法制審議会会社法(現代化関係)部会 第24回会議 議事録 第1 日 時  平成16年6月9日(水)  自 午後1時00分                       至 午後6時15分 第2 場 所 法務省第1会議室 第3 議 題 株式会社及び有限会社の一体化に関する諸問題について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● 予定した時刻が参りましたので,第24回会社法(現代化関係)部会を開会することにいたしたいと存じます。   本日は御多忙中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日の審議に入る前に,電子公告・株券不発行に関しまして事務局より報告がございます。 ● 会社法の改正に関しまして,今国会に政府から提出しておりました「電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律案」,これが法務委員会にかかっていたわけでございますが,6月3日に可決・成立されまして,本日の官報で公布されました。法律番号が87番ということになります。   それからもう一つ,株券不発行の関係の「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案」でございますが,これは金融庁主管で,金融庁・法務省共同で出させていただいたものでございますが,財金委員会の方で御審議をいただきまして,6月2日に可決・成立して法律になりまして,これも本日の官報で公布されております。ただ,1日前に通ったのですけれども,番号はこちらが88番になっておりまして,ちょうど会社法関係が87,88と続き番号で今年の法律になったということでございます。   施行につきましては,「電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律案」は,公布の日から1年以内ということになっておりますが,来年6月の定時株主総会の集中期に各公開会社が定款変更できるように,来年2月ころには施行したいと思っておりまして,そのための政省令の準備を今しているところでございます。   株券不発行の方は,御承知のとおり,商法部分は1年以内,社債等振替法の部分は5年以内ということになってございまして,これも,商法等の方はできるだけ早く,できれば今年中に施行したいと思っております。社債等振替法の方は非常に巨大なシステムの構築改変が必要になるということでございまして,まだ社債の方ができていないわけでございますので,金融庁の話ですと,5年ぎりぎりまでかかかるかもしれないというふうに承っております。   ということで,この部会の事項ではございませんけれども,会社法にかかわることで,しかも,○○委員を始めとして,当部会の委員・幹事に現在なっておられる先生方に非常にお世話になったものでございますので,御報告させていただきました。どうもありがとうございました。 ● それでは,本日の審議に入りますが,配布資料につきまして事務局から説明をお願いします。 ● 本日は,まず前回の部会資料22について御審議をいただくわけでございますけれども,それに続くものとして,部会資料23「会社法制の現代化に関する要綱案(案)たたき台(5)」と部会資料24「代表訴訟に関する見直しについて」と題するもの,以上を事前にお配りしております。   また,部会資料22の審議に資するものとして,参考資料14を席上配布させていただいております。   それから,部会資料22に関連して,本日は所用により御欠席の○○委員から事前に意見書をお出しいただいておりますので,お配りしております。   それから,○○委員からも意見書を出していただいておりますので,当該箇所におきまして御説明をちょうだいできれば幸いでございます。   事前配布資料・席上配布資料につきましては,以上でございます。 ● 配布資料につきまして何か御質問ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,席上配布の資料につきましては,後ほど,その審議のところで関係の委員の方から御発言いただくことにいたしまして,本日の審議に入りたいと存じます。   今,事務局から話がありましたように,前回の積み残し,部会資料22につきまして御審議をお願いするわけですが,初めに事務局から再度説明をお願いします。 ● 簡潔に説明をさせていただきたいと思います。部会資料22「株式会社及び有限会社の一体化に関する諸問題について」のうち,まず,「二 株式会社の機関設計」の部分につきましては,大きく三つの議論に分けることができようかと思います。   一つ目は,二の4の「会計参与」と仮称する制度を導入することの当否という問題でございます。   二つ目は,1から3までと5の(1),(2),6のあたりの項目です。このあたりは,株式会社における機関設計の在り方を一般的にどうするのか,どういうバリエーションを認めるのかということを一から説き起こす形で記載させていただいておりまして,現行法ではある意味では当たり前の内容についても書かせていただいているところでございますが,現行法からの実質的な変更点について重点的に御議論をいただければと思います。   なお,機関設計の在り方そのものとは少しずれますけれども,業務監督権限を有する監査機関が置かれない会社における株主の違法行為差止請求権の行使要件の緩和という1の(6)の問題,それから監査役の権限--一律の業務監査権限化--という3の(2)の問題につきましては,別途の論点として特別に御議論いただきたいと思います。   三つ目は,会計監査人に関する5の(3)以降の項目ですが,これらにつきましては,試案においても提示させていただいておりました,会計監査人固有の論点であり,株式会社の機関設計の在り方そのものとは直接に関連づけることなく議論することができる論点でございまして,これらについてはまたそれとは別に御議論いただきたいと思います。   まず,二の4の会計参与制度についてですが,前回御説明申し上げましたように,法律的にこの利用対象会社の範囲を画するという提案はさせていただいておりませんけれども,主として中小規模の会社における利用可能性ということをねらいつつ,任意の機関として,このような会計の専門家が計算書類の作成等に直接かかわる制度を導入することが,今般,例えば最低資本金の見直しをするというようなことも考え合わせますと,中小規模の会社を中心とした会社の計算書類の適正さの確保という観点から望ましいのではないかというものでございます。利用可能性のある会社の範囲をどのように考えるかということにもかかわりますけれども,担い手の問題等を含めますと,外部の監査的な位置づけではなく,内部機関的な位置づけにするということがいろいろな面で現実的ではないかと考えられることから,このような制度設計を考えたらどうかということを提案させていただくものでございます。関係各方面の御意見は事前にいろいろな形でお伺いしているところでございますし,また,政治的にも非常に関心を呼び,その実現が求められている部分でもあるところでございまして,御審議のほどをよろしくお願いしたいと思います。   細かな制度の在り方については,また別途,御意見,御質問等をいただければ幸いでございますが,制度の趣旨としてはそういうことでございます。   次に,機関設計の在り方そのものについて,1から3までと5の(1),(2),それから6について一括して御説明いたします。用意させていただきました参考資料14を御覧いただいた方が分かりやすいのではないかと思います。   参考資料14は,部会資料22の二の1から3まで,5の(1),(2),6を前提とした場合において,それぞれの分類の会社についてどのような機関設計が法律上存在し得ることとなるかということを明らかにするものでございます。   色分けをしております趣旨を御説明いたしますと,まず,水色の部分は,現行法制のもとで既に認められている機関設計であります。   なお,株式譲渡制限中小会社における①,②は,株式譲渡制限会社に有限会社型の機関設計を認めるという試案の基本的な方針を前提にするものでありまして,有限会社について見れば,現行法制のもとでこの水色の部分が認められているということができるわけでございます。   黄緑の部分ですが,譲渡制限中小会社の⑪,⑫,公開中小会社の⑤,⑥,これらは現行法制のもとで中会社において認められている機関設計でございます。今般,会計監査人の任意設置の範囲を中会社に限るものとしている法律上の制約を撤廃するということを提案させていただいておりますので,それを実現するということにいたしますと,小会社も含めて,この株式譲渡制限中小会社における⑪,⑫と公開中小会社の⑤,⑥,これらが認められるということになります。少なくとも,現在,中会社については,譲渡制限がある場合もない場合も,この機関設計が認められているという趣旨でございます。   薄い黄色の部分でございますけれども,これは,会計監査人を設置するにはどのような機関設計がその前提となるかという,会計監査人が置かれる場合の機関設計の在り方の問題について,「取締役会+監査役会」,あるいは,委員会等設置会社という機関設計以外の選択肢として,譲渡制限会社及び任意に設置する会社について,より緩やかな機関設計を認めていいのではないかという提案を試案においてはさせていただいたわけですけれども,仮に「取締役会+監査役」あるいは「取締役+監査役」という機関設計の会社でも会計監査人を置き得るという整理をしたといたしますと,認められるものでございます。株式譲渡制限中小会社の④,⑩,株式譲渡制限大会社の①,③,それから公開中小会社の④について,そのような整理が実現するとすればこうなるということでございます。   それから,色がついていない部分ですが,今回の部会資料22の作成に当たって,この種の類型の機関設計を認めてもよいのではないかと考えられたものでございます。これらについてもいろいろと御議論をちょうだいしたいと思います。   仮に,この種の類型も全部認めるということになりますと,株式会社の機関設計における原則というものは,(参考)として掲げたように整理されるということになります。   まず,1ですが,株式譲渡制限会社につきましては,規模にかかわらず,取締役を置くか法定の取締役会を置くかの選択が可能であり,公開会社については,現行の株式会社と同様,取締役会を設置しなければならないということでございます。   次に,取締役会を設置した場合,これは強制であろうと任意であろうと--任意というのは,法定の取締役会を任意に設置した場合ということですけれども--その場合には,基本的には業務監査権限を有する監査機関が必要であるということでございます。これを前提としつつ,譲渡制限中小会社については,会計参与というような制度を設けた場合に,一定の代替措置を講ずることを条件として,その監査機関の設置を要しないものとするというような扱いを認めたらどうかということをあわせて提案させていただいております。   会計監査人を設置する場合--強制設置か任意設置かを問わずですけれども--,公開大会社以外の会社においては監査役(監査役会)設置会社又は委員会等設置会社のいずれかの形態をとり,公開大会社においては現行法と同じく監査役会設置会社又は委員会等設置会社のいずれかを選択するということになるということでございます。大会社について会計監査人の設置が義務づけられるという点は現行法と同じ--有限会社的な機関設計をとる場合であっても会計監査人を設置しなければいけないというルールが設けられるとしますと,その点では現行法とは違いますけれども,規模基準等については現行法と同じ--という考え方をとりたいと思っております。   それから,当然のことかもしれませんが,委員会等設置会社における各種委員会,特に監査委員会と監査役(監査役会)とは両立しないものであるということでございます。   さらに,委員会等設置会社となる--三委員会を設置する--ためには,法定の取締役会が設置されているということがその前提になるということでございます。   そして,これらの原則のもとで各機関を任意に設置することができるという整理になるわけでございます。   こうした場合の,現行制度との相違点でございますが,この相違点を全部なくしてしまえば現行制度とほぼ同じということになるわけです。   まず,(1)は,先ほども申しましたように,会計監査人の任意設置の範囲を小会社にまで拡大するということでございます。これについては,一部に有力な異論があったところでございますけれども,その異論の趣旨は,どちらかというと,中小規模の会社における会計の適正さの確保という制度としては,会計監査人の任意設置の範囲の拡大ということよりも,より実効性の高い制度の創設が望ましいのではないかという指摘であると理解することができますので,先ほどの会計参与というような制度の御提案をさせていただくということもあわせれば,むしろ一定の規模以下の会社には法定の会計監査人を置くことはできないという規制を設けておくこと自体の方が法律的には説明が難しいところでありますので,会計監査人の任意設置の範囲の拡大についてこのような整理をさせていただくということでございます。   そのような整理をさせていただくこととも関連いたしますが,(2)は,試案で提案させていただいておりました,会計監査人が設置される会社の機関設計として,今の大会社--みなし大会社も含めた--における機関設計以外の簡素な機関設計でも,一定の会社においては足りることとするという提案のうち,a案とb案とを導入したらどうかということでございます。   ここでの「監査役」については業務監査権限を有していることを前提としております。会計監査人の執行機関からのある種の独立性を確保する等の観点から,業務監査権限を有する機関が存在することが不可欠であるという整理をさせていただいてよろしいのではないかという考え方によるものでございます。   (3)と(4)は,試案において明示的に掲げられていた論点ではなく,部会資料22の取りまとめに当たって初めて登場したものでございます。   まず,(3)は,現在,取締役会があり,なおかつ会計監査人があるということを前提にしてのみ存在する監査役会について,これを取締役会がなくても,あるいは会計監査人が設置されていなくても,いわば監査役と選択的に設置することができる機関とするということを認めるかどうか--取締役会と会計監査人がなければ監査役会を設置させないということにしておくべきかどうかと言った方がよろしいかと思いますけれども--そのような点についての検討をお願いしたいということでございます。   仮に,これについて,取締役会及び会計監査人の設置が必須であるということであれば,現行と同じように,監査役会という機関は,「取締役会+監査役会+会計監査人」という組み合わせでしか存在し得ないということになりますが,既に譲渡制限会社も含めて少なくとも中会社についてはそれが認められているところであり,今回,さらに小会社についても会計監査人の設置が認められ得ることになるといたしますと,小会社においても,「取締役会+監査役会+会計監査人」という機関設計が許容されるということでございます。その上で,取締役会がなくても,あるいは会計監査人がいなくても,監査役会というものを認め得るということにするかどうかという点が,ここでの問題でございます。   また,取締役会の設置が義務づけられる公開会社につきましても,会計監査人の設置を要しないという会社において,業務監査体制を充実させるために常勤監査役・社外監査役というものが必須である監査役会を置きたいという場合であってもそれを置くことができないという規制を設けておくかどうかという点が,(注2)の問題でございます。   要するに,監査役と監査役会とを選択的に採用し得るものとしてよいかどうかという点が(3)の問題であると言ってよろしいかと思います。   (4)は,現行の委員会等設置会社について,会計監査人を設置しなくても採用し得るような機関設計とすることとしてよいかどうかという論点でございます。仮にこれを認めますと,会計監査人を設置することを要しない中小会社につきましても,株式譲渡制限の有無にかかわらず,取締役会の中に三委員会を置き,執行役を置くという機関設計,すなわち取締役会がありながら監査役を置かないという機関設計が可能になるということでございます。   問題は,委員会等設置会社というシステムには会計監査人というものが必須であって,それが欠けた場合には,コーポレートガバナンスシステムとして,例えば譲渡制限中小会社について認められるべきその余の機関設計と比べて非常に見劣りがするものとなるかどうかというようにも言えようかと思われまして,この点について,どのように考えるのがよいか,法制的な整理という観点から説明し得る内容の御議論をいただきたいと思います。   あとは,やや特殊な論点ですけれども,(5)でございまして,先ほども触れましたけれども,会計参与というものを置くことによりまして,株式譲渡制限中小会社に限っては,取締役会を置いても,業務監査権限を持つ監査機関を置かないという選択肢を--その場合には株主について特段の保護を図るということを前提としつつ--認めてよいかどうかということでございます。   試案には出てきていなかった論点は,ただいま申しましたような(3),(4),(5)のあたりでございまして,これらを全部認めないということであれば,参考資料14の色がついていない欄の機関設計がすべて消えるということになるわけでございます。   機関設計にかかわるその他の論点は,1の(6)の点です。先ほど申しましたように,業務監査機関が置かれていない会社においては,株主の違法行為差止請求権の行使要件について,業務監査機関が有している請求権に係る行使要件の程度までその緩和が図られるべきではないか,法制的にはそれが筋ではないかという整理をさせていただきたいというものでございます。   それから,監査役の権限につきましては,従前いろいろと御議論のあったところでございますが,例えば株式譲渡制限中小会社の機関設計についてある程度のバリエーションを設け,法定の取締役会を必ずしも設置しなくてもよい場合を認め,複数の取締役を置き,任意の取締役会的な運用を定款で設定した範囲内で自由に行うということも当然許容されるということとし,他方,法定の取締役会を置いた場合であっても,会計参与というような制度を導入することによって,業務監査権限を持つ監査役の設置を省略するという道を認め得るとすれば--更には委員会等設置会社について会計監査人の設置が必然ではないという整理が仮にできるとすれば,取締役会がありながら監査役が置かれないという機関設計のバリエーションが増えるところでございまして--監査役については,分かりやすさという面からも,会計監査権限を含めた業務監査権限を有する機関として整理をさせていただくことはどうかということでございます。   なお,これが3の(2)のところでございますが,仮にそうではなく,例えば現行の小会社に相当する会社のような一定規模の会社についてはなお会計監査権限のみを有する監査役の設置というものが認められるべきではないかという御意見も引き続き有力ではないかと思われるところでございますので,その当否について御議論をいただきたいと思いますが,仮にそのような選択を認め得るといたしますと,取締役会と株主総会との間の権限分配について,会計監査権限のみを持つ監査役だけしか置かれていないという場合を,業務監査権限を持つ監査役が置かれている場合と同じように扱ってよいかどうかという点,あるいは名称の区別というようなことが必要ではないかという御指摘も多分あろうかと思いますけれども,それらの点も含めて御議論いただきたいと思います。   それから,「5 会計監査人」についてですけれども,(1),(2)は,先ほどの機関設計の在り方の一環として御議論いただければと思います。   内容については既に今までのところで御紹介させていただいたところでございますが,一点,明示的に御議論いただきたいのは,(1)の①の(注4)です。連結計算書類作成会社の完全子会社について,大規模なものであっても会計監査人の設置強制の対象から外すものとするという提案については,いろいろな御批判のあるところでございまして,企業結合法制全般の見直しの中で整理されるべき問題ではないかという御指摘も強く受けているところですので,今回は見送らせていただいたらどうかということを確認させていただきたいと思います。   (3)以下は必ずしも機関設計そのものの議論ではございませんが,この中でまだ議論が煮詰まっていないところは(4)です。(5)も含めて御議論をいただきたいと思います。   (4)では,会計監査人の対会社責任について,代表訴訟の対象とすることを前提とし,その一部免除制度の在り方として(注1)のような提案をさせていただいております。ただし,(注2)のような提案もあるところでございまして,これらを含めて,どのような整理をすべきかということを御議論いただきたいと思います。   (5)につきましては前回も御説明いたしましたけれども,決定権限を与えるべきであるという御意見もありますが,差し当たり,監査役会・監査委員会ともに,業務執行の中心的な機関ということではありませんので,とりあえず同意権限ということで平仄を合わせることとさせていただくということでよろしいのではないかと考えておりますけれども,この点の当否について改めて御議論いただきたいと思います。   なお,「6 重要財産委員会制度」についてですが,どのような機関設計のバリエーションがあるにせよ,現行の要件に該当する会社については定款で重要財産委員会を設置することができるという道を設けたらどうかということでございます。もちろん委員会等設置会社を除きますけれども,それ以外の会社についてはそのようなバリエーションを設けたらどうかということでございます。   「三 株式会社・有限会社の一体化に関連するその他の問題」についてですが,これも前回の説明の繰り返しになりますが,取締役等の任期,少数株主権の行使要件,特別決議の要件につきまして,それぞれ株式会社と有限会社の一体化という観点から,このような整理をさせていただくのが--これまでの議論を踏まえさせていただくと--より適切なのではないかと考えられるところを掲げさせていただいております。従前の御審議の中では,例えば取締役会が置かれているか否かを重視し,それ以外の--取締役会の有無という機関設計の違いから当然に生ずる論点以外の--点につきましても,それをメルクマールに取扱いを分けることとしてはどうかという議論をしていただいていたところでありますけれども,条文化の作業の準備を進めるに当たって整理をさせていただくと,結局このような整理をさせていただくのが一番適切なのではないかと思われるところが,ここに書かれているところでございます。   少数株主権につきましては格別御異論がないところだと思いますけれども,任期については,見ようによっては現行規制が大幅に緩くなり,見ようによっては現行規制が大幅に厳しくなるという面があるところでございまして,立場によっていろいろと評価が分かれるところであると思いますので,端的に御議論をちょうだいしたいということでございます。また,特別決議の要件については,いわゆる特殊決議的な,頭数要件も含めた要件を求めるべき場合を限定することは可能ではないかということから,3の(2)の場合に限って特殊決議を要することとし,その余の場合は現行の株主総会の特別決議の決議要件とすることでも足りるのではないかという整理をさせていただいております。決議要件を加重すべき場合として①,②以外の場合があるかどうかという点も含めて,御意見をいただきたいと思います。   4,5につきましては,前回御説明したとおりでございます。最低資本金の取扱いにつき,設立時の払込価額規制以外の点については,前々回までの御議論でほぼ御異論がないところであったのではないかと思いますけれども,この設立時の払込価額規制については,一応事務局としては,いろいろな諸条件を勘案いたしますと,このような案を提示させていただかざるを得ないのではないかと考えております。ここは,余り御説明することもありませんので,あとは端的に御議論いただきたいと思います。   「5 決算公告」につきましては,特に配当規制の関係で,必ずしも資本にかかわらない一定の規制を残すということになりますと,形式的な資本の額よりも,当該会社の実質的な計算の内容をきちんとし,それを開示するということの方が,新しい法制のもとではより法律上の重要性を増すというようにも説明することができるところでございまして,また,会計監査人の任意設置の範囲の拡大や新たな機関の創設などを検討するということになりますと,開示の重要性が後退しているというような説明をしなければならない整理をするということは甚だ難しいことから,差し当たり,株式会社における決算公告の在り方というものについては現行法とは変えないという整理をさせていただくことでどうかということでございます。恐らく,最低資本金の見直しとセットで御議論いただかざるを得ない,セットで考えられるべき論点になると思いますので,一括して御意見をちょうだいしたいと思います。   資料22の説明につきましては,以上でございます。 ● それでは,今説明をしていただきました部会資料22の全体につきまして,何か御質問ございますでしょうか。 ● 資料22と参考資料14について,ちょっと確認の趣旨なのですけれども,今,○○幹事からの御説明でも,「委員会等設置会社」という言葉が出てきましたし,この資料の中でも,「委員会等設置会社」という言葉が何箇所か,それぞれ出てくるのですけれども,部会資料22には執行役についての言及は全くなくて,参考資料14の2枚目の(参考)の「現行制度との相違点」の(4)の(注)の括弧書きの中に「三委員会(執行役)」という形で執行役が出てくるのですけれども,これは,執行役という仕組みがない委員会等設置会社もあるということを考えているわけではないですよね。 ● ええ,そうではございません。現行の委員会等設置会社から会計監査人を除くという機関設計があり得るかどうかという論点です。 ● だから,本来は,株式会社の機関設計ですと,この「三委員会」と書いてあるところは,例えば⑫ですと,「取締役会+三委員会+執行役+会計監査人」と書くべきところを省いてあるという理解でいいわけですね。 ● そう理解していただいて結構でございます。 ● 一つ質問ですが,委員会等設置会社については門外漢なものですから,実態だけ教えていただきたいのですが,現在,委員会等設置会社というのは何社ぐらいあって,それはどういう会社なのかというのを教えていただけますか。もし御存じであれば。ラフな数字で結構なのですが。1,000社あるとか,3社あるとか,そういうレベルで結構なのですが。 ● 私が昨年秋にある学会で報告するために調べたところでは,たしか公開会社である委員会等設置会社は40社ぐらい,非公開も含めますとその倍ぐらい,70社ぐらいだったのではないかと思いますが。   何か御存じの方。○○委員,あるいは○○委員。 ● 済みません,ちょっと……。 ● そんなところで間違いありませんか。 ● 会社法の議論をするときに,私どもは大体譲渡制限会社とか中小会社の世界なので,有限会社等を入れると300万社あるものですから,この三委員会がある会社というのは,ちょっと私よく分からなかったのですけれども,趨勢としては今後ふえていくのでございますかね。   私の乏しい知識によれば,ごく限られた会社が採用しておって,これからもこれがメインストリームになるような仕組みではどうもないのではないかという感じを持っていたのですが。まずそこが間違っていると議論が進まないものですから,ちょっと教えていただければと思います。 ● これは恐らく事務局としては何も言えないと思いますが,どなたか。   なかなか見込みの問題は難しいですね。 ● 前見た数字で,公開会社でたしか55社というのが「商事法務」か何かで出ていました。それ以外にも,○○委員がおっしゃいましたように非公開会社などで確認できないものがあって,ことしの株主総会で委員会等設置会社に移行を計画しているところも幾つかあるということは伺っております。   ただ,一方で,これは後で申し上げることですが,現行法上は制度上もそうですけれども,こういうのにふさわしいのは大会社であって,そういうところで社外取締役をかなり迎え入れて,一方で執行役に業務執行を大幅に委譲することによって業務執行の効率性を図ろうということですから,大体大きい規模の会社がそもそもふさわしいものであって,その大規模な会社の中では,今後実績を見ながらある程度ふえてはいくと思うのですけれども。