法制審議会保証制度部会第3回会議 議事録 第1 日 時  平成16年5月24日(月)  自 午後1時30分                        至 午後4時20分 第2 場 所  東京高等検察庁会議室 第3 議 題  保証制度の見直しに関する要綱中間試案(案)について 第4 議 事  (次のとおり)               議         事 ● 定刻が参りましたので法制審議会保証制度部会の第3回会議を開会したいと思います。   本日は御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日は,○○委員から,「保証制度の見直しに関する要綱中間試案(案)に対する要望」と題する書面が席上配布されております。この資料につきましては,本日の議事の中で,関係する部分を議論する際に,○○委員の方から適宜御説明をいただくということで御了解いただいております。後ほど,よろしくお願いいたします。   また,先ほど○○委員から,追加要望事項ということで,2か所について注を加えるという内容の書面をいただいておりますので,これについても同じような扱いをしたいということで,該当のところで御発言をいただければというふうに思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,本日の議事に入らせていただきます。   本日は,保証制度の見直しに関して,この部会としての中間的な取りまとめを行うことが予定されております。事前配布資料として,事務局が作成しました部会資料3「保証制度の見直しに関する要綱中間試案(案)」が配布されておりますので,これをたたき台として議論していただくことにいたします。   まず,○○幹事の方から,議事の進め方について説明をお願いいたします。 ● 本日の会議では,まず部会資料3の「中間試案(案)」,これについて全体を通して事務局から御説明を差し上げました後,その全体を大まかに三つに区切って順番に議論していただくという形で進めさせていただこうと思っております。その上で,この部会として中間試案の決定をしていただくという段取りを考えておりますので,よろしくお願いいたします。   なお,本日,中間試案の決定をいただきました後は,後ほど改めてお諮りしたいと思っておりますけれども,事務局の責任において中間試案の補足説明を作成いたしまして,中間試案とともに公表して,関係各界への意見照会とパブリックコメントの募集の手続をとりたいと考えております。事務局といたしましては,本日,御意見をいただきました点については,この補足説明の中でも可能な限り紹介させていただくというふうに考えておりますので,その点も踏まえまして活発に御意見を賜れば有り難いと思っております。よろしくお願いいたします。 ● それでは,ただいまの事務局の提案に沿って議事を進めてまいります。   まず,部会資料3について,事務局から説明をお願いいたします。 ● それでは,部会資料3の「中間試案(案)」につきまして御説明いたします。資料の最後まで,特に途中で区切らないで,まとめて御説明をさせていただきます。   この「中間試案(案)」は,基本的には前回までの審議の経過を踏まえまして,部会資料2に所要の修正を加えて作成いたしました。したがいまして,部会資料2と異なる記載になっている部分を中心として御説明してまいりたいと存じます。   まず,冒頭の部分ですが,中間試案の全体の構成を明らかにする趣旨で,前注を設けることといたしました。その記載内容は,部会資料2におけるのと同様でございます。   次に,第1の「1 要式行為」の点でございますが,この点につきましては保証契約を要式行為とするという方向性については特段の異論はなく,それを踏まえて,更に書面の記載事項等につきまして,保証人保護のために有意義な規律を盛り込むべきではないかという御指摘をいただいたものと認識しております。そこで,この資料では,本文として,書面によらない保証契約は効力を生じないものとすることを提案するとともに,(注)におきまして,限度額や保証期間についての合意は,書面に記載しなければその合意の効力を生じないものとするという考え方を提示することとしております。   ここで提示している考え方は,後ほどの議論とも関係いたしますが,限度額についての合意の効力が否定された場合には,根保証契約も無効となることを意味しており,また保証期間についての合意の効力が否定された場合には,保証期間の定めがないものとして,第1の3(2)の規律に従うことになるという意味でございます。   もっとも,保証期間の定めの点につきましては,後ほどの議論とも関係いたしますが,例えば書面外で保証期間を1年とする合意があった場合には,保証期間の定めがないものとするよりも,その合意の効力を承認する方が保証人に有利となりますので,書面性を要求する理由が専ら保証人の保護にあるとすれば,書面によらない合意のうち,保証人に不利なもののみその効力を否定するという考え方もあり得るところであると思われますので,このような点につきましても御意見を賜りたいと考えております。   このほか,要式行為との関連では,一定の重要な事項については保証人が自署,手書きをしなければならないものとすべきであるという提案もございました。この御提案につきましても,補足説明の中で取り上げていきたいというふうに事務局としては考えております。   次に,第1の2における「保証の限度額の定め」の点につきまして御説明いたします。   この限度額の定めの点につきましても,本文のほか,(注1)に掲げておりますように,主債務の元本のほか,利息・損害金を含むものとして定めなければならないものとするという基本的な方向性につきましては,大勢としては異論がなかったものと認識しておりますが,なお前回の部会で,○○委員から御発言がありましたように,企業が融資を受ける際の保証人が,企業の経営者である場合と第三者である場合とで,異なる取扱いをすべきではないかという考え方が示されているところでございますので,そのように保証人の地位・属性によって異なる取扱いをするという考え方を(注2)として掲げることとしております。   なお,この(注2)では,保証人が代表者である場合につき,異なる取扱いをするという案を掲げており,この点は○○委員の御提案とは若干そごがありますので,補足して説明いたします。   いわゆる経営者保証について,第三者の保証と異なる取扱いをするという考え方の根拠といたしましては,様々なものがあると思いますが,その主要な根拠は,法人である主債務者の資金調達について,保証人自身が関与しているのであるから,限度額の定めを義務づけなくても,保証人にとっての予測可能性は確保されているという点にあると思われます。このような区別の根拠に照らしますと,代表者であるか否かという基準は合理性を有するものと考えられます。また,限度額の定めを義務づけるかどうかは,契約の有効・無効という取引上の規律となるものですから,できる限り一義的に明確であることが要請されると考えられます。この点におきましても,代表者であるか否かという基準は極めて明確であるというメリットがございます。そこで,(注2)におきましては,代表者であるか否かによって区別する案を掲げさせていただいた次第でございますが,この区別の基準につきましては,なお御議論を賜りたいと考えております。   次に,第1の3における「保証期間の制限」の点につきまして御説明いたします。   この点につきましても,(1),(2)の本文につきましては,いずれも部会資料2のとおりとしております。また,ここで使っております「保証期間」という用語の意味を明確にするため,(3関係後注)の1として,用語の意味を記載いたしました。さらに,保証期間の制限に関する記述の中では,5年あるいは3年という具体的な数字を亀甲括弧つきで掲げておりますが,これらの期間をどの程度とするのが相当かという点につきましては,関係各界の意見を広くお聞きしたいという趣旨で,(3関係後注)の2でなお検討するものとしております。   この保証期間の制限の点につきましては,(1)と(2)のそれぞれに注を付しております。これは前回までの御議論の中で,いずれも,いわゆる経営者保証と第三者保証を区別するという観点からいただいた御意見を掲げさせていただいたものでございます。なお,ここでも区別の基準としては,先ほど御説明したのと同様の理由から,代表者であるか否かという基準によることとしております。   まず,(1)の(注)は,第三者の保護をより充実させるべきであるという観点からのものであり,合意により保証期間を定める場合の上限を5年という比較的長い期間とするのであれば,第三者の保証人については,3年を経過した後は元本確定請求権を与えるべきではないかという考え方でございます。この考え方は,○○委員から御提案いただいたものであり,3年を超える保証期間を定めた場合であっても,3年を経過した後は,元本確定請求権を行使することにより合意で定めた時期よりも前に保証期間が終了するという点で,本文に掲げた案よりも保証人保護を手厚くする方向の考え方でございます。   次に,(2)の(注)は,代表者である保証人については,一定の期間の経過により保証期間が当然に終了するものとはすべきではないという考え方でございます。この点に関しましては,○○委員からいただいた御意見では,経営者の保証人には保証期間の制限を一切設けるべきではないというのが本来の御提案でございましたが,その一方で,元本確定請求権を付与することには必ずしも反対するものではないという御趣旨でございましたので,この(2)の(注)記載のようにまとめさせていただいたところでございます。   続きまして,第1の「4 期間の経過以外の事由による元本の確定等」という項目につきまして御説明いたします。   まず(1)の「元本確定事由」でございますが,この点につきましては,本文は部会資料2と同様としつつ,二つの注を付け加えております。   (注1)は,強制執行の申立てを元本確定事由とする点に関するものでございます。この点は,従前必ずしも明示的に御議論をお願いしていなかったところでございますが,(1)に記載しておりますのは,強制執行の申立ての主体については保証契約における当該債権者に限定しております反面,その強制執行において履行を求める債務については,保証契約の目的である主たる債務や当該保証債務に限らず,当該債権者が主債務者や保証人に対して有する他の債権に基づいて強制執行の申立てをした場合をも含むという意味でございます。   このようにしております理由は,主債務者との関係と保証人との関係でやや異なります。   まず,主債務者との関係では,債権者が主債務以外の債務の履行を求める場合であっても,その強制執行の申立てにより主債務者の資産状態が悪化しているという債権者の認識が表示されたと見ることができますことから,その後に債権者があえて融資を行った場合に,保証人に対して強制執行の申立て後の融資の分まで保証債務の履行を求めるのは衝平に反するのではないかという考え方でございます。また,保証人との関係でも,債権者が保証債務以外の債務の履行を求めた場合であっても,その強制執行の申立てにより,保証人の資産状態が悪化しているという債権者の認識が表示されたと見ることができると考えられます。そのことを前提といたしまして,その後に主債務者に対して行われた融資は,保証人の資力を当てにしないで行われたものと見てよいのではないかと考えられますことから,このような考慮を根拠といたしまして,元本を確定させることにより,保証人保護を図るという考え方でございます。   なお,(注1)では,強制執行の申立てをした場合のほか,担保権実行の申立てをした場合等についても言及しております。もっとも,担保権の実行につきましては,主債務者が他人の債務の物上保証人である場合など,様々なケースが想定されますことから,金融実務の考え方を十分お伺いした上で,引き続き検討する必要があるものと考え,なお検討することとしております。   以上が(注1)の説明でございます。   次に,(注2)でございますが,これは主債務者や保証人の死亡を元本確定事由とするかどうかという問題を取り上げたものでございます。前回の部会で,○○委員から御指摘があった点でございますが,包括根保証における保証人が死亡したという事案につきましては,判例は特段の事由がない限り,相続人はその後に生じた主債務については保証債務を承継負担しないという考え方を示しております。この考え方に現れておりますように,根保証が人的信用関係を基礎とするものであるという考え方を更に推し進めますと,限度額や期間の定めのある限定根保証の場合であっても,保証人の死亡により元本が確定するものとする立法措置を講ずることには十分合理性があるように思われます。また,この点は,主債務者に相続があった場合についても同様に考えることができるのではないかと考えます。このような趣旨で,新たに(注2)をつけ加えさせていただきました。   この(注1),(注2)につきましては,これまで必ずしも十分には御意見をお伺いしていなかったところでございますので,是非御議論を賜りたいと考えております。   続きまして,第1の4(2)の「その他」の点につきまして御説明いたします。   ここでは,部会資料2に記載しておりました特別の元本確定請求権及び通知義務の点につきまして,本文として掲げておりましたところを注として記載するにとどめております。   まず,(注1)の特別の元本確定請求権でございますが,この点につきましては,現行法の下でも信義則などの一般条項により救済が図られているところでございますので,特段の手当てをしなくても,現在よりも保護が後退することにはならないと考えられます反面,新たな規定を設けるといたしますと,様々な考慮要素を的確に表現することは極めて困難であり,裁判規範として余りにも不明確なものになるのではないかという趣旨の御意見などがございましたことから,そのような問題点があることを付記いたしまして,なお検討するという記載にとどめることにしたものでございます。   次に,(注2)の説明義務でございますが,この点につきましては,保証人保護の観点から様々な積極意見をいただいたところでございますが,なお通知義務違反に対してどのような私法上の効果を与えるべきかという問題がある一方で,金融機関等の債権者にとっての負担が重いという指摘もございますことから,そのような問題点を付記いたしまして,同様になお検討するという記載にとどめることとしております。   もっとも,この通知義務に関しましては,一定の保証人に対し,期間の経過による元本確定請求権を付与するという考え方が採用される場合には,特に保証人に対する情報提供の必要性が認められるとともに,通知義務違反に対し当然に元本が確定するという効果を結びつけることができますことから,この点を特に取り出して(注3)として掲げ,保証期間の制限に関する措置の内容によっては,通知義務に関する措置を組み合わせるという有力な選択肢となり得るという趣旨で,なお検討することを提案させていただいております。   続きまして,第2の「適用範囲」という項目について説明いたします。   ここでは,第2の2(2)の「主たる債務の種類」の点につきまして,実質にかかわる可能性がある修正を施しております。この点につきましては,銀行取引,信用金庫取引等によって生ずる債務が漏れなく適用対象となるようにしたいという基本的な考え方は,従前御説明したところから変更はございませんが,適用範囲を画する具体的な基準の立て方につきまして,根保証契約において定められる主たる債務の範囲に貸金債務が含まれているかどうかという基準を新たにお示ししております。   