法制審議会保証制度部会第6回会議 議事録 第1 日 時  平成16年8月3日(火)  自 午後1時30分                       至 午後3時17分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  保証制度の見直しに関する要綱案(案)について         民法現代語化について 第4 議 事  (次のとおり)               議         事 ● それでは,予定した時刻が参りましたので,法制審議会保証制度部会の第6回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日はこの部会の最終回の会議でありまして,既に御案内のとおり,この部会としての最終的な要綱案の決定を行うことが予定されております。よろしく御審議のほどをお願いいたします。      (幹事の異動紹介省略)   次に,本日も席上配布資料がございますので,事務局から説明をしていただくことにしたいと思います。 ● まず要綱案の関係でございますが,事務局から部会資料7を席上配布させていただいております。本日議論のたたき台となります部会資料6「保証制度の見直しに関する要綱案(案)」は事前に送付させていただきましたが,その後,本日の会議までの間に,全銀協の○○委員,信用金庫協会の○○委員,それからそのほかの団体の方との意見交換の機会を持ってまいりまして,そこで新たな論点として本日御審議いただきたい問題が出てまいりましたので,要綱案に関する追加の資料として部会資料7を作成し,席上配布させていただいた次第でございます。内容につきましては後ほど御説明させていただきます。   次に民法現代語化に関する資料でございますけれども,まず,「民法現代語化について」という1枚の紙と,「民法現代語化補足説明」という4枚つづりの冊子を席上配布させていただいております。民法現代語化につきましては,それ以前にもマスコミ報道等で取り上げられておりますけれども,作業の進捗状況につきましては,この部会の第1回会議の際に民事局長の○○委員から後日この部会に御報告をすると申し上げていたところでございます。本日の会議では,本来の議題である要綱案に関する御審議をいただきました上で,その後に現代語化に関する報告をさせていただくことを予定しております。その際の説明にこの資料を使わせていただく予定でございます。 ● それでは,本日の議題に入らせていただきます。   まず,事務局から,要綱案の関係の資料について御説明をお願いしたいと思います。 ● それでは,事前送付いたしました部会資料6と,本日席上配布をさせていただきました部会資料7につきまして御説明いたします。特に途中で区切らないで,最後までまとめて御説明させていただきます。   まず,部会資料6の要綱案(案)の全体構成でございますが,中間試案の構成と同様に,第一において貸金債務の根保証についての個人保証人の保護の方策について記述し,その後に,第二においてその適用範囲について記述をするという方式をそのまま踏襲いたしております。   次に,要綱案(案)の第一の部分について順次説明してまいりますが,特にコメントを要すると思われる項目に絞って御説明してまいります。   まず,「一 要式行為」の点でございますが,2のところで新たにただし書をつけ加えております。これは,契約時から3年未満という保証人にとって有利な元本確定期日の合意があった場合には,それが書面には記載されていなくても,その口頭での合意の効力を承認しようという趣旨でございます。このように保証人保護という観点からの片面的な取扱いをするかどうかという点につきましては,中間試案の補足説明において問題提起をしたところでございますが,この点については複数の積極意見が寄せられていましたところから,これを要綱案に盛り込むことを提案させていただいた次第でございます。   このほか,要式行為に関連する論点としては,書面は作成されていないが口頭での保証合意に基づき現実の履行がされた場合には,保証合意が無効である旨の主張を制限するかどうかという議論がございましたが,この点につきましては,書面によらない保証合意に基づく強引な取立てを助長するおそれがあることや,保証債務の一部が履行された後においても,残りの部分の履行を拒絶できるようにしておく必要があることなどを指摘する消極意見が複数寄せられておりました。そこで,この点につきましては特段の明文の規定は設けないで,現実の履行がされた場合でも,保証合意が無効である旨の主張を制限しないという趣旨で,要綱案には掲げないことを提案させていただいたつもりでございます。   次に,「二 極度額」の点について御説明いたします。この点は,従前,「保証の限度額」という用語を使っておりましたが,要綱案におきましては,根抵当との横並びで「極度額」という用語に改めさせていただきました。この点につきましては,根抵当の「極度額」という用語自体,必ずしも分かりやすいものではないという御指摘もございましたが,既に定着した概念であると思われますので,この用語例に従うのが相当であろうと考えた次第でございます。   この「極度額」という項目の関係では,中間試案では,代表者保証の場合を別扱いするかどうかという問題を取り上げておりましたが,この点につきましては,意見照会の結果を踏まえ,また前回の会議で御説明申し上げましたような理由から,代表者保証の場合をも含めて極度額の定めを義務づけるという方向で御提案をさせていただいた次第でございます。   次に,「三 元本確定期日」の点について御説明いたします。この点は,従前,「保証期間」という用語を使っていたところでございますが,その意味内容を明確にするという趣旨で,根抵当と同様に「元本確定期日」という用語を使うことといたしまして,表現ぶりを改めさせていただきました。   この元本確定期日に関しましては,その定めがない場合の取扱いにつき,中間試案ではA案とB案とを両論併記としていたところでございますが,パブリックコメントの結果と前回の会議で改めて御議論していただきましたところを踏まえまして,最終的な要綱案としてはA案で取りまとめをすることを提案させていただきました。これが「三 元本確定期日」における2でございます。   その次の3は,中間試案におきまして,保証期間の制限につき,更新後の保証期間についても同様とするとしていたところでございますが,今回の「元本確定期日」という用語に改めたことに伴いまして,根抵当に関する民法398条ノ6第3項と同様に「元本確定期日の変更」という表現ぶりに改めたものでございます。元本確定期日の変更をする場合にも最長5年という制限が及ぶということを明記することによりまして,いわゆる自動更新が認められないことをも明らかにしようという趣旨でございます。   なお,ここで,本日席上配布させていただきました部会資料7について御説明いたします。   部会資料6の要綱案(案)の記述では,元本確定期日に近接した時期にその変更をして,引き続き5年間保証を継続しようといたしましても,変更の合意をした日から5年以内という期間制限がかかってしまいます。したがいまして,例えば,本年8月31日が元本確定期日である根保証契約につきまして,本日8月2日にその変更をした場合には,新たな元本確定期日は5年後の8月2日までの日としなければならないことになり,5年後の8月31日を新たな元本確定期日とするためには,本年8月31日の当日に変更契約をしなければならないということになっているわけでございます。   この点について,事前に金融実務に携わっておられる方々の御意見を伺いましたところ,金融機関の立場からは融資の管理上やはり元本確定期日の日付が変わることは好ましくないというのが関係者の一致した御見解でありまして,元本確定期日に近接した一定の期間内にその変更をする場合には,5年後の応当日への元本確定期日の変更ができるようにしてほしいという強い御要望がございました。他方で,このような取扱いを可能とすることは,保証人の立場から見ましても不当な不利益を与えるものではないように思われます。そこで,事務局といたしましては,この金融実務からの御要望を部会資料7において積極的に取り上げ,部会で御議論いただきました上で,特に御異論がないようでしたら,部会資料7に記載いたしましたような文案で要綱案に盛り込むことにしたいと考えております。   部会資料7に関する説明は以上でございます。   