日本司法支援センター評価委員会 第52回会議 議事録 第1 日 時  平成29年8月1日(火)    自 午後 2時57分                         至 午後 5時29分 第2 場 所  法務省共用会議室(中央合同庁舎6号館A棟1階集団処遇室) 第3 議 事  (1) 日本司法支援センターの平成28年度に係る業務実績評価について  (2) 日本司法支援センターの第3期中期目標期間の終了時に見込まれる,中期目標期間の業務実績評価について  (3) 法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について  (4) 日本司法支援センターの第3期中期目標期間の終了時における見直しについて 議        事 伊藤委員長 定刻でございますので,ただ今から日本司法支援センター評価委員会第52回会議を開催いたしたいと存じます。   委員の皆様方におかれましては,御多忙のところ,また,蒸し暑い天候の中,お集まりいただきまして誠にありがとうございます。   最初に,本日は吉成委員が御欠席でいらっしゃいますが,現時点で9名の委員が御出席ですので,定足数である過半数の出席要件は満たしていることを確認いたします。   それでは,早速でございますが,議事に入りたいと存じます。本日の議事は,お手元の議事次第にありますとおり,(1)「日本司法支援センターの平成28年度に係る業務実績評価について」,(2)「日本司法支援センターの第3期中期目標期間の終了時に見込まれる中期目標期間の業務実績評価について」,(3)「法務大臣による財務諸表の承認に当たっての意見について」,(4)「日本司法支援センターの第3中期目標期間の終了時における見直しについて」の以上4点でございます。   各議事につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 御説明いたします。   まず,議事(1)と議事(2)につきましては,前回の会議において法テラスから説明がありました平成28年度の業務実績の年度評価と第3期中期目標期間の業務実績の見込評価につきまして,本日,御議論を頂き,評価の結論を頂くというものでございます。   次に,議事の(3)につきましては,総合法律支援法によりまして,法務大臣が法テラスの財務諸表を承認しようとするときには,あらかじめ,評価委員会の意見を聴かなければならないとされていることから,本日,あわせて御議論を頂くものでございます。   最後に,議事(4)につきましては,総合法律支援法により,法務大臣は,法テラスの中期目標期間における業務実績に関する見込評価が行われたときは,法テラスの組織及び業務の全般にわたる検討を行い,必要な見直しを行うものとされているところ,その見直しに当たっては評価委員会の意見を聴かなければならないとされております。そのため,法務大臣による法テラスの組織及び業務全般にわたる見直し案につきまして,本日,御意見を頂戴するものでございます。   議事の説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。それでは,ただ今,御紹介がございました議事次第に沿って議事を進めたいと思います。   続きまして,本日の配布資料につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 お手元の配布資料につきまして御確認をお願いしたいと思います。   まず,議事次第のクリアファイルの中でございます。こちらには,議事次第,進行予定,出席者名簿,配席図,「事前説明等における御質問への回答」と題する一覧表,「評価委員事前意見(年度評価)」及び「評価委員事前意見(見込評価)」と題する資料を入れております。最後の二つの年度評価と見込評価に関する一覧表は,委員の皆様から事前に頂いた御意見の内容と,それを踏まえまして当初の事務局案を修正した部分をまとめたものでございます。これらの資料につきましては,この後,御議論の際に御参照,御活用いただければと思います。   次に,「第52回評価委員会配布資料目録」という目次を付けました配布資料を御確認ください。資料1の水色の紙ファイルは,議事(1)の年度評価に関する事務局案でありまして,資料1-1としまして「評価の概要」,資料1-2としまして「総合評定」,資料1-3としまして「項目別評定調書」をつづってございます。   同様に,資料2のピンク色の紙ファイルですけれども,こちらは議事(2)の見込評価に関する事務局案でありまして,同じように「評価の概要」「総合評定」「項目別評定調書」の順番につづっております。   次に,資料3でございますが,こちらは議事(4)に関する日本司法支援センターの第3期中期目標期間終了時における組織及び業務全般にわたる見直し(案)でございます。   なお,議事(3)に関する財務諸表等の資料につきましては,前回,皆様にお配りさせていただいておりますが,いずれも大部でございますので,本日,お手元には改めて配布はしておりません。事務局には部数を御用意しておりますので,必要となりました際にはお申しつけください。   最後に,机上配布資料を御確認ください。資料Aは,年度評価に係る各委員の項目別評定結果を一覧表の形でまとめております。資料Bは,同じく見込評価に係る各委員の項目別評定結果をまとめてあります。また,資料Cは,前回の会議でもお配りいたしました日本司法支援センターの業務実績評価に係る基本方針を再度お配りしております。   資料の説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただ今,事務局から説明がございました資料は全てお手元にそろっておりますでしょうか。もし何か問題がございましたら,いつでもお申し出ください。   それでは,議事を進めたいと存じます。   最初に,議事(1)年度評価と議事(2)見込評価につきまして,全体的な討議の進め方についてお諮りいたします。   まず,年度評価と見込評価の対象になります36個の個別評価項目は共通のものとなっております。そこで,年度評価と見込評価についての御意見の取りまとめは,個別評価項目ごとに同時並行で進めたいと存じます。   次に,個別評価項目についての討議の進め方ですけれども,机上配布資料Aの「業務実績評価分布表」を御覧いただけますでしょうか。年度評価と見込評価の各36項目のうち,左端に赤丸を付した項目2-15を除きますと,現段階で35項目について各委員の事前の評価意見が一致しております。しかし,赤字で「重」ないし「難」と付されております重要度や難易度が高い8項目につきましては,その趣旨に鑑みまして個別に御討議いただきたいと思います。これらに加えまして,情報提供業務に関します項目2-17と項目3-21につきましては,前回の会議におきましてもアンケート調査の方法やコールセンターの稼働率等について,複数の委員から御意見を頂いているところでございますので,個別に御討議いただきたいと思います。加えて,法教育に関します項目3-22につきましても,前回の会議におきまして複数の委員から御意見を頂いておりますので,個別に御討議いただきたいと思います。   他方で,ただ今申し上げました11の項目以外のその他の項目につきましては,各委員の評価意見が一致しているところでございますので,委員の皆様に特段の御異議,御異論がない限りは,一括して事務局作成の原案で取りまとめてまいりたいと思います。もちろんその他の項目につきましても,委員の皆様に御意見があれば,積極的に御発言いただいて,御討議いただくことは何ら差し支えございません。   そして,項目別評定についての取りまとめの後に,資料1と資料2の冒頭にございます「評価の概要」,2番目にございます「総合評定」についての御討議と取りまとめを行いたいと存じます。   ただ今,御説明申し上げましたが,討議の基本的な進め方につきましては,このようなことでよろしゅうございましょうか。   (各委員了承)   ありがとうございます。それでは,そのように進めたいと思います。   そこで,まず,大項目Ⅰの総合法律支援の充実のための措置に関する事項,個別項目番号1-1から1-14までについて取りまとめていきたいと存じます。   項目1-3「高齢者・障害者等に対する援助の充実」につきましては,各委員の御意見は,年度評価,見込評価ともB評定で一致しておりますが,この項目は重要度「高」とされている項目でございます。そこで,個別に御審議いただきたいと思いますが,この項目につきまして御意見のある委員はいらっしゃいますでしょうか。   増田委員,この点につきまして御意見があると承っておりますが,いかがでしょうか。 増田委員 研修に当たって装具を付けたりなど,いろいろな取組を既にされているとのことなのですけれども,そういうことに更に加えまして,相談者の特性から聞き取りが非常に難しい状況が推測されますので,ソフト面でどういう対応をすることが,その方の相談の内容の真意を確認することができるかというところの研修を重ねていっていただきたいという趣旨で意見を申し出ました。その点については,評定に至った理由の記載に取り入れていただいており,ありがとうございました。 伊藤委員長 ありがとうございました。御指摘の点につきましては,支援センターの方でしかるべく対応していただくことを期待しております。   そのほか,この項目につきまして御意見はございますでしょうか。   もしございませんようでしたら,原案どおり,項目1-3につきましては,年度評価,見込評価ともにB評定ということにいたしたいと思いますが,それでよろしゅうございますか。   (各委員了承)   では,そのように取りまとめたいと思います。   次に,項目1-4「職員(常勤弁護士を含む。)の採用及び配置等」でございます。各委員の意見は,年度評価,見込評価ともC評定で一致しております。しかし,この項目は難易度「高」とされている項目でございますので,個別に御審議をお願いしたいと思いますが。   佐藤委員はこの点について御意見を提出いただいているようですが,何か御発言ございますか。 佐藤委員 評定自体はCでよろしいかと思っているのですけれども,ただ,評価の仕方として,十分に努力しているにもかかわらずCとなってしまうという構造に元々なっているような感じもします。