法制審議会 少年法・刑事法 (少年年齢・犯罪者処遇関係)部会 第3分科会第5回会議 議事録 第1 日 時  平成30年 3月 2日(金)   自 午後 1時28分                          至 午後 4時28分 第2 場 所  東京地方検察庁会議室 第3 議 題  1 保護観察・社会復帰支援施策の充実,社会内処遇における新たな措置の導入及び施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方について         2 起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方について         3 その他 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○羽柴幹事 ただいまから法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会第3分科会の第5回会議を開催いたします。 ○小木曽分科会長 本日も御多忙のところ,お集まりいただきまして,ありがとうございます。   いつも御出席をお願いしています澤村幹事ですが,本日は所用があおりということですので,出席をお願いいたしておりません。   次に,事務当局から,資料について説明をお願いいたします。 ○羽柴幹事 本日,配布資料として,配布資料11「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方(検討課題等)(2)」,配布資料12「「保護観察・社会復帰支援施策の充実」,「社会内処遇における新たな措置の導入」及び「施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方」(検討課題等)(2)」,配布資料13「「保護観察・社会復帰支援施策の充実」,「社会内処遇における新たな措置の導入」及び「施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方」(検討課題等)(3)」,配布資料14「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方(検討課題等)(3)」を配布しております。また,前回会議における配布資料10を再度机上に配布しております。   配布資料の内容につきましては,後ほど意見交換の際に御説明いたします。 ○小木曽分科会長 それでは,審議に入ります。   初めに,本日の審議の進め方ですが,前回の会議では,配布資料9の「検察官が働き掛けを行う制度の導入」と,配布資料10のうち「第1 保護観察における新たな処遇手法の開発,特別遵守事項の類型の新設等」及び「第2 更生保護施設における指導監督の実施等」についての意見交換を行いましたので,本日は,積み残しとなっている「第3 犯罪被害者等の視点に立った処遇の充実等」について,意見交換を行いたいと思います。   その後,前回の会議の際に確認いたしました進行のとおり,「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」の論点の残りの検討項目と,「保護観察・社会復帰支援施策の充実」,「社会内処遇における新たな措置の導入」及び「施設内処遇と社会処遇との連携の在り方」の論点の残りの検討項目について,意見交換を行いたいと思います。   さらに,これまで当分科会で議論した検討項目について,前回部会後の1巡目の意見交換を踏まえ更に議論を深めるべき点などもあると思われますので,引き続き,2巡目の意見交換を行いたいと考えております。   このような進め方でよろしいでしょうか。               (一同異議なし)   それでは,そのように進めてまいります。   初めに,配布資料10の「第3 犯罪被害者等の視点に立った処遇の充実等」について,配布資料に沿って意見交換を行いたいと思います。「検討課題」の順序に従って議論を進めていきたいと思いますが,関連する事項については,他の項目に関わると思われる事項でも,併せて御発言いただいて構わないと思います。   そうした前提で,まず,「1 刑の執行初期段階における犯罪被害者等の心情等伝達制度」に記載されている点について,いずれについてでも結構ですので,どの点かをお示しいただいた上で,御意見がある方から御発言をいただきたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いいたします。 ○太田委員 まず,最初の「趣旨」ですが,この分科会でも既に何回か発言したとおりではありますけれども,犯罪者の真の意味での更生のためには,被害者が受けた被害の現実を正しく理解するということが重要であって,そのための制度として,現在,心情等伝達制度があるわけでありますけれども,仮釈放後の保護観察について考えてみますと,長期間の受刑後にしか心情等の伝達ができないために,被害者にとって非常に利用しにくい面があると同時に,受刑者の感銘力という点についても難があるように思います。   一方,仮釈放審理に際しての意見陳述ということも併せて考える必要があると思いますけれども,実際に仮釈放に関する意見を聞いても,仮釈放の審理に反映するということは難しいわけでありますので,どのような意味があるのか疑問がありますし,また,時期的な問題から,その段階で被害者の意見を聞いても,それをその後の処遇に反映するということが非常に難しいと思われます。   そこで,矯正処遇の,特に刑の執行の初期段階から,被害に関する心情,被害者の置かれている状況,それから加害者に対する処遇に関する意見とか要望といったものを被害者等から聴取して,一部は加害者に伝達するなどして,また,被害者等の意見とか心情等を踏まえた被害弁償や損害回復に向けた実効的な矯正処遇や保護観察を実施することによって,被害者の要望というものに配慮すると同時に,加害者の改善更生を図るということが趣旨になると考えます。 ○保坂幹事 「意見・心情等の聴取を担当する主体」となっておりますが,太田委員の御意見の趣旨からすると,聴取の主体というのと伝達の主体というのが考えられるのではないかと思われます。   まず,聴取の主体の方からいきますと,被害者の方が,どのような人を相手に,どのような気持ちを伝えたいかというニーズがいろいろでしょうから,どこに言いたいかということに柔軟に対応できるような,そういう仕組みにしておくことがよろしいのではないかと思われます。   他方で,伝達の主体ということになりますと,これは,どのタイミングで,どういう内容を伝えるのかというのは受刑者の状況を見ながら判断すべきことですので,伝達の主体は矯正施設の職員ということになろうかと思われます。 ○太田委員 対象になる被害者をどうするかということですけれども,従来の心情等伝達制度というのは保護観察対象者ということに限定されているのと異なりまして,今回は矯正段階の,特に刑の執行段階の初期段階から,被害者の心情等を聴取して,それを矯正処遇とか保護観察にいかしていくという制度でありますから,その場合には,広く一般の受刑者,懲役とか禁錮の受刑者による被害者ということとし,特に受刑者の罪種だとか刑期によって制限するということは適当でないと考えます。   一方で,新たな心情等伝達や,そのための接触というものを望まない被害者の方もいらっしゃいますことから,基本的には被害者等の申出に基づくものとすべきであろうと思います。   ただし,申出をする被害者は誰でもいいかといいますと,現在の心情等伝達制度でも制約がありますように,例えば暴力団同士の抗争の被害者などは,制度の趣旨からいって,心情等伝達の対象とすることは相当でないと考えられますことから,不相当な場合には,新たな心情等伝達の制度においても対象外とするということが望ましいと思います。 ○保坂幹事 「聴取の手続」のところの「聴取の方法・場所」ということですけれども,どのような制度になるのかというイメージを共有するために,今既に行われている仮釈放等審理のときの意見聴取ですとか,あるいは保護観察所が行う心情等伝達制度のときの聴取がどのような方法で,どのような場所で行われているのかということについて,事務当局から御紹介いただければと思います。 ○今福幹事 御指摘の意見等聴取制度や心情等伝達制度における被害者等の方々の御意見や心情等を聴取する方法・場所について,お答え申し上げます。   まず,被害者等の方々に御意見や心情などを十分に述べていただくためには,それにふさわしい静かで落ち着いた場所が必要であるということ,また,被害者等の方々の御意見・心情などの趣旨を正確に把握して,疑義が生じた場合には随時確認するなどのやり取りを丁寧に行う必要があることなども踏まえまして,通常は,意見等聴取制度であれば,仮釈放等審理を行う地方更生保護委員会に,また,心情等伝達制度であれば,保護観察を実施している保護観察所に,被害者等の方々に来庁を求めております。そこで,専用の相談室において,口頭により,意見や心情等を聴かせていただいています。   また,被害者等の方々の心身の状況や,交通の便,その他の事情などを考慮して,被害者等の方々の御意向を酌みながら,地方更生保護委員会の委員や保護観察所の被害者担当官が,被害者等の御自宅や,その他の適当な場所に赴いて,御意見や心情などを聴かせていただくということもございます。   このほか,被害者等の方々には,口頭のみならず,書面を提出していただくという方法により,御意見や心情等を聴かせていただく場合もございます。 ○保坂幹事 今後新しくこういう制度を設けるとしても,同じような方法・場所になるのではないかとお聞きしました。   それから,「聴取の手続」の中に,「聴取すべきとき」というのが次にあるわけですけれども,これも現行の制度において,被害者等から申出があったときとなっておりまして,先ほど太田委員からもありましたけれども,望まない人から無理に聞くこともないと思われますので,少なくとも被害者が希望しているということが,要件になるのではないかと考えられます。 ○田鎖幹事 私も,相当の受刑期間が経過し,仮釈放が迫った段階よりも,もっと早い段階で被害者等の方の心情を聴取する必要があるということは全く異論ありません。その場合に,先ほども趣旨のところで,究極的には罪を犯した本人の改善更生,という御説明もありましたように,現行法の下でも,本人の改善更生の妨げになる場合にはこの限りでないというふうになっておりますので,そこを確認するための規定ですとか仕組みというのは,当然に必要であろうと考えております。   それとの関係で,例えば,制度の対象となる被害者の方を一定の形式的要件で絞り込むのか,それとも,本人の改善更生の妨げになるかどうかというところで対象が絞り込まれてくるのか,その両方の仕組みが必要なのか,それはもうちょっと考える必要があるのかなというふうに今思いました。 ○太田委員 今の点ですけれども,私もそのとおりだと思いますけれども,法文に規定するときに,こういう類型を対象とするというのはなかなか書きにくいとすれば,現在の心情等伝達制度のように一般的な規定としておいて,個別の状況,例えば,受刑者の方が精神的に非常に不安定になっているというとき,それに畳み掛けるように心情等伝達するということが適当でない時期だとか対象者の人がいると思いますので,一般的な規定を立てておいて,個別に相当性を判断していくという仕組みが必要かなと思います。   それから,聴取した意見とか心情等をどういうふうに活用するのかということですけれども,その前提として,被害者等が何を希望しているのかということを明確にしておく必要があると思います。   つまり,加害者,受刑者に対して,心情とか要望というものを伝達してほしいのか,若しくは処遇に対して意見を述べたいのか,その両方でも構わないわけでありますけれども,明確にしておく必要がありまして,前者の伝えたいという場合には,伝達することが相当なときには,適切な形で伝達するということが考えられます。   これに対し,被害者の意見を処遇にいかすことが求められている場合には,どのように矯正処遇にいかすかについては,現在,刑事施設では,被害者の視点を取り入れた教育というものが行われており,少年院でも同様の教育がなされていると伺っておりますので,こうした処遇ないしは教育の中で,聴取した意見とか心情等を踏まえて,より個別の事情に即した処遇を行うことが考えられるのではないかと思います。   また,仮釈放等審理に際して被害者の心情や要望をどのようにいかすかということについては,現在の仮釈放の意見聴取のように,仮釈放の審理の段階になって初めて意見を聴取するという制度ではなくて,今度は,かなり早い段階から聴取を認めようということになりますので,まずは被害者等の意見をいかした矯正処遇を行い,その成果を踏まえた仮釈放等の申出を経て,最終的に審理等で判断をしていくというようないかし方が望ましいと思います。   つまり,現行制度のような,仮釈放等審理に当たって,仮釈放に賛成か反対かといった許否について直接聴取することを目的とするものではないということは明確にしておく必要があるだろうと思います。さらに,今度は仮釈放になった後の保護観察へのいかし方については,次の保護観察における指導を,より犯罪被害者等の視点に立ったものとするという部分でいかすことが考えられるであろうと思います。   なお,現行法上の被害者の意見等聴取でありますとか心情等伝達の関係でありますけれども,刑の執行初期段階で聴取した意見等を矯正施設とか更生保護官署で引き継ぎを行い,仮釈放等審理や保護観察でも適切にいかすような連携を行うことが必要であろうし,これは矯正と保護の連携という課題にもつながるだろうと思います。   このような連携を行いつつも,刑の執行初期段階で聴取したものの,被害者としては,また改めて仮釈放等の審理の前に意見を述べたい,若しくは,保護観察の開始に際して改めて意見を述べたいという場合,事情が変わったり,本人の考え方が変わるということもありますので,これを断る理由もないのかなと考えております。   それから,現在,仮釈放の意見等聴取という制度があるわけですけれども,もう一つ,昔からある被害者感情調査,通達が変わって,被害者等調査という名前になっていますけれども,これが今でも廃止されていないと思いますので,これとの関係も少し整理する必要があるのではないかと考えております。 ○小木曽分科会長 最後の点は,検討課題として挙げる必要があるということでしょうか。 ○太田委員 そうですね,今後どうするか,ここで直接挙がってきているテーマではないですけれども,新しいこういう制度ができるとなると,従来の仮釈放の許可基準の中の一要素として,社会感情の中に被害者感情が入っていることとの関係で,被害者感情調査,その後は被害者等調査というふうに,分かりにくい言葉になっていたと思いますけれども,その調査が行われてきており,それも一応廃止されていないと思いますので,それとの関係も整理する必要があると思います。現在,被害者が意見聴取を希望してこない場合でも,地方更生保護委員会としては被害者等の状況を把握したいというのがあるので,そうした調査が残されていると思いますけれども,その制度との関係をどうするかということも,一応確認はしておいた方がいいかなと思いましたので,発言させていただきました。 ○小木曽分科会長 では,新たな心情等伝達制度の中で検討するという整理でよろしいでしょうか。 ○太田委員 関連項目として併せて検討するという感じだと思います。 ○小木曽分科会長 はい,分かりました。   そのほかよろしいですか。   それでは,「1 刑の執行初期段階における犯罪被害者等の心情等伝達制度」については,この程度にいたしまして,次の,「2 より犯罪被害者等の視点に立った指導」「(1)損害賠償を促すための措置」について意見交換を行いたいと思います。配布資料の「2」の「(1)」に記載のある点について,いずれの点についてでも結構ですので,御発言をお願いしたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いいたします。 ○太田委員 これも私が問題提起をしてきたことでありますので,改めてといいますか,前にもこの分科会で発言させていただいておりますけれども,もう一度,その必要性といいますか,趣旨についてお話をさせていただきますと,犯罪をした者が改善更生をしていくということは,極めて重要なことでありますけれども,その前提として,犯罪をした者が被害者の被害回復に向けて,できる限りの努力をするということが必要であって,刑の執行過程にあっても,そのための指導を行うということは,私は不可欠であると考えております。   部会の第6回会議の際にも武委員の方から,損害賠償の債務がある受刑者がいるにもかかわらず,それが履行されないことが少なくないというふうな発言があったかと思いますけれども,被害者の意向というものは前提としなければいけませんが,保護観察において,損害賠償に努めさせることとか,若しくは,損害賠償を果たしていくための前提として,就労や行動に努めさせるとか,そういった損害賠償を促すための内容を特別遵守事項で義務付けるということが適当かどうかということについては,今後の検討課題になるだろうと思いますが,その前提として,やはり犯罪者に対して,被害者の損害回復に向けて,なし得る限りの適切な努力をさせるということが必要であろうと考えております。 ○保坂幹事 「特別遵守事項又は生活行動指針による義務付けの必要性及び相当性」に関連してですけれども,仮に,特別遵守事項で損害賠償について義務付けるということができるようにするためには法改正が必要と思われますが,当分科会の第3回会議で事務当局から御説明があったとおり,「賠償すること」としてしまうと,民事の義務をこの手続の中で義務付けることでいいのかどうかということ,あるいは,「賠償に努める」としてしまうと,努めたのかどうかが不明確になって違反したかどうかが分かりにくくならないかということ,こういったことも検討課題になるのではないかと思われます。   特別遵守事項に設定することができるようにすること以外の方法として,いずれにしても,保護観察上の義務として賠償を果たすということをきちんと認識してもらうということは重要だとすると,生活行動指針を守るということも保護観察上の義務ではありますので,そういったことも考えていく必要があると思われます。   次の「(2)」の検討課題に入るのかもしれませんけれども,被害者の被害を理解して行動するということを促していく,そういう指導の中で,損害賠償を促していく方策ということを検討するということも考えられるのではないかと思われます。 ○田鎖幹事 私も今と同じ,「特別遵守事項又は生活行動指針による義務付けの必要性及び相当性」について意見を述べたいのですが,特別遵守事項にいたしましても,生活行動指針にいたしましても,保護観察対象者の改善更生のためのものというふうにされておりまして,しかも,特別遵守事項については,改善更生のために特に必要と認められる範囲において定めることとされております。この関係で,まず,特別遵守事項として義務付けることの相当性ということを考えてみたいと思います。   確かに,保護観察対象者の状況いかんによりましては,損害賠償を促すということが対象者の改善更生に資する事項といえる場合はあるだろうと考えられますが,一方で,損害賠償義務の履行それ自体が本人の改善更生のために特に必要と認められる事項とまでは言えないのではないか,そうすると,特別遵守事項にはなじまないのではないかというふうに考えます。   昨年12月の部会第6回会議においても,被害者への賠償義務を果たさせていく,果たしてもらうためには,本人が,加害者の側が自活できるようにしていかなければならないというような御指摘,御意見も出ておりましたように,まず本人が改善更生して,そして賠償義務を果たせるようになる段階まで持って行く,これが必要なのではないかということです。しかも,先ほども,賠償に努めるということで,どこまでが努めたと言えるのか難しいというような点も出ておりましたけれども,そもそも賠償義務がきちんと履行できるかどうかというのは,就労状況等にも左右されますし,なかなか本人の努力だけでは難しいという面もあろうかと思います。   もちろん,冒頭申し上げたように,個別的に見て改善更生に資するという場合は,当然あり得るわけですので,それを生活行動指針として定めるということはあり得るでしょうし,これは現行法においても可能であるので,私はそれで十分なのではないかと考えます。   さらに,細かいことを申し上げれば,損害賠償義務というのが,客観的に確定されることを要するのかとか,例えば命じる決定や判決が確定していることを要するのかどうかなど,細かく詰めていくと技術的に難しい課題もあるだろうというふうに思いますし,損害賠償という民事の義務の履行を特別遵守事項をもって強制すること自体に問題はないのかということも,やはり考える必要があるだろうと思います。   特に,保護観察付執行猶予者の場合ですと,遵守事項の違反が執行猶予の取消しと,それによる施設収容につながり得るということを考えますと,その点だけに着目すると,あたかも一種の民事拘禁のような状態が出現するような,そういうふうにも見える面がありますので,これはかなり慎重に考えるべきではないかと思います。 ○太田委員 やはり基本的な考え方の違いだろうと思いますけれども,私は,犯罪を犯した者が二度と再犯をしなければ,それで更生したというふうには考えておりません。自分の犯した罪に対して,きちんと向き合うということを併せてするということが,真の意味の更生だと思っています。この辺の考え方が大きく違うんだろうなと思いますし,また,自分の犯した罪にきちんと向き合うように働き掛けをすることが,やはり再犯防止にも結び付くだろうと考えております。   それから,「(2)」のところでも関連して意見を述べたいと思います。 ○小木曽分科会長 「(1)」の点について,ほかに御意見がなければ,続けて「(2)」の方に進みたいと思いますがよろしいでしょうか。 ○太田委員 では,「(2)」に関してですけれども,私はまず,「具体的内容」ということの前に,その前提として,矯正処遇とか保護観察を担当する矯正職員の方や保護観察官の方が,犯罪被害者等の受けた被害の内容とか被害者の要望をきちんと把握しておくということが非常に重要だろうと思います。   その点,罪を犯した者でさえ,自分が被害者に与えた被害の全体像ということを理解していない場合が非常に多いという現実があることから,刑事施設入所時の処遇調査においても,判決謄本の確認以外は,基本的には受刑者からの聞き取りが中心になっているということもあって,矯正処遇を行う刑事施設側や,その後の保護観察を行う保護観察所自体が犯罪被害者の被害を正確に把握していない,理解していない場合が少なくないと思います。刑事施設としても,裁判記録等から,被害者の受けた被害の内容とか損害回復の有無などをできるだけ正確に把握しておく必要があるのではないかと思います。   例えばですけれども,2007年にできました損害賠償命令申し立て制度でありますけれども,現行では,いわゆる損害賠償命令の認容決定の有無とか内容について,処遇調査を行う刑事施設の分類担当者とか,あるいは保護観察官が把握しているかというと,そういう仕組みにはなっていないと理解しております。そこで,仕組みとして,少し難しい面があるかとは思いますけれども,命令を行った裁判所か,若しくは検察庁を通じてかは検討の余地があるかと思いますけれども,刑事施設や保護観察所に命令の内容等について連絡するような仕組みというものを設けるなどして,一般の民事裁判とは違い,刑事事件と連動して手続が行われる損害賠償命令が出ているということ自体を刑事施設だとか保護観察所が把握していないなどというようなことが起きないようにすべきではないかと考えております。これが前提です。きちんと被害者が受けた損害の内容とか損害賠償の内容等を把握しておくということが必要ではないかと思います。   今後,仮に,刑の執行初期段階における犯罪被害者等の心情等伝達制度ができました場合には,心情等伝達の申出をした被害者については,被害の内容や被害者の要望,それから損害賠償の有無等の情報を把握するということはできることになると思いますが,それ以外のものについても,できるだけ情報を把握する必要があるのではないかということでございます。これが,損害回復に向けた指導の全ての出発点になるだろうと思います。   その上で,それを矯正処遇における被害者の視点に立った特別改善指導や保護観察にいかしていくという必要があるわけでありますけれども,特に被害者が要望する損害回復のうち,金銭的な損害賠償につきましては,刑事施設に収容中は収入といったものがないわけですから,現実的には支払というものは期待できませんけれども,例えば,作業報奨金を被害者に送金することは法令上も認められていることから,特に損害賠償命令の決定を受けている者には,作業報奨金の一部を送金するなどの指導といったものは行い得るだろうと思います。   それから,仮釈放となり3号観察になった段階では,対象者も就労によって収入を得るようになるわけでありますので,保護観察において,賠償に向けた指導というものを行うことになろうかと思います。   私の個人的な見解では,特別遵守事項か生活行動指針に被害者への賠償に向けた具体的な内容を設定すべきだと考えておりますけれども,この法制度の在り方については,今後の検討課題であろうと思います。   具体的な指導の内容がどのようなものであるべきかも,今後の検討課題であろうか思いますけれども,これは前に申し上げましたように,基本的にはまず,就労のための就職活動をすることと,実際に就労した上で,収入を得て,自分の生活をきちんと立て直していくこと,それを踏まえて,具体的な賠償計画を立てること,賠償に向けて収入の中から一定額を蓄え,そして定期的に被害者に送金するといったような,そういった内容になろうかと思います。   なお,ただ,就労の可能性の低い受刑者とか,それから少年の受刑者については,どのような形で指導を行うべきかということについては,別途検討が必要ではなかろうかと思います。 ○羽間委員 このテーマに関するこれまでの議論の中で申し上げていなかった点ではございますけれども,ただいまの太田委員の御発言を聞いていて,1点だけ申し上げたいと存じます。   先ほど太田委員が言われたとおり,私も,保護観察官が被害の内容や被害者の方の要望をきちんと把握し,犯罪被害者の視点にも立つこと,これを心掛けて処遇を行っていくことが重要だと考えております。そのためには,保護観察処遇の総則的な規定を見直して,その中に,被害者の視点に立つことについて位置付けるということも有効なのではないかと思います。   そこで,必ずしも更生保護法に限るわけではございませんけれども,社会内処遇を行っていく上で考慮すべき観点などの総則的な事項をまとめました処遇原則に関する何らかの規定を設けるなどして,その中に犯罪被害者の視点に立つことについても含めるなども御検討してみてはいかがかと考えます。 ○田鎖幹事 先ほど太田委員から,基本的な考え方が違うようですというふうに御指摘があったんですけれども,私自身も,加害者側が被害というものを真摯に理解して,それを踏まえて行動できるようになることが望ましいということは,それは言うまでもないことでありまして,それが改善更生につながっていくということもあると考えております。   ただ,一方で,そうなるためには,それは本人によるわけなんですけれども,対象者がそれまでの自分の考えを変えていくと,それに従って行動様式も変えていくということを求めるということでありますので,かなり本人の内面に深く立ち入るような指導をする場面も出てくるのではないかと思います。先ほどの御意見ですと,具体的には,きちんと賠償義務を果たさせるとか,そういう形で表れるのかなというふうにも理解したんですけれども,そこに至る過程としては,やはり,かなり立ち入った指導というものも出てくるのではないかということです。そうしますと,そうではなくて,本人が,加害者側本人ですけれども,被害状況を真に理解した上で,そして,自発的に行動を変えていくように促すことこそが必要なのではないかと思います。本質的に,私は,不利益措置というものがあるよと,あり得るよという威嚇の下に義務付けるような性質は,やはり違うのではないかと考えますので,そういう意味では,やはりちょっと基本的な考え方が,あるいは違うのかもしれません。ですので,そういう意味で,「(1)」の方とも共通するんですけれども,特別遵守事項というよりは,生活行動指針という形で働き掛けをしていく内容であろうと。   現実に,刑事施設において,被害者の視点を取り入れた教育がなされていますけれども,それがはかばかしくないというか,受けないということで,直ちに懲罰になるというようなことは,現実になされていないと承知しております。 ○太田委員 私は,処遇というのは内面に働き掛けるものだろうと思っております。別にそれは思想の強制とか強要とかというわけではないので,犯罪者の改善更生に向けた働き掛けが内面に立ち入るものかどうかという問題設定自体が意味のないことかなと思います。   あと,個別的にどのような形でやるかということは,制度設計としては,いろいろな選択肢はあるだろうなとは思います。 ○小木曽分科会長 また今後の検討課題ということでしょうか。ほかに御意見がなければ,次に進んでもよろしいでしょうか。   それでは,この項目はこの程度にしまして,「(3)接触禁止等の特別遵守事項の拡大」について,御意見を頂戴したいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いいたします。 ○保坂幹事 「被害者への接触禁止や立入禁止について,現行法上設定することができる特別遵守事項よりも,拡大すべきものはあるか」という点について,今よりも拡大してもらいたいというような保護観察の現場の方のニーズとして,もし把握していることがあれば,教えていただければと思います。 ○今福幹事 現行の更生保護法第51条第2項第1号には,特定の行動を禁止する特別遵守事項の類型が定められています。その標準設定例として,具体的には,「被害者等に一切接触しないこと」,「被害者等の自宅や職場付近をはいかいしないこと」,あるいは,「小学校や児童館など子供が集まる施設に出入りしたりその周辺をはいかいしたりしないこと」などがございます。   なお,同号では,「いかがわしい場所への出入り」の禁止について規定されていますので,再被害の防止という観点で,今申し上げた標準設定例よりも更に広く,特定の場所への立入りを禁止できるかということに関しては,検討を要するものと考えます。   いずれにいたしましても,現行法上,被害者への接触禁止や特定の場所への立入禁止については特別遵守事項で設定することが可能となっていますが,現行の特別遵守事項を更に拡大すべきものがあるというような実情については承知していません。もし,被害者への接触禁止や特定の場所への立入禁止という観点から,現行の特別遵守事項を更に拡大すべきというような御意見があれば,また教えていただければと思います。 ○田鎖幹事 今も御説明いただきましたように,今のところ,現場から特別なニーズが上がっているようには把握されていないということですし,やはりこれは,行動の自由の制限でありますから,可能な限り特定する必要があると考えますので,私は,これ以上広げる必要はないし,相当でもないと考えます。   むしろ,広範な自由制限を行うことで,かえって改善更生ですとか社会復帰の妨げとなるおそれも出てくるところでして,特に保護観察付執行猶予者の場合ですと,まだ刑の執行自体は受けていないということも考えなければいけない,仮に遵守事項が設定されれば,保護観察付執行猶予者も同じように適用対象になってしまうわけですので,そういった面でも,広範な自由制限をするべきではないと私は考えます。 ○小木曽分科会長 この点については,この程度でよろしいですか。   では,これまで議論いたしました「第3 犯罪被害者等の視点に立った処遇の充実等」についての本日の意見交換は,この程度といたします。   次に,「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」の論点に関する残りの検討項目であります「第2 起訴猶予となる者等に対する就労支援・生活環境調整の規定等の整備」についての意見交換を行いたいと思います。   この検討項目について,事務当局において,考えられる制度の概要や検討課題等をまとめた資料を作成してもらいましたので,まず,事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○羽柴幹事 配布資料11について御説明します。   「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」の論点について,これまでの部会及び当分科会における意見交換の状況等を踏まえ,「起訴猶予となる者に対する就労支援・生活環境調整の規定等の整備」として考えられる制度の概要とともに,検討課題となると考えられる事項を記載いたしました。いずれについても,現時点において考えられるものを記載したものであり,もとより,御議論の対象をこれらに限る趣旨ではありません。   考えられる制度の概要や検討課題として記載した事項について説明いたします。   「考えられる制度の概要」に「1」及び「2」の二つを記載しており,「検討課題」もこれに対応していますので,順次御説明します。   「考えられる制度の概要」の「1」は,「更生緊急保護の対象範囲を拡大する」というものです。これについては,「検討課題」の「1」にあるとおり,「(1)更生緊急保護の事前調整についての明文規定の整備」及び「(2)勾留中・起訴猶予処分前の者への対象範囲の拡大」について,いずれも,その必要性及び相当性のほか,対象者,要件等が検討課題になると考えられます。また,「(1)」及び「(2)」以外にも及び得るようなことについても御意見があったことから,「(3)その他」を検討課題としております。   次に,「考えられる制度の概要」の「2」は,「検察官の被疑者に対する訓戒等について明示的規定を設ける」というものです。これについては,「検討課題」の「2」にあるとおり,規定を整備する趣旨,必要性及び相当性,内容が検討課題になると考えられます。   配布資料11の説明は以上です。 ○小木曽分科会長 ありがとうございました。   この段階で御質問あるいは,ほかにも検討課題があるのではないかといった御意見がございましたら,お願いいたします。   よろしいですか。   それでは,「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」のうち「第2 起訴猶予となる者等に対する就労支援・生活環境調整の規定等の整備」について,配布資料11に沿って意見交換を行いたいと思います。   この論点につきましても,検討課題の順序に従って議論を進めていきたいと思いますが,関連する事項については,他の項目に関わると思われる事項でも,併せて御発言いただいてよろしいと思います。   まずは,「1 更生緊急保護の対象範囲の拡大等」に記載されている点について,いずれの点でも結構ですから,どの点かをお示しいただいた上で御発言いただきたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いいたします。 ○保坂幹事 「1」の全体に関わることですが,前提として確認しておきたいのですけれども,現行の更生保護法によりますと,起訴猶予者に対する更生緊急保護の要件といたしまして,「訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受けた者」に該当し,また,「刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後6月を超えない範囲内」ということが定められておりまして,言わば対象範囲が限定をされているわけですが,拡大を検討する前提として,なぜこういう限定がされているのかという立法趣旨を踏まえておく必要があるかと思われますので,その点,事務当局の方から御教示いただければと思います。 ○今福幹事 現行の更生緊急保護について御説明いたします。犯罪に及んで刑事手続の対象となり,身柄を拘束された状態から釈放された者については,身体の拘束を解かれた直後から一定の期間,親族等の援助や社会福祉としての保護を受けられない場合,あるいは,これらの援助等を受けられたとしても改善更生のためには十分ではないという場合がございます。その結果,再犯に及ぶリスクが高まってしまうということもございますので,再犯を防止し,改善更生を促すための特別の保護として,更生緊急保護の制度が設けられていると承知しています。   この更生緊急保護は,更生保護法第1条の「犯罪をした者」に対する社会内処遇の一環として位置付けられていますが,飽くまで再犯防止・改善更生のため,すなわち刑事政策的観点から行う緊急的な保護であり,この点において,社会福祉施策における公的扶助などとは異なるものであり,保護の期間については,「刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後6月を超えない範囲内」と限定されています。 ○太田委員 先ほど保坂幹事からお話がありましたように,起訴猶予に際しての更生緊急保護でありますけれども,現行法上は,訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受けた者が,実際に刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後,すなわち,勾留されていた者が実際に釈放されて,起訴猶予処分がなされてからでないと行えないということになっておりますために,釈放前から生活の支援であるとか,生活環境の改善とか調整等を行うことはできないということになっております。   しかし,部会において数回にわたって行いましたヒアリングでありますとか,実際に期日外視察において,施設内処遇とか社会内処遇に携わっている担当者の方々から伺った意見にも示されているとおり,犯罪者の社会復帰や再犯防止のためには,就労支援や,家庭環境,交友関係といったものを中心とした生活環境の改善とか調整等というのが非常に重要であると考えられます。   そうであるとすれば,こういった就労支援とか生活環境の改善・調整等の支援というものが必要である者については,釈放後,できるだけ早期に安定した生活を実現し,社会復帰できるように,勾留中から,あるいは,釈放された後に,起訴猶予処分になる前であっても,保護観察官が,そういった就労支援であるとか,生活環境の改善や調整といったような支援を行うことを可能とするような仕組みを設けるということが必要ではないかと思っていますので,更生緊急保護の対象範囲の拡大ということであれば,これを起訴猶予処分前にも拡大するということが非常に有意義であろうと考えます。 ○保坂幹事 おっしゃるとおりだと思います。今の関連で,どれぐらい有意義なのかということを確認する意味でも,更生緊急保護で,生活環境調整や就労支援として,どういったことが具体的に行われているのかということを,実務的に,事務当局の方から御説明いただければと思います。 ○今福幹事 まず,更生緊急保護における就労支援についてお答え申し上げます。支援の内容としては,対象者に就労意欲を喚起して,就労に必要な態度や技能が習得され,就労の習慣が定着するように助言を行ったり,各種セミナー等を通じて情報を提供しています。また,公共職業安定所の利用を促したり,公共職業安定所に対して就労支援や職業紹介を依頼したり,協力雇用主等に対して雇用やその継続を依頼するということも行っています。   次に,更生緊急保護における生活環境調整についてお答え申し上げます。調整の内容としては,対象者の改善更生を助けることについて,その家族,その他の関係人の理解・協力を求めたり,生活保護などの福祉サービスが受けられるようにあっせんすることなどを行っているところです。 ○田鎖幹事 今も御紹介ありましたとおりですが,そもそも更生緊急保護というのは,飽くまで本人の自発的な任意の申出に基づいて,純粋に支援として,援助として行っていく,そういう枠組みのものでありまして,当然,現在も,更生緊急保護の制度の趣旨自体は大前提として,その上で,どういうふうに改善が必要か,そういうお話があるわけです。   そういうことを考えますと,もちろん起訴猶予の処分の決定の前から,事前の調整を行ったり,様々な準備ができるようになることというのは,私も必要であろうと思うのですけれども,一方で,そういう仕組みができることで,申出の任意性というものが危うくなるようなことがあってはいけないというふうに考えますので,これはどのレベルで工夫をするかということで,ちょっと具体的なイメージが分からないんですけれども,いずれにしても,飽くまでも任意の申出ということを担保するための工夫とか配慮というものは必要だろうと考えております。   それとの関係で,そういった申出が自由にできるような申出の方法というものも考えることが,これは更生保護法上で考えるのか,規則とかで考えるのか分からないですけれども,必要になるのかなと感じました。 ○太田委員 手続的な検討というのも必要でしょうけれども,先ほどの今福幹事の説明にあった内容を見ますと,例えば,情報提供というようなこともありましたので,そういうような支援であれば,勾留中から行うということができるものもあるでしょうし,より早期に取り掛かることができれば,より効果的に行うことができるものもあるだろうと思います。そういう意味では,必要性があるだろうと感じます。   そこで,勾留中から調査や調整を行った上で,現在,更生緊急保護で行われているような就労支援とか,生活環境の改善とか調整とか,そういった同様の内容のものを積極的に行うことができるようにした方がよいのではないかと思います。   さらに,勾留中から,更生緊急保護のうちの生活環境の改善とか調整といったものができるということであれば,その内容が,果たして準備段階として許容されるような内容なのか,更生緊急保護の内容そのものなのかということを余り区別を気にしないで,積極的に行うことができるということも期待できるのではないかと思います。   そこで,繰り返しになりますけれども,更生緊急保護の対象者を被疑者の起訴猶予処分前の勾留中の段階から行うことができるように,対象範囲というものを拡大することが有用であると考えます。 ○保坂幹事 「(1)」の「更生緊急保護の事前調整についての明文規定の整備」の関連でお尋ねをしたいと思いますが,いわゆる重点実施としまして,保護観察所が検察庁と連携をして,勾留段階から調査・調整を行って,釈放後に更生緊急保護を実施するといった取組を行っていると聞いておりますけれども,この取組と更生緊急保護との関係ですとか,あるいは,この取組で具体的にどのようなことが行われているのかということを,実務的な観点から,事務当局から教えていただければと思います。 ○今福幹事 まず,更生緊急保護の重点実施の取組についてお答え申し上げます。勾留中の被疑者のうち,特に支援の必要性が高く,仮に起訴猶予となれば更生緊急保護の実施が見込まれるという者に対して,その者の同意に基づいて,勾留中から釈放後の支援に向けた調査・調整を行っています。そして,その者が起訴猶予となって釈放された後には改めて申出を受けて,更生緊急保護として宿泊場所の供与などを更生保護施設に委託したり,あるいは就労支援等の重点的かつ継続的な生活指導を実施するという取組になっています。   この取組において,勾留中から行っている調査・調整の部分に係る明文規定はなく,運用上,更生緊急保護の準備行為として行っています。その準備行為として,具体的に行っていることを申し上げると,保護観察官が,勾留中の被疑者と面接等をして情報を収集します。そして,更生緊急保護の要否を含めた適切な見立てを行い,例えば,宿泊場所の供与などを委託して行う必要があると考えられる場合には,更生保護施設等への入所に向けて,適切な施設等を選定し,当該施設等との協議等を行っています。 ○保坂幹事 そうしますと,やはり更生緊急保護の円滑な実施に向けて,事前調整,準備ということをやっておくというのは非常に重要だと思われますので,現在運用で行っていることについて,必要があれば,それを明文で規定するということも考えられるのではないかと思います。   続いて,「(2)」の「勾留中・起訴猶予処分前の者への対象範囲の拡大」の点ですけれども,先ほど太田委員からありましたように,勾留中の段階ですとか,あるいは,釈放はされているけれども起訴猶予処分は未了であるという場合についても,同じように,更生緊急保護として支援を行うことを可能にするということは必要なのではないかと思われます。   実務的にみましても,釈放する際に,必要があるときには検察官の方で,その制度ですとか申出の手続について教示をしなければならないとなっているわけですけれども,検察官が教示をしても,本人がその時点で申出をしないということになりますと,更生緊急保護としては実施できないということになりますので,結局,更生緊急保護の対象としないで釈放するということになります。   そうなりますと,その釈放時点では,急いで起訴猶予処分を行う理由もないので,起訴猶予処分にしていないということもあり得るわけですけれども,その後,例えば,釈放後に本人に事情変更があったりとか,あるいは気が変わったということで,保護観察所に行って更生緊急保護を申し出るということもあるわけですけれども,その時点で起訴猶予処分が終わっていないということになりますと,本人が望んだとしても,あるいはすごく必要な者であっても,更生緊急保護がその時点では実施できないということになりかねないわけです。そういったことをなるべく生じないようにするためにも,起訴猶予処分前の者にも拡大するということは考えられるのではないかと思います。   他方で,現行法上,対象を限定しているという趣旨との関係には留意する必要があると思われまして,先ほど今福幹事から御説明ありましたけれども,「公訴を提起しない処分を受けた者」,あるいは,「刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後」というふうにされている趣旨との関係で考えますと,まず,前者の「公訴を提起しない処分を受けた者」でいいますと,現行法の考え方というのは,検察官が起訴猶予処分にすれば,「犯罪をした者」という実質的要件をクリアをしているという仕組みになっていると思われますことから,法改正は必要になろうかと思いますが,検察官の方で実質的には犯罪をした者だと認定していて,ただ処分だけがまだ終わっていない,言わば起訴猶予処分見込み,あるいは起訴猶予処分予定という者を対象に取り込むということが許容される余地はあるのではないかと思われます。   次に,後者の「刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後」というところですが,これは社会福祉などの公的扶助との住み分けのために,こういう限定になっているという趣旨の御説明でしたけれども,その「身体の拘束を解かれた後」というところにさほど大きな意味がないということであれば,法改正によって,身体の拘束を解かれる前にも支援ができるというように拡大することが許容されるのではないかと思われます。 ○太田委員 対象者をどうするかという問題なのですけれども,就労支援とか就学支援といった生活環境の改善とか調整といったようなことは,今問題になっています若年者の犯罪者の問題性に応じた方策としては,非常に有用であると思いますけれども,他の年齢層に不要というわけではありませんし,それ以外の更生緊急保護全体について,若年者以外の年齢層の者についても重要であるということは明らかであると思いますので,いずれにしても,各年齢層について,必要ないという者については行わないわけでありますから,制度として,特に年齢で分けるとかで対象者に絞りを掛けるということは必要ないのではないかと思います。 ○小木曽分科会長 この程度でよろしいでしょうか。   それでは,次に,「2 検察官による訓戒等の規定の整備」について意見交換を行いたいと思います。配布資料の「2」に記載のある点について,御意見をお願いしたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いいたします。 ○保坂幹事 再犯防止ということでいいますと,再犯防止推進計画が閣議決定されておりまして,政府を挙げて取り組むべき重要課題ということです。当然のことながら,検察におきましても,それにこれから取り組んでいくということでありますけれども,関係機関と連絡・連携しながら,再犯防止に取り組んでいくという検察官の意識を涵養し,これを継続させていくということも重要ですので,それに資するような規定を法律に設けるということは考えられるのではないかと思われます。   規定の内容というのは,いろいろあるし,これからの検討だとは思われますけれども,「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」の取りまとめ報告書にあるような訓戒の規定ですとか,あるいは,先ほど申し上げたような,再犯防止のために関係機関と必要な連携をし,協力を求めるといった規定というのが,一つ考えられるのではないかと思います。 ○田鎖幹事 今のは恐らく,必要性に主に関わる御意見で,具体的にどうするかと,内容はどうかというような御意見,御提案だったと思いますけれども,「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」の取りまとめ報告書の中で出てきた「訓戒,指導等」という部分を拝見しますと,被疑者を起訴猶予等とする場合に,再犯防止に向けた働き掛けを行うため,そのための措置として,「訓戒,指導等」というのが出ております。   先ほどは,再犯防止推進計画を受けての検察官の意識の涵養といいますか,意識をきちんと喚起するために,目的に資するのではないかというような御意見だったわけなんですけれども,同勉強会の取りまとめ報告書も踏まえて考えますと,再犯防止のための働き掛けという位置付けで,わざわざ訓戒を行うという規定を設けることに,一体どういう意味があるのであろうかと思います。現状においても,訓戒というものは当然のように,恐らく検察官においては,行われているのではないかというふうに思います。ですので,意識の喚起といいますか,そういった観点で,あえて書く必要性について,私は,今のところ,理解がまだ至りません。   従来行われてきたような訓戒と同じことであれば,今申し上げたように必要性はないわけですし,それを超えた内容を規定するということであれば,それは今度,相当性の問題になってきてしまうのではないか。私は,その相当性はないのではないかと考えております。 ○保坂幹事 今,田鎖幹事がおっしゃった,従来行われてきた訓戒を超えるというのがどういうことか分からなかったのですが,おっしゃるように,今も実務的には,検察官が訓戒をしたり,その場で指導的なことを言うということは大いに行われているわけですけれども,それ自体に特に問題が起きているとは考えておりません。   規定を設ける必要性ということで,今も行っているのだったら必要ないのではないかというのは一つのお考えだとは思うのですが,既に,例えば裁判所の関係でいうと,刑事訴訟法規則の第221条に,裁判長は「訓戒をすることができる」と規定されていますし,あるいは警察の関係でいいますと,犯罪捜査規範の第200条に,「訓戒を加えて,将来を戒める」こと等の処置をとることが義務付けられています。規定されていなくてもできるのかもしれませんが,規定されているということからしますと,必要性の方は別途議論があるのかもしれませんが,検察官について,そのような規定を設けること自体が不当であるということにはならないのではないかと思います。 ○田鎖幹事 確認をさせていただきたいのですけれども,先ほども,訓戒のほかに,例えば関係機関との連絡・調整ですとか協力を求めるというようなこと,その内容が,この資料に書かれている「訓戒等」の「等」だという理解で,まずよろしいんでしょうか。 ○保坂幹事 私が申し上げたのは,そうです。訓戒以外にも,そういう連携あるいは協力といったことが,「等」の一つの内容として考えられるのではないかという趣旨です。 ○田鎖幹事 ありがとうございます。   先ほど,従来行われている訓戒の意義を超えるというのがよく分からないとおっしゃられたのですが,私も逆に,分からない状態で先ほど発言したのであります。というのは,「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」の取りまとめ報告書の方では,「訓戒,指導等」とありましたので,訓戒を超えた正に指導,指導が何かというのは,また難しいわけなんですけれども,そういった内容を含むのかなと考えまして,それで,先ほどのような発言をいたしました。   一つの御見解だとは思うのですけれども,一方で,起訴猶予処分というものができるようになっておりまして,それに基づいた現場の運用があるという中で,あえてわざわざその規定を設けると,むしろ,何か検察官が率先して再犯防止のための働き掛けを行う,責務というよりは,むしろ権限を明確化するような,そういうものとして理解されないか。そうだとすると,いろいろ議論も出てくるのではないかというふうに考えますので,あえて設けなくてもよろしいのではないかというのが私の意見です。 ○太田委員 感想程度ですけれども,前提となる被疑事実自体に争いがないということになれば,本来は,当然何らかの刑罰を科すべき対象なわけであります。そういう者に対して,検察官が,従来もそんなことはやっていないと思いますけれども,「はい,あなたは起訴猶予ですよ,さようなら」ということだけでは,やはり済まないだろうと思います。やはり起訴猶予に際して,きちんと生活を戒めるとか,こういうふうにしなさいというような訓戒を行うのは,むしろ必要であり,当然だろうと私は思っております。そうであるとすれば,こういった根拠規定を作っておくということは,意味のあることではないかと思います。微罪処分の話が出ておりましたけれども,微罪処分についても,先ほどの犯罪捜査規範に,訓戒とか説諭とか請書を取るとか,被害者についての説諭をするというようなことがありますので,そういった規定を置いておくということは意味のあることであるし,かつ相当でないかと感じます。 ○田鎖幹事 今の御発言を伺って思ったのですけれども,確かに検察官によって,中にはとてもあっさりした方もいらっしゃるのではないかなと私も思うのですけれども,そうであれば,起訴猶予の処分をするに当たっては,その趣旨,どういう理由であなたは起訴猶予になりますよというようなことを本人に説明すると。そういうようなことで,十分目的は果たせるのかなというふうに今考えました。 ○太田委員 そのこと自体が訓戒等なのではないでしょうか。どの程度のことまでやるかについて,私は実情は把握していませんけれども,「あなたはこういう理由で起訴猶予になります。これこれこういう事情から,更生に期待しているんですよ。だから,きちんとやっていきなさい。」というようなことを言うということが,ここで示されている内容かなと思うのですけれども。   あっさりした検察官というのが,どういう方か分かりませんけれども,「あなたは起訴猶予です。はい,さようなら。」ということは,実務としてはないだろうと思っております。 ○小木曽分科会長 この程度でよろしいでしょうか。   それでは,「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」についての意見交換は,ひとまずこの程度といたしまして,次に,「保護観察・社会復帰支援施策の充実」,「社会内処遇における新たな措置の導入」及び「施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方」の論点に関する残りの検討項目であります「第4」から「第7」までについての意見交換を行いたいと思います。   これらの検討項目につきまして,事務当局において考えられる施策・制度の概要や検討課題等をまとめた資料を作成してもらっておりますので,まず,資料の説明をお願いいたします。 ○羽柴幹事 配布資料12について御説明します。   「保護観察・社会復帰支援施策の充実」,「社会内処遇における新たな措置の導入」及び「施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方」の論点について,これまでの部会及び当分科会における意見交換の状況等を踏まえ,「第4」から「第7」までの「考えられる施策・制度の概要」とともに,それぞれ検討課題となると考えられる事項を記載しました。いずれについても,現時点において考えられるものを記載したものであり,もとより,御議論の対象をこれらに限る趣旨ではありません。   考えられる施策・制度の概要や検討課題として記載した事項について御説明します。   まず,「第4 刑の執行猶予中の保護観察の仮解除の活用促進等」については,「考えられる施策・制度の概要」に,「1」及び「2」の二つを記載しており,「検討課題」もこれに対応していますので,順次御説明します。   「考えられる施策・制度の概要」の「1」は,「刑の執行猶予中の保護観察の仮解除について,活用しやすくするため,判断主体を地方更生保護委員会から保護観察所の長に変更する」というものです。   これについては,「検討課題」の「1」にあるとおり,その必要性,相当性のほか,判断主体を変更するとした場合の仮解除の手続,基準等が検討課題になると考えられます。   次に,「考えられる施策・制度の概要」の「2」は,「刑の執行猶予中の保護観察について解除することができるものとする」というものです。   これについては,「検討課題」の「2」にあるとおり,その必要性,相当性のほか,解除の制度を導入するとした場合の判断主体,解除の要件,手続などが検討課題になると考えられます。   続いて,3ページの「第5 外部通勤作業や外出・外泊の活用等」については,「考えられる施策・制度の概要」として,「刑事施設内から社会内に向けて円滑な移行を図り,社会復帰を促進するため,①外部通勤作業や外出・外泊をより活用する。②刑事施設内における開放的処遇を拡大する。③仮釈放後の段階的な処遇を実施する。」ことが考えられます。   「①外部通勤作業,外出・外泊の活用」については,「検討課題」の「1」にあるとおり,活用するための方策などが,「②刑事施設内の開放的な処遇の拡大」については,「検討課題」の「2」にあるとおり,趣旨・目的,具体的内容などが,「③仮釈放後の段階的な処遇の実施」については,「検討課題」の「3」にあるとおり,趣旨・目的,更生保護施設への宿泊を伴う段階的な処遇の活用の可否などが,それぞれ検討課題になり,いずれについても法整備の要否が検討課題になると考えられます。   次に,4ページの「第6 保護観察における少年鑑別所の調査機能の活用の在り方等」については,「考えられる施策・制度の概要」に「1」及び「2」の二つを記載しておりますので,これに対応する「検討課題」と併せて,順次御説明します。   「考えられる施策・制度の概要」の「1」は,「保護観察の処遇方針の策定等のため,少年鑑別所への通所による調査をより活用する」というものです。   これについては,「検討課題」の「1」にあるとおり,その必要性,調査の時期・内容,対象者,手続が検討課題になると考えられます。   次に,「考えられる施策・制度の概要」の「2」は,「保護観察の遵守事項違反があった場合に,執行猶予の取消しの申出をするか,新たな特別遵守事項を定めるなどして保護観察を継続するかを判断するため,少年鑑別所への収容を伴う集中的な調査を行う制度を設ける」というものです。   これについては,「検討課題」の「2」にあるとおり,その必要性,調査の内容,対象者,要件,期間,手続等が検討課題になると考えられます。   最後に,5ページの「第7 更生保護事業の体系の見直し」については,「考えられる施策・制度の概要」として,「更生保護施設が行う専門的な処遇等を更生保護事業として明文で定める」ことが考えられます。   これについては,「検討課題」の「1」にあるとおり,必要性及び内容,「2」にあるとおり,事業として認める場合の要件や事業に対する監督の内容が検討課題になると考えられるほか,「3」の「その他」にあるとおり,自立準備ホームの事業の法的位置付けが検討課題になると考えられます。   配布資料12の説明は以上です。 ○小木曽分科会長 ただいまの説明への御質問,あるいは,ほかの検討課題等があるのではないかという御意見がありましたら,お願いいたします。   よろしいですか。   それでは,配布資料12に沿って意見交換を行いたいと思います。   初めに,「第4 刑の執行猶予中の保護観察の仮解除の活用促進等」について意見交換を行いたいと思います。これにつきましても,検討課題の順序に従って議論を進めたいと思いますが,関連する事項については,併せて御発言いただいてよろしいと思います。   まずは,「1 仮解除の活用促進」に記載されている点について,いずれについてからでも結構ですので,御意見を頂戴したいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いします。 ○羽間委員 これまでの会議で申し上げてきたことと重複いたしますけれども,仮解除の活用を促進する必要性について,改めて申し上げたいと思います。   まず,良好措置についてですが,これは対象者の改善更生の意欲を一層喚起する面があるということです。更生保護法では,必要かつ相当な限度において措置をとるという趣旨の規定がございまして,保護観察実施上の問題が解消されたのであれば,適時・適切に良好措置をとるということが必要になってきます。   現状では,仮解除の実績が低調で,十分に活用されていないということですけれども,例えば,仮解除の申出から決定までの間に,申出機関である保護観察所と判断機関である地方更生保護委員会との間でのやり取りが重なって,どうしても時間を要してしまうというように,手続面があい路となって,適時・適切な仮解除が実現し難いという,そういう状況になっているということであれば,それを見直していくことが必要になると思います。   現場からも,部会で前橋保護観察所長の古山氏がお話をされたりとか,あと,視察に伺いましたときの東京保護観察所のお話の中で,仮解除の手続を簡素化するなどの手当てがあった方が処遇がやりやすくなるという御意見がございましたので,対象者の改善更生の意欲を一層喚起しながら,適時・適切な良好措置を実現していくための方策として,仮解除の手続を簡素化し,その活用を促進するべきであろうと考えております。 ○太田委員 私も,改善更生が進んで,仮解除が相当な保護観察対象者に対して,仮解除を行うことがしやすくなるように手続を見直すということについては賛成でございますけれども,他方で,若干憂慮することは,特別遵守事項とか生活行動指針などの遵守状況が必ずしもはかばかしくないというような場合まで仮解除されることのないよう留意する必要があると同時に,ケースによって,仮解除の適用の在り方が著しく異なるというようなことがないように,公正かつ公平な運用が行われる必要があるだろうと思います。   現在,刑法にも更生保護法にも,仮解除についての要件とか基準といったものが明記されておりませんので,例えば法律に要件ないしは基準といったものを規定しておくことや,少なくとも社会内処遇の規則である法務省令に規定する仮解除の基準等において,特別遵守事項とか生活行動指針の遵守状況を考慮要素として明示的に規定するというようなことが必要なのではないかなと思います。   