法制審議会 少年法・刑事法 (少年年齢・犯罪者処遇関係)部会 第3分科会第8回会議 議事録 第1 日 時  平成30年 5月18日(金)   自 午前 9時59分                          至 午前11時57分 第2 場 所  東京地方検察庁会議室 第3 議 題  1 起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方について         2 保護観察・社会復帰支援施策の充実,社会内処遇における新たな措置の導入及び施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方について 3 その他 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○羽柴幹事 ただいまから法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会第3分科会の第8回会議を開催いたします。 ○小木曽分科会長 朝から暑い中,お集まりいただきまして,ありがとうございます。   前回までは,当分科会における審議の中で,家庭裁判所の実情について御質問があったとき等に対応していただくために,澤村幹事に出席をお願いしておりましたけれども,当分科会のここまでの会議におきまして,家庭裁判所の実情等に関する質問はございませんでした。また,現在検討している各項目について,今後,詰めた議論を行うに当たりましても,家庭裁判所の実情等について質問が出る可能性は少ないと思われますので,本日は澤村幹事に出席をお願いしておりません。今後も基本的には出席をお願いしないでもよかろうと考えております。ただ,仮に,あらかじめテーマ等の関係でおいでいただかないといけないと判断した場合には,そのときにお願いするということにしたいと思います。   それでは,事務当局から資料について説明をお願いいたします。 ○羽柴幹事 本日,配布資料として,配布資料17「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方(検討課題等)(5)」,配布資料18「「保護観察・社会復帰支援施策の充実」,「社会内処遇における新たな措置の導入」及び「施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方」(検討課題等)(5)」,配布資料19「平成28年中に仮解除の状態であった者について」を配布しております。   配布資料の内容については,後ほど意見交換の際に御説明します。   また,当分科会の第2回会議で配布しました配布資料4について,一部,統計の数値に誤りがございましたので,誤りを修正したものを配布しております。配布資料4の誤り及び修正内容について,今福幹事から御説明します。 ○今福幹事 当分科会の第2回会議で配布しました配布資料4の14ページ下のシートにつきまして,数値の誤りがございましたので,この場をお借りしまして訂正の御報告をいたします。   該当のシートは,保護観察期間が満了した時点で仮解除中であった者に関する罪名別の構成比を整理した資料ですが,出典である「保護統計年報」の数値に誤りがあることが判明しましたので,お手元に修正済みの資料を配布させていただきました。数値の誤りにつきまして御説明いたしますと,仮解除の状態で保護観察期間を満了した者の総数及び罪名別の内訳につきまして,各年の数値及び構成比が誤っておりました。申し訳ございませんでした。 ○小木曽分科会長 それでは,審議に入ります。   先日の部会第7回会議におきましては,これまでの当分科会における検討状況について中間報告を行いました。様々な御意見がありましたけれども,部会長からは,各分科会において,部会での御意見も踏まえつつ,各論点に関する検討項目の残された課題について詰めの検討を行い,部会において制度の採否や具体的内容について議論を深めることができるよう,制度概要案を作成するとともに,部会における議論に資するように検討課題の整理を行っていただきたいという御発言がありました。   今後の当分科会では,各論点に関する検討項目の残された課題について,詰めの検討を行って,次回部会までに,報告する制度概要案等を作成する必要がございます。   次回部会までの期間が限られておりますので,当分科会が担当する四つの論点について,詰めた検討をお願いしたいと思います。   本日は,「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」に関する検討項目の意見交換の後,「保護観察・社会復帰支援施策の充実」,「社会内処遇における新たな措置の導入」及び「施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方」の検討項目について,順次,意見交換を行うこととしたいと思います。   そのような進め方でよろしいでしょうか。               (一同異議なし)   それでは,「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」に関する検討項目について,意見交換を行ってまいりたいと思います。   この論点に関する検討項目については,これまで配布資料に沿って意見交換を行いましたが,当分科会の前回会議における御意見や,部会第7回会議における御意見などを踏まえまして,更に具体的な検討を行うことに資するように,事務当局に従前の資料を加筆・修正したものを作成してもらいました。   まず,事務当局から,その資料の説明をお願いいたします。 ○羽柴幹事 配布資料17について御説明します。   配布資料17は,部会第7回会議で配布した資料18「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方(中間報告)(2)」を基に,部会第7回会議における御意見等を踏まえつつ,加筆・修正を行ったものです。「(中間報告)(2)」からの変更点について御説明します。   まず,「第1 検察官が働き掛けを行う制度の導入」の「検討課題」の「3」「(1)守るべき事項の設定」の「○ 内容」に関し,「○」の下の「・」に,具体的な事項の例も想定しつつ議論ができるよう,これまでの分科会での御議論を踏まえて,「(例)」として,守るべき事項の具体例を記載しています。   また,「(1)」の三つ目の「○ 手続」の上から二つ目の「・」について,これまでの分科会での御議論を踏まえて,同意を必要とすることをひとまず前提として,同意を必要とする根拠を検討課題としています。   次に,四つ目の「○ 不服申立て」については,これまでの分科会での御議論を踏まえて,「不服申立て制度を設けない」というB案による場合の課題として,「・」に適正担保の点を記載しています。   次に,「(2)指導・監督」については,これまでの分科会での御議論において,保護観察官の指導・監督の方法について保護観察類似のものとすることにおおむねの認識の共有が図られたと考えられたことから,検討課題としては削除しています。   次に,「第2 起訴猶予となる者等に対する就労支援・生活環境調整の規定等の整備」の「検討課題」の「1」に関し,「(1)」及び「(2)」の各制度の「必要性」については,これまでの分科会において認識の共有が図られ,部会第7回会議においても御異論・御指摘はなかったことから,検討課題としては削除しました。   また,「(1)」及び「(2)」の「要件・手続等」として,その具体的内容を検討課題として記載しました。   さらに,「(2)」の検討課題の二つ目の「○」にあるとおり,更生緊急保護の内容を,四つ目の「○」にあるとおり,更生緊急保護を実施できる期間を,それぞれ検討課題として追加しました。   配布資料17の説明は以上です。 ○小木曽分科会長 ただいまの説明について,この段階で,御質問や検討課題がまだあるのではないかといった御意見がありましたら,お願いします。   よろしいですか。   それでは,初めに,「第1 検察官が働き掛けを行う制度の導入」について,配布資料17に沿って意見交換を行いたいと思います。   検討項目全体につきまして,御意見がある事項について,いずれの点からでも結構ですので,どの点かをお示しいただいた上で,御意見を頂戴したいと思います。   御意見のある方は挙手をお願いします。 ○田鎖幹事 私の方から,まず,たくさんあるのですけれども,「検討課題」の「1」と「2」の関係で述べさせていただきたいと思います。「制度の必要性及び相当性」については,私の方からは繰り返し意見を述べておりますので,従前と同じ意見を持っております。したがいまして,「必要性」については,こういった制度が必要であれば,今,第2分科会でも別途検討が進んでいると承知しておりますので,別途,司法的な判断が入った形での制度設計をすべきだろうと考えておりますが,その上で,その制度について具体的に検討するということが課題とされておりますので,それは一旦おきまして,「対象者等」について,まず,意見を述べます。   私自身は,「1」の「必要性」のところにもございますように,起訴に伴う負担の回避ということが大きな目的の一つとして設定されるということである以上,まず,事案といたしましては,起訴相当事案に限定するべきだろうと考えております。以前から,そもそも起訴相当か起訴猶予相当かの区別自体が相対的なものであって,判断自体が難しいのだという御意見も出ておりました。それは重々承知いたしますが,仮にこうした働き掛けを行わないで,その時点で起訴,不起訴の判断をするといった場合に,起訴が相当だと判断される事案を対象とするとすれば,対象は一応定まってくるであろうと考えています。これが,想定される事案についてです。   その上で,今度は「対象者等」の,特に年齢層についてでございます。仮に少年法の適用対象年齢が引き下げられたとした場合でありますけれども,その場合の新たに成人となる18歳,19歳は,私はこの制度の対象とすべきではないと考えます。その理由といたしましては,今現在,第2分科会において若年者に対する新たな処分というものが検討されておりますけれども,そこにおいても18歳,19歳について,処遇や働き掛けの必要性,その内容を判断する機関としては,現行少年法の下において家庭裁判所調査官が要保護性の判断に必要な資料の収集や働き掛けを行った上で,少年審判を経て,要保護性に応じて保護処分に付するか否か等を判断しているということで,そのような家庭裁判所がこれに当たるのが最もふさわしいという意見が出されておりまして,これに対する異論もないというようにうかがわれます。こうした趣旨というものは,今,検討の対象となっている検察官による働き掛けの制度にもそのまま当てはまると考えます。 ○保坂幹事 今,田鎖幹事がおっしゃった,最後の部分が分からなかったのですけれども,若年者に対する新たな処分の対象には,18歳及び19歳に限らず,もっと上の層まで含めるべきではないかという御趣旨でしょうか。例えば,20歳以上の若年者という層がいるわけですけれども,それはどこで措置をとるという御趣旨だったのでしょうか。 ○田鎖幹事 今申し上げたのは,18歳,19歳に関しては新たな処分というところで検討されているので,この制度と重畳的に対象とするということではなくて,仮に引き下げるということであれば,新たな処分のところでカバーしていただくという趣旨に限って申し上げました。20歳以上については,また第2分科会の方で御議論があると承知しております。 ○太田委員 今,田鎖幹事からも話がありました,第2分科会で検討されています新たな処分との関係なのですけれども,ここの起訴猶予のところの再犯防止措置等の対象者とか目的との関係で,使い分けとか住み分けとか,どちらの制度を選択するかということについて,もっと踏み込んだ議論がやはり必要だろうと思います。   それから,もう一つ,第2分科会では宣告猶予制度も検討されております。今,田鎖幹事からお話がありましたように,検察官の判断でやるべきでない,むしろ司法を経由すべきだということであれば,宣告猶予の方も多分,対象者についてはかぶってくるだろうと思います。この三つの制度というのは対象者が重なる可能性がありますし,特に,第2分科会の新たな処分というものの対象者の具体的なイメージがはっきりしないために,第3分科会の起訴猶予に伴う再犯防止措置との住み分けとか,どちらを採用するかという制度選択についての検討が更に必要だろうと思っています。   この間の部会でもそのような発言をしまして,第2分科会での検討をお願いいたしましたし,確か部会では山下幹事からも同様の発言が出ていたように思います。しかし,我々の第3分科会でもそうですけれども,いろいろな担当すべき項目があって,それを個別に検討することでかなり忙しく,個別の論点に関する議論が中心となっていますので,横断的,全体的な制度設計を見据えた議論というのが行われていないと思います。今後開かれる部会で検討すればよいというのかもしれませんけれども,部会では出席する委員・幹事が非常に多く,また,論点も非常に多いので,一つ一つの項目に突っ込んだ検討を行うには余り適していないと思いますし,だからこそ,このように各分科会に分かれて検討しているわけでありますので,相互に関連性を有するような新たな処分,宣告猶予,それから,起訴猶予に伴う再犯防止措置の三つの制度の関係や対象者,どういうふうに使い分けるのかということについては,部会の前に一度,やはりもう少し深めて検討すべきではないかと思っています。   日程的な問題があろうかと思いますけれども,三つの制度についての関係や住み分け,制度対象のイメージが,私は第2分科会の議論を聞いても,どうもはっきりしないと思っているので,第2分科会と第3分科会の合同会議のような,若しくは次回の分科会をそういうふうな合同会議にするとかして,それぞれの分科会メンバーで,制度の課題や住み分け,対象範囲をどうするのかということを集中的に検討するということが必要ではないかと思います。部会に持って行く前に,やはりそういうことを検討すべきではないか,それを踏まえた上で,もう一回分科会に戻るなり,若しくは部会に入った方が,より有効な議論ができるだろうと思っています。   特に,この三つの制度は,二つの分科会が扱う中でも非常に重要な内容を持っておりますし,個人的には,第2分科会の若年者に対する新たな処分については非常に問題性が高い,特に導入された場合に現場が非常に混乱する,やりづらい,極めて難しい制度になる危険性が極めて高いと思っていますので,この点に限ってだけでも合同会議を設けて議論すべきではないかと思います。これは進行に関する話ですけれども,是非とも御検討いただければと思います。 ○小木曽分科会長 事務当局はいかがですか。 ○加藤幹事 部会の進行に関する話ですので,それについては部会でお決めいただく,あるいは分科会でお決めいただくのが原則です。そういう意味では事務当局の方で何かを申し上げられるという性質のものではありませんけれども,今,太田委員から御指摘があったのは,恐らく,比較的軽微な事案を取り扱う三つの制度については横断的に検討する必要があって,各分科会で個別に検討していると,そういった視点が足りなくなるのではないかということだったと思われます。   部会でも同様の御指摘がありましたし,今後,その横断的な視点を確保するためにどのような検討の場,あるいは検討の方法が必要なのかということは,御発言があったことも踏まえて,部会長とも協議して,何らかの案をお示しできればと思いますが,今のところ,各分科会では,個別の制度についての検討課題が残っており,それぞれ検討していただくことがあろうかと思いますので,当面は,現在の検討課題についての御検討をお願いして,各分科会の検討状況については,必要に応じて共有しつつ,どの時期にどういう形で横断的な検討ができることになるのかということについては,各分科会の進行状況等も踏まえながら,部会長あるいは各分科会長と御相談したいと思っておりますので,当面は今のこの検討課題に従って,検討課題についての御検討をお願いできればと思います。 ○太田委員 是非とも御検討いただければと思います。場合によっては,こちらの方は,向こうの方の制度があるからこちらは要らない,向こうの方は向こうの方で,あちらがあるからこちらは要らないとなってしまい,結局は何も残らなかったということも起こり得ないわけではないので,全体としてどういう制度にしていけばよいのかという発想の下で,深く,対象などをどうするかという機会が是非とも必要なのではないかと思いますので,是非御検討いただければと思います。 ○加藤幹事 問題提起として承りました。 ○田鎖幹事 私も今,太田委員がおっしゃったのは全くそのとおりだと考えておりまして,それ以外にも,第3分科会との関係でいいますと,保護観察の在り方と執行猶予の問題,第1分科会の問題とかも密接に関連すると思いますので,急に7月に向けてというのはなかなか難しいというのは分かるのですけれども,その先のことも含めて,是非御検討いただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。 ○加藤幹事 今の点も太田委員と同様の御指摘だと思いますが,7月に部会が行われるとして,その部会で何をするのかと,そこで全てが決まるということでもなかろうと思いますので,そういったスケジュール感というか手順も含めて,ただいまの御意見を念頭に,部会長あるいは分科会長とも御相談したいと思います。 ○羽間委員 私も簡潔に申し上げさせていただきたいと思いますけれども,ただいまの太田委員,それから田鎖幹事の御発言を聴いていて,是非とも第2分科会と第3分科会の合同開催,これを御検討いただきたいと思いましたので,そちらの方向に進むように御検討いただければと思います。 ○小木曽分科会長 では,それは御検討いただくということにいたしまして,資料に挙がっている項目についての御意見を頂きたいと思います。 ○田鎖幹事 「検討課題」の「3 制度の枠組み等」に関して意見を述べさせていただきます。   まず,「(1)」の「守るべき事項の設定」でありますけれども,ここに掲げられている「内容」,それから,この内容というのは,一番最後の「○」の「設定すべき守るべき事項の内容の基準の要否」とも関わってくると思いますので,最初と最後の「○」の関連で,まず述べますと,内容といたしましては,被疑事実,犯したとされる罪と働き掛ける内容との間に合理的な関連性があって,かつ,その働き掛けの内容自体が相当であると,これは当然の前提であろうと思いますし,また,犯した罪に対して守るべき事項による負担が不当に重くならないということも必要であろうと考えます。   そういたしますと,内容の基準の要否との関係で考えますと,やはり基準というものは法定する必要があるだろうと考えます。かつ,その法定の基準に合致しているかどうかについては,内部的な統制のみならず,中立的な第三者によるチェックが必要と考えられますので,そうすると,これについても裁判所による,裁判官によるチェックが必要ではないかということで,この点については,私は,具体的にどういう形になるのかというのはまた検討が必要ですけれども,少なくとも裁判官が確認するというシステムが必要であろうと考えます。   次に,「対象者の選定や守るべき事項の設定のための調査」の点でございます。「検討課題」の「1」の「必要性」のところに,「確実な更生を担保するという趣旨」が掲げられているわけでありますけれども,これを目指すのであれば,やはり対象者がシステムを信頼して,これに参加するということが必要だと考えます。   そうしますと,やはり将来,自分の意思とは関係なく,自己に不利益な証拠として,そのような調査等の結果が用いられる可能性があるということだとすると,真摯に調査等に応じるということは,なかなか期待しづらいのではないかと考えます。取り分けこれは,これもまたこの制度設計の内容いかんによるわけなのですけれども,仮に守るべき事項を守ってその期間が経過しても,公訴提起がその他の事情によってあり得るというようなものとして制度設計されるとすると,ただでさえ被疑者にはちゅうちょが生じるわけでありまして,自発的に取り組める環境というものをできる限り整えないと,実効性自体が望めないのではないかと考えます。   それから,「手続」に関してであります。ここでは同意をどうするかということも掲げられているのでありますけれども,私も従前から,どのような制度にするにしろ,同意は最低限必要な要素であるということを述べてまいりました。私がそのように考える一番の理由というのは,実質において保護観察とほぼ同じ機能を果たすものであって,たとえ客観的には本人にとって利益と考えられるものであったとしても,これを本人の意思と無関係に課すということであれば,その本質は刑罰類似のものになってしまうであろうと,刑罰類似の介入的処分である以上,本人の任意の同意なしには許容されないと,そういう考え方で,実効性という点ももちろん理解いたしますけれども,それ以前の問題として,最低限の正当化根拠として欠かせないと考えております。   そのように考えますと,ここでの同意というのは,正当化の根拠ということですので,本人が制度の内容を十分に理解した上で任意に同意すると,そういったものである必要があります。また,当初に同意を要するということを考えますと,事後的に同意の撤回をする,あるいは手続から離脱するということも認めるべきであろうと考えております。   ただ,任意性の確保と一口に申し上げましても,そもそも,将来の起訴の可能性に直面するような状況で果たしてそれができるかというと,現実には難しい問題があると考えます。