一方で,従来ありました,委員会等設置会社については利益処分権限が取締役会にあるのにそれ以外ではそうではなかったというのが,今度の現代化のこの現在の案に従うとそういう違いがなくなったりとか,そういうことになっていくと,そういう面で従来の監査役設置会社に比べての効率性のメリットがやや減るところがあることから,委員会等設置会社に移行しようと考えていたところが,この現代化の案を見て考え直すところも一部は出てくるのではないかなという感想,あるいはこれは実は実務の方でそういうふうにおっしゃっている方もいらっしゃいましたので,そういうことも耳にしております。 ● ちょっと今の点に関連するかもしれませんが,私も感想なのですけれども。   私の理解では,一番公表されている情報は,4月に監査役協会か何かでアンケートがあって,ホームページに公表されていると思うのですけれども,80社ぐらいではないかというふうに言われてます。ただ,数を言うのは非常にアンフェアで,上場会社規模の公開会社が仮に3,000社だとしますと,全国で300万あって,300万分の3,000と3,000分の80ですと,私が計算を間違えていなければ,3,000分の80の方がはるかに率は高いわけです。   それはともかくとして,今後移行する会社が増えるか増えないかは,そう急に増えるとは私は思いませんけれども,もともとこの制度は何も分からないところで,アメリカ法を参考にしている部分もありますけれども,頭の中でつくった制度なんですね。実際に動かしてみて,この80社の中で,やはり不便もあればいい面もあるということを聞いていますので。一度,この80社余りのうちのほとんどの社長さんに集まっていただいて,どこが不便かというのを経営者の立場からお話を聞く機会がある場所であったのですけれども,その結果どういう要望があるかというようなことは,もし後で時間があれば簡単に申し上げますけれども。それはさておきまして,実名を挙げるのがいいかどうかよく分かりませんけれども,ソニーとか東芝,日立,その他オリックスという会社もある,それから金融機関等は,金融庁の基本的な考え方はこちらの方がいいのではないかという考え方に--完全にそういう考え方に立っているとまでは断言できませんけれども--ですから金融関係,それから証券では野村グループ等がこれに移っています。   もう1点だけ。実態として,これは○○委員がおっしゃったことに関係しますけれども,企業グループの場合に,一番上の会社だけが移行するタイプ--これはソニーのタイプですね--と,今言いました日立グループとか野村グループもそうですけれども,傘下の公開子会社も含めて全部移行するタイプと,二つに分かれていて,それぞれで,経営哲学というか,なぜ移るかということについての考え方が違っているという実態があります。 ● ○○委員,よろしゅうございますか。 ● はい,分かりました。 ● それから,もう一つ確認ですが,先ほど事務局から言われた「監査役会」という場合は,これは社外監査役・常勤監査役をセットにした監査役会という意味ですね。   ほかに御質問等ございますか。--よろしいですか。   それでは,この部会資料22に関しまして,○○委員,それから,今日御欠席ですけれども,○○委員から御意見が出ておりますので,まず○○委員から御説明をいただけますでしょうか。 ● それでは,会計参与(仮称)制度に関する意見を申し上げます。   日本税理士会連合会では,かねて,会社法制の現代化に関する要綱試案に対する意見として,会計監査人の任意設置の範囲について,小会社の計算書類の適正性の確保については,株主・債権者保護を補完する観点から,会計監査人の制度に代わる制度として,小会社における計算書類の適正担保制度のスキームということを提案してきたわけであります。要するに,小会社に過剰な負担を課さないということと,その実態に即した簡便な制度を導入すべきであるという提言を行ってきたところであります。   この度の会計参与制度の提案は,日本税理士会連合会が提言してきました内容と基本的な考え方については何ら相違がないということ,また,特にその主たる対象となる中小会社の実態に適した制度ができるということですから,会計参与制度の導入に伴いまして,いわゆる信頼性の高い計算書類が開示されることにより株主・会社債権者の保護が図られるほか,金融機関等との取引,あるいは中小会社の活性化--企業の体質改善ですが--ともに役立つことが期待されるということを考えております。   したがいまして,日本税理士会連合会といたしましては,会計参与制度の創立には賛成をするものであります。 ● それから,欠席でありますが,○○委員の意見書につきまして事務局からお願いします。 ● 本日,所用により御欠席の○○委員から事前に意見書の提出をいただいております。お読みいただければと思いますけれども,趣旨としては,会計参与制度というようなものを導入するということであれば,その適用会社は,会計監査人が置かれない中小会社に限るべきではないかということが御結論ということでございます。   御紹介は以上です。 ● それでは,順序としまして,先ほどの事務局からの説明もその順序で行われましたが,この会計参与制度は機関設計の原則の一部をなしておりますので,まず会計参与の問題から御審議いただいて,それから機関設計の原則について御審議いただいて,そしてそれ以外の問題をその次と,そういう順序で審議を進めたいと存じますので,よろしくお願いいたします。   まず,「4 会計参与」でございますが,この点につきましては今日初めて審議することで,いろいろ御質問等もあるかと思いますので,どの点からでも,どうぞ御遠慮なく御発言いただきたいと思います。 ● 会計参与についての議論なのですが,監査役の議論と非常に密接に絡みますものですから,その点についてちょっとお話をしたいと思います。   まず,これは考え方の問題なのですが,監査役に業務監査権限を一律に付与するという点については,私どもは反対でございます。ほかのところはいいのですが。要するに,中小会社あるいは譲渡制限会社について,現在では業務監査権限つきの監査役はございません。この改正においてそこの部分をつけ加えるというのは非常に唐突な感じが実はしておりまして,これは現行のままにしていただいてよろしいのではないかと,私どもはこういうふうな意見でございます。   若干敷えんして申し上げます。少し実態について申し上げますと,まず,今回,この会計参与制度と監査役とダブルになるわけでございますが,どちらかを選択するということになります。取締役会を設けた株式会社であって,監査役を設けるか,会計参与を設けるかと,こうなります。これは,○○委員もいらっしゃるのであれでございますが,例えば公認会計士あるいは税理士の方に会計参与になってくださいとお願いして,分かりました,これまでもずっと契約して見てもらっているからそのままなりましょうと言って特段コストが上がらないケースもあれば,そういうものになるということは,責任なりあるいは名前も変わってくるのだから,少しコストアップしてくださいよと,こういう考え方もあります。まあ,いろいろなケースが出てくると思いますが,実際上,企業にとって社会的なコストが上がる可能性があるのではないかということを,私も心配性なものですから,危ぐいたしております。   一方,アドバンテージもあるわけでございまして,企業にとって,そういった公的な資格,立派な資格を持っていらっしゃる方に見ていただいて更に信用性が高まるというアドバンテージがあることも重々認識いたしております。   それから,そういう会計参与を使うことで業務監査のあれはないのですね。会計参与は業務監査はいたしませんので,そこは欠落している,と言うとちょっと言葉が悪いのですが,そこはない。   一方,監査役を使うと。これは,私どもは中小企業が対象ですが,一応私は個人的には大企業の方で親しい方もたくさんいらっしゃいますが,皆さんもよく御案内の,先ほど委員会等設置会社で○○委員からも御指摘があったようなときに名前が出てきているような会社で,監査役というのはどんな人がやっているのかというと,私の知る限りでございますが,長いことその会社に尽くして,取締役なり,あるいはしかるべき地位をおさめた方が,その任期が終わってから監査役になられるようなケースもたくさんございます。外部からお招きをするケースもあります。中小企業の場合でも,税理士とか公認会計士とか弁護士になっていただく場合もありますし,家族,親戚,従業員,あるいは従業員をリタイアした人になっていただく場合もあります。様々あるわけでございますが,これにある一定の監査役に対する給与を支払って会計監査をしていただいて,中小会社の場合はですね,それが今度,業務監査がセットになりますと,外部の人か,あるいは身内か,社員だった人かは問いませんが,そういう方たちに一定の報酬を払いながら業務監査もお願いするという道か,ないしは,税理士,公認会計士に会計参与をお願いして業務監査がない道か,このいずれかを選ぶという案に今なっておりまして,正直申しまして,どちらを選んでもやや負担が増えるなと,そういうことがございます。   余り実態の話をするといけませんが,非常によく行われていると巷間言われているのは,例えば自分の家族,子供に監査役を頼んで,一定の給与を払って会計監査をしてもらっているというケースも当然ございます。あるいは,他の公認会計士さんになっていただいている,弁護士になっていただいているケースも,私,現実に承知をいたしております。様々あるわけでございますけれども,一律にそこで業務監査を加えると,今度は,監査役になるのは嫌だ,責任もあるのでと,こちらの反応も出てくるのではないかと思いまして,長々申し上げて恐れ入りますけれども,ここは現状をいじることによって波及効果が相当大きいのではないかなと心配をしておりまして,少なくとも私がフォーカスしている中小会社については,現状のまま,今回は改正を見送っていただけないかなと思う次第でございます。 ● 今御発言の点は,主としてその前の3(2)にかかわることだと思いますが……。 ● 済みません,それで会計参与の話です。   会計参与という制度について,こういうものが任意の制度としてビルトインされるということについては,十分想定される興味深いオプションだなというふうに思っているのでございますが,一方の監査役のオプションが強化されるということもあわせて考えると,私は,今すぐにこの会計参与の制度について賛成とここで申し上げるわけにはいかないと,そういうことなのでございます。興味深い制度だし,おもしろい制度だなとは思って,非常に深く研究したいなと今思っているのでございますが,ちょっとオプションが,こっち側が狭くなったものですから,つらいと,こういうことでございます。 ● 3(2)の点は後ほど御議論いただくことにいたしまして,会計参与プロパーにつきまして先に御議論いただければと思いますが。 ● 質問なのですけれども,4の(3)の①の,「会計参与は,取締役・執行役と共同して,計算書類を作成するものとする」という部分につきまして,例えば,取締役と会計参与が一緒になって計算書類を作成するという場合を考えたときに,意見が衝突するような場合があろうかと思います。そうだとすると,最終的に意見が対立したときに,それは一体どちらが決めて作成を全うするのかというような問題が生じてくる可能性があると思うのですけれども,その観点から見たときに,この「共同して」という意味はどういう趣旨になっているのかというあたり,ちょっと疑問を感じました。それが第1点です。   第2点の方は,やはり(3)の②ですけれども,「自己が作成した計算書類に関して株主が求めた事項について説明しなければならない」ということになっている。この場合に,「自己が作成した」という意味なのですけれども,(3)の①で,共同して作成するということからすると,この「自己が」というのは共同して作成したものを含む,すなわち,これは,必要な計算書類全体について株主が求めた事項について説明しなければならないというのか,それとも,現実に関与したという意味で,正に自分が作成をした部分というものについて説明しなければいけないというのか,その辺,任意に解釈できるような気もいたしましたので,この2点につきましてどのようなお考えなのかというあたり,もし分かりましたら,お願いしたいと思います。 ● まず,第1点の,共同して作成,ということの意味ですけれども,これは文字通り,例えば,今,共同代表取締役という場合には,共同でやらない限りは代表権がないというのと同じように,共同でやらない限りは計算書類はいつまでたっても作成に至らないという意味で使っております。本当にとことん意見対立が生じた場合はどうなるかということについてはまた考えなければいけないかもしれませんけれども,それは現行でも結局,例えば取締役が共同して作成するというふうに決めていた場合には,いつまでも意見が対立している限り決まらないという場合もあり得るわけで,それを法律レベルで規定すべきかどうかということを含めてさらに検討しなければいけないと思っております。   第2点の,「自己が作成した」というのは,ちょっと表現がよくなかったのかもしれませんが,これは,作成した計算書類は会計参与も取締役もすべて自分が目を通して共同で全部を作成したことになっておりますので,当然のことながら--確かに内部分担の中で自分が作成したところと取締役が作成したところとがあるとしても--それはもう全体としての計算書類の作成についての説明義務を負うというように考えております。 ● よろしいでしょうか。 ● この会計参与の仕組みにつきましては,新しく出てきた概念ではありますけれども,私は基本的には賛成です。といいますのも,基本的に,任意にそういうものを設けてよいというだけの,一つオプションが加わるだけでありまして,プラスはあっても弊害は少ないのではないかというふうに思うからです。   それに唯一機関設計の関係でかかわるところがあるとすれば,中小規模の譲渡制限会社で取締役会が置かれるものについて,この会計参与を置けば監査役を置かなくてもよいというオプションが増えるということにおいてのみ意味があるということでしょうけれども,従来,そのような会社につきましては会計監査を行う監査役を置くということで,監査役といいましても権限が半分程度であったものについて,そういうものをやめようということとのセットでもってこういう選択肢を設けるということはいいことなのではないか。○○委員はそこの部分になお反対でいらっしゃるようですけれども,私は賛成です。   ただ,その上で幾つか意見やら質問やらなのですけれども,まず,資格として会計参与は公認会計士か税理士でなければならないものとするということで,幾らオプションであるとはいえ,会社法上,先ほど言いましたような意味は持つ,あるいはある程度期待された形でこういう職務に会社法上の制度としてつく方々ということですので,私は,やはりある程度会社法等をきちんと勉強された方々になっていただきたいというように思うわけです。したがいまして,公認会計士試験の方には商法等も試験科目として入っていると思いますけれども,税理士の試験におきましても,こういう制度を設ける以上は,会社法なり何なりを試験科目に入れるべきではないかというのが,私の一つの意見でございます。   2番目は,(2)の②の(注)のところで,○○委員の意見と重なるかと思うのですが,会計監査人と会計参与が併存するメリットというのは一体どんなものなのかということが質問事項です。   第3点目は,(3)の「④ 計算書類の開示」の点なのですが,株式会社においては決算公告はすべて義務化するということになったときに,なおかつ,この会計参与のところに行って見せてもらうということに,もしこういう制度を設けることに意味があるとすれば,ここに行ったら附属明細書を見れるということではないかと思うのですね。したがいまして,こういう制度を設けるのであれば,是非,附属明細書をここに入れるべきではないかということです。   4番目は単に質問なのですけれども,(3)の⑤のところの,「計算書類の作成等に必要な権限」というのは,具体的にはどんなものをお考えなのでしょうかということの質問です。 ● では,質問のお答えから先にさせていただきたいと思います。   第1点目の税理士試験の選択科目につきましては,申し訳ございませんが省かせていただきまして,まず,(2)の②で,会計監査人と会計参与とが併存することにどのような意味があるかという点についてですが,これはもともと制度の趣旨が大分違うと思いますが,会計参与というのは,会社の内部の計算書類の作成過程において,いわば会社の自律的作用というか,経営を担当している者と会計参与とが協力し合って 適正な計算書類をつくっていこうと,そちらの方で働く制度であるのに対して,会計監査人というのは,むしろ他律的な,つくったものが正確にできているかどうかをチェックする制度というようなすみ分けをしているわけです。現在においても,例えば,会社において税理士や公認会計士が計算書類の作成に関与されている,実際にはコンピュータの入力から含めてほとんど作成しているような現実というものがあって,その現実を前提に,監査役なり会計監査人なりの監査も入るということになっていると思います。ですから,今回の制度は,そのような現実をベースにした上で,計算書類の作成に携わっている人を役員と正式に認めた上で,個々の説明義務やまた保存義務を課すことによって,より計算書類の作成に対する信頼性が高まるようにしていこうというところに意味があると考えております。   次に,計算書類の開示につきまして,附属明細書まではどうするかという話ですが,これは,基本的には,会社が5年間備え置いて開示しなければいけないものについてはすべて開示するというような方向性で考えております。   あと,会計参与のその他の必要な権限というのは何かということですが,これにつきましては,例えば計算書類を作成する上では帳簿の閲覧等が必要不可欠でございますから,帳簿閲覧権などが含まれてくると思いますし,実際に今いろいろと検討しているところだと,監査役が監査をするときにいろいろ調べる権限と非常に似通ったようなものになると思います。ただ,それは監査目的ではなくて,あくまでも計算書類の作成の目的で行うと,そういった権限が与えられるということになると思います。 ● よろしゅうございますか。   ちょっと税理士試験の点はここの権限外になりますので……。 ● 参考までにちょっと。   これは私も常々思っているわけであります。   国税審議会というのがあるのです。これは国税庁長官の諮問機関ですけれども,私はそこに出ておりまして,試験科目の内容については早急に見直してほしいと言っているわけです。というのは,会計科目必須2科目ある。これは簿記論と財務諸表論なんですよ。現実に簿記論というのは要らないと思うんですよね。それをひっくるめて会計科目になっているわけですから,もう少し会計科目の中身を広げて,会社法なりそういうものを入れてやっていくべきではないかと。それから,税法については,これは余分ですけれども,3科目なのですけれども,かなりたくさんあるわけです。これをもう少し狭めて,重要な基本税法をやっていくのだということで言っているわけですけれども,この国税審議会の方では,そういった試験科目については早急に検討しましょうということになっておりますので,○○委員がおっしゃることはもちろん当然の指摘だと思うのですけれども,そういう段階で今やっておりますので,御了解いただきたいと思います。参考までに申し上げました。 ● ほかに。 ● 質問が2点ほどあるのですけれども。   先ほどのお答えですと,この計算書類に附属明細書が入るということは分かったのですが,計算書類というと営業報告書などがあるわけですが,営業報告書をこの会計参与の方がつくられるということは,恐らく単に会計事項だけではなく,もう少し広く,実は帳簿書類といいますか業務及び財産の状況を調査できないといけないということになるのではないかという気がいたしますので,その辺をどう考えていらっしゃるかというのが1点です。   もう1点は,この(2)の③のところで,「任期・報酬等については」と書いてあるのですけれども,これは例えば,現在の258条,つまり欠員が生じた場合についての規定と同じようなものを会計参与についても適用するという趣旨か。そうしないと,恐らく,だれも監査役は置かない,だけど会計参与になってくれる人が例えば死亡するとか,あるいは辞任なさるとか,こういうケースを考えたときにはどうしたらいいのかとか,その辺があるので,その辺はどうお考えかという点をお聞きしたいと思います。 ● まず,第1点目の営業報告書についてなのですけれども,ここでは「計算書類」とわざとぼかし気味に書いているところにかかわってくるのですが,実際,会計参与は基本的には営業の点については何らタッチしないということを前提にしております。もっとも,その中でも,一応,貸借対照表などにかかわる部分というのは確かに営業報告書の中に書かれる場面がございますが,それだけのために営業報告書全部について作成に関与しなければならないとすると,結構過重ではないかという議論もあるのではないかと思いまして,これは一案でございますけれども,例えば,営業報告書は専ら取締役が作成した上で,会計参与はその計算書類の作成過程にかかわるいろいろなことについて,例えば,仮称ですが,「会計参与報告書」のようなものを別個につくって,それを開示の対象にするとか,それは幾つかの方策があるのではないかというふうに思っております。   それから,もう1点の欠員の問題などにつきましては,これはまた細かく規定を整備する上で,実際に欠員が生じた場合に不都合が生ずるような場面においては,それに対応したような規定を整備していくことになるのではないかというふうに考えております。 ● よろしいでしょうか。   ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 初めての制度なものですから,よく分からないので,初歩的な質問なのですけれども,まず,会計参与というのは常勤でなければならないとか,複数置かなければならないとか,そういうふうなことは考えてないのでしょうねというのが1点であります。   それから,本件は登記するというのが書いてないのですけれども,恐らく会計参与というのは登記事項になるのかなということ。   それと,兼任禁止ですけれども,会計監査人としてA監査法人があったときに,会計参与というのはそのA監査法人の社員ということは認められないのかどうかということ。細かなことで済みません。   それから,責任でありますけれども,恐らく,会計参与が責任を持つ場合,これは(4)でありますけれども,違法剰余金分配のところでしょうから,そのときにおいては,取締役,計算書類・剰余金議案を提出した人と同様の責任--例の弁済責任--これを同様に負って,責任の減免というのは認められないのでしょうねということの確認であります。   あとは,このような制度をつくったことによって,先ほどの委員会等設置会社ではありませんけれども,どの程度の需要というのを政策当局においてはフィージビリティースタディーされているのか,そのあたりの感触を。まず大会社,公認会計士を置かなければならない会社においてこういうものを置きたいというニーズがあるのかどうかの調査状況と,あと,小さな会社において本当にこういうことが行われるのかどうか,どういうふうに調査されているのかをお教えいただきたいと思います。 ● たくさん質問していただいているのですけれども,まず,常勤,複数などということはございません。これはもう,税理士・公認会計士という資格ですので,それは事実上不可能であろうということでございますし,実際にはそれほど常勤である必要性もないというふうに考えております。   それから,登記事項には当然なるというふうに考えております。   それから,兼任禁止につきまして,先ほど○○委員がおっしゃった,会計監査人であるところの例えば監査法人に所属する公認会計士がなるというのは,常識的に考えてみるとまずいというふうに思われますので,そこら辺は,規定を整備する上で,どこまではじけばいいのか,特に会計参与の場合,できれば,これはまた法制的な検討も必要ですが,監査法人がなれるというような場面もあり得ますので,いろいろなことを,制度を突き合わせながら,信頼性が確保できるような兼任禁止の範囲を策定したいというふうに思っております。 ● 1点補足なのですが,会計監査人の欠格事由というのが4条にあるのですが,そこで公認会計士法の条文を引いておりまして,基本的に,非監査法人の役員になっているような場合には公認会計士は会計監査人にはなれませんので,それとの関係も……。要するに,会計監査人の欠格事由としまして,被監査会社の役員になっているような人というのは……。   そういう話もありますので,それともあわせてこちらの方の兼任禁止の規定というのは考えてみたいと思っています。 ● それから,責任のところも,違法な剰余金の分配につきましては,そちらの取締役側の制度を含めて,まだ制度として固まっておりませんので,そこら辺はその制度との兼ね合いを見ながら検討していきたいというふうに思っております。   それから,最後,需要につきましては,もうこれは全く新しい制度でございますので,あるのかないのかということはあくまでも予測の範囲にすぎないわけですけれども。まず,大会社の方で果たしてニーズがあるのかと,これはもう正に任意の制度で,その大会社が,例えば,ファイナンシャルエキスパートではありませんけれども,こういう計算書類にきちんと専門家が入ってやっているのだということをアピールするニーズが果たしてどれぐらいあるのかというのを,むしろこちらから○○委員にお聞きしたいぐらいのところですが,ただ,実際に今の世界的な流れからすると,こういう会計専門家が中に入って計算書類の作成に携わるということが一つ,法的ではなくても,事実上期待されているような部分もございますので,そういう世界的な流れとか,また日本のコーポレートガバナンスの流れなどの中でふえていくのではなかろうかというような予測はしております。   それから,中小会社につきましては,これは会計参与を入れることがその中小会社にとってどれだけメリットがあるかということで,現実問題として,先ほどお話ししたように,税理士の方が計算書類を実際に作成しているということからすると,プラスされる会計参与の報酬が,これはどうなるか分かりませんが,比較的低廉に,今までの顧問税理士料に比べてそれほどでもないというようなことが確保され,なおかつそれによって計算書類の信頼性が高まって,金融機関に対して融資を申し込むときに,会計参与が入ってこれだけ優良な成績ならば,特に無担保でも保証さえあれば貸しましょうとか,保証なしでも貸しましょうとか,そういったような,やはり融資などとの関係で有用な制度となってくるならば,これはかなり広く受け入れられるのではないかというふうに聞いておりますが,そこら辺,○○委員あたりの予測などもお聞きしたいなとは思いますけれども。 ● 今,○○委員が御指摘になった,監査法人の社員がという点でございますが,御参考までに申し上げますと,公認会計士法の体系では,一定の特定の利害関係がある場合に監査法人が監査をしてはならないという定め方をしております。そのようなケースの中に正しく今御指摘になったようなケースが該当しますので,したがって,そのA監査法人の中の社員である公認会計士の方がこのような形で仮に会計参与というふうになりますと,このA監査法人はその会社の監査ができないというような形で既に規定がございます。会計監査人としての欠格事由の点については,また欠格事由としての定めが別途あろうと思いますけれども,公認会計士法の定めの中でそういうことがございます。 ● 先ほどの○○委員の御質問の最後のことなのですけれども,これは予測で,ちょっと分かりませんけれども,要するに,最近特に計算書類の適正性というのが非常に問われているわけです。特に金融機関等については問われてきているし,国際取引についても,やはり計算書類の公開というのはこれから進んでいくと思いますし,また,中小会社の活力ある経営となりますと,やはり計算書類を公開していくということについて大きな刺激となって,いわゆる活力ある中小企業ができてくるということ,そういった意味からもそれなりの効果は期待できると思うのです。   したがって,会計監査人の監査というのは残るわけですけれども,会計監査人の監査か会計参与かという,これは私の予測ですけれども,恐らく企業は選択をやるのではないかなと思うのですね。   