法制審議会会社法(現代化関係)部会 第27回会議 議事録 第1 日 時  平成16年7月21日(水)  自 午後1時00分                        至 午後7時00分 第2 場 所 法務省第1会議室 第3 議 題 会社法制の現代化に関する要綱案(第一次案) 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● 予定した時刻が参りましたので,第27回の会社法(現代化関係)部会を開会することにいたしたいと存じます。   本日は御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。   (幹事・関係官の異動紹介省略)   それでは,配布資料につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 ● 本日の議事に関しまして,事前に部会資料29を配布させていただいております。これまでの御議論を踏まえまして,全体像をこの段階で把握していただこうというものでございます。後ほど御審議をお願いいたします。   それから,御審議の参考として,参考資料17「株式会社の機関設計について」を用意いたしました。従前の御議論に従って整理させていただきました内容を図式化しておりますので,御確認いただければと思います。   配布資料につきましては,以上でございます。 ● 配布資料につきまして,何か御質問ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,本日の審議に入りたいと存じます。   本日は,最終的な要綱案の取りまとめに向けて,部会資料29について御審議いただくわけでありますが,初めに事務局から説明をお願いします。 ● 本日は,この部会資料29につきまして十分な御議論をちょうだいできればと思います。前回も御説明申し上げましたように,今回の会社法制の現代化の作業の事務量からいたしますと,会社法本体の実質的な改正検討事項については,ある程度の段階で内容を確定させ,それを踏まえた会社法の条文化の作業,さらにそれを受けた関係法律--多数ございますけれども--の整備の作業を進める必要がありますので,要綱案の取りまとめという趣旨ではありませんけれども,本日と来週の28日の部会をもってとりあえず実質関係の御議論については一応のめどを立てさせていただきたいと思っております。もちろん,周辺の様々な論点につきまして,条文化の作業を進める中でまた御相談すべきことが出てくると思いますので,それらについては9月,10月に部会を予定し,その段階でお諮りし,最終的には10月末あたりをめどに部会として要綱案を取りまとめていただければと思いますけれども,実質の改正の御議論につきましては,今回と次回とをもって一応のめどを立てさせていただければという趣旨でございます。   本日の部会資料29は,2月25日の第19回の部会以降,前回の6月30日の第26回の部会までの間に様々な御議論をいただいた各論点の内容を整理して,一覧的に取りまとめたものでございまして,要綱案の原案的なものとして作らせていただいたものでございます。   なお,1点,部会資料19に掲げられておりました株主名簿等の閲覧謄写請求権に関する事項--これについては格段御異論はなかったと思われるのですけれども--これを漏らしておりましたので,追加させていただく必要がありますけれども,それ以外の点につきましては,これまでの度重なる御審議の中で一応の方向性,あるいは実質についての御了解をいただけたところを掲げさせていただいているものでございます。   本日は,星印をつけてある部分を中心に,御議論をいただければと思います。   星印がついております箇所は,従前の資料でもそうでしたけれども,まだ確定的な御了解をいただいていない部分,それからこの時点に至って新たに部会での御議論をちょうだいしたいと事務局において考えている部分でございます。さほど多くはありませんので,一括して御説明申し上げます。   まず,第2部,第2の4の(1)の①,現物出資等に係る検査役の調査を要しない場合の「少額特例」についてでございます。従前,部会資料18でこの問題を取り上げておりましたけれども,部会資料18では,この500万円という金額について,設立時における払込価額規制の在り方との関係も含めてなお検討するという記載をしていたところでございます。設立時における払込価額規制の在り方につきましては,これまでの御審議の中で一応の方向性を御確認いただいているところでございますので,それを踏まえますと,このような内容,すなわち500万円という確定的な金額で少額特例を認めるということと整理させていただきたいということでございまして,その実質の確認をいただければと思います。   取締役の責任関係についてですが,2点ございます。まず第2部,第3の3(9)の②のホですが,有限会社型の機関設計を有する株式会社について,現行の株式会社における定款の定めに基づく取締役会決議による取締役の責任の一部免除制度と同様の制度を設けることとする場合の要件として,既に前回までに御議論いただきましたとおり,業務監査権限を有する監査役の設置ということが必須であるということのほかに,当該取締役以外の取締役の過半数の同意ということが要件となるということを明示的に御確認いただきたいということでございます。   それから,(9)の③のイでございますけれども,取締役に対する金銭貸付けについて,利益相反取引とは異なる取扱いをするかどうかという点でございまして,様々な御議論が有力にあったところですが,これまでの改正の経緯等に照らしますと--委員会等設置会社においても,また現行の有限会社においてもそのような異なる取扱いはされていないということもありますので--今般はこの利益相反取引と金銭貸付けについては異なる取扱いをしないという整理をさせていただくほかないのではないかと思われるところでございまして,この点についての御確認をいただければと思います。   活発な御議論をちょうだいいたしました株主代表訴訟--第2部,第3の3の(10)の①のロ--についてでございますけれども,イの点につきましては,格別御異論はなく,方向性についての御議論は収斂していたかと思いますけれども,ロにつきましては,これまでのいろいろな御議論を踏まえまして,表現ぶりについて工夫を凝らしているところでございます。当該訴訟の追行により,会社の正当な利益が著しく害されること,あるいは会社に過大な費用の負担が生ずること,その他これに準ずる事情が生ずること,これらが相当な確実性を持って予測されるという場合を,イの場合と並んで掲げさせていただくということでどうかというものでございます。もとより法制的な検討が必要でございますので,実質がこれでよいということになった場合でも,最終的な条文の姿がどうなるかということについては,いろいろな作業を進めた結果,後日御相談あるいは御報告すべきことになると思いますけれども,基本的な実質についてはこのような形でよいかどうかということについての御議論をちょうだいしたいと思います。   第2部,第4の1の(4)についてですが,やや形式的な整理に関わるものですけれども,従前の資料を明示的に変更しているところでございますので御確認いただきたいと思います。②の方ですが,譲渡制限の定めがある株式を発行する場合のうち,一部の種類の株式について譲渡制限の定めがあるという場合における当該譲渡制限種類株式の発行手続について,従前の部会資料18におきましては,当該種類株式に係る株主割当てによりこれを発行するときは,種類株主総会決議を要しないという整理をさせていただいていたところでございます。他方,株式譲渡制限会社における株主割当ての際の規律一般につきましては,後に出てきます3の(1)の③--この点については既に御異論がないところであると思いますけれども--におきまして,株主割当てについて株主総会の決議を経ないで新株発行ができるようにするためには,定款の定めがあるということを要件にしておりますので,1の(4)の②におきましても,同じように定款の定めがあるということを要件とするという整理をさせていただいているところでございます。   第2部,第4の3の「(2) 自己株式の市場売却」についてですが,前回の部会で,特定の取得原因に係る自己株式についてのみ新株発行類似の手続を経ずに市場取引により売却することを認めることとしたらどうかということについて御議論いただき,おおむねその検討の方向性については御了解をいただいたのではないかと思っておりますけれども,その後いろいろと検討させていただきましたところ,例えばロに掲げる事由によって取得される自己株式の数は相当程度に及ぶという可能性もあるところでございまして,自己株式の市場売却に係る何らかの弊害というものを懸念するということであれば,例えば当該行為を行う--市場取引により自己株式を売却する--ということの前提として,定款の定めを要することとし,定款の定めによって処分の時期,あるいは処分し得る株式数等に制限を設けることができることとして,そのような定めの範囲内においてのみこのような自己株式の市場売却を認めるということにした方がやや懸念を少なくすることができるのではないかと思われるところでございまして,前回の提案から更に定款の定めを要するということを前提とした整理をさせていただいた案に修正しているところでございます。これについて,もう一度改めて御議論をちょうだいしたいと思います。   第2部,第4の3の(7)についてでございますけれども,かねてより自己株式の処分に際して,その対価が金銭以外の財産で行われる処分というものの規制について,新株発行の場合と同様の規律を設けるべきではないかという御議論があったところでございます。今般,例えば現物出資に係る検査役の調査制度についても相当程度省略の道を開く合理化が図られるということを前提にいたしますと,実務的な負担感というものもさほど大きくないのではないかと考えられるところでございまして,この検査役の調査に係る見直しを前提として,自己株式の処分に際しての非金銭財産の給付についても検査役の調査制度等の新株発行と同様の規律を設けるということの当否について,現代化の作業を進めるに当たり,再度御議論いただいてもよろしいのではないかと思われるところでございますので,改めて掲げさせていただいているところでございます。   第2部の第4の4(2)の①--強制転換条項付株式の定款の定めによる転換--についてですけれども,この実質のうち,前段については従前格別御異論がなかったところでございます。ただ,この場合に,事前のお知らせがないとはいっても,転換したということを事後に知らせるという規律を設けるかどうかについては,その必要があるという考え方もあり得ると思いますので,その点について御意見をちょうだいできればという趣旨で星印をつけさせていただいているところでございます。   第2部,第5の2の(4)についてですが,従前の部会資料では,「法的倒産処理手続に属する一切の行為」という記載になっておりましたけれども,訴訟行為につきましても同様に扱ってよいかどうかということを明示的に御議論いただきたいと思います。現在の条文ですと,訴訟行為,法的倒産処理手続に属する一切の行為が同列に扱われておりますけれども,この(4)におきましては,実体的な権利の処分行為,例えば和解的な行為であってもこの(4)の問題として整理をするということを前提にしておりまして--「法的倒産処理手続に属する一切の行為」の中にそのような実質が含まれるということについては,これまでの部会の御議論の中で確認させていただいていると思いますけれども--訴訟行為についても,例えば訴訟上の和解というものもこの中に含めてよいという整理をしてよいかどうか,明示的に確認させていただきたいと思います。   第2部,第6の2の(2)--純資産額による剰余金分配の制限--についてですが,300万円という金額が従前の部会資料20においては例示されていたところでございまして,これを確定金額とさせていただくということについての確認をさせていただきたいと思います。   第2部,第6の7の(2)の②の決算公告についてです。現在は,大会社,みなし大会社についておしなべて損益計算書又はその要旨の公告が要求されているわけですけれども,今回,小会社についても会計監査人を設置するという道を開く一方で,会計監査人が設置されるからといって必ずしも委員会等設置会社,あるいは監査役会設置会社という機関構成を持たないこともあり得るという整理をさせていただこうとしておりますが,そのような見直しを前提に,損益計算書又はその要旨の公告義務がかかるべき会社の範囲をどのように考えるか,どのように整理すべきかということがここでの論点でございます。みなし大会社というような制度は維持しがたいことになりますので,会計監査人の設置が強制される会社に限ることとするのか,あるいは会計監査人を任意であれ設置すればとにかくこの義務がかかるということにするのか--いずれにしても中会社,小会社という区別がこれまでの整理の結果なくなることになっておりますので--小会社も含めて会計監査人が置かれ得るとした場合に,この決算公告の対象書類をどのように考えるかということについて明示的な御議論をいただきたいと思います。   第2部,第7の1の「(3) 開示資料の虚偽記載に係る責任」についてですが,新たに項目を立てさせていただいておりますけれども,従来,合併等の対価柔軟化に当たって,株式あるいは金銭以外の--金銭も含めてかもしれませんが--対価を許容することに伴う様々な懸念について,いろいろな御意見があったところでございまして,この対価に関する資料を開示するということが非常に重要性を増すということについての認識は共通であろうと思います。そうだといたしますと,その重要性にかんがみまして,例えばその資料を商法266条ノ3の第2項の対象とし,その虚偽記載に対する役員の責任を加重するという形での手当てをさせていただくべきではないかということが,ここでの問題意識でございます。   同じく第7の1の(4)につきましては,これまでの御議論の結果,株式交換について債権者保護手続を要するものとすべき場合があるという整理をさせていただくことになると思いますので,まずその点を①で確認させていただくということでございます。その場合,現在,債権者保護手続を要しないものとされている株式交換については,債権者あるいは債権者に代わるべき者がその無効の訴えの提訴権者に含められていませんが,少なくともそのような場合--債権者保護手続を要する場合--に限ってはそれらの者を含める必要がある--これは法制度上の整備に属する話ですけれども--ということを確認させていただきたいと思います。   第2部,第7の5の「(2) 外国会社との株式交換」についてでございます。現行法上,外国会社との間の株式交換の可否につきましては,そもそも現行法のもとでも可能であるという御理解もあろうかと思いますが,会社法制の現代化の中で,外国会社との間の株式交換についてどのような規定を設ける必要があり,あるいは設ける必要がなく,あるいは設けるべきではないのかどうかということについて,いま一度端的な御議論をいただきたいと思います。明示的な規定を設けるべきかどうか,設けるとした場合にはどのような考慮をすべきかどうか,いろいろと御意見があったところでございますけれども,差し当たりまだ具体的なスキームを用意していないところでございますので,改めてその点についての掘り下げた御議論をいただいた上で,さらに事務局において整理させていただきたいと思います。   第3部,第1の1でございますが,この部分についての星印は,要するに新たな会社類型の名前について,例えば「合同会社」ということとしてはどうかということをお諮りする以上の意味合いのものではありません。もとより,新しい制度,新しい概念についての名称は,最終的には法制マターでありますから,なかなかこの場でこのように決めたからといって維持することができるというものではないところもありますけれども,一応このような名称をつけさせていただくということについての見通しもないわけではないということもありまして,お諮りする次第でございます。   第3部の第2の5の(2)--新たな会社類型における退社員の持分の払戻しについての規律--についてですけれども,おおよそ株式会社において株式の買取請求が行われ,債権者保護の観点からそれについて財源規制がかかるという場合の規律と同じくしようとするものでございます。払戻しを受けるべき額については,分配可能限度額等の関係にかかわらず,退社員は会社に対して当該額の払戻請求権を行使することができ,強制執行をすることもできるということを前提とし,払戻しをする段階で限度額を超えているということであれば,払戻しに応ずべき社員に株式会社の取締役と同様の超過額の弁済責任を課し,なおかつそのような事態を避けるため,一部清算に類するような手続をとり債権者保護手続を行うことによって,その責任を免れることができるようにするということが③の内容でございますけれども,このような制度設計でよろしいかどうかということについて改めて確認させていただきたいと思います。   星印の最後でございますけれども,第3部の第2の6の(1)についてでございます。「合同会社」--新しい会社類型--につきましても株式会社と同様の組織再編に係る規律を設けるということでよろしいかどうか,御議論をいただきたいと思います。   なお,星印がついていない部分についても御議論をちょうだいしたいところでございます。今までの部会資料の作り方との違いを申し上げますと,注意的な記載については特に取り上げずに,省略させていただいている部分がございますし,実質改正を加えようとする部分で注書きになっていたところは本文として掲げて注書きを極力省く形にしております。したがって,従前の部会資料において注書きになっていた部分について,それが新たな項目として提示されているものもありますけれども,これまでの議論の整理をさせていただく以上のものではないという理解の下に整理をしておりますので,もしここはおかしいというところがあれば,御指摘をちょうだいしたいと思います。   なお,前回申し上げましたように,部会資料29の御審議の後,前回お配りしました参考資料16「コーポレート・ガバナンス関係での改正事項(案)」についての御議論をちょうだいしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。   事務局からの説明は以上でございます。 ● 今の事務局からの説明,全体につきまして,何か御質問がありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,個々の問題について御審議をいただきたいと思います。   先ほど事務局から説明をいただいた星印がついた点をまず御審議いただいて,それが終わってから全体をもう一度,星印がついていないところを最初から御検討いただきたいと思います。   それでは,まず最初の星印のところですが,第2部の第2の4の(1)①でありますが,これにつきましては従来500万円という額につきましてなお検討するということだったのですが,500万円ということでよろしいかという点でありますが,いかがでしょうか。   よろしゅうございますか。特に御異論ありませんですね。--それでは,御承認いただいたものとして取り扱わせていただきます。   次が第2部の第3の3の(9)の②のホでありまして,これは定款の定めに基づく取締役の責任の一部免除につきまして,その要件でありますけれども,当該取締役以外の取締役の過半数の同意という要件にするということでありますけれども,いかがでしょうか。これにつきましてもよろしゅうございますか。 ● よろしいと思うのですけれども,②の冒頭に「取締役会を設置しない株式会社の任務懈怠責任については」とあって,ここに取締役会決議によるというのが入っている。これはどういう関係になっているのでしたか。 ● 取締役会を設置していない会社の取締役の任務懈怠責任の免除の在り方について,取締役会が設置されている会社に係る現行の制度がどのように変容されて適用されるべきかということを表しているものでごさいまして,やや誤解を招く可能性がありますので表現を修正したいと思いますけれども……。取締役会が設置されている場合の取締役会決議による取締役の責任の一部免除に相当する制度が,取締役が複数であって取締役会が設置されていない場合にはどのような規律になるかということを規定しようとするものでございます。 ● 私の方もちょっと混乱しましたが……。要するに,取締役会がない会社の話ですね。実質はそういうことのようです。 ● 前回議論になっていると思うのですが,このことと関連づけて,過半数の同意といっても二人の場合で一人の取締役を免除する場合には,かつて一人で過半数とあるとき一人の場合過半数かという議論をなさった方がおられると思いますが,この場合,二人で一人が対象だと一人の人でよいという,そういう理解でよろしいわけですね。   その関係でついでに。星印ではないのですが,このあれは取締役会を設置しない株式会社ですから,一人の場合についてはどういうふうに前回議論がおさまったのでしょうか。複数のことを書いてあるのですね,これ。   蒸し返しになるのかもわかりませんが,前回,不可抗力で欠席しましたので,ちょっと……。 ● 前回明示的な議論がなかったところでありまして,取締役が一人だけの場合にまさか自分で責任免除をするというわけにはいかないであろうということから,このスキームを利用することができるのは,結局複数の取締役がいて,当該取締役を除いた他の取締役の判断に委ねることができるという場合に限られるのではないかというのがここでの整理の趣旨でございます。 ● 株主総会の特別決議の場合には一人でもできると。そしてその場合には,ロになるのですが,当然にその人は6年という前提ということでよろしいわけですね。ロは複数とありますが,一人の場合は当然にその方は6年分と。 ● はい。 ● そこを確認させていただいて,結構です。 ● よろしゅうございますか。   それでは,ホ以外の部分についてはまだ御議論あるのかもしれませんが,ともかくホについて,実質についてはよろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきまして,③のイの第二段落の方でありますが,前回これは相当御議論があった点でありますけれども,金銭の貸付けに関する弁済責任につきまして,たしか前回,○○幹事から,無過失責任ではなくて,無過失の主張を認めるという形の過失責任なのだけれども,要するにその取締役の借入れが貸し倒れになっているのかどうかということについて何らかの規定を設けるべきではないかという御提案があったと記憶します。その問題につきまして事務局で検討してもらったわけですけれども,検討の結果,一応このようなことになっているわけでありますが,いかがでしょうか。 ● 私個人の意見は,もうかねてから申しておりますとおりでございます。 ● 前回の議論は,それではなかったのですね,無過失責任を維持せよという御主張ではなくて,もう少し複雑なものだったのですが。   ちょっと今日はまだ○○幹事がお見えでないのですが,遅れて見えるのかもしれませんので,ちょっと飛ばしてあれいたしましょうか。お見えになったらもう一度議論するということで,先に進ませていただきましょう。   そうしますと,次が前回,相当時間をかけて御審議いただきました点で,第2部の第3の3の(10)①ロであります。   株主代表訴訟に関して,訴えを提起することができないケースとして,このような,特に最後の部分でありますけれども,従来は利益との比較というような案,それを入れるか入れないかという議論であったわけですけれども,それに関しまして再度このような「その他これに準ずる事情が生ずることが,相当の確実さをもって予測される場合」というような文言の案でございます。いかがでしょうか。何か御質問でも結構ですが。 ● 「その他これに準ずる事情」というものは,当然に会社の正当な利益が著しく害されるというわけではない。それから,その会社に過大な費用の負担を生ずるというわけではない。けれども,それ以外の事情という,こういうことでございますね。そうすると,例えばどのようなものを想定していらっしゃるのか,ちょっとお教えいただけると有り難いと思います。 ● 事務局において積極的に具体的な事例を想定しているわけではないので,ここにどういうものを含めたいかという御要望の向きを御指摘いただいた方がよろしいかもしれませんが,ロは,イとは異なりまして,代表訴訟というものの性質上,本来株主の利益のために行われるべきものであるにもかかわらず,その制度趣旨に著しく反するというような事態が,必ずしも例示してあるような場合には限られないかもしれないという,念のためのものでごさいます。とりたててここに入るべきものはどういうものかということを,少なくとも今の段階で想定しているわけではありません。もし想定することができるのであれば,それはむしろきちんと掲げておいた方がよいのではないかという感じもするところでございますので,その点の当否も含めまして御議論いただければと思います。 ● いかがでしょうか。 ● 前回の話のときに,コンプライアンスもやはり会社の利益に入るということを考えますと,従前からちょっと議論に出ておりました,例えば責任を問われている取締役が資産は全くないということが明らかであるという場合にもかかわらず,その取締役に対して株主代表訴訟を提起して損害賠償請求をしようと--ただ,資産がないことが明らかというのはなかなか最初から分からないと思うのですが--そういったケースの場合にも,会社としては費用が随分かかるわけですので,それが正当な利益を害するということになるのでしょうか。そこらあたりは,例としてはどんなものなのでしょうか。   会社のコンプライアンスを達するという意味では,一応問題の行為の違法性というものを裁判所に確認してもらうという利益はあるのだろうと思うのですが。 ● いかがでしょうか,○○委員の御質問ですが,何か御意見ございますでしょうか。   例えば,そういう問題については○○委員にお任せするということでしょうか。特に御発言ないようですが。 ● やはりこの問題,ある程度共通の認識があった方が判断はしやすいのだろうと思うものですから。その場合でも,費用をかけてまで……。   よくありますね,1万円かけて10円を探すのがいいかどうかという問題とも若干絡むのかとも思うのですが。ただ一方で,やはりコンプライアンスというものをきちんとさせるためには,それは裁判なのだからそこはいいのだという御意見があるなら,それはそれで分かるなという気もするのですが,そこらあたりのところが,特にこの規定を是非にということであれば,御意見があればという気がしたのです。 ● 非常に難しい問題ではあるのですが,代表訴訟のもともとの制度目的をどう見るかという問題ともかかわるかと思うのですが,やはり代表訴訟というのは会社の損失回復機能というものがまず第一次的にあって,それに伴って違法行為抑止機能というものが派生的に出る,そういうものではないのかなという理解をしておりますので,もし損失回復機能が全く期待できないというときに,それをさておいてもコンプライアンスなりあるいは違法抑止機能というものを達成させるために代表訴訟を継続することが妥当かという問題になってくると,損失回復機能が全く期待できない場合にまで継続する必要があるかと。   言い換えれば,派生的な効果としての違法行為抑止機能だけ達成させるために代表訴訟を継続するということが本当に妥当なのかという価値判断の問題ではないかという気がいたしますので,もし被告取締役に財産が全然ないということだと,その段階で認定できるか,これは結局終局判決になってしまうのか,あるいは先決問題として審理するのか,これは訴訟の進行具合,あるいは証拠の程度の問題だと思うのですが,もし取締役に財産が皆無であって,執行してもゼロだということがはっきりしているということであれば,この「準ずる事情」に当たると見てよろしいのではないのかなという気持ちがいたしておりますが。 ● 今の問題の考え方なんですが,もう一つの考え方としては,過大な費用の負担が生ずることという場合に,その過大な費用というのは絶対的な意味での過大な費用,つまりある一定の,例えば1,000万なら1,000万かかるというのを過大な費用と言うというふうに,絶対的な金額の水準みたいなものをとらえて過大な費用と言うかどうか。もう一つの解釈としては,その代表訴訟で損害賠償で回復できる実際の額と,それに要した費用というものを比較して過大かどうか見る,そういう意味で相対的な過大費用というようなものであろうかと思います。したがって,解釈でもし相対的な過大費用というようなものであるならば,今,○○委員の言われたのは,あるいはこちらの方に当たって,「これに準ずる事情が生ずる」という方ではなくて,過大な費用の負担が生ずるという方に当たる可能性もあるのではないかなということで,したがってこの「過大な費用」という意味が絶対的な過大費用というふうに考えてつくられているのか,それとも相対的な過大費用というようなものでつくられているのかという,解釈上の問題がこの規定ぶりには恐らくあるのではないかなと。これを立案された方の意図としてはどの辺にあるのかなというのが,○○委員の問題に答える関係でも,もしその辺の事情が分かれば参考になるのではないかと思います。 ● 私どもは,この条文でいろいろな議論の末でありますけれどもよろしいかなと思いましたのは,「過大な費用」というのは著しい費用ということにはなっていなくて,あくまでも過大,表現ぶりを利益の害される場合と変えてありますのがあくまでも相対的な意味での過大だと,そういうふうに解釈しているものですから,今の○○委員のようなケースが場合によってはそれでも解釈できるだろうというふうなことで,この提案に同意するものでありまして,絶対的な著しさということになりますと,もうちょっと議論を深めていかなければならない,ないしは文言を変えていかなければいけない,こういうふうに要望当事者としては考えております。 ● 事務局としても,過大というのは相対的な概念であるということで整理をしようとしているものでございます。 ● この過大な費用,絶対的な額かと言われると,絶対的な額って何なのだということになりまして,やはりこういう評価をする場合には相対的にならざるを得ないと思いますけれども,単に回収可能というのですかね,勝訴判決が出た後の回収可能性と費用との比較でもって,例えば5倍以上だったら過大だとか,そういうことではなくて,例えば費用が,先ほど10円のお金を1万円出してという,これも1,000倍になるわけですが,例えば損害額が--こんなこと,余り観念的なことをやっても仕方がないと思うのですが,やはり違法性の程度も加味して,やはりこういうことはきちんとした方がよいと一般的に思われるということも含めて,相対性が判断されるべきだという気がするのです。したがって,例えば,回復可能額と費用とで倍を超えたらもうだめだとか,そういう意味での絶対的な相対的基準というのはおかしいと。すべて相対的であるべきだという気はいたします。   その限りで,これは絶対的でない……,言っているうちにわけが分からなくなりましたけれども,これは先ほどの話がありましたけれども,損害賠償額にスライドするような訴訟費用にしなかったこと自体,それから個々の株主のプラスとなるようなものもノミナルなんですね,ノミナルなものであるにもかかわらず,株主に代表訴訟を提起させるということは,純然たる損害てん補機能だけでなくて,やはり違法性抑止というか,遵法をきちんとすると,こういう目的もありますので,少なくとも主従と言われるとどちらか議論しなければいけないですけれども,抑止力というのも相当重要な制度趣旨だということから,先ほどのような形になるべきだと思います。   ○○委員なり裁判官,あるいは実務家の方にお聞きしたいのですが,これで要件……。もちろん法制的な詰めで要件をもう少しビビッドにされるのでしょうけれども,何かこれ,理念はあっても要件論として本当にこれでできるのかなと思うのですが,それは大丈夫なんでしょうか。 ● 多分,裁判をしますと,事実認定から入っていって,いろいろな事実を認定していって,それを先ほど言ったような評価概念で評価して,これに当たるという判断をするということになるので,よほど明らか,だれが見ても明らかなようなものを,今言ったようにこれは例えば損害回復機能はゼロだと,それから目的といっても既に会社のコンプライアンスは回復されている,事実も明らかになっていると,それなのにあえて……,イの訴権の濫用とどうなるのかと,かなり近いようなものではないとなかなか判断しにくいのではなかろうかと思うのですが,ちょっと実際に事例が出てこないと……。   基本的には,事実を全部押さえていって,それをどういう価値観というか,どういう解釈のもとで評価するかという,非常に難しい作業になるだろうなという感じはいたします。 ● 「その他これに準ずる事情」というのは,実は会計監査人もうまくすればというか,悪くすればというか,代表訴訟の対象になるわけですね。そうすると,どのような形のものが想定されるか,必ずしも今までの例がないものですから,是非「これに準ずる事情」というのは残しておいて,検討の対象にしていただきたいと思います。 ● 1点,○○幹事にお聞きしたいのですが,一応担保提供制度はこのままにするという……。ところが,相当数の担保提供の従来の判例法を見ると,この要件が,先ほどの○○委員のお話などを勘案するとかぶるような気がするのですけれども,それはそれで,別にそれぞれ使えばよいという理解なのか,これ違う制度とお考えなのか,そこら辺,確認だけさせていただきたいのですが。 ● 現行の規定のもとで担保提供制度がこのような事態のときに利用されているとすれば,それは先取りをしているものというふうに考えるべきなのではないかと思われます。担保提供制度は,あくまで被告当事者に対する当該訴訟提起が不法行為を構成するというような場合のための制度でございまして,その訴訟自体が仮に第三者を害するといったところで本来は担保提供制度の対象にはならないはずですけれども,当該第三者との関係から,その訴訟が被告との関係においても許されないものになる得るということが明記されれば--正に例えばイであれロであれ,このような要件を欠く訴えというものは,被告に対しても適法な訴えではないということになりますから--それにもかかわらず訴えを提起したということであれば担保提供制度の対象となり得ますので,担保提供制度と法制度的にリンクさせることができる制度設計ではないかと思いますけれども。 ● よろしゅうございますか。   ほかに,何か御意見ありますでしょうか。 ● 1点質問なんですけれども。   「その他これに準ずる事情」というものが入ったこととの関係なんですけれども,前回この場で,株主共同の利益という帳簿閲覧の拒否事由のところで使われている文言ですか--あるいは現実に指摘された方はいらっしゃいませんでしたが社債権者集会のところで社債権者一般の利益に反する場合に認可してはいかんというふうなのがありますが--その手の文言を示唆された見解があったと思うのですが,それはとれないということなんでしょうか。つまり,ここで準ずる云々と言われているのは,そういうことを意味しようということなのかなとも思ったのですが。   つまり,要するに株主全体の利益にならないような種類の事情があって,その例示として最初二つが挙がっているような関係なのかなとも思ったのですけれども。   ついでですから,○○委員の質問,私答えるものではないのですけれども,また全然明確ではないのであれなんですが,いろいろなことを言われていた中で,コンプライアンスそのものが裸で出てきて,それを達成したいことが代表訴訟の制度の利益とは恐らく思わなくて,それは○○委員などがおっしゃったとおりだと思うのですけれども,社会正義のための制度ではないとは思うのですけれども,ただ株主の利益というものをどういうスパンで考えるかという問題はあって,長期的な利益を考えると,こういうその事件での回収だけ考えたら余り割に合わないかもしれないけれども,放置した方がよいかどうかは疑問だというケースも論理的には,株主の長期的な経済的利益から見てあり得るという,そういう意味では恐らく相対的で,かつそれもその事件だけではない判断なのだと。それはあいまいになりますので,余り歓迎されない考え方だと思うのですけれども,それがどのぐらい明確に見てとれるかということで判断されるのだと思うのですけれども。   そういう発想からいくと,先ほど申し上げました株主の全体の利益のような発想というのが,どこかここに出ているというのは,非常に考え方だけは,具体的判断の助けにならなくても,考え方としてはよく納得のいくものだと思うのですが,なぜそれは明示的にここで示唆されたにもかかわらず,とれないというふうになったのかというのをお教えいただければと思うのですけれども。 ● 先ほど,「これに準ずる事情」に関して若干コメントいたしましたとおり,正に代表訴訟の特殊性としてこの訴訟が会社の利益,株主の利益のために行われるべきものであるにもかかわらず,そうではない事情がある場合というものをここで包括的に示そうとしているわけでございます。ただ,例えば従前の既存の規定上の「株主共同の利益に反するとき」というような表現に固有の意味があったりするかどうかということについての吟味がまだできていないということもありまして,ここではそれらと同じ用語を使っていないということでございます。   言い換えれば,法制的な整理の中で同じ用語が使えるということであれば,使うこともあり得るのではないかと思われます。 ● 基本的に同じ用語を使うかどうかはともかく,株主の利益に関係する話,全体の利益に関係する話なのだという方向での用語法の整理をした方が……。この用語法は株主の利益と関係あるかないかが分からないところに,何かちょっと微妙な問題を持っているような気がしますものですから,指摘させていただいたのですけれども。 ● その「準ずる事情」というものが何かという点がやや不明であるということも含めまして,少し整理をさせていただきたいと思います。   当初,「株主共同の利益に反するとき」というような要件でどうかということも考えなくはなかったところでありましたが,ただ,例えばほかの場面ですとそれが固有の意味で使われたりしているということもあって,同じ用語を使わないということにしているわけですけれども,条文化の作業に当たっては,法制的な詰めもした上で,趣旨が明らかになるような規定ぶりを工夫したいと思います。事務局において考えていることもそういうことでありますので,その点は御了解いただけるかと思います。 ● ほかに,御意見ありますでしょうか。   それでは,これは先ほど事務局から説明もありましたが,法制局との詰めということを経る問題でありますので,今日御審議の過程でいただいた御意見も含めまして,なお事務局で詰めてもらうということでよろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきます。   次は第2部の第4でありますが,1の(4)のところでありまして,②ですが,従前は一部の種類の株式について譲渡制限の定めがある場合につきまして,当該一部の種類の譲渡制限株式を発行するについて,株主割当てであればそれは取締役の決定で発行できるということになっていたのですが,先ほど説明がありましたように,3の(1)の③の部分との平仄が合っていなかったいうことで,株主割当てであっても取締役あるいは取締役会限りで発行するのであれば,それについては定款の定めが要るという整理をしたということでございます。この点はよろしいでしょうか。   整理の問題ですので,よろしゅうございますか。--ありがとうございます。   次が,第2部の第4の3の(2)であります。   ここで問題なのは①でありまして,イ,ロに掲げる事由により取得した数を限度として市場取引により売却することができるものとするということでありますが,特にロについてはかなり数が多くなる可能性もあるので,そうした売却ができる,市場売却ができるという旨の定款の定めがあるときということにしてはどうかということであります。この点,いかがでしょうか。この点は,新しくそういう要件をつけ加えるということでありますけれども。   いかがでしょうか,御了解いただけますか。--それでは,これも御了解いただいたものとして取り扱わせていただきます。   次が,これは従来明示的には議論されていなかった問題かと思いますが,第2部の第4の3の(7)でございます。   これは,従来から議論は非常にあった問題なのですが,自己株式処分につきまして金銭以外の財産が給付される場合,現物出資的な形になると。自己株式処分の対価が現物出資的なものとなるというときに,検査役の調査といった新株発行と同様の取扱いをするかという問題でございます。現在はそういう規定にはなっておりませんので,およそ現物出資的な対価による処分はできないのだという説から,それは何ら検査役の調査等なしでできるのだという説まで,いろいろに分かれているところかと思いますが,これをどうしたらいいかという問題でありますが,いかがでしょうか。   この案は,新株発行と同様に取り扱うと。ですから,ある一定の要件に該当すれば,検査役の調査等が要るということになるということであります。   いかがでしょうか,こういう形で新株予約権の行使についても同じ問題があるのですが,こういう形で整理するということでよろしいでしょうか。 ● いろいろ意見はあろうかと思うのですが,自己株式の処分は平成13年6月の改正のときに,資産に計上しないという前提で,また処分損益は資本あるいは準備金ではなくてその他資本剰余金ということになりますから,そういう意味では資本充実の問題とは関連性がないという前提で,自己株式処分について新株発行の規定の準用をする際に資本充実関係の規定は外されたという経緯があったと思うのですね。その点は,今回も自己株式の資産計上はしない,あるいは処分差益についていろいろ議論がありましたけれども,現行のその他資本剰余金と同じということで変えないということになりましたから,平成13年6月のときの扱いを自己株処分について変えるという必然性が生じたとは言えないのではないかというふうに思いますので,自己株式処分については特段の扱いをしなくてもよろしいのではないかという気持ちがいたします。 ● 新株予約権の方は。 ● そうすると,新株予約権が自己株式を代用株で使う場合と新株発行する場合との問題が出てくるわけですね。新株発行する場合については,資本あるいは準備金という問題が出てきますので,この場合はそれを論理一貫させると新株発行と同一の規制を及ぼすべきだという結論になるわけですけれども,いろいろ御意見はあると思いますが,私の今の感触としては,そういう区別をしてもよいのではないかというふうに思っているわけです。 ● 新株予約権の方だけ新株発行と同じ扱いという御意見ですね。 ● この問題については,先ほど○○委員がおっしゃいましたように,この規定を設けたときに当時のドラフティングをやっておられました○○参事官は,現物出資によるこの形での自己株の処分はできないという,そういうことができないからそれに関する手当てを置かないという前提で手当てを置かれなかったというわけですけれども,私,今の点についてちょっと○○委員と違う感じを持っていまして,確かにその他資本剰余金ということにはなりますけれども,その他資本剰余金ということになりますと,これは配当可能限度に入ってくることになるわけで,いわば自己株を現物を対価に処分して,それで非常に大きい利益が上がったということにして,それを原資に配当することが可能になってきますので,そういうリスクを考えますと,これはやはりチェックが必要,仮にそれを認めるのであればチェックが必要だと思いますので,やはりこれは現物を対価にする自己株の処分を認める以上は,新株発行類似の手続を導入するのが適切だというふうに考えております。 ● 私も,今の○○委員の御発言との関係なんですけれども,この現物出資規制というのは資本充実のためだけの,そのエンフォースメントのためだけの制度かどうかが重要なポイントでして,そうとは恐らく考えられてこなかったのではないかと思います。つまり,株主間の平等もこれによってある程度は担保しようとしているところがあるのだろうと思います。つまり,有利発行の値段は公正であっても,実際払い込まれる財産が安いという状態が現物出資の場合あるわけですけれども,有利発行類似の状況になるのですけれども,それは有利発行規制ではとまらなくて,それを事前予防のために現物出資規制でそこを押さえているのだとすれば,全く同じ考慮は,資本が増えるかどうかにかかわらず,資本金が増えるかどうかにかかわらず要求されるはずですので,そちらの側からも自己株式の処分の場合についても同じような規制をかぶせるという主張はできると思いますので,むしろ認めるのであれば,やはり今,○○委員が言われたように,類似の規制をかぶせる方が整合的なのかなというふうに思っております。 ● 念のためですけれども,資産計上するかどうかということは,むしろ余り関係ないような気がするのです。むしろ逆のことを言えば,資産として見ている場合には,それをどういう対価と交換しようが基本的には会社の自由であって,対価として得たものに価値がなければ,後から会計上損失が計上されるだけなんですが,資産ではなくて持分から控除しているわけですので,それを幾らで発行するかということについては,それなりの規制は必要だというふうに思いますので,私は○○委員のおっしゃったことに賛成いたします。 ● 多勢に無勢のようですけれども,自己株式処分について現物出資規制などがなかったという○○委員の13年当時の経過については,私も不勉強でちょっと認識がなかったのかもしれませんが,○○幹事がおっしゃるように,株主平等という問題も確かにあるということは十分理解できるのですが,一方で自己株処分については280条ノ10の差止権もあるわけですね。ですから,それでもって他の株主の利益は確保されているという考え方も可能ではないかということもあり得ると思いますので,ちょっと補足だけさせていただきます。 ● いかがでしょうか,今までの御意見では前者についても新株発行と同様の取扱いをすべきであるという意見の方が多数のようでありますけれども。   大体皆さん,そういう方向でよろしゅうございますか。   それでは,多数の意見は両方について新株発行と同様の取扱いをするということのようでありますので,そういう方向で進めさせていただきたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。   それでは先に進ませていただきますが,第2部の第4の4の(2)のところでありますけれども,これは強制転換条項付株式が定款の定めに従って強制転換されるという場合につきまして,これは何ら取締役の行為なしに,転換の効力が生じてしまうわけですが,その場合にそのままでよいのかという問題でありまして,やはり株式の内容が変わりますので,通知・公告等は必要ではないかということでありますが,これにつきましてはいかがでしょうか。事後的な通知・公告ということになりますが。 ● これはもう事後的に通知するか公告するかは会社の自由にしていただいて,法制上の義務づけというのは経費の点からやめていただきたい。そういうニーズもないだろうと。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● やはり必要なのではないかと思いますけれども。 ● いかがでしょうか。公告はそんなに費用がかからなくなったのではないかと思うのですけれども。新しい制度になりましたので。 ● 公告・通知が必要かどうかという面でいえば,やはりあった方が無難だろうと思います。というのは,定款の定めで転換事由に定めたときに,例えば上場したときはということであれば株主は十分知り得るのですけれども,転換事由として株主が客観的になかなか知り得ない事由が定款に定められていたというケースもあり得ないではないというふうに思いますので,そういうことも勘案すると,法制化しておいた方が株主保護には適するというふうに思います。 ● 事後的な公告・通知でありますので,ほかの公告・通知をする際にあわせて行ってもいいわけでありますし,それほどコストのかかることとは思いませんので,これはやってもよろしいのではないかと思います。 ● もし大勢がそうであれば……。 ● 皆さん御了解いただいたようでありますので,それでは公告・通知を入れるということにさせていただきます。   次が第2部の第5の2の(4)のところでありますが,従来は法的倒産処理手続に関する行為について,「社債管理委託契約等に定めがあるときは,社債権者集会の決議なく当該行為を行うことができるものとする」ということはお決めいただいたわけでありますが,訴訟行為については明示的に御審議いただいておりませんでしたので,この点を訴訟行為についてもこういう形にしてよいかということであります。   訴訟で請求をずっと続けていくということであれば余り問題ないのでしょうが,先ほど事務局から説明がありましたように,訴訟の中で裁判上の和解をするというようなことがあり得ますので,そういうものも含めて訴訟行為についてこういう社債管理委託契約等の定めを要件として,社債権者集会の決議なく行うということを認めてよいかということでありますが,いかがでしょうか。   特に御異論ありませんでしょうか。--それでは,これも御了解いただいたものとして取り扱わせていただきます。   次が第2部の第6の2の(2)の点でありますが,従来はこの300万円という金額が,これは確定しておりませんで,例示として300万円ということではどうかといったような案でありました。ここでこういう形で,300万円というふうに決めてよいかということでありますが,いかがでしょうか。 ● 質問ですが,これで300万をメルクマールにするというのは何か特別な意味があるのでしょうか。むしろそれを,前のときも聞いていなかったのですけれども,いかがでしょうか。 ● これは,現行の有限会社の最低資本金額が300万円であり,設立の段階での規制は設けないこととするものの,設立後の配当規制の関係では,少なくとも物的会社としては引き続き現在の有限会社の最低ラインを維持すべきではないかという御議論を経て,300万円という数字を出させていただいているところでございます。 ● 剰余金があって分配をするというのは当たり前の話でありまして,ちょっと私は有限会社の300万円と同じ金額がここに引かれることについて,今後論理的な頭の整理ができないだけなんでございますけれども,別に100万円でもいいのかもしれないし50万円でもいいのかもしれないしと言われたときに,何と説明をすればいいのかなと。そういう聞き方はずるいのかもしれませんけれども,余り意味のない規制なのではないかという考え方もあると思うのですが,いかがでしょうか。 ● これは,歴史的な経緯と言うべきかもしれません。ただ,今回最低資本金制度の見直しを行うということについては,必ずしも積極的な評価をいただくばかりではありませんで,設立段階での規制を緩め,設立時の払込規制は撤廃するということの代わりに,設立後の会社についてはきちんと配当規制をかけて,十全な規制を行っていくという説明をしないと,見直し自体,なかなか難しいという情勢であると思います。株式会社ですと現在は1,000万という規律になっているわけですけれども,一体化をする中でこれを有限会社の300万円という規律に統一し,その規律を維持するという方針は,理屈を抜きに維持させていただかないと,設立時の規律の見直しを進めていくことが難しくなる可能性があるのではないかというふうに見ておるところでございます。 ● 300万円は,歴史的な経緯であるという説明ですが。 ● 別に難癖をつけるわけではないのですが,ということは,300万円というのはたまたま有限会社の現行のものを引いただけであって,議論によっては1,000万の方がいいなという,バナナのたたき売りというと言葉は悪いですけれども,そこは論理がないので,いかようにも定められると。感覚の問題という議論になってしまうということなのでしょうかね。私も,頭の中がちょっと整理できないのですけれども。   要するに,出資者を害するような形で剰余金の分配がされるというのはおかしいではないかということだとするのか,どういうふうに……。 ● 剰余金の分配規制を守っていれば,少なくともその分配自体で出資者以外の債権者を害することはないはずなのですけれども,この種の規律がないという場合には,その直後に倒産してしまうという可能性も出てくる程度の分配も可能になってしまうわけで,どの程度のバッファーを設けるかという話であるはずでございます。従前の最低資本金規制は,この面の規制と,それから設立時の払込規制と,両方の面を持っていて,その設立時の払込規制の面については設立をしやすくすべきであるという政策判断もあって規制を緩めるけれども,配当規制の面については,今ある債権者保護の機能を現段階で弱めるべき理由というものは特に見当たらないのではないかということから--本来ならば株式会社については1,000万,有限会社については300万という規律が維持されるべきであるということがまず一つの理屈なのですけれども,ここは規律の一本化をするということもあって--現行の有限会社の規律にそろえて株式会社についても300万円に下ろした上で維持するということでございます。   そのことについては,一律に例えば1,000万円にすべきであるという議論があってもおかしくはないとは思いますけれども,そこは中小規模の株式会社の実態を踏まえると,有限会社の実態とそう変わることのないことから,株式会社の規律の下の方を有限会社の規律に合わせようということになっており,この点についても1,000万ではなく300万円ということで統一したらどうかということで,このような規定を入れているということでございます。 ● ほかに御意見ありますでしょうか。よろしゅうございますか。   考え方はこういう考え方で来たと思いますので,ほかに何か,金額はちょっとほかに何らかのアイデアがあるわけではありませんので,こういうことで御了解いただければと思います。   それでは,先に進ませていただいてよろしいでしょうか。   次は第2部の第6の7の(2)の②でありますけれども,損益計算書又はその要旨を公告しなければならない会社の範囲でありますが,これについては明示的に御審議いただいていなかったと思いますが,会計監査人を設置することが義務づけられる会社ということでよろしいかということであります。いかがでしょうか。   特に御異論ありませんでしょうか。よろしいですか。--それでは,御了解いただいたものとして取り扱わせていただきます。   次が,第2部の第7の1の(3)であります。   266条ノ3第2項に目論見書等の虚偽記載に関する取締役の責任という規定がありますが,そこに組織再編行為の際の開示資料を加えてはどうかということであります。これは先ほど説明がありましたように,対価柔軟化との関係で,そういうものの虚偽記載というものが重要性を増しているのではないかという見地からでありますが,これは新しい問題でありますが,いかがでしょうか。   これは,対価柔軟化に伴って,株式買取請求についても改正を加えたわけであります。それから,こういう組織再編行為の際の開示資料に虚偽記載がありますと,当該組織再編行為の総会決議の取消し事由にも恐らくなるのですけれども,そもそもそれが虚偽だったということは,3か月以内,決議取消しで3か月以内ですし,それから株式買取請求も,これも決議に反対しなければいけないということで,そもそも虚偽だということが分かりませんと株式買取請求もなされない,それから3か月内にあれは虚偽だったということが分からないと決議取消しもできなくなるということで,そういう問題があるので,あと残っているのは何だということになると,取締役の責任というのが一つの考えなのです。というところから出てきたと思われますけれども,いかがでしょうか,この点につきまして。 ● 私は,これを加えることに反対ではないのですが,これを加えることによって,266条ノ3第2項の書類のバランスというのですか,これを加えるのなら他のこれも加えた方がよいのではないかとか,そういう検討をする必要がないか。これは具体的アイデアがあるわけではないのですが,ちょっとこれを加えることを前提に,ほかの規定なども少し整理していただいたらなと。今,ちょろちょろと見ただけで意味のない提案かもわかりませんが,例えば一般に公告というのは既にもう登記か公告もここに入っているのですが,280条ノ3ノ3でしたかは,新株発行事項公告の場合にはこれに入るけれども,通知にしたらこれに入らないのかとか,ふっと思ったりもしたので,どうでもいい話なのですが,ちょっとそこら辺も含めて整理していただいたらと思いました。これ自体について異論があるわけではございません。 ● 266条ノ3第2項は,これは恐らく根本的には全く手がつけられていないのですね。恐らく昭和25年改正でしょうかね,もともと原型ができたのは。そこから何か加えるべきだとか何とかいう議論は,それから恐らく一切なされていないのではないか。ちょっと何か規定が変わったときに,ついでにちょっと文言を直したとか,そういうことはあったかもしれませんが。   ですから,主として今の規定は新株発行の場合ですかね。対象になっているのは。ですから,証券取引法と近い面もあるのですね。   ただ日本の場合は,組織再編には証券取引法の適用がないですから,あちらの方の民事責任等の規定は。   本日の審議事項の中では大きな問題ですので,是非御意見いただきたいと思うのですけれども。 ● 単なる質問なんですけれども,この組織再編に関する開示資料の虚偽記載というのは,具体的にはどんな場合を想定されているのでしょうか。 ● もともと出てきたのが対価柔軟化の関係ですので。それこそ金銭だと余り問題ないのですけれども,何円というのははっきりしていますので。   いろいろなものがあり得るわけですね。それこそ信託受益権とか,しかも何かそれがすぐ何かに転換されるものであるとか,いろいろなものが出てき得るのですね。かなり欺罔的なものもある可能性はある。そういうことは十分組織再編の場合の対価の説明書にきちんと書かれるかといったようなところから,それがすぐに欺罔的なものだったということが3か月以内に分かるかといったようなところから,何らかの措置が必要なのではないかという……。 ● そうすると,一般的な合併比率とかそういうことに関するものは含まないということですか。 ● その辺をどうするかというのは一つの問題ですね。直接考えたのはそういうことなのです。対価柔軟化の関係ですから。対価が虚偽的なものと。 ● 今のお話には関連するかと思いますが,この星印のついている(3)自体にはちょっとかかわらないのかもしれないのですけれども,(2)の方で,消滅会社の株主等に対して交付する対価の価額自身を書かなければならないというように審議が進んできているわけでございますか。そうしましたときに,これまでであれば,例えば合併比率を書けば済んでいたような場合についてまで,これは幾ら幾らであるという金額を書かなければならないのかという,そのことと今の○○幹事のお話と関連するかと思うのですけれども。その価額が,あとは虚偽記載であったかどうかという格好で争われることになるのでしょうかというのが一つの疑問点ですね。   それからもう一つの問題は,対価ということで幾ら幾らということまで皆書くということになりますと,反対株主が株式買取請求権を行使したときには,会社としてはそれ以外の値段は言えないぐらいのことになるのではないでしょうか。いったん自分たちの方で表示しておきながら,それと違う値段で個別に合意をするということはあり得ないというような話になりはしないか。今まででしたら,合併比率等は出ていますけれども,幾ら幾らというところまで出ていませんので,それを交渉して,買取請求権を行使した人との間で値段を決められれば決める,決められなければ裁判所ということだったと思うのですが,このように変えることによって,必ずこれは裁判所に持ち込まざるを得ない,そういう対応しか会社はできないということになりはしないかということが第2点目です。   次に,第3点目に,もし買取請求権を行使した者が裁判所で争って,裁判所の方が違う値段を出したとしますね。