法制審議会会社法(株券の不発行等関係)部会第7回会議議事録 第1 日 時  平成15年3月26日(水)  自 午後1時33分                        至 午後3時43分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題  株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案(案)について 第4 議 事 (次のとおり)               議         事 ● 時間になりましたので,法制審議会会社法(株券の不発行等関係)部会の第7回会議を開催いたします。   今回の会議は,これまでの当部会における審議の結果を踏まえて,事務当局が作成した部会資料11の「株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案(案)」について審議し,中間試案を取りまとめていただくことが目的であります。   それでは,早速審議に入りたいと思いますが,部会資料11は,「第1編 株券不発行制度」と,「第2編 電子公告制度」に大別されますので,まず第1編について事務当局から説明を聴取した上で審議をしたいと存じます。 ● それでは,部会資料11の「株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案」の原案の御説明をさせていただきます。   まず,「株券不発行制度」について御説明をさせていただきます。   なお,部会の資料といたしましては,この資料番号11の中間試案の原案のほかに,参考資料といたしましてその補足説明,資料番号6でございますが,それを事前に送付させていただいております。中間試案を公表いたします際には,会社法関係ではいつも補足説明といいますか,解説といったものをつけて公表し,意見照会をするという習わしになっておりますので,これは事務当局の責任において補足説明は作成するということになっておりますものですから,正式な部会資料にはしておりませんけれども,これまでの試案としてお示ししたもので,注として書いておりましたものをもう少し詳しくした形で補足説明の方に移し替えたりしていることもございますので,あわせて参考資料としてお送りさせていただいた次第でございますので,これも御覧いただきながら御審議をいただければと思います。   それでは,第1編の「株券不発行制度」につきまして,前回の第二次試案,部会資料9でございますが,これとの相違点について御説明をさせていただきます。   まず,全体的なことでございますが,先ほど申しましたように,細かい検討課題についての注ですとか,説明のための注を部会資料9にはかなりつけておりましたけれども,それを参考資料6の補足説明の方に移しているというところが一つの違いでございます。   あとは,個別の事柄になりますが,まず第1の1の「(1) 株券等の不発行の定め」の乙案につきまして,注を新たに設けまして,公開会社が一斉に振替制度利用会社に移行する場合の手続の基本的な事項を説明することとしております。   これは,また更に(ⅰ),(ⅱ)という形になっておりますけれども,まず第1に保振法の実質株主や,保振法上の保管振替制度を利用している質権者の取扱いでございますが,保振法の預託株券の株式については原則として第2の3の新規記載手続は行わないことといたしまして,振替制度の振替機関,あるいは口座管理機関が保振法の保管振替機関,あるいは参加者として作成した参加者口座簿,あるいは顧客口座簿の内容を振替口座簿に転記するということによって,新たな振替制度を利用できる状態にするということでございます。このようにいたしますれば,一斉に移行する前に保振制度に入っている株式については,そのまま簡単に新たな制度に移行できるということになるわけでございます。   次に後段ですけれども,この場合において,参加者が顧客口座簿に自己名義の質権口座を開設している場合には,振替機関に当該質権口座の内容を通知して,振替機関は当該参加者兼口座管理機関の口座の質権欄にその内容を転記するということにしております。これは,現行の保振法上の質権口座は,御承知のとおり設定者である顧客の口座簿の中に質権口というものを設けて,そこに置かれるということになっておりますが,今回の新たな振替制度におきましては,社債等振替法の取扱いに合わせまして,具体的には6ページの第2の2の(4)のところでございますが,保振法のように設定者の口座の中に質権口というものを作るのではなくて,質権者の側の口座として,実務上は多分質権口とかあるいは担保口と呼ばれることになるのだと思いますけれども,そういう口座を作るということにしております関係で,質権者の口座というものを新たに作って,そこに移し替えなければならないということから,そのことを,いわば当たり前のことですけれども説明しているのが後段ということになります。   このようにいたしますことにより,今後預託率を更に上げていけば,預託されている株式については簡易に新たな振替制度に移し替えられるということになるわけでございます。   なお,ここでは「転記しなければならない」という書き方をしておりますが,実際には同じデータベースを使って,コンピュータ・システムは多少変わるのだろうと思いますけれども,システムを動かすことになりますので,転記したという形をとればいいので,データベースを別に作り直す必要はないということでございます。   次に,(ⅱ)の保管振替機関に預託されていない株券に係る株主及び質権者の取扱いですけれども,今申しましたように,保管振替制度に預託をしてしまえば後が非常に簡単にできるわけでございますので,できるだけそれを今後促進していくということが必要になるわけですけれども,最後まで口座を作られないということもあり得ます。そこで,まず公開会社は基準日--基準日というのは,乙案のbのところに書いています改正法の施行後5年以内の政令で定める日のことですけれども,その日において株券を発行しない旨の定款の変更の決議をしたものとみなされるということと,保管振替機関に預託されていない株式については,特別口座管理機関の口座に記載されることなどを,当該基準日の1か月以上前に公告して,かつ,株主及び株主名簿に記載のある質権者に各別に通知をしなければならないということでございます。つまり,御自分で保振法上の口座を作って,そこに入れない場合には,もう特別口座管理機関の特別口座に入れますよということを公告及び通知していただくということでございます。   これは,一斉にやるのになぜ公告や通知が要るかということですけれども,各会社ごとに恐らく特別口座を設ける口座管理機関というのはばらばらになると思いますので,会社が設けられる特別口座管理機関では都合が悪いという人は,自分で別の口座管理機関に口座を作る必要がありますので,それを告知していただくというためのものでございます。   以上が基本的な事項でございますが,なおこの移行手続というのは,前回御議論いただきました略式質の有する匿名性等のメリットをできるだけ活かすという意味もあるわけでございまして,要するに保振法上の質権口に入っている質権というのは,略式質と同様の内容のものでございますので,できる限り保振法上の略式質に移行前に皆入っていただくということによって,匿名性を維持したままで新しい振替制度の同じような略式質の制度に移行させるという,そういう意味合いを持っているわけでございます。   なお,今,株券で持っておられる略式質の場合は,したがいまして基準日よりも前に保管振替機関,保振さんに預託をしていただくということになります。これは,質権者と担保権設定者である株主とが協力をしてそういうことをしていただくということになるわけでございます。恐らくは,匿名性を維持したいというのは株主さん,設定者の側の御希望なのでしょうから,設定者がそれに協力しないということは普通は考えられないのではないかと思いますので,それで大体はうまくいくのではないかと思います。   そのことを補足説明で説明しておりますのが,6ページの終わりの方からでございます。下から第2段落の,保管振替機関に預託されていない株券に係る株式の略式質権者については,基準日前に,質権設定者と協力して,保振法による株券の預託を行い,質権者の口座に振替をしておけば,(ⅰ)により,匿名性を維持したまま,新振替制度の略式質権者になることができるという,先ほど私が御説明したことを書いているわけでございます。   ただ,例外的には何らかの理由で質権設定者である株主が協力しないということがあるかもしれません。そこで,その場合の措置ということも考えなければいけないわけですが,その点につきましては補足説明の7ページの第3段落,「株主が預託に協力しない場合については」というところから始まる文章ですけれども,略式質権者が単独で新しい振替制度のもとの質権者になることができる方策を用意する必要があると考えられるわけでございます。ただこの場合,先ほど申しましたように匿名性というのは本来は設定者である株主の利益のためのものですから,協力を拒んだ株主のために略式質の匿名性を維持する必要はないと考えられます。そこで,今考えておりますのは,略式質権者が単独で発行会社に株券を呈示して,質権者の氏名,住所,質権の目的である株式の種類及び数などを通知いたしまして,発行会社が当該略式質権者のために特別口座管理機関に口座を開設して,当該口座の質権欄あてに新規記載手続を行うという,そういうような手続を設けることとしたいと思っておりますけれども,非常に細かい話でございますので,そこまでを試案の本体には書かずに,補足説明の方で説明をさせていただいているということでございます。   次に,今,略式質の匿名性の話を申し上げましたので,あわせまして前回御審議をいただきました略式質,あるいは譲渡担保という場合もあると思いますけれども,それらが有する匿名性等のメリットを新たな振替制度においても生かすための工夫をしようということを前回お決めいただいたわけでございますので,そのための工夫としてどのようなことを中間試案に盛り込んだかということを申し上げたいと思います。   