法制審議会会社法(現代化関係)部会 第32回会議 議事録 第1 日 時  平成16年12月8日(水)  自 午後2時00分                        至 午後3時30分 第2 場 所 法曹会館「高砂の間」 第3 議 題 会社法制の現代化に関する要綱案(案)の決定について 第4 議 事 (次のとおり) 議    事 ● 予定した時刻が参りましたので,第32回の会社法(現代化関係)部会を開会することにいたします。   本日は,御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日は,当部会として最後の会議であり,これまでの審議の結果に基づいて作成されております部会資料35について御審議をいただき,要綱案を取りまとめる予定となっております。   初めに,配布資料につきまして,事務局から説明をお願いします。 ● 事前に送付させていただきました部会資料35「会社法制の現代化に関する要綱案(案)」は,前回の部会資料に前回の御議論を踏まえた修正を施したものでございます。例によって,修正箇所には下線を付し,内容の変更にわたる部分には白い星印をつけております。   それから,席上に配布させていただきました部会資料36は,部会資料35を事前発送させていただきました後,条文作成に向けた作業を進める中で,部会資料35について一部修正をさせていただいた方がよろしいのではないかと思われるものとして浮かび上がってきた論点を掲げたものでございます。さほど大きな論点ではありませんけれども,条文化の作業を進めていく上で,この方向での修正を加えさせていただければということで,あわせてお諮りするものでございます。   部会資料35,36の説明は,以上でございます。 ● 配布資料につきまして,何か御質問ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,本日の審議に入りたいと存じます。   本日は,部会資料35及び36について審議をお願いするわけでありますが,まずこの修正箇所等につきまして,事務局から御説明をお願いします。 ● まず,部会資料35につきまして,白い星印がついている部分の説明をいたします。   まず,第2部の第1の3の(注)--有限会社に係る経過措置の部分--でございます。   既存の有限会社に関する経過措置といたしまして,既存の有限会社には基本的に現在の有限会社法に基づく規律が適用されるということが,3の本文には掲げられているわけでありますけれども,前回の御指摘を踏まえまして,そのような既存の有限会社が新しい会社法の規律の全面的な適用を受ける会社となる道も設けるということを,要綱案の中で明らかにするということとさせていただくものでございます。   それから,第2部の第3の3の(6)でございます。   前回,重点的に御議論いただいたところですけれども,監査役会及び委員会等設置会社に係る各委員会については書面決議を認めないものとするという(注2)のまとめの前提として,前回,監査役会につき現行法上全員一致の決議が要求されている事項については,監査役の全員の同意があれば足りるものとするという実質について御了解をちょうだいしたわけですけれども,その趣旨を要綱案上明らかにしておくべきであるという御指摘を受けましたので,その旨を(注3)として掲げているものでございます。   なお,(6)の本文につきまして,「書面又は電磁的記録」とありましたところを「電磁的方法」と改めております。   第3の6の(4)の①の(注)についてですが,社外監査役に関する責任の在り方につき現行の規律を変え,社外取締役と同様の一部免除制度を導入するということにつきまして,前回,その実質についての御了解はちょうだいしたわけですけれども,要綱案に何らかの表現でその旨を明示すべきであるという御指示をいただいたところでございます。今回の現代化の検討においては,社外監査役について,責任免除を図るべきであるという議論をとりたててさせていただいたわけではないのですけれども,会計監査人あるいは会計参与という立場の者について,その社外的立場に着目して責任の一部免除の制度を設けるということとの関係上,法制的な規定の整備という観点から,社外監査役についても同様に取り扱うという結論になったわけでございますので,場所としてはこの項目のあたりでこの問題を取り上げさせていただきたいということでございます。   第3の7の(1)についてですが,前回,重要財産委員会制度の法的構成の見直しについて,一応御了解をいただいたと思っておりますが,その際,特別に選定された取締役によってのみ構成される取締役会の決議については書面決議を認めるべきではないということについて御議論がほぼ一致していたと思いますので,その旨を7の(1)の①の(注)で明らかにしております。   なお,7の(1)の①の選定に係る特別な取締役による取締役会の招集手続や決議方法等に係る規律が実質的に現行の重要財産委員会に係る規律と同じであるかどうかということについて前回御議論いただきましたが,その点は全く変わりがないという整理をさせていただく予定でございまして,特に①の本文について明示的な手当てはしておりませんけれども,そういう実質として条文を作成させていただきたいと思っております。   第4の2の(4)についてですが,前回,表現ぶりがやや分かりにくいという御指摘をいただきましたので,なかなか工夫しづらいところではあるのですけれども,②,③につきまして若干の表現の修正を行っております。   ③は全く形式的な修正でありますが,②につきましては,これが会社成立後に定款変更をするという場合の記載であるということを明らかにしようとする修正であります。内容について何か変更を加えているというものではございません。   部会資料35の記載自体は,いずれも前回の御議論で御了解いただいた点を反映させたものであるという理解の下に整理しておりますので,その内容について,いま一度御確認いただきたいと思います。   続きまして,部会資料36でございます。部会資料35について,更にこのような修正を加えさせていただきたいということをお諮りするものであります。   まず,第2部の第4の4の(3)の「種類株式の内容に係る定款変更」という項目についてです。この記載は,当初,種類株式の内容について,その詳細については登記させるということはせずに,定款への記載をもって開示をするということとしてはどうかという構想を前提にして,掲げていたものであります。事務局の方で見落としていたのですけれども,その構想については,株式の内容は会社側の書類においてではなく,登記において公示させるということが関係者の利益の保護という観点から望ましいという御指摘をいただき,結局,現在の案ではそのような形になっております。