法制審議会会社法(現代化関係)部会 第28回会議 議事録 第1 日 時  平成16年7月28日(水)  自 午後1時00分                        至 午後3時40分 第2 場 所 法務省第1会議室 第3 議 題 会社法制の現代化に関する要綱案(第二次案)について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● それでは,予定した時刻が参りましたので,第28回会社法(現代化関係)部会を開会いたします。   本日は御多忙の中を,また猛暑の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   それでは,配布資料につきまして事務局から説明をいたします。 ● 本日席上にお配りいたしました部会資料30は,前回の部会資料29につきまして,前回の御議論・御指摘を踏まえて若干の修正を施し,その修正箇所が明らかになるような工夫をしたものでございます。後ほど,修正点につきまして御説明し,御議論をちょうだいしたいと思います。   それから,席上に,参考として「特別清算等の見直しに関する要綱試案」及びその補足説明をお配りしております。御承知のとおり,特別清算は,現在,株式会社に係る清算の特例として会社編の中に規定されているわけですけれども,この見直しにつきましては,倒産法制の見直しの一環として,現在,倒産法部会の方で別途議論が進められているところでございます。去る16日の倒産法部会におきまして,この「特別清算等の見直しに関する要綱試案」が取りまとめられ,現在,7月23日から8月31日までという期間でパブリックコメント手続がとられているところでございます。このパブリックコメント手続終了後,最終的には11月下旬を目途として要綱案の策定作業が進められるものと承知しております。なお,最終的な国会への法案提出段階では会社法(仮称)案に合体させることとなる予定でありまして,特に清算あるいは非訟手続一般につきまして,特別清算の見直しに連動して,更に議論をしなければならない点が出てくれば,9月,10月の部会であわせて御議論いただきたいと思っております。   本日の配布資料は以上のとおりでございます。 ● 配布資料につきまして何か御質問ありますでしょうか。--よろしいですか。   それでは,本日の審議に入りたいと存じます。   本日は,最終的な要綱案の取りまとめに向けて,部会資料30につきまして審議をお願いするわけであります。   初めに,この部会資料30につきまして,事務局から説明をお願いします。 ● それでは,部会資料30につきまして,前回の部会資料29からの変更点について御説明申し上げます。このほかにも,若干表現の修正を施しているところがありますけれども,内容に全く影響ない部分についての説明は割愛させていただきます。   まず,「第2部 株式会社関係」の「第1 総論」の3の有限会社に係る経過措置の点でございます。前回の資料では項目を二つに分けていたということもあって,その関係が分かりにくいという御指摘をちょうだいしたところでございます。紛れがないように,経過措置の実質について整理をし,表現を修正させていただいております。これまでの御議論で,少なくとも既存の有限会社については,新会社法によって認められることとなる制度の適用を選択しない限り,現行の有限会社法のもとでの規律の実質の適用を保証するということが前提となっていたと思いますので,そのことを端的に明らかにしようとするものでございます。有限会社に限らず,経過措置の重要な点につきましては,9月,10月の部会で更に議論を深めさせていただきたいと思いますけれども,基本的な考え方をとりあえず取りまとめさせていただいているところでございます。   第2部の第3の2(1)の⑦,取締役会を設置しない株式会社における議決権の不統一行使の在り方についてでございますけれども,前回の御指摘を踏まえまして,事項のいかんを問わず格別事前通知を要しないものとするという整理をさせていただくということでございます。この種の会社におきましては,総会における議題について招集手続上の制約がないということもありまして,押しなべてこのような整理をすることでよろしいのではないかと思われます。前回の御指摘を踏まえた修正でございます。   第2部の第3の3(7)の①についてでございますが,これも前回の御指摘を踏まえて,その意義を明確化したものでございますけれども,取締役会の書面決議に係る監査役の同意につきまして,会計監査権限のみを有する監査役を許容するという今回の整理を踏まえ,この監査役の同意とは業務監査権限を有する監査役が置かれている場合のその監査役によるものであるということを明らかにさせていただくものでございます。   同じく(8)の②の社外取締役の登記にかかわる項目についてでございますけれども,これも前回の御指摘を踏まえまして,社外の取締役・監査役につきまして,機関設計の面で社外性が法的な効果を有するという場合については,引き続き,あるいは新たに,それを登記事項とし,それ以外の,いわゆる任意に置かれる社外役員につきましてはその社外性を格別登記事項とはしないという整理をさせていただくということでよろしいかどうか,いま一度,確認をいただきたいと思います。   第2部の第3の3の「(9) 取締役の責任」のうちの,まず「② 任務懈怠責任」のロ,ハ,ホでございます。ここは内容が変わっているわけではありません。誤解を招くおそれのある表現だったところを改めるため,ロ,ハ,ホとも端的に表現ぶりを修正しているということでございます。   同じく3の「③ 利益相反取引に係る責任」のイにつきましては,前回,議論が積み残しになっておりましたので,再度御議論を確認させていただきたいと思います。取締役に対する金銭貸付けについて利益相反取引とは異なる取扱いをするかどうかということについて,いろいろと御指摘はいただいたものの,委員会等設置会社におきましても,あるいは現行の有限会社におきましても,その両者につき異なる取扱いはされていないということを重く見まして,結論的には,今般,そのような異なる取扱いはしないという整理をさせていただくことでよろしいのではないかというように事務局限りでは考えているところでございます。再度この点についての御確認をいただきたいと思います。   それから,同じ「③ 利益相反取引に係る責任」のロにつきまして,表現ぶりを若干変えております。趣旨は,一定の範囲で無過失責任を負うべき取締役というものを規定することとしたところ,従前の案では,その取締役も含めて立証責任を転換した特別の規定を設けるというような整理になっており,それについて矛盾・重複があるという御指摘をいただいたところでございまして,端的に,利益相反取引をした取締役から,無過失責任を負うべき取締役とされるものを除くという形にして,その余の取締役について特別の規定を設けるものとするという形に表現を整理させていただいているところでございます。   第2部の第3の3(10)の「① 株主代表訴訟を提起することができない場合」のロでございますけれども,前回の御議論の中では,特に,このロの要件に,株主全体の利益に反するという場合を除外する趣旨の要件設定であるという,その理念が明らかになるような表現の挿入が工夫できないかという御指摘があったところでございます。   他方におきまして,このロが余り抽象的な表現ぶりになるということでありますとその判断が難しくなるということもあり,具体的な適用場面を極力限定することで,判断要素の明確性を確保することが望ましく,また,適用事例をある程度制限するという観点からいたしますと,総括した要件を最後に広く置くよりも,具体的な要件を前に出し,それに準ずるごく限られたものだけがそれと同様の取扱いとなり得るという整理をさせていただく方が望ましいのではないかと思われるところでございまして,関係各方面のいろいろな御意見をお伺いしつつ,差し当たり,このような実質で更に法制的な詰めをさせていただけたら有り難いというところでございます。   第2部の第3の4の「(2) 補欠監査役等」でございますけれども,これも前回の御指摘にありましたとおり,予選の効力が次の定時総会までということになりますと,格別それ以上の開示は必要ないのではないかと思われますので,その部分を修正させていただいております。   それから,会計監査人の登記については項目を掲げておりましたが,それとの関係上,会計参与の登記についてはどうなるのかということが必ずしも明らかではなかったこともありまして,第2部の第3の5の(5)の項目を新たに付け加えさせていただいております。会計参与を任意に設置した場合,それについて登記をするという実質自体については,格別御異論はなかったところではないかと理解しておりますけれども,新たに付け加えた項目ですので,御確認いただきたいと思います。   第2部の第3の6の「(2) 会計監査人の欠格事由」のところですが,商法特例法4条2項4号前段の削除に加えまして,前回,3号についても整理が必要であるという御指摘をいただきましたので,いろいろと検討させていただきましたところ,要するに,公認会計士法により当該会社について監査をすることができないという事態に至った公認会計士・監査法人について,そのことを直接に欠格事由とするという整理をさせていただき,現行の2号あるいは4号後段という商法特例法が特に設けている欠格事由とあわせて,この6の(2)の本文のような整理をさせていただくということで恐らく過不足がないのではないかと思われるところでございます。この点も実質を変えているところでございますので,本日,入念な御議論をちょうだいしたいと思います。   それから,星印等は特に付けてありませんけれども,第2部の第3の7(1)の「② 監査役の出席義務」のところですが,実質を変えてあるわけではありませんけれども,出席義務を負うべき監査役が定められたときであっても,それ以外の監査役の出席権が奪われることがあってはならないわけでございますので,その点,疑義が生じないような表現ぶりに改めているところでございます。   続きまして,第2部の第4の3の「(7) 自己株式の処分等に際しての現物出資」についてですが,前回,提示させていただいた論点につきまして,自己株式の処分に際しての現物出資的な行為について新株発行と同様の規制を及ぼすということについて御了解をいただいたものと理解しておりますけれども,そのことと新株予約権の行使についても同様であるということとを明示的に掲げさせていただいておりますので,御確認をお願いしたいと思います。   第2部の第4の4(2)の①でございますけれども,この点について,前回,事後的な公告・通知を要するものとすべきかどうかという論点を提示させていただいたところ,そうすべきであるという御意見でまとまったかと思いますので,それに沿った表現の整理をさせていただいているところでございます。   第2部の第4の5(3)の①でございますが,議決権に関する基準日につきましては,会社の判断で比較的柔軟にその設定をすることを許容してよいのではないかというのが当部会におけるこれまでの議論の大勢であると思われますが,他方におきまして,会社における裁量が余り不当なものであってはならないということから,何らかの要件設定をしなくてもよいのかどうかといったような御懸念の意見も示されていたところでございます。差し当たり,裁量的な取扱いが合理的であることを要するということをうかがわせるような表現ぶりにすることの方が望ましいのではないかという考え方に立ちまして,この(3)の①の本文に記載を付け加えさせていただいております。これも新たに提示させていただいている論点ですので,明示的な御議論をちょうだいしたいと思います。   第2部の第4の5の(5)ですが,これは,前回冒頭で御説明いたしましたとおり,これまでの議論の中で御了解いただいていながら前回の部会資料で取り上げ忘れていたものでございますので,改めて掲げさせていただいたものでございます。特に実質については御異論がないものと承知しておりますけれども,念のために御確認いただきたいと思います。   それから,端株制度の廃止についてでございますが,既存の端株制度採用会社については所要の経過措置を設けるということについて,格別の記載が望ましいという御指摘を前回受けましたので,その記載を付け加えさせていただいております。第2部の第4の9の(2)でございます。   第2部の第6の1の(2)の②--財源規制が課される場合の自己株式の取得について取締役が責任を負うという場合のその負うべき取締役の範囲--についてですが,これは,新たな会社類型における退社員の払戻しの際にどの範囲の社員が責任を負うべきかという論点と密接に関連する問題でありますけれども,その負うべき取締役の範囲というものをきちんと明示すべきであるという御指摘を前回ちょうだいいたしましたので,差し当たりこのような整理をさせていただくのがよろしいのではないかというところを提示させていただいております。現に払戻しを行った取締役,あるいはその払戻しを行うべき前提となる行為を行った取締役と,それから,それらの行為について同意をした取締役--取締役会の決議に基づく場合には決議に賛成した取締役--これらをその責任を負うべき取締役の範囲とさせていただくということでよろしいのではないかということでございます。   