まず一つ目は,第2の2の「振替口座簿の記載事項」の(4),6ページを御覧いただきたいと思います。   ここにおきまして,従前は質権者のことしか書いていなかったのですけれども,譲渡担保権者につきましても振替口座簿にその旨と,担保設定者の氏名,住所を記載するということにいたしまして,それを踏まえて10ページを御覧いただきたいのですが,9の「一斉株主通知」でございます。それの(1)におきまして,一斉株主通知をすべき株主の中から譲渡担保権者を除きまして担保設定者を含むということを書いていますが,これによって株主としては,譲渡担保を設定している場合は担保設定者を株主として通知するのだということにし,またこの(1)に新たにただし書を設けまして,質権者についてはその請求があったときには質権設定の事実を発行会社には通知しないということにしている次第でございます。ただ,これは要綱試案でございますので,「譲渡担保権者」というような言葉を使っておりますが,要綱にしていただく過程で条文化のことを考えなければなりませんのですが,「譲渡担保」という言葉は税法ぐらいでしか使われていないということもございまして,そこら辺はまた更に権限ある御当局と相談しながら文案を考えたいと思っておりますけれども,分かりやすさということで今回は「譲渡担保権者」という言葉を使わせていただいているということで御理解いただければと思います。   それから,更に次が11の「単独株主権・少数株主権の行使方法」のところですけれども,11ページの終わりの行から12ページにかけてのA案の(1)のアでございますが,ここでも株主から譲渡担保権者を除き,担保設定者を含むということで,譲渡担保の場合は先ほどの一斉株主通知の場合と同じく,個別通知においても担保設定者の請求によって個別株主通知をするのだということにいたしますとともに,12ページの下の方の(3)で,「振替制度利用会社の振替口座簿閲覧権等」というところですが,そこにもただし書を設けまして,質権者や譲渡担保権者が質権設定あるいは譲渡担保権の設定の事実について閲覧の対象から除外してほしいという申出をしていた場合には,そこは閲覧させてはならないということにいたしまして,以上のような一連の措置をもって略式質や譲渡担保の匿名性を確保するということにしている次第でございます。   なお,こういう案を作ります過程におきましては,○○委員にいろいろ御尽力をいただきまして,事前に御相談をさせていただいて,こういう案を出させていただいた次第でございます。○○委員に深く感謝いたす次第でございます。   それでは,次に行かせていただきますが,四つ目といたしまして,13ページ以下ですけれども,株式以外の振替制度の一つとして,新株引受権の振替制度,これは前回までは注でお出ししておりましたけれども,これを設けることにいたしまして,その内容はまた後で御説明いたしますが,それに伴いまして2ページの第1の1の(1)の(注1)といたしまして,新株引受権証書の不発行制度については,第3の1の(2)を参照してくださいという注を新たに(注1)としてつけ加えた次第でございます。   それから,次の2ページの(注2)でございますが,これは第二次試案,部会資料9でございますが,そこでは(注4)になっていたものに修正を加えたものでございます。これは,第二次試案についての御審議の際の部会長と○○委員の御議論を踏まえまして,前回の第二次試案では株券不発行を原則とするという形をとることについてどうかとだけしか書いていなかったのですけれども,そこを一部変更いたしまして,株券不発行を原則とするという考え方をとる場合であっても,既に株券を発行している会社については,改正法の施行日において株券を発行する旨の定款変更の決議をしたものとみなす,擬制するということによりまして,何もしなかったために一定の日において発行していた株券が突然無効になってしまうということはないようにする,つまり株券を発行した会社は,株券不発行会社となるためにはその旨の定款変更をしなければならないということにいたしまして,株券を既に保有している株主の利益を保護するということにしています。   なお,この(注2)の考え方をとりますと,株券を全く発行していない会社は,定款変更を行うことなく,改正法の施行によって株券の不発行についての現在の違法状態は自動的に適法状態になるということでございまして,これは○○委員の従前からの御要望だったわけですけれども,ただその場合,何もしなくていいのか,つまり株券不発行会社に移行することについて,株主への何らかの周知手段が必要ないのかどうか,あるとすればどういう手段を用意すべきかということは,今後更に御議論いただく必要があろうかと思います。そこで,補足説明の方におきまして,8ページに入ったところの冒頭の括弧書きで,会社が施行日に株券不発行会社に移行することを株主に通知するなど,その旨を株主に周知させるための手段を検討する必要があるということを書かせていただいております。   なお,周知する手段を用意するのであれば,本文に掲げております株券の発行を原則とする案と余り変わらなくなるかもしれないということもありますので,この考え方については引き続き注という形でお出しさせていただいているということでございます。   その次に,第1の1の「(2) 株券の回収の要否等」に移らせていただきますけれども,このⅠ案におきまして,この案といいますのは株券を回収するという案でございますので,新たにdを設けまして,株券の提出又はこれに代わる商法216条の手続と同様の手続をとった後でなければ,名義書換の請求をすることはできないということを試案上もはっきりさせることとしております。   それから,あわせましてgも設けまして,これは3ページでございますが,株券回収の公告をするというのがaの原則でございますけれども,商法特例法上の小会社につきましては,株主数も少ないのが通常でありますし,その公告の負担ということもございます。電子公告を導入すれば負担はかなり軽くなるということが期待されるわけですけれども,小会社の場合に自社で電子公告のためのきちんとしたホームページを開設することは困難という問題もございますので,その負担を考慮いたしまして,商法特例法上の小会社は株券回収の公告をすることは要しないという案に変更させていただいております。   それから,Ⅱ案におきましても少し変更がございまして,まずaの公告等をする期間,これは株券回収のための公告ではなくて,株券が無効となることをお知らせする公告でございますが,これまではⅠ案と同様に,その期間を1か月間,1か月以上前というふうにしていたわけですけれども,株券を回収しない場合の公告等の期間は,一般に2週間とされていることに気がつきましたので,ここもⅡ案をとる場合には2週間という形に改めさせていただいております。   それから,先ほど申しましたようにⅠ案にgを加えましたので,Ⅱ案の場合も小会社については公告は必要ないということを,Ⅱ案のbでgに同じということであらわすことにさせていただいております。   それから,その下の(注)でございますが,先ほど申しましたように乙案の公開会社についての一斉移行という考え方をとります場合には,その一斉移行については株券回収は行わないということにいたしまして,その手続は乙案の注記載の手続によるということを明記してございます。   ただ,この場合でも,一斉移行するのは試案の1ページにあります基準日当日における公開会社だけということになりますので,その他の,その当時における非公開会社が株券不発行制度に移行する,それは定款変更をすることによって移行するわけで,その場合に株券の回収についてどう考えるかという問題は引き続き御審議をいただく必要がありますけれども,これまでの御審議でもとの部分も甲案・乙案並列で意見照会をしてみるということになりました関係で,ここもⅠ案,Ⅱ案ということで並列で意見照会をさせていただいて,その結果も踏まえて最終的な御決断をいただきたいと考えているところでございます。   その次の「(3) 既発行の新株予約権証券の取扱い」でございますが,これは第二次試案では注の形にしておりましたけれども,その際の御審議の結果で,新株予約権証券を発行しない旨の定款の定めの効力は既発行の新株予約権証券に及ばないという形で処理をするということをお決めいただきましたので,本文に格上げをさせていただいております。   次の2の「株式等の譲渡方法及び名義書換」の部分は変更がございません。   4ページ以下の「3 株券等の不発行の定めに伴う所要の手当等」のまず「(1) 株主名簿の閉鎖期間の廃止」でございますが,前回の御審議の結果,株券不発行会社か株券を発行する会社かを問わずに,一律に名簿閉鎖期間制度は現在は必要ないのでこれを廃止するということをお決めいただきましたので,そのような形に改めさせていただいているということでございます。   あとは変更はございません。   次に,6ページ以下の「第2 株式の振替制度関係」に移らせていただきますが,まず既に御説明した略式質や譲渡担保の匿名性確保の手当てのための修正をしておりますほかに,3の「新規記載手続等」,7ページでございますが,その(4)におきまして,第二次試案では発起人,これは商法169条の書面に口座を記載しなければならないわけですが,そのことは(1)に書いてありますが,記載しなければいけないと書いておきながら,(4)では,それを記載しなかった発起人のためにも特別口座を開設するということにしていましたが,その部分を削って,募集設立の場合の株式申込人が株式申込証の用紙に口座を記載しなかった場合と同じく,口座を記載しないでした申込みは株式の引受けとしては無効ということにいたしまして,そういう人のためには特別口座は作らないという形にさせていただきました。これは,同じく口座を記載しなければいけないという取扱いの中で,口座を記載しなかった者が発起人であるのか株式申込人であるかで区別するというのは合理性がないだろうと考え直したためでございます。   次に,6までは変更がありません。   8ページ以下の6でございますが,変わりましたのは9ページの(注2)をつけ加えたということでございます。