このような基準の案をお示しする理由でございますが,資料の第1の部分では,主たる債務が貸金債権である場合を念頭に置いて保証人保護の方策を検討しておりますところ,主たる債務が貸金債務である場合に保証人の保護が必要であるとすれば,主たる債務として貸金債務に加えて,それ以外の債務が含まれている場合であっても,同様に保証人保護の必要性があると考えられるという点が主な理由でございます。その背景といたしましては,銀行取引には様々な種類の取引が含まれており,そのすべてを法文上に掲げることは技術的に困難であるという問題もございます。   ところで,このように主債務の範囲に貸金債務が含まれている場合を適用対象とすることといたしますと,二つの問題を検討しておく必要があるように思われます。   一つは,金融関係の業態におきまして,金銭の貸付けは行わず,専ら手形割引による資金の融通のみを行っているものがあるかどうかという点でございます。このようなものが適用対象外になることは相当でないと考えられますことから,このような業態の存在に留意する必要があるとすれば,貸金債務のほか手形割引をも法文に掲げる必要があるということになろうかと思われます。   もう一つの問題は,本来は金融を行っていない業態におきまして,例外的に金融を行う場合があるために,主債務の範囲に貸金債務が含まれるように定めているものが適用対象となることの当否,是非という問題でございます。このような場合には,貸金債務が含まれている以上,今回の措置が適用されることはやむを得ないように思われますし,金銭の貸付けが真に例外的に行われるのであるとすれば,根保証の主債務には含まれないように主債務の範囲を定めつつ,個別の金銭の貸付けごとに通常の保証をとるという実務的な対策を講じていただくことも不可能ではないのではないかと考えます。このような観点から,本文に掲げましたように,貸金債務が含まれている場合について適用するという案をお示しした次第でございます。   資料の説明は以上でございますが,なお1点,前回の部会で○○委員から御発言がありました元本確定前の根保証における随伴性という問題について,若干コメントさせていただきたいと思います。   ○○委員からの御指摘は,根抵当におきましては民法398条の7におきまして,元本確定前における随伴性を否定する規定が設けられておりますこととの関係で,根保証について,同様の規定を設ける必要がないかどうかを検討する必要があるという問題提起であったと理解しております。   この点に関しまして,現在の根保証についてどのように考えられているかは必ずしも明らかではありませんけれども,根抵当とは異なり,随伴性があるという理解の方が一般的であり,また特に立法的手当てが必要であるという実務界の要望も,それほど聞こえてこないという現状にあるのではないかという感じがしております。そうであるとすれば,根保証に関しては必要性のある部分のみ立法措置をし,その余の部分は引き続き契約自由の原則にゆだねておくことで差し支えがないのではないかと考えている次第でございます。なお異論もあり得るところかもしれませんので,この点につきましても御意見を賜りたいと存じます。   説明は以上でございます。 ● それでは,部会資料3に基づいて議論をしていただくということにしたいと思います。先ほどの事務局の提案に沿って,一応大まかに項目を区切りながら議論を進めたいと思いますので,まず第1の「1 要式行為」から「3 保証期間の制限」までについて,御意見がございましたらお願いしたいと思います。   まず最初に,1のところで○○委員からの「追加要望事項」というのがございますので,1のところの御説明をいただいてと思いますが,よろしいでしょうか。 ● 先ほどの御説明によりまして,私の心配というのですか,危ぐはほとんど除去されましたので,基本的には,要するに手書き,自書要件についても今後詰めていくということで,その方向はいいと思ったのですが,ただ文言化されていないというのが,一応議論になったのにそこが落ちているのがちょっと不自然だなというふうに感じたわけであります。   要式行為の(注2)として加えたらどうかという私の具体的な提案部分をちょっとだけ説明させていただきますと,書面といっても偽造のリスクとかがやはりございますので,基本的な部分は保証人に自署させるという遺言の趣旨をここにも持ってくるとい趣旨でありまして,「とくに」と書いていますが,日付,氏名,主債務額,弁済期,利息,違約金,遅延金等については,書かなければもうその部分は効力がないという形で提案していただけたらなというのが私の要望です。 ● ○○委員の方からも先に御説明をいただいて,それから御議論をお願いしようと思いますが。 ● お手元にありますとおり,保証制度の見直しに関するこの中間試案に対する全国銀行協会の要望ということで,3点,これから御説明をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。   まず1点目です。「Ⅰ.「3.保証期間の制限」について」というところを書かせていただいております。   イとしておりますけれども,まず「保証期間」の表現についてでございます。これは事務局の方も(3関係後注)の方で,あえて念のためということで用語説明がなされていると思うのですけれども,この「保証期間」という表現になりますと,その期間が終了したときに保証人の保証責任があたかも消滅するかのような誤解を与える懸念があるということでございまして,本来であるならはその趣旨を明確にしていただいて,被保証債務の元本が確定する期限ということでございますので,あえて表題を「根保証の元本確定するまでの期間」とか,「根保証の元本確定期限」といった表現に是非お願いしたいなと。実務に携わる銀行界からの切なる要望でございますので,是非御検討賜ればというふうに思っております。   2点目,ロでございます。元本確定請求権の付与の取扱いについてということで,ここは一番我々が申し上げたいところでございまして,まずA案とB案と書かさせていただいております。A案については事務局が御提示になられた部分で,一部下線が書いてあるのは,これは保証期間とかいう表現をあえて我々は変えさせていただいているだけなので,他意はございません。というか,趣旨は変わっておりません。A案は事務局に基づいた案でございます。   我々の示すB案,読ませていただきますと,「保証人は,根保証契約の締結時から〔3年〕--の3年というのは仮置きでございます。--を経過した後,いつでも元本確定の請求ができるものとする。」。注といたしまして,「更新契約という法律行為は伴わないが,〔3年〕を経過すれば,いつでも元本確定請求を行うことができる。」という趣旨でございます。 このA案,B案で,B案を是非本文に記載していただいて,両論併記ということで世に問うていただきたいということでございます。   その理由でございます。   まず,何をかいわんやでございますけれども,最初A案とB案を見たら,B案の方が保証人保護の観点からすぐれているということでございます。この保証期間の期間制限というのは,保証人の保証責任を一定期間経過後確定できる機会を与えるということが,正にそのねらいではなかろうかと思います。そういった観点からいくと,A案でいけば3年とか5年とか,ある一定期間経過ごとに保証人の方からの請求しかできないというのがA案。それに対して,我々が示すB案は,一定期間を過ぎるといつでも保証人の方から元本確定請求はできるということでございます。ですから,このA案,B案を比較していただくと,B案の方が保証人保護の観点からはすぐれているなというのが理解いただけるのかなというふうに思っております。これが1点目。   それからもう1点目は,A案は,場合によっては中小企業の円滑な営業活動,資金調達も含めて阻害するおそれがあると。「阻害する」という書き方をしましたが,おそれがありますと。1点目は,保証人は当然,といいますか,我々の場合は経営者保証が大多数でございまして,この経営者の方々に定期的にとはいえ書類に対して署名とか押印とか,それ以前に我々はこの保証についての説明といったものをきっちり行わなければいけないわけで,そういったことに対して恐らく経営者の方々が望んではいないのじゃないかということです。   それから2点目,3年ないし5年を期限に置きまして,保証意思確認が当然必要になってくる。そういった際に,保証人が遠方に転居していたりとか,あるいは保証期間の間に長期の出張をしていたりとか,あるいは不幸なことに入院をされたりといったことで,お客さんの保証意思が確認できないケースがあって,その結果,保証更新ができないということが起こり,円滑な与信の継続が図れない可能性があるということでございます。また,今多く債務者の方が利用されている当座貸越しという制度がありますが,これは自動継続が主でございます。債務の方が自動継続に対して,保証が自動継続ではないということ,自動更新じゃないということになりますと,その期限の取扱いというものがそごが生じる可能性も出てくるということでございます。   そしてその結果,与信の継続が図れないと,残念ながら,不幸なことといいますか,延滞利息なんかも発生することがありまして,その延滞利息についての取扱いみたいな形でも混乱が生じることが十分予想される。といったことから,A案につきましては若干中小企業の円滑な営業活動を阻害するおそれがあるなというふうに我々は考えております。   先ほど申しましたように,1点目,保証人保護の観点,2点目,中小企業の円滑な営業活動を阻害するという観点から,B案をあえてこの場でお諮りをしたいというふうに思っております。   2番目でございます。第1の2の「保証限度額の定め」,第1の3の「保証期間の制限」。その両方の共通の(後注)として,次の提案をあえて記載をさせていただきたいと思っております。これは,我々が前回も申し上げました経営者と第三者を区分してというところに基づきまして,あえてこの記載をお願いしたいということでございます。   ここも読まさせていただきますと,     根保証人を経営者等とその他第三者で区分し,経営者等については,2(保証の限度額の定め)については,限度額の定めのない根保証契約も有効とし,3(根保証の元本確定期限)についてはB案のとおりとする。   ということをまず記載していただきたい。   あわせて,     第三者については,限度額を定め,かつ元本確定期限(上記A案)を設けるとともに,合意により〔3〕年を超える元本確定期限を定めた場合には,根保証契約の締結時から〔3〕年を経過した後は元本確定請求権を有するという考え方について,なお,検討する。   ということでございます。   理由等は,前回我々も御説明をしておりまして,あえて申すべきことではないと思いますけれども,当然経営者の方が保証債務が幾らあるかというのを常に分かっているわけですし,保証責任を問われないための経営努力も行うわけで,経営者につきましては金額や期間の制限を設ける必要はそもそもないのではないかと。逆に第三者については,保証をより厚くするというのが本来の考え方ではなかろうかということで,あえて記載していただきたいというお願いであります。   また,前回,経営者等の峻別が難しいという議論もありまして,ここにあえて経営者等の定義というものを全国銀行協会としましていろいろ検討した結果,一応提案をさせていただきます。   これも読ませていただきますと,     経営者等とは,代表取締役,代表執行役その他債務者の代表権を有する者ならびに,直接または間接に債務者の総株主ないし総社員の議決権の過半数を有する者をいう。   というのが我々の「経営者等」の定義であり,これを提案させていただきます。   また,この案でいけば,経営者等の定義に該当するものが外れれば,当然元本確定請求を行うことができるといったことも考えられていくのかなというふうに思っております。   それから,「なお」というふうに書いておりますけれども,4(2)(注3)において,「主たる債務者の代表者である保証人」という表現になっていますけれども,これは「経営者等」ということで改めていただけないかという趣旨でございます。   以上申し上げましたが,まず「保証期間の制限」についてというところで,保証期間の表現,それから特に申し上げたいA案・B案の両論併記というところ,それから3番目の注書きの記載ということを全国銀行協会としては強く要望するものでございます。 ● それでは,ただいまの○○委員,○○委員の御意見も含めまして,「要式行為」から「保証期間の制限」までの間でいろいろ御議論いただければというふうに思います。 ● ただいま,全国銀行協会様からの要綱中間試案に対しました御意見に対して,私ども信用金庫の現場から,中小企業専門の金融機関としてこれまで五十有余年事業を営んできた者から,一言御意見を申し上げたいと思います。   (1)の,まず3の「保証期間の制限」に関して,全銀協様からの御意見について,一定期間後に元本確定請求権を付与するB案ということに対して賛成でございます。   その理由は,先ほど御説明があった以外に,私どもの方から幾つか加えさせていただければと思いますけれども,もしこの現行の試案が法制化に至った場合を考えてみた場合に,私どもの実務上の障害は相当なものになるということは当然でございますが,第三者の場合を除いて,債務者及び保証人にとって各保証契約ごとに3年ないしは5年というような契約更新手続を要することになるわけで,この問題は私どもだけではなくて,先ほど少し出ております機動的な資金調達にも支障が出てくるものと考えております。   では,具体的に限度根保証契約というものが,さきの経済産業省さんのアンケートにもありますように,現実には保証期間を定めるものと定めないものと二つを運用しております。その運用する利用の具体的に,先ほど当座貸越契約の話が出てございますが,それ以外にも,同じくカードローンの契約ですとか,それから根抵当権設定契約に付随して,担保提供者との間で保証人兼連帯保証人という立場で御契約をいただくものも根保証契約というふうに考えておりますし,また細かい点でございますが,預金の根質契約にあわせて根保証契約も同時に締結している実態がございます。これらについて,私どもの契約先数,詳細を調べているわけではございませんけれども,およそ約3万契約以上あるかと思います。これらについて,仮に3年とした場合でも,更新手続を行うということになりますと,月間でも900件以上の保証契約を更新手続をとる,先ほど○○委員からもございましたように,お客様の御都合もございます。また入院とか長期出張等々,面接できないケースも現実に多々発生しておりますので,それらを主たる債務の期限とあわせてそごのないように取り計らうのはなかなか困難な状況にあると思っております。   したがいまして,結論でございますが,中間試案の内容よりも,全銀協様から御提案の内容に沿っていただきますよう,是非お願い申し上げたいと思います。 ● 私,特に何かここで意見を言おうということではないのですけれども,議論の仕方というのでしょうか,整理の仕方について一つ御提案をしたいと思います。   ○○委員や○○委員から,要望というのが出たわけですけれども,そしてこれから検討しなければいけない問題が含まれておりますけれども,合意ができている部分については,それは合意ができているということを確認して,何が争点かということを明らかにするということで整理をしていただくのがよろしいのではないかと思います。   