何か突発的な事情や,努力できなかった点など,そういったことがあってCになるなら分かるのですが,きちんとやっていたにもかかわらずCになってしまうのは,目標の立て方などにちょっと問題があるのではないかという気がしましたので,その辺についてちょっと御意見を申し上げた次第です。   ですから,今年度の評定がCということについて何ら異論があるわけではないのですけれども,今後,こういう構造的な問題でどうしても完璧にはできないものについては,その途中の段階でもある程度評価できるよう,難易度の設定だけではなく,何か工夫をされたらどうかということで御意見を差し上げた次第です。 伊藤委員長 分かりました。   黒田委員も御意見を寄せていただいているようですが,何か補足して御発言ございますか。 黒田委員 ありがとうございます。やはり目標が高いレベルのところにありますので,非常に困難なテーマだと思うのですけれども,それでも少しずつ進捗しているというところは,気持ち的には評価してあげたいなという感覚はあります。そういう意味で,「着実な取組は進捗している」と評価しておりますが,ただ,数値的なものや定性的なものについて,年度目標全体にはちょっと届いていないのかなという気持ちもありますので,自己評価,事務局案のCに同意はするのですけれども,今,佐藤委員がおっしゃられたような感覚は,私自身もやはり感じます。 伊藤委員長 分かりました。   ただ今お2人の委員からの御発言がございましたが,それに関連してでも結構ですので,他の委員から何か御意見ございますでしょうか。   私自身も,ただ今のお2人の御意見に共感するところが大でございます。それは今後のこととして考えなければいけない問題かとは思いますが,評定自体はCとしてやむを得ないかと思いますし,皆様方の御意見も一致していると存じますので,評定につきましては,原案どおり,年度評価,見込評価ともにC評定ということでよろしいでしょうか。   どうぞ,山中委員。 山中委員 法テラスは設立から10年経過したわけですね。それで,法テラスの活動全般がかなり国民一般の中で評価され,司法支援という意味で,その存在自体の有用性が非常に高まってきているが,ただ,これは同業者がたくさんいるわけですね。全国各地に弁護士登録している方がたくさんおられて,個人あるいは事務所組織で,商売と言うと語弊がありますが,弁護士としての崇高な使命の下,いろいろな活動をおやりになっている集団が別にあるわけですね。   そういう中で,法テラスとして,憲法の精神を持ち出すまでもなく,等しく司法救済を受けられる機会を広く国民一般に提供するという非常に重要な役割を担うという位置付けというのは,やはり10年,20年と年輪を重ねていかないといけない。そういう中で,若手の司法修習を修了した人たちが,法テラスの常勤弁護士としてやってみようという人が増えていくのかと言うと,一般の弁護士事務所等に勤務して司法業務に携わる,そっちの道を選択する人の方が恐らく圧倒的に多いわけで,そういう中で法テラスがマンパワー,要するに即戦力,戦力として最も重要な常勤弁護士をどう確保していくかは,やはり10年,20年のタームでないと,なかなか評価できないといいますか,定着していくというのは非常に難しいことだと思うのですね。   ですから,実態から見るとA,B,CのどれかといえばCと言わざるを得ないのかもしれませんが,国民目線で見たときに,法テラスが司法救済の拠り所であるという存在になっていく,そういう意気込みでやっていただく一つのメルクマールがこの常勤弁護士の確保ということでもあるわけでして,単年度,単年度で余りA,B,Cということを気にするのではなくて,難しい話なのですが,法テラスのいわば軽重を問われる一番の基にあるものだということで,更にこの確保に向けて努力するようにお伝えいただきたいということをお願いしておきます。 伊藤委員長 分かりました。それは,おっしゃるように,法テラスの発足以来,この組織を取り巻く周辺との環境で一番大きな課題かと思いますし,また,さまざまな形で努力をして,相当程度実現して,しかし,なおこういった現状にあるということですが,このCという評価はそういう積極的な評価を含み,かつ,一層の努力を期待したいという委員会の意思の現れであることを,何らかの形でお伝えしたいと思います。   それでは,評定といたしましては,Cということにしたいと存じますが,よろしいでしょうか。   (各委員了承)   次に,項目1-10「情報セキュリティ対策」でございます。御意見は,年度評価,見込評価ともにB評定で一致しているわけでございますが,重要度「高」とされている項目でございますので,個別に御審議を頂ければと存じます。いかがでしょうか。   池田委員は,この項目につきまして御関心が高いように伺っておりますが,何か御発言ございますか。 池田委員 もともと法テラスの方で準備されていた自己評価の中には,どちらかといいますと,セキュリティ対策としては,標的型の攻撃メールですとか,そういったハッカーに対する対策等が中心に記載されておりましたので,いわゆる情報セキュリティの中で日々皆さんが取り扱われていらっしゃる個人情報に関する研修や,教育といったところにつきまして,どのような状況であるかということを御質問させていただきました。本日配布されている追加の質問に対する回答を拝見しますと,そこにつきましても,特に自己評価での記載はありませんでしたけれども,きちんと教育,研修が実施されていることが確認できましたので,特に評価につきまして,これ以上追加すべきことはないかと思っております。 伊藤委員長 分かりました。御質問とそれに対する回答で,御関心については納得ができたということかと承ります。   増田委員もこれについては御意見を述べられていらっしゃいますが,いかがでしょうか。 増田委員 私もちょっと近い意見だったのですけれども,出張相談というような形で,外に出向いて相談を受け付けるということになりますと,例えば内部でのセキュリティだけではなくて,資料や聞き取ったものの取扱いについてのヒューマンエラーというか,担当者がどうそれを取り扱うかというところで,たびたび問題が起こるということも見聞きしております。そういうところについても手当てが必要ではないかという意味で意見をお伝えした次第です。その点についても,内容については確認させていただきましたので,承知いたしました。 伊藤委員長 分かりました。   他の委員の方で何か御意見ございますか。   よろしければ,項目1-10につきまして,年度評価,見込評価ともに,原案どおりB評定として委員会の意見を取りまとめたいと存じますが,よろしゅうございましょうか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   大項目Ⅰのその他の項目につきましては,委員の皆様方の意見が一致しておりますので,特段の御意見がなければ原案のとおりといたしたいと思いますが,それでよろしゅうございますか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   続きまして,大項目Ⅱに移りまして,業務運営の効率化に関する事項でございます。項目番号といたしましては,2-15から2-20までについての御審議をお願いしたいと思います。   項目2-15「一般管理費及び事業費の効率化」につきましては,重要度「高」とされております。この項目につきまして9名の委員の御意見は,年度評価,見込評価ともにB評定となっておりますけれども,池田委員からは,効率化係数を織り込んだ予算額以下での執行を評価する手法に違和感をお感じになるということで,「評価不能」という御意見が出されております。前の会議でも同様の御発言があったように存じますけれども,改めまして,池田委員,この点はいかがでしょうか。 池田委員 改めて事前に御説明をお伺いいたしましたが,結局,前年度の実績をベースに効率化を図るのではなくて,前年度予算額に一般管理費については3%,それから,事業費については1%という一律の効率化係数を乗じた減額を予算の中に織り込んで,そこを下回っていると基本的には合格だよというようなスキームになっているかと理解させていただいたのですけれども,足元の実績ではなくて,前の年の予算をベースに計算するということそのものに私は疑問を感じました。   独立行政法人に一律に適用されている考え方であり,独立行政法人の中には,業態によっては比較的安定的な運営あるいは変化が少ないというようなところもおありなのかと思います。また,もちろんこのお話は,新しい事業ですとか,拡張しているところにはそのまま適用するわけではないと注釈が付けられているのですが,こういう硬直的な予算をベースに何か評価をしなければいけないということそのものについて,委員としては違和感を感じるというところが率直なところでございましたので,大変恐縮ですが,法テラスが効率化に励んでいらっしゃるということそのものを否定するつもりは全くないのですけれども,評価の方式そのものについてやや疑問があるということを何らかの形で意思表示させていただく方法があるとすれば,評価不能とさせていただくのかなと思いまして,そうさせていただいた次第でございます。 伊藤委員長 ただ今の池田委員の御発言に関しまして,他の委員の方から何か御意見ございますでしょうか。 山口参事官 よろしければ少しだけ,効率化減について事務局から補足させていただきたいと思います。 野田部付 本年度法テラスの予算担当をしております部付の野田でございます。   ただ今御指摘いただきましたけれども,効率化減につきましては,独立行政法人共通のルールということで,法テラスも独立行政法人の枠組みを利用した法人でございますため,この効率化減を一切行わないということはなかなか厳しいというところが正直なところでございます。しかしながら,効率化減の対象とする経費の範囲などにつきましては,各法人ごとに異なっているという現状もございまして,具体的な内容につきましては中期計画で定めることになっております。   法テラスにつきましては,平成29年度で第3期中期目標期間が終わりまして,平成30年度より新たに第4期中期目標期間となります。そのため,今後,法テラスにおきまして第4期の中期計画を作成することとなりますが,その際には,今回,池田委員より御指摘がありましたことも踏まえまして,法テラスの業務運営に必要な予算を確保できますように,効率化減につきましては,その対象となる経費の範囲など必要な見直しを行ってまいりたいと思っているところでございます。 