第二次試案についての御議論におきましては,この6から8にかけてのいわゆるパーティションを社債の場合と同じく株式についても導入するというためには,そのためのセーフティーネットを別途用意する必要があるということでほぼ御議論が一致したと思いましたので,株式の口座振替制度についても社債や国債の場合と同様の投資家保護のためのセーフティーネットとして,社債等振替法に規定があります加入者保護信託を株式についても整備する必要があるのだということを書きまして,それを前提としてこのパーティションについての案を出しているということをはっきりさせた次第でございます。   次に,8の「消却義務の不履行の場合における株主の議決権等」でございますが,これも第二次試案におきまして,○○委員や○○委員から,なおこの端数の議決権というのはできる限り避けたい,めったに起きることではないわけですが,めったにも起きてもらっては困るという御指摘がございましたので,めったに起きないことが起きた場合に,それでもなお端数にならないようにするための手当てをできる限り考えるということにいたしまして,○○委員,○○委員と御相談させていただいて,(2)を新たに設けさせていただくとともに,注をつけ加えさせていただいたということでございます。   まず(2)は,一斉株主通知,これは一定の基準日において行うわけですが,10ページの9の「一斉株主通知」の(1)のアからエまでの場合に一斉株主通知を行うのですけれども,これは現在の保振制度と同じく,原則的には年2回ということになるわけでございます。その一定の日,例えば3月末決算の会社ですと4月1日現在の株主ということで一斉株主通知をし,また10月1日現在の株主ということで一斉株主通知をいたしますが,消却義務が発生しているということに気がつくのは,その一斉株主通知をする際に,もう一遍チェックをしてみたらそこにそごがあるということに気がつくということが考えられるわけですので,そういう場合にも,本来ですとその基準日を過ぎてしまっておりますからにっちもさっちもいかなくなるというのが今までの案だったわけですが,そこをそうしないで,2週間以内に消却義務を履行した場合には,基準日にさかのぼって超過数が初めから生じなかったものとするということによって,端数の議決権ですとか,会社に対抗できない部分についての配当の処理とか,そういうことをしなくていいようにしようというのが(2)でございます。   (注)は,そのような処理を消却義務を負う振替機関等が行おうとした場合に,しかし振替株式を市場から取得することが困難な場合もあるかもしれない。既に口座管理機関自身が当該銘柄の株式を持っておれば,それで消却ができるわけですが,持っていない場合は市場から取得しなければいけないと。ところが,市場で余り売買が成立しないような銘柄だとしますと,市場から取得できないということになって,(2)が機能しなくなるおそれがございます。そこで,そういう場合に振替制度利用会社,つまり発行会社ですけれども,発行会社が当該振替機関等に対しまして,自己株式を譲渡して消却させるということができるようにすれば,(2)が発動される範囲が更に広がって,(1)が発動されて端数の議決権というようなことが起きることがほとんど限りなくゼロ,もともと限りなくゼロのはずなのですけれども,更に一層ゼロに近づくということになります。ただ,現行法のもとでは,御承知のとおり自己株式の処分は新株発行類似の手続が要求されておりますので,(2)の2週間以内というのを満たすことが困難なわけでございます。そこで,簡易な手続で自己株式を譲渡することまで認めるのかどうか,そこまで踏み込む必要があるのかどうかについて,今後更に当部会で御議論いただきたいということで(注)を付してございます。   次に,9の「一斉株主通知」でございますが,11ページの(2)でございますけれども,第二次試案では,発行会社に対抗することができない数を控除した株式数のみを通知するということにしておりましたけれども,各株主の保有総数と,発行会社に対抗することができない数の双方を通知するということに変更をしてございます。これによりまして,発行会社側が基準日当日における消却義務の不履行の内容をより明瞭に把握できるようにいたしまして,消却義務不履行状態が万が一生じた場合に,口座管理機関等と事実上協力して,端数の議決権が生じないようにするための措置を速やかに講ずることができるようにする趣旨でございます。   それから,10は変更ございませんが,11の「単独株主権・少数株主権の行使方法等」につきましては,(A案振替口座簿基準案)の(1)のイでございます。12ページでございますが,これにつきまして第二次試案につきましての○○委員の御指摘を踏まえまして,その表現を現行の株券保管振替制度における減少・抹消通知と同じ内容のものであるということが案の表現上もはっきりするように改めた次第でございます。   以上が第2関係でございます。   第3の「新株引受権,新株予約権及び新株予約権付社債の振替制度」でございますが,先ほども申しましたように,新株引受権についても振替制度の対象とするという,これは前回の御審議の結果を踏まえてそのようにすることにしたわけですけれども,これに伴いまして第3の表題を変更いたしました。つまり,「新株引受権」というのをつけ加えたわけでございますが,それとともに「商法の不発行制度との関係等」の(2)におきまして,新株引受権についても振替制度というのは新株予約権付社債や普通社債の場合と同じように,新株引受権の発行の決議ごとに,つまり新株発行の決議ごとにということですけれども,新株引受権を付与する場合にペーパーレスの振替新株引受権として付与するのか,それとも新株引受権証書を発行するのかということを決めるということにしております。   それとともに,新株引受権の振替制度関係につきましては,2の「権利の帰属等」の部分ですとか,あるいは3の新株引受権の行使方法のところにつきましても,新株予約権付社債の場合と同じ手続で権利の帰属等が決まり,行使方法も決まるということを書くようにしております。   それから,別の事柄ですけれども,戻る形になりますが,第3の1の(2)の後に(注)を新たに設けさせていただきました。これは,既発行の新株予約権付社債につきましてもペーパーレス化の措置を講ずることができるようにする必要が多分生ずるだろうと,これは社債等振替法で普通社債のペーパーレス化を図ったときにもそういう御要望があって,社債等振替法の附則10条という規定が設けられたわけですけれども,それと同じ取扱いをすることによって,既発行の新株予約権付社債についてもペーパーレス化をしようと思えばできるということを注にしてございます。   これを注にしておりますのは,経過措置で附則で書くべき事柄だからでございます。   それから,第3の3の「新株引受権,新株予約権の行使方法」の記述をかなり変更しています。第二次試案では,単に振替機関を通じて,当時は新株予約権だけだったわけですけれども,その権利行使の意思を発行会社に通知することのみを書いておりましたが,今回の中間試案では,その場合の手続の全体像を明らかにすることにした次第でございます。具体的に言いますと,振替新株引受権等の行使に当たりましては,当該振替新株引受権等を発行会社あてに振り替えるということにいたしまして,それとともに行使の日を表示すると。そしてその行使によって発行される新株や,新株予約権付社債の新株予約権行使後のものにつきましては,いったん新株予約権や新株予約権付社債を発行会社に振り替えていますので,今度は新規記録手続を行うことによって振替制度に乗せるという形にするということを(2)で書いているところでございます。   以上,長くなりましたけれども,第二次試案からの変更点を申し上げました。 ● ただいま,第1編,1ページから14ページまでにつきまして,この前審議したときの,つまり部会資料9から変更があった点について説明をいただきましたが,お手元の案につきまして御審議いただきたいと思います。できれば,今説明があった変更のあった点を中心に御議論いただければと思いますが,もちろん別の点でも結構でございます。 ● 株主名簿の閉鎖期間の廃止の点でございますけれども,基準日に統一するというのは私も賛成させていただきましたけれども,既存の定款で閉鎖について定めているものについての取扱いでございますけれども,それを基準日の採用と読み替えるのか,それとも新たに何か決議をして,基準日制度の導入という形にするのか,その点はどうお考えなのでしょう。   というのは,多くの中小企業の場合は,定款に定めてそのままで,公告をしないといけないということになると手間になると思いますので,読替えができた方がいいかと思うのですが。 ● 基準日の定めをあわせて置いてはおられない会社が多いのですか。 ● 両方現実にありますので,古いところでは閉鎖だけでいっているところもございますので。 ● これ,どういう条文になるかにもよるのですが。224条の……。 ● 4項の問題だと思うのですが。通常,定款に定めてしまっておりますので。 ● 基準日の定めもあわせて置いてあるものについては特段手当てしなくても問題ないと思いますが,問題は古い会社で,全然定款変更されてなくて,基準日という形では定めを置いておられないものをどうするかということだろうと思います。   どっちにしても小規模な閉鎖会社でしょうから,定款変更すること自体はそう大変ではないとは思うのですけれども,そこはちょっとニーズも踏まえまして,何らか経過措置的なものでそういう定款の定めの変更をしたものとみなすみたいな,そういうものを設ける必要があるのかどうか,更に検討したいと思いますので,また御教示をいただければと思います。 ● やはり経過措置は必要なように思いますね。ちょっと検討させていただきたいと思います。 ● 先ほど幹事から御説明のあった部分ではないのですけれども,質問なのでございますが,中間試案の要綱の中の乙案のbの書きぶりの中で,「株券等の保管及び振替に関する法律(以下「保振法」という。)第2条第1項の株券等を発行している会社(以下「公開会社」という。)」