次に,もう一度部会資料6の要綱案(案)に戻っていただきまして,元本確定期日に関し1点だけ説明をつけ加えさせていただきます。5年以内という期間制限を設けることに関連して,これよりも長い期間を定めた場合の取扱いという問題でございます。   この問題に関しましては,中間試案よりも前の段階では,事務局からは,法定期間よりも長い期間を定めた場合にはその保証期間は法定の最長期間に短縮されるという趣旨の説明をしており,その旨を中間試案の補足説明にも記載いたしました。これは,身元保証法がその2条1項後段におきましてその旨の明文規定を設けておりますことから,これと同様の規定を設けることを想定していたものでございます。   しかしながら,中間試案に対して寄せられた意見を見てみますと,法定期間に違反する期間を定めた場合であっても法定の最長期間に短縮されるにすぎないとすれば,法定期間を遵守しなくても格別の不利益にはならないため,保証人が任意に履行することを期待して法定期間を超える期間を定めるという不当な取扱いを是認する結果となるという趣旨の御指摘を複数いただきました。   そこで,今回の要綱案(案)におきましては,先ほど申し上げましたような身元保証法2条1項後段のような規定は設けないことといたしました。   元本確定期日に関する説明は以上でございます。   次に,第一の「四 元本確定事由」ですが,この点については前回の会議で御議論いただきましたところですので,結論のみ確認させていただきたいと思います。   (一)では,強制執行の申立てのほか,担保権実行の申立てを含めることとする一方で,これらの申立て後に取下げなどによりまして執行手続の開始には至らなかった場合には元本確定の効果は生じないということにしております。   (二)と(三)につきましては,前回御議論いただきましたところを踏まえ,中間試案から特段の変更はせず,そのままとしております。   続きまして,「第二 適用範囲等」について御説明いたします。   まず,第二の一と二ですが,この点については基本的に中間試案と同様としておりますが,第二の二の主たる債務の範囲の点につきましては,貸金債務のほかに手形割引を明示的に掲げることを提案させていただいております。この点は中間試案の段階から口頭では御説明していたところでございますが,金融実務におきましては,典型的な与信の手段として金銭の貸付けのほか手形割引が行われており,ある特定の顧客の関係では専ら手形割引の方法により資金の融通が行われているという場合もあるようでございます。そこで,主たる債務の範囲に貸金債務は含まれていないが,手形割引に係る債務は含まれているという場合にも今回の規制が適用されるということを明らかにするため,要綱案におきましては,手形割引も明示的に掲げることを提案させていただいた次第でございます。   最後の第二の三は,前々回及び前回の会議で御議論いただきました,求償権保証をした個人保証人の保護という問題を取り上げたものでございます。   前々回の会議でお示しした甲案に基づきまして,法人の根保証契約が一定の要件を具備しないものであるときは,その求償権について個人の保証人をとることができないという規律をあらわしたものでございます。   なお,前回の会議におきまして,この場合の法人の根保証契約について,自動更新が許されないことを明らかにしておく必要があるという御指摘をいただいておりましたが,この点は,3ページの2行目に「元本確定期日が第一の三1及び3に従って定められたものでないとき」という要件を掲げておりますところによりまして明らかにしたつもりでございます。   説明は以上でございます。 ● それでは,ただいま御説明いただきました部会資料6と7に基づきまして,特に範囲を区切らないで審議を進めてまいりたいと思いますので,御意見がございましたら,どこからでも結構ですので,お出しいただければというふうに思います。 ● 確認ですけれども,例えば7年間という元本確定期日を定めた保証についての効力は全体として無効とするという,そういう御趣旨だというふうに聞こえたのですが,そのことはきちんと書かなくてもいいという,つまり,場合によってはやはり部分無効にとどまる,2年分だけ無効という余地のあるようなニュアンスにもなっているような取りまとめ案になっているような気がするのですが,そこはどうなのでしょうか。 ● 結論的に申しますと,当初は,7年と定めたときは5年にするということを身元保証法と同様に明文で定めるということを念頭に置いていたわけですが,そのような決め打ちはとらないということにしようというところまで先ほど申し上げました。そういう意味では説明があいまいであったという御趣旨かなというふうに受けとめましたけれども。   一方で,根抵当に関する規定を見てみますとこのような規律のみにとどめておりまして,つまり,期間は5年以内でなければならない,そしてそれを超えた場合については明文を置いていないと。したがって,そこでは解釈の余地があり得るということになろうと思います。それ自体は,今回もそれと横並びにしておきたいというふうに考えております。   したがって,基本的には7年が単純に5年に短縮されるということを決め打ちすべきではないが,なお解釈の余地は残るということにならざるを得ないのかなと思います。 ● そうしたら,立法者の意思レベルでは,全部無効もあり得るだろうし,それは論理的に排斥しないし,部分無効もあり得るという形の規定がいいのではないかという……。 ● ちょっと補足しますと,全部無効といっても,期間に関する定めの全部無効という趣旨でして,ですから,その場合はデフォルトで3年になる可能性があるという,そういう趣旨でございます。 ● よろしいでしょうか。 ● 今の点ですが,もちろん解釈の余地はあると思いますが,原則としてこの2項に基づいて3年になるという考え方だという理解でよろしいのですよね。 ● 解釈レベルではそのように解釈するのが相当ではないかなというふうに私は思っております。 ● それと,ちょっと細かいことなのですが,この2項の表現ですが,「その期日は,根保証契約を締結した日から三年を経過した日」と書いてありますけれども,締結日が仮に今日だとすると, 初日不算入だとしますと,3年を経過した日というのは3年後の8月3日になるのですか,それとも4日になるのですか。「経過した日」と書くと,翌日になって4日になるような気もするのですけれども。 ● 次の日から起算するという趣旨じゃないですか,「締結した日から」というのは。 ● それはそうなのですが,いずれにしても,そこの点,御疑問をいただいているようですけれども,要するにフルに5年を超えるというのはおかしいですので,初日不算入であれば,満期が応当日の午後12時だと。ちょっと細かい話ですけれども。要は,丸5年を超えるような形のものは認めないということですので,そこはきちんと明確にするということを……。 ● そうではなくて,例えば定めがない場合は3年という原則があるわけですよね。その3年といった場合の応当日というのは,仮に今日契約した場合には3年後の今日なのか,あるいはあしたになるのか。この表現だけからするとあしたになる可能性もあるなというふうに感じたものですから,ちょっと御質問したのですが。 ● ちょっと今,原因だけ報告しておきますと,根抵当の規定に従って同じ書きぶりにしたのですが,根抵当は,これは期間が経過した翌日から確定請求できるということなのです。ですから,その期間が過ぎた後が問題になるのですが,この場合はあくまでも保証期間ということで,債務の発生期間ですので,それは根抵当で言えば確定請求ができる瞬間,その期日が来たらもうその時点で終期が到来していて,それ以降の午前0時からはもう保証の対象にならないという,こういう理解でございますので,ちょっとそこの点,誤解を招いたことをおわびいたします。 ● 考え方としては,8月3日に契約をして,それで3年を経過した日ですから,応当日が3年先の8月3日が経過したときに確定する。ですから,3年先の8月3日内に融資したものは保証の対象になる。8月3日の夜12時を過ぎるとそこで終わるという,そういう意味でしょう。 ● 今ちょっと話題に出ていたのですが,初日不算入のとき,当日の分がどうなるのかという話ですが,これは前も御説明したかもしれませんが,実務的には,新たに根保証契約を結ぶときというのは,今後貸し付ける債権と,現在有している債権というのも通常は保証の対象に含めるという合意をされているのが一般的ですので,これでカバーできると。