法制審議会会社法(現代化関係)部会 第31回会議 議事録 第1 日 時  平成16年11月17日(水)  自 午後1時30分                         至 午後4時37分 第2 場 所 法曹会館「高砂の間」 第3 議 題 会社法制の現代化に関する要綱案(第四次案)について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● 予定した時刻が参りましたので,第31回の会社法(現代化関係)部会を開会することにいたします。   本日は,御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。   それでは,配布資料につきまして事務局から説明をお願いします。 ● 本日,御審議いただく予定でおります部会資料34--要綱案(第四次案)--を事前に御送付させていただいております。 それから,席上に参考資料18「会社法制の現代化に関する提言」という書面をお配りしております。会社法制の現代化の作業は,各方面において非常に関心を呼んでいるところでありまして,各政党におきましても,いろいろと検討が進められているところでございます。本日お配りしましたのは,この問題に関して公明党において結成されましたプロジェクトチームにおきまして,ヒアリング等の成果に基づきまして取りまとめられました提言でございます。当部会において配布をし,委員・幹事の方々に御覧いただくよう求められておりますので,席上に配布させていただいた次第でございます。御参照いただければ幸いでございます。   事前に,あるいは席上にお配りいたしました資料は,以上の2点でございます。 ● 配布資料につきまして,何か御質問ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,本日の審議に入りたいと思いますが,本日は部会資料34につきまして御審議をお願いすることになります。   初めに,事務局から,これについて説明をお願いします。 ● 度々部会の開催予定を変更させていただく結果となりまして,誠に申し訳なく思っております。作業が佳境を迎えるに当たりまして,法制的な見地から事務局において検討を加えるべき部分が多々生じており,誠に恐縮でありますけれども,もう一期日,念のために取らせていただくということに相なった次第でございます。   本日は,最終の部会として予定しております次回の部会に向けまして,前回の要綱案(第三次案)からの修正点を中心に御議論,御検討をちょうだいしたいと思います。例によりまして,部会資料34につきましては,前回までの御議論を踏まえて内容を追加し,あるいは修正した箇所に白い星印をつけ,本日その実質について更に御議論をちょうだいすべき事項に黒い星印をつけております。それらにつきまして,最初から最後まで,概略の御説明を申し上げたいと思います。   それ以外にも,若干の表現修正があるところに下線を引いておりますけれども,その点の説明は省略させていただきます。   まず最初の星印は,第2部の第1の3,有限会社に係る経過措置の在り方についてでございます。最終的にどういう規定ぶりになるかは,正に法制的な問題でありまして,現在,当局との間で詰めの作業を行っているところでありますが,要綱案では実質として現行の有限会社法に基づいて設立された会社については新法施行後も引き続き従前の規律が維持されるということだけを確認し,法形式については要綱案の中では格別触れさせていただかない方がよろしいのではないかということを前回お諮りし,御了承いただいたものと承知しておりますので,そのとおりに改めているところでございます。   それから,次は黒い星印が付された第2部の第3の3の(6)の(注2)でございます。   前回,相当程度突っ込んだ御議論のあったところでございますけれども,取締役会の書面決議を一定程度において容認するということを前提とした上で,監査役会及び委員会等設置会社の各委員会についてどうすべきかという点についてでございます。   前回の案では,これらについても書面決議を認めたらどうかという趣旨でお諮りしていたところですけれども,相当強い消極意見が示されたということもありまして,これらについては基本的に書面決議を認めないものとするという整理をさせていただきたいと思います。   なお,監査役会につきましては,会計監査人の解任決議,会社に対する役員の責任の免除に関する議案についての同意,あるいは代表訴訟に係る会社の補助参加につきまして,それぞれ全員一致の決議というものが要件とされているところでございます。文理上,全員一致の決議といいますと,会議を開き,そのすべてのメンバーが参加し,かつ,賛成票を投じなければならないということになりますので,これはいささか厳しすぎる要件ではないかと思われますし,特にこれらの事項の性質からいたしますと,必ずしも全員が参加可能となる時期まで待っていればいいというほど悠長に構えていてよいものでもございません。そこで,これらの3点につきましては,社外の監査役が来年の5月以降は半数以上になるということも考えあわせますと,それらの者も含めた全員の同意というものを要件とするというように整理をし,その上で,それ以外の場合の監査役会,委員会等設置会社の各委員会については,書面決議を認めるということはしないということにさせていただければということでございます。言い換えれば,実務上の要請に照らして必要最少限度の部分について全員一致という実質に改めるとともに,基本的には書面決議を認めないという整理をさせていただきたいということでございます。   報告事項につきましても,基本的に現行法の規律を維持するという整理をさせていただきたいということでございますので,再度御確認の議論をいただきたいと思います。   それから,3の(7)の②です。白い星印をつけてありますが,黒い星印をつけておいた方がよろしかったところでございます。幾つか修正点があります。   一つは,前回御指摘をいただきました点ですが,社外監査役についても触れている部分がありますので,②の表題と,それからロについて,それぞれ「社外取締役」とあったところを「社外取締役等」に改めたということでございます。   2点目は,後に触れますけれども,7の(1)の①における重要財産委員会の法的な位置づけの整理を前提としまして,イの文中に「重要財産委員会……」とあったところを「7(1)①の取締役……」というふうに--これは表現ぶりだけですけれども--修正をしております。   3点目ですが,社外性に係る役員の登記については,社外性が法的な何らかの効果を伴う場合に限り,引き続き要するものとするということで整理をさせていただいたのですけれども,委員会等設置会社その他の機関設計に関する場合のみならず,責任限定契約に係る社外役員についても同様の取扱いをすべきであると思われますので,イにおいてその旨をつけ加えているということでございます。   なお,部会資料34を整理する上で注意が足りなかったのですが,ここでは社外監査役も責任限定契約の対象とするということを前提とした記述とさせていただいております。この点については,本日,新たな論点として御議論,御確認いただきたいと思います。この役員の責任限定に係る議員立法の際には,監査役については積極果敢な経営判断が求められる取締役とは立場が異なるということを理由に責任限定契約の対象外とされたわけでございますけれども,今回の現代化の作業においては,会計監査人又は会計参与といういわば社外的な役員やそれに準ずる者についても責任限定契約の対象とするということについて,これまでの議論の中でほぼ御確認いただいたところでございます。そうだといたしますと,監査役のうち少なくとも社外監査役については,それらと同様に扱うということが法制的な並びの面から適切なのではないかということで,ここに掲げさせていただいている次第でございます。この点につきましても,御議論,御確認をいただきたいと思います。   続きまして,株主代表訴訟--3の(9)--の③でございます。   前回の御指摘を踏まえまして,ロの中に「存続会社」とあったところを「存続会社等」とさせていただいております。要は,何らかの組織再編行為により当該会社の株主ではなくなったとしても,当該会社の100%親会社の株主--あるいはさらにその親会社の100%親会社の株主ということもあり得ると思いますけれども--そのような事実上当該会社の株主と同視し得る状態になった場合であれば,その組織再編行為の種類のいかん等にかかわらず,同様の整理をさせていただくという趣旨を,とりあえず要綱案のレベルではこのような形で表現させていただきたいということでございます。各場合を書き尽くせるということではありませんけれども,実質について部会として議論の御確認をしていただければ,条文上表現しきれない部分についての解釈もおのずとそのような御議論を踏まえたものになるであろうということを期待したいと思います。   それから,星印をつけ忘れていて申し訳ありませんが,4の(1)の②の監査役の権限--監査役の権限について業務監査権限を除くものとすることにはできない会社の範囲--についてでございます。   従前の案では,「大会社以外の株式譲渡制限会社」という表現にしておりましたけれども,会計監査人を設置する場合には,監査機関を必須とし,当該監査機関には業務監査権限を持たせるべきであるということについては,会計監査人を設置する場合の機関設計の在り方を御議論いただいた際に,明示的に確認させていただいたところでございます。したがいまして,任意であれ会計監査人を設置する会社における監査役は,とにかく業務監査権限を必ず持たなければならないということになりますが,その点が必ずしも明確ではありませんでしたので,その点を明らかにするというのが1点でございます。   もう1点は,監査役会--法律上その設置が強制される場合のほか,任意にその設置をするという場合も含め--につきましては,業務監査権限を有する監査役によって構成されるという形で整理をさせていただいてよろしいのではないかという点です。これまで明示的には御議論いただいていなかったと思いますが,確認をさせていただきたいということでございます。これらの点を明らかにするため,従前の表現を改めたということでございます。   次は,本日お諮りすべき幾つかの大きな論点のうちの第1点目でございます。7の(1)の①についてですが,現行の重要財産委員会について,その法的位置づけを見直すこととしたらどうかという提案をさせていただくものでございます。   今回の作業における機関設計の在り方についての整理の結果,すべての機関は基本的に法律により設置が強制されるか,あるいは定款の定めにより任意にその設置の選択が可能である--もちろん,組合せが決まっているものもあるわけですけれども--ということになるわけですけれども,御承知のとおり重要財産委員会につきましては,取締役会の判断によって置くか置かないかが決められるという,今回の整理でいきますといわば特別な機関ということになります。他方,重要財産委員会につきましては,余り--と言いますか,ほとんど--利用されている例がなく,その理由についてはいろいろと言われているところがあると思いますけれども,法制的な面から考えましても,重要財産委員会と言いながら,置かれたからといって重要財産に関する処分の権限を当然に有するわけではなく--場合によっては多額の借財の権限しかないかもしれず--いずれにしても置いただけではどちらの権限も当然には付与されないということが果たして適切かどうか,少なくとも今回の現代化の作業の中でしかるべき見直しをすることが可能であれば見直しをしてもよろしいのではないかということから,様々な点を考慮いたしまして,このような整理をさせていただくのはどうかということでお諮りさせていただくものでございます。   本文をお読みいただいたとおりでございますけれども,重要財産委員会を取締役会とは別の機関として法的に位置づけるということはせず,いわば取締役会で決め得る内部的な規律として,取締役会の決議要件の特則に係る制度として構成し,現行と同じように,重要財産の処分及び多額の借財という現行商法260条2項1号,2号に掲げる事項については,取締役会の構成メンバー全員ではなく,あらかじめ取締役会が選定した者--もちろん取締役ですけれども--のみが議決に加わることができるものとし,その過半数が出席し,その過半数をもって決するということで,取締役会の決定がされたものと同じ取扱いをするというものでございます。すなわち,ある種の事項について,取締役会の決議の要件についての特例を設けるという整理をさせていただくことはどうかということでございます。   その場合に実質として変わる点は,現行のように重要財産委員会が置かれたからといって必ずしも1号,2号の事項に係る決定権限が授与されているわけではない,ということではなくなり,特別な取締役の選定がされていれば,当該各事項については基本的にはもうそのような特別な取締役による取締役会が決定権限を有する--もちろん取締役会本体がそれを上書きすることができるということは現行の重要財産委員会を設置した場合と同じですけれども,デフォルトのルールとして1号,2号の事項に係る決定権限についての特例の規律が適用される--ことになるという点です。   2点目にお諮りすべき点は,②の要件のロについてでございます。   現在,重要財産委員会を設置するには取締役の数が10人以上でなければならないということになっておりますけれども,制度の利用が進まない理由の一つとして,その要件が重すぎるのではないかという指摘もないではないということでございます。他方,昨今,実際の取締役の人数自体が相当程度削減される傾向にあるとも伺っているところでございまして,現時点で多少なりとも制度の利用可能性を増すという方向で考えるとして,なおかつ,特例を設けるにふさわしい程度の取締役の人数がどの程度であるかということを考えた場合,この程度にまでその人数要件を引き下げてもよろしいかどうか,その点をお諮りしたいということでございます。   ③につきましては,重要財産委員会に係る監査役の出席義務について,従前御議論いただき確認していただいた内容を掲げているものでございまして,特に変更点はございません。   次は,第4の2の(4)についてでございます。   前回まで,定款の定めに基づかない自己株式の取得という項目として,正当な理由及び特別決議を要し,反対株主につき株式買取請求権を保障するということで御議論の整理をいただいていたところであったのですけれども,法制的な検討作業の中で,当局から,制度設計について具体的な厳しい注文がついたということでございます。結論において,この案のような形で整理せざるを得ないということでございますので,御了解いただきたいと思います。   どの点が変わったかといいますと,定款に何の定めもないまま,正当な理由があるというだけで特別決議によりそのようなことを行えることとしてよいのかということが基本的な問題意識ということでございまして,さらに,全部の株式がなくなるということが何となく不自然であるというような疑問もあるようですけれども,要するに,複数の種類の株式を発行するという株式会社において,まず,そのうちの1種類の株式について総会の特別決議により強制的にその全部を取得することができるという定款の定めをあらかじめ置くことができることとし,そのような定めを置くことに反対する株主については株式買取請求を認め,そのような定めを置いた会社においてはその定めに従い特別決議によって実際に会社が当該種類株式の全部取得をすることができ,価格等に不満のある株主については--これは株式買取請求ではないですけれども--その価格の決定の申立てを裁判所に対してすることができる,という制度設計にすべきであるという指摘を強く受けているところでございまして,そのような制度はもう不要であるということでなければ,このようにさせていただきたいということでございます。   第4の3の(2)の②--新株の株主割当ての際の失権株の取扱い--についてでございますけれども,要綱案としては原案を維持させていただきたいということでございます。譲渡制限会社か否かにかかわらず,失権株の再募集は基本的に認めないという整理をさせていただくということを御確認いただきたいと思います。   第4の5の(2)の①のイ--少数株主権に係る行使要件につき議決権基準のほかに株式数基準を併用するということとした場合における株式数基準に係る行使要件の算定に当たっての単元未満株の取扱い--についてでございますが,厳密に言えば,単元未満株主の権利の有無によって取扱いを異にするということが正確な処理であろうとは思いますけれども,余り大きな影響もないということであれば,条文経済上の効果を図りたいということもありまして,このままにさせていただければ有り難いということでございます。   (2)の②のイに,(注)として前回御指摘いただきました点を付加しております。①のイの(注)と同じ内容の(注)をつけ加えたということにとどまっております。   8の(2)についてですが,前回の部会資料33に掲げていた内容につきまして,その実質を正確に表現し直した上で掲げさせていただいているものでございます。内容については,前回御了解いただいたものと承知しているところでございます。   それから,次の星印がついた項目までの間において,前回の資料から二つの項目を削除しておりますので御報告いたします。   一つは,前回の部会資料32の第4の9の(6)として掲げられていた「授権株式数を増加する場合の取扱い」--新株予約権が発行されている場合において授権株式数を増加する際に特別な取扱いをするかどうかという論点--ですけれども,前回の御議論では,少なくとも今回その点だけをとらえて手当てをするのは適切ではないということでほぼ御意見がまとまったものと承知しておりますので,削除させていただいているところでございます。   もう一つは,前回の部会資料32の第6の6の(4)として掲げられていた「貸借対照表等の修正手続」です。定時総会終結後に計算書類の誤りが発見されたというような場合に,果たしてその修正手続というものをとり得るものなのかどうか,とり得るとした場合のその手続の内容いかんということについて,何らかの立法的な手当てを行うべきかどうかという論点だったのですけれども,実質としてそのような修正が可能であるということは前回御確認いただいたところでございまして,その上で,明文の規定を設けるかどうかにつきましては,規定を設けることによっていろいろな憶測を呼ぶおそれがあり,場合によっては実務上の支障が生ずるかもしれないという御指摘が複数の委員からあったところでございますので,実質については当部会において御了解がいただけたということを前提として,特に明文の規定は設けないということで整理をさせていただこうとするものでございます。   続きまして,第3部の第2の6の(1)の①--合同会社が行い得る組織再編行為--についてです。前回の部会資料32では,論理的に考えられるほぼすべてのものを掲げていたわけですけれども,あえて規定を設けるべきものは何かという選別をした結果,合同会社が当事者となる株式移転というものと,合同会社が完全子会社となる株式交換的な行為,これらについては格別手当てを要するものではないと思われますので,掲げてある組織再編行為の種類から削っているところでございます。株式移転に相当する行為については特に規定を設けることはせず,株式交換については合同会社が完全親会社となる場合のみを掲げるということにさせていただいているところでございます。   第3部の第5の1の(2)の①--それから②についても黒い星印をつけておいていただきたいと思いますが--(2)の①,②と(3)の①,これらについても前回と実質が変わっているところでございますので,お諮りしたいと思います。これも,当局における法制的な審査の中で,このように整理すべきであるという指示をいただいているところでございます。   従前,この(2)の①,②,それから(3)の①につきましては,このような会社の種類変更に当たっては債権者保護手続を要するものとするというように整理をしていたところでございます。しかしながら,例えば無限責任社員の退社,あるいは無限責任社員の責任の変更に当たっては,それ自体につき債権者保護手続がとられておらず,その場合の債権者保護は,当該社員の無限責任が2年間存続するということで賄われる,というのが現行法での整理でありまして,この会社の種類変更に係る三つの場面についても同様の整理をすべきであるという指示をいただいておるところでございます。したがいまして,この種類変更に当たって,もちろん従前の無限責任社員については2年間は無限責任社員としての責任が存続するということを前提に,債権者保護手続は要しないものとするという整理をすることになるということでございます。その当否について十分御議論をちょうだいしたいと思います。   本日,お諮りすべき項目の多くが,法制的な検討を踏まえて再度部会における御議論を賜った方がよろしかろうと思われるものでございます。いろいろと事務局として努力したところもあるのですけれども,このままでは必ずしも部会の意思を反映し切れないかもしれないということもありまして,あらかじめ修正すべき方向をお示しした上で御了解をいただければ幸いということで案の修正をさせていただいているところが幾つかあるということでございます。   事務局からは,以上でございます。 ● 今御説明いただきましたが,全体を通しまして何か御質問ありますでしょうか。もしなければ,個別の事項について御審議いただきますが。--よろしゅうございますか。   それでは,順次前の方から御審議いただきたいと思います。   まず最初は,第2部の第1の3の白い星印でありますけれども,これは,前回このような形で,法制的な面については柔軟性を持たせるということでありましたけれども,いかがでしょうか。これでよろしいでしょうか。 ● これだけ読みますと,以前の有限会社というものはこの会社法が施行された後も株式会社にはなれないのだというふうに読んでしまう方もおられるかもしれないのですけれども,それはそういうことではないわけですね。今まで議論があった中で,最終的にこうまとめる中で,これだけを読むと,現行の有限会社は会社法施行後も引き続き従前の規律が維持されるということで,何か株式会社にはもうなれないのだというふうに読めてしまうかもしれないので,何かそのあたりの表現ぶり,これで十分なのかどうか。   お任せいたしますけれども,ちょっとそういう危ぐを抱いたものですから。 ● 3に(注)をつけるような形にさせていただきたいと思います。例えば,会社法施行後は有限会社と既存の株式会社との合併ということはもうできませんので,いずれにしてもそのような整理をすることになりますが,有限会社と新しい会社との関係をどうするのか,少なくとも組織変更という形で新しい会社となることができるという道筋については要綱案の中で示した方が誤解がないと思われますので,その方向で表現ぶりを整理させていただきたいと思います。 ● 実質については,御出席の委員・幹事の方の間ではもちろん問題ないと思うのですけれども。 ● 決して問題がないというわけではないと思うのですが。 ● 御意見は承知しておるつもりです。   これは,ちょっと先行きを見ませんと,有限会社がどうなっていくのか,みんな株式会社になってしまうのかもしれないのですね。やってみないとよく分からないところでしてね。 ● 分からないけれども,どうせ意味はないというのか,同じことだという御判断でということでございますね。真意は当分の間ということでございますね。そうでもないのですか。 ● これは,何十万も残ってしまいますと,なかなか難しいのかもしれないのですが。うんと減りますと,おっしゃるように何らかの措置はとれるようになるのかもしれないですけどね。 ● 一国の法体系としては,かなり問題を感じさせる対応……。現実的にやむを得ないという御判断だとは思いますけれども,本当に有限会社に今なっていらっしゃる方々が,これだけは残したいと思うような項目だけを限定する形でそういう規律をずっと残しますよというようにして……。全く今の有限会社法そのままをいつまでも「六法」に載せなければならないような状況にするということは,やはり余り賢明ではないのではないか。今の有限会社法そのままを「六法」に残すということは,準用条文が何しろ多いものですから,従来の商法の規定も同じように六法に載せなければならなくなってしまいますので,そういうことのないような措置を講じ--実質的に従前の規律を維持するということを認めるということは,それは必要といいますか,やむを得ないことだと思うのですけれども,その具体的なやり方についてはお任せいたしますので--できるだけ,余り世界に向かっても恥ずかしくないような形態にしていただければと希望する次第です。 ● 経過措置については,今,当局との間で詰めの作業をしておりますが,○○委員のお考えを十分しんしゃくしつつ,頑張ってみたいと思います。   今,私どもが言えるのはここまででございますので,よろしくお願いいたします。 ● よろしゅうございますか,ほかにこの3につきましては……。   それでは,先に進ませていただきまして,第3の3の(6)のところでありますが,(注2)の下線部には「書面決議を認めないものとする。」とありますけれども,先ほど説明がありましたように,全員出席しての全員一致の決議でなくてもいいようにはすると。   先ほど三つありましたけれども,会計監査人の解任,会社に対する責任免除議案についての同意,それから株主代表訴訟への補助参加,これらは現行法の条文の書き方からしますと全員出席して全員の賛成が要るようですけれども,その点はそうでなくても,とにかく全員の同意があればいいという法文の書き方にする,しかしその点を除いては書面決議の形は認めない,そういうことにするという実質がありますけれども,この点につきまして,どうぞ御審議いただきたいと思います。   ○○委員,いかがですか。 ● 今の,三つの全会一致決議事項を同意事項にするという御説明で了解いたしたいと思うのですけれども,それはここの議事録に残るという整理で,要綱案にはのっかってこないのですね。 ● 載せても構いません。 ● 載せていただいた方が,議論の経緯がよく分かると思いますが。 ● ほかに,○○委員は。 ● 私も,そのことを確認させていただこうと思っただけですので……。 ● ○○委員,よろしいですか。 ● 書面決議を認めないで済むなら,その方が望ましいということで,今の全員同意の問題はそういうふうに処理するということであれば,実務的にも特段弊害はないだろうと思いますので……。   会議体の意思決定の方法を合理化することを考える場合に,やはり人数と開催頻度というのは相関関係だと思いますので,そういう意味では監査役会,それから各委員会については書面決議までは認めないという方向の方が望ましいというふうに思っております。 ● ○○委員,よろしゅうございますか。 ● 合議体にしたことの趣旨が失われる点では非常に残念な感じがしておりまして,前回申しましたが,本当は解釈でそういう場合には合議体に出席できなくても同意があれば足りるという監査役がいてもいいということで処理するのが一番望ましいとは考えていたのですが,法制的にやむを得ないということであれば,こういう形が次善の方法かと思います。 ● 私も,実質書面決議を認めないとするということでこういう形の整理の方が望ましいというように思いますので賛成なのですが,今,○○委員がおっしゃいましたように,全員一致ということだけが要件になりますと,会議体を開かないまま,個別に全員の同意を集めてもいいということが正面からはっきりしてしまうということにもなるわけでございますね。本当は,一番望ましいのは,会議体はした上で,やむことを得ない人たちだけは個別の同意で全員そろえるというのが一番望ましいのではないかと。   先回も議論のあったところですけれども,考えてみますとやむことを得ない場合には代理人を出すことは可能ですね。つまり,民法104条の類推適用のような形で。 ● 代理人を考えているのか……。○○委員がおっしゃったのは,恐らく会議は開いて,欠席者からは後から何か書面でも取り付けるというようなことではないかと思うのですけれども。代理人を正面から認めるというのも,これはまた……。 ● 書面に直接行く根拠がないものですから,いろいろ考えてみますと,民法の大原則からいって,結局やむことを得ない場合の代理人という格好では解釈的に持ってこられるのではないか。少なくとも何らかの格好で解釈で何とかならないのかなということをその後も考えてみたりしていたのですけれども。 ● 確かに,全員の同意といった場合には,法律上その部分だけを見ると監査役会の開催というのは必ずしも要求されていないということになりますけれども,いつもいつも,とにかく全部持ち回りで,どんな事態が起こっても会議を一切開かないというような場合は,むしろそのこと自体が善管注意義務違反という形になると思いますので,恐らく実務の方でもいつも持ち回りをしたいということではなくて,通常の場合は会議を開催するけれども,できない場合があるので,そこを法律上担保してくれという,そういう御趣旨だと○○委員は思われているのではないかなと……。 ● 御意。 ● ……と思いますので,余り形骸化ということばかりを御心配されなくても,そこは一定限度の義務というのはかかっているのではないかと思います。 ● そういう理解で納得いたしました。 ● よろしゅうございますか。--それでは,今のような点につきまして,ここは書き加えるということにさせていただきます。   それでは,先に進みまして3の(7)の②。   ここもかなり修正箇所は多いのですが,社外取締役だけではありませんので,「等」の語をつけるということと,それから後ほど御審議いただきます重要財産委員会に関して改正が提案されますので,それに関する部分。それからもう一つ,実質的には責任限度額を契約で定められるというものについて,現在は社外監査役はその対象ではないのですが,これも従来の審議の過程から,契約で責任限度額を定められる形に実質を変える。そういう3点だったかと思いますが,どの点でもどうぞ御意見いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。   実質の点は,ここに関しては社外監査役の点だけかと思いますが。 ● 社外監査役の件につきましては,考え方が分かれ得るところかと思いますけれども,先ほど御説明がありました会計参与,会計監査人との比較ということも踏まえて,今回実質改正に踏み切るという御説明に納得いたしましたのですが,この書き方だけですと,要綱案を読んだ方がちょっとびっくりされるのではないかと思いますので,この点を改正するつもりなのだということを,別に項目を立てて書いておいた方がいいのではないかと思いますが。 ● おっしゃるとおりですね,何か監査役のところに書く必要があるのじゃないかと思います。 ● 項目を立てさせていただきます。 ● それでは,この(7)②はよろしいでしょうか。--それでは,御承認いただいたものとさせていただきます。   次が,(9)の③でありますけれども,ロでありますが,これは前回,○○幹事からだったかと思いますが御指摘がありまして,いわゆる三角合併のように,親会社株式が合併に際して交付された場合についても同じように取り扱うのがよいのではないかというようなことだったと思いますが,これは御承認いただけますか。--よろしゅうございますか。ありがとうございます。 ● 同じところの③のイですけれども,文中の「完全親会社」,前にも確認したのですけれども,これはおじいちゃん会社でも「完全親会社」だと,だからここは「完全親会社等」と書いてない,そういう理解でよろしいですね。 ● そうです。 ● そういう理解のようです。 ● 趣旨はそのとおりでございます。要綱案についてはこのままにさせておいていただければ……。部会で御確認いただいたということで……。 ● それでは,実質は○○委員のおっしゃるとおりであります。   次が,その下のところで4の(1)の②の点でありますけれども,ここは,従来,株式譲渡制限会社の中から大会社を除くというような書き方だったようですが,これにつきまして,やはり中小会社でも会計監査人を置いた場合,それから監査役会を置く場合,これらの場合には監査役が当然業務監査権限を持っているということだろうということで整理をしたということですが,実質についてはこれでよろしいでしょうか。 ● 質問があるのですけれども。   この監査役会を,今の商法特例法上の大会社以外の会社が設置するときというのは,これは定款で決めておかなければ設置できないのですか。そういう理解でいいのですか。 ● はい。   よろしゅうございますか。--では,御承認いただいたものとさせていただきます。   次が,先ほど○○委員がおっしゃった7の(1)--重要財産委員会制度--であります。   現在は,取締役会によって置かれる機関という特別な扱いになっているところでありますが,不自然であるということで,取締役会の中の決議事項の特殊例という形にする。それから,実質的な点としては,現在はとにかく取締役会でそこにどういう権限を与えるかということは個別に決めていくという形になっているのを,260条2項1号,2号についてはそういう制度をとれば当然にそちらに権限が付与されるという形になる。だから,それを制限すると民法54条の問題ということになると。法制的には,そういう形になるのではないかと思いますが。   あと,重要な点としては,現在10人以上取締役が要るというところは,6人以上ということになる。   このような提案でありますが,いかがでしょうか。 ● これを拝見して,もともと取締役会の構成員の一部で重要事項を最終決定すると,そういう在り方について慎重であるべきではないかという気持ちが,私,しておりまして,重要財産委員会の制度についても同様な感想を持っているのですけれども,現行の重要財産委員会制度,これですと更に緩めるということになりますので,それについてはちょっと消極な意見があるのですけれどもね。   もともと昭和56年に商法260条2項を設けましたのは,いろいろな大企業で粉飾決算とかそういうのがあったというような反省を踏まえて,重要事項については取締役会で機関決定すべきものを明示して定めるという立法をしたというわけですけれども,その後バブル崩壊,あるいは不況のもとでも余り変わっていない状況があると思うのですね。最近でも,ワンマン経営の結果,上場廃止になったというようなケースもあるわけですから。そういう意味で,260条2項を設けた56年の改正の一つの理念というものを相当尊重しなければいけないのではないかなという気持ちを持っております。   それから,業務執行の決定をなるべく機動化して迅速化したいという経済界の要請というのは,私も非常によく分かる面はあるのですけれども,ただ現在,さっきも○○幹事などが御説明なさったように,現在の取締役会の人数を減らすとか,あるいは執行役員制度をとって監督と執行を分離する,それから意思決定と執行も分離するというような形をとって,取締役会による実質的な審議というものを確保しようという動きが,非常に顕著に上場企業を中心に広まっておりますので,そういう点から考えて,取締役の一部で重要事項の決定ができるという法制を更に簡易化するということになりますと,やはり取締役会の意思決定が一部の取締役によって行われる,もとの常務会が実質決定していたという状況を更に追認する結果になるのではないかというような懸念を持っておりまして,そういう意味で今回の御提案についてはちょっと慎重に御審議いただいた方がよろしいのではないかという気持ちがしております。   ほかにもいろいろあるのですが,またほかの委員の先生方の意見をお聞きしてから述べたいと思います。 ● 確認のような質問をさせていただきたいのですが。   先ほど,○○幹事からも○○委員からもありましたが,現行法との違いとしては監査役の出席義務を除きますと10人が6人になったことが最も大きいと思いますが,権限の移譲の仕方が現行法と少し異なるというか,現行法だと1号だけ認めて2号は認めないことができるけれども,この場合には原則全部移譲というか,こういう制度に変わるので,しかし内部的制限を設けることは否定はされないけれども……。ただ,これは現行法の解釈自体の問題なのでしょうが,登記に重要財産委員会の権限をきちんと書くようにはなっておりませんね。そうすると,現行法も同じことではないかというふうに私個人は思ったのです。   そして,そのこととの関連で,当然にこの特別の制度を取締役会で採用しても,登記事項にはするとか,現行法のその他の制度,例えばプチ取締役会を置き,取締役会できちんと報告するとか,これについても議事録が作成されるとか,それはもちろん現行法とその点は変わらないということかどうかを確認させていただきたい。そうすると,権限のこともそんなに変わるのかなと思ったのですが。 ● その辺は細かいところで,詰めが必要かと思いますね。 ● それは解釈論ですから。ともかく,後半の方だけちょっと確認させていただきたいと思うのですが。 ● 議事録については,重要財産委員会の議事録と言うか,取締役会の議事録と言うかの違いですので,実質については変わらないはずでございます。   それから,取締役会本体で上書きできるかどうかということも,実質的に変わらないはずです。   登記については,御指摘のように重要財産委員会を置いた場合に,何を授権しているのかということは登記されていないのですけれども,積極的に移さなければ権限が生じませんので,重要財産委員会が設置されているという登記がされただけでは,重要財産委員会が何か権限を持っているということを公示したことにならないのではないかと。そのこと自体が果たしていいかどうかということもあって,今回,置く以上はこういう権限があるということをきちんとすべきではないかという問題意識を持ったところでございます。 ● 分かりました。明確化という形で整理されるということなら理解できますし,そして登記事項であることは変わりないということですね。 ● もちろんそうです。 ● 社外取締役だけでなくて,本体の委員会と3人以上の人が……。商法特例法1条の5ですか。 ● はい,そうです。 ● 分かりました。ありがとうございました。 ● 御提案の部分は,例えば10名を6名にするとか,それから託す権限を固定的なものにするのか任意に利用できるようにするのかとか,そういう点も含まれていますけれども,それぞれの点についてもちろんそれぞれの議論があり得ると思うのですが,私自身が一つお伺いしたいのは,従来は重要財産委員会というものを設けて,そこに託すことができるという形で整理していた,常務会であれば原案を作るだけで取締役会に持ってこなくてはいけない,あるいは追認したことになるのに対してそういう問題がないものとしての重要財産委員会がつくられていた。それを,今回は決議要件の特則にするということですよね。そのこと自体の利害得失といいますか,どちらがいいのかということを考えましたときに,結局取締役会としては正規に招集されていて,そして議論をして,機動性も何もない,何があるかといったら定足数なんかが足りない場合に,少人数の方が来ていらっしゃるだけでもそこで簡易に決議ができる,これが一つ機動的に動ける理由だという説明は一つ成り立つかと思うのですが,定足数も満たされているのに,大勢の方が反対されたけれども核となる方だけが賛成したので,それで通るということだってあり得べしという制度に今度はなるわけでございますね,こういう書き方に変えますと。 ● 基本的には,重要財産委員会と取締役会の関係と同じであると思うのですけれども。重要財産委員会でも,一応重要財産委員会だけで決めることができる,しかしそれがまだ外部的に表現される前の段階では,取締役会においてその決議に反する,矛盾するような決議をしたら,それは後の取締役会決議の方が優先するという解釈が今とられていると思うのです。ですから,この取締役会についても,このプチ取締役会の方に仮に権限を委任していたとしても,本取締役会の方の権限そのものが奪われるわけではございませんので,その場でもし全員集まったら,それはわざわざそんなプチの方でやらなくてもみんなでやりましょうということで,そちらの方が優先すると考えるべきであろうと思いますので,そこら辺の御懸念は多分ないのではないかと思います。 ● その点がそういう形できちんと押さえられるということであれば,先ほど申し上げた懸念はなくていいのかもしれませんけれども,それにしても重要財産委員会を招集してというのではなくて,取締役会を招集するわけですね。それが実務に,前は使いにくかったけれども,今度改正されたらこの制度が大変使いやすくなったというような,歓迎されるような改正なのだろうかという疑問がまずあるのですけれども。 ● 多分,幾つかの問題点が複合的にこの重要財産委員会にはございまして,一つは重要財産委員会というネーミングが余り……,本当に名は体をあらわしているのか。先ほど,○○幹事から申し上げましたように,今は1号及び2号に掲げる事項の決定を委任することが「できる」と書いてあって,「しなければならない」わけではないので,もしかしたら重要財産の処分の決定権がないかもしれないというような,そしてしかもそれが登記されているわけではないので,現実に重要財産委員会の決議があったとして議事録などを持ってこられたとしても,本当にまずその前提となる取締役会の委任の議事録まで持ってこないと,本当に権限があるかどうか確認できないのではないかとか,そのような法的な面でのいろいろな不安定さというものを,もう少し何とかできないのかということが法制的に言われておりまして……。   もう一つは,今までは,機関というものについては定款自治でできる部分もありましたが,多くの場合には,例えば大会社だったら監査役会を置かなければいけないとか,そのような,また株式会社だったら取締役会を置かなければいけないとか,定款自治ではない部分の方がむしろ多かった。ところが,今回,すべての機関が定款自治になってしまったわけですね。例えば,執行役とか代表取締役とかいうのも,確かにそれ自体は総会決議や定款で決めるわけではありませんが,委員会を設置するという定款の定めをつくったら必ず執行役が置かれ,又は委員会設置会社以外の取締役会設置会社だったら必ず代表取締役が置かれるという意味では,すべての機関の設置はやはり定款によって決められると言っていいのですね。ところが,その中で重要財産委員会という機関だけが,何か取締役会がやろうと言えばやれるいうことが,やはり法制的に見て非常に不都合である,何とかその法律構成を変えられないかという要望がございまして,そういったことをるる工夫していった過程の上に今この原案があると。決して中身を大幅に変えたいというようなことではないということです。   あと,先ほど○○委員の方から……。確かに,取締役会を開くべきだという56年改正の趣旨というのも重々分かるのですが,それは平成14年改正において,開かなくてもいいよという,この重要財産委員会制度ができたときに一定限度の修正がされた。その修正について,今回実質上さらに何が変わったかというと,一つはちゃんと重要財産委員会というものを設ける以上はそういった権限があるものとして設けなさいという,いわば規制強化的な側面があるのですけれども,もう一方は10人を6人にしたというところですね。   では,取締役の人数要件の10人を6人にしたから,何か実質的な弊害があるのかというと,今まででも結局10人以上の取締役がいる会社では,そのような重要財産委員会を設けるということはできていたわけで,それが設けられることが可能な範囲が6人の会社まで広がるということを意味しているのであって,もし本当に重要財産委員会に権限を移譲することそのものが問題であるというのであれば,むしろ権限の範囲を絞るとか,場面を絞るとかいう方向でいくべきものであって,10人を6人にすることと取締役会を重視する風潮が損なわれるというか,そういったようなこととは必ずしもリンクしていないのではないかというふうに考えまして,とりあえず6という数字を考えてみたと。   6という数字ですが,重要財産委員会が3人によって構成される場合に,5人の取締役ですと過半数が3人ですから,取締役会が開けるではないかと,2人欠席しても過半数がいますので。しかし,6人の取締役だと過半数は4人ですので,3人では開けない。そうすると,3人で開くことができる意味というものを考えるとすれば,6人以上だったら3人という特例を設ける意味があるというぐらいの意味しかないということですが,もともと10人という数も当時の取締役の平均的な設置人数というところから入ったところですので,そこら辺の一つの意味ある数字というのが6ではないか,ということで割り出した数字でございます。 ● ○○委員の質問に関連するかもしれませんけれども,取締役会での決議であることは変わらないわけですね。そうしますと,取締役会の定足数というものと,この特別な決議をする場合の取締役会の定足数というものは,変わるという……。結局,同じ取締役会といっても,定足数が違う取締役会があるという,そういう整理でこれが成り立っているということですね。 ● 確認させていただきたいのですけれども。遅れて来て,説明を聞いてなくて質問して申し訳ないのですが,ちょっと聞いてみたら,余りその点はなかったみたいなものですから。   これは,手続その他については,普通の取締役会と全く同じように招集するということを考えておられるのでしょうか。つまり,議決に加わることができない人にも招集通知を出すのでしょうか。そして,その人が集まって,取締役会だけど議決には加わらない,集まりたかったらオブザーバーとして来てもいいというつくりになっているのでしょうか。   そして,もしこれがノーであれば,3人だけで集まれば重要財産委員会と非常に似てくるのですけれども,もしこれがオブザーバーとしてはいつでも参加できる,招集通知も来るということであれば,その場でたまたま全員来ちゃったから,やはりこれは取締役会にするぞと,その場で皆が言えば,それはその場で取締役会に変わってしまって,ミニではない方でなされる。たまたま取締役会の定足数を満たす人間が集まってしまうと,どちらでやるかというのはその場次第,そういう整理になりますのでしょうか。 ● まず,招集通知関係に関していえば,当然議決を持っている取締役についてのみ行われるということになりますので,それは今の重要財産委員会と実質は異ならないということになります。   あと,ではそういう形で招集された取締役会に他の取締役がオブザーバーとして参加できるのか--議決権はありませんので--ということについては,積極的に出席義務を負わないという規定を置くべきだと思っておりますけれども,ではそのような他の取締役が出席しようとしたときにそれを追い出せるかというと,別に追い出さなくてもいいのではなかろうかというふうにも思うのですが,それは重要財産委員会のときに他の取締役が来たときには排除できるということまでは書いていないですけれども,多分メンバーではないから排除されていたのかなという,そこら辺は一体解釈上どうなっていたかよく分かりませんが,少なくとも今の構成でいえば,出席したい人を拒否するというわけではないというふうになっていると思います。 ● そうすると,決議要件と定足数の単なる特則ではない要素があるかどうかを,もうちょっとここを明確に書いていただかないと,私が言ったような疑問が当然出てきてしまうと思いますし,今のお答えだと,どうも単に決議要件を変えただけではない要素があるのかもしれないですね。   オブザーバーとして出て,その人たちがたとえ事実上取締役全員全員いたとしても,これは取締役会になれない。決議要件であれば,それはその場で変えられてもおかしくないはずだと思うのですね。だから,そのあたりは何を変えているかというのをもう少し明確にしていただければ……。   内容がけしからんということを必ずしも考えているわけではないのですけれども,ちょっと混乱しますものですから。 ● 伺っている限りでは,どうも手続的なことは重要財産委員会と変わらないと。重要財産委員会をあえてやめたのは,やはり定款でない決め方をするというのが嫌だという,そういう形式的な理由のようで,重要財産委員会と実質が変わるのは人数の点と,それから先ほどの権限の法定の点,恐らくその点だけなのだろうと思います。そういう前提で御議論いただければと思います。   技術的な点は,確かにおっしゃるように文言上の問題点はあると思いますが,実質はどうも,この案はそういうことのようです。 ● そうすると,取締役会の一環だということになると,書面決議も可能ということになりますね。当然,取締役会については書面決議が可能だと。それで,業務監査権限を有する監査役が同意して,例えば3人なら3人の取締役の全員が同意したというときには,書面決議を行うこともできるということになりますね。 ● 恐らくそうです。 ● もう1点ですが,さっきのお話ですと,これは登記事項になるのですね。   どういう登記に……。 ● その点はそうですね。こういう特別な決議要件をとられると,そのこと自体は決議要件になる。 ● 指名された取締役の氏名を,取締役の登記とは別途登記する,そういうことですか。 ● はい。 ● 先ほど,私が決議的なことを聞きましたのもそういう趣旨で,私個人は重要財産委員会という名称が適当であるかどうかは別としても,重要財産委員会という形で取締役会の下部委員会という形で権限を移譲するという構成の方が分かりやすいのではないかと,個人的には思ったのですが,先ほどの説明を聞きますと,従来の一般的な見解だと2号だけ権限授与して,1号を権限授与しないことも十分認められると。それは対内的な問題というよりは,そういう権限のものとして認められると。   私は,登記に特別にそういう制限かけずに,そういう解釈が本当にいいのかは疑問がありまして,私はこの案のような形の内部的制限にすぎないとこれまで解釈しておりましたが,解釈論をここでああだこうだ言うつもりはありませんが,少なくともそういうことを明確にされることは合理性があると思いますけれども,それはネーミングを変えなくてもいいこと,つまり二つを絶対に必要だとなれば,ネーミングを変える必要はなくなると,こういうことでネーミングを変える要請の最も重要な点が権限の問題ではないとすると,やはり先ほどから言われているように,取締役会限りでやれるかどうか。   