そうするとそれは反対して買取請求権を行使した者だけがその値段の恩典にあずかり,ほかの者はあずかれないということになったときに,それでも対価が株式であればそういうものなのだということでごまかしがつくと思うのですけれども,対価が金銭であった場合に,この点逆にその問題が露骨になりはしないかということを懸念いたしまして,一体対価柔軟化といった場合に,例えば金銭などでいった場合と,これまでどおり株式を対価に合併などを行おうと思った場合とに分けて,それぞれ問題状況を考えてみますと,新しい試みであるだけに,虚偽記載にかかる責任も含めて,一体どういうことになるのかもうちょっと整理が必要なのかなというふうに思いますが。 ● まず1点目の合併比率の話ですけれども,異なる株式会社の一株の価格を金銭的に評価せずに比率が出てくるということを前提にしていれば,おっしゃるとおりだと思うのですけれども,そういうミラクルなことができるのかどうかというのはいま一つよく分からないのですね。   要するに,ある会社とある会社が,企業価値は何かよく分からないのだけれども,とにかく合併比率は一対一だと,というようなことを前提にしないと,価額が書けないということは起こり得ないはずですね。 ● その場合には,株式対株式の場合であればシナジーの分を考慮しないで金額をそれぞれはじき出すことによって合併比率だけは出せますね。 ● 合併比率にシナジーを入れなくてもいいというのが定説であれば,おっしゃるとおりだと思うのですけれども。 ● 双方が株式同士であれば,ですよ。比率を算定するだけであれば,シナジー分が幾ら追加されたのだろうかということは算定しなくても比率は出ませんか。 ● シナジーというのが,何のことをシナジーと言っているのかちょっとよく分からないのですけれども。 ● 合併をすることによって,従来の株価が片方が1,000円で片方が500円だったとしますね。しかし,これを合併することによってもっと高い値段になるかもしれないという,そういう見通しがあるから合併をしようということになるわけですが,従来1,000円対500円であるということさえそれぞれ分かれば,合併比率は決まるのではないですか。それが双方合体したことによって,どれだけ高くなるかということまでは算定しなくても,合併比率は出ませんか。 ● その考え方が一般的なのであればそうだと思いますけれども,ちょっと私には判断がつきかねますが。   いずれにしても,対価を株式で出すとしても金銭で出すとしても,普通の要するに大人の買い物であれば幾らで買うかというのを決めて,それに対する対価を何に当てはめるかというふうにしますよね,要するに一般の取引であれば。およそ合併の瞬間だけすごく特殊で,要するにそういう価額は表示しないというか,算定しないのだというような特殊事情があるのであれば格別なのですけれども,ちょっとそのようなことはにわかに考えにくいのではないかと思うのです。   例えば,完全子会社同士をぶつけるのであれば,これは何対何で合併しようが大した問題ではないので価額を出すことについてはむだだという話になるかもしれませんけれども,独立した会社同士が合併するときに,それぞれの株式価値をおよそ算定しないで,幾ら分の株式が割り当てられているかもよく分からないで割り当てるということは,ちょっと考えにくいですね。 ● それは私,やはり比率を算定するだけの場合と,合併直後にそれが幾らになるのかということを算定するということは,少し別なのではないかと思うのですけれども。実際にはどうしてやっていらっしゃるのでしょう。 ● 実際の場合に,今おっしゃる合併した場合にシナジー効果があらわれて,うちの株価の1,000円は1,200円になるでしょうと。おたくの会社の株価は500円は900円になるでしょうと,この合併の統合効果でおたくの支店がこうであってうちの支店がこうで,こうこうして,それをまたそれぞれ別の独立体として統合運営をして,リストラしたときにこうだこうだなんていうことは全くはじきませんよ。 ● はじかないですよね。 ● それははじかないです。それぞれ単独でもって市場株価であるとかDCFであるとかいうのをはじいてやる。あと,統合効果は今後別途統合した後あらわれてくるということで,統合比率にそれぞれが統合したことによって今後どういうシナジーがあるので,それを,おたくの分,こちらの分と配分するのも大変難しいですね,だから現実にはなされていないのではないかと思いますけれども。   私は,その意味では○○委員のおっしゃるのが実務なんだろうと。 ● その点と,それからおよそ上場会社の場合は株価ははっきりしているのかもしれませんが,そうではない場合について,先ほど○○関係官が言っていたのは,要するにやはりそれは幾らであると,それぞれの株価が幾らであると,それは一応考えた上で合併比率を出すのではないですかと。それをしないでいきなり1対2だとか1対1だとか,そういうことは言わないのではないですかということ。 ● それはもちろん当然だというふうに言っているのですけれども。   問題は,比率を出すという話と,それの公正な対価の価額が幾らかということを算定するのとは作業が別なのではないかということなのです。それにもかかわらず,従来は合併比率だけ出しておけばよかったものが,対価の価額まで皆さんに一々開示しなければならないと,しかも株式対株式の場合ですら,それをしなければならないということになったときの影響の度合いというものを,一度考えなくてはならないのではないかという疑問なのです。 ● 株式に株式を与える場合については,ここで言う対価の価額というのはシナジーを含まなければいけないものなのかどうか,それは当然,シナジーが出ればもらった株式に反映されますので,そこまでは私は要らないのではないかなという気がするのですが。しかしキャッシュアウトだということになりますと,当然に何か消滅会社の株式は今まで非上場だったけれども幾らだったと算定しますと。例えば1,000円なら1,000円,だから1,000円差し上げますで,それで本当にいいのかという問題があると思うのですね。 ● したがって,そのシナジー分も含めた価額をここで表示しなさいと,こういう話にしていこうというのがここのねらいであるわけですね。しかし,それが全体にこういうルールにすることによって,従来やっていたような株対株の問題についてまで巻き込んだ形で,一層難しい問題を実務の方にも生じさせるのではないかということを懸念しているわけです。 ● 株対株の場合は,それはシナジーまで出す必要はないということは,私もそれはそうではないかなという気がしますけれども。 ● どこまで開示するか,価格についても各経営者の判断の前提となった評価を開示した方がいいだろうということは,私もその点でいえば基本はそうだろうというのは○○関係官と多分同じだと思うのですが,ただ合併対価にそもそも虚偽というものがあるのかなということが疑問でありまして,つまり合併対価は基本的には交渉で成立するものだろうと思いますし,そこにはかなりの裁量の余地……,と言ってしまっていいのか分からないのですが,いわゆる経営判断的なものも相当入り得るものであって,計算上何か一つの値が必然的に出てきて,それと違う条件で合併に合意したらこれは虚偽だとか言われるものではないのではないかと思うのですね。ですから,ここはむしろ対価の柔軟化に際して株あるいは金銭でないものが対価になった場合については,当然正当な手続として公認会計士と専門家の鑑定意見等をとるべきであるとか,そういうことにはなるかと思うのですが,実際に表示したものが虚偽だという言い方をする問題では,そもそもないのではないだろうか,そのことによって266条ノ3の責任を課すということになりますと,かなり組織再編に対するチリングエフェクトが生じてくる危険があるのではないかというので,この辺はもう少し慎重に御検討いただいた方がいいのかなという気がいたします。 ● どういう解決方法がありますかね。非常に何か欺罔的なことがなされるというような問題があり得ないか,もしあったとしたらどういう解決があり得るのか,それはもう266条ノ3第1項でいいという考えもあり得るかとは思うのですけれども。   確かに,2項に入れるとなかなか難しい問題が出てくるのかもしれません。 ● 今,○○委員がおっしゃったのと同じような角度の議論なんですが,私もこの御提案を見たときに,266条ノ3の第2項というのは一体何を保護した規定なのかと。これは第1項については株主も含むかどうかといろいろな議論がありますが,第2項について条文を見ると,株式申込証とかこれから会社と利害関係を持つと,そういう意味の第三者保護の規定という位置づけになっているかと思うわけです。   それに対して,今回組織再編の開示書類は,これを加えるということになると,合併と会社分割の場合には閲覧権者は株主と債権者になっていますが,株式交換の場合には株主だけでございまして,そうすると266条ノ3の第2項に株主だけが閲覧権を有する書類というものが入ってくるということになってくると,第三者保護のための取締役の責任の規定にちょっと異質なものを入れてくることになるのではないかと,そういう意味で266条ノ3の第2項の性質が少し変わってくる。先ほど,○○委員がおっしゃったように,もし株主だけに閲覧権がある書類をここに開示書類として入れてくるということになると,それを許した書類がほかにもあるではないかという議論が出てきて,例えば株主総会の招集通知に添付する参考書類とか,そういうものが例えば営業譲渡,あるいは営業譲受けの非常に重要な事項がそれに書いてある,株主だけがその閲覧権を有するという書類も同列ではないかという議論が出てくるという可能性もあるかと思いますので,私も欺罔的な組織再編関係の書類が作成されたときに,決議取消しとかそういうのだけではなくて,何か手立てを講ずることが必要だという意味では,この御提案に基本的には賛成なんですが,266条ノ3の第2項に加えるという方法論で果たして解決するかどうか,ちょっと私もまだ結論が出ていないのですけれども,そういう1点の疑問というか,法体系上の条文の性質を変えるという問題が出てくるのではないかなということを,ちょっと今考えておるわけです。 ● 基本的にどういうふうに考えたらよいかというのは,○○委員がおっしゃった点は私もちょっと迷っていてよく分からないのですけれども,ちょっと細かい点2点だけ,やや確認になるかもしれませんけれども。   まず1点目として,株を対価とする場合にはシナジーを言わなくてよくて,現金を対価とするときにはシナジーを含めた対価の価額を開示せよというルールを採用した場合には,一番よくある親会社の株式を渡す場合は一体どうするのかということは少なくともはっきりしておく必要があると思います。   それからもう1点は,○○委員と○○関係官との間のやりとりに関係しますけれども,言わずもがなのことですけれども,株で比率を決めた場合にシナジーが配分されるというのは,その比率で配分されるわけですから,シナジーの配分に異議があり得る場合は例外的な場合としてないとは言えない。例えば,極端な場合,余り実務的にはないでしょうけれども,シナジーを発生させる源が専ら一方の会社にあるような場合には,場合によってはシナジーは他方の会社の株主には配分させない方がいいという場合,極端な場合にはもうちょっと緩めて言うと,配分比率については必ずしも合併比率と同じ配分比率が公正であるとは言えないという場合もないわけではない。ただ通常の場合は,恐らく実務がそうしておられるように,株式交換比率か割当て比率で事後的にシナジーが配分される,それがシナジーの配分としてもなお公正でしょうと,それにもし反対があるのであれば,反対を言う人が立証してくださいと,そういうことだと思うのです。大体アメリカも同じ運用だと思いますけれども。それが2点目です。   したがって,最後に,そうすると一体この問題をどういうふうに考えたらいいのかというのが○○委員の御指摘で,ちょっとこれは感想以上のことは言えないのですけれども,シナジーを,株の場合は黙っていて含めなくてよろしい,現金の場合は含めた数字を言いなさいというのは,やや混乱したルールのような気がします。   例えば,一つの整理としては,シナジーを含めない数字を出しておいて,ただ現金の場合にはそれにあと幾らシナジー分というのがないと,それはあたかももし株を渡していた場合には,先ほどの○○委員の言葉で言えば,合併比率に応じたシナジーが配られ,そこに帰属するであろうと,それを評価すると幾らになりますということを言うか,あるいはそこは開示の対象と言うか等で区別して,と言い方がいいのかどうかよく分かりませんけれども,あたかも株の場合であれば比率で示して,すなわちそれぞれのシナジーを含めない株式の価格というのでしょうか,あるいは企業の価格というものに相当するものを開示するので,ただ実際に交付する額というのは当然それ以上配らないと,現金対価の場合にはいけませんので,そこは結果としては自然に分かるわけですけれども,そういうふうに整理するにせよ,それに不満がある場合にはいろいろありますけれども,どういう開示をするにせよ事後的な争いになるわけですから,その中では今のような問題は立証責任の問題になるというのでしょうか,もしシナジーの配分が比率どおりの配分では不満だという議論があり得るとすると,それは恐らくそれを主張する側が立証しなければいけないというようなことになっていくのではないかというふうに思います。 ● 確かに(2)の方も,これは何を開示するのかかなり難しい問題で,今のお話だと恐らく合併の場合ですと消滅会社の株式の価値を開示すれば済むというお考えかと思います。確かにそれは一つ,対価が現金や上場株式であればそれでいいのですが,ここで(2)で主として考えているのは,わけの分からない対価の場合を考えているのでこういう書き方になっているのだと思うのですが,むしろいろいろあるのかもしれないのですね,書くべきことが。この辺は,もうちょっと整理が必要かなという気が,確かに御意見伺っていたしましたが。   どうも(3)についても,このままではちょっと問題だという御意見が多いようですが。 ● (3)については,ある部分においては私はやはり2項に入れるべきものがあると思うのですね。というのは,現在の266条ノ3第2項は,確かに新株発行とか社債発行の場合の書類だけではなく,計算書類の虚偽記載が含まれているわけですけれども,実はこの企業再編の際には,281条1項に掲げるもの以外に貸借対照表,損益計算書を作る場合があるわけでして,現在の法制のもとだとそれについて266条ノ3第2項は多分かからないと思われるのですけれども,同じ計算書類--同じと言うとちょっと語弊があるのですけれども--そういうものについてはやはり266条ノ3第2項の範ちゅうに少なくとも入れるべきではないかという気はするのですけれども。 ● 今の○○幹事の御意見にやや似ているものでありますが,過去の判例等の中で出てきた事件としましては,この例えば合併に際して公示されるような貸借対照表は最終の貸借対照表でよいという考え方になっていますので,それ以後資本関係等が変動したような場合には,それが重大な影響を及ぼす場合には注記をせよというような形の判例になっているかと思うのですが,そういったようなことが行われずに,合併の対価等が開示されているということになると,それは対価柔軟化との関係もあるかと思いますが,先ほど○○幹事が言われたように,対価が虚偽であるということはないというのは確かにそうだと思うのですが,対価の計算の基礎となった書類自体が開示情報として虚偽であるというような場合,不備であるというような場合についての責任は,やはり何らかの形で負わせなければいけないだろうというふうに考えられるわけです。   その場合,今の○○幹事と同じ意見になりますが,266条ノ3の第2項でいきますと,最終の貸借対照表自体は間違っていないわけでありますので,この責任はダイレクトには追及できないと。そうしますと,合併に際して開示すべき貸借対照表の注記に不備があったというようなケースについては,やはり改めて何らかの責任を負わせる必要があるのではないかというようには感じたところがあります。そういう意味では,この規定をそのままここに当てはめてよいのかどうかという点については,先ほど○○委員がおっしゃいましたけれども,例えば3項のような形で何らかの特殊な類型を作るということも,条文上は可能なのかもしれませんけれども,いずれにしても必要性という点ではここに御提案されているようなものを加味することは必要なのではないかというふうに考えます。 ● 先ほど,ついでに申し上げた点,今の点にも関係しますが,私もこの2項か3項かよく分かりませんけれども,こういうものがあった方がいいように思います。その理由は,余りきちんとしていないのですけれども,おおむねこういうものがあると大体アメリカなどで起きていることに近い処理になるということです。   これは○○委員が3番目ですか2番目ですか,御質問になった反対株主が買取請求をしたときに,会社がキャッシュアウトした数字と違った数字を裁判所が認定したら,反対した人だけが恩恵をこうむるというのはおかしいのではないかと。確かにそういう点はロジカルにあるのですけれども,しかしアメリカでは答えはイエスなのですね。つまり,反対した株主だけがその数字の買取請求の恩典にあずかれます。   その説明はいろいろあるのですけれども,私の理解は,これは言ってみればパーシャル・クラスアクションというか,その範囲の人がクラスとして制度化されているというふうに考えて,それはつまり反対したということなのですけれども,そこではシナジーの分配も含めた買取請求を裁判所が認めるわけですから,アメリカでいえばですけれども,そういう方向を目指しているわけですけれども,ですからその範囲でのクラスということになる。どこかに線を引かざるを得ないというある種割り切りなんですね。もちろん,ロジカルには反論もあり得ると思います。   私も,買取請求という制度を生かしていく以上はそういうふうに割り切らざるを得ないので,そこはいいかなと。というか,そんなものかなというふうに思っています。その点は原案でいいように思っているのですが。   では,更に進んで,事後的に争うという人が出てきた場合にどうかということなんですけれども,結局アメリカはほとんどの場合が合併でキャッシュアウトであれ何であれ,損害賠償請求になるのですね,取締役に対する。ですから,それは結果としては非常にこれに近い,266条ノ3の2項に近いような処理になっている,普通の過失責任は排除されますし,州によって違いますけれども,それでいて--ただ向こうはクラスアクションという形をとりますけれども,日本はクラスアクションという制度そのものが存在していませんから仕方がないことで,そうしますと結論として,ちょっと細かい点いろいろありますけれども,おおむね2項なり3項なり,ちょっと従来のものと類型が違うというのが確かにあるのかもしれませんけれども,そういうようなところでおさめるとバランスはよいのではないかという気がいたします。 ● 今,266条ノ3に,第2項のほかに新しい項を付け加えるというアイデアが出ておりますが,もしそういう根本的なことをやるのであれば,これは責任を負う者が取締役である必要があるのかと。今,○○委員が言われましたように,むしろ会社に対して損害賠償請求をするというようなことは考えられないのだろうかという気もしますけれども。 ● 今,○○委員がおっしゃった点は,半分そのとおりだと思うのですけれども,残りの半分もあって,アメリカなんかのキャッシュアウトマージャーに対する訴訟というのはやはり全取締役を相手にするのがほとんどなんですね。有名なワインバーガーはもちろんそうですし,言い出したら切りがないのですけれども。   やや微妙なのは,余りここで申し上げても釈迦に説法で,私よりも詳しい方もいっぱいいらっしゃると思いますけれども,主としてやはり判断の基礎となった情報というものが不十分であったとか,それは取締役会に提出された書類であったり,それから日本で言う合併比率の公正についての鑑定とか,そういうものを十分取締役が考慮したかどうかという点が争いになる場合が多いですけれども,細かい点は別にしまして,こういう規定が仮に設けられますと,半分ぐらいは今申しました取締役を相手にするアメリカでいえば事後的な救済というものがこちらにのってくるし,この線というのは,逆に言うと取締役とか会社側一般にとってもそう物すごい変な線でもないし,ちょうどアメリカでいえば判例法で発展しているというのでしょうか,これも多少幅がありますけれども,あたりのバランスに近いという面があります。   それから,最初の問題というのは,○○委員がおっしゃったとおり会社を相手にという制度も,私も当然あってそれはしかるべきだというふうには思っています。 ● 2点ですが。   まず(2)なんですけれども,読み方なんですけれども,前半と後半があるのですが,前半の「対価の価額」というのは,これは金銭ならいいのですが,金銭以外だったらそれの金銭的価値で,存続会社の株式を割当てを受けるのであれば,その決議なかりせば有せし価値の金銭的価値,つまりシナジーを全く反映しない部分の金銭的評価だけなのではないでしょうか。それでいい理由を後半で説明する,それは交付金合併ではないからそれでいいのだと。お金であれば上乗せ分がある,それは後半で説明する内容で,前半は単純に出ていくお金を金銭的価値だけで,シナジーも何もない部分だけを言って,それで足りる,足りない,上乗せが必要,上乗せが適切か否か云々というのは,後半の説明内容だと読んだのですが,そういう読み方ではこれはないのでしょうか。そういうふうにしないと,2種類,完全な普通の従来型の合併と交付金合併だけだったらいいのですけれども,半分ぐらい金銭で半分ぐらい株式だったら,じゃ対価というのは何を書くのですか,そんなわけの分からない問題が生じますので,それは前半で書くべき対価というのは出てくる財産の単なる金銭的価値,後半でその中身がなぜ適切か説明するときにいろいろなシナジー云々という話は書かなければいけない,交付金合併でなければほとんどそこの説明は要らないと,そういう関係で(2)は整理されるのかと読んだのですが,違えばお教えいただければと思います。   次に(3)なのですが,仮にこの266条ノ3の第2項でいきますと,損害は何なのか,因果関係はあるのかといった問題が出てきて,損害として何を想定するかもよく分からないのですが,株式買取請求権を行使できたのに安心してある期間反対しなかったから行使できなくなったとか,そういうことを損害だと言っているのであれば,2項にこんなものを入れただけでそんな請求権が立つかどうかは相当怪しいと言わざるを得ないと思いますし,またそれを主として担保するためなのであれば,そこも手当てをしなければいけない。これだけでは多分だめなんだと思います。   仮にそういう買取請求などができたであろう地位を,こういった取締役の責任なり何なりで対処しようということを考えているのであれば,虚偽記載にこだわることはなくて,恐らくは説明の資料として不十分であるようなデータしか出さなかった場合も含めてという形になるでしょうし,ちょっと単なる威嚇のための,脅しとしてこういうのがあった方がいいという程度で置いているのであれば,こういうのもいいのですが,救済まで考えているのであれば,ちょっと中身を考えた方がいいかなという気がして,もし取締役の責任でいくのであれば,今言ったような,推定の規定がいいかどうかちょっと分かりませんけれども,そういったものが必要になるでしょうし,更には一定の重要な情報,開示をしなかった場合には買取請求その他の方で何かある種の救済を事後的に与えるとか,例えば反対しなくても行使できると,これは非常に危険ではあるのですけれども,そうなると今度分配の規制をかぶせなかったところが引っ掛かってくるのですけれども,ちょっと救済の中身を考えて,単に2項に入れるだけということでは解決になっていないような印象を受けております。 ● これはなかなか難しいですね。確かに証券取引法も同じ問題がありますけれども,賠償額を法定するかどうかという問題,あれに似た話なんですね。 ● 先ほどの○○委員のおっしゃった会社の責任の関係なのですけれども,過去266条ノ3の第1項の規定の適用の場面で,いわゆる詐欺的な取引が行われている取引的不法行為のようなケースの場合には,重ねて民法44条に基づく損害賠償請求が認められているケースもあるやに思いますので,そういう意味では代表取締役が虚偽の開示資料を提示した場合については,極端な場合には民法44条がかぶるという処理で,特段の規定は要らないのではないかと。むしろ,先ほど○○委員がおっしゃられているように,やはり取締役の責任追及という制度の中で解決を見出すということがよろしいかというふうに思います。   ○○幹事がおっしゃられていますけれども,確かに過去最高裁の判例でも,営業譲渡だったと思いますが,議案の要領を添付しないで招集通知をしたような場合については,株式買取請求権の機会を奪ったことになるので,裁量棄却はできないということで,もう一回株主総会をやれというような,そういう解決策もあるわけですが,当初○○委員がおっしゃられていますように,そもそも決議取消しの訴えの行使の機会すら奪われてしまっているというような場面を想定しているわけですから,そういう意味ではやはり2項かあるいは3項というのは,ちょっと私,口が滑りましたけれども,何らかの形で対処する方法を考えていただきたいなというふうに思います。 ● いろいろ御意見いただきましたので,もうちょっとやはり(3)は内容を詰めて,細かく考えないといけないと思いますので,改めて今日いろいろ御意見いただいた点を踏まえまして,もう一度事務局で検討をしてもらいたいと思います。   それでは,ちょっとまだ星印が残っておりますが,休憩いたします。             (休     憩) ● それでは,再開させていただきます。   第2部の第7の1の(4)でありますが,ここは,株式交換につきまして,完全親会社となる会社の株式,あるいはいわゆる株式交換交付金に当たるもの以外の財産が完全子会社となる会社の株主に交付される場合には債権者保護手続を導入するということにしたこととの関係で,その株式交換無効の訴えの提訴権者に債権者保護手続で異議を述べた債権者等も加えるということでありますが,これは①がそういうことになれば②は当然のことだというふうに考えますが,これはこれでよろしいでしょうか。   よろしゅうございますか。--それでは,これは御承認いただいたことにさせていただきます。   次が,第2部の第7の5の(2),「外国会社との株式交換」でありますが,外国会社との株式交換といっても,日本の方の手続は分かるのですが,外国会社の方の手続は,例えばどういうものであればいいのだとか,これはちょっとよくまだここで御審議いただいていない点があります。外国会社との株式交換ということの意味ですけれども,配分的適用だとか言いますけれども,向こうにも日本の株式交換と同じような手続があれば問題ないのだと思いますが,そうではない場合に,例えば外国の完全親会社たる会社は,単なる現物出資に対する新株発行の手続でもいいのかとか,どうも御理解が各委員で必ずしも一致していないのではないかという点もありますので,そういった点等,(2)の問題について御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。 ● 外国会社の株式を対価とする合併は,既に認めるという方向で審議が進んできているわけですね。 ● 合併は,です。 ● 外国会社の株式を対価とする合併は認めると。 ● 合併といいますか,株式交換。 ● いえいえ,合併の際の対価の柔軟化の一環として,例えば外国会社の株式でもよいと。 ● 先ほどのあれですね,対価柔軟化の関係ですね。 ● そういう話になってきておりますね。しかし,外国会社との合併自身については特に御提案がないわけですが,実際の需要は余り合併にはないからこういうことになったのかというような気もするわけですけれども,そこら辺はどのように整理されて提案されていらっしゃるのかということをちょっと教えていただければと思います。 ● これは,前回,○○委員はやむを得ない理由で御欠席でございましたので,ちょっともう一度……。 ● 合併の場合には,単に一方の会社が他方の会社の権利義務を包括的に承継するということのみならず,当該承継された会社については法人格がなくなり,清算手続も行われないと,そういう効果があるわけでございまして,法律をまたいで,国をまたいでそのような規律が果たして設けられるかどうか,非常に難しいということもありまして,外国会社を相手方とする合併についての規定を設けるということは困難ではないかという整理をさせていただいているところでございます。   これに対して,株式交換の場合には,必ずしもそうではないかもしれないということで御提案をさせていただいているところではありますけれども,今御紹介がありましたように,株式交換についても,これは我が国の株式交換制度の特殊性で,組織法的な,要するに両当事会社を一体として規律する制度になっておりますので,それについて国をまたいで適用があり得るということにした場合に果たしてどのようなことになるのか,なかなか難しい問題であり,この際どうすべきかを率直に御相談したいところでございます。 ● 本件につきましては,今,○○委員の言われた合併対価の柔軟化でもって外国会社が日本の会社を完全孫会社にするのか完全子会社にするのかだけの問題ですから,いったんSPCを置いておけばいいわけですから,そういうことになるといかにアメリカ側の要求があるといっても,向こうにそういう類似の制度がないのに一方的にこういうものを導入すべきであるという主張は,ちょっとおかしいのではないか。やはりいったん日本にSPCをつくってもらった後で,そのSPCと株式交換契約を結んで親会社の株式を渡すと,これで何も問題がないと思うものですから,法制上もそれで完全にクリアできるわけですから,新たにこういう相互主義的ではなくて,一方的な制度を入れるというのは,バランスとしておかしいのではないか。場合によっては国益を損じるのではないかという気がするものですから,今日○○幹事がいない中で申し訳ないと思うのですけれども,そういう気がいたします。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。   そもそも外国会社との株式交換というのは,相手方については皆さんどう考えておられるのか……。○○委員は,だからそういうややこしい問題が出てくるからやめたらどうだという御意見のようですが。 ● 孫会社で,何で問題なのかと思うものですから。 ● 認めるとした場合,どこまで認めるのかですね,外国会社の手続として。