伊藤委員長 池田委員,いかがでしょうか。 池田委員 御趣旨はよく理解いたしました。 伊藤委員長 独立行政法人の一般的な枠内での問題と,それから,法テラス特有の業務ないしそれに要する予算等の関係で難しいところがあるかと思いますが,今,野田部付から御説明いただいたように,それがいわば縛りとなって法テラスの業務の発展の妨げにならないように工夫していただくということで,もし御了解いただけるのであればと存じますが,いかがでしょうか。 池田委員 個人としての評価を変えるということでなくて,皆様が評価委員会全体としてB評定とされること自体には,私は何の違和感もございませんので,結構かと思いますし,今の野田部付の御説明につきましても,御趣旨はよく理解させていただいております。   決して法テラスにも法務省にも,何か物申したいことがあるというよりは,独立行政法人全体を一くくりにするルールの立て方にそもそも違和感があり,しかも前年度の予算をベースに考えていくというところに,何か違和感があるなということを申し上げたいというだけでございます。 伊藤委員長 分かりました。   そういたしましたら,池田委員も,ただ今,御発言ございましたが,当委員会としては,評定自体については,年度評価,見込評価ともにBとするということで取りまとめをお願いしたいと存じます。   (各委員了承)   次に,項目2-16「事務所の業務実施体制の見直し」でございます。この項目は,難易度「高」に設定されておりまして,法テラスの自己評価では,年度評価,見込評価ともにC評定とされております。それに対して各委員の御意見は,年度評価についてはC評定,見込評価についてはB評定ということで一致しております。そこで,前回の御発言も含めまして,御意見を頂いた上で,ここでの結論を出したいと存じますが,池亀委員,山中委員,何か御発言ございますでしょうか。 池亀委員 これは先ほどの項目1-4のところにもありましたとおり,常勤弁護士の応募が減少していることとも関連する部分があるかと思っておりますが,司法過疎地における事務所の存置とか廃止あるいは新設は,応募する弁護士の数の減少にも直接影響を受ける部分であろうと思いますし,それに加えて,先ほども山中委員から御発言があったのではないかと思いますが,法テラスの常勤弁護士に応募するのか,あるいは御自身で独立をされるのかというその選択もあるという部分もあり,また,さらに,常勤弁護士を採用する側の基準というものもあって採用そのものも非常に難しいという現状があるかと思います。それに加えて,司法過疎地あるいは司法過疎地でないところへの事務所の設置は,当該その地域における相談者のニーズや,あるいは地元の弁護士会の状況,あるいは弁護士の数というようなものに大きく影響を受けるのではないかと考えています。   そういう意味において,なかなか新規設置に至らなかったというところだけではないですが,そういうところが原因になっているような節もあって,年度の評価は自己評価のとおりCでやむを得ないかと思っているところですが,やはり見込評価につきましては,1年間で1個設置できたら,これで目標達成ということではなくて,そういった様々な調整をした上で,様々な検討をしなければならないような本当に難しい状況にあるのだろうと思っていますので,Bと考えております。引き続き,こちらは,先ほど申し上げた項目1-4の法テラスへ応募する弁護士が少なくなられているというところの理由を前回の会議で少しお聞きしたような気がしておりますが,非公式な場でもよろしいのではないかと思いますが,ある程度ヒアリングを行っていただいて,何が原因となっているのか,もちろん対策を考えられる上では,現状を把握した上での対策ということになるかと思いますので,その辺りのヒアリングを行って,何がネックになっているのかも含めて御調査いただいて,地域事務所の存置であるとか,地元の弁護士の方との調整などをまた新たに考えていただくことがよろしいのではないかと考えていますという趣旨のことを短く書かせていただいたのが私の意見でございました。 伊藤委員長 分かりました。   今の池亀委員の常勤弁護士の応募の数が減少していることについての原因については,しかるべく分析をすることを含めてセンターの側にお伝えいただけますでしょうか。 山口参事官 承知いたしました。 伊藤委員長 ちなみに池亀委員の中期目標期間を通して見た場合のB評定の理由につきましては,私自身も同様のことを感じておりましたので,そのような意見を記述いたしました。   この点に関して,山中委員は,前回の会議でも御発言がございましたが,なお,もし補充していただければ有り難いと思います。 山中委員 司法過疎対策に限定すると別途2-20という項目があるわけで,司法過疎地域において司法支援をどうするかという評価は項目2-20であり,司法過疎地域において,どういう出張所等の体制整備を図るかが項目2-16だと。その上で司法過疎地域の実施体制の整備を含めた全体の法テラスとしての事務所の業務体制の見直しという観点から見ますと,そもそも単年度評価にはあまりなじまない項目ではないかという気がしておりまして,たまたまある年に何らかの見直しがあって,体制整備みたいなことができたとするとB評定で,何の動きもなく,前年度とそれほど大きな体制変更がないと,それはC評定だというようなことで,あまりそこで一喜一憂してみても意味のないことだと思っています。。   それで,抽象的に事務所の業務実施体制の見直しと言ってみても意味がないので,司法過疎に限定して申し上げますと,一定地域,県とか郡の単位でもいいのですけれども,登録している弁護士の分布状況は把握できるわけですね。だからといって,それで司法過疎かどうかの判断はできない。弁護士がいなくたって,そもそも田舎に行くと,その地域の風習というか,あまり裁判沙汰にすると,そういう人間はそもそも爪はじきに遭うというようなところもあるわけで,弁護士がいなくても,別に法律上の係争がなかったり,あるいは裁判に持ち込まなくても,別途そういう問題を解決する知恵をその地域の慣習なり,風習なり,文化として持っていれば,それはそれでいいわけでして,司法過疎地域かどうかの認定というか判断は大変難しい話なのですね。   そうすると当該都道府県とか,あるいは市町村,あるいは地域の市長会,町村会,そういったところから何らかの要望があって,出張所みたいなものをつくるかどうかというような対応の仕方しかないのではないかと思います。法テラスが,弁護士登録の実態とか,その司法係争件数とか,そもそもそういう司法支援のニーズを把握して,この地域に必要だから整備をしていくということはなかなか難しい話でして,単年度,単年度でどうこうではなくて,やはり3年とか5年ぐらいの単位で,都道府県,市町村あるいは民間のいろいろな団体と協議会等をつくったりしておやりになっているわけですから,そういう日常の司法過疎対策をどうするかということではなくて,法テラスの活動全般について,いろいろな団体と協議,連携をする中で,そういう司法過疎対策についてのニーズ把握もしていくというようなことでやっていくしかないのではないかという気がいたしております。 伊藤委員長 項目の性質からして,それぞれの年度ごとにという判断が難しいということはおっしゃるとおりで,そういう意味で,皆様方の御意見といたしましても,中期目標期間中を通して見た見込評価としてBという評定になっているのではないかと私も理解しております。   それでは,もしよろしければ,年度評価を,これはそうせざるを得ないということでC評定として,しかし,見込評価についてはBという評定にするということで取りまとめてよろしゅうございましょうか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   次に,項目2-17「情報提供業務(犯罪被害者支援業務の一部を含む。)」につきまして,各委員の意見は,年度評価につきましてはA評定,見込評価についてはB評定で一致しておりますが,前回の会議で幾つか御意見のありました項目でございます。前回の会議で池田委員からオペレーターの稼働率についての御指摘がございましたが,池田委員,その点,もし補足していただければ有り難いと存じます。 池田委員 今日配布いただきました質問への回答の項目2-17のところに書かれておりますが,前回,御説明いただいた稼働率は,一番最後に追加で記載していただいているとおり,いわゆるミーティングや研修に参加している時間をオペレーターの勤務時間の分母として算出していらしたということでございましたが,一般的なコールセンターの稼働率としては,そこを含めて分母で計算するのはちょっと無理があるかなと思いまして,改めて算出し直していただいた数字が一番下に記載されている数字と理解させていただいております。この数字自体は,法テラスが基本的には必要とされている方々に対して迅速に,まず電話で御対応するべき部門であることを加味いたしますと,稼働率としてはさして低いというような問題がある数値ではないかと理解させていただいております。   ただ,通常,席に座って電話をとる準備ができている状態の中でどれだけ電話並びに後処理をしていますかというところが稼働率の数字なのですけれども,その分母の数字につきましては,システムにログインしている状況の時間帯というものを通常システム的に把握できるものかなと思っておりますので,今後,正確な稼働率を算出していくという観点からも,そういった数字を拾っていただく御努力はしていただいた方がよろしいかと思っているところです。 伊藤委員長 分かりました。   他の委員の方で,何かその点に関しまして御発言ございますか。   何か事務局からありますか。 山口参事官 少しだけ補足させていただきます。 吉田部付 事務局の吉田でございます。   御指摘いただきました稼働率の点,大変有り難い御指摘を頂いたと私ども思っております。稼働率の正確な時間の算定というところでございますが,なかなかシステム対応が法テラスの方でできておらず,このシステムから構築を考える必要があるというところで,今後,法テラスとともに検討してまいりたいと思っております。 伊藤委員長 それでは,そのようにお願いいたします。   ほかにはいかがでしょうか。   