例えば,先ほども議論に出ておりましたけれども,特別遵守事項や生活行動指針で,被害者に対する配慮を促すような措置といったものが検討されているわけでありますけれども,仮に,被害者への賠償に向けた努力が生活行動指針ないしは遵守事項として設定されることになった場合に,内容によっては,履行とか遵守というのは容易ではないわけでありますので,どのような場合に仮解除をなし得るのかということも適正に判断できるように,そういうことも含めて,要件とか基準といったものを法定しておくことが必要でないかなと思います。 ○保坂幹事 「必要性」に戻る形になりますけれども,そういう主体を変更する必要があるのかという関係でいいますと,今,保護観察所長の申出を受けて,地方更生保護委員会が決定するまでに,どれぐらいの期間を要しているのか,その期間を要しているのはなぜなのか,結果として仮解除の実績というのは低調といわれているわけですけれども,その理由について,事務当局の方で把握していることがあれば,御紹介いただければと思います。 ○今福幹事 まず,保護観察所の長による仮解除の申出から地方更生保護委員会の決定となるまでの期間についてお答え申し上げます。平成26年から平成28年までの直近の3年間の運用状況を調査いたしましたので,その結果を申し上げます。当該期間の平均は28日で,30日以上要しているのが毎年全体の20%以上存在しており,中には100日以上要している事案も毎年一定の割合で存在していました。   このように一定の期間を要していることの理由について,現場職員の意見を聴くなどして把握したところでは,地方更生保護委員会は実際に保護観察処遇を担っていないということから,同委員会が仮解除の判断を行うに当たっては,保護観察所に対して,仮解除の相当性を疎明する十分な資料の作成を求めるということ,あるいは,仮解除の申出があった後についても,追加資料の提出を求めるということなどが背景にあろうかと思います。   もちろん,仮解除の申出を行う前から,ただいま申し上げたような申出後の手続があることを想定しまして,保護観察所においても十分な準備をするわけです。例えば,対象者が改善更生の状態に到達したと見込まれる段階に至った後に,担当保護司などとの協議を重ねて,保護観察所内でも検討を重ねます。そして,申出のための面接の実施や,関係書類の作成などを行います。これらをトータルとして見ますと,かなりの時間を要するということになると承知しています。   それが,仮解除の実績が低調であるということに関係しているところでありまして,現場職員から聴取しているところによりますと,対象者の改善更生が相当程度に進んでいるにもかかわらず,手続に時間を要するということで,なかなか仮解除の決定まで至らないということが,かえって,保護観察対象者の改善更生の意欲をそいでしまうことになるのではないか,ということを懸念して,申出そのものをちゅうちょしてしまうような事例が存在しています。あるいは,手続を行っているうちに保護観察期間が満了してしまうということを見越して,申出を断念しているような事例も存在していると承知しております。 ○保坂幹事 今の御説明を踏まえますと,やはり主体や手続の問題というのが,仮解除の活用の阻害要因になっているとお聞きしました。   そうしますと,直接保護観察を行っていて,対象者をよく知っている保護観察所の長が判断するということになれば,そういう意味では,やり取りに要する時間や手続といったものをかなり簡素化できて,結果として,速やかに仮解除することができて,意欲をそぐこともなく,促進につながっていくとお聞きしました。   後は,その次のテーマですけれども,判断主体を保護観察所の長に変更する相当性があるかどうかという話になってくるわけですが,この点についても,一つ御質問したいと思います。現行法におきまして,判断主体が地方更生保護委員会とされた趣旨としまして,当分科会の第3回会議で今福幹事から,仮解除というのは裁判所の言渡しの効果を消滅させるものではないということを前提として,行政官庁の処分によるとなっており,その行政官庁としては,保護観察所を監督する立場にある地方更生保護委員会が最も適当であるということが理由として挙げられていたところです。   その保護観察所を監督する立場にあるという趣旨につきまして,もう少し具体的に教えていただけたらと思います。 ○今福幹事 保護観察所を監督する立場にあるという趣旨についてお答え申し上げます。処遇を担う立場と,処遇の結果として仮解除は相当であるかどうかについて審査する立場というものを分けることによって,客観的かつ適正に仮解除を判断することができるようになるということ,そして,その処遇の結果を判断する主体としては,処遇機関を監督する機関が最もなじむという考えによるものと理解しています。 ○保坂幹事 それを前提としますと,監督する立場にある地方更生保護委員会が判断主体となっている趣旨としては,客観的かつ適正に仮解除を判断するという,その一つの方法であるということだと理解いたしますと,その方法は唯一ではないと思われまして,判断主体は直接処遇をしている保護観察所の長としつつも,その基準を具体的あるいは明確にすることによって,その判断の客観性や適正性が担保できていくのであれば,十分可能ではないかと考えられます。   これは,後にあります仮解除の基準,先ほど太田委員がおっしゃったようなところとの関係も考慮する必要があると思われます。   続けて,相当性の点でいいますと,仮解除の要件ということで,保護観察所の長が判断することが可能かどうか,適当であるのかということが問題になるわけですが,それぞれ,仮解除をめぐる要件について,事務当局の方から御紹介いただければと思います。 ○今福幹事 仮解除の要件について,配布資料12の2ページの一番下に法務省令が掲載されています。仮解除の基準等については,「健全な生活態度を保持している保護観察付執行猶予者について,その性格,年齢,経歴,心身の状況,家庭環境,交友関係,保護観察の実施状況等を考慮し,保護観察を仮に解除しても,当該生活態度を保持し,善良な社会の一員として自立し,改善更生することができると認めるときにするものとする」と規定されています。地方更生保護委員会の決定につきましても,この規定による「申出を相当と認めるときにするものとする」と規定されています。 ○保坂幹事 そういたしますと,保護観察所の長が申出をする場合と,地方更生保護委員会が決定する場合とで,要件,基準というのは同じになるわけでして,保護観察所の長が可否を判断するということになりましても,元々,今行われている判断と基準は同一ということになりますので,判断をする適格はあるのだろうと思われます。   保護観察の種別は違いますけれども,保護観察処分少年の場合には,同じような要件で保護観察所の長が判断して,解除ができるとなっておりまして,それによって何か問題が生じているという状況でもないということだといたしますと,保護観察所の長が仮解除の要件を判断するということになることが不相当だということにはならないのだろうと思われます。   次に,相当性の観点からいいますと,今まで申出はしたけれども仮解除が認められなかった事例がどういうものかということを検討しておく必要があると思われます。   当分科会の第2回会議に配布して御説明をいただいた配布資料4の14ページによりますと,平成24年から平成28年までの仮解除の実績というのがあるわけですが,表の平成28年のところを見ますと,仮解除相当が201件で,不相当が10件となっております。いずれの年も9割以上は仮解除相当となっておりますので,保護観察所の長の判断と地方更生保護委員会の判断というのは,それぐらいの率で合致するということになるわけでして,その下の小さい字の(注)の3にもありますけれども,結果として解除不相当となった事案のうち5件につきましても,審理期間中に状況が変わって基準を満たさなくなったということのようですので,それも併せて考えますと,判断主体の変更による不都合というのは,それほどないのだろうというふうに言えるところであると思います。   もとより,仮解除というのは仮の解除ということですので,基準を満たさなくなって,また保護観察を再開する必要が出てきた場合には,それは仮解除を取り消せばいいわけですので,それが大きな問題になるということではなくて,その後,先ほど太田委員がおっしゃった,基準とか要件とかを具体的,明確にして,客観性,適正性を担保できれば,保護観察所の長への主体の変更というのは,相当性があるといえるのではないかと思われます。   そして,「仮解除の手続」というところですけれども,主体の変更に伴って,何か手続を変える必要があるかどうかということですが,先ほど申し上げたように,仮の解除ということですので,判断主体を保護観察所の長に変更したとしても,手続として何か別異のものを設ける必要はないのではなかろうかと思われます。   それで,仮解除をした後に,再び保護観察を行うとなったときに,仮解除の取消しということになるわけですが,現行法の規定では,保護観察所の長が取消しの申出をして,地方更生保護委員会が決定をもって仮解除を取り消すということになっているわけですが,元々の仮解除の判断主体が保護観察所の長になるのであれば,その裏返しであります取消しの判断についても,保護観察所の長においてできるということにして,特に問題はないのではないかと思われます。 ○田鎖幹事 これはむしろ,次の「2」の論点の方にも関わってきてしまうことかなというふうにも思うのですが,現行規則第103条の保護観察の仮解除の基準等というものを拝見したときに,これがかなり厳格なのかなと私自身は理解しました。   最終的に,改善更生することができると認めるときにするという,かなり厳しい要件になっておりまして,これだけ読むと,むしろ仮というよりは,解除の基準のようにも読めるかなと思ったのですが,こういうところからも,仮解除の実績が低調であるという,そういう事情もあるのかなと私は考えました。ですので,追加の疎明資料を求めるというようなことも,この基準との関係で,どうしてもぎりぎり詰めなければいけない,まだ資料が足りないということが出てくるのかなとも思いました。   そういう意味では,飽くまで仮の解除ということで,私も改善更生を促進するという意味で,良好な場合に仮解除の活用を促進するというのは進めるべきであると考えますので,むしろ,この「2」の解除の導入との関係で,この基準についても見直し等,検討が必要ではないかと考えました。 ○保坂幹事 「1」の「仮解除の基準等」というところに関連して,現在の実務におきまして,仮解除の判断の際に,特別遵守事項や生活行動指針の遵守状況がどの程度考慮されているのか,どのように考慮されているのかということについて,事務当局の方から教えていただければと思います。 ○今福幹事 先ほど御紹介した法務省令ですが,一般遵守事項と同様に,健全な生活態度を保持しているということが要件とされています。また,保護観察の実施状況等を考慮するとされています。そのため,実務におきましては,仮解除を判断する上では,特別遵守事項又は生活行動指針の遵守状況を考慮するということとしており,加えて,運用上,被害者が存在する事案につきましては,被害弁償の状況を確認した上で仮解除を判断しています。 ○保坂幹事 基準の具体化,明確化ということからしますと,現在は仮解除の基準が省令で規定されていて,その中で特別遵守事項や生活行動指針の遵守状況が考慮されることになっているということでした。   仮に,仮解除の判断主体を保護観察所の長に改正するということになった場合には,その判断の適正性,客観性を担保するために,基準を法律に書いて,その一つとして,特別遵守事項の遵守状況等を書き込んでおくということは考えられるのではないかと思います。 ○小木曽分科会長 そのほか,よろしいですか。   特段の御意見がこの点についてなければ,次のテーマにいきたいと思います。   次は「2 刑の執行猶予中の保護観察を解除できる制度の導入」についてです。   配布資料の「2」に記載のある点について,いずれについてからでも結構ですので,御意見がある方は,挙手をお願いいたします。 ○保坂幹事 質問ですけれども,解除の制度を導入する必要性ということでいうと,「1」のところで「仮解除の活用促進」というのが議論されたわけですが,それに加えて,解除制度を導入する必要があるのかどうかという観点で,まず実情というか,実態を把握する必要があるのだろうと思われますので,事務当局の方で,解除というものまで必要となるような事案というのを,どのように把握されているのかということについて御教示いただければと思います。 ○今福幹事 現時点では持ち合わせておりません。 ○小木曽分科会長 現時点では持ち合わせていないということですが,このテーマについて議論をする上では,その資料があった方がいいかと思いますので,解除を必要とする事案があるかどうかを確認しつつ,議論をしたいと思います。ですから,次にこのテーマについて議論を行う際には,何らか説明いただけるように御準備いただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。 ○今福幹事 承知いたしました。 ○小木曽分科会長 ありがとうございます。   この点は,ほかによろしいですか。 ○田鎖幹事 これはむしろ,第1分科会で取り扱うテーマとの関連なのかもしれないのですけれども,第1分科会でも,刑の執行猶予中の保護観察の解除の制度の提案,それから,改正刑法草案においてありましたように,保護観察期間を執行猶予期間と,そもそも一致させるのかどうかというような問題提起もあったかと思います。ですので,その点も一応,この論点に絡む議論となり得るということだけ申し上げたいと思います。 ○太田委員 解除と仮解除の違いについての確認ですが,仮解除の場合は仮解除の取消しで,保護観察に戻すということがありますけれども,解除という制度の内容については,これから検討することになるのでしょうけれども,解除した場合には,解除取消しというのもあるのか,解除というのは不可逆的なものという制度なのか,両方の可能性があるのか,それとも,解除というのはこういうものだという何か念頭に置かれているものがあるのか,それを踏まえた上で次回検討した方がいいかなと今思いました。制度設計が,いろいろあり得るということであれば,オープンな議論として残しておけばいいということになると思うのですけれども。 ○今福幹事 現行法の1号観察の解除の効果は不可逆的なものであります。 ○太田委員 だからこれも,そういう不可逆的な制度とする可能性もあるし,違う制度設計もあるのでしょうが,ただ,そうすると,解除が余り仮解除と変わらなくなってしまうのかもしれません。分かりました,その辺の確認をしたかったところです。ありがとうございます。 ○羽柴幹事 資料につきまして御説明をしますと,正に検討課題として考えられることの中に,解除の効果ということも入れております。実際どのような制度にするのかというところは議論の対象であるという前提で,検討課題と考えられることから,このような資料にしております。 ○小木曽分科会長 よろしいでしょうか。   それでは,次に,「第5 外部通勤作業や外出・外泊の活用等」について意見交換を行いたいと思います。   これについても,先ほどと同様の進め方にしたいと思いますが,まずは,配布資料の「①外部通勤作業,外出・外泊の活用」に記載されている点について,いずれの点でも結構ですので,御意見をいただきたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いします。 ○保坂幹事 これまでも何度も議論されてきましたけれども,社会復帰の促進のためには,外部通勤作業あるいは外出・外泊をより活用していくということは重要だろうと思われます。