さっきも申しましたように,日本の会社が完全子会社となるなら一応全部の株式が向こうにいくということは,日本で決議すればそうなるのでしょうけれども,相手方の手続は何があればここで認めるということになるのかということについてはどう考えるか。これは,適用の問題になると必ず出てくる問題だと思うのですが。   一応どうお考えだったのですかね,どの辺までなら認められると。   ○○幹事は何か……。 ● 今,○○委員の言われた点については,私は判断できませんので,国益としてこういうのがよいかどうかという話というのは。私はやはり疑問があることはあって,前回も申し上げましたけれども,向こうの国の会社がどういう手続を要求されるか次第によっては,日本の会社よりはるかに買収しやすいような道具をなぜ日本が提供するのかという話,これは会社法の話ではない,会社法の,投資家の間の利害調整がフェアにできるかどうかの話ではない世界の話ですので,それは申し上げられないのですが,疑念がないわけではないのです。   ただ,それを全く忘れて,純粋に会社法の組織法だけの問題として考えたときには,学説で分かれているところなんですね。一つの割り切った学説というのは,株式交換というのは機能的に分解して,一方の会社において強制的に株式を取り上げる制度,もう一方の会社において株式を発行する制度というふうに分ける--合併なんかだと,ちょっとなかなか分け方が難しいものですけれども,株式交換は比較的分けられるものですから--そういうふうに分けて,おのおのの果たすべき機能を両方の国において果たすような組織的行為と結びつけられればいいというふうに分けるのではないかと思うのです。そうすると,向こう側の国で最低必要なのは,ある種の新株発行の手続だということと,ただつながらなければいけないので強制的に取り上げられる株式をちゃんと割り当てる手段までは向こうの国でちゃんと用意してくれないと多分だめなんだと思うのです。そこでつながれば,それで配分的に適用してつながるというのが一つの学説の考え方,一番リベラルな学説の国際私法上の取扱いで徹底すれば,そういう形になるのだと思います。   ただ,いずれにしてもここの書き方の「できるようにするものとする」は,できるようにするのは日本国だけではできませんので,少なくとも日本法上およそ外国の会社は株式交換の対象にならないという制度を改めるという程度の書き方がフェアなのだと思うのですけれども,新株発行ができること,日本の株式交換の本質か何か,私も十分分かっていないのですけれども,やはり株式会社のようなものが相手方であって,それが日本の株式会社に相当するような会社であることが恐らく要件なのだと思いますし,それが100%親子会社関係を作るという,そういう手続として要求されるのが満たされればいい,一番軽いのは新株発行--ほかにもあるのかもしれませんけれども--そういった形になるのだと思います。 ● 恐らく,今の○○幹事のおっしゃられたことの対極にある考え方だと思いますけれども,いわゆる株式交換という制度を新株発行になぞらえて考えるといった場合には,子会社株式の現物出資ということになるのだと思いますけれども,そうなりますと手続的にはやはり検査役の調査なり何なりという手続が本来なら残るという世界だと思いますが,それが合併と同旨の制度として構成されているということには,両当事会社における株主総会の決議というものが前提となって対価の適正さが確保されるということを前提にしているものと理解することもできるかと思いますので,そういう意味では相手方国においても株式交換という我が国と同じような手続が存在しているということを前提として,結合させるという考え方も恐らくあるのだろうというふうに思います。これが私の考え方かどうかというのは別にしましても,そこまで学説が対立する可能性のある論点なのだろうというふうに思います。 ● それから,この「できるようにするものとする」という意味の中に,いわば抵触法上の問題と実質法上の問題と両方ありますよね。そして「できるようにするものとする」というのは,抵触法上の問題も実質法上の問題もクリアする形に日本側の方で,片思いにしろ何か規定を置くという趣旨を含むとすると,今,法例の改正作業が行われている中で,法人そのものに関してどういう準拠法の定めをするかしないかというような議論もあると。そうだとすると,抵触法上の問題も含めて国際的な株式交換を可能にするという目的は,恐らくこの部会だけでいけるものなのかどうかという,もう一つ問題がありそうだと。   では,実質法上のレベルでできるようにするのだということでやるといった場合でも,今外国会社の方でどのような規制がなされるかということとの関係で,できるという保証はないわけですね。   それらを考えてみたときに,この要求の背後にある実質が満たされているのであれば,先ほど議論がありましたように,いわば合併というか,組織再編の対価の柔軟化ということでこたえられる部分が一体どこまであるのか,ほとんどそれで実質上こたえられているのであったら,あえて非常に難しい,しかも場合によると抵触法上の問題ということになるとこの部会だけでは片づかないような問題も含めてという,非常に難しい問題に直面することがある。その辺のところで,要求,どこまで実質的にこたえられているかという部分のあたりの認識はいかがなんでしょうか。こたえられているという御意見の委員の方もおられたわけですけれども,その辺のところは一体どういう認識に共通というか,多数の認識はどの辺にあるのかなというあたりがちょっとはっきりすれば,方向はあるいは出てくるのかなという気がいたします。 ● 恐らく,抵触法的な規定は,これは置かれないと思うのですね。ですから,先ほど○○幹事がちょっと言われましたけれども,ここで言っているのは要するに日本の実質法として,できませんと今まで言ってきたので,それはできないわけではありませんという程度の規定になると。しかし,それではどういう場合にできるのですかとというと,そこはもうブランクで,少なくとも今までは余り詰めないで来たというところで,ちょっと事務局が問題意識を持っていると,そういうことだと思うのです。   場合によっては,もっと外国側もこういう要件を満たしておれば,日本の実質法として認めますというところまできちんと書くのかという話になってくるわけです。しかし,もしそうだとすると,これは相当詰めた御議論をいただかないと書けないということになるわけですけれども,どうすべきかということですが。   議論していただきたい点を,ちょっと説明していただけませんか。 ● まず,仮に今,○○幹事から御指摘がありましたように,きちんと整理をしようということになれば,多分我が国の現在の株式交換制度というものを子会社側と親会社側とで手続を分けて規定し,両者が一致すれば実現するという,要するに別々の制度として整理をし,それがたまたま相手方が外国会社の場合はどうかというように問題を整理をしてしまうという方向が一つでございます。   現在の枠組みのままであれば,恐らくいろいろと御指摘がありましたように,現行の規定を前提にすると外国会社を相手方とする株式交換というものができるかできないかという議論をすることは甚だ難しいし,また外国会社との株式交換というものがあり得ることを前提にした規定を置くことも困難であるということになるのではないかという感じがいたします。   実需については,これはもう当部会の議論の域をはるかに超えている話ではありますけれども,現在の株式交換に係る税制が特別な取扱いとされているということに起因していると言っても過言ではありませんので,実質的な株式の交換に当たる行為が税制上皆同じ取扱いになるということであれば,この項目についての諸外国からの要望というものが引き続き強く寄せられるということはないというのが事務局側の理解でございます。 ● そうすると,余り要望も強くないということですか,実際問題として。それもよく分からない。 ● 税制を含めた株式交換に係る諸制度の在り方については,なぜ日本の会社同士の株式交換だけが,という意見は非常に強いところですけれども,税制上の問題を仮に除いたといたしますと,我が国の株式交換制度について,当然一方の会社が外国会社であっても同様にすべきだという,私法上の要請があるというわけではない--と言ってしまうと言い過ぎかもしれませんけれども--事務局としてはそのように理解しているところでございます。 ● その点も,今日は○○幹事が,先ほど○○委員が言われたようにおられないので,ちょっとこれも困ってしまうのですけれども。   何か,この点について,外国会社との株式交換について,何か具体的な御意見,お持ちの方,おられますか。こういうふうに規定を整備すべきだというようなことについて,特に積極的な御意見はありますでしょうか。   ○○委員からは,否定的な見解が,はっきりした御意見があったのですが,ほかの委員の方からは必ずしも余りはっきりした御意見の開陳がないのですが。 ● そういう意味では,私も前回大分実需という面から,各国との日本の関係という観点からいろいろ意見を申し上げて,結局○○委員と同じように,現段階で対価柔軟化によるいわゆる三角合併ができるようにしたと,それに加えて,なぜ外国会社の株式交換について明文規定を置く必要があるかという点については,甚だ懐疑的だということを前回申し上げましたけれども。実際問題として,先ほど新株発行と現物出資の規定がある国との株式交換という意味合いで申しますと,株式交換契約というものになるのかという,契約が果たして成立し得るかという問題が恐らくあろうかというふうに思います。それからもう一つは,例えば具体的な国でいえば,米国を例にとると,私も詳しく知っているわけではないのですが,デラウェア州に本社を置いているという会社が相当多いわけですが,デラウェア州には株式交換制度が法制化されていないということなんですね。そうすると,米国の会社が,例えばデラウェア州にいったんSPCを設立して,それで100%親会社になる外国会社と日本の会社が株式交換をやる,そういう手間が必要なわけですから,それに対して三角合併の場合には日本にSPCを設立するという点では,手間は全く同じなわけで,そういう意味でいうと,三角合併を認めた以上に国際株式交換の明文化ということまでは必要ないだろうということを前回も申し上げまして,現在も考えは変わっておりません。 ● ○○委員と○○委員からは,もう規定は必要ないのではないかという御意見がありましたが,これは今日○○幹事がおられないのですけれども,ほかの委員・幹事の方で,これは是非必要だという御意見の方はおられるのでしょうか。   では,特に積極的な,是非ともこれは存置せよという御意見は,○○幹事は前回たしかおっしゃったと思うのですが,それ以外には今日はなかったという,そういうことでよろしいですか。   それでは,これはそういうことでお二方の委員からはそういう意見があり,ほかの委員の方からは,特に是非とも存置せよという御意見はなかったということで,また検討させていただきます。   次は,第3部です。「合同会社・合資会社・合名会社関係」でありますが,第1の1であります。   ここは名称でありますが,「合同会社(仮称)」というふうに書いてありますけれども,これについて何か御意見ありますでしょうか。これは,最終的には法制局と詰める問題だというふうに事務局から説明がありましたが,何かこの際御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。   ○○幹事は,前から名称につきまして何か御意見をお持ちのようでございますが。 ● 私自身がそれほど定見を持っているわけでもないのであれなんですけれども,できればカラフルな名前があったらよろしいのかなというふうに思っておりまして,あえて私の意見を述べさせていただければ,例えば「契約会社」とか,そのあたりの方が実体をあらわしているのではないだろうかというふうに思いますけれども,ただそれもそんなに魅力的な名前とも必ずしも言えませんので,特にこだわるものではありません。 ● ほかに,御意見ありますでしょうか。 ● むしろ質問なんですけれども,何で「合同会社」という名称を選ばれたのか,その理由を伺った方が,適切な理由であるということになるのかどうかがちょっと……。どういう理由で「合同会社」という名称を選ばれたのか,御説明いただければと思いますが。 ● 何かあるのですか,積極的な理由が。 ● 別に積極的な理由はないのですけれども,規定の共通性という意味では合名・合資会社と共通するものですから,並びの問題として頭は「合」だろうと。   そうすると,あと組合せの言葉として単語になり得る言葉というのがそうたくさんはないものですから--「合名・合資」という,多分現代では使えないような用語が並んでいるのですけれども--それに加えて新たな用語を作出する気力もあれもないものですから,ということで,「合同」ぐらいでいかがかなという話なのです。 ● 私も別に名案があっての発言じゃないのですけれども,前にこの部会でたたき台の段階で審議したときだったと思うのですが,定款に社名を表示するときに英文で表示をしたいというときに,英文にした場合に欧米人からも分かりやすい訳,それができるような名称というのが望ましいのではないかという御意見がたしかあったと思うのですが,その点は「合同会社」を英文にするとどういう文章になるのでしょうか。 ● 何か,そういうことを考えてございますか。 ● やはり定款作成のときに英文表示どうするかということは,ちょっと関心の対象になると思います。 ● 英文表示の問題に関していいますと,別に株式会社も「株式会社」を英文にするわけではないですよね。 ● 国際的に「limited」云々というのがありますからね。 ● 株式会社でも「stock corporation」とは言わないわけで,そこは別に合同会社でも同じ問題ではないかと思うのですけれども。 ● 何かほかに御発言ありますでしょうか。   では,特に積極的な御意見はないようなので,事務局と法制局でなおお考えいただきたいと思います。 ● 先ほどの○○幹事と今の○○関係官との間をとると,「合意会社」ということぐらいしか思い浮かびませんけれども。「agreement」の「合意」。 ● それでは先に進ませていただきます。   第3部の第2の5の(2)というところでありますが,「退社による持分の払戻し」であります。ここにつきましては,例の株式買取請求の場合に,財源規制がかかって,そして取締役が責任を負うということがありましたけれども,それと横並びの制度で,社員に責任が生ずるという形にするということでありますけれども,これでよろしいでしょうか。 ● 「払戻しをした社員」というのが,どういうものをあらわしていることになるのでしょうか。 ● ②ですね。 ● それ自体は業務執行社員を指すことになります。 ● 退社員以外の業務執行社員を指すことになるわけですね。 ● 退社員以外の業務執行社員。業務執行社員ではないものは責任を負わないけれども,業務執行社員が複数名いれば,たまたま具体的に払出し作業をした者だけではなくて,その複数の者が責任を負うと,こういう理解でよろしいわけですか。 ● 業務執行社員が二人いた場合,どうなるかということ。 ● そうです。 ● それは,多分今までも同じ問題があるのですけれども,代表取締役が二人いたときにどういう責任をとるかという点をはっきりさせていただければ,それによるということだと思いますけれども。 ● つまり,払戻しはしなければならないわけですね,退社員が請求した場合に。責任を負うのが嫌だからということで,業務執行社員がだれも動かないということになっても困るわけですね。そうすると,その払戻しを現実にした者だけに責任を課すというのではちょっとまずいのではないかということで質問しているのですが。 ● 要するに,これはこういう状況になると思ったら清算手続に準じた手続をしろということですよね,実質は。ですから,払戻しを業務執行社員だけで決められるものなのかどうかという問題があるわけですね。   ほかの社員が清算手続に準じた手続に応じないと,ということにならないですか。   この「清算手続に準じた手続」というのは,これは業務執行社員だけでやれるわけですか。 ● 債権者との関係だけの話ですね。 ● ですから,業務執行社員には結局③の手続をやる責任があって,これをしないことによる実質的な責任,そういうことですね。 ● そうだとすると,「払戻しをした社員」ではなくて,例えば「業務執行社員」というふうにしてしまった方があるいはいいのかもしれないということになりませんでしょうか。 ● ここは,確かにちょっとテクニカルな問題ですね。 ● 書き方の問題ではなくて,実質を決めないといけないと思うのですけれども。業務執行社員といっても,払戻し権限がない場合もあるわけですね。要するに,ここで書いてあるのは払戻しをしたというのが当該特定の払戻しをしたなのか,それとも払い戻す権限を有する者を言うのかという問題はあると思うのですけれども,「業務執行社員」というふうに言ってしまうと,それもそれでまたどこまで入るかよく分からなかったりするので,でき得ればどういう実質の範囲で負うべきかということを御議論いただければと思うのですけれども。 ● 払い戻す権限という読み方もありますけれども,退社員の払戻しを受ける権利という観点からいきますと,払い戻す義務のある者という,そういう読み方も必要になりますね。 ● 極端な場合は,何ら手続をとらないので,退社員が訴訟を起こして,強制執行したというような場合には,それはどういうことになるのか……。 ● 要するに,これは第2部の第6の1の(2)の②との平仄ということですね,先ほどの御説明で。このときの過失責任を課せられる取締役というのは,どういうことを想定されていたわけですか。 ● 結局は,これで払戻しをした取締役と。 ● 代表取締役,社長という,通常の場合は。それ以外の取締役は責任を負わない。 ● 基本的に,ここではそういうことです。 ● しかし,こういう買取請求を基礎づけるような会社行為は,株主総会の承認があるなしにかかわらず,取締役会で合議して決めているはずですわね。基本的には株主総会のオーソライズを受けたと。そして,結局買取請求が多過ぎたのは,ある意味で取締役会の見込み違いになるわけですね。そうすると,これも代表取締役だけでいいのかという議論になるのですかね。 ● なり得ると思います。ですから,基礎づける行為に関与した取締役会といいますか,そこに含めてということであれば。 ● 第3部の第2の5の(2)の方は,任意にやめてしまうわけですね。だから,少なくともそういう買取請求を基礎づける行為のようなことを他の業務執行社員がしたわけでは……。 ● 必ずしもないと言った方が正しいですね。 ● そのときに,たまたまこういう払戻し権限がある者だけが責任を負うというのも,バランスが悪いなという気がするのですけれどもね。   だから,これ平仄を考えると混乱するので,それぞれ別個のことではないかと。 ● ここは,要するに払戻しを現に行ってしまった後の責任の問題なんで,要するにだれかがやっているわけですね。だれもやらなかったときはこの責任は出ないわけです。 ● しかし,先ほど○○委員がおっしゃったように,強制執行される可能性はありますね。 ● それはあります。そうすると,やはりだれかが払い戻さざるを得ないのですけれども。 ● だから,結局(2)のスキームは,要するに払戻しをするときに②のような事態が生ずるおそれがあれば,もう③をしなさいという,そういうルールなんですよね。 ● そうです。ただそれだけの……。 ● だから整理すると,③をしなかったときの責任ですわね。それを「払戻しをした社員」というのが適切かどうかという感じがするのですけれどもね。   そしてこれは,先ほど来言われるように契約というか,本当に少人数の関係ですわね。そうすると,別に業務執行社員でなくたっていいではないかという感じもしなくもないし,ちょっと確かに「払戻しをした社員」という言葉が,その範囲も含めてですが合理性があるのかやや疑問になるし,それとの関連では,この前はそれほど異論がなかったのか,第2部の第6の1の(2)の②の取締役についても,代表取締役一人だけでいいのかということにもなりはしないかという気がしますが。 ● そうなってきますと,事務局が気にしているのは実質を決めてくださいということになるのですけれども。どうでしょうか,これは。 ● こういうところで退社員が出たら,やはりこの組織として③をするということを原則にすると,その手続違反とするなら,手続違反について責めを負うべき者に責任を負わすというルールにすべきであるし,それが「払戻しをした社員」ということで過不足なく表現されているかというと,問題ではないかと。プリンシプルの問題ですが,考えの筋道はそうではないかという気がするのですが。 ● ずばっとこういう文言でいいというお考え,積極的なアイデアはありますでしょうか。   ○○委員,○○委員,何か……。 ● 書きぶりはこちらの方で工夫しますので,実質だけ確認をさせていただければ。   仮に,現に払い戻した社員がいたと,これはこれでとりあえず責任を負うわけですね。その人が清算手続をとる義務がなかったとしても,例えば極端な例で分属していて,払戻しはあなた,それに伴う債権者保護手続の関連は私がやるというような会社であったとしたら,払戻しをした人は払戻しをした人として負うべきだし,先ほどの○○委員の御意見に従えば,清算手続をとらなかったということでそれをやるべきだった人が責任を負うと。 ● その人はストップを,待ってくれと言うべきだったと。これだけは払えるけれども,これ以上の払戻しを要求する場合には,③の手続に移行するから待ってくれと言うべきだったと。   超過額でない,少し値切ってもいいよと言われたらすぐ払ったらいいわけですわね。半年待たす必要はない。 ● 今の払い戻した者と,それから清算手続をとらなかったことについて責任ある者,その二つ,それでよろしいわけですかね。 ● 私は,この会社は非常に少人数の者たちによるのではないかと,合意であれ契約であれ。非常に小さな会社であるということを考えますと,考え方としては○○委員と同じように③についてともかくきちんと手続をとるインセンティブをどう組み込むかという制度設計でいいと思うのですが,書き方としてはもう残りの社員全員でもいいのではないかという気もするのですけれども。そうすると,③の手続をきちんととろうという意見があちらこちらから出てくるということになるかとも思いますし,規定の仕方としては大変簡単になるのではないかという気がいたします。 ● ちょっとそこまで広げられるかどうかは……。どうでしょうかね。 ● 最低限,業務執行権限が何かあれば,自身に具体的な権限がないとしても,多分業務執行社員をコントロールするというところで責任を負わせられると思いますけれども,それくらいではないかと。 ● その問題ではないのですけれども,この②ですけれども,○○幹事の方からは改めて御確認を願うということをおっしゃいましたけれども,本当は全然違うのであって,②というのは最初は減資手続に準じた債権者保護手続をやればいいと,こうなっていたような気がしたのですけれども。したがって②の「分配可能額を超えるときは」云々となっていますけれども,通常の債権者保護手続をとったときには責任がない,今度,帳簿上の純資産額を超えてまでやろうというときには,清算に準じた債権者保護手続,こういうきめ細かくやっていたと思うのですけれども,それで全く債権者保護というのは問題ないと思うのでありまして,②が何で急にこういうふうになったのかというのを……。 ● 減資手続で剰余金をつくり出せますので,その剰余金の範囲内で払い戻しをしていただくということなので。要するに通常の減資をして退社員に対する払戻しに対応できるのであれば……。 ● それは分配可能額があるということですよね。 ● そうです。ですから,それでは対応できない場合というものだけがここでの特別な規律になりますので。 ● そうした手続をしないで,累損を抱えてやってもいいわけでしょう,そのときに責任をとらせるのではなくて,債権者保護手続をするのであれば。減資をしなくても,減資並みの債権者保護手続をやれば。   ③も,清算をしろと言っているわけではないわけですね。あくまで債権者保護手続の対応を言っているにすぎないわけですから。 ● 済みません,そういうことだとちょっと話は変わってくるのですけれども。   要するに,退社員に対する払戻しのときには,いったん切り離して払戻しができるという制度設計をするという考え方と,この考え方自体は極力ぎりぎりまで他の剰余金分配の規制に合わせて,それで限界を超えたところだけ特別の規律を設けようというのがここの考え方なんです。両方のやり方はあるのですけれども,どちらがいいかという問題ではあるのですが。 ● むしろ合同会社の場合は退社権があるわけだから,ほかの会社はないわけで。   部会資料ではそうなっていたなと思ったものですから。 ● 実質が変わっているわけではないのですね。 ● とるべき手続の実質は変わっていないのですけれども,仕上がりは若干変わっている。すなわち,○○委員のおっしゃるようなやり方ですと,資本の額をそのままにしておいて,大きくどんと欠損を出すような退社のさせ方を認めるというのか,それとも退社員の一人でも出ると,そこまでの欠損をいったんきれいにして戻すのか,どちらかという違いが出るわけなので,そこはどちらかを決めていただければそれによりますけれども。 ● 今の点についてはいかがでしょうか。技術的な問題なのですが,欠損をそのままにしておいていいのかどうかという話ですね。何か積極的な御意見はありますでしょうか。 ● 考え方がはっきりするのであれば,どちらでもいいということですけれども。 ● この新しい制度を前提にすると,資本の額を大きく見せ続けることにそんなに実務上のニーズがないのではないかと思ったものですから,こういう形に整理して,要するに減らせるところまでは資本を減らしていただいて,その先だけ特別の規律という方が実際の実務に合うのではないかというふうに考えたものですから,こういうふうに書き換えたのですけれども。仮にどうしてもそこは困ると,資本を大きく見せて対応したいということがあるであれば,ちょっと考えますけれども。そこら辺,どうしましょうか。 ● ○○幹事の御意見を聞いていただければ。 ● 御指名ですので。 ● 個人的には,欠損そのままでやれるという単純な手続にした方がいいと思います。 ● 要するに,その欠損は後から埋めたいというときは,もう一回債権者保護手続をとりたいということですよね。 ● そうです。 ● 何か,ほかに御意見ありますか。   それでいいですか,そういう方向で。今の点は,非常に規定の書き方が面倒だとか。 ● いや,規定の書き方としてはそんなに面倒ではないのですけれども。 ● それでは,よろしいですか,今の点はそういうことで。   先ほどの○○委員からの御提案になった点は,どうしましょうか。例えば,業務執行社員全員とかいうことは一つ考えられるかと思いますが。   何か積極的な御提案はありますでしょうか,○○委員は。 ● 業務執行社員ということで結構でございます。 ● 業務執行社員全員という書き方。 ● 私は,原文どおりを支持したいのですけれども。というのは,要するにここの責任って間違って払ってしまいましたということですよね。請求が来たので,まだ資産があると思って払ってしまったのだけれども,後から見たら債務超過でしたと,何でとめなかったんだという話なんですが,そのときに請求を受けた業務執行社員が払い戻す権限を持っていたとすれば,ほかの業務執行社員がそれを何でとめなかったのだというふうに責任を追及される根拠があるのかどうかということではないかと思うのですね。ですから,業務執行社員会議みたいなもので合意しないと出せませんでしたという話だったら分かるのですが,その辺はそれこそ割と契約自由で特定の社員に任せるということもあり得るのだろうと思いますので,そうだとすれば,やはり止められた人だけが責任を持つというのが筋なのかなということで,ですからケース・バイ・ケースになりそうなものですから,要するに常に業務執行社員全員だということには必ずしもならないのではないかと思いますけれども。 ● ただ,この考え方は一定額以上出ていくときは③の手続をとってくださいということなので……。 ● お金が十分あると思ったときも,ですか。ただ,細かい社員が退社したいというときもあるわけですよね。ですから,その辺の手続は必ずしも定まっていないのだろうと思うのですね。 ● もし仮に,○○委員の案にのるとすると,もうちょっと③の手続を格調高いものにしなければならないということなんですね。すなわち,物的有限会社の存続中に帳簿上の純資産額を超えて社員に対して払い戻すという行為になりますから,そこをちょっと特別視してあげるとすると,ある程度他の業務執行社員の関与のようなものを要求して,その責任を基礎づけるというような処理になると思いますけれども。そういう方向性でよければそういう方向で考えたいと思いますが。 ● いかがでしょうか。 ● 私,この制度の実質を誤解しているのかもわかりませんが,ともかく対内的には自由にやることが合理的だと,できるだけ自由にさせるのが合理的だと思いますが,これは事有限責任制度のもとでの債権者保護の話が出てきているわけですね。そしてここの社員は社員権,持分権を譲渡することができるけれども,退社するというのはある種の例外的な場合と見ていいし,そして少し小さな持分権を有する社員と言われたけれども,100人,200人の大規模なことを考えているわけではなくて,そういう場合もないわけではないのかもわかりませんが,ある程度これは基本的には少人数だとすると,やはり退社による持分の払戻しというのは,有限責任制度をとっている組織では例外的なのだから,やはり全社員になるのは無理にしても,業務執行社員についてそれぞれきちんとチェックをさせるというのを債権者保護の理念から合理化することは十分できるし,そしてそれはそれほど大事の話ではないだろうと,恐らく業務執行社員といったって10人,20人いるわけはないということで,チェックも含めて③の手続を確実にするために②の責任を連帯責任にするという形で整理するのは,それほど実務に不都合が生ずるようには思えないのですが。 ● 私が申し上げたのは,法律で定めるのか契約で定めるのか分かりませんけれども,払い戻すことについて,少なくとも払い戻すことを止めることについて権限が与えられている業務執行社員であればいいのですが,もしそうでない場合を考えると,要するに知らないうちに払い戻されてしまいましたといったときに,それは監督責任違反だねということになるとちょっと,気の毒というのも何なんですけれども,責任の根拠がもう一つ,単に業務執行社員に名前を連ねていたからということだけで責任を負わされるというのはどうかなということで,もちろん清算手続といいますか,むしろ払戻手続ですね,払戻手続について必ず3人なら3人の業務執行社員の合意でやるのだということであった場合は,それは責任を負ってしかるべきだと思いますが,そうでなかった場合については,ちょっとその問題があるかなと申し上げただけです。 ● なかなか難しいですね。 ● ○○幹事のおっしゃるような御心配は分かりますけれども,払うも払わないも会社の方の自由であれば,今言ったような配慮は十分成り立つ話だと思うのですが,この場合は退社員の持分払戻請求権というのは権利として認められているわけで,会社としては対応する義務があるわけですね。ただ,単に対応するのではなくて,③の手続が必要な場合にはそれをした上で払い戻しなさいということなわけですから,そこの微妙な関係をどう表現するかということになりましたときに,確かに○○関係官がおっしゃるように,③をもう少しクローズアップして,こういうことをしなさいということをしっかり書いた上で,業務執行を担当する者の連帯責任ということにするあたりしかしようがないのではないかという気がするのです。   押しつけ合いになっては困るということですね,業務執行社員の間で。だれもリスクをとりたがらなくて,払戻しを現にしないということになったときには,今度強制執行ということになるわけですが,そのときこそ一体だれが責任を負うのですかという話になってしまうわけです。 ● どうしますかね,これはなかなか難しい問題です。確かに,退社というのもいろいろなケースがあり得るのですね。 ● 過失責任ということでもありますので,とりあえず業務執行社員全員という形でスキームを組ませてみていただいて,また来週御議論いただければと思います。 ● それでは,いろいろ技術的に検討すべき点がありますので,今言ったような方向で案を考えてもらいたいと思います。 ● 星印のないところですが,先ほどちょっと言及したのですが,そういう形ですると,第2部の第6の1の(2)の②は,やはりこれ以上に……。   これは,取締役会で特定の会社行為をしたことの見込みの誤りの責任だと思うのですね。たまたま払い戻す権限が,買取請求に対応する義務のある社長さんだけが責任を負うというのは,ちょっとかわいそうではないかという感じがします。これもあわせて御検討いただけたらと思います。 ● おっしゃるとおりですね。ではその点も,事務局に検討していただきます。   それでは,次に同じく第3部の第2の6の(1)でありますけれども,合同会社というものですけれども,これにつきまして株式会社と同様に会社分割,株式交換,株式移転を行うことができるようにするという案でありますけれども,この点はいかがでしょうか。   特に御異論はありませんですか。よろしいでしょうか。--それでは,これは御了解いただいたものとして処理させていただきます。   一応星印につきましては,なお検討すべき問題も御指摘いただきましたけれども,一応済みました。そこで,星印以外のところにつきまして御検討いただきたいと思います。   最初の方から,順次,御意見,御質問があればお願いすることにいたします。   まず「第1部 基本方針」のところ,ここはよろしいですね。   「第2部 株式会社関係」でありますが,まず「第1 総論」の部分,この部分につきましては何か御意見あるいは御質問ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,先に進ませていただきまして,「第2 設立等関係」でありますが,この「第2 設立等関係」につきまして,お読みいただいて何か御質問,御意見ありますでしょうか。--特にございませんか。   それでは,「第3 機関関係」でありますが,1,2あたりはいかがでしょうか。 ● 前回議論されたのかもわかりませんが,2の(5)の①のハですが,後段に「議決権行使を受け付けるべき期間について……あらかじめ合理的な定めを設けることができる」ということですが,この期間ということですが,今は「前日」となっているのを三日前とか四日前にできることかなと思いますが,この合理的な定めというのは,定款自治に委ねるということなのか,ある程度制約というか,この「合理的な定め」のイメージされたものを,あるいは前回きちんと議論されたのかもわかりませんが,お教えいただければと思います。 ● 特に議論はしていないのではないかと思いますが。 ● 実務的には,今は前日というのをプラス二日やってくれというときと,土日をちょっとあると短くしてくれとか,そういうことを言われているのですが,そういうことをこれは想定されているのか。あるいは,一番きついあれは5時までにしてくれというのがありますが,それをもっと,「期間」と言う以上は,二,三日短くしていいという趣旨なのか。 ● そういうことは考えていないのではないかと思うのですが。 ● ここは,株主総会実務にもかかわるものですから,どのぐらいのあれかというのはあるのですけれども,こちらの方で考えているのは,今とにかく「前日」と書いてありますと12時までというふうに読まれるあれもありますので,営業時間にしましょうと,場合によっては,前日までに出されると処理が困るということであれば,というのが成り立ち得るかどうか。   それから,例えば前日が土日だったらどうするかというようなあたりの,すなわち大幅に前倒ししてということまでを考えているわけではなくて,処理ができないような事態にならないことに準ずるような期間というようなことを考えていると。 ● 法文で,最後まで合理的な定めになるわけではないと。 ● はい,そこはもうちょっとざくっと法律上書きますけれども,意図しているところはそういうことです。 ● 質問ですけれども。   2の(1)の⑦は,これはたたき台の(1)にはなかった項目ではないかと思うのですけれども,どういう考え方でこの⑦をつけ加えたのか,ちょっと御説明していただければ有り難いと思います。   議決権不統一行使の通知義務を,こういう場合に限って事前通知を要しないという形にした考え方を教えていただければと思います。   たたき台の(1)には,①から⑥までは書かれていたのですけれども,⑦はなかったと思うのですが。 ● これ,議決権不統一行使という制度は,現在有限会社にはないのですよね。 ● 解釈で可能だという学説はありますけれども,規定は確かにございません。 ● ちょっと,どういうあれで入ったのか定かではないのですが,結論の趣旨から申し上げますと,有限会社タイプの会社で招集通知を必ずしも一定期日までに送らなくてもいいということについて定款で定められますので,そうすると議案の要領を記載しなければいけないというような場合でなければ,もしかすると二日前,一日前に送ると。そのときに事前通知をしなければ不統一行使できないとすると,封じられてしまいますので,ということをおもんばかってのあれだと思うのですが。 ● 私は,そもそも公開会社を含めて,本来議決権不統一行使の事前通知義務がなぜ必要なのかということに疑問を持っているものですから,外すことには賛成なのですけれども,むしろこういう場合に限って外すと,議案の要領の記載をすべきことが特に法律上要求されている場合に限って認めるというのが,一体どういう説明,どういう考え方なのかというのを伺いたかったということなのですが。 ● これは,恐らくは,確かにおっしゃるように現在の有限会社については何らこういう事前通知が要求されていないといたしますと,確かに議案の要領の記載等をすべきことが要求されている場合については制約を課したことには確かになるのですけれども。   どの程度まで株式会社の現在のあれを維持するかという問題なのですけれども,これも絶対的な基準というものがあるわけではないのだと思うのですけれどもね。 ● 目的の記載事項があるときには,不統一行使の必要があるかどうかが事前に分かるからという理由だとすれば,別にこれに限らず,とにかく会議の目的の記載事項があるときには不統一行使の事前通知をしろというふうに言うのは,これは一つの考え方だとは思うのですけれども。私は本当はそれも要らないのではないかと思っているのですけれども。特にこの法律が議案の要領まで要求しているときに限るという形での限定の仕方をしたのはどういうふうに説明ができるのか,ちょっと分かりにくいということだと思いますが。 ● 何かこれを書いた人の考え方は,恐らくこういう場合でないと目的が書かれないのではないかというふうに,議題を書かれないのではないかという頭でこれは書かれているのではないかなと推測しますけれども。 ● 私は,むしろこういう会社については一般的に事前通知義務がなくてもよいのではないかぐらいに思っておりまして,仮に入れるとしたら,さっきのように「目的の記載があるときは」ということの方が,まだ説明はつくかなという気がしますけれども。本当はそれも必要なくて,こういう会社であれば,まあ事前に通知していなくてもその場で不統一行使しますよと会社に言って,会社がそれに対応するのにさほどの事務的な不都合があるとも思えませんので,本来は要らないのではないかなと思います。 ● 分かりました。それでは,御意見いただきましたので,技術的な問題でもありますので,ちょっと検討させてもらいます。   ほかにありますでしょうか。--よろしいでしょうか。   それでは,3の「取締役・取締役会」,ここは責任の問題等多いですけれども,3全部を通しまして,ここにつきまして何か御意見,御質問ありますでしょうか。 ● 一つは,3の(3)の「取締役の任期」の部分でして,もちろんこれでいいと思うのですが,問題は既存の有限会社の場合は任期がなかったわけですから,どのような経過措置を設けるのかということでかなり実質が変わってくるのではないかと思いますけれども,その点については大体どのあたりをお考えでいらっしゃいましょうか。 ● これまで,この部会で御議論いただいているところに沿って言えば,既存の有限会社については基本的に現在の有限会社法の規律のままという整理でございます。 ● 現に任期がないと信じて就任していらっしゃる方については,多分そのような扱いが必要かと思うのですが,永遠にそれが続くということになりますと,経過措置という形での有限会社というものが,相当に長く日本では続くということになってしまうのではないでしょうか。   新たに選任される方については,やはりこういう任期があるとでもしておきますと,人間の寿命が尽きるあたりで経過措置のものはいなくなるということになると思うのですが,そうでないとしますと,こういう会社が残る。万一そういう会社に意義があると思う方々は,そういう会社を売買するというようなことをしないとも限りませんし,ちょっと経過措置の決め方は慎重であってもいいのではないかというふうに思うのですが。 ● ただ,一つの会社で任期のある人とない人とがいるということを認めるかどうかというのは……,これはちょっと問題のような気もしますけれどもね。 ● 今の関連で,第2部の第1の1の(2)のところですが,「現行の有限会社法に基づき設立された会社については,第2部に掲げるもののほか,原則として現行株式会社の制度を適用する方向で整理する」となっていますが,そうすると現在の有限会社について,先ほどの任期の点でいえば,(2)によると新しい会社法の任期の制度が適用されるというふうに読めるのですが,そうではなくて,今の御説明は,施行のときに既に在任している取締役については任期なしという有限会社法の規定が適用されるという御趣旨ですか。 ● そうではありません。既存の有限会社について,格別に説明がなければ,新たな株式会社の制度を適用するという目で見てほしいという一般論を述べているだけでして,所要の経過措置をどうするかということについては--今のようなアプローチもあり得ると思いますけれども--既存の有限会社が格別新法の下での株式会社に移行しない限りは,例えば任期については有限会社法の今の規律のままであるということを前提に御議論いただいたと思いますけれども。 ● この問題,かなり経過措置が実務界に非常に影響を及ぼす問題が多いものですから,特に有限会社百数十万社ありますので,その下の第2部の第1の2の(2)の「「有限会社」の文字を使用する会社」というのも,経過措置の設け方によっては本当に永遠に有限会社という会社も併存するということになりますので,この辺のつくり方が,経過措置,緻密につくっておかないと非常に影響を及ぼすというふうに思うものですからね。   今の問題に限らず,全般の経過措置をどういう点についてどういう経過措置と作るか,これは今後の問題だと思うのですが,今の議論をきっかけに,非常に注意点だというふうに思います。 ● この部会でのこれまでの議論,あるいは事務局からの説明で同意をしておったのは,有限会社で今ある人たちが今後とも有限会社のままでいるという,なお従前の例によるということで,ちょっと極端ですが未来永劫ずっと有限会社のままだという理解を恐らく述べてこられて,どなたもほとんど問題なかったと。   一方,第2部の第1の2の(2)というのは,ややちょっとけれんみのある表現でありまして,何を言っているのかよく分からない。こんなことをここにあえて書く必要はなくて,有限会社であった人で有限会社のままいたい人はずっと有限会社だと,取締役が変わっても任期は特段ないということはこれまでどおりいくということを明らかに,今まで御説明をされたとおりにしていただければいいので,妙なことを書くのはやめてくださいと,こういうことでありまして,○○委員がおっしゃったのは,そういうお考え方も立法論として経過措置の立て方としてはもちろんあるわけでありますが,それは有限会社というものを徐々に長期間かけて株式会社に統一をしていこうというような基本的な考え方があるものであって,これまでの長い歴史の中で100万社を上回る有限会社が安定的に来たものが,今後とも安定的にいくという,社会的な安定性を考えると,私ども中小企業の代表としてはこれまで事務局が説明されたような経過措置の立て方が当然であるし,そうでなければ基本が崩れる,そういうふうに理解をしております。 ● ○○委員の御意見もあると思いますが,なかなかそこのところは,今,○○委員がおっしゃったようなことでないと実際上難しいのだと思います。 ● 逆に○○委員がおっしゃるように,第2部の第1の1の(2)というのがミスリーディングだと,こういうことになるわけでございますか。 ● 表現がやや分かりにくいなと,もう少し考え直した方がいいかもしれませんね。もう少しクリアな表現にしていただきたい。 ● 内容はそうだと思うのですが,1の(2)と2の「商号」の(2)の両方に,「原則として」というのと「所要の経過措置」,分かりにくいと思いますけれども,2の「商号」の(2)で「有限会社」の文字の使用はそれこそ未来永劫に認めるという前提で,この商号を使っている限りは今の有限会社法の規制が妥当するのだと,こういう約束で我々議論したから,この二つを読むとそういうことだなと理解したのですが。ただ確かに分かりにくいのかもわかりませんが,少なくとも○○委員がおっしゃったような理解を我々していると思います。 ● 2の(2)のところで,株式会社に実質的になるといったのだけれども,でもやはり有限会社という名前を使わせてもらっていいですよねというふうに読めるので,混乱が起こっただけなのだと思うのですね。そういうことではないですよね,これは。   実質株式会社,名前有限会社というものが出現するような書き方に受けとめられたので,ちょっとこれはやや注意を要するなと思ったということだと思います。 ● もうここは割り切って,有限会社という会社形態はもう未来永劫むしろ残すのであると,ただ新規の設立を認めないだけであって,法典としても六法に必ず入れられるようなものとして残し続けるのだ,そのかわりその場合には有限会社という商号を使わなければいけませんというのは,一つの政策的な方針であるかというようには思います。   そういうことを今考えているということなので,そういう理解をしてよろしいということでしょうか。 ● この問題は極めて技術的な問題なのですけれども,問題になるのは幾つかの問題だけなのですね。極端に言えば,任期の問題と商号の問題ぐらいしか問題はなくて,そのほかの問題はどっちの制度を適用してもそんなに変わらないのです。 ● 決算公告はよろしいのですか。 ● その三つぐらいですね。あと会計監査人とか幾つかあるのですけれども,そこはそれを各別に拾っていって,どういう要件で引き継ぎを認めるかということで整理をしていかないと,有限会社法がそのまま残っているということになりますと,世の中の多くの百十万社以上の有限会社を相手にするときには,10年ぐらいたつと,平成十何年ぐらいの六法を引っ張り出してきて見ないと,その会社の手続がどうなっているかおよそ分からないということになるのは,ちょっと余りよろしくないものですから,そこは現在の有限会社が得られている--どっち側の目から見て得られているメリットと見るかというのは難しい問題があるのですけれども--一般的に見て規制強化になると思われるものについては所要の経過措置をつないでいくということを地道にやるということだと思いますけれども。 ● そうすると,理解としては有限会社法を全部残すわけではなくて,ポイントとなる部分だけ三つなり四つなりか分かりませんがピックアップして,これが経過措置の集合体ということで,そういうものをセットとしてとる場合には「有限会社」という商号も逆に使い続けなければいけないと。という形で,商号と経過措置を選択するものとを組み合わせる,こういう方針だと思ってよろしいわけですか。 ● 商号は一つの大きな要素でしょうね。商号を株式会社に切り替えてしまって,有限会社の制度のまま使い続けるというのはちょっと……。   ただ,すべての制度がそうかどうかというのは,全部の制度を見てみないと分からないのですけれども,基本的にはそういうことになると思いますけれども。   ただ,経過措置の問題なので,原則は今ある会社について不利益にならないということがまず第一義的に優先されなければいけないものですから,それを先にやって,その後何らかのつなぎが要るのであればつなぎが要るということですので,そこは○○委員のおっしゃっているところの期待に沿うように作るしかないと。というか,そう作らないといけないものなものですから。 ● そう作っていただかないと,この話は足下が崩れるということです。 ● そうなりますと,やはり経過措置がどういうものであるのかということについて,もう少しある程度ここの場に構想を出していただいたらいかがかと思いますが。   というのは,本当に実務の上では正にそこに関心があると言っていいぐらいのことではないかと思いますね。 ● 経過措置,非常に限られているのであれば,これはリストアップするなり何なり,ちょっとはっきりしていただいた方がいいのではないかと思います。 ● やり方について私どもが事細かにこうやれああやれというつもりは必ずしもないのですけれども,やり方の一番簡単なものはもちろん有限会社法という仕組みがそのまま何らかの形で残ったままいくと,それを見ればそれが規制のやり方だというのが分かるというやり方がもちろんイージーには一つある。   一方,非常に重要なクリティカルなところをきちんと経過措置を一々つくって,有限会社法という法律自体はもう六法全書には載らないけれども,経過措置をきちんと見ると,実質的に全く100のうち100全部が確保されていなければいけないとは思いませんけれども,100のうち98,99については有限会社法の取扱いがそのまま,未来永劫とあえて言いますが,未来永劫今の有限会社でいたいという人たちに適用されるというやり方ももちろんバラエティーとしてはあるだろうと。どちらが簡単なんですかと。   私などは,ここではっきり言わせていただきますけれども,現行の有限会社法に基づいて設立され,現行の有限会社法に基づいて今後も運営したいと思っている人たちは現行の有限会社法があれば,別に過不足ないし,気にならないと,一番シンプルな分かりやすい方法だとは思います。ただ法律的な立て方としてそれはうまくないのだよという合理的な説明があれば,それは説明はできるかもしれません。   ですから,そこについてこれまでどうも同じ説明があったにもかかわらず,委員の中でパーセプションにギャップがあったのかなと,薄々何となくそういうことかなということは分かっておったのですが,どの時点で露呈をして議論をするかということについては若干のあれもあったものですから,今日出て非常によかったなと,明らかになってよかったなと。 ● 私も,この経過措置,本当に三つか四つぐらい……。 ● テクニカルには 物すごくたくさんありますけれども,要するにこっちに振れては絶対ならないとか,そういうものは結構限られているという趣旨で申し上げていまして……。 ● そこについては,○○関係官はそうおっしゃいますが,我々委員の方からいうと,じゃ100あるのだったら100全部リスティングしてもらって,それが大したことがあるのかないのかは仕分けをしてくれという意識が強くなるのですよ。あとは選んでおきますから任せてくださいよと,それはだめだと。それは法制審議会の会社法部会でやってくださいということになりますわ,そこは。最終的にそうなれば。 ● 御希望とあれば,百数十個に当たってやっていただくということも考えますけれども。 ● そんなことをしなくても,現行有限会社法というものがそのまま維持されていって,なお従前の例によるということであれば,何の問題もないでしょうというふうに私なんかは理解をしていたし,大体中小企業としてはみんなそんな理解をしておったのではないかと思います。これは感想であります。 ● それもやはり,法制度としてはちょっとそれは問題があるのではないかと思いますので。 ● 有限会社というものを認めていた組織法としての会社法の一部としての有限会社法が存在し,別途新しい株式会社のフレームワークを規定する株式会社法というのが存在をし,ですからそこは今まで株式会社法を変えてくることによって新しい規制にみんな変わるのだよというルールの中で,一つの流れの中で変えてきたということと,川が二本あって,その川の分かれた支流がこっちの方に合流したという考え方と,そこは幾つか法律の立て方としては,これは私は専門ではありませんが考えようがないということではないような気もするのでございますが。 ● ただ,今後は設立できない有限会社というのに,そういう有限会社法というのが残っているというのは,やはりこれはちょっと法制度としてはおかしいのだと思います。 ● 今後,ニューカマーはないいという意味での法制度というのが残り得るのかどうかというところは,もちろん議論はありますけれども,ただ100万社以上の方たちが例えば有限会社でこのままいたいということをお望みになった場合に,100万というマスをコントロールするフレームワークの法的な枠組が,何ら六法全書百何冊あるところにないというのはおかしいのではないかという気もしないでもありません。   先ほど,○○関係官が,何年か前に戻らないとルールが分からないということになるというのは,何かちょっとおかしいかなという感じもするということでございます。それが実質的に経過措置が非常に事細かに書かれて,解決されているというやり方はもちろんあると先ほどから申し上げておりますので,実質的に問題のないやり方で解決をしていただきたいというお願いをしているということでございます。 ● いずれにしても経過措置については皆さん御関心の非常にあるところなので,何らかの整理を一度出していただきたいと思います。 ● 言うまでもなく,例えば実質的な改正検討事項としてここに掲げられているすべてについて経過措置というものが問題になり得るわけで,それは既存の株式会社についても有限会社についても合名・合資会社についても同様でございます。   実質を早めに固めたいと申し上げながら,要綱案の確定は10月ぐらいまでずれ込ませざるを得ないと申し上げている事情の一つは,経過措置,あるいは周辺の重立った制度についての手当ての要否,あるいは特別清算との調整問題,こういうものがあればこそでございますので,本体としての実質を固めていただければ,あと経過措置についてどういう手当てを講ずるかということ等については,9月,10月の部会できちんとお諮りさせていただきたいと思います。   有限会社との関係でいえば,従前の例によるということになりましても,旧有限会社法がいつまで六法に載るかという問題もありまして,どちらがよいかということは,利用者の立場に立って考えるべきであると思いますけれども,今一概には申し上げにくいところでございます。   他方,例えば旧有限会社についても社債の発行を認めるというような実質で御了解いただいていると思いますけれども,そうするとなお従前の例によるわけではなくて,少なくとも新法が適用されるべき場面というのは多々あり得るということであればこそ,先ほど来のような記載になっているところでございます。それは事柄の性質によって決まってくるところでございまして,御指摘は十分事務局においても了解しているところでございますので,細かな点も含めてまた部会で御相談させていただきたいと思います。 ● それでは,その点はそういうことで今後まとめてくださるようですので,そういうことでお願いしたいと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ● マイナーなことで,こういう大問題の後で申し訳ないのですが,第2部の第3の3の(8)の②の「社外取締役」で,社外取締役を登記事項から削除することの合理的な理由については納得しているのですが,委員会等設置会社において商法特例法21条の34の登記事項が188条2項の登記事項と転換しているのですが,例えば委員会等設置会社の各種委員会には過半数以上の社外取締役が必要だということで,各種委員会の取締役が登記されるのですが,そのときにもこれが一般的に適用されるのか,それはまた別途お考えなのか,そこら辺のこと,確認だけちょっとさせていただければと思いますが。   21条の34の第2項ですね。委員会等設置会社の各種委員の名前は登記事項なのですが,そのときにちょっと社外取締役ということをやった方が分かりやすい。これは,先ほどの一般的なこのルールとは違う……。 ● ということは,社外監査役も登記事項にしろということを一緒に提案されているのですか。 ● いや,少なくともこれは各種委員会で過半数があれだということでやっておりますので。 ● 社外監査役も半数以上が社外監査役だとなりますけれども,登記事項ではないのですけれども,そっちも登記事項に。 ● それは,あるいは平仄からそうなのかもわかりませんが,少なくともここまできちんと書くことになっておったら,このコンテクストでは要らないだろう,削除する必要はないだろうと思ったということなのですが。ただ,今おっしゃったようなことで結果バランス上全部やめておこうとなったら,強く反対はしませんが,一般的な削除をする理由の御説明との関連では,21条の34はちょっと違う話かなと思ったということでございます。   最終的にどうなるにしろ,少し検討いただければと思います。 ● 21条の34第2号は,どうするかという問題は確かにあるのだと思います。 ● そこはちょっと確認させていただきたい。社外監査役についてはあり得ないということでいいのですよね。社外監査役が登記事項になるというのは,実務としてはあり得ないと。 ● あり得ないと言うのかどうかですけれどもね。そこまでこだわることでもないような気もしていますけれども。それも検討していただければと思います。 ● ほかに,何か。 ● 取締役の欠格事由の「証券取引法や各種倒産法制」いうのは,これいろいろあるのだろうと思うのですけれども,個別具体的に第何条の罪とか,ずっとこういうふうに書かれるということになるのでしょうねということと,証券取引法と倒産法制に定める罪を加えた中で,経済憲法だと言われている独占禁止法に定める罪を加えないということで本当によろしいと皆様がお考えなのかどうか,そのあたりの議論もしておいていただきたい。加えろとは私は今言っているわけではないのですが,当然バランスを考えてこういうふうに落ち着くものですから,法制審議会としてそういう認識で正しいのかどうかのコンセンサスを得ておきたいということで提案させていただきます。 ● 今の○○委員の御意見については,いかがでしょうか。 ● 独禁法の話ですか。それを入れれば,やはり独占禁止法の趣旨の貫徹という点では非常に威力があるのではないかと私は思いますし,またバランス論からいって適切なのではないかと思います。 ● いかがでしょうか,ほかの委員・幹事の方は。 ● 強い意見があるわけではないのですが,倒産法というのは会社債権者の利害に関係するような法制で,そこで違法行為をした人を押さえているわけですね。証券取引法は投資家ですから,投資する前の,株主になる前の状態も含みますけれども,株主その他の利害との関係で無視できない話ですね。そういった話なので,この会社法上の欠格事由を考えるときに非常に考慮すべき特別法だという説明はしやすいと思うのですけれども,独禁法になりますとちょっと全然性格が違って,保護法益が全然違いますので,何かちょっと重要か否かといえば入ってもおかしくないのですが,このコンテクストで重視されるかというと,説明がつかないわけではないと思いますので,私は原案でもいいと思いますけれども,入れることに何が何でも反対という趣旨ではもちろんございません。 ● 現在の考え方は,○○幹事が言われたとおりだと思うのですね。第3号をどう考えるかということですが。 ● 第3号ではなくて,第4号でしたっけ,こちらの従前どおりの実刑を食らった場合ということだけで,会社法の世界としてはそういう整理で。 ● 法体系が違いますのでね。 ● そうですね。 ● 独禁法の方で,どういう制裁を加えるかはまた考えていただくということで。 ● 証券取引法も検査に応じなくて罰金を何とかだと,そういうのも全部入っていくのか,罪を全部個別具体的に列挙していくのか,それはどうなるのでしょうか。 ● 一応列挙する方向で,例えばでいいますと証券会社にかかっている義務違反とかいうのは,ちょっと証券取引法の世界であれば格別ですけれども,こちらには余り関係がない話ですので。 ● そういうことでよろしいでしょうか。   