,ここのところでございますけれども,証券決済改革法の関係では,今年の1月に保振法が変更になりまして,従来主務大臣が指定したものという部分が優先出資証券とか投資証券だとかも含めて広がったのですが,こういう書きぶりでいいということでございましょうか。 ● ここでは,株券と新株予約権証券のことだけを対象として書いているものですからこういう書き方になっているということで,法律を作るときにはその部分をどうするかという問題はもちろんあわせて考えなければならないのだろうとは思っております。そこはまた,○○幹事と御相談させていただいて,どのみち共同で法案を作ることになると思いますので,相談して適切に処理をさせていただきたいと思いますが,またそのときに御意見を伺うことになろうかと思います。 ● 了解しました。ありがとうございました。 ● 御指摘,ありがとうございました。   前の方から重要な点を順次あれしますと,1ページの乙案に(注)がついたと,その(注)でもって公開会社に関する手続を詳しく書いたという,この点は御理解いただけるかと思うのですが,略式質につきましては○○委員にも御苦労いただきまして,このような案,及び説明になっているわけでございますけれども,この点について何か御意見ありますでしょうか。 ● 略式質につきましては,私どもが最初に代替証券を作るような案を出させていただいて,皆さんに御検討いただいて,非常につたない案で御迷惑をかけたかと思うのですが,そういう案ではなかなか電子化の世界の中では通らないのだということから,こうした案にしていただいたと思っております。   一つは,利用者の側から略式質を使う株主の方の匿名性を担保し,株主側の利便性も図られ,金融機関にとりましては先々は移行期間の問題もあるわけですけれども,そういった点も少し触れられているということで,基本的にベストの案ができたのではないかというふうに思っております。大変感謝している次第でございます。 ● ほかの委員・幹事の皆さん,いかがでございましょうか。御意見ございませんでしょうか。 ● ちょっとここと直接関連ないのかもしれないのですが,株券不発行に伴って特定の業界が行っている実務慣行がどういう影響を受けるのかという点,ということでは同じような論点がちょっとございまして,我々の所管の商品先物業界が若干この制度の導入に伴って,実務的に何が起こるのだろうかということを非常に心配しております。   というのは,商品取引上における制度として,顧客,ブローカー,商品取引所と,この三者がいるのですけれども,取引に先立って取引証拠金というのを預託することが行われておりまして,当該取引証拠金が実体上株券がよく使われているというふうに聞いております。ちょっと調べてみると,ブローカーに対して顧客が預託している預託金が約4,000億あって,約400億円が株式が使われていると。それから,今度ブローカーは取引所に預託金を納めるのですけれども,その1,700億円のうちの約900億円が有価証券,株券が使われているということになっていまして,現在は物理的な株券がございますから,株券を持っていって,預かり証を発行してと,ほとんどコストなしでやっているという問題意識でブローカーの皆さんもおられるし,それから商品取引所もおられる。今回,いろいろと御工夫していただいて,新しい振替制度のもとで口座管理機関に口座を設けて手続を進めていくということになろうかと思うのですが,関連する業界の方から,具体的にどのぐらいの手間暇と,どのぐらいのコストがかかるのだろうか,こういうことが非常に関心事項として今挙がっておりますし,あるいはこれは保振の制度そのものの話ですから,法務省さんの話ではないのかもしれないのですが,いわゆる口座管理機関として商品取引所というのは,なった方がいいのか,まだ会でもあとは詰まっていないのですが,なれる道というのはあるのだろうか,こういう論点も実は挙がってきておるわけでございます。したがって,こうした中間試案を出しますと,恐らく商品取引所,それから商品取引所に加盟をしているブローカーの業界の方から,ある種そうした懸念の御意見が出てくると思うのです。したがいまして,具体的に一度商品取引所の業界と我々と法務省さんと,それから保振の方と,実務的に,どういうふうにやれば心配が解消されるのかという点は,場を設けていただいて,前向きな方向でちょっと解決策--懸念だったらいいのですけれども,実際に何か障害があるのだったら少しいろいろな工夫が出てくるのかなと思っておりますので,そうした点は是非御配慮いただければということでございます。 ● 私どもとしても,新しい制度を作って非常に困るというようなことが起きるといけませんので,そうならないように,恐らく誤解による部分というか,中身がよくお分かりでないから出てくるという部分もあろうかと思いますし,実質のある部分もあるかもしれませんので,○○幹事とよく御相談させていただいて,しかるべく御説明等させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ● 今のお話ですけれども,もしお呼びいただければ,私どもも当然そういう場に出て一緒にお話をさせていただきたいと思っております。 ● 略式質関係については,ほかに御意見等ございますでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは次は,2ページ目の上の方の(注1),(注2)とありまして,(注1)の点ですが,この点はよろしいでしょうか。   (注2)につきましては,若干いろいろ芸が細かくなってきて,○○委員,今日はお休みですけれども,株券を全く発行していない会社については,何ら定款変更等の手続を経ずに不発行会社になる方法を設けてほしいという御意見を言っておられますので,この(注2)がついているわけでありますが,株券が全く不発行なのかどうかというのは株主は必ずしも分からないのですね。自分は株券持っていなくたって,だれかに株券発行しているかもしれない,自分の会社はどっちなんだというのがよく分からないので,やはり通知なんか必要なんではないかなと私はちょっと思っているのですが。   今日は○○委員がお休みですので,議論を詰めるわけにはいかないと思いますけれども,そういう問題がございます。   それから,それに関連しては次の株券回収の要否のところで,いずれにせよ商法特例法上の小会社で公開会社でないものについては,株券回収等の場合にも公告をしないでいいことにしてはどうかというのが3ページのgという項目で挙がっているわけですが,この点についてはいかがでございましょうか。 ● この説明資料を拝見させていただくと,小会社というのは,株券の流通性,株主も少ないし流通していないからということなのですが,そういう理屈からすると,小会社はもちろんそうかもしれませんが,それに必ずしも限らないのではないかと。例えば,非公開会社なんかは大体株も流通しないし,株主もそんなに多くないということだと思いますので,公告義務をどこまで課すかというのは,小会社というのは限定し過ぎという感じはしております。できれば非公開会社自体は公告義務がなくてもいいのではないかと思っておりますが,今日中間試案をまとめるということであれば,例えば譲渡制限会社は当然流通しないし,株主数も限られていますので,中間試案として今日もしおまとめになるということであれば,例えば小会社だって公開会社でないものと譲渡制限つきの会社というのは,少なくとも補足説明資料にあるリスニングは少なくとも満たしているのではないかと思うのですけれども,いかがでしょうか。 ● 実は,譲渡制限会社という仕切りにするということも,原案を作る際に考えないわけではなかったのですけれども,冒頭で私が御説明させていただきましたように,結局公告の負担ということが問題なのだとすれば,譲渡制限会社であればどんなに大きな会社でも広告しなくていいというふうにするのが果たして妥当なのだろうかという問題があろうかと思いまして,それでここでは小会社ということになりますと規模も小さいし,相対的に負担も重たいと,それで小会社という切り口で出させていただいた次第でございます。   今の御指摘,私どももいったんはそういうことも考えたところですので,そこは中間試案で全部決めてしまうわけではありませんから,また意見照会の結果を踏まえて更に当部会で御審議いただくことになりますので,とりあえずもしよろしければこのような形で聞かせていただいて,また関係各界の御意見も踏まえて,今後の部会で御議論いただければと思います。今御指摘いただいた点は,更に検討したいと思います。 ● そういうことで,なお検討するということでよろしいでしょうか。   これ,少なくともここに書いてある小会社の場合には,公告を見て知るという人はほとんどいないと思うのですけれども。ですから余り問題ないと思うのですが。   非公開会社の株が担保に入るというのも,ないわけではないでしょうし,どこまでこういう措置で済ませられるかというのは,いろいろ考えてみる点はあるのではないかと思っております。   ほかに,この点については御意見ございませんでしょうか。   あと,大きな点としては,従来から議論のある点は消却義務のところでありますが,過大記録が見つかった場合について,なお一斉株主通知も2週間以内に消却義務が履行された場合には,基準日時点の過大記載はなかったとみなすことによって,端数議決権という事態が発生することを食いとめるというような新しい案が,○○委員等の御意見も徴しまして今回入っているわけでありますけれども,このあたりについてはいかがでしょうか。 ● 10ページの一番上のところに,「初めから生じなかった」とおっしゃっているのですが,「初め」というのはいつでしょうか。というのは,何か基準日というようにさっき説明のときにおっしゃったように思うのですが,果たしてそれでいいのかという感じなんです。つまり,少数株主権行使もあるでしょうし。その辺で,ちょっと「初めから」という意味を明らかにしていただきたいと思います。 ● 今,非常に鋭い御指摘で,私の説明が悪かったと反省いたしておりますけれども,過大記載が生じた時点から初めからということで,継続保有期間の問題なんかも全部含めて生じなかったこととするという,そういうことにしたいという趣旨でございます。