もしよろしければ,評定といたしましては,原案どおり,年度評価をA,見込評価をBということにいたしたいと思いますが,それでよろしゅうございますか。   (各委員了承)   ありがとうございます。   大項目Ⅱのその他の項目につきましては,委員の皆様方の御意見が一致しておりますので,本日特段の御意見がございましたらおっしゃっていただくとして,ございませんようでしたら,原案のとおりにしたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   (各委員了承)   次に,大項目Ⅲに移りたいと思います。「提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」でございまして,項目番号としては3-21から3-28までございます。   まず,項目3-21「情報提供業務の質の向上」につきましては,年度評価,見込評価ともB評定で一致しておりますが,前回の会議でホームページ上のFAQの利用促進やアンケート調査方法等について御意見が提出された項目でございます。そこで,更に御意見を承った上で評定を決したいと思いますが,前回の御意見や評定についての御意見を頂きました池田委員,増田委員から補足をしていただければと存じます。 池田委員 前回も申し上げましたが,対応品質のチェックの中で,コールの部分についてはチェックの数も,それから内容も特に大きな問題はなかったと拝見しておりますが,メールにつきましては,回答数そのものが極めて少なかったということと,その中身につきましても,コールに比べますとお問合せいただいた方の御満足の度合いが低かったと理解しておりますので,メールの対応品質をきちんとチェックしていただくためにも,もう少し多くの方々からアンケートに御回答いただいて,品質チェックを継続的に見ていく必要があるかと思った次第です。   それから,前回,法テラスの方がおっしゃっていたとおりでございますけれども,FAQについては充実させたにもかかわらず閲覧数が大きく下がっていることの理由の一つは,スマホの対応が十分できていないことだと自己分析をしていらっしゃいましたので,今後もスマホでの閲覧がPCに比べると伸びていくのは世の流れとしては止められないかと思いますので,是非スマホの対応を早急に実現していただいて,良いFAQが準備されていれば,自然と皆様がそれを見て,コール数の抑制にもつながり,コストの効率化にもつながるかと思いますので,御尽力いただけたらと思った次第でございます。 伊藤委員長 ありがとうございます。   増田委員はいかがでしょうか。 増田委員 私も,応答率やアンケート調査の結果については大変高い評価があるということで,それは了解しております。ただ,やはりアンケート調査の母数を増やす努力は引き続き必要だということと,それから,若干であったとしても苦情があった場合には,どうしてそういうことになったのかということの検証をきちんとしていただくことをお願いしたいと思います。   そして,つけ加えてですが,FAQに誘引するような方法としていろいろ考えられるかと思うのですが,先日,ある企業の方から聞いたのですが,ヤフー知恵袋に正しい情報を書き込みしているということでした。若い方はネットでいろいろな情報を得て完結してしまい,電話で相談するという行為まで行かない傾向があります。ヤフー知恵袋みたいなものを見て,そこで情報収集して自分なりの解決をしてしまう傾向があるということが実は調査等でも出ていることがあるのですが,そういうところに入っていって,問合せがあったときに,「こういう答えです」とか,あるいは「FAQがあるので御覧ください」みたいなことを書き込んでいくような努力をされている企業がありました。一つの方法かと思いましたので,ここで情報提供させていただきます。 伊藤委員長 分かりました。   他の委員の方で御発言ございますか。 山口参事官 もしよろしければ,前回の会議でお2人の委員から御指摘を頂きまして,法テラスとして今後の一定の検討している状況を報告させていただきたいと思います。 吉田部付 まず,池田委員から頂きましたメールの品質チェックの点でございますが,これまで法テラスでは,回答メールの内容につきまして,弁護士等によるチェック等は行ってまいりましたが,今回の池田委員からの御指摘は,利用者目線からの評価という点で大変有り難い御指摘だと考えております。この点,御指摘を踏まえまして,法テラスにおいて,アンケートの依頼文の書き振りや集計方法についても,改善を図るよう検討しているところでございます。   それから,FAQのスマートフォンへの対応というところですが,こちらも前回に御指摘を頂きまして,改善に向けた検討を法テラスで始めております。具体的なものとしては,30年度以降にホームページシステムの全般的な変更を予定しており,これに併せて改善を図ることを検討しているところでございます。   それから,増田委員から頂いておりますアンケートの母数を増やすための対応というところにつきましても,誘導バナーのデザインや配置の位置の見直しといったものを,まずできるものからやっていきたいということで,法テラスで取り組んでおるところでございます。   また,例えばホームページでFAQであるとか関係機関検索等を御利用いただいた方をアンケートに誘導するようなリンクを別に設置するといったようなことも検討しているところでございまして,頂いた御指摘を反映させていくように,法テラスともども検討してまいりたいと思っております。 伊藤委員長 ありがとうございました。委員からの御指摘については,それぞれ対応をすべく検討の途中ないし,一部は実際に対応をしつつあるという状況のように承りました。   それでは,そういった点についての対応を今後充実していただくということは前提といたしまして,評定自体としては,原案どおり,年度評価,見込評価ともにBということでよろしゅうございますか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   続きまして,項目3-22「法教育に資する情報の提供等」につきまして,各委員の御意見は,年度評価,見込評価ともA評定で一致しておりますが,前回の会議で法教育事業の在り方について御意見がございました。そこで,御意見が一致はしておりますけれども,この項目につきまして更に御意見を頂戴した上で,当委員会として最終的な評価を決したいと思います。いかがでしょうか。 山中委員 前回の会議で,私もまだよく分からないので,もうちょっと考えてみますと申し上げたのですが,1月近くたっていろいろ考えてもやはりよく分からないのです。年度評価,見込評価ともにAということですが,A,B,Cのどれかといえば,法テラスの取組としてはAで妥当だろうという気はするのですが,法教育の取組として評価委員会が手放しでA評定を与えているということなのだろうかと。外から見たときに,これは紛れもなくAで,大変よくおやりになっているという受け止め方をされただけでは,私は何となくしっくりしないものが残ります。   前回も申し上げましたけれども,法教育というもの自体,ある意味,役所あるいは役所に関係するところがやることが,ちょっとおこがましいような気も実はするわけでして,教育ですから字義どおりに言えば,教え育む,ということになります。教育を受ける立場からすると,要するに何かを学ぶわけですね。これは法務省も文部科学省も,私は必ずしも国として大上段に法教育をやっているかどうかを評価すれば,これは十分ではないと思いますが,法テラスの活動として一生懸命おやりになっているその内容を見ると,情報提供業務という位置づけというか性格付けがされている中で,いろいろシンポジウムをやったり,落語の手法を取り入れたり,工夫をしておやりになっていることはよく分かるのですが,受け手の側がそこから何を学び取っているのか。単にいろいろな情報を提供して,「ああ,今日はいい勉強になった」というだけでは学んだことになるのか,単なる研修を受けただけではないのかという気がするわけです。   だからといって,法テラスの法教育なるものの活動として,では,何をやっていけばいいのかというと,これは大変難しい話で,端的に言うと,法教育の名に値することをやっていただきたいということに尽きるわけで,私も考えますが,是非その法教育の名に値することかどうかという検証を怠らずに,内容に工夫を凝らしていただきたいというのが,お願いです。要は,狙いは何かということなのですね。法テラスが行う法教育としての情報提供の狙いは何か。これは,法律的な知識を付与するということもあるでしょうが,やはり法的な倫理観というものが広く国民一般に広がっていくとか,法規範というものをどれだけ一国民として,一市民として尊重していくか,そういうことを養っていく一助になれば,という気持ちでおやりになるのかなという気がしているわけです。   何も結論めいたことをここで申し上げるつもりもないです。まだ整理ができていないのですが,是非,今の発言を法テラスなりに検証,検討していただいて,単なる情報提供ではないものを何か工夫できないのかお考えいただきたいということを申し上げておきたいと思います。 伊藤委員長 ありがとうございます。   この点につきましては,佐藤委員,池田委員,池亀委員からも御意見を頂戴しておりますが,ただ今の山中委員のいわば根本に関わる問題提起を含めまして,何か御意見ございますでしょうか。佐藤委員,いかがですか。 佐藤委員 池田委員からも業務説明と法教育の切り分けが必要と考えるということが評価委員意見として出ておりますが,業務説明のようなものも法教育事業の実績に全部カウントしてしまって,それでいいのかということは,私も思います。その指摘を受けたからだと思いますが,今回の事務局の修正案では,実施回数の計算に当たっては業務説明の取扱いについて検討が必要と思われるという記載が加わっており,そうした対応でもちろんよろしいかと思うのですが,業務説明も含めてしまうと,それこそ「法教育って何だろう」という根本的な疑問になってきてしまうと思うのですね。   もともと従来から業務説明はやっているわけですから,それも法教育だというと,今まで全然意識しないでやってきたものも法教育なのだ,実は法教育をやっていたのだということになってしまうと,区別ができないのではないかという気がするのですね。   