しかしこれは,取締役会の権限の範囲内で適宜やることで,そしてそれを,基本的に報告事項としてであれ,取締役会が監督するスキームになるから取締役会限りですると,しかし極めて重要なことだから,登記義務を課していると。それは,別にそれなりの正当性あると思いますけれども,我々と違う権限のある当局がいろいろ言われるのでこういうことになったというなら,まあ仕方がないかなという程度のものとして……。したがって,私は,先ほどは基本的にこれは重要財産委員会と一緒であって,現行の重要財産委員会と違うのは--私の解釈でなく一般の解釈だと--この②のロと③,これを今回やろうとしているだけで,あとはすべからくネーミングの問題だと,こういうふうに理解する。そして,そのような場合に,今,○○幹事から言われたようないろいろな問題点,更には書面決議が認められるとすると,3か月に1回の要件がここで出てきて書くのかとか,そういう嫌ないろいろな問題がありますが,そこら辺はいろいろ技術的に専門家の方と御協議いただいて,過不足のない規定にしていただけるなら,まあそれでいいのかなという,そういう前提でおったのですが。   ただ,余り変えることに積極的に賛成はしないけれども,最終段階でやむを得ないならばあえて強い反対はしないという,そういう感じでおります。 ● ○○委員,○○委員,いかがでしょうか。当事者は大企業のようですが。 ● 重要財産委員会なるものは,社外取締役の設置強制が議論されている中で,社外取締役がいる会社についての自由度を高めようという政策的配慮のみでつくられたものでありますから,実際にそれを使用している会社はまだ2社にすぎないという状況でありまして,私どもは別にこんなものがあろうがなかろうが,全く興味のない制度でありますので,意見はありません。 ● 6人の点について,私も別に今のような御意見のあるときに,10人をわざわざ6人にする必要があるかなという気がしますが,10人,絶対的にこれでなければいかんということではなくて,一応ある程度のその当時の状況から10人としたら,その当時よりも少し人数が少なくなったら少しぐらい下げてもいいのではないかと言われても,別に8ぐらいでもいいし,8,6,5というのがあって,それこそ先ほどの算数が出てきたのでしょうが,やはり少なくするメリットとして言えば,例えば10人,これは1人社外を出せば重要財産委員会ができると,しかし8人ぐらいの取締役の中で,例えば極端な話,2人ぐらいは社外取締役を招聘して,監査役設置会社での社外取締役の機能を享受したいと思う会社があっても悪くない。しかし,それについてはやはり3か月に1回ぐらいの取締役会でなければ出席できないと。そこで,重要財産委員会があることによってそのようなことができるかどうか,実務的によく分かりませんが,例えば重要財産委員会があれば,そこは頻繁に起こるし,3か月に1回をベースに定例をやれば,その会社はいいと思われると,そういう例を想定すると,10に是が非でもとこだわる必要はないということで,10を引く場合にはまず半分の5というのがすぐ出るのですが,5ではちょっと少な過ぎるかとなると,あとは目の子算ということで,8か6ぐらいならけんかすることもないわなということで,私,この6については積極的に賛成するわけではないですが,そういう実務の需要がないわけではないと言われたときに,10を少しぐらい減らしても悪くはないかなと。   ただ,この基本的前提が間違っていたら別ですけれども,そういうことで先ほどの話で,まあこの要件と③については,現行制度の合理化と理解できるかと。ネーミングについてはちょっとまた別問題ですが。というふうに,②のロと③については合理的なのかなという感じ,少なくとも③については合理的だし,②のロについてはそれなりの御判断と理解していいのかなというふうに感じております。 ● どうも6人にするという方の積極的な御意見は余りないのですね。先ほどの○○委員の御意見を聞いても。   これは,当局が言っているわけではないのですね。 ● 現在,重要財産委員会というものを採用している会社は,何百万社という会社の中で2社という状態にとどまっていると聞いておりまして,頑張っていろいろ検討した割には最後に2社かというのは,ちょっとさすがに我々としても危機感を持たざるを得ない。もう少し使いやすい制度にするにはどうしたらいいかという,いろいろな方策の中の一つが6であって,別に下げること自体を問題にしているということではないのですね。   先ほどの,重要財産委員会ということを決議要件の特則に変えるとして何が変わるのかという話で,実質はほとんど変わらないわけですけれども,ただどうも重要財産委員会を採用している会社にいろいろとお話を聞いてみますと,これを置くに当たっては重要財産委員会というのは一体どんなものなのかという勉強もしなければいけないし,重要財産委員会規程というものを取締役会規程とは別につくって,それなりに事務方としてはいろいろな作業をしていると,そういった同じことをやるならなるべくそういった何か事務的なハードルも下げてあげた方がいいのではないかというような意見も内部であり,取締役会の決議要件の緩和という形であるならば,そういう○○規程みたいなものよりはもっと分かりやすくなるのではないかとか,そういうものをつくらなくてもいいのではないかとか,そういう話もありました。いろいろな諸要素を勘案して,今の案ができ上がっていると。   一番大きいのは,やはり,まずは法制的に,重要財産委員会という名前は--けしからんというわけでもないのですけれども--ちょっとよくないという御指摘がきっかけになって,いろいろ私どもに宿題が投げかけられてこの案にまとまっているので,できればこの案にさせていただきたいなと。これが絶対的な理由でこうなりましたということまで申し上げるつもりはございませんが,もう事ここに至っては何とかこの案でまとめていただければ幸いですというのが率直な思いでございます。 ● 権限の明確化につきましては,○○委員から賛成だと,自分は解釈論としてそう思ったいたという御意見がありましたのですが。 ● 私も,権限の明確化について特に異論があるわけでもございませんし,10から6に変えるかどうかということも,一つの政策判断ということで,そのこと自体,必要かどうかとは思いますけれども,特におかしいとかそういう話ではないのですけれども,やはりこの決議要件の特則というものが,かつてなかった話ですよね,こういうものというのは。それで,先ほどからも不思議に思っていろいろお伺いしていましたところ,○○幹事の御質問によってようやく私もお考えの姿がやっと分かったというようなことで,御質問していただいたやりとりのおかげで感謝しているのですが。   まず,招集通知を一部の者にしか出さない取締役会ということ自体,何かやはりおかしいのではないでしょうか。会議体を開くのに,一部の者だけにしか招集通知をそもそも出さないのだとしたら,それはやはり別の会議体なのではないでしょうか。やはり下部委員会なのではないでしょうか。取締役会自身であって,同じ取締役会なのに一部の者にだけ招集通知を出して,ほかの者はたまたま聞き及んで来た場合にはオブザーバー参加……,まさか,出ていけというわけにもいかんでしょうと。出ていけと言わない場合に,先ほどオーバーライトできるという話だったのですが,議決権の行使はどうなるのですか。いらっしゃった以上,でもオブザーバー的な形でいらっしゃったから出ていけと言わなくて,そういう方が非常に多くて,その数名の方--重要財産に係る権限を与えられている方々--の意見とは違う決議ができてしまったときの処置等を考えますと,そういう法律効果があり得るのに招集通知を正式には出さないということでいいのか。   ともかく私は,法律的にはつじつまの合わない話になるのではないかというふうに思うのです。やはり下部委員会だと思う……。 ● 権限をもう取締役会は与えてしまっているわけですからね。それはちょっと,整理がどうなるか分かりませんが,絶対にあり得ない制度ではないと思うのです。 ● 先ほど,○○委員が言われましたように,どっちでもいいなと思うのですが,ただせっかくやっと覚えた重要財産委員会がなくなって,今度は決議要件が2種類あってと。そこまでして,これを残さなければ……。どっちみち今のままで残せないなら,やめてしまった方がより簡単ではないかと。 ● 質問があるのです。   先ほど,この重要財産委員会についても書面決議がいいという,こういうお話だったのですけれども,そもそも書面決議を取締役会について認めたのであれば,重要財産委員会の存在意義というのは非常に下がっているのではないかという気がするのですけれども,このあたりどういうふうに整理されているのでしょうか。 ● もちろん,書面決議というものが活用されれば,それだけ重要財産委員会をやる必要性というのが減ることは間違いないと思いますが,この場でも今まで恐らく議論が出ているように,書面決議ができるからといってとにかく書面決議をやっていればいいという話ではなくて,やはり取締役たちが集まって何らかの議論をし合って,その結論を導くという姿もやはり一つの理想の姿としてはあるわけですね。そうすると,重要財産委員会は正にそういうことが,例えば社外取締役が多くてできない,取締役会をなかなか頻繁に開催することができないという中で,常勤の取締役の人たちが集まって議論をし合ってやる場として残してあげるというのも,一つの選択かなというふうには思うのですけれども。   あと,でも要らないのだということなら,もう要らないということで削除するということでもいいのかもしれないのですが,ただ現に2社が採用しているということは,その2社はきっと要ると思ってやっているので,そこら辺は○○委員なり○○委員の方はいかがお考えなのかなと,ちょっとお聞きしたい気持ちはあるのですけれども。 ● 今やっている2社には,やめろとは言えないでしょうね。何か経過措置をそれこそ設けざるを得ないでしょうけれども。 ● かえって議論を混乱させることになるかもしれないのですけれども,先ほど○○委員,○○委員から,経済界では要らないというお話ですよね,なくてもよろしいという御見解を伺いますと,一つの案として,そもそも重要財産委員会という会議体という概念はやめて,この御提案をさっと読むとこういうふうに考えたのですが。   要するに,緊急避難的な決議事項であるという位置づけにしてはどうか,つまり招集通知は普通どおり取締役全員に発送する,要するに取締役会は招集するのを前提とするのだけれども,ただ急に重要財産の処分,借財等についてみんなが集まれない,定足数を満たせない可能性がある場合については,あらかじめ定めておいた3人の人が出てきていれば,それで決議は有効に成立するのだと。そういう位置づけにするということもあり得るのではないかと思うのですが,それではだめなのでしょうか。 ● 恐らく○○委員とは対立する考え方……。権限明確化が必要であると,そういう暫定的云々なんていうのは困ると。 ● 要するに,これは社外取締役がいるということが前提なんですね,この制度を合理化しようと思うと。社外取締役の責任を軽減するというか,有為な人をできるだけ多く招聘するためには,裏側の責任を緩和する必要がある。そうすると,3人なり4人の現在の重要財産委員会のメンバーは意思決定者としての善管注意義務を負うと。これに対して,他の,メンバー以外の取締役会の構成メンバーは,その報告を聞いて,少なくともチェックをすればよいと。そういうことで,どう違うのだと言われたら言葉に詰まりますが,少しは違うのだろうということで,社外取締役を登用して,健全性なり何なりをよくするようにしたいというのが10人以下の場合でもいいではないですかというような意見があれば,それが本当の実体なら6人にすることを反対しないと言ったのはそういう趣旨なんです。したがって,やはりこれはこの制度のもとでの10人とか15人の取締役のときに,3人なり5人の人たちに1号と2号の決定権限は移譲しますという制度なんです。ただそういう制度は,私は先ほど言いましたようにおかしいと思わないけれども,おかしいという人がおるなら,それならそれに従うけれども,現在のこの制度と同様な制度としてきちんと法文上整理してくださいよと,これが最初の私の質問だったわけです。   そういう形でできたら,そうしたら招集通知は3人なら3人の人にしか出さないわけです。3人の人にしか出さないのに,事実上取締役が集まった場合に,全員の取締役が来たら全員出席取締役会ですが,過半数の定足数だけ集まった場合には,招集手続がありませんので,正規の大取締役会にはなり得ないわけです。たまたま全員が出席したら別ですよ。そういう形で大きい取締役会とプチ取締役会の権限関係は整理できるのだろうと,こういうふうに思ったのですが。 ● どうも今までの議論を伺っておりますと,実質的な改正点2点,つまり6人にする,これはもう余り積極的な支持はない。権限の明確化,これは賛成だという御意見がある。けれども,法制的にこういう取締役会の中の特別定足数みたいな書き方をするという権限ある当局が言っているものについては,反対が非常に多い。それから,重要財産委員会そのものは要らないという御意見も,経済界を始めとして,今の制度を変えるぐらいならやめた方がいいとおっしゃる方もおられるということでありますと,どうもこの案のとおりに整理するというのは,ちょっとこの雰囲気としては難しいようですね。   これ,やめてしまって,それで今やっている2社は……。そこから奪うわけにはちょっといかんでしょう。 ● 2社が使っているので,やめてしまえとは決して言っているわけではなくて,重要財産委員会を小取締役会であるとかプチ取締役会であるとか特別取締役会的なものにするのか,10名を6名にするのか,経済界からは何らそういうことについての関心はないということを申し上げているわけで。私の方から要求したのは,監査役全員の出席義務についてこれは過剰であろうと,これだけは何とかしていただきたい。あとはもう法制的につじつまが合うように何とでもしてくれと,こういうことです。 ● 今のは,どうも積極的な賛成案のようになりますけれどもね。 ● 先ほどからの御意見は,非常に消極的な御意見が多かったわけですけれども,私自身はそれとはちょっと違う考えを持っています。   まず一つは,せっかく導入したこの重要財産委員会というものをこの時点でもうやめてしまえというだけの状況にもまだなってないし,今あえてこの段階でそれだけのことをする必要があるかというと,ないと思いますし,むしろ平成14年改正でガバナンスを少しでもよくしていこうという中で,さっき○○委員もおっしゃいましたように,委員会等設置会社だけではなくて,監査役設置会社についても少しでもガバナンスをよくしていきたいということで社外取締役を設けた会社については,機動性を高めるということを考えてはどうかということでこの制度が入ったのだと思うのです。14年改正で入ってまだそんなに時間も経っていないわけでありますし,○○関係官がおっしゃいましたようないろいろな問題があって,あるいは名前自身に抵抗があってなかなか採用しないということもあるようですし,こういう形での改正を行って,重要財産委員会が少しでもより使われるようになるのであれば,私はそれの方が望ましいと思っております。   確かに,法制的に細かい詰めが必要なことはおっしゃるとおりですけれども,実質を従来の重要財産委員会とそれほど変わらないものとして,むしろ登記等の関係で権限関係をもっとはっきりさせた上で,かつ会社としてより受け入れやすい,あるいは法制的にも受け入れられやすい形でこの制度が続いていって,将来的に監査役設置会社の中でも社外取締役等をより活用して,ガバナンスの強化を図る会社がこういったものをお使いになっていくということそのものは,私は望ましいことだと思っておりまして,取締役の数が10名以上という点が一つのネックになっているというのであれば,問題のない範囲でそれを減らすということもあっていいと思っておりますし,それから確かに理屈としては取締役会のもとでの委員会とする方が,私も学問的な整理としてはすっきりしているとは思うのですけれども,では今度みなし取締役会--これはいわばみなし取締役会を作るということですから--それが法制的に許されないことかというと,私はそうではないと思っていまして,この方が法制的な整理として当局がやりやすいということであれば,私はそのような形でやっていただいた方がいいのではないかと思っております。 ● 今,○○委員がおっしゃったように,現在の重要財産委員会と実質は変わらないという御提案であれば,私もそれはそれなりに分かるのですけれども,先ほど○○関係官が御指摘になられましたように,重要財産委員会というのはやはり少ない人数でも集まって議論することが望ましいということに根拠があるのであれば,先ほどおっしゃっていたような書面決議を重要財産委員会について認めるというのは,やはりどうも理論的に--理論的と言うとちょっと語弊があるのですけれども--その趣旨に反して,かつ今までの従来の重要財産委員会とは実質的に違ったものになるのではないかという,そういう懸念を感ずるのですけれども。 ● その点も一つ,新たに今回出てきた問題ですけれども,実質的な点ですね。その点は,先ほどの監査役会等に書面決議を認めないということにしたように,恐らく権限ある当局も何も言わないのではないかと思いますけれども。 ● 私も,今の○○幹事のおっしゃったように,書面決議については,今○○委員がまとめられましたけれども,委員会等設置会社の委員会には認めないという方向になったわけですけれども,実質が取締役会内委員会ということであれば,委員会等設置会社の委員会と実質は同じという面もありますので,それと横並びにした方が,実質的に会議を開いて審議するという重要性のある会議だということがクローズアップされるということになるかと思うのです。   それともう一つ,いろいろなことを申し上げて恐縮ですが,さっきの権限の問題で,これが例えば6人以上の取締役がいる会社で,相当多用されるようになってくるということになってきますと,重要財産委員会の現行の特例法の解釈として--○○委員の御解釈ももちろんあるのですが--実務レベルですと,重要財産の処分の中の幾ら以上は取締役会でやらなければいけないけれども,幾ら以下は重要財産委員会でもいいというようなランクづけをしたいという考え方としている会社もありますし,あるいは多額の借財についても同様ということですから,もし多用されるようになってくると,その辺の柔軟性というものがないと,また利用されないという可能性もあるのではないかと,実務レベルから見るとちょっと感じるのですね。ですから,こういうふうに権限を固定すると,その方が明確性があってよろしいという考え方はもちろんそのとおりだと思うのですけれども,実務の観点からはその辺の柔軟性がある程度あった方が,使いやすいというか,夢があるのではないかと。   実務レベルからいうと,仮に現行の重要財産委員会と違う形でこういうふうにしても,例えば3人の委員が指名されたときに,ではその招集手続をどうするか,あるいは議長がだれになるか,あるいは取締役会議事録というタイトルで作るのか,ほかのタイトルの議事録として区別するのか,そういうことで内部規程をまた整備するという煩わしさというものが当然出てくると思うのですね。ですから,その辺はそれほど大きな相違は出ないのではないかという感想を持っています。   さらに,6人,10人という問題ですけれども,日本では取締役の数が多いということで,14年のときにその辺も一つの前提になって重要財産委員会が出てきたという経過もあると思うのですね。なぜ10人になったかということについては,いろいろ御解説もありますけれども,取締役の最低員数が3人であると,その最低員数の3倍を超える取締役がいるときには,その一部の取締役で重要事項を決定するという余地を認めていいだろうと,そのかわり監督機関として社外取締役を置く,という議論の経過があったと思いますので,現在取締役は確かに減少するという傾向にありますけれども,10人,要するに3人の3倍プラス1という10人という要件を変えるほどの取締役の員数の変化というのが,この2年ぐらいであったかということを考えますと,やはり大勢の取締役がいるからこそ一部の取締役で決議ができるようにしたい,それによって機動性を高めたいという需要というのは14年改正のときと本当に変わっているのだろうか,むしろ6人か7人であれば実質的な審議もできるし機動的に取締役会も開けるということで,それが一つの重要財産委員会を導入する必要がないという一因になっているという面もあるかと思いますので,6人というものを積極的に支持するという御意見が余りないという今のおまとめがありましたけれども,10人を変える根拠も果たしてあるかということをちょっと私感じておりますので,その点だけちょっと……。 ● 1点だけ確認したいのですが。   今,もうちょっと権限の点で柔軟性が必要だとおっしゃったのは,もちろん取締役会で,内部的制限として幾ら幾ら以上のものは取締役会にかけると,こういうことを決めることはもちろん可能だと思うのですが,どうも今の制度だとそれを登記事項にはしない限りは内部的制約にとどまって,善意の第三者には対抗できないと,そういうことになってしまうのですが,それが困るということですか,おっしゃる御趣旨は。それを登記事項にすれば,恐らく善意の第三者に対抗という問題は出てこないのですが。 ● こういう議論がいいか悪いか分かりませんが,登記事項も万全完璧というわけにはいかないと思いますので。   ですから,重要財産委員会の議事録を見ただけでは,本当に委任されているかどうか分からないというのは確かにそのとおりなのですけれども,ただ重要財産委員会の議事録を徴求したと,それでその決議が権限の範囲であろうと信頼したということで,ほぼいわゆる善意無過失という点は把握できると思いますので,登記事項をそこまで厳密にしなくても,現状でもそれほど実務レベルでの取引には影響ないのではないかというふうに私は見ていますけれども。 ● ちょっと休憩を挟んで,また休憩後御議論いただきたいと思います。   それでは,休憩したいと思います。             (休     憩) ● 再開いたしたいと思います。   この問題につきましては,本来機関のところ,ガバナンスの問題はいじらないという前提だったのですが,やはり権限ある当局が今のままでは残せないとおっしゃるので,そこから議論が始まっているわけですけれども。ですから,もしこの重要財産委員会的な制度を残すとしたら,もうそれはこういう取締役会の中の特別な決議要件という形でしか残す余地はないわけです。そういうことならば,もうやめてしまえという御意見も先ほどありました。しかし,やはりこの制度はガバナンスをよくする制度として導入されたので,やはり残すべきだという御意見もありました。残すとしたら,先ほど言いましたようにこの形しかないというふうにお考えください。しかし,この制度をなくすという選択肢は,これはあり得るようです。それをどうするかということですが,まずここから……。   あと,6人をどうするかとか,それから書面決議を認めるのかとか,これは御審議いただく余地がある問題であります。   そこで,いかがいたしましょうか。 ● 質問ですけれども。   当局の方からの御主張だということですけれども,そのおっしゃっているところの会社の機関というものは法律又は定款に根拠のあるものでなければならないという,そういうように判断される理由とかいうのは,どのようにおっしゃっていらっしゃるのでしょうか。 ● それは,正に今回の改正が,機関構成について定款自治を最大限に認めていくということから,すべての機関が基本的には定款で置けるようになっており,特定の,例えば大会社については置かなければいけないというような一定の規制はかかっているものの,すべての機関が定款に書くということを前提にしているということでやってきたということが一つです。ですから,それの例外になってしまっているということでございますし,大変申し訳ないのですけれども,ここの点についてはかなりいろいろと折衝等を通じまして,先ほど○○委員がまとめていただいたとおり,もともとの案で残すということが非常に困難な状況に今陥っていることを前提にしていただきたいと思います。 ● 先ほど,やめるという選択肢があるのではないでしょうかと申し上げましたけれども,それは経済界の意見というより,学生に教える立場としては,元こういうものがあって,それがだめになって,それでこうなってという,そういう複雑な制度を作るより,もう少しシンプリファイできないかということで……。ただ経済界の中でやっている2社は結構だと,こう言うし,あれは便利だからやってもいいかなという会社もありますし,ですから経済界がそろってあれは要らんと言っているわけではなくて,大勢としては余りだれも興味がないと。 ● ここで決をとるわけではありませんが,ある程度の方がこれを残すべきだという御意見でしたら,残さざるを得ないと思うのですね。そういう性格のものだと思います。 ● ちょっと確認させてください。   先ほどからの,権限ある当局からの要請の話なのですけれども,要請の何をやっていれば満たされるかなのですけれども,次の点は書けると理解してよろしいのですね。つまり,招集通知は指名された人にしか送らない,議決権としてはその人しか行使できない,したがって,実質的な機関と完全に同じことを,明文ではっきり「機関」という言葉は使わないけれども,はっきり書ける。「決議要件」というような漠然とした書き方なものですから,決議要件だけだったらその場にいる取締役が取締役会として開いたら,それは行使できるというような解釈は当然されてしまう可能性もありますので,そこをはっきり書ける……。   つまり,実質的には機関と近いことがそうではない方法で書けるということは,これは間違いないわけですね。それが前提なら,先ほど疑問は示したのですが,残してはいかんという趣旨で言っているのではなくて,それは残すこともあり得るとは思います。 ● 実質はおっしゃるとおりです。○○委員を始めとして,ある程度の方はやはり残すべきだと。   ですから,その法律構成に納得がいかない方もおありでしょうが,残すということでよろしいでしょうか。   そうしますと,あと一つの権限の明確化については,これはおおむね賛成の方が多いというふうに理解してよろしいですね。   そうしますと,次に6人ですが,これは別に権限ある当局が言っているわけでも何でもなくて,ただこうすれば使い勝手がよくなるのではないかという考えですが,この点はいかがでしょうか。 ● 今の段階で変える必要はないという方です。 ● 本当は減らした方がいいとは思っています。 ● できれば,できるだけ,お任せしますと言わないで積極的な御意見を言っていただいた方が有り難いのですけれども。 ● 原案に賛成です。 ● 少しでも使い勝手がよくなるということで,減らす点にも賛成ということでよろしいですか。 ● 社外取締役であることの条件がとれれば,もっとよろしいかとも思いますが。 ● それはちょっと……。人数の話とはちょっと比較できない重要問題が含まれておりまして……。   では,これも6人に減らすということ……。   よろしいですか,○○委員。○○委員と○○委員は,ちょっと首をかしげておられるのではないですか。 ● 6,7人ですと,機動的な開催ということも可能な範囲だというように思いますけれども,さっき申し上げたように10人を変えるというバックグラウンドが果たして変わったかという疑問を持っているのですけれども。   事務局がいろいろ御苦労されているようですし,これ以上は私も反対を述べるということはちょっと差し控えて,お任せいたします。 ● どっちが原案になるのですかね,こういう場合は。事務局原案は6人ですが,もともと10人なわけですから,積極的にどっちも……。両方の意見があって,それでお任せしますという方もおられるという状況ではどうすべきなのかですが。   事務局は,やはり6人。 ● 現在,2社という状況を少しでも改善できるきっかけになればいいかなということで,いろいろと折衝して,6あたりだったら特段の支障はないのではないかということで一応原案として提示させていただいておりますので,今回の改正により少しでも使われるような方向でやっていただくために,何とか6の方でまとめていただければ,事務局としては幸いなのでございますけれども。 ● よろしゅうございますか。--それでは,6人ということにさせていただきたいと思います。   あとはもう一つ,先ほど来議論になっていました書面決議。これは,書面決議は認めないということにするか,これも十分理屈としては成り立ち得ると思うのですけれども。こういうものをつくれば,それは集まれるはずだと,それを書面決議まで認める必要はないという考え方はあり得ると思うのですが。いかがでしょうか,この点につきましては。   これについても,先ほどの監査役会等との並びで,書面決議は認めないという規定を置くと,これはよろしいですね。特に異論はないと,そういうことでよろしいですか。 ● 全く本質的な話ではないのですけれども,今の3の(6)の書面決議のところで,ここには本文のところで「書面又は電磁的記録による決議をすることができる」と。2の(5)の①のイの書面投票・電子投票のところで,これは招集通知及び議決権行使書面に記載すべき事項を「電磁的方法により提供」すると。同じようなことだと思うのですけれども,「電磁的方法」という言葉と「電磁的記録」という言葉が使い分けられているのですけれども,これは実質的な違いがあって使い分けられているということでしょうか。 ● 言葉遣いは,従来からちょっと違っているところがありますね。   「電磁的記録」,「電磁的方法」というのは,ある時点からそういう概念ができまして,それぞれ使い分けられていると思いますけれども。ちょっと私,うまく説明が……。よく分からないのですが。   たしかに,2の(5)の①のイあたりは「電磁的方法」ですが,3の(6)のところは「電磁的記録による決議」と書いてありますね。 ● 無理やり考えると,3の(6)のところで「書面又は電磁的記録による決議をすることができる」という,ここだけ「記録」という言葉を使っているというのは,何か記録媒体そのものを届けるなり何なり,そういう意味合いがあるのかと。 ● そう言われれば,確かにどうかなと。   ちょっと,これは用語の問題ですから,後で確かめてもらえますか。 ● そうですね,はい。 ● あるいはおっしゃるとおりなのかもしれません。ちょっと私も自信がないのですけれども。   それでは,言葉の問題ですが,ちょっと検討してもらいます。   それでは,今の書面決議は認めないということでよろしいですね。 ● はい。 ● それでは,この点について,特に何かほかに御意見ありますでしょうか。   よろしいですか。--それでは,こういう原案の形で,ただ書面決議は認めないということを加えるということで御了承いただいたものとさせていただきます。   それでは,次に進ませていただきまして第4の2の(4),黒い星がついた部分であります。従来は,要するにこれは多数決による100%減資の話ですけれども,定款で定めを置いていないものについて,そういうことができるのはおかしいのではないかという指摘があり,そこで--一種のこれは種類株式になるのですね--実質は100%減資をして,例えば普通株式を100%減資して,また別の普通株式を出すのですけれども,一応違う種類だと。一方は多数決で会社が取得できるという種類の株式である。観念的には,法律構成としてはそういうことになる。そういう定款変更手続をして,そして取得する。こういう形にするということですが,いかがでしょうか。 ● 今まで考えられていたよりも,随分規制を強化しようということになっているわけでありますけれども。ここで言っている定款の定め,それから実際の有償・無償取得,それから種類株式を同時に1株出すというふうなことを同一の定時総会で行うということが可能であるということは,実質上全部株主総会で決めることだから,特別決議で決めることですので,正当な理由があろうがなかろうが,株主総会の特別決議にかからせればできると。逆に,今の案よりも規制が緩和されているというふうに読むのでしょうか。 ● 規制が緩和されているかどうかはあれですが,正当事由という一般概念が要件にはかからないということになった点は,緩和かもしれません。しかしながら,どういう状態で全部取得をするかというのは,それは株式併合やその他の場合と同じように,一定の合理的な理由がなければ何らかの瑕疵を帯びる可能性はありますので,その部分についてはやはりいずれにしても一般条項は残っていくということになります。したがって,その点については緩和されたと真正面から言うにはややちゅうちょを覚えますけれども,その程度の話であります。   それから,手続については,要するに1回の総会でやらなければいけない議案の数が増えただけというふうに理解するのが最も実務的には整合的かなと。要するに,1株出すというか,必ず全株取得すれば代わりに1株は出ますので,受け皿になる種類株式の--そっちが普通株式になるわけですが--新しく出すはずの普通株式用の定款の定め,それから従来あった普通株式についての全部取得条項の定款の定め,これで二つですね。それから,全部取得条項のついたものを取得するという三つ目の決議,それから新しく設定した一つを出すという四つ目の決議,それから取得したやつをもし消却して手じまうということであれば,それを消却し,かつ定款の定めを削るという決議,まあ六つぐらいですかね。これらを,同時に条件づけをしながら決議をしていく……。   効力発生日にあわせて買取請求権がそれぞれ行使できることになっていますので,株主の方としては定款の定めに反対なのか,それとも買取価格に不満なのか,いずれかの方法で買取りについての反対をかけるという形になります。