したがいまして,(3)の項目はその前提を失っているところでありまして,なおかつ,取締役会の決議によって定款が変更される,あるいは変更されたものとみなすということ自体,一般論として,余り広げることは望ましくないだろうということもあり,ここは(3)の記載自体を削除させていただきたいということでございます。その場合,(4),(5)の番号がそれぞれ一つずつ繰り上がるわけですけれども,そのようにさせていただきたいということでございます。   第4の7の(1)の②の期間についてですけれども,議決権を行使する機会がない株主が,株式買取請求権を行使する場合における,反対の意思といいますか,買い取ってほしいという意思といいますか,そういった意思を通知すべき期間につきまして,「株式会社が指定する期間」とありますのを,「法定期間」というふうに改めさせていただければということであります。   従前,このような記載をさせていただいておりましたのは,株主総会の開催を基準といたしまして,その招集通知と同じタイミングでこれらの株主についても公告・通知を行い,その反対意思を表明させる機会を与えるという趣旨だったわけですけれども,議決権を行使することができない株主については,必ずしも株主総会の招集手続,招集日というものを前提として規律を考える必要はないわけでありますし,また場合によっては株主総会の招集すらないということもあるわけです。いずれにしても,このような株主が株式の買取請求をするかしないかという判断を行うに適切な期間が法律によって定められていればよいであろうということから,要綱案では単に「法定期間」という表現にさせていただければということでございます。実質としては,買取請求権の原因となる行為の効力の発生日前20日間を保障するという内容で,条文化の作業を進めているところでございます。   それから,第3部の第2の3の(2)の②のハについてです。   業務執行社員が法人である場合の職務執行者に関する記載ですけれども,職務執行者について業務執行社員と同一の取扱いをするということが,この(2)の②のハに掲げられているところでございます。職務執行者の権限や義務については,この記載どおりの処理をさせていただくのが望ましいと思われますので,それに沿った条文化の作業を進めておりますけれども,業務執行権の喪失手続--すなわち職務執行者の業務執行権といいますか,職務執行権といいますか,そういったものの喪失手続--というものを設ける必要があるかどうかということについては,法制的観点からやや疑義があるところでありまして,結論としては,業務執行権の喪失手続のみここの記載から削除させていただきたいということでございます。   なぜかと申しますと,職務執行者につきまして,その職務執行権を喪失させるかどうかということが問題となりますのは,法人たる業務執行社員がその職務執行者の続投を求め,それ以外の社員がその職務執行者は不適格であるとしてその交替を求めるという場合であります。法人たる業務執行社員がその職務執行者を交替させるべきであると思えば即交替させてしまえばよいわけですので,問題となるのはそうではない場合ということになります。そうしますと,他の社員が,当該法人たる業務執行社員の業務執行権を喪失させないまま--引き続き当該法人に業務執行権を持たせたまま--当該法人が選んだ職務執行者だけをすげ替えるということを認めましても,実効性のある処理ではなかろうということでございます。当該法人たる業務執行社員において重ねてその者を職務執行者として選ぶということが妨げられるわけではありませんし,その者に類する別の者が選ばれても同じ事態が起こり得るかもしれませんので,このような法人の業務執行社員とそれ以外の社員との間の利害が対立するというような場面であれば,端的に当該法人の業務執行権を奪うということが適切であり,合理的であろうというふうに考えられるところであります。したがいまして,職務執行者については,当該法人たる業務執行社員の業務執行権を維持したまま職務執行者をその地位から退かせるというような制度は設けず,それ以外の点について,業務執行社員と同様の権限,義務を持つという整理をさせていただきたいということでございます。   以上が,お配りいたしました部会資料35,36の説明であり,前回の部会資料からの実質的,形式的な変更点であります。   加えて,申し訳ありませんが,直前に部会資料35を精査いたしましたところ,さらに若干の修正をお諮りさせていただきたいという点がございました。口頭で申し上げますので,よろしくお願いいたします。   一つは,第2部の第4の「5 株主」の(1)の③であります。   ここでは,現行の有限会社における定款での別段の定めを許容するという場面での,その設定が可能な会社の範囲やその設定方法,その際の関係者の利害関係の調整に係る規律を掲げておりますけれども,③を御覧いただきますと,「①の定款の定めの新設,変更又は廃止を……」となっております。ここでの決議要件については,現行の有限会社の規律を前提として,特殊決議とするという整理になっておりますけれども,その実質を考えますと,新設及び変更についてはこのとおりに取り扱うべきものと考えられますけれども,廃止については,いわば別段の定めをなくし,株主を平等に取り扱うという方向に向かうことが明らかなわけであります。それに伴って不利益を受ける株主がいる場合には,正に②の問題として処理されますので,そのような定めを廃止するという定款変更を株主全体として決議をする際に特殊決議が必要かどうかというと,必ずしも必要ではないのではないか--特別決議で足りるのではないか--という整理をさせていただきたいと考えております。   したがいまして,「①の定款の定めの新設又は変更をする場合」と変更することになります。繰り返しますが,廃止に伴って不利益を受ける者の保護については②の問題として処理することができますので,株主全体の決議としては必ずしも特殊決議を要するものとする必要はなかろうということです。   それから,最後に非常に形式的な点ですけれども,第3部の第2の4の(2)の①の文中に「(第2部第6・1及び2参照)」とありますが,②の記載と平仄が合っておりませんで,この①の文中の括弧書きを①の文章の一番後ろに移させていただきたいということであります。   事務局からの説明は,以上であります。 ● それでは,今の説明の全体につきまして,何か御質問ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,各項目につきまして順次御意見をちょうだいしたいと思います。   まず,部会資料35に出ております点は,前回の確認でありますので,これからまず最初にお願いしたいと思いますが,第2部の第1の3の(注)でございますが,この点につきましてはよろしゅうございますか。従来から当然の了解ではあったのですけれども。--それでは,これは御承認いただいたものとして取り扱わせていただきます。   それから,次は第2部の第3の3の(6)の(注3)のところでありますが,これは前回御審議いただいたところで,このようなことになったと思いますが,よろしゅうございますか。