法制審議会倒産法部会特別清算分科会第3回会議 議事録 第1 日 時  平成16年4月9日(金)  自 午後1時00分                       至 午後5時04分 第2 場 所 法務省第1会議室 第3 議 題 特別清算についての検討課題(3)について 第4 議 事  (次のとおり)               議         事 ● まだ二,三お見えにならない方もおいでになりますが,定刻となりましたので第3回特別清算分科会を開会することにしたいと思います。           (委員・幹事の異動紹介省略) ● それでは,配布資料の説明等について○○幹事にお願いいたします。 ● それでは,私の方から本日の配布資料について御説明いたします。   本日は,分科会資料3「特別清算についての検討課題(3)」を御利用いただくこととなります。本日が第一読会の3回目ということですので,これまで残してまいりました問題,それから存立中の株式会社への拡大の問題も含めて,これで第一読会の資料としては検討課題を一通り取り上げたということになります。   それから,資料とは直接関係はございませんが,破産法案と整備法案の審議状況を御紹介いたします。先週から参議院での審議が始まりまして,一昨日,4月7日に参議院の本会議で全会一致で可決いたしました。参議院先議ということですので,この後衆議院での審議が予定されているところでございます。以上でございます。 ● それでは,本日の議事に入りたいと思います。   分科会資料3につきまして説明をお願いいたします。 ● それでは,分科会資料3の11の「清算人」及び12の「債権者集会」について御説明いたします。   11の「清算人」では,(1)として「公平誠実義務」,(2)として「清算人の解任及び選任」,(3)として「清算人に対する報告命令及び調査」,(4)として「清算人の行為の制限」,(5)として「債務の弁済」を取り上げております。   このうち,「公平誠実義務」,「清算人の解任及び選任」,「清算人に対する報告命令及び調査」,そして「債務の弁済」の(ア)及び(イ)は,現行の特別清算と同様のものとするとの考え方を掲げており,「清算人の行為の制限」については,後で監査委員と関連づけて御審議いただく予定ですので,ここでは「債務の弁済」の(ウ)を中心に御意見を伺いたいと考えております。   その前に,まず(1)の「公平誠実義務」については,2ページの(注1)で,特別清算開始後の清算人の権限と会社法制の現代化との関係,特別清算開始後の清算人に関する規律と平時の取締役及び取締役会に関する規律との関係の問題に触れております。   会社法制の現代化においては,通常清算についても見直しがされる予定であり,清算中の株式会社には,清算人会の設置を義務づけないものとするとの考え方が具体的に掲げられています。   取締役会,清算人会の制度は,昭和25年の商法改正により採用された制度ですので,もし清算人会の設置を義務づけない,清算人会が設置されないということになりますと,清算人に関する規律が特別清算創設当時のものに戻ることになります。これは同時に,平時における株主総会と取締役会との間の権限分配に関する規律が清算時には適用されないことを意味し,制度設計次第では,清算の開始により株主総会の権限が拡張し得ることになる可能性もあります。清算時の株主総会の権限の在り方については,会社法制の現代化における検討の結果をまたなければなりませんが,仮に株主総会は強行規定に反しない限りいかなる事項についても決議することができるとの考え方がとられたり,そこまでいかなくても,株主総会の権限が拡張し得ることになると,特別清算の進行に影響を及ぼすおそれも出てまいります。そこで,(注1)の第2段落では,そのような問題が生じ得るということを指摘しております。具体的な検討は,通常清算における株主総会の権限の在り方についての検討を待って行うことになると思われますが,株主総会の権限について,通常清算とは異なる規律をとることになる可能性があるということを,あらかじめ御認識いただきたいと思います。   また,(注1)の第3段落では,譲渡制限株式会社について,現行の有限会社の機関に関する規律に相当する規律の選択を認めるものとするとの考え方をとった場合の問題点に触れております。先ほどの問題と関連するものですが,ここでも平時において取締役会が設置されず,清算時には清算人会が設置されないことは,特別清算における清算人と株主総会との権限分配に影響を及ぼす可能性があることを御認識いただきたいと思います。   (注1)の最後では,視点を百八十度変えまして,昭和25年の商法改正時にさかのぼって,本来であれば取締役会,清算人会の制度を採用する際に,特別清算上の制度等についても見直しをすべきであったのに,これを見逃していた点がないかどうか,そのほか,現在の取締役又は取締役会に関する規律のうち,特別清算開始後に適用を認めるのが適当でないものがあるかという問題を取り上げております。現時点でお気づきの点があれば,この際お教えいただきたいと思います。   (2)の「清算人の解任及び選任」では,基本的に現行の特別清算と同様のものとすることを前提として,3ページの(注2)及び(注3)で,制度の合理化のための若干の見直しについて触れております。   まず(注2)では,清算人の解任又は選任について,利害関係人に申立権を認めるべきではないか,清算人の選任又は解任の裁判に対する不服申立てを認める余地はないかという問題を,また(注3)では,解任される清算人の権利保護のための手続を設けるべきではないかという問題をそれぞれ取り上げております。事務当局としては,いずれについても倒産処理手続と平仄をとるように,所要の整備をするのが適当であると考えておりますが,特段の御意見があれば伺いたいと思います。   (注4)では,清算人を解任すべき重要な事由の具体例を掲げております。条文化の作業に当たっては,このような具体例を踏まえて,分かりやすいものとしたいと考えております。   (3)の「清算人に対する報告命令及び調査」は,現行の特別清算と同様でございます。   (4)の「清算人の行為の制限」については,後に御審議いただくことになります。   そこで,(5)の「債務の弁済」ですが,まず(注5)では,債務の弁済の前提となる債権の申出の制度の見直し,債権の調査及び確定の手続の導入の可否又は要否等に触れております。(注5)に記載したとおり,新特別清算を通常の清算手続を厳格化した特殊な清算手続として位置づけるのであれば,新特別清算の開始後も通常の清算手続の枠組みをそのまま引き継がざるを得ませんので,特別清算の場合に限って債権の調査及び確定の手続を導入することは不適当であると考えられます。   なお,当分科会では,債権申出の公告の回数等の見直しについて度々御発言をいただいているところですが,この点は会社法制の現代化の中で通常清算の見直しの一環として,検討の対象とされているところです。   次に,「債務の弁済」自体ですが,本文の(ア)及び(イ)は,現行の特別清算と同様にするとの考え方を掲げています。   (イ)では,ここに言う担保権の被担保債権に一般の先取特権又は民事留置権の被担保債権を含めるべきかどうかという問題がございますが,(注6)のとおり,この点については引き続き検討させていただきたいと思います。   そこで,最大の問題は,(ウ)の共益的性格を持つ債権の弁済ということになります。(注7)記載のとおり,(ウ)の考え方は,前回,特別清算のために生じた費用及び特別清算の手続の費用が優先的な取扱いを受け得ることを,破産手続,再生手続又は更生手続への移行が生じた場合のみならず,特別清算中においても明らかにすべきであるとの意見が多数を占めたことを受けたものです。もっとも,前回の審議でも御指摘がありましたように,破産手続等とは異なり,共益債権のカタログを設けるということは困難であると思われますので,ここでは共益性があり,手続移行があった場合に財団債権又は共益債権となる債権についての条文表現をかりてまいりまして,特別清算のために生じた費用,又は特別清算の手続の費用についての規律を設けるものとしております。   学説上も,特別清算のために生じた費用又は特別清算の手続費用の弁済が,「これを弁済するも他の債権者を害するのおそれなき債権」に該当することについては,異論を見ないところです。   また,通常清算も含めて,制度上繰上げ弁済が認められていることや,(ア)の割合弁済や(イ)の許可弁済の表現を踏まえまして,「随時弁済することができる」という表現は用いず,専ら(ア)の特則的なものという位置づけから,単に「(ア)にかかわらずこれこれについて弁済することができる」という表現としております。   なお,このような債務の弁済については,4ページの①のように,裁判所の許可を必要とする説,②のように裁判所の許可を不要とする説,③のように原則として裁判所の許可を不要としますが,清算人の不法行為による損害賠償請求権の弁済については裁判所の許可を必要とする説等がございます。実務では①の説が採用され,かつ,包括的許可がされるのが通常であると言われております。そこで,①の説に基づいて制度設計をすることが考えられるところですが,その場合には(5)の(ウ)を独立に定めるのではなく,(イ)に付加するような形で条文化を図ることになると考えられます。   以上を踏まえて,債務の弁済に関する規律の中で特別清算のために生じた費用又は特別清算の手続の費用の優先的取扱いを定めるとの考え方をとることが適当であるかどうか,この考え方をとる場合には,①から③までのうち,いずれをとるのが適切かについて御意見を伺いたいと思います。   残りました(注8),(注9)では,まず(注8)の第1段落で,弁済許可の申立ての方式を取り上げております。現行法では,許可弁済が他の債権者の利益を害するおそれがあることから,弁済許可の申立ては清算人全員でしなければならないとされております。しかし,そこまで厳格な規律を設ける必要性があるかどうかは疑問があるところです。   また,(注8)の第2段落では,疎明義務及び裁判の方式を取り上げております。基本的に現行の特別清算と同様の手当てをすることが考えられますが,濫用防止の観点から,疎明義務を課す必要性まであるのかどうか,裁判への理由付記を個別に定める必要があるのかどうかについては,見直しを行う余地もあると思われます。いわゆる所要の規定の整備に属する事項ではありますが,これ以外にも同様の問題が生ずる箇所は多々ありますので,特別清算全体を通じてこの種の見直しを総合的に検討する機会を設けたいと考えています。今回は,特に債務の弁済に関して御意見があれば伺いたいと思います。   次に,(注9)では,清算人代理,清算人の報酬及び即時抗告の点に触れています。こちらも基本的に現行の特別清算と同様の手当てをすることが考えられますが,さらに新しい破産手続等と同様に,清算人代理の報酬についても規定を設けることが考えられるところです。これらの点についても,特に御意見があればお聞かせいただきたいと思います。   最後の5ページの(注10)では,清算人による換価の方法について,現行の特別清算と同様の規律を設けるとの考え方を取り上げております。これも細かい事項ではありますが,特段の御意見があればお聞かせいただきたいと思います。   次に,12では,債権者集会にかかわる事項をまとめて取り上げております。   まず(1)では,書類提出及び意見陳述のための債権者集会を取り上げております。   現行の特別清算では,「清算人ハ,会社ノ業務及財産ノ状況ノ調査書,財産目録並ニ貸借対照表ヲ債権者集会ニ提出シ且清算ノ実行ノ方針及見込ニ関シ意見ヲ述ブルコトヲ要ス」とされており,必ずしも明確ではないのですが,清算人は必ず書類提出及び意見陳述のための債権者集会を招集しなければならないものと解されております。これを維持するのが甲案です。   しかし,8ページの(注1)記載のとおり,いわゆる和解型の事案や対税型の事案では,実務上,この債権者集会は省略されていると言われておりますので,これを踏まえて,制度上も例外的にこれを招集しない余地を認めるのが乙案ということになります。   さらに,招集の要否を専ら清算人の裁量に委ねるのが丙案です。   なお,乙案については,新しい破産手続を参考にして,丙案については再生手続及び更生手続を参考にしておりますが,書類提出及び意見陳述のための債権者集会の招集の要否を清算人が判断するという点では,財産状況報告集会の招集の要否を裁判所が判断する破産手続等とは異なっておりまして,招集を要する場合と招集を要しない場合の振り分けの要件について,破産手続を参考としたというにとどまります。   また,本文では,代替的措置にも触れておりますが,民事再生規則63条及び会社更生規則25条を参考にして,調査書,財産目録及び貸借対照表の要旨を記載した書面の送付その他の適当な措置をとらなければならないものとすることや,民事再生規則64条及び会社更生規則24条を参考にして,調査書,財産目録及び貸借対照表を会社の主たる営業所に備え置かなければならないものとするとともに,主たる営業所以外の営業所にも備え置くことができるものとすること等が考えられるところです。以上を踏まえて,甲案・乙案・丙案のいずれを採用するのが適切であるか,御意見を伺いたいと思います。   なお,書類提出及び意見陳述のための債権者集会については,(注1)の第4段落のとおり,これを開催すべき時期について明文の規定を設けるといった手当てを講ずることも考えられます。通説的見解は,その時期について,調査が終了し,かつ,財産目録等を作成した後遅滞なく招集すべきものとしておりますので,その旨を規定上も明らかにすることが考えられますが,この程度の規律であれば,特に規定を設けるまでのことはないとも考えられます。そこで,この点について御意見があればお聞かせいただきたいと思います。   (注1)の最後では,書類提出及び意見陳述のための債権者集会の制度に関連して,財産目録及び貸借対照表の裁判所への提出の制度に触れております。会社法制の現代化に関する要綱試案では,通常清算における財産目録及び貸借対照表の裁判所への提出の制度を廃止する方向で検討が進められておりますが,もしこれが実現する場合には,特別清算開始の命令があった場合には財産目録等を裁判所に提出しなければならないものとすることが考えられるところです。この点について,現段階で何か御意見があれば伺いたいと思います。   次に,(2)では,書類提出及び意見陳述のための債権者集会以外の債権者集会の招集を取り上げています。   まず,すべての債権者集会に共通する事項として,債権者集会の招集の手続及び会日の延期又は続行がありますが,この点については(注2)のとおり,現行の特別清算と同様の手当てをすることが考えられるところです。   そこで,書類提出及び意見陳述のための債権者集会以外の債権者集会の招集ですが,(ア)の清算人による招集については御異論はないところと思われます。   (イ)の,少数債権者による招集についても,このような制度を設けること自体は御異論はないものと思いますが,若干気になりますのは,(注3)に記載した少数債権者による招集の要件です。細かい問題ではありますが,9ページに記載したとおり,昭和13年当時と規律の内容が大分異なっておりますので,この際,見直しを行うことも考えられるところです。特段の御意見がなければ,現在と同様の内容にするということでよいかと思いますが,(注3)に記載したような見直しをする必要があるかどうか,御意見をお聞かせいただきたいと思います。   また,少数債権者による招集については,10ページの(注4)のとおり,許可の申立ての方式,疎明義務,裁判の方式,及び許可の裁判に対する不服申立ての不許が問題となります。基本的に現在と同様の手当てをすることが考えられるところですが,疎明義務や裁判の方式,理由付記の点については弁済許可の申立て等と同様に見直しを行うことも考えられます。さらに,許可の申立てを却下し,又は棄却する裁判に対する通常抗告の可否も問題となりますが,事務当局としては,不服申立てを認める必要性は乏しいと考えており,認めるとしても即時抗告ではないかと考えております。   同様の問題は他でも生ずるところであり,総合的に見直しを検討する必要があると考えておりますが,債権者集会の招集に関して特に御意見があればお聞かせいただきたいと思います。   6ページの(3)の「債権者集会の指揮(議長となるべき者)」は,現行と同様にするとの考え方を掲げております。その理由については10ページの(注5)に記載したとおりでございます。   (4)は,決議ないしは議決権の行使に関する事項を取り上げております。   最初の(ア)では,「議決権」として議決権行使額を決定するスキームについて,現在と同様にするとの考え方を掲げております。特別清算の基本的枠組みを維持するという前提をとる限り,動かし難いところではないかと思います。   次に,(イ)では,特別利害関係人の取扱いを取り上げております。(注6)のとおり,現在の取扱いを維持するのが甲案であり,株主総会,社債権者集会,及び倒産処理手続における集会と同様の取扱いをしようとするのが乙案です。破産法の改正に伴う整備では,議決権行使の排除を維持しておりますが,乙案をとることも十分考えられますので,御意見を伺いたいと思います。   次の(ウ)では,無記名式債券の取扱いを取り上げております。   11ページの(注7)のとおり,現行の特別清算又は社債権者集会等と同様の取扱いをしようとするのが甲案であり,倒産処理手続と同様の取扱いをしようとするのが乙案です。(注7)の第2段落に記載したような事情を踏まえますと,乙案が適当ではないかと考えられますが,特別清算は債権の申出のスキームが倒産処理手続とは異なりますので,甲案をとることも考えられるところです。無記名式債券を多数発行しているような会社は,特別清算になじまないと言ってしまえばそれまでですけれども,制度上は無記名式債券を多数発行している会社を排除しているものではなく,今後実例があらわれる可能性もないわけではありません。仮に実例があらわれた場合には,実務に与える影響も大きいと思われるところですので,そのような点を考慮して御意見をちょうだいしたいと思います。   続いて,7ページの(エ)では,代理人による議決権行使を取り上げております。本文に掲げた限度では特段の御異論はないものと考えておりますが,11ページの(注8)に記載した議決権の不統一行使の制度の採否や,代理人の数の制限の可否について検討しておく必要があります。そして(注8)のとおり,少なくとも議決権の不統一行使の制度を採用することが考えられますが,その場合には,可決要件のうちの頭数の数え方が問題になります。議決権の不統一行使の制度を採用した上で,不統一行使をするかどうかにより決議の成否に影響を与えないように頭数を数えるという,改正民事再生法と同趣旨の規律を設けることが考えられますが,決議事項が再生手続ほど単純ではないという問題点もあるように思われます。この点について,御意見があればお聞かせいただきたいと思います。   なお,(注8)には,会社法制の現代化に関する要綱試案では,3日前までの議決権不統一行使の通知義務に係る規定を廃止するかどうかについては,なお検討するとされていることを付記しております。   7ページの(オ)は,協定の決議を除く可決要件でございますが,ここでは現行の特別清算と同様にするとの考え方を掲げております。   以上,債権者集会の決議に関して本文に掲げた事項ですが,このほかに12ページの(注9)に記載した書面又は電磁的方法による議決権の行使の制度の採否,基準日の制度の採否が問題となり得ます。   まず,書面等による議決権の行使は,現在では様々な場面で認められておりますので,新特別清算でも書面等による議決権の行使の制度,更には債権者集会を開催せずに,書面等で議決権を行使させる制度を採用することが考えられます。もっとも,債権の申出先,債権者集会の招集の主体,債権者集会の指揮の主体が一致しておりませんので,制度の採用に当たってはかなりの工夫を要するものと思われます。   また,基準日の制度についても債権者集会の招集の主体と指揮の主体とが異なりますので,こちらの採用に当たっては工夫の必要があると思われるところです。