特に,私は,対象事案自体を起訴相当事案に限るべきと先ほど述べましたけれども,そうでなくて,もっと対象を広く捉えると考えますと,被疑者に対する心理的強制は,より一層強く働くことになるだろうと考えます。   その上で,そもそも任意に同意する前提として,この制度の内容自体が,もちろん設計次第ではございますけれども,例えば,先ほど述べました効果の点なども含めまして,それ自体,簡明というわけではありません。ですので,理解することはそう容易ではないだろうと考えます。私自身,なかなか理解が進まないというところもございますので,被疑者にとってはなおのことそうではないかと考えます。   これらの点を踏まえますと,「手続」としては,まず,弁護人は関与すべきと従前どおり考えます。もっとも,同意をする主体は飽くまで本人ですので,その主体性というものを確保するという意味で,残念ながら弁護人が関与するというだけでは私は不十分であろうと考えます。特に,この同意の性質の決定的な重要性ということを考えますと,そうだろうと考えますし,これまでの分科会の議論では弁護人は必ずしも必要ないという方向の御意見も出されてきたと承知しております。そうしますと,先ほどの「内容」のところでも述べましたが,やはり司法が中立的な立場から同意の任意性をチェックするということは不可欠であろうと考えます。ですので,同意を必要とするとして,その任意性,さらに,内容面に戻りますと,内容の適正さについても裁判官がチェックするといった仕組みが必要であろうと考えます。   それから,次の「指導・監督」の関係で申し上げますと,私自身は以前から申し上げておりますように,起訴に伴う負担を回避して早期の社会復帰実現という趣旨が掲げられておりますことに加えて,性質的に刑罰類似の介入を行うというものであることを考えますと,6月を超えるというのはやはり長くて,そうしますと,消去法でB案になると考えます。   また,「その他」のところに関しますと,期間満了の効果については,やはり公訴提起を禁止するということにしないと,最低限の実効性というものを確保できないのではないか,本人の動機付け,そういう動機を維持し続けて参加するということができないのではないかと考えます。 ○太田委員 今も話に出ました同意を必要とする根拠は何かということなのですけれども,これは以前にも申し上げたとおり,法的に必ず要求されるという性質のものではないと思っておりまして,その同意を必要とする根拠が何かと言われれば,守るべき事項の遵守に向けての実効性の確保であると考えています。   守るべき事項を設定しても,途中で離脱するということも認められるわけでありますので,その事項を守る義務を課すものでない以上,検察官が,例えば被疑者について,一定期間,被害者に被害弁償するかどうか,アルコール依存症の治療のために通院をするかどうかということについて継続して調査をした上で,それらの実施状況をも考慮要素に入れた上で処分を決するということ自体は,もとよりこの被疑者が望むと望まざるとにかかわらず,訴追裁量の判断として現に行われておりますし,行われるべきものであります。いずれにしましても,本人が守るべき事項を守ることにいかなる意義があるのかとか,内容とともにその必要性とか重要性をよく理解して,納得した上で臨むということが実効性を上げるために非常に大事なことであると考えられますことから,守るべき事項の内容とか,その重要性とか,守るべき期間とか,守るべき事項が設定された後の手続として,例えば,守るべき事項を守っているかどうかについて保護観察官が指導監督しますよとか,守るべき事項を守らなかったときには,必ず起訴されるということにはならないと思いますけれども,起訴されることもあり得るということ,また,守るべき事項を改めて検討して,変更するということもあり得ることとか,それからまた,この後の検討事項にはなると思いますけれども,守るべき事項を守った場合には原則として訴追されないというふうな制度設計にする場合には,そのことなどについて被疑者に丁寧に説明をした上で,その守るべき事項の設定について同意するかどうかを確かめることとすることが極めて重要であると思います。   今,任意性の話をされましたが,これも前に既に申し上げておりますけれども,ここに心理的な規制が全く働かない純粋な任意性といったものが必要な場面とは,私は考えておりません。   それから,先ほど,せっかく守るべき事項を守ったのに公訴提起される危険性があるというようなお話でしたけれども,制度設計としては,一定の期間,守るべき事項を遵守した場合には公訴提起を原則としてされないという制度設計をした方がよいと思います。そうしない制度設計というのは意味が全くありませんし,守るべき事項を守る動機付けにもなりませんので,守ったのに起訴をするような制度にする必要はありません。ただし,これも前から何度も出ておりますように,前提となる事実に間違いがあった場合とか,それから,守るべき事項を遵守する期間の間に,実は遵守していなかった新たな事項が発見された場合には,やはり起訴できる可能性は残しておかなければいけないということは必要であろうとは思います。 ○小木曽分科会長 今,お二人から同意の点について御意見がありましたけれども,同意に関連して,資料17の2ページの真ん中辺りに「不服申立て」の項目がありまして,「A案」,「B案」があります。「A案」の「・」が三つ並んでおり,最後の「・」に,「被疑者の同意を要することとした場合に,不服申立て制度を併せて設ける必要があるか。」があります。この問いにどのように答えるのかということによっては,その上の二つの「・」は答える必要がなくなるという関係にあると思いますが,この点はいかがでしょうか。 ○保坂幹事 先ほど太田委員から御発言がありました,「同意を必要とする根拠は何か。」という点ですが,私も以前から,実効性の担保としてなら理解ができると申し上げてまいりました。その前提で,太田委員がおっしゃったように,同意の確認の際に,丁寧にこの仕組みについて説明して,同意をしたときに守るべき事項の設定が行われるということだとしますと,その後に,同意があった守るべき事項の内容について,改めて不服申立て制度を設ける必要性はないのだろうと思われます。   被疑者が不服申立てをしたいと思うことが仮にあるとすると,それは恐らく,守るべき事項を守ったつもりなのに,検察官がそう評価してくれなくて,起訴されてしまったという場合というのはあるのかもしれませんが,そうなりますと,結局その検察官の訴追判断について,仮に不服申立て先が裁判所ということになりますと,裁判所がそれを判断するのがこれまた適当でないということは以前にも申し上げたとおりです。   いずれにしても,不服申立てについては,同意を必要とする仕組みにするのであれば,必要でもないし適当でもないと考えております。 ○田鎖幹事 今御説明していただいたことは,私もきちんと理解しておりまして,今回,初めて,同意を前提とするということでの検討課題が作成されましたので,根拠はさておき,同意を求めるということであろうと,そうすると,不服申立て制度が確かに整合しないというのは,そのとおりだと思います。   そうではなくて,私は,根拠の点については見解が分かれるというのは承知した上で,そうであっても,きちんと本人が分かった上で同意しますと言っているかどうかということについては,やはり裁判官がチェックするべきであろうと。そういう意味では,B案のところに,「不服申立てを設けないとすると,守るべき事項の設定の適正さが担保されないのではないか」とありますけれども,これに加えて,本人が本当に中身を分かった上で,つまり実効性が期待できるような形で同意されているのかということも確認するということだと思います。   以前にも申し上げましたけれども,そもそもいろいろな問題性を抱えていて,働き掛けが必要だと考えられる人たちが制度の対象になるということを考えると,自分に都合のいい思い込みとか,理解の至らない点とか,いろいろなことが考えられますので,やはりそこは確認が必要であろうと考えます。 ○保坂幹事 田鎖幹事が同意が必要だとおっしゃる根拠ということで申し上げると,恐らく,守るべき事項をただ設定するだけではなくて,それに違反したら起訴されてしまうということが控えているから,事実上,法的でないにしろ強制されているではないかと,よって,それが被疑者の意思に反して行うことはできないから,同意がある場合に限れと,こういう趣旨だろうと思うのです。その上で,その同意が更に任意かどうかという,つまり,同意しないと起訴されてしまうというのが威嚇力になっているから,その同意の任意性というのが慎重に吟味されるべきだという御主張を前提とすると,そこに弁護人が入ろうが,裁判官が入ろうが,結局その仕組みとして,同意が任意でないという前提は変わらないのではないかと思われるのですが,それは次善の策として裁判所が確認するということなのでしょうか。 ○田鎖幹事 すみません,御質問の趣旨が今一つ理解できなかったのですが,私が申し上げたかったのは,起訴される危険があるからということもさることながら,そもそも一定の働き掛けを受け入れると,先ほども申し上げましたけれども,本人に利益な面がもちろん客観的にはあるとしても,一定程度の行動の自由なりが客観的に制約されるということは間違いないので,そういった面を正当化する,それを先ほど,介入というような表現を致しましたけれども,という点で,任意な同意が必要だということを申し上げました。   すみません,御質問がやはり理解できなかったのですけれども。 ○保坂幹事 別の尋ね方をしますと,裁判官が同意を確認するというのは,どういうことなのでしょうか。自分の面前に呼んで,本当に同意をしたのかというのを確認する手続を仮に想定されているとすると,ほかにも同意を要する制度として,例えば,略式手続によることに異議はないとか,即決裁判に同意するというのは,それは,書面を提出するだけであり,裁判官の面前に呼んで本当に同意したのと聴く手続にはなっていないと思うのですが,この仕組みについてだけ,裁判官の面前に呼んで同意を確認するということを特にとらなければいけない理由というのは,何かあるのでしょうか。 ○田鎖幹事 それは,繰り返し述べておりますように,私は刑罰類似の,本質的には刑罰と同じような処分だと考えておりますので,そこが多分,恐らく永遠に埋まらない溝なのかなと思うのですけれども,少し言いすぎましたかね,すみません,私も考えが変わるかもしれないので,可能性としては,ということです。そういう考え方が私自身,ありますので,そうであるとすれば,内容,手続の流れということもきちんと説明した上で同意しているのかということを確認すると,単にあなたは同意しましたかどうかということではないと,そういう考え方です。 ○加藤幹事 論点整理のために,今の保坂幹事と田鎖幹事のやり取りについて2点,確認させてください。