ですから,合併等の買取請求のときに,決議なかりせばなのか決議があったことを前提とするのかという議論がありましたけれども,ここの場面ではどちらかというと全部取得すること自体に反対というのであれば,定款の定め--今のような1回で6個も7個も決議をするような場合であれば,全部取得することに反対ということであれば②の買取請求,条件に不満ということであれば③に書いてある価格の査定の申立て,そういう形に理論上は分かれますけれども,現実には同じような手続をとるということでございます。 ● 分かりました。 ● これは,種類株式を発行した場合に,えてしてデッドロックに乗り上げてしまうことになりやすいことの解消策という,実質的,政策的な観点から新たに提案されたのではなくて,むしろ法制的な観点からの御提案,こういうことで理解してよろしいわけでございますか。 ● 要するに,現在減資のときに一応多数決でできる場合があり得るというふうに解されている部分を全体的に整理しながら置こうとしたときに,今回の前提で減資と株式消却を直に合理的に結びつけるということは難しいということで,それで定款に基づかない消却という問題を議論していただいていたわけですけれども,それが結局正当事由だという話で一応この部会では御了解を得られたと。   それを当局に持ち込んだところ,それはおかしいと。何がおかしいのかはともかくとして,でき上がったもの自体は,結局○○委員のおっしゃったように正当事由だけがはがれていて,複雑な買取請求のどちらを選ぶかという株主に悩ましい選択をさせるということだけが残ったのですが,まあこの形と。実質的には,先ほど申し上げたように1回の株主総会で特別決議という要件で全株を取得して手じまえるという実質を何とか残そうということで,折衝の結果でき上がったのがこの案ということです。 ● 実質的な判断というよりは,法制的な整理ということになりましたときに,私,ちょっとよく分からなかったのですけれども,やはり種類株式等を出すときには,償還株式などにして,何年か先には片がつくような格好で出しておく方が実務的には賢明だろうというふうに思うわけですね。しかし,それをしておかなかった,それを後から定款変更でそのように切り替えるようなものだというふうに理解すればよろしいわけでしょうか。今回の御提案は。つまり,有償又は無償で,ですね。 ● この手続は極めて特殊なのですね。従来でも発行後の株式を強制的に会社が取得しようとするようなタイプの定款の定めを置こうとするときには,基本的には既発行の場合は全員一致が要ります。2の(3)です。全員一致が要るとすると,およそ今やられている減資実務のような場合に,このいずれかの条項がはまっていないと多数決では取得できないことになってしまうのですね。 ● 全員一致が必要ではありますけれども,最初から,種類株式を発行する前からこれは消却株式だという形ですることはできるわけでございますね。 ● できます。ただ,そのときには先ほど言ったように,同時に幾つかの決議をするというよりも,もう既に数種類出ている状態か,若しくは1種類出ている状態のときに,追加で,例えば普通株が出ているときに優先株式を出すときに,これの手じまい方としてこの定めを置くということは可能ですので,それもそれで認められるということにはなります。   正当事由を要求していた前回の案でも,種類株式を発行しているときには,どれか一つの種類を後から特定して特別決議で取得するという手段もありましたので,そこはそれがあらかじめ定款を置いておかなければいけないか,若しくは事後的に定款を定めるときに,買取請求と特別決議でやるかという選択肢に変わったということです。 ● ともかく,本人が納得していないときに,強制的に奪うということは非常に異例のことですね。やはり私的自治の原則からいきまして,そういうことが果たしてどういう場合に認められるのかということは非常に慎重に考えなければいけない。その際に,多数決で何らかのことを決めるということが,やむを得ない場合にはあり得るという制度設計にいろいろもちろんなっていますけれども,しかしそういうことをなるべく減らしていこうというのがその前の提案になるわけですよね。   それを,今度こちらの方では,後からの特別決議の定款変更でもって強制的に奪うことができるようにするというのは,極めて異例な話なのではないかと。 ● 恐らく,文言には書いてなくても,正当事由は要るのでしょうね。 ● それともう一つは,全員一致でなくて定款変更ということもありますが,定款変更する場合には,345条の種類株主総会はどうなるのでしょうか。 ● 複数出ていれば,定款変更が不利益を及ぼす……,他の種類株主にですね,もしかすると当該種類株主に不利益を及ぼすということであれば,それは決議が必要です。 ● それは当然に必要ということが前提。つまり,後から強制的に償還させられてしまうような条項がつく方々については,当然この種類株主総会の決議が必要だということが前提だと,これはそう理解してよろしいわけですね。 ● それは,これ用の種類株主総会ということではなくて,いわゆる345条の今の定款の変更,かつ株式の内容の変更になりますから,それの関係で変更される当該種類株主……。 ● は,当然かかると。 ● それによって不利益が及ぶ株主がいるかどうかというのは,ちょっとにわかには分かりませんけれども,そういう株主がいればその種類株主総会。いずれにしても必要だと思います。2種以上出ていれば,ですね。 ● 本当は1種しか出ていないのですね,あえて2種出すという定款の変更をやって,そこで既存の株主は全部消えると。実質はそういう話だと思います。 ● 従来の経緯から,そして最終的に第三次案では正当な理由あるときとされていたのがいろいろな事情から外れたということで,我々は分かるのですが,ただこの(4)をすっと読んだときに,非常に分かりにくいということ,それが今の○○委員の質問だと思います。結局,それがないことによって,先ほどちょっと(3)の説明をされましたが,(3)の場合とこの(4)の場合,とりわけ(3)の(注)では種類株式の場合にわたり,それこそ(4)も二つ以上とあるから,実際は考えていないけれども,二種類あること,現在も二種類の株式があることというのが,すっと読むと入ってくるのですね。そして(3)の(注)を読むと,何で(3)が全員一致で,何でこちらの(4)が特別決議かと。多少混乱されるので,私はこの議論を聞いているのである程度,定かではないですが理解したようなつもりになっておりますけれども,しかしこの文言では,この議論を知らない人には極めて分かりにくいので,そこら辺ちょっと工夫をお願いできればというのを……。これ以上にできんと言われたら仕方がないですが,ちょっと難しいかなと思いますので。 ● おっしゃるとおりです。これは,経緯を知らない人は全く分からないと思います。 ● 先ほどの○○委員の御質問と,それに対する○○関係官のお答えで,若干安心したのですけれども,ただこれだけ読みますと,前のバージョンと比べますと,種類株式総会の特別決議が外れていますから,優先株式を出した場合に一般の株主総会の特別決議,要するに多数決原理で,契約で定めた優先株主の権利が飛んでしまうということになりますので,これだけ本当にさっと読むと,これまで種類株式制度をここまで自由化して,やっとベンチャーキャピタル契約などにアメリカ的な契約ができるところまでしたものを,多数決で契約をひっくり返せるのだということになってしまいますと,これは全部これまでの改正の努力を水の泡にしてしまいかねない条項ですので,種類株主の同意がなければ絶対できないというところをどこかに必ず書いていただきたいなと。このままですと,要するに株式買取請求権があるからいいだろうと言っているように読めてしまえますので,そこをよろしくお願いしたいということ。   あと一つだけ質問ですが,従来の213条の減資による消却はそのまま残る,それはこれとは関係ないという理解でよろしいですね。 ● ここで考えていたのは,あくまで100%減資の話ですから。普通の減資とは違うと。 ● 済みません,先ほど失礼しました。一応今の原案ですと,最初の定款の定めを設けるときに2種類以上出ていますと種類株主総会の決議も必要です。したがって,全体の株主総会で定款変更をし,不利益が及ぶかどうかにかかわらず,当該定めを事後的に置かれる種類株式総会の決議は必要になって,ただ現に取得するという決議については,やはり特別決議になってしまう,ただ株主総会の決議になってしまうのですが,だから○○幹事がおっしゃられた,せっかく出してつくっておいたのに特別決議で抜かれるということは,少なくとも当該種類株主総会で決議を通らない限りは,定款の定め自体が置けないという姿になっています。 ● そういうことで,前回の案の方がよかったのではないかと思いますけれども,どうもこれもやむを得ないので,解釈上そういうことだと,前回どおりこれは正当事由が要る,はっきり言えば100%減資ができる正当事由があるケースについてのみ適用ある規定である,そういう解釈で,ただ文言はどうもこれ以外にはなかなか難しいようでありまして,少しでも分かりやすい規定にするようになお御努力はいただきますけれども,一応御了解いただけますでしょうか。   解説を書かれる方は,これはそういうことだということを,どういう経緯で入ったかということを,とにかく趣旨の誤解を与えないような解説の書き方をお願いしたいと思います。   それでは,先に進んでよろしいでしょうか。   次が3の(2)の②の点でありますけれども,これは前回○○委員から御意見があったところですが,実質的に不都合が及ばないような措置はとるということでありますので,文言上はこれでお認めいただければと思いますが。   株主割当て増資のところですけれども,「再募集を認めない」という文言になっておりますが,公開会社の株主割当て増資について,不都合が起こらないような措置はとるということですので。 ● 分かりました。 ● それでは,次に進ませていただきまして,5の(2)の①のイ,それから②のイのところも同じ問題でありますけれども,少数株主権の要件としてこういう書き方で整理するということであります。単元株基準はとらない,採用しないということです。   余り実質的に大きな意味は持たないのではないかと思いますが,よろしいでしょうか。--それでは,御了解いただいたものとして取り扱わせていただきます。   次が,8の(2)の白い星の部分でありますけれども,これは前回御議論いただいて,一応こういうことに御了解いただいた点だと思います。   よろしゅうございますか。--それでは,この点は御了解いただいたものとさせていただきます。   次に,これも前回御議論いただいた点で,2点削除した点があります。   一つは,授権株式数の問題で,新株予約権は外枠に出してという話があったのですが,それはやめると。それから,貸借対照表等の修正手続について規定を置くという案があったのですが,これも削除するということでありますが,この点はよろしゅうございますか。 ● 確認だけ。   その削除するということは,事実上できるという意味ですか。 ● 原案は,従来から当然のこととされていたことについて規定を置くというだけの趣旨だったのですが,それが拡大解釈されて,こういう場合もどうなるのだという議論がいろいろ出てきましたので,従来了解されていたことは,実質的な点については御了解いただいたということで,事務局も特に規定を置く必要はないということになったのですね。   ちょっと,内容的に付随して御説明いただけますか。 ● 当初,我々の方でお示しした修正手続については,定時総会で決議はしてしまったと,ただ誤りが見つかったと,中小企業関係ではたまにあるらしいのですが--たまにではなくて,結構あるらしいのですけれども--そのときに,形式上は定時株主総会が終わってしまっているのでどうやって修正したらいいのか分からないというような問い合わせが非常に多く来るものですから,必ずしも形式的な定時総会以外の株主総会でも,同様の手続を経れば修正できますという規定を置こうとしたわけでありますけれども。前回の議論で,要するにそういう明白な誤りがあるような場合は,もともとはその決議が無効になる,だから定時総会自体が終わっていないというふうに解釈して,従前の手続を引き続きやって,もう一回計算書類を承認手続にかけるということも可能だと,解釈もそういうふうに解釈されているということでありましたので,そこの部分,そういう誤りの部分についてはあえて規定を設けなくても,現在でもできると。   他方,その議論をしたときに,別途御指摘いただいたのは,いわゆるリステートとかそういう問題や,それから事後的に評価基準が変わったためにその年で直さなければいけないのではないかとか,そういった部分の修正についてもこの規定を適用して,過去にさかのぼって直すのかどうかというところにいろいろと疑義があると。現在でも疑義があるのですけれども,そこについてまだかっちりとした明確な議論が十分できていませんので,この時点で明文の規定を置いてしまってどちらかというにはまだ機が熟してなかろうということでありますので,要するに当初事務局が念頭に置いたのはそちら,要するに後者の方を念頭に置いていたわけではありませんので,そこについて変な議論を惹起するぐらいであれば,単純誤りのものについて従来の解釈をそのままにし,後者の方についてももう少し議論が熟するのを待つということで,現段階での明文化は避けるというのが,今の時点での結論になっております。 ● リステートに関しては,ペンディングだということですか。 ● そうですね。 ● 分かりました。 ● 御了解いただけますか。 ● いや,そういうふうに決まっているのだったら仕方がないと思いますけれども。ただ,それだと商法が悪者になりますね。 ● それでは先に進ませていただきまして,第3部の第2の6でありますけれども,合同会社が絡む合併,会社分割,株式交換等でありますけれども,必要性があるのはこういうところであろうという形で整理をしたということでございます。この点につきましていかがでしょうか。 ● ちょっと質問があるのですけれども。   「株式会社を完全子会社とする株式交換」という場合には,これは決議要件は株式会社の方では第3部の第5の2の(1)の②と同じように,株主全員の同意というのを要求するということですか。 ● これは株式交換ですので,対価柔軟化されているので,相手方の法人が何かによって決議要件は変わらないのです。したがって,例えば上になる合同会社が,他の株式会社の株式を渡すような場合で,それに譲渡制限がかかっていなければ特別決議でいってしまうということですので,もし仮に合同会社の持分を代わりにあげるとすれば,全員一致になります。したがって,株式移転の場合には,対価柔軟化は認められないので,必ず持分が出ていくと,そうすると下にある会社では全員一致が要りますので,全員一致で作るぐらいであればそれは全員一致でつくればいいわけでありますよね。そこでその規定を置いていないということで,したがって特別決議や特殊決議で,多数決で合同会社を上にすることができる場合があり得るということなので,特別の規定を置くということです。 ● つまり,分けて規定は……。 ● そうです。 ● 要するに,個別に分ける。 ● 済みません,吸収分割とか合併とかもそうなのですけれども,吸収型の株主総会決議については,すべて対価基準で決議要件が分かれますので,相手方の会社がだれであろうと,譲渡制限がかかっていない株式であれば普通の特別決議,譲渡制限のかかっているもの,若しくはそれに準ずるものであれば特殊決議,それからいわゆる出資持分型ですね,移転に必ず法人自体の同意が要るようなタイプのものについては全員一致というような区分になると。 ● ここの実質的理由はそういうことのようです。   よろしゅうございますか。--それでは,御了承いただいたものとしてよろしいでしょうか。   それでは先に進ませていただきまして,第5の1です。先ほど星を加えていただきまして,黒い星印が結局三つついているわけでありますけれども,前回はこういうふうに無限責任社員が退社した場合については,債権者保護手続をとるということだったのですが,従来,そういう無限責任社員が退社するという場合には,そういう手続ではないのではないかと,無限責任社員がなお2年無限責任を負うという,責任の継続が起こるというのが従来の債権者保護の在り方であると,そこでそろえるべきであるという指摘があって,それで債権者保護手続はやめ,今申しましたような退社後の2年の責任の継続ということで債権者保護を図るというのがこの変更点でありますけれども,いかがでしょうか。 ● 債権者保護手続を不要とすることについては特に異論はないのですが,ちょっと気になりましたのは,こうなりますと,無限責任社員がいなくなった時点で自動的に合同会社になってしまうということですよね。