法制審議会保証制度部会第4回会議 議事録 第1 日 時  平成16年6月21日(月)  自 午後1時30分                        至 午後3時11分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  保証制度の見直しについて(2) 第4 議 事  (次のとおり)               議         事 ● 定刻が参りましたので,まだ委員の方で若干お見えでない方がございますけれども,法制審議会保証制度部会の第4回会議を開会したいと思います。   本日は御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   前回の部会では,中間試案の取りまとめをしましたけれども,その後,前回の部会で御了承いただきましたところに従って,中間試案を公表してパブリックコメントの手続が現在進められております。まずこの点につきまして,事務局の○○幹事の方から報告がございます。 ● 前回の部会以降,事務局におきまして中間試案の補足説明を作成いたしまして,部会で御決定をいただきました中間試案とともに,6月1日から法務省のホームページ上で公表し,パブリックコメントの募集手続を開始いたしました。また,これと併せまして,各種の経済団体,労働団体,それから法律関係の団体,あるいは大学などに対しましても意見照会を行っております。その意見提出期限は,いずれも6月30日とさせていただいております。   中間試案に対して寄せられた意見の内容につきましては,次回の部会において事務局から報告させていただくことを予定しております。   なお,次回の部会の開催日ですが,寄せられました意見の集計作業に若干時間を要することが見込まれますことから,当初予定しておりました7月5日を13日に変更させていただきたいと存じます。7月13日火曜日の午後1時30分から午後4時30分までという予定でございますので,よろしくお願いいたします。 ● ただいまの事務局からの説明につきまして,何か御質問等ございますでしょうか。--よろしいでしょうか。   それでは,次に,本日席上配布資料といたしまして,「保証制度の見直しに関する要綱中間試案に対する意見」と題する書面が配布されておりますが,これについて事務局から御説明をお願いいたします。 ● この書面は,先ほど御説明いたしましたパブリックコメントの募集手続におきまして,○○大学法科大学院客員教授で弁護士の○○教授から,電子メールにて提出されました意見でございます。○○教授は,現在,法制審議会の国際私法の現代化関係の部会の委員を務められておりまして,法制審議会の他の部会に所属する委員からの意見ということで特に御紹介させていただくことといたしました。   この意見の趣旨といたしましては,書面の最後の方に書かれておりますように,今回の立法措置の国際的適用範囲について明文で定めるか,それが困難であれば,審議会において議論して,起草者の意図を明確にすることを要望しておられるという内容でございます。   この御意見につきましては,今後中間試案に対して寄せられる他の意見とともに,次回以降の部会で御議論をお願いしたいと考えております。 ● ただいまの事務局の説明がありました○○教授からの御意見の取扱いにつきまして,何か御質問とか御意見ございますでしょうか。   特にないということでしたら,事務局からの御説明にありましたように,次回以降の部会での議論の中に含めて検討するということにしたいと思います。   それでは,本日の議事に入らせていただきます。   本日は,事務局から部会資料4が事前配布されておりますので,これに基づいて議論をいただくということにしたいと思います。まず事務局の○○幹事から,議事の進め方について御説明をお願いいたします。 ● 部会資料4におきましては,「個人の保証人が求償権保証する場合の取扱い」と,それから「経過措置」という二つの問題を取り上げております。   この二つは全く違う切り口の問題というふうに言えると思いますので,まず個人の求償権保証に関する1の部分について資料の説明をして,御意見を伺いました後,経過措置に関する2の部分について資料の説明をするという,こういう段取りで進めさせていただきたいと存じます。 ● それでは,ただいまの事務局の提案に沿って議事を進めてまいりますが,まず部会資料4の1の部分について,事務局から資料の説明をお願いいたします。 ● 部会資料4の「1 個人の保証人が求償権保証する場合の取扱い」につきまして御説明いたします。   ここで取り上げております問題は,典型例としては金融機関の融資につき,信用保証協会等の保証を業とする法人が根保証し,その主債務者に対する求償権について,主債務者の代表者などの個人が保証するというものでございます。法律関係がやや複雑になりますが,部会資料におきまして「貸金等根保証契約」と「求償権保証契約」という二つの用語を定義しておりますので,この用語を使って話を進めてまいりたいと存じます。   まず,このテーマに関する問題の所在を確認しておきたいと思います。   中間試案の提案するところによりますと,このような個人の求償権保証がされている場合に,まず貸金等根保証契約につきましては,その保証人が法人であるために,限度額の定めその他の今回の規制の対象とはなりません。その理由は,根保証における保証人が個人である場合には,人的無限責任を負うことに伴う保証人の経済生活の破たんという問題を考慮する必要があるのに対しまして,保証人が法人である場合には,そのような考慮が不要である上に,保証人において経済合理性にかなった判断をすることが一般に期待できると考えられますので,なお契約自由の原則にゆだねておくべきであるというものでございます。このような理由から,根保証における保証人が法人である場合には,今回の規制の対象とはならないということになります。   他方で,求償権保証契約につきましては,一般に将来発生する求償権という特定の債権の担保を目的とするものであって,根保証ではないと考えられますことから,こちらの方も今回の規制の対象にはならないものと考えられます。もっとも,この点については,そもそも根保証をどのように定義するのかという問題がございます。債権額が定まっていないものを差し当たり根保証と呼ぶという考え方も全くあり得ないわけではないように思われますが,一般的には不特定の債務を主たる債務とする保証のことを根保証と呼んでいると思います。また,中間試案で提案されている保証期間の制限というのは,一定の期間の経過等によりまして,それまでは不特定であった主たる債務の元本が確定するという意味でございますから,ここでも不特定の債務を主たる債務とする保証のことを根保証と呼ぶという考え方が前提になているわけでございます。そういう意味におきまして,求償権保証契約は根保証ではないということになると考えております。   そういたしますと,求償権保証をしている個人は,現行法のもとで根保証の保証人となった場合と同様に,保証すべき金額と期間につき予測が困難な状況に置かれているにもかかわらず,今回検討されている保証人保護の方策の対象外に置かれてしまうことになるという問題が生じるわけでございます。   このような観点から,中間試案におきましても第2の2における「2関係後注」におきまして,この点に関し,何らかの措置を講ずる方向でなお検討することとされておりました。そこで,今回,その具体的な措置の内容につい御審議を賜りたいと考えた次第でございます。   部会資料では,この具体的な措置につきまして甲案と乙案という二つの考え方を提示しておりますので,本日はこれらの考え方をたたき台として御議論を賜りたいと存じます。   まず甲案について御説明いたします。   甲案の基本的な考え方は,部会資料1ページの中ほど,〈甲案〉の最初のパラグラフに記載いたしましたように,貸金等根保証契約の保証人が法人である場合であっても,個人に対し求償権保証を求めるときには,その限りにおいて法人には適用しないという原則を修正いたしまして,今回の規制を及ぼしていくというものでございます。   部会資料1ページの(注1)に記載いたしましたように,貸金等根保証契約の保証人が個人である場合には,今回検討されている保証人保護の方策が貸金等根保証契約に対して適用されますので,貸金等根保証契約の保証人は,保証すべき金額と期間が限定された範囲での責任を負うことになります。この場合には,求償権保証をした個人は,貸金等根保証契約における保証の範囲が限定されていることを前提として求償権保証をすることになりますから,間接的とはいえ,保護されることになるわけでございます。   なお,保証期間の定めのある貸金等根保証契約については,それが更新されるという可能性がございますけれども,更新後の貸金等根保証については,当然には求償権保証の対象とはならないものと解されますので,この場合でも求償権保証をした個人の保護に欠けることにはならないと思われます。   甲案は,このように貸金等根保証契約に対しまして今回の規制を及ぼしていけば,求償権保証をした個人も保護される結果となることに着目いたしまして,貸金等根保証契約の保証人が法人である場合であっても,その法人に対して求償権保証をする個人がいる場合には,いわば法人の背後にいる個人を保護するという観点から,法人には適用しないという原則を修正するという考え方に基づくものでございます。   このような基本的な考え方に基づく具体的な規律としてお示ししておりますのは,部会資料の甲案の第2パラグラフに記載したものでございます。   ところで,個人に対し求償権保証を求める場合に限って,法人の貸金等根保証にも規制を及ぼすと申しましても,貸金等根保証の債権者の立場から見てみますと,資料2ページの(注2)に記載いたしましたように,貸金等根保証の保証人が個人に対して求償権保証を求めるかどうかは当然には分からないという問題がございます。