現在の特別清算の運用を前提とする限り,書面等による議決権の行使や基準日のニーズは必ずしも強いものではないと思いますが,制度の採否,採用する場合に考慮すべき事項等について御意見を伺いたいと思います。   次の(5)では,やや細かい点ですが議事録の作成を取り上げております。本文の内容については特段の御異論はないと考えております。その前提として,議事録の作成主体も問題となりますが,13ページの(注10)のとおり解釈が分かれている一方で,実務上特段の支障は生じていないと承知しておりますので,この点については引き続き解釈に委ねるという考え方をお示ししております。   債権者集会の最後は,7ページの(6)の「担保権者の取扱い」です。   (ア)の少数債権者による招集,(イ)の招集の通知,(ウ)の議決権,(エ)の債権者集会への出席等については,いずれも現行の特別清算と同様に取り扱うものとするとの考え方を掲げております。   特別清算において別除権的な取扱いをすべき担保権の範囲という根源的な問題については,13ページの(注11)のとおり,引き続き検討する必要があると考えておりますが,その点をおきますと,御異論のないところと思われます。   以上でございます。 ● それでは,順次御意見を伺ってまいりたいと思います。   まず,11の「清算人」についてでありますが,「(1) 公平誠実義務」をここに掲げたように現行法と同じように定めるということについては,特に御異論ないかと思います。--よろしいですか。   これと関連しまして,今の御説明のように(注1)のところで,会社法制の現代化に関する見直し作業との関係で,もし見直し作業の中で清算中の株式会社には清算人会の設置を義務づけないということにした場合に,一体特別清算の場合についてどうするかという問題がある。それから,譲渡制限株式会社についても,そこに定めたような規定が特別清算についても適用になるということについてどう考えるかと。先ほども御説明がありましたように,会社法制の現代化の方の動向を見ながら検討すべきことですけれども,もし何か御意見があれば承りたいと思いますけれども,いかがでしょうか。 ● 先回の続きというより,先回の一つ問題があったのに清算人会の決議が要するに機関意思決定としてという話がございました。それをいろいろ見てみたところ,一つの手掛かりとして,現在債務超過のおそれあるときには清算人による申立てが義務づけられている側面がございます。この義務は,代表清算人だけであるというのがどうも一般的な考え方のようなのですが,つまり個別の細胞としての清算人はそれぞれ義務は負わずに,代表清算人だけであるというのが,「注釈会社法」の○○先生なんかはそのお考えをとっておられるようでございまして,それをもとにいろいろ考えていくと,逆に言うと申立権も,一つの考え方として機関意思決定によって代表清算人が申立てをするという権利があるという構成が平仄が合うわけですね,義務と権利ということで。それから考えたときに,義務の点なんですが,清算人会を解消してしまって複数清算人が出たときは,債務超過のおそれあるときには全員に申立義務があるということになるのでしょうか。 ● そういう考え方になると思いますが。 ● さらに,裁判所がいつでもこの清算人の選・解任ができるという権限を持つことになりますね,そうすると,これは通常清算の場合には現代化の方で清算人会を解消しちゃって230条ノ10が直接適用されなくなりますので,株主総会が直接的に要するにコントロールができるという考え方になっているわけですね。   そうすると,清算のときにはそうであって--仮にその考え方をとって,清算のときには株主総会が直接清算人をコントロールし,特別清算になると株主総会のコントロールも裁判所に移ると考えてよろしいのですか。 ● コントロールということの意味だと思いますけれども,少なくとも選任・解任の権限は先ほど申しましたように裁判所。 ● その場合には,先ほどちょっと触れておられましたけれども,株主総会にはむしろ選・解任権はないということになるわけですね。 ● そうなると思います。 ● それは,通常清算のときから特別清算に移るときに,何と言って説明していいのかという点で困らないかなという気がするのですが。株主総会は,特別清算の場合に通常清算のように--株主総会が関与する通常清算の場合には,要するに財産が残っているから株主がもしかすると残余財産分配にあずかることができるじゃないかというので株主総会の直接コントロールという方に現代化の方では行っていると思うのですね。それを,より直接取締役会なんか仲介させると何するか分からないから,直接コントロールをしてという,自分の残余財産分配請求権を確保せよという方向に行くのでしたら,現代化の方では理論が一本通ると思うのですが,特別清算の場合に,それ全部取っ払って,直接まず株主がやるべきことを裁判所がすべてやってくれるとすることについて,橋渡し的な理論というか背景は何なんだろうと,ちょっと疑問に思うのですが。 ● ここの公平誠実義務にもありますように,清算人が特別清算状態に入った場合には債権者との関係でも法律上義務を負うことになって,特別清算に入ると,通常の,従来の清算人の位置づけからかなり変わるという説明が前提にあるのだろうと思いますけれども。 ● じゃ,特別清算の清算人というのは,通常清算の清算人とは質が違うということをはっきりしておいた方がよろしいわけですね。そうすると論理は合うのですけれども。 ● 程度は分かりませんが,少なくとも質が変わっているのは間違いないと思います。 ● 確かに特別清算の開始の原因が債務超過ということじゃありませんので,債権者の方の利益を尊重して株主総会の権限を皆排除しちゃっていいかという問題はありそうだということは分かりましたので,これに関連して現代化の方の動向も見ながら,なお検討させていただきたいと思います。   あとは特にございませんか。   そうしますと,(注1)の一番下に,先ほど○○関係官から特に御意見があれば伺いたいというふうに申した,現在の取締役又は取締役会に関する規律の中で,特別清算開始後に適用を認めるのが適当でないものがあるかどうかという点はいかがでしょうか。   特にございませんか。それでしたら,もし何かお気づきの点がありましたら事務当局の方に御連絡を願いたいと思います。   そうしますと,次は清算人の解任及び選任,今の問題と関連してまいりますが,裁判所は重要な事由があるときは清算人を解任することができると,清算人が欠けたとき,又は清算人の増員が必要なときは選任することができるという点は,現行法と同様ですけれども,これ自体についてはこれでよろしゅうございますか。   そういたしますと,それに関連して(注2)で,利害関係人にこの解任・選任についての申立権を認める必要があるかどうかということ,それから選任・解任の裁判に対して不服申立てを認める必要があるかどうかという,まず(注2)の点ですが,この点についてはいかがでしょうか。 ● 弁護士会で昨日バックアップ委員会がございましたけれども,利害関係人,特に債権者については申立権があってもいいのではないかと。ただそれは,破産のような形での職権発動を促すという意味での規定なのか,あるいは本当に権利として認めるのかという点については,バックアップ委員会としては特に固まりませんでしたけれども,私個人としては権利もあってもいいのじゃないかと。   それとともに,やはり不適任な清算人が選ばれた場合に対して,債権者の立場から意見が言える状態というのは,あった方が好ましいかと思います。 ● 分かりました。職権を促すだけでしたら,特に規定を置かなくてもあれですね。とりわけ債権者について申立権を認めていいのではないかという御意見ですが,ほかの方も大体そういう御意見でしょうか。   不服申立ての点はいかがでしょうか。これは,とりわけ解任が問題になるかと思いますけれども。   余り積極的に御意見ありませんか。 ● 確認ですけれども,破産法案では選任も解任も裁判について即時抗告は定められていないですよね。法案の74条,5条ですが。そちらにないのであれば,ここだけ入れるというのはちょっとどうかと思いますけれども。 ● もともと総会で選ばれた取締役が管財人に横滑りした場合に,解任決定するのは再生手続における管理命令の発令とやや似たところがあると思いますので,こちらでは管理命令に対しては即時抗告ができるとなっておりますから,私は解任についてだけは即時抗告を入れた方がいいのじゃないかなという気がしております。 ● 両方の考え方が示されましたが,ほかに御意見ございますか。 ● 制度が動けば,弁護士が特別清算人になる可能性が強いわけですが,解任されて文句は言えないというのは,就任する弁護士の立場からいえば……。そういう意味では,○○幹事がおっしゃったような御意見の方がいいのではないかと思います。   やはり,破産とは少し違うのじゃないかと思いますが。 ● 分かりました。では,そういう御意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。   それから,それと関連して(注3)で,解任の場合について,解任される清算人を審尋する必要があるのではないかという点ですが,この点はいかがでしょうか。これは余り御異論ないかと思いますが。   よろしいですか。--では,そういう方向で検討させていただきます。   (注4)は確認的ですね。   それでは,(3)の方に参りたいと思いますが,「清算人に対する報告命令及び調査」,これも現行法と同じように,裁判所はいつでも清算人に対して清算事務,財産の状況の報告を命じて,必要な調査をさせることができる。これも特に御異論ないかと思います。   これでよろしいですね。   (4)は,先ほどお話がありましたように後ほど監査委員のところであわせて御議論いただくとして,次に(5)の「債務の弁済」でございますが,まず(ア),現行法と同じように割合弁済はしなければならないというのが原則。これは御異論ないかと思います。   それから,次に(イ)。これも現行法と同様ですけれども,清算人は裁判所の許可を得て少額の債権又は被担保債権,その他弁済によって他の債権者を害するおそれがない債権については,弁済することができるということにする。これも,余り御異論ないかと思います。--それでは,こういう方向で決めさせていただきたいと思います。   そこで(ウ)。(ア)にかかわらず,特別清算のために生じた費用又は特別清算の手続の費用について弁済することができるという考え方はいかがだろうかと。   これと関連して(注7)で,弁済することができるとして,その場合に裁判所の許可に係らせるのかどうかということですけれども,この点はいかがでしょうか。 ● 弁済することができること自体は大変結構だと思います。裁判所の許可の点について,ちょっと一言よろしいでしょうか。   実務の取扱いは先ほど御紹介があったとおりですし,恐らく実務家の心理として裁判所の許可を得るというのがごく自然の成り行きだということは,それはそれで理解ができるのですけれども,いわば清算義務の遂行に伴って生ずるような費用であって,また破産管財人なんかと違って必ず裁判所が選任するわけでもない,裁判所の一般的な監督権があることを前提にしているわけでもないということを考えますと,この場合,果たして裁判所の許可という許可権限というのは一体どういう根拠に基づいて出てくるものか,ちょっと私はそこを十分納得できないところがございまして,事実上のことはよく分かりませんけれども,これは許可不要だという考え方にも十分理由があるのじゃないかと考えますので,その点一言申し上げます。 ● いかがでしょうか,今,○○委員の方から裁判所の許可は要らないのではないかという御意見がございましたが。 ● 私も○○委員と同じように,そこの裁判所の許可権限というのはどこから出てくるのかというのは確かによく分からないところがあったのですが,実質的に見ると,この場合には破産の財団債権のようにある程度特定のカテゴリーで書いていくということではなくて,こういうざっくりした書き方をするということからすると,これをめぐって争いが生じるという可能性は十分考えられるのではないかなというふうに思いまして,実質的に見れば,やはり清算人の判断だけに委ねるのが相当かどうかということは,やや疑問もあり得るかなというふうに思っていまして,裁判所の許可というふうに考えるのも一つかなと思いますが,あるいは現行破産法では財団債権の承認については監査委員の同意事項という形になっているということを考えると,実質財団債権に類似するものというふうに考えれば,あるいは監査委員の同意に係らせると,それは要するに実質債権者の共同の財産から弁済するということですから,債権者を代表する地位にある監査委員がそれに当たるかどうかということを判断するというのは,理論的にも説明がつくような感じがいたしまして,そういうようなことも考えられるのかなと,ちょっと思いました。 ● この資料にはあらわれていない考え方ですが,監査委員の同意に係らせると。 ● 弁護士会のバックアップ委員会では,許可をいただいた方が有り難いと,特に包括許可で,東京地裁で運用されているのは特別清算人にとっては有り難いというお話がございましたが,包括許可ということ自体は条文の上で出るわけではございませんし,ぎりぎり細かくおやりになる裁判所は必ず出てまいりますからいかがかなと私は思いますが,それは別にして,私個人の意見としては,清算人の善管義務の問題に尽きるので,それをすべて許可に係らしめることは本当にいかがかなと,○○委員がおっしゃるように,本来許可に係らしめることじゃなくて,善管義務で清算人が責任を負うべきことではないのだろうかという気がいたしております。   あと,○○幹事から,今監査委員のお話が出ましたが,これは後ほど監査委員のところで出てまいりますが,弁護士委員・幹事とも監査委員の活用にはあまり賛成ではございませんので,そうするとそれが前提になると,やはり監査委員の同意にかわるまた裁判所の許可という形になってしまいますから,トートロジーの議論になってしまう危険があろうかと思います。 ● つけ加えさせてもらいますと,確かに今の弁護士の方の立場から見ると,現在は包括許可でかなり広い包括許可なものですから,ほとんどここで許可をもらっているかなんて余り意識なくやっているものですから,その意味で特に裁判所の許可についてそんなに深刻に考えていないのですけれども,実質的に見ると財団債権に相当するものでありますし,それから清算人の行為については別のところでの制限があるものですから,これについての弁済については裁判所の許可は不要ではないかと。また,包括許可にしているのは,もともと基本的に許可は必要でないのじゃないかというところから,その思想が根底にあるのではないかというところから,したがって今度の制度を作るとしたら,裁判所の許可は不要と考えてつくっていただきたいなというふうに思っているところです。 ● 分かりました。どうも裁判所の許可に係らせるという,実務の現在の主流だという考え方は必ずしも評判がよくないようですけれども,○○委員や,あるいは早速ですけれども○○幹事の方から何か御意見があれば,いかがでしょうか。裁判所のお立場から見た場合は。 ● 裁判所から見て,許可をしておくと後で文句が出たときに許可があるからと言いやすいというのは分かるのですが,何を許可していいかは必ずしもよく分からない場合が多いので,その結果として,恐らく八部でも包括許可という形になっているのだろうと思うのですが,恐らく整理するとなると,それは自己責任でやっていってもらうという方向になっていくのじゃないかというように思っております。 ● 特に御異論がなければ,これで決めてしまうという趣旨ではございませんけれども,どうも裁判所の許可に係らせるというのはいろいろ疑問があると。理論上,あるいは実際上も疑問があるということのようですので,その御意見を踏まえて今後検討させていただきたいと思います。   監査委員の同意に係らせるかどうかは,監査委員のところでまた問題にさせていただきたいと思います。   それから,(注8)は(イ)の少額債権等の弁済についての裁判所の許可ですが,こちらの方はどうですか。これは裁判所の許可でいいのですかね。今のような考え方をとった場合に。戻るようですけれども,(イ)の方のこれは裁判所の許可でいいと。 ● 共益費用的な債権とそうでない債権で,質的な違いがあると思いますし,そうでない,いわゆる倒産債権的なものの間での差別的取扱いですから,それについては監査委員がやはりどちらを代表していいか,弁済を受けられない人と受けられる人とどちらを代表していいかどうか分からないと,利害相反状態に陥りますので,やはり裁判所でなければいけないと,こういうふうに私は思います。 ● それでは,(注8)に戻りまして,その許可の申立ては清算人全員でしなければならないとされているという点についてはどうでしょう。 ● これは,ここのところではございませんで,後ほどのところにも出てまいるのですが,日弁連の委員の中で,複数の清算人が選ばれた事件で,一定の方がどうしても判をついてくれなくて身動きがつかなかったという御経験をお持ちの方がおられますので,清算人二人だったら仕方がございませんけれども,やはり清算人の多数決で決められる形態をとっておかないと,実務が動かなくなるということがございますので,それは御検討賜りたいと思います。 ● 分かりました。どうもありがとうございます。   それから,同じく(注8)で,疎明義務,裁判の方式については現行法と同じような手当てをするということでよろしいでしょうか。 ● ここの疎明義務の疎明の中身が私はよく分からないので……。   ほかにも関係するのですが,例えば少額債権の弁済であれば,少額債権であるという事実と,それからそれを弁済しても公平を害さないと,こういう二つを疎明すると,こういう意味ですか。 ● そうだと思いますけれども。 ● 実際上は,申立書だけなんですね。少額債権の方は疎明しようと思えばできますけれども,本当の証拠書類までくっつけるとなったら膨大な作業になりますから。実際上はリストつくって,帳簿の上でこうなっていますという申立書になって。そういう点からいって,本当の疎明まで現場で尽くしているかといえば,多分どの弁護士もやっていないと思いますから。 ● ここは非訟事件手続法を準用して,いろいろな形で理由付記の部分ですとか,疎明義務の点が出てくるわけですから,実質論としてここまで必要ないのじゃないかということであれば,今回は非訟事件手続法も取り込む形で改めることが予想されますので,そこは大分修正が可能だろうと思います。 ● それでは,そういうことでよろしいですか。   そういたしますと,あとは(注9)で,関連するいろいろな事項について,清算人代理,清算人の報酬,あるいは即時抗告等について規定を設けるという方向でよろしゅうございますね,これについては。--では,特に御異論もないと思いますので……。   それから,(注10)の清算人による換価の方法については,破産法の規定に準じて定めを設けるという,これも特に御異論ないかと思いますが,よろしゅうございますか。   それでは,次に「12 債権者集会」の方に移りたいと思います。   まず,(1)の「書類提出及び意見陳述のための債権者集会」,いわゆる第1回の債権者集会をどう扱うかというので,甲・乙・丙という三つの考え方が示されております。それぞれ内容はさっき説明されたとおりで,甲は現行法どおり第1回債権者集会の招集を義務づける,乙は破産と同じように原則義務づけて,相当でない場合には招集しないこともできるとして,その場合は代替措置を決める,丙案は清算人の判断に任せて,招集するかしないか,代替措置でいくかを始めから選択的に定めるという考え方ですけれども,これはいかがでしょうか。 ● 特別清算の位置づけが,裁判所の非常に強い監督のもとで行われる倒産手続というよりは,むしろ通常清算と連続性のある利害関係人の自治的な要素のある手続だということを前提にしますと,丙案というのはとり難いのではないかと。甲か乙かということになろうかと思いますが,確かに開催する必要がない場合もあるということを考えると,乙案がよろしいのではないかと思います。   