今伺ったまでのところで2点申し上げたいのですけれども,○○委員の方から,A案とB案というのを併記してほしいという御要望がございました。このB案をどうするかということについてはなお議論が必要かと思いますけれども,○○委員の方からも保証人保護ということは必要であるという認識は示されておりまして,とりわけいわゆる第三者についてはより厚い保護が必要だろうということが言われているわけでございます。   資料でいいますと,2ページの一番下のところに「(2,3共通の後注)として次の提案を記載」というところですが,そこの2番目のパラグラフですが,「第三者については,限度額を定め,かつ元本確定期限(上記A案)を設けるとともに,合意により」云々というのがございますけれども,ここについて○○委員の方で,この点については御異論がないということであるならば,第三者以外,いわゆる経営者等の場合についてどうするかということとは別に,実質としてはここはよろしいのだということ,第三者については少なくともA案でよろしいのだということで合意をするというのはいかがかというふうに思います。   それから,3ページで,経営者については別扱いをするということで,経営者の定義についての御提案がありますけれども,そこで囲みの下に,「この案においては,経営者等の定義に該当する者がこの定義から外れた場合は,その後いつでも元本確定請求を行うことができる等の規定を置くことが考えられる」とありますけれども,これは経営者等,あるいは代表者でも,ともかくそれらのものについて別の扱いをするという場合には,必ず必要な規定ではないかと思いますので,どのような扱いをするかにかかわらず,代表者あるいは経営者等についての扱いに関する記述をつけるのであれば,これを盛り込むということについても合意をしておくということがよろしいのではないかと思います。 ● 一応,○○委員からの提案の趣旨は注の中にも書き込まれておりまして,先ほどの○○委員の提案も同じようなところがございますけれども,今回は中間試案として外部に公表するといことで,そのスタイルといいますか,表現方法も含めて御議論をいただきたいということで,実質的に合意されている部分もありますし,先ほど事務局からの御説明で,これまで必ずしも十分議論が済んでいない部分もあるということでございますので,合意のあるところを固めて,それ以外の部分を議論していくというのは,議論の時間の節約という点ではそのとおりなんですけれども,一応全体としてこの表現形式も含めて,あわせて御意見いただければというふうに思います。 ● ○○委員に御質問を申し上げます。   ただいま御案内をいただきまして,大変的確な御説明でありがとうございました。非常に分かりやすく理解をしたところでございますが,4点ほど御質問させていただきます。   まず1ページ目でございますが,まず御質問という前に,1のイの「保証期間」の表現につきましては,これは賛意を表させていただきます。   次にロでございますが,「元本の確定請求権の付与の取扱いについて」でございますが,まずB案を御提案された場合,またこれが現実のものとなった場合,このような元本確定の請求権を保証人が行使した場合,これは恐縮な言い方ですけれども期限の利益喪失事由若しくは与信上の何らかの停止の判断事由とされるのかどうか,そのようなおそれがないかどうかをお伺いをいたします。誠に恐縮ですが,この点,実務のことで,恐れ入りますけれども,もしよろしければ御見解を賜りたいと思います。   第2に,このB案でございますが,よしんば個人に対する消費者ローンを含む貸出し,貸付けの場合,あるいは小口であってもそれでもこれでよいということでございますね。この点につきましても,やはり御質問を申し上げたいと思います。 ● 2点目は聞き取れなかったのですが。 ● 個人に対する貸出し,これは消費者ローンを含む個人に対する貸出しでもよいのか,あるいはまた小口分散型のものでもよいのか,すべての貸出しについてこのB案は御提案があるというふうに受けとめてよいということなのかどうかということでございます。   それから,2ページでございますけれども,いずれも用語の理由に関しましては大変銀行取引の実務に即した御意見として尊重させていただきますが,このⅡの(2,3共通の後注)のところでございますけれども,よくよく読みますと,経営者等につきましては限度額の定めのない根保証契約も有効として,かつ期限についてはB案のとおりとするというふうに前半に記載をされております。そうでありますと,経営者等が正に限度額の定めのない根保証契約を締結している場合,3年以内に退任をした場合,あるいは解任された場合にはどのようになるのか,つまり限度額はどのようになるのかということについて明らかにしていただきたいと思います。   最後に,3ページ目でございますが,真ん中より上にございます経営者等の定義の四角で囲んだものでございますけれども,これによりますとあくまで債務者が個人事業主である場合ですね,これは経営者等には入らないという理解でよろしいかどうかということでございます。 ● 趣旨を明らかにしていただいた方がいいと思います。2番目の消費者小口もこれでいいのかという指摘の問題意識,ちょっと先におっしゃっていただいた方が分かりやすいと思いますので。 ● 3年を経過したとき,いつでもということですから,実務の観点からこのような御主張が出てくるとした場合,事業金融のときに資金調達が大変阻害されるというふうな御案内でございましたので,逆に銀行実務若しくは一般の金融会社における実務において,個人に対する貸出しがあって,そこに保証契約というのも当然に存在するであろうと,そのときの理由づけというのはいかがなものかということで伺った次第でございます。 ● まず1点目でございます。つまり元本確定を請求した場合,期限の利益の喪失事由になるかということは,これはならないというふうに思っております。ただし,元本確定請求は来たわけで,そうすると保証人の変更とか,保証人をどうするかという問題が残ってきますから,それを踏まえて今後の元本の継続だとかいったことを債務者の皆さんと検討していく必要が出てくるというのは事実だと思っております。   それから,消費者ローンだとか個人のプロパー貸しについて保証人があれば,それも検討材料になろうというふうに思っております。   それから,3点目は3年以内に退任というお話でございましたね。これは,経営者という定義をすれば,3年以内に退任した場合でも元本確定の請求はできるということを設けることはあり得ると思っております。 ● 元本確定請求権ができるということとともに,限度額の定めのない根保証をしているわけですが,それに関してはしたがって確定請求ができるというだけでございますか。 ● それはどういう意味。 ● つまり,限度額の定めのない根保証というのは,それは認めるということなんですか。その後退任をしたときに,確定請求権を……。 ● そうです,限度額の定めのない保証を有効とするということですから。 ● でありますと,それは恐縮ですが自動的にそれはそうなるのですか。確定するわけではなくて,あくまで確定請求権を行使しなければならないという意味ですね。 ● なるほど,ですからここに掲げたとおり,我々3ページに書かせていただいているのですけれども,経営者等の定義に該当するものが外れれば,元本確定請求権はできるとしておりますけれども,自動的にと読み替えることも可能かなというふうに今後検討していくと。 ● 分かりました。 ● ○○幹事の確認との関係なんですが,全銀協さんの案の2ページ目の一番下の「第三者については」という部分が,「限度額を定め,かつ元本確定期限を設けるとともに」ということでA案でいいじゃないですかということのようなんですが,第三者保証で期限を定めていない場合については,B案という趣旨なのかどうか。それが今の御質問の答えで,消費者ローンの場合にもこれが適用されるのですかということが,消費者ローンであれば第三者保証以外あり得ないわけであって,個人ですから。そうなると,第三者保証の場合でも期限の定めをしていない場合には確定しなくて,3年経過後,意識的に確定請求をしない限りは永遠に続くという前提で組み立てられているのか,それともB案というのはそもそも経営者保証に限ってはそんな期限を定めなくてもいいじゃないですかという趣旨なのか。つまり,B案の方が保証人保護だということの理由が,3年で確定請求ができるから保護なのか,それとも確定請求しなければいつまでも続くということであれば,責任が縮まっているとは必ずしも言えないところがあるのじゃないかということなので,その辺の趣旨を少し,B案の適用範囲を御説明願いたいと思います。 ● B案につきまして,保証人というのは,経営者保証と第三者保証を分けているわけではなくて,広く保証人についてはということでございます。   あえて2の共通後注としているのは,我々が何度か申し上げている経営者等と第三者を分けるとすれば,第三者については手厚く保護するわけですから,A案で賛成させていただきますという趣旨でございます。 ● 4番目の点につきましての御回答をお願いしたいのですが。4つ御質問申し上げまして,ただいま三つ御回答いただきまして,4番目,これも同様かと思いますが,念のため恐縮ですが御発言いただければと思うのですが。   3ページ目の経営者等の定義を見る限りにおいて,個人事業主の関係者は入らないということですね。 ● いや,そういうことではないのですけれども。どう定義するかというのは問題として出てくるかもしれませんけれども。 ● 今日資料いただいたばかりですので,十分に読み込めていませんので,当を得ていないかもしれませんが,銀行協会さんの方の関係で若干お伺いしたいと思うのですが。   まず,2ページの保証人保護の観点からB案の方がすぐれているということが書かれているのですが,それは前提がどうなのかということが一つあるのじゃないかと。保証債務がどんどん膨れ上がっているとかなんかということを常に認識できるような状態にあれば,その請求権行使でも構わないのですが,通知とか何かについて消極的に考えられるのであれば,知らないうちに保証債務が膨れ上がっていってしまって,確定請求の権利行使する時期を失してしまうということはあり得ますから,これ3年とかいうことできっちり切っていった方が保証人の保護としては有利じゃないのかなと思うのがまず第1点でございます。   また2番目のところで,実務においてということで,定期的に署名・押印することを望んでいるとは考えられないというのですが,これ裏づけあるのかなというのが素朴な意見でございまして,裁判なんか見てても,なかなか銀行さんが保証人外してくれないので,経営譲渡とか何かができないというのが和解等の障害になっているケースも少なからずありますので,本当に定期的に保証を見直すということを望んでいないのかどうか,それは一度よくお考えいただかなければならないし,このように書かれるのであれば,その裏づけは何なのかということを御説明いただければと思っております。   3番目に,3ページの括弧の中で,経営者ということについて何らかの定義がございますが,これは多分親子会社の関係の会計か何かの規定から来ているのじゃないかなと思うのですけれども,「直接又は間接に」云々というのが本当に分かりやすい基準なんだろうかというと,私は分かりにくいのじゃないかと。これをもし裁判規範として持っていったときにも困りますし,行動するものとして本当にこれで私は免れちゃうのだろうか,免れないのかということ,ばくち打ちみたいなことになってしまいますので,この基準というのはやはり明確じゃないといけないのじゃないか,その意味でいったら,もう代表権あるなし,そこで割り切る事務局案の方がはっきりしていますし,保証という大きな責任を負うかどうかの問題につきまして,このような抽象的な問題点を,会計準則とか何かなら別かもしれませんけれども,ここに持ち込むのはどうかと考えざるを得ないと思っております。   今日いただいたものですから,十二分にそしゃくいたしておりませんので,その点3点ばかり御指摘させていただきたいと思います。 ● まず1点目,いわゆる保証人が知らない間に債務が膨れ上がる可能性があるという御指摘をちょうだいしていると思うのですけれども,まず最初に,保証の限度額の定めというのを設けるということになっているわけですから,保証人は私は幾ら保証しているのだというのを認識した上で保証を応諾するわけですから,妙に膨れ上がるということはなく,一定限度までは,幾らだというのがはっきり分かるということですから,膨れ上がるという言葉は適切じゃなかろうというふうに思っております。   それから2番目でございますけれども,「定期的に見直し」という言葉ですけれども,結局3年ないし5年ごとに経営者の方々は我々から説明をした上で納得していただいて判を押していただいているわけですから,それをまた更に3年,5年というのは,経営者の皆様から納得が得にくいということは現実的にあるわけで,ただこれが幾らかというのは,申し訳ないのですけれどもちょっと数字的に出ていないのですけれども,それは考えられるということです。   3番目の,裁判規範云々というお話ですけれども,これは全国銀行協会としてはいろいろ検討した結果でございますので,これが不明快ということではなかろうかなというふうに思っているということと,最終的にこれは我々がリスクを負って判断して実務をこなすということになろうかと思いますので,ここは我々の定義に任せていただけるということも考え得るのかなというふうに思っております。 ● ちょっと,今の点に絡むのですけれども,今の御説明でしたら経営者の側のロジックが前に出ていまして,我々現在保証人の保護をいかに充実するかというテーマをメーンにして議論しているはずなんですが,この場合,経営者自身が経営者保証になっている場合と,それから第三者の場合と一応概念的に仮に分けるといたしまして,経営者自身が5年,3年だったときに判こを押し渋るということは恐らく実務上あり得ないと思うのですね。融資を継続的にスムーズに受けたければ。そういう人が判こを押さない場合には,もちろん銀行としてはそれなりの対応があり得ると思うので,特に実務上問題がないと私は考えます。   それから,もっと問題なのは,いわゆる第三者の場合でありまして,このテキストの2ページのど真ん中に,保証人が遠方に転居していたりという場合にこそ,保証人を保護する必要があるのに,なぜかここでの利益衡量は経営者の側に傾いている,経営者が困るじゃないかと。そういうふうな経営者の当てをなぜ保護しなければならないのか。保証人は基本的には,特に第三者個人保証の場合,無償で他人のリスクを引き受けているわけですから,できるだけスムーズにそこから逃げられるような機会をつくってやるのが法制度,民法の役割じゃないかと私なんかは考えるのですけれども,そのロジックがどこかでひっくり返っているような気がして,ちょっと心配なんですが。 ● 今,○○委員から,本当に貴重な御意見をいただいたと思っておりまして,我々も正にそのとおりだと思っていますから,経営者と第三者保証は分けて,第三者保証に手厚く保護したらいかがですかというのを本来,前回申し上げたのですけれども,なかなか皆様から御賛同をいただけなかったもので,大分趣旨が変わってきたなというふうに認識しております。いかがでしょう。 ● それから,経営者だって今のロジックでいきますと3年,5年で一度切って,もう一度自動的に消滅させて切った方が,仮に経営者という概念をきちんと割れるとしても,ですよ,私はそこはなかなか難しいのじゃないかと基本的に考えているので--フランスも,この前ちょっと話したかもしれませんけれども,もともと第三者,個人保証から出発した国ですけれども,今や右翼政権下ですね,シラクのもとでですけれども,第三者保証と経営者保証を区別しないという立法を去年の夏にしておりますので,やはり区別は非常に困難であったという経験があると思うのですね。これから我が国が21世紀,どういう立法・改正していくかという問題ですけれども,やはりそういう経験にも学ぶべきでありまして,かつ経営者保証の場合には何年で切ろうと喜んで融資の相談のときにサインしていくわけですから,実務上もそんなに問題ないというふうに私は率直に思うのですけれども,いかがでしょうか。 ● 実務上云々というよりも,経営者保証を3年,5年で区切るのがなぜ必要かという議論だと思っておるのです。例えば第三者であれば,一定期間能動的に,いわゆる銀行側の方から第三者の皆さんにある程度通知をするという機会を与えるというのは非常に重要かと思いますけれども,経営者の皆さんに,経営内容を熟知している皆様に,あえて保証期間が来ましたよというふうなことを知らしめて,また更新をする手続を踏むというのは,それはちょっとどうなのかなというのが我々の素朴な疑問でございます。 ● この保証制度の議論の一番の根本のところの最初の議論にもあったと思うのですけれども,経営者も含めて保証をどこまで追求するのかという,どこまで制限するのかという大問題がまずあって,その議論の中で,今経営者保証と第三者保証を分けるかどうかという議論をされているのだと思うのですけれども,そもそも経営者の場合であっても,包括根保証という,要するに何の枠もない,言葉は悪いかもしれませんけれども,枠のない保証に入ってしまうというのがそもそもいいのかという議論が根本にあったのじゃないかと思うのです。   今次成立した--と思いますけれども--改正破産法のいわゆる附帯決議の中にも,国会でもこの点がかなり議論されたというふうに聞いています。つまり,経営者であっても,要するに何らの制限のない,際限のない保証では困るのじゃないかと,再建の道がないと,ついてはそこがネックになって,いわゆる早期の倒産に至らないというか,倒産する場合もあるのでしょうけれども,そういうような救済手段が考えられないかというような根本的な議論があったやに聞いているわけです。ですから,私などは銀行協会のおっしゃることも分からなくはないのですけれども,実務上は多分○○委員がさっきおっしゃったように,実際的には保証人になった経営者そのものはある程度覚悟を決めてそこに入り込んでいくのでしょうけれども,法制度そのものとしては,やはり経営者についても一定の限度を設けるのが理屈ではないのかなと,それが今回の議論の根本じゃないかというふうに私は思っておりますけれども。 ● 今の○○幹事の御意見は,限度を設けなさいと,こういう御趣旨。 ● 基本的にはそういうこと。 ● そういうことでございますね,期間ではなくてということでよろしいのですね。 ● 両方ですね。 ● 御紹介だけ申し上げます。   商工会議所の内部でも,先ほどの意見等々と類する意見がございますので,あくまで議論の過程で出てきたということで御案内申し上げますが,保証人保護の観点でいいますと,やはり経営者の場合ですが,期間の問題よりはむしろ金額の限度を設けるべきではないかと,期間については資金供給の円滑化にマイナスに作用しないようにというような御意見がございまして,これは極めて実務的なことなのですが,特に成長期にあるような企業の場合,2億,3億の限度を決めていても,それがすぐに4億,5億というふうに資金需要,これはけたの問題がございますけれども,そういうことになる場合もございまして,逐一保証の差替えというふうな形で行うのはいかがかということでの,経営者がいわば積極的な経営を行おうとしている場合にはということですが,かような,特にA案のような形での保証の逐一の合意,更新というものはいかがなものかというふうな意見もあったということを御紹介させていただきます。 ● 最初の○○幹事のお考えに関する私の質問の回答との関係にもう一度戻りたいのですが。   今までのお話を聞いている限りでは,限度額に関しては対立がないわけですね,全銀協さんと原案とで,で,そこはもうおしまい。   保証期間に関しては対立があるわけですが,ない部分もあるようです。すなわち第三者保証については全銀協さんも保護を厚くした方がいいということで,原案のA案でもいいとおっしゃっている。しかし,経営者保証についてはそうでない方がいいのじゃないかと。そこで経営者保証と第三者保証が法理論的に区別できるかどうかという争点が出てきて,それが難しいだろうというのが事務局案であるし,全銀協案もやればできるのだけれども事務局が難しいというのなら分けないで,経営者保証の方に引き寄せた案に結果としてなってしまった,事務局案はむしろ第三者保証の場合の保護についての共通見解でもって,経営者保証も一緒に分けられないのだからやろうということになったわけで,恐らく実質論としては一致している部分がかなり多いのだけれども,そうでない部分,すなわち経営者保証についても実質論として第三者保証と同じ程度の手厚い保護にすべきかどうかという実質論と,あとは法技術論として,経営者とそうでない第三者を裁判規範としてきちんと分けられるのかという技術論と,この2点が残っているのではないかと思うので,そこに限定して議論するのが生産的じゃないかと思います。 ● 今の○○委員の整理は,非常に事務局としても望ましい整理ではあるのですけれども,ただ一応確認しておく必要があると思うのですが,○○委員にしても○○委員にしても,限度額の話も,それから保証期間の話についても,第三者もやはり確定請求にとどめるべきだとか--失礼,限度額の方は代表者については限度額のないという保証の余地を残しておくべきだということであり,それから保証期間についても,第三者についてもやはり確定請求,期間の定めのないものを第一次的には残すべきだという御主張でよろしいのですね。 ● あえて分けるとすれば,Ⅱのところに書かせていただいているとおり,「(上記A案)を設けるとともに」云々というのは,注書きも含めてということで結構ですよということを申し上げているのです。 ● これまでの議論の流れというのは,第三者と経営者はなかなか区別するのは難しいということで,一応全部に網を掛けて,保証期間も限度額の制限もすると。それはそれとして,果たして経営者というものについて特別な規定を置くことが技術的に可能なのかどうかということが議論されてきたということではないかと思うのですね。ですから,基本的には全部に同じルールを適用して,とりあえず原則はすると。ただし,経営者保証について特別の規定を置けるのかどうかというのは,別途考えるということなんですけれども,これはなかなか難しいかなという,そこのニュアンスが事務局でまとめた今日の案だと思うのですけれども,そこについてもうちょっと,全銀協の御意見はそこの軽重のつけ方が軽過ぎるというのですかね,感覚的な表現であれなんですけれども。もうちょっと第三者と経営者が完全に同じとまではいかなくても,もうちょっとルールのレベルを上げるべきじゃないかという,そういう御議論じゃないかというふうに考えているのですけれども。 ● それはおっしゃるとおりなんです。もともとは経営者と第三者を分けてというお話をさせていただいたと思うのですけれども,なかなか話が進まないということであれば,特にこの期間のところについては,単純に保証人の保護の観点から,ある一定期間を過ぎれば元本確定請求権を与えるというのがスムーズなのかなというふうに思っているのが1点。   もう1点,裁判規範から難しいということなのかもしれませんけれども,全国銀行協会としては,この経営者等の定義というのは,一応いろいろな案を弁護士の方にも見ていただいた上で,これだったらということの御意見を踏まえた提案でございますので,これは絶対だめだということになるのかなというのは素朴な疑問としてあるということと,ちょっと私も法律に詳しくないので,そういう話があったということですけれども,証取法の21条には,役員とは取締役,監査役,又はこれに準ずるものという定義もありますよといった話もあるとか,最終的に我々経営者がどうかという判断を我々がすることになって,間違うリスクというのは金融機関が負うということにもなるものですから,そこら辺でどうなのかなというのをあえて申し上げておきたいと思っております。 ● 私が先ほど,最初の方で対立点を整理した方がいいのではないかという意見を申し上げまして,○○委員から基本的には御賛同いただいたというふうに思っております。ただ,今日の話としては,この要綱中間試案をどういうふうな形で取りまとめるかということなので,それに即してやってほしいというのが部会長の先ほどの御発言だったかと思います。   そうした観点から見たときには,私は先ほどの○○委員の御発言に基本的に賛成なんですけれども,いずれにしても元本確定請求権というのを認めるとしても,常に主債務者の債務の状況とマッチしているわけではございませんので,期間が来たことによって,3年ないし5年で切れるという制度があるということには意味があるのではないかと思います。とりわけそれは,第三者保証人の場合に意味があると。ですから,第三者保証人だけに限らずに入れるかどうかは別にして,そこは合意ができれば合意をしたいというふうに思います。   その例外として,外すものをどうするかというのを考えるのだとすれば,やはりこれはぎりぎりこれだけは外した方がいいよねというものを外すというこということで考えると。だとすると,基準の明確性ということを考えても,代表者だけは外すというのが落ち着きどころかなというような感じがしております。   様々な御意見があろうかと思いますけれども,中間試案という形で今後に向けて意見を聞くということであるならば,現在の書き方で特に大きな問題はないのではないかというふうに思います。ただ最初の私の,あるいは○○委員の発言に戻りますけれども,趣旨を説明される中では,何が実質的な争点として残っているのかということについて,この試案とは別の形で,実質的な整理をしていただけると有り難いと思います。 ● 今のことと関係するのですけれども,支配的な立場にある者について,貸金業規制法に条文がありまして,○○幹事から後で詳しい御説明をしていただけると有り難いのですが,貸金業者の登録申請のときに,届け出なければならない事項として,「法人である場合においてはその役員,業務を執行する社員,取締役,執行役,代表者,管理人又はこれらに準ずる者をいい,いかなる名称を有するものであるかを問わず,法人に対し,これらの者と同等以上の支配力を有するものと認められるものとして,内閣府令で定めるものを含む」とありまして,恐らくこういう定義がありであれば,全銀協さんの案でいうところの経営者等というのは,何とでもなるのではないかという気がするので,裁判規範として不可能ではないのではないかと思うのですが,ちょっと御説明願えますか。 ● 急に振られましたのでちょっと自信ないのですけれども,そのような規定というのは,通例ある種そうしたことを防止したい,例えば出資法とか利息制限法とか,いかなる形であっても実質的にその規範を逸脱するのはまずいですよというようなものを法律で定めているということですので,一方,ここでの御議論というのは,この人が債務を負うのか,責任を負うのかというところですので,ちょっと場面が違うのじゃないかなという気がいたします。 ● 今の○○委員と違うポイントなんですけれども,保証人保護という観点からは,保証の限度額を設けるというのは仕方がないのかなと。これは,多分銀行さんでもそうだと思うのですけれども,債務者に対してどのぐらいの信用を与えるか,与信というものを恐らく決めておられるのではないかと思うので,その与信枠との関係で保証の限度額というのはおのずと決められていくのではないかなというふうに思いますので,保証の限度枠はある程度の対応ができるのではないかと思うのですけれども,実は保証期間の方については,これは○○委員がおっしゃるように,実務問題としてなかなか難しいのじゃないかなという気がちょっとします。   といいますのは,一回お金を貸し付けてしまいますと,その事業者の運転資金として完全に組み込まれることになりますから,例えば保証が3年で終わったと,そこで保証人が更新してくれないということになると,貸付け側は融資を引き揚げるという行為に出るのですけれども,完全に債務者の資金繰りに組み込まれている中で資金を引き揚げるということは,正に倒産へ向けても引き金を引くことになるかもしれないという局面をつくり出すことになりますので,保証人保護では確かにいいのですけれども,現実問題,3年,5年ということで,保証を出してくれないからお金を引き揚げますと,そう簡単にいくことなのかどうなのかというところが,現実問題としてはちょっと不安だなと。   この議論を推し進めちゃって,もし3年,5年でやはり決めるべきだということになると,結局個人保証は事実上当てにすることができない,当てにせずに貸付けをやるかどうかということに企業としては恐らくそこで判断をせざるを得なくなると。最初の3年間だけ安心料をもらっておくだけのことということになってきますので,方向性としても個人保証はそういう位置づけにするのだという方向性であるならばそれもそれですけれども,保証というものがそういうことでいいのかなという気がいたします。 ● 今のは,第三者保証も含めたお話ですね。 ● そうです,特に区別しておりませんが。 ● ただいまの○○委員のお話でございますが,あたかもこの3の(1)の保証期間を定めるような場合で,更新を認めない保証人がいる場合には,融資の引揚げというふうなことを前提にしておられました。これは,一律的にそのような実務がなされているのでしょうか。それについて御質問申し上げます。 ● 私は金融機関じゃないのであれですけれども,保証があるからそれを担保にして融資をしておるので,その担保が出せないということになったら,やはり融資ができないという局面があるのではないでしょうかということです。だから,最初融資するときに,要りもしない保証をとっているというなら話は別ですけれども,その保証が当てになっているのであれば,次に保証が出てこなければ……,じゃないでしょうかということです。 ● もう一度伺います。保証人は,それではお一人のみに依拠した融資の在り方というのを前提にしておられるということでよろしいのですか。確認だけさせていただきます。やはり与信でございますから,債務者の信用を含めて総合的な判断がなされているのじゃないでしょうか。 ● 済みません,私が申し上げているのはかなり一般論的に申し上げておりますので,保証人が一人だったらどうなのかというようなことまで突き詰めた議論ではないのですけれども。 ● 融資の引揚げについて,とにかくどうしてそういうことになるのかよく分かりません。商工会議所としてお伺いいたします。 ● 保証というのを一つの担保として考えていて,その担保が途中でなくなってしまうのだったら,融資を継続できるかどうかという議論は,貸付け側としてはやはり出てくるのではないでしょうかということなのですが。 ● 今の議論の中で,こうなるのじゃないかと思うのですけれども。   保証期間といっても,今日銀行協会さんの方が言われるように,その間に発生したものについては保証の効力が及ぶわけですから,直ちに貸付金を引き揚げるということに多分ならないのじゃないかと。それは,新たな融資を行うために追加の保証人がいるかどうかの問題にかかわってくるだけで,今の議論は,必ずしも今の要綱試案の関係からいくとかみ合わない。