そこで,配布資料にも書かれておりますように,刑事施設と保護観察所との連携強化ですとか,あるいは更生保護施設,自立準備ホーム等の社会資源等を活用して,外部通勤作業,外出・外泊先として使っていくということが考えられると思われます。   それで,刑事施設収容中において,生活環境調整というのをなさるわけですが,そのときに,更生保護施設等を受入先として調整をしているけれども,施設の方では,受け入れるかどうかということで判断に悩む場合があるとすれば,外出・外泊をして入所の機会があると,その判断が可能になって,受入先の確保にもつながっていくということになろうかと思われます。   外部通勤作業あるいは外出・外泊というものを受け入れた際の取組の内容としては,教育を受けさせたり,援助や訓練を行うということは考えられるわけですが,その上で,受入れ先としては,協力をより得やすくするために,積極的に受け入れていただけるようなインセンティブというのを与えていくためには,受け入れた際の評価,取組の評価ということがされることは有益だろうと思われます。   それで,更生保護施設等がそれらを受け入れた際に行う教育や援助,訓練について,明文規定を設けるかどうかという点でございますけれども,保護観察に付されている者ですとか,刑の執行を終わるなどした者を更生保護施設に収容して,必要な生活指導を行うということは,現行法で継続保護事業として明文で規定されておりますが,当分科会での事務当局の説明にもあったとおり,外出・外泊として受け入れた場合の取組は,更生保護の目的以外の「公益を目的とする事業」として整理されるということでした。   その違いといいましょうか,公益事業と今されているものを,仮に,更生保護事業に位置付けを変更した場合の効果として,どのようなことが起こり得るのかということについて,所管する事務当局から教えていただければと思います。 ○今福幹事 まず現行では,公益事業として位置付けているということでございます。公益事業については,更生保護事業法の第6条において,その営む更生保護事業に支障がない限り,公益を目的とする事業,すなわち公益事業を行うことはできると規定されています。公益事業の経理については,更生保護事業の会計とは別に,特別会計を設けなければならないとされております。また,同法の第42条では,「公益事業の継続が更生保護法人の営む更生保護事業に支障があると認められるときは,法務大臣が事業の停止を命ずることができる」と規定されています。   ただいま御質問があったとおり,仮に,外出・外泊を受け入れた際の取組を更生保護事業に位置付けるとした場合には,当該事業を営もうとする者は,認可又は届出を新たに要することとなります。この場合,公益事業のような事業規模の制限はなくなりますが,認可事業者又は届出事業者として,国の規制の対象となります。 ○保坂幹事 そういたしますと,要するに,公益事業としてであれば,更生保護事業に支障がない範囲内で行うことしかできなくて,特別会計を設ける必要があるところ,外出・外泊を受け入れた場合の取組を更生保護事業として位置付けた場合には,更生保護法人の本来事業として行うことができる。一方で,その代わり,公益事業よりも厳格な規制を受けるということになるということだといたしますと,現在事業を営んでいる事業者の御意見も踏まえながら検討することが必要であろうと思われます。   この点は,この後の「第7」のところの「更生保護事業の体系の見直し」というところとも関連いたしますので,それも踏まえて,引き続き検討する必要があろうと思われます。 ○田鎖幹事 主として外部通勤作業との関係で申し上げたいのですが,外部通勤作業というのは,職員が伴わない外部通勤ですので,非常にハードルが高いと。それで,なかなか実施が進まないと。近年,大変な現場の御努力で,外部通勤もなされているとは思うのですけれども,なかなか難しいと。   そういうことを考えると,むしろ,ちょっとこのテーマそのものから外れてしまうのかもしれないのですけれども,外部通勤作業をより活用するための前提となる方策として,職員の監督の下で行う刑事施設外処遇というものをもっと広げられないかと考えます。もちろんこれも,受入先の事業所等がないと実現しないという意味で,同じような困難はあるとは思うのですけれども,しかし,まずは職員の監督がある状態で受け入れると。その様子を見て,だったら職員が伴わないで外部通勤をしていただいても大丈夫でしょうというふうにした方が,送り出す側も受け入れる側も,より安心してといいますか,段階を経た上で,活用することができるのではないかと考えました。   もちろん,前提として,必要な職員数をきちんと確保しなければならないということが,これまた当然必要となってきますので,なかなか難しいことだとは思うのですが,そもそも日本の刑事施設の職員の1人当たりの被収容者負担率が近年低下の傾向にあるとはいえ,やはり諸外国と比べると,まだまだ非常に高いということがありますので,その辺のことも含めて,まずきちんと人を確保して,刑事施設外処遇,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の第87条の規定を活用すると。この規定ぶり自体が,なかなか活用しづらいということであれば,これを見直すということも,私は検討の課題になるのではないかと考えます。 ○太田委員 今のお話ですけれども,職員の立ち会い付きの外部通勤作業というイメージは,例えば,今の構外作業場の作業とはまた違うようなイメージでしょうか。今でも,例えば大井造船作業場は,民間の造船所ですけれども,職員と一緒に行って,受刑者が一般の職員と働いているんですけれども,それとはまた違うような仕組みということでしょうか。 ○田鎖幹事 私の理解では,例えば二見ケ岡農場とかは,排他的に刑事施設が管理する場所ということ,多分,矯正局から御説明いただいた方が正確だと思うんですけれども,そうだと思うんですね。   おっしゃった,職員が連れて行って,公園とかで掃除をさせたりする社会貢献作業は,正に刑事施設外作業になるんだと思うんですね。 ○太田委員 幾つかの制度の話が混ざっていると思うのですけれども,私がまず言ったのは,職員立ち会いの下で民間の企業に働きに行くというのは,今,構外作業という形で行われて,私が知っているのは大井造船作業場等ですけれども,そうしたものもあれば,今の社会貢献作業というのは,刑務作業の一環として,職員の方が同行していって施設外でやるものですよね。それを両方含んだようなイメージという御趣旨でしょうか。 ○田鎖幹事 どちらかというと,現に今,外部通勤作業として想定しているような民間の事業所というイメージですね。継続的にずっと受刑者を受け入れているような。 ○太田委員 職員と毎日一緒に行って,帰ってくるようなものですか。 ○田鎖幹事 そうです。だから,その一角が,一般の方が作業している隣で,受刑者の方が施設職員の監督の下に働いているようなイメージです。矯正局に補足の説明をお願いしたいのですが。 ○小玉幹事 田鎖幹事がおっしゃっている点については,松山刑務所の大井造船作業場等で行われている構外作業とは別に,先ほどおっしゃっていたように,刑事収容施設法第87条で刑事施設外処遇として,刑事施設の外の適当な場所で矯正処遇等を行うことができるという形で定められており,この刑事施設外処遇は,構外作業とは別のものになります。 ○羽間委員 少し話が戻るかと思うのですけれども,外泊に関して,外泊の活用という方向性について異存はございません。ただ,外泊となると,宿泊費や食費といった費用が発生すると思うのですが,こうした外泊に要する費用というものは,一体誰が負担しているのかと思いましたものですから,法律上の根拠も併せて教えていただければと思います。 ○小玉幹事 今の点につきましては,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第108条で,外出・外泊に要する費用については,受刑者が負担することができない場合又は刑事施設の長が相当と認める場合には,その全部又は一部を国庫の負担とすると規定されており,受刑者が負担することができない場合などの事情によっては,例えば宿泊費や移動費等の費用について,受刑者の自己負担という場合もあれば,国費で負担しているということもあるのが実情だと思います。 ○羽間委員 国費負担とする場合の例としては,どのようなものがあるのでしょうか。 ○小玉幹事 先ほどの法律上の規定にあるように,受刑者が負担することができない場合というのが,まず一つあると思いますし,受刑者が負担することが仮にできたとしても,受刑者の自己負担にすることによって,例えば,受刑者の釈放後の生活に何らかの支障が出てくるような場合には,国費で負担するということもあるかと思います。 ○羽間委員 分かりました。   そうしますと,現在の制度の中では,外泊に要する費用を国費で負担することがないわけではないけれども,それは,どちらかというと例外で,受刑者の自己負担が基本であると理解したのですが,このような理解でよろしいでしょうか。 ○小玉幹事 ケース・バイ・ケースであるとは思うのですけれども,ただ,一般的にいうと,受刑者の方がお金をたくさん持っているというのも少ないと思いますので,そういったことからすると,国費で負担するという場合もかなり多いということだと思います。 ○太田委員 外出・外泊等を活用していくという基本的な方向性については,私は大賛成です。ただ,今の予算という点から見ると,今のところは規定上は,受刑者若しくは矯正側,要するに矯正の方で費用負担というふうな形になっていますけれども,もし今後活用していく場合に,更生保護事業の継続事業ないし一時保護事業ということになった場合には,保護の方で予算的な手当てをすることもできる,そういう可能性もあるということでしょうか。それとも,公益事業の場合にも,やはり矯正局にお願いしますということになるんでしょうか。若しくは,検討課題ということであれば,そういった予算上の措置ということも重要だという問題意識を持っておくのは,確かに必要かなと思います。 ○小木曽分科会長 よろしいですか。では,そういう点について配慮が必要であるという意見であるということで承ります。   では,外部通勤,外出・外泊については,そこまでといたしまして,次は「②刑事施設内の開放的な処遇の拡大」について意見交換を行いたいと思います。いずれの点についてからでも結構ですので,御意見をいただきたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いします。 ○田鎖幹事 この点については,恐らく,私が当分科会で以前申し上げたことがきっかけで,項目として立てていただいたと理解しております。   この「刑事施設内の開放的な処遇の拡大」というのは,①の「外部通勤作業,外出・外泊の活用」,それから,③の「仮釈放後の段階的な処遇の実施」とも密接に関連するわけでありますけれども,結局,施設内の処遇と,それから,積極的に施設の外に出していく,その落差が余りに大きい。この差を縮めていくためにも,つまり積極的な外部通勤や外出・外泊といったもの,あるいはスムーズな釈放後の社会復帰というものを実現するためにも,施設内の拘禁度を段階的に緩和していくということが効果的であろうし,かつ,本人の改善更生,円滑な社会復帰という目的に資するだろうと,こういう考えであります。   近年は,飽くまで過剰収容の時期に比べると,ということではありますけれども,特に男子施設に関しましては,建物設備,物理的な条件というところに着目しますと,以前よりは余裕が出てきているというふうに思います。ですので,従来の基準に比べれば,ちょっとゆとりが出てきたと。だから,余った施設については廃止しようというように,そういう方向にいくのではなくて,むしろ,ようやく少しスペース的にもゆとりが出てきたということで,これを開放的な処遇を施設内で行うために有効活用すべきではないかということです。   例えば,ヨーロッパの刑務所などを見ていますと,もちろん国によっても違うわけですけれども,日本の刑事施設,刑務所と比べると,総じて一つ一つの施設の規模は小さく,少人数を収容している。しかも,被収容者のセキュリティーの必要性の高さに応じて,セキュリティーレベルに応じた刑務所というものがある。それで,処遇の段階で進展が見られれば,一つ上のというか下というか,セキュリティーレベルが緩和された,もうちょっと開放度が高いような施設に移す。それで,刑期が十分に長ければの話でありますけれども,最終的には,釈放直前の段階には,かなりの開放的な施設にいる。それで,スムーズに社会への移行ができると,そういうふうになっております。   これに対して,日本では基本的に,特別な事情が生じない限りは,施設を移るということはないというふうに承知しております。もちろん移送というものはありますけれども,基本的にはない。それで,最初に分類調査がなされた指標の組合せで,基本は決まるということだろうと思います。しかも,一つ一つの施設がかなり大規模であるし,大人数の受刑者を,かなり大きな集団に組んで,集団的な処遇をやっているというのが基本だろうと思うのです。もちろん,小さい集団を編成して,よりきめの細かいことは最近やられているとは思いますけれども,基本はそうだろうと思います。   ですので,こういった形態を,いきなり小規模の施設を新たに建ててというふうに変えるのは無理なんですけれども,大きな施設をブロックに分けて区別して,そして,セキュリティーレベルといいますか,開放度の異なる処遇を行う区画に分類して使うというようなことは,現状でも十分できるだろうと思います。   そういうことをすることによって,例えば,昨年12月の部会の第6回会議でも,正にこういった施設内での開放度を高めてはどうかというような御提案がありましたけれども,施設の中で,何かあっても逃走とかに直結しない,ある意味では安全な空間において,社会に出たときの生活場面を想定したような実践的な処遇というものも,もうちょっと思い切ってできるようになるだろうと。   部会で挙がっていた例ですと,例えば売店を置いて,要するに,マークシートで購入をさせるのではなくて,売店を設置して,売る側も受刑者で,買う側も,一定の受刑者が買えるようにする。そういうことによって,コミュニケーションスキルというものを養ったり,もちろんそこは,職員さんがきちんと付いて,監督しなければいけないわけなんですけれども,一種のSSTのようなものも施設内においてできるようになるということです。   こういった試みというのは,現行法の枠内においても不可能ではないと,私自身は考えるのですけれども,新たに明確な指針がないと,なかなか実務的にも難しいということであれば,具体的にどこをどうすればいいのか難しいと思うんですが,例えば,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の第86条には集団処遇の規定があって,集団の編成についてはあるわけなんですけれども,具体的には,下の規則のレベルで,結局,手法について細かく規定しているということで,では,これをどう使うというようなことまでは規定はないので,こういったものを見直して,よりそういう,今申し上げたような中身が実現しやすいような規定ぶりに変えるというようなこともあり得るのかなと考えます。 ○太田委員 制限の緩和という形で,適切な受刑者に関しては,開放度の高い区画に収容するということが行われていますけれども,それ以外にも,交通刑務所ですけれども,開放的な施設があったり,あとPFI施設では,タグを付けて独歩が可能になっているようなところがありますが,それ以外で何か,新しい試みなり,開放的な処遇は何かありますでしょうか。もしありましたら,御紹介いただくか,若しくは次回のときに御紹介いただいても結構ですが。先ほどからの御提案がそれで足りるものなのか,もっと何かすごいことをするという御提案なのか把握する上で,御紹介ください。 ○小玉幹事 現時点で,特にこれは,新しいものというわけではないんですけれども,例えば女子刑務所では,半開放居室と呼ばれるようなものもありますので,そういう意味では,ある種開放的な措置ということは言えるかと思います。 ○太田委員 市原刑務所に受刑者を移送させて行うという施策についてはいかがでしょうか。 ○小玉幹事 今おっしゃっているのは,市原刑務所で試行を始めることとした制度についてだと思うのですけれども,市原刑務所での開放的処遇に適するような一定の受刑者については,他の刑事施設から市原刑務所に移して処遇をするという新たな制度の試行を始めてはいますけれども,まだ実例は出ていないというところです。 ○太田委員 開放的な処遇については,これまでも可能な限りのことはやってきているような気がしますが,まだそのほかにもやる余地があれば,検討課題にはなるかなという気はしますけれども,ただ難しいのは,日本の施設のかなりの部分がB指標の施設で,そこにはかなり暴力団関係者が収容されていますので,日本の場合の受刑者の事情というようなことはやはり考慮しなければいけないかなという印象を持ちました。 ○田鎖幹事 太田委員のおっしゃることも,とてもよく分かるんですけれども,一方で,最近ではB指標施設でも外出に取り組んで,実例を紹介されたりとかされています。B施設でもやればできるんだというようなことを,誇りを持って施設の方が書かれていたと思うのですね。   制限区分という規定は確かにあるのですけれども,制限区分の運用が制限的,というと,ちょっとおかしいのですが,これは平成28年4月10日時点の数字ですけれども,第1種というのは全体の1%しかいない。第2種で,ようやく15%ちょっとぐらいで,ほとんどの人が第3種で,第4種が随分減って,それは本当に努力をされた結果だと思うんですけれども,2.6%ぐらいということで,ではこの第2種の人たちに,もちろん働き掛けを十分されているんですけれども,第2種と,それから第3種の一部の人たちに,もうちょっと積極的な働き掛けはできるのではないか。   例えば,いきなり閉鎖的な空間から,釈放直前になると,2週間だけ釈放前準備寮に入るんですけれども,ものすごい落差があるわけですよね。もうちょっとその手前で,中間ぐらいのものが用意できないかとか,あるいは閉鎖された空間であれば,釈放前準備寮と同じようにとはいかないまでも,もうちょっと自主的な,自立性を持った行動ができるような空間というものが作れるのではないか。すみません,なかなか具体的に,現場のことが分からないので,具体的にならないのですけれども,問題意識としてはそういうことです。 ○小木曽分科会長 それでは,この程度でよろしいでしょうか。   次に,「3」の「③仮釈放後の段階的な処遇の実施」について意見交換を行いたいと思います。いずれの点についてからでも結構ですので,御意見をいただきたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いします。 ○太田委員 この点については,これまでもこの分科会で何回か発言してきたことではありますけれども,現在,中間処遇的なものとしては,固有名詞としての中間処遇制度というのが行われているわけでありまして,無期と執行刑期10年以上の長期受刑者に対しては,本来の居住地がある場合であっても,一旦更生保護施設に帰住させて,そこで社会生活に慣れるためのいろいろな指導や処遇を受ける,こういった制度が行われていますが,それ以外の受刑者について,こういった中間処遇的なことを行うという施策はありません。しかし,刑期の長短にかかわらずに,社会内に出てから,例えば不良交遊のおそれがあるとか,問題性のある環境から離れた場所で,専門家による一定の濃密な手法というものを受けながら,生活を立て直してから自立させないと,再犯に至るような者も存在しているだろうと考えられます。   そこで,現行のような長期受刑者を対象とするような中間処遇とは異なるものではありますけれども,予定されている帰住先の環境に戻って,通常の保護観察を受けるだけでは更生に支障が生じる可能性が高いような場合には,帰住先に帰る前に,一旦更生保護施設に帰住させて,問題のある環境から離れた環境の下で,施設に宿泊しながら,交友関係についての指導とか,再犯につながるような誘惑を断ち切るための集中的かつ濃密な処遇というのを行い,ある程度問題性が改善されてから,本来の居住地に移行させるような段階的な処遇が有益ではないかと私は考えております。   また,段階的な処遇を行った更生保護施設から一旦退所して,本来の居住地に移行した後も,更生保護施設等へ処遇プログラムを通所により受け続けにいくということも考えられますし,また,仮釈放の環境が整わないために満期釈放となってしまうといった者が,こういった更生保護施設に宿泊しながら段階的に処遇を行う受け皿があることによって仮釈放にできるという場合もあるだろうと考えまして,結果的には積極的な仮釈放につながっていくということが期待できるのではないかと考えております。 ○保坂幹事 今,太田委員がおっしゃったとおり,言わば施設から社会へのソフトランディングとして,急に自由な環境に置かれるのではなくて,一旦更生保護施設に宿泊をするという,そこで濃密な処遇を行うということは有用だろうと思われます。   その上で,そのときに,施設への宿泊ですとか処遇を受けるということを強く促していくための方策というのも必要だろうと思われまして,当分科会で議論している特別遵守事項によって宿泊を義務付けることですとか,更生保護施設等での処遇プログラムを義務付けるということが議論されていますので,そういった枠組みができますと,より段階的な処遇というのがやりやすくなるのだろうと思われます。   先ほど太田委員からもありましたが,中間処遇ということで,長期受刑者に対するものが行われておりまして,これは運用として行われていると聞いておりますけれども,これは前提として,本人に対してきちんと説明をした上で,希望している場合に帰住先を更生保護施設とするということですので,これを義務付けるという方法ではなくて,仮釈放後の段階的な処遇として希望する場合に,帰住先を更生保護施設とするということであれば,これも同じように,本人が希望するという前提であれば,特段法整備を要するものではないと考えられるところです。 ○小木曽分科会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,一旦休憩を入れたいと思います。           (休     憩) ○小木曽分科会長 再開いたします。   それでは,「第6 保護観察における少年鑑別所の調査機能の活用の在り方等」について,意見交換を行いたいと思います。   これまでの課題と同じような進め方としたいと思いますが,そうした前提で,まず,「1」の「少年鑑別所への通所による調査」に記載されている点について,いずれの点についてからでも結構ですので,御意見をいただきたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いします。 ○羽間委員 部会で視察に行かせていただきました東京保護観察所での説明の中で,保護観察付執行猶予者の場合,保護観察開始前に裁判所や検察庁から送付される書類から基礎的な情報を得るということができるものの,保護観察処分少年や少年院仮退院者といった他の号種の保護観察に比べて,得られる情報の内容が限定的であるため,初回面接時に保護観察官が充実した調査を行う必要性が高いという御意見がございました。   そういたしますと,保護観察付き執行猶予の言渡しの後,一定期間は保護観察官による充実した調査を集中的に行うこととした上で,その期間内に,保護観察所の長の依頼に基づいて,対象者を少年鑑別所に通わせて資質面での調査を行い,その結果に基づいて,保護観察官がより具体的かつ実効性のある処遇計画を立てていくということの必要性が高いと考えます。   特に重要なのは,知能検査でございます。この検査結果は,社会内処遇上,非常に重要でございまして,例えば,保護観察官が対象者の知的能力に制限があるということを知らないまま,保護観察処遇を行ってしまいますと,対象者にとっては,保護観察官による指導や支援の趣旨が十分に理解できなくて,動機付けや問題性の改善という観点から支障を来すという,そういう可能性がございます。   また,こうした保護観察開始段階にとどまらず,保護観察期間中において,処遇の経過に応じて,必要がある場合には随時,保護観察所の長の依頼に基づいて,対象者を少年鑑別所に通わせて調査を行うということも,社会内処遇上,有益であると考えます。 ○保坂幹事 今,羽間委員がおっしゃったとおりだろうと思われますが,保護観察付全部猶予者については,綿密な調査を行う機会がないということで必要な調査結果を得るべく,鑑別の対象にするということは考えられるのだろうと思われます。   他方で,少年鑑別所の人的資源といいますか体制面の対応能力とのバランスも考慮する必要があると思われまして,仮釈放者や保護観察付一部猶予者というのは,施設に入っている間に資質面の調査を受けておりますので,必要性という点でいうと,一段低いことになります。その点を対応能力との関係で考慮する必要があるのだろうと思われます。   それと,続けてですけれども,「調査の時期」の点ですけれども,現行の規定でいいますと,保護観察所の長は,保護観察付き執行猶予の言渡しを受け,その裁判が確定するまでの間について,生活環境調整を行うことができるということが,更生保護法第83条に定められておりますので,したがいまして,この少年鑑別所の鑑別というのも,確定を待たなくても,執行猶予の言渡しを受けた段階から鑑別ができるとしてもよいのではないかと考えられます。   また,「対象者」の点で,年齢をどのように設定するかということですけれども,少年鑑別所でのノウハウを保護観察の処遇方針の策定にいかすということからしますと,ノウハウの蓄積がある若年者が想定されるということになるのだろうと思われます。 ○田鎖幹事 今,対象として,ノウハウとの関係で,若年者が想定されるのではというお話がございました。   一方で,必要性という点では,若年に限らない成人にも必要になる場面というのが,当然出てくるんだろうと思います。ですので,そういうことを考えると,もちろん少年鑑別所のリソースやノウハウ,これまでの経験というのは限られているわけなんですけれども,思い切ったことを申し上げさせていただきますと,むしろ,それを母体としつつ,成人についてもきちんと調査ができるような部門を独立のものとして作った方が,よほど汎用性もあり,有益ではないか。   何か少年鑑別所に成人が通うというのも,違和感がありますし,現行で少年鑑別所のリソースを役立てるという場合には,少年鑑別所の方に,刑事施設なりに来ていただくパターンの方がほとんどだと私は理解しているのですけれども,むしろ専門の調査機関といいますか,部門のようなものを設けて,そこにきちんと人もお金も付けていく。それで,資質鑑別だけではなくて,社会調査的なこともできるような,そういう仕組みがあったらいいのではないかと考えます。 ○小木曽分科会長 この点については,ほかはよろしいですか。   よろしければ,「1」の点はこの程度としまして,次は「2 少年鑑別所への収容を伴う集中的な調査」について意見交換を行いたいと思います。いずれの点についてからでも結構ですので,御発言をお願いしたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いします。 ○羽間委員 この点でございますけれども,保護観察付全部執行猶予者が遵守事項に違反し,その情状が重いと判断されて,執行猶予が取り消された場合,比較的長期の受刑になりまして,対象者にとって不利益が大きいものと考えます。   他方で,特に若年者の場合は,再犯リスクの主な要因が,本人の交友関係あるいは家族関係といった環境にある場合が少なくありません。そこで,一定期間,異なる環境に宿泊させる措置を講じることによって,執行猶予の取消しという方法によらずとも,引き続き保護観察を継続できる場合もあると考えます。ただし,保護観察を継続し得るか否かを見極めるためには,対象者の行動観察や心理検査などを通じた綿密な調査が求められます。   そこで遵守事項違反があり,執行猶予の取消しの原因が存在している場合に,一定期間,少年鑑別所に収容して,集中的な調査を行うことを可能にする制度を構築し,その調査結果によっては,直ちに執行猶予を取り消さなくても,例えば,現在検討課題になっている居所の指定などの制約の度合いの比較的強い遵守事項を新たに設定するなどの指導強化策と組み合わせることで,再犯防止・改善更生のために機動的な対応を図ることが可能になると考えられます。 ○保坂幹事 今,羽間委員がおっしゃった必要性を前提といたしまして,事務当局への質問なのですけれども,羽間委員がおっしゃったような保護観察中の執行猶予の取消しをするかどうか,新たな特別遵守事項を設定するかどうかという,そういうことを判断するために,少年鑑別所に収容して調査を行うといったような仕組みというのは,現行法上はあるのかないのかについて,事務当局から教示いただければと思います。 ○今福幹事 保護観察所の長が執行猶予の取消しの申出をするか否かの判断を行う場合の手続として,更生保護法第80条第1項及び第2項に基づく,引致に引き続いて行う留置の手続が規定されています。裁判官が発した引致状によって引致した後に,刑事施設又は少年鑑別所に留置することができることとされ,その期間は,引致した日から起算して10日間とされています。さらに,同条第3項の規定により,保護観察付き執行猶予の取消申出を受けて,検察官が裁判所に対して執行猶予の取消請求をしたときは,決定の告知があるまでの間,通じて20日を超えない範囲で継続して留置することができるとされております。   また,同条第4項では,口頭弁論の請求があったときは,裁判所の決定をもって,10日間に限り,更に延長することができると規定されています。そして,同条第6項の規定により,執行猶予が取り消されたときは,留置の日数は刑期に算入されるとされています。   先ほど,刑事施設又は少年鑑別所に留置できると申し上げましたが,そのどちらに,どの程度の数の対象者が留置されているのかという現状については,統計としては把握していません。しかし,実務上の感覚といたしましては,成人の保護観察付執行猶予者の場合は,刑事施設のうち,拘置所に留置することが多いように思われます。   その理由としては,少年鑑別所法上,成人の保護観察対象者を鑑別するということが規定されていないので,拘置所に収容することが可能であるのに,あえて少年鑑別所を選択して,そこに留置するという必要性が見当たらないということが背景にあると考えられます。   なお,仮釈放者の場合は,更生保護法第76条において,地方更生保護委員会がその取消しの審理を開始するときは,裁判官が発した引致状により引致した後に,同じく刑事施設又は少年鑑別所に留置することができると規定されており,留置の期間あるいは刑期算入については,先ほど申し上げた保護観察付執行猶予者の場合と同様です。   以上,現行の引致と留置について申し上げましたが少年鑑別所における収容鑑別ができるという規定はありません。また,鑑別以外の集中的な調査を行う制度も存在していないということになります。 ○保坂幹事 そうだといたしますと,執行猶予の取消しの申出をするか否かの判断のために少年鑑別所に留置するという制度はあるけれども,余り使われていないし,そこで集中的な調査を行うという制度は現行法上にはないということだと理解しました。   他方で,遵守事項違反があって,再犯リスクが高まっているというときに,それに対応するために,別途議論している宿泊義務付け等の新しい特別遵守事項の設定を行うのかどうか,それでは足りずに,保護観察を継続するのではなくて,取消しの申出をするかどうかという判断に資する調査を行うということで,少年鑑別所に収容した上で集中的な調査を行う仕組みというのは考えられるのではないかと思われます。その仕組みにつきましては,今ある留置との組合せということも考えられましょうし,全く別の仕組みということも考えられようかと思われます。   