ただ,例外的な事情の例示として,会社に知れている債権者の数というのを例示として挙げるのが適当かどうかというところについてはちょっと疑問がございまして,破産法案を審議した場合には,債権者の数は非常に多数だというようなことが開かない典型的な事情として考えられているのでこのような例示を挙げたと思うのですが,8ページの(注1)にございますような,いわゆる和解型,対税型の事案ではというものを典型的に想定すると,こういう例示ではない別の例示を挙げる方がよろしいのではないかと。したがって,乙案を基本的に支持しますが,例示の挙げ方についてはなおちょっと御検討いただければというのが私の考えでございます。 ● 何か,例えばこういうふうなというのを示唆していただければ大変有り難いのですけれども。 ● 例示があるいはなしで,招集することが相当でないと書けば,それでいいのかなというふうに……。 ● それでもいいということですね。分かりました。   乙案支持の御意見ですが……。 ● 乙案の場合に,開催するかどうかと決めるのは,結局裁判所で。 ● これは清算人です。 ● 清算人が判断して決める。 ● 清算人の開催の要否の判断基準ということになると思います。 ● そうすると,確認ですが,清算人がその判断をして,実質的には御指摘がありましたように対税型とか和解型というのは,もう個別に行いますから,その方が圧倒的に多いだろうと思いますが,その判断については清算人が行うということ。分かりました。   そうであれば,乙案で結構です。 ● 乙案と丙案の違いは,開催を原則とするか,それとも全く自由にするかということですね。これからの特別清算手続がどういうふうに使われるかということは十分分かりませんけれども,○○幹事の言われたように特別清算というものが破産のような形ではなくて,商法の通常清算の延長上の特別の手続であるということを強調していくと,丙案というのは十分成り立つ考え方だと思いますし,実際には開催をしない例の方が多くなるのじゃないかという気を私は持っているのですけれどもね。だから,全く完全に清算人の自由,どちらが原則ということではなくて,清算人の自由に考えてもらいたいと,その場合に要件も清算人に全部丸投げするという丙案の考え方でいいのではないかというふうに考えてはきたのですが。 ● 日弁連もこのあたりは随分議論はしたのですが,最終的には乙案が多数でございました。丙案を推す意見もあったのですが,再生手続,更生手続において任意的にした理由というのが,再生債務者,それから更生会社の方で,それは先に説明会,当然かなり積極的にやらないと同意がとれませんので,あえて強制しなくてもできるだろうという理由も一つあったかと思います。   特別清算の場合,清算に入るとなると余りそのあたり熱心にやらん可能性もありますし,やはり乙案のような形で開催を一応原則としつつ,不要なものはやらないという方が,この特別清算の趣旨に合うのかなというのが意見としては多数でございました。 ● どうも甲案のように,現行法のように一律に義務づけるというのは適当ではないということでは御意見が一致しているかと思います。   乙案と丙案は,実際の運用上はそう変わらないのかもしれないですね。清算人の最初の公平誠実義務とか何とかいうことになってくると,特別な理由がなければ開いて説明をし,意見陳述の機会を与えるということになるかもしれませんが,そういうことも踏まえて,それでは乙・丙の間で検討させていただくということでよろしいでしょうか。   それでは,分科会としてはそういう御意見だと,乙案がやや多いようですけれども,丙案も成り立つのではないかという御意見が述べられたということで検討させていただきます。   これと関連して,開催すべき時期,これはどうでしょうか。何か定めを置いた方がいいのか,それとも調査が終了して財産目録等ができれば遅滞なくということであれば特別の規定は要らないのか,もし何か御意見があれば伺いますが。   何か,取り立ててこのときまでにとか何とか言わなくてもいいようにも思いますけれども。法律で決めなくても。   よろしいですか。これも決めを打つわけではありませんけれども,それでは特に規定は設けないような方向でということにさせていただきます。   それから,会社法制の現代化の方で,通常清算の場合に株主総会の承認を受けた財産目録,貸借対照表を裁判所に提出するという制度を廃止するという方向だと,もしそうなったときには特別清算の場合には特に提出させるという規定を設けるべきじゃないかということですけれども,これは会社法制の現代化の方がどうなるかということにかかっているわけですが,恐らくもし通常清算の場合にこういう制度が廃止されるということになれば,特別清算については何か規定を置くということになりますでしょうね。--それでは,そういうことにさせていただきます。   それでは,「(2) (1)以外の債権者集会」ですけれども,招集権者は清算人ということで,清算人が招集するということで,これでよろしいでしょうね。先ほどからの御議論では,当然ということになるかと思います。   その場合に,(注2)で招集の手続及び会日の延期・続行,これらについては現在と同じような規定を置くということでよろしいですか。--特に御異論ないようですので,そうさせていただきます。   次は(イ)の本文の方に戻りまして,少数債権者による招集のスキームですけれども,この点はいかがでしょうか。お示ししましたのは,株主総会の場合の少数株主の招集に準じた形で規定をするということで,会社に知れたる債権者の債権総額の10分の1以上の債権を有する者ということで,その場合に招集を請求することができることとして,請求があった後,遅滞なく招集手続がされないとき又は請求のあった日から8週間以内の日を会日とする債権者集会の招集の通知が発せられないときは,裁判所の許可を得て少数債権者が招集することができるというスキームですけれども,この点についてはいかがでしょうか。   (注3)のところに詳細な説明がありますが,必ずしも株主総会の場合と同じでなくてもいいのではないかということで,8週間というのを6週間というふうにしてもよろしいのではないかという考え方が示されておりますけれども,これについてはいかがでしょうか。   株主総会の場合の少数株主の招集権のスキームと必ずしも合わせる必要がないという点については,余り御異論もないかと思うのですけれども,それに合わせなければいけないという必然性もないと思いますので。   具体的にこの8週間を6週間にするという点はどうでしょうか。   これ,実際上どのぐらいの違いというか,影響が出てくるのか,ちょっとよく分かりませんが。   何か,弁護士会の方で御意見ございませんでしたか。 ● 特にありません。6週間になったら6週間で十分……。株主総会の方がこうなったというのはよく分かったのですが,それに連動することもないだろうと思います。6週間で構いません。 ● では,ここにお示ししたような考え方で検討させていただくということにしたいと思います。   (注4)は,これに関連した規定ですね,許可の申立ての方式,疎明義務,裁判の方式,許可の裁判に対する不服申立ては認めないというような点について手当てをするということで,これはよろしゅうございますね。   (注4)の後段の部分ですが,現在の特別清算で許可の申立てを却下する裁判に対して通常抗告ができることになっている,これは先ほどもちょっと○○関係官の方から申し上げたとおり,即時抗告でよろしいのではないかと思いますが,それでよろしいですね。   本文の方に戻りまして,(3)の「債権者集会の指揮」でございますけれども,これは裁判所が指揮をするということでいかがでしょうか。 ● 中身はそういうことで結構だと思うのですが,ちょっと言葉遣いの問題で恐縮なんですが,「指揮」という言葉がちょっと気になっていまして,この指揮というのはほかの債権者集会,倒産手続の債権者集会もそうなっているのですが,ここの特別清算の場合は裁判所の指揮というのは性質が違うということが「条解」ほかあちこちに書かれていて,これは少なくとも裁判期日がないという理解だと思うのですが,だからこそ後で議事録とかそういう話が出てきて,それから例えば法廷等の秩序維持に関する法律も適用がないという,そういう意味では私的な性格を持った会合であると,しかし実質的には(注5)に記載されているような理由で裁判所が議長役をやっているということだろうと思うので,そういう実質からすると,ほかの倒産手続の債権者集会等と同じように,「裁判所の指揮」という言葉を使うのがちょっと適当かどうかということについてやや疑問を持っておりまして,これは法制的な問題だと思いますので,お考えをいただければと思います。 ● 分かりました。ありがとうございました。確かにそうかもしれないですね。   ほかに御意見ございますか。   特にございませんでしたら,次に(4)の「決議」の方に参りたいと思います。   (ア)の議決権ですけれども,これは現行法と同じように議決権を行使させるかどうか,いかなる金額で議決権の行使をさせるかというのは,清算人が決めると。そして,清算人の定めた議決権の行使の許否又はその額について,当該債権を有する者,あるいは他の債権者が異議を述べたときには裁判所が定めると。その議決権の行使の許否又は額についての裁判に対しては,不服申立てをすることはできないということでどうかという点はどうでしょうか。これでよろしゅうございますか。何か,特に御疑問等があれば,どうぞ。   これは,この債権者集会の性格からいって清算人が第一義的には決める,そして争いがあれば裁判所ということで,よろしいですね。   そうしますと,次は(イ)で「特別利害関係人の取扱い」ですけれども,これについて甲・乙両案が示されております。先ほどの説明のとおり,甲案の方は特別利害関係人は議決権を行使できないという考え方,乙案の方は新破産法案と同じように特段の規定を設けないということですが,この点はどうでしょうか。 ● 結局,多数決濫用をどこでどう規制するかという問題だと思いますが,結局協定の認可要件をどういうふうに定めるかと連動していますので,ここだけ独立に取り上げて議論するのは,ちょっと適当ではないような気もいたしております。 ● 確かに,認可要件と関連してくることは間違いないですね。 ● 私は,どちらかというとここは外した方が……。乙案の方が望ましくて,認可要件にそれなりの手当てをした方がいいという立場でございます。 ● 弁護士会では乙案の方が圧倒的に多かったのですが,それはほかの倒産手続,会社更生にしろ民事再生にしろ,そこでそういう制限が設けられていないということと,それから今御指摘があったところですが,当然清算価値は保障されるのが前提になっているということの理解から,乙案の方がいいのではないかという意見が多かったです。 ● ここでも乙案でいいという御意見が多いかなというふうに思っているのですが,特に御異論がなければ乙案の方向で考えさせていただくということにしたいと思います。   次は,(ウ)の「無記名債券の取扱い」ですが,これについても甲案・乙案がございますけれども,いかがでしょうか。甲案は現行法ですけれども,これについても特段の制限を設けないということでよろしいのじゃないかと。 ● 他の倒産処理手続と同じでよろしいだろうと思っておりますが,ただ(注7)の説明のところで,会社法制の現代化によって社債管理委託契約の定めがある場合には,決議なくても一切の行為を行うことができるということを今検討されているようですが,それが実現したら制度的手当てを講ずるニーズは弱まるとあるのですが,これは果たしてそうなのか,こういう制度ができるのかどうか分かりませんが,仮にできたとしたところで,社債管理会社がデフォルトになった途端に社債権者は社債管理会社に対するおまえたちの管理義務違反があるのだと,こういう状況の中で,社債管理会社がそれをあえてどちらかの判断行為を自らするというのは,私にはちょっと考えにくいと思っておりますし,銀行の方々,皆さんそういうふうな御発言もいろいろされていると聞いておりますので,仮にこの制度ができたとしても,やはり社債権者集会なり何なりということでやらざるを得ないような状況にはなってくるのじゃないかなと思っておりますので,ニーズは弱まることはないのじゃないか,こう考えております。 ● ほかの法律の制度趣旨をお教えいただきたいのですが,恐らく○○幹事がお詳しいのではないかと推測するのですけれども。   社振法,社債等の振替に関する法律86条で,振替社債については特別清算の場合に供託義務,供託を要しないとしか読めない規定になっておるのですけれども,これは無記名社債と振替社債の関係がどうなっているのか,ちょっとよく分からないものですから。   結論的には振替社債と同じように,この場合は要らないのではないかというふうに考えるのですけれども,理由としては,設置債の場合に,なぜ社債管理会社に特別清算の決議の場合において,なぜ社債管理会社に供託しなければいけないのか,よく分からないところがございまして,社債権者集会において権限行使する場合についてはそうだと思うのですけれども,なぜ社債管理会社に供託しなければいけないのか,特別清算の場合において。というのがよく分からないところもありますし,ほかの倒産手続との平仄という点もだと思いますので,結論的にはそうなのですが,この社債等の振替に関する法律でなぜ省かれたのか,何か積極的な理由があったのであれば,そういう補強材料になるのかなという気がいたしております。 ● 今の点についてはいかがでしょうか。 ● これに関与していなかったので,ちょっと分からないのですけれども。 ● ○○幹事,何か御存知でいらっしゃいますか。 ● 社振ですか。特に私は存じ上げないのですが。 ● それでは,今の御指摘の点は,なおちょっとこちらで調べさせていただきます。   当面は,それではここも破産と同じように乙案で考えるということでよろしいですか。 ● 私どもも,乙案ということで結構でございます。   ただ,念のために。一応,先ほども御紹介がありましたが,会社法の現代化の方では,この考え方には慎重な意見も出されていると,御参考までに申し上げておきます。 ● それでは,乙案の方向で考えさせていただきます。   次は,(エ)の「代理人による議決権行使」の点ですけれども,本文に書いてあるところについては特に御異論ないかと思います。代理人をもって議決権の行使ができて,債権者又は代理人は代理権を証する書面を会社に提出しなければならないと。それから,代理権の授与は債権者集会ごとにしなければいけないということについては,特に問題ないかと思いますが,関連問題として,11ページの(注8)で,議決権の不統一行使の制度を採用するかどうか,それから代理人の数の制限を設けるかどうかという論点が挙げられておりますが,この点についてはいかがでしょうか。   12ページの方にございますように,不統一行使を認めるということにした場合には,可決要件のうちの頭数要件をどうするかという問題が出てくるわけですけれども,その点についても御意見があれば伺わせていただきたいと思います。 ● 異論はないと言われてしまった本文の方のところで,ちょっとよく分からなかったのですが,代理権の授与は書面でということと,債権者集会ごとということなんですが,他の倒産手続の場合との比較で,全く同じ仕組みということになっているのでしょうか。 ● 書面を提出する,倒産処理手続の場合は裁判所にということになります。これは民事訴訟法関係の準用でそういう結論になるということだろうと思います。   それから,債権者集会ごとにというのは,解釈上倒産処理手続についてもそのように解するべきだというのが,多分通説的な見解だろうと思っております。ですから,規律としては倒産処理手続と同じということになるということです。 ● ここだけこういうふうに取り上げられているものですから,ほかの手続と同様にしてほしいという要望があったものですから。   普通,その倒産手続の代理権を与えた場合に,債権者集会ごとということになるのでしょうか。 ● ある債権者集会での議決権行使についてだけ代理権を与えると。と思うのですけれども,原案の趣旨は。 ● ここで言っているのは,恐らく決議事項ごとにというのが実質だろうと思いますので,倒産処理の場合は決議事項といえば最終的には計画案の決議しかありませんので,実際には問題にならないということなのではないかと思いますけれども。 ● 決議事項ごとにということ。 ● 債権者集会ごとにというのは,個別に債権者集会を招集して,そこで決議をするなり何なりするということを前提にしていますので,こちらでは決議事項が多種多様でございますのでこういうことになっているのではないかと思いますけれども。 ● そうすると,決議事項のない,第1回の行われるであろう債権者集会のような決議事項がないときは,これは別だということになるわけですか。 ● ここは,議決権の行使の代理ということですので。 ● よろしいですか。 ● はい。 ● そういたしますと,先ほどの不統一行使の点についてはいかがでしょうか。 ● 日弁連の委員会での議論としましては,民再並みで0.5ということでよろしいのじゃございませんでしょうかと。それで特に差し支えることも思い浮かびませんでしたので,それで結構かと存じますが。 ● 先ほどの説明にも出ましたように,今も,それから○○関係官の方からの説明にも出ましたのですが,少し決議事項にいろいろなものがあって,単純に可か否かというだけで決めるのであれば,今のように分母を1にした場合に分子を0.5にするという民事再生型で多分問題ないと思うのですけれども,もうちょっと,例えば監査委員をどう選任するかとか,債権者集会の権限が民事再生などよりも多いので,多いといいますか多様なので,そのあたりが少し分からない点があるという気はいたします。もし単純に可否だけ決めるのであれば,今,○○委員が言われたように0.5を足すというのが基本だと思います。 ● 今の監査委員を決める場合に,頭数要件が働く余地があるのでしょうかというあたりで,私自身は働く余地はないので,協定案の可決のときぐらい,結局少数債権者保護として頭数要件が出てくるわけでございますから,そうすると少数債権者保護を図らなければいけない場面というのは,協定の可決以外にはどこがあるのだろうかというのが,私自身は余り思い浮かばないので,それで民再並みで特に必要ないのではないかと,そういうことで申し上げているわけですが。 ● 確かに,頭数要件がどう働くかもよく分からないというのはありますので,少し研究させていただきたいと思います。 ● 特に御異論なければ,不統一行使を認めるという方向で,その頭数要件については今の○○委員の御指摘を踏まえてなお検討させていただくということでよろしいでしょうか。   そういたしますと,代理人の数の制限はどうでしょう。   大分細目にはなってきますので,それではこちらで検討させていただくということにいたしまして,次は(注9)で,書面又は電磁的方法による議決権の行使の制度を認めるかどうか,それから基準日の制度を入れるかどうかということが取り上げられておりますが,この点についてはいかがでしょうか。   書面等による議決権行使は,今の全体の流れからいうと認める方向になるのじゃないかと思いますが,それでよろしいですか。   基準日はどうでしょうか。 ● 弁護士会としては,設けていただいていいのではないかと。対税型だけじゃなくて,それなりの案件もございますから,債権の移動が激しい昨今でございますので,そういう考え方でお願いしたいということでございます。 ● それでは,特に御異論がなければ,その方向で考えさせていただきます。   7ページの本文に戻って,(オ)の「可決要件」で,協定はちょっと別にして,一般的な他の事項の可決要件ですけれども,これについては現行法どおり,出席した議決権を行使することができる債権者の過半数の同意,それから出席した議決権を行使できる債権者の議決権総額の2分の1,頭数要件,それから議決権要件ともに出席した債権者の過半数又は2分の1以上ということで,これはこれでよろしゅうございますね。   そうしますと,これに関連をする注としては特にないですか。   次は,「議事録の作成」ですけれども,債権者集会を指揮した裁判長及び出席した清算人は,議事録に署名しなければならないものとするということでどうかということですが,これもこれでよろしゅうございますか。   