もちろん社会的な実情としては,求償権保証契約が締結されることを当然の前提として貸金等根保証契約が締結されることが多いと思われますけれども,その場合であっても,貸金等根保証契約の債権者は,求償権保証契約の当事者ではございませんし,また貸金等根保証契約が締結された後に相当の期間が経過してから求償権保証契約が締結されるという可能性もあるからでございます。そういたしますと,個人に対し求償権保証を求める場合における法人の貸金等根保証について,単純に規制を及ぼして,例えば限度額の定めのない貸金等根保証を無効とするということは,貸金等根保証の債権者に対して予測不可能な不利益を課することとなるおそれがありまして,適当ではないと考えられます。   そこで,甲案に基づく具体的な規律といたしましては,貸金等根保証契約の内容が今回の規制の趣旨に沿うものでない場合には,個人に対し,求償権保証を求めることができないものとする,換言いたしますと,個人に対し求償権保証を求めようとする法人は,あらかじめ貸金等根保証契約の内容を今回の規制の趣旨に沿うように定めておかなければならないものとするのが相当であろうと考えた次第でございます。   なお,部会資料の1ページに記載いたしました具体的規律のうち,①の保証の限度額につきましては,中間試案で提案しているのと同様に,主たる債務の元本のほか,利息や損害金をも含むものとして定めなければならないものとすることを想定しております。   他方で,保証期間の制限に関する②につきましては,中間試案で提示されている考え方とは異なり,貸金等根保証契約において必ず保証期間の定めをしなければならないものとしております。このようにした理由は,資料2ページの(注2)の後半部分に記載いたしましたように,貸金等根保証契約の債権者にとっての予測可能性を確保するためには,合意により保証期間を定めることを求めざるを得ないという考慮に基づくものでございます。以上が甲案についての説明でございます。   次に,乙案について御説明いたします。   乙案の基本的な考え方は,部会資料における乙案の最初のパラグラフに記載いたしましたように,甲案のような間接的な保護ではなく,根保証ではない求償権保証契約に対して独自の直接的な規制を設けることによりまして求償権保証をした個人の保護を図ろうというものでございます。   このような考え方に立つ場合に,まず保証の限度額の定めの点につきましては,求償権保証におきましても金額的な上限が定まっていないという問題がありますことから,根保証に対する規制と同様に,限度額を定めなければならないものとすることは,保証人保護の観点からすると極めて素直な発想であると思われます。   また,甲案におきましては貸金等根保証契約における保証の限度額しか定められておりませんことから,求償権元本について発生する遅延損害金については金額的な上限が定められていないことになるという問題があるのに対しまして,乙案におきましては,求償権保証についての限度額を定めることになりますから,求償権元本について発生する遅延損害金をも含めて金額的な上限が定められることになるという点で,保証人の保護に厚いという指摘をすることもできるように思われます。   乙案において問題となりますのは,部会資料3ページの(注2)に記載いたしましたように,根保証ではない求償権保証契約に対する直接的な規制を設けようとする場合に,保証期間の制限の点をどのようにするかという点でございます。つまり,求償権保証契約そのものについて,保証期間に類するものを観念しようといたしますと,例えば求償権保証をした個人は,求償権保証契約の締結後3年以内に具体的な求償権が発生した場合に限り保証債務を負うというような,求償権保証の実体にそぐわないものとなってしまいます。そこで,あくまで根保証である貸金等根保証契約との関係で保証期間,つまり元本が確定する時期というものを観念した上で,求償権保証をした個人は,その限度で保証債務を負うという構成をとらざるを得ないことから,いささか分かりにくい複雑な規律とならざるを得ないという問題があるわけでございます。   その具体案の1例としてお示ししたものが,資料3ページの(注2)に記載いたしましたように,貸金等根保証契約に対して保証期間の制限が適用されるとした場合において,当該法人が保証債務を負うこととなる額の部分に限り,求償権保証契約における個人の保証人は,保証債務を負うものとするという案でございます。   もう少し具体的に申し上げますと,例えば貸金等根保証契約において保証期間の定めがない場合には,貸金等根保証の保証人である法人は,特段の規制を受けないわけですから,その約定どおりの保証債務を負います。そして,代位弁済をした後は,主たる債務者との関係ではその全額について当然に求償権を有することとなりますけれども,求償権保証をした個人との関係では,中間試案のA案によれば,貸金等根保証契約の締結時から3年で元本が確定するわけですから,そのように仮定した場合にも代位弁済すべきであった額,及びこれに対する遅延損害金の限度で保証債務の追及をすることができるにとどまるということになるわけでございます。   また,中間試案のB案による場合には更に複雑になりますが,貸金等根保証契約の主たる債務者の代表者が求償権保証をしている場合には,その代表者は,貸金等根保証契約の締結時から3年が経過した後は,自己の求償権保証との関係においてのみ貸金等根保証契約の元本を確定させる効果を持つ特別の意思表示を,貸金等根保証における法人の保証人に対してすることができるということになるのではないかと考えております。   乙案は,求償権保証について独自に,個人の保証人を保護する方策を講じようとする考え方でございますから,もちろん理論上は様々な制度設計が可能であろうと思いますけれども,その反面,求償権保証に特有の独自の規律を設けざるを得なくなりますので,特に保証期間の制限との関係で分かりにくいものとなるという難点があるように思われるところでございます。   もっとも乙案は,限度額の定めの点では,先ほど申しましたように求償権についての遅延損害金をも含めた上限が定められることになるという意味で,保証人保護の観点からはメリットがございますので,乙案に立ちつつ,求償権保証契約においては限度額を定めなければならないという点に限って規制を設けるという考え方も,選択肢の一つとなり得るのではないかという気もしております。   以上が乙案についての説明でございます。   ところで,現在の実務がどうなっているかという点について,私どもが聞いております範囲で御報告させていただきますと,信用保証協会におきましては,貸金等根保証契約において保証の限度額と保証期間を定めているようでございまして,そういう意味では甲案についてはそれほど実務的な影響は大きくないけれども,ただその保証の限度額は,いわゆる元本極度額,つまり主債務の元本についての限度額を定めているので,利息・損害金を含めて限度額を定めるということになれば,現在の実務を変更する必要があるということでございました。もちろん,乙案については,現在の実務では全く想定されていない考え方でございますので,実務的な影響が大きいということのようでございます。   以上を前提といたしまして,甲案・乙案のいずれのアプローチによるのがよいのか,あるいはこれ以外にどのような考え方があるのかについては,御意見を賜りたいし存じます。   説明は以上でございます。 ● それでは,部会資料4の1の部分につきまして御議論をお願いしたいと思います。やや複雑な問題ですけれども,いろいろ御意見いただければと思います。 ● 信用保証協会の実務について,正確な知識がないものですから,ちょっとお伺いしたいのですが。   私どもが実務で倒産処理なんかをやっていて感じていたところによれば,保証協会の保証というのは基本的には個別の融資ごとに保証するものであって,よく倒産会社の場合にも,これは銀行プロパーの債務が幾ら,そのうちのこの部分については保証協会つきというふうな形で表なんかもつくっていますけれども,ですから保証協会が根保証的に信用保証するということが実際にあるのかどうか,私はそういうものが実際あるのかどうかも知らなかったのですが,そこらの実態が分かれば教えていただきたいなと思いますが。 ● これも保証協会の方に事前にお話を伺ったのですが,○○委員が御指摘されたように,基本的に根保証的な信用保証というのは,例としては非常に割合的には少ないと,ただ地域性もあって,そういったものがかなりのウエートを占めている場合もあるというお話でございました。   それからもう1点ですけれども,通常の,ここで今まで議論していた根保証的な形態もあるにはあると,ただ全体的なウエートは少ないという問題がありますのと,性質上は根保証なんですが,ちょっと例えば信用保証のとり方でも用語としては当座貸越しというような形で,実際には手形の差入れをして,それが個々に金銭の貸付けになったりするケースだと思いますけれども,これはこの場で議論しているやはり根保証の分類になるのだろうというお話になろうかと思います。   今御指摘があったように,確かに根保証というのは,保証している側については正に今ここで個人が保証人になった場面で議論されているように,非常に保証人としてリスクが大きな契約形態であるということから,保証協会としてもそれほど一般的な契約類型である,と言うとちょっと語弊がありますけれども,いずれにしても大多数は委員が御指摘になられたように個別保証であると。ただ例としては,相当数あると。それから,先ほど申し上げたように地域的にはかなり使われている地域もあるということだったので,無視できるような話ではないだろうという,こういう話でお聞きしてまいりました。 ● 中小企業者の側から申し上げますと,ただいま幹事の御指摘のように,中小企業者の側も極度借りといいましょうか,特に手形貸付け,あるいは割引,更には最近では売掛債権担保の融資の保証制度等,非常に持続的かつ反復して利用したいというようなニーズが高まっておりますので,そういう意味では従来のイメージのような個別の貸出しごとに保証されるということもさることながら,いわゆる極度型の保証といいましょうか,極度の貸付けに関する根保証,これは大変よく見られるというふうに言ってよろしかろうと思います。したがって,この御議論は極めて現実的に的を射ておるというふうに認識をしております。 ● ほかに,御質問あるいは御意見いかがでしょうか。 ● 個人と法人について,保証人どちらがなるかということについて分けるということで,今回の規制のやり方は,まず最初の保証人ですか,主たる債務そのものを保証する人が法人という切り込み方で,その後に求償権の保証について個人が出てくるというすみ分けをしているのですが,ちょっとよく分からないのですが,この規制が甲案・乙案どちらがいいのかという話なんですけれども,もし最初の保証人について個人をとりあえず立てて脱法したいというふうな人が出てくるというふうなことが考えられるとしたら,甲案・乙案どちらの方が規制が及ぼしやすいのかなということがちょっと気になったのですが,その点はどういうふうにお考えなんでしょうか。 ● 個人なら法律の規制がかかってくると。 ● そこでかかる。 ● そこを信用保証協会でかからないから……。 ● そこでかかって,その後はもう求償権の保証人になるような第2の個人は考えなくてもいいはずだという,そういう前提ですか。 ● いいえ,そうじゃなくて,かからないから,そうするとむしろ○○委員が言ったようにむしろ信用保証協会をかませれば今までと同じ責任を個人の保証人に負わせられると,だからそこを押さえようというのが……。 ● メーンは分かるのですけれども,個人だって求償権についてまた保証人を立ててもらうという場合があり得ると思うのですね。その場合には……。 ● その場合は,頭の方の保証が制約されているから……。 ● そこで十分だと。 ● そこから出てくる求償権だから,求償権の金利とかそういう問題は抜きにして考えれば,おのずからどこかで枠がはまっていくと。さっきのあれでいえば,極度額的なあれにはなるかもしれませんけれども。 ● その場合には,甲案・乙案のどちらも規制が及ばないというデザイン設計ですよね。そうではないのですか。   済みません,その辺がちょっと何か頭が混乱して分からないので教えていただければと思います。 ● 最初の問題の所在として,最初の貸金等根保証が法人である場合に特に問題が顕在化するということを指摘しましたけれども,具体的な制度として考えております甲案・乙案,甲案というのは貸金等根保証が法人である場合に限った問題でございますが,乙案の方は求償権保証が個人である場合に,そこに対して直接規制を及ぼそうと,保護していこうという考え方でございますので,もとの貸金等根保証が個人である場合も一応守備範囲としては含んで考えております。   ただ,個人に対して規制がかかっている場合には,もう後ろの求償権保証について考えなくてもよいという余地はあり得るので,その点を乙案の(注1)というところに,両方考え方があり得るということを注記しておりますけれども,一応対象とはなり得るということを前提としています。 ● 今の議論との絡みですけれども,甲案と乙案の最大の違いは,恐らく元本極度額ですか,すべての金利と遅延利息等も含めて求償権保証の最大限度額はここまでですよという設定が可能かそうでないかというところになるのじゃないかと思います。そうなると,間に入る保証人がどういう行動をとるかによって,求償権の額に相当開きが出てくる可能性がある。すなわち,悪質な貸金業者なんかだと,間にわら人形的保証人をかませて,早い段階で債務不履行にした上で,代弁をして,高利の求償権の高利の遅延利息をどんどんためていって,事実上金利を稼ぐというようなのも見られなくはないという状況から考えると,個人保証人の保護という点からは最大ここまでですよという金額を設定することのニーズは,かなり高いのじゃないかという気がします。 ● 極度額で遅延損害金なんか含まないということだったら,やはりこのぐらいの金額まで膨らみますよという説明はさせる必要が出てくるということなんでしょうね。権利義務として規定はできないでしょうけれども,行為規範として。   ほかに,御意見いかがでしょうか。 ● 今の○○委員の関連ですけれども,確かに保証人がどういう行動によるかということからすると,やはりそこを見せるとより直接的な乙案的な制約の方がいいという発想になると思いますし,ただ一方で,純粋な第三者的な保証人ということからすると,そこではやはりとにかく保証人としては代位弁済して,その分は自分の持ち出しで,といいますか,それで払っているということがありますので,そことの関係からすると,その分はきちんと求償すべき,保護すべき利益がある,あるいはそれに伴う適正な範囲の損害金の範囲であれば,保護すべき要請があるのじゃないかという問題も他方でありまして,ここら辺がちょっと,乙案の方が直接的で分かりやすい,あるいは保護に手厚いということは説明で申し上げたとおりなんですが,そのあたりがいろいろと悩ましいところかなというふうに考えているところでございます。 ● いかがでしょうか。 ● 中小企業金融の場合において,特に保証協会という存在は大変信用補完機関の大宗を占めるという意味で重視しなければなりません。この保証協会の保証の在り方なんですが,先ほどから御案内のとおりでございますが,一般には保証協会さんが保証されるときには,まずは銀行の当該債務者に対する貸出金に経営者の保証なりその他望まれる保証人を立ててねという形でまず条件を示し,その条件を自らの保証書に付記すると。その条件が調わない限りは,場合によっては免責を主張されるというふうなこともあるわけでございますが,一方で自らの求償権に関しても,経営者などおよそ貸金に保証人になられた方とほぼ同じ方,ほぼというか,まず同じ方を徴しますので,そういう意味では保証人にとっては確かにいわゆる元本極度か否かというような点で違いがあるにせよ,基本的には保証債務の負担というものは十分に認識をするというふうなケースが多うございます。   ただ一方で,一部の保証協会さんでは,もはや銀行の貸出金に関しては保証協会の保証のみにとどめて,同じように保証人を立てるということを求めずに,一方で自らの求償権のみに保証人を,例えば経営者とか立てさせるとかいうふうなケースもあるやに聞いておりますが,そういうふうな場合こそ,むしろ包括根保証状態にあった場合には,よしんばでございますけれどもその個人保証人はらち外に置かれて,そもそもどのような保証債務を負うのかというのがはっきり分からないというようなことになりかねないわけでございますが,実を言いますと,およそ保証協会さんが包括根保証するということは考えられない時代でございます。法人が包括根保証するといっても,信用補完機関で,しかも公的金融の責務を帯びている保証協会さんは,およそ包括はしない。これまでだって極度保証をするということが一般的でございますから,そういう意味では予見可能性はよほど求償権保証だけとっていてもあるのだろうと思うのですが,問題は,やはり保証協会さんもさることながら,ただいまの○○委員の御指摘にもございましたけれども,一部のファイナンスカンパニーさん等が間に入って,自分が保証しますという,正に保証をなりわいとする会社が間に入って,そのなりわいとする会社さんが個人保証人を多数とっているというふうな場合に,相当の包括根保証という形で意図的に行って,後々代位弁済を自ら行って,債権者として追及するということがあったら,本当にもとのもくあみだといいますか,何にもならないということになりますので,その点を是非御留意いただきたいということでございます。   そういうことも含めまして申し上げますと,やはりシンプルに中小企業者の側から考えますと,法人がなりわいとして保証をされる場合に,そのなりわいとして保証される部分については正に個人保証人を後々求償権の保証人としてとらえる場合には,貸金等根保証契約において限度額の定め,あるいは期間の定め等を行うというA案,これは大変シンプルで明快でございます。一言申し上げます。 ● 御意見,いかがでしょうか。 ● 確認のための質問なんですけれども。   保証人の保護という点からいうと,乙案の方がより保護が徹底しているということはよく分かったのですけれども,乙案を採用するときの問題点としては,乙案というのは個人保証人が保証する主たる債務の側が継続的な契約から発生するということを全く要件としないということになるので,もともとのこの法律の根本思想と抵触すると。つまり,乙案を採用するなら一般的に個人保証人を保護する立法をなぜしないのかという問題が出てきてしまうということと理解してよろしいのでしょうか。 ● 今の点は,正に問題点として考えておるところでございまして,額が確定しない将来債権を対象とする保証というのは,こういった根保証に対する求償に限らずあると。そういう場合に,根っこといいますか,求償権の発生原因が根保証であるという場合だけを,例えばあらかじめ限度額を定めなければいけないという規制の対象とする場合の説明というのが,なかなか難しいということはあるのだろうと思います。   今,○○委員がおっしゃったように,そういうことであれば額が確定していないものについては,保証契約をする場合には全部限度額を決めなさいというやり方も,方向性としてはもちろん議論されることになるのかもしれませんけれども,ただこういった形態の保証というのは,これまた実際どういった形態があるのかということ全部を把握し切れないこともありますので,なかなか一般的にそこまで広げて議論するということは難しいところもあるのだろうと思っております。   