つまり,何らの手続をしないで,そういうふうにみなされていまうということなんですが,これは課税との関係で,一応合同会社は構成員課税を目指すということにまだなっているのではないかと思うのですが,そこで既存の合名・合資会社としては,我々は法人課税の団体として残りたいという意見が多分強いのだろうと思います。ほかの場合ですと,一応何らかの構成員による意思決定がなされて合同会社に変換するということになると思うのですが,この場合だけは自然的な現象によって自動的に合同会社に変換されてしまって,その結果,まだ先の話をしているのは余り現実味がないのですが,法人課税の団体が自動的に構成員課税になってしまうという可能性が出てくるのかなと。この辺はどう考えたらよろしいのかという質問です。 ● 課税関係については,何も申し上げることはないのですけれども。合名・合資・合同で区別がつくのかもよく分からないものですから。   手続の話だけをしますと,例えば合資会社で全員が退社したという,無限責任社員が全員退社したと,これは死亡によらない場合を除けば,そこに構成員の意思が働いているはずで,それはさておきなんですけれども,もし仮にそうではないとしたとしても,合資会社から無限責任社員が全員いなくなってしまうという状態ができ上がったときに,そのままでは合資会社には絶対に戻れないのですね。要するに,だれかが無限責任社員になるか,だれかを無限責任社員として連れてくるか。一番手っ取り早いのは,解散してしまうことなのですけれども,そうすると解散するか,その三つのうちのどれについても必ず構成員の意思がかかわらざるを得ない。   合同会社にする実質的な意味は,そこから先は全部有限責任になりますので,そこは合同会社にかかっている規制に服してもらわないといけない。例えば,債権者が計算書類を閲覧することができるとか,その後清算をするにしても,清算手続も若干変わってきますので,そういうことでとりあえずは合同会社となって規定の適用を受けていただき,法律上は特に合資会社から合同会社になるときには,例えば社員が残りの全額を出資しなければいけないとか,そういう規定が残っていますので,それについては一応1か月程度の猶予を置く予定で作業を進めていますけれども,その間に要するに商号を合資会社から合同会社に変更するのか,それともだれかを加えて合資会社のままにするのか,その時点で解散をするのか,三つに一つを選ぶということになります。 ● 2年責任が継続すれば,大抵の債権は回収はされるのでしょうけど,2年より長いやつですね,実質的な問題が出てくるとすると。社債みたいなやつはどうなってしまうのだという問題があるのですが,もうこれは発行条件として,もしそれが不満ならば,合同会社になったときは償還事由にするというようなことを発行のときに決めておかないといけないと。要するに債権者が自衛するほかなくなるのだと思いますが。違いが出てくるとしたら,そういうことですかね。 ● 自衛措置を本当にしっかりとらないと,とんでもないことになるかと思うのですが,そもそもこのような合同会社への変更があったということを,債権者は簡単に知ることができるのでしょうか。   旧来から取引をしていた債権者ですね。例えば,代表権などにつきましては,表見代理の法理でもって取引相手は事後もある程度の救済は得られるとかいうものがあると思うのですけれども,それに類した話になるのではないかと思うのですが。   今まで合名会社で,無限責任社員がいたから大丈夫だろうと思っていたと,何の連絡も受けないまま合同会社に変わっていた,でももう新しい取引分についてはだめなんですよというようにはねられてしまうのかどうか,そこら辺がちょっと気になるのですけれども。   債権者保護手続が必要かどうかと言われると,確かに今までの規定の考え方からすると,このような整理もあり得るのかなという感じがするのですが,これまでの案ですと債権者はちゃんと連絡を受けることができたわけですね。それが,これになりますと何の連絡も来ないままになるという点がちょっと心配なのですが。 ● この案は,特にその点はないわけですね。債権者保護手続よりは実質悪くなることになりますね。 ● 登記はされるはずなんですね。変わったという……。 ● 皆,必ず見るというわけではないですよね。 ● 新聞広告を見るのが早いか登記を見るのが早いかなので,どっちもどっちだと思うのですけれども。一応,登記を見るしかないということですね。だから,そこは今までも変わらないのですけれども。   今までの場合ですと,合資会社で無限責任社員が全員いなくなると当然解散になるのですけれども,それはやはり登記を見ないと解散しているかどうかは分からないのですね。 ● 例えば清算手続に入れば連絡が来ますし,知らないまま取引をするということはないですね。 ● 清算手続も,要するに清算人を選べば登記になりますけれども,合名・合資会社の清算ですので,例えば任意清算とかだと債権者保護手続がとられると。それ以外の方法だと,適宜の方法で知れたる債権者に通知が……。結局,通知待ちになるのですけれども。 ● しかし,少なくとも法的には解散してもう業務は行っていけないという縛りはかかるはずですね。 ● 要するに,それにどこまでの意義を見出すかということなのですけれども,   その会社で無限責任社員がいなくなって解散しているかどうかというのは,結局登記を見ないとだめなんです。清算手続に直ちに入ってくれるかどうかは会社次第なので。 ● これ,ちょっとよく分からなかったのですが,従来2年間無限責任社員の責任が維持されるという形で債権者保護がなされていたから,この場合もそれでよいと言われたのですが,今おっしゃいますように,合資会社で無限責任社員がいなくなってしまうともう解散せざるを得ないと。解散のときには,もちろんきちんとした手続がなされるかどうかは別にしても,きちんとした現務の結了手続をベースに債務の支払がなされるはずなのですね。それに対して,このように当然に合同会社になってしまうと,新しい債権者も増えてきて,いろいろな問題が起こるわけですね。そうした場合に,やはり合資会社の場合の無限責任社員がいなくなった場合の現行規制と,この(2)の①的な,あるいは新しく星印がついた②についてもそうですが,ちょっとやはり債権者の保護は緩くなるけれども,ただこういう会社についてはある程度債権者が合資会社なり何なりと緊密な関係にあるから,株式会社並みのことは必要ないと言うのかどうなのかの判断だと思うのですね。   だから,一緒だからというのではなくて,やはり一緒でないから原案の方が私はよりよいと思うけれども,こういう合資会社の実務からはそこまで,合同会社にする限りよろしいのではないですかという何か御説明をいただかないと,ただ同じだからいいのではないですかと言われると,ちょっと同じと違うのではないかと。   ちょっと具体的に説明できないのでどうしようかと思ったのですが,○○委員の御質問に勇気をふるって,時間がないにもかかわらず言うと,これはディスカウントになってしまうというのは事実だと思うのです。 ● そうです。ディスカウントにはなっています。   ディスカウントになりますということも当局には御説明を申し上げました。要するに,今であれば解散なので,当然解散ですから,解散手続が直ちにとられるかどうかはさておき,必ず債権者については新しく取引を開始することなく回収する機会は与えてくれるという状態になりますと,それが変わってしまいますというふうに説明をしましたが,解散して弁済の機会を与えるのが,必ずしも債権回収にとってふさわしいのかどうかは分からないのではないかと。要するに,今回,合資会社で無限責任社員が全員いなくなった場合には合同会社になって継続をするということを認めたというのも,必ずしも解散すること自体が債権者の保護に当たるかどうか分からないという要素も一要素としてありましたので,そこだけぴっとつまみ上げられて,直ちに解散する方がいいとは言えない,存続し続けた方が債権回収の可能性も上がるかもしれないではないかと言われて,それで終わり,ということでありました。   ということですので,法律上は確かに合資会社で無限責任社員が全員いなくなったときに,今よりもお知らせの機会が減るということ自体はそうですけれども,そこは解散させてしまうこととの,要するに比較も含めて議論をした結果,結局やはりこれでよしと,これにしろという話だったということですので,そこはもうディスカウントと考えるという考え方は十分成り立ち得ると思います。 ● 確かに,従来の法制よりは見方によっては不利なことが起こり得ることは確かなようですね。だけど,必ず常に不利かというと,そうでもない場合もあるのではないかという話のようです。 ● ですから,政策的判断というのか,決断になると思うのですが,当然解散ではなくて合同会社となることは一つの合理的な方策だと思うのですね。したがって,当然解散して,新たにつくってもらうのか,合同会社になることを認める,そして合同会社になると認めたときに前回の案のように知れたる債権者に対する個別催告が省略できない債権者保護手続を要するとするか,それが2年という形の--無限責任社員が2年という法があるから--少し緩くなるけれども,まあこういう場合にはそういう無限責任社員に2年間責任追及したら,実質的な不利益はないだろうと思うかどうかで,後二者をどう考えるかですが,私よく分からないのでお教えいただきたいのですが,こういう会社において知れたる債権者に対する個別催告を省略できない保護手続をすることによって,相当のコストが--ほいほいやるものではないと思うのですね--やはりこういうことをきちんとしておいた方が安心なのか,やはりそれは無用のコストであって,2年間の無限責任社員の責任追及措置でやった方が合理的なのか,そこら辺,ちょっと実務を御承知の方にお教えいただければと思うのですが。   ディスカウントになって,ディスカウントがよいか悪いかの判断能力がありませんので,ちょっと確認だけさせていただければと思います。 ● どなたに伺えばいいのでしょうか。 ● ちょっと質問ですけれども。   新しい法制になった場合に,本来であれば合同会社になった時点から合同会社と名乗らなければいけないはずですね。登記ももちろんしなければならないし,合同会社と名乗らなければいけないはずですね。それをもし名乗らないまま取引をした場合の相手方の,善意の第三者の保護みたいなことは考えられ得るわけなのでしょうか。もし考えられるとしたら,何の法理でもって……。一般的な外観信頼法理ですか。 ● まず,代表権に関していえば,変わったからといって当然に代表権限が変わるわけではありませんので,そこはそのままです。したがって,代表者ではない人が取引をすれば,今ですと表見代理になるのですかね。 ● 私が言っているのは,無限責任社員がだれかいるだろうと。 ● 責任に関しては,有限責任社員が無限責任社員と誤認させるような行為をした場合という責任があります。そうすると,合資会社は非常に難しいのですけれども,合名会社を例にとれば非常に簡単ですね。合同会社になったにもかかわらず合名会社と名乗り続けて業務執行者が業務執行すれば,当然無限責任社員だと思いますので,誤認させる行為と読めると。合資会社で業務執行者,これは必ずしも今回は無限責任社員とは限らないわけですけれども,そこは誤認させる行為をどういうふうに解釈して当てはめるかの問題ですので,やはりそこは一定の場合には無限責任を負っていただくことに,その規定をもってしてなる……。 ● そのような解釈でもって,何とか救済できるのではないかという見通しになるのですか。 ● この手の表見法理について余り律儀に規定を置くと,抜けたときの方が痛いので,有限責任社員が無限責任社員として誤認させるような行為をした場合という場合に,典型的に入る……。 ● 相当するというふうに解釈しようという,ここでの御議論の方向がそういうことだということを踏まえて,これで了承するかどうか,そういう話ですね。 ● 第5の2の「組織変更」の(2)の債権者保護手続。これは,合資・合名会社から株式会社に行くには個別催告をしなければいけない,合資会社から合同会社になるのはそれが不要だと。これは,どこでそういう違いが出てくるのですか。 ● 難しい問題ですね。非常に難しい問題なのですけれども……。 ● 合資会社から合同会社になるには不要だと,合資会社から株式会社になるには要るというのは……。 ● これは,必ずしも社員の責任が有限責任か無限責任かというだけで仕切れる問題では多分ないのだろうと。合同会社・合資会社・合名会社と,内部構造も社員の持っている権限についても基本的には同じ規律がかかっておりますので,例えば取引債権者などが社員と取引をすればいいわけでありますけれども,仮に株式会社に変わるとすると,今度はその株主とは取引しないわけでありまして,取締役になったり何とかになったり,要するに機関も大きく変わります。 ● そういう違いですか。 ● はい。逆もそうなのですけれども,今まで取締役相手に取引していたのが社員相手に取引するというようなことになりますし,会計監査人の設置義務がなくなってしまいますので,そういうお知らせ的な効果もありますし……。 ● 今,○○委員がおっしゃった点については,私は,2の(2)の債権者保護手続をとれば,2年間無限責任社員の責任があるというのはとれると思うのです。 ● とれます。 ● ですから,とるために債権者保護手続をすると。先ほどの○○委員の御発言を敷えんして先ほどの説明をすると,債権者保護手続をとって2年間の無限責任社員の責任をチャラにする,そういうスキームの合理性と,それから知れたる債権者の保護手続はしないけれども,2年間無限責任社員の責任を維持することのどちらがコストと,それも当該会社のコストと,それから取引全体の合理性と公正さを維持するかということで,私はどうもあえて変える必要がないようには思ったのですが,これもいろいろの法制上の理由があるとすれば,まあ一つの理由かなと思って……。   何か私は,特別にこうした方が,つまりこの新しい案の方が非常にすきっとして合理的ですよというわけではなさそうな気がする。ただ,少し金は少なくなるかもわからんけれども,2年間は辞めた人がいろいろと責任をとる。   そんなことせんといてくれと,例えば無限責任社員が言う可能性があるのですね,ここできれいにしたいと。そういうこともあると,どうもこの新しい案がいいようには必ずしも思わないのですが。 ● いろいろですね。 ● これも,どうも法制上の理由からの案でありまして,従来と変わったことは事実です。 ● ○○委員のおっしゃっているやつをやろうとすると,こういう種類変更という話ではなくて,社員の責任変更手続というものを新たに別途設けるかどうかという話なのだろうと思いますので,ちょっとこの機会にということまでは……。 ● 私も,これはそれほどないあれですからね,そして,こういうところはある程度狭い範囲だろうから,どちらでも絶対にいかんという話ではないだろうと思いますので,一応そういう権威ある当局のお話があるのでしたら,これ以上の話はするつもりはありませんが,ただ何でというのが残るなと。 ● さっきの,社員が辞めて,会社組織が変わる話で,ここに書かれていることで1点質問させていただきたいのですけれども。   第5の1の(2)のところで,合資会社から無限責任社員がいなくなれば合同会社になるわけですね。そうすると,(4)で合同会社と商号を変えなくてはいけなくて,それをしないと(4)の②で重い状態での会社形態に基づいて責任を負うことになるのですが,合資会社の無限責任社員がいなくなったときに,残った有限責任社員の責任というのは,合資会社の重い責任,法律の責任が重い場合にはという,その重い責任というのは,有限責任社員の責任なのか無限責任社員の責任なのか,どちらを指しているのでしょうか。この(4)の②というのは。 ● 一応先ほどの整理に従えば,業務執行を行えば無限責任かとかいうぐらい……。一般的な残りの有限責任社員については,無限責任社員がいなくなっても別に責任の限度額が当然に変わるわけではないものですから,結局合資会社という名前を使って有限責任社員しかいない状態の会社が対外的に活動したときに,だれにどのような責任を負わせるかという問題ですので……。 ● そこは,何か行為に基づいてそういう外観をもたらした場合の議論として承ったのですが,(4)の②は,何か名称で形式的にある種の社員であるとみなされるような感じもしますのですが,しかしだれかが執行しないと実際は動かなくて,その人だけが無限責任社員になると。合名会社の無限責任社員であるかのごとくみなされるように,この(4)の②がそういう解釈になるという,そういう整理ですね。 ● であろうと。ちょっと,十分に全部を整理し切れないので,条文上は……。 ● さっきの説明との関係で,どうこれを読むか伺ったわけです。 ● 合同会社と合名会社しかなければ,もうちょっと律儀に書けるのですけれども,合資会社が入ってくると,律儀に書いてしまうとなかなか難しい問題があるので……。趣旨としてはそういう趣旨です。 ● 実質はそういうことのようですね。   