ほかにいかがでしょうか,この「取締役・取締役会」につきまして。 ● 今,欠格事由のお話が出たのですけれども,破産宣告を受け復権していない者を削ると,これはいいと思うのですけれども,そうなりますと254条ノ2の1号の成年被後見人又は被保佐人をどうするのかと。これは前にも問題提起をさせていただいたことがあったと思いますが,成年後見の法改正があったときに,ノーマライゼーションということで欠格事由をできるだけ落とすという議論があったわけでございますけれども,そのときは商法などは破産宣告を受けて復権しない者すら欠格事由にしているのだから,成年被後見人,前は禁治産,準禁治産だったわけですけれども,禁治産者,準禁治産者を成年被後見人又は被保佐人という形に変えて,実質前のまま残すという形になったと理解をしていまして,そうすると破産の宣告を受けて復権していない者を欠格事由から外すときに,こちらだけを残すことをどういうふうに説明されるのでしょうか。 ● これは,要綱試案を取りまとめる前にも同様の御説明を差し上げたと思いますけれども,成年被後見人,被保佐人につきましては,取締役としての資格,適格という問題もさりながら,当該者の保護という観点からそれだけの責任を負うべき立場に就かせてよいかどうかという配慮が別途必要であり,その点も考慮すると,必ずしも破産者をこのように扱うからといって,当然に同じように扱うべきかどうか,同様に取り扱うべき実質があるとも思えませんので,要綱試案の段階で既に落としてある論点でございます。 ● 今の点ですけれども,保護という観点からすれば,成年後見人側で取消権とかがあるので,それを使えばいいとも考えられるのですけれども,そうではなくて,法律自体で欠格事由にするというのはどういうことなのでしょうか。 ● そこは,取締役の責任の問題なので,要するに取消権を行使せずに取締役に就いたということであれば,もう当該成年被後見人については当然責任を負わせて構わないというふうに考えるかどうかだろうと思います。要するに,取締役としての責任はかなり重い責任でございますので,そういう責任を負わせるべき立場に立たせないということ--他に選択肢がないという制度設計ではないと思いますけれども--そこに一つ合理的な理由があるとすると,今の段階でそれを変えなければいけない実質的な理由が生じたかどうか,これは破産者に係る見直しとは全然別の論点であろうと思います。 ● ということで,よろしいでしょうか。   ほかにいかがでしょうか。 ● 取締役の責任につきましては,もう十分に議論してきましたので,審議の結果を尊重したいと思いますが,最後に1点だけ質問なんですけれども,3の(9)の④のイ「過失責任化」のところですが,「過失責任とするものとする」,これで結構だと思いますが,ただし書なのですけれども,このただし書のゆえに,取締役は一般的にはこういうただし書がない限り無過失を責任を追及する側が主張立証しなければいけないと,こういう考え方ということなのでしょうか。 ● 任務懈怠の立証は,当然にそういうものを含んでいる……。 ● 事実上注意義務違反とか,任務懈怠ということになりましたときに,無過失の立証と注意義務違反なり任務懈怠があるということとが事実上一体化するという問題はあるかと思いますが,法令定款違反の場合,前にも申したと思うのですけれども,そうでない場合があるわけですね。そうしますと,特にこの場合などは法令に違反するという話の部分が大きいと思うのですけれども,一般論としてこういう書き方をすると,やはり債務不履行責任であっても過失の立証は原告側であるということをあたかも言っているように読まれはしないかというふうに思うのですが。 ● 法令違反の場合については,○○幹事の論文等で明らかになっているように,それはまた話が別でありまして,法令違反を立証すれば取締役の方で無過失を立証しなければいけないということになるのだろうと。それはしかし,解釈論の話でありまして,ここでは何らその点について何か決めようというわけではないと思っています。 ● 3の(9)の③のロのところの商法特例法21条の21の場合ですと,これは注意義務違反とか言っている方もいますので,まだ少し解釈でごまかしようがあるみたいな感じがするのですが,この④のイのように,明確に書いてしまいますと,かなり解釈でつじつまを合わせるときにどう言ったらいいのかという気がいたしますのですが。   同じことは,第2部の第6の3の方に移っておりますところの昔のいわゆる違法配当責任,今は新しい用語になりましたが,そちらの方でも同じことかというふうに思うのですけれども。表現の仕方として,こういうことで本当に「ただし」という言い方でいいのかどうかということをちょっと懸念したまでです。 ● 条文でこうなるというわけではありませんので,実質がこれでよいということであれば,あとは御懸念が生じないような条文の工夫をしたいと思います。 ● 単純な確認でございます。3の「(7) 取締役会の書面決議」。   参考資料17なんか見ますと,取締役会プラス会計参与というパターンがありますが,ここで(7)の①,「かつ,各監査役が特に意見を述べることがないとき」。監査役がいないケースもあるものですから,これは別によろしゅうございますね。   取締役会プラス会計参与というパターンがあるはずですが。いろいろなバリエーションをたくさんつくっていただいたものですから,全部網羅した表現になっていない。これは基本を書いただけだということだと私は理解をしておるので,取締役会ブラス会計参与のときには,各取締役が同意をし,書面による決議をすることができる旨,定款で定めることができるということになると理解をしておりますし,それからこれは余計なことですが,監査役であっても,定款で権限を会計に関する事項に限定した場合でも,やはり意見を聞かないといけないのでしょうかね。 ● それは,恐らく要らないのじゃないでしょうか。会計監査だけの監査役というのは……。 ● それは要らないと。分かりました。 ● ほかにございませんでしょうか。 ● 分からないのですが,3の(9)の③のロの任務懈怠責任についてですけれども,④のロは連帯責任だと書いているのですけれども,③のロについては連帯責任ではなくて個別責任だということなのでしょうか。分からないものですから,済みません。   利益相反取引の場合の責任を負う取締役の当然連帯責任。利益供与の場合も,これも当然に連帯責任なんですよね。書いてあったり書いてなかったりするものですから。 ● 申し訳ありませんが。 ● よろしくお願いいたします。 ● 3の(9)の③のロのところで,これは商法特例法21条の21の立証責任,過失の立証責任転換の規定を設けるということですが,その中に直接利益相反取引をした取締役というのが入っていますが,これは無過失責任という前提がありますので,これも必要なんでしょうか。   3の(9)の③のイに「自己のために」というのが入っていますけれども,「直接に利益相反取引をした取締役については,無過失責任とする」というふうになっていますので,それについて過失の立証責任を転換する特別の規定を設けるということは必要なのかという疑問なんですが。 ● ここは無過失責任ではないものについてのみ言っているのだろうと思いますが。ロについては。 ● 間接取引で利益を受けた取締役とか,あるいは決議に賛成した取締役は確かにそうなのですが,直接利益相反取引をした取締役は……,自己のためにではないという,そういうことですか。 ● そうです,そのものだけを考えているのだろうと思います。 ● 質問なんですけれども。   3の(9)の②のヘというのは,これは取締役会を設置しない株式会社の場合には,すべての取締役が業務執行権及び代表権を原則として有するということなのですが,これは全部の取締役について認めるのではなく,従来の会社における社外取締役に当たるようなものについて認めるという趣旨でしたか。 ● そういうことです。ほかにありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,「4 監査役」に進ませていただきますが,いかがでしょうか。 ● (2)の「補欠監査役等」のところですけれども,この御提案によりますと,株主総会でこれは選ぶわけでございますね。そして,予選の効力は最初に到来する定時総会のときまでですね。そうなりましたときに,予選された補欠監査役の氏名等を営業報告書において開示するということになりますと,これはその次の年の営業報告書で開示するということになるわけですね。となると,もうそろそろ効力がなくなる時期に営業報告書で開示させるということに,何か意味があるのでしょうか。 ● 前回までは,予選の効力について比較的長い期間もあり得るということで議論をいただいておりましたのでこのようになっていたところでございますが,ちょっと整理をさせていただきます。多分要らないですね。   任期が,場合によっては10年ということもあり得るということでありますと,補欠者の立場が非常に不安定なものとなり,実需からしてもこの程度の,つまり1年でよいのではないかということでこのような整理をさせていただいておりますので,なお長期に及び得ることを前提にした開示の必要性については,少し検討させていただきます。 ● どうも,御注意ありがとうございました。   ほかに何か,監査役についてありますでしょうか。 ● ちょっと確認です。   監査役の任期を定款で10年というか,長くしていって,それでこの補欠の人は1年ごとに更新していくわけですが,万が一のことで補欠の方が正監査役になられたときの任期というのは,前任者の残任期間ということになるのでしたかね。   補欠候補としての効力は1年で更新されていくか何かしますが,監査役になったら,例えばあと9年任期なんだということですよね。 ● そのとおりです。 ● そこはちょっと頭の整理だけで言うのですけれども,株主総会ではこの人が監査役になるべき可能性のある人ということで1年で更新をするという意思を株主総会がいわば表現しているのだけれども,いざ事故があって監査役になったら,長い期間その人がなるのだというふうなあれになるので,もし補欠の人がなるにしても,補欠としてはふさわしいけれども9年もやられては困るので3年だというのだったら,そういう例えば何か附帯条件をつけるとか……。ちょっと細かい話になりますけれども。そこの株主総会の意思と現実に,手続的にギャップが出るような感じがちょっとするなと。まあ,目をつぶっておいていい話かもしれませんけれども。   そこが,監査役の任期の長さと株主総会で毎年更新するというところに,ちょっとそごが出ているのかなという感じがするのですけれどもね。   実際上,中小企業でも大きいところでは3人ぐらい監査役を置いていて,大会社扱いみたいになっているところがありまして,体調が悪くなって監査役やめたいと,私の友達が言っているのですけれども,やめさせてもらえないわけですよ。こういう制度があるといいのですけれども,大会社の場合は1年ごとなのですけれども,ちょっとうまく回っていかないなという感じがあって,むしろ株主総会でいったんお決めになったら,翌年の株主総会でも特段の異議が出ない限りはそのまま継続して候補者になっているというのは,割と小さい会社としては合理的なアレンジメントとしても考えられるのかなという気はするのです。   これはアイデアの世界なんでございますが,ちょっと複雑過ぎるかもしれません。 ● その問題は,かなりここでも議論したわけですけれども,だれの補欠なんだということがいろいろ複雑になるとか,いろいろな問題がありまして1年ということにしましたので。 ● そういうことであれば,そこは問題ないということで結構かと思います。 ● ほかにいかがでしょうか。   それでは,次に「5 会計参与」。この点について何か……。 ● 単にこれは表現の漏れ落ちだと思うのですが,譲渡制限会社について会計参与という制度が導入されると理解をしておったのですが,そこら辺の表現がないものですから。   会計参与は,大会社でも何でも導入されるのでしたか。 ● はい,制度として。 ● そこはそういうことですか。 ● 譲渡制限会社の場合には,取締役会を設置しても監査役を置く必要がないという,会計参与を置いた場合の効果というものが特別に出てくるというだけで,他のすべての株式会社において,会計参与はすべて任意に設置されるべき機関ということでございます。 ● この問題,私,前に書面で意見を出しましたので,今回これ以上は申し上げないというお約束をもう既に担当官に申し上げているのですけれども,別に特に反対するということではありませんので,ちょっと一言二言,今後のためにコメントしておきたいと思います。   特に発言をさせていただきました趣旨は,5の(2)の②のロに「会計監査人と会計参与とが併存することは妨げられないものとする」と書いてあります。もちろん,これは制度上そうなるのですけれども,ややこの表現で挑発されたという感じになります。   私は,会計参与と会計監査人--公認会計士の監査人ですね--この併存するシステムというのは基本的に望ましくないと思っております。つまり,会計参与というのは監査人を置かないような非公開会社とか,あるいは中小会社のために考案された制度でありますので,その趣旨に徹した方がいいのではないかというふうに個人的には思っております。   つまり,その趣旨は,現在の開示制度の基本的な考え方というのは,情報開示というのはこれは経営者の自己申告であるという考え方なのですね。それは,要するに経営者が持っている有意な内部情報を開示させることで,投資家の役に立つような情報が市場に伝わるようにする,そういう趣旨でありまして,基本的に外部の人が入ってきて,何かあたかも鑑定人が鑑定するみたいな情報を出すことが現在の開示制度の趣旨ではないのですね。投資家に比べてより有意な情報を持っている経営者が,基本的には投資家の役に立つような情報を開示することで自らの企業価値を高めるインセンティブを持っている,そのインセンティブを活用して投資家にとって意味のあるような情報を出させるようにしようと,そういう趣旨で現在の開示制度はでき上がっていると私は思うのです。ただその場合でも,経営者には自分が開示する情報にバイアスをかけるインセンティブがありますから,そのバイアスをかけさせないようにするために公認会計士監査の制度をつくってチェックしている。それが,大げさに言えば人類が半世紀以上かけてつくってきた制度だと私は思うのです。   この場合の会計参与というのは,基本的には外部者でありますので,これは今の開示制度の目的には役に立たないわけでありまして,実際には監査人と同じような役割しか果たせないと私は思うのです。ですから,この両者が併存するというのは意味がない。だけではなくて,開示制度の本来の趣旨を損なうと私は考えております。   要するに,開示制度の本来の趣旨というのは,繰り返し言いますけれども,経営者の持っているインセンティブを活用して,内部情報の開示を促して,投資家の意思決定モデルに適合した情報が市場に伝わるようにする,それが本来の趣旨でありまして,鑑定人の鑑定ではないということなのです。ですから,その意味で私は,本来の趣旨としては会計参与と会計監査人の併存というのはほとんどナンセンスに近いというふうに思っています。   ただ,そうは申しましても,政治決着したものについてごたごた文句言っても意味がありませんので,別に反対をするつもりは全くありません。ただ今後のために,非常に注意していただきたいのは,やはり世の中にはこういう制度ができますと,今度は何か経営者と独立の会計専門家というものをすべての公開企業に今度は強制しようという,そういう議論を出してくる可能性というのは多分にありまして,それは特に現在のように会計上の,例えばエンロンみたいな会計不信みたいなことがありますと,これは役に立つ情報を出させるよりも経営者が操作できない情報を出させるのが先だという話になって,非常に一面的な開示観というものが表に出過ぎる,その結果として現在の証取法の開示制度の趣旨が根幹から損なわれることを私は心配しておりますので,間違ってもこういう制度を将来公開会社に強制しようなどという,そういうばかなことは考えないようにしてほしいということを特に申し上げておきたいと思いますので,それ以上は特に反対はいたしません。 ● 今の公開会社に強制しないようにというのは,全く私どもも要請したいところでありまして,特に金融,証券等において,金融庁等が,こういうものはやはり置かなければならない,そうでなければガバナンスとしてだめだなどということを御指導するようなことはまずないようにしていただかないと,おかしなシステムになってしまうのだろうと思うものですから,よろしくお願いしたいと思います。 ● 大会社においては,恐らくこのロの考え方というのはほとんどないだろうというふうに私は思うのですけれども。むしろ大会社以外で,中小企業で,会計監査に利用したいというときに,あくまでも会計参与とは違うのだという立場で利用するということはあり得るかと思うので,むしろ会計参与と会計監査人とはその役目が違うのだということを明確にするという意味で,この併存規定があるということが意味があるのではないかというふうに思っていまして,そういう意味では○○委員の御心配はもっともですけれども,違った観点からはあるということが必要なのではないかというふうに思っております。 ● 仮称というのは合同会社と会計参与なんですよね。これはいずれは取れるのでしょうけれども,取る段階において「参与」でいくのか,あるいは別のネーミングでいくのか,その辺はまだ考え方ができていないのか,要綱案は仮称でいくのか,その辺の考え方,見通しというのですか,ちょっとお伺いしたい。 ● 要綱案は,例えば新しい会社類型にしても,新しい法律名にしても,すべて「仮称」ということにせざるを得ないと思います。これは,内閣が法案を提出するに当たっての手続を前提にしますと,最終的な法制的な整理はその最終段階で行われますので,要綱案ができた後に正式な法案の審査というものがあり,その段階で正式に決まるものであるということでございます。もとより,関係各方面の推薦の声が強ければ,それをバックにいろいろと頑張りたいとは思いますけれども,その程度ということで御了解いただければと思います。 ● 分かりました。 ● ほかに,会計参与について御意見ありますか。 ● 以前,○○委員が御指摘になったことがその後どうなっているのか,ちょっと……,という御質問にもなるかと思いますが,会計参与の職務等のところで,計算書類という言葉が大変たくさん出てくるわけですけれども,これに附属明細書は含まれると理解してよろしかったのでしたか。従来,「計算書類等」と言ったときに,附属明細書が含まれるというふうに割合いろいろな教科書などで扱っていたものですから,確認したいというのが1点です。   それからもう1点は,会計参与については報酬などにつきましても「取締役と同様の規律に従うものとする」とございますけれども,ということは報酬の開示についてもそうなのでしょうかということです。責任軽減等の問題もございますし,やはり取締役と同じように報酬の開示についても規律していくということであれば,それはそれで非常にいいと思うのですが,もしそうだとすると,今度は逆に,会計監査人の報酬の開示についてはどのように扱うのか,やはり責任軽減とかいう問題も絡んできますので,ここら辺,どのように整理していくのかということについてのお考えを伺えればと思います。 ● 計算書類自体は,対象をどこまでにするかというと,少なくとも貸借対照表と損益計算書は入ると。あと,後ろに出てきます株主持分変動計算書,これも結局計算書類の一部ですので入ることになりますし,附属明細書は,附属明細書の中に何が残るかということにもよると思うのですが,ガバナンスに関する部分のものもかなり含まれていますので,ちょっとそこは選別をして検討しないといけないとは思います。 ● 確認なのですけれども,(3)の③の「計算書類の保存」ですが,「5年間保存しなければならないものとする」と。これは,「自己において」というのが前にあったような気がしたのですけれども。   これは会社と共同所管で5年間保存するということでもよろしいのか,そういう趣旨でしょうか。 ● 従前の提案と変わっているわけではありません,別々に保存することを前提にしております。 ● 会計監査人は登記事項ということですけれども,会計参与については,この前も登記事項とするというふうに……。任意の設置でも登記事項だということですね。その旨,今度の表現にないものですから,よろしくお願いいたします。 ● これはそうですね。ほかに御意見ございますか。 ● さっきの,報酬についての考え方の御回答をいただいたかなと思ったのですけれども。 ● 基本的には並びで整理をすべきものであると思いますけれども,新しい事項でもありますので,ちょっと検討させていただければと思います。 ● それでは,次に「6 会計監査人」でありますけれども,この点について何か質問,御意見,いかがでしょうか。 ● 6の(2)の「会計監査人の欠格事由」のところでございますけれども,この要綱では商法特例法4条2項4号前段の欠格事由を削除するということで,これは監査法人の社員のうちに業務停止処分を受けた者がある場合に,その監査法人が欠格事由に当たるというふうな規定になっていたものを削除するという趣旨だと理解しておりまして,この欠格事由を削除すること自体は妥当なものだと考えるわけですが,業務停止処分の実際を考えると,この4号を修正するだけで足りているかどうかという問題があるように思っております。   と申しますのは,第3号で,会計監査人が業務停止処分を受けた場合は,欠格事由に当たるということになっておりまして,監査法人の社員が不適切な監査とかを行って業務停止処分になる場合は,その社員が業務停止処分になることとあわせて,監査法人の方に業務停止処分を発動するということも公認会計士法上は考えられる。そうすると,業務停止処分を監査法人が受けた場合は欠格事由に当たって当然ではないかという御意見もあろうかと思いますが,業務停止処分の実際の形としては,監査法人全体に対して業務停止処分をかけるということもあり得るわけですが,実際には監査法人の中の一部の事務所ですとか,一部の部門ですとか,そういった範囲を限定して業務停止処分をかけるということが想定されますし,また業務停止をかける業務の内容も,例えば新規の監査引受業務だけを停止するとか,あるいは監査業務以外の業務を停止させると,いろいろな形態が考えられるということでありますが,この現在の商法特例法の第3号によれば,いずれの場合も会計監査人である監査法人が業務停止の処分を受けたということになって,私どもの理解しているところでは,業務停止処分が発動された時点で欠格事由に当たって,その会社が監査を行っているすべての会社との関係において,監査契約が当然に無効になってしまって,被監査会社はまた一から監査人の選任の手続等を行わなければいけない実務になるというふうに理解しておりまして,被監査会社の方の不便等を考えたときに,そのような取扱いが妥当なのか,もう少し業務停止処分の態様に応じたきめ細かな規定が必要ないのかという問題意識を持っております。   更に申し上げると,公認会計士法上は,業務停止を命じますので,例えば1か月間の業務停止処分を行えば,その1か月後には業務停止が解かれるわけですが,商法特例法上は,先ほど申しましたように監査契約がいったん無効になってしまって,もう一回一から手続をしなければいけないという扱いになって,自動的には復元されない姿になっておりまして,その辺も被監査会社の不便等を考えた時に適切かという問題はあろうかと思いますが,より欠格事由根本にかかわる問題かもしれないと思っております。   こういうことを申し上げますのは,背景としましては近時公認会計士監査への関心が非常に高まっておって,そういう中で,昨年公認会計士法の改正を行いまして,今年の4月から施行されておりまして,公認会計士・監査法人に対する懲戒処分等について強化が図られております。私どもとしては,そういった事態にならないように,適切な監査を実施していくように万全を期していくことだと思いますが,不幸にして不適切な監査が行われた場合には,改正法の趣旨を踏まえて厳正な対応が必要になるというようなこともございますので,この機会にこの欠格事由の規定についてもう少しきめ細かな規定をするような工夫が適当ではないかと考える次第でございます。 ● この3号で,およそ業務停止の処分を受けると,現行法は一律に資格喪失ということになることになっているわけですけれども,もう少しきめ細かい規定にする必要があるのではないかという御提案ですが,いかがでしょうか。 ● 今の御指摘は,本当に公認会計士法の改正で今までと違ったきめ細かい行政処分がなされ得るようになったので,非常に合理的な御指摘だとは思うのですけれども,ただ今までそもそも監査法人に対して業務停止処分が加えられたのは1件しか多分ないのではないかと思うのですが,めったに行政庁としては監査法人に対して業務停止処分をなさらないということであると,実は業務停止処分をする場合というのはよほど悪質というふうに見ているのではないかと思うのですが,そのあたりはいかがなのですか。 ● もちろん,悪質性等を勘案して行政処分の態様を決めますので,業務停止処分というのはそれなりの重みのある処分であるわけですが,過去に業務停止処分は1件しかないという御指摘もありますが,そこはどちらが先かというのは難しいところがあるのですが,よくこの問題が議論される,公認会計士法の改正等の議論をしたときもあった話だと思いますが,商法特例法の規定が非常に厳しくできているので,特に監査法人に対して業務停止処分をする場合の特に被監査会社等に与えるインパクトというのは非常に大きい,よって業務停止処分を行うことについては過去慎重であり過ぎたのではないかというような指摘もあるように認識をしておりまして,他方,先ほど申しましたように公認会計士法の世界で申せば,そういった点で懲戒処分についても強化をするということで,業務停止期間を1年から2年に延長するというような改正がされておりますので,それは不幸にして問題が生じた場合には業務停止処分も含めて厳正な対応をするという前提の法改正だと理解をしておりますので,そういう中でこの商法特例法の方の扱いをどうするかということは検討いただいてはどうかというふうに考えております。 ● 現実に見ますと,今,監査法人の大きいところはやはり3,000人ぐらいの規模になっているわけで,全国展開しているわけですね。会社でいえば,ある支店が問題を起こしたときに,今の法律の規定は,その会社全体がもうあしたから倒れろといういわば規定ぶりになっているわけで,もちろん監査そのものの社会性からいくと,こういう規制からいくと,当然そういうことがあってもいいのかもしれませんけれども,やはり現実にはちょっと無理があるのではないかということで,そこでは事件を起こした支店は,例えば業務停止して,場合によっては閉鎖するというふうなことがあり,また全体として部分的な業務停止ということも考える,これが新法の公認会計士法の改正の趣旨でございまして,私どもも当然厳格な処分を受けるという立場ではありますけれども,現実の部分というものに対応してもいいのではないかということで,そこは是非御理解賜りたいというふうに思います。   決して軽くしろと言っているつもりではなくて,支店がつぶれたら全社がつぶれるというふうな仕組みが本当にいいのかどうか,そういう趣旨で申し上げているわけでございます。 ● いかがでしょうか,○○関係官から提案がありました,3号についてもう少しきめ細かく規定を書くということでよろしいでしょうか。そういう方向で検討するということで。--それでは,そのようにさせていただきます。   ほかに,この会計監査人についてはありますでしょうか。 ● 6の(3)の「会計監査人の報酬」について,監査役会,監査委員会に同意権限を付与するということでございますが,これは同意できなかった場合には,同意できる人に行き着くまで努力せよと,こういう趣旨でございますか。報酬の決定につきまして,報酬の額が納得できるところまで交渉しろと,こういうことでございますか。 ● 交渉しろって,だれとだれ。 ● だからどうやって決めるのだろうと思いまして……。同意できなかった場合のこういう規定の仕方としましては。 ● どういうことになるのですかね。 ● 報酬契約が結べないということですね。結べるようになるまで内部で頑張っていただくしかないのではないでしょうか。 ● 法律的には,「同意のために努力せよ」というのはいいのですけれども,どうしても同意できなかった場合の方法も決めておかないと困る場合が生じないでしょうか。 ● 最後は裁判所に行っていただくしかない。 ● 大変法律家らしい御意見で有り難いのですけれども,現実には私ども,実はこれは決定権を付与するという意見を申し上げたのですけれども。   監査役会あるいは監査委員会,常時折衝していろいろ私どもの考えも先方の考えも述べて,意見交換することになっておりますので,そういう中でこの報酬の改定,あるいは新規報酬について当然話し合いを行って,経営者に対してうまくいかない場合にはプレッシャーを掛けていただくと,そういう役割を期待しているわけで,そこは同意しなかったらどうするということまでを決めると大変固くなると現段階では思います。そういう意味では,現段階では同意権ということで,あとは実務にゆだねて,どうしてもそれがまたうまくいかない場合は,いよいよ決定権を与えるという形のことも考えていただきたいというふうに申し上げます。 ● そういうことですが,御了解いただけますか。 ● 法律的には,問題を残す決め方だなという印象を持つというだけのことです。 ● ○○委員の御意見もありましたけれども,やってみて,特に問題があるようであればまた再検討する必要が出てくるかもしれません。   ほかに,会計監査人についてはよろしいでしょうか。   それでは,第3の「機関」の最後ですが,「7 その他」ですが,これは何かありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,先に進ませていただきまして,「第4 株式等」でありますけれども,ここもいろいろありますが,まず1の「株式譲渡制限制度」,これについて何か御意見,御質問ありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,先に進ませていただきまして,2の「自己株式の取得及び株式の消却」,これについてはいかがでしょうか。