保証期間というものを,その間だけしか保証しませんよと,それを超えて強制執行なんか受けませんよということであればそれは別でしょうけれども,その間に発生した債務については保証しますよということであれば,直ちに保証期間が切れたことがこれまでの融資の引揚げにはつながらないのじゃないかなと思いますけれども。 ● ありがとうございます。 ● ○○委員の御指摘というのは,非常に重要な点だと思っております。要は,今,○○委員がおっしゃったような限定はあるにしても,それはその後の新規の貸付けをするかどうか,例えば保証期間が終了した後の新規の貸付けをするかどうかを決めるに当たって,それは保証人が一人抜けたことについて,例えば一つの物的担保を外したこととか,そういった条件の一つとして考慮されるということは,これは別に否定しようがないことなのだと思います。   ではそれが,端的にいえばそこで融資打切りみたいな最悪のシナリオを招いてしまうケースがないとは言えない,それは否定できないのだろうと思っておりますけれども,ただここで問題なのは,一定の場合に保証人が責任を負って,それをどこまで限定するかということですから,それは正に自分の利益として融資を続けてほしい,保証人の責任を負っても融資を続けてもらいたいという方向に判断している当事者としては,それは正に代表者,あるいは実質的な経営者も含まれるかもしれませんけれども,そういう人は保証契約の継続,こういったことについてノーと言えない場合が多いのだろうと。ただ,それでは,ノーと言える立場の人について,それをノーと言ったことによって主債務者が結果として融資が得にくくなるという結果を生じても,その場合にどちらを保護すべきなのだろうかと。ここが正に問題でありまして,今回の議論としては,主債務者の便宜のために期間について将来にわたって継続的な重い責任を負わせる方向の仕組みを維持すべきなのかどうかということであって,そこはやはり限定的な方向で何らかの措置を講ずべきじゃないかと,保証人が嫌だと言っている場合に,主債務者の金融の継続の利益の方を重視すべきかというと,この場ではそういうことは考えるべきではないんじゃないかということが我々の考え方でございます。 ● 私が申し上げたのは,引揚げという言葉の定義として,例えば期限の利益喪失,あるいは繰上償還請求というふうに,企業の債務に関していわゆる貸しはがしというふうに社会事象的に言われるようなことが起こるとすれば,それを一般論として前提にするのはいかがかということを申し上げた次第でございます。   恐縮でございますが,ちょっと延長で事務当局に2点ほどお伺いしたいことがございますので。   この要綱中間試案の案でございますけれども,1の要式行為に関しまして,「根保証契約は,書面でしなければその効力を生じない」というふうにうたわれておられますが,この契約というものは,例えば実務上は銀行取引約定書,あるいは金銭消費貸借契約上の保証人,更にはまた保証書というふうな,いわゆる別冊文書,それぞれあるわけでございますが,これはいずれもその書面に入るというふうな解釈でよろしいということであるのかどうかがまず第1点でございます。   それから第2点でございますが,次のページの3の(1)の「合意による保証期間を定める場合」の2行目,「根保証契約を更新する場合における」云々とあるところでございますが,これは当然のことながら,いわゆる自動更新は認められないということでよろしいかどうかということでございます。この2点につきまして,恐縮ですが御質問させていただきます。 ● まず第1点目ですけれども,書面を要式とした場合の形式ですけれども,今おっしゃられた範囲であれば,書面化の要件は満たしているのではないかと。もちろん,保証契約というものを独立で結ぶ場合もあるかもしれませんけれども,保証人の名義として契約を結ぶ,一体として結ぶということもあり得るのだろうと思っております。   それから,自動更新云々ということですけれども,これは少なくとも今回の資料で本文として掲げている案としては,5年あるいは3年の期間を経過したときに,再度保証意思を確認するということを考えているわけですので,例えば当初の契約時に何ら異議をとどめない場合は,向こう5年また更新されるといったことを自動更新として念頭に置いておられると思いますけれども,こういったものは認めないという前提で考えております。 ● ほかに,1から3まででなにかございますか。 ● 用語の問題として強く要望された保証期間の制限について,根保証の元本確定期限を定める場合云々の文言にせよという案だったと思うのですが,誤解を与えるからというふうに書いてありますが,少なくともこの中間要綱をまとめる段階においては,ちゃんと注でだめを打っているわけですから,やはり「保証期間」という用語の方がよほどシンプルですし,いたずらに用語を混乱させないということがありますし,万が一誤解する人がいたら,それはそれで結構じゃないかと。最近は,保証人は保証債務を払うなという本まで何か出ているような世の中になっているぐらいですので,それはそれで別に構わない,事務局としてはきちんと説明していますので,これは私は十分だというふうに思いますけれども。 ● 実務界から申し上げると,銀行と保証人の間にむだな--むだといいますか,誤解を与えるような,そういう文言を取り扱っていいですかという御質問をしているわけで,ちょっと行き過ぎた議論かなという気がしますけれども,いかがでしょうか,○○委員。 ● まだ法文化されている前の,中間試案の段階ですので,これが法文化の段階で慎重に考えれば十分ではないかという趣旨です。 ● ですから銀行界としては,実務界としては,妙な誤解を招かないようにきっちりした対応をしていただけませんかというお願いをしているわけです。 ● 中間試案の段階で,ですか。 ● 中間試案も含めて,我々もいろいろな方に説明するのですが,やはり法律専門家と一般の方とでは随分受けとめ方が違う。言葉の見た目に引きずられるというところがあって,保証期間といえば非法律家の方々は保証する期間と考えるのが割と一般の受けとめ方だというのは実感するのです。ですから,最終的に法案にどうするかということもありますし,ここでの議論の間はそれは保証期間でもいいのでしょうけれども,それは実際実務的に誤解を生ずるおそれがあるという懸念を抱くのは,私の経験からいってもそうだと思います。やはり法律専門家の間と非法律家の人との間では,言葉に対する受けとめ方が随分違う。   私ら法律家というのは,やはり言葉に特殊な意味を与えていることになれていますから,見た目の言葉と違う意味があるということはごく当たり前だと思っていますけれども,国会議員も含めて,普通の方々はなかなかそう思っていない。ですから,極端なことを言うと,これを持って国会議員のところに説明に行くと,保証期間って3年たったらもう保証しなくてよくなるのかという,逆に受け取られる可能性はやはりあるだろうと思いますね。 ● 先ほど,どなたかからも御意見がありましたけれども,同一人がすなわち経営者であれ第三者であれ,根保証人兼根抵当設定者になるというケースは非常に判例等を見ても多いわけですから,しかも根抵当についてはもう30年ほど前に整備がなされているわけで,根抵当で使われている用語と殊更に違った用語を導入するのは,議論を混乱させるのじゃないかなという気もいたしますので,根抵当は「元本確定期日」という言葉を使っておりますし,あるいは「極度額」という言葉を使っておりまして,根保証業界ではどういうわけか「限度額」という言葉を使って,私論文を書くときにいつも悩むのですけれども,この辺も何か立法するのであれば,統一していただく,そしてルールの内容もなるべく統一していただく方が,根抵当はこうだけれども根保証はこうだというようなややこしい話にならなくてよろしいのじゃないかというふうに思います。 ● 私,先ほどの○○委員のお考えに賛成です。言葉の意味について,無用な誤解が生じないようにしておいた方がいいのではないかというふうに思います。   ただ,「元本確定期限」という言葉が分かりやすいかといえば,それは必ずしも分かりやすいわけではないですね。○○委員がおっしゃったのももっともですけれども,根抵当法は1970年代の立法ですよね,今日立法すると,しかも物的担保を供するような資産などはないけれども,保証人にはなり得るというような人までも含めて立法しようというときには,「元本確定期限」という言葉でも私はその方がいいと思いますけれども,この言葉について一般に分かりやすい説明をするということがあわせて必要なのではないかというふうに思いますが。   ○○委員がおっしゃるのも,そういう趣旨を含んでいるのではないかと思いますが,いかがでしょうか。 ● 中間試案で公表したときに,理解しやすいかどうかというのと,立法するときにどういうふうにするのがいいのかというのと,一応理論的には別だと思いますが,結局のところ同じことを言っているわけですけれども,全銀協の御意見のような方が一般に分かりやすいのか,あるいは事務局のように「保証期間」と書いておいて注をつけているという形の方が分かりやすいのか,「極度額」と「限度額」も同じような問題だと思うのですけれども,その辺多少意見が分かれるかなという気はするのですけれども,今のところ事務局案の方がやや分かりやすいかなという気は個人的にはしていますけれども。 ● 銀行協会の御意見との関係で,最後の経営者扱いする人の基準で,代表権の有無という点はこれはいいとして,後者の点で,これは基準として明確なのかどうかという一つの問題提起があったのですが,そのほかに,これを経営者扱いといいますか,代表者と同列に扱う根拠といいますか,ポリシーとしてどういうことを考えていらっしゃるのかということを確認しておきたいと思うのです。   この基準からいきますと,要は実質的な,支配という話がありましたけれども,会社の所有者,あるいは持分を半分以上持っている持ち主,オーナーということになると思うのですが,その場合に,根保証における保証人保護の規律を若干手薄にしてもいいといいますか,特別な規律を,代表者と同じような規律を及ぼしてもいいということについて,どういうふうに説明するのか。オーナーということからすると,確かに法人についてそこで上がる利益であり損失というのをそのまま分担するといいますか,分け与えられる立場にあると思うのですけれども,そのことだけで一般第三者との別扱いの根拠を十分に説明できるのかということについて,若干疑問があると思うのです。   代表者の場合は,これは形式的な代表者の場合にどの程度経営に関与しているのかについて例外的なケースはあると思うのですけれども,それにしてもそれは知らない方が悪いと,代表者に就任することを承諾して,実質監視していなかった方が悪いというような説明は可能だと思うのですが,正にオーナーというようなことからしますと,それは所有と経営が分離しているというのが本来の会社形態の原則型ということになりますので,そういう場合に,幾ら借りて,何をやっているかということについて,当然知り得るべき立場であるということにはならないと思うのですね。それをここでこういう形で同列に扱っているということについての理由について,もう少し補足していただければ有り難いと思います。 ● この心は,あえてこういう書き方をしているのは,よくある中小企業の場合は親子というのがあります。創業者がいて,ある程度お年を召されたので子供に譲るという場合があって,その場合には,ケースとして株は引き続き創業者が持っておられて,経営は一応子供に任せていると。ただ,そうは言っても後ろ側で親が見ているというケースがあって,親は代表取締役から辞しているというケースが往々にしてあるものですから,それをとらえるためにこういう書き方をしているということでございます。 ● 一応それに対する意見を述べておきますと,そうであれば基準として妥当かどうかは別として,代表者であって代表者を退いた者で,なおかつ過半数を有する者という限定を加えるべきだというふうに思うのですけれども。   それからもう1点。確認といいますか,既に議論として出ておりますけれども,代表者,経営者を別枠にしたときに,契約時は代表者にあったけれども,その後経営者を外れた場合の措置,これは当然重要な論点になると思いますし,今回の資料においても提案としては3ページの末尾のところに書いておりますけれども,これでいきますと,例えば今回の資料の2ページの3の(2)の(注)ですけれども,こういった規律,要は代表者等については3年経過後は元本確定請求権を有するという原則型があると。このときに,代表者を外れた時期が3年経過前か後かということを考えてみると,3年経過前ということになりますと,それはここの(注)に書いてある場合よりも早く代表者から外れたということから,自分の意思で保証人の責任から逃れられるという意味で,手当てがされているという整理は可能だと思うのですけれども,3年経過後というのは,もともと元本確定請求権がある。そうなってくると,3年経過後というのは代表者から外れようとも,特別な手当てはされていないというような御提案になってしまうのですけれども,その点は3年経過後に代表者から外れたことによって何らかの措置を必要とするのではないかという気もいたしますけれども,銀行協会の方としては,この点の措置は講ずるべきではないという御意見なのでしょうか。 ● 今のは,3年経過前に経営者を外れたらということですよね。その場合には,特別な,資料に書いてあることによって早く元本確定請求ができるという意味で,一応代表者が外れた場合の措置が講じられていることになるのですけれども,3年経過後については,もともと3年経過すれば代表者といえども元本確定請求ができる地位にあるわけですから……。 ● 外れてもその地位は変わらないということですか。 ● そういうことになります。 ● これは別な対案といいますか,考えられるパターンとしては,例えば3年経過後の代表者からの退任ということになると,当然にその時点で保証期間が終了してしまうと,こういった規律を設けることももちろん考えられるのですけれども,そういった措置を講じられることは……。 ● そうですね,それも考えられるのですけれども,ちょっとまだ議論はそこまでしていないので,ここでは申し訳ないのですけれどもちょっと何とも言えないところでありますけれども,考え方は当然ながらあると思っております。 ● ただいまの○○幹事が御指摘になられた点の前半のところ,特に経営者等の定義につきましては,やはり業務執行権を持たないもの,株主ですが,それを経営者と同列に扱うのは疑問に思います。 ● ほかにいかがでしょうか。   それでは,ちょっとここで休憩にしたいと思います。             (休     憩) ● 再開したいと思います。   先ほどの第1の1から3までの間で御意見ございますでしょうか。 ● ○○委員の方から出された意見について,若干事務局としてもコメントしておこうと思うのですけれども。   例えば,ここに一定部分で主債務額とか弁済期というような,これは要は重要な契約の要素についてという趣旨だと思うのですけれども,これは根保証とかに限らない話で,限度額というような定め方ではない,例えば将来債務の保証のような形のものもあって,後でちょっと関連した話題が出てきますけれども,求償権の保証のようなケースもあると思われます。それから,弁済期とか支払の内容ということになってきますと,これは実際の契約なんかでも非常に詳細な別表に基づいて契約内容が定められているというケースもあると思われます。