先ほどの説明を訂正させていただきます。 ● 確かに,ちょっと表現としてはあれですけれども,趣旨はそういうことでございます。 ● (注)で書いてございます自己株式の譲渡方法による歯どめでございますけれども,振替機関等が消却義務を履行するために必要だというのは明白な目的があるわけでございますから,その場合にはやはり新株発行手続と同じということではなくて,それを除外していただきたいということでございます。できるだけ私ども発行会社としては,株主権の侵害といいましょうか,それを生じさせたくないというのが基本姿勢でございます。よろしくお願いいたします。 ● これは,例えば代用自己株として使うときは自己株を譲渡できる--譲渡といいますか,そういう使い方ができるという条文がありますけれども,それに加えてこういうものも認めるという条文を作るということになるということだと思いますが,この点について何か御意見ございますでしょうか。   大体,皆さん賛成というふうに了解してよろしいでしょうか。   それから,従来からこの端数議決権についてはいろいろ御意見があるところですが,こういう措置を何重にも設ければ,こういう端数議決権について原案のような取扱いで皆さん御了解いただけますでしょうか。 ● 全面的に賛成するわけではないのですが,あとリスクを減らすという意味で,例えば過誤でたくさん書いてしまったと,お客さんに言いにいったらあかんとか言われて,訂正できないというようなことが起こっているという状態がありますね。紛争状態だというときに,記録は発生しているわけですね。そうすると,それを除去しようと思うと,証明されたときにということになりますね,社債等振替法の準用か何かされるのでしょう。最後まで持っていた場合,過大記載になっているという状態が起こってくるから,それは証明ができたら除去できる,こういう書き方ではないかと思うのですが,その「証明できた」という表現をどう解釈するのか,ちょっとそれを教えてほしいなと思ったのです。リスクを減らすという方向での一つのやり方だとは思うのですけれども。 ● 今,どこのことをおっしゃっておられるのでしょうか。 ● 9ページの(注1)で,社振法の78条2項に相当するのを設けると書いてあるのです。 ● 今,○○委員の方からお話しになったこと,私が正確に理解しているかどうか自信がないのですが,社振法78条2項は,読みますと「前項第1号に掲げる額が同号に規定する口座における増額又は減額の記載又は記録であって,当該記載又は記録に係る権利の発生移転までは消滅が生じなかったものがある場合において」と,こうありまして,要するに例えば全く権利が移転しなかったような場合に,消却義務の計算方法でいろいろな複雑な事例のときに問題が生じることがあるので,それを調整するための規定でございまして,今,○○委員のおっしゃっていたのは,顧客がどこかに……。 ● 顧客だけではなくて,要するに制度から過誤記帳のものをできるだけ訂正とかで減らせるものなら減らしたらいいと思うのですね。ところが,公の規定ではそうなのですけれども,個人間でもめるでしょうと。つまり,制度としては減らしたらいいけれども,個人間でもめたりしますね。そのときに,私としては権利発生していないから,あんたのところに書いたのは間違いだから,あれは100と書いたのがゼロでしたよというふうに言いたいわけですね。間違いであれば。ところが,それは記載をされてしまっているわけですよ。そうすると,それは個人間ではもめているわけです。そういうときの扱いは,どうなるのですかと,その100は。 ● 分かりました。今の○○委員のおっしゃっているのは,譲渡人と譲受人との間で取引があった場合に,例えば譲渡人が実はこれは過大記載があったのでマイナス部分が出たいたのではないかというような紛争が起こった場合にどうするかというお話とお聞きしてよろしいでしょうか。   その場合には,以前にも簡単には御説明したと思いますけれども,単純に過大記載があった場合に,会社に対しては対抗できませんが,個人との間で振替えをしたときには,それは常に完全な承継取得が生じるという取扱いをしていますので,譲渡人と譲受人との間の紛争で消却義務の数がこれだけだということが問題になる場面というのは,多分考えられないのではないかと思います。   78条2項というのは,基本的には振替機関とか失敗した機関がどれだけの消却義務を負うかということであって,譲渡人と譲受人間でその人が消却によって権利が縮減したとか,そういうこととは関係がない。 ● 要するに,もうそれは会社に対して対抗できない話だから,全然関係ないという扱いなんですね。   そのときに,私が言うのは,何かそれが訂正とか何とかいうような余地が,証明とかそんな感じではいけないのかと。つまり,争い事があったりしたらもう全部過誤記帳として大きいままでずっといかなあかんという仕組みなんですね,これは。要するに,絶対的な記載があれば会社に対して対抗できないという,それだけのことで。 ● 対抗できないというのは……。 ● ずっと傷が会社に行ってしまうわけですね,それで差が生じてくる。 ● 会社との間では,○○委員が心配しているようにトラブルは起こるかもしれませんけれども,○○委員のように権利が減るわけではないのですね。 ● 減るというだけではなくて,何かとんでもないたくさん書いてもらった人がおる場合でもいいのですけれども,とにかく何か過誤が起こったというときに,客観的には例えば100株が動いたら100株しか動いていないのに,1万株が動いたとか,ゼロ価格であったとか,そういう間違いが起こりますね,その間違いの訂正の方法についてお伺いしているのですよ。   つまり,それは正に私人間の問題なんです。私人間の問題なのですが,その問題はもう全部捨象してしまって,記帳された客観的な数字は全部過誤なら過誤で発生してしまうという建前ですね。 ● 善意取得が起こっている場合ですか。 ● そうですね。一応。 ● 善意取得が起こってしまえば仕方がないのではないかと思いますが。   単純に,自分のところに何も売買していないのに増えているという,これは過誤ですけれども,そういう人が気づかないで売ってしまったと。 ● 今の場合で,何も取引ないのに書いてしまっているときに,それは訂正できるはずですね。 ● それはできるでしょう。 ● それは,訂正した後の数字で最後に計算していいということですか。 ● それはそういうことでしょう。 ● それを確認したかったわけです。 ● 先ほど御説明いただきましたように,加入者保護信託のことをあわせると,まずほとんど懸念される問題はないのではないかなと思います。 ● 質問で,理由を教えていただきたいのですけれども。   2週間以内に履行したら生じ得なかったという,2週間という数字はどういうところから出てきたものかということを教えていただきたいと思うのですけれども。 ● 例えば4月1日という基準日がありまして,その基準日に基づいて通知がされる。通知がされてから2週間でございますので,基準日から2週間ではないわけですけれども,基準日当日の株主がどういう状況かというのを口座管理機関の方でチェックをされて,それを振替機関を通じて発行会社に通知をするわけですが,それが今は何日かかかるようでございますが,そこから2週間というふうにしていますのは,発行会社側は通知があったものを前提にして株主総会の準備の事務を行わなければなりませんので,余り長くなるとお困りになるということで,これは発行会社の側の方々,あるいは名義書換代理人の方々とお目にかかっていろいろ御相談したときに,実務の感覚として2週間がというふうにおっしゃられたので2週間としているということでございます。   私よりも,むしろ○○委員か○○委員などから御説明いただいた方がいいかもしれません。 ● ○○委員,○○委員,何かこの2週間につきまして御説明いただけますか。 ● きちんと詰めているわけではございませんけれども,要するにおっしゃられたように実務感覚として2週間かなというだけでございます。 ● 何か○○委員,3週間がいいとか何か,そういう御意見ですか。 ● 基本的に,善意取得というよりは本当は合法的な保護だろうとか,そういう思いはありますけれども,それから加入者保護信託もその出資者によっては連帯債務と余り違わないのではないかとか思わないでもないですが,かなり合理的な線で落ち着いていただいたと思っております。 ● ほかに,この点につきましては御意見ございませんでしょうか。--ございませんか。   それでは,14ページの3,ここのところについて行使方法等について詳しい記述がなされたということだと思いますが,この点についてはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。   大体大きな点はそんなところかなと思いますが,何かこの14ページまでの点につきまして御意見,御質問ありませんでしょうか。 ● だんだん制度が現実化していきますので,私どもを中心に略式質というのは株主の立場と担保権者の立場と二通りあって,お話もさせていただいてきたのですけれども,今,中小企業庁のおっしゃるとおりに,やはり幅広く使われているものでございますので,制度がだんだん固まってきますと今度は移行措置というような現実に直面した問題が数多く出てくると思いますので,そういった点につきましては,私どもも何とか知恵を出したいと思いますので,是非皆様の協力を得まして,新しい制度がうまく移行できるようにお願いしたいということでございます。 ● ひとつよろしくお願いいたします。   ほかにありませんようでしたら,次に進んでよろしいでしょうか。   それでは,電子公告の方についても説明を事務当局からお願いいたします。 ● それでは,「第2編 電子公告制度」につきまして,前回の部会資料10からの変更点について御説明をさせていただきます。   まず(前注)でございますが,これは変更は残念ながらございませんで,まだ内閣府における結論は出ていないようでございます。したがって,まだ結論は出ていないのですけれども,この試案としてはこういうことになるという前提でお作りさせていただくということにせざるを得ませんので,前注にさせていただいているということでございます。