,トータルに見させていただいて,全体として,例えば第1種と言われるもの,第2種と言われるものの性格づけがもう少し輪郭がはっきりしてきたところで私なんかは意見を言いたいなという感じなのでございますが。   非常に思い切ったことを申しますと,有限会社と1種が同じで,同じ規制でなければいけない,それ以上厳しくなってはいけないというところについても,若干,私どもは,そうではなくてもいいような面もあるかもしれないとも思っておりますし--ちょっと婉曲な言い回しになっているのですけれども--有限会社が1種になっているのだと,しかし,有限会社よりも厳しい規制みたいなものに1種と2種が割と近づいてくるというようなやり方もないわけではないかなとも思うものですから……。   ちょっと不明確な言い方をして恐縮でございますが,もうちょっと全体の議論の進行が進んでからと思っているのでございますが。ちょっと決めにくいなという感じがあるのでございますが。 ● 今のに関連して。   私は,どちらかというと,むしろ1種と2種をはっきり違ったものとして分けた方が--どちらを選択するかは中小会社の方の経営方針に従って選ばれればいいのであって,どちらでも使えるというぬえ的なものを1種,2種でつくってしまいますと,それこそ何のために二つあるんですかということになりますので,こういうふうに分けて作るのであれば,むしろ両方はっきり性格の異なるルールとしてつくった方が,制度の意味がはっきりするのではないかと。その意味で,私は,さっきも言いましたように,第1種については株主数の制限があった方が本当はいいというふうに考えております。 ● そのほか,このかぎ括弧内についてでも結構ですが,各論点どこでも結構ですが,この点は非常に論点が多いところですので。先ほど来議論になっている株主数制限の件も(注2)にありますが。 ● ○○委員の御議論を突き詰めていくと,例えば,「第1 総論」のところで,「同一の規定を適用するものとして整理することとする」という基本理念,この文章に合うか合わないかという議論ではなくて,もし1種と2種を全く違うものとして整理していって,どちらを選択するかは御自由にということであれば,現在の有限会社・株式会社と余り変わりないということになってしまうので,ここはやはり融合させていくのだという理念がこの議論の底流にあって,最後煮詰まってきて具体的な縛り方をどうするかというところで,やっぱりきれいに分けるのだということになるのが本当にいいのかどうかですね。そこはまた一に戻っての議論になるのではないかなという気がするのですが,いかがでございましょうか。 ● 私は,融合させるのが望ましいのではないのではないかと。現在の譲渡制限株式会社の中で,無論,現在のルールがぴったり合っている会社も多数あると思うのですけれども,一方で,はっきり言って,「株式会社」ということになりたいというので,ガバナンス等が,一々取締役会を設けなければいけない,取締役は一人ではいけないとか,そういったことを制度上要求されているので,無理にそれに合わせているという会社もかなりあるのではないかと。そういうところは,むしろ実態の身に合ったタイプの譲渡制限株式会社に行けると。現在の譲渡制限株式会社とされている中でも,むしろ自分の体に合った制度としては,ここで言っているような第1種,譲渡制限株式会社のようなものもかなりあるのであって,そういうところは,それに合った体制に移れるようにする,正に身に合ったものが選べるようなショッピングができるような品ぞろえをしておくのが,今回の案の考え方ではないかと思っていまして,その方が会社にとっても,自分に合った会社運営ができることになりますので,望ましいのではないかと。無理に--と言うとあれかもしれませんけれども--融合させてということは,結局,また一つの,現行法のような譲渡制限株式会社を,例えばどんなサイズの小さい会社にも強制するということに戻ってしまうのではないかという懸念もあるのではないかと思っております。 ● 「融合」という言葉が若干適切ではなかったかもしれません。少なくとも一つの名称のもとでオプションがある,しかし基本的には同一の規制がかかると,一つの枠の中で少し種類の違うオプションがあるということでは,恐らく主張していることは全く同じだと思います。ただ,そのときに差異が非常に際立つような形で仕分けをしていくということが,やや,現実のビジネスの世界で,あなたは第1種何々です,あなたは第2種何々ですというところに際立っていくので,実はこれは内部のガバナンスのやり方の差異であるにすぎないと。もちろん,それは株主を含む内部という意味ですが。そこは,ですから,外形標準的には余り大きな意味を外部に対して持たないように。先ほど,○○委員からも御指摘がありました,あるいは○○委員からもございましたが,登記所に行くと明確に分かるのか,分からないのかと。