そうなってきますと,会計参与の方は気楽というのか,責任の問題につきましても,いわゆる会計監査人の監査よりは軽いとか入りやすいとか,そういうふうな意味で利便性はあると思うのですね。したがって,選択がそうなれば,中小の,特に資本1億円以下の会社はやはり会計参与制度を選ぶのではないかということを考えておりまして,件数はとなりますと,これはちょっと問題,まあ分かりませんけれども,かなりの数は期待できるのではないかというふうに私は思っております。 ● 会計参与の大会社の場合のことなのですけれども,私どもはかねてから,内部統制の設置とか,あるいは高度な会計システムの整備とかいうことを是非大会社にお願いしたいということを言っていますので,もしかしたら,こういう制度を有効利用していただければそういうことも可能かなということで,これはあくまで選択性の話ですからどうなるか分かりませんけれども,会計監査人と別途に内部にそういう機関があることは決して不都合ではないのではないかというふうに思っております。 ● 大会社における今後のあれをいろいろ考えているのですけれども,例えば,会社で,今,取締役,財務担当だとCFOとかいいますね,これが将来的には--それは取締役は兼ねられないとなっているのですけれども,CFOなるものは会計参与CFOというふうなことで会社に四六時中勤務してというふうなことを例えば期待しているのか,よく分からないのですけれどもね。   それから,証券取引法上も,例えば財務諸表の適正性を証明するときにCFOがやるというようなときに,会計参与がいるのであれば,CFOは別途いるのだけれども,それではなくて,会計参与という人にのみ証明適格性を与えるのか,これまた証券取引法上もいろいろと波及してくるのだろうと思うのですけれども,恐らく○○関係官のところではいろいろ考えておられるのだろうと思うのですけれども,どういうふうに展開していくのかまだ読めないところがあるものですから,いろいろな使い勝手があるなという気もするのですけれども,今のような会計参与CFO,取締役ではない,でも財務すべての責任者になるというふうな位置づけというのも利用形態としては考えられるということでしょうか。共同してというか,もう正に責任を持って,それで取締役なんかを配下に置いてやるとか。 ● 一応,法の建てつけとしてはあくまでも「共同して」でございますので,取締役を配下に置くとか取締役の上に置くとか,そういうことはありませんで,全く同列でございます。   あと,CFOといった場合のその中身次第なんだろうと思いますけれども,基本的には,会計参与は計算書類の作成にのみ携わることになっておりまして,取締役会等における議決権等があるわけでもございませんので,なかなか会計参与イコールCFOというような位置づけというのは,今の建てつけでは難しいのではないかという感じはいたします。そこは今後,議論の中で,またその位置づけなどももっと明確にしていきたいとは思っていますけれども。 ● それから,(3)の③,④あたりについてはいかがでしょうか。書類を5年間保存して,計算書類の閲覧等は会計参与に対してもすることができるという制度になるわけでありますが。 ● 書類の保存というのは,場所的にどこで保存しないといけないとか,そういうルールというのは何かあるのですか。つまり,会社の中に置いておいても構わないのでしょうか。 ● 別に場所で会社というのを禁ずるというところまでは考えておりませんけれども,ただ,当然,保存義務はその公認会計士なり税理士であるところの会計参与の責任においてやらなければいけないわけですから,勝手に置いておいていつの間にか破棄されていたというのでは非常に困ると思います。実際上は,多分,公認会計士なり税理士なりの事務所に保存場所などを定めて,それを何らかの形で開示していくというような形になるのではないかと思います。 ● 今の関係なのですが,先ほども○○委員がおっしゃったことですが,一応決算公告がある程度きちっとなるとなると,重要性があるのは附属明細書のことになるのかなと思うのですが,そういうものを見ようとしたときに,要するに債権者,場合によっては株主もあるのでしょうが,これは登記事項で登記を見て分かるというスキームになっているのだと思うのですが,もう少し簡易に分かりやすく,つまり,例えば貸借対照表とか損益計算書あたりのところ,例えば公告にちょこっと書くとか,そしてそれはきちっとしている--余りこれをきちっとしているというのを強調すると,また監査とどう関係があるのか分かりませんが,やっぱりこういう制度をエンカレッジするのかどうなのかで,エンカレッジするなら,公告のところに会計参与を置いているということを書き,そうすると,本店よりはその参与のところで附属明細書を見た方がいいかなということになりますので,こういう,会計参与を置いているということと,その会計参与に計算書類の閲覧をするときにどうしたらいいのかというのが登記だけできちっとなるのか,そこら辺,少し実務的な点なのかもわかりませんが,御検討いただければと思います。 ● 今,○○委員のおっしゃったように,確かに知りやすくするためには公告事項に入れるというのも有用な手段のようにも思いますので,実際に不都合があるかないかを含めて,ちょっと検討したいと思います。 ● 全く新しい制度ですので,いろいろと議論の前提として質問事項があったのですが,今までの委員の先生方の質問に対するお答えで大体全般分かったのですが,先ほどの御説明で一つ気になったのは,取締役と会計参与の意見の不一致が生じた場合,これは計算書類の作成であって帳簿の作成ではないですから,数字の積み上げの検証と,それから決算政策の面と,やっぱりいろいろ出てくると思います。最近も,税効果資産とかそういう問題で,中小企業でも会計士から指摘されて後で修正するというようなことがありますので,その場合に,取締役と会計参与の意見とが不一致の場合は永遠に計算書類はできないというような趣旨の御説明もあったのですけれども,そうなってくると,せっかく配当原資があるのに株主はいつまでも配当をもらえないという形で,執行部間の意見の不一致で株主が被害をこうむるというような面も出てくるかと思いますので,一つの考え方として,作成は--これは共同ですから,作成名義人は両方なんですね,そうすると,作成は一応法定の期間までに作成するけれども,意見の不一致があった場合には異なる意見を付記することができるというような,監査役会の監査報告書と同様の法制にするということも考えられないかという気がするのですが。これはまだ思いつきですが,いつまでもできないという法制を残すのはちょっとどうかなという気がしたものですから,ちょっと指摘だけです。   それともう1点は,⑤の,「計算書類の作成等に必要な権限」の具体的な内容なのですが,先ほど,大体監査役の権限と同様とおっしゃったのですが,取締役・使用人に対する営業報告請求権あるいは調査権,更には子会社調査権というものまで含むのかどうか。まだその辺を決めてなければ別にいいのですが,もしある程度の具体的な内容までお考えであれば,教えていただきたいと思います。 ● 不一致の場合の処理につきましては,どういう不都合があるのかを含めて更に検討を進めたいと思います。付記するということで,ではどちらの意見を優先するかとかいう問題もございますので,ちょっと一概に今ここで即答しかねるかなと思っています。   「計算書類の作成等に必要な権限」につきましては,まだ具体的に,例えば子会社調査権をどうするかとか,そこまで含めて検討しているわけではございませんので,今後,本当に必要なものがどの範囲なのかを法制的に決めまして,その範囲内で適切に規定していこうというふうに思っております。 ● 今の○○委員の御意見にもちょっと関係するかなと思ったのですけれども,この選任方法等の部分については取締役と同様ということにされているわけですけれども,会計監査人の場合,監査役会とかに一定の選解任についての権限というのが認められていますよね。そういうものを認めるということは全く考えていないということでいいのですね。 ● 今のところは考えておりません。 ● 新しい制度ですので,個々の問題についていろいろ御質問もたくさん出たわけでありますけれども,○○委員からほかの制度との関係でちょっと疑問もありましたが,基本的には一定の効果のある制度ではないかというふうな御評価はいただいたのではないかという気がいたしますので,この制度の採用については,まあ前向きに,まだ詰めるところは詰めていただきたいということで,よろしいでしょうか。ちょっと時間の関係もありますので。 ● 済みません,1点だけ。   先ほど○○委員が最後に御指摘になった責任のところを私も非常に心配しておりまして,○○委員御指摘のように,私は,(4)のところには商法266条としか書いていないので,その中の1号責任がどうなるのか。5号責任のことだけを考えているのか。その下の(注)を見ますと,2年分を限度にと書いてありますので,5号責任の方しか考えていないようにも読めるのですが,当然,1号責任の問題が出てきますので,そこはやはりきちんとする必要がある。仮に5号責任にしろ,この会計参与というのはいわばプロとして,正に会計に主体的にかかわるわけですから,社外取締役と同じ責任でいいのかというのは,どうも疑問,少なくとも4年でいいのではないかという気もしまして,この2年の限定を含めて,その点の御検討を更にお願いしたいと思います。 ● それでは,いろいろ御指摘いただきましたので,その点はなお事務局で詰めていただきたいと思いますが,この問題につきましてはよろしいでしょうか。もちろん,先ほど○○委員が御指摘になった点はまた後ほど御審議いただきますので。   それでは,次に,機関設計の原則というふうに事務局から説明があった点で,参考資料14に重点が書いてある問題でありますけれども,この点につきまして,どの点でも御意見をいただければと思います。 ● 前回の最後に申し上げた点なのですが,実際上一番引っ掛かっておりますのは委員会等設置会社の点でございまして,この参考資料14の「現行制度の相違点」で申しますと(4)の点,私は,やはり会計監査人がいる会社に関してふさわしい制度が委員会等設置会社ではないかと思っておりまして,委員会等設置会社をつくったときの経緯を考えてみますと,あれはやはり,アメリカのいわゆるモニタリングモデルの取締役会制度が機能していくように日本でも同様の制度を考えようということで導入したわけでありまして,御存じのとおり,アメリカは,サーベンス・オクスレー法で,監査委員会には必ず会計専門家が入ることというのを法律上要求しているわけで,いわばモニタリングモデルにおいては会計の専門家が制度の中に入っていて,そこできちんとした財務情報を作成して,それに基づいて経営者であるところの執行役のパフォーマンスを評価し,それに基づいて執行役の選任・解任を取締役会が行うという制度として考えているわけで,そういったきちんとした財務情報が出てきて,それに基づいて経営者・執行役の評価ができるということを前提にした制度,そのかわり執行役にかなり全面的に権限を委任するという制度になっているわけですから,そういう委員会等設置会社の制度のもともとの仕組み,機能の仕方から考えますと,やはりこれは会計専門家が入っているべき制度であると考えますので,やはり会計監査人が入ったときについての制度としてこれは少なくともつくった方がいいのではないか。   実際のニーズから申しましても,さっきの○○委員の御発言の趣旨は,一面から見ると,大部分の中小会社において委員会等設置会社のようなニーズがどれだけあるのかということもあるいは含んでいたのかなと思って伺ったのですけれども,実際,中小会社でこんな複雑な制度,コストのかかる制度を使うニーズがあるとも余り思えませんし,単に選択の幅を広げるという理念だけでこういう御提案があるとすれば,それは必ずしも実際にも合わないのではないか。仮にそういう選択の余地があるということだけで選ぶところが出てきても,会計監査人がいないということですと実際に制度が機能しませんので,建前だけで実態がそれに伴わないことになって,これは非常に望ましくない結果が考えられますので,やはりこれは会計監査人のある会社についての制度として整理していただければ有り難いと思う次第です。 ● この三委員会に象徴的に出てくるのですが,選択の幅はできるだけ広ければいいという考えに立ってそこの制度を作るか,それとも,ニーズも疑わしいし,また変な会社につくられると何か三委員会のレベルが落ちるといいますか,そういうお考えも先ほどの○○委員の御意見にあったのだろうと思うのですが,恐らく,どう考えるかという根本的なところで相当意見の開きが委員・幹事の中にあるのだと思うのですけれども,いかがでしょうか。 ● ほとんど○○委員と同意見ですので,お時間をとるだけなのかなと思いますが,一言申させていただきます。   やはり,この委員会等設置会社というのは,監督と経営を分離して,経営については一人の執行役に権限を集中してスピーディーにいくけれども,きちっとした監督をしようと。そして,その監督についても,監査委員が自ら帳簿をチェックしたりいろいろなことをするという実際的な,つまり常勤者を必ず置かなければいけないとしてそういうことをするのではなしに,内部統制スキームをきちっとすると。そして,その内部統制システムを格段に実質化するために,こういう営利企業の場合には経理のチェックが重要だということで専門家を入れろということで,結局,執行役制度を導入するときには三委員会が必要だし,三委員会の機能をきちっとするためにも会計監査人が必ず必要だと,こういうようなスキームで来たと思うのですね。そして,(4)の(注2)で,会計監査人を設置しないと,要するに利益処分権限は株主総会のままですよということになるのですが,これ自体はそういう選択肢があってもいいのかもわかりませんが,やはり,利益処分権限も含めてすべて執行役が経営マターをし,それを三委員会がチェックし,1年任期の形にして,株主総会でそれをトータルに判断すると。   こういうスキームが相当程度変質するということで,その変質するメリットが何かというと,自由化をうたいたいというと,何となく目的と手段が逆ではないかという感じがいたしますので,私もこの点については,そもそも委員会等設置会社を譲渡制限会社に認める必要があるのかという議論もあると思いますが,これは選択の幅を広げるということで任意設置は認めるとしても,その場合にはやはり会計監査人を置いていただく。そして,会計監査人監査の範囲を広げようという一般的な議論,これは反対論もありますけれども,そういう観点からも,むしろ会計監査人を置かないという方が何か疑問もありますので,そういうトータルな観点から,一応この点については,それこそまだ100足らずのときに,制度を変質してまで自由化を推進するメリットがあるように思えませんので,お考えいただければと思います。 ● 中小会社について三委員会を認めるかどうかということについては,実は今の両委員とほぼ同じ意見なのですが,若干違った角度なのですけれども,恐らく,この⑨というのを認めようということが出てまいりましたのは,会計監査人監査が必要になる大会社への移行との一つのつながりということをお考えいただいたのかなというふうに私は思っておりまして,すなわち株式譲渡制限大会社についての③,④,⑤でございますけれども,基本的に,会計監査人監査が必要である場合については監査役ないし監査委員会というか三委員会的なもの,どちらかがないといけないというお考えのようでございますので,その前の段階におきましても監査役あるいは三委員会というものを選べるというふうな考え方というのは一つは一貫しているのではないかということで,この御提案は評価するところでございますけれども,ただ,やはり譲渡制限中小会社のレベル,私は基本的にはベンチャー企業を念頭に置いて申し上げているわけでありますが,そのレベルの会社につきましては,いわゆる所有と経営の分離というのがはっきりしているわけではございませんで,特に取締役の選任についても,要するに指名委員会の制度につきましては社外取締役がイニシアチブをとって計画するというのが必ずしも適切でない,むしろ持分割合に応じた代表の選任権限という意味でクラスボーティング等が用いられることが想定されているわけであります。ですから,「社外取締役+監査委員会」ぐらいまでは考えられるかなと思うのですが,指名委員会も必ず要求されるような三委員会制度を中小会社で入れるニーズというのでしょうか,実際上の意義というのは非常に少ないのではないかなと。そうだとすれば,これも自説を何回も繰り返すようで申し訳ないのですが,小さな会社,ベンチャー会社から会計監査人監査が要求されるような大会社への移行のスムーズな道筋としては,「取締役会+社外取締役」,社外取締役だけでは十分ではないということであれば,「監査委員会+会計監査人」というような筋道をおつけいただくことはできないのかなと。と申しますのは,これは○○委員の御意見も伺えればと思いますけれども,会計監査人が入る場合について,必ず監査役が必要なのかどうか。この御提案におきましても,監査役は必ずしも社外監査役を要求されているわけではないので,監査役の独立性というものはここで担保されているわけではないわけであります。だとすれば,むしろ社外取締役といった一定の経営陣からの独立性を持った者を入れるということの方が,会計監査人の独立性を確保する上でもより効果があるという考え方もあり得るのかなと。   ということで,むしろそのような方向が考えられないのかなという質問と,昔のc案が何で消えてしまったのか,「取締役+会計監査人」というのがなくなっておりますが,その経緯などをお答えいただければと存じます。 ● まず,「取締役+会計監査人」が消えているということにつきましては,現代の会計監査制度を前提とすると,やはり監査役--現行法では監査役会でございますけれども--とのセットでなければなかなかうまい制度が構築できないなというようなことで,会計監査人を設置する限りは監査役は最低でも必要であろうというようなことで,現在では消えているということになります。   三委員会をばら売りするかどうかという問題につきましては,平成14年改正当時から非常にずっと議論になっているところではございますが,現行の法制度は,その三委員会セットで一つのバランスのとれたものと判断しているのではないかというふうに考えておりますので,今回は,個別にアラカルト方式はとらない方がいいのではないかというふうに考えて,こういう案になっております。   それから,○○委員,○○委員の御意見をお聞きしまして,確かにそういう側面もあるのかなというふうに思いますが,事務局がなぜこのような御提案を差し上げたかというと,実際に監査役設置会社の方は,今回,会計監査人を設置することによって利益処分の確定権限も付与するということで,委員会等設置会社のいわばメリットというか,今まで選択する実益だったものが少なくとも1点は減ってしまう。そうすると,そういったものを抜きに,また今度は小会社に対しても委員会等設置会社の任意の設置を認めようという方向性があるときに会計監査人を設置強制するということになると,事実上,恐らく小規模な会社ではなかなか,コストの面もあって,とれないのではないかなと。   そこで,一応,会計監査人抜きでの委員会等設置会社が果たして制度的に問題があるのかと検討してみたところ,なぜ会計監査人がなければいけないのか,現行法の制度ではなかなか説明がつかないような感じがいたしまして,取締役会が執行役に対して委任できる事項をいろいろと検討してみても,例えば新株発行だとか新株予約権の発行だとか,いろいろなところを全部検討しているのですが,なぜ会計監査人がないとこの委任ができなくなるのかということの法制的な説明がつかないのではないかというふうなことをもろもろ考えまして,一つは(4)という提案をさせていただいているわけです。   また,実際上も,委員会等設置会社は現在では確かに大会社に限られて,しかも,採用している企業80社はいずれもそうそうたる企業ですので,何かすごくすばらしい会社のブランドイメージみたいなのがあると思うのですけれども,ただ,では実際に法制度的に何人の役員がいればできるかというと,4人いればできると。「取締役会+監査役」だって4人だし,委員会等設置会社だって4人いればとりあえず役員の数としては十分なわけですね。そうなってくると,例えば会計監査人を外して何か使い道がないかなと思うと,要するに,委員会等設置会社というのは社外取締役を委員に加えることによって執行役に対する委任の範囲を非常に広くするというようなシステム設計だとすると,結構いろいろなところで使える会社になっていくのではないかなとも思うわけです。例えば,京大の前で繁盛しているラーメン屋が,今度東京にフランチャイズを出したいというときに,京大ラーメンで一生懸命やっている人がずっと東京に出張して取締役会なんか出られないと。そうしたら,社外取締役として,京大ラーメンをやりながら,一方で東京の方では東京ラーメンのフランチャイジーの人に執行をゆだねておくとか,いろいろ小回りのきくような制度にすると,せっかくのいい制度,社外取締役という一つの枠を作ることによって業務執行の幅を広げていくというこのいい制度がもっともっと広がっていくのではないか,ここら辺は今後中小企業とかについての応用範囲を広げていくことが委員会等設置会社の更なる発展につながるのではないかなというふうに思いまして,(4)の提案をさせていただいている次第でございます。 ● まず,中小企業,私の知る限りという前提を置きますが,中小企業については,この委員会等設置会社になるというニーズは一度も聞いたことがありません。これは皆さんが御議論されているとおりであります。   しかし,○○関係官がおっしゃったことは,私は全面的に賛同するものでありまして,制度というのは,つくられてみるとうまく使われていくという面があるので,先ほど,55社とか80社の委員会等設置会社があるというお話がありましたが,300万社の方に使ってみろと言えば,その数をあっという間に上回るというようなこともあるかもしれません。ですから,私は,この「取締役会+三委員会」というような制度をつくってくれなどということを私どもの立場から要望するつもりは全くございませんが,立派な,ソニーとか日立とか東芝のような会社でないとこういうものは使えない制度だというような論をおっしゃった方には,やや,エモーショナルには反感を感じるというのが正直なところでございまして,そういう意味では,○○関係官がおっしゃったような議論の方が,仕組みをどうやって活用するかということでは正論ではないのかなという感じがいたします。 ● 予想したとおり,この一番上の株式譲渡制限中小会社の⑨と公開中小会社の③でしょうか,「取締役会+三委員会」,参考資料14の紙で申しますと(4)について議論が集中しておりますけれども,ほかの方,いかがでしょうか。   まあ,三委員会がもっと使われた方がいいと思っておられる方と,余り使ってもらっては値打ちが落ちると思っておられる方と,非常に考え方が分かれているようですが。 ● 質問なのですけれども,この事務局の案ですと,会計監査人を置かないで三委員会と置くとすると,監査委員会自体は,今の三委員会では監査委員は常勤である必要はないということなのですが,今度はいきなり,この三委員会の中の監査委員会というもの自体は自ら会計監査を行わなければいけない機関というふうに変わると思うのですね。つまり,今は,監査役会を置いている場合でも,あるいは監査委員会を置いている場合でも,とにかく会計監査人の監査の方法及び結果が相当かどうかという判断をすればよかったのに対して,今度は,もしもこの案を導入すると,監査委員会自体の委員が自分で会計監査を行って,自分で監査意見を会計について述べなければいけないという仕組みになって,同じ「監査委員会」といっても,実は今までの監査委員会とはかなり色合いが違ってくることになると思うのですけれども,それは余り問題ないという,そういう御検討の結果なのでしょうか。 ● これは,監査役設置会社の場合に通常の監査役と会計監査人が入った場合の監査役の権限というのとほぼ類似した議論になるのではないかというふうに今のところ考えております。 ● そうすると,結局,この監査委員会の場合に,社外取締役が過半数でなければいけないということになりますよね。ところが,普通の会計監査人を置いていない監査役設置会社の場合ですと,これはもう社外監査役は半数以上というふうに今度変わるとはいえ,恐らく二人以上いるのですね。でも,この場合はひょっとしたら一人しか社外取締役でない人はいないかもしれないけれども,それは会社の選択という,そういう印象でいいのですね。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● どちらの意見にくみするという問題よりも,ニーズという面から申しますと,私どもが接していて,中小企業ないしは譲渡制限会社がこの委員会制度をとるというニーズというのは,ほとんど念頭にも置いていないだろうというふうに思うわけですけれども,まあ,確かに,制度ができれば利用価値が出てくるかもしれないという面はあろうかと思います。   例えば,これは非常に逆説的な議論になってしまいますけれども,取締役は4人で足りる,また取締役と株主がほとんど一致している,そういうような所有と経営の分離がされていないような会社,委員会制度にして,どのような配当をするかということも株主と取締役の利害が一致しているというような会社では,案外,委員会等設置会社にしてもかえって困らないのかもしれないという面があるかと思うのですけれども。   まあ,それはちょっと逆説的な議論ですから置いておいて,会計監査人がいない会社にも委員会等設置会社を認めるという一般論としてどうかということを考えてみますと,この委員会等設置会社ができた一つの大もとというのが,所有と経営の分離がされた会社において業務執行と監督を分けると。そして,その場合に非常にキーポイントになったのが,剰余金処分を取締役会で決めるという点だったと思うのですが,そうすると,会計監査人が会計を監査して,その会計が適正であるということを専門家の見地から監査してもらって,配当については,どのぐらいを株主に配当してどのぐらいを内部に留保するかという,経営判断として非常に高度な面がありますので,取締役会あるいは執行役がそういった経営判断に集中するというような形で剰余金処分を取締役会限りで決定すると,そういうような方向性というのが見積もられたのが,この委員会等設置会社の非常に重要なポイントだったと思うのです。   そういたしますと,会計監査人がいなくても委員会等設置会社というのは認められるのではないかという論法よりも,会計監査人が会計を適正に監査して,剰余金処分初め業務執行の経営判断を取締役なり執行役が専念できるという会社であるからこそ三委員会制度がとれるという発想ではないのかなというふうに,少なくとも私は今までそういう理解をしてまいりまして,今回は発想を変えるのだというふうに言われれば,それはそれまでなのですが,ただ,14年に改正ができて,上場企業を中心に80社ぐらいですか,それが委員会等設置会社に移行するという段階で,中小企業にニーズがほとんど皆目分からない段階で,こういう制度の選択肢を認めるというまでの必要性がどれだけあるのかなという,これは率直な感想,意見というよりも感想に近いのですが,そんな感じを今持っております。 ● 御意見を伺っていると,事務局は,つくればニーズが出てくるかもしれないということなのですが,会計監査人がいないということを前提にしますと,ちょっと制度がどう動くか不安があるという御意見が大勢のようです。それから,積極的に是非これを中小会社で使いたいというニーズも,少なくともこういう形で使いたいのだという御意見もないようですので,もうこの(4)の会計監査人なしの委員会等設置会社というのはやめるということでよろしいでしょうか。 やはり残すべきだという御意見はございますか。 ● 会計監査人を置けば,中小会社であれ譲渡制限会社であれ,よろしいと……。 ● それはもう入っているのですね。例えば一番上ですと⑫にあるわけですね。   それから,⑨は消してもいいということだと思います。   それから,公開会社の③も消していいということだろうと思います。   この参考資料14の(3)の点ですね,「監査役会について,取締役会を設置していなくとも,また,会計監査人を設置していなくとも,いわば監査役と選択的に設置することができるものとする」という,この案についてはいかがでしょうか。   つまり,株式譲渡制限中小会社のところで言いますと③と⑧ですね。それから,公開中小会社の②ですか。