そういった場合について,自書ということとの関係で,どういうふうな解決をアイデアとしてはお持ちなのかということをお尋ねしたいと思います。 ● 特にはっきりしたアイデアはございませんでして,少なくとも日付は起算日から3年とか5年で一定の効果が結びつけられておりますし,それから氏名,それから保証の限度額,ちょっとここに文言は落ちていますけれども,そういうものはやはり偽造というリスクもありますので,そういう趣旨で書くべきだなと思っていたぐらいで,確かに別表に基づいてというふうになりますと,その別表がコンピュータ処理のようなものであった場合には対応し切れないと言われますと,もう本当にそこまで考えていませんと言うしかないような部分があります。   ただやはり,裁判例なんか見ていますと,そこまできちんと上がってきているかどうかまず問題ですけれども,やはり偽造のリスクというのは,正規の金融機関ではないのかもしれませんけれども,保証絡みではナニワ金融道的世界ではないわけではないので,そこをやはりどうして防ぐかという何かのことはあり得ないのかということをちょっと考えたような次第です。   ちなみに,フランスでは,この手書きを一時すごく要求したのですが,最近後退しているという事実がありますので,この部分はひょっとしたら難しいかなと。ただやはり,どこか自筆の部分を残せる部分があれば,明確である限りにおいて残せる部分があればいいなというふうに思っています。   ちなみに,フランスで何が後退したかと申しますと,法律でこの文言を全部手書きで書けということを命令しているようなところがあるのですけれども,要するにそれは目の前にあるプリントされた字を写させるだけであって,時間がかかって,途中でミススペリングとかしてどうなるのというややこしい話も出てくるということがあって,ちょっと後退しているということでありまして,基本的な,例えば主債務ないし保証限度額についてはきちんと手書きで書けというあたりについては,特に反対はないというふうに私は認識しております。 ● 実務的な話としても,もう既に現在だって金融機関の方ではいわゆる限度額を定めた保証契約というのはよくとっていらっしゃるのだろうと思うのですけれども,その際に,いわゆる保証額というのが手書きで書けるように空欄になっているというのが原則じゃないかと思うのです。基本的には,今はそういうことはもちろんないのだろうと思うのですけれども,署名押印をしたときに空欄で,実はそこの欄を埋めずに,後で埋めるような形で,白紙委任的な形で処理されるということも全く考えられないわけではないと思うのです。ですから,そういうことを考えれば,やはり○○委員がおっしゃったことを更に継ぐような形であれですけれども,そこの自書を求めるということであれば,やはり限度額とか,期間の定めをするのであれば期間そのものについては本人に自書させると,その場で書面をきちんと取り付けるという扱いを前提にすべきかなというふうに思います。 ● 今,○○幹事がおっしゃったのはそのとおりでございまして,銀行界も面前自書というのを厳しく要求しております。当然ながら,事務ラインからもきっちりした説明をしろ,更に面前自書ですよと。さらに契約書の控えの交付といったことまで要求を受けておりますから,その点においてこれが負担になるとかいうことはなく,必ずそれは保証人の方々に,金額幾ら,期限があれば期限はいつまでというのを明確に申し上げますから,それを踏まえてお書きいただくわけで,それについては全然異論はございません。 ● 今度は限度額とか保証期間を要件にしているわけですから,契約の時点でそれが決まっているということは当然の前提ですよね。その上で,自書させるかどうかという,そういう問題だと思うのですけれども。   それでは,時間もありますので,必要に応じて前の項目に戻っていただいて結構ですけれども,一応4の「期間の経過以外の事由による元本の確定等」,それから「その他」について御議論をお願いしたいと思います。 ● 追加要望事項として出していることについて,今御説明させていただいてよろしいでしょうか。そこまで行っているという理解でよろしいですか。 ● どうぞ。 ● 中間試案(案)の3ページの「その他」のところに,既に注が三つついております。それに続けるという形の体裁の文章を別紙として書いてきまして,(注4)と(注5)であります。   内容的には,実は(注2)とか(注3)ともちょっと重複しているようなところはあるのですけれども,もう少し一歩進めた形でなお検討するという形で表現していただけないかということでありまして,これまで何回かそういう趣旨のことは発言させていただいたつもりでいるところの内容でございます。   まず(注4)ですけれども,「保証人が債権者の故意又は懈怠によって相当に重い責任を負うようなことになった場合には,その割合に応じて責任を減免するという考え方については,特定債務の保証も含めて,なお検討する」ということにさせていただいております。   この考え方は,保証契約成立時点でのいわゆる適合性原則,並びに契約成立後の債権者の保証人に対する保護義務を明文化しようということであります。   事務局案では,(注2)が通知義務ということを怠った場合のサンクションについてはまだなかなかいろいろ検討しなければならない理論的問題があるという認識を示されておりますが,ここでは通知義務のあるなしにかかわらず,非常に射程の広い形で,逆に言いますと融資機関側にとりましては何がこれに引っ掛かるのかという不安感をあおるような側面もあることは確かでありますけれども,既にこれは裁判例なんかでも認められておりますところの,特に投機商品なんかにつきまして適合性原則というのがありますね。それから,これは一種の契約締結上の過失責任と,それから一般に債権者の債務者に対して一定の説明義務と保護義務があるということでありまして,そういう形でもし規定することができれば,こういう条文がありますともちろん一般条項的な色彩があるのですけれども,現場の裁判においては,ひょっとしたら救われるべくしてなかなか規定上救われないような保証人が救われる可能性が出てくるかもしれないと,もちろん副作用は先ほどから申しておりますように金融の不安の方に結びつくというリスクはありますけれども,そういうことを考えております。   それから,(注5)でありますが,これは主債務者が破産免責された場合とか,それから主債務者法人が破産解散した場合につきましては,判例によりまして金融機関は残された保証人だけを相手に時効管理すればいいということになっているのですが,保証人絡みの事件を見ていますと,私,たくさん見ているわけではないのですが,最高裁まで来たような事件を見ていますと,結構保証人は,もう既に元本とかは払った上,なお今の時代は遅延利息等が重いものですから,その部分が残されて,それだけが争点になっているという事件が多うございまして,それだったらせめて求償権が満足を受けることができなかった保証人については,一定部分は債権者にも痛みを分かっていただこうということでありまして,保証人は主債務の利息並びに損害金について責任を免れるというふうなことも検討してはどうかというふうに考えております。   こういうことをもし仮に,なかなか可能性は高くないと十分自覚はしておりますけれども,万が一こういう条文ができますとどうなるのかと申しますと,恐らくいわゆる商工ローンのような業者は,主債務者から利息損害金だけを取り上げて,元本だけ残して,保証人の方にいくというふうに流れてしまう,今もそういうふうにやっているようですけれども,その流れをせき止めることはなかなかできないのですけれども,一定のカテゴリーに入る場合には,保証人の--要するに主債務者がこけたのですから,その場合の痛みはすべて保証人がとるべきだというのが今までの保証の発想なんですけれども,少し発想を変えまして,主債務者がこけたについては,少しは債権者も痛みを,利息分等については分かったらどうですかというのがここで書かせていただいた内容であります。 ● それでは,今の御説明を含めていろいろ御意見をお願いいたします。 ● ○○委員に御質問なんですが,(注4)の不相当に重い責任を保証人が負うということの中身が……。限度額保証を前提とするとした上で,なお不相当に重い責任というのがよく分からないので,あえて考えられるとすれば限度額は1,000万円だけれども,100万円以上は貸しませんから御心配なくというようなことを言って,実は1,000万ぎりぎりまで貸すということぐらいしか考えられないのですけれども,そんなことなのでしょうか。 ● これ二つとも,特定債務の保証も含めてなお検討するというふうにわざわざ書かせていただきましたのは,もちろんそんな場合もありますし,要するに保証人になってもらうについて消費者保護に引っ掛かり得るような金融機関側の態様があったと,あの主債務者は絶対大丈夫だとか,幾つかの契約締結に向けての法的サンクションに値するようなネガティブな行動があったと,ネガティブな評価に値するような行動があったという場合がありますし,それからもう既に主債務者はデフォルトに近い状態であるということを知っていながら,わざわざ別の保証人を求めてきたというふうな態様があり得ると思います。   それから,保証人がいるのだからという形で,幾らでも限度額まで貸し付けていくような形の金融の融資の在り方は,もちろん場合によっては必要なんですけれども,やはりそれが事後的に一定の場合にはサンクションを受けるという形で,故意又は懈怠という形で,気持ちとしてはちょっと重過失よりも強いような,これはだれが見てもちょっと金融機関はやり過ぎじゃないですかというふうな場合には,サンクションを与えたらどうかという趣旨でありまして,余りこんな場合というふうにきっちり類型化しているわけではありません。   ちなみに,同僚の平野氏が,「保証人保護の判例総合解説」というのを最近出しまして,その中では幾つかの類型化の作業をしております。   説明には余りなっていませんが,以上です。 ● ここで言う不相当に重たい責任というのは,必ずしも明確じゃなくて,現時点ではいろいろ裁判例とかで制限していくかもしれませんけれども,今後は限度額ということで予見可能性の金額を設定すれば,不相当というのはなかなか観念しにくいのじゃないかと。   それと,故意・懈怠というのは何に結びつく故意又は懈怠なのか,何を故意又は懈怠することによってということが必ずしもこれは分かりかねますので,現時点においてはまずは限度額の方で対応されることで足りるのじゃないかと思いますが。   場合によっては,先ほど言われたような事例であれば,錯誤とかなんかで保護等もできますので,現時点においてこの(注4)というようなものまで設ける必要があるのかどうかについては,申し訳ありませんが消極的に考えたいと思っております。 ● 現状の実務,裁判例の認識なんですけれども,保証人の錯誤の主張というのはなかなか認められにくいという認識が私にはあるのですけれども,それは結構認められているから,今の実務が生かされれば十分だという御認識でしょうか。 ● というよりは,まず第1に,今回の不相当というのが極度額を定めることによって本人も認識した枠内の保証にしかならないので,不相当というのは何なのかというのが一つ目。   そして,故意・懈怠というのは何に結びつく故意・懈怠なのかがよく分からない。先ほど言われた例は,錯誤というのに結びつき得るのじゃないかと。   ただ,よくある事例なんかでは,迷惑かけないからといって債務者の方が言っていて,保証責任もというのは,それは内々の話でして,債権者が認識しているかどうか,それでなかなか通らないかと思います。迷惑かけるからよろしく保証人頼むわということで保証人になる人はなかなかいないわけでして,それはやはり普通に排斥される方向にあるかもしれませんけれども,債権者がそれに加わったようなケースであれば,場合によったら錯誤とかなんかという議論も十分立ち得るのじゃないかと思いますけれども。 ● 不相当の部分については,限度額をきちんと法律で要求するようになれば問題ないという御認識のようですけれども,恐らく限度額は,例えば当初の貸付額の2倍を超えることを許さずというふうな法文ができれば別ですけれども,恐らく余裕を持った限度額になると思うのですね。根保証の上限が,実際の融資は例えば300万だけれども,念のため1,000万とか2,000万という形での保証人になることを求められることが多いのですけれども,そのときの保証人の通常の意思としては,今の調子でいったら500万ぐらいかもしれないなというふうなケースに,不相当という判断は一応あり得るのじゃないかというふうなことをちょっと考えたのですけれども。   その場合は,最初から2,000万でオーケーしたのだから,2,000万で覚悟せよというのはもちろん一つの立場としてはあり得るのですけれども,最初の契約にだけあらわれた状況からだけ決めるのじゃなくて,もう少し多元的と申しますか,レベルの違った,事後的な救済可能性というのがあったらどうかなということを考えた次第です。   それから,故意又は懈怠はもちろん何に結びついたかというと,最終的に保証人の支払額に結びつく形での故意又は懈怠ということに概念的にはなります。   もちろんその額だって,最初から2,000万の中で覚悟していたじゃないかということを言われますと,もちろんそのとおりなんです。それでもなおかつ,何か救済される余地があってもいいのじゃないかというのが保証の世界なので,それがそもそも基本的には無償で他人のために保証人になっているわけですから。   経営者保証なんかの場合には,もちろんそんなことはほとんど結果的においてはなくなるのだと思いますけれども,特に第三者保証の場合には,やはりそういう要請はあり得るのじゃないかと考えております。 ● 今のお話というのは,特に限度額というのを実際にどう決めるのかという問題で,最初の貸付時の金額とも乖離があるというようなケースで,これはもう○○委員もよく御承知だと思いますけれども,現在の裁判例でも,例えば当初貸付額であるとか,それから物上保証と一緒に根保証したケースであるとかというときに,そのときの債権者側の説明なんかとの総合判断ということになるのだと思うのですけれども,当初の貸付額とか根抵当の極度額なんかを参考にして,その範囲で責任を制限するというような判断が示されていると思うのです。もちろん,今回根保証について限度額とか期間について一定の措置を講じた,それで今申し上げたような具体的に限度額が定めてあるけれども,それの責任を制限すべきような事情があるときにどう判断されるかということになると,それは今と同じだと思うのです。限度額があるものについては,今の限度額があるものと同じような扱いをされるということになりますので,それで保護がされないということではないだろうと。ただ,御提案の趣旨としては,それをもう少し明確なルールとして規定を置くべきじゃないかということなのだろうと思います。   ただその場合に,どういった事情というか,恐らく結論的には今の裁判例で使われているような信義則であるとか,そういったものを具体化するものであって,信義則違反の規定では足りない,あるいはこういうケースにおいて特出しできるような事情を類型化してきちんと掲げられるのかというあたりになってくるのだろうと思います。   今までの裁判例で,全部網羅的に調べているとまでは言えないのですけれども,そういった場合に類型化して摘示するということについては,なかなか難しいところがあるのではないかという気がしております。