それと,そこまで行ってしまうと,外部から見た場合,特に弁護士から見た場合,相談に乗っていることが多いと思うのですが,そういう相談の場合も,実は我々も法教育をやっていたのだなと思われてしまうのではないかということも,ちょっと懸念としてあると思うのですね。   そうすると逆に,回数をこんなに多くやっているのだということが一つの評価の基準になっていると,何となくいい加減にやっているのかなと思われてしまう面もあるのではないかと思うのですね。それがちょっと気になったところです。   結局,業務説明とは区別できるようなことをやらないといけないのではないか。回数は少なくてもいいから,内容的に充実したものを法教育の観点から構築したシンポジウムをやりました,その狙いとしてはこういったものがあって,一定の理解が得られたなどと評価していく方が良いのではないかという気がしています。 伊藤委員長 業務説明と,それから,やはり法教育を受講する側が,例えばトラブルに遭ったときにどういう主体的な判断ができるかという資質,能力を養うための法教育というものは,考え方として区別されるべきもので,全く両者が別のものだという気はしませんけれども,しかし,重なり合うべきような性質のものでもないということは私にも理解できるのですが,その辺りは池田委員,池亀委員,以前から御指摘があったように思いますが,いかがでしょうか。 池亀委員 去年,私が法教育の項目で業務説明も含まれているのではないか,司法ソーシャルワークの説明も全部そこに入ってカウントされているのではないかということを申し上げて,つぶさにカウントしたところから始まっている話なのかなと思っているのですが,やはり山中委員や佐藤委員がおっしゃるように,次の中期目標においては,法教育とは何なのだ,その名に値する内容をやってほしいという思いは,恐らく皆さん同じではないかと思っていますし,前回の会議でも,その趣旨は法テラスに伝わっているのではないかと私自身は承知しております。したがいまして,その点については今後の御検討をお待ちしたいと思いますし,期待したいと思っております。   先ほど佐藤委員からも御指摘がございましたが,そういう意味において整理をした上で,こういった法教育を一般社会人向けに,大人向けにということで目指していく場合においては,この1,500回という目標そのものが,やはり無理があるのではないかと思いますし,その目標数値を設定する場合には,例えば地方事務所において,前期1回,後期1回,かける事務所の数のような形の設定でよろしいと思っています。今のはただの一例として申し上げているだけでございますが,何千回という過去の回数にとらわれることなく,改めて御検討いただくということでよろしいのではないかと思っています。   そして,法教育というものは,もちろん教えるという側面もあるとは存じますが,やはり情報提供の一つという側面も大きいですし,あるいは法テラスの広報という側面も大きいのだろうと思っています。したがいまして,やはり3人や4人,10人程度のものではなくて,広く市民の方に興味のあるテーマを分かりやすく伝えることが肝要だと存じます。そういう意味において,消費生活センターの相談員の方との交流もおありでしょうから,一体,今どんなことが一般の方々から悩み事として寄せられているのか,どんなトラブルになっているかなどのリサーチ,ヒアリングをした上で,そうしたものをテーマにして行っていただくのもよろしいですし,あるいは行政が市民向けに行っている説明会や相談会等の集まりの中で,法的な部分について市民に向けたお話をするような,講演のようなものをどこの市町村もおやりになっていらっしゃると思いますので,そういったところにアプローチをして,継続的に法テラスとの関係を行政とつなげていくとかというような,福祉の観点にとらわれないで何か目標を設定してやっていただくと,より具体性を帯びてくるのかなという感じがしております。   したがいまして,司法ソーシャルワークの項目で,法教育とは分けて考えていただきたいということを指摘しておりますが,見込評価の中では,センターとして取り組むべき法教育の計画を,どんなものをするのかをまず考えていただいて,それに向けた計画と目標を設定していただきたいと端的に申し上げたのは,今申し上げたような趣旨でございます。 伊藤委員長 ありがとうございます。 池田委員 3人の委員の方々の御意見を伺って,本当にごもっともだと思いますし,法テラスがやるべき法教育が何であるかということを法テラス御自身も,それから周囲の私どもも改めて考えてみるべきなのかなと思いました。   これ以上追加することは,私としてはございません。 黒田委員 ちょっと私の受け止め方は違うのですけれども,この年度計画で法テラスが掲げている計画の量の目標,これは,法教育に資する情報の普及,情報の提供と書いてありますので,私は,法そのものの教育,リーガルマインドを養うことももちろん含まれるのでしょうけれども,やはりリーガルな手続も一体どうするのでしょうかと,そういうことを法テラスが担うのですという意味では業務の説明も入ってきて当然だと実は思っていますので,その意味では,ここで業務目標として掲げている「法教育に資する情報の普及」という範囲を,私はもう少し広く解してジャッジすべきなのではないかと考えております。   それらを含め2,300回というのはすばらしい回数であり,業績だと評価しているところでございますが,いや,そうではないのだ,ここは純粋にリーガルマインド,法教育そのものだけなのだとおっしゃるなら,その範囲を限定するというか,明確にしていただければ,それはそれでジャッジのしようがあると思います。しかし,ここに掲げられている年度計画の趣旨を忖度して解釈しますと,結構幅広いものがあるのではないかと私は直感的に考えておりますので,前年もそうでしたが,同じような考え方を持っております。 伊藤委員長 ありがとうございます。重なり合うものではないけれども,しかし,センターがどういうことをしているか,あるいはどういうことができるか等のセンターの業務に関わる説明が法教育と密接な関係があるということも間違いないかと思いますので,その点は黒田委員の御指摘のとおりかと思いますが,今の4人の委員から頂いた御意見も含めて,更に今後の検討課題としてほしいと思います。 栃木委員 私自身,去年からこの問題をいろいろ考えてはみたのですけれども,やはり法教育とは何かというところの概念がはっきりしないものなので,いろいろ議論が錯綜するのかなとは思っているのです。「法治主義とは何か」とか「法律とは何か」とか,そういう一般的な問題に広げてしまった場合には,それは文部科学省や,高校,中学,大学教育に委ねるべきことでありまして,裁判所も法の日の週間など,いろいろな機会を通じて活動を行っているのですけれども,やはりそこにおいて行われているのは,これを教育と言うかどうか分からないですが,裁判手続を中心とした活動を行っております。   そういう場合は,検察庁も弁護士会もやはり同じような活動をやっているのですけれども,それは,自分たちの活動,検察業務とか弁護業務を通した説明が,多分,法教育として意識されてやっていると思うのですね。つまり,何か棲み分けがあるものですから,そこにおいては法テラス自身が,他の委員の方も懸念しているように,何をもって法教育と考えて,それをどう情報提供していくのかというところが,この法教育という一般的な言葉の中で共通理解がないので,多分こういう議論が錯綜してくるのかなと思います。   それで,黒田委員が言っておられるように,私も,法テラスの存在についてよく分からないし,どんなことをやってもらえるのかも分からないし,どんなメリットがあるのか分からないという方に対して業務説明をすることについては,新たな知識を持ってもらうことなので,ある意味で言うと法教育にはプラスになっているし,そういう意味で捉えてもいいかとは思います。ただ,「それは単なる業務説明でしょう」と言われてしまうと,そういう側面もあるということなので,そこら辺のところの切り分けをうまくしていただけると良いのかなと思います。   あとは,やはり司法ソーシャルワークと法教育がダブルカウントみたいな形になっているのも気になるところなので,うまく切り分けしていただければ良いのかなというのが率直な感想でございます。 伊藤委員長 ありがとうございます。   これは,もちろん引き続きセンターには取り組んでもらう課題で,ただ今のような御指摘を踏まえて,より一層,法教育の理念,目的に即した取組が望まれるところであるかと存じます。   評定自体といたしましては,年度評価にせよ見込評価にせよ,さまざまな形で多様な活動を多数展開しているという点で,いずれについてもA評定と御意見で一致しておりますが,それでよろしゅうございましょうか。   (各委員了承)   ありがとうございます。それでは,評定自体はそのようにして,ただ今頂いた御意見については,しかるべき形でセンターの側に伝えていただくようにお願いいたします。   大項目Ⅲのその他につきましては,委員の皆様方の御意見が一致しておりますので,特に何か御発言がございませんようでしたら,原案のとおりといたしたいと存じますが,いかがでしょうか。よろしいですか。   (各委員了承)   それでは,この辺りで10分程度休憩を取りたいと存じます。           (休     憩) 伊藤委員長 それでは,再開いたします。   大項目Ⅳ「財務内容の改善に関する事項」でございますが,項目番号で申しますと4-29から4-34までとなります。   まず,項目4-29「自己収入の獲得等」につきましては,年度評価,見込評価ともに,各委員の御意見がB評定で一致しておりますけれども,この項目は,難易度「高」に設定されている項目でございますので,委員の御意見を承れればと存じます。   この項目については,池田委員から事前に御質問があったように承っておりますが,いかがでしょうか。 池田委員 有償受任等は問題ないかと思っているのですが,気になりましたのが,一般寄附収入が,28年度は190万円ということで,27年度は大型の寄附があったと記憶しておりますので非常に大きな金額になっておりますけれども,26年度と比較しましても減少していたものですから,これより以前と比較するとどうだったのだろうと思いまして質問をさせていただきました。   