それで,外から見て取締役会があるかないかというのが会社の信用にどれだけかかわるのかというところがまた違ってくるし,それから,今おっしゃっておられたような幾つかの議決権の行使のやり方等についての差異が会社の信用とか会社の内容といったものと直接関係しているのかというと,そこは違うので,そこは仕組み方の違いということだけであって,余り商法上,会社法上ごしごししたクラシフィケーションにならないような形でやった方がビジネスの実態に合うのではないかというのが私の主張でございます。 ● ちょっと角度を変えた言い方をしますと,例えばこの特別決議の話の関係で言いますと,頭数ということになったときに,例えば1種になり得るような有限会社的な今の譲渡制限会社というものを考えたときに,ややそこが,その設定の仕方によっては過度に運用しづらくて,それがために取締役会の設置とかいうところの選択にも影響が出てきてしまうというふうなこともあり得るのかなというのが一つ懸念としてはあったものですから。もちろん,1種,2種,3種で,それぞれの会社の性格に応じてこういったものの要件の決まり方にはいろいろ差がついてくるというのは,理念的には分かるのですけれども,他方で,頭数というのは,有限会社では現に今あるわけですけれども,それにしましてもかなりいろいろなケースが出てき得るところなものですから,ちょっとそこのところの影響を推し量りかねているというのが一つあることは御理解いただければと存じます。 ● それでは,いろいろ御意見が出ましたので,なお検討させていただきます。少なくとも,第1種,第2種,第3種で書き分けるという点は御異論なかったかと思います。   ①の(注2)の点は従来非常に議論があったところですが,これはいかがでしょうか。先ほどの縛りをといいますか,この特別決議要件等がどうなるかということにもかかわってくるわけですけれども。 ● 人数制限をするかどうかという一般論として申しますと,これは有限会社法には今現在あるのですけれども,今回,株式会社を第1種,第2種という二つの形態に譲渡制限会社を分けるというときに,必ずしも人数制限をする必要があるかどうか,これはちょっと疑問があると思うのです。というのは,第1種と第2種を,さっきいろいろと御意見が出ていますように,価値判断として,どちらが優越する,あるいは劣後するという判断,評価を受けるような形にしないと。あくまでも並列的な選択肢ということで考えるということであれば,この前,私もちょっと書面で書いたのですけれども,株主数が非常に多い譲渡制限会社であっても第1種の選択ができる,それは経営の簡便化あるいはコスト削減ということでそちらを選ぶことはできるということも考え得るということが一つバックにあると思うのです。それから,株主数が少なくても取締役会を置いて第2種を選択することもできる。そういうふうな並列的な選択肢として認めるということが妥当だということであれば,必ずしも人的な人数制限を置くということは必要ないのではないかなという気持ちがしているのですが。   ただ,ちょっと論点を外れるのですけれども,この人数制限の問題は,個々の制度において社員の個性を重視した制度というものがあるとすれば,そこのところに人数制限の要件をかぶせるということもあるいはあり得るのではないかなという気持ちがしておりまして,例えば米国では,パススルーの恩恵を受けるという会社は株主数が75人という制限などもあるようです。そういう意味で言いますと,既に議論が終わったところですけれども,先ほどの属人的定めについては,前回,私ちょっと申し上げたように,この制度に関してだけ株主数の制限を置くということも,一つの制度設計としてはあり得るのではないかという気持ちがしているわけですが,そういう意味で,一般論として人数制限を置くということは必ずしも必要ないというふうに思いますが,個別に社員の個性が重視される制度については人数制限という要件を考えてもいいのではないかという考え方をしております。 ● 恐らく,企業形態の選択という観点から考えていきますと,従来型の会社に関する要件というのは,普通は大きい方にインセンティブが働いていて,例えば有限会社が株式会社になりたいとか,二部上場より一部上場に行きたいとか,そういう方向を向いているところで,この要件を満たさないとあなたはこっちには行けませんと,こういう形の仕切りになっているわけですね。それに対して,この人数制限といいますのは,そうではなくて,1種を選択することができるのはこの人数以内の人ですという形になっていますので,本来的な今までの形態強制,ドイツなんかではそう言うのだと思いますが,Typenzwangと言っていたと思いますが,強制の仕方の中では異質な設定の仕方なんだろうと思うのですけれども,その場合に考えなければいけないものというのは,結局,1種の方のメリットというのがあるのだと思うのです。それはやはり,法定の取締役会は置かなくてもいいのだと。