--特にございませんか。   それでは,次に「3 新株発行等」ですが。 ● 前回,十分御議論なさったと思いますが,3の(2)の「自己株式の市場売却」で,これを強く望まれる御意見もあって,結論としてこういう方向になったということで,これ自体はそうなのかなと思いますが,前回,「定款の定め」というのを入れられましたが,②のロのところで,「定款の定めにおいて条件を定めた場合」とあり,ここら辺の書きようからは合理的な実務としては青天井というか,無制約ではなくて,それなりの条件を定めることがグッドプラクティスなのかなという気もしますし,会社法としてはこういう書き方かもわかりませんが,基本的にこれは公開会社でありますので,いよいよ会社法と証取法の連携というようなことが問題になり,グッドプラクティスをよりよく推進するために自主規制機関のお考えとか,あるいは広い意味での証取法マターになると思うのですが,そこら辺,証取法を管轄するところと会社法を管轄するところの,例えばよりよい実務を形成するために何か御相談なり,現在あるのか将来お考えなのか,そこら辺のことをちょっと幅広にお教えいただければと思います。 ● このような実質で議論を進めて,最後それでよろしいということであれば,関係法律の整備の作業等を通じて,関係各省庁,各方面と十分に意見のすり合わせをさせていただきたいと思っております。 ● よろしいでしょうか。ほかに,何かこの自己株式について御意見,御質問ありますでしょうか。   それでは,次に「4 種類株式」ですが,この点何かありますでしょうか。--よろしいですか。   次は,「5 株主」ですが。 ● 質問だけなのですが。   5の(2)の②の解任請求権のところなのですが,イですけれども,これは解任の決議が否決されたということを要件とせずに,このような権利を与えるという趣旨でございますか。 ● そこは,単に要件というか,持株数基準だけしか議論していないので,そのような要件については現行法のまま。したがって,決議が否決されることが前提になります。 ● それで,議決権に必ずしもこだわらずに,一定の割合の株式数,単元数を有する株主が解任請求権を行使できるということの提案も含まれているわけですね。それで,彼らがもし総会には関与できないものであるとした場合には,どうなりますでしょうか。例えば,無議決権株式が大量に発行されているような場合ですね。 ● ここの話は,幾つかの取締役の解任の要件がありまして,そういう状態に至っている取締役が既にいると,本来は解任されるべきなのだけれども,解任についての議決権を持っている株主総会で否決されてしまっているというときに,無議決権株主がもし仮に「または」以降を落としますとおよそ関与できないということになるわけですけれども,やっていること自体が法令定款違反だったりしますものですから,そこは一定数以上の株式が持っていれば行使ができるというような道筋を1個つくっておこうというのが……。 ● その道筋をつくりましても,議決権ある株主たちが動いてくれないと,この権利は結局行使できないわけですね。 ● そこはそうなりますね。ただ,それは要するに議決権があろうがなかろうが同じ問題が起きますので。 ● したがいまして,現行法が持っている解任決議が否決されたということを要件としているということの持つ問題性なのかもしれません。せっかく改善しようと思っても,それが生きないような構造になっているのではないか,そういう中でこういう些細な改善をしていこうというぐらいだったら,やはり根本から考える必要があるのかもしれないし,いずれにしても余り意味のない改善になるのではないかという心配をしているというだけのことです。 ● そういう御意見もあるかと思いますが,ちょっと現代化の中でということになりますと根本的な見直しは難しいと思います。   ほかに,5についてありますでしょうか。--よろしいですか。   そうしますと,あとは「株券」のところ,これはほんの少ししかないのですね。何かありますでしょうか,6の「株券」については。   よろしければ,「7 株式買取請求権」。 ● (4)のところですけれども,「「株式の公正な価格」とする」というのですが,この株式の公正な価格を算定すべき基準時,これは一体いつになるのかなという……。現行法上,規定では明らかではないので,それでその基準時をどこにとるかによって株式の公正な価格が非常に変動する可能性があるわけなので,この基準時をこの際明確に定めるのか,あるいは何らかの解釈を前提にして株式の公正な価格というものを決める基準時について考えがおありなのかどうか,その辺につきましてお伺いしたいと思いますが。 ● これはどうなんでしょうね。株式買取請求は……。 ● 考えられる考え方としては,買取請求権を行使した時点を基準時にするという考え方が恐らくあるだろうと。それに限定されるかというとそうではなくて,再編行為の効果が発生した時点で公正な価格を算定するという考え方もあろうかと思うのですけれども,どうも現行法の規定自体には,一体基準時をどこに考えているのかということについての明示的な規定はないように思えるのですけれども。   しかし,基準時をどこに決めるかは 物すごく大きな影響があるので,あるべき姿からすると,この際いつを基準時にするかということを法定するということも考えられる。あるいは解釈に委ねるということになるのか……。   特に,シナジーどうのこうのとか言っていくと,基準時は非常に大きな影響を持ってきますね,算定の。その辺のところ,ちょっと疑問を持ちましたので。 ● これはやはり,いつかということは理屈からいうと,買取りの効果が発生するときなのではないですかね。その時点におけるあるべき価格といいますか,公正な価格なのでしょうけれども。   だから,むしろ時点がいつかというよりは,どういう要素を考慮するかの方が重要なのかなという気がしますけれども。 ● 例えば行使時でとった場合は,行使する時点までに会社がいろいろなことをする可能性がありますね,それが恐らく行使時点までにやった行為,例えば新しい工場を作るとか,あるいは新たな経営計画というものを策定するというようなことを入れていくと,恐らく公正な株価算定の場合にそれらの要素をカウントするという可能性が出てきますね。そうすると,行使請求時点だということになると,これはある意味では操作できるというか,動かせますね,請求する側の方は。 ● そういう問題は確かにあるのですけれども,例えば合併であれば合併に反対だというのであれば,それは合併がなかったということを前提に算定するのだと思うのですけれども。そこでその時点では例えば1,000円であったとしますね,だけどその後大きく市場全体のあれが変動して,全体に半分ぐらいなってしまっているというときに,それは1,000円やるかといったら恐らくそうはならないのだと思うのですね。1,000円だったものがみんな500円になっているということであれば,やはり500円ではないかと思いますので。 ● それは市場があればそうですけれども……。 ● 合併してなくたって,どうせ500円になっているでしょうという話なんですよね。 ● マーケットがないような場合は,特にどういう要素を考慮して株価を算定するかがありますよね。そうなってくると,いわば請求を行使する時点までに生じた事象というものを株価算定の要素の中に……,マーケットがないような会社の場合を主として念頭に置いた場合ですね,そうすると非常に微妙に株価の公正価格というものが変わってくる余地があると。そういう場面を考えると,何か請求する側の方が時点を自由にある意味では動かせるというようなことでいいのかどうかという疑問がちょっとありましたので,何かそういう当事者で操作できない,あるいは有利な行動ができないような形で何か基準時を決めておくかというのも一つの考え方としてはあり得るかなとは思うのですが。その辺のところでいわば基準時の問題が株式の公正な価格に大きな影響を与え得るということとの兼ね合いで,基準時の問題を考慮しなくていいのかなと。あるいは解釈に委ねるということで足りるというふうにしていいのかどうか,ちょっとその辺疑問に思いましたので提起させていただいております。 ● これは解釈に委ねるべきだと思いますが,考え方としては,算定される時期は合併効力発生時以外にはないと思います。どういうことかといいますと,これは例えばシナジーを考えるようなタイプの計算をするのであれば,その時点に完全にフェアな交付金合併ではない合併が行われていたならその株主が置かれていた地位を考えて,それを保障するということなのだと思いますけれども,それだとすれば正に合併の効力が発生した瞬間にシナジーが割り振られたような普通のタイプの合併がされたのなら,やられた地位を観念して,ただそれを算定するデータがそれ以後のものを使ってはいけないという意味はもちろんないのですけれども,そういうことはないのですけれども,価値としてはその時期の株主の立場,新しい会社の株主の立場を換算すると,そういった考え方になると思います。   決議がなかった場合,なかりせばのタイプで算定しなければいけない場合となりますと難しいのですが,これもしかし抽象的,論理的に言うと,合併が効力を生じたときに,その日に,ただしもし本当は合併も何もなくてその会社がそのまま続いていたならその日に持っていた株式の価値になるのだと思うのですが,実際にそれを算定しようとすると,決議その他がなされる前のデータで考えることになるので,一見基準時が非常に下がっているように見えるのですけれども,基準時そのものはやはり合併の期日なのだとは思いますけれども,ただこういう話を場合分けして書かなければいけないということになってしまいますので,これはもちろん解釈に委ねるべきだと思います。従来は余り気にしなかったのは,交付金合併によってこういう形で変わったことによって解釈を詰めなければいけないのですけれども,基準時はただ論理的に決まるものだとは思っています。 ● 私も,解釈としては今,○○幹事が言われたように,効果の発生時点だと思うのです。ただ,日本の従来の買取請求の判例等を見ると,請求時と解されるような判例もありますので,ですからこの辺で理論的に正しいということがもしあるとするならば,統一も考えられるかなということで,解釈に委ねろという意見もありますので,別段固執はいたしませんけれども,少しこれは,特に実務的には非常に問題になるところではないかなというふうに思います。 ● 「基準時」という言葉が,ちょっと何か非常に多義的でありまして,ですから規定を作るのはちょっと難しいのではないかという気がいたしますけれどもね。   ほかに,何か株式買取請求権については御意見ありますか。--よろしいですか。   そうしますと,次の「8 子会社等」,それから「9 その他」,一緒にしてどちらでも結構ですが,何かありますでしょうか。 ● 「端株制度は,廃止するものとする」というところでございますけれども,先ほど(注)というのは全部書かなくなったのだということでありますけれども,有限会社のところは(注)的なことを非常に丁寧に書き込んでおられるものですから,これは端株制度の採用会社も非常に多い中で,非常にみんな心配するだろうと思いますので,ここにおきましても余り負担がかからないようにとか,いろいろ手当てを講ずるとか,今まで入っていましたので,ここについては経過措置的な考え方というのを是非要綱には入れていただきたい。端株制度の会社にとっては,びっくりするようなことになってはいけませんので,そういう丁寧な要綱にしてあげていただきたいと,そう思います。 ● ほかに何か御意見ありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,先へ進ませていただきまして「第5 社債関係」。これは一括して御意見,御質問ありますでしょうか。 ● ここで申し上げるべきことなのかどうか分かりませんけれども,この前議論を重ねていて,疲れ切ってもういいやと,こうなった案件があったように記憶しているのですけれども。日本の会社が国外で募集する,発行する社債について,また外国会社が日本国内において募集する社債について,社債管理会社とか社債権者集会の規定の適用はないのだと,解釈はそういうことであるからもう誤解の余地もないので明確化のための立法は不要であるということでこの前決まったと思うのですけれども。今回それが書かれてないということは,そのままの実務を踏襲する……,余りにも明確であるからもう規定をする必要はないということであるということの確認だけを……。   かなり心神耗弱的な状況でやっていたものですから,お願いいたします。 ● この部会におきましても,議論の上,その点の解釈に紛れがないということであれば,もとよりそれでよろしいかと思います。ただ,従前の部会の議論においてそうであったかどうか,ちょっと定かではないところがございますし,また,平成6年の改正の際には,社債発行限度暫定措置法を廃止して,社債管理会社制度を設けたところ,社債発行限度暫定措置法の中では外国で募集する社債という概念を用いていながら,それについての例外規定を新法では用意しなかったということも考え合わせますと,また別の解釈--つまりおよそ内国会社が発行する社債については,募集地のいかんにかかわらず社債管理会社の設置強制が基本的にかかるという整理をその時点で行ったという解釈--も十分あり得るところでございまして,その点についての当部会の御議論の結果も全く疑義がないということであればよいのですが,そうでないということであれば,必要とあらば立法すべきかということなのではないかと思われます。   その際,外国会社が国内で発行する場合には当然には適用されない,外国会社が国外で発行する場合にはもちろん適用されない,内国会社が国内で発行する場合にのみ適用され,内国会社が国外で発行する場合には適用されないという整理で本当によいかどうかということを,もし立法するということであれば,改めてこの場で確認させていただきたいと思う次第でございます。 ● 前回は,内国会社が国外で発行する社債について,社債管理会社,それから社債権者集会の規定が適用されないということと,それから外国で発行する社債というのは,支払地が外国のものであると,そういうあれがありまして,特に後の方の問題ですね,これが簡単にそれでは脱法されますねという話になりまして,それでこういう規定は要らないのではないかということになったのですけれども,前の方についてはどういう処理をするのがいいのかということは,必ずしも前回ははっきりしなかったような記憶があります。ですからその前の方,○○委員が今言われたのは,今言った内国会社が国外で発行する社債について,社債管理会社,それから社債権者集会の規定が適用されないと,それだけの規定を置くか,そういう問題かと思いますけれども,それは改めて議論する価値はあるように私も思います。   前回は,確かに支払地でもって,国外発行かどうか決めるというのは,これはちょっとやはり問題があったのだと思います。   いかがでしょうか,社債管理会社とそれから社債権者集会,これは同じかという問題もあるのですね。比較的--私の承知している限りでは--国際私法学者も含めまして社債管理会社の方については外国で発行する--内国会社が外国で発行する社債については,もう適用しなくてもいいのではないかという意見が強いように思いますが,社債権者集会もそう思っているかどうかというのは,必ずしも私も余りよく分からない点なんですけれども。   いかがでしょうか,○○委員の御提案については。 ● 不明確さが残るということであれば,明確化の立法はやはりしていただきたいと思いますけれども。 ● いかがでしょうか,ほかの委員・幹事の方。   どの範囲で明確にするのか,ですね。社債管理会社だけでも……。 ● 社債管理会社と,やはり社債権者集会ですかね。 ● 社債権者集会については,やはり準拠法によるのだとかいう御意見もあるのではないかと思うのですが。   社債管理会社の方については,割と公法的な規制だというような理由で国際私法学者も含めまして,これは国外で発行する社債については適用しなくていいという意見が強いのですが,社債権者集会の方はそう皆さん考えているかなという気がするのですがね。少なくとも公法的な規定だとは考えていないのではないでしょうか。 ● 今までの通説は--書いている人が少ないので通説の母体も何なのですが--確かに社債管理会社についてはいわゆる公法的アプローチというのですけれども,準拠法指定と無関係に実質法の趣旨,適用意思というふうに呼ぶことが多いのですが,それで決めるといって,国内の定義はいろいろあるのですけれども,募集地なのか何とかいろいろあるのですけれども,それを決めて,他方,一部の例外はありますけれども,多くの人は社債権者集会については準拠法で決めるのだと,だから基本的には選べるという考え方をとるわけですね,準拠法を指定すれば。   ただ,仮に従来の通説を維持して,それを明文で立法化すると,今度は別の問題を非常に顕在化させる可能性はありまして,そうしますと絶対的強行法規としては適用される範囲と,つまり社債管理会社の設置強制が強制される範囲と,設置が強制されるにもかかわらず日本の社債権者集会の適用のない社債というものが出てきてしまい得るのですね。これはけしからんかどうかは,国際私法的にはこんなことはよくあることでして,いわゆる調整問題,適用問題と言われている問題なのですけれども,そこを相当実質法の中身として解釈で詰めなければいけなくなって,その作業まで,つまり簡単に従来の通説的な見解をそのまま立法化して明確化しようとすると,どうしてもそこまで踏み込まざるを得なくなるのではないか,そこまで今やるのだろうかという問題だと思います。   前回の提案では,両方まとめてある種の適用の仕方を提案されていて,それは実質的な問題点があるのですけれども,そこでは平仄をそろえて,その問題は生じないような形で処理されていたのですね。   ただ,いずれにせよ,どんな提案をするにしても,かなり実質的な中身を詰めないと処理できないので,今の段階ではちょっと……。削るか,前回の提案が実質的問題があるとすれば,もう規定を設けないということ以外は選択肢はないのかなという感触を持っております。 ● 今のは,例えば準拠法をイギリス法だとして,日本の会社がユーロで発行したというときには,今の解釈というのは社債権者集会について日本法の適用はないと。それから,社債管理会社については設置の必要はないということでも,解釈が動かないということを今おっしゃっていただいたのですか。 ● 動かないというか,今書かれている多くの文献の結論はそうなっているということを……。 ● そういうことであれば,私も実務上はもうその解釈が裁判所でもひっくり返らないだろうというふうなことであれば……。 ● 繰り返しますが,書いている母体が……。 ● 明確ではないという中で,どうしてくれるのだと。 ● 書いている母体が少ないものですから,明確かどうかは申し上げられません。 ● 社債管理会社も準拠法によるという説がないわけではないのですね,確かに学説の中には。   さて,どうしましょうか。 ● 私も,○○幹事と同じ考えを持っておりまして,学説の状況等は○○幹事に御紹介いただいたとおりでありまして,今,改めてそれを全部詰めた立法をここで行うということは極めて困難でありますから,現在の比較的多数の学説の状況はそういうことであるという理解をいただいた上で,特に法文としては規定をしないということが一番賢明ではないかと考えております。 ● 了解しました。 ● よろしいですか,御了承いただけましたでしょうか。 ● 異なる立場をとられるなんていうことはございませんでしょうね。学界とは。それであれば……。 ● 部会の御議論がこのようなものであったということを十分踏まえて,対応させていただきます。 ● それでは,そういうことで御了解いただければ幸いです。   「第6 計算関係」に進ませていただいてよろしいでしょうか。   これにつきましては相当多いですが,時間の関係もありますので,一括してどの点でも,御意見,御質問がありましたらお願いします。 ● 確認だけなんですけれども。   6の「定時総会関係」の「(1) 定時総会の開催時期」ですが,これは定時総会の開催時期の規制の廃止を言っているだけのものであって,会計監査人に提出してから監査期間の4週間ということまでは,ここは廃止するということは言っていないということでよろしゅうございますね。 ● 前回の御議論で確認させていただいたとおりでございます。 ● 今ごろ言うべきことかどうか分からないのですが,4の(2)の①の現物配当なんですが,大会社においては恐らく(2)の①やりますと,「当該財産に代えてその財産の価額に相当する額の金銭を分配する」ときは……。   あ,そうか,この場合は現物配当は必ず総会決議が要るのですか,あるいは取締役会マターでできるようになるのですかね。そこは頭が混乱してしまいましたが,ともかくそういう問題もありますが,結局現物配当で明確な時価がある場合は,恐らくそういうものが現物配当になるかと思うのですが,一応配当ですから,幾らを配当に回すということは考えますね。配当可能利益が100ありますと,そのうち70なら70を配当に回しますと,そのうち面倒だから全部70を現物配当いたしますとして,その現物がこれですとなったときの,70の額と当該現物の額との整合性というのはどうなるかということで,これ貸借対照表をベースに剰余金を分配するとなると,ひょっとすると簿価をベースにするのかなと思ったりするけれども,ただこれ,現金でくれという場合には時価ベースでやらざるを得なくなるとか,そこら辺のことで少し何かこれ,やはり株主総会の特別決議がないと困るのかな--債権者保護はまた別途これはあると思うのですね,違法配当の問題で。だから債権者保護は括弧に入れるとしても,何か普通決議,更には取締役会限りでできるということでいいのかなと思ったのですが。   確かに,現金でやるからいいではないかと言われても,ちょっとそこら辺の手当てがどうなるのかなと。   私の今言った前提が誤解だったら,お教えいただいたらそれで結構なんですが。 ● 前提問題は御指摘のとおりでありまして,現金で渡すのであれば取締役会限りで行える場合もあり得ると。   これは,だから今の委員会等設置会社の利益配当で現物配当するのと同じ問題になります。 ● 今まではほとんどそういう可能性があるとしてもなかったので,これからこういうことを明確にするとやるときに,そのときにこれだけの現物を配当しますというときの基礎となる価格は,現在の剰余金処分をベースにすると簿価をベースにするのかなと思って。しかし,現金の場合は時価になるとか,そういう関係はいいのか悪いのかもお教えいただければと思いますが。 ● 現物をそのまま出せば,当然簿価でいくしかないですね。それで金銭が出ていけば時価で考慮されることになりますから,含み益のある例えば子会社株式を配当するということになれば,予想外に金銭でくれという請求が出れば,その分の余裕を見込んでおかないと当該分配が違法配当になり得るということにはなりますね。したがって,そこのリスクがなければ,それでやっていただければいいし,もし仮に一定以上出てくるとまずいということであれば,そこはもう一律で,株しか配りませんということで特別決議でやると。 ● 含みとか何かが明確に決まればいいのですが,そこで相当性とかなんかはすべて取締役の善管注意義務で処理するということなのか,あるいは株主総会のオーソライズが要るかのコンテクストの……。債権者保護は,ちょっと別途の問題として,それはそれで別途やりますが,株主間の公平という観点から本当にいいのかなとふっと思ったと。リーズナブルな処理ができればいいのですが,すべてに特別決議が要らないのかなと思ったということですが。 ● 問題点はよく分かります。確かにそうですね。   要するに,現物はえらい値打ちがあるのに,現金化しにくいから現金でもらいたいと思う人がいると,しかし現金をもらったら不利だというような,そんなものでもいいのかというあれですよね。 ● 例外ですが,逆の場合もないかもわからない。逆の場合はそれでいいのかもわかりませんが,実質的,決定的には今おっしゃったことですね。   委員会等設置会社が既にできていたと言われたら,もう何も言えないのですが。   私も,今までそれほど気にしなかったので,時期がおくれていると言われたらもう黙りますが,ちょっと気になったという……。 ● 私も,指摘されて確かにそうだなと思いました。   相当するかどうかというの,これが本当に分かるのか。もしそうではなかったらどうなるのかということについては……。 ● 今までのが債権者保護だけ考えていた。債権者保護は適当にできるので。 ● やはり解釈としては,こういう規定がもしできますと,その金額が相当でなかったと,それは特別決議にないと,そうするとそれは決議無効である……,いや,何というかそれは……。 ● 剰余金分配。 ● 剰余金分配違法であると。 ● というか,取締役の責任で処理するか,二つですよね。 ● そこは,多分財産の換価の方法の問題だと思うのですけれども。他の,要するに今の現行の商法にある他の制度に従えば,どっちにしても競売するか売却するかでやることになりますので,そこについて今の例えば220条の端数の処理と合わせるとすると,競売するかそれとも裁判所の許可を得て売却するかということで価格の相当性を担保するしかないと思うのですね。 ● それで損しても,それは仕方がないと。 ● はい。 ● そうですか。分かりました。 ● よろしいですか,そういうことで。私もちょっと理解が深まりました。   ほかにいかがでしょうか。 ● 前回の資料でしたか,中間配当制度は残すのだというのを書いてありましたけれども,それは当然のことだから今回の要綱案には入っていないということでございますね。   細かなことですけれども,2の(1)の①に「以下「分配可能額」という」とありますけれども,1の(2)の②に分配可能額がありますから,最終的には如才ないことと思いますけれども,よろしくお願いいたします。 ● 御指摘ありがとうございます。ほかに何かありますでしょうか。 ● 簡単な質問だけですけれども。   1の(2)の②のロですが,このロの場合において買取請求ができるということが前提ですね。これ,前に何かどこかで見たことがあるように思うのですが,この資料の中にどこか入っておりましたでしょうかということが質問です。 ● 第4の7の(3)になります。 ● ありがとうございます。   それからもう1点の質問は,これも小さなことですが,4の「剰余金分配手続」の(2)の②,「特定の者からの自己株式の有償取得」というところで,「市場取引・公開買付け以外の方法により,特定の者から自己株式を有償取得する場合には」とありますが,公開買付けは特定の者からでないことは明らかですね。市場取引であって特定の者から取得するということは,あり得るという前提ですか。 ● ここで書いてある特定の者というのは,株主平等ではないという以上の趣旨ではないので,公開買付けであったとしても,売る株主と売らない株主がいれば,結局フラットに言えば特定の者から買っていることになりますので……,というだけの意味です。だから,そんなに深い意味があるわけではないのですけれども。   したがって,市場取引は市場取引,公開買付けは公開買付け。でも,結果から見ると,どちらも特定の者から買っていることには変わりがないという状態になってしまうので,全員から買うわけではありませんのでという,ただそれだけの意味です。 ● 1の(2)の自己株式の財源規制なのですけれども,定款の定めでもって株式の譲渡制限会社において株式を譲渡する場合には,会社を先買権者だと定款で定めてあるというような場合に,その請求があった場合であったとしても,これは②の問題ではなくて,そもそも①にも該当しないから買い取れないということになる,こういう理解でしょうか。 ● 先買権者を会社自身にすること自体は,定款で決めても株主総会で決めてもいいわけですけれども,財源がなければ買えないというのは,それはどちらにしても共通のルールですので。 ● そうですね,定款で書こうが実効性がなかっただけだということですね。 ● ほかにいかがでしょうか。--よろしいですか。   それでは,「第7 組織再編行為関係」。これも全体について,御意見,御質問ありますでしょうか。 ● 本当に単純な質問で申し訳ないのですけれども,2の「簡易組織再編行為」の(1)の③のところですが,従来物的分割に限ってこのようなものを認めておりましたですね。これの規定だけを読みますと,その要件は今回は落とすということではない。落とすのですか。 ● 前後して申し訳ないのですが,第6の1の(4)の①で,人的分割自体を物的分割ブラス剰余金の分配にしてしまいますので,分割といえば基本的には物的分割形態となります。 ● 3の「略式組織再編行為」でありますけれども,そういう事例は余りないのかもしれませんけれども,支配会社が譲渡制限会社であったというときには,「簡易組織再編行為」の(3)に相当するようなものが規律として入っていないのは,何か特別の意味があるのでしょうか。 ● 済みません,ちょっと考えさせてください。ひっくり返っているタイプなので。要するに,親会社というか,存続会社の方が支配されている場合の規律ということですね。 ● そうなりますね。 ● なので,非常にレアなケースなものですので。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 済みません,細かなことなのですけれども,あるいは欠席したときに説明があったのかもしれませんが,2の(1)の①の20%の算定のときに,株式の場合は発行済株式総数となっておりますが,これは普通の読み方だと自己株式を含んでしまうのですけれども,それは当然控除されると考えてよろしいですかね。   つまり,90%自己株式を持っていれば,20%基準というのは相手方が倍の大きさであってもこれでできるということになりますので。 ● ちょっと簡略に書いていますが,単元で調整をして自己株を引いて,ということになります。 ● 同じ問題が実はほかにも何か所か商法の中にありまして,それもできれば直せるものだけでも直しておいていただければ。   例えば,単元未満株式の買取請求の価額の計算の仕方は,純資産を発行済株式総数で割るというすごい規定があるのですが,同じような調整ができればしていただければと思います。 ● そこは,趣旨に応じてそれぞれのところで……。 ● ほかにありますでしょうか。--よろしいですか。   そうしますと,「第8 清算関係」でありますが,これは何かありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,次に「第3部 合同会社・合資会社・合名会社関係」でありますが,ここ全部,いかがでしょうか。 ● 第5の2の(1)①ですが,ここはあるいは星印をつけ忘れになられたのではないかと思うのですけれども,合同会社から株式会社への組織変更に社員全員の同意が必要かどうかということにつきまして,前回,部会資料21の検討のときに,これ,原則としてということで,少なくとも原始定款において全員一致でなくても組織変更は可能であるということをお認めいただけないかということを私,提案させていただいて,たしか○○委員からも御賛同を得て,なお検討するということになったのではないかというふうに思っておりまして,その主張を繰り返させていただくことになるのですが,これは必ずしもこの合同会社から株式会社への組織変更を合名・合資会社の場合と同列に扱わなければいけないという必然性はないと思いますし,むしろ社員の利益保護ということとの関係でいえば,有限会社から株式会社への組織変更にむしろ近いというものであり,その場合,現行法では有限会社の特別決議でできることになっているわけであります。   さらに,6に「(1) 会社分割・株式交換」とありますが,株式会社の合同会社を相手方とする吸収分割等が行われ得ることができるわけでありまして,この場合も全員一致とかいう話では恐らくないのだろうと思うわけです。   かつまた,非常に実質的なことで私こだわっておりますのは,合同会社をベンチャー等に使うということを前提にいたしますと,IPO時における株式会社への組織変更というのは当初から予定されているものでありまして,これが全員一致でなくてはならないということになりますと,各少数株主が拒否権を持ってしまうということになり,そういたしますと例えばストックオプションを行使した従業員株主などが,とにかくおれは嫌だというような,言ってみれば機会主義的行動に走る可能性があり,極めてベンチャー等に使いづらくなりますし,いずれにしても望ましい影響を及ぼさず,かつどうしてもここで全員一致でなくてはならないというほどの社員に対する大きな影響があるとも思えないものでありますので,ここは再度お願いでありますが,「原則として」というふうにしていただけないだろうかということであります。 ● ここの問題はいろいろ内部でも検討したのですけれども,合同会社の社員間といいますか,持分間について,原則として潜在的に平等原則がかかっているという前提をとるのであれば可能だと思うのですね,今おっしゃっているようなことが。すなわち,平等原則がかかっていませんので,各社員の持分なり権利というのは,原則として各別にばらばらに定め得るということが制度設計の根幹にある。その会社類型が株式会社に変わるということになります。   これは,例えば他の会社と合併するときも同じ問題が生ずるのですけれども,今まで持っていた持分関係が崩れて,新しい持分関係になる。それが,相手が株式会社であれば平等のものが入ってきてしまいますし,相手が合名会社であればまたそこで新たな関係を築かないといけないというふうにすると,ちょっとこれは内部のその状態を前提にして定款を変更するとか,そういう場面と若干質的に異なるのではないかと。確かに,会社のつくり方によっては全社員の持っている持分が平等な合同会社であって,というのはあり得ると思うのですけれども,ちょっと本質的に異にする問題なのではないかということで……。 ● 平等原則のことをおっしゃるのであれば,有限会社でも同じだと思いますし--格別の規定ができるわけですから--その場合であっても特別多数決の組織変更は認められてきたわけですし,かつ原始定款で要するに格別の平等原則でないことを定めたとしても,原始定款で組織変更まで見込んだことを決めておくのであれば,その合意することについて特にいかんということまでは要らないのではないかというふうに思うのですが。   つまり,仮に平等原則ではない権利義務の決め方をしていたとしても,その先,株式会社へ組織変更するときにどういうふうにその権利義務は変わるかということについて,あらかじめ合意しておくということを,それを禁ずることはないのではないだろうかということであります。   もちろん,定款変更で多数決にするというのは問題があるのかもしれませんが,原始定款でやることについては問題ないというふうに思うのですが,いかがでしょうか。 ● ちょっと済みません,二つの話がまじっているのであれなんですが,一つは原始定款で将来の組織変更についての規律を書き込んでおくという問題と,その規律がないときに,どういうふうになるか分からないのだけれども組織変更は多数決でできるという問題と,ちょっと別問題……。 ● 更に言えば,原始定款で全員一致でなくてもいい,例えば特別決議で足りるというふうに合意した上で会社関係に入ったということは,仮に万一合理的な人間であれば組織変更における転換関係まで決めておくだろうと思うのですが,仮に万一その合意をしておかなかったとしても,そのときについての再交渉に委ねるという合意をしたというふうに考えて,特にその社員についてのいわば少数株主の権利保護に欠けるということはないように思われますがという,そういう趣旨です。 ● 整理しますと,原始定款でどういうふうに書けるということに……。 ● 原始定款で株式会社への組織変更は特別決議で行うことができると書ける。もちろん,原則全員一致であるというのは結構だと思いますが,原始定款でそれを外すことができると。少なくとも特別決議まで緩めることはできると。 ● ○○関係官がさっき言った二つのまじっているというのは,もう一つ何でしたっけ。 ● 今言っていることというのは,結局多数決で組織変更ができますということがどの条件で認められるかという問題だと思うのですけれども,最初におっしゃった内容というのは,例えば最初から定款に株式会社に転換するときにはこういう形で割り当てるという内容があらかじめ定款に決まっているというようなこともおっしゃっていたので,ちょっとそういうことが決まっていればあとはいつやるかという時期の問題ですから,もしかすると定款に時期さえ決まっていれば何の意思決定もなくてもそこでぱかっと株式会社に変わるということも可能だと思いますし,ちょっとどういうあれなのか……。 ● 今おっしゃっていたのは,若干リジッドなおっしゃり方をしましたけれども,何か合同会社を始めて組織変更をするということは,相当可能性はみんなあると思いながらビジネスを始めたので,そういう組織変更のときには,例えば3分の2なのか4分の3なのか2分の1なのかは別にして,こんなことで自分たちとしてはルールを決めようと最初から定款に書いておいたら,それは認めてあげてもいいのではないかと。そういうビジネスの方って多いですから,そのぐらいの自由度は与えてあげてもいいのではないかと。何も全会一致という縛りを原則でがちがちにかける必要はなくて,穴はあけておいていただいてもいいのではないかという程度の話だと思います。   いずれにしても,合理的なお話ではないかと思いますね。 ● いずれにしても検討する必要はあると思いますので,ちょっと考えてもらえますか。 ● 1つだけ確認をさせていただきたい。そこは,反対者は反対しても強制的に割り当てられるという仕組みでよろしいわけですね,ということを望んでいると。 ● そういうことです。 ● 予見可能性もあるのでしょう,そこで。 ● もし仮に,全部脱退してしまうのであれば,結局残った人でやっていますので全員一致なんですね,反対者が脱退するのであれば。   ちょっと最後まで申し上げますと,多数決で認めるということは,反対してもとにかくそいつには割り当てると。嫌と言おうが何と言おうが多数派が決めた数で割り当てるということについて合意しろと。   かつ,合同会社ですので,平等原則が働きませんから,ゼロでもいいわけですね,割当ては。ゼロなら抜けますからいいのですけれども,すごく少ない株式の数であったとしても,そこは別に規律かかりませんので。 ● この場合,退社ということになるのか,買取請求権ということになるのか分かりませんが,抜ける自由を認めることについてはやぶさかでないのですが,私が懸念しておりますのは,抜けないで,あくまで反対するという可能性が出てくる。 ● ですから,ここはバランスの問題なんですけれども,抜けないで反対する人に対して,多数決で何かをぶつけてしまう,割り当ててしまうという仕組みにするかどうかだけなんですね。それは,どちらでもいいのですけれども,株式会社の場合はそうなっていますからあれなんですが,株式会社の場合は基本的に平等原則がきいているので,同じ条件であれば同じものが割り当てられるということが前提になっていますから,反対者が買取請求権で抜けるのか反対したまま残るのかという選択肢になるのですけれども,合同会社のときに,もしこの組織変更のときに平等に割り当てなければいけないという規律を別途かければ別ですけれども,それはかけないわけですね。それをかけると,多分使い勝手が余計悪くなるので。そこをどう組み合わせるかということは難しくて,余り多数決にこだわられると結局そこを手当てしなければいけなくなるのではないかという懸念があるというわけです。 ● やはりどこかでは必ず同意していなければいけないということは事実だと思いますので,原始定款で定めたことならばいざ知らず,それ以外のものではだめだということはもう当然のことだというふうに思いますし,それからやはり多数決で決めた場合に,余りにも濫用的なものであった場合には,また多数決の濫用という形で別途裁判所の方でそこは手を差し伸べていただくということで,何とかほかのこととの整合性などを考えましても,それで済むのではないかというふうに私も思いますけれども。 ● どういう場合が濫用かが定款自治に委ねられているという前提ではないのですか。だから,よほどどうしようもないというのはだめですが。 ● そうだと思います。 ● そこで,決定的なのは,買取請求というのはまた基準があいまいですから,こういう組織変更するなら私は脱退する,したがって持分を渡してくれということが言えるかというと,それも認めないというのが○○幹事のお考えではないかと思うのですが。 ● それは別に認めないと言っているわけではありませんで,脱退したければそれはそれでよろしいのではないかと思いますが。   つまり,組織変更をするという話が出たときに,脱退しますよということを言うのは,別に構わないと思いますが,あくまでも組織変更を止めたいと,止められてしまうわけですね,脱退もしないで。それはやはり,機会主義的行動を誘発することになるだろうし,ベンチャーが将来IPOしようというようなときに非常に困ってしまうことになって,更に言えば従業員にストックオプションも出すのはやめた方がいいという話になってしまって,非常に合理的でない運営を強いられることになるでしょうということで,もちろん脱退権を行使をして抜けるのを止めようという趣旨ではありません。 ● どのみち,みんな保障されているわけですね。 ● それがやむを得ない事由になるかどうかですよね。 ● 退社の自由をそこで保障するかどうかということは,それはそれで一つの論点だと思いますけれども。 ● 退社権の保障がやむを得ない事由があるときということだけで十分なのかという問題にもつながるわけですね,これは。 ● そこは,かなり制約をしたいという御要望もあるところですので,この場合に限ってかなり広く自由を認めてよいかどうかということで……。 ● 何回も申し訳ありませんが,ですからそういった点も含めて一応原始定款,少なくとも原始定款においては自治を認めていただけないだろうかと。退社権をそういうときに認めればというようなことで,全員一致を外してもいいという人もいるかもしれませんし,いろいろあるだろうと思うのですが,あとからは確かに変更して無理やりというのは,これは権利の保障に問題があると思いますけれども,入るときにみんなが合意して,そういうことで一致してやる分については,そんなに大きな少数社員保護の問題は出てこないというふうに一応割り切れるのではないかと思うのですが。 ● 私も,先ほどおっしゃっていたやむを得ない事由というのを本当に広くとるというのだったら○○幹事のような考え方もあるとは思うのですけれども,しかしながら最初に多数決でいいと言ったら,後でどんな決議がされても内容のいかんを問わずそれに従わなければいけないというのでは,これは制度として成り立たないのではないかという気もするわけで,やはり○○幹事のような御提案を仮に取り入れるというのであれば,組織変更の場合,全員一致でなくてもいいというのであれば,その場合は退社権は保障するという組合せでないと,ちょっと酷なのではないかと。 ● それは全くやぶさかでありません。組み合わせることについては。 ● ちょっと確認させていただきたいのですが,○○幹事の意見だとどうなるのでしょうか。   つまり,持分は全く大きさは自由に決められている,中身はばらばらなので,議決権,多数決とさっきから言われているのですが,多数決の中身というのは定款で好きに決められるということですね。だから極端な場合,一人が決定権持っているような形で白紙委任するような原始定款もあり得るのですが,白紙委任したのであれば,その後どんな内容で,割り振る方は全く自由ですから,二段階ぐらい何か裁量権があるわけですけれども,そういうのもオーケーに……。   全員一致がきついというのはよく分かるのですけれども,どういうふうにこれに歯どめがかかるのかというのが,退社権だけで例えば実質的には一人が決めて,どんな内容でも決められる,あとは極端な権利濫用と退社権で全部対処はオーケーだと,そんな御意見なんでしょうか。 ● そもそも原始定款で一人に全部決定権を与えるというのがどういうことか,どういう場合にそういうことが起きるのかというのがよく分からないのですが。 ● 要件が,議決権の割り振りなんかが全く自由なのではないですか,この会社は。 ● それは自由ですけれども,そういうふうにするかどうかというのは,やはり合理的な経済人であればどういう条件で企業に参加するかというのはあるわけですよね。全く将来何をされても分からないというような条件で入る人は,基本的にはいないはずでありまして,そういう自分で自分の権利を守れる,その上で定款自治を認めるというのがこの合同会社の趣旨だろうと思っておりますし,そのときに組織変更の転換条件が気に入らなければ退社しますと,無条件の退社権限を認めるということは,それはそれで全く結構ですが,それでも足りないということ自体が私にはよく分からないのですね。 ● 組織変更については,全員一致でないのを認めると,そしてかつ,それに不満であれば退社権を保障すると。一種の株式買取請求みたいな話ですが,それならば皆さんよろしいですか。 ● もう少しディテールを詰めていただいたらいいと思うのですけれども,せっかく新しい仕組みをつくって,それが非常に硬直的になって,これをいったんつくったらほかにはなかなか動きにくいというような仕組みは,自らの手を縛ることなので,そこはなるべくフレキシブルな形にしていただきたい。その具体的な手法についてはいろいろ議論がありましょうから,それは少しディテールを詰めていただいたらいいと思いますが,世の中に出して恥ずかしくないような新しい制度にしないと。つくればいいというものではないですから。そのことは是非お願いしたいと思います。 ● もし今の○○幹事が言われたような退社権は保障するということで皆さんよければ,ちょっとその方向で考えてもらうということになりますが。   今,ちょっと私も思いついたあれなので,ひょっとしたらまずいところがあるのかもしれませんけれども,ちょっと詰めてもらって……。 ● 前回も私,御紹介をしたのですけれども,中小企業の協同組合の場合には,そういう特別決議をしてあれをすれば,反対をした人がいても,そこは決まると,こういう仕組みがもう既に既存の法律の仕組みでありますので,そんなにおかしな話では全然ないのですから,そういうものも参考にしていただいたらよろしいと思います。 ● 協同組合は,議決権の割り振りは全く自由ですか。 ● 一人1票ということで,平等になっております。ただ,そこら辺は,例えばさっき○○幹事がおっしゃったような,みんなお金は出し合ったのだけれども,ある特定の人に意見が集中と,それはいろいろな自由な設計ができる面もあるかもしれませんけれども,普通は大人のビジネスの世界ではそういうことは起こらないのです。それが自らが自らを律するという意味ですから。そういうレアケースを取り上げて,こうじゃないかああじゃないかというのは,議論としてはいいのですけれども,余り起こり得ないのではないかと思いますね。 ● とにかく,現在の組織変更について社員全員の同意というのは,ちょっと余りに硬直的であるということは皆さんそういうお考えのようなので,私がさっき申したようなのは一つのアイデアですが,ちょっとそれで事務局でもう一度考えてもらいます。 ● その関係で,先ほどは退社権を当然のものとして認めるということでしたけれども,特別決議の要件も,これは我々普通の常識的な今までの会社形態の特別決議というのがどういうものなのか,ありますので,そこら辺も含めて,どういうものがある程度モデルケースとして想定されるのか,例えば頭数も要るのかとか……。   要するに,出資の割合でも困るのですね,出資の割合と違う議決権もあり得るので。そこら辺も少し整理をしてやると,相当複雑なことになるのではないかと思いますが,御検討いただくのは別に……。あともう一回,それを見て決断させていただければと思いますが,ただ相当きめ細かに考えないと……。 ● それは契約自治でいいのではないですか。 ● それで割り切るかどうかという話ですね。 ● そういう仕組みなんですよ,そもそも。パートナーシップですから。それをある程度ふんわりと包むようなフレームワークをつくってあげればいいと。むしろ私なんかはそういう感じなのですけれども。 ● だから,全員一致はきついと思っても,すべて契約自治でいいのかということ,特にこれが本当に二,三人の共同経営者だけではなくて,少し広がる可能性もあるわけですね,そういうことを含めると,少し気にしないといけないかなと思ったということです。   ですから私も,全員一致が是が非でもということではなくて,万一のことを考えた特殊の決議要件を考えなければいけないだろうと,退社だけでいいのかという点から少し整理していただきたいということです。 ● そういうことで,なかなか難しい問題かもしれませんけれども,事務局にちょっと考えていただきたいと思います。 ● 第3の2の(1)で,有限責任社員が業務執行し,代表する権限を有すると,実質的には伝統的な意味で無限責任社員と同じ行動をしているのだけれども有限責任社員ですよ,という形態を認めると,そして例えば極端な場合を言いますと,法人が無限責任社員で,自然人というのがこれだけだとなりますと,やはりこういう有限責任社員は有限責任の特権は享受できても,やはり第三者に対する重過失の任務懈怠の場合に責任とか,そういう担保は要らないのかなとふっと考えたのですが。これは,他に無限責任社員がいるからもういいという趣旨でしょうか。 ● 一応原案は,そこはもう割り切って……。 ● 無限責任社員が他にいるからと。 ● 仮にそれが有限責任法人であったとしても,そこは自然人であってもある意味有限責任ですから,割り切ってと。 ● ただ,何か実質……。つまり,法人として最高責任者であり,かつ有限責任の特権を享受している人が何の責任も問われないということで法制度上いいのかなという感じがしたのですが。少なくとも重過失による任務懈怠がある場合に,第三者を保護する。ただそれが,無限責任社員があるからいいのだといっても,その担保だけで……。何かちょっと気になったという,それだけですが。   これは決断の問題ですから,結構ですが。 ● 確かに御指摘の面はあると思います。ちょっとこれも再度検討してください。 ● 第3の2の(2)の「監視権」でございますが,合資会社の業務執行をしない有限責任社員はこのような監視権を持つということですけれども,合同会社の社員はいかがでしょうか。 ● 合同会社の社員は,基本的には合資会社の有限責任社員の規定に従うことになりますので,業務執行社員でなければそういうことになります。 ● よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。--よろしいでしょうか,この第3部につきましては。   それでは,次に第4部ですが,いかがでしょうか。第4部全体につきまして,何か御意見,御質問ありますでしょうか。特にありませんか。--よろしいですか。   それでは,一わたり全体を見ていただきましたが,幾つかなお事務局に検討してもらうところが出てきましたので,それにつきましては次回また御審議いただきたいと思います。 ● 参考資料16について,少しだけお時間をちょうだいできればと思います。   これは,前回も御紹介いたしましたとおり,自民党の商法に関する小委員会の場で案として配られたものでございます。当部会においても検討するよう求められているものでございますので,本日少しお時間をちょうだいして,また足りなければ次回にも御意見をお伺いしたいと思います。   このうちの1につきましては,有効性の評価等という部分は別にいたしまして,既に御議論いただいて,盛り込む方向で検討するということになっているところでございますけれども,また2の前半部分につきましては先ほど○○委員,それから○○委員から反対の御意見をちょうだいしたところでございます。   あと,残りは2の後半部分,それから3でございますが,3についてはいろいろと御議論はあったものの,現段階ではまだ社外監査役に係る平成13年改正の法施行が未了であるということもありまして,少なくとも来年の5月以降の運用を見極めた上で,要件の見直しの要否についてその段階で検討をさせていただければよろしいのではないかという感じがするところでありますけれども,1の有効性の評価に係る部分,2の選任決議の情報の開示の充実,あるいは3全体につきまして,何か格別今日の段階で御意見をちょうだいできるところがあれば,御指摘いただきたいと思います。 ● いかがでしょうか,2と3につきまして,特に御意見あればいただきたいと思いますが。   先ほど○○委員がおっしゃったのは,この2にかかわることであろうと思いますが。 ● 念のためですけれども,会計に関する専門的な知見を有する者の選任を義務づけるということ自体は別段の異論を唱えるつもりはないのですけれども,それは要するに当該企業の経営者から独立であるという,つまり外部性を強調することが開示制度というものの本来の役割を損なう心配が高いということを私は申し上げたかったわけです。   つまり,繰り返して言えば,基本的には経営者の意図によって操作はされない,固い情報かもしれないけれども投資家にとって何の役にも立たない情報が開示されるような仕組みをつくりかねないということを心配していると。 ● ほかにいかがでしょうか,御意見ありませんでしょうか。 ● よくは考えていませんが,今,○○委員がおっしゃいましたように,会計参与の問題とこの2の問題,直接かかわるものではないように思いまして,一般論として言うと,こういう方がおられた方がいいのかなと思います,監査役若しくは監査委員に。しかし,まだいろいろと制度改革途上ですので,これを法的に義務づけることは時期尚早かなと言われればそうかなと思うのですが,少なくとも情報開示の中でこういう前段の趣旨なども分かるようになるといいのかなと思ったりもするのですが。   ただこれは,今直ちにはどうかと思いますが,この考え方自体,私は至極もっともではないかという感想を持ちましたが。 ● 私どもは,この1番については先ほどの中に織り込まれたとおりでありますけれども,2番,3番については,現時点においてこれを法制化するということには大反対ということであります。   例の財務経理能力の強化問題でありますけれども,これはアメリカにおいても強制されている状況ではなくて,設置しない場合において開示をしろということになっているにすぎないのでありまして,我が国においてここまで義務づけるというのはいかがなものかと。   それから,日本の監査役でありますけれども,業務監査も行っているわけでありますから,財務経理能力を偏重するということはいかがかということであります。また会計監査人もいらっしゃるというふうな中で,ここまで現時点で強制するというのは行き過ぎだろうと。   それから,親会社の問題でありますけれども,これはこういうふうに主張される方が多いということもよく認識しておりますけれども,ちょっと今の時点でやるということになると,正に人材がいないという中で,実質上こういう制度を実行不能なものにしてしまうというふうな気がするものでありますから,余りにも時期尚早であるということで反対をしたいと思っております。 ● 1番については,私ももう既に今回の案の中に入っているということで問題ないと思いますが,2番については,現段階では今いろいろな方がおっしゃることだと思いますけれども,将来の方向性としては,やはりこういうことも是非理解していくべきではないかということで,現段階では押さえておくべきではないかというふうに思います。   3については,○○委員がおっしゃったとおりだというふうに思います。 ● この現代化の作業を始めた一番最初の段階で,ちょうどエンロンの事件が起きて,私,たしかそういうことが世界的に問題になっている中で,こういったコンプライアンスシステムの充実や監査をよりインディペンデントなものにするための努力を当部会でしなければ,いわば世間の期待に十分沿うことができないのではないかということを申し上げた記憶がございまして,今この時点でこういう文書が出てきたことについては非常に複雑な心境なのですけれども,その気持ちは今でも変わっておりませんで,確かに先ほど○○委員がおっしゃったような問題等ありますけれども,全体としてこういう問題意識はやはり持っていなければいけないし,今回はこの時点で今すぐこれを全部取り入れるということは極めて困難だということは重々承知しておりますけれども,今後は是非引き続き検討していただきたいと思います。   1についていえば,確かに今回入れていただいたことについて私は非常に有り難く思っておりますが,前に申し上げましたように本当は関連会社を含めたコンプライアンス体制というものを今後は検討していく必要があると思いますし,2の点について,例えばここで書かれているようなことは,サーベンス・オックスレー法が提起した問題でありますけれども,それは十分に検討に値しますし,特に二つ目の項目の選任の際の情報開示,これは是非次の3とあわせて行う必要があると思っております。   3の要件の厳格化については,例えばニューヨーク・ストック・エクスチェンジのルールは昨年末改正されて,非常に強化されておりますし,これは日本の問題として是非受けとめて,次の改正においては是非実現していただきたいと考えている次第でございます。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 2の後半の問題と3の問題につきまして,全く○○委員が今おっしゃるとおりだと思います。今回の改正で行うということが,何しろ平成13年12月の改正で行われた社外性の見直し等の施行時期がやがてやってくるという,間もなくやってくるというような段階でございますので,多少難しいかとは思いますけれども,やはり社外というよりは独立へということが必要かと思いますし,また逆にいいますと,あの時点で非常に社外性を強調しましたが,あれだけ社外を強調する必要があったのかどうか,これだけ転職の多くなった時代に,かつて若いころ,一時期でもその会社の従業員であった場合には,もう社外といいますか,独立といいますか,そういう形では決してかかわることができないという要件がよかったのかどうかの見直しを含めて,やはり近い将来にこれは検討する必要があるのではないかと考えております。 ● 大体委員の方からは一わたりの御意見賜ったように思いますが……。 ● ここでの議論の状況につきましては,党の方にお伝えしたいと思います。 ● それでは大変長時間にわたり熱心に御審議いただきましたが,本日の審議はこれで終了させていただきたいと思います。   それでは,事務局から連絡事項がございます。 ● 次回は来週28日,水曜日の午後1時から,また場所はここの第1会議室で行わせていただきます。申し訳ございませんが,恐らく当日の席上配布ということになると思いますけれども,本日御指摘いただいた点についての修正箇所を明示させていただくような資料を用意したいと思いますので,よろしくお願いいたします。   なお,9月,10月に若干の日取りを予定したいと思っておりますけれども,次回の部会においてあわせて御連絡差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。 ● 今日の資料が「第一次案」と書いてあったので,要綱案としてこれからブラッシュアップをするということで,一次の次に二次が出る,三次が出るという,何かイメージだけの問題なんですが,非常に先がまだ長いような印象があるので,余計なことを付け加えないで,「要綱案」ということでよろしいのではないかと思うのですが。「一次」という意味はどういう意味か,何か特段の意味がありますか。 ● 10月下旬に最終的な部会を予定させていただきたいと今のところ思っておりますが,その際に諮らせていただくものが要綱案の(案)--その部会で御了承いただければ要綱案になるもの--でございまして,それが通例となっております。最後の部会にお出しするまでの間は,要綱案の(案)のそのまた案ということでございますので……。 ● 分かりました。世の中の常識だと,一次があると二次があって三次があるので,そういうことも考えていただいて,皆相当くたびれてきていますので,いい加減収束に向かっているということが明確に分かるようなものにしていただけるとうれしいですね。 ● 本日は全体像を示したということで,収束に向かっていると御理解いただければと思いますが。 ● それでは,第27回会社法(現代化関係)部会を閉会させていただきます。   本日は暑い中を御参集いただきまして,大変長時間にわたり熱心な御審議,ありがとうございました。