ですから,今言った点は,正にほかの,こういった今回ここに書いたものだけを対象に規律を及ぼすということをどういうふうにうまく説明するのかということについても,こちらで考えなければいけないところもあるのでしょうが,問題点としてクリアしなければいけないことだろうというふうに思っております。   ちょっと続けますと,説明としてはなかなか苦しいところがあるということは十分認識しているのですけれども,やはり根っこといいますか,求償権の発生原因であるもとになる根保証契約の方が,要は契約類型として類型的に額が膨らみやすいと。非常に抽象的な説明になってしまいますけれども。そういう類型的なものについては,まずは限度額を定めるという要請,これが求償権について保証している個人の保護という観点からすると,まず特出ししてそこを保護の対象として考えるべきなのじゃないかということが一応の説明としては考えられると思っておりますけれども,これは今の御指摘のとおり,それだけで説明が十分なのかという議論は当然あるのだろうというふうに思っております。 ● ほかにいかがでしょうか。   特に今日の段階でよろしいでしょうか。   それでは,4の1については一応本日のところは以上にしておきまして,部会資料の次の2の「経過措置」というところに行きまして,また後ほど前の方について御意見があれば伺うということにしたいと思います。   それでは,資料4の2につきまして事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。 ● 部会資料4の「2 経過措置」につきまして御説明いたします。   今回の保証制度の見直しに関しましては,経過措置がどうなるのかという質問が,部会の内外から私どものところに多数寄せられておりまして,非常に関心の高いテーマになっているものと認識しているところでございます。そこで,最終的な要綱案において経過措置を明記するかどうかはともかくといたしましても,この点を部会における議題として取り上げまして,御議論していただく機会を持ちたいと考えた次第でございます。もっとも,附則で定めるべき経過措置以前の問題として,そもそも本則としてどのような規制を設けることとするのかが,現在パブリックコメントの手続に付されているところでございますけれども,本日のところは中間試案において本文に掲げられている措置の範囲内におきまして御議論賜りたいと存じます。   この経過措置に関する考え方といたしましては,実体法の分野では,既存の契約関係に影響を与えるべきでないという考え方が一方にあるわけでございます。しかしながら,今回検討されております措置は,一つには既にある判例法理を明文化しようとするのであるという面がございますし,また保証人保護という政策的な観点から,強行法規として規制を設けるものであるという面がございますことから,契約当事者に不当な不利益を与えることがないように留意しつつ,既存契約にも規制を及ぼしていくべきであるという考え方もあり得るように思われるところでございます。   部会資料の3ページ以下におきましては,今申し上げた後者の考え方,つまり可能な範囲で既存契約にも規制を及ぼしていくものとした場合に,具体的に考えられる案の一例をお示ししております。   まず,「(1) 要式行為」と「(2) 保証の限度額の定め」の点でございますが,これらの点につきましては,既存契約にも適用して契約無効とすることは不当であると考えられますことから,既存契約には適用しないという考え方をお示ししております。もっとも,保証の限度額を定めていない既存契約を,そのまま放置することといたしますと,今回の立法の意義が大きく損なわれてしまいますことから,(2)に記載いたしましたように,保証期間の制限に関する経過措置を設けることにより,既存の根保証契約について,一定の時期に元本を確定させることによりまして,限度額の定めのある新契約の締結へと誘導することを提案させていただいた次第でございます。   そこで問題となりますのは,(3)の保証期間の制限に関する経過措置でございます。この保証期間の制限につきましては,本則においては根保証契約の締結時を起算点とする考え方が示されているところでございますが,例えば契約締結時から10年という保証期間が定められている既存契約に対しまして,契約締結時から5年を超えてはならないという本則の規制をそのまま適用することといたしますと,新法の施行時には既に2年前に元本が確定していたことになるとか,あるいは新法の施行の数日後に元本が確定するというような事態が生じ得るという問題がございます。そこで経過措置といたしましては,基本的に,新法の施行の日を起算点とするという所要の修正を加えました上で,既存契約にも適用するという案をお示ししているところでございます。これが部会資料3ページの(3)における①と③でございます。   また,②は,保証期間の定めのある根保証契約について,その更新を無制限に許すことといたしますと,いつまでも限度額の定めがない状態が続いてしまうことになりますので,これを防止する観点から,限度額の定めのない根保証契約の更新を認めないという規律をつけ加えることを提案するものでございます。   なお,③につきましては,中間試案におきましてA案とB案とを併記しております関係で,本文の記載がやや分かりにくいものとなっておりますので,(注1)におきまして具体的な経過措置の内容を説明させていただいております。   これを前提といたしまして,③につきまして特に御議論賜りたい点が2点ございます。   その一つは,(注2)に記載した点でございます。これは,主にA案を採用した場合を念頭に置いた場合の問題でございます。   中間試案によりますと,新法施行後の新規契約につきましては,その保証期間を定めなければその期間は3年になり,それ以上の保証期間が必要であれば,合意に基づき5年を超えない範囲で保証期間を定める必要があるということになるわけでございます。   これに対しまして,既存契約におきましては,保証期間を定めない場合には,判例法理による任意解約権はございますものの,基本的には保証期間を定めている場合よりも相当長期にわたり保証関係が継続していくことが想定されていると考えられます。そういたしますと,既存契約においてあえて保証期間を定めていたものについては新法施行後5年の契約の継続を認めつつ,保証期間を定めていなかったものについて3年の継続しか認めないというのはいかにもアンバランスではないかという疑問が生じるわけでございます。(注2)は,この点を修正する必要があるのではないかという問題を提起をしたものでございます。   もう一つは,部会資料には記載しておりませんが,B案を採用した場合に生ずる問題でございます。B案を採用した場合に関しましては,部会資料の③でお示ししております経過措置は,(注1)において具体的に記載しておりますけれども,新法の施行日から3年が経過した後は保証人に元本確定請求権を付与するというものでございます。そういたしますと,限度額の定めのない既存契約において,保証人が主債務者の代表者である場合には,保証人から元本確定請求をしない限り,限度額の定めのない状態が将来にわたって継続する結果となるおそれがあるわけでございます。このような結論は,保証の限度額の定めに関しまして中間試案にも注として記載されましたように,代表者保証の場合には限度額を定めなくてもよいという考え方をとる場合には,特に問題がないわけでございますが,仮に保証期間の制限に関してはB案をとるけれども,限度額の定めに関しては代表者保証であるか否かを区別すべきでないという考え方に立つ場合には,新法下では許容されないこととなる限度額のない根保証契約が新法施行後も,場合によっては極めて長期間にわたって効力が維持される結果となり,いささか問題があるような気がいたします。   このような経過措置をお示しいたしましたのは,B案の基本的な考え方が代表者保証の場合には元本を確定させるかどうかは保証人の自立的判断にゆだねておけばよいというものであることを差し当たり重視したからでございますが,仮に代表者保証の場合であっても,限度額の定めを義務づけるべきであるという考え方に立つ場合には,限度額の定めのある新契約に誘導するという政策目的を達成するために,経過措置としては新法施行後の一定の時期をもって,それまでに元本確定請求権が行使されていない場合であっても,既存契約の元本を確定させるべきであるという考え方も十分あり得るのではないかという気がいたします。   以上,③に関しまして2点ほど問題提起をさせていただきました。よろしく御議論賜りたいと存じます。   最後に,(4)の元本確定事由に関する経過措置でございますが,この点につきましては新法の施行後に強制執行の申立て,破産手続開始の決定,主債務者や保証人の死亡といった事由が生じた場合には,既存契約の元本が確定するものといたしましても,特段当事者に不当な不利益を与えることにはならないであろうと考えまして,既存契約にも適用するという案をお示ししたところでございます。   説明は以上でございます。 ● それでは,ただいまの説明がございました経過措置の部分について御議論をお願いしたいと思います。 ● 経過措置につきましては,ここに書かれているのが極めて合理性があるものと思っております。基本的に議論を要すると言われた点の2番目につきましては,私基本的にはA案に賛成したいと考えておりますので,この点についてもこの経過措置で十分足りるものだと思います。   