デファクトとしてやっていても,それは法定のものではないから,議事録はつくらなくてもいいし,手続的には簡便であるという,ガバナンス的にはある程度簡便なガバナンスというものを,大規模な,人数の多い株式会社において利用させてもいいのかどうかということだけなのではないだろうかというふうに思うのです。もしこの点がさほど弊害のないことであるというのであれば,私は,むしろ,そういう形の形態強制はかけなくてもいいだろうと。この点について,人数が多ければ取締役会というのは必然的に必要なのだという明確なロジックが何かあるのであれば,それはやはり人数強制が必要になってくるのではないかと思うのですが,私自身の個人的な意見は,今,○○委員がおっしゃられたように,さほどそういう点での必要度というものはないのではないだろうかと,であれば,むしろ並列に並べるという形で,人数制限は要らないというロジックでもいいのではないだろうかというふうに思いましたので,意見を述べさせていただきました。 ● ほかに何か,人数制限の点について。 ● 別に多数意見に断固異論を唱えるわけではないのですけれども,考え方だけ申し上げさせていただきますと,定款自治とか契約自由が尊重される会社というのは,単に理念とか形式だけでなくて,実際上もそういったことが働き得るような条件を満たした会社ではないかと思っていまして,この後で出てきます株式の議決権に関する非常な自由化とか,そういうことを認めても実際には弊害が起きないだろうと,むしろ自由にそういうことを決めさせた方がうまくいくような会社というのは,理念はともかく,現実としては,非常にたくさん株主がいるような会社でそういったことを定款自治に委ねた方がうまくいくということが本当に現実問題として期待できるのかなという点に懸念があるものですから,そこで,人数制限がある会社とした方が,単に建前だけではなくて,現実としても,そういった定款自治を大幅に委ねるような制度設計がうまくいくのではないかということで,さっき申しましたフランス型のような人数制限のある1種という定め方の方が現実の運用の妥当性というところでいいのかなと思って,さっきのような意見を申し上げたということでございます。 ● この点はいろいろ立法でも分かれておりますし,非常に哲学的な理念の対立もあるところでありますので,いろいろ御意見をいただきましたが,なお検討するということにさせていただきます。   ほかに,この1につきましてはよろしいでしょうか。   それから,2でありますが,2は特に星印はついておりません。よろしいでしょうか。 ● 1の(8)の部分でございますけれども,このあたりの点につきましては,先ほどの○○委員の御議論などにも多少共感を覚えるわけでして,どこまでの差を本当につけなければならないのかということになりましたときに,むしろ会議体としての合理的な進め方という点で考えていくということもあり得るのではないかというように思ったりもするわけです。例えば,招集通知について書面によることを要しない,あるいは⑤の方の計算書類・監査報告書の添付を要しないということですが,最近はメール等で簡単にやりとりできるようなことも考えますと,このようなことまでわざわざ認めなければならないような必要性がどの程度あるのかという観点からの検討というものもあってもいいのかなという感じがいたします。   それから,⑥の,「各株主は,単独株主権としての株主総会における議題提案権を有する」ということは,第1種のもう一つの特徴ということで維持する,それに関しまして,④の方の,招集通知に会議の目的事項の記載又は記録を必ずしなければならないということになりますと,今度は⑥の方が難しくなりますでしょうから,その点についてワンセットで要件を緩めておくということ自体は分かるのですが,果たして本当に,単独株主権として株主総会でその場で議題を提案するということまでは認めたくない,もしもあるのだったら事前に言っておいてほしいと,しかし単独で認めますよと,こういうことも会議の進め方としてはあるいは合理的なのかもしれないという感じもするのです。したがいまして,今の有限会社法の規定を生かすとこういうことになるかと思うのですが,規定の合理性という点から考えて,もう一度……。この点については○○委員の御意見と割合同調したことになるのではないかと思うのですけれども,メール等も簡単な時代においてどの程度のものが本当に必要なのか,それから,単独株主権の行使方法等についてももう少しきめ細かなやりとりがあるような制度設計であってもいいのではないかという気もいたしましたので,申し上げました。 ● 確かに,もうちょっと工夫の余地はあるのかもしれないですね。議題を提案するならば3日前までに通知をしろとか,そういうことは確かにあり得るのかもしれません。 ● 今の点は,現在の有限会社ではそういうことはできないという理解でよろしいのですか。