そういうものについて導入すべきかということでありますが。それから,白のところの大部分がその問題かと思いますが,株式譲渡制限大会社の②とか, 株式譲渡制限中小会社の⑤とか,要するに,今日のこの資料で言いますと,白色のところの残った大部分ということだと思います。こういうものを認める必要があるかということであります。この点についてはいかがでしょうか。 ● 監査役の権限の話が常にその前提にあるものですから,この参考資料14についていい・悪いを全部やられてしまいますと,ちょっと議論が手戻りになるものですから,そちらを先に議論していただけないか,そこの議論もちょっと絡みでやっていただければ有り難い。 ● そことは直接には関係ないのではないでしょうか。今は監査役会の話ですから。 ● 「会」ではありますが,監査役の権限の話で。 ● ただ,今までは監査役会というものはないと考えられていたところに監査役会というものを置いていいかというのが(3)ですので。   ○○委員のおっしゃっている点はよく理解しております。監査役は業務監査権限を持たねばならないのかという議論ですが,その点は議論は分けてできると思いますので。 ● いや,こっちが進んでしまうと,不安で不安でたまらないものですからね。もう既成事実化してしまって……。 ● この「監査役会」というのは,これは当然,業務監査権限を持っているという前提ですよね。ですから,仮にこれを採用しないということになれば,決して○○委員の御意見についてマイナスではないと思いますが。 ● 議論に入る前提で確認なのですけれども,たしか,取締役会を置く会社と,取締役会という法定の機関を置かない会社では,株主総会の権限が違うという話だったですよね。ちょっとそこを確認をお願いしたいのですけれども。 ● それはそうですね。 ● はい。230条ノ10の適用の有無という点に関わっております。 ● そうすると,取締役会を置かない会社というのは,基本的には株主総会がいろいろな決定をし,株主総会が監督をするという組織ですよね。そこに監査役会まで置くという選択肢を認めるということになるわけですね。 ● 理念的にはそうですけれども,法定の取締役会がない会社は株主総会で何でも決定できるといっても,恐らくはそんなことにはならないので,実際問題は。だから,まあそういうことだと思います。   いかがでしょうか。結局これは,取締役会はない,常勤監査役はいる,社外監査役もいる,そういう形ですね。 ● これもそれほど大きな問題かなという感じもあるのですけれども,定款で任意的に監査役会を設置することを認めるということですから,その選択肢を全く排除しなくてもいいのではないかという気持ちがします。現実問題としても,例えば,取締役会を置かない会社で発足して,ある程度規模を拡大して監査役会を置いた上で経営していって,そのうちにまた規模が拡大して取締役会を置くというふうに発展していくという過程を考えると,先に監査役会が定款でできているということがあっても決しておかしくはないのではないかという気もしますので。まあ,置かなければならないというのとは違って,定款で任意的にということですから,この選択肢を排除しなくてもいいのではないかという気持ちはいたしますが。 ● いかがでしょうか。 ● すべてこれは任意の話ですから,ややどうかなと思うけれども,取締役一人の現在の有限会社的なところが監査役会を置き,それも単に監査役会を置くというのではなくて,先ほど○○委員がおっしゃいましたように,常勤監査役は一人置かなければいけない。半数以上は,したがって3人は監査役を置かなければいけないし,そのうちの二人は社外だぞと。その社外も,現行制度だと従来一切会社にかかわらなかった方ですよと。そんなことを特に求める実益がどこにあって,現実にどれだけ作用するのか分からないし,制度的にも,率直に言ってグロテスクだなと思いますけれども,強く反対する気はないけれども,これを入れた方がいいとも思わないという,そういう感じですので,支持者があれば反対しないけれども,これを支持される方はどういう趣旨で支持されるのか,お教えいただきたいなというのが率直な感想なのですが。自由だというのは分かるのですけれども。 ● 私も積極的支持というわけではありません。 ● 余り制度を複雑にしても,ニーズがないならば,しようがないなという気がするのですけれども,どなたか,積極的にやっぱりこれはニーズがあるんだというふうにお考えの方,ありますか。 ● 積極的なニーズがあるということでは確かにないのですけれども,今回事務局にお示しいただいた,基本的に選択肢を広げてコーポレートガバナンスの在り方を考えていくという哲学との関係であえて排除するかどうかということなのだろうというふうに思います。多分,それ以上でもそれ以下でもない。   ただ,ある種のこういう形での哲学は,私どもは非常に有り難い。今後こういう整備を自分の問題として考えていくように促していくという上で,一つの方向感としてはあり得るのかなという感じはいたします。 ● いかがでしょうか。○○幹事,何か。 ● 私も,これは入れてもいいのではないかと思うのですけれども。特に,会計監査人を置くような場合には,やはり本来監査役会の方がいいのではないかということを考えてみると,まあ排除するまでのこともないのかなという感想です。 ● 確かに会計監査人がいるような会社であればニーズがあるのかもしれないですね。 ● 会計監査人の立場から言いますと,監査役さんというのは相当の重みがある立場なんですね。ですから,そういう意味では,大会社,今までの経験でいくと相当の重みがあるということで体験していますけれども,それでも,実際,監査役さんのなり手が非常に少ない,どうしても社内から引っ張るということになると思うのです。恐らく,中小会社ですとほとんどそういう関係者になるのではないかと。社外からというと,どういう人がなるのかなというと,恐らく友達とか,恐らく全然利害がない人というのはいないのではないかと思うのですけれども,そういう中で,本当に監査役会ってすごいなと思いますね。これは会計監査人がいたってすごいと思うんですね。監査役会を相手にするというのは。ですから,本当に取締役と監査役会で成り立つという会社が中小会社であるのだろうかというのは……,まあ,すごいですね,これは。ちょっと想像できませんけれども。 ● そうすると,○○委員は,例えば株式譲渡制限中小会社の⑤の形は積極的に評価するのか,それともしないとおっしゃっているのでしょうか。 ● 実態としますと,あるのは④か⑩だと思うんですね。やはり,監査役会はなかなか難しいのではないかと。ただ, そういう会社がないとは言えませんので,特にベンチャーで共同出資でできるような会社においては,やはり共同出資で面倒を見たいというのが監査役になるというケースはあり得ると思うので,例外的にはあり得ると思いますけれども,基本的には④か⑩ではないかなというイメージを持っていますけれども。 ● 実例だけ申しますと,東北のある建設関係の会社でございますが,売上げが150億,資本金が9,800万で,外部の監査役を依頼している,複数お願いしているというケースを私は知っております。ですから,中小企業でこういうニーズはないわけではない。たくさんあるかどうかは別ですけれども,現実にはあると思います。 ● 今,○○委員がおっしゃったのは株式会社ですよね。ですから,取締役会があるんですよね。 ● それはそうです。   私が前に申し上げたのは,今度新しいクライテリアができたときに,昔の有限会社のような形で新しい会社を興して,大きくなっていくと。そのときに非常に使いやすいものですから。ただ,やはり外からの監査をちゃんとしてもらわなければいけないというので,例えば私が社長ですと,自分の息子,今どこかほかで働いているのを監査役にして,そして顧問弁護士,昔やってもらっていたけれども今は切れている弁護士を監査役に一人,それから銀行の関係で一人,推薦された人を社外で一人というようなことで,3人4人というケースは十分あるのではないか。いい会社をつくっていくための方便としては非常に使いやすい制度ではないかとむしろ思います。 ● 先ほど,この制度が分からないからいろいろなことを質問したのですが,今,○○委員のおっしゃったことは,監査役は一人でもいいというだけで,複数選んでもいいし,またそのうちの一人を社外に選んでも,これは自由にできるわけですね。これは,現在の商法特例法に考えるところの監査役会というかたい制度を法律上設けるという制度なので,これに近いものを任意におつくりになるのは自由だけれども,こういうかたい制度を設けて,それによってどのような法的効果があるのかと。だから,こういう監査役会をつくったら,例えば会計監査人がいなくても利益処分権限は取締役ですとか,そういう制度があればまたあれなのですが,この監査役会制度をつくって特別の法的効果が何かあるのかというと,恐らく何もなさそうなんですね。それをお教えいただけたらと思うのですが。そうしたら,例えば,複数置きたい,そのうちの一人を社外に置きたいと,それは自由に任意につくられて,その会社が発展すれば取締役会を設けよう,更には会計監査人を設けよう,そのときに法定のがちっとかたい形の監査役会制度を置こうと,そういう順番でやればいいのですけれども,この制度は,何か,一人の監査役,それをぼーんと,かたい形の監査役会と。これを法定する必要がこの③のところであるかというと,反対はしないけれども,要らなさそうだなというのが,先ほどの趣旨です。 ● この制度がよいかどうかということに関連しましては,確かに監査役会という制度はかたい制度なのですが,これを任意に採用すると何かと区別の効果が生じるということがもしあるとすれば,取締役会もないような会社にそういう効果を生じさせてよいかどうかという観点から我々は検討しなければならないと思うのですね。ところが,何もないのではないでしょうか。となると,これは法が何も関与しなくてもよい,多分使われないでしょうけれども,もしそういう制約要件をつけて法律を規定するとしましたら,何でこの要件をつけたのかということを聞かれたときに答えられなくなるのではないかと思うのですね。そういう意味で,こういう制約をつけない方が使えるというふうにした方が,多分,条文もすっきりと規定できるのではないかと。そういう意味で,私は,こういう選択肢があってもよいというふうに思います。 ● 何かありますか。 ● いえ,もう○○委員のおっしゃるとおりでございます。   基本的に,ニーズがあるかどうかというのはなかなか……,実際,私どもずっと公務員でやってきた者が本当に真実が分かるかというと,なかなか難しいところでありますけれども,実際に法律的な目で,今回の改正のポイントというのは,大会社になったからいろいろなガバナンスを強化しなければいけないという義務づけがあるという点はもちろん維持するのですけれども,小さいからといって,ガバナンスを強化しようとするものをわざわざ,そんなのは使わせないよと意地悪しなくてもいいのではないかと。小さいころから,資本は小さいけれども一生懸命ガバナンスを強化したような体制があるようなものも認めていこうというのが基本ポリシーとしてあります。   だからこそ,会計監査人だって,本当にいきなり会計監査人を選任するような会社があるかと言われると,恐らくニーズとしてはかなり小さいのではないかと思いつつも,会計監査人を置きたいという人たちにその道を開く。同じように,監査役会も,そういうポリシーからいくと,使わないのではないかと思いつつも,とりあえず認めると。逆に,それを禁止するならば,会計監査人は小会社に認めているのに何で監査役会だけは大会社のための宝物のようにしているのだということの合理的な理由を見つけなければいけなくなって,なかなかそれには苦慮するところでございます。 ● 今の御説明でよく分からなかったところがあるのですが,任意でつくらせる分には別に規定する必要はないので,法律上の制度として作るのであれば,そうすることによって何らかの法律効果が違ってくるから作ると。任意の制度ですので,つくったらいかんとはどこにも書いてないわけです。そういう,制度をつくってみても法律効果を特別に認めないようなものを法律制度として作る必要があるのかという気がするのですけれども。 ● 私も同じように思っているのですけれども,任意でつくれる,だから規定を設けなくても自由にできるのではないかというのが○○委員の御発言で,そのとおりだと思うのですが,プラスして,任意につくれるのだけれども,作るときはこれがなければなりませんという制約をつけるわけですよね。それの効果というのは全然ないので,では何でそんな制約をつけるのか。さっき○○委員がおっしゃられた途中まで,私,そのとおりだと思って聞いていて,最後の結論のところはどうつながっているのかというのがよく分からなかったのですけれども,制約を設けるのだったら,何か制約を設ける理由がなければいけないはずなのではないかと思うのですけれども。だから,義務づけだと今の書き方でいけると思うのですけれども,選択を認めるときに,何でこういう枠でなければだめですという選択になるのかなというのが説明できるのでしょうか。 ● 私自身は,やっぱり監査役会と名乗ってよいという,これだけだと思います。これが法的効果かどうかと言われると困るのですけれども。大会社などが使っている監査役会と同じものがあるときに,監査役会と名乗ってはいけない,複数監査役がいるだけだろうと,こういうことはないだろうということだけです。 ● 複数の監査役が任意であって,それで監査役会と名乗ったらいけないんですか。 ● 法定の監査役会ではない。 ● 会計監査人は,確かに譲渡制限中小会社に任意設置で置けるわけですが,これはそれなりに非常に強いニーズも中小企業庁等からお話があったところでありまして,会計はしっかりしなければいかんということはですね。どうも監査役会の方はもう一つはっきりしないところがありますね。 ● 恐らく,現行の監査役会の制度と,複数任意に監査役を置いた場合の根本的な違いというのは,分担をして監査できるかどうかということだと思うのです。   要するに,今,複数の監査役がいても,独任制が前提になっていますので,すべての項目について全部自分で監査をするということが前提になっていて,監査報告書も各自が書く。それを ,監査役会の制度を導入すると,最初に監査の方針をみんなで決めて,Aさんはここを中心に,Bさんはここを中心に,Cさんはここを中心にと,お互いの分担を決めながら,互いに牽制をしながらも,それぞれの深い監査をしましょうという,そういうコンセプトだったのではないかと思うのです。   そうなりますと,それを認める必要性というのは,やはり,規模の大きい会社であるからこそ監査の対象が複数にわたっていて非常に監査が困難であると。もしそれを従来型の各監査役の独任制を前提にすると,極めて表面的な,薄っぺらな監査が複数の者によって重複して行われるということになってしまうのではないかということを一つの制度目的として理解するとすれば,監査役会というのは,やはりある程度規模が大きくて監査の対象範囲が広いというようなところにこそふさわしい制度だというふうに制度設計しておけばいいのではないかというふうに考えます。 ● 分担の点は,これも監査役会という制度をとらないとできないのかというと,これも監査役会制度が法律で認められる前から,それは事実上,大きな会社でやっておられたし,それはそれで分担は法的にも認められるという見解が多かったのではないかと思いますので,その点も絶対的なあれではないように思いますね。 ● 社外監査役の社外性の要件についてはいじれないという前提なんですよね。そうすると,中小会社で,うちは社外監査役を二人置いていますと。それは,会社に勤めたことがなければ配偶者でも子供でも社外監査役だというわけですね。うちは複数社外監査役がいます,監査役がありますと言いながら,実際には子供と配偶者だったりするわけで,それは社外監査役という制度のイメージ,あるいは制度の趣旨をかえって損なうことにならないだろうかという気がするので,社外監査役の社外性の要件をいじらないのであれば,むしろかえって有害ではないかという気がします。 ● 先ほども,任意だからというお話をしたのですけれども,もし仮に定款で監査役会を設置することができるというふうにした場合に,任意に複数の監査役を選任して,監査役会ということを定款に定めて,日常,「監査役会」と言って開いているというような場合に,それがこの「監査役会」に当たってしまうということになりますと,常勤監査役が欠けたとき,あるいは社外監査役が欠けたとき,必ず仮監査役選任という問題が出てきますし,また議事録も作成しなくてはいけないということになってきますので,現実に,今,中小企業でも,定款でまで監査役会を定める必要のある会社は余りないと思いますけれども,日常,「監査役会」という呼称を使って,議事録もつくっているというような会社もありますので,もし定款で定めたときには「監査役会」という法定の機関になってしまう,ダイレクトになってしまうとすると,かなり影響が出るのではないかという気持ちがしますね。   ですから,積極的支持ではないと申し上げたのですが,そういった,例えば監査役会を設けたら登記事項にするということであれば,登記しなければこれは任意の監査役会ということがはっきりするのですが,たまたま余り意識しないで定款に監査役会というものを定めた,それによって法定の監査役会になってしまって,議事録をつくらないと罰則が適用されるというようなことになると,ちょっと中小企業レベルで言うと予測しない効果が起きるというような感じがするのですが。 ● いろいろ御意見をいただきましたけれども,ちょっと検討すべきところが多そうで,今回はやめた方がいいかなという気がしますが。 ● 1点確認させていただきますと,事務局が積極的に導入したいと考えているというような趣旨ではないのですが,例えば,株式譲渡制限大会社の欄の③と④とが今の形では選択的になっているわけですけれども,これも,④についてはやめてしまうという整理をすることになるかどうかということだろうと思います。公開中小会社につきましても株式譲渡制限中小会社につきましても,「取締役会+監査役会+会計監査人」と「取締役会+監査役+会計監査人」との両方認めるということの法的意味がどこにあるのかという話に多分なると思いますので,委員会等設置会社以外の会社については,公開大会社を除き,「取締役会+監査役+会計監査人」,あるいは譲渡制限会社については更に「取締役+監査役+会計監査人」という選択肢を認めるにとどめ,公開大会社を除いては監査役会という機関を認めないという整理になるのかどうか。監査役という選択肢を認めるということが基本的なスタンスとしてあるとすると,それと監査役会とを選択的に置いても構わないかどうかということについては,会計監査人の設置の有無にかかわらず同じような議論ができるのではないか,むしろ監査役会を置くことができないこととするためには,そのための条件設定をしなければいけないというところから問題意識を持ったというところでございまして,どちらに振りたいというわけではないのですけれども,そのあたりの整理をしていただかないと先に進まないのかなという気がいたします。 ● 今,○○幹事がおっしゃったところは,結局3の(3)の問題と5の(2)の①の会社の問題になるかと思うのです。私,その問題になる前に,先ほど3の(4)になりましたので,後ほど,今の(3)と5の(2)の問題を問題提起しようかと考えておりました。   というのは,結論だけ申し上げてしまうと,譲渡制限会社であって大会社の場合には会計監査人が強制されるわけですけれども,その場合に,監査役会,それから取締役会,そういった大会社に現在要求される機関設計を簡素化するということについては意見照会でもかなり意見が割れているという状態だと思いますので,もしその点の議論に入ってよろしければ,ここで意見を申し上げますが。 ● その点ももちろん結構です。 ● これはたしか意見照会でも,会計監査人を設置強制する会社で譲渡制限会社の場合と,設置が強制されない会社の場合--任意設置の場合--それらの場合に機関設計を簡素化するという案がa案からc案まで入っていたと思うのですが,やはり譲渡制限会社であっても大会社に該当する場合は,これは念頭に置かなければいけないのは,今,従来上場企業であったものが持株会社の100%子会社になって譲渡制限がついて,しかもなお上場当時と同じ規模・業態で事業をやっている,都銀その他たくさんあるわけですけれども,そういった会社を念頭に置いてみると,会計監査人の設置が強制される会社であるから,しかも譲渡制限であるからということでもって機関構成を簡素化するということが果たして妥当か,これはちょっと慎重にした方がよろしいのではないかという気持ちを持っているものですから,その点を是非とも御議論いただきたいというように思います。   ちょっと補足しますと,譲渡制限会社一般の問題としては,会計監査人を任意化したときには簡素化するということは容認できるかと思うのですが,大会社である以上は,やはり大会社の機関構成というものが,会計監査人の--これは○○委員の御専門ですが,リスクアプローチ監査とかそういったことを可能にするだけの内部統制システムを構築することができる,そういった機関構成というものを要求されると思いますので,そういった要請を満たすためには大会社は大会社の機関構成というのが望ましいのではないかというのが,意見照会でも相当強い意見として出ていたと思います。この点,私はそちらの方向が望ましいのではないかというように思っておりますので,ちょっと御議論いただければと思いますが。 ● それでは,この辺で休憩をいたしましょうか。   それでは,休憩いたしたいと思います。            (休     憩) ● それでは,そろそろ再開いたします。   それでは,引き続き御審議いただきたいと思いますが,どうも先ほど来の議論ですと,参考資料14の一番上の株式譲渡制限中小会社の「取締役+監査役会」というのは,ニーズも疑わしいし,先ほど○○幹事が言われたような問題もあるようなので,この③は要らないのではないかと。それから⑤も,○○委員も余り評価されないようですので,まあ,なくてもいいのかなと。   そう考えていきますと,例えば一案としては,法定の取締役会がないものについては監査役会というのはもうやめるというのはどうでしょうか。具体的には,株式譲渡制限中小会社ですと③,⑤をやめる,株式譲渡制限大会社ですと②をやめると。あと,取締役会があるものについては,積極的にあって悪いというものでもないでしょうから,具体的には,例えば株式譲渡制限中小会社の⑧は残る,それから公開中小会社の②も残るということでいかがでしょうか。先ほど○○委員がおっしゃった点はまた後で御審議いただくとして,そういう整理でいかがでしょうか。 ● 異議なし。 ● もう一度事務局から確認してください,やめるものと。 ● 私ども事務局が立法作業を進める上では,このように,どのような機関の組み合わせがメニューとして並んでいるかということを示すような条文を作るわけではなくて,それぞれの機関に関する規律を積み重ねていき,その結果として,このような選択肢がとれる,あるいは,この範囲の会社についてはこのような選択肢をとらなければいけないと,こういうふうに規定していくことが見込まれるものですから,監査役会を 置くことは任意であることを原則とした場合には,それを置くことができない場合があることとするためにはそのための条件設定をしなければならないということとの関係上,先ほどのような議論になっているということを改めて弁明させていただきます。参考資料14の現行制度との相違点の(3)のところですが,「監査役会について」の後で,「取締役会を設置していなくとも……」というのは,そのあたりの条件設定をせず,会計監査人を設置していなくても監査役会を監査役と選択的に設置することができ,それは監査の在り方として厳重であり,単に複数の監査役が置かれている場合とは違った規律が法定されているという意味では,機関設計として別に論ずる意味があるというような形での整理になるのではないかという趣旨でありました。確認いたしますと,少なくとも3人以上の取締役がいることが法定されている取締役会が設置された会社においてのみ,監査が厳重な手続で行われるといいますか,広範な監査態勢をとることができる監査役会を設けることができるという選択肢をとることとしても,会計監査人の設置の有無にかかわらず,よろしいのではないかと,こういう整理にさせていただくということでよろしいでしょうか。 ● いかがでしょうか。(3)の文章から,「取締役会を設置していなくとも,また,」というのを削除するということですね。   それでは,この点はそういう整理にさせていただきたいと思います。   それから,○○委員が御指摘になったのは,この黄色の,具体的には株式譲渡制限大会社の③のところの問題でありますが,この点については,ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。   これは要綱試案から,こういう緩和は認めていいのではないかという案が出ていたわけですね。 ● 要綱試案においては,二つの観点から,会計監査人が置かれる場合の機関設計の在り方として,公開大会社とは異なる,より簡素化された機関設計を認めていいのではないかという提案をしておりまして,そのランクはa,b,cとあったわけです。   譲渡制限会社につきましては,有限会社との一体化という観点から,既存の有限会社の取扱いをどうするかは別にしても,将来的に,今の有限会社法の下で設立されるようなタイプの機関設計を持った会社についても大規模なものであれば会計監査人の監査を強制すべきであるという思想を及ぼしつつも,内部の機関設計の在り方としてさほど厳重なものとする必要もないという,そういう選択がとれるのではないかと,またそういった御要望も強いということもあって,公開大会社よりも緩和された機関設計で会計監査人を設置することもあり得べしではないかという提案をさせていただいておりました。   ○○委員から御紹介がありましたように,一方で,会計監査人を任意に設置する場合の機関設計の簡素化というものとあわせて意見照会をさせていただき,それらについては,必ずしも同じような論調でそれらに賛成するという意見が寄せられたわけではないこともまた確かでございます。中小会社についてはともかく,大会社については,譲渡制限の有無にかかわらず,ある程度,公開会社と同様の機関設計を維持すべきであるという議論も有力であったということは事実でございまして,その点については,改めて御議論いただければと思います。 ● 従来のいきさつはそういうことでありますが,いかがでしょうか。 ● 今まで大規模有限会社でもってできていたものについて,会計監査人の規制が加わってくるというのはやむを得ないと思うのですけれども,それ以上に,取締役会であるとか監査役会であるとか,そういうものを強化するということになると,今までの事業形態の選択肢を大幅に狭めることになるものですから,もしそれができないということになると,この法の施行前にみんな有限会社をどんどんと駆け込みでつくっておくというふうなことにもなりかねませんので,是非,株式会社においてそういうふうな形態を認めてほしいと。したがって,この何番目かのものというのはお許しいただきたいと思います。   そのかわりと言っては何ですけれども,○○委員からも強い反対のありました,例の連結計算書類作成会社の完全子会社の会計監査人の設置は不要という主張につきましては,これを強制されてもやむを得ないかなと,このように思っています。 ● 微妙なバランスになっておりますけれども,その点は皆さん御理解いただいて,適当な線で折り合っていただければ大変有り難いところでございますが。   そういうことで,先ほど○○委員御指摘の,株式譲渡制限大会社の③も認めるということでよろしいでしょうか。   そうすると,参考資料14の関係は,「取締役会+会計参与」という形のものを認めるということ,これは先ほど○○委員がおっしゃっておられたこととかなり深く関係いたしますので,この点も絡めて御議論いただければと思いますが。先ほど○○委員のおっしゃった御意見の点も,ほかの委員・幹事の方,どうぞ御意見をいただければと思いますが。 ● 先ほど○○委員が最初に言われた,部会資料22の二の3の(2)の業務監査と会計監査の話も今していいということですね。   その3の(2)の(注2)ですが,改正前の小会社・有限会社の監査役の権限については会計監査権限だけを認めるというのは,これは時限的なものをお考えなのですか。そこら辺をちょっとお教えいただければと。 ● 一応,今のところは時限的なものではない,もう設立されていたら,会計監査権限のみということです。ただし,例えば会計監査人を新たな制度に乗って入れるということになれば,業務監査権限を含む監査役にならなければいけないと。そういう何か新しい制度のメリットを利用するときにリンクするということは別論ということです。 ● それはそうだと思いますが,だから,じっとしておれば,既存の有限会社と,株式会社である小会社は現状どおりと。そして,新設会社から,株式会社である以上は小会社であっても業務監査権限を義務づけようと,そういう形で現実と妥協をとろうとしているという理解でよろしいわけですね。 ● そういうことです。 ● この権限のところなのですが,私どもは,一方で,最初に○○幹事からの御説明にあったように,分かりやすさとか,そもそも「監査役」 という言葉が持っている響きということも含めて,業務監査権限を付与していくということについてそれなりには理解できるのですが,他方で,今みたいな制度ができた背景として,もともと人が得られないというようなことが昭和40年ごろに議論としてあったということが非常に広く知られているということもあって,もちろん,今回非常にシンプルな形態の会社というものが入ってくるということはあるものの,どうしても法定の取締役会を置くというふうな方というのはやはり相当数現実におられるという中で,どうして今回業務監査権限が監査役についてくるのかというのをどう説明するのかというところが非常に悩ましいところがあって,一方で,では急に立派な方がたくさんふえて,小会社も全く困難なくそういう方を採用することができるようになったのだというふうなことを言っていくのか,あるいは,コーポレートガバナンスの,最近,三菱自工とかいろいろ問題もあるので,そういうことで小会社も含めて強化をしないといけないのだというふうなあれなのか,何かやはり,どういうふうに説明をしていくのかなというのをいろいろ考えながら私も悩んでいるところがあって,決してただもうやみくもにということではないのですけれども,そういうことを考えていくと,ここにあるような何か選択みたいな形があった方が……。もちろん,デフォルトとして業務監査権限がつくのが原則だということはあるにしても,何かそういうふうな感じのことの方が全体の説明としてうまくいくのかなというところがあって,私どもは,この法制審議会の中での御議論は非常によく分かる部分がある一方で,現実に外に出ていってそういう人たちといろいろ議論をし,また説明をしていくという責務も担うものですから,実はそこのところが一番悩ましいところなのです。   そこら辺のところ,どういうふうにお考えなのかというのが分かるとあれなのですけれども。 ● 問題は,特に現在小会社である株式会社ですね。取締役会があって,それで会計監査だけの監査役を置いていた会社についてどう説明するかということだと思います。 ● 今のお話ですけれども,中小会社について言えば,今回,非常に選択肢が広がったわけですね。「株式会社」という名前を使っておきながら,監査役を全く置かないということもできる。   それから,この点はついでになのですけれども,参考資料14で,株式譲渡制限中小会社のうち,「取締役+会計参与」というのは書いてございませんけれども,これは当然あるということですよね。 ● ああ,そうですね。 ● その選択肢もありますし,「取締役会+会計参与」の選択肢もあるし,このように多様なメニューがある中で,会計監査だけを行う監査役というものをなくしたらどうかということなので,実際にはそんなにお困りにならないのではないかということでお話ししていくことになるのではないかと思うのですが,そのこととの関連で,部会資料22の3の(2)の(注2),先ほど御質問のあったところなのですけれども,私は,既に監査役に就任していらっしゃる方については途中で変えないということもあるかと思うのですけれども,ずっと永遠にこのような二重の制度が続くようにするのもいかがなものかという意見を持っているのですが。 ● なぜ監査役に業務監査権限を付与するのかと。   昔,確かに改正時に,人材が得られないということで小会社については会計監査権限に限定されたという経緯はもちろん存じておりますけれども,当時は,当然,監査役の設置強制がかかるということを前提にして,では業務監査権限まで任せられる人はいるのか,なかなかいない,だから会計監査権限でいいではないかと,こういう議論だったように思うのです。当時の資料などを見ますと,中小企業団体等から,そもそも監査役のない制度を導入してほしいというような要望があったところでございまして,そういったような中で,監査役のない制度はつくらない,監査役は設置強制,けれども会計監査に限定するというような妥協が得られたと。ところが,今回は,正に監査役のない株式会社形態というものを認めましょうというところが出発点になっているわけですから,当時とはよって立つ基本的な視点というものが当然変わってきているのではないかと。これがまず第1点でございます。   第2点としましては,監査役ということについて,では資本金の大小によって業務監査権限があったりなかったりするということが本当に論理的な説明としてできるのか。現行法はそのような妥協の中でできていますけれども,今度,新しい制度でなおかつ監査役を任意設置にしているにもかかわらず会計監査権限に限定するというところの説明がいかがなものかというのが第2点です。   第3点目といたしましては,これは中小企業団体や中小企業庁が前々からおっしゃっていますように,小さな会社も大きな会社も基本的には連続的に発展していって,なるべくそこに差を設けない,レッテルを張らないというようなことを,今回の改正では目指しております。そうすると,ここで中会社についてまで会計監査権限に限ってしまうような選択肢というのもないとは言いませんけれども,そういうガバナンスが緩くなる方向ではなくて,きちんとしたガバナンスを中小会社にもやるという前提でいきますと,本当にこの会計監査権限のためだけに「小会社」という概念を残していいのかと。もしそうした場合には,これは資料の方にもありましたけれども,そこで言う小規模の会社というのにむしろもっといろいろなところがくっつけられるのではないかと。後で議論しますが,今は,例えば有限会社的なものとか,いろいろな特別なものを「譲渡制限会社」という枠の中で広く,大中小にかかわらず認めていこうというようなポリシーでやっているところが,ここに一つ,「小会社」というカテゴリーが出てきてしまうと,こういう特殊な,株主に特別な定めなどというものはむしろ「小会社」という類型の方にふさわしいものではないかということで,今まで議論されていた1種・2種問題というものが勃発してしまうのではないかと。そのような点を広く考えていきますと,もうここは「譲渡制限会社」という一つの枠でなるべく規律をそろえていき,特別にこの監査権限のところだけを「小会社」という形で区別するということはいかがなものかというようなところを考えて,今のところ,こういう御提案をさせていただいているところです。 ● 特にほかの会社との区別みたいな問題との関係で申し上げますと,もちろん,今みたいに,そもそも会計監査しか権限がないという状況であれば明らかに区別があるわけですけれども,例えばここで提案されているように業務監査を実際にやろうと思えばできるという形になっていれば,少なくとも差別だとか何とかという議論は多分あり得ないはずなので,そこはちょっと関係ないとは思うのです。   それ以外の論点も,もちろん,これは,どちらの側から問題を見るかというあれでもあるのですけれども,例えば,今回,会計参与と監査役というのが並んで選択肢としてある。会計参与というのが実際どういう形で現実の制度になってくるかというのは私もよく分からないものですから,その選択というのがどの程度本当の意味での選択になっているのか。それから,会計参与もコストとかを含めて当然いろいろな負担があるという意味では,監査役がないということとは明らかに違うと思うのです。それから,権限のことでも,会計参与の方は逆に会計のことしかやられないということからすると,もちろん,それとの違いという意味で監査役の方は業務監査を付与するということもさることながら,逆に言うと,会計参与を置いた会社の形態では,業務監査の方は,今たしか取締役会の議事録の閲覧というようなことでそれを補完するというような考え方をとっているわけで,それと同じようなことを監査役について考えられないのか,もし会計監査しかやらない監査役を置くなら,例えばそういうものでもって補完するとかいうようなことがパラレルに考えられないのかというようなこともあるとは思うのです。   ですから,そういう意味で,方向感として,業務監査を付与していく,そしてそれができるだけ原則であるような形にしていくというのはあれだと思うのですけれども,もう少し選択肢を広げるということの一歩先で,例えば今のような考え方がないかというのもあるのではないかとは思うのですけれども。 ● そうしますと,○○幹事のおっしゃった案は,例えば,会計監査だけをやる監査役というのは資格制限も設けるというようなことになってきますかね。会計参与とパラレルということですと。 ● 資格制限というところは全然考えずに,むしろ業務監査に相当する方の権限の手当てという方のあれなのですけれども,もし仮にそういう議論が出てくるのだとすると,それはまた評価としては違ったあれもあり得るのかもしれません。 ● 専門能力がなくて会計監査のみをやるというのは,やっぱりこれは分かりにくいですよね。 ● 論理というよりは若干実態のお話をしたいと思うのですが。   これは大会社でも中小会社でも,監査役になっている方で,その社員であった人というケースがたくさんあるのですね。非常に卑近に言えば,社長から給料をもらっていて,それで取締役会に出席して一々業務の進行状況についてチェックして,後で責任を問われますからそれはだめだ,あそこの部署でこんなことをやっている,そんなものはおかしいということを言っていくのかと,これは現行制度に付随した問題点がまずあるわけですね。なかなかそこがそううまく動いていない。これは一部上場企業でも,私,知っていますけれども,そういうことにはどうもなっていないケースが多いと思うのです。社長・会長の前でそんなことを言えるという話ではない。中小会社に至ってはもっとそうだと。   中小会社にとっては,今度は株主が,御案内のとおり譲渡制限で,ある意味非常に限定されていますから,監査役が業務の監査をしなくとも,株主は非常な関心を持って,ある意味で株主の権利と義務だと思うのですけれども,より小さい企業ではより深く常日ごろチェックをしなければいけないと。   そういうことの全体のバランスを見て,中小会社については業務監査権限はないという,前回,妥協とおっしゃるかもしれませんけれども,あるおさまりがあったのですね。そのおさまりを前提にしてみんなやってきている。それは当たり前だと。もちろん,中小会社についてトラブルがゼロだなんて言うつもりはありませんけれども,特段それで,だからどうのこうのと,監査役に業務監査権限があるかないかによってトラブルの量が変わっているという分析も聞いたことがありません。   もう一つ実態のことを,将来のことを言わせていただきますと,会計参与について,先ほど若干意見を留保したわけでありますが,こういう書類の保存とか開示の義務というようなことになると,これは○○委員が御専門でございましょうが,私の心配は,会計参与になっていただくということを会計士とか税理士にお願いすると,これは責任が物すごく大きくなりますし,業務量も増えるわけですから,当然,2倍いただきますよと言うかどうかは分かりませんけれども--分かりません,1.5倍かもしれません,1.1倍かもしれません,3倍かもしれません,分かりませんが,やはりある意味でコストに相当響いてくるだろうと。コストに響いても,ここは業務監査権限がないのだから,取締役会にうるさいやつが出てきて,うちの部長が何やってる,うちの専務が何やってるなんていうことについて一々取締役会で文句言われるのもあれだから,金を出してもそういう道を選んだ方が得だという判断をする経営者もいるかもしれませんし,一方,文句は言われても若干給料の安い監査役で業務監査権限がついているやつを選んだ方がいいという選択をする,この二つの道しかないわけですね。これは先ほどの繰り返しになって申し訳ありませんが,どちらをとっても企業にとっては現実的な負担が増える。先ほど○○幹事からもお話がありましたが,私のところはそれを傘下の企業に,こうこうこういう理由だから,こういう社会の変化があったから,この会社法がこう変わるのだという説明をしなければいけないわけですよ。この二つの選択肢しかなくなったのだと。私は,それはちょっとできないのではないかと思うのですね,社会的な反響から言って。それはおかしいのではないか,いずれにせよ企業負担をふやす仕組みではないかと。今,この時代,全体として少し緩和の方向なので,何か社会的に大きな変化が起こったからここを変えるという説明をしていただかないと,ちょっと難しいのではないかと。これは法律論ではなく,実体論でございます。 ● 今の○○委員の御意見を伺っていますと,中小企業に対して,参考資料14の株式譲渡中小会社の⑥と⑦の選択肢のどちらをとるのかということを迫られている,それで説明に苦しいというお話だったと思うのですけれども,私,先ほども言ったことなのですけれども,最大の違いは,①の選択肢が可能である,しかも,従来これは「有限会社」という名称を使わないとだめだったわけですが,「株式会社」の名称のままで①の制度をとれるというところが最大の変化だと思うのです。 ● 株主総会の権能を制約するかどうかというところで①とそれ以外のものでは大きな差があって,例えば利益相反行為について一々株主総会でやる,取締役全員が株主で,それしかいなければ,じゃあやるよと言ってすぐに株主総会をやればいいのですが,そういう会社もたくさんございますし,もう少し株主の範囲が広いものもあります。私の知っている例を言えば,少し大きくなった会社というのは,必ず取引先の方に株を持っていただくとか,関連会社に持っていただく,古い友人に持っていただく,お父さんの友人に持っていただくとか,いろいろな関係があって,そこはちょっとこの①をとり得ないというケースは当然予想されるので……。とれるものもございます。○○委員の御指摘のとおりです。そこはそれでいけるのだと私は思って,これは有り難い選択肢がふえたというふうに思っております。あるいは,有限会社のままの「株式会社」という名称のものができたという大変なアドバンテージをいただいたと思うのですが,それ以外のものが,こういうふうにすべてのケースを考えていくと,ちょっと荷が重くなる部分が結構あるなと。   もう一つは,繰り返しになって恐れ入りますが,会計参与という仕組みは非常に興味深くて,いい制度になる可能性があるなという認識をしているのですが,オルタナティブとしてこっちかこっちという選択肢しかなくなると,両方とも荷が重くて,一長一短あって,なかなか難しい。これも繰り返しで済みません。なぜ今までなかった権限をここでオールオーバーに全部付与するということになるのか,そこの社会的な説明ができるのだろうかということを申し上げているのです。アドバンテージがあることは認めます。 ● ほかにいかがでしょうか。   どうも非常に議論が対立していますので,恐らく今日は,これをやっていると夕方までやっても決着がつきませんので,ある程度のところで切り上げざるを得ないと思うのですが,そうなりますと,この(注1)に書いてありますけれども,「一定規模以下の会社」というけれども,「一定規模」というのは本当に切れるのかという論点。それから名称ですね。もし○○委員がおっしゃるような案を認めるとすると,「監査役」という同じ名称で,ある場合は会計監査権限しかない,それを区別できるのかという問題とか,技術的な問題がありますので,そういう点について今日議論を出しておいていただけると,事務局が考えるにしても参考になると思いますので,是非そういったところの御議論もいただければと思うのですが。 ● 規模については確たるあれはありませんが,名称については,そういう意味では現在でも若干,会計監査のみの方も含めて「監査役」と呼んでいる事実があるわけですので,あえて名前を変える必要はないような気がしております。 ● 現在は会社規模ではっきり分かれておりますからね,そういう権限だというのは。それが選択によってということになりますと……。   現に,今までだと,会計監査だけの権限だと,会社が倒産しても監査役の第三者に対する責任というのはほとんど 追及されないわけです,任務懈怠はないということになって。そういうところでも大分違ってきますので。 ● そういう意味では,何らかの開示のようなものとパッケージというような議論になるのかもしれないとは思いますが。 ● そういう技術的な点についてはいかがでしょうか。   それでは,特に今御意見がないようでしたら,また気づいた点は,事務局に,ほかの手段を通じてでも,是非,こういう問題があるとか,こういう解決策があるとか,そういう御意見をお寄せいただければと思います。   そうしますと,機関設計の原則の点は今ぐらいでよろしいですか。 ● どこで質問させていただいていいか分からなかったので,時宜に後れたかもしれないのですが,部会資料22の二の1と2に関しまして,いわゆる1種と2種の区別,つまり取締役会を設置した会社となるかどうかという線引きのところについて確認の質問をさせていただきたいのですが。   1のところで,これは取締役だけの会社を前提にということだと思いますが,1の(2)で,「株主総会は,原則として,いかなる事項についても決議することができる」と。それで,(4)の(注1)のところで,任意の取締役会をつくって,「業務執行の決定をする旨等の定款の定めを設けることができる」,そして,(5)で,「定款をもって取締役の互選により代表取締役を定める旨」を定めることができるというふうにあるわけですが,「2 取締役会等」の(1)で,「定款で,株主総会の権限を法律上制限し,取締役の各自業務執行・代表権を喪失させ,現行法と同様の規律に」服させると,これが要するに取締役会を設置したことになるというふうにあるわけですが,確認させていただきたいのは,どういう定款の定めをすると取締役会を設置したことになるのか,要するに2種の会社になるのか。つまり,1を見ますと,業務執行については,定款によってかなりのところまで,いわゆる任意の取締役会で決めていいということをしていいと言っているわけですが,それと230条ノ10の適用関係というのですか,1種はどこまでやれるのでしょうかという,そういう質問なのですけれども。 ● 「1種」は消滅しておりますので,「1種」・「2種」という表現はもう使わないということを前提にお話しいたしますと,どう定めるかというのは,法制的にどう組み立てるかだけにかかわっていると思うのですけれども,例えば,今で言う 取締役会,法定の取締役会を定款で定めた会社というような形で規律すれば,その取締役会を定めると230条ノ10のような規定が適用されるというふうに書いていけば,自然と今と同じ制度設計になりますので,そこはどんな順序でやってもいいわけですね。「定款で今の230条ノ10のような制限をした会社は,取締役会を設置しなければならない」でも,それは順番はどっちでもいいのかもしれませんが,分かりやすいのは,「法定取締役会を設置した会社は,230条ノ10が適用される」というような構成が分かりやすいのかなというふうには思います。 ● ということは,名前だけのことであって,定款で非常に自由な設計をすることは可能であると考えてよろしいわけですね。 ● そういうことでございます。 ● 今の御質問に関連してなのですが,この2の法定の取締役会を設けた会社というのは,登記上は区別されるのでしょうか。 ● これは恐らく登記上区別することになると思います。 ● よろしいでしょうか。   最初に戻りまして,今まで出ていない論点について御審議いただきたいと思います。   今もちょっと出ましたけれども,「二 株式会社の機関設計」の1の(4)の(注1)の今の部分ですけれども,「任意の取締役会」と言われているものについても現在の有限会社法26条に相当する規定を設けると。つまり,「任意の取締役会」というものをつくっていいと。そうすると,取締役の過半数というのと手続上数がちょっと違ってくることがあるのですね。過半数出席すればいいわけですから,過半数出席というのはその過半数でいいわけですから,実際は取締役の過半数の賛成がなくても意思決定できるという可能性が出てくるという話だと思いますが。それを明確にするということですが,この点はよろしいでしょうか。   それでは,あと,1のところで新しい論点は,一番下の(6)の点で,監査役を設けない株式譲渡制限会社の株主の違法行為差止請求権の要件については,現在,監査役の差止請求権と株主の差止請求権の要件が違っておりますが,これを監査役並みにするということでありますが,これはいかがでしょうか。 ● ちょっと質問したいのですけれども。   この(6)との関係で,現行の,先ほどもちょっと,3の(2)の(注2)のところで,もしこの提案が通っても,「改正前の小会社・有限会社の監査役の権限については,なお従前の例による」というわけですけれども,この場合にも,この監査役の方は業務監査権限を持っていないわけですが,この(6)というのはこちらの方には影響を与えないという整理なのか。それとも,業務監査権限がない以上は,株主の違法行為差止請求権を広げるというところを首尾一貫して,このように変えようというふうにお考えなのか。どうでしょうか。 ● 御指摘の点は確かに非常に重要な御指摘だというふうに認識していますけれども,経過措置を置く理由というのが一体何かということは,要するに,現行の会社形態のものは現行どおりにやって混乱を抑えましょうという話であることから考えてみますと,確かに,論理的に,会計監査権限しかないならば,この差止請求権もこの(6)のようなものにしなさいというのも分かるのですが,そこもやはり現行どおりという選択肢もあり得るのかなと。そこはちょっと,現在の実務,現在の会社経営をされている方の御意見などを参考にしながら検討したいと思います。 ● この点は,株式譲渡制限をとにかくしておれば取締役会を設けなくてもいいとか,監査役も置かなくていいと,そういうふうにかなり自由になりますので,株主の権限を差止請求権の面では強めなければいけないのではないかということで出てきておりますので,○○幹事が御指摘のように,これは正に要件の決め方の点が一番重要なんだと思うのですね。前から○○委員,○○委員がおっしゃっているように,相当大規模な会社もあるのに,そういう会社が極端に言えば取締役一人で何でもできると。株主総会で何でも決められるといっても,それは実際余り機能しないでしょうから,そこでこういう案が出てきているので,要件の決め方のところが一番重要だと私も思っております。どういう会社にこれを認めなければいけないかと。 ● 今の○○幹事の意見に関して言えば,今回,経過措置の決め方が非常に重要になるだろうと思うのですね。しかし,基本的には,経過措置を含めていつまでもこういう複雑なものが何種類も残るということがないように配慮していくという方向を考えなくてはいけないのではないか,当面は仕方がないかもしれないけれども,というふうに思います。   それと,小さなことなのですけれども,現行法の275条ノ2の方におきましては第2項があり,これが株主の差止請求権の272条と違うところですが,内容的にどこが違うのか,私,ちょっとよく分からないのですけれども,今後ともこの区別は設け続けるという趣旨のことをお考えなのでしょうかということです。質問です。 ● この2項はどうなんですかね。 ● とりあえず,現在俎上に乗っておらないものはこのままというふうになると思いますけれども。 ● 「回復スベカラズ」か,「著シキ」か,そこの違いだけ変えるという趣旨のようです。   細かい要件の点はなお検討するとして,基本的には,何らかのこういう株主の差止請求権を,ある一定の会社については緩めるということでよろしいでしょうか。 ● 異議なし。 ● 今ここでこういう検討が可能かどうかよく分からないのですけれども,一つ大変不便な思いをしているのが,「取締役」という名称が,取締役会の構成員としての取締役のことを言うのか,業務執行権限を持っている取締役のことを言うのかということが,昭和25年改正以降特にだと思うのですけれども,条文の上でも非常に分かりにくくなっているのではないかと思うのですね。特に,今回いろいろなオプションもふえて,取締役といってもいろいろな取締役があるということになりますと,もう一律,業務執行権・代表権を有する者の名称の方をむしろ逆に変えることによって整理し直すというようなことは考えられないものでしょうかということです。 ● これは恐らく,今,事務局と内閣法制局でいろいろやっておられる中でも出てきているのではないかと思うのですが,どうなんでしょうか。 ● なるべく明確に分かるようにはしたいと思いますが,名称問題は,事務局限りでやるというよりも,むしろ内閣法制局の方でかなり練らなければいけない問題でございますので,ちょっと,努力しますという程度しか,今のところお答えできないと思います。 ● しかし,法制審議会で強くそういう意見が出ているということであればサポートになるかと思います。 ● 最も大胆な発想をするとすれば,むしろ逆に,どうしても会社にとってなくてはならないものとして,株主総会と,業務執行権・代表権を持つ者の2種類ですよね。これに加えてほかのものをいろいろオプションでつけていきますという設計になっているわけですけれども,各自業務執行権・代表権を持っている者こそ「代表執行役」というような名前にしてしまって,あと,委員会等設置会社でない場合には代表執行役は取締役の中から選ばなければならないとだけするとか,そういうような発想法も考え得るのではないかという気がいたします。 ● それでは,先に進ませていただきまして,2の点につきましては先ほども御議論はいただいたのですが,特に(2)の点で,会計参与ですね,これについては,先ほど,○○委員の問題提起の角度からは審議いただいたのですが,ほかの,そもそもこういう会計参与を置けば取締役会があっても監査役を置かなくてもいいという,そのこと自体については正面から御議論いただいていないと思うのですが,この点はいかがでしょうか。先ほど来御指摘もありますように,業務監査権限があるものはもうないという形にはなるわけですけれども。 ● 現実的な負担とか,あるいは機能という面はちょっとさておきまして,理念的な問題としまして,この会計参与というのは,先ほどからいろいろと御質問したりお答えいただいているところによると,監査と業務執行という一つの--業務執行は監査をされる側という立場になるわけですけれども,そういう分け方をすると,会計参与はどちらかというと業務執行の分野の機関であろうと思うわけですが,それに対して監査役あるいは三委員会というのは,特に三委員会は監査委員会が中心ですけれども,監査機関ということになるわけで,このイ・ロ・ハの三つを一つ選択するという制度設計というのはどういう理念なのかということですね。現実問題を抜きにして,理念として,定款の定めを設けて取締役会を設置した譲渡制限会社の監査制度をつくろうという理念なのか。あるいは,そうだとすると,業務執行の部類に属するものを選択した会社においては監査役も三委員会もなしでよろしいということになると,取締役会があって監査機関がない,そういう制度設計を認めるということになるわけです。   ですから,この会計参与というものの性格づけが,先ほども具体的な権限がどういうふうになるのかというようなことを御質問しましたけれども,それによって理念的な面に相当影響するという感じがいたしまして,業務執行の部類に属するものだという性格づけをすると,果たして監査役との選択の対象としていいのだろうかという問題をちょっと感じるわけです。そうではなくて,例えば監査・業務執行よりもより上位概念という意味で,要するに計算書類の信憑性を確保する制度というとらえ方をすればまた別なのかもしれないのですけれども,そこまで行くと,やはり取締役と共同して計算書類を作るという会計参与が監査役の代わりになるという制度設計というのは果たして妥当なのだろうかという疑問を,理念的な問題としてどうしても持つわけです。   