--それでは,これも御了解いただいたものとさせていただきます。   次が第3の6(4)の①の(注)でありますが,これも社外監査役に関することを明示するということでありまして,これも前回御了解いただいたと思いますが,よろしいでしょうか。--それでは,これも御了解いただいたものとさせていただきます。   次が第3の7の(1),いわゆる重要財産委員会制度の①の(注)であります。これも前回御審議いただいた末,こういう結論になったと思いますが,よろしいでしょうか。--それでは,これもそのようにさせていただきます。   それから,次が第2部の第4の2の(4)の②,③の表現がこのようになっていると,実質的な変更ではないわけでありますけれども,このようにするということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。--ありがとうございます。   それでは,部会資料35につきましては,すべて修正点を御了解いただいたものとさせていただきます。   続きまして,部会資料36でありまして,これは本日新しく御審議いただく事項ということになりますが,まず第2部の第4の4の(3)という部分ですが,これは種類株式の内容が登記事項になった以上は,不必要な規定といいますか,不必要な事項になったのだけれども,それを削除するのを失念していたということなのですけれども,この点はいかがでしょうか。 ● 質問ですけれども,登記事項との関係は分かりませんけれども,そもそも取締役会の決議に詳細をゆだねているにもかかわらず,取締役会決議の内容を定款変更という形でもう一度行わなければならないということをここではおっしゃっているわけでしょうか。 ● いや,そうではないです。 ● どういうことなんでしょうか。 ● 定款の内容は,取締役会に詳細の決定を授権するということであれば,その授権の限度までですね。定款で決めていることはここまでで,取締役会で決めるべきことはそれより先であるということが定款記載事項であると……。 ● そうですね。 ● ですから,これはあろうとなかろうと,実質は同じだということですかね。取締役会で定款変更に当たることをできるということであれば,それはやはり取締役会で決議が行われたときに定款変更になるという実質は変わらないわけですね。 ● 取締役会において決められるということには変わりはないのですけれども,この規定がありますと,取締役会が決めた詳細な内容が定款記載事項になりますので,その後に定款の閲覧がされる際には,全部その内容が定款に書き込まれていなければならない,ということになり,正にそれを目指していたわけです。登記事項とはせずに,定款への記載をもって開示をしようという構想だったわけですけれども,そこは登記に反映させるということになりましたので……ということでよろしいでしょうか。 ● 登記との関係がよく分からないと言ったのは大きな間違いでございまして,そういう趣旨ならばよく分かりました。ありがとうございました。 ● いかがでしょうか,よろしゅうございますか。   それでは,(3)の部分を削除するということでよろしいでしょうか。--それでは,そのように取り扱わせていただきます。   続きまして,第2部の第4の7の(1)の②でありますが,部会資料35では「株式会社が指定する期間(公告・通知後2週間)」となっているのを,その部分は削除いたしまして,かわりに「法定期間」ということにするということでありますが,この点いかがでしょうか。実質は,効力発生前二十日間ということになるということですが。   これは,そうすると例えば簡易合併みたいなのは現行法と変わると。たしか現行法は,簡易合併のときは通知・公告後2週間ですね,それが二十日になると。実質はそういうことですか。 ● 現行法は効力発生日と関係がないので,契約を締結してから2週間,効力発生日がたとえ来年の4月でも,そこから2週間ですね,字句上は。それを,現実に買取請求をする場面というのは結局効力発生日が近づいてからということになるでしょうから,そちら側に日付をずらして,ただ実際には二十日間なら二十日間の間に意思表示をするというのが現行法でもありますので,その実質は確保すると。 ● ちょっとよく認識できない点ですが,413条ノ3の5項ですね。 ● まず4項で,合併契約書を作った日から2週間内に公告し通知をすると。それで5項で,反対の意思を通知しなければいけないわけです。これは,効力発生日がたとえ来年の4月とかであったとしても,その2週間のときにやらなければいけないという規律になっていて,6項で期間の満了の後二十日間の間に書面を提出して,実際の買取請求をするということですので,この6項の趣旨だけを上手に生かし,通知自体は二十日前までに必ず行くようにして,買取請求権を行使させると。 ● そういう点では,実質が変わるわけですね。 ● そうですね,そこだけは。 ● いつ通知が来るかが変わるという,そういうことですかね。変わるところは。 ● 変わるところはそうですね。反対の意思通知をしなければいけないのが,合併契約書の作成のときから2週間・2週間ですから1か月ですか,の間にしないと,効力発生日がずっと後であったとしても,もう買取請求はかけられないのですけれども,字句上は。   ただ,そうだとすると,効力発生日までにどういうことが起こるかという別の問題が起きますので,できる期間を効力発生日の方に近づけたと。 ● ということですが。 ● 「法定期間内に」と変えること自体賛成でして,何も問題ないと思うのですが,具体的にどう定められるかという御説明を今伺いますと,効力発生日に非常に近いところで二十日間ぐらい保証しようということですね。それはそれで,一つの側面からいくと大変合理的かと思うのですが,逆に思いもよらず大勢の方が買取請求をしてこられるがために,財源等においてもちょっと問題が生じそうになったので,考え直さなくてはいけないというようなことになった場合への対応をすることができる期間がなくなるという問題はございませんでしょうか。 ● それはあるかもしれませんけれども,そこは現行法と変わりがないものですから。   要するに,2週間・2週間の二十日間になっていますので,現行法だって別に買取請求自体は効力発生日後であっても構わないのですね,極端な話,この規定ですと。ですから,合併の効力が生じてしまった後に,何かすごく大量に反対の買取請求が出てきたということも十分あり得べしだということからすると……。 ● 反対の意思表示をしておかないといけないわけですね。 ● 意思表示自体は,6分の1以下であればそうなりますけれども,そのすべてが買取請求が来るかどうかも分からないわけで。 ● でも,マキシマムの予測はつくと。 ● それはそうですね。 ● 例えば,413条ノ3の第8項は,これは残るわけですか。 ● 8項は残りますけれども,今回買取請求自体が議決権の話とは切り離れていますので,要するに,無議決権株主も含めてどれだけ出てきたかで仕切られてしまうものですから。 ● いかがでしょうか,よろしゅうございますか。 ● ちょっとよくイメージがわかないのですけれども,そうすると公告を見たこういった株主でも,効力の発生期間の二十日前まで待ってから通知をしないと,この効力は認めてもらえないと。二十日より前に,公告見たので反対したいということで反対の通知をしても,それは通知としての効力を認めてもらえないということになるのでしょうか。   そうすると,もう忘れてしまったというか,それは株主が悪いのかもしれませんけれども,そういう場合も出てくることもあり得るかなという気もちょっとするのですが,そういうことでしょうか。 ● そういうふうに取り扱えばそうなると思いますけれども,そこは実務の方で,要するに何日付で受け取りますとするかどうするかという問題ではあると思いますけれども。 ● その場合であれば,何となく,受け取った会社としては二十日前として扱うというような扱いにしても,意思表示の撤回等の問題はあるかもしれませんけれども,とにかく早く着きすぎたからもう効力がないというような扱いをする必要があるのかなという気が,今,よく考えてはおりませんけれども,ちょっとした次第です。 ● 条文の書き方の問題ではありますけれども,要するに二十日間保障しましょうというのが趣旨ですので,そこは何とか工夫を……。 ● もし可能ならば,工夫していただきたいと思います。 ● ○○委員がおっしゃるように,実質は忘れてしまったとか,そういう形で今よりも買取請求ができにくくなるということはないように,工夫していただきたいと思いますけれども。   そういうことでよろしいでしょうか。7の(1)の②自体はよろしゅうございますか。--それでは,そういうことで決めさせていただきます。   それでは,先に進みまして,第3部の第2の3の(2)の②のハですけれども,この括弧内の「,業務執行権の喪失手続」という部分を削除すると。その理由は,当該職務執行者が業務執行社員から選任されているとすると,当該職務執行者についてのみ業務執行権の喪失手続をするのは,これは意味が乏しい,そこで職務執行者に何らかの問題が生ずれば,業務執行社員の業務執行権自体が喪失されるという形に実質はなる,そういう趣旨でこの「,業務執行権の喪失手続」という文言を削除する,こういうことだと思いますが,この点はよろしいでしょうか。   よろしゅうございますか。--それでは,この点は御承認いただいたものとさせていただきます。   次に,口頭で追加があったところですけれども,第2部の第4の5の(1)の③ですが,いわゆる別段の定め--剰余金分配,議決権等に関する別段の定め--ですが,現在の部会資料では「新設,変更又は廃止」となっておりますところを,「新設又は変更」とすると。つまり「廃止」は外すと。   その趣旨は,これは全体の総会の決議という場合ですけれども,そういう別段の定めを廃止するについては特別決議にしてもよいのではないかと。その廃止によって不利益を受ける者については,②の法定種類株主総会があるから,特に現在の規定よりも不利益になるわけではないということで,そのような提案がなされているわけでありますが,いかがでしょうか。 ● 細かな質問で申し訳ないですけれども,変更の場合も,例えば1株5議決権持っている人について,1株3議決権にするというのであれば,これも③ではなくて②ということなのでしょうから,廃止だけではなくて,そういう思想を貫くのであれば,変更の場合でも場合分けになるわけでしょうから,そこを何とか規定ぶりでよろしくお願いしたいと思いますけれども。 ● 難しいですね,言い出すと切りがない。 ● すごく難しいですね。別段の定めの内容が非常に淡泊なもののみであれば可能ですけれども,いろいろな内容があり得るとすると,その変更が直ちに普通の株主にとって有利であると評価することができるかどうかは甚だ疑問でありますから,申し訳ありませんが,間違いないというところだけ手当てをさせていただきたいというものであります。 ● そういうことで御承認いただけますでしょうか。 ● はい。 ● 単純な質問ですが,廃止というのは変更の一態様ではないのですか。 ● 条文上は,「変更(廃止するものを除く。)」ということに……。 ● そういう書き方になるわけですか。 ● はい。 ● いかがでしょうか,よろしゅうございますか。--それでは,これも御承認いただいたものとさせていただきます。   それから,非常に細かい問題ですが,第3部の第2の4の(2)の①でありますけれども,文章内に括弧書きが入っている,つまり「(第2部第6・1及び2参照)」,これを文章の末尾に持ってくると。この点は御承認いただけますでしょうか。--それでは,これも御承認いただいたものとさせていただきます。   事務局から提案があった点は以上でありますけれども,この部会資料35につきまして,ほかに何か御指摘いただく点がありましたらお願いしたいと存じますが。 ● 私どものいろいろな要望について,お聞きいただいて大変有り難いと思っておりますけれども,最終段階で今更と思いますが,一応確認点だけ申し上げておきます。   第2部の第3の6の(2)の「会計監査人の欠格事由」のところですけれども,私どもも要望したことをお聞き入れいただいたというふうに理解しておりますけれども,文章的には若干変わりまして,「公認会計士法の規定により当該株式会社に係る監査をすることができない者を会計監査人の欠格事由として」となっておりますので,若干読みにくいところがあるのですけれども,欠格事由の対象は今よりも減るということで,今より増えるということではない,こういう理解でよろしいかと思うのですけれども,一応確認させてください。 ● 当部会での御議論は正にそのとおりでありまして,現在の欠格事由では広過ぎて,監査法人を処分の対象とすることがちゅうちょされるという御指摘を受けまして,実質にかんがみ限定した形で書きあらわすについてはこのような書き方しかなかろうという御議論だったと思いますので,その趣旨を決して曲げるものではございません。 ● よろしゅうございますか。 ● はい。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 今後,条文化,あるいは附則を制定されるところに関する要望なりあるいは質問ということになりますけれども,三つばかり伺いたいと思います。   一つは,会計参与という新しい制度が入ることになったわけでございますけれども,これは取締役とほぼパラレルな形で規定化が進むということになりますと,商法258条も準用するという形で条文化することをお考えなのでしょうか,どうなのでしょうかという質問です。   と申しますのは,会計参与の方が取締役と意見が対立して,もうこれはちょっと責任を負えないと思われるときには,やはり辞めたいというふうに思われると思うのです。