もちろん,この点を今回の措置で何か制限するということは予定していないので,起算日のものというのはカバーすることができるということになろうかと思います。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 全国銀行協会から,最終の要綱案につきましてちょっと発言をさせていただきたいと思っております。   事務局の御提出になられました最終要綱案につきましては,私ども全国銀行協会としては反対をしないというふうにさせていただいております。   少し具体的にお話をさせていただきたいのですけれども,この保証制度の見直しにつきましては,全国銀行協会としても,個人保証の問題の重要性に十分かんがみ,真摯にとらえて議論を重ねたつもりでおります。その結果,期間の制限につきましては,全国銀行協会傘下銀行の総意として,A案・B案があって,B案の方が保証人の保護に厚く,またA案では特に中小企業金融の円滑化の阻害要因になりかねないとの結論に 達して,本部会にB案を御提案させていただいております。この趣旨だけは,まあ何回も御説明させていただいておりますけれども,是非御理解をいただきたいというふうに思っております。また,本部会におきまして,我々はB案を提案理由とともにお示ししまして,またA案の問題を御指摘させていただいた上で,委員の皆様に議論をしていただきました。最終的にはA案というふうに支持されたということで,残念な結果ではございますけれども,その結果には全国銀行協会としては従いたいというふうに思っております。   しかし,議論の過程におきましては,本問題の当事者である借り手の方々の意向が本当に反映されていたかというと,多少疑問があるところでありまして,特に中小企業金融への影響ということで,資金繰りだとか手間とかコストにつきましては,中小企業の皆様が理解された上でそれを支持されたのかどうかということにつきましては,我々が日々の取引から受けている声との乖離が大きく,実際には戸惑っているというのが本音というところではございます。   これは一つお願いということになるわけですけれども,今後事務局の皆様が法制化に向けた御尽力をされるわけで,その際に詳細な御検討をされると思いますが,第三者の公平な立場から,いま一度,借り手,とりわけ中小企業の皆様の多様な意向を確認していただきたいというふうに全国銀行協会は切に願っております。   本見直しに恐らく皆様が思っておられる以上の実務的影響が生じるものと思っておりまして,実務的影響は当然ながら銀行だけではなくて借り手や保証人に及ぶことにもなりかねません。我々は当然ながら努力してまいりますけれども,特に経過措置だとか,実務面に配慮した取扱いを是非お願いできたらということで,全国銀行協会としての意見を終わらせていただきます。 ● ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 意見ではなくて,先ほどの○○委員の御質問の蒸し返しで恐縮なのですけれども,最初の原始契約で5年より長く決めた場合には多分3年になるのでしょうけれども,それは解釈に委ねるというふうにおっしゃいましたけれども,同様の問題は,更新というのですか元本確定期日の変更の場合にも出てきますけれども,その場合はますます解釈が……,これも3年になるという解釈がそう自明で出てくるのかなというのがちょっとよく分からないのです。原始契約ですと,第一の三の1,2が並んでいますから,解釈で3年というふうに落ちるかなと思うのですけれども,更新というのですか変更の場合だと,果たしてそう簡単に出てくるのかなというのがありまして。私は,その結論がどうこうではなくて,根抵当で同様な規定があって,横並びとして,もしも長く決めたらどうするかというのは書かないというのも一つのお立場だとは思いますけれども,やはりここはどっちかの立場で鮮明に書いておいた方が後の混乱が起きないのではないかというふうに思うのですけれども,いかがでしょうか。単なる根抵当との横並びというだけで書かない,かつ,身元保証のような書き方というのは妥当ではないというのは分かるのですけれども,第三の道という選択をなさらなかった理由を伺いたいのですけれども。 ● 基本的には,今申し上げたように3年という解釈でいいと思うのですが,先ほどの説明でも挙げたように,意図的にというか,悪意で,ルールもよく分かっていて,5年より長い期間を決めて,うまくいけばみたいなものに対しては,それは最長を保証する必要はないということはあると思うのですが,たまたま日数が間違っていたと,まあ,これはプロとしては余りないのかもしれませんけれども,いろいろなケースがあり得るのではないかということを一応想定しておりまして,例えば,非常に素人的な話かもしれませんけれども,先ほどの初日不算入かどうかというような話で1日間違っていたら,それで5年が3年になってしまうということを全部そういうふうにやっていいのかとか,解釈上普通は3年に解釈されるからということでそこまで明確に規定しないというのは,そういう場合もあるのではないかということを一応念頭に置いて,解釈にゆだねてもそれほど害はないのではないかということで,今説明したようなルールを提案させていただいたということでございます。 ● 今のような御懸念ですと,期間の約定の解釈によってミスをしただけであって,当事者の意図としてはそうではないのだと,5年なら5年だということでいけるんじゃないかなと思います。   本題に戻って言いますと,もうここで言うまでもないことですけれども,一部無効に関しては民法典にはルールが定められておりませんで,他の多くの国々では明文で定めているところが少なくないわけですけれども,日本の民法典にはないと。そして一部無効については解釈にゆだねられてきたと。そして,従来の日本の民法学での通説的な理解というのは,原則はやはり一部無効だというような理解で来たと。そして,今回の問題についてよく似ていますのは,約款の条項について一部が無効に当たるような場合があると。今は消費者契約法ができておりますけれども,かつての例で言いますと,債務不履行について一切責任を負いませんというような書き方をした場合,これは軽過失免責は明文で定めれば有効だと。しかし,軽過失免責だけではなくて,故意や重過失免責まで含めるような形で一切責任を負いませんと書いた場合に,その条項が全部無効なのか,それとも故意・重過失免責のみが無効であって,軽過失免責は残るのかと。こういった解釈問題については正に解釈にゆだねられておりまして,そして判例・学説上も確立した考え方というのは恐らくまだないであろうと。ただ,何となくの雰囲気としては,一部無効がむしろ有力なのかなと。   ただ,民法学者の多くで約款法をやっておられる方々というのは,これはやはり本来全部無効だというのを強く言っているわけですけれども,そしてその理由は,正に先ほど御説明されたように,ぎりぎり有効な範囲でとどめてもらえるのだったらとにかく長く借りておけばいいのだと,それではおかしいだろうということで強く反対してはいるわけですけれども,何となくの雰囲気としては一部無効なのかなという雰囲気になっているというような中で,解釈に委ねるということが本当に適当なのかというのは,恐らく○○委員がおっしゃりたかったのもそういう趣旨だと思いますけれども,私も,一部無効にかかわる問題をちょっと見ている感じでは,やはり危ぐがあります。 ● 理論というよりは,立法方法についての質問なのですが,今の問題に関して,明確なルールを定めないでオープンにしておくということの積極的な意味についてお伺いしたいのですが。   法務省としては,自信がないから決断をしないという趣旨なのか。こうだと思うけれどもはっきりさせないだけというのは,それはすごくいい加減だと思うのですね。こうだと思うならこうだとすべきなので。分からないからオープンにする,後世の判断に委ねるというのは一つの選択肢だけれども,どっちかに決められるものなら決めた方がいいのではないかと思いますので,一部無効がどうなるかという理論的問題とは別に,立法方法論について態度を少し明確にしていただきたいと思います。 ● 今の○○委員の御発言,まあ,どれなのかということなのですが,さっき私の方からちょっと説明しましたけれども,解釈の余地というか,具体例によっては一律に全部3年というふうにしない方がいい場合もあるんじゃないかということで解釈に委ねるということなので,自信がないというか,それは具体例に即した,全部割り切って3年というのも弊害がありそうだし,線を引いて書き分けるということも,これは難しいだろうということが一応の考えではあるのですが,その点については非常にこの場で評判が悪いということは,今ちょっとお聞きしていて分かったのですけれども。 ● ちょっと私,誤解していたのかもしれないですけれども,今の御趣旨だと,諸般の事情によっていろいろ場合が分かれてくるから一律には決められないという御趣旨なわけですか。決めたくないという意味ではなくて,決められないという趣旨なわけですね。3年になる場合もあれば4年になる場合もある,5年になる場合もあればいろいろあるだろうと。当事者の意思だとか諸般の事情によって裁判所がどう判断するか分からないから,そういう可能性を積極的に残しておこうという御趣旨なわけですね。 ● そう尋ねられると,そうですと答えるしかないのですけれども。 ● 逆にこちらからも伺いたいのですが,パブリックコメントの結果も踏まえて,身元保証法と変えるというのは,基本的には5年以内の期日を定めない,5年を超える期日を定めた場合にはその期日の定めは無効になる,無効になるから定めがない場合として3年というのが解釈としてはごく自然に出てくるのではないかという前提で,特に規定を設けていない,個別事情を考慮したときにそう一律に3年じゃない場合もあるかもしれないというのが,多分事務当局が今懸念していることだと思いますが,条文を置かなかったときにそれほど解釈の幅というのはあり得るのかなというのが,逆にこちらも知りたいところなのですが。 ● 期日については記載しなければならないわけですよね。そうしますと,記載していないにもかかわらず5年になるというのは考えられないんじゃないですか。記載しない期日も有効である理論はどこから出てくるのですか。 ● 三の2の場合ですか。それはないでしょう。むしろ5年を超えるのを書いたときに一律に3年になるのか,場合によっては,例えば ,本人は5年のつもりでやっているのだけれども,さっきの初日の処理とか応当日なんかの関係で1日長くなっていたというときに,それを5年として効力を認めるのか,3年にしてしまうのかと。   それで,こういう案のような形にしておけば,場合によっては5年として処理できるのではないかという,そういうさっきの説明だったと思うのですね。ただ,3年と書いても,5年と1日長いときには,これは5年の趣旨だという解釈ももちろん成り立ち得るから,どっちがいいのかという気はちょっとしないでもないですけれども。 ● 何度も言いますように,一般ルールがどうなっているかで,何も書いてなければ一般ルールが適用されるというふうに考えるべきなのだろうと。その一般ルールがややあいまいであるということを先ほど申し上げましたけれども,もう少し立ち入って言いますと,一部無効にも,さっき私が例を挙げましたのは,本来一切責任を負いませんという意味ではもうそれ以上割れないように見えるような条項ですけれども,簡単に割れるような条項,つまり価格,利息などのような量的なものを観念できる場合,そしてこういう期間は通常は割れるタイプ,量的に割れるタイプの条項だろうと思うのですが,こういう量的に割れるような条項に関しては,一定の限度を定めた法律の禁止規定がありますと,それを超える部分のみを無効にするというのが恐らく一般ルールなのだろうと思います。これは恐らく判例・学説においてかなり一致して見受けられるのではないかなと思います。   そうしますと,それが一般ルールだとしますと,何も書かなければその一般ルールが当てはまるのかなと。そして,身元保証法というのはその一般ルールを確認的に書いたものだというふうになる可能性もあるだろうと思いますね。それで,それが必ずしも望ましくないと思っておられるのであるならば,やはり明確にしておくべきではないかなというふうに思います。これは,本来,一部無効に関するルールをもっときっちり民法で書けば問題は少ないところだろうと思うのですけれども,もしそれでは不都合だというのであれば,やはり明確にしないと,解釈の余地が非常に広がる可能性があるのではないかなというふうに危ぐいたします。 ● この場での御議論としては,先ほど○○委員は,7年と定めた場合には,もうその定めがないものとして3年とするという方が望ましいという御意見だというふうに承ったのですけれども,その御意見の方が多数を占めているというか,そういうことでよろしいでしょうか。   もしそういうことであれば,要綱案レベルでは,先ほど申しましたように,身元保証法のような,7年と定めても5年とするというような規定は置かないということでこの要綱案は書いておりますけれども,最終的な条文化においては,超える期間の定めというのは効力を生じないという趣旨を明らかにしておく方向で条文化の作業を進めたいと思いますが,そんな方向でよろしいでしょうか。 ● 5年を超えるときは期間の定めがないものとして扱うという趣旨が分かるようにしておくという,そういう趣旨ですね。 ● みなし規定みたいなものを置くということで。定めがないと言ってしまうと……。明確に書いた方がいいのかなという気がしますね。 ● 条文の書き方としてはきっといろいろあると思うので,そこはよく研究したいと思いますけれども,一つの例として,例えば5年を超える期間の定めはその定め自体が効力を生じないというふうに書けば,それは期間の定めがないということになって,ここで言う一般ルールといいますか,三の2のルールが適用されるということが出てくると思いますので,そういったような規定ぶりを研究したいと思います。 ● 期間の点についてはよろしいでしょうか。   では,ほかの点で何かございますでしょうか。 ● 書面性の件ですけれども,これは要綱案の立場ですと,保証であるならばとにかくどんな保証でも書面は必要ですよということ。ということは,その書面に何が書かれていなければ保証契約として性質決定されないかどうかはもうブランクで。ですから,単にお互いの債権債務関係が何があるかというのをずらっと書いてあれば,それが保証と性質決定すれば,書面がある以上は保証契約として効力を生じるというふうに理解してよろしいのでしょうか。 ● 書面から保証の趣旨が分かればという以上の要式性までは要求しないという趣旨でございます。 ● 関連する質問なのですが,この点については,たしか銀行協会さんの方から--ほかの団体もあったかもしれませんが--電子書面を含むように明記してほしいというような要請もあったと思いますが,この要綱案によると,少なくともこの段階ではいわゆる電磁的な記録を含む電子書面は含まないという前提になるのでしょうか。 ● その点は,もし御意見があればお伺いしたいと思いますけれども,例えば民訴でも,管轄合意に関して書面性が要求されていたところ,今般の改正案で電子書面というようなものが追加されて,今,改正案が審議中でございます。そういったような方向の手当てが必要だということであれば,今回の要綱案で言えば最後にその他所要の規定の整備という一項目を設けておりますけれども,そういったような御要望があるということであれば,そういったようなことを検討させていただきたいと思います。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 今の書面性のところで,第一の一の1は「根保証契約は,書面でしなければ,その効力を生じない」ということで,一般の特定債務保証については書面でなくてもいいというふうに一応読めるのですが,何で書面が要るのかというのは,もちろんいろいろな,詐欺とか,重大性について当事者に自覚できるような形にしろというふうな話があったと思うのですが,根保証契約という形で書面を要求するのだったら,やはり根保証は本質的に極度額が要るのではないかというところも何か……。この話は,実は「第二 適用範囲等」の「一 要式行為」で……,ああ,そうか。要式行為のところになると「すべての保証契約」となって,これは根保証だけじゃないんですかね,ここでは。ということは,およそ今後は保証契約は書面がまず出てくると。これは既に現在普通にありますので,新たなことだとは思いませんが,あると。   