強いて言えば,もう一つの(3)の(注2)につきまして,5年にするのか3年にするのか,こういう新しい立法ですので,余裕を与える意味で5年という選択肢もないわけではないでしょうという程度のことしかちょっと思いつきませんが,それは余り大きなものではないように思います。経過措置としては,これは適切なものだと考えております。 ● いかがでしょうか,実務のあれはどうなんでしょうか。 ● 実務界では,まだ最終的に議論が煮詰まっているわけではないのですけれども,この経過措置という問題につきましては,やはり我々非常に関心があるところでございまして,今5年は適切とおっしゃっていただいて有り難い意見だったかなと思うところと,一つだけ申し上げておきたいのは,B案になったからといって,保証限度の定めが必要だということになれば,我々もそこは真摯に対応させていただく,そもそも立法の意義というものを損なわないようにということは,全銀協の中でもきちんと議論させていただいた上でさせていただきたいなというふうに思っておりますので,B案だかららだめだとかいうことは念頭に置いていただかなくて結構かというふうに全銀協でも思っておりますので,ひとつよろしくお願いいたします。 ● 今の○○委員のお話で,まだこれからの検討ということかもしれないのですが,実務的な観点から○○委員と,それから○○委員にも伺いたいところなんですけれども,例えば中間試案のB案的な考え方をとる場合の要請というのは,実務的な要請としてやはり何年かに一度,しかも保証人に対して契約の取り直しとか更新みたいなことをやるのが非常に事務的には大変なんだということが一つ意見として強かったのだろうと思うのですけれども,ここで書いてあるような経過措置として,仮に今言ったような発想からしますと,経過措置の部分について,例えば必ず5年たったら今の限度額の定めのない保証についてはもう一度取り直さなければいけないと,限度額を決めた形で必ずやり直してくださいということになると,A案をとる代表者や経営者についても,A案をとる場合の問題点と同じような実務的な負担といいますか,難点があるというような御意見になるのかなという気がするのですけれども,そのあたりはいかがでしょうか。 ● ちょっと,もう一度確認しておきたいのですけれども,A案とB案で,全銀協がB案というふうに申し上げたのは保証人の保護に厚いということを申し上げているつもりでありまして,要はA案ですと3年とか5年に一度元本確定請求の機会を得ると,ただB案につきましては一定期間を経過すると,それ以降は一度も元本確定請求権を有するというところが大きく違うということですから,これが保証人の保護に厚いということで,あくまで全銀協はB案を申し上げているということを御理解いただきたいということです。   それで,実際的には当然保証書の差替えをするわけですから,事務的には大変ということはあろうかと思いますけれども,そもそも論としては保証人に厚いということからB案を申し上げているということだけお含みおきいただいて,実際的には当然ながら差替えをするわけですから相当数の体力はかかろうと思いますけれども,それは整々と従うということしか言いようがないのかなというふうに思っております。 ● 今の御趣旨は,仮に例えばB案のような考えをとったときの経過措置として,先ほど担当者が言ったように限度額のないものが長引いて,ずっといつまでも続くような状態は避けるような経過措置をとっても,それはB案をとった趣旨と別に反するものではないという……。ただ,限度額の定めのないものについては,新法施行後一定期間内に必ず動いてしまう,限度額の定めをしない限り。そういう経過措置をとることも,B案をとった場合にあり得るという,そういうお考えなんですか。 ● もう一度,よろしいですか。 ● 先ほど申し上げたのは,B案をとったときに,限度額の定めがない,しかも代表者が保証している場合で,特段の意思表示がないと限度額の定めのない保証契約が非常に長期間にわたって存続することがあり得るということを担当者は言ったわけです。それに対して,B案をとっても限度額を定めるということの新法の趣旨は十分全銀協として分かっているのだという御発言をされたから,それはあれですかという……。   例えばB案をとったときに,代表者について期間の定めがない場合に確定請求を与えるという基本的な考え方をとっていても,限度額の定めのないものについては,限度額を定めなければ一定期間で終わってしまうという経過措置があり得るという,そういうこと。 ● そうです。そうなれば,当然そういうことは理解してということだと思います。 ● いかがでしょうか,ほかの委員の方々。 ● まず,要綱中間試案における合意による保証期間の定めがない場合のA案かB案かということに関しましては,現時点で商工会議所の確定的な見解を申し上げることはできませんが,一つ趨勢として御紹介すれば,A案の方向で意見書を提出させていただくということになろうかと思いますが,このA案の考え方に基づきまして,今度は保証期間の制限の(注2)のことなど申し上げますと,やはり「3年ではなく,5年とすることも考えられるが,どうか」という最後の行に関しましては,わざわざ5年にされるという御議論については理解ができない。逆に言うと,誠に恐縮でございますが,3年で……。3年でも長いのじゃないかというふうに思うぐらいでございますが,そこは合理的なところでお決めいただければ結構なところだと思います。   それから,加えましてでございますけれども,根保証契約の締結時から3年を新法の施行日から3年というふうに③の案は内容を定めておりますけれども,そうなりますと結果的に3年という極めて合理的に定められたものが,少なくとも経過措置ベースでは3年以上に事実上なってしまうということになりますので,この点,むしろ本当にいかがなものかなというふうに思う次第でございます。   ただし,繰り返しますけれども,合理的な御議論の末に結果として定まったものについては,従うつもりでおります。 ● いかがでしょうか,ほかに御意見。 ● 追加して申し上げます。ただいまA案が趨勢であるというようなことを申し上げましたが,先ほど○○委員の方からはB案の方が保証人の保護に手厚いというふうにおっしゃいましたが,私ども会議所としては,総合的に勘案すればむしろA案の方が保証人の保護に手厚いというふうに考えております。   その理由につきましては,後ほど意見書をもって御案内申し上げます。 ● 結論的なことだけ申し上げますと,日弁連の意見書もA案・B案についてはA案になるというふうに思います。   私の個人的な現時点での意見ですが,この経過措置についてはおまとめいただいた事務局案でいいのではないかと。(注2)については新法の施行日から3年でいいと思います。 ● いかがでしょうか,本日二つ議題を用意しておりまして,最初の方の1についてもまだ御意見ございましたら,おっしゃっていただいてもちろん結構でございます。 ● もういろいろ意見が出ているところですけれども,私も保証期間の③につきましては,3年でいいのじゃないかと。その理由は,保証期間の定めがない場合は長期間の契約を予定していると,それはそのとおりなんでしょうけれども,それを制限しようというのがこの法律の趣旨だから,これを持ち出すのは余りよくないのじゃないかと。   じゃ3年か5年かということですが,施行直後にこれと同じ状態で期間の定めがない契約を結べば3年になるわけですね。そうすると,施行の1日前に期間の定めのない契約をした場合に5年というのは,何かバランスが合わないのじゃないかというふうに考えますと,3年。施行の1日前と施行の1日後を同じようなルールでという意味では,3年でいいのじゃないかなというふうに思います。 ● この(注2)の5年案というのは非常に評判が悪いので,一応釈明しておきますと,もちろん,今,○○委員がおっしゃったように施行前と施行後,法律成立したけれども施行前と施行後でのバランスということを考えると,正にそのとおりなんですけれども,法律がない今の現在の状態と,それから法律が制定された後の状態を考えてみますと,期間を特定して合意で定めた場合に,特段の制限があるかないかという状態というのは,これは根本的に期間の定めがないということを定める場合の意思解釈としても大きな違いがあると,これは言わずもがなでございますけれども。そういうことで,今の特に期間について規制がない法律の状態のもとでの期間の定めがない合意の意味というものを探求してみますと,3年でいいのかなということがやはり多少の心配はあるのじゃないかと。   もちろん,5年だと長すぎるというのは一方であるはずですので,それでどちらがどうということはないのですけれども,やはり期間の定めがないという既存のものについて,一律に3年にするということについては,若干というか,結構心配があったというあたりの思いを御理解いただければという感じがしております。 ● 期間の定めがない契約というのは,どちらかが解約を申し入れない限りは続く,それを予定しているということは多分おっしゃるとおりですが,逆に言えば,どちらかが解約を申し入れれば終了は可能だというのが期間の定めのない契約の大原則ですから,そういう意味ではいわゆる通常解約権と言われているものが,かなり早い段階から行使できるということとセットに,保証期間のない根保証契約というのは意味がある。ただ保証の特質上,今日契約してあした解約申入れなんていうのは,それはやはり本来おかしいだろうということで,一定の期間は,期間の定めのない契約だけれども解約できないぞという,解約権の制限としての通常解約権行使できない期間というのが多分あるのだろうというふうに思います。とすれば,期間の定めがないのだから,ずっと続くのが原則なんだというのは,恐らくちょっと論理としては逆立ちをしているのであって,3年もたてば十分だろうと。通常解約権行使として。