しかし,定款に,この会社は会計参与を置くと書いてあるので,引き続き後任の方が選ばれるまでその方が権利義務を負うといわれますと,大変苦しい立場に置かれるのではないかということが懸念されます。したがいまして,258条の準用については一考えしていただけると有り難いのかなということでございます。   第2点目は,決算公告,すべての株式会社について行うということになったわけでございますけれども,当然これは,任意に作成者がだれである,つまり取締役と会計参与である,それから会計監査はだれだれが行ったということを各社がそれこそ電磁的公示でホームページなんかにお書きになる,これは任意でございますね。と思うのですが,それを更にそういうことも記載させるというように,今後規則等を作るというようなことは考えられないものかどうかということが質問でございます。   それから第3番目は,これまでも何度も申し上げてきて恐縮なのですけれども,やはり現場においては有限会社が今後どうなるのかということが大変関心の深いところかと思います。そこで,いろいろ審議の末,方向が定められて,何しろ数が多いので余り性急なことはせずに,スムーズに移行させようということで了解いたしましたのですけれども,現実の有限会社の立場から見てみますと,ほとんど有限会社法でできたことは今度の新しい株式会社法の中の定款の規定などについてあれこれ幅が認められているものを生かせば,大体そのままのルールが盛り込めるようなものにもう設計されているのではないかと思うのですね。   ですから,彼らの立場からすれば,最大の関心は商号を変えろと強制されることがあったら,これはやはりお困りだと思うのです。変えたいところが変えるのはいいのですが,この時点で変えなければいけないと,これはもう絶対困るということかと思います。それからまた,決算公告をしなければならなくなる,これは大きな変更でございますので,これも強制されるのは絶対困るというお気持ちだろうと思うのですね。   逆に言いますと,この2点さえ押さえておけば,そのほかの点はこういう定款が置かれたものとみなすという規定を上手につくれば,ほぼ彼らにとって意外な不意打ちだというようなことはないぐらい今回柔軟な設計がされているのではないかと思いますので,その点等,今すぐそれで行けるのか,もうしばらく様子を見てからかは分かりませんけれども,将来的にはせめてそういうところに早く行けるように,何とか御検討いただけないかというのが最後の要望でございます。 ● まず,会計参与について,商法258条の欠員の場合の処置のことをおっしゃっているのだと思いますが,やむにやまれず辞めたのに義務がかかるのはどうかという,そういう側面があるのももちろん事実ですけれども,逆に会計参与がいないと,いつまでも計算書類が作成できないという側面がございます。会計参与設置会社の場合には,会計参与と取締役が共同して計算書類を作成しなければいけないという義務がかかっていますので,辞任しましたと,そしてもう義務もなくなりました,今は空白状態で,だれも作る人がいないという状態をどういうふうに処理するのかということはなかなかに難しいですので,ちょっとここは検討はいたしますけれども,取締役と並びにしていく方向性ということを前提にすると,商法258条についてだけ別扱いということができるかというのはなかなか難しいというふうに思っております。   それから,3番目に有限会社のことをお話しになりましたが,私どもも--新しい株式会社の中の一つの類型と言っては何ですけれども--性質的には新しい株式会社に移行した上で,様々な定款の工夫によって,現行の有限会社と同じような形になるというのも一つの方策だと思っておりまして,ただ,そういう方向性も含めて検討しているのですが,何せこの経過措置というのは法制的な面の意向が非常に強く反映するところですので,有限会社というものの商号は残し,もちろん貸借対照表等の公示義務などもかけるつもりは毛頭ございませんし,基本的には不利益になるようなものについてはなお従前の例によるような対処になるかとは思われますが,今,○○委員のおっしゃったことも参考にしながら,権限ある当局といろいろと検討していきたいと思っております。 ● 決算公告については,何を公告すべきかは基本的には現行の省令事項ですので,省令で検討しなければならないのですが,今回の案でいいますと第2部の第3の6の(5)というのがあって--要するに会計監査人が不適法意見を述べたとき等の公告事項の付加の話でございますが--これとの関連で,結局,不適法だと書いてあるだけでは何が不適法で,だれの意見が不適法か分からないということがありますので,当然こういうときには監査法人が多分名前を付さないといけないわけだと思いますけれども,そういうものとの関係で,適法意見の場合についてもどうするかということについては,なお検討しないといけないのですが,ただいかんせん新聞ですので,1行増えると大事でございますから,ちょっとそこに負荷をかけることは現実的にはなかなか難しいのではないかと。実際に,大会社が問題になるわけですが,大会社の公告すべきBSとPLの枠取りと,今おっしゃられた内容と,他の項目との軽重と,それらを考えてどれを生かしどれを削るかを考えないといけないわけですけれども,新聞についてはそんな感じですね。   あと,意見の公告については,計算書類の内容自体にはそれが入っているものではないものですから,ここもどういう取扱いをするかは考えないといけないのですが,いずれにしても不適法な意見については多分そういう措置が必要であると。   その余の場合については,だれが監査したかというのは,別に決算公告だけでなくてもほかの場面でも多分,今回の案だと登記されて分かりますので,そこまでやる必要があるかどうか,ちょっとそこは関係各者と調整をさせていただいて,公告の枠取りの問題等で調整をさせていただきたいと思います。 ● いろいろとありがとうございます。   最初の第1点目がなお気になるのでございますけれども。今,会計監査人の場合であれば,これはとても責任を持てないと思ったときには辞めることができるわけでございますね。同じことが,会計参与になるとできないということになってしまう……。後任者を選ぶことは自分ではできないわけですから,選んでもらわなければいけないということになりますので,やはり厳しい状況に追い込まれるのではないかということが,なおやはり心配になります。   それは,場合によっては共同作成というけれども,辞任者がいて欠員の場合には単独作成に戻るというような扱い,そういうことが可能にはならないだろうか,何か工夫をしてでも,やはりどうしてもこれは責任を持てないと思ったときの逃げ道を,会計参与には認める必要があるのではないかというように考えているということです。   