それから,第2部の第6の6の(3)でございます。機関設計の柔軟化に伴って,株式譲渡制限会社につきましては,取締役・監査役・会計監査人という組み合わせの機関設計が認められることになるわけですけれども,取締役会が設置されていない会社の貸借対照表等の計算書類については,会計監査人が設置されている場合でも総会の承認が必要であるという整理--これまでの御議論ではそういう御了解であったと思いますけれども--そのことが必ずしも資料上明らかになっていないのではないかという御指摘をいただいたところでございまして,趣旨の明確化ということから,きちんと掲げさせていただくこととしたいと思います。   決算公告--第2部の第6の7の(2)--についてですが,②の損益計算書又はその要旨の公告義務が課せられる会社の範囲について,前回,会計監査人の設置が義務づけられる会社ということで議論を整理していただきましたので,それに沿った記載内容の変更をさせていただいております。   第2部の第7の1の(2),合併等の対価に関する開示に関する論点でございます。前回,この点についてはかなり突っ込んだ様々な御議論をちょうだいしたところですが,まず(2)につきましては,対価に関する開示の趣旨というものを明らかにするために表現の修正を加えております。従前どおり要求されている,割当てについての理由を記載した書面のほか,対価の内容を相当とする理由--対価の柔軟化に伴ってそれが必要になるのではないかと思われるわけですけれども--その書面というものを開示すべき資料に加えさせていただくという趣旨を明らかにしようとするものでございます。   それから,前回は,開示資料の虚偽記載に係る責任について,266条ノ3第2項の対象に合併等の際の開示資料を加えるべきかどうかという議論をさせていただいたところでございまして,それについて賛否両論のいろいろな御意見があったところでございますが,266条ノ3の少なくとも第2項の性質自体,この開示資料を付け加えるにふさわしいものでもないということからいたしますと,例えば266条ノ3第1項で賄えるのであれば,第2項に加えるという整理を格別しなくても構わないかどうか,今回は266条ノ3第2項の対象とはしないという形での案になっておりますので,この点についていま一度御議論をいただきたいと思います。   次が第2部の第7の3の(3)ですけれども,略式組織再編行為につきましても,譲渡制限会社における株式発行規制の潜脱になるというような場合があり得るとすると,簡易組織再編行為の場合と同様に総会決議の省略は認めないものとすることが適当であるという,前回御指摘をちょうだいした内容に沿って,この(3)の項目を付け加えさせていただいているところでございます。   第2部の第7の5でございますけれども,外国会社との株式交換に係る規定の明確化につきましては,いろいろと御意見を活発にちょうだいしたところでございますが,問題点も非常に多いということもありまして,要綱案におきましては明示的には取り上げないという形での整理をさせていただかざるを得ないのではないかと思われるところでございます。前回の議論におきましても消極意見が非常に有力であったものと承知しておりますので,そうさせていただこうと思います。   続きまして,第3部の第2の5の(2)でございます。これも前回の御指摘を踏まえて,まず②を追加させていただいております。欠損を計上することになるような払戻しであっても,債権者保護手続を経れば差支えないという実質でよろしいかどうか,②を追加するということの当否について,いま一度御確認いただきたいと思います。   それから,その場合も含めまして,財源規制に反する払戻しが行われた場合の業務執行社員の責任についてでございますけれども,③について,債権者保護手続をとるための手続として,業務執行社員による決定という手続を経させることによりまして,業務執行社員全員についてその払戻しの責任を負わせるという整理をさせていただくことにいたしております。この点についても御議論をちょうだいできればと思います。   最後に,第3部の第5の2の(1)ですが,組織変更をするに当たっての要件としての「社員全員の同意」について,多数決でも可ということが明記されるべきではないかという御議論があったわけですけれども,現行の合名・合資会社におきましても,社員全員の同意ということが要件になっている場合があるわけですが,解釈上これはかなり柔軟に解されているところでございまして,事前の定款の定めの工夫によって,言うなればいかようにも,この社員全員の同意として相当自由な制度設計が可能であるというふうに理解されているようでございまして,規定を置くということになりますと,かなりがちがちとした,言いかえれば新たな会社類型にはそぐわないような規定を並べざるを得ないということもありまして,事前の社員全員の同意--それが原始定款による定めであっても,そうでなくてもよいのだろうと思いますけれども--事前の同意があればそれで組織変更が可能であるという理解ができるのではないかと思いますので,格別,定款自治による制度設計を縛るような規定を設けないこととさせていただいてよろしいのではないかというのが,事務局内で検討した結果でございます。   仮にそうでないということになりますと,結局,定款変更の場合等も含めまして,社員の全員一致でなくてもよい場合についての最低限の規制等,いろいろと細かく設定しなければいけないということになりますけれども,実質的な全員の同意ということで解釈で賄えるということであれば,恐らくそれでニーズは相当程度賄うことができ,あるいはその方がニーズに沿うのではないかと思われるところでございまして,結果として従前の案を引き続き維持させていただいているところでございます。   前回の資料からの変更点の説明は,以上でございます。 ● 今,説明を事務局からしてもらいましたが,全体につきまして何か御質問ありますでしょうか。--よろしいでしょうか。   それでは,個別の項目につきまして御審議をいただきたいと思います。   まず,第2部の第1の3でありますが,経過措置につきましてこのような表現ぶりになったわけですけれども,これにつきまして何か御意見ありますでしょうか。 ● 確認をしたい点が何点かございます。   まず,経過措置は無期限であるということを,前回もそういう話が出たと思いますので,経過措置は無期限であると,すなわち,もう少し露骨に申しますと,現在の有限会社が有限会社という名前でこのまま同じ規制で,永遠にそういう規制を受けるのだということをもう一回確認したいと思いますが,いかがでございましょうか。 ● 幾つかあるわけですか。 ● 一つ一つ。そんなにたくさんはないのですが,あと二つ三つなのですが。 ● では,短く。 ● それはそういう御理解でコンセンサスが得られているものと承知しておりますけれども。 ● ○○委員がちょっと遅れて来られるので,後でいろいろなことが起こると困るのではっきりしておきたかったからなのですが,まあ,今のはそういうことで。   それからもう一つは,これは是非,委員の皆様方に認識を同じにしていただいて,同意をしていただきたいと思うのでございますが,現在,有限会社は185万社ぐらいあると言われておりまして,この方たちの多くが恐らく有限会社というままで存続する可能性が高いのではないかと思っております。そのときに,自分がいる会社の規制は一体どういうことなのか,それが分かりやすい形にこの商法の会社法の改正というものを是非仕上げていただきたいと,こう思っております。違う言い方をすれば,今度の新しい会社法,それから現在の商法もそうでございますが,いわば顧客である有限会社の方たちが見て分かりやすいものと。経過措置というのは,一般的に私どもの法律の常識で言うと,後々見て非常に分かりにくいものになりまして,いわばお客様が非常に不満な印象を持つ可能性がございますので,例えば,これは法制的にできるかどうかは別でございますけれども,現在の有限会社法がそのままの形で残っていて,それを見れば,ああ,前と同じでこうなんだ,ああなんだと分かるような形が維持できるのが望ましいと私どもは思っております。   ただ,法制的な問題で,商法を引用しておったりいろいろなことがありますから,それが難しいということもあるかもしれませんが,いずれにせよ,185万社の有限会社の方たちが見て非常に分かる,会社法,商法というのは見る方たちに分かりやすいということが非常に重要な法律でございますので,この点は,委員の皆様方の強い御支持も得た上で,事務方が最終的に法制的な作業をするときにしっかりやっていただくという縛りを是非かけておきたいと,こう思うわけでございまして,是非御賛同をお願いしたいと存じます。 ● 今のにコメントを。 ● 今回の会社法の現代化の主たる目的の一つが,分かりやすい法体系を心掛けるということでもありますので,でき上がりの法律自体,あるいは既存の会社がそれに対してどういう適用関係にあるのかということの分かりやすさを確保するという観点の重要性については,経過措置あるいは本体の条文化の作業に当たって十分に心していきたいと思います。   なお,有限会社法自体は実は非常に分かりにくい法律でありまして,有限会社法を見ただけでは何が書いてあるか分からないというたぐいのものなものですから,そのこと自体も踏まえて,既存の会社あるいはそれを取り巻く人々にとって,どういう手当てをするのが一番分かりやすいかということを--実質についてはもう十分御議論をこれまでもいただいておりますし,また更に詰めるべき点は9月,10月に御議論いただきたいと思いますけれども--法制的な面につきましては分かりやすさを心掛けたいというふうに思っております。その思いは共通だと思います。手段についてはいろいろと御議論はあると思いますけれども。 ● 御回答いただいて大変心強く思ったわけでございますが,御努力を多といたしますが,結果を確保してもらいたいと。しつこく申しますが,それが一つ。   それから,有限会社法にあって,例えば任期の問題とかいろいろありますが,新会社法で違うものになるものについて経過措置を書いていくと,技術的にここだけは書けないとか,これができなかったとかいうことが出ることがないように,非常に安定的に現在の有限会社に対する規制がそのままキャリーオンされるような最大限の努力を是非していただきたい。そこができませんと,ちょっとでも違うと,また説明をしたり,いろいろ難しい局面が起こるので,これは正に私の意見は蛇足でございますので,そういう御努力をきちっとしていただいて,結果を出していただくということをお願いしたいと思います。 ● 今現在有限会社であるものが,そのまま「有限会社」という商号で現在の有限会社の規制のままとどまる場合に,分かりやすい法律にするということは非常に重要なことだと思いますが,ただ,先ほど事務局も言いましたように,有限会社法自体,非常に準用条文が多いわけですね。有限会社法というのがなくなった場合に--なくなるわけでしょうけれども--そうすると,今準用している条文,商法の規定自体が変わってしまうわけですね。そうしますと,なくなる有限会社法にまた新しい新会社法の条文を書き込んでいくというわけにはいかないのでしょうから,それはむしろ,そういうことは法律でする話なのか,それとも学者なり業界団体なりがそういう分かりやすい本を出すということしか解決の道はないのではないかという気が私はいたします。そういう努力を,必ずしも法務省当局だけではなくて,関係の者がするという話なのではないかという気がいたしますが。 ● 御指摘のとおりでございまして,全くそのとおりでございまして,私ども,有限会社法が変わっていないということ,そのエッセンスについては,当然,不安が出るようであればPRを強力にするつもりでございますが,いかんせん,世の中というのは私どものPRが届かない人たちもたくさんいるので,185万もいると,あるときぱっと有限会社法を見ようと思って六法を開いたら,載っていなかったとか,経過措置を見ろと弁護士先生に言われて見たのだけれども,素人が見たら全くちんぷんかんぷんと,これが実は現実に起こることでございます。論理的には○○委員がおっしゃるとおりなのでございますけれども,そこを,何といっても大もとの法律のところでうまく工夫できるところは工夫をしていただいて……。私などに言わせれば,有限会社法というものがいつまでも六法全書に載っていれば,載っているだけで相当の数の会社の方が安心するというような効果も実はあるのでございます。法律の議論ではございませんけれども,そういうことも含めて最大の努力をしていただいて,いい結果を獲得していただきたいと,しつこくて申し訳ございませんが,法律の議論ではございませんけれども,これは是非お願いをしないといけないなということで,発言をさせていただいたわけでございます。 ● ○○委員,ほかによろしゅうございますか。   ほかの委員・幹事の方,この第2部の第1の3につきまして何か御意見ありますでしょうか。よろしゅうございますか。--それでは,これはこれでお認めいただいたものとして進めさせていただきます。   