今日御回答を頂戴しておりますけれども,22年度から順次見ましても,やはり28年度の190万円という金額は,少なかったと見るべきなのかなと今確認させていただいたところでございます。使途を限定した形での使途特定寄附制度等の告知によりまして,法テラスの業務内容は,やはり非常にお困りの方々に法的な支援をするという意味では,寄附が集まってもしかるべき業務内容であると思いますので,告知強化等については,まだ工夫の余地があるのではないかと思った次第でございます。 伊藤委員長 ありがとうございます。   ただ今,池田委員からの御質問と,それに対する回答の内容で,過去に遡って寄附金額を比較しても,少し問題があるように思うという御指摘がございましたが,その点も含めまして,この項目4-29に関して何か御発言はございますでしょうか。   どうぞ,事務局からお願いします。 山口参事官 御指摘を踏まえまして経年変化の数字を出した上で少し中身を見てみましたところ,寄附の件数自体は例年とあまり変わりないのですが,昨年度は1口当たりの寄附の平均金額が著しく減少しておりまして,この原因がどういうものであったのかは,今後,法テラスとして分析しなくてはならないと思っております。法テラスでは今,使途特定寄附のチラシ等で様々な工夫をしておりますが,原因を分析しながら,引き続き取組を進めてまいりたいと思っております。 伊藤委員長 贖罪寄附はともかくとして,一般寄附というのは,どういう方がなさるのですかね。そういう属性といいますか,どんなことで法テラスに寄附をしようするのか,それが全く偶然的なものなのか,そこがよく分からないですね。   そういう問題はございますけれども,自己収入の獲得等につきましては,一定の成果を上げて,所期の目標を,自治体からの財政的支援も含めまして獲得しているということで,年度評価,見込評価ともB評定ということで意見が一致しておりますけれども,それでよろしゅうございますか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。また,一般寄附についての分析等は,法テラスでしかるべき形で行って,それを踏まえて,より一層の努力をしていただければと思います。   次に,項目4-31「償還率の向上」でございますが,この点につきましては,年度評価,見込評価ともにB評定で各委員の御意見が一致しております。ただ,重要度,難易度ともに「高」とされておりますので,個別的に審議をお願いしたいと存じますが,どなたか御意見ございますでしょうか。   実績から見て,当初の目標に到達しているということでB評定でよろしゅうございますか。   (各委員了承)   それでは,そのように,年度評価,見込評価ともにBと取りまとめたいと存じます。   大項目Ⅳのその他の項目につきましては,委員の皆様方の御意見が一致しておりますので,この場で特段の御発言がなければ原案のとおりといたしたいと存じますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   (各委員了承)   引き続きまして,大項目Ⅴの「その他業務運営に関する重要事項」,項目番号で申しますと5-35及び5-36について審議をお願いしたいと存じます。   まず,項目5-35「認知度の向上に向けた取組の充実」につきましては,御意見は,年度評価,見込評価ともB評定で一致しておりますけれども,重要度「高」と設定されている項目でございますので,個別的な審議をお願いいたしたいと思います。   この項目につきましては,池田委員,増田委員からそれぞれ御意見を頂戴しているようでございますが,補足して何か御発言がございましたらお願いいたします。 増田委員 認知度が50%を超え,高くなっていると思うのですが,結局,いろいろな相談窓口がありまして,自分の相談はどこに相談するのが一番適切な助言,情報提供を受けられるかということを多くの一般の方は詳しくは知らないだろうと思います。相談場所であるという認知度はある程度上げられるけれども,中身についてまで十分に理解しているかという業務認知度まではなかなか上げることができないということは,他の相談窓口についても同様の状況だと思いますので,そういう部分についての手当てを今後も継続してやっていっていただきたいということで意見を提出いたしました。   以上です。 伊藤委員長 池田委員,いかがでしょうか。 池田委員 単純認知率も業務の認知率も,両方とも足元のところでは上がっておりますので,それは一定の評価ができるかと思います。ただ,これは私がこの委員の皆様の中ではたった一人,若干畑違いの人間なので,あえて申し上げると,私の周囲で法テラスを知っているかと聞くと,知っていると答える人は本当に少ないのですね。多分,法的な問題の必要性を抱えているか抱えていないかという問題もあるとは思いますので,必ずしもそれが世の中一般だとは思わないのですけれども,まだまだ本当に誰もが知っている組織かというと,そうではないのだなということを,正直に言うと日々感じております。どんな人も,どんなところで法的な問題を抱えるようになるか分からないということであれば,やはり,いざとなると助けてくれる余地のある公的な組織があるということ自体を皆さんが認知しておくことは大事なことなのかなと思いますので,より一層の努力をしていただけたらと思っているところです。 伊藤委員長 確かにおっしゃるとおりですね。先ほどの法教育や業務説明の問題とも関係いたしますけれども,努力されていることは間違いないのですが,まだまだ今後の認知度向上の余地はあるかと思いますので,一応,目標には到達しているという意味でB評定とはなっておりますが,一層の努力の継続が国民から期待されているのではないかと思うところでございます。   それでは,これにつきましても,評定といたしましては,年度評価,見込評価ともにBということでよろしいでしょうか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   次に,項目5-36「業務運営の体制維持」でございますけれども,これにつきましては,皆様方の御意見が一致しておりますので,特段の御意見がございませんようでしたら原案のとおりとしたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいですか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   以上で個別の項目別評定意見の取りまとめは終了になります。既に御意見を頂いている評定の理由について,本日,更に御意見を頂戴した部分がございますが,それらも含めまして表現をどういう形にするのか,修正することが必要なのか,あるいは修正する場合にどう修正するか等につきましては,御意見の内容を損ねない形で事務局と私に御一任いただけますでしょうか。   ありがとうございます。それでは,そのようにいたします。   次に,評価の概要でございますが,資料1-1と資料2-1として年度評価及び見込評価に係る評価の概要案がございますけれども,これにつきまして何か御意見がございましたらお願いしたいと思います。   これはこの形でよろしゅうございますか。   (各委員了承)   それでは,資料1-1と資料2-1の原案のとおりといたします。   続きまして,総合評定でございますが,これにつきましては,資料1-2と資料2-2を御覧ください。総合評定につきましては,年度評価及び見込評価のいずれにつきましても,各委員の評定意見はB評定で一致しております。評定の結果のほかに,評定に至った理由や支援センター全体の評価の記述もございますけれども,これにつきまして何か御意見があれば承りたいと存じます。   よろしいでしょうか。   (各委員了承)   それでは,総合評定につきましては,資料1-2と資料2-2の原案どおりということにいたします。   以上で議事(1)の年度評価,議事(2)の見込評価についての審議は終了いたしました。   そこで,本日取りまとめました業務実績評価の今後の取扱いにつきまして,事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 事務局におきまして,本日の御討議の内容を資料1と資料2に反映いたしまして,8月8日頃までに委員の皆様に最終的な確認の御依頼をさせていただきたいと思っております。締め切りにつきましては,依頼をさせていただく際に改めてお伝えいたしますが,8月15日頃とさせていただく予定でございます。短時間での御対応をお願いすることになり大変恐縮でございますが,どうぞよろしくお願いいたします。   その後,委員の皆様から頂きました御意見を取りまとめまして,伊藤委員長に最終的にお諮りして,内容を確定いたしたいと思います。確定いたしました年度評価と見込評価につきましては,その後,公表手続を行いますとともに,8月25日までに総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知をさせていただく予定となっておりますので,お含みいただけたらと思います。   以上でございます。 伊藤委員長 ただ今,事務局から説明がございましたとおりで,短期間の間に御確認を頂くことになりまして恐縮に存じますけれども,よろしく御協力くださればと存じます。   次に,議事(3)でございますが,財務諸表の承認に関する意見についてお諮りしたいと思います。   前回の会議におきまして,法テラスから平成28年度の財務諸表等に関しまして説明を頂きましたが,法務大臣がこの財務諸表を承認することに関しまして,承認を相当としない,あるいはすべきでないという御意見がもしございましたら承りたいと思いますが,いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。前回の法テラスからの説明を受けて,承認することで差し支えがないという本委員会の意見を申し上げることとしたいと思いますが,それで御了解いただいたものといたします。   次に,議事(4)第3期中期目標期間の終了時における見直しについてお諮りしたいと思います。   まず,見直し案の内容等につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 山口参事官 それでは,お手元の資料3「日本司法支援センターの第3期中期目標期間終了時における組織及び業務全般にわたる見直し(案)」の内容につきまして御説明いたします。   