ですから,会計参与がどのようにかかわっているのかを,決算公告のところで開示事項に一つ入れてしまうというのも一案で,単独名義で作成しているのか共同作成なのかというのもそこを見れば一目瞭然--もちろん,登記を見れば分かりますけれども--もっと簡単に見られるということも含めて,第2点,先ほどお願いしましたのですけれども,1行増えるとお金が高くなるのは事実ですが,今は決算の電磁的公示がありますので,やはり高いからもう電磁的公示に行こうというふうに皆さんに考えていただく意味においても,そこら辺,少々負荷をかけても大丈夫なのではないかという気もいたしますので,引き続き御検討いただければ有り難いと思います。 ● 会計参与が欠けたら欠けたままで取締役が単独で計算書類を作れるということであると,会計参与の重要性がほとんどないことになってしまうわけですね。機関として位置づけられる会計参与について,定款で置くものと定め,取締役単独では計算書類を作らせないという選択をしている会社については,会計参与がいなくなったらもう取締役単独で作れますというルールを考えるのは,難しいのではないかと思われます。 ● 辞任しないのに一人で作ることは許さない……。   確かに,何かの形で単独作成したのか共同作成したのかが世の中からすぐ見えるような形とワンセットにしておかないと難しいのかなというふうに私も思いまして,第2点も絡めて先ほどから意見を申し上げているというところでございます。 ● 会計参与は確かに会計監査人のように資格要件がございますが,会計監査人と違いまして,やはり基本的には会社内部の役員であり,取締役,監査役と同様の立場に立つものというふうに考えていただいた方が,切り分けとしては適切ではないかなと。   そうすると,会社の内部の役員として,いったん請け負ってそういう義務を負っている以上,取締役,監査役と同様の処置,義務を負うというのはやむを得ないのかなと。逆にそこがかわいそうだからといって,何か辞任した場合には義務を負わないこととした場合,それでは取締役とか監査役というのはかわいそうではないのかというと,かわいそうな場面もそれはあるでしょうということで,一体どこまでかわいそうだとするレベルを設定するのかが分からなくなってしまいますので,そこは一応現行の並びの中で一線を引く必要があるのではないかなというふうに思っております。 ● 分かりました。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 質問を幾つかさせていただきたいのですけれども。   まず,ちょっと私が聞き落としているのだと思うのですが,今回,取締役会を設置する会社としない会社というのがあり得るのですけれども,取締役会を設置することが登記事項になるのか,もしそうだとすると,現行の会社というのは取締役会を設置するということを今度新法のもとで改めて登記しなければいけないのかというのが第1の御質問です。   それから,二つ目として,これはどうなっているか。第2部の第4の4の(6)のところで,新たな「異なる種類の株式の無償交付」という制度が入ってくるということになっているのですが,これは現行の商法222条11項に掲げる事項に追加されるのか,それともこれはやはり追加されないのかというのが二つ目の御質問です。   三つ目は,第2部の第6の5の部分です。全体的に今回の要綱案では,これまで「資本」と呼ばれていたものを「資本金」というふうに呼びかえているように思うのですけれども,5の(1)の①の(注1)では「準備金の資本組入れ」という言葉を使い,また5の(3)の②の(注)では「資本の額を4で除した額」と書いてあるのですけれども,これは何か使い分けているのか,それともたまたまなのか。これが実は最初に思った質問だったのですけれども,先ほど○○委員がおっしゃっていた会計参与の場合に,これは仮会計参与みたいなものの選任を今の会計参与,辞めようとする会計参与が例えば裁判所に対して求めるとか,そういう制度というものができそうなのかどうか,この辺を教えていただければと思います。 ● まず,第1点目の取締役会を設置することが登記事項になるかということにつきましては,これは当然登記事項になる方向で考えております。それに限らず,今回は自由な機関設計が原則になっていて,資本金が幾らだから何だというような関連性は必ずしもないものですから,監査役があるのかないのか,また監査役会があるのかないのか,そういうことを含めて全部登記事項として,登記を見ればその会社の組織構成が明らかになるという方向で考えています。   そういたしますと,現行では何にも書いていないものをどうするかという経過措置の問題があると思いますが,これは今関係部署と協議しておりますけれども,基本的には職権で,現在の株式会社というのは必ず取締役会がある会社ですので,それについては何とか取締役会の登記が職権でされるような方向で調整をしたいというふうに考えております。   それから,あと会計参与が仮会計参与の選任を裁判所に申し立てることができるかということは,これは仮会計参与制度そのものはありますので,あとはその選任を申し立てることができる利害関係人として会計参与が含まれるというふうに考えるかどうかということにかかってきて,別段否定する必要もないのかもしれません。 ● 無償交付でありますけれども,無償交付は商法222条11項といいますか,各別の種類ごとに各別にそれぞれどういう種類を割り当てるかという制度になりますので,言うなれば222条の11項みたいなものですし,そうではないと言えばそうではないというか……。   要するに,A種とB種を出している会社のA種の株主にB種の株を割り当てるとか,B種の株主にA種を割り当てる,こういうふうに整理をしないと,今みたいに株式分割でずぼっと横に切るというわけにいきませんので,そういう整理になっております。   それから,資本の額については,今は要するに商法上の資本というのは全部表示している資本金のことを指していますので,資本の部等の資本とか,それからいわゆる払込資本としての資本と紛らわしいので,「資本金」にしようとしています。その関係で,御指摘のあったうちの5の(1)の①の(注1)の準備金の資本組入れというのは,これは現行制度をそのまま書きあらわそうとしたものでありますので,多分ここはこのままの方がよいかもしれませんが,5の(3)の②の(注)の方は,「資本金の額を4で除した額」というのが正しいということになると思います。 ● ○○幹事の1点目の,現行の株式会社について,取締役会設置である旨の登記を職権でするという点ですけれども,現時点におきまして,商業法人登記は会社法人数にして約90%の法人について登記のコンピュータ化が進んでおります。恐らく,この新法が施行されるころには,かなり100%に近いところまで達しているだろうというふうに考えております。ですので,現行の株式会社について,機械的に,自動的に取締役会設置というふうな表示がされるように,システム的な改修をすれば,職権によって取締役会設置会社である旨の登記がされるようになるように,検討してまいりたいと考えております。 ● よろしいでしょうか。   