次は第2部の第3の2の(1)の⑦というところですが,これは,取締役会を設置していない株式会社において,議決権不統一行使については,前回の第一次案では,事項を限って事前通知を要しないということでしたが,前回の御議論を踏まえまして,すべての議題について事前通知を要しないということになっております。この点はいかがでしょうか。   ○○委員だったと思いますが,よろしゅうございますか。--それでは,この点はお認めいただいたものとして進めさせていただきます。   次が,第2部の第3の3の(7)の①でありますけれども,会計監査権限のみを有する監査役というものが設置されることに関係して,取締役会の書面決議の場合に,どのような監査役が特に意見を述べることがないという場合に書面決議ができるのかという問題で,このような整理になっておりますが,この点,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。--それでは,これもお認めいただいたものとして処理させていただきます。   次が,第2部の第3の3の(8)②のイでありますけれども,社外監査役・社外取締役につきまして,どのような点を登記事項にするかという問題でありますが,法的効果に直接かかわる部分については登記事項とすることを維持するということでありますが,これもよろしいでしょうか。--それでは,これもお認めいただいたものとして進めさせていただきます。   次が,第2部の第3の3の(9)②のロ,ハ,ホに星印・傍線がついておりますが,これにつきましては,文言上趣旨を明確化したということだと理解しておりますが,この点,いかがでしょうか。特に何か御意見ありますでしょうか。よろしゅうございますか。   ○○委員,○○委員,何か御意見ありますか。 ● これはもう形式的な意味で言った問題ですから,意見はございません。 ● それでは,これもお認めいただいたものとして処理させていただきます。   次が,同じく(9)の③のイの第2段落であります。これは前々回,○○幹事の方から御議論が出た点でありますが,事務局で検討したのですが,たしか○○幹事の御意見は,取締役に対する金銭貸付けの弁済責任に関しまして,会社に損害が生じたのかどうかということの証明,つまり,借入れをした取締役が返済しないときに会社に既に損害が生じているのかどうか,つまり貸倒れなのかどうかということの証明責任の転換というような御意見だったと思うのですが,何事につけても,利益相反取引というのは会社に損害が生じたかどうかの証明というのが一番難しいのですね,実は。だから,これだけ何か規定を作るということは私も不要なのではないかという気がいたしたのですが,事務局でも検討した結果,原案どおりではどうかということなのですが,この点,いかがでしょうか。   ○○幹事,この点,いかがですか。 ● 中小会社を含めてすべての会社に適用されることについて,金銭貸付けも利益相反取引に含めて処理されるということになると,従来以上に金銭貸付けについての危険性みたいなのが増すような気もしますけれども,大勢に従います。判例で検索してみても,266条1項3号に関する判例というのは1件もないようなので,実際にはそれほど問題にならないのかもしれません。 ● この点も解釈で相当賄える問題であると思いますので,また論文等をお書きいただいて明確化していただければと思います。どうも御協力ありがとうございます。   それでは,先に進ませていただきまして,同じく(9)の③のロということになりますが,ここはこの傍線部ですね,少し規定上趣旨が明確でないのではないかということが前回御議論になったわけでありますが,このように直したということですが,この点,いかがでしょうか。 ● こういうふうに直した場合に,間接取引の取締役は入るのでしょうか。今の266条の1項4号は前条第1項の取引をした取締役というふうに書いてあるので,間接取引の取締役は含まれないのではないかというふうに議論していらっしゃる方もいるんですよね。前回の案だと間接取引の取締役が明文で入っていたのですけれども,今回の案だとまた今の266条1項4号に戻ってしまうような気がするのですけれども。 ● 趣旨は,間接取引の取締役を除くということではありませんで,直接・間接という問題と,括弧内の直接というものをリンクさせてしまうとひょっとしたら不適当なのかもしれないということもあって,このような表現ぶりに変えさせていただいたものですから。例えば,「株式会社と直接又は間接に利益相反取引をした取締役」というような整理をすることはやぶさかではないと思います。 ● 265条の規定自体がいろいろと錯綜しておりますので,こちらの頭も混乱しているので,無意味な議論になるかもわかりませんが,これは要するに,直接取引であれ間接取引であれ,会社の代表取締役として行為をしたものではなくて,その間接取引,直接取引にかかわる取締役が個人的に利益を得たということが主たる対象だと思いますので,そういう意味では,むしろ間接取引,直接取引を利益相反取引というふうに含めることは合理的だと私は思いますが,この利益相反取引により直接に利益を受けたものと,利益を受ける方に「直接」をかけると,間接利益も含まれるのかなということで。要するにこれは修文上の問題だと思いますが,直接取引についても間接取引についても,その取引から個人的に直接的な利益を得た者がこの無過失責任を負う者だというルールをもう一回確認して,そういう修文のこともいろいろアイデアをこれからお考えになったらと思うのですが。   それで,一つのアイデアとして,直接利益を受けるというような形にした方がいいのかなと思ったということです。いや,そうするとまたちょっと狭過ぎるという御批判があるのかもわかりませんが,それで基本的にはいいのかなと思うのですが。 ● 結局,傍線部の最初のところ,「株式会社と利益相反取引をした取締役」の意味ですね。これが,利益を得たと書くと,これもまたちょっと狭過ぎるんですね。他の会社を代表して直接取引をしたというもの,今の文章はそれを直接の念頭に置いているんですよね,恐らく。 ● そういうものを広くという趣旨ですか。 ● まずそれでしょう,一つは,少なくとも。「株式会社と利益相反取引をした取締役」というのは,直接取引で他の会社を代表していると。まずこれは……。 ● ただ,それは,③のイの方の「自己のために」ということでそれを排除しようという趣旨があったのかと思ったのですが。だから,イとロの星印のところはちょっと連動すると思うのですね。イのただし書の文章を受けて,このロの括弧書きが入って,そこで冒頭に「自己のために」とあると。だから,代表取締役で実質100%株主だったらもちろんそうですが,通常のサラリーマン社長というのか,それは入らないというふうに私は思っていたのですが。 ● ロのところは,直接取引,間接取引,とにかく広く規定を設けるということで多分御異論はないところであると思いますが,問題は,イの無過失責任を負うべき取締役の範囲が,今の表現ぶりでよいのかどうか。実質としても,御提案ですと少々変わってくると思いますけれども,その点の当否を含めて結論を出していただければよろしいかなと思います。今までのところは,直接に自然人として会社と取引をしたものであって,なおかつそれが自己のためであるというものに限るという整理であったのですけれども,それでは過不足があるということであるとすると,より適切な要件設定は何かということを改めて御議論いただきたいと思います。 ● このロの方は,確かに○○幹事がおっしゃるとおり間接取引が抜けてしまったような気がするのですけれども。 ● それは除く趣旨ではありませんので,利益相反取引で,特に「直接又は間接に」などと加えさせていただければ,それで結構だと思います。 ● そうですね。それは加えた方がいいですね。   まず,○○幹事が言われた点は,それを入れればよろしいわけですか。「直接又は間接に」というような文言を入れれば。 ● ただ,間接取引の場合に,間接に取引をしたというふうに言えるのかどうか,よく分かりません。取引の当事者ではありませんので。 ● そこは修文が必要ですが,ちょっと今の文章ではそこが抜けているということは,私もそのとおりではないかと思います。 ● 私も○○幹事の意見を受けて申し上げましたので,申し上げている趣旨は同じです。ただ,修文が,例えばとしたのが不適切なら,またお変えいただいたらいいと思いますが。 ● 利益を受けたというと,ちょっと違うんですよね,恐らく。さっき言ったように,他の会社を代表していたら利益を受けたのかどうかというような点が問題になると思いますので。   それ以外の点はよろしいでしょうか。この③のイ,ロにつきまして。 ● もう1点,よろしいですか。   前回のバージョンのときに見落としていたような気がするのですが,ロの傍線部の前のところなのですけれども,「取締役会の同意の有無にかかわらず」と書いてあるのですけれども,今の商法特例法21条の21は,これは承認を受けた場合に限定しているのですね。それで,承認を受けなかった場合には法令違反として任務懈怠責任で処理するということになっていると思うのですけれども,なぜ変更されているのでしょうか。変更する必要はないと思うのですけれども。 ● これは一度明示的に議論はしたのではないかと……。 ● 私,質問いたしまして,○○委員から御指摘を受けて。 ● ○○幹事の最近の論文で,新しい説といいますか,利益相反取引であるにもかかわらず取締役会に承認を受けなかった場合については,そこについて過失が認定されれば,あとは損害が生ずることに関する抗弁は許さないという見解を唱えておられることは知っているのですが,それがこの条文だとどうなるかという問題は確かにあるのですが,この条文は一度議論して,その末にこういう形になったわけです。まあ,この間の論文のあれが,これで全く違ってくるというわけでもないような気もいたしますけれどもね。いろいろ解釈の余地はまだあるのだろうと思いますが。   とにかく,これは意図的,「取締役会の同意の有無にかかわらず」という文言が入ったのは意図的なものです。 ● もう1点。   承認を受けた場合,これは過失責任化されるわけですけれども,その場合に,「一般の任務懈怠責任に関する規定に加え」ということ,これは併存するということになるのですか。承認を受けた場合について併存させる,改正後にも併存させる意味はあるのですか。 ● 承認を受けた場合にどうなのでしょうかね。 ● この規定の趣旨は,266条1項の5号だけではなくて,4号的なものにして立証責任を転換したいという意味での「加え」だと思うのですが。ただ,最高裁の12年か何かのように重畳的に責任があるかどうかはまた解釈論だと思いますが,ここでいう「加え」は,そういう266条1項の号数の話ではないかなと思ったのですが。 ● 責任が併存するということまで言っているわけではないのですね。 ● それは解釈論と理解すべきだと思うのですが。 ● 併存の問題はどうなるのか。ちょっと私もそこまでは詰めて考えておりませんが,何か御意見ありますか。   まあ,それは解釈論の問題として御検討いただくことにして,規定の問題としてはほかに御意見ありますでしょうか。よろしいですか。   それでは,なお③のロの星印は,○○委員,○○幹事がおっしゃったことを入れて,文言は事務局の方で考えていただきます。   では,先に進んでよろしいでしょうか。   それでは,第2部の第3の3の(10)①のロでありますが,前回いろいろと御議論が出まして,要するに,ロは株主全体の利益に反するというようなことでくくれるのではないかと,それで,ここに出ている「会社の正当な利益が著しく害される」というようなことはその例ではないかというような御意見もあったのですが,株主全体の利益に反するというような抽象命題をぼんと打ち出すと,この「会社の正当な利益が著しく害される」とか何とかいう要件がぼけてしまうということを懸念して,事務局案は,前回こういうような方向で,また文言は法制マターでもありますので確定したわけではありませんが,こういう書き方,つまり,この「会社の正当な利益が著しく害される」というようなことを正面に出した書き方にさせていただきたいということでいかがかという案でありますが,この点,いかがでしょうか。御承認いただけますでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,文言の修正はなおあるかと思いますが,基本的な書き方としてはこういう方向で進めるということを御承認いただいたものとして進めさせていただきます。   次が,第2部の第3の4の(2)というところでありますが,補欠監査役等の予選でありますけれども,これについて,文言的なものでありますけれども,このような案ではいかがかということですが,よろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきまして,第2部の第3の5の「(5) 会計参与の登記」でありますが,前回はこれは挙がっていなかったのかと思いますが,実質についてはこのようなことで大体御了承いただいているのではないかと思いますが,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。   