すなわち,例えば,提案権を行使するのだったら3日前までに書面を出さなければいけないと有限会社の定款に書いてあったときに,その効力いかんがどうなっているかによると思うのですけれども。 ● 定款自治でできたんでしょうね。 ● そこがはっきりしているのであれば,比較的,どっちに置くということも可能だと思うのですけれども,要するに,趣旨として,その場で議題が提案できるということが有限会社の特質であるとすると,本当にそうなのか。ちょっとそこの議論も踏まえてというか,含めてということになると思うのですけれども。 ● なかなか難しいところですね。 ● ちょっと戻ってしまうのですけれども,「(5) 議決権不統一行使・代理人の数」の(注)のところで,「3日前までの議決権不統一行使の通知義務に係る規定は維持するものとし」と,これは前に--今の話ともちょっと関係するのですけれども--本当に3日前でないと困るというのは実務としてあるのですかということを質問して,それについて試案でも一応注記していただいたと思うのですけれども,ここではもう決めで,維持するということになっているのですが,実際,実務で,やはりこのルールはないと困るということが出たのでしょうか。ちょっとそれだけ教えていただければと思います。 ● ちょっと今,原本自体は手元にないのですが,取りまとめ結果の方も御覧になっていただければと思うのですけれども,恐らく総会担当という形でかかわることが多い弁護士の方々ということで,日弁連,一弁,あるいはもちろん実務界を中心に,会社側の便宜というものを考慮して維持してほしいという意見がかなり寄せられたところでございますので,それを踏まえたものということでございます。 ● 何か,○○委員。 ● 実際上本当に必要なのかなと,正直言うとちょっと疑問がありまして。それは,なるべく現状を守りたいというお気持ちは分かるのですけれども,現在のいろいろな事務の進歩等を考えると,本当に必要かなというのが正直な気持ちではありますが,絶対固執するものでは ございません。 ● ほかに,この点について何か御意見ございますか。   ほかの委員の方は特に御意見ありませんか。   それでは,先に進ませていただいてよろしいでしょうか。   3についてはいかがでしょうか。これはかなり,(1),(2),(3)と,それぞれ御意見がおありかと思いますが,いかがでしょうか。従来数字が入っていなかったと思いますが,(2)についても一応の数字が入っていますけれども。 ● (2),(3)につきましては,これで私も賛成でございますけれども,(1)につきましては,先ほどの株主総会の話ともかかわってくるわけですが,有限会社法の今までの規定を持ってきますと,確かにこの(1)のようなことになりますが,本当に一般的に合理的なものをということを考えましたときに,第1種であれば任期が当然に長くていいだろうという原則,例えば5年とかわざわざ定款に定めるまでもなく,長いということはあっていいことだとおもうのですが,やはり選ばれてその任について会社のために働くべき者が,人間必ずいつかは老いますし,いつかは病気になって退く,そのときの判断を必ずしも的確にできる者ばかりではない,これは中小企業でも全く同じなのではないかと思うのですね。そういうときに,やはり一区切りがあって,もう一回選ばれ直さなければいけないという儀式があるというだけでも世代交代の円滑化などにつながるという現実もあろうかと思いますし,私は,少々長目でもやはりあるということで,第1種,第2種の差をちょっと縮める,ここでも縮めるという方向で決断するのも一案ではないかというふうに思います。 ● ほかの委員・幹事の方はいかがでしょうか。 ● むしろ逆の方向で近づけるということではないかというのが私どもの意見なわけでございますけれども。特に2種の方でございますね,これは,今回,取締役の解任決議も普通決議になるというようなことも出てまいりますし,1種の場合はおよそ規制を設ける必要がないということになっているわけですけれども,2種の場合,例えば原則2年として,ただし,それをたがえる場合には必ず定款で定めなければいけないという形でもって担保すれば,実際上,以前議論が出ておりました株主数が多いような会社の場合の問題にも多分対応できるだろうという感じがしておりますので,必ずしも5年とか,そういう形の期限を設けなくてもよろしいのではないかいう感じがしております。   その場合,取締役とのバランスということで,監査役についても同様に考えるべきなのか,恐らくそこに特に差を設ける必要もないでしょうから,監査役の方も,したがって,原則の期間を置きながら,その変更については特段制限を設けないというやり方があり得るのではないかというふうに考えております。 ● 3の(1),(2)の件なのでございますが,任期につきましては,私どもも,是非,規制を設けない形で両方ともお願いできないかなと。   