ほかにいかがでしょうか。 ● まず,今の○○幹事の御質問で,何か取締役会設置の登記,これは前から私もちょっと気にかかっていたものですから,今の御回答で大変安心いたしました。   もう一つは,商法総則との関係なんですが,今までこの現代化部会では19条,20条,21条,それから42条の支配人関係,これを議論しているわけですが,12条とか14条の適用関係がどういうふうになるのかについて,ちょっと教えていただければと思います。   というのは,前々回でしたか,合名会社から合同会社に移行して,登記がされていないというときに,社員の責任が変わってくるという問題がありまして,そのときに結構実務では12条とか14条の規定が善意者保護のために活用されているという実情があるものですから,商法の総則全体が何らかの形で会社法の中で準用するという形になるのか,あるいは12条,14条というのは個別の規定が会社法の中に入ってくるのか,その辺について,ちょっと現段階で分かる範囲で結構ですから,教えていただければと思います。 ● まず会社に関して申し上げますと,会社については,会社が商人かどうかはさておき,商法総則の規定は全部適用されないことになります。相当する総則の規定が会社法の方に置かれるという整理になりまして,3章の商業登記の関係に関して言いますと,これのうち11条と13条を除きましてすべて会社法において規律されます。   御指摘のあった12条,14条については,なかなか深いといいますか,解釈論上の問題が多々ありますので,基本的にはこの文言を平仮名化するだけで置く予定でおりますので,そこは従来の解釈の取扱いと変わらないということに……。会社法の方で登記の規定のまとまった場所のところで12条,14条に相当する規定が置かれているということになります。 ● 今の趣旨は,第4部の第1の4に明示してあるところでございます。   ただいま申しましたように,商法総則に係る規定のうち,会社に適用されるべきものについては,それらが準用ないし類推適用されるわけではなくて,会社法に同じ規定を書き下ろすという形で処理をさせていただこうとしております。 ● もう1点,よろしいですか。   先ほど,会計参与につきまして,基本的に役員と並びという理解の仕方の御説明があったのですけれども,会計参与の取締役会出席権というのは,ここでは明記されていないわけですね。報酬とか,あるいは第2部の第3の5の(2)の③ですか,例えば「選任方法等」というところで,「会計参与は,株主総会で選任し,その任期・報酬等については取締役と同様の規律に従う」と。この「等」の中にどれが入るかという問題になってくるかと思うのですが,先ほど○○委員がおっしゃった辞任の話も,この「等」ということで理解するのか。   それから,取締役と共同して計算書類を作成するということになりますと,取締役会設置会社においては取締役会で計算書類を作成を決めるわけですけれども,その取締役会に会計参与の出席権があるかどうか,こういうことは明示されるのか,あるいは何らかの形で取締役に関する規定を準用するということになるのか,ちょっと具体的なイメージを教えていただければと思います。 ● 会計参与につきましては,当然作成した計算書類についての承認に係る取締役会の出席権というか,出席義務があるという方向で考えております。   ただ,その他の取締役会につきましては,業務執行で全然計算書類と関係のない取締役会ばかりのことが多いのではないかと思われますので,そういったものについての出席義務というのはないという想定です。 ● まだ御指摘いただきたいと思うのですが,ここで休憩にさせていただきたいと思います。             (休     憩) ● それでは,再開したいと思います。   続いて,どの点でも御指摘いただく点,ありますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,部会資料35に先ほどの36,それから口頭で説明がありました点の修正を加えた形で,会社法制の現代化に関する要綱案を,当部会として決定することにしたいと存じますが,よろしいでしょうか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)   ありがとうございます。それでは,そのように決定させていただきます。   なお,形式面での微細な字句の修正につきましては,私に一任いただければと思いますが,よろしいでしょうか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)   ありがとうございました。   これで,本日予定しておりました審議は終わったことになりますが,本日が当部会としての最後の審議ということでありますので,これまでの審議を振り返っての感想でありますとか,あるいは事務局による今後の条文化等の作業に向けての御意見,御要望がありましたら,この機会にお伺いしたいと思いますが,いかがでしょうか。 ● 途中で会計監査人の設置について,特に後からできましたLLC--合同会社--そういうところで,私どもも取り下げましたけれども,今後とも有限責任の会社の場合にはやはり会計監査人が必要だということを是非当局の方にも御理解をいただいて,また来るときにはそういうこともお考えいただきたいということを,感想として申し上げておきたいと思います。   そのほかは,大変感謝をしております。ありがとうございました。 ● ほかの委員・幹事の方はいかがでしょうか。 ● 私の方からは,会計参与というものを新設されたということ,非常に感謝しておるわけでありますけれども,若干私たちも各会員の方にいろいろ説明をして回りまして,意見も聞き,また疑問についてはいろいろ説明したわけでありますけれども,その中で,やはり意見がかなり出てきていますので,今後法案の作成,あるいは政省令の作成については,是非ともひとつ意見を聞いてあげて,協議をしていただきたいということをお願いしたいと思います。 ● 以前,ここの部会でも御紹介がございましたけれども,もう審議の終わりの段階になってから,内部統制の問題が国会の方から問題として投げかけられて,その時点では内部統制の規定の充実はしましたけれども,あくまで個別企業のレベルにとどまって,国会の方からはたしか企業グループについての内部統制についてもという御意見があったと承知しておりまして,私はそれは重要な問題だと思っておりますので,是非次の立法の作業の中では,そういう点についての検討をしていただきたいとお願い申し上げます。 ● 当部会におきまして,経済界からのいろいろな要望を提出させていただきまして,そのすべてとは申しませんけれども,かなりの部分が審議の対象として取り入れられて,実現の運びとなりますことをまず感謝申し上げたいと思います。   