いかがでしょうか,これもどうもいろいろ御批判はありますが,現時点では動かすのは難しいようで,必ずしもこれで常に不利とは限らないということで御納得いただければと思いますが,よろしゅうございますか。--それでは,御了承いただいたものとして取り扱わせていただきます。   こちらで用意した点は以上ですけれども,何かほかの点でも御発言ありますでしょうか。 ● ほかのところで。本当はもっと前に聞くべきだったのですけれども。   第2部の第4の2の(2)のところで,今もそういう問題があるのかもしれないのですけれども,要するに売主追加請求権という,これとの関係で,例えば全部議決権制限株主というのは,実際にはこの①の決議にも参加できず,②の(注)のところでも参加できないとすると,こういう自己株式の有償取得においては平等に扱われなくていいという,こういう整理でしたでしょうか。ここがちょっと,何か読んでいて気になったのですけれども。 ● 全く定款の定めがない,デフォルトの会社だけを念頭に置くと,今回の整理では,議決権の有無にかかわらず,必ず催告が行きます。催告が行くような制度設計にしています。したがって,議決権付と,全部議決権がないものと2種類の株式を出していて,難しい条件を全くつけずにAさんという人から買うというときに,自分を加えてほしいかどうかという催告は,議決権の有無にかかわらず,そういう請求ができますよという通知が行き,そういう請求ができると。 ● ②の(注)のところも,それが行くわけですか。   つまり,普通の,まともな,ここで標準的というふうに考えられているものではなくて,その株主総会の決議においてある株主を決めるという,こういう②のケースのときにも追加請求権というものはある……。 ● はい,その場合のケースです。 ● ①の種類で一応特定をしたら,問題はないわけですね。 ● そうです。したがって,例えば議決権のない株式の特定者からの取得ということになれば,その取得について議決権のない人は議決権行使できないわけですけれども,自分を売主につけ加えるかどうかということについての問い合わせの通知は来ますし,請求自体も一応できるということになりますので。   要するに,現行は招集通知にくっつけて送るということにしていますのでそういうことが起きるわけですが,そこは事実上招集通知にくっつけて送っていただくのは差し支えないのですけれども,法律上は別の通知という整理をします。 ● 確認的な質問を2点させていただきたいのですが。もっと前に確認すべきだったと思うのですが。   第2部の第3の2の(1)の,要するに「取締役会を設置しない株式会社における株主総会」のところの④と⑤の関係ですが,結局こういう会社では現在の有限会社の場合と同じように招集通知に会議の目的事項を記載しない,書面でやることも必要ないと,こういうことになっていると。しかしながら,その次に(2)として株主提案権があるから,あっと気がついたのですが,現在の有限会社法の理解では,株主提案権は認められないと,必要がないから規定されてない,だから結果として認めないのですが,この(1)についても,株主提案権を認めないという前提だと理解してよいかどうかという確認的な質問が第1点です。つまり,有限会社と同じようにするのだなという……。   それから,もう1点は第2部の第6ですが,これもいろいろ悩んだのですが,分配可能の話ですが,2の(3)で,損益を反映するためには定時総会と同じような手続を踏みますよと,定時総会と同じような手続を踏むと期間損益が反映できますと。こうなりますと,その下の(3)の期末のてん補責任ですが,いろいろ考えようがあろうと思いますが,定時総会のときになぜてん補責任を課さないかとなると,きちんとした決算手続を踏んでいるからだとなると,上の2の(3)の場合にも実質決算手続を踏んでいるのだったらてん補責任を課さなくてもいいように思うのですが。   ただ,いろいろとそういうことをすると複雑な規定も要るから,現行と同じにしようという判断もあるのですが,そこら辺の御判断,最終的に,もしこのような2の(3)の手続を経ても期末のてん補責任は課すということがこの原案だと理解するのですが,そこら辺の判断をちょっと確認的にお教えいただきたいと思います。この2点,お願いします。 ● まず,提案権の方に関しては,多分現行の有限会社と同じになっていると思うのですが,当日その場で出てきて,できることはできると。 ● それは第3の2の(1)の⑤ですね。 ● あとは,招集通知がないものですから,招集通知にのっけてくれという請求が……。 ● (注)ででも確認しておいた方がいいかなと思うという,それだけのことです。ただ,常識ではないかと言われたらそれまでです。 ● 整理しておきたいと思います。   それから,もう1点の期間損益と期末のてん補責任については,この期間損益の議論をしているときに,当初そういうことも考えておりました。要するに決算手続があればということだったのですけれども,どうも期末のてん補責任と期間損益の反映のための決算手続とを結びつけようとすると,例えば会社が任意の時期に期間損益を反映して決定できるわけでありまして,要するに通常の決算期であれば3月に必ずやらなければいけない,ところが,例えばその会社が,四半期のうち一番最初の期だけは非常に業績が上がるような会社なのでといって,5月とか6月に決算期を設定して,そこだけまたとりにいくというようなことが非常に任意に,恣意的にできますので,かつそのときの決算手続というのが本当に定時総会の決算手続と監査も含めて深さが同じかどうかということについても若干の疑問も呈されまして,結論において,今実務できちんと行われている定時決算の決算手続と臨時決算というのは必ずしも同一視は現時点ではできないであろうということで,期末のてん補責任を定時総会並びにするということにはしなかったということです。 ● よろしゅうございますか。 ● はい。 ● 今ごろこういうことを質問する自分の見識のなさを恥じているのですけれども,第2部の第4の7の(注)のところでありますけれども,営業譲渡,営業譲受けの場合でありますけれども,簡易の基準が今度設けられるわけでありますけれども,そもそも総会付議事項ではないものについての反対株主買取請求権って,どうなっていたのかなと。簡易組織再編とは違って,これはないのか。ないのだろうと思うのですけれども,それを確認させていただきたいというのが1点です。   2点目は,第4の9の(3),例の強制買取りのCBですけれども,これがこういうふうに変わっているのですけれども,強制取得ができるのだと,強制取得をしてそれを株式に変えることができるのだというのがこれで読み取れるのかどうかの確認をお願いしたいというのが2点目。   あと,申し訳ありませんけれども,第7の3の(2)の略式組織再編行為の差止めですけれども,これはそもそも総会決議取消請求ができないからとかいうのはよく分かるのですけれども,また普通の差止請求権だと会社に損害が生じないわけだから,株主には大変な損害を与えるのだけれども会社の損害とは無関係だから,こういう制度を設ける必要性があるのでしたねということの,立法趣旨の--総会決議取消しは分かるのですけれども,後者の方も理由に入っていたのかの--御確認をいただきたい。   それから,第8の2の(2)の「清算中の株式会社の監査役」ですけれども,委員会等設置会社においても監査役を置かなければならなくなるのでしょうねということです。   最後ですけれども,第3部の第2の5の(2)の払戻しですけれども,これは払戻しを受けるのは社員の権利,退社する社員の権利なのですけれども,したがって払戻しを必ず業務執行社員は決定しなければならない,これが債務超過を超えても必ず払い戻さなければならない,そのときにはすべての業務執行社員,これは反対した業務執行社員も含めてというのがちょっと立法としては分からないのですけれども,いずれにしても払い戻さなければならない。したがって,社員の退社の問題については,これだけを見ると,いかなる場合であっても退社したいという者が出てきたときには,業務執行社員がすべて自分の財産でもって責任を負わなければならない構造である。そういうことだったのかなというのが,また分からなくなったものですから。以上,済みません。 ● ○○委員もついでに御質問いただいた方が早く……。 ● 私は2点だけです。   第2部の第4の1の(5)の「相続・合併によって譲渡制限の定めがある株式を取得した場合」という項目で,定款で相続・合併による譲渡制限の定めのある株式の移転について承認の対象とすると。その場合に,(注)の「承認の対象とする」という意味なのですが,株主が相続人等に当然に移転する前提,これはいいのですが,株式会社がその移転を承認しないときには買い取ることができる,これは財源規制に抵触して買い取れないという場合もあると思いますので,この買い取ることができるということと,それから先買権者を指定することができるということとの選択制にするという方法もあるのではないかなということをちょっと考えましたので。この段階で新たな提案という正式な形のものではないのですけれども,移転承認請求を待つことなく買い取る,あるいは先買権者を指定するという選択制を認める余地もないかということをちょっと検討していただければということです。   それからもう一つは,第4の3の(1)の①の「株式の発行価額の下限をも定める」というところですが,株式の発行価額を確定額で定めることも許容するという意味だと思いますので,「発行価額又はその下限」という表現にした方が,あるいは正確かなという気がいたしました。これは細かいこと,表現の問題ですが。 ● ほかに質問点がある方はございませんか。   それでは,たくさんありますが,○○委員の質問について。 ● 順番に参ります。   まず,簡易営業譲渡,簡易営業譲受け等に伴う買取請求ですけれども,これは現行法の規制を5%を20%に上げたというふうに理解をしていただければいいのですが。そうしますと,合併の場合の存続会社,それから分割の場合の承継会社,それから株式交換の場合の完全親会社,営業譲受けの場合の譲受会社,これは総会の有無にかかわらずに買取請求はついていますので,それはそのまま。それから分割会社,それから譲渡側については今はついていませんので,そこはつかないという姿に整理されます。   それから,新株予約権の消却。株式を交付することができるものとするというところで読んでいただければとは思うのですけれども。 ● はい。 ● それから,略式組織再編行為の差止めについては,御指摘のとおりであろうと思います。ただ,それをぎりぎり詰めていくと,なぜ対価が金銭のときにここが変わるのかというのが非常に難しい説明になるのですけれども。株式であれば多分会社に損害が生じないというのは--ちょっとちゅうちょを覚えますけれども--一応そういうふうになっているので当てはまると。ただ,必ずしも略式の対価が株式だけとは限りませんのですが,その場合についても一応規定の適用があるような形に規律されております。   他方で,営業譲渡,営業譲受けについては,基本的に取引行為ですので,そこについては272条に相当する規定以外のものを設けてはいないという整理になっていますので,それでそういう趣旨がうかがい知れるというふうに思います。   それから,合同会社における退社の払戻しに関していえば,債権者保護手続をとっていたたければ責任を負わないわけでありまして,要するに通常の場合であれば,退社事由が生じて,これはかなり払戻額が大きくなるということで債権者保護手続をやっていただいて,その結果で払い戻していくということになるのだと思いますけれども,あくまで第3部の第2の5の(2)の③みたいなものというのは,債権者保護手続もなく,社員に対してどんと払い戻してしまったときの責任規定になっていますので,そういう整理になるのではないかと思いますけれども。必ずしも業務執行社員が全額かぶって退社払戻しをさせるというわけではないと思います。   それから,清算中の話は○○関係官から。 ● 清算中の株式会社がもとは委員会等設置会社であるような場合においても,これは大会社である以上は監査役を設けなければいけないということになっております。 ● それから,相続・合併で取得した場合の先買権者の件ですけれども,非常に難しいのですね,第三者が絡みますと,法制的に。要するに,譲渡制限のときの先買権者の規定を見ていただくと分かるのですけれども,かなり手の込んだ規律を設けて,供託させたりとか一定期間があると承認があったものとみなされたりとか。それは,要するに始まりが株主の方が譲渡したいということから始まっていますので,何としてでも換価を実現させてやろうということで多分手練手管を講ずるわけですけれども,今回の場合は会社側から,単にあの人はもう嫌だなということで出ていってもらいたいと,そのときに相対取引になるのだけれども,種々の手続の特則を受けさせてあげましょうというだけの話ですので,もし財源がなければ財源をつくっていただくということの方が,先買権者を入れて,第三者が絡んできて,先買権者は指定したのだけれども売買が成立しなかったときどうかとか,そういうことを考えるよりもいいかなということで,実務が数年たってどうしてもここは先買権者が要るということになれば,またそのときの検討だと思いますけれども,現時点では買い取るだけと。   それから,下限につきましては,条文上も多分「下限」として書いてなくて,現行法もそうなんですが,要するに確定額で定めること自体は妨げられないのですけれども,280条ノ2自体は下限と,そしてそれ以上の額で発行するという趣旨ですよということだけだと思いますので,ここで確定額を入れること自体,別にやぶさかではないのですが,条文とは若干違う形になるかなと。 ● 280条ノ2第1項2号が「発行価額」というふうに定めていまして,5項が市場価格があるときには算定基準ということになっていますから,そこは選択制になっていますので。   こういう譲渡制限会社の場合には,5項は適用はないわけですけれども,発行価額と下限という選択の形を明記した方が,確定額でも定められるということを理解しやすいかなと思っただけですから。 ● 第2部の第4の3の(1)の①の規定は,具体的な発行ではなくて授権の方になりますので,現行法に照らし合わせると280条ノ2第2項になるのですね。「……及最低発行価額」の「最低発行価額」を上手に平仮名化しようとすると「下限」ということになったということです。 ● 分かりました。 ● 有益な御指摘,いろいろありがとうございました。   よろしいでしょうか。 ● 質問ではなくて,要望です。   先ほど議論のありましたリステートの件ですけれども,当面,現時点で結論は出さないというのであれば私は異を唱えませんが,今後に向けて是非御検討いただきたいと思います。つまり,リステートした場合で影響を受けるというのは,多分主として財源規制のところが大きいのだろうと思いますけれども,その場合には,リステートした場合でも,それまでの間の法律規定については,リステート前のルールや数字で凍結しておけば,仮にリステートして過去の決算を直しても,あるいはリステートしたときの決算で修正しても,結果は余り変わらないような気もするのですね。私自身は,特に会計基準というものの国際的なコンバージェンスに対して,そう律儀につき合う必要は必ずしももちろんないと思っていますし,特に国内法の制約があれば,これは立派な理由になるのですけれども,本当に制約があるのかと言われて,後でそうでもありませんでしたというのは格好悪いので,是非きちんと検討して,対応できるのだったら対応していただきたいし,できないならばできないということをはっきりさせていただきたいと思っております。 ● 御指摘ありがとうございました。   それでは,本日の審議はこれで終了させていただきたいと存じますが,よろしいでしょうか。   それでは,事務局から連絡事項がございます。 ● それでは,現段階で実質としてお諮りすべきであると思われる事項については,すべて本日をもってお諮りさせていただいた次第ですが,まだ何が起こるか分かりませんので,念のために12月8日,もう一回期日を設けさせていただいております。   本日出されました御指摘をも踏まえまして,要綱案につきましてはできる限り分かりやすい表現ぶりになるよう心掛けたいと思いますので--期日外でも結構でございます--いろいろと御指摘をちょうだいできればそれをできる限り反映させていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。   次回は--多分間違いなく最終の部会ということになると思いますが--12月8日,水曜日,午後2時から,場所はこの法曹会館「高砂の間」で行わせていただきますので,御参集のほど,よろしくお願いいたします。 ● それでは,本日の部会を閉会させていただきます。   本日は長時間にわたりまして熱心な御審議,どうもありがとうございました。