それでは,先に進ませていただきます。その下,第2部の第3の6の(2)であります。これは,前回,たしか○○関係官の方から御指摘があった問題でありますが,結局,御指摘を踏まえて検討いたしますと,このような案になるのではないかということなのでありますが,この点は新しい書き方になっておりますので,是非皆様の御審議をいただきたいという点でありますが,いかがでしょうか。 ● 確認なのですけれども,この(2)の最初の文章のところ,「公認会計士法の規定により当該株式会社に係る監査をすることができない者を欠格事由とし」ということは,この文章も法文化すると,そういう趣旨でしょうか。 ● 具体的な条文としてどう書けるかはまだまだ検討の余地があると思いますけれども,考え方として,公認会計士又は監査法人について,公認会計士法の規定により,あるいは規定に基づく処分により,当該会社について会計に係る監査を行うことができないという事態が生じた場合,これは幾つも場合があるわけですけれども,そのような場合が同じく欠格事由となるように,2号あるいは4号後段とは別のものとして欠格事由を整理し,今の1号,3号のような書き方をしないということで,その過不足がないようにしようとするものでございます。 ● よろしゅうございますか。 ● ちょっともとに戻るのですけれども,いわゆる会計参与の,第2部の第3の5の(3)の「④ 計算書類の開示」なのですけれども,会計参与に対していつでも計算書類の閲覧ということになりますと,土曜日も日曜日も全部入ってしまうわけですね。だから,これは法律上どういうふうな書き方をされるか分かりませんけれども,その点をある程度明快に書いておいてもらわないと。時間の問題もありますしね。 ● 「いつでも」というのは法文に出てくるのでしたっけ。こういう文言は。 ● 「いつでも」というような法文はないと思いますけれどね。 ● 282条は,「営業時間内」という限定が,会社の場合にはあります。 ● 税理士ですので,「営業時間」ではなくて,多分「事業時間」になるかもしれませんけれども,要するにワーキングアワーのときにいつでも見られると。 ● でも,これは会計参与に対してですからね。それは営業時間と言いますけれどね,会社の場合と会計参与の場合の営業時間という考え方はちょっと違うのではないかと思うのですけれども。その辺ひとつ考えていただきたいなと思います。 ● まあ,趣旨は,そういう余り不合理なことを考えているわけではもちろんない。   それでは,これは文言はなお考えさせていただきます。   先ほどの6の(2)の公認会計士法の問題はよろしゅうございますか,○○関係官。 ● 前回もちょっと申し上げましたけれども,例えば1か月とか3か月とか,そういう期限を限った業務停止処分が行われた場合に,商法特例法上は欠格事由となって,当該会計監査人との監査契約がいったん自動的にすべて無効になってしまうということで,被監査会社の不便等がないかという問題は将来的にはあり得るかと思いますが,一方で,そこまでの手当てをしようとすれば,会計監査人の法的な位置づけ等についても相当に抜本的な議論をしなければならないということも十分に理解できるところでありますので,この段階に至っての取りまとめということであれば,お示しいただいたような案でよろしいのではないかというふうに思っております。 ● それでは,この案で御承認いただいたものとして取り扱わせていただいてよろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきまして,星印はついていませんが,先ほどの事務局の説明だと,第2部の第3の7の(1)の「② 監査役の出席義務」について。   これは問題は何でしたっけ。 ● 従前の案は,出席すべき監査役を定めたときはその監査役のみが出席義務を負うというような形で書いていたものですから,その余の監査役の出席権がどうなるのかについてやや疑義が生ずる可能性があるというところを,中立的な表現にさせていただいたものでございます。 ● 文言上疑義がないように修正したということですが,よろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきまして,第2部の第4の3の(7)でありますが,例の自己株式処分と新株予約権行使に関する現物出資類似の規制の問題ですが,この点,前回御承認いただきましたので,現物出資と同様の手当てをするということで文言をきちんと--前回は「してはどうか」というような表現だったと思いますが,「する」ということにしたわけですが,これはよろしいでしょうか。   では,次の第2部の第4の4の(2)の①,ここも前回新たに問題が提起されたところで,強制転換条項で自動的に強制転換の効力が生じた場合,その後で公告・通知をすることとしてはどうかというのが前回の案でしたけれども,これも前回の御意見を踏まえまして,「しなければならないものとする」ということにしたわけです。これは御承認いただけますでしょうか。   それでは,次に進ませていただきまして,第2部の第4の5の(3)の①でありますが,基準日後に新株発行があった場合に議決権を行使することを会社の判断により認めることを許すという趣旨なのですが,前回までの案は,文言上の趣旨はそうではないと思うのですが,会社の判断で全く自由裁量で何でもできるように読めるようなものだったのですが,やはり何でも認めるわけではないので,一定の縛りはあるのだということを規定上書いてはどうかということで今回の案が提示されているわけでありますが,この点については実質的に御議論をいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ● この基準日については,前にもちょっと私,別途の意見を申し上げさせていただいたことがあるのですけれども,原文に加えて,「相当であるときは」というのを加える,このこと自体は非常にいい方向というふうに,さっき読ませていただいて感じたのですけれども,この場合,相当であるということは会社側の立証責任ということになるのか,あるいは,実務的に基準日公告をやろうというときに,その公告の中に,例えば,4月1日の基準日以外にその後第三者割当てをやる,その基準日の公告の中に,その引受人にも議決権行使をさせることが相当であるということを会社側でその理由も含めて公告をしないといけないことになるのか。あるいは公告の文言はそこまでは必要ないにしても,最終的な立証責任が会社側にあるということになるように読めるものですから。   私も別にまだ結論がどちらがいいかということを決めたわけではないのですが,表現ぶりとしては,もう一つの方法としては,「当該基準日後に株主になった者につき議決権を行使させることが不相当でない限り」というふうにすれば,その場合には,会社の方で判断した基準日というのが一応不相当でないという推定のもとに,ほかの株主側で不相当だという立証責任を負うということになると思うのですが,その辺の表現ぶりが結構会社の実務にとっては影響が出かねないなという気がしたものですから,発言させていただいたのですが,いかがでしょうか。 ● 重要な御指摘だと思いますが,ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● もともと今回の基準日制度自体が,本来の基準日の後に株主になった者にも議決権を認めるというのが大前提,13年11月の改正を若干方向転換したという大前提があるわけで,それに加えて,基準日後の株主がどの範囲で議決権を行使できるか,これを逐一法定するということをしないで,会社の判断で広く議決権行使者を定めることができるという方向性をとった,そのこと自体は今までずっと賛同してきたわけですけれども,要件をこういうふうに設定する場合に,会社側で最終的に立証責任を負うかどうかということがなかなか,最近のいろいろな新株発行差止めの仮処分などを見ていましても,実際に新聞公告の中で基準日を設定した理由について細かく記載するというようなことで扱いがされておりますので,この表現ぶりですと,相当であることについて,会社が行う基準日公告の中でその相当である理由も記載するということが要求されてくることになりはしないかなという,まあ懸念というわけではないのですけれども,そういう方向になるのではないかと感じられたものですから。 ● どうでしょうね。公告にまで書くということをこれが直接意図しているかどうかはあれなのですが,実務的にはそういう問題が出てくるのかもしれません。   従来のもともとの案は,そういうことを会社の判断で認めることを原則として認めようという案であったことは確かなのですけれども,最近の事案などで,本当にいいのかという不安も出てきたということなのだろうと思うのですが,なかなか一概には言い切れないですよね。こういう場合は当然会社の方で立証してもらいましょうかという話になる場合もあるでしょうし,それぐらいのことは会社の判断で自由にやっていただいても大勢に影響はないのではないですかというときもあるでしょうし,なかなか一概には言い切れないのだろうと思うのですね。 ● ○○委員のおっしゃるようにしていただければ有り難いと思うのですけれども,そういう挙証責任の問題があるのであれば,今の条文の最後に,「ただし,不相当な場合はその限りではない」というのをつけていただいてやっていただければいいと思いますが。 ● 私も,立証責任がどうのこうのというのは諸般の事情にもよると思いますし,恐らくこういうのは限界線上の話というのは極めて例外的なものだという気はするので,やはり基準日制度というものをどのように理解するかということで,一応,通例の投資家というか株主としては,基準日現在の株主構成をベースに定時総会が行われるというのが原則形態ですが,それに加えて,新しく株主になった者,これにはいわゆる会社側のなす例えば第三者割当ての場合と,通常の公募による新株発行の場合,それから観念的には個別的な新株引受権の行使により株主になった場合もすべて含まれますので,そのときに,やはり会社としては,株主平等原則というのか,株主間の公平な取扱いの理念に基づいて与えるか与えないかを判断するので,これは受任者として相当だと思ったがゆえに権利を与えると,このルールがやはり原則だと思うのですね。したがって,こういう文案が滑らかだなと。ただ,ぎりぎり立証責任が問題になるときにはもう少し考えなければいけないと思いますが,「不相当でないとき」とやられると,何かちょっと裁量権が広過ぎないかと。基準日制度の理念から,ある程度こういう表現の方がいいのかなという感じはするのですが。あえて争うわけではありませんが。 ● いかがでしょうか。   ちょっと条文の書き方として「不相当でないとき」というのは例はないと思うのですね。 ● 恐らく,実際に訴訟等になるケースというのを考えてみますと,決議が行われて,その後,決議の方法に瑕疵があったと。本来,株主権を行使させるべきでない者に議決権を行使させたのだというような形で決議取消しの訴え等を提起するということが一つ考えられると思うのですけれども,そういうときに,決議の方法に瑕疵があったということを立証するのは,まずはその決議取消しを申し立てている方が言うわけですから,恐らくこの問題というのは立証責任の問題ではなくて,グレーの部分があるという話なのではないかなと思うのですね。つまり,明らかに不相当であるという場合と,明らかに合理的であるという場合とが両方極端にあった場合に,やってもいいし,やらなくてもいい,必ずしも相当だとは言い切れないけれども,やったからといって不相当とも言い切れないというような部分のときに,原則やっていいという方向で法文がつくられているのか,それとも,やってはいけないということで,合理的な相当性のあるときだけやってもいいという法文にするのかという恐らく御指摘であって,立証責任の問題というよりも,かなり制度設計にかかわる問題なのかなと,やや本質的な問題なのかなというふうにちょっと思ったのですが。私自身としましては,実際の紛争になりますと最後はそんなに結論的には変わりがないのかもしれませんが,原則やってもいいんですよという法文のつくり方で,特別に不合理な場合を除いているのですというのは,法律のつくりとしてはややイレギュラーな 感じがしておりまして,やはり,まずはやるかやらないかというところでいったん踏みとどまって,正当性を確認してから行動してくださいと,行為規範的にはそういう方途を促した上で,訴訟になったときには,あとは紛争解決をするというのが何か法文としてはすっきりしているような感じがして,どうぞ,できるだけやってくださいというインセンティブを与えるような法文のつくり方はやや違和感を感じますが。 ● いかがでしょうか。   どうも条文の書き方としては,現在のような書き方以外はちょっと難しいのではないかなと。   ○○委員が御心配なのは,基準日公告に何か積極的なことを書かなければいけないのかどうかと,むしろそこなのですね。恐らく立証責任の問題は○○幹事がおっしゃったようなことだと思うので。 ● 余り議論するつもりがあるわけではないのですけれども,立証責任の問題で申しますと,確かに○○幹事がおっしゃったように,総会決議取消訴訟が起きて,その中で瑕疵の存在を原告側が立証するということになろうかと思うのですけれども,この法文が,その株主,要するに基準日後に発生した株主に議決権を行使させるという,基準日を設定して行使させた,それが相当であるときはということになっていると,会社側はやはりそれが相当だったという立証責任を負うことになるのではないかということをちょっと考えまして,それで指摘させていただいたのですが。   それと,今,○○委員がおっしゃった,公告に記載するかどうかというのは,これは二次的な問題で,私もそれほど懸念しているわけではないのですけれども,もし相当であることについて会社側がある程度の立証責任を負わなければいけないと,それで非常に敵対的な関係が起きた場合に,一種の公告合戦みたいなことが起きた場合に,公告の文言で会社側が相当であるということを書かないと実際の株主総会その他で不利になるというような圧迫感から,公告に相当明細を記載するという実務の方向が出てくるということもあり得るかなという気もいたしまして考えたのですけれども。ただ,それほどしょっちゅう起きる問題ではないと思います。異例の問題だと思いますから,あえてこの書き方で異論を述べるという,そこまでの趣旨ではありませんので,とりあえずこれで御審議を続けていただいて結構です。 ● まあ,敵対的な関係になっているときは,いずれにせよ相当注意をしないと危ないわけで,会社としても当然,相当の注意は払われると思うのですけれども。   それでは,一応この方向で法文を作るということでよろしいですか。 ● これが,「相当であるときは,株式会社の判断により……認めるものとする」と,会社の判断が入っているのですけれども,逆に読んでいくと,基準日を設定した場合であったとしても,後で組織再編で新株主が出てきたとか新株を発行した場合には,逆に,与えないという判断自身が違法であるというふうに争われることも十分にあるだろうと思うのですね,という局面もあるものですから。このままだと,「相当であるときは,株式会社の判断により……認めるものとする」というのはどういうことかというと,相当であると思う限りにおいては与えなければならないというのが解釈になってくる,これもまた行き過ぎだろうという気がするのですけれども。 ● 私も,例の昭和30年の最高裁判決で最高裁は任意説をとって,名義書換未了の株主であっても,実質株主については会社側の方がその権利行使を認めることができるということを言っているわけで,それを前提にすると,確かに株主平等原則違反になるとかそういうようなことは無論許されないことではありますけれども,原則として会社の方が実質株主に権利行使を認めることは許されると考えていたものですから,どちらかというと,この「相当であるときは」という要件を入れると,やや,そういった従来の最高裁のような考え方にブレーキをかけることにならないのかなという懸念はちょっと感じまして,その意味では○○委員のお考えなどとも近い感じは持っております。考えていることはよく分かるのですけれども,そこまで書かなければいけないのかなという感じはちょっとしています。 ● 私も,不相当であるときは除くというような書き方をするなら,前の表現の方がまだいいと思うのですね。それで何でも許されているわけではないよと,株主平等原則に反するときはもちろんあれだし,明らかに支配権争いのみを目的にやった場合も問題だと,そういうことは解釈上常に適法なわけではないということは,むしろ解説等で書くべき問題かという気がいたします。ですから,こういう文言か,それとも前の文言か,どちらかだと思いますね。現在の文言にもし抵抗が強いのであれば,もう前に戻ると。それであとは解説に委ねるということではいかがでしょうか。 ● 異議なし。 ● それでは,前の文言,第一次案の文言に戻るということで,あとは皆さんの解説書に委ねるということにいたしたいと思います。   第2部の第4の5の(5)の柱書きでありますが,これは新しく付け加えたということですね。本来入れるべき問題だったのが抜けていたということですが,これはよろしゅうございますか。   それでは,先に進ませていただきまして,第2部の第4の9(2)①でありますが,これは前回御指摘があったところを踏まえまして, 現に端株制度を採用する会社に負担がかからないように所要の措置を講ずるということを明文化したと。これはよろしいでしょうか。 ● ②のハの買取請求権は前からあったのでしたっけ。 ● 今回新たに加えております。 ● その関係なのですが,単元未満株主の権利ですが,私も従来から気になっておりまして,今,単元未満株主に買取請求といわゆる買増請求ですか,これは端株主にも同じようなものが認められていますが,ここにハで買取請求権だけを書くとなると,買増請求権は認めないということになるのか,そこら辺のことも少し確認させていただきたいと思いますが。 ● ここのイ,ロ,ハは,定款でも奪えない権利だけをとりあえず並べておりますので,買取請求権はとにかく定款でも奪えないと。買増請求権については,位置づけをどうしようか悩んだのですけれども,あれは定款で付けてもいい権利ですので,そこは現行と変えないという趣旨で,殊更にここでは触れなかったということであります。 ● 確認だけですので,結構です。 ● それでは,次は「第6 計算関係」の1の(2)②でありますが,これは前回相当御議論があったところでありますけれども,財源規制違反があった場合の責任を負う取締役を明確化するということで,今回,傍線が引かれたような者が責任を負うということを明示したと。これはもちろん過失責任であります。この点,いかがでしょうか。この点も実質的に御議論いただきたいところですが。   本来は,そういう措置をしたから買取請求がわっと出てきたわけで,これは①,②,③とありますが,本来はこの②,③の者がまず責任を負うべき者なんですね。でも,しかし①の者にも責任がある場合があるだろうということでこういうことになっているのだと私は理解しております。しかし,一応無過失を立証すれば責任を免れると,こういうことなのですが,いかがでしょうか。よろしゅうございますか。--それでは,このような形で御了解いただいたという取扱いをさせていただきます。   次が第2部の第6の6の(3)であります。これは,会計監査人がいて,そして監査役,また監査役会とありまして,それで取締役会が設置されていないというケースがあるわけですけれども,その場合には,取締役会が設置されていない会社においては,会計監査人がいても計算書類の確定は株主総会でやるということ,これは要綱試案の段階からそういう案だったと思いますけれども,それがどうも資料にはどこにもなくて,我々はもうそういうものだと理解していたわけですけれども,これを始めて読む人はちょっと分からないのではないかということで付け加えたということですが,これはよろしゅうございますか。実質も含めまして。   それから,第2部の第6の7の(2)の②でありますが,これも前回問題として提起されまして,前回の御議論を踏まえて,こうこうこういう会社とするものとするということになったわけですが,これはよろしゅうございますか。   次に,第2部の「第7 組織再編行為関係」の1の「(2)対価に関する開示」でありますが,これも前回いろいろと御議論があったところでありますが,こういう書き方にしてはどうかということであります。この点についてはいかがでしょうか。   趣旨としては,最初の方の「対価の割当てについての理由」というのは,割当比率等の問題であって,後の「対価の内容を相当とする理由」というのは,当該対価の種類を交付するということに関する理由,そういう理解ですが。つまり,後者の方は,なぜ金銭なのかとか,なぜ社債なのかとか,そういう理由を書くということですが,よろしゅうございますか。   それでは,先に進ませていただきまして,その次の(3),前回,開示資料に関する虚偽記載の責任--組織再編行為に関する書類の虚偽記載の責任--を266条ノ3第2項に含めるべきではないかという案が提示されていたわけでありますが,これについてはもう少し検討する必要があるという御意見もあり,かつ,主としてこの問題は外国会社との株式交換との関係で出てきたという面が強いのですが,それが後の方,先ほど事務局から説明がありましたように,外国会社との株式交換の項目も削除されまして,したがいまして,ここも今回は見送りということではいかがかという案でありますが,この点も御審議いただきたい点でありますが,いかがでしょうか。 ● 私は,前回もちょっと申したのですけれども,やはり266条ノ3の第1項と第2項の間には大きな差があると思うのですね。第1項というのは,重過失がなければ責任を負わない,原則としては責任を負わないのだという,そういうタイプの責任であるわけですけれども,やはり266条ノ3第2項の中には通常の貸借対照表・損益計算書,まあ計算書類が入っているわけですから,やはり,せめてこの開示資料の中の追加的に作った貸借対照表とか損益計算書の虚偽記載ぐらいはバランス上入れた方がいいのではないかなという気がするのですけれども。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。   入れるとしたら,問題になるのは恐らく,前回議論があった中で,例えば合併契約書なんていうのはネゴシエーションで決まる問題で,これについては虚偽記載ということは普通は考えられないわけですね。入ってくるとしたら,むしろ割当比率に関する説明書とかそういうものが入ってくるのですね,266条ノ3第2項には。それで,○○幹事が言われたように,それから貸借対照表等ですよね,合併貸借対照表等を作った場合にはそういうものと。そういうことになると思います。   いかがでしょうか。   どうも266条ノ3の第2項は長年手がつけられておりませんで,私も,これはいつかはきちんとよく考えて整理をしなければいけない問題ではないかと思っているのですが。恐らく昭和25年改正でできたのではないかと思いますが,それ以来,根本的な手は入っていないのですね。その後いろいろ組織再編行為も複雑になりまして,昔は恐らく合併ぐらいしか考えていなかったのですけれども,いろいろなものが出てきて,対価も複雑化し,そういうことで考え直す必要があると思うのですけれども,今回ぱっとやってしまうにはちょっと不安がないわけではないということであります。   それでは,休憩したいと思います。            (休     憩) ● それでは,再開させていただきます。   第2部の第7の「1 対価柔軟化」のうちの「(3) 開示資料の虚偽記載に係る責任」ですが,いかがでしょうか。 ● これは第一次案に入れていただいて,今日は削除になりましたので,私としては個人的には非常に惜しいという気持ちでさっき見ていたのですけれども。一つは,前回申し上げたように,第2項というのは第三者に対する責任を定めたものということになっていますけれども,前回は,株式交換などは株主しか閲覧権がない,新株発行に基づく場合は株主しか閲覧権がないということですから,債権者に閲覧権がないものについて2項に入れるについては,異質なものを入れるのではないかという疑問を若干提起させていただいたのですけれども,ただ,2項は,債権者以外に株主も保護の対象と,まあ,そういうことは○○委員の本にも書いてございまして,そういう点から考えると,何らかの虚偽記載について取締役の株主に対する責任というものを定める規定というのが266条ノ3以外に現行商法にはないわけですね。そういう意味で申しますと,今回,組織再編関係の書類を2項に入れるということについては,必ずしも異質なものを入れるとまで言い切れないのかなということをちょっとその後考えまして。   それともう一つは,対価柔軟化に伴って,今回の(2)にあるような書類の情報提供というものが非常に重要になってまいりましたので,それについてもし虚偽記載があって株主が損害をこうむったというときには,この規定によって取締役の責任を追及できるという法制にする必要性というのも今回の改正に伴って出てくるのではないかというように思いますので。まあ,これに伴って,ではほかに何を入れるかという問題は確かにあると思うのですけれども,少なくとも組織再編に関する開示書類,先ほどのBS,PL以外に,この(2)にある書類も含めて2項に入れるということについてもう一回検討してみる価値があるのではないかなというように感じる次第ですが。 ● 今の266条ノ3の第2項は,おっしゃるとおり,これは主として新株発行の場合を考えているのですね。そういう新株発行に関する目論見書等に虚偽記載があった場合の取締役の個人責任でありまして,取締役の個人責任になっている以上,恐らくこれは,会社に責任を負わせますと資本充実の原則を害するのではないかという考えで取締役の個人責任ということになっているのですね。   しかし,今は資本維持,資本充実の原則も変わってきましたので,本当に取締役の個人責任でないといけないのかという問題ももう一つあると思うのですね。証券取引法なんかでは会社が責任を負うという場合もあるわけでありますから。