関連問題としては,(注10)がありますが,これは引き続き作成主体をどう考えるかということについては解釈に任せるということですので,確認させていただくということにいたします。   次は,(6)の「担保権者の取扱い」で,そこにございます(ア)から(エ),これらについては別除権を行使することができる債権者については,担保権の行使によって弁済を受けることができる債権額は算入しないということ,それから招集の通知については通知をする,それから議決権については不足額の限度でしか行使できない,債権者集会又は債権者集会を招集した者は,出席を求めて,債権者集会において意見を聞くことができるものとするということは御異論ないかと思いますが,(エ)の括弧書き,債権者集会の場合に「債権者集会にあっては,その決議により」というのを入れるかどうかという点ですが,これはどうでしょう。 ● これは,技術的に債権者集会が実際は決議によると思いますので,いわばこれは法制的な現代語化の世界だと思います。 ● それでは,そういうことにさせていただいて,大分時間をとりましたけれども,これで「11 清算人」と「12 債権者集会」で御意見を伺うのを終えたということで先に進むことにしたいと思います。 ● 今のと関係ないのですが,今日全体,非常に手続的なことがありまして,細かなことはどういうふうな立法形式になるかということはちょっと先のことですし,あるいはもう御説明を受けているかもしれませんけれども,現行法ですと商法があって,非訟事件手続法に手続規定がある,しかし最高裁判所規則というようなものはないというあれですが,それが維持されるというふうに考えていいのか,それともこれについては最高裁判所規則みたいなものが考えられるのかどうか。細かな規定を見ていきますと,これは規則事項かなと思うようなこともありましたものですから,何かイメージがもし今お話しいただけるなら,お聞きしたいと思います。 ● 今は,商法と非訟事件手続法に分かれていて,非常に読みにくいというのがよく言われるところですので,今回の商法の現代化の手法にもかかわるところですけれども,基本的には非訟事件手続法の中の手続的な部分も,商法といいますか,この特別清算に関する部分に取り込んで,一覧的なものにしたいというのが一つございます。   それから,もちろん今細かいものも幾つかございますので,そういったものについては最高裁判所規則の方に委ねる,これも現代化の手法にかかわりますけれども,例えば商事非訟に関する規則というようなものをつくって,細かい点を規則化すると,こういうことを予定しております。 ● よろしいですか。 ● どうもありがとうございました。 ● それでは,13の「監査委員」について説明をお願いいたします。 ● 13ページの「13 監査委員」について御説明いたします。   本文では,監査委員の制度を存続させるものとするとともに,制度の実効性を確保し,活性化を図るために見直しを行うものとするとの考え方を掲げております。   このような考え方を掲げた理由については,15ページの(注1)から16ページの(注3)までを御覧いただくことになります。   まず(注1)では,監査委員の制度の趣旨,目的と,過去の利用状況に触れております。監査委員の制度は,破産手続上の監査委員の制度に倣ったものであり,昭和13年当時からその問題点が認識されておりました。実際の利用状況を見ても,当初から認識されていた問題点が現実のものとなり,監査委員が選任される例はほとんどないと言われております。その理由については,15ページの①から⑤までに掲げたようなものが指摘されております。   また,かつては監査委員が選任されることもあったようですが,清算人の便宜のために選任されるという色彩が濃厚であったようです。そこで,特別清算においても,新しい破産手続と同様に,監査委員の制度を廃止することが考えられますが,(注2)のとおり,特別清算においては監査委員の制度を廃止する積極的理由は乏しいと言わざるを得ないと思われます。もっとも(注3)のとおり,より合理的な制度を設けることは考えられるところであり,ここでは債権者委員会の制度や監督委員,監督命令の制度の採用について検討しております。   まず,債権者委員会の制度ですが,(注3)の第2段落に記載したとおり,債権者集会の決議要件及び債権者委員会の承認要件に照らしますと,実質的には監査委員の制度と同等又はより厳格であるということもできますし,債権者委員会と清算人又は裁判所との関係も,破産手続等における債権者委員会とは異ならざるを得ないと考えられますので,監査委員の制度にかえて債権者委員会の制度を設けることを検討するというアプローチをとるのではなく,監査委員の制度を維持しつつ,監査委員の選任手続の見直し,人数要件の見直し等を行う方が適切であると考えられます。   また,監督委員,監督命令については,17ページに記載したとおり,債権者の意思を基礎としない手続上の機関を設けることとなり,間接的であるとはいえ,裁判所による監督という側面が強化される結果となりますので,特別清算の基本的な性格にそぐわないと思われます。また,特別清算開始後の清算人の性格と監督委員との関係についても,理論上の問題がないわけではないと思われます。   なお,債権者集会の活用という方策も考えられないではありませんが,監査委員の制度の趣旨,目的に照らし,現実的ではないと考えられます。   以上のような点を考慮して,本文では,監査委員の制度を存続させるものとし,制度の実効性を確保し,活性化を図るため,個別の制度,手続についての見直しを行うものとするとの考え方を掲げております。このような考え方について,御意見を伺いたいと考えております。   次に,13ページの(1),14ページの(2)及び(3)は,監査委員の制度の見直しについての具体的な提案をしております。   まず(1)は,監査委員の選任及び解任の手続の見直しです。債権者集会の決議による選任及び解任の制度を維持しつつ,これに加えて債権者集会の決議以外の方法でも監査委員を選任し,又は解任することができるものとするとの考え方を掲げております。   17ページの(注4)のとおり,少数債権者による債権者集会の招集の制度や,新しい破産手続における債権者集会の制度を参考にしたものですが,これまでこのような考え方が提案されたことはなかったと思いますので,このような考え方をとる場合の理論上,実務上の問題点を含めて,その採否について御意見を伺いたいと思います。   次の(2)は,監査委員の人数の見直しです。現在は,監査委員は3人以上とされておりますが,(注5)のとおり,3人以上である必然性はないと思われます。そこで,監査委員の人数の下限を撤廃するとの考え方を掲げております。   最後の(3)は,監査委員の同意を要する事項についての見直しです。   18ページの(注6)の冒頭に記載したとおり,監査委員による同意の制度をより柔軟に利用することができるようにするための見直しを行おうとするものです。   まず(ア)では,基本的枠組みをどのようにするかという問題を取り上げています。甲案は,現在のスキームを維持する考え方であり,乙案は新しい破産手続を参考として,事案に応じて同意を不要とする範囲を拡張することができるようにする考え方です。さらに乙案のバリエーションとしては,監査委員又は裁判所の判断により同意又は許可を不要とする範囲を拡張することができるようにするということも考えられるところです。いずれの考え方が適切であるか,御意見をちょうだいしたいと思います。   (イ)の「同意を要する事項の拡張」は,(ア)とは逆に,事案に応じて同意を要する範囲を拡張することができるようにするものです。   さらに(ウ)は,基準となる金額の見直しであり,現在100万円とされている基準額を引き上げるという考え方です。破産手続については,今回の見直しに伴い,最高裁判所規則で100万円と定められる見通しですが,破産手続よりも自主性が高い特別清算手続については,更に金額を引き上げるということも考えられるところであり,あわせて基準額の具体的な定めは最高裁判所規則に委任するということも考えられるところです。これらの点についても御意見を伺いたいと思います。   本文に掲げたのは以上ですが,更に18ページの(注7)及び19ページの(注8)では,監査委員の制度を維持する場合に問題となる細かい事項に触れており,(注7)では,見直しを行う必要があると思われる事項を,(注8)では現行の特別清算と同様にすれば足りると思われる事項をそれぞれ取り上げております。これらの事項について,現段階で特段の御意見があれば,お聞かせいただきたいと思います。 ● 監査委員をどうするかというのは重要な問題ですので,これだけ独立に説明をしていただいて,ここで切って御意見を伺いたいと思います。   まず最初に,資料に掲げました考え方は今説明されたとおり,監査委員の制度は存続させるということで,しかし現行法どおりということではなくて,必要な見直しを行った上で存続させるという考え方ですけれども,(注3)に示されておりますように,ほかの考え方ということも考えられるのではないかと。ここでは,例示として債権者委員会の制度を設けるという考え方,それから監督委員の制度を設けるという考え方が示されておりますが,まずこの点について御意見を伺いたいと思います。   ここで伺わないと,監査委員という制度はもう必要ないのじゃないかという御意見が出てくる余地がなくなりますので,まずこの点について御意見を伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。   弁護士会の方はいかがでしたか。 ● 弁護士会の方では,東京弁護士会の場合も日弁連でやったときも,全くこの監査委員の制度について,今まで,あるいは破産のときも検討していただいたようにほとんど機能していないし,またその必要性を特別清算手続において感じたこともないということから,この制度は完全に破産と同じように廃止すべきだろうと。そして,もし監督が必要を生じたような場合には,むしろ監督委員の制度を導入しておいて,その制度を設けておいていただければ,それでいいのではないかと。   それから,ここにも監督委員の制度だと裁判所の監督が強化されることにならないかという懸念の指摘もありますが,それは必要に応じて,今たまたま民事再生事件では実務の運用で100パーセント近いものが監督委員選任されていますけれども,特別清算の場合に必置機関ではなく,必要に応じて選任すれば足りるわけですし,清算人を裁判所が選任したようなケースのときはほとんど不要だろう,重複することはないだろうと。   それからもう一つ,かわるものではないのですが,やはり債権者の方で選任できる機関としていうなら,債権者委員会の制度,これも制度として設けておいていただきたい。そして実際に,例は少ないのですが特別清算の,私自身が清算人になったケースでかなり大きなノンバンクの特別清算で,やはりこの場合に金融機関の主な大口の債権者を中心に債権者委員会を設けて,いろいろ処理を相談しながらやったときに,非常に順調に進んだものですから,制度としては債権者委員会制度,これを設けておいていただきたい。利用する率が多いかどうかになると,これはちょっと今のところは分からないですが,制度としてはお願いしたいというのが弁護士会での意見でした。 ● ほかの委員・幹事の方,いかがでしょうか。この監査委員の制度については。   現実の運用の実態は,今,○○委員からお話があったとおりなんだと思いますが,ほとんど使われていないということなんだろうと思いますけれども,原案の考え方はどうもほかに代替的な制度を考えるとしても,いずれも難点がある。この特別清算というものの性格に合わないところがあるのじゃないかと。   そうかといって,全く監督をするスキームをアドホックな裁判所の監督だけにしてしまうということはいかがか,むしろ債権者の意思によるコントロールをきかせられるような仕組みが必要じゃないかというので,少し実効性があるようにして監査委員の制度を残そうということですけれども。 ● 実務的には○○委員がおっしゃったとおり,実際に動いていないわけですから廃止するという考え方が出てくるのは非常によく分かるのですが,特別清算人は確かに公平誠実義務が課されているとはいっても,今までの代表取締役がそのまま地位に着いているわけですから,それを何らかの形でコントロールする,公正な特別清算を遂行するということのために,債権者にとっても株主にとっても何か監督機関のようなものがあることが公正らしさを担保することになりますし,裁判所にとっても,特別清算人とは別の人間が特別清算の遂行を監督といいますか,ちゃんとオーバービューしているということが安心感を与えることになると思うのですね。   いろいろな考え方,確かにこれ,さんざん考えられた上で出されてきたと思いますが,現行の制度の一番の欠点は,3人制にしなければいけないという,それがネックになって動いていないのじゃないかと。これを今回は選任の方法についても工夫を凝らし,解任についてもまた別の基準で,しかもニーズは一人以上あればいいというような,そういうことによって監督をするということの方が,倒産手続における監督委員という裁判所の機関を導入するよりも,実質的な特別清算というものの性格には,今,分科会長が正におっしゃったように合うのではないかという気がしまして,私はここでは原案の考え方を更に追求したらどうだろうかというふうに考えております。 ● 破産事件で監査委員を選任するという経験があるわけですが,これの経験からいいますと,選任後自治的にやっておるというところから問題が出てきておる面があるのではなかろうかというふうに思うわけです。特に,大変大きな債権を有する債権者が,自己の利益の主張のためにコントロールするという目的で監査委員を選ぶというようなことがあるものですから,手続の遂行に非常に大きなストレスがかかるというような現状があるというようなことで,人数以外にも選任の仕方自体から手続にストレスが生じるというようなこともあり得るというようなことがあるものですから,監督の方法として要件をかなり絞るというような形で純粋に裁判所が選んでいくというような監督委員ではどうだろうというようなことで弁護士会の意見が出てきたというのは,その面からはよく理解ができるというように思うわけです。そういう意味では,だれが選任をするのかというようなところも含めて,ちょっと制度について検討をする余地があるのではなかろうかというように思います。 ● いろいろ御工夫なさっていることは分かるのですが,ただ例えば今民再で債権者委員会が機能しないのは,債権者全体の意見を反映するという要件,それをクリアすることが実際上は難しい。今回の案も,債権者の10分の1以上の推薦で,それで全員の意見を反映するというものが果たしてできるのか,しかも全員の意見の反映を一体手続的に何によって確認するのかというのが全く見えないのですね。私自身は,組分けで債権者委員会が出てくれば,まだ機能する余地があるのだろうと思っているのですけれども,そういう形で例えば下請先の代表だとか,あるいは仕入れ先の代表だとか,それぞれ少し利害関係の違う方が出てくればまだ機能する面がありますけれども,そうでなければ機能しないし,破産における監査委員制度が失敗したのは,結局あと出てこない,それで同意が得られないから機能しない,そういう側面があるのが一番大きいかと思うのです。   私的整理の場合に,少なくとも10年ぐらい前までは繊維関係だとかそういうところですと私的整理で債権者委員会が組織されて,それなりに機能していたわけですが,それは一定の力を持った方々が積極的に早期処理にメリットを感じておられたから,そういう方々が積極的に動かれてという面があるわけで,そういうふうなバックグラウンドがないところで,このような形で選ばれた方が,しかも広範な同意権を持って本当に機能するのだろうかと。今,裁判所の仕組みの中で,監査委員も債権者集会も,どこも本当に機能しておりませんので,そういう中でこういう制度を設けてもかえって動きが悪くなるだけじゃないかなという,非常に強い危ぐ感を持っていまして,それなら本筋で,弁護士会としては本来的にいえば債権者委員会が機能するのはこういうものの本則だとは思いますけれども,それのつなぎ的なもので代替的なものがとりあえず何かできないかと。それで○○委員が申しましたように,監督委員のようなものでつなぎでいけないだろうかという意見になっているわけです。 ● どうも実際のこと,実務の現実を考えると,監督委員のような考え方というのも十分根拠のある考えだというふうに事務当局の方でも考えていたのですけれども。 ● 最近,会社更生とかの事件を中心として,外資系の債権者の行動といのが,今までの日本の債権者と違った行動パターンを示す傾向があります。例えば,少額債権の弁済について,今までは会社更生や民事再生を円滑に進めるためにある程度まとまった金額まで少額債権の弁済をしていたのですけれども,そういうことをやられると大口債権者の配分原資が減るということで,そういうことで消極的な姿勢を示すとか,あるいは更生計画の段階で,階段的な弁済率を設けることに対しても牽制してくるとか,そういったことが最近顕著になっているように思います。   ここでは計画のことはちょっと置いておきますけれども,例えば少額債権の弁済の問題をとっても,監査委員が選ばれて,あるいは外資系債権者が10分の1の債権で監査委員を入れて,それを牽制するということになりますと,今の特別清算の実務が必ずしも今までどおり円滑に進まなくなる可能性もあると思うのです。   そもそも,一定の債権額を持っている債権者が,倒産手続とか清算手続でどれだけの権限を持ち得るのかということもあるのですけれども,少なくともそういった異色の債権者がいろいろ振る舞っていることで,倒産実務は今動きつつあるので,こういう局面のところで監査委員制度を改めて機能するように設計するというのは,リスクが多いような気がいたします。 ● ここはかなり重要なところなので,なるべく多くの皆さんの御意見を伺いたいと思いますけれども,学者委員・幹事,さっき○○委員から御発言がありましたが,あとの皆さんはいかがでしょうか。   ○○幹事,あるいは○○幹事,何か……。 ● では,一言だけ。   理念としては,監査委員の活用論というのは先ほど申し上げた新特別清算の基本的な考え方からして非常によく分かるのですが,他方で実務の重みと申しますか,今までの運用がどうも理念どおりはいかなかったということもあり,なかなか理念を通し難いところがあるなというふうに思っていたところです。 ● 全く同じような感想ですが,理念的には債権者を代表する機関が--正に先ほどの財団債権の弁済の話もそうですけれども--いて,それが同意をするというのが特別清算手続の理念からすれば望ましいことは理論的に明らかなような気がするのですが,事務的にはただそれが動かないと。それで実際にも,破産のときにもあった議論ですが,濫用を防止しようとすれば(1)の(ウ)のような要件がどんどん厳しくなって,債権者全体の利益をちゃんと代表しているということになれば,そんな人はどこにいるのだという話になって選ばれないと,そうすると結局は裁判所の許可にいってしまうということになれば,それならむしろ監督委員の方がまだ裁判所の監督が間接的じゃないかという,実際上は何かそういうことになってしまうということであると,理論を貫いて理念倒れになるよりは,という感じもするというところで,ちょっと定見が必ずしもありませんが,そういう感想です。 ● ○○委員からは原案をサポートしていただきましたが,あとの委員・幹事の皆さん方は必ずしも評判がよくないようでございますけれども,一応原案として用意させていただいたものですから,最終的に監査委員の制度を残すかどうかという点については一応留保をしたままで,仮に残すとしたときにどうかということで,(1)以下のことについて御意見を伺えればと思います。   余り積極的に発言する気にならないというふうに言われてしまうかもしれませんけれども,そうおっしゃらずに御意見を述べていただきたいと思います。   