もちろん,要綱までには何とかしていただくように,何としてもお願いしたいと思っております。   それから,「第1 株式会社についての電子公告制度の導入」の部分でございますが,これにつきましてはまず2につきまして,前回の御審議の結果に従いまして,電子公告の掲載期間を(1)から(3)まで書いてございます。これは,前回の御審議の結果をそのまま書いたものでございます。   なお,条文を作ります際には,一体いつから起算してどのぐらいの期間というふうに書かなければいけないかもしれません,そこら辺は更に条文化の作業の際に検討いたしまして,それをまた要綱に反映させていきたいと思っております。   それから,次に3でございますが,これは新設でございます。前回の御審議の際に,例えば1か月なら1か月という期間,1時間でもあるいは1分でもダウンしたりするともうだめなのかというお話がありまして,それは余りにもひどいだろうというのが当部会での御議論の雰囲気の大勢だったと思いますので,悪意・重過失なしにサーバーがダウンしてしまった,あるいはハッカーに侵入されて公告内容を短時間改ざんされてしまったというような場合には,その時間帯が24時間に満たない場合であれば,公告は有効ということにいたしまして,再度公告し直すというような大変なことにならないように救済措置を設けるという案を掲げさせていただいた次第でございます。   なお,時間が24時間に満たないというだけではなくて,少なくとも一定のミステークが起きたわけですので,そのことはあわせてホームページに掲載して公告をしていただくということで,万が一その時間帯に見た人がいた場合でも,その時間帯だけはそういうことが起きたのだということが分かるように措置を講じていただくということにしてございます。   それから,ここは変更点ではないのですけれども,第1の6の(注),16ページでございますが,これは前回と同じ注をつけさせていただいております。具体的にいかなるものを証明機関とするかにつきましては,前回の部会で,私どもと○○幹事のおられる経済産業省さんとで細かく検討して,案をお示ししたいということを申し上げたところでございまして,そのラインで両省間で検討を続けているところでございますけれども,まだこれがいい案だという結論までには至っていないものでございますので,とりあえず中間試案では,このような注の形で意見照会をさせていただいて,意見照会について寄せられるであろう意見を踏まえまして,更に両省間でも検討し,当部会で更に御議論いただいて,どういう形にするのが妥当かということをお決めいただければと思っております。   それから,次の第1の8,これまた新設をさせていただきました。これは,証明というのはどういうものかというのが分かりにくいということで,その意味内容をはっきりさせようという趣旨でございますが,証明期間は1か月なら1か月の期間,間断なく調べるということは不可能でございますし,恐らくは物理的にも不可能ですし,経済合理性からいったら全く不可能でございます。そこで,「7による調査を行ったすべての日時において」公告が載っていたいうことを証明するということが証明内容で,その場合には公告内容がずっと継続的に掲載されていたものと推定するという,そういうことでいかがかということを書いたわけでございます。   なお,これは規定まで設けられるのかどうかということはまだこれから検討しなければなりませんけれども,とりあえず実質としてはこういうことで考えたいということで,案をお示ししているということでございます。   次に,「第2 貸借対照表の公開の方法の見直し」という項目を新設いたしました。これは,前回の御審議の際は別の紙で御議論いただいたわけでございますが,その結果に従いまして,決算公告につきましては電子公告というやり方で行うこともあるわけですけれども,その場合はさっき見ていただきました第1の2の(2)にありますように,決算公告については公告期間は今の電磁的公示方法の場合と同じく5年間にするというほかに,第2の1と2に書いておりますように,これは電子公告という形態をとる場合であっても証明機関に対する証明を受けるということは要らないということにするとともに,要旨の公告という方法をとることはできないということにしているわけでございます。したがいまして,決算公告に関しては電子公告という形態をとる場合でも,その内容は電磁的公示と全く同じ,内容,手続は電磁的公示の方法と全く同じということになるわけでございます。   その次の3でございますが,これも前回の御審議の結果をそのまま書いているわけですけれども,電子公告を公告の方法とはしない会社,つまり官報公告を公告の方法とする会社,あるいは日刊新聞紙を公告の方法とする会社の場合でも,現行法におけるのと同様に,決算公告については公告に代えて電磁的公示という方法をとることは認めるということにしています。   なお,その次に(注)を付しておりますが,電子公告を公告の方法とする会社が,決算公告についてだけ電磁的公示の方法によるということを認めるのかどうかについて,前回御審議をいただいたわけですが,その際は,否定するまでの理由はないのではないかという御意見があった一方で,両方の方法を認めるといろいろ厄介な問題が起きるおそれがあるのではないかという御指摘もいただいたところでございます。   更に,今見ていただきましたように,第2の1と2という措置を講じますと,電子公告という形をとっても電磁的公示と実質は同じになりますので,そういう電子公告を選択している会社があえて電磁的公示という方法によることを認める本当の必要性があるのかどうかということも疑問があるように思います。そこで,この点につきましては更に御審議いただく必要があるということで,今後の検討課題である旨を注記させていただいた次第でございます。   次に,「第3 株式会社の各種債権者保護手続における個別催告の省略等」でございますが,前回,多く案を掲げて御審議をいただいたわけですけれども,その結果に従いまして三つの案を提示して意見照会をさせていただくということにした次第でございます。   それから,第4の「有限会社の各種債権者保護手続における個別催告の省略等」につきましても,前回の御審議の結果に従いまして,株式会社と区別する理由はないというのが大勢でございましたので,同じ取扱いをするという案で出させていただいております。   第5でございますが,「合名会社・合資会社の合併の際の債権者保護手続における個別催告の省略等」でございますが,これも前回は別の紙で御議論いただいたわけですけれども,その結果に従いましてA案とB案という二つの案を提示して意見照会をし,それを踏まえて更に御審議をいただくという形にしてございます。それとともに,補足説明におきまして,44ページの一番最後でございますが,前回,補足説明にお書きするとお約束をしたところですけれども,株式会社における分割会社がする債権者保護手続が第3のどの案になるのかによって,電子メールアドレス登録方式,第3のⅢ案の2でございますが,それが採用されるのであれば,B案が妥当だけれども,そうではない考え方をとるのであれば,A案をとるべきだという御指摘をいただいたことを補足説明に書きまして,それもあわせて見ていただいた上で意見を各界からちょうだいするという形にさせていただいた次第でございます。   私からの説明は,以上でございます。 ● このまま御審議いただいてもいいのですけれども,ここで休憩をして,休憩後,審議を再開するということではいかがかと思います。   それでは,休憩といたします。           (休     憩) ● 時間になりましたので,再開いたします。   15ページから後の電子公告について,どの部分でも結構ですから,御意見ございましたらお願いいたします。 ● 15ページの第1・3のことについてお伺いしたいのですが。   今回,これを追加していただいて,かねてからどのぐらいのアローアンスがあるのかということが議論になっていましたので,非常に明快になってよろしいかと思っているのですが,ただ,ここに合計で24時間というふうになっておりますが,これは1回の事故ということで合計24時間なのか,1か月間のうちに仮に複数回そういうことがあっても合計で24時間という意味なのか,要するに3回目はあと持ち時間15分だよとか,そういう世界なのかどうかというのをまず1点お伺いしたい。   それから,掲載されなかった場合というのは,ダウンしてしまってその期間見られなかったという場合と,改ざんされてしまっているという場合を恐らく含意しているのだろうと思うのですが,後者の場合,誤った情報が既に発信されてしまっていたということを解消する手段として,こういう事故がありましたということを改めて公告するというだけで十分なのかどうか。   この2点についてお教えいただければと思います。 ● まず第1点目でございますが,「合計で」と書いておりますのは,○○幹事がおっしゃった後者であることを示すわけでございまして,複数回生じても合計でそれが24時間に満たなければいいという,そういう考え方でございます。   それから,後の方の御質問でございますが,この原案は今お話しいただきましたように,掲載されなかったというのはハッカーに改ざんをされたというような場合も含むものとして使っています。そのことは,補足説明の方で34ページから35ページにかけて,ハッカーの侵入による公告内容の改ざん等の原因により掲載されなくなる事態が生ずるということで,補足説明でははっきり書いてございます。最終的に要綱をおまとめいただくときに,両方含むとした場合にこの表現でいいのかどうかということは,なお私どもも検討させていただきたいと思いますけれども,とりあえずはそういうことでございます。   その場合の措置としては,原案ではそういう事故が起きたこととその内容をもう一度速やかに公告をするということによってお知らせすると,やるとすればそれしか考えられないのではないかということで,そういう案にしておりますが,それではまずいということにもしなるのでありますれば,そもそも掲載されなかったという概念自体を,ハッカーに改ざんされてしまった場合はもうやり直してもらわなければいけないというふうにするという選択肢にあるいはなるのかもしれませんので,そこら辺は更にこの部会で十分御審議をいただければと思っております。 ● ○○幹事,何かお考えはありますか。 ● そういう御回答かなとは思ったのですが,そうなりますと,数字を公表しているような場合に,その数字が改ざんされて誤った情報が流布しているという場合については,ちょっと危険性が高いのかなという感じがいたしまして,改ざんされるというのはかなりシステムにも若干問題があるというふうに考えるならば,そのあたりの概念の整理をして,システムのダウンと改ざんとを分けるというのも一つかなと。でも,それを積極的にそうしていただいた方がいいという趣旨ではありませんので,論点として御検討いただければということでございます。 ● 確かに,なお検討の余地があるかと思います。 ● 同じく3の中身の確認をさせていただきたいのですが。   解説の方では,サーバーの故障等を挙げられていますが,サーバーのメンテナンスで一定時間閲覧できないという場合ですけれども,それは会社自体が自前のサーバーを持っている場合とレンタルサーバーの場合と両方あり得ると思うのですが,例えば自前で定期的にメンテナンスが必要だということとした場合,それは「故意」という概念に当たるのですか。その期間,開示できないのが分かっている場合。特に,レンタル等で当然その期間できないというのが分かっていれば,逆に公示が電子公告等がそもそも使えないということになるのでしょうか。ちょっとその辺の整理についてお願いしたいのですが。 ● まず,私どもの考え方を先に申しますと,私どもは故意には当たらないというふうに考えておりました。つまり,サーバーを定期的にメンテナンスするということはハッカーの侵入を防ぐとか,ダウンしないようにするとかいうことのために必要な事柄で,大体1か月という公告期間ですと途中に定期的なメンテナンスの日が入ることが多いわけですので,それをこの場合だけやめろといって,もしそれのためにダウンしたり何かしたときどうなるかという問題がございますので,そこはこの公告をするときはそういうのをやめろということまで意味させるのは問題ではないかというふうに考えていたところですけれども,ただ,そこは別の考え方ももちろんあり得るところでございますので,当部会で更に御審議をいただければと思います。 ● これはまた中間試案で皆さんの意見が出ると思いますが,24時間の長さの問題なのかとは思うのですが。 ● 実質は,今,○○幹事が言ったようなことだと思うのですけれどもね。どういう条文にするのがいいのかというのは,検討の余地があるように思います。 ● 今,部会長から条文のお話がございましたけれども,ここは本当に実質で,今まだ作るべき制度の素描をかいているだけでして,例えば「ホームページ」とかいう言葉もそのまま使えるのかどうかとか,いろいろ問題があることは十分承知しながらも,あえてこういう,多少なりとも分かりやすくするためにこういう形で書いていますので,条文化のことはまた更に検討したいと思っております。 ● 御指摘,ありがとうございました。   ほかにありませんでしょうか。どの点でも結構ですが。   それでは,大きな変更点といたしましては,証明機関のことについては,いかなるものが証明機関になるかはなお関係の役所等で検討中であるということですが,16ページの8の推定に関する規定ができているわけですが,この点については何か御意見ございますでしょうか。これは,前回かなり御議論があったところかと思いますけれども。 ● この推定の意味ですが,これはいわゆる法律上の推定と事実上の推定という言葉の関係でいうと,ここは事実上推定するという意味で使われているという理解でよろしいのでしょうか。 ● それは,規定を最終的に設けることができるかできないかによって,できなければ事実上の推定になり,できれば法律上の推定になるということになりますけれども,そこはまだこれからの検討課題ということでございます。 ● (注)のところで掲げられている,証明機関がどの程度チェックするのか,その頻度との関連になってくるかとは思うのですけれども,占有のように最初と最後があれば途中ずっと推定するということになると,反証の問題もまた出てくるかと思いますので。意味内容について。 ● 7の(注),「調査の頻度については,なお検討する」と書かせていただいておりますけれども,その関係は補足説明で更にもう少し詳しく説明をさせていただいておりまして,37ページの後ろから4行目から38ページにかけてでございます。これは,前回の部会での御審議の結果をまとめたものですけれども,「証明機関が行うべき調査の頻度について,公告期間中公告ホームページのアクセスを間断なく反復することは,そのためのコストをも勘案すれば,非現実的であって事実上不可能である。」,これは先ほど私が申し上げたことでございます。さらに,「むしろ調査の頻度は多くなくても,これを公告ホームページの運営者には知り得ない,無作為に選択した日時に行うこととすることにより,当該運営者に対し,いつチェックされるか分からないという威嚇を与え,間接的に継続的な掲載がなされるように仕向けるという方法がより簡便にして効果的であるとも考えられる。」と書いております。   しかし他方で,証明機関の証明に一定の推定効を持たせるということになりますと,そのためには,前回の御審議でも出た話ですけれども,社会通念上このぐらいの頻度で公告の掲載の事実が確認されているのであれば,継続的に掲載されていたと推定してよいと考えられる程度での頻度での調査ということはやはり必要になると考えられます。ですから,例えば30日で,最初の1日と最後の1日だけで全部を推定というのは,それはちょっと無理なのではないかなというふうに思っていることをここに書いているわけでございますが,したがって証明機関が行うべき調査の頻度については,以上のような諸点と調査の頻度を高めることによるコスト増の問題,そもそも電子公告制度の導入というのは,経済界の視点からすれば公告のコストの削減という観点が非常に重要であることが繰り返し経済界御出身の委員から述べられているところですので,その点も勘案しつつ,更に当部会で検討していただきたいということでございます。 ● この点は,証明機関,調査の頻度等については,まだ実質が不確定な点が多いので,現段階ではこのようなことでよろしいでしょうか。   第1の点について,ほかに御意見ありませんでしょうか。   もしなければ,第2の「貸借対照表等の公開の方法の見直し」の点ですが,この点についてはいかがでしょうか。(注)もついておりますが。   特に問題があるとしたら(注)の点かと思いますが,何か御意見ありますでしょうか。   確かに,公告と言おうと電磁的公示と言おうと,実質は余り変わらないような気もしますけれどね。あえて「電磁的公示」と言う必要があるのかどうか,あるとしたらどういうことなのか,ちょっと私にもよく分かりませんが。 ● この点,今日御欠席の○○委員がそういうものを認めてはどうかという御発言をされたところでもございますので,とりあえず中間試案に注の形で出させていただいて,意見照会の結果も踏まえて,私も合理性には疑問があると思っていますけれども,更に検討させていただきたいと思います。 ● 意見照会はこのままの形でするということで,よろしいでしょうか。 ● ○○委員がいらっしゃらないのであれなんですが,ここの必要性と合理性について,ちょっと両者の違いで確認したいのですが,いわゆる証明機関の証明を求める必要があるのかどうかということの違いというのは残るのでしょうか。 ● それはないということは,第2の1に書いております。 ● 要しないのですね。正にその中身が何が違うのかがちょっと分からないと,必要性云々というのがあれなんですが。 ● 特段の違いはないと思うのですけれども。 ● ないですね,同じ制度ですのでね。 ● それで,前回,○○委員だったと記憶しておりますけれども,両方を認めて,電子公告を利用する会社でもある決算書類については,電磁的公示というようなことにすると,一体それは電子公告なのか電磁的公示なのかも分からなくなったりして厄介な問題が起きるかもしれないから,注意しなければいけないのではないかという御指摘をいただいたわけでございます。 ● 今のお話は,どちらも同じではないかというのはそのとおりだと思うのですけれども,ただ公開会社の場合に,そもそも公告をするかしないか,要求するかしないかという話があったかと思うのです。ですから,これは証取法のEDINETとか,そちらでもやっているのだから,公開会社の場合はそれに加えて公告そのものが要るのか要らないのかというのが一つの論点としてあったかと記憶しているのですが,もしそうなりますと電磁的公示による方法というのは,公告がすべての株式会社はしなければいけないということを前提にして中小会社に強制しているという意味が--事実上,中小会社にとっては新聞公告というのは守られていないわけですけれども,しかしホームページによる公開というのは中小会社の場合には,別に貸借対照表か要旨に限る必要はないですし,いろいろなことが書けますし,それから中小企業庁の研究会でも,それを前提にして,中小会社の情報開示を充実させていく,あるいは計算の方法,会計の方法を考えていこうとか,そういう流れが一方であったかと思います。ですから,これは杞憂かもしれませんけれども,将来仮に公開会社を想定して公告という制度が廃止された場合に,中小会社の開示も一度になくなったということになると,ちょっと気になるなという感じがしておりまして,つまり中小会社にとってはこれこそが正に最もふさわしい方向だということがあるかと思いますので,その点だけちょっと感想を述べさせていただきます。 ● 公開会社の貸借対照表の公告をどうするかというのは,少なくともこの部会の話ではないのですね。 ● だから,一応杞憂かもしれないのですけれども,中小会社には残しておく必要があるなと思っているものですから。 ● この部会では,少なくとも従来の制度が続いているということを前提に議論をするほかないので。   ほかに,第2の点については御議論ありませんか。