それ以外に,現実の問題として見れば,会計参与を置いて,なおかつ監査役を置かなければいけないということになると,また中小企業の皆さんたちから,それはますます負担だという御意見が出るかと思いますから,これはまた別の議論ということになろうかと思うのですが,まず理念の問題を固める必要があるのではないかなという気持ちでこれを読ませていただいたわけです。 ● 会計参与というのは監査は行いませんので,要するに,いわゆる監査役のかわりの監査を行う機関として位置づけているわけではございません。   ただ,株式譲渡制限会社という株主の監督がある程度及ぶと思われる会社,かつ取締役会が置かれて株主総会の権限が制限されているという会社においてどのようなガバナンスがいいのかというところで,会計面と業務執行面と二つの側面で何らかのガバナンスを確保しなければいけないのではないかと考えました。   その一つの方法が,監査役というものに業務執行監査権も含めて会計監査も両面で外部的に規律するというアプローチと,もう一つは,会計参与という,これは確かに一般の取締役と共同して作成するという意味では内部の機関ではございますが,一方では,公認会計士や税理士という資格を持ったいわば社外的な立場の人間がその書類を作成するということで,計算書類の内容の信憑性,信用性というものがかなり増すものになるのではないかと考えております。そうすると,計算書類の面であえてプラス会計参与を入れているにもかかわらず,必ずしも会計知識が豊富とは言えないような監査役の監査を再度させるほどのことはないのではないかと。それをやれば当然コストアップという問題も生じますし,そこの部分は,自律的な計算書類の信用性確保という点で確保していくと。そこが,会計参与を置けば監査役をあえて置かなくてもいいということの趣旨でございます。そして,そこの足りない業務執行部分については,株主による直接の監督というものをより強化していくという点でフォローしていくと。そうすることによって全体としてはバランスのとれたような制度にならないかということがこの趣旨でございます。   あと,現実問題としては,監査役というものが業務執行監査権限まで付与されるということになれば,今まで例えば税理士を監査役にされている会社というのも多数あると聞いておりますが,それこそ税理士が業務監査までやるとなると,自分はちょっと監査役までは受けられない,正に人材が得られないというのは,実はここがまず出発点としてあったというふうにお聞きしておりますので,そういったようなもののニーズの受け皿として,この会計参与型のようなものも必要なのかなというふうに考えております。 ● 余り概念法学的な議論をするつもりはないのですけれども,今おっしゃったようなことは趣旨としてはよく分かるのですが,ただ,定款の定めで取締役会を置いた譲渡制限株式会社というのは,これは株主が直接ガバナンスをするということを余り想定しないで,所有と経営が分離された会社を想定しているわけですよね。   おっしゃったように,会計参与というのは,監査ではないけれども,会計についての様々なチェックをして,会計帳簿あるいは計算書類の信憑性を確保するという制度ということになると思うのですが,一方,監査役の場合には,業務監査権限を持っているということを前提にしての選択肢ということになっていると思いますので,そうすると,会計についての信憑性の問題と,会計は何らかの別途の信憑性を確保するとしても,業務監査ということをやる監査役と別の次元の問題を選択肢にしているのではないかというような見方をされるおそれがあるのではないかということを,私,感じるわけでして,これ以上余り議論するつもりないのですが,対社会的にその点の理解が果たして整合性のある制度だろうかという疑問を提起されるのではないかなということをちょっと感じているわけです。 ● おっしゃるとおりの若干のずれはあるのですが,そこで先ほどの(6)とか,それから2の(2)についております(注1)とか,いろいろな手当てをして,おっしゃるように,一応,所有と経営が分離している会社について,そういう場合にも何らか株主のコントロールを強める形でその点は何とかならないかということをこの案は考えているということであります。 ● 概念的というか理念的なところを申し上げたので,現実に機能するという意味では,今,○○委員なり○○関係官がおっしゃったような機能をしていくことは期待できるだろうというふうには思っていますけれども。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 譲渡制限中小会社の監査役の権限が業務監査になるか,会計監査権限だけで終わるのかがまだペンディングですので,それとの関係で,この⑥と⑦の整理は,⑦の監査役は業務監査権限を有するのだという前提でお考えになっていると。だから,⑦の監査役の一部が会計監査になるという場合にはまたちょっといろいろと調整する必要があるという留保だけはつけさせていただきたいなという気がいたします。   そして,理念的には今の○○委員がおっしゃるとおりだと思うのですが,小さな会社でも監査役を設ける以上はきちっと業務監査をしていただこうと。しかし,それだけではなかなか難しいので,会計参与制度を導入しようと。そうしたら,現在の資格のない監査役の会計監査よりは実質的にプラスになるかもわからないという,そういう実利を重んじると,一つの方法かなと思いますけれども,繰り返しになりますけれども,⑦について根本的にこの前提が違うと,またいろいろと整理するということになるのだろうと思います。 ● 確かに,これは先ほどの点がペンディングでありますので,この点も最終的には決められないということかと思いますが。   では,大体今のようなところで,今日のところはよろしいでしょうか。   それでは,先に進みまして,3の点については先ほどで大体御議論いただいたということで,よろしいですね。   4についてもそうかと思います。   「5 会計監査人」のところに入ってよろしいでしょうか。   それでは,この「会計監査人」の「(1) 会計監査人の設置」の「① 設置強制の範囲」についてでありますけれども,この点についての御意見,いかがでしょうか。 ● まず,「① 設置強制の範囲」ですけれども,これは前に私どもが意見を申し上げたのですけれども,どうも今回はそれについては触れないということのようですけれども,やはり今の日本の企業の現状を見ますと,なかなか問題が多い会社が多いということで,できれば,今後の見通しとして,この範囲の拡大,特に資本金3億円以上,負債60億円以上ということを私どもは申し上げておりますけれども,やはり何らかの手立てを今後考えていくべきではないかというところは,一つ何らかの形でお残しいただければと思います。   それから,(注4)につきましては,○○委員のお話もあって大変有り難いと思っておりまして,これは是非現行でお願いしたいということで,賛成を申し上げます。 ● (注4)の点につきましては,従来,意見が分かれておりましたが,意見の一致を見たようで,大変有り難く存じております。   ほかに,この点については。 ● (注4)はこれでよろしいかなと思うのですけれども,会計監査人の設置強制の今の基準,○○委員の資本金3億,負債60億というのは,私ども,資本金を基準にするというのがまだ分からない,負債基準だけにしていただきたいと思っているわけですけれども,資本を基準にして会計監査人の設置を考えるというのは,そもそも立法趣旨はどこにあったのか,○○委員からお教えいただきたい。 ● これは,やはり一番分かりやすい基準だということなのだと思います。   それから,実質的に考えますと,200億,これを考え直すということであるとまた別なのですが,現在どっちが厳しいかというと,恐らく日本の企業の実態だと5億円の方で引っ掛かっている会社の方が圧倒的に多いわけでありまして,これをやめるということは,相当実質を変えるということなんですね。 ● その5億があるものですから,本当は自己資本比率を高めた経営をしたいのだけれども,4億9,000万円にとどめ,あとは負債で持ってしまう。何を規制しているのか分からなくなるのですね。結局は債権者の損にもなってしまうということなものですから。5億というのが例えば20億ぐらいに上がると,会計監査人のことは考えなくてもいいわけで,資本を充実していけるというふうなことにもなるものですから,本当にどちらがいいのかというのを是非考えていただきたい。職域論争とは別にやっていただきたい。 ● これはもう○○委員と実質正反対の御議論をしておられるわけで,そこには手をつけないというのが現在の案でございます。 ● では,けんか両成敗でいくと,こういうことですね。 ● ちょっと今回は,そこまではできないということで。 ● ○○委員のお話ですけれども,4億9,000万でとどまっているならば,むしろ3億まで資本金を下げて,会計監査人の対象にした方がいいのではないかと。その方がより資本が充実されるというふうに思いますけれども。 ● そういうことで,両方から御意見があることは承知しておりますが,ちょっと現在見直すのは難しいということでございます。   先に進んでよろしいでしょうか。   次に,5の「(4) 会計監査人の会社に対する責任」の点でありますが,この点は従来から議論があるところですが,いかがでしょうか。 ● 済みません,(4)まで行ってしまったのですが,(3)で,私どもは,不適法意見と,それから手続が十分にできなくて意見差控えの場合がありまして,それも載せてくれないかという提案をしているのですけれども,そこは是非考えていただきたいと思うのですが。 ● 特に御異論がなければ,特に法制的に問題だというような面はありませんが,ここら辺は委員の皆さんの御意見をいただきたいと思いますが。 ● いかがでしょうか。   特に御異論がなければよろしいのではないかと思いますが,いかがでしょうか,○○委員の御提案で。--それでは,意見差控えも(3)に加えるということでよろしいでしょうか。 ● 異議なし。   済みません,(2)の(注3)もよろしいでしょうか。   ここで言っている意味というのは,監査役会を組成しなくとも,公認会計士と監査役とでもって確定権限を与えるということを言っているわけですね。これは監査役設置会社は非常にいいのですけれども,委員会等設置会社との比較からすると,平等性というのが極めて阻害されているような気もするのですけれども……。   これはどう読むのでしたっけ。取締役会があって,監査役が1名いて,それで会計監査人がおれば,そこで適正意見があれば,例の定款の定めによるのでしょうけれども,いわゆる利益処分の確定権限を全部有するということですよね。社外監査役が一人もいなくとも,常勤がいなくとも,複数でなくとも,ということを言っているわけですよね。 ● はい。 ● これは,ここまで規制緩和をしていただけると有り難いのですけれども,どういう趣旨でございましょうか。違うのですか。 ● 大会社じゃないですよ。 ● 譲渡制限大会社ですね。 ● 譲渡制限のある会社,それで監査役会がなくとも確定できるわけですか。その思想はどういうことなのですか。 ● ここが正に前回の最後に私が質問したところにかかわっているわけで,譲渡制限をしている大会社の場合で監査役会が強制されないことになるのでしょうか。それで,その結果,そういう会社でも利益処分権限を取締役会に移すことができるということになるのでしょうか。そこの読み方がはっきりしなくて,前回,最後に質問したのですが。何か前回の質問では,大会社である以上は現行法と同じように監査役会が強制されるというお答えだったように伺ったものですから。それをまず確認したいと思います。 ● 公開大会社については現行法の機関設計に変更はないということは申し上げましたけれども,利益処分権限に関しては,計算のところで別途御議論いただいておりましたように,会計監査人を設置している株式会社であって取締役の任期を1年としたものについて,定款の定めによってこれまで議論されているような扱いを認めるということで,特に監査役会の設置を要件とはしていない議論をこれまで進めてきていただいたと理解しておりますので,今更何を,という感じがするのですけれども。 ● そうでしたっけ。いや,有り難いというか,有り難いと言っていいのかどうか分かりませんけれども。 ● そこまでのインプリケーションがあるとは理解していなかったのですが。   大体,実質論からして,そういう場合に,単に会計監査人が入っているということで,利益処分権限をそこまで株主総会から取締役会に移していいということまで……。 これは長いことペンディングにして議論してきたところで,私は,やはり,実質的なガバナンスがある程度充実しているということが,取締役会に移してもいいということの前提になっているように思っておりましたので,少なくともここまで緩和すると問題があるのではないかという気がしております。 ● そうすると,御趣旨は,今申し上げた要件について,更に監査役会が設置されていることというのが要件として付加されるということでしょうか。 ● 現行法のもとでは,大会社である以上は監査役会が強制されるわけですよね。その現行法の線をより後退させることはないと前回おっしゃったことから,大会社である以上は,たとえ譲渡制限会社ということになるにしても,少なくとも監査役会が強制されることになって……。 ● いや,それは監査役でもいいんだけれども,監査役会を置かなければ確定効果はあらわれないと。ガバナンスは今ここに書いてあるように自由にやっていただいていいわけですけれども,計算書類を確定したりするようなところというのはやはり監査役会がなければ,三委員会との関係からすると,理屈が--これこそ,○○委員の言われる,理念が全くないようなものになってしまうと思うんですよね。 ● 計算書類の確定と剰余金の分配と二つありまして,計算書類の確定の方は,実は監査役会制度ができる前からあったのですね。公開大会社につきましても。だから,こちらの方は,譲渡制限会社についてですけれども,昔に戻るということですが,確かに剰余金分配までいいかというと……。 ● 「現行の会計監査人を設置している株式会社」と書いていらっしゃったので,そもそも,まさかそんな権限までお考えになっていらっしゃると読んでいなかったのですが。「現行の」というのは一体どういう趣旨なのかというふうに思いながら読んだことは事実です。 ● 現行の商法特例法16条を想定して,計算書類の監査・確定は取締役会でできると。監査役会を置いていなくても,監査役だけであっても,商法特例法16条に従って計算書類の監査・確定は取締役会でできると。剰余金分配については,商法特例法16条の場合も取締役会で確定するということは規定していないですから,株主総会が確定すると,こういう趣旨の(注)なのではないですか,これは。 ● 私もそう思ったのですけれどね。 ● 当然そういうものだと私は理解して,疑問に持たないでずっと来たのですが。   要するに,16条の監査役会というのが監査役に軽減されて,効果は同じと,そういう意味だと思うのですけれども。 ● これは剰余金の分配というのが書いてありますので,先ほど○○幹事が言われたとおりなのではないかと私は思っていたのですけれども。つまり,この参考資料14でいきますと,会計監査人がついている組合わせ,例えば株式譲渡制限中小会社であれば--削られたものもありますけれども--⑩なんていうのも剰余金の分配も含めて取締役会権限にする。それから,株式譲渡制限大会社の③も認めましょうと,そういう御趣旨。   そこを最初に決めておかないと,後の議論がぐちゃぐちゃになると思いますので,○○幹事に確認をお願いします。 ● これまでの議論は,今,○○幹事の方から申し上げましたとおりでございます。議論といいますか,事務局側の資料の作成の趣旨はそういうことでございます。 ● だから,その意図が必ずしも先生方に十分認識されていないで議論が進んでいたということが明らかになったと思いますので,もう一遍議論していただいた方がいいのかもしれません。 ● どうも趣旨はそうだったようで,そうは認識しなかったという方が相当おられるようですので,改めて御議論いただきたいと思いますが。 ● まだ認識不十分なのかもしれませんけれども,もし特例法16条の現行法と違うのだということであれば,とてもこの(注)に書くべき問題ではないと思うのですね。   現行の会計監査人を設置している株式会社と同様の扱いをするというのは,現行の会計監査人を設置している株式会社というのは,委員会等設置会社でない会計監査人設置会社であって,16条によって,計算書類の監査・確定は,8週間前に出して取締役会で適法意見があれば確定できる,それで株主総会に出さなくてもよろしいという会社ですね。それから,剰余金分配は除かれておりますから,定時株主総会で決議すると。当然そういうふうに私は読んでいたのですけれども,もし違うとすれば,とても(注)で書く問題ではない。○○委員がおっしゃるように,随分変わった形になってしまうと思うのですが。 ● いかがでしょうか。実質の御議論をいただいて結構なのですが。   計算書類の確定についてはよろしいですか。会計監査人があれば監査役会なしでも確定するということ,これはよろしいですか。 ● 監査役がいることが前提ですね。 ● はい,監査役はもちろんです。 ● それはいいのではないでしょうか。 ● そうすると,問題は,剰余金の分配まで監査役会なしでよろしいかということになってきますが。 ● それは,要綱試案の段階の議論で,会計監査人がいて,監査役がいる,それで取締役会もある,そういう会社では,定款で定めれば剰余金の処分を取締役会で確定できて,期中いつでも分配できるという特例会社を認めるわけですよね。その会社に限って剰余金の分配まで取締役会で決定できると,そういう理解で来ていると思うのですが,ここではもう少し一般的に,「会計監査人を設置している株式会社」というふうに記載してありますから,委員会等設置会社でもないし,要綱試案の特例会社でもない,そして会計監査人を設置した株式会社といった残りの部分,これを指しているのではないかというふうに思うのですが。 ● 今日の資料ではないのですけれども,たたき台(3)を見てみましたら,第4部の第5の4の(1)の(注)のところに,「監査役会又は監査委員会が設置される会社においては,監査役会又は監査委員会の不相当意見がない場合に限るものとする」という表現がありますね。そのときに,まさか,監査役だけが置かれている会社については不相当意見がない場合に限らないと,こういうふうには読んでいなかったということなのですが。つまり,監査役会・監査委員会が設置される会社のみについて考えていたからこういうことを言ったというふうに読んでいたということです。 ● どうも従来の議論はそういう前提だったようで,そうすると,ここで,「及び剰余金の分配」という言葉を削除するということでよろしいでしょうか。剰余金の分配については,やはり株式譲渡制限をした会社であっても監査役会を置かなければいけないということにさせていただきます。   それでは,先に進ませていただきまして,5の(4)ですが,いかがでしょうか。 ● ここは,私どもの問題として,特に(注2)に関係すると思うのですけれども,法定ではなくて,契約上で責任軽減を認めるというふうなことが前提となっているように思われるのですけれども,監査の充実の立場からは,是非ここは法律上明確に定めてもらいたいというふうに思っております。(注2)の読み方はこれでいくとそういう読み方になるのでしょうねという確認なのですけれども。それで,それに対する意見を申し上げるということなのですが。 ● これは,法律で限度を決めるということですか。 ● 「認めるべきかどうか」というのは,どうするかどうかを議論していただきたいということでございます。 ● ここで言っている案は,例えば何億円とか,もう金額で定めてしまうと,(注2)はそういう趣旨ですね。そういうことはどうかと言っているのですね。 ● はい。幾つかは法定するという選択肢をした場合には,2年分というような年分でやるパターンと,諸外国の法制を見ますと金額を明示してやるパターンとあると思いますので,そこら辺も含めて御議論していただきたいと思っております。 ● 趣旨はそういうことのようです。 ● そういう趣旨でありますと,私どもは,責任の限度額については社外取締役等と同等ではないかというふうに思っておりますので,その決め方と同じような決め方を法定でしていただけないかと。社外取締役の場合には契約でやるという前提があるようですけれども,監査報酬の問題が非常に難しくて,実は私どもも増額問題を抱えていろいろと折衝しているわけですけれども,コストダウン意識が経営者側に大変強くて,なかなかうまくいかない。ただ,そうは言っても監査は充実しなければいけないということで頑張っているわけですが,その中でこういう制度が契約の中で入ってきますと,いわば,2年を限度として認めてやるから監査報酬はそんなに上げなくていいよねと,そういう形でプレッシャーを受けやすい。むしろそれは2年なら2年,そういうふうに法律上決めていただいた方が後顧なく関係者と折衝ができると思うのですけれども。 ● 私がそういうことを言ったら,ほかのある公認会計士の先生に烈火のごとく怒られたということもあるのです,公認会計士をばかにするのかと言われて。いや,私は,実態はどうも○○委員のおっしゃったような危険はあるなと思ったのでそういう意見を言ったのですけれどね。   いかがでしょうか。 ● 一つの考え方だと思いますけれども,これをやる場合には,取締役についても同様にしていただきたい。どちらも全く同じポジショニングで,2年にしてやるからおまえの報酬を下げるというのと同じことですから,同じ取引関係,一部違いがあるのは分かりますけれども。どうして公認会計士だけにこういうことになるのかという理念がやっぱり必要だろうと思うものですから。 ● いかがでしょうか。   前からいろいろと御議論があったことは記憶しているのですが。 ● お尋ねしたいのですが,何かそういうときに保険がありますでしょう。税理士の例を挙げるわけではありませんけれども,例えば税理士とか公認会計士から,こういう申請をしたらこれだけの税金が節約になってこうこうこうだと言って,それが仮に間違っていたときには損害賠償請求をされるわけです,経営者の方から会計士の方に。その保険がうまく回っているだの回っていないだの,いろいろ話があるのですが,私ども市井に生きる中小企業の立場から言えば,すべての取引は相対で,お互いにそれぞれの力量を勘案しながら価額を決めていく。契約自由ということなので,基本的にはそれがベースだろうと。   それを,会社法の中に何らかの軽減措置を定めるということになれば,やはりそれなりの説明がきちんとあって,保険という制度もあるのだけれども,それでもとてもカバーできないような事象が物すごいたくさん起こっているとか,予防的ではなくて,少し社会事象をフォローするような御説明をいただいた方が私どもなどには分かりやすいのでございますけれども,いかがでございましょうか。 ● 私どもとしては,株主代表訴訟の対象ということで,会計監査人の会社に対する責任ということについてはもともと本質的に違うのではないかという意見を持っていたわけですけれども,そこは本来会社に対する責任も代表訴訟の対象になるよという大方の意見ですので,それはそれとして受け入れると。   一方で,第三者に対する責任というのも厳然たる事実として残っているわけですね。実は,これについても有限責任という見方を取り入れてほしいというふうに思っているわけですけれども,現行では,会計監査人,それからそれに並ぶ,構成するパートナー,社員ですね,それが無限責任であるという条項の中において,いわばディープポケットという形で私どもが会社の取締役以上に訴訟の対象になるということはおのずから考えられることで,そういう意味では,その責任の範囲を明確化しておくということは非常に大事なことではないかというふうに思っていまして,申し上げているわけです。これは決して代表取締役との契約に基づくものではなくて,やはり会計監査人の制度というものを維持する上で法律上明確にしておくべきではないかという意味で申し上げているわけです。   このことは,「(5) 会計監査人の報酬」とも並ぶのですけれども,ここでは監査委員会なり監査役会を絡ませるということで,そういう意味ではかなり客観的な報酬というものが定められていくのではないかと。もっと言えば,私どもは,同意権ではなく,決定権を付与したらどうかというふうな意見を持っているわけですけれども,そういうことになれば,より客観的に責任の範囲が明確になっていくので,契約の中で決めていくということもあり得るかと思いますけれども,現段階ではそのように考えるべきではないかというふうに思っております。 ● いかがでしょうか。 ● 先ほど○○委員が指摘されていたような問題は確かにあると思うのですね。単に契約による免除をする場合に。   一方で,この責任の限度額を法律上定めるような場合にどういう金額を定めるかというのはなかなか難しくて,実際,諸外国でも幾つかの国では定めていますが,やはり,ある会社にとってみれば過剰,ある会社との関係では過少と,こういうこともあるかもしれない。ここがなかなか難しいと思うのですけれども,ただ,先ほど○○委員が指摘されたような問題を考えるのであれば,例えば,契約による免除なのだけれども,特段の契約をしなければ2年間に制限されるというデフォルトルールを設けて,会社との関係ではもう少し責任限度額をふやすのは自由だ,それは会社と会計監査人で交渉するということにすれば,○○委員が御指摘になられたような弊害は若干は緩和できるかなという気もするのですけれども。まあ,そういう考え方もあるのではないかなと。 ● ○○委員は,何年というふうに法律で定めるのがいいという御意見だったと思いますが,○○幹事は,上積みはできるようにと。   いかがでしょうか。 ● 一応,法定ということで,この前,○○委員から意見書をいただきまして,こちらの方でも検討しているのですけれども,ただ,ちょっと気になるところが,結局これは代表訴訟と直接リンクする話ではなくて,実体的な会社の公認会計士に対する損害賠償請求権がどうなのか,それを制限できるかという話だと思うのですね。   今までの理屈でいけば,その権利者であるところの会社が免除するのだから,その免除という行為によって減りますと。これは今までの民法とかその他の考え方からも非常に分かりやすいのですけれども,どれだけ損害が生じても法律上当然にこの額以上は取れないというような限度を一つ定めるというのは,制度としてはかなり飛躍があって,これが実際にどういう理屈で,またどういう類似の制度があるのかというところで,結構法律上の問題点はあるのかなと。実体的な損害が生じていながら一定限度以上は絶対取れないような実体権みたいなものが果たしてほかに類似のものがあるのかなというのを探しているところですが,そこら辺の御意見をお伺いしたいのですけれども。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● 今の○○関係官の御意見ですけれども,責任を全く免除するということは制度上認められていないわけですね。重過失があればだめだということは,これは当然の前提ですね。そうなりますと,法定するということが全く不可能なわけではないのではないか。例えば,取締役の第三者に対する責任はそもそも重過失責任ということになっている。それと同じような発想法で立法はできるのかなという感じはしますし,余りこういう代表取締役--今回の提案によりますと監査役・監査委員会がかかわるということですから,○○委員がおっしゃるようにかなり変わってくると思うのですけれども,交渉事項に余りしないでも済むような制度を設けるという発想自体は,特にチェックをする仕事だということで,私は,あってもいいのかなという感じはするのです。ただし,その場合は,やっぱり2年間分というのでは少ないのではないでしょうか。交渉で減らすということは可能かもしれませんが,法定の場合はもう少し多くすべきではないかというふうに思うのですけれども。 ● 2年にこだわるわけではないのですけれども,要するに,社外取締役がどのような形になるのかということを言ってみたいのですけれども,もし,おおむね2年というふうな方向性が出るなら,それと同程度の責任をという意味でございまして,もし,おっしゃるようにもっと違う形のある程度の金額というのが出るなら,それはそれで一つの考え方だとは思います。   それから,重過失の場合,あるいは第三者に対する責任というのは,当然これ以外にあるわけでございますので,そこはまた別途考えるべきだというふうに思っています。 ● これは,決め方については,私自身は,○○委員のようなお考えも十分あるし,ドイツのように確定額50万マルクというような決め方をしている国の方がむしろある面多いのかなという気がしているのですが。