保坂幹事から,裁判官の面前に呼んで同意を確認すべきなのかという御質問があり,それに対して,田鎖幹事は,そうだとお答えになったように承ったのですが,そうすると,次の保坂幹事からの,例えば略式手続は刑罰を科す手続そのものなのに,裁判官の面前に呼んで同意を確認する手続はとっていないではないかとの御質問については何かお答えになることがありますかという点が一つ。それから,分科会長からの,同意が必要だという制度設計であれば,不服申立て制度は必要だろうかという御質問に対して,最初,田鎖幹事は,同意が必要だとすれば,不服申立ては必ずしも必要がないのではないかとも考えるという見解を述べられたように思われますが,その後,同意の取り方について御意見を述べられていたようなので,要するに,不服申立て制度の要否については,田鎖幹事がお考えになる形での同意の聴取を必要とするのであれば不服申立ての制度は必要ないと,こうおっしゃったのだという理解でよろしいでしょうか,という2点です。 ○田鎖幹事 まず,後者の点ですけれども,端的に言うとそういうことになります。私はこういう同意を取り付けるということであれば,こういうことで在るべきだと考えておりますので,それとの関連で司法チェックというものが必要になると,そういうことになります。   ほかの場面でも同意というものは必要だけれども,あえて面前に呼んでやらないではないかということなのですけれども,そこはまた改めて考えたいと思いますけれども,略式手続はそもそも,書類自体は裁判所に行って裁判官が審理するわけですので,同列には扱えないかなと考えますし,やはりそこが,正に略式は一応,裁判所が書面に基づいてだけれども認定するという,司法が犯罪事実を認定するという,その手続についての同意ということであるのに対し,本件はそうではありませんので,そういうプロセスを経ないで行うことについての同意ですので,私はやはり質的に違うだろうと考えます。 ○小木曽分科会長 先ほど私が申しましたのは,同意のプロセスを経た上で,更に不服申立て制度を設ける必要があるのだろうかということを取りあえず伺ったわけでありまして,今,議論が,同意の性質というか,同意があったことをどうやって確認するかという話に移行しているというか,混ざっている感じがあるわけですが,そういう意味でも「不服申立て」という項目を残しておくか,おかないかということを伺いたいのですが,いかがでしょうか。 ○田鎖幹事 その点,先ほど保坂幹事がおっしゃったように,一応,同意は取りあえずきちんと得られましたということを前提とした上で,その後の不服申立てということについては,確かに問題となるとすれば,その場面ではなくて,守るべき事項を守ったと私は考えるけれども,検察官はそのように評価してくれなかった,という点について,どうするかということだと思うのです。   そうしますと,ここがまた難しいのですけれども,最終的に訴追裁量の範囲内で裁量権を行使して起訴,不起訴の判断をするということですと,確かに不服申立ては難しいと一般的にはいえるのかなとも思うのです。つまり,ただ,履行があったかということでは必ずしも決着が付かないところがこの制度の難しいところだと思うのですけれども,少なくとも履行されたかどうかということについては,第三者的な,何かそれをきちんと担保するようなものがあった方が,本人のためにも,その後の手続のためにもよいだろうと考えます。それを不服申立てと考えるのかについては,もう少し考えます。 ○小木曽分科会長 分かりました。では,それ以外の点はいかがでしょうか。 ○保坂幹事 「その他」のところですけれども,先ほど田鎖幹事がおっしゃられたように,「期間の満了の効果」について,実効性や動機付けのためには,守るべき事項をきちんと守り切ったというのであれば起訴されないことになるというのが励みになることは間違いないだろうと思います。通常はそういう流れになっていくのだろうと思うのですが,例えば,仮に原則ということで,それを法的に規律しようとすると,では,例外はどういう場合なのかというのがきちんと書き切れるのかという問題があるとともに,その例外に当たっているのか,当たっていないのかが,恐らく,公訴提起された後,裁判に持ち込まれるということ,つまり,公訴提起が禁止されているのに起訴したかどうかというのが争われるということになるのだろうと思うのですが,それは正に,先ほど申し上げたように,訴追判断を改めて裁判所で審査するという,別の問題を生じることにならないかということが懸念されるところです。   それはそれとしまして,守るべき事項に違反した場合にとり得る措置については,前回の会議で太田委員から御提案があったように,守るべき事項を変更するということがあるだろうと思います。つまり,ある事項を守らなかったから今度はもう少しそれを増強したような守るべき事項を設定する,ということはあるだろうと思います。守るべき事項の変更というのは,違反した場合だけではなくて,より効果的な事項というのがあるなということになれば,それは変更することもありましょうし,あるいは,この事項はもう必要ないなということであれば,もうそれをやめてしまうということもあるのだろうと思います。   したがって,守るべき事項に違反したときにそれが変更できるという仕組みにしておくことは必要だと思うのですが,変更するのがそれ以外にはできないとするのも適当ではないので,そこは柔軟に対応できるようにしておくのが仕掛けとしてはいいのかなと思うところです。 ○太田委員 今の保坂幹事の最後のお話は,私もそのとおりだと思います。保護観察の場合の遵守事項も,更生保護法になってから変更という制度ができましたけれども,これは,保護観察を取り消さなければいけないような状況になりつつあるときの変更ということもあり得るだろうし,そうでなくても,保護観察対象者が置かれているいろいろな状況が変わったときに柔軟に対応していくために,変更という制度ができているので,これも特に違反した場合だけではなくて,一般的な守るべき事項の変更制度ということを設けておくということで対応ができるだろうし,それが望ましいと思われます。   また,先ほどの同意の件なのですけれども,裁判所に同意を求めるという場合,先ほど保坂幹事が聞かれたように,裁判所に何を求めているのかを確認しておく必要があると思います。仮に,刑事訴追が控えているような場合での純粋な任意性というのは全くあり得ないというなら任意性をチェックする意味もないのですけれども,田鎖幹事としては,裁判所に,被疑者の同意がきちんと,インフォームドコンセントという言葉がいいかどうか分かりませんけれども,制度の趣旨とか,不利益措置だとか良好措置をきちんと理解して同意したのかどうかということだけの確認をすることを裁判所に求めるということだけならば別ですが,裁判所に対し被疑者の同意の任意性に関する確認を求めても,先ほど言ったように,後に本人に対する不利益処分が控えているということの問題性というのは解消されないということになるので,裁判所に確認を求める必要も意味もないことになるがどうか,先ほどの保坂幹事の質問の趣旨はそういうことにあると理解したのですけれども,田鎖幹事の御意見では,更にそれを越えたようなことを裁判所にさせようということでしょうか。例えば,この制度は事実関係に問題がない場合にのみ適用されることになるわけですけれども,そうした本人の事実関係に関する同意とか,守るべき措置の妥当性みたいなことまで,そういうことを全部裁判所が関わるというようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。要するに,裁判所が被疑者の同意は適正に行われたものですよと判断した場合にも,結局,田鎖幹事が問題視している任意性の状況は解消されていないと思うのですけれども,逆に,裁判所の同意さえあれば,任意性の問題は解消されて,手続には問題がないことになるのかということ,そこを少し確認させていただきたいと思います。 ○田鎖幹事 一番最後の御質問に関しては,元々私はこの制度設計に消極的なので,そうではないという簡単な答えになってしまうのですが,私の考えでは,裁判所を介在させても問題は解消されないという御意見というのは,今一つ,腑に落ちないところがあるのですけれども,そういう御指摘があるということを踏まえましても,先ほどの内容の適正さとか,基準があったときに,ほとんどの検察官はそれにのっとって適正に仕事をされるのだろうと思われますけれども,それが外部的に一応,チェックを経るのだということがあるか,ないかによって,仕事への影響というのは実際問題としては,私はあると思います。   最終的に,最初の問題に戻って,同意の任意性というのが担保されないのではないかという話もあったのですけれども,ただ,ここで取り上げるのが適切かどうか,例えば勾留質問というものを考えたときに,やはり裁判所に来たら別のことを言う人というのもいるわけでして,それは私は全く無意味だとは思わないです。違う環境で全く違う人に向かって話す,確認をされるというのは,やはり意味があるだろうと考えております。   ついでにもう1点,よろしいでしょうか。やはり,私の中では,これは守るべき事項を設定するのだけれども,それを守る義務が課されるものではないのだよということが,ずっと以前から御説明として言われているわけなのですけれども,やはり現実の機能というものをもう少しきちんと直視すべきではないかと思います。やはり守る義務を課すものではないにしても,単に従前の取組のように,「犯罪後の情況」というものを純粋に経過観察する,検察官は別に何も身を乗り出すことなく純粋に観察するというものとは,やはり違うわけですので,そこはもう少し慎重に考えなければいけないのではないかと私自身は考えております。   現実問題として,保護観察に似たようなことを行うということですと,同意をした上で,ですけれども,やはり指導を受けたり監督をされたりするわけで,しかもそれを一定期間行うということが前提になるということですので,法的な評価というのはもちろん難しいところが出てくると思うのですけれども,本人に対して,実質的に強制的な要素がなくなるかというと,それはそうではないと,やはり守った方が,守れば有利な方向で考慮してもらえるということですので,そのような効果があるということは直視しないといけないと思います。 ○小木曽分科会長 検討項目がほかにございますので,この点はこの程度にしたいと思いますが,よろしいですか。   では,「検察官が働き掛けを行う制度の導入」についての意見交換はここまでといたしまして,次に,「第2 起訴猶予となる者等に対する就労支援・生活環境調整の規定等の整備」についての意見交換を行いたいと思います。   まずは,「1 更生緊急保護の対象範囲の拡大等」について,意見交換を行いたいと思います。「1」の検討項目全体について,いずれの点でも結構ですので,御意見を頂戴したいと思います。 ○太田委員 「(1)」と「(2)」の両方に関わりますけれども,まず,「(2)」の「勾留中・起訴猶予処分前の者への対象範囲の拡大」をする場合の更生緊急保護をどういう内容にするかについて,現行法上,更生緊急保護は,親族や公的な機関から援助や保護を受けることができない場合や,その保護のみによっては改善更生することが難しい,あるいは,できないと認められる場合に,緊急に,その者に対して金品を給与し,又は貸与し,宿泊場所を供与し,宿泊場所への帰住,医療,療養,就職又は教養訓練を助け,職業を補導し,社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い,生活環境の改善又は調整を図ることが内容とされております。   そこで,勾留中の者の場合に何をするかということなのですけれども,実際,身柄を拘束されていますので,緊急に金品を給貸与するということとか宿泊場所を供与するということは必要ないだろうと思います。必要があるのは,その者の家族や関係人を訪問するなどして,宿泊場所への帰住とか,それから医療とか就職を助けたりとか,釈放後の生活環境の改善又は調整を図るということであると考えられますことから,これらを内容とするということが考えられるだろうと思います。そして,これを勾留中の更生緊急保護の内容とした場合は,「(1)」の「更生緊急保護の事前調整」というものも,既にこの更生緊急保護そのものの内容に含まれることになると思います。   次に,刑事上の手続による身体拘束を解かれた者の場合というのは,起訴猶予処分の前の者であっても,起訴猶予処分を受けた後の者に対する現在の更生緊急保護と同じような内容でいいのではないか,要するに,特に起訴猶予処分の前の者については,現在の起訴猶予処分後のものと内容を変えるという理由も特にないと思いますので,起訴猶予処分前の者の更生緊急保護の内容は,先ほど述べたような現行法の規定の内容と同じとすべきだと考えます。   次に,「検討課題」の「(1)」,「(2)」に共通する課題として,対象者の申出によるかどうかという問題があるかと思いますけれども,現行法上は更生緊急保護というのは保護観察のように義務として受けさせるものではなくて,対象になる者の意思に反しない場合に限り行うものでありまして,意思に反しないことを明らかにするという方法として申出をさせるということが適しているという理由から,現在は対象となる者から申出があった場合にだけ行うということにされていますから,「(1)」と「(2)」のいずれにおきましても,更生緊急保護について,この時点を少し前倒しにする,又は事前に調整するというようなものでありますので,その対象となる者についても,意思に反しない限りに行って,意思に反しないことを明らかにする方法としては申出をさせるということが適正だという点は変わらないのではないかと思いますので,この申出を要件にすべきだと考えます。 ○保坂幹事 「(2)」の,現行法を拡大するとした場合に,現行法の趣旨との整合性と,その要件をどうするかということに関連してですけれども,まず,「身体の拘束を解かれた後」という部分ですけれども,これは社会福祉などの公的扶助との住み分けのために規定されているということでしょうから,身体の拘束を受けたということに意味があるのであって,解かれた後である,「後」のところにそれほど意味はないのだろうと考えることができようかと思います。   したがって,身体の拘束中,拘束を解かれる前にも,今,太田委員から御発言があった生活環境の調整などができるようにするということは許されるのだろうと思われます。勾留中の生活環境の調整というのが身柄拘束されていない一般の福祉と区別されるということは明らかだろうと思いますので,住み分けの問題というのは生じないだろうと思います。そうしますと,身体の拘束を解かれた後ではなくて,被疑者として勾留されているとか,勾留中であるという要件にするのかなと思われます。   それと,「公訴を提起しない処分を受けた者」という点ですけれども,これは更生保護法の趣旨・目的から求められている,罪を犯した者であるという,その実質的要件を満たす必要がありますが,他方で不起訴処分という,処分が手続的に終わっていることが必要だとは思われないわけですので,検察官において罪を犯したと認めている者であればいいのであろうと思われます。要件についても,検察官において罪を犯したと認めた者などとするのかなと思われます。   他方で,検察官がそう認めたということが保護観察所の方にも何らかの形で伝わる,つまり,保護観察所の方でそれが確認できるということが必要になるのだろうと思うのですが,現在の更生緊急保護の要件であります,起訴猶予処分を受けた者であるということについてはどのように伝達されているのかということを,実務的なところを,事務当局から御紹介いただければと思います。 ○今福幹事 現行の起訴猶予処分を受けた者に対する更生緊急保護については,運用上,検察官が本人に対して更生緊急保護の制度を教示して,保護観察所へ申出のために出頭するよう促します。その際に,「保護カード」と呼ばれる書面を交付しており,この保護カードに,起訴猶予処分を受けた者であることを記載しております。保護観察所においては,本人が持参した保護カードをもって,本人が起訴猶予処分を受けた者であることを確認をしております。また,保護カードを持参していないときは検察庁に適宜問い合わせるなどして確認しています。 ○保坂幹事 今の説明を踏まえると,これは実務的なテクニカルな話ですけれども,起訴猶予処分を受けたという要件を検察官が罪を犯したと認めたと変えたとしても,実務上の支障はなく,同じように,検察官がそう認めましたということを保護カードみたいなものに記載して伝わるようにするということで,特に支障はないのではないかと思われます。 ○太田委員 「検討課題」の「1」の「(2)」の一番最後の「期間」ですけれども,現行法上は,「刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後6月を超えない範囲内において」と規定されているわけでありますけれども,この規定の趣旨を踏まえますと,まず,勾留中の者に対して行う場合は,刑事政策上の観点から,緊急性といいますか,緊急的な調整であるということは明確でありますし,勾留の期間という限りがあります。勾留満期を超えるということはありませんので,その期間に制限を設けるという必要はあまりないのではないかと思います。   身体の拘束を解かれた後に行う更生緊急保護につきましては,現行の起訴猶予処分を受けた後の場合は,起訴猶予処分のときからではなくて,拘束を解かれた後が起算点になっておりまして,そこから6月を超えない範囲内と規定されていますけれども,これは再犯防止に必要な措置を行うための期間を確保しつつ,一般の福祉との住み分け,いつまでたってもずっとやっているのではなく,一般の福祉との住み分けを明確にするために,最小限度の期間を規定したものであるとされております。   そうしますと,起訴猶予処分の前にも更生緊急保護を実施することができるようにしたとしましても,起訴猶予処分のときを起点にするという必要もないと考えられますので,そのときにもやはり拘束を解かれた後6月を超えない範囲内でというふうな形で,期間を変更しなくてもよいのではないかと思います。   そして,勾留中に更生緊急保護が行われていたとしても,それと身体の拘束を解かれた後に行われる更生緊急保護とは内容の範囲が異なると思われますし,社会福祉の施策における公的扶助との切り分けとしても問題になるのは専ら拘束を解かれた後でありますので,勾留中の更生緊急保護の如何にかかわらず,釈放後の更生緊急保護は拘束を解かれた後6月を超えない範囲内で行うということで,変更しなくてよいと考えます。 ○小木曽分科会長 この点について,ほかに御意見ございますか。   よろしいですか。   では,「1」についてはこの程度にいたしまして,次に「2 検察官による訓戒等の規定の整備」について,御意見をお願いします。 ○保坂幹事 「検察官による訓戒」と記載されているので,いろいろと誤解を招きましたが,「訓戒」ではなく,「等」の方について,以前に連携や協力に関する規定が考えられると申し上げましたけれども,もう少しそれを具体的に申し上げますと,例えば,検察官が起訴猶予処分にして釈放する際に,今も,福祉的措置が必要な場合でも,本人が自分で行って申請をするというのがなかなか難しい人というのが結構多くいて,弁護人に同行をお願いして行ってもらえる場合もあることはあるのですけれども,検察庁の職員が同行して福祉の窓口等に行って,手続を見届けるということも行っております。   それ以外にも,例えば,電話で連絡をとってアレンジをしたりとか,そういった福祉の窓口や福祉施設等に橋渡しをするというつなぎをするなど,検察官や検察事務官がそういった連絡をして協力を求めるということが必要になる場面というのがあるわけですけれども,検察が今まで行ってきた本来的な捜査,公判とは少し違う面でもありますので,そういった協力を求めることができるということをきちんと明文化しておくことができれば,そういった連携や調整がよりスムースになるのではないかということで,申し上げた次第です。   検察の理念におきましても,「捜査機関のほか,矯正,保護その他の関係機関とも連携し,犯罪の防止や罪を犯した者の更生等の刑事政策の目的に寄与する」とうたわれておりますし,再犯の防止等の推進に関する法律におきましても,関係行政機関の相互の密接な連携の下に再犯の防止等に関する施策が行われるものと規定されておりますので,検察官あるいは検察事務官,検察庁とその他の機関との間で再犯防止に向けた連携,そういう意識を涵養して,協力を依頼したりとか調整をするときの,それがより促進され,あるいは円滑に進むような規定を設けると,そういう趣旨で申し上げたところです。 ○田鎖幹事 今の御説明を伺いまして,確か以前の分科会でも同じような御説明を頂いたかと思うのですけれども,そうすると,項目の立て方が,もう少し端的に,「検察官による関係機関との連携を円滑化するための規定の整備」のような方が,正に誤解も生まず,スムースに理解が進むのかなと思いました。   それと,これも再犯防止に向けたということですけれども,当然そういった支援につながっていくということを本人が望んでいて,その場合に,身体拘束等を解かれるに当たって検察官の方でそういった機能を果たすということですので,そういった援助の性格というのも同時に明らかにすると,これは確認的だと思いますけれども,それは必要ではないかと考えました。 ○小木曽分科会長 その部分についての御意見ということで承りました。   ほかはよろしいですか。   それでは,配布資料17の「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」についての意見交換は,本日ここまでとしたいと思います。   