これをやることによって,中小企業の経営者,私どもの傘下でも322万社いて,その中のどれが全部この1種,2種に該当するかというのはありますけれども,恐らく数百万社,彼らのいわばビジネス以外のこと,と言うと失礼なのですが,この取締役会とか取締役の改選等に費やさなければいけない,あるいは登記をしたりとかと,そういうことに対するエネルギーがこれで相当節約されるのではないかなと。いろいろな経営者から,是非このあたりは緩めてほしいという希望が個別にもいろいろ聞くところでございますし,特に,(2)にある,原則2年,5年を超えない範囲内で定款でということであれば,思い切って,規制を設けないで,そこは定款の自治で決められるというのも一つの考え方ではないかと思います。 ● 費やすエネルギーというのは,そんな膨大なエネルギーがつぎ込まれているのですか。 ● まあ,大したエネルギーではないのかもしれませんけれども,会社の経営者は,あしたの金繰りのこととか,どこへどうやって売り込むかと,これが本業でございまして,会社をガバーンするということには,専門家の力もかりて最小のエネルギーで進みたいと思っているのが本音なのでございます。そういう意味では,また改選せんといかんなと改選するということは……。○○委員のような考え方もありますけれども,半分雑談になりますが,年寄りは私の組織にもたくさんおりますけれども,そういう人は,任期が2年だろうが5年だろうが,ますます意欲がわいてやるものなのです。そういうことでリタイアが決まるものでは,実は世の中では,ないのでございます。一つのきっかけになるだろうというのは,それはきっかけになりますが,経済団体の三つばかり大きなところがありますけれども,そこだって任期は一つのきっかけでありますけれども,もっとやりたいという人も昔はたくさんいたぐらいであります。   そういうようなことでないことに全精力をつぎ込みたいときに,2年ごとにかえなければいけない。そうすると,いろいろなことが出てきて言われたり,どうするのだとかといって,その度ごとに,今度は株主の方たちから,少しは新味を出さんのかとか,いろいろなことがありまして,ちょっと非常にインモラルなことも含みつつ,非常に面倒くさいということなんでございますよ,これは。済みません,そういうことでございます。 ● 社長だけを考えれば,確かに,中小企業の場合は,もう死ぬまでやるという方が多いのかもしれないのですが,第2種になりますと,取締役会もありまして,社長以外の取締役がおられるのですよね。そういう方も任期なしとか,任期が10年とか,そういうことに本当にするのかという……。 ● ですから,例えば,そこは定款をもって定めることができると。ですから,御自分の会社に合ったようなやり方で,おれは死ぬまでやるんだということでみんなが納得しているのであれば,そういう定款をお決めになればいいし,出資者の中から,そろそろいかんぞということになれば,総会をお開きになって,また違う決め方をすると。いこじな経営者をやめさせるときというのは,大体そういう革命的なことが何か起こって皆さんおかわりになるというのが普通なのでございます。それが非常にごたごたするケースもあれば,内部での革命という形でもありますけれども,そういうことだと思いますね,それは。ですから,正に定款の自治の中でおやりになればいいことではないかなと思います。顔が目に浮かぶと,そういうことではないかなと,私なんかは非常によく分かるのでございます。 ● 正に○○委員が言われたとおり,そこはかなりいろいろなケースが出てくるものですから,仮に制度が5年とかいう期間がなくなったからといって,どんどん伸びてしまうということだけではないというのが,私どものもう一つの考えの背景にあるものですから。もちろんばらつきは出てまいるわけですけれども,逆に言うと,みんなよく考えなければいけなくなるというところがあるのがポイントかと思っておりますので,逆にそういう方向に進むのではないかとは思っております。 ● ほかに,いかがでしょうか。 ● 第3種の①の(注)というのが,何でこういうのが入っているのか知りませんが,こういうのはもう検討する時間もむだであろうと思います。   それから,(2)と(3)でありますけれども,2種と3種の違いというのは,譲渡制限を付しているかどうかだけだと。それで取締役の任期というのは,譲渡制限と何が関係あるのかというあたり,ちょっと教えていただければと思いますけれども。理屈ということになると,第2種が任期が5年ということになれば,第3種も同じようになるのではないかという気もするのですけれども,何か違うんですかね。公開会社を考えればそうですけれども,商法という形で,譲渡制限だけからすると,これを分ける理屈というのは,なかなか……。 ● それはやはり,公開会社は株主もしょっちゅう入れかわっているわけですから,一定の期間で当然に株主の意見を問い直すという……。