この見直し案は,今後,平成30年度からの第4期中期目標期間における中期目標と中期計画を具体的に策定していくに当たりまして,これまでの法テラスの取組等を踏まえ,今後の法テラスの課題等の要点をまとめたものでございます。大きく第1から第4の項目に分けて記載しております。   「第1 基本的な考え方の項目」では,法テラスの目的,使命,これまで行ってきた業務,近時の法改正や政府の施策等との関係から,法テラスが新たに担うべき業務や役割等を前提として,その組織及び業務の見直しに当たっての基本的な考え方を記載しております。   2ページ目の「第2 事務及び事業の見直しの項目」では,法テラスの基幹業務であります五つの業務について,それぞれ見直しの要点を記載してございます。   3ページ目の「1 情報提供業務の見直し」の項目では,コールセンターの運営について,高い質の維持とともに効率的な運用を行うことや,地方事務所における情報提供の在り方についての検討を要点として挙げさせていただいております。   次に,「2 民事法律扶助業務の見直し」の項目では,総合法律支援法の改正により新たに実施が予定されております高齢者・障害者に対する法的援助への適切な対応や司法ソーシャルワークの更なる推進,立替金債権等についての高い償還率の維持,報酬及び費用の立替基準についての検討等を要点として挙げております。   「3 国選弁護等関連業務の見直し」の項目では,刑事訴訟法の改正に伴う被疑者国選弁護の対象事件の拡大への適切な対応や国選弁護人等への報酬等の算定基準についての検討を要点として挙げております。   「4 司法過疎対策業務の見直し」の項目では,司法過疎地域事務所を設置していない地域における効果的な方策の検討,実施や司法過疎地域事務所を設置するに際しての意思決定プロセス等の明確化,司法過疎地域事務所ごとの業務量の分析に基づく存置の必要性及び常勤弁護士の配置人数についての不断の検討等を要点として挙げております。   次のページの「5 犯罪被害者支援業務の見直し」の項目では,総合法律支援法の改正により新たに実施される予定のストーカー等被害者に対する法律相談援助の実施をも踏まえた適切な体制整備や職員の能力向上等を要点として挙げております。   続きまして,「第3 組織の見直し」の項目では,職員の適正な配置や事務所の存置・移設の必要性についての不断の検討等を挙げております。   最後に,「第4 その他(業務全般に関する見直し)」の項目では,1としまして,業務運営体制の整備に関する要点として,内部統制の確実な実施,情報セキュリティ対策の確実な実施,職員に対する研修の充実を,2の財務内容の改善に関するものとしましては,立替金債権の高い償還率の維持に加えまして,寄附金等の自己収入の確保を,3の最後のその他の項目としましては,効率的で効果的な方法による業務内容の周知を挙げております。   見直し案についての説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただ今説明がございました見直し案は,今後,中期目標と中期計画において具体化されていくべきものでございまして,現段階ではその大枠の方向性を示すものという位置づけでございますけれども,現在の段階で,ただ今説明がございました見直し案につきまして,委員の方々から何か御意見がございましたらお願いいたします。 山中委員 内容的なことではないのですが,個人の語感の問題なので,こういうことを申し上げるのもどうかと思うのですが,非常に目ざわりなのが,「見直し」という表現がやたら出てくるのですね。見直しというのは,いろいろ現状を分析,検討して問題点を摘出して,改善点を探って,改めるべき点は改めるということなのでしょうが,これは,中身自体はいろいろ充実を図ったり,何かに努めたり,適切に反映したり,要するにきちんとやりなさいということが書いてあるわけで,何でそれぞれの項目に全部「見直し」「見直し」と付けてあるのか。そういう目で見ると非常に目ざわりです。ですから,どこか初めに「以下の項目について見直しを行う」といって項目をずっと書いていけば済む話であって,しかも中身からいっても,そんなに180度,90度,従来のやり方を変えていくというようなものでもないですよね。そのため,表現振りについては何かちょっと工夫の余地があるのかなという印象が一つと,4ページの内部統制の確実な実施で,「また,理事長のリーダーシップにより」とありますが,これは何で「理事長のリーダーシップ」とわざわざ書いているのか。理事長がリーダーシップを発揮するのは当然のことなのでしょうけれども,何か殊更こう書いた意図がもう一つよく理解できないのですが。 伊藤委員長 今の御指摘に関して,事務局から説明していただくことがあればお願いいたします。 野田部付 今,2点の御指摘を頂きましたが,まず1点目は「見直し」という表現が多数回にわたって出てくる点についての御指摘でございますが,改めて見てみますと,御指摘のとおり「見直し」という表現が多いのではないかというところがございます。御指摘を踏まえ,その点は項目のみの記載に止めるなど,検討したいと思います。   2点目の御指摘でございますが,内部統制の確実な実施の項目の「理事長のリーダーシップにより」との記載につきましては,山中委員の御指摘のとおり,それは当たり前のことではないかという点はごもっともな御意見だと思っております。この部分につきましては,独立行政法人一般に,総務省から通知,通達等が発出されているところ,その中で,独立行政法人の内部統制の確実な実施が大事であると言われており,また,法人の長がリーダーシップをいかんなく発揮し,法人の長が考える自由な発想に基づき,法人の長を頂点とする組織運営をきちんとやっていきなさいと言われております。そうした点を意識しまして,ここでは「理事長のリーダーシップ」という表現を使っております。 伊藤委員長 山中委員,第1点については,もうちょっと表現を検討するということであり,また第2点についても説明がありましたが,いかがですか。 山中委員 全然こだわりません。 伊藤委員長 今,説明があったようなことで,御了解いただければ有り難いと思います。   ほかにいかがでしょうか。 黒田委員 教えていただきたいのですけれども,認知度については,6割ぐらいまで上がってきている感じですよね。それで,例えば裁判所の存在を知らない国民は,まずあまりいないだろうと思うのですが,では,なぜ知っているかというと,僕も記憶は定かではないですが,多分義務教育かどこか,教科書の中に記載があるのではないかと思うのです。   法テラスは,教科書の中などに記載はあるのでしょうか,一切記述はないのですかね。そうすると,ニーズという観点からすると,全く知らなくて一生過ごす人と,やはり知っておいてもらわなければいけない人と両方あるのではないかと思うのだけれども,仮に6割ぐらいは知っておいてもらわなければいけないと計算すると,ほぼ,認知度が今56%くらいですから,かなり上の方まで来ているなという感じがするのです。認知度の数値目標の設定はなかなか難しいと思うのですが,ずっとB評定できていますよね。どこまで上がったらいいのかというところについて,ちょっと見直しがあってもいいかという感じはするのですけれども。教科書か何か,義務教育で出てきているようなことになれば,認知度はぐっと上がるのだろうと思うのですけれども,そういう記述がなければなかなか知る機会がないので,法テラスだけの広報戦略だけで限りなく上に上げていくのは限界があるのではないかという感じがするのです。そういう視点がもし見直しの中で再検討するようなことができるのであれば,御検討いただければという感じはします。 伊藤委員長 ただ今の件について,事務局からお願いします。 野田部付 今,御指摘いただいた点でございますけれども,先ほど評価委員の皆様で御議論いただいたときにも,認知度の点につきまして,今の数値で満足するのではなくて,もうちょっと向上の余地があるのではないかという御指摘も頂いているところでございます。それも踏まえまして,法テラスとして,今の数値に満足することはなく,更により多くの国民に知ってもらうため,今取組を続けているところでございます。   具体的な目標をどう設定していくかというところでございますが,その部分につきましては,次期中期計画等を作成する中で,また,年度計画を策定していく中で,法テラスとともに考えさせていただきたいと思います。今の数値で良いのかといいますと,もうちょっと高いところを目指していくべきではないかと思います。どこが天井なのかという御議論はあるかと思いますが,もう少し高い認知度を達成したところで,この辺りがそろそろ天井ではないかということを改めて検討していくことになろうかと考えているところでございます。 伊藤委員長 黒田委員,いかがでしょうか。 黒田委員 ありがとうございます。よろしく御検討のほどお願いします。確かにもう一歩という感じはあるのですけれども,結構上の方にまでもう来ているのではないかという感じもしていますので,よろしくお願いします。 伊藤委員長 他にはいかがでしょうか。 山中委員 今の認知度の話で,去年,松本参事官がこの会議で,消費生活センターなど,他の行政機関の認知度を調査した結果をお示しいただいて,消費生活センターが確か7割ぐらいでしたでしょうか。それで法テラスが5割ちょっとですが,これもある意味,違って当然なのですね。つまり消費生活というのは,正に我々の日常生活に極めて密接した問題であるのに対し,法的な紛争や裁判所のお世話になるなど,どこか弁護士を探さなければいけないとかいう事態に出くわすというのは,普通の生活をしていれば,離婚,遺産相続等があった場合や,悪いことでもした場合のみ,司法の分野とで関わりが出てくるぐらいの話でして,当たり前の生活をしている人が,法的な紛争に直面して何らかの支援を必要とするというような場面を考えたとき,そうそう滅多にあることではないと思います。にもかかわらず,一応,国民の半分が法テラスの存在を知っていて,4割が何をやっているかおおよそ知っているということは,頭打ちとまではいかないまでも,そこそこよく知られているのかなという評価もできるわけです。   ただ,お年寄りなど,なかなか世間と接触する機会が少ない人は,どうしてもこういうものの存在を知る機会がないと思います。