次に,「保護観察・社会復帰支援施策の充実」,「社会内処遇における新たな措置の導入」及び「施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方」の論点に関する検討項目について,意見交換を行いたいと思います。   これにつきましても,事務当局に従前の資料を修正等してもらいまして,御用意いただきましたので,これについての御説明をお願いします。 ○羽柴幹事 配布資料18について,御説明します。   配布資料18は,部会第7回会議で配布した資料18の「保護観察・社会復帰支援施策の充実,社会内処遇における新たな措置の導入及び施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方(中間報告)(2)」を基に,部会第7回会議における御意見等を踏まえつつ,加筆・修正を行ったものです。   「中間報告(2)」からの変更点について御説明します。   「第2 犯罪被害者等の視点に立った処遇の充実等」の「検討課題」の「2」に関し,「接触禁止等の特別遵守事項の拡大」については,当分科会のこれまでの会議において,事務当局から,現行法の規定やそれにより設定し得る範囲について説明を行い,これを踏まえた御議論がなされたところ,更にその範囲を拡大すべき必要性があるとの積極的な御意見はなく,部会第7回会議においてもそのような御意見はなかったことから,差し当たり,検討対象から外してよいのではないかと考えられたため,記載しておりません。   次に,「第3 刑の執行猶予中の保護観察の仮解除の活用促進等」については,「考えられる施策・制度の概要」としていたものを,内容は変更していませんが,法整備を要すると考えられることから,「考えられる制度の概要」としています。また,「検討課題」の「1」の「仮解除の活用促進」に関し,「必要性」については,これまでの分科会において認識の共有が図られ,部会第7回会議においても御異論・御指摘はなかったことから,検討課題としては削除しました。   次に,「第4 外部通勤作業や外出・外泊の活用等」については,事務当局の説明を踏まえた御議論によると,具体的な方策等に関して法整備を要しない運用で対応できるということでおおむね認識の共有が図られたと考えられ,部会第7回会議においても御異論・御指摘はなかったことから,「考えられる施策・制度の概要」を「考えられる施策の概要」とするとともに,検討課題を削除しております。   次に,「第5 保護観察における少年鑑別所の調査機能の活用の在り方等」の「検討課題」の「1」の「少年鑑別所への通所による調査」に関し,「必要性」については,これまでの分科会において認識の共有が図られ,部会第7回会議においても御異論・御指摘はなかったことから,検討課題としては削除しました。   また,内容の検討を進めつつ,法整備の要否も検討課題と考えられることから,検討課題の五つ目の「○」として,これを追加しました。   最後に,「第6 更生保護事業の体系の見直し」について,法整備を要すると考えられることから,「考えられる施策・制度の概要」を「考えられる制度の概要」に修正しました。また,「検討課題」のうち「必要性」については,これまでの分科会においておおむね認識の共有が図られ,部会第7回会議においても御異論・御指摘はなかったことから,検討課題としては削除しました。   その上で,事業体系を見直す内容が具体的な検討課題となると考えられることから,検討課題の「1 内容」として,「更生保護事業として明文で定める具体的内容」を追加しました。   配布資料18の説明は以上です。 ○小木曽分科会長 御質問や検討課題等についての御意見がありましたら伺います。よろしいですか。   それでは,配布資料18に沿いまして,資料に示された「第1」から「第6」の検討課題ごとに意見交換を行いたいと思います。   初めに,「第1 特別遵守事項の類型の追加」について,意見交換を行いたいと思います。 まずは,「1 民間施設が実施するミーティングへの参加やプログラム等の受講」について,御意見がある方から御発言をお願いしたいと思います。 ○太田委員 「民間施設が実施するミーティングへの参加やプログラム等の受講」の相当性ということなのですけれども,以前の会議において田鎖幹事から,このミーティングへの参加やプログラムを受けることというものを特別遵守事項として設定することができるようにすべきではなくて,プログラム等の内容及び主体については,現在の特別遵守事項の規定である更生保護法第51条第2項第4号で設定可能な,保護観察所が行うものに限るべきという意見があったかと思います。   しかし,依存等の問題を有する場合には,長い期間にわたってケアというものが必要でありますし,以前にも発言しましたとおり,保護観察の期間は非常に限りがあります。仮にその際に保護観察所が行うプログラムを受講したとしても,保護観察期間が終了してしまえば,そのプログラムを引き続き受けることができません。そこで,保護観察期間中から民間施設が行うミーティングとかプログラムなどにつなげて,保護観察終了後もそこでケアを受けさせるということが必要な場合があると考えられます。   他方で,民間施設のプログラム等は対象者にとって容易に受講につながるものではないことから,保護観察期間中に民間施設のプログラム等の受講を特別遵守事項として設定することができるようになれば,その受講を促すことで,結果的には保護観察終了後も引き続き当該プログラム等を受け続けることができるように,そういうことにつながりますので,結果として再犯防止や改善更生に資すると考えられます。   民間施設が行うミーティングとかプログラムを特別遵守事項として設定できるように類型を追加したとしましても,特別遵守事項には更生保護法第51条第2項で保護観察者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において具体的に定めるものとすると規定されておりますので,その趣旨からは,例えば依存症等があって,その改善のためにミーティングへの参加とかプログラム等の受講の必要な場合があっても,特別遵守事項としてこの受講を設定することが特に必要と認められるのは,その依存症等が犯罪行為との結び付きがあるという場合に限定されるのではないかと思います。   そこでですけれども,実際にこの更生保護法を所管している事務当局として,この点について御見解があれば教えていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 ○今福幹事 更生保護法第51条第2項の趣旨につきましては,太田委員から御発言のあったとおりでございまして,仮に特別遵守事項で設定する内容が明確かつ具体的であったとしましても,保護観察に付されることになった犯罪や非行との関連性が乏しい場合には,「保護観察対象者の改善更生のために特に必要」という要件は満たさないことになると考えられます。 ○太田委員 今の今福幹事の説明による現在の解釈と運用に沿いますと,民間等が行うプログラム等を特別遵守事項の類型として新設しましても,保護観察に付された犯罪や非行との関連性が考慮されて,実際に設定するかどうかということは慎重に判断されることになるだろうと思われます。また,内容が明確かつ効果的であることや,履行状況の確認が可能であることなどについて法務大臣が定める基準として設けられるのであれば,特に保護観察の種別で限定を設けることなく,民間施設が実施するミーティングへの参加やプログラム等の受講を特別遵守事項の類型として追加する相当性もあるのではないかと考えます。 ○保坂幹事 三つ目の「○」の「法務大臣が定める基準の在り方」についてです。現行の更生保護法の第51条第2項第4号においては,専門的処遇プログラムについて,「法務大臣が定めるもの」と規定されているわけですけれども,この「法務大臣の定めるもの」というのは,大臣告示でプログラムごとにその対象となる犯罪的傾向の内容や処遇の内容が定められていると承知をしています。今議論されている民間施設で行うミーティングやプログラムを受けることを特別遵守事項として設定できるようにするという場合には,大臣告示で定めるような事項になろうかと思われますけれども,この配布資料18に書かれているようなミーティングやプログラムの内容として,その内容が明確で効果的であることとか,履行状況の確認が可能であるということがその大臣告示の中で確保されるということが必要になってくるのだろうと思われます。 ○小木曽分科会長 ほかはよろしいですか。   特段なければ,「1 民間施設が実施するミーティングへの参加やプログラム等の受講」についての意見交換はこの程度としまして,次に「2 更生保護施設への宿泊義務付け及び当該施設からの外出禁止」について御意見をお願いしたいと思います。 ○保坂幹事 まず,「更生保護施設への宿泊義務付け」の点ですけれども,現行の更生保護法第51条第2項第5号に基づく義務付けというのは,今のところの運用としては,保護観察官が常駐している自立更生促進センターに限って行われていて,しかもその対象者というのは,民間の更生保護施設で受入れ困難な仮釈放者に限った運用が行われているということでした。   仮釈放者に限って運用しているというのが,自立更生促進センターが設立された目的がそうだったからということだそうで,保護観察付執行猶予者でありましても,現行の法令上は自立更生促進センターにも収容があり得るでしょうし,その自立更生促進センターに限らず,先ほど申し上げた第5号の要件を満たす場所であれば,宿泊を義務付けるということは現行法令下で可能ということになっているところだと認識をしております。   それで,第6回会議における今福幹事の御説明によりますと,民間の更生保護施設におきましても,保護観察官の体制を強化して連携を強化することによって,指導監督体制ということを整備していくということを検討し得るということでしたので,そのような体制を整備するなどして,先ほど申し上げた第5号の要件を満たす場所とすることができれば,仮釈放者に限らず保護観察付全部猶予者も対象として,今,配布資料に書かれているような基準を設けて,その宿泊を義務付けるということはできるのだろうと考えられるところです。   続けて,「(2)」の「宿泊を義務付けられた更生保護施設からの外出禁止」についてです。配布資料に「法整備の要否,内容」とありますが,例えば,法整備の内容といたしましては,正当な理由がない限り外出をしてはならないといった内容にするのが適当だろうと思われます。例えば,就労の時間が不規則であって,それが夜まで及んでしまうという場合など,正当な理由がある場合にまで禁止するというのは適当でないので,そういった正当な理由がない限りという留保を付けた上で禁止するということになるのだろうと思います。   