いずれにしても,施設に収容するということにした上での調査ということになりますので,その必要性,相当性がある場合に限定されるべきでありまして,遵守事項違反があって,呼び出しや出頭命令にも応じないとか,そういった限定を設ける必要があろうかと思われます。そして,収容する期間ということですけれども,こういった調査に,どれぐらいの期間があれば,どのような調査ができるのかということを想定しながら,検討する必要があると思われます。   続いて,対象者につきましては,まずは保護観察付執行猶予者については,執行猶予の取消しの申出をするかどうか,保護観察を継続するかどうかということの判断のための調査ということですので,必要性は最も高い部類になるかと思われます。仮釈放者につきましては,仮釈放の期間が一般的に,そう長くない,つまり保護観察の期間が比較的短いことが多いので,取消しをするかどうかの段階のところで新たな遵守事項を設定するということを検討する場面が比較的少ないことになろうかと思われますが,他方で,長期の受刑者の方の場合には,保護観察の期間が長い場合もありましょうし,取り消されたときの服役も長くなるわけで,本人の不利益も大きいということになります。その点は,保護観察付執行猶予者と同様であると思われますので,そういった方を念頭に制度を設けるということは考えられるのだろうと思われます。   先ほど申し上げたのと同じですけれども,対象となる人の年齢ですが,少年鑑別所で行う調査の対象として,行く行くその対象をほかの年齢にも広げていくという,先ほど田鎖幹事からの御提案がありましたけれども,今のところで考えられる,調査の対象としてふさわしいということになりますと,ノウハウもあって,リソース的にも対応できる若年の者ということで考えられるのではないかと思われますが,年齢の点については,少年鑑別所以外の施設で同じような調査を行うことができるのかどうかということも,引き続き検討する必要があると思われます。 ○田鎖幹事 お話を伺っておりますと,飽くまで収容を行う目的は,集中的な調査を行うためであるというふうに理解しました。   ですので,そこと,当初羽間委員がおっしゃられた,異なる環境に置くことの必要性ということの関連性が,もう一つ私の理解が至らず,よくまだそしゃくできていないのですけれども,飽くまで,今保坂幹事がおっしゃられたことを前提に考えますと,正に取消しの申出をするかどうかの判断のために調査を行う,それを集中的に行うためには,通所では足りず,収容までして調査しなければならないと,そういうかなり限定的な場面だというふうに私は理解しました。   そうであるとすると,セッティングといたしましては,先ほど事務当局から御説明がありました,引致状に基づいて引致し,それに続いて留置をすると,その枠組みを利用する場合と重なってくるのだろうと,その範囲内に収まってくるのであろうと考えますので,現行の留置の規定をどうするのかという,具体的にはそれが検討課題になるのかなと私は考えました。 ○羽間委員 私が申し上げましたところは,取消しをするかどうかだけを考えるための集中的な調査に限る趣旨ではございません。先ほど申し上げましたとおり,若年者の場合,私どもぐらいの年齢になっている者と比べますと,環境の影響を相当受けやすいという特性があるわけです。ですから,遵守事項違反の状態があるということと,それから,環境と少し引き離して,そして,落ち着いたところで心情の安定を図ったところで,集中的に,どのような処遇が必要なのかということを検討していく,そのための資料を集めていくという意味がございます。   したがって,遵守事項違反だから執行猶予の取消しありきというようなことを申し上げているわけではございませんで,少年鑑別所に収容して,集中的な調査を行った結果,保護観察を継続するということも,もちろんあり得るわけです。ただし,その場合に,どのような処遇が必要なのかということを考えていく際にも,その時点での問題というものをしっかりと科学的に踏まえた上で処遇の転換を図っていく必要があるということを想定した上での意見でございます。 ○田鎖幹事 御趣旨,よく分かりました。   ただ,確かに実務の問題として,留置にまで至った場合には,現実に取消しの申出が行われて,取消しがなされているのだろうと思いますが,飽くまで法文の規定としては,取消しの「申出をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるとき」ということで,必ずしも,必ず取消しの申出をするという建て付けにはなっていないのではないかというふうに理解しましたので,その意味では,現行の制度を基礎として,これにどういう改変なりを加えていくかと,そういうアプローチも十分あるのではないかと考えたのですが,それだと,全く方向性として違うということになるのでしょうか。 ○羽間委員 現行の引致,留置の制度は,多くの場合,不良措置をとることを前提として用いられているものと理解をしておりまして,ただ,保坂幹事がお話しされたのは,現行では留置の規定があるので,これを参考にした場合という,飽くまでも仮定のお話であると私は受け止めております。ですので,私としては,そうした仮定のお話が,あたかも現行の留置に近付けていくようなベースになる考え方として御説明がなされたものとは,認識しておりません。 ○保坂幹事 今,羽間委員がおっしゃったとおりで,現行法で行う留置の際に,併せて調査をするという制度設計もありましょうし,そうではなくて,正に調査のために収容するというところから出発して,別の枠組みにするという考え方もあるということを申し上げたところです。 ○田鎖幹事 そうすると,当初言われた調査の必要性があるときという場面自体が,従来といいますか,通常であれば取消しも十分想定し得るような,そういう重大な違反をした場合というふうに,私は当初,羽間委員の御提案について理解したのですが,その点はおくとしても,調査のために,つまり今後の処遇をどうしていくのか,保護観察を継続していくのか,取り消すのかのために,正に通常の環境からは分離して,集中的に綿密な調査を行うということですと,従来の制度には全くないものですので,やはり収容というのは,非常に自由制約が高いものですので,必要性は認められたとして,その手段として相当性を担保することは,かなり厳密に考えていく必要なのではないかと考えます。   少なくとも,そう考えたときに,では,行政官庁だけの判断でそういうことを行わせていいのかとか,そうではなくて,裁判所の関与というものを考えるのか,そういったことも併せて検討しなければいけないと思います。 ○小木曽分科会長 制度設計はいろいろ考えられるということで,検討課題であるということでよろしいですね。   では,「第6」はこの程度といたしまして,「第7 更生保護事業の体系の見直し」について意見交換を行いたいと思います。配布資料の「第7」に記載されている点については,「1 必要性等」から「3 その他」までの各項目が全体を通じて相互に関連していると思われますので,「1」から「3」までについてまとめて意見交換をしたいと思います。いずれの点についてからでも結構ですので,御意見をいただきたいと思います。   御意見のある方は,挙手をお願いします。 ○保坂幹事 まず,「必要性」と「内容」に関することですけれども,現行法上規定されている更生保護事業法第2条第2項にある継続保護事業というのは,更生保護施設に収容して教育,訓練や生活指導等の保護を行うというものであり,同条第3項に規定されている一時保護事業というのは,入所させる方法以外の生活相談とか金品の給与・貸与を行うというものであり,同条第4項に規定されている連絡助成事業というのは,啓発や助成等を内容とするもの,そういう3区分になっているわけです。   近年の更生保護施設におきまして,いろいろな処遇をやっておられるということで,入所をさせて専門的なプログラムなどの処遇を行うことですとか,あるいは,施設を退所した後も通所をさせて処遇や相談を受けさせるといった取組が進められているということでした。これを当てはめてみますと,入所させて行う処遇というのを継続保護事業,通所によるものは一時保護事業になるということですけれども,専門的に処遇を行うということになりますと,端的に,それが規定されていないということになるわけです。   こういった専門性を要するものについては,処遇の水準を確保する必要があるかと思われますので,そのために事業として,明文で定めるということが考えられようかと思われます。明文で定めるということの意義としまして,それが法律上も適切に評価,受け止められているということですので,それに見合う費用の支弁をなし得るということにもつながり得ると思われますが,いずれにしても,こういった処遇が一層活用されるようになるためには,更生保護施設が求められている,あるいは現に行っているいろいろな役割に応じた事業体系に,この際見直していくということが有益なのだろうと思われます。 ○田鎖幹事 今,個々の更生保護施設において独自に行われている処遇,例えば薬物の離脱指導でありますとか,あるいはコラージュ療法でありますとか,様々工夫をされておりますが,それは継続保護事業であれば生活指導として行っているという理解でよろしいんですよね。それで,通所に関しては,確か今年度から新たに始まって,飽くまで任意のプログラムとして,通所で行っていると,定款変更した更生保護施設については行っているということだと思います。   保坂幹事が言われた処遇の水準をきちんと保つということは,私も非常に重要なことだと思います。一方で,2巡目の論点とも関わってくると思うのですけれども,更生保護施設における指導監督の実施というものをどうするかということとも密接に絡んでくるので,今この点だけ切り離して議論を深めるというのは,なかなか難しいのではないかと考えますが,私の現時点での意見といたしましては,こういった処遇を補導援護の一環であると位置付けた上で,きちんと更生保護事業の中に位置付けるということは,十分考えられるのではないかと思っております。 ○保坂幹事 「事業として認める場合の要件」に関連してですけれども,更生保護施設に入所させて専門的処遇を行うことは,法務大臣による認可を受けた継続保護事業,通所形式による処遇というのは,法務大臣に届出をして行う一時保護事業として規定するということが考えられるわけですけれども,更生保護施設に入所させて行う専門的な処遇について,これを継続保護事業とした場合には,既にその施設というのは,継続保護事業の認可を受けているわけで,その意味では,処遇水準というのは確保されているということといたしますと,その中で処遇プログラムを実施するということや,その後も引き続いて通所形式による処遇を行うということについて,改めて認可というほどの強い手続,規制を及ぼす必要はないのだろうと考えられるところです。   既に運用において,現行法下でも,入所させて行う専門的処遇あるいは通所形式による処遇が行われているということでもございますので,法律に明文化するということといたしましても,その手続とか要件とかを厳格にし過ぎますと,せっかくの取組を縮小させるということにもなりかねないので,その点も併せて考慮する必要があると思われます。   仮に,入所させて行う専門処遇や通所形式の処遇を別の新たな事業区分として設けるという場合でありましても,例えば届出という,そういう仕組みにしておくということも考えられようかと思います。   続けて,「事業に対する監督の内容」につきまして,事務当局に質問なのですけれども,監督の在り方についてですが,事業の要件として,認可とか届出とかという規制の違いがあるという点ではなくて,事業として成り立った後で,継続している事業に対する国の監督の在り方について,今どのようなことになっているのかということを教えていただければと思います。 ○今福幹事 継続保護事業については,定義にありますように,更生保護施設に収容して保護を行うという事業ですから,更生保護施設の職員が直接,被保護者の内面に関わる処遇を行うということになります。ですから,継続保護事業を行う者は,更生保護事業法第49条の2に規定されている更生保護施設における処遇の基準を守らなければならないということになっています。また,継続保護事業を営むに当たっては,法務大臣の認可を要することから,認可基準に適合しない事態が生じた場合は,必要な措置を採るよう,法務大臣から命じるということができることとされております。   これは継続保護事業においての特別な部分でありますけれども,3事業のいずれの事業でありましても,国による監督の在り方は,先ほど申し上げた点以外は,ほぼ共通しております。例えば,事業者は事業成績等を法務大臣に報告しなければならないこと,法務大臣はその事業に関する助言,指導,勧告をすることができること,事業者が法令に違反した場合には,法務大臣が事業を制限し,また事業の停止を命じることができることのほか,法令に違反した認可事業者に対しては,認可を取り消すことができることとされています。 ○保坂幹事 どの事業であっても,国の監督の在り方というのに基本的な差異はないということで,あとは認可か届出かということや,入所させて行うか否かの性質に応じての監督の仕方の違いだろうと理解しました。   そういたしますと,仮に新たな事業区分として設けることとなりました場合にも,今の仕組みと同じように,要件のところで認可,届出というものですとか,あるいは性質に応じての監督の違いということはあるにしても,事業報告や助言,指導,勧告,あるいは法令違反の場合の監督の在り方などにつきましては,今ある規定と同様の共通的な規定でよろしいのではないかと考えられるところです。 ○羽間委員 「3」の「その他」につきまして,これまでも申し上げてきたことではございますけれども,現行の自立準備ホームの全てを更生保護事業として位置付けることとすれば,厳格な参入要件を満たすことができないこと,あるいは国による監督が強まることを懸念して,保護観察所への登録を辞退する事業者が後を絶たなくなってしまいまして,かえって刑務所出所者などの受入先が減ってしまうというおそれも懸念されます。   そこで,更生保護事業として位置付けるべきか否かを検討する上では,何よりも自立準備ホームを運営する事業者の声に耳を傾ける必要があるように思われますし,法制面でいえば,まずは現行の運用を維持しながら,更生保護事業として位置付けられることを希望する事業者が存在するのであれば,そうした事業者が参入できるような事業体系にしておくという制度の是非を検討していくべきではないかと思います。   仮に,自立準備ホームを更生保護事業に位置付ける場合でも,事業に参入する要件や国の監督がどのように在るべきかということについては,更生保護施設との専門性の違いを十分に踏まえて検討されるべきであると考えます。 ○小木曽分科会長 いかがでしょうか。この程度でよろしいですか。   それでは,ここまでで,当分科会が担当する論点に関する検討項目につきまして,前回部会後の1巡目の意見交換が一通りできたということになります。本日は時間もありますので,ここまでといたしまして,本日意見交換を行った各論点について,補足など,ほかに現時点で御意見がありましたら伺いたいと思いますが,御意見がある方は,挙手をお願いします。よろしいですか。               (一同発言なし)   それでは,本日の審議はこれで終了ということとしたいと思います。今後の予定について,事務当局からお願いいたします。 ○羽柴幹事 今後の予定について申し上げます。次回の第3分科会の会議は,3月13日火曜日午前10時からの予定です。場所は東京地方検察庁の会議室となります。 ○小木曽分科会長 本日の議事につきましては,公表に適さない内容に当たるものはないと思いますので,発言者名を明らかにした議事録を作成し,公表することとしたいと思いますが,よろしいですか。               (一同異議なし)   では,そのようにいたします。   本日は長時間どうもありがとうございました。 -了-