監査委員の選任・解任の手続で,債権者集会の決議以外にも方法を認めるということで,少数債権者の債権総額の10分の1以上に当たる債権を有する者は選任することができるという(ア)の考え方で,それについては裁判所の認可を得なければならないということ。   それから(ウ)で,裁判所は次の①,②に適合すると認める場合に限って認可をするというので,その①,②にあるとおり,債権者の過半数が監査委員に清算人の行為に対する同意権を付与することに同意しているというか,異議がないというか,そういうあれと,債権者の全体の利益の適切代表ですね,こういうスキームで新しく選任・解任の手続を設けるということについてはいかがでしょうか。   どうも先ほどの消極的な御意見が,こういう手続を設けてもうまく機能しないのではないかというふうに,先回りで言われてしまっておりますので,なかなか御意見伺いにくいのですけれども。   ○○委員,いかがでしょうか。○○委員は維持すべきという御意見で……。 ● 原案をサポートして,これを更に追求した方がいいというふうに言った責任もありますから申しますと,(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)という考え方は,これは全部をとるというのじゃなくて,このうちの一つあるいは二つを組み合わせていくというようなことを考えておられるのじゃないかと思いまして,私はこの選任については裁判所がこれに関与する(ウ)があれば,それで十分ではないだろうかというふうに思っております。 ● あと,ほかに……。   余り御意見ございませんか。   そうしますと,(2)の監査委員の人数についてはいかがでしょうか。先ほど○○委員から御指摘もございましたように,やはり3人というのは少し多過ぎるのじゃないかということで,一人でもいいということにするというのが原案ですが。 ● これは,債権者以外の者もあり得るという前提でよろしいのでしょうか。監査委員になる方は。 ● 債権者から選ばなければいけないということにはならないと思います。 ● それで,仮に弁護士さんを選ぶというようなことを考えた場合に,報酬はだれが払うという前提なんでしょうか。 ● 最終的には清算会社の負担だと思います。 ● 清算会社の負担になると。そうすると,監督委員とどこが違ってくるのかなという気がややするという感じなんですね。   つまり,一人で全体の利益を代表できるということになると,債権者の一部の方だとすると少し問題が,金融債権者と取引債権者と労働債権者で,大体三つぐらいで,場合によっては不法行為債権者がいる会社もあると思いますけれども,そのぐらいで大体カテゴリーは帰されると思うのですね。それが,一人が完全に利益を代表すると見るのは,なかなか難しいと思いますので,それならもう一人にしちゃうぐらいなら監督委員じゃないのかなというところに行き着いてしまうような気がするのです。   そうじゃなくて,そういう複数人にしてそういうカテゴリーごとの債権者の方が選ばれているというのであれば,それはそれで一つの制度としてあるという気がするのですけれども,一人にしてしまうということは,もう監督委員化を進めるということにほかならないような気がするのですけれども。 ● それとの関連ですが,私ももし選ぶならカテゴリーから選ばれてくる人だと思うのですが,それが債権者全体の利益を代表するという立場に本当に立ち得るのか,やはりカテゴリーの代表として意見を述べる中で,監督委員の中で議論をしていただいて,理念的にいえば議論された上で全体の利益を図っていただければベストですけれども,どうしても御議論としては御自分のバックグラウンドの意見をまず述べられて当たり前だと思います。それを裁判所が,利益全体を代表するものでなければ選ばないよとおっしゃれば,選べない可能性の方が強いという感じがいたしますけれども。 ● 確かに,御指摘のような問題があることはそうだとは思うのですけれども。 ● 今の点,おっしゃる趣旨はよく分かります。それはしかし,3人以上にしたところで制度的には何も保障されているわけでもございませんし,もともとの監査委員の制度は債権者集会の決議で選ぶわけですから,そこはもう多数決の原理が働くという当然の前提になっていますので,それと同意事項との関係でいえば,要するに清算人が清算価値を最大にするということをコントロールするかどうかというところに意味があるのだとすれば,その意味では債権者全体の利益を代表するということは,ないわけではないのだろうというふうに考えて,このような制度を設計したと。   監督委員に近づくのではないかと言われれば,恐らく機能面からいうと監督委員とほとんど変わりがなくて,あとはだれが選ぶかというところだけが違うということになるのではないかというふうに思っております。 ● 今の点ですけれども,確かにおっしゃるような性質,種類の違った債権者の事案を想定すればそのとおりかもしれませんが,聞くところによりますと,均質的な債権者しかいないという事案もなくはないようですので,そういう場合にも必ず複数人選ぶというのは意味がないことですし,またそういう場合には,一人で十分全体の利益を適切に代表するということもあり得ないわけではないので,やはり一人でも足りるという選択肢を残しておくこと自体は,私は合理性があると思いますけれども。 ● 1点だけ。多数決で選ばれるのが前提だとおっしゃいましたけれども,恐らく選ばれないので,ここで考えられている10分の1の債権者の選任プラス認可というところがほとんどを占めるのではないかという予想で,先ほどの意見を申し上げたということでございます。 ● それでは,人数の点は○○委員のように原案でよろしいのではないかという御意見と,やはり債権者の利益を代表するという考え方からすれば複数である必要があるのじゃないかという御意見があったということを確認させていただいて,なお検討させていただくということにいたしまして,監査委員の同意を要する事項の方について御意見を伺いたいと思いますけれども。   基本的な枠組みとして,甲案・乙案という二つの考え方が示されております。甲案の方は,現行法と同じような考え方,乙案の方は新しい破産法案を参考としてということになっていますが,清算人が一定の行為をするには監査委員の同意を得なければならないというのを一応原則にしておいて,その行為が一定の金額以下の場合に関するとき,それからもう一つ,債権者集会の決議によって同意を要しないというふうに決めたものについては例外を認める,あるいは同意の必要性の除外例を認めるという考え方ですが,この甲案・乙案についてはいかがでしょうか。 ● 私は,どちらかというと乙案のような柔軟性を認める方がいいのじゃないかというふうに思うのですが,ただ今の乙案だと,債権者集会の決議によって同意を要しないとされる事項について,全然限定がないわけですが,破産法案の方は,重要なものについて,営業譲渡等については,この場合は裁判所の判断によっても許可からは外せないという形になっていると思いますので,債権者集会で確かに決議するといっても,あらかじめすべて白紙委任のような形で清算人が何でもできるというような決議まで認めるというのはやや問題がありそうな感じがいたしますので,そこは少し御工夫をいただければというふうに思っております。 ● 分かりました。それは排除する趣旨ではもちろんないと思いますので。   それでは,(イ),(ウ)について御意見を伺いましょうか。監査委員が指定した行為,又は債権者集会の決議及び指定された行為というのを同意を要する事項に加えることができるというのが(イ)。それから(ウ)は,基準となる金額の見直しですけれども,これらについて御意見があれば承りたいと思います。   もしこういう制度を残しておくということであれば,(イ)のように弾力的な規定を設ける方がよろしいということになるのじゃないかと思いますけれども,いかがでしょうか。 ● 一般論で恐縮ですが,株式会社の運営機関と監視機関の監査役というのについて,先般の改正で種類株式がかなり複雑化して,各種類株主ごとに取締役を選任できるというシステムが導入されました。先ほどから諸委員・諸幹事の先生方から御指摘があったとおり,取締役のように業務執行を積極的に何かをやるという人については,ある特定の,例えば株主さんたちが,おれの利益を代表してくれといっても,義務を全体を図ってやってよということによって規制はできるのです。ところが,監査役のように,いわばこれはだめだよ,おれの承認がなければだめだよという,ある意味で拒否権を使えるような人たちについては,特定の派閥からの選任ですと最終的に拒否権を使われてしまうことになるので,一般論として全体の利益を図ることはできないと言われているのです。それが株式会社法のこの間の改正のときの理論でしたので,簡単に言えば種類株主で取締役を出すことは大丈夫だけれども,種類株主から監査役を出すことはできないという言い方を一般論としてされております。   そこから考えると,この監査委員を先ほどのようにある特定の派閥の債権者が出して,しかもその監査委員が自ら指定した行為について同意を要することということになりますと,これは拒否権になってしまうのですね。監督機関で,一般の株式会社法で言われる監査役がその拒否権を使っていけないから種類株主層から選任することができないという,この一般論をここに適用すると,正にこの(イ)というのはその風潮に反する方向になるのではないだろうかと思うのですが。 ● 御指摘,大変貴重なものと受けとめさせていただきます。どうもありがとうございました。   そうすると,(イ)は多少慎重に考えないといけない。 ● 今の○○幹事のおっしゃった意味がよく分からなかったのですけれども,14年の改正では,監査役を選任することができる種類株式というのは発行できることになっておりますが。 ● それをやってしまうと,拒否権になってしまうということですね。   すみません,監査役を選任する株主層を,種類株を発行できるということですか。 ● はい,明文の規定で。 ● できます。できますけれども,それをやってしまうと拒否権になるよという意見が……。 ● それは,なっても構わないということでそういう形に……。 ● なっても構わないわけではないと思うのですが。   取締役については,自らやるから……。 ● そもそも13年の改正で,拒否権自体も認められていますので。 ● 実際に認められることになりましたね。拒否権を実際にやれるということになりました。その前の前提の意見で,拒否権を明確に意識するときに今のような一般論が言われたということです。   現行で,株式会社法の場合にはそれが入れられたわけですね,種類株。それはおっしゃるとおりです。 ● 多分,監査委員というのはどういうものかということで,債権者全体の利益を適切に代表するものとして想定するのがこの中のいわば建前論ですので,そういう意味では少しちょっと今の商法そのものの議論とは違うところがあるのかと思います。現実論としては多分いろいろそうじゃないという意見があるのかもしれませんが,差し当たっては債権者全体の利益を適切に代表する機関として監査委員がいるのだということでお考えいただいた方がいいのかなとは思います。 ● それでは,今の商法の方の観点からの御指摘もありましたので,○○幹事からの御発言ございましたけれども,なお御指摘も踏まえて検討させていただくということにいたしまして,あと(注7),(注8)がございます。先ほど,○○関係官の方から御説明いたしましたように,(注7)の方は見直しをする必要があるのじゃないかと思われるようなこと,(注8)の方はこういうものも具体的に立法する段階では定めておく必要があるのではないかというような事柄です。   特別清算の審議は余り十分な時間的な余裕がないために,今この段階から細かいことについてまで御意見を伺うという必要があるので承っておりますけれども,先ほど○○委員からも御指摘もございましたように,一体法律で規定をするつもりなのか,あるいは規則で決めるということなのかという重要な御疑問が出てくるのは,そういうかなり細部にわたるような事項について御意見を伺っているということも一つの理由かと思います。しかし,実際に立法作業を担当する事務局の方からいうと,できるだけ御意見を伺っておきたいという希望がありますので,(注7),(注8)に書いてありますようなことについても御意見があれば,何か伺いたいと思いますけれども,いかがでしょうか。   特に御意見がなければ,ここに書きましたような方向で,(注7)の方については見直しをするということにしますし,(注8)の方はそれぞれ必要な規定を設けるということにしたいと思いますが,何か御意見ございますか。 ● その問題じゃないのですが,きのう日弁連の議論の中で出てきたのですが,監査委員の制度設計をどうするかという問題を別にして,選任権者をどちらにするとかいうことを抜きにしても,余りに監査委員とか監督委員とか,いろいろな役割,役職が多過ぎて非常に分かりにくい。現に14ページでも(イ)と(ウ)のところで,「監督委員」と書いてありますが,選任権者はどこにするにしても,名称ぐらいは一つにした方がよろしいのじゃないのかと。仮に,特別清算における監督委員というのは債権者が選任するのだと,こういう割り切りの仕方もできないのかなというようなことの発言がございましたので,御紹介申し上げておきます。 ● それは結構ですが,ちょっと一つ,先ほどの日弁連のお考えで,監督委員型をとるような場合も,裁判所の許可ですとか,いずれにしても同意を要するような事項にかかわることは必要になるわけでしょうから,ある程度どういうお考えかということと,それとここでは拡張,あるいは金額も含めてですけれども,の考え方を出していますので,監査委員という前提を離れて,このあたりをどうお考えかだけ伺えれば有り難いのですが。 ● 詰めた議論はいたしておりませんけれども,金額に関していえば,従前破産で10万で特別清算100万だったのだから,じゃ10万かというと,それはいかがかと思いますが,破産に横並びでというのはいかがかということで,やはり柔軟で広めていただいていいのじゃないだろうかという意見でございます。   それと,監督委員型という形の場合に,監督委員の選任が民再では今少なくとも北海道以外では全部選任されているようですが,札幌は選任されていないようです。そうすると,それ以外のところで今現に選任されていて,同意事項に入っている事項という形で,日弁連の中では了解された議論とされています。それで,同意事項についてはより緩めて,裁判所からゆだねられてもいいだろうと。   あと,対税型であれば監督委員なんてそもそも要りませんし。そういう意味では,任意の選任で十分だろうということでございます。 ● 今のに関連してですが,必要的同意事項,あるいは必要的許可事項自体は何らかの形で残すという前提なのか,あるいはもう事案に応じて裁判所なり何なりが指定するという方向でお考えなのかというあたりをお聞かせいただきたいのですが。 ● そこまでの点については,実は弁護士会の方では協議しておりません。ただ,特別清算,かなりケースが対税型とかいろいろな形がありますので,場合によってはその辺を裁判所の方で決められる方が順調に進むのではないかなと。特に対税型,あるいは最初から和解型というのがはっきりしているようなケースのとき,柔軟に対応できる方がいいかなというふうに個人的には思っております。 ● 私も,対税型で現にやっていて許可をとっていますけれども,最終的には債権者一人か二人にいたしますときに,本当に必要的許可事項なんだろうかと,実際上は利害関係人だれもいなくて,債権者があと特別清算の残債放棄で処理してしまっているわけでございますから,そういう場合にまでわざわざ必要なのだろうかという気がいたしますが。 ● あと,監査委員,ここにございます原案について御意見があれば承りますが,基本的に監査委員を残すかどうかという基本問題はなお検討させていただくとして,それを前提としてここにお示ししてある原案について,何か御意見があれば伺っておきますが。   特にございませんか。 それでは,ここで休憩をとりたいと思います。             (休     憩) ● 審議を再開したいと思います。   次に,14の「検査役」,それから15の「裁判所の処分」について説明をお願いいたします。 ● それでは,時間も少なくなってまいりましたので,説明の方はできるだけ簡略に行わさせていただきます。   14の「検査役」については,基本的に現在の検査役の制度を維持するという考え方を掲げております。   (1),(2)の整理の仕方については,現行とは大分違いますけれども,(注1)に記載しましたとおり整理をしたということでございまして,実質は同様ということになります。   なお,名称については商法ないしは会社法中に設けられるという前提で,「検査役」という名称を維持しております。   (注2)から(注5)までは,検査役の制度に関する細かい事項を取り上げております。このうち,特に御意見を伺いたいのは(注4)でございます。執行官又は警察官の援助の制度の存廃という問題でございます。   御案内のとおり,破産法案では,警察上の援助の制度を採用するということにしております。同じく清算型ということに着目いたしますと,新特別清算においても少なくとも警察官の援助の制度は維持するということになりそうです。しかしながら,協定の制度を採用するという点では,再生,更生とも親和性がございまして,こちらとのバランスを重視すれば,全面的に廃止するということになります。   また,特別清算は清算型とは申しましても,ソフトランディング的な色彩が強い手続でございますので,強制的な要素を持つ制度を維持するということには違和感もございます。理論的にはどちらの選択肢もあり得ると思いますので,このような制度を存続するニーズがあるかどうかについて御意見を伺いたいと思います。   15の「裁判所の処分」につきましては,まず(1)として検査役の検査を前置しない処分を取り上げております。(2)が検査役の報告,検査を前置する処分ということになります。   (2)につきましては,まず①,②の処分を維持するかどうかが問題となりますが,22ページの(注1)記載のとおり,①,②の処分をなお維持するのが適当であると考えております。   そこで,前置主義を維持するかどうかという点が問題になりますが,(注2)の第2段落に記載しましたとおり,これを維持するというのが甲案でございまして,必要的前置とするまでの必要性は乏しいと考えて,(1)と同様の取扱いをするというのが乙案です。現時点におきましては,倒産処理手続と異なるスキームをとる必要はないというふうに思われますので,乙案が適当ではないかと考えられております。   23ページの(注3)から24ページの(注6)までは,(2)の処分についての細かい事項を取り上げたものです。ここでは,特に(注5)の点を御覧いただきたいと思いますが,責任の査定の処分について申立権者をどうするかという問題がございます。会社のみとするか,債権者にも申立権を認めるかという,どちらかの選択肢があると考えられます。   そのほかは,今回はいずれも細かい事項ですので,特に今の申立権者のところについて御意見を伺いたいと思います。 ● それでは,少し前半で時間をとり過ぎましたので,審議を急ぎたいと思います。   14の「検査役」,今お聞きいただきましたように,本文で書いてあるところは現行法を維持すると,表現の仕方,表記の仕方は違っておりますけれども,内容的には現行法を維持するということですけれども,何か御意見ございますでしょうか。 ● 根本なところではないのですが,先ほど○○幹事からもお話があったとおりなんですが,各倒産関係でもいろいろな制度ができるのでとても分かりにくくなっているということから,検査役ではなくて民事再生の調査役の制度でもいいのではないかという,その方がとても分かりやすくなるという意見も弁護士会から出ていますので。   検査役というのは,商法でいくとどうしても検査役になってしまうのですが,これが今度どういう立法になるのか,それによっては考えていただきたいというような要望がありますので。それだけです。 ● 位置づけからすると,いずれにしろ商法の通常清算の特例というふうに考えておりますので,その意味では用語としては「検査役」を使っておりますし,最終的な立法形式によると思いますけれども,位置づけは今申し上げたとおり商法の特例とすると,やはり検査役というのは最も有力な用語ではないかとは思っております。 ● それでは,名称はちょっと別といたしまして,内容については御異論もないようでございますので,原案どおりとさせていただいて,注の方ですけれども,先ほど特に(注4),執行官又は警察官の援助の制度ですけれども,これをどうするか,維持するか,あるいは警察官の援助だけにするか,それとも執行官も含めて現行法どおりにするかという点ですけれども,これはどうでしょう。特別清算というものの性格と関連してくるかと思いますけれども,御意見があれば伺いたいと思います。   御意見があればというか,なるべくここはどっちかに決めなければいけませんので,積極的に御意見をいただければ幸いです。 ● これは,商法改正の方では390条の2項の通常の検査役での執行官又は警察官の援助の規定というのはどうなるのでしょうか。 ● これは会社整理にある条文ですから,会社整理が廃止されれば消える。ですから,特別清算にだけ必要ということであれば,この部分を書き下ろすということになります。 ● 何か弁護士会の方で御意見ございましたでしょうか。 ● 破産のところで入れてもらったのは大変効果的で,最近封印執行が多くなっているものですから,有り難い,よかったと思っているのですが,ここでは特に意見はなくて,あるならそのまま残してもらいましょうかという程度の,その程度の意見だったということです。 ● ほかの委員・幹事の皆さん方,何か御意見ございますでしょうか。 ● 様々な制度の流れからいうと,この規定に援助の規定をあえて入れるというのは,少し大げさに過ぎるというような印象を受けます。 ● そうですね,○○委員の御意見も,あれば使わないわけではないという消極的な賛成みたいな--賛成というか,維持,存続の御意見のようだったので,むしろ廃止してもいいのではないかという御意見の方が強いのかもしれません。   なければなくてもいいということでしょうか。--それでは,そういう方向で検討させていただきたいと思います。   あと,細かい点は先ほどの○○関係官の説明にもありましたように事務局の方で検討させていただくということにいたしまして,15の「裁判所の処分」に参りたいと思います。   (1)と(2)の違いは,先ほど説明されたとおりであります。(2)の方は,①,②というほかの倒産手続ではない処分が認められておりまして,それとの関係で現行法では検査役の報告を前提にしているわけですけれども,この処分自体は維持するとしても,検査役の報告を受けた場合に限る必要はないのではないか,そういう意味で(1)と同じ取扱いでいいのではないかというのが乙案。甲案は,現行法どおりということですけれども,この点はいかがでしょうか。   先ほど説明がありましたように,事務当局としては乙案でいいのではないかという意見でございますけれども。   これもそれでよろしいでしょうね,検査役が選任されて,報告があった場合だけというのは余り理由がないように思います。--それでは,そういう方向ということにさせていただきます。   注の方では,23ページの(注5),申立権者をどうするかという点ですけれども,会社だけにするのか,それとも債権者も含めるかというのが具体的な問題点ですけれども,この点はいかがでしょうか。会社だけというか,債権者も含めてもよろしいのかなというふうに思いますけれども。 ● 弁護士会では,民再と同様に債権者を入れていただいてもいいのではないでしょうかという意見でございました。 ● ほかに御意見ございますか。   債権者に認めるのはおかしいという御意見があれば,伺いたいと思いますけれども。--特になければ,じゃ債権者も入れるという方向で考えさせていただきたいと思います。   あと,査定の裁判に対する異議の訴え関係について,(注6)にいろいろ詳細な問題の指摘がございますけれども,何か資料をお読みいただいてお気づきの点があれば伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。   特にございませんか。   それでは,この資料にあるような考え方,それから従来の他の倒産手続との整合性等も考えて検討させていただきます。   それでは,16の「協定」の方に移りたいと思います。終わりまで,説明をお願いいたします。 ● それでは,16以下について御説明いたします。   16の「協定」については,まず26ページの(注1)で,協定の制度の目的,趣旨を取り上げております。   それを前提にしまして,具体的な制度設計に入りますけれども,(1)の「協定の申出」,(2)の「協定の条件(内容)」,(3)の「担保権者の参加」については,いずれも現行の特別清算と同様にするという考え方を掲げております。   このうち,重要と思われるのは,(2)の「協定の条件(内容)」ということになります。ここでは,27ページの(注2)に記載のとおり,民事再生法や会社更生法の表現を参考にしつつ,現行の特別清算と同様の規律を設けることを提案しております。   また,(2)の②は,債権者の中に異なる種類の債権を有する者が存在し得ることを前提とするものであり,具体的には(注3)で取り上げているとおり,一般の先取特権その他一般の優先権がある債権が協定の対象となることが前提となります。このような債権を,協定の対象とするかどうかについては,前回の審議でも議論されましたが,重要な問題ですので再び取り上げております。   現時点における事務当局の考え方は,一般の先取特権その他一般の優先権がある債権も協定の対象としつつ,組分けの制度は採用しない。さらに,可決要件も緩和しないというものであり,詳細は(注3)及び28ページ以下の(注4)に記載したとおりです。   もっとも,前回の審議では,一般の先取特権その他一般の優先権がある債権は協定の対象としないという考え方が提案され,実務上もそのような債権の減免,猶予の必要がある事案は比較的少ないと思われますので,民事再生型の規律を採用することも考えられるところです。この場合には,組分けの必要もなく,可決要件についてもある程度緩和する余地があるのではないかと考えられます。   他方で,一般の先取特権その他一般の優先権がある債権も協定の対象としつつ,組分けの制度を採用するという選択肢もないわけではなく,この場合にも,可決要件をある程度緩和する余地があると考えられるところです。   このように,一般の先取特権その他一般の優先権がある債権の取扱い,組分けの要否,及び可決要件の緩和は相互に関連している論点ですので,このような点を踏まえて一般の先取特権その他一般の優先権がある債権の取扱いの在り方について,御意見をお聞かせいただきたいと思います。   (4)の「協定の可決要件」については,ただいま申し上げたとおり,事務当局は現行の可決要件を維持するのが適当であると考えておりますが,ここではなおこれを緩和することの当否を取り上げております。   (注4)の(a)から(c)までに記載したとおり,可決要件の緩和についてはこれまで数度にわたり審議の対象となってきました。28ページの(d)に記載したとおり,協定の可決要件の緩和は,協定の対象となる債権者の利益の保護,特に少数者の利益の保護という観点から検討する必要があり,特に一般の先取特権その他一般の優先権がある債権の取扱いと密接な関係にあるということは,先ほど申し上げたとおりです。この点については,いわゆる絶対優先の原則を厳格に適用することにより,一般の優先権がある債権を有する者の利益が十分に保護されるので,可決要件を緩和することも許されるという考え方もあり得ますが,新特別清算において,絶対優先の原則を厳格に適用することは困難であると言わざるを得ないと考えられます。   また,再生手続における可決要件との均衡上,協定の可決要件を緩和することも許されるという考え方もあり得ますが,29ページの(e)に記載したとおり,再生手続と同列に論ずることは困難であると考えられます。一般の先取特権その他一般の優先権がある債権の取扱い,及び組分けの要否との関係を踏まえて,可決要件の緩和の可否,緩和する場合の具体的な可決要件の在り方について,御意見をお聞かせいただきたいと思います。   (注5),(注6)は,他の項目と同様に比較的細かい事項を取り上げております。特段の御意見があれば伺いたいと思います。   次の17では,具体的な検討課題として,最後に「特別清算の終了」を取り上げております。   現在,特別清算の終了事由としては,倒産処理手続と共通する開始前の申立ての取下げ,申立ての却下ないし棄却のほか,(1)の「特別清算の終結」,(2)の「破産手続開始による特別清算の終了」がございます。   (1)の「特別清算の終結」は,特別清算が結了したとき又は特別清算の必要がなくなったときの終了形態であり,具体例は30ページの(注1)に記載したとおりでございます。特別清算終結の決定がされ,これが確定したときに特別清算が終了することになります。   この特別清算の終結の決定は,利害関係人の申立てによってされるものですが,申立権を有する利害関係人の範囲は条文上は明確ではなく,(注2)のところに学説上争いがあります。事務当局としては,個々の債権者に加えて監査委員に申立権を認める合理性,必要性は乏しいと考えております。監査委員制度を仮に維持するという場合には,どうすればいいのか御意見をお聞かせいただきたいと思います。   (1)の「特別清算終結」の決定については,31ページの(注3)のとおり,細かい手当てをするということが考えられるところです。   次の(2)の「破産手続開始による特別清算の終了」は,倒産処理手続における手続廃止に相当するものであり,協定の見込みがないとき,又は協定の実行の見込みがないときに職権でされる破産手続開始の決定により特別清算が終了するというものです。具体的には,(注4)記載のような場合に,職権で破産手続開始の決定がされることになります。   職権による破産手続開始の決定については,32ページの(注5)のとおり,通説的な見解は破産手続開始の原因となる事実が存在することを要件としておりますので,これを明文で定めることが考えられるところです。   また,職権により破産手続開始の決定がされた場合の破産手続については,(注6)のとおり,否認,相殺の基準時,財団債権化について所要の手当てをする必要があると考えられます。   最後の(注7)では,実務上審理期間が長期化する場合があることを踏まえて,早期終了を図るため,何らかの制度的手当てを講ずる必要があるかどうかという点を取り上げております。(a)から(d)までの具体的な考え方をお示ししておりますので,実務上,あるいは理論上の観点から,制度的手当ての要否,制度的手当てを講ずるに当たっての問題点について,御意見をお聞かせいただきたいと思います。   以上が具体的な検討課題ですが,18では「その他」として,これまでに取り上げた個別の検討課題のほかに,見直しを検討すべき点があるかどうかを問うております。   これまで取り上げた個別の検討課題についての御意見でも結構ですので,第二読会に向けて検討すべき点があれば伺いたいと思います。 ● では,ここで切らせていただいて,まず16の「協定」について,御意見を伺いたいと思います。   (1)は,基本的に現行法と同様でありまして,清算人は債権者集会に対して協定の申出をすることができると。監査委員が選任されているときには,監査委員の意見をあらかじめ聞かなければいけないということになっております。これは,監査委員制度を維持するという前提でのことですが,(1)については,監査委員の点は別として,余り御異論もないかと思いますので,こういう方向でまいりたいと思います。   次は,(2)の「協定の条件」でございますが,このうち①の方は余り問題がないかと思います。平等でなければいけないと,不利益を受ける者の同意がある場合,あるいは少額の債権について別段の定めをしても,公平を害しない,その他公平を害しない場合は例外と,その限度で不平等でもいい,平等でなくてもいいということで,この点は余り御異論もないかと思いますが,よろしいですか。   問題は②で,一般の先取特権その他一般の優先権がある債権をどうするかという点であります。原案は,先ほど○○関係官から説明をいたしましたように,一般の優先権がある債権も協定の対象に取り込む,そして組分けのようなことは考えないでいくと。そのかわり,可決の要件は現行法を維持する,そういう考え方ですけれども,注にいろいろ書いてございますように,ほかの考え方もあるところでありますので,御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。 ● 租税債権については,破産法上の財団債権としてこれは手続外というふうに考えていいですよね,その部分は。 ● はい。前回やりましたように,協定の外になります。 ● そうですね,そうするとILOの173号条約との関係でいうと,これは倒産手続ではなくて,清算手続だから支障がないという考え方ですか。 ● 173号条約を批准する場合のことを考えればということですか。 ● はい。障害になるのじゃないかなと思うのですが。 ● 特別清算の位置づけは,少なくとも通常清算の発展形態で,清算に支障を来すべき事由も含んでいますから,いろいろ説明の仕方はあるのかもしれませんが,多分そういう説明が一つだろうと思いますのと,ちょっと現時点では173号条約との関係を前提とした議論は十分しておりません。 ● そのILO条約との関係は,今説明があったとおりですが,それは一応括弧の中に入れておくとして,いかがでしょうか,②のような考え方でよろしいか。 ● 私自身はなかなか難しいのではないかという感じを持っておりまして,この一般の優先権ある債権の全額を弁済する資力がない場合ということを前提に置きますと,果たしてそういう場合にこの特別清算に行かせるのが適当かどうかというふうに思います。   今,ILO条約の話がありましたが,それはさておくとしましても,やはり租税債権と労働債権のバランスというのは,倒産実体法の改正に非常に大きな課題で,それで様々なことを考慮してああいうような規定になって,6か月とか1年とかいう規定になったというふうに承知しておりますので,破産に行けばそういうような形で利害のバランスがとられると,そしてそれが一応現時点では妥当なものだということでああいう形になっているとすれば,この特別清算の手続をとり,そして特別清算は破産に対して一応優先すると。破産申立てが後からあってもとまるという形になっているわけですので,そうするとこの特別清算の手続に入ってしまうとかなり違ったバランスになってしまう。租税債権については,破産にいけば優先的破産債権にしかならないものも全額当然弁済されるということになるのに対して,労働債権については,財団債権になる部分まで削られるということは余りない事態なんでしょうけれども,少なくとも権利変更の可能性がある。そして,後で事務当局自身お認めてなっているように,絶対優先原則が完全に貫かれるという保障は,この手続ではないと言わざるを得ないというようなことを考えますと,そういうような事態も一般優先権ある債権が払えないということであれば,もうそれ破産に行ってもらった方が,私はむしろいいのではないかなという感じがいたしておりまして,そうだとすると,この手続はそういう一般優先権ある債権については払える,そのぐらいは払える,あと一般優先権がない通常の債権について権利調整をする手続であるというふうに位置づけた方が,私自身は理論的にも社会的にも受け入れられやすいものになるような気がいたしております。 ● そうすると,要するに協定の対象外にしろと,そういうことになるわけですね。 ● はい。 ● ほかの委員・幹事の方々,いかがでしょうか。 ● 理論的には○○幹事のおっしゃるのはよく分かりますし,しかし現場では,という話をどうしてもせざるを得ないのですが。   やはり退職金債権が過大で,そのために全額を支払えないような事案というのはございます。その中で,労働組合と労働協約を結んで,退職金債権の一部カットをした上で,それで特別清算で処理する事案が現にございます。その場合は,不利益を受ける労働者の個別同意があるとみなすのか,あるいは消極的同意があるとみなすのかという形で処理して,それで破産に行くよりは速やかに各債権者に弁済ができるものですから,新破産法では弁済の仕組みがよりスムーズになってはいますけれども,しかしそれでも退職金債権等であれば売った中から速やかに弁済できるというメリットがありますので,それで労働組合が同意していただいているというのが,まれな事例というか,数が多いわけではございませんけれども現にあって,そういう機能の側面を法の建前で否定してしまうというのは,非常に特別清算としてはやりにくくなると。   だから,理念型としては○○幹事がおっしゃるのはよく分かるけれども,そんなこともできる余地は残しておいていただきたい。全部破産だよというのにはしないと。原案として立法当局がお考えのような中で処理ができる方が望ましいし,それで,かつ,可決要件は緩めていただきたい。 ● そうですか。可決要件の問題とどうしても絡みますけれども,一応切り離して考えるとすると,協定の対象に入れた方がよろしいと,そういうことになるのですね。 ● そういう余地があった方が望ましい。それでどうしてもだめであれば,○○幹事がおっしゃるような事案であれば,労働組合がうんと言いませんし,あるいは労働協約結んでも,少数組合員から破産の申立てが出るのは明らかですから,その場合はそれで仕方がないと思いますので。 ● ここは協定の不認可要件とも関係するところではないかと思うのですが,前々回の資料1で,協定が債権者の一般の利益に反するというような不認可要件を設けてはどうかという話が出ましたけれども,今日のこの資料のような原案,つまり一般の先取特権等のある債権も協定に組み入れるという立場を仮にとった場合に,その認可要件というのは優先債権者について優先債権者なりの清算価値を保障されていないと認可されないということになるのですよね。だとしますと,結局絶対優先原則をとったのと同じことになるのではないかと。つまり,清算価値が保証されなければ認可されないわけですから,この資料には厳密な絶対優先の原則は適用できないというのがありますが,結局同じことで,清算価値を与えられないと認可できないということですから,理論上同じことになるのではないかと。   逆に,仮にそういう前提に立ちますと,優先債権者が仮に多数決で非常に少数派にしかなれない場合であっても,清算価値は必ず保障されるわけですから,不認可要件という形であれチェックはかかるわけですから,私は原案のような考え方でも理論的に成り立たないことではない,一つの組に入れちゃって,全体で一つの決議をして,しかし清算価値だけは保障されるという仕組みは,それはそれで合理的なのかなというふうに考えます。 ● 一般の先取特権者も対象にしておいて,しかし協定の内容としては絶対優先的な処理をしないと不認可になると,そういうふうに考えると。 ● 絶対優先と言うかどうかはともかくとして,清算価値を保障するという,そのクラスごとの清算価値を一つの協定の中で保障するという考え方をとるのなら,これはこれで合理性のある考え方ではないかと思いますが。 ● 先ほど○○委員が言われたように,交渉して不利益でもいいよという合意が成立していればいいと。 ● もちろんそうですね。 ● ほかの委員・幹事の方はいかがでしょうか。   ○○委員,何か……。 ● 私どもでは,原案の考え方が29ページの(d),(e)に述べられておりますけれども,この考え方を支持するというのが一致した意見です。特に,枠内外を問わず--問わずというのは言い過ぎですが,この可決要件のところの維持,これは是非お願いしたい,こういう意見でございます。 ● ほかに○○委員,○○委員,何か御意見ございませんか。 ● 私も,これは実体権の順位ということから考えていけば,一般の先取特権その他一般の優先権をきちんとできれば組分けにして,それぞれに応じた扱いをすべきだという,そういうことまで行き着くのかもしれませんけれども,この特別清算というものの性格から考えると,破産のようなそういう厳格的なものではなくて,一塊りにして,その中で原則が守られればそれはそれでいいという,少しあいまいかもしれませんけれども,そういうのが特別清算のメリットではないかというふうに考えておりますので,協定の中でも一般の先取特権やその他の優先権をほかのものと一緒にして,そしてその中で厳格なといいますか,実体権を尊重するような協定案をつくって,それで一括して可決をするということで十分ではないかと。   それで反対すれば,また別の脱退していくとか,そういうことになると思いますので,入口は全体のあれでいいのではないか,そういう意味で原案で私は賛成です。 ● あとは認可要件のところで協定の内容いかんによってはチェックされることもあり得ると,そういうことになるわけですね。 ● はい。 ● 確かにこの場合は清算ですから,本来的な意味での絶対優先原則の前提になっているような継続企業価値だとか清算価値だとか,そういう区別があるわけではないと思いますし,実際上は○○幹事がおっしゃったように,清算価値を保障すれば実質的な意味での損害は考えられないじゃないかということは,それはそのとおりかと思いますが,しかしこの手続で果たして厳密な意味での清算価値の評価,算定というのが行われて,それと協定による配分案というのが,どちらが上なのかというようなことが厳格に行われるような手続だろうかということを考えてみますと,私はちょっとそこは必ずしもそういうふうに思えないので,実際上いろいろ必要があるということは分かりますが,私は先ほど○○幹事がおっしゃったような考え方の方が,制度としての合理性があるように思います。 ● 結論はまだ自分自身出ていないのですけれども,先ほど言われた,例えば労働債権者についての部分での清算価値については,破産との対比で考えれば,そこは金額は違ってくるのではないかと。その優先債権者に対する清算価値を確保した後での,破産における清算価値との対比では,まだ特別清算の場合にはもっと有利に換価できるということもあって,余分な部分が,余った部分ができるのではないかと。ただ,そこについての清算価値の評価が制度としてきちんとできないのではないかという御指摘を今いただきましたけれども,その点についていうと,民事再生とそう変わらずに,現実問題としてできるであろうと。ただ制度として,財産評定の制度はないというだけのことで,そこは確保そもそもできない限りは認可要件のところでの清算価値保障しているということの立証ができないわけですから,そこは処理できるのだろうと。   では,余った部分を一般債権者の方へ回さない限りは協定成立しませんから,実際には回すのですけれども,それを一般債権者を含む全体で権利変更しちゃうことがいいのかどうかとなると,これはちょっとよく分からないので,そこは弁護士会でも議論しても,正直言っていい案が出なかったので,これはもう我々を除くところの皆さん方で考えていただきましょうということになって,むしろ可決要件のところは何としても,後で出てきますが4分の3ではなく,民事再生と同じ2分の1以上,これだけは強くというのが要望でありましたけれども。 ● 分かりました。 ● 今の○○委員の御発言なんですけれども,民事再生の場合はプライオリティールール上均質な債権者だから,そこの差等の問題でしか清算価値保障の問題は出ないのですね。ところが,ここはもうプライオリティールール上明らかに別の債権者同士の比較の問題ですので,やはり再生法でできているからここでもやれるというようなことには必ずしもならないというふうな気がしますし,本当にそれなら財産評定ちゃんとやるべきだという気もしますので,私は○○委員や○○幹事がおっしゃるように,外に出しちゃうというべきなのではないかという気がしております。   再生手続におきましても,約定劣後債権についてはやはり組分けをして,別のカテゴリーにしたわけですね。プライオリティールール上の地位が違うということで。そういうことも考えますと,私は再生法型で外に放り出してしまうという方がいいのではないかというふうに考えます。それで,個別的に労働者を説得するしかないということなのじゃないでしょうか。 ● ○○委員,何か御意見ございますか。 ● 違いは,恐らく労働組合は賛成しているけれども,そこからこぼれる少数の者が出た場合に,多数決原理でやっていくのか,その少数の者が勝って破産の方向に移行していくのかという,そこの違いで現実には問題が出てくるのだろうというように思うわけです。少数の側からすると,この手続で進められれば破産に戻してほしいというようなことを言うことができなくなるものですから,そういう意味で対立関係が裁判所の中に持ち込まれてくるというように思われるわけです。その点からすると,とにかく少数者であっても全員の合意がなければいけないというようにやっていくのは一つの割り切り方ではないかというように思うのですが,ただそれを多数の者が賛成をしているのにごく一人の者のために手続が害されるということが大変不当だということで,制度上まで手当てしていくのかどうかということになりますが,これはむしろその者の,いわば破産になったらどうなるかという問題での説得の問題とも言えるのではないかというように思うものですから,民事再生の事件の中でもその中に入れるか入れないかということで非常に大きな争いになるものについて,特別清算の中でそのような大きな争いが出てくるというものを手続の中で抱えていくことが,手続としてよいのだろうかというところは少し心配ではあります。 ● そうすると,協定の外に出した方がいいのではないかと。 ● 手続としては,協定の外に出した方がスムーズに割り切れるといいますか,破産よりも強い手続として規定されておるところからすると,手続の外に出すというのも一つの,手続をスムーズに進める上での割り切り方ではないかというように思います。 ● どうも両方の御意見が……。ちょうど二分されているような感じで,今日結論出さなければいけないということではございませんので,協定の対象として取り入れて,どの程度優先させるかということについては,認可のところでチェックをするという考え方と,初めから手続外に出してしまって,協定に参加をする債権者は皆均質的な債権者にするという考え方と,分かれているという状況かと思いますので,なおそういう状況で検討させていただくと,場合によっては中間試案で両論併記で意見を聞く,一般の方の御意見を伺うということもあり得るかと思います。   中間試案までに一つにまとまればその方が結構ですけれども,今日のところは協定の内容についての御議論は以上の程度にさせていただきたいと思います。   (3)の「担保権者の参加」。この趣旨は必ずしもはっきりしないのですけれども,一応現行法にあるのに削ることもないのではないかということで,このままということでよろしいですか。   そうすると,問題の「協定の可決の要件」ですが,これについては○○委員,○○委員の方からは緩和を考えるべきだという御意見が出され,○○委員の方からは,現行法維持という御意見が出されておりますが,その緩和をすべきだという場合に,どの程度緩和をすべきだという御意見なんでしょうか。民事再生並みということでしょうか。 ● 日弁連の意見を御紹介申し上げておきますと,和議が4分の3が2分の1,民事再生でなって,もともとこの特別清算の4分の3というのは和議と並びである,和議的清算であるということからその数値が出てきたのかなということになると,今となれば,今の時代にそうのは2分の1だというのがまず一つ。   それともう一つは,再建型の民事再生,再建型の場合はそこにある資産を食いつぶす可能性もあるわけですが,その場合でも2分の1でいいじゃないか,それをただ清算で分配するだけだから,もっと低くてもいいのじゃないかという,こういう意見もございました。御紹介申し上げます。 ● もっと低くなると,多数決にならなければ……。 ● 私は逆で,清算だから高くなければいけないと思います。つまり,清算というのは基本的に実体法上のプライオリティールールに従って分配されるべきものだというのが大前提であって,その例外を定めているわけですね。再建型と清算型を分けるのは,やはり再建の機会を与えてゴーイングコンサーンを維持することでもっとみんながハッピーになれるというところに可決要件を下げている理由があるのだと思います。ところが,必ずしも清算の場合にはそういうふうなことはございませんので,やはり実体法のプライオリティールールから離れる必要性というのはより低いと,こういうふうに思いますので,再建型の方は現状維持か,せいぜい3分の2ぐらいまでというぐらいが限界なのではないのかなという気がします。 ● というような意見も踏まえまして,日弁連でも3分の2ならいいのじゃないかという意見も有力ではございました。 ● 分かりました。ここはいろいろ御意見があるところだと思いますので,どうぞ積極的に御意見を聞かせていただきたいと思います。   今のところ,三つに分かれていますか。現行法維持という考え方と,民事再生並みというのと,その中間をとって議決権要件では3分の2以上という考え方が出ておりますけれども,どうでしょうか。   ○○委員,何か経団連の方のバックアップ委員会なんかで御意見ございますでしょうか。 ● さっきの一般の優先権がある債権についても意見が分かれまして,結論が出ないものですから,ここの可決要件についての意見が出るところまで行っておりませんので,申し訳ございません。 ● ○○幹事,御意見いかがですか。 ● 私は,先ほどの○○幹事と全く同じ意見で,前にも部会とか分科会でも申し上げてきたところだと思いますけれども,やはり清算価値保障原則というのがあって,一応認可要件に入ると,しかし先ほど来出ておりますように,財産評定のような形できっちり財産をはかって,正確な清算価値というものが担保されない手続であるということが前提だとすると,前のこの分科会の議論にも出てきましたように,やはりある程度の債権者が賛成しているというところから清算価値を満たしているのだなということがある程度推定するという構造をとらないと,なかなか制度の正当化は難しいのではなかろうかというふうに思っております。そういう意味からすると,やはり2分の1というのはやや難しいと。   ただ,3分の2か4分の3というのは,これは学者はどちらかということはなかなか難しいところだと思いまして,3分の2というのもあり得るのかなと思いますけれども。一応,そういうような感じです。 ● ○○幹事は何か……。 ● なかなか難しいところだと思うのですけれども,私もただ4分の3を維持するというのはやや硬くないかなというふうに考えておりまして,これは多数決要件ではなくて,つまり何パーセントの人間が拒否権を持てるかという方向から考えますと,現行法ですと,あるいは原案の考え方ですと25%債権買い取れば協定をひっくり返せるということなのですが,先ほども債権者の行動パターンが変わってきたのではないかというような御発言があったり,あるいは会社更生で最近いわゆるクラムダウンした事例が出たというような,その背景にはいわゆる外資の債権買取りのようなことがあったというようなことを伺いましたけれども,そのようなことを考えると,4分の1債権を持っていれば拒否権を持てるというのが果たして今の御時世に合っているのかどうか,債権者として比較的均質な判断を前提としてよかった,いわば古きよき日を前提とできるのかなというのが私はよく分からなくて,そういう意味では4分の3はやや厳格なのかなという気がしております。 ● ○○委員,何か……。 ● 私も,4分の3か3分の2かということについての定見はないわけですが,そもそも破産という立派な,透明度の高いと言われている手続をつくっておる以上,この特別清算ということで強引に少数者を抑えてやっていくというような,そういう姿をたくさんつくっていくというのは,制度設計として余り好ましくないというように思っているわけでして,少数者がその権利を主張して,即時抗告まで持ち込んでもつれにもつれるというようなものは,これは特別清算の制度設計の中に取り込むというのは余り適切ではないというように思うものですから,一定程度の賛成がいわばはっきり得られるという手続を前提に,制度設計をする方がよろしいというように思うものですから,4分の3か3分の2かというのはちょっと分かりかねるのですが,一定の多数の同意というのをしっかりと持っておいてもらいたいというように思っております。 ● どうもちょっと,さっきの一般の優先権ある債権者を入れるかどうかというの,取り込むべき,協定の対象にするべきだという御意見の方がむしろ可決要件が緩やかで,外に出した方がいいという御意見の委員・幹事の方が可決要件が厳しいような感じで,やや違う感じがいたしますけれども。 ● 私の方では4分の3ということで申し上げているので,4分の3でも3分の2でも,そういうあたりがもう一つ……。   清算価値保障の意味を28ページの(c)のところで,厳格な可決要件を満たすということがそれを保障するものだというような理解があるわけです。私どもの方も,そういう考え方でもって4分の3が妥当なのではないかと。また,そういうふうに親会社等が導くときも,そういう努力をすることが大切なのじゃないかというふうに考えて主張しているわけなものですから,どっちが多いかとか,3分の2という人の方が多いかとかいうだけじゃなくて,4分の3ではなぜ清算価値保障が……。3分の2であればどうして満たせると考えるのか,そこのところをもう少し理論的にできるものでしたらやってもらいたい。それでもう一度検討させていただきます。   そこのところをもう少しはっきりさせていただきたいと思いますし,また社会からも求められるのじゃないかという感じがいたします。 ● 再建型の手続と違いまして,清算型になりますと,議決に関心を持たない債権者というのが結構出てまいりますので,そこがやはり再建型と……。   母数で,もともと投票してくださらない債権者が相当数出てくるというあたりは,お考えいただく必要があると思います。全員が関心を持った上で,それで4分の3,それから反対投票として4分の1というのと,欠席になってしまって母数が出てこないというのとは意味づけが違うのじゃないかと。それからすれば緩めていただいてもいいと思いますし,それから今,○○委員がおっしゃった清算価値保障原則のところは単なる投票率の問題じゃなくて,制度の枠組みとして手続的に財産評定もしないわけですから,どこまで確保できるかは別にして,それと議決権の問題とは直結しないのではないでしょうか。 ● 認可の在り方とか,何かそちらの方が直接かかわってくるかなとは思いますけれども,その点は○○委員,いかがでしょうか。 ● 特別清算について,そういうふうな一般の他の倒産手法と横並びで考えていいのかという,そこのところが少し違うのかもしれません。私どもが立っている特別清算に対する考え方はですね。ですから,債権者の関心がないとか,そのあたりのところはちょっと違うのかなと。特に東京での運用なんか見れば,入口のところでそういう合意があるのかというあたりのところ,一応前提にするというか,そのようなこともあるようですので,それは現在の法律がそうだということであればそれはそういうことかもしれませんが,しかし少なくともそれが清算価値保障と,こういうふうに理解するのが,私の方ではそんな感じでいるわけです。ちょっと今の説明とは食い違うような感じがいたします。 ● それでは,この問題も今日決着をつけなければいけないわけではありませんので,今までいろいろ理由をつけて意見を聞かせていただきましたので,それを踏まえてなお検討させていただくということにしたいと思います。   あと,29ページの(注5)以下はよろしいですね,何か積極的に御意見ございますか。(注5),(注6)に掲げているあたりのことについて。   (注5)は協定の認可の申立てについて裁判をする場合に,利害関係人の陳述を聞かなければいけないということにされているけれども,その必要はないのではないかという立法論的批判があると,それで廃止するべきだという意見があるがどうするかということですけれども,これはどうでしょうか。 ● ほかの倒産との横並びだと,債権者は意見を述べることができるというような規定になっていますね,何かそれと同じで別によろしいような感じもするのですが。 ● 不認可要件等について,意見を述べるということはあると思いますね。   では,これは維持する方向でということで……。   それでは,「協定」についてはまだ意見をまとめるところまではまいりませんでしたけれども,いろいろ御意見を聞かせていただきましたので,今日のところではその問題についてはここまでということにいたします。   次に,17の「特別清算の終了」ですけれども,「(1) 特別清算の終結」で,これは監査委員の申立てを認めるかどうかということで,監査委員そのものが先ほどから問題にされておりますので,ここももしそういう制度を残すとすればということになりますけれども。   残すとすれば,入れてもいいのではないかという気がいたしますけれども,いかがでしょうか。そういうことでよろしいですか。   では,(1)は,もし監査委員の制度が残るとすれば,亀甲を外して申立権を監査委員にも認めるということにしたいと思います。   次は(2)の「破産手続開始による特別清算の終了」でありますが,本文の方については格別御異論はないかと思いますけれども,よろしいでしょうか。協定の見込みがないとき,又は協定の実行の見込みがないときは,職権で破産法に従って破産手続開始決定をすると。破産手続開始決定があったときは,特別清算は終了ということで,これはこれでよろしいですね。   32ページの(注5)は,これは破産手続の開始の原因があるときというのを入れるというのは,むしろ当然だろうと思います。   それで,牽連破産について規定を置くというのも御異論がない。   そこで(注7)ですね。この表によりますとかなり期間の長いものもあるようでございまして,そこでこれを何とか早期終了を図るための制度的な手当てが考えられないかということで,そこに(a)から(d)まで例示されておりますけれども,何かいいアイデアをお持ちであればお知らせ願いたいと思います。あるいは,(a)から(d)までの間でこういう考え方がよろしいのではないかというようなことでも結構です。いかがでしょうか。 ● 実際にどういうことで長くかかっているのかということで,簡単に御報告したいと思うのです。   長くかかっているものに二つございまして,一つは協定自体がなかなか成立しないというものが一つでございます。それからもう一つのものといいますのは,協定は成立しているのですが,実行に長期を要しているというものでございます。この中にもまた二つございまして,一つは例えば不動産が残っていて,これがなかなか売れない,資産と負債,残っているものですから終結できないというものが一つ。それからもう一つが,協定自体が非常に長期にわたる協定になっていて,その実行に長期を要しているというものがございます。   一つの例で申し上げますと,15年間にわたって少額で弁済をしていくというような協定もございます。実際の例でいいますと,営業譲渡しまして,営業譲渡を受けた会社が15年間にわたって営業譲渡の代金を少額弁済していくというような事案もございます。また,実行しているうちにとまっているものとか,そういったものがございます。いろいろなバリエーションがございます。   そういう意味で,ここで問題提起いただきましたとおり,何らかの策を設けていただけるのであれば,非常に裁判所としては有り難いというように考えております。 ● 何か,八部の方で検討されておられるとかいうことはないのでしょうか。 ● こういう方策がいいのではないかということについては,まだ考えが及んでおりませんけれども,とりあえずどういうものがあるかということだけ簡単に申し上げますと,今申し上げたような事案でございます。 ● 長くかかっているケースを担当したものですから,その清算人だったものですから,なぜ長くかかったかを。   今の分類の中に入るのですが,10年ちょっとかかったのがあります。