もっと短くてもいいかもしれない,期間の定めのない契約の本質である半年でもいいかもしれないですね。 ● 最初に5年でもいいと言ってつらい立場に立っておりますが,これから作るものについては比較的銀行さん等も体制を組んで,これからこういうものでやっていこうということは用意できるかと思うのですが,これまでどれだけの保証契約が世の中に存在しているか,ちょっと数的には分かりかねますので,それを3年の間にみんなクリアできるのかどうかということを若干危ぐしましたので,5年ということでもあり得るのじゃないかと。それはもう実態をよく踏まえた上で考えていくべきことじゃないかなということで,5年でもあり得るかなと申し上げた次第でございますので,これはもう実際の保証がどの程度あって,それを洗い出してみないとちょっと3年しか5年とかいうのは直ちに決めかねるのじゃないかなというイメージで物を申し上げております。 ● 実務界から申し上げると,私も今どれだけあるかというのを承知していないので,何とも言えなくて,ただ5年だと有り難いと申し上げただけなんですけれども,やはり3年・5年という議論は,今○○委員がおっしゃったように,全体どのぐらいあって,実際に実務的に負担なくできていくのかというのは,やはり是非ごしんしゃくを賜ればと。3年と最終的に決まれば,それに応じて体制を組むというのはもちろん申すまでもないところではございますけれども,やはり多分かなりの量があるのということもあって,うまい具合に乗り換えるというのはやはり必要十分な条件だというふうに思っておりますので,そこら辺は事務局の方も是非一度我々と,我々というか,実務界とも御議論させていただいて,御検討の材料にしていただければというふうに思っておりますので,申し添えておきます。 ● ほかに,御意見いかがでしょうか。   経過措置についてよろしいでしょうか。 ● 1点,御質問申し上げます。   (4)の元本確定事由のことにつきまして,これは本来要綱中間試案のことになりますので誠に恐縮なんですが,あくまで質問ということで,もしよろしければお答えをいただきたいのですが。   例えば,強制執行の申立て,あるいは破産の宣告,開始決定でございますけれども,よしんばでございますが,そのような特に強制執行の申立て等が取下げなどによって覆滅した場合は,その確定効というのはどうなるのでしょうか。この辺が要綱中間試案では触れられていないところでございますが,その点を確認させていただきたいと思うのですが。 ● 元本確定事由に関する規律,いろいろと不十分なところもあって,そのような御疑問が生じているのだと思いますけれども,根抵当に関しては抵当権の実行の申立てについては開始されなかったときですか,例えば申立てが取り下げられた場合というのには確定事由にならないというふうな規律になっておりますので,基本的にはそれと同じでよいのではないかというふうに今のところ考えておりまして,いずれまた部会にお諮りしたいと考えております。 ● ありがとうございました。 ● いかがでしょうか。 ● 3年・5年の議論ですけれども,もともと3年・5年と二本立てで来ているから,かつ2年の違いがあるからどちらにしようかという非常につらい決断を迫られるので,ちょっとだれかもサジェスチョンしましたけれども,やはり合意だって最初は3年にして,なければ2年とか,そのぐらいにすれば,それほどそんなに違いはないというか,どっちでもいいやという話になりやすいような気がして,いつの間にか5・3が一人歩きしているような印象を今日は受けましたので,改めてこの点についてはゼロから考えるのだということを基本に,我々デザインする側は態度を確認しておきたいなと思いました。 ● ちなみに,○○委員としては基本的には根保証の場合の期間というの3年にすると,ただし合意によりそれより短くすることができるという案がいいのではないかというお考えでしょうか。 ● 例えば,合意で上限3年と,何も決めなかったら2年とか,そういう制度設計もあるし,もちろん画一的に3年とか2年というのもある。   何か今の時代,私も5年前に何をしていたかというのを考えますと,そのときのサインで今日まで5年の間があるというのはやはりちょっと……。特に保証契約ですので,完璧に期間がたったからと免責されるわけじゃなくて,それまでに発生したのは十分背負い込むわけですから,何か期間の定めといっても,やはりちょっと特殊というのですかね,保証契約特有の射幸性があって,その間に何があっても逃れられないというリスクもあり得るので,もちろん確定事由にもよりますけれども,その辺を考えたらそんなに長くしない方がいいのじゃないかと。   身元保証だって--身元保証を多分参考にされたと思うのですが,あれでも3年と5年,正にそのままですね。しかしあの5年の方は見習い期間とかの方だったと思うのですよ。長い方は。ちょっと私,忘れましたけれども。何かやはり,今の時代に即した短さがあってもいいような気がしたわけです。 ● 年数設定の問題というのは非常に難しくて,安直と言われるとそうかもしれませんけれども,根抵当とか,今例として出た身元保証なんかを例としてとりあえず議論を始めていただいて,ただ我々としては正に新たなものについて何か年数設定をしようという議論なわけですから,その基礎となる材料も十分に持ち合わせていないということも含めて,当初の資料の段階でもそうですし,中間試案も含めて年数設定は自由に議論していただいて結構ですよという形をとっているわけです。もちろん,中間試案に対する意見の回答として,もっとバラエティーのある回答が返って来るかもしれないし,余りないかもしれないのですけれども,ただちょっと実務的な感覚なりというものをお聞かせ願えればという気がするのですけれども,この席での金融機関の委員の方の意見を聞いておりますと,どちらかというと期限の定めのないものを設計できるかどうかということに関心がある,と言うとちょっと語弊がありますけれども,そこが主に正面から議論の対象になっていて,実際に長期間契約継続のニーズがあるような形態についてはむしろそちらで,典型例としてはやはり代表者とか経営者なんだということでしょうから,そちらでカバーできるということに関心が集まっていて,余り長期の契約期間をどうするかということについてはそれほど議論はされていないのじゃないかという感じを受けるわけです。   ただ,これもちょっと強引な結びつけかもしれませんけれども,余り契約期間の最長期間というのを短くしようとすれば,逆に期間の定めのないような形態を利用できるようにすべきじゃないかという議論のモメントが働いて,そこは期間が非常に長ければそういった期間の定めのない解約権方式の形態にそんなに頼らなくてもいいのでしょうけれども,そこはやはり相関的な関係にあるような気がするので,余りこれは別に5年なり3年なりが適正だとか,そういうことはなかなか言えないわけですから何とも言いにくいところがあるのですが,○○委員がおっしゃったように,長期の方を短くすることについては,そういった点からの検討も必要なのかなという気がしております。   今の話からすると,実務的に期限の定めがないという形態が認められれば,それは金融機関でそれに対応するのでしょうけれども,そうじゃなければ,じゃ何年の契約期間,最長期間のニーズが必要なのかということが,余り正面から議論されていないというか,ちょっとB案で意見を述べられている立場から,なかなか意見を出しにくいのかもしれませんけれども,そのあたりについても率直なところ,長ければ長いほどいいというならそれはそれで一つの考え方であろうと思いますので,そういった点も含めて意見をちょうだいできればという感じがしております。 ● これは,私は当初から気になっていた点ではあるのですが,3年とか5年とか,長いのがいいか短いのがいいのかというのは,これは保証人を保護するか債権者の立場に立つかという問題ではないのじゃないかという気がいたします。実務が理論どおり動くのかどうかというのはよく分かりませんが,理論的には期間を短くすれば保証を徴するコストは高くなるわけで,コストが高くなったら債権者がひたすらそれを負い続けるなんていうことはあり得ないわけで,必ず主債務者の方に転嫁されていくと。ですから,保証人を保護するということが,保証人ないし主債務者にとって,この期間との関係でいうと必ずプラスになるとは限りませんので,やはりそこのバランスを考える必要があるのだろうと思います。ですから,短い方がいいというふうには一概には,あるスタンスをとったからといってそういう結論は出てこないと思います。   ただ,では何年がいいのかと言われますと,そもそも理論どおり実務が動くのかどうか自体検証されているわけではありませんし,確たる見解はありませんけれども,そこはバランスをとるという観点から,最終的には決断をせざるを得ないのかなと思います。 ● 期間の点につきましては,日弁連の意見の中でも○○委員と同じように,3年・2年説がかなり有力にあったのです。ただ,多分最終的には,日弁連の意見としては現在提案されている意見に賛成といことになるのではないかというふうに思います。   経過規定に限って申し上げますと,大体金融機関はすべてこういうITの時代ですから,コンピュータのシステムに頼っているわけで,この法律ができるということになれば当然大幅なシステム変更をするわけですよね。それは,経過規定というよりも,本則がいつ施行されるかというふうなことに関心があるはずなので,その施行に合わせて準備するわけでしょうから,経過規定が3年もそもそも必要ないのじゃないかなというふうに思うところもあるのですが,いかがでしょうか。 ● 今おっしゃったように,システムの構築というのは当然ながらやらざるを得ないというふうに思っているのですけれども,それなりの費用もかかってくるわけで,それがすぐ1年でできるかというのは各行の情勢によって違ってくるということが一つと,やはり数量がかなり,私どもつかんでいないので何とも言えないので申し訳ないのですけれども,かなりの量があるということは事実でございますから,それなりの相当数の時間がかかるというのは……。   それぐらいしか言えないので大変申し訳ないのですが,それで3年・5年という意見はちょっと言えないのなと思っております。 ● おっしゃるところは,本則の適用を目指してシステムの大がかりな変更という点ではおっしゃるとおりだと思いますが,この経過規定で3年がいいのか5年がいいのかというあたりについては,それほど先に延ばす理由が一体あるのかなと,コンピュータで全部把握しているわけですから,3年もあれば十分ではないのかなというふうな考えでちょっと意見を申し上げたのですが。 ● 金融機関との取引のつき合いの長い中小企業から,金融機関の立場をそんたくして考えてみた場合,経済合理性ということを考えますと,従来こういった規律がなかったがゆえに,むしろ保証期間の定めのない契約を締結をしようとする行動があったわけでございますが,よしんばでございますが,合意による保証期間の定めが5年であり,また定めがない場合に,A案として締結時から3年というふうな規律になった場合には,およそ金融機関の考え方というのは,それであれば合意をして5年後のといいましょうか,5年の契約期間でもって保証を徴しましょうという方向にまずお考えになるのだろうと思います。   そのことに照らしてみますと,この経過措置のことですが,恐らくは施行日から,あるいはそれ以前からも,それだったらばもう5年にしましょうというふうな行動に移ると思うのですね。合意で5年にしましょうというふうな差替えの求めをしていくだろうと思います。そうなりますと,この合意による保証期間の定めのない既存契約というのは,結果的に言うと,あたかも銀行さんの例えば末端では,事実上5年物だというふうな認識でいて,5年たてば差し替えればいいのだと,それで今の法律の趣旨に合致するのだというふうな考え方があってもしかるべきであって,それがはっきり申し上げますと,新法施行段階で3年という突然たががはめられて,3年の間に5年物にせよということに恐らく銀行内部上の指示が出てくるのではないかというふうに思うのです。   繰り返しますけれども,3年の間に合意において5年物にせよというのは,恐らく金融機関においては末端の職員に至るまで,これは極めて実務的なことで誠に恐縮なんですけれども,理解をし,かつまた中小企業に対してそうした説明ができるのかどうかという点は,若干御疑問なしとも言えない。あくまでそんたくをするだけでございますが,そのように思います。 ● 先ほど○○委員から,トータルコストを考えよという御意見が出ましたけれども,例えば保証の効力期間を短くしますと,なるほど書換手続なんかで費用が銀行に仮にかかるとしますけれども,それは今回の我々の立法目的である保証人にかかるわけではなくて,主たる債務者にかかっていくというお話だったと思うのですね。ですから,保証人を保護する限りではそのぐらいは仕方がないと見るかどうかが分かれ目で,期間の定めの場合に,やはり理論的には短ければ短いほど保証人の保護に役立つ,それが本当に実社会でいいかどうかはもちろん別の観点でありますけれども,保証人の保護というのがこの期間にかかっている重要な一つの目安になっているというのは,私はやはり感じるのですけれども,そこはいかがなんですかね。 ● 保証人に転嫁されるとは限りませんので,私は主として主たる債務者に転嫁されるかなと思いました。   ただ,保証人というのは主たる債務者を助けるためになるわけですから,主たる債務者,保証人側に転嫁されていくというとらえ方はできるのじゃないかというふうに考えました。 ● 一つ確認ですけれども,コストはまず主たる債務者に転嫁されるという認識ですね。保証人は,主たる債務者のためにもちろん保証債務を負いますけれども,その保証人を保護しようというのが今回の立法の出発点だと思うので,そこでちょっと切れているような気がするのですけれども,そうじゃないのですか。 ● そういうふうに切れるというふうにとらえることももちろんできると思いますけれども,保証人は主たる債務者を助けようと,あるいは援護しようということで保証人になるということであるとすれば,主たる債務者にコストが転嫁されるというのは,保証人にとってもプラスにならないという場合が少なくないだろうということです。 ● 御意見,いかがでしょうか。 ● 先ほどの○○委員のお話がありましたけれども,経過措置の期間と,それから施行時期というのは非常に関係はあるのかなというふうには思っているのですけれども,ただこれも事前にもそうですし,今もいろいろお話を聞いているときに,例えば根保証の契約の内容としては限度額を決めなければいけないというような,これは強行規定でやるということになるのかもしれません。そういった場合に,システム変更がどうなるのかとか,そういう話題はよく出てきて,それに費用とか時間がかかるのじゃないかとか,いろいろとそういう指摘が出てくることはあるのですが,これはシステムの内容,それぞれ銀行,金融機関で違うでしょうし,その中身まで把握していないところはあるのですが,ただこれは,今は別に許されていない契約類型とか取引形態に全部動かそうという話ではなくて,今の取引でもそういった保証のとり方をしている顧客であり取引というのは,既に存在しているはずなんですね。例外なく,例えばこのぐらい以下の規模の企業であれば必ず代表者に無期限,無制限の保証をとっているかというと,そんなことはないはずなので,そのことからすると,実際に施行時期を決めることとの関係で非常に重要な問題だと意識しておりますので明確にしておきたいのですけれども,そういったことについて何かここをシステムとして明確に変えないとこういった対応が不可能であるというふうなことは,正直なところなかなか想定しにくいというふうに思っているのですけれども,このあたりはいかがでしょうか。   ○○委員とか○○委員でも,御存知のことがあればお聞きしたいのですけれども。 ● それは,システム変更してしなければいけないということ……。 ● 具体的に,何か仕事のやり方があるという意味でのシステムはもちろん変わると思うのですけれども,例えば何か顧客管理のプログラムでここを変えないとだめだとか。 ● 保証期日というのは,システム上入っていません。入っているかどうかというのが全部分かっているわけではないので,今アンケート調査中ですけれども,入っていない機関の方が多いものですから,まずそれを入れるということから始まれば,それ相当の期間と,それから金額が必要だというのはアンケート調査で出ているところでございます。   ほかの金融機関の方はどうなのかは,あれですけれども。 ● 信用金庫の業界では,私の知るところでは保証人を機械的に,いわゆるシステム的に電磁記録的に保持しているとは限らない。むしろしていない。ペーパーベースで管理帳簿はあるにせよ,システム的にはなっていない。当然,こういうような有期限のものとなりますと,そういう契約全部の洗い出しから始まって,保証人の住所・氏名,名前の登録から様々な情報を,保証の種類ですとか被保証債務の内容ですとか,やっていくという作業になります。   特に,先ほど○○委員がおっしゃったようなことは必ずしも一般化した,つまりシステム的に管理しているということではないということをまず御認識いただきたいと思いますし,それから特に貸金との関係がある,当座貸越契約のようなものが比較的管理ができていますけど,以前申し上げましたような根抵当権の兼連帯保証人としての立場は,なかなか保証人……。根抵当権の極度とか,債務者というようなものは管理しておりますけれども,保証人とか担保提供者という点ではなかなか難しいものがありますので,期間的に施行日との関係ですけれども,個人的には3年とか5年ぐらいを用意していただかないと,なかなか難しい面があると思います。 ● システムの問題だと,経過措置の問題もありますけれども,施行時期の問題等もかかわってくるわけですか。 ● 施行時期が早ければ早いほど,そういった対応を--つまり,新たに契約するものは期限があるものから始まりますので,それらについての,それが2年と決まれば2年間に完成して,2年内に確実に更新できるような環境を整えておかなければならないということですので,それは大いに関係あると思います。 ● 今の議論がちょっと理解しにくかったのですが。   つまり,システムで管理している場合には,システム変更のプログラムがどの程度のものか分からないけれども,例えば銀行の合併の場合に預金のシステム変えるという大規模な場合には,ようやく「みずほ」ができたということですから,何年もかかるかもしれない。保証の場合に,保証期間を入れるだけでどのぐらいかかるのか,全然分かりませんけれども,一定期間かかるとして,それは猶予期間は必要であろうと。システムで管理していれば。しかし,紙で管理しているというのがほとんどだと今おっしゃいましたから,そうすると標準書式を印刷を変えて,あしたからこれでやってねということで新規契約についてはリード期間は印刷期間だけで済む。極端な議論をすれば,そうなります。   今まで紙でやっていたけれども,ではこの際システム化しようかということであれば,それはかなりかかるでしょうけれども,それはこの法律ができるからかかるのではなくて,システム化導入に伴うコストという話ではないのかなと思いますので,そのあたりを少し,紙なんだから大変なんだという議論と,システムを変えなければならないから大変なんだという議論を少し分けてやっていただきたいかなというのが一つ。   それからもう一つは,根抵当人兼根保証人という場合について,根抵当は管理しているけれども根保証は管理していないとおっしゃったのも,ちょっとリスクが高過ぎるのではないかなと。