それと,以前も申し上げましたけれども,そのような外出禁止の特別遵守事項を設定するためには,現行法の規定によりますと,誰に無断で外出してはならないとするのかが疑義があるので法整備をすべきと申し上げましたけれども,更生保護法に,正当な理由がない限り外出を禁止するということを,特別遵守事項としてそういう類型を追加するということが考えられまして,それで,どのような場合に禁止されるのかということを規定するということが考えられるところです。   更生保護施設からの外出禁止というのは,もとより,自由の制約を伴うわけですから,保護観察付全部猶予者を想定いたしますと,その相当性が問題になるわけですけれども,配布資料に記載があるような,遵守事項違反があって更生保護施設の宿泊が義務付けられた後,夜間に門限を守らず外出して,問題性のある者と接触するなどしているため,再犯のおそれが高まっているという場合を想定して,そういう場合に設定できるようにするということになるのだろうと考えられるところです。 ○田鎖幹事 「(1)」の方に戻ってしまうのですけれども,ここでも,「次のような要件・基準とすべきか」ということで,「遵守事項違反があり,執行猶予の取消しの申出をすることもあり得る」ということが,まず,大きな前提となっているわけですけれども,ここをより明確化するというか,対象を限定とするということですと,例えば,取消し申出の要件を充足されているというようなことを前提とするということは考えられるのか,書き方がなかなか難しい。取消しの申出をすることもあり得るということで充分なのかなとも思うのですけれども,何かそこがきちんと絞られているということが分かるような形で,条文のどこに書き込むかということも,配置の問題とかも含めて検討しなければいけないと考えました。   また,更生保護施設ということを想定したときに,どうしても私などは今ある現状の更生保護施設ということを前提にしてしまうので,実際に保護観察所,保護観察官が赴く等して実施をするとしても,なかなか現実の環境として難しいところがあるのではないかと,問題のある環境から遮断しつつといったときに,現実問題として更生保護施設には,かなり狭い空間にいろいろな人が入っているというのが実情ですので,そういう意味ではきちんと要件を定めて,それをクリアするところに限られると。そうすると,現実問題としては,自立更生促進センターのような所に収れんされざるを得ないのではないか,現状のいわゆる普通の更生促進施設を前提とすると,なかなか難しいのではないか。やはり問題のある環境からの遮断とかいうことを考えると,設備的な要件とかもきちんと定めないと,かえってまずいことにもなりかねないのではないかと,これは感想めいたことですけれども,考えました。 ○小木曽分科会長 「第1 特別遵守事項の類型の追加」について,それ以外に御意見ございますか。   よろしいですか。   それでは,次に,「第2 犯罪被害者等の視点に立った処遇の充実等」について,意見交換を行いたいと思います。   まずは「1 刑の執行初期段階における犯罪被害者等の心情等伝達制度」に記載されている点について,御意見をお願いしたいと思います。 ○太田委員 「検討課題」の「1」の最初の「対象とする事案」についてですけれども,以前にも意見を述べたと思いますが,諸機関から接触されることすら望まない被害者もいると考えられますことから,原則として,申出があった被害者等を対象としつつ,ただ,申出があった場合でも,制度の趣旨等から見て相当でないというときは,心情等の伝達の対象にはしないという制度にすることが考えられます。   どのような場合に相当でないのかということについては,具体例としても,これも以前に述べたと思いますけれども,例えば,暴力団同士の抗争事件の被害者というような場合には,相当でないとすることが考えられるかと思います。   それから,申出の対象とする被害者等の範囲につきましては,特段,制限を設けるということは適当でないと考えますので,現行の更生保護法の仮釈放に関する意見聴取や保護観察における心情等伝達の規定にありますように,刑を言い渡される理由となった犯罪により害を被った者,又はその法定代理人,若しくは被害者が死亡した場合又は心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹と同じ範囲でよいのではないかと考えます。 ○保坂幹事 二つ目の「○」の,「意見・心情等の聴取を担当する機関」についてです。担当する機関としては,保護観察所か矯正施設どちらかの職員ということが想定されるわけですけれども,執行初期段階から聴取を行うという趣旨が,受刑者に何らかの形で伝達して処遇にいかすということを前提としますと,被害者等から聴取するとき,その述べたことをそのまま聴くというよりは,聴取した後に,それをどのように伝達するのか,どういかすのかということを想定しながら,矯正施設への処遇に精通している職員が意思疎通を図りながら被害者等から聴取するという方が適当ではないかと考えられますので,受刑者として収容されている矯正施設の職員ですとか,あるいは,それが被害者の所から遠いということであれば,別の矯正施設の職員が聴取するというのが望ましいのではないかと思われます。もとより被害者側の意向やニーズもあるとともに,保護観察所の方では心情聴取というのを今までも行ってきている実績もありますので,保護観察所の職員の協力を得ながらということが考えられるのではないかと思われます。   いずれにしても,聴取を直接担当するのが矯正施設の職員だとしましても,聴取した内容ですとか,それを伝達された受刑者の反応などが,その矯正施設の長による仮釈放等の申出ですとか,あるいはその後の仮釈放等の審理だとか調査だとか,あるいはその先の保護観察にきちんとそれが参照できるようにするために,矯正施設と保護観察所の連携というのは確保されるべきであろうと思われます。   続けて,「聴取した意見・心情等の処遇への活用方法」という点について,事務当局へ質問をしたいのですけれども,事務当局から以前配布していただいた資料に基づく説明によりますと,現行の更生保護法における保護観察の段階での心情等伝達制度というのは,更生保護法に根拠規定があって,運用の方で保護観察所に相談とか支援の窓口を設置して,聴いた内容を伝達する場合には,その規定に基づいて伝達の手続を行う,伝達を希望しない場合にも,処遇にいかすということを希望する意見であった場合には,それを運用で処遇にいかすということを行っているとのことでした。つまり,法令上規定するのか,運用に委ねるのかということが新たな聴取制度においても問題になろうかと思われますので,現行の更生保護法に設けられている心情等伝達制度の規定の在り方とその運用の状況について,事務当局から御説明いただければと思います。 ○今福幹事 現行の保護観察における心情等伝達制度は,更生保護法第65条で規定されております。その規定によりますと,被害者等から申出があった場合に心情等を聴取し,これを被害者等に伝達することを原則としつつ,聴取した場合であっても,保護観察対象者の改善更生を妨げるおそれがあり,又は被害に係る事件の性質,保護観察の実施状況その他の事情を考慮して相当でない場合は,伝達しないことができることとなっております。   どのような場合が「相当でない場合」に該当するのかということにつきましては,個々の状況等に応じて保護観察所において判断することとされております。他方,聴取した心情等を保護観察の処遇にいかす場合には,処遇に関する現行の運用上の規定の中でも対応が可能となっております。それ以上にどのように処遇に,どのようなタイミングでいかすのかということにつきましては,個々の対象者の状況等によって異なるものですから,一律にその要件や手続を法律で規定しておくことは難しいと考えられ,運用において柔軟に対応しています。   運用面について更に申し上げますと,保護観察所においては,心情等を伝達したいという被害者等の希望にできる限り配慮するということが大切ですし,保護観察対象者の改善更生を図る上で,被害の実情等を直視させ,反省及び悔悟の情を深めさせることが必要であるという観点から,適正な運用に努めているところでございます。   この点,保護観察対象者の中には,被害者等の心情等を適切に受容することができるようになるまで相当の時間を要する場合もございますし,無理に伝達してしまうことによって,保護観察対象者の精神の状況を著しく不安定にしたり,被害者等を逆恨みするなど,その改善更生を妨げるおそれもあることから,伝達することが不相当であると認められる場合には,全部又は一部を伝達しないということもございます。ただし,そのような場合であっても,被害者等にはその旨をお知らせして,被害者等にも配慮しています。 ○保坂幹事 今の御説明を参考にしますと,更生保護法におけるのと同様に,矯正施設の職員がこれを担うということでありますと,刑事施設収容法におきまして,申出があったら心情を聴取する,聴取したら原則として伝達する,相当でない場合には伝達しないことができると,同じような規定を設けるというのが考えられるところでありますけれども,その具体的な内容というのは,保護観察段階におけるのとどういう相違点が想定されるかとか,その相違点に応じて違う規定にするのが適当かということも,更に検討する必要があろうかと思われます。   仮に刑事施設に収容されている者を対象とするのであれば,少年院に収容中の者についても同じように対象とするというのが適当かと思われますので,仮にそうする場合には,少年院法の方にも同様の規定を設けるということになるであろうと思われます。   その上で,聴取した心情や意見を処遇,あるいは処遇に関する意見について,それを踏まえた矯正処遇を行うことだとか,その処遇状況や結果を踏まえて仮釈放の申出,判断を行うことについては,特に規定を設けなくても,現行の規定の中で当然にそうされるのだろうと思われるところですし,一方で,それをどの程度,どのように踏まえるのかとかというのは,結局その意見の内容ですとか受刑者の状況に応じた個々の判断ということになりますので,その受刑者の,それが受け入れる状況かどうかを見極めながら,慎重にやるということになりましょうから,そのような要件とか手続を一律に規定しておくということは相当ではないのだろう,そこは運用に委ねておくのだろうと思われるところです。 ○太田委員 今の保坂幹事と今福幹事のお話を聞いた上での感想ですけれども,基本的に,刑の執行の初期段階における心情等の聴取,伝達というのは,その後に行われる矯正処遇に活用するということを踏まえると,矯正側の職員によって聴取・伝達が行われることが望ましいというのは,確かにそのとおりだとは思うのですが,ただ,その後,仮釈放になったり,若しくは仮釈放の審理の際もそうですし,仮釈放になった後の保護観察という場面においても,被害者の心情等が活用されていくということになりますので,矯正処遇だけで使うというわけではないことを考えますと,これも既に御指摘をされておりましたけれども,矯正だけがやるという制度設計にはしないで,保護の方との連携協力という形で行うという形は,規定上,やはりはっきりさせておく必要があるのではないかと思います。   