ただ,金額の点について言うと,プロである会計監査人が社外取締役と同じというのはどうも理屈としては通らないような気がしておりまして,その点では見直す必要があると思いますし,現に,一部上場会社に対する標準基本報酬額はたしか1,000万というような定めだったと思いますから,2年としても2,000万で,大きい被害を与えるようなミスが万が一あったときでも2,000万で終わりということで本当に納得してもらえるのかという点はあり得る。ですから,金額的な定め方についてはもっと考慮が必要ではないかなという気がしております。   あと,これはさっきの会計参与ともかかわるのですけれども,結果的に違法配当が行われたときでもやっぱり同じなのは,違法配当責任は一部免除の制度がないということとのバランスから考えても,さっきの重過失の方の問題になるのかもしれませんけれども,そういうことを含めて,額についてはもうちょっと考える必要があるのかなと思っています。 ● 先ほどのドイツの例についてなのですが,これは○○幹事にフォローしていただきたいのですけれども,○○幹事の書かれている「会計監査人の責任の限定」という本では,以前50万マルクだったものが,商法典が改正されて1監査当たり200万マルクというふうにかなり高額なものに今なっていますので,200万マルクが何ユーロなのか,ちょっとよく分からないのですが,当時1マルク70円ぐらいと記憶していますが,例えば1億数千万円ぐらいといったら,今の会計監査人の報酬の2年分と比較するとかなり差があるのかなという感じがします。 ● これも古い情報ですけれども,前,EUの報告書では10年分という案も出ていたことがある。まあ,10年は多いと思いますけれども,少なくとも,ちょっと2年というのはどうかなという感じはします。 ● 今,○○委員のおっしゃったことの繰り返しになりますが,これを考える場合に,改正の前提として,会計参与が--私,まだ,会計参与というのがどういう役割の方なのかはっきりいたしませんので,何とも言えないのですが,会計参与とこの会計監査人というのがどういう関係にあるのかというのが一つの問題だし,それから,強制される場合と任意でやられる場合,すべて会計監査人の場合,同一の基準が妥当すると思うのですが,本来の強制されるべきものと任意の場合とで本当に全く一緒でいいのかどうなのかも考慮要因だと思います。   そして,社外取締役レベルと言われたのですが,確かに代表取締役は自ら計算書類をつくりますので,代表取締役よりは少なくてもいいのかなという気はいたしますが,社外取締役は,もちろん会計専門の社外取締役もいらっしゃいますけれども,大所高所からという感じで来られている方と,会計の専門家で,それも監査だけに特化して契約を締結している人,それが社外取締役と一緒でというのは少しバランスが悪いのかなと。ただ,監査法人であって,いろいろなところがありますよという,また別の意味で社外取締役よりは重い面があったとしても,この点からは社外取締役程度でやむを得ないという議論があるのかもわかりませんが,バランス論からすると,その中間あたりなのかなという感じもします。 ● 何か分が悪い感じがするのですけれども。   決して私ども責任を逃れたいという意味で申し上げているのではないのですが,会社自体から会計監査人が訴訟を受けている事例は,今,たくさん出ているわけですね。これは,とても何年とかという免除ではなくて,訴訟そのものが巨額になってきております。これはこれとして責任がありまして,私どもは,そういう責任と,第三者に対する責任もあって,それはそれとして全うしていくということで今対応しているわけですけれども,今度はそれに株主代表訴訟が入ってくるということですので,株主代表訴訟においては株主から取締役を訴え,それに連座して私どもが訴えられるということであれば,それは直接の経営責任の人よりは私どもは軽減されていいだろうと,こういう発想なんですね。ですから,それが社外取締役よりも軽いのか,社外取締役よりも重いのか,確かにおっしゃるように分かりませんけれども,少なくとも経営責任にある立場につながる取締役 の方々よりは責任は,代表訴訟においては軽くていいのではないかと,そういう趣旨で申し上げておりまして,確かに,2年は軽いのではないかとかと言われると何とも言えませんけれども,今後は報酬を上げて,2年でも重いというふうに何とか持っていきたいと思いますけれども。 ● 具体的に何年かということは,ちょっと今日は結論は出ないと思いますが,(注2)の,例えば何年かということを法律上,これは本当に「何年」と決めるのか,それから,「何年以上」というふうに決めるのか,法律で何らかのあれをした方が○○委員がおっしゃったような問題点はなくなるのではないかということは,ほかの委員の方からも大分意見は出たように思うのですが,その点はそちらに賛成される委員・幹事の方が多いでしょうか。いかがでしょうか。何人かの方はそういう意見を言われたように思うのですけれども,もしそうでしたら,法律上何らかの定めをするということを考えることになりますが。 ● 取締役との違いがあるということにするのであれば,よろしいですけれども。立法の趣旨がはっきりすれば。 ● 今,○○委員がおっしゃったのは,これまた金額の方に入ってしまうのかもわかりませんが,法律である程度何々以上と決める場合に,それは相対的なものか,絶対基準なのか。つまり,この会計監査人には債権者保護の面が相当あるわけですね。そこで,会社内の自治で契約当事者同士が決めればいいという面がないので,ある程度法定の枠を決める必要があるかなとは思うのです。そして,先ほどちょっと言ったかもわかりませんが,任意監査が安くなるかどうかよく分からないのですが,小規模であれば比較的安くなることもあるし,それの例えば2年分でせいぜい1,000万足らずだと,しかしながら現実に違法配当とか何かで億単位の損害が出ているときにいいのかなということで,ある程度,EUレベルの,あるいはドイツレベルの絶対額でいいのか もわかりませんけれども,相対的な,何年分ということプラス絶対額というのも必要なのかなと思ったりもするのですが。 ● その点も重要な点なのですが,果たして絶対額が……。 ● だから,そうすると絶対額も5種類要るとか,そういう話になるとちょっと立法技術的に無理ということになるのですが,本当に当事者だけの,つまり会社と会計監査人の契約だけで済ませていいのかということになると,ある程度のバーは必要だけれども,それが「報酬の何年分」でいいかとなると,「報酬の何年分」が相当高くならざるを得ないなと,いろいろ悩ましいので,2の場合でも額との相関関係もあるかなと思うということ。○○委員の御趣旨と違う話をして申し訳ないのですが。 ● 今,○○委員が御指摘になられた会社債権者保護という観点であれば,それは第三者責任で,もう今のところ会計監査人は無制限に責任を負うわけです。ここはあくまでも会社に対する責任ですから,とりあえず,そこのところは,むしろ会社と会計監査人との利益のバランスというか,その辺で……。 ● ただ,それは会社が倒産した場合の話ですね。つまり,第三者責任が問題になるのは,基本的に,倒産したからということになる可能性が多いと思うのですね。倒産した場合には,代表訴訟というのも,むしろ基本的に管財人が,--もちろん法定倒産手続があった場合の話ですが,管財人が出てくると代表訴訟がパアになってしまうのですね。したがって,こういうことはあり得ないでしょうけれども,倒産するほどではないけれども,粉飾決算で2億3億の損害が出た,しかし何とか会社はゴーイングコンサーンのままだというときの話がこの話ではないか。したがって,実際の第三者責任は代表訴訟は関係のない話ではないかというふうに理解したのですが。あるいは誤解かもわかりません。 ● ちょっと話がかなり複雑になってきましたが……。   方向だけでも決めていただければと思いますが。 ● いろいろな御意見がありますので,更に検討したいと思うのですけれども,今回,例えば株主代表訴訟の対象とするということを前提に議論がされているわけですけれども,そのために,今ある責任が法律で縮減されるということは,事実の問題は別にして,なかなか法律的な説明は難しいところであるものですから,法定額というのは,事務局としては全く自信がないところでございます。 絶対額か相対額かも含めてですけれども。 ● もしそういうことであるならば,私どもは,アメリカ・ヨーロッパの株主が日本に入ってきて訴訟の問題があるわけですので,やはりアメリカの制度とかヨーロッパの制度で,向こうの有限責任と日本の無限責任との比較均衡を見た上で,どういうふうにしたらいいかということを是非お考えいただきたいと。   私どもは無限責任を負っているものですから,限定がないということに対しては非常に危機を感じているわけです。それが2年ということであれば,またそれはそれで限定されるわけですけれども,もしそれもないとすれば,とんでもない金額が出てくる可能性がある,そしてそれは取締役よりもはるかに多い金額だってあり得るということで,そこは,さっき申し上げたように,お金があるところから取ろうという話だって出てくるわけですから,そういう点で,どういう形で歯どめをしたらいいかということについて是非真剣にお考えをいただきたい。経営者との契約だけでは,やはりここは非常にリスクが大きいというふうに私は思っています。 ● 少しでも方向でもお決めいただければと思っていたのですが,なかなか事務局もかたいところがありまして,なかなか難しいのですが。   何か,この点について追加的な御意見はありますでしょうか。 ● これは是非,株主代表訴訟の対象とするということについては不可欠なことだと思いますし,そうしていただきたいと思いますし,それから,私は,○○委員の肩を持つわけではありませんけれども,監査報酬との関係では,会社と会計監査人との間での契約で責任限定を認めるという余地を認めますと,監査報酬の引下げの交渉材料に使われるということについてはこれまでも言われているところでありますし,そういう意味では,これを法定していただく,そして法定での責任の限度額を定める,その上で2年がいいのかという点については御議論をいただければというふうに思います。 ● それでは,いろいろ意見が分かれておりますので,この点はなお検討させていただきたいと思います。   それでは,先に進みまして,「(5) 会計監査人の報酬」でありますけれども,この案は,監査役会又は監査委員会に報酬に関する同意権限を付与するという案でありますが,この点につきましてはいかがでしょうか。同意権限でよろしゅうございますか。 ● これでも一歩前進だと思うのですけれども,もっと言えば,将来的には決定権限を経営者から独立した形でこの監査役会又は監査委員会に付与するということも是非お考えいただきたいというふうに思います。 ● 前に書面でお出しいただいた御意見の中にたしかそれは入っていたと思いますので,認識はしておりますが,一応,今回はこういうことで御納得いただければと思いますけれども,よろしいでしょうか。--それでは,今回は同意権限ということで決定させていただきたいと思います。   それから,「(7) 会計監査人の登記」,この点はよろしゅうございますか。   次に,「6 重要財産委員会制度」でありますけれども,この点につきましてはいかがでしょうか。 ● ここに書いてある要望をしてまいったわけでございますけれども,制度が発足して間もないということもあるのですが,せめて監査役全員の出席義務,ここだけは,法律上も簡単だろうと思いますので,手当てを--監査役会で定める代表者でもいいということを--やっていただけませんでしょうか。取締役3名,監査役7名でやっている重要財産委員会というのは,余り……。ここだけは何とか。もう決議事項等は全部おりますので。 ● 検討させていただきます。 ● それでは,○○委員の御意見については,なお検討させていただきます。   それから,(後注2)は,これは○○委員から前から御意見が出ておりますが,今回はこういうことでよろしいでしょうか。 ● はい。 ● それから,(後注3)も,これも,従来の経過措置の書き方は大体こういう書き方になっているというふうに承知しておりますけれども,これもこれでよろしいでしょうか。 ● (後注2)か(後注3)に関係するのかしないのか,よく分からないのですけれども,私も,(後注2)の「例えば,」の括弧書きの中の,いわゆるアラカルト方式というのでしょうか,それを認める必要は現時点ではないと思っておりますけれども,冒頭のところで申し上げましたように,委員会等設置会社を実際に動かしてみて,いろいろな不都合が現に出ていて,その不都合というのは,法改正を検討するに値するものもあれば値しないものもあると思うのです。   これは,当然事務局の方にもいろいろな形で要望は行っていると思うのですけれども,私は,1点だけ--1点だけというのは言い過ぎかもしれませんけれども--筋が通っている,不都合だなと思う点がありまして,これは複数の,実際に経験した--委員会等設置会社を動かしてまだ1年ちょっとしかたっていませんけれども--経営者の方がおっしゃっていることですので,ちょっとここで申し上げてみたいと思います。ただ,このことは私が平成14年改正のときの審議でも申し上げまして,結局入れられなかった話です。   それはどういうことかと言いますと,委員会等設置会社を実際に動かしてみますと,取締役会というところが監督の場だとは言われながら,やることがないというのが実態なわけです。なぜそうかというと,取締役会の役割というのは,一方で業務執行はどうかというと,業務執行は一部又はかなり多くの部分を執行役に委譲できるわけです。これは委譲しなければならないわけではないので,取締役会は権限をリテインというかキープしてもいいわけです。他方で監督権の方はどうかというと,監督は三委員会でやれと,こう書いてあるために,取締役会は法律上定められている若干のことを除けばやることがないと,こうなるわけです。   そうすると,実務上,これはよくおっしゃる話,少なくとも私が聞いた社長さんはよくおっしゃることなのですが,本当は業務執行は思い切り執行役に委譲したい,法律が認めている最大限を委譲したい,だけれども,それを委譲してしまったら,取締役会は毎月一遍集まってやることがない,仕方ないので,まあ監督の方は三委員会しかできませんので,業務執行の方を多少リテインしてやっている,しかしこれは理念からするとおかしいのではないかと。理念というのは,委員会等設置会社というのは,執行と監督を分離して,執行は思い切り委譲してよろしい,監督は取締役会でやりますと,こういうことだったのではないか。ですから,せめて自分たちが監督はしたいということです。   長くなって恐縮ですけれども,結論としてそういう方がおっしゃるのは,取締役会で社外取締役が過半数であれば,アメリカの原則のように,監査委員会あるいは指名委員会あるいは報酬委員会の権限というのは本来取締役が持って--それを三委員会に委譲してももちろんいいと思いますけれども--そういうことができないかということです。   そういうことを言われますと,法律家は,いや,過半数が社外取締役なら取締役会自身が監査委員会を兼ねればいいんだとかいうことをすぐ言うのですけれども,これは法律家の間でしか通用しない議論でして,実際問題としては,一部はやはり委譲したいということも,先ほど出ていましたけれども会計監査人との関係ですとか細かいこととか何かは監査委員会に委譲したい。しかし,仮に取締役会そのものが監査委員会になったとしますと,またそれとは別のサブコミッティーみたいなものを使うということになりますので,ぎりぎり現在の制度でも,取締役自身が三委員会になればできないわけではないという答えは可能なのですけれども,制度の考え方としてややどうかという点があるということであります。   したがって,私自身はここで強く,時間もないときに,何かを検討してくださいと言うつもりはありませんけれども,委員会等設置会社,実際にまだ1年ちょっと,しかも80社かそこらぐらいの経験なのですけれども,動かしてみて幾つか出てきた要望,これは多数あると思いますけれども,その中で一つ,基本的な考え方にもかかわる部分として,かつ実際にもそういう問題が複数の方から指摘されておりますので,そこの部分は考え方をもう一度整理していただくことは可能かなと思っています。まあ,時間的に間に合わなければ,今回でなければいけないということはないと思います。 ● 今のは,社外取締役を取締役会の過半数にという希望を持っておられる会社が多いということですか。 ● いえ。少なくとも取締役会のメンバー構成が社外取締役を過半数にしている会社は--現にそういう会社が存在するのですけれども--三委員会の権限は取締役会としてやりたいということです。 ● ちょっと今回はそういう大改正は難しいと思いますが,将来の課題としては考えていくことかと思います。   ほかにございますでしょうか。 ● 先ほど○○委員のおっしゃったことですけれども,重要財産委員会の出席委員は,260条ノ3を準用してくることから必然的に来たのですが,やはり機能が違うし,とりわけ,細かな話ですが,260条ノ3には取締役会の招集請求に関する規定も準用されていますが,監査役が重要財産委員会を招集請求するような実益がどんなにあるのかなということも含めて,合理的に重要財産委員会自体と監査役のかかわりを御検討いただければと私も思います。 ● 部会資料22がまだ終わりませんが,実は大問題がこれから,22についても残っておりまして,先に進ませていただきます。   「三 株式会社・有限会社の一体化に関連するその他の問題」のまず最初,「1 取締役等の任期」でございますが,今まで,第1種・第2種の案があった時代は二つ大きく分かれていたのを,このように一つの制度にしてはどうかというのが今日の提案でございますが,いかがでしょうか。 ● 前回お配りしました日本司法書士会連合会からの意見書では,この点について,譲渡制限会社につき押しなべて原則2年,最長4年という御意見をいただいているところでございますので,確認の意味で紹介させていただきます。 ● いかがでしょうか。 ● まず,一律このように取締役等の任期を設けることにするということ自体に賛成です。定款で少し伸長できるようにするということも賛成なのですが,果たしてこの最長10年がよいのかということについては,もう少し何とか短くならないものでしょうかという感じがいたします。司法書士会の方からは4年ということだそうですが,例えば5年ぐらいとかということもあり得ないかななどとも思ったりする次第です。   質問ですが,(注2)で,委員会等設置会社の場合も「原則として1年」とありますが,これは最長を定款でもっと延ばせるということを意味しているのでしょうか。 ● これは,譲渡制限の有無にかかわらずということは……。 ● 「原則として」というのは,どういうことを意味しているのでしょうか。 ● これは,剰余金の分配が取締役会でできる会社については,当然1年なんですね。それ以外についてもと,そういう意味でしょう,これは。 ● はい。それ以外についてをどうするかという議論がございまして,委員会等設置会社についても,定款で剰余金の分配権限を株主総会に,あるいは株主総会にも,という御提案があり,そうすべきではないかという方向で議論を収斂させようとしているわけですけれども,その場合にも,委員会等設置会社である限りは1年としておくべきかどうかという点が論点として残っているところなものですから,明示的に御議論いただきたいと思います。 ● 既存の会社については従前の例によるというのはもう永久に従前の例だというのは,さっき言われたとおりだろうと思うのですけれども,○○委員がちょっと反対されていましたけれども,新しくできる会社が最長10年というのは,10年たつと大抵の会社はつぶれたりしているような場合もありまして,余りにも長いと思いますね。やはり○○委員の言われるように5年ぐらいというのが妥当なところではないかという気がしますけれども,あとは○○委員の御意見を。 ● バランスの問題で,有限会社が今度一体化されて,有限会社の取締役というのは現行法では期限がない,それとのバランスを考えてということなのでございますが,それで法律上は,原則として2年,監査役は4年という原則論を定めて,あとは定款自治に任せる,特に譲渡制限会社については定款自治に任せて……,ここも,私なんかに言わせれば,最長無期限でいいというぐらいのことを言いたいのでございますけれども,一つの仕切りは10年と。まあ,2年・4年・5年・6年・8年・10年といろいろあると思うのですが,一つの仕切りは10年と。   それで,もし株主の皆様方が,この取締役はいかんと言えば,これまた総会で首にするという道もあるわけでありまして,正に出資者株主が,自分がお金を出している会社を責任を持って見守るということも含めて,何でもかんでも決めなければいけないということではなくて,こういうやり方もオプションとしてあっていいのではないかということを申し上げたいと思います。 ● 基本的に正に今の説明にあったとおりだと思いますし,それから,前回配られた資料などを拝見しましても,それから私どもは前から申し上げておりましたけれども,最長がこういう形になったとしましても,現実にそういう形で延ばすという方は決して多くはないということはいろいろなところでも出ているわけで,実際,そういうところをいろいろお考えになりながらやられると。ただ,結果的に,もともと期限の定めがないという類型というか,そういう選択が今度なくなる,ある意味で終身の方にどこか限定をつけていくという意味合いからしますと,この10年というのは一つあり得る整理ではないかという気がいたします。もちろん,解任決議のあれが今度普通決議に下がるというようなことも含めてのあれだと思いますけれども,一つこのあたりかなという感じがしております。 ● 確かに解任は普通決議でできるわけで,嫌だったらやめればいいということですけれども,今の判例法を前提にしますと,解任決議があった場合に,首にはなりますけれども,損害賠償として任期分の報酬を一応認めるというような傾向にございますので,10年分何も働かないのに報酬が保証されると,早く解任してくれと言わんばかりの,そういう話になってもおかしいのではないかという感じがいたしますし,やはりリーズナブルな線を法定としても置いておき,かつ,5年としていたところで,そういうことを考えると5年はやっぱり長過ぎるのではないか,もう少し短くという議論があってもいいぐらいのところでしょうけれども,まあ,そこはそれぞれ各社お考えくださいという程度でいいのではないかと思います。 ● これは正に今の点がポイントでありまして,何年と決めますと,それが一種の議決権拘束契約といいますか株主間契約といいますか,その間はけんかをお互いにやめましょうということなのですね。もし途中でけんかをして解任すると,本当に任期分まで報酬を払わなければいけないというのが今のルールですから。だから恐らく,幾ら法律で認められていても,そんなに長い,30年とか50年とかは決めないのだろうという気がいたします。 ● 私も,この法定任期を設けるということを非常に重視して,前にもちょっと書面で書かせていただいたのですけれども,大体統一して2年・4年という法定任期を定めるという形にしていただいたのは非常に大賛成でございます。   問題は,さっきから話が出ていますが,最長幾らにするかという問題なのですが,やはり実務では,解任の決議要件が軽減されたといいましても,解任をするのはよくよくの場合というのが普通でありまして,解任に至る前に,問題のある取締役がいるときには,次の任期切れのときまで話をして,言うことを聞かなければ再任をやめるということにしましょうという形で,なるべく波風立たないように社内で辞任するなり再任しないという形で了承のもとに降りてもらうということでやっているわけですから,そのためには,定款で定めるにしても,最長期間をそういうことができる程度の期間に制限すべきではないかと思います。   ですから,結論的には,最長10年というのは余りに長いわけで,私はどちらかというと,最大で監査役の任期に一致した4年,ないしは5年程度というのが妥当な最長任期ということで考えております。 ● 要するに,これは自治に任せていい程度の話なのですけれどね。   10年でいいという中小企業関係の方の御意見と,それより短くという御意見が幾つか出たわけですけれども,ほかの方はいかがでしょうか。まあ,なかなか数字は最後まではっきりとは入らないのかもしれませんが,一応皆さんの御感触を伺っておいた方がいいと思いますので。--特に御意見ございませんか。   (注2)の点はいかがでしょうか。これは,委員会等設置会社にすれば当然に1年になるのか,それとも剰余金の処分権限と絡ませるのかということですが。 ● 絡ますこと自体がいいかどうかとは別ですけれども,それとは別に,やはり,ある程度,取締役がきちっと執行役を監督しているかどうか。つまり,株主としては間接投資になるわけですね。業務執行を行うのは執行役で,株主は取締役を選ぶと。そういうことですから,これは1年でよろしいのではないかと私個人は思います。利益処分をこっち側にしたから2年というような制度ではないだろうと思っております。 ● ほかの委員の方もそれでよろしいでしょうか。--それでは,これは,委員会等設置会社については一律1年ということで決めさせていただきます。   では,先に進んでよろしいでしょうか。   「2 株主の少数株主権の行使要件」,これについてはいかがでしょうか。これは特に御異論はないかと思いますが。要するに容易に行使できるということですから。--よろしいですか。   それでは,次,「3 特別決議の要件」で一番大きな問題は,基本的には現在の株式会社に適用される特別決議要件と同じにして,ただ,一定の,(2)の②については特殊決議というものを定めると,こういう考えが原案になっているわけですが,この点については従来からいろいろ議論があったところですが,いかがでしょうか。 ● やはりこの(2)の②がどうしても気になるところになるわけです。有限会社の場合に確かにこういう制度があったものですから,これを今回も生かそうという気持ちは分かるわけですが,しかし,特別決議要件,このような規制を設けたとしても,やはり4分の3と3分の2が違うというようなことになるわけですね。   本来,無制限に議決権株式あるいは剰余金の分配,残余財産の分配についていかようにでも定めていいというのは,やはりみんなが合意をしている場合だけなのではないか。それが本来あるべき姿なのではないかというふうに考えますと,それ以外の,種類株式,随分メニューがふえまして,いろいろ使いやすくなってきているわけですね。しかも,今回,有限責任で何でもともかく組合的に自由に決めたいという方にとっては,新しい会社類型という選択肢ができることになってきそうなわけですね。そうしますと,そもそもこの有限会社で認められていたこの制度は新しい株式会社においてはもうやめて,こういう需要のある方は新しい会社類型の方に行ってください,随分使い勝手のよくなった種類株式の範囲で需要を賄ってくださいと,こういうふうに決断してしまうということはできないものなのでしょうか。 ● ただ,新しい会社類型というのは,やっぱり税制とかいろいろな点が違いますし,かつ,こういう従来型の小規模会社でおよそ属人的定めを認めていないという国があるのか。どこでも,こういうものは,どういう要件で定められるかは別にして,やはり小規模会社には認めているのではないのでしょうか。およそLLC的なもの以外にはそういうものは認めないという法制が世界の大勢なら,私も,おっしゃるような案も一つの案だなと思うのですけれども,どこの国でも大体……。まあ,全員一致かどうかは知りませんけれども。 ● 全員一致だったら全く問題ない話だと思うのですね,すべて。何であろうと無制約。合意しているわけですから。しかし,多数決で決めるということになったときの……。 ● 多数決は認めていませんか,諸外国は。 ● それはなかなか……,無制約に認めているのですか,どこかの国は。   また,実際に多数決でもってこういうものを認めたいという需要がどの程度あるのかということだって,私は,実は中小企業にそんなに需要はないのではないかとさえ思っているわけですけれども,むしろベンチャー企業やら何やらで非常に法律のプロが入ったところで,細かな交渉をして自由に決めたいということがあるかもしれませんが,それは全員一致でおやりくださいということだけで済むのではないか。   