つまり,最近の最高裁の判決で,意思解釈として出たわけですけれども,根保証は根抵当と基本的に同じ制約を受けるのだという感じで,しかも累積じゃないという判決ですから,あれを見ていると,根保証が生きているので永遠に根保証が続いているのだというふうに期待されていると,非常にリスクが大きな債権管理ではないかなと思いますから,そういう意味では兼の場合に両方やはりきちんと管理された方がいいのではないかなということと,それから保証人の住所等はつかんでいないというような趣旨のことをおっしゃったけれども,これもちょっと,保証人ってその程度の管理でいいというのが銀行業界の実態なのか,つまりふだんはどうでもいいと,通知もしないし,どこに住んでいるかもどうでもいいのだけれども,最終的に追及したい段階になって何とか探して,責任を負わせればいいという程度のものだとすると,保証人もいわばその間ほったらかしになっているわけで,全然分からないで,何年もたってから突然探し出されて追及されるというのは,それはかなわないという話に多分なると思うので,この辺は○○委員が前から言っておられる通知義務だとかいうのとの絡みで,定期的に保証人とコンタクトをとってというようなコストをかけた管理をされてないと,やはり問題があるのじゃないかなという気もいたします。   ただ,今までやっていないというのを今やれと言われてもできないかもしれないので,そういう意味のリードタイムは必要かもしれないですが,それは今回の法改正とは直接かかわらない問題かなと思います。 ● さっきの話は,債権の管理をしていて,その中で保証人が出てくるということであって,こういう保証に期間を設けると,今度は債権の管理と切り離して,保証契約だけ独立して管理しなければならなくなるので,そのシステムが必要だと,そういう話と思って伺っていたのですけれども。 ● 1点だけ済みません。   あくまでよしんばでございますが,新法施行日から3年ということになりますと,恐らく金融機関の皆様は,繰り返しになりますが合意による保証期間の定め,それを最長5年という形の契約に差し替えられようという一斉な行動に出るのではないかというふうにも思われるわけです。しかも,3年という期限ですと,恐らく1年か2年で達成し,残り1年はある意味予備期限として設けるぐらいのお気持ちになっていかれると思うのですが,それが大いに営業店なり現場の負担になって,その負担--つまり一斉に取引先の保証書を洗い出して,先ほどおっしゃったとおり保証書の差替えということをいろいろと依頼をしにいくという,これは極めて物理的にいうと大変なことであることは間違いないです。   これまでの金融機関さんの発想というのは,限度額の根保証をしていれば,むしろ期間の定めはなくてよいという意味で期日管理がある程度できていなかったということがあるでしょうから,それがつまり包括根保証でなければよいのだという発想で限度を設けていて,それである意味安心しておられたというふうな部分もあることはそんたくをしております。そういう意味でいきますと,一斉にキャンペーンでも張られて,それがコストがかかるからといって金利にはね返るようだと,これは中小企業者にとっては大変なことになりますので,ひとつそこは御留意をいただきたいと思うところでございます。   失礼しました。この審議会で申し上げるようなことではないのですが,一言申し上げてさせていただきます。 ● 信用金庫さんの方が言われたのは,今までは債権管理の問題,時効とか何かかけないためには債権者の方からねらっていけば,承認とか何かとっていけば,時効は管理できる。保証人というのは,そんなに期間とか何かの制限ないわけですから,それはもう管理帳簿の上にのっけていけば足りる。それを,今後保証期間が決められれば,そちらの方もきちんとしたシステマチックな管理をしていかなければならないという意味で十分理解できることだと思いますので,それなりの経過期間を設けてあげなければならないのじゃないかなという気はいたしております。ですから,それはやはり,今までシステムで十分管理していなかったからいけないのだというふうな議論にはならないのじゃないかと。   そういう意味で,これやはり銀行さんにとっても期間をどの程度とってあげるのかというのは,やはりどれだけの作業量が要るかどうか,いろいろ考えてから決めなければならないのじゃないかとは思います。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 多少言葉が足りなくて,保証人の住所・氏名を全く放置しているがごとくに聞こえたかもしれませんが,そういう趣旨ではなくて,必ずしも保証人から住所が変更になっても届出があると決まっているわけではないという意味合いでございますので,よろしくお願いしたいと思います。 ● ほかに,御意見いかがでしょうか。 ● 繰り返しで念のためなんですけれども,恐らく今の話を聞いておりますと,経過期間で既存のもについての移行措置なり何なりということで,相当期間が必要だということは恐らく異論がないのだろうと思うのですけれども,新規の契約についてどうするかというあたりのことについては,例えば今先ほどの○○委員の話からすると,保証期間の何かシステム上の管理がされていないという話があったかと思うのですけれども,その点を仮にそうだとしても,新規の契約について期間が決まっているとか,限度額が決まっているということになったこと,そういうものに一本化されることによって,何か対応で必ず準備しなければいけないというようなことが出てくるのか。もちろん,法律が施行されたことに伴う周知期間は一般論として必要な期間は別ですけれども,対応として何か新規の契約について一定の猶予期間が必要なのかどうかというあたりは,いま一つ分からないところがあるのですけれども,そのあたりはいかがでしょうか。 ● それは,システムの構築期間を外してということですか。 ● いや,システムの構築期間ということを仮に考えたとしても,例えば先ほどの保証期間が顧客の管理のカードみたいなものに記載されていないという現状が仮にあったとしても,今の保証契約で期間の定めのあるものもあれば限度額の定めのあるものも混在しているという状態があるだけなんですよね。 ● 基本的に,全銀協ベース,都銀でいけば,期間の定めとか金額が定まっているという方が少なくて,それをどこまで管理しているかというのは,我々UFJでいけば,期間という定めがそのシステムには乗っていない部分があるものですから,そういったところも含めて構築していかなければならないので,どうしても新法で金額とか期間が決まってくれば,それなりのシステム構築は必要になってくるということでございます。 ● 今議論に出ているのは,ここで議論する話かどうか分かりませんけれども,施行日をどうするかという議論でいえば,そのときに,つまり施行日にシステムができ上がっていないと困るんだよという話まではいかないのですよね。そうでなくてもいいのじゃないですかというお話じゃないかと思うのですけれども。 ● ちょっと細かな話は……。 ● 我々もそれを施行する以上は,きっちり管理をしていかないといけないというのは当然の課題でございますので,それなりに時間は置いていただければということを申し上げているだけでございます。 ● 多分,○○幹事の御質問の趣旨は,期間の定めのあるものもあればないものもあると,混在している状況下においてコンピュータで処理をすれば,必ず期間についてのコラムがあって,そこについて数字を打ち込むか,あるいは期間の定めがないという趣旨の何らかのマークを打ち込むはずだから,そういう意味ではシステム的な変更はないのじゃないかなという質問の御趣旨かなと思ったのですが。   そうでないと,そもそもコンピュータの中には定型的な箇所としては期間についての記載欄は一切ないというシステムであれば新たにつくらなければならない。しかし,もともと両者混在しているのであれば,必ずシステム的にはその項目があるのじゃないかなと,こういう趣旨だと思うのですが,いかがでしょうか。 ● それは,恐らく債権と保証との違いで,債権であれば期日が確定しているわけで,それでもって例えば確定保証とかあれば,それを読み替えるということはできますけれども,もともと保証システムというのは,残念ながら期日を入れたシステムになっていないものですから,そこまでシステム構築されていないのでということなので,それは各行によってまちまち,そこまで考えているというところもありましょうし,それはまちまちです。 ● 済みません,ちょっと各行でそれぞれ違うような話も含めて,余り踏み込んでここで議論しても適当じゃないという感じがいたしますので,そのあたりの実情は引き続きお話を伺っていきたいと思いますので。 ● ほかに,御意見いかがでしょうか。   本来ですと,休憩の時間なんですけれども,余りもう議論が今日のところはないということでしたら,このまま終わりにしたいというふうにも思いますが,いかがいたしましょうか。   それでは,本日はここで終わりにするということにしたいと思いますが,次回以降につきまして事務局の方から御説明をお願いいたします。 ● 次回は7月13日の火曜日,時間は同じ1時半から4時半までということで,場所もこの第1会議室となっております。 ● 次回は,パブリックコメントが一応出ていると。 ● パブリックコメントに対する回答と,それから予定で申し上げましたとおりあと2回で何とか御意見をまとめていただければというふうに考えておりますので,パブリックコメントに対する回答,それの御報告と,それから要綱案の取りまとめに向けての実質的な御議論ということを予定しております。 ● それでは,本日の保証制度部会を閉会にさせていただきます。どうもありがとうございました。 -了-