ですから,ここに書いてあるような適合性原則とか保護義務といっても,これだけでは足りなくて,やはり具体的な何かこういう事実関係というか,法律関係に即した具体的なものを掲げていかなければいけないのだろうという気がするものですから,そのあたりをどう考えていくのかというあたりが問題になってくるのかなという気がしております。 ● 先ほど,○○委員の方からも限度額を定めた以上,それが原則になるでしょうという話があって,私も○○委員と同じように,それを言われるとなかなか言いにくいところはあるのですが,ただ限度額の定めはあっても,なおある程度特殊事情というのでしょうか,ある程度の事情があるという場合には,それは免れる場合があると,その限度で免れるというようなことは,やはり解釈として,というか,最終的には裁判なんだと思うのですけれども,あたりで救済される余地はあっていいのかなと。   とした場合に,どういう要件で定めるかというのは非常に難しいという話もありましたけれども,いわゆる一定の解釈指針を示すものとして,条項上盛り込むということも考えてもいいのではないかと。例えば,今,○○委員の方から御提案になったような要件とか,あと例えば当該保証人そのものの資力というのでしょうか,支払能力とか,そういうようなものを著しく超えるような限度額の定めをしたような場合とかということについては,その範囲内に限るとかいう,そういう何か解釈的な指針のような条項があってもいいのではないかと。   ちなみに,これは御議論のあるところだと思うのですけれども,私が考えたのは,例の身元保証に関する法律の第5条というところに,保証責任の限定というか,そういう規定がありまして,これが正にいろいろ諸事情があった場合にはそれについて事情をしんしゃくして保証額を裁判所が定めると,賠償額というのでしょうかね。これに違反するようなものは,6条で契約自体無効とする場合もあるよという規定があるわけですから,これに類するようなものを設けるのも一つの考え方じゃないかというふうに思います。 ● 身元保証は,もともと限度額がない。 ● 限度がないということが前提なんですけれども。そこが悩ましいところです。 ● 私も,○○委員がおっしゃったことはよく分かります。それで,想定するものとして限度額が設けられ,期限が設けられ,そして特に経営者が保証人になるというようなタイプと,○○委員がおっしゃった,とりわけ商工ローンのケースなんかを念頭に置かれているのだろうと思いますけれども,不当勧誘のタイプのものとがあると思うのですね。取引としておかしいじゃないかというものについて,一般法理でこれまで対応してきたと。判例は,そこそこ頑張ってやっていると思いますけれども,常に言われることですけれども,一般法理を使えばできるじゃないかというのは確かにあるわけですけれども,それでカバーできる問題も確かにありますが,すべての裁判官が冒険をするというわけではありませんので,標準的なルールが定められるならば,それは定められる範囲で定めるということがあってもいいのではないかというふうに思います。   ただ,○○委員がおっしゃっているような,あるいは今直前におっしゃったような,身元保証法5条型がいいかどうかいうと,そこは余りにも何もないところに介入する規定とそうでない場合とで同じでいいかどうかというところについては,ややちゅうちょするところがあります。   この御説明の中で,適合性の原則というのと保護義務というのが出てくるわけですけれども,これを込みにして考えるということになりますと,成立前の事情から成立後の事情まで全部含めて事後的に判断するということになると思うのですけれども,もっと限定した形で,不当勧誘だけをともかく排除したいということであるのならば,これまでに存在するような消費者保護のための処理法との並びで,保証人保護のために,成立について,契約締結について規制をかける,規定を置くということは,考えるに値するような気がいたします。 ● ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 幾つかあるのですが,まず2ページの4の「(1) 元本確定事由」のところですが,ここに(注2)として,「主たる債務者又は保証人が死亡したことについても,元本確定事由として掲げる方向で,なお検討する」というふうな注を入れてくださったことは大変前進だと思っているわけですが,もう一段,注ではなくて,これを本文の方に入れてしまうというところまではいかなかったというあたりについては,事務当局としてどういうお考えなのか御説明いただければと思っております。   それから,(2)の「その他」の中の(注1),(注2)。これが(注1)が特別の元本確定請求権ということで,前の案では本文に入っていたということで,それから(注2)が通知義務ということで,前の案では同じく本文に入っていたわけですが,それがいずれも注という形で,ちょっと形の上では後退したように受けとめられるのですが,これについても我々弁護士としては,是非採用してもらいたいというふうに考えているものですから,そのあたりについてちょっと御説明いただければと思います。   それからもう一つ,適用範囲のところまでよろしいですか。 ● もうちょっと後で,またお願いします。 ● では後で。それだけです。 ● それでは,今の2点について,事務局の方から。 ● まず第1点目ですけれども,これは前回御提案いただいて,こちらから話を振った範囲では特段問題はなさそうな感じではあったのですけれども,前回出されたということもありますので,もう一度確認はしたいということがございました。特段異論がなければ,もちろんここに書いてあるように掲げる方向でなお検討するということですので,そのあたりも含めてこの席で御意見を伺いたいと。あとは,これは恐らく余り問題ないのだと思うのですけれども,「主債務者の死亡」というのを今回新たにつけ加えているということがございます。   それからもう1点は,3ページのところの注に落とした部分ですけれども,これは問題があることを踏まえてというあたりに一応事務局の考えはあらわしているつもりなんですけれども,もちろんこの点についてはいろいろと御議論があることも承知しておりますし,説明としても補足は必要だろうと思っております。ただ,掲げたからにはある程度措置の具体的な中身を視野におさめて提示する責任がございますので,その点について現段階では必ずしも自信が持てないということを率直に注書きであらわしているというふうに御理解いただければと思います。 ● 事務局の御苦労もよく勘案した上で,あえて申し上げるのですけれども。   中小企業庁でやっている観点からいいますと,法律論というよりも政策論的にこの保証問題というのは常に第三者保証というのが中心課題になってくるわけであります。第三者保証って,どういう議論がなされているかというと,やはりリスク管理がとれない人間に対して負担を負わせるのはひどいじゃないかと,こういうのが非常にアバウトな言い方をすれば国会での議論だと思っています。では,そのときの第三者保証人のリスクというのは何かというのを考えてみると,多分因数分解すると分母が主たる債務者の財務体質であり,分子の方に保証契約の対象となる債務というのがあって,多分分子の方の部分についていうと,今日の御議論の中の1から3の中の特に期限とか限度額を定めるというところで,相当程度カバーできているのではないかというふうに私は思っております。   一方で,分母の方にあります財務体質,主たる債務者の財務体質というところについては,これは相変わらず無抵抗な状態に第三者保証人というのは置かれるわけでございまして,ここのところについては裁判規範等でいろいろな積み重ねがある中で,その中の外延部分を例えば例示で取り出すとか,何らかの形でそこについても目を向けているのだよということを,法律を作るときにメッセージとして出す必要があるのかどうかというところについて,懸念しているところであります。   実際にそれを法文上どう書くのかというのは,非常に御苦労があるというのはよく分かった上で申し上げているのですけれども,多分立法プロセス論からいうと,分子・分母両方のところでどういう手当てをしたのかということが,多分問われる世界になろうかと思いますので,そこについての御検討を加えていただければというふうに思っております。   ● 今の○○幹事のお話というのは,例えば(注1)のところでいいますと,資産状態とかそういったものを念頭に置かれていて,その場合に解約請求というのが一つの措置として考えられると,こういうことでございますね。 ● それは,100%の解約でいくのか,確定請求という形になるのか,解約と確定請求は同じですけれども,さっきの○○委員のように,一部軽減というのも何か,それはいろいろなやり方があるのかもわからないのですけれども,いずれにしても何らかの形でそういった財務内容について,自らの計算及び責任において関与できない人との関係において,どういうふうな保護措置を設けるのかということは,やはり何かのメッセージが必要なのかなと思っております。 ● 順に申し上げます。   4の「期間の経過以外の事由による元本の確定等」につきましてですが,特に2ページの(1)の②で,「主たる債務者又は保証人につき破産宣告があったこと」とございますが,これも根抵当権の規定等に準じた御表現ということは理解をいたしますが,あえて申し上げれば,何ゆえに民事再生や会社更生等の法的再建手続を含まないのか,むしろ率直に申し上げれば,こういうふうな再建型法的整理手続を選択したような債務者において,DIPファイナンスを展開するのであれば,新たに正にリセットをして保証をいただけばよろしいのじゃないかというふうに思うのですが,なぜ,くり返しますが,わざわざ破産宣告のみを選択されたのかということでございます。これは疑問でございます。   それから,3ページでございますが,(注2)でございますが,ここでやはり主債務者又は保証人が死亡したことというふうなことがございます。これにつきましては,例えば事業承継を予定するような相続人であればまだしも,全く事業承継を予定していないような,例えば主婦であるとかあるいはサラリーマンとしてもう就職している相続人等があるわけでございまして,そういった方々の御労苦を思えば,この辺のところはなお検討するどころか,本来であればより上位の表現でお願いをしたいところでございます。   それから,次の(2)の「その他」でございますが,(注1)の部分でございますが,特にこれは経営者保証のことについて申し上げます。例えば,代表者である限りにおいて保証するというふうな契約があった場合,本来であればその者は辞任をしたときに保証人たる地位は終了しているというふうに思うのが当然だろうと思うのですが,しかしながら恐らくそこのところに相当のトラブルがあって,結果的に今は合意によって例えば保証人の免除というふうなものがない限り,あるいは解除というものがない限りにおいては,そのまま保証債務は残ってしまうということで,相当のトラブルが起こっているのではないかというふうに思われます。そういうことであれば,むしろ予見可能性,また保証する側にとっての認識の明確化というふうなことを考えると,逆に,先ほどの全銀協さんに対する御質問にも照らしてみると,むしろ特別解約権を明定することによって,あえて認識を更に明確化させていくということもあっていいのかなというふうに思うところでございます。この点,なお検討いただければと思います。   それから,4番目でございますが,その下の(注2)でございますけれども,いわゆる通知義務に関してであります。これに対しては,例えば経営者であれば当然債務者の経営実態,あるいは被保証債務の残高等についてはよく承知をしておる,また法人保証人に関していえば,法人の決算期に銀行その他金融機関等に残高の証明を行って,正に脚注表示を含む決算処理を行うということが慣例であり,またそれが適正な会計慣行になっております。ところが,第三者の個人保証人というのは,そこのところはいわば空白の段階でございまして,そのような慣行が成立せず,情報の被対称性がそのままになっているということであろうかと思います。そういう点では,やはり通知の義務というふうに,これをどのように法定されるかはまだしも,あくまで債権者の側から通知をされるべき対象として第三者保証人を御検討いただくということは,やはり検討の価値があろうかと思います。以上でございます。 ● ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 元本確定事由の中で,主として(注1)に書いてあることの関係なんですが,このあたりのことについて,①自体の実務上への影響もそうですけれども,担保権実行の申立てをしたことを契機にして元本が確定するという扱いについて,特段御意見がない……。特にこれも金融機関の委員の方にお聞きしたいところなんですが,このあたりはこれでしようがないという感じなのでしょうか。 ● 余り話題になりませんでした。 ● それでは,最後の「適用範囲」のところも含めて,御意見を……。 ● これは,御質問になるのかと思いますが,「適用範囲」の1の「要式行為について」ですが,通常保証であるか根保証であるか,保証人が個人であるか法人であるかを問わず,すべての保証契約に適用すると,これは分かるのですが,その前提として,試案の第1のところに「貸金債務の根保証についての個人保証人の保護の方策」というのがあって,その下に要式行為というのがあるものですから,あくまでも貸金債務に限るという趣旨にも読めないこともないので,ただ私どもの理解としては,これは民法の保証全体に要式行為化を求めるものというふうに理解していたのですが,そのあたりはいかがなんでしょうか。 ● これは,ちょっと技術的に分かりにくくなった結果,ちゃんとあらわれていないという御指摘でございまして,これは保証契約の一般ルールとして考えているという趣旨でございます。 ● ほかに。 ● 第2について申し上げます。これは疑問の点もございます。質問の場合は明確に申し上げますが。   まず,4ページ目の冒頭でございますが,「通常保証であるか根保証であるか」,これは私,実務家の立場からあえて御質問申し上げますが,通常保証とはどういう意味合いなのか,これは特定債務を保証することを言うのか,あるいは連帯あるいは非連帯というふうな保証の何かの峻別の言葉なのか,この点を明らかにしていただきたいと思います。加えて,先ほどすべての保証契約というふうにございましたが,そうすると保証と名のつく契約のみにこれが適用されることになり,逆に,例えば債務引受契約や,あるいは損害担保契約等に逃げられやしないかということであります。あえて申し上げれば,そのようなことが逆に横行するようになりますと,これは本末転倒でありますが,この点について事務当局としてはいかがお考えなのか,あるいは皆様方の御知見をいただければと思います。   次の2でございますけれども,この(2)におきまして,「主たる債務の範囲に貸金債務が含まれている場合」とございます。先ほどは手形割引の御案内がございましたが,そうなりますとむしろ貸金債務を除いて外国為替取引のみと,あるいは支払承諾取引のみ,あるいは更に加えますと,デリバティブ取引などはどうするのか,すなわち銀行取引約定書に定められた一切の取引に関して,本来例えば銀行取引においてその根保証書上被保証債務とされております。であるならば,「貸金債務を除く」というふうに1行表現されてしまえば,そうするとこの法律は適用されないのかということになりかねませんが,この点いかがお考えなのか。以上でございます。 ● まず,通常保証の点ですが,これは「NOT根保証」という意味でして,「特定債務の保証」とか,そういうふうに書くべきだったのかなという気がいたしております。   