譲渡制限していると,そういう株主の流動性は少ないわけですから,それが長くなってもいいだろうと。しかし,譲渡制限会社にもそれこそいろいろありまして,相当の規模のものがあり,公開会社に近いものから,そうでないものもあると。それが第1種,第2種を分けている考え方なんだろうと思います。原案は一応そういうことでつくられてきたのだと思いますが。   第2種については,○○委員,○○幹事からは従来からそういう非常に強い御意見があるということはもちろん承知しております。 ● 今,○○委員から御指摘があったのですけれども,第3種について,利益処分権限を行使する場合に1年というのは,それは御異論ないのですね。 ● それは結構です。 ● それであれば,その点ではそれでいいのではないかと思います。   それで,私は,さっき申し上げましたように,むしろ1種と2種を大きく分ける方が妥当だと考えていまして,この原案ぐらいでよろしいのではないかと思っております。 ● (3)の①の(注)は,これは利益処分権限にかかわらず取締役任期を1年にするということはどうかという案ですけれども,これについて,こうしなければいかんという御意見の方はありますか。特になければ削っていいと思うのですが。 ● 利益処分との関係で出てきたやつですから,これはもうバツ。 ● それでは,削るということでよろしいですか。 ● 今の,そういう意見という意味ではないのですけれども,意識的に,上場企業でも,長期的視野に立った経営ということを考えるに当たって,2年というのを維持している会社は結構少なくないわけですから,この(3)の①の(注)は,別途利益処分を取締役会の権限にするという特例会社を設ける予定ですから,それに限ればよろしかろうというふうに思います。   ちょっとつけ加えますと,この任期全体についての構成ですけれども,意見照会でも随分意見が分かれていますし,前回,私も詳細な意見を書面で出させていただいて,それを踏まえて非常にバランスをとっていただいたという感じがするのですが,ただ,やはり,○○委員がおっしゃったように,(1)の第1種株式会社の任期なのですが,確かにいろいろ御意見はあると思うのですが,実態としては,株主数の多い譲渡制限会社が相当数,この第1種を選ぶということも十分考えられると思いますので,そういう会社においては,株主と役員が一致しているとか,あるいは役員が株主の顔を全部知っているというような状態ではないという会社が相当第1種の中にあらわれてくるということも考えられると思いますので,この間,書面にも書きましたように,法定任期は,やはり,この(1)についても置いた方が妥当では ないかなという気持ちがいたします。 ● 今の御意見でございますが,仮に多人数の株主出資者がいたとして,任期のない取締役なり代表取締役が気に食わんということであれば,適宜適切な対応をとるという道は,恐らく人数も--人数制限をするかしないかの問題はありますけれども--さほどないので,横で連絡をとればいろいろなことができる,非常にフレキシブルな対応ができるのではないかと。そういうことも含めて,首にするのであればもうそれでできる,先ほど革命と申しましたけれども,非常に動きやすいのではないかと。まあ,大会社の場合は出資者の数が非常に多い,株主の数が多いので,なかなかそこはそう簡単に軽くは動けないけれども。という趣旨を踏まえていけば,(1)なんかは全然問題ないのではないかなと思うのでございますが,いかがでございましょうか。 ● これも従来からいろいろ議論があるところですが,どうも,今伺っておりますと,この3の(3)は,①の(注)さえ取れば特に皆さん御異論はないようなのですけれども,(1),(2)については,そろえる方向ということでも二つの意見があり,どっちにそろえるかで,やはり……。それから,あくまで第1種,第2種はここでも明確に区別すべきだという意見もあり,非常に多岐に分かれているということを改めて認識せざるを得ない状況であります。 ● ここに書いてある取締役の任期は2年というのは,現行法と同じように2年以内という意味ですね。 ● もちろんそうです。 ● 監査役の場合には,(2)でも(3)でも4年となっていますけれども,これは固定期間,現行法と同じということでよろしいですね。 ● 現行法どおりだと思います。   それでは,次に「4 取締役の選解任」でありますが,これにつきましては,解任の決議要件につきまして,(注1),(注2)に星印がついております。いかがでしょうか。 ● 解任の決議要件ですけれども,これは普通決議にするということの方が意見が多かったということでございましたっけ。 ● はい,取りまとめの結果にもありましたように,賛成意見が多数を占めたということでございます。 ● それであればやむを得ないとも思うのでありますけれども,任期を自由に定めることができる中であって,それが株主の意思なんだろうから,特別決議のままでもいいではないかと,こう思っていたのですけれども……。 ● よろしゅうございますか。 ● はい。 ● それでは,(注1),(注2)については特に御異論はないという理解でよろしいでしょうか。--それでは,特に(注1),(注2)については御異論ないということで処理させていただきます。   次に,「5 取締役会の書面決議」でありますが,本文については賛成が多かったようですが,そうだとすると,やはり(注)のような措置を設けざるを得ないという説明が事務局からあったところですが,この点についてはいかがでしょうか。 ● やはり(注)のような手当ては必要であるけれども,何らかの形で取締役会も必要な場合には動けるような方向にするということは,この間の議論からいきましても,パブリック・コメントの皆様方の御意見からいっても,そういうことになるのかなというように思うのですが,しかし,この意見照会の方を見てみますと,日弁連の方から出ている意見としまして,「定足数を満たす取締役が出席した取締役会を開催することができない特別な事情があるとき」という要件を課したらどうかという御提案がございますね。この原案の方は,定款でもってそういうことを各社が決めればできるということなのですが,定款でもって決めるかどうかというような要件のかけ方と,日弁連がおっしゃるような要件を法律自身に規定するということと,両者を比べますと,私は,日弁連の御提案のような方が,実際にどうしても必要になったときにはすぐに動きがつくけれども,しかし,そう不必要なときにまでこれでもって変えようという動きは出てこないという意味で,柔軟な対応ができるのではないかということを,この皆様方の御回答を見て,思った次第なのですが。 ● いかがでしょうか。 ● そういう要件がつきますと,それが取締役会決議が無効だ,不存在だなんていうことになったときに非常に難しいと思うものですから,ここはやはり実務にお任せいただいて,しょっちゅう書面でやるというようなことは当然ないわけですから,定款に定めがあって,こういう全員がオーケーを言っているときに例外的にやるという実務の運用に当然なると思うものですから,それでなおかつ(注)のように,こういうことですから,3か月に1回は必ず開かれているということですから,それでよしとしていただきたいなと思います。 ● 何かほかに御意見ございますでしょうか。 ● 確認ですが,これは第2種についても当然適用されると,こういう理解をしているわけですね。 ● そうですね。取締役会がある会社というのは,こういうことになります。 ● そうすると,この定期的な業務執行状況の報告に関する取締役会の開催というのも必要になってくると。   それは,例えば,2種について違う扱いをするという考え方はあり得ないですかね。よく顔は合わせて,打合せは取締役全員がしているのだが,あえて取締役会とは言っていないと。しかし,ある繁忙期になるとワーッとみんなが営業に飛び出していて集まれないので,書面で,あるいは電子的なものでやると。それで打合せはよくやっているのだけれども,一々取締役会というので,小さい会社がその記録をとったり判をつくということにはならない。   特に,私は,(注)のところが,前回の議論,前々回でしたか,ちょっと引っかかっていて,小会社でもここまでやらなければいかんのかなと,そんなもの見てれば分かるではないかと。取締役というのは全体を見ているから取締役なので,一々代取から報告を受けないと会社の状況が分かってないなんていうのは,サボっている取締役以外の何物でもないなというような印象を持ったのでございますけれどね。 ● これは昭和25年改正のときに,所有と経営の分離ということで取締役に権限をあれした以上は取締役会を開催してがっちりやってもらわなければ困ると,そういう考えで法定の取締役会というのをつくって以来,やはり少なくとも3か月に1回ぐらいは取締役会というものを,ミーティングを開催してもらわないと困るという考えで来ているから,こういう(注)のようなことになっているのだと思いますが。 ● ですから,大きな会社はそうかもしれませんけれども,中小会社というのは,もう日々取締役会というところもあるし,半年ないというところもあるし,いろいろ実態上はあるものですから,そこら辺ですね。   上の方の書面でやることについてはもう大賛成なものですから,それはよろしいと思うのでございますが,そのかわりに(注)がついているのが,非常に厳しいなという感じなんでございますけれどね。知ってる事項はそっちで済んでいるので,もういいではないかぐらいの感じなのですけれども,ちょっと先生のおっしゃったことを頭から無視するようなことを言って申し訳ないのですが,実態はそういう感じだと思うのです。 ● 最近,中小企業の方々とお話ししていましても,取締役会というのは最低年に4回はやらなければならないものだということは相当浸透してきているような感じがいたします。