それから,被害者の負担ということを考えた場合でも,やはり遠方の施設に行くのは大変でしょうし,これは被害者の方に聴いてみないと分かりませんけれども,実際の加害者の方が収容されている施設に行くということが被害者にとってどういう負担になるのかということも配慮しなければいけないと思います。近くの刑事施設若しくは管区の事務所でいいではないかというのがあるかもしれませんけれども,そういう点でも,どこで誰が行うかということについては,被害者の心情等にも配慮するという,これは運用のレベルの話かもしれませんけれども,そういう必要があるだろうと思います。   それから,これは制度ができた場合の希望ですけれども,単にこの心情等伝達というのは,被害者から意見を聴き取って,録取して,それを伝えるという非常に形式的なものではなくて,録取する段階でいろいろなやり取りをしながら,そのこと自体が被害者に対して心情の整理だとか,それから心情の安定とかというのに寄与しており,録取の過程自体が被害者に対する支援といいますか,被害者の心情安定に非常に寄与しているということが保護の方が書かれたものの中にあります。そこで,これまでの実務を通じて保護が得たノウハウということも十分に活用していく必要があるという点からも,矯正と保護の正に連携というところがうまく機能するとよいと思っております。 ○田鎖幹事 あえて申し上げるまでもないかと思ったのですけれども,今,お二方の御意見を伺って,それぞれにごもっともと思いまして,保坂幹事も元々必要に応じて保護観察所の方の協力を得ながらとおっしゃっておりましたし,一方でやはり,特に矯正の実情を考えると,今,少ない職員でいろいろなことを行わねばならず,更生保護施設もそうですけれども,矯正施設も非常に大変な中で,やはりこういう重要な問題について専門的な知見を持ち,訓練を受けた人が矯正の中できちんと育っていくということも,これはこれで必要なことだと思いますので,それを前提とした上で保護の方と協力していただくというのが望ましいと私も考えます。 ○小木曽分科会長 「刑の執行初期段階における犯罪被害者等の心情伝達制度」についてはこの程度でよろしいでしょうか。   それでは,次に,「2 より犯罪被害者等の視点に立った指導」について,意見交換を行いたいと思います。 ○保坂幹事 まず,「(1)損害賠償を促すための措置」についてですが,前回の会議で太田委員から,その具体的な内容としては,賠償計画を具体的に立てて賠償に向けて就職活動をすることですとか,あるいは就労によって貯めた一定金額を送金するというようなことが考えられるということでした。賠償することそのものを特別遵守事項として設定することについては,その相当性の点から課題があると以前にも申し上げたところですが,そうだとしますと,生活行動指針にそれを設定して,これがきちんと遵守されるように保護観察官や保護司の方が指導を行うということは,それによって可能だろうと思われます。そのための運用の規律というのは省令等できちんと規定するということになろうかと思われます。   それと,「(2)被害者等の状況を理解してそれを踏まえて行動することを促すための指導」の「法整備の要否」のところにあります,「保護観察官が処遇を行うに当たっての考慮要素の一つとして,被害者等の状況を追加すべきか」ということに関しまして,以前に羽間委員から,更生保護法に規定するのか,それとも下位の法令に規定するのかという点について検討する必要があるとの御発言がありました。そこで,事務当局にお尋ねなのですけれども,現行の更生保護法と下位法令について,保護観察の実施に当たっての総則的規定というのがどのような構造になっているかを前提として御説明いただければと思います。 ○今福幹事 当分科会の第7回の会議においては,更生保護法第3条の処遇における運用の基準について御説明しましたけれども,この規定は,保護観察のみならず更生緊急保護その他の更生保護法に規定された措置の全てを通じて,共通の考慮要素等を定めた総則的な規定でございます。   それに対して,省令である社会内処遇規則におきましては,保護観察や更生緊急保護などに関して,それぞれについての総則的な規定が置かれています。このうち,更生緊急保護については,切迫した場面における緊急的な保護の措置をとるという性質上,その判断の考慮要素の一つとして被害者等の状況を追加するということは考えにくいと思われます。   一方で,当分科会において,保護観察における指導監督の総則的な規定に被害者等の状況を加えるべきか否かということが議論されていると理解しておりますが,指導監督の総則的な規定である社会内処遇規則第41条には,「被害者等の状況」は明記されておりません。 ○保坂幹事 「被害者等の状況」をどこに追加するかということについて,現行の法律と省令との関係でいうと,指導監督の総則的な規定というのは法律にはなくて,省令の方にあるということでしたので,加える趣旨が,より被害者の視点を加えるということで保護観察の対象者の方も被害者の状況を理解して,それを踏まえて行動することを促していくということになりますと,保護観察における指導監督の総則的な規定として設けられている,先ほど御紹介があった社会内処遇規則にその考慮要素の一つとして被害者の状況というのを規定するということが,考えられるのではないかと思われます。 ○太田委員 今のお話は,要するに,更生保護法の総則規定は被害者と関係のない更生緊急保護も含まれているので,そこに被害者の状況に関する規定を加えることは難しく,結局,省令である社会内処遇規則の中の保護観察の総則規定に加えるのが望ましいというお話だったかと思うのですけれども,省令である社会処遇規則の中の,しかも保護観察の項目の中にのみ,被害者に関する事項を押し込んでしまうというのは,私は心情的には非常に残念だなと思います。   また,更生緊急保護も,そもそも被害者のことに全く関係ないといえるのだろうかとも私は考えておりまして,基本的に就職を助けることが結果的には本人の更生ということにもつながるし,それをしないと基本的には被害者への損害賠償がままならないということで,やはり十分に関係してくるともとれなくもないと思います。   また,社会内処遇規則第41条の規定は,保護観察の処遇方針に関する規定でありますけれども,そこに規定するということは,その前の第2章にある仮釈放には適用がないことになりかねず,仮釈放の許可基準でもそうですし,それから意見聴取でもそうですけれども,そういう場面では被害者に配慮しないのかということになってしまわないかと思いますし,仮釈放の意見聴取制度が今後,刑の執行段階における意見聴取制度になったとしても,これは基本的に変わらないと思いますので,私はやはり上位の法律レベルで規定するということが望ましいのではないかと思います。   そもそも,更生緊急保護は保護観察とは確かに異なる作用でありまして,元々は別の法律,更生緊急保護法に規定されていたところ,それを廃止して犯罪者予防更生法とか現在の更生保護法に組み入れたという経緯のものではあるわけで,かなり異質なものであるということは確かなのでありますけれども,では,仮にもし更生緊急保護の部分は被害者と関係ないとしたとしても,だとすれば,更生保護法の中に保護観察とか仮釈放に関する処遇方針なり,その運用の基準という規定を新たに設けて,その中には一つの考慮事項として被害者ということを規定するということもあり得ないわけではないと思いますので,一度そういう可能性についても御意見等いただければと考えています。 ○小木曽分科会長 今の点は,今後検討していくということかと思います。  「第3」については,事務当局に調査をお願いしてあるところですので,本日の意見交換はここまでといたしまして,「第3」以降については次回に持ち越しということにいたしたいと思いますが,本日扱いました点について言い残したことがございましたら,お願いします。 ○田鎖幹事 直近の被害者の関係ですけれども,被害者の状況を理解して行動を促すための指導を実現するための規定をどうするかという,太田委員のおっしゃることも非常によく分かるのですけれども,一方で保護観察対象者全体を見たときに,具体的な被害者がいないという人も相当の割合でいるわけでして,現実に今の法令の建て付けについても先ほど御説明いただきましたので,そこをあえて根本的にといいますか,変えて,新たな規定を設けるというと,ほかとの関係とかもいろいろ出てくるので,なかなかここの分科会だけでやるのはきついというか,もっと大きな課題なのかなということを,以前にも少し似たようなことを申し上げたかと思うのですけれども,これは感想めいたものかもしれませんけれども,私自身は思っております。その意味で,先ほどの御説明というのは,私はなるほどと思って伺いました。 ○小木曽分科会長 この程度でよろしいですか。   それでは,一つ事務当局にお願いしておいた方がよいかと思うことがございます。「第6 更生保護事業の体系の見直し」に関することですけれども,「第6」の「検討課題」の「1」の「内容」に「更生保護事業として明文で定める具体的内容」というのがございます。この内容については,部会に報告する制度概要案等の作成に向けて,具体的,技術的検討を行うに当たっては,まずは法律案の立案を担当することとなる事務当局におかれまして,これまでの議論の状況を踏まえて検討のたたき台を作成していただいて,それを利用しながら議論をするのが効率的ではないかと思われます。   それから,「検討課題」の「3 その他」に「自立準備ホームの事業としての位置付け」があります。当分科会の第5回会議におきまして,羽間委員からも,自立準備ホームを運営する事業者の意見も踏まえる必要があるという旨の御発言がありました。この点につきましても,事務当局において自立準備ホームを運営する事業者の意見を確認していただいて,その結果を踏まえて議論を行うことがふさわしいのではないかと思います。   構成員の皆様に御異論がなければ,そのようにお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。               (一同異議なし)   では,そのようにお願いします。   本日の審議は以上です。   今後の予定について,事務当局から説明をお願いいたします。 ○羽柴幹事 今後の予定について御説明します。   次回の第3分科会の会議は,6月8日金曜日午後1時30分から予定されています。場所は,法務省大会議室となります。 ○小木曽分科会長 本日の会議の議事につきましては,公表に適さない内容に当たるものはないと思いますので,発言者名を明らかにした議事録を作成して公表することにしたいと思いますが,よろしいでしょうか。               (一同異議なし)   それでは,そのようにさせていただきます。   本日は,ありがとうございました。 -了-