--よろしいでしょうか。   それでは,第3は,これは前回の御議論を踏まえてⅠ案,Ⅱ案,Ⅲ案になっておりますが,これについて何か御意見ございますか。   一応,前回,この3案を載せるということになったのだと思いますが。--よろしいでしょうか。   第4はよろしいですね。   第5ですが,これも前回の御議論を踏まえて,それから補足説明にも関係のことが記載されておりますけれども,この点はいかがでしょうか。何か御意見ありますでしょうか。   それでは,大体一渡り御議論いただきましたけれども,全体を通じまして何かなお御指摘をいただく点はありますでしょうか。 ● 不発行の関係で申し上げたいと思うのですけれども。   今日,こういう形で中間試案の審議がされまして,これが公表され,その意見を求めるということになってくるのだろうと思います。私の立場として,特に不発行関係について第1回以降いろいろ申し上げたわけですけれども,若干印象みたいなことを申し上げます。   最初のスタートの段階では,定款自治による不発行というような話でございまして,私も今の保管振替機構に対する預託の割合というものを踏まえると,やはり定款自治の方が適当ではないかなというふうなことも申し上げたわけでございますけれども,今はその方法に加えて,特に公開会社の場合には一斉移行という方式も掲げられておるわけでございます。中間試案の現在の案というふうなものを踏まえますと,私どもとしてはやはりこの一斉移行方式というものが--やはり二つの方式が併存するという話になりますと,株主にとっても非常に分かりにくいものでございますし,混乱を招くというにもなります。それから,逆に不発行の部分と不発行でない部分,これが併存することによって発行者を始めとする関係者の間のコストの負担も過大なものになっていくという,そういう要素があるわけでございます。したがいまして,これからいろいろな御意見が出てくるのだと思いますけれども,私ども保管振替機構の立場としては,やはり公開会社については一斉移行の方式が望ましいということを申し上げておきたいと思います。   いずれにいたしましても,要綱が固まり,更には国会で法案の審議がされ,法律が施行されるということで,いよいよ具体化の道を進んでいくことになるわけでございますけれども,先ほど休憩の前に,○○委員から,担保の関係で関係者の間で相談をして,使いやすい制度をというふうなお話がございました。それに限らず,正に今回のもの,今回の新しい不発行制度というものが便利で使いやすいものであって,また分かりやすいものであって,効率的であって,かつまたコストの低い,そういうものを関係者が協力し合って作り上げていく必要があろうかと思っております。   この部会,実務経験者という点から見ましても,重立った会社,組織の方々が御出席をされておられるわけでございますけれども,そういう方々を中心として,関係者の間で知恵を絞って,よりよいもの,よりよい要するに業務の手続といいますか,制度,あるいはシステムというものを作るように努力してまいりたいと思っております。   かなり印象のようなものを申し上げて,恐縮でございました。 ● 先ほど,○○委員からも御意見ございましたけれども,関係の機関で是非具体的な問題点を詰めていっていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。   ほかに御発言ございませんでしょうか。 ● しつこいようでございますが,社債の場合は,これから発行するというようなことについて,新しい人たちだけで考える制度であると思いますが,従来株券と株主名簿に従ってやってきた株主たちがおりまして,その人たちはある日突然違う制度になるというふうでございまして,そのことから,単なる合意ベース,あるいは便利さだけでおさまるのかという問題がやはり残ると思うのですね。ですから,私も審議の経過をそんなによく覚えておりませんが,14年の10月16日の部会資料6では,流通を希望しない株主の取扱いというような点が議論されておったわけでございますけれども,そういう株主の静的安全の保護というものが貫徹されるような仕組みであるべきではないかと,その点,やはり社債制度の振替とは,おのずと違うのではないかと。つまり,今まであった権利を変化させるというわけですからね。ですから,そういう意味ではそういう安全弁を設けたらどうかというようなことをやはり強調すべきではないかと思いますので,どうしても試案に入れろとかそういうことは申しませんけれども,一委員としてその点を指摘させていただきたいと思います。 ● 論文をお書きいただいても結構です。 ● 先ほど,第1点を御検討されたときに見落としていたのですが,細かな点で恐縮ですが,4ページの初めのところから有限会社型で株式を譲渡した場合に,名義書換ができる場合をアからキまで列挙してございますけれども,会社が自己の株式を買い受けたときというものが,あるいはアの共同申請に読み込むという御趣旨なのかもしれないのですが,アからキまでの列挙を見る限りでは,それも加えておいた方がバランスがいいのかなという気がいたしました。   それともう一つ,キと同じタイプのものといたしまして,組織再編ではないのですけれども,新株予約権の行使により自己の株式を移転したときというのも入るのではないかと思ったのですが,少しお考えいただければと思います。 ● 今の御指摘の後者の方は,今まで考えていませんでしたので,御指摘を踏まえて事務当局の方で考えまして,また御相談させていただきたいと思います。   前者でございますが,これは前回だったかその前だったか忘れましたけれども,御説明をさせていただいたところでして,会社が自己株式を買い受けた場合に単独でやれるようにするかどうかということも検討はしたのですけれども,その場合,同時履行の抗弁権の問題があろうかと思いまして,会社が自分で買い受けて,自分で名義書換をしてしまいますと,もう同時履行,代金をまだ払ってもらっていないのに名義だけは会社名義に変わってしまうというようなことが起きる,それを防ぐためには共同申請にする必要があるのではないかということで,アに含めるということにさせていただいたという御説明をたしかした記憶があるのでございますが,それはまずいということでございますか。 ● いえ,ちょっとそこまでは考えていなかったものですから。 ● どうも御指摘,ありがとうございました。前者の点は考えさせていただきます。   全体を通じまして,ほかにありませんでしょうか。--よろしゅうございますか。   それでは,本日予定の審議はこれですべて終了いたしましたので,いつもより早いですけれども本日の会議は終えることにしたいと思います。   最後に,今後の予定につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ● 御審議,どうもありがとうございました。   まず,中間試案の公表と意見照会についてでございますが,本日,御決定いただきました中間試案をできる限り早く公表するとともに,裁判所,弁護士会,経済界,学界などの関係団体に,これまでと同じように個別の意見照会をさせていただきたいと考えております。   なお,公表する中間試案でございますが,今日原案どおり御決定をいただいたのですけれども,若干てにをは部分を直さなければいけないところがあるかもしれませんので,中身はもちろん変更は加えませんけれども,そういうことがあるかもしれないということだけ御了承いただければと存じます。   意見照会の期間でございますが,前回の商法改正の中間試案の場合と同じように,1か月とする予定でおります。そうしますと,照会期間の末日がゴールデンウィーク期間中になるということになりますが,5月の部会の開催予定を21日ということにさせていただいておりますことから,個別に意見照会した団体からの御意見の提出は多少おくれても,これまでも多少おくれることが多いものですから,受け付けさせていただいたわけですけれども,同じように多少おくれても受け付けさせていただいて,当部会の御審議の参考に供するということにさせていただきたいと思っております。ただ,意見照会をさせていただく団体には,できるだけ早くご回答をお願いしたいとは思いますので,よろしくお願いいたします。   公表の方法は,法務省のホームページに掲載するという方法によることといたします。それとは別に,各団体には個別に中間試案と補足説明をお送りさせていただいて意見照会をさせていただくというのはこれまでどおりでございます。   次に,次回以降の審議日程でございますが,これまでと同様,一月に約1回のペースで会議を開催させていただきたいと思っておりまして,7月30日開催予定の第12回会議におきまして,株券不発行制度と電子公告制度の双方についての当部会としての要綱案の御決定をいただきたいと考えておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。   次回は,4月23日の水曜日,午後1時30分からでございまして,場所は本日と同じ法務省20階の第1会議室で開催させていただきます。   次回は,今申しましたように意見照会期間中ということになるわけでございますが,飛ばしますと検討する回数が少なくなってしまいますので,4月も御審議をいただきたいということでございます。   本日の御審議の際にも幾つか御指摘を賜りましたので,そういうことを踏まえまして,また今後事務当局におきまして更に条文化も念頭に置いた作業を進める予定でございますので,その過程でいろいろまた御相談しなければならない事柄が出てくると思いますから,そういった事項について,つまり中間試案から追加変更すべきかどうかということの御議論をお願いしたいと考えております。今までどおり,原案を事前にお送りさせていただきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。 ● それでは,あと5回ばかり会議が予定されておりますけれども,よろしくお願いいたします。   本日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。 -了-