今,グループ企業のお話がございましたけれども,経済界といたしましても,例えばグループ企業の完全子会社等における大量の新株発行等,今話題を呼んでいるわけですけれども,そういうときに親会社の株主に訴訟等の形で関与する権利を何ら与えなくてもいいのかどうかとか,そういうふうな問題というのはこれから大きく出てくるだろうと思いますので,そういう結合企業体における親会社の株主によるガバナンスの在り方とかいうのは今後の大きな課題ともなるだろうと,そういうふうに私も受けとめておりますので,またいろいろな御提案をいただいて,経済界としてもそれに対して,一方では経営の迅速性というのも重要でございますので,バランスのとれた体制というのがまた今後検討課題に上がればと,そう思っているところであります。 ● 経済産業省でございます。中小企業庁,もう退席しておりますけれども,あわせてちょっと御礼を申し上げたいと思います。   会社法の現代化におきまして,こちらの方からいろいろと申し上げました様々な事項,かなり取り上げられて,かつ,一般的なルールとして確立すること,非常に感謝をしております。でも,残された課題は幾つかあると思っております。例えば,会社法の現代化,当然会社法が変われば組織再編の税制の在り方,LLCの課税の在り方,税制問題まだまだ残ってくると思います。そうした側面について,会社法現代化でできた果実をきちんと最終的に他制度の方でも反映できるように頑張りたいと思っておりますので,皆様方のまた御支援,是非よろしくお願いしたいと思っております。   それから,法務省の事務局の方々,これから大変だと思います。今,経済産業省に整備法の案ということでこんな分厚いものが来て,うちの事務方もヒイヒイ言っているのですけれども,それ以上に,○○幹事以下,相当大変な作業が待っていると思いますけれども,是非,お体を壊さず,いい条文を作っていただくことを期待したいと思っております。本当にどうもありがとうございました。 ● 一言,控え目に。   中小企業でございますけれども,中小企業の立場から様々な問題について,私の前任者の時代に御要望申し上げて,非常にそれに真っ正面から取り組んでいただき,数の上で最大のユーザーである中小企業の立場から,きちんと使いこなせる法制をということで御検討を進めていただきましたことに,心から感謝を申し上げます。   この後,また政省令を含めて具体化の作業の中においても,そういった精神で作業を進めていただきたい点も多分出てくると思いますので,またそういう段階ではいろいろ御相談をさせていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ● ほかにいかがでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,ここで○○委員からごあいさつをいただきます。 ● それでは,一言御礼の言葉を。   本当に今回の会社法制の現代化,分量的にも内容的にも非常に大変なものであると,多分現行商法制定以来の大改正ではないかと思っております。これを,かねてから来年の通常国会に出すと外で公約をしていたものですから,実は途中,本当に間に合うか大分心配もしたのですが,幸い,本当に委員・幹事・関係官の皆様方の御尽力によりまして,今日この要綱案がまとめられまして,本当に御礼を申し上げます。   これだけの大改正でございますので,今回制定される会社法,多分今後数十年にわたって使われると思いますが,かつてと違いまして,法典を一つ作ったらそのままで何十年もということはあり得ない,ただいまの皆様方の御意見を伺っておりましても,残された問題の指摘もございますし,また今回の制度で導入されたものについて気がつかない問題が生じることもあるだろうと思います。また,社会の変化に応じて,更に手当てをしなければいけない問題も出てくるだろうと。そういう意味では,これだけの大作業をいたしましたけれども,今後継続的にこの会社法,商法の分野というのはウォッチをして,ニーズがあれば直ちに対応していかなければいけない,こういうことが特に求められている分野ではないかと,こう思っておりますので,この部会はこれで終わりになるわけでございますけれども,今後とも商法,会社法の分野について,我々の立法作業等につきまして御協力をお願いして,御礼の言葉といたします。どうも本当にありがとうございました。 ● それでは,当部会の審議を終えるに当たりまして,私の方から委員・幹事の皆様,それから事務局に御礼申し上げたいと思います。   当部会は,会社法関係の部会としましては,私の知る限り一番ハードな部会でありまして,何せ1時から,一番長いときはたしか7時半まで6時間半,10分間の休みをとっただけでやったということもありました。それから,実は非常に議論が対立した点もありまして,私自身はこれは恐らく採決をしなければ決着がつかないだろうと思っていた点も,実は何点かありました。しかしながら,その点につきましては関係の委員・幹事の皆様の御努力によりまして適切な解決点を見出すことができまして,大変有り難かった次第であります。厚く御礼申し上げます。   それから,何よりもこの大部な要綱案をまとめるに当たっては,事務局は大変だったと思います。しかし,まだまだこれから事務局には仕事が残っているようでありますが,どうかひとつよろしくお願いいたします。   それでは,最後に今後の予定につきまして事務局から説明がございます。 ● 長期間にわたりまして御審議に御協力いただきまして,誠にありがとうございます。本日,決定されました要綱案につきましては--部会資料35に先ほど御確認させていただきましたとおりの内容の修正をした実質が要綱案ということになりますので--その内容を形式的に整えたものを速やかに作成の上,明日には外部から求めがあればお渡しすることができるようにするという形にさせていただこうと思います。もちろん,委員・幹事・関係官の皆様方には早急に送付させていただきます。   それから,この要綱案につきましては,恐らく来年の2月上旬に開催されるであろう法制審議会の総会に諮られることになります。その総会におきまして御承認いただければ,即日大臣に答申されまして,それに基づく事務局の法案作成提出作業が更に進められるということでございます。今のところ,次期通常国会に法案を提出することができそうな見込みで作業を進めさせていただいております。   なお,申し遅れましたけれども,11月の下旬に特別清算等の見直しに関する要綱案も倒産法部会において取りまとめられております。本日,お配りすべきところを失念しておりましたので,こちらの要綱案とともに,御送付させていただきます。特別清算は株式会社の清算に係る規定の特則であり,その見直しの内容は会社法案に盛り込まれて一つの法案として国会に提出される予定でございます。   事務局からは,以上でございます。 ● それでは,第32回会社法(現代化関係)部会を閉会させていただきます。長時間にわたり熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。