それから,次は保証という名称に限定されるのかどうかということですけれども,これは損害担保契約であるとか,それから債務引受け,御指摘があったものについて含まれるかどうかということが当然問題になってくるのだろうと思います。そこは実際に性質として同じように扱うべきかどうかということは慎重に考える必要があると思っておりますけれども,ただ○○委員がおっしゃったように,端的に脱法的にそういう別な形式をとったということになりますと,それはまだ結論は出しているわけではありませんけれども,仮に保証という範囲に限定して規定を置いたとしても,それが適用の余地が当然出てくるのだろうと,こういう理解でございます。   それから,最後の貸金債務ということで限定することによる,具体的に例えば外国為替取引のみとか,デリバティブ取引のみで,これのみというのも多分余り現実的ではないと思うのですけれども,その例だけをとらえれば,今回の措置として考えられているような一般的な企業の与信についての個人保証,これについての救済ということからすると,保護の対象に挙げるまでの必要はないのじゃないかというのが,現在考えている大まかなイメージでございます。 ● もう一度だけ確認させていただきます。   そうなりますと,最後の御案内によりますと,現時点では貸金債務と手形割引,この二つを対象とするということで解釈してよろしいわけですね。ありがとうございました。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 先ほど,事務局の方からちょっと言われた求償権というのは,貸金債務が含まれているという概念に包括するという趣旨なのか,それは貸金債務外であって,今後検討するという趣旨なのか,いずれでしょうか。 ● この資料自体は,求償債務ということになると貸金債務という表現からは読めないと思われます。ですから,後注に書いてありますけれども,信用保証的なものの求償権の保証ということだと,技術的にはやはり別枠で何か考える必要があるのだろうと。同じような措置を講ずる必要があるかどうかということを含めて,ちょっとまだ具体的なことまで内部でも固まっていないところでございますので,後注の記載にとどめてあるということでございます。 ● 御意見,いかがでしょうか。全体,前の方に戻って御意見いただいても結構ですが。 ● 1点,御紹介申し上げます。   最後のその他ということであえて申し上げますが,これは先般,昨年報告書を公表されました金融庁の新しい中小企業金融の法務に関する研究会の中でも言及されておられますので,ある意味これをなぞることになりますが,基本的に担保をとれるのに担保もとらないで融資をしたということを背任罪のメルクマールにしている判決があるということなんですが,一方において,銀行さんの中では,過度に個人保証に依存をするということでそういった背任罪の指摘をはっきり申し上げて免れるというふうな意識が強いことがあるように聞いております。そういう意味で,過度に個人保証に依存しない融資慣行を実現するというような観点から,そういう保証依存,あるいは担保依存であるということに関して,少なくとも背任罪にはならないというふうなことを条文上明らかにするようにしてはどうかというふうな意見が,会議所内部にあったということを御紹介を申し上げます。 ● ほかにいかがでしょうか。   それでは,この中間試案の案についてはいろいろ御意見いただきましたが,大体よろしいでしょうか。 ● ちょっとしつこいようですが,先ほど申し上げたことと同じことなのですが,本文に書いてあるもの以外,注については,結論のところはすべて「なお検討する」という表現ですよね。そういう表現しかないのかもしれないのですけれども,例えば一番最後のページの2の「(2) 主たる債務の種類」,この注あたりについては大体皆さんほぼ否定的な考え方の方が強いのかなというふうな感じを受けているわけですが,他方,先ほど申し上げた主たる債務者又は保証人が死亡したことについては,むしろ採用した方がいいという意見の方が強そうな感じがするのですが,そのあたりが同じ「なお検討するものとする」という表現だけではちょっと物足りないなと,もう少し積極的な御意見が強い雰囲気,あるいは消極的な意見が強い雰囲気を反映したような表現にしていただくことはできないものだろうかと。せっかくパブリックコメントもされるということですから,その辺,少し御配慮いただければと思います。 ● 御趣旨は分かりましたので,ちょっと工夫はしてみたいと思います。   それと,今言った異論がなかったという点の最後のところですが,これも特に無色透明な表現というふうな感じで考えているのですけれども,かなり適用範囲,保証一般の問題ということからすると適用範囲を限定しているという自覚はもちろんありまして,事前にいろいろな先生方に意見をお聞きした席でも,なぜ除外するのかといったような指摘も少なからずあったものですから,その点を踏まえますとなかなか措置としては難しいというのが今回,現時点での考え方なんですけれども,そうは言っても意見としてはある程度広く今回伺おうかという趣旨だったものですから,こういう書き方にとどめさせていただいておるわけです。ですから,ここもちょっと書き方をどうするかということをもう一度考えたいと思いますけれども,あえてこれも注から落とすとか,あるいは実現難しいということを強調するのも書きにくいかなということもありますので……。 ● 私は,そこまで申し上げているつもりは全くありませんので。 ● 先ほど言ったことの繰り返しになるのですが,根抵当との整合性というのをどの程度気にされるのか,つまり表現も含めて,あるいは含むべきルールにつきましても。死亡の場合についてはかなりの方が入れるべきだとおっしゃっていて,根抵当にも入っているのだからと。他方,債務者である会社の合併とか分割というのが根抵当にあるのですが,それについては特に,そもそもニーズがなくて,そんな合併とか分割するような会社は対象になっていないのか,中小企業であれば合併とかいうのはあり得そうな気もするのですけれども,根抵当にはあるのになぜ今回入れないのかについて,何か説明のところで触れられた方がいいのではないかなと思うのですが。根抵当は気にしない立法なんだという割り切りで押し切るのか,そのあたりですが。 ● 本来ならちゃんと検討したものをお配りしてやるべきところで,非常にサボっていることをおわびしなければいけないのですけれども,もちろん民法の根抵当の条文について逐一こういう規律が必要であるかということについては,一応の検討は加えております。先ほど,随伴性の話についてお話ししましたけれども,あれと同じようなレベルで確定事由として強制執行とか死亡で相続については書いてございますけれども,それ以外のものについては今回特段必要がないのではないかという検討の結果でございますので,その点は説明にも加えさせていただきたいと思います。 ● 中間試案の段階で必要なことかどうか,私にはちょっと分かりませんけれども,この改正が形式上民法典の中身の修正というか,補充ということになるのか,それとも身元保証みたいな貸金に限ったものにするのかというので,やはりおのずから社会におけるインパクトとか,幾つかの差が出てくると思うのですが,そこのスタンスはどういうふうにプレゼンされようと思っているのか,確認させていただきたいのですが。 ● ちょっと現時点では正直言って,民法の一般ルールの範囲におさまるのかどうかということまでが,これはやはり立法ということですので,事務当局,民事局だけで判断するわけにはいかないという事柄でもございますので,今どちらの方向を向いて準備を進めているかということについての説明は,ちょっと御容赦願えればと思います。   ただ,両方選択肢としてあるのだと,民法の中に織り込む,それから別途特別法で何か手当てするのか,両方考えられるのだということと,それからこれもちょっと結論までは言いにくいところですが,要式行為的な内容については,これは恐らく民法の一般ルールであろうという程度のことは,できれば補足的に説明を加えたいと思っております。 ● これは切り方の問題にもかかわるのですけれども,要式だけは民法の一般ルールで,ほかの部分は特別法的要素があると,例えば保証人が個人の場合に限って上限とか通知義務とか,そういうようなものが考えられると。かつ,主たる債務,貸金債務を念頭に置くということになると,どんどん特別法の世界に入っていってしまうわけですが,必ず機関保証の場合には求償を受けるべき個人がどこかでその後に待っているわけですし,それから規定の上では特に「貸金債務」と書かなくても,おのずと貸金債務がメーンになるような書き方もできるわけですね。やはり保証というのは,日常生活でよく出てくるものなので,なるべく民法典で書けるような形で考えていった方がいいのじゃないかという感じが個人的にはしているもので,それだけお願いします。 ● ほかにいかがでしょうか。   それでは,本日の御意見は大体いただけたということで,この中間試案の内容についてはいろいろな御意見,御要望をいただきましたけれども,事務局の方から,特に○○委員,○○委員からいただいている具体的な意見もございますので,その点の扱いについてちょっと……。 ● いろいろと今日御意見をいただけて,特に保証期間の制限の点について,金融機関の側から実質的な不都合があるといった御指摘もございました。これは事務局なりの整理ということになりますけれども,2ページの(2)のところで,「合意による保証期間の定めがない場合」ということですけれども,この本文はこのまま一つの案として生かすことにしまして,一方で代表者,これは代表者,経営者の切り分けについて意見が別途○○委員の方から出されているところではございますけれども,B案の方としては,B案という別案として主たる債務者の代表者が保証人である場合,この場合には保証人は根保証契約の締結のときから3年を経過した後は,元本確定請求権を有するものとするという,この注の案を本文として一応並べて一般からの意見を聞きたいと。   なお,当然のことですが,このB案といいましても代表者以外の者が保証人であるときは,A案どおり,今の本文の案どおり,3年を経過したら保証期間が終了するという扱いにしたらどうかというふうに考えております。後ほど御意見をいただくことにしたいと思います。   それからもう1点は,○○委員から御指摘がありましたけれども,主たる債務者と保証人の死亡について,これは改めてお諮りして特に異論がないということですので,3ページの(注2),これを(1)の③の本文に上げて,確定事由の一つとして御意見を伺うということに今の段階で考えております。   それから,そのほかの「その他」の点については,もう少し書きぶりといいますか,積極意見があったということが分かるようにしたらどうかという御意見がございました。ちょっとこれを注の中で具体的に掲げるという書き方については,どういう形になるかということはお約束できないところがありますけれども,少なくとも補足説明の中ではこういった意見がかなりあったということは分かる形で対応させていただければと思っております。   今言ったような御提案で,中間試案として御了解いただければ,公表した上で一般から意見をお聞きするという手続に入りたいと思っております。   ○○委員から御指摘があった点でございますけれども,この点も補足説明の中で触れさせていただきたいというふうに考えております。 ● ただいまの事務局の御説明のような中間試案の扱いについて,御意見いただければと思います。 ● 全銀協の意見を踏まえていただきまして,御検討いただきまして本当にありがとうございました。1点,確認なんですけれども,先ほどありました注のところで,「法人である主たる債務者の代表者である保証人」という定義ということは,代表者だけに限るということ,それともここはまだ切り分けを含めて議論があるということ。 ● ここももう一度確認はしたいのですけれども,事務局としては少なくともここの案として掲げるものとしては代表者という切り分けで御意見を伺いたいというふうに思っております。ただ,第三者が,経営者に準ずるといいますか,代表者と同じような扱いをするものの範囲については,今回御提案がありました議決権の過半数ということですけれども,そういった意見があったということを補足説明の中で触れさせていただければと思っております。 ● よろしいでしょうか。最終的な意見照会を受けた後に,まだ議論の機会はあって,そちらの方では十分議論の対象にはもちろんなるというふうには考えております。   一応中間試案として意見を聞く段階では,本文の方は代表者という形で事務局の案で聞くということで,代表者概念の問題点については補足説明の中に入れるということが,今の事務局の案でございますけれども。   今のような扱いでよろしいでしょうか。   それでは,ただいまの事務局の方から口頭で修正の御説明をさせていただきましたけれども,そのような内容で中間試案として決定するということにしたいと思います。どうも長時間にわたりましてありがとうございました。   これからこの中間試案につきましては,本日の会議の冒頭で事務局から説明がありましたように,事務局において公表し,関係各界への意見照会とパブリックコメントの募集の手続をとることにしまして,またその意見照会等に当たりましては,事務局において既にお話ししているように補足説明を作成して公表するということを考えております。この点について,御質問あるいは御意見など何かございましたら伺っておきたいと思います。 ● パブリックコメントのスケジュールは,どういう予定ですか。 ● 一応,6月中ということをパブリックコメント期間として考えております。何分予定が押し迫っているものですから,何とか補足説明を含めて来月早々に公表して,意見を伺えるような形で各団体への照会も行いたいというふうに思っております。 ● 次回21日に予定されていますが,それはテーマはどういうことになっているのでしょうか。 ● 少し技術的なことといいますか,今回意見照会した点というのは非常に骨格の部分だけですので,その点について御意見を聞きたいところが残っているというふうな認識ですので,改めてその点を含めて審議していただければというふうに予定しております。 ● 従来でしたら意見照会の間はストップしておいて,意見照会が終わってからそれを踏まえて議論ということなんですけれども,今回はタイトなスケジュールになっていて,一番最初に御説明もしているところでございますけれども,今事務局からありましたようなスケジュールでやりたいということでございます。   それでは,この中間試案を公表して意見照会の手続をするということにしまして,その意見照会に当たっては事務局において補足説明を作成して公表するということを決定したいと思いますが,よろしいでしょうか。--それでは,そのようにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。   それでは,今後の日程について,事務局から御説明をお願いいたします。 ● 次回の日程でございますけれども,6月21日の月曜日,午後1時半から4時半までです。場所は,前回まで利用しておりました法務省20階の第1会議室ということになっておりますので,よろしくお願いいたします。 ● それでは,法制審議会の保証制度部会をこれで閉会にしたいと思います。本日は御熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。 -了-