そうしますと,ちょっとよく分からないのですが,議論の過程では,継続的な売買契約についての買主の保証人とか賃借人の保証人というものが,場合によったら莫大な保証債務額になるということは問題だというふうな指摘があったときに,例えば,5年ですか3年ですかの期限が来たから,保証人は,新たな賃料債務については保証債務の範囲が及ばないとなっても,直ちに賃貸人の方から賃借人に出ていけと言えるかというと言えないだろうということで,ちょっと同じに扱えないよという話があったと思うのですが,少なくとも極度額を定めよというのは,やはり保証人保護の見地からは,適用範囲のところで,「すべての保証契約について適用するものとする」の中に,この書面性と並んで第一の二の部分,極度額というのも入れてもいいような気もするのですが,そこはどういうふうにお考えになったのでしょうか。 ● これも以前説明したことの繰り返しになるかもしれないのですけれども,保証の対象によっては,一方では当事者としては決めにくい場合があると。決めにくいからといっても,それは保証人保護の視点を重視すれば,それでも決めろという意見はもちろん成り立つことは十分承知の上ですけれども,与信みたいな形での金額の設定の仕方というのはしにくい類型のものというのは確かにあるだろうと。典型としてはそれは身元保証であり,賃貸借の保証もなかなか決めにくいところもあるだろうということがございます。   それから,それ以外に,売り掛けの継続的なもの,あるいはそれ以外の類型の根保証についてなぜ限度額を決めないのかということですが,これも,今申し上げた,類型として二つを挙げましたけれども,保証の対象の契約類型にはいろいろなものがあって,今,我々,非常に身近なものとしてイメージしているもので限度額を決めにくい,だから今回は同じような規制をかぶせると適当ではないのではないかという例を挙げましたけれども,どういうものでどういう影響が及ぶかということがなかなか,今回の検討の過程ではそこまで明確に十分に意見を聞いて検証することがちょっと難しいのではないかということがあるのだということを御説明したと思います。   ですから,必要がないということを今回ここで結論づけるわけではないのですけれども,そこまでの措置は今回の見直しのスケジュールの中では難しいので,具体的な措置としては講じないと,こういう説明をさせていただいたと思います。 ● ルールの明確化という面からいきますと,例えば賃借人のための保証人になるときに,賃料が月10万だというときに,100万まではだれか保証人を連れてこいというふうに賃貸人が要求したとしますと,非常にその後の,例えば100万まで賃料を滞納するのは,賃貸人としても保証人を当てにできる,それ以上は許さんという形で,保証人の側もあいつのためなら100万ならしようがないということで,別に根拠がなくても,とりあえず決めたら,それはそれとして非常に--継続的売買契約においても,数字があることによって,今回の改正の目的である保証人の保護もありますけれども,早期にきちんと不良債権問題みたいなものを,焦げつき債権をきっちり処理しようとか,新たに債務者にというふうな……,賃借人の場合にそれがうまく言えるかどうか分かりませんけれども,何か数字があるということは,それだけで非常にプラスに働く要素もあるような気がするのですけれどね。   このタイミングでそういうことを言うのがいいのかどうかよく分かりませんが,この前否定した理由は,期間を切ってどうなのか,合理性があるのかという点でメーンで落とされたような気がするのですが,やはり極度額という点は,今回の書面要求と並んで……。書面の中に何が書かれているのかというときに,保証契約意思さえ読み取れればいいというのではちょっと何か寂しい気がしたもので,発言させていただきました。 ● ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 保証制度部会資料7の修正意見でございますが,これにつきましては,保証人の立場から見ても,期日認識の管理の点で安定的でありますので,異論ございません。 ● 今の点なのですけれども,資料7では,元本確定期日のどれぐらい前から変更した場合に適用するかということで,一応,2か月という数字を入れているのですけれども,これについてはいかがなのでしょうか。いろいろ御意見を。2か月が長過ぎるのか短過ぎるのか,1か月でもいいのか,その辺。 ● 実務を担当している者としては,3か月ぐらいは欲しいところだと思います。   それと,信用金庫の方の件で言えば,限度根保証,代表者保証についても今回採用されなかったことについては甚だ残念に思っておりますが,決定されれば,それに沿って実務を回していきたいと思っております。   その際に,先ほど○○委員からもございましたけれども,本当に今回の改正の趣旨が中小企業者にとって有益なものとなるのかどうかは何らかの形で調査を是非お願いしたいというふうに思います。   それから,経過措置についても,先日来のお話ですと,できるだけ早期の施行を考えておられるということですけれども,既存分の措置に対してもそうですけれども,新たな法制度がスタートします時期についても,それらの準備,また契約書その他もろもろの内部の対応やお客様への説明等々も準備する必要がございますので,政治的にいろいろあるのだろうと思うのですけれども,時間は是非長目にお願いしたいというふうにお願い申し上げて終わりたいと思います。 ● 今,2か月というところを3か月にしてはどうかという御意見なのですけれども。 ● 事前に金融関係の方,いろいろな方の御意見を伺ってまいりまして,こういう案を出すとともに,期間としては,亀甲括弧つきではございますが,2か月ということを事務局から提案させていただいております。   いろいろな方のお話を聞いておりますと,1か月程度あれば足りるという方もおられれば,今御指摘がありましたように,実務としては3か月程度余裕を見ていただきたいというような御意見もございました。他方で,余りここを広くするということは,契約日から5年というルールに対する例外でございますので,余り大きくすることは保証人保護の見地から疑問が出てくるというような問題もございます。そういったようなことを勘案いたしまして,事務局としては2か月という案を提案させていただいた次第でございます。   できましたら--まあ,いろいろと,多ければ多いほどいいというような御意見もあろうかとは思うのですが,数字の話ではありますけれども,このあたりで御了解いただければというふうに考えている次第でございます。 ● いかがでしょうか。   それでは,ここは2か月ということで案をまとめるということでよろしいでしょうか。   ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 今までいろいろ議論があったわけですけれども,企業側から見ますと,やはり代表者保証というのは,○○委員を中心として御意見があったように,経営者の経営に対する規律づけというようなところからそれなりに意義があったというふうには思っております。   しかしながら,個人保証をめぐるいろいろな弊害というのが指摘されておりますし,それから,先ごろ成立しました破産法の改正におきましても,国会の附帯決議の中で,個人保証について見直しを早急にしろという趣旨の決議がついております。こういう国会の決議というのも重く受けとめる必要があるだろうというふうに思いますことから,個人保証につきまして,期間的な問題,それから極度額,限度額というような観点から何らかの制約を入れて,個人保証が極端なものにならないという制度にすることはもう時代の流れなんだろうなというふうに思います。   したがいまして,今回のこういう案で最終的にまとめられることにつきましては賛成したいというふうに思います。 ● ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 元本確定請求の関係で,いわゆる確定請求権というのでしょうか,もともとは確定請求権の明文化を念頭に置くようなお話があって,中間試案では解釈に委ねるとなって,今回,立法は見送るというか,もう本当に解釈に委ねるという形をとられる結果になったのだろうと思うのですが,前回でしょうか,○○幹事から,解釈上明らかなものであれば,なお立法にして明文化すべきではないかという御意見があったかと思うのですが,1点懸念されるのは,これまで判例とかでは,要は期限なし,限度額なしということで,それが前提で解釈上,いわゆる特別の元本確定というのでしょうか,解約請求権というのでしょうか,それが認められてきたと。これが今回,立法化によって限度額が定められる,期間が限られるという前提になった場合に,果たしてこの改正後もいわゆる今までの解約請求的なものが判例上当然認められるのか,逆に,期間の定めがあって限度の定めがあるのだから,この間は我慢しなさいと,解約請求権は認めないというような解釈の懸念がないのかというのだけは非常に気にはしているところでして,そこら辺は立法上の立場からどうお考えなのか,ちょっとだけお聞きしたいなと思ったのですが。 ● 今の点も既に何回か話題に出てきたところだと思うのですが,おっしゃるように,特別の解約請求権なるものについてはなるべく具体化の作業をして措置を試みるべきではないかということですが,それはこちらの理由で,こういうことで今回は見合わせますということを申し上げましたけれども,その理由から言っても,今までの規範について特別な変更を加えるということではないということの説明になっていると思います。   それから,これはこの部会でもこういった議論があったということも今後御説明していく必要があると思っておりますし,既存の判例法理で,特別な解約請求権であるとか,そういった形の別枠の保証人の保護の判例法理みたいなものについては,特にそれを縮小するというか変更を加える趣旨での立法ではないということを重ねて説明していきたいというふうに思っております。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 今の点ですけれども,要は,こういう極度額なり期間なりの定めを置くことによって,解約請求というような形で救済しなければならないような場合の発生自体を減らすという,そういうことがこの法改正の目的なのだと思います。ですから,結果的に,数とすればそういうのを適用する場合が減ることはあり得ると思いますが,それは,解釈上認めにくくなったというよりは,そういう場合が発生することがこれによって減ってくるという,そういう結果ではないかと思いますが。 ● ほかに御意見いかがでしょうか。 ● 私も,修正を加えた上でこの要綱案でいければと思っております。賛成したいと思います。   先ほど○○委員からありましたような賃貸借については,賃料だけを考えれば比較的,100万円だとかいうことを定めやすいかもしれませんが,原状回復請求権とかその他もろもろの債務を考えますとなかなか上限は決めにくいというのも一理あるかと思いますが,とりあえずこの要綱案の内容で立法しておいて,今後の検討にゆだねていく方が望ましいのではないかと。まだいろいろ検討すべき要素が多いかと思いますので,初めの一歩かどうか分かりませんが,これで現時点においては要綱案を固めておくのが望ましいのではないかと考えております。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 現行のこの案について,基本的にこれでよろしいのではないかと賛成いたします。   これは経過でいろいろあれして,保証人保護のルールということが社会的に求められている,それに対してこたえるということは非常に重要なことだろうというふうに思っております。   ただ,この間の経過の上で,実際の--そういうルールが明確化されることには全く異存はないし,きちっとしたルールでなされるべきでもありますが,その運用上ということで 申し上げましょう。その時点でやはりきちっとした話し合いがなされ,円滑な資金繰り等が行われるような実際の現場での努力ということは非常に重要だろうというふうに思っておりますので,そこのところが円滑にいくような関係者の取組みを是非お願いしたいということがございます。   それから,最後の方に提起をいたしましたけれども,いわゆる身元保証等の問題につきまして,これは性格として,今回,非常に過酷であるという部分の見直しから入ってきたときに,現状の判断はいろいろとありますけれども,例えば雇用関係においての身元保証という部分の在り方について,これが過度に雇用機会の制約になっている,それで現状は弊害がどうかという部分の議論もあるかと思いますけれども,やはり全体の在り方を含めてきちっと見直しをするということも,また機会がありましたら,御検討いただければ有り難いというふうに思います。 ● ほかにいかがでしょうか。 ● 皆さんの方から余り御意見が出ないので,直接今回の要綱案にかかわらない問題かもしれないのですが,ちょっと論点としてお考えいただけないかなと思っていることがあるのですが。   それは,こういうことでいろいろ保証期間--今回,表現は変わりましたけれども,保証期間が一定の範囲に決められたと。例えば5年なら5年間というふうに定められたということと,金融実務の中で借換えというのがありますよね。例えば,当初2年の期間で借りた,それが2年後に返済できない,事情が変わって返せなくなったので借換えで更に1年間延ばすというふうな場合もあるでしょうし,当初から長いスパンで借りることを予定していたのだけれども,とりあえずの返済期間としては2年と定めて,それを2年ごとに繰り返していくということもあると思いますね。実務としては,手形の書換えというふうなことでやる場合もあるだろうし,証書貸付であれば証書の書換えというふうなことでやると思うのですね。そういった場合と,この5年間,つまり保証責任が発生しないという期間との絡みで,5年より前に新規融資があって,その5年の期間中に借換えがあったといった場合に,この保証責任が当然に発生することになるのかならないのかという論点と,あとは,5年の間に新規融資があった,それで5年を過ぎた後に借換えがあったといった場合にはどうなるのかと,前の部分と後ろの部分と両方の場面で論点としてはあるのではないかなというふうに思うのですけれども,金融実務を御担当の方々が--まあ,今日伺って,その場で答えが出るのかどうか分かりませんが,どういうふうなお考えで扱うことになるのか,そのあたり御意見をいただけないかなと思ったのですが。 ● まず最初に,お話にあったように,5年以内でありますと。それで,5年以内に新規融資があって,5年の期日が過ぎて継続するという場合がありますと。そうすると,結局,継続後というのは無効ということになるわけですかね,考え方としては。だから,新規だと5年以内ですから,それは保証として有効だという理解になると思うんですよね。 ● ちょっとそこはいろいろと,またケース・バイ・ケースということになるのかもしれないのですが,先ほど○○委員がおっしゃった,例えば先に融資して一時的に重なっているような状態とかいうことになってくると,恐らく,同じ債務が続いていて保証の対象の範囲であるというような解釈はなかなか難しいんじゃないかなと思います。   実質的にお金のやり取りがないけれども何か証書を書き換えたというようなときにどうなるのかということになると,これはちょっと解釈問題が出てくるかもしれないのですけれども,ただ,基本的には,外形的にせよそういう新たな債務を発生させたという形になると,それは保証の対象から外れるというリスクが発生するおそれが強いと思いますので,その点については,まあ実際には猶予にすぎないのであれば,そういった形を維持するというような配慮が必要になってくるのかなと思いますけれども,この点,もう少し検討する必要があると思います。 ● 法律の問題ではなくて,事実認定の問題でもあるのだと思いますけれども。ただ,そういった問題が実務的にはかなり起きてくるのかなというふうに思いますので,ちょっと論点として提起をさせていただいたということです。 ● ただいまの借換えの話でございますが,基本的に,債務の弁済が滞るような中小企業であれば,むしろ借換えというような御案内は銀行からいただけないのではないでしょうか。かえって,期日の延長であるとか,よく言う債務承認弁済契約とか,そういう形で長期に転換をされるのを望むわけでございますが。一般的な融資先であれば,当然,借換えといいますか,いわゆる経常的な与信の範囲の中での反復融資の実行というのはあるのでしょうけれども,それは正に経常取引でございますし,それはむしろ1年ごと,あるいは長くても2年ごとの短期約定でやっているわけですから,その5年の間の管理ということで十分間に合うのではないかなというふうにも思われるわけです。   したがって,借換えということでむしろ絞り込んだ御議論でこの期間ということを御認識されるのはいかがなものかというふうに思います。 ● ほかにいかがでしょうか。   大体御意見をいただいたということでよろしいでしょうか。   それでは,保証制度部会としての要綱案の取りまとめということをお願いしたいと思いますが,まず,先ほどの部会資料7で提案されております要綱案の第一の三の修正の点ですけれども,本日の議論では,部会資料7に記載されております案文どおりに,2か月という期間も含めまして,修正するということでよろしいということでしょうか。