だから,これをどう処理するかというのはかなり難しい問題で,根本的な検討を要するのかもしれないのですね。日本はまだクラスアクションがありませんから,そんなに巨額な責任ということは恐らく生じないのですけれども,潜在的にはそういう問題を含んでおります。   だから,これはかなり重要な問題で,ここでぱっと決めてしまっていいのかということについては私は若干不安があるのですけれども。もう少し学者等で研究をいただいて,将来の課題とするということではいかがでしょうか。 ● 私は前回,こういう(2)のようなものを2項の責任にするなら,ほかのところで見直すべきこともないのかという質問をいたしましたが,結局,この2項は不法行為法の特則的な機能を持っていますので,これがなくても不法行為でいける場合もあります。ただ,立証責任の転換とかいろいろなことがありますから,この規定を現代的に見直すことは必要でしょうけれども,これがなかったから一切取締役の責任を第三者が追及できないというわけでもありませんので,そういうことも含めて過不足のないようにするために,もう少し検討されることは十分ではないかと思います。組織再編だけにこれを限定すると,本当にそれでいいのかなという気持ちがありましたので,前回,そういうあいまいな形ですが申し上げさせていただきましたので,もう少し根本的にと言われたら,異存はございません。 ● 言うまでもありませんけれども,これを2項に加えなければ全く救済がないわけではありませんで,もちろん決議取消しとか何とかにはなり得るのですね。だから,3か月以内に気づかないような虚偽記載ということなわけでありまして,そのときにあれするとしたら民事責任しかないと。そして,現在,手掛かりとしてはこれしかないと,こういう論理でここでこういう問題が出てきたわけですが,やはり民事責任ということにつきましてももう少し根本的に研究する必要があるのではないかということで,今回はこれは見送るということではいかがでしょうか。よろしゅうございますか。--それでは,この問題はそういうことで処理させていただきたいと思います。   次は第2部の第7の3の(3)でありますが,これは前回,たしか○○委員から御指摘があった問題かと思います。略式組織再編行為で,子会社の方が新株発行するというような形の略式再編をするというケースについて問題を明確化するといいますか,そういう御指摘だったと思いますが,これでよろしいでしょうか,○○委員。 ● はい。 ● ほかの委員・幹事の方もよろしゅうございますか。--それでは,これも御承認いただいたものとして 取り扱わせていただきます。   次,第2部の第7の5の「(2) 外国会社との株式交換」,棒線で消してある部分ですが,これにつきましても,どういう場合がこれは認められるのだというような問題が前回提起されまして,その結果,対価柔軟化を認めれば問題は解決しているのではないかという御指摘もありまして,今回これは削除するという案でありますが,いかがでしょうか。 ● 前回欠席して失礼いたしました。皆さんの御議論を聞いて,いろいろな相場観,いろいろな御議論があることがよく分かりましたので,今回は見送るということでこれは結構でございます。   恐らく,税制の議論だとかあちらの方を手当てしておかないと,海外の方々の実需には最後はこたえられないという難しい問題も抱えておりますので,三角合併とかその他の手段,我々としても税制の方,なるべく頑張りたいと思いますし,また,できれば,法務省の方で解釈だとかその他別途のスキーム等いろいろな議論がおありのようなので,またそうしたところでのお知恵の拝借といったような形で対処させていただければ,現段階では必要十分かというふうに考えております。 ● それでは,これは削除するということで処理させていただきます。   次は第3部の第2の5の(2)ですね。合同会社の退社による持分の払戻しの際に,これもだれが責任を負うのかという問題について明確化せよという御指摘がありまして,今日,このような案になっております。②が付け加わったということと,③の中を御指摘に従って書き直したということでありますが,いかがでしょうか。   ○○委員,いかがでしょうか。 ● 結構でございます。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。よろしいですか。--それでは,御異論ないようですので,御承認いただいたものとして取り扱わせていただきます。   次が第3部の第5の2の(1)であります。合同会社等が株式会社に組織再編する場合に,「社員全員の同意により」という要件になっておりますが,これは前回,○○幹事から御指摘がありまして,原始定款に書けば多数決でもよいということにすべきではないかという御指摘があったわけでありますが,その後,事務局等で調査いたしました結果,現在でも,例えば合名会社の合併は「総社員の同意により」と書いてあるのですけれども,定款に多数決で合併ができると書けば,それはそれでいいのだというのが一般の解釈のようであります。 ここもそういう趣旨だとしますと,もうこの規定の書き方で,○○幹事が前回御指摘になったような点は解決されているということではないかと。   それから,もし,前回,○○幹事からアイデアが出されましたように持分買取請求等で処理するといたしますと,これは大変長い規定になりますし,それから,本来定款自治の会社であるはずが何か強行規定のような形になってしまいまして,非常に趣旨にも反するのではないかということで,定款でいろいろな解決ができるということを前提に,こういう原案のようなままでよいのではないかという結論を事務局の方では出したわけですが,この点につきましてはいかがでしょうか。   ○○幹事,よろしゅうございますか。 ● はい。先ほどの○○幹事及び今の○○委員の解釈,明確にしていただきましたので,これで結構でございます。 ● では,こういうことでよろしゅうございますか。 ● 本件とはちょっと違って,今ごろ申し上げて申し訳ないのですけれども,実務のニーズを考えますと,この「合同会社」なるものができますと,既存の株式会社を合同会社に変えようということが結構多くなってくる,極めて多くの事例が考えられる。パススルーなんていうのが ついてくれば特にそうだろうと思うのでありまして,株式会社が全株主の同意によって合同会社へ組織変更することができるということを入れることについて御検討いただきたいと思います。提案が遅れて申し訳ございません。 ● そういう御提案ですが,いかがでしょうか。   総株主の同意ということですね。 ● はい。 ● 総株主の同意があれば,まあ,それはよろしいのではないかと思いますが。   どういう規定が必要になるのかはちょっと分かりませんが,方向としてはよろしいでしょうか。特に御異論はありませんか,総株主の同意で合同会社に組織変更することを認めるということにつきまして。 ● ちょっとにわかに分からないところなのですけれども,例えば会計監査人の問題とか,そういうところはどうなるのでしょうか。 ● 今までのところ,別に合同会社の規模に応じて会計監査人の設置を,という話が出ているわけではありませんので,会計監査人に係る規律については,例えば大規模株式会社が有限会社に組織変更した場合と多分同じ処理ということになろうかと思いますが。 ● そういう会社まで想定しているのかどうか分かりませんけれども,閉鎖会社でもしかしたらそういう会社を予定しているとすると,合同会社においてはやはり会計監査人の規定を置いていただきたいというふうな気もするのですけれども。 ● どうですかね。子会社で負債の総額が200億を超えている,それで会計監査人がいたと。それが合同会社になるというケースですね。 ● 今の○○委員のは,そもそも合同・合名・合資について,大規模なものについては会計監査人監査を義務づけるという新たな御提案ですか。 ● 少なくともそこまではまだ考えていなかったのですけれども,そんなに大きな会社が合同会社として発生するという可能性を余り考えていなかったものですから。むしろ今の提案は,株式会社から合同会社へというケースが出てくるということになると,もしかしたら閉鎖会社でそういう形態があり得るのかなということを逆に思いついたものですから,○○委員の御提案を受けて,逆提案みたいな形になると,そう思いついたものですから申し上げた次第です。 ● たまたま組織を変えるというときの問題ではなくて,そもそも合同会社自身を最初から作るときに,負債総額200億円以上であるとかいうのはざらになってくるだろうと思うのですね。だから,やはりそもそも論の問題として議論をしていただくべき問題だろうと思いますけれどね。 ● かなり重要な問題でありますが,いかがでしょうか。 ● これは新しいLLCという形態の形から出てきたもので,ベンチャーとか共同的な会社を意識したものと私は認識していたものですから,大会社という意識は全くなかったのですが,もし本当にそういう可能性が出てくるなら,是非そういう一条を入れていただきたいというふうに思います。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。 ● 以前,大規模有限会社についても会計監査人監査を入れるという方向が当初示されていたということとのつり合いから考えても,対外的に有限責任が認められる以上は,合同会社だから会計監査人監査が不要だということにはならないのではないかという気がいたしますので,検討することには賛成したいと思います。 ● ○○委員,いかがですか。 ● ちょっとにわかになかなか当惑するようなお話なのですが,今の○○委員からの御提案は,もう一回確認でありますが,大規模な合名・合資・有限等について,一定の規模要件で切って,一定の義務づけをかけていくということの御提案だと理解をしてよろしゅうございますか。   それを,恐らく今日は実態がチェックできないと思いますので,実態をチェックした上で,じゃあ必要かどうか,どれぐらいのマグニチュードで,例えば,変なことを言いますけれども,委員会等設置会社というのは何社あるのだというのと同じような意味で,実態,何社そういうものがあるのかというのをチェックした上で,それの社会的な影響も踏まえて議論をしないと,単に,○○委員からそういうケースがあるよという示唆があって,それも税のパススルーが認められた場合にはそういうことがたくさん出てくるのではないかという仮定つきの議論,それでこの段階でそこまで議論が拡大するということになると,もう一回全部チェックのし直しということになってしまうので,ちょっと困ったなと。それから,パブリックコメントをやったときにもこういう話は全然なかったものですから,相当新しい問題なので……。まあ,今日は感覚の議論しかできないと思いますが,すぐにこの流れにこの議論を乗せていいのかなというところが,ちょっと私なぞは懐疑的なんでございますが。 ● LLCについては,アメリカとかああいうところの制度並びという議論をチェックする必要があると思いますけれども,会計監査人のチェックという議論は我々も,見落としてるのか,気づかなかったのか,全然認識していなかった制度の御提案なので,こうしたLLC,合同会社みたいな制度とそういう仕組みというのがグローバルに見てどれほどスタンダードなものなのかというところはチェックさせていただきたいと思います。   それから,今,○○委員がおっしゃったように,合名会社とか合資会社は我々もなかなか実態が把握し切れていなくて,大規模な合名・合資について新たなある種の規律を設けるという議論をするならば,それはまた中小企業庁ともよく実態を把握して,ある種ちょっと慎重に考えざるを得ないなという感じが,直感では,あります。 ● 先ほどの○○幹事のお話ですと,有限会社の議論との並びで,合同会社は有限責任だからというお話をされたと思うのですけれども,そのコンテクストから言いますと,少なくとも合名会社については会計監査人は要らないということになるのかなというのをちょっと確認させていただきたいのと,それから,合資会社は,有限責任社員が若干いるのですけれども,無限責任社員もいると。それから,有限責任といっても株主の有限責任なんかとはちょっと違うということもあって,そちらについてはどうお考えなのかということもあわせて御教示いただければと思います。 ● 私は,あくまでも合同会社についての提案を検討したらいかがかと申しただけで,合名会社とか合資会社は全く想定しないで発言させていただきました。 ● ただ,無限責任社員に法人を認めますので,合名・合資会社だって,実質は有限責任だというものが出てくるのですね。 ● 私が申し上げた趣旨は,脱法的な形で株式会社から合同会社に行ったようなケースが出てくると,既存の監査を受けていた会社が監査を受けなくなるということを想定したわけでございます。合名・合資等についてはもとからそういうことをやっておりませんので,それはもともと範囲外というふうに思います。   新たに合同会社が本当にできる場合に,どこまでその規定をかぶせるかということは,これは新たな課題でございますので,それは諸外国の例とか,あるいは法全体の整合性の問題とかをよくお考えいただいて検討していただければいいのではないかというふうに思います。 ● 現在の制度で,非公開会社であっても負債総額200億を超えるような大会社について会計監査人監査を要求しているというのは,これは別に株式会社であるということが必要条件になっているわけではない議論なものですから,その意味では検討はしていいと私は思いますね。初めから要らないという議論はちょっとまずいのではないかと思います。 ● いろいろと御意見をいただきましたが,まず,○○委員の御提案については積極的な反対はないと理解いたしますので,株式会社が総株主の同意で合同会社に組織変更するということについては御承認いただいたと思います。それで,どれぐらいの規定が必要になるかは事務局で技術的な面を検討してもらいますが。   それから○○委員の御提案,これは,既存の会計監査人がいたような会社が合同会社になる場合と,いきなり大きな合同会社ができる場合と二つありますが,それらにつきましては諸外国の例等も検討しないとにわかには結論は出せないということで,これは事務局,それから○○幹事等,関係の方がいろいろ御研究になると思いますけれども,そういうことで,これについてはなお検討するということでよろしいでしょうか。 ● 大きいものについてはやはり有限責任会社であるから会計監査人監査を検討すべきではないかということについては,確かに論理的には反対し難いところかと思うのですけれども,ただ,そのときに,ガバナンスの方の自由度については従来どおりというのを一応御確認いただきたいということで,株式会社並びでなくてはということではないということでよろしくお願いしたいと思います。 ● それは重要な点ですね。御指摘ありがとうございました。 ● 最後の段階になって混ぜ返すようなことになるのかわかりませんが,これは冒頭に○○委員がおっしゃったこととも関連すると思いまして。   例えば,第2部の第3の,株式会社の機関設計の原則の1の(8)には,「大会社には,会計監査人を設置しなければならない」ということで,従来,大規模有限会社について会計監査人監査は要求されていないけれども,原則は,有限会社がなくなって株式会社になるわけですから,「株式会社」という商号を使う以上はこうなると。ただ,例の第2部の第1の3の傍線部分のところで,未来永劫に認めるどうのこうのの話として,例えば,「有限会社」の名前をつけていたら大規模会社でも未来永劫に会計監査人監査は要らないとするのか,やはり要るとするのか,そこら辺を,幾つかのうちに入っているのかどうなのかがあれですけれども,例えば,有限会社については,そういう現在180万ぐらいあって,そこにどれぐらい大規模有限会社がいるのか知りませんが,ないわけではないと。それについての事実の重みをもとにする妥協と,新しい会社類型において理念的にどのように考えるのかというのは少し相対的に区別して,平仄を合わせるということでやるのではなくて,合同会社については相対的に新しいものとして,よりよく世界的な形でやるためにはどうしたらいいかという前向きの発想で御検討いただければと思います。   そのときに,やはり有限責任の特権を享受する,これは無限責任社員に物的会社がなった場合にどうなるかという実質論はありますが,少なくとも形式的に社員が有限責任だと,そして基本的に株式会社と同様の財産拘束あたりをやっているときについて,やはり私は,規模が大きいものについては,会計監査人というのか,いわゆる専門家の外部監査を受けるというのが基本的なスタンスだろうと思いますので,それをベースにいろいろとお考えいただきたいと思います。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● もう既にお話があったところかもしれませんが,一つだけ確認というか,教えていただきたいと思っていたことがあったのですが。   合同会社の場合は決算公告はなしという方針でいらっしゃるわけですね。この点についてはどのように説明したらよろしいのでしょうか。 ● 説明ぶりはもうお任せいたしますけれども,営利法人で,かつ有限責任を享受するということが必然的に決算公告をもたらすわけではないということは,現行法でも予定しているところであります。ただ,株式会社制度を利用する限りは決算公告がついていると,それが株式会社制度の特質であって,そのことが制度の信頼性を高めるかどうか--そこは評価が分かれるところであると思いますけれども--そういう整理を今回させていただければ,あとは,それに類似し,しかしながらある面では違う制度について,債権者に対する開示というもの自体は,それはそれで別途あるわけですので,さらに決算公告まで要求すべきかどうか,ここは一つ別な議論であろうと思いまして,合同会社--新たな会社--についてはそこまでは考えなくてもいいのではないかということで,これまで議論させてきていただいたところでございます。 ● よろしゅうございますか。   それでは,一応,星印については議論が済んだのですが,○○委員は遅れて来られましたので,星印のところで是非この点は質問したかったという点がありましたら,どうぞ御遠慮なく。今日は時間が十分ありますので。 ● 星印以外のことでちょっと気になることがありまして。   内容的なことでなく,説明の仕方の問題かと思うのですが,我々はこの2月から10回を超える会議をして,そして第一次案,第二次案というふうに読ませていただいて,それでもまだ理解不十分な面もありますが,ある程度分かると思うのですが,これはまた秋にある程度オープンになることが想定されているということを,前回でしたか,お聞きしましたが,最初にこれを見る方が分かりやすいようにということと,今日の冒頭の○○委員の発言とも関連いたしますと,特に第2部の「第3 機関関係」の最初の「1 株式会社の機関設計」というのが非常に重要になると思うのですが,そこで結局,1種・2種・3種とかいうのが一時期ありましたが,従来の有限会社型のもの,それから譲渡制限株式会社,そしてそうでない公開会社的なもの,こういう三つのものを自由に移動させようと,そしてそれなりの自由度を会社に与えようという基本理念がここで示されているということになるので,例えば,くだらない言葉の問題かもわかりませんが,この1につきましては,(9)の「以上の原則の下で……。」というのが総論ですので,これがおしりに来るのがよく分からない。むしろ,「会社法施行後の株式会社の機関設計の在り方は,」(9)のような原則なのだと。そういう柔軟な設計のところで,基本となる枠組みは(1)から(8)なのだという形で説明され,かつ,例えば(7)というのは,「株式譲渡制限会社以外の株式会社には,取締役会を設置しなければならない」ということで,この(7)の考え方が(1)と(2)の間にないと,ちょっと飛んでいるような気がするなとか,そういう形で,この(1)から(9)をどう並べかえるのか。   それから,第2部の第3の2の(1)の①ですが,「株主総会は,強行規定に反しない限り,いかなる事項についても決議することができる」というのと,第2部の第3の3の「(6) 取締役の権限」の①と②が,要するにかつて言われた第1類型とか第2類型の基本的なことになりますので,権限だからこういう2の(1)の①や3の(6)の①,②を落とした方がいいのかもわかりませんが,ここら辺のこともやはり基本形かなという感じがいたしまして,内容については,私は,こういう柔軟な形で会社自治を広げる,その方向性はいいと思うのですが,分かりやすさの観点から,今言ったようなことを含めて,ぱっと見て分かりやすい,絵が書けるような構成に御配慮--夏の暑いときに申し訳ありませんが,御配慮いただけたらということと,そして,言葉じり的で申し訳ありませんが,2の(1)の①に,「強行規定に反しない限り,いかなる事項についても」と,これは230条ノ10は適用しないぞという趣旨だと思うのですね。それをこれだけのことを言うと,それではこういう会社においては,これこそ嫌がらせの揚げ足取りですけれども,「いかなる事項」,先ほどの「いつでも」と同じですけれども,これはやはり会社事項に限るので,230条ノ10の規制は適用しないという程度のことで,「強行規定に反しない」というと,何するんだとふっと思われかねないとか,そこら辺も含めて,内容はともかく,表現はいろいろと,それはもう事務局にお任せするという形で,よりよいものにしていただければ幸いでございます。 ● 御指摘ありがとうございました。   確かに第2部の第3の1は,これを読んで分かる人は恐らくいないだろうと。参考資料で何か表がついていましたから,あれでしか分からないですね。確かにもうちょっと順序を変えると多少分かるようになるかもしれませんので,その点は事務局にも考えてもらいたいと思います。 ● 関連して。いわばお願いなのですが,今,○○委員がおっしゃったことは,私はそのとおりだと思いまして,やはり分かりやすい,要するに対外的なプレゼンテーションがうまくできるような形にしていただきたい。   そのときに私が非常に心配しておりますのは,今も○○委員の言葉の中に1種・2種とかいう言葉も出てきて……。 ● それは使わないというのは私も分かっております。 ● それとか,○○委員から,先ほど「閉鎖会社」という言葉が出たり,分かりにくい表現をされていることによってこれを解説される方たち,これは私も原稿を書くと思うのですが,皆さんもいろいろな論文・原稿を書かれるときに,これを分からせるためにそういうクライテリアをいろいろ使ったりして説明し始めると,私は昔出た1種・2種・3種というのは非常に弊害があると思うのですけれども,あれを使ってまた説明するような,あるいは「旧有限会社的な株式会社」とか,もうこれは私,ここでPRするというか,お願いなのでございますが,先生方が論文を書くときに絶対にそういうことをしないでいただきたいと。   これは,基本形は,私のいつも言っていた,卑近で恐れ入りますけれども,株主総会と取締役という素うどんがあって,そこにトッピングを,ねぎをかけたり,油揚げをかけたり,豪華なてんぷらをかけたり,いろいろなものがあって,いろいろな仕組みができるのだと。自由にいろいろなものがつくれて,それはあるときは譲渡制限という切り方でトッピングがかかっているし,規模で大会社になればこういうトッピングがかかるという書き方になっておって,連続的な会社法制で,かつ,それぞれの人が自分の意思に基づいて様々な設計ができるのだと。しかしガバナンスはきちんとできるようになっているし,コンプライアンスも守るようになっていると,是非そういう説明をしていただいて,分かりやすいもの,今回は会社のつくり方が非常に連続的で,重層的で,柔軟なものになったという高い評価をしておりますので,そのような形で御説明を事務局もしていただきたいし,委員の先生方の講義・論文もそちらのラインでお願いしたいということでございます。   僭越なことを申し上げて恐れ入ります。 ● なかなか学者が書くものについては,学問の自由がありますので,制約は難しいと思いますが。 ● お願いでございますので。 ● 大変初歩的なことをお尋ねすると思うのですけれども,私,法律は全くの素人で,皆さんの御議論を聞いていて,冗談だったのかまじめな御議論だったのかよく分からない部分があって,それでお尋ねしたいと思うのですけれども。   例えば,組織変更のときに,「社員全員の同意により」というところが先ほど御議論の対象になったのですけれども,現行でも定款で定めれば多数決でもいいのだと,だから構わないではないかとおっしゃいましたけれども,そうすると,法律というのは文言が命というふうに思っておりましたけれども,そういう定款で変えてしまうのが可能なのか。それから,それは解説で補ってという御議論もあったように思うのですけれども,例えば法律をつくったときの立法趣旨とか,議論の内容とか,そういうものが司法の世界に縛りをかけていく拘束力を持っているのか持っていないのか,その辺がちょっと私分からないのです。それで,先ほどの御議論がどういうものであったのかということを是非教えていただきたいと思いまして。 ● 言葉の問題は,先ほどの第3部の第5の2の(1)のところでありますが,趣旨は,定款変更は株主全員の同意が必要なわけです。それから,最初の定款を決めるのも株主全員の同意。 ● そこのところで株主全員だからいいのだと。 ● 株主全員が,これは例えば3分の2の多数決とかそういうことを定款に書けば,それはそれで有効であると。 ● そうしますと,定款で定めたときの株主と,組織変更するときの株主は大幅に変わっていてもいいわけですね。 ● そういうことです。 ● それから,解説で書けばということは有効なのでしょうか。あれは冗談だったのでしょうか。 ● 解説で書けばというのは,それは現在も解説書にはそう書いてあるのですけれども,この規定はこういう趣旨であるということを解説にはっきり書くと。それは法律の趣旨がそうなのだということを解説で説明するわけでありまして,法律にこう書いてあるのに,解説でこう書けば法律が変わるというわけではもちろんないわけです。 ● 補うという意味ですか。 ● そういうことです。 ● それから,立法趣旨は違うのだとかいう議論を時々目にするのですけれども,立法趣旨というのはやはり拘束力を持つのでございますか。 ● これは非常に難しい話でありまして,例えば国会でこういう審議がなされた,それで政府委員がこう答えたと。