ですから,例えば社会福祉協議会や民生委員の人など,そういう人が,何か社会的接触の機会の少ない人と接したときに,「法テラスというものがあるんですよ。もし何かあったらそこに相談するといいんですよ。」というような,そういう地道な活動を促していきながら認知度を高めていくしかないのかなという気もします。大体,世間がどうであったって,俺は俺だという人間が増えていきますと,一生懸命そういう情報提供しようとしたりPRをしようとしても,およそ自分が関心のないものにはそもそも目を向けないわけです,入ってこないわけです。ですから,漠然と国民一般を対象にして認知度を上げるといっても,これはなかなか厄介な話でして,今の約50%の認知度に満足するのはどうかと思いますが,そう高望みするのではなくて,とにかく上がったり下がったりしながら,少しずつでも広がっていけば良いのだと思います。テレビで「日本人の3割しか知らないこと」というのがありますが,1回,法テラスを出してもらったら,一気に半分ぐらいはぽんと上がるかもしれませんが,いろいろな工夫を是非していただきたいと,印象だけを申し上げておきます。 伊藤委員長 分かりました。ただ今の意見もまた,具体的に中期計画,中期目標を策定する段階で御考慮いただければと思います。 池田委員 今日は資料を持ってきていないのですけれども,認知度の調査は,インターネットでやっていましたでしょうか。 野田部付 インターネットで47都道府県で,各都道府県ごと100のサンプルを取っておりまして,4,700が母数になります。 池田委員 多分,先ほど山中委員がおっしゃっておられたようなお年寄りですとか,いわゆる弱者の方ですとか,そういった方々が,正直言って調査の母数に入っているかというと,数としてはあまり多くないのではないかと思います。   先ほどもちょっと申し上げましたが,私は全然皆様とは違う立場におりますので,周囲から聞いて歩いている限り,私の肌感覚では,法テラスの認知が天井感があるところに来ているという気は,何となくまだしないのかなと感じています。それと同時に,これから司法ソーシャルワーク等に取り組んでいくのだとすると,そういった問題を抱える可能性は,いわゆるDVや離婚といった問題以上に,どなたも巻き込まれていく可能性があり得るという意味では,公的な機関としてこういうものがあるのだということを多くの方に知っていただくこと自体は,非常に大きな意義があるような気がいたします。   もう一つは,ここのところ,いろいろな自然災害が起きておりますけれども,こういったものも,どなたが,いつ巻き込まれるかは分からない中で,被災をしたときに,いろいろな相談に乗っていただけるところがあるということを頭の隅っこにでも何となく持っていただくことは,非常に意義深いことかと思いますので,私個人としては,まだ天井ではないのではないかという感覚を持っているということを一応お伝えさせていただけたらと思います。 伊藤委員長 ありがとうございます。その点もおっしゃるとおりかと思いますので,よろしく御検討ください。 佐藤委員 基本的なことをちょっとお聞きしたいのですけれども,この「見直し」というタイトルの付けられた文書の位置づけですね。次期中期計画とか,それに基づく年度計画の基本方針ということでよろしいのですか。   先ほども「見直し」という言葉がちょっとおかしいのではないかという御指摘がありましたけれども,よく考えてみると,タイトル自体が「見直し」と書いてあるのも,見直しを含めた,見直したところによる基本方針,中期計画あるいは年度計画を策定するための基本方針という位置づけならば,そうした方がいいのではないかという気がしたけれども,駄目でしょうか。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 野田部付 総合法律支援法第42条では,「見込評価が行われたときは」,「支援センターの中期目標の期間の終了時までに,その事業を継続させる必要性,組織の在り方その他組織及び業務の全般にわたる検討を行い,その結果に基づき,所要の措置を講ずるものとする。」となっております。   では,なぜ「見直し」という言葉を使っているかといううことでございますが,こちらは最終的に評価制度委員会に通知をすることになっており,評価制度委員会の事務局を務めております総務省では「全般にわたる検討を行い,その結果に基づき,所要の措置を講ずる」ことを称して「見直し」という表現を使っており,こちらでもこの表現としていたいただいたところではございます。ただ,本日の御議論の中で,「見直し」という表現につきまして御疑問を呈されておりますので,そこにつきましては,記載振りを改めるよう検討させていただきたいと思っているところでございます。 佐藤委員 それと,ここで項目別に分かれて,各項目ごとの基本的な方針のようなものが出ていますけれども,これと,具体的な項目別評定を今日やってきましたが,それとの関係というのは整理されているのでしょうか。 野田部付 ただ今,御質問ありました点ですが,見直し内容を項目別評定調書のどこに織り込むのかについて,1対1で対応関係があるかと申しますと,必ずしもそうではない部分がございます。と申しますのは,項目別評定調書では,質の向上という項目と効率化の項目,今日の配布資料でいいますと,机上配布資料という形で資料Aというものがございますが,大項目については,Ⅰとして「総合法律支援の充実のための措置に関する事項」,Ⅱとして「業務運営の効率化に関する事項」,Ⅲとして「提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」,Ⅳとして「財務内容の改善に関する事項」,Ⅴとして「その他業務運営に関する重要事項」という形で項目が分かれております。この項目自体も,総合法律支援法でこういう大項目をつくるということになっており,この項目自体を変更することはなかなか難しい状況にございます。   その上で,今回見直し案で書かせていただいているものといたしましては,業務の質の向上に関するものと効率化に関するものの両方を織りまぜながら書かせていただいているところがございますので,実際に項目別評定調書の基となる,年度計画や中期目標,中期計画を策定する際には,効率化に関する部分は効率化の項目で書かせていただく,質の向上に関する部分は質の向上の項目で書かせていただくという形で反映していくことになろうかと思っております。 佐藤委員 なるほどね。 伊藤委員長 よろしいですか。 佐藤委員 はい。そうすると,項目別の計画を立てるときには,この見直しの何とかに基づいてこれはこうなっているとかということを書くのですか。 野田部付 ここで書かせていただいている見直しの方向性の趣旨を踏まえつつ,中期目標や中期計画等をまた新たにつくるという形になります。 佐藤委員 これまでもそうなっているのですか。今までのものだと,特にその辺を意識されてはいないようではありますが。 野田部付 これまでの取扱いに関する御質問でございますが,過去の例と若干手続の順番が変わっているところがございまして,今回の第3期中期目標期間から,この見直しをする時期が夏に変わっております。以前は12月に見直しをして,翌年にはもう中期目標,中期計画を作成するという形になっておりました。今回の第3期からは,一般に独立行政法人が根拠法としております独立行政法人通則法が変わったことを受けての総合法律支援法の改正があり,その改正があったことでまず先に主務大臣が見直しを行い,その見直しの内容を評価制度委員会に通知いたしまして,そちらの意見を頂くという手続に変わったところがございます。   過去の例ですと,効率化に関する項目あるいは質の向上に関する項目という形で結構細かく分かれていたものですから,そのまま次期中期目標にそれを反映するという形で策定されていたという経緯かございます。しかし,今回見直し案を策定するに当たっては,一つ一つの各業務について効率化に関する見直し,また質の向上に関する見直しとそれぞれ別個で項目立てをしていくことは,法テラスも設立からもう10年以上経過しており,相当ではないだろうという判断の下,質の向上に関するものや,効率化の項目を一つの文章でまとめてみるなどして,作成している次第でございます。 佐藤委員 分かりました。 伊藤委員長 よろしいですか。 佐藤委員 ですから,具体的な項目別の目標などを定める際に,この基本方針がどれほど反映されているのかがはっきりしないと,何となく基本方針は基本方針で別個に出ていて,項目別の目標はまた別に考えられているという感じを受けると困るなという感じがしたものですから,ちょっと御質問させていただきました。 野田部付 見直し案で書かせていただいているものについては,文言をそのまま反映させるかという点はちょっと検討いたしますけれども,当然その趣旨を次期中期目標に反映させるべきものと考えているところでございます。 伊藤委員長 よろしいですか。   そういたしますと,「見直し」という言葉の表現等については再度検討していただくことになりますが,次期中期目標,中期計画の基礎になる大枠を示すものとして,ここに見直し案として書かれている実質的な内容については,この委員会として特段の意見はないということで,これを了解すると申しますか,そういうことでよろしゅうございますか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。   以上をもちまして本日の議題は全て終了になります。   最後に,事務局から議事録の取扱い等についての連絡をお願いいたします。 山口参事官 本日の会議の議事録についてでございますが,従前どおり,事務局におきまして原案を作成しました後,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただきまして,最後に委員長に全体を御確認いただいてから公表という手順とさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。 伊藤委員長 よろしいですか。   (各委員了承)   それでは,そのようにいたします。 山口参事官 ありがとうございます。それでは,そのように進めさせていただきます。 伊藤委員長 以上をもちまして日本司法支援センター評価委員会の第52回会議を終了いたします。   本日は長時間にわたりましてありがとうございました。 ―了―