--それでは,そういうふうにしたいと思います。   そこの修正を織り込みまして,要綱案全体について,これを当部会における要綱案にするということについて,先ほど幾つかの点で御意見はいただきましたけれども,特に元本確定期日については,要綱はこのままにしておいて,条文化の過程で5年を超えるような合意についての効力を はっきりさせておくということでよろしいでしょうか。   それでは,この要綱案を当部会における要綱案にするということについて,特に御異論がなければ,改めて採決する必要もないかと思いますけれども,いかがでしょうか。   それでは,特に御異論がないということでありますので,これを当部会における要綱案として決定することにしたいと思いますが,よろしいでしょうか。--どうもありがとうございました。   それでは,要綱案をこのように決定いたしまして,後日開催されます法制審議会の総会に報告することとします。どうもありがとうございました。   なお,今後,この要綱案が法制審議会総会を経て法務大臣に答申されました後は,事務局におきまして条文化の作業を行うことになりますが,その際の条文上の表現ぶりにつきましては事務局に一任していただくということにさせていただければと存じますので,どうぞよろしくお願いしたいと思います。   それでは,ここで,事務局を代表しまして,法務省民事局長の○○委員の方からごあいさつがございます。 ● 保証制度につきまして要綱案をお取りまとめいただいて,本当にありがとうございます。   いろいろ御議論がございましたけれども,事務当局としては,この議論を踏まえまして,この要綱案に基づく法案化作業を進め,この秋に予想されております臨時国会に提出したいと,こう思っているところでございます。   また,御議論の過程で,本当に今回の見直しが中小企業のためになるかどうかというような点について十分配慮をという御指摘がございました。私どもとしても,正に中小企業に対する金融を円滑化するということも含めてこの保証制度の見直しを行っているつもりでございますので,この新しい制度についての事後のウォッチも十分していきたいと,こう思っております。   また,この保証制度について様々な御意見,まだまだあろうかと思いますが,今後とも貴重な御意見をお寄せいただければと思っております。   どうも本当にありがとうございました。 ● それでは,ただいまのごあいさつに関連して何か御発言ございますでしょうか。 ● 商工会議所の立場から申し上げます。   ただいま決定されました要綱案につきましては,東京商工会議所並びに日本商工会議所等に代表される中小企業のかねてからの主張をよくごしんしゃくいただいたものとして高く評価をしております。   また,本案は,先ほどの○○委員からの御指摘にもあったように,さきの国会において成立いたしました改正破産法の御審議の際の衆参両院の法務委員会の附帯決議にも沿った内容でございます。その意味で,誠に国民の声を尊重されたものというふうに言うことができます。   本部会における委員の皆様の適切な御審議,短期間で本要綱案をまとめられた事務当局の御尽力それぞれに敬意を表させていただきます。   つきましては,今後,法制審議会総会及び国会の御承認を経て速やかに法律が施行されることを望むものであります。 ● ほかにはよろしいでしょうか。   それでは,要綱案については以上にしたいと思います。   それでは,ちょっと早いのですけれども,ここで休憩にしまして,休憩後に現代語化の方についての御報告をお願いすることにしたいと思います。            (休     憩) ● それでは再開したいと思いますが,次に民法の現代語化に関する報告をお願いしたいと思います。 ● それでは,民法現代語化の点につきまして,資料に基づきまして御説明差し上げます。   配布いたしました資料ですけれども,実は新聞等にも,現代語化の案を示してパブリックコメントに示すということを報道されておりまして,今現在,最終的な案文の調整中でございます。具体的に何日からということは申し上げられませんが,ごく近い日からパブリックコメントに付す予定でございまして,本当は本日,委員・幹事の方々にお渡しできればよかったかと思うのですが,お渡ししても,大部で持ち帰るのも大変で,ちょうどよかったかなという感じもしておるところでございます。   補足説明に即しまして御説明させていただきますけれども,この補足説明は,その現代語化の案と一緒にやはり公表して,ホームページ等にも掲載する予定のものでございます。   まず,「民法現代語化の必要性」ということですが,これは繰り返すまでもございませんけれども,現在の民法の第1編から第3編までは,明治29年の制定以来,全面的な改正がされておりませんで,片仮名・文語体を用いた表現形式が維持されております。それから,非常に分かりにくい難解な用語もありますし,用字も非常に難しい字が使われております。例えば疆界の「疆」でありますとか,「まど」という字ですとか,こういったものは,今のパソコンで言うJIS第2水準にも入ってないような漢字が使われているわけでございます。   この点につきましては,既に法務省の民事局内に民法学者を中心とする「民法典現代語化研究会」,これは座長を星野英一東京大学名誉教授にお願いしておりましたけれども,具体的な検討を加えているところでございます。その成果を踏まえながら,民法の現代語化を内容とする改正法案の立案の準備を進めてまいりました。今回,これまでの検討結果を民法現代語化案として公表いたしまして,改正法の立案の参考に供するために意見を広く一般から募集することにしたといういきさつでございます。   今後は,今回の意見照会の結果を踏まえました民法の現代語化を内容とする法案と,本部会において検討いただいた保証制度の見直しと,これも既に何度か話題に出ておりますが,民法の改正になるのではないかというふうな予定をしておりまして,結果として同じ国会に出すということになりますと,一本の法案として民法の一部改正法案としてこの秋の臨時国会に提出するということを予定として準備を進めているところでございます。   続きまして,今回の「民法現代語化の基本方針」でございますけれども,今回の基本方針といたしましては,まず第1点として,片仮名・文語体の表記を平仮名・口語体に改めると。   2番目といたしまして,現在一般には用いられていない用語・用字を適当なものに置きかえる。   それから,3番目以降が,やや単純な形式的なことにとどまらない部分ですけれども,確立した判例・通説の解釈で条文の文言 に明示的に示されていないもの等を規定に盛り込むと。これは単純現代語化の趣旨との関係で多少説明を要すると思われますけれども,確立した判例・通説上,要件として明確に疑義がないものについて,それを落としたような形で現代語に改めるということになりますと,これはかえって間違った立法,と言うと言い過ぎかもしれませんけれども,かえって誤解を与えると。これは単純現代語化の趣旨から言いましても,これをやらないで,そのままの言いかえにとどめるというのは立法として不適切ではないかということがございます。   この判例・通説の解釈でどういったものを今回の条文で具体化しているかということでございますけれども,これは補足説明の2ページの(1)に掲げております。   最も分かりやすいものを幾つか適示いたしますと,真ん中に書いてございます415条の債務不履行の規定がございますが,これについては,債務者の帰責事由がないときは損害賠償の責任を負わないということになっていますが,帰責事由の有無については,現行法では,御承知のとおり,明文に掲げられておりません。   それから,そのすぐ一つ下ですけれども,478条の債権の準占有者に対する弁済も,現行法では弁済者が善意であるときのみが要件になっておりますけれども,無過失であることも要件として,この点も判例・学説上疑義がないということでありますので,無過失である場合に限り有効である旨を明らかにするということをしております。   この選別の基準は何かということに恐らく御疑問を抱かれるかと思いますけれども,この点は,先ほど申し上げました,民事局内でも検討を加えておりました研究会の席で専門的な学者の先生に集まっていただいて,疑義がない範囲のものであるというふうなことで結論的に一致が見られた範囲で措置を講じたという,こういう趣旨と御理解いただければと思っております。   