ノンバンクの事件で,まだそのころは金融機関も自ら破産ですとかそういうのを行わない事案で,やっとその経営者が特別清算の開始申立てをしたものですから,裁判所の方では,せっかくやっと来たものですから申立てを認めて,そのかわり清算人を従来のを全部解任して,○○先生と私が清算人になったケースで,これは2月に開始決定になって,協定は11月,ですから10か月弱で成立して,大半の弁済はその翌年の2月ですから開始決定から1年で大半の財産は第1回の弁済で終えたのですが,ところが全国各地に不動産が山のようにあって,それが売れるのは最初の半年ぐらいで全部処理したのですが,売れないのは北海道とか全国各地にあって,そして競売の申立てを全部債権者と話してしてもらったのですが,競売で全く落ちない,もう過疎になっているような不動産とか,廃業してしまった山の中のラブホテルの残りだとか,ものすごく苦労して,一本一本全部競売が全く機能しなかった,最後まで不動産の処分で残ってしまった。   破産だったら,ほとんど財団から放棄したケース。ただ,すぐ切り替えて破産にすれば,管財人は売れないケースですから財団から放棄して,またそれが今度残って清算の方にいって,そしてひょっとしてまた同じ我々が清算人になるのじゃないかというような,非常におそれたものですから,そんなことやっておまえたちが悪いのだというのでまたやられる。そんなことを考えて,それから危険な物件だとか放置できない不動産が多かったものですから,非常に時間がかかった。   そのころは,まだバルクセールみたいなものがない時代だったので,それでの反省で次のリース会社のときは,高く売れそうなものをグループごとに放り込んで,そしていい物件と悪い物件,いい債権と悪い債権,見事に組合せして,一挙に売却して,非常に勉強にはなったのですが,そういうケースは破産の時,財団から放棄すれば早く処理できるのですが,それでいいのかという点もあって,どう対応したらいいのかなと,ここでの対応はちょっとしきれない,グループの中にはちょっと入らないケースであったのですが,不名誉に10年ちょっとかかってしまったというケースがありましたので。   先ほどの御紹介いただいた分類では,協定が成立して不動産等が多かったので時間がかかったという類型に入ると思いますが,実情はそんなところです。 ● ここに例示されているのでは,例えば(b)の協定案の作成について時期的な制限を設けるとか,(c)一定の期間内に協定案を作成されない場合,協定案が否決された場合又は可決された協定の不認可の決定が確定した場合等に,職権で破産手続開始の決定をすることができるような制度を採用するというようなのが挙げられておりますけれども,こういう考え方はいかがでしょうか。   なかなか期間を定めるというのも難しい面があることは確かなんですが,余り積極的な御意見は……。 ● 協定案の提出期限は,今でも協定型の開始決定のとき定められておりますし,これはある程度制限を設けていいのではないかと。難しいケースであっても,終結まで先ほど申し上げたように限定されちゃうと困るのですが,協定案を作ること自体は,ある程度の期間があれば十分可能ですから。 ● そこでできないようなら,もうこれはしようがないということでございますね。   先ほど,ちょっと○○幹事の方の御紹介に出てきたのですけれども,協定で弁済期間が15年とかというのは,そもそも特別清算のあれになじむのかなという気がしないでもないのですけれども。   しかし,何か協定の弁済期間というのを決めるというのも,また難しいのでしょうかね。   ○○委員,実際にもやはりそういう例はかなりあるものでございますか。 ● ほとんどないと思います。清算型なものですから,清算人がいろいろ工夫をした結果なので,ちょっと想像がつかないのですが,まずそういう例は余りないですよね。   (オブザーバー) 意図としては,もしかしたら不良な債権を先送りないしあるいは封印装置として使う意図なのではないかと。債権者はですね,債務者も。しかし,実質的な手続である以上,それを禁ずるものもないですから,裁判所としては時間が長いからやめろということはできない。すると,ああそうですかというしかないですね。 ● 現行法では確かにおっしゃるとおりでしょうけれども,そこを何か縛りをかける,あるいは制限を設けるという考え方もあり得るように思うのですけれども。   なおこの点については検討させていただくし,それからまたいいアイデアがございましたら,是非事務当局の方にお知らせいただきたいと思います。   「18 その他」,現行の特別清算について見直しを検討すべき点があるかという点についても,今何かあれば……。 ● 急いでおられると思いますが,17の(1)と(2)について,それぞれ1点ずつ確認かたがたお願いしたいと思っているのですが。   まず,(1)のところで,特別清算の必要がなくなったときというのは,個別和解型で債務超過を脱して,支払いができる状態になった場合のことを含むのだろうと思うのです。ついては,今も現行特別清算の中でも個別和解型というのがあるというふうに言われているのですが,そういう特別清算開始原因がなくなったところでもう既に終了,終結できるのか,あるいはここにちょっと(注1)のところに書いておられるように,個別和解の場合でも弁済が完了することが必要なのかというあたりは,制度設計としてはちょっと大きく違ってくるのじゃないかなと思うのです。   私個人は,必ずしもその場合に弁済完了までは要らないのじゃないかなというふうに思っているのですけれども,その辺を少し御検討いただけたらということと,それから(2)のところですけれども,(2)か(1)かということですけれども,先ほど割合弁済の条項をそのまま残すということで異論がなかったかと思うのですが,そうであれば,清算人は換価解消できたものを片っ端から割合弁済していって,最終的には資産がゼロになったと,ただその場合,協定をやっていませんし個別和解もやっていないので,債務だけが残っているという状況になるのですけれども,それが特別清算の必要がなくなったときということで終結し得るのか,あるいは負債が処理されてないので,この(2)の牽連破産に移行すべきなのかというところ,もしそれも牽連破産にいくことなくて一つの特別清算の手法だというのであれば,その清算人が勝手にぼんぼん弁済して,債務だけ残して終わるというのもちょっとおかしいと思うので,どれだけ手続の中で,どういう監督規制をするのかということがあろうかと思いますので,その辺も御検討いただいて,私はそういう割合弁済型もできたら(1)の類型として制度を充実できたら有り難いと思っておりますので,少し意見を申し上げさせていただきました。 ● そうすると,その場合,終結しちゃっていいと,債務だけ残っているけれども。 ● そのかわり,弁済の過程で裁判所の許可だとか,いろいろ監督権の行使というのがその場合は要るべきではないかと思いますので,ちょっとその辺,御検討いただいたらと。 ● 分かりました。 ● 最初の方の問題は,個別和解型というのは基本的には実体法上の和解をしているわけでしょうから,和解契約が成立すればそれでいいのだと思うのですけれども,どうもそういうあたりをこの特別清算の中で書くというのはちょっと難しいかなという感じですね。 ● 解釈ですべて任していただいてもいいのですけれども,ただ本当に解釈だけですべてを任すと,非常にルーズな手続が行われるおそれがあるので,最小限の規制だけは考えてもいいのじゃないかと。 ● 私の申し上げたかったのは,実体法上の合意である個別和解型について何か規定を置くというのは難しいかなという気がしているという,そういう点です。 ● それでは,18についてはなおもし検討を必要とするという事項がございましたら,随時事務局の方までお知らせ願いたいと思います。   最後に,時間がかなり迫ってまいりましたけれども,第2の「存立中の株式会社への拡大」について説明をお願いいたします。 ● それでは,第2について御説明いたします。   第2では,存立中の株式会社が債務超過の状態にあるときにも特別清算を開始することができるものとし,特別清算が開始したときは,会社は解散するとの考え方についての主要な問題点を取り上げております。   まず1では,このような考え方に基づいて制度を創設するニーズの点を取り上げております。存立中の株式会社への拡大は,株式会社の解散のための手続をとる必要がなく,便宜であるというところから提案されていると承知しておりますが,具体的にどのような事案を想定しているのかは必ずしも明確ではありません。具体的な制度設計に入る場合には,現在も特別清算を利用している事案や,現在は破産手続を利用している事案を想定しているのか,それとも現在は私的整理により処理されているような事案を想定しているのかという点について,確認をしておく必要があると思われます。   また,この考え方を制度化した場合に,どの程度の利用が見込まれるかについても確認をしておく必要があると思われるところです。   次に,2では,存立中の株式会社への拡大を図った場合に,通常清算との連続性を考慮した新特別清算の趣旨や目的にどのような影響を及ぼすことになるのかという問題点を取り上げております。もちろん,趣旨や目的といった抽象的なレベルにとどまらず,特別清算上の個別の制度,手続にも重大な影響が及ぶ可能性があると思われるところでありまして,一つの制度の中におさまり切るようなものとなるかは疑問に思われるところです。   最後の3では,破産手続との関係を取り上げております。存立中の法人への拡大を企図した事務当局の当初案が,結果的に協定破産となったことからもお分かりのとおり,存立中の株式会社への拡大を図る場合には,破産手続との関係を合理的に整理することは必要不可欠であると思われます。(注)では,両者の関係を合理的に整理するための視点として,債権の届出,調査及び確定の点を具体的に取り上げております。通常の再生手続と簡易再生との関係に平仄を合わせるためには,(注)記載のとおり相当厳格な要件を設ける必要があると思われますが,そのような要件を設けてまで存立中の株式会社への拡大を図る必要性があるのか,改めて検討する必要があると思われるところです。以上の点について御意見をちょうだいしたいと思います。 ● これは1,2,3と分かれておりますけれども,問題は一つでございますので,一括して御意見を伺いたいと思います。   これは,第1回目のときに○○委員を始めとして一,二の方から御意見が出された点でございます。事務当局の方で検討してもらうということで,検討した結果がこれでございますけれども,○○委員,いかがでございましょうか。 ● 検討していただいてありがとうございました。これですと,ニュアンスというのはますます明確になってきた感じがするのですけれども,最初の制度創設のニーズという点から述べさせてもらいますと,こういうニーズがあるのかと,現実に東京弁護士会等で要望が強いものですから,具体的に例を挙げないとまずいということで,出てきたのが,代表的なのが○○証券の場合です。あそこは特別清算したかったけれども,どうしても解散できないというので,準備だけいろいろやった上で,最後に破産に持っていった,特別清算できればもっと早くいろいろなやり方もできたのだろうというふうに思います。   それから,ほかにも上場会社で,オーナー会社で,再建を頼まれたけれどももう実態を見ると営業譲渡で清算するしかないケース,これは割合最近多いのですけれども,そのときに解散できないのだから,上場会社でできないのだから,破産を進めてもオーナーがどうしても困ると言うので,弁護士としては民事再生で入って営業譲渡をして空っぽにする。ここまではできるのですが,その後ができなくてみんな困っていると。その後どうするか,人によってはしばらく時間を置いて破産に持っていくケース,それからそのままほっておいて何年か待ちましょうと,5年待ちましょうというような,休眠会社にしているようなケースが上場会社でもある。こういうケースなんかは,特別清算を使いたかったということを話しております。   ですから,それからケースは確かに件数からいくとそう多くはないかもしれないのですけれども,やはり株主の数が相当数いて,2週間の招集期間を置かなければならないような場合に,倒産手続は密行性を要しますから,オープンにしてしまう,2週間オープンにしてしまう,なかなか利用しにくい。   それから,特別決議が得られないような会社の場合には,やはり特別清算を利用したいなという声がありまして,そうするとどういうケースがこちらの制度ができた場合に流れてくるかというと,今の申し上げたケースのほかに,やむなく今は破産にしているケースが流れてくるかもしれないし,私的整理にしているケースも一部流れてくるのではないかと。   それから,次の本来的な特別清算制度に影響への点ですが,拡大された部分について,債権者の利益の保護を図れるのか,この点は破産よりもずっと図れるだろうと。まず簡易な特別清算を考える場合には,破産よりもいいような弁済率ないしは弁済期間を目標にしませんと賛成が得られませんので,それは破産よりも有利な弁済を考えることになりますし,少額債権ですとか関係している債権者の劣後させるだとか,弁済方法も代物弁済とか,例えば債権ですとか不動産等,あるいは商品等での弁済も考えられるので,この要件もクリアできるのではないかと。   では,破産との手続の関係についてですが,ここは大分理解の仕方が違っているのでこういう問題が生じてきているのだなというのが最も明確になる部分なんですが,このように破産手続という清算型の基本ということに位置づける限り,特別清算についてこれは特則なんだから,それは当然特則である以上加重要件が必要になってくる。加重要件を設けるとなると,この例にも出てきますように,とても利用しにくくなってしまう。そうすると,何のために制度を設けているのか分からなくなるというようなことになりかねない。このように言われると,やはり3項のような言われ方をすると,なるほどこんな制度はない方がいいのかなということになってしまうのですが,もともと特別清算は破産の特則と考えるのではなくて,清算というものの基本は,やはり当事者が主体的に行う通常清算が基本なのではないかなと,本来当事者が行うのは,これはなかなか遂行困難な場合に裁判所が後見する,監督するような,いわば後見型の清算手続を設けて,それはほかにはないものですから特別清算ということになるわけですが,そしてそれでも当事者だけに清算の遂行を任せるということは不適当なケースだとか,後見型ではとても無理だという最後の受け皿として,管理型の破産のようなものがあるのじゃないかと。そうすると,原則はむしろ後見型の方が先ではないかなと。破産が原則ではないのじゃないかと。   これは再建型についても同じで,原則は当事者が行う私的整理,そして民事再生,会社更生となるので,そういう意味では要件が似ている民事再生その他会社更生というのが存在するのと同じように,要件として似ているのがあってもいいのではないかというような意見が出ていますので,その辺を検討していただいて,最後は御判断をお任せするということになるかと思います。   一応,いろいろ出てきた意見を整理させてもらいました。 ● 実際のニーズの例も挙げていただきましたけれども,さて,いかがですかね。 ● おっしゃった最後の点ですが,清算ということが二つあるのですよね。だから破産の清算と通常清算の清算を一緒だという理解は,やはりちょっと入りにくいところがあると思うのです。解散を前提とした清算と,無理やり解散させてしまう清算というのは,やはり質的に違うのだというのが出発点だろうと思いまして,私はここに書いてあることはそのままだと思っておりますので,やはり破産の特則になってしまうのではないかなという気がしております。 ● ○○委員が弁護士会の方のバックアップ委員会で御検討いただいたところを今御紹介していただいたのですけれども,第1回目のときも伺いましたけれども,要するに債務超過が原因にはなるわけですね。 ● そうです。 ● そうなると,どうもそういう実質的な清算みたいなのが原型だというところがちょっと理解しにくいようにも思うのですがね。   ○○委員ばかり御意見を伺っていますけれども,ほかの委員・幹事の皆さん方はいかがでしょうか。第1回目のときにかなりいろいろ御意見を言っていただきましたけれども,今回のこの事務当局の検討の結果と,今の○○委員の御意見を踏まえて,なおほかの委員・幹事の皆さんの御意見を聞かせていただければと思いますが,いかがでしょう。   指名をして恐縮ですが,○○委員,いかがですか。 ● 今までの特別清算の理解が,自発的に株式会社が解散決議をして,その受け皿としてできてきた特別清算というものを,特別清算の使い勝手のよさに着目して,それじゃ会社の決議をしなくても使えるようにしようというのが○○委員の前からの御発言だったと思うのです。しかしそれは,今,○○幹事が言われたように,破産の変形であって,特別清算のこの手続のバリエーションではちょっとないような気がするのですね。だから,どうしてもちょっとこれ,解散決議をしたことを前提とする特別清算の中にそれを取り入れるということが,少し体系的にしっくりしないのじゃないかという気がどうもするものですから……。   申し訳ありませんけれども,私はそんな感じがしております。 ● ○○委員の方のあれでは,この点は検討されたことがおありでしょうか。 ● 大変申し訳ないのですが,余り理論的な検討というよりは,当初の破産法分科会で議論したころには,当然ながらこういうものも入ればいろいろ利用勝手がいいだろうという意見を申し上げさせていただいたのですが,その後ぐっと検討してくる過程で,かえって使い勝手を悪くする,今特に特別清算に関してある一般的なニーズというのでしょうか,そういうようなことから,現在ではこちらの原案の考え方,これを全員で支持していると,そういう状態であります。 ● この必要性というところから出てきた問題の,例えばオーナーが希望しないという問題が出てくる,そのような事例では,将来そういう希望しなければそういうもう制度がないのだからというので,オーナーにきちんとけりをつけてもらうほかないのじゃないかと思うのですが。   もう一つ,解散が難しいという事例に関していいますと,具体的事例が出てきました会社などについていいますと,これは100件以上訴訟を抱えておる会社で,世界各地に資産を持っておるという膨大な規模の会社でして,これを裁判所の監督が非常に緩い任意の手続でこれだけの処理をするということについて,裁判所がそこまで適正な形で進められるということになっていけるかどうかというのが非常に不安があるわけでして,そこらの問題について,いわば適正さの担保というのですか,それがない状態でこのような膨大な規模のものまで特別清算という手続の中で取り込むということになると,別の,特別清算とは全く違った性質のものになるというように感じるものですから,どうも制度としてこの中に取り込んでいくというのは,かなり無理があるというように,具体的な事例の印象でも受けるというように思います。 ● それでは,第1回目のときにもほかの委員・幹事の方から御意見をいただいておりますので,この点については,これも今日でもう決着をつけるという趣旨ではございませんので,最終的には部会の方でどうするかということを決めなければいけないと思いますので,今日でもうやめということではございませんが……。 ● 議論の前提のときに,毎回第1回目のときの様子は何度も詳しく説明しておりますので。 ● それでは,今日のところはここまでということにさせていただきたいと思います。   ちょっと所定の時刻を過ぎましたけれども,以上で資料3についての審議を終えることにしたいと思います。   それでは,次回の予定等について,○○幹事の方からお願いいたします。 ● 次回は,特別清算分科会の第4回,分科会としては最終回でございます。これまでの1回,2回,3回での第一読会の結果を踏まえて,第二読会としての位置づけで御議論をいただきたいと思っております。資料の構成の仕方も含めて,もう一度こちらの方でも検討させていただきたいと思っております。   それから,日時は,今度は少し間があきます。5月の21日金曜日,午後1時。場所は,同じ法務省第1会議室の予定でございます。 ● それでは,今,○○幹事から予告がございましたように,5月21日にまたお願いしたいと思います。   以上をもちまして今日の特別清算分科会を閉会ということにいたします。どうもありがとうございました。 -了-