ですから,それでいこうということでございます。 ● 先生の前でそうではないことを言ったら,これはこんこんと諭されますよね。先生の御関係の中小企業と,私の毎日会っている中小企業と,ちょっと違うのかもしれません。 ● 先ほどの人数制限のときに申し上げたことなのですけれども,所有と経営の分離というのは,デファクトとしてだんだん起こってくるものでありまして,出資者が多くなっていて,株主総会を中心として経営しなければいけないというシステムがもう使えなくなってくるから,どうしても分離して経営に集中させていかなければいけないという現象が起こってくるわけですね。そうだからこそ,1と2との関係というのは正にそうなっていて,人数が多くても,1のようなやり方をやりたいのだったら,やってもいいですよというふうにしておいても,なかなか1のようなやり方はできなくなってくるから,取締役会をつくらざるを得なくなってくる,そこで法定された取締役会という制度を利用していくことになると,こういう動きなのだと思うのですけれども,そうやって取締役会という制度を利用することになった以上は,その取締役会というのが全く無機能な状態であっては困るわけでありまして,結局,取締役会という制度を利用するというところの方を選んだ以上は,定期的な報告というものが行われなければいけないという,そういう仕掛けなんだと思うのですね。   ですから,やはり,選びどころは,結局,そういった非常に規制がかかって面倒くさい取締役会というものを使って所有と経営の分離をしていくということを選択するのか,それとも,同じ不都合さがあっても,株主総会中心で,正に先ほどおっしゃられたような形であれば,みんなが株主なんだから御飯食べながら話し合っても株主総会だみたいな,そういう会社の場合については,やはり1の形態の方を利用していっていただくと。2の方になるのであれば,それは2として,取締役会としての正規の運用の仕方をやっていただくという選択に なるのではないかなと思うのですけれども。 ● そのとおりだと思います。しかし,論理はそのとおりなのですが,じゃあ実態がそのとおりかというと,全然違うと。効率性とかコストを考えて,あえてこちらを選択するというやり方ももちろんあって,それがレアケースでは必ずしもないのではないかと。   それから,本論に戻りますと,取締役会の決議というのは非常に重い話で,それが書面でできる,一方で状況の説明というのは開かないといけないというところに若干のわだかまりがあるなということを申し上げているのでございますよ。そっちの方こそ,毎日顔を合わせている。それは全員が集まるのではなくて,一対一,3人集まった,全部で10人取締役がいるけれども,そこで交互に行われていって……。しかし,全員集まって決議しなければいかんのは書面でできるが,状況報告は集まらなければいけないというのは,少なくとも2種の場合にはちょっとバランスがとれていないという印象があるということを申し上げているのです。 ● これは,いろいろな意見照会等の結果を踏まえましても,やはり(注)がつかない限りは,本文の方はちょっと採用し難いということになるのではないかと思います。   よろしいでしょうか。   そろそろ5時半なのですが,取締役の責任のところに入りますと,これは多分7時ぐらいまでになってしまいそうなので,次回回しでいいですか。取締役の責任以降,つまり7から後ですね。   6は星印がついておりませんが,6については何か御意見ございますか。   もしあれでしたら,今日は6まで終わったということにして,もちろん,意見が一致しなかった,今後なお検討するということになったところは多々あることは認識しておりますが,一応審議は6まで終わったということで,次回は,機関の7から後,それと,次回また資料が--たたき台(2)でしょうか--出てきますので,それを御審議いただくということで,本日はここまでということでよろしいでしょうか。   それでは,そういうことで,本日の審議はここまでとさせていただきたいと存じます。   なお,事務局から連絡事項がございます。 ● 長時間の御議論,どうもありがとうございました。   次回は,4月14日,水曜日,午後1時から,場所は,一応の予定でございますけれども,ここ大会議室で行わせていただく予定でございます。   それから,前回も申し上げましたとおり,5月19日にその次の部会を予定しております。また,6月は,2日,9日,16日と3週続けて行わせていただく予定でおります。   あと,当面,7月21日を予定しております。   いずれもまだ流動的ではありますけれども,一応その日取りを押さえておいていただきたいと思います。 ● それでは,第20回会社法(現代関係)部会を閉会させていただきます。本日は長時間にわたり誠に熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。