それがどこまで裁判所を拘束するかということにつきましては,これは裁判所がそれを尊重される場合もあるでしょうし,やはりその議論はおかしいと思えば尊重しない場合もあると。これが現実だろうと思います。 ● それはやはり条文が絶対的なものと。 ● はい。しかし,普通は尊重すると思うのですね。ただ,やはりこれは尊重できないという議論もないわけではない。ですから,そういうときは恐らく尊重しないであろうと,そういうことだろうと思います。   ほかに,先ほど○○委員から御意見がありましたが,星印以外の部分で御発言がありましたら,お願いいたします。前回,星印がついていない部分につきましても一応 は御意見をいただいたのですが,今回見直してみて,なおここは問題があるのではないかという部分がありましたら,御指摘いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ● 実質的な議論というよりも,先ほど○○委員がおっしゃったように,いずれ要綱案として公表する段階のことを視野に置いた整理の仕方という意味なのですが,要綱案が公表されたときに,それを見る人たちは恐らく要綱試案との対照というようなことも含めて御覧になるだろうと思います。その点を意識した場合に,例えば,私もいろいろチェックしてみたのですが,要綱試案のときに随分議論になった,取締役会で剰余金処分を決定できる特例の会社がございますね。あれの株主の配当議題提案権というのがa案からd案ぐらいまであって,大変世間の話題になったという関係があるのですが,今回,第一次案,第二次案では配当議題についてのことは全然触れられていないわけですね。よく読んでみると,第2部の第6の5の(1)の④ロの「株主の剰余金の処分権限の制限」という部分で,結局,株主総会では剰余金処分はできないという定款を定めることができるようになりますから,そうなれば株主の配当議題提案権もなくなるのだと,だから定款で結果的には排除したことになるということが分かる,そういう形でできているわけですね。これは相当説明しないと,要綱試案の段階での議論というのがここにこういうふうに集約されたということがちょっと分かりにくい印象がありますので,また何か補足説明でも作るのであれば,そこに記載するということでしょうけれども,今回はそこまでは恐らくしないでしょうから,(注)を付けるということも予定されておられないでしょうから,その辺をどう理解してもらうかという工夫が若干要るかなという気がいたしました。   もう1点は,今回,取締役会の設置された株式会社と設置しない株式会社というのができましたので,その関係で2点ほど。   一つは,ちょっと確認させていただきたいのですが,第2部の第3の3の「(5) 内部統制システムの構築に関する決定・開示」の②なのですが,「大会社については,内部統制システムの構築の基本方針の決定を義務付ける」という場合に,大会社で取締役会を設置している会社と設置していない会社とあり得るわけですけれども,これは双方義務づけるという趣旨でよろしいのでしょうか。 ● ここは区別しているつもりはないので,正に大会社ということです。 ● それともう1点,中間配当についてなのですが,中間配当は恐らく現行の239条ノ5で取締役会が決定するということになっていますから,取締役会が設置された株式会社に限るという趣旨であって,そういう意味では現行法と変わらないということですから恐らく書いてないのだろうというふうに思うのですが,この間の「残された諸論点について(2)」に添付された,(参考)という権限分配について整理された書面の中に,「すべての取締役会設置会社は」という書き出しで中間配当についての記載がございまして,この点が第一次案ないしは要綱案に触れられないときに,取締役会を設置しない会社も中間配当を定款で定めることができるという誤解を生じないかという気がいたしまして,この(参考)に書かれた,「いわゆる中間配当」という部分は要綱案にも書いた方が紛れがないのではないかという印象を持ちましたので,その点を検討いただければというふうに思います。 ● これは御指摘のとおり,ここに出ておられない方は要綱試案を念頭にこれを読むと思うのですね。その場合に,これは本当に恐らく,非常に変わっている部分がありますので,そういう部分は分からないのではないかと私も思っております。根本的に,○○委員が表現がお嫌いな第1種・第2種というような,ああいうあれがあったのが全く消えたわけですね。それで,いわば1種・2種一緒にした第3類型のようなものに一つに統合されているわけですね。そういうところを知らない人は,大前提が全く変わってしまっておりますのを分からないと思うのですね。   この点はどうしますかね。これは秋に公表するときは別に説明なんかはつけないわけですね。もうここにいるメンバーが何か書くとか,講演で説明するとか,それだけで御理解いただくのか,それとも基本的なところは何らかの事務局の説明がつくのか,そういう問題はあるような気はしますね,確かに。 ● 今回は,とりあえずこの夏の間に事務局の方で鋭意事務的な作業を進めさせていただく前提として,できる限り実質改正部分の内容を固めていただこうということで,非常に無理な審議をお願いし,御協力いただいたということでございます。   後ほど申し上げますけれども,恐らく10月下旬の部会で要綱案を決定していただくという段取りで今後審議をお願いしたいと思うのですけれども,その際には,要綱案としてどのような表現ぶりが適切かということについて,事務的にも,また今後の部会の中でも御相談させていただきながら,最終的な決定に持っていかせていただければと思います。説明的な(注)をやはり付けた方がいいということであれば,要所要所でそれを付けるということも考えたいと思いますし,そこのところは次回以降の部会で御相談させていただければと思います。 ● まだ公表までにはしばらく時間がありますので,それでは事務局に検討してもらいたいと思いますが,その他の点でいかがでしょうか。 ● これも文章の問題なのか,中身にもかかわるのか,ちょっとよく分からないのですけれども,第2部の第3の3の「(7) 取締役会の書面決議」なのですが,この問題は,どの範囲で書面決議を認めるのかということをめぐっていろいろ御議論があったためにこういう形になっていると思うのですけれども,株主総会とか,あるいは有限会社の社員総会については,「書面等による決議」ということになっていて,書面だけではなくて電磁的方法によるものも含まれるということになっております。恐らくここではそれを否定する趣旨,書面だけでなければだめだという趣旨ではなかったのではないかなと思いまして,要綱上それをはっきりさせておく必要があるのではないかというのが一つでございます。   それからもう一つは,(7)の①は,「定款で定める」という,その定款で定める内容を書いているのでこの形になっているのですけれども,それでは書面による決議なり電磁的記録による決議というのを一体どうやってやるのかと。有限会社法の42条はそれについて何も書いていないためにかえって使えないという問題があったために,14年改正で株式会社について書面等による決議を導入した際には,そのやり方を具体的に--これは253条ですけれども--規定を設けることに最終的にしていただいたわけでございまして,取締役会ですから,株主総会ほど問題はない,でもこのまま書面による決議あるいは電磁的方法による決議ができるというだけにするというのも一つの手かもしれないのですが,例えば,多分議事録はつくられないので,議事録をどうするかとか,いろいろ問題があり得るかと思いますので,ここは要綱でそこまで書くのかというのもまた問題で,あるいは条文段階の問題なのかもしれないのですけれども,多少コンセンサスだけはとっておいていただいた方がいいのかなという気がしたのですけれども,いかがでしょうか。 ● 今の点はいかがですか。   最初の点は,別に電磁的な方法を否定する趣旨ではない。 ● ええ,この御時世ですので,当然の前提かと思っておりました。 ● それから,それ以外の点はありましたっけ。 ● やり方。 ● 議事録,これはどうでしたっけ。特に現行法を変える趣旨ではないのですね。 ● 電磁的なやり方等については,余り具体的なことを事細かに決める必要はなくて,通常であれば,例えばメールが来たとか,いろいろなやり方がありますので,証明をしたいという会社の方は大体それをデータとしてとっておく,これはもう常識的な話でありますし,書面であれば書面をとっておくはずでありますから,そこまでぎりぎりとやらなくても,常識の範囲内で皆さん保存をされるということではないかなと。あとは,それを証明する手段,後々どうするかという問題だけではないかと思いますが。余り私どもは手段について問題点は感じておりません。 ● 具体的な規定ぶりについてはまた別途検討することになりますが,実質は253条と同じになります。ですから,これといったフォーマットが決まっているわけではなくて,関係者全員からの同意書面なり電磁的記録なりというものを,所要のものを記載したものでかき集めてくるという趣旨と,その集めたものが議事録並びの取扱いがされるという実質がよければ,基本的にはこれと同じような規定を置くということになると思います。 ● よろしいですか。実質は株主総会の場合と同じだということで。   ほかに御指摘ありますでしょうか。 ● 前回議論いたしました自民党商法小委員会からの三つの提案のうちの残りの二つでありますけれども,この部会においては,将来の課題だということで大方のコンセンサスが得られたと思うのですけれども,それで立法府としてお許しいただけるような状況なのかどうか,そのあたりの御感触をお教えいただければと思いますけれども。それがマストであると,かなりまた大きなことを考えなければいけないものですから。 ● 当部会で御議論を真摯にしていただきましたので,それは党の方にお伝えするということとさせていただきますが……。その上でどのような議論が起こるかどうかということについては,まだ御紹介できるような状態ではございません。 ● ほかにいかがでしょうか。--特に御意見ございませんか。   それでは,皆様の御協力によりまして,すべて問題点は一応の解決がついたと思います。どうも本当にありがとうございました。   それでは,本日予定の審議事項はすべて終わりましたので,これで本日の審議を終了させていただきたいと思いますが,事務局から連絡事項がございます。 ● どうも何度も大変無理な御審議をお願いしまして,誠に恐縮でございます。   次回以降の日程につきまして,御案内申し上げます。   次回は,9月15日,水曜日,午後1時半から,場所はこの第1会議室で予定させていただきます。   残りの日程でございますけれども,あとは10月6日と10月27日を予定しております。   今のところ,10月27日に要綱案の取りまとめをお願いしたいというふうに考えております。格段の事情の変更があればまた別かもしれませんが,今のところ,事務局としてはそのように予定させていただきたいと考えているところでございます。   次回以降,今回一応コンセンサスを得させていただきました実質について事務局において検討を進めた結果生じてくる派生的な論点として部会で議論いただくべきことなど--今具体的に何か念頭にあるわけではないのですけれども--お諮りすべきことがあればお諮りしたいと思いますし,また,経過措置なり,あるいは周辺の整備のうち主要なものなりについての方針で部会で御議論いただくべきことについて,9月,10月の部会で確認させていただければと思います。   それから,冒頭で御案内いたしましたとおり,特別清算の議論が別途進んでおりまして,これが場合によっては通常清算との間に何らかの調整問題を生じさせるかもしれない,あるいは非訟事件手続の手当ての関係で更に検討を要する点を生じさせるかもしれないということもありますので,あわせて9月,10月にはそのような点の御議論もちょうだいしたいと思います。最終的には,できますれば10月27日の部会をもって要綱案の決定をしていただければということでございます。   一応,実質的な改正検討事項についての御議論は一区切りがついたという感じでありますけれども,格別事務局の方で対外的な公表をするという予定はございません。文書でもって公表するという予定もございませんので,その点についてはそういうものとして対応していただければというふうに思います。   なお,資料等につきましてはいろいろお問い合わせがありますけれども,情報公開請求があれば開示すべきものでございますので,部会資料として取り扱われたものであるという趣旨を明らかにしていただく限りにおいては御利用いただいて結構でございます。要するに,これで議論がまとまったというような説明をされると誤解を招くおそれがありますけれども,事務局が事前に用意した資料に基づいて本日の議論がされたという前提での資料の御紹介等であれば,引用していただいても構いませんので,その点はよろしくお願いいたします。 ● それでは,本日の部会を閉会させていただきます。本日は長時間にわたり熱心な議論を賜りまして,ありがとうございました。