もう1点ですけれども,4番目といたしまして,現在では存在意義が失われている,実効性が喪失していると考えられている規定の文言の削除・整理を行うということも必要最小限度で行っております。   こちらは補足説明の3ページ,(2)のところに書いてございますけれども,これは3点のみでございます。   まず,現行法の35条でございますけれども,営利を目的とする社団で,商事会社でなく,いわゆる講学上民事会社と呼ばれているものですけれども,民事会社については商事会社に関する規定が適用される,あるいは商事会社の商法の規定の設立条件に従って法人となることができるという規定が置かれておりますが,この点は,一方で商法で全く同じ内容をもう一度書いてあるというような規定ぶりになっております。結論的には,同じ趣旨が商法に定められているということがございますので,これと別に民法中に重ねて規定を設ける必要はないのではないかということから,現行法35条は削除するということを提案する予定でございます。   それから,現行法の97条ノ2でございますけれども,これは公示による意思表示の規定でございます。公示による意思表示の方法として,現行法では裁判所の掲示場への掲示のほかに,官報と新聞紙への掲載ということが手続として要求されております。この点につきまして,新聞紙への掲載の方は,これは戦時中の戦時民事特別法以来,掲載しないということが決められて,その後も,戦時民事特別法廃止法の中の附則で その措置が戦後もそのまま続けられるという措置がずっと維持されているところで,戦時中から現在まで通じてこういった法律上の扱いが維持されているということになっております。   一方,最近の立法では,裁判所が行う公告の方法につきましては,従前,例えば破産法とか会社更生法におきましても,官報・新聞紙両方やっていたものについて官報だけにするという扱いに整理されておりますので,今回の改正に当たって,民法の公示による意思表示のみ新聞紙の掲載を維持するというのはいかにもおかしいのではないかと。特に,戦時民事特別法の関係で実際上停止されている状態自体は変わらないわけですから,これを維持するのはおかしいのではないかということで,新聞紙への掲載の文言を削除するということにしております。   それからもう1点,現行法の311条と320条ですけれども,これは動産の先取特権ということで,公吏--「公吏」自体,これは言葉の言いかえが本来なら必要だと思いますが,公務員の保証金の上に先取特権が存するという規定がございます。ただ,この規定につきましては,戦前の国家賠償法が整備されていない,国家無答責の原則がとられていた法制度のもとで,公務員が職務を行うに際して他人に損害を与えた場合に,公務員が納入した身元保証金から優先弁済を受けて被害者を保護しようとしたという趣旨で設けられた規定ということでございますけれども,この点につきましては,戦後の国家賠償法の制定によりまして,加害者である公務員の帰属する国又は地方公共団体が賠償の責任を負うこととされておりますし,判例・通説によれば,公務員個人が直接賠償の責任を負うことはないとされておりますので,被害者である私人が保証金について先取特権を行使する事態というのは実際には起こり得ないということになっております。そういうことから,今回,現代語化の案では,この311条の第4号,それから320条の規定は削除するということを提案しているところでございます。   それからもう1点,この点が恐らく一番関心があることかもしれませんけれども,「条番号の整序等」と書いてございます。   この点につきましては,今回,条番号の置きかえというのは基本的に現行法を維持するような形で現代語化案を示しております。その理由としましては,数次にわたる改正の結果,枝番とかがかなりふえていたり,それから削除されている規定とかが散見されるのですが,そういうのを全部並べかえてしまいますと,条文の番号と意味内容とが強く結びついている規定というものが多々ありますけれども,そういうものを全部変えてしまうと非常に混乱を生じる,先生方にも非常に御迷惑をおかけするのではないかと思います。その点から,今回はできるだけ維持するという方針でやっております。   ただ,必要最小限で,余りメジャーじゃない規定,と言うとちょっと語弊がありますけれども,その範囲で枝番についてはなるべく整理すると。あるいは,章とか節の中で枝番を後ろに押しやるとか,削除している規定を最後に持ってくるとか,一応お化粧直しをしていると,こういうことでございます。一応そこで「例えば」として書いてありますけれども,随分あるじゃないかとおっしゃるかもしれませんが,これは「例えば」と書いてありますけれども,基本的には網羅的に書いてあると御理解いただいてよろしいかと思いますので,この程度のことでありまして,あとメジャーな規定はここに含まれていないんじゃないかなというふうに思っております。   最後に,今回の公表資料の関係なのですけれども,今回の現代語化自体が基本的に意味内容は変えないということですので,今の条文がどうなっていて,それをどう言いかえるのか,その表現ぶりとか対応関係ということに専ら御関心があると思われますので,今回公表する資料といたしましては,いわゆる新旧対照表の方式で一般の方に資料を公表して御意見をちょうだいしようと思っております。案が完成し次第お手元にお届けするという形をとらせていただきますので,部会自体は今日で最終回ということになるかもしれませんけれども,忌憚のない御意見を民事局参事官室の方にお寄せいただければ大変有り難いと,こういうふうに考えております。   ちなみに,パブリックコメントの期間自体は1か月ということを予定しておりますが,何か問題があれば,できるだけ早く教えていただければ有り難いかなというふうに思っていますので,その点もよろしくお願いいたします。   現代語化についての説明は以上でございます。 ● ただいまの事務局の報告につきまして御質問とか御意見とかございましたら,お願いしたいと思います。--よろしいでしょうか。   それでは,この件につきましては,また改めて御意見等をお寄せいただければと思いますが,今後の予定につきまして,事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。 ● まず,本日御決定いただきました保証制度の見直しに関する要綱案でございますが,こちらは,来月8日に開催されます法制審議会総会におきまして○○委員の方から御報告をしていただきます。そこで総会において審議が行われる予定となっております。   この総会を経まして法務大臣への答申がされました後は,私ども事務局の方で条文化の作業を行いまして,先ほど御報告いたしました民法の現代語化とともに,本年秋に開会が見込まれております次期臨時国会に改正法案を提出すべく準備を進めてまいりたいというふうに考えております。 ● それでは,最後になりましたが,この部会の閉会に当たりまして,私から一言ごあいさつを申し上げたいと思います。   数回にわたりまして御審議に御協力いただきまして,どうもありがとうございました。   最初にこの問題を引き受けましたときに,私が深くかかわってきた問題については,借地借家といい,生殖補助医療といい,法律の日の目を見ることなく終わっておりまして,またそうなるのではないかということで,ややちゅうちょしたのですけれども,無事,本日を迎えることができまして,いろいろな実務の方々の意見の違いはありまして,意見の対立ということもございますが,御協力いただいて最終的におまとめいただいたということで,そういう意見を集約して今日まで至った事務局の御協力・御努力にも感謝申し上げたいと思いますが,特に学者委員の中からは,この包括根保証という限定的な場面だけでなく,保証全体についてなお見直す必要があるのではないか,あるいは身元保証についても先ほども御意見がございました。そういう保証全体の見直しということも必要だということは十分理解はできますけれども,当初のスタートで我々が与えられている範囲といいますか,そういう射程の中でこういう形でまとまったということで,改めて委員の皆様,幹事の皆様には御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。   それでは,以上をもちまして法制審議会保証制度部会を閉会にさせていただきます。熱心な御審議を賜りまして,どうもありがとうございました。 -了-