それから,今の税制の話ですけれども,新しい会社類型と税制とは必ずしもぴたりと一致させるとばかりは限らないわけですね。一定の要件があった場合には税制上は別の扱いになるということになるのではないですか。 ● 制度上はそうなんだと思いますが,実際上はかなり違ったものになるのではないでしょうか。 ● しかし,当事者の選択だということになると,パススルー課税を選択されるところと,そうでないところと,自由に当事者の意思で決められるということだというふうに私は思っていたのですが。 ● 私は,ちょっとその辺は分かりませんが。 ● 単なる質問なのですけれども,この②のロと現行の商法222条1項1号・2号の「数種ノ株式」,これは決議要件が違うわけですけれども,どこが違うのですか。   それと,「数種ノ株式」との整理はどういうふうにつけられる予定なのでしょうか。 ● これは,株式に属している性質という決め方をしないことも許されると。つまり,株主が複数いた場合,例えば,何株持っている人には配当はここで打ち止めというような定め。現在の株式会社法で認めているのは,一つ一つの株式についての属性なんですね。そうではなくて,10株以上持っている人についてはもうそこで配当は打ち止めですと,そういう定め,それは要するに人に着目した定め,そういうことを認めると。これは有限会社で従来認められてきたわけです。 ● そうすると,ロは,剰余金,残余財産の分配についての別段の定めで,その「数種ノ株式」の定めではないものという整理になるわけですね。 ● そういうことです。   ですから,恐らく②については,どういう要件でこれを定めていいということにするかということであって,恐らく○○委員も全員一致の場合には反対されないのだと思いますけれども。しかし,さっき言ったような,10株で頭打ちというような株式を発行しますというときに,それは全員一致でないと絶対にできないということまでする必要があるのかどうかですね。既存のもののあれを制限するというのは,それはまた別。既存の株式について,あなた,これから10株で頭打ちよということにするのは,それはその人の承認が要ると思うのですけれども,新しく株式発行して,それは10株で頭打ちなんだという,そういうことは多数決の定款変更で決められてもいいのではないかと私は思っているのです。 ● この点は,私,今おっしゃったケース以外に有限会社で現実にこういった定款の規定を既に利用しているというケースを全然知らないのですけれども,まず発想として浮かばないというのが実情だと思うのですね。   ただ,従来の解説書などを読んでみますと,創業者の社員は配当が高い,あるいは創業者の社員だけは議決権が多くもらえるといったような,いわゆる属人的な定めという形で理解されておりますので,そういう意味では,これから発行する株式についての配当の定めというものと,既にある社員の属性に応じた定めの仕方というのと,いろいろなケースが想定されているのではないかと思うわけです。   そういう意味では,私,これは非常に社員の個性を重視するという会社に適した制度というふうに理解しておりますので,しかも50人以下という有限会社において定められていて,従来,株式会社には定められていないということですから,今回,この制度を株式会社のうち譲渡制限会社に一律に導入するという必要性が果たしてあるのだろうか,まず株式というものにマッチするのかという疑問,前にもちょっと申し上げましたけれども,その点もさることながら,人数制限のない,特に社員あるいは株主の個人的な属性の尊重されていない,いわば無名性のある,百数十名も株主がいる会社も含めてこの制度を導入するということについては若干疑問を感じざるを得ませんので,今回,特殊決議ということで要件を厳格にされたということはよく理解できるのですが,前に私,この制度に関してだけは人数制限を設けるということをした方がいいのではないかという意見をちょっと申し上げたのですが,今でもその意見は変わっていないのですけれども,そういう意味で,まず,従来有限会社にあったからということでこれを強いて株式会社に導入する必要があるのかという問題,それと要件設定と,その点をもう少し考えて--私自身,考えてみたいと思いますし,ほかの委員の方の御意見も教えていただければという気持ちがいたします。 ● いかがでしょうか。   認める必要があるのかというのは,先ほど○○委員がおっしゃったあれと同じですが,あと,人数制限をかければという御意見でございます。 ● 必要性ということだけなのですけれども,今,こういうことがいろいろやられているということは私どもも承知はしていないのですけれども,確かに,事業承継だとか,いろいろなことに絡んで,ある種そういう工夫をしていくということはこれからは多分ふえていく可能性は十分にあると思いますし,それはそれで非常に意味があると思いますので,決して単なる空虚なニーズではないというふうな感じはしております。 ● 一応これはどこの国にもある制度だと思いますので,なくすという選択肢はちょっと難しいのではないかと私は思っておりますが。問題は要件設定だと思いますが。 ● 要件設定もありますし,それから,それをどう変更するのか。後で変えたくなったときの要件も非常に大きいと思います。それをすべて全員一致にしておけば,もう何も心配ないということだと思うのです。 ● 全員一致ということだと,これはどうにも動きがとれなくなりますからね。   現在のこれでも確かに現在の有限会社の特別決議要件よりは緩いということで,その点は考え直す可能性はあるかと思うのですけれども。 ● 別のことを含めてよろしいでしょうか。   私は,前にも申しましたように,これはやはり相当閉鎖的な会社で,定款自治をかなり認めていい場合の制度だと思いますので,その意味では,どちらかと言えば,○○委員がおっしゃったように人数制限等があった方がいいかなと。現在の有限会社と,この(2)の②の制度については同じでいいのではないかというふうには考えています。まあ,現在の有限会社はそもそも社員の数の制限もあるということで。   もう一つ,「(1) 原則」の方なのですけれども,もともとの私の考えでは,こういったケース,非常に小規模な会社で定款自治を広く認めるものは,広く認めるかわりにかなり要件を絞った方がいいと思っていたのですけれども,このようにむしろ現在の大規模会社等を含めた一般的な特別決議の要件にしてしまうということでいいのかというのはちょっと懸念を持っておりまして,確かに(2)の方で,一部の特に重大な問題については特殊決議ということで救ってはいるのですけれども,例えば今度の新しい制度のもとでは監査役のいない株式会社も認められることになって,そこでも一部責任免除ということになると思うのですけれども,そういうときに,現行法上の一部責任免除のような,監査役の同意なしに一部責任免除が行われる,そしてそれが特別決議で行われるということになるわけですけれども,そういった監査役も置かない,場合によっては取締役だけみたいな会社で,一部責任免除をするときに大会社と同じ特別決議の要件で責任免除をしてしまっていいのかというと,ちょっと私,それはどうかなという気がしまして,せめて監査役等による同意がないような場合については決議要件を重くするとか,この(2)に書いてあるだけ以外の場合でも,今回,非常にフレキシブルにするガバナンス構造をとることもあって,これだけに限らない,もうちょっと決議要件等を考慮しなければならない場合があり得るような気がしておりまして,その点の考慮をお願いしたいと思う次第です。 ● しかし,譲渡制限会社を考えた場合は,さっきの免責とか,特別利害関係的なものはそれ以外の株主で本当にどれぐらい影響力があるのかなという気もするのですけれどね。   この「② 議決権等に関する特段の定めをする場合」というのを,おっしゃったものも含めて幾つかあるのかもしれませんが,ちょっとその点は検討させていただきたいと思います。 ● この②の問題について,もう一つ。   さっき,○○幹事のお話で,ニーズがないことはないだろうということですから,その点は,制度をつくればあるいはそういうニーズが自然に出てくるということもあり得るかと思いますから,それに反対するということではなくて,一つは,今,○○委員がおっしゃった,この制度はかなり閉鎖的な会社に適するのではないかというお話との関係で,要綱試案の段階では,「取締役会が設置されない譲渡制限会社」というふうに限定されていたのですね。今回は,「譲渡制限会社」ということで一般化されていますので,要綱試案よりちょっと広がっているような感じがするのですが,その辺はどうでしょうか。 ● これは,さっき言ったように,1種・2種の区別はやめるというあたりから来ているのではないかと思うのですけれども。   それから,特には取締役を置いていないという限定の仕方をすることにどれほどの意味があるかということですね。株主総会が万能と言っても,本当に万能に動くかどうかということは非常に疑問ですので。 ● これは,最低限のルールはこれぐらいにしておいて,あとは困る人たちは定款自治で自由に決議要件を加重していけばいいわけですから,最低限のルールとしてはこれぐらいを決めておいて,あとは自治に任せるということで各自がプロテクトしていけばいいのだろうと私は思うのですけれどね,譲渡制限会社の場合は。 ● 今の御意見にほぼ賛成なのですけれども,やはり,譲渡制限がかかっているということで最初から覚悟して,これから新しい会社を作るときには出資者はそれなりの 心を持って参加をするということも必要でしょうし,それ以降について,全会一致だったらまたちょっと違いますけれども,3分の2,4分の3というのは,余りそこに有意な差があるかなと。最初から,譲渡制限会社であれば3分の2でこういうことができますよという前提で入っていただくというのはさほど非合理的な案ではないと私なんかは思うのでございますけれども,いかがでございましょうか。 ● ②の要件で意見の対立があるということだと思います。かなり,特定の特別決議事項に限ってもう少し要件を強化せよという御意見も出ましたので,その点はもう一度事務局で検討してもらいたいと思います。   先へ進んでよろしいでしょうか。   では,「4 設立時の払込価額(最低資本金規制の撤廃)」,それから,これも恐らく関係すると思いますので,「5 決算公告」についても,両方につきまして,もう問題は十分お分かりでしょうから,まとめて御議論をいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ● まず,4の方からなのですけれども,基本的にこれでやむを得ないかなというふうに思っておりますが,(注2)はもう一度御検討いただけないでしょうか。私自身は昔,このあたりを一生懸命考えてみたことがございまして,そのときに,そもそも有限会社法が設立取消しの訴えの制度を設けていることにどれだけの意味があるのかということで,かなり疑問だと思ったことがございます。今度,あえてこれをまた株式会社の方に持ち込んで,どれだけ法的な意味があるのかという疑念を持っております。 ● 私は,○○委員の論文があることは覚えておりまして,前回言われるかなと思ったのですけれど,前回は言われなかったので,あれあれと思ったのですが。 ● それとの関連で,むしろ新しい会社類型の方で出資者の債権者の保護がどうなるのかということもあわせて手当てする必要があるのではないかというふうに思っております。 ● それは,合名・合資会社以上の手当てが必要かどうかという御趣旨でしょうか。 ● 合名・合資会社の場合の退社制度と同じものを今回認めるということになった場合に……,つまり,新しい会社類型においても設立取消しの訴えを認めるということですね。 ● 合名・合資と特に異ならせるという提案はさせていただいておりませんが。 ● いかがでしょうか,ほかの委員・幹事の皆さんは。   一応,こういう現在の4,5の内容で御了承いただけるということでしょうか。 ● これについては前からいろいろ申し上げておりましたので,私自身は今でも,4の最低資本金の制度は本来あっていいとは考えております。その理由は,前にも何度も申しましたけれども,不法行為債権者等のリスクに見合った資本はやっぱり一定程度必要であろうと思いますし,詐欺的な会社設立等の問題もあり得る等の理由で,本来はこういった制度があった方がいいとは考えております。   もう一つつけ加えますと,私がもう一つ関係しております非営利法人一般法の方にこの立法が影響を与えるわけでありまして,仮に4の立場をとりますと,非営利法人一般法についても最低の出資が求められない立法になる。   御存じのとおり,非営利法人一般法をつくって,それを,現在の許可主義ではなく,準則主義にして,非常に広く立法を認めようと。しかも,単に社団タイプだけでなくて,財団タイプについてもほとんど限定なしに認めようということが現在検討されております。そうなりますと,こちらでこの立場をとる,そして一方で非営利法人についてもそういう最低の出資を求めない形,特に財団タイプみたいなものでも目的等の限定なしに認めるというかなり強い案もありますので,そうしますと,ある意味で言えばほとんど無限定に法人というものが設立できると。幾らでも,自分の財産を一部分与して,財団なり社団なり,あるいは会社として法人が設立できるということになってきます。   そうしますと,かつて議論されたいわゆる法人格の濫用という問題が本当は無限定に今後出てくる可能性がある。強制執行の免脱ですとか,あるいは課税の逃れ,あるいはマネーロンダリング等の規制の逃れのために,もう法人というのは幾らでも自由につくれるということになってくると思います。さっき申しましたような詐欺的,いわば取込み詐欺的なものも出てくるでしょうし,そういう刑法上問題のあるような行為をすることを目的にしたいろいろな法人の設立も出てくるということになりますので,法人格の濫用ということは本当の意味でここで改めて問題になる可能性が出てくると思いますので,そういうことを考えると,私は,やっぱり最低限,余りにも変な法人格の設立が行われないようにする意味では,最低資本のような制度が本当はあった方がいいのではないか,最低限のブレーキはかけた方がいいのではないかとは思っております。ただ,全体の調整の中で,5とあわせて,かつ種々の政治的考慮を含めてやむを得ないということであれば受け入れますが,そういう問題もあるということは留意していただきたいと思います。   あと,(注1)に書いてあります,法人格否認の制度について設けないものとするということになっていますが,世界の法制を見ても,アメリカは確かにこういった制度的なものはありませんが,そのかわり法人格否認の法理が異常に膨れ上がっている状態でありますし,立法論的に,不法行為債権者については自動的に劣後させるような扱いをすべきだとか,有限責任の例外とすべきだという立法論が唱えられていますし,イギリスですと,御存じのとおり,インソルベンシー・アクトの213条以下に,正にそれ,一種の法人格否認の制度を倒産法的に制度上つくっているわけでありますし,それから,ディスクオリフィケーションの制度をつくって,いったんそういう詐欺的な法人の設立等にかかわった者については,最長10年ですか20年ですか,取締役の地位につけないようにするというような制度をつくったりしているわけで,やはり,そういう詐害的な設立にかかわった者に対する何らかの制度というのは本当は必要,何らかの形で補っておく必要はあるのではないかと思っております。   (注2)については,○○委員御指摘のような問題があることは私も認識しておりまして,いわば(注1)の制度を設けない言い訳みたいな形で(注2)みたいな制度を作るとすれば,これはいかがなものかという気がしていまして,当然,新しく設立される会社の他の株主の保護の問題もありますし,新しい会社の債権者の保護等の問題もあって,それらの利害調整をきちんと図った上でないと,こういう制度は考えるべきではないのではないかと思っております。   それで,5の決算公告の制度,これは是非実現していただきたいと思っております。決算公告も従来のものと制度が全然違ってきているわけで,現在の電子公告のもとではそれほどの負担ではありませんし,前にもここで申し上げましたように,むしろ中小企業を含めて開示を積極的に行い,そして,その債権が実際にマーケットの対象になって流通性を持っていくということがこれからの日本経済にとって非常に重要であり,現にそういうことが検討されておりますので,それに合わせるためにも,5のような制度改革は非常に望ましいことと考えております。 ● 5の決算公告でございますけれども,前回の冒頭に意見書も配らせていただいて申し上げましたので,若干間が抜けた感じになってしまっていますけれども,基本的に私どもは,ディスクロージャーとかそういうことの必要性,今後,中小企業にとってもやらなければいけないということそのものを否定しているわけではなくて,前回お話をしたように,商法上の決算公告義務という形のものが必ずしも貢献していないというふうに評価し得る点がいろいろとあるものですから,やはり商法の外の実態の方の世界の取組みを進めていくということが重要というか,中心にならざるを得ないのかなということを御説明したわけでございます。   本日の議論との関係で,今日の冒頭にも御紹介というか御説明があったと思うのですけれども,基本的に,今やっている決算公告義務について,現行法とは何ら変わらないと。中身とか,いろいろな会社のあれを求められるあれであるとか,あるいはほかの制度とのリンクとか,そういうところについては何も変わらないという前提で書かれているということでよろしいのでしょうか。 ● それはそのとおりでございます。 ● そういう前提で,かつ,今,○○委員からも御指摘がございましたけれども,特に最低資本金との関係,あるいは私どもの立場からしますと,やや,ほかの全体のパッケージ,全体の評価の中でまた考えていかなければならないという感じがしておりますので,今日,結果的にこの資料の議論も幾つかペンディングで終わっているところがあるということの関係で,できるだけそういう方向で考えるという形で今日は引き取らせていただければというふうには思っております。 ● 最低資本金規制の問題につきましては○○委員からも御指摘がありましたけれども,1,000万だろうが1億だろうが,何でもそうなのですけれども, 債権者保護の実を上げるという観点から言えば,そのお金がホールドされているわけではないものですから,それから,私どもが大昔に大学で会社法を習ったときに,見せ金というやり方云々というようなことが大学でさえ言われて,私,今でも記憶があるのでございますけれども,そういうことから言って,残念ながら,この仕組み自体はそういった債権者保護に実効性が高い制度ではないという感じが,正直言って,しているわけでございます。   一方,この最低資本金規制があるがゆえに,それをまじめに守ろうとする,業を興す,創業する人たちの足かせになっているという事実も既に資料等で御説明したと思いますので,できれば,これはお願いなのでございますが,余り実効性が上がると思えない最低資本金規制を本当は残すべきだというのであれば,そこはもう真正面から事実をがんがん議論して一回決着をつけるべきではないかと,私はまずそう思います。そこのところは,実態を見れば,もうそういうことにはなっていないのだと。これは法務省の事務方も恐らく私なんかと同じ考え方に今はなっていただいていると思うのでございますが,であれば,そこはそうではなくて,違う法理で第三者に被害が及ぶようなことを最大限防止をするような手を打っていくと。これは私も大賛成であります。   加えて決算公告につきましては,現行の,先ほども○○幹事からお話がありましたが,十分実効性が上がっていないと。私なんかは,中小企業の中央会としては,是非これを実効性が上がるように,少なくとも現状では,すべきだと思って努力をしてきているわけでございます。実効性の上がらないものをそのまま続けるのがいいのかどうかというところも--何というのでしょう,高速道路でスピード違反で捕まるのは,捕まる人がいるわけでありまして,だからみんな守ろうという意識もあるのですが,だれも捕まらない,スピード違反をしている全員が見逃されているという仕組みが本当にいいのかというところは,これは非常に語弊がありますけれども,私,ちょっと制度の仕組みとしては,正直言って,問題があると思っております。   しかし,一方では,かつて私,発言をいたしまして,○○委員から褒めていただいたと思うのですが,中小企業がその中身をディスクローズして信用を高めていくということは当然な話であります。その先を申しますと,ディスクローズしていない会社はそれに相応の評価しかもらえないわけです。ディスクローズしていて,ほかにもいろいろな情報がありますけれども,それを合わせて,例えば○○株式会社というのは信用できるかできないかという判断を世の中でしていただいて,取引に参入できるかどうかが決まってくるので,もう私は一切ディスクローズしない,昔からの取引先がどんどん減っているけれども,それでいいんだ,未来永劫,という人にはそういうオプションがもちろんあってもいいという考え方もあるのではないかと思います。   いろいろなことを申しましたけれども,皆様方の総意で,決算公告については原案のような,これまでと同じで,しかしその実効性を高めるようにおまえたちも頑張れというのであれば,それはそういう結論も私どもは受け入れたいというふうには思いますが,ただ形だけつくっておけばいいんだよというのだったら,ちょっとそれは違うなと。   それとのバランスで,最低資本金規制がこのような形できちんと対外的に説明できると。要するに,会社の信用性というのは,大中小を問わず,ディスクローズするかどうかによって世の中で判断されるのだと。そこは,最大限の規制,メルクマールはここで作るけれども,そこから先は社会で,ある人はパニッシュされる,ある人は評価されるのだという世界だということであれば,そういう説明を正々堂々と我々はすべきではないのかなと,こう思うわけでございます。 ● 最低資本金の問題については,何を言っても恐らく結論は変わらないのだろうと思うのですけれども,ただ,今日,これだけは申し上げておきたいということがありましたものですから。   一つは,資本の機能としていろいろ議論がありますけれども,債権者保護という意味では,それ自体が実質的な保護の機能を果たしているわけではないということは確かに言えると思うのですが,やはり,資本がある程度過少でなければ,欠損にはなってもすぐには債務超過にならないというようなバッファー機能みたいなものがありまして,それを通じて債権者保護,すぐに倒産するわけではないという意味で債権者保護機能が絶無ではないという一つの機能があるということは言えると思います。   もう一つは,実態の問題として,先ほど○○委員がおっしゃいました法人格濫用の問題なのですが,法人格濫用というよりも,むしろ悪用が非常に行われる可能性がある。というのは,余りに低額な資本を認めますと,最近もそうなのですけれども,我々の仕事の中で,暴力団が法人組織をつくっていろいろな活動をする,また事件屋とかそういうものが,よく「企業舎弟」というふうに言いますけれども,法人をつくって例えば執行妨害をやるというようなケースが甚だふえておりまして,これが非常に資本が低額であれば,それだけ法人設立が簡単になりますので,執行妨害その他の活動のために簡易に法人化して活動すると。そのために民事執行法なども改正せざるを得ないという事態がいろいろ発生しておりますので,この資本金の規制緩和というのは,こういった法人格の濫用ないしは悪用を相当助長するというおそれを私どもとしては感じているという点があります。   それともう1点だけ,これは客観的な感想なのですが,新事業創出法について経済産業省が4月にホームページで発表されたのを拝見しまして,その中で,5年の猶予期間についてどう思うかという問いかけがありまして,それについて,半数以上が,達成目標になって励みになる,あるいは事業成功の目安になるという意見が寄せられているということなのですね。ですから,ある程度の資本金まで目指していくというのが事業者にとって必要だという認識を持っているのではないかと。これは私の勝手な理解ですけれども。設立当初は著しい低額ということであっても,いずれある程度の資本金にするというインセンティブというものが起業にとっていい働き具合をしているという感じがいたしました。   それから,確認申請のときの予定資本額のアンケートがありましたけれども,これを見ましたら,1万円から30万円というのが一番多くて5,360件,50万円から200万円が4,162件,200万円から400万円が1,705件,1円で予定しているというのは600件程度ということですから,大体総じて100万円から200万円前後を資本金として払い込むというのが大方の意識ではないかという印象を受けました。これは間違っていたら訂正していただきたいと思うのですが。   そういう意味では,最低限の規制をなしというのは時限的特別法で十分であって,法人格悪用とかそういうのを防止するためには,会社法の一般規定としてはある程度の,要綱試案で言えばb案程度のものを定めておいてもいいのではないかなということを感じている次第です。 ● 4と5の関係は非常に緊密な関係にあると思います。4は決して反対はしませんけれども,5は是非,ただ条文で「しなければならないものとする」ということだけではなくて,現実に効果があるような手法をもうちょっと何か考えられないものかと。特に,零細は別として,規模のある程度行ったところに対してはかなりのディスクローズが必要ではないかと思いますし,また,新しくできた会社はどうなってるんだろうということについては,やはり公告がないと全く分からないということで,従前の零細的なところは別としても,新しいところ,あるいは大きいところについては,実効性が上がる手段を何か是非お考えいただきたいと思います。 ● もう皆さんおっしゃったとおりでございまして,私も,本当にこの提案がなされたということを大変高く評価しておりまして,是非実効性のある形でもって運用していけるようになるといいと思っておりますが,気になっておりますのは,こうなってまいりますと,(注)でして,従来の有限会社については従前の例によるということはもちろんやむを得ないところだと思いますけれども,この経過措置がいつまでも続くようであれば,これまた既存の有限会社の売買をすれば済んでしまうようなところもございますので,この点は慎重に検討していく必要があると考えております。 ● ほかにいかがでしょうか。   いろいろ御意見をいただきましたが,基本的には,4,5についてはやむを得ないと。いろいろ,こういう点を考えるべきだという御意見はいただきましたが,一応はこの方向でオーケーであるという点は御了解いただいたというふうに理解してよろしいでしょうか。--それでは,基本的には御了解いただいたと考えて今後取り扱わせていただきます。   時間がもう6時を過ぎておりますが,本来,今日はまだ部会資料23,24というのがあったわけでありまして,24はそんなに量は多くないのですが,23については量がかなりございます。もっとも,内容的には,一応こういうことで大体御了解いただいたのではないかということを確認いただくという項目が多いのですけれども,もう少しお願いいたします。 ● ほんの少々だけ御説明いたします。   部会資料23,24ですが,24はお読みいただければ分かると思いますので,省略いたします。   23につきましても,今,御紹介がありましたように,まだ決まっていないところで意見が分かれていたところについて,これまでの議論を踏まえるとこのような形で整理すればいいのではないかということを確認させていただこうというものでございます。議論は来週にさせていただきますが,十分お目通しの上,御参集いただきたいと思います。   ただ,恐らく,本日,部会資料25,26を発送しているはずでございまして,それも十分お読みいただいた上で臨んでいただければ幸いでございますが,新しい論点というものはほとんどありませんので,よろしくお願いいたします。 ● それでは,なかなか予定どおりは進まないわけでありますが,6時も過ぎておりますので,本日の審議はこれで終了させていただきたいと思います。   なお,事務局から連絡事項がございます。 ● どうも,今日は長時間,誠にありがとうございました。   次回は,6月16日,来週の水曜日,午後1時からですが,場所は法曹会館「高砂の間」で行います。御協力のほどをよろしくお願いいたします。 ● それでは,本日の審議は終了させていただきます。本日は長時間にわたり熱心な御議論をありがとうございました。